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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G02C
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G02C
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G02C
管理番号 1382322
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-10-11 
確定日 2022-03-08 
事件の表示 特願2019−174590「アイウエア及びテンプル」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 4月 1日出願公開、特開2021− 51214、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続等の経緯
特願2019−174590号(以下「本件出願」という。)は、令和元年9月25日を出願日とする出願であって、その手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。
令和 2年 8月26日付け:拒絶理由通知書
令和 2年10月14日提出:意見書
令和 2年10月14日提出:手続補正書
令和 3年 3月17日付け:拒絶理由通知書
令和 3年 9月17日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和 3年10月11日提出:審判請求書
令和 3年10月11日提出:手続補正書
令和 3年12月20日作成:前置報告書

第2 原査定の概要
原査定の拒絶の理由の概要は、以下のとおりである。
新規性進歩性
本件出願の(令和2年10月14日にした手続補正後の)請求項1〜4、8及び9に係る発明は、その出願前に頒布された下記の刊行物に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。また、本件出願の(令和2年10月14日にした手続補正後の)請求項1〜4、8及び9に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献7:中国特許出願公開第108797102号明細書

進歩性
本件出願の(令和2年10月14日にした手続補正後の)請求項1〜4及び8〜10に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献2:登録実用新案第3184254号公報
引用文献3:韓国公開特許第10−2013−0029248号公報
引用文献7:中国特許出願公開第108797102号明細書

明確性
本件出願の(令和2年10月14日にした手続補正後の)請求項1〜10の記載は、特許を受けようとする発明が明確であるということができないから、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。

第3 当合議体の判断(進歩性について)
1 本件発明
本件出願の請求項1〜9に係る発明は、令和3年10月11日にした手続補正後の特許請求の範囲の請求項1〜9に記載された事項によって特定されるとおりのものであるところ、請求項1〜9の記載は、以下のとおりである(以下、請求項1に係る発明を「本件発明1」といい、請求項2以降の請求項に係る発明も同様にいう。)。
「【請求項1】
装着者の目を覆うように装着されるアイウエアであって、
前記装着者の身体に接触するクッション部を備え、
前記クッション部は、可撓性材料によって構成された複数の線状部材が立体的に交差して形成された立体網状構造体を有し、
前記クッション部は、前記身体に接触する表面を有し、
前記複数の線状部材は、前記表面に沿って延在する複数の第1線状部材と、前記表面に交差する方向に延在する複数の第2線状部材とを含み、
前記複数の第2線状部材が交差している交差部を備え、
前記クッション部は、長尺状を呈し、
前記立体網状構造体は、前記複数の線状部材によって画成され、前記表面に露出する複数の網状部を有し、
前記クッション部の長手方向における前記表面に露出する各前記網状部の長さは、前記クッション部の短手方向における前記表面に露出する各前記網状部の長さよりも長く、
前記クッション部は、前記アイウエアのテンプルに沿うように前記テンプルに固定されている、
アイウエア。
【請求項2】
各前記網状部は、多角形状を呈する、
請求項1に記載のアイウエア。
【請求項3】
前記表面に露出する各前記網状部は、六角形状を呈する、
請求項2に記載のアイウエア。
【請求項4】
前記テンプルの先端部における前記クッション部は、前記テンプルの根元部における前記クッション部よりも柔らかい、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のアイウエア。
【請求項5】
前記テンプルの先端部における前記クッション部の前記線状部材の太さは、前記テンプルの根元部における前記クッション部の前記線状部材の太さよりも細い、
請求項1〜4のいずれか一項に記載のアイウエア。
【請求項6】
前記テンプルの先端部における前記立体網状構造体の密度は、前記テンプルの根元部における前記立体網状構造体の密度よりも小さい、
請求項1〜5のいずれか一項に記載のアイウエア。
【請求項7】
前記線状部材の太さが0.5mm以上且つ1.0mm以下である、
請求項1〜6のいずれか一項に記載のアイウエア。
【請求項8】
前記線状部材の断面形状が円形状、楕円形状又は長円形状である、
請求項1〜7のいずれか一項に記載のアイウエア。
【請求項9】
装着者の目を覆うように装着されるアイウエアのテンプルであって、
前記装着者の身体に接触するクッション部を備え、
前記クッション部は、可撓性材料によって構成された複数の線状部材が立体的に交差して形成された立体網状構造体を有し、
前記クッション部は、前記身体に接触する表面を有し、
前記複数の線状部材は、前記表面に沿って延在する複数の第1線状部材と、前記表面に交差する方向に延在する複数の第2線状部材とを含み、
前記複数の第2線状部材が交差している交差部を備え、
前記クッション部は、長尺状を呈し、
前記立体網状構造体は、前記複数の線状部材によって画成され、前記表面に露出する複数の網状部を有し、
前記クッション部の長手方向における前記表面に露出する各前記網状部の長さは、前記クッション部の短手方向における前記表面に露出する各前記網状部の長さよりも長く、
前記クッション部は、前記テンプルに沿うように前記テンプルに固定されている、
テンプル。」

