• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  B01J
審判 全部申し立て 特29条の2  B01J
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B01J
審判 全部申し立て 2項進歩性  B01J
審判 全部申し立て 特174条1項  B01J
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  B01J
管理番号 1384025
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-05-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-08-12 
確定日 2022-02-10 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6645549号発明「空気浄化装置、空気清浄用のフィルター、水浄化装置及び水浄化用のカートリッジ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6645549号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1〜18について訂正することを認める。 特許第6645549号の請求項1〜18に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第6645549号(以下、「本件特許」という。)の請求項1〜18に係る特許についての出願は、平成24年1月27日(優先権主張 平成23年2月10日)を出願日とする特願2012−15058号の一部を分割し、平成28年6月21日に新たな特許出願とした特願2016−122715号の一部を、さらに新たな特許出願として平成30年9月12日に分割出願したものであって、令和2年1月14日にその特許権の設定登録がされ、令和2年2月14日に特許掲載公報が発行された。その後、本件特許の請求項1〜18に係る特許について、特許異議申立人 真鍋 直樹(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものであり、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和 2年 8月12日 特許異議の申立て
令和 2年12月25日付け 取消理由通知
令和 3年 3月 5日 訂正の請求及び意見書の提出

なお、令和3年3月5日付けの訂正の請求に対して、申立人に期間を指定して意見書を提出する機会を設けたが、指定期間内に意見書は提出されなかった。

第2 訂正の適否について

令和3年3月5日にされた訂正(以下、「本件訂正」という。)は、適法になされたものと判断する。
以下、その理由について詳述する。

1 訂正の内容
本件訂正は、特許法第120条の5第3項の規定にしたがって請求項ごとにされたものであって、その内容(訂正事項)は、次のとおりである(下線部は、訂正箇所を示す。)

(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1〜18の各請求項に
「植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、粟の籾殻若しくは藁、珈琲豆、茶葉、サトウキビ類、トウモロコシ類、果実の皮葦、茎ワカメ、維管束植物、シダ植物、コケ植物、藻類及び海草から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る」
と記載されているのを、
「植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る」
に訂正する。

(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に
「粒径が75μm以上であり、」
と記載されているのを、
「粒径が75μm以上であり、15μm〜2nmの細孔測定領域について水銀圧入法により測定した細孔容積が1.0cm3/グラム以上であり、」
に訂正する。

(3) 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に
「強熱残分の含有率が15質量%以下であり、」
と記載されているのを、
「強熱残分の含有率が15質量%以下であり、15μm〜2nmの細孔測定領域について水銀圧入法により測定した細孔容積が1.0cm3/グラム以上であり、」
に訂正する。

(4) 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5、6、8、9、11、12、14、15、17、18に
「・・・である多孔質炭素材料」
と記載されているのを、
「・・・であり、15μm〜2nmの細孔測定領域について水銀圧入法により測定した細孔容積が1.0cm3/グラム以上である多孔質炭素材料」
に訂正する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1) 訂正事項1について
ア 訂正事項1は、請求項1〜18の各請求項に「植物由来の材料」として択一的に記載されていた発明特定事項のうちの「珈琲豆、茶葉、サトウキビ類、トウモロコシ類、果実の皮葦、茎ワカメ、維管束植物、シダ植物、コケ植物、藻類及び海草」を削除して、「植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る」と特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ また、訂正事項1は、上記のとおり、「植物由来の材料」の択一的に記載されていた発明特定事項のうちの一部を削除するものであるから、願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、新規事項の追加に該当しない。

ウ 更に、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2) 訂正事項2について
ア 訂正事項2は、訂正前の請求項2に係る多孔質炭素材料について、「15μm〜2nmの細孔測定領域について水銀圧入法により測定した細孔容積が1.0cm3/グラム以上」であることを特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 訂正事項2のうち、細孔容積の測定方法については、本件明細書の段落【0043】の『水銀圧入法による細孔の測定は、JIS R1655:2003「ファインセラミックスの水銀圧入法による成形体気孔径分布試験方法」に準拠する。具体的には、水銀ポロシメーター(PASCAL440:Thermo Electron社製)を用いて、水銀圧入法測定を行った。細孔測定領域を15μm〜2nmとした。』との記載に基づくものである。
また、訂正前の請求項2に係る多孔質炭素材料に関して、本件明細書の段落【0036】に「・・・2.実施例1(本発明の第1の態様〜第4の態様に係る汚染物質除去剤、本発明の第1の態様〜第4の態様に係る炭素/ポリマー複合体、本発明の第1の態様〜第4の態様に係る汚染物質除去シート部材及び本発明の第1の態様〜第4の態様に係る濾材)3.実施例2(実施例1の変形)」と記載され、実施例1は、第1の態様〜第4の態様を具体化したものであることが理解でき、同段落【0037】には、「本発明の第1の態様〜第4の態様に係る汚染物質除去剤を総称して、単に、『本発明の汚染物質除去剤』と呼ぶ場合があるし・・・本発明の第1の態様〜第4の態様、第9の態様〜第15の態様に係る濾材を構成する多孔質炭素材料を総称して、『本発明における多孔質炭素材料』と呼ぶ場合がある。」と記載され、訂正前の請求項2に係る多孔質炭素材料は、第1の態様〜第4の態様等によって表現したことがわかる。そして、同段落【0078】には、「本発明の第4の態様に係る汚染物質除去剤あるいは濾材に則って表現すると、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、水銀圧入法による細孔の容積が1.0cm3/グラム以上、粒径が75μm以上である多孔質炭素材料から成る。」と記載されているから、多孔質炭素材料の一態様として、上記測定領域における水銀圧入法による細孔の容積が1.0cm3/グラム以上であることが記載されていると認められる。
そうすると、訂正事項2は、願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、新規事項の追加に該当しない。

ウ 更に、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3) 訂正事項3について
ア 訂正事項3は、訂正前の請求項3に係る多孔質炭素材料について、訂正事項2と同様な訂正をしようとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 訂正事項3は、訂正事項2と同様な特定事項を追加するものであるから、上記(2)イ、ウと同様の理由により、願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、新規事項の追加に該当せず、また、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(4) 訂正事項4について
ア 訂正事項4は、訂正前の請求項5、6、8、9、11、12、14、15、17、18において特定された多孔質炭素材料について、訂正事項2と同様な訂正をしようとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 訂正事項4は、訂正事項2と同様な特定事項を追加するものであるから、上記 (2) イ、ウと同様の理由により、願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、新規事項の追加に該当せず、また、訂正事項4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものに該当し、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものといえる。
よって、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、本件訂正後の請求項1〜18について訂正することを認める。


第3 本件発明

上記「第2」のとおり、本件訂正は適法になされたと認められるので、本件特許の特許請求の範囲の請求項1〜18に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」〜「本件発明18」といい、これらをまとめて「本件発明」という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1〜18に記載された事項により特定される、次のとおりのものである(なお、下線部は、訂正箇所を示す)。

