• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G01N
審判 全部申し立て 2項進歩性  G01N
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G01N
管理番号 1382385
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-03-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-04-28 
確定日 2021-11-08 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6777629号発明「分離方法、検出方法、シグナル測定方法、疾患の判定方法、薬効評価方法、キット、液状組成物及び検体希釈液」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6777629号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔24、25〕、26、〔27−29〕、30について訂正することを認める。 特許第6777629号の請求項1ないし30に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6777629号の請求項1〜30に係る特許についての出願は、2016年(平成28年)5月20日(優先権主張 平成27年5月20日、同年7月1日、平成28年1月27日)を国際出願日とする出願であって、令和2年10月12日にその特許権の設定登録がされ、同月28日に特許掲載公報が発行された。
本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。

令和3年4月28日 :特許異議申立人所智恵子(以下「申立人」という。)による請求項1〜30に係る特許に対する特許異議の申立て
同年6月23日付け:取消理由通知書
同年8月11日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出

なお、申立人に、取消理由通知の写し、訂正請求書及びこれに添付された訂正特許請求の範囲の副本、取消理由通知に対応する特許権者の意見書の副本を送付し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、申立人は応答しなかった。

第2 訂正の適否
1 訂正の内容
本件訂正請求書による請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の24〜30について訂正することを求めるものであり、その内容は、以下のとおりである。

(1)一群の請求項24及び25に係る訂正
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項24に「脂質二重膜」と記載されているのを、「請求項1〜18のいずれか1項に記載の分離方法に使用するためのキットであって、脂質二重膜」(下線は訂正箇所である。訂正事項の記載において以下同様。)と訂正する(請求項24の記載を引用する請求項25も同様に訂正する)。

イ 一群の請求項について
訂正前の請求項25は請求項24を引用するものであるから、請求項24及び25は一群の請求項であり、上記訂正事項1は、その一群の請求項においてなされたものであるから、特許法第120条の5第4項で規定する当該一群の請求項ごとに請求されているものである。

ウ 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(ア)目的の適否
訂正事項1は、「請求項1〜18のいずれか1項に記載の分離方法に使用するためのキットであって」との記載を追加することにより、「キット」を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)新規事項の有無
願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)の【0052】に、
「〔キット〕
本発明のキットは、脂質二重膜を有する小胞の表面に存在する表面抗原を認識するリガンドが結合した固相担体と、0.15M以上の塩濃度を有する液状組成物とを備えることを特徴とするものである。斯かるキットは、上記分離方法、上記疾患の判定、上記疾患治療薬の薬効評価に有用である。」(下線は当審において付与した。本件特許明細書等の記載において以下同様。)と記載されており、ここで「上記分離方法」とは、この【0052】より前に記載されている本件発明の分離方法、すなわち、本件特許明細書等の特許請求の範囲の請求項1〜18に記載されている分離方法を含むものであり、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものであるから、訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。

(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

エ 小括
よって、一群の請求項24及び25に係る訂正である訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(2)請求項26に係る訂正
ア 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項26に「工程とを含む」と記載されているのを、「エ程とを含み、前記複合体形成工程を塩濃度0.2〜2Mの環境下で行う」と訂正する。

イ 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(ア)目的の適否
訂正事項2は、「複合体形成工程」を「塩濃度0.2〜2Mの環境下で行う」ことに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)新規事項の有無
本件特許明細書等の【0041】に、
「(反応液の塩濃度)
・・・。さらに、捕捉反応の反応性の観点から、複合体形成工程を、塩濃度0.15〜2Mの環境下で行うのが好ましい。反応液の塩濃度は、複合体形成工程の全体もしくは一部、または洗浄工程の全体もしくは一部において0.15〜2Mの範囲であればよい。
反応液の塩濃度は、より好ましくは0.2M以上、さらに好ましくは0.25M以上であり、また、より好ましくは1M以下、さらに好ましくは0.5M以下、特に好ましくは0.45M以下、最も好ましくは0.35M以下である。」と記載されているから、訂正事項2は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。

(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

エ 小括
よって、請求項26に係る訂正である訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(3)一群の請求項27〜29に係る訂正
ア 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項27に「複合体を」と記載されているのを、「複合体を塩濃度0.2〜2Mの環境下で」と訂正する(請求項27の記載を引用する請求項28及び29も同様に訂正する)。

イ 一群の請求項について
訂正前の請求項28及び29は請求項27を直接的又は間接的に引用するものであるから、請求項27〜29は一群の請求項であり、上記訂正事項3は、その一群の請求項においてなされたものであるから、特許法第120条の5第4項で規定する当該一群の請求項ごとに請求されているものである。

ウ 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(ア)目的の適否
訂正事項3は、複合体を「塩濃度0.2〜2Mの環境下で」形成させることに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)新規事項の有無
訂正事項3は、上記(2)イ(イ)で述べたとおり、本件特許明細書等の【0041】に記載されているから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。

(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

エ 小括
よって、一群の請求項27〜29に係る訂正である訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(4)請求項30に係る訂正
ア 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項30に「0.3M以上の」と記載されているのを、「前記小胞と前記不溶性担体との複合体を塩濃度0.2〜2Mの環境下で形成させ、且つ0.3M以上の」と訂正する。

イ 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(ア)目的の適否
訂正事項4は、「不溶性担体を用いて脂質二重膜を有する小胞を含む生体試料から脂質二重膜を有する小胞を分離する方法」を「前記小胞と前記不溶性担体との複合体を塩濃度0.2〜2Mの環境下で形成させ」ることよって限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)新規事項の有無
訂正事項4は、上記(2)イ(イ)で述べたとおり、本件特許明細書等の【0041】に記載されているから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。

(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

ウ 小括
よって、請求項30に係る訂正である訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

2 訂正のまとめ
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔24、25〕、26、〔27−29〕、30について訂正することを認める。

