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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  B21B
管理番号 1382389
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-03-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-05-29 
確定日 2022-02-07 
異議申立件数
事件の表示 特許第6813694号発明「金属製品を案内する装置及び方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6813694号の請求項1−2に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6813694号の請求項1−9に係る特許についての出願は、2018年(平成30年)4月27日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2017年5月4日 (IT)イタリア共和国)を国際出願日とする出願であって、令和2年12月21日にその特許権の設定登録がされ、令和3年1月13日に特許掲載公報が発行された。
その後、その特許のうち請求項1−2に係る特許に対し、令和3年5月29日に特許異議申立人寿産業株式会社(以下、「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。
これに対して、当審は、令和3年10月21日付けで期間を指定して申立人に審尋を行い、申立人は令和3年11月1日に回答書を提出した。

第2 本件発明
特許第6813694号の請求項1−9の特許に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1−9に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、そのうち特許異議の申立てがされた請求項1−2の特許に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」及び「本件発明2」という。)は次のとおりのものである。

「【請求項1】
金属製品を案内する装置であって、
支持体(11)と、
前記支持体(11)に関連付けられた複数の支持アーム(12)と、
複数のガイドロール(13)であって、前記支持アーム(12)に非駆動式に回転するように設置され、且つ、複数のガイドロール(13)の間に金属製品のためのローラガイドギャップ(14)を画定する複数のガイドロール(13)と、を備える装置において、
それぞれの調整デバイス(24)が、各支持アーム(12)に関連付けられ、且つ、他の調整デバイス(24)から独立して、前記ガイドロール(13)の各々の位置を調整するように構成されることと、
前記装置が、検出デバイス(19)であって、各々が前記支持アーム(12)のうちの1つに関連付けられ、且つ、金属製品によって前記複数のガイドロール(13)の各々に引き起こされる応力を検出するように構成された検出デバイス(19)を備えることと、
各調整デバイス(24)が、前記ガイドロール(13)の各々の位置を調整するために電気回転モータ及び電気リニアアクチュエータから選択されたそれ自体の駆動部材(27)を備えることと、
前記装置が、前記検出デバイス(19)に且つ前記駆動部材(27)に接続され、前記検出デバイス(19)によって検出されるデータに応じて前記駆動部材(27)の各々の駆動を命令するように構成された制御及び指令ユニット(29)を備えることとを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記検出デバイス(19)が、前記支持アーム(12)と前記調整デバイス(24)との間にある位置に設置されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。」

第3 申立理由の概要
1 特許異議の申立ての理由
申立人は、甲第1号証−甲第10号証(以下、甲第1号証を「甲1」といい、甲第2号証−甲第10号証を、それぞれ同様に「甲2」−「甲10」という。)を提出し、以下の取消理由1−3により、本件特許1、2は取り消されるべき旨主張している。
なお、取消理由の認定にあたっては、令和3年10月21日付け審尋に対する同年11月1日提出の回答書を考慮した。
取消理由1:主たる証拠を甲1、従たる証拠を甲2−10とする本件発明1、2の進歩性欠如
取消理由2:主たる証拠を甲2、従たる証拠を甲1,3−10とする本件発明1、2の進歩性欠如
取消理由3:主たる証拠を甲3、従たる証拠を甲1−2,4−10とする本件発明1、2の進歩性欠如

2 証拠
甲1:特開2004−90019号公報
甲2:特開平10−180336号公報
甲3:特開2006−247711号公報
甲4:実願平4−17153号(実開平5−70707号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を記録したCD−ROM(平成5年9月24日特許庁発行)
甲5:実願昭61−79660号(実開昭62−193907号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム(昭和62年12月9日特許庁発行)
甲6:米国特許第4790164号明細書
甲7:特開平6−15334号公報
甲8:特開2014−193470号公報
甲9:特開平7−155820号公報
甲10:特開2009−280357号公報