「【請求項1】
植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、非局在化密度汎関数法によって求められた細孔径分布において、3nm乃至20nmの範囲内に少なくとも1つピークを有し、3nm乃至20nmの範囲内に細孔径を有する細孔の容積の合計の占める割合が全細孔の容積総計の0.3以上であり、粒径が75μm以上であり、
植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る多孔質炭素材料。
【請求項2】
植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、非局在化密度汎関数法によって求められた直径1×10-9m乃至5×10-7mの細孔の容積の合計が1.0cm3/グラム以上、粒径が75μm以上であり、15μm〜2nmの細孔測定領域について水銀圧入法により測定した細孔容積が1.0cm3/グラム以上であり、
植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る多孔質炭素材料。
【請求項3】
ケイ素を含有する植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、BJH法による細孔の容積が0.3cm3/グラム以上、粒径が75μm以上、強熱残分の含有率が15質量%以下であり、15μm〜2nmの細孔測定領域について水銀圧入法により測定した細孔容積が1.0cm3/グラム以上であり、
植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る多孔質炭素材料。
【請求項4】
植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、非局在化密度汎関数法によって求められた細孔径分布において、3nm乃至20nmの範囲内に少なくとも1つピークを有し、3nm乃至20nmの範囲内に細孔径を有する細孔の容積の合計の占める割合が全細孔の容積総計の0.3以上であり、粒径が75μm以上である多孔質炭素材料が充填された空気清浄用のフィルターであって、
植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る空気清浄用のフィルター。
【請求項5】
植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、非局在化密度汎関数法によって求められた直径1×10-9m乃至5×10-7mの細孔の容積の合計が1.0cm3/グラム以上、粒径が75μm以上であり、15μm〜2nmの細孔測定領域について水銀圧入法により測定した細孔容積が1.0cm3/グラム以上である多孔質炭素材料が充填された空気清浄用のフィルターであって、
植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る空気清浄用のフィルター。
【請求項6】
ケイ素を含有する植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、BJH法による細孔の容積が0.3cm3/グラム以上、粒径が75μm以上、強熱残分の含有率が15質量%以下であり、15μm〜2nmの細孔測定領域について水銀圧入法により測定した細孔容積が1.0cm3/グラム以上である多孔質炭素材料が充填された空気清浄用のフィルターであって、
植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る空気清浄用のフィルター。
【請求項7】
植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、非局在化密度汎関数法によって求められた細孔径分布において、3nm乃至20nmの範囲内に少なくとも1つピークを有し、3nm乃至20nmの範囲内に細孔径を有する細孔の容積の合計の占める割合が全細孔の容積総計の0.3以上であり、粒径が75μm以上である多孔質炭素材料が充填されたカラム、フィルター又はカートリッジを備えた空気浄化装置であって、
植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る空気浄化装置。
【請求項8】
植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、非局在化密度汎関数法によって求められた直径1×10-9m乃至5×10-7mの細孔の容積の合計が1.0cm3/グラム以上、粒径が75μm以上であり、15μm〜2nmの細孔測定領域について水銀圧入法により測定した細孔容積が1.0cm3/グラム以上である多孔質炭素材料が充填されたカラム、フィルター又はカートリッジを備えた空気浄化装置であって、
植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る空気浄化装置。
【請求項9】
ケイ素を含有する植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、BJH法による細孔の容積が0.3cm3/グラム以上、粒径が75μm以上、強熱残分の含有率が15質量%以下であり、15μm〜2nmの細孔測定領域について水銀圧入法により測定した細孔容積が1.0cm3/グラム以上である多孔質炭素材料が充填されたカラム、フィルター又はカートリッジを備えた空気浄化装置であって、
植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る空気浄化装置。
【請求項10】
植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、非局在化密度汎関数法によって求められた細孔径分布において、3nm乃至20nmの範囲内に少なくとも1つピークを有し、3nm乃至20nmの範囲内に細孔径を有する細孔の容積の合計の占める割合が全細孔の容積総計の0.3以上であり、粒径が75μm以上である多孔質炭素材料が充填された水浄化用のカートリッジであって、
植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る水浄化用のカートリッジ。
【請求項11】
植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、非局在化密度汎関数法によって求められた直径1×10-9m乃至5×10-7mの細孔の容積の合計が1.0cm3/グラム以上、粒径が75μm以上であり、15μm〜2nmの細孔測定領域について水銀圧入法により測定した細孔容積が1.0cm3/グラム以上である多孔質炭素材料が充填された水浄化用のカートリッジであって、
植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る水浄化用のカートリッジ。
【請求項12】
ケイ素を含有する植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、BJH法による細孔の容積が0.3cm3/グラム以上、粒径が75μm以上、強熱残分の含有率が15質量%以下であり、15μm〜2nmの細孔測定領域について水銀圧入法により測定した細孔容積が1.0cm3/グラム以上である多孔質炭素材料が充填された水浄化用のカートリッジであって、
植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る水浄化用のカートリッジ。
【請求項13】
植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、非局在化密度汎関数法によって求められた細孔径分布において、3nm乃至20nmの範囲内に少なくとも1つピークを有し、3nm乃至20nmの範囲内に細孔径を有する細孔の容積の合計の占める割合が全細孔の容積総計の0.3以上であり、粒径が75μm以上である多孔質炭素材料が充填されたカラム又はカートリッジを備えた水浄化装置であって、
植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る水浄化装置。
【請求項14】
植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、非局在化密度汎関数法によって求められた直径1×10-9m乃至5×10-7mの細孔の容積の合計が1.0cm3/グラム以上、粒径が75μm以上であり、15μm〜2nmの細孔測定領域について水銀圧入法により測定した細孔容積が1.0cm3/グラム以上である多孔質炭素材料が充填されたカラム又はカートリッジを備えた水浄化装置であって、
植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る水浄化装置。
【請求項15】
ケイ素を含有する植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、BJH法による細孔の容積が0.3cm3/グラム以上、粒径が75μm以上、強熱残分の含有率が15質量%以下であり、15μm〜2nmの細孔測定領域について水銀圧入法により測定した細孔容積が1.0cm3/グラム以上である多孔質炭素材料が充填されたカラム又はカートリッジを備えた水浄化装置であって、
植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る水浄化装
置。
【請求項16】
植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、非局在化密度汎関数法によって求められた細孔径分布において、3nm乃至20nmの範囲内に少なくとも1つピークを有し、3nm乃至20nmの範囲内に細孔径を有する細孔の容積の合計の占める割合が全細孔の容積総計の0.3以上であり、粒径が75μm以上である多孔質炭素材料、及び、
支持部材、
を備えており、
植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る汚染物質除去シート部材。
【請求項17】
植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、非局在化密度汎関数法によって求められた直径1×10-9m乃至5×10-7mの細孔の容積の合計が1.0cm3/グラム以上、粒径が75μm以上であり、15μm〜2nmの細孔測定領域について水銀圧入法により測定した細孔容積が1.0cm3/グラム以上である多孔質炭素材料、及び、
支持部材、
を備えており、
植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る汚染物質除去シート部材。
【請求項18】
ケイ素を含有する植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、BJH法による細孔の容積が0.3cm3/グラム以上、粒径が75μm以上、強熱残分の含有率が15質量%以下であり、15μm〜2nmの細孔測定領域について水銀圧入法により測定した細孔容積が1.0cm3/グラム以上である多孔質炭素材料、及び、
支持部材、
を備えており、
植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る汚染物質除去シート部材。」


第4 特許異議申立ての理由及び証拠方法について

申立人は、以下のとおり、証拠方法として甲第1号証〜甲第27号証(以下、それぞれ「甲1」〜「甲27」という。)を提出し、本件特許は、申立理由1〜7により取り消すべきものである旨主張している。

1 申立ての理由
(1) 申立理由1(新規性欠如)、申立理由2(進歩性欠如)
ア 本件訂正前の請求項1に係る発明は、甲1又は甲26に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するか、または、甲1又は甲26に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第1項又は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

イ 本件訂正前の請求項2に係る発明は、甲1又は甲2に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するか、または、甲1、甲2、又は甲7に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第1項又は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

ウ 本件訂正前の請求項3に係る発明は、甲1、甲2、甲3、甲4又は甲5に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するか、または、甲1、甲2、甲3、甲4又は甲5に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第1項又は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

