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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  E06B
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  E06B
審判 全部申し立て 2項進歩性  E06B
管理番号 1384302
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-05-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-01-13 
確定日 2022-04-12 
異議申立件数
事件の表示 特許第6902741号発明「建具施工構造」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6902741号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6902741号の請求項1〜5に係る特許についての出願は、平成24年9月28日を出願日とする特願2012−215681号(以下、「原々々出願」という。)の一部を分割し、平成28年11月10日に新たな特許出願とした特願2016−219449号の一部をさらに分割し、平成29年12月15日に新たな特許出願とした特願2017−240142号の一部をさらに新たな特許出願として平成30年10月11日に分割出願したものであって、令和3年6月24日にその特許権の設定登録がされ、令和3年7月14日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項1〜5に係る特許に対し、令和4年1月13日に特許異議申立人藤江桂子(以下「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。

第2 本件発明
特許第6902741号の請求項1〜5の特許に係る発明(以下「本件発明1」等といい、全体の発明を「本件発明」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1〜5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
建物の開口部に固定され、上枠と両側の縦枠とを有した建具用枠に建具を建て付けた建具施工構造であって、
前記建具用枠は、前記上枠の長手方向両側に前記両側の縦枠をそれぞれ接合して三方枠状に枠組み一体化されて前記開口部内に嵌め込み固定され、前記上枠が固定される上枠下地によって構成される前記開口部の天面は、天井パネルによって構成される天井面よりも上側に位置するように設けられ、前記開口部内に嵌め込み固定された前記建具用枠の前記上枠の下面側に設けられた凹溝に、前記建具の上端部を保持する上レールの上側部位が嵌め込み固定され、該上レールの下側部位の見込み方向両側にそれぞれの端面を突き合わせて該上レールの見込み方向両側の前記天井パネルが固定され、前記天井面近傍に至る上下寸法とされた前記建具が前記建具用枠に建て付けられており、
前記天井パネルは、前記上枠が固定される前記開口部の天面よりも下面が下方側に位置された天井下地に固定されていて、前記両側の縦枠とによって三方枠状に枠組み一体化された前記建具用枠の前記上枠が、前記天井パネルによって覆われた状態となっていることを特徴とする建具施工構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記上レールの下端縁部には、見込み方向両外方側に向けてそれぞれ突出する突片部が全長に亘って設けられ、該上レールの見込方向両側にそれぞれの端面が突き合わせられた前記天井パネルの下端縁が前記突片部の上面に当接または近接されていることを特徴とする建具施工構造。
【請求項3】
請求項1または2において、
横断面略L字状とされ、その一片部を前記開口部の内側面に交差するように形成された壁下地面に固定される壁パネルの厚さと略同厚さとした額縁状部材の他片部が、少なくとも一方の前記縦枠における少なくとも一方の見込み方向端部に設けられた凹所に嵌め入れられ、前記額縁状部材の一片部と前記壁パネルとが表面略面一状に前記壁下地面に固定され、前記額縁状部材及び前記壁パネルの表面に一連に化粧シートが貼着されていることを特徴とする建具施工構造。
【請求項4】
請求項3において、
前記建具用枠は、中方立を備えた引戸用枠であり、
両側の縦枠間に配設された前記中方立の戸尻側の縦枠側に袖壁下地が設けられ、横断面略L字状とされ、その一片部を前記袖壁下地の反引戸納め側の袖壁下地面に固定される袖壁パネルの厚さと略同厚さとした中方立用額縁状部材の他片部が、前記中方立の反引戸対面側の見込み方向端部に設けられた凹所に嵌め入れられ、前記中方立用額縁状部材の一片部と前記袖壁パネルとが表面略面一状に前記袖壁下地面に固定され、前記中方立用額縁状部材及び前記袖壁パネルの表面に一連に化粧シートが貼着されていることを特徴とする建具施工構造。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、
前記天井パネルの室内側面には、化粧シートが貼着されていることを特徴とする建具施工構造。」

第3 申立理由の概要
1 申立ての理由
特許異議申立書の記載によれば、申立人が主張する申立ての理由は、以下のとおりのものと認められる。
(1)特許法第29条第1項第3号新規性欠如)
本件発明1及び2は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1号証に記載された発明であるから、請求項1及び2に係る特許は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない発明に対してされたものである。
(2)特許法第29条第2項進歩性欠如)
本件発明1〜5は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1号証に記載された発明及び甲第3〜10号証に記載された技術事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1〜5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
本件発明1〜5は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第2号証に記載された発明及び甲第1、3〜10号証に記載された技術事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1〜5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
本件発明1〜5は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第3号証に記載された発明及び甲第1、4〜10号証に記載された技術事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1〜5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(3)特許法第36条第6項第1号(サポート要件)
本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明が、発明の詳細な説明に記載したものであるということができないから、請求項1〜5に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
(4)特許法第36条第6項第2号明確性要件)
本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明が、明確であるということができないから、請求項1〜5に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

2 証拠
申立人が特許異議申立書に添付して提出した証拠(甲第1号証ないし甲第10号証。以下「甲1」ないし「甲10」という。)は、以下のとおりである。
甲1:特開2012−154170号公報
甲2:特開2008−50830号公報
甲3:特開2007−197986号公報
甲4:特開2004−308327号公報
甲5:特開2002−21418号公報
甲6:特開2007−170104号公報
甲7:特開平9−287352号公報
甲8:実公昭50−14346号公報
甲9:特開2009−127265号公報
甲10:特開2004−19188号公報

第4 証拠の記載
1 甲1
(1)甲1には、以下の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同様。)。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、戸開閉部の形成に際し、従来の化粧枠の使用をなくし、化粧枠により生じていた段差及びデザイン性の不連続感による美観の劣化を解消すると共に、従来の戸枠の素材の使用量を大幅に低減させると共に仕上げ処理を低減させて、コストダウンを図り得る戸開閉縁の仕舞い構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
部屋と部屋との通路に設けられる扉や、収納室の開口を塞ぐ扉を設ける場合、壁面に設けられた開口に上枠、縦枠等よりなる戸枠を取付けておき、その戸枠に扉や戸を開閉自在に装着することが、従来から採用されているが、戸枠は壁面より突出し、しかも開口縁を隈取ることになって、デザイン的に不連続感を与え、外観を劣化させる場合もあった。また、戸枠が扉以外に必要となり、部品点数及び施工工程が多く、しかもいずれも扉の開閉に際して露出する部位であるため、戸枠には化粧を施す必要も免れず、コストが高くなっていた。」

イ 「【0007】
また、本発明の第2の請求項の特徴は、戸1、1・・・が開閉自在に装着される開口2の上方縁に前端が壁下地3の表面と実質的に面一となり且つ下端が天井下地10と実質的に面一になるように上枠4を装着し、この上枠4の下面部に上レール5を配置すると共に、開口2の左右の縦開口縁6、6の奥部に添うように化粧凸条7、7を装着し、天井下地10に施された化粧材11の連出部で上枠4前方の露出下面を隠蔽し、壁下地3に貼られた化粧シート8を折り曲げて、化粧凸条7前方に露出する縦開口縁6を隠蔽し、上レール5の奥部下面に化粧面9を施したことである。
【発明の効果】
【0008】
本発明にあっては上述のように、請求項1の発明は、戸1が施される開口2の上端が天井より下方に位置する場合であり、開口2の左右及び上端に従来のような戸枠部材が露出せず、戸1の外周と壁面との境界部に縁取りがなくなり、すっきりとしたデザインにできる。また、従来の戸枠は開口2の壁断面巾よりも広い巾の部材が必要であるが、本発明では左右の部材は化粧凸条7のみとなるため、使用部材が従来の枠材、特に上下方向に長い縦枠材の素材使用量が数分の1以下となって、素材使用量が大幅に削減できてコスト低減に大いに寄与できる。そしてこの化粧凸条7の前方の壁下地3が露出する縦開口縁6も壁下地3に貼付される壁紙などの化粧シート8を折り曲げて貼り付けて隠蔽するため、外観を損なうこともない上に、化粧シート8による隠蔽処理も化粧シート8の端を一回だけ折り曲げて貼り付けるだけで良いので、施工性も損なわれない。」

ウ 「【0010】
請求項2は開口2を天井丈に広げた場合であって、上枠4の上レール5より前方は天井の化粧材11が延長されて施されるので、この場合でも上枠4として、この部位の化粧仕上げが不要となり、コスト低減に繋がり、上レール5の奥部下面はやはり化粧面9であるので、戸1が開けられた状態でも外観を損なうことはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明を添付図面に基づき詳細に説明する。図1、2は天井が高い場合のように、戸1、1・・・が装着される開口2の上端が壁の途中までの例であって、2枚の戸1、1を蝶番12で折畳み可能に連結した折り戸を1対として、1対、2対、或いはそれ以上の枚数が開閉可能に開口2に設置される。ここで図示例は前方が居室側、奥が収納側であるが、勿論居室と居室の境界、居室と廊下との境界等、任意の戸設置開口に適用できる。尚、図1は開口2の片方が隣の壁との境界に合致した例であるが、図2のように両方とも同一の壁面3の途中に在っても良い。勿論、両側共隣の壁との境界に合致していても構わない。
【0012】
上枠4は実質的に壁の厚みと同じ巾を有するか、或いは少なくとも前端面が壁下地3と実質的に面一に装着されるもので、図3のように基材4Aの下面中央に上レール5を装着し、上レール5の前後を前ブロック4Bと後ブロック4Cで保持しており、前ブロック4Bは無化粧でも良いが、後ブロック4Cは化粧面9が施される。ここで天井下地10よりも図3のように上枠4の厚み分が下方に突出する場合は、天井下地10を被う化粧材11の端を下方及び奥方向に折り曲げて上枠4の露出前面と前方下面を被う。
【0013】
図4は左右の化粧凸条7の施工状態を示すもので、開口2の左右の縦端面の奥端に添って上下に固着され、露出する表面は化粧が施されている。この化粧凸条7の前方の開口2の縦開口縁6は壁下地3に貼付される壁紙などの化粧シート8の端を折り曲げて覆い隠蔽する。
【0014】
開口2の下縁には図3のように必要に応じて下レール13が施され、戸1の適所に施された上ランナー14は上記上レール5に、下ランナー15はこの下レール13に装着されて、戸1が開口2に折畳みにより開閉自在に設置される。尚、戸1の形態は、任意であり、折畳み形式の他、下ランナーを用いない引戸でも構わない。」

