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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  H01L
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H01L
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  H01L
審判 全部申し立て 2項進歩性  H01L
管理番号 1382365
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-03-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-01-22 
確定日 2021-10-26 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6727186号発明「窒化物半導体素子の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6727186号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1,2]について訂正することを認める。 特許第6727186号の請求項1に係る特許を維持する。 特許第6727186号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6727186号(以下「本件特許」という。)の請求項1及び2に係る特許についての出願は、平成29年12月28日に出願され、令和2年7月2日にその特許権の設定登録がされ、令和2年7月22日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和 3年 1月21日 :特許異議申立人小林喜一(以下「申立人」という。)による請求項1及び2に係る特許に対する特許異議の申立て
令和 3年 5月14日付け:取消理由通知書
令和 3年 6月22日 :特許権者による意見書及び訂正請求書(以下、この訂正請求書による訂正を「本件訂正」という。)の提出
なお、当審は、特許法120条の5第5項の規定に基づき、申立人に対して相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、申立人は、指定期間内に意見書を提出しなかった。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正の内容は以下のとおりである(下線は特許権者が付したものである。)。
なお、本件訂正は、一群の請求項である訂正後の請求項[1,2]に対して請求されている。また、明細書に係る訂正は、一群の請求項である訂正後の請求項[1,2]について請求されたものである。
(1)訂正事項1
請求項1に、
「前記AlN層を形成する工程は、前記n型AlGaNのAl組成比が60%以上70%未満の場合、前記AlN層の結晶品質を表すAlNミックス値が460(arcsec)未満となり、前記n型AlGaNのAl組成比が50%以上60%未満の場合、前記AlNミックス値が410(arcsec)よりも大きくかつ506(arcsec)未満となり、前記n型AlGaNのAl組成比が40%以上50%未満の場合、前記AlNミックス値が418(arcsec)よりも大きくかつ473(arcsec)未満となるように前記AlN層を形成する」
と記載されているのを、
「前記AlN層を形成する工程は、前記n型AlGaNのAl組成比が50%以上60%未満の場合、前記AlN層の結晶品質を表すAlNミックス値が410(arcsec)よりも大きくかつ506(arcsec)未満となり、前記n型AlGaNのAl組成比が40%以上50%未満の場合、前記AlNミックス値が418(arcsec)よりも大きくかつ473(arcsec)未満となるように前記AlN層を形成する」
に訂正する。

(2)訂正事項2
請求項2を削除する。

(3)訂正事項3
本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)【0007】に、
「本発明は、上記課題を解決することを目的として、基板上にAlN層を形成する工程と、前記AlN層上に、前記AlN層の結晶品質に応じた結晶品質を有するn型AlGaNを形成する工程と、を含む備える窒化物半導体素子の製造方法であって、前記n型AlGaNを形成する工程は、結晶品質を表すn型AlGaNミックス値が500(arcsec)以下となるように前記n型AlGaNを形成し、前記AlN層を形成する工程は、前記n型AlGaNのAl組成比が60%以上70%未満の場合、前記AlN層の結晶品質を表すAlNミックス値が460(arcsec)未満となり、前記n型AlGaNのAl組成比が50%以上60%未満の場合、前記AlNミックス値が410(arcsec)よりも大きくかつ506(arcsec)未満となり、前記n型AlGaNのAl組成比が40%以上50%未満の場合、前記AlNミックス値が418(arcsec)よりも大きくかつ473(arcsec)未満となるように前記AlN層を形成する、窒化物半導体素子及び窒化物半導体素子の製造方法を提供する。」
と記載されているのを、
「本発明は、上記課題を解決することを目的として、基板上にAlN層を形成する工程と、前記AlN層上に、前記AlN層の結晶品質に応じた結晶品質を有するn型AlGaNを形成する工程と、を備える窒化物半導体素子の製造方法であって、前記n型AlGaNを形成する工程は、結晶品質を表すn型AlGaNミックス値が500(arcsec)以下となるように前記n型AlGaNを形成し、前記AlN層を形成する工程は、前記n型AlGaNのAl組成比が50%以上60%未満の場合、前記AlN層の結晶品質を表すAlNミックス値が410(arcsec)よりも大きくかつ506(arcsec)未満となり、前記n型AlGaNのAl組成比が40%以上50%未満の場合、前記AlNミックス値が418(arcsec)よりも大きくかつ473(arcsec)未満となるように前記AlN層を形成する、窒化物半導体素子の製造方法を提供する。」
に訂正する。

2 訂正要件の判断
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1は、次の内容からなるものである。
(i)本件訂正前の請求項1においては、「前記AlN層を形成する工程は、前記n型AlGaNのAl組成比が60%以上70%未満の場合、前記AlN層の結晶品質を表すAlNミックス値が460(arcsec)未満となり、前記n型AlGaNのAl組成比が50%以上60%未満の場合、前記AlNミックス値が410(arcsec)よりも大きくかつ506(arcsec)未満となり、前記n型AlGaNのAl組成比が40%以上50%未満の場合、前記AlNミックス値が418(arcsec)よりも大きくかつ473(arcsec)未満となるように前記AlN層を形成する」の記載のとおり、「前記n型AlGaNのAl組成比」について、「60%以上70%未満の場合」、「50%以上60%未満の場合」及び「40%以上50%未満の場合」の3類型が特定されていたのを、「60%以上70%未満の場合」の類型に係る「前記n型AlGaNのAl組成比が60%以上70%未満の場合、前記AlN層の結晶品質を表すAlNミックス値が460(arcsec)未満」となるとの記載を削除して、「50%以上60%未満の場合」及び「40%以上50%未満の場合」の2類型が特定されるように限定すること。
(ii)上記(i)の訂正に伴い、本件訂正前の請求項1の「前記n型AlGaNのAl組成比が50%以上60%未満の場合、前記AlNミックス値が410(arcsec)よりも大きくかつ506(arcsec)未満となり」との記載における「前記AlNミックス値」の「前記」が指し示す記載が削除された結果、当該「前記AlNミックス値」の記載が明瞭でなくなったのを、「前記AlN層の結晶品質を表すAlNミックス値」と訂正することで明瞭にすること。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号の特許請求の範囲の減縮及び同第3号の明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 新規事項追加の有無
上記ア(i)の訂正については、選択肢の一つを削除するにすぎないものであって、このことにより新たな技術的事項が導入されることはない。
上記ア(ii)の訂正については、本件訂正前の請求項1に「前記AlN層の結晶品質を表すAlNミックス値」と記載されている。
よって、訂正事項1は、新規事項を追加するものではない。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記ア及びイにも照らせば、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

