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審決分類 審判 一部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  H01H
審判 一部申し立て 2項進歩性  H01H
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  H01H
審判 一部申し立て 判示事項別分類コード:857  H01H
審判 一部申し立て ただし書き3号明りょうでない記載の釈明  H01H
管理番号 1381680
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-02-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-04-28 
確定日 2021-11-19 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6781376号発明「回路基板の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6781376号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、〔2、4、5〕について訂正することを認める。 特許第6781376号の特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6781376号(以下、「本件特許」という。)の請求項1〜5に係る特許についての出願は、平成28年11月1日の特許出願であって、令和2年10月20日にその特許権の設定登録がされ、令和2年11月4日に特許掲載公報が発行された。

本件特許についての特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和3年4月28日 :特許異議申立人ボーンズ株式会社(以下、「申 立人」という。)による請求項1に係る特許に 対する特許異議の申立て
令和3年7月28日付け:取消理由通知
令和3年8月24日 :特許権者による訂正請求書の提出(以下、「本 件訂正請求」という。)

なお、以下の第2、第3のとおり、本件訂正請求に係る訂正(以下、「本件訂正」という。)により特許異議の申立てがされた請求項1は削除されたため、特許法第120条の5第5項ただし書の規定に基づき、当審から申立人に対し本件訂正請求があった旨の通知をするとともに相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えることはしなかった。


第2 訂正の適否についての判断
1.訂正の趣旨
本件訂正請求の趣旨は、「特許第6781376号の明細書、特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、4、5について訂正することを求める。」というものである。

2.訂正の内容
本件訂正の内容は、以下のとおりである(下線は当審において付した。以下同様。)。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に「前記半田接合が完了した後に前記導電体の長手方向中央部側を前記プリント配線板の実装面側に押圧して塑性変形させることで、前記導電体の長手方向端部側を弾性変形させることを特徴とする請求項1に記載の回路基板の製造方法。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、「プリント配線板に対して実装される電子部品の電力供給経路間に当該電子部品を保護するための導電体が設けられる回路基板の製造方法であって、前記導電体を前記電力供給経路間に半田接合するステップと、前記半田接合が完了した後に前記導電体を弾性変形させるステップと、を備え、前記半田接合が完了した後に前記導電体の長手方向中央部側を前記プリント配線板の実装面側に押圧して塑性変形させることで、前記導電体の長手方向端部側を弾性変形させることを特徴とする回路基板の製造方法。」に訂正する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4に「請求項1〜3のいずれか一項に記載の回路基板の製造方法。」と記載されているのを、「請求項2又は3に記載の回路基板の製造方法。」に訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5に「請求項1〜4のいずれか一項に記載の回路基板の製造方法。」と記載されているのを、「請求項2〜4のいずれか一項に記載の回路基板の製造方法。」に訂正する。

(5)訂正事項5
願書に添付した明細書の段落【0006】に記載された「特許請求の範囲に記載の請求項1の発明」を「特許請求の範囲に記載の請求項2の発明」に訂正するとともに、上記訂正事項2に応じて「を備えることを特徴とする」を「を備え、前記半田接合が完了した後に前記導電体の長手方向中央部側を前記プリント配線板の実装面側に押圧して塑性変形させることで、前記導電体の長手方向端部側を弾性変形させることを特徴とする」に訂正する。

(6)訂正事項6
願書に添付した明細書の段落【0008】に記載された「請求項1の発明では」を「請求項2の発明では」に訂正する。

3.訂正要件の適否の検討
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的
訂正事項1は、請求項1を削除するというものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項1は、請求項1を削除するというものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないことが明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合する。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1は、請求項1を削除するというものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることが明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。

(2)訂正事項2
ア 訂正の目的
訂正事項2は、訂正前の請求項2が請求項1の記載を引用する記載であるところ、請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項2は、訂正前の請求項2について何ら実質的な内容の変更を伴うものではないことが明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合する。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2は、訂正前の請求項2について何ら実質的な内容の変更を伴うものではないことが明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。

エ 特許出願の際独立して特許を受けることができること
訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正であって、同第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正ではないから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の要件は課されない。

(3)訂正事項3
ア 訂正の目的
訂正事項3は、訂正前の請求項4が請求項1〜3の記載を引用する記載であるところ、訂正事項1で請求項1が削除されたことに伴い、引用する請求項を整合させるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項3は、請求項1が削除されたことに伴い、引用する請求項を整合させるものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことが明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合する。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項3は、請求項1が削除されたことに伴い、引用する請求項を整合させるものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることが明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。

エ 特許出願の際独立して特許を受けることができること
訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正であって、同第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正ではないから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の要件は課されない。

(4)訂正事項4
ア 訂正の目的
訂正事項4は、訂正前の請求項5が請求項1〜4の記載を引用する記載であるところ、訂正事項1で請求項1が削除されたことに伴い、引用する請求項を整合させるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項4は、請求項1が削除されたことに伴い、引用する請求項を整合させるものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことが明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合する。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項4は、請求項1が削除されたことに伴い、引用する請求項を整合させるものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることが明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。

