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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G01N
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G01N
審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  G01N
審判 全部申し立て 判示事項別分類コード:857  G01N
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  G01N
審判 全部申し立て 2項進歩性  G01N
管理番号 1382369
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-03-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-01-29 
確定日 2021-11-08 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6754512号発明「水質管理方法、イオン吸着装置、情報処理装置および情報処理システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6754512号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜6〕〔7〜9〕〔10〜11〕について訂正することを認める。 特許第6754512号の請求項4〜14に係る特許を維持する。 特許第6754512号の請求項1〜3に係る特許についての特許異議の申し立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6754512号の請求項1〜14に係る特許についての出願は、2019年(令和元年)10月17日(優先権主張 平成30年10月17日)を国際出願日とする出願であり、令和2年8月25日にその特許権の設定登録がされ、令和2年9月9日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和3年 1月29日 : 特許異議申立人 岡林茂(以下「申立人」と
いう。)による請求項1〜14に係る特許に
対する特許異議の申立て
令和3年 5月31日付け: 取消理由通知書
令和3年 7月29日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和3年 9月22日 : 申立人による意見書の提出

第2 訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
本件訂正請求(令和3年7月29日提出の訂正請求書による訂正請求)による訂正の内容は、以下の(1)ないし(7)のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項4において、
「前記分析対象水を製品の製造過程で使用した後、分析が必要となった場合、前記製品が前記分析対象水を使用した時期に対応する通水期間の前記イオン吸着体試料の定量分析を行う、請求項3に記載の水質管理方法」の記載を
「分析対象水に含まれる不純物イオンの濃度を管理する水質管理方法において、
イオン吸着体と積算流量計とが設けられたイオン吸着装置を前記分析対象水が流れる流通管に接続する工程と、
前記イオン吸着装置に対して所定の期間にわたって前記流通管から前記イオン吸着体に前記分析対象水を通水し、前記分析対象水に含まれるイオンを吸着させてイオン吸着体試料とする工程と、
を有し、
前記イオン吸着装置において前記積算流量計は、前記イオン吸着体の前記分析対象水の流れ方向の下流側に設けられており、
前記所定の期間の終了後、前記イオン吸着体試料の両端を閉じた状態として前記イオン吸着装置を前記流通管から取り外し、
前記イオン吸着体試料の分析を行うまで、前記イオン吸着体試料の両端を閉じたままとし、
前記イオン吸着装置を前記流通管から取り外すとともに新たなイオン吸着装置を前記流通管に接続して当該新たなイオン吸着装置に分析対象水を通水することを繰り返すことにより、複数の期間にわたって連続して前記イオン吸着体試料を得、
複数の前記イオン吸着体試料の各々について、当該イオン吸着体試料に対する通水期間を記録し、
前記分析対象水を製品の製造過程で使用した後、分析が必要となった場合、前記製品が前記分析対象水を使用した時期に対応する通水期間の前記イオン吸着体試料の定量分析を行うことを特徴とする水質管理方法」
として、独立型式請求項とする。
(請求項4の記載を引用する請求項5ないし6も同様に訂正する。)

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1を削除する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項2を削除する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項3を削除する

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項6の「請求項1乃至5のいずれか1項に記載の水質管理方法」との記載を「請求項4または請求項5に記載の水質管理方法」に訂正する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項7の
「積算流量計と、
を有することを特徴とする」との記載を
「積算流量計と、
を有し、
前記イオン吸着体には、定量分析が必要となった時に前記イオン吸着体を検索するための吸着体識別情報が付与されていることを特徴とする」に訂正する。
(請求項7の記載を引用する請求項8ないし9も同様に訂正する。)

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項10の「分析対象水が通水されて前記分析対象水のイオンを吸着するイオン吸着体が」との記載を「分析対象水が通水されて前記分析対象水のイオンを吸着したイオン吸着体について、該イオン吸着体が」に訂正する。また、同項の「前記検索部が検索した吸着体識別情報を出力する出力部」との記載を「前記検索部が検索した吸着体識別情報を分析が必要なイオン吸着体の情報として出力する出力部」に訂正する。
(請求項10の記載を引用する請求項11も同様に訂正する。)

2. 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、一群の請求項、独立特許要件
(1)訂正事項1について
ア 訂正事項1は、訂正前の請求項4の記載に訂正前の請求項1ないし3の記載を組み込んで、訂正前の請求項4を独立型式請求項へ改める訂正である。したがって、訂正事項1は、特許法第134条の2第1項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
イ 訂正事項1は、前記「ア」のとおり訂正前の請求項4を独立型式請求項へ改める訂正をするものであるから、訂正前の請求項4の記載について、訂正前の請求項4に記載された発明のカテゴリーを変更するものでもなく、かつ、訂正前の請求項4に記載された発明の対象や目的を変更するものとはならない。したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 訂正事項1は、訂正前の請求項4を独立型式請求項へ改める訂正をするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

(2)訂正事項2ないし4について
ア 訂正事項2ないし4は、それぞれ訂正前の請求項1ないし3の記載を削除するものである。したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 訂正事項2ないし4は、それぞれ訂正前の請求項1ないし3の記載を削除するものであるから、訂正前の請求項1ないし3の記載について、訂正前の請求項1ないし3に記載された発明のカテゴリーを変更するものでもなく、かつ、訂正前の請求項1ないし3に記載された発明の対象や目的を変更するものとはならない。したがって、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 訂正事項2ないし4は、それぞれ訂正前の請求項1ないし3の記載を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

(3)訂正事項5について
ア 訂正事項5は、請求項6の「請求項1乃至5のいずれか1項に記載の水質管理方法」との記載を「請求項4または請求項5に記載の水質管理方法」に訂正するものである。したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 上記「ア」から明らかなように、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

(4)訂正事項1ないし5の一群の請求項及び独立特許要件について
訂正前の請求項1ないし6について、請求項2ないし6は請求項1を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1ないし6に対応する訂正後の請求項4ないし6は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に該当する。
また、本件においては、訂正前の請求項1ないし6について特許異議の申立てがされているので、訂正前の請求項1ないし6に係る訂正事項1ないし5に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(5)訂正事項6について
ア 訂正事項6は、訂正後の請求項7に係る発明では、イオン吸着体が、定量分析が必要となった時にイオン吸着体を検索するための吸着体識別情報が付与されているものであることに限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。したがって、訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 上記「ア」から明らかなように、訂正事項6は、イオン吸着体が、定量分析が必要となった時にイオン吸着体を検索するための吸着体識別情報が付与されているものであることに限定するものであり、訂正前の請求項7の記載について、訂正前の請求項7に記載された発明のカテゴリーを変更するものでもなく、かつ、訂正前の請求項7に記載された発明の対象や目的を変更するものとはならない。したがって、訂正事項6 は、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ そして、明細書の発明の詳細な説明には、段落【0028】に「・・・現時点では定量の必要はないが不良解析のために後日、定量を行う可能性がある、という場合には、ステップ106においてそのイオン吸着装置20を保管し、ステップ105に戻る。なお、ステップ106においてイオン吸着装置20を保管する場合を説明したが、イオン吸着装置20からイオン吸着体24を取り出して、イオン吸着体24を保管するようにしても良い。」と開示され、段落【0048】に「データベース320は、イオン吸着体が流通管に取り付けられていた期間(イオン吸着体に通水された期間)を示す期間情報(イオン吸着体に通水を開始した日時や通水を終了した日時等の情報を含む)と、イオン吸着体固有に付与された吸着体識別情報とを対応付けて吸着体情報として記憶する。」と開示され、段落【0063】に「入力部310は、イオン吸着体の検索の要求があったかどうかを判定する(ステップS21)。この要求は、入力部310に対して、システムの管理者等がイオン吸着体の検索を要求するための所定の操作を行い、入力部310が受け付けた操作に基づくもので良い。・・・入力部310は入力した情報のうち、設置情報と日時情報とを検索部330へ出力する。検索部330は、入力部310から出力されてきた設置情報と日時情報とに基づいて、データベース320から吸着体識別情報を検索する(ステップS22)。」と開示されていることから、「イオン吸着体が、定量分析が必要となった時にイオン吸着体を検索するための吸着体識別情報が付与されているものであること」は、願書に添付された明細書に記載した事項である。よって訂正事項6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

(6)訂正事項6の一群の請求項及び独立特許要件について
訂正前の請求項7ないし9について、請求項8ないし9は請求項7を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項6によって記載が訂正される請求項7に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項7ないし9に対応する訂正後の請求項7ないし9は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に該当する。
また、本件においては、訂正前の請求項7ないし9について特許異議の申立てがされているので、訂正前の請求項7ないし9に係る訂正事項6に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(7)訂正事項7について
ア 訂正事項7は、訂正後の請求項10に係る発明では、分析に用いるイオン吸着体が分析対象水のイオンを吸着したものであること、データベースに記憶される対応付けがイオンを吸着したイオン吸着体についてのものであること、データベースに記憶される期間情報がイオンを吸着したイオン吸着体が流通管に取り付けられていた時期を示すものであることおよび出力する吸着体識別情報が分析が必要なイオン吸着体の情報であることに限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。したがって、訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 上記「ア」から明らかなように、訂正事項7は、分析に用いるイオン吸着体が分析対象水のイオンを吸着したものであること、データベースに記憶される対応付けがイオンを吸着したイオン吸着体についてのものであること、データベースに記憶される期間情報がイオンを吸着したイオン吸着体が流通管に取り付けられていた時期を示すものであることおよび出力する吸着体識別情報が分析が必要なイオン吸着体の情報であることに限定するものであり、訂正前の請求項10の記載について、訂正前の請求項10に記載された発明のカテゴリーを変更するものでもなく、かつ、訂正前の請求項10に記載された発明の対象や目的を変更するものとはならない。したがって、訂正事項7は、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ そして、明細書の発明の詳細な説明には、段落【0048】に「データベース320は、イオン吸着体が流通管に取り付けられていた期間(イオン吸着体に通水された期間)を示す期間情報(イオン吸着体に通水を開始した日時や通水を終了した日時等の情報を含む)と、イオン吸着体固有に付与された吸着体識別情報とを対応付けて吸着体情報として記憶する。また、データベース320は、イオン吸着体が取り付けられた(取り付けられていた)イオン吸着装置100の設置情報と、吸着体情報とを対応付けて記憶する。なお、データベース320への情報の登録方法は、特に限定されない。」と開示され、段落【0052】に「図6に示したデータベース320には図8に示すように、イオン吸着体がイオン吸着装置100に取り付けられていた期間を示す期間情報である「期間」と、その期間における通水の積算量である「流量[L]」と、そのイオン吸着体固有に付与された吸着体識別情報である「吸着体No.」とが対応付けられて、1つの吸着体情報として記憶されている。」と開示されていることから、「データベース」が「イオン吸着体が、流通管に取り付けられていた時期を示す期間情報と、イオン吸着体固有に付与された吸着体識別情報とを対応付けて記憶する」ことは、願書に添付した明細書に記載された事項である。さらに、段落【0064】に「その後、出力部350から出力された吸着体識別情報が付与されたイオン吸着体を管理者等が保管場所から確保し、定量装置200を用いて定量を行う。」と開示されていることから、「出力部」が「吸着体識別情報を分析が必要なイオン吸着体の情報として出力する」ことは、願書に添付した明細書に記載された事項である。よって訂正事項7は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

(8)訂正事項7の一群の請求項及び独立特許要件について
訂正前の請求項10ないし11について、請求項11は請求項10を直接引用しているものであって、訂正事項7によって記載が訂正される請求項10に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項10ないし11に対応する訂正後の請求項10ないし11は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に該当する。
また、本件においては、訂正前の請求項10ないし11について特許異議の申立てがされているので、訂正前の請求項10ないし11に係る訂正事項7に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

3.小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、請求項1ないし11について訂正することを認める。

