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審決分類 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  C01B
審判 全部申し立て ただし書き3号明りょうでない記載の釈明  C01B
審判 全部申し立て 2項進歩性  C01B
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C01B
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C01B
審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  C01B
管理番号 1384116
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-05-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-04-28 
確定日 2022-02-07 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6780650号発明「酸素8員環ゼオライト及びAEI型ゼオライトの製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6780650号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜22〕について訂正することを認める。 特許第6780650号の請求項1〜4、6、8〜12、14〜22に係る特許を維持する。 特許第6780650号の請求項5、7、13に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6780650号(以下、「本件特許」という。)の請求項1〜22に係る特許についての出願は、2016年(平成28年)11月1日(優先権主張 平成27年11月27日)を国際出願日とする出願であって、令和2年10月19日にその特許権の設定登録がされ、同年11月4日に特許掲載公報が発行された。
その後、その請求項1〜22に係る特許に対して、令和3年4月28日に特許異議申立人岩部英臣(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、同年7月27日付けで取消理由が通知され、同年9月17日に特許権者により意見書の提出及び訂正の請求がされ、この訂正の請求に対して、同年10月27日に申立人により意見書の提出がされたものである。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
令和3年9月17日にされた訂正の請求(以下、「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)は、特許法第120条の5第4項の規定に従い、一群の請求項を構成する請求項1〜22を訂正の単位として訂正することを求めるものであり、その内容(訂正事項)は、次のとおりである。なお、訂正箇所に下線を付した。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「水熱合成して酸素8員環ゼオライトを製造する」と記載されているのを、「水熱合成して、骨格中にInternational Zeolite Association(IZA)がcomposite building unitとして定めるd6rを含む酸素8員環ゼオライトを製造する」に訂正すると共に、「1分子中に炭素原子を5〜11個有する4級アンモニウム塩」と記載されているのを「テトラエチルアンモニウムヒドロキシド」に訂正する。(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2〜4、6、8、15、16、21,22も同様に訂正する。)
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項5を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項6に「請求項1乃至5のいずれかに記載」と記載されているのを、「請求項1乃至4のいずれかに記載」に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項7を削除する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項8に「請求項1乃至7のいずれかに記載」と記載されているのを、「請求項1乃至4及び6のいずれかに記載」に訂正する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項9に、「1分子中に炭素原子を5〜11個有する4級アンモニウム塩」と記載されているのを、「テトラエチルアンモニウムヒドロキシド」に訂正する。(請求項9の記載を引用する請求項17、18、21、22も同様に訂正する。)
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項10に、「1分子中に炭素原子を5〜11個有する4級アルキルアンモニウム塩」と記載されているのを、「1分子中に炭素原子を5〜11個有する4級アルキルアンモニウムヒドロキシドであって、N原子に結合した4個の置換基の全てがアルキル基である4級アルキルアンモニウムヒドロキシド」に訂正する。(請求項10の記載を引用する請求項11、12、14、19〜22も同様に訂正する。)
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項13を削除する。
(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項14に「請求項13に記載」と記載されているのを、「請求項10乃至12のいずれかに記載」に訂正する。
(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項15に「請求項1乃至8のいずれかに記載」と記載されているのを、「請求項1乃至4、6及び8のいずれかに記載」に訂正する。
(11)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項16に「請求項1乃至8のいずれかに記載」と記載されているのを、「請求項1乃至4、6及び8のいずれかに記載」に訂正する。
(12)訂正事項12
特許請求の範囲の請求項19に「請求項10乃至14のいずれかに記載」と記載されているのを、「請求項10乃至12及び14のいずれかに記載」に訂正する。
(13)訂正事項13
特許請求の範囲の請求項20に「請求項10乃至14のいずれかに記載」と記載されているのを、「請求項10乃至12及び14のいずれかに記載」に訂正する。

2 訂正要件(訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について)の判断
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項5及び願書に添付された明細書の段落【0054】及び【0078】の記載に基づき、訂正前の請求項1に記載された「酸素8員環ゼオライト」について、その骨格中に「d6r」を含むことに限定し、「1分子中に炭素原子を5〜11個有する4級アンモニウム塩」を「テトラエチルアンモニウムヒドロキシド」に限定するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2)訂正事項6について
訂正事項6は、願書に添付された明細書の段落【0078】の記載に基づき、訂正前の請求項9に記載された「1分子中に炭素原子を5〜11個有する4級アンモニウム塩」を「テトラエチルアンモニウムヒドロキシド」に限定するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(3)訂正事項7について
訂正事項7は、訂正前の請求項13及び願書に添付された明細書の段落【0078】の記載に基づき、訂正前の請求項10に記載された「1分子中に炭素原子を5〜11個有する4級アルキルアンモニウム塩」を「1分子中に炭素原子を5〜11個有する4級アルキルアンモニウムヒドロキシド」に限定するとともに、「4級アルキルアンモニウム」の構造を明確化するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」及び「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(4)訂正事項2、4、8について
訂正事項2、4、8は、訂正前の請求項5、7及び13をそれぞれ削除するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてされたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(5)訂正事項3、5、10〜13について
訂正事項3、5、10〜13は、前記訂正事項2、4、8により請求項5、7及び13が削除されることに伴い、訂正前の請求項6、8、15、16、19及び20における選択的引用請求項の一部を削除するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」又は「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてされたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(6)訂正事項9について
訂正事項9は、訂正前の請求項14が訂正前の請求項13の記載を引用し、当該請求項13が訂正前の請求項10乃至12のいずれかの記載を引用していたところ、前記訂正事項8により請求項13が削除されることに伴い、引用関係が不明瞭になることを避けるために、訂正後の請求項14が訂正後の請求項10乃至12のいずれかの記載を引用するように記載を改めるものであるから、「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてされたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜22〕について訂正することを認める。

第3 本件発明について
本件訂正された請求項1〜4、6、8〜12、14〜22に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」などといい、纏めて「本件発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1〜4、6、8〜12、14〜22に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
アルミニウム原子原料、ケイ素原子原料、アルカリ金属原子原料、有機構造規定剤、及び水を混合し、得られた原料混合物を水熱合成して、骨格中にInternational Zeolite Association(IZA)がcomposite building unitとして定めるd6rを含む酸素8員環ゼオライトを製造する方法において、
該アルミニウム原子原料として、少なくとも、International Zeolite Association(IZA)がcomposite building unitとして定めるd6rを骨格中に含み、かつFramework densityが15T/1000Å3以下のアルミノシリケートゼオライトを用い、
該ケイ素原子原料として、少なくとも、該アルミノシリケートゼオライトと、該アルミノシリケートゼオライト以外のケイ素原子原料とを用い、
該有機構造規定剤として、少なくとも、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドを用いることを特徴とする酸素8員環ゼオライトの製造方法。
【請求項2】
前記アルミノシリケートゼオライトのシリカ/アルミナモル比が20以下であることを特徴とする請求項1に記載の酸素8員環ゼオライトの製造方法。
【請求項3】
前記アルミノシリケートゼオライト以外のケイ素原子原料が、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、無定型シリカ、水ガラス、珪酸ナトリウム、ケイ酸メチル、ケイ酸エチル、シリコンアルコキシド、及びアルミノシリケートゲルから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の酸素8員環ゼオライトの製造方法。
【請求項4】
種晶として、酸素8員環ゼオライトを、前記原料混合物中のSiが全てSiO2になっているとしたときのSiO2に対して0.1重量%以上混合することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の酸素8員環ゼオライトの製造方法。
【請求項6】
前記有機構造規定剤が、ヘテロ原子として窒素原子を含む脂環式複素環化合物、アルキル基を有するアミン、及びシクロアルキル基を有するアミンから選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の酸素8員環ゼオライトの製造方法。
【請求項8】
前記原料混合物の水の含有量が、該原料混合物に含まれるSiに対するモル比で3以上50以下であることを特徴とする請求項1乃至4及び6のいずれかに記載の酸素8員環ゼオライトの製造方法。
【請求項9】
アルミニウム原子原料、ケイ素原子原料、アルカリ金属原子原料、有機構造規定剤、及び水を混合し、得られた原料混合物を水熱合成してCHA型ゼオライトを製造する方法において、
該アルミニウム原子原料として少なくとも、International Zeolite Association(IZA)がcomposite building unitとして定めるd6rを骨格中に有するアルミノシリケートゼオライトを用い、
該ケイ素原子原料として、少なくとも、該アルミノシリケートゼオライトと、該アルミノシリケートゼオライト以外のケイ素原子原料とを用い、
該有機構造規定剤として、少なくとも、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドを用いることを特徴とするCHA型ゼオライトの製造方法。
【請求項10】
ゼオライト骨格形成原子原料、アルカリ金属原子原料、有機構造規定剤、及び水を混合し、得られた原料混合物を水熱合成してAEI型ゼオライトを製造する方法において、
該ゼオライト骨格形成原子原料として、少なくとも、International Zeolite Association(IZA)がcomposite building unitとして定めるd6rを骨格中に含むアルミノシリケートゼオライトを用い、
該有機構造規定剤として、少なくとも、1分子中に炭素原子を5〜11個有する4級アルキルアンモニウムヒドロキシドであって、N原子に結合した4個の置換基の全てがアルキル基である4級アルキルアンモニウムヒドロキシドを用い、
