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審決分類 審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  A61B
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A61B
審判 全部申し立て 判示事項別分類コード:857  A61B
審判 全部申し立て 2項進歩性  A61B
管理番号 1384109
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-05-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-04-28 
確定日 2021-12-24 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6776777号発明「眼底撮影装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6776777号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1−9〕について訂正することを認める。 特許第6776777号の請求項1ないし7、9に係る特許を維持する。 特許第6776777号の請求項8に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。  
理由 第1 手続の経緯
本件特許第6776777号(以下「本件特許」という。)の請求項1〜9に係る特許についての出願は、平成28年9月30日を出願日とする出願であって、令和2年9月2日付けで特許査定がなされ、同年10月12日に特許権の設定登録がなされ、同年10月28日に特許掲載公報が発行され、その後、本件特許の全請求項に係る特許に対し、特許異議申立人 加藤隆登(以下「申立人」という。)より、令和3年4月28日付けで特許異議の申立てがなされ、同年6月21日付けで取消理由通知(以下「本件取消理由通知」という。)がなされ、これに対し同年8月27日に特許権者により訂正請求書(以下「本件訂正請求書」という。)及び意見書(以下「特許権者意見書」という。)が提出され、これに対し同年11月17日に申立人により意見書(以下「申立人意見書」という。)が提出されたものである。

第2 訂正の適否についての判断
本件訂正請求書により請求された訂正(以下「本件訂正」ということがある。)の適否について以下に検討する。

1 本件訂正前の特許請求の範囲に記載された発明
本件訂正前の請求項1〜9(以下「訂正前請求項1」などという。)に係る発明(以下、それぞれ「訂正前発明1」〜「訂正前発明9」という。)は、特許査定時の特許請求の範囲の記載によって特定される、次のとおりのものである。ここで、各構成単位冒頭の「1A」などは、当審の便宜のために付した分説番号であり、以下各構成単位について「構成1A」などという。

「 【請求項1】
1A 光源からの光を被検眼の眼底上で走査するために前記光の進行方向を変える光スキャナを有する走査光学系と、
1B 前記光スキャナと前記被検眼との間に配置され、前記光スキャナからの前記光を前記眼底に導くための対物光学系と、を有し、
1C 前記光の眼底反射光に基づいて前記眼底の画像を形成する眼底撮影装置であって、
1D 前記対物光学系は、
1E 前記光スキャナからの前記光を反射することによって、前記光スキャナの動作に伴って前記光が旋回される第1旋回点を形成する第1ミラーと、
1F 前記第1ミラーによって反射された前記光を更に反射することによって、前記被検眼に出射される前記光が旋回される第2旋回点を形成する第2ミラーと、を有し、
1G 前記第2旋回点における前記光の振り角に対し、前記第1ミラーに入射される光の振り角が小さいことを特徴とする
1G1 眼底撮影装置。
【請求項2】
2A 前記第1ミラーは、前記走査光学系から前記第1ミラーへ入射するときの前記光の振り角に対して大きな振り角で、前記第1旋回点から前記第2ミラーへ入射する前記光を前記第1旋回点において旋回させる請求項1記載の眼底撮影装置。
【請求項3】
3A 前記第1ミラーは、前記第1旋回点を前記第1ミラーの焦点に形成し、
3B 前記第2ミラーは、2つの焦点を持ち、一方の焦点に前記第1旋回点が位置されることによって、他方の焦点に前記第2旋回点が形成される請求項1又は2記載の眼底撮影装置。
【請求項4】
4A 前記第1ミラーは、鏡面が二次曲面で形成された非球面鏡である請求項1から3のいずれかに記載の眼底撮影装置。
【請求項5】
5X 前記第1ミラーは、凸面を反射面とし、
前記第2ミラーは、凹面を反射面とする
5Y 請求項1から4のいずれかに記載の眼底撮影装置。
【請求項6】
6A 前記眼底反射光が前記第1ミラーと前記第2ミラーとによって反射されることによって生じる像面の傾きを補正する光学部材を有する請求項1から5のいずれかに記載の眼底撮影装置。
【請求項7】
7A 前記第1ミラーは、前記第2ミラーによって生じる非対称な像面歪曲を補正する請求項1から6のいずれかに記載の眼底撮影装置。
【請求項8】
8A 前記走査光学系は、
8B 第1光源からの光を走査する第1光スキャナを有し、
8C 前記第1光源からの光による前記眼底の正面画像を得るためのSLO光学系と、
8D 第2光源からの測定光を走査する第2光スキャナを有し、
8E 光干渉の原理を用いて前記被検眼の断層画像を得るためのOCT光学系と、
8F 前記第1光スキャナと前記第1ミラーとの間であり、且つ、前記第2光スキャナと前記第1ミラーとの間において、前記SLO光学系の光路と前記OCT光学系の光路とを結合させる光路結合部材と、を有する
8G 請求項1から7のいずれかに記載の眼底撮影装置。
【請求項9】
9A 前記SLO光学系、および前記OCT光学系は、物体側にテレセントリックであることを特徴とする
9B 請求項8記載の眼底撮影装置。」

2 本件訂正後の本件発明
本件訂正により訂正された請求項1〜9に係る発明(以下それぞれ「本件発明1」〜「本件発明9」という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1〜9に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。分説番号については上記1と同様である。

「 【請求項1】
1A 光源からの光を被検眼の眼底上で走査するために前記光の進行方向を変える光スキャナを有する走査光学系と、
1B 前記光スキャナと前記被検眼との間に配置され、前記光スキャナからの前記光を前記眼底に導くための対物光学系と、を有し、
1C 前記光の眼底反射光に基づいて前記眼底の画像を形成する眼底撮影装置であって、
1D 前記対物光学系は、
1E 前記光スキャナからの前記光を反射することによって、前記光スキャナの動作に伴って前記光が旋回される第1旋回点を形成する第1ミラーと、
1F 前記第1ミラーによって反射された前記光を更に反射することによって、前記被検眼に出射される前記光が旋回される第2旋回点を形成する第2ミラーと、を有し、
1G’ 前記第2旋回点における前記光の振り角に対し、前記第1ミラーに入射される光の振り角が小さく、
1H 前記走査光学系は、
1I 前記第1ミラーに対して上流側に配置されるSLO光学系であって、
1J 第1光源からのライン状の第1光を一方向に走査する第1光スキャナ、又は、第1光源からの点状の第1光を二次元的に走査する第1光スキャナを有し、
1K 前記第1光源からの光による前記眼底の正面画像を得るためのSLO光学系と、
1L 前記第1ミラーに対して上流側に配置されるOCT光学系であって、
1M 第2光源からの測定光を前記眼底上で二次元的に走査する第2光スキャナを有し、
1N 光干渉の原理を用いて前記被検眼の断層画像を得るためのOCT光学系と、
1O 前記第1光スキャナと前記第1ミラーとの間であり、且つ、前記第2光スキャナと前記第1ミラーとの間において、前記SLO光学系の光路と前記OCT光学系の光路とを結合させる光路結合部材と、を有することを特徴とする
1P 眼底撮影装置。
【請求項2】
2A 前記第1ミラーは、前記走査光学系から前記第1ミラーへ入射するときの前記光の振り角に対して大きな振り角で、前記第1旋回点から前記第2ミラーへ入射する前記光を前記第1旋回点において旋回させる請求項1記載の眼底撮影装置。
【請求項3】
3A 前記第1ミラーは、前記第1旋回点を前記第1ミラーの焦点に形成し、
3B 前記第2ミラーは、2つの焦点を持ち、一方の焦点に前記第1旋回点が位置されることによって、他方の焦点に前記第2旋回点が形成される請求項1又は2記載の眼底撮影装置。
【請求項4】
4A 前記第1ミラーは、鏡面が二次曲面で形成された非球面鏡である請求項1から3のいずれかに記載の眼底撮影装置。
【請求項5】
5A 光源からの光を被検眼の眼底上で走査するために前記光の進行方向を変える光スキャナを有する走査光学系と、
5B 前記光スキャナと前記被検眼との間に配置され、前記光スキャナからの前記光を前記眼底に導くための対物光学系と、を有し、
5C 前記光の眼底反射光に基づいて前記眼底の画像を形成する眼底撮影装置であって、
5D 前記対物光学系は、
5E 前記光スキャナからの前記光を反射することによって、前記光スキャナの動作に伴って前記光が旋回される第1旋回点を形成する第1ミラーと、
5F 前記第1ミラーによって反射された前記光を更に反射することによって、前記被検眼に出射される前記光が旋回される第2旋回点を形成する第2ミラーと、を有し、
5G’ 前記第2旋回点における前記光の振り角に対し、前記第1ミラーに入射される光の振り角が小さく、且つ、
5X 前記第1ミラーは、凸面を反射面とし、前記第2ミラーは、凹面を反射面とする
5Y’ 眼底撮影装置。
【請求項6】
6A 前記眼底反射光が前記第1ミラーと前記第2ミラーとによって反射されることによって生じる像面の傾きを補正する光学部材を有する請求項1から5のいずれかに記載の眼底撮影装置。
【請求項7】
7A 前記第1ミラーは、前記第2ミラーによって生じる非対称な像面歪曲を補正する請求項1から6のいずれかに記載の眼底撮影装置。
【請求項8】(削除)
【請求項9】
9A 前記SLO光学系、および前記OCT光学系は、物体側にテレセントリックであることを特徴とする
9B’ 請求項1記載の眼底撮影装置。」

3 本件訂正の内容

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「前記第2旋回点における前記光の振り角に対し、前記第1ミラーに入射される光の振り角が小さい」(以下「訂正前記載事項1」という。)
とあるところ、
「前記第2旋回点における前記光の振り角に対し、前記第1ミラーに入射される光の振り角が小さく、前記走査光学系は、前記第1ミラーに対して上流側に配置されるSLO光学系であって、第1光源からのライン状の第1光を一方向に走査する第1光スキャナ、又は、第1光源からの点状の第1光を二次元的
に走査する第1光スキャナを有し、前記第1光源からの光による前記眼底の正面画像を得るためのSLO光学系と、前記第1ミラーに対して上流側に配置されるOCT光学系あって、第2光源からの測定光を前記眼底上で二次元的に走査する第2光スキャナを有し、光干渉の原理を用いて前記被検眼の断層画像を得るためのOCT光学系と、前記第1光スキャナと前記第1ミラーとの間において、前記SLO光学系の光路と前記OCT光学系の光路とを結合させる光路結合部材と、を有する」(以下「訂正後記載事項1」という。)
に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2〜4、6、7、9も同様に訂正する。)

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項5に、
「前記第1ミラーは、凸面を反射面とし、前記第2ミラーは、凹面を反射面とする請求項1から4のいずれかに記載の眼底撮影装置。」(以下「訂正前記載事項2」という。)
とあるのを、独立形式請求項に改め、
「光源からの光を被検眼の眼底上で走査するために前記光の進行方向を変える光スキャナを有する走査光学系と、前記光スキナと前記被検眼との間に配置され、前記光スキナからの前記光を前記眼底に導くための対物光学系と、を有し、前記光の眼底反射光に基づいて前記眼底の画像を形成する眼底撮影装置であって、前記対物光学系は、前記光スキャナからの前記光を反射することによって、前記光スキャナの動作に伴って前記光が旋回される第1旋回点を形成する第1ミラーと、前記第1ミラーによって反射された前記光を更に反射することによって、前記被検眼に出射される前記光が旋回される第2旋回点を形成する2ミラーと、を有し、前記第2旋回点における前記光の振り角に対し、前記第1ミラーに入射される光の振り角が小さく、且つ、前記第1ミラーは、凸面を反射面とし、前記第2ミラーは、凹面を反射面とする眼底撮影装置。」(以下「訂正後記載事項2」という。)
に訂正する(請求項5の記載を引用する請求項6、7も同様に訂正する)。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項8を削除する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項9に、
「前記SLO光学系、および前記OCT光学系は、物体側にテレセントリックであることを特徴とする請求項8記載の眼底撮影装置。」(以下「訂正前記載事項4」という。)
とあるところ、
「前記SLO光学系、および前記OCT光学系は、物体側にテレセントリックであることを特徴とする請求項1記載の眼底撮影装置。」(以下「訂正後記載事項4」という。)
に訂正する。

