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審決分類 審判 一部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  F24F
審判 一部無効 特174条1項  F24F
審判 一部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  F24F
審判 一部無効 1項3号刊行物記載  F24F
審判 一部無効 2項進歩性  F24F
管理番号 1382590
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-04-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2019-09-18 
確定日 2021-11-12 
訂正明細書 true 
事件の表示 上記当事者間の特許第6353998号発明「空気調和機」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第6353998号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、3〕、2、4について訂正することを認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第6353998号(以下「本件特許」という。)は、平成29年8月31日(優先権主張 平成29年4月28日)に出願された特願2017−566032号の一部を平成30年3月26日に新たな出願としたものであって、その請求項1〜3に係る発明について、平成30年6月15日に特許権の設定登録がなされた。
これに対して、ハイセンスジャパン株式会社(以下「請求人」という。)から令和元年9月18日に、本件特許の請求項1及び請求項3に係る発明の特許について、無効審判が請求されたものであり、その後の手続は以下のとおりである。

令和 元年 9月18日 審判請求書(請求項1及び3に対して)
令和 元年12月23日 審判事件答弁書
令和 2年 1月 9日 手続補正書(方式)
令和 2年 2月19日 審理事項通知書
令和 2年 4月10日 口頭審理陳述要領書(請求人)
令和 2年 4月24日 口頭審理陳述要領書(被請求人)
令和 2年 5月28日 手続補正書(被請求人)
令和 2年 6月 4日 書面審理通知
令和 2年 7月27日 上申書(請求人)
令和 2年 8月31日 上申書(被請求人)
令和 2年 9月25日 上申書(請求人)
令和 2年10月 8日 上申書(被請求人)
令和 2年11月18日 審決の予告
令和 3年 1月21日 訂正請求書
令和 3年 2月24日 訂正請求副本送付通知(弁駁指令)
令和 3年 3月15日 上申書(請求人)
令和 3年 3月24日 手続中止通知書
令和 3年 5月 7日 手続中止解除通知書
令和 3年 5月17日 弁駁書
令和 3年 6月17日 上申書(被請求人)
令和 3年 9月 3日 請求の理由の変更についての補正許否の決定
令和 3年 9月 3日 審理終結通知書

第2 本件訂正について
令和 3年 1月21日にされた訂正の請求(以下「本件訂正請求」といい、訂正の内容を「本件訂正」という。)について検討する。
1 訂正事項
本件訂正は、以下の訂正事項からなるものである(下線は当審が付した。)。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、」と記載されているのを、「前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ、」に訂正する。
(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「前記室内熱交換器を解凍する」と記載されているのを、「前記室内熱交換器を解凍するための処理をする」に訂正する。
(3) 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項2に「前記第1期間は、室内空気の相対湿度又は絶対湿度に基づいて設定されることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。」と記載されているのを、独立形式に改め、「圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路と、
少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、を備え、
前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交換器であり、
前記室内熱交換器の温度を検出する温度センサを有するとともに、
室内ファンを有し、
前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ、
前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記室内熱交換器を解凍し、
前記第1期間は、室内空気の相対湿度又は絶対湿度に基づいて設定される
ことを特徴とする、空気調和機。」に訂正する。
(4) 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項3に「前記室内熱交換器の下側に配置されるドレンパンをさらに備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気調和機。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、「圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路と、
少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、を備え、
前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交換器であり、
前記室内熱交換器の温度を検出する温度センサを有するとともに、
室内ファンを有し、
前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ、
前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ、前記室内熱交換器を解凍するための処理をし、
前記室内熱交換器の下側に配置されるドレンパンをさらに備える
ことを特徴とする、空気調和機。」に訂正する。
(5) 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項3に「前記室内熱交換器の下側に配置されるドレンパンをさらに備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気調和機。」とあるうち、請求項2を引用するものについて、独立形式に改め、「圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路と、
少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、を備え、
前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交換器であり、
前記室内熱交換器の温度を検出する温度センサを有するとともに、
室内ファンを有し、
前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ、
前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記室内熱交換器を解凍し、
前記第1期間は、室内空気の相対湿度又は絶対湿度に基づいて設定され、 前記室内熱交換器の下側に配置されるドレンパンをさらに備える
ことを特徴とする、空気調和機。」に訂正する。
(6) 訂正事項6
願書に添付した明細書の【0006】に「前記課題を解決するために、本発明は、圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路と、少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、を備え、前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交換器であり、前記室内熱交換器の温度を検出する温度センサを有するとともに、室内ファンを有し、前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ、前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記室内熱交換器を解凍することを特徴とする。」とあるのを、「前記課題を解決するために、本発明の一の態様の空気調和機は、圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路と、少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、を備え、前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交換器であり、前記室内熱交換器の温度を検出する温度センサを有するとともに、室内ファンを有し、前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ、前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ、前記室内熱交換器を解凍するための処理をすることを特徴とする。
また、本発明の他の態様の空気調和機は、圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路と、少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、を備え、前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交換器であり、前記室内熱交換器の温度を検出する温度センサを有するとともに、室内ファンを有し、前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ、前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記室内熱交換器を解凍し、前記第1期間は、室内空気の相対湿度又は絶対湿度に基づいて設定されることを特徴とする。」
(7) 別の訂正単位とする求め
訂正後の請求項2及び4については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求める。

2 訂正の適否について
(1) 一群の請求項について
訂正事項1〜5により訂正される訂正前の請求項1〜3は、請求項2及び3がそれぞれ請求項1を直接または間接的に引用しているものであって、訂正事項1及び2によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1〜3に対応する訂正後の請求項1〜4は、特許法第134条の2第3項の規定する一群の請求項である。
(2) 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
ア 訂正事項1
(ア) 訂正の目的について
訂正前の請求項1では、「制御部」について、「前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記室内熱交換器を解凍する」と記載されていたものを、「前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持」することに加えて、「前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ」るという特定事項を直列的に付加して、更に限定するものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
(イ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
本件特許の願書に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「本件特許明細書等」という。)には、次の事項が記載されている(下線は、理解の一助のために当審が付与した。以下、同様である。)。
「【0031】
次に、室内熱交換器12(図2参照)を洗浄するための処理について説明する。
前記したように、室内熱交換器12の上側・前側(空気の吸込側)には、塵や埃を捕集するためのフィルタ16(図2参照)が設置されている。しかしながら、細かい塵や埃がフィルタ16を通り抜けて、室内熱交換器12に付着することがあるため、室内熱交換器12を定期的に洗浄することが望まれる。そこで、本実施形態では、室内機30に取り込まれた空気に含まれる水分を室内熱交換器12で凍結させ、その後、室内熱交換器12の氷を溶かすことで、室内熱交換器12を洗浄するようにしている。このような一連の処理を、室内熱交換器12の「洗浄処理」という。」
「【0036】
ステップS103において制御部Kは、室内熱交換器12を解凍する。例えば、制御部Kは、室外膨張弁34の開度を大きくして室外熱交換器32にある冷媒を室内熱交換器12に流入させることによって、室内熱交換器12の表面の氷を溶かして解凍する。この際、室外膨張弁34の開度を全開にすることが望ましい。これによって、室外熱交換器32に存在していた温かい冷媒が室内熱交換器12に導かれるため、室内熱交換器12の解凍を短時間で行うことができる。なお、室内熱交換器12を凝縮器として機能させることによって、室内熱交換器12の表面の氷を溶かして解凍するようにしてもよい。これによって、室内熱交換器12に付着していた塵や埃が洗い流される。
【0037】
ステップS104において制御部Kは、室内熱交換器12を乾燥させる。例えば、制御部Kは、室内ファン14の駆動によって、室内熱交換器12の表面の水を乾燥させる。これによって、室内熱交換器12を清潔な状態にすることができる。ステップS104の処理を行った後、制御部Kは、一連の処理を終了する(END)。
【0038】
図6は、室内熱交換器12を凍結させるための処理(図5のS102)を示すフローチャートである(適宜、図3、図4を参照)。
ステップS102aにおいて制御部Kは、四方弁35を制御する。すなわち、制御部Kは、室外熱交換器32を凝縮器として機能させ、室内熱交換器12を蒸発器として機能させるように四方弁35を制御する。なお、「洗浄処理」(図5に示す一連の処理)を行う直前に冷房運転を行っていた場合、制御装置は、ステップS102aにおいて四方弁35の状態を維持する。」



上記記載より、室内熱交換器12の表面の氷を溶かす態様として、室外膨張弁34の開度を大きくすることにより、冷媒を室内熱交換器12に流入させて行うことが記載されているので、これをさらに特定する訂正事項1における「前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ」る点は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の事項であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものといえる。
(ウ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項1は、前記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
よって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものといえる。
(エ) なお、被請求人は、令和3年6月17日上申書において、「前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ」との記載が、「前記冷媒を前記室内熱交換器に流入させ」との誤記と主張しているが、当該記載の前後の「前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ」ることは、冷媒を室内熱交換器に流入させていることを意味していると理解できるものと判断した。
イ 訂正事項2
(ア) 訂正の目的について
訂正前の請求項1では、「制御部」について、「前記室内熱交換器を解凍する」と記載されていたものを、「前記室内熱交換器を解凍するための処理をする」と特定することで、「制御部」が行う内容について、「解凍するための処理」であることを明確にするものである。
したがって、訂正事項2は、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。
(イ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
本件特許明細書等には、次の事項が記載されている。
「【0057】
図11は、室内熱交換器12を解凍するための処理(図5のS103)を示すフローチャートである(適宜、図3、図4を参照)。
制御部Kは、前記したステップS102a〜S102f(図6参照)の処理によって室内熱交換器12を凍結させた後、図11に示す一連の処理を実行する。」
「【0063】
ステップS103gにおいて制御部Kは、図11の「START」時から所定時間が経過したか否かを判定する。この所定時間は、室内熱交換器12の解凍に要する時間であり、予め設定されている。
ステップS103gにおいて「START」時から所定時間が経過していない場合(S103g:No)、制御部Kの処理はステップS103fに戻る。一方、「START」時から所定時間が経過した場合(S103g:Yes)、制御部Kは、室内熱交換器12を解凍するための一連の処理を終了する(END)。」
上記記載より、「制御部」が、「前記室内熱交換器を解凍する」ことは、「制御部」が、「前記室内熱交換器を解凍するための処理をする」ことであると理解できるので、訂正事項2の「前記室内熱交換器を解凍するための処理をする」点は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の事項であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものといえる。
(ウ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項2は、前記(ア)のとおり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
よって、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものといえる。
ウ 訂正事項3
(ア) 訂正の目的について
訂正事項3は、訂正前の請求項2が請求項1を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し独立形式請求項へ改め、請求項1の記載を引用しないものとするものであって、特許法第134条の2第1項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
(イ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項3は、訂正前の請求項2について、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
(ウ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項3は、訂正前の請求項2について、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、訂正前の請求項2に記載された発明のカテゴリーを変更するものではなく、かつ、訂正前の請求項2に記載された発明の対象や目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
エ 訂正事項4
(ア) 訂正の目的について
訂正事項4は、訂正前の請求項3が請求項1又は請求項2を引用する記載であるところ、“請求項1を引用するものについて、請求項間の引用関係を解消し独立形式請求項へ改めるため、請求項1の記載を引用しないものとするもの”であって、特許法第134条の2第1項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
さらに、「制御部」について、「前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ」という特定事項を直列的に付加して、更に限定するものであるから、上記ア(ア)で検討したのと同様に、訂正事項4は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
加えて、「制御部」について、「前記室内熱交換器を解凍する」と特定されていたものを、「前記室内熱交換器を解凍するための処理をする」と特定することで、「制御部」が行う内容について「解凍するための処理」であることを明確にするものであり、上記イ(ア)で検討したのと同様に、訂正事項4は、特許法第134条の2第1項ただし書第2号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。
(イ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項4は、引用関係の解消に関しては何ら実質的な変更を伴うものではなく、訂正事項1及び2について検討した、上記ア(イ)、イ(イ)で検討したのと同様に、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
(ウ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項4は、引用関係の解消に関しては、何ら実質的な内容の変更を伴うものではなく、上記ア(ウ)、イ(ウ)で検討したのと同様に、訂正前の請求項3に記載された発明のカテゴリーを変更するものではなく、かつ、訂正前の請求項3に記載された発明の対象や目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
オ 訂正事項5
(ア) 訂正の目的について
訂正事項5は、訂正前の請求項3が請求項1又は請求項2を引用する記載であるところ、“請求項2を引用するものについて、請求項間の引用関係を解消し独立形式請求項へ改め、請求項2の記載を引用しないものとするもの”であって、特許法第134条の2第1項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
(イ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項5は、引用関係の解消に関しては何ら実質的な変更を伴うものではなく、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
(ウ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項5は、引用関係の解消に関しては、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、訂正前の請求項3に記載された発明のカテゴリーを変更するものではなく、かつ、訂正前の請求項3に記載された発明の対象や目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
カ 訂正事項6
(ア) 訂正の目的について
訂正事項6は、上記訂正事項1及び2に係る請求項1の訂正並びに上記訂正事項3に係る請求項2の訂正に伴い、訂正後の特許請求の範囲の請求項1及び2の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正である。
したがって、訂正事項6は、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえる。
(イ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
訂正事項6のうち、前段の「前記課題を解決するために、本発明の一の態様の空気調和機は、圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路と、少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、を備え、前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交換器であり、前記室内熱交換器の温度を検出する温度センサを有するとともに、室内ファンを有し、前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ、前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ、前記室内熱交換器を解凍するための処理をすることを特徴とする。」との訂正事項は、訂正事項1の上記ア(イ)、訂正事項2の上記イ(イ)と同様に、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の事項である。
訂正事項6のうち、後段の「また、本発明の他の態様の空気調和機は、圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路と、少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、を備え、前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交換器であり、前記室内熱交換器の温度を検出する温度センサを有するとともに、室内ファンを有し、前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ、前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記室内熱交換器を解凍し、前記第1期間は、室内空気の相対湿度又は絶対湿度に基づいて設定されることを特徴とする。」との訂正事項は、訂正事項3の上記ウ(イ)と同様に、訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項2の内容を、引用関係を解消して独立請求項形式で記載したものと、内容を整合させたものであり、何ら実質的な変更を伴うものではない。
以上のとおりであるから、訂正事項6は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の事項であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものといえる。
(ウ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
訂正事項6は、訂正事項1及び2に係る請求項1の訂正並びに訂正事項3に係る請求項2の訂正に伴い、特許請求の範囲の請求項1及び2の記載と明細書の記載との整合を図るために訂正であるから、発明のカテゴリーを変更するものではなく、かつ訂正前の請求項1及び2に係る発明の対象や目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項6は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
(エ) 訂正事項6は、訂正事項1及び2により訂正された請求項1、訂正事項4により訂正された請求項3、訂正事項3により訂正された請求項2及び訂正事項5により訂正された請求項4に関係するものであり、訂正された請求項1〜4は、一群の請求項である。
したがって、訂正事項6は、訂正に係る請求項を含む一群の請求項の全てについて行うものであるから、第134条の2第9項で準用する特許法第126条第4項に適合する。
キ 請求人の本件訂正に関する主張について
キ−1 請求人は、令和3年5月17日の弁駁書において、本件訂正が訂正要件を満たしていない旨、概略、以下主張を行っている(弁駁書6〜8ページ)。
(ア) 訂正事項1の「前記膨張弁の開度を大きく」とは、以下の(ア−1)、(ア−2)の点を考慮すると、何と比較して「開度を大きく」したものであり、どのような技術的意義を有するかが不明確であり、「特許請求の範囲の減縮」といえるのか否かが明らかでない。
(ア−1) 絶対的な開度は小さくされ、膨張弁が減圧機能を奏する場合でも、「膨張弁」が「全閉」とされている状態などと比較すれば、相対的には「膨張弁の開度を大きく」されていることになる。
本件発明は、室内熱交換器を凍結する際(凍結運転時)には、流通する冷媒を膨張弁によって減圧することにより、冷媒を断熱膨張させ、冷媒の温度を低下させるものであるところ、凍結運転時の室外膨張弁の開度は、通常の冷房運転時よりも小さくすることが望ましいとされている(「本件特許明細書【0045】) 。
凍結運転時には「通常の冷房運転時よりも室外膨張弁34の開度を小さく」されていて、凍結運転終了後の「解凍時」には、室外膨張弁の開度を「通常の冷房運転時の室外膨張弁の開度」のような、通常の冷房又は暖房運転時の「開度」とすることが、訂正後の「前記膨張弁の開度を大きく」に該当するか否かが不明確である。
(アー2) 室内熱交換器の「凍結時」の「膨張弁」の開度については何ら特定されていないから、室内熱交換器の解凍の前の「凍結時」においても、既に「膨張弁の開度」が大きくされていて、解凍時にも「膨張弁の開度が大きい」状態を維持する態様を含むか否かも不明確である。
(イ) 訂正事項1の「維持し」に関して、「前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記膨張弁の開度を大きくして」は、a.「前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持」したまま、「前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ」との解釈、b.「前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持」した後、「前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ」との解釈ができる。ここで、訂正前の請求項1は、「前記処理の終了後 、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記室内熱交換器を解凍する」とされていて、「室内熱交換器の解凍」は、室内熱交換器の氷が室温で自然に溶ける態様を特定するものである。
(イー1) 上記a.の解釈とした場合には、室内熱交換器の氷が室温で自然に溶ける態様ではなく、「前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ」て、室内熱交換器の氷が解ける態様を特定するから、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものである。
(イ−2) 上記b.の解釈とした場合には、冷凍運転から暖房運転に切り換えるために必然的に設けられる「前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持」する期間の経過後に、「凍結運転」よりも膨張弁の開度が大きくされる「暖房運転」などにより、「前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ、前記室内熱交換器を解凍する」態様を特定するから、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものである。
(ウ) 訂正事項1は、以下の点で、願書に最初に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでない。
(ウ−1) 訂正前の請求項1において、「前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、」は、本件特許の審査段階において補正書により補正された構成であり、補正書と同時に提出された意見書において「この補正の根拠は、[0064] 、図10です。すなわち、 [0064] 、図10( タイムチャートの時刻t3〜t4)には、制御部Kが室内熱交器12を凍結させるための処理の終了後、圧縮機31及び室内ファン14の停止状態を維持し、室内熱交換器12を解凍することが記載されています。したがって、新請求項1の補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていると思料致します。」と記載され、本件特許明細書の段落【0064】、図10の記載に基づくものとされている。
そして、段落【0064】は、「なお、図11に示す一連の処理に代えて、図10のタイムチャート(時刻t3〜t4)に示すように、圧縮機31や室内ファン14を停止状態で維持するようにしてもよい。室内熱交換器12を凝縮器として機能させずとも、室内熱交換器12の氷が室温で自然に溶けるからである。」と記載され、審査段階において補正された「前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し」は、「図11に示す一連の処理」(段落【0058】〜【0063】) 、特に段落【0060】〜【0063】に記載された態様(「暖房運転時」と同様に四方弁を制御し、凝縮器である室内熱交換器に高温の冷媒を通流させ、室内熱交換器を高温とすることによって、室内熱交換器に付着した氷を一気に溶かして、室内熱交換器に付着していた塵や埃を洗い流す態様)を明示的に排除して、「室内熱交換器12の氷が室温で自然に溶ける」態様として記載されているものである。
そして、段落【0064】の「制御部Kが、室内熱交換器12を凍結させるための処理の終了後、圧縮機31及び室内ファン14の停止状態を維持し、室内熱交換器12を解凍する」態様及び図10において、「前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ」ることは記載されていない。
(ウ−2) 被請求人は、訂正事項1は、本件特許明細書の段落【0031】、及び段落【0036】の記載に基づいて導き出される構成とするが、段落【0036】の「例えば、制御部Kは、室外膨張弁34の開度を大きくして室外熱交換器32にある冷媒を室内熱交換器12に流入させることによって、室内熱交換器12の表面の氷を溶かして解凍する。」との記載は、直前の「ステップS103において制御部Kは、室内熱交換器12を解凍する」との記載を受けた例示であり、ステップS103の存在を前提とする。この点、本件特許明細書の段落【0057】に「図11は、室内熱交器12を解凍するための処理(図5のS103)を示すフローチャートである」とあるように、ステップS103は、段落【0064】が明示的に排除する図11記載の処理であって、段落【0036】の上記記載は、「前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し」に関するものではないから、上記記載は、訂正事項1の根拠とはならない。
(ウ−3) 平成30年5月8日付の被請求人の意見書(甲6)において、被請求人は、「前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、」との補正につき、「本願発明によれば、室内熱交換器の解凍が進む速度(単位時間あたりの排水量)をあえてゆっくりにすることで、前記した新規な課題が解決されます」と述べている。
これに対し、本件特許明細書の段落【0036】には、「室外膨張弁の開度を大きくして室外熱交換器32にある冷媒を室内熱交換器12に流入させること・・・によって・・・室内熱交換器12の解凍を短時間で行うことができる」と記載されており、「前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ」との発明特定要素は、本件特許発明とは真逆の作用効果を有し、被請求人の主張する技術的課題を解決しない。このことは、本件特許明細書の段落【0064】における図11記載の一連の処理の排除とも符合する。
従って、審査経過に照らしても、訂正事項1は、本件特許明細書の段落【0036】に記載した事項の範囲内においてしたものではない。
(エ) 本件特許明細書の他の記載(【0031】を含む。)を参照しても、本件特許明細書には「前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ」ることの根拠となる記載は存在しない。
(オ) よって、訂正事項1による訂正後の請求項1の発明は、発明の詳細な説明に記載したものではないから、特許法第36条第6項第1号の規定に違反するとともに、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に違反する。
(カ) 訂正事項2について
(カ−1) 「前記室内熱交換器を解凍する」は、「前記室内熱交換器」を「解凍する」ことを意味すること、及び室内熱交換器上の氷の現実の融解を必須とすることが明確であり、これに対し、訂正事項2による訂正後の「前記室内熱交換器を解凍するための処理をする」との記載は、訂正前の「前記室内熱交換器を解凍する」ことだけでなく、「解凍の準備のために行う事前処理」や室内熱交換器の氷の融解に至らない行為、「解凍後の処理」などの「解凍するための処理」といえる「処理」をも包含する記載であって、どこまでの「処理」を包含するかという外縁が明確でないから、訂正事項2は、「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものではない。
(カ−2) 訂正事項2による訂正後の「前記室内熱交換器を解凍するための処理をする」との記載は、訂正前の「前記室内熱交換器を解凍する」だけでなく、「解凍の準備のために行う事前処理」や、室内熱交換器上の氷の融解に至らない行為、「解凍後の処理」などの「解凍するための処理」といえる「処理」をも包含し、かつ室内熱交換器上の氷の現実の融解を必須とない記載であるから、訂正事項2による訂正は、文言上も実質上も特許請求の範囲を拡張し、又は変更するもので あり、特許法第134条の2第9項で準 用する特許法第126条第6項の規定に違反する。
(カ−3) 訂正事項2は、東京地方裁判所に係属中の本件特許に係る債務不存在確認請求事件(本訴)、及び特許権侵害差止請求反訴事件(反訴)(以下、あわせて「別件訴訟」という。)において、請求人である本訴原告(反訴被告)の製品における「室内熱交換器の解凍」は、本件特許の「前記室内熱交換器を解凍する」に該当するとの被請求人の主張が維持できないことから、「前記室内熱交換器を解凍するための処理をする」との訂正を行うことにより、「解凍の準備のために行う事前処理」や「解凍後の処理」などの「処理」をも包含させるように拡張、又は変更して、請求人の製品が、本件特許の対応する構成に該当する旨の主張を行うためにする訂正といえる。
(キ) 訂正事項4について
訂正事項4は、訂正事項1及び訂正事項2と同様の訂正を含むものである。
よって、訂正事項4による訂正後の請求項3の発明は、訂正事項1と同 様の理由により、特許法第36条第6項第1号の規定に違反するとともに、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に違反する。
また、訂正事項4は、訂正事項2と同様の理由により、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に違反する。
(ク) 訂正事項6について
訂正事項6は、訂正事項1と同様の理由により、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に違反する。
キ−2 以下に、それぞれ検討する。
(ア) 訂正事項1の「前記膨張弁の開度を大きく」について、訂正後の請求項1は、「前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ、
前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ、前記室内熱交換器を解凍するための処理をする」と特定されており、まず、「前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ」ることに続いて、「前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記膨張弁の開度を大きくして」と特定されているから、「前記膨張弁の開度」は、文章の前後のつながりからみて、「前記室内熱交換器を凍結させるための処理」における膨張弁の開度と比較して、大きくしていることを意味していることは、明らかである。
また、訂正後の請求項1は、「前記処理(凍結させるための処理)の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ、前記室内熱交換器を解凍するための処理をする」ものを特定するのであって、「通常の冷房又は暖房運転時」を前提とするものでないから、「通常の冷房又は暖房運転時」の「開度」とすることについていう請求人の主張は採用できない。
以上のとおりであるから、上記(ア)についての請求人の主張は、何れも採用できない。
(イ) 訂正事項1の「前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記膨張弁の開度を大きくして」について、当該記載は、「前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し」ていることと、「前記膨張弁の開度を大きく」することとの間に、別に特定される事項は記載されておらず、これをそのまま理解すると、「前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し」たまま、「前記膨張弁の開度を大きくして」いくものと理解できる。本件特許明細書の段落【0064】及び図10の記載からも、室内熱交換器の解凍は、「前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し」たまま行うことが前提となることが理解できる。
そうすると、請求人の上記主張するa.「前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持」したまま、「前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ」との解釈であることが明らかであり、訂正事項に不明瞭とするところはない。
また、上記a.の場合に、室内熱交換器の氷が室温で自然に溶ける態様ではないとしても、訂正前の請求項1に係る発明は、「前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記室内熱交換器を解凍する」と特定していたのであって、膨張弁の開度については、特定されるものではないし、自然に溶ける態様のみに限定することが特定されていたものでもない。
よって訂正後の請求項1に係る発明が「前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記膨張弁の開度を大きくして」解凍することを特定することが、特許請求の範囲の拡張又は変更にあたるものではなく、上記(イ)についての請求人の主張はいずれも採用できない。
(ウ) 本件特許明細書の段落【0064】に、「なお、図11に示す一連の処理に代えて、図10のタイムチャート(時刻t3〜t4)に示すように、圧縮機31や室内ファン14を停止状態で維持するようにしてもよい。室内熱交換器12を凝縮器として機能させずとも、室内熱交換器12の氷が室温で自然に溶けるからである。これによって、室内熱交換器12の解凍に要する消費電力を低減できる。また、上下風向板19(図2参照)の内側に水滴が付くことを抑制できる。」と記載されているが、圧縮機及び室内ファンが停止状態で、膨張弁の開度を大きくしたものも、圧縮機や室内ファンが停止していないものと比較して、氷の溶け方が比較的ゆっくりになると想定されるから、請求人のいう真逆の作用効果を有するから、本件特許発明の技術的課題を解決し得ないというものでもない。
(エ) 後記「第6 1(3)オ、カ」で検討のとおり、「前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ」ることは、当初明細書等に記載された事項である。
(オ) 訂正事項2について、訂正前の「前記室内熱交換器を解凍する」に関して、「解凍する」の動作主体が「前記制御部」であるところ、「制御部は、」「解凍する」との特定が、日本語として不自然であって、その実質は、「制御部は」、その制御手順において、解凍する処理を行うことを意味していて、これを明瞭にするために、本件特許明細書に記載された「解凍するための処理」との表現を用いて訂正を行い、特許請求の範囲を明確な記載としたものである。
したがって、訂正事項2の「解凍するための処理」には、解凍することが当然に含まれるものであるから、「解凍の準備のために行う事前処理」や室内熱交換器の氷の融解に至らない行為、「解凍後の処理」などの、氷を解凍する処理を行わないものを含むから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものではないとする請求人の主張は、採用できない。
(カ) 請求人の訂正事項4についての主張は、訂正事項1及び訂正事項2について主張と同様のことをいうものであり、上記(ア)〜(オ)で検討したのと同様に、請求人の主張は採用できない。
(キ) 請求人の訂正事項6についての主張は、訂正事項1について主張と同様のことをいうものであり、上記(ア)〜(エ)で検討したのと同様に、請求人の主張は採用できない。
(3) 独立特許要件
本件において、訂正前の請求項1及び3について無効審判の請求の対象とされているので、訂正前の請求項1に係る訂正事項1、2、訂正前の請求項3に係る訂正事項4に関して、特許法第134条の2第9項の規定により読み替えて準用される同法第126条第7項に規定される独立特許要件は課されない。
訂正事項3及び5は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正、同第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とする訂正のいずれでもない。したがって、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に規定される独立特許要件は課されない。

3 本件訂正についての小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第134条の2ただし書第1号、第3号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第3項並びに第9項において準用する同法第126条第4項、第5項及び第6項の規定に適合するものである。
そして、特許権者は、訂正後の請求項2及び4については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別の訂正単位として扱われることを求めているところ、上記のとおり、請求項2及び4に係る訂正は認められるものであるから、訂正後の請求項2及び4について、一群の請求項の他の請求項とは別の訂正単位として扱う。
よって、本件特許の明細書、及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、3〕、2、4について訂正することを認める。

第3 本件発明
本件訂正後の請求項1〜4に係る発明は、以下のとおりの発明である(なお、請求項1〜4に係る発明を、以下、それぞれ「本件特許発明1」〜「本件特許発明4」といい、まとめて「本件特許発明」ということもある。)。
「【請求項1】
圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路と、
少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、を備え、
前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交換器であり、
前記室内熱交換器の温度を検出する温度センサを有するとともに、
室内ファンを有し、
前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ、
前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ、前記室内熱交換器を解凍するための処理をする
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路と、
少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、を備え、
前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交換器であり、
前記室内熱交換器の温度を検出する温度センサを有するとともに、
室内ファンを有し、
前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ、
前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記室内熱交換器を解凍し、
前記第1期間は、室内空気の相対湿度又は絶対湿度に基づいて設定される
ことを特徴とする、空気調和機。
【請求項3】
圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路と、
少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、を備え、
前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交換器であり、
前記室内熱交換器の温度を検出する温度センサを有するとともに、
室内ファンを有し、
前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ、
前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ、前記室内熱交換器を解凍するための処理をし、
前記室内熱交換器の下側に配置されるドレンパンをさらに備える
ことを特徴とする、空気調和機。
【請求項4】
圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路と、
少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、を備え、
前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交換器であり、
前記室内熱交換器の温度を検出する温度センサを有するとともに、
室内ファンを有し、
前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ、
前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記室内熱交換器を解凍し、
前記第1期間は、室内空気の相対湿度又は絶対湿度に基づいて設定され、
前記室内熱交換器の下側に配置されるドレンパンをさらに備える
ことを特徴とする、空気調和機。」

