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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01R
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 H01R
管理番号 1383828
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-04-30 
確定日 2022-05-10 
事件の表示 特願2017− 56446「コネクタの保持構造」拒絶査定不服審判事件〔平成30年10月11日出願公開、特開2018−160355、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
この出願(以下「本願」という。)は、2017年(平成29年) 3月22日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和 2年11月24日付け:拒絶理由通知書
令和 3年 1月26日 :意見書、手続補正書の提出
同年 2月10日付け:拒絶査定
同年 4月30日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
理由1(新規性)本願の請求項1に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

理由2(進歩性)本願の請求項1に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
引用文献1:実願昭59−8526号(実開昭60−123880号)のマイクロフィルム

第3 審判請求時の補正について
1.審判請求時の補正について
令和 3年 4月30日にした手続補正(以下「審判請求時の補正」という。)により、特許請求の範囲の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。

【請求項1】
略鉛直方向に沿って脱着される、それぞれが配線に接続されるとともに略鉛直方向に直交する向きに配列された雌雄一組のコネクタの、少なくとも略鉛直方向に沿って上方に位置する、複数の一方のコネクタを保持可能な保持体であって、車両の内部に配設される保持体を備え、
前記保持体は、前記複数の一方のコネクタの上方に位置する天板部、前記複数の一方のコネクタの側面の一部分のみを覆う側壁部、及び前記複数の一方のコネクタと前記配線との接続位置よりも前記略鉛直方向に沿って下方に位置する湾曲点が生ずるよう前記配線を湾曲させる規制部材を有し、
前記保持体の前記側壁部に覆われない部分は、少なくとも前記複数の一方のコネクタの側面の前記一部分以外の部分を外部に露出させており、
前記雌雄一組のコネクタは、前記車両の車幅方向に沿って配列され、
前記天板部は、配列された前記複数の一方のコネクタを一体として上方より遮蔽している、
コネクタの保持構造。

2.審判請求時の補正前の特許請求の範囲
審判請求時の補正前の特許請求の範囲の記載は、令和 3年 1月26日にした手続補正により補正された特許請求の範囲の記載によって特定される次のとおりである。

【請求項1】
略鉛直方向に沿って脱着される、それぞれが配線に接続された雌雄一組のコネクタの、少なくとも略鉛直方向に沿って上方に位置する一方のコネクタを保持する保持体を備え、
前記保持体は、前記一方のコネクタの上方に位置する天板部、前記一方のコネクタの側面の一部分のみを覆う側壁部、及び前記一方のコネクタと前記配線との接続位置よりも前記略鉛直方向に沿って下方に位置する湾曲点が生ずるよう前記配線を湾曲させる規制部材を有し、
前記保持体の前記側壁部に覆われない部分は、少なくとも前記一方のコネクタの側面の前記一部分以外の部分を外部に露出させている、
コネクタの保持構造。

3.審判請求時の補正の適否
審判請求時の補正によって、請求項1に記載した発明を特定する事項である「雌雄一組のコネクタ」について、「略鉛直方向に直交する向きに配列され」、「前記車両の車幅方向に沿って配列され」たという発明特定事項が追加された。また、「一方のコネクタを保持する」「保持体」について、「複数の一方のコネクタを保持可能な」という発明特定事項が追加され、「保持体」が「有」する「前記一方のコネクタの上方に位置する天板部」について、「前記一方のコネクタ」が「複数」であるという発明特定事項が追加され、「保持体」が「有」する「前記一方のコネクタの側面の一部分のみを覆う側壁部」について、「前記一方のコネクタ」が「複数」であるという発明特定事項が追加され、「保持体」が「有」する「前記一方のコネクタと前記配線との接続位置よりも前記略鉛直方向に沿って下方に位置する湾曲点が生ずるよう前記配線を湾曲させる規制部材」について、「前記一方のコネクタ」が「複数」であるという発明特定事項が追加され、「少なくとも前記一方のコネクタの側面の前記一部分以外の部分を外部に露出させて」いる「前記保持体の前記側壁部に覆われない部分」について、「一方のコネクタ」が「複数」であるという発明特定事項が追加された。
「保持体」について、「車両の内部に配設される」という発明特定事項が追加された。
また、「天板部」について、「配列された前記複数の一方のコネクタを一体として上方より遮蔽している」という発明特定事項が追加されたから、これらの補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものである。