第3 本件発明
本件特許の特許請求の範囲の請求項1〜30に係る発明(以下、各請求項に係る発明を「本件発明1」等と記載し、まとめて記載する場合には「本件発明」と記載する。)は、本件訂正請求により訂正された請求項24〜30を含む訂正特許請求の範囲の請求項1〜30に記載されたとおりのものであり、そのうち、本件発明1、26、27及び30を記載すると、以下のとおりである
「【請求項1】
脂質二重膜を有する小胞を含む生体試料と、前記小胞の表面に存在する表面抗原を認識するリガンドが結合した固相担体とを接触させ、前記小胞と前記固相担体との複合体を形成させる複合体形成工程と、
前記複合体を洗浄する洗浄工程を含み、
前記複合体形成工程を、塩濃度0.2〜2Mの環境下で行うことを特徴とする、
脂質二重膜を有する小胞の分離方法。」
「【請求項26】
脂質二重膜を有する小胞を含む生体試料と、前記小胞の表面に存在する表面抗原を認識するリガンドが結合した固相担体とを接触させ、前記小胞と前記固相担体との複合体を形成させる複合体形成工程と、前記複合体を洗浄する洗浄工程とを含み、前記複合体形成工程を塩濃度0.2〜2Mの環境下で行う、脂質二重膜を有する小胞の分離方法に使用される、前記複合体形成工程に添加するための液状組成物であって、
0.3M以上の塩濃度を有することを特徴とする、
液状組成物。」
「【請求項27】
不溶性担体を用いて脂質二重膜を有する小胞を含む生体試料から脂質二重膜を有する小胞を分離する方法に使用される、前記小胞と前記不溶性担体との複合体を塩濃度0.2〜2Mの環境下で形成させるための検体希釈液であって、
0.3M以上の塩濃度を有することを特徴とする、
検体希釈液。」
「【請求項30】
不溶性担体を用いて脂質二重膜を有する小胞を含む生体試料から脂質二重膜を有する小胞を分離する方法であって、
前記小胞と前記不溶性担体との複合体を塩濃度0.2〜2Mの環境下で形成させ、且つ0.3M以上の塩濃度を有する検体希釈液を用いることを特徴とする、
脂質二重膜を有する小胞の分離方法。」

第4 取消理由について
1 令和3年6月23日付け取消理由通知書の取消理由の概要は、次のとおりである。

取消理由1.(サポート要件)
本件特許は、その特許請求の範囲の下記の請求項に係る記載が、特許法第36条第6項第1号に規定にする要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

(1)訂正前の請求項26について
請求項26に係る発明は、「複合体形成工程に添加するための液状組成物」が「0.3M以上の塩濃度を有する」と特定されているが、当該液状組成物は、コントロールバッファー、検体(液状)に添加するものであるから、添加する液状組成物の濃度を特定しているにすぎず、コントロールバッファー、検体(液状)に添加した後の塩濃度、すなわち「複合体形成反応液」の塩濃度を特定するものではないことから、複合体形成反応液の塩濃度については不明であり、本件発明の課題を解決できると認識できる範囲のものではない。

(2)訂正前の請求項27及び30について
請求項27に係る発明は「複合体を形成させるための検体希釈液」が「0.3M以上の塩濃度を有する」と、請求項30に係る発明は「0.3M以上の塩濃度を有する検体希釈液を用いる」と特定されているが、検体希釈液は検体を希釈するための溶液であり、上記請求項26の「液状組成物」と同様に、コントロールバッファー、検体(液状)に添加するものであると理解される。そうすると、「0.3M以上の塩濃度」は添加する希釈液の濃度を特定しているにすぎず、コントロールバッファー、検体(液状)に添加した後の塩濃度、すなわち「複合体形成反応液」の塩濃度を特定するものではないことから、複合体形成反応液の塩濃度については不明であり、本件発明の課題を解決できると認識できる範囲のものではない。

(3)訂正前の請求項24について
請求項24に係る発明は、「0.3M以上の塩濃度を有する液状組成物」と特定されるのみであり、その液状組成物が「複合体形成反応液」であるとはいえないことから、複合体形成反応液の塩濃度は不明であり、本件発明の課題を解決できると認識できる範囲のものではない。

(4)よって、請求項24及びそれを引用する請求項25、請求項26、請求項27並びにそれを引用する請求項28及び29、請求項30に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものとはいえない。

2 本件特許明細書等の記載について
(1)課題及び解決手段について
本件特許明細書等には、課題及び解決手段について、以下の記載がある。
「【発明が解決しようとする課題】
【0008】
・・・。本発明が解決しようとする課題は、固相担体への非特異吸着を低減でき、脂質二重膜を有する小胞を選択的かつ効率よく分離できる方法を提供することにある。」と記載され、その課題を解決するための手段として、「【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明者らは鋭意検討した結果、脂質二重膜を有する小胞を含む生体試料と、前記小胞の表面に存在する表面抗原を認識するリガンドが結合した固相担体とを混合して複合体形成反応液を形成して、前記小胞と前記固相担体との複合体を形成させる複合体形成工程と、上記複合体形成工程で形成された小胞と固相担体との複合体に洗浄液を加えて洗浄工程液を形成し、前記複合体を洗浄する洗浄工程を含む、脂質二重膜を有する小胞の分離方法において、(以下、複合体形成反応液および洗浄工程液を総称して、「反応液」と言う。)前記複合体形成工程及び前記洗浄工程の少なくともいずれかを、反応液中の塩濃度0.15〜2Mの環境下で行うことにより、固相担体への非特異吸着を低減でき、脂質二重膜を有する小胞を選択的かつ効率よく分離できることを見出し、本発明を完成した。」

(2)実施例について
ア そして、実施例として、以下の記載がある。
「【0055】
(バッファー類の調製)
表1に示す比較反応バッファー1および反応バッファー1〜5を準備した。
反応バッファー:トリス緩衝生理食塩水(TBS(組成は、1,370mmol/L NaCl, 26.8mmol/L KCl, 250mmol/L Tris;Sigma社製10×TBSを水で10倍希釈したもの。pH7.4。以下同じ。))に、非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール(gibco社製 Pluronic F−68、以下同じ)を0.03%(w/v)になるように添加し、更に、必要に応じて塩化ナトリウム(Wako社製、試薬特級)を表1に示す濃度になるように添加したもの。
【0056】
【表1】

【0057】
コントロールバッファーとして、以下のバッファーを準備した。
コントロールバッファー:TBSに、非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコールを濃度が0.03%(w/v)になるように添加したもの。pH7.4。」