第4 審判請求人の主張
1 無効理由の概要
請求人は、「特許第6353998号発明の特許請求の範囲の請求項1及び請求項3に記載された発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、」との審決を求め、以下の無効理由を主張している(以下、「甲第1号証」等を「甲1」等と呼ぶ。)。
なお、令和3年5月17日付け審判事件弁駁書において、審判請求の理由は変更されたが、当審は、令和3年9月3日に補正許否の決定をし、当該変更を認めた。
1−1 審判請求書における無効理由の概要
(1) 無効理由1(甲1を主引例とする、特許法第29条第1項第3号、第2項。)
ア 本件特許発明1は、本件特許に係る特許出願の出願前に頒布された刊行物である甲1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項3号に該当し、特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
イ 本件特許発明1は、本件特許に係る特許出願の出願前に頒布された刊行物である甲1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
ウ 本件特許発明3は、本件特許に係る特許出願の出願前に頒布された刊行物である甲1に記載された発明及び周知慣用技術(甲2、甲4、甲5)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
(2) 無効理由2(甲2を主引例とする、特許法第29条第2項。)
本件特許発明1及び3は、本件特許に係る特許出願の出願前に頒布された刊行物である甲2に記載された発明、又は甲2に記載された発明及び甲1に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。
(3) 無効理由3(甲3を主引例とする、特許法第29条第1項第3号、第2項。)
ア 本件特許発明1及び3は、本件特許に係る特許出願の出願前に頒布された刊行物である甲3に記載された発明であるから、特許法第29条第1項3号に該当し、特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
イ 本件特許発明1及び3は、本件特許に係る特許出願の出願前に頒布された刊行物である甲3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
(4) 無効理由4(特許法第17条の2第3項
平成30年5月8日付け手続補正書によって、「室内熱交換器を凍結させるための処理」の終了を所定時間の経過時とする旨の補正がなされたが、当該事項について具体的な記載は、本件特許の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の記載に基づかないものであるから、上記補正は、新規事項を追加するものであり、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、その特許は同法第123条第1項第1号に該当し、無効とすべきものである。
(5) 無効理由5(特許法第36条第6項第1号
本件特許発明1の「前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ、前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記室内熱交換器を解凍する」との内容は、本件特許の明細書(以下「本件明細書」という。)に記載されていないため、請求項1及び3に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、その特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。
(6) 無効理由6(特許法第36条第4項第1号
本件明細書には、「室内熱交換器の凍結に関しては、その継続時間があまりに長いと、室内熱交換器の霜や氷の量が増えすぎて、解凍時に室内へ水が溢れてしまうという特有の課題」という課題や、「前記した第1期間の経過時において室内熱交換器に比較的多くの霜や氷が付着していても、その解凍に伴って単位時間当たりに流れ落ちる水の量が比較的少なくなります。したがって、室内熱交換器の解凍中にドレンパンから水が溢れることを防止」できるという効果については、記載されておらず、本件特許発明の課題、及び効果が本件明細書等に記載されていないため、本件明細書は、本件特許発明1及び3を当業者が実施をする程度に明確かつ十分に記載していない。
よって、請求項1及び3に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、その特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。
1−2 令和3年5月17日付け弁駁書における無効理由の概要(令和3年9月3日の請求の理由の変更についての補正許否の決定により許可されたもの。)
(1) 無効理由1’(甲1を主引例とする、特許法第29条第2項。)
ア 本件特許発明1及び本件特許発明3は、本件特許に係る特許出願の出願前に頒布された刊行物である甲1に記載された発明及び周知の技術(周知の事項)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
イ 本件特許発明1及び本件特許発明3は、本件特許に係る特許出願の出願前に頒布された刊行物である甲1に記載された発明、甲3に記載された事項及び周知の技術(周知の事項)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
(2) 無効理由5’(特許法第36条第6項第1号
本件特許発明1及び3は、上記「第2 2(2)キ キ−1」のとおり、不明確であり、明細書に記載されたものではないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、その特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。
(3) 無効理由6’(特許法第36条第4項第1号
本件特許発明1及び3は、上記「第2 2(2)キ キ−1」のとおり、不明確であり、明細書に記載されたものではないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、その特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。

2 証拠方法
請求人が提出した証拠方法は以下のとおりである。
甲1:中国特許出願公開第106594976号明細書
甲2:特開2010−14288号公報
甲3:中国特許出願公開第105605742号明細書
甲4:特開平8−61746号公報
甲5:特開2005−16830号公報
甲6:意見書(特許出願2018−058754)平成30年5月8日
甲7:東京税関長に宛てた令和元年11月8日付けの意見書
甲8の1:中国特許第100582642号明細書
甲8の2:中国特許出願公開第101256061号明細書
甲9:中国特許出願公開第105486164号明細書
甲10:小学館、「中日辞典第2版」、502、503、708、709、1332、1333ページ
甲11:東京税関長に宛てた令和元年10月23日付けの補足意見書
甲12:令和元年11月29日付け本訴被告(反訴原告)(日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社)第1準備書面
甲13:日立ルームエアコン取扱説明書
甲14:「おしえて!白くまくん!![凍結洗浄]&[ファンロボ]まるわかりサイト:日立の家電品」のウエブページ(https://kadenfan.hitachi.co.jp/ra/faq/touketusenjo/003.html)のプリントアウト
甲15:日本経済新聞ウエブサイト「大阪は東京より蒸し暑い?絶対湿度が示す快適条件」2015年9月17日公開のプリントアウト
甲16:令和2年6月25日付け本訴被告(反訴原告)(日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社)第4準備書面(差替版)
甲17:特願2018−58754号の審査前の特許請求の範囲

第5 被請求人の主張
被請求人は答弁書において、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする」との審決を求め、請求人の主張する上記無効理由はいずれも理由がない旨主張している(以下「乙第1号証」等を「乙1」等と呼ぶ。)。

1 証拠方法
被請求人が提出した証拠方法は以下のとおりである。
乙1:中国特許出願公開第106594976号明細書の翻訳文
乙2:群技セ第2300−84号、令和元年9月11日付けの群馬県立産業技術センター試験等結果通知書
乙3:中国特許出願公開第105605742号明細書の翻訳文

第6 無効理由についての判断
1 無効理由4(特許法第17条の2第3項)について
事案に鑑み、まず、無効理由4について、検討する。
(1) 請求人の主張
本件特許の出願手続における平成30年5月8日付け手続補正書による、「前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ」る補正は、当初明細書等に記載されておらず、新規事項を追加するものである。
その具体的な理由は、以下のとおりである。
ア 当初明細書等の段落【0038】、【0039】、【0052】、図5及び図6に開示されているのは、「予め設定された第一期間の経過又は室内熱交換器の温度のあらかじめ設定された範囲内の温度への到達のいずれか遅い方の時点で」「室内熱交換器を凍結させるための処理」を終了させる技術にすぎない。
イ 当初明細書等の段落【0094】及び図16には、「室内熱交換器の温度が所定範囲内?」との判断ステップを含まない発明が開示されているが、室内熱交換器12を凍結させているとき、制御部Kが、室内ファン14を低速で駆動させる発明であって、「室内熱交換器を凍結させるための処理」中に室内ファンを停止させる本件特許発明1とは別の発明である。
本件特許発明1は、「前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記室内熱交換器を解凍する」と規定する以上、「室内熱交換器を凍結させるための処理」中も室内ファンは停止状態にあることを前提とする。
ウ 上記補正の根拠は、当初明細書等には他に見当たらない。
(2)被請求人の主張
ア 当初明細書等には、以下の事項が記載されている。
「≪変形例≫ 以上、本発明に係る空気調和機100等について各実施形態で説明したが本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。」(段落【0100】)
「また、各実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前記した機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。」(段落【0125】)
イ してみれば、図16のフローチャートと同様に、図6に示された実施形態において、「室内熱交換器の温度が所定温度内?」か否かを判断するステップを省略したフローチャートとした変形例は、当初明細書等に記載した事項又は当初明細書等に記載した事項から自明な事項に該当し、新たな技術的事項を導入するものではない。
(3) 当審の判断
ア 当審において顕著な事実である当初明細書等には、以下の事項が記載されている(下線は、参考のため、当審で付したものである。また、「・・・」は、省略を意味する。)。
「【0032】
図5は、空気調和機100の制御部Kが実行する洗浄処理のフローチャートである(適宜、図3、図4を参照)。なお、図5の『START』時までは、所定の空調運転(冷房運転、暖房運転等)が行われていたものとする。
また、室内熱交換器12の洗浄処理の開始条件が『START』時に成立したものとする。この『洗浄処理の開始条件』とは、例えば、前回の洗浄処理の終了時から空調運転の実行時間を積算した値が所定値に達したという条件である。なお、ユーザによるリモコン40の操作によって、洗浄処理を行う時間帯を設定できるようにしてもよい。」
「【0035】
次に、ステップS102において制御部Kは、室内熱交換器12を凍結させる。すなわち、制御部Kは、室内熱交換器12を蒸発器として機能させ、室内機10に取り込まれた空気に含まれる水分を室内熱交換器12の表面に着霜させて凍結させる。
【0036】
ステップS103において制御部Kは、室内熱交換器12を解凍する。例えば、制御部Kは、室外膨張弁34の開度を大きくして室外熱交換器32にある冷媒を室内熱交換器12に流入させることによって、室内熱交換器12の表面の氷を溶かして解凍する。この際、室外膨張弁34の開度を全開にすることが望ましい。これによって、室外熱交換器32に存在していた温かい冷媒が室内熱交換器12に導かれるため、室内熱交換器12の解凍を短時間で行うことができる。なお、室内熱交換器12を凝縮器として機能させることによって、室内熱交換器12の表面の氷を溶かして解凍するようにしてもよい。これによって、室内熱交換器12に付着していた塵や埃が洗い流される。」
「【0038】
図6は、室内熱交換器12を凍結させるための処理(図5のS102)を示すフローチャートである(適宜、図3、図4を参照)。
ステップS102aにおいて制御部Kは、四方弁35を制御する。すなわち、制御部Kは、室外熱交換器32を凝縮器として機能させ、室内熱交換器12を蒸発器として機能させるように四方弁35を制御する。なお、『洗浄処理』(図5に示す一連の処理)を行う直前に冷房運転を行っていた場合、制御装置は、ステップS102aにおいて四方弁35の状態を維持する。
【0039】
ステップS102bにおいて制御部Kは、凍結時間を設定する。具体的に説明すると、制御部Kは、室内空気(被空調空間)の空気の相対湿度に基づいて、凍結時間を設定する。なお、『凍結時間』とは、室内熱交換器12を凍結させるための所定の制御(S102c〜S102e)が継続される時間である。」
「【0042】
次に、図6のステップS102cにおいて制御部Kは、圧縮機31の回転速度を設定する。すなわち、制御部Kは、室外温度センサ36の検出値である室外温度に基づいて、圧縮機モータ31aの回転速度を設定し、圧縮機31を駆動する。」
「【0045】
次に、図6のステップS102dにおいて制御部Kは、室外膨張弁34の開度を調整する。
なお、ステップS102dでは、通常の冷房運転時よりも室外膨張弁34の開度を小さくすることが望ましい。これによって、通常の冷房運転時よりも低温低圧の冷媒が、室外膨張弁34を介して室内熱交換器12に流入する。したがって、室内熱交換器12に付着した水が凍結しやすくなり、また、室内熱交換器12の凍結に要する消費電力量を低減できる。
【0046】
ステップS102eにおいて制御部Kは、室内熱交換器12の温度が所定範囲内であるか否かを判定する。前記した『所定範囲』とは、室内機10に取り込まれた空気に含まれる水分が室内熱交換器12で凍結し得る範囲であり、予め設定されている。
【0047】
ステップS102eにおいて室内熱交換器12の温度が所定範囲外である場合(S102e:No)、制御部Kの処理はステップS102dに戻る。
例えば、室内熱交換器12の温度が所定範囲よりも高い場合、制御部Kは、室外膨張弁34の開度をさらに小さくする(S102e)。このように、制御部Kは、室内熱交換器12を凍結させているとき、室内熱交換器12の温度が所定範囲内に収まるように、室外膨張弁34の開度を調整する。
【0048】
なお、図6では省略しているが、室内熱交換器12を凍結させているとき(つまり、所定の凍結時間が経過するまでの間)、制御部Kは、室内ファン14を停止状態にしてもよいし、また、室内ファン14を所定の回転速度で駆動してもよい。いずれの場合でも、室内熱交換器12の凍結が進むからである。」
「【0052】
図6のステップS102eにおいて室内熱交換器12の温度が所定範囲内である場合(S102e:Yes)、制御部Kの処理はステップS102fに進む。
ステップS102fにおいて制御部Kは、ステップS102bで設定した凍結時間が経過したか否かを判定する。『START』時から所定の凍結時間が経過していない場合(S102f:No)、制御部Kの処理はステップS102cに戻る。一方、『START』時から所定の凍結時間が経過した場合(S102f:Yes)、制御部Kは、室内熱交換器12を凍結させるための一連の処理を終了する(END)。」
「【0008】
・・・
【図5】本発明の第1実施形態に係る空気調和機の制御部が実行する洗浄処理のフローチャートである。
【図6】室内熱交換器を凍結させるための処理を示すフローチャートである。
・・・
【図10】圧縮機及び室内ファンのON/OFFの切替えに関する説明図である。
【図11】室内熱交換器を解凍するための処理を示すフローチャートである。
・・・
【図16】本発明の第4実施形態に係る空気調和機において、室内熱交換器を凍結させるための処理を示すフローチャートである。」





イ 上記アの事項から、当初明細書等には、室内熱交換器を凍結させるステップであるS102について、以下の事項が記載されていると認められる。
「室内熱交換器12を凍結させるための処理(図5のS102)は、
ステップS102aにおいて、制御部Kは、四方弁35を制御し(【0038】)、
ステップS102bにおいて、制御部Kは、凍結時間を設定し(【0039】)、
ステップS102cにおいて、制御部Kは、圧縮機31の回転速度を設定し(【0042】)、
ステップS102dにおいて、制御部Kは、室外膨張弁34の開度を調整し(【0045】)、
ステップS102eにおいて、制御部Kは、室内熱交換器12の温度が所定範囲内であるか否かを判定し(【0046】)、
ステップS102eにおいて、室内熱交換器12の温度が所定範囲外である場合(S102e:No)、制御部Kの処理はステップS102dに戻り(【0047】)、室内熱交換器12の温度が所定範囲内である場合(S102e:Yes)、制御部Kの処理はステップS102fに進み(【0052】)、
ステップS102fにおいて、制御部Kは、ステップS102bで設定した凍結時間が経過したか否かを判定し、『START』時から所定の凍結時間が経過していない場合(S102f:No)、制御部Kの処理はステップS102cに戻り、一方、『START』時から所定の凍結時間が経過した場合(S102f:Yes)、制御部Kは、室内熱交換器12を凍結させるための一連の処理を終了する(END)。」(以下「記載事項A」という。)
そして、上記記載事項Aの「ステップS102bで設定した凍結時間」は、「『START』時から所定の凍結時間」とされるものであるから、本件特許発明1の「前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間」に相当する。
また、「室内熱交換器12の温度が所定範囲内である場合(S102e:Yes)、制御部Kの処理はステップS102fに進み(【0052】)、
ステップS102fにおいて、制御部Kは、ステップS102bで設定した凍結時間が経過したか否かを判定し、『START』時から所定の凍結時間が経過していない場合(S102f:No)、制御部Kの処理はステップS102cに戻り、一方、『START』時から所定の凍結時間が経過した場合(S102f:Yes)、制御部Kは、室内熱交換器12を凍結させるための一連の処理を終了する(END)」ことは、本件特許発明1の「第1期間が経過すると、前記処理を終了させ」ることに相当する。
請求人は、「図5及び図6に開示されているのは、『予め設定された第一期間の経過又は室内熱交換器の温度のあらかじめ設定された範囲内の温度への到達のいずれか遅い方の時点で』『室内熱交換器を凍結させるための処理』を終了させる技術にすぎない。」(前記(1)ア参照。)と主張する。
しかしながら、上記のとおり、少なくとも室内熱交換器の温度が所定範囲内である場合に、処理を開始してから、所定の凍結時間が経過した場合に処理を終了させることは記載されているから、新たな技術的事項を追加するものではない。
そうすると、本件特許発明1の「前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ」ることは、当初明細書等に記載された事項であると認められる。
ウ さらに、当審において顕著な事実である当初明細書等には、以下の事項が記載されている。
「【0093】
≪第4実施形態≫
第4実施形態は、室内熱交換器12(図2参照)を凍結させているとき、制御部Kが、室内ファン14及び室外ファン33(図4参照)を低速で駆動させる点が、第1実施形態とは異なっている。また、制御部Kが、室外膨張弁34の開度を所定値(固定値)に設定する点が、第1実施形態とは異なっている。なお、その他の点(図1〜図4に示す空気調和機100の構成、図5のフローチャート等)については第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0094】
図16は、第4実施形態に係る空気調和機100において、室内熱交換器12を凍結させるための処理を示すフローチャートである(適宜、図3、図4を参照)。なお、第1実施形態(図6参照)と同様の処理には、同一のステップ番号を付している。
ステップS102bにおいて凍結時間を設定した後、制御部Kの処理はステップS102xに進む。」
「【図10】





エ 上記ウの記載事項によると、第4実施形態は、上記図5のフローチャートにおいて、「室内熱交換器の凍結」(S102)の処理について、図16の室内熱交換器の凍結させるための処理(START〜S102a〜S102f〜END)を行うものと認められる。
そして、第4実施形態は、図5の「室内熱交換器を凍結(S102)」以外については、図5の第1実施例と同様であるから、図5のフローチャートにおいて、STARTの次に、「空調運転を停止」(S101)を行い、次に「室内熱交換器を凍結」(S102)の処理として、図16のフローチャートの処理を行い、次に「室内熱交換器を解凍」(S103)の処理を行い、次に「室内熱交換器を乾燥」(S104)を行うものである。
また、図16に関して、「第1実施形態(図6参照)と同様の処理には、同一のステップ番号を付している。」(【0094】)とされ、第1実施形態の「凍結時間を設定」(S102b)については、「ステップS102fにおいて制御部Kは、ステップS102bで設定した凍結時間が経過したか否かを判定する。『START』時から所定の凍結時間が経過していない場合(S102f:No)、制御部Kの処理はステップS102cに戻る。一方、『START』時から所定の凍結時間が経過した場合(S102f:Yes)、制御部Kは、室内熱交換器12を凍結させるための一連の処理を終了する(END)。」(【0052】)とされている。すなわち、第4実施形態において、「凍結時間を設定」(S102b)で設定される凍結時間は、図16において、予め設定される、凍結させるための処理を開始する「START」時から所定の凍結時間であると認められる。
そうすると、第4実施形態は、「前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ、」を含むものである。
また、「室内熱交換器を解凍」(S103)について、当初明細書等に「なお、図11に示す一連の処理に代えて、図10のタイムチャート(時刻t3〜t4)に示すように、圧縮機31や室内ファン14を停止状態で維持するようにしてもよい。室内熱交換器12を凝縮器として機能させずとも、室内熱交換器12の氷が室温で自然に溶けるからである。これによって、室内熱交換器12の解凍に要する消費電力を低減できる。また、上下風向板19(図2参照)の内側に水滴が付くことを抑制できる。」(【0064】)と記載されていて、また、膨張弁の開度については特定されているものではなく、図5のフローチャートにおける一般的な制御について記載している、段落【0036】の「ステップS103において制御部Kは、室内熱交換器12を解凍する。例えば、制御部Kは、室外膨張弁34の開度を大きくして室外熱交換器32にある冷媒を室内熱交換器12に流入させることによって、室内熱交換器12の表面の氷を溶かして解凍する。」ことを踏まえると、室内設交換器の凍結(S102)処理に、図16で示されるものを採用した第4実施形態のものは、「前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ、前記室内熱交換器を解凍するための処理をする」態様を含むものであるから、第4実施形態において、本件特許発明1と同様のものが記載されているといえる。
請求人は、本件特許発明1は、「前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し」、「前記室内熱交換器を解凍する」と規定する以上、「室内熱交換器を凍結させるための処理」中も室内ファンは停止状態にあることを前提とし、当初明細書等の段落【0094】及び図16の、「室内熱交換器の温度が所定範囲内?」との判断ステップを含まない発明は、室内熱交換器12を凍結させているとき、制御部Kが、室内ファン14を低速で駆動させる発明であるから、「室内熱交換器を凍結させるための処理」中に室内ファンを停止させる本件特許発明1とは別の発明であると述べている。
しかしながら、上記のとおり、第4実施形態のものは、室内熱交換器12を解凍させているとき、制御部Kが、室内ファン14を停止させているものを含んでいるから、第4実施形態のものが、本件特許発明1と別の発明であるとはいえず、請求人の上記主張は採用できない。
オ さらに、請求人は、「特に段落【0060】〜【0063】に記載された態様(『暖房運転時』と同様に四方弁を制御し、凝縮器である室内熱交換器に高温の冷媒を通流させ、室内熱交換器を高温とすることによって、室内熱交換器に付着した氷を一気に溶かして、室内熱交換器に付着していた塵や埃を洗い流す態様)を明示的に排除して、『室内熱交換器12の氷が室温で自然に溶ける』態様として記載されているものである。
そして、段落【0064】の『制御部Kが、室内熱交換器12を凍結させるための処理の終了後、圧縮機31及び室内ァン14の停止状態を維持し、室内熱交換器12を解凍する』態様及び図10において、『前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ』ることは記載されていない。」(弁駁書9ページ)と主張している。
しかしながら、段落【0064】には、「なお、図11に示す一連の処理に代えて、図10のタイムチャート(時刻t3〜t4)に示すように、圧縮機31や室内ファン14を停止状態で維持するようにしてもよい。室内熱交換器12を凝縮器として機能させずとも、室内熱交換器12の氷が室温で自然に溶けるからである。これによって、室内熱交換器12の解凍に要する消費電力を低減できる。また、上下風向板19(図2参照)の内側に水滴が付くことを抑制できる。」と記載され、ステップS103の解凍するための処理を、圧縮機及び室内ファンをOFFにして(停止して)行い、その際に室内熱交換器12を凝縮器として機能させないものが記載されている。
加えて、図5の各ステップについて述べる段落【0036】の「ステップS103において制御部Kは、室内熱交換器12を解凍する。例えば、制御部Kは、室外膨張弁34の開度を大きくして室外熱交換器32にある冷媒を室内熱交換器12に流入させることによって、室内熱交換器12の表面の氷を溶かして解凍する。この際、室外膨張弁34の開度を全開にすることが望ましい。これによって、室外熱交換器32に存在していた温かい冷媒が室内熱交換器12に導かれるため、室内熱交換器12の解凍を短時間で行うことができる。」こと、これに続く、「なお、室内熱交換器12を凝縮器として機能させることによって、室内熱交換器12の表面の氷を溶かして解凍するようにしてもよい。」との記載からみて、前者の制御部Kが、室外膨張弁34の開度を大きくして室外熱交換器32にある冷媒を室内熱交換器12に流入させることは、室内熱交換器12を凝縮器として機能させないで行う解凍するための処理についていうものである。
そうすると、室内熱交換器12を凝縮器として機能させないで行う解凍処理である段落【0036】の「室外膨張弁34の開度を大きくして室外熱交換器32にある冷媒を室内熱交換器12に流入させることによって、室内熱交換器12の表面の氷を溶かして解凍する」ことは、ステップ103を図10の圧縮機31や室内ファン14を停止状態で維持するものに代えたものも含むものと理解できる。
カ 以上のア〜オのとおりであるから、本件特許発明1の「前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ」ること及び「前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ、前記室内熱交換器を解凍するための処理をする」ことは、当初明細書等に記載された事項の範囲内のものである。
キ したがって、平成30年5月8日付け手続補正書による上記補正は、当初明細書等の関係において新たな技術的事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものではなく、同法第123条第1項第1号に該当せず、無効とすることはできない。

2 無効理由5、5’(特許法第36条第6項第1号)についての当審の判断
(1) 請求人の主張
(無効理由5)
本件特許発明1の「前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ、前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記室内熱交換器を解凍する」との内容は、本件特許の明細書(以下「本件明細書」という。)に記載されていないため、請求項1及び3に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、その特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。
(無効理由5’)
本件特許発明1及び3は、上記「第2 2(2)キ キ−1」のとおり不明確であり、明細書に記載されたものではないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものでるから、その特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。
(2) 特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、発明の詳細な説明に記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。そこで、以下に検討する。
(3) 本件発明の課題とその解決手段について
ア 本件明細書の記載
本件明細書には、上記1(3)の事項に加えて、以下の事項が記載されている。
「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術において、暖房運転後に通常の冷房運転を行ったとしても、室内熱交換器を洗浄するには、室内熱交換器に付着する水の量が足りない可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、室内熱交換器を適切に洗浄可能な空気調和機を提供することを課題とする。
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は、圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路と、少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、を備え、前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交換器であり、前記室内熱交換器の温度を検出する温度センサを有するとともに、室内ファンを有し、前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ、前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記室内熱交換器を解凍することを特徴とする。」
「【0024】
図4は、空気調和機100の機能ブロック図である。
図4に示す室内機10は、前記した構成の他に、撮像部23と、環境検出部24と、室内制御回路25と、を備えている。
撮像部23は、室内(被空調空間)を撮像するものであり、CCDセンサ(Charge Coupled Device)やCMOSセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を備えている。この撮像部23の撮像結果に基づき、室内制御回路25によって、室内にいる人(在室者)が検出される。なお、被空調空間に存在する人を検出する「人検出部」は、撮像部23と、室内制御回路25と、を含んで構成される。
【0025】
境検出部24は、室内の状態や室内機10の機器の状態を検出する機能を有し、室内温度センサ24aと、湿度センサ24bと、室内熱交換器温度センサ24cと、を備えている。
室内温度センサ24aは、室内(被空調空間)の温度を検出するセンサである。この室内温度センサ24aは、フィルタ16,16(図2参照)よりも空気の吸込側に設置されている。これによって、後記するように室内熱交換器12を凍結させているとき、その熱輻射の影響に伴う検出誤差を抑制できる。」



「【0040】
図7は、室内空気の相対湿度と、凍結時間と、の関係を示すマップである。
図7の横軸は、室内空気の相対湿度であり、湿度センサ24b(図4参照)によって検出される。図7の縦軸は、室内空気の相対湿度に対応して設定される凍結時間である。
図7に示すように、制御部Kは、室内空気の相対湿度が高いほど、室内熱交換器12の凍結を行う凍結時間を短くする。室内空気の相対湿度が高いほど、所定体積の室内空気に含まれる水分の量が多く、室内熱交換器12に水分が付着しやすいからである。このように凍結時間を設定することで、室内熱交換器12の洗浄に要する適量の水分を、室内熱交換器12に付着させ、さらに凍結させることができる。
【0041】
なお、図7に示すマップ(データテーブル)に代えて、所定の数式を用いるようにしてもよい。また、制御部Kが、室内空気の相対湿度に代えて、室内空気の絶対湿度に基づき、凍結時間を設定するようにしてもよい。すなわち、制御部Kは、室内空気の絶対湿度が高いほど、凍結時間を短くするようにしてもよい。」
イ 前記アの記載事項のとおり、本件明細書の「発明が解決しようとする課題」には、暖房運転後に通常の冷房運転を行ったとしても、室内熱交換器を洗浄するには、室内熱交換器に付着する水の量が足りない可能性があり(【0004】)、そこで、本件発明は、室内熱交換器を適切に洗浄可能な空気調和機を提供することを課題とするものである(【0005】)との記載がある。
そして、「課題を解決するための手段」には、本件発明は、当該課題の解決のために、圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路と、少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、を備え、前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交換器であり、前記室内熱交換器の温度を検出する温度センサを有するとともに、室内ファンを有し、前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ、前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記室内熱交換器を解凍すること(【0006】)の記載がある。
さらに、「発明の効果」には、本件発明によれば、室内熱交換器を適切に洗浄可能な空気調和機を提供できる(【0007】)ことの記載がある。
以上によれば、当業者は、本件発明の課題は、室内熱交換器を適切に洗浄可能な空気調和機を提供することであると認識することができる。
(4) サポート要件に適合するか否について
ア 上記無効理由4の「(3) 当審の判断」における検討で述べたとおり、本件特許発明1及び3の「前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ、
前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ、前記室内熱交換器を解凍するための処理をする」ことは、本件明細書に記載された事項であり、本件特許発明1及び3は、発明の詳細な説明に記載されたものと認められる。
また、室内空気の相対湿度と凍結時間マップ(データテーブル)、所定の数式、室内空気の絶対湿度等に基づく、「予め設定された第1期間」を、凍結時間として設定(【0040】、【0041】)し、「前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ」ることで、本件特許発明1及び3は、「室内熱交換器12の洗浄に要する適量の水分を、室内熱交換器12に付着させ、さらに凍結させることができ」(【0040】)るから、少なくとも、この点で、本件発明の課題である「室内熱交換器を適切に洗浄可能な空気調和機を提供できる」という課題を解決できることは、明らかである。
よって、本件特許発明1及び3は、本件明細書の発明の詳細な説明に記載され、その記載から、本件発明の課題を解決することができると認識できる範囲内のものであるから、サポート要件に適合する。
イ 請求人は、本件特許発明1の「前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ、前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ、前記室内熱交換器を解凍するための処理をする」との内容は、本件明細書に記載されていないと主張する(無効理由5)。
さらに、「本件特許明細書の段落【0036】には、『室外膨張弁の開度を大きくして室外熱交換器32にある冷媒を室内熱交換器12に流入させること・・・によって・・・室内熱交換器12の解凍を短時間で行うことができる』と記載されており、『前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ』との発明特定要素は、本件特許発明とは真逆の作用効果を有し、被請求人の主張する技術的課題を解決しない。」と主張する(無効理由5’)。
しかしながら、上記アで検討したとおり、「前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ、
前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ、前記室内熱交換器を解凍するための処理をする」ことは、本件明細書に記載された事項であると認められる。
さらに、上記「第2 2(2)キ キ−2」で検討したとおり、請求人が、弁駁書でする訂正請求についての主張は、採用できないので、これを援用して主張している記載要件についての無効理由5’も採用できない。
ウ したがって、本件特許発明1及び3は、本件明細書に記載したものであるから、特許法第36条第6項第1号の規定に違反するものではなく、同法第123条第1項第4号に該当せず、無効とすることはできない。

