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審決分類 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する D04H
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する D04H
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する D04H
審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する D04H
審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正する D04H
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する D04H
管理番号 1381603
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-02-25 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2021-04-01 
確定日 2021-10-25 
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6799667号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第6799667号の明細書及び特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 第1.手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第6799667号の請求項1〜21に係る発明についての出願は、2017年(平成29年)8月15日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2016年8月16日、米国(US))を国際出願日とする出願であって、令和2年11月25日に特許権の設定登録がされ、令和3年4月1日に本件訂正審判の請求がされた(以下、本件訂正審判の請求による訂正を「本件訂正」という。)。以後の主な手続は以下のとおり。
令和 3年 6月22日付け 訂正拒絶理由通知書
同年 7月30日 意見書及び手続補正書の提出

第2.令和3年7月30日付け手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)
1.本件補正の内容(下線は補正箇所を示す)
(1)「(2)訂正事項 ア 訂正事項1」において、「(式中、それぞれ、m+nまたはnは、7〜16の数である)」との記載を、「式中、それぞれ、m+nまたはnは、7〜15の数である」と補正する。
(2)「(2)訂正事項 オ 訂正事項5」において、「(式中、それぞれ、m+nまたはnは、7〜16の数である)」との記載を、「式中、それぞれ、m+nまたはnは、7〜15の数である」と補正する。
(3)「(3)訂正の理由 (イ)訂正事項が全ての訂正要件に適合している事実の説明 ア(当審注:「ア」は「a」と記載すべきものの誤記である。)訂正事項1」において、「(式中、それぞれ、m+nまたはnは、7〜16の数である)」との記載を、「式中、それぞれ、m+nまたはnは、7〜15の数である」と補正する。
(4)「(3)訂正の理由 (イ)訂正事項が全ての訂正要件に適合している事実の説明 e 訂正事項5」において、「(式中、それぞれ、m+nまたはnは、7〜16の数である)」との記載を、「式中、それぞれ、m+nまたはnは、7〜15の数である」と補正する。

2.本件補正の適否
本件補正は、訂正拒絶理由の通知において、「特許請求の範囲を拡張・変更するもの」と示された訂正事項について、化学構造式上の不整合を解消するために、「式中、それぞれm+nまたはn」がとりうる数値の範囲を狭めるものであるから、本件訂正の要旨を変更するものではない。
したがって、本件補正は、特許法第131条の2第1項の規定に適合するから、本件補正を認める。

第3.本件訂正の内容
1.請求の趣旨
本件訂正審判請求の趣旨は、「特許第6799667号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項4〜15、17〜19、21について訂正することを認める、との審決を求める。」というものである。

2.本件訂正の内容
上記第2.のとおり、審判請求書の補正が認められるから、本件訂正の内容は、以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項4において、
「前記少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートが、以下の構造:
【化1】


(式中、m+nは、7〜16の数であり、Xは、独立して、C1〜C4アルキルであるか、または存在しない)
の一方を有する」
と記載されているのを、
「前記少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートが、以下の構造:
【化1】

(式中、それぞれ、m+nまたはnは、7〜15の数である)
の一方を有する」
に訂正する。
(請求項4を直接的又は間接的に引用する請求項5〜15も同様に訂正する。)

(2)訂正事項2
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項5において、



と記載されているのを、



に訂正する。
(請求項5を直接的又は間接的に引用する請求項6〜15も同様に訂正する。)

(3)訂正事項3
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項17において、



と記載されているのを、



に訂正する。
(請求項17を直接的又は間接的に引用する請求項18、19も同様に訂正する。)

(4)訂正事項4
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項21において、



と記載されているのを、



に訂正する。

(5)訂正事項5
本件訂正前の明細書の段落【0009】、【0036】、【0201】のそれぞれにおいて、


(式中、m+nは、7〜16の数であり、Xは、独立して、C1〜C4アルキルであるか、または存在しない)
の一方を有する」
と記載されているのを、


(式中、それぞれ、m+nまたはnは、7〜15の数である)
の一方を有する」
に訂正する。

(6)訂正事項6
訂正前の明細書の段落【0009】、【0036】、【0201】のそれぞれにおいて、



と記載されているのを、



に訂正する。

3.一群の請求項について
訂正事項1に係る本件訂正前の請求項4〜15について検討する。請求項5〜15の記載は、請求項4を直接的又は間接的に引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項4に連動して訂正されるものである。
また、訂正事項2に係る本件訂正前の請求項5〜15について検討する。請求項6〜15の記載は、請求項5を直接的又は間接的に引用するものであって、訂正事項2によって記載が訂正される請求項5に連動して訂正されるものであるので、訂正前の請求項4〜15に対応する本件訂正後の請求項[4〜15]は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。
また、明細書についての訂正である訂正事項5及び6は、当該一群の請求項[4〜15]を対象とするものであり、特許法第126条第4項に適合する。

第4.当審の判断
1.訂正事項1
(1)訂正の目的の適否
ア.炭素の原子価は4であり、炭素に結合する原子や基の数は、最大4つであるところ、本件訂正前のXに結合する「C」は、「CH3」、「X」、「H」、「H」及び「(CH2)n」と既に5つの原子等が結合しているから、当該「C」が含まれる「(CH2)」は、「(CH)」と記載すべきものの誤記であることが、当業者には明らかである。
そうすると、訂正事項1は、誤記の訂正を目的とするものである。
イ.そして、「X」を削除し、「Xは、独立して、C1〜C4アルキルであるか、または存在しない」と記載されていたものを、「存在しない場合」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
ウ.さらに、本件訂正後の請求項4は、本件訂正前の請求項4において【化1】として右側に特定される以下の構造

を、以下の構造

に訂正するものであり、「(CH2)m」という記載を単に「(CH)m」と訂正しても、第二級アルカンスルホネートの構造として不明瞭であったものを、「(CH)」と訂正して明瞭な構造にするとともに、「式中、m+nは、7〜16の数」を「式中、それぞれ、m+nまたはnは、7〜15の数」と訂正して炭素数の整合をとるものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
エ.以上より、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書き第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正、同条第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明、及び同条第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(2)新規事項の追加の有無
上記1.(1)のとおり、訂正事項1は、誤記の訂正、明瞭でない記載の釈明、及び構造式中の「X」が「存在しない」場合に限定するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。

(3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア.請求項4において【化1】として特定される左側の化学構造式について
本件訂正前の化学構造式(左側)に示される炭素の合計数は(m+n+3)個であり、本件訂正前の化学構造式が取り得る炭素の数(m+n)は7〜16であるから、本件訂正前の化学構造式が取り得る炭素の数(m+n+3)は10〜19である。
一方、本件訂正後の化学構造式(左側)に示される炭素の合計数は(m+n+3)個であり、本件訂正後の化学構造式が取り得る炭素の数(m+n)は7〜15であるから、(m+n+3)は10〜18である。
してみると、訂正事項1は、化学構造式に示される炭素の合計数の取り得る値について、本件訂正前において10〜19であったものを、10〜18に訂正するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
イ.請求項4において【化1】として特定される右側の化学構造式について
本件訂正前の化学構造式(右側)に示される炭素の合計数は(m+n+2)個であり、本件訂正前の化学構造式が取り得る炭素の数(m+n)は7〜16であるから、本件訂正前の化学構造式が取り得る炭素の数(m+n+2)は9〜18である。
一方、本件訂正後の化学構造式(右側)に示される炭素の合計数は(n+3)個であり、本件訂正後の化学構造式が取り得る炭素の数(n)は7〜15であるから、(n+3)は10〜18である。
してみると、訂正事項1は、化学構造式に示される炭素の合計数の取り得る値について、本件訂正前において9〜18であったものを、10〜18に訂正するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでするものではなく、特許法第126条第6項に適合するものである。

2.訂正事項2
(1)訂正の目的の適否
訂正事項2は、請求項5において【化2】として特定される化学構造式において、右側の末端基としての「CH2」は、炭素の原子価が4であることから、明らかに「CH3」の誤記であり、当該誤記を訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。

(2)新規事項の追加の有無
上記2.(1)のとおり、訂正事項2は、誤記の訂正を目的とするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。

(3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記2.(1)のとおり、訂正事項2は、誤記の訂正を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項に適合するものである。

3.訂正事項3
(1)訂正の目的の適否
訂正事項2は、請求項17において【化3】として特定される化学構造式において、右側の末端基としての「CH2」は、炭素の原子価が4であることから、明らかに「CH3」の誤記であり、当該誤記を訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。

(2)新規事項の追加の有無
上記3.(1)のとおり、訂正事項3は、誤記の訂正を目的とするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。

(3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記3.(1)のとおり、訂正事項3は、誤記の訂正を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項に適合するものである。

4.訂正事項4
(1)訂正の目的の適否
訂正事項4は、請求項21において【化4】として特定される化学構造式において、右側の末端基としての「CH2」は、炭素の原子価が4であることから、明らかに「CH3」の誤記であり、当該誤記を訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。

(2)新規事項の追加の有無
上記4.(1)のとおり、訂正事項4は、誤記の訂正を目的とするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。

(3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記4.(1)のとおり、訂正事項4は、誤記の訂正を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項に適合するものである。

5.訂正事項5
(1)訂正の目的の適否
訂正事項5は、訂正事項1に係る訂正に伴って、願書に添付した明細書の段落【0009】において【化1】として特定される化学構造式、段落【0036】において【化3】として特定される化学構造式、及び段落【0201】において【化5】として特定される化学構造式において、訂正事項1と同様に訂正するものであるから、上記1.(1)において検討したとおり、特許法第126条第1項ただし書き第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正、及び同条第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(2)新規事項の追加の有無
訂正事項5は、上記1.(2)において検討したとおり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。

(3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項5は、上記1.(3)において検討したとおり、カテゴリーや対象、目的を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものするものではなく、特許法第126条第6項に適合するものである。

6.訂正事項6
(1)訂正の目的の適否
訂正事項6は、訂正事項2〜4に係る訂正に伴って、願書に添付した明細書の段落【0009】において【化2】として特定される化学構造式、段落【0036】において【化4】として特定される化学構造式、及び段落【0201】において【化6】として特定される化学構造式において、訂正事項2〜4と同様に訂正するものであるから、上記2.(1)、3.(1)、4.(1)において検討したとおり、特許法第126条第1項ただし書き第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。

(2)新規事項の追加の有無
訂正事項6は、上記2.(2)、3.(2)、4.(2)において検討したとおり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。

(3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項6は、上記2.(3)、3.(3)、4.(3)において検討したとおり、カテゴリーや対象、目的を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものするものではなく、特許法第126条第6項に適合するものである。

7.特許独立要件
訂正事項1〜4に関し、本件訂正後の請求項4、5、17、21に係る発明は、本件訂正前の請求項1、16、20に係る発明を減縮するものであって、本件訂正前の請求項1、16、20に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しないから、本件訂正後の請求項4、5、17、21に係る発明も、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。
また、訂正事項5、6は、訂正事項1〜4に係る訂正に伴って、願書に添付した明細書の段落【0009】、【0036】、【0201】において、訂正事項1〜4と同様に訂正するものであるから、訂正事項1〜4に関する独立特許要件の判断と同様に、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。
したがって、訂正事項1〜6は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

第5.むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第126条ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮、同条同項ただし書き第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正、及び同条同項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、かつ、第126条第4項、第5項、第6項及び第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】改善された強度および靭性を有する、ポリ乳酸を含む不織布
【技術分野】
【0001】
本開示発明は一般に、不織布、より詳細には、ポリ乳酸(PLA)を含む不織布に関する。
【背景技術】
【0002】
不織布は、様々な用途、例えば、とりわけ、衣服、使い捨て医療製品、おむつ、個人用衛生製品で使用されている。これらの用途のために開発されている新たな製品は、快適さ、身体への心地よさ、身体の動きの自由、良好な柔らかさおよびドレープ、適当な引張り強度および耐久性、ならびに表面摩擦、ピリングまたは毛羽立ちに対する耐性を含めて、厳しい性能要件を有する。したがって、これらの種類の製品で使用される不織布は、これらの性能要件を満たすように工学的に作製されなければならない。
【0003】
伝統的に、このような不織布は、熱可塑性ポリマー、例えば、ポリエステル、ポリスチレン、ポリエチレン、およびポリプロピレンから調製される。これらのポリマーは、一般に非常に安定であり、環境に長期間残存することができる。しかしながら、最近、環境的に優しく、かつ持続可能と考えられる物品および製品を開発する傾向がある。この傾向の一部として、石油系材料の内容物を減少させるべく増加した持続可能な内容物から構成される生態学的に優しい製品を製造する要望がある。
【0004】
ポリ乳酸またはポリ乳酸系ポリマー(PLA)は、消費者製品に容易に変換され得る、内容物が持続可能なスパンポンド不織布への費用効果的な経路を提供する。PLA系消費者製品の費用効果的な利益を十分に獲得するために、PLAは、最小限の廃棄物とともに非常に高速で不織布に、次いで、最終消費者製品に変換可能でなければならない。しかしながら、表面でのPLAポリマーによる繊維上への静電気の発生および蓄積の性向のために、最適布特性を有するスパンポンドPLAの経済的に魅力的な製造に必要とされる非常に高速で紡糸、ウェブ形成、および結合の工程を組み合わせることは困難である。
【0005】
この必要性に対処するために、不織布は、PLAがコアに存在し、合成ポリマー、例えば、ポリプロピレンがシース中に存在するシース/コア二成分構造を有して開発されてきた。このような不織布の一例は、米国特許第6,506,873号明細書に記載されている。シースにおける合成ポリマーの存在は、高速でのPLAを含む不織布の商業的製造に必要な特性を与える。シースに合成ポリマーを有するPLAを含む不織布の商業的製造は可能であるけれども、産業(およびその消費者)は、シースにPLAを有するか、または100%PLAであることによって布の表面にPLAを有する不織布を追求している。
【発明の概要】
【0006】
したがって、改善された機械的特性を示す、PLAを有する布に対する必要性が依然とて存在する。
【0007】
本発明の1つまたは複数の実施形態は、前述の問題の1つまたは複数に対処し得る。本発明によるある特定の実施形態は、ポリ乳酸(PLA)スパンボンド不織布、前記布を含む持続可能な複合材料、ならびに前記布および/または複合材料を含む持続可能な物品を提供する。特に、本発明の実施形態は、PLAを含む布、複合材料、および物品に関する。
【0008】
本発明によるある特定の実施形態は、凝集性ウェブを形成するために互いに結合されている複数の繊維を含むスパンボンド不織布であって、繊維が、ポリ乳酸(PLA)と少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートとのブレンドを含む、スパンボンド不織布に関する。一部の実施形態では、ブレンドは、複数の繊維の表面に存在する。
【0009】
一実施形態では、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートは、C10〜C18を有するアルカン鎖を含み、ここで、アルカン鎖の第二級炭素の少なくとも1つは、スルホネート部分を含む。例えば、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートは、以下の構造:

(式中、それぞれ、m+nまたはnは、7〜15の数である)
の一方を有する。一部の実施形態では、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートは、以下の構造:

(式中、m+nは、8〜15の数であり、特に、m+nは、11〜14の数である) を有する。一部の実施形態では、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートは、ナトリウムまたはカリウムの塩を含む。
【0010】
ある特定の実施形態では、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートは、繊維の全重量に基づいて、約0.0125〜2.5重量パーセントの範囲の量で存在する。例えば、繊維は、ブレンドがシース中に存在するシース/コア二成分配置を有してもよく、ここで、第二級アルカンスルホネートは、シースの全重量に基づいて、約0.1〜0.75重量パーセントの範囲の量でシース中に存在する。別の実施形態では、繊維は、ブレンドがシース中に存在するシース/コア二成分配置を有してもよく、ここで、第二級アルカンスルホネートは、シースの全重量に基づいて、約0.2〜0.6重量パーセントの範囲の量でシース中に存在する。さらに別の実施形態では、繊維は、ブレンドがシース中に存在するシース/コア二成分配置を有し、ここで、第二級アルカンスルホネートは、シースの全重量に基づいて、約0.3〜0.4重量パーセントの範囲の量でシース中に存在する。
【0011】
一実施形態では、複数の繊維は、二成分繊維を含む。一部の実施形態では、複数の繊維は、二成分繊維を含み、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートは、繊維の成分の一方のみに存在する。一部の実施形態では、二成分繊維は、シース/コア立体配置を有し、シースは、PLAと少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートとのブレンドを含む。一部の実施形態では、コアは、PLAを含み、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートを含まない。なお他の実施形態では、二成分繊維は、並列配置を含む。
【0012】
一実施形態では、コアは、ポリオレフィン、ポリエステル、PLA、またはそれらの任意の組み合わせの少なくとも1種を含む。好ましい実施形態では、シースおよびコアのそれぞれは、PLAを含む。ある特定の実施形態では、シースは、第1のPLAグレードを含み、コアは、第2のPLAグレードを含み、第1のPLAグレードと第2のPLAグレードとは異なる。
【0013】
意外なことに、本発明者らは、PLA樹脂への第二級アルカンスルホネートの添加が、布の機械的特性を改善することを発見した。特に、布は、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートを含まない同一の布と比較して、機械方向または横方向の少なくとも一方での引張り強度、伸びおよび靭性の増加を示し得る。例えば、布は、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートを含まない同一の布と比較して、機械方向または横方向の少なくとも一方での引張り強度の少なくとも50%の増加を示し得る。
【0014】
さらに別の態様では、本発明の実施形態は、凝集性ウェブを形成するために互いに結合されている複数の繊維を含むスパンボンド不織布であって、繊維が、95〜100%のポリ乳酸(PLA)を含み、繊維が、少なくとも55N/m2である値を有する、坪量当たりの靭性指数の二乗平均平方根を示す、スパンボンド不織布を対象とする。一実施形態では、布は、65N−%/g/m2より大きい値である、例えば、85N―%/g/m2より大きい値である、坪量当たりの靭性指数の二乗平均平方根を有する。好ましい実施形態では、布は、約65〜150N−%/g/m2の値である、坪量当たりの靭性指数の二乗平均平方根を有する。好ましくは、布は、布の全重量に基づいて、5重量%未満、より好ましくは4重量%未満の添加剤を有する繊維を含む。
【0015】
本発明のさらなる態様は、不織布を含む物品、および布を調製するための方法およびシステムに関する。
【0016】
このように本発明を一般論として説明してきたが、これから添付の図面に言及する。これらの図面は、必ずしも縮尺通りとは限らない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1Aおよび図1Bは、第二級アルカンスルホネートを含まない不織布の表面での個別の結合点のSEM画像である。
【図2】図2Aおよび図2Bは、第二級アルカンスルホネートを含む不織布の表面での個別の結合点のSEM画像である。
【図3】本発明のある特定の実施形態に従うPLAスパンボンド不織布調製システムの概略図である。
【図4】図4A〜図4Cは、本発明のある特定の実施形態に従う、第1のイオン化源の位置付け(positioning)を図示する概略図である。
【図5A】本発明のある特定の実施形態に従う複合材料の横断面図である。
【図5B】本発明のある特定の実施形態に従う複合材料の横断面図である。
【図5C】本発明のある特定の実施形態に従う複合材料の横断面図である。
【図5D】本発明のある特定の実施形態に従う複合材料の横断面図である。
【図6A】本発明の少なくとも1つの実施形態に従う吸収性物品の図である。
【図6B】図6Aの線72−72に沿った図6Aの吸収性物品の横断面図である。
【図7】吸収性物品が女性用衛生パッドの形態である、本発明の少なくとも1つの実施形態に従う吸収性物品の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、これから添付の図面を参照して以下により十分に説明され、ここでは、本発明の実施形態のすべてではないが、一部が示される。実際、本発明は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に示される実施形態に限定されると解釈されるべきでなく;むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。同様の数は、全体を通して同様の要素を指す。本明細書で使用される場合、および添付の特許請求の範囲において、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」は、文脈が別に明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0019】
本発明は、ある特定の実施形態によれば、ポリ乳酸(PLA)スパンボンド不織布、前記布を含む持続可能な複合材料、ならびに前記布および/または複合材料を含む吸収性物品を含む。特に、本発明の実施形態は、PLAが布表面に存在する布、複合材料、および物品に関する。
【0020】
PLAスパンボンド不織布および前記布を含む持続可能な複合材料は、おむつ、女性用ケア製品、ワイパ製品、失禁用製品、農業用製品(例えば、根巻(rootwrap)、種子袋、穀物覆い、および/またはなど)、産業用製品(例えば、作業着カバーオール、航空機用ピロー、自動車トランクライナー、防音物品、および/またはなど)、および家庭用品(例えば、家具スクラッチパッド、マットレスコイルカバー、および/またはなど)を含めて、多種多様な用途で使用されてもよい。
【0021】
I.定義
本出願において、以下の用語は、以下の意味を有するものとする。
【0022】
用語「繊維」は、有限長さの繊維または無限長さのフィラメントを指し得る。
【0023】
本明細書で使用される場合、用語「一成分」は、1種のポリマーから形成された、またはポリマーの単一ブレンドから形成された繊維を指す。当然、これは、添加剤が、色、静電防止特性、潤滑、親水性、撥液性、などのために添加されている繊維を排除しない。
【0024】
本明細書で使用される場合、用語「多成分」は、別個の押出機から押し出される少なくとも2種のポリマー(例えば、二成分繊維)から形成された繊維を指す。少なくとも2種のポリマーは、それぞれ独立して、互いに同じもしくは異なり得、またはポリマーのブレンドであり得る。ポリマーは、繊維の断面にわたって実質的に一定に位置する明確に異なるゾーンで配置される。成分は、任意の所望の立体配置、例えば、シースーコア、並列、パイ、海島(island―in―the―sea)、などで配置されてもよい。多成分繊維を形成するための様々な方法は、Taniguchiらに付与された米国特許第4,789,592号およびStrackらに付与された米国特許第5,336,552号、Kanekoらに付与された同第5,108,820号、Kruegeらに付与された同第4,795,668号、Pikeらに付与された同第5,382,400号、Stackらに付与された同第5,336,552号、ならびにMarmonらに付与された同第6,200,669号に記載されており、これらは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、Hogleらに付与された米国特許第5,277,976号、Hillsに付与された同第5,162,074号、Hillsらに付与された同第5,466,410号、Largmanらに付与された同第5,069,970号、およびLargmanらに付与された同第5,057,368号に記載されたような、様々な不規則形状を有する多成分繊維がまた、形成されてもよい。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「不織の」、「不織ウェブ」および「不織布」は、特定可能な繰り返す仕方ではないが、互いに絡み合った個別の繊維または糸の構造を作製するための織りまたは編みプロセスの使用なしに形成されている材料の構造またはウェブを指す。不織ウェブは、過去には、様々な従来のプロセス、例えば、メルトブローンプロセス、スパンボンドプロセス、およびステープル繊維カーディングプロセスなどによって形成されていた。
【0026】
本明細書で使用される場合、用語「メルトブローン」は、繊維が、溶融熱可塑性材料を複数の微細な、通常は円形の、ダイキャピラリを通して、溶融熱可塑性材料を細くし、マイクロファイバ直径まであり得る繊維を形成する高速ガス(例えば、空気)流中に押し出すことによって形成される、プロセスを指す。その後、メルトブローン繊維は、ガス流により運ばれ、収集表面上に堆積されて、ランダムメルトブローン繊維のウェブを形成する。このようなプロセスは、例えば、Buntinらに付与された米国特許第3,849,241号に開示されている。
【0027】
本明細書で使用される場合、用語「機械方向(machine direction)」または「MD」は、製造中の不織ウェブの進行の方向を指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語「横方向(cross direction)」または「CD」は、機械方向に直交し、かつ不織ウェブの幅にわたって側面に沿って延びる方向を指す。
【0029】
本明細書で使用される場合、用語「スパンボンド」は、溶融熱可塑性材料を、紡糸口金の複数の微細な、通常は円形の、キャピラリからフィラメントとして押し出し、フィラメントは、次いで、細くされ、機械的または空気力学的に延伸されることを伴う、プロセスを指す。フィラメントは、収集表面上に堆積されて、ランダムに配置された、実質的に連続のフィラメントのウェブを形成し、これは、その後、一緒に結合されて、凝集性不織布を形成し得る。スパンボンド不織ウェブの製造は、例えば、米国特許第3,338,992号;同第3,692,613号;同第3,802,817号;同第4,405,297号および同第5,665,300号などの特許に例証されている。一般に、これらのスパンボンドプロセスは、フィラメントを紡糸口金から押し出すステップと、フィラメントを空気の流れでクエンチして溶融フィラメントの固化を急ぐステップと、フィラメントを空気ストリームに空気圧で同伴することによってか、またはそれらを機械的延伸ロールの周りに巻き付けることによって機械的に、延伸張力を適用することによってフィラメントを細くするステップと、延伸されたフィラメントを小孔のある収集表面上に堆積させて、ウェブを形成するステップと、緩いフィラメントのウェブを不織布に結合するステップとを含む。結合は、任意の熱的または化学的結合処理であり得、熱点接着が典型的である。
【0030】
本明細書で使用される場合、用語「熱点接着」は、結合される繊維の1つまたは複数のウェブなどの材料を加熱カレンダーロールとアンビルロールの間に通すステップを伴う。カレンダーロールは、布が、その全体表面にわたって結合されるよりもむしろ離散点接着部位で結合されるように典型的にはパターン化される。
【0031】
本明細書で使用される場合、用語「ポリマー」には一般に、限定されないが、ホモポリマー、コポリマー、例えば、ブロック、グラフト、ランダムおよび交互コポリマー、夕−ポリマーなど、ならびにそれらのブレンドおよび改質が含まれる。さらに、別に具体的に限定されない限り、用語「ポリマー」は、アイソタクチック、シンジオタクチックおよびランダム対称性を含めて、材料のすべての可能な幾何学的立体配置を含むものとする。
【0032】
用語「複合材料」は、本明細書で使用される場合、2つ以上の層、例えば、フィルム層と繊維層、または一緒に成形された複数の繊維層を含む構造であってもよい。複合構造の2層は、本発明のある特定の実施形態によって、それらの共通のX−Y平面のかなりの部分が接続するように、一緒に接合されてもよい。
【0033】
本発明の実施形態は、強度および靭性で改善を示す、ポリ乳酸を含む不織布に関する。一実施形態では、本発明は、互いに結合されて凝集性ウェブを形成する、複数の繊維を含むスパンボンド不織布であって、複数の繊維が、PLA樹脂と少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートとのブレンドを含む、スパンボンド不織布を提供する。以下により詳細に説明されるとおり、PLA樹脂中の第二級アルカンスルホネートの包含により、第二級アルカンスルホネートを含まない同一の布と比較して布の強度および靭性が改善される。
【0034】
少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートは、典型的には、C10〜C18を有するアルカン鎖を含み、ここで、アルカン鎖の第二級炭素の少なくとも1つは、スルホネート部分を含む。特に、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートは、スルホン酸、C13〜C17第二級アルカン、ナトリウム塩を含んでもよい。
【0035】
アルカン鎖は、一般に線状であるが、一部の鎖は、一部の微量の分岐(例えば、C1〜C4側鎖分岐)を含んでもよい。典型的には、アルカン鎖は、10〜18個の炭素原子を有し、14〜17個の炭素原子のアルカン鎖長さは、いくらかより好ましい。第二級アルカンスルホネートは、モノーおよびジスルホン酸の両方を含んでもよい。しかしながら、第二級アルカンスルホネート中のモノスルホン酸の量は、一般に90%よりも大きくてもよい。
【0036】
一実施形態では、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートは、以下の構造:

(式中、それぞれ、m+nまたはnは、7〜15の数である)
の一方を有する。好ましい実施形態では、第二級アルカンスルホネートは、以下の構造:

(式中、m+nは、8〜15の数であり、より好ましくはm+nは、11〜14の数であ る)
を有する。第二級アルカンスルホネートは、典型的にはナトリウムまたはカリウムの塩を含むが、他のカチオン、例えば、カルシウムまたはマグネシウムの塩が使用され得る。あるいは、改質脂肪アルキル基材の第四級アンモニウム、例えば、ココまたはステアリル基材をベースとするが使用され得る。このような第四級アミンは、Allentown、PA18195―1501、米国のAir Productss and Chemicals,Inc.から入手可能である。
【0037】
一実施形態では、第二級アルカンスルホネートは、マスターバッチ担体樹脂で提供されてもよい。例えば、一実施形態では、第二級アルカンスルホネートは、繊維の紡糸前にPLAとブレンドされるPLAポリマー担体樹脂で提供される。典型的には、PLAマスターバッチ中の第二級アルカンスルホネートの量は、マスターバッチの全重量に基づいて約5〜25重量パーセントであり、10〜20重量パーセントの量がいくらかより典型的である。マスターバッチはまた、追加の添加剤、例えば、1種または複数の相溶化剤を含んでもよい。特許請求される本発明の実施形態で使用されてもよい第二級アルカンスルホネートの市販の例には、製品名S546−Q1の下でのSUKANO(登録商標)が含まれ、これは、PLAマスターバッチ中のC14〜C17第二級アルカンスルホネートナトリウム塩である。当業者は、第二級アルカンスルホネートのためのマスターバッチの設計は、繊維のベース樹脂について観察されるとおりの非常に類似のメルトフローを有するPLA樹脂、例えば、NatureWorks 6202Dまたは6252D(それぞれ、メルトインデックスg/10分(210℃)15〜30または15)などの使用の最大化と、第二級アルカンスルホネートをPLAポリマーに懸濁化する容易さとの妥協であることを認識する。したがって、適当なマスターバッチは、70〜85のより高いメルトインデックス(メルトインデックスg/10分(210℃))を有するNatureWorks 6362DなどのPLAグレードを含んでもよい。
【0038】
多種多様な異なるPLA樹脂が、本発明の実施形態による不織布を調製するために使用されてもよい。一般に、ポリ乳酸系ポリマーは、トウモロコシに由来する、糖の供給源である、テキストロースから調製される。北米では、トウモロコシは、糖への最終的な変換のための植物デンプンの最も経済的な供給源であるので、使用されている。しかしながら、テキストロースは、トウモロコシ以外の供給源に由来し得ることが認識されるべきである。糖は、微生物の使用による発酵を介して乳酸または乳酸誘導体に変換される。次いで、乳酸は、重合されてPLAを形成してもよい。トウモロコシに加えて、コメ、テンサイ、サトウキビ、コムギ、セルロース系材料、例えば、木材パルプ化から回収されるキシロース、などを含めて、他の農業系糖供給源が使用されてもよい。
【0039】
PLA樹脂は、スパンボンドプロセスで紡糸されるための適切な分子特性を有すべきである。適当なPLA樹脂の例には、Minnetonka、MN55345のNatureWorks LLCから供給されるPLA樹脂、例えば、グレード6752D、6100D、および6202Dが含まれ、これらは、一般に以下の、Gruberらに両方とも付与された米国特許第5,525,706号および同第6,807,973号の教示のとおりに製造されると考えられる。適当なPLA樹脂の他の例には、すべてArkelsedijk46、4206A C Gorinchem、オランダ国のCorbionからの、L130、L175、およびLX175が含まれもよい。
【0040】
一部の実施形態では、不織布は、生分解性であってもよい。「生分解性」は、微生物の作用を含む環境条件下で劣化または分解する材料または生成物を指す。したがって、材料は、規定された時間規定された生物学的環境への曝露後の材料の引張り強度および/もしくはピーク伸び、他の決定的な物理的もしくは機械的特性の特定の低下が観察される場合、生分解性と見なされる。規定された生物学的条件に応じて、PLAを含む布は、生分解性と見なされてもよく、または見なされなくてもよい。
【0041】
バイオベース材料で作られた生分解性製品の特別のクラスは、それが構成環境で劣化され得る場合、堆肥可能と見なされてもよい。欧州標準EN13432、「プラスチック製品の堆肥可能性の証明」が、持続可能な内容物を含む布またはフィルムが堆肥可能と分類され得るかどうか決定するために使用されてもよい。
【0042】
一部の実施形態では、PLA不織布は、1個のカルボン酸基(またはそのポリエステル形成性誘導体、例えば、エステル基)および1個のヒドロキシル基(またはそのポリエステル形成性誘導体、例えば、エーテル基)を有する脂肪族成分に由来するか、または2個のカルボン酸基(またはそのポリエステル形成性誘導体、例えば、エステル基)を有する脂肪族成分と2個のヒドロキシル基(またはそのポリエステル形成性誘導体、例えば、エーテル基)を有する脂肪族成分との組み合わせに由来してもよい生分解性製品の持続可能なポリマー成分を含んでもよい。
【0043】
用語「脂肪族ポリエステル」は、ポリエステルがかなりの持続可能な内容物を有する限り、一脂肪族および/または脂環式成分から作られるポリエステルの外に、また脂肪族および/または脂環式単位の外に芳香族単位を有するポリエステルに排他的に及ぶ。
【0044】
PLAベース樹脂に加えて、本発明の実施形態による不織布は、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)と代わりに呼ばれる、1個のカルボン酸基および1個のヒドロキシル基を有する脂肪族成分に由来する他のポリマーを含んでもよい。それらの例は、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリ−(ヒドロキシブチレート−co−ヒドロキシバレテレート)(PHBV)、ポリー(ヒドロキシブチレート−co−ポリヒドロキシヘキサノエート)(PHBH)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ−(イプシロン−カプロラクチオン)(PCL)、および好ましくはポリ乳酸(PLA)である。
【0045】
本発明の実施形態で使用されてもよい追加のポリマーの例は、2個のカルボン酸基を有する脂肪族成分と2個のヒドロキシル基を有する脂肪族成分との組み合わせに由来するポリマーを含み、脂肪族ジオールおよび脂肪族ジカルボン酸に由来するポリエステル、例えば、ポリブチレンスクシネート(PBSU)、ポリエチレンスクシネート(PESU)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリテトラメチレンアジペート/テレフタレート(PTMAT)である。
【0046】
本発明による不織布は、一成分、二成分、または多成分繊維を含んでもよい。二成分繊維の例には、並列、海島、およびシース/コア配置が含まれる。好ましくは、繊維は、シースが第1のポリマー成分を含み、コアが第2のポリマー成分を含むシース/コア構造を有する。この配置において、第1および第2のポリマー成分のポリマーは、互いに同じであっても、または異なっていてもよい。
【0047】
好ましい実施形態では、不織布の繊維は、第二級アルカンスルホネートを含むPLAブレンドがシースを規定する第1のポリマー成分を含み、第2のポリマー成分がコアを含む二成分配置を有する。有利には、本発明者らは、シースを規定するポリマー成分中に第二級アルカンスルホネートをブレンドすることによって、改善された強度および靭性を有する不織布が与えられることを発見した。さらに、物理的特性のこのような改善は、不織布の調製の全体コストを減少させるのに助けとなり得るコアを規定するポリマー成分中への第二級アルカンスルホネートのブレンディングの非存在下で得られてもよい。
【0048】
好ましい実施形態では、シースおよびコアの両方ともは、PLA樹脂を含む。これらの実施形態では、合成ポリマー成分、例えば、石油系材料およびポリマーを実質的に含まないPLAスパンボンド不織布が、与えられてもよい。例えば、PLAスパンボンド不織布の繊維は、両方の成分がPLAベースであって、したがって100%PLAである繊維を生成させる二成分配置を有してもよい。
【0049】
本明細書で使用される場合、「100%PLA」はまた、単に一例として、色、柔らかさ、滑り、帯電防止保護、潤滑性、親水性、撥液性、酸化防止保護などを与える添加剤および/または添加剤のマスターバッチを含めて、5%までの添加剤を含んでもよい。これに関して、不織布は、95〜100%PLA、例えば、96〜100%PLA、97〜100%PLA、98〜100%PLA、99〜100%PLAなどを含んでもよい。例えば、このような添加剤がマスターバッチとして添加される場合、マスターバッチ担体は、加工を容易にし、および繊維内の持続可能な内容物を最大化するために、PLAを主として含んでもよい。
【0050】
例えば、PLAスパンボンド不織布層は、1種または複数の追加の添加剤を含んでもよい。このような実施形態では、例えば、添加剤は、着色剤、柔軟剤、スリップ剤、帯電防止剤、潤滑剤、親水性剤、撥液剤、酸化防止剤などのうちの少なくとも1種、またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0051】
一実施形態では、シースのPLAポリマーは、コアのものと同じPLAポリマーであってもよい。他の実施形態では、シースのPLAポリマーは、コアのものと異なるPLAポリマーであってもよい。例えば、二成分繊維は、シースが第1のPLAグレードを含み、コアが第2のPLAグレードを含み、第1のPLAグレードおよび第2のPLAグレードが異なる(例えば、第1のPLAグレードが第2のPLAグレードよりも高い融点を有する)ように、PLA/PLA逆二成分繊維を含んでもよい。単に一例として、第1のPLAグレードは、約5%までの結晶化度を含んでよく、第2のPLAグレードは、約40%〜約50%の結晶化度を含んでもよい。
【0052】
他の実施形態では、例えば、第1のPLAグレードは、約125℃〜約135℃の融点を含んでもよく、第2のPLAグレードは、約155℃〜約170℃の融点を含んでもよい。さらなる実施形態では、例えば、第1のPLAグレードは、約4重量%〜約10重量%のD異性体重量パーセントを含んでもよく、第2のPLAグレードは、約2重量%のD異性体重量パーセントを含んでもよい。
【0053】
例えば、一実施形態では、コアは、シースで使用されるPLAポリマーD異性体%のも のよりも低いポリ乳酸D異性体%を有するPLAを含んでもよい。より低いD異性体%を有するPLAポリマーは、紡糸中に応力誘導結晶化のより高い度合いを示す一方で、より高いD異性体%を有するPLAポリマーは、紡糸中により非晶質の状態を保持する。より非晶質のシースは結合を促進する一方で、より高い結晶化度を示すコアは、繊維、したがって、最終結合ウェブに強度を与える。1つの特定の実施形態では、4%のD異性体を有するNatureWorks Grade PLA 6752は、シースとして使用され得る一方で、2%のD異性体を有するNatureWorks Grade 6202は、コアとして使用され得る。
【0054】
一般に、繊維中のコアのものに対するシースの重量百分率は、不織布の所望の特性に依存して広範に変わってもよい。例えば、シースとコアの重量比は、約10:90〜90:10、特に約20:80〜80:20変わってもよい。好ましい実施形態では、シースとコアの重量比は、約25:75〜35:65であり、約30:70の重量比が好ましい。
【0055】
他の実施形態では、ポリマー成分の一方がPLAポリマーと第二級アルカンスルホネートとのブレンドを含み、他のポリマー成分が合成ポリマー、例えば、石油由来ポリマーを含む、二成分繊維を含む不織布が提供される。本発明の実施形態で使用されてもよい合成ポリマーの例には、ポリオレフィン、例えば、ポリプロピレンおよびポリエチレン、ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、およびポリブチレンテレフタレート(PBT)、ナイロン、ポリスチレン、それらのコポリマー、およびブレンド、ならびに繊維の調製で使用されてもよい他の合成ポリマーが含まれてもよい。
【0056】
繊維中の第二級アルカンスルホネートの量は、一般に、第二級アルカンスルホネートが繊維の構造中どこに存在するか、および不織布の最終の所望の特性に依存する。一般に、第二級アルカンスルホネートの量は、第二級アルカンスルホネートが存在する繊維のポリマー成分の全重量に基づいて、約0.0125重量パーセント〜約2.5重量パーセントの範囲であってもよい。例えば、一成分繊維においては、繊維中の第二級アルカンスルホネートの重量パーセントは、繊維の全重量に基づく。このような場合、第二級アルカンスルホネートの量は、繊維の全重量に基づいて、約0.0125重量パーセント〜約2.5重量パーセントの範囲であってもよい。しかしながら、二成分繊維の場合、第二級アルカンスルホネートの重量パーセントは、第二級アルカンスルホネートが存在する成分の全重量に基づく。例えば、30:70のシースとコアとの重量比を有し、第二級アルカンスルホネートがシース中のみに存在する二成分繊維の場合、繊維中の第二級アルカンスルホネートの重量パーセントは、シースの全重量に基づいて、約0.0125重量パーセント〜約2.5重量パーセントの範囲であってもよく、これは、繊維の全重量に基づいて、0.00375〜0.750である、第二級アルカンスルホネートの重量パーセントをもたらす。
【0057】
一実施形態では、第二級アルカンスルホネートの量は、第二級アルカンスルホネートが存在する繊維のポリマー成分の全重量に基づいて、おおよそで少なくとも0.0125、少なくとも0.0250、少なくとも0.0375、少なくとも0.050、少なくとも0.0625、少なくとも0.075、少なくとも0.100、少なくとも0.125、少なくとも0.150、少なくとも0.1875、少なくとも0.2、少なくとも0.2475、少なくとも0.25、少なくとも0.3、少なくとも0.375、少なくとも0.40、少なくとも0.495、少なくとも0.50、少なくとも0.60、少なくとも0.80、少なくとも0.9904、少なくとも1.0、少なくとも1.25、少なくとも1.2375、少なくとも1.5、少なくとも1.875、少なくとも2.0、少なくとも2.50のうちの少なくともいずれか1つであってもよい。他の実施形態では、第二級アルカンスルホネートの量は、約0.0250、0.0375、0.050、0.0625、0.075、0.100、0.125、0.150、0.1875、0.2、0.2475、0.25、0.3、0.375、0.40、0.495、0.50、0.60、0.80、0.9904、1.0、1.25、1.2375、1.5、1.875、2.0、および2.50重量パーセントのうちのいずれか1つ未満であってもよい。繊維のポリマー成分中に存在する第二級アルカンスルホネートの量はまた、上述の量の間の範囲を包含することが認識されるべきである。
【0058】
好ましい実施形態では、繊維は、コアおよびシースの両方ともがPLAポリマーを含み、シースが、シース成分の全重量に基づいて、約0.1〜1重量パーセント、特には、約0.1〜0.75、より特には、約0.2〜0.6重量パーセント、さらにより特には、約0.3〜0.4重量パーセントである量で存在する第二級アルカンスルホネートを含む、二成分構造を有する。第二級アルカンスルホネートは、一般に一成分繊維中、または二成分繊維のシース中に存在するとして検討されるが、他の配置が本発明の実施形態の範囲内であることが認識されるべきである。例えば、第二級アルカンスルホネートは、二成分繊維のコアのみに存在し、シース中に存在しなくてもよく、または第二級アルカンスルホネートは、シースとコアの両方に存在してもよい。
【0059】
繊維中の第二級アルカンスルホネートの量がマスターバッチポリマー中の第二級アルカンスルホネートの量、繊維の構造(例えば、一成分または二成分)、および二成分の場合、繊維中の第1のポリマー成分と第2の成分との比に依存して変わってもよいので、以下の表は、様々な繊維構造中、ならびにマスターバッチポリマー中の第二級アルカンスルホネートの様々な負荷、およびPLAポリマー中のマスターバッチの様々な負荷での第二級アルカンスルホネートの例示的な範囲を示す。
【0060】

【0061】
【表2】

【0062】

【0063】
【表4】

【0064】

【0065】
ある特定の実施形態によれば、例えば、不織布は、平方メートル当たり約7グラム(gsm)〜約150gsmの坪量を有してもよい。他の実施形態では、例えば、不織布は、約8gsm〜約70gsmの坪量を有してもよい。ある特定の実施形態では、例えば、不織布は、約10gsm〜約50gsmの坪量を含んでもよい。さらなる実施形態では、例えば、不織布は、約11gsm〜約30gsmの坪量を有してもよい。したがって、ある特定の実施形態では、不織布は、少なくとも約7、8、9、10、および11gsmのいずれかから、ならびに/または最大で約150、100、70、60、50、40、および30gsm(例えば、約9〜60gsm、約11〜40gsmなど)までの坪量を有してもよい。
【0066】
さらに、本発明の実施形態によって調製される布は、5%未満の面積収縮率によって特徴付けされてもよい。さらなる実施形態では、例えば、布は、2%未満の面積収縮率によって特徴付けされてもよい。
【0067】
ある特定の実施形態によれば、例えば、繊維は、約1dtex〜約5dtexの線質量密度を有してもよい。他の実施形態では、例えば、繊維は、約1.5dtex〜約3dtexのdtexを有してもよい。さらなる実施形態では、例えば、繊維は、約1.6dtex〜約2.5dtexの線質量密度を有してもよい。したがって、ある特定の実施形態では、繊維は、少なくとも約1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、および1.6dtexのいずれかから、ならびに/または最大で約5、4.5、4、3.5、3、および2.5dtex(例えば、約1.4〜4.5dtex、約1.6〜3dtexなど)までの線質量密度を有する。
【0068】
有利には、本発明の発明者らは、PLA樹脂中での第二級アルカンスルホネートの添加が、第二級アルカンスルホネートを含まない同一の、または同様に調製された不織布と比較して機械的特性のかなりの増加をもたらすことを発見した。これに関して、本発明の実施形態による不織布は、第二級アルカンスルホネートを含まない同様に調製された不織布と比較して50%大きい引張り強度を示し得る。一部の実施形態では、不織布は、第二級アルカンスルホネートを含まない同様に調製された不織布の引張り強度よりも50%〜200%大きい引張り強度を示し得る。
【0069】
特に、本発明による不織布は、第二級アルカンスルホネートを含まない同様に調製された不織布と比較して約55〜125%である機械方向(MD)引張り強度の増加を示し得る。一部の実施形態では、本発明の不織布は、第二級アルカンスルホネートを含まない同様に調製された不織布と比較して、約50〜150%、例えば、約55〜125%、約65〜110%、約85〜110%、または約90〜110%の範囲のMD引張り強度の増加を示し得る。
【0070】
一部の実施形態では、本発明による不織布は、第二級アルカンスルホネートを含まない同様に調製された不織布と比較して、約50〜200%である横方向(CD)引張り強度の増加を示し得る。一部の実施形態では、本発明の不織布は、第二級アルカンスルホネートを含まない同様に調製された不織布と比較して、約50〜170%、例えば、約55〜165%、約65〜160%、約85〜150%、または約90〜125%の範囲のCD引張り強度の増加を示し得る。
【0071】
本発明の実施形態による不織布はまた、第二級アルカンスルホネートを含まない同様に調製された不織布と比較して、増加した靭性を示す。不織布の靭性は、不織布の実測された伸びパーセントおよび実測された引張り強度の乗算から得られる積を調べることによって比較されてもよい。この乗算の積は、靭性指数と称され、これは、応力歪み曲線下の面積におおよそ比例する。以下に試験方法のセクションで検討されるとおり、引張りおよび伸び値のすべては、200mm/分のクロスヘッド速度で5cmの幅および100mmゲージ長さを有する試料がピークで記録された独国法10DIN53857に従って得られる。靭性指数は、引張りX伸び%の乗算の積の結果として生じるので、靭性指数は、(N/5cm)−%の単位を有する。すべての機械的特性は、5cm幅試料の試験の結果として生じるので、本文書における靭性指数のための単位は、N−%に簡単化される。
【0072】
本発明による不織布は、約2,000〜7,500N−%、特には、約2,300〜6,500、より特には、約2,300〜6,000N−%である、MD靭性指数、および約1,000〜5,000N−%、特には約1,250〜5,000、より特には、約1,250〜3,500N−%であるCD靭性指数を示し得る。
【0073】
一実施形態では、本発明の不織布は、第二級アルカンスルホネートを含まない同様に調製された不織布と比較して、20〜1,250%であるMD靭性指数の増加を示し得る。例えば、本発明の不織布は、第二級アルカンスルホネートを含まない同様に調製された不織布と比較して、少なくとも25%、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%、少なくとも500%、少なくとも600%、少なくとも700%、少なくとも800%、少なくとも900%、少なくとも1,000%、少なくとも1,050%、少なくとも1,100%、少なくとも1,150%、少なくとも1,200%、少なくとも1,250%、少なくとも1,300%、または少なくとも1,500%のいずれか1つまたは複数の、MD靭性指数の増加を示し得る。
【0074】
一部の実施形態では、本発明の不織布は、第二級アルカンスルホネートを含まない同様に調製された不織布と比較して、約50〜1,000%である、CD靭性指数の増加を示し得る。例えば、本発明の不織布は、第二級アルカンスルホネートを含まない同様に調製された不織布と比較して、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも250%、少なくとも300%、少なくとも350%、少なくとも400%、少なくとも500%、少なくとも550%、少なくとも600%、少なくとも700%、少なくとも800%、少なくとも900%、少なくとも1,000%、または少なくとも1,025%のいずれか1つまたは複数のCD靭性指数の増加を示し得る。
【0075】
坪量の変化を説明するために、第二級アルカンスルホネートを含まない同様に調製された不織布と比較して、本発明の不織布のための相対靭性指数を考慮することが有用であり得る。本発明の不織布はまた、比較例の不織布と比較して靭性のかなりの増加を示した。相対靭性指数は、靭性指数から計算され、これは、次いで、坪量について正規化される。靭性指数は、坪量により除して、N−%/g/m2の単位を有する正規化靭性指数を与え得る。
【0076】
本発明による不織布は、約50〜150N−%/g/m2、特には、約75〜125、より特には、約85〜115N−%/g/m2であるMD相対靭性指数、および約40〜100N−%/g/m2、特には、約45〜85、より特には、約45〜75N−%/g/m2であるCD相対靭性指数を示し得る。
【0077】
一実施形態では、本発明の不織布は、第二級アルカンスルホネートを含まない同様に調製された不織布と比較して、100〜1000%である、MD相対靭性指数の増加を示し得る。好ましい実施形態では、本発明の不織布は、第二級アルカンスルホネートを含まない同様に調製された不織布と比較して、約80〜500%、より好ましくは、約140〜480%である、MD相対靭性指数の増加を示し得る。例えば、本発明の不織布は、第二級アルカンスルホネートを含まない同様に調製された不織布と比較して、少なくとも100%、少なくとも125%、少なくとも150%、少なくとも175%、少なくとも200%、少なくとも225%、少なくとも250%、少なくとも275%、少なくとも300%、少なくとも325%、少なくとも350%、少なくとも375%、少なくとも400%、少なくとも425%、少なくとも450%、少なくとも475%、少なくとも500%、少なくとも525%、少なくとも550%、少なくとも575%、少なくとも600%、少なくとも625%、少なくとも650%、少なくとも675%、少なくとも700%、少なくとも725%、少なくとも750%、少なくとも775%、少なくとも800%、少なくとも825%、少なくとも850%、少なくとも875%、少なくとも900%、少なくとも925%、少なくとも950%、少なくとも975%、または少なくとも1,000%のいずれか1つまたは複数のMD相対靭性指数の増加を示し得る。
【0078】
一実施形態では、本発明の不織布は、第二級アルカンスルホネートを含まない同様に調製された不織布と比較して、100〜1000%である、CD相対鞜肬指数の増加を示し得る。好ましい実施形態では、本発明の不織布は、第二級アルカンスルホネートを含まない同様に調製された不織布と比較して、約140〜500%、より好ましくは、約140〜410%である、CD相対靭性指数の増加を示し得る。例えば、本発明の不織布は、第二級アルカンスルホネートを含まない同様に調製された不織布と比較して、少なくとも100%、少なくとも125%、少なくとも150%、少なくとも175%、少なくとも200%、少なくとも225%、少なくとも250%、少なくとも275%、少なくとも300%、少なくとも325%、少なくとも350%、少なくとも375%、少なくとも400%、少なくとも425%、少なくとも450%、少なくとも475%、少なくとも500%、少なくとも525%、少なくとも550%、少なくとも575%、少なくとも600%、少なくとも625%、少なくとも650%、少なくとも675%、少なくとも700%、少なくとも725%、少なくとも750%、少なくとも775%、少なくとも800%、少なくとも825%、少なくとも850%、少なくとも875%、少なくとも900%、少なくとも925%、少なくとも950%、少なくとも975%、または少なくとも1,000%のいずれか1つまたは複数のMD相対靭性指数の増加を示し得る。
【0079】
異なる不織布の特性を比較する場合、目的のMDおよびCD特性の組み合わせた値の二乗平均平方根を比較することがしばしば有用である。この方法は、単一の値の比較を可能にする。二乗平均平方根は、MD値の二乗に加えてCD値の二乗の総和の平方根を取ることによって、MDおよびCD値の両方からの入力を組み合わせる単一の数を与える。MDおよびCD結果を組み合わせる二乗平均平方根法の使用は、比較されるべき試料が異なる機械で、またはMD/CD比に影響を与え得るいくらか異なる条件下で作製される場合、特に有用である。坪量当たりの靭性指数の二乗平均平方根は、以下の式:

で計算される。ここで、MDTIは、機械方向靭性指数であり、CDTIは、横方向靭性指数である。
【0080】
本発明による不織布は、少なくとも55N−%/g/m2、より好ましくは、少なくとも65N−%/g/m2、さらにより好ましくは、少なくとも70N−%/g/m2である、坪量当たりの靭性指数の二乗平均平方根を有し得る。一実施形態では、不織布は、約55〜250N−%/g/m2、特には、約65〜150N−%/g/m2、より特には、約65〜100N−%/g/m2の値を有する、坪量当たりの靭性指数の二乗平均平方根を有する。一実施形態では、不織布は、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも105、少なくとも110、少なくとも115、少なくとも120、少なくとも125、少なくとも130、少なくとも135、少なくとも140、少なくとも145、少なくとも150、少なくとも155、少なくとも160、少なくとも165、少なくとも170、少なくとも175、少なくとも180、少なくとも185、少なくとも190、少なくとも195、および少なくとも200N−%/g/m2の、坪量当たりの靭性指数の二乗平均平方根を有する。
【0081】
「同様に調製された不織布」によって、比較不織布が、第二級アルカンスルホネートを除いて同一のポリマー組成を有すること、ならびに加工条件、例えば、温度(例えば、押出機、カレンダー操作、およびダイ温度)、延伸速度、および圧力におけるわずかな変化が存在してもよいことが理解されるべきである。
【0082】
理論によって拘束されることを望むことなく、繊維中の第二級アルカンスルホネートの存在は、互いの繊維の結合を改善するのを助け得、これは、不織布の機械的特性の改善をもたらすと考えられる。これに関して、図1Aおよび図1Bは、それぞれ、250×および100×の倍率で撮られた不織布のSEM画像であり、図2Aおよび図2Bは、それぞれ、250×および100×の倍率で撮られた本発明による不織布のSEM画像である。図1Aおよび図1Bの不織布は、図1Aおよび図1Bの不織布が第二級アルカンスルホネートを含まないことを除いて図2Aおよび図2Bの不織布と同一である。両方の不織布において、不織布は、カレンダーロールで点接着された。
【0083】
図1Aおよび図1Bの不織布のSEM画像は、結合点の個別の繊維が互いに不十分に結合されたことを示す。より具体的には、繊維は、結合中にポリマーの比較的に不十分な溶融および流れを示したことが観察された。対照的に、図2Aおよび図2Bの不織布のSEM画像は、それぞれの結合点内でポリマーの良好な溶融および流れを示した。図2Bでわかるとおり、これは、ポリマーの溶融および流れのためにフィルム様外観を示すそれぞれの結合点をもたらした。本発明の不織布は、第二級アルカンスルホネートを含まない不織布と比較して結合のかなりの改善を示した。
【0084】
ある特定の実施形態によれば、例えば、不織布は、約25N/5cm〜約150N/5cmの、ピークでの機械方向(MD)引張り強度を含み得る。他の実施形態では、例えば、不織布は、約50N/5cm〜約150N/5cmの、ピークでのMD引張り強度を含み得る。さらなる実施形態では、例えば、不織布は、約65N/5cm〜約90N/5cmの、ピークでのMD引張り強度を含み得る。したがって、ある特定の実施形態では、不織布は、少なくとも約25、26、27、28、29、30、50、60、70、80、100、110、120、130N/5cm、および140/5cmのいずれかから、ならびに/または最大で約175、150、145、140、130、120N/5cm、ならびに110、100、および90N/5cm(例えば、約25〜175N/5cm、約80〜140N/5cmなど)までの、ピークでのMD引張り強度を含み得る。
【0085】
ある特定の実施形態では、例えば、不織布は、約20N/5cm〜約85N/5cmの、ピークでの機械横方向(CD)引張り強度を含み得る。他の実施形態では、例えば、不織布は、約25N/5cm〜約75N/5cmの、ピークでのCD引張り強度を含み得る。一部の実施形態では、例えば、不織布は、約29N/5cm〜約74N/5cmの、ピークでのCD引張り強度を含み得る。したがって、ある特定の実施形態では、不織布は、少なくとも約20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、および30N/5cmのいずれかから、ならびに/または最大で約85、80、75、70、65、60、および50N/5cm(例えば、約20〜85N/5cm、約25〜75N/5cmなど)までの、ピークでのCD引張り強度を含み得る。
【0086】
ある特定の実施形態によれば、例えば、不織布は、約20%〜約50%の、ピークでのMD伸び率を含み得る。他の実施形態では、例えば、不織布は、約25%〜約45%の、ピークでのMD伸び率を含み得る。さらなる実施形態では、例えば、不織布は、約28%〜約41%の、ピークでのMD伸び率を含み得る。したがって、ある特定の実施形態では、不織布は、少なくとも約20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、および40%のいずれかから、ならびに/または最大で約50、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、および30%(例えば、約20〜50%、約21〜45%など)までの、ピークでのMD伸び率を含み得る。
【0087】
ある特定の実施形態では、例えば、不織布は、約30%〜約75%の、ピークでのCD伸び率を含み得る。他の実施形態では、例えば、不織布は、約35%〜約60%の、ピークでのCD伸び率を含み得る。一部の実施形態では、例えば、不織布は、約40%〜約50%の、ピークでのCD伸び率を含み得る。したがって、ある特定の実施形態では、不織布は、少なくとも約10、15、20、25、30、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、および49%のいずれかから、ならびに/または最大で約55、50、49、48、および47%(例えば、約10〜55%、約15〜50%など)までの、ピークでのCD伸び率を含み得る。
【0088】
ある特定の実施形態によれば、特定のプロセスが、PLAスパンボンド不織布を調製するために使用されてもよい。このような実施形態では、プロセスは、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートを含む溶融または半溶融PLA樹脂のストリームを生じるステップ、複数の延伸PLA連続フィラメントを形成するステップ、複数のPLA連続フィラメントを収集表面上に堆積させるステップ、複数のPLA連続フィラメントをイオンに曝露するステップ、および複数のPLA連続フィラメントを結合して、PLAスパンボンド不織布を形成するステップを含んでもよい。ある特定の実施形態によれば、例えば、複数のPLA連続フィラメントを形成するステップは、複数のPLA連続フィラメントを紡糸するステップ、複数のPLA連続フィラメントを延伸するステップ、および複数のPLA連続フィラメントをランダム化するステップを含んでもよい。
【0089】
これに関して、スパンボンド不織ウェブは、例えば、溶融ポリマーが連続フィラメントに押し出され、これはその後、クエンチされ、細くされ、または延伸ロールで、もしくは高速流体により空気圧で機械的に延伸され、および収集表面上にランダム配置で収集される、従来のスパンボンドプロセスによって、作製されてもよい。フィラメント収集後、任意の熱的、化学的または機械的結合処理が、凝集性ウェブ構造が結果として生じるように結合ウェブを形成するために使用されてもよい。
【0090】
ある特定の実施形態によれば、例えば、プロセスは、約2500m/分より大きい繊維延伸速度で行われてもよい。他の実施形態では、例えば、プロセスは、約3000m/分〜約4000m/分の繊維延伸速度で行われてもよい。さらなる実施形態では、例えば、プロセスは、約3000m/分〜約5500m/分の繊維延伸速度で行われてもよい。したがって、ある特定の実施形態では、プロセスは、少なくとも約2501、2550、2600、2650、2700、2750、2800、2850、2900、2950、および3000m/分のいずれかから、ならびに/または最大で約5500、4000、3950、3900、3850、3800、3750、3700、3650、3600、3550、および3500m/分(例えば、約2700〜3800m/分、約3000〜3700m/分など)までの繊維延伸速度で行われてもよい。
【0091】
ある特定の実施形態によれば、例えば、PLAスパンボンド不織布を形成するためにウェブを結合するステップは、パターン化ロールを含む一対の協働ロールを有するカレンダーを介して熱および圧力でウェブを熱点接着する(thermal point bond)ステップを含んでもよい。このような実施形態では、例えば、ウェブを熱点接着するステップは、PLAスパンボンド不織布上に3次元幾何形状結合パターンを付与するステップを含んでもよい。パターン化ロールは、3次元幾何形状結合パターンを含んでもよい。一部の実施形態では、例えば、結合パターンは、ひし形パターン、六角形ドットパターン、オーバル−楕円形パターン、ロード形状パターン、またはそれらの任意の組み合わせの少なくとも1つ。一部の実施形態では、カレンダーは、ロールの1つまたは複数の表面上の溶融または半溶融ポリマーの堆積を最小限にするために剥離コーティングを含んでもよい。一例として、このような剥離コーティングは、欧州特許出願第1,432,860号に記載されており、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0092】
ある特定の実施形態によれば、例えば、プロセスは、静電制御ユニットを介してカレンダーに近接したPLAスパンボンド不織布から静電荷を消散させるステップをさらに含んでもよい。一部の実施形態では、例えば、静電制御ユニットは、イオン化源を含んでもよい。さらなる実施形態では、例えば、イオン化源は、イオン化バーを含んでもよい。しかしながら、他の実施形態では、例えば、PLAスパンボンド不織布から静電荷を消散させるステップは、PLAスパンボンド不織布を静電バーと接触させるステップを含んでもよい。
【0093】
ある特定の実施形態によれば、例えば、プロセスは、PLAスパンボンド不織布を切断して、切断PLAスパンボンド不織布を形成するステップ、切断PLAスパンボンド不織布を第3のイオン化源を介してイオンに曝露するステップ、および切断PLAスパンボンド不織布をロールに巻き付けるステップをさらに含んでもよい。このような実施形態では、例えば、第3のイオン化源は、イオン化バーを含んでもよい。
【0094】
ある特定の実施形態によれば、例えば、プロセスは、湿分を増加させる一方で、複数のPLA連続フィラメントを形成するステップをさらに含んでもよい。このような実施形態では、例えば、湿分を増加させるステップは、スチーム、霧、ミスト、またはそれらの任意の組み合わせの少なくとも1つを複数のPLA連続フィラメントに適用するステップを含んでもよい。
【0095】
本発明によるある特定の実施形態は、PLAスパンボンド不織布を調製するためのシステムを提供する。ある特定の実施形態によれば、システムは、溶融または半溶融PLA樹脂のストリームを生じるように構成された第1のPLA供給源、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートをPLA供給源に導入するように構成される少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートの供給源、第1のPLA供給源と流体連結しているスピンビーム、PLA連続フィラメントがその上に堆積されてPLAスパンボンド不織布を形成する、スピンビームの出口の下に配置された収集表面、PLA連続フィラメントをイオンに曝露するように位置付けおよび配置された第1のイオン化源、および第1のイオン化源の下流に位置するカレンダーを含む。スピンビームは、ある特定の実施形態によれば、複数のPLA連続フィラメントを押し出しおよび延伸するように構成される。
【0096】
これに関して、スパンボンド不織ウェブは、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる、Geusらに付与された米国特許第5,814,349号に記載されているように、従来のスパンボンドプロセスによって、例えば、スパンボンド機械装置、例えば、ReifenhauserからのReicofil―3ラインまたはReicofil―4ラインなどで作製されてもよく、ここで、溶融ポリマーは、連続フィラメントに押し出され、これはその後、クエンチされ、高速流体により空気圧で細くされ、および収集表面上でランダム配置に収集される。一部の実施形態では、連続フィラメントは、収集表面の下に位置する真空源の補助によって収集される。フィラメント収集後、任意の熱的、化学的または機械的結合処理が、凝集性ウェブ構造が生じるように結合ウェブを形成するために使用されてもよい。当業者にはわかるように、熱的結合の例としては、高温空気がウェブに押し込まれて、ウェブ中のある特定の繊維の外側上のポリマーを軟化させるスルーエア結合、続いて、ウェブの少なくとも限定的な圧縮、またはウェブが、2本のロール間で圧縮され、それらの少なくとも1本は加熱されており、典型的には1本はエンボス加工ロールであるカレンダー結合を挙げることができる。
【0097】
一部の実施形態では、例えば、収集表面は、導電性繊維を含んでもよい。導電性繊維は、ポリアミドで調整されたポリエーテルスルホンから作られたモノフィラメントワイヤを含んでもよい(例えば、Huycon−LX135)。機械方向において、繊維は、ポリアミド調整ポリエーテルスルホンを含む。機械の横方向において、繊維は、追加のポリエーテルスルホンと組み合わせてポリアミド調整ポリエーテルスルホンを含む。
【0098】
図3を参照すると、例えば、本発明のある特定の実施形態によるPLAスパンボンド不織布調製システムの概略図が図示されている。
【0099】
図3に示されるとおり、PLA供給源(すなわち、ホッパー)2は、押出機6を介してスピンビーム4と流体連結している。次いで、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートが、押出機6中でPLA樹脂とブレンドされて、スピンビーム4に導入される溶融または半溶融PLAストリームを提供する。第二級アルカンスルホネートは、押出機に直接導入されてもよく、またはPLA樹脂が押出機に導入される前にPLA供給源(例えば、ホッパー)に導入されてもよいことに留意すべきである。
【0100】
図3は、2つのPLA供給源2および2つの押出機6を有する実施形態を図示しているが、システムは、当業者により理解されるとおりに特定の用途で指示されるとおりに任意の数のポリマー供給源(例えば、PLAの他、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの合成ポリマー)と、押出機とを備えてもよい。押出しに続いて、押し出されたポリマーは、次いで、フィラメントに紡糸するための複数の紡糸口金(図示省略)に入ってもよい。紡糸に続いて、紡糸されたフィラメントは、次いで、延伸ユニット(図示省略)を介して延伸(すなわち、細く)され、ディフューザ(図4A〜図4C中の28)でランダム化されてもよい。スピンビーム4は、フィラメントのカーテン(図4A〜図4C中の30)を生じさせ、これは、ポイント8で収集表面10上に堆積される。
【0101】
一実施形態では、次いで、このように堆積されたフィラメントは、結合されて、凝集性ウェブを形成してもよい。一部の実施形態では、一対の協働ロール12(「プレスロール」とも本明細書で称される)は、結合のためのカレンダー14への送達前にウェブを圧縮することによってPLA連続フィラメントのウェブを安定化させる。一部の実施形態では、例えば、プレスロールは、その表面上に堆積されるセラミックコーティングを含んでもよい。ある特定の実施形態では、例えば、一対の協働ロール12の一方のロールは、収集表面10の上に位置し、一対の協働ロール12の第2のロールは、収集表面10の下に位置してもよい。最終的に、結合PLAスパンボンド不織布は、ワインダー16に移動し、ここで、不織布は、ロールに巻き付けられる。
【0102】
それらの研究の間に、本発明者らは、PLAが繊維表面で曝露される場合、繊維紡糸およびウェブ加工中の静電気発生が、スパンボンド機械のプレスロールおよびカレンダーでウェブが巻き付くのを促進することを発見した。このウェブ巻き付きは、望ましくなく、一般に100%PLAを含む布、またはPLAが繊維の表面に曝露される布の高速生産を妨げた。ウェブ巻き付きに対処する1つの方法は、例えば、紡糸されたばかりの繊維をクエンチするために使用されるエアストリーム中にスチームを射出することによって、または紡糸された繊維が非結合ウェブ中に最初に形成されるプレスロールの周りに水分の微細ミストまたは霧を与えることによって、スパンボンドプロセスの湿分を増加させることによる。余分な湿分は、ウェブ巻き付きからのいくらかの保護を与えるけれども、ある期間にわたっての高い水分の付加は、スパンボンド機械の腐食ならびに衛生および医療操作における不織布使用に有害なカビまたは微生物の増殖を促進し得る。
【0103】
