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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C12N
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  C12N
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C12N
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C12N
管理番号 1381654
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-02-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-10-27 
確定日 2021-10-19 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6688597号発明「ノンエンベロープウイルスの遺伝情報を消失させる方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6688597号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1、2〕について訂正することを認める。 特許第6688597号の請求項1に係る特許を維持する。 特許第6688597号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6688597号の請求項1及び2に係る特許(以下、「本件特許」ということがある。)についての出願は、平成27年10月20日に出願され、令和2年4月8日にその特許権の設定登録がされ、同年同月28日に特許掲載公報が発行された。その後の手続は以下のとおりである。
令和2年10月27日 特許異議申立人 平山大(以下、「申立人」という。)より特許異議の申立て
令和3年1月21日 取消理由通知
同年 3月19日 特許権者より意見書の提出及び訂正の請求
同年 5月 8日 申立人より意見書の提出
同年 同月20日 取消理由通知
同年 7月21日 特許権者より意見書の提出及び訂正の請求
なお、令和3年7月21日に訂正請求がなされたので、同年3月19日になされた訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。
また、令和3年7月21日の訂正請求については、下記第2の「3 付記」にて述べるとおりの理由で、特許法第120条の5第5項ただし書の規定に基づき、意見書を提出する機会を申立人に与えていない。

第2 訂正請求について
1 訂正請求の趣旨及び訂正の内容
令和3年7月21日付け訂正請求書により特許権者が請求する訂正(以下「本件訂正」ともいう)は、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2について訂正することを求めるものである。
その請求の内容は、請求項1、2からなる一群の請求項に係る訂正であって、以下のとおりのものである。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の、「各有効成分の含有量およびpHが以下(a)〜(e)であるエタノール製剤をノンエンベロープウイルスと接触させることを特徴とする、ノンエンベロープウイルスの遺伝情報を消失させる方法。」なる記載を、「各有効成分の含有量およびpHが以下(a)〜(e)であり、さらにポリグリセリン脂肪酸エステルを含有するエタノール製剤をRNAを遺伝子の担体とするノンエンベロープウイルスと接触させることを特徴とする、RNAを遺伝子の担体とするノンエンベロープウイルスの遺伝情報を消失させる方法。」と訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。

2 訂正の適否
(1)訂正事項1について
(1−1)訂正の目的
訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載の「エタノール製剤」について、「さらにポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する」との特定を加え、また、当該エタノール製剤を接触させて、遺伝情報を消失させる「ノンエンベロープウイルス」について、「RNAを遺伝子の担体とする」との特定を加えることにより、それぞれ、「エタノール製剤」の含まれる有効成分を具体的に特定し、また、「ノンエンベロープウイルス」の種類を具体的に特定することにより、さらに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

(1−2)新規事項の追加の有無
訂正前の請求項2には、「エタノール製剤が、さらにポリグリセリン脂肪酸エステルを含有するエタノール製剤である、請求項1記載の方法。」と記載されており、また、願書に添付した明細書の【0015】〜【0016】、【表1】にも、エタノール製剤に、ラウリン酸ペンタグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステルをエタノール製剤に含有させることが記載されているから、訂正前の請求項1に記載の「エタノール製剤」について、「さらにポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する」との特定を加える訂正は、願書に添付した明細書から導き出される事項である。
また、願書に添付した明細書の【0020】には、エタノール製剤が好適に用いられるノンエンベロープウイルスの例として、「RNAを遺伝情報の担体とするノロウイルス(Norovirus)等のカリシウイルス科(Caliciviridae)、ロタウイルス(Rotavirus)等のレオウイルス科(Reoviridae)、エンテロウイルス(Enterovirus)等のピコナウイルス(Picornaviridae)科等に属するRNAウイルス」が記載され、【0021】〜【0026】に記載の【実施例1】でも、RNAを遺伝子の担体とするノンエンベロープウイルスである、ノロウイルスのRNAの減少率を確認しているから、訂正前の請求項1に記載の「ノンエンベロープウイルス」について、「RNAを遺伝子の担体とする」との特定を加える訂正は、願書に添付した明細書から導き出される事項である。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

