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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 H03F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H03F
管理番号 1383913
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-07-19 
確定日 2022-04-19 
事件の表示 特願2018− 69489「増幅回路」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年10月17日出願公開、特開2019−180059、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成30年3月30日を出願日とする出願であって、その手続の経緯の概要は、以下のとおりである。

令和 2年 9月 4日付け 拒絶理由通知
令和 2年11月 9日 意見書、手続補正書の提出
令和 2年12月25日付け 最後の拒絶理由通知
令和 3年 3月 2日 意見書、手続補正書の提出
令和 3年 4月 9日付け 補正の却下の決定、拒絶査定
令和 3年 7月19日 審判請求書、手続補正書の提出


第2 原査定の概要

原査定(令和3年4月9日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。

1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

●理由1(新規性)について
・請求項:1、3
・引用文献等:1

●理由2(進歩性)について
・請求項:1、3
・引用文献等:1

・請求項:2
・引用文献等:1−3

・請求項:4−6
・引用文献等:1、3

・請求項:7
・引用文献等:1−4

<引用文献等一覧>
1.特表2016−530845号公報
2.特開2008−178085号公報
3.特開2013−110588号公報
4.特公昭55−047485号公報

なお、上記「<引用文献等一覧>」の番号は、当審において便宜的に振り直した。


第3 本願発明

本願請求項1−4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」−「本願発明4」という。)は、令和3年7月19日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1−4に記載された事項により特定される、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
高周波信号が入力される入力端子と、
増幅された前記高周波信号を出力する出力端子と、
直流電源電圧を発生する電源に接続される電源端子と、
第1端子、第2端子、および、前記入力端子を介して高周波信号が入力される第1制御端子を有する第1トランジスタと、
前記第2端子と接続された第3端子、増幅された高周波信号を出力する第4端子、および接地された第2制御端子を有し、前記第1トランジスタとカスコード接続された第2トランジスタと、
前記第2制御端子と前記電源端子とを結ぶ第2経路上に直列配置された第1容量素子と、
前記第4端子と前記電源端子とを結ぶ第1経路上に直列配置された、第1スイッチ素子である第1抵抗性素子と、
前記第4端子と前記電源端子とを結ぶ第1経路上に直列配置された第1インダクタンス素子と、
前記第1インダクタンス素子に並列接続された第3抵抗素子と、を備え、
前記第4端子と前記第2制御端子とは、前記第1抵抗性素子、前記第1容量素子、および、前記第1インダクタンス素子を介して接続され、
前記第1抵抗性素子は、前記第1インダクタンス素子と前記第1容量素子との間の前記第1経路上に直列配置されている、
増幅回路。
【請求項2】
さらに、
前記第4端子と前記出力端子との間に直列配置された第2容量素子を備える、
請求項1に記載の増幅回路。
【請求項3】
前記増幅回路が増幅動作する場合、前記第1スイッチ素子は導通状態となり、
前記増幅回路が増幅動作しない場合、前記第1スイッチ素子は非導通状態となる、
請求項1または2に記載の増幅回路。
【請求項4】
さらに、
前記第1経路上および前記第2経路上のいずれかに直列配置された、第2抵抗素子または第2スイッチ素子である第2抵抗性素子を備える、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の増幅回路。」


第4 原査定の理由についての判断

1.引用文献の記載事項及び引用発明

(1)引用文献1について

原査定の拒絶の理由に引用された特表2016−530845号公報(以下、「引用文献1」という。下線は、当審において付与した。)には、次の事項が記載されている。

(ア)「【0023】
[0032] 本開示のいくつかの実施形態は、エンベロープトラッキングアプリケーションに関係することがあり得る。エンベロープトラッキングアプリケーションにおいて、電源電圧Vddは、回路の電力消費を低減する時間とともに変えられることがあり得る。より少ないパワーを使用して、入力信号が処理されるように、時間変化電源電圧は入力信号に対応し得る。エンベロープトラッキング(ET:envelope tracking)を使用する1つの実例のシステムは、無線システムにおける電力増幅器(例えばアンテナに信号を駆動する送信パスにおける電力増幅器)である。」