不織布における静電荷蓄積を減少させる別の方法は、PLAが繊維の表面に曝露されているウェブを、ウェブを接地するのに役立つ導電性静電バーと接触させ、それにより、電荷蓄積を消散させることである。しかしながら、このアプローチは、不織ウェブと導電性基体との間の直接の接触を必要とし、このような接触点で、空間を通しての静電気の直接放電の可能性が残り、操作者への起こり得る害、装置に対する損傷、および火災のリスクが結果として生じる。
【0104】
有利には、本発明者らは、100%PLAを含む不織布が、1つまたは複数のイオン化源をこの不織布に近接して位置させることによって、商業的に実行可能な加工速度で調製され得ることを発見した。例えば、一実施形態では、イオン化源18を、不織布と接触することなしに静電荷を能動的に消散させ/中和するために、スピンビーム4およびワインダー16の近くに位置させてもよい。以下に説明されるとおり、イオン化源は、不織布をイオンのストリームに曝露させ、これは、不織布中の静電荷を中和するように作用する。イオンのストリームは、正イオン、負イオン、およびそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0105】
一部の実施形態では、静電制御ユニット20をカレンダー14の近くに位置させることも望ましくあり得る。静電制御ユニット20は、不織布との接触を必要とする受動的静電バー、または不織布との接触を必要としない能動的イオン化バーであってもよい。最終的には、任意選択の湿分ユニット26がスピンビーム4および/またはプレスロール12と併せて使用されて、加えた水分によって静電気を減少させてもよい。
【0106】
ある特定の実施形態によれば、例えば、第1のイオン化源は、収集表面の上であって、PLA連続フィラメントが収集表面上に堆積されるポイントの下流に、位置させてもよい。しかしながら、他の実施形態では、例えば、第1のイオン化源は、スピンビームの出口と収集表面との間に位置させてもよい。
【0107】
前に検討されたとおり、システムは、スピンビームの出口の下流に位置するプレスロールをさらに含んでもよい。これに関して、プレスロールは、PLA連続フィラメントのウェブをスピンビームの出口からカレンダーの方向にPLA連続繊維を送達する前に前記ウェブを圧縮することによって安定化するように構成されてもよい。プレスロールを含む実施形態では、例えば、第1のイオン化源は、プレスロールから下流に位置してもよい。他の実施形態では、例えば、第1のイオン化源は、スピンビームとプレスロールの間に位置してもよい。
【0108】
一部の実施形態では、および図3に示されるとおりに、システムは、カレンダーへの送達前にスピンビームの出口から収集表面上に複数のPLA連続フィラメントを引くために収集表面の下に配置された真空源24を含んでもよい。
【0109】
図4A〜図4Cは、例えば、本発明のある特定の実施形態による第1のイオン化源の位置付けを図示する概略図である。図4Aに示されるとおりに、第1のイオン化源18は、プレスロール12の上流を除いてスピンビーム4の出口(すなわち、ディフューザ)28の下流に位置する。図4Bでは、しかしながら、第1のイオン化源26は、プレスロール12の下流に位置する。図2Cでは、第1のイオン化源は、フィラメント30のカーテンが、収集表面上に、しかしまた出口46の範囲内に堆積されるポイント8の下流に位置する。
【0110】
好ましくは、イオン化源は、電極、イオン化エアノズル、イオン化エアブロワなどを使ってイオンを能動的に放電することができるデバイスを含む。一実施形態では、イオン化源は、不織布の方向にイオンを能動的に放電する能動的放電イオン化バーを含む。適当なイオン化バーの例には、Iontisから入手可能である、Elektrostatik Discharging Electrode E3412が含まれてもよい。
【0111】
一実施形態では、イオン化バーは、ウェブにわたって横方向に延在していてもよい。好ましくは、イオン化バーは、不織布の全幅にわたって横方向に延在している。さらなる実施形態では、イオン化バーは、ウェブおよび収集表面の下で横方向に延在していてもよい。しかしながら、収集表面下へのイオン化バーの位置付けは、ウェブにわたり横方向へのイオン化バーの位置付けよりも有効でないことがあり得る。
【0112】
ある特定の実施形態によれば、例えば、第1のイオン化源と収集表面は、約1インチ〜約24インチの距離で離れていてもよい。他の実施形態では、例えば、第1のイオン化源および収集表面は、約1インチ〜約12インチの距離で離れていてもよい。さらなる実施形態では、例えば、第1のイオン化源および収集表面は、約1インチ〜約5インチの距離で離れていてもよい。したがって、ある特定の実施形態では、第1のイオン化源および収集表面は、少なくとも約1、1.25、1.5、1.75、および2インチからならびに/または最大で約24、20、16、12、10、9、8、7、6、および5インチ(例えば、約1.5〜10インチ、約2〜8インチなど)のいずれかまでの距離で離れていてもよい。
【0113】
ある特定の実施形態によれば、例えば、システムは、カレンダーに近接したPLAスパンボンド不織布から静電気を消散させるように位置付けおよび配置された静電制御ユニットをさらに含んでもよい。一部の実施形態では、例えば、静電制御ユニットは、カレンダーから上流に、およびそれに隣接して位置してもよい。他の実施形態では、しかしながら、静電制御ユニットは、カレンダーから下流に、およびそれに隣接して位置してもよい。
【0114】
一部の実施形態では、例えば、静電制御ユニットは、受動的静電バーを含んでもよい。このような実施形態では、静電制御ユニットは、静電荷を消散させるためにPLAスパンボンド不織布と接触してもよい。他の実施形態では、しかしながら、静電制御ユニットは、第2のイオン化源を含んでもよい。したがって、第2のイオン化源は、PLAスパンボンド不織布から静電荷を能動的に消散させてもよく、その結果、第2のイオン化源とPLAスパンボンド不織布との接触は、静電荷を消散させるためには必要とされない。
【0115】
ある特定の実施形態によれば、例えば、システムは、カレンダーから下流に位置するワインダーをさらに含んでもよい。このような実施形態では、例えば、システムはまた、ワインダーに近接してPLAスパンボンド不織布をイオンに曝露するように位置付けおよび配置された第3のイオン化源を含んでもよい。一部の実施形態では、例えば、第1のイオン化源、静電制御源(例えば、第2のイオン化源)、および第3のイオン化源の少なくとも1つが、イオン化バーを含んでもよい。これに関して、例えば、第1のイオン化源、静電制御源、および第3のイオン化源は、PLAスパンボンド不織布の調製中に生じた静電荷を能動的に消散させるように構成されてもよい。
【0116】
ある特定の実施形態によれば、例えば、システムは、スピンビーム内に、またはそれから下流に位置する湿分ユニットをさらに含んでもよい。このような実施形態では、例えば、湿分ユニットは、スチームユニット、フォギングユニット、ミスティングユニット、またはそれらの任意の組み合わせの少なくとも1つを含んでもよい。これに関して、例えば、湿分は、複数のPLA連続フィラメントの形成中にスピンビームで、および/またはPLAスパンボンド不織布の製造中に発生する静電荷の追加的な管理を与えるためにプレスロール(それらの実施形態では、少なくとも1つのプレスロールを用いる)の近くで加えられてもよい。
【0117】
本発明の実施形態による不織布は、様々な異なる構造を調製するために使用されてもよい。例えば、一部の実施形態では、本発明の不織布は、複合材料または積層材料を調製するために1つまたは複数の追加的な層と組み合わされてもよい。このような複合材料/積層物の例には、スパンボンド複合材料、スパンボンド−メルトブローン(SM)複合材料、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)複合材料、またはスパンボンド−メルトブローン−メルトブローン−スパンボンド(SMMS)複合材料が含まれてもよい。一部の実施形態では、複合材料は、本発明の不織布の層および1つまたは複数のフィルム層を含んで調製されてもよい。
【0118】
例えば、図5A〜図5Dは、本発明のある特定の実施形態による複合材料の横断面図である。例えば、図5Aは、本発明の実施形態によるPLAスパンボンド不織布層52、およびメルトブローン層54を有する、スパンボンド−メルトブローン(SM)複合材料50を図示している。図5Bは、2つのPLAスパンボンド不織布層52、およびPLAスパンボンド不織布層52間にサンドイッチ状に挟まれたメルトブローン層54を有する、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)複合材料56を図示している。図5Cは、PLAスパンボンド不織布層52、異なるスパンボンド層60、および2つのスパンボンド層52、6間にサンドイッチ状に挟まれたメルトブローン層54を有する、SMS複合材料58を図示している。最後に、図4Dは、PLAスパンボンド不織布層52、異なるスパンボンド層60、および2つのスパンボンド層52、60間にサンドイッチ状に挟まれた2つのメルトブローン層54を有する、スパンボンド−メルトブローン−メルトブローン−スパンボンド(SMMS)複合材料62を図示している。SMMS複合材料62は、2つの異なるスパンボンド層52および60を有すると示されるけれども、両スパンボンド層が、PLAスパンボンド不織布層52であってもよい。
【0119】
これらの多層構造では、PLAスパンボンド不織布層の坪量は、7g/m2〜150g/m2まで程度に低い範囲であってもよい。このような多層化積層物では、メルトブローンとスパンボンドとの両繊維が、最適結合を確実にするために表面上にPLAを有し得る。スパンボンド層が多層構造(例えば、SM、SMS、およびSMMS)の部分である一部の実施形態では、構造中のメルトブローンの量は、全体として構造の百分率として構造の約5〜30%、特に約5〜15%の範囲であってもよい。
【0120】
実施形態による多層構造は、それぞれの層が同じラインで連続順に、または前に形成されたスパンボンド層の上にメルトブローン層を堆積させて調製される連続インラインプロセスを含めて、様々な仕方で調製され得る。多層構造の層は、一緒に結合されて、熱結合、機械的結合、接着結合、水流交絡、またはこれらの組み合わせを使用して多層複合シート材料を形成することができる。ある特定の実施形態では、層は、多層構造を一対のカレンダーロールに通過させることによって、互いに熱点接着される。
【0121】
さらに別の態様では、本発明のある特定の実施形態は、吸収性物品を提供する。ある特定の実施形態によれば、吸収性物品は、本発明による不織布を含んでもよい。一実施形態では、少なくとも1つの不織布層が、第二級アルカンスルホネートが組み込まれるPLAスパンボンド不織布層を含み得るような少なくとも2つの不織布層を含む持続可能な複合材料が提供されてもよい。PLAスパンボンド不織布層は、PLAが複数の繊維の表面に存在し得るように複数の繊維を含んでもよい。一部の実施形態では、吸収性物品は、持続可能であってもよいが、吸収性物品の持続可能性は、持続可能な複合材料以外に吸収性物品に組み込まれる他の材料に依存する。
【0122】
これに関して、本発明の実施形態によって調製される布は、多種多様な物品および用途に使用されてもよい。例えば、本発明の実施形態は、パーソナルケア用途、例えば、ベビーケア用製品(おむつ、ワイプ)、女性ケア用製品(パッド、衛生タオル、タンポン)、アダルトケア用製品(失禁製品)、または化粧品用途用(パッド)、農業用途、例えば、根巻、種子袋、作物覆い、産業用途、例えば、作業着カバーオール、航空機用ピロー、自動車トランクライナー、防音物品、ならびに家庭用品、例えば、マットレスコイルカバーおよび家具スクラッチパッドのために使用されてもよい。
【0123】
図6Aは、例えば、本発明の少なくとも1つの実施形態による、および参照番号70により広く示される吸収性物品(ここではおむつとして示される)の図である。おむつ70は、吸収剤コア74を含んでもよい。図6Bは、図5Aの線72−72に沿った図5Aのおむつ70の横断面図である。図6Bに示されるとおりに、吸収剤コア74は、トップシート80とバックシート82との間にサンドイッチ状に挟まれてもよい。本明細書でさらに検討されるとおり、トップシート80およびバックシート82の一方または両方は、PLAスパンボンド不織布および/または本明細書でより詳細に前に検討されたとおりのPLAスパンボンド不織布層を含む持続可能な複合材料を含んでもよい。
【0124】
トップシート30は、吸収剤コア74の外面に隣接して位置させ、好ましくは取り付け手段(図示省略)、例えば、当技術分野で周知のものによって、それに、およびバックシート82に連結される。例えば、トップシート80は、接着剤の一様な連続層、接着剤のパターン化層、または接着剤のセパレートライン、スパイラル、またはスポットの列によって吸収剤コア74に固定され得る。
【0125】
本明細書で使用される場合、用語「連結される」は、要素が、要素を他の要素に直接付加することによって他の要素に直接固定される立体配置、および要素が、要素を中間部材に付加し、これは、次に他の要素に付加されることによって他の要素に間接的に固定される立体配置を包含する。本発明の好ましい実施形態では、トップシート80およびバックシート82は、おむつ外縁86で互いに直接連結され、取り付け手段(図示省略)によりそれらを吸収剤コア74に直接連結することによって一緒に間接的に連結される。
【0126】
好ましくは、トップシート80は、着用者の皮膚に適合性、柔らかな感じ、および非刺激性である。さらに、トップシート80は、その厚さを通して容易に浸透するように液体(例えば、尿)を許容する液体浸透性である。適当なトップシートは、広範な材料、例えば、多孔質フォーム;網状フォーム;開口プラスチックフィルム;または天然繊維(例えば、木材または綿繊維)、もしくは天然および合成繊維の組み合わせの織もしくは不織ウェブから製造されてもよい。
【0127】
一部の実施形態では、トップシートは、界面活性剤で処理されて、トップシートを通して、吸収剤コア中への適切な液体輸送を確保するのに役立ててもよい。適当な界面活性剤の例は、商品名NUWET(商標)237の下でMomentive Performance Materialsから入手可能である。
【0128】
一実施形態では、トップシートおよびバックシートの少なくとも一方は、前に検討されたとおりに第二級アルカンスルホネートを含むPLA連続フィラメントを含む、不織布を含む。
【0129】
好ましい実施形態では、トップシートは、少なくとも75重量パーセントのバイオ系材料、例えば、少なくとも75重量パーセントの本発明PLAスパンボンド不織布を含む。本発明の実施形態で使用されてもよいバイオ系ポリマーの追加的な例には、有機体から直接産生されるポリマー、例えば、ポリヒドロキシアルカノエート(例えば、ポリ(ベータ−ヒドロキシアルカノエート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシバレレート、NODAX(商標))、およびバクテリアセルロース;植物およびバイオマスから抽出されるポリマー、例えば、多糖類およびその誘導体(例えば、ガム、セルロース、セルロースエステル、キチン、キトサン、デンプン、化学変性デンプン)、タンパク質(例えば、ゼイン(zein)、乳清、グルテン、コラーゲン)、脂質、リグニン、および天然ゴム、天然源のモノマーから誘導される現行ポリマーおよび誘導体、例えば、バイオ−ポリエチレン、バイオ−ポリプロピレン、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリ乳酸、NYLON11、アルキド樹脂、琥珀酸ベースポリエステル、およびバイオ−ポリエチレンテレフタレートが含まれる。
【0130】
トップシート80を製造するために使用されてもよいいくつかの製造技術がある。例えば、トップシート80は、繊維の不織ウェブであってもよい。トップシートが不織ウェブを含む場合、ウェブは、スパンボンド、カード処理、ウェットレイド、メルトブローン、水流交絡されても、前記の組み合わせ、などであってもよい。好ましいトップシートは、繊維が互いに熱的に結合されて、凝集性ウェブを形成するスパンボンド不織布を含む。
【0131】
バックシート82は、吸収剤コア74の反対表面に隣接して位置させ、好ましくは取り付け機構(図示省略)、例えば、当技術分野で周知のものによってそれに連結される。適当な取り付け機構は、トップシート80を吸収剤コア74に連結することに関して記載される。あるいは、取り付け手段は、当技術分野で公知の熱接着、圧力接着、超音波接着、動的機械的接着、または任意の他の適当な取り付け手段、もしくはこれらの取り付け機構の組み合わせを含んでもよい。
【0132】
バックシート82は、液体(例えば、尿)に対して不浸透性であり、好ましくは薄いプラスチックフィルムから製造されるが、他の可撓性液体不浸透性材料がまた、使用されてもよい。本明細書で使用される場合、用語「可撓性の」は、適合性であり、かつ人体の全体の形および輪郭に容易に合う材料を指す。バックシート82は、おむつ70と接触する物品、例えば、ベッドシーツおよび下着を、吸収剤コア74に吸収および含有される滲出液が濡らすことを防止する。したがって、バックシート82は、織または不織材料、ポリマーフィルム、例えば、熱可塑性フィルム、または複合材料、例えば、フィルムコーテッド不織材料を含んでもよい。
【0133】