(1−3)特許請求の範囲の実質拡張・変更の有無
訂正事項1は、上記のとおり、「エタノール製剤」に含まれる有効成分を特定してより限定し、また、「ノンエンベロープウイルス」の種類を特定してより限定するものであるから、いずれもカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、請求項2を削除するというものであるから、当該訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
そして、この訂正事項2に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであること、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことが明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(3)訂正請求についての結論
以上のとおり、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕について訂正することを認める。

3 付記
令和3年3月19日になされた先の訂正請求は、
「各有効成分の含有量およびpHが以下(a)〜(e)であるエタノール製剤をノンエンベロープウイルスと接触させることを特徴とする、ノンエンベロープウイルスの遺伝情報を消失させる方法。
(a)乳酸またはその塩の含有量が、乳酸として1.0〜1.8重量%である
(b)クエン酸またはその塩の含有量が、クエン酸として0.2〜0.5重量%である
(c)乳酸またはその塩とクエン酸またはその塩の重量比が、乳酸とクエン酸として4:1である
(d)pHが、pH3〜4である
(e)エタノール濃度が、65重量%以上、75重量%未満である
」を
「各有効成分の含有量およびpHが以下(a)〜(e)であり、さらにポリグリセリン脂肪酸エステルを含有するエタノール製剤をRNAを遺伝子の担体とするノンエンベロープウイルスと接触させることを特徴とする、RNAを遺伝子の担体とするノンエンベロープウイルスの遺伝情報を消失させる方法。」
と訂正するものであり、請求項1の冒頭に「以下(a)〜(e)」との記載があるにもかかわらず、その(a)〜(e)の成分名等を削除してしまう、という明らかに誤った訂正を請求するものであったが、同日付けで特許権者から提出された意見書においても、また、当該訂正請求及び意見書に対する、同年5月8日付けで申立人から提出された意見書においても、これら(a)〜(e)の成分名等が請求項1に記載がされていることを前提とする意見が述べられている。
したがって、これら(a)〜(e)の成分名等の記載を復帰させただけの同年7月21日の本件訂正請求に対しては、既に上記意見書において、申立人より、その反論がなされていることが認められるから、本件訂正請求は、特許法第120条の5第5項ただし書に規定する「特許異議申立人に意見書を提出する機会を与える必要がないと認められる特別の事情」がある場合に該当し、重ねて申立人に意見書の提出の機会を与える必要はないものと、合議体は判断した。

第3 本件特許発明
特許第6688597号の請求項1、2の特許に係る発明は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定される、次のとおりのものである(以下、特許第6688597号の請求項1の特許に係る発明を、「本件特許発明」ということがある。)。
「【請求項1】
各有効成分の含有量およびpHが以下(a)〜(e)であり、さらにポリグリセリン脂肪酸エステルを含有するエタノール製剤をRNAを遺伝子の担体とするノンエンベロープウイルスと接触させることを特徴とする、RNAを遺伝子の担体とするノンエンベロープウイルスの遺伝情報を消失させる方法。
(a)乳酸またはその塩の含有量が、乳酸として1.0〜1.8重量%である
(b)クエン酸またはその塩の含有量が、クエン酸として0.2〜0.5重量%である
(c)乳酸またはその塩とクエン酸またはその塩の重量比が、乳酸とクエン酸として4:1である
(d)pHが、pH3〜4である
(e)エタノール濃度が、65重量%以上、75重量%未満である

【請求項2】
(削除)」

第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の要旨
訂正前の本件特許に対して令和3年1月21日付けで通知された取消理由の要旨は以下のとおりである。
・取消理由1(進歩性)本件特許の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証に記載の発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。
甲第1号証 特開2008−255101号公報(以下、「甲1」ともいう。)
・取消理由2(サポート要件)本件特許の請求項1、2は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、取り消されるべきものである。
・取消理由3(実施可能要件)本件特許の請求項1、2は、発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、取り消されるべきものである。

また、令和3年5月20日付けで通知された取消理由の要旨は以下のとおりである。
・取消理由4(明確性)令和3年3月19日付けの訂正請求書に記載の請求項1は、「以下(a)〜(e)」との記載があるが、その(a)〜(e)の具体的な内容が当該請求項に記載されておらず不明確であるため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