(イ)「【0028】
[0037] 図3Aは、1つの実施形態による増幅回路における実例の広帯域バイアス回路を示す。この実例は、増幅回路においてカスコードトランジスタ311のゲート上のバイアス電圧を発生するための広帯域バイアス回路のアプリケーションを示す。この実例において、入力信号(IN)は、NMOSトランジスタ312のゲート上で受け取られる。トランジスタ312は、トランジスタ311のソースにドレインを結合する。トランジスタ311のドレインは、インダクタ(L1)310を通して時間変化電源電圧VDD_ETに結合される。出力信号(OUT)は、トランジスタ311のドレインとインダクタL1の端子上で生成される。例えば、VDD_ETはエンベロープトラッキングをインプリメントすることがある。変調された電源電圧は、抵抗器(R1)301、抵抗器(R2)302、キャパシタ(C1)303、およびゲートキャパシタンス(C2)304を含む広帯域バイアス回路によってトランジスタ311のゲートにおいて適切なバイアス電圧に変換される。インダクタ310は、例えば、電源信号からトランジスタ311のドレインにおいて出力を分離し得、出力信号からバイアス回路を分離し得る。図3Bは、図3Aにおける実例の広帯域バイアス回路の周波数レスポンスを示す。レスポンス350は、キャパシタC1のないレスポンスが高い周波数で落ちることを示す。レスポンス351−355は、C1の異なる値についてのレスポンスがより高い周波数でほぼ水平にとどまり減衰しないことを示す。」

(ウ)「【図3A】



図3Aの記載によれば、ソース、ドレイン、および、入力信号が入力されるゲートを有するトランジスタ312と、トランジスタ312のドレインと接続されたソース、出力信号を出力するドレイン、および、ゲートキャパシタンス(C2)304を介して接地されたゲートを有し、トランジスタ312とカスコード接続されたトランジスタ311と、トランジスタ311のゲートと時間変化電源電圧VDD_ETとを結ぶ経路上に直列配置されたキャパシタ(C1)303と、トランジスタ311のドレインと時間変化電源電圧VDD_ETとを結ぶ経路上に直列配置されたインダクタ(L1)310と、を備え、トランジスタ311のドレインとゲートとは、キャパシタ(C1)303、および、インダクタ(L1)310を介して接続されている。

上記(ア)〜(ウ)の記載によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

なお、上記(イ)の「増幅回路」が上記(ア)の「電力増幅器」で用いるものであることは明らかであるから、上記(イ)の「増幅回路」は、上記(ア)の「電力増幅器」で用いるものとして、引用発明の認定を行った。

<引用発明>
「無線システムにおける電力増幅器(例えばアンテナに信号を駆動する送信パスにおける電力増幅器)で用いる増幅回路であり(【0023】、【0028】)、
ソース、ドレイン、および、入力信号が入力されるゲートを有するトランジスタ312と、
トランジスタ312のドレインと接続されたソース、出力信号を出力するドレイン、および、ゲートキャパシタンス(C2)304を介して接地されたゲートを有し、トランジスタ312とカスコード接続されたトランジスタ311と、
トランジスタ311のゲートと時間変化電源電圧VDD_ETとを結ぶ経路上に直列配置されたキャパシタ(C1)303と、トランジスタ311のドレインと時間変化電源電圧VDD_ETとを結ぶ経路上に直列配置されたインダクタ(L1)310と、を備え、
トランジスタ311のドレインとゲートとは、キャパシタ(C1)303、および、インダクタ(L1)310を介して接続されている(【図3A】)、
増幅回路(【0028】)。」


(2)引用文献2について

原査定の拒絶の理由に引用された特開2008−178085号公報(以下、「引用文献2」という。下線は、当審において付与した。)には、次の事項が記載されている。

(エ)「【0021】
本実施形態に係る基本構成は、シリコンRFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)の基本増幅回路としてよく用いられるカスコード接続電界効果トランジスタ(以下、カスコード接続FET;Field Effect Transistorという)の出力端子にインダクタおよび容量で構成されるバンドパスフィルタ(以下、BPF;Band-Pass Filterという)を設ける構成である。このカスコード接続FETのゲート接地型FET部分のドレイン端子とゲート端子間に、抵抗および容量が直列接続された調整回路を挿入する。なお、後述するように調整回路は必ずしも帰還を形成する回路構成に限らないが、以下、帰還を形成する回路構成を中心に説明するため、帰還を形成しない回路構成についても便宜的に帰還回路(帰還抵抗、帰還容量を含む直列回路)と表記する。この帰還回路により、カスコード接続FETの出力インピーダンスまたは出力等価回路定数を調整する。これにより、カスコード接続FETとBPFを用いた増幅器を広帯域に出力整合させる際に、この出力等価回路定数も含めて所望のBPF特性を実現することができる。」

