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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A63F
審判 査定不服 発明同一 取り消して特許、登録 A63F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 A63F
管理番号 1383043
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-05-06 
確定日 2022-04-12 
事件の表示 特願2018− 91624号「弾球遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年11月14日出願公開、特開2019−195526号、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成30年5月10日の出願であって、令和2年2月17日付けで拒絶の理由が通知され、同年4月14日に意見書及び手続補正書が提出され、同年8月13日付けで拒絶の理由(最後)が通知され、同年10月14日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、令和3年3月11日付けで、令和2年10月14日提出の手続補正書による補正が却下されるとともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、これに対し、令和3年5月6日に拒絶査定不服審判の請求がなされとともに手続補正書が提出され、当審において、同年12月7日付けで拒絶の理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、令和4年2月7日に意見書及び手続補正書(以下、当該手続補正書による補正を「本件補正」という。)が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
1.(拡大先願)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた下記の特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.特願2016−212395号(特開2018−68674号)
2.特開2016−144586号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2016−168114号公報(周知技術を示す文献)

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
1 (新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用例に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。

2 (進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用例に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
引用例1.特開2016−106687号公報

第4 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明であり、本願発明は以下のとおりの発明である(なお、AないしKについては、分説するため合議体が付した。以下A等を付した事項を「特定事項A」等という。)。
「A 遊技領域に設けられた始動口への入球に起因して導出表示を行い、該導出表示の結果に基づいて遊技者に有利な大当り遊技状態に制御可能な弾球遊技機であって、
B 前記導出表示に応じた変動演出を表示する演出表示装置と、
C 前記始動口へ入球しながら未だ開始されていない前記導出表示に関する情報を記憶する保留記憶手段と、
D 前記保留記憶手段が記憶する前記情報の数に応じて前記演出表示装置に保留図柄を表示する保留図柄表示手段と、
E 前記導出表示を開始する前に前記情報を先読判定する先読判定手段と、
F 異なる大当り期待度を示唆する複数の前記保留図柄と、
G 前記保留図柄を異なる大当り期待度の前記保留図柄に変化させる表示態様変化手段と、を備え、
H 大当り期待度が異なる複数の前記保留図柄を複数のカテゴリーに分類し、少なくとも1つの該カテゴリーには大当り期待度が異なる複数の前記保留図柄が分類され、
I 前記表示態様変化手段は、同一の前記カテゴリー内での前記保留図柄の変化は異なる前記カテゴリーの前記保留図柄への変化の予兆として一つの前記導出表示中に行い、該予兆後の異なる前記カテゴリーの前記保留図柄への変化は、前記予兆が行われた前記導出表示とは異なる前記導出表示で行い、
J 同一の前記カテゴリー内での前記保留図柄の変化の回数に応じて、異なる前記カテゴリーの前記保留図柄へ変化する確率が異なる
K ことを特徴とする弾球遊技機。」

第5 引用例の記載、引用発明
1 引用例1
当審拒絶理由に引用例1として引用され、本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016−106687号公報(平成28年6月20日出願公開、以下同様に「引用例1」という。)には、ぱちんこ遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている(下線は引用発明等の認定に関連する箇所を明示するために合議体が付した。以下同様。)。

(1)「【0009】
図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技媒体である遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
・・・略・・・
【0011】
遊技盤50は、扉14の陰に隠れた外レールと内レールにより区画された遊技領域52上に、アウト口58、演出図柄表示装置60、第1始動入賞口62、第2始動入賞口63、センター飾り64、第1大入賞口91、第2大入賞口92、作動口68、一般入賞口72を含む。さらに遊技領域52には、図示しない多数の遊技釘や風車などの機構が設置される。」