3 無効理由6、6’(特許法第36条第4項第1号
(1) 請求人の主張
(無効理由6)
平成30年5月8日付け意見書(甲6)において被請求人が主張した「凍結に関しては、その継続時間があまりに長いと、室内熱交換器の霜や氷の量が増えすぎて、解凍時に室内へ水が溢れてしまうという特有の課題」、及び、「暖房運転等による解凍に比べて、室内熱交換器の解凍がゆっくりと進むため、単位時間当たりの排水量が少なくなります。これによって、前記した第1期間の経過時において室内熱交換器に比較的多くの霜や氷が付着していても、その解凍に伴って単位時間当たりに流れ落ちる水の量が比較的少なくなります。したがって、室内熱交換器の解凍中にドレンパンから水が溢れることを防止できます。」との作用効果が、本件明細書に記載されておらず、当業者にとって自明でもないから、本件明細書は本件特許発明1及び3を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されておらず、特許法第36条第4項第1号の記載要件に違反する。
(無効理由6’)
本件特許発明1及び3は、上記「第2 2(2)キ キ−1」のとおり不明確であり、明細書に記載されたものではないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、その特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。
(2) 被請求人の主張
本件明細書の段落【0064】には、「図11に示す一連の処理に代えて、図10のタイムチャート(時刻t3〜t4)に示すように、圧縮機31や室内ファン14を停止状態で維持するようにしてもよい。室内熱交換器12を凝縮器として機能させずとも、室内熱交換器12の氷が室温で自然に溶けるからである。」と記載されているので、本件特許発明1は、「前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し」、「前記室内熱交換器を解凍する」構成を備えることより、「室内熱交換器の氷が室温で自然に溶ける」との作用効果を奏することが本件明細書に明示的に記載されている。
また、本件特許発明1は、「前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ」る構成を備えることによって、例えば室内熱交換器の温度センサが故障した場合でも、凍結の継続時間が長くなりすぎないのは自明であるので、多くの霜や氷が室内熱交換器に付着して解凍に伴う水がドレンパンから溢れることを防止できるとの作用効果を奏することが可能であり、また、凍結の継続時間が長くなり室内熱交換器の霜や氷の量が増えすぎて解凍時に室内へ水が溢れてしまうとの課題を解決可能であることは、明細書の記載から当業者にとって自明の事項である。
したがって、本件特許発明1及び3は、本件明細書に当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているから、特許法第36条第4項第1号実施可能要件に違反しない。
(3) 当審の判断
実施可能要件の判断基準
特許法第36条第4項第1号は、発明の詳細な説明には、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易にその実施をすることができる程度に、その発明の目的、構成及び効果を記載しなければならない旨規定するところ、実施可能要件を充足するためには、明細書の発明の詳細な説明に、当業者が、明細書の発明の詳細な説明の記載及び出願当時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その発明を実施することができる程度に発明の構成等の記載があることを要する。
イ 本件特許発明1及び3について
(ア) 本件特許発明1及び3の「前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ、
前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ、前記室内熱交換器を解凍するための処理をする」との記載は、文言上、「前記制御部」が、「前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ、
前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ、前記室内熱交換器を解凍するための処理をする」ことと理解することができる。
そして、当業者は、本件明細書の記載を参考にして、特定される処理手順に従い空気調和機を制御させることで、過度の試行錯誤を要することなく、「前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ、
前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ、前記室内熱交換器を解凍するための処理をする」との構成を備えた本件特許発明1及び3を実施することができるというべきである。
よって、本件明細書の発明の詳細な説明は、当業者が本件特許発明1及び3を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されているということができる。
(イ) 請求人は、本件明細書には、「室内熱交換器の凍結に関しては、その継続時間があまりに長いと、室内熱交換器の霜や氷の量が増えすぎて、解凍時に室内へ水が溢れてしまうという特有の課題」という課題や、「前記した第1期間の経過時において室内熱交換器に比較的多くの霜や氷が付着していても、その解凍に伴って単位時間当たりに流れ落ちる水の量が比較的少なくなります。したがって、室内熱交換器の解凍中にドレンパンから水が溢れることを防止」できるという効果については、記載されておらず、本件特許発明の課題、及び効果が本件明細書等に記載されていないため、本件明細書は、本件特許発明1及び3を当業者が実施をする程度に明確かつ十分に記載していない旨の主張をしている(無効理由6)。
しかしながら、上記(ア)で述べたとおり、本件特許発明1及び3について、発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されているものと認められるので、課題や効果が記載されていないことを前提とする請求人の上記主張は採用できない。
なお、本件明細書の発明の詳細な説明には、発明が解決しようとする課題について、「【0005】そこで、本発明は、室内熱交換器を適切に洗浄可能な空気調和機を提供することを課題とする。」と記載され、その解決手段として、「【0006】前記課題を解決するために、本発明は、圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路と、少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、を備え、前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交換器であり、前記室内熱交換器の温度を検出する温度センサを有するとともに、室内ファンを有し、前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ、前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記室内熱交換器を解凍することを特徴とする。」と記載されており、この記載は本件特許発明1と同様のものである。そして、当該記載された事項が、空気調和機の制御において、当業者が実施できないとするところはなく、本件明細書に記載された上記図5、図10及び図16のフローチャートも参酌すれば、「制御部」は、「前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間」を定めて、当該「第1期間」「が経過すると、前記処理を終了させ」ればよく、当該「凍結させるための処理」が終わった後は、「前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持」することにより、室内空気によって、凍結した着霜が解凍できることは明らかであり、「前記室内熱交換器を解凍すること」ができることも技術的に明らかである。
そして、平成30年5月8日付け意見書(甲6)において被請求人が主張した「凍結に関しては、その継続時間があまりに長いと、室内熱交換器の霜や氷の量が増えすぎて、解凍時に室内へ水が溢れてしまうという特有の課題」、及び、「暖房運転等による解凍に比べて、室内熱交換器の解凍がゆっくりと進むため、単位時間当たりの排水量が少なくなります。これによって、前記した第1期間の経過時において室内熱交換器に比較的多くの霜や氷が付着していても、その解凍に伴って単位時間当たりに流れ落ちる水の量が比較的少なくなります。したがって、室内熱交換器の解凍中にドレンパンから水が溢れることを防止できます。」との作用効果については、発明の詳細な説明の記載ではないから、本件特許発明1及び3を、当業者が実施をする程度に明確かつ十分に記載されたものであるかどうかの判断と直接関係することではなく、上記意見書の記載により、本件特許発明1及び3を実施することができないとはいえない。
さらに、上記「第2 2(2)キ キ−2」で検討したとおり、請求人がする訂正請求における主張は、採用できないので、これを援用して主張している記載要件についての無効理由6’も採用できない。
ウ したがって、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、本件特許発明1及び3を、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているから、特許法第36条第4項第1号実施可能要件に違反するものではなく、同法第123条第1項第4号に該当せず、無効とすることはできない。

4 無効理由1〜3について(無効理由1:甲1を主引例とする、特許法第29条第1項第3号、第2項。無効理由2:甲2を主引例とする、特許法第29条第2項。無効理由3:甲3を主引例とする、特許法第29条第1項第3号、第2項。無効理由1’:甲1を主引例とする、特許法第29条第2項。)
(1) 甲各号証の記載事項及び記載された発明
ア 甲1
(ア) 甲1記載事項



(当審注:括弧内は、請求人提出の翻訳文及び乙1を参考にし、当審で作成したものである。以下、甲1については、同様である。:
【請求項1】
空気調和機の室内外機の洗浄方法であって、
被洗浄熱交換器を制御して自動洗浄モードに移行させるステップと、
空気調和機の運転周波数、絞り装置の開度及び被洗浄熱交換器に対応するファンの回転数を調節し、被洗浄熱交換器の蒸発温度を制御して予め設定された範囲内に保持させることで、被洗浄熱交換器の表面に着霜させるステップと、
被洗浄熱交換器をt1時間継続的に着霜させるステップと、
空気調和機の高低圧力差が予め設定された条件に到達したか否かを検出するステップと、
空気調和機の高低圧力差が予め設定された条件に到達した場合、四方弁の切り替えを制御して室内外熱交換器の除霜を切り替えるステップと、
空気調和機の高低圧力差が予め設定された条件に到達していない場合、空気調和機の運転パラメータを調節して空気調和機の高低圧力差を予め設定された条件に到達させて、四方弁の切り替えを制御して室内外熱交換器の除霜を切り替えるステップと、を含むことを特徴とする空気調和機の室内外機の洗浄方法。
【請求項2】
蒸発温度をTi、凝縮温度をTo、Tiに対応する蒸発飽和圧力をPi、Toに対応する凝縮飽和圧力をPoとすると、|Ti−To|≦B、又はPi>Poの場合にPi/Po≦A、又はPo>Piの場合にPo/Pi≦Aである条件を満たすと、空気調和機の高低圧力差が予め設定された条件に到達したと判断し、
Bの値は20〜40、Aの値は1.1〜3であることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室内外機の洗浄方法。)



(【請求項3】
空気調和機の高低圧力差が予め設定された条件に到達していない場合、前記空気調和機の運転パラメータを調節して空気調和機の高低圧力差を予め設定された条件に到達させるステップは、
室内外ファンの回転数を増加させて室内外の風量を増やすステップ、
圧縮機の周波数をH1まで下げてt2時間保持するステップ、及び
絞り装置の開度を最大に調整するステップのうちの少なくとも1つのステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室内外機の洗浄方法。
【請求項4】
空気調和機の自動洗浄時に、
自動洗浄の開始前に空気調和機が冷房運転中又は除湿運転中であれば室内熱交換器の自動洗浄を先に行い、自動洗浄の開始前に空気調和機が暖房運転中であれば室外熱交換器の自動洗浄を先に行うことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室内外機の洗浄方法。
【請求項5】
被洗浄熱交換器の表面に着霜させるステップは、被洗浄熱交換器が着霜モードに移行した後、被洗浄熱交換器に対応するファンを制御してt3時間起動させることにより、被洗浄熱交換器の表面を水膜で覆い、その後、前記ファンを停止させるステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室内外機の洗浄方法。
【請求項6】
被洗浄熱交換器に対応するファンの起動段階での潜熱冷房能力をQ、吹出温度での蒸発潜熱をk2、被洗浄熱交換器を被覆する水膜が必要な水量をmとすると、ファンの起動時間は下記式で算出されることを特徴とする請求項5に記載の空気調和機の室内外機の洗浄方法。
t=Q/(k2*m))



(【請求項7】
被洗浄熱交換器に対応するファンの測定点における風量をq、吸気口の絶対湿度をW1、吹出口の絶対湿度をW2、吹出口の相対湿度をW3、吹出口の湿り空気比容積をVとすると、潜熱冷房能力Qは下記式で算出されることを特徴とする請求項6に記載の空気調和機の室内外機の洗浄方法。
Q=k2*q*(W1−W2)/V(1+W3))



(【請求項8】
ラジエータ放熱フィンの長さをL、ラジエータ放熱フィンの幅をW、ラジエータ放熱フィンの高さをH、ラジエータ放熱フィンの数をn、水膜の厚さをh1、余裕パラメータをk1、水の密度をρとすると、水量mは下記式で算出されることを特徴とする請求項6に記載の空気調和機の室内外機の洗浄方法。
m=ρ*V1=ρ*L*W*H*n*2*h1*k1
【請求項9】
異なる型番及び吹出口設計の定数パラメータをそれぞれK3及びC、被洗浄熱交換器に対応するファンの回転数をNとすると、ファンの測定点における風量qは下記式で算出されることを特徴とする請求項4に記載の空気調和機の室内外機の洗浄方法。
q=k3*N+C
【請求項10】
被洗浄熱交換器をt1時間継続的に着霜させた後、空気調和機の高低圧力差が予め設定された条件に到達したか否か検出する前に、
圧縮機を停止させるステップと、
被洗浄熱交換器に対応するファンの運転を保持して除霜処理を行うステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室内外機の洗浄方法。
【請求項11】
被洗浄熱交換器をt1時間継続的に着霜させた後、空気調和機の高低圧力差が予め設定された条件に到達したか否か検出する前に、
圧縮機を停止させるステップと、
被洗浄熱交換器に対応するファンを制御して停止させてからそのままt4時間保持した後、被洗浄熱交換器に対応するファンを起動して除霜処理に移行するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室内外機の洗浄方法。)



(【技術分野】
【0001】本発明は、空気調和機の技術分野に関し、特に、空気調和機の室内外機の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】空気調和機(エア・コンディショナー)の十分な熱交換を確保するために、通常、空気調和機の熱交換器のフィンは多層のシ−ト状に気密に設計され、各層のフィンの間隔はわずか1〜2mmである。また、空気調和機のフィンに様々な圧延加工したり、フィンに種々の亀裂を入れたりすることで、熱交換面積を広くしている。空気調和機の運転中に、大量の空気が熱交換器を通過して熱交換を行うことに伴って空気中の種々の塵埃や不純物などが熱交換器に付着し、次第に熱交換器の効果に影響を与えるほか、細菌の繁殖を招きやすく、空気調和機から異臭が発生して利用者の健康被害を引き起こす。この場合、空気調和機の熱交換器の洗浄が必要となる。
【0003】現在、室外機の洗浄作業を行う時間の間隔が長かったり、室外機を永久に洗浄しなかったりするほか、手動洗浄時に熱交換器が壁に近いために洗浄の利便性が悪くて洗浄不十分を招く。また、外部の部材を用いて熱交換器に入れて洗浄を行うと、フィンの転倒を引き起こす可能性があるほか、熱交換器の熱交換効果に影響を与え、熱交換器の使用寿命を短縮する。
【0004】従来技術では、熱交換器への着霜や除霜によって熱交換器を洗浄するようになっている。しなしながら、室内熱交換器と室外熱交換器の自動洗浄を切り替える場合、自動洗浄中に蒸発温度が低くて、蒸発圧力が低いため、空気調和機の高低圧力差が大きすぎ、四方弁を切り替える間に圧縮機に大きな衝撃を与え、空気調和機運転の不安定化を招く。)





(【発明が解決しようとする課題】
【0005】本発明の目的は、空気調和機の室内外熱交換器の自動洗浄の切り替え中に空気調和機の高低圧力差が過大であることを回避して、空気調和機の運転の安定性や確実性を確保可能な空気調和機の室内外機の洗浄方法を提供することである。
【0006】本発明の一形態によれば、空気調和機の室内外機の洗浄方法を
提供し、以下の内容が含まれる。
【0007】被洗浄熱交換器を制御して自動洗浄モードに移行させるステッ
プと、
【0008】空気調和機の運転周波数、絞り装置の開度及び被洗浄熱交換器
に対応するファンの回転数を調節し、被洗浄熱交換器の蒸発温度を制御して
予め設定された範囲内に保持させることで、被洗浄熱交換の表面に着霜させ
るステップと、
【0009】被洗浄熱交換器をt1時間継続的に着霜させるステップと、
【0010】空気調和機の高低圧力差が予め設定された条件に到達したか否
かを検出するステップと、
【0011】空気調和機の高低圧力差が予め設定された条件に到達した場合
、四方弁の切り替えを制御して室内外熱交換器の除霜を切り替えるステップ
と、
【0012】空気調和機の高低圧力差が予め設定された条件に到達していな
い場合、空気調和機の運転パラメータを調節して空気調和機の高低圧力差を
予め設定された条件に到達させて、四方弁の切り替えを制御して室内外熱交
換器の除霜を切り替えるステップ。
【0013】 好ましくは、以下の条件が満たされた場合、空気調和機の高
低圧力差が予め設定された条件に達したと判断する。
【0014】Bの値は20〜40として、|Ti−To|≦B、
【0015】又はPi>Poの場合にPi/Po≦A、
【0016】又はPo>Piの場合にPo/Pi≦A、
【0017】そのうち、Tiは蒸発温度、Toは凝縮温度、PiはTiに対
応する蒸発飽和圧力、PoはToに対応する凝縮飽和圧力、Aの値は1.1
〜3である。
【0018】 好ましくは、空気調和機の高低圧力差が予め設定された条件
に到達していない場合、前記空気調和機の運転パラメータを調節して、空気
調和機の高低圧力差を予め設定された条件に到達させるステップは、以下の
うちの少なくとも1つのステップを含む。
【0019】室内外ファンの回転数を増加させて室内外の風量を増やすステ
ップと、
【0020】圧縮機の周波数をH1まで下げてt2時間保持するステップと

【0021】絞り装置の開度を最大に調整するステップ。
【0022】好ましくは、空気調和機の自動洗浄時に、自動洗浄の開始前に
空気調和機が冷房運転中又は除湿運転中であれば室内熱交換器の自動洗浄を
先に行い、自動洗浄の開始前に空気調和機が暖房運転中であれば室外熱交換
器の自動洗浄を先に行う。
【0023】好ましくは、被洗浄熱交換器の表面に着霜させるステップは、
被洗浄熱交換器が着霜モードに移行した後、被洗浄熱交換器に対応するファ
ンを制御してt3時間起動させることにより、被洗浄熱交換器の表面を水膜
で覆い、その後、前記ファンを停止させるステップを含む。)





(【発明を実施するための形態】
【0046】当業者が本発明の具体的な実施形態を実施できるように、以下
の説明及び図面は具体的な実施形態を十分に示している。他の実施形態は、
構成、論理、電気、過程及びその他の変更を含んでもよい。実施例は可能な
変更のみを代表している。明確な要求がない限り、個別の部品や機能は選択
可能であり、操作の順番も変更可能である。一部の実施案の部分及び特徴は
他の実施案の部分及び特徴に含まれてもよいし代替されてもよい。本発明の
実施案の範囲は、特許請求の範囲の全て、及び特許請求の範囲の全てによっ
て得られる等価物を含む。本明細書において、本発明の各実施案は、単独で
又は総括的に「発明」という用語により表されてもよい。これは、便利にす
るためにすぎない。また、事実上、1つ以上の発明が公開されても、この応
用の範囲を任意の単独な発明又は発明構想として自動的に規制するものでは
ない。本明細書において、第1及び第2などの関係技術用語は1つの構成又
は操作と他の構成又は操作を区別するためにのみ用いられ、これらの構成又
は操作の間にこのような関係又は順序が存在することを要件としたり、示唆
したりするものではない。また、「含む」、「含有」という技術用語或いは
その他の類似用語は非排他的な包含をカバ−し、一連の要素を含む過程、方
法又は装置はそれらの要素を含むだけでなく、明確に例示していないその他
の要素を含み、或いはこのような過程、方法又は装置の特有の要素を含む。
特に制限がない場合、語句「1つを含む」によって限定される要素は、上記
要素を含む過程、方法又は装置に存在する他の同じ要素を排除しない。本明細書の各実施形態は、段階様式で説明される。また、各実施形態についての
重要な説明部分は、他の実施形態と異なる点であり、各実施形態の同一又は
類似部分は相互に参照されてもよい。実施形態で開示されている方法や製品
などは、実施形態で開示されている方法部分に対応するため、簡単に説明す
るが、関連部分については方法部分の説明を参照すればよい。)
【0047】図1に示すように、本発明の一実施形態では、空気調和機の室
内外機の洗浄方法は
【0048】被洗浄熱交換器を制御して自動洗浄モードに移行させるステッ
プと、
【0049】空気調和機の運転周波数、絞り装置の開度及び被洗浄熱交換器
に対応するファンの回転数を調節し、被洗浄熱交換器の蒸発温度を制御して
予め設定された範囲内に保持させることで、被洗浄熱交換の表面に着霜させ
るステップと、
【0050】被洗浄熱交換器をt1時間継続的に着霜させるステップと、
【0051】空気調和機の高低圧力差が予め設定された条件に到達したか否
かを検出するステップと、
【0052】空気調和機の高低圧力差が予め設定された条件に到達した場合
、四方弁の切り替えを制御して室内外熱交換器の除霜を切り替えるステップ
と、
【0053】空気調和機の高低圧力差が予め設定された条件に到達していな
い場合、空気調和機の運転パラメータを調節して空気調和機の高低圧力差を
予め設定された条件に到達させて、四方弁の切り替えを制御して室内外熱交
換器の除霜を切り替えるステップと、を含む。なお、例えば、t1は8mi
nであり、その値の範囲は5〜15minであってもよい。
【0054】本発明に係る空気調和機の室内外機の洗浄方法では、空気調和
機の運転周波数、絞り装置の開度及び被洗浄熱交換器に対応するファンの回
転数を調節することにより、洗浄状態である熱交換器に均一かつ速やかに着
霜させることを確保し、熱交換器の除霜効率を向上させるとともに、熱交換
器の表面への着霜によって塵埃などを熱交換器の表面から剥離させた後、除
霜によって洗浄を行うことで、熱交換器の洗浄効果を向上させることができ
る。また、除霜中に空気調和機の高低圧力差が予め設定された条件に到達し
たか否かを検出することによって四方弁の切り替えを制御するため、空気調
和機の室内外熱交換器の自動洗浄中に空気調和機の高低圧力差が過大である
ことによる圧縮機への大きな衝撃を防止し、空気調和機運転の安定性や確実
性を確保することができる。
【0055】空気調和機は、自動洗浄を行う信号を受信する。信号は、間隔
時間を累積して強制的に自動洗浄を行う信号などであってもよい。空気調和
機は自動洗浄モードに移行した後、空気調和機の周波数、絞り弁の開度及び
被洗浄熱交換器に対応するファンの回転数を制御することで、被洗浄熱交換の蒸発温度を所定の値又は所定の範囲内に保持する。被洗浄熱交換の蒸発温
度が上記範囲内であれば、被洗浄熱交換の表面に速やかに着霜させることが
できる。また、被洗浄熱交換の自動洗浄期間になると、空気調和機の高低圧
力差が四方弁の切り替えに許容される圧力差に到達したか否かを検出する。
空気調和機の高低圧力差が四方弁の切り替えに許容される圧力差に到達した
場合、四方弁の切り替えを制御して室内外熱交換器の除霜を切り替える。空
気調和機の高低圧力差が四方弁の切り替えに許容される圧力差に到達してい
ない場合、空気調和機の運転パラメータを調節して空気調和機の高低圧力差
を四方弁の切り替えに許容される圧力差に到達させ、その後、四方弁の切り
替えを制御して室内外熱交換器の除霜を切り替える。空気調和機の四方弁の
切り替えにより、着霜済みの熱交換器での着霜が急速に水に融けて熱交換器
の洗浄の目的を達することができる。空気調和機は、四方弁を切り替えた後
、もう一つの熱交換器の洗浄作業に移行する。)



(【0062】空気調和機の高低圧力差が上記予め設定された条件を満たしていないとき、空気調和機の運転パラメータを調節して、空気調和機の高低圧力差を上記予め設定された条件に到達させるステップは、
【0063】室内外ファンの回転数を増加させ、室内外の風量を増やすステップと、
【0064】コンプレッサ周波数をH1まで低減させ、t2時間保持するステップと、
【0065】絞り装置の開度を最大に調整するステップとのうちの少なくとも1つのステップを含む。
【0066】H1は空気調和機の高低圧力差を上記の予め設定された条件に達せさせるためのコンプレッサの最小運転周波数であり、t2はコンプレッサが運転周波数を保持しつつ被洗浄熱交換器における霜が融ける時間であり、t2は例えば5minである。)



(【0069】空気調和機の室内外機の洗浄方法では、空気調和機の自動洗
浄時に、自動洗浄の開始前に空気調和機が冷房運転中又は除湿運転中であれ
ば室内熱交換器の自動洗浄を先に行い、一方、自動洗浄の開始前に空気調和
機が暖房運転中であれば室外熱交換器の自動洗浄を先に行う。こうすること
で、洗浄時間を容易に短縮することができる。空気調和機が冷房運転中又は
除湿運転中の場合、室内熱交換器はそれ自体が蒸発器として機能し、吸熱状
態になり、表面温度が低いため、室内熱交換器に自動洗浄を直接行い、少な
い冷熱の生成量のみで室内熱交換器の自動洗浄を完了することができる。同
様に、空気調和機が暖房運転中の場合、室外熱交換器はそれ自体が蒸発器と
して機能し、外部からの熱を吸収し、表面温度が低いため、室外熱交換器の
自動洗浄時に少ない冷熱の生成量のみで室外熱交換器の自動洗浄を実現する
ことができる。こうすることで、空気調和機自体の動作特徴により、熱交換
器の自動洗浄の順番を合理的に決定し、より省エネルギーかつ高効率で熱交
換器の自動洗浄を行うことができる。
【0070】本発明に係る空気調和機の室内外機の洗浄方法では、被洗浄熱
交換器の表面に着霜させるステップは、被洗浄熱交換器が着霜モードに移行
した後、被洗浄熱交換器に対応するファンを制御してt3時間起動させるこ
とにより、被洗浄熱交換器の表面を水膜で覆い、その後、前記ファンを停止
させるステップを含む。)




(【0087】本発明に係る空気調和機の室内外機の洗浄方法は、被洗浄熱
交換器をt1時間継続的に着霜させた後、空気調和機の高低圧力差が予め設
定された条件に到達したか否かを検出する前に、
【0088】圧縮機を停止させるステップと、
【0089】被洗浄熱交換器に対応するファンの運転を保持して除霜処理を
行うステップと、をさらに含む。
【0090】なお、四方弁の切り替えを制御する前に圧縮機を停止させるこ
とにより、熱交換器の表面での着霜が水に速やかに融けることができて、空
気調和機の高低圧力差を予め設定された圧力差に速やかに到達させる。
【0091】また、本発明に係る空気調和機の室内外機の洗浄方法は、被洗
浄熱交換器をt1時間連続的に着霜させた後、空気調和機の高低圧力差が予
め設定された条件に達したか否かを検出する前に、
【0092】圧縮機を停止させるステップと、
【0093】被洗浄熱交換器に対応するファンを制御して停止させてからそ
のままt4時間保持した後、被洗浄熱交換器に対応するファンを起動して除
霜処理に移行するステップと、をさらに含む。ここでは、t4は、例えば、
5minである。
【0094】圧縮機を停止させた後、被洗浄熱交換器に対応するファンを制御して停止させてからそのまま一定時間保持することにより、熱交換器での
着霜は残ることなく融けることができる。
【0095】なお、本発明は、上述した説明及び図面に示される流れや構成
に限らず、その範囲から逸脱しない範囲で各種の補正及び変更を行うことが
できると理解すべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲のみに限定さ
れる。)






(イ) 上記(ア)の記載事項から認定できること
・空気調和機は、圧縮機、室外熱交換器、絞り装置、室内熱交換器、四方弁
を有している(請求項1、請求項11、【0008】、【0020】)。
・「被洗浄熱交換器に対応するファン」を備えていることから、被洗浄熱交
換器が室内熱交換器である場合には、室内熱交換器に対応するファンを有し
ている(【0008】、【0022】)。
(ウ) 甲1に記載された発明
甲1には、上記(ア)及び(イ)の事項を総合し、被洗浄熱交換器として
、室内熱交換器を選択し、請求項11に着目すると、次の装置の発明(以下
「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「圧縮機、室外熱交換器、絞り装置、室内熱交換器、四方弁を有し、
室内熱交換器に対応するファンを有し、
空気調和機が冷却又は除湿動作中にあれば、室内熱交換器は蒸発器として
使用され、加熱動作中にあれば、室外熱交換器は蒸発器として使用され、 室内熱交換器(被洗浄熱交換器)を制御して自動洗浄モードに移行させる
ステップと、
空気調和機の運転周波数、絞り装置の開度及び室内熱交換器(被洗浄熱交
換器)に対応するファンの回転数を調節し、室内熱交換器(被洗浄熱交換器 )の蒸発温度を制御して予め設定された範囲内に保持させることで、室内熱交換器(被洗浄熱交換器)の表面に着霜させるステップと、
室内熱交換器(被洗浄熱交換器)をt1時間継続的に着霜させるステップ
と、
室内熱交換器(被洗浄熱交換器)をt1時間継続的に着霜させた後、空気
調和機の高低圧力差が予め設定された条件に到達したか否か検出する前に、
圧縮機を停止させるステップと、
室内熱交換器(被洗浄熱交換器)に対応するファンを制御して停止させて
からそのままt4時間保持した後、室内熱交換器(被洗浄熱交換器)に対応
するファンを起動して除霜処理に移行するステップと、
を含む空気調和機。」

