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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A63F
審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A63F
管理番号 1382357
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-03-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-11-18 
確定日 2021-10-19 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6703379号発明「遊技機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6703379号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 特許第6703379号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6703379号の請求項1に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願(以下、「本件特許出願」という。)は、平成27年7月23日に出願した特願2015−145471号であって、令和2年5月12日にその特許権の設定登録がされ、同年6月3日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和2年11月18日に特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがなされ、当審判合議体(以下「当審」という。)は令和3年2月2日付けで特許権者及び特許異議申立人に対して審尋を行い、それに対して、特許権者はその指定期間内である同年4月2日に、特許異議申立人はその指定期間内である同年4月8日に、それぞれ回答書を提出し、当審において同年5月25付けで取消理由を通知した。特許権者である株式会社三共は、その指定期間内である同年7月26日に意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)を行い、これに対して、申立人は、同年9月16日に意見書を提出した。

第2 訂正請求について
1 請求の趣旨
本件訂正請求の趣旨は、特許第6703379号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを求める、というものである。

2 訂正の内容
本件訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「遊技を行い遊技者にとって有利な有利状態」と記載されているのを、
「遊技を行い遊技者にとって有利な有利状態である大当り」に訂正する。(なお、下線は訂正箇所を示す。以下、(2)〜(5)についても同様。)

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に、
「前記有利状態中の特定期間」と記載されているのを、
「連チャン中における直近の大当りに制御されている期間である特定期間」に訂正する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に、
「前記第1報知と前記第2報知の実行期間が重複するときに、前記第1報知を実行する一方で、前記第2報知の実行期間を前記第1報知の実行期間と重複しない期間に変更する、」と記載されているのを、
「前記第1報知と前記第2報知の実行期間が重複するときに、前記第1報知を実行する一方で、前記第2報知の実行期間を前記第1報知の実行期間と重複しない期間に変更し、」に訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項1の「ことを特徴とする遊技機。」の前に、
「 前記非特定期間は、前記連チャン中に制御された大当りの集合から前記直近の大当りを除いた大当りに制御されている期間であり、
前記特別期間は、前記連チャン中に制御された大当りの集合を構成する各大当り制御されている期間を合計した期間である、」を加える。

(5)訂正事項5
願書に添付した明細書の段落【0007】に
「【0007】
(A)上記目的を達成するため、本願発明に係る遊技機は、遊技を行い遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、報知演出を実行する報知演出実行手段を備え、前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、前記有利状態中の特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知と、前記特定期間と当該特定期間とは異なる非特定期間とを含む特別期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知と、を実行可能であり、前記第2報知として、前記特定期間において獲得した価値の大きさと、前記非特定期間において獲得した価値の大きさと、を合計した価値の大きさを報知し、前記第1報知と前記第2報知の実行期間が重複するときに、前記第1報知を実行する一方で、前記第2報知の実行期間を前記第1報知の実行期間と重複しない期間に変更する、ことを特徴とする。」と記載されているのを、
「【0007】
(A)上記目的を達成するため、本願発明に係る遊技機は、遊技を行い遊技者にとって有利な有利状態である大当りに制御可能な遊技機であって、報知演出を実行する報知演出実行手段を備え、前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、連チャン中における直近の大当りに制御されている期間である特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知と、前記特定期間と当該特定期間とは異なる非特定期間とを含む特別期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知と、を実行可能であり、前記第2報知として、前記特定期間において獲得した価値の大きさと、前記非特定期間において獲得した価値の大きさと、を合計した価値の大きさを報知し、前記第1報知と前記第2報知の実行期間が重複するときに、前記第1報知を実行する一方で、前記第2報知の実行期間を前記第1報知の実行期間と重複しない期間に変更し、前記非特定期間は、前記連チャン中に制御された大当りの集合から前記直近の大当りを除いた大当りに制御されている期間であり、前記特別期間は、前記連チャン中に制御された大当りの集合を構成する各大当り制御されている期間を合計した期間である、ことを特徴とする。」に訂正する。

3 訂正の適否
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に「遊技を行い遊技者にとって有利な有利状態」と記載されているのを、「遊技を行い遊技者にとって有利な有利状態である大当り」に訂正することで、訂正前の請求項1の「有利状態」を限定するものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第120を条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。(なお、下線は訂正箇所を示す。)

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1は、発明特定事項である「有利状態」を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

ウ 本件特許の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1について、本件特許明細書には、以下の記載がある(なお、下線は関連箇所を示す。)

(ア)「【0074】
第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図を用いた特図ゲームや、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図を用いた特図ゲームにおいて、特別図柄の可変表示結果となる確定特別図柄が導出表示されるときには、画像表示装置5において飾り図柄の可変表示結果となる確定飾り図柄が導出表示される。特別図柄の可変表示結果として予め定められた大当り図柄が導出表示されたときには、可変表示結果が「大当り」となり、遊技者によって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。即ち、大当り遊技状態に制御されるか否かは、可変表示結果が「大当り」となるか否かに対応しており、その可変表示結果を導出表示する以前に決定される。」

(イ)「【0342】
また、遊技者にとって有利な有利状態(例えば大当り遊技状態等)に制御可能であり、前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、前記特別期間において前記有利状態に制御された回数を報知する第4報知(例えば連チャン回数を報知する連チャン回数報知等)を実行可能であり、前記第4報知よりも前記第1報知の優先度合いが高い(例えば図23における連チャン回数報知動作制御処理におけるステップS462にて賞球数報知演出の実行中である場合には、ステップS468にて賞球数報知演出が実行されているレイヤーよりも下位のレイヤーで連チャン回数報知を実行するための動作制御を行うこと等)。」

これらの記載によれば、本件特許明細書には、「遊技者にとって有利な有利状態」が「大当り」であることが記載されているといえる。
よって、訂正事項1は、新たな技術事項を導入するものではなく、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

(2)訂正事項2
ア 訂正の目的について
訂正事項2は、訂正前の請求項1に「前記有利状態中の特定期間」と記載されているのを、「連チャン中における直近の大当りに制御されている期間である特定期間」に訂正することで、訂正前の請求項1の「前記有利状態中の特定期間」を明確にするとともに限定するものであるから、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮、及び、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。(なお、下線は訂正箇所を示す。)

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項2は、発明特定事項である「前記有利状態中の特定期間」を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

ウ 本件特許の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2について、本件特許明細書には、以下の記載がある。(下線を関連箇所に示す。)

(ア)「【0007】
(1)上記目的を達成するため、本願発明に係る遊技機は、遊技を行う遊技機(例えばパチンコ遊技機1、パチスロ機等)であって、報知演出を実行する報知演出実行手段(例えば賞球数報知演出、獲得枚数報知演出、累積賞球数報知演出、累積獲得枚数報知演出、確変確定報知演出、連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知、右打ち報知、エラー報知、大当り中昇格演出を実行する演出制御用CPU120等)を備え、前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知(例えば大当り中に賞球として払い出された賞球数を報知する賞球数報知演出等)と、特別期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知(例えば連チャン中における大当り中に賞球として払い出された賞球数を報知する賞球数報知演出等)とを実行可能であり、前記第2報知よりも前記第1報知の優先度合いが高い(例えば図22の累積賞球数報知演出動作制御処理におけるステップS397の処理にて、賞球数報知演出が実行中である場合には、累積賞球数報知演出は実行されないこと等)。」

(イ)「【0081】
また、パチンコ遊技機1において付与可能となる遊技価値は、賞球となる遊技球の払い出しや得点の付与に限定されず、例えば大当り遊技状態に制御することや、確変状態等の特別遊技状態に制御すること、大当り遊技状態にて実行可能なラウンドの上限回数が第2ラウンド数よりも多い第1ラウンド数となること、時短状態にて実行可能な可変表示の上限回数が第2回数よりも多い第1回数となること、確変状態における大当り確率が第2確率よりも高い第1確率となること、通常状態に制御されることなく大当り遊技状態に繰り返し制御される回数である連チャン回数が第2連チャン数よりも多い第1連チャン数となることの一部又は全部といった、遊技者によってより有利な遊技状況となることが含まれていてもよい。」

(ウ)「【0174】
ステップS501にて受信コマンドがある場合には(ステップS501;YES)、例えば受信コマンドのMODEデータを確認すること等により、その受信コマンドが大当り開始指定コマンドであるか否かを判定する(ステップS502)。そして、大当り開始指定コマンドであるときには(ステップ502;YES)、連チャン回数カウント値を1加算するように更新してから(ステップS503)、ステップS501の処理に戻る。連チャン回数カウント値は、RAM122の所定領域に設けられた連チャン回数カウンタの格納値であり、連チャン回数を示すものであればよい。ここで、連チャンとは、確変状態又は時短状態であるときに可変表示結果が「大当り」となって大当り遊技状態の終了後にも確変状態又は時短状態に制御されることが所定回実行されることをいう。また、連チャン回数とは、確変状態又は時短状態であるときに可変表示結果が「大当り」となって大当り遊技状態の終了後にも確変状態又は時短状態に制御されることが連続して発生した回数をいう。
【0175】
ステップS502にて受信コマンドが大当り開始指定コマンドではない場合には(ステップS502;NO)、その受信コマンドは大入賞口入賞指定コマンドであるか否かを判定する(ステップS504)。そして、大入賞口入賞指定コマンドであるときには(ステップS504;YES)、賞球数カウント値を15加算するように更新する(ステップS505)。賞球数カウント値は、RAM122の所定領域に設けられた賞球数カウンタの格納値であり、賞球数を示すものであればよい。ここで、賞球数とは、現在の大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数をいう。
【0176】
ステップS505の処理を実行した後には、累積賞球数カウント値を15加算するように更新してから(ステップS506)、ステップS501の処理に戻る。累積賞球数カウント値は、RAM122の所定領域に設けられた累積賞球数カウンタの格納値であり、累積賞球数を示すものであればよい。ここで、累積賞球数とは、連チャン中における大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数をいう。」

(エ)「【0178】
このように、この実施の形態では、上大入賞口に遊技球が進入したときには、上大入賞口スイッチ23Aにより入賞球が検出され、下大入賞口に遊技球が進入したときには、下大入賞口スイッチ23Bにより入賞球が検出されて、その検出毎に15個の遊技球が賞球として払い出されることに対応して、賞球数カウント値が15加算されると共に、現在の大当り遊技状態が終了することに対応して、そのカウント値が「0」に初期化されることにより、大当り遊技状態に制御される度に、その大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数がカウントされる。
【0179】
ステップS507にて受信コマンドが大当り終了指定コマンドではない場合には(ステップS507;NO)、その受信コマンドは遊技状態指定コマンドであるか否かを判定する(ステップS509)。そして、遊技状態指定コマンドであるときには(ステップS509;YES)、受信した遊技状態指定コマンドに基づいて時短制御が終了するか否かを判定する(ステップS510)。そして、時短制御が終了するときには(ステップS510;YES)、累積賞球数カウンタをクリアすることで、そのカウント値を「0」に初期化する(ステップS511)。
【0180】
このように、この実施の形態では、連チャン中において、上大入賞口に遊技球が進入したときには、上大入賞口スイッチ23Aにより入賞球が検出され、下大入賞口に遊技球が進入したときには、下大入賞口スイッチ23Bにより入賞球が検出されて、その検出毎に15個の遊技球が賞球として払い出されることに対応して、累積賞球数カウント値が15加算されると共に、連チャンが終了することに対応して、そのカウント値が「0」に初期化されることにより、連チャン中における大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数がカウントされる。」

(オ)「【0188】
本実施の形態では、エラー報知画像と、下大入賞口に入賞した遊技球が特定領域を通過したことを報知する第3報知としての確変確定報知演出用の確変確定報知演出画像と、特定期間としての大当り中に賞球として払い出された賞球数を報知する第1報知としての賞球数報知演出用の賞球数報知演出画像と、連チャン回数を報知する第4報知としての連チャン回数報知用の連チャン回数報知画像や大当り中に再生されている楽曲名を報知する第5報知としての大当り中楽曲名報知用の大当り中楽曲名報知画像といったその他の演出用の画像とがそれぞれ異なるレイヤーに配置される。具体的には、図26(A)に示すように、エラー報知画像と確変確定報知演出画像と賞球数報知演出画像とその他の演出用の画像には、各画像データにおいて、画像を重畳して描画する際に用いるZ値が設定されるようになっており、演出制御用CPU120のワークエリアを提供するRAM122には、エラー報知画像と確変確定報知演出画像と賞球数報知演出画像とその他の演出用の画像の画像データのZ値を設定するZ値設定テーブルが記憶されている。このZ値設定テーブルは、各画像データの項目に対応付けて、画像を描画するときに用いるZ値が登録されている。」

(カ)「【0191】
なお、Z値に「2」が設定されているのは、賞球数報知演出画像のみならず、特別期間としての連チャン中における大当り中に賞球として払い出された累積賞球数を報知する第2報知としての累積賞球数報知演出用の累積賞球数報知演出画像もZ値に「2」が設定されている。更に、エラー報知画像や確変確定報知演出画像や賞球数報知演出画像や累積賞球数報知演出画像や連チャン回数報知画像や大当り中楽曲名報知画像のみならず、背景となる背景画像等にもZ値が設定されており、これら背景画像等には、連チャン回数報知画像や大当り中楽曲名報知画像よりも大きなZ値が設定されている。」

(キ)「【0222】
ステップS216にて確変確定報知演出の実行中ではない場合には(ステップS216;NO)、エラー報知の実行中であるか否かを判定する(ステップS217)。このとき、エラー報知の実行中ではない場合には(ステップS217;NO)、最上位のレイヤーで賞球数報知演出を実行するための動作制御を行った後(ステップS218)、賞球数報知演出動作制御処理を終了する。例えば、ステップS218の処理では、大当り中に賞球として払い出された賞球数が「2000個」に到達したことを報知する賞球数報知演出、あるいは「2400個」に到達したことを報知する賞球数報知演出を実行するために予め用意された演出制御パターン等から読み出した演出制御実行データに応じて、所定の演出態様による賞球数報知演出を実行するために、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14等に対して伝送させればよい。これにより、例えば図25(C)に示すような賞球数報知演出画像を、最上位のレイヤーに表示させるといった、賞球数報知演出が実行される。」

(ク)「【0237】
ステップS397にて賞球数報知演出の実行中である場合には(ステップS397;YES)、累積賞球数報知演出動作制御処理を終了する。このように、この実施の形態では、賞球数報知演出が実行中である場合には、累積賞球数報知演出は実行されない。これは、賞球数報知演出と累積賞球数報知演出とが互いに類似する演出であり、同時に実行されることにより、いずれの演出への注目度も低下させてしまう虞があるからである。そこで、この実施の形態では、累積賞球数報知演出よりも賞球数報知演出を優先的に実行するようにしている。」

(ケ)「【0239】
ステップS399にてエラー報知の実行中ではない場合には(ステップS399;NO)、最上位のレイヤーで累積賞球数報知演出を実行するための動作制御を行った後(ステップS400)、累積賞球数報知演出動作制御処理を終了する。例えば、ステップS400の処理では、連チャン中における大当り中に賞球として払い出された累積賞球数が「5000個」に到達したことを報知する累積賞球数報知演出、あるいは「10000個」に到達したことを報知する累積賞球数報知演出を実行するために予め用意された演出制御パターン等から読み出した演出制御実行データに応じて、所定の演出態様による累積賞球数報知演出を実行するために、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14等に対して伝送させればよい。これにより、例えば図25(D)に示すような累積賞球数報知演出画像を、最上位のレイヤーに表示させるといった、累積賞球数報知演出が実行される。」

(コ)「【0338】
以上説明したように、パチンコ遊技機1では、報知演出を実行する報知演出実行手段(例えば賞球数報知演出、累積賞球数報知演出、確変確定報知演出、連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知、エラー報知、大当り中昇格演出を実行する演出制御用CPU120等)を備え、前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知(例えば大当り中に賞球として払い出された賞球数を報知する賞球数報知演出等)と、特別期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知(例えば連チャン中における大当り中に賞球として払い出された賞球数を報知する賞球数報知演出等)とを実行可能であり、前記第2報知よりも前記第1報知の優先度合いが高い(例えば図22の累積賞球数報知演出動作制御処理におけるステップS397の処理にて、賞球数報知演出が実行中である場合には、累積賞球数報知演出は実行されないこと等)」

これらの記載によれば、本件特許明細書には、「前記有利状態中の特定期間」が「大当り中」、すなわち、大当りに制御されている期間であること、「特別期間」が、「連チャン中における大当り中」、すなわち、連チャン中に制御された大当りの集合を構成する各大当りに制御されている期間を合計した期間であること、がそれぞれ記載されているといえる。
また、段落【0174】で「・・・大当り開始指定コマンドであるときには(ステップ502;YES)、連チャン回数カウント値を1加算するように更新してから(ステップS503)、ステップS501の処理に戻」っており、段落【0175】で「・・・賞球数とは、現在の大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数をいう。」と「賞球数」が「現在の」大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数のことであり、段落【0178】で「・・・15個の遊技球が賞球として払い出されることに対応して、賞球数カウント値が15加算されると共に、現在の大当り遊技状態が終了することに対応して、そのカウント値が「0」に初期化されることにより、大当り遊技状態に制御される度に、その大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数がカウントされる。」、段落【0180】で「・・・15個の遊技球が賞球として払い出されることに対応して、累積賞球数カウント値が15加算されると共に、連チャンが終了することに対応して、そのカウント値が「0」に初期化されることにより、連チャン中における大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数がカウントされる。」と、「連チャン」中の「大当り中」に「カウント値が「0」に初期化される」ことで「大当り遊技状態に制御される度に、その大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数がカウントされる」ことが記載されていることから、本件特許明細書で、「大当り中」に対応した特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知は、「連チャン中における直近の大当り」のものであるといえる。
また、上記した「特別期間」に対応する、連チャン中に制御された大当りの集合を構成する各大当りに制御されている期間を合計した期間の大当りは、「直近の大当り」と「直近以外の大当り」とから構成されることは、遊技機分野の技術常識から明らかである。
そうすると、「特別期間」は、「直近の大当り」と「直近以外の大当り」とから構成されることとなるから、訂正前の請求項1の「前記特定期間と当該特定期間とは異なる非特定期間とを含む特別期間」における「当該特定期間とは異なる非特定期間」は、「直近以外の大当り」の期間、すなわち、「連チャン中に制御された大当りの集合」(直近の大当りと直近以外の大当りを合わせた全ての大当り)の期間から「直近の大当りを除いた大当りに制御されている期間」であるといえる。
そうすると、「前記有利状態中の特定期間」は、連チャン中における直近の大当り中のことであり、「非特定期間」は、連チャン中における大当り中から直近の大当り中を除いた期間であるといえる。
よって、訂正事項2は、本件特許明細書等の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

(3)訂正事項3
ア 訂正の目的について
訂正事項3は、「前記第1報知と前記第2報知の実行期間が重複するときに、前記第1報知を実行する一方で、前記第2報知の実行期間を前記第1報知の実行期間と重複しない期間に変更する、」と記載されているのを、「前記第1報知と前記第2報知の実行期間が重複するときに、前記第1報知を実行する一方で、前記第2報知の実行期間を前記第1報知の実行期間と重複しない期間に変更し、」に訂正したものであり、その記載より後に構成が続くことを明瞭にするために訂正するものであることから、当該訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。(なお、下線は訂正箇所を示す。)

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アのとおり、訂正事項3は、カテゴリー、対象及び目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

ウ 本件特許の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項3に係る訂正は、その記載より後に構成が続くことを明瞭にするために訂正するものであることから、本件特許明細書等の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

(4)訂正事項4
ア 訂正の目的について
訂正事項4は、特許請求の範囲の請求項1の「ことを特徴とする遊技機。」の前に、「 前記非特定期間は、前記連チャン中に制御された大当りの集合から前記直近の大当りを除いた大当りに制御されている期間であり、
前記特別期間は、前記連チャン中に制御された大当りの集合を構成する各大当り制御されている期間を合計した期間である、」を付加することで、訂正前の請求項1の「非特定期間」及び「特別期間」を明確にするとともに限定するものである。(なお、下線は訂正箇所を示す。)
したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮、及び、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項4は、「非特定期間」及び「特別期間」を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

ウ 本件特許の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項4について、本件特許明細書には、上記(1)ウの記載がある。

上記(1)ウのとおり、本件特許明細書には、「特定期間」が「大当り中」、すなわち、大当りに制御されている期間であること、「特別期間」が、「連チャン中における大当り中」、すなわち、連チャン中に制御された大当りの集合を構成する各大当りに制御されている期間を合計した期間であること、段落【0175】、【0178】の記載、及び、遊技機分野の技術常識から、連チャン中における「特定期間」としての大当り中と異なる大当り中が「非特定期間」であり、「特定期間」は、直近の大当り中のことであり、「非特定期間」は、連チャン中における大当り中から直近の大当り中を除いた期間であるといえる。
よって、訂正事項4は、本件特許明細書等の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

(5)訂正事項5
ア 訂正の目的について
訂正事項5は、上記訂正事項1〜4に係る訂正により、訂正前の請求項1における特許請求の範囲の訂正を行った結果、本件特許明細書の段落【0007】の記載が特許請求の範囲の請求項1の記載と整合が取れなくなったことを是正するものであるから、当該訂正事項5に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項5は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

ウ 本件特許の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項5に係る訂正は、本件特許明細書の【0007】の記載を、請求項1の記載と整合を取るためのものであるから、訂正事項1〜訂正事項4で説示したとおり、当該訂正事項5は、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項5は、本件特許明細書等の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

4 独立特許要件
本件特許異議の申立てにおいては、請求項1が申立ての対象であるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項に規定の独立特許要件につき検討することを要しない。

第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1に係る発明(以下、「本件訂正発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。なお、記号AないしFは、分説するため当審が付した。

【請求項1】
A 遊技を行い遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 報知演出を実行する報知演出実行手段
を備え、
C 前記報知演出実行手段は、
前記報知演出として、連チャン中における直近の大当りに制御されている期間である特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知と、前記特定期間と当該特定期間とは異なる非特定期間とを含む特別期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知と、を実行可能であり、
D 前記第2報知として、前記特定期間において獲得した価値の大きさと、前記非特定期間において獲得した価値の大きさと、を合計した価値の大きさを報知し、
E 前記第1報知と前記第2報知の実行期間が重複するときに、前記第1報知を実行する一方で、前記第2報知の実行期間を前記第1報知の実行期間と重複しない期間に変更し、
C1 前記非特定期間は、前記連チャン中に制御された大当りの集合から前記直近の大当りを除いた大当りに制御されている期間であり、
C2 前記特別期間は、前記連チャン中に制御された大当りの集合を構成する各大当り制御されている期間を合計した期間である、
F ことを特徴とする遊技機。

第4 特許異議の申立について
1 特許異議申立理由の概要
申立人は、本件特許に対し、次の理由を申し立てている。
(1)証拠方法として甲第1証を提出し、本件特許発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明であるから、本件特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

(2)証拠方法として甲第1証及び甲第2号証を提出し、本件特許発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1及び2号証に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

<証拠方法>
甲第1号証:特開2014−000303号公報
甲第2号証:特開2013−106805号公報

2 取消理由通知の概要
令和3年5月25日付けで当審が特許権者に通知した取消理由は、概略、次のとおりである。

(1)(サポート要件)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

本件訂正前の請求項1に係る発明(以下「本件訂正前発明1」という。)には「前記報知演出として、前記有利状態中の特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知と、前記特定期間と当該特定期間とは異なる非特定期間とを含む特別期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知と、を実行可能であり、前記第2報知として、前記特定期間において獲得した価値の大きさと、前記非特定期間において獲得した価値の大きさと、を合計した価値の大きさを報知し、」と記載されているが、出願時の技術常識に照らしても、本件訂正前発明1の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。
したがって、本件訂正前発明1は、発明の詳細な説明に記載したものではなく、本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たさない特許出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。

(2)(明確性)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

本件訂正前発明1には「前記報知演出として、前記有利状態中の特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知と、前記特定期間と当該特定期間とは異なる非特定期間とを含む特別期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知と、を実行可能であり、前記第2報知として、前記特定期間において獲得した価値の大きさと、前記非特定期間において獲得した価値の大きさと、を合計した価値の大きさを報知し、」と記載されているが、「特定期間」、「非特定期間」及び「特別期間」が何と対応するのか明瞭でない。
したがって、本件訂正前発明1は明確ではなく、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たさない特許出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。

3 令和3年7月26日付け意見書(特許権者提出)の概要
特許権者は、令和3年7月26日付け意見書において、本件訂正発明は、当審が指摘したサポート要件違反、明確性違反に該当しないため、取り消されるべきものではない旨を主張している。

4 令和3年9月16日付け意見書(申立人提出)の概要
申立人は、令和3年9月16日付け意見書において、次の主張をしている。
(1)本件訂正は、法120条の5第9項において準用する法第126条第5項の要件を満たさないものであるので、不適法なものである。
(2)本件訂正が行われなかった訂正前の本件特許発明は、異議申立の理由のとおり、依然として、法29条1項3号又は法29条2項の規定により特許を受けることができず、本件特許は法113条2号に該当することとなるので、法114条2項の規定に基づいて依然として取り消されるべきものである。

第5 取消理由についての当審の判断
1 サポート要件について
訂正前の請求項1には、「前記報知演出として、前記有利状態中の特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知と、前記特定期間と当該特定期間とは異なる非特定期間とを含む特別期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知と、を実行可能であり、前記第2報知として、前記特定期間において獲得した価値の大きさと、前記非特定期間において獲得した価値の大きさと、を合計した価値の大きさを報知し、」と記載されていたため、例えば、(1)「特定期間」が「実行中の大当り遊技中の期間」、「非特定期間」が「大当り遊技と大当り遊技との間の、確変遊技又は時短遊技が実行されている期間」、「特別期間」が「連チャン中の全ての大当り遊技及び確変遊技や時短遊技が実行されている期間」(パチンコの場合)、(2)「特定期間」が「大当り遊技におけるラウンドが実行されている期間」、「非特定期間」が「大当り遊技におけるラウンドと次回ラウンドとの間の期間」、「特別期間」が「大当り遊技が実行されている期間」(パチンコの場合)、(3)「特定期間」が「押し順ナビあり遊技中」、「非特定期間」が「押し順ナビなし遊技中」、「特別期間」が「ART遊技期間」(スロットの場合)を包含する記載となっており、これら(1)、(2)の解釈では、「非特定期間」に「獲得した価値」が大当り中のものではなく、(3)の解釈では、「非特定期間」に獲得する価値が理論的にはゼロではないことから、適当に押した押し順が、偶然正解すれば獲得できる程度の価値を合計して報知することを含むものとなることから、遊技機の技術分野における出願時の技術常識に照らしても、訂正前の請求項1に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえなかった。
しかしながら、本件訂正(上記「第2 2」)により、本件訂正発明は、上記「第3」のとおりとなり、本件訂正発明では、「前記有利状態中の特定期間」が「連チャン中における直近の大当りに制御されている期間」であり、「非特定期間」が「前記連チャン中に制御された大当りの集合から前記直近の大当りを除いた大当りに制御されている期間」であり、「特別期間」が、「前記連チャン中に制御された大当りの集合を構成する各大当りに制御されている期間を合計した期間」であり、いずれも大当り中であることが特定された。そのため、本件訂正発明は、上記(1)〜(3)のように解釈される余地はなくなった。
よって、本件訂正発明は、発明の詳細な説明に記載されたものであり、本件特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものでない。

明確性について
訂正前の請求項1には、「前記報知演出として、前記有利状態中の特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知と、前記特定期間と当該特定期間とは異なる非特定期間とを含む特別期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知と、を実行可能であり、前記第2報知として、前記特定期間において獲得した価値の大きさと、前記非特定期間において獲得した価値の大きさと、を合計した価値の大きさを報知し、」と記載されていたため、(1)「特定期間」は(連チャンが発生する契機となる)「大当り中」、「非特定期間」は(連チャンが発生する契機となった)「大当り中」とは異なる(次以降に発生する)「大当り中」、「特別期間」は「連チャン中」、(2)「特定期間」は「直近(最新)の「大当り中」」、「非特定期間」は「連チャン中にすでに発生した大当りの集合から、「特定期間」である直近(最新)の大当り(1つ)を除いた「大当り中」」、「特別期間」は「連チャン中」、(3)「特定期間」は、「大当り中の1ラウンド中」や「大当り中の(例えば、最初の)1分間」、「非特定期間」は、「大当り中の1ラウンド以外のラウンド中」や「大当り中の(例えば、最初の)1分間以外の期間」、「特別期間」は、「連チャン中における大当り中」、(4)「特定期間」が「実行中の大当り遊技中の期間」、「非特定期間」が「大当り遊技と大当り遊技との間の、確変遊技又は時短遊技が実行されている期間」、「特別期間」が「連チャン中の全ての大当り遊技及び確変遊技や時短遊技が実行されている期間」と解釈することができるものの、いずれであるのかが明瞭ではなかった。
しかしながら、本件訂正(上記「第2 2」)により、本件訂正発明は、上記「第3」のとおりとなり、本件訂正発明では、「前記有利状態中の特定期間」が「連チャン中における直近の大当りに制御されている期間」であり、「非特定期間」が「前記連チャン中に制御された大当りの集合から前記直近の大当りを除いた大当りに制御されている期間」であり、「特別期間」が、「前記連チャン中に制御された大当りの集合を構成する各大当りに制御されている期間を合計した期間」であり、上記(2)の解釈に沿ったものであることが明確となった。
よって、
は、明確であり、本件特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものでない。

第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
申立人は、特許異議申立書において、取消理由通知において通知した理由とは別に、本件特許は、特許法第29条第1項第3号、または、特許法第29条第2項の規定により、取り消されるべきものである旨主張しているので、以下検討する。

1 甲第1号証に基づく新規性及び進歩性について
(1)甲第1号証について
本件特許の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証(特開2014−303号公報)には、次の事項が記載されている。なお、下線は当審が付した。以下同様。

ア 記載事項
(ア)「【0002】
遊技機として、所定の賭数を設定し、スタート操作が行なわれたことに基づいて、複数種類の識別情報の可変表示が行なわれるスロットマシンや、遊技球などの遊技媒体を発射装置によって遊技領域に発射し、該遊技領域に設けられている入賞口などの始動領域に遊技媒体が入賞したときに複数種類の識別情報の可変表示が行なわれるパチンコ遊技機などがある。」

(イ)「【0007】
(1) 遊技者にとって有利な有利状態(たとえば、スロットマシン1におけるAT、パチンコ遊技機700における大当り遊技状態)に制御可能な遊技機(たとえば、スロットマシン1、パチンコ遊技機700)であって、
所定の情報を報知する報知手段(たとえば、スロットマシン1における液晶表示器51、パチンコ遊技機700における画像表示装置500)と、
前記報知手段を制御する報知制御手段(たとえば、スロットマシン1におけるサブ制御部91のATゲーム数上乗せ演出処理と純増数到達演出処理、パチンコ遊技機700における演出制御用マイクロコンピュータのラウンド数報知処理と賞球払出数報知処理)とを備え、
前記報知制御手段は、
前記有利状態において獲得された遊技価値(たとえば、スロットマシン1におけるメダル、パチンコ遊技機700における遊技球)に関する獲得達成条件(たとえば、スロットマシン1におけるAT中のメダルの純増数の1000枚到達、パチンコ遊技機700における大当り遊技状態中の賞球払出数の1000個到達)が成立したときに、当該獲得達成条件の成立を所定の態様で報知する制御(たとえば、スロットマシン1における図20(a)のように「1000枚GET!!」と数値で報知する制御、パチンコ遊技機700における「1000個到達!!」と数値で報知する制御)と、
前記有利状態において前記有利状態の期間(たとえば、スロットマシン1における上乗せATゲーム数、パチンコ遊技機700における大当り遊技の各ラウンド数)に関する期間関連条件(たとえば、スロットマシン1におけるATゲーム数の上乗せ決定、パチンコ遊技機700における大当り遊技の各ラウンドの終了)が成立したときに、当該期間関連条件の成立を前記獲得達成条件の成立における報知態様と同一または類似する態様(たとえば、数値画像を表示)で報知する制御(たとえば、スロットマシン1における図20(b)のように「50ゲームGET!!」と数値で報知する制御、パチンコ遊技機700における「1ラウンド終了!!」と数値で報知する制御)とが実行可能であり、
前記獲得達成条件の成立を報知する制御と、前記期間関連条件の成立を報知する制御とが併せて(たとえば、同一タイミング)実行されることを規制する規制手段(たとえば、スロットマシン1における図16のステップS150、図19のステップS240のようにATゲーム数上乗せ決定の報知タイミングをずらす処理、パチンコ遊技機700における図26のように賞球払出数の1000個到達の報知タイミングをずらす処理、変形例における図27(b)のようにATゲーム数の上乗せ決定を宝箱の画像で報知する演出態様を変更する処理)をさらに備える。」

(ウ)「【0372】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、前述した第1実施形態に係るスロットマシン1をパチンコ遊技機700に置き換えたものである。」