第4 各甲号証(甲1−甲3)の記載
甲1−3には以下の記載がある(下線は当審で付与した。)。
1 甲1の記載事項
(1)特許請求の範囲
「【請求項1】
圧延機に圧延材を誘導するローラーガイド装置であって、
ガイドボックス(1)と複数のローラーホルダー(2)とこのローラーホルダーの中心振分調整手段(3)とを備え、
各々の上記ローラーホルダー(2)は、上記ガイドボックス(1)に支持軸(23)によって回転可能に設けてあり、
各々の上記ローラーホルダー(2)の一端には、ガイドローラー(21)が回転自在に設けてあり、
各々の上記ローラーホルダー(2)には、上記圧延材のパスライン(5)から離反する方向に力を付与するバネ(24)が設けてあり、
上記中心振分調整手段(3)は、上記ガイドボックス(1)に形成したねじ部(1a)と螺合しつつ回転して上記パスライン(5)方向に前後移動可能な芯間調整部材(31)と、この芯間調整部材を回転させる回転駆動手段(4)と、この芯間調整部材の一側面に摺動可能に当接する耐摩耗プレート(32)と、上記ローラーホルダー(2)の他端に設けたプレッシャースクリュー(33)とを有し、
上記耐摩耗プレート(32)は、上記パスライン(5)方向には前後移動可能ではあるが、このパスラインの周囲方向には回転不能となるように上記ガイドボックス(1)に連設してあり、
上記プレッシャースクリュー(33)の頭部(33a)は、上記バネ(24)によって上記耐摩耗プレート(32)の一側面に押圧されており、
上記回転駆動手段(4)の回転により上記芯間調整部材(31)とこの芯間調整部材に摺動可能に当接する上記耐摩耗プレート(32)とが上記パスライン(5)方向に移動し、この耐摩耗プレートの一側面に押圧されている上記プレッシャースクリュー(33)を介して上記ローラーホルダー(2)のガイドローラー(21)を上記パスライン(5)を中心とする半径方向に移動させる
ことを特徴とするローラーガイド装置。
・・・・・」
(2)明細書
「【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、圧延機に圧延材を誘導するローラーガイド装置に関し、特に圧延材の断面サイズに合わせてガイドローラーの間隔を調整可能なローラーガイド装置に関する。
・・・・・
【0009】
そこで本発明の目的は、ローラーホルダーの他端に設けたプレッシャースクリューの頭部と、芯間調整ナットとの間の摩耗を防止することにより、圧延機に対して常に圧延材を正確に案内することが可能なローラーガイド装置を提供することにある。
・・・・・
【0024】
・・・・・したがって、異なるサイズの圧延材を誘導するときには、そのサイズに合うようにガイドローラーの芯間調整を行う必要があるが、その場合には、そのサイズ、すなわち芯間距離の相違差に比例させて、芯間調整部材の前後移動量を調整すれば足りるので、芯間調整を容易かつ正確に行うことができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
図1に示すローラーガイド装置は、ガイドボックス1(図1の右上に符号を示す。)と、3個のローラーホルダー2(符号1の下に符号を示す。)と、このローラーホルダーの中心振分調整手段3(図1の左上に符号を示す。)とを備えている。各々のローラーホルダー2は、ガイドボックス1に、支持軸23によって回転可能に設けてある。各々のローラーホルダー2の一端には、ガイドローラー21が、回転軸22によって回転自在に支持されている。各々のローラーホルダー2は、圧延材のパスライン5を中心として、それぞれ120度の円周方向間隔をおいて配置してある。そして各々のローラーホルダー2には、支持軸23とガイドローラー21との間で、このガイドローラーを圧延材のパスライン5から離反させる方向に押し上げる弦巻状のバネ24が連結してある。
【0026】
中心振分調整手段3は、ガイドボックス1に形成した雌ねじ1aと螺合しつつ回転して、圧延材のパスライン5の方向に前後移動可能な芯間調整部材31と、この芯間調整部材を回転させる回転駆動手段4と、この芯間調整部材の一側面に摺動可能に当接する円盤状の耐摩耗プレート32と、ローラーホルダー2の他端に形成した雌ねじ26に螺合したプレッシャースクリュー33とを有している。なお、プレッシャースクリュー33は、ナット35によって、所定のねじ込み深さ位置においてロックされる。また、芯間調整部材31と耐摩耗プレート32との当接面は、芯間調整の際に円周方向に相互摺動回転が容易となるように、表面が仕上げ加工されている。
・・・・・
【0029】
したがって芯間調整の際には、外部から駆動軸41を回転させて、芯間調整部材31を回転させると、この芯間調整部材が、ガイドボックス1に形成した雌ねじ1aと螺合しつつ回転して、圧延材のパスライン5の方向に前後移動する。そして、芯間調整部材31の一側面に当接する耐摩耗プレート32は、ガイドボックス1に形成した突起部1bにより回転が拘束されるため、この芯間調整部材と円周方向に摺動しつつ、圧延材のパスライン5方向にのみ前後移動する。
【0030】
そして耐摩耗プレート32がパスライン5方向に前後移動すると、この耐摩耗プレートの一側面に、プレッシャースクリュー33を介して、バネ24の力で押圧されているローラーホルダー2の他端が、前後移動する。したがってローラーホルダー2は、支持軸23を中心として回転し、ガイドローラー21の芯間距離を増減させる。なお、ローラーホルダー2の他端に螺合した、プレッシャースクリュー33を回転調節することにより、それぞれのガイドローラー21の芯間距離を、個別に増減調整することができる。
【0031】
したがって芯間調整の際には、耐摩耗プレート32は回転しないので、プレッシャースクリュー33の頭部33aとの摺動摩耗は生じない。また上述したように、芯間調整部材31と耐摩耗プレート32とは、回転摺動するが、単位面積当たりの押圧が、極めて小さくなるために、両者の摺動摩耗も生じない。」
(3)図面
「【図1】



(4)上記(1)−(3)の記載事項を整理すると甲1には以下の技術的事項が記載されているものと認められる。
ア 上記【請求項1】、段落【0001】の記載からみて、甲1には、圧延材を誘導するローラーガイド装置について記載されている。
イ 甲1記載のローラーガイド装置は、上記【請求項1】、段落【0025】、図1の記載からみて、3個のローラーホルダー2を備え、各々のローラーホルダー2は、ガイドボックス1に、回転可能に設けてあること、及び各々のローラーホルダー2の一端には、ガイドローラー21が、回転自在に支持されていることが認められる。
ウ また、甲1記載のガイドローラー装置は、段落【0001】、【0024】、【0029】−【0030】の記載からみて、圧延材の断面サイズに合わせて、3個のガイドローラー21の間隔を、ガイドローラー21の芯間距離を増減させて調整することができることが認められる。

(5)甲1発明
したがって、甲1には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が、記載されている
「圧延材を誘導するローラーガイド装置であって、
ガイドボックス1と、
ガイドボックス1に回転可能に設けてある3個のローラーホルダー2と、
3個のガイドローラー21であって、前記ローラーホルダー2に回転自在に支持され、且つ、3個のガイドローラー21の間で圧延材の断面サイズに合わせて芯間距離の増減調整を行う3個のガイドローラー21と、を備えるローラーガイド装置。」