第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1ないし14に係る発明(以下「本件発明1ないし14」は、訂正特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
(削除)
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
分析対象水に含まれる不純物イオンの濃度を管理する水質管理方法において、
イオン吸着体と積算流量計とが設けられたイオン吸着装置を前記分析対象水が流れる流通管に接続する工程と、
前記イオン吸着装置に対して所定の期間にわたって前記流通管から前記イオン吸着体に前記分析対象水を通水し、前記分析対象水に含まれるイオンを吸着させてイオン吸着体試料とする工程と、
を有し、
前記イオン吸着装置において前記積算流量計は、前記イオン吸着体の前記分析対象水の流れ方向の下流側に設けられており、
前記所定の期間の終了後、前記イオン吸着体試料の両端を閉じた状態として前記イオン吸着装置を前記流通管から取り外し、
前記イオン吸着体試料の分析を行うまで、前記イオン吸着体試料の両端を閉じたままとし、
前記イオン吸着装置を前記流通管から取り外すとともに新たなイオン吸着装置を前記流通管に接続して当該新たなイオン吸着装置に分析対象水を通水することを繰り返すことにより、複数の期間にわたって連続して前記イオン吸着体試料を得、
複数の前記イオン吸着体試料の各々について、当該イオン吸着体試料に対する通水期間を記録し、
前記分析対象水を製品の製造過程で使用した後、分析が必要となった場合、前記製品が前記分析対象水を使用した時期に対応する通水期間の前記イオン吸着体試料の定量分析を行うことを特徴とする水質管理方法。
【請求項5】
前記イオン吸着体試料固有に付与された吸着体識別情報を前記通水期間と対応付けて記録し、前記分析が必要となった場合、前記製品が前記分析対象水を使用した時期に対応する前記通水期間と対応付けて記録された前記イオン吸着体試料の定量分析を行う、請求項4に記載の水質管理方法。
【請求項6】
前記流通管は、超純水製造装置から分岐して超純水をユースポイントに供給する配管または該配管から分岐する配管である、請求項4または請求項5に記載の水質管理方法。
【請求項7】
分析対象水が流れる流通管に取り外し可能に接続されるイオン吸着装置であって、
取り外し可能に設けられ、前記分析対象水が通水されて前記分析対象水のイオンを吸着するイオン吸着体と、
前記イオン吸着体の前記分析対象水の流れ方向の下流側に設けられて、前記イオン吸着体の通水量の積算値を計測する積算流量計と、
を有し、
前記イオン吸着体には、定量分析が必要となった時に前記イオン吸着体を検索するための吸着体識別情報が付与されていることを特徴とするイオン吸着装置。
【請求項8】
前記イオン吸着体と前記積算流量計との間に配置され、前記分析対象水の導通および遮断を行い、かつ前記分析対象水の流量の調整が可能な第1の弁体を備える、請求項7に記載のイオン吸着装置。
【請求項9】
前記イオン吸着体の前記分析対象水の流れ方向の上流側に、前記分析対象水の導通および遮断を行う第2の弁体を備える、請求項7または8に記載のイオン吸着装置。
【請求項10】
外部から受け付けた操作に基づいて入力情報を入力する入力部と、
分析対象水が通水されて前記分析対象水のイオンを吸着したイオン吸着体について、該イオン吸着体が、前記分析対象水が流れる流通管に取り付けられていた時期を示す期間情報と、該イオン吸着体固有に付与された吸着体識別情報とを対応付けて記憶するデータベースと、
前記入力部が入力した入力情報に含まれる日時情報に基づいて、前記吸着体識別情報を前記データベースから検索する検索部と、
前記検索部が検索した吸着体識別情報を分析が必要なイオン吸着体の情報として出力する出力部とを有する情報処理装置。
【請求項11】
前記入力部は、前記分析対象水を製品の製造過程で使用した後、分析が必要となった場合に、所定の情報を入力する、請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
イオン吸着装置と、定量装置と、情報処理装置とを有し、
前記イオン吸着装置は、
分析対象水が流れる流通管に取り外し可能に設けられ、前記分析対象水が通水されて前記分析対象水のイオンを吸着するイオン吸着体と、
前記イオン吸着体の前記分析対象水の流れ方向の下流側に設けられて、前記イオン吸着体の通水量の積算値を計測する積算流量計とを有し、
前記情報処理装置は、
外部から受け付けた操作に基づいて入力情報を入力する入力部と、
前記イオン吸着体が前記流通管に取り付けられていた時期を示す期間情報と、該イオン吸着体固有に付与された吸着体識別情報とを対応付けて記憶するデータベースと、
前記入力部が入力した入力情報に含まれる日時情報に基づいて、前記吸着体識別情報を前記データベースから検索する検索部と、
前記検索部が検索した吸着体識別情報を出力する出力部とを有し、
前記定量装置は、前記出力部が出力した吸着体識別情報が付与されたイオン吸着体について定量分析を行い、
前記出力部は、前記定量装置が行った定量分析の結果に基づいた提供情報を出力する情報処理システム。
【請求項13】
前記検索部が検索した吸着体識別情報が付与された前記イオン吸着体に対して前記定量装置が行った定量分析の結果から、前記入力情報に応じた情報である提供情報を抽出する抽出部を有し、
前記出力部は、前記抽出部が抽出した提供情報を出力する、請求項12に記載の情報処理システム。
【請求項14】
前記イオン吸着体が前記流通管に取り付けられてから所定の期間が経過した際、または前記イオン吸着体が前記流通管に取り付けられてから前記積算流量計が計測した積算値が所定の値になった際に、所定の通知を行う通知部を有する、請求項12または請求項13に記載の情報処理システム。」

第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1.取消理由の概要
訂正前の請求項1ないし11に係る特許に対して、当審が令和3年5月31日(起案日)に特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(1)取消理由1(サポート要件)について
請求項1ないし3,請求項1ないし3を引用する請求項6,請求項7ないし9,及び請求項10ないし11に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでないから、その特許が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。
(2)取消理由2(新規性)について
請求項1,請求項7,及び請求項7を引用する請求項9に係る発明は、甲第2号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当する。よって、請求項1,請求項7,及び請求項7を引用する請求項9に係る発明は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
(3)取消理由3(進歩性)について
請求項1ないし9に係る発明は、甲第2号証に記載された発明及び甲第1,3,5,6,7号証に開示された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1ないし9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
<引用文献等一覧>
甲第2号証:実願平4−4802号(実開平5−59287号)の
CD−ROM
甲第1号証:特開2017−227577号公報
甲第3号証:大信紀子、「超純水の清浄化技術 イオン吸着膜の極微量
金属除去、極微量金属分析への適用」、
クリーンテクノロジー、2006年10月1日発行、
Vol.16,No.10,p7-p11
甲第5号証:特開2001−153854号公報
甲第6号証:特開2001−56333号公報
甲第7号証:工業用水・工場排水の試料採取方法 JIS K 0094
-1985 第2刷、財団法人日本規格協会、
昭和61年3月25日発行、第1−34頁

2.甲号証の記載
(1)甲第2号証
本願の優先日前である平成5年(1993年)8月6日に頒布された「実願平4−4802号(実開平5−59287号)のCD−ROM」(「甲第2号証」)には、図面とともに、以下の技術事項が記載されている。(下線は当審が付与した。以下同様。)
ア「【0001】
【産業上の利用分野】
この考案は、半導体製造工場などの現場で使用されている純度の高い水、例えば超純水(試料液とも記す。)中に含まれている不純物の濃度を研究所などの分析施設で分析、計測するために、現場での採水、現場から分析施設への運搬中に試料液が空気で汚染されるのを防止すると共に、不純物濃度が100ng/リットル以下という極く微量であっても、高倍率に濃縮して極微量の不純物濃度を正確に求め得るようにした試料液の防汚染、濃縮採取装置に関する。」

イ 「【0005】
【実施例】
図示の実施例において、10は開閉可能な蓋11を有する携帯用の箱形容器で、器内には吸着カラム12と、多方弁13、この実施例では6ポート、3流路切換弁が設けてある。
吸着カラム12内には、試料液中に含まれている分析対象の不純物を吸着、捕捉する性質を持つと共に、溶離液を通水することによって捕捉した不純物を遊離する固体の吸着体が充填してある。
多方弁である6ポート、3方向切換弁は円筒形の弁ハウジング14と、該弁ハウジングの内周に回動可能に保持された回動弁体15とからなり、弁ハウジング14には円周方向に等間隔に6つのポート1、2、3、4、5、6(当審注:原文ではポートの数字は丸がついたものである。以下同様。)が設けてあり、回動弁体15には上記6つのポートの隣接する2つ宛を連通させるU字形の3つの連通路が設けてある。
そして、容器10に設けた取水口16をポート1に、排水口17をポート6に配管16′,17′で接続すると共に、ポート2を吸着カラム12の上端の入口に、ポート5を吸着カラムの下端の出口に夫々配管18,19で接続してある。取水口16、排水口17には夫々ワンタッチジョイントが着脱可能である。
【0006】
試料液である超純水中の不純物を吸着カラム中の吸着体に吸着捕捉するため、試料液を吸着カラムに通水するには、超純水が流れる導管20に一端を接続した取水ホース21の他端のワンタッチジョイントを箱形容器にある取水口16に連結し、該容器の排水口17には排水ホース22のワンタッチジョイントを接続し、通水に先立って取水ホース21、取水口16、配管16′、ポート1、ポート6、配管17′、排水口17からなる通水系路を洗浄するため回動弁体15を回して連通路の1つの連通路Iでポート1と6を連通し、取水ホースにあるコックを開き、導管20内の圧力で超純水を上記通水系路に流して連通路Iと共に洗浄し、洗浄廃水を排水ホース22から排出する。
【0007】
洗浄が終ったら、排水ホース22の出口をメスシリンダ23に入れ、回動弁体15を回し、洗浄した連通路Iでポート1と2とを連通する。これによりポート3と4は連通路IIで、又ポート5と6は連通路IIIで夫々連通する。それから取水ホースのコックを開くと、超純水の試料液は取水口16、配管16′、ポート1、ポート2、配管18を経て吸着カラム12に流入し、液中の不純物はカラム内の吸着体に吸着、捕捉され、カラム中を通過した試料液は配管19、ポート、連通路III、ポート6、配管17′、排水口17、排水ホース22を経てメスシリンダ23内に排出される。メスシリンダ23内に排水された試料液の水量が所定の値、例えば10リットルになったら通水を終了する。これにより10リットルの試料液を、空気に触れることなく吸着カラム12に通水し、液中に含まれている不純物を吸着カラム中の吸着体に吸着、捕捉させることができる。
【0008】
通水を終ったら回動弁体15を回し、吸着カラム12の入口と出口になっているポート2と5とを連通路I、II、IIIのどれとも非連通の密閉にするか、又はポート2と3、ポート5と4を夫々連通路で連通すると共に、ポート3と、ポート4は栓をして塞ぎ、これにより吸着カラムの内部に空気が侵入しないようにした上で、取水ホース、排水ホースを外し、蓋11を閉じ、箱形容器10を分析施設に運ぶ。
そして、分析施設では、通水時と同様に取水口16(又は排水口17)に溶離液供給用のホースを接続すると共に、回動弁体を回してポート1と6とを連通路の1つ、例えば連通路Iで連通し、ポンプを運転して溶離液で前述の通水系路と、ポート1と6を連通する連通路Iを洗浄し、洗浄廃水を排出口17、又はこれに連結した排水ホースから排出する。
【0009】
溶離水での洗浄が終ったら、回動弁体15を回し、洗浄した連通路Iで再びポート5と6を連通すると共に、ポート5と6を連通路IIIで連通し、前述した試料液と同様に溶離液を吸着カラム12に通水し、カラム内の吸着体が吸着、捕捉した不純物を吸着体から遊離させ、排水口17又はこれに接続した排水ホース22から排出される不純物を含んだ遊離液を適当な容器に回収し、この遊離液を原子吸光法その他適当な方法で測定し、液中の不純物濃度を計測する。」

ウ 「【0012】
図示の装置により超純水の鉄分の濃度を測定した実験例を次に示す。
吸着カラムにはイオン交換樹脂を充填した。超純水の導管20から管内の圧力を利用して1000ミリリットルの超純水を吸着カラムに通水後、この装置を分析室に運び、溶離液を2ミリリットル、吸着カラムに通水し、イオン交換樹脂が吸着、捕捉した金属元素を溶離、回収した。回収した溶離液中の金属元素濃度を原子吸光法により測定した所、鉄の濃度は65ppbであった。
吸着カラムに通水した溶離液と、試料液との比は、
1000/2=500
であるから500倍に濃縮したことになるので、試料液中の鉄濃度は、
65/500=0.13
になり、原子吸光法では直接測定できない0.13ppbであった。」

エ 「【図1】



オ 「【図2】



上記甲第2号証の記載事項及び図面を総合勘案すると、甲第2号証には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
「半導体製造工場などの現場で使用されている純度の高い水、例えば超純水(試料液とも記す。)中に含まれている不純物の濃度を研究所などの分析施設で分析、計測するために、現場での採水、現場から分析施設への運搬中に試料液が空気で汚染されるのを防止すると共に、不純物濃度が100ng/リットル以下という極く微量であっても、高倍率に濃縮して極微量の不純物濃度を正確に求め得るようにした試料液の防汚染、濃縮採取装置及び方法において、
開閉可能な蓋11を有する携帯用の箱形容器10と、
箱形容器10内の、試料液中に含まれている分析対象の不純物を吸着、捕捉する性質を持つと共に、溶離液を通水することによって捕捉した不純物を遊離する固体の吸着体が充填してある吸着カラム12と、6ポート、3流路切換弁である多方弁13と、
を備え、
試料液である超純水中の不純物を吸着カラム中の吸着体に吸着捕捉するため、超純水が流れる導管20に一端を接続した取水ホース21の他端のワンタッチジョイントを箱形容器にある取水口16に連結し、該容器の排水口17には排水ホース22のワンタッチジョイントを接続し、通水に先立って取水ホース21、取水口16、配管16′、ポート1、ポート6、配管17′、排水口17からなる通水系路を洗浄するため回動弁体15を回して連通路の1つの連通路Iでポート1と6を連通し、取水ホースにあるコックを開き、導管20内の圧力で超純水を上記通水系路に流して連通路Iと共に洗浄し、洗浄廃水を排水ホース22から排出し、
洗浄が終ったら、排水ホース22の出口をメスシリンダ23に入れ、回動弁体15を回し、洗浄した連通路Iでポート1と2とを連通することによりポート3と4は連通路IIで、又ポート5と6は連通路IIIで夫々連通し、それから取水ホースのコックを開いて、超純水の試料液を取水口16、配管16′、ポート1、ポート2、配管18を経て吸着カラム12に流入させ、液中の不純物をカラム内の吸着体に吸着、捕捉させ、カラム中を通過した試料液を配管19、ポート、連通路III、ポート6、配管17′、排水口17、排水ホース22を経てメスシリンダ23内に排出させ、メスシリンダ23内に排水された試料液の水量が所定の値、例えば10リットルになったら通水を終了し、これにより10リットルの試料液を、空気に触れることなく吸着カラム12に通水し、液中に含まれている不純物を吸着カラム中の吸着体に吸着、捕捉させることができ、
通水を終ったら回動弁体15を回し、吸着カラム12の入口と出口になっているポート2と5とを連通路I、II、IIIのどれとも非連通の密閉にするか、又はポート2と3、ポート5と4を夫々連通路で連通すると共に、ポート3と、ポート4は栓をして塞ぎ、これにより吸着カラムの内部に空気が侵入しないようにした上で、取水ホース、排水ホースを外し、蓋11を閉じ、箱形容器10を分析施設に運び、
分析施設では、通水時と同様に取水口16(又は排水口17)に溶離液供給用のホースを接続すると共に、回動弁体を回してポート1と6とを連通路の1つ、例えば連通路Iで連通し、ポンプを運転して溶離液で前述の通水系路と、ポート1と6を連通する連通路Iを洗浄し、洗浄廃水を排出口17、又はこれに連結した排水ホースから排出し、
溶離水での洗浄が終ったら、回動弁体15を回し、洗浄した連通路Iで再びポート5と6を連通すると共に、ポート5と6を連通路IIIで連通し、前述した試料液と同様に溶離液を吸着カラム12に通水し、カラム内の吸着体が吸着、捕捉した不純物を吸着体から遊離させ、排水口17又はこれに接続した排水ホース22から排出される不純物を含んだ遊離液を適当な容器に回収し、この遊離液を原子吸光法その他適当な方法で測定し、液中の不純物濃度を計測する、
試料液の防汚染、濃縮採取装置及び方法であり、
1000ミリリットルの超純水を吸着カラムに通水後、この装置を分析室に運び、溶離液を2ミリリットル、吸着カラムに通水し、イオン交換樹脂が吸着、捕捉した金属元素を溶離、回収し、回収した溶離液中の金属元素濃度を原子吸光法により超純水の鉄分の濃度を測定する、
試料液の防汚染、濃縮採取装置及び方法。」

