• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G02B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G02B
管理番号 1383145
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-07-12 
確定日 2022-03-24 
事件の表示 特願2018−510345「スキューミラー、その使用方法及び製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 3月 2日国際公開、WO2017/035283、平成30年 9月13日国内公表、特表2018−526680〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続等の経緯
特願2018−510345号(以下「本件出願」という。)は、2016年(平成28年)8月24日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2015年8月24日 米国、2016年4月6日 米国、2016年6月6日 米国)を国際出願日とする特許出願であって、その手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。
令和元年 8月 7日提出:手続補正書
令和2年 8月 4日付け:拒絶理由通知書
令和2年10月29日提出:意見書
令和2年10月29日提出:手続補正書
令和3年 3月 4日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和3年 7月12日提出:審判請求書
令和3年 7月12日提出:手続補正書

第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和3年7月12日にした手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正の内容
(1) 本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の(令和2年10月29日にした手続補正後の)特許請求の範囲の請求項1、請求項14及び請求項16の記載は、次のとおりである。

「 【請求項1】
格子媒体内に存在する格子構造を具える装置であって、
前記格子構造は第1の入射光を反射するように構成され、前記第1の入射光は前記格子媒体の特定の部位に入射されるとともに第1の波長と前記格子媒体の表面法線に対する第1の内部入射角とを有し、
前記第1の入射光は第1の反射光として前記格子媒体により反射され、前記第1の反射光は前記第1の波長と前記表面法線に対する第1の内部反射角とを有し、
前記第1の入射光及び前記第1の反射光は前記表面法線に対する第1の反射軸角を有する第1の反射軸により二等分され、
前記格子構造は更に第2の入射光を反射するように構成され、前記第2の入射光は前記格子媒体の前記特定の部位に入射されるとともに第2の波長と前記表面法線に対する第2の内部入射角とを有し、
前記第2の入射光は第2の反射光として前記格子媒体により反射され、前記第2の反射光は前記第2の波長と前記表面法線に対する第2の内部反射角とを有し、
前記第2の入射光及び前記第2の反射光は前記表面法線に対する第2の反射軸角を有する第2の反射軸により二等分され、
前記第1及び第2の反射軸角は前記表面法線に対してそれぞれ非ゼロであり、
前記第1の波長は前記第2の波長とは相違する
装置。」
「 【請求項14】
格子媒体内に存在する格子構造を具える装置であって、
前記格子構造は第1の入射光を反射するように構成され、前記第1の入射光は前記格子媒体の特定の部位に入射されるとともに前記格子媒体の表面法線に対する第1の内部入射角を有し、
前記第1の入射光は第1の反射光として前記格子媒体により反射され、前記第1の反射光は前記表面法線に対する第1の内部反射角を有し、
前記第1の入射光及び前記第1の反射光は前記表面法線に対する第1の反射軸角を有する第1の反射軸により二等分され、
前記格子構造は更に第2の入射光を反射するように構成され、前記第2の入射光は前記格子媒体の前記特定の部位に入射されるとともに前記表面法線に対する第2の内部入射角を有し、
前記第2の入射光は第2の反射光として前記格子媒体により反射され、前記第2の反射光は前記表面法線に対する第2の内部反射角を有し、
前記第2の入射光及び前記第2の反射光は前記表面法線に対する第2の反射軸角を有する第2の反射軸により二等分され、
前記第1の入射光は前記第1の反射光と同じ波長を有し、
前記第2の入射光は前記第2の反射光と同じ波長を有し、
前記第1の内部入射角はΔθBの倍数だけ前記第2の内部入射角から相違し、ΔθBは前記第1の入射光と前記第2の入射光との間に存在する入射光の入射角に対する角度ブラッグ選択性であり、
前記第1の反射軸角は前記表面法線に対して非ゼロであり、
前記第1の入射光及び前記第2の入射光のそれぞれは前記第1の反射軸からオフセットされている
装置。」
「 【請求項16】
請求項14に記載の装置において、前記第1の入射光、前記第1の反射光、前記第2の入射光及び前記第2の反射光は全て同じ波長を有する装置。」

(2) 本件補正後の特許請求の範囲
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1、請求項14及び請求項16の記載は、次のとおりである。なお、下線は補正箇所を示す。
「 【請求項1】
格子媒体内に存在する格子構造を具える装置であって、
前記格子構造は第1の入射光を反射するように構成され、前記第1の入射光は前記格子媒体内の前記格子構造の特定の部位に入射されるとともに第1の波長と前記格子媒体の表面法線に対する第1の内部入射角とを有し、
前記第1の入射光は第1の反射光として前記格子媒体内の前記格子構造により反射され、前記第1の反射光は前記第1の波長と前記表面法線に対する第1の内部反射角とを有し、
前記第1の入射光及び前記第1の反射光は前記表面法線に対する第1の反射軸角を有する第1の反射軸により二等分され、
前記格子構造は更に第2の入射光を反射するように構成され、前記第2の入射光は前記格子媒体内の前記格子構造の前記特定の部位に入射されるとともに第2の波長と前記表面法線に対する第2の内部入射角とを有し、
前記第2の入射光は第2の反射光として前記格子媒体内の前記格子構造により反射され、前記第2の反射光は前記第2の波長と前記表面法線に対する第2の内部反射角とを有し、
前記第2の入射光及び前記第2の反射光は前記表面法線に対する第2の反射軸角を有する第2の反射軸により二等分され、
前記第1及び第2の反射軸角は前記表面法線に対してそれぞれ非ゼロであり、
前記第1の波長は、0.005以上のウェーブフラクションだけ前記第2の波長とは相違する装置。」
「 【請求項14】
格子媒体内に存在する格子構造を具える装置であって、
前記格子構造は第1の入射光を反射するように構成され、前記第1の入射光は前記格子媒体内の前記格子構造の特定の部位に入射されるとともに前記格子媒体の表面法線に対する第1の内部入射角を有し、
前記第1の入射光は第1の反射光として前記格子媒体内の前記格子構造により反射され、前記第1の反射光は前記表面法線に対する第1の内部反射角を有し、
前記第1の入射光及び前記第1の反射光は前記表面法線に対する第1の反射軸角を有する第1の反射軸により二等分され、
前記格子構造は更に第2の入射光を反射するように構成され、前記第2の入射光は前記格子媒体内の前記格子構造の前記特定の部位に入射されるとともに前記表面法線に対する第2の内部入射角を有し、
前記第2の入射光は第2の反射光として前記格子媒体内の前記格子構造により反射され、前記第2の反射光は前記表面法線に対する第2の内部反射角を有し、
前記第2の入射光及び前記第2の反射光は前記表面法線に対する第2の反射軸角を有する第2の反射軸により二等分され、
前記第1の入射光及び前記第1の反射光は第1の波長を有し、
前記第2の入射光及び前記第2の反射光は第2の波長を有し、
前記第1の波長は、0.005以上のウェーブフラクションだけ前記第2の波長とは相違し、
前記第1の内部入射角はΔθBの倍数だけ前記第2の内部入射角から相違し、ΔθBは前記第1の入射光と前記第2の入射光との間に存在する入射光の入射角に対する角度ブラッグ選択性であり、
前記第1の反射軸角は前記表面法線に対して非ゼロであり、
前記第1の入射光及び前記第2の入射光のそれぞれは前記第1の反射軸からオフセットされている
装置。」
「 【請求項16】
請求項14に記載の装置において、前記第1の入射光、前記第1の反射光、前記第2の入射光及び前記第2の反射光は全て同じ波長を有する装置。」

(3) 本件補正について
ア 請求項1についてした本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「格子構造」について、「第1の入射光」及び「第2の入射光」が、それぞれ「前記格子媒体の特定の部位に入射される」(2箇所)とされていたものを、「前記格子媒体内の前記格子構造の前記特定の部位に入射される」ものに限定するとともに、「前記第1の入射光」が「第1の反射光として前記格子媒体により反射され」、及び、「前記第2の入射光」が「第2の反射光として前記格子媒体により反射され」るとされていたものを、「第1の反射光として前記格子媒体内の前記格子構造により反射され」、及び、「第2の反射光として前記格子媒体内の前記格子構造により反射され」るものに限定するものである。
また、請求項1についてした本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「第1の波長」及び「第2の波長」について、「前記第1の波長は前記第2の波長とは相違する」とされていたものを、「前記第1の波長は」「0.005以上のウェーブフラクションだけ」「前記第2の波長とは相違する」ものに限定するものである。
さらに、本件補正前の請求項1に係る発明と、本件補正後の請求項1に係る発明の、産業上の利用分野及び解決しようとする課題は、同一である(本件出願の明細書の【0002】、【0003】〜【0005】、【0008】及び【0009】等。)。

イ 請求項14についてした本件補正は、本件補正前の請求項14に係る発明を特定するために必要な事項である「格子構造」について、「第1の入射光」及び「第2の入射光」が、それぞれ「前記格子媒体の特定の部位に入射される」(2箇所)とされていたものを、「前記格子媒体内の前記格子構造の前記特定の部位に入射される」ものに限定するとともに、「前記第1の入射光」が「第1の反射光として前記格子媒体により反射され」、及び、「前記第2の入射光」が「第2の反射光として前記格子媒体により反射され」とされていたものを、それぞれ「第1の反射光として前記格子媒体内の前記格子構造により反射され」、及び、「第2の反射光として前記格子媒体内の前記格子構造により反射され」るものに限定するものである。
また、請求項14についてした本件補正は、本件補正前の請求項14に係る発明を特定するために必要な事項である「第1の入射光」、「第1の反射光」、「第2の入射光」及び「第2の反射光」について、「前記第1の入射光は前記第1の反射光と同じ波長を有し」、「前記第2の入射光は前記第2の反射光と同じ波長を有し」とされていたものを、「前記第1の入射光及び前記第1の反射光は第1の波長を有し」、「前記第2の入射光及び前記第2の反射光は第2の波長を有し」、「前記第1の波長は、0.005以上のウェーブフラクションだけ前記第2の波長とは相違」するものに限定するものである。
さらに、本件補正前の請求項14に係る発明と、本件補正後の請求項14に係る発明の、産業上の利用分野及び解決しようとする課題は、同一である。

ウ 請求項14の記載を引用する請求項16についてした本件補正も、上記イの請求項14についてした本件補正と同様である。

エ そうしてみると、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1及び(請求項14の記載を引用する)請求項16に係る発明が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

