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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 F21V
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F21V
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 F21V
管理番号 1380770
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-01-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-03-01 
確定日 2021-12-21 
事件の表示 特願2016−215416号「照明器具」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 5月10日出願公開、特開2018− 73743号、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続きの経緯
本願は、平成28年11月2日の出願であって、その手続の概要は以下のとおりである。

令和 2年 5月28日付け:拒絶理由通知書
同年 8月 3日 :意見書、手続補正書の提出
同年11月20日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和 3年 3月 1日 :審判請求書、同時に手続補正書の提出
同年 8月17日付け:拒絶理由通知書(以下「当審拒絶理由」とい
う。)
同年10月 4日 :意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



●理由1(新規性)、理由2(進歩性)について
・請求項1、3
・引用文献等1

●理由2(進歩性)について
・請求項2、3
・引用文献等1、2

<引用文献等一覧>
1.特開2015−195160号公報
2.特開2016−178013号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。



本願請求項1〜3に係る発明は、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えたものである。

第4 当審拒絶理由について
令和3年10月4日付け手続補正書による手続補正(以下「本件補正」という。)により、補正前の請求項1に「前記複数の第1電子部品のうち高さ寸法が最も大きい第1電子部品の高さ寸法が、前記複数の第2電子部品のうち高さ寸法が最も大きい第2電子部品の高さ寸法よりも小さく、」との事項が付加され、補正前の請求項3に「前記複数の第2電子部品は、前記複数の第1電子部品に比べて発熱量が大きい電子部品を含み、」との事項が付加された。
これにより、補正後の請求項1〜3に係る発明は、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲内のものとなった。
したがって、当審拒絶理由で指摘した、特許法第36条第6項第1号に係る拒絶理由は解消した。

第5 本願発明
本願の請求項1〜3に係る発明(以下、それぞれ、「本願発明1」〜「本願発明3」という。)は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1〜3に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
複数の発光素子と、
複数の第1電子部品、及び複数の第2電子部品を有し、前記複数の発光素子に電力を供給する電源部と、
第1面及び前記第1面と反対側の第2面を有し、前記第1面における第1領域に前記複数の第1電子部品が配置され、前記第1面における前記第1領域よりも外側の第2領域に前記複数の発光素子が配置され、前記第2面に前記第2電子部品が配置される基板と、
前記第2面が対向するように前記基板が取り付けられる器具本体と、
前記基板に配置された前記複数の第1電子部品をすべて覆い、かつ、前記複数の発光素子を覆わない電源カバーと、を備え、
前記複数の第1電子部品は、表面実装部品であり、
前記複数の第1電子部品のうち高さ寸法が最も大きい第1電子部品の高さ寸法が、前記複数の第2電子部品のうち高さ寸法が最も大きい第2電子部品の高さ寸法よりも小さく、
前記電源カバーは、透光性を有しない材料で形成されている
ことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記基板は、前記第1面側にのみ導電体を有する片面基板であり、
前記複数の第2電子部品は、リードタイプ電子部品であり、スルーホール実装により前記導電体と電気的に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記複数の第2電子部品は、前記第2面における第3領域に配置され、
前記複数の第2電子部品は、前記複数の第1電子部品に比べて発熱量が大きい電子部品を含み、
前記基板の平面視において、前記第3領域の外縁は、前記第1領域の外縁よりも内側である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の照明器具。」