(2)甲第1号証
本願の優先日前である平成29年(2017年)12月28日に頒布された刊行物である「特開2017−227577号公報」(甲第1号証)には、図面とともに、以下の技術事項が記載されている。

ア 「【0001】
本発明は、水処理システムにおける水中に含まれる有機物を評価する方法及び該方法を適用した水処理システムに関する。」

イ 「【0043】
(実施例3)
アニオン塔50に充填した陰イオン交換樹脂の劣化状況を確認する評価装置100を用いた実施形態について実施例を挙げて説明する。
【0044】
評価装置の概要を図15に示す。図15に示すように、評価装置100は、流路101A〜101Eを有する。流路101Aの一端は脱炭酸塔40の出口に接続され、流路101Aの他端は連結部102に接続されている。流路101Aには減圧弁103が設けられている。カチオン塔30の出口水に含まれる炭酸の陰イオン交換樹脂への影響を除去する目的で、脱炭酸塔40の出口の水を使用する。アニオン塔50への通水で使用するポンプの水圧は高圧であるため、減圧弁103を使用する。
【0045】
流路101B〜101Dの一端は連結部102に接続されている。すなわち、流路101B〜101Dは流路101Aから分岐された流路となる。流路101Bには連結部103側から順に弁104A、樹脂搭105A、弁106A、積算流量計107A、TOC計108A及び蛍光光度計109Aが設けられている。
【0046】
同様に、流路101Cには連結部102側から順に弁104B、樹脂搭105B、弁106B、積算流量計107B、TOC計108B及び蛍光光度計109Bが設けられている。流路101Dには連結部102側から順に弁104C、樹脂搭105C、弁106C、積算流量計107C、TOC計108C及び蛍光光度計109Cが設けられている。また、流路101Eには連結部102側から順に弁104D、TOC計108D及び蛍光光度計109Dが設けられている。各流路101B〜101Dに設けられた積算流量計107A〜107C、TOC計108A〜108D、蛍光光度計109A〜109Dより得られたデータは制御部110に送られる。制御部110は、コンピュータ等により構成され、積算流量計107A〜107C、TOC計108A〜108D、蛍光光度計109A〜109Dから得られたデータを取得する。制御部110は、取得したデータに基づき有機炭素濃度に対する蛍光強度の検量線を生成し、保持する。なお、制御部110は複数設けられていても良い。
【0047】
弁104A〜104Cの各々は樹脂搭105A〜105Cのそれぞれに被処理水を流入させる際に開状態とされ、弁104DはTOC計に被処理水を流入させる際に開状態とされる。アニオン塔50に充填されている樹脂と同種類の樹脂が、樹脂搭105A〜105Cに充填されている。樹脂搭105A〜105Cの充填容量は、アニオン塔50の充填容量よりも小さい。樹脂搭105A〜105Cへの通水速度が低速、中速、高速(0.3L/分〜3L/分)になるように、弁106A〜弁106Cの開度は調整されている。
【0048】
次に、評価装置100の動作について説明する。先ず、脱炭酸塔40の出口からの被処理水は、流路101Aを介して減圧弁103へと流入して減圧される。その後、被処理水は流路101B〜101Eへと導入される。流路101B〜101Dにおいては、開状態とされた弁104A〜104Cを介して、弁106A〜106Cにより調整された流速で被処理水は樹脂塔105A〜105Cに流入される。そして、それぞれの樹脂塔105A〜105Cの出口からの処理水は、積算流量計107A〜107C、TOC計108A〜108C、蛍光光度計109A〜109Cへと供給され、積算流量、TOC濃度および蛍光強度が測定される。一方、流路101Eにおいては、開状態とされた弁104Dを介して、TOC計108D及び蛍光光度計109Dに供給され、TOC濃度および蛍光強度が測定される。」

ウ 「【図15】



上記甲第1号証の記載事項及び図面を総合勘案すると、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「水処理システムにおける水中に含まれる有機物を評価する方法及び該方法を適用した水処理システムにおいて、
アニオン塔50に充填した陰イオン交換樹脂の劣化状況を確認する評価装置100は、流路101A〜101Eを有し、流路101Aの一端は脱炭酸塔40の出口に接続され、流路101Aの他端は連結部102に接続されており、流路101Aには減圧弁103が設けられており、カチオン塔30の出口水に含まれる炭酸の陰イオン交換樹脂への影響を除去する目的で、脱炭酸塔40の出口の水を使用し、アニオン塔50への通水で使用するポンプの水圧は高圧であるため、減圧弁103を使用し、
流路101B〜101Dの一端は連結部102に接続されている。すなわち、流路101B〜101Dは流路101Aから分岐された流路となる。流路101Bには連結部103側から順に弁104A、樹脂搭105A、弁106A、積算流量計107A、TOC計108A及び蛍光光度計109Aが設けられており、
樹脂搭105A〜105Cへの通水速度が低速、中速、高速(0.3L/分〜3L/分)になるように、弁106A〜弁106Cの開度は調整されている。
水処理システム。」
そして、甲1発明には以下の技術(以下「甲1発明開示技術」という。)が含まれていると認められる。
「樹脂搭105Aの前に通水速度を調整するための弁104Aを備える技術。」

(3)甲第3号証
本願の優先日前である平成18年(2006年)10月1日に頒布された「大信紀子、「超純水の清浄化技術 イオン吸着膜の極微量金属除去、極微量金属分析への適用」、クリーンテクノロジー、2006年10月1日発行、Vol.16,No.10,p7-p11」(甲第3号証)には、図面とともに、以下の技術事項が記載されている。

ア 「【イオン吸着膜法】では、超純水装置のサンプリングポイントに分析用の小型のイオン吸着膜を設置して連続的に超純水を通水することで、超純水中の極微量の不純物をオンサイトで捕捉して濃縮する。(第9頁右欄第14−19行)

イ 「図2 イオン吸着膜法



ウ 「【イオン吸着膜法】による測定例を表5に示す。図3に示すような超純水システムUF出口について測定を行った。」(第10頁右欄第3−5行)

エ 「図3 サブシステム



オ 上記「ア ないし エ」より、「イオン吸着膜法による測定において、超純水を用いる洗浄機(P.O.U)に供給する二次純水タンクの配管のUF出口で、分析用の小型のイオン吸着膜を設置して連続的に超純水を通水することで、超純水中の極微量の不純物をオンサイトで捕捉して濃縮する測定を行うこと」が見てとれる。

上記甲第3号証の記載事項及び図面を総合勘案すると、甲第3号証には、次の技術(以下「甲3開示技術」という。)が記載されていると認められる。
「イオン吸着膜法による測定において、超純水を用いる洗浄機(P.O.U)に供給する二次純水タンクの配管のUF出口で、分析用の小型のイオン吸着膜を設置して連続的に超純水を通水することで、超純水中の極微量の不純物をオンサイトで捕捉して濃縮する測定を行う技術」

(4)甲第5号証
本願の優先日前である平成13年(2001年)6月8日に頒布された刊行物である「特開2001−153854号公報」(「甲第5号証」)には、図面とともに、以下の技術事項が記載されている。

ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不純物濃度モニター方法およびシステムに関し、とくに、電子工業用途や医薬品用途などに用いられる不純物濃度が極めて低い超純水や工程水中の不純物の濃度を、連続的に精度良く監視できるようにした不純物濃度モニター方法およびシステムに関する。」

イ 「【0019】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の望ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施態様に係る不純物濃度モニターシステムの概略構成を示している。図1において、1は、超純水または不純物濃度が低い工程水のラインを示しており、2はライン1から分岐した試料流体のラインを示している。試料流体ライン2には、フローセル3が着脱可能に配置されている。フローセル3中には、不純物濃度の測定対象である試料流体を予め定めた所定量または所定時間通過させる、イオン交換機能を有する官能基を持つ多孔質膜4が設けられている。フローセル3の前後には、本実施態様では、多孔質膜4をフローセルごと交換可能とするため、バルブ5、6が設けられている。
【0020】多孔質膜4に試料流体を所定量通過させることにより、流体中の不純物が多孔質膜4に濃縮された状態で捕捉される。所定量通水後または所定時間通水後、多孔質膜4が取り出され、溶離用の溶液により捕捉されていた不純物が多孔質膜4から溶離される。図1には、溶離工程または溶離手段7として図示してある。この溶離液中の不純物濃度が測定される。図1には、溶離液測定工程または溶離液測定手段8として図示してある。測定された濃度から、元の測定対象流体(本実施態様では試料流体)中の不純物濃度が算出される。図1には、不純物濃度算出工程または不純物濃度算出手段9として図示してある。
【0021】多孔質膜4の脱着から不純物濃度算出までの一連の操作は、予め定めた所定のタイミングで行われる。たとえば、図1に示したシステムにおいて、多孔質膜4を有するフローセル3を単に順次新しいものに交換するだけでもよい。あるいは、図2の(A)に示すように、試料流体の通水ライン2a、2b、2c、・・・を並列に分岐し、各ラインに多孔質膜4a、4b、4c、・・・を備えた各フローセル3a、3b、3c、・・・を並設して、各バルブ5a、5b、5c、・・・と6a、6b、6c、・・・を切り換えて、不純物濃度測定のための多孔質膜を順次一定時間毎に更新していくようにしてもよい。さらに、図2の(B)に示すように、たとえばターンテーブル10に複数のフローセル11を配置し、試料流体ライン2から通水させるフローセル11をターンテーブル10の回転により順次切り換えていくようにすることもできる。不純物を濃縮捕捉した多孔質膜を有するフローセルと新しいフローセルとは、ターンテーブル10の回転方向の適当な位置で交換すればよい。
【0022】また、本発明における測定対象流体からの不純物の捕捉は、予め定められた所定量の通水量または所定時間の通水に対して行われ、最終的に算出される不純物濃度はその期間の平均値として算出されるものである。したがって、たとえば図2(A)に示したような採水ラインを採用すれば、上記一連の操作を時間的にオーバーラップさせて行うことが可能となる。たとえば図3に示すように、不純物濃度測定のためにフローセルを順次交換していく際に(測定No.が変更されていく際に)、その測定期間を時間的にオーバーラップさせるのである。このようにすれば、各測定毎の濃度算出値はその測定期間中の平均値であったとしても、短時間のうちに変化する測定対象流体中の不純物濃度まで、短い時間間隔で、つまり、実質的に連続的に測定することが可能となる。」

ウ 「【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
実施例1
本実施例で用いたイオン吸着膜はT.Hori et al., J.Membr.Sci., 132(1997)203-211 に記載の方法によって作製した。濃縮用のカチオン吸着膜(膜1g当たりのイオン交換基:1.6ミリ当量、モジュールとしてのイオン交換基1.5ミリ当量、平均孔径0.1μm)を超純水装置のUF(限外濾過)出口ラインから分岐して設置し、一日毎に順次交換して、10日間の間、超純水中のナトリウム濃度を測定した。濃縮期間は1日間、通水速度は100ml/minで約144L通水した。超純水中のNaをカチオン吸着膜に捕捉した後、捕捉したNaイオンは多摩化学製の高純度硝酸TAMAPURE AA−100を希釈した1N硝酸50mlを用いて溶離し、溶離液中の金属量をICP−MSにて測定した。濃縮倍率は144/0.05=2880倍であるから、溶離液中の金属量(ng)を濃縮倍率で除した値が超純水中のNa濃度となる。図4に結果を示す。超純水中のNa濃度は0.09〜0.31ng/lの間で変動していた。超純水中のサブng/lレベルでのNa濃度のモニタリングが可能なことが確認できた。」

エ 「【図1】



オ 「【図3】



カ 「【図4】



キ 上記「イ ないし エ」及び「カ」より、「濃縮用のカチオン吸着膜を一日毎に順次交換して、10日間の間、超純水中のナトリウム濃度を測定し、交換した吸着膜を備えるフローセルには#1−#10の通番を付して測定日時と対応させること」が見てとれる。