2 独立特許要件(進歩性)についての判断
(1) 引用文献2の記載
原査定の拒絶の理由1(特許法第29条第1項第3号)及び理由2(特許法第29条第2項)において引用文献2として引用された、国際公開第2005/093493号(以下、同じく「引用文献2」という。)は、本件出願の最先の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明が記載されたものであるところ、そこには以下の記載がある。なお、引用発明の認定や判断等に活用した箇所に下線を付した。
ア 1頁1行〜9頁10行
「明細書
光学装置及び虚像表示装置
技術分野
[0001] 本発明は、2次元画像を、虚像光学系により拡大虚像として観察者に観察させるように表示する虚像表示装置に関し、詳しくは、ホログラム光学素子、特に、反射型体積ホログラムグレーティングを用いた表示画像光を観察者の瞳へと導光する薄型の光学装置及びこの光学装置を備えた虚像表示装置に関する。
・・・略・・・
背景技術
[0002] 従来、観察者に拡大虚像を観察させるために、図1に示すような虚像観察光学系が提案されている。
図1に示す虚像観察光学系は、まず、画像表示装置301に表示された画像光を導光板302に入射し、この画像光を導光板302内部に設けられた透過型ホログラムレンズ303にて平行光としながら、導光板302内で内部全反射されるような角度に偏向する。
この画像光は、導光板302内を全反射しながら伝搬した後、導光板302内部に、上述した透過型ホログラムレンズ303から所定の距離を隔てて、同じ直線上に設けられた透過型ホログラムグレーティング304に入射し、再び回折されて平行光のまま、導光板302外へ射出され、観察者の瞳に導かれる。
・・・略・・・
上述した、図1に示す虚像観察光学系には、以下のような問題点がある。
まず、図1に示す虚像観察光学系では、画像表示素子301から射出された拡散光を、直接、導光板302内の透過型ホログラムレンズ303に入射するため、光学系の倍率を大きくとろうとして画像表示素子301と、透過型ホログラムレンズ303との距離、すなわち、透過型ホログラムレンズ303の焦点距離を短くすると、後で説明するように透過型ホログラムレンズ303の回折受容角が比較的小さいことから、瞳径305を大きくとることができない。
そして、透過型ホログラムレンズ303の干渉縞は、非球面位相成分を有する複雑な構造であることから、回折受容角を広くするために、干渉縞を多重化又は積層化することが困難であり、同一波長、同一入射角において、等しい回折角度を有しながら、異なる回折効率を発生させる構成とすることができない。
・・・略・・・
さらに、この虚像観察光学系は、透過型ホログラムレンズ303にて発生する色収差を、透過型ホログラムグレーティング304で補正するように構成されているが、透過型ホログラムグレーティング304の入射光線偏向方向は、図1の紙面内に限られるため、少なくとも紙面に垂直方向に発生する収差については打ち消すことができない。この回折による色収差は、導光板302に設けられた2つの透過型ホログラム(透過型ホログラムレンズ303、透過型ホログラムグレーティング304)がそれぞれ異なっているために発生する問題であり、狭い波長帯域を有する光源しか実質上使えないといった大きな制約条件となっている。
・・・略・・・
仮に、2つの透過型ホログラムが光学的パワーを持たない全く等しい透過型体積ホログラムグレーティングであったとしても、以下に説明するような別の問題が発生することになる。
一般に、一定の入射角度において、透過型体積ホログラムの回折受容波長帯域は、反射型体積ホログラムと比較すると広くなることが分かっている。したがって、光源の波長帯域が広い場合、若しくは、光の3原色であるRGB(R:赤色光、G:緑色光、B:青色光)の各光源波長間隔が狭い場合(各色光の波長帯域がブロードである場合)、膨大な回折による色分散、つまり回折色分散が発生することになる。
例えば、緑色(中心波長550nm)用に作成された透過型体積ホログラムであっても、400〜630nm程度の波長帯域にて、10%程度の回折効率を有し、青色LED・・・略・・・(発光波長帯域410〜490nm)や、赤色LED(発光波長帯域600〜660nm)の一部の光を回折してしまうことになる。
この回折色分散による色収差は、2つの等しい格子ピッチを有するホログラムを用いることで打ち消すことができるが、一つ目のホログラムで発生する色分散が大きい場合、導光板内を伝搬する光束の広がりが大きくなるため、以下に示すような問題が発生する。一つ目のホログラムで回折され、導光板内を伝搬した広がりが大きくなった光束は、二つ目のホログラムで回折されることで導光板より射出されると、波長によって大きく伝搬方向に広がってしまい、観察者の瞳に表示される虚像の色の均一性を低下させてしまう。
一方、反射型体積ホログラムは、一つの干渉縞の持つ回折受容波長帯域が狭い。したがって、カラー化した場合には、RGBごとにホログラム層を積層化又はRGB毎の干渉縞を多重化することで、各色の回折角(導光板内部の全反射角)をほぼ等しくすることができる。
また、逆に、一定の入射波長において、透過型体積ホログラムの回折受容角は、反射型体積ホログラムの回折受容角と比較すると小さく、瞳径305又は画角を大きくとることが困難となってしまう。
・・・略・・・
上述したように、複雑な干渉縞を備えたホログラムでは、回折受容角を広げるために、ホログラムを積層化するか、干渉縞の多重化を行うことが困難である。したがって、瞳径を大きくとることはできない。
・・・略・・・
発明の開示
発明が解決しようとする課題
[0003] そこで、本発明は、上述したような従来に技術が有する問題点を解決するために提案されたものであり、単色偏心収差と回折色収差の排除低減による高解像力化、ホログラム素子の枚数低減による高効率化、表示画像の色均一化と、広瞳径化を実現する光学装置及び虚像観察光学系を提供することを目的する。
本発明に係る光学装置は、当該導光板の内部全反射条件を満たす平行光束群を内部全反射して導光する導光板と、導光板に外部から入射された互いに進行方位の異なる平行光束群を、平行光束群のまま導光板の内部全反射条件を満たすように回折反射する第1の反射型体積ホログラムグレーティングと、導光板で内部全反射して導光される平行光束群を、導光板の内部全反射条件から外れるように回折反射して、平行光束群のまま導光板から射出させる第2の反射型体積ホログラムグレーティングとを備え、導光板を内部全反射して導光される平行光束群の一部の平行光束を、導光板に外部から入射し、導光板から射出されるまでの期間における全反射回数を互いに異なるようにしたものである。
・・・略・・・
本発明は、第1の反射型体積ホログラムグレーティングで、導光板に外部から入射された互いに進行方位の異なる平行光束群を、平行光束群のまま導光板の内部全反射条件を満たすように回折反射し、第2の反射型体積ホログラムグレーティングで導光板で内部全反射して導光される平行光束群を、導光板の内部全反射条件から外れるように回折反射して、平行光束群のまま導光板から射出させる。
このとき、導光板を内部全反射して導光される平行光束群の一部の平行光束が、導光板に外部から入射され、導光板から射出されるまでの期間における全反射回数が互いに異なるため、導光板が非常に薄型化され、導光板の長手方向の長さも十分稼ぐことができる。
・・・略・・・
また、本発明は、ホログラムとして、第1の反射型体積ホログラムグレーティング及び第2の反射型体積ホログラムグレーティングの2枚のみを使用しているため枚数低減による高効率化を実現する。さらに、透過型体積ホログラムグレーティングと比較して回折受容波長が狭く、回折受容角の大きい反射型体積ホログラムグレーティングを用いることで、表示画像の色を均一化させ、広瞳径化を可能とする。
さらに、本発明において、第1の反射型体積ホログラムグレーティング及び第2の反射型体積ホログラムグレーティングはレンズ効果がないため、単色偏心収差が排除され、回折受容波長が狭いことから回折色収差を低減することができるため、高解像力の画像を、観察者の瞳に表示させることを可能とする。
さらにまた、本発明において、第1の反射型体積ホログラムグレーティングに記録されている干渉縞のホログラム表面における干渉縞ピッチと、第2の反射型体積ホログラムグレーティングに記録されている干渉縞のホログラム表面における干渉縞ピッチとが互いに等しくされていることにより、同一波長同一入射角で入射される平行光線が、異なる回折角で回折反射されることを防止し、高い解像力の虚像を観察者の瞳に表示させることを可能とする。
また、本発明において、第1の反射型体積ホログラムグレーティング及び第2の反射型体積ホログラムグレーティングに記録する干渉縞が単純な単純回折格子であるため、容易に干渉縞の多重化、干渉縞を記録したホログラム層の積層化を行うことができるため、回折受容角を大きくし、回折色収差を発生させずに、色域も下げることなく複数の波長帯域の平行光束、例えば、光の3原色であるRGB(R:赤色光、G:緑色光、B:青色光)を回折反射することを可能とする。
本発明のさらに他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下において図面を参照して説明される実施に形態から一層明らかにされるであろう。
図面の簡単な説明
[0004][図1]図1は、従来提案されている虚像観察光学系を示す側面図である。
・・・略・・・
[図4]図4は、透過型体積ホログラムグレーティングの回折効率分布を示した図である。
[図5]図5は、反射型体積ホログラムグレーティングの回折効率分布を示した図である。
[図6]図6は、透過型体積ホログラムグレーティング及び反射型体積ホログラムグレーティングの回折効率の入射角依存性を示した図である。
[図7]図7は、透過型体積ホログラムグレーティング及び反射型体積ホログラムグレーティングの回折効率の入射波長依存性を示した図である。
[図8]図8は、本発明の第1の実施の形態として示す虚像表示装置の側面図である。
[図9]図9は、像表示装置が備える第1の反射型体積ホログラムグレーティングを示す側面図である。
[図10]図10は、虚像表示装置が備える第2の反射型体積ホログラムグレーティングを示す側面図である。
[図11]図11は、本発明の第2の実施の形態として示す虚像表示装置の側面図である。
[図12]図12は、虚像表示装置が備える第1の反射型体積ホログラムグレーティングを示す側面図である。
[図13]図13は、虚像表示装置が備える第2の反射型体積ホログラムグレーティングを示す側面図である。
・・・略・・・
[図17]図17は、本発明の第4の実施の形態として示す虚像表示装置の側面図である。
[図18]図18は、虚像表示装置が備える第1の反射型体積ホログラムグレーティングを示す側面図である。
[図19]図19は、虚像表示装置が備える第2の反射型体積ホログラムグレーティングを示す側面図である。
[図20]図20は、虚像表示装置が備える第2の反射型体積ホログラムグレーティングの他の例を示す側面図である。
・・・略・・・
[図22]図22は、本発明の第6の実施の形態として示す虚像表示装置の側面図である。
[図23]図23は、虚像表示装置が備える第2の反射型体積ホログラムグレーティングでの回折反射の様子を示す側面図である。
[図24]図24は、虚像表示装置が備える第2の反射型体積ホログラムグレーティングを示す側面図である。
[図25]図25は、第2の反射型体積ホログラムグレーティングを構成するホログラム層のうちの一つを示す側面図である。
・・・略・・・
[図27]図27は、第2の反射型体積ホログラムグレーティングに記録する干渉縞のスラント角と、入射する平行光束の入射角との関係について説明するための図である。」