エ 「【0016】
図6は上枠4が天井下地10に埋設され、開口2の上端が実質的に天井下地10下面と同一の例で、壁紙のような化粧シートに代え、天井の化粧シート、化粧板等の化粧部材11の端部を延長させて上枠4の前ブロック4Bの下面を被っている。それ以外は第1項に記載の発明と共通している。」

オ 「【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例の概略図。
【図2】同上の少し変形した例の分解斜視図。
【図3】同上の要部の一部省略した拡大縦断面図。
【図4】同上の要部の拡大横断面図。
【図5】同上の上枠付近の他の例の拡大縦断面図。
【図6】同上の上枠付近の更に他の例の拡大縦断面図。
【図7】同上の戸の表面を壁面と一致させた例の一部省略した拡大断面図。」

カ 図2は次のものである。
「【図2】


図2からは、以下の点が看取される。
(ア)「開口2に上枠4及び化粧凸条7を装着すると、上枠4及び化粧凸条7が門型に配置される」点。

キ 図4は次のものである。
「【図4】


上記イ及びウを踏まえると、図4からは、以下の点が看取される。
(ア)「縦開口縁6において化粧凸条7が装着されている位置は、戸1よりも収納側の端部である」点。

ク 図6は次のものである。
「【図6】


上記イを踏まえると、図6からは、以下の点が看取される。
(ア)「開口2の上方縁面を規定する部材が上枠4の上方に存在する」点。
(イ)「上枠4が装着される開口2の上方縁面は化粧部材11の下面よりも上側に位置する」点。
(ウ)「天井下地10は、上枠4が装着される開口2の上方縁面よりも下方側に下面が位置する」点。
(エ)「化粧部材11は開口2の見込み方向において上レール5の下方の見込み方向に突出する部分と端面を突き合わせて設けられている」点。
(オ)「戸1が化粧部材11の近傍に至る上下寸法である」点。

(2)上記(1)からみて、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認める。
「戸1、1・・・が開閉自在に装着される開口2の上方縁に上枠4を装着し、開口2の左右の縦開口縁6、6の奥部に添うように化粧凸条7、7を装着し、戸1が開口2に折畳みにより開閉自在に設置される、戸開閉縁の仕舞い構造であって、
上枠4及び化粧凸条7は、門型に配置されて開口2に装着され、
開口2の上方縁面を規定する部材が上枠4の上方に存在し、上枠4が装着される開口2の上方縁面は、天井の化粧板である化粧部材11の下面よりも上側に位置し、
上枠4の基材4Aの下面中央に上レール5を装着し、上レール5の前後を前ブロック4Bと後ブロック4Cで保持し、
天井の化粧板である化粧部材11は開口2の見込み方向において上レール5の下方の見込み方向に突出する部分と端面を突き合わせて設けられており、
開口2は、居室と居室の境界、居室と廊下との境界等、任意の戸設置開口であり、
天井の化粧板である化粧部材11の近傍に至る上下寸法である戸1の適所に施された上ランナー14は上レール5に装着されて、戸1が開口2に折畳みにより開閉自在に設置され、
天井の化粧板である化粧部材11は、上枠4が装着される開口2の上方縁面よりも下方側に下面が位置する天井下地10に施され、
天井の化粧板である化粧部材11の端部を延長させて上枠4の前ブロック4Bの下面を被っている、
戸開閉縁の仕舞い構造。」

2 甲2
(1)甲2には、以下の事項が記載されている。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、建具に関し、詳しくは、上レールに吊り下げ支持された複数の面材が連動して左右スライド開閉可能な建具に関する。」

イ 「【0007】
ここで、本発明の建具としては、スライド開閉自在な少なくとも2枚または3枚の面材を有して構成されたものであればよく、互いに連動可能な4枚以上の面材を有したものであってもよく、前記2枚または3枚の面材を一組としたものを複数組有して構成されたものであってもよい。
また、面材を支持する上レールとしては、上下左右の枠材を四周枠組みした建具枠のうちの上枠に設けられたものでもよく、また上および左右の枠材を有した三方枠のうちの上枠に設けられたものでもよく、さらには、建物の天井や開口部上辺に取り付けたレール部材に設けられたものでもよい。」

ウ 「【0017】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る建具である可動間仕切り1を示す縦断面図である。図2および図3は、それぞれ可動間仕切り1の横断面図であり、図2は、可動間仕切り1を閉じた状態(全閉位置)を示し、図3は、可動間仕切り1を開放した状態(全開位置)を示すものである。
図1〜図3において、可動間仕切り1は、天井2、床3および左右の壁4で囲まれた開口部5に設けられて空間を左右に仕切るパーティションであって、天井2位置に設けられた上枠11と、壁4に設けられた左右の縦枠12と、上枠11に吊り下げ支持される3枚の面材としての障子20とを備えて構成されている。
【0018】
上枠11は、天井2の下地材6に固定される上枠ベース11Aと、この上枠ベース11Aに取り付けられて3条のレールを有した上レール材11Bとを有して構成されている。上レール材11Bに形成された3条のレールは、それぞれ上レール材11Bの長手方向に延びる中空部の下面部をスリット状に開口して形成されている。そして、上レール材11Bの中空部内には、それぞれ長手方向に転動自在なローラー11Cが支持され、これらのローラー11Cには、上レール材11Bのスリット部分を通って下方に延びるロッドが連結され、このロッドを介して各障子20が上枠11に吊り下げ支持されている。そして、各障子20は、ローラー11Cが上レール材11Bに沿って転動することで、左右スライド開閉可能に構成されている。
また、縦枠12は、壁4に沿って上下に延びて取り付けられており、この縦枠12に当接した障子20の縦框23と磁着して障子20の移動を規制する磁着部12Aを有して構成されている。」

エ 図1は次のものである。
「【図1】


便宜上、天井2の下地材6の下部に設けられ上枠ベース11Aが固定される部材を「天井間材」とする。そして、上記ウの段落【0017】「天井2、床3および左右の壁4で囲まれた開口部5」の記載を踏まえると、「天井間材」の下面が開口部5の天面となるものである。すると図1からは、以下の点が看取される。
(ア)「上枠ベース11Aが固定される天井間材によって構成される開口部5の天面は、天井2によって構成される天井面と面一である」点。
(イ)「上枠ベース11Aの下面側に、障子20のローラー11Cを支持する上レール材11Bが取り付けられる」点。
(ウ)「天井2は、上枠ベース11Aが固定される開口部5の天面よりも下面が上方側に位置された下地に固定されている」点。

オ 図2は次のものである。
「【図2】



(2)上記(1)からみて、甲2には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されているものと認める。
「建具である可動間仕切り1であって、
可動間仕切り1は、天井2、床3および左右の壁4で囲まれた開口部5に設けられて空間を左右に仕切るパーティションであって、天井2位置に設けられた上枠11と、壁4に設けられた左右の縦枠12と、上枠11に吊り下げ支持される3枚の面材としての障子20とを備えて構成され、
上枠11は、天井2の下地材6に固定される上枠ベース11Aと、この上枠ベース11Aに取り付けられて3条のレールを有した上レール材11Bとを有して構成され、
上レール材11Bの中空部内には転動自在なローラー11Cが支持され、ローラー11Cには、下方に延びるロッドを介して各障子20が吊り下げ支持されており、
上枠ベース11Aが固定される天井間材によって構成される開口部5の天面は、天井2によって構成される天井面と面一であり、
上枠ベース11Aの下面側に、障子20のローラー11Cを支持する上レール材11Bが取り付けられ、
天井2は、上枠ベース11Aが固定される開口部5の天面よりも下面が上方側に位置された下地に固定されている、
可動間仕切り1。」

3 甲3
(1)甲3には、以下の事項が記載されている。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明はリフォームによるドア取付け工法に係わり、更に詳しくはリフォームによって幅木の施工、クロスの貼り付けを終えた後に、ドア吊込み用のドア枠を取付けるリフォーム時の建具枠を完全に後付け出来る工法に関する。」

イ 「【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に添付図面、図1〜図11に従い本発明のリフォームによるドアの取付け工法の実施の形態を詳細に説明する。
実施形態の説明に当っては、ここでは、リフォームによって高さの高い、床から天井までその高さがあるドアの吊込みを例にとって説明する。
そして、図1〜図5に於いては開き戸について説明し、図6〜図11に於いては引き戸に適用した例を説明する。」