「【0060】
(試験例1)
96ウェル白色プレート(コーニング社製 #23711007)に、陰性対照粒子0.0125mgを加え、各ウェルに、コントロールバッファー、検体1〜5を25μL、1ウェルあたりに1種ずつ添加した。比較反応バッファー1を、反応液の塩濃度が0.07Mになるように加え、25℃で20分反応させた(pH:7.4)。また、比較反応バッファー1に代えて反応バッファー1〜5をそれぞれ使用し、同様の反応を行った。
【0061】
本明細書におけるすべての試験例において、各反応バッファーを用いたときの、反応液の塩濃度は以下の通りである。
【0062】(当審注:以下の表を「表2」という。)
反応バッファー 反応液の塩濃度
――――――――――――――――――――
比較反応バッファー1 0.07M
反応バッファー1 0.15M
反応バッファー2 0.2M
反応バッファー3 0.25M
反応バッファー4 0.3M
反応バッファー5 0.35M
――――――――――――――――――――
【0063】
・・・
図1−1、図1−2に示すとおり、反応液の塩濃度が0.07Mの場合は、検体成分の非特異吸着に起因すると考えられるバックグラウンドシグナルが検出されたが、反応液の塩濃度が0.15〜0.35Mの場合には非特異吸着が低減され、バックグラウンドシグナルが減少していた。
【0064】
(試験例2−1)
この抗CD9抗体結合磁性粒子と、エクソソームを含む臨床検体と、比較反応バッファー1または反応バッファー1〜5のいずれかを混合し、洗浄後、試験例1と同様にELISAにより捕捉されたエクソソームを検出することで、比較反応バッファー1または反応バッファー1〜5を用いた場合の反応性を評価した。
【0065】
・・・
図2−1に示すとおり、反応液の塩濃度が0.15〜0.35Mの場合は、血清中での捕捉反応の反応性が向上することがわかった。
【0066】
(試験例2−2)
捕捉反応の反応条件を25℃20分から4℃5時間に変更して、試験例2−1と同様の試験を行った。
・・・
試験例2−2の結果(図2−2)から、反応液の塩濃度が0.25Mの場合は、反応温度が4℃、25℃のいずれであっても、血清中での捕捉反応の反応性が良好となることがわかった。
【0067】
(試験例3)
反応バッファー3の非特異吸着低減作用を、検体を変更して確認した。
【0068】
・・・
図3に示すとおり、反応液の塩濃度が0.25Mの場合は、検体の種類によらずバックグラウンドシグナルが少なかった。
【0069】
(試験例4)
反応バッファー3の反応性向上作用を、検体を変更して確認した。具体的手順を以下に示す。
・・・
図4に示すとおり、塩濃度が0.25Mの場合は、検体の種類によらず捕捉反応の反応性が高かった。
【0070】
(試験例5)
抗CD9抗体結合磁性粒子を、抗CD63抗体結合磁性粒子、抗CD81抗体結合磁性粒子、抗EpCAM抗体結合磁性粒子に変更し、検体として検体10〜13を用いた以外は試験例4と同様にして、反応バッファー3の反応性向上作用の検討を行った。結果を図5−1(抗CD63抗体結合磁性粒子)、図5−2(抗CD81抗体結合磁性粒子)、図5−3(抗EpCAM抗体結合磁性粒子)に示す。
【0071】
(試験例6 小胞中の核酸の検出)
・・・
【0072】
図6に示すとおり、反応液の塩濃度0.25M環境下で反応させることによって、ヒト健常者血清に由来する小胞中の核酸を検出できた。さらに検出された核酸量は、抗体結合粒子量、温度、時間に依存して上昇した。
【0073】
(試験例7 小胞中の核酸の検出)
・・・
【0075】
図7−1に示すとおり、反応液の塩濃度0.25M環境下で反応させることによって、ヒト健常者血清に由来する小胞中の核酸を、超遠心分離法と同等レベルで検出できることが確認された。
・・・
これらの結果から、反応液の塩濃度0.25Mの環境下で小胞と粒子を反応させることによって、血清、血漿といった検体の種類を問わず小胞中の核酸を検出できた。
【0076】
(試験例8 小胞表面のタンパクの検出)
・・・
【0080】
図8−1、図8−2に示すとおり、反応液の塩濃度0.25Mの環境下で小胞と粒子を反応させることによって、ヒト健常者血清、ヒト健常者ヘパリン血漿に由来する小胞表面のタンパクを、超遠心分離法と同等レベルで検出できることが確認された。また、抗EpCAM抗体結合磁性粒子を用いた場合には、小胞表面タンパクは検出されなかった。EpCAMタンパク質は健常者の血液中にはほとんど存在せず、癌などの疾患によりその血中濃度が上昇すると考えられている。反応液の塩濃度0.25Mの環境下で小胞と粒子を反応させることによって、非特異反応を抑制することができた。
【0081】
(試験例9−1 小胞表面のネイティブフォームの立体構造を維持したタンパクの検出(1))
・・・
【0088】
図9−1、図9−2に示すとおり、反応液の塩濃度0.25Mの環境下で小胞と粒子を反応させることによって、ヒト健常者血清、ヒト健常者ヘパリン血漿に由来する小胞表面のCD9、CD63、CD81が検出できた。
・・・
【0089】
(試験例9−2 小胞表面のネイティブフォームの立体構造を維持したタンパクの検出(2))
・・・
【0094】
図9−3、図9−4に示すとおり、反応液の塩濃度0.25Mの環境下で小胞と粒子を反応させることによって、ヒト健常者血清、ヒト健常者ヘパリン血漿、ヒト結腸がんHT29細胞に由来する小胞表面に存在するCD9、CD63、CD81が検出できた。
・・・
【0095】
(試験例10)
・・・
【0101】
図10−1、図10−2に示すとおり、反応液の塩濃度0.25Mの環境下で小胞と粒子を反応させることによって、ヒト健常者血清、ヒト健常者ヘパリン血漿、ヒト結腸がんHT29細胞に由来する小胞表面のタンパクを、超遠心分離法と同等レベルもしくはそれ以上で検出できた。」

イ 表1と表2との関係について
表1と表2では、「比較反応バッファー1」、「反応バッファー1」〜「反応バッファー5」と同じ用語を用いて記載されているが、上記試験例1に、
「各ウェルに、コントロールバッファー、検体1〜5を25μL、1ウェルあたりに1種ずつ添加した。比較反応バッファー1を、反応液の塩濃度が0.07Mになるように加え、25℃で20分反応させた(pH:7.4)。また、比較反応バッファー1に代えて反応バッファー1〜5をそれぞれ使用し、同様の反応を行った。
本明細書におけるすべての試験例において、各反応バッファーを用いたときの、反応液の塩濃度は以下の通りである。
反応バッファー 反応液の塩濃度」
と記載されていることから、コントロールバッファー、検体(検体についても25μLと記載されていることから液状のものといえる)が入っているウェルに、表1の比較反応バッファー、反応バッファーを加えて、表2に記載の塩濃度の反応液が得られたがことが読み取れる。

