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審決分類 審判 一部無効 2項進歩性  B67D
管理番号 1384543
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-06-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2018-12-17 
確定日 2021-11-29 
訂正明細書 true 
事件の表示 上記当事者間の特許第4520670号発明「流体供給装置及び流体供給方法及び記録媒体及びプログラム」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4520670号の特許請求の範囲を、令和2年6月29日に提出され、令和2年8月31日の手続補正で補正された訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕、3、4、5、6、7、8、9について訂正することを認める。 特許第4520670号の請求項1ないし3及び5ないし9に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第4520670号(以下、「本件特許」という。)についての特許出願は、平成13年7月18日にされ、平成22年5月28日にその特許権が設定登録された。
これに対しなされた本件無効審判請求に係る手続の経緯は、以下のとおりである。

平成30年12月17日 本件無効審判請求
平成31年4月23日 被請求人より上申書の提出
令和元年5月7日 被請求人より訂正請求書の提出
令和元年5月20日 被請求人より審判事件答弁書の提出
令和元年6月19日付け 併合審理通知(無効2018−800146号)
令和元年7月22日 請求人より弁駁書(訂正請求による訂正が許されないことについて)の提出
令和元年7月22日 請求人より弁駁書の提出
令和元年9月10日付け 審理事項通知
令和元年10月15日 被請求人より口頭審理陳述要領書の提出
令和元年11月5日 請求人より口頭審理陳述要領書の提出
令和元年11月26日 口頭審理
令和元年12月13日 被請求人より上申書の提出
令和元年12月24日 請求人より上申書の提出
令和元年12月26日付け 併合分離通知
令和2年1月20日 被請求人より上申書の提出
令和2年2月21日付け 審決の予告
令和2年4月14日 被請求人より上申書及び期間延長請求書の提出
令和2年4月21日付け 通知書(職権による期間延長)
令和2年5月15日 被請求人より上申書(期間延長の申し出)の提出
令和2年5月19日付け 通知書(職権による期間延長)
令和2年6月29日 被請求人より訂正請求書及び上申書の提出
令和2年8月31日 被請求人より手続補正書(方式)の提出
令和2年11月6日 請求人より弁駁書の提出
令和2年11月24日 被請求人より上申書の提出
令和3年2月12日 被請求人より審判事件答弁書の提出
令和3年2月22日 請求人より上申書の提出
令和3年7月1日 請求人より上申書の提出

第2 請求人の主張
請求人は、本件特許の請求項1ないし3及び5ないし8についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求めている。そして、審判請求書、弁駁書及び口頭審理陳述要領書並びに上申書において請求人が主張する無効理由及び証拠方法は以下のとおりである。

1 無効理由
(1) 無効理由1
本件特許の請求項1ないし3及び5ないし8に係る発明は、甲第1号証に記載された記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

(2) 無効理由2
本件特許の請求項1ないし3及び5ないし8に係る発明は、甲第1号証に記載された発明から、本件出願前に当業者が容易に想到できるものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

2 証拠方法
請求人は、審判請求書に添付して甲第1号証及び甲第2号証の1ないし甲第2号証の6を提出し、令和元年7月22日提出の弁駁書に添付して甲第3号証ないし甲第7号証を提出し、口頭審理陳述要領書に添付して甲第8号証の1ないし甲第8号証の3及び甲第9号証並びに甲第10号証を提出し、令和元年12月24日提出の上申書に添付して甲第11号証を提出し、令和2年11月6日提出の弁駁書に添付して甲第12号証ないし甲第15号証を提出している。甲第1号証ないし甲第15号証はそれぞれ以下のとおりである。

甲第1号証 特開平7−210754号公報
甲第2号証の1 特開平6−331410号公報
甲第2号証の2 特開平7−55530号公報
甲第2号証の3 特開平7−83696号公報
甲第2号証の4 特開平7−83697号公報
甲第2号証の5 特開平7−175968号公報
甲第2号証の6 特開平7−175969号公報
甲第3号証 ”はかる no.125”,一般社団法人日本計量機器工業連合会,平成29年3月15日,第33巻,第4号,表紙,目次,p.57−60,p.66,p.71
甲第4号証 ”はかる no.123”,一般社団法人日本計量機器工業連合会,平成28年9月5日,第33巻,第2号,表紙,p.3−22
甲第5号証 特開2001−114398号公報
甲第6号証 特開2001−192100号公報
甲第7号証 陳述書(令和元年7月17日作成、作成者 請求人経営管理部栗本英治)
甲第8号証の1 ”東京都水道局ホームページ”,[online],[2019年9月3日検索],インターネット<https://www.waterworks.metro.tokyo.jp/tetsuduki/ryokin/keisan_23.html>
甲第8号証の2 ”東京ガスホームページ”,[online],[2019年9月3日検索],インターネット<URL:https://home.tokyo-gas.co.jp/gas/ryokin/keisan.html>
甲第8号証の3 ”東京電力エナジーパートナーホームページ”,[online],[2019年10月18日検索],インターネット<www.tepco.co.jp/ep/private/charge2/charge01.html>
甲第9号証 ”広辞苑(第5版)”,1998年11月11日,p.2186−2187
甲第10号証 特開平10−320643号公報
甲第11号証 ”トキコシステムソリューションズ株式会社ホームページ”,[online],[2019年12月21日検索],インターネット<https://www.tokicosys.com/products/instrumentation/>
甲第12号証 特開平11−66398号公報
甲第13号証 特開平11−134540号公報
甲第14号証 特開平11−316872号公報
甲第15号証 特開平10−188093号公報

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めている。審判事件答弁書及び口頭審理陳述要領書並びに上申書における主張の概要は以下のとおりである。

1 被請求人の主張
(1) 無効理由1
本件特許の請求項1ないし3及び5ないし8に係る発明は、甲第1号証に記載された発明ではない。
(2) 無効理由2
本件特許の請求項1ないし3及び5ないし8に係る発明は、甲第1号証に記載された発明から、本件出願前に当業者が容易に想到できた発明ではない。

2 証拠方法
被請求人は、令和元年5月20日提出の審判事件答弁書に添付して乙第1号証ないし乙第6号証を提出し、口頭審理陳述要領書に添付して乙第7号証ないし乙第15号証を提出し、令和元年12月13日提出の上申書に添付して乙第16号証ないし乙第19号証を提出し、令和2年1月20日提出の上申書に添付して乙第20号証ないし乙第22号証を提出し、令和2年6月29日提出の上申書に添付して乙第23号証ないし乙第25号証を提出している。乙第1号証ないし乙第25号証はそれぞれ以下のとおりである。