(2)「【0027】
遊技球が第1始動入賞口62に入球すると、第1特別図柄表示装置70において第1特別図柄192が変動表示され、演出図柄表示装置60の表示領域194において装飾図柄190a〜190cが変動表示される。遊技球が第2始動入賞口63に入球すると、第2特別図柄表示装置71において第2特別図柄193が変動表示され、演出図柄表示装置60の表示領域194において装飾図柄190a〜190cが変動表示される(図7(b1)を参照)。第1特別図柄192、第2特別図柄193、装飾図柄190a〜190cの変動表示は、表示に先だって決定された変動時間の経過後に停止される(図7(b2)を参照)。停止時の第1特別図柄192および装飾図柄190a〜190cが大当り態様であった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、第1大入賞口91の開閉動作が開始される。このときスロットマシンのゲームを模した装飾図柄190a〜190cは、3つの図柄を一致させるような表示態様をとる。停止時の第2特別図柄193および装飾図柄190a〜190cが大当り態様であった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、第2大入賞口92の開閉動作が開始される。」

(3)「【0043】
演出図柄表示装置60の表示領域194の下部には、図7(b1),(b2)中に示すように、第1の遊技における当否抽選値の保留数を示す第1保留数表示部196と、第2の遊技における当否抽選値の保留数を示す第2保留数表示部197とが表示される。第1保留数表示部196及び第2保留数表示部197は、各々が4個を上限として当否抽選値の保留数を表示するのに用いられ、例えば、第1の遊技に係る保留数が0個で、且つ、先に開始された図柄変動が終了していない状況において、第1始動入賞口62に入球があった場合には、第1保留数表示部196の左端の位置(本実施例では4つの各位置に真円の白丸を記載して示している)に所定の保留表示(保留演出表示)が行われる。そして、保留数が増加するにしたがって、第1保留数表示部196中の右端に向かい、保留表示が追加される。」

(4)「【0051】
サブ基板104は、図2のように遊技盤の背面視中央上部に、液晶ユニット42と一体的に設けられており、主に、液晶ユニット42における表示内容を制御する機能を備えたものであり、先のメイン基板102、払出制御基板45と同様にCPU・ROM・RWMや適宜入出力回路を備えている。なお、サブ基板104は画像を制御する機能を有する関係上、サブ基板用の主CPUに加え、画像用のVDP、VDPを制御する画像制御専用のCPUも搭載している。」

(5)「【0117】
保留制御手段116は、第1保留手段144、第2保留手段146、普図保留手段147を含む。第1保留手段144は、新たに第1の抽選が実行されるときにそれ以前の抽選に対応する図柄変動が表示されている場合、新たな第1の抽選に係る特図抽選値をその抽選値に対応する図柄の変動表示開始まで保留する。本実施例では第1の抽選に係る特図抽選値として4個を上限として乱数値を保持する。第2保留手段146は、新たに第2の抽選が実行されるときにそれ以前の抽選に対応する図柄変動が表示されている場合、新たな第2の抽選に係る特図抽選値をその抽選値に対応する図柄の変動表示開始まで保留する。本実施例では第2の抽選に係る特図抽選値として4個を上限として乱数値を保持する。普図保留手段147は、普図抽選手段136により取得された普図抽選値を保留球として保持する。これらの保留数がそれぞれ第1特図保留ランプ20、第2特図保留ランプ21、普図保留ランプ22の点灯数または点滅数により表される。第1保留手段144および第2保留手段146による保留の数は表示領域194にも表示される。」

(6)「【0140】
演出決定手段132は、事前情報通知手段157により通知された保留抽選値を所定のバッファ領域に格納する。さらに、演出決定手段132は、メイン基板102の第1抽選手段126および第2抽選手段128から通知された本判定結果としての当該変動(その時に実行されている変動表示)に関する抽選値と、事前情報通知手段157により予め通知されてバッファ領域に格納した保留抽選値とにしたがって予告演出を表示させる。具体的には、将来時点において図柄変動が行われる保留抽選値における大当りの発生有無を示唆するための前兆となる予告演出を表示させる。なお、演出決定手段132は、予告演出を表示させるか否かを決定するための所定の予告抽選を実行し、(例えば予め定められた確率にて)その予告抽選に当せんしたことを条件として、予告演出を表示させる。このように保留抽選値中の事前判定結果に応じて設定される予告演出は「先読み演出」と呼ばれる。」