(3)その余の記載について
本件特許明細書等には、本件発明を理解する上で、上記(1)及び(2)で摘記した以外に以下の記載もある。
「【0019】
〔脂質二重膜を有する小胞の分離方法〕
・・・。反応液の塩濃度は、反応液中の塩の終濃度ともいう。
【0020】
(複合体形成工程)
複合体形成工程は、脂質二重膜を有する小胞を含む生体試料と、小胞の表面に存在する表面抗原を認識するリガンドが結合した固相担体とを混合して複合体形成反応液を形成して、小胞と固相担体との複合体を形成させる工程である。複合体形成反応液を形成することにより、脂質二重膜を有する小胞を含む生体試料と、小胞の表面に存在する表面抗原を認識するリガンドが結合した固相担体とが接触する。上記接触により、リガンドに小胞が捕捉され、小胞と固相担体との複合体が形成される。なお、複合体形成工程の反応系には、上記固相担体に結合したリガンド以外に、脂質二重膜を有する小胞の表面に存在する表面抗原を認識するリガンドも共存していてもよい。」
「【0022】
上記生体試料は、バッファー組成物で希釈するなどして予め前処理したものを用いてもよいが、生体から摂取したものをそのまま用いることもできる。」
「【0038】
(洗浄工程)
洗浄工程は、上記複合体形成工程で形成された小胞と固相担体との複合体に洗浄液を加えて洗浄工程液を形成し、上記複合体を洗浄する工程である。これによって、未反応の成分や未反応の標識物質等が除去される。複合体形成工程における複合体を含む系をそのまま洗浄してもよい。」
「【0044】
反応液の塩濃度が0.15M未満の場合及び2Mよりも高い場合には、非特異吸着の増大や捕捉反応の反応性の低下が生じる場合があり、また、小胞内外の浸透圧差によって、小胞が破壊される場合もある。」

(4)発明の課題を解決できると認識できる範囲について
上記(1)〜(3)で摘記した記載を総合すると、本件発明は、脂質二重膜を有する小胞を含む生体試料と該小胞の表面に存在する表面抗原を認識するリガンドが結合した固相担体との複合体を形成して、脂質二重膜を有する小胞を選択的かつ効率よく分離するという課題を解決するために、その複合体を形成する際の反応液(複合体形成反応液)の塩濃度を0.15〜2Mとしたものであり、そのような塩濃度の複合体形成反応液で脂質二重膜を有する小胞と固相担体との複合体を形成することにより、上記【0044】に記載されているように、非特異吸着の増大や捕捉反応の反応性の低下や、小胞内外の浸透圧差によって小胞が破壊されることもなく、そして、上記実施例に記載されているように、非特異吸着が低減されバックグラウンドシグナルが減少する、小胞に存在するタンパク質、核酸を効率よく検出できるという効果を奏するものである。

3 当審の判断
(1)本件発明24について
本件発明24は、上記第2で記載したように、本件訂正により「請求項1〜18のいずれか1項に記載の分離方法に使用するためのキット」が発明特定事項となり、直接的又は間接的に引用する請求項1には「脂質二重膜を有する小胞を含む生体試料と、前記小胞の表面に存在する表面抗原を認識するリガンドが結合した固相担体とを接触させ、前記小胞と前記固相担体との複合体を形成させる複合体形成工程」「前記複合体形成工程を、塩濃度0.2〜2Mの環境下で行う」と特定されている。ここで、塩濃度「0.2〜2M」は、上記2(4)で述べた「0.15〜2M」の範囲内にあることから、本件発明24は、本件発明の課題を解決できると認識できる範囲のものである。

(2)本件発明26について
本件発明26は、上記第2で記載したように、本件訂正により「前記複合体形成工程を塩濃度0.2〜2Mの環境下で行う」ことが発明特定事項となったことから、上記(1)で述べたとおり、本件発明26は、本件発明の課題を解決できると認識できる範囲のものである。

(3)本件発明27及び30について
本件発明27及び30は、上記第2で記載したように、本件訂正により「前記小胞と前記不溶性担体との複合体を塩濃度0.2〜2Mの環境下で形成させ」ることが発明特定事項となったことから、上記(1)で述べたとおり、本件発明27及び30は、本件発明の課題を解決できると認識できる範囲のものである。

(4)小括
よって、本件発明24及びそれを引用する本件発明25、本件発明26、本件発明27並びにそれを引用する本件発明28及び29、本件発明30は、発明の詳細な説明に記載したものであるから、本件発明24〜30に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定にする要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえないことから、取消理由通知書の取消理由によって、取り消すことはできない。

第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 申立理由(新規性進歩性
本件発明1〜30は、甲第1号証に記載された発明であるから特許法第29条第1項第3号に該当するか、あるいは、甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件発明1〜30に係る特許は、特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反してされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
甲第1号証:特表2014−522993号公報

2 甲第1号証について
(1)記載事項
甲第1号証(以下「甲1」という。)には、以下の事項が記載されている。
(1ア)「【0088】
小胞
本発明の方法は、一つまたは複数の小胞を評価する工程、例えば小胞集団を評価する工程を含むことができる。本明細書において使用される小胞とは、細胞から流出する膜小胞である。小胞または膜小胞は、非限定的に、循環微小胞(cMV)、微小胞、エキソソーム、ナノ小胞、デキソソーム、ブレブ、小水疱、プロスタソーム、微粒子、内腔内小胞、膜フラグメント、内腔内エンドソーム小胞、エンドソーム様小胞、エキソサイトーシスビヒクル、エンドソーム小胞、エンドソーマル小胞、アポトーシス体、多胞体、分泌小胞、リン脂質小胞、リポソーム小胞、アルゴソーム、テキサソーム、セクレソーム、トレロソーム、メラノソーム、オンコソームまたはエキソサイトーシスビヒクルを含む。さらに、小胞は、様々な細胞プロセスによって産生され得るが、本発明の方法は、そのような小胞が生物学的試料中に存在し、本明細書に開示される方法によって特徴決定することができる限り、任意の一つの機構に限定されない、または依存しない。断りない限り、ある種の小胞を使用する方法を他の種類の小胞に適用することができる。小胞は、ペイロードとも呼ばれる可溶性成分を含むことができる内部区画を包囲する細胞膜に類似した脂質二重層を有する球形構造を含む。いくつかの態様において、本発明の方法は、直径約40〜100nmの小さな分泌小胞であるエキソソームを使用する。種類および特徴の決定を含む膜小胞の考察に関しては、Thery et al., Nat Rev Immunol. 2009 Aug; 9(8):581-93を参照すること。様々な種類の小胞のいくつかの性質は表2におけるものを含む。