(オ)「【図4】



上記(エ)〜(オ)の記載によれば、引用文献2には、次の技術が記載されている。

「シリコンRFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)の基本増幅回路としてよく用いられるカスコード接続電界効果トランジスタ(以下、カスコード接続FET;Field Effect Transistorという)の出力端子にインダクタおよび容量で構成されるバンドパスフィルタ(以下、BPF;Band-Pass Filterという)を設ける技術。」


(3)引用文献3について

原査定の拒絶の理由に引用された特開2013−110588号公報(以下、「引用文献3」という。下線は、当審において付与した。)には、次の事項が記載されている。

(カ)「【0029】
図2に示したように、本発明の一実施形態にかかる無線通信装置10に含まれるLNA14は、入力端子101と、インダクタ102と、抵抗103と、増幅回路104と、出力端子105と、MOSトランジスタスイッチ106と、ドライバ回路108と、キャパシタC1と、を含んで構成される。増幅回路104は、NチャネルMOSFET111と、インダクタ112、113と、MOSトランジスタスイッチ114、115と、キャパシタC11と、を含んで構成される。」

(キ)「【図2】



上記(カ)〜(キ)の記載によれば、引用文献3には、次の技術が記載されている。

「無線通信装置10に含まれるLNA14の増幅回路104において、MOSトランジスタスイッチ114を設ける技術。」


(4)引用文献4について

原査定の拒絶の理由に引用された特公昭55−047485号公報(以下、「引用文献4」という。下線は、当審において付与した。)には、次の事項が記載されている。

(ク)「以下第3図を参照して本発明を磁気録画再生装置の再生増巾器に適用した一例について説明する。
第3図に於て1は再生用磁気ヘッドを示し、1aはそのコイルである。AMPはその再生増巾器本体を示す。
本発明に於ては、略誘導性又は略容量性のインピーダンスZ1を有する信号源(本例では磁気ヘッド1)よりの信号を増巾する広帯域増巾器AMPに於て、この広帯域増巾器AMPの入力側に、信号源1のインピーダンスZ1と、Qの大なるインピーダンス変成器Tと、インピーダンス変成器Tの2次側に接続されたインピーダンス素子2とによりQの大なる共振回路3を形成し、広帯域増巾器AMPの雑音指数が略最小となるように、広帯域増巾器AMPの入力側より見た共振回路3の共振インピーダンスZ20を最適信号源インピーダンスZ10に接近せしめると共に、共振回路3の共振時に於ける広帯域増巾器AMPの入力インピーダンスZ30を最適信号源インピーダンスZ10より十分小さい値に選定して広帯域増巾器を構成するものである。
更に図示の例について説明する。再生増巾器AMPに於て、AMPl、AMP2及びAMP3は夫々初段、2段、3段目の増巾器である。而して本例では初段の増巾器AMP1に於て、SN比が良く且つ歪なく増巾を行なうようにし、その後段に於て伝送特性の補償を行なうようにした場合である。
インピーダンス変成器Tの1次コイルに、信号源たる磁器ヘッド1のコイル1aを接続する。初段の増巾器AMP1をベース接地の例えばNPN型のトランジスタ4にて構成し、変成器Tの2次コイルの一端を接地すると共に他端をトランジスタ4のエミッタに接続する。又変成器Tの2次コイルの両端にインピーダンス素子としてのコンデンサ2を接続する。
初段の増巾器AMP1に於ては、直流電源+Bよりの電圧を抵抗器RBを通じ、抵抗器5,6にて分圧してトランジスタ4のベースに与えると共に、このベースをコンデンサ7を通じて接地する。
2段目及び3段目の増巾器AMP2,AMP3は夫々例えば電界効果トランジスタ8,9にて構成し、之等電界効果トランジスタ8,9は互いにカスコード接続する。而してトランジスタ4のコレクタをコンデンサ10を通じて電界効果トランジスタ8のゲートに接続する。トランジスタ4のコレクタを抵抗器11及びコイル12よりなる並列回路を通じ、更に抵抗器RBを通じて電源+Bに接続する。この並列回路は高域の伝送特性を補償するためのものである。
電界効果トランジスタ8のゲートを抵抗器13を通じて接地し、そのソースを接地し、ドレインを電界効果トランジスタ9のソースに接続する。この電界効果トランジスタ9のゲートをコンデンサ14を通じて接地すると共に、電界効果トランジスタ8のドレインを抵抗器18を通じて電界効果トランジスタ9のゲートに接続する。又電界効果トランジスタ9のドレインを抵抗器15及びコイル16よりなる並列回路を通じ、更に抵抗器RBを通じて電源+Bに接続する。尚電源+Bは抵抗器RBを通じ、更にコンデンサ17を通じて接地する。」(第3頁左欄第37行目〜第4頁左欄第10行目の記載)