4 訂正の目的の適否について

(1)訂正事項1について

ア 訂正事項1の訂正前記載事項1は、本件訂正前の請求項1の構成1G’に対応する。
イ 一方、訂正後記載事項1は、前記構成1Fに平仄に関する変更点を除き対応する構成1G’と、新たな構成1H〜1Oとを含む。
(ア)構成1H、1Jの一部、1K、1Mの一部、1N、1Oは、それぞれ本件訂正前の請求項8における構成8A〜8Fに対応する。
(イ)構成1Iと、構成1Jの他の一部(「光」が「ライン状の第1光」であり且つ「走査」が「一方向」である点、及び、「光」が「点状の第1光」であり且つ「走査」が「二次元的」である点)とは、それぞれ該本件訂正前の請求項8の特定事項に含まれる「SLO光学系」及びその「第1光スキャナ」についての追加の特定事項にあたる。
(ウ)構成1Lと、構成1Mの他の一部(「走査」が「眼底上で二次元的」である点)とは、それぞれ「OCT光学系」及びその「第2光スキャナ」についての追加の特定事項にあたる。
ウ 以上の対応関係から、訂正事項1は、本件訂正前の請求項1に対し、それに含まれる「走査光学系」について、本件訂正前の請求項8の特定事項(構成8A〜8F)による限定を行い、さらに、該本件訂正前の請求項8の特定事項に含まれる「SLO光学系」及びその「第1光スキャナ」、並びに「OCT光学系」及びその「第2光スキャナ」について、追加の限定を行うものであるといえる。
エ よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(2)訂正事項2について

ア 本件訂正前の請求項5は、本件訂正前の請求項1を引用先請求項に含み、「前記第1ミラーは、凸面を反射面とし、前記第2ミラーは、凹面を反射面とする」点(構成5X、5Y)(以下「訂正前特定事項2」という。)を付加的に特定している。
イ 一方、訂正後記載事項2では、その「光源からの光を被検眼の眼底上で走査するために・・・光の振り角が小さく・・・眼底撮影装置。」の記載が、訂正前の請求項1の「光源からの光を被検眼の眼底上で走査するために・・・光の振り角が小さいことを特徴とする眼底撮影装置。」なる記載事項に対応し、これに前記訂正前特定事項2を付加したものである。
ウ よって、訂正事項2は、本件訂正前の請求項1〜4を引用する訂正前の請求項5に係る発明のうち、本件訂正前の請求項1を引用し、訂正前特定事項2を付加的に特定する発明について、従属請求項形式から独立請求項形式に書き換えたものであるということができ、当該訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものに該当する。

(3)訂正事項3について
訂正事項3は、本件訂正前の請求項8を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(4)訂正事項4について
訂正前記載事項4は、本件訂正前の請求項8のみを引用し、「前記SLO光学系、および前記OCT光学系は、物体側にテレセントリックである」点(以下「訂正前特定事項4」という。)を付加的に特定するものである。また、該本件訂正前の請求項8は、本件訂正前の請求項1を引用請求項に含む。
一方、本件訂正における上記訂正事項3によって、上記(1)で説示したとおり、本件訂正前の請求項8は削除されるとともに、それに対応する特定事項が、上記訂正事項1によって本件訂正後の請求項1に付加された。
以上から、訂正前記載事項4と訂正後記載事項4との間で、これらによって特定される技術事項に実質的な差異はなく、訂正事項4は、訂正事項3によって削除され存在しないこととなった本件訂正前の「請求項8」に対する引用の記載を、特定される技術事項を変更することなく、「請求項1」と正したものであり、特許請求の範囲の訂正に伴い引用関係を整合させるために行う訂正といえるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。

5 訂正についての新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について

(1)訂正事項1について
ア 訂正事項1による本件訂正前の請求項1への加入事項のうち、上記4(1)イ(ア)に挙げたものは、本件訂正前の請求項1及び8に記載されていた事項である。
イ 上記4(1)イ(イ)に挙げた加入事項については、願書に添付した明細書の【0013】における「SLO光学系10は、ライン状の光束を、光スキャナ15で少なくとも1方向に走査することによって眼底Erを走査するラインスキャンSLO光学系であってもよいし、点状の光束を、光スキャナ15で二次元的に走査するポイントスキャンSLO光学系であってもよい。」、同【0037】の「SLO光学系10がラインスキャンSLO光学系である場合は、検出器18としてラインセンサ又はエリアセンサが用いられる。」、同【0040】の「SLO光学系10は、ラインスキャンタイプであり、検出器18にはラインセンサが利用される。」、同【0096】の「「光源から導かれたライン状の光を走査する光スキャナと、眼底反射光を受光するためのラインセンサ又はエリアセンサと、を持つラインスキャンSLO光学系」、同【0101】の「光源から導かれたライン状の光を走査する光スキャナと、眼底反射光を受光するためのラインセンサ又はエリアセンサと、を持つラインスキャンSLO光学系」、との記載等により裏付けられる。
ウ 上記4(1)イ(ウ)に挙げた加入事項については、同【0049】の「OCT光学系20は、測定光を、光スキャナ27を介して、対物光学系2へ導く。また、参照光を参照光学系25に導く。光スキャナ27は、眼底Er上でXY方向(横断方向)に測定光を走査させる。」。同【0054】の「この深さプロファイル(OCTデータ)が、並べられることによって、二次元OCTデータ(例えば、眼底の断層画像、およびOCTアンジオグラフィー等)が形成される。」、同【0090】の「このような対物光学系2に対し、制御部30は、測定光をラスタースキャンすることで、複数のスキャンラインにおける二次元OCTデータを取得してもよい。つまり、制御部30は、光スキャナ27を駆動制御することで、主走査によって取得される二次元OCTデータを、副走査の方向の異なるスキャンラインにおいて複数取得する。」との記載等により裏付けられる。
エ よって、訂正事項1による訂正後記載事項1は、本件特許明細書に記載された事項に対応しており、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであるから、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(2)訂正事項2・3について
訂正事項2・3は、上記4(2)・(3)で説示したとおり、請求項の記載様式の変更又は請求項の削除を目的とするものであり、発明特定事項の実質的な変更を伴うものではないから、本件特許明細書に記載された事項に対応しており、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであることが明らかであり、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)訂正事項4について
訂正事項4は、上記4(4)で説示したとおり、特許請求の範囲の訂正に伴い引用関係を整合させることを目的とするものと位置づけられ、発明特定事項の実質的な変更を伴うものではないから、本件特許明細書に記載された事項に対応しており、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであることが明らかであり、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

6 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号または第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜9〕について訂正することを認める。

第3 特許異議の申立について

1 取消理由
申立人は、証拠として下記2に示す甲第1号証〜甲第8号証(以下、各「甲1」〜「甲8」という。)を提出し、訂正前発明1〜4、7は、甲1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当する(以下、「申立理由1」という)、又は、訂正前発明1〜9は、甲1に記載された発明及び甲2〜8に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項に違反する(以下「申立理由2」という。)ものであるから、請求項1〜9に係る特許は取り消すべきものである旨主張している。

2 証拠方法
甲第1号証:特許第5330236号公報
甲第2号証:米国特許出願公開2007/0030449号明細書
甲第3号証:特許第3755036号公報
甲第4号証:特開平9−297281号公報
甲第5号証:米国特許第5214540号明細書
甲第6号証:特開平5−134208号公報
甲第7号証:特開2011−147609号公報
甲第8号証:国際公開第2014/053824号

第4 取消理由通知に記載した取消理由について

1 取消理由の概要
訂正前の請求項1〜4、7に係る特許に対して、当審が本件取消理由通知により特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

(理由1)(新規性)訂正前発明1〜4、7は、その優先日前日本国内または外国において頒布された甲1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
したがって、訂正前請求項1〜4、7に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

(理由2)(進歩性)訂正前発明1〜4、6〜9は、その優先日前日本国内または外国において頒布された甲1〜8及び引用文献1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、訂正前請求項1〜4、6〜9に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

2 甲号証等の記載
申立人が提出した甲号証等(甲1〜8)、及び当審にて追加した文献(特開2010−175448号公報;引用文献1)の記載事項は次のとおりである。何れも、本件特許の優先権主張日である平成27年(西暦2015年)9月30日以前に公知となったものである。

(1)甲1の記載事項・認定事項(下線は当審で付加した。甲号証等の記載において以下同様。)

ア 甲1の記載事項
・「【0008】
本発明の第1の態様によると、平行光の光源と、第1の走査要素と、第2の走査要素と、走査補償手段と、を備え、見かけ上の点光源から二次元の平行光走査を行なうために前記平行光の光源と、前記第1の走査要素と、前記第2の走査要素と、前記走査補償手段を組み合わせ、前記走査補償手段は、さらに、走査移動手段を備え、前記走査移動手段は二つの焦点を有し、前記見かけ上の点光源は、前記走査移動手段の第1の焦点に設けられ、眼は、前記走査移動手段の第2の焦点に位置させ、前記走査移動手段は、前記二次元の平行光走査を前記見かけ上の点光源から眼に移動させ、前記第2の走査要素の回転軸は、前記走査移動手段の二つの焦点を結ぶ直線に対して略平行であり、前記見かけ上の点光源から前記二次元の平行光走査を行なう場合、前記走査移動手段は、1次元の平行光走査を行ない、前記走査移動手段の二つの焦点を結ぶ直線は、前記走査補償手段によって行なわれる1次元の平行光走査によって画定される面にほぼ位置する、眼の網膜の走査を行なう走査検眼鏡を提供する。」