イ 10頁3行〜13頁26行
「発明を実施するための最良の形態
[0005] 以下、本発明に係る光学装置及び虚像表示装置の実施の形態を図面を参照にして詳細に説明をする。
本発明の実施の形態について説明する前に、各実施の形態で使用される反射型体積ホログラムグレーティングの特性について、従来の技術でも使用されていた透過型体積ホログラムグレーティングの特性と比較しながら説明をする。
従来の技術でも説明したように、反射型体積ホログラムグレーティングは、透過型体積ホログラムグレーティングと比較して、回折受容波長帯域が狭く、回折受容角が大きいといった特性を有している。
これについて、図4乃至図7を用いて具体的に説明をする。図4及び図5に、垂直に入射する波長550nmの平行光を、屈折率1.52の媒質中で、45度に回折透過する透過型体積ホログラムグレーティングと、45度に回折反射する反射型体積ホログラムグレーティングの回折効率分布(入射波長:400〜700nm、入射角:垂直入射に対して±5度)をそれぞれ示す。
・・・略・・・
これにより、図5に示した反射型体積ホログラムグレーティングの回折効率分布の方が、図4に示した透過型体積ホログラムグレーティングの回折効率分布よりも、同じ入射角度範囲において、回折可能な波長変動が少ない、又は、同じ入射波長範囲において回折受容角が広いことが分かる。
図6及び図7に、図4及び図5に示す結果を別な形で示した。図6は、入射波長550nmでの透過型体積ホログラムグレーティング、反射型体積ホログラムグレーティング、それぞれにおける回折効率の入射角依存性を示す。なお、図6中実線が透過型体積ホログラムグレーティングの回折効率の入射角依存性を示し、一点鎖線が反射型体積ホログラムグレーティングの回折効率の入射角依存性を示す。図6からも明らかなように、反射型体積ホログラムグレーティングの方が、透過型体積ホログラムグレーティングよりも回折受容角が広いことが分かる。
また、図7は、入射角0度での透過型体積ホログラムグレーティング、反射型体積ホログラムグレーティング、それぞれにおける回折効率の入射波長依存性を示す。なお、図7中実線が透過型体積ホログラムグレーティングの回折効率の入射波長依存性を示し、一点鎖線が反射型体積ホログラムグレーティングの回折効率の入射波長依存性を示す。図7からも明らかなように、反射型体積ホログラムグレーティングの方が、透過型体積ホログラムグレーティングよりも回折受容波長が狭いことが分かる。
以上のような、反射型体積ホログラムグレーティングの一般的特性を踏まえて、以下に、本発明を実施するための最良の形態として示す第1乃至第6の実施の形態について説明をする。
{第1の実施の形態}
図8に、第1の実施の形態として示す虚像表示装置10を示す。虚像表示装置10は、画像を表示する画像表示素子11と、画像表示素子11で表示された表示光を入射して、観察者の瞳16へと導く虚像光学系とを備えている。
・・・略・・・
虚像光学系は、コリメート光学系12と、導光板13と、導光板13に設けられた第1の反射型体積ホログラムグレーティング14と、第2の反射型体積ホログラムグレーティング15とを備える。
コリメート光学系12は、画像表示素子11の各画素から射出された光束を入射して、互いに画角の異なる平行光束群とする光学系である。コリメート光学系12から射出された、互いに画角の異なる平行光束群は、それぞれ導光板13に入射される。
導光板13は、コリメート光学系12から射出された互いに画角の異なる平行光束群を入射する光入射口13a1を一方端部に有し、他方端部に光を射出する光射出口13a2を有する光学面13aと、この光学面13aに対向する光学面13bとを主面とする薄型の平行平板な導光板である。
導光板13の光学面13bには、光学面13aの光入射口13a1と対向する位置に第1の反射型体積ホログラムグレーティング14が設けられ、光学面13aの光射出口13a2と対向する位置に第2の反射型体積ホログラムグレーティング15が設けられている。
図9及び図10に、干渉縞が記録された反射型体積ホログラムグレーティング14、反射型体積ホログラムグレーティング15の様子をそれぞれ示す。図9及び図10に示すように、反射型体積ホログラムグレーティング14,15には、干渉縞の傾きであるスラント角が異なる3種類の干渉縞が、ホログラム表面14S,15Sにおいて、それぞれ同一ピッチとなるように多重して記録されている。反射型体積ホログラムグレーティング14,15は、回折受容波長帯域が20nm程度の単色用のホログラムグレーティングであり、上述したスラント角がそれぞれ異なる3種類の干渉縞を記録することで、回折受容角を広げている。
図9に示すように反射型体積ホログラムグレーティング14には、干渉縞14a,14b,14cがスラント角θa,θb,θcで、それぞれ同一ピッチ、つまり位置に関わらず均等なピッチで複数記録されている。図10に示す反射型体積ホログラムグレーティング15も同様に、干渉縞15a,15b,15cがスラント角θa,θb,θcでそれぞれ同一ピッチにて複数記録されている。したがって、反射型体積ホログラムグレーティング14,15は、それぞれの干渉縞が光学面13bと垂直な平面に対して対称となるように、導光板13の光学面13b上に配置されていることになる。
導光板13の光入射口13a1から入射した互いに画角の異なる平行光束群は、上述した反射型体積ホログラムグレーティング14に入射され、それぞれの平行光束群が平行光束群のまま回折反射される。回折反射された平行光束群は、導光板13の光学面13a,13bとの間で全反射を繰り返しながら進行し、上述した反射型体積ホログラムグレーティング15に入射することになる。
導光板13の長手方向の長さ及び光学面13a−光学面13b間の厚みは、このときに内部を全反射しながら進行する互いに画角の異なる平行光束群が、各画角によって、第2の反射型体積ホログラムグレーティング15に到達するまでの全反射回数に違いがでるような光路長となるように、薄型化され、長手方向の長さも十分な長さとなるように設計されている。
具体的には、導光板13に入射する平行光束群のうち、第2の反射型体積ホログラムグレーティング15側へ傾きながら入射する平行光束、つまり入射角が大きな平行光束の反射回数は、それとは、逆に第2の反射型体積ホログラムグレーティング15側へあまり傾かずに入射する平行光束、つまり入射角が小さな平行光束の反射回数と比較して少なくなる。これは、導光板13に入射した平行光束群は、それぞれ画角の異なる平行光束となって入射されるためである。つまり、第1の反射型体積ホログラムグレーティング14への入射角度も異なることから、それぞれ異なる回折角で射出されることで、各平行光束の全反射角も異なっているため、導光板13を、薄型化し、長手方向の長さを十分確保することで、全反射する回数に違いが顕著にでることになる。
第2の反射型体積ホログラムグレーティング15に入射した各画角の平行光束群は、回折反射されることで全反射条件からはずれ、導光板13の光射出口13a2から射出され、観察者の瞳16に入射する。
このように、第2の反射型体積ホログラムグレーティング15は、記録された干渉縞が、第1の反射型体積ホログラムグレーティング14の干渉縞をホログラム面内で180度回転させた形状と同じになるように、導光板13の光学面13b上に設置されている。したがって、第2の反射型体積ホログラムグレーティング15で反射される平行光束群は、第1の反射型体積ホログラムグレーティング14への入射角と等しい角度で反射されることになるため、表示画像がぼけることなく高い解像度で瞳16へ表示されることになる。
この虚像表示装置10は、レンズ効果のない第1の反射型体積ホログラムグレーティング14,第2の反射型体積ホログラムグレーティング25を備えることで、単色偏心収差、回折色収差を排除低減することができる。
なお、第1の反射型体積ホログラムグレーティング14と、第2の反射型体積ホログラムグレーティング15とは、導光板13の光学面13bに対して各ホログラム面14S,15Sが平行となるように配置されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、ホログラム面14S,15Sが、それぞれ光学面13bに対して所定の角度を持つように配置させることもできる。」

ウ 13頁27行〜16頁11行
「{第2の実施の形態}
図11に、第2実施の形態として示す虚像表示装置20を示す。第2の実施の形態として示す虚像表示装置20は、カラー画像の虚像を表示する。なお、図11に示す本実施の形態では、図面の見やすさを優先させるために中心画角光線のみを図示している。
虚像表示装置20は、光源を構成する照明光学系30と、照明光学系30から照射された照明光を入射して、観察者の瞳16へと導く虚像光学系とを備えている。
照明光学系30は、赤色光を射出するLED・・・略・・・光源31Rと、緑色光を射出するLED光源31Gと、青色光を射出するLED光源31Bと、色合成プリズム32とを備えている。
LED光源31R,31G,31Bから射出された赤色光、緑色光、青色光は、クロスプリズムである色合成プリズム32によって白色光へと混色され、虚像光学系へ射出される。
虚像光学系は、照明光学系30から照射された照明光を平行光束とするコリメート光学系22と、コリメート光学系22から射出された平行光束を空間変調する回転ミラー21A,21Bと、回転ミラー21A,21Bで空間変調された照明光を入射する導光板23と、導光板23に設けられた第1の反射型体積ホログラムグレーティング24と、第2の反射型体積ホログラムグレーティング25とを備える。
・・・略・・・
なお、回転ミラー21A,21Bは、具体的には、コリメート光学系22から射出された平行光束を水平走査及び垂直走査することで互いに進行方位の異なる平行光束群とする走査光学系を構成する。
導光板23は、回転ミラー21Bで反射され射出された平行光束群を入射する光入射口23a1を一方端部に有し、他方端部に光を射出する光射出口23a2を有する光学面23aと、この光学面23aに対向する光学面23bとを主面とする薄型の平行平板な導光板である。
導光板23の光学面23bには、光学面23aの光入射口23a1と対向する位置に第1の反射型体積ホログラムグレーティング24が設けられ、光学面23aの光射出口23a2と対向する位置に第2の反射型体積ホログラムグレーティング25が設けられている。
・・・略・・・
図12及び図13に、干渉縞が記録された反射型体積ホログラムグレーティング24、反射型体積ホログラムグレーティング25の様子をそれぞれ示す。
図12及び図13に示すように、反射型体積ホログラムグレーティング24,25には、赤色光、緑色光、青色光を主に回折反射する3種類の干渉縞、すなわち、赤色光用干渉縞24R,緑色光用干渉縞24G,青色光用干渉縞24Bが、多重化して記録されている。この3種類の干渉縞は、ホログラム表面24S,25Sにおけるグレーティングピッチが、それぞれ種類別に均等なピッチとなり、相互には異なるピッチとなるように記録されている。
なお、反射型体積ホログラムグレーティング24,25は、図12及び図13に示すように3種類の干渉縞が1層のホログラム層に多重化するように記録されていてもよいが、図示しないが、種類毎に、つまり、赤色光用干渉縞24R、緑色光用干渉縞24G、青色光用干渉縞24Bをそれぞれ1層のホログラム層に記録し、干渉縞が記録された3層のホログラム層を積層するように構成することもできる。
図12に示すように反射型体積ホログラムグレーティング24には、干渉縞24R,24G,24Bが同一のスラント角で、それぞれ同一ピッチ、つまり位置に関わらず均等なピッチで複数記録されている。図13に示す反射型体積ホログラムグレーティング25も同様に、干渉縞25R,25G,25Bが同一のスラント角で、それぞれ同一ピッチにて複数記録されている。したがって、反射型体積ホログラムグレーティング24,25は、それぞれの干渉縞が光学面23bと垂直な平面に対して対称となるように、導光板23の光学面23b上に配置されていることになる。」

エ 21頁7行〜23頁12行
{第4の実施の形態}
図17に、第4の実施の形態として示す虚像表示装置60を示す。第4の実施の形態として示す虚像表示装置60は、カラー画像の虚像を表示する。なお、図17に示す本実施の形態では、図面の見やすさを優先させるために中心画角光線のみを図示している。
虚像表示装置60は、照明光学系70と、照明光学系70からの照明光を空間変調する空間変調素子61と、空間変調素子61で空間変調された照明光を入射して、観察者の瞳16へと導く虚像光学系とを備えている。
照明光学系70は、赤色光を射出するレーザ光源71Rと、緑色光を射出するレーザ光源71Gと、青色光を射出するレーザ光源71Bと、色合成プリズム72と、カップリング光学系73と、スペックル低減手段74と、光ファイバ75と、コンデンサレンズ76とを備えている。
レーザ光源71R,71G,71Bから射出された赤色光、緑色光、青色光は、クロスプリズムである色合成プリズム32によって白色光へと混色され、スペックル低減手段74を介し、カップリング光学系73によって光ファイバ75内に取り込まれる。光ファイバ75内を伝送され射出された白色光は、コンデンサレンズ76を介して、空間変調素子61を照明する。
・・・略・・・
導光板63の光学面63bには、光学面63aの光入射口63a1と対向する位置に第1の反射型体積ホログラムグレーティング64が設けられ、光学面63aの光射出口63a2と対向する位置に第2の反射型体積ホログラムグレーティング65が設けられている。
図18及び図19に、干渉縞が記録された反射型体積ホログラムグレーティング64、反射型体積ホログラムグレーティング65の様子をそれぞれ示す。
図18及び図19に示すように、第1の反射型体積ホログラムグレーティング64、第2の反射型体積ホログラムグレーティング65は、それぞれ3層のホログラム層64A,64B,64C、ホログラム層65A,65B,65Cが積層されて形成されている。この反射型体積ホログラムグレーティングを形成する各ホログラム層は、それぞれ主に赤色光、緑色光、青色光を回折反射する干渉縞を記録している。例えば、第1の反射型体積ホログラムグレーティング64のホログラム層64Aには、主に赤色光を回折反射する干渉縞が記録され、ホログラム層64Bには、主に緑色光を回折反射する干渉縞が記録され、ホログラム層64Cには、主に青色光を回折反射する干渉縞が記録されている。第2の反射型体積ホログラムグレーティング65も同様である。
また、各ホログラム層に記録された干渉縞は、第1の実施の形態で示した第1の反射型ホログラムグレーティング14、第2の反射型ホログラムグレーティング15に記録された干渉縞のように、各ホログラム層が回折反射を担う波長帯域の平行光束に対して、回折受容角が広くなるようにするため、スラント角が異なる3種類の干渉縞を、ホログラム表面において、それぞれ同一ピッチとなるように多重化して記録している。
また、第1の反射型体積ホログラムグレーティング64、第2の反射型体積ホログラムグレーティング65は、以下に示すような構成であってもよい。これを、図20に示す第2の反射型体積ホログラムグレーティング65を用いて説明をする。なお、第1の反射型体積ホログラムグレーティング64については図示しないが全く同様の構成となる。
図20に示す、第2の反射型体積ホログラムグレーティング65は、3層のホログラム層65D,65E,65Fが積層されて形成されている。この第2の反射型体積ホログラムグレーティング65を形成する各ホログラム層は、それぞれ回折受容波長範囲を広くするために、波長帯域の異なる光を回折反射する3種類の干渉縞が多重化して記録されている。この3種類の干渉縞は、ホログラム表面におけるグレーティングピッチが、それぞれ種類別には、均等なピッチとなり、相互には異なるピッチとなるように記録されている。つまり、第2の反射型体積ホログラムグレーティング65の各ホログラム層には、上述した第2の実施の形態で用いられている第1の反射型体積ホログラムグレーティング24,25と同様な干渉縞が記録されている。」