(エ)「【0418】
特別図柄ゲームにおける確定特別図柄として大当り図柄が停止表示されて特定表示結果としての「大当り」となった後、大当り遊技状態において、特別可変入賞球装置750の大入賞口扉が、所定の上限時間(たとえば29秒間)が経過するまでの期間あるいは所定個数(たとえば7個)の入賞球が発生するまでの期間で、大入賞口を開放状態とする。これにより、特別可変入賞球装置750を遊技者にとって有利な第1状態(開状態)とするラウンドが実行される。
【0419】
ラウンドの実行中に大入賞口を開放状態とした大入賞口扉は、遊技盤200の表面を落下する遊技球を受け止め、その後に大入賞口を閉鎖状態とすることにより、特別可変入賞球装置750を遊技者にとって不利な第2状態(閉鎖状態)に変化させて、1回のラウンドを終了させる。大入賞口の開放サイクルであるラウンドは、その実行回数が所定の上限回数(たとえば「15」など)に達するまで、繰り返し実行可能となっている。なお、ラウンドの実行回数が上限回数に達する前であっても、所定条件の成立(たとえば大入賞口に遊技球が入賞しなかったことなど)により、ラウンドの実行が終了するようにしてもよい。」

(オ)「【0428】
より具体的には、確変大当りが発生すると、大当り遊技状態の終了後に行なわれる特別図柄ゲームのカウントが開始され、当該カウントが100回に達したときに確変状態から通常状態に移行される。なお、以下では、大当り遊技状態の終了後に行なわれる特別図柄ゲームのカウント数を「変動回数カウント」と称する。
【0429】
また、変動回数カウントが100回に達するまでの間に確変大当りが発生した場合には確変状態に継続制御され、当該確変大当りに基づく大当り遊技状態の終了後から再び変動回数カウントのカウントが開始される。なお、以下では、確変大当りが連続発生して確変状態に連続制御されることを「連チャン」と称し、この確変状態の連続制御回数を「確変連チャン回数」と称する。確変連チャン回数が多いほど、長い期間に亘り確変状態に制御されるため、遊技者にとって有利であるといえる。
【0430】
変動回数カウントが100回に達した後には、確変状態から通常状態に移行されるため、確変連チャン回数のカウントはリセットされる。
【0431】
また、本実施の形態においては、確変連チャン回数は5回までに制限されている。すなわち、確変連チャン回数が5回目となる確変状態中に発生する大当りは100%通常大当りとなる。そして、確変連チャン回数が5回目となる確変状態中に通常大当りが発生した場合には、連続して制御された確変状態が終了し、通常状態に移行される。さらにこのとき、確変連チャン回数のカウントはリセットされる。
【0432】
[制御概要]
ここで、パチンコ遊技機700の制御概要を説明する。パチンコ遊技機700は、大当りにするか否かや確変大当りにするか通常大当りにするかなどを決定して遊技状態を制御するための遊技制御用マイクロコンピュータと、画像表示装置500を表示制御する演出制御用マイクロコンピュータとを備えている。」

(カ)「【0439】
また、大当り遊技状態において、遊技制御用マイクロコンピュータは、演出制御用マイクロコンピュータに対して、大入賞口が開放状態となっている期間であることを通知する大入賞口開放中通知コマンド、および大入賞口が開放状態から閉鎖状態に変化した期間であることを通知する大入賞口開放後通知コマンドを送信する。これらのコマンドを受けた演出制御用マイクロコンピュータは、大当り遊技状態におけるラウンド数をカウントする。そして、演出制御用マイクロコンピュータは、大当り遊技状態の各ラウンドが終了するごとに、画像表示装置500の画面上に、各ラウンドが終了したことを数値を用いて報知するラウンド数報知処理を実行する。
【0440】
また、大当り遊技状態において、遊技制御用マイクロコンピュータは、演出制御用マイクロコンピュータに対して、大当り遊技中における賞球の払出数を通知する払出数通知コマンドを送信する。このコマンド受けた演出制御用マイクロコンピュータは、大当り遊技中における賞球の払出数をカウントする。そして、演出制御用マイクロコンピュータは、カウントした賞球の払出数が1000個に到達したときに、画像表示装置500の画面上に、賞球の払出数が1000個に到達したことを数値を用いて報知する賞球払出数報知処理を実行する。」

(キ)「【0446】
図26に示すように、15ラウンドの大当り遊技状態における各ラウンドが終了するタイミングにおいてラウンド数報知処理が行なわれ、各ラウンドが終了した旨が画像表示装置500において報知される。たとえば、1ラウンド目の大当り遊技状態が終了するタイミングでは、1ラウンド目の大当り遊技状態が終了した旨が画像表示装置500において報知され、2ラウンド目の大当り遊技状態が終了するタイミングでは、2ラウンド目の大当り遊技状態が終了した旨が画像表示装置500において報知される。
【0447】
また、賞球払出数「P」が1000個に到達するときのラウンドが終了するタイミングにおいて賞球払出数報知処理が行なわれ、大当り遊技状態における賞球が1000個に到達した旨が画像表示装置500において報知される。
【0448】
ここで、ラウンドの終了を報知するタイミングおよび賞球払出数が1000個に到達したことを報知するタイミングは、いずれもラウンドが終了するタイミングであり、同じタイミングである。さらに、いずれの報知においても、画像表示装置500の画面上に数値を用いて報知される。そのため、ラウンドの終了を報知するタイミングと賞球払出数が1000個に到達したことを報知するタイミングとが同じタイミングで行なわれた場合、同じ装置において同し態様で複数の報知が行なわれることになり、遊技者に対して混同を生じさせる虞がある。
【0449】
そこで、本実施の形態において、演出制御用マイクロコンピュータは、ラウンドの終了を報知するタイミングと賞球払出数が1000個に到達したことを報知するタイミングとが重なるときには、両者が同一タイミングで報知されることを回避するため、賞球払出数が1000個に到達したことを報知するタイミングを後ろにずらす処理を行なう。」

イ 甲1発明
上記アの記載事項から、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が開示されていると認められる(aないしpは、本件訂正発明のAないしFに概ね対応させて当審が付与した。)。

「a 遊技球などの遊技媒体を発射装置によって遊技領域に発射し、該遊技領域に設けられている入賞口などの始動領域に遊技媒体が入賞したときに複数種類の識別情報の可変表示が行なわれ(【0002】)大当り遊技状態に制御可能なパチンコ遊技機700(【0007】)であって、
b 大当りにするか否かや確変大当りにするか通常大当りにするかなどを決定して遊技状態を制御するための遊技制御用マイクロコンピュータと、画像表示装置500を表示制御する演出制御用マイクロコンピュータとを備え(【0432】)、確変大当りが連続発生して確変状態に連続制御される「連チャン」を有し(【0429】)、
c、c1、c2 大当り遊技状態において、遊技制御用マイクロコンピュータは、演出制御用マイクロコンピュータに対して、大入賞口が開放状態となっている期間であることを通知する大入賞口開放中通知コマンド、および大入賞口が開放状態から閉鎖状態に変化した期間であることを通知する大入賞口開放後通知コマンドを送信し、これらのコマンドを受けた演出制御用マイクロコンピュータは、大当り遊技状態におけるラウンド数をカウントし、演出制御用マイクロコンピュータは、大当り遊技状態の各ラウンドが終了するごとに、画像表示装置500の画面上に、各ラウンドが終了したことを数値を用いて報知するラウンド数報知処理を実行し(【0439】)、
d 大当り遊技状態において、遊技制御用マイクロコンピュータは、演出制御用マイクロコンピュータに対して、大当り遊技中における賞球の払出数を通知する払出数通知コマンドを送信し、このコマンド受けた演出制御用マイクロコンピュータは、大当り遊技中における賞球の払出数をカウントし、演出制御用マイクロコンピュータは、カウントした賞球の払出数が1000個に到達したときに、画像表示装置500の画面上に、賞球の払出数が1000個に到達したことを数値を用いて報知する賞球払出数報知処理を実行し(【0440】)、
e 15ラウンドの大当り遊技状態における各ラウンドが終了するタイミングにおいてラウンド数報知処理が行なわれ、各ラウンドが終了した旨が画像表示装置500において報知され(【0446】)、賞球払出数「P」が1000個に到達するときのラウンドが終了するタイミングにおいて賞球払出数報知処理が行なわれ、大当り遊技状態における賞球が1000個に到達した旨が画像表示装置500において報知され(【0447】)、ラウンドの終了を報知するタイミングと賞球払出数が1000個に到達したことを報知するタイミングとが重なるときには、両者が同一タイミングで報知されることを回避するため、賞球払出数が1000個に到達したことを報知するタイミングを後ろにずらす処理を行なう(【0449】)、
f パチンコ遊技機700(【0007】)。」

(2)甲第2号証について
本件特許の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第2号証(特開2013−106805号公報)には、次の事項が記載されている。(なお、下線は当審が付した。)

ア 記載事項
(ア)「【0039】
次に、図4を用いて、パチンコ機100の制御部の回路構成について詳細に説明する。なお、同図は制御部の回路ブロック図を示したものである。パチンコ機100の制御部は、大別すると、遊技の中枢部分を制御する主制御部300と、主制御部300が送信するコマンド信号(以下、単に「コマンド」と呼ぶ)に応じて主に演出の制御を行う第1副制御部400と、第1副制御部400より送信されたコマンドに基づいて各種機器を制御する第2副制御部500と、主制御部300が送信するコマンドに応じて主に遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御部600と、遊技球の発射制御を行う発射制御部630と、パチンコ機100に供給される電源を制御する電源制御部660と、によって構成している。」

(イ)「【0158】
ステップS1001の次のステップS1003では、1回の大当り遊技で獲得した賞球数を含む累積賞球獲得情報を装飾図柄表示装置208を制御する制御基板(不図示)に送信する。例えば、第1副制御部400は、後述する図16のステップS1405においてRAM408の所定の記憶領域に記憶される賞球獲得情報を累積していき、累積した賞球獲得数を含む累積賞球獲得情報を当該制御基板に送信して、大当り開始コマンド受信時の第1副制御部賞球獲得情報生成処理を終了する。これにより、累積賞球獲得数が装飾図柄表示装置208の演出表示領域208dの所定箇所に表示される。」

(ウ)「【0246】
次に、本実施の形態によるパチンコ機100の特図変動遊技について図20乃至図32を用いてより具体的に説明する。まず、図20乃至図25を用いて本実施の形態の実施例1によるパチンコ機100に特図変動遊技について説明する。図20乃至図25は、本実施例によるパチンコ機100での特図変動遊技を説明する図である。本実施例では、可変入賞口234への所定数の遊技球の入賞に基づく所定賞球獲得数を1ラウンド終了毎に報知し、所定賞球獲得数に有効期間内における遊技球の入賞に基づく賞球獲得数と、当該賞球獲得数と当該所定賞球獲得数とを合算した全賞球獲得数とを大当り遊技終了後に報知する例について説明する。図20(a)乃至図25はこの順に、本実施例によるパチンコ機100での特図変動遊技を時系列で示している。」

イ 甲第2号証に記載の技術
上記アより、甲第2号証には、次の技術(以下、「甲2技術」という。)が記載されていると認められる。

「遊技の中枢部分を制御する主制御部300と、主制御部300が送信するコマンド信号に応じて主に演出の制御を行う第1副制御部400と、第1副制御部400より送信されたコマンドに基づいて各種機器を制御する第2副制御部500と(【0039】)、を備え、
1回の大当り遊技で獲得した賞球数を含む累積賞球獲得情報を装飾図柄表示装置208を制御する制御基板に送信し、第1副制御部400は、所定の記憶領域に記憶される賞球獲得情報を累積していき、累積した賞球獲得数を含む累積賞球獲得情報を当該制御基板に送信して、累積賞球獲得数が装飾図柄表示装置208の演出表示領域208dの所定箇所に表示され(【0158】)、
可変入賞口234への所定数の遊技球の入賞に基づく所定賞球獲得数を1ラウンド終了毎に報知し、所定賞球獲得数に有効期間内における遊技球の入賞に基づく賞球獲得数と、当該賞球獲得数と当該所定賞球獲得数とを合算した全賞球獲得数とを大当り遊技終了後に報知する(【0246】)、
パチンコ機100(【0039】)」

2 当審の判断
(1)対比
本件訂正発明と甲1発明とを対比する。

ア 構成Aについて
甲1発明の構成aの「遊技球などの遊技媒体を発射装置によって遊技領域に発射し、該遊技領域に設けられている入賞口などの始動領域に遊技媒体が入賞したときに複数種類の識別情報の可変表示が行なわれ」ること、「大当り遊技状態に制御可能」なこと、「パチンコ遊技機700」は、それぞれ本件訂正発明の構成Aの「遊技を行」うこと、「遊技者にとって有利な有利状態に制御可能」なこと、「遊技機」に相当する。
そうすると、甲1発明の構成aは本件訂正発明の構成Aに相当する構成を有するといえる。

イ 構成Bについて
甲1発明の構成bの「画像表示装置500を表示制御する」こと、「演出制御用マイクロコンピュータ」は、それぞれ本件訂正発明の構成Bの「報知演出を実行する」こと、「報知演出実行手段」に相当する。
そうすると、甲1発明の構成bは本件訂正発明の構成Bに相当する構成を有するといえる。

ウ 構成C、構成C1及び構成C2について
甲1発明の構成c、c1、c2では「大当り遊技状態において」「大当り遊技状態の各ラウンドが終了するごとに、画像表示装置500の画面上に、各ラウンドが終了したことを数値を用いて報知するラウンド数報知処理を実行し」、「大当り遊技中における賞球の払出数をカウントし」「カウントした賞球の払出数が1000個に到達したときに、画像表示装置500の画面上に、賞球の払出数が1000個に到達したことを数値を用いて報知する賞球払出数報知処理を実行」している。
ここで、甲1発明の構成c、c1、c2の「大当り遊技中」が本件訂正発明の構成Cの「大当りに制御されている期間」に相当するものの、甲1発明では、「大当り遊技中」の全期間に払い出された賞球数を報知しておらず、「大当り遊技中」に払い出された賞球の払出数が1000個に到達したことを報知しているだけである。
そうすると、甲1発明の「1000個に到達」したときの「報知」と、本件訂正発明の「連チャン中における直近の大当りに制御されている期間である特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知」とは、「大当りに制御されている期間において獲得した価値の大きさを報知」するという点で共通している。
よって、甲1発明と本件訂正発明とは「前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、大当りに制御されている期間において獲得した価値の大きさを報知する報知を実行可能であり、」「前記期間は、前記大当り制御されている期間である」点で共通する。

エ 構成Dについて
甲1発明の構成dでは「大当り遊技状態において」「大当り遊技中における賞球の払出数をカウントし、演出制御用マイクロコンピュータは、カウントした賞球の払出数が1000個に到達したときに、画像表示装置500の画面上に、賞球の払出数が1000個に到達したことを数値を用いて報知する賞球払出数報知処理を実行」することから、甲1発明と本件訂正発明とは、「前記報知として、前記期間において獲得した価値の大きさと、当該期間とは異なる期間において獲得した価値の大きさと、を合計した価値の大きさを報知」する点で共通する。

オ 構成Eについて
甲1発明の構成eでは「15ラウンドの大当り遊技状態における各ラウンドが終了するタイミングにおいてラウンド数報知処理が行なわれ、各ラウンドが終了した旨が画像表示装置500において報知され、賞球払出数「P」が1000個に到達するときのラウンドが終了するタイミングにおいて賞球払出数報知処理が行なわれ、大当り遊技状態における賞球が1000個に到達した旨が画像表示装置500において報知され、ラウンドの終了を報知するタイミングと賞球払出数が1000個に到達したことを報知するタイミングとが重なるときには、両者が同一タイミングで報知されることを回避するため、賞球払出数が1000個に到達したことを報知するタイミングを後ろにずらす処理を行な」っており、「ラウンド数報知」は、ある期間において獲得した価値の大きさを報知するものではないものの、「賞球払出数が1000個に到達した」「報知」と「各ラウンドが終了する」「ラウンド数報知」の「報知するタイミングとが重なるときには、両者が同一タイミングで報知されることを回避するため、賞球払出数が1000個に到達したことを報知するタイミングを後ろにずらす処理を行な」うものであるから、甲1発明と本件訂正発明とは、「前記報知と別の報知の実行期間が重複するときに、一方の報知を実行する一方で、他方の報知の実行期間を一方の報知の実行期間と重複しない期間に変更」する点で共通する。

カ 構成Fについて
甲1発明の構成fの「パチンコ遊技機700」は、本件訂正発明の「遊技機」に相当する。
そうすると、甲1発明の構成fは本件訂正発明の構成Fに相当する。

したがって、本件訂正発明と甲1発明とは、
[一致点]
「A 遊技を行い遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 報知演出を実行する報知演出実行手段
を備え、
C’前記報知演出実行手段は、
前記報知演出として、大当りに制御されている期間において獲得した価値の大きさを報知する報知を実行可能であり、
D’前記報知として、前記期間において獲得した価値の大きさと、当該期間とは異なる期間とを含む期間において獲得した価値の大きさと、を合計した価値の大きさを報知し、
E’前記報知と別の報知の実行期間が重複するときに、一方の報知を実行する一方で、他方の報知の実行期間を一方の報知の実行期間と重複しない期間に変更し、
C1’、C2’ 前記期間は、前記大当り制御されている期間である、
F 遊技機。」
である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1](構成C、C1及びC2)
「報知演出」を「実行可能」な「報知演出実行手段」に関して、
本件訂正発明では、「連チャン中における直近の大当りに制御されている期間である特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知と、前記特定期間と当該特定期間とは異なる非特定期間とを含む特別期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知と、を実行可能であ」るのに対して、
甲1発明では、「大当り遊技状態において」「大当り遊技状態の各ラウンドが終了するごとに、画像表示装置500の画面上に、各ラウンドが終了したことを数値を用いて報知するラウンド数報知処理を実行し」、「大当り遊技中における賞球の払出数をカウントし」、「カウントした賞球の払出数が1000個に到達したときに、画像表示装置500の画面上に、賞球の払出数が1000個に到達したことを数値を用いて報知する賞球払出数報知処理を実行し」ている点。

[相違点2](構成D)
「報知演出」を「実行可能」な「報知演出実行手段」に関して、
本件訂正発明では、「前記第2報知として、前記特定期間において獲得した価値の大きさと、前記非特定期間において獲得した価値の大きさと、を合計した価値の大きさを報知し」ているのに対して、
甲1発明では、「大当り遊技状態において」「大当り遊技中における賞球の払出数をカウントし」「カウントした賞球の払出数が1000個に到達したときに、画像表示装置500の画面上に、賞球の払出数が1000個に到達したことを数値を用いて報知する賞球払出数報知処理を実行し」ている点。

[相違点3](構成E)
「報知演出」を「実行可能」な「報知演出実行手段」に関して、
本件訂正発明では、「前記第1報知と前記第2報知の実行期間が重複するときに、前記第1報知を実行する一方で、前記第2報知の実行期間を前記第1報知の実行期間と重複しない期間に変更し」ているのに対して、
甲1発明では、「15ラウンドの大当り遊技状態における各ラウンドが終了するタイミングにおいてラウンド数報知処理が行なわれ、各ラウンドが終了した旨が画像表示装置500において報知され、賞球払出数「P」が1000個に到達するときのラウンドが終了するタイミングにおいて賞球払出数報知処理が行なわれ、大当り遊技状態における賞球が1000個に到達した旨が画像表示装置500において報知され、ラウンドの終了を報知するタイミングと賞球払出数が1000個に到達したことを報知するタイミングとが重なるときには、両者が同一タイミングで報知されることを回避するため、賞球払出数が1000個に到達したことを報知するタイミングを後ろにずらす処理を行な」っている点。

よって、本件訂正発明は甲1発明ではない。

そこで、以下、甲1発明に基づく進歩性について検討することとする。

(2)判断
ア 相違点1及び2について
相違点1及び2には密接に関連しているため併せて検討する。
甲1発明は、構成bで連チャンを有しているものの、連チャン中における直近の大当りに制御されている期間において獲得した価値の大きさを報知する報知(本件訂正発明の「第1報知」)と、当該期間と、当該期間とは異なる連チャン中の大当りに制御されている期間とを含む期間において獲得した価値の大きさを報知する別の報知(本件訂正発明の「第2報知」)とを実行することについて記載も示唆もされていないし、その点が甲2技術に何らの記載も示唆もなく、また、公知であることを示す証拠も提出されていない。
よって、上記相違点1及び2に係る本件訂正発明の構成とすることは、甲1発明及び甲2技術に接した当業者が容易に想到し得るとすることはできない。

イ 相違点3について
上記アで説示したとおり、甲1発明は、本件訂正発明の「第1報知」及び「第2報知」に関する点が記載も示唆もされておらず、また「第2報知」について公知であることを示す証拠も提出されていないため、上記相違点3に係る本件訂正発明の構成とすることは、甲1発明に接した当業者が容易に想到し得るとすることはできないが、念のため、甲2技術を甲1発明に適用可能かどうかについても検討することとする。
甲2技術は「可変入賞口234への所定数の遊技球の入賞に基づく所定賞球獲得数を1ラウンド終了毎に報知し、所定賞球獲得数に有効期間内における遊技球の入賞に基づく賞球獲得数と、当該賞球獲得数と当該所定賞球獲得数とを合算した全賞球獲得数とを大当り遊技終了後に報知する」ものである。
そうすると、各ラウンド毎にラウンド数を報知している甲1発明に甲2技術を適用できたとしても、甲1発明において、「各ラウンドが終了したことを数値を用いて報知」するときに「所定賞球獲得数」を報知するものにとどまり、「賞球払出数が1000個に到達したことを報知するタイミングとが重なるとき」にどのように処理するのかについては甲2技術に何らの記載も示唆もなく、また、「第1報知」及び「第2報知」について公知であることを示す証拠も提出されていない。
よって、本件訂正発明の「第1報知」及び「第2報知」に関する点に、甲1発明及び甲2技術に接した当業者が容易に想到し得るとすることはできない。
また、「各ラウンドが終了したことを数値を用いて報知」するときの「所定賞球獲得数」と「賞球払出数が1000個に到達したこと」の「報知」のタイミングが重なったときに、「賞球払出数が1000個に到達したこと」の「報知」のタイミングを「所定賞球獲得数」と重複しない期間に変更することが公知であることを示す証拠も提出されていない。
したがって、上記相違点3に係る本件訂正発明の構成とすることは、甲1発明及び甲2技術に接した当業者が容易に想到し得るとすることはできない。

ウ してみると、上記相違点1〜3に係る本件訂正発明の構成とすることは、甲1発明及び甲2技術に基いて、当業者が容易に想到し得たということはできない。

エ 申立人の主張
(ア)申立人は、異議申立書において、特に相違点について、次の主張をしている。

「エ)甲1発明に基づく相違点1の検討
相違点1においては、報知する対象が、甲1発明が「各ラウンドが終了した旨」であるのに対して、本件特許発明が「獲得した価値の大きさ」と表現されており、一見異なるもののようにも窺える。
しかしながら、甲1発明において、各ラウンド毎に与えられる価値は、例えば、甲第1号証の段落【0418】に、「大当り遊技状態において、特別可変入賞球装置750の・・・中略・・・」と記載されており、ここで、通常は29秒間のうちに7個の大入賞口への入賞球が発生して大入賞口が閉じられる蓋然性が極めて大きいことから(遊技に慣れていない初心者等が予測のできない打球を連発するような場合はさておき、通常、遊技者には、7個乃至10個(機種による)の入賞球が発生して大入賞口が閉じられることとなることが多いことは自明の事項である。)、遊技者には認識可能のものである。
これらをまとめてみれば、ラウンドが終了した旨の報知は、[7個(入賞球の数)×1つの入賞球当たりの賞球数]に相当する賞球が得られたことを実質的に表すことから、遊技者であれば、その価値(すなわち、1ラウンド当たりの賞球数。)を普通に認識できるし、通常その賞球数を念頭において遊技に望むことは当然の前提と言っても良い(・・・中略・・・)。
したがって、甲1発明において、「各ラウンドが終了した旨」の報知は、実質的に、「獲得した価値の大きさ」を報知することに等しく、相当関係にある。
よって、相違点は、表現が異なるだけで、実質的な相違点ではない。
そうすると、本件特許発明は、実質的に甲1発明である。」(異議申立書17頁1行〜26行)

(イ)上記(ア)の申立人の主張に対しては、本件訂正発明と甲1発明とに相違点1〜3があることは、上記「(1)対比」で説示したとおりであるとともに、「ラウンドが終了した旨」の報知と、「獲得した価値の大きさ」の報知とが、異なる報知であることは明らかであるため、それらが実質的に等しく、相当関係にあるという申立人の主張は妥当ではなく採用することができない。

(ウ)また、申立人は、異議申立書において、さらに、次の主張をしている。

「なお、仮に、相違点1を実質的な相違点とみる余地があったとしても、次に説明するとおり、さらに甲第2号証に記載された発明(以下、「甲2発明」と略記する。)を適用することにより、相違点1は、当業者が容易になし得たものである。
・・・中略・・・
カ)甲1発明及び甲2発明等に基づく相違点1の検討
甲2発明は、換言すれば、甲1発明のような遊技機(遊技台)において、1ラウンド毎に与えられた賞球数を報知する報知手段を有するものである。
また、そのように1ラウンド毎に与えられた賞球数を表示することは、甲2発明以外にも、例をあげるまでもなく古くから知られている報知手段であって、周知技術である。
そして、入賞球によりどの程度の数の賞球が獲得できたかを知ることが遊技者の通常の欲求であり、それが、単純入賞獲得数は勿論、ラウンド入賞獲得数、総入賞獲得数のいずれであっても変わらないことは当業者にとって自明であるから、一つの趣向として、甲1発明においてラウンド数が獲得賞球数の目安になることを契機として、より具体的な獲得賞球数を報知するための手段として甲2発明の報知手段又は周知技術を採用して相違点1の如き構成を実現することは、報知の際の表現の態様又は演出の有様が異なる程度であって、その技術分野の機能又は作用の共通性からみて、当業者であれば容易に想到し得るものであるといえる。
その上、甲1発明の解決しようとする課題が、「複数の報知対象を液晶表示器などの同じ手段を用いて報知する場合には、当該複数の報知対象の報知が重なることにより遊技者に対して混同を生じさせる虞があった。」(【0005】)にあることを想起してみれば、相違点1に関して、甲1発明の報知を好悪2発明に示す類似の報知手段又は周知技術に転換したとしても、同様の課題が存在し、そして甲1発明の構成eによりその課題が解決されることは当業者にとって明らかである。」(異議申立書17頁27行〜19頁17行)

(エ)上記(ウ)の申立人の主張に対しては、本件訂正発明と甲1発明とに相違点1〜3があることは、上記「(1)対比」で説示したとおりであるとともに、各ラウンド毎にラウンド数を報知している甲1発明に甲2技術を適用する動機付けはないし、仮に適用できたとしても、甲1発明において、「各ラウンドが終了したことを数値を用いて報知」するときに「所定賞球獲得数」を報知するものにとどまり、「賞球払出数が1000個に到達したことを報知するタイミングとが重なるとき」にどのように処理するのかについては甲2技術に何らの記載も示唆もないことは、上記「イ 相違点3について」で説示したとおりである。
よって、申立人の主張は妥当ではなく採用することができない。

(3)まとめ
以上のことから、本件訂正発明は、甲1発明ではなく、また、本件訂正発明は、甲1発明及び甲2技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
よって、本件訂正発明は、特許法第29条第1項第3号の規定及び特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。

第7 特許異議申立人の意見
申立人は、意見書(4頁8行〜25行)において「これらの記載によれば、「第2報知」は、「累積賞球数報知演出」は、連チャン中における大当り中に賞球として払い出された累積賞球数が「5000個」や「10000個」に到達したことを報知する、いわゆる到達報知である。(本件特許明細書等には、第2報知は、累積賞球数が、所定数(5000個、10000個、20000個、30000個)に到達したことを報知するものであることしか記載されていない)。
しかしながら、本件訂正発明の構成E及びIでは、「第2報知」は、「連チャン中に制御された大当りの集合を構成する各大当りに制御されている期間を合計した期間」である「特別期間において獲得した価値の大きさを報知する」とのみ記載され、報知の契機となる賞球数や報知タイミングについては何ら特定されていない。このため、本件訂正発明の「第2報知」は、連チャン中の大当り中に賞球として払い出された累積賞球を計数し、その計数値を表示すること(例えばリアルタイムで表示することなど)なども含むものとなっている。
そうすると、訂正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に関する訂正は、本件特許の明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではないこととなる。」及び意見書(8頁7行〜9頁11行)において、「以上に摘記した如く、本件特許明細書の発明の詳細な説明等には、賞球数を計数して計数値を逐一表示するのではなく、獲得した賞球数がある特定値に到達したことを報知するものが記載されている。・・・中略・・・そうすると、訂正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、本件特許の明細書又は図面に記載した事項の範囲を超えて、幅広く他の報知の態様であっても含むこととなる。
したがって、特許請求の範囲の請求項1の記載に関する訂正は、本件特許の明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。」と主張している。
しかしながら、上記「第3」の構成Dで「前記第2報知として、前記特定期間において獲得した価値の大きさと、前記非特定期間において獲得した価値の大きさと、を合計した価値の大きさを報知し、」、構成Eで「前記第1報知と前記第2報知の実行期間が重複するときに、前記第1報知を実行する一方で、前記第2報知の実行期間を前記第1報知の実行期間と重複しない期間に変更し、」と記載されているから、それらを併せて考慮すると、申立人が主張するように「第2報知」を「リアルタイムで表示する」と、「第1報知」を実行するときには、常に「第2報知」の実行期間が重複することとなる上、「第2報知」は常に実行されていることから、「第2報知の実行期間」を「変更する」との記載との整合性がとれなくなるため、「第2報知」を「リアルタイムで表示する」態様が合理的でないことは明らかであって、上記申立人の主張は妥当ではないから採用することができない。
また、申立人は、意見書(9頁23行〜10頁10行)において「そうすると、連チャン中の大当りと大当たりとの間の、確変状態や時短状態等の期間が、連チャン及び大当りの制御と関連して制御されることが普通であるにもかかわらず、構成要件Iに含まれてしまい、前記のとおり、「本件特許の明細書には、特別期間は、大当たり中に獲得した価値としての賞球数を報知することのみが」記載されていることからみれば、それ以外の賞球数を報知することを含み得ることとなる。
そうすると、訂正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、本件特許の明細書又は図面に記載した事項の範囲を超えて、幅広く他の報知の態様であっても含むこととなる。
したがって、特許請求の範囲の請求項1の記載に関する訂正は、本件特許の明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。」と主張している。
しかしながら、本件訂正により、上記申立人が主張する「それ以外の賞球数を報知すること」を含まなくなったことは、上記「第5 2」で説示したとおりであるから、上記申立人の主張は妥当ではないから採用することができない。