種晶として、AEI型ゼオライトを、該原料混合物中のSiが全てSiO2になっているとしたときのSiO2に対して0.5重量%以上混合して反応前混合物を得、
該反応前混合物を水熱合成することを特徴とするAEI型ゼオライトの製造方法。
【請求項11】
前記アルミノシリケートゼオライトのFramework densityが14.5T/1000Å3以下であることを特徴とする請求項10に記載のAEI型ゼオライトの製造方法。
【請求項12】
前記ゼオライト骨格形成原子原料として、前記アルミノシリケートゼオライトと、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、無定型シリカ、珪酸ナトリウム、ケイ酸メチル、ケイ酸エチル、シリコンアルコキシド、及びアルミノシリケートゲルから選ばれる少なくとも1種とを用いることを特徴とする請求項10又は11に記載のAEI型ゼオライトの製造方法。
【請求項14】
前記4級アルキルアンモニウムヒドロキシドが、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドであることを特徴とする請求項10乃至12のいずれかに記載のAEI型ゼオライトの製造方法。
【請求項15】
請求項1乃至4、6及び8のいずれかに記載の酸素8員環ゼオライトの製造方法により、酸素8員環ゼオライトよりなる触媒を製造することを特徴とする触媒の製造方法。
【請求項16】
請求項1乃至4、6及び8のいずれかに記載の酸素8員環ゼオライトの製造方法により酸素8員環ゼオライトを製造し、得られた酸素8員環ゼオライトに、Si及びAl以外の金属を担持させることを特徴とする触媒の製造方法。
【請求項17】
請求項9に記載のCHA型ゼオライトの製造方法により、CHA型ゼオライトよりなる触媒を製造することを特徴とする触媒の製造方法。
【請求項18】
請求項9に記載のCHA型ゼオライトの製造方法によりCHA型ゼオライトを製造し、得られたCHA型ゼオライトに、Si及びAl以外の金属を担持させることを特徴とする触媒の製造方法。
【請求項19】
請求項10乃至12及び14のいずれかに記載のAEI型ゼオライトの製造方法により、AEI型ゼオライトよりなる触媒を製造することを特徴とする触媒の製造方法。
【請求項20】
請求項10乃至12及び14のいずれかに記載のAEI型ゼオライトの製造方法によりAEI型ゼオライトを製造し、得られたAEI型ゼオライトに、Si及びAl以外の金属を担持させることを特徴とする触媒の製造方法。
【請求項21】
排ガス処理用触媒の製造方法である請求項15乃至20のいずれかに記載の触媒の製造方法。
【請求項22】
窒素酸化物を含む排ガスの選択的還元触媒の製造方法である請求項15乃至20のいずれかに記載の触媒の製造方法。」

第4 取消理由通知書に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
設定登録時の請求項1〜13、15〜22に係る特許に対して、当審が令和3年7月27日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
(1)取消理由1(明確性要件違反)
請求項7、8、10〜13、15、16、19〜22に係る特許は、特許請求の範囲の記載が後記3(1)アの点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
(2)取消理由2(サポート要件違反)
請求項1〜13、15〜22に係る特許は、特許請求の範囲の記載が後記3(2)アの点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
(3)取消理由3(甲第1号証を主たる証拠とした新規性進歩性欠如)
請求項1〜3に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、また、請求項4、7、8、15、16、21、22に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項1〜4、7、8、15、16、21、22に係る特許は、特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反してされたものである。
(4)取消理由4(甲第2号証を主たる証拠とした新規性進歩性欠如)
請求項1〜3に係る発明は、甲第2号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、また、請求項4、7、8、15、16、21、22に係る発明は、甲第2号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項1〜4、7、8、15、16、21、22に係る特許は、同法第29条第1項又は第2項の規定に違反してされたものである。
・証拠方法
甲第1号証:米国特許第5958370号明細書
甲第2号証:国際公開第2015/063501号

2 甲号証の記載事項
(1)甲第1号証の記載事項
ア 「1. Field of the Invention
The present invention relates to new crystalline zeolite SSZ-39, a method for preparing SSZ-39 using a variety of cyclic and polycyclic quaternary ammonium cation templating agents, and processes employing SSZ-39 as a catalyst.」(第1欄第8〜12行)
(当審仮訳:本発明は、新しい結晶性ゼオライトSSZ−39、様々な環式及び多環状第4級アンモニウムカチオンテンプレート剤を使用してSSZ−39を調製するための方法、並びに、SSZ−39を触媒として使用するプロセスに関するものである。)
イ 「EXAMPLES
The following examples demonstrate but do not limit the present invention. The templating agents indicated in Table C below are used in these examples.
TABLE C
・・・

・・・
Example 2
Synthesis of SSZ-39
Four grams of a solution of Template A (0.56 mmol OH-/g) is mixed with 6.1 grams of water and 0.20 grams of 1.0 N NaOH. Ammonium exchanged Y zeolite (0.25 gram) is added to this solution and, finally, 2.5 gram of Banco "N" sodium silicate (28-29 wt. % SiO2) is added. The resulting reaction mixture is sealed in a Parr 4745 reactor and heated at 135℃. and rotated at 43 rpm. After seven days, a settled product is obtained and determined by XRD to be SSZ-39. Analysis of this product shows the SiO2/Al2O3 mole ratio to be 14.7.
Examples 3-14
The following examples use the templates described in Table C above and use the same ratios of reactants as shown in Example 2. Higher silica/alumina mole ratios can be obtained by using LZ-210 as the alumina source in the reaction (LZ-210 silica/alumina mole ratio=13.) In all Examples, the product is crystalline SSZ-39.
TABLE D
Example No. Template Al Source Days Product(s)
3 B NH4+-Y(Y62) 6 SSZ-39
・・・」(第13欄第36行〜第16欄)
(当審仮訳:実施例
以下の実施例は本発明を実証するが、限定するものではない。以下の表Cに示したテンプレート剤をこれらの実施例で使用される。
表C
・・・

N,N−ジメチル−9−アゾニアビシクロ[3.3.1]ノナン
(テンプレートB)
・・・
実施例2
SSZ−39の合成
テンプレートA(0.56mmol OH−/g)の溶液4gを、6.1gの水及び0.20gの1.0N NaOHと混合する。この溶液に添加されるアンモニウム交換Yゼオライト(0.25g)を、最後に、2.5gのバンコ「N」ケイ酸ナトリウム(28〜29wt% SiO2)を添加する。得られた反応混合物をパール4745反応器中に密封し、135℃で加熱し、43rpmで回転させる。7日後、沈殿した生成物が得られ、XRDによりSSZ−39であると特定された。この生成物の分析は、SiO2/Al2O3比のモル比が14.7であることを示す。
実施例3〜14
以下の実施例は、上記の表Cに記載されるテンプレートを使用し、実施例2に示したものと同じ比率の反応物質を使用する。反応中のアルミナ源として、LZ−210を使用することにより、高いシリカ/アルミナモル比を得ることができる(LZ−210 シリカ/アルミナモル比=13)。全ての実施例において、生成物は結晶性SSZ−39である。
表D
実施例番号 テンプレート Al源 日数 生成物
3 B NH4+-Y(Y62) 6 SSZ-39
・・・)
(2)甲第2号証の記載事項
ア 「FIELD OF INVENTION
The present invention relates to a method for synthesizing a molecular sieve having an AEI framework. The invention also relates to a unique molecular sieve produced by the method, as well as the molecular sieve's use as a catalyst.」(第1頁第4〜7行)
(当審仮訳:技術分野
本発明は、AEI骨格を有するモレキュラーシーブの合成方法に関する。本発明はまた、当該方法によって生産されるユニークなモレキュラーシーブ、及び当該モレキュラーシーブの触媒としての使用にも関する。)
イ 「Mother liquors generated by conventional AEI zeolite synthesis processes contain degraded SDAs and generally cannot be reused. However, the present inventors have discovered that certain SDAs are resistant to degradation and thus are reusable in subsequent zeolite synthesis batches. SDA's useful in the present invention include the cations N,N-Dimethyl-3,5-dimethylpiperidinium, N,N-Dimethyl-2-(2-hydroxyethyl)piperidinium, N,N-Dimethyl-2-ethylpiperidinium, and 2,2,4,6,6-Pentamethyl-2-azoniabycyclo[3.2.1]octane. Surprisingly, these SDAs retain their effectiveness even after portions of the mother liquor have been reused several times.」(第3頁第14〜21行)
(当審仮訳:従来式のAEIゼオライト合成工程で生成される母液は、劣化したSDAを含有し、一般的には再利用不能である。しかしながら、本発明者らは、ある特定のSDAが劣化に耐性を有し、従って後続するゼオライト合成バッチで再利用可能であることを見出した。本発明で有用なSDAは、N,N−ジメチル−3,5−ジメチルピペリジニウム、N,N−ジメチル−2−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジニウム、N,N−ジメチル−2−エチルピペリジニウム、及び、2,2,4,6,6−ペンタメチル−2−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタン、などのカチオンを含む。驚くべきことに、これらのSDAは、母液の一部が数回再利用された後でもその効率性を保持する。)
ウ 「EXAMPLES
Example: Synthesis of AEI Zeolite Using N,N-Dimethyl-3,5-dimethylpiperidinium in Recycle Mother Liquor
About 36 grams of dealuminated USY zeolite with an SAR of 10.7 is mixed with about 1093 grams of water. To this mixture, about 195 grams of N,N-Dimethyl-3,5-dimethylpiperidinium templating agent and about 427 grams of liquid sodium silicate (28.8 wt % Si02) is slowly poured into the above mixture under agitation. The resulting mixture is then heated to 145 ℃ in sealed stainless steel reactor with 200 rpm agitation. After 2 days of crystallization, the resulting crystallized mixture is transferred to a separation funnel. At static conditions, the solid settlement and a top clear liquid layer are separated in several hours. The bulk of the clear mother liquor is collected and designated as first pass mother liquor (ML-P1).