・「【0016】走査検眼鏡は、眼の瞳孔点から測定して150度まで、例えば、120度、110度、90度、60度、40度の走査を眼の網膜に行うことができてもよい。」

・「【0022】
図1に示すように、走査検眼鏡10は、レーザビーム13を照射するレーザ12である、平行光(collimated light)の光源と、第1の走査要素14と、第2の走査要素16と、走査補償手段18と、走査移動手段20と、を含む。
【0023】
第1の走査要素14は、高速回転する多面鏡であり、第2の走査要素16は、低速振動する平面鏡である。多面鏡14と振動平面鏡16は、ラスタ走査パターンの形状の、レーザビーム13の二次元の平行光による走査を行うように配置されている。多面鏡14は、複数のファセット(facet:小面、切子面)を有し、複数の第1の1次元の平行光による走査を行う。本発明の本実施の形態では、多面鏡14が行なう走査は、レーザビーム13の垂直方向の1次元の走査を含む。多面鏡が回転するごとに、多面鏡14の各ファセットは、ラスタ走査パターンの垂直方向の走査要素を生成する。
【0024】
図1に、多面鏡14の一つのファセットが、このファセットが回転することによって生成する、垂直方向の1次元の走査のレーザビーム13の光路を示す。光路Aは、回転開始時に多面鏡14から反射されるレーザビームの一例であり、光路Bは、回転の中間点で多面鏡14から反射されるレーザビームの一例であり、光路Cは、回転終了時に多面鏡14から反射されるレーザビームの一例である。
【0025】
振動平面鏡16は、第2の1次元の平行光による走査を行い、本発明の本実施の形態では、振動平面鏡16が行なう走査は、レーザビーム13の水平方向の1次元の走査を含む。これによって、ラスタ走査パターンの水平方向の走査要素を生成する。多面鏡14と振動平面鏡16は、このように協働して、ラスタ走査パターンの形状の、2次元の平行光による走査を行う。
【0026】
走査補償手段18は、二つの焦点を有する。ここで説明する本実施の形態では、走査補償手段は、楕円体の鏡であり、スリット鏡と呼ぶ。しかしながら、走査補償手段18は、他の形状を有してもよいことを理解されたい。多面鏡14は、スリット鏡18の第1の焦点に位置し、振動平面鏡16は、スリット鏡18の第2の焦点に位置する。
【0027】
走査移動手段20は、楕円体の鏡で形成される非球面鏡であり、主鏡と呼ぶ。
主鏡20は、二つの焦点を有する。振動平面鏡16も、主鏡20の第1の焦点に位置する。被験者の眼22は、主鏡20の第2の焦点に位置する。
【0028】
レーザビーム13は、多面鏡14、スリット鏡18、振動平面鏡16、及び主鏡20を介して、被験者の眼22に照射される。多面鏡14、スリット鏡18、振動平面鏡16は、組み合わせて、見かけ上の点光源から、ラスタ走査パターンの形状の、2次元の平行光の走査を行う。こうして、振動平面鏡16から被験者の眼22まで、主鏡20によって結ばれる。
【0029】
被験者の眼22の網膜から反射されたビームは、走査検眼鏡を介して戻り、被験者の網膜の像を生成するために利用される。
【0030】
走査補償手段18は、走査検眼鏡10の内部で複数の機能を果たす。
【0031】
走査補償手段18の第1の機能は、多面鏡14から振動平面鏡16までレーザビーム13の走査移動を行う機能である。走査補償手段18は、レーザビーム13が被験者の眼の瞳孔を通して入射する失敗の原因となりうる並進要素を用いずに点と点の移動を行う。このため、レーザビーム13は見かけ上の点光源から入射するように見える。
【0032】
多面鏡14は、スリット鏡18の第1の焦点に位置するため、多面鏡14からの光は、多面鏡14からスリット鏡18への光の偏向角度とは無関係に、常にスリット鏡18の第2の焦点を通過するように反射する。この効果によって、レーザビーム13のラスタ走査パターンは乱れることなく被験者の眼22の瞳孔に伝わる。このため、網膜の極めて広い網膜像を得ることができる。
【0033】
走査補償手段18の第2の機能は、走査角度の拡大である。超広視野レーザ操作検眼鏡には、必要とする角度範囲にわたってラスタ走査パターンを形成する際に、レーザビームを急速に偏向させることが困難であるという固有の問題がある。ラスタ走査パターンの「高速」部分を実現するために通常使用する構成要素は、一般的には、回転多面鏡である。
例えば、6面の多面鏡は明らかに、120度の光走査を生成することができる。しかしながら、許容される像取得レートに見合うだけ走査を十分に高速にするためには、多面鏡は、極めて高速に回転する必要がある。これは、多面鏡走査システムには非現実的な高いパフォーマンスを要求する。
【0034】
120度のレベルの走査を行なうためには、16のファセットを有する多面鏡を用いてもよい。ファセットが1回転するごとに22.5度の「機械的」走査と、45度の「光学的」走査を行なう。かかる多面鏡を、走査角度を拡大する走査補償手段とともに使用することができる。このシステムは、多面鏡の回転速度を削減しながらも、許容されるレートで広角のラスタ走査パターンを生成することができる。
【0035】
本発明の実施の形態では、多面鏡14は、16個のファセットを有する。ファセットの各々は、「扇形」のレーザ光線からなるレーザビーム13の1次元走査を生成する。これらの光線は、スリット鏡18に進む。光線は、振動平面鏡16に焦点を合わせられる。スリット鏡18の偏心度により、走査角度が拡大するようになる。例えば、120度のレベルの走査角度を実現するためには、スリット鏡18が行なう走査角度の拡大は、入射角の三倍、すなわち、約3×45度である必要がある。
【0036】
走査補償手段18の第3の機能は、レーザビーム13の形状を形成して、主鏡20によって生じる収差を静的に事前に補償することである。これによって、走査検眼鏡10により生じる網膜像の解像度を向上する。さらに、スリット鏡走査補償手段18が楕円体の鏡であれば、さらなる円柱レンズを必要とせずに非点収差を削減できる。」

・第1図は次のとおりである。






イ 甲1の記載から認定できる事項
(ア)上記アに摘記した記載事項を参照すると、図1からは、「レーザービーム13は第1の走査要素(多面鏡)14により図面上下方向(垂直方向)に、点線A、実線B、破線Cで代表される光路にわたり凹面鏡である走査補償手段(スリット鏡)18の第1の焦点位置である前記第1の走査要素(多面鏡)14位置を回転走査の中心として回転走査され、それら回転走査光の各光路は走査補償手段(スリット鏡)18により、その第2の焦点位置であり、凹面鏡である走査移動手段(主鏡)20の第1の焦点位置でもある振動平面鏡16に入射角が走査される光となって集束され、振動平面鏡16により反射されて、該振動平面鏡16位置即ち走査移動手段(主鏡)20の第1の焦点位置から発散する、光路A、B、Cにわたる回転走査光として走査移動手段(主鏡)20に向かい、該走査移動手段(主鏡)20によって反射されて、該走査移動手段(主鏡)20の第2の焦点位置22に入射角が走査される光として集束する、光の経路を有すること」を看取できる(以下「看取事項1−ア」という。)。

ウ 甲1に記載された発明
以上から、甲1には次の各発明が記載されているといえる(それぞれ以下「甲1発明1」などという。各構成単位冒頭の「a」などは当審で付した構成番号。
以下「構成「a」などという。また、各構成要素末尾の括弧内は、根拠となる記載箇所や認定事項を示す。)。

(ア)甲1発明1
「a レーザ12からのレーザビーム13を眼の網膜で走査するために、レーザビーム13の垂直方向の1次元の走査を行う高速回転する多面鏡からなる第1の走査要素(多面鏡)14と、(【0008】、【0022】、【0023】)
b 第1の走査要素(多面鏡)14と被験者の眼22との間に配置され、第1の走査要素(多面鏡)14側から順に凹面鏡である走査補償手段(スリット鏡)18、振動平面鏡16、及び凹面鏡である走査移動手段(主鏡)20からなる光学系であって、
第1の走査要素(多面鏡)14は、走査補償手段(スリット鏡)18の第1の焦点に位置し、振動平面鏡16は、走査補償手段(スリット鏡)18の第2の焦点に位置し、
振動平面鏡16は、走査移動手段(主鏡)20の第1の焦点に位置し、被験者の眼22は、走査移動手段(主鏡)20の第2の焦点に位置し、
レーザビーム13は、第1の走査要素(多面鏡)14、走査補償手段(スリット鏡)18、振動平面鏡16、及び走査移動手段(主鏡)20を介して、被験者の眼22に照射され、
第1の走査要素(多面鏡)14、走査補助手段(スリット鏡)18、振動平面鏡16は、組み合わせて、見かけ上の点光源から、ラスタ走査パターンの形状の、2次元の平行光の走査を行う光学系と、を有し、(【0023】、【0026】〜【0028】)
c 被験者の眼22の網膜から反射されたビームが被験者の網膜の像を生成するために利用される、走査検眼鏡であって、(【0029】)
d 前記光学系は、
e 第1の走査要素(多面鏡)14が回転することによる回転走査光を反射することで、常に走査補償手段(スリット鏡)18の第2の焦点を通過するよう入射角が走査される光とし、それが振動平面鏡16により反射されて回転走査光として出射されるようにする走査補償手段(スリット鏡)18と、(【0032】、認定事項ア)
f 走査補償手段(スリット鏡)18の第2の焦点に位置する振動平面鏡16は、走査移動手段(主鏡)20の第1の焦点にも位置し、被験者の眼22は走査移動手段(主鏡)20の第2の焦点に位置し、走査補償手段(スリット鏡)18で反射された回転走査光は、走査移動手段(主鏡)20の第1の焦点に位置する振動平面鏡16により見かけ上の点光源である回転走査光として反射されて、走査移動手段(主鏡)20を介して、被験者の眼22に照射され、該見かけ上の点光源は、走査移動手段(主鏡)20の第2の焦点に位置する眼に移動され、(【0008】、【0026】、【0027】、看取事項1−ア)
g 第1の走査要素(多面鏡)14からの光の走査角は、走査補償手段(スリット鏡)18によって拡大され、例えば第1の走査要素(多面鏡)14による光学的走査の走査角45度に対し、走査補償手段(スリット鏡)18により走査角度が約3倍に拡大されて、被験者の眼22の瞳孔点から測定して120度の走査を網膜に対して行うことができる、(【0016】、【0033】〜【0035】)g1 走査検眼鏡。」

(イ)甲1発明2
「h 走査補償手段(スリット鏡)18は、第1の走査要素(多面鏡)14からの走査光の走査角を、その偏心度により拡大し、走査補償手段(スリット鏡)18の第2の焦点に位置する振動平面鏡16に焦点を合わせる、(【0016】、【0033】〜【0035】)
h1 甲1発明1。」

(ウ)甲1発明3
「i 走査補償手段(スリット鏡)18は、第1の走査要素(多面鏡)14からの走査光を常に第2の焦点を通過するように反射し、(【0032】)
j 走査移動手段(主鏡)20は2つの焦点を有し、走査補償手段(スリット鏡)18の第2の焦点に位置する振動平面鏡16は、走査移動手段(主鏡)20の第1の焦点に位置し、被験者の眼22は走査移動手段(主鏡)20の第2の焦点に位置し、該振動平面鏡16位置即ち走査移動手段(主鏡)20の第1の焦点位置から発散する回転走査光として走査移動手段(主鏡)20に向かい、該走査移動手段(主鏡)20によって反射されて、該走査移動手段(主鏡)20の第2の焦点位置22に入射角が走査される光として集束する、(【0027】、認定事項ア)
j1 甲1発明1〜2。」

(エ)甲1発明4
「k 走査補償手段(スリット鏡)18は、楕円体の鏡である、(【0026】)k1 甲1発明1〜3。」

(オ)甲1発明7
「o 走査補償手段(スリット鏡)18は、走査移動手段(主鏡)20によって生じる収差を静的に事前に補償し、非点収差を削減するものである、
o1 甲1発明1〜4。」

(2)甲2の記載事項

ア 明細書の記載事項
訳は申立人提出の甲2号証抄訳による。
(ア)[0011]には、次の事項が記載されている。
「反射光学素子は、非常にコンパクトな光学装置を必要とするディスプレイ装置に使用されてきた。例えば、US5889625(Chenet a1.)は、ヘッドマウントデバイス(HMD)の一部として曲面ミラーを使用して人間の観察者に画像担持光を向ける光学装置を開示している。
同様に、US5499139(Chen et al.)は、パイロットに広視野画像を提供するためのヘルメットマウント光学装置を開示しており、光学装置は、曲面ミラーと、画像収差の補償とを採用している。」
イ [0048]には、次の事項が記載されている。
「図7は、ある焦点から別の焦点に光を反射する双曲面鏡および楕円体鏡の動作を利用したものである。動作において、次に、楕円体鏡102は、(網膜における、または網膜の近くの)一方の焦点FE1から他方の焦点FE2に向かって、眼Eの網膜からの光を反射する。他方の焦点FE2は、双曲面の第2ミラー116と共有される焦点FH1である。第2曲面鏡116は、この光を、開ロミラー104の近くの他方の焦点FH2に反射する。」

イ 図面の記載事項
図7(FIG.7)は次のとおりである。






ウ 認定事項
図7から、「第2曲面鏡116は、凸面を反射面とし、楕円体鏡102は、凹面を反射面とする」ことが看取できる。

(3)甲3の記載事項
【0015】の記載は次のとおりである。
「【0015】〔実施例〕
図2(a)および(b)は、凸面の放物面鏡と凹面の楕円面鏡とを組み合わせた実施例の装置を側方および上方から見た状態でそれぞれ示す説明図であり、表示素子であるLCD1からの光束は、屈折光学系のレンズ2により凸面の放物面鏡6に入射する。ここでのレンズ2は、例えばテレセントリックレンズといった、入射光が平行光として出射される屈折光学系である。ここで、凹面の楕円面鏡4の焦点の一つを放物面鏡6の焦点Dに一致させると、入射光と放物面鏡6との交点と放物面鏡6の焦点Dとを結ぶ直線上に反射される成分は、楕円面鏡4で反射して、楕円面鏡4のもう一方の焦点Cに向かう。すなわち、楕円面鏡4からの反射光と反対の側でその反射光と同軸上に虚像ができる。よって、焦点Cを観測瞳5の位置とすることで、虚像を観測させるかたちで画像呈示を行うことができる。」