第8 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由、特許異議申立書に記載した理由及び証拠方法によっては、本件訂正後の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件訂正後の請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】遊技機
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機等の遊技機に係り、詳しくは、遊技を行う遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機として、大当り後に通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態の発生契機となる特別大当りを含む複数種類の大当りを実行可能なものがある。更に、遊技者が大当り中に獲得した獲得球数を計数するものがある。
【0003】
このような遊技機において、獲得球数を遊技者に報知するものが提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−152595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
こうした特許文献1に記載の技術では、獲得球数を遊技者に報知する報知演出を含む複数の報知演出を実行する場合に、好適に実行することができない虞がある。
【0006】
この発明は、上記実情に鑑みて成されたものであり、複数の報知演出を好適に実行させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(A)上記目的を達成するため、本願発明に係る遊技機は、遊技を行い遊技者にとって有利な有利状態である大当りに制御可能な遊技機であって、報知演出を実行する報知演出実行手段を備え、前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、連チャン中における直近の大当りに制御されている期間である特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知と、前記特定期間と当該特定期間とは異なる非特定期間とを含む特別期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知と、を実行可能であり、前記第2報知として、前記特定期間において獲得した価値の大きさと、前記非特定期間において獲得した価値の大きさと、を合計した価値の大きさを報知し、前記第1報知と前記第2報知の実行期間が重複するときに、前記第1報知を実行する一方で、前記第2報知の実行期間を前記第1報知の実行期間と重複しない期間に変更し、前記非特定期間は、前記連チャン中に制御された大当りの集合から前記直近の大当りを除いた大当りに制御されている期間であり、前記特別期間は、前記連チャン中に制御された大当りの集合を構成する各大当りに制御されている期間を合計した期間である、ことを特徴とする。
(1)上記目的を達成するため、本願発明に係る遊技機は、遊技を行い遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機(例えばパチンコ遊技機1、パチスロ機等)であって、報知演出を実行する報知演出実行手段(例えば賞球数報知演出、獲得枚数報知演出、累積賞球数報知演出、累積獲得枚数報知演出、確変確定報知演出、連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知、右打ち報知、エラー報知、大当り中昇格演出を実行する演出制御用CPU120等)を備え、前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、前記有利状態中の特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知(例えば大当り中に賞球として払い出された賞球数を報知する賞球数報知演出等)と、特別期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知(例えば連チャン中における大当り中に賞球として払い出された賞球数を報知する賞球数報知演出等)とを実行可能であり、前記第2報知よりも前記第1報知の優先度合いが高い(例えば図22の累積賞球数報知演出動作制御処理におけるステップS397の処理にて、賞球数報知演出が実行中である場合には、累積賞球数報知演出は実行されないこと等)。
【0008】
このような構成によれば、複数の報知演出を好適に実行することができる。
【0009】
(2)上記(1)の遊技機において、遊技媒体(例えば遊技球等)が入賞容易な第1状態(例えば下大入賞口を開放状態とすること等)と、入賞困難な第2状態(例えば下大入賞口を閉鎖状態とすること等)とに変化可能な可変入賞手段(例えば特別可変入賞球装置7B等)を備え、前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、前記可変入賞手段に入賞した遊技媒体が特定領域を通過したことを報知する第3報知(例えば下大入賞口に入賞した遊技球が特定領域を通過したことを報知する確変確定報知演出等)を実行可能であり、前記第1報知よりも前記第3報知の優先度合いが高い(例えば図21に示す賞球数報知演出動作制御処理におけるステップS216にて確変確定報知演出の実行中である場合には、ステップS220にて確変確定報知演出が実行されているレイヤーよりも下位のレイヤーで賞球数報知演出を実行するための動作制御を行うこと等)。
【0010】
このような構成においては、適切な報知を実行することができる。
【0011】
(3)上記(1)又は(2)の遊技機において、遊技者にとって有利な有利状態(例えば大当り遊技状態等)に制御可能であり、前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、前記特別期間において前記有利状態に制御された回数を報知する第4報知(例えば連チャン回数を報知する連チャン回数報知等)を実行可能であり、前記第4報知よりも前記第1報知の優先度合いが高い(例えば図23における連チャン回数報知動作制御処理におけるステップS462にて賞球数報知演出の実行中である場合には、ステップS468にて賞球数報知演出が実行されているレイヤーよりも下位のレイヤーで連チャン回数報知を実行するための動作制御を行うこと等)。
【0012】
このような構成においては、適切な報知を実行することができる。
【0013】
(4)上記(1)から(3)のうちいずれかの遊技機において、前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、前記特定期間において実行される他の演出に関する情報を報知する第5報知(例えば大当り中に再生されている楽曲名を報知する大当り中楽曲名報知等)を実行可能であり、前記第5報知よりも前記第1報知の優先度合いが高い(例えば図24における大当り中楽曲名報知動作制御処理におけるステップS472にて賞球数報知演出の実行中である場合には、ステップS478にて賞球数報知演出が実行されているレイヤーよりも下位のレイヤーで大当り中楽曲名報知を実行するための動作制御を行うこと等)。
【0014】
このような構成においては、適切な報知を実行することができる。
【0015】
(5)上記(1)から(4)のうちいずれかの遊技機において、前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、前記特定期間において特別価値が付与されるか否かを報知する第6報知(例えば確変状態に制御するか否かの報知演出となる大当り中昇格演出等)を実行可能であり、前記第6報知を実行するまでは前記第2報知の実行を制限してもよい(例えば図22に示す累積賞球数報知演出動作制御処理におけるステップS391にて大当り中昇格演出が終了していなければ、累積賞球数報知演出は実行されないこと等)。
【0016】
このような構成においては、演出状況に合わせた報知を実行することができる。
【0017】
(6)上記(1)から(5)のうちいずれかの遊技機において、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能であり、前記特定期間は、前記有利状態に制御される期間(例えば大当り中等)であってもよい。
【0018】
このような構成においては、有利状態における演出効果を向上させることができる。
【0019】
(7)上記(1)から(6)のうちいずれかの遊技機において、遊技者にとって有利な有利状態(例えば大当り遊技状態等)に制御可能であると共に、前記有利状態に制御された後に、遊技者にとって有利な特別状態(例えば確変状態や時短状態等)に制御可能であり、前記有利状態に制御されてから通常状態に制御されるまでの期間(例えば連チャン中等)であってもよい。
【0020】
このような構成においては、有利状態に制御されてから通常状態に制御されるまでの期間における演出効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この実施の形態におけるパチンコ遊技機の正面図である。
【図2】パチンコ遊技機に搭載された各種の制御基板等を示す構成図である。
【図3】遊技制御用タイマ割込み処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】センサエラー報知処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】特別図柄プロセス処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】特別図柄通常処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】特図表示結果や大当り種別の決定例を示す図である。
【図8】特別図柄停止処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】大当り開放前処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】開放する大入賞口や大入賞口開放上限時間の決定例を示す図である。
【図11】大当り開放中処理の一例を示すフローチャートである。
【図12】ラウンド遊技の実行例を示す説明図である。
【図13】大当り開放後処理の一例を示すフローチャート等である。
【図14】大当り終了処理の一例を示すフローチャートである。
【図15】演出制御メイン処理の一例を示すフローチャートである。
【図16】コマンド解析処理の一例を示すフローチャートである。
【図17】エラー報知処理の一例を示すフローチャー卜である。
【図18】演出制御プロセス処理の一例を示すフローチャートである。
【図19】大当り中演出処理の一例を示すフローチャート等である。
【図20】確変確定報知演出動作制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図21】賞球数報知演出動作制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図22】累積賞球数報知演出動作制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図23】連チャン回数報知動作制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図24】大当り中楽曲名報知動作制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図25】報知画像とZ軸との関係等の一例を示す図である。
【図26】Z値設定テーブル等の一例を示す図である。
【図27】賞球数報知演出、累積賞球数報知演出、連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知の実行期間が重なった場合に対応した報知画像を例示する図である。
【図28】確変確定報知演出、賞球数報知演出、連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知の実行期間が重なった場合に対応した報知画像を例示する図である。
【図29】エラー報知、賞球数報知演出、連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知の実行期間が重なった場合に対応した報知画像を例示する図である。
【図30】エラー報知、確変確定報知演出、連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知の実行期間が重なった場合に対応した報知画像を例示する図である。
【図31】第1変形例における報知画像とZ軸との関係等の一例を示す図である。
【図32】第2変形例における報知画像とZ軸との関係等の一例を示す図である。
【図33】第3変形例における報知画像とZ軸との関係等の一例を示す図である。
【図34】第4変形例における報知画像とZ軸との関係等の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施の形態におけるパチンコ遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤と、遊技盤を支持固定する遊技機用枠3とから構成されている。遊技盤には、ガイドレールによって囲まれた、略円形状の遊技領域2が形成されている。この遊技領域2には、遊技媒体としての遊技球が、所定の打球発射装置から発射されて打ち込まれる。
【0023】
遊技盤の所定位置には、第1特別図柄表示装置4Aと、第2特別図柄表示装置4Bとが設けられている。第1特別図柄表示装置4Aと第2特別図柄表示装置4Bはそれぞれ、例えば7セグメントやドットマトリクスのLED等から構成され、可変表示ゲームの一例となる特図ゲームにおいて、各々を識別可能な複数種類の識別情報である特別図柄が、変動可能に表示される。例えば、第1特別図柄表示装置4Aと第2特別図柄表示装置4Bはそれぞれ、「0」〜「9」を示す数字や「−」を示す記号等から構成される複数種類の特別図柄を可変表示する。
【0024】
なお、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bにおいて表示される特別図柄は、「0」〜「9」を示す数字や「−」を示す記号等から構成されるものに限定されず、例えば7セグメントのLEDにおいて点灯させるものと消灯させるものとの組み合わせを異ならせた複数種類の点灯パターンが、複数種類の特別図柄として予め設定されていればよい。以下では、第1特別図柄表示装置4Aにおいて可変表示される特別図柄を「第1特図」ともいい、第2特別図柄表示装置4Bにおいて可変表示される特別図柄を「第2特図」ともいう。
【0025】
遊技盤における遊技領域2の中央付近には、画像表示装置5が設けられている。画像表示装置5は、例えばLCD等から構成され、各種の演出画像を表示する表示領域を形成している。画像表示装置5の表示領域では、特図ゲームにおける第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図の可変表示や第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図の可変表示のそれぞれに対応して、例えば3つといった複数の可変表示部となる飾り図柄表示エリアにて、各々を識別可能な複数種類の識別情報である飾り図柄が可変表示される。この飾り図柄の可変表示も、可変表示ゲームに含まれる。
【0026】
一例として、画像表示装置5の表示領域には、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアが配置されている。そして、特図ゲームにおいて第1特別図柄表示装置4Aにおける第1特図の変動と第2特別図柄表示装置4Bにおける第2特図の変動のうち、いずれかが開始されることに対応して、「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリアにおいて飾り図柄の変動が開始される。その後、特図ゲームにおける可変表示結果として確定特別図柄が停止表示されるときに、画像表示装置5における「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリアにて、飾り図柄の可変表示結果となる確定飾り図柄が停止表示される。
【0027】
このように、画像表示装置5の表示領域では、第1特別図柄表示装置4Aにおける第1特図を用いた特図ゲーム、又は第2特別図柄表示装置4Bにおける第2特図を用いた特図ゲームと同期して、各々が識別可能な複数種類の飾り図柄の可変表示を行い、可変表示結果となる確定飾り図柄を導出表示する。なお、例えば特別図柄や飾り図柄といった、各種の表示図柄を導出表示するとは、飾り図柄等の識別情報を停止表示して可変表示を終了させることである。これに対して、飾り図柄の可変表示を開始してから可変表示結果となる確定飾り図柄が導出表示されるまでの可変表示中には、飾り図柄の変動速度が「0」となって、飾り図柄が停留して表示され、例えば微少な揺れや伸縮等を生じさせる表示状態となることがある。このような表示状態は、仮停止表示ともいい、可変表示における表示結果が確定的に表示されていないものの、スクロール表示や更新表示による飾り図柄の変動が進行していないことを遊技者が認識可能となる。なお、仮停止表示には、微少な揺れや伸縮等も生じさせず、所定時間よりも短い時間だけ、飾り図柄を完全停止表示すること等が含まれてもよい。
【0028】
画像表示装置5の表示領域には、始動入賞記憶表示エリアが配置されてもよい。始動入賞記憶表示エリアでは、可変表示の保留数を特定可能に表示する保留記憶表示が行われる。ここで、可変表示の保留は、普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口や普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口に遊技球が進入したことに基づき、特図ゲームや飾り図柄の可変表示といった可変表示ゲームを実行するための始動条件は成立したが、先に成立した開始条件に基づく可変表示ゲームが実行中であることやパチンコ遊技機1が大当り遊技状態に制御されていること等により、可変表示ゲームを開始するための開始条件は成立していないときに発生する。
【0029】
例えば、第1始動入賞口を遊技球が通過する第1始動入賞の発生により、第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図を用いた特図ゲームの始動条件が成立したときに、当該第1始動条件の成立に基づく第1特図を用いた特図ゲームを開始するための第1開始条件が成立しなければ、第1特図保留記憶数が1加算され、第1特図を用いた特図ゲームの実行が保留される。また、第2始動入賞口を遊技球が通過する第2始動入賞の発生により、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図を用いた特図ゲームの始動条件が成立したときに、当該第2始動条件の成立に基づく第2特図を用いた特図ゲームを開始するための第2開始条件が成立しなければ、第2特図保留記憶数が1加算され、第2特図を用いた特図ゲームの実行が保留される。これに対して、第1特図を用いた特図ゲームの実行が開始されるときには、第1特図保留記憶数が1減算される。第2特図を用いた特図ゲームの実行が開始されるときには、第2特図保留記憶数が1減算される。
【0030】
第1特図保留記憶数と第2特図保留記憶数とを加算した可変表示の保留記憶数は、特に、合計保留記憶数ともいう。単に「特図保留記憶数」というときには、通常、第1特図保留記憶数、第2特図保留記憶数及び合計保留記憶数のいずれも含む概念を指すが、特に、これらの一部を指すこともあるものとする。
【0031】
始動入賞記憶表示エリアと共に、あるいは始動入賞記憶表示エリアに代えて、特図保留記憶数を表示する表示器を設けるようにしてもよい。図1に示す例では、始動入賞記憶表示エリアと共に、第1特別図柄表示装置4A及び第2特別図柄表示装置4Bの上部に、特図保留記憶数を特定可能に表示するための第1保留表示器25Aと第2保留表示器25Bとが設けられている。第1保留表示器25Aは、第1特図保留記憶数を特定可能に表示する。第2保留表示器25Bは、第2特図保留記憶数を特定可能に表示する。第1保留表示器25Aと第2保留表示器25Bはそれぞれ、例えば第1特図保留記憶数と第2特図保留記憶数のそれぞれにおける上限値に対応した個数のLEDを含んで構成されている。
【0032】
遊技盤の盤面上に形成された遊技領域2には、画像表示装置5の天辺よりも左側の左遊技領域2Aと、右側の右遊技領域2Bとがある。第1遊技領域である左遊技領域2Aと、第2遊技領域である右遊技領域2Bは、例えば遊技領域2の内部における画像表示装置5の端面や釘の配列PL等により区分けされていればよい。打球発射装置から発射されて遊技領域2に打ち込まれた遊技球は、第1遊技領域である左遊技領域2Aへと誘導された場合に、例えば釘の配列PLに沿って誘導されることにより、第2遊技領域である右遊技領域2Bへと誘導不可能又は誘導困難となる。
【0033】
左遊技領域2Aには、普通入賞球装置6Aが設けられている。例えば普通入賞球装置6Aは、画像表示装置5の中央下方に設けられている。普通入賞球装置6Aは、例えば所定の玉受部材によって常に一定の開放状態に保たれる第1始動入賞口を形成する。このように、左遊技領域2Aには、常時遊技球が進入可能な第1始動入賞口を形成する普通入賞球装置6Aが設けられている。
【0034】
右遊技領域2Bには、普通可変入賞球装置6Bと通過ゲート41とが設けられている。例えば普通可変入賞球装置6Bは、画像表示装置5の右側方に設けられ、通過ゲート41は、普通可変入賞球装置6Bの上方に設けられている。普通可変入賞球装置6Bは、図2に示す普通電動役物用のソレノイド81によって垂直位置となる閉鎖状態と傾動位置となる開放状態とに変化する一対の可動翼片を有する電動チューリップ型役物を備え、第2始動入賞口を形成する。一例として、普通可変入賞球装置6Bでは、普通電動役物用のソレノイド81がオフ状態であるときに可動翼片が垂直位置となることにより、第2始動入賞口を遊技球が通過しない閉鎖状態にする。その一方で、普通可変入賞球装置6Bでは、普通電動役物用のソレノイド81がオン状態であるときに可動翼片が傾動位置となることにより、第2始動入賞口を遊技球が通過できる開放状態にする。なお、普通可変入賞球装置6Bは、ソレノイド81がオフ状態であるときに通常開放状態となり、第2始動入賞口を遊技球が進入できる一方、ソレノイド81がオン状態であるときの拡大開放状態よりも遊技球が進入し難いように構成してもよい。このように、右遊技領域2Bには、第2始動入賞口を遊技球が通過可能な第1可変状態と、遊技球が通過不可能又は通過困難な第2可変状態とに変化可能な普通可変入賞球装置6Bが設けられている。
【0035】
左遊技領域2Aや右遊技領域2Bにおける普通入賞球装置6Aや普通可変入賞球装置6B等の配置により、第1遊技領域である左遊技領域2Aへと誘導された遊技球は、第2遊技領域である右遊技領域2Bに設けられた通過ゲート41を通過したり、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口を通過したりすることが不可能又は困難である。加えて、第2遊技領域である右遊技領域2Bへと誘導された遊技球は、第1遊技領域である左遊技領域2Aに設けられた普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口を通過することが不可能又は困難である。
【0036】
普通入賞球装置6Aに形成された第1始動入賞口に進入した遊技球は、例えば図2に示す第1始動口スイッチ22Aによって検出される。普通可変入賞球装置6Bに形成された第2始動入賞口に進入した遊技球は、例えば図2に示す第2始動口スイッチ22Bによって検出される。第1始動口スイッチ22Aによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数の遊技球が賞球として払い出され、第1保留記憶数が所定の上限値以下であれば、第1始動条件が成立する。第2始動口スイッチ22Bによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数の遊技球が賞球として払い出され、第2保留記憶数が所定の上限値以下であれば、第2始動条件が成立する。なお、第1始動口スイッチ22Aによって遊技球が検出されたことに基づいて払い出される賞球の個数と、第2始動口スイッチ22Bによって遊技球が検出されたことに基づいて払い出される賞球の個数は、互いに同一の個数であってもよいし、異なる個数であってもよい。
【0037】
普通可変入賞球装置6Bの下方には、2つの特別可変入賞球装置7A、7Bが設けられている。即ち、特別可変入賞球装置7A、7Bは、第2遊技領域となる右遊技領域2Bに設けられている。
【0038】
特別可変入賞球装置7Aは、図2に示す上大入賞口扉用のソレノイド82Aによって開閉駆動される上大入賞口扉を備え、その上大入賞口扉によって開放状態と閉鎖状態とに変化する上大入賞口を形成する。一例として、特別可変入賞球装置7Aでは、上大入賞口扉用のソレノイド82Aがオフ状態であるときに上大入賞口扉が上大入賞口を閉鎖状態にする。その一方で、特別可変入賞球装置7Aでは、上大入賞口扉用のソレノイド82Aがオン状態であるときに上大入賞口扉が上大入賞口を開放状態にする。特別可変入賞球装置7Aに形成された上大入賞口に進入した遊技球は、例えば図2に示す上大入賞口スイッチ23Aによって検出される。
【0039】
特別可変入賞球装置7Bは、図2に示す下大入賞口扉用のソレノイド82Bによって開閉駆動される下大入賞口扉を備え、その下大入賞口扉によって開放状態と閉鎖状態とに変化する下大入賞口を形成する。一例として、特別可変入賞球装置7Bでは、下大入賞口扉用のソレノイド82Bがオフ状態であるときに下大入賞口扉が下大入賞口を閉鎖状態にする。その一方で、特別可変入賞球装置7Bでは、下大入賞口扉用のソレノイド82Bがオン状態であるときに下大入賞口扉が下大入賞口を開放状態にする。特別可変入賞球装置7Bに形成された下大入賞口に進入した遊技球は、例えば図2に示す下大入賞口スイッチ23Bや特定領域スイッチ24によって検出される。
【0040】
特別可変入賞球装置7Aが形成する上大入賞口や特別可変入賞球装置7Bが形成する下大入賞口を遊技球が通過することにより、多数の遊技球が賞球として払い出される。即ち、特別可変入賞球装置7Aは、上大入賞口扉により上大入賞口を開放状態とすることにより、遊技者にとって有利な第1状態となる。特別可変入賞球装置7Bは、下大入賞口扉により下大入賞口を開放状態とすることにより、遊技者にとって有利な第1状態となる。一方、特別可変入賞球装置7Aは、上大入賞口扉により上大入賞口を閉鎖状態とすることにより、遊技者にとって不利な第2状態となる。特別可変入賞球装置7Bは、下大入賞口扉により下大入賞口を閉鎖状態とすることにより、遊技者にとって不利な第2状態となる。なお、遊技球が上大入賞口や下大入賞口を通過できない閉鎖状態に代えて、あるいは閉鎖状態の他に、遊技球が上大入賞口々下大入賞口を通過し難い一部開放状態を設けてもよい。
【0041】
遊技盤の所定位置には、普通図柄表示器20が設けられている。一例として、普通図柄表示器20は、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bと同様に7セグメントやドットマトリクスのLED等から構成され、特別図柄とは異なる複数種類の識別情報である普通図柄を変動可能に表示する。このような普通図柄の可変表示は、普図ゲームと称される。
【0042】
遊技盤の表面には、上記の構成以外にも、遊技球の流下方向や速度を変化させる風車、及び多数の障害釘が設けられている。また、第1始動入賞口、第2始動入賞口及び大入賞口とは異なる入賞口として、例えば所定の玉受部材によって常に一定の開放状態に保たれる単一又は複数の一般入賞口が設けられてもよい。この場合には、一般入賞口のいずれかに進入した遊技球が所定の一般入賞球スイッチによって検出されたことに基づき、所定個数の遊技球が賞球として払い出されればよい。遊技領域2の最下方には、いずれの入賞口にも進入しなかった遊技球が取り込まれるアウト口が設けられている。
【0043】
遊技機用枠3の左右上部位置には、効果音等を再生出力するためのスピーカ8L、8Rが設けられており、更に遊技領域2の周辺部には、遊技効果ランプ9が設けられている。パチンコ遊技機1の遊技領域2における各構造物の周囲には、装飾用LEDが配置されていてもよい。
【0044】
パチンコ遊技機1における筐体前面の右下方には、遊技媒体としての遊技球を遊技領域2に向けて発射するために遊技者等によって操作される打球操作ハンドルが設けられている。例えば、打球操作ハンドルは、遊技者等による操作量に応じて遊技球の弾発力を調整する。打球操作ハンドルには、打球発射装置が備える発射モータの駆動を停止させるための単発発射スイッチや、タッチリングが設けられていればよい。遊技領域2の下方における所定位置には、賞球として払い出された遊技球や所定の球貸機により貸し出された遊技球を、打球発射装置へと供給可能に保持する上皿が設けられている。上皿の下方には、上皿から溢れた余剰球等を、パチンコ遊技機1の外部へと排出可能に保持する下皿が設けられている。
【0045】
パチンコ遊技機1には、例えば図2に示すような主基板11、演出制御基板12、音声制御基板13、ランプ制御基板14といった、各種の制御基板が搭載されている。また、パチンコ遊技機1には、主基板11と演出制御基板12との間で伝送される各種の制御信号を中継するための中継基板15等も搭載されている。その他にも、パチンコ遊技機1における遊技盤等の背面には、例えば払出制御基板、情報端子基板、発射制御基板、インタフェース基板、タッチセンサ基板等といった、各種の基板が配置されている。
【0046】
主基板11は、メイン側の制御基板であり、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための各種回路が搭載されている。主基板11は、主として、特図ゲームにおいて用いる乱数の設定機能、所定位置に配設されたスイッチ等からの信号の入力を行う機能、演出制御基板12等から成るサブ側の制御基板に宛てて、指令情報の一例となる制御コマンドを制御信号として出力して送信する機能、ホールの管理コンピュータに対して各種情報を出力する機能等を備えている。また、主基板11は、第1特別図柄表示装置4Aと第2特別図柄表示装置4Bを構成する各LED等の点灯/消灯制御を行って第1特図や第2特図の可変表示を制御することや、普通図柄表示器20の点灯/消灯/発色制御等を行って普通図柄表示器20による普通図柄の可変表示を制御することといった、所定の表示図柄の可変表示を制御する機能も備えている。
【0047】
主基板11には、例えば遊技制御用マイクロコンピュータ100やスイッチ回路110、ソレノイド回路111等が搭載されている。スイッチ回路110は、遊技球検出用の各種スイッチからの検出信号を取り込んで遊技制御用マイクロコンピュータ100に伝送する。ソレノイド回路111は、遊技制御用マイクロコンピュータ100からのソレノイド駆動信号を、普通電動役物用のソレノイド81、上大入賞口扉用のソレノイド82A、下大入賞口扉用のソレノイド82Bへと伝送する。
【0048】
演出制御基板12は、主基板11とは独立したサブ側の制御基板であり、中継基板15を介して主基板11から伝送された制御信号を受信して、画像表示装置5、スピーカ8L、8R、及び遊技効果ランプ9や装飾用LEDといった演出用の電気部品による演出動作を制御するための各種回路が搭載されている。即ち、演出制御基板12は、画像表示装置5における表示動作や、スピーカ8L、8Rからの音声出力動作の全部又は一部、遊技効果ランプ9や装飾用LED等における点灯/消灯動作の全部又は一部といった、演出用の電気部品に所定の演出動作を実行させるための制御内容を決定する機能を備えている。
【0049】
音声制御基板13は、演出制御基板12とは別個に設けられた音声出力制御用の制御基板であり、演出制御基板12からの指令や制御データ等に基づき、スピーカ8L、8Rから音声を出力させるための音声信号処理を実行する処理回路等が搭載されている。ランプ制御基板14は、演出制御基板12とは別個に設けられたランプ出力制御用の制御基板であり、演出制御基板12からの指令や制御データ等に基づき、遊技効果ランプ9や装飾用LEDといった発光体における点灯/消灯駆動を行うランプドライバ回路等が搭載されている。
【0050】
図2に示すように、主基板11には、ゲートスイッチ21、始動口スイッチ、大入賞口スイッチ、特定領域スイッチ24といった、各種スイッチからの検出信号を伝送する配線が接続されている。なお、各種スイッチは、例えばセンサと称されるもの等のように、遊技媒体としての遊技球を検出できる任意の構成を有するものであればよい。また、主基板11には、第1特別図柄表示装置4A、第2特別図柄表示装置4B等の表示制御を行うための指令信号を伝送する配線が接続されている。
【0051】
主基板11から演出制御基板12に向けて伝送される制御信号は、中継基板15によって中継される。中継基板15を介して主基板11から演出制御基板12に対して伝送される制御コマンドは、例えば電気信号として送受信される演出制御コマンドである。演出制御コマンドには、例えば画像表示装置5における画像表示動作を制御するために用いられる表示制御コマンドや、スピーカ8L、8Rからの音声出力を制御するために用いられる音声制御コマンド、遊技効果ランプ9や装飾用LEDの点灯動作等を制御するために用いられるランプ制御コマンドが含まれている。これらの演出制御コマンドはいずれも、例えば2バイト構成であり、1バイト目はMODEを示し、2バイト目はEXTを表す。MODEデータの先頭ビットは必ず「1」となり、EXTデータの先頭ビットは「0」となるように、予め設定されていればよい。
【0052】
主基板11に搭載された遊技制御用マイクロコンピュータ100は、例えば1チップのマイクロコンピュータであり、遊技制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM101と、遊技制御用のワークエリアを提供するRAM102と、遊技制御用のプログラムを実行して制御動作を行うCPU103と、CPU103とは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路104と、I/O105とを備えて構成される。
【0053】
一例として、遊技制御用マイクロコンピュータ100では、CPU103がROM101から読み出したプログラムを実行することにより、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための処理が実行される。このときには、CPU103がROM101から固定データを読み出す固定データ読出動作や、CPU103がRAM102に各種の変動データを書き込んで一時記憶させる変動データ書込動作、CPU103がRAM102に一時記憶されている各種の変動データを読み出す変動データ読出動作、CPU103がI/O105を介して遊技制御用マイクロコンピュータ100の外部から各種信号の入力を受け付ける受信動作、CPU103がI/O105を介して遊技制御用マイクロコンピュータ100の外部へと各種信号を出力する送信動作等も行われる。
【0054】
なお、遊技制御用マイクロコンピュータ100を構成する1チップのマイクロコンピュータは、少なくともCPU103の他にRAM102が内蔵されていればよく、ROM101や乱数回路104、I/O105等は外付けされてもよい。
【0055】
遊技制御用マイクロコンピュータ100では、CPU103がROM101に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ100が実行するということは、具体的には、CPU103がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板11以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
【0056】
遊技制御用マイクロコンピュータ100では、例えば乱数回路104等により、遊技の進行を制御するために用いられる各種の乱数値を示す数値データが更新可能にカウントされる。遊技の進行を制御するために用いられる乱数は、遊技用乱数ともいう。遊技用乱数は、乱数回路104等のハードウェアによって更新されるものであってもよいし、遊技制御用マイクロコンピュータ100のCPU103が所定のコンピュータプログラムを実行することでソフトウェアによって更新されるものであってもよい。例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ100におけるRAM102の所定領域に設けられたランダムカウンタや、RAM102とは別個の内部レジスタに設けられたランダムカウンタに、所定の乱数値を示す数値データを格納し、CPU103が定期的又は不定期的に格納値を更新することで、乱数値の更新が行われるようにしてもよい。
【0057】
この実施の形態では、主基板11の側において、特図表示結果決定用の乱数値MR1、大当り種別決定用の乱数値MR2、変動パターン決定用の乱数値MR3、普図表示結果決定用の乱数値MR4のそれぞれを示す数値データが、カウント可能に制御される。なお、遊技効果を高めるために、これら以外の乱数値が用いられてもよい。
【0058】