2 引用文献3の記載及び引用発明
(1)引用文献3の記載
引用文献3は、本件出願前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用が可能となった発明が記載された文献であるところ、そこには、以下の記載がある。なお、参考訳における下線は、を付した箇所は、引用発明の認定や判断等に利用した箇所を示す。
ア「


(参考訳:背景技術
【0002】従来の眼鏡又はサングラスのテンプルは、眼鏡を着用した時に眼鏡が顔から緩まないようにテンプル端部を曲げて耳かけを作り、耳元にかかるように構成しているが、着用中に汗をかいたり雨に濡れたりして水分が増した場合に、眼鏡のテンプルが皮膚で滑りやすくなってずり落ちることがしばしばあり、その都度持ち上げなければならないという不便さがあり、また、非衛生的になるという不便さがあった。)

イ「


(参考訳:課題解決手段
【0004】本発明は、綿糸又はポリエステル繊維等の合成繊維より選択された繊維で織造又は編造され、眼鏡のテンプルの耳かけ部が挿入され得る受容部が形成され、伸縮力を持つように構成され、眼鏡のテンプルに被せた場合に眼鏡のテンプル表面に密着して緩まないようになり、眼鏡のテンプルの耳かけ部分に着脱可能に被せられ、入口側には特に伸縮糸を挿入して締め部を形成させることにより、眼鏡のテンプルの耳かけ部に安全に被せられて、眼鏡のテンプルに達する水分を吸水して眼鏡のテンプルが皮膚で滑ることを防ぎ、外観を美麗にし、眼鏡のテンプルの装飾効果まで成すことができるように構成したものである。)

ウ「


(参考訳:発明の効果
【0005】このようにしてなる本発明は、眼鏡のテンプルの耳かけ部に吸水カバーを被せると、吸水カバーが眼鏡のテンプルの耳かけ部に密着するため、眼鏡を着用した時に皮膚と密着して眼鏡に加えられる水分を吸水するため、眼鏡のテンプルが皮膚表面で滑る現象を防止でき、且つ吸水カバーは、織造又は編造されて、受容部の伸縮力が良好であり、眼鏡のテンプルの耳かけ部に密着するため、別途の接着剤を使用せずに眼鏡のテンプルに被せられることができ、網目又は織目の間に空間があるため、皮膚に触れた時に触感をよくするという利点があり、着用感を高める効果があって、繊維を選択する際の色を多様にし、外観を美麗にすることができるだけでなく、端部に装飾物を入れて眼鏡のテンプルの外観を目立たせることができ、毎回異なる多様なパターンを準備してセット化することにより、随時、眼鏡のテンプルのファッションを多彩に変化させられるという利点を得られるものである。)

エ「


(参考訳:実施例
【0007】眼鏡(サングラス(2’)を含む)の(2)テンプル(3)の突出端部に形成される耳かけ部分(3a)に被せられるように、綿糸又はポリエステル繊維等の合成繊維より選択された繊維で製織又は編織し、内部に眼鏡のテンプルの耳かけ部が挿入受容されるように受容部(1a)が形成されたカバー体を構成して、受容部に伸縮力を持たせ、一側に挿入部(1b)を有し、他側が塞ぎ部(1c)からなる袋状のカバー(1)であるか、又は両側がどちらも挿入部(1b)からなるパイプ状のカバー(1’)からなり、挿入部(1b)には伸縮糸が挿入され、挿入部が締めつけられる締め部(1d)を構成して、塞ぎ部に装飾具(1e)を取り付けられるようにしてなることを特徴とする眼鏡のテンプル用吸水カバー。)

オ「図3(a)



(2)引用文献3に記載された発明
上記(1)によれば、引用文献3(特に、【0004】、【0005】、【0007】及び図3a等)には、実施例として、以下の「眼鏡」の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されている。
「眼鏡のテンプルの突出端部に形成される耳かけ部分に被せられるように、綿糸又はポリエステル繊維等の合成繊維より選択された繊維で製織又は編織し、内部に眼鏡のテンプルの耳かけ部が挿入受容されるように受容部が形成されたカバー体を構成して、受容部に伸縮力を持たせ、一側に挿入部を有し、他側が塞ぎ部からなる袋状のカバーであり、
網目又は織目の間に空間があるため、皮膚に触れた時に触感をよくするという利点があり、着用感を高める効果があって、繊維を選択する際の色を多様にし、外観を美麗にすることができるだけでなく、端部に装飾物を入れて眼鏡のテンプルの外観を目立たせることができる、
袋状のカバーを装着した眼鏡。」