エ 小括
よって、訂正事項1は、訂正要件を満たす。

(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的
訂正事項2は、請求項2を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項追加の有無
訂正事項2は、本件訂正前の請求項2を削除するものであるから、このことにより新たな技術的事項が導入されることはなく、よって、新規事項を追加するものではない。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記ア及びイにも照らせば、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

エ 小括
よって、訂正事項2は、訂正要件を満たす。

(2)訂正事項3について
ア 訂正の目的
訂正事項3は、次の内容からなるものである(下線は当審が付した。以下同じ。)。
(i)本件明細書等【0007】の「・・・を含む備える窒化物半導体素子の製造方法であって、・・・」の記載に明らかな誤記があったのを、「・・・を備える窒化物半導体素子の製造方法であって、・・・」としてその誤記を訂正すること。
(ii)訂正事項1に伴い、本件明細書等【0007】の記載が、本件訂正後の請求項1の記載と不整合になったのを、整合させるように訂正して明瞭にすること。
(iii)本件明細書等【0007】の「・・・窒化物半導体素子及び窒化物半導体素子の製造方法を提供する。」の記載が、本件訂正後の特許請求の範囲の記載と不整合であったのを、「窒化物半導体素子及び」を削除することにより整合させて明瞭にすること。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号の特許請求の範囲の減縮、同2号の誤記の訂正及び同第3号の明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 新規事項追加の有無
上記ア(i)の訂正については、本件訂正前の請求項1には、「・・・を備える窒化物半導体素子の製造方法であって、」と記載されている。
上記ア(ii)の訂正については、上記(1)イと同様の理由が成り立つ。
上記ア(iii)の訂正については、選択肢の一方を削除するにすぎないものであって、このことにより新たな技術的事項が導入されることはない。
よって、訂正事項3は、新規事項を追加するものではない。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記ア及びイにも照らせば、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

エ 小括
よって、訂正事項3は、訂正要件を満たす。

3 訂正の適否の小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第2号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1,2〕について訂正することを認める。

第3 本件訂正発明
本件訂正は、上記第2のとおり認められたので、本件訂正後の請求項1及び2に係る発明(以下「本件訂正発明1」及び「本件訂正発明2」といい、これらを総称して「本件訂正発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
[本件訂正発明1]
「基板上にAlN層を形成する工程と、
前記AlN層上に、前記AlN層の結晶品質に応じた結晶品質を有するn型AlGaNを形成する工程と、
を備える窒化物半導体素子の製造方法であって、
前記n型AlGaNを形成する工程は、結晶品質を表すn型AlGaNミックス値が500(arcsec)以下となるように前記n型AlGaNを形成し、
前記AlN層を形成する工程は、前記n型AlGaNのAl組成比が50%以上60%未満の場合、前記AlN層の結晶品質を表すAlNミックス値が410(arcsec)よりも大きくかつ506(arcsec)未満となり、前記n型AlGaNのAl組成比が40%以上50%未満の場合、前記AlNミックス値が418(arcsec)よりも大きくかつ473(arcsec)未満となるように前記AlN層を形成する、
窒化物半導体素子の製造方法。」

[本件訂正発明2]
(削除)

第4 取消理由通知に記載した取消理由に対する当審の判断
1 取消理由の概要
本件訂正前の請求項1及び2に係る特許に対して、当審が令和3年5月14日付けで特許権者に通知した取消理由(以下、単に「取消理由」といい、この通知を「取消理由通知」という。)の要旨は、次のとおりである。
(1)明確性要件違反
本件訂正前の請求項2に係る発明についての特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
(2)新規性欠如
本件訂正前の請求項1及び2に係る発明は、本件特許に係る出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である甲1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、当該各請求項に係る発明についての特許は、同法同条同項の規定に違反してされたものである。
(3)進歩性欠如
本件訂正前の請求項1及び2に係る発明は、本件特許に係る出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である甲1に記載された発明に基いて、本件特許に係る出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、当該各請求項に係る発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

引 用 文 献 等 一 覧
1.特開2016−88803号公報(甲1)

明確性要件違反について
取消理由通知は、本件訂正前の請求項2に記載された「変更する」の意味が当該請求項の記載では不明である旨説示したものであるが、本件訂正により、請求項2は削除された。

新規性欠如・進歩性欠如について
(1)甲1発明の認定
ア 甲1には、次の記載がある。
(ア)「【特許請求の範囲】」、
「サファイア基板と、該サファイア基板の主面上に形成されたAlN層と、該AlN層上に形成された、少なくともAlを含むIII族窒化物積層体と、を有するIII族窒化物半導体エピタキシャル基板であって、
前記III族窒化物積層体は、第1の層および第2の層をこの順に有し、
前記第1の層のAl組成比xが、前記第2の層のAl組成比yよりも大きく、
前記サファイア基板の主面は、C面が0.46度以上0.54度以下のオフ角で傾斜した面であり、
前記AlN層の(10−12)面のX線ロッキングカーブの半値幅が400秒以下であり、
前記第2の層の(0002)面の2θ−ωスキャンX線回折ピークにより算出されるc軸歪み量が引張方向に0.66%以上であることを特徴とするIII族窒化物半導体エピタキシャル基板。」(【請求項1】)、
「前記第1の層はAlxGa1-xN(0.6≦x<1)からなる、請求項1または2に記載のIII族窒化物半導体エピタキシャル基板。」(【請求項3】)、
「C面が0.46度以上0.54度以下のオフ角で傾斜したサファイア基板の主面上に、AlN層をエピタキシャル成長させる第1工程と、
前記AlN層を、前記第1工程における成長温度よりも高温で熱処理する第2工程と、
該第2工程の後、前記AlN層上に、少なくともAlを含む、第1の層および第2の層をこの順に有するIII族窒化物積層体を形成する第3工程と、を含み、
前記第3工程において、前記第2の層のAl組成比yを、前記第1の層のAl組成比xよりも小さくし、前記第2の層の(0002)面の2θ−ωスキャンX線回折ピークにより算出されるc軸歪み量を、引張方向に0.66%以上とすることを特徴とするIII族窒化物半導体エピタキシャル基板の製造方法。」(【請求項7】)