乙第1号証 ”コスモ石油サービスステーションで,イオンの電子マネー『WAON』決済サービス開始”,[online],2012年10月29日,[2018年5月20日検索],インターネット<https://www.ceh.cosmo-oil.co.jp/press/p_121029/index.html>
乙第2号証 陳述書(平成30年5月21日作成、作成者 コスモ石油マーケティング株式会社従業員畠山功)
乙第3号証 ”カーライフ調査団 Vol.004【セルフ給油編】”,[online],2012年11月26日(update),[2019年5月9日検索],インターネット<https://www.cosmo-thecard.com/cblp/chousadan/vol_004.html>
乙第4号証 ”高機能乾式水道メータ13ミリ”,[online],[2019年5月9日検索],インターネット<https://www.aichitokei.co.jp/products/water/sdl3/>
乙第5号証 ”オイルリフター(灯油自動供給器)”,[online],[2019年5月13日検索],インターネット<https://www.mkseiko.co.jp/seikatu/products/oil_serv/>
乙第6号証 知的財産高等裁判所平成28年(行ケ)第10186号審決取消請求事件判決
乙第7号証 ”JMIFのご紹介 概要”,[online],[2019年10月10日検索],インターネット<https://www.keikoren.or.jp/jmif/main.html>
乙第8号証 ”JMIFのご紹介 事業”,[online],[2019年10月10日検索],インターネット<https://www.keikoren.or.jp/jmif/work.html>
乙第9号証 ”JMIFのご紹介 役員名簿”,[online],[2019年10月10日検索],インターネット<https://www.keikoren.or.jp/jmif/yakuin.html>
乙第10号証 ”製品情報”,[online],[2019年10月10日検索],インターネット<https://www.kyowa-ei.com/jpn/product/index.html>
乙第11号証 ”平成30年度(令和元年6月)日本ガソリン計量機工業会定期総会”,日本ガソリン計量機工業会,令和元年6月18日
乙第12号証 ”JIS 燃料油メーター 取引又は証明用 第1部:自動車等給油メータ JIS B 8572−1:2008”,財団法人日本規格協会,平成20年4月20日(第1刷発行)
乙第13号証 ”JIS 水道メータ及び温水メーター 第2部:特定計量器仕様 JIS B 8570−2:2005”,財団法人日本規格協会,平成18年8月18日(第2刷発行)
乙第14号証 ”JIS ガスメーター JIS B 8571:2011”,財団法人日本規格協会,平成23年7月20日(第1刷発行)
乙第15号証 ”固定給油設備等及びこれらの構成設備の型式試験確認実施要領”,[online],平成19年8月20日,インターネット<http://www.khk-syoubou.or.jp/pdf/guide/test_confirm/5-01.pdf>
乙第16号証 ”水道メーター”,[online],平成14年7月7日,インターネット<https://www.keiryou-keisoku.co.jp/databank/sangyo/kenteik/suidou.html>
乙第17号証 ”計量器のパイオニアとしての歴史”,[online],[2019年12月12日検索],インターネット<https://www.ak.azbil.com/km-history/02.html>
乙第18号証 宇山浩人 外2名, ”超音波式ガスメーター”,東芝レビュー,2007年,Vol.62,No.2,p.54−57
乙第19号証 特許第3289097号公報
乙第20号証 ”株式会社タツノのウェブサイトにおける「製品情報」と題するページ”,[online],[2020年1月17日検索],インターネット<https://tatsuno-corporation.com/jp/products/>
乙第21号証 ”株式会社富永製作所のウェブサイトにおける「製品情報」うち「給油計量機」と題するページ”,[online],[2020年1月17日検索],インターネット<https://www.kyototmc.co.jp/products/kyu_017.html>
乙第22号証 ”株式会社富永製作所のウェブサイトのアーカイブにおける「給油設備・システム」と題するページ”,[online],[2020年1月17日検索],インターネット<https://web.archive.org/web/20010201064400/http://www.kyototmc.co.jp/>
乙第23号証 知的財産高等裁判所令和元年(行ケ)第10100号審決取消請求事件判決
乙第24号証 知的財産高等裁判所平成22年(行ケ)第10056号審決取消請求事件判決
乙第25号証 知的財産高等裁判所平成23年(行ケ)第10121号審決取消請求事件判決

第4 当審の判断
1 訂正請求について
令和2年6月29日に提出され、令和2年8月31日の手続補正で補正された訂正請求書による訂正の請求(以下「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)について当審の判断を示す。
(1)訂正前の請求項1ないし5に係る訂正について
ア 訂正の内容
(ア)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「記憶媒体に記憶された金額データを読み書きする記憶媒体読み書き手段と、
前記流体の供給量を計測する流量計測手段と、
前記流体の供給開始前に前記記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に、前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記記憶媒体に書き込ませる入金データ処理手段と、
該入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする供給許可手段と、
前記流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する演算手段と、
前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を前記演算手段により演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む料金精算手段と、
を備えたことを特徴とする流体供給装置。」とあるのを、
「記憶媒体に記憶された金額データを読み書きする記憶媒体読み書き手段と、
流体の供給量を計測する流量計測手段と、
前記流体の供給開始前に前記記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に、前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記記憶媒体に書き込ませる入金データ処理手段と、
該入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする供給許可手段と、
前記流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する演算手段と、
前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を前記演算手段により演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む料金精算手段と、
を備える、給油所で燃料を給油する流体供給装置であって、
前記記憶媒体読み書き手段により記憶媒体の金額データを読み取った後、前記記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することが可能である、流体供給装置。」に訂正する。(下線は、訂正箇所を示したものである。以下、同様。)
請求項1を引用する請求項2も同様に訂正する。

(イ)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3に
「前記流体の供給前に返金指示があったときは、前記流体の供給前に前記入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額を前記記憶媒体の金額データの金額に加算する第1の返金手段と、
前記流体の供給後に返金指示があったときは、前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データの金額に加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む第2の返金手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の流体供給装置。」とあるのを、
「記憶媒体に記憶された金額データを読み書きする記憶媒体読み書き手段と、
流体の供給量を計測する流量計測手段と、
前記流体の供給開始前に前記記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に、前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記記憶媒体に書き込ませる入金データ処理手段と、
該入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする供給許可手段と、
前記流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する演算手段と、
前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を前記演算手段により演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む料金精算手段と、
前記流体の供給前に返金指示があったときは、前記流体の供給前に前記入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額を前記記憶媒体の金額データの金額に加算する第1の返金手段と、
前記流体の供給後に返金指示があったときは、前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データの金額に加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む第2の返金手段と、
を備える、給油所で燃料を給油する流体供給装置であって、
更に紙幣挿入部を備える、流体供給装置。」に訂正する。