エ 本件訂正前の請求項4、7、10、13に係る発明は、甲1又は甲26に記載された発明及び周知技術(甲10、11)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

オ 本件訂正前の請求項5、8、11、14に係る発明は、甲1、甲2、又は甲7に記載された発明及び周知技術(甲10、11)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

カ 本件訂正前の請求項6、9、12、15に係る発明は、甲1、甲2、甲3、甲4又は甲5に記載された発明及び周知技術(甲10、11)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

キ 本件訂正前の請求項16に係る発明は、甲1又は甲26に記載された発明及び甲9に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

ク 本件訂正前の請求項17に係る発明は、甲1、甲2又は甲7に記載された発明及び甲9に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

ケ 本件訂正前の請求項18に係る発明は、甲1、甲2、甲3、甲4又は甲5に記載された発明及び甲9に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(2) 申立理由3(拡大先願)
本件訂正前の請求項2、3、11、12、14、15に係る発明は、本件特許の優先日前の特許出願であって、その優先日後に出願公開がされた甲6に係る特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許の発明者がその優先日前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許の優先日の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないから、その特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものである。

(3) 申立理由4(新規事項)
本件訂正前の請求項1、4、7、10、13、16に係る発明は、願書に
最初に添付された明細書等に記載のなかった事項を含むものであるから、その特許は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものである。

(4) 申立理由5(実施可能要件違反)
本件訂正前の請求項1〜18に係る特許は、発明の詳細な説明の記載が不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

(5) 申立理由6(サポート要件違反)
本件訂正前の請求項1〜18に係る特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

(6) 申立理由7(明確性要件違反)
本件訂正前の請求項1〜18に係る特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

2 証拠方法
甲1:K.Jurewicz et al. " Efficient Capacitor Materials from Active
Carbons Based on Coconut Shell/Melamine Precursors", Energy Fu
els, 2010, 24, 3429-3435
甲2:T.H.Liou et al. "Characteristics of microporous/mesoporous car
bons prepared from rice husk under base- and acid-treated cond
itions", Journal of Hazardous Materials, 171(2009), 693-703
甲3:特開平5−245373号公報
甲4:特開平9−187648号公報
甲5:萩原利哉 他,"廃棄物系木質バイオマスを原料とした活性炭の試作実
験",独立行政法人 東京都立産業技術研究センター研究報告,第5号
(2010年),44-47
甲6:特願2009−252137号(特開2011−93774号公報)
甲7:S.Bashkova et al. "The effects of urea modification and heat
treatment on the process of NO2 removal by wood-based activat
ed carbon", Journal of Colloid and Interface Science,333(2009)
, 97-103
甲8:Deiana et al. " Activated Carbons Obtained from Rice Husk: Inf
luence of Leaching on Textural Parameters", Industrial & Engin
eering Chemistry Research, 2008, 47, 4754-4757
甲9:特開2010−188318号公報
甲10:中野重和,”最近の活性炭をめぐる話題”,生産と技術,Vo1.46
,No.4 (1994年秋号)、15-20
甲11:野崎淳夫 他,”活性炭フィルタの化学物質吸着性能の解明に関す
る研究”,空気調和・衛生工学会大会学術講演論文集,2008,1277
-1280
甲12:熊谷誠治,”熱プロセスを経由するもみ殻の有効利用法”,木質炭
化学会誌,2011,8巻,1号,10-17
甲13:仲井和之,”表面設計基礎講座(第XXI 講)ガス吸着法による細孔
分布測定”,色材,1996,69,(10),708-712
甲14:INTERNATIONAL STANDARD, ISO 15901-2
甲15:野呂純二 他,”比表面積,細孔分布,粒度分布測定”,ぶんせき
,2009,7,349-355
甲16:加藤秋男,”やし油産業の現状と展望”,日本油化学会誌,1997,
第46巻,第10号,1257-1265
甲17:三宅靖人,”植物の特性とケイ酸”,N1ppon Nogeikagaku Kaishi,
1989,Vol.63, No.8, 1386-1390
甲18:高橋英一 他,”植物界におけるケイ酸植物の分布について(その1
)単子葉綱における分布 ケイ酸の比較植物栄養学的研究(第5報
)”,日本土壌肥料科学会誌,1976,第47巻,第7号 ,296-300
甲19:高橋英一 他,”植物界におけるケイ酸植物の分布について(その3
) 裸子植物,羊歯植物,蘇苔植物における分布 ケイ酸の比較植物
栄養学的研究(第7報)”,日本土壌肥料科学会誌,1976,第47巻,
第8号,333-337
甲20:特表2008−535763号公報
甲21:特開2009−226401号公報
甲22:Q.Wang Eds. "Post-combustion Carbon Dioxide Capture Material
s",2018,47-48
甲23:石井龍一 他編,”植物の百科事典”,朝倉書店, 2009年4月25日,
310ページ
甲24:合田公一,“第5章 セルロース・ミクロフィブリルを骨格とする
天然繊維の力学的挙動と強度評価”,セルロースナノファイバー技
術資料集,2016年5月30日,43-45ページ
甲25:山口達明 他,”アルカリ賦活法によるチオリグニンおよびKP黒
液を原料とする活性炭の製造”,日本化学会誌,1993,(3),271-2
77
甲26:T J.Bandosz et al. "On the reactive adsorption of ammonia on
activated carbons modified by impregnation with inorganic co
mpounds", Journal of Colloid and Interface Science, 2009,33
8, 329-345
甲27:特開2001−152025号公報


第5 取消理由通知に記載した取消理由について

当審において通知した令和2年12月25日付けの取消理由通知における取消理由の概要は、以下のとおりである。

1 取消理由
(1) 取消理由1(新規性欠如)、取消理由2(進歩性欠如)
ア 甲1を主たる証拠とした進歩性欠如
本件訂正前の請求項1〜18に係る発明は、甲1に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

イ 甲2を主たる証拠とした進歩性欠如
本件訂正前の請求項2、3、5、6、8、9、11、12、14、15、17、18に係る発明は、甲2に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

ウ 甲3を主たる証拠とした新規性進歩性欠如
(ア)本件訂正前の請求項3に係る発明は、甲3に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、その特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

(イ)本件訂正前の請求項6、9、12、15、18に係る発明は、甲3に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

エ 甲4を主たる証拠とした進歩性欠如
本件訂正前の請求項3、6、9、12、15、18に係る発明は、甲4に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

オ 甲5を主たる証拠とした新規性進歩性欠如
(ア)本件訂正前の請求項3に係る発明は、甲5に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するか、または、甲5に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第1項又は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(イ)本件訂正前の請求項6、9、12、15、18に係る発明は、甲5に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

カ 甲7を主たる証拠とした進歩性欠如
本件訂正前の請求項2、5、8、11、14、17に係る発明は、甲7に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

キ 甲26を主たる証拠とした新規性進歩性欠如
(ア)本件訂正前の請求項1に係る発明は、甲26に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、その特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
(イ)本件訂正前の請求項4、7、10、13、16に係る発明は、甲26に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(2) 取消理由3(拡大先願)
本件訂正前の請求項2、3に係る発明は、本件特許の優先日前の特許出願であって、その優先日後に出願公開がされた甲6に係る特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許の発明者がその優先日前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許の優先日の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないから、その特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものである。