オ 27頁14行〜35頁4行
「{第6の実施の形態}
図22に、第6の実施の形態として示す虚像表示装置90を示す。虚像表示装置90は、画像を表示する画像表示素子91と、画像表示素子91で表示された表示光を入射して、観察者の瞳16へと導く虚像光学系とを備えている。
画像表示素子91は、例えば、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、無機ELディスプレイや、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)などである。
虚像光学系は、コリメート光学系92と、導光板93と、導光板93に設けられた第1の反射型体積ホログラムグレーティング94と、第2の反射型体積ホログラムグレーティング95とを備える。
コリメート光学系92は、画像表示素子91の各画素から射出された光束を入射して、互いに画角の異なる平行光束群とする光学系である。コリメート光学系92から射出された、互いに画角の異なる平行光束群は、それぞれ導光板93に入射される。
導光板93は、コリメート光学系92から射出された互いに画角の異なる平行光束群を入射する光入射口93a1を一方端部に有し、他方端部に光を射出する光射出口93a2を有する光学面93aと、この光学面93aに対向する光学面93bとを主面とする薄型の平行平板な導光板である。
導光板93の光学面93bには、光学面93aの光入射口93a1と対向する位置に第1の反射型体積ホログラムグレーティング94が設けられ、光学面93aの光射出口93a2と対向する位置に第2の反射型体積ホログラムグレーティング95が設けられている。
第1の反射型体積ホログラムグレーティング94、第2の反射型体積ホログラムグレーティング95については、後で詳細に説明をする。
導光板93の光入射口93a1から入射した互いに画角の異なる平行光束群は、第1の反射型体積ホログラムグレーティング94に入射され、それぞれの平行光束が平行光束のまま回折反射される。回折反射された平行光束群は、導光板93の光学面93a,93bとの間で全反射を繰り返しながら進行し、上述した第2の反射型体積ホログラムグレーティング95に入射することになる。
導光板93の長手方向の長さ及び光学面93a−光学面93b間の厚みは、このときに内部を全反射しながら進行する互いに画角の異なる平行光束群が、各画角によって、第2の反射型体積ホログラムグレーティング95に到達するまでの全反射回数に違いがでるような光路長となるように、薄型化され、長手方向の長さも十分な長さとされている。
具体的には、導光板93に入射する平行光束群のうち、第2の反射型体積ホログラムグレーティング95側へ傾きながら入射する平行光束群、つまり入射角が大きな平行光束群の反射回数は、それとは、逆に第2の反射型体積ホログラムグレーティング95側へあまり傾かずに入射する平行光束群、つまり入射角が小さな平行光束群の反射回数と比較して少なくなっている。これは、導光板93に入射した平行光束群は、それぞれ画角の異なる平行光束群となって入射されるためである。つまり、第1の反射型体積ホログラムグレーティング94への入射角度も異なることから、それぞれ異なる回折角で射出されることで、各平行光束群の全反射角も異なっているため、導光板93を、薄型化し、長手方向の長さを十分確保することで、全反射する回数に違いが顕著にでることになる。
第2の反射型体積ホログラムグレーティング95に入射した各画角の平行光束は、回折反射されることで全反射条件からはずれ、導光板93の光射出口93a2から射出され、観察者の瞳16に入射する。
続いて、第1の反射型体積ホログラムグレーティング94、第2の反射型体積ホログラムグレーティング95について説明をする。
第1の反射型体積ホログラムグレーティング94は、図示しないが、上述した第4の実施の形態において、図18を用いて説明した第1の反射型体積ホログラムグレーティング64と全く同じ構成となっている。したがって、第1の反射型体積ホログラムグレーティング94は、広画角化のために、互いにスラント角は異なるが、ホログラム表面では、均等な干渉縞ピッチを有する3つの干渉縞を多重化したホログラム層を、赤色光、緑色光、青色光を回折反射するために干渉縞のピッチを変えて、3層に積層してなる。
これにより、第1の反射型体積ホログラムグレーティング94は、画像表示素子91から射出され、コリメート光学系92でコリメートされた水平画角±10度程度の平行光束を、導光板93の全反射条件を満たすように回折反射することができる。
第1の反射型体積ホログラム94で回折反射された平行光束群は、それぞれ異なる全反射角度で導光板93内を導光することになる。その結果、上述したように、第2の反射型体積ホログラムグレーティング95に入射する平行光束の入射角は、それぞれ異なることになる。
図23に、第1の反射型体積ホログラムグレーティング94で回折反射され、導光板93内を内部全反射し、第2の反射型体積ホログラムグレーティング95に入射された平行光束群の様子を示す。第2の反射型体積ホログラムグレーティング95に入射される各平行光束は、図23に示すように、入射位置によって異なる入射角となっている。
具体的には、第2の反射型体積ホログラムグレーティング95において、第1の反射型体積ホログラムグレーティング94に近い側の位置には、大きな全反射角で内部全反射をして導光された平行光束LLである内部全反射回数が少ない画角の平行光束と、小さな全反射角で内部全反射して導光された平行光束LSである内部反射回数が多い画角の平行光束とが共に入射している。
なお、図23中破線で示す平行光束は、大きな全反射角で内部全反射をして導光された平行光束LLと小さな全反射角で内部全反射して導光された平行光束LSとの中間の全反射角で内部全反射して導光された平行光束LMを示す。
一方、第2の反射型体積ホログラムグレーティング95において、第1の反射型体積ホログラムグレーティング94から遠い側の位置には、小さな全反射角で内部全反射をして導光された平行光束LSが主に入射している。
つまり、第2の反射型体積ホログラムグレーティング95は、平行光束の入射位置毎に入射される平行光束の入射角がある程度決まることになる。例えば、第2の反射型体積ホログラムグレーティング95において、第1の反射型ホログラムグレーティング94のように、ある程度の角度範囲を持って入射される平行光束を、どの位置でも均等に回折反射するような干渉縞を記録した構成とすると、瞳径を拡大する場合には有効であるが、ある程度の大きさの瞳径で固定させた場合には、観察者の瞳16に入射される光量が少なくなり、非常に暗い表示画像が観察者に提供されてしまうといった問題がある。
そこで、第2の反射型体積ホログラムグレーティング95は、平光光束の入射位置に応じて入射される平行光束の入射角が異なることを利用して、入射位置に対応する入射角で入射された平行光束の回折効率が最も高くなるような干渉縞を記録する構成としている。
例えば、第2の反射型体積ホログラムグレーティング95は、図24に示すような干渉縞がそれぞれ記録された、3層のホログラム層95A,95B,95Cを積層して構成されている。この3層のホログラム層95A,95B,95Cは、それぞれ主に赤色光、緑色光、青色光のいずれかを回折反射するように、干渉縞のグレーティングピッチが異なる干渉縞が記録されている。
続いて、図25を用いて、図24で示した第2の反射型体積ホログラムグレーティング95のホログラム層95Cに記録された干渉縞について詳細に説明をする。なお、ホログラム層95A,95Bに記録された干渉縞は、ホログラム層95Cに記録された干渉縞と、グレーティングピッチが異なっているだけなので、説明を省略する。図25に示すホログラム層95Cでは、導光板93に設置した際に、第1の反射型体積ホログラムグレーティング94に近くなる側をR側とし、逆側をL側とする。
ホログラム層95CのR側は、入射角が大きな平行光束に対して、回折効率が大きくなるように、スラント角θRが小さい干渉縞95RがR領域まで記録されている。また、L側は、入射角が小さな平行光束に対して、回折効率が大きくなるように、スラント角θLが大きい干渉縞95LがL領域まで記録されている。また、R側と、L側の間であるM領域には、スラント角θRと、スラント角θLとの中間の角度のスラント角θMである干渉縞95Mが記録されている。
干渉縞95R,95L,95Mは、それぞれスラント角が異なっているが、ホログラム表面95CSのグレーティングピッチを必ず全て等しくする。このように、全ての干渉縞のグレーティングピッチを揃えないと、同一波長同一入射角で入射される平行光線は、異なる回折角で回折反射されることになり、このような平行光線が観察者の瞳16に到達した場合、解像力の劣化した、ぼやけた映像となってしまう。
ホログラム層95A,95Bにそれぞれ記録された干渉縞も、ホログラム層95Cに記録された干渉縞と同じように、スラント角の異なる3種類の干渉縞が記録されており、グレーティングピッチだけが、ホログラム層95Cで主に回折反射をする波長帯域とは、異なる波長帯域の平行光束を回折反射するために変更されている。
・・・略・・・
上述したように、第2の反射型体積ホログラムグレーティング95を構成する各ホログラム層の領域R、領域L、領域Mにそれぞれ記録する干渉縞のスラント角を変えることで、入射される平行光束の入射角に応じて回折効率を最大にすることができる。そこで、平行光束の入射角に応じて、回折効率を最大とする干渉縞のスラント角について、図27に示すような反射型体積ホログラムグレーティング96を一例として示し、詳細に説明をする。
なお、説明にあたっては、図27に示す反射型体積ホログラムグレーティング96を、図25に示す虚像表示装置90の第2の反射型体積ホログラムグレーティング95に代えて設置し、反射型体積ホログラムグレーティングが可逆の性質を有することを利用して、観察者の瞳16側から光線追跡をしたとして説明を行う。つまり、仮想的に設けた画像表示素子から射出され(当合議体注:「射出され」は、「射出された」の誤記と認められる。)表示光を、コリメート光学系によって水平画角±10度程度の平行光束にコリメートし、図27に示す反射型体積ホログラムグレーティング96に入射させたとして説明を行う。この場合、反射型体積ホログラムグレーティング96の入射光が、第2の反射型体積ホログラムグレーティング95の回折反射光に相当し、反射型体積ホログラムグレーティング96の回折反射光が、第2の反射型体積ホログラムグレーティング95の入射光に相当する。
このように、水平画角±10度程度の平行光束が、反射型体積ホログラムグレーティング96に入射された場合において、入射された全ての平行光束を導光板93の内部全反射条件を満たすように回折反射させるためには、入射角が0度である中心画角の平行光束Lpを入射させた場合に、回折反射角が55〜60度となる必要がある。
つまり、入射角が0度の平行光束Lpが入射された場合の回折反射角を55〜60度以外とすると、±10度程度の範囲内で0度以外の角度で入射された一部の平光光束は、導光板93の全反射条件を満たさないような角度で回折反射されてしまうことになる。
図27に示す、反射型体積ホログラムグレーティング96のホログラム領域96Mには、このように入射角が0度である平行光束Lpが入射された場合に、回折反射角θkが55〜60度となるような回折反射を行う干渉縞が記録されているとする。なお、回折反射角θkは、図27に示すように、座標定義上、射出回折角θsとして表され、120〜125度となる。
このような干渉縞が記録されているホログラム領域96Mの入射角θrと、射出回折角θsとは、入射される平行光束の波長をλ、干渉縞のホログラム表面におけるグレーティングピッチをΛpとした場合に、(1)式のように表すことができる。
sinθs=sinθr+λ/Λp・・・(1)
また、記録された干渉縞のグレーティングピッチΛpが、(1)式を満たす場合に、平行光束が入射角θrで入射され、射出回折角θsで回折反射されるときの回折効率を最大とするような干渉縞のスラント角φ0は、ブラッグ条件から、(2)式のように表すことができる。
φ0=(θs+θr)/2・・・(2)
入射角θで入射されて、射出回折角θsで回折反射された平光光束の回折効率が最大となるのは、干渉縞で鏡面反射された場合であるので、スラント角φ0は、(2)式に示すようになる。
ところで、図6に示したように、一般に反射型体積ホログラムグレーティングの回折効率を最大に保つ入射角許容範囲は、0±3度程度である。したがって、それ以上、又はそれ以下の入射角で入射される平行光束に対しても、最大の回折効率で回折反射させるためには、異なるスラント角を有する干渉縞を新たに記録させる必要がある。
このとき、新たに記録させる干渉縞のグレーティングピッチは、あらかじめ記録されている干渉縞のグレーティングピッチと同じにする必要がある。それぞれの干渉縞でグレーティングピッチを変えてしまうと、同一入射角、同一波長の平行光束が入射された場合に、それぞれの干渉縞で射出回折角が異なり、解像度を低下させてしまうことになる。
・・・略・・・
例えば、図27に示すように、反射型体積ホログラムグレーティング96のホログラム領域96Rに、ホログラム領域96Mに記録させた干渉縞よりもスラント角φcを小さくした干渉縞を、グレーティングピッチΛpで記録させると、プラス方向の画角で入射された平行光束の回折効率を最大にすることができる。
また、反射型体積ホログラムグレーティング96のホログラム領域96Lに、ホログラム領域96Mに記録させた干渉縞よりもスラント角φcを大きくした干渉縞を、グレーティングピッチΛpで記録させると、マイナス方向の画角で入射された平行光束の回折効率を最大にすることができる。
したがって、図24に示す虚像表示装置90に設けられた第2の反射型体積ホログラムグレーティング95は、第1の反射型体積ホログラムグレーティング94に近い側の干渉縞のスラント角を小さくし、遠い側の干渉縞のスラント角を大きくすることで、非常に高い回折効率で回折反射をさせることができるため、所定の瞳径に対して虚像として提供される画像の光量を大幅に増加させることができる。
この虚像表示装置90は、レンズ効果のない第1の反射型体積ホログラムグレーティング94,第2の反射型体積ホログラムグレーティング95を備えることで、単色偏心収差、回折色収差を排除低減することができる。
なお、第1の反射型体積ホログラムグレーティング94と、第2の反射型体積ホログラムグレーティング95とは、導光板93の光学面93bに対して各ホログラム面がそれぞれ平行となるように配置されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、ホログラム面が、それぞれ光学面93bに対して所定の角度を持つように配置させることもできる。」

カ 図面
「[図1]