イ 甲2
(ア) 甲2記載事項
「【請求項1】
室内の空気を吸い込む吸込口と吸い込まれた前記空気を室内に吹き出す吹
出口が本体ケースに形成され、前記吸込口と前記吹出口を連通する送風路内
に室内熱交換器と室内送風機とが配置された室内機と、室外送風機と圧縮機
と室外熱交換器と電動膨張弁が配置された室外機と、を有する空気調和機で
あって、
前記室内熱交換器は、親水性プレコートフィンで構成し、前記フィンの少
なくも一部を着霜させる着霜運転を行い、その後除霜運転により除霜水を発
生させて前記室内熱交換器の前記フィン表面に付着した汚れを除去する手段
を備えたことを特徴とする空気調和機。」
「【0013】
前側熱交換器部17Aの下部には、前ドレンパン18aが配置され、後側
熱交換器部17Bの下部には、後ドレンパン18bが配置されている。後板
13には、後ドレンパン18bの下部側に送風路20が形成され、室内機本
体11の下部には吹出口21が開口されている。送風路20と吹出口21は
つながっており、吹出口21には、上下風向を設定するためのルーバー(水
平ルーバーとも言う)22,23が配置されている。これらのルーバー22
,23はR方向に向きを変えることにより、運転モードに応じて吹出口21
から室内に吹き出される風の向きを変えることができる。」
「【0015】
室内機1側には、室内制御部50、リモートコントローラ70との送受信
部51、室内吸込み空気と室内熱交換器の各温度センサTS、吹出口のルー
バー22,23及び左右風向を設定するためのルーバー(図示せず)を夫々
駆動するためのモータ52,53,54、室内送風機19のファンモータ5
5、前側熱交換器部17Aと後側熱交換器部17B、除湿用絞り弁5を備えている。除湿用絞り弁5は、前側熱交換器部17Aと後側熱交換器部17B
の間に配置されている。室内制御部50は、各温度センサTSの検出する温
度信号を受ける。室内制御部50は、各ルーバー駆動用のモータ52、53
、54とファンモータ55の動作を制御し、除湿用絞り弁5の絞り制御を行
う。
【0016】
室外機30側には、室外制御部60、圧縮機31、四方切換弁32、室外
熱交換器33、冷媒膨張手段である電動膨張弁34、室外送風機35、イン
バータ回路61を備えており、インバータ回路61は商用交流電源62に電
気的に接続されている。室外制御部60は、電動膨張弁34、室外送風機3
5、インバータ回路61、四方切換弁32等の動作を制御する。室外熱交換
器33は、前側熱交換器部17Aに対して電動膨張弁34と冷媒配管6によ
り接続されている。後側熱交換器部17Bは、圧縮機31と四方切換弁32
と冷媒配管6を介して室外熱交換器33に接続されている。」
「【0020】
室外機30内には、圧縮機31、四方切換弁32、室外熱交換器33、冷
媒膨張手段である電動膨張弁34、室外送風機35等の冷凍サイクル回路の
成部品が配置されている。室内熱交換器17、圧縮機31、四方切換弁3
2,室外熱交換器33、電動膨張弁34は、冷媒配管6を介して接続されて
おり、ヒートポンプ式の冷凍サイクルを構成している。」
「【0030】
図3に示す室内熱交換器17の温度センサTSは、室内熱交換器17の温
度TCを測定する。この室内熱交換器17の温度センサTSは除湿用絞り弁
5の冷媒出口5C側の冷媒配管6Fに配置されている。除湿用絞り弁5によ
り冷媒の流れを絞った際の除湿運転サイクル時に室内熱交換器17の凍結を
防止するために、この室内熱交換器17の温度センサTSは除湿用絞り弁5
の冷媒出口部5C側の冷媒配管6Fに配置され、室内熱交換器17の温度が0℃以上になるように制御している。」
「【0050】
ところで、図7に示すように、室内熱交換器17の各親水性プレコートフ
ィンFを着霜する際の着霜量のコントロールは、室内熱交換器17の温度(
TC)の値とその温度の設定時間(着霜運転時間)の大小により行う。
【0051】
図7では、縦軸が室内熱交換器17の温度(TC)を示し、横軸が時間を
示している。
図7に示すように、通常の冷房運転サイクル時には、室内熱交換器17の
凍結を防止するために、室内熱交換器17の温度(TC)が0℃以上になる
ように制御している。しかし、本発明の実施形態では、室内熱交換器17の
温度(TC)が温度Tcice(ただし、Tcice<0℃ )をT時間以
上設けることにより、室内熱交換器17の親水性プレコートフィンFに対し
て着霜させる。この室内熱交換器17の温度(TC)の値と時間Tの長さを
調整することにより、親水性プレコートフィンFに対する着霜量を調整する
ことができる。」
「【0055】
図8において、除湿運転をする際に、室内熱交換器17の親水性プレコー
トフィンFに対して着霜させる場合に、外気温が高い時には室内熱交換器1
7の温度TCは比較的高いために、室内熱交換器17の温度TCを低下させ
るには、外気温に応じて、図3に示す室外機の室外送風機35の回転数およ
び電動膨張弁(PMW)34の開度を、図8に示すように制御する。すなわ
ち、外気温度が高くなるにつれて、図3に示す室外機30の室外送風機35
のファン回転数を上げ、電動膨張弁34の開度を小さくする。これにより、
室内熱交換器17の温度TCは低下させて、室内熱交換器17を凍結させて
親水性プレコートフィンFに対して着霜させることができる。
【0056】
このように、室内熱交換器17の温度TCは低下させて室内熱交換器17
を凍結させて親水性プレコートフィンFに対して着霜させる時には、着霜を
促進するために、そして吹き出し空気温度の低下によりユーザに対する快適
性を損なわないようにするために、図1に示す室内機1の室内送風機19の
ファン回転数を、通常の運転時のファン回転数よりも低くするか、または停
止させてもよい。これにより、室内熱交換器17の前側熱交換器部17Aと
後側熱交換器部17Bに対して効率良く着霜させることができ、親水性プレ
コートフィンFの汚れを効率的に除去できる。
【0057】
また、上述したように、凍結させた室内熱交換器17の親水性プレコート
フィンFを除霜するには、送風運転もしくは暖房運転で行うことで、親水性
プレコートフィンFを加熱して霜を効率良く溶かすことができる。」
「【0059】
図9では、縦軸が室内熱交換器17の温度(TC)を示し、横軸が時間を
示している。
図9に示すように、通常の冷房運転サイクル時には、室内熱交換器17の
凍結を防止するために、室内熱交換器17の温度(TC)が0℃ 以上にな
るように制御している。しかし、本発明の実施形態では、室内熱交換器17
の温度(TC)が温度Tcice(ただし、Tcice< 0℃)をT時間
以上設けることにより、室内熱交換器17の親水性プレコートフィンFに対
して着霜させる。この室内熱交換器17の温度(TC)の値と時間(着霜運
転時間)Tの長さを調整することにより、親水性プレコートフィンFに対す
る着霜量を調整することができる。
【0060】
その後、室内熱交換器17の除霜をする場合には、室内熱交換器17の温
度を利用して、室内熱交換器17の温度Tcdef(ただし、Tcdef>
0℃)が時間Tdefの間設定されることにより、室内熱交換器17の除霜
を行うことができる。なお、除霜終了の判定は、室内熱交換器17の温度T
Cの値により行われるが、例えば図8に示す例では、室内熱交換器17の温
度TCが最大温度になった時に除霜作業が終了したと判定する。」











(イ) 甲2に記載された発明
甲2には、甲2の上記(ア)の事項を総合すると、次の発明(以下「甲2
発明」という。)が記載されていると認められる。
「室内熱交換器17、圧縮機31、四方切換弁32、室外熱交換器33、電動膨張弁34は、冷媒配管6を介して接続されており、ヒートポンプ式の冷凍サイクルを構成し、
室内制御部50は、各温度センサTSの検出する温度信号を受け、
室内熱交換器17の温度センサTSは、室内熱交換器17の温度TCを測
定し、
室内制御部50は、各ルーバー駆動用のモータ52、53、54とファン
モータ55の動作を制御し、除湿用絞り弁5の絞り制御を行い、
室外制御部60は、電動膨張弁34、室外送風機35、インバータ回路6
1、四方切換弁32等の動作を制御し、
室内送風機19を有し、
通常の冷房運転サイクル時には、室内熱交換器17の凍結を防止するため
に、室内熱交換器17の温度(TC)が0℃以上になるように制御し、
室内熱交換器17の温度(TC)が温度Tcice(ただし、Tcice
<0℃ )をT時間以上設けることにより、室内熱交換器17の親水性プレ
コートフィンFに対して着霜させ、
凍結させた室内熱交換器17の親水性プレコートフィンFを除霜するには
、送風運転もしくは暖房運転で行うことで、親水性プレコートフィンFを加
熱して霜を効率良く溶かす、
空気調和機。」
(ウ) 甲2に記載された事項
甲2には、以下の事項(以下「甲2記載事項」という。)が記載されてい
ると認められる。
「熱交換器部の下部には、ドレンパンが配置されること。」(【0013】


ウ 甲3
(ア) 甲3記載事項



(当審注:括弧内は、請求人提出の翻訳文及び乙3を参考にし、当審で作成したものである。以下、甲3については、同様である。:
技術分野
[0001]本発明は、空気調和機の技術分野に関し、具体的には空気調和
機の熱交換器の洗浄方法に関する。
背景技術
[0002]従来の技術では、空調機は、使用中に塵埃が熱交換器に付着し
やすく、熱交換器抵抗が増大し、熱交換効率が低下するだけでなく、熱交換
器内で細菌が繁殖することをもたらす恐れがあり、空気の品質に大きな影響
を与える。
発明の内容
[0003]本発明の目的は、少なくとも従来の技術に存在する技術的課題
の1つを解決することである。そのため、本発明の一目的は、熱交換器を洗
浄し、熱交換効率を向上させ得る空気調和機の熱交換器の洗浄方法を提供す
ることである。)




([0015]本発明のいくつかの実施形態によれば、前記設定温度Tは、
目標温度値であり、前記熱交換器の表面温度を前記目標温度値に制御し、か
つ前記設定時間t維持する。本発明のいくつかの実施形態によれば、前記空
気調和機がインバーター空気調和機である場合、前記空気調和機の室内ファ
ンをオフにする方法、前記室内ファンを弱風運転させる方法、前記空気調和
機の圧縮機の周波数、前記空気調和機の室外ファンの回転数及び電子膨張弁
の開度を調整する方法のうちの少なくとも1つの方法で、前記熱交換器の表
面温度を制御して前記設定温度Tに維持させる。
[0016] 本発明の別の実施形態によれば、前記空気調和機が非インバ
ーター空気調和機である場合、前記空気調和機の室内ファンをオフにする方
法、前記室内ファンの回転数を調整する方法及び前記空気調和機の室外機を
暖房運転させる方法のうちの少なくとも1つの方法で、前記熱交換器の表面
温度を制御して前記事前設定温度Tに維持させる。
[0017]具体的には、前記氷霜が融けると、前記空気調和機の室内ファ
ンをオフにすることで、前記空気調和機の室外機を停止させ又は冷房運転さ
せる。
[0018]本発明のいくつかの実施形態によれば、前記熱交換器は、室内
熱交換器又は室外熱交換器である。
[0019]本発明の追加の態様及び利点は以下の説明で部分的に示され、
一部は以下の説明において明らかになり、又は本発明の実施により理解され
る。)




([0053]実施例1
[0054]以下、熱交換器表面の設定温度Tを段階的に下げることを例に
、インバーター空気調和機の室内熱交換器の洗浄方法を説明する。
[0055]ステップ1:第1層の氷霜を凝縮させる。
[0056]まず、インバーター空気調和機の室内機ルーバーを最低吹出状
態に調整し、室内ファンを最小回転数で運転させ、インバーター空気調和機
の室外圧縮機の運転周波数Fを調節し(例えば、Fが40HZであってもよ
い)、室外ファンを固定回転数rで運転させ、ここでrは、200r/mi
n≦r≦1200r/minを満たし、また、インバーター空気調和機の四
方弁を室内機冷房状態に切り替える。インバーター空気調和機が一定の時間
t0(例えば、t0が1min(分)であってもよい)運転してから室内熱交換器の表面温度T0を検査する。
[0057]−2℃<T0<0℃である場合、現在の運転状態を維持して第1設定時間t1(例えば、t1が5min(分)であってもよい)運転し、
[0058]T0≧0℃の場合、室外圧縮機の運転周波数Fを2増加させ(すなわち、F=F+2であり、例えば室外圧縮機の運転周波数を40HZから42HZに増加させることができる)、かつ、F≦50HZとする。
[0059]ステップ2:第2層の氷霜を凝縮させる。
[0060]室外圧縮機の運転周波数が現在の周波数であり、室内ファンを
オフにし、導風板を閉状態にする。室外ファンの回転数とインバーター空気
調和機の四方弁の状態を変えずに維持し、一定時間t0(例えば、t0が1minであってもよい)運転した後、室内熱交換器の表面温度T0を検出する。
[0061]−5℃<T0≦−2℃の場合、現在の運転状態を維持して第1サブ設定時間t21(例えば、t21が5minであってもよい)運転し、
[0062]T0>−2℃の場合、室外圧縮機の運転周波数Fを2増加させ、かつ、F≦60HZとする。
[0063]ステップ3:第3層の氷霜を凝縮させる。
[0064]室外圧縮機の運転周波数が現在の周波数であり、室内ファンを
オフにし、導風板が閉状態にあり、室外ファンの回転数とインバーター空気
調和機の四方弁の状態が変えずに維持し、一定時間t0(例えば、t0を1minであってもよい)運転してから室内熱交換器の表面温度T0を検出する。
[0065]T0≦−5℃の場合、現在の運転状態を維持して第2サブ設定時間t22(例えば、t22を10minにできる)にわたり運転する。
[0066]T0>−5℃の場合、室外圧縮機の運転周波数を2増加させ、かつF≦80HZとする。
[0067]ステップ4:除霜処理を行う。
[0068]部屋内に冷気や湿気が吹き込まれることを回避するために、室
内ファン及び導風板を閉鎖状態にある。室外圧縮機と室外ファンが停止し、インバーター空気調和機の四方弁の状態が変わらない。
[0069]室外圧縮機の運転を停止するため、室外熱交換器の高温高圧冷
媒が室内熱交換器に戻り、室内熱交換器表面の霜が融けて液体の水になる。
融解前に室内熱交換器の表面に十分な氷霜が凝縮したため、室内熱交換器の
表面の塵埃が氷霜で覆われており、氷霜が融けて液体の水になると、塵埃が
水中に溶け込み、水滴とともにドレンパンに流入し、室外に排出される。
[0070]室内熱交換器における氷霜が完全に融けることを確保するため
に、室外圧縮機が一定時間t3(例えば、t3が1minであってもよい)停止して、熱交換器の表面温度T0を検出する。
[0071]T0≧7℃の場合、洗浄モードを終了し、
[0072]T0<7℃の場合、室外圧縮機を起動し、かつ室外圧縮機の運転周波数Fを30HZに調整し、室外ファンの回転数を調整することで、室外ファンを最小回転数で運転させ、インバーター空気調和機の四方弁を室内機暖房運転状態に切り替え、室内ファンと導風板はまだ閉状態にあり、T0=7℃になってから室外ファンの運転を停止させ、洗浄モードを終了させる。)




([0073]実施例2
[0074] この実施例での空気調和機は非インバーター空気調和機であ
り、以下、図2を参照しながら非インバーター空気調和機の室内熱交換器の
洗浄方法を説明する。
[0075] ステップ1:凝縮水の凝縮
[0076] 非インバーター空気調和機の室内ルーバーを最低吹出状態に
調整し、室内ファンを最小回転数で運転させ、室外圧縮機を起動し、室外フ
ァンを一定の回転数rで運転させ、ここでrが200r/min≦r≦12
00r/minを満たし、非インバーター空気調和機の四方弁を室内機冷房
状態に切り替え、一定の時間t4(例えば、t4を10minであってもよい)運転した後、室内熱交換器の表面に一定量の凝縮水を凝縮させ、その後に熱交換器の表面温度T0と室内周囲温度を検出する。
[0077] T0>(T1−6)℃の場合、時間t5(例えば、t5が5minであってもよい)運転し続け、
[0078] T0≦(T1−6)℃の場合、ステップ2に移行する。
[0079] ステップ2:氷霜を凝縮させる。
[0080] 室内ファンをオフにし、導風板が閉状態にあり、室外ファン
の回転数と非インバータータエアコンの四方弁の状態を変えずに維持し、T
0=−20℃になるか、時間t6が30minに達するまで運転した後、手順3に入る。
[0081] ステップ3:除霜
[0082] 部屋内に冷気や湿気が吹き込まれることを回避するために、
室内ファンと導風板を閉鎖状態にある。室外圧縮機と室外ファンが停止し、
非インバーター空気調和機の四方弁の状態が変わらない。
[0083] 室外圧縮機が運転を停止するため、室外熱交換器の高温高圧
冷媒が室内熱交換器に戻り、室内熱交換器表面の霜が融けて液体の水になる
。融ける前に室内熱交換器の表面に十分な氷霜が凝結したため、室内熱交換
器の表面の塵埃が氷霜で覆われており、氷霜が融けて液体の水になると、塵
埃が水にとけこみ、水滴とともにドレンパンに流入し、室外に排出される。
[0084] 室内熱交換器上の氷霜が完全に融けることを確保するために
、室外圧縮機が一定の時間t7(例えば、t7が1minであってもよい)停止して、熱交換器の表面温度T0を検出する。
[0085] T0≧7℃の場合、洗浄モードを終了し、
[0086] T0<7℃の場合、圧縮機を起動し、室外ファンの回転数を調整することで、室外ファンを最小回転数で運転させ、非インバーター空気調和機の四方弁を室内機暖房運転状態に切り替え、室内ファンと導風板が依然として閉状態にあり、T0=7℃になって室外ファンの運転を停止させ、洗浄モードを終了する。
[0087] 本明細書の説明において、「一実施例」、「いくつかの実施
例」、「例示的な実施例」、「例」、「具体例」または「一部の例」などの
用語を参照した説明とは、該実施例、又は、その実施例や例に合わせて説明
された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本発明の少なくとも1つの実施
例や例の中に含まれることを意味する。本明細書では、前記用語の例示的な
説明は、必ずしも同一の実施例や例を示すことではない。また、説明された
具体的な特徴、構造、材料又は特徴は、いずれか1つ又は複数の実施例や例
において、適切な形態で組み合わせることができる。
[0088] 本発明の実施例を示して説明したが、当業者にとっては、本
発明の原理及び要旨から逸脱せずにこれらの実施例に対する様々な変更、補
正、置換及び変更を行うことができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲及び
その均等物によって定義されるものであることを理解できる。)












(イ) 上記(ア)の記載事項からわかること
・インバータ空気調和機は、圧縮機、室外熱交換器、電子膨張弁、室内熱交
換器、四方弁、室内ファンを有していること([0015]、[0018]
、[0056])。
・少なくとも圧縮機及び電子膨張弁を制御可能であること([0015])

・図1を参照しながら、実施形態1[0053]〜[0072]をみると、
ステップ1〜ステップ3では、室内熱交換器の表面温度T0を検出した後のフローは、以下の処理をしていること。
「ステップ1では、A:室内熱交換器の表面温度T0を検出し、
−2℃<T0<0℃である場合、現在の運転状態を維持して第1設定
時間t1運転し、次のステップ2へ、
T0≧0℃の場合、室外圧縮機の運転周波数Fを2増加させ、かつ、
F≦50HZとして、上記Aへ。
ステップ2では、B:室内熱交換器の表面温度T0を検出し、
−5℃<T0≦−2℃の場合、現在の運転状態を維持して第1サブ設
定時間t21運転し、次のステップ3へ、
T0>−2℃の場合、室外圧縮機の運転周波数Fを2増加させ、かつ
、F≦60HZとして、上記Bへ。
ステップ3では、C:室内熱交換器の表面温度T0を検出し、
T0≦−5℃の場合、現在の運転状態を維持して第2サブ設定時間t
22にわたり運転し、次のステップ4へ、
T0>−5℃の場合、室外圧縮機の運転周波数を2増加させ、かつF
≦80HZとして、上記Cへ。」
(ウ) 甲3に記載された発明
甲3には、甲3の上記(ア)及び(イ)の事項を総合し、各ステップの実
施形態1([0053]〜[0072]、図1)に着目すると、次の発明(
以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。
「圧縮機、室外熱交換器、電子膨張弁、室内熱交換器、四方弁を有し、
少なくとも前記圧縮機及び前記電子膨張弁を制御可能であり、
室内ファンを有し、
洗浄モードを開始し、以下の各ステップを行う、
インバーター空気調和機。
ステップ1:第1層の氷霜を凝縮させる。
インバーター空気調和機の室内機ルーバーを最低吹出状態に調整し、室
内ファンを最小回転数で運転させ、インバーター空気調和機の室外圧縮
機の運転周波数Fを調節し、室外ファンを固定回転数rで運転させ、こ
こでrは、200r/min≦r≦1200r/minを満たし、また
、インバーター空気調和機の四方弁を室内機冷房状態に切り替え、イン
バーター空気調和機が一定の時間t0運転してから、
A:室内熱交換器の表面温度T0を検出し、
−2℃<T0<0℃である場合、現在の運転状態を維持して第1
設定時間t1運転し、次のステップ2へ、
T0≧0℃の場合、室外圧縮機の運転周波数Fを2増加させ、か
つ、F≦50HZとして、上記Aへ。
ステップ2:第2層の氷霜を凝縮させる。
室外圧縮機の運転周波数が現在の周波数であり、室内ファンをオフにし
、導風板を閉状態にし、室外ファンの回転数とインバーター空気調和機
の四方弁の状態を変えずに維持し、一定時間t0運転してから、
B:室内熱交換器の表面温度T0を検出し、
−5℃<T0≦−2℃の場合、現在の運転状態を維持して第1サ
ブ設定時間t21運転し、次のステップ3へ、
T0>−2℃の場合、室外圧縮機の運転周波数Fを2増加させ、
かつ、F≦60HZとして、上記Bへ。
ステップ3:第3層の氷霜を凝縮させる。
室外圧縮機の運転周波数が現在の周波数であり、室内ファンをオフにし
、導風板が閉状態にあり、室外ファンの回転数とインバーター空気調和
機の四方弁の状態が変えずに維持し、一定時間t0運転してから、
C:室内熱交換器の表面温度T0を検出し、
T0≦−5℃の場合、現在の運転状態を維持して第2サブ設定時
間t22にわたり運転し、次のステップ4へ、
T0>−5℃の場合、室外圧縮機の運転周波数を2増加させ、か
つF≦80HZとして、上記Cへ。
ステップ4:除霜処理を行う。
部屋内に冷気や湿気が吹き込まれることを回避するために、室内ファン
及び導風板を閉鎖状態にし、室外圧縮機と室外ファンが停止し、インバ
ーター空気調和機の四方弁の状態が変わらず、
室外圧縮機の運転を停止するため、室外熱交換器の高温高圧冷媒が室内
熱交換器に戻り、室内熱交換器表面の霜が融けて液体の水になり、氷霜
が融けて液体の水になると、塵埃が水中に溶け込み、水滴とともにドレ
ンパンに流入し、室外に排出され、
室内熱交換器における氷霜が完全に融けることを確保するために、室外
圧縮機が一定時間t3停止して、熱交換器の表面温度T0を検出し、
T0≧7℃の場合、洗浄モードを終了し、
T0<7℃の場合、室外圧縮機を起動し、かつ室外圧縮機の運転周
波数Fを30HZに調整し、室外ファンの回転数を調整することで、
室外ファンを最小回転数で運転させ、インバーター空気調和機の四方
弁を室内機暖房運転状態に切り替え、室内ファンと導風板はまだ閉状
態にあり、T0=7℃になってから室外ファンの運転を停止させ、
洗浄モードを終了させる。」

エ 甲4
(ア) 甲4記載事項
「【0018】図2には室内ユニット10の断面図が示されている。室内ユ
ニット10は室内ユニット本体10Aと、室内の壁面等に固定される取付ベ
ース10Bとから成り、取付ベース10Bに室内ユニット本体10Aの背面
側(図2における右側)が取付けられることにより、室内の所定位置に設置
される。室内ユニット本体10Aの略中央部にはクロスフローファン50が
配設されている。一方、図3にも示すように室内ユニット本体10Aの前面
には吸込グリル52が形成されている。クロスフローファン50は、その吸
気側が吸込グリル52を向くように配置されており、クロスフローファン5
0が駆動されると、室内の空気は吸込グリル52を介して室内ユニット10
A内部に吸引される。」
「【0020】なお、冷房時及び除湿時には、室内ユニット本体10A内に
吸引された空気中に含まれる水分は室内側熱交換器16によって冷却される
ことによって凝縮され室内側熱交換器16の表面に付着する。このため、室
内側熱交換器16の下方には受け皿としてのドレンパン56が設けられてお
り、室内側熱交換器16の表面に付着した水分はドレンパン56を介して室
外に排出される。」



(イ) 上記(ア)からわかること
「熱交換器の下側にドレンパンを配置すること。」(以下「甲4記載事項
」という。)

オ 甲5
(ア) 甲5記載事項
「【0018】
6は、室内熱交換器11からのドレン水を貯留し排出するためのドレンパン
、7は、前記送風ファン12により吸込まれた室内の空気内の比較的大きな
塵や埃を除塵するエアフィルタ、8は、前記エアフィルタ7を通過した室内
空気内の比較的細かい塵や埃を除塵する空気清浄フィルタである。」



(イ) 上記(ア)からわかること
「熱交換器の下側にドレンパンを配置すること。」(以下「甲5記載事項」
という。)

カ 甲8の1
(ア) 甲8の1記載事項





(当審注:括弧内は、請求人提出の翻訳文を参考にし、当審で作成したもの
である。以下、甲8の1については、同様である。:
発明を実施するための形態
以下、図面、実施例を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
図1に示すように、空気調和機が動作を開始し、冷却運転を行う。
冷却運転中、空気調和機の制御部は一般にはマイクロプロセッサであり、センサ、例えば、サーミスタによって、蒸発器の表面における着霜又は着氷程度が予め設計された値に達するか否かを絶えず自動検査し、同時に、冷却時間が設計上の要求値に達したか否かを判断し、到達していれば、空気調和機の制御部は次ステップを実行し、空気調和機を加熱運転させ、到達していなければ、冷却運転を継続する。
加熱運転中、空気調和機の制御部は同様にセンサによって、蒸発器の表面
における除霜又は除氷程度が予め設計された値に達したか否かを絶えず自動
的検査し、同時に加熱時間が設計上の要求値に達したか否かを判断し、到達
していれば、空気調和機の制御部は次のステップを実行して、空気調和機を
通風運転させ、到達していなければ、加熱運転を継続する。
通風運転中、空気調和機の制御部はセンサによって、通風時間が設計上の
要求値に達したか否かを絶えず自動的検査し、同時に通風が予め設計された
風速、例えば、予め設計された最低風速で行われるか否かを判断し、通風時
間が到達していれば、空気調和機の動作を終了させ、到達していなければ、
通風運転を継続する。
このように、冷却、加熱及び通風機能を組み合わせて利用し、まず、急速
冷却して空気中の水蒸気を蒸発器の表面に急速に着霜又は着氷させ、次に、
急速加熱して蒸発器の表面における霜又は氷を加熱後に水に変ぜしめて表面
のほこりやほかの細かい異物を除去し、且つ蒸発器を加熱乾燥させ、さらに
通風して、蒸発器内に含まれる水をさらに通風乾燥する。本発明は従来の空
気調和機のベースに部品やコストを増加せず、人間の介入も空気調和機の分
解や組立もせずに、空気調和機が特定のプログラム要件に応じて動作するだ
けで蒸発器を自動的に洗浄する目的を実現できる。自動洗浄機能を備える空気調和機は、以下の効果を実現できる。蒸発器の表面の清浄度について、空
気調和機を2年間連続して使用し後、蒸発器の表面は新品と同じぐらいきれ
いであり、蒸発器の表面の単位面積あたりのほこり又はほかの異物の重量は
2g/平方メートル以下であり、空気調和機の冷却又は加熱の効果について
、空気調和機を3年間連続して使用した後、冷房量と暖房量は定格冷房量と
暖房量の95%以上であり、電力消費量について、空気調和機を3年間連続
して使用した後、その最大劣化電流は空気調和機の出荷時の銘板電流値以下
であり、空気調和機から吹き出した風に異臭があるか否かについて、吹き出
した風は新鮮で、異臭がない。)






(イ) 上記(ア)からわかること
蒸発器の表面における着霜又は着氷程度が予め設計された値に達するか否
かを絶えず自動検査し、同時に、冷却時間が設計上の要求値に達したか否か
を判断し、到達していれば、空気調和機の制御部は次ステップを実行するこ
とから、「空気調和機において、空気中の水蒸気を蒸発器の表面に着霜又は
着氷させる冷却運転を開始してから、少なくとも冷却時間が設計上の要求値
に達すると、終了すること。」(以下「甲8の1記載事項」という)。

キ 甲8の2
(ア) 甲8の2記載事項




(当審注:括弧内は、請求人提出の翻訳文を参考にし、当審で作成したもの
である。以下、甲8の2については、同様である。:
発明を実施するための形態
以下、図面、実施例を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
図1に示すように、空気調和機が動作を開始し、冷却運転を行う。
冷却運転中、空気調和機の制御部は一般にはマイクロプロセッサであり、センサ、例えば、サーミスタによって、蒸発器の表面における着霜又は着氷程度が予め設計された値に達するか否かを絶えず自動検査し、同時に、冷却時間が設計上の要求値に達したか否かを判断し、到達していれば、空気調和機の制御部は次ステップを実行し、空気調和機を加熱運転させ、到達していなければ、冷却運転を継続する。
加熱運転中、空気調和機の制御部は同様にセンサによって、蒸発器の表面
における除霜又は除氷程度が予め設計された値に達したか否かを絶えず自動
的検査し、同時に加熱時間が設計上の要求値に達したか否かを判断し、到達
していれば、空気調和機の制御部は次のステップを実行して、空気調和機を
通風運転させ、到達していなければ、加熱運転を継続する。
通風運転中、空気調和機の制御部はセンサによって、通風時間が設計上の
要求値に達したか否かを絶えず自動的検査し、同時に通風が予め設計された
風速、例えば、予め設計された最低風速で行われるか否かを判断し、通風時
間が到達していれば、空気調和機の動作を終了させ、到達していなければ、
通風運転を継続する。
このように、冷却、加熱及び通風機能を組み合わせて利用し、まず、急速
冷却して空気中の水蒸気を蒸発器の表面に急速に着霜又は着氷させ、次に、
急速加熱して蒸発器の表面における霜又は氷を加熱後に水に変ぜしめて表面
のほこりやほかの細かい異物を除去し、且つ蒸発器を加熱乾燥させ、さらに
通風して、蒸発器内に含まれる水をさらに通風乾燥する。本発明は従来の空
気調和機のベースに部品やコストを増加せず、人間の介入も空気調和機の分
解や組立もせずに、空気調和機が特定のプログラム要件に応じて動作するだ
けで蒸発器を自動的に洗浄する目的を実現できる。自動洗浄機能を備える空
気調和機は、以下の効果を実現できる。蒸発器の表面の清浄度について、空
気調和機を2年間連続して使用し後、蒸発器の表面は新品と同じぐらいきれ
いであり、蒸発器の表面の単位面積あたりのほこり又はほかの異物の重量は
2g/平方メートル以下であり、空気調和機の冷却又は加熱の効果について
、空気調和機を3年間連続して使用した後、冷房量と暖房量は定格冷房量と
暖房量の95%以上であり、電力消費量について、空気調和機を3年間連続
して使用した後、その最大劣化電流は空気調和機の出荷時の銘板電流値以下
であり、空気調和機から吹き出した風に異臭があるか否かについて、吹き出
した風は新鮮で、異臭がない。)