ウ 「【0016】
さて、このリフォームによるドアの取付け工法の場合、リフォーム前の建物の構造の中のドア取付部分と同じ場所にリフォーム後もドアを取付けることがほとんどであるが、中にはリフォーム前の建物の構造中のドア取付部分と異なった場所にリフォーム後にドアを取付ける場合もある。この実施の形態の説明に当って、両者は基本的に差異はないので、前の例で説明する。
ところで、このリフォームによるドアの取付けに於いて最も顕著なことは、ドアを取付け開口部を区画する壁の厚さがリフォーム対象の住宅によって様々であるということである。もう1つは、ドア吊込み用の縦枠(建具枠)及びそれを取付ける下地枠が建築当初の状態から使用年数を経ている為に曲ったり、ゆがんだり又は倒れ、反り、ねじれているということである。
本発明のリフォームによるドア取付け工法は、この2つの条件を乗り越えて、リフォームによってドア吊込み用のドア枠を完全に後付けして、ドアを取付けるようにすると共に、リフォームによって高さの高い床から天井までその高さがあるドアの吊込みを可能にし、而もシンプルな感じを呈するリフォームによるドアの取付け工法である。その為に採用した手段が、ドアの建具枠(縦枠)を取付ける為の下地枠の左右の幅を、リフォーム対象の様々な厚さの壁全てに適用できるように、而も長年の使用によって下地枠が曲ったりしていても適用できるように、壁の厚さ寸法より下地枠の左右幅を必要最低限に小さくしたものであり、且つ壁の厚さより下地枠の左右幅を小さくした分だけ壁のコーナの所に段差が生じてしまうが、その部分をコーナビートで覆い、且つコーナビートの内側にパテ材を充てんし、壁コーナの所の段差を解消するようにしたものである。
【0017】
即ちリフォーム前にドアを取付ける所であった開口部Aを区画する壁1の壁下地2、下地枠3a、3b、プラスターボード4を整える。つまりこれらを修理し、施工する。この場合、リフォーム後の壁1の幅Wに対して、下地枠3a、3bの左右の幅Sを小さく設定する。つまり予め用意する下地枠3a、3bとして、種々様々な寸法のリフォーム後の壁にも適用できるよう、必要最低限の小さい幅寸法Sの下地枠3a、3bを用意しておく。
【0018】
この結果下地枠3a、3bの端とプラスターボード4の間の所に段差が生じてしまうが、ここにコーナビート30を被覆し、図2に最もよく表われているように穴31を通して中の隙間にパテ材32を充てんする。且つコーナビート30とプラスターボード4との間の段差、コーナビート30と下地枠3a、3bの表面8との間の段差にもパテ材32を充てんする。これにより段差が解消される。この後に必要な幅木5を施工した後、クロス6を貼る。これらのことが図1、図2、図3によりよく示されている。
【0019】
さて、本発明のリフォームによるドア取付け工法はこのように幅木5及びクロス6を貼り終わった後でもリフォームによるドア建具枠を完全に後付け施工できるようにしたもので、これは以下に示す構成によるものである。
先ず、上記に於いて示した下地枠3a、3bの各々にこの下地枠3a、3bを組付ける前に予め建具枠の縦枠を嵌合する為の嵌合溝7a、7bを形成しておく。逆に言えばこの嵌合溝7a、7bを有する下地枠3a、3bを、その嵌合溝7a、7b部分が開口部Aに向かうように組み付けるものである。この嵌合溝7a、7bの各々は、各下地枠3a、3bの表面8に、当該下地枠3a、3bの縦方向に沿って上から下まで凹状に形成するものである。
【0020】
そして上記までの工程で、クロス6を貼る時に、そのクロス6の端部6aを下地枠3a、3bの嵌合溝7a、7bの側壁に沿わせておく。勿論クロスの端部6aを嵌合溝7a、7bの端部9に丁度合わせて貼ってもよい。
次いで予め用意しておいた建具枠の縦枠10a、10bの各々を上記下地枠3a、3bの嵌合溝7a、7bに嵌合する。嵌合した状態は図3、図5に各々示されている。即ち縦枠10a、10bの各々の幅Pは上記嵌合溝7a、7bの幅Tに過不足なく嵌合できる程度に設定されていると共に、その奥行Qは嵌合溝の奥行より大に設定されている。
【0021】
そして、この縦枠10a、10b各々には縦方向に沿って所定の間隔を置いて複数個例えば、5個の取付部材11を備えている。この取付部材11は種々の形状、構成のものを用いることができるが、この実施例に示すものは次の通りである。
即ち、幅木、クロス施工後に下地枠3a、3bの嵌合溝7a、7bに左右の縦枠10a、10bを取付けるものであり、この左右の縦枠10a、10bへの取付けは、取付部材11によって行なわれるものである。
そして、上記取付部材11は、取付部材11が取付けられている上記左右の縦枠10a、10bの各々の下地枠3a、3b側の側面とは反対側になる側面から下地枠3a、3bへの取付け及び下地枠3a、3bとの間の隙間を調整することができるように構成され、図4、図5に示したように、外周面にネジ部12が形成された筒状部分を有する下地枠3a、3bに取付けられる固定部13と、固定部13のネジ部12に螺合するネジ部が内面に形成されたフランジ14を有する円筒状の回転部15と、上記回転部15に外嵌しフランジ14を介して回転部15を上記左右の縦枠10a、10bの下地枠3a、3b側の側面に回転可能に取付ける取付リング16より成るものであり、しかも、上記固定部13の筒状部分には、ロックプレート17が配設され、このロックプレート17によって、ネジ部12及び切欠18が形成された筒状部分を押し広げることができるように成されている。
さらに、上記取付部材11は、取付部材11を成す固定部13と回転部15が螺合した状態で取付リング16にて左右の縦枠10a、10bにあらかじめ取付けられており、回転部15を回転させるための六角レンチRの嵌合穴19からビス20を挿入し、このビス20によって固定部13を下地枠3a、3bに固定することで取付部材11の固定が行なわれ、これにより、左右の縦枠10a、10bが、下地枠3a、3bの嵌合溝7a、7bに取付けられることとなる。
【0022】
従って、幅木5の取付け、クロス6の貼り付け後に、即ち完全にクロスを貼り付けした後に、リフォームによって縦枠10a、10bの各々を、その取付部材11を用いて下地枠3a、3b各々に取付けることができる。
即ち、一方の縦枠10aに着目して述べると、嵌合溝7aに対して縦枠10aを嵌合させる。そして、嵌合穴19を利用してビス20により固定部13を下地枠3aに取付ける。
次いで、上記縦枠10aの鉛直度及び直線度を調整するものであり、この調整は、上述した取付部材11の回転部15を、下地枠3aに取付け固定された固定部13に対して回転させることによって行なうものであり、上記回転部15の回転は、回転部15に設けられた嵌合穴19に六角レンチRを嵌合させ、これを回転させることによって行なわれ、しかも、上記回転部15は、上記固定部13のネジ部12に螺合しているものであるので、微妙な調整も容易に行なうことができ、縦枠10aの鉛直度及び直線度の調整を正確に行うことができる。
他方の下地枠10bに対する縦枠10bの鉛直度及び直線度の調節及び取付けも同じである。
この後、上記左右の縦枠10a、10bによって構成されたドア枠内にドア21の吊込みを行い、さらに、ドア枠とドア21との間のチリ(隙間)の確認を行い、その調整を行うものであり、このチリの調整も、上記で示した左右の縦枠10a、10bの鉛直度及び直線度の調整と同様の手順で行うことができる。
さらに、上記ドア枠とドア21との間のチリの調整を終えた後、上記取付部材11の固定部13内に配設されたロックプレート17を回転させ、固定部13の切欠18が形成されたネジ部12を押し広げ、回転部15が固定部13に対して回転しないように固定することによって、ドア枠の施工及びドア21の吊込みが完了するものである。」

エ 「【0023】
ところで、上記壁の厚さ以下の幅より成る縦枠10a、10bの各々には、その表面にドア21の端部が対抗する面Eと、その面Eより前に突出形成されている突部Fが区画されている。これによりドア21を取付けた時、ドアの端部が上記面Eに対向する。従ってドア21の端部は突部Fの背後に隠される。この為に図5に於いて一側V1から人が観た時、突部Fの端F1と壁の端K1が観え、他側V2から人が観た時、面Eの端E1と壁の端K1が観える。ともに2つの段部として映える。従ってスッキリした外的印象を人に与えるリフォームによるドア構造とすることができる。
ところで上記リフォームによるドアの吊込み、取付け例として示したものは開き戸であったが、リフォームによって引き戸にも適用できるものである。
図6〜図8はリフォームした片引き戸22に適用した例、図9〜図11はリフォームした引き違い戸22に適用した例であり、以上までに説明したところと同一の部分は同一の符号を付し説明を省略する。
そして図7及び図10に各々示すように引き戸22は天井に吊下げられて開閉されるもので、天井材25を支持する下地材26に吊りレール23を埋込態様で設け、引き戸の走行車輪24を上記レール23上を吊下げ態様にて走らせるようにするものである。この場合、天井材25にクロス27が貼られ、而もレール23が天井材25より上方に位置し、引き戸の上端が天井材25と略同じ高さレベルに位置しているので、人が室内に立って引き戸を観た時、引き戸の吊りレール23をほとんど認めることができない。
つまり上枠なしの観を呈すると共に、引き戸上部からの明かり漏れも完全に防止できる。
そして、引き戸が吊下げられているので図8、図11に示すように引き戸22の下端は床から僅かに浮き上っている。
そして、引き戸の振れ止め28が床に設けられ、その振れ止め28が引き戸22の溝29内に臨んでいる。」