・・・略・・・
[図4]

[図5]

[図6]

[図7]

[図8]

[図9]

[図10]

[図11]

[図12]

[図13]

・・・略・・・
[図17]

[図18]

[図19]

[図20]

・・・略・・・
[図22]

[図23]

[図24]

[図25]

・・・略・・・
[図27]



(2) 引用発明
ア 引用文献2の27頁14行〜35頁4行には、引用文献2でいう「本発明」の「第6の実施の形態」の「虚像表示装置90」が、図22〜図25及び図27とともに記載されている。

イ 引用文献2の30頁16行〜33頁3行には、図24、図25及び図27を用いて、「第6の実施の形態」の「虚像表示装置90」に設けられる「第2の反射型体積ホログラムグレーティング95」について説明されている。
ここで、引用文献2の30頁21行〜31頁4行(特に、「図25に示すホログラム層95Cでは、導光板93に設置した際に、第1の反射型体積ホログラムグレーティング94に近くなる側をR側とし、逆側をL側とする。」との記載)及び図22〜図25(特に、図24の95A〜95Cの積層構造及び図25の「R」側、「L」側)より、「導光板93の光学面93b」の「光学面93aの光射出口93a2と対向する位置に」、「第2の反射型体積ホログラムグレーティング95」の「ホログラム層95C」側を光出射出口93a2に向けて、「第2の反射型体積ホログラムグレーティング95が設けられている」(28頁2〜4行)ことが理解できる。

ウ また、引用文献2の31頁22〜24行には、「第2の反射型体積ホログラムグレーティング95を構成する各ホログラム層の領域R、領域L、領域Mにそれぞれ記録する干渉縞のスラント角を変えることで、入射される平行光束の入射角に応じて回折効率を最大にすることができる」と記載されているところ、同31頁24〜33頁3行には、「平行光束の入射角に応じて、回折効率を最大とする干渉縞のスラント角について」、「図25」及び「図27」(当合議体注:「図面の簡単な説明」によれば、「図25は、第2の反射型体積ホログラムグレーティングを構成するホログラム層のうちの一つを示す側面図であ」り、「図27は、第2の反射型体積ホログラムグレーティングに記録する干渉縞のスラント角と、入射する平行光束の入射角との関係について説明するための図である」。)を用いて、「図27に示すような反射型体積ホログラムグレーティング96を一例として示し」て、「図27に示す反射型体積ホログラムグレーティング96を、図25に示す虚像表示装置90の第2の反射型体積ホログラムグレーティング95に代えて設置し、反射型体積ホログラムグレーティングが可逆の性質を有することを利用して、観察者の瞳16側から光線追跡をしたとして説明を行う」、「つまり、仮想的に設けた画像表示素子から射出された表示光を、コリメート光学系によって水平画角±10度程度の平行光束にコリメートし、図27に示す反射型体積ホログラムグレーティング96に入射させた」「場合、反射型体積ホログラムグレーティング96の入射光が、第2の反射型体積ホログラムグレーティング95の回折反射光に相当し、反射型体積ホログラムグレーティング96の回折反射光が、第2の反射型体積ホログラムグレーティング95の入射光に相当する」こと、「水平画角±10度程度の平行光束が、反射型体積ホログラムグレーティング96に入射された場合において、入射された全ての平行光束を導光板93の内部全反射条件を満たすように回折反射させるためには、入射角が0度である中心画角の平行光束Lpを入射させた場合に、回折反射角が55〜60度となる必要がある」こと、「図27に示す、反射型体積ホログラムグレーティング96のホログラム領域96Mには、このように入射角が0度である平行光束Lpが入射された場合に、回折反射角θkが55〜60度となるような回折反射を行う干渉縞が記録されているとすると」、「回折反射角θkは、図27に示すように、座標定義上、射出回折角θsとして表され、120〜125度となる」こと、「このような干渉縞が記録されているホログラム領域96Mの入射角θrと、射出回折角θsとは、入射される平行光束の波長をλ、干渉縞のホログラム表面におけるグレーティングピッチをΛpとした場合に、(1)式のように表すことができ」ること、(1)式とは、「sinθs=sinθr+λ/Λp・・・(1)」であること、「記録された干渉縞のグレーティングピッチΛpが、(1)式を満たす場合に、平行光束が入射角θrで入射され、射出回折角θsで回折反射されるときの回折効率を最大とするような干渉縞のスラント角φ0は、ブラッグ条件から、(2)式のように表すことができ」ること、(2)式とは、「φ0=(θs+θr)/2・・・(2)」であることが記載されている。
上記の各記載、図25及び図27から、「観察者の瞳16側から」の「光線追跡」による「説明」時の「反射型体積ホログラムグレーティング96の入射光」が、当該「光線追跡」によらない時の「第2の反射型体積ホログラムグレーティング95の回折反射光に相当し」、当該「光線追跡」による「説明」時の「反射型体積ホログラムグレーティング96の回折反射光」が、当該「光線追跡」によらない時の「第2の反射型体積ホログラムグレーティング95の入射光に相当する」ことが理解できる。
また、上記各記載によれば、「図27に示す反射型体積ホログラムグレーティング96」は、「平行光束の入射角に応じて、回折効率を最大とする干渉縞のスラント角について」説明するために、「図25に示す虚像表示装置90の第2の反射型体積ホログラムグレーティング95に代えて設置し」たものであるから、「図25に示す虚像表示装置90の第2の反射型体積ホログラムグレーティング95」について説明を行ったものであると理解できる。また、図25上部中央の「95C」との表記によれば、図25は、「図24で示した第2の反射型体積ホログラムグレーティング95のホログラム層95Cに記録された干渉縞について詳細に説明を」したものであると理解できる。
さらに、「図27に示す、反射型体積ホログラムグレーティング96のホログラム領域96M」は、「このように入射角が0度である平行光束Lpが入射された場合に、回折反射角θkが55〜60度となるような回折反射を行う干渉縞が記録されている」ものであるところ、図25及び図27との対応関係から、当該「ホログラム領域96M」は、図25に示す「第2の反射型体積ホログラムグレーティング95」(の「ホログラム層95C」)の「スラント角θRと、スラント角θLとの中間の角度のスラント角θMである干渉縞95Mが記録され」ている「R側と、L側の間である」「M領域」に対応していることが理解できる。
さらに、引用文献2の32頁18行〜22行及び図27より、「回折反射角」「θk」(32頁13行、14行、19〜21行、図27等)と「射出回折角」「θs」(21行、図27等)とは、θs+θk=180度の関係があることが理解できる。
そうしてみると、上記の「図27に示す反射型体積ホログラムグレーティング96を、図25に示す虚像表示装置90の第2の反射型体積ホログラムグレーティング95に代えて設置し、反射型体積ホログラムグレーティングが可逆の性質を有することを利用して、観察者の瞳16側から光線追跡をしたとして説明を行う」、「つまり、仮想的に設けた画像表示素子から射出された表示光を、コリメート光学系によって水平画角±10度程度の平行光束にコリメートし、図27に示す反射型体積ホログラムグレーティング96に入射させた」「場合、反射型体積ホログラムグレーティング96の入射光が、第2の反射型体積ホログラムグレーティング95の回折反射光に相当し、反射型体積ホログラムグレーティング96の回折反射光が、第2の反射型体積ホログラムグレーティング95の入射光に相当する」ことは、結局、図25の「第2の反射型体積ホログラムグレーティング95」の「ホログラム層95C」について、「反射型体積ホログラムグレーティングが可逆の性質を有することを利用して、観察者の瞳16側から光線追跡をしたとして」、「つまり、仮想的に設けた画像表示素子から射出された表示光を、コリメート光学系によって水平画角±10度程度の平行光束にコリメートし」、「第2の反射型体積ホログラムグレーティング95」の「ホログラム層95C」「に入射させた」「場合」には、「観察者の瞳16側から」の「光線追跡」による「説明」時の「第2の反射型体積ホログラムグレーティング95」の「ホログラム層95C」「の入射光が」、当該「光線追跡」によらない時の「第2の反射型体積ホログラムグレーティング95」の「ホログラム層95C」の「回折反射光に相当し」、当該「光線追跡」による「説明」時の「反射型体積ホログラムグレーティング96の回折反射光が」、当該「光線追跡」によらない時の「第2の反射型体積ホログラムグレーティング95の入射光に相当する」ことを意味するということができる。
同様に、「水平画角±10度程度の平行光束が、反射型体積ホログラムグレーティング96に入射された場合において、入射された全ての平行光束を導光板93の内部全反射条件を満たすように回折反射させるためには、入射角が0度である中心画角の平行光束Lpを入射させた場合に、回折反射角が55〜60度となる必要がある」こと、「図27に示す、反射型体積ホログラムグレーティング96のホログラム領域96Mには、このように入射角が0度である平行光束Lpが入射された場合に、回折反射角θkが55〜60度となるような回折反射を行う干渉縞が記録され」、「回折反射角θkは、図27に示すように、座標定義上、射出回折角θsとして表され、120〜125度となる」こと、「このような干渉縞が記録されているホログラム領域96Mの入射角θrと、射出回折角θsとは、入射される平行光束の波長をλ、干渉縞のホログラム表面におけるグレーティングピッチをΛpとした場合に、(1)式のように表すことができる」ことは、結局、図25の「第2の反射型体積ホログラムグレーティング95」の「ホログラム層95C」について、それぞれ、「水平画角±10度程度の平行光束」(当合議体注:前段落で述べた「コリメート光学系によって水平画角±10度程度の平行光束にコリメート」されたものに対応する。)が、「第2の反射型体積ホログラムグレーティング95」の「ホログラム層95C」「に入射された場合において、入射された全ての平行光束を導光板93の内部全反射条件を満たすように回折反射させるためには、入射角が0度である中心画角の平行光束Lpを入射させた場合に、回折反射角が55〜60度となる必要がある」こと、「第2の反射型体積ホログラムグレーティング95」の「ホログラム層95C」の「領域M」「には、このように入射角が0度である平行光束Lpが入射された場合に、回折反射角θkが55〜60度となるような回折反射を行う干渉縞が記録され」、「回折反射角θkは」、「座標定義上、射出回折角θsとして表され、120〜125度となる」こと、「このような干渉縞が記録されている」「領域M」「の入射角θrと、射出回折角θsとは、入射される平行光束の波長をλ、干渉縞のホログラム表面におけるグレーティングピッチをΛpとした場合に、(1)式のように表すことができ」ることを意味するということができる。

エ 以上総合すると、引用文献2には、「第6の実施の形態」の「虚像表示装置90」に設けられる「第2の反射型体積ホログラムグレーティング95」の発明(以下「引用発明」という。)として、以下の発明が記載されているものと認められる。

