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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G01N
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G01N
審判 全部申し立て 2項進歩性  G01N
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  G01N
管理番号 1383259
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-12-01 
確定日 2021-11-18 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6702608号発明「ヘモグロビン類測定用試薬及びヘモグロビン類の測定方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6702608号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1−4〕について訂正することを認める。 特許第6702608号の請求項2、3に係る特許を取り消す。 特許第6702608号の請求項4に係る特許を維持する。 特許第6702608号の請求項1に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続きの経緯
特許第6702608号の請求項1〜4に係る特許についての出願は、令和2年2月13日に出願され、同年5月11日にその特許権の設定登録がされ、同年6月3日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、同年12月1日に特許異議申立人鈴木敏明(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審は、令和3年1月27日に取消理由を通知した。特許権者は、その指定期間内である令和3年3月26日に意見書の提出及び訂正の請求(以下当該訂正の請求を「本件訂正請求」という。)を行い、その訂正の請求に対して、申立人は、令和3年4月26日に意見書を提出した。当審は、令和3年6月30日に取消理由通知(決定の予告)を通知し、特許権者は、その指定期間内である令和3年8月26日に意見書の提出を行った。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容(下線は、訂正箇所を示す。)
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に「前記成分Alが、オキシエチレン基の平均付加モル数が9のポリオキシエチレンラウリルエーテルである、請求項1に記載のヘモグロビン類測定用試薬。」とあるのを、
「陽イオン交換液体クロマトグラフィーによりヘモグロビン類を測定するために用いられるヘモグロビン類測定用試薬であって、
溶血試薬であり、
非イオン性界面活性剤を含み、
前記非イオン性界面活性剤が、下記成分A1である、ヘモグロビン類測定用試薬。
成分A1:オキシエチレン基の平均付加モル数が9のポリオキシエチレンラウリルエーテル」
に訂正する。
そして、請求項2の記載を引用する請求項3、4も同様に訂正する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に「請求項1又は2」とあるのを、「請求項2」に訂正する。
そして、請求項3の記載を引用する請求項4も同様に訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に「請求項1〜3のいずれか1項」とあるのを、「請求項2又は3」に訂正する。

なお、訂正前の請求項1〜4は、請求項2〜4が請求項1を引用するものであるから、訂正前において一群の請求項に該当し、上記訂正は一群の請求項に対してなされたものである。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、この訂正が、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかである。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項2が請求項1を引用していたのを、請求項間の引用関係を解消して、独立形式で書き下す訂正であり、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。そして、この訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかである。

(3)訂正事項3及び4について
訂正事項3に係る請求項3についての訂正及び訂正事項4に係る請求項4についての訂正は、訂正事項1により請求項1が削除されたことに伴い、訂正前の請求項3が引用する請求項1及び2及び訂正前の請求項4が引用する請求項1〜3のいずれか1項のうち、請求項1を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、この訂正が、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかである。

3 小括
上記のとおり、訂正事項1〜4に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1及び4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜4〕について訂正することを認める。

第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項2〜4に係る発明(以下「本件発明2〜4」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項2〜4に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】(削除)
【請求項2】
陽イオン交換液体クロマトグラフィーによりヘモグロビン類を測定するために用いられるヘモグロビン類測定用試薬であって、
溶血試薬であり、
非イオン性界面活注剤を含み、
前記非イオン性面活性剤が、下記成分A1である、ヘモグロビン類測定用試薬。
成分A1;オキシエチレン基の平均付加モル数が9のポリオキシエチレンラウリルエーテル
【請求項3】
前記非イオン性界面活性剤の含有量が、0.01重量%以上1.0重量%以下である、請求項2に記載のヘモグロビン類測定用試薬。
【請求項4】
赤血球含有検体と、請求項2又は3に記載のヘモグロビン類測定用試薬とを混合して混合液を得る工程と、
前記混合液を陽イオン交換液体クロマトグラフィーにより測定する工程とを備える、ヘモグロビン類の測定方法。」

第4 取消理由の概要
訂正後の請求項2〜4に係る特許に対して、当審が令和3年6月30日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。

請求項2〜4に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明にあたる、甲1号証(特開2003−344372号公報)に記載された発明であるか、又は、甲1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項2〜4に係る特許は、特許法第29条第1項の規定、又は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

第5 甲号証の記載
1 甲1号証について
(1)甲1号証に記載された事項
甲1号証(特開2003−344372号公報)には、以下の事項が記載されている。

(甲1a)「【0003】通常、キャリブレータ及びコントロール液は、ヒト赤血球を凍結乾燥処理して製造されており、以下のように調製される。バイアル中の凍結乾燥血液を復元するために、バイアルに精製水を添加する。十分に溶解させるため、5〜30分間程度静置する。専用の希釈液を用いて定められた希釈を行うことにより、HbA1c値の既知なヘモグロビン溶液を得ることができる。なお、溶解後に保存する必要がある場合には、精製水で溶解した状態で冷蔵保存される。キャリブレータは多くの場合、2点校正を行うために正常域及び高値域におけるHbA1c値が既知である2種類の凍結乾燥血液が用いられる。バイアル中の各凍結乾燥血液を専用の溶解液で溶解した後、一定の希釈率に希釈されて測定に用いられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】キャリブレータ及びコントロール液は、溶液として調製した後、HbA1c値が経時的に小さくなる現象が認められる。これは、キャリブレータ及びコントロール液を冷蔵保存すると、HbA1c値が経時的に小さくなる現象が抑制されることから、前記現象はキャリブレータ及びコントロール液中のHbA1cが温度の影響を受けて、何らかの変性きたし、結果としてHbA1cの測定値が誤差を受けていると推定される。
【0005】特に高速液体クロマトグラフィー法(以下HPLC法と記す。)による測定において顕著に認められるため、HbA1cの3次元構造が変化している可能性がある。ただし、検体中に存在するHbA1c値は経時的な変化が認められず、キャリブレータ及びコントロール液に限ってHbA1c値は経時的な変化が認めらることから、一度乾燥されたHbA1cが、温度による影響を受けることにより、3次元構造が経時的に変化していると推測される。しかし、本発明者らが調べる限り原因は未だ解明されていない。」