第6 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)引用文献1に記載された事項
引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審が付した。以下同様である。)。
「【0049】
図1乃至図3は、本発明の照明装置であるLED照明装置100の実施の形態の一つを示し、この本実施形態に係わるLED照明装置100は、図1乃至図3に示すように、天井面5の被取付部に取り付けられるLEDランプ本体1と、このLEDランプ本体1に装着される透光性カバー2とを備えている。このLEDランプ本体1は、図1乃至図3に示すように、LED素子15eと、このLED素子15eが実装される基板15と、このLED素子15eが実装される基板15と同一の基板15に搭載されてLED素子15eを点灯させる点灯回路用の回路部品15fと、この基板15に搭載されるセンサ部17と、この基板15が取り付けられる放熱部材14と、この放熱部材14を介して基板15を保持するベース部材10とを備えている。このベース部材10には、図1乃至図3に示すように、被取付部である天井面5の配線器具6に電気的かつ機械的に連結される引掛刃12が設けられている。
・・・
【0064】
(4.−1部品配置)
この基板15における各エリアにおける電子部品の配置について、より詳細に説明すると、まず、基板15の表面の外周部側に位置するLED素子搭載エリア15aには、図11及び図13に示すように、円環状に略均等間隔でLED素子15eが搭載されている。このLED素子搭載エリア15aに対応する裏面には、図10及び図12に示すように、放熱エリア15dが設定され、この放熱エリア15dは、回路配線がされておらず放熱部材14の放熱接触部14bと密着できる構造となっており、LED素子15eからの発熱を基板15の裏面の放熱エリア15dを介して放熱部材14から効率的に放熱できるようになっている。
【0065】
一方、基板15の表面のLED素子搭載エリア15aより中心部側に位置する略円環状の回路部品搭載エリア15cには、図12及び図13に示すように、背の低い回路部品15fであるチップ形状の固定抵抗151j、コイル151a等の面実装対応の回路部品15fと、外周部側に位置するLED素子搭載エリア15aと併せて前面(床面側の面)側の全面から均一の光が出射されるようにLED素子15eが搭載されている。背の低い回路部品15fを回路部品搭載エリア15cに搭載するのは、LED素子15eからの出射光が、回路部品15fにより妨げられるのを防ぐためである。
【0066】
次に、基板15の表面の回路部品搭載エリア15cより中心部側に位置する略円環状のセンサ搭載エリア15bには、図13に示すように、引掛刃12の刃端子部12eが挿入される刃接続孔15gと、反射筒17cの固定脚173fが挿入され固定される反射筒固定孔15kが、配置されている。基板15の表面に略円筒形状の反射筒17cが搭載されているために、LED素子15eからの出射光が反射筒17cにより妨げられるので、出射光が照射される反射筒17cの面は、反射材や反射シート等により光の反射機能を有するように作成されている。
【0067】
基板15の表面の中心部側の略円形状の回路部品搭載エリア15cには、図13に示すように、背の低い回路部品15fであるチップ形状の固定抵抗151j、ブリッジダイオード151b等の面実装対応の回路部品15fと、センサ基板17bとの配線のためのコネクタ15mが配置されている。この回路部品搭載エリア15cは、センサ部17を構成している反射筒17cに覆われる部分のため、放熱の条件が良好ではないので発熱が少ない回路部品15fを配置する配慮が必要である。
【0068】
この回路部品搭載エリア15cに対応する裏面の回路部品搭載エリア15cは、図12及び図14に示すように、放熱部材14の放熱開口部14aと位置が対応しているので、基板15の表面に搭載される回路部品15fよりも背が高い回路部品15fであるIC、151c、電解コンデンサ151d、チョークコイル151e、コンデンサ151f、ヒューズ151g、フィルムコンデンサ151h等のディスクリート回路部品が搭載されている。なお、回路部品搭載エリア15cと対向するベース部材10側中央部には、回路部品15fが挿入することができる空間を設けてある。」

また、図3、10及び13は以下のとおりである。
【図3】


【図10】


【図13】


(2)引用文献1の認定事項
上記(1)の摘示から、次のことが認定できる。
ア 図10及び13における、反射筒固定孔15kと、回路部品15fである固定抵抗151j、ブリッジダイオード151b、コイル151aとの位置関係から、反射筒17cが、基板15の表面の回路部品搭載エリア15cに搭載された回路部品15fの一部を覆うこと。