(4)甲4の記載事項

ア 【0031】には次の記載がある。
「【0031】
この第3の接眼光学系は、図3に示すように、画像表示素子8から射出された光線は第1面3により観察者の眼球1から離れる側に反射され、視軸2上にあり観察者眼球側に凹面を向けた凹面鏡である第2面4により反射され、第1面3を透過して観察者眼球へ中間像を作ることなく導かれる。」

イ 図3は次のとおりである。






ウ 認定事項
図3から、「第1面3は、凸面を反射面とする。」ことを看取できる。

(5)甲5の記載事項
明細書の第6欄第21行〜第32行(甲5号証抄訳文の第6欄第21行〜第32行)には次の事項が記載されている。訳は申立人が提出した甲5号証抄訳文による。

「 図5は、一次ミラー12が凸楕円であり、二次ミラー10が凹楕円である、前方を見る広角潜望鏡(画像縮小システム)を示す。
焦点20と二次ミラー10の中心22との間の距離をR1、中心22と一次ミラー12の中心24との間の距離をL2、観察者の眼14と中心22との間の距離をL1、一次ミラー12の中心24と物体点16との間の距離をS2、焦点26と一次ミラーの中心24との間の距離をR2とすると、倍率方程式は次のようになる。」

(6)甲6の記載事項
【0029】には次の記載がある。

「【0029】
結像レンズ3bはその前側焦点が開口絞り13の中心に一致するよう支持されているので、結像レンズ3bの像側はテレセントリックとなり、2次元表示素子2を被検眼11の視度に合わせ光軸方向に調整しても倍率の変動が生じない。また、このレンズは光軸に対して大きく偏心しているが、このことにより図示しない使用者の顔面に沿って光軸を屈曲させる作用があるばかりか、さらに収差補正の作用も付加される。即ち光軸に対し大きく偏心した楕円鏡4は光軸に対する像面の倒れ等、通常利用される共軸光学系とは異なる性質をもつ収差が発生する。
この収差を打ち消すには、シリンドリカルレンズや楔プリズム等の特殊な光学素子を用いて補正する方法もあるが、この実施例では結像レンズ3bを単に光軸に対し横方向に大きく偏心させることで補正できる。開口絞り13と楕円鏡4との間に、2次元表示素子2の中心と周辺2点の計3点から発した3つの光束が集光している部分があるが、これが2次元表示素子2上の3点の像である。この3点の像を見ても、ここに作られた空中像が光軸に対し傾いていることが分かる。この傾きが楕円鏡4の持つ像面の傾きの収差を打ち消し、楕円鏡4で反射し、いずれも無限遠方に虚像として明瞭な再結像をする。」

(7)甲7の記載事項

ア 明細書の記載事項
甲7には次の記載がある。

「【0012】
図1において、その光学系は、被検眼眼底の断層画像を光干渉の技術を用いて非侵襲で得るための干渉光学系(以下、OCT光学系とする)200と、赤外光を用いて被検眼の眼底を照明し観察するためのSLO眼底像を取得するスキャニングレーザオフサルモスコープ(SLO)光学系300と、に大別される。なお、上記各光学系は、光源から出射した少なくとも一部の光を被検者眼の所定部位に向けて投光する投光光学系と、被検者眼の所定部位からの反射光を受光素子で受光する受光光学系と、を有し、被検者眼の撮影画像を得るための撮影光学系として用いられる。なお、OCT光学系200には、スペクトラル・ドメイン型のOCT光学系が使用されている(もちろん、タイムドメイン型(TDOCT)、スウィプト・ソース・ドメイン型(SS−OCT)でもよい)。なお、干渉光学系200及びSLO光学系300は、筐体100(図2参照)に内蔵されている。また、その筐体は、周知のアライメント用移動機構(手動又は電動)により、被検者眼Eに対して三次元的に移動される。
【0013】
なお、40は光分割部材としてのダイクロイックミラーであり、OCT光学系200に用いられる測定光源27から発せられる測定光(例えば、λ=840nm付近)を反射し、SLO光学系300に用いられる光出射部61から発せられるレーザ光(光源27とは異なる波長の光例えば、λ=780nm付近)を透過する特性を有する。この場合、ダイクロイックミラー40は、OCT光学系200の測定光軸L2とSLO光学系300の測定光軸L1とを同軸にする。
【0014】
まず、ダイクロイックミラー40の反射側に設けられたOCT光学系200の構成について説明する。OCT光学系200は、光源から出射された光束を測定光束と参照光束に分割し、測定光束を被検眼の所定部位(前眼部又は眼底)に導き、参照光束を参照光学系に導いた後、被検眼の所定部位で反射した測定光束と参照光束との合成により得られる干渉光を受光素子に受光させる。
【0015】
27はOCT光学系200の測定光及び参照光として用いられる低コヒーレントな光を発するOCT光源であり、例えばSLD光源等が用いられる。OCT光源27には、例えば、中心波長840nmで50nmの帯域を持つ光源が用いられる。26は光分割部材と光結合部材としての役割を兼用するファイバーカップラーである。OCT光源27から発せられた光は、導光路としての光ファイバ38aを介して、ファイバーカップラー26によって参照光と測定光とに分割される。測定光は光ファイバ38bを介して被検眼Eへと向かい、参照光は光ファイバ38cを介して参照ミラー31へと向かう。
【0016】
測定光を被検眼Eへ向けて出射する光路には、測定光を出射する光ファイバ38bの端部39b、コリメートレンズ22、被検眼眼底に対するフォーカス調整のため被検眼の屈折誤差に合わせて光軸方向に移動可能なフォーカシングレンズ24、走査駆動機構51の駆動により眼底上でXY方向に測定光を走査させることが可能な2つのガルバノミラーの組み合せからなる走査部23と、が配置されている。ダイクロイックミラー40及び対物レンズ10は、OCT光学系200からのOCT測定光を被検眼眼底へと導光する導光光学系としての役割を有する。なお、本実施形態の走査部23では、2つのガルバノミラーによって測定光の反射角度を任意に調整することにより、眼底上に走査させる測定光の走査方向を任意に設定できるような構成となっている。よって、被検眼眼底の任意の領域の断層画像を得ることが可能となる。なお、光ファイバ38bの端部39bは、被検眼眼底と共役となるように配置される。また、走査部23の2つのガルバノミラーは、被検眼瞳孔と略共役な位置に配置される。」

「【0025】
光出射部61は、赤外域の波長の光(例えば、λ=780nm)を発する第1の光源(SLO光源)61aと可視域の波長の光(例えば、λ=630nm)を発する第2の光源(固視光源)61b、ミラー69、ダイクロイックミラー101とを有する。なお、第1の光源61aと第2の光源61bには、輝度が高く、指向性の高い光を発する光源(レーザダイオード光源、SLD光源、等)が用いられる。第1の光源61aを出射した赤外光は、ダイクロイックミラー101を透過し、コリメートレンズ65を介してビームスプリッタ62に進む。第2の光源61bを出射した可視光は、ミラー69にて折り曲げられた後、ダイクロイックミラー101にて反射して第1の光源61aから出射した光と同軸とされる。
第1の光源61aは観察用の正面眼底画像を得るために用いられ、第2の光源61bは被検眼の視線方向を誘導させるために用いられる。
【0026】
光出射部61から発せられるレーザ光を被検眼Eに向けて出射する光路には、コリメートレンズ65、被検眼の屈折誤差に合わせて光軸方向に移動可能なフォーカシングレンズ63、走査駆動機構52の駆動により眼底上でXY方向に測定光を高速で走査させることが可能なガルバノミラーとポリゴンミラーとの組み合せからなる走査部64、対物レンズ10が配置されている。また、走査部64のガルバノミラー及びポリゴンミラーの反射面は、被検眼瞳孔と略共役な位置に配置される。
【0027】
また、光出射部61とフォーカシングレンズ63との間には、ビームスプリッタ62が配置されている。そして、ビームスプリッタ62の反射方向には、共焦点光学系を構成するための集光レンズ66と、眼底に共役な位置に置かれる共焦点開口67と、SLO用受光素子68とが設けられている。
【0028】
ここで、光出射部61から発せられたレーザ光(測定光、又は固視光束)は、コリメートレンズ62を介してビームスプリッタ62を透過した後、フォーカシングレンズ63を介して、走査部64に達し、ガルバノミラー及びポリゴンミラーの駆動により反射方向が変えられる。そして、走査部64で反射されたレーザ光は、ダイクロイックミラー40を透過した後、ダイクロイックミラー91及び対物レンズ10を介して、被検眼眼底に集光される。」

「【0036】
図2(b)は前眼部アダプター(以下、アダプター)500が検査窓150に装着された状態の図である。アダプター500は、前眼部を撮影する際に検査窓160に装着され、被検眼に対する測定光の焦点位置を眼底から前眼部へと移動させるレンズ系を持つ。これにより、前述のOCT光学系200とSLO光学系300が眼底撮像光学系から前眼部撮像光学系に切換えられる。」

「【0064】
また、上記着脱検知について、眼科撮影装置の検査窓に装着される他のアダプターにおいても、本発明の適用は可能である。例えば、撮影する被検眼像の撮影倍率を変更するためのレンズ系を有する倍率変更用アダプター、撮影画角を変更するための広角レンズアダプター、強度の屈折異常眼の視度を補正するための視度補正用アダプター、等が考えられる。」

イ 認定事項7−1
上記アの各記載事項から、甲7には次の技術事項(以下「認定事項7−1」という。)が記載されていると認められる。

「走査光学系が、赤外光を用いて被検眼の眼底を赤外光を用いて被検眼の眼底を照明し観察するためのSLO眼底像を取得するSLOスキャニングレーザオフサルモスコープ(SLO)光学系(300)と、
被検眼眼底の断層画像を光干渉の技術を用いて非侵襲で得るための干渉光学系(OCT光学系:200)と、を有し、
SLO光学系(300)が、眼底上でXY方向に測定光を高速で走査させる走査部(64)を有し、
OCT光学系(200)が、眼底上でXY方向に測定光を走査させる走査部(23)を有し、
走査部(64)と対物レンズ(10)との間であり、且つ、走査部(23)と対物レンズ(10)との間において、SLO光学系(300)の光路とOCT光学系(200)の光路とを結合させるダイクロイックミラー(40)が設けられている」こと。