特図表示結果決定用の乱数値MR1は、特図ゲームにおける特別図柄等の可変表示結果を「大当り」として大当り遊技状態に制御するか否かを決定するために用いられる乱数値である。大当り種別決定用の乱数値MR2は、可変表示結果を「大当り」とする場合に、大当り種別を複数種類のいずれかに決定するために用いられる乱数値である。変動パターン決定用の乱数値MR3は、飾り図柄の変動パターンを予め用意された複数種類のいずれかに決定するために用いられる乱数値である。普図表示結果決定用の乱数値MR4は、普図ゲームにおける普通図柄の可変表示結果を「普図当り」として普通可変入賞球装置6Bを第1可変状態となる開放状態や拡大開放状態に制御するか否かを、決定するために用いられる乱数値である。
【0059】
遊技制御用マイクロコンピュータ100が備えるROM101には、ゲーム制御用のプログラムの他にも、遊技の進行を制御するために用いられる各種の選択用データ、テーブルデータ等が格納されている。例えば、ROM101には、CPU103が各種の判定や決定、設定を行うために用意された複数の判定テーブルや決定テーブル、設定テーブル等を構成するデータが記憶されている。また、ROM101には、CPU103が主基板11から各種の制御コマンドとなる制御信号を送信するために用いられる複数のコマンドテーブルを構成するテーブルデータや、変動パターンを複数種類格納する変動パターンテーブルを構成するテーブルデータ等が、記憶されている。
【0060】
遊技制御用マイクロコンピュータ100が備えるRAM102は、その一部又は全部が所定の電源基板において作成されるバックアップ電源によってバックアップされているバックアップRAMであればよい。即ち、パチンコ遊技機1に対する電力供給が停止しても、所定期間は、RAM102の一部又は全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態、即ち遊技制御手段の制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータは、バックアップRAMに保存されるようにすればよい。遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータに基づいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを遊技の進行状態を示すデータと定義する。こうしたRAM102には、パチンコ遊技機1における遊技の進行等を制御するために用いられる各種のデータが記憶される。
【0061】
また、この実施の形態では、遊技領域2の所定領域の背面には磁石センサが設けられている。なお、遊技領域2の構成の仕方等によって磁石センサを様々な数・位置に配置してもよい。この実施の形態では、磁石センサが設けられていることによって磁石を用いて不正に遊技球を入賞口に誘導させるような行為を検出することができる。遊技制御用マイクロコンピュータ100には、磁石センサ信号が入力される。なお、磁石センサに代えて又は加えて、電波センサを設けられているようにしてもよい。電波センサが設けられていることによって電波を用いて不正に遊技球を入賞口に誘導させるような行為を検出することができる。遊技制御用マイクロコンピュータ100には、電波センサ信号が入力される。
【0062】
演出制御基板12には、プログラムに従って制御動作を行う演出制御用CPU120と、演出制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM121と、演出制御用CPU120のワークエリアを提供するRAM122と、画像表示装置5における表示動作の制御内容を決定するための処理等を実行する表示制御部123と、演出制御用CPU120とは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路124と、I/O125とが搭載されている。
【0063】
一例として、演出制御基板12では、演出制御用CPU120がROM121から読み出した演出制御用のプログラムを実行することにより、演出用の電気部品による演出動作を制御するための処理が実行される。このときには、演出制御用CPU120がROM121から固定データを読み出す固定データ読出動作や、演出制御用CPU120がRAM122に各種の変動データを書き込んで一時記憶させる変動データ書込動作、演出制御用CPU120がRAM122に一時記憶されている各種の変動データを読み出す変動データ読出動作、演出制御用CPU120がI/O125を介して演出制御基板12の外部から各種信号の入力を受け付ける受信動作、演出制御用CPU120がI/O125を介して演出制御基板12の外部へと各種信号を出力する送信動作等も行われる。
【0064】
演出制御用CPU120、ROM121、RAM122は、演出制御基板12に搭載された1チップの演出制御用マイクロコンピュータに含まれてもよい。演出制御基板12には、画像表示装置5に対して映像信号を伝送するための配線や、音声制御基板13に対して音番号データを示す情報信号としての効果音信号を伝送するための配線、ランプ制御基板14に対してランプデータを示す情報信号としての電飾信号を伝送するための配線等が接続されている。
【0065】
演出制御基板12では、例えば乱数回路124等により、演出動作を制御するために用いられる各種の乱数値を示す数値データが更新可能にカウントされる。こうした演出動作を制御するために用いられる乱数は、演出用乱数ともいう。
【0066】
図2に示す演出制御基板12に搭載されたROM121には、演出制御用のプログラムの他にも、演出動作を制御するために用いられる各種のデータテーブル等が格納されている。例えば、ROM121には、演出制御用CPU120が各種の判定や決定、設定を行うために用意された複数の判定テーブルや決定テーブルを構成するテーブルデータ、各種の演出制御パターンを構成するパターンデータ等が記憶されている。演出制御基板12に搭載されたRAM122には、演出動作を制御するために用いられる各種データが記憶される。
【0067】
演出制御基板12に搭載された表示制御部123は、演出制御用CPU120からの表示制御指令等に基づき、画像表示装置5における表示動作の制御内容を決定する。例えば、表示制御部123は、画像表示装置5の表示領域内に表示させる演出画像の切換タイミングを決定すること等により、飾り図柄の可変表示や各種の演出表示を実行させるための制御を行う。一例として、表示制御部121には、VDP、CGROM、VRAM、LCD駆動回路等が搭載されていればよい。なお、VDPは、GPU、GCL、あるいは、より一般的にDSPと称される画像処理用のマイクロプロセッサであってもよい。CGROMは、例えば書換不能な半導体メモリであってもよいし、フラッシュメモリ等の書換可能な半導体メモリであってもよく、あるいは、磁気メモリ、光学メモリといった、不揮発性記録媒体のいずれかを用いて構成されたものであればよい。
【0068】
演出制御基板12に搭載されたI/O125は、例えば主基板11等から伝送された演出制御コマンドや操作検出ユニット31から伝送された操作検出信号等の各種信号を取り込むための入力ポートと、演出制御基板12の外部へと各種信号を伝送するための出力ポートとを含んで構成される。例えば、I/O125の出力ポートからは、画像表示装置5へと伝送される映像信号や、音声制御基板13へと伝送される指令、ランプ制御基板14へと伝送される指令等が出力される。
【0069】
パチンコ遊技機1においては、遊技媒体としての遊技球を用いた所定の遊技が行われ、その遊技結果に基づいて所定の遊技価値が付与可能となる。遊技球を用いた遊技の一例として、パチンコ遊技機1における筐体前面の右下方に設置された打球操作ハンドルが遊技者によって所定操作されたことに基づいて、所定の打球発射装置が備える発射モータ等により、遊技媒体としての遊技球が遊技領域に向けて発射される。この遊技球が左遊技領域2Aにおいて普通入賞球装置6Aに形成された第1始動入賞口を通過すると、その遊技球が図2に示す第1始動口スイッチ22Aによって検出されたこと等により第1始動条件が成立する。その後、例えば前回の特図ゲームや大当り遊技状態が終了したこと等により第1開始条件が成立したことに基づいて、第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図を用いた特図ゲームが開始される。
【0070】
また、右遊技領域2Bにおいて普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口を遊技球が通過すると、その遊技球が図2に示す第2始動口スイッチ22Bによって検出されたこと等により第2始動条件が成立する。その後、例えば前回の特図ゲームや大当り遊技状態が終了したこと等により第2開始条件が成立したことに基づいて、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図を用いた特図ゲームが開始される。但し、普通可変入賞球装置6Bが第2可変状態としての通常開放状態や閉鎖状態であるときには、第2始動入賞口を遊技球が通過困難又は通過不可能である。
【0071】
普通可変入賞球装置6Bの上方に設けられた通過ゲート41を通過した遊技球が図2に示すゲートスイッチ21によって検出されたことに基づいて、普通図柄表示器20にて普通図柄の可変表示を実行するための普図始動条件が成立する。その後、例えば前回の普図ゲームが終了したことといった、普通図柄の可変表示を開始するための普図開始条件が成立したことに基づいて、普通図柄表示器20による普図ゲームが開始される。この普図ゲームでは、普通図柄の変動を開始させた後、所定期間が経過すると、普通図柄の可変表示結果となる確定普通図柄を停止表示する。このとき、確定普通図柄として特定の普通図柄が停止表示されれば、普通図柄の可変表示結果が「普図当り」となる。その一方、確定普通図柄として普図当り図柄以外の普通図柄が停止表示されれば、普通図柄の可変表示結果が「普図ハズレ」となる。普通図柄の可変表示結果が「普図当り」となったことに対応して、普通可変入賞球装置6Bを構成する電動チューリップの可動翼片が傾動位置となる開放制御や拡大開放制御が行われ、所定時間が経過すると垂直位置に戻る閉鎖制御や通常開放制御が行われる。
【0072】
第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図を用いた特図ゲームが開始されるときや、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図を用いた特図ゲームが開始されるときには、特別図柄の可変表示結果を予め定められた特定表示結果としての「大当り」にするか否かが、その可変表示結果を導出表示する以前に決定される。そして、可変表示結果の決定に基づく所定割合で、変動パターンの決定等が行われ、可変表示結果や変動パターンを指定する演出制御コマンドが、図2に示す主基板11の遊技制御用マイクロコンピュータ100から演出制御基板12に向けて伝送される。
【0073】
こうした可変表示結果や変動パターンの決定に基づいて特図ゲームが開始された後、例えば変動パターンに対応して予め定められた可変表示時間が経過したときには、可変表示結果となる確定特別図柄が導出表示される。第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bによる特別図柄の可変表示に対応して、画像表示装置5の表示領域に配置された「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアでは、特別図柄とは異なる飾り図柄の可変表示が行われる。
【0074】
第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図を用いた特図ゲームや、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図を用いた特図ゲームにおいて、特別図柄の可変表示結果となる確定特別図柄が導出表示されるときには、画像表示装置5において飾り図柄の可変表示結果となる確定飾り図柄が導出表示される。特別図柄の可変表示結果として予め定められた大当り図柄が導出表示されたときには、可変表示結果が「大当り」となり、遊技者によって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。即ち、大当り遊技状態に制御されるか否かは、可変表示結果が「大当り」となるか否かに対応しており、その可変表示結果を導出表示する以前に決定される。
【0075】
特図ゲームにおける特別図柄の可変表示結果が「大当り」となるときには、画像表示装置5の表示領域において、予め定められた大当り組み合わせとなる確定飾り図柄が導出表示される。一例として、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアにおける所定の有効ライン上に同一の飾り図柄が揃って停止表示されることにより、大当り組み合わせとなる確定飾り図柄が導出表示されればよい。
【0076】
大当り遊技状態では、上大入賞口又は下大入賞口が開放状態となって特別可変入賞球装置7A又は特別可変入賞球装置7Bが遊技者によって有利な第1状態となる。そして、所定期間、あるいは所定個数の遊技球が上大入賞口又は下大入賞口に進入して入賞球が発生するまでの期間にて、上大入賞口又は下大入賞口を継続して開放状態とするラウンド遊技が実行される。こうしたラウンド遊技の実行期間以外の期間では、上大入賞口や下大入賞口が閉鎖状態となり、入賞球が発生困難又は発生不可能となる。上大入賞口に遊技球が進入したときには、上大入賞口スイッチ23Aにより入賞球が検出され、その検出毎に所定個数の遊技球が賞球として払い出される。大当り遊技状態におけるラウンド遊技は、所定の上限回数に達するまで繰り返し実行される。したがって、大当り遊技状態では、遊技者が多数の賞球を極めて容易に獲得することができ、遊技者によって有利な遊技状態となる。なお、パチンコ遊技機1は、賞球となる遊技球を直接に払い出すものであってもよいし、賞球となる遊技球の個数に対応した得点を付与するものであってもよい。
【0077】
大当り遊技状態が終了した後には、所定の確変制御条件が成立したことに基づいて、可変表示結果が「大当り」となる確率が通常状態よりも高くなる確変状態に制御されることがある。確変状態は、所定回数の可変表示が実行されること、あるいは次回の大当り遊技状態が開始されることといった、所定の確変終了条件が成立するまで、継続するように制御される。また、大当り遊技状態が終了した後には、平均的な可変表示時間が通常状態よりも短くなる時短状態に制御されることがある。時短状態は、所定回数の可変表示が実行されたことと、次回の大当り遊技状態が開始されたことのうち、いずれか一方の時短終了条件が先に成立するまで、継続するように制御される。
【0078】
確変状態や時短状態では、通常状態よりも第2始動入賞口を遊技球が通過し易い有利変化態様で、普通可変入賞球装置6Bを第1可変状態と第2可変状態とに変化させる。例えば、普通図柄表示器20による普図ゲームにおける普通図柄の変動時間を通常状態のときよりも短くする制御や、各回の普図ゲームで普通図柄の可変表示結果が「普図当り」となる確率を通常状態のときよりも向上させる制御、可変表示結果が「普図当り」となったことに基づく普通可変入賞球装置6Bにおける可動翼片の傾動制御を行う傾動制御時間を通常状態のときよりも長くする制御、その傾動回数を通常状態のときよりも増加させる制御により、普通可変入賞球装置6Bを有利変化態様で第1可変状態と第2可変状態とに変化させればよい。なお、これらの制御のいずれか1つが行われるようにしてもよいし、複数の制御が組み合わせられて行われるようにしてもよい。このように、普通可変入賞球装置6Bを有利変化態様で第1可変状態と第2可変状態とに変化させる制御は、高開放制御と称される。こうした確変状態や時短状態に制御されることにより、次に可変表示結果が「大当り」となるまでの所要時間が短縮され、通常状態よりも遊技者によって有利な特別遊技状態となる。
【0079】
なお、確変状態にて確変制御が行われるときでも、高開放制御が行われない場合があってもよい。例えば可変表示結果が「大当り」となる場合には、大当り遊技状態にて上大入賞口や下大入賞口が開放状態となる上限時間が短く、遊技球が通過困難又は通過不可能なラウンド遊技が実行され、大当り遊技状態の終了後には確変状態に制御される場合がある。このような場合は、大当り種別が「突確」であるとも称される。そして、高開放制御が行われていないときに可変表示結果が「大当り」で大当り種別が「突確」となった場合には、大当り遊技状態の終了後に確変状態となり確変制御が行われるものの、高開放制御が行われないようにしてもよい。
【0080】
パチンコ遊技機1において遊技媒体として用いられる遊技球や、その個数に対応して付与される得点の記録情報は、例えば数量に応じて特殊景品や一般景品に交換可能な有価価値を有するものであればよい。あるいは、これらの遊技球や得点の記録情報は、特殊景品や一般景品には交換できないものの、パチンコ遊技機1で再度の遊技に使用可能な有価価値を有するものであってもよい。
【0081】
また、パチンコ遊技機1において付与可能となる遊技価値は、賞球となる遊技球の払い出しや得点の付与に限定されず、例えば大当り遊技状態に制御することや、確変状態等の特別遊技状態に制御すること、大当り遊技状態にて実行可能なラウンドの上限回数が第2ラウンド数よりも多い第1ラウンド数となること、時短状態にて実行可能な可変表示の上限回数が第2回数よりも多い第1回数となること、確変状態における大当り確率が第2確率よりも高い第1確率となること、通常状態に制御されることなく大当り遊技状態に繰り返し制御される回数である連チャン回数が第2連チャン数よりも多い第1連チャン数となることの一部又は全部といった、遊技者によってより有利な遊技状況となることが含まれていてもよい。
【0082】
この実施の形態では、大当り遊技状態におけるラウンド遊技の実行回数が特定回数としての「6」となったときに、下大入賞口を開放状態とするラウンド遊技が実行されて特別可変入賞球装置7Bが遊技者にとって有利な第1状態となる。一方、ラウンド遊技の実行回数が特定回数としての「6」以外であるときには、上大入賞口を開放状態とするラウンド遊技が実行されて特別可変入賞球装置7Aが遊技者にとって有利な第1状態となる。そして、下大入賞口に進入した遊技球が図2に示す特定領域スイッチ24によって検出されることで、大当り遊技状態の終了後に確変状態となるための確変制御条件が成立する。即ち、特定領域スイッチ24の設置個所を特定領域とし、この特定領域を遊技球が通過したことに基づいて、所定の確変制御条件を成立させることができる。
【0083】
大当り遊技状態には、ラウンド遊技の実行回数が特定回数としての「6」であるときに、下大入賞口を開放状態とする上限時間を異ならせた複数種類の大当り種別がある。一例として、大当り種別が「大当りA」の場合には、下大入賞口を開放状態とする上限時間が29.5秒に設定される。一方、大当り種別が「大当りB」の場合には、下大入賞口を開放状態とする上限時間が0.2秒に設定される。したがって、大当り種別が「大当りB」の場合には、下大入賞口を遊技球が通過する可能性は低く、大当り遊技状態の終了後に確変状態となるための確変制御条件が成立し難い。これに対して、大当り種別が「大当りA」の場合には、下大入賞口を遊技球が通過する可能性が高く、大当り遊技状態の終了後に確変状態となるための確変制御条件が成立し易い。大当り種別を複数種類のいずれとするかは、例えば特図ゲームの開始時に可変表示結果を「大当り」とする決定が成されたことに対応して、所定割合で決定される。
【0084】
次に、本実施例におけるパチンコ遊技機1の動作を説明する。
【0085】
主基板11では、所定の電源基板からの電力供給が開始されると、遊技制御用マイクロコンピュータ100が起動し、CPU103によって遊技制御メイン処理となる所定の処理が実行される。遊技制御メイン処理を開始すると、CPU103は、割込み禁止に設定した後、必要な初期設定を行う。この初期設定では、例えばRAM102がクリアされる。また、遊技制御用マイクロコンピュータ100に内蔵されたCTCのレジスタ設定を行う。これにより、以後、所定時間毎にCTCから割込み要求信号がCPU103へ送出され、CPU103は定期的にタイマ割込み処理を実行することができる。初期設定が終了すると、割込みを許可した後、ループ処理に入る。なお、遊技制御メイン処理では、パチンコ遊技機1の内部状態を前回の電力供給停止時における状態に復帰させるための処理を実行してから、ループ処理に入るようにしてもよい。
【0086】
こうした遊技制御メイン処理を実行したCPU103は、CTCからの割込み要求信号を受信して割込み要求を受け付けると、図3のフローチャートに示す遊技制御用タイマ割込み処理を実行する。図3に示す遊技制御用タイマ割込み処理を開始すると、CPU103は、まず、所定のスイッチ処理を実行することにより、スイッチ回路110を介して各種スイッチから入力される検出信号の状態を判定する(ステップS11)。次いで、CPU103は、磁石センサから検出信号を入力したことに基づいて磁石センサエラー報知を行うセンサエラー報知処理を実行する(ステップS12)。なお、電波センサが設けられている場合には、電波センサから検出信号を入力したことに基づいて電波センサエラー報知を行うセンサエラー報知処理を実行してもよい。この後、所定の情報出力処理を実行することにより、例えばパチンコ遊技機1の外部に設置されたホール管理用コンピュータに供給される大当り情報、始動情報、確率変動情報等のデータを出力する(ステップS13)。
【0087】
情報出力処理に続いて、主基板11の側で用いられる遊技用乱数の少なくとも一部をソフトウェアにより更新するための遊技用乱数更新処理を実行する(ステップS14)。この後、CPU103は、特別図柄プロセス処理を実行する(ステップS15)。特別図柄プロセス処理では、RAM102の所定領域に設けられた特図プロセスフラグの値をパチンコ遊技機1における遊技の進行状況に応じて更新し、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bにおける表示動作の制御や、特別可変入賞球装置7A、7Bにおける大入賞口の開閉動作設定等を、所定の手順で行うために、各種の処理が選択されて実行される。
【0088】
特別図柄プロセス処理に続いて、普通図柄プロセス処理が実行される(ステップS16)。CPU103は、普通図柄プロセス処理を実行することにより、普通図柄表示器20における表示動作を制御して、普通図柄の可変表示や普通可変入賞球装置6Bにおける可動翼片の傾動動作設定等を可能にする。
【0089】
普通図柄プロセス処理を実行した後、CPU103は、コマンド制御処理を実行することにより、主基板11から演出制御基板12等のサブ側の制御基板に対して制御コマンドを伝送させる(ステップS17)。一例として、コマンド制御処理では、遊技制御バッファ設定部といったRAM102の所定領域に設けられた送信コマンドバッファの値によって指定されたコマンド送信テーブルにおける設定に対応して、I/O105に含まれる出力ポートのうち、演出制御基板12に対して演出制御コマンドを送信するための出力ポートに制御データをセットした後、演出制御INT信号の出力ポートに所定の制御データをセットして演出制御INT信号を所定時間にわたりオン状態としてからオフ状態とすること等により、コマンド送信テーブルでの設定に基づく演出制御コマンドの伝送を可能にする。コマンド制御処理を実行した後には、割込み許可状態に設定してから、遊技制御用タイマ割込み処理を終了する。
【0090】
図4は、ステップS12のセンサエラー報知処理を示すフローチャートである。センサエラー報知処理において、遊技制御用マイクロコンピュータ100は、磁石センサからの磁石センサ信号を入力したか否かを確認する(ステップS531)。
【0091】
磁石センサ信号を入力していれば、CPU103は、磁気異常が発生したと判定し、磁気異常を検出したことを示す磁気異常フラグをセットする(ステップS532)。
【0092】
また、CPU103は、エラー報知用LEDを点灯させて磁気異常が発生したことを報知すると共に(ステップS533)、磁気異常が発生したことを報知することを指定する磁気異常報知指定コマンドを演出制御基板12に対して送信する制御を行う(ステップS534)。
【0093】
なお、図4では、磁石センサエラー報知を行うセンサエラー報知処理について説明したが、磁石センサエラー報知を行うセンサエラー報知処理などについても同様である。
【0094】
図5は、特別図柄プロセス処理の一例を示すフローチャートである。この特別図柄プロセス処理において、CPU103は、まず、始動入賞判定処理を実行する(ステップS101)。始動入賞判定処理では、第1始動口スイッチ22Aや第2始動口スイッチ22Bオンであるか否かが判定される。このとき、第1始動口スイッチ22Aがオンであれば、普通入賞球装置6Aに形成された第1始動入賞口を遊技球が通過したことに基づいて、第1特図を用いた特図ゲームの保留記憶数である第1特図保留記憶数を更新するための第1始動入賞処理が行われる。一方、第2始動口スイッチ22Bがオンであれば、普通可変入賞球装置6Bに形成された第2始動入賞口を遊技球が通過したことに基づいて、第2特図を用いた特図ゲームの保留記憶数である第2特図保留記憶数を更新するための第2始動入賞処理が行われる。
【0095】
一例として、第1始動入賞処理では、第1特図保留記憶数が所定の上限値となっているか否かを判定する。このとき第1特図保留記憶数が上限値に達していれば、第1始動入賞処理を終了する。一方、第1特図保留記憶数が上限値未満であれば、RAM102の所定領域に設けられた第1保留記憶数カウンタの格納値である第1保留記憶数カウント値を1加算する。こうして、第1保留記憶数カウント値は、第1始動入賞口を遊技球が通過して第1特図を用いた特図ゲームに対応した第1始動条件が成立したときに、1増加するように更新される。その後、始動入賞の発生に対応した所定の遊技用乱数を抽出して、RAM102の所定領域に保留データとして記憶させる。
【0096】
第2始動入賞処理では、第2特図保留記憶数が、所定の上限値となっているか否かを判定する。このとき第2特図保留記憶数が上限値に達していれば、第2始動入賞処理を終了する。一方、第2特図保留記憶数が上限値未満であれば、RAM102の所定領域に設けられた第2保留記憶数カウンタの格納値である第2保留記憶数カウント値を1加算する。こうして、第2保留記憶数カウント値は、第2始動入賞口を遊技球が通過して第2特図を用いた特図ゲームに対応した第2始動条件が成立したときに、1増加するように更新される。その後、始動入賞の発生に対応した所定の遊技用乱数を抽出して、RAM102の所定領域に保留データとして記憶させる。
【0097】
ステップS101にて始動入賞判定処理を実行した後、CPU103は、RAM102の所定領域に設けられた特図プロセスフラグの値に応じて、ステップS110〜S117の処理のいずれかを選択して実行する。
【0098】
ステップS110の特別図柄通常処理は、特図プロセスフラグの値が“0”のときに実行される。この特別図柄通常処理では、第1特図保留記憶部や第2特図保留記憶部といった、RAM102の所定領域に記憶されている保留データの有無等に基づいて、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bによる特図ゲームを開始するか否かの判定が行われる。また、特別図柄通常処理では、特図表示結果決定用の乱数値MR1を示す数値データに基づき、特別図柄や飾り図柄の可変表示結果を「大当り」とするか否かを、その可変表示結果が導出表示される以前に決定する。更に、特別図柄通常処理では、特図ゲームにおける特別図柄の可変表示結果に対応して、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bによる特図ゲームにおける確定特別図柄が設定される。特別図柄通常処理では、特別図柄や飾り図柄の可変表示結果を事前決定したときに、特図プロセスフラグの値が“1”に更新される。
【0099】
ステップS111の変動パターン設定処理は、特図プロセスフラグの値が“1”のときに実行される。この変動パターン設定処理には、可変表示結果を「大当り」とするか否かの事前決定結果等に基づいて、変動パターンを複数種類のいずれかに決定する処理等が含まれている。特別図柄や飾り図柄の可変表示時間は、変動パターンに対応して予め設定されている。したがって、変動パターン設定処理にて変動パターンを決定することにより、特別図柄の可変表示を開始してから可変表示結果となる確定特別図柄を導出するまでの可変表示時間が決定される。また、変動パターン設定処理は、可変表示結果が「ハズレ」となる場合に、飾り図柄の可変表示態様を「リーチ」とするか否かを決定する処理を含んでもよい。あるいは、変動パターン設定処理にて可変表示結果が「ハズレ」となる場合の変動パターンを所定割合で決定することにより、飾り図柄の可変表示態様を「リーチ」とするか否かが決定されてもよい。更に、変動パターン設定処理は、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bにおいて特別図柄の変動を開始させるための設定を行う処理を含んでもよい。変動パターン設定処理が実行されたときには、特図プロセスフラグの値が“2”に更新される。
【0100】
ステップS112の特別図柄変動処理は、特図プロセスフラグの値が“2”のときに実行される。この特別図柄変動処理には、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bにおいて特別図柄を変動させるための設定を行う処理や、その特別図柄が変動を開始してからの経過時間を計測する処理等が含まれている。そして、特別図柄の変動を開始してからの経過時間が特図変動時間に達したときには、特図プロセスフラグの値が“3”に更新される。
【0101】
ステップS112の特別図柄変動処理は、特図プロセスフラグの値が“2”のときに実行される。この特別図柄変動処理には、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bにおいて特別図柄を変動させるための設定を行う処理や、その特別図柄が変動を開始してからの経過時間を計測する処理等が含まれている。そして、特別図柄の変動を開始してからの経過時間が特図変動時間に達したときには、特図プロセスフラグの値が“3”に更新される。
【0102】
ステップS114の大当り開放前処理は、特図プロセスフラグの値が“4”のときに実行される。この大当り開放前処理には、可変表示結果が「大当り」となったこと等に基づき、大当り遊技状態においてラウンド遊技の実行を開始して上大入賞口又は下大入賞口を開放状態とするための設定を行う処理等が含まれている。大当り開放前処理が実行されたときには、特図プロセスフラグの値が“5”に更新される。
【0103】
ステップS115の大当り開放中処理は、特図プロセスフラグの値が“5”のときに実行される。この大当り開放中処理には、上大入賞口又は下大入賞口を開放状態としてからの経過時間を計測する処理や、その計測した経過時間や上大入賞口スイッチ23A又は下大入賞口スイッチ23Bによって検出された遊技球の個数等に基づいて、上大入賞口又は下大入賞口を開放状態から閉鎖状態に戻すタイミングとなったか否かを判定する処理等が含まれている。そして、上大入賞口又は下大入賞口を閉鎖状態に戻したときには、特図プロセスフラグの値が“6”に更新される。
【0104】
ステップS116の大当り開放後処理は、特図プロセスフラグの値が“6”のときに実行される。この大当り開放後処理には、上大入賞口又は下大入賞口を開放状態とするラウンド遊技の実行回数が所定の上限回数に達したか否かを判定する処理や、上限回数に達していない場合に次回のラウンド遊技が開始されるまで待機する処理等が含まれている。そして、次回のラウンド遊技が開始されるときには、特図プロセスフラグの値が“4”に更新される一方、ラウンド遊技の実行回数が上限回数に達したときには、特図プロセスフラグの値が“7”に更新される。
【0105】
ステップS117の大当り終了処理は、特図プロセスフラグの値が“7”のときに実行される。この大当り終了処理には、画像表示装置5やスピーカ8L、8R、遊技効果ランプ9等といった演出装置により、大当り遊技状態の終了を報知する演出動作としてのエンディング演出が実行される期間に対応した待ち時間が経過するまで待機する処理や、確変制御条件の成否に対応して確変状態や時短状態に制御するための各種の設定を行う処理等が含まれている。そして、確変状態や時短状態に制御するための設定が行われたときには、特図プロセスフラグの値が“0”に更新される。
【0106】
図6は、特別図柄通常処理として、図5のステップS110にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。図6に示す特別図柄通常処理において、CPU103は、まず、第2特図保留記憶数が「0」であるか否かを判定する(ステップS231)。第2特図保留記憶数は、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図を用いた特図ゲームの保留記憶数である。例えば、ステップS231の処理では、RAM102の所定領域に記憶されている第2保留記憶数カウント値を読み出し、その読出値が「0」であるか否かを判定すればよい。
【0107】
ステップS231にて第2特図保留記憶数が「0」以外であるときには(ステップS231;NO)、例えば第2特図保留記憶部の先頭領域といった、RAM102の所定領域に記憶されている保留データとして、特図表示結果決定用の乱数値MR1、大当り種別決定用の乱数値MR2、変動パターン決定用の乱数値MR3を示す数値データをそれぞれ読み出す(ステップS232)。このとき読み出された数値データは、例えば変動用乱数バッファ等に格納されて、一時記憶されればよい。
【0108】
ステップS232の処理に続いて、例えば第2保留記憶数カウント値を1減算して更新すること等により、第2特図保留記憶数を1減算させるように更新すると共に、第2特図保留記憶部における記憶内容をシフトさせる(ステップS233)。例えば、第2特図保留記憶部にて保留番号「1」より下位のエントリに記憶された乱数値MR1〜MR3を示す保留データを、1エントリずつ上位にシフトする。また、ステップS233の処理では、RAM102の所定領域にて合計保留記憶数カウンタが記憶する合計保留記憶数カウント値を1減算するように更新してもよい。このときには、変動特図指定バッファの格納値である変動特図指定バッファ値を「2」に更新する(ステップS234)。
【0109】
ステップS231にて第2特図保留記憶数が「0」であるときには(ステップS231;YES)、第1特図保留記憶数が「0」であるか否かを判定する(ステップS235)。第1特図保留記憶数は、第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図を用いた特図ゲームの保留記憶数である。例えば、ステップS235の処理では、RAM102の所定領域に記憶されている第1保留記憶数カウント値を読み出し、その読出値が「0」であるか否かを判定すればよい。このように、ステップS235の処理は、ステップS231にて第2特図保留記憶数が「0」であると判定されたときに実行されて、第1特図保留記憶数が「0」であるか否かを判定する。これにより、第2特図を用いた特図ゲームは、第1特図を用いた特図ゲームよりも優先して実行が開始されることになる。
【0110】
ステップS235にて第1特図保留記憶数が「0」以外であるときには(ステップS235;NO)、例えば第1特図保留記憶部の先頭領域といった、RAM102の所定領域に記憶されている保留データとして、特図表示結果決定用の乱数値MR1、大当り種別決定用の乱数値MR2、変動パターン決定用の乱数値MR3を示す数値データをそれぞれ読み出す(ステップS236)。このとき読み出された数値データは、例えば変動用乱数バッファ等に格納されて、一時記憶されればよい。
【0111】
ステップS236の処理に続いて、例えば第1保留記憶数カウント値を1減算して更新すること等により、第1特図保留記憶数を1減算させるように更新すると共に、第1特図保留記憶部における記憶内容をシフトさせる(ステップS237)。例えば、第1特図保留記憶部にて保留番号「1」より下位のエントリに記憶された乱数値MR1〜MR3を示す保留データを、1エントリずつ上位にシフトする。また、ステップS237の処理では、合計保留記憶数カウント値を1減算するように更新してもよい。このときには、変動特図指定バッファ値を「1」に更新する(ステップS238)。
【0112】
ステップS234、S238の処理のいずれかを実行した後には、特別図柄の可変表示結果である特図表示結果を「大当り」と「ハズレ」のいずれとするかを決定する(ステップS239)。一例として、ステップS239の処理では、予めROM101の所定領域に記憶する等して用意された特図表示結果決定テーブルを選択し、特図表示結果を決定するための使用テーブルに設定する。特図表示結果決定テーブルでは、確変制御が行われる確変状態であるか否か等に応じて、特図表示結果決定用の乱数値MR1と比較される数値が、特図表示結果を「大当り」と「ハズレ」とのいずれとするかの決定結果に、割り当てられていればよい。CPU103は、変動用乱数バッファから読み出した特図表示結果決定用の乱数値MR1を示す数値データに基づいて、特図表示結果決定テーブルを参照することにより、特図表示結果を決定すればよい。
【0113】
図7(A)は、ステップS239の処理による特図表示結果の決定例を示している。この決定例では、確変状態における確変制御の有無に応じて、特図表示結果を「大当り」とするか否かの決定割合を異ならせている。より具体的に、確変状態にて確変制御が行われているときには、通常状態や時短状態にて確変制御が行われていないときよりも高い割合で、特図表示結果が「大当り」に決定される。したがって、確変制御が行われる確変状態であるときには、通常状態や時短状態にて確変制御が行われていないときよりも、特図表示結果が「大当り」になり易く、大当り遊技状態になり易い。
【0114】