エ 特許出願の際独立して特許を受けることができること
訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正であって、同第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正ではないから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の要件は課されない。

(5)訂正事項5
ア 訂正の目的
訂正事項5は、訂正事項1、2に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、願書に添付した明細書の段落【0006】の記載を訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項5は、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るためのものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことが明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合する。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項5は、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るためのものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることが明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。

エ 特許出願の際独立して特許を受けることができること
訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正であって、同第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正ではないから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の要件は課されない。

(6)訂正事項6
ア 訂正の目的
訂正事項6は、訂正事項1、2に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、願書に添付した明細書の段落【0008】の記載を訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項6は、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るためのものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことが明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合する。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項6は、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るためのものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることが明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。

エ 特許出願の際独立して特許を受けることができること
訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正であって、同第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正ではないから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の要件は課されない。

(7)一群の請求項及び別の訂正単位とする求めについて
本件訂正前の請求項1、2、4、5について、請求項2、4、5は、訂正請求の対象である請求項1を引用する関係にあるから、本件訂正前において一群の請求項に該当する。
したがって、本件訂正は、一群の請求項に対してなされたものであり、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。
また、訂正後の請求項2、4、5について、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別の訂正単位とする求めがなされているところ、上記(2)〜(4)のとおり訂正事項2〜4は適法と認められるから、訂正後の請求項2、4、5についての訂正は、別の訂正単位として扱う。

(8)明細書の訂正と関係する請求項について
訂正事項5、6は、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図ることを目的とする明細書に係る訂正であり、これは一群の請求項1、2、4、5に関係する訂正である。
したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法126条第4項の規定に適合する。

4.小括
以上のとおり、本件訂正請求は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであって、かつ、同条第4項及び同条第9項で準用する同法第126条第4項〜第6項の規定に適合するから、明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、〔2、4、5〕について訂正を認める。


第3 本件発明
上記第2のとおり、本件訂正が認められたので、本件特許の請求項1〜5に係る特許は、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1〜5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
(削除)
【請求項2】
プリント配線板に対して実装される電子部品の電力供給経路間に当該電子部品を保護するための導電体が設けられる回路基板の製造方法であって、
前記導電体を前記電力供給経路間に半田接合するステップと、
前記半田接合が完了した後に前記導電体を弾性変形させるステップと、
を備え、
前記半田接合が完了した後に前記導電体の長手方向中央部側を前記プリント配線板の実装面側に押圧して塑性変形させることで、前記導電体の長手方向端部側を弾性変形させることを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項3】
プリント配線板に対して実装される電子部品の電力供給経路間に当該電子部品を保護するための導電体が設けられる回路基板の製造方法であって、
付勢部材を用いて前記導電体を弾性変形させるステップと、
弾性変形させた前記導電体を前記電力供給経路間に半田接合するステップと、
前記半田接合が完了した後に前記導電体から前記付勢部材を取り外すステップと、
を備え、
前記導電体は、前記電力供給経路に対して前記電子部品から離れた半田に半田接合される側の部位が、前記電子部品側の半田に半田接合される側の部位よりも弾性変形容易に形成されることを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項4】
前記導電体は、平板状に形成される銅又はリン青銅からなることを特徴とする請求項2又は3に記載の回路基板の製造方法。
【請求項5】
前記導電体の実装に用いる半田は、前記電子部品の実装に用いる半田よりも融点が低いことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の回路基板の製造方法。」


第4 取消理由の概要
令和3年7月28日付け取消理由通知書で通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。

1.(新規性)本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

2.(進歩性)本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

引用文献等一覧
引用文献1:特表2008−535285号公報(特許異議申立人の提出し た甲第1号証)


第5 当審の判断
本件特許についての特許異議の申立ては、請求項1に係る特許に対するものであるが、上記第3で説示したとおり、本件訂正により、請求項1は削除された。
したがって、本件特許についての特許異議の申立ては、対象となる請求項が存在しないものとなった。