(ウ)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4に
「前記流体の供給中に前記記憶媒体に記憶された金額データが前記記憶媒体読み書き手段により読み書き可能な状態であることを確認する記憶媒体確認手段と、
該記憶媒体確認手段により前記記憶媒体が確認されないときは、前記記憶媒体がないことを報知する報知手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の流体供給装置。」とあるのを、
「記憶媒体に記憶された金額データを読み書きする記憶媒体読み書き手段と、
前記流体の供給量を計測する流量計測手段と、
前記流体の供給開始前に前記記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に、前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記記憶媒体に書き込ませる入金データ処理手段と、
該入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする供給許可手段と、
前記流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する演算手段と、
前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を前記演算手段により演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む料金精算手段と、
前記流体の供給中に前記記憶媒体に記憶された金額データが前記記憶媒体読み書き手段により読み書き可能な状態であることを確認する記憶媒体確認手段と、
該記憶媒体確認手段により前記記憶媒体が確認されないときは、前記記憶媒体がないことを報知する報知手段と、
を備えたことを特徴とする流体供給装置。」に訂正する。

(エ)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5に
「前記記憶媒体に記憶された金額データの金額を表示させる第1の表示手段と、
前記流体の供給前に前記記憶媒体の金額データの金額から所定金額分の金額データの金額を差し引いた入金データの金額を表示させる第2の表示手段と、
前記流体の供給中に前記流体の供給量に対応する料金データの金額を表示させる第3の表示手段と、
前記流体の供給終了後に供給量に相当する金額を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を表示させる第4の表示手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の流体供給装置。」とあるのを、
「記憶媒体に記憶された金額データを読み書きする記憶媒体読み書き手段と、
流体の供給量を計測する流量計測手段と、
前記流体の供給開始前に前記記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に、前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記記憶媒体に書き込ませる入金データ処理手段と、
該入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする供給許可手段と、
前記流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する演算手段と、
前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を前記演算手段により演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む料金精算手段と、
前記記憶媒体に記憶された金額データの金額を表示させる第1の表示手段と、
前記流体の供給前に前記記憶媒体の金額データの金額から所定金額分の金額データの金額を差し引いた入金データの金額を表示させる第2の表示手段と、
前記流体の供給中に前記流体の供給量に対応する料金データの金額を表示させる第3の表示手段と、
前記流体の供給終了後に供給量に相当する金額を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を表示させる第4の表示手段と、
を備える、給油所で燃料を給油する流体供給装置であって、
前記記憶媒体読み書き手段により記憶媒体の金額データを読み取った後、前記記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することが可能である、流体供給装置。」に訂正する。

(オ)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項3に
「前記流体の供給前に返金指示があったときは、前記流体の供給前に前記入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額を前記記憶媒体の金額データの金額に加算する第1の返金手段と、
前記流体の供給後に返金指示があったときは、前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データの金額に加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む第2の返金手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の流体供給装置。」とあるのを、
「記憶媒体に記憶された金額データを読み書きする記憶媒体読み書き手段と、
流体の供給量を計測する流量計測手段と、
前記流体の供給開始前に前記記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額よりも少ない金額を入金データとして取り込むと共に、前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記記憶媒体に書き込ませる入金データ処理手段と、
該入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする供給許可手段と、
前記流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する演算手段と、
前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を前記演算手段により演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む料金精算手段と、
前記流体の供給前に返金指示があったときは、前記流体の供給前に前記入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額を前記記憶媒体の金額データの金額に加算する第1の返金手段と、
前記流体の供給後に返金指示があったときは、前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データの金額に加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む第2の返金手段と、
を備える、給油所で燃料を給油する流体供給装置であって、
前記記憶媒体読み書き手段により記憶媒体の金額データを読み取った後、前記記憶媒体の金額データが示す金額よりも少ない金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することが可能であり、
更に紙幣挿入部を備える、流体供給装置。」に訂正して、新たな請求項9とする。

イ 訂正の適否について
(ア)一群の請求項について
本件訂正前の請求項2ないし5は、いずれも訂正前の請求項1を直接または間接的に引用するものであるから、訂正前の請求項2ないし5は、本件訂正によって訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1ないし5は、特許法第134条の2第3項に規定する一群の請求項である。
よって、訂正事項1ないし5による訂正は、当該一群の請求項に対し請求されたものである。

(イ)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
a 訂正事項1について
(a)訂正の目的の適否
訂正事項1による訂正は、訂正前の請求項1の「前記流体の供給量を計測する流量計測手段」との記載の前に「流体」が記載されておらず、「前記」が誤記であることが明らかなところ、この記載を「流体の供給量を計測する流量計測手段」に訂正するとともに、「流体供給装置」が、「給油所で燃料を給油する」ものであること及び「前記記憶媒体読み書き手段により記憶媒体の金額データを読み取った後、前記記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することが可能である」ものであることを限定するものであり、同請求項1を引用する請求項2についても同様である。
したがって、訂正事項1による訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮及び同ただし書第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。