(イ) 上記(ア)からわかること
蒸発器の表面における着霜又は着氷程度が予め設計された値に達するか否
かを絶えず自動検査し、同時に、冷却時間が設計上の要求値に達したか否か
を判断し、到達していれば、空気調和機の制御部は次ステップを実行するこ
とから、「空気調和機において、空気中の水蒸気を蒸発器の表面に着霜又は
着氷させる冷却運転を開始してから、少なくとも冷却時間が設計上の要求値
に達すると、終了すること。」(以下「甲8の2記載事項」という)。

ク 甲9
(ア) 甲9記載事項



(当審注:括弧内は、請求人提出の翻訳文を参考にし、当審で作成したもの
である。以下、甲9については、同様である。:
1.空気調和機室内熱交換器の洗浄制御方法であって、
空気調和機が自動洗浄モードに入ると、冷却モードを起動し、
蒸発温度を低下させ、もって空気中の水分の室内熱交換器上に凝結させて霜又は薄氷となさしめ、
冷却モードで所定の冷却時間にわたり連続運転した後、空気調和機の運転
モードを冷却モードから切り替えて加熱モードとし、もって熱交換器上の霜
又は薄氷を融解させて熱交換器の洗浄に供せしめることを含む、ことを特徴
とする空気調和機室内熱交換器の洗浄制御方法。)







(発明を実施するための形態
[0028] ここで説明される具体的な実施例は、本発明を解釈するもの
にすぎず、本発明を限定するものではないことを理解すべきである。
[0029] 図1を参照して、図1は本発明の空気調和機室内熱交換器の
洗浄制御方法の第1実施例の模式的なフローチャートである。本実施例では
、前記空気調和機室内熱交換機の洗浄制御方法は、以下のステップを含む。
[0030] ステップS10は、空気調和機が自動洗浄モードに入ると、
冷却モードを起動し、
[0031] 本実施例では、自動洗浄モードに入る形態は限定されず、具
体的には、実際需要に応じて設定される。例えば、ユーザは空気調和機リモ
コンに設けられた自動洗浄モードボタンにより対応する命令を送信すること
で自動洗浄モードに入り、又は空気調和機はタイミング設定に基づいて、又
は現在の空気湿度が設定閾値に達すると、自動洗浄モードに入り、実施例で
は、空気調和機は自動洗浄モードで室内熱交換器の表面の埃や異物などに対
する自動洗浄処理を実現することができる。
[0032] 本実施例では、空気中の水蒸気が寒さにあうと水に凝結すると
いう特性に基づいて、自動洗浄モードに入ると、まず冷却モードを起動する
必要があり、それにより、熱交換器の表面の周りの空気中の水分(水蒸気)
を水に凝結させることを実現する。なお、凝結した水はある程度まで熱交換
器の表面の埃や異物などを水に取り込むことができる。
[0033] ステップS20、蒸発温度を低下させることで、空気中の水分
が凝結して室内夏交換器において霜又は薄氷となり、
[0034] 本実施例では、蒸着温度とは、具体的には、冷却モードで熱交
換器(すなわち蒸発器)コイル内に入る冷媒媒体の温度を意味する。蒸発温
度が低ければ、空気中の水分を水に凝結させる能力が強く、すなわち、熱交
換器の表面に生じた凝結水も多く、凝結水がさらに凝結して霜又は薄氷とな
ることができる。なお、熱交換器の表面に生じた霜又は薄氷で熱交換器の表
面に吸着した埃や異物などをしっかりと吸着することができ、それにより、
自動洗浄能力をさらに向上させる。
[0035] 本実施例では、熱交換器の表面の埃や異物などに対する洗浄能
力をさらに向上させるために、多くの水を凝結させる必要があるが、水が重
力影響で損失する恐れがあり、したがって、本実施例では、冷却モードに入
った後、蒸発温度をさらに低下させることで、空気中の水分が凝結して熱交
換器において霜又は薄氷になることを加速する必要がある。本実施例では、
蒸発温度を低下させる形態は限定されず、たとえば、熱膨張弁(又は絞り弁
)の開度を調整することで定圧圧力の大きさを調整し、膨張弁の開度が大き
いと、蒸発温度が上がり、低圧圧力も上がり、さらに冷却量が増加し、膨張
弁の開度が小さいと、蒸発温度が下がり、低圧圧力も下がり、冷却量が減少する。
[0036] 好ましくは、風向板の送風角度を小さくして送風風速を低下さ
せることで、蒸発温度を低下させる。従来技術では、蒸発温度を低下させる
形態は多くあり、例えば直接コンプレッサの運転周波数を向上させ、しかし
、こうすると多くの電気エネルギーを消費するだけではなく、また、コンプ
レッサの高周波数運転がさらに高デシベルのノイズを生成する。したがって
、本好適な実施例では、具体的には、風向板の送風角度を小さくして送風速
度を低下させることにより、熱交換器コイルにおける冷媒媒体の熱交換効率
をある程度まで低下させ(冷損失を減少させ)、さらに蒸発温度を低下させ
ることを間接的に実現する。
[0037] さらに好ましくは、空気調和機が自動洗浄モードに入って冷却
モードを起動すると同時に、風向板の送風角度を最小送風角度に調整して風
速を最低レベルに調整し、それにより、蒸発温度を最大限に低下させ、空気
中の水分の凝結を加速するとともに、熱交換器の表面温度の低下速度を加速
することができ、凝結した水がさらに霜又は薄氷に迅速に凝結する。
[0038] ステップS30、冷却モードで所定の冷却時間にわたり連続的
に運転した後、空気調和機の運転モードから加熱モードに切り替えることで
、熱交換器を洗浄するように、熱交換器における霜又は薄氷を融解させる。
[0039] 本実施例では、冷却モードで所定の冷却時間にわたり連続的に
運転した後、すなわち熱交換器の表面に凝結した霜又は薄氷が所定の程度と
なると、冷却モードから加熱モードに切り替え、霜取り処理を開始する。
[0040] 本実施例では、冷却時間の設定形態は限定されず、たとえば5
分間に設定され、又は試験状況に応じて最適な冷却時間の経験値に設定され
る。
[0041] なお、ゆっくりと霜取りした後に形成した小さな水滴は重力作
用で大きな洗浄力を生じることができず、したがって、本実施例では、好ま
しくは、風向板の送風角度及び対応する送風速度を調整することにより、熱
交換器に凝結した霜又は薄氷の融解を加速し、さらに大きな水滴を形成して
大きな洗浄力で熱交換器の表面の埃や異物などを洗浄し、融解後の水をドレ
ンパンに流し、本実施例ではドレンパンの設置形態は限定されない。
[0042] 好ましくは、冷却モードで設定された冷却時間にわたり連続的
に運転した後、空気調和機の運転モードを冷却モードから加熱モードに切り
替えると同時に、風向板の最小送風角度を不変に維持しながら、室内ファン
を停止させる。本好適な実施例では、風向板の最小送風角度を不変に維持し
ながら、室内ファンを停止することにより、熱交換器コイルにおける冷媒媒
体の熱交換効率をある程度まで低下させ(熱損失を減少させ)、さらに熱交
換器の温度を迅速且つ徐々に上げて熱交換器における霜又は薄氷の融解を加
速する。
[0043] 本実施例では、自動洗浄モードの終了条件の設定は限定され
ず、具体的には、実際需要に応じて設定される。本実施例では、空気調和機
がオフになった後に、霜取りのため内部が湿っぽくて細菌が繁殖してしまう
ことを回避するために、好ましくは、加熱モードで所定の加熱時間にわたり
連続的に運転し又は熱交換器コイルの温度が設定温度に達すると、自動洗浄
モードを終了させ、それにより、設定された終了条件において熱交換器の表
面乾燥を確保する。
[0044] 本実施例では、室内熱交換器の周りの空気中の水分を熱交換器
に凝結して霜又は薄氷を形成することにより、埃や異物を凝結した霜又は薄
氷に取り込み、次に埃や異物を取り込んだ霜又は薄氷を融解させてドレンパ
ンに流し、それにより、室内熱交換器の表面の埃や異物に対する自動洗浄を
実現する。さらに、蒸発温度を低下させることで、熱交換器の表面により多
くの水を凝結させ、さらに熱交換器の表面の埃や異物の洗浄範囲を広げ、こ
れに応じて洗浄能力を向上させる。
[0045] 図2を参照して、図2は、本発明の空気調和機室内熱交換器の
洗浄制御方法の第2実施例の模式的なフローチャートである。上記実施例に
基づいて、本実施例では、上記ステップS10の後は、以下のステップを含
む。
[0046] ステップS40、室内熱交換器の低温保護機能を閉じる。
[0047] 本実施例では、室内熱交換器に対する洗浄効果を向上させるた
めに、冷却モードで、蒸発温度を低下させることで、空気からより多くの水
蒸気を凝結させて水を形成して、水をさらに凝結させて霜又は薄氷とする必
要があり、したがって、熱交換器の表面温度を急激に低下させる必要がある
。普通の家庭用空気調和機がすべて低温保護機能(すなわち蒸発温度が低す
ぎるため着霜することを防止する)を備えることを配慮すると、自動洗浄モ
ードに入るとき、冷却モードを起動するとき、室内熱交換器の低温保護機能
を停止する必要がある。)
(イ) 上記(ア)からわかること
「空気調和機が自動洗浄モードに入ると、冷却モードを起動し、蒸発温度を
低下させ、もって空気中の水分の室内熱交換器上に凝結させて霜又は薄氷と
なさしめ、冷却モードで所定の冷却時間にわたり連続運転した後、空気調和
機の運転モードを冷却モードから切り替えて加熱モードとすることから、自
動洗浄モードに入って冷却するための処理を開始してから所定の冷却時間が
経過すると、冷却するための処理を終了させること。」(以下「甲9事項」
という。)
(2) 無効理由1(甲1を主引例とする、特許法第29条第1項第3号、第2項)、無効理由1’(甲1を主引例とする、特許法第29条第2項
(2−1) 無効理由1
ア 特許法第29条第1項第3号
(ア) 本件特許発明1と甲1発明との対比
本件特許発明1と甲1発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮し
て対比する。
・後者における「絞り装置」は、前者における「膨張弁」に相当し、以下同
様に、「室内熱交換器に対応するファン」は「室内ファン」に相当する。
・後者が「圧縮機、室外熱交換器、絞り装置、室内熱交換器、四方弁を有し
」ていて、「空気調和機が冷却又は除湿動作中にあれば、室内熱交換器は蒸
発器として使用され」て、室外熱交換器は凝縮器として機能することは明ら
かであり、後者の空気調和機が、圧縮機、室外熱交換器(凝縮器)、絞り装
置、室内熱交換器(蒸発器)を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路を有す
ることも明らかである。そうすると、後者は、前者の「圧縮機、凝縮器、膨
張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路」を備える態様の
ものである。
・後者は、「室内熱交換器(被洗浄熱交換器)を制御」し、「空気調和機の
運転周波数、絞り装置の開度及び室内熱交換器(被洗浄熱交換器)に対応す
るファンの回転数を調節し、室内熱交換器(被洗浄熱交換器)の蒸発温度を
制御」し、「室内熱交換器(被洗浄熱交換器)に対応するファンを制御」す
るものなので、後者が制御部を有することは明らかである。また、後者の「
空気調和機の運転周波数、絞り装置の開度」「を調節し」ていることは、前
者の「少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部」を備えるも
のに相当する。
・後者の「空気調和機が冷却又は除湿動作中にあれば、室内熱交換器は蒸発
器として使用され、加熱動作中にあれば、室外熱交換器は蒸発器として使用
され」ることは、前者の「前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器
であり、他方は室内熱交換器であ」ることに相当する。
・後者は、「室内熱交換器(被洗浄熱交換器)の蒸発温度を制御して予め設
定された範囲内に保持させる」ものであるから、室内熱交換器の温度を検出
する温度センサを有することは、明らかであり、前者の「前記室内熱交換器
の温度を検出する温度センサを有する」態様を備えるものである。
・後者の「室内熱交換器(被洗浄熱交換器)を制御して自動洗浄モードに移
行させるステップと、
空気調和機の運転周波数、絞り装置の開度及び室内熱交換器(被洗浄熱交
換器)に対応するファンの回転数を調節し、室内熱交換器(被洗浄熱交換器
)の蒸発温度を制御して予め設定された範囲内に保持させることで、室内熱
交換器(被洗浄熱交換器)の表面に着霜させるステップと、
室内熱交換器(被洗浄熱交換器)をt1時間継続的に着霜させるステップ
と、
室内熱交換器(被洗浄熱交換器)をt1時間継続的に着霜させた後、空気
調和機の高低圧力差が予め設定された条件に到達したか否か検出する前に、
圧縮機を停止させるステップ」は、「室内熱交換器の表面に着霜させるス
テップ」及び「前記室内熱交換器をt1時間継続的に着霜させるステップ」
が室内熱交換器を蒸発器として機能させ、凍結させるための処理を行ってい
るといえるので、前者の「前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、
前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第
1期間が経過すると、前記処理を終了させ、」と、「前記室内熱交換器を前
記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始
し、前記処理を終了させ」る限りで一致している。
・後者の「室内熱交換器(被洗浄熱交換器)に対応するファンを制御して停
止させてからそのままt4時間保持」する態様は、凍結させるための処理の
終了後に、圧縮機とファンは停止状態は維持されるものであり、甲1の段落
[0094]の記載を踏まえると、その間に着霜したものの一部は解凍してい
るので、前者の「前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止
状態を維持し、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記
冷媒が前記室内熱交換器に流入させ、前記室内熱交換器を解凍するための処
理をする」態様と、「前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの
停止状態を維持し、前記室内熱交換器を解凍するための処理をする」態様の
限りで一致する。
以上のことから、本件特許発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、次
のとおりである。
[一致点]
「圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒
回路と、
少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、を備え、
前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交
換器であり、
前記室内熱交換器の温度を検出する温度センサを有するとともに、
室内ファンを有し、
前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内
熱交換器を凍結させるための処理を開始し、前記処理を終了させ、
前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、
前記室内熱交換器を解凍するための処理をする
空気調和機。」

[相違点1−1]
室内熱交換器を凍結させるための処理を開始し、終了させることに関して
、本件特許発明1では、「室内熱交換器を凍結させるための処理を開始して
から予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ」るのに対
して、甲1発明では、「自動洗浄モードに移行させ」た後のステップが、「
前記室内熱交換器の表面に着霜させるステップ」と、「前記室内熱交換器を
t1時間継続的に着霜させるステップ」とを含む点。

[相違点1−2]
前記処理(凍結させるための処理)の終了後、前記圧縮機及び前記室内フ
ァンの停止状態を維持し、前記室内熱交換器を解凍することに関して、本件
特許発明1では、「(前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、
)前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室
内熱交換器に流入させ、」解凍するのに対して、甲1発明では、そのような
特定はなされていない点。

(イ) 判断
a 相違点1−1について
甲1発明は、「前記室内熱交換器をt1時間継続的に着霜させるステップ
」の前に、「前記室内熱交換器の表面に着霜させるステップ」があり、t1
時間着霜を継続する前のステップに、具体的に特定されていない時間の間に
着霜を行っていることから、当該時間とt1時間とを合わせた時間は、室内
熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間と
いえるものではなく、本件特許発明1の「室内熱交換器を凍結させるための
処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了
させ」ることとは、異なる、相違点1−1は、実質的な相違点である。
b 相違点1−2について
前記処理(凍結させるための処理)の終了後、前記圧縮機及び前記室内フ
ァンの停止状態を維持し、前記室内熱交換器を解凍することに関して、甲1
発明は、「前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒
が前記室内熱交換器に流入させ」るものではなく、相違点1−2は、実質的
な相違点である。
c したがって、本件特許発明1は、甲1発明であるとはいえない。
d 請求人の主張について
(a) 請求人は、甲1発明の着霜処理の認定について、以下の主張をして
いる。
「甲第1号証の図1には一見3段階の別の処理であるかのように記載されて
いるが、請求項1、段落[0007]〜[0009]並びに段落[0048
]〜[0050]の各記載『控制待清潔換熱器進入自清潔模式;調節空調的
運行頻率,節流装置的開度和待清潔換熱器対応的風機転速,控制待清潔換熱
器的蒸発温度保持在預設範囲内,使待清潔換熱器表面凝霜;対待清潔換熱器
凝霜持続t1時間』は、以下のように一連に読むべきである。
すなわち、『控制待清潔換熱器進入自清潔模式(被洗浄熱交換器が自動洗
浄モードに入るように制御し);調節空調的運行頻率,節流装置的開度和待
清潔換熱器対応的風機転速(空気調和機の運転周波数、絞り装置の開度及び
被洗浄熱交換器に対応するファンの回転数を調節し),控制待清潔換熱器的
蒸発温度保持在預設範囲内(被洗浄熱交換器の蒸発温度を予め設定された範
囲内に維持するように制御することで),使待清潔換熱器表面凝霜(被洗浄
熱交換の表面に着霜させ);対待清潔換熱器凝霜持続t1時間(被洗浄熱交
換器をt1時間連続的に着霜させ)』と読むべきである。
すなわち、空気調和機の制御部により『被洗浄熱交換器が自動洗浄モード
に入る』と即座に『運転周波数、絞り装置開度及び対応ファンの回転数の調
節』が行われることにより被洗浄熱交換器の温度低下が開始し、それからt
1時間の間、被洗浄熱交換器の蒸発温度を予め設定された範囲内に維持する
ように制御することで、被洗浄熱交換器の表面に着霜させるのである。」(
令和2年4月10日口頭審理陳述要領書3ページ)
しかしながら、甲1明細書には、「【0047】図1に示すように、本発
明の一実施形態では、空気調和機の室内外機の洗浄方法は、
【0048】被洗浄熱交換器を制御して自動洗浄モードに移行させるステップと、
【0049】空気調和機の運転周波数、絞り装置の開度及び被洗浄熱交換器
に対応するファンの回転数を調節し、被洗浄熱交換器の蒸発温度を制御して
予め設定された範囲内に保持させることで、被洗浄熱交換の表面に着霜させ
るステップと、
【0050】被洗浄熱交換器をt1時間継続的に着霜させるステップと、
【0051】空気調和機の高低圧力差が予め設定された条件に到達したか否
かを検出するステップと、
【0052】空気調和機の高低圧力差が予め設定された条件に到達した場合
、四方弁の切り替えを制御して室内外熱交換器の除霜を切り替えるステップ
と、」と、各ステップ毎に制御の内容が明確に特定されている。
そして、制御のフローチャートを示す図1においても、処理内容を意味す
る「□」の中に、まず「空気調和機の運転周波数、絞り装置の開度及び被洗
浄熱交換器に対応するファンの回転数を調節し、被洗浄熱交換器の蒸発温度
を制御して予め設定された範囲内に保持されることで、被洗浄熱交換の表面
に着霜させる」と記載され、その後に、「被洗浄熱交換器をt1時間継続的
に着霜させる」と記載されているのであるから、この内容をこのまま理解す
ると、制御のフローは、まず、「空気調和機の運転周波数、絞り装置の開度
及び被洗浄熱交換器に対応するファンの回転数を調節し、被洗浄熱交換器の
蒸発温度を制御して予め設定された範囲内に保持されることで、被洗浄熱交
換の表面に着霜させる」ことがここでは具体的な時間が記載されていないが
、行われた後に、さらに、「被洗浄熱交換器をt1時間継続的に着霜させる
」ことを行うものと理解できる。
また、このように理解しても、例えば、着霜処理に関する甲2の図7に示
されるように、室内熱交換器を着霜させる際に、室内熱交換器の温度を低下
させ、さらに、0℃を超えて低下させ、特定のTcice温度になった時点
から、所定の時間であるT時間着霜を行うことを行っており、T時間着霜す
る前に、ある程度の時間にわたり熱交換器の温度を下げている時間が存在す
ることが、本願出願日(優先日)前に行われることからして、甲1発明を、上記記載事項のとおりに理解することが不自然というものでもない。
(b) さらに、請求人は、甲1の請求項5、明細書段落[0023]及び
[0055]、[0070]の記載を参酌し、以下の主張をしている。
「上記請求項5、段落[0023]及び段落[0055]、段落[0070
]によれば、甲第1号証における『着霜させる』とは、着霜という現象の前
段階である、水膜で被覆するプロセスも含んでおり、熱交換器の冷却を開始
して、露点に達して結露による水膜被覆を生じさせ、零下に達して結氷及び
着霜させる一連のプロセス全体が、『着霜モード』ということになる。
なお、甲第1号証には、自動洗浄モードに入った後、着霜モードに入るま
での間に、熱交換器の表面の温度が所定の温度になることを確認する処理などの特段の処理は記載されていないから、自動洗浄モードに入る時点が即着
霜モードに入る時点ということになる。
他方、甲第1号証の図1の上から2番目のブロックには『使待清潔換熱
器表面凝霜(洗浄対象熱交換器の表面に着霜させる)』と記載され、段落[
0008]に対応するが、これが次のブロック『対待清潔換熱器凝霜持続t
1時間(洗浄対象熱交換器をt1時間着霜持続させる)』と一連一体でない
とすると、その段階を区切る何らかの条件の設定と条件成就の判断が必要と
なるが、そのような条件又は処理は一切記載されていない。このことからも
、t1時間イコール着霜モードでの運転時間であることが明らかである。こ
れを図示すると、以下の付図1のようになる。」(令和2年4月10日口頭
審理陳述要領書4、5ページ)


付図1 甲1発明における「着霜モード」の動作」(令和2年4月10日口頭審理陳述要領書5ページ)
しかしながら、甲1の請求項5が、「被洗浄熱交換器の表面に着霜させる
ステップは、被洗浄熱交換器が着霜モードに移行した後、被洗浄熱交換器に
対応するファンを制御してt3時間起動させることにより、被洗浄熱交換器
の表面を水膜で覆い、その後、前記ファンを停止させるステップを含むこと
を特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室内外機の洗浄方法。」と特定
していることは、請求項5が引用する請求項1で特定されている、「空気調
和機の運転周波数、絞り装置の開度及び被洗浄熱交換器に対応するファンの
回転数を調節し、被洗浄熱交換器の蒸発温度を制御して予め設定された範囲
内に保持させることで、被洗浄熱交換器の表面に着霜させるステップ」と、
「被洗浄熱交換器をt1時間継続的に着霜させるステップ」とのうち、t3
時間において被洗浄熱交換器の表面を水膜で覆うものであることを考慮する
と、前者の「被洗浄熱交換器の表面に着霜させるステップ」における処理に
ついて特定するものとするのが自然である。すなわち、水膜で被覆するプロ
セスは、前者の「被洗浄熱交換器の表面に着霜させるステップ」の着霜に含
まれるものである。
また、前者の「被洗浄熱交換器の表面に着霜させるステップ」を、後者の
「被洗浄熱交換器をt1時間継続的に着霜させるステップ」に含めて理解し
なければならないとする、甲1の記載や技術常識があるとは認められない。
よって、上記(a)で検討したとおり、前者の「被洗浄熱交換器の表面に
着霜させるステップ」(ファンを制御してt3時間起動させるステップ)と
後者の「被洗浄熱交換器をt1時間継続的に着霜させるステップ」とは、別
のステップであるから、上記付図1で示すように、t3のステップがt1の
ステップに含まれることを前提とする請求人の上記主張は、この点で採用で
きない。
(c) 以上のとおりであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条
第1項第3号の規定に違反してされたものではない。

イ 特許法第29条第2項
(ア) 本件特許発明1について
本件特許発明1と甲1発明との一致点・相違点については、上記「ア 特許法第29条第1項第3号」の「(ア) 本件特許発明1と甲1発明との対比」で述べたと同様である。
上記相違点1−1について、以下に検討する。
甲1発明の「前記室内熱交換器の表面に着霜させるステップ」に係る時間
と「前記室内熱交換器をt1時間継続的に着霜させるステップ」に係る時間
とを合わせた時間は、甲1の「【0054】本発明に係る空気調和機の室内
外機の洗浄方法では、空気調和機の運転周波数、絞り装置の開度及び被洗浄
熱交換器に対応するファンの回転数を調節することにより、洗浄状態である
熱交換器に均一かつ速やかに着霜させることを確保し、熱交換器の除霜効率
を向上させるとともに、熱交換器の表面への着霜によって塵埃などを熱交換
器の表面から剥離させた後、除霜によって洗浄を行うことで、熱交換器の洗
浄効果を向上させることができる。」との記載を参酌するに、熱交換器の表
面への着霜によって塵埃などを熱交換器の表面から剥離させ、洗浄すること
ができる程度の着霜を得るための時間といえる。
また、甲8の1記載事項、甲8の2記載事項及び甲9記載事項のように、
空気調和機の自動洗浄モードにおいて、熱交換器に着霜させる冷却運転を開
始してからの設計上の要求値や所定の冷却時間といった、予め定められた時
間が経過すると、冷却処理を終了させることが本件特許出願(優先日)前に
周知の事項(以下「周知の事項1−1」という。)であると認められる。
そして、周知の事項1−1の冷却運転を開始してから予め設定された時間
も、熱交換器の表面への着霜によって塵埃などを熱交換器の表面から剥離さ
せ、洗浄することができる程度の着霜を得るための時間であるといえる。
そうすると、甲1発明において、「自動洗浄モードに移行させ」た後の、
「前記室内熱交換器の表面に着霜させるステップ」に係る時間と、「前記室内熱交換器をt1時間継続的に着霜させるステップ」時間とを合わせた時間
について、周知の事項1−1を考慮して、凍結させるための冷却運転を開始
してから予め設定された時間とし、上記相違点1−1に係る本件特許発明1
の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。

次に、上記相違点1−2について、以下に検討する。
甲1発明は、除霜処理について、「室内熱交換器に対応するファンを起動
して除霜処理に移行する」ものであって、膨張弁の動作について特定すると
ころはなく、また、甲1に、「(前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態
を維持し、)前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷
媒が前記室内熱交換器に流入させ」て解凍することについて記載するところ
ない。
また、甲1には、「【0062】空気調和機の高低圧力差が上記予め設定
された条件を満たしていないとき、空気調和機の運転パラメータを調節して
、空気調和機の高低圧力差を上記予め設定された条件に到達させるステップ
は、
【0063】室内外ファンの回転数を増加させ、室内外の風量を増やすステップと、
【0064】コンプレッサ周波数をH1まで低減させ、t2時間保持するステップと、
【0065】絞り装置の開度を最大に調整するステップとのうちの少なくとも1つのステップを含む。
【0066】H1は空気調和機の高低圧力差を上記の予め設定された条件に
達せさせるためのコンプレッサの最小運転周波数であり、t2はコンプレッ
サが運転周波数を保持しつつ被洗浄熱交換器における霜が融ける時間であり
、t2は例えば5minである。」、
「【0091】また、本発明に係る空気調和機の室内外機の洗浄方法は、被
洗浄熱交換器をt1時間連続的に着霜させた後、空気調和機の高低圧力差が
予め設定された条件に達したか否かを検出する前に、
【0092】圧縮機を停止させるステップと、
【0093】被洗浄熱交換器に対応するファンを制御して停止させてからそ
のままt4時間保持した後、被洗浄熱交換器に対応するファンを起動して除
霜処理に移行するステップと、をさらに含む。ここでは、t4は、例えば、
5minである。
【0094】圧縮機を停止させた後、被洗浄熱交換器に対応するファンを制
御して停止させてからそのまま一定時間保持することにより、熱交換器での
着霜は残ることなく融けることができる。」と記載されているが、これらは
、いずれも、甲1の図1における判断部(図1の「◇」部)以前で行われる
ものであって、甲1の図1における判断部(図1の「◇」部)の次の工程で
ある「除霜」において、処理(凍結)の終了後、圧縮機及び室内ファンの停
止状態を維持し、膨張弁の開度を大きくして室外熱交換器にある冷媒を室内
熱交換器に流入させ、室内熱交換器を解凍することをいうものではない。
しかも、判断部(図1の「◇」部)以前で行われる、段落【0093】の
室内熱交換器(被洗浄熱交換器)に対応するファンを制御して停止させてか
らそのままt4時間保持した後に、室内熱交換器(被洗浄熱交換器)に対応
するファンを起動して除霜処理に移行するステップは、ファンの停止後に、
ファンを起動するから、空気調和機の運転パラメータを調節する、段落【0
065】の絞り装置の開度を最大に調整するステップは、ファンの停止状態
を維持して行うものではない。
そして、前記処理(凍結)の終了後、圧縮機及び室内ファンの停止状態を
維持し、膨張弁の開度を大きくして室外熱交換器にある冷媒が室内熱交換器
に流入させ、室内熱交換器を解凍することが、技術常識とできる証拠はなく
、これを当業者が容易に想到し得たとすることができない。
また、相違点1−1と相違点1−2に係る本件特許発明の構成をあわせて
みると、室内熱交換器を適切に洗浄可能な空気調和機を提供できるという課
題を解決し得るものである。
以上のとおりであるから、本件特許発明1は、甲1発明に基いて、当業者
が容易に発明をすることができたものではない。
(イ) 本件特許発明3について
本件特許発明3は、本件特許発明1の特定事項を含むものであり、上記相
違点1−1及び相違点1−2に加え、本件特許発明3と甲1発明は、次の相
違点2を有している。

相違点2:本件特許発明3は、「前記室内熱交換器の下側に配置されるドレ
ンパンをさらに備える」のに対して、甲1発明は、そのような構成を有して
いるか否か不明である点。