(8)甲8の記載事項

ア 明細書の記載事項
甲8の明細書には次の記載がある。訳は、申立人が提出した甲第8号証抄訳及び当審訳による(単に「当審訳」と付した)。
(ア)「 The present invention relates to improvements in or relating to scanning laser ophthalmoscopes (SLOs), and in particular to the introduction of wide field structural retinal imaging capabilities to scanning laser ophthalmoscopes.
It is well known to image the retinal structure of a subject using Optical Coherence Tomography (OCT).」(明細書1頁3〜7行)
(当審訳:「本発明は、走査型レーザ検眼鏡(SLO)に関し、特に広視野構造網膜イメージング能力を走査レーザ検眼鏡に導入する改良に関する。光学コヒーレンス・トモグラフィー(OCT)を用いて被験者の網膜構造を撮像することは周知である。」)
(イ)「It is also well known to image the retina of a subject using a Scanning Laser Ophthalmoscope (SLO) to obtain an image of the retina at multiple wavelengths,・・・.」(明細書1頁14〜16行)
(当審訳:「走査型レーザー・オフサルモスコープ(SLO)を用いて被験者の網膜を撮像して、網膜の像を複数波長で得ることも周知であり、・・・。」)
(ウ)「Figure 1 shows an implementation of a wide field scanning laser ophthalmoscope (SLO) 1 including a source of collimated light 12, a scanning device comprising a scanning element 16, and a scan transfer device 20. The source of collimated light 12 is directed towards the patient via the scanning device and scan transfer means such that an ultra-wide field scan angle is achieved at the subject pupil plane 24. In the present disclosure, "widefield" scanning refers to a scan angle in excess of 50 degrees in one or two dimensions, while "ultra-wide field" is used to refer to a scan covering substantially the entire retina. This collimated light source may be a laser for SLO applications or, in the case of OCT, may be a superluminescent diode (SLD).」(明細書9頁24〜32行)
(当審訳:「図1に、広視野走査型レーザー・オフサルモスコープ(SLO)1の実現を示し、SLO1は、コリメート光源12、走査素子16を具えた走査装置、及び走査転送装置20を含む。コリメート光源12は、走査装置及び走査転送手段を介して患者に向けて指向され、これにより、超広視野の走査角が患者の瞳孔面24において達成される。本開示では、「広視野」とは、一次元または二次元において50度を超える走査角を称するのに対し、「超広視野」は、網膜のほぼ全体をカバーする走査を称すべく用いる。このコリメート光源は、SLO用途向けのレーザーとすることができ、あるいは、OCTの場合は、超発光ダイオード(SLD)とすることができる。」)
(エ)「However, it should be appreciated that any suitable source of collimated light could be used, such as a single frequency laser diode, verticalcavity surface-emitting laser, or other source that has enough intensity and to be well collimated and produce adequate retinal illumination. In OCT applications, an SLD may be used due the short coherence lengths required to discriminate the retinal layers from the resultant interferometric data. The SLD may be free space or fibre coupled into standard or polarisation maintaining fibre to the scan system.」(明細書10頁1〜7行)
(当審訳:「しかし、単周波レーザーダイオード、垂直キャビティ面発光レーザー、あるいは十分な強度を有し、十分にコリメートされ、かつ適切な網膜照射を生成する他の光源のような、あらゆる適切なコリメート光源を用いることができることは明らかである。OCT用途では、網膜層を結果的な干渉計測データと区別するために必要な短いコヒーレンス長により、SLDを用いることができる。このSLDは、走査システムに至る標準的なファイバまたは偏向維持ファイバ内に、自由空間結合またはファイバ結合することができる。」)
(オ)「 With reference to Figure 2, another implementation of a wide field scanning laser ophthalmoscope (SLO) 10 includes a source of collimated light 12, a scanning device, scan relay device 18 and scan transfer device 20.
The scanning device comprises a first scanning element 14 and a second scanning element 16.」(明細書10頁15〜18行)
(当審訳:「図2を参照すれば、広視野走査型レーザー・オフサルモスコープ(SLO)10が、コリメート光源12、走査装置、走査中継装置18、及び走査転送装置20を含む。走査装置は、第1走査素子14及び第2走査素子16を具えている。」)
(カ)「 The scan relay device 18 has two foci. In the embodiment described here the scan relay device 18 is an ellipsoidal mirror, and is referred to as a slit mirror. It should be appreciated, however, that the scan relay device 18 may have an alternative form.
The first scanning mirror 14 is positioned at a first focus of the scan relay device 18 and the resonant scanner 16 is positioned at the second focus of the scan relay device 18.」(明細書12頁19〜26行)
(当審訳:「走査中継装置18は2つの焦点を有する。本明細書に記載する実施形態では、走査中継装置18が楕円面鏡であり、スリットミラーと称する。しかし、走査中継装置18は代わりの形態を有することができることは明らかである。第1の走査ミラー14は、走査中継装置18の第1の焦点に位置決めされ、共振スキャナ16は、走査中継装置18の第2の焦点に配置されている。」)
(キ)「 The scan transfer device 20 may be an aspherical mirror in the form of an ellipsoidal mirror, and may be referred to as a main mirror. The main mirror 20 has two foci. In the embodiment described and illustrated here, the main mirror 20 is configured to provide a 200 degree field of view (external angle) in both the vertical and horizontal directions (i.e. 200 degree x 200 degree) on the retina.
However, it should be appreciated that the main mirror scan transfer device may be configured to provide an substantially lesser or substantially greater field of view in both horizontal and vertical directions.
The second scanner 16 is also positioned at a first focus of the main mirror 20. A subject's eye 24 is positioned at a second focus of the main mirror 20.」(明細書12頁28行〜13頁5行)
(当審訳:「走査転送装置20は、楕円面鏡の形態の非球面鏡とすることができ、そして主鏡と称することができる。主鏡20は2つの焦点を有する。ここで説明及び図示する実施形態では、走査転送装置20は、網膜の垂直及び水平方向の(すなわち、200度×200度)両方で(拡張角度)200度の視野を提供するように構成されている。
しかし、主鏡走査転送装置は、水平及び垂直の両方向において実質的に小さい又は実質的に大きい視野を提供するように構成されてもよいことを理解されたい。第2走査素子16は、主鏡20の第1焦点に位置決めされる。被検者の眼は、主鏡20の第2焦点24に位置決めされる。」)
(ク)「 Examples of some of the options are illustrated in Figures 4, 5 & 6, which show the OCT imaging system incorporated with an SLO system of the type shown in Figure 2.」(明細書17頁1〜3行)
(当審訳:「選択肢のいくつかの例を図4、5及び6に図示し、これらの図は、図2に示す種類のSLOシステムと併合されたOCT撮像システムを示す。」)
(ケ)「 Figure 4 illustrates a first example configuration wherein the OCT and SLO beams are combined before the first scanning element 14. In this arrangement, the SLO illumination source 12, first scanning element 14, second scanning element 16, scan relay device 18 and scan transfer device 20 are provided as before. The illuminator 12 may emit a laser beam 13.
In addition, OCT optics 900 are provided.
The OCT optics 900 provide a collimated beam from a fiber delivered OCT source via the OCT interferometer such that the emitted beam 902 forms the OCT sample beam. The OCT optics may also contain local scanning optics such that an OCT scan point can be relayed through the scan relay and scan transfer means to the patient retina.」(明細書17頁5〜13行)
(当審訳:「図4に、第1例の構成を例示し、ここではOCTビームとSLOビームとが、第1走査素子14の前方で結合される。この構成では、SLO照射源12、第1走査素子14、第2走査素子16、走査中継装置18、及び走査転送装置20が前のように設けられている。照射器12はレーザビーム13を放出することができる。これに加えて、OCT光学器900が設けられている。OCT光学器900は、ファイバで伝達されるOCT光源からのコリメートビームをOCT干渉計経由で提供し、これにより、放出されるビーム902がOCTサンプルビームを形成する。このOCT光学器はローカル走査光学器も含み、これにより、OCT走査点を、走査中継手段及び走査転送手段を通して患者の網膜に中継することができる。」)

イ 図面の記載事項

(ア)図2(FIG.2)は次のとおりである。






(イ)図4(FIG.4)は次のとおりである。






ウ 認定事項8−1
(認定事項8−1)上記アの各記載事項及びイ(ア)・(イ)から、
「被験者の眼から遠い側から、第1走査素子(第1の走査ミラー)14、楕円面鏡からなる走査中継装置18、第2走査素子(共振スキャナ)18、楕円面鏡からなる走査転送装置(主鏡)20を備え、
第1走査素子(第1の走査ミラー)14は、走査中継装置18の第1の焦点に位置決めされ、
第2走査素子(共振スキャナ)16は、走査中継装置18の第2の焦点に配置され、
第2走査素子(共振スキャナ)16は、走査転送装置(主鏡)20の第1焦点に位置決めされ、
被検者の眼は、走査転送装置(主鏡)20の第2焦点24に位置決めされ、
第1走査素子(第1の走査ミラー)14及び第2走査素子(共振スキャナ)16は走査装置を構成し、
SLOまたはOCTのコリメート光源は、走査装置及び走査転送手段を介して患者に向けて指向され、これにより、超広視野の走査角が患者の瞳孔面24において達成され、走査転送装置(主鏡)20は、網膜の垂直及び水平方向の両方で200度の視野を提供する、光学系を備え、
SLOシステムと併合されたOCT撮像システムにおいて、OCTビームとSLOビームとが、第1走査素子14の前方で結合される、検眼鏡。」
が記載されているといえる。

(9)引用文献1の記載事項
取消理由通知書で当審が追加的に引用した、本件特許の優先日前に公知となった引用文献1(特開2010−175448号公報)には、次の記載がある。

ア 明細書の記載事項
引用文献1の明細書には次の記載がある。

「【0029】
本発明の構成によれば、検出器として2次元撮像手段を採用し、当該撮像手段のフレームレートに応じた低速の走査手段と低速な再走査手段を使用しているので、走査型の共焦点光学系を簡単に構成することができ、電気的な制御も容易である。
【0030】
SLMやSLOの専用装置として、光学系は投光ビームと受光ビームを同軸状に使用しているので、解像力が高く、高感度でコントラストや階調性の高い2次元的な反射画像(または蛍光画像)を撮像素子のフレームレートに応じて高速に取得することが可能である。
【0031】
また、必要に応じてOCTの干渉光学系による計測機能も追加することができ、その場合は、対象物体の2次元的な反射画像(または蛍光画像)と同時に、深度方向の断層画像情報も取得可能になるという、多面的な利用方法が可能になる。」
「【0035】
図1において、符号1及び2で示すものは、観察対象物体の反射画像、または蛍光画像を観察するために利用される光源(第1の光源)である。これらは、高輝度の光ビームを発生する発光ダイオード(Super Luminescent Diode:SLD)、または半導体レーザー(Laser Diode)や固体レーザー(Solid State Laser)等の高輝度性を有する所定の光源が利用される。波長は、例えば490nm〜800nm程度の範囲内として、光源1と2に関しては、必要に応じて異なる波長の光ビームを使い分ける様に、選択的に利用することができる。光源1、2からの光ビームは、レンズ3、4でコリメートされ、ミラー5とダイクロイックミラー6を介して同一の光軸上に合成される。
【0036】
ミラー5とダイクロイックミラー6を介した光ビームは、シリンドリカルレンズ(円柱レンズ)7を介して扁平なラインビーム(焦点面において線状に結像する光ビーム)へと変形された後、ミラー8で反射され、ビームスプリッター(BS)9に入射する。円柱レンズ7は、言い換えれば、光源からの光ビームをスリット状に変形するための光学整形手段の役割を果たしている。ビームスプリッター9は、光路分割部材を構成しており、これは例えば、反射対透過の特性がガラス面全体で一様なビームスプリッターであっても良く、または、中心部では反射し周辺部では透過するような特性を有する部分的な反射ミラーであっても良い。
以下では、ビームスプリッター9を光路分割部材として説明する。
【0037】
ビームスプリッター9で反射されたラインビームは、ガルバノメーター10に装着されたミラー(ガルバノミラー)10aに入射する。ガルバノミラー10aは、光軸に対して直交する方向に、光ビームの1次元的な走査を行うものである。ガルバノミラー10aによる走査は、通常のTVカメラのフレーム周波数と同一の、例えば30Hz(または、60Hz等)の走査周波数で行われる。
【0038】
ガルバノミラー10aによって走査された光ビームは、ダイクロイックミラー11、レンズ12、13、および対物レンズ(対物光学系)14を介した後、観察対象物体の被検眼15(前眼部15a、および眼底15b)に入射する。ここで、レンズ12と13は、被検眼の視度(近視や遠視等)に応じて調節可能なフォーカシング光学系(焦点調節手段)を構成しており、レンズ12および13の位置は光軸方向に所定の機構(不図示)の動作に応じて調整可能なものとなっている。また、レンズ12、13と対物レンズ14は、テレセントリック光学系を構成しており、ガルバノミラー10aと被検眼(前眼部15a)との共役関係がほぼ一定に保たれるように構成されている。
【0039】
被検眼15に入射した光ビームは、例えば眼底15bの所定位置において、線状にフォーカスされる。このフォーカスされたラインビームは、ガルバノミラー10a(光走査手段)の作用によって、被検眼の眼底15bを、ビームの線状方向(Y軸方向、図1の紙面に垂直な方向)とは直交する方向(X軸方向)に1次元的に走査される。これによって、被検眼の眼底15bを、2次元的に探索することが可能になる。」
「【0046】
図1の実施例においては、上述した光学撮像系に加えて、光ファイバー干渉計を利用したOCT(Optical Coherence Tomography)の計測手段(図1で一点鎖線で区画した部分)が対物光学系(14)と光走査手段(10a)間のリレー光路に着脱可能に付加されている。
【0047】
図1の符号29で示すものは、部分的コヒーレント光を射出する高輝度の発光ダイオード(Super Luminescent Diode:SLD)であり、断層画像を観察するために必要な低干渉性の性質を有する光源(第2の光源)である。この光源29としては、中心波長が、光源1、2の中心波長と異なる、例えば850nm、スペクトル幅が50nm程度の物理的な特性を有するSLD光源を利用することができる。SLD光源29からの光ビームは、レンズ30でコリメートされた後、カプラー31aを介して光ファイバー干渉計32へ結合される。光ファイバー干渉計32は、光路が、光源側の光路32a、参照光路32b、探索光路32c、検出光路32dの4方向に分割されたものである。各光路32a〜32dは、それぞれ光ファイバーから構成されている。
【0048】
参照光路32bを進む光ビームは、カプラー31bから射出した後、NDフィルター33によって光強度等を調整された後、ミラー34で反射され、参照光路32bを引き返すことになる。ミラー34は、圧電素子(圧電振動子)35に装着されており、この振動子は所定の周波数で光軸方向にミラー34を微細振動させ、光ビームの周期的な位相シフトを行なうものである。なお、参照光路32bの光路長は、被検眼への光路を含めた探索光路32cの光路長と距離が等しくなるように合わせる必要がある。そのために、反射ミラー34は、圧電素子35を介して、移動ステージ36の上に固定されており、必要に応じて適宜調整されるものとする。
【0049】
一方、探索光路32cを進む光ビームは、カプラー31cから射出した後、所定のガルバノメーターを含む走査ユニット37に入射して、光ビームの走査が行なわれる。走査ユニット37は、例えば、不図示の2つのガルバノミラーを含んでおり、光軸に対して直交する方向(XY面内方向)に、光ビームの任意の走査(ライン状の走査またはサークル状の走査等)を行うことができる。
【0050】
走査ユニット37において走査されたOCT用の光ビームは、ダイクロイックミラー11で反射された後、レンズ12、13、対物レンズ14を介した後、観察対象物体の被検眼15(前眼部15a、眼底15b)に入射する。ここで、レンズ12、13および対物レンズ14は、既に説明したように、テレセントリック光学系を構成することによって、走査ユニット37と被検眼の前眼部15aとの共役関係がほぼ一定に保たれるように構成することができる。」