(甲1b)「【0018】ヘモグロビン溶液中における緩衝剤の濃度は、水に溶解された状態で緩衝作用が認められる濃度範囲であればよく、本発明では、50mM〜3000mMであり、好ましくは100〜2000mM、より好ましくは200〜1000mMである。実際の使用に際しては、前記緩衝剤を含む溶液を用いて、直接乾燥血液に添加しても良いし、従来通り精製水で乾燥血液を溶解した後、前記緩衝剤を含む溶液を希釈液として用いても良い。また、生体から採取された生の血液から調整する場合も含まれる。上記緩衝剤の濃度が50mMよりも低い場合には、乾燥ヘモグロビンを溶解する際に温度の影響を受け易くなり、ヘモグロビン類の安定性が悪くなる。また、緩衝剤の濃度が3000mMよりも高くなると、安定型A1c分離パターンが悪化する。
【0019】本発明におけるヘモグロビン溶液のpHは5.0〜8.0であり、好ましくは6.0〜7.8であり、より好ましくは6.5〜7.5である。pHが5.0より低い場合、及び8.0より高い場合には、ヘモグロビン類の変性が起こり易くなり、安定なヘモグロビン標準試料溶液を得ることができなくなる。
【0020】本発明において、好ましくは添加される上記非イオン性界面活性剤とは特に限定されるわけではないが、例えば、ポリオキシエチレン類(以下、ポリオキシエチレンをPOE、エチレンオキシド付加モル数を(n)で表わす。)、POE(7)デシルエーテル、POE(n)ドデシルエーテル、POE(10)トリデシルエーテル、POE(11)テトラデシルエーテル、POE(n)セチルエーテル、POE(n)ステアリルエーテル、POE(n)オレイルエーテル、POE(17)セチル−ステアリルエーテル、POE(n)オクチルフェニルエーテル、POE(n)ノニルフェニルエーテル、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、POE(n)モノラウリン酸ソルビタン、POE(n)モノパルミチン酸ソルビタン、POE(n)モノステアリン酸ソルビタン、POE(n)モノオレイン酸ソルビタン、POE(9)ラウリルエーテル等が挙げられる。また、オキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体等の高分子化合物も用いることができる。上記界面活性剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上併用されて用いられてもよい。また、1種あるいは2種以上の界面活性剤の含有量は、好ましくは0.01〜10重量%である。」

(甲1c)「【0027】
【発明の実施の形態】以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明をより詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0028】(用意した材料)
(1)キャリブレータ
キャリブレータとして、アークレイ社製、商品名ADAMS A1cキャリブレータ(低値4.8%及び高値10.8%の2種)を用意した。
(2)コントロール液
国際試薬社製、ロットナンバー1276 正常域5.0%〜5.6%及び高値域10.2%〜11.2%の2種のコントロール液を用意した。
(3)キャリブレータ用希釈液
アークレイ社製、品番:ADAMS A1cキャリブレータ専用希釈液
(4)精製水
大塚製薬社製、注射用精製水
(5)測定システム
アークレイ株式会社社製、自動グリコヘモグロビン測定装置「ADAMS A1cHA−8160」
【0029】(6)実施例で用いたヘモグロビン溶液
以下のM液及びD液の2種類を用意した。界面活性剤として、1.0重量%ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル(ニッコーケミカルズ社製、品番:ニッコールBL−9EX)、保存剤としてソルビン酸カリウム0.1重量%を含有する450mMのPIPES溶液(pH7.2)をM液とした。界面活性剤として、0.5重量%ポリエチレングリコールモノ−4−オクチルフェニールエーテル(東京化成社製、品番:トリトンX−100)、保存剤として、プロピオン酸ナトリウム0.05重量%を含有する5mMリン酸緩衝液(pH=7.2)をD液とした。
(校正)上記キャリブレータ用希釈液を4℃に冷却し、この希釈液で上記キャリブレータを希釈し、低値及び高値ともn=3の平均値で校正をおこなった。
【0030】(実施例1)上記コントロール液2種を、それぞれ、冷蔵(4℃)に維持されたM液0.2mLに溶解し、ヘモグロビン溶液を得た。このヘモグロビン溶液を、4℃に30分間静置した後、上記キャリブレータ用希釈液200mLで希釈し、コントロール液を調製した後、上記測定システムを用いてHbA1c値を測定した。HbA1c値(n=3での平均値)を下記の表2に示す。
(実施例2)M液の温度を25℃とし、25℃でコントロール液を溶解し、30分間静置した後、キャリブレータ用希釈液で希釈したことを除いては、実施例1と同様にして、HbA1c値を測定した。結果を下記の表2に示す。」

(2)甲1号証に記載された発明
ア 上記(甲1b)より、「添加される上記非イオン性界面活性剤」は、「POE(9)ラウリルエーテル等が挙げられる」旨記載されていることから、「POE(9)ラウリルエーテル」は、「非イオン性界面活性剤」である。

イ 上記(甲1c)より、甲1号証には、実施例1として、以下の事項が記載されている。

「アークレイ株式会社社製、自動グリコヘモグロビン測定装置「ADAMS A1cHA−8160」を使用した測定システムで用いるヘモグロビン溶液であって、
界面活性剤として、1.0重量%ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル、保存剤としてソルビン酸カリウム0.1重量%を含有する450mMのPIPES溶液(pH7.2)をM液とし、
コントロール液を、M液0.2mLに溶解することにより得られたヘモグロビン溶液を、
上記測定システムを用いてHbA1c値を測定する方法。」

ウ 上記(甲1a)に「通常、・・・コントロール液は、ヒト赤血球を凍結乾燥処理して製造されており・・・バイアル中の凍結乾燥血液を復元するために、バイアルに精製水を添加する。・・・」と記載され、上記(甲1b)には、「・・・ヘモグロビン溶液・・・は、・・・前記緩衝剤を含む溶液を用いて、直接乾燥血液に添加しても良いし、従来通り精製水で乾燥血液を溶解した後、前記緩衝剤を含む溶液を希釈液として用いても良い。また、生体から採取された生の血液から調整する場合も含まれる。・・・」と記載され、実施例に使用されている「コントロール液」は、(甲1c)より、「国際試薬社製、ロットナンバー1276 正常域5.0%〜5.6%及び高値域10.2%〜11.2%の2種のコントロール液」である。
そうすると、上記「コントロール液」は、乾燥血液を溶融したものである。

エ 上記イにおいて、「M液」は、「コントロール液」を、「溶解することにより」「ヘモグロビン溶液」を「得」るためのものであるから「コントロール液」を、「溶解する」ための溶液であるといえる。そして、「ヘモグロビン溶液」は、「測定システム」で用いられるものであるから、「M液」も「測定システム」で用いられるものであるといえる。