相違点1−1及び相違点1−2については、上記「(ア)本件特許発明1について」で述べたと同様である。
そして、相違点1−2は、上記検討したとおり、当業者が容易に想到し得
たものではないので、本件特許発明1の特定事項を含む本件特許発明3も、
同様に、甲1発明及び周知の事項1−1に基いて、当業者が容易に発明をす
ることができたものではない。
(ウ) 以上のとおりであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条
第1項3号の規定に違反してされたものではなく、請求項1及び3に係る特
許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものでもないから、同
第123条第1項第2号に該当せず、無効とすることはできない。

(2−2) 無効理由1’
ア 特許法第29条第2項
(ア) 本件特許発明1と甲1発明との対比
本件特許発明1と甲1発明との一致点・相違点については、上記「ア 特
許法第29条第1項第3号」の「(ア) 本件特許発明1と甲1発明との対
比」で述べたと同様である。
無効理由1’のアについては、「(2−1)無効理由1 イ」で検討した
ことと同様であって、本件特許発明1及び3も、同様に、甲1発明及び周知
の技術(周知の事項)に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。
さらに、無効理由1’のイについて、上記無効理由1で検討した相違点1
−2について、さらに検討する。
相違点1−2に係る本件特許発明1の構成である「(前記圧縮機及び前記
室内ファンの停止状態を維持し、)前記膨張弁の開度を大きくして前記室外
熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ、」解凍することは
、甲3には記載されていない。
甲3発明は、解凍することについて、
「ステップ4:除霜処理を行う。
部屋内に冷気や湿気が吹き込まれることを回避するために、室内ファン
及び導風板を閉鎖状態にし、室外圧縮機と室外ファンが停止し、インバ
ーター空気調和機の四方弁の状態が変わらず、
室外圧縮機の運転を停止するため、室外熱交換器の高温高圧冷媒が室内
熱交換器に戻り、室内熱交換器表面の霜が融けて液体の水にな」るもので、圧縮機の運転を止めることにより、冷媒を戻すというものである。
よって、甲1発明において、甲3を参酌しても、「(前記圧縮機及び前記
室内ファンの停止状態を維持し、)前記膨張弁の開度を大きくして前記室外
熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ」ることにはならな
い。
請求人は、「『絞り弁の開度を大きくする』方が、『絞り弁の開度を小さ
くしたまま』よりも、『室外熱交換器の高温高圧冷媒を室内熱交換器に戻す
』ために好適であることが、当業者において明らかである」ことから、『室
外熱交換器の高温高圧冷媒を室内熱交換器に戻す』際に『絞り弁の開度を大
きくする』ことは、甲3号証に実質的に記載されているか、少なくとも当業
者が容易になし得ることにすぎない。」(弁駁書16ページ)と主張してい
る。
しかしながら、甲3には、明細書にも「[0069]室外圧縮機の運転を
停止するため、室外熱交換器の高温高圧冷媒が室内熱交換器に戻り、室内熱
交換器表面の霜が融けて液体の水になる。」と記載されていて、絞り弁の開
度を大きくすることにより、冷媒が戻るということの関係は記載されておら
ず、むしろ膨張弁の開度を大きくすることは、冷媒を送っていた方向へ送る
こととなり、冷媒が戻ることを妨げることともなる。
そして、「室外熱交換器の高温高圧冷媒を室内熱交換器に戻す」際に「絞
り弁の開度を大きくする」ことが明らかであるといえる証拠もない。
よって、請求人の上記主張は採用できない。
以上のとおりであるから、本件特許発明1は、甲1発明、周知の技術(周
知の事項)に基いて、又は甲1発明、甲3に記載された事項及び周知の技術
(周知の事項)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでは
ない。
(イ) 本件特許発明3について
本件特許発明3は、本件特許発明1の特定事項を含むものであり、本件特
許発明3と甲1発明とは、上記相違点1−1及び相違点1−2に加え、上記
相違点2を有している。
そして、相違点1−1、1−2、2についての判断は、上記「(2−1)
イ(ア)、(イ)」、「(2−2)ア(ア)」で述べたとおりであり、甲1
発明において、相違点1−2に係る本件特許発明1の構成を採用することは
、当業者が容易に想到し得たものではないので、同様に本件特許発明3も、
甲1発明、周知の技術(周知の事項)に基いて、又は甲1発明、甲3に記載
された事項及び周知の技術(周知の事項)に基いて、当業者が容易に発明を
することができたものではない。
(ウ) 以上のとおりであるから、請求項1及び3に係る特許は、特許法第
29条第2項の規定に違反してされたものでもないから、同法第123条
1項第2号に該当せず、無効とすることはできない。
(3) 無効理由2(甲2を主引例とする、特許法第29条第2項
ア 本件特許発明1について
(ア) 本件特許発明1と甲2発明との対比
本件特許発明1と甲2発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮し
て対比する。
・後者における「室内熱交換器17」は、前者における「室内熱交換器」に
相当し、以下同様に、「圧縮機31」は「圧縮機」に、「室外熱交換器33
」は「室外熱交換器」に、「電動膨張弁34」は「膨張弁」に、「室内送風
機19」は 「室内ファン」に、「着霜させ」ることは「凍結させ」ること
に、それぞれ相当する。そして、後者は、前者の「室内ファンを有」する態
様のものである。
・後者の「室内熱交換器17の温度センサTS」は、前者の「前記室内熱交
換器の温度を検出する温度センサ」に相当し、後者は、前者の「前記室内熱
交換器の温度を検出する温度センサを有する」態様のものである。
・後者の「通常の冷房運転サイクル時」の「室内熱交換器17」が、蒸発器
として機能することは技術常識であり、前者の「蒸発器」に相当する。この
際に、後者の「室外熱交換機33」が前者の「凝縮器」に相当する。そうす
ると、後者は、前者の「前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器で
あり、他方は室内熱交換器であり」の態様を備えるものである。
・後者の「室内熱交換器17、圧縮機31、四方切換弁32、室外熱交換器
33、電動膨張弁34は、冷媒配管6を介して接続されており、ヒートポン
プ式の冷凍サイクルを構成」することは、圧縮機31、室外熱交換器33、
電動膨張弁34、及び室内熱交換器17が、それぞれ順次に介して、冷媒が
循環する回路をなすことは技術常識なので、前者の「圧縮機、凝縮器、膨張
弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路」を備えることに相
当する。
・後者の「電動膨張弁34、室外送風機35、インバータ回路61、四方切
換弁32等の動作を制御」する「室外制御部60」は、「インバータ回路6
1」の「動作を制御」することは、圧縮機の運転を制御しているといえるか
ら、前者の「少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部」に相
当する。
・後者の「通常の冷房運転サイクル時には、室内熱交換器17の凍結を防止
するために、室内熱交換器17の温度(TC)が0℃以上になるように制御
し、室内熱交換器17の温度(TC)が温度Tcice(ただし、Tcic
e<0℃ )をT時間以上設けることにより、室内熱交換器17の親水性プ
レコートフィンFに対して着霜させ」ることは、室内熱交換器17の温度(
TC)が温度Tcice(ただし、Tcice<0℃ )をT時間以上行う
ことは、室内熱交換器17を蒸発器として機能させ、室内熱交換器を凍結さ
せるための処理と行うことといえ、当該T時間経過すると着霜させる処理が
終了することになるので、前者の「前記室内熱交換器を前記蒸発器として機
能させ、前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定
された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ、」と、「前記室内熱交
換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させるための処
理において、予め設定された所定期間が経過すると、前記処理を終了させ」
る限りで一致している。
・後者の「凍結させた室内熱交換器17の親水性プレコートフィンFを除霜
するには、送風運転もしくは暖房運転で行うことで、親水性プレコートフィ
ンFを加熱して霜を効率良く溶かす」ことは、前者の「前記処理の終了後、
前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ、前記室内熱交換器を冷凍するための処理を」する態様と、「前記処理の終了後、前記室内熱交換器を解凍するための処理をする」態様の限りで一致する。
以上のことから、本件特許発明1と甲2発明との一致点及び相違点は、次
のとおりである。

[一致点]
「圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒
回路と、
少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、を備え、
前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交
換器であり、
前記室内熱交換器の温度を検出する温度センサを有するとともに、
室内ファンを有し、
前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内
熱交換器を凍結させるための処理において、予め設定された所定期間が経過すると、前記処理を終了させ、
前記処理の終了後、前記室内熱交換器を解凍するための処理をする
空気調和機。」

[相違点3]
室内熱交換器を凍結させるための処理について、本件特許発明1は、「室
内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間
が経過すると、前記処理を終了させ」ているのに対して、甲2発明は、「通
常の冷房運転サイクル時には、室内熱交換器17の凍結を防止するために、
室内熱交換器17の温度(TC)が0℃以上になるように制御し、室内熱交
換器17の温度(TC)が温度Tcice(ただし、Tcice<0℃)を
T時間以上設けることにより、室内熱交換器17の親水性プレコートフィン
Fに対して着霜させ」る点。

[相違点4]
処理(凍結させるための処理)の終了後、室内熱交換器を解凍することに
ついて、本件特許発明1は、「前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を
維持し、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が
前記室内熱交換器に流入させ、前記室内熱交換器を解凍するための処理をし
」としているのに対して、甲2発明は、「凍結させた室内熱交換器17の親
水性プレコートフィンFを除霜するには、送風運転もしくは暖房運転で行う
ことで、親水性プレコートフィンFを加熱して霜を効率良く溶かす」とされ
ている点。

(イ) 判断
a 相違点3について
甲2発明が、「前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内
熱交換器を凍結させるための処理」において、「室内熱交換器17の温度(
TC)が温度Tcice(ただし、Tcice<0℃)をT時間以上」、凍
結させるための処理を行っているのは、甲2の「室内熱交換器17の温度(
TC)が温度Tcice(ただし、Tcice<0℃)をT時間以上設ける
ことにより、室内熱交換器17の親水性プレコートフィンF に対して着霜
させる。この室内熱交換器17の温度(TC)の値と時間Tの長さを調整す
ることにより、親水性プレコートフィンFに対する着霜量を調整することが
できる。」(【0051】)、「しかも、冷房運転により着霜させることに
より、室内熱交換器17の全体に効率良く着霜させることができ、その後暖
房運転もしくは送風運転により加熱することで霜が溶けて除霜水が生じるの
で、この除霜水が親水性プレコートフィンFの汚れを効率良く除去できる。
」(【0053】)ことからすると、室内熱交換器17の親水性プレコート
フィンF に対して着霜させ、親水性プレコートフィンF に対する着霜量を
調整し、その後除霜して除霜水で親水性プレコートフィンFの汚れを効率良
く除去するためである。
そうすると、着霜するに際して、着霜させるための時間は、熱交換器の表
面への着霜によって汚れを効率よく除去できる程度の着霜が得られる時間に
ついて行えば良いものであるといえる。
そして、周知の事項1−1の冷却運転を開始してから予め設定された時間
も熱交換器の表面への着霜によって汚れを効率よく除去できる程度の着霜が
得られる時間であるといえる。
そうすると、甲2発明において、「室内熱交換器17の親水性プレコート
フィンFに対して着霜させ」る処理を開始した時点(図7および図9におい
て、着霜中としてTの時間で示されるグラフの領域にむかって、グラフが下
降を開始する点)から着霜中を示す時間Tの終了までの合わせた時間につい
て、周知の事項1−1を考慮して、凍結させるための冷却運転を開始してか
ら予め設定された時間とし、上記相違点3に係る本件特許発明1の構成を採
用することは、当業者が容易に想到し得たことである。
b 相違点4について
甲2には、「冷房運転により着霜させることにより、室内熱交換器17の
全体に効率良く着霜させることができ、その後暖房運転もしくは送風運転に
より加熱することで霜が溶けて除霜水が生じるので、この除霜水が親水性プ
レコートフィンFの汚れを効率良く除去できる。」(【0053】)、「ま
た、上述したように、凍結させた室内熱交換器17の親水性プレコートフィ
ンFを除霜するには、送風運転もしくは暖房運転で行うことで、親水性プレ
コートフィンFを加熱して霜を効率良く溶かすことができる。」(【005
7】)と記載されており、霜を効率良く溶かすに際しては、暖房運転もしくは送風運転により、除霜を行うことを前提としている。
そうすると、甲2発明は、除霜時には、必ず暖房運転か送風運転を行うも
のであり、前者の場合は、少なくとも圧縮機を運転し、後者の場合には、室
内送風機を運転するから、圧縮機及び室内送風機をともに停止することは、
通常想定されていない。
そして、圧縮機及び室内送風機を停止すると甲2発明は、送風運転もしく
は暖房運転を行うことができず、親水性プレコートフィンFを加熱して霜を
効率良く溶かすことができなくなるので、圧縮機及び室内送風機を停止する
ことの動機付けがあるとはいえず、むしろ阻害する要因があるともいえる。
さらに、甲2には、「前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し
、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室
内熱交換器に流入させ」ることについて、記載するところはない。
そうすると、甲2発明において、上記相違点4に係る本件特許発明1の構
成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことではない。
c 請求人の主張について
請求人は、以下の主張をしている。
「甲第2号証の段落【0044】にいう『加熱して除霜を行う』とは、室内
熱交換器を凝縮器とする加熱(暖房)運転のみならず、送風運転による場合
をも包含するから、室内の空気と室内熱交換器の接触一般による温度上昇を
も含むものである。したがって、室内送風機を動作させることは必須の要素
ではなく、室内送風機を停止したまま、室内の空気との自然接触による着霜
融解との組み合わせに阻害要因はない。」(令和2年4月10日口頭審理陳
述要領書18ページ)
しかしながら、送風運転とは、送風する以上、室内送風機を運転して、送
風することを意味することは明らかであり、室内送風機を動作することは必
須の要素といえるから、請求人の上記主張は、採用できない。
(ウ) よって、本件特許発明1は、甲2発明に基いて、当業者が容易に発
明をすることができたものではない。

イ 本件特許発明3について
本件特許発明3は、本件特許発明1を引用するものであり、上記相違点3
及び4に加え、本件特許発明3と甲2発明は、次の相違点5を有している。

相違点5:本件特許発明3は、「前記室内熱交換の下側に配置されるドレン
パンをさらに備える」のに対して、甲2発明は、そのような構成を有してい
るか否か不明である点。

そして、相違点4は、上記検討したとおり、当業者が容易に想到し得たも
のではないから、相違点5を検討するまでもなく、本件特許発明3も、同様
に、甲2発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない


ウ 以上のとおりであるから、請求項1及び3に係る特許は、特許法第29
条第2項の規定に違反してされたものではなく、同法第123条第1項第2
号に該当せず、無効とすることはできない。

(4) 無効理由3(甲3を主引例とする、特許法第29条第1項第3号
第2項)
ア 特許法第29条第1項第3号
(ア) 本件特許発明1について
a 本件特許発明1と甲3発明との対比
本件特許発明1と甲3発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮し
て対比する。
・後者における「電子膨張弁」、「インバーター空気調和機」は、それぞれ
前者における「膨張弁」、「空気調和機」に相当する。
・後者の「室外熱交換器」及び「室内熱交換器」は、「インバーター空気調
和機」が冷房又は暖房を行う際に、一方が凝縮器、他方が蒸発器として機能
することは、技術常識なので、それぞれ、前者の「凝縮器」又は「蒸発器」
に相当するものである。
そうすると、後者は、前者の「前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱
交換器であり、他方は室内熱交換器であ」る態様を備えるものである。
さらに、後者の「圧縮機、室外熱交換器、電子膨張弁、室内熱交換器、四
方弁を有し」てなる冷媒回路は、それぞれ順次に介して、冷媒が循環する回
路をなすといえ、前者の「圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介
して冷媒が循環する冷媒回路」に相当する。
・後者は、「室内熱交換器の表面温度T0を検出」するので、表面温度T
0を検出する温度センサを有することは明らかであるから、前者の「室内
熱交換器の温度を検出する温度センサを有する」態様を備えるものである。
・後者の「少なくとも前記圧縮機及び前記電子膨張弁を制御可能であ」る「
インバーター空気調和機」は、制御部を備えることは明らかであり、前者の
「少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部」を備えるもので
ある。
・後者の「洗浄モードを開始し、以下の各ステップを行う」うちの、
「ステップ1:第1層の氷霜を凝縮させる。
インバーター空気調和機の室内機ルーバーを最低吹出状態に調整し、室
内ファンを最小回転数で運転させ、インバーター空気調和機の室外圧縮
機の運転周波数Fを調節し、室外ファンを固定回転数rで運転させ、こ
こでrは、200r/min≦r≦1200r/minを満たし、また
、インバーター空気調和機の四方弁を室内機冷房状態に切り替え、イン
バーター空気調和機が一定の時間t0運転してから、
A:室内熱交換器の表面温度T0を検出し、
−2℃<T0<0℃である場合、現在の運転状態を維持して第1
設定時間t1運転し、次のステップ2へ、
T0≧0℃の場合、室外圧縮機の運転周波数Fを2増加させ、か
つ、F≦50HZとして、上記Aへ。
ステップ2:第2層の氷霜を凝縮させる。
室外圧縮機の運転周波数が現在の周波数であり、室内ファンをオフにし
、導風板を閉状態にし、室外ファンの回転数とインバーター空気調和機
の四方弁の状態を変えずに維持し、一定時間t0運転してから、
B:室内熱交換器の表面温度T0を検出し、
−5℃<T0≦−2℃の場合、現在の運転状態を維持して第1サ
ブ設定時間t21運転し、次のステップ3へ、
T0>−2℃の場合、室外圧縮機の運転周波数Fを2増加させ、
かつ、F≦60HZとして、上記Bへ。
ステップ3:第3層の氷霜を凝縮させる。
室外圧縮機の運転周波数が現在の周波数であり、室内ファンをオフにし
、導風板が閉状態にあり、室外ファンの回転数とインバーター空気調和
機の四方弁の状態が変えずに維持し、一定時間t0運転してから、
C:室内熱交換器の表面温度T0を検出し、
T0≦−5℃の場合、現在の運転状態を維持して第2サブ設定時
間t22にわたり運転し、次のステップ4へ、
T0>−5℃の場合、室外圧縮機の運転周波数を2増加させ、か
つF≦80HZとして、上記Cへ。」(以下「甲3特定処理」とい
う。)を行うことは、室内熱交換器を蒸発器として機能させている
ことは明らかであり、ステップ1が第1層の氷霜を凝縮させ、ステップ2が
第2層の氷霜を凝縮させ、ステップ3が第3層の氷霜を凝縮させるから、各
ステップが凍結のための処理を行うものといえ、前者の「前記室内熱交換器
を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させるための処理」
に相当する。
・そして、上記甲3特定処理を行う時間は、ステップ1で「A:室内熱交換
器の表面温度T0を検出し、・・・T0≧0℃の場合、室外圧縮機の運転
周波数Fを2増加させ、かつ、F≦50HZとして、上記Aへ」とあり、「
A」点に制御の処理が戻り、当該条件を満たす時間は、予め設定された時間
とはいえないものであり、その後、ステップ2でも「B:室内熱交換器の表
面温度T0を検出し、・・・T0>−2℃の場合、室外圧縮機の運転周波
数Fを2増加させ、かつ、F≦60HZとして、上記Bへ」とあり、ステッ
プ3でも、「C:室内熱交換器の表面温度T0を検出し、・・・T0>−
5℃の場合、室外圧縮機の運転周波数を2増加させ、かつF≦80HZとし
て、上記Cへ。」とあり、総合してみると、所定の期間にわたり、凍結のた
めの処理を行うものといえるので、前者の「前記制御部は、前記室内熱交換
器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させるための処理
を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ
」ることと、「前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能さ
せ、前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始し、前記処理を終了さ
せ」る限りで一致する。
・後者の「ステップ4:除霜処理」について、当該処理は、「部屋内に冷気
や湿気が吹き込まれることを回避するために、室内ファン及び導風板を閉鎖
状態にし、室外圧縮機と室外ファンが停止し、インバーター空気調和機の四
方弁の状態が変わらず、室外圧縮機の運転を停止するため、室外熱交換器の
高温高圧冷媒が室内熱交換器に戻り、室内熱交換器表面の霜が融けて液体の
水になり、氷霜が融けて液体の水になると、塵埃が水中に溶け込み、水滴と
ともにドレンパンに流入し、室外に排出」することは、この氷霜が融ける間
、圧縮機及び室内ファンが停止が維持されているといえ、前者の「前記処理
の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記膨張弁
の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に
流入させ、前記室内熱交換器を解凍するための処理をする」ことと、「前記
処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記室
内熱交換器を解凍するための処理をする」ことの限りで一致する。

以上のことから、本件特許発明1と甲3発明との一致点及び相違点は、次
のとおりである。
[一致点]
「圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒
回路と、
少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、を備え、
前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交
換器であり、
前記室内熱交換器の温度を検出する温度センサを有するとともに、
室内ファンを有し、
前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内
熱交換器を凍結させるための処理を開始し、前記処理を終了させ、
前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、
前記室内熱交換器を解凍するための処理をする
空気調和機。」

[相違点6−1]
室内熱交換器を凍結させるための処理を開始し、前記処理を終了させるこ
とに関して、本件特許発明1では、「室内熱交換器を凍結させるための処理
を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ
」るのに対して、甲3発明では、上記甲3特定処理としている点。

[相違点6−2]
前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、
前記室内熱交換器を解凍するための処理をすることに関して、本件特許発明
1では、「前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記膨張弁
の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に
流入させ、前記室内熱交換器を解凍するための処理をする」るのに対して、
甲3発明では、「ステップ4:除霜処理を行う。
部屋内に冷気や湿気が吹き込まれることを回避するために、室内ファン
及び導風板を閉鎖状態にし、室外圧縮機と室外ファンが停止し、インバ
ーター空気調和機の四方弁の状態が変わらず、
室外圧縮機の運転を停止するため、室外熱交換器の高温高圧冷媒が室内
熱交換器に戻り、室内熱交換器表面の霜が融けて液体の水になり、氷霜
が融けて液体の水になると、塵埃が水中に溶け込み、水滴とともにドレ
ンパンに流入し、室外に排出され、
室内熱交換器における氷霜が完全に融けることを確保するために、室外
圧縮機が一定時間t3停止して、熱交換器の表面温度T0を検出し、
T0≧7℃の場合、洗浄モードを終了し、
T0<7℃の場合、室外圧縮機を起動し、かつ室外圧縮機の運転周波
数Fを30HZに調整し、室外ファンの回転数を調整することで、室
外ファンを最小回転数で運転させ、インバーター空気調和機の四方弁
を室内機暖房運転状態に切り替え、室内ファンと導風板はまだ閉状態
にあり、T0=7℃になってから室外ファンの運転を停止させ、洗浄
モードを終了させる。」としている点。
b 判断
(a) 相違点6−1について
甲3発明の上記甲3特定処理は、予め設定された期間について、室内熱交
換器を凍結処理するものではなく、「ステップ1:第1層の氷霜の凝縮」に
おいては、「A:室内熱交換器の表面温度T0を検出し、
・・・T0≧0℃の場合、室外圧縮機の運転周波数Fを2増加させ、かつ
、F≦50HZとして、上記Aへ。」と予め設定されていない期間にわたり
、凍結の処理を行い、
「ステップ2:第2層の氷霜を凝縮」においては、「B:室内熱交換器の表
面温度T0を検出し、
・・・
T0>−2℃の場合、室外圧縮機の運転周波数Fを2増加させ、かつ、F
≦60HZとして、上記Bへ。」と予め設定されていない期間にわたり、凍
結の処理を行い、
「ステップ3:第3層の氷霜を凝縮」においては、「C:室内熱交換器の表
面温度T0を検出し、
・・・
T0>−5℃の場合、室外圧縮機の運転周波数を2増加させ、かつF≦8
0HZとして、上記Cへ。」と予め設定されていない期間にわたり、室内熱
交換器の表面温度を検出し、当該表面温度に応じて、室外圧縮機の運転周波
数Fを調整して処理を行うものであり、各ステップでみても、各ステップを
あわせた全体としてみても、予め設定された期間にわたり、凍結させるため
の処理を行うことはなされておらず、したがって、上記相違点6−1は、実
質的な相違点である。
(b) 相違点6−2について
甲3には、相違点6−2に係る本件特許発明1の事項について記載はなく
、請求人も主張していない。
そうすると、相違点6−2に係る本件特許発明1の事項は、実質的な相違
点である。
(c) したがって、相違点6−1及び相違点6−2は、実質的な相違点で
あるから、本件特許発明1は、甲3発明であるとはいえない。
(イ) 本件特許発明3について
本件特許発明3は、本件特許発明1を含むものであり、上記相違点6−1
、6−2に加え、本件特許発明3と甲3発明は、次の相違点7を有している


相違点7:本件特許発明3は、「前記室内熱交換の下側に配置されるドレン
パンをさらに備える」のに対して、甲3発明は、そのような構成を有してい
るか否か不明である点。

そして、相違点6−1及び相違点6−2は、上記検討したとおり、実質的
な相違点であり、したがって、本件特許発明3は、甲3発明であるとはいえ
ない。

イ 特許法第29条第2項
(ア) 本件特許発明1について
本件特許発明1と甲3発明との一致点・相違点については、上記「ア 特
許法第29条第1項第3号(ア) 本件特許発明1について」で述べたと同
様である。
そこで、上記各相違点について、以下に検討する。
a 相違点6−1について
甲3発明の上記甲3特定処理は、予め設定された期間について、室内熱交
換器を凍結処理するものではなく、「ステップ1:第1層の氷霜の凝縮」に
おいては、「A:室内熱交換器の表面温度T0を検出し、
・・・T0≧0℃の場合、室外圧縮機の運転周波数Fを2増加させ、かつ
、F≦50HZとして、上記Aへ。」と予め設定されていない期間にわたり
、凍結の処理を行い、
「ステップ2:第2層の氷霜を凝縮」においては、「B:室内熱交換器の表
面温度T0を検出し、
・・・
T0>−2℃の場合、室外圧縮機の運転周波数Fを2増加させ、かつ、F
≦60HZとして、上記Bへ。」と予め設定されていない期間にわたり、凍
結の処理を行い、
「ステップ3:第3層の氷霜を凝縮」においては、「C:室内熱交換器の表
面温度T0を検出し、
・・・
T0>−5℃の場合、室外圧縮機の運転周波数を2増加させ、かつF≦8
0HZとして、上記Cへ。」と予め設定されていない期間にわたり、室内熱
交換器の表面温度を検出し、当該表面温度に応じて、室外圧縮機の運転周波
数Fを調整して処理を行うものであり、各ステップでみても、各ステップを
あわせた全体としてみても、予め設定された期間にわたり、凍結させるため
の処理を行うことはなされておらず、したがって、予め設定されていない期
間にわたり処理を行う甲3特定処理にかえて、ステップ1の開始から、予め
設定された期間にわたり、凍結させるための処理を行うように変更すること
を当業者が容易に想到し得たこととすることはできない。
このことは、上記周知の事項1−1を考慮しても、予め設定された期間に
わたり凍結処理を行わないステップ1〜ステップ3を前提とする甲3発明に
おいて、ステップ1を開始した時点から、予め設定された期間が経過すると
、凍結の処理を終了するものとすることを動機付けるものはなく、よって、
上記相違点6−1に係る本件特許発明1の構成を採用することは、当業者が
容易に想到し得たことであるとすることはできない。
そうすると、甲3発明において、上記相違点6−1に係る本件特許発明1
の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことではない。
b 相違点6−2について
甲3には、相違点6−2に係る本件特許発明1の事項について記載はなく
、請求人も主張していない。
そうすると、相違点6−2に係る本件特許発明1の構成を採用することは
、当業者が容易に想到し得たことであるとすることはできない。
c よって、本件特許発明1は、甲3発明に基いて当業者が容易に発明する
ことができたものではない。
(イ) 本件特許発明3について
本件特許発明3は、本件特許発明1を含むものであり、上記相違点6−1
、6−2に加え、本件特許発明3と甲3発明は、上記相違点7を有している