2 取消理由通知で引用した証拠の記載事項
甲1には、以下の記載がある。
(1)甲1
(1−1)
「【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(a)、(b)、(c)及び(d)を含み、かつ殺菌消毒を目的とする他の殺菌消毒剤を含まない消毒剤。
(a)エタノール、イソプロピルアルコール、又はこれらの混合物を、消毒剤全体に対して40〜90%(w/w)
(b)乳酸を、消毒剤全体に対して0.1〜2%(w/w)
(c)クエン酸を、消毒剤全体に対して0.01〜2%(w/w)
(d)溶液中で亜鉛イオンを遊離する亜鉛含有化合物を、消毒剤全体に対して0.001〜0.1%(w/w)」

(1−2)
「【0015】
本発明の消毒剤は、(a)エタノール及び/又はイソプロパノール、(b)乳酸、(c)クエン酸及び(d)溶液中で亜鉛イオンを遊離する亜鉛含有化合物を含み、かつ、殺菌消毒を目的とする他の殺菌消毒剤を含まないことを特徴としている。これにより本発明の消毒剤は、消毒用エタノールでは効果のないノロウィルス、ポリオウィルス、アデノウィルスなどのノンエンベロープウィルスに対して高い有効性を有する。また、本発明の消毒剤は、溶液中で亜鉛イオンを遊離する亜鉛含有化合物を含むことにより、ウィルス(特にアデノウィルス)に対して優れた殺菌効果を有する。特に、臨床上アデノウィルスに対しては、眼科領域において既存の消毒剤の殺菌効果が問題視されていることから、亜鉛含有化合物を添加することによる高い殺ウィルス効果は重要な効果である。」

(1−3)
「【0018】
アルコール
殺菌成分のアルコールはエタノール、イソプロピルアルコール、又はエタノールとイソプロピルアルコールとの混合物である。・・・特にエタノール単独が好ましい。
【0019】
エタノール、イソプロピルアルコール、又はこれらの混合物の含有比率は、消毒剤全体に対して、40〜90%(w/w)であるが、50〜90%(w/w)程度が好ましく、50〜85%(w/w)程度がより好ましい。上記範囲であれば、安全、かつ溶解性に優れ、有効性を有する。また、例えば、エタノール又はイソプロピルアルコールを単独で用いる場合には、エタノール又はイソプロピルアルコールの含有比率は消毒剤全体に対して40〜90%(w/w)であることが好ましく、40〜80%(w/w)程度であることがより好ましい。」

(1−4)
「【0020】
有機酸
本発明の消毒剤に特定の有機酸、すなわち乳酸及びクエン酸が含まれることにより、エタノール及び/またはイソプロパノールとの相乗効果を奏し、即効性及び持続性が向上する。
【0021】
乳酸の含有比率は、消毒剤全体に対して0.1〜2%(w/w)であり、0.1〜1.5%(w/w)程度とすることが好ましく、0.1〜1%(w/w)程度とすることがより好ましい。
クエン酸の含有比率は、消毒剤全体に対して0.01〜2%(w/w)であり、0.01〜1.5%(w/w)程度とすることが好ましく、0.01〜1%(w/w)程度とすることがより好ましい。
乳酸及びクエン酸の含有比率が上記範囲であれば、エタノール及び/またはイソプロパノールとの相乗効果を奏し、即効性及び持続性が向上する。また、十分な消毒効果を有すると共に手指や皮膚に対して安全である。」

(1−5)
「【0034】
手指の消毒方法、及びウィルスの死滅又は増殖抑制方法
以下の(a)、(b)、(c)及び(d)を含み、かつ殺菌消毒を目的とする他の殺菌消毒剤を含まない組成物を手指に接触させ又は塗布することにより、手指の消毒を行うことができる。また、手指のウィルスを死滅させ、又はその増殖を抑制することができる。
(a)エタノール、イソプロピルアルコール、又はこれらの混合物を、組成物全体に対して40〜90%(w/w)
(b)乳酸を、組成物全体に対して0.1〜2%(w/w)
(c)クエン酸を、組成物全体に対して0.01〜2%(w/w)
(d)溶液中で亜鉛イオンを遊離する亜鉛含有化合物を、組成物全体に対して0.001〜0.1%(w/w)
上記組成物を手指に接触させ又は塗布する(1)手指の消毒方法、及び(2)ウィルスの死滅又は増殖抑制方法も、本発明の1つである。」

(1−6)
「【0039】
実施例1〜3及び比較例1〜12
(1)消毒剤組成物の調製
以下の表1及び2に示す各成分を撹拌混合し、合計量を100gとした。
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】