The solid in the bottom slurry is recovered and confirmed to be AEI by XRD. Chemical analysis of this product shows its SAR to be 20.0. Analysis of the mother liquor indicates no detectable decomposition of the un-utilized template after the synthesis.」(第22頁第14〜27行)
(当審仮訳:実施例
実施例:N,N−ジメチル−3,5−ジメチルピペリジニウムを用いた、リサイクル母液中でのAEIゼオライトの合成
10.7のSARを有する約36gの脱アルミニウムUSYゼオライトが、約1093gの水と混合される。この混合物に、約195gのN,N−ジメチル−3,5−ジメチルピペリジニウムテンプレート剤と約427gの液体ケイ酸ナトリウム(28.8wt%SiO2)が上記の混合物に、攪拌しながら低速で添加される。次いで、得られた混合物が、密閉されたステンレス鋼の反応器内で200rpmで攪拌しながら145℃まで加熱される。2日間の結晶化の後、得られた結晶化された混合物が別のファンネルに移される。静止状態で、固相沈殿物と上澄み液体層とが数時間後に分離する。清澄な母液のバルクが収集されて、第1の過程の母液(ML−P1)に指定される。
底部スラリ中の固体が回収され、XRDによってAEIであることが確認される。この生成物の化学的解析によると、SARが20.0である。母液の解析は、合成後の未使用テンプレートの検知可能な分解物がないことを示す。)

3 取消理由に対する当審の判断
(1)取消理由1(明確性要件違反)について
ア 具体的な指摘事項
当該取消理由1は、要するに、(i)設定登録時の請求項7に記載された「種晶の平均粒径」は、どのような測定手法に基づく数値であるのかが明らかでなく、また、(ii)設定登録時の請求項10に記載された「4級アルキルアンモニウム塩」との用語は、N原子に結合した4個の置換基とアルキル基の関係が明らかでないため、設定登録時の請求項7及び10に係る発明、並びに、これらを引用する請求項8、11〜13、15、16、19〜22に係る発明は明確でない、というものである。
イ 取消理由1についての検討
前記第3のとおり、本件訂正によって、請求項7に係る発明は削除され、また、請求項10に記載された「4級アルキルアンモニウム塩」は、「N原子に結合した4個の置換基の全てがアルキル基である」ことが明らかになったため、前記(i)及び(ii)に係る記載不備は解消した。
ウ 小括
以上のとおりであるから、取消理由1に理由はない。
(2)取消理由2(サポート要件違反)について
ア 具体的な指摘事項
当該取消理由2は、要するに、(i)設定登録時の請求項1〜8、15、16、21、22に係る発明は、高価な環状の「1分子中に炭素原子を5〜11個有する4級アンモニウム塩」や、本件特許明細書の発明の詳細な説明の実施例に記載された「テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAOH)」以外の「1分子中に炭素原子を5〜11個有する4級アンモニウム塩」を有機構造規定剤として使用することや、同実施例に記載された「CHA型ゼオライト」又は「AEI型ゼオライト」のようなd6rを骨格中に含む酸素8員環ゼオライト以外の酸素8員環ゼオライトを製造することを包含しているため、当業者が「廉価で工業的に入手しやすい有機構造規定剤を用いて、酸素8員環ゼオライト及びAEI型ゼオライトを低コストで効率的に製造する方法を提供する」(段落【0012】)という課題を解決できる範囲のものといえないし、発明の詳細な説明に記載された事項を当該請求項に係る発明にまで拡張又は一般化できるといえないこと、(ii)設定登録時の請求項9、17、18、21、22に係る発明は、高価な環状の「1分子中に炭素原子を5〜11個有する4級アンモニウム塩」や、同実施例に記載された「TEAOH」以外の「1分子中に炭素原子を5〜11個有する4級アンモニウム塩」を有機構造規定剤として使用することを包含しているため、当業者が上記課題を解決できる範囲のものといえないし、発明の詳細な説明に記載された事項を当該請求項に係る発明にまで拡張又は一般化できるといえないこと、及び、(iii)設定登録時の請求項10〜13、19〜22に係る発明は、同実施例に記載された「TEAOH」以外の「1分子中に炭素原子を5〜11個有する4級アルキルアンモニウム塩」を有機構造規定剤として使用することを包含しているため、発明の詳細な説明の記載や技術常識に照らしても、発明の詳細な説明に記載された事項を当該請求項に係る発明にまで拡張又は一般化できないことを論拠として、設定登録時の請求項1〜13、15〜22に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえない、というものである。
イ 本件発明1〜4、6、8、15、16、21、22に対する取消理由2についての検討
(ア)本件発明1は、前記第3に示したとおりの発明であって、「アルミニウム原子原料として、少なくとも、International Zeolite Association(IZA)がcomposite building unitとして定めるd6rを骨格中に含み、かつFramework densityが15T/1000Å3以下のアルミノシリケートゼオライト」、「ケイ素原子原料として、少なくとも、該アルミノシリケートゼオライトと、該アルミノシリケートゼオライト以外のケイ素原子原料」、「有機構造規定剤として、少なくとも、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド」を用いて、「水熱合成」により「骨格中にInternational Zeolite Association(IZA)がcomposite building unitとして定めるd6rを含む酸素8員環ゼオライト」を製造するとの特定事項を含む発明である。
(イ)他方、本件特許明細書の発明の詳細な説明の実施例には、水と、有機構造規定剤としてテトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAOH)と、NaOHと、アルミニウム原子原料としてFAU型アルミノシリケートゼオライトと、ケイ素原子原料としてコロイダルシリカとの原料混合物に、種晶としてCHA型ゼオライトを添加してから、又は、当該種晶を添加しないで、水熱合成をして、CHA型ゼオライトを製造すること(実施例I−1〜I−13)、及び、水と、有機構造規定剤としてTEAOHと、NaOHと、FAU型アルミノシリケートゼオライトとの原料混合物に、種晶としてAEI型ゼオライトを添加してから、水熱合成をして、AEI型ゼオライトを製造すること(実施例II−1〜II−3)が具体的に記載されている。
加えて、発明の詳細な説明には、「酸素8員環ゼオライトの製造方法」に関して、「テトラエチルアンモニウムヒドロキシド」が「工業的に入手しやすい」こと(段落【0078】)や、「International Zeolite Association(IZA)がcomposite building unitとして定めるd6rを骨格中に含み、かつFramework densityが15T/1000Å3以下のアルミノシリケートゼオライト」は、「溶解性が高いため、骨格を構成するd6rあるいはd6rを構成するナノパーツに容易に分解され」、「分解したパーツが、有機構造規定剤を取り囲むように再び結晶構造を作ることで酸素8員環ゼオライトが得られる」こと(段落【0052】〜【0054】)が記載されている。
(ウ)したがって、前記発明の詳細な説明の記載を合わせ考えると、本件発明1は、当業者が上記課題を解決できる範囲のものと認識できるし、また、発明の詳細な説明に記載された事項から拡張又は一般化できる範囲のものと認識できるから、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載した発明であるといえる。
また、本件発明1を引用する本件発明2〜4、6、8、15、16、21、22についても事情は同じであるから、本件発明2〜4、6、8、15、16、21、22も、発明の詳細な説明に記載した発明であるといえる。
ウ 本件発明9、17、18、21、22に対する取消理由2についての検討
(ア)本件発明9は、前記第3に示したとおりの発明であり、「アルミニウム原子原料として、少なくとも、International Zeolite Association(IZA)がcomposite building unitとして定めるd6rを骨格中に有するアルミノシリケートゼオライト」、「ケイ素原子原料として、少なくとも、該アルミノシリケートゼオライトと、該アルミノシリケートゼオライト以外のケイ素原子原料」、「有機構造規定剤として、少なくとも、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド」を用いて、「水熱合成」により「CHA型ゼオライト」を製造するとの特定事項を含む発明である。
(イ)他方、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、前記イ(イ)で検討したとおりの事項が記載されているから、本件発明9は、当業者が上記課題を解決できる範囲のものであると認識でき、発明の詳細な説明に記載された事項から拡張又は一般化できる範囲のものであって、発明の詳細な説明に記載した発明であるといえる。
また、本件発明9を引用する本件発明17、18、21、22についても事情は同じであるから、本件発明17、18、21、22も、発明の詳細な説明に記載した発明であるといえる。
エ 本件発明10〜12、19〜22に対する取消理由2についての検討
(ア)本件発明10は、前記第3に示したとおりの発明であり、「ゼオライト骨格形成原子原料として、少なくとも、International Zeolite Association(IZA)がcomposite building unitとして定めるd6rを骨格中に含むアルミノシリケートゼオライト」、「有機構造規定剤として、少なくとも、1分子中に炭素原子を5〜11個有する4級アルキルアンモニウムヒドロキシドであって、N原子に結合した4個の置換基の全てがアルキル基である4級アルキルアンモニウムヒドロキシド」、「種晶として、AEI型ゼオライト」のすべてを用いて、「水熱合成」により「AEI型ゼオライト」を製造するとの特定事項を含む発明である。
(イ)他方、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、前記イ(イ)で検討したとおり、有機構造規定剤としてTEAOHを用いて、FAU型アルミノシリケートゼオライトとの原料混合物に、種晶としてAEI型ゼオライトを添加してから、水熱合成をして、AEI型ゼオライトを製造すること(実施例II−1〜II−3)が具体的に記載されている。
加えて、発明の詳細な説明には、「AEI型ゼオライトの製造方法」に関して、「International Zeolite Association(IZA)がcomposite building unitとして定めるd6rを骨格中に含み、かつFramework densityが15T/1000Å3以下のアルミノシリケートゼオライト」は、「溶解性が高いため、骨格を構成するd6rあるいはd6rを構成するナノパーツに容易に分解され」、「分解したパーツが、種結晶の周りで有機構造規定剤を取り囲むように再び結晶構造を作ることでAEI型ゼオライトが得られる」こと(段落【0132】〜【0135】)、「AEI型ゼオライト」を「種晶として添加する」こと(段落【01142】)、「本発明のAEI型ゼオライトの製造方法においては、種晶を添加せずに、所定の有機構造規定剤を使用すると、CHA型やBEA型のゼオライトが生成することから、これらをAEI型とするために、種晶の添加が大きな役割を果たす」こと(段落【0146】)、及び、「有機構造規定剤」として「テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アルキルアンモニウム塩」を使用すること(段落【0155】)が、それぞれ記載されている。