2 甲2の記載事項
(1)特許請求の範囲
「【請求項1】 3ロール圧延機の入口又は出口に設けて圧延材を案内するローラーガイドにおいて、
雄ねじを設けてあるガイドボックスと、
このガイドボックスに後端部側を支点ピンで揺動可能に設けてある3個のローラーホルダーと、
上記ローラーホルダーの先端部側にローラーピンで回転自在に軸支してあるガイドローラーと、
上記ローラーホルダーの後端部側に設けてあるプレッシャスクリューと、
外周にウォームギアを設けてあり、上記ガイドボックスの雄ねじに雌ねじで噛合しておりかつ上記プレッシャスクリューに当接する芯間調整ナットと、
上記ガイドボックスに回転可能に軸支してあり、上記芯間調整ナットのウォームギアに噛合している芯間調整用のピニオンと、
軸先端部を上記支点ピンと上記ローラーピンとの間で上記ローラーホルダーに取付けてあり、軸後端部を上記ガイドボックスにバネを介して移動可能に保持してあり、上記バネのバネ力によって上記プレッシャスクリューを芯間調整ナットに当接させるための引張軸と、
上記ガイドボックスの内部に着脱可能に固定してあるエントリーガイドとを具備していることを特徴とする3ローラーガイド。
・・・・・」
(2)明細書
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガイドローラーの間隔調整を圧延サイズの変更に合わせて容易に行える3ローラーガイドに関する。
・・・・・
【0003】
【発明が解決しようとする課題】・・・・・一方、近年では多品種少量生産を効率よく行うために、圧延サイズ変更に伴う圧延ロールの隙間調整と同時に、ローラーガイドの間隔調整も行う必要があることは周知の通りであり、この従来例では圧延サイズ変更に伴う僅かな時間に3個のガイドローラーの間隔を正確に新たな寸法に合わせて調整するのが困難な問題点があった。また、大きな圧延サイズの変更は、圧延ロール列単位で3ロール圧延機と3ローラーガイドを同時に交換して対応するため大きな範囲で間隔調整する必要がなく、精密圧延を行うためにも3ローラーガイドのガイドローラーの間隔調整範囲は小さな範囲内で精密に間隔調整可能なことが要求されている。本発明の目的は、ガイドローラーの間隔を短時間に調整すると共に、圧延サイズ変更に伴なって行われるガイドローラーの間隔調整を短時間に正確に調整可能にし、ガイドローラーの間隔を微調整可能にすることである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明では、3ローラーガイドのガイドローラーの間隔を3個同時に調整可能としており、そして圧延サイズの僅かな変更に対応可能なように、3個のガイドローラーの間隔を中心振分で微調整可能にしているものである。・・・・・
・・・・・
【0006】
【発明の実施の形態】3ロール圧延機のハウジング(図示せず)にはガイドボックス1を着脱可能に設けてある。ガイドボックス1の後端側(図1左側)の外周に雄ねじ1aを設けてある。そしてガイドボックス1にはローラーホルダー2をその後端部側の支点ピン3で揺動可能に軸支してある。ローラーホルダー2の先端部側(図1右側)にガイドローラー4をローラーピン5で回転自在に軸支してある。ローラホルダー2の後端部側にはプレッシャスクリュー6をネジで固定してある。ローラーホルダー2の支点ピン3とガイドローラー4のローラーピン5との間には引張軸7を配置してあり、この引張軸の軸先端部がローラーホルダーにネジ結合されており、軸後端部は引張バネ8を介してガイドボックス1に移動可能に支持されている。ローラーホルダー2は、引張バネ8により常にガイドローラー4の間隔が広がる方向に引張されているため、ローラーホルダーは後端部側に設けてあるプレッシャスクリュー6を介して常に芯間調整ナット9の側面に当接されている。芯間調整ナット9は、ガイドボックス1の雄ねじ1aに雌ねじ9aで噛合して回転可能に設けられている。この芯間調整ナットの外周部にウォームギア9bを設けてあり、このウォームギアにガイドボックス1に回転可能に軸支してある芯間調整用のピニオン10が噛合している。ガイドボックス1の内部には圧延材をガイドローラー4に補助誘導するためのエントリーガイド13が挿入されている。図1鎖線で示す3ロール圧延機の圧延ロールRは、ガイドローラー4を近接して配置されている。
【0007】次に、ガイドローラーの間隔調整方法について説明する。圧延サイズの変更に伴いガイドローラー4の間隔を調整するには、ピニオン10を回転させれば良く、ピニオンの回転方向に応じて芯間調整ナット9が左右(図2の右回り、左回り)に回転しながらガイドボックス1の雄ねじ1aに雌ねじ9aで噛合しながら前後(図1の左右方向)に移動する。3個のローラーホルダー2はプレッシャスクリュー6を介して芯間調整ナット9に常に当接しているので、芯間調整ナットが前方向(図1の左側から右側)に移動すると、ローラーホルダーはガイドローラー4の間隔が狭まる方向に調整され、逆に芯間調整ナットが後方向(図1の右側から左側)に移動すると、ローラーホルダーはガイドローラーの間隔が広がる方向に調整される。この調整時において、3個のガイドローラー4の相互の間隔の調整が同時に行われる。芯間調整ナット9の移動量に応じて微調整が可能となる。
【0008】
・・・・・また、図1に示すように3ロール圧延機のガイド取付スペースは狭いから、圧延サイズ換えに伴ってガイドローラー4の間隔をオンラインで調整することは大変難しいために、本発明ではピニオン10を遠隔制御可能な駆動機12で駆動して圧延ロールのロール隙変更に対応する位置に3個のガイドローラーの間隔を同時に調整しており、例えばガイドローラー4の間隔を0.4mm狭める場合には1個のガイドローラーの間隔を0.2mm狭めると、対向する3個のガイドローラーの間隔が0.4mm狭められるので、ピニオン10を4分の1回転させて芯間調整ナット9を前進(図1右側に移動)させればよい。この実施例において、ピニオン10を回転させる回転量を検出可能な検出器を備えた駆動機12はこのピニオンに設けた延長軸11にACサーボモータを設けて、ガイドローラー4の間隔調整を行っているが、油圧モーターに回転量を検出するためのエンコーダーを組み合わせて位置調整を行ってもよい。

(3)図面
「【図1】


(4)上記(1)−(3)の記載事項を整理すると甲2には以下の技術的事項が記載されているものと認められる。
ア 上記【請求項1】、段落【0001】の記載からみて、甲2には、圧延材を案内する3ローラーガイドについて記載されている。
イ 甲2記載の3ローラーガイドは、上記【請求項1】、段落【0006】、図1の記載からみて、ガイドボックス1にはローラーホルダー2を揺動可能に軸支してあり、ローラーホルダー2にガイドローラー4を回転自在に軸支してあることが認められる。
ウ また、甲2記載の3ローラーガイドは、段落【0001】、【0003】−【0004】、【0007】の記載からみて、圧延サイズの変更に伴いガイドローラー4の相互の間隔の調整が行われることが認められる。

(5)甲2発明
したがって、甲2には、以下の発明(以下、「甲2発明」という。)が、記載されている。
「圧延材を案内する3ローラーガイドであって、
ガイドボックス1と、
前記ガイドボックス1に揺動可能に軸支してある3個のローラーホルダー2と、
3個のガイドローラー4であって、前記ローラーホルダー2に回転可能に軸支され、且つ、3個のガイドローラー4の間で圧延材の圧延サイズの変更に合わせて相互の間隔の調整が行われる3個のガイドローラー4と、を備える3ローラーガイド。」