(1イ)「【0157】
また、結合物質は、ビーズまたはミクロスフェア等の粒子に結合させることもできる。例えば、小胞の成分に特異的な抗体は、粒子に結合させることができ、抗体が結合した粒子が、生体試料から小胞を単離するために使用される。幾つかの態様において、ミクロスフェアは、磁気または蛍光標識され得る。加えて、小胞を単離するための結合物質は、固体基体自体であり得る。例えば、アルデヒド/硫酸ビーズ(Interfacial Dynamics,Portland,OR)等のラテックスビーズを使用することができる。
【0158】
また、磁気ビーズに結合した結合物質を、小胞を単離するために使用することもできる。例えば、患者由来の血清等の生体試料を、結腸癌スクリーニングのために収集することができる。該試料は、磁気マイクロビーズに連結された抗CCSA-3(結腸癌固有の抗原)と共にインキュベートすることができる。低密度のマイクロカラムは、MACS分離器の磁場内に置くことができ、次いで、トリス緩衝食塩水等の緩衝液で該カラムを洗浄する。次いで、磁気免疫複合体をこのカラムに適用し、結合していない、非特異性の材料を廃棄することができる。CCSA-3選択小胞は、分離器からカラムを除去し、収集管上にそれを置くことによって回収することができる。緩衝液をカラムに添加することができ、カラムに提供されたプランジャーを使用することによって、磁気標識された小胞を放出することができる。単離された小胞は、IgG溶出緩衝液中で希釈することができ、次いで、複合体は、小胞からマイクロビーズを分離するために遠心分離することができる。」

(1ウ)「【0114】
試料取り扱い
本明細書に記載されるような循環バイオマーカーを検出する方法、たとえば抗体アフィニティー単離法とともに、必要に応じて様々な濃縮または単離手法を使用して結果の一貫性を最適化することができる。そのような工程は、振とうまたはボルテックスのようなかく拌、たとえばPEGを用いるポリマーベースの単離のような様々な単離技術およびろ過または他の工程におけるの様々なレベルまでの濃縮を含むことができる。当業者には、小胞含有試料を試験する様々な段階でそのような処理を適用することができることが理解されよう。一つの態様においては、試料そのもの、たとえば血漿または血清のような体液をボルテックスする。いくつかの態様においては、一つまたは複数の試料処理工程、たとえば小胞単離を実施したのち、試料をボルテックスする。かく拌は、所望により、いくつかまたはすべての適切な試料処理工程で実施することができる。プロセスを改善するために、たとえば関心のあるバイオマーカーの凝集または分解を抑制するために、様々な工程において添加物を導入することができる。
【0115】
また、所望により、試料を様々な剤で処理することにより、結果を最適化することもできる。そのような剤は、凝集を抑制するための添加物および/またはpHもしくはイオン強度を調節するための添加物を含む。凝集を抑制する添加物は、ブロッキング剤、たとえばウシ血清アルブミン(BSA)、ミルク、またはStabilGuard(登録商標)(BSA非含有ブロッキング剤;製品コードSG02、Surmodics, Eden Prairie, MN)、カオトロピック剤、たとえばグアニジウム塩酸塩、および洗浄剤または界面活性剤を含む。有用なイオン洗浄剤は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS))、ラウレス硫酸ナトリウム(SLS、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES))、ラウリル硫酸アンモニウム(ALS)、臭化セトリモニウム、塩化セトリモニウム、ステアリン酸セトリモニウムなどを含む。有用な非イオン(両性イオン)洗浄剤は、ポリオキシエチレングリコール類、ポリソルベート20(Tween 20とも知られる)、他のポリソルベート(たとえば40、60、65、80など)、Triton-X(たとえばX100、X114)、3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート(CHAPS)、CHAPSO、デオキシコール酸、デオキシコール酸ナトリウム、NP-40、グリコシド類、オクチルチオグルコシド類、マルトシド類などを含む。いくつかの態様においては、血小板凝集を減らすことが示されている界面活性剤Pluronic F-68を使用して、単離および/または検出中、小胞を含有する試料を処理する。F68は、0.1%〜10%の濃度、たとえば1%、2.5%または5%の濃度で使用することができる。溶液のpHおよび/またはイオン強度は、塩化ナトリウム(NaCl)、リン酸緩衝食塩水(PBS)、トリス緩衝食塩水(TBS)、リン酸ナトリウム、塩化カリウム、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウムおよび食塩水・クエン酸ナトリウム(SSC)緩衝液をはじめとする様々な酸、塩基、緩衝液または塩によって調節することができる。いくつかの態様においては、NaClが0.1%〜10%、たとえば1%、2.5%または5%の最終濃度で加えられる。いくつかの態様においては、Tween 20が0.005〜2%、たとえば0.05%、0.25%または0.5%の最終濃度で加えられる。本発明と共に使用するためのブロッキング剤は、不活性タンパク質、たとえば乳タンパク質、無脂肪粉乳タンパク質、アルブミン、BSA、カゼインまたは血清、たとえば新生仔ウシ血清(NBCS)、ヤギ血清、ウサギ血清またはサケ血清を含む。これらのタンパク質は、0.1%〜10%の濃度、たとえば1%、2%、3%、3.5%、4%、5%、6%、7%、8%、9%または10%の濃度で加えることができる。いくつかの態様においては、BSAが0.1%〜10%の濃度、たとえば1%、2%、3%、3.5%、4%、5%、6%、7%、8%、9%または10%の濃度で加えられる。ある態様において、試料は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる2005年7月13日出願の米国特許出願11/632946に提示されている方法にしたがって処理される。市販のブロッキング剤、たとえばPierce(Thermo Fisher Scie.jpgicの一部門、Rockford, IL)からのSuperBlock、StartingBlock、Protein-Freeが使用される場合もある。いくつかの態様においては、SSC/洗浄剤(たとえば0.5%Tween 20または0.1% Triton-X 100を含む20×SSC)が0.1%〜10%の濃度、たとえば1.0%または5.0%の濃度で加えられる。」

(2)甲1に記載された発明について
ア 記載事項の整理
(ア)摘記(1ア)の「小胞が生物学的試料中に存在」することから、摘記(1イ)において「小胞」は「患者由来の血清等の生体試料」に存在しているといえる。そして、摘記(1ア)から「小胞は」「脂質二重層を有する球形構造を含む」ものである。

(イ)摘記(1イ)の「小胞の成分に特異的な抗体」「が結合した粒子」の具体的なものは、「抗CCSA-3」が「連結した」「磁気マイクロビーズ」であるから、「小胞の成分に特異的な抗体」である「抗CCSA-3」が「連結した」「磁気マイクロビーズ」が記載されている。