(イ)「<参考実験例>
(参考例1)
図1に示したフローチャートに従って、参考例1に係るIII族窒化物半導体エピタキシャル基板およびIII族窒化物半導体発光素子を作製した。まず、サファイア基板(直径2インチ、厚さ:430μm、面方位:(0001)、m軸方向オフ角θ:0.1度、テラス幅:100nm、ステップ高さ:0.20nm)を用意した(図1(A))。次いで、MOCVD法により、上記サファイア基板上に中心膜厚0.60μm(平均膜厚0.61μm)のAlN層を成長させ、AlNテンプレート基板とした(図1(B))。その際、AlN層の成長温度は1300℃、チャンバ内の成長圧力は10Torrであり、V/III比が163となるようにアンモニアガスとTMAガスの成長ガス流量を設定した。V族元素ガス(NH3)の流量は200sccm、III族元素ガス(TMA)の流量は53sccmである。なお、AlN層の膜厚については、光干渉式膜厚測定機(ナノスペックM6100A;ナノメトリックス社製)を用いて、ウエハ面内の中心を含む、等間隔に分散させた計25箇所の膜厚を測定した。」(【0062】)、
「次いで、上記AlNテンプレート基板を熱処理炉に導入し、10Paまで減圧後に窒素ガスを常圧までパージすることにより炉内を窒素ガス雰囲気とした後に、炉内の温度を昇温してAlNテンプレート基板に対して熱処理を施した(図1(C))。その際、加熱温度は1650℃、加熱時間は4時間とした。」(【0063】)、
「次いで、MOCVD法により、第1の層として、Al0.7Ga0.3Nからなる層厚1μmのアンドープAl0.7Ga0.3N層(以下、「アンドープ層」とする。)を形成した。次に、第1の層上に第2の層として、Al0.62Ga0.38Nからなり、Siドープした層厚2μmのn型Al0.62Ga0.38N層(以下、n型層とする。)を上記AlN層上に形成し、参考例1に係るIII族窒化物半導体エピタキシャル基板を作製した(図1(D),(E))。なお、SIMS分析の結果、n型層のSi濃度は1.0×19atoms/cm3である。」(【0064】)、
「さらに、上記参考例1に係るIII族窒化物半導体エピタキシャル基板を用いて、III族窒化物半導体発光素子を作製した。具体的には、まず、n型層上に、Al0.55Ga0.45Nからなる層厚12nmの障壁層およびAl0.45Ga0.55Nからなる層厚3nmの井戸層を交互に3組繰り返して積層した活性層を形成した。」(【0065】)、
「その後、活性層上に、Al0.68Ga0.32Nからなり、Mgドープした層厚40nmのp型ブロック層、Al0.4Ga0.6Nからなり、Mgドープした層厚50nmのp型クラッド層およびGaNからなり、Mgドープした層厚180nmのp型GaN層を順に形成し、参考例1に係るIII族窒化物半導体発光素子を作製した。なお、SIMS分析の結果、Mgのドーパント濃度は、この順にそれぞれ1.0×1018atoms/cm3、5.0×1018atoms/cm3、2.0×1019atoms/cm3である。」(【0066】)、
「(参考例2)
参考例1におけるサファイア基板のオフ角を0.35度に変えた以外は、参考例1と同じ条件で、参考例2に係るIII族窒化物半導体エピタキシャル基板およびIII族窒化物半導体発光素子を作製した。」(【0067】)、
「(参考例3)
参考例1におけるサファイア基板のオフ角を0.5度に変えた以外は、参考例1と同じ条件で、参考例3に係るIII族窒化物半導体エピタキシャル基板およびIII族窒化物半導体発光素子を作製した。」(【0068】)、
「(参考例4)
参考例1におけるサファイア基板のオフ角を1度に変えた以外は、参考例1と同じ条件で、参考例4に係るIII族窒化物半導体エピタキシャル基板およびIII族窒化物半導体発光素子を作製した。」(【0069】)、
「<参考評価>
(参考評価1:AlN層の結晶性評価)
参考例1において、AlNテンプレート基板を形成し熱処理を施した直後のX線ロッキングカーブのAlN層の(10−12)面の半値幅を、X線回折装置(D8 DISCOVER AUTOWAFS;Bruker AXS社製)を用いて2θ−ωスキャンによって評価したところ、281秒であった。参考例2〜5についても同様の測定を行った。結果を表1に示す。また、AlNテンプレート基板に対して熱処理を施していない参考例6については、AlN層を形成した直後のX線ロッキングカーブの(10−12)面の半値幅を測定したところ、1404秒であった。参考例7〜10についても同様の測定を行った。結果を表1に示す。」(【0076】)、
「(参考評価2:n型層の結晶性評価)
参考例1に係るIII族窒化物半導体エピタキシャル基板のn型層のX線ロッキングカーブの(10−12)面の半値幅を、参考評価1と同様に評価したところ、450秒であった。参考例2〜10についても同様の測定を行った。結果を表1に示す。」(【0077】)、
「【表1】



イ 上記アによれば、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる(なお、参考までに、甲1発明の認定に用いた箇所の段落番号等を括弧内に付してある。)。
「サファイア基板を用意し、次いで、MOCVD法により、上記サファイア基板上にAlN層を成長させ、AlNテンプレート基板とし、(【0062】)
次いで、上記AlNテンプレート基板を熱処理炉に導入し、炉内の温度を昇温してAlNテンプレート基板に対して熱処理を施し、(【0063】)
次いで、MOCVD法により、第1の層として、Al0.7Ga0.3Nからなる層厚1μmのアンドープAl0.7Ga0.3N層(以下、「アンドープ層」とする。)を形成し、次に、第1の層上に第2の層として、Al0.62Ga0.38Nからなり、Siドープした層厚2μmのn型Al0.62Ga0.38N層(以下、n型層とする。)を上記AlN層上に形成し、III族窒化物半導体エピタキシャル基板を作製し、(【0064】)
上記III族窒化物半導体エピタキシャル基板を用いて、III族窒化物半導体発光素子を作製する、(【0065】)
III族窒化物半導体発光素子の製造方法であって、
サファイア基板のオフ角(°)、AlNテンプレート基板を形成し熱処理を施した直後のX線ロッキングカーブのAlN層の(10−12)面の半値幅(s)、及びIII族窒化物半導体エピタキシャル基板のn型層のX線ロッキングカーブの(10−12)面の半値幅(s)を、それぞれ、(【0076】【0077】)
0.1°、281s、450s、(【0080】の参考例1)
0.35°、175s、367s、(【0080】の参考例2)
0.5°、196s、316s、又は、(【0080】の参考例3)
1°、210s、313s、(【0080】の参考例4)
とした、
III族窒化物半導体発光素子の製造方法。」

(2)対比
ア 本件訂正発明1の「基板上にAlN層を形成する工程と、」との特定事項について
(ア)甲1発明の「サファイア基板」は、本件訂正発明1の「基板」に相当する。