3 甲3の記載事項
(1)特許請求の範囲
「【請求項1】
圧延機に圧延材を案内するガイド装置であって、
フレーム(2)と、複数のローラーホルダー(3)と、このローラーホルダーの芯間を調整する芯間調整手段(4)とを備え、
上記ローラーホルダー(3)は、上記フレーム(2)に揺動自在に支持されていると共に、その一端にガイドローラー(31)が回転自在に設けてあり、
上記ローラーホルダー(3)は、弾性部材(21)によって、揺動方向に付勢されており、
上記芯間調整手段(4)は、上記ローラーホルダー(3)の設定位置を調整するローラーホルダー調整機構(41)と、このローラーホルダー調整機構を動かす回転軸(42)と、この回転軸に設けた被駆動歯車(43)と、この被駆動歯車に噛み合う駆動歯車(44)と、この駆動歯車に噛み合う調整歯車(45)と、この調整歯車を回転させる駆動手段(46)とを備え、
上記回転軸(42)と被駆動歯車(43)とは、クラッチ手段(47)によって、相互の回転力の伝達を断続可能である
ことを特徴とするローラーガイド装置。
・・・・・」
(2)明細書
「【0001】
本発明は、圧延機に圧延材を案内するローラーガイド装置に関し、さらに詳しく言えば、圧延材を所定の形状およびサイズの成品に圧延する圧延機の近傍に設置されていて、圧延材を圧延機に案内するローラーガイド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧延材を所定の形状およびサイズの成品に圧延する圧延機においては、圧延材を正確に芯出して圧延機に送り込まなければならない。そのため従来から圧延機の入口等の近傍に、圧延材を案内するローラーガイド装置を設けている。これらのローラーガイド装置は、通常3本のローラーホルダーによって、圧延材を三点方向から支持して芯出をしている。
・・・・・
【0004】
ところでローラーガイド装置は、案内する圧延材の太さや断面形状等が異なった場合には、各ガイドローラーが対向する間隔を、広くしたり狭くしたりして調整する必要がある。従来このガイドローラーの芯間調整は、それぞれのローラーホルダーの後端部等に、プレッシャースクリューを当接させ、このプレッシャースクリューを回すことによって、このローラーホルダーを回転支持軸の廻りに回転させ、これによってガイドローラーの芯間を調整していた(例えば特許文献1参照。)。
・・・・・
【0009】
そこで本発明の目的は、複数のガイドローラー全体、および単独の芯間調整を容易かつ迅速に行うことができ、しかも芯間調整精度を向上させることができるローラーガイド装置を提供することにある。
・・・・・
【0013】
すなわち本発明によるローラーガイド装置は、圧延機に圧延材を案内するガイド装置であって、フレームと、複数のローラーホルダーと、このローラーホルダーの芯間を調整する芯間調整手段とを備えている。・・・・・
【0014】
ここで「芯間」とは、複数のローラーホルダーの一端に設けた各々のガイドローラーによって囲まれる中心位置と、このガイドローラーとの間の距離を意味する。・・・・・
・・・・・
【0024】
図1〜図8を参照して、本発明によるローラーガイド装置の構成等について説明する。まず、図1に示すように、本発明によるローラーガイド装置1は、圧延材Aを所定の形状およびサイズの成品Bに圧延する圧延機Cの入側に設置され、この圧延材をパスラインLに沿って、この圧延機に正確に案内する。なお圧延後の成品Bの振れ等を防止するために、ローラーガイド装置1を、圧延機Cの出側に設置してもよい。
【0025】
さて図2及び図3に示すように、本発明によるローラーガイド装置1の主な構成要素は、略円筒形状のハウジングからなるフレーム2と、軸対称位置に配置した3個のローラーホルダー3と、このローラーホルダーの芯間を調整する芯間調整手段4とを備えている。ローラーホルダー3は、先端部が中心軸に向かって曲がっているレバー形状に形成してあり、後端に近い部分において、回転支持軸5によって、フレーム2に揺動自在に支持されている。またローラーホルダー3の先端部には、ガイドローラー31が回転自在に設けてある。ローラーホルダー3は、先端部と回転支持軸5との間において、コイルバネ21によって、ガイドローラー31の芯間が開く方向に押し上げられている。
【0026】
すなわち3個のローラーホルダー3は、その先端に設けた回転自在のガイドローラー31によって、圧延材Aの外周を3方向から支持して、この圧延材をパスラインLに沿って、圧延機Cに案内する。なおローラーホルダー3は、パスラインLを中心とした同心円状に、等角度間隔で3箇所配置されるのが好ましいが、必要に応じて4個以上であってもよく、また揺動方向が、いずれもパスラインLに向かっている限り、等角度間隔ではない配置にすることもできる。
【0027】
さて芯間調整手段4は、ローラーホルダー3の設定位置を調整するローラーホルダー調整機構41と、このローラーホルダー調整機構をそれぞれ動かす回転軸42と、この回転軸にそれぞれ設けた平歯車からなる被駆動歯車43と、この被駆動歯車に噛み合うリング状の内平歯車からなる駆動歯車44と、この駆動歯車に噛み合う平歯車からなる調整歯車45と、この調整歯車を回転させる駆動手段46とを備えている。そして回転軸42と被駆動歯車43とは、クラッチ手段47によって、相互の回転力を断続可能である。なおその他の構成要素は、公知のローラーガイド装置において、一般的に使用されているものであるので、説明を省略する。
・・・・・
【0034】
したがって、クラッチ手段47によって、被駆動歯車43と回転軸42との係合を外せば、この回転軸の後端面中央に設けた六角穴42fに、アーレンレンチ等を挿入して、この回転軸をそれぞれ単独で回転させることができる。このようにして、ローラーホルダー3毎の設定位置を、フレーム2の外から、容易かつ迅速に単独調整することができる。一方クラッチ手段47によって、被駆動歯車43と回転軸42とを係合させれば、駆動歯車44の回転によって、これに噛み合うこの被駆動歯車を介して、全てのこの回転軸を同時に同量だけ回転させることができる。したがって、後述する駆動手段46によって、駆動歯車44に噛み合う調整歯車45を回転させれば、全てのローラーホルダー3の設定位置を、フレーム2の外から、容易かつ迅速に同時調整することができる。」