第6 むすび
以上のとおり、本件訂正により特許異議の申立てがされた請求項1は削除され、特許異議の申立ての対象となる請求項は存在しないものとなったから、本件特許についての特許異議の申立ては、不適法なものであって、その補正をすることができないものである。
したがって、本件特許についての特許異議の申立ては、特許法第120条の8第1項で準用する同法135条の規定により却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】回路基板の製造方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板に電子部品を実装して製造した回路基板では、実装した電子部品がその動作中に異常発熱して発火に至る場合があり、このような問題を解決するため、例えば、下記特許文献1に開示される電流遮断具が知られている。この電流遮断具では、ばね部に外力を加えた状態で第2取付部側の支持部をプリント配線板の貫通穴に挿入することで第2取付部をプリント配線板の配線パターンに接触させるように固定し、この状態で第2取付部を配線パターンに半田付けした後に切断部を切断することで支持部を第2取付部から切り離している。これにより、プリント配線板に対する第2取付部等の半田付け作業を特別な治工具を用いることなく実施することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2005−038675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年のプリント配線板では、SMD(表面実装部品)にて実装される場合が多く、実装される電子部品の異常発熱を防止するための構成をプリント配線板に設ける場合でも自動的に実装可能な構成が求められる。しかしながら、上記特許文献1に開示されるような構成では、支持部をプリント配線板の貫通穴に挿入して半田付けした後に切断部を切断する必要があり、実装の自動化に適用することが非常に困難であるという問題がある。すなわち、ばね力を発生させた状態の電流遮断具をプリント配線板に実装する必要があるため、作業者の手作業で実装する必要があり、生産性の問題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、実装した電子部品の異常発熱を防止しつつ回路基板の生産性を高め得る構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項2の発明では、
プリント配線板(11)に対して実装される電子部品(20)の電力供給経路(50)間に当該電子部品(20)を保護するための導電体(30,30a,30b)が設けられる回路基板(10)の製造方法であって、
前記導電体を前記電力供給経路間に半田接合するステップと、
前記半田接合が完了した後に前記導電体を弾性変形させるステップと、
を備え、
前記半田接合が完了した後に前記導電体の長手方向中央部側を前記プリント配線板の実装面側に押圧して塑性変形させることで、前記導電体の長手方向端部側を弾性変形させることを特徴とする。
【0007】
また、請求項3の発明では、
プリント配線板(11)に対して実装される電子部品(20)の電力供給経路(50)間に当該電子部品(20)を保護するための導電体(60,60a)が設けられる回路基板(10a)の製造方法であって、
付勢部材(110,110a)を用いて前記導電体を弾性変形させるステップと、
弾性変形させた前記導電体を前記電力供給経路間に半田接合するステップと、
前記半田接合が完了した後に前記導電体から前記付勢部材を取り外すステップと、
を備え、
前記導電体は、前記電力供給経路に対して前記電子部品から離れた半田に半田接合される側の部位が、前記電子部品側の半田に半田接合される側の部位よりも弾性変形容易に形成されることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項2の発明では、導電体を電力供給経路間に半田接合し、この半田接合が完了した後に導電体を弾性変形させることで、回路基板を製造する。これにより、電子部品に異常発熱が生じるとこの異常発熱が当該電子部品から上記電力供給経路を介して導電体の電子部品側での半田に伝わることでその半田が溶融する。その結果、電子部品側での半田による導電体に対する保持力が解除されて導電体が弾性変形前の元の形状に復元しようとする。その際、導電体の反電子部品側での半田は溶融していないため、導電体は、反電子部品側での半田を基準に元の形状に復元して、電子部品側の電力供給経路から離れた状態となる。このように導電体と電子部品側の電力供給経路とが離間することで、電子部品への電力供給が停止されるため、実装した電子部品の異常発熱を防止することができる。特に、半田接合が完了した後に導電体を弾性変形させるだけでよいため、導電体の所定の部位を切断するような手作業を要する作業工程も不要であり、自動化にも容易に対応させることができる。したがって、実装した電子部品の異常発熱を防止しつつ回路基板の生産性を高めることができる。
【0009】
請求項2の発明では、半田接合が完了した後に導電体の長手方向中央部側をプリント配線板の実装面側に押圧して塑性変形させることで、導電体の長手方向端部側を弾性変形させる。このように、導電体の長手方向中央部側を塑性変形させて長手方向端部側を弾性変形させることで、半田溶融時にその半田に接合されていた長手方向端部側が移動して導電体と電子部品側の電力供給経路とが離間しやすくなるので、実装した電子部品の異常発熱を確実に防止することができる。
【0010】