一部の実施形態では、バックシートのための材料には、前に検討されたバイオ系ポリマー、特に、本明細書に記載される本発明PLAスパンボンド不織布が含まれてもよい。一部の実施形態では、バックシートは、追加的なバイオ系ポリマーを含んでもよい。例えば、バックシートにおける使用のためのバイオ系ポリマーには、有機体から直接産生されるポリマー、例えば、ポリヒドロキシアルカノエート(例えば、ポリ(ベーターヒドロキシアルカノエート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシバレレート、NODAX(商標))、およびバクテリアセルロース;植物およびバイオマスから抽出されるポリマー、例えば、多糖類およびその誘導体(例えば、ガム、セルロース、セルロースエステル、キチン、キトサン、デンプン、化学変性デンプン)、タンパク質(例えば、ゼイン(zein)、乳清、グルテン、コラーゲン)、脂質、リグニン、および天然ゴム、天然源のモノマーから誘導される現行ポリマーおよび誘導体、例えば、バイオ−ポリエチレン、バイオ−ポリプロピレン、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリ乳酸、NYLON11、アルキド樹脂、琥珀酸ベースポリエステル、およびバイオ−ポリエチレンテレフタレートが含まれる。
【0134】
一実施形態では、バックシートは、不織ウェブに連結される、液体不浸透性フィルム層を有する積層構造を含んでもよい。適当なフィルムは、前に検討されたとおりのバイオ系ポリマーから調製されてもよい。一例では、フィルムは、サトウキビ誘導ポリエチレンポリマー、例えば、積層用にBraskem S.A.により推奨される、フィルムグレードLDPE、ポリエチレングレードSEB853/72またはSPB681/59を含んでもよい。適当なフィルムはまた、流体バリヤ特性を維持する一方で、フィルム通気性を改善するための添加剤、例えば、CaCO3を含んでもよい。一部の実施形態では、バックシート層は、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)構造を有して、布層に積層されるバイオ系フィルム層、例えば、前に検討されたもの、を有する積層構造を含んでもよい。
【0135】
吸収剤コア74は、流体および滲出液を吸収することができる任意の材料を含んでもよい。好ましくは、吸収剤コアは、少なくとも75重量%のバイオ系材料を含む。一実施形態では、コアラップのための材料は、スパンボンド布、スパンボンド−メルトブローン布(SM)、またはSMS布を含む、布層を含んでもよい。SMS布を含むコアラップの一例は、PLAシース(例えば、4%のD異性体を有するNatureWorks PLA Grade PLA6752)、およびPLAコア(例えば、2%のD異性体を有するNatureWorks Grade 6202)を有する二成分繊維を含む、スパンボンド不織層を含む。一実施形態では、SMS布のメルトブローン層はPLAメルトブローン繊維(例えば、NatureWorks PLA grade 6252)を含んでもよい。
【0136】
図7は、吸収性物品が参照番号100により大まかに示される女性用衛生パッドの形態である本発明の少なくとも1つの実施形態による吸収性物品の図である。パッド100は、トップシート102およびバックシート104、ならびにその間に配置された吸収剤コア106を含んでもよい。好ましくは、トップシート102およびバックシート104は、パッド100の外縁110の周りに延在する連続シーム108を規定するために対抗する外側端に沿って周りに互いに連結される。連続シーム108は、トップシートおよびバックシートを互いに熱結合することから形成されるヒートシールを含んでもよい。他の実施形態では、連続シーム108は、トップシートおよびバックシートを互いに接着結合することにより形成される。
【0137】
上で検討された実施形態におけるとおりに、パッド100は、好ましくは本発明による不織布を含む。それは、PLA樹脂と第二級アルカンスルホネートとのブレンドである繊維を含むスパンボンド不織布である。
【0138】
一部の実施形態では、パッド100は、パッドの全重量に基づいて、少なくとも75重量パーセントのバイオ系材料含有量を含む、例えば、パッドの少なくとも80重量%、85重量%、90重量%、または95重量%であるバイオ系材料含有量を含む、持続可能な物品を含んでもよい。トップシート、バックシート、および吸収剤コアのための適当な材料は、前に検討されている。
【0139】
一部の実施形態では、パッド100はまた、吸収剤コア106とトップシート102との間に配置される流体捕捉層112を含んでもよい。一実施形態では、流体捕捉層の作製は、7デニール中空PLAタイプ8202インチカット長ステープル繊維に加えて3デニール中実PLAタイプ8212インチカット長ステープル繊維(両方とも、Fiber Innovations Technology−Johnson City、TNから入手可能)のブレンドを含むウェブをカード処理し;得られたカード処理ウェブを、加熱調理デンプン(例えば、Cargill製タイプSTABITEX 65401)の懸濁液とともにキスロールを介して処理し;ウェブを硬化および乾燥させるための高温空気と加熱ドライヤカンへの接触との組み合わせによって繊維およびデンプンの得られたウェブを高温に曝露し、得られたロールを吸収性物品用の子ロールに巻き付けおよび切り裂くことによって、行うことができる。
【0140】
吸収性物品の様々な構成要素は、典型的には熱的または接着結合によって連結される。接着剤が用いられる場合、接着剤は、好ましくはバイオ系接着剤を含む。バイオ系接着剤の例は、製品コード92721の下でDanimer Scientificから入手可能な感圧接着剤である。
【0141】
ある特定の実施形態によれば、例えば、少なくともPLAスパンボンド不織布層は、二成分繊維を含んでもよい。一部の実施形態では、例えば、二成分繊維は、並列配置を含んでもよい。しかしながら、他の実施形態では、例えば、二成分繊維は、シースおよびコアを含んでもよい。さらなる実施形態では、例えば、二成分繊維は、逆二成分繊維(reverse bicomponent fiber)を含んでもよい。ある特定の実施形態では、例えば、シースは、PLAを含んでもよい。さらなる実施形態では、例えば、コアは、ポリオレフィン、ポリエステル、またはそれらの任意の組み合わせの少なくとも1種を含んでもよい。一部の実施形態では、例えば、コアは、ポロプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、PLAまたはそれらの任意の組み合わせの少なくとも1種を含んでもよい。ある特定の実施形態では、例えば、シースおよびコアのそれぞれは、PLAを含んでもよい。
【0142】
ある特定の実施形態によれば、例えば、シースは、第1のPLAグレードを含んでもよく、コアは、第2のPLAグレードを含んでもよく、ならびに第1のPLAグレードおよび第2のPLAグレードは、異なっていてもよい。一部の実施形態では、例えば、第1のPLAグレードは、約5%までの結晶化度を含んでもよく、および第2のPLAグレードは、約40%〜約50%の結晶化度を含んでもよい。他の実施形態では、例えば、第1のPLAグレードは、約125℃〜約135℃の融点を含んでもよく、および第2のPLAグレードは、約155℃〜約170℃の融点を含んでもよい。さらなる実施形態では、例えば、第1のPLAグレードは、約4重量%〜約10重量%のD異性体の重量パーセントを含んでもよく、および第2のPLAグレードは、約2重量%のD異性体の重量パーセントを含んでもよい。一部の実施形態では、例えば、二成分繊維は、約70重量%のコアおよび約30重量%のシースを含んでもよい。
【0143】
しかしながら、他の実施形態では、例えば、少なくともPLAスパンボンド不織布層は、PLA樹脂と第二級アルカンスルホネートとのブレンドを含む複数の一成分PLA繊維を含んでもよい。
【0144】
好ましい実施形態では、本発明によるPLA不織布は、持続可能な吸収性物品を製造するために使用されてもよい。持続可能な吸収性物品の例は、本明細書に参照により完全に組み込まれる、Chesterらに付与される米国特許出願第14/839,026号に見出され得る。
【0145】
ある特定の実施形態によれば、例えば、少なくともPLAスパンボンド不織布層は、3次元幾何形状結合パターンを含んでもよい。このような実施形態では、例えば、結合パターンは、ひし形パターン、六角形ドットパターン、オーバルー楕円パターン、ロット形状パターン、またはそれらの任意の組み合わせの少なくとも1つを含んでもよい。
【実施例】
【0146】
以下の実施例は、本発明の1つまたは複数の実施形態を例証するために提供されるものであり、本発明を限定すると解釈されるべきではない。
【0147】
本発明による不織布は、Reifenhaeuser Reicofil−3ラインまたはReicofil−4ラインによって調製した。実施例のそれぞれは、特に断りのない限り、実施例1に記載した設定を使用して調製した。さらに、特に断りのない限り、すべての百分率は、重量百分率である。実施例で使用した材料は、以下に特定する。
【0148】
試験方法
タイター(titer)は、独国テキスタイル法C−1570によって繊維の直径の顕微鏡測定値および公知のポリマー密度から計算した。
【0149】
坪量は、一般に10×10cm平方に切断した布の10層の重量から独国テキスタイル法CM−130に従って決定した。
【0150】
引張りは、5cm幅の試料、100mmゲージ長さ、および200mm/分のクロスヘッド速度を使用して方法10DIN−53857に従って決定した。引張り強度は、ピークで測定した。
【0151】
伸びは、5cm幅の試料、100mmゲージ長さ、および200mm/分のクロスヘッド速度を使用して方法10DIN−53857に従って決定した。伸びは、ピークで測定した。
【0152】
布収縮率は、29.7cmのMDおよび21.0cmのCDの公称寸法のウェブ幅にわたって取った3つの試料を切断し;シートにおける3つの位置で実際のMDおよびCD幅を測定し;60℃に加熱された水中に試料を1分入れ;前述の3つの位置でMDおよびCD寸法を再測定することによって決定した。元の測定値で除した曝露後の平均幅測定値×100%は、収縮率%をもたらす。低い収縮率%値は、PLAを含む連続繊維が、結合後に高い強度安定布をもたらすのに十分な速度で紡糸および延伸されていることを示唆する。
【0153】
[比較例1、比較例2、および比較例3]
比較例1、比較例2、および比較例3では、100%PLA二成分布をReicofi1−4ビームで調製した。プレスロール(R−4プレスロール)は、フィラメントが収集表面上に堆積される下流の収集表面上に位置させた。Ionis Elektrostatik Discharging Electrode E3412(すなわち、イオン化バー)は、収集表面の上に位置させ、収集表面にわたって横方向に延在しており、収集表面の上およそ1〜3インチで、R−4プレスロールの下流2〜3インチに置いた。
【0154】
布は、静電気を最小限にするために上で検討されたとおりに位置するイオン化バーで作製した二成分30/70NatureWorks Grade 6752/NatureWorks Grade 6202/シース/コアであった。比較例1、比較例2および比較例3の布は、押出機において235℃のスピンビーム温度およびダイにおいて240℃で製造した。比較例1の布は、3600m/分の繊維延伸速度および145m/分のライン速度で製造した。比較例1についてのカレンダーは、パターンロールについて160℃のカレンダー温度、アンビルロールについて147℃のカレンダー温度、および40N/mmのカレンダー圧を有した。
【0155】
比較例2の布は、3800m/分の繊維延伸速度および90m/分のライン速度を用いて製造した。比較例2についてのカレンダーは、パターンロールについて160でのカレンダー温度、アンビルロールについて147°Cのカレンダー温度、および40N/mmのカレンダー圧を有した。
【0156】
比較例3の布は、3200m/分の繊維延伸速度および145m/分のライン速度を用いて製造した。比較例3についてのカレンダーは、パターンロールについて160℃のカレンダー温度、アンビルロールについて147℃のカレンダー温度、および40N/mmのカレンダー圧を有した。比較例1、比較例2、および比較例3の機械的特性は、以下の表4および表5に要約する。
【0157】
[実施例1]
実施例1では、シース/コア構造を有する100%PLA二成分布を調製し、ここでは、シースを規定するポリマー成分にPLA樹脂および第二級アルカンスルホネートを含む2重量%のマスターバッチを添加した。システムの設定は、比較例1、比較例2、および比較例3について上に記載されたのと同じである。
【0158】
布は、静電気を最小限にするために上で検討されたとおりにイオン化バーで作製した二成分30/70NatureWorks Grade 6752/NatureWorks Grade 6202/シース/コアであった。シース押出機において、Sukano Antistatic Product S 546の2重量%のマスターバッチをNatureWorks Grade 6752と合わせて、二成分繊維のシースを生成した。BICO。実施例1の布は、押出機において235℃のスピンビーム温度およびダイにおいて240℃で製造した。実施例1の布は、3800m/分の繊維延伸速度および145m/分のライン速度で製造した。実施例1についてのカレンダーは、パターンロールについて160℃のカレンダー温度、アンビルロールについて147℃のカレンダー温度、および40N/mmのカレンダー圧を有した。実施例1の特性は、以下の表4および表5に要約する。
【0159】
[実施例2]
実施例2では、シース/コア配置を有する100%PLA二成分布を調製し、ここでは、シースを規定するポリマー成分にPLA樹脂および第二級アルカンスルホネートを含む3重量%のマスターバッチを添加した。システムの設定は、比較例1、比較例2、および比較例3について上に記載されたのと同じである。
【0160】
布は、静電気を最小限にするために上で検討されたとおりにイオン化バーで作製した二成分30/70NatureWorks Grade 6752/NatureWorks Grade 6202/シース/コアであった。シース押出機において、Sukano Antistatic Product S 546の3重量%のマスターバッチをNatureWorks Grade 6752と合わせて、BICO実施例12のシースを生成した。実施例2の布は、押出機において235℃のスピンビーム温度およびダイにおいて240℃で製造した。実施例2の布は、3550m/分の繊維延伸速度および145m/分のライン速度で製造した。実施例2についてのカレンダーは、パターンロールについて160℃のカレンダー温度、アンビルロールについて147℃のカレンダー温度、および40N/mmのカレンダー圧を有した。実施例2の特性は、以下の表4および表5に要約する。
【0161】
[実施例3]
実施例3では、シース/コア配置を有する100%PLA二成分布を調製し、ここでは、シースを規定するポリマー成分にPLA樹脂および第二級アルカンスルホネートを含む2重量%のマスターバッチを添加した。システムの設定は、比較例1、比較例2、および比較例3について上に記載されたのと同じである。
【0162】
布は、静電気を最小限にするために上で検討されたとおりにイオン化バーで作製した二成分30/70NatureWorks Grade 6752/NatureWorks Grade 6202/シース/コアであった。シース押出機において、Sukano Antistatic Product S 546の2重量%のマスターバッチをNatureWorks Grade 6752と合わせて、布のシースを生成した。布は、押出機において235℃のスピンビーム温度およびダイにおいて240℃で製造した。布は、3400m/分の繊維延伸速度および90m/分のライン速度で製造した。実施例3についてのカレンダーは、パターンロールについて160℃のカレンダー温度、アンビルロールについて147℃のカレンダー温度、および40N/mmのカレンダー圧を有した。実施例3の特性は、以下の表4および表5に要約する。
【0163】
[実施例4]
実施例4では、シース/コア配置を有する100%PLA二成分布を調製し、ここでは、シースを規定するポリマー成分にPLA樹脂および第二級アルカンスルホネートを含む2重量%のマスターバッチを添加した。システムの設定は、比較例1、比較例2、および比較例3について上に記載されたのと同じである。
【0164】
布は、静電気を最小限にするために上で検討されたとおりにイオン化バーで作製した二成分30/70NatureWorks Grade 6752/NatureWorks Grade 6202/シース/コアであった。シース押出機において、Sukano Antistatic Product S 546の2重量%のマスターバッチをNatureWorks Grade 6752と合わせて、二成分布のシースを生成した。実施例4の布は、押出機において235℃のスピンビーム温度およびダイにおいて240℃で製造した。実施例4の布は、およそ3400m/分の繊維延伸速度および241m/分のライン速度で製造して、15グラム/平方メートルの計算坪量をもたらした。実施例4についてのカレンダーは、パターンロールについて160℃のカレンダー温度、アンビルロールについて147℃のカレンダー温度、および40N/mmのカレンダー圧を有した。実施例14の機械的特性は、評価しなかった。
【0165】