(ケ)「第3図



上記(ク)〜(ケ)の記載によれば、引用文献4には、次の技術が記載されている。

「磁気録画再生装置の再生増巾器において、初段の増巾器AMP1に於ては、直流電源+Bよりの電圧を抵抗器RBを通じ、抵抗器5,6にて分圧してトランジスタ4のベースに与えると共に、このベースをコンデンサ7を通じて接地し、2段目及び3段目の増巾器AMP2,AMP3は夫々例えば電界効果トランジスタ8,9にて構成し、之等電界効果トランジスタ8,9は互いにカスコード接続し、而してトランジスタ4のコレクタをコンデンサ10を通じて電界効果トランジスタ8のゲートに接続し、トランジスタ4のコレクタを抵抗器11及びコイル12よりなる並列回路を通じ、更に抵抗器RBを通じて電源+Bに接続し、この並列回路は高域の伝送特性を補償するためのものであり、電界効果トランジスタ8のゲートを抵抗器13を通じて接地し、そのソースを接地し、ドレインを電界効果トランジスタ9のソースに接続し、この電界効果トランジスタ9のゲートをコンデンサ14を通じて接地すると共に、電界効果トランジスタ8のドレインを抵抗器18を通じて電界効果トランジスタ9のゲートに接続し、又電界効果トランジスタ9のドレインを抵抗器15及びコイル16よりなる並列回路を通じ、更に抵抗器RBを通じて電源+Bに接続する技術。」


2.本願発明1について

(1)本願発明1と引用発明との対比

本願発明1と引用発明とを対比する。

(1−1)本願発明1の『高周波信号が入力される入力端子と、』について

(1−1−1)無線通信の技術常識によれば、無線システムにおける電力増幅器(例えばアンテナに信号を駆動する送信パスにおける電力増幅器)で用いる増幅回路の入力信号は、高周波信号である。

(1−1−2)引用発明の「増幅回路」には、入力信号が入力されており、上記(1−1−1)で言及した事項を踏まえると、『高周波信号が入力される』といえる。

(1−1−3)上記(1−1−2)で言及した事項を踏まえると、本願発明1と引用発明とは『高周波信号が入力される』点で共通する。

(1−1−4)なお、引用発明の「増幅回路」が、本願発明1でいう、高周波信号が入力される『入力端子』を備えている旨は、引用文献1には開示されていない。


(1−2)本願発明1の『増幅された前記高周波信号を出力する出力端子と、』について

(1−2−1)無線通信の技術常識によれば、無線システムにおける電力増幅器(例えばアンテナに信号を駆動する送信パスにおける電力増幅器)で用いる増幅回路の出力信号は、増幅された高周波信号である。

(1−2−2)引用発明の「増幅回路」は、出力信号を出力しており、上記(1−2−1)で言及した事項を踏まえると、『増幅された高周波信号を出力する』といえる。

(1−2−3)上記(1−2−2)で言及した事項を踏まえると、本願発明1と引用発明とは『増幅された前記高周波信号を出力する』点で共通する。

(1−2−4)なお、引用発明の「増幅回路」が、本願発明1でいう、増幅された前記高周波信号を出力する『出力端子』を備えている旨は、引用文献1には開示されていない。


(1−3)本願発明1の『直流電源電圧を発生する電源に接続される電源端子と、』について

(1−3−1)引用発明の「時間変化電源電圧VDD_ET」は、『電源電圧』であるといえるから、本願発明1と引用発明とは『電源電圧』を用いる点で共通する。

(1−3−2)なお、引用発明の「増幅回路」が、本願発明1でいう、『直流電源電圧を発生する電源に接続される電源端子』を備えている旨は、引用文献1には開示されていない。