オ 「【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本願のリフォームによるドアの取付け工法の工程の途中である幅木、クロス貼りを終えたところを示す正面図。
【図2】本願のリフォームによるドアの取付け工法の工程の途中であるコーナビートを取付けたところを示す斜視図。
【図3】図1の3−3線に沿って一方の縦枠の下地枠に対する嵌合、取付け状態を示す断面図。
【図4】縦枠を下地枠に取付ける為の取付部材の一例を示す分解斜視図。
【図5】図1の5−5線に沿って示した断面図。
【図6】本発明リフォームによるドアの取付け工法を片引き戸の取付けに適用した横断面図。
【図7】本発明リフォームによるドアの取付け工法を片引き戸の取付けに適用したドア上部断面図。
【図8】本発明リフォームによるドアの取付け工法を片引き戸の取付けに適用したドア下部断面図。
【図9】本発明リフォームによるドアの取付け工法を引違い戸の取付けに適用した横断面図。
【図10】本発明リフォームによるドアの取付け工法を引違い戸の取付けに適用したドア上部断面図。
【図11】本発明リフォームによるドアの取付け工法を引違い戸の取付けに適用した下部断面図。」

カ 図1は次のものである。
「【図1】



キ 図3は次のものである。
「【図3】



ク 図6は次のものである。
「【図6】



ケ 図7は次のものである。
「【図7】



コ 図9は次のものである。
「【図9】



サ 図10は次のものである。
「【図10】


図10からは、以下の点が看取される。
(ア)「下地材26の下面側に設けられた凹溝に、引き戸22の走行車輪24を保持するレール23が嵌め込み固定される」点。
(イ)「天井材25が下地材26に固定されている」点。

(2)下地枠3a、3b、縦枠10a、10b、吊りレール23を有する、上記エ及び図9ないし図10に示される実施例に着目し、段落【0023】における「以上までに説明したところと同一の部分は同一の符号を付し」との記載から、上記イ及びウにおいて下線を付した構成は上記エ及び図9ないし図10に示される実施例も有していることを踏まえると、上記(1)より、甲3には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されているものと認める。
「リフォームによるドア構造であって、
ドアは、高さの高い、床から天井までその高さがあるドアであり、
ドアを取付ける所である開口部Aを区画するリフォーム後の壁1の幅Wに対して、下地枠3a、3bの左右の幅Sが小さく設定され、
下地枠3a、3bは、建具枠の縦枠を嵌合する為の嵌合溝7a、7bを有し、
建具枠の縦枠10a、10bの各々の幅Pは上記嵌合溝7a、7bの幅Tに過不足なく嵌合できる程度であり、
縦枠10a、10bの各々を、取付部材11を用いて下地枠3a、3b各々に取付け、
縦枠10aの鉛直度及び直線度の調整は、取付部材11によって行なうものであり、
他方の縦枠10bの鉛直度及び直線度の調節及び取付けも同じであり、
ドアは、リフォームした引き違い戸22であり、
天井材25を支持する下地材26に吊りレール23を埋込態様で設け、引き戸の走行車輪24を上記レール23上を吊下げ態様にて走らせるようにし、
レール23が天井材25より上方に位置し、引き戸の上端が天井材25と略同じ高さレベルに位置しているので、人が室内に立って引き戸を観た時、引き戸の吊りレール23をほとんど認めることができず、上枠なしの観を呈し、
下地材26の下面側に設けられた凹溝に、引き戸22の走行車輪24を保持するレール23が嵌め込み固定され、
天井材25が下地材26に固定されている、
リフォームによるドア構造。」

4 甲4
(1)甲4には、以下の事項が記載されている。
ア 「【0012】
上記上レール取付部Aは、図2、図3によく示されているように、金属製の中空角柱からなる2本の天井下地材3と、この天井下地材3に挟まれた木製の上レール保持部2とからなり、上レール保持部2と各々の天井下地材3とはビスB1によって固定されている。また、上レール保持部2は、その下面に凹設した溝部に、下方に開口した上レール1をビスB2を用いて装着、固定している。図4は、上記のように構成した上レール取付部Aに、さらに補強金具9をビスB3でビス留めすることにより補強し、上レール1の天井材載置部11に、天井材8を載置した状態を示す部分断面斜視図である。」

イ 図5は次のものである。
「【図5】



5 甲5
(1)甲5には、以下の事項が記載されている。
ア 「【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図示実施例に従って詳述する。図3は天井構造部材(4)に装着された状態の天井用金具(1)の第1実施例で、天井根太のような天井構造部材(4)の幅に合わせて形成された一対の垂直片(2)の下縁から外水平に外側水平片(3a)が延出しており、両垂直片(2)の下縁内側には両者を繋ぐ内側水平片(3b)が一体的に設けてあり、その中央に移動間仕切り(5)の走行具(6)が嵌まり込む走行レール(7)が凹設されている。走行レール(7)は内側水平片(3b)の中央部分(2)にて両垂直片(2)の反対面に開口するように形成されており、奥部が広く開口部分が内側にせり出しており、このせり出し部分(7a)に走行具(6)が係合するようになっている。」

イ 「【0016】このようにして次々と格子状に組まれている天井構造部材(4)に天井用金具(1)或いはジョイナー(1a)を取り付けていき、続いて天井用金具(1)の水平片(3)の上に天井材(8)の端部を載置して行くと、図2又は3のように天井材(8)の周囲に太い額縁状で且つ格子状に組まれ、その中央に十字に走行レール(7)が設けられた天井用金具(1)が現出する。」

ウ 図4は次のものである。
「【図4】



6 甲6
(1)甲6には、以下の事項が記載されている。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、建具を用いて屋内の空間を仕切る間仕切構造を備えた建物に関する。」

イ 「【0033】
一方、上側梁13A,13Bの下面には根太等のスペーサ21A,21Bを介して1枚または2枚の石膏ボードよりなる天井下地材23A,23Bが設けられている。そして、天井下地材23A,23Bの表面(下面)にはクロス等が天井仕上材として貼り付けられて、天井面24が形成されている。」

ウ 「【0039】
両建物ユニット11A,11B間の天井側に形成される隙間には、天井ガイドレール41A,41Bが設けられている。天井ガイドレール41A,41Bはガイドレール部42A,42Bを備え、両ガイドレール部42A,42Bは天井下地材23A,23Bの互いに向かい合う端面に配設されている。両ガイドレール部42A,42Bは建具31の幅方向(図1の奥行き方向)に連続するように形成されるとともに、両ガイドレール部42A,42Bの間には僅かな隙間が形成されている。したがって、両ガイドレール部42A,42Bは天井側の見切りとしての機能を有している。両ガイドレール部42A,42Bの上端位置からは互いに離間する方向へ折り曲げられた固定板部43A,43Bが一体形成されている。そして、固定板部43A,43Bは、スペーサ21A,21Bに対してビス止めされている。」

エ 図1は次のものである。
「【図1】



7 甲7
(1)甲7には、以下の事項が記載されている。
ア 「【0007】
【発明の実施の形態】本発明を以下添付図面に基づいて詳述する。本発明においては、まず開口枠7を建て込もうとする場所の天井面1、壁面3に墨打ちをして図1に示すように天井面1及び壁面3に桟木2を取付ける。天井面1及び壁面3に桟木2を取付けるに当たっては、図2のように墨打ち線11に沿ってアンカーナット12を埋設し、このアンカーナット12を利用して桟木2をボルト13により取付けるものである。ここで、巾木50や回り縁51を切欠して該切欠部分に桟木2を位置させた状態で天井面1や壁面3に固着するものである。また、桟木2は後述する袖壁部や垂壁部の下地の一構成材となるものである。添付図面に示す実施形態においては、後述する開口枠7の片側にのみ袖壁部を形成するので、対向する壁面3のうち一方の壁面3に桟木2を固着してあるが、他方の壁面3には桟木2は固着してない。この桟木2を固着しない方の壁面3にはアンカーナット12を埋設しておくものである。
【0008】次に、背面部に胴縁材4を取付けた化粧縦枠5の上端間に背面に胴縁材4を取付けた化粧横枠6を架設して門型をした開口枠7を組み立てて形成する。この場合、図5に示すように化粧縦枠5の上端部に切欠部15を設け、L字状をした連結金具16の縦片16aを化粧縦枠5の係合部45にはめ込んで係合して切欠部15より横片16bを突出し、化粧横枠6の端部を化粧縦枠5の前面部の上端部に突き合わせると共に連結金具16の横片16bを化粧横枠6の下面に重ねてねじ具により固着することで化粧縦枠5と化粧横枠6とを連結して2個の化粧縦枠5と1個の化粧横枠6とで門型の開口枠7を形成するのである。この状態では連結金具16は化粧縦枠5に対しては縦片16aを係合部45にはめ込んで係合しているだけの状態であり、後述する開口枠7の建て込みが完了した時点で、ビスのような固着具により連結金具16の縦片を化粧縦枠5に固着するものである。このようにするのは、あらかじめ連結金具16の縦片及び横片のいずれをも固着具で固着していると、建て込み時に化粧縦枠5の垂直調整等を行うのがしにくいが、連結金具16の縦片を係合部45にはめ込んで係合しているだけだと、建て込み時における化粧縦枠5の垂直調整等が容易に行える。」

イ 「【0012】上記のようにして門型に枠組みした開口枠7を図6のように間仕切りしようとする部分の床面28に立て、次に、一方の化粧縦枠5の背面に固着した胴縁材4の背面下端部に固着した床固定金具27を床面28に固着具により固着し、次に、同化粧縦枠5にスライド自在に取付けている調整部材8を上方に突出させて、図7(b)のように天井面1に固着した桟木2に調整部材8の上端部の固定片8aを固着具により固着するものである。ここで、天井面1の高さが現場により異なっても調整部材8の突出長さを調整することで簡単に現場の状況に対応して天井面1に固着した桟木2に固着して開口枠7を建て込むことができるものである。」