さらに、4級アルキルアンモニウム塩の炭素数が多いほど鋳型が大きくなるため、合成されるゼオライトの細孔径が大きくなることは、本件特許出願の優先日当時の技術常識といえる。
(ウ)したがって、前記発明の詳細な説明の記載や技術常識を照らし合わせると、ゼオライト骨格形成原子原料として、「d6rを骨格中に含むアルミノシリケートゼオライト」と、有機構造規定剤として、「1分子中に炭素原子を5〜11個有する4級アルキルアンモニウムヒドロキシドであって、N原子に結合した4個の置換基の全てがアルキル基である4級アルキルアンモニウムヒドロキシド」を用いることで、AEI型に類似する大きさの細孔径を有するゼオライトが生成するところ、AEI型ゼオライトを種晶として添加することによって、AEI型ゼオライトが生成することを、当業者であれば認識することができる。
よって、本件発明10は、当業者が発明の詳細な説明に記載された事項から拡張又は一般化できる範囲のものであって、発明の詳細な説明に記載した発明であるといえる。
また、本件発明10を引用する本件発明11、12、19〜22についても事情は同じであるから、本件発明11、12、19〜22も、発明の詳細な説明に記載した発明であるといえる。
(エ)申立人の主張の検討
申立人は、令和3年10月27日付けの意見書において、甲第7号証(Masaya Itakura et al., Material Research Bulletin, 2010, Vol.45, p.646-650)及び甲第8号証(Takayuki Inoue et al., Microporous and Mesoporous Materials, 2009, Vol.122, p.149-154)を添付するとともに、甲第7号証には、FAU型ゼオライトを原料に、炭素数10のベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシドを用いて水熱合成すると、OFF型ゼオライトが合成されることが記載され、甲第8号証には、FAU型ゼオライトを原料に、炭素数5の水酸化コリンを用いて水熱合成すると、RUT型ゼオライトが合成することが記載されていることを根拠にして、「TEAOH」以外の「1分子中に炭素原子を5〜11個有する4級アンモニウム塩」を有機構造規定剤として使用しても、AEI型ゼオライトが合成されるとはいえないから、発明の詳細な説明に記載された事項を本件発明10にまで拡張又は一般化できない旨を主張している。
しかしながら、本件発明10は、前記(ア)で検討したとおり、「有機構造規定剤として、少なくとも、1分子中に炭素原子を5〜11個有する4級アルキルアンモニウムヒドロキシドであって、N原子に結合した4個の置換基の全てがアルキル基である4級アルキルアンモニウムヒドロキシド」と「種晶として、AEI型ゼオライト」を用いる「AEI型ゼオライトの製造方法」の発明であるところ、甲第7号証及び甲第8号証に記載されたゼオライトの製造方法は、有機構造規定剤である「ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド」や「水酸化コリン」が、「N原子に結合した4個の置換基の全てがアルキル基である4級アルキルアンモニウムヒドロキシドであって、N原子に結合した4個の置換基の全てがアルキル基である4級アルキルアンモニウムヒドロキシド」といえないし、また、AEI型ゼオライトを種晶として使用していないため、甲第7号証及び甲第8号証の記載をもって、ただちに本件発明10においてAEI型ゼオライトが合成できないとすることはできない。
よって、申立人の上記主張は採用できない。
オ 小括
以上のとおりであるから、取消理由2に理由はない。
(3)取消理由3(甲第1号証を主たる証拠とした新規性進歩性欠如)について
ア 甲第1号証に記載された発明(甲1発明)
上記2(1)イの実施例3の記載をSSZ−39の製造方法に注目して整理すると、甲第1号証には、
「N,N−ジメチル−9−アゾニアビシクロ[3.3.1]ノナンカチオンの溶液4gを、6.1gの水及び0.20gの1.0N NaOHと混合し、この溶液にLZ−210(NH4+−Y(Y62)、シリカ/アルミナモル比=13)0.25g、2.5gのバンコ「N」ケイ酸ナトリウム(28〜29wt% SiO2)2.5gを添加し、得られた反応混合物を反応器中に密封し、135℃で加熱し、43rpmで回転させて、6日間反応する、SSZ−39の製造方法。」
の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
イ 本件発明1について
本件発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明の「N,N−ジメチル−9−アゾニアビシクロ[3.3.1]ノナンカチオン」は、本件発明1の「有機構造規定剤」に、甲1発明の「NaOH」は、本件発明1の「アルカリ金属原子原料」に、甲1発明の「バンコ「N」ケイ酸ナトリウム」は、本件発明1の「アルミノシリケートゼオライト以外のケイ素原子原料」及び「アルカリ金属原子原料」に、甲1発明の「反応混合物を反応器中に密封し、135℃で加熱し、43rpmで回転させて、7日間反応する」ことは、本件発明1の「水熱合成」にそれぞれ相当する。
また、甲1発明の「LZ−210(NH4+−Y(Y62)、シリカ/アルミナモル比=13)」は、Yゼオライトであり、Framework densityが12.7T/1000Å3のFAU型アルミノシリケートゼオライトであるから、本件発明1の「International Zeolite Association(IZA)がcomposite building unitとして定めるd6rを骨格中に含み、かつFramework densityが15T/1000Å3以下のアルミシリケートゼオライト」である「アルミニウム原子原料」及び「ケイ素原子原料」に相当する。
さらに、甲1発明の「SSZ−39」は、AEI型ゼオライトであるから、本件発明1の「骨格中にInternational Zeolite Association(IZA)がcomposite building unitとして定めるd6rを含む酸素8員環ゼオライト」に相当する。
そうしてみると、本件発明1と甲1発明とは、
「アルミニウム原子原料、ケイ素原子原料、アルカリ金属原子原料、有機構造規定剤、及び水を混合し、得られた原料混合物を水熱合成して、骨格中にInternational Zeolite Association(IZA)がcomposite building unitとして定めるd6rを含む酸素8員環ゼオライトを製造する方法において、
該アルミニウム原子原料として、少なくとも、International Zeolite Association(IZA)がcomposite building unitとして定めるd6rを骨格中に含み、かつFramework densityが15T/1000Å3以下のアルミノシリケートゼオライトを用い、
該ケイ素原子原料として、少なくとも、該アルミノシリケートゼオライトと、該アルミノシリケートゼオライト以外のケイ素原子原料とを用いる、
酸素8員環ゼオライトの製造方法。」の点で一致し、
本件発明1では、有機構造規定剤として、「少なくとも、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド」を用いているのに対して、甲1発明では、「N,N−ジメチル−9−アゾニアビシクロ[3.3.1]ノナンカチオン」を用いている点で相違しているということができる(以下、この相違点を「相違点1」という。)。
そして、当該相違点1は実質的なものであるから、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明であるといえない。
ウ 本件発明2、3について
本件発明2、3は、本件発明1を直接的又は間接的に引用するものであり、本件発明1の特定事項をすべて含むものであるから、甲1発明と対比すると、少なくとも上記相違点1で相違している。
したがって、本件発明2、3は、甲第1号証に記載された発明であるといえない。
エ 本件発明4、8、15、16、21、22について
本件発明4、8、15、16、21、22は、本件発明1を直接的又は間接的に引用するものであり、本件発明1の特定事項をすべて含むものであるから、甲1発明と対比すると、少なくとも上記相違点1で相違している。
そして、甲第1号証には、「本発明は、新しい結晶性ゼオライトSSZ−39、様々な環式及び多環状第4級アンモニウムカチオンテンプレート剤を使用してSSZ−39を調製するための方法、並びに、SSZ−39を触媒として使用するプロセスに関するものである。」(前記2(1)ア参照)と記載されているように、甲第1号証に記載されたSSZ−39の調製方法は、環式及び多環状第4級アンモニウムカチオンテンプレート剤を使用することを前提とするものであるから、甲1発明の有機構造規定剤を、環式及び多環状第4級アンモニウムカチオンテンプレート剤でない「テトラエチルアンモニウムヒドロキシド」に変更する動機付けは存在しない。
したがって、本件発明4、8、15、16、21、22は、甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。
オ 小括
以上のとおりであるから、取消理由3に理由はない。
(4)取消理由4(甲第2号証を主たる証拠とした新規性進歩性欠如)についての検討
ア 甲第2号証に記載された発明(甲2発明)
上記2(2)ウの実施例の記載をAEIゼオライトの合成方法に注目して整理すると、甲第2号証には、
「10.7のSARを有する脱アルミニウムUSYゼオライト約36gを、約1093gの水と混合し、この混合物に、約195gのN,N−ジメチル−3,5−ジメチルピペリジニウムテンプレート剤と約427gの液体ケイ酸ナトリウム(28.8wt%SiO2)を添加し、得られた混合物を、密閉されたステンレス鋼の反応器内で200rpmで攪拌しながら145℃まで加熱し、2日間反応する、AEIゼオライトの合成方法。」
の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
イ 本件発明1について
本件発明1と甲2発明とを対比すると、甲2発明の「N,N−ジメチル−3,5−ジメチルピペリジニウムテンプレート剤」は、本件発明1の「有機構造規定剤」に、甲2発明の「ケイ酸ナトリウム」は、本件発明1の「アルミノシリケートゼオライト以外のケイ素原子原料」及び「アルカリ金属原子原料」に、甲2発明の「混合物を、密閉されたステンレス鋼の反応器内で200rpmで攪拌しながら145℃まで加熱し、2日間反応する」ことは、本件発明の「水熱合成」に、甲2発明の「AEIゼオライト」は、本件発明1の「骨格中にInternational Zeolite Association(IZA)がcomposite building unitとして定めるd6rを含む酸素8員環ゼオライト」に、それぞれ相当する。
また、甲2発明の「脱アルミニウムUSYゼオライト」は、Framework densityが12.7T/1000Å3のFAU型アルミノシリケートゼオライトであるから、本件発明1の「International Zeolite Association(IZA)がcomposite building unitとして定めるd6rを骨格中に含み、かつFramework densityが15T/1000Å3以下のアルミシリケートゼオライト」である「アルミニウム原子原料」及び「ケイ素原子原料」に相当する。
そうしてみると、本件発明1と甲2発明とは、
「アルミニウム原子原料、ケイ素原子原料、アルカリ金属原子原料、有機構造規定剤、及び水を混合し、得られた原料混合物を水熱合成して、骨格中にInternational Zeolite Association(IZA)がcomposite building unitとして定めるd6rを含む酸素8員環ゼオライトを製造する方法において、