請求項3の発明では、付勢部材を用いて弾性変形させた導電体を電力供給経路間に半田接合し、この半田接合が完了した後に導電体から付勢部材を取り外すことで、回路基板を製造する。これにより、電子部品に異常発熱が生じるとこの異常発熱が当該電子部品から上記電力供給経路を介して導電体の電子部品側での半田に伝わることでその半田が溶融する。その結果、電子部品側での半田による導電体に対する保持力が解除されて導電体が弾性変形前の元の形状に復元しようとする。その際、導電体の反電子部品側での半田は溶融していないため、導電体は、反電子部品側での半田を基準に元の形状に復元して、電子部品側の電力供給経路から離れた状態となる。このように導電体と電子部品側の電力供給経路とが離間することで、電子部品への電力供給が停止されるため、実装した電子部品の異常発熱を防止することができる。特に、半田接合後に付勢部材を取り外すだけでよいため、導電体の所定の部位を切断するような手作業を要する作業工程も不要であり、自動化にも容易に対応させることができる。したがって、実装した電子部品の異常発熱を防止しつつ回路基板の生産性を高めることができる。
特に、導電体は、電力供給経路に対して電子部品から離れた半田に半田接合される側の部位が、電子部品側の半田に半田接合される側の部位よりも弾性変形容易に形成される。このため、電子部品側の半田が溶融する際には、電子部品から離れた半田に半田接合される側の部位での変形により、電子部品側の半田に半田接合されていた部位が電子部品側の電力供給経路から大きく離間するので、実装した電子部品の異常発熱をより確実に防止することができる。
【0011】
請求項4の発明では、導電体は、平板状に形成される銅又はリン青銅からなる。これにより、導電体がバネ性及び半田付け性を兼備することから半田が容易に溶融して導電体が元の形状に復元しやすくなるため、電子部品の異常発熱により導電体の電子部品側での半田が溶融する際に導電体と電子部品側の電力供給経路とが離間しやすくなるので、実装した電子部品の異常発熱を確実に防止することができる。
【0012】
請求項5の発明では、導電体の実装に用いる半田は、電子部品の実装に用いる半田よりも融点が低い。これにより、電子部品が異常発熱する場合には導電体の電子部品側での半田が容易に溶融するため、この半田が溶融する際に導電体と電子部品側の電力供給経路とが離間しやすくなるので、実装した電子部品の異常発熱を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態に係る回路基板を概略的に示す断面図である。
【図2】第1実施形態において弾性変形前の導電体を説明する説明図であり、図2(A)は、平面図であり、図2(B)は、側面図である。
【図3】第1実施形態に係る回路基板を製造する製造工程を説明する説明図である。
【図4】図1の電子部品に異常発熱が生じた場合の導電体の作用を説明する説明図である。
【図5】第1実施形態の第1変形例に係る回路基板の製造方法の要部を説明する説明図である。
【図6】第1実施形態の第1変形例において電子部品に異常発熱が生じた場合の導電体の作用を説明する説明図である。
【図7】第1実施形態の第2変形例に係る回路基板の製造方法の要部を説明する説明図である。
【図8】第1実施形態の第2変形例において電子部品に異常発熱が生じた場合の導電体の作用を説明する説明図である。
【図9】第2実施形態に係る回路基板を概略的に示す断面図である。
【図10】第2実施形態において弾性変形前の導電体を説明する説明図であり、図10(A)は、平面図であり、図10(B)は、側面図である。
【図11】第2実施形態に係る回路基板を製造する製造工程を説明する説明図である。
【図12】図9の電子部品に異常発熱が生じた場合の導電体の作用を説明する説明図である。
【図13】第2実施形態の変形例に係る回路基板の製造方法の要部を説明する説明図である。
【図14】第2実施形態の変形例において電子部品に異常発熱が生じた場合の導電体の作用を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係る回路基板の製造方法ついて図を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る回路基板10を概略的に示す断面図である。
本実施形態に係る回路基板10は、例えば、車両に搭載されたシートやランプ、エンジン等の車載機器を制御する電子制御装置(Electronic Control Unit)等の主要部となる多層基板として構成されている。この回路基板10は、エポキシ樹脂等からなる絶縁層と導電層とが交互に積層される多層のプリント配線板11の実装面に、例えば、パワーMOSFETなど所定の制御の際に発熱する電子部品20やコネクタ等がリフロー処理等を経て実装されることで構成されている。
【0016】
プリント配線板11には、電子部品20の電力供給経路間に当該電子部品20を保護するための導電体30が設けられている。この導電体30は、銅又はリン青銅からなる薄板帯状(平板状)の導電板を後述するように断面略M字状に変形させて構成されるもので、電子部品20の電力供給経路間として、電子部品20が半田41にて接合されている電力供給用の配線(以下、電力供給経路50ともいう)の間に設けられている。すなわち、導電体30は、電気的に離間している電子部品側配線51と反電子部品側配線52とを電気的に接続して電力供給経路50の一部を構成している。この導電体30は、表面をメッキ等によって酸化腐食防止処理されている。
【0017】
具体的には、導電体30は、天板部31と、この天板部31の両端から下方に延出する側板部32a,32bと、側板部32a,32bの下端にそれぞれ設けられる半田接合用の接合部33a,33bと、を備えている。導電体30は、接合部33aにて半田42aを用いて電子部品側配線51に半田接合され、接合部33bにて半田42bを用いて反電子部品側配線52に半田接合されている。そして、天板部31は、後述するように、中央部31aが実装面側に押圧されて塑性変形し、天板部31及び接合部33bの連結部分と天板部31及び側板部32aの連結部分とが弾性変形した状態で保持されている。すなわち、導電体30は、半田42a及び半田42bにより、弾性変形前の元の形状への復元が抑制された状態となる。