オ 以上ア〜エより、甲1号証には、「M液」に関する発明として、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。

「アークレイ株式会社社製、自動グリコヘモグロビン測定装置「ADAMS A1cHA−8160」を使用した測定システムで用いられるM液であって、
乾燥血液を溶融したコントロール液を、溶解するための溶液であり
非イオン性界面活性剤として、1.0重量%ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル、保存剤としてソルビン酸カリウム0.1重量%を450mMのPIPES溶液(pH7.2)に含有するM液。」

オ また、甲1号証には、「方法」の発明として、以下の発明(以下「甲1発明’」という。)も記載されている。

「乾燥血液を溶融したコントロール液を、甲1発明のM液0.2mLに溶解し、ヘモグロビン溶液を得、このヘモグロビン溶液を、上記測定システムを用いてHbA1c値を測定する方法。」

2 甲13号証に記載された事項
甲13号証(井島廣子 他、「HbA1C値低値乖離例に見いだされたHb Toranomonへテロ接合体を有する2型糖尿病の2例」、糖尿病、日本、一般社団法人 日本糖尿病学会、2007年、50巻、7号、499−503頁)には、以下の事項が記載されている。

(甲13a)「・・・アークレイ社ADAMSTM A1cHA-8160 装置(以下HA-8160 と略す)・・・」(500頁左欄下から10−9行)

(甲13b)「・・・HA-8160 装置は,逆相分配陽イオンクロマトグラフィーの分離方式を採用している.・・・」(502頁下から6−4行)

3 甲2号証について
(1)甲2号証に記載された事項
甲2号証(特開2001−021555号公報)には、以下の事項が記載されている。

(甲2a)「【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1記載の本発明は、カチオン交換液体クロマトグラフィーによるヘモグロビン類の測定方法において、血液検体を溶血させる際に用いる溶血試薬であって、カオトロピックイオンを含有することを特徴とする溶血試薬を提供する。また、請求項2記載の本発明は、請求項1記載の溶血試薬であって、さらに緩衝剤を含有し、pHが5.0〜10.0であることを特徴とする溶血試薬を提供する。また、請求項3記載の本発明は、請求項1または2記載の溶血試薬を用いることを特徴とするヘモグロビン類の測定方法を提供する。以下に本発明を詳細に説明する。」

(甲2b)「【0019】上記溶血試薬には、以下の物質を添加してもよい。
(1)無機塩類としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、リン酸ナトリウムなどが挙げられる。これらの塩類の濃度は、特に限定されないが、好ましくは1〜1500mMである。
(2)pH調節剤として、公知の酸、塩基を添加してもよい。酸としては、例えば、塩酸、リン酸、硝酸、硫酸等が挙げられ、また、塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、水酸化アンモニウム、水酸化ストロンチウム、水酸化セシウム、水酸化ニッケル、水酸化アルミニウム、水酸化カドミウム等が挙げられる。 これらの酸、塩基の濃度は、特に限定されないが、好ましくは、0.001〜500mMである。
(3)メタノール、エタノール、アセトニトリル、アセトンなどの水溶性有機溶媒と混合してもよい。これらの有機溶媒の濃度は、特に限定されないが、好ましくは0〜80体積%であり、カオトロピックイオン、無機酸、有機酸、これらの塩などが析出しない程度で用いるのが好ましい。
【0020】(4)界面活性剤として、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤等を添加してもよい。界面活性剤を用いることにより、溶血を効率よく行うだけでなく、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等で測定を行う場合、溶血試薬の通過する流路等を洗浄する効果がある。上記界面活性剤は、好ましくはノニオン性界面活性剤が使用され、例えば、ポリオキシエチレン類(以下、ポリオキシエチレンをPOE、エチレンオキシド付加モル数を(n)で表す。)、POE(7)デシルエーテル、POE(n)ドデシルエーテル、POE(10)トリデシルエーテル、POE(11)テトラデシルエーテル、POE(n)セチルエーテル、POE(n)ステアリルエーテル、POE(n)オレイルエーテル、POE(17)セチルーステアリルエーテル、POE(n)オクチルフェニルエーテル、POE(n)ノニルフェニルエーテル、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、POE(n)モノラウリン酸ソルビタン、POE(n)モノパルミチン酸ソルビタン、POE(n)モノステアリン酸ソルビタン、POE(n)モノオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。これらの界面活性剤は、単独でもまた複数混合して用いてもよい。
【0021】これらの界面活性剤の添加量は、好ましくは0.01〜10重量%である。」

(甲2c)「【0041】
【実施例】次に、実施例、比較例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0042】(実施例1)
〔充填剤1の調製:カルボキシル基〕テトラエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学社製)400g及びメタクリル酸(和光純薬社製)150gの混合物に過酸化ベンゾイル(和光純薬社製)1.5gを溶解した。これを4重量%ポリビニルアルコール(日本合成化学社製)水溶液2500mlに分散させ、撹拌しながら窒素雰囲気下で75℃に昇温し、8時間重合した。重合後、洗浄し乾燥した後、分級して平均粒径6μmの粒子を得た。
【0043】〔カラムの充填〕得られた充填剤1をカラムに以下のようにして充填した。粒子0.7gを、50mMリン酸緩衝液(pH5.8)30mlに分散し、5分間超音波処理した後、よく撹拌した。全量をステンレス製の空カラム(4.6φ×30mm)を接続したパッカー(梅谷精機社製)に注入した。パッカーに送液ポンプ(サヌキ工業社製)を接続し、圧力300kg/cm2 で定圧充填した。
【0044】〔ヘモグロビン類の測定〕得られたカラムを用いて、以下の測定条件でヘモグロビン類の測定を行った。
(測定条件)
システム:送液ポンプ:LC−9A(島津製作所社製)
オートサンプラ:ASU−420(積水化学社製)
検出器:SPD−6AV(島津製作所社製)
溶離液:溶離液A:70mMのリン酸緩衝液(和光純薬社製;pH5.7)
溶離液B:70mMのリン酸緩衝液(pH8.5)、250mM硝酸
ナトリウム
測定開始より0〜2分の間は溶離液Aを流し、2〜2.1分の間は溶
離液Bを流し、2.1〜3分の間は溶離液Aを流した。
流速:2.0ml/分
検出波長:415nm
試料注入量:10μl
【0045】(測定試料:A)健常人血を採血し、抗血液凝固剤としてフッ化ナトリウムを10mg/mlとなるよう添加した。これに、150倍量の溶血試薬(界面活性剤として0.1重量%ポリエチレングリコールモノ−4−オクチルフェニルエーテル(トリトンX−100、東京化成社製)とカオトロピックイオンを生成する化合物として100mMグアニジン及び10mMリン酸緩衝溶液からなる溶血試薬(pH7.5))を添加して溶血し、測定試料とした。
(測定試料B;AHb)健常人血10mlにフッ化ナトリウムを添加し(10mg/ml)、さらに0.3重量%アセトアルデヒドの生理食塩水溶液1mlを添加し、37℃で3時間反応させた。これに、150倍量の溶血試薬(0.1重量%トリトンX−100と100mMグアニジン及び10mMリン酸緩衝溶液からなる溶血試薬(pH7.5))を添加して溶血し、測定試料とした。
【0046】(測定結果)上記測定条件により、試料を測定して得られたクロマトグラムを図1、2に示す。図1は、試料Aを測定した結果、図2は、試料Bを測定した結果を示す。ピーク1はHbA1a及びb、ピーク2はHbF、ピーク3は不安定型HbA1c、ピーク4は安定型HbA1c、ピーク5はHbA0、ピーク6はAHbを示す。図2では、ピーク4と6とが良好に分離されている。また、上記測定試料A、Bを5検体測定し安定型HbA1cの測定精度(SD;標準偏差、CV;変動係数値)を求めた結果を表1に示す。」