(3) 取消理由4(サポート要件違反)、取消理由6(実施可能要件違反)
本件訂正前の請求項2、5、8、11、14、17に係る発明は、「非局在化密度汎関数法によって求められた直径1×10-9m乃至5×10-7mの細孔の容積の合計が1.0cm3/グラム以上」を、訂正前の請求項3、6、9、12、15、18に係る発明は、「BJH法による細孔の容積が0.3cm3/グラム以上」をそれぞれ発明特定事項とし、これらの発明特定事項を充足する実施例は、本件明細書に記載の発明の課題を達成できると認められる。
しかし、本件明細書の発明の詳細な説明において、上記各発明特定事項を充足する実施例の多孔質炭素材料は、ケイ素の含有量が非常に多いと認められる籾殻を原料としたもののみであるから、籾殻以外の材料について特定された訂正前の上記各請求項に係る発明は、当該発明の課題を達成できるとはいえず、また、発明の詳細な説明は、当該発明を当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものであるとはいえない。
したがって、本件特許は、特許法第36条第6項第1号及び特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願についてされたものである。

(4) 取消理由5(明確性要件違反)
訂正前の請求項1〜18に係る発明において、「果実の皮葦」が特定されているが、「皮葦」の技術的意味が不明確であるから、本件特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

2 証拠方法
(上記「第4 2 証拠方法」 参照)

第6 当審の判断

1 取消理由についての判断
(1) 取消理由1(新規性欠如)、取消理由2(進歩性欠如)について
(1-1) 各証拠に記載された発明
ア 甲1に記載された発明
甲1には、ココナッツ殻を原料とした活性炭が記載されている( 2.Experimental Section の欄を特に参照)。
サンプル「CKMO9」について着目すると、BET法による比表面積は、3338m2/gであり、密度汎関数法( density-functional theory ( DFT ) method )を用いて決定した全細孔容積は2.621cm3/g、メソ孔容積は、2.410cm3/gである( Table 1 )。 また、Figure.3 を参照すると、密度汎関数法によって求められた細孔径分布において、3nm乃至5nmの範囲内にピークが存在すると認められる。
そうすると、甲1には、
「ココナッツ殻を原料とし、BET法による比表面積が3338m2/g、密度汎関数法により求められた細孔径分布において、3nm乃至5nmの範囲内にピークが存在し、密度汎関数法により決定した全細孔容積が2.621cm3/g、メソ孔容積が2.410cm3/gである活性炭。」の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。

イ 甲2に記載された発明
甲2には、籾殻を原料としたマイクロポーラス/メソポーラス炭素が記載されている(2.Experimental、3.Results and discussion 「3.1. Analysis of organic elements and metallic impurities」の欄 参照)。
500℃でH3PO4賦活し酸と塩基で処理したサンプルに着目すると、窒素BET法による比表面積が1741m2/g、ミクロ孔容積が0.286cm3/g、メソ孔容積が0.672cm3/g、総細孔容積が1.315cm3/gであり、強熱残分は3.16wt%である(Table1,3)。
そうすると、甲2には、
「籾殻を原料とし、窒素BET法による比表面積が1741m2/g、ミクロ孔容積が0.286cm3/g、メソ孔容積が0.672cm3/g、総細孔容積が1.315cm3/gである、マイクロポーラス/メソポーラス炭素」
の発明(以下、「甲2−1発明」という。)及び、
「籾殻を原料とし、窒素BET法による比表面積は1741m2/g、ミクロ孔容積0.286cm3/g、メソ孔容積0.672cm3/g、総細孔容積1.315cm3/gであり、強熱残分は3.16wt%である、マイクロポーラス/メソポーラス炭素」
の発明(以下、「甲2−2発明」という。)が記載されていると認められる。

ウ 甲3に記載された発明
甲3に記載の実施例6に着目すると(段落【0031】、【0032】、【0042】、表2)、甲3には、比表面積が1500m2/g、細孔容積が1.3ml/g、平均細孔直径が3.5nm、灰分が2重量%、100〜40メッシュの木質系の活性炭が記載されている。
そうすると、甲3には、
「比表面積が1500m2/g、細孔容積が1.3ml/g、平均細孔直径が3.5nm、灰分が2重量%、100〜40メッシュの木質系活性炭」
の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。

エ 甲4に記載された発明
甲4に記載された活性炭種類「(C)」に着目すると(段落【0007】、【0014】、【0015】、【0021】、表1)、甲4には、原料炭がヤシ殻炭であり、比表面積が1720m2/g、細孔容積0.87cc/g、10−300Å細孔容積が0.59cc/g、強熱残分が1.6%である活性炭が記載されている。
そうすると、甲4には、
「ヤシガラを原料とし、窒素BET法による比表面積が1720m2/g、細孔容積0.87cc/g、10−300Å細孔容積が0.59cc/g、強熱残分が1.6%である活性炭」
の発明(以下、「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。

オ 甲5に記載された発明
甲5に記載された「A配合活性炭」に着目すると、A配合活性炭は、木部と樹皮を3:1の混合比で混合した原料をペレットとして、炭化処理して目開きφ2mmの篩を用いて分級し、篩上に残ったペレット状炭化物を賦活処理したものである。
A配合活性炭は、BET比表面積が700m2/g程度であり、BJH法により算出したメソ孔容積が約0.38cm3/gである。
そうすると、甲5には、
「木部と樹皮を原料とし、BET比表面積が700m2/g程度、BJH法によるメソ孔容積が0.38cm3/gである活性炭」
の発明(以下、「甲5発明」という。)が記載されていると認められる。

カ 甲7に記載された発明
甲7に記載された木質活性炭「B」(Table 2)について着目すると、活性炭Bは、比表面積が2116m2/g、全細孔容積が1.23cm3/g、マイクロ孔容積が0.50cm3/g、メソ孔容積が0.73cm3/g、1nm未満の細孔容積が0.12cm3/gであることが記載されている。また、比表面積はBET法を用い、全細孔容積などの細孔容積はDFTにより算出したことが記載されている。
そうすると、甲7には、
「BET比表面積が2116m2/g程度、DFT法により算出された、全細孔容積が1.23cm3/g、マイクロ孔容積が0.50cm3/g、メソ孔容積が0.73cm3/g、1nm未満の細孔容積が0.12cm3/gである、木質活性炭」
の発明(以下、「甲7発明」という。)が記載されていると認められる。

キ 甲26に記載された発明
甲26に記載された木質活性炭「BAX−1500」(W)に着目すると、活性炭Wは、BET比表面積が2176m2/g、全細孔容積は1.519cm3/gである(Table 1)。また、活性炭Wは、DFT法により求めた細孔径分布において、30Å及び90Å付近にピークが認められる(2.2.4 Sorption of nitrogen, Fig.3,4)。30Å乃至200Åの細孔容積は、図から判断すると全細孔容積の約50%である(Fig.3,4)。
そうすると、甲26には、
「比表面積が1519m2/g、全細孔容積が1.519cm3/g、DFT法により求められた細孔径分布において、30Å及び90Å付近にピークが存在し、30Å乃至200Åの細孔容積は全細孔容積の約50%である、木質系活性炭」
の発明(以下、「甲26発明」という。)が記載されていると認められる。

ク 甲9の記載事項
繊維シート間に活性炭を接着固定した濾材からなる空気浄化用フィルタが記載されている(【請求項1】)。また、粒状活性炭として、平均100〜600μmであることが好ましいことが記載されている(段落【0018】)。

ケ 甲10の記載事項
活性炭を空気浄化や浄水に用いることが記載されている。

コ 甲11の記載事項
「1.はじめに」の欄に、ペレット状活性炭フィルタを空気浄化に用いることが記載されている。

サ 甲19の記載事項
ヒノキやマツ等がケイ素を含有することが記載されている。

シ 甲20の記載事項
ヤシ殻由来の活性炭は、シリケートを含有することが記載されている(段落【0170】)。

ス 甲21の記載事項
樹皮由来の活性炭原料は、木部を主原料とするペレットより灰分が多く、樹皮由来の炭化材料(BPC)は、灰分量が12〜26%程度であることが記載されている(段落【0029】、【0034】)。