「雌雄一組のコネクタ」が「略鉛直方向に直交する向きに配列され」、「前記車両の車幅方向に沿って配列され」たとする事項は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、「当初明細書等」という。)の段落【0019】及び【図2】に記載された事項である。
また、「保持体」が「複数の一方のコネクタを保持可能」であり、「保持体」が「前記複数の一方のコネクタの上方に位置する天板部、前記複数の一方のコネクタの側面の一部分のみを覆う側壁部、及び前記複数の一方のコネクタと前記配線との接続位置よりも前記略鉛直方向に沿って下方に位置する湾曲点が生ずるよう前記配線を湾曲させる規制部材を有」し、「前記保持体の前記側壁部に覆われない部分」が「少なくとも前記複数の一方のコネクタの側面の前記一部分以外の部分を外部に露出させて」いるとする事項は、当初明細書等の段落【0019】及び【図1】ないし【図3】に記載された事項である。
また、「保持体」が「車両の内部に配設される」とする事項は、当初明細書等の段落【0015】ないし【0017】に記載された事項である。
また、「天板部」が「配列された前記複数の一方のコネクタを一体として上方より遮蔽している」とする事項は、当初明細書等の段落【0020】及び【図1】ないし【図3】に記載された事項であり、新規事項を追加するものではないといえるから、これらの補正は、特許法第17条の2第3項の規定に適合する。

ここで、補正後の請求項1に係る発明は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならないので、以下、検討する。

4.独立特許要件について
4.1.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、審判請求時の補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、上記1.のとおりのものである。

4.2.引用文献、引用発明等
引用文献1には、以下の事項が記載されている。

ア「すなわち、第1図はその一例である。第1図において、1は水温センサで、対象物であるところのエンジンにねじ込み固定されることにより、エンジンの冷却水温度を検知するものである。2はコネクタで、上記水温センサ1の電極1aに装着されることにより、水温センサ1と外部の電気回路からの電線3とを電気的に接続するものである。」(明細書第1頁第16行〜第2頁第3行)

イ「第2図に示すように、コネクタキヤツプ4において、コネクタ2の側部と対応する側壁に該コネクタキヤツプ4の開口部側に伸びる“かまぼこ”形の電線ガイド溝4bを形成する。なお、電線ガイド溝4bにおいて、上記開口部側には切欠き4cを形成する。
したがつて、コネクタキヤツプ4を取り付けるに際し、コネクタ2から導出する電線3を水温センサ1側に曲げておき、そのコネクタ2と電線3とを共に包含するようにコネクタキヤツプ4を取り付ける。このとき、電線3は、電線ガイド溝4bに収まつてコネクタキヤツプ4の開口部側つまり水温センサ1側に導びかれ、切欠き4cから外部へ導出する。」(明細書第4頁第3行〜16行)

ウ「さらに、電線3はコネクタキヤツプ4内において水温センサ1側に曲がつているので、従来のように水が電線3を伝わつてコネクタ2内に浸入してしまうことは全くなく、防水効果の向上が計れる。」(明細書第5頁第8〜12行)

エ「第3図



オ「第4図



カ 摘記事項ア、エ、オから、略鉛直方向に沿って装着される、自動車のエンジンに固定される水温センサ1の電極1aと電線3に接続されるコネクタ2とからなる雌雄一組の接続部品が記載されていると認められ、コネクタ2は、雌雄一組の接続部品の、略鉛直方向に沿って上方に位置すると認められる。