(2)甲2号証に記載された事項
ア 上記(甲2c)より、引用文献1には、実施例として以下の「測定試料:A」が記載されている。

「測定試料:Aとして、健常人血を採血し、抗血液凝固剤としてフッ化ナトリウムを10mg/mlとなるよう添加し、これに、150倍量の溶血試薬(界面活性剤として0.1重量%ポリエチレングリコールモノ−4−オクチルフェニルエーテル(トリトンX−100、東京化成社製)とカオトロピックイオンを生成する化合物として100mMグアニジン及び10mMリン酸緩衝溶液からなる溶血試薬(pH7.5))を添加して溶血した測定試料:A。」

イ 上記アの「測定試料:A」に使用される溶血試薬は、上記(甲2a)より「カチオン交換液体クロマトグラフィーによるヘモグロビン類の測定方法において、血液検体を溶血させる際に用いる溶血試薬」であるから、上記アより甲2号証には、実施例として以下の技術事項(以下「甲2技術事項」という。)が記載されている。

「カチオン交換液体クロマトグラフィーによるヘモグロビン類の測定方法において、血液検体を溶血させる際に用いる溶血試薬であって、
界面活性剤として0.1重量%ポリエチレングリコールモノ−4−オクチルフェニルエーテル(トリトンX−100、東京化成社製)とカオトロピックイオンを生成する化合物として100mMグアニジン及び10mMリン酸緩衝溶液からなる溶血試薬(pH7.5)」

4 甲3号証について
(1)甲3号証に記載された事項
甲3号証(特開2007−163182号公報)には、以下の事項が記載されている。

(甲3a)「【0015】
本発明に係る溶血試薬は、HLB値が11〜13の範囲のノニオン性界面活性剤であって、該界面活性剤を含有し、糖化タンパク質を検出するための酵素が有する活性を阻害しないことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る溶血方法および溶血試薬によれば、迅速に赤血球を完全溶血することができ、且つ酵素への活性阻害もない。
また、本発明に係る溶血方法および溶血試薬は、糖尿病用のHbA1c測定マイクロチップに使用するのに特に好適である。」

(甲3b)「【0022】
本発明者らは、前記特定の成分を検出するための酵素の活性を低下させることがなく、同時に迅速に完全溶血の能力を持つ溶血試薬を探索するために、数多くのノニオン性界面活性剤について検討した結果、HLB値が11〜13の範囲のノニオン性界面活性剤が迅速に完全溶血でき、且つ酵素の活性に阻害がないことを見出すに至った。
また、上記特性値を満たすノニオン性界面活性剤は、さらにエーテル型ノニオン性界面活性剤であることにより、完全溶血するまでの時間をさらに短くすることができた。
HLB値とは界面活性剤の水と油(水に不溶性の有機化合物)への親和性の程度を表す値であり、Hydrophile-Lipophile Balanceの頭文字を取ったものである。親水親油バランスともいう。この概念は1949年にAtlasPowderCompanyのウィリアム・グリフィンによって提唱された。計算によって決定する方法がいくつか提案されている。
(1)アトラス法:
エステル系の界面活性剤について、鹸化価をS、界面活性剤を構成する脂肪酸の酸価をAとし、HLB値を20(1−S/A)で定義する。
(2)グリフィン法:
HLB値=20×親水部の式量の総和/分子量で定義する。
(3)デイビス法:
官能基によって決まる基数を定め(例えばメチル基やメチレン鎖は親油基で0.475、水酸基は親水基で1.9など)、HLB値=7+親水基の基数の総和−親油基の基数の総和で定義する。界面活性剤の混合物のHLB値は各成分のHLB値の加重平均となる。
(4)標準試料にHLB値を決定したい界面活性剤を添加して乳化し、実験的に決定する方法もあるが煩雑であるためあまり行われない。
(5)高速液体クロマトグラフィーでの保持時間から決定する方法もある。
本発明には、有機概念図(甲田善生,「有機概念図 −基礎と応用−」,p.227(1984)三共出版)に基づくIOB方法で求めたHLB値を用いた。IOB値は界面活性剤の無機性値と有機性値の比で、HLB値はIOB値×10の値である。
【0023】
本発明においては、下記一般式(1)で表わされるポリオキシエチレン系ノニオン性界面活性剤を用いることが好ましい。
一般式(1)
R−(OCH2CH2)nOH
上記一般式(1)中、Rは、炭素数8〜20の直鎖でも分岐していてもよい脂肪族炭化
水素基、炭素数8〜20の直鎖でも分岐していてもよいアルキル基を置換基として有していてもよい脂環式炭化水素基、または、炭素数8〜20の直鎖でも分岐していてもよいアルキル基を置換基として有していてもよい芳香族炭化水素基であり、nは5〜20の整数である。
上記脂環式炭化水素基としては、1つの環の炭素数が5〜6であり、脂環式炭化水素環の数が1〜4であるものが好ましく挙げられる。
上記芳香属炭化水素基としては、1つの環の炭素数が5〜6であり、芳香属炭化水素環の数が1〜4であるものが好ましく挙げられる。
【0024】
ポリオキシエチレン系ノニオン性界面活性剤として好ましくは、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンイソセチルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル及び、炭素数8〜20の直鎖でも分岐していてもよいアルキル基を置換基として有していてもよいポリオキシエチレンフェニルエーテルが挙げられる。
【0025】
本発明においてさらに好ましく使用されるノニオン性界面活性剤としては、
ポリオキシエチレンセチルエーテル(オキシエチレン単位10〜17のもの)、
ポリオキシエチレンオレイルエーテル(オキシエチレン単位12〜20のもの)、
ポリオキシエチレンステアリルエーテル(オキシエチレン単位11〜20のもの)、
ポリオキシエチレンラウリルエーテル(オキシエチレン単位7〜12のもの)、
ポリオキシエチレンイソセチルエーテル(オキシエチレン単位10〜15のもの)、
ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル(オキシエチレン単位10〜20のもの)、
ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、
ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル(オキシエチレン単位16〜20のもの)及び
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(該アルキル基は、炭素数が8〜20であり、直鎖でも分岐していてもよい。例えば、オキシエチレン単位平均9〜10含有 Triton X−100)が挙げられる。
【0026】
本発明において溶血剤に用いられる上記界面活性剤の使用濃度は、0.05%〜5%(質量濃度)が好ましく、好ましくは0.05%〜1%、より好ましくは0.1%〜1%、さらに好ましくは0.1%〜0.2%である。この濃度範囲であれば、迅速な溶血能力を持つと同時に、エンザイムイムノアッセイで通常用いられる多くの標識酵素の酵素活性に悪影響を与えることもない。」