その後、ステップS239にて決定された特図表示結果が「大当り」であるか否かを判定する(ステップS240)。特図表示結果が「大当り」に決定された場合には(ステップS240;YES)、RAM102の所定領域に設けられた大当りフラグをオン状態にセットする(ステップS241)。また、大当り種別を複数種類のいずれかに決定する(ステップS242)。一例として、ステップS242の処理では、予めROM101の所定領域に記憶する等して用意された大当り種別決定テーブルを選択し、大当り種別を決定するための使用テーブルに設定する。大当り種別決定テーブルでは、変動特図指定バッファ値等に応じて、大当り種別決定用の乱数値MR2と比較される数値が、大当り種別を複数種類のいずれとするかの決定結果に、割り当てられていればよい。CPU103は、変動用乱数バッファから読み出した大当り種別決定用の乱数値MR2を示す数値データに基づいて、大当り種別決定テーブルを参照することにより、大当り種別を決定すればよい。
【0115】
図7(B)は、ステップS242の処理による大当り種別の決定例を示している。この決定例では、開始条件が成立した特図ゲームにて可変表示される特別図柄が、第1特図であるか第2特図であるかに応じて、大当り種別の決定割合を異ならせている。ここで、変動特図指定バッファ値が「1」であるときには、第1特別図柄表示装置4Aによる特図ゲームの開始条件が成立しており、変動特図が第1特図となる。一方、変動特図指定バッファ値が「2」であるときには、第2特別図柄表示装置4Bによる特図ゲームの開始条件が成立しており、変動特図が第2特図となる。図7(B)に示す決定例では、変動特図が第2特図であるときに、変動特図が第1特図であるときよりも高い割合で、大当り種別が「大当りA」に決定される。このように、特図ゲームにて可変表示される特別図柄に応じて異なる割合で、所定の大当り種別に決定されてもよい。
【0116】
なお、特図ゲームにて可変表示される特別図柄に応じて、異なる大当り種別に決定されてもよい。一例として、変動特図が第1特図であるときには、大当り種別が「大当りA」と「大当りB」のいずれかに決定される一方、変動特図が第2特図であるときには、大当り種別が「大当りA」にのみ決定されてもよい。
【0117】
この実施の形態では、大当り種別が「大当りA」の場合に、大当り遊技状態におけるラウンド遊技の実行回数が「6」である第6ラウンドにて、大当り種別が「大当りB」の場合よりも下大入賞口を開放状態とする上限時間が長くなり、大当り遊技状態の終了後に確変状態となるための確変制御条件が成立し易い。図7(B)に示すような決定割合で大当り種別が決定されることにより、変動特図が第2特図であるときには、第1特図であるときよりも高い割合で、大当り遊技状態の終了後に確変状態となるための確変制御条件が成立し易い。即ち、第2始動入賞口を遊技球が通過したことに基づく第2特図を用いた特図ゲームで特図表示結果が「大当り」となる場合には、第1始動入賞口を遊技球が通過したことに基づく第1特図を用いた特図ゲームで特図表示結果が「大当り」となる場合よりも確変制御条件が成立し易い。
【0118】
ステップS242の処理を実行した後には、大当り種別を記憶させる(ステップS243)。ステップS243の処理では、例えばRAM102の所定領域に設けられた大当り種別バッファに、大当り種別の決定結果を示すデータを格納することで、大当り種別を記憶させればよい。
【0119】
ステップS240にて特図表示結果が「大当り」ではなく「ハズレ」である場合や(ステップS240;NO)、ステップS243の処理を実行した後には、特図ゲームにおける特別図柄の可変表示家かとなる確定特別図柄を設定する(ステップS244)。一例として、ステップS240にて特図表示結果が「大当り」ではないと判定された場合には、ハズレ図柄として予め定められた特別図柄を確定特別図柄に決定する。一方、ステップS240にて特図表示結果が「大当り」であると判定された場合には、ステップS242における大当り種別の決定結果に応じて、複数種類の大当り図柄として予め定められた特別図柄のいずれかを確定特別図柄に決定すればよい。
【0120】
ステップS244の処理を実行した後には、特図プロセスフラグの値を“1”に更新してから(ステップS245)、特別図柄通常処理を終了する。ステップS245にて特図プロセスフラグの値が“1”に更新されることにより、次回のタイマ割込みが発生したときには、図5に示すステップS111の変動パターン設定処理が実行される。
【0121】
ステップS235にて第1特図を用いた特図ゲームの保留記憶数が「0」である場合には(ステップS235;YES)、所定のデモ表示設定を行ってから(ステップS246)、特別図柄通常処理を終了する。このデモ表示設定では、例えば画像表示装置5において所定の演出画像を表示すること等によるデモンストレーション表示を指定する演出制御コマンドが、主基板11から演出制御基板12に対して送信済みであるか否かを判定する。このとき、送信済みであれば、そのままデモ表示設定を終了する。これに対して、未送信であれば、客待ちデモ指定コマンドを送信するための設定を行ってから、デモ表示設定を終了する。
【0122】
図8は、特別図柄停止処理として、図5のステップS113にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。図8に示す特別図柄停止処理において、CPU103は、まず、RAM102の所定領域に設けられた特図確定表示中フラグがオンであるか否かを判定する(ステップS261)。特図確定表示中フラグは、特図ゲームにおける可変表示結果となる確定特別図柄が導出表示されたことに対応して、後述するステップS265の処理によりオン状態にセットされる。
【0123】
ステップS261にて特図確定表示中フラグがオフであるときには(ステップS261;NO)、確定特別図柄を導出表示するための設定を行う(ステップS262)。また、図柄確定時におけるコマンドの送信設定が行われる(ステップS263)。例えば、図柄確定コマンドとして予め用意された演出制御コマンドは、演出制御基板12に対して送信するための設定が行われる。更には、特図確定表示時間として予め定められた一定時間をセットする(ステップS264)。そして、特図確定表示中フラグをオン状態にセットしてから(ステップS265)、特別図柄停止処理を終了する。このときには、特図プロセスフラグの更新が行われないことから、次回のタイマ割込みが発生したときに特別図柄停止処理が再び実行される。
【0124】
ステップS261にて特図確定表示中フラグがオンであるときには(ステップS261;YES)、特図確定表示時間が経過したか否かを判定する(ステップS266)。このとき、特図確定表示時間が経過していなければ(ステップS266;NO)、特別図柄停止処理を終了する。ここでは、特図プロセスフラグの更新が行われないことから、次回のタイマ割込みが発生したときに特別図柄停止処理が再び実行され、特図確定表示時間が経過するまで待機する。
【0125】
ステップS266にて特図確定表示時間が経過した場合には(ステップS266;YES)、特図確定表示中フラグをクリアしてオフ状態とした後に(ステップS267)、大当りフラグがオンであるか否かを判定する(ステップS268)。そして、大当りフラグがオンである場合には(ステップS268;YES)、大当り開始時演出待ち時間として予め定められた一定時間を設定する(ステップS269)。このときには、大当り開始時におけるコマンドの送信設定が行われる(ステップS270)。例えば、大当り開始指定コマンドとして予め用意された演出制御コマンドを、演出制御基板12に対して送信するための設定が行われる。
【0126】
ステップS270の処理を実行した後には、RAM102の所定領域に設けられた大当り開始フラグをオン状態にセットする(ステップS271)。続いて、時短制御や確変制御を終了するための設定を行う(ステップS272)。例えば、ステップS272の処理として、RAM102の所定領域に設けられた確変フラグや時短フラグをクリアしてオフ状態とする処理や、時短制御や高開放制御が行われる特図ゲームの残り回数をカウントするための時短回数カウンタをクリアする処理、確変制御が行われる特図ゲームの残り回数をカウントするための確変回数カウンタをクリアする処理等が、実行されればよい。
【0127】
時短回数カウンタは、例えば遊技制御カウンタ設定部といったRAM102の所定領域に設けられ、大当り遊技状態の終了後に確変状態や時短状態となる場合に、時短制御や高開放制御が行われる特図ゲームの上限回数等に対応するカウント初期値が設定されればよい。確変回数カウンタは、例えば遊技制御カウンタ設定部といったRAM102の所定領域に設けられ、大当り遊技状態の終了後に確変状態となる場合に、確変制御が行われる特図ゲームの上限回数等に対応するカウント初期値が設定されればよい。
【0128】
ステップS272の処理を実行した後には、特図プロセスフラグの値を“4”に更新してから(ステップS273)、特別図柄停止処理を終了する。特図プロセスフラグの値が“4”に更新されることにより、次回のタイマ割込みが発生したときには、図5に示すステップS114の大当り開放前処理が実行される。
【0129】
ステップS268にて大当りフラグがオフである場合には(ステップS268;NO)、時短制御や確変制御を終了させるか否かの判定を行う(ステップS274)。一例として、ステップS274の処理では、時短回数カウンタの格納値である時短回数カウント値が「0」以外であるときに、そのカウント値を1減算する等して更新する。そして、更新後の時短回数カウント値が所定の時短終了判定値と合致するか否かの判定を行う。このとき、時短終了判定値と合致すれば、所定の時短フラグをクリアしてオフ状態とすること等により、時短制御や高開放制御を終了すればよい。一方、時短終了判定値と合致しなければ、時短フラグの状態を維持する等して、ステップS274の処理を終了すればよい。
【0130】
また、ステップS274の処理では、確変回数カウンタの格納値である確変回数カウント値が「0」以外であるときに、そのカウント値を1減算する等して更新する。そして、更新後の確変回数カウント値が所定の確変終了判定値と合致するか否かの判定を行う。このとき、確変終了判定値と合致すれば、所定の確変フラグをクリアすること等により、確変制御を終了すればよい。一方、確変終了判定値と合致しなければ、確変フラグの状態を維持する等して、ステップS274の処理を終了すればよい。
【0131】
その後、遊技状態指定コマンドを主基板11から演出制御基板12に対して送信するための設定を行う(ステップS275)。遊技状態指定コマンドは、パチンコ遊技機1における現在の遊技状態を指定するコマンドである。
【0132】
ステップS275の処理を実行した後には、特図プロセスフラグの値を“0”に更新してから(ステップS275)、特別図柄停止処理を終了する。特図プロセスフラグの値が“0”に更新されることにより、次回のタイマ割込みが発生したときには、図5に示すステップS110の特別図柄通常処理が実行される。
【0133】
図9は、大当り開放前処理として、図5のステップS114にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。図9に示す大当り開放前処理において、CPU103は、まず、大当り開始フラグがオンであるか否かを判定する(ステップS291)。大当り開始フラグは、大当り遊技状態の開始に対応して、図8に示すステップS271の処理によりオン状態にセットされる。
【0134】
ステップS291にて大当り開始フラグがオンであるときには(ステップS291;YES)、大当り開始時演出待ち時間が経過したか否かを判定する(ステップS292)。このとき、大当り開始時演出待ち時間が経過していなければ(ステップS292;NO)、大当り開放前処理を終了する。ここでは、特図プロセスフラグの更新が行われないことから、次回のタイマ割込みが発生したときに大当り開放前処理が再び実行され、大当り開始時演出待ち時間が経過するまで待機する。
【0135】
ステップS292にて大当り開始時演出待ち時間が経過した場合には(ステップS292;YES)、大当り開始フラグをクリアしてオフ状態とした後に(ステップS293)、RAM102の所定領域に設けられたラウンドカウンタに、ラウンド遊技の実行回数に対応するカウント初期値として「1」を設定する(ステップS294)。
【0136】
ステップS291にて大当り開始フラグがオフであるときや(ステップS291;NO)、ステップS294の処理を実行した後には、ラウンド遊技にて開放状態とする大入賞口を、特別可変入賞球装置7Aに形成された上大入賞口、又は特別可変入賞球装置7Bに形成された下大入賞口のいずれかに決定する(ステップS295)。図10(A)は、ステップS295の処理における決定例を示している。この実施の形態では、ラウンドカウント値が「1」〜「5」、「7」〜「15」のいずれかであるときに、上大入賞口を開放状態とするラウンド遊技を実行することに決定される。これにより、ラウンド遊技の実行回数が特定回数以外の「1」〜「5」、「7」〜「15」であるときには、上大入賞口を開放状態とするラウンド遊技が実行され、特別可変入賞球装置7Aが遊技者にとって有利な第1状態となる。一方、ラウンドカウント値が「6」であるときには、下大入賞口を開放状態とするラウンド遊技を実行することに決定される。したがって、ラウンド遊技の実行回数が特定回数としての「6」となったときに、下大入賞口を開放状態とするラウンド遊技が実行され、特別可変入賞球装置7Bが遊技者にとって有利な第1状態となる。
【0137】
ステップS295の処理により開放する大入賞口を決定することにあわせて、遊技球を有効に検出するための検出有効スイッチを設定してもよい。例えば、ラウンドカウント値が「1」〜「5」、「7」〜「15」のいずれかであるときには、上大入賞口が開放状態となることにあわせて、上大入賞口スイッチ23Aによる遊技球の検出を有効にする。一方、ラウンドカウント値が「6」であるときには、下大入賞口が開放状態となることにあわせて、下大入賞口スイッチ23Bが有効化されると共に、特定領域スイッチ24による遊技球の検出も有効にすればよい。
【0138】
ステップS295の処理に続いて、例えば大当り種別バッファ等から大当り種別の記憶データを読み出す(ステップS296)。そして、大入賞口開放上限時間を決定する(ステップS297)。大入賞口開放上限時間は、大当り遊技状態にて実行される各回のラウンド遊技において、上大入賞口又は下大入賞口を開放状態とする上限時間である。図10(B)は、ステップS297の処理における決定例を示している。この実施の形態では、大当り種別が「大当りA」であるときに、ラウンドカウント値が「1」〜「15」のいずれであるかにかかわらず、一定の大入賞口開放上限時間として29.5秒が設定される。一方、大当り種別が「大当りB」であるときには、ラウンドカウント値が「1」〜「5」、「7」〜「15」のいずれかである場合と「6」である場合とで、大入賞口開放上限時間を異ならせている。特に、ラウンドカウント値が「6」である場合には、大入賞口開放上限時間が比較的に短い時間に設定され、下大入賞口を遊技球が通過し難い。したがって、大当り種別が「大当りA」である場合には、下大入賞口を遊技球が通過する可能性が高く、大当り遊技状態の終了後に確変状態となるための確変制御条件が成立し易い。
【0139】
ステップS297の処理を実行した後には、大入賞口を閉鎖状態から開放状態とするための開放開始制御が行われる(ステップS298)。このときには、ステップS295の処理により決定された開放する大入賞口に応じて、ソレノイド82A、82Bのいずれかに駆動信号を送信するための設定が行われる。一例として、上大入賞口を開放状態とする場合には、上大入賞口扉用のソレノイド82Aに駆動信号を送信するための設定を行う。一方、下大入賞口を開放状態とする場合には、下大入賞口扉用のソレノイド82Bに駆動信号を送信するための設定を行う。
【0140】
その後、特図プロセスフラグの値を“5”に更新してから(ステップS299)、大当り開放前処理を終了する。ステップS299にて特図プロセスフラグの値が“5”に更新されることにより、次回のタイマ割込みが発生したときには、図5に示すステップS115の大当り開放中処理が実行される。
【0141】
図11は、大当り開放中処理として、図5のステップS115にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。図11に示す大当り開放中処理において、CPU103は、まず、大入賞口開放上限時間が経過したか否かを判定する(ステップS311)。このとき、大入賞口開放上限時間が経過していなければ(ステップS311;NO)、上大入賞口スイッチ23Aと下大入賞口スイッチ23Bのうちで、遊技球の検出が有効な大入賞口スイッチから伝送された検出信号オン状態となったか否かを判定する(ステップS312)。例えば、ラウンドカウント値が「1」〜「5」、「7」〜「15」のいずれかであるときには、上大入賞口スイッチ23Aによる遊技球の検出が有効となることから、ステップS312の処理では、上大入賞口スイッチ23Aから伝送された検出信号がオン状態となったか否かを判定する。一方、ラウンドカウント値が「6」であるときには、下大入賞口スイッチ23Bによる遊技球の検出が有効となることから、ステップS312の処理では、下大入賞口スイッチ23Bから伝送された検出信号がオン状態となったか否かを判定する。
【0142】
ステップS312にて大入賞口スイッチがオンである場合には(ステップS312;YES)、入賞個数カウント値を1加算するように更新する(ステップS313)。入賞個数カウント値は、RAM102の所定領域に設けられた入賞個数カウンタの格納値であり、1回のラウンド遊技が実行される間に大入賞口スイッチにより検出された遊技球の個数を示すものであればよい。その後、大入賞口スイッチにより遊技球が検出されたことに基づいて、賞球となる遊技球を払い出すための設定を行う(ステップS314)。なお、賞球を直接に払い出すことに代えて、賞球の個数に対応した得点を付与するようにしてもよい。
【0143】
その後、大入賞口入賞通知コマンドを主基板11から演出制御基板12に対して送信するための設定を行う(ステップS315)。大入賞口入賞通知コマンドは、特別可変入賞球装置7Aが形成する上大入賞口を通過した遊技球が上大入賞口スイッチ23Aにより検出されたこと、又は特別可変入賞球装置7Bが形成する下大入賞口を通過した遊技球が下大入賞口スイッチ23Bにより検出されたことを通知するコマンドである。
【0144】
ステップS312にて大入賞口スイッチがオフである場合や(ステップS312;NO)、ステップS315の処理を実行した後には、RAM102の所定領域に設けられた確変確定フラグがオンであるか否かを判定する(ステップS316)。このとき、確変確定フラグがオフであれば(ステップS316;NO)、特定領域スイッチ24から伝送された検出信号がオン状態であるか否かを判定する(ステップS317)。そして、特定領域スイッチ24がオンであるときには(ステップS317;YES)、確変確定フラグをオン状態にセットする(ステップS318)。
【0145】
その後、確変確定通知コマンドを主基板11から演出制御基板12に対して送信するための設定を行う(ステップS319)。確変確定通知コマンドは、大当り遊技状態の終了後に確変状態となるための確変制御条件が成立したことを通知するコマンドである。
【0146】
ステップS316にて確変確定フラグがオンであるときや(ステップS316;YES)、ステップS317にて特定領域スイッチ24がオフであるとき(ステップS317;NO)、あるいはステップS319の処理を実行した後には、入賞個数カウント値が予め定められた入賞上限判定値に達したか否かを判定する(ステップS320)。このとき、入賞上限判定値に達していなければ(ステップS320;NO)、大当り開放中処理を終了する。ここでは、特図プロセス処理の値が更新されないことから、次回のタイマ割込みが発生したときに大当り開放中処理が再び実行される。
【0147】
一方、ステップS311にて大入賞口開放上限時間が経過した場合や(ステップS311;YES)、ステップS320にて入賞上限判定値に達しかと判定された場合には(ステップS320;YES)、今回のラウンド遊技を終了すると判断して、開放状態となっている大入賞口を閉鎖状態に戻すための開放終了制御が行われる(ステップS321)。このときには、開放した大入賞口に応じて、ソレノイド82A、82Bのいずれかに対する駆動信号の送信を停止するための設定が行われればよい。
【0148】
ステップS321の処理に続いて、入賞個数カウンタをクリアすることで、そのカウント値を「0」に初期化する(ステップS322)。そして、特図プロセスフラグの値を“6”に更新してから(ステップS323)、大当り開放中処理を終了する。特図プロセスフラグの値が“6”に更新されることにより、次回のタイマ割込みが発生したときには、図5に示すステップS116の大当り開放後処理が実行される。
【0149】
この実施の形態では、大当り種別が「大当りA」であるか「大当りB」であるかにかかわらず、大当り遊技状態におけるラウンド遊技の実行回数が「1」〜「5」、「7」〜「15」のいずれかである場合には、特別可変入賞球装置7Aに形成された上大入賞口を開放状態とするラウンド遊技が実行され、ラウンド遊技の実行回数が「6」である場合には、特別可変入賞球装置7Bに形成された下大入賞口を開放状態とするラウンド遊技が実行される。一方、大当り種別が「大当りA」であるか「大当りB」であるかに応じて、ラウンド遊技の実行回数が「6」となる第6ラウンドにて下大入賞口を開放状態とする上限時間を、異ならせるように設定する。より具体的には、大当り種別が「大当りA」の場合には、第6ラウンドでも第1ラウンド〜第5ラウンド、第7ラウンド〜第15ラウンドの場合と同様に、大入賞口開放上限時間が29.5秒に設定される。これに対して、大当り種別が「大当りB」の場合には、第6ラウンドにおける大入賞口開放上限時間として、第1ラウンド〜第5ラウンド、第7ラウンド〜第15ラウンドよりも短い0.2秒が設定される。なお、大当り種別が「大当りB」の場合の第6ラウンドにおける大入賞口開放上限時間(0.2秒)に遊技球が大入賞口に入賞し特定領域を通過したとしても無効とし、確変状態に制御しないようにしてもよい。
【0150】
図12は、大当り遊技状態におけるラウンド遊技の実行例を示す説明図である。図12(A1)及び(A2)は、大当り種別が「大当りA」に決定されたことに基づくラウンド遊技の実行例を示している。図12(B1)及び(B2)は、大当り種別が「大当りB」に決定されたことに基づくラウンド遊技の実行例を示している。図12(Al)及び(B1)に示すように、ラウンド遊技の実行回数が「1」〜「5」、「7」〜「15」である第1ラウンド〜第5ラウンド、第7ラウンド〜第15ラウンドでは、特別可変入賞球装置7Aに形成された上大入賞口を開放状態とするラウンド遊技が実行される。一方、図12(A2)及び(B2)に示すように、ラウンド遊技の実行回数が「6」である第6ラウンドでは、特別可変入賞球装置7Bに形成された下大入賞口を開放状態とするラウンド遊技が実行される。この第6ラウンドにて下大入賞口を開放状態とする上限時間は、図9に示すステップS297の処理で図10(B)に示すような決定が行われることにより、大当り種別が「大当りB」である場合に、大当り種別が「大当りA」である場合よりも短い時間となる。したがって、大当り種別が「大当りB」である場合には、下大入賞口に遊技球を進入させることが困難であり、確変制御条件が成立し難い。こうして、ラウンド遊技の実行回数が特定回数である「6」となったときに、下大入賞口の変化態様に応じて確変制御条件の成立し易さを異ならせて、特定回数のラウンド遊技に対する遊技者の興趣を高めることができる。
【0151】
大当り種別は、図6に示すステップS242の処理により、図7(B)に示すような変動特図に応じて異なる割合で決定される。第1特図を用いた特図ゲームは、第1始動入賞口を遊技球が通過したことに基づいて実行される。一方、第2特図を用いた特図ゲームは、第2始動入賞口を遊技球が通過したことに基づいて実行される。第2始動入賞口は、普通可変入賞球装置6Bの可動翼片が開放状態又は拡大開放状態になることで遊技球が通過し易くなり、閉鎖状態又は通常開放状態になることで遊技球が通過不可能あるいは通過困難になる。普通可変入賞球装置6Bは、普図ゲームにおける可変表示結果が「普図当り」となったときに、開放状態又は拡大開放状態になる。確変状態や時短状態にて高開放制御を伴う時短制御が行われるときには、時短制御が行われない通常状態等よりも第2始動入賞口を遊技球が通過し易い有利変化態様で、普通可変入賞球装置6Bを開放状態又は拡大開放状態に変化させる。
【0152】
時短制御が行われていない通常状態であるときには、第1始動入賞口を遊技球が通過したことに基づく第1特図を用いた特図ゲームにて特図表示結果が「大当り」となる場合が多い。この場合、大当り種別が所定割合で「大当りB」に決定されることで、確変制御条件が成立し難くなる。一方、時短状態や確変状態にて時短制御に伴う高開放制御が行われているときには、第2始動入賞口を遊技球が通過したことに基づく第2特図を用いた特図ゲームにて特図表示結果が「大当り」となる場合が多い。この場合、大当り種別が第1特図を用いた特図ゲームよりも高い所定割合で「大当りA」に決定されることで、確変制御条件が成立し易くなる。したがって、通常状態にて特図表示結果が「大当り」となる場合には、大当り遊技状態の終了後に確変状態となる可能性が抑制される。但し、大当り種別が「大当りB」の場合でも、第1ラウンド〜第5ラウンド、第7ラウンド〜第15ラウンドのラウンド遊技では、上大入賞口を開放状態とする上限時間が十分に長い時間に設定される。これにより、遊技者は多くの賞球を得る機会が与えられ、可変表示結果が「大当り」となる遊技興趣が高められる。
【0153】
通常状態にて特図表示結果が「大当り」となる場合に連チャン率を抑制するものとして、大当り遊技状態におけるラウンド遊技の実行回数を少なくすることや、各回のラウンド遊技にて大入賞口を開放状態とする上限時間を短くすることにより、遊技球が大入賞口に進入し難い大当り遊技状態を設け、その大当り遊技状態の終了後には確変制御を行う一方で、高開放制御を伴う時短制御が行われないようにすることがある。この場合、遊技球が大入賞口に進入し難い大当り遊技状態が頻発することで、可変表示結果が「大当り」となる遊技興趣が低下する虞がある。この発明の実施の形態によれば、通常状態にて特図表示結果が「大当り」となる場合に連チャン率を抑制しつつ、上大入賞口は遊技球が進入し易い開放状態となるラウンド遊技が実行されることから、可変表示結果が「大当り」となる遊技興趣の低下を防止することができる。
【0154】
図13(A)は、大当り開放後処理として、図5のステップS116にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。図13(A)に示す大当り開放後処理において、CPU103は、まず、RAM102の所定領域に設けられた次ラウンド待ちフラグがオンであるか否かを判定する(ステップS331。)。次ラウンド待ちフラグは、大当り遊技状態における次回のラウンド遊技が開始されるまで待機することに対応して、後述するステップS334の処理によりオン状態にセットされる。
【0155】
ステップS331にて次ラウンド待ちフラグがオフであるときには(ステップS331;NO)、ラウンドカウント値が予め定められたラウンド上限判定値に達したか否かを判定する(ステップS332)。このとき、ラウンド上限判定値に達していなければ(ステップS332;NO)、次ラウンド待ち時間として予め定められた一定時間を設定する(ステップS333)。そして、次ラウンド待ちフラグをオン状態にセットしてから(ステップS334)、大当り開放後処理を終了する。ここでは、特図プロセスフラグの値が更新されないことから、次回のタイマ割込みが発生したときに大当り開放後処理が再び実行される。
【0156】
ステップS332にてラウンド上限判定値に達したと判定された場合には(ステップS332;YES)、大当り終了時演出待ち時間の設定を行う(ステップS335)。図13(B)は、ステップS335の処理による大当り終了時演出待ち時間の設定例を示している。この実施の形態では、大当り種別が「大当りA」と「大当りB」のいずれであるかや、第6ラウンドにて開放状態となった下大入賞口に遊技球が進入したか否かに対応する確変制御条件の成否に応じて、大当り遊技状態の終了時における演出の実行時間を、異ならせるように設定する。
【0157】
具体的な一例として、大当り種別が「大当りA」に決定されたことに基づく大当り遊技状態において、第6ラウンドで開放状態となった下大入賞口に遊技球が進入したことで図11に示すステップS318の処理により確変確定フラグがオン状態にセットされた場合には、大当り終了時演出待ち時間が7秒に設定される。一方、大当り種別が「大当りA」であり確変確定フラグがオフである場合には、大当り終了時演出待ち時間が比較的に長い10秒に設定される。また、大当り種別が「大当りB」であり確変確定フラグがオフである場合には、大当り終了時演出待ち時間が比較的に短い5秒に設定される。
【0158】
ステップS335の処理を実行した後には、ラウンドカウンタをクリアして、そのカウント値を「0」に初期化する(ステップS336)。また、大当りフラグをクリアしてオフ状態にする(ステップS337)。続いて、大当り終了時におけるコマンドの送信設定が行われる(ステップS338)。例えば、ステップS338の処理では、大当り遊技状態の終了を示す大当り終了指定コマンドを送信するために予め用意されたコマンド送信テーブルがセットされればよい。大当り終了指定コマンドは、例えばEXTデータの設定等により、演出制御基板12の側にて大当り終了時演出待ち時間を特定することができればよい。また、大当り終了指定コマンドは、例えばEXTデータの設定等により、確変確定フラグの状態に応じて大当り遊技状態の終了後に確変制御が行われる確変状態となるか否かを特定することができればよい。
【0159】
ステップS338の処理を実行した後には、特図プロセスフラグの値を“7”に更新してから(ステップS339)、大当り開放後処理を終了する。特図プロセスフラグの値が“7”に更新されることにより、次回のタイマ割込みが発生したときには、図5に示すステップS117の大当り終了処理が実行される。
【0160】
ステップS331にて次ラウンド待ちフラグがオンである場合には(ステップS331;YES)、次ラウンド待ち時間か経過したか否かを判定する(ステップS340)。そして、次ラウンド待ち時間が経過していなければ(ステップ340;NO)、大当り開放後処理を終了する。このときには、特図プロセスフラグの更新が行われないことから、次回のタイマ割込みが発生したときに大当り開放後処理が再び実行され、次ラウンド待ち時間が経過するまで待機する。
【0161】
ステップS340にて次ラウンド待ち時間が経過したときには(ステップS340;YES)、次ラウンド待ち時フラグをクリアしてオフ状態にする(ステップS341)。また、ラウンドカウント値を1加算するように更新する(ステップS342)。そして、特図プロセスフラグの値を“4”に更新してから(ステップS343)、大当り開放後処理を終了する。特図プロセスフラグの値が“4”に更新されることにより、次回のタイマ割込みが発生したときには、図5に示すステップS114の大当り開放前処理が実行され、新たなラウンド遊技を開始させることができる。
【0162】
図14は、図5のステップS117にて実行される大当り終了処理の一例を示すフローチャートである。図14に示す大当り終了処理において、CPU103は、まず、大当り終了時演出待ち時間が経過したか否かを判定する(ステップS361)。このとき、大当り終了時演出待ち時間が経過していなければ(ステップS361;NO)、大当り終了処理の実行を終了させて待機する。
【0163】
ステップS361にて大当り終了時演出待ち時間が経過した場合には(ステップS361;YES)、時短制御を開始してパチンコ遊技機1における遊技状態を時短状態とするための設定を行う(ステップS362)。一例として、ステップS362の処理では、時短フラグをオン状態にセットすることに加え、時短状態にて実行可能な特図ゲームの上限回数(時短回数)等に対応するカウント初期値を、時短回数カウンタに設定する。なお、確変制御を行うか否か(確変確定フラグがオンであるかオフであるか)に応じて上記上限回数を異ならせてもよい。その後、確変確定フラグがオンであるか否かを判定する(ステップS363)。
【0164】
ステップS363にて確変確定フラグがオンであるときには(ステップS363;YES)、確変制御を開始してパチンコ遊技機1における遊技状態を確変状態とするための設定を行う(ステップS364)。一例として、ステップS364の処理では、確変フラグをオン状態にセットすることに加え、確変状態にて実行可能な特図ゲームの上限回数(ST回数)等に対応するカウント初期値を、確変回数カウンタに設定する。その後、確変確定フラグをクリアしてオフ状態にする(ステップS365)。
【0165】
ステップS363にて確変確定フラグがオフであるときや(ステップS363;NO)、ステップS365の処理を実行した後には、特図プロセスフラグをクリアして、その値を“0”に初期化してから(ステップS366)、大当り終了処理を終了する。特図プロセスフラグが“0”に初期化されることにより、次回のタイマ割込みが発生したときには、図5に示すステップS110の特別図柄通常処理が実行される。
【0166】
次に、演出制御基板12における動作を説明する。
【0167】
演出制御基板12では、電源基板等から電源電圧の供給を受けると、演出制御用CPU120が起動して、図15のフローチャートに示すような演出制御メイン処理を実行する。図15に示す演出制御メイン処理を開始すると、演出制御用CPU120は、まず、所定の初期化処理を実行して(ステップS71)、RAM122のクリアや各種初期値の設定、また演出制御基板12に搭載されたCTCのレジスタ設定等を行う。その後、タイマ割込みフラグがオンとなっているか否かの判定を行う(ステップS72)。タイマ割込みフラグは、例えばCTCのレジスタ設定に基づき、所定期間が経過する毎にオン状態にセットされる。このとき、タイマ割込みフラグがオフであれば(ステップS72;NO)、ステップS72の処理を繰り返し実行して待機する。
【0168】
また、演出制御基板:12の側では、所定期間が経過する毎に発生するタイマ割込みとは別に、主基板11から演出制御コマンドを受信するための割込みが発生する。この割込みは、例えば主基板11からの演出制御INT信号がオン状態となることにより発生する割込みである。演出制御INT信号がオン状態となることによる割込みが発生すると、演出制御用CPU120は、自動的に割込み禁止に設定するが、自動的に禁止状態にならないCPUを用いている場合には、割込み禁止命令を発行することが望ましい。演出制御用CPU120は、演出制御INT信号がオン状態となることによる割込みに対応して、例えば所定のコマンド受信割込み処理を実行する。このコマンド受信割込み処理では、I/O125に含まれる入力ポートのうちで、中継基板15を介して主基板11から送信された制御信号を受信する所定の入力ポートより、演出制御コマンドとなる制御信号を取り込む。このとき取り込まれた演出制御コマンドは、例えば演出制御バッファ設定部といったRAM122の所定領域に設けられた演出制御コマンド受信用バッファに格納する。一例として、演出制御コマンドが2バイト構成である場合には、1バイト目と2バイト目を順次に受信して演出制御コマンド受信用バッファに格納する。その後、演出制御用CPU120は、割込み許可に設定してから、コマンド受信割込み処理を終了する。
【0169】
ステップS72にてタイマ割込みフラグがオンである場合には(ステップS72;YES)、タイマ割込みフラグをクリアしてオフ状態にすると共に(ステップS73)、コマンド解析処理を実行する(ステップS74)。ステップS74にて実行されるコマンド解析処理では、例えば主基板11の遊技制御用マイクロコンピュータ100から送信されて演出制御コマンド受信用バッファに格納されている各種の演出制御コマンドを読み出した後に、その読み出された演出制御コマンドに対応した設定や制御等が行われる。
【0170】
ステップS74にてコマンド解析処理を実行した後には、エラー報知処理を実行する(ステップS75)。ステップS75のエラー報知処理では、例えば磁石を用いて不正に遊技球を入賞口に誘導させるような行為について、主基板11から送信された磁気異常報知指定コマンドに対応したエラー報知等が行われる。
【0171】
ステップS75にてエラー報知処理を実行した後には、演出制御プロセス処理を実行する(ステップS76)。ステップS76の演出制御プロセス処理では、例えば画像表示装置5の表示領域における演出画像の表示動作、スピーカ8L、8Rからの音声出力動作、遊技効果ランプ9及び装飾用LEDといった装飾発光体における点灯動作、演出用模型における駆動動作といった、各種の演出装置を用いた演出動作の制御内容について、主基板11から送信された演出制御コマンド等に応じた判定や決定、設定等が行われる。
【0172】
ステップS76の演出制御プロセスに続いて、演出用乱数更新処理が実行され(ステップS77)、演出制御に用いる各種の乱数値として、演出制御カウンタ設定部といったRAM122の所定領域に設けられたランダムカウンタによってカウントされる演出用乱数を示す数値データを、ソフトウェアにより更新する。その後、ステップS72の処理に戻る。
【0173】
図16は、コマンド解析処理として、図15のステップS74にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。図16に示すコマンド解析処理において、演出制御用CPU120は、まず、演出制御コマンド受信用バッファの記憶内容を確認すること等により、中継基板15を介して伝送された主基板11からの受信コマンドがあるか否かを判定する(ステップS501)。このとき、受信コマンドがなければ(ステップS501;NO)、コマンド解析処理を終了する。
【0174】