ウ 図6は次のものである。
「【図6】



8 甲8
(1)甲8には、以下の事項が記載されている。
ア 「図に於て、1は枠体で玄関の扉枠、部屋の間仕壁に設けられる通路枠、窓枠等として予め規格化された各種寸法のものが作られており、建築現場で建物の要所に嵌込まれるものである。枠体1は建物の壁を構成する柱2,2間に嵌込まれるものである。枠体1の両側面外側には第3図に示すようなL形金具3(当審注:「L形金具3」の「L」の正確な表記は、Lの横線の右端から下方にLの縦線と同じ長さの縦線を付した記号。以下同様。)が下向きに取付けてある。又枠体1が取付けられる二本の柱2,2の相対する面には第4図に示すような凸形金具4(当審注:「凸形金具4」の「凸」の正確な表記は、凸の左端及び右端の縦線及び下端の横線を削除した記号。以下同様。)が取付けられる
建物の骨格が組立て終ると柱の間に壁パネルが嵌込まれるが、そのとき、枠体1が嵌込まれる所には枠体1が嵌込まれるのである。枠体1を柱2,2の間に嵌込むには、第5図のように枠体1を少し持上げて柱2,2の間に挿入し、L形金具3を凸形金具4と柱2面との間5に落込むようにすればよい。これで枠体1は取付けられたのである。後は必要に応じて引戸の案内開戸等をこの枠体に取付ければよい。」(第1頁左欄第26行〜右欄第6行)

イ 第1図は次のものである。
「第1図



9 甲9
(1)甲9には、以下の事項が記載されている。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉建具の開口縦枠取付構造の改良に関する。」

イ 「【0025】
次いで、図2(b)に示すように、縦枠補助部材10の係合辺11を上記縦溝14に挿入するとともに、固定辺12を柱2の前面2bに固着させて縦枠補助部材10の取付けがなされる。この際、縦枠補助部材10は、L字状の内面側角部10aを、建て付け開口部の内側面と前面側内壁下地とで形成される角部を構成する柱2の開口側前角部2cに添わせて、各辺11,12をそれぞれの対向面2a,2bに固着すれば良く、容易かつ確実に固着できる。この縦枠補助部材10の柱2への固着は、接着剤や釘、木ネジ等を介してなされる。
尚、先に、縦枠補助部材10を上記のように柱2の開口側前角部2cに添わせて固着し、次いで、上記したように、クローゼット用折戸7の厚さt3に応じて建具本枠13を固着するようにしてもよい。
【0026】
上記のように縦枠補助部材10及び建具本枠13を固着させた後、柱2の前面2bに壁面材3を固着する。この壁面材3は、その開口側端面3bを縦枠補助部材10の固定辺12の端面12bに当接させて柱2の前面2bに固着され、該縦枠補助部材10に連設されている。
この状態では、壁面材3の表面3aと縦枠補助部材10の固定辺12の表面12aとは、それぞれの厚さt1,t2が略同厚とされているので、段差等が形成されることなく、略面一となる。
次いで、壁クロスや合成樹脂系化粧フィルム、突板等の化粧シート4,6をそれぞれ内壁8の前面側及び背面側に貼着する。」

ウ 図1は次のものである。
「【図1】



エ 図4(a)は次のものである。
「【図4】



10 甲10
(1)甲10には、以下の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、仕切壁の開口部に設けられ、戸、襖、障子などの片引戸を納める引戸枠に関するものである。」

イ 「【0016】
図1に示すように、引戸枠1は、互いに隣接する洋室(一方の空間)52と和室(他方の空間)54の間を仕切る仕切壁56に形成された開口部58に設けられる。仕切壁56は、柱62と、その両外側に張られた石膏ボードなどの壁板64とを有する。さらに、仕切壁56には洋室52側に片引戸の幅Wに対応し片引戸の移動方向41に延在する袖壁29が形成される。袖壁29の躯体は袖壁29を形成する構造部材である小柱34や図示していない胴縁などである。」

ウ 「【0018】
第1の枠体3は、三方に部材を有する門形状をしており、見切り縦枠7と、この見切り縦枠7に対向する見切り方立9と、これら二つの部材を連結する見切り上枠11(図2に表示)とを有する。さらに、これら部材の前端面にはケーシング13が固定される。ケーシング13は、断面L字状である。見切り縦枠7、見切り方立9および見切り上枠11の洋室側端面には、各々溝14が形成されケーシング13の長手片基端側が嵌入される。見切り縦枠7、見切り方立9、見切り上枠11およびケーシング13には洋風の化粧が施される。」

エ 図1は次のものである。
「【図1】



第5 当審の判断
1 特許法第29条第1項第3号新規性欠如)、及び特許法第29条第2項進歩性欠如)について
(1)本件発明1について(甲1発明に基づく検討)
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
(ア)甲1発明において、「戸1」、「開口2」、「上枠4」、「戸開閉縁の仕舞い構造」は、それぞれ本件発明1の「建具」、「建物の開口部」、「上枠」、「建具施工構造」に相当する。また、甲1発明において、上枠4等を「装着」することは、上枠4等を「固定」することを意味することは明らかである。すると、甲1発明の「開口2の上方縁に」「装着」される「上枠4」と、本件発明1の「建物の開口部に固定され、上枠と両側の縦枠とを有した建具用枠」とは、「建物の開口部に固定され、上枠を有した建具用枠」の点で共通する。
また、甲1発明の「戸1、1・・・が開閉自在に装着される開口2の上方縁に上枠4を装着し、」「戸1が開口2に折畳みにより開閉自在に設置される、戸開閉縁の仕舞い構造」は、本件発明1の「建具用枠に建具を建て付けた建具施工構造」に相当する。

(イ)甲1発明の「戸1、1・・・が開閉自在に装着される開口2の上方縁に上枠4」「を装着」することと、本件発明1の「前記建具用枠は、前記上枠の長手方向両端に前記両側の縦枠をそれぞれ接合して三方枠状に枠組み一体化されて前記開口部内に嵌め込み固定され」ることとは、「前記建具用枠」として、「前記上枠」を「前記開口部内に嵌め込み固定され」ることで共通する。

(ウ)甲1発明において、「開口2の上方縁面を規定する部材」、「上枠4が装着される開口2の上方縁面」、「天井の化粧板である化粧部材11」、「天井の化粧板である化粧部材11の下面」は、それぞれ本件発明1の「上枠下地」、「開口部の天面」、「天井パネル」、「天井パネルによって構成される天井面」に相当する。
よって、甲1発明の「開口2の上方縁面を規定する部材が上枠4の上方に存在し、上枠4が装着される開口2の上方縁面は、天井の化粧板である化粧部材11の下面よりも上側に位置」することは、本件発明1の「前記上枠が固定される上枠下地によって構成される前記開口部の天面は、天井パネルによって構成される天井面よりも上側に位置するように設けられ」ることに相当する。

(エ)甲1発明において、「上レール5」は、本件発明1の「上レール」に相当する。
また、甲1発明において、「上枠4の基材4Aの下面中央に上レール5を装着し、上レール5の前後を前ブロック4Bと後ブロック4Cで保持」することにより、「基材4A」、「前ブロック4B」及び「後ブロック4C」により形成される「上枠4」の凹状部に「上レール5」が配置される構造となることは明らかである。
よって、甲1発明において、「上枠4の基材4Aの下面中央に上レール5を装着し、上レール5の前後を前ブロック4Bと後ブロック4Cで保持」することは、本件発明1の「前記上枠の下面側に設けられた凹溝に、前記建具の上端部を保持する上レールの上側部位が嵌め込み固定され」ることに相当する。

(オ)甲1発明において、「開口2は、居室と居室の境界、居室と廊下との境界等、任意の戸設置開口」であるところ、「居室」及び「廊下」は、いずれも「天井の化粧板である化粧部材11」を設ける居住空間であることは明らかであるから、甲1発明の開口2が「居室と居室の境界」又は「居室と廊下との境界」である場合、「開口2の見込み方向において上レール5の下方の見込み方向に突出する部分と端面を突き合わせて設けられ」る「天井の化粧板である化粧部材11」が、両居室側、又は、居室側と廊下側、すなわち、開口2の見込み方向の両側において上レール5の下方の見込み方向に突出する部分と端面を突き合わせて設けられる態様となることは明らかである。
よって、甲1発明において、「天井の化粧板である化粧部材11は開口2の見込み方向において上レール5の下方の見込み方向に突出する部分と端面を突き合わせて設けられており、開口2は、居室と居室の境界、居室と廊下との境界」であることは、本件発明1の「該上レールの下側部位の見込み方向両側にそれぞれの端面を突き合わせて該上レールの見込み方向両側の前記天井パネルが固定され」ることに相当する。

(カ)甲1発明において、「天井の化粧板である化粧部材11の近傍に至る上下寸法」、「戸1」は、それぞれ本件発明1の「前記天井面近傍に至る上下寸法」、「建具」に相当する。
よって、甲1発明において、「上枠4の基材4Aの下面中央に上レール5を装着し、」「天井の化粧板である化粧部材11の近傍に至る上下寸法である戸1の適所に施された上ランナー14は上レール5に装着されて、戸1が開口2に折畳みにより開閉自在に設置され」ることは、本件発明1の「前記天井面近傍に至る上下寸法とされた前記建具が前記建具用枠に建て付けられて」いることに相当する。