(3)引用文献7の記載
引用文献7には以下の記載がある。
ア「


(参考訳:技術分野
【0001】本発明は3Dの通気性及び弾性を有し、立体編物の量子波機能を有する装着物及びその製造方法に関し、繊維材料に属する製品及び作成技術の分野、具体的に3Dの生地の繊維材料の製品及びその製造技術の分野に属する。)

イ「


(参考訳:【0228】量子波機能アイマスク
【0229】量子波機能を有するアイマスクは、量子の波の高周波振動を利用して眼部運動を促進し、血管から有害物質を除去し、組織細胞を活性化し、新陳代謝を加速し、細胞組織の再生能力を増強し、眼病を治癒することに役立ち、毒素を除外する。
【0230】アイマスクは、鼻の位置を覆い、鼻の血液循環を加速することができ、鼻炎の状況を有効に改善する。同時に睡眠過程において、アイマスクは脳の疲労をなくし、ストレス、偏頭痛、めまいなどを緩和する。
【0231】1、調整を緩め、疲労をなくし、毛様体筋の伸縮運動を増強する。
【0232】2、眼精疲労をなくして、睡眠時に十分な急速を得ることができる。
【0233】3、学生およびパソコン従事者の眼精疲労、めまい、頭痛などを改善する。
【0234】4、眼球細胞を活性化させ、視力の衰退を予防する。
【0235】5、目袋、目角の皺をなくす。
【0236】6、平衡感覚を改善させ、眠りを深くし、気持ちを落ち着ける。)

ウ「図9



(4)引用文献7に記載された発明
上記(3)のア〜ウによれば、引用文献7には、「3Dの生地」からなる「量子波機能」を有する「アイマスク」の発明が記載されている。さらに、当該アイマスクは、引用文献7の【0231】〜【0236】に記載された機能や効果を奏するものと認められる。
したがって、引用文献7には、以下の「アイマスク」の発明(以下「引用発明7」という。)が記載されている。

「3Dの生地の繊維材料によって製造され、3Dの通気性及び弾性を有し、立体編物の量子波機能を有し、
量子の波の高周波振動を利用して眼部運動を促進し、血管から有害物質を除去し、組織細胞を活性化し、新陳代謝を加速し、細胞組織の再生能力を増強し、眼病を治癒することに役立ち、毒素を除外するアイマスク。」

3 対比及び判断
(1)本件発明1と引用発明3との対比
ア アイウエア及びテンプル
引用発明3の「眼鏡」は、装着者の眼を覆うように装着されるものであって、いわゆる、アイウエアの一形態である。
したがって、引用発明3の「眼鏡」は、本件発明1の「アイウエア」に相当し、「装着者の眼を覆うように装着される」との要件を満たす。
また、引用発明3の「テンプル」は、その用語が意味するとおり、本件発明1の「テンプル」に相当する。

(2)一致点及び相違点
ア 一致点
本件発明1と引用発明3とは、以下の点で一致する。
「装着者の目を覆うように装着されるアイウエア。」

イ 相違点
本件発明1と引用発明3は、以下の点で相違ないし一応相違する。
(相違点1)
本件発明1の「アイウエア」は、「装着者の身体に接触するクッション部」を有しているのに対し、引用発明3は、装着者の「皮膚に触れ」る部位が「袋状のカバー」であって、それが「クッション部」としての機能を奏するかは不明であるため、「クッション部」を有しているとはいえず、また、本件発明1の「前記クッション部は、前記アイウエアのテンプルに沿うように前記テンプルに固定されている」のに対し、引用発明3の「袋状のカバー」は、「内部に眼鏡のテンプルの耳かけ部が挿入受容されるように」「装着」されている点。

(相違点2)
上記相違点1のように、引用発明3の「袋状のカバー」が「クッション部」とはいえないことに伴い、本件発明1の「クッション部」が、「クッション部は、可撓性材料によって構成された複数の線状部材が立体的に交差して形成された立体網状構造体を有し、
前記クッション部は、前記身体に接触する表面を有し、
前記複数の線状部材は、前記表面に沿って延在する複数の第1線状部材と、前記表面に交差する方向に延在する複数の第2線状部材とを含み、
前記複数の第2線状部材が交差している交差部を備え、
前記クッション部は、長尺状を呈し、
前記立体網状構造体は、前記複数の線状部材によって画成され、前記表面に露出する複数の網状部を有し、
前記クッション部の長手方向における前記表面に露出する各前記網状部の長さは、前記クッション部の短手方向における前記表面に露出する各前記網状部の長さよりも長く」なる構造を有しているのに対し、引用発明3の「袋状のカバー」は、「クッション部」としての上記構造を有さない点。