(1−4)本願発明1の『第1端子、第2端子、および、前記入力端子を介して高周波信号が入力される第1制御端子を有する第1トランジスタと、』について

(1−4−1)引用発明の「トランジスタ312」の「ソース」は、端子であり、第1端子と称することは任意であるから、『第1端子』であるといえる。

(1−4−2)引用発明の「トランジスタ312」の「ドレイン」は、端子であり、第2端子と称することは任意であるから、『第2端子』であるといえる。

(1−4−3)引用発明の「トランジスタ312」の「ゲート」は、入力信号が入力されると共に、トランジスタ312を制御する端子であり、第1制御端子と称することは任意であるから、『信号が入力される第1制御端子』であるといえる。
そして、上記(1−1)で言及した事項を踏まえると、引用発明の「トランジスタ312」の「ゲート」は、『高周波信号が入力される第1制御端子』であるといえる。

(1−4−4)引用発明の「トランジスタ312」は、トランジスタであり、第1トランジスタと称することは任意であるから、『第1トランジスタ』であるといえる。

(1−4−5)上記(1−4−1)〜(1−4−4)で言及した事項を踏まえると、本願発明1と引用発明とは『第1端子、第2端子、および、高周波信号が入力される第1制御端子を有する第1トランジスタ』を備えている点で共通する。

(1−4−6)なお、引用発明において、第1制御端子への高周波信号の入力が『前記入力端子を介して』いることは、引用文献1には開示されていない。


(1−5)本願発明1の『前記第2端子と接続された第3端子、増幅された高周波信号を出力する第4端子、および接地された第2制御端子を有し、前記第1トランジスタとカスコード接続された第2トランジスタと、』について

(1−5−1)引用発明の「トランジスタ311」の「ソース」は、トランジスタ312のドレインと接続された端子であり、第3端子と称することは任意であるから、トランジスタ312のドレインと接続された『第3端子』であるといえる。

(1−5−2)引用発明の「トランジスタ311」の「ドレイン」は、出力信号を出力する端子であり、第4端子と称することは任意であるから、『信号を出力する第4端子』であるといえる。
そして、上記(1−2)で言及した事項を踏まえると、引用発明の「トランジスタ311」の「ドレイン」は、『増幅された高周波信号を出力する第4端子』であるといえる。

(1−5−3)本願発明1の『接地された第2制御端子』とは、本願明細書の【0043】、【0049】によれば、ゲート端子G2(第2制御端子)はキャパシタ12を介して接地されるものである。
一方、引用発明の「トランジスタ311」の「ゲート」は、ゲートキャパシタンス(C2)304を介して接地されるものである。
そうすると、本願発明1の『接地された第2制御端子』と引用発明の「トランジスタ311」の「ゲート」は、いずれもキャパシタを介して接地されるものであるから、引用発明の「トランジスタ311」の「ゲート」は、『接地された』ものであるといえる。
そして、引用発明の「トランジスタ311」の「ゲート」は、トランジスタ311を制御する端子であり、第2制御端子と称することは任意であることを踏まえると、『接地された第2制御端子』であるといえる。

(1−5−4)引用発明の「トランジスタ311」は、トランジスタ312とカスコード接続されたトランジスタであり、第2トランジスタと称することは任意であるから、トランジスタ312と『カスコード接続された第2トランジスタ』であるといえる。

(1−5−5)上記(1−4)、(1−5−1)〜(1−5−4)で言及した事項を踏まえると、引用発明の「増幅回路」は、『前記第2端子と接続された第3端子、増幅された高周波信号を出力する第4端子、および接地された第2制御端子を有し、前記第1トランジスタとカスコード接続された第2トランジスタ』を備えているといえる。


(1−6)本願発明1の『前記第2制御端子と前記電源端子とを結ぶ第2経路上に直列配置された第1容量素子と、』について

(1−6−1)引用発明の「キャパシタ(C1)303」は、トランジスタ311のゲートと時間変化電源電圧VDD_ETとを結ぶ経路を第2経路と称することは任意であるから、トランジスタ311のゲートと時間変化電源電圧VDD_ETとを結ぶ『第2経路上に直列配置された』ものであるといえる。