キ 摘記事項エ、オから、コネクタ2は、電線3に接続されていることが看取できる。

ク 摘記事項エ、オから、コネクタキヤツプ4は、コネクタ2の上方に位置する天板部を有することが看取できる。

ケ 摘記事項イ、エ、オから、コネクタキヤツプ4の側壁において切欠き4cが形成された部分は、コネクタ2の側部を覆わないと認められるため、コネクタキヤツプ4の側壁は、コネクタ2の側部の一部分を覆い、コネクタキヤツプ4の側壁に覆われない部分は、コネクタ2の側部の当該一部分以外の部分を外部に露出させていると認められる。

コ 摘記事項イ、エ、オから、コネクタキヤツプ4は、コネクタ2と電線3との接続位置よりも略鉛直方向に沿って下方に位置する湾曲点が生ずるよう電線3を湾曲させる切欠き4cを有すると認められる。

サ 摘記事項エ、オから、天板部は、コネクタ2を上方より遮蔽していることが看取できる。

してみると、上記ア〜オの摘記事項及び上記カ〜サの認定事項から、引用文献1には、次の発明が記載されているものといえる(以下、「引用発明」という。)。

<引用発明>
略鉛直方向に沿って装着される、自動車のエンジンに固定される水温センサ1の電極1aと電線3に接続されるコネクタ2とからなる雌雄一組の接続部品の、略鉛直方向に沿って上方に位置する、コネクタ2を包含するようにコネクタ2に取り付けられるコネクタキヤツプ4を備え、
コネクタキヤツプ4は、コネクタ2の上方に位置する天板部、コネクタ2の側部の一部分のみを覆う側壁、及びコネクタ2と電線3との接続位置よりも略鉛直方向に沿って下方に位置する湾曲点が生ずるよう電線3を湾曲させる切欠き4cを有し、
コネクタキヤツプ4の前記側壁に覆われない部分は、コネクタ2の側部の前記一部分以外の部分を外部に露出させており、
前記天板部は、コネクタ2を上方より遮蔽している、
接続部品の保持構造。

4.3.対比・判断
ア 対比
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「電線3」は、本願発明の「配線」に相当し、引用発明の「略鉛直方向に沿って装着される、自動車のエンジンに固定される水温センサ1の電極1aと電線3に接続されるコネクタ2とからなる雌雄一組の接続部品」は、本願発明の「略鉛直方向に沿って脱着される、それぞれが配線に接続されるとともに略鉛直方向に直交する向きに配列された雌雄一組のコネクタ」との関係において、「略鉛直方向に沿って装着される」「片方が配線に接続される」「雌雄一組のコネクタ」である限りにおいて一致する。
引用発明の「雌雄一組の接続部品の、略鉛直方向に沿って上方に位置する、コネクタ2」は、本願発明の「雌雄一組のコネクタの、少なくとも略鉛直方向に沿って上方に位置する、複数の一方のコネクタ」との関係において、「雌雄一組のコネクタの、少なくとも略鉛直方向に沿って上方に位置する」「一方のコネクタ」である限りにおいて一致する。
引用発明の「コネクタ2を包含するようにコネクタ2に取り付けられるコネクタキヤツプ4」は、本願発明の「複数の一方のコネクタを保持可能な保持体」との関係において、「一方のコネクタを保持可能な保持体」である限りにおいて一致する。
引用発明の「コネクタキヤツプ4」が「自動車のエンジンに固定される水温センサ1の電極1a」に「装着される」「コネクタ2に取り付けられる」ことは、自動車のエンジンが車両の内部に配設されていることが技術常識であるから、自動車のエンジンに固定される水温センサ1の電極1aに装着されるコネクタ2も車両の内部に配設されていると認められるため、本願発明の「保持体」が「車両の内部に配設される」ことに相当する。
引用発明の「コネクタキヤツプ4は、コネクタ2の上方に位置する天板部、コネクタ2の側部の一部分のみを覆う側壁、及びコネクタ2と電線3との接続位置よりも略鉛直方向に沿って下方に位置する湾曲点が生ずるよう電線3を湾曲させる切欠き4cを有」することは、本願発明の「前記保持体は、前記複数の一方のコネクタの上方に位置する天板部、前記複数の一方のコネクタの側面の一部分のみを覆う側壁部、及び前記複数の一方のコネクタと前記配線との接続位置よりも前記略鉛直方向に沿って下方に位置する湾曲点が生ずるよう前記配線を湾曲させる規制部材を有」することとの関係において、「前記保持体は、前記一方のコネクタの上方に位置する天板部、前記一方のコネクタの側面の一部分のみを覆う側壁部、及び前記一方のコネクタと前記配線との接続位置よりも前記略鉛直方向に沿って下方に位置する湾曲点が生ずるよう前記配線を湾曲させる規制部材を有」する限りにおいて一致する。
引用発明の「コネクタキヤツプ4の前記側壁に覆われない部分は、コネクタ2の側部の前記一部分以外の部分を外部に露出させて」いることは、本願発明の「前記保持体の前記側壁部に覆われない部分は、少なくとも前記複数の一方のコネクタの側面の前記一部分以外の部分を外部に露出させて」いることとの関係において、「前記保持体の前記側壁部に覆われない部分は、少なくとも前記一方のコネクタの側面の前記一部分以外の部分を外部に露出させて」いることの限りにおいて一致する。
引用発明の「前記天板部は、コネクタ2を上方より遮蔽している」ことは、本願発明の「前記天板部は、配列された前記複数の一方のコネクタを一体として上方より遮蔽している」こととの関係において、「前記天板部は、一方のコネクタを一体として上方より遮蔽している」限りにおいて一致する。
引用発明の「接続部品の保持構造」は、本願発明の「コネクタの保持構造」に相当する。