イ 図面の記載事項







3 当審の判断

3−1 本件発明1の新規性進歩性(理由1・2)について

(1)本件発明1と甲1発明1との対比

ア 構成aの「レーザ12」、「レーザ12からのレーザービーム13」、「網膜」、「垂直方向の1次元の走査を行う」こと、はそれぞれ、構成1Aの「光源」、「光源からの光」、「眼底上」、「光の進行方向を変える」こと、に相当する。
また、構成aの「高速回転する多面鏡からなる第1走査要素(多面鏡)14」は、構成1Bの「光スキャナ」及び構成1B・1Hの「走査光学系」に共に相当する。

イ 構成bの「第1の走査要素(多面鏡)14と被験者の眼22との間に配置され」ること、「スリット鏡18、振動平面鏡16、及び主鏡20からなる光学系」、「レーザビーム13は、第1の走査要素(多面鏡)14、操作補助手段(スリット鏡)18、振動平面鏡16、及び走査移動手段(主鏡)20を介して、被験者の眼22に照射され」ること、はそれぞれ、構成1Bの「前記光スキャナと前記被検眼との間に配置され」ること、「対物光学系」、「光スキャナからの前記光を前記眼底に導く」こと、に相当する。

ウ 構成cの「被験者の眼22の網膜から反射されたビーム」、「被験者の網膜の像を生成する」、「走査検眼鏡」はそれぞれ、構成1Cの「前記光の眼底反射光」、「眼底の画像を形成する」、「眼底撮影装置」に相当する。

エ 構成eにおける「第1の走査要素(多面鏡)14が回転する」ことは、構成1Eの「光スキャナの動作」に相当する。
また、構成eにおいて、「走査補償手段(スリット鏡)18の第2の焦点」において「常に走査補償手段(スリット鏡)18の第2の焦点を通過するよう入射角が走査される光」が入射し、「それが振動平面鏡16により反射されて回転走査光として出射されるように」されることは、「走査補償手段(スリット鏡)18の第2の焦点」を中心として入射光・出射光が共に回転していることに外ならない。
よって、構成eの「走査補償手段(スリット鏡)18の第2の焦点」は構成1Eの「第1旋回点」に相当し、構成eで「走査補償手段(スリット鏡)18」が「第1の走査要素(多面鏡)14が回転することによる回転走査光を反射することで、常に走査補償手段(スリット鏡)18の第2の焦点を通過するよう入射角が走査される光とし、それが振動平面鏡16により反射されて回転走査光として出射されるようにする」ことは、構成1Eで「第1ミラー」が「前記光スキャナからの前記光を反射することによって、前記光スキャナの動作に伴って前記光が旋回される第1旋回点を形成する」ことに相当するといえる。

オ 構成fの「走査移動手段(主鏡)20」は構成1Fの「第2ミラー」に相当する。
また、構成fでは、「走査補償手段(スリット鏡)18で反射された回転走査光は、走査移動手段(主鏡)20の第1の焦点に位置する振動平面鏡16により見かけ上の点光源である回転走査光として反射されて、走査移動手段(主鏡)20を介して、被験者の眼22に照射され」ることで、「走査補償手段(スリット鏡)18で反射された回転走査光」が「振動平面鏡16」を経て「走査移動手段(主鏡)20」で再度反射されるのであるから、構成fの当該構成は、構成1Fの「前記第1ミラーによって反射された前記光を更に反射することによって、」「前記光が」「前記被検眼に出射される」ことに相当するといえる。
また、構成fの「回転走査光は、走査移動手段(主鏡)20の第1の焦点に位置する振動平面鏡16により見かけ上の点光源である回転走査光として反射されて、走査移動手段(主鏡)20を介して、被験者の眼22に照射され、該見かけ上の点光源は、走査移動手段(主鏡)20の第2の焦点に位置する眼に移動され」ることは、回転走査光が、被験者の眼22の位置で(を中心として)点光源として回転走査されることを意味するから、構成fの「走査移動手段(主鏡)20の第2の焦点」は構成1Fの「光が旋回される第2旋回点」に相当するといえる。

カ 構成gの「光の走査角」は、構成1Gの「光の振り角」に相当する。
また、構成gの「第1の走査要素(多面鏡)14からの光の走査角」及び「例えば第1の走査要素(多面鏡)14による光学的走査の走査角45度」は、「第1の走査要素(多面鏡)14」から出射した光は走査補償手段(スリット鏡)18」に向かうのであるから、共に、構成1Gの「前記第1ミラーに入射される光の振り角」に相当する。
また、構成gの「被験者の眼22の瞳孔点から測定して120度の走査を網膜に対して行う」との技術事項は、「被験者の眼22」が位置し、点光源が移動された位置(構成f)である「走査移動手段(主鏡)20の第2の焦点」を中心として120度の走査角で網膜を回転走査することを意味することが明らかである。よって、構成gの「被験者の眼22の瞳孔点から測定して120度の走査」は、構成1Gの「第2旋回点における前記光の振り角」に相当するといえる。
そうすると、構成gの「第1の走査要素(多面鏡)14からの光の走査角は、走査補償手段(スリット鏡)18によって拡大され、例えば第1の走査要素(多面鏡)14による45度の光学的走査に対し、走査補償手段(スリット鏡)18により走査角度が約3倍に拡大されて、被験者の眼22の瞳孔点から測定して120度の走査を網膜に対して行う」ことは、全体として構成1Gの「前記第2旋回点における前記光の振り角に対し、前記第1ミラーに入射される光の振り角が小さい」に相当するといえる。

キ(ア)構成a〜cで「レーザビーム13は、第1の走査要素(多面鏡)14、操作補助手段(スリット鏡)18、振動平面鏡16、及び走査移動手段(主鏡)20を介して、被験者の眼22に照射され、第1の走査要素(多面鏡)14、操作補助手段(スリット鏡)18、振動平面鏡16は、組み合わせて、見かけ上の点光源から、ラスタ走査パターンの形状の、2次元の平行光の走査を行」い、
「被験者の眼22の網膜から反射されたビームが被験者の網膜の像を生成するために利用される」との、「走査検眼鏡」の一連の動作及び機能は、技術常識に照らし、構成1Iの「SLO」の動作・機能に相当する。
(イ)また、構成a〜cにおいて前記動作・機能を担う光学系のうち、「レーザ12」、「第1の光学要素(多面鏡)14」は、「操作補助手段(スリット鏡)18」よりも被験者の眼22(網膜)とは反対側に位置し、ここでの《被験者の眼22(網膜)とは反対側》は構成1Iの「上流側」に相当する。
(ウ)よって、前記構成a〜cの「レーザ12」、「第1の光学要素(多面鏡)14」は、構成1Iの「前記第1ミラーに対して上流側に配置されるSLO光学系」に相当するといえる。

ク(ア)上記キの相当関係を前提とし、構成aの「レーザ12」、「レーザビーム13」はそれぞれ、構成1Jの「第1光源」、「第1光源からの点状の第1光」に相当する。
(イ)上記(ア)を前提として、構成bで「ラスタ走査パターンの形状の、2次元の平行光の走査を行う」ことは、構成1Jの「第1光源からの点状の第1光を二次元的に走査する」ことに相当するといえる。
(ウ)構成cの「被験者の眼22の網膜から反射されたビームが被験者の網膜の像を生成する」ことは、構成bでビームが「2次元の平行光の走査」が行われていることと合わせみれば、構成1Kの「前記第1光源からの光による前記眼底の正面画像を得る」ことに相当する。よって、構成bで、「2次元の平行光の走査」を担う「第1の走査要素(多面鏡)14、操作補助手段(スリット鏡)18、振動平面鏡16」は、機能上、構成1Jの「第1光スキャナ」に相当する。

ケ 本件発明1と甲1発明1との一致点
上記ア〜クによれば、両発明は次の点で一致する。

「1A 光源からの光を被検眼の眼底上で走査するために前記光の進行方向を変える光スキャナを有する走査光学系と、
1B 前記光スキャナと前記被検眼との間に配置され、前記光スキャナからの前記光を前記眼底に導くための対物光学系と、を有し、
1C 前記光の眼底反射光に基づいて前記眼底の画像を形成する眼底撮影装置であって、
1D 前記対物光学系は、
1E 前記光スキャナからの前記光を反射することによって、前記光スキャナの動作に伴って前記光が旋回される第1旋回点を形成する第1ミラーと、
1F 前記第1ミラーによって反射された前記光を更に反射することによって、前記被検眼に出射される前記光が旋回される第2旋回点を形成する第2ミラーと、を有し、
1G’ 前記第2旋回点における前記光の振り角に対し、前記第1ミラーに入射される光の振り角が小さく、
1H 前記走査光学系は、
1I’ SLO光学系であって、
1J’ (第1光源からのライン状の第1光を一方向に走査する第1光スキャナ、又は、)第1光源からの点状の第1光を二次元的に走査する第1光スキャナを有し、
1K 前記第1光源からの光による前記眼底の正面画像を得るためのSLO光学系を有する、
1P 眼底撮影装置。」