(1−7)
「【0043】
(2)ノンエンベロープウィルスに対する殺ウィルス効果1
試験方法
ネコ腎由来株化細胞(CRFK) JCRB 9035にネコカリシウィルス(FCV)F-9株ATCC VR-782を感染させた。ネコカリシウィルスはノロウィルスの近縁種であり、培養技術が確立されていないノロウィルスに代えて使用されている。十分にウィルスの増殖が認められたところで遠心分離した上清を、ウィルス液として使用した。このウィルス液10μLに190μLの薬剤を混和し、次いで所定時間に一部をサンプリングし、培地で100倍に希釈することにより、反応を停止した。その後、反応液を96穴マイクロプレート上のCRFK細胞に感染させて培養した。
薬効は、CRFK細胞の細胞変性効果を指標とし50%組織培養感染価(TCID50)の低下を指数減少値として求めた。
結果を以下の表3及び図1に示す。・・・
【0044】
【表3】

【0045】
薬剤作用後0.5分経過したときのTCID50の指数減少値が、薬剤添加前に比べ4Log減少することを薬効の到達基準とした。
表3及び図1からわかるように実施例1〜3の消毒剤では、薬剤作用後0.5分経過時にTCID50値が検出限界未満まで減少した。」

3 取消理由通知についての当審の判断
(1)取消理由4(明確性要件)について
令和3年5月20日付けの取消理由通知では、同年3月19日付けの訂正請求書に記載の請求項1に、「以下(a)〜(e)」との記載があるが、その(a)〜(e)の具体的な内容が当該請求項に記載されておらず不明確であるため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない旨の通知を行った。
この点、同年7月21日付け訂正請求書の請求項1では、本件特許明細書の請求項1に記載されていた(a)〜(e)の具体的な成分名等が書き戻され、請求項1記載の発明が明確なものとなったから、この取消理由は解消した。

(2)取消理由1(進歩性)について
(2−1)甲1発明の認定
上記記載事項(1−1)〜(1−7)の、特に表1の実施例1〜3の記載、(1−2)の記載、(1−5)の記載、表3のネコカリシウイルス液に対する殺ウイルス効果の結果から、甲1には、以下の発明が記載されていると認められる。
「エタノール75重量%、イソプロピルアルコール3.7重量%、乳酸1重量%、クエン酸0.1重量%、硫酸亜鉛0.05〜0.1重量%を含む、pH3.32〜3.75の殺菌消毒剤を接触させることにより、ネコカリシウイルスを殺す方法」(以下、「甲1発明」という)。

(2ー2)本件特許発明と甲1発明との対比・相違点の認定
以下、本件特許発明と甲1発明とを対比する。
ここで、本件特許発明は、(a)〜(c)及び(e)以外の成分が含まれることを排除していないから、甲1発明が硫酸亜鉛を含む点は、本件特許発明との相違点とはならない。
また、甲1発明の製剤のpHは、本件特許発明のpH3〜4の範囲内のものである。
そして甲1発明において殺されるネコカリシウイルスは、本件特許明細書【0020】にも記載があるとおり、RNAを遺伝子の担体とするノンエンベロープウイルスである。
そうすると、本件特許発明と甲1発明は、
「アルコール、乳酸、クエン酸を含み、pHが3〜4である製剤を、RNAを遺伝子の担体とするノンエンベロープウイルスと接触させる方法」である点で一致し、以下の点で相違する。

・(相違点1)用いる製剤に、本件特許発明では、「ポリグリセリン脂肪酸エステル」も配合されているのに対し、甲1発明では配合されていない点、
・(相違点2)用いる製剤に配合されているアルコールが、本件特許発明では、エタノール65重量%以上、75重量%未満と特定されているのに対し、甲1発明では、エタノール75重量%、イソプロピルアルコール3.7重量%である点
・(相違点3)用いる製剤に配合されている乳酸、クエン酸の含有量と、その重量比が、本件特許発明では、乳酸として1.0〜1.8重量%、クエン酸として0.2〜0.5重量%含有し、乳酸とクエン酸として重量比が4:1と特定されているのに対し、甲1発明では、乳酸1重量%、クエン酸0.1重量%である点
・(相違点4)RNAを遺伝子の担体とするノンエンベロープウイルスについて、本件特許発明では、用いる製剤を接触させることにより、「ノンエンベロープウイルスの遺伝情報を消失させる方法」と特定されているのに対し、甲1発明では、ノンエンベロープウイルスを殺すことが記載されているに留まる点