してみると、本願発明と引用発明とは、
「略鉛直方向に沿って装着される、片方が配線に接続される雌雄一組のコネクタの、少なくとも略鉛直方向に沿って上方に位置する、一方のコネクタを保持可能な保持体であって、車両の内部に配設される保持体を備え、
前記保持体は、前記一方のコネクタの上方に位置する天板部、前記一方のコネクタの側面の一部分のみを覆う側壁部、及び前記一方のコネクタと前記配線との接続位置よりも前記略鉛直方向に沿って下方に位置する湾曲点が生ずるよう前記配線を湾曲させる規制部材を有し、
前記保持体の前記側壁部に覆われない部分は、少なくとも前記一方のコネクタの側面の前記一部分以外の部分を外部に露出させており、
前記天板部は、前記一方のコネクタを一体として上方より遮蔽している、
コネクタの保持構造。」
である点で一致し、次の点で相違する。

(相違点1)
本願発明の「雌雄一組のコネクタ」は、「略鉛直方向に沿って脱着される」のものであり、「それぞれが配線に接続される」のに対し、引用発明の「自動車のエンジンに固定される水温センサ1の電極1aと電線3に接続されるコネクタ2とからなる雌雄一組の接続部品」は、「略鉛直方向に沿って装着される」ものであり、「コネクタ2」は「電線3に接続される」が、「電極1a」は「電線3に接続され」ない点。
(相違点2)
本願発明の「保持体」は、「略鉛直方向に直交する向きに配列され」、「前記車両の車幅方向に沿って配列され」た「雌雄一組のコネクタの、少なくとも略鉛直方向に沿って上方に位置する、複数の一方のコネクタを保持可能」であり、「前記保持体は、前記複数の一方のコネクタの上方に位置する天板部、前記複数の一方のコネクタの側面の一部分のみを覆う側壁部、及び前記複数の一方のコネクタと前記配線との接続位置よりも前記略鉛直方向に沿って下方に位置する湾曲点が生ずるよう前記配線を湾曲させる規制部材を有」し、「前記保持体の前記側壁部に覆われない部分は、少なくとも前記複数の一方のコネクタの側面の前記一部分以外の部分を外部に露出させており」、「保持体」が「有」する「天板部は、配列された前記複数の一方のコネクタを一体として上方より遮蔽している」のに対し、引用発明の「コネクタキヤツプ4」は、「雌雄一組の接続部品の、略鉛直方向に沿って上方に位置する、コネクタ2を包含するようにコネクタ2に取り付けられ」、「コネクタキヤツプ4は、コネクタ2の上方に位置する天板部、コネクタ2の側部の一部分のみを覆う側壁、及びコネクタ2と電線3との接続位置よりも略鉛直方向に沿って下方に位置する湾曲点が生ずるよう電線3を湾曲させる切欠き4cを有」し、「コネクタキヤツプ4の前記側壁に覆われない部分は、コネクタ2の側部の前記一部分以外の部分を外部に露出させており」、「コネクタキヤツプ4」が「有」する「天板部は、コネクタ2を上方より遮蔽している」点。