そして、相違点6−1及び相違点6−2は、上記検討したとおり、当業者
が容易に想到し得たものではないから、本件特許発明3は、甲3発明に基い
て当業者が容易に発明することができたものではない。
ウ 請求人の主張について
(ア) 請求人は、令和2年4月10日の口頭審理陳述要領書において、以
下の主張をしている。
「『実施形態2』の記載を参酌した甲3発明
無効審判請求書中には引用しなかったが、甲第3号証には段落[0028
]〜[0033]には実施例1、2の上位概念が記載されるとともに、段落
[0073]〜[0086]には実施例2も記載されており、実施例1に加
えて非インバータ空気調和機にかかる実施例2、及び上位概念の記載も参酌
すると、甲第3号証には、以下の発明(以下、『甲3発明1』とする。)が
記載されている。
『圧縮機、室外熱交換器、電子膨張弁、室内熱交換器、四方弁を有し([0
015])、少なくとも前記圧縮機及び前記電子膨張弁を制御可能であり(
[0046])、室内熱交換器の表面温度T0を検出し([0056]、
[0076]、[0084])、室内ファンを有し([0015])、洗浄
モードを開始し([0071] 、[0072]、[0085]、[008
6]、図1、図2)、室内ファンを最低回転数で運転し、室内機を冷房運転
し、その運転時間をt4とし、室内熱交換器の設定温度をTとして、その
後室内熱交換器の表面温度T0がT0>(T−6)℃の場合、現在の運転
状態を維持し、さらに所定時間t5運転し続け、T0≧(T−6)℃の場
合、室内ファンをオフにし、T0=−20℃になるか又は運転時間t6が
30分に到達すると、室内熱交換器上の氷霜が完全に融けることを確保する
所定時間t7だけ圧縮機を停止し、t7経過後の室内熱交換器の表面温度
T0がT0≧7℃の場合、洗浄モードを終了し、T0<7℃の場合、圧縮
機を起動し、四方弁を室内機暖房運転状態に切り替え、室内ファンが依然と
してオフ状態にあり、T0=7℃になってから洗浄モードを終了する([
0029]〜[0036]、[0074]〜[0086]、図2)空気調和
機。』」(10ページ〜11ページ)
「被請求人は、ことさらに実施例1に限定した発明のみを認定している。・
・・甲第3号証の実施例2に記載された発明は、本件特許発明1に完全に一
致する。」(18ページ)
(イ) そこで検討するに甲3の実施例2は、図2もあわせてみると、以下
の技術的事項(以下「甲3実施例2事項」という。)が記載されている。
「モードを開始して、
ステップ1:凝縮水の凝縮で、非インバーター空気調和機の室内ルーバーを
最低吹出状態に調整し、室内ファンを最小回転数で運転させ、室外圧縮機を
起動し、室外ファンを一定の回転数rで運転させ、一定の時間t4運転し
た後、室内熱交換器の表面に一定量の凝縮水を凝縮させ、その後に熱交換器
の表面温度T0と室内周囲温度を検出し、
T0≦(T1−6)℃であるか否かを判断し、T0≦(T1−6)℃の場
合、ステップ2に移行し、T0>(T1−6)℃の場合、時間t5(例え
ば、t5が5minであってもよい)運転し続け、再度T0≦(T1−6
)℃であるか否かを判断し、以下この判断をT0≦(T1−6)℃の場合
、ステップ2に移行するまで繰り返し、
ステップ2:氷霜の凝縮で、室内ファンをオフにし、導風板が閉状態にあり
、室外ファンの回転数と非インバーターエアコンの四方弁の状態を変えず
に維持し、T0=−20℃になるか、又は時間t6が30minに達する
まで運転すること。」
(ウ) そうすると、上記甲3実施例2事項によると、モードを開始した後
の、ステップ1及びステップ2は、凝縮水の凝縮、氷霜の凝縮を行うもので
、本件特許発明1で特定する、「室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ
、前記室内熱交換器を凍結させるための処理」に相当するものである。
そして、上記甲3実施例2事項は、ステップ1で、T0≦(T1−6)
℃であるか否かを判断し、T0≦(T1−6)℃の場合、ステップ2に移
行し、T0>(T1−6)℃の場合、時間t5(例えば、t5が5min
であってもよい)運転し続け、再度T0≦(T1−6)℃であるか否かを
判断し、以下この判断をT0≦(T1−6)℃の場合、ステップ2に移行
するまで繰り返し、この繰り返しの時間がどの程度の時間継続するかは、明
らかでない。
したがって、ステップ1を含んだ、ステップ1及びステップ2とからなる
処理を行う期間が、予め設定された所定期間ということはできない。
よって、請求人の上記主張する「甲3発明1」が甲3に記載されていると
は認められず、また、実施例2の非インバーター空気調和機の発明が、本件
特許発明1と同じものであるともいえない。
したがって、請求人の上記主張は、採用できない。
また、上記周知の事項1−1を考慮しても、予め設定された期間にわたり
凍結処理を行わないステップ1及びステップ2を前提とする「甲3発明1」
において、ステップ1を開始した時点から、予め設定された期間が経過する
と、凍結の処理を終了するものとすることを動機付けるものはなく、よって
、上記相違点6−1に係る本件特許発明1の事項を、当業者が適宜なし得た
設計的事項とすることもできない。