(2−3)進歩性の判断
(相違点1について)
甲1の【0030】には、グリセリン脂肪酸エステルを配合することは記載がされているが、ポリグリセリン脂肪酸エステルを配合することについては記載も示唆もされておらず、また、甲1発明のようなノンエンベロープウイルスに対して用いるエタノール製剤に、ポリグリセリン脂肪酸エステルを配合することが一般的であるといった技術常識が本願出願時にあったとも認められないから、甲1発明にポリグリセリン脂肪酸エステルを加えることは当業者が容易に想到し得たこととは認められない。

(効果及び相違点4について)
本件特許明細書の【0015】では、ポリグリセリン脂肪酸エステルを配合させることにより、エタノール製剤の表面張力が低下して接触面積が広くなり、結果、細かい隙間にもエタノール製剤が浸透しやすくなって薬効が高まることが期待できる旨が記載されている。
そして、本件特許発明の構成を備えたエタノール製剤をノロウイルスに適用することにより、製剤適用前に存在したウイルス液中のRNAを100%近くも消失させるという、高いRNAウイルスの遺伝情報消失能が発揮されたことが認められる(本件特許明細書【表2】中の実施例2、3参照(実施例1は本件特許発明の範囲外))。
殺ウイルス能があっても、そのウイルスの遺伝情報自体を100%近くも消失させることまでの効果を発揮できるか否かは不明であるから、この本件特許発明の構成を備えたエタノール製剤の高い遺伝情報消失能は、殺ウイルスの結果が示されているにすぎない甲1発明及び甲1の記載からは、当業者が予測し得なかったと認められる。この点詳述すると、甲1発明の殺ウイルス効果は、甲1の【0043】に記載のとおりの、細胞にウイルスを感染させることにより細胞が変性することを50%低減させるために必要な薬剤量を指標とする50%組織培養感染価(TCID50)で判定するものであって、この判定方法では、ウイルスが存在していても、その量が細胞に感染可能な程度の量に達していなければ、不存在と判定されてしまうのに対し、本件特許発明における遺伝情報消失効果は、リアルタイムPCRを用いてウイルスRNAの存在自体を直接確認するものであり、このような本件特許発明の高い遺伝情報消失能を、甲1の記載から当業者が予測することは困難であったと認められる。
したがって、本件特許発明は、甲1の記載から当業者が予測し得なかった効果を奏するものと認められるものであり、加えて当業者は、甲1発明を、相違点4に係る、ノンエンベロープウイルスの遺伝情報を消失させる方法に用いることまでを想到し得なかったと認められる。

(2−4)まとめ
よって、本件特許発明は、その余の相違点について検討するまでもなく、甲1に記載された事項から、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

(2−5)小括
以上のとおりであるから、本件特許発明に係る特許は、取消理由1によって取り消すべきものではない。

(3)取消理由2(サポート要件)、取消理由3(実施可能要件)について
(3−1)ノンエンベロープウイルスの種類について
(3−1−1)判断
令和3年1月21日付けの取消理由通知では、ノンエンベロープウイルスがRNAウイルスに特定されていない訂正前の特許請求の範囲に記載の発明について、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たさず、また、特許法第36条第4項第1号に規定する要件も満たさない旨の通知を行った。
この点、同年7月21日付けの本件訂正により、請求項1は、ノンエンベロープウイルスの種類が、RNAウイルスである、RNAを遺伝子の担体とするノンエンベロープウイルスに特定する訂正がなされたため、これらの取消理由はいずれも解消した。

(3−1−2)申立人のさらなる主張について
申立人は、令和3年5月8日付けの意見書において、上記の訂正された本件特許発明について、「RNAを遺伝子の担体とするノンエンベロープウイルスであっても、レトロウイルス、二本鎖RNAウイルス、一本鎖プラス鎖RNAウイルス、一本鎖マイナス鎖RNAウイルスがあり、それぞれのウイルス種ごとに、RNAの形状や遺伝情報の伝達方法が異なり、薬剤の感受性も異なる蓋然性が高いと思料するが、本件特許明細書の発明の詳細な説明の実施例に記載されているのは、一本鎖プラス鎖RNAウイルスに分類されるGII/4型ノロウイルスのみであり、RNAを遺伝子の担体とするノンエンベロープウイルス全てに効果があるかどうかを判断できず、上記の取消理由は解消していないものと思料する旨」を、さらに主張する。