(イ)甲1発明の「AlN層」は、本件訂正発明1の「AlN層」に相当する。

(ウ)甲1発明の「AlN層」は、「MOCVD法により、上記サファイア基板上に」「成長させ、AlNテンプレート基板と」され、「次いで、上記AlNテンプレート基板を熱処理炉に導入し、炉内の温度を昇温してAlNテンプレート基板に対して熱処理を施」すことにより得られたものであり、このようにして「AlN層」を得る工程が、本件訂正発明1の「基板上にAlN層を形成する工程」に相当する。

(エ)よって、甲1発明は、本件訂正発明1の上記特定事項を備える。

イ 本件訂正発明1の「前記AlN層上に、前記AlN層の結晶品質に応じた結晶品質を有するn型AlGaNを形成する工程と、」との特定事項について
(ア)甲1発明の「Siドープした層厚2μmのn型Al0.62Ga0.38N層(以下、n型層とする。)」は、本件訂正発明1の「n型AlGaN」に相当する。

(イ)甲1発明は、「Al0.62Ga0.38Nからなり、Siドープした層厚2μmのn型Al0.62Ga0.38N層(以下、n型層とする。)を上記AlN層上に形成」するものであるから、本件訂正発明1でいう「前記AlN層上に、」「n型AlGaNを形成する」ものといえる。

(ウ)甲1発明の「Siドープした層厚2μmのn型Al0.62Ga0.38N層」(本件訂正発明1の「n型AlGaN」に相当。)は、その結晶品質がその下にある「AlN層」の結晶品質に依存するといえるから、本件訂正発明1でいう「前記AlN層の結晶品質に応じた結晶品質を有する」ものといえる。

(エ)よって、甲1発明は、本件訂正発明1の上記特定事項を備える。

ウ 本件訂正発明1の「窒化物半導体素子の製造方法であって、」との特定事項について
甲1発明の「III族窒化物半導体発光素子の製造方法」は、本件訂正発明1の「窒化物半導体素子の製造方法」に相当する。

エ 本件訂正発明1の「前記n型AlGaNを形成する工程は、結晶品質を表すn型AlGaNミックス値が500(arcsec)以下となるように前記n型AlGaNを形成し、」との特定事項について
(ア)本件訂正発明1の「n型AlGaNミックス値」は、「n−AlGaN結晶の(10−12)面(Mixed面)に対するX線回折のωスキャンにより得られるX線ロッキングカーブの半値幅(arcsec)」であると定義されており(本件訂正明細書等【0023】)、ここで、「arcsec」は角度の「秒」を意味する単位である。他方、甲1発明の「III族窒化物半導体エピタキシャル基板のn型層のX線ロッキングカーブの(10−12)面の半値幅(s)」については、「n型層」は「Siドープした層厚2μmのn型Al0.62Ga0.38N層」(本件訂正発明1の「n型AlGaN」に相当。)を意味し、また、「s」は、X線ロッキングカーブの半値幅に係るものである以上、角度の「秒」を意味する単位といえるから、上記の「arcsec」と同じ意味である。
そうすると、甲1発明の「III族窒化物半導体エピタキシャル基板のn型層のX線ロッキングカーブの(10−12)面の半値幅(s)」は、本件訂正発明1の「結晶品質を表すn型AlGaNミックス値」に相当する。

(イ)甲1発明は、当該「III族窒化物半導体エピタキシャル基板のn型層のX線ロッキングカーブの(10−12)面の半値幅(s)」が、「450s」、「367s」、「316s」又は「313s」であり、上記(ア)のとおり、単位「s」が「arcsec」と同じ意味であることを踏まえると、いずれも、本件訂正発明1でいう「500(arcsec)以下」となっている。

(ウ)よって、甲1発明は、本件訂正発明1の上記特定事項を備える。

オ 本件訂正発明1の「前記AlN層を形成する工程は、前記n型AlGaNのAl組成比が50%以上60%未満の場合、前記AlN層の結晶品質を表すAlNミックス値が410(arcsec)よりも大きくかつ506(arcsec)未満となり、前記n型AlGaNのAl組成比が40%以上50%未満の場合、前記AlNミックス値が418(arcsec)よりも大きくかつ473(arcsec)未満となるように前記AlN層を形成する、」との特定事項について
(ア)甲1発明の「Siドープした層厚2μmのn型Al0.62Ga0.38N層」(本件訂正発明1の「n型AlGaN」に相当。)は、本件訂正発明1でいう「n型AlGaNのAl組成比」が62%となるから、本件訂正発明1で特定された類型である「前記n型AlGaNのAl組成比が50%以上60%未満の場合」及び「前記n型AlGaNのAl組成比が40%以上50%未満の場合」のいずれにも該当しない。

(イ)甲1発明は、「AlNテンプレート基板を形成し熱処理を施した直後のX線ロッキングカーブのAlN層の(10−12)面の半値幅(s)」及び「III族窒化物半導体エピタキシャル基板のn型層のX線ロッキングカーブの(10−12)面の半値幅(s)」(本件訂正発明1の「n型AlGaNミックス値」に相当。)を、それぞれ、「281s、450s」、「175s、367s」、「196s、316s」又は「210s、313s」としたものである。
しかるに、本件訂正発明1の「AlNミックス値」は、「AlN結晶の(10−12)面(Mixed面)に対するX線回折のωスキャンにより得られるX線ロッキングカーブの半値幅(arcsec)」を意味すると解されるから、上記エと同様の議論により、甲1発明の「AlNテンプレート基板を形成し熱処理を施した直後のX線ロッキングカーブのAlN層の(10−12)面の半値幅(s)」は、本件訂正発明1の「前記AlN層の結晶品質を表すAlNミックス値」に相当し、「s」は「arcsec」と同じ意味である。よって、甲1発明では、本件訂正発明1でいう「前記AlN層の結晶品質を表すAlNミックス値」が、「281」(arcsec)、「175」(arcsec)、「196」(arcsec)又は「210」(arcsec)ということになる。

(3)一致点及び相違点の認定
上記(2)によれば、本件訂正発明1と甲1発明とは、
「基板上にAlN層を形成する工程と、
前記AlN層上に、前記AlN層の結晶品質に応じた結晶品質を有するn型AlGaNを形成する工程と、
を備える窒化物半導体素子の製造方法であって、
前記n型AlGaNを形成する工程は、結晶品質を表すn型AlGaNミックス値が500(arcsec)以下となるように前記n型AlGaNを形成する、
窒化物半導体素子の製造方法。」である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1]
「前記AlN層を形成する工程」が、
本件訂正発明1は、「前記n型AlGaNのAl組成比が50%以上60%未満の場合、前記AlN層の結晶品質を表すAlNミックス値が410(arcsec)よりも大きくかつ506(arcsec)未満となり、前記n型AlGaNのAl組成比が40%以上50%未満の場合、前記AlNミックス値が418(arcsec)よりも大きくかつ473(arcsec)未満となるように前記AlN層を形成する」のに対し、
甲1発明は、「前記n型AlGaNのAl組成比が」62%であり、「前記AlN層の結晶品質を表すAlNミックス値」が281(arcsec)、175(arcsec)、196(arcsec)又は210(arcsec)である点。