上記甲第5号証の記載事項及び図面を総合勘案すると、甲第5号証には、次の発明(以下「甲5発明」という。)が記載されていると認められる。
「超純水や工程水中の不純物の濃度を、連続的に精度良く監視できるようにした不純物濃度モニター方法およびシステムにおいて、
超純水のライン1から分岐した試料流体のライン2には、フローセル3が着脱可能に配置され、フローセル3中には、不純物濃度の測定対象である試料流体を予め定めた所定量または所定時間通過させる、イオン交換機能を有する官能基を持つ多孔質膜4が設けられ、フローセル3の前後には、多孔質膜4をフローセルごと交換可能とするため、バルブ5、6が設けられており、
多孔質膜4に試料流体を所定量通過させることにより、流体中の不純物が多孔質膜4に濃縮された状態で捕捉され、所定量通水後または所定時間通水後、多孔質膜4が取り出され、溶離用の溶液により捕捉されていた不純物が多孔質膜4から溶離され、この溶離液中の不純物濃度が測定されるものであり、
不純物濃度測定のためにフローセルを順次交換していく際に(測定No.が変更されていく際に)、その測定期間を時間的にオーバーラップさせることにより実質的に連続的に測定することが可能であり、
濃縮用のカチオン吸着膜を一日毎に順次交換して、10日間の間、超純水中のナトリウム濃度を測定し、交換した吸着膜を備えるフローセルには#1−#10の通番を付して測定日時と対応させる測定を行う、
不純物濃度モニター方法およびシステム。」
そして、甲5発明には以下の技術(以下「甲5発明開示技術」という。)が含まれていると認められる。
「不純物濃度測定のためにフローセルを順次交換していく際に(測定No.が変更されていく際に)、その測定期間を時間的にオーバーラップさせることにより実質的に連続的に測定し、交換したフローセルには通番を付して測定日時と対応させる技術」

(5)甲第6号証
本願の優先日前である平成13年(2001年)2月27日に頒布された刊行物である「特開2001−56333号公報」(「甲第6号証」)には、図面とともに、以下の技術事項が記載されている。

ア 「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は河川の水質や、飲料水の水源の水質を調査する目的で使用する、自動採水器(水を一定時間ごとに自動的に採水し、サンプル瓶に分取する装置)に取り付けて、採水するだけでなく、不要なサンプルを排水するためのサンプル瓶である。またこの発明を図1にす。
【0002】
【従来の技術】河川の調査に使用されている自動採水器とは、一定時間ごとで指定したサンプル量をポンプで吸引し、装置内に内蔵されているサンプル瓶に入れて保管することを目的としている装置である。図2に自動採水器の一例を示し、以下に自動採水器とそれが使用される状況について説明を行う。
【0003】(イ)水質環境調査を行うには約500ml以上のサンプル(水)が必要。河川や下水道などに汚染物質(農薬や有毒物質など)が流入したときに、採取したサンプルを持ち帰り、分析センターの分析装置で採取した水の中の物質を分析することが、水道事業所(地方自治体の水道局や水道部)、下水処理場や公害監視センターなどで行われている。このとき一般に水質調査で使用するサンプル(水)の量は、近年の分析装置の発展において減少する傾向がある。これに伴い以前は1000mlや2000mlの採水を行っていたが、自動採水器を使用する近年においては、500ml以上のサンプルがあれば、ほとんどの項目を分析することができるようになった。
【0004】(ロ)自動採水器は内蔵時計により、無人で指定した間隔で採水を行う。自動採水器はこのように一定間隔で汚染物質が混入しているであろう水を採取し、一定時間保管するための装置である。時間間隔は通常、時間と分単位で自由に設定することができ、設定した間隔で、すべてのサンプル瓶(通常24本内蔵)に順次採水を行う。
【0005】(ハ)一般に1時間ごとに採水し、24本内蔵のサンプル瓶に24時間分のサンプルを採水する。自動採水器のサンプル瓶の収納本数は1時間に1回採水し、24時間採水すると停止することを目的としているため、24本サンプル瓶を内蔵したタイプがほとんどである。これは自動採水器が持ち運びできるように、との設計思想から生まれたためによるが、逆に24時間たつと、内蔵のサンプル瓶がすべていっぱいになり、それ以上はサンプルがとれないことを意味している。つまり本発明はこの弱点を解消するものである。」

イ 「【0028】(ヘ)河川に有毒物質が流されたとき。水道事業所や公害監視センターまたは一般市民からの通報などから、河川に有毒物質が流された可能性があるとき。現地に赴くかまたは遠隔操作で自動採水器を停止させる。自動採水器には停止した時点から、サンプル瓶を時計回りにたどっていくと、24本前までのサンプルが指定した時間間隔で並んでいるので、サンプル瓶の中のサンプルを持ち帰り、試験室で精密に分析することで、有毒物質がなにであるか、またそのときの濃度を求めることができる。」

上記甲第6号証の記載事項及び図面を総合勘案すると、甲第6号証には、次の発明(以下「甲6発明」という。)が記載されていると認められる。
「河川の水質や、飲料水の水源の水質を調査する目的で使用する、自動採水器(水を一定時間ごとに自動的に採水し、サンプル瓶に分取する装置)で採取したサンプルを持ち帰り、分析センターの分析装置で採取した水の中の物質を分析する方法及び装置において、
自動採水器は、時間と分単位で自由に設定することができる一定の時間間隔で汚染物質が混入しているであろう水を採取し、一定時間保管するための装置であり、一般に1時間ごとに採水し、24本内蔵のサンプル瓶に24時間分のサンプルを採水し、
河川に有毒物質が流されたときや、水道事業所や公害監視センターまたは一般市民からの通報などから、河川に有毒物質が流された可能性があるときに、現地に赴くかまたは遠隔操作で自動採水器を停止させ、自動採水器には停止した時点から、サンプル瓶を時計回りにたどっていくと、24本前までのサンプルが指定した時間間隔で並んでいるので、サンプル瓶の中のサンプルを持ち帰り、試験室で精密に分析することで、有毒物質がなにであるか、またそのときの濃度を求めることができる、
方法及び装置。」

そして、甲6発明には以下の技術(以下「甲6発明開示技術」という。)が含まれていると認められる。
<甲6発明開示技術>
「水の中の物質を分析するためにサンプル瓶に一般に1時間ごとに採水し、24本内蔵のサンプル瓶に24時間分のサンプルを採水し、河川に有毒物質が流されたときや、水道事業所や公害監視センターまたは一般市民からの通報などから、河川に有毒物質が流された可能性があるときに、現地に赴くかまたは遠隔操作で自動採水器を停止させ、自動採水器には停止した時点から、サンプル瓶を時計回りにたどっていくと、24本前までのサンプルが指定した時間間隔で並んでいるので、サンプル瓶の中のサンプルを持ち帰り、試験室で精密に分析することで有毒物質がなにであるか、またそのときの濃度を求める技術。」

(6)甲第7号証
本願の優先日前である昭和61年(1986年)3月25日に頒布された刊行物である「工業用水・工場排水の試料採取方法 JIS K 0094-1985 第2刷、財団法人日本規格協会、昭和61年3月25日発行、第1−34頁」(「甲第7号証」)には、以下の技術事項が記載されている。
「6. 試料採取時の記録事項 試料採取時には,次の事項を記録する。
(1) 試料の名称 及び 試料番号
(2) 採取場所の名称 及び 採取位置(表層水 又は 採取深度など)
(3) 採取年月日,時刻
(4) 採取時の天候
(5) 採取者の氏名
(6) 参考事項 」(第15頁下から7−1行)

上記甲第7号証の記載事項を総合勘案すると、甲第7号証には、次の技術(以下「甲7開示技術」という。)が記載されていると認められる。
「試料採取において、試料採取時の採取年月日、時刻、を記録する技術。」

(7)甲第4号証
本願の優先日前である平成2年(1990年)2月1日に頒布された刊行物である「特開平2−31156号公報」(「甲第4号証」)には、図面とともに、以下の技術事項が記載されている。

ア 「前記自動流路切換弁1は、その入口に6つの試料水供給路1A〜1Fが設けられて、これら試料水供給路1A〜1Fの一つをラインLに選択的に接続させるものである。」(第4頁右上欄第1−4行。)

イ 「以下続けて、ラインLに設けられた濃縮カラム8・9、分離カラム11、吸光光度計12について説明すると、前記濃縮カラム8・9は、その内部にイオン交換樹脂が充填されたものであって、前記ラインLcを通じて供給された試料水中の金属イオンM3+(反応器3で生成されたものを含む)が吸着されるようになっている。」(第5頁右上欄第18行−左下欄第4行。)

ウ 「第3の発明によれば、第2の切換弁とドレンとの間のラインに前記流量計を配設するようにした、つまり、前記流量計を、濃縮カラムの下流側であり、かつ分離カラムに通じないラインに設けるようにしたので、仮に、流量計内の金属成分(例えば、試料水に含有されている金属と同一の成分)が試料水中に溶け出したとしても、分析手段による分析結果に誤差発生等の悪影響を与えず、この点においても、分析精度の向上を図ることが可能となる。」(第8頁左下欄第16行―右下欄第5行。)

(8)甲第8号証
本願の優先日前である平成23年(2011年)6月9日に頒布された刊行物である「特開2011−113425号公報」(「甲第8号証」)には、図面とともに、以下の技術事項が記載されている。

ア 「【0001】
本発明は、河川や水道給水等の定期的な採水検査を行う業務において、採水,検査情報を管理する水質情報管理システムに関する。」

イ 「【0013】
図1に示すように、水質情報システムは、RFIDタグ202が付けられている採水容器201と、情報端末装置101と、水質情報管理装置301が設けられている。情報端末装置101には、RFIDタグ202のタグリーダ,タグライターが設けられ、人口衛星204からの信号を受信するGPS(Global Positioning System)受信装置203が搭載されている。RFIDタグ202には、予め採水容器201を識別するためのIDである検体IDが記録されている。」

ウ 「【0015】
採水時には、採水情報入力手段111により情報端末装置101に、採水場所名,採水者名等の採水に関する諸情報を入力する。採水に関する諸情報を入力し、GPS受信装置203から現在位置の座標である緯度,経度、及び現在時刻を取り込み、採水に関する諸情報と紐付けされて採水情報として記録される。」

エ 「【0016】
情報端末装置101に記録された採水に関する諸情報及び現在位置情報,現在時刻情報は、情報端末装置101のタグライターによりRFIDタグ202に書き込まれる。RFIDタグ202に採水に関する諸情報及び現在位置情報,現在時刻情報が書き込まれた採水容器201を使用して、検査を行い、検査情報入力手段112により情報端末装置101に、採水した水の検査時の情報や検査結果を入力する。入力された水の検査時の情報や検査結果は、情報端末装置101のタグライターにより採水容器201のRFIDタグ202に書き込まれる。」

オ 「【0021】
ステップS101で、情報端末装置101のタグリーダにより、採水容器201のRFIDタグ202より検体IDの読み取りを行う。ステップS102で、採水情報入力手段111により採水場所名を、ステップS103で、採水者名を各々ユーザが入力する。採水情報入力手段111により採水に関する諸情報の入力し、ステップS104で、GPS受信装置203から現在位置の座標である緯度,経度を取得し、S105で、GPS受信装置203から日時情報を取得する。
【0022】
ステップS106で、情報端末装置101に、天候,気温,水温等の採水時の環境情報をユーザが入力し、ステップS107で、採水場所を情報端末装置101に設けられているデジカメにより写真撮影する。
【0023】
ステップS101からS107の各ステップで入力された情報や取得した情報は、情報端末装置101のタグライターにより、採水容器201のRFIDタグ202へ書き込まれる。
【0024】
このように、採水に関する諸情報を入力すると、採水位置である位置情報及び採水時刻を紐付けした情報として記録できるので、採水した場所,時刻を正確に管理でき、再度採水する時も再現性よくできる。又、採水場所を撮影しているので、採水時の状況を把握できる。」

カ 「【0026】
ステップS201で、情報端末装置101のタグリーダにより、採水容器201のRFIDタグ202より検体IDの読み取りを行う。ステップS202で、検査情報入力手段112により検査場所名を入力し、ステップS203で、検査情報入力手段112により検査者名を入力する。ステップS204で、検査情報入力手段112により、検査日時を、ステップS205で、検査結果を各々ユーザが入力する。ここで、GPS受信装置203から検査場所の位置情報,検査時刻の情報を取得するようにしてもよく、検査場所をデジカメにより写真撮影するようにしてもよい。」

キ 「【0033】
ステップS304で、採水情報を水質情報データベース302に登録し、ステップS305で、検査情報を水質情報データベース302に登録する。
【0034】
水質情報検索手段313は、ステップS306で、水質情報データベース302に格納されている採水情報や検査情報等の水質情報からユーザが指定した検索条件に合致する水質情報を検索する。
【0035】
次に、水質情報表示手段314により、水質情報をディスプレイ304に表示する手順について説明する。
【0036】
ステップS307で、ステップS306で検索された水質情報から得られる検索結果を表示する。表示例としては、例えば、図5に示す画面例のように、採水場所とともに、複数の履歴として表示する、図6に示すように水質情報を採水情報と検査情報に分けて表示するものがある。」

ク 「【図6】



(9)甲第9号証
本願の優先日前である平成27年(2015年)4月9日に頒布された刊行物である「特開2015−64260号公報」(「甲第9号証」)には、図面とともに、以下の技術事項が記載されている。

ア 「【請求項1】
放射性核種を吸着する吸着塔に流入する汚染水の入口水質、前記汚染水の処理流量および積算流量および前記吸着塔に封入された吸着材の性能を第1指標量として受け付ける第1受付部と、
前記第1指標量から前記吸着塔の出口から流出する処理水の出口水質の経時変化を出口水質関数として推算する出口水質推算部と、
前記第1指標量から前記吸着材の前記放射性核種の吸着量の経時変化を吸着分布関数として推算する吸着量推算部と、
前記出口水質関数および前記吸着分布関数の少なくとも一方および既定の交換閾値に基づいて交換時期を導出する第1導出部と、を備えることを特徴とする汚染水処理システム。」