イ 当審の判断
事案に鑑みて、上記相違点2について先に検討すると、「保持体」が「略鉛直方向に直交する向きに配列され」、「前記車両の車幅方向に沿って配列され」た「雌雄一組のコネクタの、少なくとも略鉛直方向に沿って上方に位置する、複数の一方のコネクタを保持可能」であり、「前記保持体は、前記複数の一方のコネクタの上方に位置する天板部、前記複数の一方のコネクタの側面の一部分のみを覆う側壁部、及び前記複数の一方のコネクタと前記配線との接続位置よりも前記略鉛直方向に沿って下方に位置する湾曲点が生ずるよう前記配線を湾曲させる規制部材を有」し、「前記保持体の前記側壁部に覆われない部分は、少なくとも前記複数の一方のコネクタの側面の前記一部分以外の部分を外部に露出させており」、「保持体」が「有」する「天板部は、配列された前記複数の一方のコネクタを一体として上方より遮蔽している」という構成は、上記引用文献1には記載されておらず、本願の出願前に周知技術であったとも技術常識であったともいえない。
また、本願の発明の詳細な説明の段落【0035】に「更に、車長方向下方への投影において天板部11により一体として遮蔽される複数の雄コネクタ4は、車幅方向に沿って配列されることから、図4に示すように、車両が車長方向前後に傾斜した場合であっても、雄コネクタ4及び雌コネクタ5が被水する車長方向前後それぞれの傾斜角θをより大きくとることができる。」と記載されるように、「保持体」が「略鉛直方向に直交する向きに配列され」、「前記車両の車幅方向に沿って配列され」た「雌雄一組のコネクタの、少なくとも略鉛直方向に沿って上方に位置する、複数の一方のコネクタを保持可能」であり、「保持体」が「有」する「天板部は、配列された前記複数の一方のコネクタを一体として上方より遮蔽している」という構成により、被水する車長方向前後それぞれの傾斜角θをより大きくとることができるという有利な効果も認められる。
そうすると、本願発明は、相違点1を検討するまでもなく、当業者であっても、引用発明に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

5.小括
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号又は第2項の規定により特許を受けることができない発明ではなく、その他の拒絶理由も発見できないので、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明とはいえないから、審判請求時の補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に適合する。

第4 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明は、「保持体」が「略鉛直方向に直交する向きに配列され」、「前記車両の車幅方向に沿って配列され」た「雌雄一組のコネクタ」を「保持可能」であり、「前記保持体は、前記複数の一方のコネクタの上方に位置する天板部、前記複数の一方のコネクタの側面の一部分のみを覆う側壁部、及び前記複数の一方のコネクタと前記配線との接続位置よりも前記略鉛直方向に沿って下方に位置する湾曲点が生ずるよう前記配線を湾曲させる規制部材を有」し、「前記保持体の前記側壁部に覆われない部分は、少なくとも前記複数の一方のコネクタの側面の前記一部分以外の部分を外部に露出させており」、「保持体」が「有」する「天板部は、配列された前記複数の一方のコネクタを一体として上方より遮蔽している」という発明特定事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1に基いて、容易に発明をすることができたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第5 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-04-20 
出願番号 P2017-056446
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01R)
P 1 8・ 113- WY (H01R)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 間中 耕治
特許庁審判官 内田 博之
段 吉享
発明の名称 コネクタの保持構造  
代理人 太田 知二  
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