(7)「【0147】
また、本実施例においては、保留表示を利用した先読み演出として、保留色を上述の青色以外に、緑色や赤色へ変化させる演出が行われる。また、保留色は大当り信頼度と関係付けられており、緑色は青色よりも大当りの信頼度が高く、赤色は緑色よりも大当りの信頼度が高くなっている。そして、保留表示の開始時から、前述の当該変動に亘る期間において、遊技者が大当りへの期待を高め得るよう、保留色が使い分けられて保留変化が行われるようになっている。」

(8)「【0154】
ここで、本実施例では説明を簡略化するため、保留色を入賞時、リーチ前、リーチ中の3つの状況のみについて設定しているが、これに限定されず、保留発生から当該変動の終了までの期間をより細分化して、保留色を規定してもよい。また、先に発生している保留の消化に基づき保留変化を行うようにすることも可能であり、このような保留変化の態様としては、例えば以下のようなものを例示できる。すなわち、3個目の保留として始動口へ入賞した場合に青色の保留表示とともに前段階表示(後述する)がされ、保留消化がされて2個目の保留となった際には、青色の前段階表示を継続する。さらに、保留消化が進み、1個目の保留となってそのときの変動演出が実行されている間に(変動中に)、演出図柄表示装置60に特定のキャラクタが登場して銃を撃つなどの動作を行う。そして、この時の変動中に1個目の保留が緑色への色変化を行い、更に保留の消化が進んで、前述の当該変動付加画像198となった場合に赤色への変化を行う、といったものである。つまり、保留変化は、入賞時、リーチ前、リーチ中といったタイミングのみで発生することに限らず、保留消化に伴って何個目の保留となった場合に何色に変化する、といった保留表示の多数のパターンを予めテーブル化して設定しておくことが可能である。さらに、保留表示パターン、保留色の種類、大当り信頼度の設定などは上述のものに限定されず、種々に変更することが可能である。また、保留変化の実行時期は、入賞時や、リーチ前及びリーチ中の状況の開始時期に限らず、例えば、入賞発生から所定時間経過後(数秒程度など)や、リーチ前やリーチ中の状況の途中の時期などであってもよい。さらに、保留変化の態様は、前述のように色変化に限られるものではなく、通常表示態様に対して、例えば点滅を伴っている、形態が異なっている、などといった表示態様は、全て「保留変化」に含めることができるものである。
<<保留表示における前段階表示>>
【0155】
続いて、先読み演出に係る保留変化の他の態様として、前述の色変化に先立って実行される場合がある「前段階表示」の態様が設けられている。この前段階表示は、前述した各保留表示が輝く様子の表示態様に該当するものである。前段階表示は、例えば保留発生時に青色のまま輝く様子の表示を行っており、通常表示態様とは異なった保留表示であることを、遊技者に知らせ得る機能を有している。さらに、この前段階表示を行うか否かは、例えば、始動入賞口(ここでは第1始動入賞口62)への入球の発生に伴い、先読み演出抽選の一つとして行われる前段階表示抽選により決定される。そして、前段階表示は、前段階表示抽選の結果に応じ、例えば前述の「入賞時」の期間から継続して実行される。
【0156】
さらに、前段階表示と、大当り抽選の結果や、保留表示パターンとの対応関係は、前段階表示が実行された場合には、緑色や赤色への保留変化が発生し易くなるように設定されている。つまり、図示は省略するが、図16中の各保留変化パターンのうち、パターン2〜5、パターン7、及び、パターン8のように、保留色の変化(保留色変化)が発生するパターンに対しては、比較的高い割合で、前段階表示が実行されるよう、前段階表示に係る選択確率の割り振りが行われている。そして、本実施例においては、この前段階表示は、色変化が実行される前の段階であるパターン2の入賞時からリーチ前、パターン3の入賞時、パターン4の入賞時からリーチ前、パターン5の入賞時の各タイミングや期間に、青色の彩色のまま実行される。
【0157】
ここで変形例として、前段階表示の開始時期は、前述の各期間の開始時期に限らず、各期間の途中の時期などであってもよい。また、前段階表示抽選と、前述の保留表示パターン抽選とは、それぞれに専用のテーブルを設けて行ってもよく、また、共通のテーブルを設けて行ってもよい。さらに、前述の各保留表示パターン数を増やし、前段階表示有りの各保留表示パターン、及び、前段階表示無しの各保留表示パターンを設けてもよい。この場合には、前段階表示抽選を保留表示パターン抽選と共通のテーブルにより行うことが可能となる。さらに、前段階表示の態様を、輝く様子の表示態様に限らず、他の表示態様としてもよい。また、前段階表示の態様を複数種類設定してもよい。
【0158】
なお、この前段階表示も、前述の通常表示態様とは異なる保留表示であり、前述の「保留変化」に含めることができるものである。そして、これらの保留変化の態様としては、前述のように彩色を変化させるものや、輝く様子を示すものの他に、例えば、保留表示の形状を変化させるもの、保留表示の模様を変化させるもの、或は、保留表示を点滅させるものなどを例示できる。」