イ 「【請求項5】
前記交換時期を通知するとともに前記判定の信号を受信して前記吸着塔が前記交換時期であるという警告を通知する通知部を備えることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の汚染水処理システム。」

ウ 「【0001】
本発明は、海水や地下水などに由来した成分と放射性核種を含む汚染水から、放射性核種を除去する汚染水処理技術に対する。」

3.当審の判断
(1)取消理由1(サポート要件)について
ア 本件訂正により、本件発明1ないし3は削除され、かつ本件発明6は本件発明4又は5を引用する発明となった。したがって、訂正前の本件発明1ないし3及び本件発明1ないし3を引用する本件発明6に対する、取消理由1は解消された。

イ 本件訂正により、本件発明7は「分析対象水が流れる流通管に取り外し可能に設けられ、前記分析対象水が通水されて前記分析対象水のイオンを吸着するイオン吸着体と、前記イオン吸着体の前記分析対象水の流れ方向の下流側に設けられて、前記イオン吸着体の通水量の積算値を計測する積算流量計とを有」する「イオン吸着装置」を備え、かつ「イオン吸着体には、定量分析が必要となった時に前記イオン吸着体を検索するための吸着体識別情報が付与されている」ものとなった。
これにより、本件発明7は、「イオン吸着体」が「定量分析が必要となった時に」「検索」されて「定量分析」されるものであることが明らかとなり、本件発明7の「イオン吸着装置」が、イオン吸着体を分析する「定量装置」と定量分析が必要となった時にイオン吸着体を検索する「情報処理装置」とともに「分析対象水中の極微量のイオン性不純物の正確な定量を事後に実行可能であって不良解析の実行を容易なものとする」という本願の課題を解決するための手段を構成する「イオン吸着装置」であることが明らかとなった。
したがって、本件発明7及び本件発明7を引用する本件発明8ないし9は、本願の課題を解決することを当業者が認識できるように記載された範囲内のものであり、発明の詳細な説明に記載したものである。

ウ 本件訂正により、本件発明10は「情報処理装置」が「分析が必要なイオン吸着体の情報として」「吸着体識別情報」を「出力する」「出力部」を備えた情報処理装置となった。
これにより、本件発明10の「情報処理装置」が、分析対象水中のイオンをイオン吸着体に吸着させる「イオン吸着装置」とイオン吸着体を分析する「定量装置」とともに「分析対象水中の極微量のイオン性不純物の正確な定量を事後に実行可能であって不良解析の実行を容易なものとする」という本願の課題を解決するための手段を構成する「情報処理装置」であることが明らかとなった。
したがって、本件発明10及び本件発明10を引用する本件発明11は、本願の課題を解決することを当業者が認識できるように記載された範囲内のものであり、発明の詳細な説明に記載したものである。

エ 以上のことから、本件発明7ないし11についての取消理由1は解消された。

(2)取消理由2(新規性)について
ア 本件発明1について
本件訂正により、本件発明1は削除されたから、訂正前の本件発明1に対する取消理由1は解消された。

イ 本件発明7と甲2発明との対比・判断
本件発明7と甲2発明とを比較する。
(ア)甲2発明の「超純水」は、本件発明7における「分析対象水」に相当する。
(イ)甲2発明の「超純水が流れる導管20」は、本件発明7における「分析対象水が流れる流通管」に相当する。
(ウ)甲2発明の「超純水の鉄分」は、本件発明7における「分析対象水のイオン」に相当する。
(エ)甲2発明の「箱形容器10内の、」「試料液中に含まれている分析対象の不純物を吸着、捕捉する性質を持つと共に、溶離液を通水することによって捕捉した不純物を遊離する固体の吸着体が充填してある吸着カラム12」中の「吸着体」は、「超純水」内の「金属元素」を「吸着、捕捉」する「イオン交換樹脂」であるから、本件発明7における「分析対象水が通水されて前記分析対象水のイオンを吸着するイオン吸着体」に相当する。
(オ)甲2発明の「メスシリンダ23」は、「超純水の試料液を取水口16、配管16′、ポート1、ポート2、配管18を経て吸着カラム12に流入させ、液中の不純物をカラム内の吸着体に吸着、捕捉させ、カラム中を通過した試料液を配管19、ポート、連通路III、ポート6、配管17′、排水口17、排水ホース22を経てメスシリンダ23内に排出させ、メスシリンダ23内に排水された試料液の水量が所定の値、例えば10リットルになったら通水を終了」する測定手法に用いられるものであるから、本件発明7における「イオン吸着体の」「分析対象水の流れ方向の下流側に設けられて、前記イオン吸着体の通水量の積算値を計測する積算流量計」に相当する。
(カ)甲2発明の「吸着体が充填してある吸着カラム12」と「メスシリンダ23」を備えた、「取水口16、配管16′、ポート1、ポート2、配管18を経て吸着カラム12に流入させ、液中の不純物をカラム内の吸着体に吸着、捕捉させ、カラム中を通過した試料液を配管19、ポート、連通路III、ポート6、配管17′、排水口17、排水ホース22を経てメスシリンダ23内に排出させ」る測定系は、本件発明7における「イオン吸着体」と「積算流量計と」「を有する」「イオン吸着装置」に相当する。
(キ)甲2発明では、「試料液である超純水中の不純物を吸着カラム中の吸着体に吸着捕捉するため、超純水が流れる導管20に一端を接続した取水ホース21の他端のワンタッチジョイントを箱形容器にある取水口16に連結し、該容器の排水口17には排水ホース22のワンタッチジョイントを接続し、通水に先立って取水ホース21、取水口16、配管16′、ポート1、ポート6、配管17′、排水口17からなる通水系路を洗浄するため回動弁体15を回して連通路の1つの連通路Iでポート1と6を連通し、取水ホースにあるコックを開き、導管20内の圧力で超純水を上記通水系路に流して連通路Iと共に洗浄し、洗浄廃水を排水ホース22から排出し、洗浄が終ったら、排水ホース22の出口をメスシリンダ23に入れ、回動弁体15を回し、洗浄した連通路Iでポート1と2とを連通することによりポート3と4は連通路IIで、又ポート5と6は連通路IIIで夫々連通し、それから取水ホースのコックを開いて、超純水の試料液を取水口16、配管16′、ポート1、ポート2、配管18を経て吸着カラム12に流入させ、液中の不純物をカラム内の吸着体に吸着、捕捉させ、カラム中を通過した試料液を配管19、ポート、連通路III、ポート6、配管17′、排水口17、排水ホース22を経てメスシリンダ23内に排出させ、メスシリンダ23内に排水された試料液の水量が所定の値、例えば10リットルになったら通水を終了し、」通水を終ったら回動弁体15を回し、吸着カラム12の入口と出口になっているポート2と5とを連通路I、II、IIIのどれとも非連通の密閉にするか、又はポート2と3、ポート5と4を夫々連通路で連通すると共に、ポート3と、ポート4は栓をして塞ぎ、これにより吸着カラムの内部に空気が侵入しないようにした上で、取水ホース、排水ホースを外し、蓋11を閉じ、箱形容器10を分析施設に運」ぶことから、甲2発明は本件発明7における「分析対象水が流れる流通管に取り外し可能に接続」できる、「イオン吸着体」と「積算流量計」とを有する「イオン吸着装置」を備えている。
(ク)甲2発明では、「通水を終ったら回動弁体15を回し、吸着カラム12の入口と出口になっているポート2と5とを連通路I、II、IIIのどれとも非連通の密閉にするか、又はポート2と3、ポート5と4を夫々連通路で連通すると共に、ポート3と、ポート4は栓をして塞ぎ、これにより吸着カラムの内部に空気が侵入しないようにした上で、取水ホース、排水ホースを外し、蓋11を閉じ、箱形容器10を分析施設に運」ぶことから、吸着体を備えた箱形容器10を取り外し可能にしている。よって、甲2発明は本件発明7における「取り外し可能に設けられ」た「イオン吸着体」を備えている。

すると、本件発明7と、甲2発明とは、
「分析対象水が流れる流通管に取り外し可能に接続されるイオン吸着装置であって、
取り外し可能に設けられ、前記分析対象水が通水されて前記分析対象水のイオンを吸着するイオン吸着体と、
前記イオン吸着体の前記分析対象水の流れ方向の下流側に設けられて、前記イオン吸着体の通水量の積算値を計測する積算流量計と、
を有する、イオン吸着装置。」
で一致するが、以下の点で相違する。

<相違点7−1>
本件発明7は、イオン吸着体が「定量分析が必要となった時に前記イオン吸着体を検索するための吸着体識別情報が付与されている」のに対し、甲2発明の吸着カラム12中の吸着体には、そのような構成を備えていない点。

したがって、本件発明7は、甲2発明であるとはいえない。

ウ 本件発明7を引用する本件発明9と甲2発明との対比・判断
本件発明7を引用する本件発明9は、上記「ウ」で検討した本件発明7を引用して減縮した発明であるから、本件発明9と甲2発明とを対比すると、本件発明9と甲2発明との間には上記相違点7−1がある。そうすると本件発明9は上記「ウ」と同様の理由により甲2発明であるとはいえない。

エ 小括
以上のことから、本件発明7及び本件発明7を引用する本件発明9に係る発明は、甲第2号証に記載された発明であるとはいえない。ゆえに、取消理由2は解消された。

(3)取消理由3(進歩性)について
ア 本件発明1ないし3について
本件訂正により、本件発明1ないし3は削除された。したがって、訂正前の本件発明1ないし3に対する取消理由3は解消された。

イ 本件発明4について
(ア)本件発明4と甲2発明との対比
本件発明4と甲2発明とを比較する。
a 甲2発明の「超純水」は、本件発明4における「分析対象水」に相当する。
b 甲2発明の「超純水の鉄分」は、本件発明4における「分析対象水に含まれる不純物イオン」に相当する。
c 甲2発明は「1000ミリリットルの超純水を吸着カラムに通水後、この装置を分析室に運び、溶離液を2ミリリットル、吸着カラムに通水し、イオン交換樹脂が吸着、捕捉した金属元素を溶離、回収し、回収した溶離液中の金属元素濃度を原子吸光法により超純水の鉄分の濃度を測定する」「方法」であることから、本件発明4における「分析対象水に含まれる不純物イオンの濃度を管理する水質管理方法」に相当する。
d 甲2発明の「箱形容器10内の、」「試料液中に含まれている分析対象の不純物を吸着、捕捉する性質を持つと共に、溶離液を通水することによって捕捉した不純物を遊離する固体の吸着体が充填してある吸着カラム12」中の「吸着体」は、「超純水」内の「金属元素」を「吸着、捕捉」する「イオン交換樹脂」であるから、本件発明4における「イオン吸着体」に相当する。
e 甲2発明の「メスシリンダ23」は、「超純水の試料液を取水口16、配管16′、ポート1、ポート2、配管18を経て吸着カラム12に流入させ、液中の不純物をカラム内の吸着体に吸着、捕捉させ、カラム中を通過した試料液を配管19、ポート、連通路III、ポート6、配管17′、排水口17、排水ホース22を経てメスシリンダ23内に排出させ、メスシリンダ23内に排水された試料液の水量が所定の値、例えば10リットルになったら通水を終了」する測定手法に用いられるものであるから、本件発明4における「イオン吸着体の」「分析対象水の流れ方向の下流側に設けられ」た「積算流量計」に相当する。
f 甲2発明の「吸着体が充填してある吸着カラム12」と「メスシリンダ23」を備えた、「取水口16、配管16′、ポート1、ポート2、配管18を経て吸着カラム12に流入させ、液中の不純物をカラム内の吸着体に吸着、捕捉させ、カラム中を通過した試料液を配管19、ポート、連通路III、ポート6、配管17′、排水口17、排水ホース22を経てメスシリンダ23内に排出させ」る測定系は、本件発明4における「イオン吸着体と積算流量計とが設けられたイオン吸着装置」に相当する。
g 甲2発明の「超純水が流れる導管20」は、本件発明4における「分析対象水が流れる流通管」に相当する。
h 甲2発明では、「試料液である超純水中の不純物を吸着カラム中の吸着体に吸着捕捉するため、超純水が流れる導管20に一端を接続した取水ホース21の他端のワンタッチジョイントを箱形容器にある取水口16に連結し、該容器の排水口17には排水ホース22のワンタッチジョイントを接続し、通水に先立って取水ホース21、取水口16、配管16′、ポート1、ポート6、配管17′、排水口17からなる通水系路を洗浄するため回動弁体15を回して連通路の1つの連通路Iでポート1と6を連通し、取水ホースにあるコックを開き、導管20内の圧力で超純水を上記通水系路に流して連通路Iと共に洗浄し、洗浄廃水を排水ホース22から排出し、洗浄が終ったら、排水ホース22の出口をメスシリンダ23に入れ、回動弁体15を回し、洗浄した連通路Iでポート1と2とを連通することによりポート3と4は連通路IIで、又ポート5と6は連通路IIIで夫々連通し、それから取水ホースのコックを開いて、超純水の試料液を取水口16、配管16′、ポート1、ポート2、配管18を経て吸着カラム12に流入させ、液中の不純物をカラム内の吸着体に吸着、捕捉させ、カラム中を通過した試料液を配管19、ポート、連通路III、ポート6、配管17′、排水口17、排水ホース22を経てメスシリンダ23内に排出させ、メスシリンダ23内に排水された試料液の水量が所定の値、例えば10リットルになったら通水を終了し、これにより10リットルの試料液を、空気に触れることなく吸着カラム12に通水し、液中に含まれている不純物を吸着カラム中の吸着体に吸着、捕捉させることができ」ることから、甲2発明は本件発明4における「イオン吸着体と積算流量計とが設けられたイオン吸着装置を」「分析対象水が流れる流通管に接続する工程と、前記イオン吸着装置に対して所定の期間にわたって前記流通管から前記イオン吸着体に前記分析対象水を通水し、前記分析対象水に含まれるイオンを吸着させてイオン吸着体試料とする工程」を備えている。
i 甲2発明では、「通水を終ったら回動弁体15を回し、吸着カラム12の入口と出口になっているポート2と5とを連通路I、II、IIIのどれとも非連通の密閉にするか、又はポート2と3、ポート5と4を夫々連通路で連通すると共に、ポート3と、ポート4は栓をして塞ぎ、これにより吸着カラムの内部に空気が侵入しないようにした上で、取水ホース、排水ホースを外し、蓋11を閉じ、箱形容器10を分析施設に運」ぶことから、甲2発明は本件発明4における「前記所定の期間の終了後、前記イオン吸着体試料の両端を閉じた状態として前記イオン吸着装置を前記流通管から取り外し、 前記イオン吸着体試料の分析を行うまで、前記イオン吸着体試料の両端を閉じたままとすること」を備えている。