コ 本件発明1と甲1発明1との相違点
上記ア〜クによれば、両発明は次の点で相違する。

(ア)相違点1(構成1I〜1L)
本件発明1の走査光学系のうち、「第1光源からの点状の第1光を二次元的に走査する第1光スキャナ」を有する「SLO光学系」が、「第1ミラーに対して上流側に配置される」のに対し、甲1発明1のSLO光学系では、前記「二次元的に走査」することが、本件発明1の前記「第1ミラー」に相当する「走査補助手段(スリット鏡)18」を含む、「第1の走査要素(多面鏡)14、走査補助手段(スリット鏡)18、振動平面鏡16」を「組み合わせて」担われている、すなわち、「第1光スキャナ」に「第1ミラー」が含まれており、「第1光スキャナ」を有する「SLO光学系」が「第1ミラー」の上流側に配置されない点。

(イ)相違点2(構成1L〜1O)
本件発明1は、走査光学系がSLO光学系に加え構成1L〜1Nとして
「前記第1ミラーに対して上流側に配置されるOCT光学系であって、
第2光源からの測定光を前記眼底上で二次元的に走査する第2光スキャナを有し、
光干渉の原理を用いて前記被検眼の断層画像を得るためのOCT光学系」
を備え、さらに、構成1Oとして
「前記第1光スキャナと前記第1ミラーとの間であり、且つ、前記第2光スキャナと前記第1ミラーとの間において、前記SLO光学系の光路と前記OCT光学系の光路とを結合させる光路結合部材」
を備えるのに対し、甲1発明1は、OCT光学系を備えず、よって、それとSLO光学系との光路を結合させる「光結合部材」も備えない点。

(2)相違点1についての検討

ア 甲7の認定事項7−1は再掲すると次のとおりである。
「走査光学系が、赤外光を用いて被検眼の眼底を赤外光を用いて被検眼の眼底を照明し観察するためのSLO眼底像を取得するSLOスキャニングレーザオフサルモスコープ(SLO)光学系(300)と、
被検眼眼底の断層画像を光干渉の技術を用いて非侵襲で得るための干渉光学系(OCT光学系:200)と、を有し、
SLO光学系(300)が、眼底上でXY方向に測定光を高速で走査させる走査部(64)を有し、
OCT光学系(200)が、眼底上でXY方向に測定光を走査させる走査部(23)を有し、
走査部(64)と対物レンズ(10)との間であり、且つ、走査部(23)と対物レンズ(10)との間において、SLO光学系(300)の光路とOCT光学系(200)の光路とを結合させるダイクロイックミラー(40)が設けられている」こと。

イ 認定事項7−1における「対物レンズ(10)」、「操作部(64)」がそれぞれ、本件発明1の「対物光学系」、「走査光学系」に相当する。
認定事項7−1の構成では、「走査部(64)と対物レンズ(10)との間であり、且つ、走査部(23)と対物レンズ(10)との間において、SLO光学系(300)の光路とOCT光学系(200)の光路とを結合させるダイクロイックミラー(40)が設けられている」から、「走査部(23)」は「対物レンズ(10)」の上流側に位置するといえ、この点で認定事項7−1は相違点1に係る構成に相当する。

ウ 一方、走査光学系と対物光学系との関係に係る、甲1発明1の構成bは、
「b 第1の走査要素(多面鏡)14と被験者の眼22との間に配置され、第1の走査要素(多面鏡)14側から順に走査補償手段(スリット鏡)18、振動平面鏡16、及び走査移動手段(主鏡)20からなる光学系であって、
走査要素(多面鏡)14は、走査補償手段(スリット鏡)18の第1の焦点に位置し、振動平面鏡16は、走査補償手段(スリット鏡)18の第2の焦点に位置し、
振動平面鏡16は、走査移動手段(主鏡)20の第1の焦点に位置し、被験者の眼22は、走査移動手段(主鏡)20の第2の焦点に位置し、
レーザビーム13は、第1の走査要素(多面鏡)14、走査補助手段(スリット鏡)18、振動平面鏡16、及び走査移動手段(主鏡)20を介して、被験者の眼22に照射され、
第1の走査要素(多面鏡)14、走査補助手段(スリット鏡)18、振動平面鏡16は、組み合わせて、見かけ上の点光源から、ラスタ走査パターンの形状の、2次元の平行光の走査を行う光学系と、を有し、」
というものであり、構成fで
「f 走査補償手段(スリット鏡)18の第2の焦点に位置する振動平面鏡16は、走査移動手段(主鏡)20の第1の焦点にも位置し、被験者の眼22は走査移動手段(主鏡)20の第2の焦点に位置し、走査補償手段(スリット鏡)18で反射された回転走査光は、走査移動手段(主鏡)20の第1の焦点に位置する振動平面鏡16により見かけ上の点光源である回転走査光として反射されて、走査移動手段(主鏡)20を介して、被験者の眼22に照射され、該見かけ上の点光源は、走査移動手段(主鏡)20の第2の焦点に位置する眼に移動され、」
と特定されるように、「走査補償手段(スリット鏡)18」・「走査移動手段(主鏡)20」・「走査要素(多面鏡)14」・「振動平面鏡16」なる各手段は構成bに特定される相互配置の下で、協働して構成fに特定される機能を奏するものである。

エ(ア)上記(1)で説示した一致点・相違点の認定のとおり、本件発明1の「対物光学系」に構成bの「走査補償手段(スリット鏡)18」及び「走査移動手段(主鏡)20」が相当するとみれば、甲1発明1において、SLO光学系としての2次元走査を担う「走査要素(多面鏡)14」及び「振動平面鏡16」が、「走査要素(多面鏡)14は、走査補償手段(スリット鏡)18の第1の焦点に位置し、振動平面鏡16は、走査補償手段(スリット鏡)18の第2の焦点に位置し、振動平面鏡16は、走査移動手段(主鏡)20の第1の焦点に位置し、被験者の眼22は、走査移動手段(主鏡)20の第2の焦点に位置し、」と、対物光学系の4つの焦点に関連づけて配置されており、甲1発明1において、対物光学系とSLOの走査光学系とは幾何光学的に不可分に組み合わされ、協働して機能するものであるため、両者を上下流に分離配置することができない。
よって、認定事項7−1に当該分離配置についての技術思想が含まれるとしても、それを甲1発明1に適用する動機付けを欠くし、仮に適用しようとしても、対物光学系を構成する「走査補償手段(スリット鏡)18」及び「走査移動手段(主鏡)20」から走査光学系をどのように分離し、どのような走査形態を与えれば等価な走査機能を維持できるのかについて、他の甲号証や引用文献1にあたっても開示は見出せず、当業者であっても容易に想到することができない。
(イ)また、対物光学系と走査光学系との分離配置を優先し、構成bの対物光学系とSLOの走査光学系とをすべて認定事項7−1の技術事項に置き換える適用形態を考えても、その場合には「走査補償手段(スリット鏡)18」及び「走査移動手段(主鏡)20」からなる対物光学系を認定事項7−1の「対物レンズ」に置き換えることとなり、構成1E〜1Gで特定される「対物光学系」の「第1ミラー」・「第2ミラー」を備えない点について新たな相違点が生じる。仮に該新たな相違点の構成に相当する公知・周知技術が存在したとしても、他の技術事項に置き換えた構成部分に、さらに他の公知・周知技術を採用し適用することは、当業者といえども格別な努力を要するといえるから、当業者にとって容易になし得ることとはいえない。
よって、前記適用形態によっても、相違点1が容易想到なものであるということもできない。

オ(ア)また、上記(1)での認定とは異なり、甲1発明1の「走査移動手段(主鏡)20」のみが、本件発明1の「対物光学系」に相当すると考えることもできるが、その場合には、構成fの「走査移動手段(主鏡)20」が、構成1Gの「第1ミラー」に相当することとなり、構成1Fの「第2ミラー」に相当する構成を甲1発明1が備えない点が別の相違点となる。
(イ)しかし、甲1発明1の対物光学系は、上記不可分な「走査補償手段(スリット鏡)18」・「走査移動手段(主鏡)20」・「走査要素(多面鏡)14」・「振動平面鏡16」の協働によって、「振り角」に関し構成1G’に相当する構成gの機能を既に備えるものである。
そうすると、甲1発明1の「走査移動手段(主鏡)20」を本件発明1の「第1ミラー」・「第2ミラー」何れに相当させるとしても、その前後にさらに別のミラーを配置させる動機付けは想定できないし、どのようなミラーをどのように配置すれば等価な機能を維持できるのかについて、他の甲号証や引用文献1に開示は見出せず、技術常識ともいえないから、上記別の相違点は当業者が容易に想到しうるものとはいえない。

カ 上記のとおりであるから、甲1発明1において、相違点1の構成とすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。

(3)相違点2についての検討

ア 相違点2のうち、本件発明1が、走査光学系がSLO光学系に加え構成1L〜1Nとして「前記第1ミラーに対して上流側に配置されるOCT光学系であって、第2光源からの測定光を前記眼底上で二次元的に走査する第2光スキャナを有し、光干渉の原理を用いて前記被検眼の断層画像を得るためのOCT光学系」を備える点(以下「相違点2−1」という。)については、相違点1に関する上記(2)で説示したとおり、走査光学系と対物光学系とに相当する甲1発明1の「走査補償手段(スリット鏡)18」・「走査移動手段(主鏡)20」・「走査要素(多面鏡)14」・「振動平面鏡16」なる各手段は、構成bに特定される相互配置の下で、協働して構成fに特定される機能を奏するものであるから、ここから走査光学系のみ切り離して対物光学系(第1ミラー)に対し被検眼とは反対側、すなわち上流側に配置することを想到することは、動機付けを欠き、当業者にとって容易になし得たこととはいえない。よって、甲1発明1において前記相違点2−1の構成とすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。

イ また、相違点2のうち、構成1Oとして「前記第1光スキャナと前記第1ミラーとの間であり、且つ、前記第2光スキャナと前記第1ミラーとの間において、前記SLO光学系の光路と前記OCT光学系の光路とを結合させる光路結合部材」を備える点(以下「相違点2−2」という。)については、SLOの走査光学系である「第1光スキャナ」及びOCTの走査光学系である「第2光スキャナ」が共に「対物光学系」の「上流側」に位置することを前提とするものであるから、上記(2)及び(3)アで説示したとおり、該前提となる構成が非容易想到である以上、甲1発明1において前記相違点2−2の構成とすることも、当業者が容易になし得たこととはいえない。

(4)申立人の主張について
申立人意見書において申立人は、本件訂正を経た本件発明1について、参考文献1(特開2014−110825号公報)を挙げて、光路結合部材の位置を本件発明1のようにすることの容易想到性に関し、
「特許権者は、本件意見書において、『本件発明1の光路結合部の位置では、対物光学系によって光の振り角が増大されていないから、光路結合部材によって、SLO光学系の光路とOCT光学系の光路を良好に結合できる。すなわち、広画角での眼底撮影を実現するうえで、光路結合部の入射角依存性に起因する広角側での画質低下が抑制される。』と主張しているが、対物光学系によって光の振り角が増大される前の段階で光路結合部材によって複数の光路を結合する点は、参考資料1に記載されている通り周知技術であり、甲第1号証に記載の発明が人間の網膜を走査する走査検眼鏡であるように、当該周知技術の動機付けがある。」(申立人意見書7頁12〜21行)
と主張する。
しかし、前記申立人の主張する光結合部材の位置についての相違点は、上記相違点2−2に関係するものであり、その前提となる、甲1発明1において相違点2−1の構成とすること(走査光学系のみ切り離して対物光学系(第1ミラー)に対し被検眼とは反対側、すなわち上流側に配置すること)を想到することが、動機付けを欠き、当業者にとって容易になし得たこととはいえないことは、上記(2)・(3)で説示したとおりであるから、前記申立人の主張を考慮したとしても、相違点1・2が共に非容易想到であるとの結論に変わりはない。