(4)判断
ア 甲1発明において相違点1に係る構成に至るためには、少なくとも、「第2の層」(n型層)である「Siドープした層厚2μmのn型Al0.62Ga0.38N層」のAl組成比を0.62から0.6未満へ変更するとともに、「前記AlN層の結晶品質を表すAlNミックス値」を281、175、196又は210(arcsec)から410(arcsec)よりも大きな値へ変更する必要がある。しかしながら、「前記AlN層の結晶品質を表すAlNミックス値」を大きくするということは、AlN層の結晶品質を悪化させることを意味するが、甲1の記載及び技術常識に照らしても、あえてそのようにする動機があるとはいえない。そして、本件訂正発明1は、相違点に係る構成を備えることにより、本件訂正明細書等【0008】に記載されたような、n型AlGaNの結晶品質を向上することができるという格別の効果を奏するものである。
よって、当業者が、甲1発明において相違点1に係る構成に至ることはない。

イ 申立人は、本件訂正前の請求項1に係る発明は、甲1の請求項1、3及び7に記載された事項に照らして認定された主引用発明及び甲1に記載された参考例1〜4に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである旨主張する(特許異議申立書17頁10行〜18頁末行)。
しかしながら、そのような主引用発明を認定したとしても、その発明には相違点1に係る構成が記載されているわけではないし、また、甲1に記載された参考例1〜4に記載された技術的事項によっては当業者が相違点1に係る構成に至ることがないことは、上記アで説示したとおりである。

(5)小括
そして、甲1の他の記載をみても、上記の認定判断を左右しない。
したがって、本件訂正発明1は、甲1に記載された発明ではなく、また、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、この取消理由によっては、本件訂正発明1に係る特許を取り消すことができない。

3 取消理由通知に記載した取消理由に対する当審の判断の小括
以上のとおり、取消理由通知に記載した取消理由によっては、本件訂正発明1に係る特許を取り消すことはできない。

第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
申立人は、本件訂正前の請求項2について、当該請求項に係る発明が明確でなく(特許異議申立書22頁下から10行〜下から7行)、当該請求項に係る発明の記載が発明の詳細な説明に記載されておらず(特許異議申立書21頁下から5行〜22頁2行)、発明の詳細な説明が当業者が当該請求項に係る発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではない(特許異議申立書19頁19行〜21頁下から6行)旨主張するが、本件訂正により、請求項2は削除された。