2 引用発明
上記1からみて、引用例1には、実施形態として、次の発明が記載されている。なお、aないしkについては本願発明のAないしKに概ね対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。
「a、b 遊技球が、遊技領域52に含まれる第1始動入賞口62に入球すると、第1特別図柄表示装置70において第1特別図柄192が変動表示され、演出図柄表示装置60の表示領域194において装飾図柄190a〜190cが変動表示され、停止時の第1特別図柄192および装飾図柄190a〜190cが大当り態様であった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行する(【0011】、【0027】)、ぱちんこ遊技機10(【0009】)であって、
c 新たに第1の抽選が実行されるときにそれ以前の抽選に対応する図柄変動が表示されている場合、新たな第1の抽選に係る特図抽選値をその抽選値に対応する図柄の変動表示開始まで保留する、第1保留手段144(【0117】)と、
d 演出図柄表示装置60の表示領域194の下部には、第1の遊技における当否抽選値の保留数を示す第1保留数表示部196が表示され、例えば、第1の遊技に係る保留数が0個で、且つ、先に開始された図柄変動が終了していない状況において、第1始動入賞口62に入球があった場合には、第1保留数表示部196の左端の位置に所定の保留表示を行わせる(【0043】)、サブ基板104(【0051】)と、
e 本判定結果としての当該変動に関する抽選値と、事前情報通知手段157により予め通知されてバッファ領域に格納した保留抽選値とにしたがって、将来時点において図柄変動が行われる保留抽選値における大当りの発生有無を示唆するための前兆となる先読み演出を表示させ(【0140】)、
f、g 保留表示を利用した先読み演出として、保留色を青色以外に、緑色や赤色へ変化させる演出を行い、保留色は大当り信頼度と関係付けられており、緑色は青色よりも大当りの信頼度が高く、赤色は緑色よりも大当りの信頼度が高くなっており、遊技者が大当りへの期待を高め得るよう、保留色が使い分けられて保留変化を行う(【0147】)、
演出決定手段132(【0140】)と、
を備え、
h 先読み演出に係る保留変化の色変化に先立って実行される場合がある「前段階表示」の態様が設けられ、この前段階表示は、各保留表示が輝く様子の表示態様に該当するものであり、前段階表示は、例えば保留発生時に青色のまま輝く様子の表示を行っており(【0155】)、
i 3個目の保留として始動口へ入賞した場合に青色の保留表示とともに前段階表示がされ、保留消化がされて2個目の保留となった際には、青色の前段階表示を継続し、さらに、保留消化が進み、1個目の保留となってそのときの変動演出が実行されている変動中に、1個目の保留が緑色への色変化を行い、更に保留の消化が進んで、当該変動付加画像198となった場合に赤色への変化を行い(【0154】)、
j 前段階表示の態様を、輝く様子の表示態様に限らず、他の表示態様としてもよく、また、前段階表示の態様を複数種類設定してもよい(【0157】)、
k ぱちんこ遊技機10(【0009】)。」(以下「引用発明」という。)