(5)小括
以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1に記載された発明ではなく、また、甲1〜甲8並びに引用文献1に記載された発明によって当業者が容易に発明することができたものともいえない。
よって、本件発明1に係る特許は、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由(新規性進歩性)及び取消理由通知に記載した取消理由によっては取り消すことはできない。

3−2 本件発明5の進歩性について

(1)本件発明5と甲1発明1との対比
ア 本件発明5の構成5A〜5G’は、本件発明1の構成1A〜1G’に対応する。

イ 構成bにおける「走査移動手段(主鏡)20」が「凹面鏡である」ことは、構成5Xの「前記第2ミラーは、凹面を反射面とする」ことに相当する。

ウ よって、本件発明5と甲1発明1とは、下記(ア)の点で一致し、下記(イ)の点で相違する。

(ア) 一致点
「5A 光源からの光を被検眼の眼底上で走査するために前記光の進行方向を変える光スキャナを有する走査光学系と、
5B 前記光スキャナと前記被検眼との間に配置され、前記光スキャナからの前記光を前記眼底に導くための対物光学系と、を有し、
5C 前記光の眼底反射光に基づいて前記眼底の画像を形成する眼底撮影装置であって、
5D 前記対物光学系は、
5E 前記光スキャナからの前記光を反射することによって、前記光スキャナの動作に伴って前記光が旋回される第1旋回点を形成する第1ミラーと、
5F 前記第1ミラーによって反射された前記光を更に反射することによって、前記被検眼に出射される前記光が旋回される第2旋回点を形成する第2ミラーと、を有し、
5G’ 前記第2旋回点における前記光の振り角に対し、前記第1ミラーに入射される光の振り角が小さい、
5Y’ 眼底撮影装置。」

(イ) 相違点3(構成5X)
本件発明5の「前記第1ミラー」は、「凸面を反射面と」するのに対し、甲1発明1では凹面鏡である点。

(2)相違点3についての検討
ア 上記3−1の(2)で説示したとおり、甲1発明1における「走査補償手段(スリット鏡)18」・「凹面鏡である走査移動手段(主鏡)20」・「走査要素(多面鏡)14」・「凹面鏡である振動平面鏡16」なる各手段は、構成bに特定されるように、「第1の走査要素(多面鏡)14は、走査補償手段(スリット鏡)18の第1の焦点に位置し、振動平面鏡16は、走査補償手段(スリット鏡)18の第2の焦点に位置し、振動平面鏡16は、走査移動手段(主鏡)20の第1の焦点に位置し、被験者の眼22は、走査移動手段(主鏡)20の第2の焦点に位置」するという相互配置の下で、協働して構成fに特定される機能を奏するものである。

イ 確かに、対物光学系として凸面鏡及び凹面鏡を組み合わせてなるものは甲2〜甲5にも開示されるとおり周知であるが、この周知技術を前記甲1発明1の相互配置に適用して、「第1ミラー」に相当する「走査補償手段(スリット鏡)18」のみ凸面鏡に変えた場合には、そのままでは、前記相互配置と幾何光学上等価な配置とし、構成fに特定される機能を維持することができず、同様の機能を維持するために、前記凸面鏡と他の光学要素とをどのように配置すべきか、各甲号証や引用文献1の記載から明らかではなく、また、該当する技術常識が存在するとの証拠もないから、前記周知技術の適用により相違点3に係る本件発明5の構成とすることは当業者であっても容易に想到することができたこととはいえない。

(3)申立人の主張について
申立人は本件特許異議申立書及び申立人意見書において、上記相違点3について、甲2〜5に係る周知技術に基づく容易想到性を主張する。
しかし、これについては上記(2)で検討したとおりであるから、前記申立人の主張はあたらない。

(4)小括
以上のとおりであるから、本件発明5は、甲1〜甲8並びに引用文献1に記載された発明によって当業者が容易に発明することができたものとはいえない。
よって、本件発明5に係る特許は、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由(進歩性)によっては取り消すことはできない。

3−3 本件発明2〜4・7の新規性進歩性(理由1・2)について
上記3−1で検討したとおり本件発明1は甲1発明ではなく、甲1〜甲8並びに引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものともいえない。
また、上記3−2で検討したとおり本件発明5は甲1〜甲8並びに引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものともいえない。
よって、本件発明1または5を更に減縮した発明である、本件発明1・5を直接又は間接的に引用する本件発明2〜4・7についても同様に、甲1発明ではなく、甲1〜甲8並びに引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものともいえない。

3−4 本件発明6・9の進歩性(理由2)について
上記3−3での説示と同様に、本件発明1または5を更に減縮した発明である、本件発明1・5を直接又は間接的に引用する本件発明6・7・9についても、甲1〜甲8並びに引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものとはいえない。

3−5 その他の取消理由について

(1)申立人が主張するその他の取消理由
申立人意見書において申立人は、本件訂正後の本件発明1について、おおむね以下の、本件訂正により新たに生じた取消理由を主張する。

ア(新規事項)構成1I・1Lに加入された「上流側」については出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載がなく、該記載から自明な事項であるともいえないから、新規事項を追加するものである。

イ(明確性)構成1I・1Lに加入された「上流側」について、光源から被検眼に光を照射する場合と、被検眼から検出器が受講する場合とで方向が異なるから、SLO・OCT各光学系の配置が明確でない。

ウ(明確性)構成1Aの「光源」と構成1J以下の「第1光源」・「第2光源」との関係、及び構成1Aの「光スキャナ」と構成1J以下の「第1光スキャナ」・「第2光スキャナ」との関係が明確でなく、そのため、SLO・OCT各光学系の光路を良好に結合できるとの効果を奏するかについても明確でない。

エ 本件発明1において、SLO・OCT各光学系における検出器の存在が特定されていないため、画像取得の有無及び画像取得に係る効果を奏しうるかが明確でない

(2)申立人が主張するその他の取消理由についての検討
ア 上記(1)ア・イの点については、上記3−1・3−2においても説示したとおり、構成1I・1Lの「上流側」が願書に添付した明細書及び図面(図1・2・4・5)の記載からみて、「第1ミラー」に対し被験者の眼とは反対側を指すことが明らかである。

イ 上記(1)ウの点については、構成1Aに「走査光学系」が「光源」と「光スキャナ」とを備えることが特定され、構成1H〜1Oでは「走査光学系」についてさらに限定するものであるから、構成1Aの「光源」は構成1J以下の「第1光源」・「第2光源」を含み、構成1Aの「光スキャナ」は構成1J以下の「第1光スキャナ」・「第2光スキャナ」を含むことが明らかであるといえる。

ウ 上記(1)エの点については、SLO・OCT各光学系の基本的な光学構成は周知であり、本件発明1におけるSLO・OCT各光学系も、それぞれに前記周知の一般的な光学構成に倣いそれぞれに何らかの検出器を備えなければ成り立たないことが明らかであるし、該各検出器の特定がないことにより、走査手段・光合成手段・対物光学系に特徴を有する本件発明1の構成が不明確になるというものでもない。

エ 小括
以上ア〜ウのとおりであるから、本件訂正後の本件発明1・5について、申立人が申立人意見書で主張するような取消理由が存在するとはいえない。

第5 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1〜7・9に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1〜7・9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項8に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てについて、請求項8に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。


 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を被検眼の眼底上で走査するために前記光の進行方向を変える光スキャナを有する走査光学系と、
前記光スキャナと前記被検眼との間に配置され、前記光スキャナからの前記光を前記眼底に導くための対物光学系と、を有し、前記光の眼底反射光に基づいて前記眼底の画像を形成する眼底撮影装置であって、
前記対物光学系は、
前記光スキャナからの前記光を反射することによって、前記光スキャナの動作に伴って前記光が旋回される第1旋回点を形成する第1ミラーと、
前記第1ミラーによって反射された前記光を更に反射することによって、前記被検眼に出射される前記光が旋回される第2旋回点を形成する第2ミラーと、を有し、
前記第2旋回点における前記光の振り角に対し、前記第1ミラーに入射される光の振り角が小さく、
前記走査光学系は、
前記第1ミラーに対して上流側に配置されるSLO光学系であって、第1光源からのライン状の第1光を一方向に走査する第1光スキャナ、又は、第1光源からの点状の第1光を二次元的に走査する第1光スキャナを有し、前記第1光源からの光による前記眼底の正面画像を得るためのSLO光学系と、
前記第1ミラーに対して上流側に配置されるOCT光学系であって、第2光源からの測定光を前記眼底上で二次元的に走査する第2光スキャナを有し、光干渉の原理を用いて前記被検眼の断層画像を得るためのOCT光学系と、
前記第1光スキャナと前記第1ミラーとの間であり、且つ、前記第2光スキャナと前記第1ミラーとの間において、前記SLO光学系の光路と前記OCT光学系の光路とを結合させる光路結合部材と、を有することを特徴とする眼底撮影装置。
【請求項2】
前記第1ミラーは、前記走査光学系から前記第1ミラーへ入射するときの前記光の振り角に対して大きな振り角で、前記第1旋回点から前記第2ミラーへ入射する前記光を前記第1旋回点において旋回させる請求項1記載の眼底撮影装置。
【請求項3】
前記第1ミラーは、前記第1旋回点を前記第1ミラーの焦点に形成し、
前記第2ミラーは、2つの焦点を持ち、一方の焦点に前記第1旋回点が位置されることによって、他方の焦点に前記第2旋回点が形成される請求項1又は2記載の眼底撮影装置。
【請求項4】
前記第1ミラーは、鏡面が二次曲面で形成された非球面鏡である請求項1から3のいずれかに記載の眼底撮影装置。
【請求項5】
光源からの光を被検眼の眼底上で走査するために前記光の進行方向を変える光スキャナを有する走査光学系と、
前記光スキャナと前記被検眼との間に配置され、前記光スキャナからの前記光を前記眼底に導くための対物光学系と、を有し、前記光の眼底反射光に基づいて前記眼底の画像を形成する眼底撮影装置であって、
前記対物光学系は、
前記光スキャナからの前記光を反射することによって、前記光スキャナの動作に伴って前記光が旋回される第1旋回点を形成する第1ミラーと、
前記第1ミラーによって反射された前記光を更に反射することによって、前記被検眼に出射される前記光が旋回される第2旋回点を形成する第2ミラーと、を有し、
前記第2旋回点における前記光の振り角に対し、前記第1ミラーに入射される光の振り角が小さく、且つ、前記第1ミラーは、凸面を反射面とし、前記第2ミラーは、凹面を反射面とする眼底撮影装置。
【講求項6】
前記眼底反射光が前記第1ミラーと前記第2ミラーとによって反射されることによって生じる像面の傾きを補正する光学部材を有する請求項1から5のいずれかに記載の眼底撮影装置。
【請求項7】
前記第1ミラーは、前記第2ミラーによって生じる非対称な像面歪曲を補正する請求項1から6のいずれかに記載の眼底撮影装置。
【請求項8】(削除)
【請求項9】
前記SLO光学系、および前記OCT光学系は、物体側にテレセントリックであることを特徴とする請求項1記載の眼底撮影装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-12-15 
出願番号 P2016-194514
審決分類 P 1 651・ 857- YAA (A61B)
P 1 651・ 121- YAA (A61B)
P 1 651・ 113- YAA (A61B)
P 1 651・ 851- YAA (A61B)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 井上 博之
特許庁審判官 ▲高▼見 重雄
樋口 宗彦
登録日 2020-10-12 
登録番号 6776777
権利者 株式会社ニデック
発明の名称 眼底撮影装置  
代理人 鈴木 敏弘  
代理人 水越 邦仁  
代理人 水越 邦仁  
代理人 武藤 広晃  
代理人 武藤 広晃  
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