イ 甲1発明
上記アを踏まえると、甲1(特に下線部参照)には、以下の発明が記載されている。
「脂質二重層を有する球形構造を含む小胞を分離する方法であって、
小胞が存在する患者由来の血清等の生体試料を、小胞の成分に特異的な抗体である抗CCSA-3(結腸癌固有の抗原)が連結した磁気マイクロビーズと共にインキュベートし、
マイクロカラムを、MACS分離器の磁場内に置き、次いで、トリス緩衝食塩水等の緩衝液で該カラムを洗浄し、結合していない、非特異性の材料を廃棄し、
緩衝液をカラムに添加し、カラムに提供されたプランジャーを使用することによって、磁気標識された小胞を放出し、単離された小胞は、IgG溶出緩衝液中で希釈することができ、次いで、複合体は、小胞からマイクロビーズを分離するために遠心分離する、
方法。」(以下「甲1発明」という。)

3 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
ア 甲1発明の「脂質二重層を有する球形構造を含む小胞」「が存在する患者由来の血清等の生体試料」は、本件発明1の「脂質二重膜を有する小胞を含む生体試料」に相当する。

イ 甲1発明の「小胞の成分に特異的な抗体である抗CCSA-3(結腸癌固有の抗原)」は、小胞の表面に存在する結腸癌固有の抗原を認識する抗体であるといえることから、本件発明1の「小胞の表面に存在する表面抗原を認識するリガンド」に相当する。
そうすると、甲1発明の「小胞の成分に特異的な抗体である抗CCSA-3(結腸癌固有の抗原)が連結した磁気マイクロビーズ」は、本件発明1の「小胞の表面に存在する表面抗原を認識するリガンドが結合した固相担体」に相当する。

ウ 上記ア及びイを踏まえると、甲1発明の「小胞が存在する患者由来の血清等の生体試料を、小胞の成分に特異的な抗体である抗CCSA-3(結腸癌固有の抗原)が連結した磁気マイクロビーズと共にインキュベート」する工程は、本件発明1の「脂質二重膜を有する小胞を含む生体試料と、前記小胞の表面に存在する表面抗原を認識するリガンドが結合した固相担体とを接触させ、前記小胞と前記固相担体との複合体を形成させる複合体形成工程」に相当する。

エ 甲1発明の「トリス緩衝食塩水等の緩衝液で該カラムを洗浄し、結合していない、非特異性の材料を廃棄」する工程は、本件発明1の「前記複合体を洗浄する洗浄工程」に相当する。

オ 甲1発明の「脂質二重層を有する球形構造を含む小胞を分離する方法」は、本件発明1の「脂質二重膜を有する小胞の分離方法」に相当する。

カ そうすると、本件発明1と甲1発明とは、
(一致点)
「脂質二重膜を有する小胞を含む生体試料と、前記小胞の表面に存在する表面抗原を認識するリガンドが結合した固相担体とを接触させ、前記小胞と前記固相担体との複合体を形成させる複合体形成工程と、
前記複合体を洗浄する洗浄工程を含む、
脂質二重膜を有する小胞の分離方法。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点)
複合体形成工程を、本件発明1では「塩濃度0.2〜2Mの環境下で行う」のに対し、甲1発明では、どのような環境下で行うのか不明である点。

(2)判断
甲1には、本件発明1の「複合体形成工程」に相当する「小胞が存在する患者由来の血清等の生体試料を、小胞の成分に特異的な抗体・・・が連結した磁気マイクロビーズと共にインキュベート」する工程を、塩濃度が「0.2〜2M」を満たす環境下で行うことが記載も示唆もされていない。
そして、本件発明1は、「複合体形成工程を、塩濃度0.2〜2Mの環境下で行う」ことにより、本件特許明細書等の【0009】に「反応液中の塩濃度0.15〜2Mの環境下で行うことにより、固相担体への非特異吸着を低減でき、脂質二重膜を有する小胞を選択的かつ効率よく分離できることを見出し、本発明を完成した。」、【0044】に「反応液の塩濃度が0.15M未満の場合及び2Mよりも高い場合には、非特異吸着の増大や捕捉反応の反応性の低下が生じる場合があり、また、小胞内外の浸透圧差によって、小胞が破壊される場合もある。」と記載されているとおり、甲1の記載からは予期し得ない効果を奏するものである。
よって、本件発明1は、甲1発明でもなく、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものでもない。

(3)特許異議申立書における申立人の主張
ア 申立人は、特許異議申立書において、上記摘記(1ウ)の下線部の記載から、
「このように、甲第1号証には、抗体アフィニティー単離法(複合体形成工程)において、生物学的試料を最終濃度が0.1%〜10%、たとえば1%、2.5%又は5%となるようにNaClを添加した状態で処理することが開示されているのである。
ここで1%、2.5%、又は5%のNaCl濃度をモル濃度に換算すると、NaClの分子量は58.44g/molであり、1%NaCl水溶液は1000gの溶液中には10g(=1000g×1%)のNaClが存在するから、水990g(1000−10g)中にNaClが0.17mol(=10/58.44)存在し、モル濃度は0.17mol/L(=0.17mol/0.99L)となる(ただし、溶解による体積増量は含まない。以下同じ)。同様に、2.5%NaCl水溶液のモル濃度は0.44mol/L・・・となり、5%NaCl水溶液のモル濃度は0.90mol/L・・・となる。
つまり、甲第1号証には、抗体アフィニティー単離法(複合体形成工程)において、生物学的試料を最終濃度が0.17mol/L、0.44mol/L、0.90mol/Lのモル濃度となるようにNaClを添加した状態で処理することが開示されているのである。」(24頁下から4行目〜25頁13行)
「仮に甲1発明の構成cが複合体形成工程であることが明示されていない点で相違するとしても、・・・、抗体アフィニティー単離法(複合体形成工程)において結果の一貫性を最適化するために、溶液のpHおよび/またはイオン強度を調節するNaClを2.5%又は5%の最終濃度(すなわち、0.44mol又は0.90mol/Lのモル濃度)で加えることは当業者にとって容易に想到し得る事項に過ぎない。」と主張している。

イ 当審の上記主張に対する判断
(ア)申立人は、上記摘記(1ウ)の「抗体アフィニティー単離法」及び「いくつかの態様においては、NaClが0.1%〜10%、たとえば1%、2.5%または5%の最終濃度で加えられる。」との記載から、NaClの濃度をモル濃度に換算したうえで、「抗体アフィニティー単離法(複合体形成工程)において、生物学的試料を最終濃度が0.17mol/L、0.44mol/L、0.90mol/Lのモル濃度となるようにNaClを添加した状態で処理することが開示されているのである」と結論づけている。
しかし、「抗体アフィニティー単離法」は、生体試料(溶液)を用意する工程、生体試料と固相担体(磁気粒子)とを反応させる工程(複合体形成工程)、複合体を洗浄する洗浄工程、複合体を(磁気的に)分離する工程、さらには、固相担体から小胞を解離させる工程(解離工程)等の工程が総合されて「抗体アフィニティー単離法」と称されるものであり、「抗体アフィニティー単離法」との記載があるからといって、それが「複合体形成工程」のみを指すものとはいえない。