しかしながら、上記(2−3)の(効果及び相違点4について)の項においても述べたとおり、本件特許明細書の【0021】〜【0026】では、RNAウイルスであるノロウイルスの遺伝情報について、本件特許発明のエタノール製剤適用前に存在したウイルス液中のRNAを、本件特許発明のエタノール製剤を適用することにより100%近くも消失させるという、きわめて優れた遺伝情報消失能が発揮されたことを確認しており(本件特許明細書【表2】中の実施例2、3)、ノロウイルスがRNAウイルスの代表的なウイルスであることを考慮すると、本件特許明細書の【0020】に挙げられているような、同じRNAを本体とする他のRNAウイルスに本件特許発明の製剤を適用したときに、遺伝情報消失能が発揮されなくなる、などと解することはできない。
したがって、申立人の上記主張は採用できない。

(3−2)ポリグリセリン脂肪酸エステルについて
令和3年1月21日付けの取消理由通知では、ポリグリセリン脂肪酸エステルが含まれることが特定されていない訂正前の特許請求の範囲に記載の発明について、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たさず、また、特許法第36条第4項第1号に規定する要件も満たさない旨の通知を行った。
この点、同年7月21日付け訂正請求により、請求項1は、ポリグリセリン脂肪酸エステルが含まれることを特定する訂正がなされたため、これらの取消理由は解消した。

(3−3)小括
よって、本件特許発明に係る特許は、取消理由2、3によって取り消すべきものではない。

第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
以下では、取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について述べる。

新規性について
申立人は、訂正前の請求項1に記載の発明と甲1発明は同一であり、新規性を有しない旨を主張していたが、訂正後の本件特許発明は、上記第4の3の(2−2)に記載の点で甲1発明と相違するから、本件特許発明と甲1発明は、異なる発明である。
したがって、本件特許発明は、甲1に記載された発明とすることはできず、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してなされたものであるとする申立人の主張には理由がない。

明確性要件・サポート要件・実施可能要件について
申立人は、下記(2−4)において述べる明確性要件違反、サポート要件違反及び実施可能要件違反を特許異議申立書において申し立てているので、まず本件特許発明と本件特許明細書の記載に基づき、本件特許が、これらの要件に違反するものであるかを検討する。

(2−1)明確性要件について
本件特許発明は、請求項1に記載のとおりの、
「【請求項1】
各有効成分の含有量およびpHが以下(a)〜(e)であり、さらにポリグリセリン脂肪酸エステルを含有するエタノール製剤をRNAを遺伝子の担体とするノンエンベロープウイルスと接触させることを特徴とする、RNAを遺伝子の担体とするノンエンベロープウイルスの遺伝情報を消失させる方法。
(a)乳酸またはその塩の含有量が、乳酸として1.0〜1.8重量%である
(b)クエン酸またはその塩の含有量が、クエン酸として0.2〜0.5重量%である
(c)乳酸またはその塩とクエン酸またはその塩の重量比が、乳酸とクエン酸として4:1である
(d)pHが、pH3〜4である
(e)エタノール濃度が、65重量%以上、75重量%未満である」
であり、「RNAを遺伝子の担体とするノンエンベロープウイルスの遺伝情報を消失させる方法」に用いられるエタノール製剤の成分の種類や含有量が明確に特定されており、当業者は、その請求項の記載のとおりのものと理解することができるから、本件特許発明は明確である。
したがって、本件特許発明は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たすものである。

(2−2)サポート要件について
(2−2−1)本件特許発明の解決すべき課題の認定
本件特許発明、及び、本件特許明細書【0007】の記載を踏まえると、本件特許発明の解決しようとする課題は、「使用後に固形分の残存によるべたつき、白残り等の好ましくない事象が発生する可能性を抑えた条件で、RNA遺伝子を担体とするノンエンベロープウイルスの遺伝情報を担うRNAを消失させる方法、または該方法に用い得るエタノール製剤を提供すること」であると認める。