第6 対比・判断
1 対比
(1)本願発明と引用発明とを対比する。
ア 特定事項A、Kについて
引用発明の「遊技領域52に含まれる第1始動入賞口62」は、本願発明の「遊技領域に設けられた始動口」に相当する。
また、引用発明の「停止時の第1特別図柄192および装飾図柄190a〜190c」、「通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技」及び「ぱちんこ遊技機10」は、それぞれ本願発明の「導出表示」、「遊技者に有利な大当り遊技状態」及び「弾球遊技機」に相当する。
そして、引用発明のa、bにおいて、ぱちんこ遊技機10(弾球遊技機)は、遊技球が第1始動入賞口62(遊技領域に設けられた始動口)に入球すると、第1特別図柄表示装置70において第1特別図柄192が変動表示され、演出図柄表示装置60の表示領域194において装飾図柄190a〜190cが変動表示され、停止時の第1特別図柄192および装飾図柄190a〜190c(導出表示)が大当り態様であった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技(遊技者に有利な大当り遊技状態)に移行するものである。
してみると、引用発明a、bは、本願発明の「A 遊技領域に設けられた始動口への入球に起因して導出表示を行い、該導出表示の結果に基づいて遊技者に有利な大当り遊技状態に制御可能な弾球遊技機」との特定事項を備える。
また同様に、引用発明のkは、本願発明の特定事項Kに相当する。

イ 特定事項Bについて
引用発明のa、bの「演出図柄表示装置60」は、装飾図柄190a〜190cが変動表示されたあと停止されるから、本願発明の「演出表示装置」に相当する。
してみると、引用発明のa、bは、本願発明の「B 前記導出表示に応じた変動演出を表示する演出表示装置」との特定事項を備える。

ウ 特定事項Cについて
引用発明のcの「第1保留手段144」は、新たに第1の抽選が実行されるときにそれ以前の抽選に対応する図柄変動が表示されている場合、新たな第1の抽選に係る特図抽選値をその抽選値(本願発明の「前記導出表示に関する情報」に相当)に対応する図柄の変動表示開始まで保留するものである。
してみると、引用発明のcの「第1保留手段144」は、本願発明の「C 前記始動口へ入球しながら未だ開始されていない前記導出表示に関する情報を記憶する保留記憶手段」に相当する。

エ 特定事項Dについて
引用発明のdの「サブ基板104」は、演出図柄表示装置60(演出表示装置)の表示領域194に、第1の遊技における当否抽選値(導出表示に関する情報)の保留数を示す第1保留数表示部196を表示させ、第1保留数表示部196に所定の保留表示(本願発明の「保留図柄」に相当)を行わせるものである。
してみると、引用発明のdの「サブ基板104」は、本願発明の「D 前記保留記憶手段が記憶する前記情報の数に応じて前記演出表示装置に保留図柄を表示する保留図柄表示手段」に相当する。