(3)判断
上記相違点1について検討する。
引用発明3の「袋状のカバー」は、「眼鏡のテンプルの突出端部に形成される耳かけ部分に被せられるように」装着するものであり、「皮膚に触れた時に触感をよくするという利点があり、着用感を高める効果があって、繊維を選択する際の色を多様にし、外観を美麗にすることができるだけでなく、端部に装飾物を入れて眼鏡のテンプルの外観を目立たせることができる」という機能や効果を奏するものである。
ここで、引用発明7の「アイマスク」を構成する「3Dの生地」は、「立体編物」であるから、「クッション」機能を有すると解釈することもできる。
しかしながら、引用発明7の「アイマスク」は、「装着者の眼を覆う」ように用いるものであって、「量子の波の高周波振動を利用して眼部運動を促進し、血管から有害物質を除去し、組織細胞を活性化し、新陳代謝を加速し、細胞組織の再生能力を増強し、眼病を治癒することに役立ち、毒素を除外する」という機能や効果を奏するものである。そして、引用発明7の「アイマスク」は、テンプルを有するものではなく、その「3Dの生地」を適用する手段として、テンプルに固定して用いることは記載も示唆もされていない。
以上総合すると、引用発明3の「袋状のカバー」と引用発明7の「アイマスク」又はアイマスクを構成する「3Dの生地」は、共通する機能や特性を有するものではなく、引用文献7の「3Dの生地」を引用発明3の「袋状のカバー」として採用する動機がない。そうしてみると、引用発明3の「袋状のカバー」として引用発明7の「3Dの生地」を採用して「クッション部」とした上で、それをさらにテンプルに「固定する」という手段を採用することにより、相違点1に係る本件発明1の構成に容易に至ることができたということはできない。

以上のことから、相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は、引用文献3及び引用文献7に記載された発明に基づいて、当業者であれば容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(4)小活
本件発明1は、引用文献3及び引用文献7に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(5)請求項2〜9に係る発明について
請求項2〜8に係る発明は、本件発明1の「アイウエア」に対して、さらに他の発明特定事項を付加してなる「アイウエア」の発明である。
したがって、これらの発明も、引用文献3及び引用文献7に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
また、請求項9に係る発明の「テンプル」についても上記相違点1についての検討と同様であるから、引用文献3及び引用文献7に記載された発明に基づいて、当業者であれば容易に発明をすることができたものであるということはできない。

第4 当合議体の判断(明確性について)
1 「交差」及び「交差部」という記載について
請求項1には「第2線状部材が交差している交差部」と記載されている点について、「交差」とは線状のものが交わることであり、「交差部」とは線状のものが交わる部分であることは理解できるので、請求項1の記載が明確でないとはいえない。また、本件出願の発明の詳細な説明の【0036】には「交差」についての定義がなされており、当該定義の内容も通常の「交差」や「交差部」として理解される内容のものである。
そうしてみると、請求項1に記載されている「交差」及び「交差部」という記載が明確でないとはいえない。

2 「表面に露出する」という記載について
請求項1には「表面に露出する複数の網状部」と記載されている点について、「表面」として「身体に接触する表面」と記載されている。ここで、「立体網状構造部」の「身体に接触する」部分が「表面」であることが理解できるし、「表面に沿って延在する複数の第1線状部材」が「身体に接触する」部分を構成していることは自明である。
そうしてみると、当該部分が「表面に露出する」ことは請求項1の記載から理解できるので、請求項1の記載が明確でないとはいえない。
また、引用文献1の【0049】〜【0052】には、「表面」の定義がなされ、「表面」の線状部材により網状部が形成されていることが記載されており、当該記載からも、「表面に露出する」部分について理解でき明確でないとはいえない。
したがって、請求項1に記載されている「表面に露出する」という記載が明確でないとはいえない。

3 小括
本件請求項1に係る発明は明確でないということはできない。

4 請求項2〜9に係る発明について
請求項2〜9に係る発明についても、同様の理由により、明確でないということはできない。

第5 原査定について
原査定の理由である引用文献7による理由1及び理由2並びに引用文献2を主引例として引用文献7を副引例とした理由2については、令和3年10月11日した手続補正により解消されている。そして、引用文献3を主引例として引用文献7を副引例とした理由2及び明確性についての理由3は、前記「第3」及び「第4」で述べたとおりである。
以上のことから、原査定を維持することはできない。

第6 まとめ
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-02-18 
出願番号 P2019-174590
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G02C)
P 1 8・ 121- WY (G02C)
P 1 8・ 113- WY (G02C)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 里村 利光
特許庁審判官 関根 洋之
小濱 健太
発明の名称 アイウエア及びテンプル  
代理人 小曳 満昭  
代理人 湯本 譲司  
代理人 阿部 寛  
代理人 長谷川 芳樹  
代理人 黒木 義樹  

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