(b)新規事項の有無
訂正事項1による訂正のうち、「流体供給装置」が、「給油所で燃料を給油する」ことを限定する訂正は、本件特許の願書に添付した明細書(以下、「本件特許明細書」という。)の段落【0002】ないし【0007】及び【0017】ないし【0072】において、流体供給装置が、給油所で燃料を給油する給油装置である旨が記載されていることに基づくものである。
訂正事項1による訂正のうち、「前記流体の供給量を計測する流量計測手段」との記載を「流体の供給量を計測する流量計測手段」との記載に訂正することは、上記のとおり誤記の訂正であり、本件特許明細書の段落【0009】の「上記請求項1記載の発明は、記憶媒体に記憶された金額データを読み書きする記憶媒体読み書き手段と、流体の供給量を計測する流量計測手段と、・・・」との記載からも、裏付けられるものである。
訂正事項1による訂正のうち、「流体供給装置」が、「前記記憶媒体読み書き手段により記憶媒体の金額データを読み取った後、前記記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することが可能である」ものであることを限定する訂正は、本件特許明細書の段落【0047】の「図7は管理コンピュータ18が実行する給油制御処理の第2実施例を説明するためのフローチャートである。・・・図7及び図8に示されるように、管理コンピュータ18は、S31でプリペイドカード71がカードリーダ・ライタ36に投入されて金額データが読み取られると、S32に進み、プリペイドカード71の磁気記憶部71aに記憶された金額データの金額を設定器14の入金金額表示部42(表示器)に表示する」(下線は、当審にて付与。以下、同様。)との記載、【0048】の「次のS33では、顧客(ユーザ)が確認スイッチ38またはキャンセルスイッチ39を押下したかどうかをチェックする。S33において、キャンセルスイッチ39が押下されたときは、S34に移行して今回の給油処理を中止し、後述するS29に移行する。」との記載、【0049】の「また、S33において、確認スイッチ38が押下されたときは、S35に進み、プリペイドカード71の磁気記憶部71aに記憶された金額データの金額のうち一部の金額データ(予め決められた設定金額)を記憶装置19に取り込む(入金データ処理手段)。・・・」との記載及び【図7】に「S33」の「ユーザの操作は?」において、「中止」の場合は「S34」の「給油中止」処理に進み、「確認」の場合は「S35」の「カード内残額を一部給油装置内に取り込む」処理に進むことが図示されていることに基づくものである。
したがって、訂正事項1による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものであって、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

(c)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項1による訂正は、発明のカテゴリーを変更するものではなく、発明の対象を「流体供給装置」から「給油所で燃料を給油する流体供給装置」に限定するものである。
また、訂正事項1による訂正は、本件特許明細書の段落【0005】ないし【0007】に記載された課題を解決し、段落【0009】に記載された「流体供給中に記憶媒体が抜かれても流体の供給量に応じた料金を精算することができる。」という作用効果を奏する訂正前の請求項1に係る発明に、記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することを可能とする機能を更に付加するものであるから、訂正前の請求項1に係る発明の目的を変更する訂正とはいえない。
したがって、訂正事項1による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

b 訂正事項2について
(a)訂正の目的の適否
訂正事項2による訂正は、訂正前の請求項3が、訂正前の請求項1または2の記載を引用するものであったところ、訂正前の請求項2の記載は引用せず、訂正前の請求項1の記載を上記a(a)で示した誤記を訂正して付加するとともに、「流体供給装置」が、「給油所で燃料を給油する」ものであること及び「更に紙幣挿入部を備える」ものであることを限定するものである。
したがって、訂正事項2による訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮、同ただし書第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正及び同ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。

(b)新規事項の有無
訂正事項2による訂正のうち、「記憶媒体に記憶された金額データを読み書きする記憶媒体読み書き手段と、・・・当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む料金精算手段と、」との記載を付加する訂正は、訂正前の請求項1に記載されていた事項に基づくものである。
訂正事項2による訂正のうち、「流体供給装置」が、「給油所で燃料を給油する」ものであることを限定する訂正は、本件特許明細書の段落【0002】ないし【0007】及び【0017】ないし【0072】において、流体供給装置が、給油所で燃料を給油する給油装置である旨が記載されていることに基づくものである。
訂正事項2による訂正のうち、「流体供給装置」が、「更に紙幣挿入部を備える」ものであることを限定する訂正は、本件特許明細書の段落【0023】の「給油所に到着した車両の運転者(顧客)は、まず給油エリア11の空いている計量機12の前に車両を停車させてから設定器14の設定操作を行う。そして、設定器14は、紙幣またはプリペイドカード71が挿入されて油種が選択されると、管理コンピュータ18へ設定データ(油種、入金金額)を送信する。・・・」(下線は、当審にて付与。以下、同様。)との記載、【0024】の「・・・図2に示されるように、設定器14は、油種入力部26と、油種設定部28と、紙幣挿入部30と、紙幣識別部32と、カード挿入部34と、カードリーダ・ライタ36と、カード発行スイッチ37と、確認スイッチ38と、キャンセルスイッチ39と、油種表示部40と、入金金額表示部42と、単価表示部43と、レシート発行部46と、スピーカ48と、レシート発行スイッチ50と、釣り銭ランプ52と、これらを制御する制御部54とを有する。」との記載、【0026】の「紙幣挿入部30には、給油前に現金1万円札、5千円札、2千円札、千円札のいずれかが挿入される。そして、紙幣識別部32では、紙幣挿入部30に挿入された紙幣の鑑定を行って、紙幣の入金金額を検出する。」との記載、【0031】の「・・・図3に示されるように、設定器14の操作パネル56は、▲1▼プリカ/紙幣挿入→プリカをお持ちの方→残金の少ない方は紙幣も挿入して下さい→プリカを挿入→▲2▼へ進む。プリカ購入の方→紙幣挿入口→発券ボタンを押す→プリカを取る→プリカを挿入→▲2▼へ進む。現金給油の方→紙幣挿入口→▲2▼へ進む。・・・といった操作手順が記載されている。さらに、「▲1▼プリカ/紙幣挿入」の欄には、紙幣挿入部(紙幣返却も行う)30と、カード挿入部(発券及びカード返却も行う)34と、カード発行スイッチ37と、入金金額表示部42と、単価表示部43が配置されている。・・・」との記載及び【図2】に「紙幣挿入部」「30」が図示され、【図3】に「紙幣(挿入口)」が図示されていることに基づくものである。
したがって、訂正事項2による訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであって、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

(c)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項2による訂正は、発明のカテゴリーを変更するものではなく、発明の対象を「流体供給装置」から「給油所で燃料を給油する流体供給装置」に限定するものである。
また、訂正事項2による訂正は、本件特許明細書の段落【0005】ないし【0007】に記載された課題を解決し、段落【0009】に記載された「流体供給中に記憶媒体が抜かれても流体の供給量に応じた料金を精算することができる。」という作用効果及び段落【0011】に記載された「給油前に顧客の気が変わった場合でも記憶媒体の金額データから差し引いた金額データを記憶媒体に戻すことができ、顧客の返金指示にも対応することができる。」という作用効果を奏する訂正前の請求項3に係る発明に、更に紙幣挿入部を備えるという構成を更に付加するものであるから、訂正前の請求項3に係る発明の目的を変更する訂正とはいえない。
したがって、訂正事項2による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

c 訂正事項3について
(a)訂正の目的の適否
訂正事項3による訂正は、訂正前の請求項4が、訂正前の請求項1の記載を引用するものであったところ、訂正前の請求項1の記載を付加することで、訂正前の請求項1の記載を引用しないもとするものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。