すると、本件発明4と、甲2発明とは、
「分析対象水に含まれる不純物イオンの濃度を管理する水質管理方法において、
イオン吸着体と積算流量計とが設けられたイオン吸着装置を前記分析対象水が流れる流通管に接続する工程と、
前記イオン吸着装置に対して所定の期間にわたって前記流通管から前記イオン吸着体に前記分析対象水を通水し、前記分析対象水に含まれるイオンを吸着させてイオン吸着体試料とする工程と、
を有し、
前記イオン吸着装置において前記積算流量計は、前記イオン吸着体の前記分析対象水の流れ方向の下流側に設けられており、
前記所定の期間の終了後、前記イオン吸着体試料の両端を閉じた状態として前記イオン吸着装置を前記流通管から取り外し、
前記イオン吸着体試料の分析を行うまで、前記イオン吸着体試料の両端を閉じたままとする、水質管理方法。」
で一致し、以下の点で相違する。

<相違点4−1>
本件発明4は、「前記イオン吸着装置を前記流通管から取り外すとともに新たなイオン吸着装置を前記流通管に接続して当該新たなイオン吸着装置に分析対象水を通水することを繰り返すことにより、複数の期間にわたって連続して前記イオン吸着体試料を得」るのに対し、甲2発明はそのようは構成を備えていない点。
<相違点4−2>
本件発明4は、「複数の前記イオン吸着体試料の各々について、当該イオン吸着体試料に対する通水期間を記録する」のに対し、甲2発明はそのようは構成を備えていない点。
<相違点4−3>
本件発明4は、「前記分析対象水を製品の製造過程で使用した後、分析が必要となった場合、前記製品が前記分析対象水を使用した時期に対応する通水期間の前記イオン吸着体試料の定量分析を行う」のに対し、甲2発明はそのようは構成を備えていない点。

(イ)判断
上記各相違点につき、事案に鑑み相違点4−3について先に検討する。
a 相違点4−3について
甲6発明開示技術は、「水の中の物質を分析するためにサンプル瓶に一般に1時間ごとに採水し、24本内蔵のサンプル瓶に24時間分のサンプルを採水し、河川に有毒物質が流されたときや、水道事業所や公害監視センターまたは一般市民からの通報などから、河川に有毒物質が流された可能性があるときに、現地に赴くかまたは遠隔操作で自動採水器を停止させ、自動採水器には停止した時点から、サンプル瓶を時計回りにたどっていくと、24本前までのサンプルが指定した時間間隔で並んでいるので、サンプル瓶の中のサンプルを持ち帰り、試験室で精密に分析する」技術である。
この技術では、サンプル瓶が24本並んでおり、各サンプル瓶は24時間周期で採水に繰り返し使用されるものであり、各サンプル瓶の採水時刻は装置が停止した時刻から24時間前までは把握できるものの、装置停止時刻から24時間前より過去に採水を行ったサンプル瓶はすでに新たな測定に用いられており、サンプル瓶で採水されたサンプルも残っていない。すなわち、装置停止時刻から24時間前より過去にサンプル瓶で採水された水は保管していない。さらに、採水する対象も河川であることから、製品の製造過程で使用した水ではなく、製造した製品に不具合が見つかりその不具合の原因を探るために製品の製造過程に採水した水を遡って分析することが行えるよう採水した水を長期間保存する技術ではない。
ゆえに、甲6発明開示技術は、相違点4−3に係る「前記分析対象水を製品の製造過程で使用した後、分析が必要となった場合、前記製品が前記分析対象水を使用した時期に対応する通水期間の前記イオン吸着体試料の定量分析を行う」という技術を開示するものではない。
また、相違点4−3に係る「前記分析対象水を製品の製造過程で使用した後、分析が必要となった場合、前記製品が前記分析対象水を使用した時期に対応する通水期間の前記イオン吸着体試料の定量分析を行う」という技術は、甲第1号証、甲第3ないし5号証、及び甲第7ないし9号証には開示も示唆も無く、本件発明4の優先日前において周知のことでもない。

b ゆえに、上記相違点4−3に係る構成を備えた本件発明4は、他の相違点について検討するまでもなく甲第1号証ないし甲第9号証に記載された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえた発明ではない。

c 令和3年9月22日付け意見書における申立人の意見について
申立人は、令和3年9月22日付け意見書において、甲2発明に甲6発明を組み合わせることは容易になしうることから、本件発明4は、甲第2,5,6及び7号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到できる旨主張している。
また、同意見書において申立人は、特許権者の令和3年7月29日付けの意見書における甲第6号証に開示された技術についての主張に対して、甲6号証のサンプル瓶に蓋をすることは通常行われることであり、甲第6号証のサンプル瓶は24時間保管されており分析を行うまでサンプル瓶を保管しておくことが記載されているといえるから、「前記所定の期間の終了後、前記イオン吸着体試料の両端を閉じた状態として前記イオン吸着装置を前記流通管から取り外し、 前記イオン吸着体試料の分析を行うまで、前記イオン吸着体試料の両端を閉じたままとすること」は甲2発明及び甲6発明に基づいて容易に想到できると反論している。
しかしながら、上記「a」での検討のとおり、相違点4−3に係る技術は、甲第1ないし9号証には開示も示唆も無く、本件発明4の優先日前において周知のことでもないことから、相違点4−3の発明特定事項を含む本件発明4は甲第1号証ないし甲第9号証に記載された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえた発明ではない。
ゆえに、申立人の上記主張を採用することはできない。

d したがって、本件発明4は、甲第1号証ないし甲第9号証に記載された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえた発明ではなく、特許法第29条第2項の規定を満たす発明である。

ウ 本件発明5及び6について
本件発明5及び6は、本件発明4を直接的又は間接的に引用する発明であるから、上記「イ」と同様の理由により、甲第1号証ないし甲第9号証に記載された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえた発明ではなく、特許法第29条第2項の規定を満たす発明である。

エ 本件発明7について
(ア)本件発明7と甲2発明との対比
本件発明7と甲2発明との対比は、上記「(2)イ」のとおりであり、本件発明7と甲2発明とは相違点7−1で相違する。

(イ)判断
上記相違点7−1について検討する。
a 甲5発明開示技術は、上記「2.(4)」のとおり、「「不純物濃度測定のためにフローセルを順次交換していく際に(測定No.が変更されていく際に)、その測定期間を時間的にオーバーラップさせることにより実質的に連続的に測定し、交換したフローセルには通番を付して測定日時と対応させる技術」であり、甲7開示技術は、上記「2.(6)」のとおり「試料採取において、試料採取時の採取年月日、時刻、を記録する技術」である。これらの技術では、フローセルや採取試料に対応付けて測定日時を記録することを開示している。
しかしながら、「定量分析が必要となった時に」「イオン吸着体を検索するため」に「イオン吸着体」に「イオン吸着体を検索するための吸着体識別情報」を付与する技術ではない。

b また、甲第8号証には、上記「2.(8)エ」にあるように、採水容器のRFIDタグに諸情報を書き込む技術は開示されているものの、すでにその採水容器の試料を分析した検査結果がRFIDタグに書き込まれていることから、RFIDタグは採水容器と分析結果を対応付けるものであり、「定量分析が必要となった時に」採水容器を「検索するための」「識別情報」ではない。

c そして、相違点7−1に係る構成である、イオン吸着体に「定量分析が必要となった時に」「イオン吸着体を検索するための吸着体識別情報」を「付与」する技術は、甲第1号証、甲第3及び4号証、甲第6号証、及び甲第9号証には開示も示唆も無く、本件発明7の優先日前において周知のことでもない。

d ゆえに、本件発明7は、甲第1号証ないし甲第9号証に記載された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえた発明ではない。

e 令和3年9月22日付け意見書における申立人の意見について
申立人は、令和3年9月22日付け意見書において、甲2発明に甲6発明を組み合わせることは容易になしうることから、本件発明7は、甲第2及び6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到できる旨主張している。
しかしながら、甲6開示技術は、上記「イ(イ)a」で検討したとおり、24個並んだサンプル瓶の配列(順番)により、過去24時間以内のある時間に採水に用いたサンプル瓶であるかが分かる技術を開示するものの、サンプル瓶自体に識別情報は付与されていないことから、「定量分析が必要となった時に」サンプル瓶を「検索するための」「識別情報が付与されている」という技術を開示するものではない。
そして、上記「a ないし c」での検討のとおり、相違点7−1に係る技術は、甲第1ないし9号証には開示も示唆も無く、本件発明7の優先日前において周知のことでもないことから、相違点7−1の発明特定事項を備えた本件発明7は甲第1号証ないし甲第9号証に記載された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえた発明ではない。
ゆえに、申立人の上記主張を採用することはできない。

f したがって、本件発明7は、甲第1号証ないし甲第9号証に記載された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえた発明ではなく、特許法第29条第2項の規定を満たす発明である。

オ 本件発明8及び9について
本件発明8及び9は、本件発明7を直接的又は間接的に引用する発明であるから、上記「エ」と同様の理由により、甲第1号証ないし甲第9号証に記載された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえた発明ではなく、特許法第29条第2項の規定を満たす発明である。

カ 小括
以上のことから、本件発明4ないし9は、特許法第29条第2項の規定を満たす発明である。ゆえに、取消理由3は解消された。

4.小括
以上のことから、当審が令和3年5月31日付けで特許権者に通知した取消理由1ないし3はいずれも解消されており、本件特許4ないし11を取り消す理由とはならない。

第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1.取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
申立人は特許異議申立書において以下のとおり主張している。
(1)異議申立の取消理由1
本件訂正前の請求項1,4,5,7−9に係る発明は、甲第1号証に記載された発明である、または甲第1号証に記載された発明から当業者が容易になしえた発明である。
(2)異議申立の取消理由2
本件訂正前の請求項4,5,8に係る発明は、甲第2号証に記載された発明である、または甲第2号証に記載された発明から当業者が容易になしえた発明である。
(3)異議申立の取消理由3
本件訂正前の請求項10−14に係る発明は、甲第1−9号証に記載された発明から当業者が容易になしえた発明である。
(4)異議申立の取消理由4
本件訂正前の請求項1,2,4,5,10−13に係る発明は、特許請求の範囲の記載が明確でない。
(5)異議申立の取消理由5
発明の詳細な説明は、本件訂正前の請求項1−6に係る発明を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているといえない。

3.当審の判断
(1)本件発明1ないし3についての異議申立の取消理由1ないし5について
本件訂正前の請求項1ないし3に係る発明は、本件訂正により削除されたから、本件訂正前の請求項1ないし3に係る発明についての異議申立の取消理由1ないし5は解消された。

(2)異議申立の取消理由1について
ア 甲1発明
甲第1号証に記載された発明である甲1発明は、「第4 2.(2)」で示したとおりである。

イ 甲1発明と本件発明4との対比・判断
甲1発明と本件発明4とは、上記「第4 3.(3)イ」で検討した、相違点4−3に係る構成である「前記分析対象水を製品の製造過程で使用した後、分析が必要となった場合、前記製品が前記分析対象水を使用した時期に対応する通水期間の前記イオン吸着体試料の定量分析を行う」ことを甲1発明が備えていない点で少なくとも相違し、その相違点4−3については上記「第4 3.(3)イ(イ)a」で検討したとおり、甲第1ないし9号証には開示も示唆も無く、本件発明4の優先日前において周知のことでもない。
よって、本件発明4は甲1発明ではないし、甲1発明から当業者が容易になしえた発明ではない。

ウ 甲1発明と本件発明5との対比・判断
本件発明5は、本件発明4を引用する発明であるから、上記「イ」と同様の理由により、甲1発明ではないし、甲1発明から当業者が容易になしえた発明ではない。

エ 甲1発明と本件発明7との対比・判断
甲1発明と本件発明7とは、上記「第4 3.(3)エ」で検討した、相違点7−1に係る構成である「イオン吸着体が定量分析が必要となった時に前記イオン吸着体を検索するための吸着体識別情報が付与されている」ことを甲1発明におけるイオン交換樹脂が備えていない点で少なくとも相違し、その相違点7−1については上記「第4 3.(3)エ(イ)」で検討したとおり、甲第1ないし9号証には開示も示唆も無く、本件発明7の優先日前において周知のことでもない。
よって、本件発明7は甲1発明ではないし、甲1発明から当業者が容易になしえた発明ではない。