オ 特定事項Eについて
引用発明のeは、本判定結果としての当該変動に関する抽選値と、事前情報通知手段157により予め通知されてバッファ領域に格納した保留抽選値(導出表示に関する情報)とにしたがって、将来時点において図柄変動(本願発明の「導出表示を開始する前」に相当。)が行われる保留抽選値(導出表示に関する情報)における大当りの発生有無を示唆するための前兆となる先読み演出を表示させる、要するに、保留抽選値(導出表示に関する情報)を先読判定しているものである。
してみると、引用発明のeは、本願発明の「E 前記導出表示を開始する前に前記情報を先読判定する先読判定手段」との特定事項を備える。

カ 特定事項F、Gについて
引用発明のf、gの「保留表示」は、緑色は青色よりも大当りの信頼度が高く、赤色は緑色よりも大当りの信頼度が高くなっているから、本願発明の「F 異なる大当り期待度を示唆する複数の前記保留図柄」に相当する。
また、引用発明のf、gは、保留表示を利用した先読み演出として、保留色を青色以外に、緑色や赤色へ変化させる演出を行うから、本願発明の「G 前記保留図柄を異なる大当り期待度の前記保留図柄に変化させる表示態様変化手段」との特定事項を備える。

ク 特定事項Hについて
引用発明において、前段階表示は、各保留表示が輝く様子の表示態様に該当するものであり、前段階表示は、例えば保留発生時に青色のまま輝く様子の表示を行うものである。
そうすると、引用発明のhにおける、前段階表示と保留表示(両者とも本願発明の「保留図柄」に相当)とは、同系色の表示であり、同じカテゴリーと定義づけることが可能であり、青色とは大当り信頼度の異なる緑色及び赤色の保留表示については青系色とそれぞれ別のカテゴリーであるといえ、少なくとも青系色の保留表示のカテゴリーには複数の保留表示(保留図柄)が分類されているといえるから、引用発明のhと、本願発明の特定事項Hとは、「大当り期待度が異なる複数の前記保留図柄を複数のカテゴリーに分類し、少なくとも1つの該カテゴリーには」「複数の前記保留図柄が分類され、」で一致する。

コ 特定事項Iについて
引用発明のiは、まず、3個目の保留として始動口へ入賞した場合に青色の保留表示とともに前段階表示がされるものであり、該前段階表示は、先読み演出に係る保留変化の色変化に先立って実行されるものである(引用発明のh)。
上記イで述べたように、引用発明において、青色の保留表示と前段階表示は同一カテゴリーであり、青色の保留表示から前段階表示への変化(同一のカテゴリー内での保留図柄の変化)は、先読み演出に係る保留変化の色変化に先立って(本願発明の「異なるカテゴリーの保留図柄への変化の予兆として」に相当)実行され、保留消化がされて2個目の保留となった際には、青色の前段階表示を継続し、さらに、保留消化が進み、青色の前段階表示とは異なる変動中(本願発明の「予兆が行われた導出表示とは異なる導出表示」に相当)、すなわち、1個目の保留となってそのときの変動演出が実行されている変動中に、1個目の保留が緑色への色変化(本願発明の「予兆後の異なるカテゴリーの保留図柄への変化」に相当)を行い、更に保留の消化が進んで、当該変動付加画像198となった場合に赤色への変化を行うものである。
そうすると、引用発明のiは、本願発明の特定事項Iである「前記表示態様変化手段は、同一の前記カテゴリー内での前記保留図柄の変化は異なる前記カテゴリーの前記保留図柄への変化の予兆として一つの前記導出表示中に行い、該予兆後の異なる前記カテゴリーの前記保留図柄への変化は、前記予兆が行われた前記導出表示とは異なる前記導出表示で行」うとの特定事項を備える。