(b)新規事項の有無
訂正事項3による訂正は、訂正前の請求項4の記載に、訂正前の請求項1の記載を付加するものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであって、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

(c)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項3による訂正は、発明のカテゴリー、対象及び目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

(d)特許出願の際に独立して特許を受けることができるか(独立特許要件)について
上記(a)で示したとおり、訂正事項3による訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであって、訂正前の請求項1の記載を付加するのみの訂正であるから、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の規定(独立特許要件)は課されない。

d 訂正事項4について
(a)訂正の目的の適否
訂正事項4による訂正は、訂正前の請求項5が、訂正前の請求項1の記載を引用するものであったところ、訂正前の請求項1の記載を上記a(a)で示した誤記を訂正して付加することで、訂正前の請求項1の記載を引用しないものとするとともに、「流体供給装置」が、「給油所で燃料を給油する」ものであること及び「前記記憶媒体読み書き手段により記憶媒体の金額データを読み取った後、前記記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することが可能である」ものであることを限定するものである。
したがって、訂正事項4による訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮、同ただし書第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正及び同ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。

(b)新規事項の有無
訂正事項4による訂正のうち、「記憶媒体に記憶された金額データを読み書きする記憶媒体読み書き手段と、・・・当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む料金精算手段と、」との記載を付加する訂正は、訂正前の請求項1に記載されていた事項に基づくものである。
訂正事項4による訂正のうち、「流体供給装置」が、「給油所で燃料を給油する」ものであることを限定する訂正は、本件特許明細書の段落【0002】ないし【0007】及び【0017】ないし【0072】において、流体供給装置が、給油所で燃料を給油する給油装置である旨が記載されていることに基づくものである。
訂正事項4による訂正のうち、「流体供給装置」が、「前記記憶媒体読み書き手段により記憶媒体の金額データを読み取った後、前記記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することが可能である」ものであることを限定する訂正は、本件特許明細書の段落【0047】、【0048】、【0049】の記載及び【図7】に図示されていることに基づくものである。
したがって、訂正事項4による訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであって、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

(c)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項4による訂正は、発明のカテゴリーを変更するものではなく、発明の対象を「流体供給装置」から「給油所で燃料を給油する流体供給装置」に限定するものである。
また、訂正事項4による訂正は、本件特許明細書の段落【0005】ないし【0007】に記載された課題を解決し、段落【0009】に記載された「流体供給中に記憶媒体が抜かれても流体の供給量に応じた料金を精算することができる。」という作用効果及び段落【0013】に記載された「記憶媒体に記憶された金額データの金額の差し引き、及び返金、流体供給後の差額データの金額を容易に確認することができる。」という作用効果を奏する訂正前の請求項5に係る発明に、記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することを可能とする機能を更に付加するものであるから、訂正前の請求項5に係る発明の目的を変更する訂正とはいえない。
したがって、訂正事項4による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

e 訂正事項5について
(a)訂正の目的の適否
訂正事項5による訂正は、訂正前の請求項3が、訂正前の請求項1または2の記載を引用するものであったところ、訂正前の請求項1の記載は引用せず、訂正前の請求項2の記載を、上記a(a)で示した誤記を訂正した訂正前の請求項1の記載と合わせて付加するとともに、「流体供給装置」が、「給油所で燃料を給油する」ものであること及び「更に紙幣挿入部を備える」ものであることを限定するものである。
したがって、訂正事項5による訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮、同ただし書第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正及び同ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。

(b)新規事項の有無
訂正事項5による訂正のうち、「記憶媒体に記憶された金額データを読み書きする記憶媒体読み書き手段と、・・・当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む料金精算手段と、」との記載を付加する訂正は、訂正前の請求項1及び2に記載されていた事項に基づくものである。
訂正事項5による訂正のうち、「流体供給装置」が、「給油所で燃料を給油する」ものであることを限定する訂正は、本件特許明細書の段落【0002】ないし【0007】及び【0017】ないし【0072】において、流体供給装置が、給油所で燃料を給油する給油装置である旨が記載されていることに基づくものである。
訂正事項5による訂正のうち、「流体供給装置」が、「前記記憶媒体読み書き手段により記憶媒体の金額データを読み取った後、前記記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することが可能である」ものであることを限定する訂正は、本件特許明細書の段落【0047】、【0048】、【0049】の記載及び【図7】に図示されていることに基づくものである。
訂正事項5による訂正のうち、「流体供給装置」が、「更に紙幣挿入部を備える」ものであることを限定する訂正は、本件特許明細書の段落【0023】、【0024】、【0026】の記載及び【図2】及び【図3】に図示されていることに基づくものである。
したがって、訂正事項5による訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであって、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

(c)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項5による訂正は、発明のカテゴリーを変更するものではなく、発明の対象を「流体供給装置」から「給油所で燃料を給油する流体供給装置」に限定するものである。
また、訂正事項5による訂正は、本件特許明細書の段落【0005】ないし【0007】に記載された課題を解決し、段落【0009】に記載された「流体供給中に記憶媒体が抜かれても流体の供給量に応じた料金を精算することができる。」という作用効果及び段落【0011】に記載された「給油前に顧客の気が変わった場合でも記憶媒体の金額データから差し引いた金額データを記憶媒体に戻すことができ、顧客の返金指示にも対応することができる。」という作用効果を奏する訂正前の請求項3に係る発明に、記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することを可能とする機能及び更に紙幣挿入部を備えるという構成を更に付加するものであるから、訂正前の請求項3に係る発明の目的を変更する訂正とはいえない。
したがって、訂正事項5による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

(2)訂正前の請求項6に係る訂正について
ア 訂正の内容
特許請求の範囲の請求項6に
「流体の供給開始前に記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に、前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記記憶媒体に書き込ませる第1の手順と、
該第1の手順で取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする第2の手順と、
流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する第3の手順と、
前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む第4の手順と、
を順次実行することを特徴とする流体供給方法。」とあるのを、
「流体の供給開始前に記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に、前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記記憶媒体に書き込ませる第1の手順と、
該第1の手順で取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする第2の手順と、
流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する第3の手順と、
前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む第4の手順と、
を順次実行する、給油所で燃料を給油する流体供給方法であって、
前記記憶媒体読み書き手段により記憶媒体の金額データを読み取った後、前記記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することが可能である、流体供給方法。」に訂正する。(以下、「訂正事項6」という。)