(3)図面
「【図2】


(4)上記(1)−(3)の記載事項を整理すると甲3には以下の技術的事項が記載されているものと認められる。
ア 上記【請求項1】、段落【0001】の記載からみて、甲3には、圧延材を案内するローラーガイド装置について記載されている。
イ 甲3記載のローラーガイド装置は、上記【請求項1】、段落【0025】−【0026】、図2の記載からみて、フレーム2と、3個のローラーホルダー3を備えており、ローラーホルダー3は、フレーム2に揺動自在に支持され、またローラーホルダー3には、ガイドローラー31が回転自在に設けてあることが認められる。
ウ また、甲3記載のローラーガイド装置は、段落【0001】、【0004】、【0013】−【0014】の記載からみて、案内する圧延材の太さや断面形状等が異なった場合には、複数のローラーホルダー3の芯間を調整することが認められる。

(4)甲3発明
したがって、甲3には、以下の発明(以下、「甲3発明」という。)が、記載されている。
「圧延材を案内するローラーガイド装置であって、
フレーム2と、
前記フレーム2に揺動自在に支持された3個のローラーホルダー3と、
3個のガイドローラー31であって、前記ローラーホルダー3に回転自在に設けられ、且つ、3個のガイドローラー31の間で圧延材の圧延材の太さや断面形状等が異なった場合には3個のローラーホルダー3の芯間を調整する3個のガイドローラー31と、を備えるローラーガイド装置。」

第5 当審の判断
1 取消理由1
取消理由1は、甲1を主たる証拠(主引用例)とした特許法第29条第2項進歩性)違反の取消理由である。
(1)本件発明1
ア 本件発明1と甲1発明の対比
本件発明1と甲1発明を対比する。
(ア)甲1発明の「圧延材」は本件発明1の「金属製品」に、以下同様に「誘導する」は「案内する」に、「ローラーガイド装置」は「装置」に、「ガイドボックス1」は「支持体」に、「3個」の「ローラーホルダー2」は「複数」の「支持アーム」に、ローラーホルダー2がガイドボックス1に「回転可能に設けてある」ことはローラーホルダー2とガイドボックス1との関連を特定しているから、支持アームが支持体に「関連付けられた」ことに、「3個」の「ガイドローラー21」は「複数」の「ガイドロール」に、ガイドローラー21がローラーホルダー2に「回転自在に支持され」ることは、ガイドロールが支持アームに「非駆動式に回転するように設置され」ることに、それぞれ相当する。
(イ)甲1発明の「3個のガイドローラー21の間で圧延材の断面サイズに合わせて芯間距離の増減調整を行う3個のガイドローラー21」は、3個のガイドローラー21の間のギャップが通過する圧延材のために調整されることの一形態とみることができるから、本件発明1の「複数のガイドロールの間に金属製品のためのローラガイドギャップを画定する複数のガイドロール」に相当する。

イ 一致点及び相違点(特許異議申立書(6−7ページ)に準じて、(A)−(E)の符号を付する。)
上記アより、本件発明1と甲1発明は、以下の(ア)の点で一致し、(イ)の点で相違する。
(ア)一致点
(A)金属製品を案内する装置であって、
支持体と、
前記支持体に関連付けられた複数の支持アームと、
複数のガイドロールであって、前記支持アームに非駆動式に回転するように設置され、且つ、複数のガイドロールの間に金属製品のためのローラガイドギャップを画定する複数のガイドロールと、を備える装置。
(イ)相違点
本件発明1が以下の構成(B)−(E)を備えるのに対して、甲1発明は、これらの構成を備えない点。
(B)それぞれの調整デバイスが、各支持アームに関連付けられ、且つ、他の調整デバイスから独立して、前記ガイドロールの各々の位置を調整するように構成されること
(C)前記装置が、検出デバイスであって、各々が前記支持アームのうちの1つに関連付けられ、且つ、金属製品によって前記複数のガイドロールの各々に引き起こされる応力を検出するように構成された検出デバイスを備えること
(D)各調整デバイスが、前記ガイドロールの各々の位置を調整するために電気回転モータ及び電気リニアアクチュエータから選択されたそれ自体の駆動部材を備えること
(E)前記装置が、前記検出デバイスに且つ前記駆動部材に接続され、前記検出デバイスによって検出されるデータに応じて前記駆動部材の各々の駆動を命令するように構成された制御及び指令ユニットを備えること