(3)引用発明1
上記(1)及び(2)から、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「 LEDランプ本体1を備え、
LEDランプ本体1は、LED素子15eと、このLED素子15eが実装される基板15と、基板15に搭載されてLED素子15eを点灯させる点灯回路用の回路部品15fと、基板15に搭載されるセンサ部17と、基板15が取り付けられる放熱部材14と、放熱部材14を介して基板15を保持するベース部材10を備え、
基板15の表面の外周部側に位置するLED素子搭載エリア15aには、円環状に略均等間隔でLED素子15eが搭載され、
基板15の表面のLED素子搭載エリア15aより中心部側に位置する略円環状の回路部品搭載エリア15cには、背の低い回路部品15fであるチップ形状の固定抵抗151j、ブリッジダイオード151b、コイル151a等の面実装対応の回路部品15fと、LED素子15eが搭載され、
基板15の表面の回路部品搭載エリア15cより中心部側に位置する略円環状のセンサ搭載エリア15bには、反射筒17cの固定脚173fが挿入され固定される反射筒固定孔15kが配置され、LED素子15eからの出射光が照射される反射筒17cの面は、反射材や反射シート等により光の反射機能を有するように作成され、
回路部品搭載エリア15cに対応する裏面の回路部品搭載エリア15cは、基板15の表面に搭載される回路部品15fよりも背が高い回路部品15fであるIC151c、電解コンデンサ151d、チョークコイル151e、コンデンサ151f、ヒューズ151g、フィルムコンデンサ151h等のディスクリート回路部品が搭載され、
反射筒17cが、基板15の表面の回路部品搭載エリア15cに搭載された回路部品15fの一部を覆う、
LED照明装置100。」

2 引用文献2について
(1)引用文献2に記載された事項
引用文献2には、次の事項が記載されている。
「【0015】
基板20は、金属をベースとするかあるいは絶縁材料で形成され、基板20の下面に配線パターンが形成されている。基板20は、略長方形に形成され、長手方向の一端側に発光素子実装領域23aが形成され、他端側に電源回路実装領域23bが形成されている。基板20の長手方向における発光素子実装領域23aと電源回路実装領域23bとの寸法関係は、発光素子実装領域23aが電源回路実装領域23bよりも小さく、例えば1 : 2 の関係にある。
・・・
【0018】
電源回路22は、基板20の電源回路実装領域23bに実装されている。電源回路22は、複数の電子部品29を有している。これら電子部品29のうち、リード線を有するリード部品は基板20の上面に配置されるとともにリード線が基板20の下面に挿通して配線パターンに接続され、チップ部品は基板20の下面に配置されて配線パターンに接続されている。電子部品29には、基板20の上面に実装されていて照明装置10の周囲の明るさを検知するための照度センサ30が含まれている。そして、電源回路22は、外部から供給される交流電力を所定の直流電力に変換し、この直流電力を発光素子21に供給して発光素子21を発光させるものであり、さらに、照度センサ30によって検出する明るさが所定の閾値よりも低い場合に発光素子21を点灯させ、所定の閾値よりも高い場合に発光素子21を消灯させるように、発光素子21の点灯および消灯を自動的に制御する。」

第7 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。
ア 引用発明1の「LED素子15e」は「円環状に略均等間隔」で「搭載され」るから、複数「搭載され」ることは明らかであり、本願発明1の「複数の発光素子」に相当する。

イ 引用発明1の「チップ形状の固定抵抗151j、ブリッジダイオード151b、コイル151a等」の「回路部品15f」及び「回路部品15fであるIC151c、電解コンデンサ151d、チョークコイル151e、コンデンサ151f、ヒューズ151g、フィルムコンデンサ151h等のディスクリート回路部品」は、それぞれ、本願発明1の「複数の第1電子部品」及び「複数の第2電子部品」に相当する。

ウ 引用発明1の「回路部品15f」は「LED素子15eを点灯させる点灯回路用」であり、引用発明1が「回路部品15f」を有する「点灯回路」を有することは明らかである。そうすると、引用発明1のかかる「点灯回路」は、上記ア及びイも踏まえると、本願発明1の「複数の第1電子部品、及び複数の第2電子部品を有し、前記複数の発光素子に電力を供給する電源部」に相当する。