第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載された取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件訂正発明1に係る特許を取り消すことはできない。そして、他に、本件訂正発明1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
本件訂正発明2に係る特許は、本件訂正により削除され、当該特許に対する特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】窒化物半導体素子の製造方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化物半導体素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、トランジスタや、発光ダイオード等の窒化物半導体素子が提供されており、結晶の品質結晶品質を向上させた窒化物半導体素子の開発が進められている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−16711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の窒化物半導体素子は、単結晶基板と、単結晶基板の一表面上に形成されたAlN層と、前記AlN層上に形成された第1導電形の第1窒化物半導体層と、前記第1窒化物半導体層における前記AIN層側とは反対側に形成されたAlGaN系材料からなる発光層と、前記発光層における前記第1窒化物半導体層側とは反対側に形成された第2導電形の第2窒化物半導体層とを備えた窒化物半導体素子であって、前記AlN層におけるN極性のAlN結晶の密度が1000個/cm2以下であり、前記AlN層におけるAlN(10−12)面に対するX線回折のωスキャンによるX線ロッキングカーブの半値幅が500arcsec以下である構成を有する。特許文献1に記載の窒化物半導体素子では、AlN層の結晶品質を向上させることにより、窒化物半導体素子の電気的特性の信頼性の向上を図っている。
【0005】
しかし、本発明者らは、AlN層上に第1窒化物半導体層としてのn型AlGaNが形成される窒化物半導体素子では、前記AlN層の結晶品質を向上させたとしても、第1窒化物半導体層としてのn型AlGaNの結晶品質は、必ずしも向上することは限らないこと、及び、前記AlN層は、所定の範囲内の結晶品質のときに、前記n型AlGaNの結晶品質を向上させることができるとの知見を得た。
【0006】
そこで、本発明は、n型AlGaNの結晶品質を向上するため、所定の範囲内の結晶品質を有したAlN層上に形成されたn型AlGaNを含む窒化物半導体素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、基板上にAlN層を形成する工程と、前記AlN層上に、前記AlN層の結晶品質に応じた結晶品質を有するn型AlGaNを形成する工程と、を備える窒化物半導体素子の製造方法であって、前記n型AlGaNを形成する工程は、結晶品質を表すn型AlGaNミックス値が500(arcsec)以下となるように前記n型AlGaNを形成し、前記AlN層を形成する工程は、前記n型AlGaNのAl組成比が50%以上60%未満の場合、前記AlN層の結晶品質を表すAlNミックス値が410(arcsec)よりも大きくかつ506(arcsec)未満となり、前記n型AlGaNのAl組成比が40%以上50%未満の場合、前記AlNミックス値が418(arcsec)よりも大きくかつ473(arcsec)未満となるように前記AlN層を形成する、窒化物半導体素子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、n型AlGaNの結晶品質を向上するため、所定の範囲内の結晶品質を有したAlN層上に形成されたn型AlGaNを含む窒化物半導体素子の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、窒化物半導体素子の構成を概略的に示す縦断面図である。
【図2】図2は、n−AlGaNミックス値及び半導体素子の発光出力のデータを示す図ある。
【図3】図3は、図2に示すn−AlGaNミックス値と半導体素子の発光出力との関係を示すグラフである。
【図4】図4は、AlNミックス値及びn−AlGaNミックス値のデータを示す図である。
【図5】図5は、図4に示すAlNミックス値及びn−AlGaNのミックス値の相関関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施の形態]
以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。また、各図面における各構成要素の寸法比は、必ずしも実際の窒化物半導体素子の寸法比と一致するものではない。
【0011】
(窒化物半導体素子の構成)
図1は、窒化物半導体素子の構成を概略的に示す縦断面図である。窒化物半導体素子1には、例えば、トランジスタ、レーザダイオード(Laser Diode:LD)、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)等が含まれる。本実施の形態では、窒化物半導体素子1(以下、単に「半導体素子1」ともいう。)として、紫外領域の波長の光(特に、中心波長が250nm〜350nmの深紫外光)を発する発光ダイオードを例に挙げて説明する。
【0012】
図1に示すように、半導体素子1は、基板10と、バッファ層20と、n型クラッド層30と、多重量子井戸層を含む活性層40と、電子ブロック層50と、p型クラッド層70と、p型コンタクト層80と、n側電極90と、p側電極92とを含んで構成されている。
【0013】
半導体素子1を構成する半導体には、例えば、AlxGayIn1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)にて表される2元系、3元系若しくは4元系のIII族窒化物半導体を用いることができる。また、これらのIII族元素の一部は、ホウ素(B)、タリウム(Tl)等で置き換えても良く、また、Nの一部をリン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等で置き換えても良い。
【0014】
基板10は、例えば、サファイア(Al2O3)を含むサファイア基板である。基板10には、サファイア(Al2O3)基板の他に、例えば、窒化アルミニウム(AlN)基板や、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)基板を用いてもよい。
【0015】
バッファ層20は、基板10上に形成されている。バッファ層20は、AlN層22と、AlN層22上に形成されるアンドープのu−AlpGa1−pN層24(0≦p≦1)を含んで構成されている。AlN層22は、所定の範囲内の結晶品質を有している。詳細は、後述する。また、基板10及びバッファ層20は、下地構造部2を構成する。なお、基板10がAlN基板またはAlGaN基板である場合、バッファ層20は必ずしも設けなくてもよい。
【0016】
n型クラッド層30は、下地構造部2上に形成されている。n型クラッド層30は、n型AlGaN(以下、単に「n−AlGaN」ともいう。)により形成された層であり、例えば、n型の不純物としてシリコン(Si)がドープされたAlqGa1−qN層(0≦q≦1)である。なお、n型の不純物としては、ゲルマニウム(Ge)、セレン(Se)、テルル(Te)、炭素(C)等を用いてもよい。n型クラッド層30は、1μm〜5μm程度の厚さを有している。n型クラッド層30は、単層でもよく、多層構造でもよい。
【0017】
多重量子井戸層を含む活性層40は、n型クラッド層30上に形成されている。活性層40は、AlrGa1−rNを含んで構成される多重量子井戸層のn型クラッド層30側の障壁層42a、及び後述する電子ブロック層50側の障壁層42cを含む3層の障壁層42a,42b,42cとAlsGa1−sNを含んで構成される3層の井戸層44a,44b,44c(0≦r≦1、0≦s≦1、r>s)とを交互に積層した多重量子井戸層を含む層である。なお、本実施の形態では、活性層40に障壁層42及び井戸層44は各3層ずつ設けたが、必ずしも3層に限定されるものではなく、2層以下でもよく、4層以上でもよい。
【0018】
電子ブロック層50は、活性層40上に形成されている。電子ブロック層50は、AlNにより形成されている。電子ブロック層50は、1nm〜10nm程度の厚さを有している。なお、電子ブロック層50は、p型AlGaN(以下、単に「p−AlGaN」ともいう。)により形成された層を含んでもよい。また、電子ブロック層50は、必ずしもp型の半導体層に限られず、アンドープの半導体層でもよい。