【0018】
次に、上述のように構成される回路基板10の製造方法について、図2及び図3を参照して説明する。なお、以下の説明では、便宜上、導電体30及び電子部品20と異なる部品のプリント配線板11への実装に関して省略している。
まず、図2(A)(B)に示すように、天板部31が平板状態の導電体30を用意する。次に、事前にクリーム半田を所定位置に塗布したプリント配線板11に対して自動機の吸着機能等を利用して導電体30及び電子部品20等を実装(マウント)した後、リフロー炉で加熱する。これにより、図3(A)に示すように、接合部33aが半田42aを用いて電子部品側配線51に半田接合されるとともに接合部33bが半田42bを用いて反電子部品側配線52に半田接合されることで、導電体30が電力供給経路50間に半田接合される。
【0019】
続いて、所定時間経過したことで半田42a,42bが固着して半田接合が完了した後に、図3(B)に示すように、所定の治具100を用いて導電体30における天板部31の中央部31aを実装面側に押圧する。これにより、図1に示す回路基板10が完成し、導電体30は、天板部31の中央部31aが実装面側に押圧されて塑性変形するとともに、天板部31及び側板部32aの連結部分と天板部31及び側板部32bの連結部分とがそれぞれ弾性変形して、その弾性変形に応じた復元力を保持した状態となる。
【0020】
次に、上述のように製造された回路基板10にて電子部品20に異常発熱が発生した場合の導電体30の作用について、図4を参照して説明する。
電子部品20に異常発熱が生じるとこの異常発熱が当該電子部品20から電力供給経路50の電子部品側配線51を介して半田42aに伝わることでその半田42aが溶融する。その結果、半田42aによる導電体30に対する保持力が解除されて導電体30が弾性変形前の元の形状に復元しようとする。その際、半田42bは溶融していないため、図4に示すように、導電体30は、半田42bを基準に元の形状に復元するように天板部31及び側板部32aの連結部分と天板部31及び側板部32bの連結部分とがそれぞれ変形して、接合部33aが電子部品側配線51から離れた状態となる。このように導電体30と電子部品側配線51とが離間することで、電子部品20への電力供給が停止されるため、実装した電子部品20の異常発熱が防止される。
【0021】
以上説明したように、本実施形態に係る回路基板10の製造方法では、導電体30を電力供給経路50間に半田接合し、この半田接合が完了した後に導電体30を弾性変形させることで、回路基板10を製造する。これにより、電子部品20に異常発熱が生じると半田42aが溶融して導電体30と電子部品側配線51とが離間するため、電子部品20への電力供給が停止されるので、実装した電子部品20の異常発熱を防止することができる。特に、半田接合が完了した後に治具100を用いて導電体30を弾性変形させるだけでよいため、導電体30の所定の部位を切断するような手作業を要する作業工程も不要であり、自動化にも容易に対応させることができる。したがって、実装した電子部品20の異常発熱を防止しつつ回路基板10の生産性を高めることができる。
【0022】
さらに、半田接合が完了した後に導電体30における天板部31の中央部31a(長手方向中央部側)をプリント配線板11の実装面側に押圧して塑性変形させることで、導電体30の天板部31及び接合部33bの連結部分と天板部31及び側板部32aの連結部分(長手方向端部側)を弾性変形させている。このように、導電体30の長手方向中央部側を塑性変形させて長手方向端部側を弾性変形させることで、半田溶融時にその半田42aに接合されていた長手方向端部側が移動して導電体30と電子部品側配線51とが離間しやすくなるので、実装した電子部品20の異常発熱を確実に防止することができる。
【0023】
特に、導電体30は、平板状に形成される銅又はリン青銅からなる。これにより、導電体30がバネ性及び半田付け性を兼備することから半田42aが容易に溶融して導電体30が元の形状に復元しやすくなるため、電子部品20の異常発熱により半田42aが溶融する際に導電体30と電子部品側配線51とが離間しやすくなるので、実装した電子部品20の異常発熱を確実に防止することができる。
【0024】
なお、導電体30の実装に用いる半田(少なくとも半田42a)は、電子部品20の実装に用いる半田41と同じ特性であって同じ融点となるように構成されているが、これに限らず、電子部品20の実装に用いる半田41よりも融点が低く構成されてもよい。この場合には、電子部品20が異常発熱する場合には半田42aが容易に溶融するため、この半田42aが溶融する際に導電体30と電子部品側配線51とが離間しやすくなるので、実装した電子部品20の異常発熱を確実に防止することができる。
【0025】
図5は、本第1実施形態の第1変形例に係る回路基板の製造方法の要部を説明する説明図であり、図5(A)は、弾性変形させる前の導電体30aの状態を示し、図5(B)は、弾性変形させた導電体30aの状態を示す。図6は、第1実施形態の第1変形例において電子部品20に異常発熱が生じた場合の導電体30aの作用を説明する説明図である。
電子部品20を加熱保護する導電体は、上述した導電体30のように形成されることに限らず、半田接合後に弾性変形させその半田溶融時に元の形状に戻るように形成されればよく、例えば、本実施形態の第1変形例として、図5(A)(B)に示す導電体30aのように形成されてもよい。