「 画像表示素子91と、画像表示素子91で表示された表示光を入射して、観察者の瞳16へと導く虚像光学系とを備えた虚像表示装置90であって、
虚像光学系は、コリメート光学系92と、導光板93と、導光板93に設けられた第1の反射型体積ホログラムグレーティング94と、第2の反射型体積ホログラムグレーティング95とを備え、
コリメート光学系92は、画像表示素子91の各画素から射出された光束を入射して、互いに画角の異なる平行光束群とする光学系であり、コリメート光学系92から射出された、互いに画角の異なる平行光束群は、それぞれ導光板93に入射され、
導光板93は、コリメート光学系92から射出された互いに画角の異なる平行光束群を入射する光入射口93a1を一方端部に有し、他方端部に光を射出する光射出口93a2を有する光学面93aと、この光学面93aに対向する光学面93bとを主面とする薄型の平行平板な導光板であり、
導光板93の光学面93bには、光学面93aの光入射口93a1と対向する位置に第1の反射型体積ホログラムグレーティング94が設けられ、光学面93aの光射出口93a2と対向する位置に第2の反射型体積ホログラムグレーティング95が設けられ、
導光板93の光入射口93a1から入射した互いに画角の異なる平行光束群は、第1の反射型体積ホログラムグレーティング94に入射され、それぞれの平行光束が平行光束のまま回折反射され、回折反射された平行光束群は、導光板93の光学面93a,93bとの間で全反射を繰り返しながら進行し、第2の反射型体積ホログラムグレーティング95に入射し、
導光板93の長手方向の長さ及び光学面93a−光学面93b間の厚みは、このときに内部を全反射しながら進行する互いに画角の異なる平行光束群が、各画角によって、第2の反射型体積ホログラムグレーティング95に到達するまでの全反射回数に違いがでるような光路長となるように、薄型化され、長手方向の長さも十分な長さとされ、
第2の反射型体積ホログラムグレーティング95に入射した各画角の平行光束は、回折反射されることで全反射条件からはずれ、導光板93の光射出口93a2から射出され、観察者の瞳16に入射し、
第1の反射型体積ホログラムグレーティング94は、広画角化のために、互いにスラント角は異なるが、ホログラム表面では、均等な干渉縞ピッチを有する3つの干渉縞を多重化したホログラム層を、赤色光、緑色光、青色光を回折反射するために干渉縞のピッチを変えて、3層に積層してなり、これにより、第1の反射型体積ホログラムグレーティング94は、画像表示素子91から射出され、コリメート光学系92でコリメートされた水平画角±10度程度の平行光束を、導光板93の全反射条件を満たすように回折反射することができ、
第1の反射型体積ホログラム94で回折反射された平行光束群は、それぞれ異なる全反射角度で導光板93内を導光することになる結果、第2の反射型体積ホログラムグレーティング95に入射する平行光束の入射角は、それぞれ異なることになり、そこで、第2の反射型体積ホログラムグレーティング95は、平光光束の入射位置に応じて入射される平行光束の入射角が異なることを利用して、入射位置に対応する入射角で入射された平行光束の回折効率が最も高くなるような干渉縞を記録する構成とした、虚像表示装置90に設けられる第2の反射型体積ホログラムグレーティング95であって、
第2の反射型体積ホログラムグレーティング95は、干渉縞がそれぞれ記録された、3層のホログラム層95A,95B,95Cを積層して構成され、この3層のホログラム層95A,95B,95Cは、それぞれ主に赤色光、緑色光、青色光のいずれかを回折反射するように、干渉縞のグレーティングピッチが異なる干渉縞が記録され、
導光板93の光学面93bの光学面93aの光射出口93a2と対向する位置に、第2の反射型体積ホログラムグレーティング95のホログラム層95C側を光出射出口93a2に向けて、第2の反射型体積ホログラムグレーティング95が設けられ、
ホログラム層95Cでは、導光板93に設置した際に、第1の反射型体積ホログラムグレーティング94に近くなる側をR側とし、逆側をL側とすると、ホログラム層95CのR側は、入射角が大きな平行光束に対して、回折効率が大きくなるように、スラント角θRが小さい干渉縞95RがR領域まで記録され、L側は、入射角が小さな平行光束に対して、回折効率が大きくなるように、スラント角θLが大きい干渉縞95LがL領域まで記録され、R側と、L側の間であるM領域には、スラント角θRと、スラント角θLとの中間の角度のスラント角θMである干渉縞95Mが記録され、
ホログラム層95A,95Bにそれぞれ記録された干渉縞も、ホログラム層95Cに記録された干渉縞と同じように、スラント角の異なる3種類の干渉縞が記録されており、グレーティングピッチだけが、ホログラム層95Cで主に回折反射をする波長帯域とは、異なる波長帯域の平行光束を回折反射するために変更され、
第2の反射型体積ホログラムグレーティング95を構成する各ホログラム層の領域R、領域L、領域Mにそれぞれ記録する干渉縞のスラント角を変えることで、入射される平行光束の入射角に応じて回折効率を最大にすることができ、
平行光束の入射角に応じて、回折効率を最大とする干渉縞のスラント角について、反射型体積ホログラムグレーティングが可逆の性質を有することを利用して、観察者の瞳16側から光線追跡をしたとして説明を行う場合、つまり、仮想的に設けた画像表示素子から射出された表示光を、コリメート光学系によって水平画角±10度程度の平行光束にコリメートし、水平画角±10度程度の平行光束が、第2の反射型体積ホログラムグレーティング95のホログラム層95Cに入射された場合において、入射された全ての平行光束を導光板93の内部全反射条件を満たすように回折反射させるためには、入射角が0度である中心画角の平行光束Lpを入射させた場合に、回折反射角が55〜60度となる必要があり、第2の反射型体積ホログラムグレーティング95のホログラム層95Cの領域Mには、このように入射角が0度である平行光束Lpが入射された場合に、回折反射角θkが55〜60度となるような回折反射を行う干渉縞が記録されるとすると、回折反射角θkは、座標定義上、射出回折角θsとして表され、120〜125度となり、ここでθk+θs=180(度)であり、
このような干渉縞が記録されている第2の反射型体積ホログラムグレーティング95のホログラム層95Cの領域Mの入射角θrと、射出回折角θsとは、入射される平行光束の波長をλ、干渉縞のホログラム表面におけるグレーティングピッチをΛpとした場合に、(1)式のように表すことができ、
sinθs=sinθr+λ/Λp・・・(1)、
記録された干渉縞のグレーティングピッチΛpが、(1)式を満たす場合に、平行光束が入射角θrで入射され、射出回折角θsで回折反射されるときの回折効率を最大とするような干渉縞のスラント角φ0は、ブラッグ条件から、(2)式のように表すことができ、
φ0=(θs+θr)/2・・・(2)、
ここで、観察者の瞳16側からの光線追跡による説明時の第2の反射型体積ホログラムグレーティング95のホログラム層95Cの入射光が、当該光線追跡によらない第2の反射型体積ホログラムグレーティング95のホログラム層95Cの回折反射光に相当し、観察者の瞳16側からの光線追跡による説明時の第2の反射型体積ホログラムグレーティング95のホログラム層95Cの回折反射光が、当該光線追跡によらない第2の反射型体積ホログラムグレーティング95のホログラム層95Cの入射光に相当する、
第2の反射型体積ホログラムグレーティング95。」

(3) 対比
本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正後発明」という。)と引用発明を対比すると、以下のとおりとなる。
ア 格子媒体、格子構造、装置
(ア) 引用発明の「第2の反射型体積ホログラムグレーティング95」は、「干渉縞がそれぞれ記録された、3層のホログラム層95A,95B,95Cを積層して構成され、この3層のホログラム層95A,95B,95Cは、それぞれ主に赤色光、緑色光、青色光のいずれかを回折反射するように、干渉縞のグレーティングピッチが異なる干渉縞が記録され」たものである。

(イ) また、引用発明の「ホログラム層95C」は、「導光板93に設置した際に、第1の反射型体積ホログラムグレーティング94に近くなる側をR側とし、逆側をL側とすると、ホログラム層95CのR側は、入射角が大きな平行光束に対して、回折効率が大きくなるように、スラント角θRが小さい干渉縞95RがR領域まで記録され、L側は、入射角が小さな平行光束に対して、回折効率が大きくなるように、スラント角θLが大きい干渉縞95LがL領域まで記録され、R側と、L側の間であるM領域には、スラント角θRと、スラント角θLとの中間の角度のスラント角θMである干渉縞95Mが記録され」たものである。
さらに、引用発明の「ホログラム層95A,95Bにそれぞれ記録された干渉縞も、ホログラム層95Cに記録された干渉縞と同じように、スラント角の異なる3種類の干渉縞が記録されており、グレーティングピッチだけが、ホログラム層95Cで主に回折反射をする波長帯域とは、異なる波長帯域の平行光束を回折反射するために変更され」ている。

(ウ) 上記(ア)と(イ)より、引用発明の「第2の反射型体積ホログラムグレーティング95」には、「赤色光、緑色光、青色光」「を回折反射する」「グレーティングピッチが異なる」3つの「干渉縞」が「記録」されるとともに、「赤色光、緑色光、青色光」「を回折反射する」個々の「干渉縞」として、「スラント角の異なる3種類の干渉縞」が「記録」されたものと理解できる。
してみると、引用発明の「第2の反射型体積ホログラムグレーティング95」は、9つ(3×3)の「干渉縞」を「記録」するための媒体ということができる。また、「ホログラム層95A,95B」及び「ホログラム層95C」にそれぞれ「記録」された「赤色光、緑色光、青色光」「を回折反射する」「干渉縞」は、技術常識により、格子構造を有するということができる(当合議体注:「グレーティングピッチが異なる」との記載からも理解できる。)。

(エ) 上記(ウ)より、引用発明の「第2の反射型体積ホログラムグレーティング95」は、本件補正後発明の「格子媒体」に相当する。
また、引用発明の9つの「干渉縞」は、全体として本件補正後発明の「格子構造」に相当する。
さらに、引用発明の9つの「干渉縞」は、本件補正後発明の「格子構造」の、「格子媒体内に存在する」との要件を具備する。

イ 第1の入射光、第1の反射光、第1の波長、第2の入射光、第2の反射光、第2の波長
(ア) 引用発明の「第2の反射型体積ホログラムグレーティング95」は、「導光板93の光学面93bの光学面93aの光射出口93a2と対向する位置に、第2の反射型体積ホログラムグレーティング95のホログラム層95C側を光出射出口93a2に向けて」「設けられ」るものである。
そうすると、上記ア(ア)より、引用発明の「第2の反射型体積ホログラムグレーティング95」は、「導光板93の光学面93b」側から、(「青色光」「を回折反射する」「干渉縞が記録され」た)「ホログラム層95C」、(「緑色光」「を回折反射する」「干渉縞が記録され」た)「ホログラム層」「95B」、(「赤色光」「を回折反射する」「干渉縞が記録され」た)「ホログラム層95A」がこの順で積層されたものであると理解できる。

(イ) また、引用発明の「ホログラム層95C」は、「導光板93に設置した際に、第1の反射型体積ホログラムグレーティング94に近くなる側をR側とし、逆側をL側とすると、ホログラム層95CのR側は、入射角が大きな平行光束に対して、回折効率が大きくなるように、スラント角θRが小さい干渉縞95RがR領域まで記録され、L側は、入射角が小さな平行光束に対して、回折効率が大きくなるように、スラント角θLが大きい干渉縞95LがL領域まで記録され、R側と、L側の間であるM領域には、スラント角θRと、スラント角θLとの中間の角度のスラント角θMである干渉縞95Mが記録され」たものであり、引用発明の「ホログラム層95A,95Bにそれぞれ記録された干渉縞」は、「ホログラム層95Cに記録された干渉縞と同じように、スラント角の異なる3種類の干渉縞が記録されており、グレーティングピッチだけが、ホログラム層95Cで主に回折反射をする波長帯域とは、異なる波長帯域の平行光束を回折反射するために変更され」たものである。
さらに、引用発明は、「反射型体積ホログラムグレーティングが可逆の性質を有することを利用して、観察者の瞳16側から光線追跡をしたとして説明を行う場合、つまり、仮想的に設けた画像表示素子から射出された表示光を、コリメート光学系によって水平画角±10度程度の平行光束にコリメートし、水平画角±10度程度の平行光束が、第2の反射型体積ホログラムグレーティング95のホログラム層95Cに入射された場合」、「第2の反射型体積ホログラムグレーティング95のホログラム層95Cの領域Mには、このように入射角が0度である平行光束Lpが入射された場合に、回折反射角θkが55〜60度となるような回折反射を行う干渉縞が記録され」るものであり、「ここで、観察者の瞳16側からの光線追跡による説明時の第2の反射型体積ホログラムグレーティング95のホログラム層95Cの入射光が、当該光線追跡によらない第2の反射型体積ホログラムグレーティング95のホログラム層95Cの回折反射光に相当し、察者の瞳16側からの光線追跡による説明時の第2の反射型体積ホログラムグレーティング95のホログラム層95Cの回折反射光が、当該光線追跡によらない第2の反射型体積ホログラムグレーティング95のホログラム層95Cの入射光に相当する」。
そうすると、引用発明の「第2の反射型体積ホログラムグレーティング95」の「ホログラム層95C」の「R側と、L側の間であるM領域に」「記録され」た「スラント角θMである干渉縞95M」(以下「干渉縞95M(青色光用)」と称する。)は、「第2の反射型体積ホログラムグレーティング95」の「ホログラム層95C」の「M領域」に入射する「55〜60度」の「入射角」(当該「光線追跡による説明時」の「回折反射光」の「回折反射角θk」のこと)の「青色」の「入射光」を、「回折反射角」「0度」(当該「光線追跡による説明時」の「入射光」の「入射角」のこと)の「第2の反射型体積ホログラムグレーティング95の回折反射光」として「回折反射」するということができる。
上記(ア)より、同様に、引用発明の「第2の反射型体積ホログラムグレーティング95」の「ホログラム層95B」の「R側と、L側の間であるM領域に」「記録され」た「スラント角θMである干渉縞95M」(以下「干渉縞95M(緑色光用)」と称する。)は、「第2の反射型体積ホログラムグレーティング95」の「ホログラム層95B」の「M領域」に入射する「55〜60度」の「入射角」の「緑色」の「入射光」を、「回折反射角」「0度」の「第2の反射型体積ホログラムグレーティング95の回折反射光」として「回折反射」とするということができる。