該アルミニウム原子原料として、少なくとも、International Zeolite Association(IZA)がcomposite building unitとして定めるd6rを骨格中に含み、かつFramework densityが15T/1000Å3以下のアルミノシリケートゼオライトを用い、
該ケイ素原子原料として、少なくとも、該アルミノシリケートゼオライトと、該アルミノシリケートゼオライト以外のケイ素原子原料とを用いる、
酸素8員環ゼオライトの製造方法。」の点で一致し、
本件発明1では、有機構造規定剤として、「少なくとも、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド」を用いているのに対して、甲2発明では、「N,N−ジメチル−3,5−ジメチルピペリジニウムテンプレート剤」を用いている点で相違しているものと認められる(以下、この相違点を「相違点2」という。)。
そして、当該相違点2は実質的なものであるから、本件発明1は、甲第2号証に記載された発明であるといえない。
ウ 本件発明2、3について
本件発明2及び3は、本件発明1の特定事項をすべて含むものであるから、甲2発明と対比すると、少なくとも上記相違点2で相違している。
したがって、本件発明2、3は、甲第2号証に記載された発明であるといえない。
エ 本件発明4、8、15、16、21、22について
本件発明4、8、15、16、21、22は、本件発明1の特定事項をすべて含むものであるから、甲2発明と対比すると、少なくとも上記相違点2で相違している。
そして、甲第2号証には、「従来式のAEIゼオライト合成工程で生成される母液は、劣化したSDAを含有し、一般的には再利用不能である。しかしながら、本発明者らは、ある特定のSDAが劣化に耐性を有し、従って後続するゼオライト合成バッチで再利用可能であることを見出した。」(前記2(2)イ参照)と記載されているように、甲第2号証に記載されたAEIゼオライトの合成方法では、再利用による劣化に耐性を有する有機構造規定剤を使用することを前提とするところ、「テトラエチルアンモニウムヒドロキシド」が再利用による劣化に耐性を有していることを示す証拠はないから、甲2発明において、再利用による劣化に耐性を有する有機構造規定剤である「N,N−ジメチル−3,5−ジメチルピペリジニウムテンプレート剤」を「テトラエチルアンモニウムヒドロキシド」に変更することは、当業者が容易に想到し得る事項であるといえない。
したがって、本件発明4、8、15、16、21、22は、甲第2号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。
オ 小括
以上のとおりであるから、取消理由4に理由はない。

第5 取消理由において採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許異議申立理由の概要
申立人が主張する特許異議申立理由のうち、前記第4の取消理由において採用しなかった特許異議申立理由は、概略、以下のとおりである。
ここで、申立人が提出した証拠方法は、次のものである。
甲第1号証:米国特許第5958370号明細書
甲第2号証:国際公開第2015/063501号
甲第3号証:Nuria Martin et al., Chemical Communications, 2015.5.1
1, vol.51, p.9965-9968、及び、電子的補足資料(ESI)
甲第4号証:国際公開第2014/157701号
甲第5号証:特開昭58−60612号公報
甲第6号証:特開2011−102209号公報
(1)申立理由1(甲第1号証を主たる証拠とした新規性進歩性欠如)
設定登録時の請求項6、15、16、21、22に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、また、同請求項1〜8、10〜16、19〜22に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、及び、甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証、甲第6号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項1〜8、10〜16、19〜22に係る特許は、特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反してされたものである。
(2)申立理由2(甲第2号証を主たる証拠とした新規性進歩性欠如)
設定登録時の請求項4、6、10〜13、15、16、19〜22に係る発明は、甲第2号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、また、同請求項1〜8、10〜16、19〜22に係る発明は、甲第2号証に記載された発明、及び、甲第3号証、甲第4号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項1〜8、10〜16、19〜22に係る特許は、特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反してされたものである。
(3)申立理由3(甲第3号証を主たる証拠とした進歩性欠如)
設定登録時の請求項1〜9、15〜18、21、22に係る発明は、甲第3号証に記載された発明、及び、甲第1号証、甲第2号証、甲第5号証、甲第6号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項1〜9、15〜18、21、22に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(4)申立理由4(実施可能要件違反)
設定登録時の請求項1〜22に係る特許は、発明の詳細な説明の記載が後記3(4)アの点で不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
(5)申立理由5(サポート要件違反)
設定登録時の請求項1〜22に係る特許は、特許請求の範囲の記載が後記3(5)アの点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
(6)申立理由6(明確性要件違反)
設定登録時の請求項1〜22に係る特許は、特許請求の範囲の記載が後記3(6)アの点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

2 甲号証の記載事項
(1)甲第1号証及び甲第2号証の記載事項
甲第1号証及び甲第2号証には、前記第4の2(1)及び(2)に摘記した事項が記載されている。
(2)甲第3号証の記載事項
ア 「The preferred synthesis procedure of the high silica silicoaluminate SSZ-13 requires the use of an expensive organic structure directing agent (OSDA), as the trimethyladamantammonium (TMAdA) cation.」(第9965頁右欄第23〜26行)
(当審仮訳:高シリカシリコアルミネートSSZ−13の好ましい合成手順は、トリメチルアダマンタアンモニウム(TMAdA)カチオンなどの高価な有機構造指向剤(OSDA)の使用が要求される。)
イ 「Here, the efficient synthesis of a high-silica CHA zeolite using TEA as OSDA and high-silica USY as silicon and aluminum sources will be shown. ・・・
To attempt the synthesis of the CHA zeolite using TEA as OSDA and USY as Si and Al sources, a broad experimental design has been developed where the following synthesis variables have been studied: TEAOH/Si, H2O/Si, NaOH/Si and crystallization temperature. ・・・
As it can be seen in Fig, 2, CHA is preferentially formed at high NaOH/Si (0.2) and TEAOH/Si (0.4) ratios regardless of crystallization temperature and water content.」(第9966頁左欄第28〜45行)
(当審仮訳:ここでは、OSDAとしてTEAを使用し、ケイ素源及びアルミニウム源として高シリカUSYを使用した高シリカCHAゼオライトの効率的な合成を示す。・・・
USYをSi源及びAl源として使用して、TEAをOSDAとして使用して、CHAゼオライトの合成を試みるために、次の合成可変要素について検討される、幅広い実験計画を開発した:TEAOH/Si、H2O/Si、NaOH/Si、及び結晶化温度。・・・
図2に見られるように、CHAは、結晶化温度や含水量に関係なく、高いNaOH/Si(0.2)とTEAOH/Si(0.4)比で優先的に形成される。)
ウ 「For comparison purposes, other Si and Al sources have been tested under similar synthesis conditions using TEA as OSDA [see Fig. S2 (ESI)]. The use of colloidal silica, fumed silica, MCM-41 or beta zeolite results in the preferential crystallization of beta and ZSM-5 [see Fig. S2 (ESI)].」(第9966頁右欄第17〜21行)
(当審仮訳:比較のために、OSDAとしてTEAを使用して同様の合成条件下で、他のSi源及びAl源でテストされた[図S2(ESI)参照]。コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、MCM−41、又はベータゼオライトを使用すると、ベータ及びZSM−5が優先的に結晶化する[図S2(ESI)参照]。)
エ 「1.- Synthesis
Synthesis of aluminosilicate zeolites using tetraethylammonium as OSDA and USY zeolite as silicon and aluminum source
For these type of synthesis, first the OSDA tetraethylammonium hydroxide (TEAOH, Sigma Aldrich, 35wt.%) was mixed with an aqueous solution of NaOH (Sigma Aldrich, 99%). Second, a commercial FAU zeolite (CBV-720, with measured molar ratios of SiO2/Al2O3=21) was added to the mixture as aluminum and silica source. The stirring was continued until a homogenized gel was obtained. The gel was transferred to a stainless steel autoclave with a Teflon liner. The crystallization was conducted hydrothermally at 140 or 160℃ for 3 days under static conditions. The solid product was recovered by filtration, washed with water and dried at 100℃.