【0026】
導電体30aは、図5(A)に示すように、弾性変形前は、上述した導電体30に対して側板部32bを廃止して天板部31と接合部33bとをこれらの連結部分にて塑性変形し難くするため(弾性変形し易くするため)に直接連結して天板部31と側板部32aとを鋭角状に連結するように側面視で略へ字状に形成されている。すなわち、導電体30aは、電力供給経路50に対して電子部品20から離れた半田42bに半田接合される側の部位が、電子部品側の半田42aに半田接合される側の部位よりも弾性変形容易に形成される。そして、図5(B)に示すように、半田接合後に天板部31の中央部付近を所定の治具101を用いて塑性変形させ、天板部31及び接合部33bの連結部分と天板部31及び側板部32aの連結部分とをそれぞれ弾性変形させ、その弾性変形に応じた復元力を導電体30aに保持させている。
【0027】
このようにしても、図6に示すように、電子部品20に異常発熱が生じると半田42aが溶融して導電体30aと電子部品側配線51とが離間して電子部品20への電力供給が停止されるので、実装した電子部品20の異常発熱を防止することができる。そして、半田接合完了後に導電体30aを弾性変形させるだけでよいため、自動化にも容易に対応させることができる。特に、復元時の基準となる半田42bに近い天板部31の接合部33b側が塑性変形し難いため(弾性変形し易いため)復元力として利用可能なバネ性を確実に確保することができる。すなわち、導電体30aは、電子部品側の半田42aが溶融する際には、電子部品20から離れた半田42bに半田接合される側の部位での変形により、電子部品側の半田42aに半田接合されていた部位が電子部品側の電力供給経路50から大きく離間するので、実装した電子部品20の異常発熱をより確実に防止することができる。
【0028】
図7は、本第1実施形態の第2変形例に係る回路基板の製造方法の要部を説明する説明図であり、図7(A)は、弾性変形させる前の導電体30bの状態を示し、図7(B)は、弾性変形させた導電体30bの状態を示す。図8は、第1実施形態の第2変形例において電子部品20に異常発熱が生じた場合の導電体30bの作用を説明する説明図である。
また、電子部品20を加熱保護する導電体は、例えば、本実施形態の第2変形例として、図7(A)(B)に示す導電体30bのように形成されてもよい。
【0029】
導電体30bは、より塑性変形し難くすること(弾性変形し易くすること)を目的に、図7(A)に示すように、弾性変形前は、上述した導電体30に対して側板部32bに代えて天板部31と接合部33bとを円弧状(R状)に連結する連結部32cを有するように形成されている。すなわち、導電体30bは、電力供給経路50に対して電子部品20から離れた半田42bに半田接合される側の部位が、電子部品側の半田42aに半田接合される側の部位よりも弾性変形容易に形成される。そして、図7(B)に示すように、半田接合後に天板部31の中央部付近を所定の治具102を用いて塑性変形させ、連結部32cと天板部31及び側板部32aの連結部分とをそれぞれ弾性変形させ、その弾性変形に応じた復元力を導電体30bに保持させている。
【0030】
このようにしても、図8に示すように、電子部品20に異常発熱が生じると半田42aが溶融して導電体30bと電子部品側配線51とが離間して電子部品20への電力供給が停止されるので、実装した電子部品20の異常発熱を防止することができる。そして、半田接合完了後に導電体30bを弾性変形させるだけでよいため、自動化にも容易に対応させることができる。特に、復元時の基準となる半田42bに近い連結部32cが塑性変形し難いため(弾性変形し易いため)復元力として利用可能なバネ性を確実に確保することができる。すなわち、導電体30bは、電子部品側の半田42aが溶融する際には、電子部品20から離れた半田42bに半田接合される側の部位での変形により、電子部品側の半田42aに半田接合されていた部位が電子部品側の電力供給経路50から大きく離間するので、実装した電子部品20の異常発熱をより確実に防止することができる。
【0031】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る回路基板の製造方法について図9〜図12を参照して説明する。
本第2実施形態に係る回路基板の製造方法では、電子部品の電力供給経路間に設ける導電体を半田接合前に弾性変形させる点が、上記第1実施形態に係る回路基板の製造方法と主に異なる。したがって、上述した第1実施形態の回路基板と実質的に同一の構成部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0032】
図9に示すように、本実施形態に係る回路基板10aでは、上述した導電体30に代えて、導電体60が採用されている。この導電体60は、銅又はリン青銅からなる薄板帯状(平板状)の導電板を後述するように変形させて構成されるもので、略半円筒状の連結部61と、この連結部61の両下端にそれぞれ連結される半田接合用の接合部62a,62bと、を備えている。この導電体60は、導電体30と同様に、表面をメッキ等によって酸化腐食防止処理されている。
【0033】
導電体60は、接合部62aにて半田42aを用いて電子部品側配線51に半田接合され、接合部62bにて半田42bを用いて反電子部品側配線52に半田接合されている。そして、導電体60は、後述するように弾性変形した状態で保持されている。すなわち、導電体60は、上述した導電体30と同様に、半田42a及び半田42bにより、弾性変形前の元の形状への復元が抑制された状態となる。
【0034】