オ 甲1発明と本件発明8及び9との対比・判断
本件発明8及び9は、本件発明7を引用する発明であるから、上記「エ」と同様の理由により、甲1発明ではないし、甲1発明から当業者が容易になしえた発明ではない。

カ 小括
以上のことから、異議申立の取消理由1は本件発明4,5,及び7ないし9を取り消す理由とはならない。

(3)異議申立の取消理由2について
ア 甲2発明
甲第2号証に記載された発明である甲2発明は、「第4 2.(1)」で示したとおりである。

イ 甲2発明と本件発明4との対比・判断
甲2発明と本件発明4とは、上記「第4 3.(3)イ」で検討したとおり、相違点4−3で少なくとも相違し、その相違点4−3については上記「第4 3.(3)イ(イ)a」で検討したとおり、甲第1ないし9号証には開示も示唆も無く、本件発明4の優先日前において周知のことでもない。
よって、本件発明4は甲2発明ではないし、甲2発明から当業者が容易になしえた発明ではない。

ウ 甲2発明と本件発明5との対比・判断
本件発明5は、本件発明4を引用する発明であるから、上記「イ」と同様の理由により、甲2発明ではないし、甲2発明から当業者が容易になしえた発明ではない。

エ 小括
以上のことから、異議申立の取消理由2は本件発明4及び5を取り消す理由とはならない。

(4)異議申立の取消理由3について
ア 甲第1ないし9号証に記載された発明
甲第1ないし9号証に記載された発明及び甲第1ないし9号証に開示された技術は、上記「第4 2.」で示したとおりである。

イ 本件発明10について
本件発明10は、「イオン吸着体固有に付与された吸着体識別情報」を「検索部が検索し」て「吸着体識別情報を分析が必要なイオン吸着体の情報として出力する出力部」を発明特定事項(以下「本件発明10特定事項」という。)として備えており、上記本件発明10特定事項については、甲第1ないし9号証には開示も示唆も無く、本件発明10の優先日前において周知のことでもない。
よって、本件発明10は甲第1ないし9号証に記載された発明から当業者が容易になしえた発明ではない。

ウ 本件発明11について
本件発明11は、本件発明10を引用する発明であるから、上記「イ」と同様の理由により、甲第1ないし9号証に記載された発明から当業者が容易になしえた発明ではない。

エ 本件発明12について
本件発明12は、「イオン吸着体固有に付与された吸着体識別情報」を「検索部が検索し」て「出力部」から「出力し」、「前記出力部が出力した吸着体識別情報が付与されたイオン吸着体について定量分析を行う」「定量装置」を発明特定事項(以下「本件発明12特定事項」という。)として備えており、上記本件発明12特定事項については、甲第1ないし9号証には開示も示唆も無く、本件発明12の優先日前において周知のことでもない。
よって、本件発明12は甲第1ないし9号証に記載された発明から当業者が容易になしえた発明ではない。

オ 本件発明13及び14について
本件発明13及び14は、本件発明12を引用する発明であるから、上記「エ」と同様の理由により、甲第1ないし9号証に記載された発明から当業者が容易になしえた発明ではない。

カ 令和3年9月22日付け意見書及び令和3年1月29日付け特許異議申立書における申立人の意見について
申立人は、令和3年9月22日付け意見書及び令和3年1月29日付け特許異議申立書において、甲第8号証に記載された発明を主引例として、甲第1ないし7及び9号証に記載された発明を組み合わせることにより当業者が容易に想到できる旨主張している。
しかしながら、上記「イ 及び エ」で述べたとおり、本件発明10特定事項及び本件発明12特定事項は、甲第1ないし9号証には開示も示唆も無く、本件発明10及び12の優先日前において周知のことでもないことから、本件発明10特定事項または本件発明12特定事項を備えた本件発明10ないし14は甲第1号証ないし甲第9号証に記載された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえた発明ではない。
ゆえに、申立人の上記主張を採用することはできない。

キ 小括
以上のことから、異議申立の取消理由3は本件発明10ないし14を取り消す理由とはならない。

(5)異議申立の取消理由4について
ア 申立人は、令和3年1月29日付け特許異議申立書において、以下の点が不明確である旨主張している。
(ア)本件特許の請求項1には、「前記所定の期間の終了後、前記イオン吸着体試料の両端を閉じた状態として前記イオン吸着装置を前記流通管から取り外し、」と記載されている。しかし、本件特許の請求項1では、イオン吸着体試料の形状は特定されていない。したがって、イオン吸着体試料の両端とは、どの部分であるか不明確である。
(イ)本件特許の請求項2には、「前記イオン吸着装置を前記流通管から取り外すとともに新たなイオン吸着装置を前記流通管に接続して当該新たなイオン吸着装置に分析対象水を通水することを繰り返すことにより、複数の期間にわたって連続して前記イオン吸着体試料を得る」と記載されている。しかし、イオン吸着装置を取り外してから新たなイオン吸着装置を接続するまでの間は、通水することができず、連続してイオン吸着体試料を得ることができない。
(ウ)本件特許の請求項4には、「前記分析対象水を製品の製造過程で使用した後、分析が必要となった場合、前記製品が前記分析対象水を使用した時期に対応する通水期間の前記イオン吸着体試料の定量分析を行う」と記載されている。「分析対象水を製品の製造過程で使用した後、分析が必要となった場合」とは誰がどのように判断するのか不明である。また、「分析対象水を製品の製造過程で使用した後、分析が必要となった場合」とはどのような場合に生じるのか不明である。
(エ)本件特許の請求項5には、「前記イオン吸着体試料固有に付与された吸着体識別情報を前記通水期間と対応付けて記録し、前記分析が必要となった場合、前記製品が前記分析対象水を使用した時期に対応する前記通水期間と対応付けて記録された前記イオン吸着体試料の定量分析を行う」と記載されている。「分析が必要となった場合」とは誰がどのように判断するのか不明である。また、「分析が必要となった場合」とはどのような場合に生じるのか不明である。
(オ)本件特許の請求項10には、「分析対象水が通水されて前記分析対象水のイオンを吸着するイオン吸着体が、前記分析対象水が流れる流通管に取り付けられていた時期を示す期間情報と、該イオン吸着体固有に付与された吸着体識別情報とを対応付けて記憶するデータベースと、前記入力部が入力した入力情報に含まれる日時情報に基づいて、前記吸着体識別情報を前記データベースから検索する検索部と、」と記載されている。本件特許の請求項10によれば、データベースには、吸着体識別情報と期間情報とが対応付けて記憶されており、検索部は、日時情報に基づいて吸着体識別情報をデータベースから検索する。期間情報と対応付けられている吸着体識別情報を、どのようにして日時情報に基づいて検索するのか不明である。
(カ)本件特許の請求項11には、「前記入力部は、前記分析対象水を製品の製造過程で使用した後、分析が必要となった場合に、所定の情報を入力すると記載されている。「分析対象水を製品の製造過程で使用した後、分析が必要となった場合」とは誰がどのように判断するのか不明である。また、「分析対象水を製品の製造過程で使用した後、分析が必要となった場合」とはどのような場合に生じるのか不明である。
(キ)本件特許の請求項12には、「前記イオン吸着体が前記流通管に取り付けられていた時期を示す期間情報と、該イオン吸着体固有に付与された吸着体識別情報とを対応付けて記憶するデータベースと、前記入力部が入力した入力情報に含まれる日時情報に基づいて、前記吸着体識別情報を前記データベースから検索する検索部と、」と記載されている。本件特許の請求項12によれば、データベースには、吸着体識別情報と期間情報とが対応付けて記憶されており、検索部は、日時情報に基づいて吸着体識別情報をデータベースから検索する。期間情報と対応付けられている吸着体識別情報を、どのようにして日時情報に基づいて検索するのか不明である。
(ク)本件特許の請求項13には、「前記検索部が検索した吸着体識別情報が付与された前記イオン吸着体に対して前記定量装置が行った定量分析の結果から、前記入力情報に応じた情報である提供情報を抽出する抽出部を有し」と記載されている。しかし、「入力情報に応じた情報」とは具体的にどのような情報であるか不明である。また、定量分析の結果と、入力情報及び提供情報との関連が規定されていないため、抽出部による技術的内容が不明確である。

イ 上記「ア」の申立人の主張について検討する。
(ア)上記「ア(ア)ないし(ウ)」は本件発明4についての不明確さに対する主張と認められる。
a 本件発明4の「イオン吸着体試料の両端」については、本件発明4において「イオン吸着体試料」は「イオン吸着装置」の「イオン吸着体」に「分析対象水を通水し」作成することが開示されており、「イオン吸着体」に「通水」するために「イオン吸着体」に水を通すために水の入口と出口があることは、当業者に自明である。よって、「イオン吸着体の両端」は「イオン吸着体」に水を通水するときの入口と出口であることは、理解できる。
さらに、本件特許の明細書の段落【0026】には、
「【0026】
本実施形態のイオン吸着装置20は、所定の期間にわたって分析対象水を通水したのち、流通管11から取り外される。後述するようにイオン吸着体24に捕捉されたイオン性不純物の定量は、取り外し後直ちに行ってもよいし、ある程度の時間が経過してから、あるいは事後の要求に応じて行ってもよい。取り外してから定量を行うまでの間にイオン吸着体24が汚染されたり、あるいはイオン吸着体24からイオン性不純物が流出したりしないように、イオン吸着体24の入口側と出口側とを完全に閉じることができるようにすることが好ましい。そのため、本実施形態のイオン吸着装置20では、イオン吸着体24の入口側に上述した開閉弁23を設けている。流量調整弁25は、イオン吸着体24の出口側を完全に閉じるためにも機能する。」(下線は当審が付与した。)
と記載されており、「イオン吸着体24の入口側」と「イオン吸着体24の出口側」が「イオン吸着装置20」に備わっていることも説明されている。
よって、「イオン吸着体試料の両端」が不明確であるという申立人の主張は採用することはできない。

b 本件発明4の「複数の期間にわたって連続して前記イオン吸着体試料を得る」については、「連続して」がどのような意味を包含するのかという点について考慮する必要がある。確かにイオン吸着装置の交換時にはイオン吸着装置に通水できない時間があるのは認められるが、本願は、純水パイプの支流にてサンプリングを行うものであり、その取り外し交換時間の間は測定しないからといって、「連続」ではないというのは、交換時間が数時間に及ぶといった場合でなければ、「連続」と言って差し支えないと認められる。さらに、本件特許の明細書の段落【0040】には、
「【0040】
表1は、本実施形態のイオン吸着装置20を使用して実行した水質管理の結果の例を示している。半導体デバイスの洗浄に使用される超純水の配管にイオン吸着装置20を設置するものとし、5日間の通水ごとにイオン吸着装置20を交換・回収し、金属イオンの定量を行った。・・・」(下線は当審が付与した)
と記載されており、5日間の通水を繰り返す測定の測定期間(5日の測定の複数回分の期間)に対するイオン吸着装置20の交換時間は、その測定期間に対して短いものであり、交換時間が介在するからといってその測定期間が「連続ではない」とするほどの時間ではないから、途中にイオン吸着装置20の交換があったとしても「複数の期間にわたって連続して前記イオン吸着体試料を得る」ということは理解できる。
よって、「複数の期間にわたって連続して前記イオン吸着体試料を得る」が不明確であるという申立人の主張は採用することはできない。

c 本件発明4の「分析対象水を製品の製造過程で使用した後、分析が必要となった場合」については、本件特許の明細書の段落【0061】には、
「【0061】
その後、定量分析が必要となると、情報処理装置300に対して検索要求が行われる。ここで、分析対象水である超純水を使用して製造した製品などに不良が発生し、その不良の原因が超純水の水質にあるかどうかを確認する場合に、定量分析を行う必要がある。それには、対象となるイオン吸着体試料(つまり、製品に問題が生じたときに製品が水を使用した時期に対応する通水期間に通水されていたイオン吸着体試料)を検索して取り出す必要がある。」(下線は当審が付与した。)
と記載されていることから、製品に不良が発生し、その原因を突き止めるために分析が必要となる場合であると認められる。製品が不良であることは製品を使用した際に判明したり、製品の検査をした際に判明することは、当業者であれば自明であり、不良の原因を調べるのは、製品不良の知らせを受けた製造者であることも、当業者であれば自明である。
よって、「分析対象水を製品の製造過程で使用した後、分析が必要となった場合」が不明確であるという申立人の主張は採用することはできない。

d 以上のことから、本件発明4が不明確である旨の申立人の主張は採用することができない。

(イ)上記「ア(エ)」は本件発明5についての不明確さに対する主張と認められる。
「分析が必要となった場合」については、上記「(ア)c」で検討したとおり、当業者にとって自明である。
よって、「分析が必要となった場合」が不明確であるという申立人の主張は採用することはできず、それゆえ本件発明5が不明確である旨の申立人の主張は採用することができない。