(1−6−2)引用発明の「キャパシタ(C1)303」は、容量素子であり、第1容量素子と称することは任意であるから、『第1容量素子』であるといえる。

(1−6−3)上記(1−5)、(1−6−1)〜(1−6−2)で言及した事項を踏まえると、引用発明の「増幅回路」は、『第2制御端子』と時間変化電源電圧VDD_ETとを結ぶ『第2経路上に直列配置された第1容量素子』を備えているといえる。

(1−6−4)なお、引用発明において、第2経路が、第2制御端子と『前記電源端子』とを結ぶものである旨は、引用文献1には開示されていない。


(1−7)本願発明1の『前記第4端子と前記電源端子とを結ぶ第1経路上に直列配置された、第1スイッチ素子である第1抵抗性素子と、』について

(1−7−1)引用発明の「増幅回路」が、本願発明1でいう『前記第4端子と前記電源端子とを結ぶ第1経路上に直列配置された、第1スイッチ素子である第1抵抗性素子』を備えている旨は、引用文献1には開示されていない。


(1−8)本願発明1の『前記第4端子と前記電源端子とを結ぶ第1経路上に直列配置された第1インダクタンス素子と、』について

(1−8−1)引用発明の「インダクタ(L1)310」は、トランジスタ311のドレインと時間変化電源電圧VDD_ETとを結ぶ経路を第1経路と称することは任意であるから、トランジスタ311のドレインと時間変化電源電圧VDD_ETとを結ぶ『第1経路上に直列配置された』ものであるといえる。

(1−8−2)引用発明の「インダクタ(L1)310」は、インダクタンス素子であり、第1インダクタンス素子と称することは任意であるから、『第1インダクタンス素子』であるといえる。

(1−8−3)上記(1−5)、(1−8−1)〜(1−8−2)で言及した事項を踏まえると、引用発明の「増幅回路」は、『第4端子』と時間変化電源電圧VDD_ETとを結ぶ『第1経路上に直列配置された第1インダクタンス素子』を備えているといえる。

(1−8−4)なお、引用発明において、第1経路が、第4端子と『前記電源端子』とを結ぶものである旨は、引用文献1には開示されていない。


(1−9)本願発明1の『前記第1インダクタンス素子に並列接続された第3抵抗素子と、を備え、』について

(1−9−1)引用発明の「増幅回路」が、本願発明1でいう『前記第1インダクタンス素子に並列接続された第3抵抗素子』を備えている旨は、引用文献1には開示されていない。


(1−10)本願発明1の『前記第4端子と前記第2制御端子とは、前記第1抵抗性素子、前記第1容量素子、および、前記第1インダクタンス素子を介して接続され、』について

(1−10−1)引用発明の「増幅回路」では、トランジスタ311のドレインとゲートとが、キャパシタ(C1)303、および、インダクタ(L1)310を介して接続されている。

(1−10−2)上記(1−5)、(1−6)、(1−8)、(1−10−1)で言及した事項を踏まえると、引用発明の「増幅回路」では、『第4端子と第2制御端子とは、第1容量素子、および、第1インダクタンス素子を介して接続され』ているといえる。

(1−10−3)なお、引用発明において、第4端子と第2制御端子とが、『前記第1抵抗性素子』を介して接続されている旨は、引用文献1には開示されていない。


(1−11)本願発明1の『前記第1抵抗性素子は、前記第1インダクタンス素子と前記第1容量素子との間の前記第1経路上に直列配置されている、』について

(1−11−1)引用発明の「増幅回路」が、本願発明1でいう『前記第1抵抗性素子は、前記第1インダクタンス素子と前記第1容量素子との間の前記第1経路上に直列配置されている』旨は、引用文献1には開示されていない。


(1−12)本願発明1の『増幅回路。』について

(1−12−1)本願発明1と引用発明とは『増幅回路』である点で共通する。


上記(1−1)〜(1−12)で言及した事項を踏まえると、本願発明1と引用発明とは、次の点で一致する。

<一致点>
「第1端子、第2端子、および、高周波信号が入力される第1制御端子を有する第1トランジスタと、
前記第2端子と接続された第3端子、増幅された高周波信号を出力する第4端子、および接地された第2制御端子を有し、前記第1トランジスタとカスコード接続された第2トランジスタと、
第2経路上に直列配置された第1容量素子と、
第1経路上に直列配置された第1インダクタンス素子と、を備え、
前記第4端子と前記第2制御端子とは、前記第1容量素子、および、前記第1インダクタンス素子を介して接続されている、
増幅回路。」