For the particular case of the optimized CHA-1 material, the final gel composition for its preparation was SiO2 / 0.047 Al2O3 / 0.2 TEAOH / 0.2 NaOH / 5 H2O using CBV-720 as silicon and aluminum source. The crystallization was conducted hydrothermally at 433K for 3 days under static conditions. The solid product was recovered by filtration, washed with water and dried at 100℃. Finally, the solid was calcined in air at 580℃ for 5 h.」(電子的補足資料)
(当審仮訳;1.− 合成
OSDAとしてテトラエチルアンモニウムを使用し、ケイ素源及びアルミニウム源としてUSYゼオライトを使用するアルミノケイ酸塩ゼオライトの合成
これらのタイプの合成では、最初にOSDAテトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAOH、シグマアドリッチ、35重量%)をNaOHの水溶液(シグマアドリッチ、99%)と混合した。次に、市販のFAUゼオライト(CBV−720、測定されたモル比がSiO2/Ai2O3=21)を、アルミニウム源とケイ素源として混合物に添加した。均質化されたゲルが得られるまで撹拌を続けた。ゲルをテフロンライナー付きのステンレス鋼オートクレーブに移した。結晶化は、静的条件下で140又は160℃で3日間熱水的に実施した。固体生成物を濾過により回収し、水で洗浄し、100℃で乾燥させた。
最適化されたCHA−1材料の特定のケースでは、その調製のための最終的なゲル組成は、ケイ素源及びアルミニウム源としてCBV−720を使用したSiO2/0.047 Al2O3/0.2 TEAOH/0.2 NaOH/5 H2Oであった。結晶化は、静的条件下において、3日間433Kの熱水条件で行われた。固体生成物を濾過により回収し、水で洗浄し、100℃で乾燥させた。最後に、固体を空気中580℃で5時間焼成した。)

3 申立理由に対する当審の判断
(1)申立理由1(甲第1号証を主たる証拠とした新規性進歩性欠如)について
ア 甲第1号証に記載された発明(甲1発明)
甲第1号証に記載された発明(甲1発明)は、前記第4の3(3)アにおいて認定したとおりである。
イ 本件発明1〜4、6、8、15、16、21、22について
本件発明1及びこれを引用する本件発明2〜4、6、8、15、16、21、22と、甲1発明と対比すると、少なくとも前記第4の3(3)イで示した相違点1で相違している。そして、同エで検討したとおり、甲第1号証に記載されたSSZ−39の調製方法は、環式及び多環状第4級アンモニウムカチオンテンプレート剤を使用することを前提とするものであり、環式及び多環状第4級アンモニウムカチオンテンプレート剤でないものに変更する動機付けは存在しないから、甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証及び甲第6号証に記載された技術的事項に関わらず、甲1発明の有機構造規定剤を「テトラエチルアンモニウムヒドロキシド」とすることは容易想到な事項といえない。
したがって、本件発明6、15、16、21、22は、甲第1号証に記載された発明であるといえないし、本件発明1〜4、6、8、15、16、21、22は、甲第1号証に記載された発明、及び、甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証、甲第6号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。
ウ 本件発明10〜12、14、19〜22について
本件発明10及びこれを引用する本件発明11、12、14、19〜22と甲1発明と対比すると、前者では、有機構造規定剤として、「少なくとも、1分子中に炭素原子を5〜11個有する4級アルキルアンモニウムヒドロキシドであって、N原子に結合した4個の置換基の全てがアルキル基である4級アルキルアンモニウムヒドロキシド」(本件発明14では「テトラエチルアンモニウムヒドロキシド」)を用いているのに対して、後者では、「N,N−ジメチル−9−アゾニアビシクロ[3.3.1]ノナンカチオン」を用いている点で相違している。そして、前記イで検討したとおり、甲第1号証に記載されたSSZ−39の調製方法は、環式及び多環状第4級アンモニウムカチオンテンプレート剤を使用することを前提とするものであり、環式及び多環状第4級アンモニウムカチオンテンプレート剤でないものに変更する動機付けは存在しないから、甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証及び甲第6号証に記載された技術的事項に関わらず、甲1発明の有機構造規定剤を「1分子中に炭素原子を5〜11個有する4級アルキルアンモニウムヒドロキシドであって、N原子に結合した4個の置換基の全てがアルキル基である4級アルキルアンモニウムヒドロキシド」又は「テトラエチルアンモニウムヒドロキシド」とすることは容易想到な事項といえない。
したがって、本件発明10〜12、14、19〜22は、甲第1号証に記載された発明、及び、甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証、甲第6号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。
エ 小括
以上のとおりであるから、申立理由1に理由はない。
(2)申立理由2(甲第2号証を主たる証拠とした新規性進歩性欠如)について
ア 甲第2号証に記載された発明(甲2発明)
甲第2号証に記載された発明(甲2発明)は、前記第4の3(4)アにおいて認定したとおりである。
イ 本件発明1〜4、6、8、15、16、21、22について
本件発明1及びこれを引用する本件発明2〜4、6、8、15、16、21、22と、甲2発明と対比すると、少なくとも前記第4の3(4)イで示した相違点2で相違している。そして、同エで検討したとおり、甲第2号証に記載されたAEIゼオライトの合成方法では、再利用による劣化に耐性を有する有機構造規定剤を使用することを前提とするところ、甲第3号証及び甲第4号証には、「テトラエチルアンモニウムヒドロキシド」が再利用による劣化に耐性を有していることは記載されていないし、そのようなことが技術常識である証拠もないから、甲2発明において、再利用による劣化に耐性を有する有機構造規定剤である「N,N−ジメチル−3,5−ジメチルピペリジニウムテンプレート剤」を「テトラエチルアンモニウムヒドロキシド」に変更することは容易想到な事項といえない。
したがって、本件発明4、6、15、16、21、22は、甲第2号証に記載された発明であるといえないし、また、本件発明1〜4、6、8、15、16、21、22は、甲第2号証に記載された発明、及び、甲第3号証、甲第4号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。
ウ 本件発明10〜12、14、19〜22について
本件発明10及びこれを引用する本件発明11、12、14、19〜22と甲2発明と対比すると、前者では、有機構造規定剤として、「少なくとも、1分子中に炭素原子を5〜11個有する4級アルキルアンモニウムヒドロキシドであって、N原子に結合した4個の置換基の全てがアルキル基である4級アルキルアンモニウムヒドロキシド」(本件発明14では「テトラエチルアンモニウムヒドロキシド」)を用いているのに対して、後者では、「N,N−ジメチル−3,5−ジメチルピペリジニウムテンプレート剤」を用いている点で相違している。そして、前記イで検討したとおり、甲第2号証に記載されたAEIゼオライトの合成方法では、再利用による劣化に耐性を有する有機構造規定剤を使用することを前提とするところ、甲第3号証及び甲第4号証には、「1分子中に炭素原子を5〜11個有する4級アルキルアンモニウムヒドロキシドであって、N原子に結合した4個の置換基の全てがアルキル基である4級アルキルアンモニウムヒドロキシド」又は「テトラエチルアンモニウムヒドロキシド」が再利用による劣化に耐性を有していることは記載されていないし、そのようなことが技術常識である証拠もないから、甲2発明において、再利用による劣化に耐性を有する有機構造規定剤である「N,N−ジメチル−3,5−ジメチルピペリジニウムテンプレート剤」を「1分子中に炭素原子を5〜11個有する4級アルキルアンモニウムヒドロキシドであって、N原子に結合した4個の置換基の全てがアルキル基である4級アルキルアンモニウムヒドロキシド」又は「テトラエチルアンモニウムヒドロキシド」に変更することは容易想到な事項といえない。
したがって、本件発明10〜12、19〜22は、甲第2号証に記載された発明であるといえないし、また、本件発明10〜12、14、19〜22は、甲第2号証に記載された発明、及び、甲第3号証、甲第4号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。
エ 小括
以上のとおりであるから、申立理由2に理由はない。
(3)申立理由3(甲第3号証を主たる証拠とした進歩性欠如)について
ア 甲第3号証に記載された発明(甲3発明)
上記2(2)ア、イ、エの記載を、「最適化されたCHA−1材料」の合成方法に注目して整理すると、甲第3号証には、
「有機構造指向剤(OSDA)としてテトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAOH)をNaOHの水溶液と混合し、FAUゼオライト(SiO2/Ai2O3=21)をアルミニウム源とケイ素源として混合物に添加して攪拌し、ゲル組成がSiO2/0.047 Al2O3/0.2 TEAOH/0.2 NaOH/5 H2Oのゲルとし、静的条件下で3日間433Kの熱水条件で行い、固体生成物を濾過回収し、水で洗浄し、100℃で乾燥させ、空気中580℃で5時間焼成する、高シリカCHAゼオライトの合成方法。」
の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。
イ 本件発明1〜4、6、8、15、16、21、22について
(ア)本件発明1について