(甲3c)「【0044】
表1に、使用濃度0.1%における各化合物の特性と迅速溶血評価結果、酵素阻害評価結果をまとめて示す。完全溶血を○とし、それ以外を×とした。また、0.05%、0.2%、0.5%および1%の各濃度においても同様の結果を得た。
【0045】
上記のノニオン性界面活性剤の溶血性能と酵素への阻害評価の結果から、本願発明のノニオン性界面活性剤(化合物1〜化合物6)、すなわち、11〜13という特定のHLB値範囲内のポリオキシエチレンエーテルが優れた溶血能力を有し、且つ酵素活性の阻害性も無いことがわかった。比較化合物1〜比較化合物3はイオン性界面活性剤であり、強力な溶血力を有するが、酵素活性を阻害性した。比較化合物4はノニオン性界面活性剤のポリオキシエチレンラウリルエーテルであるが、HLB値が10であり、酵素活性を阻害し、弱い溶血力が確認された。また、比較化合物5、6はエステル系のノニオン性界面活性剤であり、酵素活性の阻害を示さなかったが、強力な溶血力を持っていなかった。
【0046】
【表1】



(2)甲3号証に記載された技術事項
ア 上記(甲3a)より、甲3号証には、「HLB値が11〜13の範囲のノニオン性界面活性剤を含有」する「溶血試薬は」、「糖化タンパク質を検出するための酵素が有する活性を阻害しない」ものであって、「迅速に赤血球を完全溶血することができ」、「糖尿病用のHbA1c測定マイクロチップに使用するのに特に好適である」旨記載されている。

イ 上記(甲3b)より、甲3号証には、「迅速に完全溶血でき」る「HLB値が11〜13の範囲のノニオン性界面活性剤が」、「エーテル型ノニオン性界面活性剤であることにより、完全溶血するまでの時間をさらに短くすることができ」る旨、「ノニオン性界面活性剤として」、「ポリオキシエチレンセチルエーテル(オキシエチレン単位10〜17のもの)、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(オキシエチレン単位12〜20のもの)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(オキシエチレン単位7〜12のもの)」「が挙げられる」旨記載されている。

ウ 上記(甲3c)より、甲3号証には、「11〜13という特定のHLB値範囲内のポリオキシエチレンエーテル」である「ノニオン性界面活性剤(化合物1〜化合物6)」は、「優れた溶血能力を有」する旨記載され、「迅速溶血評価結果」が示された「表1」より、ポリオキシエチレンラウリルエーテルである化合物1〜3が、Triton X−100である化合物6と同様に「迅速溶血評価結果」が良好である旨記載されている。

エ 上記ア〜ウより甲3号証は、以下の技術事項(以下「甲3技術事項」という。)が記載されている。

「HLB値が11〜13の範囲のノニオン性界面活性剤を含有する溶血試薬は、糖化タンパク質を検出するための酵素が有する活性を阻害しないものであって、迅速に赤血球を完全溶血することができ、糖尿病用のHbA1c測定マイクロチップに使用するのに特に好適であり、
迅速に完全溶血できるHLB値が11〜13の範囲のノニオン性界面活性剤は、エーテル型ノニオン性界面活性剤であることにより、完全溶血するまでの時間をさらに短くすることができ、
ノニオン性界面活性剤として、
ポリオキシエチレンラウリルエーテル(オキシエチレン単位7〜12のもの)
が挙げられ、
実際に、ポリオキシエチレンラウリルエーテルである化合物1〜3が、Triton X−100である化合物6と同様に迅速溶血評価結果が良好である。」

5 甲5号証について
(1)甲5号証に記載された事項
甲5号証には、以下の事項が記載されている。

(甲5a)「より具体的には、例えば、ポリオキシエチレン−p−t−オクチルフェニルエーテルである市販のTriton系界面活性剤等、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステルである市販のTween系界面活性剤等、ポリオキシエチレンアルキルエーテルである市販のBrij系界面活性剤等が使用できる。この他に、例えば、ポリオキシエチレン(10)ラウリルエーテル、商品名Nikkol BL−9EX(ポリオキシエチレンの重量平均重合度Nが9:和光純薬工業社製)等のようなポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル、商品名Tergitol NPX(ポリオキシエチレンの重量平均重合度Nが約10.5:ナカライテスク社製)および商品名Tergitol NP−40(ポリオキシエチレンの重量平均重合度Nが20:ナカライテスク社製)等のようなポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等も使用できる。なお、これらの界面活性剤は、溶血用の界面活性剤としても使用することができる。」