セ 甲22の記載事項
micromeritics社の装置ではQSDFT法は利用できないこと、及びN2の吸着測定による細孔特性の評価には、NLDFT法(非局在化密度汎関数法)が広く用いられていることが記載されている。

ソ 甲23の記載事項
維管束植物は、維管束をもつ、コケ植物以外の陸上植物であることが記載されている。

タ 甲27の記載事項
BAX1500は、活性炭ペレットであり、直径2mmであることが記載されている(段落【0034】、【0037】)。

なお、上記ク〜タに係る甲9〜甲27は、周知技術を示す文献として引用したものであって、下記(1-2)の判断に影響を及ぼすものではない。

(1-2) 本件発明と各証拠に記載された発明との対比・判断
上記「第5 1(1)」の「ウ(ア)」及び「キ(ア)」では、新規性欠如の
み指摘しているが、以下では、これらについて進歩性欠如の有無についても
併せて検討する。

ア 甲1を主たる証拠とした進歩性欠如
(ア)本件発明1について
本件発明1と甲1発明とを対比すると、原料として、本件発明1は、「植物由来の材料」、すなわち、「稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る」もの(以下、「稲の籾殻等」という場合がある。)を発明特定事項としているのに対して、甲1発明は、ココナッツ殻を原料とすることを規定している点で少なくとも相違している。
この相違点について検討すると、甲1の記載をみても、ココナッツ殻を原料とする甲1発明に係る活性炭が、本件発明1に係る稲の籾殻等を原料とする多孔質炭素材料と同じ物性及び細孔構造を有しているという根拠は見出せないから、当該相違点は実質的な相違点であり、また、甲1発明において、稲の籾殻等を採用することが当業者にとって容易であるというに足りる根拠も見当たらない。
したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(イ)本件発明2〜18について
本件発明2〜18は、植物由来の材料について、本件発明1と同一の発明特定事項を具備するものである。
そうすると、本件発明2〜18と甲1発明とをそれぞれ対比すると、本件の各発明と甲1発明とは、上記(ア)と同じ相違点を有するものであり、この相違点についての判断も上記(ア)の判断と同様である。
したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明2〜18は、甲1に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

イ 甲2を主たる証拠とした進歩性欠如
(ア)本件発明2について
本件発明2と甲2−1発明とを対比すると、本件発明2は「15μm〜2nmの細孔測定領域について水銀圧入法により測定した細孔容積が1.0cm3/グラム以上である」ことを発明特定事項としているのに対して、甲2−1発明は、当該細孔容積について規定されていない点で少なくとも相違している。
この相違点について検討すると、甲2の記載をみても、甲2−1発明に係
るマイクロポーラス/メソポーラス炭素が、上記細孔容積が1.0cm3
/グラム以上であることを示唆しているとまではいえないから、この相違点
は実質的な相違点であり、また、当該細孔容積を、他の細孔特性を維持しつ
つ1.0cm3/グラム以上の範囲に調製することが当業者にとって容易
であるともいえない。
したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明2は
、甲2に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をするこ
とができたとはいえない。

(イ)本件発明3について
本件発明3と甲2−2発明とを対比すると、本件発明3は「15μm〜2
nmの細孔測定領域について水銀圧入法により測定した細孔容積が1.0c
m3/グラム以上である」ことを発明特定事項としているのに対して、甲2−2発明は、当該細孔容積について規定されていない点で少なくとも相違している。
この相違点について検討すると、甲2の記載をみても、甲2−2発明に係
るマイクロポーラス/メソポーラス炭素が、上記細孔容積が1.0cm3
/グラム以上であることを示唆しているとまではいえないから、この相違点
は実質的な相違点であり、また、当該細孔容積を、他の細孔特性を維持しつ
つ1.0cm3/グラム以上の範囲に調製することが当業者にとって容易
であるともいえない。
したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明3は
、甲2に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をするこ
とができたとはいえない。

(ウ)本件発明5、6、8、9、11、12、14、15、17、18につ
いて
本件発明5、6、8、9、11、12、14、15、17、18は、水銀
圧入法により測定した細孔容積について、本件発明2、3と同一の発明特定
事項を具備するものである。
そうすると、本件発明5、8、11、14、17と甲2−1発明とを、本件発明6、9、12、15、18と甲2−2発明とを、それぞれ対比すると、本件の各発明と甲2−1発明又は甲2−2発明とは、上記(ア)、(イ)と同じ相違点を有するものであり、この相違点についての判断も上記(ア)、(イ)の判断と同様である。
したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明5、
6、8、9、11、12、14、15、17、18は、甲2に記載された発
明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえな
い。

ウ 甲3を主たる証拠とした新規性進歩性欠如
(ア)本件発明3について
本件発明3と甲3発明とを対比すると、本件発明3の原料は、「稲の籾殻等」であるのに対して、甲3発明の原料は、木質系である点で少なくとも相違している。
この相違点について検討すると、甲3の記載をみても、原料を木質系とした甲3発明に係る活性炭が、本件発明3に係る稲の籾殻等を原料とする多孔質炭素材料と同じ物性及び細孔構造を有しているという根拠は見出せないから、当該相違点は実質的な相違点であり、また、甲3発明において、稲の籾殻等を採用することが当業者にとって容易であるともいえない。
したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明3は、甲3に記載された発明であるとはいえず、また、甲3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたともいえない。

(イ)本件発明6、9、12、15、18について
本件発明6、9、12、15、18は、植物由来の材料について、本件発明3と同一の発明特定事項を具備するものである。
そうすると、本件発明6、9、12、15、18と甲2発明とをそれぞれ対比すると、本件の各発明と甲2発明とは、上記(ア)と同じ相違点を有するものであり、この相違点についての判断も上記(ア)の判断と同様である。
したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明6、9、12、15、18は、甲3に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

エ 甲4を主たる証拠とした進歩性欠如
(ア)本件発明3について
本件発明3と甲4発明とを対比すると、本件発明3の原料は、「稲の籾殻等」であるのに対して、甲4発明の原料は、ヤシガラである点で少なくとも相違している。
この相違点について検討すると、甲4の記載をみても、原料がヤシガラである甲4発明に係る活性炭が、本件発明3に係る稲の籾殻等を原料とする多孔質炭素材料と同じ物性及び細孔構造を有しているという根拠は見出せないから、当該相違点は実質的な相違点であり、また、甲4発明において、稲の籾殻等を採用することが当業者にとって容易であるともいえない。
したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明3は、甲4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(イ)本件発明6、9、12、15、18について
本件発明6、9、12、15、18は、植物由来の材料について、本件発明3と同一の発明特定事項を具備するものである。
そうすると、本件発明6、9、12、15、18と甲4発明とをそれぞれ対比すると、各発明と甲4発明とは、上記(ア)と同じ相違点を有するものであり、この相違点についての判断も上記(ア)の判断と同様である。
したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明6、9、12、15、18は、甲4に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

オ 甲5を主たる証拠とした新規性進歩性欠如
(ア)本件発明3について
本件発明3と甲5発明とを対比すると、本件発明3の原料は、「稲の籾殻等」であるのに対して、甲5発明は、木部と樹皮が原料である点で少なくとも相違している。
この相違点について検討すると、甲5の記載をみても、原料が木部及び樹皮である甲5発明に係る活性炭が、本件発明3に係る稲の籾殻等を原料とする多孔質炭素材料と同じ物性及び細孔構造を有しているという根拠は見出せないから、当該相違点は実質的な相違点であり、また、甲5発明において、稲の籾殻等を採用することが当業者にとって容易であるともいえない。
したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明3は、甲5に記載された発明であるとはいえず、また、甲5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(イ)本件発明6、9、12、15、18について
本件発明6、9、12、15、18は、植物由来の材料について、本件発明3と同一の発明特定事項を具備するものである。
そうすると、本件発明6、9、12、15、18と甲5発明とをそれぞれ対比すると、各発明と甲5発明とは、上記(ア)と同じ相違点を有するものであり、この相違点についての判断も上記(ア)の判断と同様である。
したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明6、9、12、15、18は、甲5に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