ステップS501にて受信コマンドがある場合には(ステップS501;YES)、例えば受信コマンドのMODEデータを確認すること等により、その受信コマンドが大当り開始指定コマンドであるか否かを判定する(ステップS502)。そして、大当り開始指定コマンドであるときには(ステップ502;YES)、連チャン回数カウント値を1加算するように更新してから(ステップS503)、ステップS501の処理に戻る。連チャン回数カウント値は、RAM122の所定領域に設けられた連チャン回数カウンタの格納値であり、連チャン回数を示すものであればよい。ここで、連チャンとは、確変状態又は時短状態であるときに可変表示結果が「大当り」となって大当り遊技状態の終了後にも確変状態又は時短状態に制御されることが所定回実行されることをいう。また、連チャン回数とは、確変状態又は時短状態であるときに可変表示結果が「大当り」となって大当り遊技状態の終了後にも確変状態又は時短状態に制御されることが連続して発生した回数をいう。
【0175】
ステップS502にて受信コマンドが大当り開始指定コマンドではない場合には(ステップS502;NO)、その受信コマンドは大入賞口入賞指定コマンドであるか否かを判定する(ステップS504)。そして、大入賞口入賞指定コマンドであるときには(ステップS504;YES)、賞球数カウント値を15加算するように更新する(ステップS505)。賞球数カウント値は、RAM122の所定領域に設けられた賞球数カウンタの格納値であり、賞球数を示すものであればよい。ここで、賞球数とは、現在の大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数をいう。
【0176】
ステップS505の処理を実行した後には、累積賞球数カウント値を15加算するように更新してから(ステップS506)、ステップS501の処理に戻る。累積賞球数カウント値は、RAM122の所定領域に設けられた累積賞球数カウンタの格納値であり、累積賞球数を示すものであればよい。ここで、累積賞球数とは、連チャン中における大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数をいう。
【0177】
ステップS504にて受信コマンドが大入賞口入賞指定コマンドではない場合には(ステップS504;NO)、その受信コマンドは大当り終了指定コマンドであるか否かを判定する(ステップS507)。そして、大当り終了指定コマンドであるときには(ステップS507;YES)、賞球数カウンタをクリアすることで、そのカウント値を「0」に初期化して(ステップS508)、ステップS501の処理に戻る。
【0178】
このように、この実施の形態では、上大入賞口に遊技球が進入したときには、上大入賞口スイッチ23Aにより入賞球が検出され、下大入賞口に遊技球が進入したときには、下大入賞口スイッチ23Bにより入賞球が検出されて、その検出毎に15個の遊技球が賞球として払い出されることに対応して、賞球数カウント値が15加算されると共に、現在の大当り遊技状態が終了することに対応して、そのカウント値が「0」に初期化されることにより、大当り遊技状態に制御される度に、その大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数がカウントされる。
【0179】
ステップS507にて受信コマンドが大当り終了指定コマンドではない場合には(ステップS507;NO)、その受信コマンドは遊技状態指定コマンドであるか否かを判定する(ステップS509)。そして、遊技状態指定コマンドであるときには(ステップS509;YES)、受信した遊技状態指定コマンドに基づいて時短制御が終了するか否かを判定する(ステップS510)。そして、時短制御が終了するときには(ステップS510;YES)、累積賞球数カウンタをクリアすることで、そのカウント値を「0」に初期化する(ステップS511)。
【0180】
このように、この実施の形態では、連チャン中において、上大入賞口に遊技球が進入したときには、上大入賞口スイッチ23Aにより入賞球が検出され、下大入賞口に遊技球が進入したときには、下大入賞口スイッチ23Bにより入賞球が検出されて、その検出毎に15個の遊技球が賞球として払い出されることに対応して、累積賞球数カウント値が15加算されると共に、連チャンが終了することに対応して、そのカウント値が「0」に初期化されることにより、連チャン中における大当り中に賞球として払い出された遊技球の個数がカウントされる。
【0181】
ステップS511の処理を実行した後には、連チャン回数カウンタをクリアすることで、そのカウント値を「0」に初期化して(ステップS512)、ステップS501の処理に戻る。
【0182】
このように、この実施の形態では、大当り遊技状態に制御される度に、連チャン回数カウント値が1加算されると共に、時短制御が終了することに対応して、そのカウント値が「0」に初期化されることにより、連チャン回数がカウントされる。
【0183】
ステップS509にて受信コマンドが遊技状態指定コマンドではない場合には(ステップS507;NO)、その他の受信コマンドに応じた設定を行ってから(ステップS513)、ステップS501の処理に戻る。
【0184】
図17は、エラー報知処理として、図15のステップS75にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。このエラー報知処理において、演出制御用CPU120は、まず、エラー報知の報知期間であるか否かを、例えば、報知制御パターンに基づいて判定する(ステップS141)。
【0185】
ステップS141にてエラー報知の報知期間でない場合には(ステップS141;NO)、磁気異常報知指定コマンドの受信があったか否かを判定する(ステップS502)。このとき、磁気異常報知指定コマンドの受信がない場合には(ステップS142;NO)、エラー報知処理を終了する。
【0186】
ステップS142にて磁気異常報知指定コマンドの受信があった場合(ステップS142;YES)、最上位のレイヤーでエラー報知を実行するための動作制御を行った後(ステップS143)、エラー報知処理を終了する。また、ステップS141にてエラー報知の報知期間である場合にも(ステップS141;YES)、最上位のレイヤーでエラー報知を実行するための動作制御を行った後(ステップS143)、エラー報知処理を終了する。例えば、ステップS143の処理では、エラー報知を実行するために予め用意された報知制御パターン等から読み出した報知制御実行データに応じて、所定の報知態様によるエラー報知を実行するために、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14等に対して伝送させればよい。これにより、例えば図25(A)に示すようなエラー報知画像を、最上位のレイヤーに表示させるといった、エラー報知が実行される。
【0187】
図25(A)に示すエラー報知画像は、磁石を用いて不正に遊技球を入賞口に誘導させるような行為を検出したことに対応して、「エラー発生!係員をお呼びください。」というメッセージを報知する文字画像MM1や、エラーが発生したことを報知するピクトグラムを示すピクトグラム画像AR1を、含んでいる。ピクトグラム画像AR1は、エラー報知に対応して予め定められた表示態様で表示されればよい。なお、エラー報知画像の表示時間(エラー報知の報知期間)は、例えば、30秒であってもよい。エラーの種類に応じて、エラー報知画像の表示時間を異ならせてもよい。
【0188】
本実施の形態では、エラー報知画像と、下大入賞口に入賞した遊技球が特定領域を通過したことを報知する第3報知としての確変確定報知演出用の確変確定報知演出画像と、特定期間としての大当り中に賞球として払い出された賞球数を報知する第1報知としての賞球数報知演出用の賞球数報知演出画像と、連チャン回数を報知する第4報知としての連チャン回数報知用の連チャン回数報知画像や大当り中に再生されている楽曲名を報知する第5報知としての大当り中楽曲名報知用の大当り中楽曲名報知画像といったその他の演出用の画像とがそれぞれ異なるレイヤーに配置される。具体的には、図26(A)に示すように、エラー報知画像と確変確定報知演出画像と賞球数報知演出画像とその他の演出用の画像には、各画像データにおいて、画像を重畳して描画する際に用いるZ値が設定されるようになっており、演出制御用CPU120のワークエリアを提供するRAM122には、エラー報知画像と確変確定報知演出画像と賞球数報知演出画像とその他の演出用の画像の画像データのZ値を設定するZ値設定テーブルが記憶されている。このZ値設定テーブルは、各画像データの項目に対応付けて、画像を描画するときに用いるZ値が登録されている。
【0189】
図26(B)に示すように、小さいZ値を有する画像が手前側、大きいZ値を有する画像が奥側に描画される。つまり、Z値が大きい値である画像上に、Z値が小さい値である画像が重なるように描画され、Z値が小さい値である画像が優先的に表示される。つまりZ値が小さい値である画像が遊技者にとって手前側にあるように視認できる。
【0190】
また、本実施の形態では、図26(A)に示すように、エラー報知画像のZ値が「0」に設定され、確変確定報知演出画像のZ値が「1」に設定され、賞球数報知演出画像のZ値が「2」に設定され、連チャン回数報知画像や大当り中楽曲名報知画像といったその他の演出用の画像のZ値が「3」に設定されて登録されている。つまり、後述する大当り中演出処理を実行するときに、演出制御用CPU120は、連チャン回数報知画像や大当り中楽曲名報知画像よりも賞球数報知演出画像を優先的に表示し、賞球数報知演出画像よりも確変確定報知演出画像を優先的に表示し、確変確定報知演出画像よりもエラー報知画像を優先的に表示する制御を行う。
【0191】
なお、Z値に「2」が設定されているのは、賞球数報知演出画像のみならず、特別期間としての連チャン中における大当り中に賞球として払い出された累積賞球数を報知する第2報知としての累積賞球数報知演出用の累積賞球数報知演出画像もZ値に「2」が設定されている。更に、エラー報知画像や確変確定報知演出画像や賞球数報知演出画像や累積賞球数報知演出画像や連チャン回数報知画像や大当り中楽曲名報知画像のみならず、背景となる背景画像等にもZ値が設定されており、これら背景画像等には、連チャン回数報知画像や大当り中楽曲名報知画像よりも大きなZ値が設定されている。
【0192】
また、確変確定報知演出画像の優先度を細分化してもよい。例えば、初当りである場合(即ち、初当りに対して確変確定報知演出画像を表示する場合)と、連チャンである場合(即ち、2連チャン目以降に対して確変確定報知演出画像を表示する場合)とで確変確定報知演出画像のZ値を異ならせてもよい。また、何連チャン目であるかに応じて、確変確定報知演出画像のZ値を異ならせてもよい。なお、初当りか、連チャンか(更には何連チャン目か)で、確変確定報知演出画像の表示態様(デザイン、文言等)を異ならせてもよい。後出する4つの変形例においても同様である。
【0193】
また、賞球数報知演出画像の優先度を細分化してもよい。例えば、賞球数が「2000個」である場合と、賞球数が「2400個」である場合とで賞球数報知演出画像のZ値を異ならせてもよい。なお、賞球数が「2000個」か「2400個」かで、賞球数報知演出画像の表示態様(色、文言、デザイン等)を異ならせてもよい。後出する4つの変形例においても同様である。
【0194】
また、累積賞球数報知演出画像の優先度を細分化してもよい。例えば、累積賞球数が「5000個」である場合と、賞球数が「10000個」である場合とで累積賞球数報知演出画像のZ値を異ならせてもよい。なお、賞球数が「5000個」か「10000個」かで、累積賞球数報知演出画像の表示態様(色、文言、デザイン等)を異ならせてもよい。後出する4つの変形例においても同様である。
【0195】
また、連チャン回数報知画像の優先度を細分化してもよい。例えば、何連チャン目の連チャン回数報知画像であるかに応じて、連チャン回数報知画像のZ値を異ならせてもよい。なお、何連チャン目かに応じて、連チャン回数報知画像の表示態様(色、文言、デザイン等)を異ならせてもよい。後出する4つの変形例においても同様である。
【0196】
また、大当り中楽曲名報知画像の優先度を細分化してもよい。例えば、楽曲(当該楽曲の種類、当該楽曲の本日の再生回数等)に応じて、大当り中楽曲名報知画像のZ値を異ならせてもよい。なお、楽曲に応じて、大当り中楽曲名報知画像の表示態様(色、文言、デザイン等)を異ならせてもよい。後出する4つの変形例においても同様である。
【0197】
図18は、演出制御プロセス処理の一例を示すフローチャートである。図18に示す演出制御プロセス処理において、演出制御用CPU120は、RAM122の所定領域に設けられた演出プロセスフラグの値に応じて、以下のようなステップS170〜S176の処理のいずれかを選択して実行する。
【0198】
ステップS170の可変表示開始待ち処理は、演出プロセスフラグの値が“0”のときに実行される処理である。この可変表示開始待ち処理は、主基板11から伝送される第1変動開始コマンドあるいは第2変動開始コマンド等を受信したか否かに基づき、画像表示装置5の画面上における飾り図柄の可変表示を開始するか否かを判定する処理等を含んでいる。第1変動開始コマンドは、第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図を用いた特図ゲームが開始されることを通知する演出制御コマンドである。第2変動開始コマンドは、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図を用いた特図ゲームが開始されることを通知する演出制御コマンドである。このような第1変動開始コマンド又は第2変動開始コマンドのいずれかを受信したときには、演出プロセスフラグの値が“1”に更新される。
【0199】
ステップS171の可変表示開始設定処理は、演出プロセスフラグの値が“1”のときに実行される処理である。この可変表示開始設定処理は、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bによる特図ゲームにおいて特別図柄の可変表示が開始されることに対応して、画像表示装置5の画面上における飾り図柄の可変表示や、その他の各種演出動作を行うために、特別図柄の変動パターンや表示結果の種類等に応じた確定飾り図柄や各種の演出制御パターンを決定する処理等を含んでいる。可変表示開始設定処理が実行されたときには、演出プロセスフラグの値が“2”に更新される。
【0200】
ステップS172の可変表示中演出処理は、演出プロセスフラグの値が“2”のときに実行される処理である。この可変表示中演出処理において、演出制御用CPU120は、RAM122の所定領域に設けられた演出制御プロセスタイマにおけるタイマ値に対応して、演出制御パターンから各種の制御データを読み出し、飾り図柄の可変表示中における各種の演出制御を行うための処理が含まれている。また、可変表示中演出処理には、主基板11から伝送される図柄確定コマンドを受信したこと等に対応して、飾り図柄の可変表示結果となる最終停止図柄としての確定飾り図柄を完全停止表示させる処理が含まれている。なお、所定の演出制御パターンから終了コードが読み出されたことに対応して、確定飾り図柄を完全停止表示させるようにしてもよい。この場合には、変動パターン指定コマンドにより指定された変動パターンに対応する可変表示時間が経過したときに、主基板11からの演出制御コマンドによらなくても、演出制御基板12の側で自律的に確定飾り図柄を導出表示して可変表示結果を確定させることができる。こうした演出制御等を行った後に、演出プロセスフラグの値が“3”に更新される。
【0201】
ステップS173の可変表示停止処理は、演出プロセスフラグの値が“3”のときに実行される処理である。可変表示停止処理は、可変表示結果通知コマンドにより通知された可変表示結果や、主基板11から伝送された大当り開始指定コマンドを受信したか否かの判定結果に基づいて、大当り遊技状態が開始されるか否かを判定する処理を含んでいる。そして、可変表示結果が「大当り」に対応して大当り遊技状態が開始される場合には、演出プロセスフラグの値が“4”に更新される一方で、特図表示結果が「ハズレ」に対応して大当り遊技状態が開始されない場合には、演出プロセスフラグがクリアされて、その値が“0”に初期化される。
【0202】
ステップS174の大当り表示処理は、演出プロセスフラグの値が“4”のときに実行される処理である。この大当り表示処理は、主基板11から伝送された大当り開始指定コマンドを受信したこと等に基づいて、大当り遊技状態の開始を報知する大当り報知演出を実行するための処理を含んでいる。そして、大当り報知演出の実行が終了するときには、演出プロセスフラグの値が“5”に更新される。
【0203】
ステップS175の大当り中演出処理は、演出プロセスフラグの値が“5”のときに実行される処理である。この大当り中演出処理において、演出制御用CPU120は、大当り遊技状態における演出内容に対応した演出制御パターン等を設定し、その設定内容に基づく演出画像を画像表示装置5の画面上に表示させることや、音声制御基板13に対する指令の出力によりスピーカ8L、8Rから音声や効果音を出力させること、ランプ制御基板14に対する指令の出力により遊技効果ランプ9や装飾用LEDを点灯/消灯/点滅させることといった、大当り遊技状態における各種の演出制御を実行する。また、大当り中演出処理では、例えば主基板11から伝送される大当り終了指定コマンドを受信したこと等に対応して、演出プロセスフラグの値が“6”に更新される。
【0204】
ステップS176の大当り終了演出処理は、演出プロセスフラグの値が“6”のときに実行される処理である。この大当り終了演出処理において、演出制御用CPU120は、例えば大当り遊技状態の終了等に対応した演出制御パターンを設定し、その設定内容に基づく演出画像を画像表示装置5の画面上に表示させることや、音声制御基板13に対する指令の出力によりスピーカ8L、8Rから音声や効果音を出力させること、ランプ制御基板14に対する指令の出力により遊技効果ランプ9や装飾用LEDを点灯/消灯/点滅させることといった、大当り遊技状態の終了時における各種の演出制御を実行する。その後、演出プロセスフラグをクリアして、その値を“0”に初期化する。
【0205】
図19(A)は、図18のステップS175にて実行される大当り中演出処理の一例を示すフローチャートである。図19(A)に示す大当り中演出処理において、演出制御用CPU120は、まず、大当り終了指定コマンドの受信があったか否かを判定する(ステップS181)。このとき、大当り終了指定コマンドの受信がない場合には(ステップS181;NO)、大当り遊技状態におけるラウンド遊技の実行回数が「1」〜「4」となる第1ラウンド〜第4ラウンドの実行中であるか否かを判定する(ステップS182)。
【0206】
ステップS182にて第1ラウンド〜第4ラウンドの実行中であると判定された場合には(ステップS182;YES)、大当り中昇格演出となる演出動作の制御を行う(ステップS183)。このように、この実施の形態では、大当り遊技状態における第1ラウンド〜第4ラウンドの実行中にて、確変状態に制御するか否かの報知演出となる第6報知としての大当り中昇格演出が実行される。
【0207】
大当り中昇格演出には、確定飾り図柄が非確変大当り組み合わせであるにもかかわらず遊技状態が確変状態となる昇格がある旨を報知する大当り中昇格成功演出と、確変状態となる昇格がない旨を報知する大当り中昇格失敗演出とがある。例えば、大当り中昇格演出では、画像表示装置5の表示領域にて飾り図柄を可変表示させて非確変図柄と確変図柄のいずれかを演出表示結果として停止表示させること、あるいは飾り図柄の可変表示とは異なる演出画像の表示を行うこと等により、確変状態となる昇格の有無を、遊技者が認識できるように報知すればよい。
【0208】
ステップS182にて第1ラウンド〜第4ラウンドの実行中ではないと判定された場合や(ステップS182;NO)、ステップS183の処理を実行した後には、下大入賞口に入賞した遊技球が特定領域を通過したことを報知するための確変確定報知演出を実行するための演出動作制御を行う(ステップS184)。
【0209】
図20は、確変確定報知演出動作制御処理として、図19(A)のステップS184にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。この確変確定報知演出動作制御処理において、演出制御用CPU120は、まず、確変確定報知演出期間であるか否かを、例えば、演出制御パターンに基づいて判定する(ステップS161)。
【0210】
ステップS161にて確変確定報知演出期間でない場合には(ステップS161;NO)、確変確定通知コマンドの受信があったか否かを判定する(ステップS162)。このとき、確変確定通知コマンドの受信がない場合には(ステップS162;NO)、確変確定報知演出動作制御処理を終了する。
【0211】
ステップS162にて確変確定通知コマンドの受信があった場合や(ステップS162;YES)、ステップS161にて確変確定報知演出期間である場合には(ステップS161;YES)、エラー報知の実行中であるか否かを判定する(ステップS163)。このとき、エラー報知の実行中ではない場合には(ステップS163;NO)、最上位のレイヤーで確変確定報知演出を実行するための動作制御を行った後(ステップS164)、確変確定報知演出動作制御処理を終了する。例えば、ステップS164の処理では、確変確定報知演出を実行するために予め用意された演出制御パターン等から読み出した演出制御実行データに応じて、所定の演出態様による確変確定報知演出を実行するために、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14等に対して伝送させればよい。これにより、例えば図25(B)に示すような確変確定報知演出画像を、最上位のレイヤーに表示させるといった、確変確定報知演出が実行される。
【0212】
図25(B)に示す確変確定報知演出画像は、下大入賞口に入賞した遊技球が特定領域を通過したことに対応して、「確変!」というメッセージを報知する文字画像MM2を、含んでいる。なお、確変確定報知演出画像の表示時間(確変確定報知演出の実行期間)は、例えば、20秒であってもよい。
【0213】
ステップS163にてエラー報知の実行中である場合には(ステップS163;YES)、エラー報知が実行されているレイヤーよりも下位のレイヤーで確変確定報知演出を実行するための動作制御を行った後(ステップS165)、確変確定報知演出動作制御処理を終了する。例えば、ステップS165の処理では、ステップS164の処理と同様に、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14等に対して伝送させればよい。また、本実施の形態では、上述したように、エラー報知画像のZ値が「0」に設定され、確変確定報知演出画像のZ値が「1」に設定されて登録されている。これにより、演出制御用CPU120は、確変確定報知演出画像をエラー報知画像が表示されているレイヤーよりも下位のレイヤーに表示させるといった、確変確定報知演出よりもエラー報知を優先的に実行する制御を行う。
【0214】
図19(A)のステップS184にて、このような確変確定報知演出動作制御処理を実行した後には、大当り中に賞球として払い出された賞球数を報知する賞球数報知演出を実行するための演出動作制御を行う(ステップS185)。
【0215】
図21は、賞球数報知演出動作制御処理として、図19(A)のステップS185にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。この賞球数報知演出動作制御処理において、演出制御用CPU120は、まず、賞球数報知演出期間であるか否かを、例えば、演出制御パターンに基づいて判定する(ステップS211)。
【0216】
ステップS211にて賞球数報知演出期間でない場合には(ステップS211;NO)、大当り中に賞球として払い出された賞球数が「2000個」に到達したことを報知する賞球数報知演出を実行済みか否かを判定する(ステップS212)。ステップS212の処理では、例えば大当り中に賞球として払い出された賞球数が「2000個」に到達したことを報知したときにオン状態にセットされる2000個到達フラグを設けておき、その2000個到達フラグがオン状態であるか否かに基づいて判定すればよい。
【0217】
ステップS212にて大当り中に賞球として払い出された賞球数が「2000個」に到達したことを報知する賞球数報知演出を実行済みではない場合には(ステップS213;NO)、RAM122の所定領域に記憶されている賞球数カウント値を読み出し、その読出値が「2000」以上であるか否かを判定する(ステップS213)。このとき、賞球数カウント値が「2000」以上ではない場合には(ステップS213;NO)、賞球数報知演出動作制御処理を終了する。
【0218】
ステップS212にて大当り中に賞球として払い出された賞球数が「2000個」に到達したことを報知する賞球数報知演出を実行済みである場合には(ステップS212;YES)、大当り中に賞球として払い出された賞球数が「2400個」に到達したことを報知する賞球数報知演出を実行済みか否かを判定する(ステップS214)。ステップS214の処理では、例えば大当り中に賞球として払い出された賞球数が「2400個」に到達したことを報知したときにオン状態にセットされる2400個到達フラグを設けておき、その2400個到達フラグがオン状態であるか否かに基づいて判定すればよい。
【0219】
ステップS214にて大当り中に賞球として払い出された賞球数が「2400個」に到達したことを報知する賞球数報知演出を実行済みである場合には(ステップS214;YES)、賞球数報知演出動作制御処理を終了する。
【0220】
ステップS214にて大当り中に賞球として払い出された賞球数が「2400個」に到達したことを報知する賞球数報知演出を実行済みではない場合には(ステップS214;NO)、RAM122の所定領域に記憶されている賞球数カウント値を読み出し、その読出値が「2400」以上であるか否かを判定する(ステップS215)。このとき、賞球数カウント値が「2400」以上ではない場合には(ステップS215;NO)、賞球数報知演出動作制御処理を終了する。
【0221】
ステップS213にて賞球数カウント値が「2000」以上である場合や(ステップS213;YES)、ステップS215にて賞球数カウント値が「2400」以上である場合や(ステップS215;YES)、ステップS211にて賞球数報知演出期間である場合には(ステップS211;YES)、確変確定報知演出の実行中であるか否かを判定する(ステップS216)。
【0222】
ステップS216にて確変確定報知演出の実行中ではない場合には(ステップS216;NO)、エラー報知の実行中であるか否かを判定する(ステップS217)。このとき、エラー報知の実行中ではない場合には(ステップS217;NO)、最上位のレイヤーで賞球数報知演出を実行するための動作制御を行った後(ステップS218)、賞球数報知演出動作制御処理を終了する。例えば、ステップS218の処理では、大当り中に賞球として払い出された賞球数が「2000個」に到達したことを報知する賞球数報知演出、あるいは「2400個」に到達したことを報知する賞球数報知演出を実行するために予め用意された演出制御パターン等から読み出した演出制御実行データに応じて、所定の演出態様による賞球数報知演出を実行するために、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14等に対して伝送させればよい。これにより、例えば図25(C)に示すような賞球数報知演出画像を、最上位のレイヤーに表示させるといった、賞球数報知演出が実行される。
【0223】
図25(C)に示す賞球数報知演出画像は、大当り中に賞球として払い出された賞球数が「2000個」に到達したことに対応して、「2000GET」というメッセージを報知する文字画像MM3や、その「2000GET」というメッセージを台詞として発している態様のキャラクタ画像CA1を、含んでいる。なお、賞球数報知演出画像の表示時間(累積賞球数報知演出の実行期間)は、例えば、10秒であってもよい。
【0224】
ステップS217にてエラー報知の実行中である場合には(ステップS217;YES)、エラー報知が実行されているレイヤーよりも下位のレイヤーで賞球数報知演出を実行するための動作制御を行った後(ステップS219)、賞球数報知演出動作制御処理を終了する。ステップS219の処理では、ステップS218の処理と同様に、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14等に対して伝送させればよい。また、本実施の形態では、上述したように、エラー報知画像のZ値が「0」に設定され、賞球数報知演出画像のZ値が「2」に設定されて登録されている。これにより、演出制御用CPU120は、賞球数報知演出画像をエラー報知画像が表示されているレイヤーよりも下位のレイヤーに表示させるといった、賞球数報知演出よりもエラー報知を優先的に実行する制御を行う。
【0225】
ステップS216にて確変確定報知演出の実行中である場合には(ステップS216;YES)、確変確定報知演出が実行されているレイヤーよりも下位のレイヤーで賞球数報知演出を実行するための動作制御を行った後(ステップS220)、賞球数報知演出動作制御処理を終了する。ステップS220の処理では、ステップS218、S219の処理と同様に、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14等に対して伝送させればよい。また、本実施の形態では、上述したように、確変確定報知演出画像のZ値が「1」に設定され、賞球数報知演出画像のZ値が「2」に設定されて登録されている。これにより、演出制御用CPU120は、賞球数報知演出画像を確変確定報知演出画像が表示されているレイヤーよりも下位のレイヤーに表示させるといった、賞球数報知演出よりも確変確定報知演出を優先的に実行する制御を行う。
【0226】
なお、図21では、ステップS220の処理を行った場合には賞球数報知演出動作制御処理を終了しているが、ステップS220の処理に続いてステップS217の処理を実行してもよい。即ち、賞球数報知演出動作制御処理(ステップS185)の1回の実行において、纏めて複数のレイヤーにおける動作制御を行うようにしてもよい。他の同様の動作制御処理(例えば、図22の累積賞球数報知演出動作制御処理(ステップS186)等)においても同様である。
【0227】
図19(A)のステップS185にて、このような賞球数報知演出動作制御処理を実行した後には、連チャン中における大当り中に賞球として払い出された累積賞球数を報知する累積賞球数報知演出を実行するための演出動作制御を行う(ステップS186)。
【0228】
図22は、累積賞球数報知演出動作制御処理として、図19(A)のステップS186にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。この累積賞球数報知演出動作制御処理において、演出制御用CPU120は、まず、大当り中昇格演出が終了したが否かを判定する(ステップS391)。ステップS391の処理では、例えば大当り中昇格演出の実行中にオン状態となる大当り中昇格演出フラグを設けておき、その大当り中昇格演出フラグがオン状態であるか否かに基づいて判定すればよい。
【0229】
ステップS391にて大当り中昇格演出が終了していなければ(ステップS391;NO)、累積賞球数報知演出動作制御処理を終了する。このように、この実施の形態では、大当り中昇格演出が終了するまでは、累積賞球数報知演出は実行されない。これは、この実施の形態では第1ラウンド〜第4ラウンドにて実行される大当り中昇格演出が、遊技状態が確変状態となる昇格があるか否かという、遊技者が注視すべき重要な演出であるところ、その大当り中昇格演出が終了するまでの間に、連チャンが継続することを前提として演出効果が向上する累積賞球数報知演出が実行されることにより、連チャンが継続するか否かを報知することにもなる大当り中昇格演出への注目度を低下させないようにするためである。
【0230】
ステップS391にて大当り中昇格演出が終了している場合には(ステップS391;YES)、累積賞球数報知演出期間であるか否かを、例えば、演出制御パターンに基づいて判定する(ステップS392)。
【0231】
ステップS392にて累積賞球数報知演出期間でない場合には(ステップS392;NO)、連チャン中における大当り中に賞球として払い出された累積賞球数が「5000個」に到達したことを報知する累積賞球数報知演出を実行済みか否かを判定する(ステップS393)。ステップS393の処理では、例えば連チャン中における大当り中に賞球として払い出された累積賞球数が「5000個」に到達したことを報知したときにオン状態にセットされる5000個到達フラグを設けておき、その5000個到達フラグがオン状態であるか否かに基づいて判定すればよい。
【0232】
ステップS393にて連チャン中における大当り中に賞球として払い出された累積賞球数が「5000個」に到達したことを報知する累積賞球数報知演出を実行済みではない場合には(ステップS393;NO)、RAM122の所定領域に記憶されている累積賞球数カウント値を読み出し、その読出値が「5000」以上であるか否かを判定する(ステップS394)。このとき、累積賞球数カウント値が「5000」以上ではない場合には(ステップS394;NO)、累積賞球数報知演出動作制御処理を終了する。
【0233】
ステップS393にて連チャン中における大当り中に賞球として払い出された累積賞球数が「5000個」に到達したことを報知する累積賞球数報知演出を実行済みである場合には(ステップS393;YES)、連チャン中における大当り中に賞球として払い出された累積賞球数が「10000個」に到達したことを報知する累積賞球数報知演出を実行済みか否かを判定する(ステップS395)。ステップS395の処理では、例えば連チャン中における大当り中に賞球として払い出された累積賞球数が「10000個」に到達したことを報知したときにオン状態にセットされる10000個到達フラグを設けておき、その10000個到達フラグがオン状態であるか否かに基づいて判定すればよい。
【0234】
ステップS395にて連チャン中における大当り中に賞球として払い出された累積賞球数が「10000個」に到達したことを報知する累積賞球数報知演出を実行済みである場合には(ステップS395;YES)、累積賞球数報知演出動作制御処理を終了する。
【0235】
ステップS395にて連チャン中における大当り中に賞球として払い出された累積賞球数が「10000個」に到達したことを報知する累積賞球数報知演出を実行済みではない場合には(ステップS395;NO)、RAM122の所定領域に記憶されている累積賞球数カウント値を読み出し、その読出値が「10000」以上であるか否かを判定する(ステップS396)。このとき、累積賞球数カウント値が「10000」以上ではない場合には(ステップS396;NO)、累積賞球数報知演出動作制御処理を終了する。
【0236】
ステップS394にて累積賞球数カウント値が「5000」以上である場合や(ステップS394;YES)、ステップS396にて累積賞球数カウント値が「10000」以上である場合や(ステップS396;YES)、ステップS392にて累積賞球数報知演出期間である場合には(ステップS392;YES)、賞球数報知演出の実行中であるか否かを判定する(ステップS397)。
【0237】
ステップS397にて賞球数報知演出の実行中である場合には(ステップS397;YES)、累積賞球数報知演出動作制御処理を終了する。このように、この実施の形態では、賞球数報知演出が実行中である場合には、累積賞球数報知演出は実行されない。これは、賞球数報知演出と累積賞球数報知演出とが互いに類似する演出であり、同時に実行されることにより、いずれの演出への注目度も低下させてしまう虞があるからである。そこで、この実施の形態では、累積賞球数報知演出よりも賞球数報知演出を優先的に実行するようにしている。
【0238】
ステップS397にて賞球数報知演出の実行中ではない場合には(ステップS397;NO)、確変確定報知演出の実行中であるか否かを判定する(ステップS398)。このとき、確変確定報知演出の実行中ではない場合には(ステップS398;NO)、エラー報知の実行中であるか否かを判定する(ステップS399)。
【0239】
ステップS399にてエラー報知の実行中ではない場合には(ステップS399;NO)、最上位のレイヤーで累積賞球数報知演出を実行するための動作制御を行った後(ステップS400)、累積賞球数報知演出動作制御処理を終了する。例えば、ステップS400の処理では、連チャン中における大当り中に賞球として払い出された累積賞球数が「5000個」に到達したことを報知する累積賞球数報知演出、あるいは「10000個」に到達したことを報知する累積賞球数報知演出を実行するために予め用意された演出制御パターン等から読み出した演出制御実行データに応じて、所定の演出態様による累積賞球数報知演出を実行するために、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14等に対して伝送させればよい。これにより、例えば図25(D)に示すような累積賞球数報知演出画像を、最上位のレイヤーに表示させるといった、累積賞球数報知演出が実行される。
【0240】
図25(D)に示す累積賞球数報知演出画像は、連チャン中における大当り中に賞球として払い出された累積賞球数が「5000個」に到達したことに対応して、「5000OVER!」というメッセージを報知する文字画像MM4や、その「5000OVER!」というメッセージを台詞として発している態様のキャラクタ画像CA2を、含んでいる。なお、累積賞球数報知演出画像の表示時間(累積賞球数報知演出の実行期間)は、例えば、10秒であってもよい。
【0241】