6 甲6号証について
(ア)甲6号証(国際公開第01/21152号)に対応する日本語出願の公表公報である特表2003−509451号公報に記載された事項
特表2003−509451号公報には、以下の事項が記載されている。

(甲6a)「【0036】
好ましくは、非生インフルエンザウイルス抗原調製物は、特に非イオン性界面活性剤である少なくとも1つの界面活性剤を含有する。好ましくは、非イオン性界面活性剤は、オクチル−またはノニルフェノキシポリオキシエタノール(例えば市販のトリトン(商標)シリーズ)、ポリオキシエチレンソルビタンエステル(トゥイーン(商標)シリーズ)、ならびに一般式(I):
(I) HO(CH2CH2O)−A−R
(式中、nは1〜50であり、Aは一結合または−C(O)−であり、RはC1−50のアルキルまたはフェニルC1−50のアルキルである)
のポリオキシエチレンエーテルまたはエステル、ならびにこれらのうちの2つまたはそれ以上の組合せから成る群から選択される。
【0037】
式(I)内の好ましい界面活性剤は、nが4〜24、さらに好ましくは6〜12、最も好ましくは9であり、R構成成分がC1−50、好ましくはC4〜C20のアルキル、最も好ましくはC12のアルキルである分子である。」

(甲6b)「【0043】
好ましくは、本発明の処方物中に用いられるポリオキシエチレンエーテルは、溶血活性を有する。ポリオキシエチレンエーテルの溶血活性は、以下の検定を参照しながらin vitroで測定され、赤血球の溶解を引き起こし得ない界面活性剤の最高濃度として表される:
1.テンジクネズミからの新鮮な血液を、机上型遠心分離機中でリン酸塩緩衝化生理食塩水(PBS)で3回洗浄する。元の容積中に再懸濁後、血液をさらに、PBS中に10倍希釈する。」

7 甲4、7〜12号証について
(1)甲4号証(J. Jpn. Oil. Chem. Soc. (YUKAGAKU) Vol.36, No.8, pp576-580, 1987年8月20日公開)には、ノニオン性界面活性剤の溶血性は、アルキル鎖の長さが12のときにはオキシエチレンの数が9〜15で最大になる点が記載されている。

(2)甲7号証(LARISSA A. GOULD et al., " Mitigation of Surfactant Erythrocyte Toxicity by Egg Phosphatidylcholine", Journal of Pharmacy and Pharmacology, Volume52, Issue10, October 2000, Pages 1203-1209)、甲9号証(International Journal of Pharmaceutics, Vol. 117, (1995), pp. 139-146)、甲10号証(Naunyn-Schmiedeberg's Archives of Pharmacology volume 276, pages199?210 (1973))及び甲11号証(聖マリアンナ医科大学雑誌(1987)、15(3)、353-370頁)には、ポリオキシエチレン9ラウリルエーテルに溶血活性がある点が記載されている。

(3)甲8号証(HERBERT BIESENDORFER et al., " STUDIES ON THE HAEMOLYTIC ACTION OF AMPHIPHILIC SUBSTANCES IN VITRO", Biochemical Pharmacolqy, 1981年, Vol. 30, No. 16, pp. 2287-2292)には、ヒドロキシポリエトキシドデカン(ポリドカノール)には、溶血素の溶血能が有る点が記載されている。

(4)甲12号証(特開2002-082105号公報)には、以下の記載がある。

(甲12a)「【0024】上記溶血希釈液は、下記の組成物を含有する水溶液で構成される。
・ リン酸水素2ナトリウム12水和物:6.06mM
・ リン酸2水素ナトリウム2水和物:2mM
・ 界面活性剤(トリトンX−100):0.1(w/w)%
なおpH調整のために、リン酸または水酸化ナトリウムを添加してもよい。pHは7.50±0.01となるよう調整される。」

(甲12b)「【0052】(6)界面活性剤として、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤等を添加してもよい。界面活性剤を用いることにより、溶血を効率よく行うだけでなく、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等で測定を行う場合、溶血試薬の通過する流路等を洗浄する効果がある。上記界面活性剤は、好ましくはノニオン性界面活性剤が使用され、例えば、ポリオキシエチレン類(以下、ポリオキシエチレンをPOE、エチレンオキシド付加モル数を(n)で表す。)、POE(7)デシルエーテル、POE(n)ドデシルエーテル、POE(10)トリデシルエーテル、POE(11)テトラデシルエーテル、POE(n)セチルエーテル、POE(n)ステアリルエーテル、POE(n)オレイルエーテル、POE(17)セチルーステアリルエーテル、POE(n)オクチルフェニルエーテル、POE(n)ノニルフェニルエーテル、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、POE(n)モノラウリン酸ソルビタン、POE(n)モノパルミチン酸ソルビタン、POE(n)モノステアリン酸ソルビタン、POE(n)モノオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。これらの界面活性剤は、単独でもまた複数混合して用いてもよい。また、これらの界面活性剤の添加量は、好ましくは0.01〜10重量%である。」

第6 当審の判断
1 本件発明2について
甲1発明と本件発明2とを対比する。
(1)上記(甲13a)及び(甲13b)より、甲1発明の「アークレイ株式会社社製、自動グリコヘモグロビン測定装置「ADAMS A1cHA−8160」」は、「逆相分配陽イオンクロマトグラフィーの分離方式を採用している」から、「アークレイ株式会社社製、自動グリコヘモグロビン測定装置「ADAMS A1cHA−8160」を使用した測定システム」は、「逆相分配陽イオンクロマトグラフィーの分離方式によりヘモグロビン測定を行うシステムであるといえる。
そうすると、甲1発明の「アークレイ株式会社社製、自動グリコヘモグロビン測定装置「ADAMS A1cHA−8160」を使用した測定システムで用いられるM液」は、本件発明2の「陽イオン交換液体クロマトグラフィーによりヘモグロビン類を測定するために用いられるヘモグロビン類測定用試薬」に相当する。

(2)ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテルからなる非イオン性界面活性剤に溶血活性があることは周知であって、上記(甲1b)に「ヘモグロビン溶液は、生体から採取された生の血液から調整する場合も含まれる」旨記載されていることから、甲1発明の「M液」は、溶血試薬であるといえる。
そうすると、甲1発明の「M液」は、本件発明2の「溶血試薬」に相当するといえる。