イ 訂正の適否について
(ア)訂正の目的の適否
訂正事項6による訂正は、訂正前の請求項6の「流体供給方法」が、「給油所で燃料を給油する」ものであること及び「前記記憶媒体読み書き手段により記憶媒体の金額データを読み取った後、前記記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することが可能である」ものであることを限定するものである。
したがって、訂正事項6による訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)新規事項の有無
訂正事項6による訂正のうち、「流体供給方法」が、「給油所で燃料を給油する」ものであることを限定する訂正は、本件特許明細書の段落【0002】ないし【0007】及び【0017】ないし【0072】において、流体供給方法が、給油所で燃料を給油するものである旨が記載されていることに基づくものである。
訂正事項6による訂正のうち、「流体供給方法」が、「前記記憶媒体読み書き手段により記憶媒体の金額データを読み取った後、前記記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することが可能である」ものであることを限定する訂正は、本件特許明細書の段落【0047】、【0048】、【0049】の記載及び【図7】に図示されていることに基づくものである。
したがって、訂正事項6による訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであって、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項6による訂正は、発明のカテゴリーを変更するものではなく、発明の対象を「流体供給方法」から「給油所で燃料を給油する流体供給方法」に限定するものである。
また、訂正事項6による訂正は、本件特許明細書の段落【0005】ないし【0007】に記載された課題を解決し、段落【0014】に記載された「流体供給中に記憶媒体が抜かれても流体の供給量に応じた料金を精算することができる。」という作用効果を奏する訂正前の請求項6に係る発明に、記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することを可能とする機能を更に付加するものであるから、訂正前の請求項6に係る発明の目的を変更する訂正とはいえない。
したがって、訂正事項6による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

(3)訂正前の請求項7に係る訂正について
ア 訂正の内容
特許請求の範囲の請求項7に
「入金データとして取り込まれた金額データに相当する流量を供給可能とする流体供給装置で実行されるプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
コンピュータに、流体の供給開始前に記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に、前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記記憶媒体に書き込ませる第1の手順と、
該第1の手順で取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする第2の手順と、
流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する第3の手順と、
前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む第4の手順と、
を順次実行させるためのプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。」とあるのを、
「入金データとして取り込まれた金額データに相当する流量を供給可能とする、給油所で燃料を給油する流体供給装置で実行されるプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
コンピュータに、流体の供給開始前に記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に、前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記記憶媒体に書き込ませる第1の手順と、
該第1の手順で取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする第2の手順と、
流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する第3の手順と、
前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む第4の手順と、
を順次実行させ、
前記記憶媒体読み書き手段により記憶媒体の金額データを読み取った後、前記記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することを可能とさせるためのプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。」に訂正する。(以下、「訂正事項7」という。)

イ 訂正の適否について
(ア)訂正の目的の適否
訂正事項7による訂正は、訂正前の請求項7の「流体供給装置」が、「給油所で燃料を給油する」ものであること及び「プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」が、「前記記憶媒体読み書き手段により記憶媒体の金額データを読み取った後、前記記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することを可能とさせる」ものであることを限定するものである。
したがって、訂正事項7による訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)新規事項の有無
訂正事項7による訂正のうち、「流体供給装置」が、「給油所で燃料を給油する」ものであることを限定する訂正は、本件特許明細書の段落【0002】ないし【0007】及び【0017】ないし【0072】において、流体供給装置が、給油所で燃料を給油するものである旨が記載されていることに基づくものである。
訂正事項7による訂正のうち、「プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」が、「前記記憶媒体読み書き手段により記憶媒体の金額データを読み取った後、前記記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することを可能とさせる」ものであることを限定する訂正は、本件特許明細書の段落【0047】、【0048】、【0049】の記載及び【図7】に図示されていることに基づくものである。
したがって、訂正事項7による訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであって、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項7による訂正は、発明のカテゴリーを変更するものではなく、発明の対象を「流体供給装置で実行されるプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」から「給油所で燃料を給油する流体供給装置で実行されるプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」に限定するものである。
また、訂正事項7による訂正は、本件特許明細書の段落【0005】ないし【0007】に記載された課題を解決し、段落【0015】に記載された「流体供給中に記憶媒体が抜かれても流体の供給量に応じた料金を精算することができる。」という作用効果を奏する訂正前の請求項7に係る発明に、記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することを可能とする機能を更に付加するものであるから、訂正前の請求項7に係る発明の目的を変更する訂正とはいえない。
したがって、訂正事項7による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

(4)訂正前の請求項8に係る訂正について
ア 訂正の内容
特許請求の範囲の請求項8に
「入金データとして取り込まれた金額データに相当する流量を供給可能とする流体供給装置で実行されるプログラムであって、
コンピュータに、流体の供給開始前に記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に、前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記記憶媒体に書き込ませる第1の手順と、
該第1の手順で取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする第2の手順と、
流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する第3の手順と、
前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む第4の手順と、
を順次実行させるためのプログラム。」とあるのを、
「入金データとして取り込まれた金額データに相当する流量を供給可能とする、給油所で燃料を給油する流体供給装置で実行されるプログラムであって、
コンピュータに、流体の供給開始前に記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に、前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記記憶媒体に書き込ませる第1の手順と、
該第1の手順で取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする第2の手順と、
流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する第3の手順と、
前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む第4の手順と、
を順次実行させ、
前記記憶媒体読み書き手段により記憶媒体の金額データを読み取った後、前記記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することを可能とさせるためのプログラム。」に訂正する。(以下、「訂正事項8」という。)