(2)上記(1)からみて、本願発明と引用発明とは、
「A 遊技領域に設けられた始動口への入球に起因して導出表示を行い、該導出表示の結果に基づいて遊技者に有利な大当り遊技状態に制御可能な弾球遊技機であって、
B 前記導出表示に応じた変動演出を表示する演出表示装置と、
C 前記始動口へ入球しながら未だ開始されていない前記導出表示に関する情報を記憶する保留記憶手段と、
D 前記保留記憶手段が記憶する前記情報の数に応じて前記演出表示装置に保留図柄を表示する保留図柄表示手段と、
E 前記導出表示を開始する前に前記情報を先読判定する先読判定手段と、
F 異なる大当り期待度を示唆する複数の前記保留図柄と、
G 前記保留図柄を異なる大当り期待度の前記保留図柄に変化させる表示態様変化手段と、を備え、
H’大当り期待度が異なる複数の前記保留図柄を複数のカテゴリーに分類し、少なくとも1つの該カテゴリーには複数の前記保留図柄が分類され、
I 前記表示態様変化手段は、同一の前記カテゴリー内での前記保留図柄の変化は異なる前記カテゴリーの前記保留図柄への変化の予兆として一つの前記導出表示中に行い、該予兆後の異なる前記カテゴリーの前記保留図柄への変化は、前記予兆が行われた前記導出表示とは異なる前記導出表示で行う、
K 弾球遊技機。」である点で一致し、以下の点で相違する。

・相違点1(特定事項H)
「少なくとも1つの該カテゴリーに」「分類され」る「複数の前記保留図柄が」、
本願発明では、「大当り期待度が異なる」のに対し、
引用発明では、「大当り期待度が異なる」かどうか明らかでない点。

・相違点2(特定事項J)
「同一の前記カテゴリー内での前記保留図柄の変化の回数」に関して、
本願発明では、「同一の前記カテゴリー内での前記保留図柄の変化の回数に応じて、異なる前記カテゴリーの前記保留図柄へ変化する確率が異なる」のに対し、
引用発明では、前段階表示の態様を、輝く様子の表示態様に限らず、他の表示態様としてもよく、また、前段階表示の態様を複数種類設定してもよいものの、「同一の前記カテゴリー内での前記保留図柄の変化の回数に応じて、異なる前記カテゴリーの前記保留図柄へ変化する確率が異なる」ものではない点。

2 判断
事案に鑑み、上記相違点2について検討する。
引用発明は、前段階表示の態様を、輝く様子の表示態様に限らず、他の表示態様としてもよく、また、前段階表示の態様を複数種類設定してもよいものの、上記相違点2に係る本願発明の「同一の前記カテゴリー内での前記保留図柄の変化の回数に応じて、異なる前記カテゴリーの前記保留図柄へ変化する確率が異なる」との特定事項を備えるものではない。そして、上記相違点2に係る本願発明の特定事項については、引用例1に記載も示唆もなく、周知ともいえないから、上記相違点2は実質的な相違点である。
そうすると、引用発明は本願発明と同一ではない。
また、引用発明において、上記相違点2に係る本願発明の特定事項のようにする動機がなく、本願発明は、上記相違点2に係る本願発明の特定事項を少なくとも備えることで、引用例1にない、低期待度の先読み保留図柄が出現した場合の注目度を更に上げることができるという特有の作用効果を奏するものである。
したがって、上記相違点1について検討するまでもなく、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではない。
よって、本願発明は、引用例1に記載された発明ではないとともに、引用例1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものでもない。

第7 原査定についての判断
1 拡大先願
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願の日前の他の特許出願であって、その出願後に出願公開がなされた特願2016−212395号(特開2018−68674号)の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面には、次の発明が記載されている。なお、aないしkについては本願発明のAないしKに概ね対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。