(ウ)上記「ア(オ)」は本件発明10についての不明確さに対する主張と認められる。
「期間情報と対応付けられている吸着体識別情報を、どのようにして日時情報に基づいて検索するのか不明である」点については、本件特許の明細書の段落【0053】には、
「【0053】
例えば、図8に示すように、期間「2019/5/1〜2019/5/5」と、流量「1000[L]」と、吸着体No.「A00010001」とが対応付けられて記憶されている。これは、吸着体識別情報「A00010001」が付与されたイオン吸着体が、2019年5月1日から2019年5月5日までの5日間、イオン吸着装置100に取り付けられており、その期間において、このイオン吸着体に流れた分析対象水の通水量が1000[L]であることを示している。また、期間「2019/5/6〜2019/5/10」と、流量「980[L]」と、吸着体No.「A00020001」とが対応付けられて記憶されている。これは、吸着体識別情報「A00020001」が付与されたイオン吸着体が、2019年5月6日から2019年5月10日までの5日間、イオン吸着装置100に取り付けられており、その期間において、このイオン吸着体に流れた分析対象水の通水量が980[L]であることを示している。また、期間「2019/5/11〜2019/5/15」と、流量「1000[L]」と、吸着体No.「A00030001」とが対応付けられて記憶されている。これは、吸着体識別情報「A00030001」が付与されたイオン吸着体が、2019年5月11日から2019年5月15日までの5日間、イオン吸着装置100に取り付けられており、その期間において、このイオン吸着体に流れた分析対象水の通水量が1000[L]であることを示している。また、期間「2019/5/16〜2019/5/20」と、流量「990[L]」と、吸着体No.「A00040001」とが対応付けられて記憶されている。これは、吸着体識別情報「A00040001」が付与されたイオン吸着体が、2019年5月16日から2019年5月20日までの5日間、イオン吸着装置100に取り付けられており、その期間において、このイオン吸着体に流れた分析対象水の通水量が990[L]であることを示している。これらの対応付けは、それぞれのイオン吸着体がイオン吸着装置100から取り外された後に登録されて記憶される。この登録方法は、イオン吸着装置100から情報処理装置300へこれらの情報が送信されて登録するものであっても良いし、他の媒体を介して登録するものであっても良い。なお、図6に示した例では、期間情報である「期間」は日にちを示す情報のみを示しているが、時刻(時間)を含む日時を示す情報も含まれる。つまり、期間情報には、イオン吸着体がイオン吸着装置100に取り付けられた日時を示す情報と、イオン吸着体がイオン吸着装置100から取り外された日時を示す情報とが含まれる。」(下線は当審が付与した。)
と記載されていることから、吸着体識別情報は期間情報と対応付けられて記憶されていることが分かる。その期間情報は、対応するイオン吸着体がイオン吸着装置100に取り付けられた日時と取り外された日時とから構成されるのであるから、不良品が製造された日時である日時情報が、期間情報にある取り付けられた日時と取り外された日時の間にあるかどうかで検索を行うことにより、該当する期間情報に対応つけられた吸着体識別情報が得られることは、当業者にとって自明である。
よって、「期間情報と対応付けられている吸着体識別情報を、どのようにして日時情報に基づいて検索するのか不明である」という申立人の主張は採用することはできず、それゆえ本件発明10が不明確である旨の申立人の主張は採用することができない。

(エ)上記「ア(カ)」は本件発明11についての不明確さに対する主張と認められる。
「分析対象水を製品の製造過程で使用した後、分析が必要となった場合」については、上記「(ア)c」で検討したとおり、当業者にとって自明である。
よって、「分析対象水を製品の製造過程で使用した後、分析が必要となった場合」が不明確であるという申立人の主張は採用することはできず、それゆえ本件発明11が不明確である旨の申立人の主張は採用することができない。

(オ)上記「ア(キ)」は本件発明12についての不明確さに対する主張と認められる。
「期間情報と対応付けられている吸着体識別情報を、どのようにして日時情報に基づいて検索するのか不明である」点については、上記「(ウ)」で検討したとおり、当業者にとって自明である。
よって、「期間情報と対応付けられている吸着体識別情報を、どのようにして日時情報に基づいて検索するのか不明である」という申立人の主張は採用することはできず、それゆえ本件発明12が不明確である旨の申立人の主張は採用することができない。

(カ)上記「ア(ク)」は本件発明13についての不明確さに対する主張と認められる。
「入力情報に応じた情報である提供情報を抽出する抽出部」については、本件特許の明細書の段落【0082】には、
「【0082】
図15は、図13に示したシーケンス図を用いて説明したステップS8の詳細な処理の一例を説明するためのフローチャートである。入力部311が定量装置201からの定量分析の結果を受け付けると(ステップS71)、抽出部341は、入力部311が受け付けた定量分析の結果から、入力情報に応じた情報である提供情報を抽出する(ステップS72)。入力情報には、定量分析の内容(例えば、分析したい金属イオンの種類)が指定されている場合もあり、その場合、抽出部341は、入力情報に含まれている分析内容を定量装置201が行った定量分析の結果から抽出する。続いて、出力部351は、抽出部341が抽出した提供情報を出力する(ステップS73)。なお、定量装置201は、定量分析の結果と積算流量計が計測した積算値とを用いて、分析対象水中の不純物イオン濃度を算出し、入力部311が分析対象水中の不純物イオン濃度を受け付けるようにしても良い。」(下線は当審が付与した。)
と記載されており、「入力情報に応じた情報」の一例として「定量分析の内容(金属イオンの種類)」が例示されているし、抽出部はその情報をもとに「定量分析の結果から」(指定された金属イオンの定量結果を)「抽出する」ことも例示されている。
よって、「入力情報に応じた情報である提供情報を抽出する抽出部」が不明確であるという申立人の主張は採用することはできず、それゆえ本件発明13が不明確である旨の申立人の主張は採用することができない。

ウ 小括
以上のことから、異議申立の取消理由4は本件発明4,5,10ないし13を取り消す理由とはならない。

(6)異議申立の取消理由5について
ア 申立人は、令和3年1月29日付け特許異議申立書において、請求項1の「前記所定の期間の終了後、前記イオン吸着体試料の両端を閉じた状態として前記イオン吸着装置を前記流通管から取り外し、」について、発明の詳細な説明にはイオン吸着体試料の具体的な形状については記載されていないため、イオン吸着体試料の両端がどの位置であるかが不明であるから、イオン吸着体試料の両端を閉じた状態としてイオン吸着装置を流通管から取り外す方法について、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていない旨主張している。

イ 上記主張は、本件発明4に同様の記載があることから、本件特許の発明の詳細な説明が本件発明4及び本件発明4を引用する本件発明5及び6を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているといえない、という主張であると認められる。

ウ しかしながら、上記「(5)イ(ア)a」で検討したとおり、「イオン吸着体試料の両端」は明確であり、イオン吸着体の両端の位置およびその両端を閉じた状態としてイオン吸着装置を流通管から取り外すことについては、上記「(5)イ(ア)a」で示した本件特許の明細書の段落【0026】の「取り外してから定量を行うまでの間にイオン吸着体24が汚染されたり、あるいはイオン吸着体24からイオン性不純物が流出したりしないように、イオン吸着体24の入口側と出口側とを完全に閉じることができるようにすることが好ましい。そのため、本実施形態のイオン吸着装置20では、イオン吸着体24の入口側に上述した開閉弁23を設けている。流量調整弁25は、イオン吸着体24の出口側を完全に閉じるためにも機能する。」という記載及び以下の【図1】
「【図1】


の記載から、開閉弁23と流量調整弁25を閉じて、イオン吸着体24をイオン吸着装置20から取り外せばよいことは、当業者ならば理解できることである。

エ したがって、本件特許の発明の詳細な説明は本件発明4を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されており、それゆえ発明の詳細な説明が本件発明4及び本件発明4を引用する本件発明5及び6を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていない旨の申立人の主張は採用することができない。

オ ゆえに、異議申立の取消理由5は本件発明4ないし6を取り消す理由とはならない。

4.小括
以上のことから、取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由である異議申立の取消理由1ないし5については、本件発明4ないし14に対しいずれも理由はない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項4ないし14に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項4ないし14に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、請求項1ないし3に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てについて、請求項1ないし3に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(削除)
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
分析対象水に含まれる不純物イオンの濃度を管理する水質管理方法において、
イオン吸着体と積算流量計とが設けられたイオン吸着装置を前記分析対象水が流れる流通管に接続する工程と、
前記イオン吸着装置に対して所定の期間にわたって前記流通管から前記イオン吸着体に前記分析対象水を通水し、前記分析対象水に含まれるイオンを吸着させてイオン吸着体試料とする工程と、
を有し、
前記イオン吸着装置において前記積算流量計は、前記イオン吸着体の前記分析対象水の流れ方向の下流側に設けられており、
前記所定の期間の終了後、前記イオン吸着体試料の両端を閉じた状態として前記イオン吸着装置を前記流通管から取り外し、
前記イオン吸着体試料の分析を行うまで、前記イオン吸着体試料の両端を閉じたままとし、
前記イオン吸着装置を前記流通管から取り外すとともに新たなイオン吸着装置を前記流通管に接続して当該新たなイオン吸着装置に分析対象水を通水することを繰り返すことにより、複数の期間にわたって連続して前記イオン吸着体試料を得、
複数の前記イオン吸着体試料の各々について、当該イオン吸着体試料に対する通水期間を記録し、
前記分析対象水を製品の製造過程で使用した後、分析が必要となった場合、前記製品が前記分析対象水を使用した時期に対応する通水期間の前記イオン吸着体試料の定量分析を行うことを特徴とする水質管理方法。
【請求項5】
前記イオン吸着体試料固有に付与された吸着体識別情報を前記通水期間と対応付けて記録し、前記分析が必要となった場合、前記製品が前記分析対象水を使用した時期に対応する前記通水期間と対応付けて記録された前記イオン吸着体試料の定量分析を行う、請求項4に記載の水質管理方法。
【請求項6】
前記流通管は、超純水製造装置から分岐して超純水をユースポイントに供給する配管または該配管から分岐する配管である、請求項4または請求項5に記載の水質管理方法。
【請求項7】
分析対象水が流れる流通管に取り外し可能に接続されるイオン吸着装置であって、
取り外し可能に設けられ、前記分析対象水が通水されて前記分析対象水のイオンを吸着するイオン吸着体と、
前記イオン吸着体の前記分析対象水の流れ方向の下流側に設けられて、前記イオン吸着体の通水量の積算値を計測する積算流量計と、
を有し、
前記イオン吸着体には、定量分析が必要となった時に前記イオン吸着体を検索するための吸着体識別情報が付与されていることを特徴とするイオン吸着装置。
【請求項8】
前記イオン吸着体と前記積算流量計との間に配置され、前記分析対象水の導通および遮断を行い、かつ前記分析対象水の流量の調整が可能な第1の弁体を備える、請求項7に記載のイオン吸着装置。
【請求項9】
前記イオン吸着体の前記分析対象水の流れ方向の上流側に、前記分析対象水の導通および遮断を行う第2の弁体を備える、請求項7または8に記載のイオン吸着装置。
【請求項10】
外部から受け付けた操作に基づいて入力情報を入力する入力部と、
分析対象水が通水されて前記分析対象水のイオンを吸着したイオン吸着体について、該イオン吸着体が、前記分析対象水が流れる流通管に取り付けられていた時期を示す期間情報と、該イオン吸着体固有に付与された吸着体識別情報とを対応付けて記憶するデータベースと、
前記入力部が入力した入力情報に含まれる日時情報に基づいて、前記吸着体識別情報を前記データベースから検索する検索部と、
前記検索部が検索した吸着体識別情報を分析が必要なイオン吸着体の情報として出力する出力部とを有する情報処理装置。
【請求項11】
前記入力部は、前記分析対象水を製品の製造過程で使用した後、分析が必要となった場合に、所定の情報を入力する、請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
イオン吸着装置と、定量装置と、情報処理装置とを有し、
前記イオン吸着装置は、
分析対象水が流れる流通管に取り外し可能に設けられ、前記分析対象水が通水されて前記分析対象水のイオンを吸着するイオン吸着体と、
前記イオン吸着体の前記分析対象水の流れ方向の下流側に設けられて、前記イオン吸着体の通水量の積算値を計測する積算流量計とを有し、
前記情報処理装置は、
外部から受け付けた操作に基づいて入力情報を入力する入力部と、
前記イオン吸着体が前記流通管に取り付けられていた時期を示す期間情報と、該イオン吸着体固有に付与された吸着体識別情報とを対応付けて記憶するデータベースと、
前記入力部が入力した入力情報に含まれる日時情報に基づいて、前記吸着体識別情報を前記データベースから検索する検索部と、
前記検索部が検索した吸着体識別情報を出力する出力部とを有し、
前記定量装置は、前記出力部が出力した吸着体識別情報が付与されたイオン吸着体について定量分析を行い、
前記出力部は、前記定量装置が行った定量分析の結果に基づいた提供情報を出力する情報処理システム。
【請求項13】
前記検索部が検索した吸着体識別情報が付与された前記イオン吸着体に対して前記定量装置が行った定量分析の結果から、前記入力情報に応じた情報である提供情報を抽出する抽出部を有し、
前記出力部は、前記抽出部が抽出した提供情報を出力する、請求項12に記載の情報処理システム。
【請求項14】
前記イオン吸着体が前記流通管に取り付けられてから所定の期間が経過した際、または前記イオン吸着体が前記流通管に取り付けられてから前記積算流量計が計測した積算値が所定の値になった際に、所定の通知を行う通知部を有する、請求項12または請求項13に記載の情報処理システム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-10-27 
出願番号 P2020-522081
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (G01N)
P 1 651・ 536- YAA (G01N)
P 1 651・ 121- YAA (G01N)
P 1 651・ 857- YAA (G01N)
P 1 651・ 851- YAA (G01N)
P 1 651・ 113- YAA (G01N)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 福島 浩司
特許庁審判官 伊藤 幸仙
▲高▼見 重雄
登録日 2020-08-25 
登録番号 6754512
権利者 オルガノ株式会社
発明の名称 水質管理方法、イオン吸着装置、情報処理装置および情報処理システム  
代理人 緒方 雅昭  
代理人 宮崎 昭夫  
代理人 宮崎 昭夫  
代理人 緒方 雅昭  
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