エ 引用発明1の「基板15」、「表面」、「裏面」及び「LED素子搭載エリア15a」は、それぞれ、本願発明1の「基板」、「第1面」、「第1面と反対側の第2面」及び「第2領域」に相当する。また、引用発明1の「表面」の「回路部品搭載エリア15c」は、本願発明1の「第1領域」に相当する。

オ 引用発明1において、「表面の外周部側に位置するLED素子搭載エリア15aには、円環状に略均等間隔でLED素子15eが搭載され」、「表面のLED素子搭載エリア15aより中心部側に位置する略円環状の回路部品搭載エリア15cには、背の低い回路部品15fであるチップ形状の固定抵抗151j、ブリッジダイオード151b、コイル151a等の面実装対応の回路部品15f」が「搭載され」、「裏面の回路部品搭載エリア15c」に、「回路部品15fであるIC151c、電解コンデンサ151d、チョークコイル151e、コンデンサ151f、ヒューズ151g、フィルムコンデンサ151h等のディスクリート回路部品が搭載され」る「基板15」は、上記ア、イ及びエも踏まえると本願発明1の「第1面及び前記第1面と反対側の第2面を有し、前記第1面における第1領域に前記複数の第1電子部品が配置され、前記第1面における前記第1領域よりも外側の第2領域に前記複数の発光素子が配置され、前記第2面に前記第2電子部品が配置される基板」に相当する。

カ 引用発明1の「ベース部材10」は、本願発明1の「器具本体」に相当する。そうすると、引用発明1の「ベース部材10」と本願発明1の「前記第2面が対向するように前記基板が取り付けられる器具本体」とは「器具本体」という点で共通する。

キ 引用発明1の「反射筒17c」は「LED素子15eを点灯させる点灯回路用」の「回路部品15f」を「覆う」から、上記ウも踏まえると本願発明1の「電源カバー」に相当する。また、引用発明1の「反射筒17c」は「LED素子15eからの出射光が照射され」、その「面」は「反射材や反射シート等により光の反射機能を有するように作成され」ているから、「LED素子15e」を覆っていないことは明らかである。また、「反射筒17c」は「基板15の表面の回路部品搭載エリア15cに搭載された回路部品15fの一部を覆う」ものであり、「基板15の表面の回路部品搭載エリア15cに搭載された回路部品15f」は「チップ形状の固定抵抗151j、ブリッジダイオード151b、コイル151a等」の「回路部品15f」である。そうすると、引用発明1のかかる構成を有する「反射筒17c」と本願発明1の「前記基板に配置された前記複数の第1電子部品をすべて覆い、かつ、前記複数の発光素子を覆わない電源カバー」とは、上記ア、イ及びエも踏まえると「前記基板に配置された前記複数の第1電子部品を覆い、かつ、前記複数の発光素子を覆わない電源カバー」という点で共通する。

ク 引用発明1の「チップ形状の固定抵抗151j、ブリッジダイオード151b、コイル151a等」の「回路部品15f」が「面実装対応」であることは、上記イも踏まえると本願発明1の「前記複数の第1電子部品は、表面実装部品であ」ることに相当する。

ケ 引用発明1の「回路部品15fであるIC151c、電解コンデンサ151d、チョークコイル151e、コンデンサ151f、ヒューズ151g、フィルムコンデンサ151h等のディスクリート回路部品」が、「基板15の表面に搭載される回路部品15f」すなわち「背の低い回路部品15f」である「チップ形状の固定抵抗151j、ブリッジダイオード151b、コイル151a等」の「回路部品15f」よりも「背が高い」ことは、上記イも踏まえると本件発明1の「前記複数の第1電子部品のうち高さ寸法が最も大きい第1電子部品の高さ寸法が、前記複数の第2電子部品のうち高さ寸法が最も大きい第2電子部品の高さ寸法よりも小さ」いことに相当する。