イ 訂正の適否について
(ア)訂正の目的の適否
訂正事項8による訂正は、訂正前の請求項8の「流体供給装置」が、「給油所で燃料を給油する」ものであること及び「プログラム」が、「前記記憶媒体読み書き手段により記憶媒体の金額データを読み取った後、前記記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することを可能とさせる」ものであることを限定するものである。
したがって、訂正事項8による訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)新規事項の有無
訂正事項8による訂正のうち、「流体供給装置」が、「給油所で燃料を給油する」ものであることを限定する訂正は、本件特許明細書の段落【0002】ないし【0007】及び【0017】ないし【0072】において、流体供給装置が、給油所で燃料を給油するものである旨が記載されていることに基づくものである。
訂正事項8による訂正のうち、「プログラム」が、「前記記憶媒体読み書き手段により記憶媒体の金額データを読み取った後、前記記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することを可能とさせる」ものであることを限定する訂正は、本件特許明細書の段落【0047】、【0048】、【0049】の記載及び【図7】に図示されていることに基づくものである。
したがって、訂正事項8による訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであって、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項8による訂正は、発明のカテゴリーを変更するものではなく、発明の対象を「流体供給装置で実行されるプログラム」から「給油所で燃料を給油する流体供給装置で実行されるプログラム」に限定するものである。
また、訂正事項8による訂正は、本件特許明細書の段落【0005】ないし【0007】に記載された課題を解決し、段落【0016】に記載された「流体供給中に記憶媒体が抜かれても流体の供給量に応じた料金を精算することができる。」という作用効果を奏する訂正前の請求項8に係る発明に、記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することを可能とする機能を更に付加するものであるから、訂正前の請求項8に係る発明の目的を変更する訂正とはいえない。
したがって、訂正事項8による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

(5)令和2年11月6日提出の弁駁書における請求人の主張について
請求人は、上記弁駁書で、本件各発明は、利用客が実際に給油を行い、料金を精算することが当然の前提となっており、また、「紙幣」を用いて決済することを全く想定していないものであるところ、利用客がプリペイドカードを投入し、キャンセルし、プリペイドカードを取り出すことが行われるだけで(【0048】)、前払も、給油も、精算も生じない本件訂正請求は、本件特許明細書に記載された本件訂正前の本件各発明の作用効果とは異なる、(本件各発明の目的とは全く関係のない)新たな作用効果を生じさせるものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当する旨を主張する。
しかしながら、上記(1)イ(イ)のa(c)、b(c)、c(c)、d(c)、e(c)、(2)イ(ウ)、(3)イ(ウ)及び(4)イ(ウ)で示したように、訂正後の各請求項に係る発明は、いずれも課題を解決し所定の作用効果を奏する訂正前の各請求項に係る発明に、記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することを可能とする機能、及び、または、更に紙幣挿入部を備えるという構成を単に付加するものであるから、訂正前の各請求項に係る発明の目的を変更する訂正とはいえない。
したがって、上記請求人の主張は採用できない。

(6)小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号、第2号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第3項、及び同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものであるから、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1、2]、3、4、5、6、7、8、9について訂正することを認める。

2 本件特許発明
特許第4520670号の請求項1ないし9に係る発明(以下、「本件特許発明1」ないし「本件特許発明9」という。)は、本件訂正請求により訂正された訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された次の事項により特定されるものである。
「【請求項1】
記憶媒体に記憶された金額データを読み書きする記憶媒体読み書き手段と、
流体の供給量を計測する流量計測手段と、
前記流体の供給開始前に前記記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に、前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記記憶媒体に書き込ませる入金データ処理手段と、
該入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする供給許可手段と、
前記流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する演算手段と、
前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を前記演算手段により演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む料金精算手段と、
を備える、給油所で燃料を給油する流体供給装置であって、
前記記憶媒体読み書き手段により記憶媒体の金額データを読み取った後、前記記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することが可能である、流体供給装置。
【請求項2】
前記入金データ処理手段は、前記流体の供給開始前に前記記憶媒体に記憶された金額データが示す金額よりも少ない金額を入金データとして取り込むと共に、当該記憶媒体の金額データから当該入金データの金額を差し引くことを特徴とする請求項1記載の流体供給装置。
【請求項3】
記憶媒体に記憶された金額データを読み書きする記憶媒体読み書き手段と、
流体の供給量を計測する流量計測手段と、
前記流体の供給開始前に前記記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に、前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記記憶媒体に書き込ませる入金データ処理手段と、
該入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする供給許可手段と、
前記流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する演算手段と、
前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を前記演算手段により演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む料金精算手段と、
前記流体の供給前に返金指示があったときは、前記流体の供給前に前記入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額を前記記憶媒体の金額データの金額に加算する第1の返金手段と、
前記流体の供給後に返金指示があったときは、前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データの金額に加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む第2の返金手段と、
を備える、給油所で燃料を給油する流体供給装置であって、
更に紙幣挿入部を備える、流体供給装置。
【請求項4】
記憶媒体に記憶された金額データを読み書きする記憶媒体読み書き手段と、
前記流体の供給量を計測する流量計測手段と、
前記流体の供給開始前に前記記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に、前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記記憶媒体に書き込ませる入金データ処理手段と、
該入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする供給許可手段と、
前記流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する演算手段と、
前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を前記演算手段により演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む料金精算手段と、
前記流体の供給中に前記記憶媒体に記憶された金額データが前記記憶媒体読み書き手段により読み書き可能な状態であることを確認する記憶媒体確認手段と、
該記憶媒体確認手段により前記記憶媒体が確認されないときは、前記記憶媒体がないことを報知する報知手段と、
を備えたことを特徴とする流体供給装置。
【請求項5】
記憶媒体に記憶された金額データを読み書きする記憶媒体読み書き手段と、
流体の供給量を計測する流量計測手段と、
前記流体の供給開始前に前記記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に、前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記記憶媒体に書き込ませる入金データ処理手段と、
該入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする供給許可手段と、
前記流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する演算手段と、
前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を前記演算手段により演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む料金精算手段と、
前記記憶媒体に記憶された金額データの金額を表示させる第1の表示手段と、
前記流体の供給前に前記記憶媒体の金額データの金額から所定金額分の金額データの金額を差し引いた入金データの金額を表示させる第2の表示手段と、
前記流体の供給中に前記流体の供給量に対応する料金データの金額を表示させる第3の表示手段と、
前記流体の供給終了後に供給量に相当する金額を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を表示させる第4の表示手段と、
を備える、給油所で燃料を給油する流体供給装置であって、
前記記憶媒体読み書き手段により記憶媒体の金額データを読み取った後、前記記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することが可能である、流体供給装置。
【請求項6】
流体の供給開始前に記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に、前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記記憶媒体に書き込ませる第1の手順と、
該第1の手順で取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする第2の手順と、
流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する第3の手順と、
前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む第4の手順と、
を順次実行する、給油所で燃料を給油する流体供給方法であって、
前記記憶媒体読み書き手段により記憶媒体の金額データを読み取った後、前記記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することが可能である、流体供給方法。
【請求項7】
入金データとして取り込まれた金額データに相当する流量を供給可能とする、給油所で燃料を給油する流体供給装置で実行されるプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
コンピュータに、流体の供給開始前に記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に、前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記記憶媒体に書き込ませる第1の手順と、
該第1の手順で取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする第2の手順と、
流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する第3の手順と、
前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む第4の手順と、
を順次実行させ、
前記記憶媒体読み書き手段により記憶媒体の金額データを読み取った後、前記記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することを可能とさせるためのプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項8】
入金データとして取り込まれた金額データに相当する流量を供給可能とする、給油所で燃料を給油する流体供給装置で実行されるプログラムであって、
コンピュータに、流体の供給開始前に記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に、前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記記憶媒体に書き込ませる第1の手順と、
該第1の手順で取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする第2の手順と、
流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する第3の手順と、
前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む第4の手順と、
を順次実行させ、
前記記憶媒体読み書き手段により記憶媒体の金額データを読み取った後、前記記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することを可能とさせるためのプログラム。
【請求項9】
記憶媒体に記憶された金額データを読み書きする記憶媒体読み書き手段と、
流体の供給量を計測する流量計測手段と、
前記流体の供給開始前に前記記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額よりも少ない金額を入金データとして取り込むと共に、前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記記憶媒体に書き込ませる入金データ処理手段と、
該入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする供給許可手段と、
前記流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する演算手段と、
前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を前記演算手段により演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む料金精算手段と、
前記流体の供給前に返金指示があったときは、前記流体の供給前に前記入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額を前記記憶媒体の金額データの金額に加算する第1の返金手段と、
前記流体の供給後に返金指示があったときは、前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データの金額に加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む第2の返金手段と、
を備える、給油所で燃料を給油する流体供給装置であって、
前記記憶媒体読み書き手段により記憶媒体の金額データを読み取った後、前記記憶媒体の金額データが示す金額よりも少ない金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することが可能であり、
更に紙幣挿入部を備える、流体供給装置。」