(キ)甲1発明において、「天井下地10」は、本件発明1の「天井下地」に相当し、また、甲1発明において、化粧部材11が「施され」ることは、化粧部材11が「固定」されることを意味することは明らかであるから、甲1発明において、「天井の化粧板である化粧部材11は、上枠4が装着される開口2の上方縁面よりも下方側に下面が位置する天井下地10に施され」ることは、本件発明1の「前記天井パネルは、前記上枠が固定される前記開口部の天面よりも下面が下方側に位置された天井下地に固定されて」いることに相当する。
また、甲1発明において、「天井の化粧板である化粧部材11の端部を延長させて上枠4の前ブロック4Bの下面を被って」おり、上記(オ)に示したとおり「開口2」が「居室と居室の境界」又は「居室と廊下との境界」である場合、「化粧部材11」が「上レール5」の開口2の見込み方向の両側に設けられることは、本件発明1の「前記建具用枠の前記上枠が、前記天井パネルによって覆われた状態となっている」ことに相当する。

(ク)以上のことから、本件発明1と甲1発明とは、
「建物の開口部に固定され、上枠を有した建具用枠に建具を建て付けた建具施工構造であって、
前記建具用枠は、前記上枠が前記開口部内に嵌め込み固定され、前記上枠が固定される上枠下地によって構成される前記開口部の天面は、天井パネルによって構成される天井面よりも上側に位置するように設けられ、前記開口部内に嵌め込み固定された前記建具用枠の前記上枠の下面側に設けられた凹溝に、前記建具の上端部を保持する上レールの上側部位が嵌め込み固定され、該上レールの下側部位の見込み方向両側にそれぞれの端面を突き合わせて該上レールの見込み方向両側の前記天井パネルが固定され、前記天井面近傍に至る上下寸法とされた前記建具が前記建具用枠に建て付けられており、
前記天井パネルは、前記上枠が固定される前記開口部の天面よりも下面が下方側に位置された天井下地に固定されていて、前記建具用枠の前記上枠が、前記天井パネルによって覆われた状態となっている建具施工構造。」
で一致するものの、以下の点で相違している。

〔相違点1〕「建具用枠」について、本件発明1が、「上枠」に加えて「両側の縦枠」を有し、「前記建具用枠は、前記上枠の長手方向両端に前記両側の縦枠をそれぞれ接合して三方枠状に枠組み一体化されて前記開口部内に嵌め込み固定され」るものであると特定されているのに対し、甲1発明は、「両側の縦枠」を有しているか不明であって、そのため、「上枠」と「両側の縦枠」とを「接合して三方枠状に枠組み一体化され」たものではない点。

新規性に関する判断
(ア)申立人は、「甲1における当該化粧凸条7は、従来の縦枠材より素材使用量を少なくしただけのものであるから(段落8)、構成要件Aにおける「縦枠」に相当する。」(特許異議申立書第18頁第21〜22行)と主張する。

(イ)そこで、上記相違点1のうち、「上枠」に加えて「縦枠」を有することについて、甲1発明の「化粧凸条7」が、本件発明1の「縦枠」に相当するといえるか否かについて検討する。
甲1に記載された、「上枠、縦枠等よりなる戸枠」について「戸枠が扉以外に必要となり、部品点数及び施工工程が多く、しかもいずれも扉の開閉に際して露出する部位であるため、戸枠には化粧を施す必要も免れず、コストが高くなっていた」こと(上記第4の1(1)ア【0002】)、及び、「従来の戸枠は開口2の壁断面巾よりも広い巾の部材が必要であるが、本発明では左右の部材は化粧凸条7のみとなるため、使用部材が従来の枠材、特に上下方向に長い縦枠材の素材使用量が数分の1以下となって、素材使用量が大幅に削減できてコスト低減に大いに寄与できる」こと(上記第4の1(1)イ【0008】)に鑑みると、甲1発明の「開口2」において、その左右に取り付けられた部材は「化粧凸条7」であり、該「化粧凸条7」の存在により「従来の枠材、特に上下方向に長い縦枠材」を廃した構造を採用していると解するのが妥当である。
加えて、甲1発明における「開口2の左右の縦開口縁6、6の奥部に添うように」「装着し」た「化粧凸条7」は、その装着されている位置が、「戸1」よりも収納側の端部であって、「開口2」の見込み方向において「戸1」と略同一面に存在しないものであり、建具用枠の「縦枠」としての構造及び機能を担っているとは認められない。

(ウ)したがって、甲1発明の「化粧凸条7」は、本件発明1の「縦枠」に相当しない。

(エ)以上より、甲1発明は本件発明1の「縦枠」に相当する構成を有しているとはいえず、当該差異は本件発明1と甲1発明との実質的な相違点であるから、本件発明1は甲1に記載された発明ではない。

進歩性に関する判断
(ア)上記相違点1は「三方枠状に枠組み一体化され」ることを含むので、甲1発明の、上枠を有する建具用枠に、「縦枠」を加えて「前記建具用枠は、前記上枠の長手方向両端に前記両側の縦枠をそれぞれ接合して三方枠状に枠組み一体化されて前記開口部内に嵌め込み固定され」ることの容易性について検討する。
上記第4の7及び8に記載された、甲7及び8に記載の技術事項からみて、建具用枠を、上枠及び縦枠で三方枠状に枠組み一体化して開口部に嵌め込むことは、原々々出願の出願前に周知技術であったといえる。
しかしながら、上記イにおいて検討したとおり、甲1発明の建具施工構造においては、「開口2」の左右に取り付けられた部材は「化粧凸条7」であって、「従来の枠材、特に上下方向に長い縦枠材」を廃した構造を採用していると解するのが妥当であるから、甲1発明において、縦枠を付加して、または「化粧凸条7」を「縦枠」に代えて、三方枠状の建具枠とする動機付けはない。
よって、建具用枠を、上枠及び縦枠で三方枠状に枠組み一体化して開口部に嵌め込むことが周知技術であったとしても、甲1発明において、上枠を有する建具用枠にさらに縦枠を設け、上枠の長手方向両端に両側の縦枠をそれぞれ接合して三方枠状に枠組み一体化されて開口部内に嵌め込み固定する構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。

(イ)また、甲1発明において、「化粧凸条7」は縦枠とはいえないが、上記周知技術のように、開口部に嵌め込む際に「上枠4」と「化粧凸条7」で三方枠状に枠組み一体化するかについても検討する。
甲1に記載された「従来の戸枠は開口2の壁断面巾よりも広い巾の部材が必要であるが、本発明では左右の部材は化粧凸条7のみとなるため、使用部材が従来の枠材、特に上下方向に長い縦枠材の素材使用量が数分の1以下となって、素材使用量が大幅に削減できてコスト低減に大いに寄与できる」(上記第4の1(1)イ【0008】)ことからすると、甲1発明の「化粧凸条7」は従来の縦枠材と比べて数分の1以下の巾しかないものである。これに対して、「上枠4」は、「上枠4は実質的に壁の厚みと同じ巾を有するか、或いは少なくとも前端面が壁下地3と実質的に面一に装着されるもの」(上記第4の1(1)ウ【0012】)であるから、甲1発明の「化粧凸条7」と「上枠4」とは、巾が相当異なっていることからすると、当業者が、それらを三方枠状に枠組み一体化しようと思いつくものではない。
よって、甲1発明の「上枠4」と「化粧凸条7」とで、上記周知技術のように三方枠状に枠組み一体化することは、当業者が容易になし得たことではない。

(ウ)上記の各検討について、甲2ないし甲6、甲9及び甲10に記載の技術事項を併せみても同様である。

(エ)したがって、甲1発明において、上記周知技術を適用することにより、上記相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。

エ 小括
よって、本件発明1は甲1に記載された発明ではない。
また、本件発明1は、甲1発明及び甲2ないし甲10に記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)本件発明1について(甲2発明に基づく検討)
ア 対比
本件発明1と甲2発明とを対比する。
(ア)甲2発明において、「障子20」、「開口部5」、「上枠ベース11A」、「左右の縦枠12」、「可動間仕切り1」は、それぞれ本件発明1の「建具」、「建物の開口部」、「上枠」、「両側の縦枠」、「建具施工構造」に相当する。また、縦枠12等を「設ける」ことは、縦枠12等を「固定」することを意味することは明らかである。
甲2発明において、「可動間仕切り1は、天井2、床3および左右の壁4で囲まれた開口部3に設けられ」「天井2位置に設けられた上枠11と、壁4に設けられた左右の縦枠12と」を備えて構成されるものであり、「上枠11は、天井2の下地材6に固定される上枠ベース11A」を有する点も踏まえると、甲2発明の「上枠ベース11A」及び「左右の縦枠12」は、本件発明1の「建物の開口部に固定され、上枠と両側の縦枠とを有した建具用枠」に相当する。
また、甲2発明の「上枠11に吊り下げ支持される」「障子20」を備える「可動間仕切り1」は、本件発明1の「建具用枠に建具を建て付けた建具施工構造」に相当する。

(イ)甲2発明の「上枠ベース11A」が「天井間材によって構成される開口部5の天面」に「固定」され、「左右の縦枠12」が「壁4に設けられ」ることと、本件発明1の「前記建具用枠は、前記上枠の長手方向両端に前記両側の縦枠をそれぞれ接合して三方枠状に枠組み一体化されて前記開口部内に嵌め込み固定され」ることとは、「前記建具用枠」として、「前記上枠」及び「前記両側の縦枠」が「前記開口部内に嵌め込み固定され」ることで共通する。

(ウ)甲2発明において、「天井間材」、「天井2」は、それぞれ本件発明1の「上枠下地」、「天井パネル」に相当し、甲2発明の「上枠ベース11Aが固定される天井間材によって構成される開口部5の天面は、天井2によって構成される天井面と面一である」ことと、本件発明1の「前記上枠が固定される上枠下地によって構成される前記開口部の天面は、天井パネルによって構成される天井面よりも上側に位置するように設けられ」ることとは、「開口部の天面」が「上枠が固定される上枠下地によって構成され」、「天井面」が「天井パネルによって構成される」点で共通する。