カ 甲7を主たる証拠とした新規性進歩性欠如
(ア)本件発明2について
本件発明2と甲7発明とを対比すると、本件発明2の原料は、「稲の籾殻等」であるのに対して、甲7発明の原料は、木質である点で少なくとも相違している。
この相違点について検討すると、甲7の記載をみても、原料が木質である甲7発明に係る活性炭が、本件発明2に係る稲の籾殻等を原料とする多孔質炭素材料と同じ物性及び細孔構造を有しているという根拠は見出せないから、当該相違点は実質的な相違点であり、また、甲7発明において、稲の籾殻等を採用することが当業者にとって容易であるともいえない。
したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明2は、甲7に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(イ)本件発明5、8、11、14、17について
本件発明5、8、11、14、17は、植物由来の材料について、本件発明2と同一の発明特定事項を具備するものである。
そうすると、本件発明5、8、11、14、17と甲7発明とをそれぞれ対比すると、各発明と甲7発明とは、上記(ア)と同じ相違点を有するものであり、この相違点についての判断も上記(ア)の判断と同様である。
したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明5、8、11、14、17は、甲7に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

キ 甲26を主たる証拠とした新規性進歩性欠如
(ア)本件発明1について
本件発明1と甲26発明とを対比すると、本件発明1の原料は、「稲の籾殻等」であるのに対して、甲26発明の原料は、木質系である点で少なくとも相違している。
この相違点について検討すると、甲26の記載をみても、木質系を原料とした甲26発明に係る活性炭が、本件発明1に係る稲の籾殻等を原料とする多孔質炭素材料と同じ物性及び細孔構造を有しているという根拠は見出せないから、当該相違点は実質的な相違点であり、また、甲26発明において、稲の籾殻等を採用することが当業者にとって容易であるともいえない。
したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲26に記載された発明であるとはいえず、また、甲26に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたともいえない。

(イ)本件発明4、7、10、13、16について
本件発明4、7、10、13、16は、植物由来の材料について、本件発明1と同一の発明特定事項を具備するものである。
そうすると、本件発明4、7、10、13、16と甲26発明とをそれぞれ対比すると、各発明と甲26発明とは、上記(ア)と同じ相違点を有するものであり、この相違点についての判断も上記(ア)の判断と同様である。
したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明4、7、10、13、16は、甲26に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(1-3) 小括
以上のとおりであるから、取消理由1、2は、理由がない。

(2) 取消理由3(拡大先願)について
ア 甲6に係る特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「先願明細書等」という。)に記載された発明
先願明細書等に記載された実施例9に着目すると(段落【0049】、【0116】、【0121】、表4)、生籾殻を原料とした実施例9の活性炭は、BET比表面積が1290m2/g、全細孔容積が1.101cm3/g、メソ孔容積が0.514cm3/g、マクロ孔容積が0.180cm3/gであり、灰分は8.6質量%である。
そうすると、先願明細書等には、
「生籾殻を原料とし、BET比表面積が1290m2/g、全細孔容積が1.101cm3/g、メソ孔容積が0.514cm3/g、マクロ孔容積が0.180cm3/gである、活性炭。」
の発明(以下、「甲6−1発明」という。)、
及び
「生籾殻を原料とし、BET比表面積が1290m2/g、全細孔容積が1.101cm3/g、メソ孔容積が0.514cm3/g、マクロ孔容積が0.180cm3/g、灰分が8.6質量%である、活性炭。」
の発明(以下、「甲6−2発明」という。)が記載されていると認められる。

イ 甲6発明との対比・判断
(ア)本件発明2について
本件発明2と甲6―1発明とを対比すると、本件発明2は「15μm〜2nmの細孔測定領域について水銀圧入法により測定した細孔容積が1.0cm3/グラム以上」であることを発明特定事項としているのに対して、甲6−1発明は、当該細孔容積について規定されていない点で少なくとも相違している。
この相違点について検討すると、先願明細書等の記載をみても、甲6−1発明に係る活性炭が、上記細孔容積が1.0cm3/グラム以上であるとはいえないから、当該相違点は、実質的な相違点であるし、また、課題解決のための具体化手段における微差程度のものであるともいえない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明2は、先願明細書等に記載された発明と同一であるとはいえない。

(イ)本件発明3について
本件発明3と甲6―2発明とを対比すると、本件発明3は「15μm〜2nmの細孔測定領域について水銀圧入法により測定した細孔容積が1.0cm3/グラム以上」であることを発明特定事項としているのに対して、甲6−2発明は、当該細孔容積について規定されていない点で少なくとも相違している。
この相違点について検討すると、先願明細書等の記載をみても、甲6−2発明に係る活性炭が、上記細孔容積が1.0cm3/グラム以上であるとはいえないから、当該相違点は、実質的な相違点であるし、また、課題解決のための具体化手段における微差程度のものであるともいえない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明3は、先願明細書等に記載された発明と同一であるとはいえない。

ウ 小括
以上のとおりであるから、取消理由3には理由がない。

(3) 取消理由4(サポート要件違反)、取消理由6(実施可能要件違反)について
本件訂正により、本件発明2、3、5、6、8、9、11、12、14、15、17、18において、原料である「植物由来の材料」は、「稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料」であることが特定された。
そして、本件発明に係る多孔質炭素材料に関して、本件明細書に以下の記載がある。
「【0049】
本発明における多孔質炭素材料の原料を、ケイ素(Si)を含有する植物由来の材料とする場合 ・・・ 多孔質炭素材料における強熱残分(残留灰分)の含有率は15質量%以下であることが望ましい。また、次に述べる多孔質炭素材料前駆体あるいは炭素質物質における強熱残分(残留灰分)の含有率は20質量%以上であることが望ましい。ここで、強熱残分(残留灰分)は、120゜Cで12時間、乾燥させた試料を空気(ドライエアー)中で800゜Cまで加熱したときに残される物質の質量%を指し、具体的には、熱重量測定法(TG)法に基づき測定することができる。」
「【0055】
多孔質炭素材料の製造方法にあっては、酸又はアルカリでの処理によって、炭素化後の植物由来の材料中のケイ素成分を除去する。ここで、ケイ素成分として、二酸化ケイ素や酸化ケイ素、酸化ケイ素塩といったケイ素酸化物を挙げることができる。このように、炭素化後の植物由来の材料中のケイ素成分を除去することで、高い比表面積を有する多孔質炭素材料を得ることができる。場合によっては、ドライエッチング法に基づき、炭素化後の植物由来の材料中のケイ素成分を除去してもよい。また、例えば、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸に浸漬することで、炭素化後の植物由来の材料中に含まれるミネラル成分を除去することが可能である。」
「【0079】
尚、BJH法による細孔(メソ細孔)、MP法による細孔(マイクロ細孔)、及び、水銀圧入法による細孔は、少なくとも、ケイ素を含有する植物由来の材料からのケイ素の除去によって得られる。 ・・・」
「【0080】
実施例1にあっては、多孔質炭素材料の原料である植物由来の材料を米(稲)の籾殻とした。そして、実施例1における多孔質炭素材料は、原料としての籾殻を炭素化して炭素質物質(多孔質炭素材料前駆体)に変換し、次いで、酸処理を施すことで得られる。 ・・・」
本件明細書の上記の記載によると、本件発明の多孔質炭素材料は、米(稲)の籾殻のような材料中にケイ素含有割合の高い植物由来の材料を用いて、炭素化後の材料のケイ素成分を除去することによって、製造することができることが理解できる。
そうすると、本件明細書の発明の詳細な説明の記載に基づいて、当業者は、米(稲)の籾殻と同様に、ケイ素含有量の割合の高いイネ科の材料である籾又は藁により本件発明の課題を解決することができると認識することができるといえる。また、このような発明の詳細な説明の記載によれば、当業者において本件発明を過度の試行錯誤を要することなく実施することができるから、発明の詳細な説明は当業者が本件発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されているといえる。
したがって、取消理由4、6は理由がない。