エ 以上のとおりであるから、請求項1及び3に係る特許は、特許法第29
条第1項第3号の規定に違反してされたものではなく、特許法第29条第2
項の規定に違反してなされたものでもないので、同法第123条第1項第2
号に該当せず、無効とすることはできない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、
1 本件訂正は適法であるから、本件訂正を認める。
2 請求人の主張及び立証によっては、無効理由があるということができ
ないから、本件特許発明1及び3に係る本件審判の請求は成り立たない。
3 特許法第169条第2項の規定により準用する民事訴訟法第61条
規定により、審判請求費用は請求人の負担とする。
よって結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】 空気調和機
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の室内熱交換器を清潔な状態にする技術として、例えば、特許文献1には、「暖房運転後に、前記フィン表面に水を付着させる水分付与手段を備える」空気調和機について記載されている。なお、前記した水付与手段は、暖房運転後に冷房運転を行うことによって、室内熱交換器のフィン表面に水を付着させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4931566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術において、暖房運転後に通常の冷房運転を行ったとしても、室内熱交換器を洗浄するには、室内熱交換器に付着する水の量が足りない可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、室内熱交換器を適切に洗浄可能な空気調和機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の一の態様の空気調和機は、圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路と、少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、を備え、前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交換器であり、前記室内熱交換器の温度を検出する温度センサを有するとともに、室内ファンを有し、前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ、前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ、前記室内熱交換器を解凍するための処理をすることを特徴とする。
また、本発明の他の態様の空気調和機は、圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路と、少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、を備え、前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交換器であり、前記室内熱交換器の温度を検出する温度センサを有するとともに、室内ファンを有し、前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ、前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記室内熱交換器を解凍し、前記第1期間は、室内空気の相対湿度又は絶対湿度に基づいて設定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、室内熱交換器を適切に洗浄可能な空気調和機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態に係る空気調和機が備える室内機、室外機、及びリモコンの正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る空気調和機が備える室内機の縦断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る空気調和機の冷媒回路を示す説明図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る空気調和機の機能ブロック図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る空気調和機の制御部が実行する洗浄処理のフローチャートである。
【図6】室内熱交換器を凍結させるための処理を示すフローチャートである。
【図7】室内空気の相対湿度と、凍結時間と、の関係を示すマップである。
【図8】室外温度と、圧縮機の回転速度と、の関係を示すマップである。
【図9】室内熱交換器の温度の時間的な変化の一例を示す説明図である。
【図10】圧縮機及び室内ファンのON/OFFの切替えに関する説明図である。
【図11】室内熱交換器を解凍するための処理を示すフローチャートである。
【図12】室内熱交換器を乾燥させるための処理を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第2実施形態に係る空気調和機において、室内熱交換器を凍結させるための処理を示すフローチャートである。
【図14】本発明の第3実施形態に係る空気調和機の冷媒回路を示す説明図である。
【図15】第2室内熱交換器を凍結させるための処理を示すフローチャートである。
【図16】本発明の第4実施形態に係る空気調和機において、室内熱交換器を凍結させるための処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
≪第1実施形態≫
<空気調和機の構成>
図1は、第1実施形態に係る空気調和機100が備える室内機10、室外機30、及びリモコン40の正面図である。
空気調和機100は、冷凍サイクル(ヒートポンプサイクル)で冷媒を循環させることによって、空調を行う機器である。図1に示すように、空気調和機100は、室内(被空調空間)に設置される室内機10と、屋外に設置される室外機30と、ユーザによって操作されるリモコン40と、を備えている。
【0010】
室内機10は、リモコン送受信部11を備えている。リモコン送受信部11は、赤外線通信等によって、リモコン40との間で所定の信号を送受信する。例えば、リモコン送受信部11は、運転/停止指令、設定温度の変更、運転モードの変更、タイマの設定等の信号をリモコン40から受信する。また、リモコン送受信部11は、室内温度の検出値等をリモコン40に送信する。
【0011】
なお、図1では省略しているが、室内機10と室外機30とは冷媒配管を介して接続されるとともに、通信線を介して接続されている。
【0012】
図2は、室内機10の縦断面図である。
室内機10は、前記したリモコン送受信部11(図1参照)の他に、室内熱交換器12と、ドレンパン13と、室内ファン14と、筐体ベース15と、フィルタ16,16と、前面パネル17と、左右風向板18と、上下風向板19と、を備えている。
【0013】
室内熱交換器12は、伝熱管12gを通流する冷媒と、室内空気と、の熱交換が行われる熱交換器である。
ドレンパン13は、室内熱交換器12から滴り落ちる水を受けるものであり、室内熱交換器12の下側に配置されている。なお、ドレンパン13に落下した水は、ドレンホース(図示せず)を介して外部に排出される。
【0014】
室内ファン14は、例えば、円筒状のクロスフローファンであり、室内ファンモータ14a(図4参照)によって駆動する。
筐体ベース15は、室内熱交換器12や室内ファン14等の機器が設置される筐体である。
【0015】
フィルタ16,16は、空気吸込口h1等を介して取り込まれる空気から塵埃を除去するものであり、室内熱交換器12の上側・前側に設置されている。
前面パネル17は、前側のフィルタ16を覆うように設置されるパネルであり、下端を軸として前側に回動可能になっている。なお、前面パネル17が回動しない構成であってもよい。
【0016】
左右風向板18は、室内に向けて吹き出される空気の通流方向を、左右方向において調整する板状部材である。左右風向板18は、室内ファン14の下流側に配置され、左右風向板用モータ21(図4参照)によって左右方向に回動するようになっている。
上下風向板19は、室内に向けて吹き出される空気の通流方向を、上下方向において調整する板状部材である。上下風向板19は、室内ファン14の下流側に配置され、上下風向板用モータ22(図4参照)によって上下方向に回動するようになっている。
【0017】
そして、空気吸込口h1を介して吸い込まれた空気が、伝熱管12gを通流する冷媒と熱交換し、熱交換した空気が吹出風路h2に導かれるようになっている。この吹出風路h2を通流する空気は、左右風向板18及び上下風向板19によって所定方向に導かれ、さらに、空気吹出口h3を介して室内に吹き出される。
【0018】
図3は、空気調和機100の冷媒回路Qを示す説明図である。
なお、図3の実線矢印は、暖房運転時における冷媒の流れを示している。
また、図3の破線矢印は、冷房運転時における冷媒の流れを示している。
図3に示すように、室外機30は、圧縮機31と、室外熱交換器32と、室外ファン33と、室外膨張弁34(第1膨張弁)と、四方弁35と、を備えている。
【0019】
圧縮機31は、圧縮機モータ31aの駆動によって、低温低圧のガス冷媒を圧縮し、高温高圧のガス冷媒として吐出する機器である。
室外熱交換器32は、その伝熱管(図示せず)を通流する冷媒と、室外ファン33から送り込まれる外気と、の間で熱交換が行われる熱交換器である。
【0020】
室外ファン33は、室外ファンモータ33a(図4参照)の駆動によって、室外熱交換器32に外気を送り込むファンであり、室外熱交換器32の付近に設置されている。
室外膨張弁34は、「凝縮器」(室外熱交換器32及び室内熱交換器12の一方)で凝縮した冷媒を減圧する機能を有している。なお、室外膨張弁34において減圧された冷媒は、「蒸発器」(室外熱交換器32及び室内熱交換器12の他方)に導かれる。
【0021】
四方弁35は、空気調和機100の運転モードに応じて、冷媒の流路を切り替える弁である。すなわち、冷房運転時(破線矢印を参照)には、圧縮機31、室外熱交換器32(凝縮器)、室外膨張弁34、及び室内熱交換器12(蒸発器)が、四方弁35を介して環状に順次接続されてなる冷媒回路Qにおいて、冷凍サイクルで冷媒が循環する。
【0022】
また、暖房運転時(実線矢印を参照)には、圧縮機31、室内熱交換器12(凝縮器)、室外膨張弁34、及び室外熱交換器32(蒸発器)が、四方弁35を介して環状に順次接続されてなる冷媒回路Qにおいて、冷凍サイクルで冷媒が循環する。
【0023】
すなわち、圧縮機31、「凝縮器」、室外膨張弁34、及び「蒸発器」を順次に介して、冷凍サイクルで冷媒が循環する冷媒回路Qにおいて、前記した「凝縮器」及び「蒸発器」の一方は室外熱交換器32であり、他方は室内熱交換器12である。
【0024】
図4は、空気調和機100の機能ブロック図である。
図4に示す室内機10は、前記した構成の他に、撮像部23と、環境検出部24と、室内制御回路25と、を備えている。
撮像部23は、室内(被空調空間)を撮像するものであり、CCDセンサ(Charge Coupled Device)やCMOSセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を備えている。この撮像部23の撮像結果に基づき、室内制御回路25によって、室内にいる人(在室者)が検出される。なお、被空調空間に存在する人を検出する「人検出部」は、撮像部23と、室内制御回路25と、を含んで構成される。
【0025】
環境検出部24は、室内の状態や室内機10の機器の状態を検出する機能を有し、室内温度センサ24aと、湿度センサ24bと、室内熱交換器温度センサ24cと、を備えている。
室内温度センサ24aは、室内(被空調空間)の温度を検出するセンサである。この室内温度センサ24aは、フィルタ16,16(図2参照)よりも空気の吸込側に設置されている。これによって、後記するように室内熱交換器12を凍結させているとき、その熱輻射の影響に伴う検出誤差を抑制できる。
【0026】
湿度センサ24bは、室内(被空調空間)の空気の湿度を検出するセンサであり、室内機10の所定位置に設置されている。
室内熱交換器温度センサ24cは、室内熱交換器12(図2参照)の温度を検出するセンサであり、室内熱交換器12に設置されている。
室内温度センサ24a、湿度センサ24b、及び室内熱交換器温度センサ24cの検出値は、室内制御回路25に出力される。
【0027】
室内制御回路25は、図示はしないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種インタフェース等の電子回路を含んで構成されている。そして、ROMに記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開し、CPUが各種処理を実行するようになっている。
【0028】
図4に示すように、室内制御回路25は、記憶部25aと、室内制御部25bと、を備えている。
記憶部25aには、所定のプログラムの他、撮像部23の撮像結果、環境検出部24の検出結果、リモコン送受信部11を介して受信したデータ等が記憶される。
室内制御部25bは、記憶部25aに記憶されているデータに基づいて、所定の制御を実行する。なお、室内制御部25bが実行する処理については後記する。
【0029】
室外機30は、前記した構成の他に、室外温度センサ36と、室外制御回路37と、を備えている。
室外温度センサ36は、室外の温度(外気温)を検出するセンサであり、室外機30の所定箇所に設置されている。なお、図4では省略しているが、室外機30は、圧縮機31(図3参照)の吸入温度、吐出温度、吐出圧力等を検出する各センサも備えている。室外温度センサ36を含む各センサの検出値は、室外制御回路37に出力される。
【0030】
室外制御回路37は、図示はしないが、CPU、ROM、RAM、各種インタフェース等の電子回路を含んで構成され、室内制御回路25と通信線を介して接続されている。図4に示すように、室外制御回路37は、記憶部37aと、室外制御部37bと、を備えている。
記憶部37aには、所定のプログラムの他、室外温度センサ36を含む各センサの検出値等が記憶される。
室外制御部37bは、記憶部37aに記憶されているデータに基づいて、圧縮機モータ31a(つまり、圧縮機31)、室外ファンモータ33a、室外膨張弁34等を制御する。以下では、室内制御回路25及び室外制御回路37を「制御部K」という。
【0031】
次に、室内熱交換器12(図2参照)を洗浄するための処理について説明する。
前記したように、室内熱交換器12の上側・前側(空気の吸込側)には、塵や埃を捕集するためのフィルタ16(図2参照)が設置されている。しかしながら、細かい塵や埃がフィルタ16を通り抜けて、室内熱交換器12に付着することがあるため、室内熱交換器12を定期的に洗浄することが望まれる。そこで、本実施形態では、室内機30に取り込まれた空気に含まれる水分を室内熱交換器12で凍結させ、その後、室内熱交換器12の氷を溶かすことで、室内熱交換器12を洗浄するようにしている。このような一連の処理を、室内熱交換器12の「洗浄処理」という。
【0032】
図5は、空気調和機100の制御部Kが実行する洗浄処理のフローチャートである(適宜、図3、図4を参照)。なお、図5の「START」時までは、所定の空調運転(冷房運転、暖房運転等)が行われていたものとする。
また、室内熱交換器12の洗浄処理の開始条件が「START」時に成立したものとする。この「洗浄処理の開始条件」とは、例えば、前回の洗浄処理の終了時から空調運転の実行時間を積算した値が所定値に達したという条件である。なお、ユーザによるリモコン40の操作によって、洗浄処理を行う時間帯を設定できるようにしてもよい。
【0033】
ステップS101において制御部Kは、空調運転を所定時間(例えば、数分間)停止させる。前記した所定時間は、冷凍サイクルを安定させるための時間であり、予め予定されている。
例えば、「START」時まで行われていた暖房運転を中断して、室内熱交換器12を凍結させる際(S102)、制御部Kは、暖房運転時とは逆向きに冷媒が流れるように四方弁35を制御する。ここで、仮に、冷媒の流れる向きを急に変えると、圧縮機31に過負荷がかかり、また、冷凍サイクルの不安定化を招く可能性がある。そこで、本実施形態では、室内熱交換器12の凍結(S102)に先立って所定時間、空調運転を停止させるようにしている(S101)。この場合において制御部Kが、空調運転の停止時から所定時間が経過した後、室内熱交換器12の凍結を行うようにしてもよい。
【0034】
なお、冷房運転を中断して室内熱交換器12を凍結させる場合には、ステップS101の処理を省略してもよい。冷房運転中(START時)に冷媒が流れる向きと、室内熱交換器12の凍結中(S102)に冷媒が流れる向きと、は同じだからである。
【0035】
次に、ステップS102において制御部Kは、室内熱交換器12を凍結させる。すなわち、制御部Kは、室内熱交換器12を蒸発器として機能させ、室内機10に取り込まれた空気に含まれる水分を室内熱交換器12の表面に着霜させて凍結させる。
【0036】
ステップS103において制御部Kは、室内熱交換器12を解凍する。例えば、制御部Kは、室外膨張弁34の開度を大きくして室外熱交換器32にある冷媒を室内熱交換器12に流入させることによって、室内熱交換器12の表面の氷を溶かして解凍する。この際、室外膨張弁34の開度を全開にすることが望ましい。これによって、室外熱交換器32に存在していた温かい冷媒が室内熱交換器12に導かれるため、室内熱交換器12の解凍を短時間で行うことができる。なお、室内熱交換器12を凝縮器として機能させることによって、室内熱交換器12の表面の氷を溶かして解凍するようにしてもよい。これによって、室内熱交換器12に付着していた塵や埃が洗い流される。
【0037】
ステップS104において制御部Kは、室内熱交換器12を乾燥させる。例えば、制御部Kは、室内ファン14の駆動によって、室内熱交換器12の表面の水を乾燥させる。これによって、室内熱交換器12を清潔な状態にすることができる。ステップS104の処理を行った後、制御部Kは、一連の処理を終了する(END)。
【0038】
図6は、室内熱交換器12を凍結させるための処理(図5のS102)を示すフローチャートである(適宜、図3、図4を参照)。
ステップS102aにおいて制御部Kは、四方弁35を制御する。すなわち、制御部Kは、室外熱交換器32を凝縮器として機能させ、室内熱交換器12を蒸発器として機能させるように四方弁35を制御する。なお、「洗浄処理」(図5に示す一連の処理)を行う直前に冷房運転を行っていた場合、制御装置は、ステップS102aにおいて四方弁35の状態を維持する。
【0039】
ステップS102bにおいて制御部Kは、凍結時間を設定する。具体的に説明すると、制御部Kは、室内空気(被空調空間)の空気の相対湿度に基づいて、凍結時間を設定する。なお、「凍結時間」とは、室内熱交換器12を凍結させるための所定の制御(S102c〜S102e)が継続される時間である。
【0040】
図7は、室内空気の相対湿度と、凍結時間と、の関係を示すマップである。
図7の横軸は、室内空気の相対湿度であり、湿度センサ24b(図4参照)によって検出される。図7の縦軸は、室内空気の相対湿度に対応して設定される凍結時間である。
図7に示すように、制御部Kは、室内空気の相対湿度が高いほど、室内熱交換器12の凍結を行う凍結時間を短くする。室内空気の相対湿度が高いほど、所定体積の室内空気に含まれる水分の量が多く、室内熱交換器12に水分が付着しやすいからである。このように凍結時間を設定することで、室内熱交換器12の洗浄に要する適量の水分を、室内熱交換器12に付着させ、さらに凍結させることができる。
【0041】
なお、図7に示すマップ(データテーブル)に代えて、所定の数式を用いるようにしてもよい。また、制御部Kが、室内空気の相対湿度に代えて、室内空気の絶対湿度に基づき、凍結時間を設定するようにしてもよい。すなわち、制御部Kは、室内空気の絶対湿度が高いほど、凍結時間を短くするようにしてもよい。
【0042】
次に、図6のステップS102cにおいて制御部Kは、圧縮機31の回転速度を設定する。すなわち、制御部Kは、室外温度センサ36の検出値である室外温度に基づいて、圧縮機モータ31aの回転速度を設定し、圧縮機31を駆動する。
【0043】
図8は、室外温度と、圧縮機31の回転速度と、の関係を示すマップである。
室内熱交換器12を凍結させる際、制御部Kは、図8に示すように、室外温度が高いほど、圧縮機モータ31aの回転速度を大きくする。室内熱交換器12において室内空気から熱を奪うには、それに対応して、室外熱交換器32での放熱が充分に行われることを要するからである。例えば、室外温度が比較的高い揚合、制御部Kは、圧縮機モータ31aの回転速度を大きくすることで、圧縮機31から吐出される冷媒の温度・圧力を高くする。これによって、室外熱交換器32での熱交換が適切に行われ、ひいては、室内熱交換器12の凍結も適切に行われる。なお、図8に示すマップ(データテーブル)に代えて、所定の数式を用いるようにしてもよい。
【0044】
ちなみに、通常の空調運転(冷房運転や暖房運転)では、圧縮機31から吐出される冷媒の温度等に基づいて、圧縮機31の回転速度が制御されることが多い。一方、室内熱交換器12を凍結させているときには、圧縮機31から吐出される冷媒の温度が通常の空調運転時よりも低くなりやすいため、別のパラメータとして、室外温度を用いるようにしている。
【0045】
次に、図6のステップS102dにおいて制御部Kは、室外膨張弁34の開度を調整する。
なお、ステップS102dでは、通常の冷房運転時よりも室外膨張弁34の開度を小さくすることが望ましい。これによって、通常の冷房運転時よりも低温低圧の冷媒が、室外膨張弁34を介して室内熱交換器12に流入する。したがって、室内熱交換器12に付着した水が凍結しやすくなり、また、室内熱交換器12の凍結に要する消費電力量を低減できる。
【0046】
ステップS102eにおいて制御部Kは、室内熱交換器12の温度が所定範囲内であるか否かを判定する。前記した「所定範囲」とは、室内機10に取り込まれた空気に含まれる水分が室内熱交換器12で凍結し得る範囲であり、予め設定されている。
【0047】
ステップS102eにおいて室内熱交換器12の温度が所定範囲外である場合(S102e:No)、制御部Kの処理はステップS102dに戻る。例えば、室内熱交換器12の温度が所定範囲よりも高い場合、制御部Kは、室外膨張弁34の開度をさらに小さくする(S102e)。このように、制御部Kは、室内熱交換器12を凍結させているとき、室内熱交換器12の温度が所定範囲内に収まるように、室外膨張弁34の開度を調整する。
【0048】
なお、図6では省略しているが、室内熱交換器12を凍結させているとき(つまり、所定の凍結時間が経過するまでの間)、制御部Kは、室内ファン14を停止状態にしてもよいし、また、室内ファン14を所定の回転速度で駆動してもよい。いずれの場合でも、室内熱交換器12の凍結が進むからである。
【0049】
図9は、室内熱交換器12の温度の時間的な変化の一例を示す説明図である。
図9の横軸は、図6の「START」時からの経過時間である。
図9の縦軸は、室内熱交換器12の温度(室内熱交換器温度センサ24cの検出値:図4参照)である。なお、温度が0℃未満の所定範囲Fは、ステップS102e(図6参照)の判定基準となる温度範囲であり、前記したように、予め設定されている。
【0050】
図9に示すように、室内熱交換器12を凍結させるための所定の制御が開始されてからの「経過時間」が長くなるにつれて、室内熱交換器12の温度が徐々に低くなっている。そして、経過時間tAを過ぎると、室内熱交換器12の温度が所定範囲F内に収まっている。これによって、室内機10の信頼性を確保しつつ(室内熱交換器12の温度が過度に低くなることを抑制しつつ)、室内熱交換器12を凍結させることができる。
【0051】
なお、経過時間tAを過ぎると、室内熱交換器12の凍結が進むため、時間の経過とともに、室内熱交換器12の氷の厚さが厚くなっていく。これによって、室内熱交換器12の洗浄に要する充分な量の水を、室内熱交換器12で凍らせることができる。
【0052】
図6のステップS102eにおいて室内熱交換器12の温度が所定範囲内である場合(S102e:Yes)、制御部Kの処理はステップS102fに進む。
ステップS102fにおいて制御部Kは、ステップS102bで設定した凍結時間が経過したか否かを判定する。「START」時から所定の凍結時間が経過していない場合(S102f:No)、制御部Kの処理はステップS102cに戻る。一方、「START」時から所定の凍結時間が経過した場合(S102f:Yes)、制御部Kは、室内熱交換器12を凍結させるための一連の処理を終了する(END)。
【0053】
なお、図6の「START」時からの経過時間ではなく、室内熱交換器12の温度が所定範囲F内に収まってからの経過時間(図9に示す時刻tAからの経過時間)に基づいて、ステップS102fの判定処理を行うようにしてもよい。
【0054】
また、図6では省略したが、室外温度が氷点下である場合、制御部Kは、室内熱交換器12の凍結を行わないことが好ましい。その後の室内熱交換器12の解凍によって流れ落ちた多量の水がドレンホース(図示せず)内で凍りつくことを防止し、ひいては、ドレンホースを介した排水が阻害されることを防止するためである。
【0055】
図10は、圧縮機31及び室内ファン14のON/OFFの切替えに関する説明図である。
なお、図10の横軸は時刻である。また、図10の縦軸は、圧縮機31のON/OFF、及び室内ファン14のON/OFFを示している。
図10に示す例では、所定の空調運転が時刻t1まで行われており、圧縮機31及び室内ファン14が駆動している(つまり、ON状態である)。その後、時刻t1〜t2において圧縮機31及び室内ファン14が停止している(図5のステップS101)。そして、時刻t2〜t3において、室内熱交換器12の凍結が行われている(図5のステップS102)。この時刻t2〜t3の時間が、ステップS102b(図6参照)で設定された凍結時間である。
【0056】
図10に示す例では、室内熱交換器12の凍結中、室内ファン14が停止されている。これによって、室内に冷風が吹き出されないため、ユーザの快適性を損なうことなく、室内熱交換器12を凍結させることができる。なお、時刻t3以後の処理については後記する。
【0057】
図11は、室内熱交換器12を解凍するための処理(図5のS103)を示すフローチャートである(適宜、図3、図4を参照)。
制御部Kは、前記したステップS102a〜S102f(図6参照)の処理によって室内熱交換器12を凍結させた後、図11に示す一連の処理を実行する。
【0058】
ステップS103aにおいて制御部Kは、室内温度(被空調空間の温度)が所定値以上であるか否かを判定する。この所定値は、室内熱交換器12を凝縮器として機能させるか否かの判定基準となる閾値であり、予め設定されている。
【0059】
ステップS103aにおいて室内温度が所定値以上である場合(S103a:Yes)、制御部Kは、室内熱交換器12を解凍するための処理を終了する(END)。次に説明するように、室内熱交換器12を解凍させる際には暖房運転時と同様に四方弁35が制御されるが、室内温度が所定値以上の場合には冷凍サイクルの凝縮側の熱負荷が大きくなり過ぎて、蒸発側との均衡がとれなくなるからである。また、室内温度が比較的高い場合には、室内熱交換器12の氷が時間の経過とともに自然に溶けるからである。
【0060】
ステップS103bにおいて制御部Kは、四方弁35を制御する。すなわち、制御部Kは、室内熱交換器12を凝縮器として機能させ、室外熱交換器32を蒸発器として機能させるように四方弁35を制御する。つまり、制御部Kは、暖房運転時と同様に四方弁35を制御する。
【0061】
ステップS103cにおいて制御部Kは、上下風向板19(図2参照)を閉じる。これによって、次に室内ファン14を駆動させても(S103d)、水の滴が空気とともに室内に飛び出すことを防止できる。
ステップS103dにおいて制御部Kは、室内ファン14を駆動する。これによって、空気吸込口h1(図2参照)を介して空気が取り込まれ、さらに、取り込まれた空気が上下風向板19と前面パネル17との隙間等を介して室内に漏れ出る。したがって、室内熱交換器12(凝縮器)の温度が高くなり過ぎることを抑制できる。
【0062】
ステップS103eにおいて制御部Kは、圧縮機31の回転速度を所定の値に設定し、圧縮機31を駆動する。
ステップS103fにおいて制御部Kは、室外膨張弁34の開度を調整する。このように圧縮機31及び室外膨張弁34が適宜に制御されることで、凝縮器である室内熱交換器12を介して高温の冷媒が通流する。その結果、室内熱交換器12の氷が一気に溶けるため、室内熱交換器12に付着していた塵や埃が洗い流される。そして、塵や埃を含む水はドレンパン13(図2参照)に落下し、ドレンホース(図示せず)を介して外部に排出される。
【0063】
ステップS103gにおいて制御部Kは、図11の「START」時から所定時間が経過したか否かを判定する。この所定時間は、室内熱交換器12の解凍に要する時間であり、予め設定されている。
ステップS103gにおいて「START」時から所定時間が経過していない場合(S103g:No)、制御部Kの処理はステップS103fに戻る。一方、「START」時から所定時間が経過した場合(S103g:Yes)、制御部Kは、室内熱交換器12を解凍するための一連の処理を終了する(END)。
【0064】
なお、図11に示す一連の処理に代えて、図10のタイムチャート(時刻t3〜t4)に示すように、圧縮機31や室内ファン14を停止状態で維持するようにしてもよい。室内熱交換器12を凝縮器として機能させずとも、室内熱交換器12の氷が室温で自然に溶けるからである。これによって、室内熱交換器12の解凍に要する消費電力を低減できる。また、上下風向板19(図2参照)の内側に水滴が付くことを抑制できる。
【0065】
図12は、室内熱交換器12を乾燥させるための処理(図5のS104)を示すフローチャートである。
制御部Kは、前記したステップS103a〜S103gの処理(図11参照)によって室内熱交換器12を解凍した後、図12に示す一連の処理を実行する。
【0066】
ステップS104aにおいて制御部Kは、四方弁35、圧縮機31、室内ファン14等の駆動状態を維持する。すなわち、制御部Kは、室内熱交換器12の解凍時と同様に四方弁35を制御し、また、圧縮機31や室内ファン14等を駆動させ続ける。このように暖房運転時と同様の制御を行うことで、室内熱交換器12に高温の冷媒が流れ、また、室内機10に空気が取り込まれる。その結果、室内熱交換器12に付着した水が蒸発する。
【0067】
次に、ステップS104bにおいて制御部Kは、ステップS104aの処理を開始してから所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過していない場合(S104b:No)、制御部Kの処理はステップS104aに戻る。一方、所定時間が経過した場合(S104b:Yes)、制御部Kの処理はステップS104cに進む。
【0068】
ステップS104cにおいて制御部Kは、送風運転を実行する。すなわち、制御部Kは、圧縮機31を停止させ、室内ファン14を所定の回転速度で駆動する。これによって、室内機10の内部が乾燥するため、防菌・防黴の効果が奏される。
【0069】
なお、ステップS104aやステップS104cの処理中、上下風向板19(図2参照)を閉じていてもよいし、また、上下風向板19を開いていてもよい。
【0070】
次に、ステップS104dにおいて制御部Kは、ステップS104cの処理を開始してから所定時間が経過しているか否かを判定する。所定時間が経過していない場合(S104d:No)、制御部Kの処理はステップS104cに戻る。一方、所定時間が経過した場合(S104d:Yes)、制御部Kは、室内熱交換器12を乾燥させるための一連の処理を終了する(END)。
【0071】
なお、図10に示すタイムチャートでは、時刻t4〜t5において暖房(図12のS104a)が行われた後、時刻t5〜t6において送風(図12のS104c)が行われている。このように暖房及び送風を順次に行うことで、室内熱交換器12を効率的に乾燥させることができる。
【0072】
<効果>
第1実施形態によれば、制御部Kは、室内熱交換器12を凍結させた後(図5のS102)、室内熱交換器12の氷を解凍する(S103)。これによって、通常の冷房運転時よりも、室内熱交換器12に多くの水分(氷)を付着させることができる。そして、室内熱交換器12の解凍によって、その表面に多量の水が流れるため、室内熱交換器12に付着した塵や埃を洗い流すことができる。
【0073】
また、室内熱交換器12を凍結させる際、制御部Kは、例えば、室内空気の相対湿度に基づいて凍結時間を設定する(図6のS102b、図7参照)。これによって、室内熱交換器12の洗浄に要する適量の水を、室内熱交換器12において凍らせることができる。
【0074】
また、室内熱交換器12を凍結させているとき、制御部Kは、室外温度に基づいて圧縮機モータ31aの回転速度を設定する(図6のS102c、図8参照)。これによって、室内熱交換器12の凍結中、室外熱交換器32での放熱を適切に行うことができる。
【0075】
また、室内熱交換器12を凍結させているとき、制御部Kは、室内熱交換器12の温度に基づいて、室外膨張弁34の開度を調整する(図6のS102d、S102e)。これによって、室内熱交換器12に通流する冷媒の温度を十分に低くし、室内機10に取り込まれた空気に含まれる水分を室内熱交換器12において凍らせることができる。
【0076】
≪第2実施形態≫
第2実施形態は、室内熱交換器12(図2参照)を凍結させているときに室内ファン14を低速で駆動させる点が、第1実施形態とは異なっている。また、第2実施形態は、室内熱交換器12を凍結させているときに上下風向板19(図2参照)を上向きにし、さらに、左右風向板18(図2参照)を横向きにする点が、第1実施形態とは異なっている。なお、その他の点(図1〜図4に示す空気調和機100の構成、図5のフローチャート等)については、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0077】
図13は、第2実施形態に係る空気調和機100において、室内熱交換器12を凍結させるための処理(図5のS102)を示すフローチャートである(適宜、図3、図4を参照)。なお、図6と同様の処理には、同一のステップ番号を付している。
ステップS102bにおいて凍結時間を設定した後、制御部Kの処理はステップS102pに進む。
【0078】
ステップS102pにおいて制御部Kは、室内ファン14を低速で駆動する。すなわち、制御部Kは、室内熱交換器12を凍結させているとき、室内熱交換器12に室内空気を送り込む室内ファン14の回転速度を定格回転速度よりも小さくする。これによって、室内熱交換器12の凍結中、室内機10から吹き出される冷風の風量を低減し、ユーザの快適性が損なわれることを抑制できる。
【0079】
ステップS102qにおいて制御部Kは、上下風向板19を水平よりも上向きにする。すなわち、制御部Kは、室内機10から斜め上向きに冷風が吹き出されるように上下風向板用モータ22(図4参照)を制御する。これによって、室内熱交換器12の凍結中、室内機10から吹き出される冷風がユーザに直接あたることを防止できる。
【0080】
ステップS102rにおいて制御部Kは、左右風向板18を横向きにする。すなわち、制御部Kは、室内機10から見て左右風向板18が右向き又は左向きの状態になるように左右風向板用モータ21(図4参照)を制御する。これによって、室内熱交換器12の凍結中、室内機10から吹き出される冷風がユーザに直接あたることを防止できる。
【0081】
ステップS102rの処理を行った後、制御部Kの処理はステップS102cに進む。なお、ステップS102c〜S102fの処理の他、室内熱交換器12の解凍や乾燥(図5のS103,S104)については第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0082】
<効果>
第2実施形態によれば、室内熱交換器12を凍結させているとき、制御部Kは、室内ファン14を低速で駆動させる(図13のS102p)。これによって、室内機10から吹き出される冷風の風量を低減できる。また、室内熱交換器12を凍結させているとき、制御部Kは、上下風向板19を上向きにし(S102q)、また、左右風向板18を横向きにする(S102r)。これによって、室内機10から吹き出される冷風がユーザに直接あたることを防止し、ユーザにとっての快適性が損なわれることを抑制できる。
【0083】
≪第3実施形態≫
第3実施形態は、室内熱交換器12A(図14参照)が第1室内熱交換器12a及び第2室内熱交換器12bを有し、これらの第1室内熱交換器12a及び第2室内熱交換器12bが室内膨張弁V(図14参照)を介して接続されている点が、第1実施形態とは異なっている。
また、第3実施形態は、いわゆる再熱除湿運転を行うことによって室内熱交換器12Aの一部を凍結させる点が、第1実施形態とは異なっている。なお、その他の点(図1、図4に示す構成、図5のフローチャート等)については、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0084】
図14は、第3実施形態に係る空気調和機100Aの冷媒回路QAを示す説明図である。
図14に示すように、室内機10Aは、室内熱交換器12A、室内膨張弁V(第2膨張弁)、室内ファン14等を備えている。また、室内熱交換器12Aは、第1室内熱交換器12aと、第2室内熱交換器12bと、を有している。そして、室内膨張弁Vを介して、第1室内熱交換器12a及び第2室内熱交換器12bが相互に接続されることで、室内熱交換器12Aが構成されている。また、図14に示す例では、第2室内熱交換器12bが、第1室内熱交換器12aの上側に位置している。
【0085】
通常の空調運転(冷房運転、暖房運転等)を行う際には、室内膨張弁Vが全開になるように制御され、また、室外膨張弁34の開度が適宜に調整される。一方、いわゆる再熱除湿運転を行う際には、室外膨張弁34が全開になるように制御され、室内膨張弁Vの開度が適宜に調整される。なお、再熱除湿運転については後記する。
【0086】
図15は、第2室内熱交換器12bを凍結させるための処理(図5のS102)を示すフローチャートである(適宜、図14を参照)。
ステップS102bにおいて凍結時間を設定した後、制御部Kの処理はステップS102tに進む。
ステップS102tにおいて制御部Kは、再熱除湿運転を実行する。すなわち、制御部Kは、室外熱交換器32及び第1室内熱交換器12aを凝縮器として機能させ、第2室内熱交換器12bを蒸発器として機能させるように四方弁35を制御する。言い換えると、制御部Kは、第1室内熱交換器12a及び第2室内熱交換器12bのうち、室内膨張弁Vの下流側に位置する一方(第2室内熱交換器12b)を蒸発器として機能させる。
さらに、制御部Kは、室外膨張弁34を全開とし、室内膨張弁Vを所定開度にする。これによって、蒸発器である第2室内熱交換器12bで熱交換した低温の空気が、凝縮器である他方の第1室内熱交換器12aで適度に温められ、また、除湿される。
【0087】
ステップS102tの処理を行った後、ステップS102cにおいて制御部Kは、圧縮機31の回転速度を設定し、その回転速度で圧縮機31を駆動する。
ステップS102uにおいて制御部Kは、室内膨張弁Vの開度を適宜に調整する。
【0088】
次に、ステップS102vにおいて制御部Kは、第2室内熱交換器12bの温度が所定範囲内であるか否かを判定する。第2室内熱交換器12bの温度が所定範囲外である場合(S102v:No)、制御部Kの処理はステップS102tに戻る。例えば、第2室内熱交換器12bの温度が所定範囲よりも高い場合、制御部Kは、室内膨張弁Vの開度をさらに小さくする(S102u)。これによって、第2室内熱交換器12bに流れる冷媒の温度を低下させ、第2室内熱交換器12bを凍結させることができる。
【0089】
一方、第2室内熱交換器12bの温度が所定範囲内である場合(S102v:Yes)、制御部Kの処理はステップS102fに進む。
ステップS102fにおいて制御部Kは、図15の「START」時から所定時間が経過したか否かを判定する。「START」時から所定時間が経過していない場合(S102f:No)、制御部Kの処理はステップS102tに戻る。一方、「START」時から所定時間が経過した場合(S102f:Yes)、制御部Kは、第2室内熱交換器12bを凍結させるための一連の処理を終了する。
【0090】
なお、第2室内熱交換器12bを解凍し、さらに、第1室内熱交換器12aや第2室内熱交換器12bを乾燥させる処理については、第1実施形態(図11、図12参照)と同様であるから、説明を省略する。ちなみに、解凍時には、室内膨張弁V及び室外膨張弁34の開度を開いて、室外熱交換器32にある冷媒を室内熱交換器12に流入させることによって、室内熱交換器12の表面の氷を溶かして解凍する。この際、室内膨張弁V及び室外膨張弁34の開度を全開にすることが望ましい。これによって、室外熱交換器32に存在していた温かい冷媒が室内熱交換器12に導かれるため、室内熱交換器12の解凍を短時間で行うことができる。なお、解凍を行う際、室内熱交換器12を凝縮器として機能させてもよい。解凍時・乾燥時には、制御部Kが、室内膨張弁Vを全開とし、室外膨張弁34の開度を適宜に調整する。
【0091】
前記したように、図14に示す第1室内熱交換器12a及び第2室内熱交換器12bのうち、一方(第2室内熱交換器12b)は、他方(第1室内熱交換器12a)の上側に位置している。このような構成によれば、凍結した第2室内熱交換器12bの氷が溶けると、その水が第1室内熱交換器12aに流れ落ちるoこれによって、第1室内熱交換器12a及び第2室内熱交換器12bの両方を洗浄できる。
【0092】
<効果>
第3実施形態によれば、再熱除草運転を行うことによって、第2室内熱交換器12bを凍結させることができる。また、第1室内熱交換器12aが第2室内熱交換器12bの上側に位置しているため、第2室内熱交換器12bを解凍させると、その水によって、第1室内熱交換器12a及び第2室内熱交換器12bの両方を洗浄できる。
【0093】
≪第4実施形態≫
第4実施形態は、室内熱交換器12(図2参照)を凍結させているとき、制御部Kが、室内ファン14及び室外ファン33(図4参照)を低速で駆動させる点が、第1実施形態とは異なっている。また、制御部Kが、室外膨張弁34の開度を所定値(固定値)に設定する点が、第1実施形態とは異なっている。なお、その他の点(図1〜図4に示す空気調和機100の構成、図5のフローチャート等)については第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0094】
図16は、第4実施形態に係る空気調和機100において、室内熱交換器12を凍結させるための処理を示すフローチャートである(適宜、図3、図4を参照)。なお、第1実施形態(図6参照)と同様の処理には、同一のステップ番号を付している。
ステップS102bにおいて凍結時間を設定した後、制御部Kの処理はステップS102xに進む。
【0095】
ステップS102xにおいて制御部Kは、室内ファン14を低速で駆動させる。すなわち、制御部Kは、室内熱交換器12を凍結させているとき、室内熱交換器12に室内空気を送り込む室内ファン14の回転速度を定格回転速度よりも小さくする。これによって、室内熱交換器12の凍結中、室内機10から吹き出される冷風の風量を低減し、ユーザの快適性が損なわれることを抑制できる。
【0096】
ステップS102yにおいて制御部Kは、室外ファン33を低速で駆動させる。すなわち、制御部Kは、室外熱交換器32に外気を送り込む室外ファン33の回転速度を定格回転速度よりも小さくする。これによって、室外熱交換器32における外気と冷媒との間の熱交換と、室内熱交換器12における室内空気と冷媒との間の熱交換と、の間のバランスをとることができる。なお、それぞれの定格回転速度を基準として、室内ファン14の回転速度が小さいほど、室外ファン33の回転速度も小さくすることが望ましい。
【0097】
ステップS102cにおいて制御部Kは、圧縮機31の回転速度を設定する。例えば、制御部Kは、第1実施形態と同様に、室外温度センサ36の検出値に基づいて、圧縮機31の回転速度を設定する。
次に、ステップS102zにおいて制御部Kは、室外膨張弁34の開度を所定値(固定値)に設定する。この所定値は、室内熱交換器12を凍結させるのに適した開度であり、予め設定されている。
【0098】
次に、ステップS102fにおいて制御部Kは、ステップS102bで設定した凍結時間が経過したか否かを判定する。所定の凍結時間が経過していない場合(S102f:No)、制御部Kは、ステップS102fの処理を繰り返す。一方、所定の凍結時間か経過した場合、制御部Kは、室内熱交換器12を凍結させるための一連の処理を終了する(END)。なお、室内熱交換器12の解凍や乾燥については、第1実施形態(図5のS103,S104)と同様であるため、説明を省略する。
【0099】
<効果>
第4実施形態によれば、室内熱交換器12を凍結させているとき、制御部Kは、室内ファン14を低速で駆動するとともに(図16のS102x)、室外ファン33を低速で駆動する(S102y)。これによって、室内熱交換器12の凍結中、室内機10から吹き出される冷風の凰量を低減でき、また、冷媒の凝縮側・蒸発側における熱交換を均衡させることができる。
また、室内熱交換器12を凍結させているとき、制御部Kは、室外膨張弁34の開度を所定値(固定値)に設定する。これによって、制御部Kにおける処理の簡素化を図ることができる。
【0100】
≪変形例≫
以上、本発明に係る空気調和機100等について各実施形態で説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、各実施形態では、室内熱交換器12の凍結・解凍・乾燥を順次に行う処理(図5のS102〜S104)について説明したが、これに限らない。また、室内熱交換器12の解凍・乾燥のうち一方又は両方を省略してもよい。この場合でも、室内熱交換器12が室温で自然に解凍され、その水によって室内熱交換器12が洗浄されるからである。また、各機器の停止状態の継続や、その後の空調運転等によって、室内熱交換器12が乾燥するからである。
【0101】
また、室内熱交換器12を凍結させる際、圧縮機モータ31a(図4参照)の制御によって、室内熱交換器12に流れる冷媒の流量を通常の空調運転時よりも小さくするようにしてもよい。これによって、室内熱交換器12の流路の途中で冷媒が蒸発しきるため、その上流側か凍結し、下流側が凍結しない状態になる。これによって、室内熱交換器12の一部(上流側)を凍結させつつ、室内に冷風が送り込まれることを抑制できる。また、圧縮機モータ31aの回転速度が比較的小さいため、空気調和機100の消費電力量を低減できる。
なお、前記した制御を行う場合において、室内熱交換器12の上流側が、室内熱交換器12の下流側よりも上側に位置していることが好ましい。これによって、室内熱交換器12の上流側を解凍させると、その水が室内熱交換器12の下流側に流れ落ちる。これによって、室内熱交換器12の上流側・下流側の両方を洗浄できる。
【0102】
また、各実施形態では、室内熱交換器12の凍結等によって、室内熱交換器12を洗浄する処理について説明したが、これに限らない。例えば、室内熱交換器12を結露させることによって、室内熱交換器12を洗浄するようにしてもよい。この場合において、制御部Kは、通常の冷房運転や除湿運転よりも、冷媒の蒸発温度が低くなるようにする。具体的に説明すると、制御部Kは、図4に示す室内温度センサ24aの検出値(室内空気の温度)と、湿度センサ24bの検出値(室内空気の相対湿度)と、に基づいて、室内空気の露点を算出する。そして、制御部Kは、室内熱交換器12の温度が、前記した露点以下であり、かつ、所定の凍結温度よりも高くなるように、室外膨張弁34の開度等を制御する。
前記した「凍結温度」とは、室内空気の温度を低下させたとき、室内空気に含まれる水分が、室内熱交換器12において凍結し始める温度である。このように室内熱交換器12を結露させることによって、その結露水で室内熱交換器12を洗浄できる。
【0103】
なお、室内熱交換器12を結露させる場合の制御内容は、室外膨張弁34の開度が異なる点を除いて、室内熱交換器12を凍結させる場合の制御内容と同様である。したがって、各実施形態で説明した事項は、室内熱交換器12を結露させる場合にも適用できる。
また、室内熱交換器12を結露させた後、室内熱交換器12を乾燥させてもよい。すなわち、室内熱交換器12を結露させた場合において制御部Kは、室内熱交換器12を凝縮器として機能させるか、送風運転を実行するか、又は、圧縮機31を含む機器の停止状態を継続させることで、室内熱交換器12を乾燥させる。
【0104】
また、制御部Kが、室内熱交換器12の凍結と、室内熱交換器12の結露と、を所定期間を空けて交互に行うようにしてもよい。例えば、所定の開始条件が成立するたびに室内熱交換器12の洗浄処理を実行する場合において、制御部Kが、室内熱交換器12の凍結と、室内熱交換器12の結露と、を交互に行うようにしてもよい。
なお、「所定の開始条件」とは、例えば、前回の洗浄処理の終了時から空調運転の実行時間を積算し、その積算時間が所定値に達したという条件である。これによって、凍結による室内熱交換器12の洗浄を繰り返す場合に比べて、室内に冷風が吹き出される頻度を低減し、ユーザにとっての快適性を高めることができる。
【0105】
また、制御部Kが、室内熱交換器12の凍結と、暖房運転後の冷房運転と、を所定期間を空けて交互に行うようにしてもよい。これによって、凍結による室内熱交換器12の洗浄を繰り返す場合と比べて、室内に冷風が吹き出される頻度を低減できる。
【0106】
また、室内熱交換器12の結露と、暖房運転後の冷房運転と、を所定期間を空けて交互に行うようにしてもよい。これによって、凍結による室内熱交換器12の洗浄を繰り返す場合と比べて、室内に冷風が吹き出される頻度を低減できる。
【0107】
また、第2実施形態では、室内熱交換器12を凍結させているとき、制御部Kが、上下風向板19を上向きにし(図13のS102q)、左右風向板18を横向きにする処理(S102r)について説明したが、これに限らない。例えば、室内熱交換器12を凍結させているとき、制御部Kが、上下風向板19を閉じた状態にしてもよい。これによって、室内に冷風が吹き出されることを抑制できる。
また、室内熱交換器12を凍結させているとき、制御部Kが、左右風向板18を左右両側に開いた状態(右側に位置する左右風向板18を右側に向け、左側に位置する左右風向板18を左側に向ける)ようにしてもよい。これによって、室内のユーザに冷風が直接あたることを抑制できる。
【0108】
また、制御部Kが、撮像部23(図4参照)による被空調空間の撮像結果に基づいて、上下風向板用モータ22(図4参照)及び左右風向板用モータ21(図4参照)を制御するようにしてもよい。すなわち、室内熱交換器12を凍結(又は結露)させているとき、制御部Kは、被空調空間の撮像結果に基づいて人を検出した場合には、その人のいない方向に冷風が吹き出されるように、上下風向板19及び左右風向板18の角度を調整する。これによって、室内の人に冷風が直接あたることを防止できる。
【0109】
また、室内熱交換器12を凍結させているとき、制御部Kが、サーモパイルや焦電型赤外線センサ等の室内温度センサ24a(人検出部:図4参照)によって室内の熱画像を取得するようにしてもよい。この場合において制御部Kは、室内の高温領域(人がいる可能性のある領域)に冷風が送り込まれないように、上下風向板19及び左右風向板18の角度を調整する。
【0110】
また、第2実施形態では、室内熱交換器12を凍結させているとき、制御部Kが、室内ファン14を低速で駆動させ続ける処理(図13のS102p)について説明したが、これに限らない。例えば、室内熱交換器12を凍結(又は結露)させているとき、室内熱交換器12の温度が所定値以下になった場合には、制御部Kが、室内ファン14を所定の回転速度で駆動させるようにしてもよい。これによって、室内熱交換器12の温度が所定値よりも高い間は、室内に冷風が吹き出されることを抑制できる。また、室内熱交換器12の温度が所定値以下になった後は、室内熱交換器12の氷の厚さを順調に厚くすることができる。
【0111】
また、室内熱交換器12を凍結(又は結露)させているとき、制御部Kが、室内ファン14の駆動/停止を交互に繰り返すようにしてもよい。これによって、室内ファン14を駆動させ続ける場合に比べて、室内に冷風が吹き出される頻度を低減できる。
【0112】
また、第4実施形態では、室内熱交換器12を凍結させているとき、制御部Kが、圧縮機モータ31aの回転速度、及び室外膨張弁34の開度を所定値に設定する処理(図16のS102c、S102z)について説明したが、これに限らない。例えば、室内熱交換器12を凍結(又は結露)させているとき、制御部Kが、室外膨張弁34を所定開度で維持し、室内熱交換器12の温度が所定の目標温度に近づくように圧縮機モータ31aの回転速度を調整するようにしてもよい。このように圧縮機モータ31aの回転速度を制御することで、室内熱交換器12を凍結させることができる。
【0113】
また、室内熱交換器12を凍結させているときには、圧縮機31の負荷が比較的大きくなる可能性がある。そこで、圧縮機31の吸入圧力、吐出圧力、吐出温度等が所定範囲内に収まるように、制御部Kが、凍結時間、圧縮機31の回転速度、及び室外膨張弁34の開度を調整することが望ましい。
また、信頼性を確保するために、室内熱交換器12、圧縮機31の吐出温度、圧縮機モータ31aの電流値や回転速度等に所定の上限値を設けるようにしてもよい。
【0114】
また、外気温度が氷点下である場合において、室内熱交換器12の解凍で生じた水がドレンホース(図示せず)の内部で凍結しないように、ドレンホースの所定箇所に小型のヒータ(図示せず)を設けるようにしてもよい。
【0115】
また、室内熱交換器12が凍結(又は結露)しているとき、その熱輻射の影響で、室内温度センサ24aの検出誤差が大きくなる可能性がある。つまり、室内空気の実際の温度よりも、室内温度センサ24aの検出値のほうが低くなる可能性がある。したがって、室内熱交換器12を凍結(又は結露)させている場合において、以下のいずれかに該当するときには、制御部Kが、室内温度センサ24aの検出値を補正するようにしてもよい。
【0116】
(a)室内ファン14が停止しているか、又は定格回転速度よりも低速で駆動している。
(b)上下風向板19が閉じている。
(c)室内ファン14の下流側の風路を開放又は塞ぐための専用のシャッター(図示せず)が閉じている。
(d)室内熱交換器12の温度が所定値以下である。
【0117】
なお、室内温度センサ24aの検出値の補正に関する例を挙げると、室内熱交換器12と室内温度センサ24aとの距離(固定値)、及び室内熱交換器12の温度に基づいて、制御部Kは、室内温度センサ24aの検出値を補正する。例えば、室内熱交換器12の温度が低いほど、制御部Kが、図4に示す室内温度センサ24aの検出値(被空調空間の空気の温度検出値)を補正して高くするようにしてもよい。これによって、リモコン40(図4参照)に表示される室内温度の誤差を低減できる。
また、室内熱交換器12の凍結を開始してからの経過時間が長くなるにつれて、制御部Kが、室内温度センサ24aの検出値を補正して高くするようにしてもよい。
【0118】
また、室内熱交換器12の凍結を行っているときには、制御部Kが、室内温度センサ24aの検出値を各機器の制御に用いない(つまり、室内温度センサ24aの検出値を無視する)ようにしてもよい。
また、室内熱交換器12の凍結を行っているときには、制御部Kが、室内ファン14の駆動/停止を所定周期で繰り返す(つまり、室内機10に新たに空気を取り込む)ことで、室内温度センサ24aの検出誤差を低減するようにしてもよい。
【0119】
また、第1実施形態では、室内熱交換器12を解凍する際、「室内温度」が所定値以上である場合には(図11のS103a:Yes)、室内熱交換器12を凝縮器として機能させない処理について説明したが、これに限らない。例えば、室内熱交換器12を解凍する際、「室外温度」が所定値以上である場合には、室内熱交換器12を凝縮器として機能させないようにしてもよい。仮に、室外温度が所定値以上の状態で暖房運転を行うと、蒸発器として機能する室外熱交換器32で冷媒が過剰に吸熱するため、冷媒の凝縮側・蒸発側における熱交換の均衡がとれなくなるからである。この場合において制御部Kは、送風運転を実行するか、又は、圧縮機31を含む機器の停止状態を継続させることで、室内熱交換器12を解凍する。
【0120】
第1実施形態では、室内熱交換器12を凝縮器として機能させることで、室内熱交換器12を解凍する場合について説明したが、これに限らない。すなわち、制御部Kが送風運転を実行するか、又は、圧縮機31を含む機器の停止状態を継続させることで、室内熱交換器12を解凍するようにしてもよい。
【0121】
また、第1実施形態では、暖房運転及び送風運転を順次に実行することで、室内熱交換器12を乾燥させる処理について説明したが(図10参照)、これに限らない。すなわち、室内熱交換器12の解凍後、室内熱交換器12を凝縮器として機能させるか、送風運転を実行するか、又は、圧縮機31を含む機器の停止状態を継続させることで、室内熱交換器12を乾燥させるようにしてもよい。
【0122】
また、室内熱交換器12の解凍によって多量の水がドレンパン13に滴り落ちる。したがって、ドレンパン13に抗菌剤を練り込むことで抗菌するようにしてもよい。
また、紫外線照射手段(図示せず)を室内機10に設け、ドレンパン13に紫外線を照射することで抗菌するようにしてもよい。
また、オゾン発生手段(図示せず)を室内機10に設け、このオゾン発生手段によって、ドレンパン13等の抗菌を行うようにしてもよい。
また、ドレンパン13を介して水が流れやすいように、また、ドレンパン13を抗菌するために、銅等の金属でドレンパン13をコーティングしてもよい。
【0123】
また、冷房運転中や除湿運転中、ドレンパン13に水を溜めておき、溜まった水をポンプ(図示せず)によって汲み上げて、室内熱交換器12を洗浄するようにしてもよい。
【0124】
また、各実施形態では、室内機10(図3参照)及び室外機30(図3参照)が一台ずつ設けられる構成について説明したが、これに限らない。すなわち、並列接続された複数台の室内機を設けてもよいし、また、並列接続された複数台の室外機を設けてもよい。
【0125】
また、各実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前記した機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。
【符号の説明】
【0126】
100,100A 空気調和機
10,10A 室内機
12,12A 室内熱交換器(蒸発器/凝縮器)
12a 第1室内熱交換器
12b 第2室内熱交換器
14 室内ファン
18 左右風向板
19 上下風向板
23 撮像部(人検出部)
30 室外機
31 圧縮機
31a 圧縮機モータ(圧縮機のモータ)
32 室外熱交換器(凝縮器/蒸発器)
33 室外ファン
34 室外膨張弁(第1膨張弁)
35 四方弁
40 リモコン
K 制御部
Q,QA 冷媒回路
V 室内膨張弁(第2膨張弁)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路と、
少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、を備え、
前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交換器であり、
前記室内熱交換器の温度を検出する温度センサを有するとともに、
室内ファンを有し、
前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ、
前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ、前記室内熱交換器を解凍するための処理をする
ことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路と、
少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、を備え、
前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交換器であり、
前記室内熱交換器の温度を検出する温度センサを有するとともに、
室内ファンを有し、
前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ、
前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記室内熱交換器を解凍し、
前記第1期間は、室内空気の相対湿度又は絶対湿度に基づいて設定される
ことを特徴とする、空気調和機。
【請求項3】
圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路と、
少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、を備え、
前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交換器であり、
前記室内熱交換器の温度を検出する温度センサを有するとともに、
室内ファンを有し、
前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ、
前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記膨張弁の開度を大きくして前記室外熱交換器にある前記冷媒が前記室内熱交換器に流入させ、前記室内熱交換器を解凍するための処理をし、
前記室内熱交換器の下側に配置されるドレンパンをさらに備える
ことを特徴とする、空気調和機。
【請求項4】
圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環する冷媒回路と、
少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、を備え、
前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交換器であり、
前記室内熱交換器の温度を検出する温度センサを有するとともに、
室内ファンを有し、
前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させるための処理を開始してから予め設定された第1期間が経過すると、前記処理を終了させ、
前記処理の終了後、前記圧縮機及び前記室内ファンの停止状態を維持し、前記室内熱交換器を解凍し、
前記第1期間は、室内空気の相対湿度又は絶対湿度に基づいて設定され、
前記室内熱交換器の下側に配置されるドレンパンをさらに備える
ことを特徴とする、空気調和機。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2021-09-03 
結審通知日 2021-09-13 
審決日 2021-09-30 
出願番号 P2018-058754
審決分類 P 1 123・ 55- YAA (F24F)
P 1 123・ 537- YAA (F24F)
P 1 123・ 536- YAA (F24F)
P 1 123・ 113- YAA (F24F)
P 1 123・ 121- YAA (F24F)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 平城 俊雅
特許庁審判官 後藤 健志
山崎 勝司
登録日 2018-06-15 
登録番号 6353998
発明の名称 空気調和機  
代理人 丹治 彰  
代理人 三縄 隆  
代理人 森本 晃生  
代理人 鷺 健志  
代理人 鷺 健志  
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