【0019】
p型クラッド層70は、電子ブロック層50上に形成されている。p型クラッド層70は、p−AlGaNにより形成される層であり、例えば、p型の不純物としてマグネシウム(Mg)がドープされたAltGa1−tNクラッド層(0≦t≦1)である。なお、p型の不純物としては、亜鉛(Zn)、べリリウム(Be)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)等を用いてもよい。p型クラッド層70は、300nm〜700nm程度の厚さを有している。
【0020】
p型コンタクト層80は、p型クラッド層70上に形成されている。p型コンタクト層80は、例えば、Mg等の不純物が高濃度にドープされたp型のGaN層である。
【0021】
n側電極90は、n型クラッド層30の一部の領域上に形成されている。n側電極90は、例えば、n型クラッド層30の上にチタン(Ti)/アルミニウム(Al)/Ti/金(Au)が順に積層された多層膜で形成される。
【0022】
p側電極92は、p型コンタクト層80の上に形成されている。p側電極92は、例えば、p型コンタクト層80の上にニッケル(Ni)/金(Au)が順に積層された多層膜で形成される。
【0023】
(n−AlGaNの結晶品質と半導体素子の発光出力との関係)
次に、図2及び図3を参照して、n型クラッド層30を形成するn−AlGaNの結晶の品質(単に、「結晶品質」ともいう。なお、「結晶性」との表現を用いることもできる。)と半導体素子の発光出力との関係を説明する。発明者らは、n型クラッド層30を形成するn−AlGaNの結晶品質と半導体素子1の発光出力との関係を評価することを目的として、n−AlGaNのミックス値(以下、単に「n−AlGaNミックス値」ともいう。)と半導体素子1の発光出力との関係を調べる実験を行った。ここで、n−AlGaNミックス値とは、n−AlGaN結晶の(10−12)面(Mixed面)に対するX線回折のωスキャンにより得られるX線ロッキングカーブの半値幅(arcsec)であり、n−AlGaNの結晶品質を示す代表的な指標の一例である。n−AlGaNミックス値は、値が小さいほどn−AlGaNの結晶品質が良いことを意味する。
【0024】
図2は、n−AlGaNミックス値及び半導体素子の発光出力のデータを表で示す図ある。図3は、図2に示すn−AlGaNミックス値と半導体素子の発光出力との関係を示すグラフである。図3の横軸は、n−AlGaNミックス値(arcsec)を示し、縦軸は、半導体素子1の発光出力(任意単位)を示す。また、図3の実線は、n−AlGaNミックス値(arcsec)に対する半導体素子1の発光出力(任意単位)の変化の傾向を概略的に示す補助線である。図3の一点鎖線は、500arcsecを示す補助線である。なお、発光出力は、種々の公知の方法で測定することが可能であるが、本実施例では、一例として、上述したn側電極90及びp側電極92の間に電流を流し、半導体素子1の下側に設置した光検出器により測定した。
【0025】
図2及び図3に示すように、半導体素子1の発光出力は、n−AlGaNミックス値が500arcsecの前後で変化する。具体的には、n−AlGaNミックス値が500arcsecを超えると、半導体素子1の発光出力が低下しはじめる。この実験は、半導体素子1の発光出力の低下を抑制するには、好ましくはn−AlGaNミックス値が550arcsec以下、さらに好ましくはn−AlGaNミックス値が500arcsec以下であることを示している。
【0026】
(AlNミックス値とn−AlGaNミックス値との関係)
次に、図4及び図5を参照して、AlNのミックス値(以下、単に「AlNミックス値」ともいう。)とn−AlGaNミックス値との関係を説明する。AlNミックス値は、AlN層22を形成するAlNの結晶の(10−12)面(Mixed面)に対するX線回折のωスキャンにより得られるX線ロッキングカーブの半値幅(arcsec)であり、AlNの結晶品質を示す代表的な指標の一例である。AlNミックス値は、値が小さいほどAlNの結晶品質が良いことを意味する。発明者らは、鋭意検討の結果、AlNミックス値とn−AlGaNミックス値と間には相関関係があることを見出した。以下、詳細を説明する。
【0027】
具体的には、発明者らは、まず、40%〜70%のAlNモル分率(%)(以下、「Al組成比」ともいう。)を有するn−AlGaNにより形成されたn型クラッド層30を含む上記の半導体素子1を122個作製した。次に、この122個の半導体素子1をAl組成比の範囲別に3つのグループ(グループA、グループB及びグループC)に分類した。そして、グループごとに、各半導体素子1のAlNミックス値、及びn−AlGaNミックス値を測定した。
【0028】
図4は、AlNミックス値及びn−AlGaNミックス値のデータを表で示す図である。図4に示すように、グループAには、60%〜70%のAl組成比を有するn−AlGaNにより形成されたn型クラッド層30を有す半導体素子1を分類した。グループBには、50%〜60%のAl組成比を有するn−AlGaNにより形成されたn型クラッド層30を有する半導体素子1を分類した。グループCには、40%〜50%のAl組成比を有するn−AlGaNにより形成されたn型クラッド層30を有する半導体素子1を分類した。なお、グループAには、上記122個のうちの44個の半導体素子1が分類された。グループBには、上記122個のうちの62個のサンプルが分類された。グループCには、上記122個のうちの16個のサンプルが分類された。
【0029】
図5は、図4に示すAlNミックス値及びn−AlGaNミックス値の相関関係を示すグラフである。図5の三角印は、グループAに分類された半導体素子1のデータを示す。四角印は、グループBに分類された半導体素子1のデータを示す。丸印は、グループCに分類された半導体素子1のデータを示す。また、図5の一点鎖線は、グループAの半導体素子1のデータにおいて、AlNミックス値に対するn−AlGaNミックス値の変化の傾向を概略的に示す線である。破線は、グループBの半導体素子1のデータにおいて、AlNミックス値に対するn−AlGaNミックス値の変化の傾向を概略的に示す線である。点線は、グループCの半導体素子1のデータにおいて、AlNミックス値に対するn−A1GaNミックス値の変化の傾向を概略的に示す線である。細線は、n−A1GaNミックス値の500arcsecを示す線である。
【0030】
図5に示すように、AlNミックス値に対するn−AlGaNミックス値のグラフは、下側に略凸状の形状を有している。換言すれば、AlNミックス値とn−A1GaNミックス値との間には、AlNミックス値に対してn−AlGaNミックス値の極小値が存在するような関係がある。
【0031】
具体的には、グループA、すなわちn−AlGaNのAl組成比が60%〜70%の半導体素子1では、AlNミックス値が390±l0arcsecの近辺にn−AlGaNミックス値の極小値が存在する(図5の一点鎖線参照)。グループB、すなわちn−AlGaNのAl組成比が50%〜60%の半導体素子1では、AlNミックス値が450±10arcsecの近辺にn−AlGaNミックス値の極小値が存在する(図5の破線参照)。グループC、すなわちn−AlGaNのAl組成比が40%〜50%の半導体素子1では、AlNミックス値が450±10arcsecの近辺にn−AlGaNミックス値の極小値が存在する(図5の点線参照)。
【0032】
これらの結果は、AlNミックス値が特定の値(n−AlGaNミックス値が極小値となるときのAlNミックス値)よりも大きい場合、n―A1GaNミックス値は、AlNミックス値が小さくなるとともに小さくなること、及びAlNミックス値が該特定の値以下の場合、n−AlGaNミックス値は、AlNミックス値が小さくなるとともに大きくなることを示している。すなわち、上記の結果は、n−AlGaNの結晶品質は、AlNが所定の範囲内の結晶品質を有する場合、AlNの結晶品質に伴って良くなる一方で、AlNが所定の結晶品質以上になった場合、AlNの結晶品質がさらに良くなったとしてもn−AlGaNの結晶品質は、低下するということを示している。この結果を上述した半導体素子1に当てはめると、AlN層22は、所定の結晶品質のときに、n型AlGaNの結晶品質を向上させることができるといえる。
【0033】
また、グループA、グループB及びグループCの結果にはいずれも、n−AlGaNミックス値が500arcsecを超えるものと、500arcsec以下のものとがともに存在する。すなわち、500±10arcsec以下のn−AlGaNミックス値を与え得るAlNミックス値の所定の範囲が存在する。
【0034】