(エ)甲2発明の「上レール材11B」は、本件発明1の「上レール」に相当する。また、甲2発明において、「上レール材11B」は「ローラー11C」を「支持」し、「ローラー11C」は、「下方に延びるロッド」を介して「障子20」を「吊り下げ支持」するものであるから、「上レール材11B」は「ローラー11C」及び「ロッド」により「障子20」の上端を「支持」するものといえる。
そうすると、甲2発明の「上枠ベース11Aの下面側に、障子20のローラー11Cを支持する上レール材11Bが取り付けられ」、「上レール材11B」が「障子20」の上端を「支持」することと、本件発明1の「前記上枠の下面側に設けられた凹溝に、前記建具の上端部を保持する上レールの上側部位が嵌め込み固定され」ることとは、「前記上枠の下面側」に「前記建具の上端部を保持する上レールが」「固定され」る点で共通する。

(オ)甲2発明において、「上枠ベース11Aの下面側に、障子20のローラー11Cを支持する上レール材11Bが取り付けられ」、「ローラー11Cには、下方に延びるロッドを介して各障子20が吊り下げ支持され」ることと、本件発明1の「前記天井面近傍に至る上下寸法とされた前記建具が前記建具用枠に建て付けられて」いることとは、「前記建具が前記建具用枠に建て付けられて」いる点で共通する。

(カ)甲2発明において、「天井2は、上枠ベース11Aが固定される開口部5の天面よりも下面が上方側に位置された下地に固定されている」ことと、本件発明1の「前記天井パネルは、前記上枠が固定される前記開口部の天面よりも下面が下方側に位置された天井下地に固定されてい」ることとは、「前記天井パネルは」「天井下地に固定されてい」る点で共通する。

(キ)以上のことから、本件発明1と甲2発明とは、
「建物の開口部に固定され、上枠と両側の縦枠とを有した建具用枠に建具を建て付けた建具施工構造であって、
前記建具用枠は、前記上枠及び前記両側の縦枠が前記開口部内に嵌め込み固定され、前記上枠が固定される上枠下地によって前記開口部の天面が構成され、天井パネルによって天井面が構成され、前記開口部内に嵌め込み固定された前記建具用枠の前記上枠の下面側に、前記建具の上端部を保持する上レールが固定され、前記建具が前記建具用枠に建て付けられており、
前記天井パネルは、天井下地に固定されている建具施工構造。」
で一致するものの、以下の点で相違している。

〔相違点A〕「建具用枠」について、本件発明1が、「前記建具用枠は、前記上枠の長手方向両端に前記両側の縦枠をそれぞれ接合して三方枠状に枠組み一体化されて前記開口部内に嵌め込み固定され」ているのに対し、甲2発明は、そのような構成を備えていない点。

〔相違点B〕本件発明1は、「開口部の天面」が「天井面」よりも「上側に位置するように設けられ」ており、「上レールの下側部位の見込み方向両側にそれぞれの端面を突き合わせて該上レールの見込み方向両側の天井パネルが固定され」ており、「建具」が「天井面近傍に至る上下寸法とされ」ており、「天井パネルは、上枠が固定される開口部の天面よりも下面が下方側に位置された天井下地に固定され」「上枠が、天井パネルによって覆われた状態となっている」のに対し、甲2発明は、そのような構成を備えていない点。

〔相違点C〕本件発明1は、「上枠の下面側に設けられた凹溝」に、「上レールの上側部位が嵌め込み固定され」るのに対し、甲2発明は、そのような構成を備えていない点。

イ 判断
事案に鑑み、まず上記相違点Bについて検討する。
(ア)甲1には、上記第4の1(2)に認定した甲1発明が記載されており、甲1発明は、上記(1)ア(オ)〜(キ)に対比したとおり、上記相違点Bに係る本件発明1の構成に相当する構成を有している。

(イ)甲2発明において上記甲1発明の構成を採用する動機付けの有無について検討する。
甲2発明は、「上枠ベース11Aが固定される天井間材によって構成される開口部5の天面」を「天井2によって構成される天井面と面一」とし、「上枠ベース11A」及び「上レール材11B」は「天井2」の下側に設けられたものであり、「上レール材11Bの中空部内」には「転動自在なローラー11C」を支持するから、「上レール材11B」の下側部位は「天井2」より下方に突出するものである点で、甲1発明とは前提となる構造が異なるとともに、「天井2」がその端面を「上レール材11Bの下側部位」に突き合わせて「上枠ベース11A」を覆うことはそもそも想定されていないと考えられる。
そして、甲2発明を甲1発明のごとく変更することは、甲1及び甲2には何ら記載も示唆もされていない。そうすると、甲2発明において甲1発明の構成を採用する動機付けが存在するとは認められない。

(ウ)甲4には、上レール保持部2の下面に装着された上レール1の天井材載置部11に天井材8を載置し、天井材8が上レール保持部2を覆う構成が記載されている。また、甲5には、天井構造部材(4)の幅に合わせて形成された一対の垂直片(2)の下縁から外水平に外側水平片(3a)が延出しており、両垂直片(2)の下縁内側には両者を繋ぐ内側水平片(3b)が一体的に設けてあり、その中央に移動間仕切り(5)の走行具(6)が嵌まり込む走行レール(7)が凹設され、天井材(8)の端部が水平片(3)に載置される天井用金具(1)が記載されている。また、甲6には、上側梁13A,13Bの下面にスペーサ21A,21Bを介して天井下地材23A,23Bが設けられ、天井下地材23A,23Bの互いに向かい合う端面に天井ガイドレール41A,41Bが設けられる構成が記載されている。
しかしながら、上記甲4ないし甲6の構成と、上記(イ)に示したとおり「上レール材11B」の下側部位が「天井2」より下方に突出する甲2発明の構造とは、いずれも前提となる構造が異なるものであるところ、甲2発明を甲4ないし甲6のいずれかの構成のように変更することは、甲4ないし甲6及び甲2には何ら記載も示唆もされていない。そうすると、甲2発明において上記甲4ないし甲6のいずれかの構成を採用する動機付けが存在するとは認められない。
以上の検討は、甲3及び甲7ないし甲10に記載の技術事項を併せみても同様である。

(エ)したがって、甲2発明において、甲1、及び甲3ないし甲10に記載の事項を適用することにより、上記相違点Bに係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。

ウ 小括
よって、相違点A及びCを検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明及び甲1、甲3ないし甲10に記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)本件発明1について(甲3発明に基づく検討)
ア 対比
本件発明1と甲3発明とを対比する。
(ア)甲3発明において、「引き戸22」、「開口部A」、「縦枠10a、10b」は、それぞれ本件発明1の「建具」、「建物の開口部」、「両側の縦枠」に相当し、甲3発明の「天井材25を支持」する「下地材26」は、「引き戸22」の「走行車輪24」を保持する「レール23」が「下面側」に嵌め込まれることから、本件発明1の「上枠」に相当する。
そして、甲3発明の「下地材26」及び「縦枠10a、10b」は、本件発明1の「上枠と両側の縦枠とを有した建具用枠」に相当し、甲3発明の「下地材26」及び「縦枠10a、10b」に「引き戸22」である「リフォームによるドア」を「取付け」た構造は、本件発明1の「上枠と両側の縦枠とを有した建具用枠に建具を建て付けた建具施工構造」に相当する。
また、甲3発明の「縦枠10a、10bの各々」が「ドアを取付ける所である開口部Aを区画するリフォーム後の壁1」の「下地枠3a、3b各々」に「取付け」られることと、本件発明1の「上枠と両側の縦枠とを有した建具用枠」が「建物の開口部に固定され」ることとは、「建具用枠」が「建物の開口部に固定され」る点で共通する。

(イ)甲3発明の「縦枠10a、10bの各々」が「ドアを取付ける所である開口部Aを区画するリフォーム後の壁1」の「下地枠3a、3b各々」が有する「嵌合溝7a、7b」に「嵌合する」ことと、本件発明1の「前記建具用枠は、前記上枠の長手方向両端に前記両側の縦枠をそれぞれ接合して三方枠状に枠組み一体化されて前記開口部内に嵌め込み固定され」ることとは、「前記建具用枠」の「前記両側の縦枠」が「前記開口部内に嵌め込み固定され」る点で共通する。

(ウ)甲3発明において「レール23」は、「引き戸22」を「吊り下げ態様にて走らせる」ものであるから、当該「レール23」は、本件発明1の「建具の上端部を保持する上レール」に相当する。
そうすると、甲3発明において、「下地材26の下面側に設けられた凹溝」に「レール23が嵌め込み固定され」ることと、本件発明1の「前記開口部内に嵌め込み固定された前記建具用枠の前記上枠の下面側に設けられた凹溝に、前記建具の上端部を保持する上レールの上側部位が嵌め込み固定され」ることとは、「前記建具用枠の前記上枠の下面側に設けられた凹溝に、前記建具の上端部を保持する上レールが嵌め込み固定され」る点で共通する。

(エ)甲3発明において、「高さの高い、床から天井までその高さがあるドア」である「引き戸22」が「下地材26」に設けられた「レール23上を吊下げ態様にて走」ることは、本件発明1の「前記天井面近傍に至る上下寸法とされた前記建具が前記建具用枠に建て付けられて」いることに相当する。