ステップS399にてエラー報知の実行中である場合には(ステップS399;YES)、エラー報知が実行されているレイヤーよりも下位のレイヤーで累積賞球数報知演出を実行するための動作制御を行った後(ステップS401)、累積賞球数報知演出動作制御処理を終了する。ステップS401の処理では、ステップS400の処理と同様に、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14等に対して伝送させればよい。また、本実施の形態では、上述したように、エラー報知画像のZ値が「0」に設定され、累積賞球数報知演出画像のZ値が「2」に設定されて登録されている。これにより、演出制御用CPU120は、累積賞球数報知演出画像をエラー報知画像が表示されているレイヤーよりも下位のレイヤーに表示させるといった、累積賞球数報知演出よりもエラー報知を優先的に実行する制御を行う。
【0242】
ステップS398にて確変確定報知演出の実行中である場合には(ステップS398;YES)、確変確定報知演出が実行されているレイヤーよりも下位のレイヤーで累積賞球数報知演出を実行するための動作制御を行った後(ステップS402)、累積賞球数報知演出動作制御処理を終了する。ステップS402の処理では、ステップS400、S401の処理と同様に、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14等に対して伝送させればよい。また、本実施の形態では、上述したように、確変確定報知演出画像のZ値が「1」に設定され、累積賞球数報知演出画像のZ値が「2」に設定されて登録されている。これにより、演出制御用CPU120は、累積賞球数報知演出画像を確変確定報知演出画像が表示されているレイヤーよりも下位のレイヤーに表示させるといった、累積賞球数報知演出よりも確変確定報知演出を優先的に実行する制御を行う。
【0243】
図19(A)のステップS186にて、このような累積賞球数報知演出動作制御処理を実行した後には、連チャン回数を報知する連チャン回数報知を実行するための動作制御を行う(ステップS187)。
【0244】
図23は、連チャン回数報知動作制御処理として、図19(A)のステップS187にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。この連チャン回数報知動作制御処理において、演出制御用CPU120は、まず、累積賞球数報知演出の実行中であるか否かを判定する(ステップS461)。このとき、累積賞球数報知演出の実行中ではない場合には(ステップS461;NO)、賞球数報知演出の実行中であるか否かを判定する(ステップS462)。
【0245】
ステップS462にて賞球数報知演出の実行中ではない場合には(ステップS462;NO)、確変確定報知演出の実行中であるか否かを判定する(ステップS463)。このとき、確変確定報知演出の実行中ではない場合には(ステップS463;NO)、エラー報知の実行中であるか否かを判定する(ステップS464)。
【0246】
ステップS464にてエラー報知の実行中ではない場合には(ステップS464;NO)、最上位のレイヤーで連チャン回数報知を実行するための動作制御を行った後(ステップS465)、連チャン回数報知動作制御処理を終了する。例えば、ステップS465の処理では、連チャン回数を報知する連チャン回数報知を実行するために予め用意された報知制御パターン等から読み出した報知制御実行データに応じて、所定の報知態様による連チャン回数報知を実行するために、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14等に対して伝送させればよい。これにより、例えば図25(E)に示すような連チャン回数報知画像を、最上位のレイヤーに表示させるといった、連チャン回数報知が実行される。
【0247】
図25(E)に示す連チャン回数報知は、連チャン回数に対応して、「大当り×N(Nは連チャン回数)」というメッセージを報知する文字画像MM5を、含んでいる。なお、連チャン回数の報知(表示)時間は、例えば、5秒であってもよい。
【0248】
ステップS464にてエラー報知の実行中である場合には(ステップS464;YES)、エラー報知が実行されているレイヤーよりも下位のレイヤーで連チャン回数報知を実行するための動作制御を行った後(ステップS466)、連チャン回数報知動作制御処理を終了する。ステップS466の処理では、ステップS465の処理と同様に、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14等に対して伝送させればよい。また、本実施の形態では、上述したように、エラー報知画像のZ値が「0」に設定され、連チャン回数報知画像のZ値が「3」に設定されて登録されている。これにより、演出制御用CPU120は、連チャン回数報知画像をエラー報知画像が表示されているレイヤーよりも下位のレイヤーに表示させるといった、連チャン回数報知よりもエラー報知を優先的に実行する制御を行う。
【0249】
ステップS463にて確変確定報知演出の実行中である場合には(ステップS463;YES)、確変確定報知演出が実行されているレイヤーよりも下位のレイヤーで連チャン回数報知を実行するための動作制御を行った後(ステップS467)、連チャン回数報知動作制御処理を終了する。ステップS467の処理では、ステップS465、S466の処理と同様に、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14等に対して伝送させればよい。また、本実施の形態では、上述したように、確変確定報知演出画像のZ値が「1」に設定され、連チャン回数報知画像のZ値が「3」に設定されて登録されている。これにより、演出制御用CPU120は、連チャン回数報知画像を確変確定報知演出画像が表示されているレイヤーよりも下位のレイヤーに表示させるといった、連チャン回数報知よりも確変確定報知演出を優先的に実行する制御を行う。
【0250】
ステップS462にて賞球数報知演出の実行中である場合には(ステップS462;YES)、賞球数報知演出が実行されているレイヤーよりも下位のレイヤーで連チャン回数報知を実行するための動作制御を行った後(ステップS468)、連チャン回数報知動作制御処理を終了する。ステップS468の処理では、ステップS465、S466、S467の処理と同様に、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14等に対して伝送させればよい。また、本実施の形態では、上述したように、賞球数報知演出画像のZ値が「2」に設定され、連チャン回数報知画像のZ値が「3」に設定されて登録されている。これにより、演出制御用CPU120は、連チャン回数報知画像を賞球数報知演出画像が表示されているレイヤーよりも下位のレイヤーに表示させるといった、連チャン回数報知よりも賞球数報知演出を優先的に実行する制御を行う。
【0251】
ステップS461にて累積賞球数報知演出の実行中である場合には(ステップS461;YES)、累積賞球数報知演出が実行されているレイヤーよりも下位のレイヤーで連チャン回数報知を実行するための動作制御を行った後(ステップS469)、連チャン回数報知動作制御処理を終了する。ステップS469の処理では、ステップS465、S466、S467、S468の処理と同様に、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14等に対して伝送させればよい。また、本実施の形態では、上述したように、累積賞球数報知演出画像のZ値が「2」に設定され、連チャン回数報知画像のZ値が「3」に設定されて登録されている。これにより、演出制御用CPU120は、連チャン回数報知画像を累積賞球数報知演出画像が表示されているレイヤーよりも下位のレイヤーに表示させるといった、連チャン回数報知よりも累積賞球数報知演出を優先的に実行する制御を行う。
【0252】
図19(A)のステップS187にて、このような連チャン回数報知動作制御処理を実行した後には、大当り中に再生されている楽曲名を報知する大当り中楽曲名報知を実行するための動作制御を行い(ステップS188)、大当り中演出処理を終了する。
【0253】
図24は、大当り中楽曲名報知動作制御処理として、図19(A)のステップS188にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。この大当り中楽曲名報知動作制御処理において、演出制御用CPU120は、まず、累積賞球数報知演出の実行中であるか否かを判定する(ステップS471)。このとき、累積賞球数報知演出の実行中ではない場合には(ステップS471;NO)、賞球数報知演出の実行中であるか否かを判定する(ステップS472)。
【0254】
ステップS472にて賞球数報知演出の実行中ではない場合には(ステップS472;NO)、確変確定報知演出の実行中であるか否かを判定する(ステップS473)。このとき、確変確定報知演出の実行中ではない場合には(ステップS473;NO)、エラー報知の実行中であるか否かを判定する(ステップS474)。
【0255】
ステップS474にてエラー報知の実行中ではない場合には(ステップS474;NO)、最上位のレイヤーで大当り中楽曲名報知を実行するための動作制御を行った後(ステップS475)、大当り中楽曲名報知動作制御処理を終了する。例えば、ステップS475の処理では、大当り中に再生されている楽曲名を報知する大当り中楽曲名報知を実行するために予め用意された報知制御パターン等から読み出した報知制御実行データに応じて、所定の報知態様による大当り中楽曲名報知を実行するために、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14等に対して伝送させればよい。これにより、例えば図25(F)に示すような大当り中楽曲名報知画像を、最上位のレイヤーに表示させるといった、大当り中楽曲名報知が実行される。
【0256】
図25(F)に示す大当り中楽曲名報知は、大当り中に再生されている楽曲名に対応して、「MUSIC:xxxxxxx(xxxxxxxは楽曲名)」というメッセージを報知する文字画像MM6を、含んでいる。なお、楽曲名の報知(表示)時間(大当り中楽曲名報知の実行時間)は、例えば、30秒であってもよい。
【0257】
ステップS474にてエラー報知の実行中である場合には(ステップS474;YES)、エラー報知が実行されているレイヤーよりも下位のレイヤーで大当り中楽曲名報知を実行するための動作制御を行った後(ステップS476)、大当り中楽曲名報知動作制御処理を終了する。ステップS476の処理では、ステップS475の処理と同様に、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14等に対して伝送させればよい。また、本実施の形態では、上述したように、エラー報知画像のZ値が「0」に設定され、大当り中楽曲名報知画像のZ値が「3」に設定されて登録されている。これにより、演出制御用CPU120は、大当り中楽曲名報知画像をエラー報知画像が表示されているレイヤーよりも下位のレイヤーに表示させるといった、大当り中楽曲名報知よりもエラー報知を優先的に実行する制御を行う。
【0258】
ステップS473にて確変確定報知演出の実行中である場合には(ステップS473;YES)、確変確定報知演出が実行されているレイヤーよりも下位のレイヤーで大当り中楽曲名報知を実行するための動作制御を行った後(ステップS477)、大当り中楽曲名報知動作制御処理を終了する。ステップS477の処理では、ステップS475、S476の処理と同様に、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14等に対して伝送させればよい。また、本実施の形態では、上述したように、確変確定報知演出画像のZ値が「1」に設定され、大当り中楽曲名報知画像のZ値が「3」に設定されて登録されている。これにより、演出制御用CPU120は、大当り中楽曲名報知画像を確変確定報知演出画像が表示されているレイヤーよりも下位のレイヤーに表示させるといった、大当り中楽曲名報知よりも確変確定報知演出を優先的に実行する制御を行う。
【0259】
ステップS472にて賞球数報知演出の実行中である場合には(ステップS472;YES)、賞球数報知演出が実行されているレイヤーよりも下位のレイヤーで大当り中楽曲名報知を実行するための動作制御を行った後(ステップS478)、大当り中楽曲名報知動作制御処理を終了する。ステップS478の処理では、ステップS475、S476、S477の処理と同様に、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14等に対して伝送させればよい。また、本実施の形態では、上述したように、賞球数報知演出画像のZ値が「2」に設定され、大当り中楽曲名報知画像のZ値が「3」に設定されて登録されている。これにより、演出制御用CPU120は、大当り中楽曲名報知画像を賞球数報知演出画像が表示されているレイヤーよりも下位のレイヤーに表示させるといった、大当り中楽曲名報知よりも賞球数報知演出を優先的に実行する制御を行う。
【0260】
ステップS471にて累積賞球数報知演出の実行中である場合には(ステップS471;YES)、累積賞球数報知演出が実行されているレイヤーよりも下位のレイヤーで大当り中楽曲名報知を実行するための動作制御を行った後(ステップS479)、大当り中楽曲名報知動作制御処理を終了する。ステップS479の処理では、ステップS475、S476、S477、S478の処理と同様に、各種指令を作成して表示制御部123や音声制御基板13、ランプ制御基板14等に対して伝送させればよい。また、本実施の形態では、上述したように、累積賞球数報知演出画像のZ値が「2」に設定され、大当り中楽曲名報知画像のZ値が「3」に設定されて登録されている。これにより、演出制御用CPU120は、大当り中楽曲名報知画像を累積賞球数報知演出画像が表示されているレイヤーよりも下位のレイヤーに表示させるといった、大当り中楽曲名報知よりも累積賞球数報知演出を優先的に実行する制御を行う。
【0261】
図19(A)に示すステップS181にて大当り終了指定コマンドの受信があった場合には(S181;YES)、大当り終了報知演出時間を設定する(ステップS189)。ステップS189の処理では、例えば主基板11から伝送された大当り終了指定コマンドにより特定される大当り終了時演出待ち時間に対応して、複数種類の大当り終了報知演出時間のうちいずれかを選択して設定すればよい。より具体的には、大当り終了指定コマンドにより指定された大当り終了時演出待ち時間と同一の時間を、大当り終了報知演出時間として設定すればよい。これにより、例えば図13(B)に示した大当り終了時演出待ち時間と同様に、大当り種別や確変確定フラグの状態に応じた大当り終了報知演出時間が設定される。
【0262】
ステップS189の処理に続いて、大当り終了報知演出制御パターンを設定する(ステップS190)。ステップS190の処理では、例えば主基板11から伝送された大当り終了指定コマンドにより特定される確変状態となるか否かの制御内容や、ステップS189の処理にて設定した大当り終了報知演出時間等に対応して、予め用意された複数種類の大当り終了報知演出制御パターンのうちから、使用パターンとなるものを選択して設定すればよい。
【0263】
図19(B)は、ステップS190の処理による大当り終了報知演出制御パターンの設定例を示している。この実施の形態では、複数種類の大当り終了報知演出制御パターンDPA1、DPA2、DPB1、DPB2が、予め用意されている。そして、主基板11から伝送された大当り終了指定コマンドによる指定内容等に基づいて、いずれかの大当り終了報知演出制御パターンを選択して、使用パターンに設定する。これにより、大当り種別が「大当りA」と「大当りB」のいずれであるかや、確変制御条件の成否に応じた確変制御の有無に応じて、異なる大当り終了報知演出制御パターンを設定することができる。
【0264】
具体的な一例として、大当り種別が「大当りA」に決定されたことに基づく大当り遊技状態において、第6ラウンドで開放状態となった下大入賞口に遊技球が進入せずに確変制御が行われない場合には、大当り終了報知演出制御パターンDPA1が選択される。一方、大当り種別が「大当りA」であり確変制御が行われる場合には、大当り終了報知演出制御パターンDPA2が選択される。また、大当り種別が「大当りB」であり確変制御が行われない場合には、大当り終了報知演出制御パターンDPB1が選択される。
【0265】
ステップS190の処理を実行した後には、演出プロセスフラグの値を“6”に更新してから(ステップS191)、大当り中演出処理を終了する。演出プロセスフラグの値が“6”に更新されることにより、次回のタイマ割込みが発生したときには、図18に示すステップS176の大当り終了演出処理が実行される。
【0266】
図27は、賞球数報知演出、累積賞球数報知演出、連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知の実行期間が重なった場合に、画像表示装置5の表示領域に報知画像を表示させる動作例を示している。例えば、大当り中に賞球として払い出された賞球数が「2000個」に到達したときには、連チャン回数報知や大当り中楽曲名報知、累積賞球数報知演出の実行期間であるか否かにかかわらず、図21の賞球数報知演出動作制御処理におけるステップS218の処理にて、図27(A)に示すように、最上位のレイヤーで賞球数報知演出を実行するための動作制御が行われる。
【0267】
一方、連チャン中における大当り中に賞球として払い出された累積賞球数が「5000個」に到達したときには、図22の累積賞球数報知演出動作制御処理におけるステップS397以降の処理が実行される。この例の場合には、賞球数報知演出を実行するための動作制御が行われることから、図22に示すステップS397にて、賞球数報知演出の実行中であることを理由として、図27(A)に示すように、累積賞球数報知演出は実行されない。
【0268】
また、この例の場合には、賞球数報知演出を実行するための動作制御が行われることから、図23の連チャン回数報知動作制御処理におけるステップS468の処理にて、図27(A)に示すように、賞球数報知演出が実行されているレイヤーよりも下位のレイヤーで連チャン回数報知を実行するための動作制御が行われる。
【0269】
更に、この例の場合には、賞球数報知演出を実行するための動作制御が行われることから、図24の大当り中楽曲名報知動作制御処理におけるステップS478の処理にて、図27(A)に示すように、賞球数報知演出が実行されているレイヤーよりも下位のレイヤーで大当り中楽曲名報知を実行するための動作制御が行われる。
【0270】
このように、賞球数報知演出、累積賞球数報知演出、連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知の実行期間が重なった場合には、図27(B)に示すように、最上位のレイヤーで賞球数報知演出が実行されると共に、それよりも下位のレイヤーで連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知が実行される一方で、累積賞球数報知演出は実行されない。
【0271】
図28は、確変確定報知演出、賞球数報知演出、連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知の実行期間が重なった場合に、画像表示装置5の表示領域に報知画像を表示させる動作例を示している。例えば、下大入賞口に入賞した遊技球が特定領域を通過したときには、賞球数報知演出、連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知の実行期間であるか否かにかかわらず、図20の確変確定報知演出動作制御処理におけるステップS164の処理にて、図28(A)に示すように、最上位のレイヤーで確変確定報知演出を実行するための動作制御が行われる。
【0272】
一方、大当り中に賞球として払い出された賞球数が「2000個」に到達したときには、図21の賞球数報知演出動作制御処理におけるステップS216以降の処理が実行される。この例の場合には、確変確定報知演出を実行するための動作制御が行われることから、ステップS220の処理にて、図28(A)に示すように、確変確定報知演出が実行されているレイヤーよりも下位のレイヤーで賞球数報知演出を実行するための動作制御が行われる。
【0273】
また、この例の場合には、賞球数報知演出を実行するための動作制御が行われることから、図23の連チャン回数報知動作制御処理におけるステップS468の処理にて、図28(A)に示すように、賞球数報知演出が実行されているレイヤーよりも下位のレイヤーで連チャン回数報知を実行するための動作制御が行われる。
【0274】
更に、この例の場合には、賞球数報知演出を実行するための動作制御が行われることから、図24の大当り中楽曲名報知動作制御処理におけるステップS478の処理にて、図28(A)に示すように、賞球数報知演出が実行されているレイヤーよりも下位のレイヤーで大当り中楽曲名報知を実行するための動作制御が行われる。
【0275】
このように、確変確定報知演出、賞球数報知演出、連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知の実行期間が重なった場合には、図28(B)に示すように、最上位のレイヤーで確変確定報知演出が実行されると共に、それよりも下位のレイヤーで賞球数報知演出が実行され、それよりも更に下位のレイヤーで連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知が実行される。
【0276】
図29は、エラー報知、賞球数報知演出、連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知の実行期間が重なった場合に、画像表示装置5の表示領域に報知画像を表示させる動作例を示している。例えば、磁石を用いて不正に遊技球を入賞口に誘導させるような行為を検出したときには、賞球数報知演出、連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知の実行期間であるか否かにかかわらず、図17のステップS143の処理にて、図29(A)に示すように、最上位のレイヤーでエラー報知を実行するための動作制御が行われる。
【0277】
一方、大当り中に賞球として払い出された賞球数が「2000個」に到達したときには、図21の賞球数報知演出動作制御処理におけるステップS216以降の処理が実行される。この例の場合には、エラー報知を実行するための動作制御が行われることから、ステップS219の処理にて、図29(A)に示すように、エラー報知が実行されているレイヤーよりも下位のレイヤーで賞球数報知演出を実行するための動作制御が行われる。
【0278】
また、この例の場合には、賞球数報知演出を実行するための動作制御が行われることから、図23の連チャン回数報知動作制御処理におけるステップS468の処理にて、図29(A)に示すように、賞球数報知演出が実行されているレイヤーよりも下位のレイヤーで連チャン回数報知を実行するための動作制御が行われる。
【0279】
更に、この例の場合には、賞球数報知演出を実行するための動作制御が行われることから、図24の大当り中楽曲名報知動作制御処理におけるステップS478の処理にて、図29(A)に示すように、賞球数報知演出が実行されているレイヤーよりも下位のレイヤーで大当り中楽曲名報知を実行するための動作制御が行われる。
【0280】
このように、エラー報知、賞球数報知演出、連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知の実行期間が重なった場合には、図29(B)に示すように、最上位のレイヤーでエラー報知が実行されると共に、それよりも下位のレイヤーで賞球数報知演出が実行され、それよりも更に下位のレイヤーで連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知が実行される。
【0281】
図30は、エラー報知、確変確定報知演出、連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知の実行期間が重なった場合に、画像表示装置5の表示領域に報知画像を表示させる動作例を示している。例えば、磁石を用いて不正に遊技球を入賞口に誘導させるような行為を検出したときには、確変確定報知演出、連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知の実行期間であるか否かにかかわらず、図17のステップS143の処理にて、図29(A)に示すように、最上位のレイヤーでエラー報知を実行するための動作制御が行われる。
【0282】
一方、下大入賞口に入賞した遊技球が特定領域を通過したときには、図20の確変確定報知演出動作制御処理におけるステップS163以降の処理が実行される。この例の場合には、エラー報知を実行するための動作制御が行われることから、ステップS165の処理にて、図30(A)に示すように、エラー報知が実行されているレイヤーよりも下位のレイヤーで確変確定報知演出を実行するための動作制御が行われる。
【0283】
また、この例の場合には、確変確定報知演出を実行するための動作制御が行われることから、図23の連チャン回数報知動作制御処理におけるステップS467の処理にて、図30(A)に示すように、確変確定報知演出が実行されているレイヤーよりも下位のレイヤーで連チャン回数報知を実行するための動作制御が行われる。
【0284】
更に、この例の場合には、確変確定報知演出を実行するための動作制御が行われることから、図24の大当り中楽曲名報知動作制御処理におけるステップS477の処理にて、図30(A)に示すように、確変確定報知演出が実行されているレイヤーよりも下位のレイヤーで大当り中楽曲名報知を実行するための動作制御が行われる。
【0285】
このように、エラー報知、確変確定報知演出、連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知の実行期間か重なった場合には、図30(B)に示すように、最上位のレイヤーでエラー報知が実行されると共に、それよりも下位のレイヤーで確変確定報知演出が実行され、それよりも更に下位のレイヤーで連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知が実行される。
【0286】
次に、各種報知の優先度合いが異なる4つの変形例を図31から図34を参照して如何に説明する。
【0287】
図31に示すように、第1変形例におけるエラー報知画像と確変確定報知演出画像と賞球数報知演出画像とその他の演出用の画像とを描画するときに用いるZ値は、確変確定報知演出画像のZ値が「0」に設定され、賞球数報知演出画像のZ値が「1」に設定され、エラー報知画像のZ値が「2」に設定され、その他の演出用の画像のZ値が「3」に設定されて登録されている。つまり、その他の演出用画像よりもエラー報知画像が優先的に表示され、エラー報知画像よりも賞球数報知演出画像が優先的に表示され、賞球数報知演出画像よりも確変確定報知演出画像が優先的に表示される。このように、エラー報知が実行されている場合であっても、確変確定報知演出や賞球数報知演出がエラー報知に隠れずに視認可能になっている。なお、Z値に「1」が設定されているのは、賞球数報知演出画像のみならず、累積賞球数報知演出画像にもZ値に「1」が設定されている。
【0288】
図32に示すように第2変形例におけるエラー報知画像と確変確定報知演出画像と賞球数報知演出画像とその他の演出用の画像とを描画するときに用いるZ値は、賞球数報知演出画像のZ値が「0」に設定され、確変確定報知演出画像のZ値が「1」に設定され、エラー報知画像のZ値が「2」に設定され、その他の演出用の画像のZ値が「3」に設定されて登録されている。つまり、その他の演出用画像よりもエラー報知画像が優先的に表示され、エラー報知画像よりも確変確定報知演出画像が優先的に表示され、確変確定報知演出画像よりも賞球数報知演出画像が優先的に表示される。このように、エラー報知が実行されている場合であっても、確変確定報知演出や賞球数報知演出がエラー報知に隠れずに視認可能になっている。また、確変確定報知演出が実行されている場合であっても、賞球数報知演出が確変確定報知演出に隠れずに視認可能になっている。なお、Z値に「0」が設定されているのは、賞球数報知演出画像のみならず、累積賞球数報知演出画像にもZ値に「0」が設定されている。
【0289】
図33に示すように、第3変形例におけるエラー報知画像と確変確定報知演出画像と賞球数報知演出画像とその他の演出用の画像とを描画するときに用いるZ値は、確変確定報知演出画像のZ値が「0」に設定され、エラー報知画像のZ値が「1」に設定され、賞球数報知演出画像のZ値が「2」に設定され、その他の演出用の画像のZ値が「3」に設定されて登録されている。つまり、その他の演出用画像よりも賞球数報知演出画像が優先的に表示され、賞球数報知演出画像よりもエラー報知画像が優先的に表示され、エラー報知画像よりも確変確定報知演出画像が優先的に表示される。このように、エラー報知が実行されている場合であっても、確変確定報知演出がエラー報知に隠れずに視認可能になっている。なお、Z値に「2」が設定されているのは、賞球数報知演出画像のみならず、累積賞球数報知演出画像にもZ値に「2」が設定されている。
【0290】
図34に示すように、第4変形例におけるエラー報知画像と確変確定報知演出画像と賞球数報知演出画像とその他の演出用の画像とを描画するときに用いるZ値は、賞球数報知演出画像のZ値が「0」に設定され、エラー報知画像のZ値が「1」に設定され、確変確定報知演出画像のZ値が「2」に設定され、その他の演出用の画像のZ値が「3」に設定されて登録されている。つまり、その他の演出用画像よりも確変確定報知演出画像が優先的に表示され、確変確定報知演出画像よりもエラー報知画像が優先的に表示され、エラー報知画像よりも賞球数報知演出画像が優先的に表示される。このように、確変確定報知演出やエラー報知が実行されている場合であっても、賞球数報知演出が確変確定報知演出やエラー報知に隠れずに視認可能になっている。なお、Z値に「0」が設定されているのは、賞球数報知演出画像のみならず、累積賞球数報知演出画像にもZ値に「0」が設定されている。
【0291】
この発明は、上記実施の形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。例えばパチンコ遊技機1は、上記実施の形態で示した全ての技術的特徴を備えるものでなくてもよく、従来技術における少なくとも1つの課題を解決できるように、上記実施の形態で説明した一部の構成を備えたものであってもよい。
【0292】
一例として、上記実施の形態では、例えば磁石を用いて不正に遊技球を入賞口に誘導させるような行為について、主基板11から送信された磁気異常報知指定コマンドに対応したエラー報知等が行われるものとして説明した。これに対して、異常としては、上述した電波異常の他、振動異常、電波異常、前面ドアの開放異常、払出機構の異常、大入賞口の不正入賞異常、下皿が満タンになっている異常等があり、異常検出用センサ群等を用いて検出されるものであってもよい。そして、これらの異常についても、上記実施の形態におけるエラー報知と同様に、他の報知に対して、それぞれ優先度合いが設定されていればよい。その場合、異常には、その種類毎に優先順位が設定されており、例えば大入賞口の不正入賞エラーについては賞球数報知演出や累積賞球数報知演出、確変確定報知演出よりも優先度合いが高くなるように実行され、下皿が満タンになっているエラーについては賞球数報知演出や累積賞球数報知演出、確変確定報知演出よりも優先度合いが低くなるように実行される等、異常の報知では、優先順位の高い異常が優先して報知されるようになっていてもよい。こうした構成により、異常報知を実行するにあたり、他の報知が実行されていても、異常の種類に応じて好適に報知を実行することができる。
【0293】
即ち、遊技機1は、報知演出を実行する報知演出実行手段(例えば賞球数報知演出、累積賞球数報知演出、確変確定報知演出、連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知、エラー報知、大当り中昇格演出を実行する演出制御用CPU120等)を備え、前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、特定期間において獲得した価値の大きさを報知する価値報知(例えば大当り中に賞球として払い出された賞球数を報知する賞球数報知演出や、連チャン中における大当り中に賞球として払い出された賞球数を報知する賞球数報知演出等等)と、エラー(磁気異常、電波異常、振動異常、電波異常、前面ドアの開放異常、払出機構の異常、大入賞口の不正入賞異常、下皿が満タンになっている異常等)が発生したことを報知するエラー報知とを実行可能であり、前記価値報知よりも前記エラー報知の優先度合いを高いものであってもよい(又は、前記エラー報知よりも前記価値報知の優先度合いが高いものであってもよい)。
【0294】
また、遊技機1は、報知演出を実行する報知演出実行手段(例えば賞球数報知演出、累積賞球数報知演出、確変確定報知演出、連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知、エラー報知、大当り中昇格演出を実行する演出制御用CPU120等)を備え、前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、遊技状態に関する報知を行う遊技状態報知(例えば下大入賞口に入賞した遊技球が特定領域を通過したことを報知する確変確定報知演出等)と、エラー(磁気異常、電波異常、振動異常、電波異常、前面ドアの開放異常、払出機構の異常、大入賞口の不正入賞異常、下皿が満タンになっている異常等)が発生したことを報知するエラー報知とを実行可能であり、前記遊技状態報知よりも前記エラー報知の優先度合いが高いものであってもよい(又は、前記エラー報知よりも前記遊技状態報知の優先度合いが高いものであってもよい)。
【0295】
また、上記実施の形態では、賞球数報知演出を、特定期間としての大当り中に賞球として払い出された賞球数を報知するものとして説明した。これに対して、特定期間は、例えば1ラウンド中や1分間等、大当り中以外の期間であってもよい。こうした構成により、例えば大入賞口を遊技球が通過することにより払い出される賞球数の違い等に応じて、好適なタイミングで賞球数報知演出を実行することができる。
【0296】
また、上記実施の形態では、累積賞球報知演出を、特別期間としての連チャン中における大当り中に賞球として払い出された累積賞球数を報知するものとして説明した。これに対して、特別期間は、例えば1日間や、1週間等、連チャン中以外の期間であってもよい。こうした構成により、例えば大入賞口を遊技球が通過することにより払い出される賞球数の違いや、連チャン率の違い等に応じて、好適なタイミングで累積賞球数報知演出を実行することができる。
【0297】
また、上記実施の形態では、状態に関する報知として、遊技球が特定領域を通過した旨を報知する確変確定報知を説明したが、状態に関する報知は、確変確定報知に限定されない。例えば、遊技者に対し特定領域に遊技球を通過させる旨の報知(例えば、右打ちの報知等)、遊技球が所定領域を通過したことにより大当りが確定する態様において、遊技者に対し特定領域に遊技球を通過させる旨の報知、遊技球が上記所定領域を通過した旨の報知、確変昇格演出による報知、ラウンド数昇格演出による報知、ST回数又は時短回数に関する昇格(当初報知回数よりも増加する旨)の報知、保留内連チャンに関する報知(保留内連チャンの確定報知、保留内連チャンの期待度の報知)、ST回数又は時短回数の残数に関する報知などであってもよい。
【0298】
また、上記実施の形態では、各報知画像に対してZ値が設定されることにより、優先順位が決定されるものとして説明した。これに対して、各報知の優先順位は、例えば確変確定報知演出よりもエラー報知を優先的に実行し、賞球数報知演出よりもエラー報知を優先的に実行する一方で、エラー報知と確変確定報知演出と賞球数報知演出とが同時に実行されるときには、エラー報知よりも確変確定報知演出を優先的に実行するといった、同時に実行される報知の組み合わせに応じて、各報知の優先順位が変化するようにしてもよい。こうした構成により、同時に実行される報知の組み合わせに応じて好適に報知を実行することができる。
【0299】
また、上記実施の形態では、例えば最終ラウンドの最終カウント目の入賞によって、累積賞球数が「5000個」や「10000個」に到達した場合には、累積賞球数報知演出はエンディング演出中に実行されることになる。しかしながら、エンディング演出の終了後に確変制御が行われるときは、当該エンディング演出中に累積賞球数報知演出を実行せずに、次回の大当りが発生したときのファンファーレ演出中に累積賞球数報知演出を実行するようにしてもよい(即ち、次回大当りの発生後であって大入賞口を開放状態とする前に累積賞球数報知演出を行うようにしてもよい)。また、上記に代えて、次回大当りの1ラウンド目の開始時に(大入賞口への入賞がなくても)、累積賞球数報知演出を行うようにしてもよいし、次回大当りの1ラウンド目において最初の入賞があったときに、累積賞球数報知演出を行うようにしてもよい。こうした構成により、エンディング演出の時間が短くても、累積賞球数報知演出を好適に実行することができる。
【0300】
なお、エンディング演出の終了後に確変制御が行われないとき(例えば、高開放制御のみが行われるとき)も同様に、当該エンディング演出中に累積賞球数報知演出を実行せずに、次回の大当りが発生したときのファンファーレ演出中に累積賞球数報知演出を実行するようにしてもよいし、次回大当りの1ラウンド目の開始時や、次回大当りの1ラウンド目において最初の入賞があったときに、累積賞球数報知演出を行うようにしてもよい。なお、次回大当りが発生せずに、確変制御が終了した場合(例えば、ST回数が終了した場合)や、高開放制御が終了した場合には、確変制御や高開放制御が終了したときに、累積賞球数報知演出を実行するようにしてもよい。なお、エンディング演出の終了後に確変制御が行われないとき(例えば、確変制御も高開放制御も行われないとき)には、エンディング演出の終了後の最初の可変表示が行われるときに(保留がないときにはエンディング演出の終了したときに)、累積賞球数報知演出を実行するようにしてもよい。