次に、上述のように構成される回路基板10aの製造方法について、図10及び図11を参照して説明する。なお、以下の説明では、便宜上、導電体60及び電子部品20と異なる部品のプリント配線板11への実装に関して省略している。
まず、外部からの付勢力が作用していない状態で、図10(A)(B)に示すように、半円筒状の連結部61の幅W2が半田接合時の幅W1(図9参照)よりも僅かに長く、接合部62aの下面を含む平面と接合部62bの下面を含む平面とが所定の角度αで交差する状態となる導電体60を用意する。
【0035】
次に、図11(A)に示すように、樹脂製のキャップ110を連結部61側から被せる。このキャップ110は、導電体60を連結部61にて外側から付勢して弾性変形させるための付勢部材として機能するもので、連結部61の長手方向(図11の左右方向)に相当する方向の内壁面間の距離が上記幅W1とほぼ等しくなるように形成されている。このため、キャップ110を被せることで弾性変形させた導電体60は、連結部61の幅がW1となる。その際、連結部61の上面がキャップ110の内面に接触した状態でキャップ110の下端部により接合部62a及び接合部62bが押圧されて、接合部62aの下面を含む平面と接合部62bの下面を含む平面とがほぼ同一平面となるように、上記所定の角度αが設定されている。なお、キャップ110は、樹脂製にて形成されること限らず、装着した導電体60を弾性変形させるように付勢可能な部材にて形成されてもよい。
【0036】
続いて、事前にクリーム半田を所定位置に塗布したプリント配線板11に対して自動機の吸着機能等を利用して、キャップ110を被せて弾性変形させた導電体60と電子部品20等とを実装(マウント)した後、リフロー炉で加熱する。これにより、図11(B)に示すように、接合部62aが半田42aを用いて電子部品側配線51に半田接合されるとともに接合部62bが半田42bを用いて反電子部品側配線52に半田接合されることで、導電体60が電力供給経路50間に半田接合される。
【0037】
続いて、所定時間経過したことで半田42a,42bが固着して半田接合が完了した後に、図11(C)に示すように、導電体60からキャップ110を取り外す。これにより、図9に示す回路基板10aが完成し、導電体60は、連結部61がその長手方向に幅W1にて狭められ、連結部61と接合部62aとの角度や連結部61と接合部62bとの角度が大きくなるように弾性変形して保持された状態となる。
【0038】
次に、上述のように製造された回路基板10aにて電子部品20に異常発熱が発生した場合の導電体30の作用について、図12を参照して説明する。
電子部品20の異常発熱に応じて半田42aが溶融すると、半田42aによる導電体60に対する保持力が解除されて導電体60が弾性変形前の元の形状に復元しようとする。その際、半田42bは溶融していないため、図12に示すように、導電体60は、半田42bを基準に元の形状に復元して、接合部62aが電子部品側配線51から離れた状態となる。このように導電体60と電子部品側配線51とが離間することで、電子部品20への電力供給が停止されるため、実装した電子部品20の異常発熱が防止される。
【0039】
以上説明したように、本実施形態に係る回路基板10aの製造方法では、キャップ110を用いて弾性変形させた導電体60を電力供給経路50間に半田接合し、この半田接合が完了した後に導電体60からキャップ110を取り外すことで、回路基板10aを製造する。このようにしても、上記第1実施形態と同様に、実装した電子部品20の異常発熱を防止することができる。特に、半田接合後にキャップ110を取り外すだけでよいため、導電体の所定の部位を切断するような手作業を要する作業工程も不要であり、自動化にも容易に対応させることができる。したがって、実装した電子部品20の異常発熱を防止しつつ回路基板10aの生産性を高めることができる。
【0040】
図13は、本第2実施形態の変形例に係る回路基板の製造方法の要部を説明する説明図であり、図13(A)は、弾性変形させる前の導電体60aの状態を示し、図13(B)は、キャップ110aを被せて弾性変形させた導電体60aをプリント配線板11に実装した状態を示し、図13(C)は、半田接合後に導電体60aからキャップ110aを取り外した状態を示す。図14は、第2実施形態の変形例において電子部品20に異常発熱が生じた場合の導電体60aの作用を説明する説明図である。
電子部品20を加熱保護する導電体は、上述した導電体60のように形成されることに限らず、キャップ110等の付勢部材を用いて弾性変形させた状態で半田接合されるように形成されればよく、例えば、図13に示す導電体60aのように形成されてもよい。
【0041】
導電体60aは、図13(A)に示すように、上述した接合部62a,62bに加えて、中央部が実装面側に凹む天板部63と、上端が天板部63に対して鋭角状に連結し下端にて接合部62aに連結する側板部64と、天板部63と接合部62bとを円弧状(R状)に連結する連結部65とを備えるように形成されている。特に、導電体60aは、側板部64の外面と連結部65の外面との距離となる幅W4が、付勢部材として機能するキャップ110aの幅W3よりも僅かに長くなるように形成されている(図13(A)参照)。
【0042】
このように形成される導電体60aは、図13(B)に示すように、キャップ110aを被せて弾性変形させた状態で電子部品20等とともにプリント配線板11に実装される。このとき、導電体60aは、連結部65と側板部64とが近づけられるように付勢されて、天板部63の中央部近傍がさらに実装面側に凹むように弾性変形する。そして、所定時間経過したことで半田42a,42bが固着して半田接合が完了した後に、図13(C)に示すように、導電体60aからキャップ110aを取り外すことで、回路基板10aが完成する。
【0043】