【0166】
【表7】

【0167】

【0168】

【0169】
上の表4および表5から、本発明の不織布が、第二級アルカンスルホネートを含まない同一に調製した不織布と比較して機械的特性の有意な改善を示すことがわかる。これに関して、表5で得られた結果は、特に意味がある。表5では、結果は、坪量の差を説明するために正規化した。このデータに基づいて、本発明の不織布が、比較例と比較して50%より大きい引張り強度の増加を示したことがわかる。例えば、本発明の不織布は、55.6%(実施例3と比較例2との比較)〜110.2%(実施例2と比較例1との比較)の範囲のMD引張り強度の増加を示した。CD引張り強度については、本発明の不織布は、57.3%(実施例1と比較例2との比較)〜162.8%(実施例3と比較例1との比較)の範囲のCD引張り強度の増加を示した。
【0170】
本発明の不織布はまた、比較例の不織布と比較して靭性の有意な増加を示した。以下の表5は、比較例1〜比較例3および実施例1〜実施例3についてのMDおよびCDの両方の相対靭性指数(坪量について正規化された)を示す。例えば、本発明の不織布は、80.5%(実施例1と比較例2との比較)〜476%(実施例3と比較例1との比較)の範囲のMD相対靭注指数の増加を示した。CD相対靭性指数について、本発明の不織布は、143%(実施例1と比較例2との比較)〜411%(実施例3と比較例1との比較)の範囲のCD相対靭性指数の増加を示した。
【0171】
異なる不織布の特性を比較する場合、目的のMDおよびCD特性の合わせた値の二乗平均平方根を比較することがしばしば有用である。この方法は、単一の値の比較を可能にする。二乗平均平方根は、MD値の二乗に加えてのCD値の二乗の総和の平方根を取ることによってMD値およびCD値の両方から入力を合わせる単一の数を与える。MDおよびCD結果を合わせるための二乗平均平方根法の使用は、比較される試料が、MD/CD比に影響し得る異なる機械で、またはいくらか異なる条件下で作製される場合、特に有用である。以下の表5は、比較試料1〜3に加えて本発明試料1〜3についての坪量当たりの靭性指数の二乗平均平方根を示す。坪量について正規化した二乗平均平方根靭性指数値は、10〜40N−%/g/m2でグループ化された比較試料を示す。対照的に、本発明の不織布は、65N−%/g/m2を超える、特に55〜100N−%/g/m2の範囲内の二乗平均平方根靭性指数値を示した。したがって、正規化靭性指数値の二乗平均平方根における非常に明らかな区別が、本発明試料および比較試料の布についてわかる。
【0172】
本発明の不織布の引張り強度、伸び、および靭注の増加についての基準をさらに評価するために、比較例1および実施例1の布表面のSEM画像を得た。図1Aおよび図1Bは、それぞれ、250×および100×の倍率で撮った比較例1のSEM画像である。図2Aおよび図2Bは、それぞれ、250×および100×の倍率で撮った実施例1のSEM画像である。画像は、RJ Lee Instuments Ltd.から入手可能な、PERSONAL SEM 75、およびDenton Vacuumから入手可能な、DESK V Sputtererで得た。SEM画像を低い倍率、100×および250×で作成したので、金によるスパッタリングは必要とされなかった。各布の5mm×5mm試料を得、SEM機器内に置いた。低真空を得、次いで、画像を獲得した。
【0173】
意外なことに、繊維間の結合の有意な差が認められた。特に、比較例1の布の結合点は、個別の繊維が一緒に緩く結合されていること、および互いに繊維に隣接した最小限のポリマー流結合があることを示した。比較において、実施例1の布の結合点は、個別繊維のポリマーの有意な溶融および流れを示した。したがって、本発明の布は、第二級アルカンスルホネートを含まなかった比較の布と比較して結合の有意な改善を示した。
【0174】
以下の実施例では、物理的特性に対する第二級アルカンスルホネートのための担体樹脂の効果を探求した。以下に説明されるとおり、布における機械的特性の改善は、主として第二級アルカンスルホネートの存在によること、およびマスターバッチ中の比較的低い分子量の担体樹脂の存在によらないことが示された。
【0175】
[比較例4]
比較例4では、シース/コア配置を有する100%PLA二成分布を調製し、ここでは、シースを規定するポリマー成分に0.5重量%のNatureWorksGrade6302を添加した。NatureWorksGrade6302は、PLAポリマー処方物に添加されるマスターバッチについての担体ポリマーとして一般に使用される。したがって、このPLA樹脂は、第二級アルカンスルホネートにおけるPLA樹脂の良好な近似をもたらすと考えられる。システムの設定は、比較例1、比較例2、および比較例3について上に記載されたのと同じである。
【0176】
布は、静電気を最小限にするように上で検討されたとおりのイオン化バーで作製された二成分30/70NatureWorks Grade 6752/NatureWorks Grade 6202/シース/コアであった。シース押出機において、0.5重量%のNatureWorks Grade 63022重量%をNatureWoks Grade 6752と合わせて、二成分布のシースを生成した。比較例4の布は、実施例1〜実施例4について使用したものと同様の加工条件で作製し、例外は、以下の表8に示されるとおりであり、ライン速度は、25GSMの最終坪量を生じるように調整した。比較例4の特性は、以下、以下の表9に要約する。
【0177】
[比較例5]
比較例5では、シース/コア配置を有する100%PLA二成分布を調製し、ここでは、シースを規定するポリマー成分に1.0重量%のNatureWorks Grade 6302を添加した。システムの設定は、比較例1、比較例2、および比較例3について上に記載されたのと同じである。
【0178】
布は、静電気を最小限にするように上で検討されたとおりのイオン化バーで作製された二成分30/70NatureWorks Grade 6752/NatureWorks Grade 6202/シース/コアであった。シース押出機において、1.0重量%のNatureWorks Grade 63022重量%をNatureWoks Grade 6752と合わせて、二成分布のシースを生成した。比較試料4の布は、以下に、表8に示されるとおりのものを除いて、実施例1〜実施例4について使用したものと同様の加工条件で作製し、ライン速度は、25GSMの最終坪量を生じるように調整した。比較例5の特性は、以下に表9に要約する。
【0179】
[比較例6]
比較例6では、シース/コア配置を有する100%PLA二成分布を調製し、ここでは、シースを規定するポリマー成分に2.0重量%のNatureWorks Grade 6302を添加した。システムの設定は、比較例1、比較例2、および比較例3について上に記載されたのと同じである。
【0180】
布は、静電気を最小限にするように上で検討されたとおりのイオン化バーで作製された二成分30/70NatureWorks Grade 6752/NatureWorks Grade 6202/シース/コアであった。シース押出機において、2.0重量%のNatureWorks Grade 63022重量%をNatureWoks Grade 6752と合わせて、二成分布のシースを生成した。比較例6の布は、以下に、表8に示されるとおりのものを除いて、実施例1〜実施例4について使用したものと同様の加工条件で作製し、ライン速度は、25GSMの最終坪量を生じるように調整した。比較例6の特性は、以下に以下の9に要約する。
【0181】
[比較例7]
比較例7では、シース/コア配置を有する100%PLA二成分布を調製し、ここでは、シースを規定するポリマー成分に3.5重量%のNatureWorks Grade 6302を添加した。システムの設定は、比較例1、比較例2、および比較例3について上に記載されたのと同じである。
【0182】
布は、静電気を最小限にするように上で検討されたとおりのイオン化バーで作製された二成分30/70NatureWorks Grade 6752/NatureWorks Grade 6202/シース/コアであった。シース押出機において、3.5重量%のNatureWorks Grade 6302 2重量%をNatureWoks Grade 6752と合わせて、二成分布のシースを生成した。比較試料7の布は、以下の表8に示されるとおりのものを除いて、実施例1〜実施例4について使用したものと同様の加工条件で作製し、ライン速度は、25GSMの最終坪量を生じるように調整した。比較試料7の特性は、以下の表9に以下に要約する。
【0183】
[実施例5]
実施例5では、シース/コア配置を有する100%PLA二成分布を調製し、ここでは、シースを規定するポリマー成分に、PLA樹脂および第二級アルカンスルホネートを含む0.3重量%のマスターバッチを添加した。システムの設定は、比較例1、比較例2、および比較例3について上に記載されたのと同じである。
【0184】
布は、静電気を最小限にするように上で検討されたとおりのイオン化バーで作製された二成分50/50NatureWorks Grade 6752/NatureWorks Grade 6202/シース/コアであった。シース押出機において、Sukano Product S 546の0.3重量%のマスターバッチをNatureWoks Grade 6752と合わせて、二成分布のシースを生成した。実施例5の布は、以下の表8に示されるとおりのものを除いて、実施例1〜実施例4について使用したものと同様の加工条件で作製し、ライン速度は、28GSMの最終坪量を生じるように調整した。実施例5の特性は、以下の表9に以下に要約する。
【0185】
[実施例6]
実施例5では、シース/コア配置を有する100%PLA二成分布を調製し、ここでは、シースを規定するポリマー成分に、PLA樹脂および第二級アルカンスルホネートを含む0.3重量%のマスターバッチを添加した。システムの設定は、実施例1、実施例2、および実施例3について上に記載されたのと同じである。
【0186】
布は、静電気を最小限にするように上で検討されたとおりのイオン化バーで作製された二成分50/50NatureWorks Grade 6752/NatureWorks Grade 6202/シース/コアであった。シース押出機において、Sukano Product S 546の0.3重量%のマスターバッチをNatureWoks Grade 6752と合わせて、二成分布のシースを生成した。実施例6の布は、以下の表8に示されるとおりのものを除いて、実施例1〜実施例4について使用したものと同様の加工条件で作製し、ライン速度は、23GSMの最終坪量を生じるように調整した。実施例6の特性は、以下の表9に以下に要約する。
【0187】

【0188】
【表11】

【0189】
Sukano Product 546のマスターバッチの添加を使用して作製した上記不織布(実施例5および実施例6)に対して添加剤として使用したPLA 6302で作製した上記不織布(比較例4〜比較例7)についての結合部位の目に見える差はなかった。しかしながら、表9に要約された機械的データからのとおりに、比較例と実施例5および実施例6との間の有意な差が認められた。特に、第二級アルカンスルホネートを含む実施例は、マスターバッチPLA樹脂を含むのみで、第二級アルカンスルホネートを含まない比較例と比較して、MDおよびCD引張り強度、MDおよびCD伸び、ならびにMDおよびCD靭性指数の有意な改善を示した。したがって、特性の改善は、第二級アルカンスルホネートの存在に起因し、マスターバッチの比較的低い分子量のPLA樹脂には起因しないことがわかる。
【0190】
布の製造中に、実施例5および実施例6の布は、比較例4〜比較例7の布と比較してカレンダー結合中により安定であることも認められた。
【0191】
以下の実施例では、PLA布の親水性の性質、および布の親水性に対する第二級アルカンスルホネートの効果を研究した。実施例7〜実施例12は、本発明の布6および本発明の布7の布によって調製した。各実施例では、シースに添加したSukano添加剤の量を変化させ、液体ランオフおよびストライクスルー(Strike−through)に対する効果を異なる期間で評価した。結果は、以下の表10および表11に要約する。
【0192】
ランオフデータは、WSP80.9に示される手順に従って測定し、ストライクスルーデータは、試験法WSP70.3により測定した。
【0193】
ランオフデータは、垂直から特定角度で支持される布/吸収剤組み合わせを流出する(runoff)流体の特定体積のパーセントを測定する。評価される布は、吸収剤材料の上を覆って位置する。試験手順中に、流体は布を流れ落ち、試験される布の下に置かれた吸収剤材料の中に吸収されても、吸収されなくてもよい。布が疎水性である場合、流体の非常に高い%が、布/吸収剤組み合わせを収集用の容器中に流れ落ちおよび流出する。布が非常に親水性である場合、液体のほとんどすべてが、布/吸収剤組み合わせにより吸収され、ランオフ%は、ほとんどゼロに等しい。ランオフ試験は、一般に同じ布片で3回繰り返す。この手順は、乳児または成人によるおむつ中への複数の排尿をシミュレートする。最も典型的な商業的トップシートは、最初のインサルト(insu1t)に非常に低いランオフ%を示す。しかしながら、ランオフ値は、界面活性剤が洗い落とされ、試験布下の吸収剤材料中に輸送されるので、一般に第2および第3のインサルトで増加する。したがって、すべての親水性界面活性剤は、最初の排尿後に消失され得る。結果として、着用者、例えば、乳児による繰り返し排尿は、布の親水性の消失をもたらし得、これは、おむつの漏出に望ましくなく至り得る。
【0194】
ストライクスルーデータは、吸収剤層により裏打ちされている試験布表面に90度の角度で下方に適用される液体の特定体積についての時間を測定する。1または複数回のインサルト後のストライクスルー値を測定することができる。低いストライクスルー値は、液体が親水性処理布に急速に浸透し、おむつのコアをシミュレートされた吸収剤材料により吸収されることを示唆する。複数のストライクスルー試験後の結果は、界面活性剤処理の耐久性の指標となる。複数インサルトによるストライクスルーの値の増加は、界面活性剤が、下にある吸収剤材料、例えば、吸収剤コア中に洗浄され、おむつトップシートが疎水性になり、おむつが漏れる危険があることを示唆する。最適化トップシートは、3回までのインサルト後でさえも4秒またはそれ未満のストライクスルー値をもたらす。
【0195】
【表12】

【0196】

【0197】
表10および表11中のランオフ%およびストライクスルーデータにより、意外にも、第二級アルカンスルホネートがPLA布の機械的特性を改善するだけでなく、それは布の液体輸送特性も改変することが実証された。
【0198】
さらに、結果により、ランオフおよびストライクスルーが、第二級アルカンスルホネートのレベルに加えて布の年数に少なくとも部分的に依存することが実証される。例えば、2週で0.25%および0.5%の添加剤を含有する100%PLA布は、ランオフおよびストライクスルーの両方で測定して疎水性特性を示した。製造に続いて1ヵ月後に、0.25%および0.5%の添加剤を含有する布は、疎水性特性をなお示した。しかしながら、より高い添加剤レベルでは、疎水性の減少を示唆する応答が認められる。意外および予想外にも、応答は、典型的な界面活性剤処理トップシートで見られるものと反対である。初期のランオフおよびストライクスルーは、疎水性布を示唆する。しかしながら、第2および第3のインサルトに続いて、布は親水性特性を示す。
【0199】
この効果は、複数の排尿後に親水性特性を与える本発明による布が調製され得ることを示唆する。特に、布が、初期親水性を与えるように低いアドオン界面活性剤で処理されるが、次いで、複数のインサルト後に洗い落とされにくい親水性を与えるために添加剤を利用する、トップシートとしての使用のための布が調製され得る。このようなトップシートは、夜通しおむつおよび失禁製品における使用のために特に興味深くあり得る。
【0200】
非限定的な例示的実施形態
本明細書で本発明の様々な態様および実施形態を記載してきたが、本発明のさらなる具体的実施形態は、以下の項に示されるものを含む。
【0201】
本発明によるある特定の実施形態は、互いに結合されて、凝集性ウェブを形成する複数の繊維を含むスパンボンド不織布であって、繊維が、ポリ乳酸(PLA)と少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートとのブレンドを含む、スパンボンド不織布に関する。一部の実施形態では、ブレンドは、複数の繊維の表面に存在する。一実施形態では、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートは、C10〜C18を有するアルカン鎖を含み、かつアルカン鎖の第二級炭素の少なくとも1個は、スルホネート部分を含む。例えば、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートは、以下の構造:

(式中、それぞれ、m+nまたはnは、7〜15の数字である)
の一方を有する。一部の実施形態では、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートは、以下の構造:

(式中、m+nは、8〜15の数字であり、特に、m+nは、11〜14の数字である)を有する。一部の実施形態では、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートは、ナトリウムまたはカリウムの塩を含む。
【0202】
ある特定の実施形態では、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートは、繊維の全重量に基づいて、約0.0125〜2.5重量パーセントの範囲の量で存在する。例えば、繊維は、ブレンドがシース中に存在するシース/コア二成分配置を有してもよく、かつ第二級アルカンスルホネートは、シースの全重量に基づいて、約0.1〜0.75重量パーセントの範囲の量でシース中に存在する。別の実施形態では、繊維は、ブレンドがシース中に存在するシース/コア二成分配置を有してもよく、かつ第二級アルカンスルホネートは、シースの全重量に基づいて、約0.2〜0.6重量パーセントの範囲の量でシース中に存在する。さらに別の実施形態では、繊維は、ブレンドがシース中に存在するシース/コア二成分配置を有し、かつ第二級アルカンスルホネートは、シースの全重量に基づいて、約0.3〜0.4重量パーセントの範囲の量でシース中に存在する。
【0203】
一実施形態では、複数の繊維は、二成分繊維を含む。一部の実施形態では、複数の繊維は、二成分繊維を含み、かつ少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートは、繊維の成分の一方のみに存在する。一実施形態では、二成分繊維は、シース/コア立体配置を有し、シースは、PLAと少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートとのブレンドを含む。一部の実施形態では、コアは、PLAを含み、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートを含まない。なお他の実施形態では、二成分繊維は、並列配置を含む。
【0204】
一実施形態では、コアは、ポリオレフィン、ポリエステル、PLAのうちの少なくとも1種、またはそれらの任意の組み合わせを含む。好ましい実施形態では、シースおよびコアのそれぞれは、PLAを含む。ある特定の実施形態では、シースは、第1のPLAグレードを含み、コアは、第2のPLAグレードを含み、第1のPLAグレードおよび第2のPLAグレードは、異なる。
【0205】
一部の実施形態では、布は、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートを含まない同一の布と比較して、機械方向または横方向の少なくとも一方での引張り強度の増加を示す。例えば、布は、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートを含まない同一の布と比較して、少なくとも50%の機械方向または横方向の少なくとも一方での引張り強度の増加を示し得る。
【0206】
一実施形態では、布は、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートを含まない同一の布と比較して、50%〜200%である機械方向または横方向の少なくとも一方での引張り強度の増加を示す。
【0207】
一実施形態では、布は、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートを含まない同一の布と比較して、約50〜150%である機械方向引張り強度の増加を示す。
【0208】
一実施形態では、布は、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートを含まない同一の布と比較して、約55〜125%である機械方向引張り強度の増加を示す。
【0209】
一実施形態では、布は、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートを含まない同一の布と比較して、約65〜110%である機械方向引張り強度の増加を示す。
【0210】
一実施形態では、布は、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートを含まない同一の布と比較して、約65〜110%である機械方向引張り強度の増加を示す。
【0211】
一実施形態では、布は、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートを含まない同一の布と比較して、約85〜110%である機械方向引張り強度の増加を示す。
【0212】
一実施形態では、布は、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートを含まない同一の布と比較して、約90〜110%である機械方向引張り強度の増加を示す。
【0213】
一実施形態では、布は、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートを含まない同一の布と比較して、約50〜200%である横方向引張り強度の増加を示す。
【0214】
一実施形態では、布は、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートを含まない同一の布と比較して、約50〜170%である横方向引張り強度の増加を示す。
【0215】
一実施形態では、布は、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートを含まない同一の布と比較して、約55〜165%である横方向引張り強度の増加を示す。
【0216】
一実施形態では、布は、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートを含まない同一の布と比較して、約65〜160%である横方向引張り強度の増加を示す。
【0217】
一実施形態では、布は、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートを含まない同一の布と比較して、約85〜150%である横方向引張り強度の増加を示す。
【0218】
一実施形態では、布は、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートを含まない同一の布と比較して、約90〜125%である横方向引張り強度の増加を示す。
【0219】
一実施形態では、布は、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートを含まない同一の布と比較して、機械方向または横方向の少なくとも一方での伸びの増加を示す。
【0220】
一実施形態では、布は、約2,000〜7,500N−%である機械方向靭性指数を示す。
【0221】
一実施形態では、布は、約2,300〜6,500N−%である機械方向靭性指数を示す。
【0222】
一実施形態では、布は、約2,300〜6,000N−%である機械方向靭性指数を示す。
【0223】
一実施形態では、布は、約1,000〜5,000N−%である横方向靭性指数を示す。
【0224】
一実施形態では、布は、約1,250〜5,000N−%である横方向靭性指数を示す。
【0225】
一実施形態では、布は、約1,250〜3,500N−%である横方向靭性指数を示す。
【0226】
一実施形態では、布は、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートを含まない同一の布と比較して、約20〜1,250%である機械方向靭性指数の増加を示す。
【0227】
一実施形態では、布は、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートを含まない同一の布と比較して、少なくとも100%である機械方向靭性指数の増加を示す。
【0228】
一実施形態では、布は、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートを含まない同一の布と比較して、約50〜1,000%である横方向靭性指数の増加を示す。
【0229】
一実施形態では、布は、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートを含まない同一の布と比較して、少なくとも85%である横方向靭性指数の増加を示す。
【0230】
一部の実施形態では、布は、約50〜150N−%/g/m2である機械方向相対靭性指数、例えば、約75〜125N−%/g/m2である機械方向相対靭性指数、特に約85〜115N−%/g/m2である機械方向相対靭性指数を示す。一実施形態では、布は、約40〜100N−%/g/m2である横方向相対靭性指数、例えば、約45〜85N−%/g/m2である横方向相対靭性指数を示す。
【0231】
ある特定の実施形態では、布は、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートを含まない同一の布と比較して、約100〜1,000%である機械方向相対靭性指数の増加、例えば、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートを含まない同一の布と比較して、80〜500%である機械方向相対靭性指数の増加を示す。
【0232】
一実施形態では、布は、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートを含まない同一の布と比較して、少なくとも100%である横方向相対靭性指数の増加、例えば、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートを含まない同一の布と比較して、約140〜410%である横方向相対靭性指数の増加を示す。
【0233】
本発明のさらなる態様は、互いに結合されて、凝集性ウェブを形成する複数の繊維を含む、スパンボンド不織布であって、繊維が、95〜100%のポリ乳酸(PLA)を含み、繊維が、少なくとも55N−%/g/m2である値を有する、坪量当たりの靭性指数の二乗平均平方根を示す、スパンボンド不織布に関する。1つのこのような実施形態では、坪量当たりの靭性指数の二乗平均平方根は、65N−%/g/m2より大きい値、例えば、約65〜150N−%/g/m2の値である。一実施形態では、布の繊維は、5重量%未満の添加剤を含む。
【0234】
本発明の態様はまた、PLA樹脂と少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートとのブレンドを含む繊維を有する不織布を含む、吸収性物品に関する。吸収性物品の例には、おむつおよび女性用衛生パッドが含まれる。
【0235】
本発明のさらなる態様は、ポリ乳酸(PLA)スパンボンド不織布を調製する方法であって、熱および圧力下で、PLA樹脂および少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートをブレンドして、溶融または半溶融PLA樹脂のストリームを形成するステップと、前記ストリームから複数のPLA連続フィラメントを形成するステップと、複数のPLA連続フィラメントを収集表面の上に堆積させるステップと、複数のPLA連続フィラメントをイオンに曝露するステップと、複数のPLA連続フィラメントを結合して、PLAスパンボンド不織布を形成するステップとを含み、連続フィラメントが、PLAと少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートとのブレンドを含む、方法に関する。
【0236】
一実施形態では、フィラメントは、PLAと少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートとのブレンドを含む。フィラメントは、一成分または二成分であってもよい。好ましい実施形態では、フィラメントは、シースがPLAと少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートとのブレンドを含む、シース/コア二成分立体配置を有する。一部の実施形態では、コアは、PLAまたは合成ポリマー、例えば、ポリオレフィンまたはポリエステルを含む。好ましくは、コアは、PLAを含む。
【0237】
有利には、方法は、比較的高い延伸速度で行われてもよい。例えば、連続フィラメントは、約2500m/分よりも大きい繊維延伸速度、例えば、約3000m/分〜約5500m/分の繊維延伸速度、または約3000m/分〜約4000m/分の繊維延伸速度で延伸されてもよい。
【0238】
一実施形態では、複数のPLA連続フィラメントをイオンに曝露するステップは、フィラメントをイオン化源、例えば、イオン化バーに近接して通すステップを含む。一実施形態では、イオン化源は、収集表面の上に位置させ、かつ布の横方向に位置するイオン化バーを含む。
【0239】
一実施形態では、連続フィラメントを結合して、PLAスパンボンド不織布を形成するステップは、パターン化ロールを含む一対の協働ロールを有するカレンダーを介して熱および圧力でウェブを熱点接着するステップを含む。一部の実施形態では、連続フィラメントを熱点接着するステップは、3次元幾何形状結合パターンをPLAスパンボンド不織布の上に付与するステップを含む。
【0240】
一実施形態では、PLAスパンボンド不織布の上へのパターンの結合は、PLAスパンボンド不織布の上に、ひし形パターン、六角形ドットパターン、オーバル−楕円形パターン、ロード形状パターン、またはそれらの任意の組み合わせの少なくとも1つを付与するステップを含む。一部の実施形態では、結合パターンは、パターン化ロールの表面積の約5%〜約30%に及ぶ。例えば、結合パターンは、パターン化ロールの表面積の約10%〜約25%に及ぶ。
【0241】
一実施形態では、方法は、第1の静電制御ユニットによってカレンダーに近接したPLAスパンボンド不織布から静電荷を消散するステップをさらに含む。一実施形態では、静電制御ユニットは、第2のイオン化源、例えば、イオン化バーを含む。例えば、第2のイオン化源は、複数のPLA連続フィラメントまたはPLAスパンボンド不織布の少なくとも一方にわたって横方向に延在するイオン化バーを含んでもよい。
【0242】
一実施形態では、PLAスパンボンド不織布から静電荷を消散させるステップは、PLAスパンボンド不織布を静電バーと接触させるステップを含む。
【0243】
一部の実施形態では、方法は、PLAスパンボンド不織布を切断して、切断PLAスパンボンド不織布を形成するステップ、切断PLAスパンボンド不織布を第3のイオン化源を介してイオンに曝露するステップ、および切断PLAスパンボンド不織布をロールに巻き付けるステップをさらに含んでもよい。一実施形態では、第3のイオン化源は、複数のPLA連続フィラメントまたはPLAスパンボンド不織布の少なくとも一方にわたって横方向に延在するイオン化バーを含む。
【0244】
本発明の追加の態様は、ポリ乳酸(PLA)スパンボンド不織布を調製するためのシステムであって、溶融または半溶融PLA樹脂および第二級アルカンスルホネートを含むストリームを生じるように構成された、第1のPLA供給源および第二級アルカンスルホネートの供給源と、複数のPLA連続フィラメントを押し出しおよび延伸するように構成された、第1のPLA供給源と流体連通しているスピンビームであり、PLA連続フィラメントが、PLAと第二級アルカンスルホネートとのブレンドを含む、スピンビームと、その上にPLA連続フィラメントが堆積されて、PLAスパンボンド不織布を形成する、スピンビームの出口の下に配置された収集表面と、PLA連続フィラメントをイオンに曝露するように位置付けおよび配置された第1のイオン化源と、第1のイオン化源の下流に位置するカレンダーとを含む、システムに関する。
【0245】
一実施形態では、第1のイオン化源は、収集表面の上で、PLA連続フィラメントが収集表面の上に堆積されるポイントの下流に位置する。別の実施形態では、第1のイオン化源は、スピンビームの出口と収集表面の間に位置する。好ましくは、第1のイオン化源および収集表面は、約1インチ〜約24インチの距離、例えば、約1インチ〜約12インチの距離、特に約1インチ〜約5インチの距離で分離される。
【0246】
一部の実施形態では、システムは、カレンダーに近接したPLAスパンボンド不織布から静電気を消散させるように位置付けおよび配置された静電制御ユニットをさらに含んでもよい。一実施形態では、静電制御ユニットは、受動的静電バー、もしくは第2のイオン化源、またはそれらの組み合わせを含む。
【0247】
一実施形態では、システムは、スピンビームの出口から下流に位置するプレスロールを含む。一部の実施形態では、システムは、収集表面の下に配置された真空源を含んでもよい。
【0248】
ある特定の実施形態では、システムは、カレンダーから下流に位置するワインダー;ならびにワインダーに近接したイオンにPLAスパンボンド不織布を曝露するように位置付けおよび配置された第3のイオン化源を含んでもよい。
【0249】
一実施形態では、第1のイオン化源、静電制御源、および第3のイオン化源の少なくとも1つは、それぞれ、複数のPLA連続フィラメントまたはPLAスパンボンド不織布の少なくとも一方にわたって横方向に延在するイオン化バーを含む。一実施形態では、第1のイオン化源、静電制御源、および第3のイオン化源は、PLAスパンボンド不織布の調製中に生じた静電荷を能動的に消散させるように構成される。
【0250】
一実施形態では、第1のイオン化源は、プレスロールから下流に位置する。一部の実施形態では、第1のイオン化源は、スピンビームとプレスロールの間に位置する。存在する場合、静電制御ユニットは、カレンダーから上流に、かつそれに隣接して位置してもよい。他の実施形態では、静電制御ユニットは、カレンダーから下流に、かつそれに隣接して位置する。
【0251】
一実施形態では、カレンダーは、3次元幾何形状結合パターンを含むパターン化ロールを含む一対の協働ロールを含む。一部の実施形態では、結合パターンは、ひし形パターン、六角形ドットパターン、オーバル−楕円形パターン、ロード形状パターン、またはそれらの任意の組み合わせの少なくとも1つを含む。一実施形態では、結合パターンは、パターン化ロールの表面積の約5%〜約30%、例えば、パターン化ロールの表面積の約10%〜約25%に及ぶ。
【0252】
一実施形態では、システムは、二成分配置を有する連続フィラメントの不織布を生じさせるように構成される。一実施形態では、連続フィラメントは、シース/コア配置を有する。好ましい実施形態では、システムは、PLAと第二級アルカンスルホネートとのブレンドがシースを規定するフィラメントを生じさせるように構成される。一部の実施形態では、コアが、PLA樹脂を含む。PLA樹脂は、シースのものと同じであっても、異なってもよい。一実施形態では、コアは、第二級アルカンスルホネートを含まない。
【0253】
一部の実施形態では、第二級アルカンスルホネートは、繊維の全重量に基づいて、約0.0125〜2.5重量パーセントの範囲の量で存在する。一実施形態では、連続フィラメントは、ブレンドがシース中に存在し、かつ第二級アルカンスルホネートが、シースの全重量に基づいて、約0.1〜0.75重量パーセントの範囲の量でシース中に存在する、シース/コア二成分配置を有する。
【0254】
1つの特定の実施形態では、システムが、ブレンドがシース中に存在し、かつ第二級アルカンスルホネートが、シースの全重量に基づいて、約0.2〜0.6重量パーセントの範囲の量でシース中に存在する、シース/コア二成分を有する連続フィラメントを調製するように構成される。他の実施形態では、システムは、ブレンドがシース中に存在し、かつ第二級アルカンスルホネートが、シースの全重量に基づいて、約0.3〜0.4重量パーセントの範囲の量でシース中に存在する、シース/コア二成分配置を有する連続フィラメントを生じさせるように構成される。
【0255】
本明細書で示される本発明の部分的変更は、前述の説明および関連図面で提示される教示の利益を有して本発明に属する当業者に想起される。したがって、本発明は開示された具体的実施形態に限定されるべきでないこと、ならびに部分的変更および他の実施形態は、添付された特許請求の範囲内に含まれることが意図されることが理解されるべきである。具体的用語が本明細書で用いられるが、それらは、総称的および記述的意味のみで、ならびに限定の目的でなく使用される。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに結合されて凝集性ウェブを形成する複数の繊維を含むスパンボンド不織布であって、前記繊維が、ポリ乳酸(PLA)と少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートとのブレンドを含むものであり、前記不織布が、
前記少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートを含まない同一の布と比較して、機械方向または横方向の少なくとも一方での引張り強度の増加、および
前記少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートを含まない同一の布と比較して、機械方向または横方向の少なくとも一方での伸びの増加、
の少なくとも1つを示す、スパンボンド不織布。
【請求項2】
前記ブレンドが、前記複数の繊維の表面に存在する請求項1に記載のスパンボンド不織布。
【請求項3】
前記少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートが、C10〜C18を有するアルカン鎖を含み、前記アルカン鎖の第二級炭素の少なくとも1個がスルホネート部分を含む請求項1または2に記載のスパンボンド不織布。
【請求項4】
前記少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートが、以下の構造:

(式中、それぞれ、m+nまたはnは、7〜15の数である)
の一方を有する請求項1から3のいずれか1項に記載のスパンボンド不織布。
【請求項5】
前記少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートが、以下の構造:

(式中、m+nは、8〜15の数である)
を有する請求項1から4のいずれか1項に記載のスパンボンド不織布。
【請求項6】
前記少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートが、ナトリウムまたはカ リウムの塩を含む請求項1から5のいずれか1項に記載のスパンボンド不織布。
【請求項7】
前記少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートが、前記繊維の全重量に基づいて、約0.0125〜2.5重量パーセントの範囲の量で存在する請求項1から6のいずれか1項に記載のスパンボンド不織布。
【請求項8】
前記繊維が、前記ブレンドがシース中に存在するシース/コア二成分配置を有し、前記第二級アルカンスルホネートが、前記シースの全重量に基づいて、約0.1〜0.75重量パーセントの範囲の量で前記シース中に存在する請求項1から7のいずれか1項に記載のスパンボンド不織布。
【請求項9】
複数の繊維が二成分繊維を含む請求項1から8のいずれか1項に記載のスパンボンド不織布。
【請求項10】
前記シースおよび前記コアのそれぞれがPLAを含む請求項9に記載のスパンボンド不織布。
【請求項11】
複数の繊維が二成分繊維を含み、少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートが前記繊維の成分の一方にのみ存在する請求項1から10のいずれか1項に記載のスパンボンド不織布。
【請求項12】
前記二成分繊維がシース/コア立体配置を有し、前記シースが、前記PLAと前記少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートとの前記ブレンドを含む請求項11に記載のスパンボンド不織布。
【請求項13】
約2,000〜7,500N−%である機械方向靭性指数を示す請求項1から12のいずれか1項に記載のスパンボンド不織布。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載のスパンボンド不織布を備える吸収性物品。
【請求項15】
前記物品がおむつ又は衛生パッドを含む請求項14に記載の吸収性物品。
【請求項16】
ポリ乳酸(PLA)スパンボンド不織布を調製する方法であって、
PLA樹脂と少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートとを、熱および圧力下でブレンドして、溶融または半溶融PLA樹脂のストリームを形成するステップと、
前記ストリームから複数のPLA連続フィラメントを形成するステップと、
前記複数のPLA連続フィラメントを収集表面上に堆積させるステップと、
前記複数のPLA連続フィラメントをイオンに曝露するステップと、
前記複数のPLA連続フィラメントを結合して、前記PLAスパンボンド不織布を形成するステップと
を含み、前記連続フィラメントが、PLAと前記少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートとのブレンドを含む方法。
【請求項17】
前記少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートが、以下の構造:

(式中、m+nは、8〜15の数である)
を有する請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記複数のPLA連続フィラメントを形成するステップが、並列またはシース/コア配向を有する二成分繊維を形成するステップを含む請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記シースが、PLAと前記少なくとも1種の第二級アルカンスルホネートとのブレンドを含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ポリ乳酸(PLA)スパンボンド不織布を調製するためのシステムであって、
溶融または半溶融PLA樹脂および第二級アルカンスルホネートを含むストリームを生じるように構成された、第1のPLA供給源および前記第二級アルカンスルホネートの供給源と、
複数のPLA連続フィラメントを押し出しおよび延伸するように構成された、前記第1のPLA供給源と流体連通しているスピンビームであって、前記PLA連続フィラメントが、前記PLAと前記第二級アルカンスルホネートとのブレンドを含むものであるスピンビームと、
その上に前記PLA連続フィラメントが堆積されて、前記PLAスパンボンド不織布を形成する、前記スピンビームの出口の下に配置された収集表面と、
前記PLA連続フィラメントをイオンに曝露するように位置付けおよび配置された第1のイオン化源と、
前記第1のイオン化源の下流に位置するカレンダーと
を備えるシステム。
【請求項21】
前記第二級アルカンスルホネートが、以下の構造:

(式中、m+nは、8〜15の数である)
を有する請求項20に記載のシステム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2021-09-28 
結審通知日 2021-09-30 
審決日 2021-10-15 
出願番号 P2019-505153
審決分類 P 1 41・ 852- Y (D04H)
P 1 41・ 855- Y (D04H)
P 1 41・ 853- Y (D04H)
P 1 41・ 856- Y (D04H)
P 1 41・ 854- Y (D04H)
P 1 41・ 851- Y (D04H)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 石井 孝明
特許庁審判官 村山 達也
久保 克彦
登録日 2020-11-25 
登録番号 6799667
発明の名称 改善された強度および靭性を有する、ポリ乳酸を含む不織布  
代理人 奥山 尚一  
代理人 奥山 尚一  
代理人 奥山 尚一  

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