【0301】
また、上記実施の形態において、最終ラウンドにおいて所謂オーバー入賞が発生した場合には、エンディング演出中にオーバー入賞に係る報知演出を実行してもよいし、エンディング演出の終了後の最初の可変表示が行われるときに(保留がないときにはエンディング演出の終了したときに)、オーバー入賞に係る報知演出を実行してもよい。
【0302】
また、上記実施の形態では、図12に示すように、第6ラウンドにのみ下大入賞口が開放状態となることにより、下大入賞口に入賞した遊技球が特定領域を通過し得る。したがって、図11の大当り開放中処理におけるステップS317にて特定領域スイッチ24から伝送された検出信号がオン状態であるか否かを判定する処理は、第6ラウンドにのみ実行されるようにしてもよい。もしくは、第6ラウンド以外のラウンドにて特定領域スイッチ24から伝送された検出信号がオン状態となっていても、その検出信号を無効として判定するようにしてもよい。こうした構成により、特定領域への不正通過といった行為が行われて、大当り遊技状態の終了後に確変状態となることを防止することができる。
【0303】
また、上記実施の形態において、連チャン中における大当り遊技状態及び時短状態にて獲得したトータル賞球数を報知するトータル賞球数報知演出を、大当り中に実行するようにしてもよい。そして、このような実施の形態においても、トータル賞球数報知演出について、他の報知に対する優先度合いが設定されていればよい。こうした構成により、トータル賞球数報知演出と他の報知とが同時に実行される場合にも、各報知を好適に実行することができる。
【0304】
また、上記実施の形態では、大当り中昇格演出が実行されるか否かにかかわらず、図22の累積賞球数報知演出動作制御処理におけるステップS391の処理にて、大当り中昇格演出が終了したか否かを判定しているが、このような処理を実行する前に、大当り中昇格演出が実行されるか否かを判定し、大当り中昇格演出が実行される場合には、ステップS391の処理を実行する一方で、大当り中昇格演出が実行されない場合には、ステップS391の処理を実行せずに、ステップS392以降の処理を実行するようにしてもよい。こうした構成により、大当り中昇格演出が実行されない場合にも、累積賞球数報知演出を実行することができる。
【0305】
また、上記実施の形態では、連チャン中における大当り中に賞球として払い出された累積賞球数が「5000個」、「10000個」に到達したときに累積賞球数報知演出が実行されるものとして説明した。これに対して、累積賞球数報知演出は、例えば「5000個」、「10000個」、「20000個」、「30000個」、・・・といった、「10000個」よりも多数の賞球数を獲得したときにも実行されるようにしてもよい。こうした構成により、累積賞球数報知演出に対する注目を継続させることができる。
【0306】
また、上記実施の形態では、賞球数報知演出の実行中である場合には、累積賞球数報知演出は実行されないものとして説明した。これに対し、賞球数報知演出が実行される場合であっても、例えば賞球数報知演出が実行される前後の期間にて累積賞球数報知演出を実行するといった、賞球数報知演出と累積賞球数報知演出の実行期間が重ならないようにしてもよい。こうした構成により、賞球数報知演出と累積賞球数報知演出のいずれの演出についても好適に実行することができる。
【0307】
また、上記実施の形態では、確変制御条件が成立しなかったときに、確変制御条件が成立したときとは異なる演出態様で大当り終了報知演出を実行すると共に、大当り種別や確変制御条件の成否に応じて大当りい終了報知演出の演出時間を異ならせるものとして説明した。これに対して、確変制御条件の成否に応じて大当り終了報知演出の演出態様を異ならせる設定と、大当り種別や確変制御条件の成否に応じて大当り終了報知演出の演出時間を異ならせる設定とのうち、いずれか一方のみが行われ、他方の設定が行われないものであってもよい。
【0308】
より具体的には、大当り終了報知演出として、大当り遊技状態が終了することを報知する一定態様の演出を、確変制御条件の成否にかかわらず実行するための演出動作制御が行われる場合に、大当り種別が「大当りA」に対応した大当り遊技状態にて確変制御条件が成立したときには、大当り種別が「大当りA」に対応した大当り遊技状態にて確変制御条件が成立しなかったときとは異なる時間にわたり大当り終了報知演出が実行されてもよい。
【0309】
上記実施の形態では、特別可変入賞球装置7Aに形成された上大入賞口と特別可変入賞球装置7Bに形成された下大入賞口とを設け、開放状態となった下大入賞口に遊技球が進入することにより、大当り遊技状態の終了後に確変制御が行われる確変状態となるための確変制御条件が成立するものとして説明した。しかしながら、この発明はこれに限定されず、遊技領域2に設けられた1つの大入賞口に遊技球が進入したことに基づいて、確変制御条件が成立し得るものであってもよい。一例として、所定の特別可変入賞球装置に形成された大入賞口の内部に、第1特定領域と第2特定領域とを設ける。第1特定領域に進入した遊技球は、上記実施の形態における上大入賞口スイッチ23Aや下大入賞口スイッチ23Bと同様のカウントスイッチによって検出される。一方、第2特定領域に進入した遊技球は、上記実施の形態における特定領域スイッチ24と同様の特定入賞スイッチによって検出される。また、大入賞口の内部には、第2特定領域を閉鎖状態と開放状態とに変化させる蓋状の特定開閉板を設け、第2特定領域に進入できなかった遊技球を第1特定領域へと誘導する転動板を設ける。転動板の一例として、遊技球を渦状に旋回させて整流するクルーンを設けてもよい。他の一例として、転動板をシーソーのように回動させ、遊技球が転動面上を揺動するようにしてもよい。
【0310】
このような構成において、遊技状態が大当り遊技状態であるときには、ラウンド遊技の実行回数が「1」〜「5」、「7」〜「15」のいずれかである場合に、特定開閉板により第2特定領域を閉鎖状態とすることで、第2特定領域に遊技球が進入不可能にする。したがって、第1ラウンド〜第5ラウンド、第7ラウンド〜第15ラウンドにて開放状態となった大入賞口に進入した遊技球は、全て第1特定領域へと誘導されることで、確変制御条件は成立しない。これに対して、ラウンド遊技の実行回数が「6」の場合には、特定開閉板により第2特定領域を開放状態とすることで、第2特定領域にも遊技球が進入可能にする。なお、このときでも第1特定領域は開放状態としておき、大入賞口に進入した遊技球は、所定割合で第1領域と第2領域のいずれかへと誘導されればよい。あるいは、第6ラウンドでは第1特定領域を閉鎖状態として、大入賞口に進入した遊技球を全て第2特定領域へと誘導してもよい。こうして第2特定領域に進入した遊技球が検出されたときには、確変制御条件が成立して、大当り遊技状態が終了した後に確変状態となるようにすればよい。
【0311】
上記実施の形態では、遊技領域2に左遊技領域2Aと右遊技領域2Bとがあり、画像表示装置5の端面や釘の配列PL等により、左遊技領域2Aと右遊技領域2Bとが区分けされるものとして説明した。これに対して、遊技領域2が区分けされず、遊技領域2へと発射された遊技球が第1始動入賞口と第2始動入賞口のいずれにも誘導され得るようにしてもよい。例えば遊技領域2において、画像表示装置5の下方に普通入賞球装置6Aと普通可変入賞球装置6Bとを設け、更に、これらの下方に特別可変入賞球装置7Aと特別可変入賞球装置7Bとを設けてもよい。
【0312】
図1に示した遊技領域2の構成では、特別可変入賞球装置7A、7Bの上方における右遊技領域2Bの狭い球流下経路に、普通可変入賞球装置7Bが設けられる。そのため、右遊技領域2Bへと誘導された遊技球の大部分が開放状態又は拡大開放状態となった第2始動入賞口に進入してしまい、開放状態となっている上大入賞口又は下大入賞口に進入させることが困難又は不可能になる場合がある。一方、普通入賞球装置6Aや普通可変入賞球装置6Bの下方に特別可変入賞球装置7Aや特別可変入賞球装置7Bを設けた構成では、特別可変入賞球装置7A、7Bの上方に比較的広い球流下領域を確保することができ、開放状態又は拡大開放状態となった第2始動入賞口に進入する遊技球は一部にすぎない。これにより、上大入賞口又は下大入賞口が開放状態となるときに、普通可変入賞球装置6Bの可動翼片等が遊技球の進入を妨げることを防止して、図1に示した遊技領域2の構成よりも遊技者にとって好ましい態様で遊技球を誘導することができる。
【0313】
大当り遊技状態であるときに大入賞口を閉鎖状態から開放状態へと変化させる可変入賞装置の一例として、特別可変入賞球装置7Aや特別可変入賞球装置7Bとは異なる役物可変入賞装置が設けられてもよい。役物可変入賞装置は、特別電動役物の1つであり、単に「役物」ということもある。例えば役物可変入賞装置の左右上部には、可動部材としての羽根部材が、摺動変化可能に設けられている。また、羽根部材の設置個所には、遊技球が役物可変入賞装置の内部へと進入可能に形成された役物進入口が設けられている。羽根部材は、例えば連係アームといった所定のリンク機構等を介して、羽根ソレノイドにおけるコイルに内装されたプランジャ等に連結されている。そして、羽根用ソレノイドがオフ状態であるときには、羽根部材が役物進入口を閉塞することにより、役物可変入賞装置の内部に遊技球が進入できない閉鎖状態とする。他方、羽根用ソレノイドがオン状態であるときには、羽根部材が役物進入口を開放することにより、役物可変入賞装置の内部に遊技球が進入できる開放状態とする。なお、羽根部材は、摺動変化可能に構成されたものに限定されず、例えば回動可能に構成されることにより、役物進入口を、役物可変入賞装置の内部に遊技球が進入可能な開放状態と進入不可能な閉鎖状態とに変化させることができるものであればよい。
【0314】
役物可変入賞装置の内部には、遊技球が流下や転動をして通過可能な球経路が設けられている。役物可変入賞装置の内部に進入した遊技球は、所定の球経路を通過した後に、例えば特定領域や通常領域等といった、複数の領域のいずれかを通過して、役物可変入賞装置の外部へと排出される。開放状態となった役物進入口から役物可変入賞装置の内部に進入した遊技球は、役物入賞スイッチによって検出される。特定領域を通過した遊技球は、所定のV入賞スイッチによって検出される。役物可変入賞装置の外部へと排出される遊技球は、排出球スイッチによって検出される。
【0315】
このような構成において、遊技状態が大当り遊技状態であるときに、ラウンド遊技の実行回数が「6」の場合には、役物進入口が閉鎖状態から開放状態へと変化する。開放状態となった役物進入口から役物可変入賞装置の内部へと進入した遊技球のうち、特定領域を通過した遊技球が検出されることにより、確変制御条件が成立して大当り遊技状態の終了後に確変状態となるように制御されてもよい。
【0316】
なお、例えば第6ラウンドといった特定回数のラウンド遊技にて役物進入口が閉鎖状態から開放状態へと変化するものに限定されない。例えば、特定回数以外のラウンド遊技でも、役物進入口が閉鎖状態から開放状態へと変化する一方で、このとき役物可変入賞装置の内部へと進入した遊技球は、特定領域を通過しないように誘導されて、役物可変入賞装置の外部へと排出されてもよい。
【0317】
大当り遊技状態にて開放状態となった下大入賞口に遊技球が進入すること等により付与される遊技価値は、大当り遊技状態の終了後における遊技状態が確変状態となることに限定されず、遊技者にとって有利な任意の遊技価値であればよい。例えばパチンコ遊技機1における遊技状態が時短状態であるときに実行可能な特図ゲームの上限回数が増加することによって遊技者に有利な遊技価値が付与されてもよい。あるいは、大当り遊技状態が終了した後に遊技状態が確変状態となる場合に、特図表示結果を「大当り」に決定する大当り確率が第1確変状態よりも高い第2確変状態となることによって遊技者に有利な遊技価値が付与されてもよい。あるいは、遊技状態が確変状態であるときに実行可能な特図ゲームの上限回数である確変中変動上限回数が増加することによって遊技者に有利な遊技価値が付与されてもよい。あるいは、有利開放制御が行われるときに普図ゲームの平均的な可変表示時間、普図当り確率、第2始動入賞口の開放回数や開放時間のうち一部又は全部といった開放制御態様が第1有利態様よりも有利な第2有利態様となることによって遊技者に有利な遊技価値が付与されてもよい。あるいは、大当り遊技状態の終了後に遊技状態が繰り返し確変状態になる上限回数である連チャン上限回数が増加することによって遊技者に有利な遊技価値が付与されてもよい。
【0318】
上記実施の形態では、上大入賞口スイッチ23Aや下大入賞口スイッチ23Bとは別に特定領域スイッチ24を設け、特定領域スイッチ24の設置個所へと誘導された遊技球の検出により、大当り遊技状態の終了後に確変状態となるための確変制御条件が成立するものとして説明した。しかしながら、この発明はこれに限定されず、上大入賞口スイッチ23Aと下大入賞口スイッチ23Bのいずれかにより遊技球が検出されたことに基づいて、確変制御条件を成立させるか否かが決定されてもよい。一例として、上大入賞口スイッチ23Aにより遊技球が検出されても確変制御条件は成立させない一方、下大入賞口スイッチ23Bにより遊技球が検出されたときには、常に確変制御条件を成立させるようにしてもよい。
【0319】
上記実施の形態では、下大入賞口を開放状態とする特定回数のラウンド遊技は、大当り遊技状態における第6ラウンドであるものとして説明した。これに対して、下大入賞口を開放状態とする特定回数のラウンド遊技は、大当り遊技状態における第6ラウンドに限定されず、大当り遊技状態が開始されてから終了するまでにおける任意の実行回数となるラウンド遊技であればよい。
【0320】
最終のラウンド遊技よりも前のラウンド遊技にて下大入賞口を開放状態とする場合のように、最終のラウンド遊技が実行されるよりも前のラウンド遊技にて確変制御条件が成立可能にした場合には、そのラウンド遊技が終了した後に次回以降のラウンド遊技が実行されるときに、大当り中演出の演出態様を確変制御条件の成否に応じて異ならせたり、大当り種別や確変制御条件の成否に応じて所定演出の演出時間を異ならせたりしてもよい。
【0321】
上記実施の形態において、大当り遊技状態におけるラウンド遊技が実行される毎に、上大入賞口又は下大入賞口のいずれか一方が閉鎖状態から開放状態へと変化し、入賞個数が所定数に達したこと、又は大入賞口開放上限時間が経過したことにより、開放状態の大入賞口を閉鎖状態に戻して1回のラウンド遊技が終了するものとして説明した。しかしながら、この発明はこれに限定されず、1回のラウンド遊技にて大入賞口を短時間で閉鎖状態と開放状態とに繰り返し変化させ、その繰り返し回数が所定回数に達したこと、又は入賞個数が所定数に達したことにより、1回のラウンド遊技が終了するようにしてもよい。
【0322】
一例として、ラウンド遊技の実行回数が特定回数以外であるときには、上大入賞口を閉鎖状態と開放状態とに繰り返し変化させるラウンド遊技が実行され、入賞個数が所定数に達しない揚合には、繰り返し回数が「15」に達したことにより、1回のラウンド遊技が終了するものとする。一方、ラウンド遊技の実行回数が特定回数であるときには、下大入賞口を閉鎖状態と開放状態とに変化させるラウンド遊技が実行される。このとき、大当り種別が「大当りA」と「大当りB」のいずれであるかに応じて、下大入賞口を開放状態に変化させる回数を異ならせることで、確変制御条件の成立し易さを異ならせてもよい。例えば、大当り種別が「大当りA」である場合には、特定回数のラウンド遊技として、下大入賞口を開放状態に変化させる上限回数を「15」とし、下大入賞口を15回まで開放状態にできるラウンド遊技が実行される。一方、大当り種別が「大当りB」である場合には、特定回数のラウンド遊技として、下大入賞口を開放状態に変化させる回数を「1」とし、下大入賞口を1回だけ開放状態としてラウンド遊技の実行を終了させてもよい。こうした設定によっても、特定回数のラウンド遊技において下大入賞口に遊技球が進入して確変制御条件が成立する可能性を、大当り種別に応じて異ならせることができる。
【0323】
他の一例として、大当り種別が「大当りB」である場合の大当り遊技状態として、特定回数のラウンド遊技において下大入賞口を継続して開放状態とするものと、特定回数のラウンド遊技において下大入賞口を閉鎖状態と開放状態とに繰り返し変化させるものとを設けてもよい。例えば、「大当りB」の大当り種別には、「大当りB1」と「大当りB2」とが含まれ、図6に示すステップS242の処理では、「大当りA」の他に「大当りB1」と「大当りB2」のいずれかに所定割合で決定されてもよい。そして、大当り種別が「大当りB1」である場合には、第6ラウンドのラウンド遊技にて下大入賞口が0.2秒にわたり1回だけ開放状態とする。一方、大当り種別が「大当りB2」である場合には、第6ラウンドのラウンド遊技にて下大入賞口が0.1秒にわたり開放状態とした後に閉鎖状態とする動作が2回まで繰り返し実行される。こうした設定により、下大入賞口を開放状態とする合計時間は同一であっても、特定回数のラウンド遊技において下大入賞口に遊技球が進入して確変制御条件が成立する可能性を異ならせることができる。
【0324】
また、例えば第6ラウンドといった特定回数のラウンド遊技において、開放状態となった下大入賞口に遊技球が進入する等して確変制御条件が成立したことにより、ラウンド遊技の実行を終了する大当り種別を設けてもよい。あるいは、例えば第6ラウンドといった特定回数のラウンド遊技において、開放状態となった下大入賞口に遊技球が進入する等して確変制御条件が成立するまで、ラウンド遊技の実行を継続させる大当り種別を設けてもよい。あるいは、例えば上記実施の形態における第6ラウンドのように、下大入賞口が開放状態となる特定回数のラウンド遊技が実行されない大当り種別を設けてもよい。具体的な一例として、ラウンド遊技の実行回数が「6」である第6ラウンドにおいても上大入賞口が開放状態となる「大当りC」の大当り種別を設け、図6に示すステップS242の処理では、変動特図等に応じた所定割合で、「大当りA」〜「大当りC」のいずれかに決定されてもよい。
【0325】
上記実施の形態において、遊技領域2には上大入賞口を形成する特別可変入賞球装置7Aと下大入賞口を形成する特別可変入賞球装置7Bとが設けられ、特定回数以外のラウンド遊技では上大入賞口が開放状態に変化する一方、特定回数のラウンド遊技では下大入賞口が開放状態に変化するものとして説明した。しかしながら、上大入賞口や下大入賞口といった複数の大入賞口と、ラウンド遊技の実行態様、特定領域通過割合や確変決定割合といった確変制御条件の成立可能性等との対応関係は、上記実施の形態とは異なる設定であってもよい。即ち、複数の大入賞口のうちいずれに遊技球が進入したかに応じて、確変状態となるための確変制御条件が成立する可能性を異ならせたものであれば、それぞれの大入賞口の配置や大当り遊技状態における動作態様等は、任意に変更及び修正が可能である。また、第1特図や第2特図といった複数種類の特別図柄を用いた特図ゲームが実行可能な構成において、いずれの特別図柄を用いた特図ゲームにて特図表示結果が「大当り」となったかに応じて、特定領域を遊技球が通過し易い大入賞口を開放状態に変化させる割合が異なるように設定されていればよい。
【0326】
上記実施の形態では、第1始動入賞口を通過した遊技球の検出に基づいて第1特図を用いた特図ゲームが実行され、第2始動入賞口を通過した遊技球の検出に基づいて第2特図を用いた特図ゲームが実行されるものとして説明した。しかしながら、この発明はこれに限定されず、第1始動入賞口と第2始動入賞口のいずれを遊技球が通過したかにかかわらず共通の特別図柄を用いた特図ゲームが実行されるものであってもよい。この場合、第1始動入賞口と第2始動入賞口のいずれを遊技球が通過したことに基づく特図ゲームにて特図表示結果が「大当り」となったかにかかわらず、所定割合で特定領域を遊技球が通過し易い大入賞口を開放状態に変化させるか否かが決定されてもよいし、いずれの始動入賞口を遊技球が通過したことに基づく特図ゲームであるかに応じて、特定領域を遊技球が通過し易い大入賞口を開放状態に変化させる割合が異なるように設定されてもよい。
【0327】
その他にも、パチンコ遊技機1の装置構成、データ構成、フローチャートで示した処理、画像表示装置5の表示領域における演出画像の表示動作を含めた各種の演出動作等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、任意に変更及び修正が可能である。本発明を実現するためのプログラム及びデータは、パチンコ遊技機1に含まれるコンピュータ装置等に対して、着脱自在の記録媒体により配布、提供される形態に限定されるものではなく、予めコンピュータ装置等の有する記憶装置にプリインストールしておくことで配布される形態を採っても構わない。更に、本発明を実現するためのプログラム及びデータは、通信処理部を設けておくことにより、通信回線等を介して接続されたネットワーク上の、他の機器からダウンロードすることによって配布する形態を採っても構わない。
【0328】
ゲームの実行形態も、着脱自在の記録媒体を装着することにより実行するものだけではなく、通信回線等を介してダウンロードしたプログラム及びデータを、内部メモリ等に一旦格納することにより実行可能とする形態、通信回線等を介して接続されたネットワーク上における、他の機器側のハードウェア資源を用いて直接実行する形態としてもよい。更には、他のコンピュータ装置等とネットワークを介してデータの交換を行うことによりゲームを実行するような形態とすることもできる。
【0329】
また、上記の実施の形態においては、変動時間、及びリーチ演出の種類や擬似連の有無等の変動態様を示す変動パターンを演出制御用マイクロコンピュータに通知するために、変動を開始するときに1つの変動パターン指定コマンドを送信する例を示したが、2つ乃至それ以上のコマンドにより変動パターンを演出制御用マイクロコンピュータに通知するようにしてもよい。具体的には、2つのコマンドにより通知する場合、遊技制御用マイクロコンピュータは、1つめのコマンドでは擬似連の有無、滑り演出の有無等、リーチとなる以前の変動時間や変動態様を示すコマンドを送信し、2つめのコマンドではリーチの種類や再抽選演出の有無等、リーチとなった以降の変動時間や変動態様を示すコマンドを送信するようにしてもよい。この場合、演出制御用マイクロコンピュータは2つのコマンドの組み合わせから導かれる変動時間に基づいて変動表示における演出制御を行うようにすればよい。なお、遊技制御用マイクロコンピュータの方では2つのコマンドのそれぞれにより変動時間を通知し、それぞれのタイミングで実行される具体的な変動態様については演出制御用マイクロコンピュータの方で選択を行うようにしてもよい。2つのコマンドを送る場合、同一のタイマ割込み内で2つのコマンドを送信するようにしてもよく、1つめのコマンドを送信した後、所定期間が経過してから2つめのコマンドを送信するようにしてもよい。なお、それぞれのコマンドで示される変動態様はこの例に限定されるわけではなく、送信する順序についても適宜変更可能である。このように2つ乃至それ以上のコマンドにより変動パターンを通知するようにすることで、変動パターンコマンドとして記憶しておかなければならないデータ量を削減することができる。
【0330】
また、上記の実施の形態において、「割合が異なる」とは、A:B=70%:30%やA:B=30%:70%のような関係で割合が異なるものだけに限らず、A:B=100%:0%のような関係で割合が異なるものも含む概念である。
【0331】
また、上記の実施の形態では、遊技機としてパチンコ遊技機を例にしたが、本発明を、メダルが投入されて所定の賭け数が設定され、遊技者による操作レバーの操作に応じて複数種類の図柄を回転させ、遊技者によるストップボタンの操作に応じて図柄を停止させたときに停止図柄の組み合わせが特定の図柄の組み合わせになると、所定数のメダルが遊技者に払い出されるスロット機に適用することも可能である。
【0332】
例えば、本発明に係る遊技機は、上述のようなスロット機であって、報知演出を実行する報知演出実行手段(例えば、1回のボーナス、1セットのART(又はAT又はRT))による獲得枚数を報知する獲得枚数報知演出、ボーナス又はARTの開始からボーナス又はARTの終了迄の一連の獲得枚数を報知する累積獲得枚数報知演出などを実行するCPU等)を備え、前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知と、特別期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知とを実行可能であり、前記第2報知よりも前記第1報知の優先度合いが高いスロット機であってもよい(例えば、獲得枚数報知演出が実行中である場合には、累積獲得枚数報知演出は実行されないこと等)。
【0333】
また、本発明に係る遊技機は、上述のようなスロット機であって、報知演出を実行する報知演出実行手段(例えば、1回のボーナス、1セットのART(又はAT又はRT))による獲得枚数を報知する獲得枚数報知演出、ボーナス又はARTの開始からボーナス又はARTの終了迄の一連の獲得枚数を報知する累積獲得枚数報知演出、ART等継続回数報知などのうち少なくとも1以上と、エラー報知演出等を実行するCPU等)を備え、前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、特定期間において獲得した価値の大きさを報知する価値報知(獲得枚数等の報知)と、エラー(磁気異常、電波異常、振動異常、電波異常、ドアの開放異常、払出機構の異常、皿が満タンになっている異常、ホッパーが空になっている異常、ホッパーが満タンになっている異常、セレクタ(投入口)の異常、押し順ナビに反した押し順等)が発生したことを報知するエラー報知とを実行可能であり、前記価値報知よりも前記エラー報知の優先度合いを高いものであってもよい(又は、前記エラー報知よりも前記価値報知の優先度合いが高いものであってもよい)。
【0334】
また、本発明に係る遊技機は、上述のようなスロット機であって、報知演出を実行する報知演出実行手段(エラー報知演出、状態に関する報知を実行するCPU等)を備え、前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、状態に関する報知を行う状態報知(例えば、CZである旨の報知、ボーナス等に確定した旨の報知、準備中である旨の報知、ARTゲーム数(又はセット数)の上乗せ特化モードである旨の報知、次回セットの継続率がUPした旨の報知、次回セットの継続が確定した旨の報知等)と、エラー(磁気異常、電波異常、振動異常、電波異常、ドアの開放異常、払出機構の異常、皿が満タンになっている異常、ホッパーが空になっている異常、ホッパーが満タンになっている異常、セレクタ(投入口)の異常、押し順ナビに反した押し順等)が発生したことを報知するエラー報知とを実行可能であり、前記状態報知よりも前記エラー報知の優先度合いが高いものであってもよい(又は、前記エラー報知よりも前記状態報知の優先度合いが高いものであってもよい。
【0335】
また、上記の実施の形態では、例えば「1」〜「9」の複数種類の特別図柄や飾り図柄を可変表示し表示結果を導出表示する場合を示したが、可変表示は、そのような態様に限られない。例えば、可変表示される図柄と導出表示される図柄とが必ずしも同じである必要はなく、可変表示された図柄とは異なる図柄が導出表示されるものであってもよい。また、必ずしも複数種類の図柄を可変表示する必要はなく、1種類の図柄のみを用いて可変表示を実行するものであってもよい。この場合、例えば、その1種類の図柄表示を交互に点灯及び点滅を繰り返すことによって、可変表示を実行するものであってもよい。そして、この場合であっても、その可変表示に用いられる1種類の図柄が最後に導出表示されるものであってもよいし、その1種類の図柄とは異なる図柄が最後に導出表示されるものであってもよい。
【0336】
また、各乱数の更新タイミングを異ならせたり、各乱数の更新範囲を異ならせたりすることによって、各乱数が同期しないようにしてもよい。
【0337】
また、上記の実施形態では、主基板11に乱数値の判定用テーブルを記憶させておき、始動入賞時に主基板11において抽出された乱数値に基づき、主基板11が乱数値の判定用テーブルを参照し、乱数値の判定処理を実行し、演出制御基板12は、主基板11において判定された判定結果を受信して、受信した判定結果に基づき先読予告演出を実行する例を示したが、先読予告演出の実行態様はこれに限定されない。例えば、演出制御基板12に上記乱数値の判定用テーブルを記憶させておき、演出制御基板12は、主基板11において抽出された乱数値そのものを主基板11から受信し、受信した乱数値に基づき乱数値の判定用テーブルを参照して乱数値の判定処理を実行し、判定処理の判定結果に基づき先読予告演出を実行するようにしてもよい。即ち、乱数値の判定処理を演出制御基板12において行ってもよい。また、乱数値の判定処理を主基板11と演出制御基板12の両方で行ってもよい。例えば、演出制御基板12は、一部の乱数値を受信して乱数値の判定処理を実行するとともに、主基板11において判定された判定結果を受信してもよい。具体的には、例えば、演出制御基板12は、乱数値を受信して大当りとなるか否かの判定及び大当りである場合は大当りの種別の判定を実行すると共に、乱数値に基づき主基板11で判定された変動カテゴリの判定結果を受信するようにしてもよい。即ち、演出制御基板12は、自ら判定した判定結果と主基板11で判定された判定結果に基づき先読予告演出を実行することができる。
【0338】
以上説明したように、パチンコ遊技機1では、報知演出を実行する報知演出実行手段(例えば賞球数報知演出、累積賞球数報知演出、確変確定報知演出、連チャン回数報知、大当り中楽曲名報知、エラー報知、大当り中昇格演出を実行する演出制御用CPU120等)を備え、前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知(例えば大当り中に賞球として払い出された賞球数を報知する賞球数報知演出等)と、特別期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知(例えば連チャン中における大当り中に賞球として払い出された賞球数を報知する賞球数報知演出等)とを実行可能であり、前記第2報知よりも前記第1報知の優先度合いが高い(例えば図22の累積賞球数報知演出動作制御処理におけるステップS397の処理にて、賞球数報知演出が実行中である場合には、累積賞球数報知演出は実行されないこと等)。
【0339】
これにより、複数の報知演出を好適に実行することができる。
【0340】
また、遊技媒体(例えば遊技球等)が入賞容易な第1状態(例えば下大入賞口を開放状態とすること等)と、入賞困難な第2状態(例えば下大入賞口を閉鎖状態とすること等)とに変化可能な可変入賞手段(例えば特別可変入賞球装置7B等)を備え、前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、前記可変入賞手段に入賞した遊技媒体が特定領域を通過したことを報知する第3報知(例えば下大入賞口に入賞した遊技球が特定領域を通過したことを報知する確変確定報知演出等)を実行可能であり、前記第1報知よりも前記第3報知の優先度合いが高い(例えば図21に示す賞球数報知演出動作制御処理におけるステップS216にて確変確定報知演出の実行中である場合には、ステップS220にて確変確定報知演出が実行されているレイヤーよりも下位のレイヤーで賞球数報知演出を実行するための動作制御を行うこと等)。
【0341】
これにより、適切な報知を実行することができる。
【0342】
また、遊技者にとって有利な有利状態(例えば大当り遊技状態等)に制御可能であり、前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、前記特別期間において前記有利状態に制御された回数を報知する第4報知(例えば連チャン回数を報知する連チャン回数報知等)を実行可能であり、前記第4報知よりも前記第1報知の優先度合いが高い(例えば図23における連チャン回数報知動作制御処理におけるステップS462にて賞球数報知演出の実行中である場合には、ステップS468にて賞球数報知演出が実行されているレイヤーよりも下位のレイヤーで連チャン回数報知を実行するための動作制御を行うこと等)。
【0343】
これにより、適切な報知を実行することができる。
【0344】
また、前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、前記特定期間において実行される他の演出に関する情報を報知する第5報知(例えば大当り中に再生されている楽曲名を報知する大当り中楽曲名報知等)を実行可能であり、前記第5報知よりも前記第1報知の優先度合いが高い(例えば図24における大当り中楽曲名報知動作制御処理におけるステップS472にて賞球数報知演出の実行中である場合には、ステップS478にて賞球数報知演出が実行されているレイヤーよりも下位のレイヤーで大当り中楽曲名報知を実行するための動作制御を行うこと等)。
【0345】
これにより、適切な報知を実行することができる。
【0346】
また、前記報知演出実行手段は、前記報知演出として、前記特定期間において特別価値が付与されるか否かを報知する第6報知(例えば確変状態に制御するか否かの報知演出となる大当り中昇格演出等)を実行可能であり、前記第6報知を実行するまでは前記第2報知の実行を制限してもよい(例えば図22に示す累積賞球数報知演出動作制御処理におけるステップS391にて大当り中昇格演出が終了していなければ、累積賞球数報知演出は実行されないこと等)。
【0347】
これにより、演出状況に合わせた報知を実行することができる。
【0348】
また、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能であり、前記特定期間は、前記有利状態に制御される期間(例えば大当り中等)であってもよい。
【0349】
これにより、有利状態における演出効果を向上させることができる。
【0350】
また、遊技者にとって有利な有利状態(例えば大当り遊技状態等)に制御可能であると共に、前記有利状態に制御された後に、遊技者にとって有利な特別状態(例えば確変状態や時短状態等)に制御可能であり、前記有利状態に制御されてから通常状態に制御されるまでの期間(例えば連チャン中等)であってもよい。
【0351】
これにより、有利状態に制御されてから通常状態に制御されるまでの期間における演出効果を向上させることができる。
【符号の説明】
【0352】
1 パチンコ遊技機
2 遊技領域
2A 左遊技領域
2B 右遊技領域
3 遊技機用枠
4A 特別図柄表示装置
4B 特別図柄表示装置
5 画像表示装置
6A 普通入賞球装置
6B 普通可変入賞球装置
7A 特別可変入賞球装置
7B 特別可変入賞球装置
8L スピーカ
8R スピーカ
9 遊技効果ランプ
11 主基板
12 演出制御基板
13 音声制御基板
14 ランプ制御基板
15 中継基板
20 普通図柄表示器
21 ゲートスイッチ
22A 第1始動口スイッチ
22B 第2始動口スイッチ
23A 上大入賞口スイッチ
23B 下大入賞口スイッチ
24A 確変領域スイッチ
24B 第2排出スイッチ
24C 第1排出スイッチ
81 ソレノイド(普通電動役物用)
82A ソレノイド(上大入賞口扉用)
82B ソレノイド(下大入賞口扉用)
82C ソレノイド(確変領域蓋用)
100 遊技制御用マイクロコンピュータ
101 ROM
102 RAM
103 CPU
104 乱数回路
105 I/O
120 演出制御用CPU
121 ROM
122 RAM
123 表示制御部
124 乱数回路
125 I/O
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技を行い遊技者にとって有利な有利状態である大当りに制御可能な遊技機であって、報知演出を実行する報知演出実行手段
を備え、
前記報知演出実行手段は、
前記報知演出として、連チャン中における直近の大当りに制御されている期間である特定期間において獲得した価値の大きさを報知する第1報知と、前記特定期間と当該特定期間とは異なる非特定期間とを含む特別期間において獲得した価値の大きさを報知する第2報知と、を実行可能であり、
前記第2報知として、前記特定期間において獲得した価値の大きさと、前記非特定期間において獲得した価値の大きさと、を合計した価値の大きさを報知し、
前記第1報知と前記第2報知の実行期間が重複するときに、前記第1報知を実行する一方で、前記第2報知の実行期間を前記第1報知の実行期間と重複しない期間に変更し、
前記非特定期間は、前記連チャン中に制御された大当りの集合から前記直近の大当りを 除いた大当りに制御されている期間であり、
前記特別期間は、前記連チャン中に制御された大当りの集合を構成する各大当りに制御 されている期間を合計した期間である、
ことを特徴とする遊技機。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-10-07 
出願番号 P2015-145471
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (A63F)
P 1 651・ 113- YAA (A63F)
P 1 651・ 121- YAA (A63F)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 北川 創
澤田 真治
登録日 2020-05-12 
登録番号 6703379
権利者 株式会社三共
発明の名称 遊技機  
代理人 鈴木 洋雅  
代理人 木村 満  
代理人 特許業務法人平木国際特許事務所  
代理人 木村 満  
代理人 桜田 圭  
代理人 桜田 圭  
代理人 鈴木 洋雅  

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