このようにしても、図14に示すように、電子部品20に異常発熱が生じると半田42aが溶融して上記導電体30bと同様に導電体60aと電子部品側配線51とが離間して電子部品20への電力供給が停止されるので、実装した電子部品20の異常発熱を防止することができる。そして、半田接合後にキャップ110aを取り外すだけでよいため、自動化にも容易に対応させることができる。
【0044】
なお、本発明は上記各実施形態および変形例に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよい。
(1)本発明は、車載機器用の回路基板の製造方法に適用されることに限らず、例えば、センサ用の回路基板の製造など、他の機能を有する回路基板の製造方法に適用されてもよい。
【0045】
(2)上記第1実施形態では、治具100による導電体30の弾性変形を容易に行うため、天板部31の中央部31aを実装面側に押圧しているが、これに限らず、半田42aが溶融することで導電体30に対する保持力が解除されて導電体30が弾性変形前の元の形状に復元して電子部品側配線51から離れる形状であれば、側板部32b等、導電体30の他の部位を弾性変形させてもよい。上述した導電体30a,30bについても同様である。
【0046】
(3)上記第2実施形態では、半田42aの溶融後に接合部62aが実装面から離れるように斜め上方向に導電体60が弾性変形して導電体60と電子部品側配線51とが確実に離間するように上記所定の角度αを設定しているが、これに限らない。例えば、半田42aの溶融後に導電体60の弾性変形に応じて実装面に沿い電子部品20に近づくように移動した接合部62aと電子部品側配線51とが離間するように構成されていれば、上記所定の角度αがほぼ0°と設定されてもよい。上述した導電体60aについても同様である。
【0047】
(4)上記第2実施形態では、導電体60にキャップ110を被せることで、導電体60を弾性変形させているが、これに限らず、導電体60を弾性変形させた状態でキャップ110を被せてもよい。上述した導電体60aについても同様である。
【0048】
(5)上記第2実施形態及び変形例では、キャップ110,110aを被せて導電体60,60aを弾性変形状態にしているが、これに限らず、例えば、外周側から環状に付勢する付勢部材等を用いて導電体60,60aを弾性変形状態にしてもよい。また、導電体としては、付勢部材により付勢された状態で実装可能な形状であれば、例えば、公知のコイルバネのような形状のバネ材を採用してもよい。
【符号の説明】
【0049】
10,10a…回路基板
11…プリント配線板
20…電子部品
30,30a,30b,60,60a…導電体
31…天板部
41a,41b…半田
50…電力供給経路
51…電子部品側配線
52…反電子部品側配線
110,110a…キャップ(付勢部材)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】(削除)
【請求項2】
プリント配線板に対して実装される電子部品の電力供給経路間に当該電子部品を保護するための導電体が設けられる回路基板の製造方法であって、
前記導電体を前記電力供給経路間に半田接合するステップと、
前記半田接合が完了した後に前記導電体を弾性変形させるステップと、
を備え、
前記半田接合が完了した後に前記導電体の長手方向中央部側を前記プリント配線板の実装面側に押圧して塑性変形させることで、前記導電体の長手方向端部側を弾性変形させることを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項3】
プリント配線板に対して実装される電子部品の電力供給経路間に当該電子部品を保護するための導電体が設けられる回路基板の製造方法であって、
付勢部材を用いて前記導電体を弾性変形させるステップと、
弾性変形させた前記導電体を前記電力供給経路間に半田接合するステップと、
前記半田接合が完了した後に前記導電体から前記付勢部材を取り外すステップと、
を備え、
前記導電体は、前記電力供給経路に対して前記電子部品から離れた半田に半田接合される側の部位が、前記電子部品側の半田に半田接合される側の部位よりも弾性変形容易に形成されることを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項4】
前記導電体は、平板状に形成される銅又はリン青銅からなることを特徴とする請求項2又は3に記載の回路基板の製造方法。
【請求項5】
前記導電体の実装に用いる半田は、前記電子部品の実装に用いる半田よりも融点が低いことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の回路基板の製造方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-11-05 
出願番号 P2016-214490
審決分類 P 1 652・ 853- XA (H01H)
P 1 652・ 113- XA (H01H)
P 1 652・ 121- XA (H01H)
P 1 652・ 857- XA (H01H)
P 1 652・ 851- XA (H01H)
最終処分 10   決定却下(不適法な申立に
特許庁審判長 間中 耕治
特許庁審判官 中村 大輔
尾崎 和寛
登録日 2020-10-20 
登録番号 6781376
権利者 株式会社今仙電機製作所
発明の名称 回路基板の製造方法  
代理人 立石 克彦  
代理人 田下 明人  
代理人 石原 幸信  
代理人 立石 克彦  
代理人 田下 明人  
代理人 浦 重剛  
代理人 住友 慎太郎  
代理人 苗村 潤  
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