甲3発明の「FAUゼオライト」は、本件発明1の「International Zeolite Association(IZA)がcomposite building unitとして定めるd6rを骨格中に含み、かつFramework densityが15T/1000Å3以下のアルミノシリケートゼオライト」に、甲3発明の「高シリカCHAゼオライト」は、本件発明1の「骨格中にInternational Zeolite Association(IZA)がcomposite building unitとして定めるd6rを含む酸素8員環ゼオライト」にそれぞれ相当する。
したがって、本件発明1と甲3発明と対比すると、本件発明1では、ケイ素原子原料として、「International Zeolite Association(IZA)がcomposite building unitとして定めるd6rを骨格中に含み、かつFramework densityが15T/1000Å3以下のアルミノシリケートゼオライト」以外の「ケイ素原子原料」をさらに用いているのに対して、甲3発明では、「FAUゼオライト」以外のケイ素原子原料を用いていない点(以下、「相違点3」という。)で相違し、その余の点で一致しているといえる。
そこで、当該相違点3について検討すると、甲第3号証には、前記2(2)ウに摘記したとおり、有機構造規定剤にTEAOHを使用して、ケイ素源及びアルミニウム源として、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、MCM−41、又はベータゼオライトを使用した場合には、CHA型ゼオライトが得られないことが記載されているし、さらに、有機構造規定剤にTEAOHを使用した場合に、上記「アルミノシリケートゼオライト」に加えて、当該「アルミノシリケートゼオライト」以外の「ケイ素原子原料」をさらに用いても、CHA型ゼオライトを合成できることは、甲第1号証、甲第2号証、甲第5号証及び甲第6号証のいずれにも記載されていないから、甲3発明において、相違点3に係る本件発明1の構成をなすことは、当業者が容易に想到し得ることといえない。
したがって、本件発明1は、甲第3号証に記載された発明、及び、甲第1号証、甲第2号証、甲第5号証、甲第6号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。
(イ)本件発明2〜4、6、8、15、16、21、22について
本件発明2〜4、6、8、15、16、21、22は、本件発明1を直接的又は間接的に引用するものであり、甲3発明と対比すると、少なくとも上記相違点3で相違しているから、前記(ア)で検討したのと同じ理由で、甲第3号証に記載された発明、及び、甲第1号証、甲第2号証、甲第5号証、甲第6号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。
ウ 本件発明9、17、18、21、22について
(ア)本件発明9について
甲3発明の「FAUゼオライト」は、本件発明9の「International Zeolite Association(IZA)がcomposite building unitとして定めるd6rを骨格中に有するアルミノシリケートゼオライト」に相当する。
したがって、本件発明9と甲3発明と対比すると、本件発明9では、ケイ素原子原料として、「International Zeolite Association(IZA)がcomposite building unitとして定めるd6rを骨格中に有するアルミノシリケートゼオライト」以外の「ケイ素原子原料」をさらに用いているのに対して、甲3発明では、「FAUゼオライト」以外のケイ素原子原料を用いていない点(以下、「相違点4」という。)で相違し、その余の点で一致しているといえる。
そこで、当該相違点4について検討すると、前記イ(ア)で検討したのと同じ理由で、甲第1号証、甲第2号証、甲第5号証及び甲第6号証の記載を参酌しても、甲3発明において、相違点4に係る本件発明9の構成をなすことは、当業者が容易に想到し得ることといえない。
したがって、本件発明9は、甲第3号証に記載された発明、及び、甲第1号証、甲第2号証、甲第5号証、甲第6号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。
(イ)本件発明17、18、21、22について
本件発明17、18、21、22は、本件発明9を直接的又は間接的に引用するものであり、甲3発明と対比すると、少なくとも上記相違点4で相違しているから、前記(ア)で検討したのと同じ理由で、甲第3号証に記載された発明、及び、甲第1号証、甲第2号証、甲第5号証、甲第6号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。
エ 小括
以上のとおりであるから、申立理由3に理由はない。
(4)申立理由4(実施可能要件違反)について
ア 具体的な指摘事項
当該申立理由4は、要するに、ゼオライトの製造において、原料混合物の調整時や水熱合成時の攪拌条件が、合成されるゼオライトの構造や性能に影響を及ぼすところ、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、当該攪拌条件が具体的に記載されていないため、発明の詳細な説明は、当業者が当該発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載したものといえない、というものである。
イ 申立理由4についての検討
本件特許明細書の発明の詳細な説明には、例えば、CHA型ゼオライトの具体的な合成方法が次のとおりに記載されている。
「【0207】
〔酸素8員環ゼオライトの合成〕
〔CHA型ゼオライトの合成〕
[実施例I−1]
9.083gの水と、有機構造規定剤(SDA)として8.415gの35重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAOH)(セイケム社製)と、0.412gのNaOH(キシダ化学社製:97重量%)を混合したものに、アルミニウム原子原料として、Framework density:12.7T/1000Å3のFAU型アルミノシリケートゼオライト(シリカ/アルミナモル比=7、日揮触媒化成社製 USY−7、以下「FAU型ゼオライト」と記載する。)0.871gを加えて撹拌し、溶解させて透明溶液とした。これにケイ素原子原料として日産化学工業社製コロイダルシリカ「スノーテックスO−40(シリカ濃度40重量%)5.758gを加え再度撹拌した。
さらに種晶として0.300gの未焼成品のCHA型ゼオライト(平均粒径=0.2μm、シリカ/アルミナモル比=15)を添加し、室温で2時間撹拌して反応前混合物を得た。・・・
【0209】
この反応前混合物を耐圧容器に入れ、160℃のオーブン中で回転させながら(15rpm)、3日間水熱合成を行った。」
すなわち、発明の詳細な説明の[実施例I−1]には、水熱合成時の攪拌条件は具体的に記載されている。
他方、[実施例I−1]には、原料混合物の調整時の攪拌条件は記載されていないものの、原料混合物を調整するに際して均質化されるまで攪拌することは、例えば、甲第3号証に「均質化されたゲルが得られるまで撹拌を続けた。」(前記2(2)エ参照)と記載されているように、本件特許出願の優先日当時の技術常識であるといえるから、[実施例I−1]においても、原料混合物が均質化される条件で攪拌されていると理解できる。
したがって、発明の詳細な説明の記載や技術常識に基いて、当業者が過度な試行錯誤を要することなく、本件発明を実施することができるといえる。
ウ 小括
以上のとおりであるから、申立理由4に理由はない。
(5)申立理由5(サポート要件違反)について
ア 具体的な指摘事項
当該申立理由5は、要するに、(i)設定登録時の請求項10〜14、19〜22に係る発明は、有機構造規定剤として高価な環状の4級アンモニウム塩を使用することを包含していること、及び、(ii)設定登録時の請求項1〜22に係る発明は、原料の混合比率、原料の具体的な化合物名、水熱合成の条件が特定されておらず、また、アルミノシリケートゼオライト原料のFramework densityの数値範囲が広範囲であって、特定の結晶構造のゼオライトが得られない態様を包含することを論拠にして、設定登録時の請求項1〜22に係る発明は、発明の詳細な説明の記載などから、当業者において、「廉価で工業的に入手しやすい有機構造規定剤を用いて、酸素8員環ゼオライト及びAEI型ゼオライトを低コストで効率的に製造する方法を提供する」(段落【0012】)という課題を解決できると認識できる範囲内のものといえないから、発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえない、というものである。
イ 申立理由5についての検討
まず、前記(i)について検討すると、本件発明10の「1分子中に炭素原子を5〜11個有する4級アルキルアンモニウムヒドロキシドであって、N原子に結合した4個の置換基の全てがアルキル基である4級アルキルアンモニウムヒドロキシド」との有機構造規定剤は、4個の置換基の全てがアルキル基であるため、環状の4級アンモニウム塩を包含していないことは明らかである。
次に、前記(ii)について検討すると、第4の3(2)イ〜エで検討したとおり、本件発明1〜4、6、8〜12、14〜22は、「少なくとも、International Zeolite Association(IZA)がcomposite building unitとして定めるd6rを骨格中に有するアルミノシリケートゼオライト」を原料として、特定の有機構造規定剤及び必要に応じて種晶を使用することで、特定の結晶構造を得るものであるから、原料の具体的な化合物名を特定しなくても、本件発明の課題は解決できるものであるし、本件特許明細書の段落【0054】及び【0135】の記載によれば、アルミノシリケートゼオライト原料のFramework densityは、当該原料の溶解性に関わるものであって、結晶構造に直接作用するものでないから、Framework densityの数値範囲が広範囲であることが、特定の結晶構造が得られないことの理由にはならない。さらに、本件発明1〜4、6、8〜12、14〜22では、「骨格中にInternational Zeolite Association(IZA)がcomposite building unitとして定めるd6rを含む酸素8員環ゼオライト」、「CHA型ゼオライト」あるいは「AEI型ゼオライト」を製造することを特定しているのであるから、原料の混合比率や水熱合成の条件が、当該結晶構造が得られる条件となっているとみることが合理的である。