ウ 甲1以外の各甲号証の記載事項
(ア)相違点に係る構成(B)に関連する記載について
上記相違点のうち、構成(B)の、各支持アームに関連付けられ、且つ、他の調整デバイスから独立して、ガイドロールの各々の位置を調整する調整デバイスについて、甲3−5には、以下の記載がある。
甲3:「【0034】
したがって、クラッチ手段47によって、被駆動歯車43と回転軸42との係合を外せば、この回転軸の後端面中央に設けた六角穴42fに、アーレンレンチ等を挿入して、この回転軸をそれぞれ単独で回転させることができる。このようにして、ローラーホルダー3毎の設定位置を、フレーム2の外から、容易かつ迅速に単独調整することができる。・・・・・」
甲4:「【0009】
4は前記エントリーガイド3の出側に設けられたガイドローラであり、エントリーガイド3の入側近傍に一端を枢支された腕部材5の他端に回転自在取付けられている。すなわち、このガイドローラ4は腕部材5によって片持ち支持されているのであり、また、このガイドローラ4は、対を成す調整ねじ61及び61のねじ込み量の調整によって圧延する線材の径に合わせて所要量、腕部材5の一端枢支点を中心として揺動するように成されている。」
甲5:「一軸毎のローラの合心調整は、上述のテーパスリーブ8のロックナット12を緩めとアジャストウォーム7とプラネットギア9の結合が解かれアジャストウォーム7はプラネットギア9とは別に回動可能となり、アジャストウォーム7の軸端にある六角穴付ボルト13を回動させると、ウォームホィル6及び偏心軸5を回転させることが出来、一個のみのローラ4を中心に対して微調整をおこなう。このときの調整は光学測定機やゲージバーを用いて合心調整を行うものである。」(明細書第13ページ第14行−第14ページ第3行)
(イ)相違点に係る構成(C)に関連する記載について
上記相違点のうち、構成(C)の、各々が支持アームのうちの1つに関連付けられ、且つ、金属製品によって複数のガイドロールの各々に引き起こされる応力を検出するように構成された検出デバイスについて、甲6−7には以下の記載がある。
甲6:「センサが、材料からガイドローラーに伝わる係合圧を検出すると共に、材料に対する係合圧を一定に保つようにガイドローラーを調整するための相関出力信号を提供し、」(甲6翻訳文第1ページ空白行含み第7−9行)
「さらに、図2に破線で示すように、2つのセンサ20、すなわち、ガイドローラー6のそれぞれに対して各1個のセンサを設けても良い。また、機械的、空圧的又は油圧的に動作し、圧力負荷又は張力負荷に反応する1つ又は2つのセンサ20を使用することも可能である。しかし、いずれの場合も、1つ又は複数のセンサ20が、ガイドローラー6間を通過する材料によるガイドローラー6への圧力負荷を検出するような配置になっていることが重要である。」(甲6翻訳文第2ページ第12−18行)
甲7:「【0013】
【実施例】・・・・・図に示すように、ローラ1,1′を支持するローラホルダ2,2′は、それぞれ支点ピン11,11′を介して本体ボックス3に固定され、調整スクリュー12, 12′と引張バネ13, 13′により構成される開度調整機構14によってその開度がaになるように調整される。
【0014】この調整スクリュー12, 12′とローラホルダ2,2′との間にロードセル15,15′が介装することにより、ローラ1,1′が受ける反力が荷重信号として測定される。それぞれの荷重信号W1,W2は図示しない測定装置に入力されて、荷重比率αが算出されることにより、圧延材の芯ずれ状況の判定がなされる。・・・・・」
(ウ)相違点に係る構成(D)に関連する記載について
上記相違点のうち、構成(D)の、ガイドロールの各々の位置を調整するために電気回転モータ及び電気リニアアクチュエータから選択された駆動部材について、甲2−3には、以下の記載がある。
甲2:「【0008】
・・・・・この実施例において、ピニオン10を回転させる回転量を検出可能な検出器を備えた駆動機12はこのピニオンに設けた延長軸11にACサーボモータを設けて、ガイドローラー4の間隔調整を行っているが、油圧モーターに回転量を検出するためのエンコーダーを組み合わせて位置調整を行ってもよい。」
甲3:「【0027】
さて芯間調整手段4は、ローラーホルダー3の設定位置を調整するローラーホルダー調整機構41と、このローラーホルダー調整機構をそれぞれ動かす回転軸42と、この回転軸にそれぞれ設けた平歯車からなる被駆動歯車43と、この被駆動歯車に噛み合うリング状の内平歯車からなる駆動歯車44と、この駆動歯車に噛み合う平歯車からなる調整歯車45と、この調整歯車を回転させる駆動手段46とを備えている。・・・・・」
(エ)相違点に係る構成(E)に関連する記載について
上記相違点のうち、構成(E)の、検出デバイスによって検出されるデータに応じて駆動部材の各々の駆動を命令するように構成された制御及び指令ユニットについて、甲2、甲6、甲8−10には、以下の記載がある。
甲2:「【0008】
・・・・・本発明ではピニオン10を遠隔制御可能な駆動機12で駆動して圧延ロールのロール隙変更に対応する位置に3個のガイドローラーの間隔を同時に調整しており、・・・・・この実施例において、ピニオン10を回転させる回転量を検出可能な検出器を備えた駆動機12はこのピニオンに設けた延長軸11にACサーボモータを設けて、ガイドローラー4の間隔調整を行っているが、油圧モーターに回転量を検出するためのエンコーダーを組み合わせて位置調整を行ってもよい。」
甲6:「圧延プロセスを開始する前に、ローラーガイドアセンブリによって関連ロールパスに導入される材料の断面に合わせてガイドローラー6またはその回転軸9の間の距離を作業場で調整する際、前記材料から加わるガイドローラー6の圧力負荷または各センサ20の対応出力信号は、適切な断面を持つテンプレート又は精密マンドレルで決定され、これにより、圧延工程におけるローラーガイドアセンブリの動作中の出力信号の変化は、それぞれガイドローラー6間を通過する材料の断面の減少(出力信号の減少)または増加(出力信号の増加)を示すようになり、ガイドローラー6をリセットするため、またはローラーガイドアセンブリに先行するロールスタンドの2つの溝付きロールの調整を変更して元のセンサ出力信号が再び生成されるようにするために使用される。これにより、2つのガイドローラー6がその間を通過する材料を効率的に案内するだけでなく、2つのガイドローラー6間の材料の断面が変化しないことが保証される。」(甲6翻訳文第2ページ第19−30行)
甲8:「【0017】
制御装置9と油圧シリンダ6及び検知装置8との関係について説明する。
図4及び図5において、制御装置9には変位センサー30の信号取り出し線37が電気的に接続されている。上述したように変位センサー30の追従ロッド32に従動する磁石34の移動は磁歪線上のねじり歪みの伝播速度として測定され、換言すれば磁石34の移動距離すなわち追従ロッド32の移動距離が計測されることになる。上述したように、対のガイドローラー2の面間の変位量は追従ロッド32の移動距離に変換され、ガイドローラーの位置情報として捉えることができる。ガイドローラーの面間の位置情報としての測定値は、変換部33によってデジタルの検知信号に変換されて信号取り出し線37によって制御装置9に出力される。
圧延時において、追従ロッド32の移動距離を示す検出信号はピストンロッド16の移動量に対応しているから、制御装置9は上記検知信号に基づいてガイドローラー2の面間の位置情報を検出すると共にガイドローラーの面間の変化量を測定することができる。
制御装置9は変位センサー30から得られた検知信号であるガイドローラー2の面間の位置情報に基づいて油圧シリンダ6に対して油圧力を制御し、圧延材の抱合荷重の調整をし、また、圧延材の倒れ防止を図るものである。」
甲9:「【0010】図1に示す制御装置10は、回転センサ5の回転数とガイドローラ4の直径を基にガイドローラの周速V(m/秒)を計算すると共に、このガイドローラの周速Vと外部から入力される圧延機の圧延速度S(m/秒)を比較して、圧力調整器11に所要の圧力値を指示してガイドローラの間隔を調整するものである。・・・・・」
甲10:「(57)【要約】
【課題】ローラの隙間調整装置及び方法において、一対のローラ間の隙間をシートが通過するのに最適な大きさに自動で調整することができるようにする。
【解決手段】折機の所定の位置でチョッパ折りされた折帖Pをニップ部で折り込む一対の折込ローラ44と、この一対の折込ローラ44間の隙間を調整する隙間調整機構51と、この隙間調整機構51を駆動するモータ52と、一対の折込ローラ44間の隙間を測定するセンサ53と、センサ53の測定結果に基づいて折込ローラ44間の隙間Sが最適隙間になるようにモータ52を制御するコントローラ54とを設け、このコントローラ54は、折込ローラ44間の隙間Sを予め設定された初期隙間S0に調整した後、折込ローラ44間に折帖Pを通過させるごとに隙間調整機構51により折込ローラ44間の隙間Sが最適隙間になるようにモータ52を制御する。」