(ウ) 上記(イ)より、引用発明における「第2の反射型体積ホログラムグレーティング95」の「ホログラム層95C」の「M領域」に記録された「干渉縞95M(青色光用)」に入射する「青色」の「入射光」(以下「青色の入射光M」という。)及び「第2の反射型体積ホログラムグレーティング95」の「ホログラム層95C」の「M領域」に記録された「干渉縞95M(緑色光用)」に入射する「緑色」の「入射光」(以下「緑色の入射光M」という。)は、それぞれ本件補正後発明の「第1の入射光」及び「第2の入射光」に相当し、引用発明の「青色の入射光M」の波長及び「緑色の入射光M」の波長は、それぞれ本件補正後発明における、「第1の波長」及び「第2の波長」に相当する。
また、引用発明の「青色」の「回折反射光」及び「緑色」の「回折反射光」は、それぞれ本件補正後発明における「第1の反射光」及び「第2の反射光」に相当する。
ここで、引用発明の「青色」の「回折反射光」の波長及び「緑色」の「回折反射光」の波長は、それぞれ「青色の入射光M」の波長及び「緑色の入射光M」の波長と同じである。
そうすると、引用発明は、本件補正後発明の、「前記格子構造は第1の入射光を反射するように構成され」、「前記第1の入射光は」「第1の波長」「を有し」、「前記第1の入射光は第1の反射光として」「反射され」、「前記第1の反射光は前記第1の波長」「を有し」との要件を具備する。同様に、引用発明は、本件補正後発明の、「前記格子構造は更に第2の入射光を反射するように構成され」、「前記第2の入射光は」「第2の波長」「を有し」、「前記第2の入射光は第2の反射光として」「反射され」、「前記第2の反射光は前記第2の波長」「を有し」との要件を具備する。

(エ) 本件出願の明細書の【0063】によれば、「第1の波長」を「λ1」、「第2の波長」を「λ2」とした時、「ウェーブフラクション(波の比率)」「WF」は、WF=|λ1−λ2|/[(λ1+λ2)/2]で表される。
通常、「緑色」の光の波長は550nm程度、「青色」の光の波長は440nm程度である(当合議体注:引用文献2の3頁20〜23行の記載からも理解できることである。)
そうすると、引用発明の「ウェーブフラクション」は0.2程度と見積もることができる(当合議体注:引用発明においては、λ1を440nm、λ2を550nmとすると、「ウェーブフラクション」(「WF」)は、|440−550|/[(440+550)/2]=0.22・・・と求めることができる。)。
してみると、引用発明は、本件補正後発明の、「前記第1の波長は、0.005以上のウェーブフラクションだけ前記第2の波長とは相違する」との要件を具備する(当合議体注:仮に、青色の波長、緑色の波長が多少異なったとしても、あるいは、「反射型体積ホログラムグレーティング」の「回折受容波長帯域」が「20nm」程度ある(12頁7〜8行、図7等)ことを考慮したとしても、WFは大きくは変化しない。したがって、引用発明において、本件補正後発明でいう「ウェーブフラクション」が「0.005」を下回ることはない。)。

ウ 装置

上記アより、引用発明(「第2の反射型体積ホログラムグレーティング95」)は、「第2の反射型体積ホログラムグレーティング95」(「格子媒体」)内に、9つの「干渉縞」(格子構造)を具えるものということができる。
してみると、上記アとイより、引用発明の「第2の反射型体積ホログラムグレーティング95」は、本件補正後発明の「装置」に相当し、引用発明の「第2の反射型体積ホログラムグレーティング95」は、本件補正後発明の「装置」の、「格子媒体内に存在する格子構造を具える」との要件を具備する。

(4) 一致点及び相違点
ア 一致点
本件補正後発明と引用発明は、次の構成で一致する。
(一致点)
「 格子媒体内に存在する格子構造を具える装置であって、
前記格子構造は第1の入射光を反射するように構成され、前記第1の入射光は第1の波長を有し、
前記第1の入射光は第1の反射光として反射され、前記第1の反射光は前記第1の波長を有し、
前記格子構造は更に第2の入射光を反射するように構成され、前記第2の入射光は第2の波長を有し、
前記第2の入射光は第2の反射光として反射され、前記第2の反射光は前記第2の波長を有し、
前記第1の波長は、0.005以上のウェーブフラクションだけ前記第2の波長とは相違する装置。」

イ 相違点
本件補正後発明と引用発明は、以下の点で一応相違する。
(相違点)
本件補正後発明は、「前記第1の入射光は」「前記格子媒体内の前記格子構造の特定の部位に入射されるとともに」「前記格子媒体の表面法線に対する第1の内部入射角」「を有し」、
「前記第1の入射光」は「第1の反射光」として「前記格子媒体内の前記格子構造により」「反射され」、「前記第1の反射光は」「前記表面法線に対する第1の内部反射角」「を有し」、
「前記第1の入射光及び前記第1の反射光は前記表面法線に対する第1の反射軸角を有する第1の反射軸により二等分され」、
「前記第2の入射光は」「前記格子媒体内の前記格子構造の前記特定の部位に入射されるとともに」「前記表面法線に対する第2の内部入射角」「を有し」、
「前記第2の入射光」は「第2の反射光」として「前記格子媒体内の前記格子構造により」「反射され」、「前記第2の反射光は」「前記表面法線に対する第2の内部反射角」「を有し」、
「前記第2の入射光及び前記第2の反射光は前記表面法線に対する第2の反射軸角を有する第2の反射軸により二等分され」、
「前記第1及び第2の反射軸角は前記表面法線に対してそれぞれ非ゼロであ」るのに対して、引用発明は、そのようなものであるかどうか一応明らかでない点。

(5) 判断
上記相違点について検討する。
ア 前記(3)イ(イ)より、引用発明においては、「55〜60度」の「入射角」を持った「青色の入射光M」は、「反射型体積ホログラムグレーティング95」の9つの「干渉縞」(「格子構造」)の特定の部位である「干渉縞95M(青色光用)」に入射し、「回折反射角」「0度」の「青色」の「回折反射光」として「干渉縞」により「回折反射」されるということができる。
また、前記(3)イ(ア)(ホログラム層95A〜95Cの積層構造)及び(イ)より、引用発明においては、「55〜60度」の「入射角」を持った「緑色の入射光M」は、9つの「干渉縞」の前記特定の部位である「干渉縞95M(青色光用)」にまず入射し、「干渉縞95M(青色光用)」を透過した後、「回折反射角」「0度」の「緑色」の「回折反射光」として「干渉縞」(干渉縞95M(緑色光用))により「回折反射」されるということができる。

イ そうすると、引用発明において、「青色の入射光M」(「第1の入射光」)及び「緑色の入射光M」(「第2の入射光」)は、「反射型体積ホログラムグレーティング95」の9つの「干渉縞」(「格子媒体」内の「格子構造」)の同じ特定の部位(「干渉縞95M(青色光用)」)に入射するということができる。
してみると、引用発明は、本件補正後発明の、「前記第1の入射光」は「前記格子媒体内の前記格子構造の特定の部位に入射される」、及び、「前記第2の入射光」は「前記格子媒体内の前記格子構造の前記特定の部位に入射される」との要件を具備するといえる。

ウ また、引用発明において、「青色の入射光M」は、「青色」の「反射回折光」として、「干渉縞95M(青色光用)」により「回折反射」され、「緑色の入射光M」は、「緑色」の「反射回折光」として、「干渉縞95M(緑色光用)」により「回折反射」されるが、両者はいずれも、「反射型体積ホログラムグレーティング95」の9つの「干渉縞」(「格子構造」)により反射されるということができる。
そうすると、引用発明は、本件補正後発明の、「前記第1の入射光」は「第1の反射光」として「前記格子媒体内の前記格子構造により反射され」、及び、「前記第2の入射光」は「第2の反射光」として「前記格子媒体内の前記格子構造により反射され」との要件を具備するといえる。

エ 引用発明においては、「青色の入射光M」は、「反射型体積ホログラムグレーティング95」の「ホログラム層95C」に「入射」する際に、「反射型体積ホログラムグレーティング95」(「格子媒体」)の表面法線に対する内部入射角を有するといえる(当合議体注:「反射型体積ホログラムグレーティング95」の最表面は、「ホログラム層95C」であるから、「反射型体積ホログラムグレーティング95」の表面法線と、「ホログラム層95C」の表面法線は一致する。)。
また、引用発明の「青色」の「回折反射光」の「回折反射角」(「0度」)は、「反射型体積ホログラムグレーティング95」(「格子媒体」)の表面法線に対する角度である。
ここで、引用発明の「青色の入射光M」の内部入射角と「青色」の「回折反射光」の「回折反射角」(「0度」)とを二等分する角度として、「反射型体積ホログラムグレーティング95」(「格子媒体」)の表面法線に対する反射軸角を定義することは任意である。また、このような反射軸角を有する反射軸により「青色の入射光M」及び「回折反射光」が二等分されるといえることは、反射軸角の定義から明らかなことである。
以上勘案すると、引用発明における、「反射型体積ホログラムグレーティング95」の表面法線は、本件補正後発明の「格子媒体の表面法線」に対応する。
引用発明の「青色の入射光M」の「反射型体積ホログラムグレーティング95」の表面法線に対する内部入射角、及び、「青色」の「回折反射光」の「0度」である「回折反射角」は、それぞれ本件補正後発明の、「前記格子媒体の表面法線に対する」とされる、「第1の内部入射角」、及び、「前記表面法線に対する」とされる、「第1の内部反射角」に相当する。
また、引用発明において、「青色の入射光M」及び「青色」の「回折反射光」について定義した「反射型体積ホログラムグレーティング95」(「格子媒体」)の表面法線に対する反射軸角、及び、当該反射軸角を有する反射軸は、それぞれ本件補正後発明の、「前記表面法線に対する」とされる、「第1の反射軸角」、及び、「第1の反射軸角を有する」とされる、「第1の反射軸」に相当する。
そうしてみると、引用発明は、本件補正後発明の、「前記第1の入射光は」「前記格子媒体の表面法線に対する第1の内部入射角」「を有し」、「前記第1の反射光は」「前記表面法線に対する第1の内部反射角」「を有し」、「前記第1の入射光及び前記第1の反射光は前記表面法線に対する第1の反射軸角を有する第1の反射軸により二等分され」との要件を具備するといえる。

オ 引用発明においては、「緑色の入射光M」は、「ホログラム層95C」における「干渉縞95M(青色光用)」にまず入射するから、「反射型体積ホログラムグレーティング95」(「格子媒体」)の表面法線に対する内部入射角を有するということができる(当合議体注:「反射型体積ホログラムグレーティング95」の「ホログラム層95B」中の「干渉縞95M(緑色光用)」の設計を行うにあたり、「ホログラム層95B」内への「緑色の入射光M」の入射角を考慮するところ、当該入射角は、「緑色の入射光M」の「反射型体積ホログラムグレーティング95」(「格子媒体」)の表面法線に対する入射角と同じである。なぜなら、仮に、ホログラム層95A〜95Cの材料及び屈折率を異ならせると各入射面においてフレネル反射より迷光が発生することとなる。あるいは、引用発明においては、「M領域」における干渉縞95M(緑色光用)の設計は、グレーティングピッチを除き、入射角条件、回折反射角条件及びスラント角について干渉縞95M(青色光用)と同じである。そうすると、「ホログラム層95B」内への「緑色の入射光M」の入射角は、干渉縞95M(緑色光用)の設計時の「反射型体積ホログラムグレーティング95」の「ホログラム層95C」の表面法線に対する内部入射角と同じということができる。なお、一層のホログラム層に、赤色光、緑色光、青色光を回折反射するグレーティングピッチが異なる3種類の干渉縞を多重化して記録可能(15頁22〜27行、図12、図13、23頁4〜12行、図20等)であるところ、ホログラム層95A〜95Cの材料及び屈折率を異ならせる必要もない。)。
また、引用発明の「緑色」の「回折反射光」の「回折反射角」(「0度」)は、「反射型体積ホログラムグレーティング95」(「格子媒体」)の表面法線に対する角度ということができる。
さらに、引用発明の「緑色の入射光M」の内部入射角及び「緑色」の「回折反射光」の「回折反射角」を二等分する角度として、「反射型体積ホログラムグレーティング95」(「格子媒体」)の表面法線に対する反射軸角を定義することは任意であり、このような反射軸角を有する反射軸により「緑色の入射光M」及び「回折反射光」が二等分されるといえる。
以上勘案すると、引用発明の「緑色の入射光M」の「反射型体積ホログラムグレーティング95」の表面法線に対する内部入射角、及び、「緑色」の「回折反射光」の「0度」である「回折反射角」は、それぞれ本件補正後発明の、「前記格子媒体の表面法線に対する」とされる、「第2の内部入射角」、及び、「前記表面法線に対する」とされる、「第2の内部反射角」に相当する。
また、引用発明において、「緑色の入射光M」及び「緑色」の「回折反射光」について定義した「反射型体積ホログラムグレーティング95」(「格子媒体」)の表面法線に対する反射軸角、及び、当該反射軸角を有する反射軸は、それぞれ本件補正後発明の、「前記表面法線に対する」とされる、「第2の反射軸角」、及び、「第2の反射軸角を有する」とされる、「第2の反射軸」に相当する。
そうしてみると、引用発明は、本件補正後発明の、「前記第2の入射光は」「前記表面法線に対する第2の内部入射角」「を有し」、「前記第2の反射光は」「前記表面法線に対する第2の内部反射角」「を有し」、「前記第2の入射光及び前記第2の反射光は前記表面法線に対する第2の反射軸角を有する第2の反射軸により二等分され」との要件を具備するといえる。