ウ 小括
以上のとおりであるから、申立理由5に理由はない。
(6)申立理由6(明確性要件違反)について
ア 具体的な指摘事項
当該申立理由6は、要するに、(i)設定登録時の請求項1及び11に記載された「Framework density」の下限値が特定されていないこと、及び、(ii)同じゼオライトについて、設定登録時の請求項1、9の「アルミニウム原子原料」若しくは「ケイ素原子原料」、又は、請求項10の「ゼオライト骨格形成原子原料」として用いることと、請求項4、10の「種晶」として用いることとが区別できないことからして、請求項1〜22に係る発明は明確でない、というものである。
イ 申立理由6についての検討
まず、前記(i)について検討すると、「Framework density」は、ゼオライトの結晶構造により定まるものであって、その下限値が存在することは、技術常識であるから、ゼオライトの「Framework density」の下限値が特定されていなくても、本件発明1及び11が不明確であるといえない。
次に、前記(ii)について検討すると、本件特許明細書の実施例等の記載からみて、「アルミニウム原子原料」、「ケイ素原子原料」及び「ゼオライト骨格形成原子原料」として使用することは、他の原料と共に完全に溶解させるものであり、他方、「種晶」として使用することは、ゼオライトの結晶核となるように完全に溶解させずに残存させることは明らかであるから、ゼオライトの製造方法において、両者は明確に区別できるものである。
ウ 小括
以上のとおりであるから、申立理由6に理由はない。

第6 むすび
以上のとおり、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件請求項1〜4、6、8〜12、14〜22に係る特許を取り消すことはできない。また、他に本件請求項1〜4、6、8〜12、14〜22に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項5、7、13に係る発明は、上記第2のとおり、訂正により削除された。これにより、請求項5、7、13に係る特許に対する特許異議の申立てについては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム原子原料、ケイ素原子原料、アルカリ金属原子原料、有機構造規定剤、及び水を混合し、得られた原料混合物を水熱合成して、骨格中にInternational Zeolite Association(IZA)がcomposite building unitとして定めるd6rを含む酸素8員環ゼオライトを製造する方法において、
該アルミニウム原子原料として、少なくとも、International Zeolite Association(IZA)がcomposite building unitとして定めるd6rを骨格中に含み、かつFramework densityが15T/1000Å3以下のアルミノシリケートゼオライトを用い、
該ケイ素原子原料として、少なくとも、該アルミノシリケートゼオライトと、該アルミノシリケートゼオライト以外のケイ素原子原料とを用い、
該有機構造規定剤として、少なくとも、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドを用いることを特徴とする酸素8員環ゼオライトの製造方法。
【請求項2】
前記アルミノシリケートゼオライトのシリカ/アルミナモル比が20以下であることを特徴とする請求項1に記載の酸素8員環ゼオライトの製造方法。
【請求項3】
前記アルミノシリケートゼオライト以外のケイ素原子原料が、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、無定型シリカ、水ガラス、珪酸ナトリウム、ケイ酸メチル、ケイ酸エチル、シリコンアルコキシド、及びアルミノシリケートゲルから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の酸素8員環ゼオライトの製造方法。
【請求項4】
種晶として、酸素8員環ゼオライトを、前記原料混合物中のSiが全てSiO2になっているとしたときのSiO2に対して0.1重量%以上混合することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の酸素8員環ゼオライトの製造方法。
【請求項5】(削除)
【請求項6】
前記有機構造規定剤が、ヘテロ原子として窒素原子を含む脂環式複素環化合物、アルキル基を有するアミン、及びシクロアルキル基を有するアミンから選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の酸素8員環ゼオライトの製造 方法。
【請求項7】(削除)
【請求項8】
前記原料混合物の水の含有量が、該原料混合物に含まれるSiに対するモル比で3以上50以下であることを特徴とする請求項1乃至4及び6のいずれかに記載の酸素8員環ゼオライトの製造方法
【請求項9】
アルミニウム原子原料、ケイ素原子原料、アルカリ金属原子原料、有機構造規定剤、及び水を混合し、得られた原料混合物を水熱合成してCHA型ゼオライトを製造する方法において、
該アルミニウム原子原料として少なくとも、International Zeolite Association(IZA)がcomposite building unitとして定めるd6rを骨格中に有するアルミノシリケートゼオライトを用い、
該ケイ素原子原料として、少なくとも、該アルミノシリケートゼオライトと、該アルミノシリケートゼオライト以外のケイ素原子原料とを用い、
該有機構造規定剤として、少なくとも、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドを用いることを特徴とするCHA型ゼオライトの製造方法。
【請求項10】
ゼオライト骨格形成原子原料、アルカリ金属原子原料、有機構造規定剤、及び水を混合し、得られた原料混合物を水熱合成してAEI型ゼオライトを製造する方法において、
該ゼオライト骨格形成原子原料として、少なくとも、International Zeolite Association(IZA)がcomposite building unitとして定めるd6rを骨格中に含むアルミノシリケートゼオライトを用い、
該有機構造規定剤として、少なくとも、1分子中に炭素原子を5〜11個有する4級アルキルアンモニウムヒドロキシドであって、N原子に結合した4個の置換基の全てがアルキル基である4級アルキルアンモニウムヒドロキシドを用い、
種晶として、AEI型ゼオライトを、該原料混合物中のSiが全てSiO2になっているとしたときのSiO2に対して0.5重量%以上混合して反応前混合物を得、
該反応前混合物を水熱合成することを特徴とするAEI型ゼオライトの製造方法。
【請求項11】
前記アルミノシリケートゼオライトのFramework densityが14.5T/1000Å3以下であることを特徴とする請求項10に記載のAEI型ゼオライトの製造方法。
【請求項12】
前記ゼオライト骨格形成原子原料として、前記アルミノシリケートゼオライトと、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、無定型シリカ、珪酸ナトリウム、ケイ酸メチル、ケイ酸エチル、シリコンアルコキシド、及びアルミノシリケートゲルから選ばれる少なくとも1種とを用いることを特徴とする請求項10又は11に記載のAEI型ゼオライトの製造方法。
【請求項13】(削除)
【請求項14】
前記4級アルキルアンモニウムヒドロキシドが、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドであることを特徴とする請求項10乃至12のいずれかに記載のAEI型ゼオライトの製造方法。
【請求項15】
請求項1乃至4、6及び8のいずれかに記載の酸素8員環ゼオライトの製造方法により、酸素8員環ゼオライトよりなる触媒を製造することを特徴とする触媒の製造方法。
【請求項16】
請求項1乃至4、6及び8のいずれかに記載の酸素8員環ゼオライトの製造方法により酸素8員環ゼオライトを製造し、得られた酸素8員環ゼオライトに、Si及びAl以外の金属を担持させることを特徴とする触媒の製造方法。
【請求項17】
請求項9に記載のCHA型ゼオライトの製造方法により、CHA型ゼオライトよりなる触媒を製造することを特徴とする触媒の製造方法。
【請求項18】
請求項9に記載のCHA型ゼオライトの製造方法によりCHA型ゼオライトを製造し、得られたCHA型ゼオライトに、Si及びAl以外の金属を担持させることを特徴とする触媒の製造方法。
【請求項19】
請求項10乃至12及び14のいずれかに記載のAEI型ゼオライトの製造方法により、AEI型ゼオライトよりなる触媒を製造することを特徴とする触媒の製造方法。
【請求項20】
請求項10乃至12及び14のいずれかに記載のAEI型ゼオライトの製造方法によりAEI型ゼオライトを製造し、得られたAEI型ゼオライトに、Si及びAl以外の金属を担持させることを特徴とする触媒の製造方法。
【請求項21】
排ガス処理用触媒の製造方法である請求項15乃至20のいずれかに記載の触媒の製造方法。
【請求項22】
窒素酸化物を含む排ガスの選択的還元触媒の製造方法である請求項15乃至20のいずれかに記載の触媒の製造方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2022-01-26 
出願番号 P2017-552329
審決分類 P 1 651・ 536- YAA (C01B)
P 1 651・ 853- YAA (C01B)
P 1 651・ 851- YAA (C01B)
P 1 651・ 537- YAA (C01B)
P 1 651・ 113- YAA (C01B)
P 1 651・ 121- YAA (C01B)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 日比野 隆治
特許庁審判官 後藤 政博
宮澤 尚之
登録日 2020-10-19 
登録番号 6780650
権利者 三菱ケミカル株式会社
発明の名称 酸素8員環ゼオライト及びAEI型ゼオライトの製造方法  
代理人 重野 剛  
代理人 重野 剛  
代理人 重野 隆之  
代理人 重野 隆之  
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