エ 相違点の検討
(ア)本件発明1は、その主要な課題として、明細書の段落【0029】記載の「ガイド装置が圧延機に設置されている状態であっても、又は圧延中であっても、任意の時点でガイドロールの位置を調整するのを可能にするガイド装置を提供すること」との課題を含むものであるところ、上記一致点に係る本件発明1の構成(A)の「複数のガイドロールの間に金属製品のためのローラガイドギャップを画定する複数のガイドロール」との事項に関し、「複数のガイドロールの間に金属製品のためのローラガイドギャップを画定する」ことを、圧延工程中の圧延材からの信号を検出しつつ行うものであり、上記相違点に係る本件発明1の構成(B)−(E)を全て備えることにより、当該課題を解決するものである。
これに対して、甲1発明は、上記「複数のガイドロールの間に金属製品のためのローラガイドギャップを画定する」ことは、「3個のガイドローラー21の間で圧延材の断面サイズに合わせて芯間距離の増減調整を行う3個のガイドローラー21」で実現するが、この芯間距離をガイドローラの芯間距離を個別に(独立して)増減調整するには、プレッシャースクリュー33の回転調整を要するもの(段落【0030】)であるから、圧延工程の実施中にできないこと、すなわち、ガイドローラの芯間調整は圧延材の圧延工程が実施されるのに先立って予め行われるものであることは明らかであって、本件発明1のように、圧延工程の開始された後、圧延工程の実施中にも行われるものではない。
そうすると、甲1発明は、本件発明1の上記課題を解決しようとする動機はないものである。
(イ)本件発明1と甲1発明の相違点に関しては、上記ウで示したとおり、相違点に係る本件発明1の構成(B)に関連する事項が甲3−5に、相違点に係る本件発明1の構成(C)に関連する事項が甲6−7に、相違点に係る本件発明1の構成(D)に関連する事項が、甲2−3に、相違点に係る本件発明1の構成(E)に関連する事項が甲2、甲6、甲8−10に、それぞれ断片的には開示されている。
しかしながら、本件発明1は、上記ガイド装置が圧延機に設置されている状態であっても、又は圧延中であっても、任意の時点でガイドロールの位置を調整するのを可能にするガイド装置を提供することとの課題を解決するために、相違点に係る本件発明1の構成(B)−(E)の「調整デバイス」、「検出デバイス」、「駆動部材」及び「制御及び指令ユニット」の全ての事項を備えるものであるところ、甲2−10のいずれにも上記課題を解決するために、「調整デバイス」、「検出デバイス」、「駆動部材」及び「制御及び指令ユニット」の全ての事項を備えることは記載されていない。
(ウ)そうすると、甲1発明に、上記相違点に係る本件発明1の構成(B)−(E)に関連する事項をそれぞれ断片的に開示するにとどまる甲2−10の技術的事項を適用する動機はそもそもないし、仮に適用しようとしても、当該構成(B)−(E)の全てを開示する証拠はないから本件発明1に至らないことが明らかである。
したがって、本件発明1は、甲1発明に甲2−10記載の技術的事項を適用することにより、当業者が容易に想到できたものではない。

オ 申立人は、本件発明1の特に本件特許明細書の段落【0039】記載の効果を、6個の観点に分析し、それぞれの観点についてそれぞれ甲1−10の記載事項から容易に予測できる旨(特許異議申立書27−29ページ)を主張する。
しかしながら、本件発明1の効果は、上記一致点に係る構成(A)に、上記相違点に係る構成(B)−(E)の全てを備えることにより奏されるものであるところ、上記エで検討したとおり、甲1に本件発明1の当該構成(B)−(E)を設けるようにする動機も見いだせないし、甲2−10には、これらの構成(B)−(E)の全てを備えることは開示されておらず、仮に甲1発明に適用しても本件発明1に至らないのであるから、申立人の主張は採用することができない。

(2)本件発明2について
本件発明2は、本件発明1に対して、さらに、「前記検出デバイスが、前記支持アームと前記調整デバイスとの間にある位置に設置されている」という特定事項を追加したものである。よって、本件発明2と甲1発明とは、上記(1)に示した相違点を含むものであるから、上記(1)と同様の理由により、本件発明2は、上記甲1発明、及び甲2−10に記載された技術的事項に基いて当業者が容易になし得るものではない。

(3)小括
以上のとおり、本件発明1−2は、甲1発明、及び甲2−10に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2 取消理由2
取消理由2は、甲2を主たる証拠(主引用例)とした特許法第29条第2項進歩性)違反の取消理由である。
(1)本件発明1
ア 本件発明1と甲2発明の対比
本件発明1と甲2発明を対比する。
(ア)甲2発明の「圧延材」は本件発明1の「金属製品」に、以下同様に「3ローラーガイド」は「装置」に、「ガイドボックス1」は「支持体」に、「3個」の「ローラーホルダー2」は「複数」の「支持アーム」に、ローラーホルダー2がガイドボックス1に「揺動可能に軸支してある」ことは、ローラーホルダー2とガイドボックス1との関連を特定しているから、支持アームが支持体に「関連付けられた」ことに、「3個」の「ガイドローラー4」は「複数」の「ガイドロール」に、ガイドローラー4がローラーホルダー2に「回転可能に軸支され」ることは、ガイドロールが支持アームに「非駆動式に回転するように設置され」ることに、それぞれ相当する。
(イ)甲2発明の「3個のガイドローラー4の間で圧延材の圧延サイズの変更に合わせて相互の間隔の調整が行われる3個のガイドローラー4」は、3個のガイドローラー4の間のギャップが通過する圧延材のために調整されることの一形態とみることができるから、本件発明1の「複数のガイドロールの間に金属製品のためのローラガイドギャップを画定する複数のガイドロール」に相当する。