そして、本願発明1と引用発明とは、次の点で相違する。

<相違点1>
本願発明1では、『高周波信号が入力される入力端子』を備えているのに対し、引用発明では、高周波信号が入力される『入力端子』を備えているのか否かが明らかでない点。
上記に付随して、本願発明1では、第1トランジスタの第1制御端子に、『前記入力端子を介して』高周波信号が入力されるのに対し、引用発明では、トランジスタ312のゲートに、『入力端子を介して』高周波信号が入力されているのか否かが明らかでない点。

<相違点2>
本願発明1では、『増幅された前記高周波信号を出力する出力端子』を備えているのに対し、引用発明では、増幅された前記高周波信号を出力する『出力端子』を備えているのか否かが明らかでない点。

<相違点3>
本願発明1では、『直流電源電圧を発生する電源に接続される電源端子』を備えているのに対し、引用発明では、『直流電源電圧を発生する電源に接続される電源端子』を備えているのか否かが明らかでない点。
上記に付随して、本願発明1では、第1容量素子が、第2制御端子と『前記電源端子』とを結ぶ第2経路上に直列配置されたのに対し、引用発明では、キャパシタ(C1)303が、トランジスタ311のゲートと『電源端子』とを結ぶ経路上に直列配置されたのか否かが明らかでない点。
加えて、本願発明1では、第1インダクタンス素子が、第4端子と『前記電源端子』とを結ぶ第1経路上に直列配置されたのに対し、引用発明では、インダクタ(L1)310が、トランジスタ311のドレインと『電源端子』とを結ぶ経路上に直列配置されたのか否かが明らかでない点。

<相違点4>
本願発明1では、『前記第4端子と前記電源端子とを結ぶ第1経路上に直列配置された、第1スイッチ素子である第1抵抗性素子』を備えているのに対し、引用発明では、そのような『第1スイッチ素子である第1抵抗性素子』を備えていない点。
上記に付随して、本願発明1では、第4端子と第2制御端子とは、『前記第1抵抗性素子』を介して接続されているのに対し、引用発明では、トランジスタ311のドレインとゲートとは、『第1抵抗性素子』を介して接続されていない点。
加えて、本願発明1では、『前記第1抵抗性素子』は、第1インダクタンス素子と第1容量素子との間の第1経路上に直列配置されているのに対し、引用発明では、『前記第1抵抗性素子は、前記第1インダクタンス素子と前記第1容量素子との間の前記第1経路上に直列配置されている』とはされていない点。

<相違点5>
本願発明1では、『前記第1インダクタンス素子に並列接続された第3抵抗素子』を備えているのに対し、引用発明では、そのような『第3抵抗素子』を備えていない点。


(2)新規性についての判断

本願発明1と引用発明とは、上記相違点を有するから、本願発明1は、引用発明ではない。


(3)進歩性についての判断

事案に鑑み、まず相違点4について検討する。

引用文献3には、無線通信装置10に含まれるLNA14の増幅回路104において、MOSトランジスタスイッチ114を設ける技術が記載されているところ、当該「MOSトランジスタスイッチ114」が抵抗成分を有する旨の記載はないから、当該「MOSトランジスタスイッチ114」が、『第1スイッチ素子である第1抵抗性素子』であるとはいえない。
また、引用文献2及び引用文献4にも、『第1スイッチ素子である第1抵抗性素子』は開示されていない。
そして、『前記第4端子と前記電源端子とを結ぶ第1経路上に直列配置された、第1スイッチ素子である第1抵抗性素子』を備えた構成は周知技術であるともいえないから、引用発明において、『前記第4端子と前記電源端子とを結ぶ第1経路上に直列配置された、第1スイッチ素子である第1抵抗性素子』を備えた構成にすることは、当業者が容易に想到しえたものであるとはいえない。

したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明に基いて容易に発明できたものとはいえない。


3.本願発明2−4について

本願発明2−4は、本願発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、本願発明1と同様の理由により、本願発明2−4は、引用発明ではなく、また、当業者であっても、引用発明に基いて容易に発明できたものとはいえない。


第5 結び

以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-03-31 
出願番号 P2018-069489
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H03F)
P 1 8・ 113- WY (H03F)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 伊藤 隆夫
特許庁審判官 福田 正悟
丸山 高政
発明の名称 増幅回路  
代理人 吉川 修一  
代理人 傍島 正朗  
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