上述したように、n−AlGaNミックス値が500±10arcsec以下のとき、半導体素子1の発光出力の低下が抑制される(図3参照)。この図3に示された結果を図5に示すデータに適用すると、AlNミックス値が所定の範囲にある場合に、n−AlGaNミックス値が500arcsec±10以下に抑えられ、半導体素子1の発光出力の低下が抑制されると考えられる。換言すれば、AlNが所定の範囲の結晶品質を有するとき、半導体素子1の発光出力の低下が抑制されると考えられる。
【0035】
具体的には、図5に示すように、グループAの結果において、AlNミックス値の所定の範囲は、480arcsec以下である。グループBの結果において、AlNミックス値の所定の範囲は、380〜520arcsecである。グループCの結果において、AlNミックス値の所定の範囲は、410〜490arcsecである。グループB及びグループCの結果が示すように、AlNミックス値は、半導体素子1の発光出力の低下を抑制するために第1の所定の値以上の値と第2の所定の値以下の値とによって定まる所定の範囲を有する。すなわち、AlNミックス値には、半導体素子1の発光出力の低下を抑制するための下限値と上限値とによって定まる所定の範囲が存在する。
【0036】
上記グループA、グループB及びグループCの結果をまとめると、n−AlGaNのA1組成比が40%〜70%において、AlNミックス値の所定の範囲は、350〜480arcsecである。特に、グループB及びグループCの結果をまとめると、n−AlGaNのAl組成比が40%〜60%において、AlNミックス値の所定の範囲は、380〜520arcsecである。
【0037】
以上を換言すれば、n−AlGaNのAl組成比が40%〜70%において、AlN層22は、所定の範囲内の結晶品質として、(10−12)面に対するX線ロッキングカーブの半値輻が350〜520arcsecに応じた結晶品質を有する。また、n―AlGaNのAl組成比が40%〜60%において、AlN層22は、所定の範囲内の結晶品質として、(10−12)面に対するX線ロッキングカーブの半値幅が380〜520arcsecに応じた結晶品質を有する。また、n−AlGaNのAl組成比が40%〜50%において、AlN層22は、所定の範囲内の結晶品質として、(10−12)面に対するX線ロッキングカーブの半値幅が410〜490arcsecに応じた結晶品質を有する。
【0038】
(半導体素子の製造方法)
次に、半導体素子1の製造方法について説明する。基板10上にバッファ層20、n型クラッド層30、活性層40、電子ブロック層50、p型クラッド層70を、この順に連続的に高温成長させて形成する。これら層の成長には、有機金属化学気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)、分子線エピタキシ法(Molecular Beam Epitaxy:MBE)、ハライド気相エピタキシ法(Halide Vapor Phase Epitaxy:NVPE)等の周知のエピタキシャル成長法を用いて形成することができる。
【0039】
バッファ層20のAlN層22を形成する工程は、AlN結晶の(10−12)面に対するX線ロッキングカーブの半値幅が所定の範囲内になるように形成する工程を含む。AlN層22の形成をMOCVDで行う場合、例えば、成長温度を1150〜1350℃の範囲とし、Gaのドーピング量を約1x1017〜1x1018(cm−3)の範囲とし、AlN層22の膜厚を約2μmとする条件下で結晶成長を行うことができる。
【0040】
成長温度を高くすると、AlN結晶の(10−12)面に対するX線ロッキングカーブの半値幅を小さくすることができる。また、Gaのドーピング量を多くすると、AlN結晶の(10−l2)面に対するX線ロッキングカーブの半値幅を小さくすることができる。また、AlN層22の膜厚を2μmよりも厚くすると、AlN結晶の(10−12)面に対するX線ロッキングカーブの半値幅を小さくすることができる。したがって、成長温度、Gaのドーピング量、AlN層22の膜厚のうち少なくとも1つ以上の条件を適宜変更することにより、所望のX線ロッキングカーブの半値幅を有するAlN層20を形成することができる。すなわち、AlN層22を形成する工程は、所定の結晶品質を得るために、成長温度を変更する工程、Gaのドーピング量を変更する工程、及びAlN層22の膜厚を変更する工程のうち少なくとも1つ以上の工程を含む。
【0041】
また、n型クラッド層30を形成する工程は、n−AlGaNが所定のAl組成比を有するように形成する工程を含む。
【0042】
次に、p型クラッド層70の上にマスクを形成し、マスクが形成されていない露出領域の活性層40、電子ブロック層50、及びp型クラッド層70を除去する。活性層40、電子ブロック層50、及びp型クラッド層70の除去は、例えば、プラズマエッチングにより行うことができる。n型クラッド層30の露出面30a(図1参照)上にn側電極90を形成し、マスクを除去したp型コンタクト層80上にp側電極92を形成する。n側電極90及びp側電極92は、例えば、電子ビーム蒸着法やスパッタリング法などの周知の方法により形成することができる。以上により、図1に示す半導体素子1が形成される。
【0044】
(実施形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0045】
[1]基板(10)上にAlN層(22)を形成する工程と、前記AlN層(22)上に、前記AlN層(22)の結晶品質に応じた結晶品質を有するn型AlGaNを形成する工程と、を備える窒化物半導体素子(1)の製造方法であって、前記n型AlGaNを形成する工程は、結晶品質を表すn型AlGaNミックス値が500(arcsec)以下となるように前記n型AlGaNを形成し、前記AlN層(22)を形成する工程は、前記n型AlGaNのAl組成比が60%以上70%未満の場合、前記AlN層の結晶品質を表すAlNミックス値が460(arcsec)未満となり、前記n型AlGaNのAl組成比が50%以上60%未満の場合、前記AlNミックス値が410(arcsec)よりも大きくかつ506(arcsec)未満となり、前記n型AlGaNのAl組成比が40%以上50%未満の場合、前記AlNミックス値が418(arcsec)よりも大きくかつ473(arcsec)未満となるように前記AlN層(22)を形成する、窒化物半導体素子(1)の製造方法。
[2]前記AlN層(22)を形成する工程は、成長温度を変更する工程、Gaのドーピング量を変更する工程、及び前記AlN層(22)の膜厚を変更する工程のうち少なくとも1つ以上の工程を含む、前記[1]に記載の窒化物半導体素子(1)の製造方法。
【符号の説明】
【0046】
1…窒化物半導体素子(半導体素子)
2…下地構造部
10…基板
20…バッファ層
22…AlN層
24…u−AlpGa1−pN層
30…n型クラッド層
30a…露出面
40…活性層
42,42a,42b,42c…障壁層
44,44a,44b,44c…井戸層
50…電子ブロック層
70…p型クラッド層
80…p型コンタクト層
90…n側電極
92…p側電極
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にAlN層を形成する工程と、
前記AlN層上に、前記AlN層の結晶品質に応じた結晶品質を有するn型AlGaNを形成する工程と、
を備える窒化物半導体素子の製造方法であって、
前記n型AlGaNを形成する工程は、結晶品質を表すn型AlGaNミックス値が500(arcsec)以下となるように前記n型AlGaNを形成し、
前記AlN層を形成する工程は、前記n型AlGaNのAl組成比が50%以上60%未満の場合、前記AlN層の結晶品質を表すAlNミックス値が410(arcsec)よりも大きくかつ506(arcsec)未満となり、前記n型AlGaNのAl組成比が40%以上50%未満の場合、前記AlNミックス値が418(arcsec)よりも大きくかつ473(arcsec)未満となるように前記AlN層を形成する、
窒化物半導体素子の製造方法。
【請求項2】(削除)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-10-14 
出願番号 P2017-254379
審決分類 P 1 651・ 536- YAA (H01L)
P 1 651・ 113- YAA (H01L)
P 1 651・ 537- YAA (H01L)
P 1 651・ 121- YAA (H01L)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 瀬川 勝久
特許庁審判官 山村 浩
井上 徹
登録日 2020-07-02 
登録番号 6727186
権利者 日機装株式会社
発明の名称 窒化物半導体素子の製造方法  
代理人 特許業務法人平田国際特許事務所  
代理人 特許業務法人平田国際特許事務所  

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