(3)甲1発明の「非イオン性界面活性剤」である「ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル」は、本件発明2の「成分A1;オキシエチレン基の平均付加モル数が9のポリオキシエチレンラウリルエーテル」に相当する。そして、甲1発明の「M液」は、「非イオン性界面活性剤として、1.0重量%ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル」「を含有」しているから、「非イオン性界面活性剤として、1.0重量%ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル」「を含有するM液」は、本件発明2の「非イオン性界面活注剤を含み、前記非イオン性面活性剤が、下記成分A1である、ヘモグロビン類測定用試薬」に相当する。

(4)以上(1)〜(3)より、甲1発明は、本件発明2の発明特定事項をすべて有しているから、本件発明2は甲1発明であるといえる。仮に、本件発明2と甲1発明との間に相違点があったとしても、本件発明2は、甲1発明に基づいて、当業者が容易に想到できたものであるといえる。

(5)令和3年8月26日に提出した意見書において特許権者は、甲1号証の「キャリブレータ及びコントロール液」は、ヒト赤血球を凍結乾燥処理して製造されるものであって、赤血球はすでに溶血しており、甲1発明で認定されているM液(コントロール液を溶解するための溶液)は、溶血させるために用いられる試薬ではなく、溶血試薬とはいえないから、甲1発明の「コントロール液を、溶解するための溶液」である「M液」が、本件発明2の「溶血試薬」に相当するとの認定は妥当ではなく、誤った認定である旨主張している。
確かに、溶血試薬は赤血球を含む血液を溶血させるためのものであって、赤血球を含む血液を溶血できるものである。
甲1発明の「M液」は、ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテルからなる非イオン性界面活性剤を含むものであって、ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテルからなる非イオン性界面活性剤に溶血活性があることは周知であるから、ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテルからなる非イオン性界面活性剤を含む「M液」が、赤血球を含む血液を溶血できるものであることは明らかである。そして、甲1号証において、上記(甲1b)に「ヘモグロビン溶液は、生体から採取された生の血液から調整する場合も含まれる」旨記載されていることから、「ヘモグロビン溶液」を、「生体から採取された生の血液から調整する場合」、甲1発明の「M液」が、「生体から採取された生の血液」を溶血するものであることは明らかである。
また、本件発明2は、単に、溶血試薬を、陽イオン交液体クロマトグラフィーによりヘモグロビン類を測定するために用いられるヘモグロビン類測定用試薬として使用すると限定しているのみであって、溶血試薬を、赤血球含有検体と混合するとの限定はないから、本件発明2は、溶血試薬を、乾燥血液等の赤血球を含まない血液と混合する構成を排除していない。
そうすると、赤血球を含む血液を溶血できるポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテルからなる非イオン性界面活性剤を含む甲1発明の「M液」は、溶血試薬であって、本件発明2の「溶血試薬」相当するといえるから、甲1発明の「M液」は、本件発明2の「溶血試薬」に相当するとした、上記(2)の認定に誤りはなく、特許権者の主張は認められない。

2 本件発明3について
本件発明3は、本件発明2の「前記非イオン性界面活性剤の含有量が、0.01重量%以上1.0重量%以下である」旨限定したものであるが、甲1発明の「M液」は、「非イオン性界面活性剤として、1.0重量%ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル」「を含有」しているから、本件発明3も上記1と同様の理由により、甲1発明であり、仮に相違点があったとしても、甲1発明に基づいて、当業者が容易に想到できたものであるといえる。

3 本件発明4について
(1)取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由について
ア 対比
本件発明4と、甲1発明’とを対比する。

(ア)甲1発明’の「甲1発明のM液」及び「ヘモグロビン溶液」は、それぞれ、本願発明4の「請求項2又は3に記載のヘモグロビン類測定用試薬」及び「混合液」に相当する。

(イ)甲1発明’の「乾燥血液を溶融したコントロール液」と、本件発明4の「赤血球含有検体」とは、血液含有検体である点で共通するといえる。

(ウ)上記(ア)及び(イ)を踏まえると、甲1発明’の「コントロール液を、甲1発明のM液0.2mLに溶解し、ヘモグロビン溶液を得」る工程は、本件発明4の「赤血球含有検体と、請求項2又は3に記載のヘモグロビン類測定用試薬とを混合して混合液を得る工程」と、「血液含有検体と、請求項2又は3に記載のヘモグロビン類測定用試薬とを混合して混合液を得る工程」である点で共通する。

(エ)甲1発明’の「上記測定システム」は、「アークレイ株式会社社製、自動グリコヘモグロビン測定装置「ADAMS A1cHA−8160」を使用した測定システム」であって、上記1(1)で検討したとおり逆相分配陽イオンクロマトグラフィーの分離方式によりヘモグロビン測定を行うシステムであるから、甲1発明’の「ヘモグロビン溶液を、上記測定システムを用いてHbA1c値を測定する」工程は、本件発明4の「前記混合液を陽イオン交換液体クロマトグラフィーにより測定する工程」に相当する。そして、甲1発明’の「HbA1c値を測定する方法」は、本件発明4の「ヘモグロビン類の測定方法」に相当する。

(オ)以上(ア)〜(エ)より、本件発明4と甲1発明’との間には、次の一致点及び相違点がある。

(一致点)「血液含有検体と、本件発明2又は3のヘモグロビン類測定用試薬とを混合して混合液を得る工程と、
前記混合液を陽イオン交換液体クロマトグラフィーにより測定する工程とを備える、ヘモグロビン類の測定方法。」

(相違点)血液含有検体が、本件発明4は、「赤血球含有検体」であるのに対し、甲1発明’は、乾燥血液を溶融したものであって、赤血球含有検体ではない点。

イ 判断
上記相違点について検討する。
上記(甲1b)に「ヘモグロビン溶液は、生体から採取された生の血液から調整する場合も含まれる」旨記載されているものの、上記(甲1b)の記載は、あくまでも「生体から採取された生の血液」を含有する場合を示唆しているだけのものであって、「コントロール液」として、「生体から採取された生の血液」を用いた場合の実施例は記載されておらず、「生体から採取された生の血液」の「ヘモグロビン類」を「陽イオン交換液体クロマトグラフィーにより測定する」際に、甲1発明’の「M液」を含む前記混合液がどの程度の効果を有するかは、実際に試験してみなければわからないことが、当該技術分野の技術常識から明らかであるから、(甲1b)の「ヘモグロビン溶液は、生体から採取された生の血液から調整する場合も含まれる」旨の記載を参酌したとしても、乾燥血液を溶融したコントロール液に代えて、生体から採取された生の血液のコントロール液を用いることは、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。
そして、その余の上記甲2〜12号証を参照しても、乾燥血液を溶融したコントロール液に代えて、生体から採取された生の血液のコントロール液を用いることを示した文献はなく、ましてや、乾燥血液を溶融したコントロール液に代えて生体から採取された生の血液のコントロール液を用いた場合の陽イオン交換液体クロマトグラフィーによるヘモグロビン類の測定の効果について述べたものはない。
よって、本件発明4は、甲1発明’であるとも、甲1発明’に基づいて、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。
したがって、当該取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由により、本件発明4に係る特許を取り消すことはできない。