「a 上始動口34に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄1を変動表示して第1の特別図柄変動表示ゲームが開始され、下始動口35に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄2を変動表示して第2の特別図柄変動表示ゲームが開始され、特別図柄表示装置38a、または特別図柄表示装置38bにおける特別図柄変動表示ゲームが開始されると、所定の変動表示時間経過後に、大当り抽選結果が「大当り」の場合には所定の「大当り」態様で、変動表示中の特別図柄が停止表示され(【0070】)、この「大当り」となった場合、通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態(大当り遊技)が発生する(【0074】)、パチンコ遊技機1(【0013】)であって、
b 特別図柄変動表示ゲームが開始されると、これに伴って、装飾図柄を変動表示する、液晶表示装置36(【0072】)と、
c 前記特別図柄表示装置38aまたは特別図柄表示装置38b(図柄表示手段)における特別図柄の変動表示動作に供されるまで、あらかじめ定めた最大保留記憶個数を上限として保留記憶する保留記憶手段(【0009】)と、
d 前記保留記憶手段に前記遊技情報が保留記憶された場合、その旨を所定の保留表示態様により報知可能に構成された保留表示手段(【0009】)と、
e 前記大当り抽選結果(遊技情報)に基づき、少なくとも前記抽選結果を事前に先読み判定する先読み判定手段(【0009】)と、
f 保留表示態様としての保留アイコンの青色、黄色、緑色、赤色、D柄、虹色の表示は、この色の順に、当選期待度が高くなっており(【0164】)、前記先読み判定手段による判定結果に基づき、前記保留表示手段における保留表示について、通常の保留表示態様としての白色よりも前記当り遊技発生への当選期待度が相対的に高いことを示唆する専用保留表示態様としての色付きとするか否かを決定する保留表示決定手段(【0009】、【0160】)と、
g 保留表示態様を所定の先読み予告表示態様(専用保留表示態様)に変更し、これにより先読み予告演出を発生させる手段(先読み予告手段)(【0161】)と、
を備え、
h 青色、黄色などを相対的に当選期待度の低い第1の専用保留表示態様とし、緑色や赤色などを相対的に当選期待度の高い第2の専用保留表示態様とし(【0167】)、
i、j 現在の保留色が通常保留表示である白色保留表示であり、最終的に高期待度保留表示である赤色保留表示に変化させる場合、赤色よりも当選期待度が低い保留表示(たとえば、青色保留表示)に変化させ、赤色保留表示に変化させる(【0288】)、
k パチンコ遊技機1(【0013】)。」(以下「先願発明」という。)

2 対比・判断
(1)対比
先願発明と本願発明とを対比すると、先願発明のaないしh、kが本願発明の特定事項AないしH、Kを備えることは明らかである。
そうすると、先願発明と本願発明とは、以下の点で相違し、その余の点で一致する。

・相違点3(特定事項I、J)
「同一の前記カテゴリー内での前記保留図柄の変化は異なる前記カテゴリーの前記保留図柄への変化の予兆として一つの前記導出表示中に行」うものに関し、
本願発明では、「該予兆後の異なる前記カテゴリーの前記保留図柄への変化は、前記予兆が行われた前記導出表示とは異なる前記導出表示で行い、同一の前記カテゴリー内での前記保留図柄の変化の回数に応じて、異なる前記カテゴリーの前記保留図柄へ変化する確率が異なる」のに対し、
引用発明では、「該予兆後の異なる前記カテゴリーの前記保留図柄への変化は、前記予兆が行われた前記導出表示とは異なる前記導出表示で行」うであるかどうか明らかでなく、「同一の前記カテゴリー内での前記保留図柄の変化の回数に応じて、異なる前記カテゴリーの前記保留図柄へ変化する確率が異なる」かどうかも明らかでない点。

(2)判断
上記相違点3に係る本願発明の特定事項は周知でも慣用手段でもないから、上記相違点3は実質的な相違点である。
そうすると、本願発明は、先願発明と同一ではない。
よって、原査定を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の拒絶の理由及び当審拒絶理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-03-22 
出願番号 P2018-091624
審決分類 P 1 8・ 113- WY (A63F)
P 1 8・ 121- WY (A63F)
P 1 8・ 161- WY (A63F)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 ▲吉▼川 康史
特許庁審判官 澤田 真治
鉄 豊郎
発明の名称 弾球遊技機  
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