イ 一致点及び相違点
上記アより、本件発明1と甲2発明との一致点及び相違点は、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点と同じであり、一致点は上記1(1)イ(ア)、相違点は1(1)イ(イ)のとおりである。

ウ 相違点の検討
相違点に係る本件発明1の構成(B)−(E)に関連する事項についての甲3−10の開示は、上記1(1)ウの「甲1以外の各甲号証の記載事項」のとおりであり、また、甲1にもこれらの相違点に関連する開示はない。
そして、取消理由2の主たる証拠(主引用例)である甲2発明についてみると、一致点に係る本件発明1の構成(A)に関し、「複数のガイドロールの間に金属製品のためのローラガイドギャップを画定する」ことは、「3個のガイドローラー4の間で圧延材の圧延サイズの変更に合わせて相互の間隔の調整が行われる3個のガイドローラー4」で実現するが、このガイドローラー4の間の相互の間隔の調整は、3ローラーガイドのガイドローラーの間隔を3個同時に調整可能とすることを目的とするもの(段落【0004】)であるから、本件発明1の「それぞれの調整デバイスが、各支持アームに関連付けられ、且つ、他の調整デバイスから独立して、前記ガイドロールの各々の位置を調整する」ように設計変更する動機はないし、むしろ甲2発明の意義を損なうことになるから阻害事由があるといえる。
よって、本件発明1は、甲2発明に甲1、3−10記載の技術的事項を適用することにより、当業者が容易に想到できたものとはいえない。

(2)本件発明2について
取消理由2における本件発明2についても、取消理由1における上記1(2)に示したとおり、本件発明1に対して、さらに特定事項を追加したものであるから、上記甲2発明、及び甲1、3−10に記載された技術的事項に基いて当業者が容易になし得るものではない。

(3)小括
以上のとおり、本件発明1−2は、甲2発明、及び甲1、3−10に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

3 取消理由3
取消理由3は、甲3を主たる証拠(主引用例)とした特許法第29条第2項進歩性)違反の取消理由である。
(1)本件発明1
ア 本件発明1と甲3発明の対比
本件発明1と甲3発明を対比する。
(ア)甲3発明の「圧延材」は本件発明1の「金属製品」に、以下同様に「ローラーガイド装置」は「装置」に、「フレーム2」は「支持体」に、「3個」の「ローラーホルダー3」は「複数」の「支持アーム」に、ローラーホルダー3がフレーム2に「揺動自在に支持された」ことは、ローラーホルダー3とフレーム2との関連を特定しているから、支持アームが支持体に「関連付けられた」ことに、「3個」の「ガイドローラー31」は「複数」の「ガイドロール」に、ガイドローラー31がローラーホルダー3に「回転自在に設けられ」たことは、ガイドロールが支持アームに「非駆動式に回転するように設置され」たことに、それぞれ相当する。
(イ)甲3発明の「3個のガイドローラー31の間で圧延材の圧延材の太さや断面形状等が異なった場合には3個ローラーホルダーの芯間を調整する3個のガイドローラー31」は、3個のガイドローラー31の間のギャップが通過する圧延材のために調整されることの一形態とみることができるから、本件発明1の「複数のガイドロールの間に金属製品のためのローラガイドギャップを画定する複数のガイドロール」に相当する。

イ 一致点及び相違点
上記アより、本件発明1と甲3発明との一致点及び相違点は、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点と同じであり、一致点は上記1(1)イ(ア)、相違点は1(1)イ(イ)のとおりである。

ウ 相違点の検討
相違点に係る本件発明1の構成(B)−(E)に関連する構成についての甲2,甲4−10の開示は、上記1(1)ウの「甲1以外の各甲号証の記載事項」のとおりであり、また、甲1にもこれらの相違点に関連する開示はない。
そして、取消理由3の主引用例である甲3発明についてみると、本件発明1の一致点に係る構成(A)に関し、「複数のガイドロールの間に金属製品のためのローラガイドギャップを画定する」ことは、「3個のガイドローラー31の間で圧延材の圧延材の太さや断面形状等が異なった場合には3個ローラーホルダー3の芯間を調整する3個のガイドローラー31」で実現するが、このガイドローラー4の間の相互の間隔を独立に調整するには、アーレンレンチ等を回転軸42の後端面中央に設けた六角穴42fに挿入して回転させること(段落【0034】等)、すなわち、圧延材の圧延工程が実施されるのに先立って予め行われることは明らかであって、本件発明1のように、圧延工程の開始された後、圧延工程の実施中にも行われるものではないし、甲3には、圧延工程の実施中において独立に調整を行うという課題については何ら記載がない。
そうすると、取消理由1において主たる証拠(主引用例)を甲1発明として検討したのと同様に、本件発明1は、主引用例である甲3発明に甲1−2、4−10記載の技術的事項を適用することにより、当業者が容易に想到できたものとはいえない。

(2)本件発明2について
本件発明2についても、取消理由1における上記1(2)に示したとおり、本件発明1に対して、さらに特定事項を追加したものであるから、上記甲3発明、及び甲1−2、4−10に記載された技術的事項に基いて当業者が容易になし得るものではない。

(3)小括
以上のとおり、本件発明1−2は、甲3発明、及び甲1−2、4−10に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1−2に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1−2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。

 
異議決定日 2022-01-27 
出願番号 P2019-552259
審決分類 P 1 652・ 121- Y (B21B)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 見目 省二
特許庁審判官 田々井 正吾
大山 健
登録日 2020-12-21 
登録番号 6813694
権利者 ダニエリ アンド チ.オフィチーネ メカーニク エッセピア
発明の名称 金属製品を案内する装置及び方法  
代理人 恩田 博宣  
代理人 金森 晃宏  
代理人 恩田 誠  
代理人 小平 進  
代理人 本田 淳  
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