(オ)甲3発明の「天井材25」は、本件発明1の「天井パネル」に相当し、甲3発明の「下地材26」は「天井材25」を支持する下地材であるから、本件発明1の「天井下地」に相当する。
そうすると、甲3発明の「天井材25が下地材26に固定されている」ことと、本件発明1の「前記天井パネルは、前記上枠が固定される前記開口部の天面よりも下面が下方側に位置された天井下地に固定されていて、前記両側の縦枠とによって三方枠状に枠組み一体化された前記建具用枠の前記上枠が、前記天井パネルによって覆われた状態となっている」こととは、「前記天井パネルは、天井下地に固定されてい」る点で共通する。

(カ)以上のことから、本件発明1と甲3発明とは、
「建物の開口部に固定され、上枠と両側の縦枠とを有した建具用枠に建具を建て付けた建具施工構造であって、
前記建具用枠は、前記両側の縦枠が前記開口部内に嵌め込み固定され、前記建具用枠の前記上枠の下面側に設けられた凹溝に、前記建具の上端部を保持する上レールが嵌め込み固定され、前記天井面近傍に至る上下寸法とされた前記建具が前記建具用枠に建て付けられており、
前記天井パネルは、天井下地に固定されている、建具施工構造。」
で一致するものの、以下の点で相違している。

〔相違点a〕「建具用枠」について、本件発明1が、「前記建具用枠は、前記上枠の長手方向両端に前記両側の縦枠をそれぞれ接合して三方枠状に枠組み一体化されて前記開口部内に嵌め込み固定され」ているのに対し、甲3発明は、そのような構成を備えていない点。

〔相違点b〕本件発明1が、「前記上枠が固定される上枠下地によって構成される前記開口部の天面は、天井パネルによって構成される天井面よりも上側に位置するように設けられ」、「前記建具枠の前記上枠」も「前記開口部内に嵌め込み固定された」ものであり、「前記天井パネルは、前記上枠が固定される前記開口部の天面よりも下面が下方側に位置された天井下地に固定されていて」、「前記上枠が、前記天井パネルによって覆われた状態となっている」のに対し、甲3発明は、そのようなものであるか明らかでない点。

〔相違点c〕本件発明1は、「凹溝」に「上レールの上側部位が嵌め込み固定され」、「上レールの下側部位の見込み方向両側にそれぞれの端面を突き合わせて該上レールの見込み方向両側の天井パネルが固定され」ているのに対し、甲3発明は、そのような構成を備えていない点。

イ 判断
事案に鑑み、まず上記相違点aについて検討する。
(ア)甲3発明において、「縦枠10a、10bの各々」を「下地枠3a、3b各々」に取付ける際には、「取付部材11」により、「鉛直度及び直線度」が「縦枠10a、10bの各々」に対して個別に「調整」可能に行われるものである。一方で天井側は、「天井材25を支持する下地材26に吊りレール23を埋込態様で設け」たものである。そして、当該「天井材25」の「下地材26」の長手方向の両端部に、上記「鉛直度及び直線度」を個別に「調整」して取り付けるものである「縦枠10a、10bの各々」を接合して、三方枠状に枠組み一体化したものを開口部内に嵌め込み固定することは、甲3には記載も示唆もされていない。

(イ)甲7には、化粧縦枠5と化粧横枠6とを連結して2個の化粧縦枠5と1個の化粧横枠6とで門型の開口枠7を形成し、天井面1に固着した桟木2に固着して開口枠7を建て込むことが記載されている。また、甲8には、玄関の扉枠、部屋の間仕壁に設けられる通路枠、窓枠等の枠体1を建物の壁を構成する柱2,2の間に嵌込むことが記載されている。
しかしながら、上記甲7ないし甲8の構成と、上記(ア)に示したとおり「天井材25を支持する下地材26に吊りレール23を埋込態様で設け」、「縦枠10a、10bの各々」の取付けでは「鉛直度及び直線度」が個別に「調整」される甲3発明の構造とは、いずれも前提となる構造が異なるものであるところ、甲3発明の「下地材26」と「縦枠10a、10bの各々」とを甲7または甲8のいずれかの構成のように一体化した枠組みに変更することは、甲3、甲7または甲8には何ら記載も示唆もされていない。そうすると、甲3発明において上記甲7ないし甲8のいずれかの構成を採用する動機付けが存在するとは認められない。
以上の検討は、甲1、甲2、甲4ないし甲6、甲9、及び甲10に記載の技術事項を併せみても同様である。

(ウ)したがって、甲3発明において、甲1、甲2、甲4ないし甲10に記載の事項を適用することにより、上記相違点aに係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。

ウ 小括
よって、相違点b及びcを検討するまでもなく、本件発明1は、甲3発明及び甲1、甲2、甲4ないし甲10に記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)本件発明2〜5について
本件発明2〜5は、本件発明1の構成を全て含み、さらに限定を付加する発明である。
したがって、本件発明2は、上記(1)に示した理由と同様の理由により、甲1に記載された発明でない。
また、本件発明2〜5は、上記(1)に示した理由と同様の理由により、甲1発明、甲2ないし甲10に記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本件発明2〜5は、上記(2)に示した理由と同様の理由により、甲2発明、甲1、甲3ないし甲10に記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本件発明2〜5は、上記(3)に示した理由と同様の理由により、甲3発明、甲1、甲2、甲4ないし甲10に記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2 特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について
(1)本件発明1について
ア 本件明細書には以下の記載がある。
「従来より、引戸や折戸等の建具が建て付けられる建具用枠を建物の開口部に固定し、出入開口を形成した構造が知られている。一般的には、鴨居としての上枠を開口部の天面に沿わせて固定し、この上枠に建具の上端部を保持する上レールを固定した構造とされている。このような構造では、上枠や上レールが大きく露出し、見栄え上の観点等から改善が望まれていた。」(【0002】)
「例えば、下記特許文献1には、天井下地材に上レールを固定し、この上レールと略同厚の天井仕上材を、上レールを挟むように天井下地材に固定した構造が開示されている。・・・しかしながら、天井仕上材が固定される天井下地材は、一般的には複数本の桟状の野縁や鋼材等を、略等間隔を空けて互いに略平行に設けた構造とされており、天井側の全面に亘って設けられていない場合が多々ある。このような場合には、上レールの近傍の天井仕上材の端部を天井下地材に固定し難くなることも考えられ、上レールの近傍において天井仕上材の浮きや起伏等が生じ易くなることも考えられる。」(【0002】〜【0004】)
そして、本件発明の課題は、段落【0005】に記載のように「出入開口の見栄えを向上させながらも施工性を向上し得る建具施工構造を提供する」ことと認められる。

イ 本件発明1において、「天井パネル」は、「上枠が固定される開口部の天面よりも下面が下方側に位置された天井下地」に固定され、かつ、「上レール」の近傍では、「上レールの下側部位の見込み方向両側にそれぞれの端面を突き合わせて該上レールの見込み方向両側の天井パネルが固定され」て、「上枠が、天井パネルによって覆われた状能となっている」から、見栄えを改善することが合理的に理解されるとともに、上レールの近傍でも天井パネルが固定され、浮きや起伏等を防ぐ構成を有すると理解できる。そして、「建具用枠の上枠」が「両側の縦枠とによって三方枠状に枠組み一体化され」ることで、施工性が向上することを理解することができる。

ウ そうすると、本件発明1は、本件明細書の発明の詳細な説明の記載により、当業者が本件発明の課題を解決できると認識できる範囲のものといえる。

エ 申立人は、特許異議申立書において、本件発明1は、天井下地の配置位置が特定されていないから、上レールの近傍において天井仕上材の浮きや起伏等が生じ難くするという発明の課題を達成していない場合を包含する、と主張する。
しかしながら、上記イで述べたとおりであるから、申立人の主張を採用することはできない。

(2)本件発明2〜5について
本件発明2〜5は、本件発明1の構成を全て含み、さらに限定を付加する発明であるから、上記(1)に示した理由と同様の理由により、発明の詳細な説明に記載された発明である。

3 特許法第36条第6項第2号明確性要件)について
(1)本件発明1について
ア 申立人は、特許異議申立書において、「本件第1発明は、「前記上枠の長手方向両端に前記両側の縦枠をそれぞれ接合して三方枠状に枠組み一体化されて前記開口部内に嵌め込み固定され」と記載しているが、製造方法による限定であり、当該限定が物の発明としてどのような構成を限定しているのか不明確」と主張する。

イ しかしながら、本件発明1の「前記上枠の長手方向両側に前記両側の縦枠をそれぞれ接合して三方枠状に枠組み一体化されて前記開口部内に嵌め込み固定され」との記載は、「上枠」と「両側の縦枠」とが各端部で「接合」して「三方枠」として「一体化」された構造を、「開口部内に嵌め込み固定され」た構造を示しており、「上枠」及び「両側の縦枠」が個別に「開口部内」に取り付けられ、端部で「接合」しておらず「一体化」されていない構造とは異なることが、当業者であれば理解できるものであるから、申立人の上記主張を採用することはできない。
また、本件発明1のその余の点についても、第三者に不測の不利益を及ぼすほどの不明確な点は存在しない。

ウ 以上のことから、本件発明1は明確である。

(2)本件発明2〜5について
本件発明1の上記発明特定事項を含む本件発明2〜5についても、上記(1)に示した理由と同様の理由により、明確である。

第6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1〜5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1〜5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2022-03-31 
出願番号 P2018-192238
審決分類 P 1 651・ 537- Y (E06B)
P 1 651・ 121- Y (E06B)
P 1 651・ 113- Y (E06B)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 住田 秀弘
特許庁審判官 奈良田 新一
有家 秀郎
登録日 2021-06-24 
登録番号 6902741
権利者 パナソニックIPマネジメント株式会社
発明の名称 建具施工構造  
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