(4) 取消理由5(明確性要件違反)について
本件訂正により「植物由来の材料」が「稲の籾殻」等に限定されたことに伴って、本件発明1〜18の「皮葦」の記載は削除されたから、取消理由5は理由がない。

2 取消理由において採用しなかった申立理由についての判断
(1) 申立理由1(新規性欠如)、申立理由2(進歩性欠如)について
以下、取消理由に採用しなかった申立理由1、2について検討する。

ア 甲1を主たる証拠とした新規性欠如
本件発明1〜3についてみると、上記「1(1)(1-2)ア(ア)、(イ)」で検討したとおり、本件発明1〜3と甲1発明とは実質的な相違点を有するから、本件発明1〜3は、甲1に記載された発明とはいえない。

イ 甲2を主たる証拠とした新規性欠如
本件発明2、3についてみると、上記「1(1)(1-2)イ(ア)(イ)」で検討したとおり、本件発明2、3と甲2発明とは実質的な相違点を有するから、本件発明2、3は、甲2に記載された発明とはいえない。

ウ 甲3を主たる根拠とした進歩性欠如
本件発明3についてみると、上記「1(1)(1-2)ウ(ア)」で検討したとおりであるから、本件発明3は、甲3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

エ 甲4を主たる証拠とした新規性欠如
本件発明3についてみると、上記「1(1)(1-2)エ(ア)」で検討したとおり、本件発明3と甲4発明とは実質的な相違点を有するから、本件発明3は、甲4に記載された発明とはいえない。

オ 甲26を主たる証拠とした進歩性欠如
本件発明1についてみると、上記「1(1)(1-2)キ(ア)」で検討したとおりであるから、本件発明1は、甲26に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

カ 小括
以上のとおりであるから、取消理由において採用しなかった申立理由1、2は、理由がない。
なお、取消理由に採用しなかった証拠方法は、申立人が、周知技術又は技術常識を示す文献として提示したものであり、取消理由1、2及び申立理由1、2の判断に影響を及ぼすほどのものとは認められない。

(2) 申立理由3(拡大先願)について
申立人は、取消理由3で対象とした訂正前の請求項2、3に加えて、訂正前の請求項11、12、14、15に係る発明も、甲6に係る先願明細書等に記載された発明と同一である旨主張している。
しかし、本件発明11、12、14、15は、本件発明2、3と同様、「15μm〜2nmの細孔測定領域について水銀圧入法により測定した細孔容積が1.0cm3/グラム以上であ」るという発明特定事項を備えるものであるから、本件発明11、12、14、15についても、本件発明2、3と同様の理由により、先願明細書等に記載された発明と同一であるとはいえない。
したがって、申立理由3は、理由がない。

(3) 申立理由4(新規事項)について
申立理由4についての申立人の主張は、具体的には、訂正前の請求項1の「3nm乃至20nmの範囲内に細孔径を有する細孔の容積の合計の占める割合が全細孔の容積総計の0.3以上であり」という発明特定事項は、審査過程の令和1年10月23日付けの手続補正により補正されたものであり、同日付けの意見書において、明細書の段落【0078】、段落【0084】及び表2を根拠として補正したとされているところ、これらの記載及び明細書全体の記載をみても、上記発明特定事項の下限値「0.3」の根拠となる数値がなく、また、拒絶理由通知で引用された引用文献にも除くクレームの根拠となる数値として記載されているわけでもないから、訂正前の請求項1に係る補正及び同様の補正がされた同請求項4、7、10、13、16に係る補正は、新規事項を追加するというものである。

これについて検討すると、本件明細書の段落【0078】には、「非局在化密度汎関数法によって求められた細孔径分布において、3nm乃至20nmの範囲内に少なくとも1つピークを有し、3nm乃至20nmの範囲内に細孔径を有する細孔の容積の合計の占める割合が全細孔の容積総計の0.2以上であり」と記載され、当該「割合」が0.2以上であると規定されている上、同段落【0084】、【0117】によると、「表2」には、上記「割合」について、例えば、「実施例1A」は「0.5354」、「実施例1B」は「0.4820」であることが具体的に記載されている。
そうすると、願書に最初に添付された明細書には、上記「割合」の数値範囲について、「0.2」を下限として、0.3を超える数値範囲を含めた領域が技術的思想として記載されていると認められ、また、上記補正は、当該数値範囲に含まれる「0.3」という値に臨界的意義を追加するものでもないから、「0.3」という値を補正により上記「割合」の下限とすることは、願書に最初に添付された明細書等のすべての事項を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるといえる。
したがって、申立理由4は理由がない。

(4) 申立理由5(実施可能要件違反)、申立理由6(サポート要件違反)について
申立人は、取消理由で指摘した訂正前の請求項に加えて、訂正前の請求項1、4、7、10、13、16についても、実施例は、籾殻を原料としたものに限られるから、これらの各請求項に係る発明は、取消理由4、6と同様の理由により、本件明細書に記載されたものではなく、また、発明の詳細な説明は、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものであるとはいえない旨主張している。
しかし、本件発明1、4、7、10、13、16は、先に検討した本件発明2等と同様に、原料である「植物由来の材料」は、「稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料」であることが特定されたから、これらの発明についての判断は上記「1(3)」と同様であって、申立人の主張は採用できない。
したがって、申立理由5、6は理由がない。

(5) 申立理由7(明確性要件違反)について
申立人は、取消理由で指摘した理由の他、訂正前の請求項1〜18に係る発明の「植物由来の材料とし・・・成る群から選択された少なくとも1種類の材料」という発明特定事項は、植物由来の材料の各選択肢の区別があいまいなものを含み、また、いかなる物としての特徴を特定しているのか不明である旨主張している。
しかし、本件訂正により、本件発明1〜18に係る「植物由来の材料」は、「稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料」に限定され、本件発明は、当該材料に由来する物性及び細孔構造を有する多孔質炭素材料であることが理解できるから、本件発明1〜18は明確であるといえるので、申立人の上記の主張は採用できない。
したがって、申立理由7は、理由がない。