(2−2−2)判断
本件特許明細書には、上記課題を解決するための手段として、本件特許発明に記載のエタノール製剤に配合される成分の種類や含有量、含有量比、液性のほか、それらの成分が配合される意義等が【0012】〜【0017】において説明され、また、そのエタノール製剤を用いてRNA遺伝子を担体とするノンエンベロープウイルスの遺伝情報を消失させる方法や、適用対象などが【0018】〜【0020】において説明されている。
そして、【0021】〜【0026】では、本件特許発明に係るエタノール製剤を製造し(【表1】中の実施例2、3(実施例1は本件特許発明の範囲外))、当該エタノール製剤が、RNAウイルス液中のRNAを100%近く消失させたことの確認もなされている(【表2】中の実施例2、3)。
べたつき、白残り等の抑制については、【0027】〜【0033】において、本件特許発明に係るエタノール製剤を製造し(【表3】中の製剤1(製剤2〜6は本件特許発明の範囲外))、それが、べたつきや、白残り等を生じさせないことの確認もなされている(【表4】及び【表5】の製剤1)。
そうすると、これらの記載によれば、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、本件特許発明のエタノール製剤を用いることにより、上記の本件特許発明の解決すべき課題を解決できることが、実施例を含め具体的な説明をもって記載されていることが認められる。
そうすると、本件特許明細書の発明の詳細の説明には、本件特許発明が記載されているといえ、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たすものと認められる。

(2−3)実施可能要件について
上記(2−2−2)において示したとおり、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、本件特許発明を実施するための手段が実施例と共に具体的に説明されおり、これらの記載に基づいて当業者は本件特許発明を実施することができると認められるので、特許法第36条第4項第1号に規定する要件も満たすものと認められる。

(2ー4)特許異議申立理由
申立人は、明確性要件、サポート要件、実施可能要件について、以下の異議申立理由を主張しているので、検討する。

(2−4−1)グリセリン脂肪酸エステルについて(サポート要件)
申立人は、ノンエンベロープウイルスの遺伝情報消失の効果を確認した【0021】〜【0026】について、【表1】、【表2】中に記載の実施例1〜3は、すべてグリセリン脂肪酸エステルを含んでいるから、それを含まない組成は、本件特許発明の課題を解決できるように当業者が把握し得ず、サポート要件を満足しない旨、主張する。

しかしながら、本件特許明細書の【0027】〜【0033】では、グリセリン脂肪酸エステルを配合しない製剤を具体的に製造している。
また、グリセリン脂肪酸エステルは、本件特許明細書の【0015】に、
「有効成分の含有量およびpHが上記条件を満たすエタノール製剤は、ノンエンベロープウイルスの遺伝情報を消失させるに十分な活性を奏する。したがって、本発明のエタノール製剤は、有効成分との塩の形成により溶解性を悪くする恐れがある亜鉛含有化合物等の他の有効成分を含有する必要は特にない。
しかし、本発明のエタノール製剤の薬効が妨げられない限り、必要に応じて・・・グリセリン脂肪酸エステル、ヒアルロン酸、グリセリン等の保湿剤や色素、香料等を含有してもよい。」
との記載があるとおり、本件特許のエタノール製剤の薬効を妨げない程度に含有してもよい程度の任意成分であることが認められ、これを必須としなければRNA遺伝子を担体とするノンエンベロープウイルスの遺伝情報消失の効果を発揮できないと解することはできない。
したがって、申立人のこの主張を採用することはできない。

(2−4−2)グリセリン脂肪酸エステル(モノラウリン酸モノグリセリド)について(サポート要件、明確性要件)
申立人は、【0021】〜【0026】においてノンエンベロープウイルスに対する効果を示す【表1】、【表2】中に記載の実施例1〜3の組成物はすべて、グリセリン脂肪酸エステル(モノラウリン酸モノグリセリド)を含むいっぽう、【0027】〜【0033】において白残りについて調べた【表3】〜【表5】中の製剤1にはグリセリン脂肪酸エステルが含まれていないため、上記の実施例1〜3及び製剤1の記載からは、白残りを抑える課題とノンエンベロープウイルスに対する効果が両立するのか判断できないから、本件特許発明は、明確ではないか、または発明の詳細な説明に記載されたものではない旨、主張する。