(2)取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について
ア 特許法29条2項について
申立人は、特許異議申立書において、本件発明4は、甲2号証に記載された発明に、甲1及び3〜12号証に記載された事項を適用することにより、当業者が容易に想到できたものである旨主張する。
しかしながら、甲2号証には、「カチオン交換液体クロマトグラフィーによるヘモグロビン類の測定方法において、血液検体を溶血させる際に用いる溶血試薬」に「界面活性剤として0.1重量%ポリエチレングリコールモノ−4−オクチルフェニルエーテル(トリトンX−100、東京化成社製)」を含む旨記載され、界面活性剤として、ポリオキシエチレン類等のノニオン性界面活性剤が使用できる旨記載されているものの、ポリオキシエチレン類として「オキシエチレン基の平均付加モル数が9のポリオキシエチレンラウリルエーテル」は記載も示唆もされていない。そして、甲3〜12号証には、「オキシエチレン基の平均付加モル数が9のポリオキシエチレンラウリルエーテル」が良好な溶血性を示すことが記載又は示唆がされているものの、「陽イオン交液体クロマトグラフィーによりヘモグロビン類を測定するために用いられるヘモグロビン類測定用試薬における溶血試薬に使用した点については、記載も示唆もない。そして、甲1号証には、上記(1)イで検討したとおり、検体として「赤血球含有検体」に「オキシエチレン基の平均付加モル数が9のポリオキシエチレンラウリルエーテル」に使用した旨の記載はない。
そうすると、本件発明4は、甲1及び3〜12号証に記載された事項を参酌したとしても、甲2号証に記載された発明から、当業者が容易に想到できたものであるとはいえない。
したがって、特許異議申立人の主張する特許異議申立理由によっては、本件発明4に係る特許を取り消すことはできない。

イ 特許法36条6項1号について
申立人は、特許異議申立書において、訂正前の請求項1に係る発明は、「陽イオン交換液体クロマトグラフィーによりヘモグロビン類を測定するために用いられるヘモグロビン類測定用試薬」に使用される「非イオン性界面活性剤」が、「下記成分A1であ」り、「成分A1:オキシエチレン基の平均付加モル数が9であり、かつアルキル基の炭素数が12以上17以下であるポリオキシエチレンアルキルエーテル」である旨特定されているが、発明の詳細な説明において開示された有効な実施例として記載されているオキシエチレン基の平均付加モル数が9である非イオン性界面活性剤は、「ポリオキシエチレンラウリルエーテル(9E.O.)」しか記載されておらず、また、「ポリオキシエチレンラウリルエーテル(9E.O.)」は、単独で使用された実施例のみであって、請求項1に係る発明の非イオン界面活性剤の成分は、「ポリオキシエチレンラウリルエーテル(9E.O.)」以外のものを含んでおり、また、複数の成分を混合することも排除していないから、ヘモグロビン類測定用試薬において、成分中のオキシエチレン基の平均付加モル数が9であって、アルキル基の炭素数が相違する非イオン界面活性剤がどの程度の効果を有するかを予測することができないという、出願時の技術常識に照らしても、発明の詳細な説明において開示された内容を、請求項1に係る発明の範囲まで、拡張ないし一般化できるとはいえず、本件請求項1に係る発明が、発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえないものであって、訂正前の請求項1に係る発明を引用する訂正前の請求項4に係る発明も発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえないから、特許されるべきものではない旨主張しているが、請求項1は、訂正により削除されたことから、上記理由は解消した。

第7 むすび
以上のとおりであるから、本件発明2及び3は、甲1号証に記載された発明であるから特許法29条1項3号に該当するか、甲1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明2及び3に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものであるか、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
したがって、本件発明2及び3に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
また、本件発明4については、取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由又は特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件発明4に係る特許を取り消すことはできない。さらに、他に本件発明4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、請求項1に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てについて、請求項1に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。

 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この決定に対する訴えは、この決定の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】(削除)
【請求項2】
陽イオン交換液体クロマトグラフィーによりヘモグロビン類を測定するために用いられるヘモグロビン類測定用試薬であって、
溶血試薬であり、
非イオン性界面活性剤を含み、
前記非イオン性界面活性剤が、下記成分A1である、ヘモグロビン類測定用試薬。
成分A1:オキシエチレン基の平均付加モル数が9のポリオキシエチレンラウリルエーテル
【請求項3】
前記非イオン性界面活性剤の含有量が、0.01重量%以上1.0重量%以下である、請求項2に記載のヘモグロビン類測定用試薬。
【請求項4】
赤血球含有検体と、請求項2又は3に記載のヘモグロビン類測定用試薬とを混合して混合液を得る工程と、
前記混合液を陽イオン交換液体クロマトグラフィーにより測定する工程とを備える、ヘモグロビン類の測定方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-10-04 
出願番号 P2020-022225
審決分類 P 1 651・ 121- ZDA (G01N)
P 1 651・ 113- ZDA (G01N)
P 1 651・ 536- ZDA (G01N)
P 1 651・ 537- ZDA (G01N)
最終処分 08   一部取消
特許庁審判長 三崎 仁
特許庁審判官 伊藤 幸仙
福島 浩司
登録日 2020-05-11 
登録番号 6702608
権利者 徳山積水工業株式会社 積水メディカル株式会社
発明の名称 ヘモグロビン類測定用試薬及びヘモグロビン類の測定方法  
代理人 特許業務法人 宮▲崎▼・目次特許事務所  
代理人 特許業務法人 宮▲崎▼・目次特許事務所  
代理人 特許業務法人 宮▲崎▼・目次特許事務所  

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