第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1〜18に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1〜18に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、非局在化密度汎関数法によって求められた細孔径分布において、3nm乃至20nmの範囲内に少なくとも1つピークを有し、3nm乃至20nmの範囲内に細孔径を有する細孔の容積の合計の占める割合が全細孔の容積総計の0.3以上であり、粒径が75μm以上であり、
植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る多孔質炭素材料。
【請求項2】
植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、非局在化密度汎関数法によって求められた直径1×10−9m乃至5×10−7mの細孔の容積の合計が1.0cm3/グラム以上、粒径が75μm以上であり、15μm〜2nmの細孔測定領域について水銀圧入法により測定した細孔容積が1.0cm3/グラム以上であり、
植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る多孔質炭素材料。
【請求項3】
ケイ素を含有する植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、BJH法による細孔の容積が0.3cm3/グラム以上、粒径が75μm以上、強熱残分の含有率が15質量%以下であり、15μm〜2nmの細孔測定領域について水銀圧入法により測定した細孔容積が1.0cm3/グラム以上であり、
植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る多孔質炭素材料。
【請求項4】
植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、非局在化密度汎関数法によって求められた細孔径分布において、3nm乃至20nmの範囲内に少なくとも1つピークを有し、3nm乃至20nmの範囲内に細孔径を有する細孔の容積の合計の占める割合が全細孔の容積総計の0.3以上であり、粒径が75μm以上である多孔質炭素材料が充填された空気清浄用のフィルターであって、
植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る空気清浄用のフィルター。
【請求項5】
植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、非局在化密度汎関数法によって求められた直径1×10−9m乃至5×10−7mの細孔の容積の合計が1.0cm3/グラム以上、粒径が75μm以上であり、15μm〜2nmの細孔測定領域について水銀圧入法により測定した細孔容積が1.0cm3/グラム以上である多孔質炭素材料が充填された空気清浄用のフィルターであって、
植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る空気清浄用のフィルター。
【請求項6】
ケイ素を含有する植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、BJH法による細孔の容積が0.3cm3/グラム以上、粒径が75μm以上、強熱残分の含有率が15質量%以下であり、15μm〜2nmの細孔測定領域について水銀圧入法により測定した細孔容積が1.0cm3/グラム以上である多孔質炭素材料が充填された空気清浄用のフィルターであって、
植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る空気清浄用のフィルター。
【請求項7】
植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、非局在化密度汎関数法によって求められた細孔径分布において、3nm乃至20nmの範囲内に少なくとも1つピークを有し、3nm乃至20nmの範囲内に細孔径を有する細孔の容積の合計の占める割合が全細孔の容積総計の0.3以上であり、粒径が75μm以上である多孔質炭素材料が充填されたカラム、フィルター又はカートリッジを備えた空気浄化装置であって、
植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る空気浄化装置。
【請求項8】
植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、非局在化密度汎関数法によって求められた直径1×10−9m乃至5×10−7mの細孔の容積の合計が1.0cm3/グラム以上、粒径が75μm以上であり、15μm〜2nmの細孔測定領域について水銀圧入法により測定した細孔容積が1.0cm3/グラム以上である多孔質炭素材料が充填されたカラム、フィルター又はカートリッジを備えた空気浄化装置であって、
植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る空気浄化装置。
【請求項9】
ケイ素を含有する植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、BJH法による細孔の容積が0.3cm3/グラム以上、粒径が75μm以上、強熱残分の含有率が15質量%以下であり、15μm〜2nmの細孔測定領域について水銀圧入法により測定した細孔容積が1.0cm3/グラム以上である多孔質炭素材料が充填されたカラム、フィルター又はカートリッジを備えた空気浄化装置であって、
植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る空気浄化装置。
【請求項10】
植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、非局在化密度汎関数法によって求められた細孔径分布において、3nm乃至20nmの範囲内に少なくとも1つピークを有し、3nm乃至20nmの範囲内に細孔径を有する細孔の容積の合計の占める割合が全細孔の容積総計の0.3以上であり、粒径が75μm以上である多孔質炭素材料が充填された水浄化用のカートリッジであって、
植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る水浄化用のカートリッジ。
【請求項11】
植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、非局在化密度汎関数法によって求められた直径1×10−9m乃至5×10−7mの細孔の容積の合計が1.0cm3/グラム以上、粒径が75μm以上であり、15μm〜2nmの細孔測定領域について水銀圧入法により測定した細孔容積が1.0cm3/グラム以上である多孔質炭素材料が充填された水浄化用のカートリッジであって、
植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る水浄化用のカートリッジ。
【請求項12】
ケイ素を含有する植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、BJH法による細孔の容積が0.3cm3/グラム以上、粒径が75μm以上、強熱残分の含有率が15質量%以下であり、15μm〜2nmの細孔測定領域について水銀圧入法により測定した細孔容積が1.0cm3/グラム以上である多孔質炭素材料が充填された水浄化用のカートリッジであって、
植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る水浄化用のカートリッジ。
【請求項13】
植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、非局在化密度汎関数法によって求められた細孔径分布において、3nm乃至20nmの範囲内に少なくとも1つピークを有し、3nm乃至20nmの範囲内に細孔径を有する細孔の容積の合計の占める割合が全細孔の容積総計の0.3以上であり、粒径が75μm以上である多孔質炭素材料が充填されたカラム又はカートリッジを備えた水浄化装置であって、
植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る水浄化装置。
【請求項14】
植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、非局在化密度汎関数法によって求められた直径1×10−9m乃至5×10−7mの細孔の容積の合計が1.0cm3/グラム以上、粒径が75μm以上であり、15μm〜2nmの細孔測定領域について水銀圧入法により測定した細孔容積が1.0cm3/グラム以上である多孔質炭素材料が充填されたカラム又はカートリッジを備えた水浄化装置であって、
植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る水浄化装置。
【請求項15】
ケイ素を含有する植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、BJH法による細孔の容積が0.3cm3/グラム以上、粒径が75μm以上、強熱残分の含有率が15質量%以下であり、15μm〜2nmの細孔測定領域について水銀圧入法により測定した細孔容積が1.0cm3/グラム以上である多孔質炭素材料が充填されたカラム又はカートリッジを備えた水浄化装置であって、
植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る水浄化装置。
【請求項16】
植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、非局在化密度汎関数法によって求められた細孔径分布において、3nm乃至20nmの範囲内に少なくとも1つピークを有し、3nm乃至20nmの範囲内に細孔径を有する細孔の容積の合計の占める割合が全細孔の容積総計の0.3以上であり、粒径が75μm以上である多孔質炭素材料、及び、
支持部材、
を備えており、
植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る汚染物質除去シート部材。
【請求項17】
植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、非局在化密度汎関数法によって求められた直径1×10−9m乃至5×10−7mの細孔の容積の合計が1.0cm3/グラム以上、粒径が75μm以上であり、15μm〜2nmの細孔測定領域について水銀圧入法により測定した細孔容積が1.0cm3/グラム以上である多孔質炭素材料、及び、
支持部材、
を備えており、
植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る汚染物質除去シート部材。
【請求項18】
ケイ素を含有する植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が1×102m2/グラム以上、BJH法による細孔の容積が0.3cm3/グラム以上、粒径が75μm以上、強熱残分の含有率が15質量%以下であり、15μm〜2nmの細孔測定領域について水銀圧入法により測定した細孔容積が1.0cm3/グラム以上である多孔質炭素材料、及び、
支持部材、
を備えており、
植物由来の材料は、稲の籾殻若しくは藁、大麦の籾殻若しくは藁、小麦の籾殻若しくは藁、ライ麦の籾殻若しくは藁、稗の籾殻若しくは藁、及び粟の籾殻若しくは藁から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る汚染物質除去シート部材。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2022-02-02 
出願番号 P2018-170288
審決分類 P 1 651・ 536- YAA (B01J)
P 1 651・ 121- YAA (B01J)
P 1 651・ 113- YAA (B01J)
P 1 651・ 537- YAA (B01J)
P 1 651・ 16- YAA (B01J)
P 1 651・ 55- YAA (B01J)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 日比野 隆治
特許庁審判官 関根 崇
後藤 政博
登録日 2020-01-14 
登録番号 6645549
権利者 ソニー株式会社
発明の名称 空気浄化装置、空気清浄用のフィルター、水浄化装置及び水浄化用のカートリッジ  
代理人 渡邊 薫  
代理人 渡邊 薫  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