しかしながら、本件特許明細書の解決しようとする課題は、上記(2−2−1)に示したとおりの、「使用後に固形分の残存によるべたつき、白残り等の好ましくない事象が発生する可能性を抑えた条件で、RNA遺伝子を担体とするノンエンベロープウイルスの遺伝情報を担うRNAを消失させる方法、または該方法に用い得るエタノール製剤を提供すること」である。
この点、本件特許明細書の【表3】〜【表5】の製剤1と、製剤2、3、6とを比べてみると、クエン酸と乳酸を特定量配合することにより、白残りが抑制されることが理解されるから、グリセリン脂肪酸エステル(モノラウリン酸モノグリセリド)が不含であっても、白残りを抑制する課題を達成できることを理解できる。
また、グリセリン脂肪酸エステルがなくともRNA遺伝子を担体とするノンエンベロープウイルスの遺伝情報消失能が失われないと認められる点は、上記(2−4−1)において述べたとおりである。
そして、本件特許発明は、上記(2−1)において述べたとおり、請求項1に記載のとおりのものであり、当業者に明確な発明である。
したがって、本件特許発明は、発明の詳細な説明に記載された発明であるし、また、その請求項の記載から明確なものであるから、申立人のこの主張を採用することはできない。

(2−4−3)ポリグリセリン脂肪酸エステル(ラウリン酸ペンタグリセリル)について(サポート要件、実施可能要件
申立人は、実施例の製剤はすべて、ポリグリセリン脂肪酸エステルとしてラウリン酸ペンタグリセリルを用いており、ラウリン酸ペンタグリセリル以外のすべてのポリグリセリン脂肪酸エステルについて、本件特許発明の課題が解決できると当業者が把握し得ない。
また、ラウリン酸ペンタグリセリルについても、実施例に記載のラウリン酸ペンタグリセリルのエステル化度や含量について記載がなく、サポート要件、または実施可能要件を満たさない旨、主張する。

しかしながら、本件特許明細書の【0015】の記載から、エタノール製剤の表面張力を低下させるポリグリセリン脂肪酸エステルであれば、実施例に記載のラウリン酸ペンタグリセリルと同様の効果を発揮すると、当業者は把握できると解される。
そうすると、本件特許明細書の実施例や【0016】に記載の好適例を元に、エタノール製剤の表面張力低下の作用を発揮することのできる、ポリグリセリン脂肪酸エステルの種類、エステル化度、含量を、当業者は適宜選択・配合することができると認められる。
このように、当業者は、上記作用を発揮する程度のポリグリセリン脂肪酸エステルの種類、エステル化度、含量を把握し得、本件特許発明は、そのようなポリグリセリン脂肪酸エステルを含有するエタノール製剤を用いる発明なのであるから、実施可能要件・サポート要件を満たすものである。
したがって、申立人のこの主張も採用することができない。

(2−5)小括
よって、申立人の主張する、本件特許発明が特許法第36条第6項第2号、同法同条同項第1号、同法同条第4項第1号に規定する要件を満たさないものであるとする申立理由は、理由がない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、本件特許の請求項2に係る特許異議の申立てについては、本件特許の請求項2が本件訂正により削除されたことにより、申立ての対象が存在しないものとなったため、不適法な特許異議の申立てであって、その補正をすることができないものであるから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下すべきものである。
よって、特許法第114条第4項の規定により、本件請求項1に係る特許について、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各有効成分の含有量およびpHが以下(a)〜(e)であり、さらにポリグリセリン脂肪酸エステルを含有するエタノール製剤をRNAを遺伝子の担体とするノンエンベロープウイルスと接触させることを特徴とする、RNAを遺伝子の担体とするノンエンベロープウイルスの遺伝情報を消失させる方法。
(a) 乳酸またはその塩の含有量が、乳酸として1.0〜1.8重量%である
(b) クエン酸またはその塩の含有量が、クエン酸として0.2〜0.5重量%である
(c) 乳酸またはその塩とクエン酸またはその塩の重量比が、乳酸とクエン酸として4:1である
(d) pHが、pH3〜4である
(e) エタノール濃度が、65重量%以上、75重量%未満である
【請求項2】(削除)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-10-04 
出願番号 P2015-217969
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (C12N)
P 1 651・ 121- YAA (C12N)
P 1 651・ 537- YAA (C12N)
P 1 651・ 536- YAA (C12N)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 森井 隆信
特許庁審判官 一宮 里枝
田村 聖子
登録日 2020-04-08 
登録番号 6688597
権利者 三菱商事ライフサイエンス株式会社
発明の名称 ノンエンベロープウイルスの遺伝情報を消失させる方法  

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