(イ)そして、上記摘記(1ウ)を再掲すると、
「・・・、たとえば抗体アフィニティー単離法とともに、必要に応じて様々な濃縮または単離手法を使用して結果の一貫性を最適化することができる。・・・当業者には、小胞含有試料を試験する様々な段階でそのような処理を適用することができることが理解されよう。・・・いくつかの態様においては、一つまたは複数の試料処理工程、たとえば小胞単離を実施したのち、試料をボルテックスする。・・・プロセスを改善するために、たとえば関心のあるバイオマーカーの凝集または分解を抑制するために、様々な工程において添加物を導入することができる。
また、所望により、試料を様々な剤で処理することにより、結果を最適化することもできる。そのような剤は、凝集を抑制するための添加物および/またはpHもしくはイオン強度を調節するための添加物を含む。凝集を抑制する添加物は、ブロッキング剤、たとえばウシ血清アルブミン(BSA)、ミルク、またはStabilGuard(登録商標)(BSA非含有ブロッキング剤;製品コードSG02、Surmodics, Eden Prairie, MN)、カオトロピック剤、たとえばグアニジウム塩酸塩、および洗浄剤または界面活性剤を含む。有用なイオン洗浄剤は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS))、ラウレス硫酸ナトリウム(SLS、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES))、ラウリル硫酸アンモニウム(ALS)、臭化セトリモニウム、塩化セトリモニウム、ステアリン酸セトリモニウムなどを含む。有用な非イオン(両性イオン)洗浄剤は、ポリオキシエチレングリコール類、ポリソルベート20(Tween 20とも知られる)、他のポリソルベート(たとえば40、60、65、80など)、Triton-X(たとえばX100、X114)、3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート(CHAPS)、CHAPSO、デオキシコール酸、デオキシコール酸ナトリウム、NP-40、グリコシド類、オクチルチオグルコシド類、マルトシド類などを含む。いくつかの態様においては、血小板凝集を減らすことが示されている界面活性剤Pluronic F-68を使用して、単離および/または検出中、小胞を含有する試料を処理する。F68は、0.1%〜10%の濃度、たとえば1%、2.5%または5%の濃度で使用することができる。溶液のpHおよび/またはイオン強度は、塩化ナトリウム(NaCl)、リン酸緩衝食塩水(PBS)、トリス緩衝食塩水(TBS)、リン酸ナトリウム、塩化カリウム、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウムおよび食塩水・クエン酸ナトリウム(SSC)緩衝液をはじめとする様々な酸、塩基、緩衝液または塩によって調節することができる。いくつかの態様においては、NaClが0.1%〜10%、たとえば1%、2.5%または5%の最終濃度で加えられる。いくつかの態様においては、Tween 20が0.005〜2%、たとえば0.05%、0.25%または0.5%の最終濃度で加えられる。本発明と共に使用するためのブロッキング剤は、不活性タンパク質、たとえば乳タンパク質、無脂肪粉乳タンパク質、アルブミン、BSA、カゼインまたは血清、たとえば新生仔ウシ血清(NBCS)、ヤギ血清、ウサギ血清またはサケ血清を含む。これらのタンパク質は、0.1%〜10%の濃度、たとえば1%、2%、3%、3.5%、4%、5%、6%、7%、8%、9%または10%の濃度で加えることができる。いくつかの態様においては、BSAが0.1%〜10%の濃度、たとえば1%、2%、3%、3.5%、4%、5%、6%、7%、8%、9%または10%の濃度で加えられる。」と記載されており、
「複合体形成工程」において「NaClが0.1%〜10%、たとえば1%、2.5%または5%の最終濃度で加えられる」と解するだけの根拠は記載されていない。

(ウ)加えて、申立人は「NaCl」だけの濃度に着目しているが、本件発明における「塩濃度」は、本件特許明細書等の【0042】及び【0043】に記載されているとおり、NaClだけでなく、他の塩も同時に含み得るものであり、さらに、甲1においても、上記摘記(1ウ)に記載されているとおり、凝集を抑制するための添加物、pHもしくはイオン強度を調節するための添加物等、NaCl以外に様々な剤が添加されるものである。
そうすると、塩を形成する様々な剤すべての合計の濃度が、本件発明の「塩濃度0.2〜2M」を満たすかどうか検討するべきであり、「NaCl」のみに着目して、その濃度「0.2〜2M」を満たすからといって、本件発明の「塩濃度0.2〜2M」を満たしているとは限らない。
--
(エ)そして、甲1には、非特異吸着の増大や捕捉反応の反応性の低下が生じることなく、脂質二重膜を有する小胞を選択的かつ効率よく分離するために、かつ、小胞内外の浸透圧差によって小胞が破壊されないようにするために、塩濃度を調整することが記載されていないのであるから、甲1発明の「小胞が存在する患者由来の血清等の生体試料を、小胞の成分に特異的な抗体である抗CCSA-3(結腸癌固有の抗原)が連結した磁気マイクロビーズと共にインキュベート」する際に、添加物(塩)を「塩濃度0.2〜2M」で加える動機はない。

(オ)よって、申立人の特許異議申立書における主張を採用して、本件発明1は、甲1発明である、あるいは、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであると判断することができない。

(4)小括
よって、本件発明1は、甲1発明でもなく、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものでもない。

4 本件発明26、27及び30について
(1)本件発明26は、「前記複合体形成工程を塩濃度0.2〜2Mの環境下で行う」ことが特定されている発明であることから、本件発明1と同様に、甲1発明でもなく、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものでもない。

(2)本件発明27は、「前記小胞と前記不溶性担体との複合体を塩濃度0.2〜2Mの環境下で形成させる」ことが特定されている発明であることから、本件発明1と同様に、甲1発明でもなく、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものでもない。

(3)本件発明30は、「前記小胞と前記不溶性担体との複合体を塩濃度0.2〜2Mの環境下で形成させ」ることがが特定されている発明であることから、本件発明1と同様に、甲1発明でもなく、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものでもない。