コ 引用発明1の「反射筒17cの面」が「反射材や反射シート等により光の反射機能を有するように作成され」ていることは、上記キも踏まえると本願発明1の「前記電源カバーは、透光性を有しない材料で形成されている」ことに相当する。

サ 引用発明1の「LED照明装置100」は、本願発明1の「照明器具」に相当する。

したがって、本願発明1と引用発明1とは、以下の点で一致し、また、以下の点で相違する。
<一致点>
「 複数の発光素子と、
複数の第1電子部品、及び複数の第2電子部品を有し、前記複数の発光素子に電力を供給する電源部と、
第1面及び前記第1面と反対側の第2面を有し、前記第1面における第1領域に前記複数の第1電子部品が配置され、前記第1面における前記第1領域よりも外側の第2領域に前記複数の発光素子が配置され、前記第2面に前記第2電子部品が配置される基板と、
器具本体と、
前記基板に配置された前記複数の第1電子部品を覆い、かつ、前記複数の発光素子を覆わない電源カバーと、を備え、
前記複数の第1電子部品は、表面実装部品であり、
前記複数の第1電子部品のうち高さ寸法が最も大きい第1電子部品の高さ寸法が、前記複数の第2電子部品のうち高さ寸法が最も大きい第2電子部品の高さ寸法よりも小さく、
前記電源カバーは、透光性を有しない材料で形成されている
照明器具。」

<相違点1>
上記「器具本体」に関して、本願発明1では、「前記第2面が対向するように前記基板が取り付けられる」のに対して、引用発明1では、「放熱部材14を介して基板15を保持する」点。

<相違点2>
本願発明1では、「電源カバー」が「複数の第1電子部品」を「すべて覆」うのに対して、引用発明1では、「反射筒17c」が、「チップ形状の固定抵抗151j、ブリッジダイオード151b、コイル151a等」の「回路部品15f」の「一部を覆う」点。

(2)相違点についての判断
ア まずはじめに、上記相違点1、2は、実質的な相違点であるので、本願発明1は引用発明1であるということはできない。
よって、本願発明1は特許法第29条第1項第3号に該当しない。

イ 次に、事案に鑑み、相違点2について先に検討する。
引用文献1には、「反射筒17c」が、「チップ形状の固定抵抗151j、ブリッジダイオード151b、コイル151a等」の「回路部品15f」の「すべてを覆う」ようにすることについての、動機付けの根拠となる事項は記載も示唆もされていない。
また、上記相違点2に係る本願発明1の構成は、引用文献2にも記載されておらず、技術常識又は周知技術であると認めるに足る証拠もないことから、引用発明1において上記構成を採用することが設計的事項であるともいえない。
そうすると、引用発明1において、上記相違点2に係る本願発明1の構成のようにすることは当業者にとって容易であるとはいえない。
したがって、他の相違点を検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
よって、本願発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。

2 本願発明2、3について
本願発明2、3は、本願発明1の発明特定事項を全て含み、さらに本願請求項2、3において特定される発明特定事項により限定したものであるから、本願発明1と同様の理由により、引用発明1であるとはいえず、また、当業者であっても、引用発明1及び引用文献2に記載された事項に基いて容易に発明することができたものであるとはいえない。
よって、本願発明2、3は、特許法第29条第1項第3号に該当せず、同法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。

第8 原査定について
本件補正により、本願発明1〜3は、上記相違点2に係る本願発明1の構成を有するものとなっている。
そのため、上記第7で述べたとおり、本願発明1〜3は、引用発明1であるとはいえず、引用発明1及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第9 むすび
以上のとおりであるから、原査定の理由及び当審の拒絶理由によっては、本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。




 
審決日 2021-11-30 
出願番号 P2016-215416
審決分類 P 1 8・ 537- WY (F21V)
P 1 8・ 113- WY (F21V)
P 1 8・ 121- WY (F21V)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 一ノ瀬 覚
特許庁審判官 畔津 圭介
八木 誠
発明の名称 照明器具  
代理人 特許業務法人北斗特許事務所  

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