カ 引用発明においては、「青色」の「反射回折光」及び「緑色」の「反射回折光」の「反射回折角」が「0度」であるから、引用発明において、「反射型体積ホログラムグレーティング95」(「格子媒体」)の表面法線に対する、「青色の入射光M」の内部入射角及び「回折反射角」を二等分する角度、及び、「緑色の入射光M」の内部入射角及び「回折反射角」を二等分する角度が、表面法線に対して0度(ゼロ)になり得ないことは明らかである。
してみると、引用発明は、本件補正後発明の、「前記第1及び第2の反射軸角は前記表面法線に対してそれぞれ非ゼロであり」との要件を具備するといえる。

キ 以上のとおりであるから、上記相違点は実質的な相違点を構成しない。

ク 請求人は、審判請求書において、引用文献2について、「任意の2色の光が反射型体積ホログラムグレーティング95の特定の部位に入射し、反射されることについて、開示も示唆もない。」と主張しているが、請求項1の記載(前記「第2」[理由]1(2))では、単一の「特定の部位」とまでは特定されていない(「特定の部位」で反射されることも特定されていない)ので、上記ア〜ウ、オのとおり判断した。
なお、仮に、第1及び第2の入射光がともに特定の部位に入射され、その同じ特定の部位で反射されることが、請求項の記載において特定されたとしても、以下のとおりである。
すなわち、引用文献2でいう「本発明」は、「第1の反射型体積ホログラムグレーティング及び第2の反射型体積ホログラムグレーティングに記録する干渉縞が単純な単純回折格子であるため、容易に干渉縞の多重化、干渉縞を記録したホログラム層の積層化を行うことができるため、回折受容角を大きくし、回折色収差を発生させずに、色域も下げることなく複数の波長帯域の平行光束、例えば、光の3原色であるRGB(R:赤色光、G:緑色光、B:青色光)を回折反射することを可能とする。」(7頁8〜13行)ことをその目的・利点とするものであるところ、引用文献2には、反射型体積ホログラムグレーティングについて、赤色光、緑色光、青色光を回折反射するグレーティングピッチが異なる3種類の干渉縞を多重化して記録すること(15頁22〜27行、図12、図13、23頁4〜12行、図20等)が記載・示唆されている。
ここで、ホログラムグレーティングにおいて、複数の干渉縞を多重化した場合、積層化したものに比較して薄型化できること、あるいは積層化工程を不要とできることは当業者にとって明らかなことである。
してみると、引用発明の「第2の反射型体積ホログラムグレーティング95」において、「それぞれ主に赤色光、緑色光、青色光のいずれかを回折反射するように、干渉縞のグレーティングピッチが異なる干渉縞が記録され」た「3層のホログラム層95A,95B,95Cを積層し」た構成に変えて、「M領域」にグレーティングピッチが異なる「干渉縞95M(青色光用)」及び「干渉縞95M(緑色光用)」等を多重化した(一層の)ホログラム層からなる構成とすることは、薄型化や積層化工程の省略に着目する当業者の設計上の事項である。
そして、このような設計変更を施してなる引用発明は、上記相違点に係る本件補正後発明の構成を具備するということができる(当合議体注:「M領域」に「干渉縞95M(青色光用)」及び「干渉縞95M(緑色光用)」等が多重化された「一層」のホログラム層からなる第2の反射型体積ホログラムグレーティングにおいては、「青色の入射光M」及び「緑色の入射光M」が、反射型体積ホログラムグレーティングの単一の特定部位(M領域において干渉縞95M(青色光用)及び干渉縞95M(緑色光用)が多重化された干渉縞)に入射し、その同じ単一の特定部位において(回折)反射されることとなる。また、「緑色の入射光M」及び「緑色の回折反射光」について、上記エにおいて「青色の入射光M」及び「青色の回折反射光」について述べたことと同じことがいえる。)。

ク 本件補正後発明の効果について
本件補正後発明の効果について、本件出願の明細書には、【発明の効果】として明示されたものはない。しかしながら、背景技術についての【0005】の「従って、表面法線に制約されない反射軸を中心とする光の反射を達成するとともに、所定の入射角に対するその反射角が複数の波長で実質的に一定である比較的簡単な装置に対する条件は、反射性の格子構造又は誘電体ミラーを具える現在得られる反射性装置によっては満足されない。従って、このような反射性装置に対して必要性があるものであり、このような必要性は頭部装着型のディスプレイ装置において緊急性があるものである。」との記載が、本件補正後発明の効果に関連すると理解可能である。
しかしながら、「表面法線に制約されない反射軸を中心とする光の反射を達成する」こと、「所定の入射角に対するその反射角が複数の波長で実質的に一定である」こと、及び「頭部装着型のディスプレイ装置において緊急性がある」ことは、引用発明も具備する効果であるか、あるいは、引用文献2の記載に基づいて、当業者が予測可能なものであっていずれも格別のものではない。

ケ 審判請求書について
(ア) 請求人は、審判請求書の「(4−2)引用文献との対比」「(2)引用文献2(国際公開第2005/093493号)との対比」において、「引用文献2は、単一の『特定の部位』を含む格子構造を有する格子媒体の単一の層であって、当該『特定の部位』で格子構造が第1及び第2の入射角を有する第1及び第2の光の両方を回折(反射)し、第1及び第2の光が本願発明のウェーブフラクションの関係を有する、単一の層を開示、示唆していない。」、「引用文献2は、反射型体積ホログラムグレーティング95が、ホログラム層95A、95B、95Cを積層して構成され、各層が、赤色光、緑色光、又は青色光をそれぞれ回折(反射)することが開示されている(第30頁第16行目〜第20行目)。しかし、反射型体積ホログラムグレーティング95は、各層95A、95B、95Cにおいて赤色光、緑色光、又は青色光のいずれかを反射することを開示するにとどまり、任意の2色の光が反射型体積ホログラムグレーティング95の特定の部位に入射し、反射されることについて、開示も示唆もない。」、「各色の光の波長が上記発明特定事項(c)の関係を満たすことについても開示も示唆もない。」と主張する(当合議体注:「発明特定事項(c)の関係」とは、「前記第1の入射光及び前記第1の反射光は、第1の波長を有し、前記第2の入射光及び前記第2の反射光は、第2の波長を有し、前記第1の波長は、0.005以上のウェーブフラクションだけ前記第2の波長とは相違する」ことである。)。

(イ) しかしながら、上記クで述べたとおり、本件補正後の請求項1には、「格子媒体」が「単一の層」であることまでは特定されていない(当合議体注:本件補正後の請求項6の記載からも理解できることである。)。さらに、本件補正後の請求項1には、格子構造が、単一の「特定部位」において、第1の入射光及び第2の入射光を回折反射することまで特定されていない。

(ウ) そして、引用発明の「反射型体積ホログラムグレーティング95」(3層のホログラム層95A,95B,95Cを積層して構成されたもの)における9つの干渉縞全体が、本件補正後発明の「格子構造」に相当すること、引用発明において、「青色の入射光M」及び「緑色の入射光M」が、(「ホログラム素子95C」の「領域M」の)「干渉縞95M(青色光用)」に入射することから、本件補正後発明の「第1の入射光」(「青色の入射光M」)及び「第2の入射光」(「緑色の入射光M」)が「格子媒体内の格子構造の特定部位に入射される」との要件が充足されること、「青色の入射光M」及び「緑色の入射光M」について、両者はいずれも、「反射型体積ホログラムグレーティング95」の9つの「干渉縞」(「格子構造」)により反射されるということができるから、「前記第1の入射光」は「第1の反射光」として「前記格子媒体内の前記格子構造により反射され」、及び、「前記第2の入射光」は「第2の反射光」として「前記格子媒体内の前記格子構造により反射され」との要件が充足されることについては、上記ア〜キで述べたとおりである。あるいは、引用文献2の記載・示唆に基づき、引用発明において、95A〜95Cの各色用の干渉縞を多重化し、上記相違点に係る本件補正後発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことであることは、上記クで述べたとおりである。
また、青色光及び緑色光の通常の波長を考慮すれば、引用発明が、本件補正後発明の、「前記第1の波長は、0.005以上のウェーブフラクションだけ前記第2の波長とは相違する」との要件を具備することも上記(3)イ(エ)で述べたとおりである。
してみると、審判請求書における請求人の上記主張を採用することはできない。

コ 以上のとおりであるから、本件補正後発明は、引用文献2に記載された発明である。あるいは、本件補正後発明は、引用文献2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
そうすると、本件補正後発明は、優先日前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。あるいは、本件補正後発明は、優先日前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、優先日前の当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
してみると、本件補正後の請求項1に係る発明は、独立して特許を受けることができない。

3 独立特許要件(明確性)についての判断
(1) 本件補正後の請求項14には、「前記第1の入射光及び前記第1の反射光は第1の波長を有し」、「前記第2の入射光及び前記第2の反射光は第2の波長を有し」、「前記第1の波長は、0.005以上のウェーブフラクションだけ前記第2の波長とは相違し」との記載がある。
一方、請求項14の記載を引用する請求項16には、「請求項14に記載の装置において、前記第1の入射光、前記第1の反射光、前記第2の入射光及び前記第2の反射光は全て同じ波長を有する装置。」との記載がある。
してみると、請求項14においては、「第1の入射光」及び「第1の反射光」が有する「第1の波長」は、「第2の入射光」及び「第2の反射光」が有する「第2の波長」と、「0.005以上のウェーブフラクションだけ」「相違し」とされているのに対して、請求項16においては、「第1の入射光」、「第1の反射光」、「第2の入射光」及び「第2の反射光」は「全て同じ波長を有する」とされており、請求項14の記載内容と請求項16の記載内容が矛盾している。
したがって、請求項16に係る発明は明確でない。

(2) 以上のとおりであるから、本件補正後の特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明が明確であるということができないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
してみると、本件補正後の請求項16に係る発明は、独立して特許を受けることができない。

4 補正の却下の決定のむすび
本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、前記[補正の却下の決定の結論]に記載のとおり、決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
以上のとおり、本件補正は却下されたので、本件出願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記「第2」[理由]1(1)の本件補正前の(令和2年10月29日にした手続補正後の)特許請求の範囲の請求項1に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、概略、理由1(新規性)本願発明は、優先日前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、理由2(進歩性)本願発明は、優先日前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。
引用文献2:国際公開第2005/093493号

3 引用文献2及び引用発明
引用文献2の記載及び引用発明は、前記「第2」[理由]2(1)及び2(2)ウに記載したとおりである。

4 対比及び判断
本願発明は、前記「第2」[理由]2で検討した本件補正後発明から、同1(3)アで述べた限定事項を除いたものである。また、本願発明の構成を全て具備し、これにさらに限定を付したものに相当する本件補正後発明は、前記「第2」[理由]2(3)〜(5)で述べたとおり、引用文献2に記載された発明である、あるいは、本件補正後発明は、引用文献2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
してみると、前記「第2」[理由]2(3)〜(5)で述べた理由と同様の理由により、本願発明は、引用文献2に記載された発明である、あるいは、本願発明は、引用文献2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
そうすると、本願発明は、優先日前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、あるいは、本件補正後発明は、優先日前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。あるいは、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
してみると、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。

審判長 榎本 吉孝
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
 
審理終結日 2021-09-30 
結審通知日 2021-10-04 
審決日 2021-11-08 
出願番号 P2018-510345
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02B)
P 1 8・ 113- Z (G02B)
P 1 8・ 575- Z (G02B)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 榎本 吉孝
特許庁審判官 関根 洋之
河原 正
発明の名称 スキューミラー、その使用方法及び製造方法  
代理人 田中 伸一郎  
代理人 西島 孝喜  
代理人 ▲吉▼田 和彦  
代理人 大塚 文昭  
代理人 富永 真太郎  
代理人 那須 威夫  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