5 まとめ
以上のことから、本件発明1及びそれを引用する本件発明2〜25、本件発明26、本件発明27及びそれを引用する本件発明28〜29、並びに本件発明30は、甲1発明でもなく、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものでもない。
よって、本件発明1〜30に係る特許は、特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反してされたものではないから、申立理由によって取り消すことはできない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、請求項1〜30に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された申立理由によっては、取り消すことができない。
また、他に請求項1〜30に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂質二重膜を有する小胞を含む生体試料と、前記小胞の表面に存在する表面抗原を認識するリガンドが結合した固相担体とを接触させ、前記小胞と前記固相担体との複合体を形成させる複合体形成工程と、
前記複合体を洗浄する洗浄工程を含み、
前記複合体形成工程を、塩濃度0.2〜2Mの環境下で行うことを特徴とする、
脂質二重膜を有する小胞の分離方法。
【請求項2】
前記生体試料が、体液又は細胞培養上清である、請求項1に記載の分離方法。
【請求項3】
前記生体試料が、体液である、請求項1又は2に記載の分離方法。
【請求項4】
前記複合体形成工程に用いられる複合体形成反応液が、無機塩を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の分離方法。
【請求項5】
前記無機塩が、アルカリ金属ハロゲン化物である、請求項4に記載の分離方法。
【請求項6】
前記塩濃度が、0.25〜2Mである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の分離方法。
【請求項7】
前記塩濃度が、0.25〜1Mである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の分離方法。
【請求項8】
前記塩濃度が、無機塩の濃度である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の分離方法。
【請求項9】
前記塩濃度が、アルカリ金属ハロゲン化物の濃度である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の分離方法。
【請求項10】
前記塩濃度が、塩化ナトリウム及び塩化カリウムから選ばれる1種以上の濃度である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の分離方法。
【請求項11】
前記塩濃度が、塩化ナトリウムの濃度である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の分離方法。
【請求項12】
前記複合体形成工程を、塩化ナトリウム濃度0.25〜2Mの環境下で行う、請求項1〜3のいずれか1項に記載の分離方法。
【請求項13】
前記複合体形成工程を、塩化ナトリウム濃度0.25〜1Mの環境下で行う、請求項1〜3のいずれか1項に記載の分離方法。
【請求項14】
前記複合体形成工程における複合体形成反応の反応温度が、2〜42℃の範囲内である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の分離方法。
【請求項15】
前記リガンドが、小胞の表面に存在する表面抗原を認識する抗体である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の分離方法。
【請求項16】
前記小胞か、エクソソームである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の分離方法。
【請求項17】
前記固相担体が、磁性粒子である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の分離方法。
【請求項18】
前記洗浄工程が、前記磁性粒子を磁力により集めて磁性粒子と液相とを分離する集磁工程、及び該集磁工程で分離された磁性粒子を洗浄液中に分散させる分散工程を含む、請求項17に記載の分離方法。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか1項に記載の分離方法の後に、
さらに小胞中の核酸を検出する核酸検出工程を含むことを特徴とする、
小胞中の核酸の検出方法。
【請求項20】
請求項1〜18のいずれか1項に記載の分離方法の後に、
さらに小胞の内側及び表面の少なくとも一方に存在するタンパク質を検出するタンパク質検出工程を含むことを特徴とする、
小胞由来のタンパク質の検出方法。
【請求項21】
請求項1〜18のいずれか1項に記載の分離方法の後に、
さらに前記複合体を形成した小胞由来のシグナル強度を測定するシグナル測定工程を含むことを特徴とする、
小胞由来のシグナル測定方法。
【請求項22】
被検者が疾患を発症しているか否かを判定するための方法であって、
被検者由来の生体試料を用いて、請求項21に記載のシグナル測定方法により前記複合体を形成した小胞由来のシグナル強度を測定する工程を含むことを特徴とする、
疾患の判定方法。
【請求項23】
疾患治療薬の薬効評価方法であって、
疾患治療薬の投与前及び投与後の被検者由来の生体試料を用いて、請求項21に記載のシグナル測定方法により、前記複合体を形成した小胞由来のシグナル強度を測定する工程を含むことを特徴とする、
疾患治療薬の薬効評価方法。
【請求項24】
請求項1〜18のいずれか1項に記載の分離方法に使用するためのキットであって、
脂質二重膜を有する小胞の表面に存在する表面抗原を認識するリガンドが結合した固相担体と、
無機塩又は有機塩を含み該無機塩又は有機塩の含有量が、0.3M以上の塩濃度を有する液状組成物を備えることを特徴とする、
キット。
【請求項25】
疾患の判定用又は疾患治療薬の薬効評価用である、請求項24に記載のキット。
【請求項26】
脂質二重膜を有する小胞を含む生体試料と、前記小胞の表面に存在する表面抗原を認識するリガンドが結合した固相担体とを接触させ、前記小胞と前記固相担体との複合体を形成させる複合体形成工程と、前記複合体を洗浄する洗浄工程とを含み、前記複合体形成工程を塩濃度0.2〜2Mの環境下で行う、脂質二重膜を有する小胞の分離方法に使用される、前記複合体形成工程に添加するための液状組成物であって、
0.3M以上の塩濃度を有することを特徴とする、
液状組成物。
【請求項27】
不溶性担体を用いて脂質二重膜を有する小胞を含む生体試料から脂質二重膜を有する小胞を分離する方法に使用される、前記小胞と前記不溶性担体との複合体を塩濃度0.2〜2Mの環境下で形成させるための検体希釈液であって、
0.3M以上の塩濃度を有することを特徴とする、
検体希釈液。
【請求項28】
無機塩を含有する、請求項27に記載の検体希釈液。
【請求項29】
前記無機塩が、アルカリ金属ハロゲン化物である、請求項28に記載の検体希釈液。
【請求項30】
不溶性担体を用いて脂質二重膜を有する小胞を含む生体試料から脂質二重膜を有する小胞を分離する方法であって、
前記小胞と前記不溶性担体との複合体を塩濃度0.2〜2Mの環境下で形成させ、且つ0.3M以上の塩濃度を有する検体希釈液を用いることを特徴とする、
脂質二重膜を有する小胞の分離方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照
異議決定日 2021-10-27 
出願番号 P2017-519425
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (G01N)
P 1 651・ 537- YAA (G01N)
P 1 651・ 121- YAA (G01N)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 福島 浩司
特許庁審判官 三崎 仁
渡戸 正義
登録日 2020-10-12 
登録番号 6777629
権利者 JSRライフサイエンス株式会社 JSR株式会社
発明の名称 分離方法、検出方法、シグナル測定方法、疾患の判定方法、薬効評価方法、キット、液状組成物及び検体希釈液  
代理人 特許業務法人アルガ特許事務所  
代理人 特許業務法人アルガ特許事務所  
代理人 特許業務法人アルガ特許事務所  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