3 甲第1号証に記載された事項及び記載された発明
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第1号証(特開平7−210754号)には、「非接触型プリペイドカード方式メータ」に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。

ア 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非接触型プリペイドカードを利用して使用できるガスメータ、電気メータ、水道メータ、給湯メータ、カロリーメータ等に適用される。
【0002】
【従来の技術】プリペイドカードを利用した料金システムは、電話、高速道路、鉄道等において広く実施されている。一方、ガスメータ、電気メータ及び水道メータ等の生活関連メータにおいても、プリペイド方式が採用されている例がある。例えば、貸別荘、貸マンション等においては、コインをメータの料金受け口内に投入すると、この投入したコインに相当する量のガス、電気、水道等が使用できるというシステムである。」

イ 「【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このガスを含む生活関連メータのプリペイド方式の場合、次のような欠点がある。
【0005】a.メータに投入されたコインをいちいちコイン蓄積装置33から回収する必要があり、手間がかかる。
b.途中で使用を止めても、残金は戻って来ない。
c.コイン投入口31から機器内にゴミや埃が入り込んだり、異物を投入したりする悪戯がある。
d.ガスメータ、電気メータ、水道メータ、給湯メータ、カロリーメータごとにコインを投入しなければ、それぞれについて使用できないため、不便である。
e.残金が少なくなった場合に、手元にコインがないと追加できなくなり、途中でガスや電気、水道等が切れてしまう不便がある。
f.磁気式プリペイドカード方式の場合、ガスメータ、電気メータ、水道メータ、給湯メータ、カロリーメータごとにカードを用意する必要があり不便である。
g.磁気式プリペイドカード方式の場合、このカードをメータの差し込み口内に差し込んだまま忘れてしまうことがある。
h.磁気式プリペイドカード方式の場合、メータの差し込み口内に差したカードを盗難される可能性がある。
i.磁気式プリペイドカード方式の場合、メータに取り付けたカードリーダにゴミや埃が入り込み、トラブルが発生しやすい。
【0006】本発明は、上記a〜iに記述した欠点を排除するために、新規な非接触型プリペイドカード方式メータを提案するものである。」

ウ 「【0008】電源発生部、無線送信部、無線受信部、プリペイ金額を記憶させた記憶部、前記記憶部に記憶されている金額をとり込み、これを前記無線送信部を経由してメータ側に送信することを制御し、且つメータ側から逆信されて来た残高金額を無線受信部を経由して前記記憶部に記憶させる制御部、から成る非接触型プリペイドカード、前記プリペイドカードの無線送信部から送信されて来たプリペイ金額をメータ側無線受信部で受信し、この金額をストックし、このストックした金額に相当する量を演算してこの量になるまで供給し、零になると遮断し、又は途中であってもストップの信号がくるとそこで遮断し、それまでに使用した量から料金を精算し、残金がある場合にはその残金をメータ側無線送信部を経由してプリペイドカード側の無線受信部から記憶部に払い戻しを行うメータ側制御部、から成る非接触型プリペイドカード方式メータ。
【0009】メータとしては、ガスメータ、電気メータ、水道メータ、給湯メータ、カロリーメータ等であって、これらのメータには単独で、又は複数共通で一枚のカードを用いることができる。
【0010】次に、プリペイドカードにはID番号を付与し、メータ側に金額を送信するときにこのID番号も同時に送信し、メータ側から残金をプリペイドカード側に払い戻すときに、ID番号のチェックを行い、ID番号が一致する場合にのみ払い戻し、ID番号が一致しない場合には払い戻しを行わない払い戻し安全回路を付加してもよい。」

エ 「【0011】
【作用】一定金額のプリペイドカードを購入し、これを使用する場合には、先ずメータ側をONにセットして、メータ側からプリペイドカード起動用電波を発信させる。この状態でプリペイドカードをメータに近づけると、プリペイドカードの電源発生部に電源が発生して送信機能が駆動し、プリペイドカード側からメータ側に向けて無線送信部を経由してID番号と共にプリペイド金額が送信される。メータ側では、メータ側無線受信部でこのID番号とプリペイド金額を受信し、これをストックする。メータはこの状態でスタンバイとなり、いつでもガスコック、電気機器のスイッチ、水道の蛇口、温水の蛇口、空調システムの運転スイッチをONにすることによりガス、電気、水道、温水、空調システムを使用できる。メータ側では、入金された金額に相当する使用可能量を演算し、この量が零になるまで供給を継続し、零になると供給をストップする。又、供給継続中に使用者の意思でストップした場合には、それまでに使用した量の料金を精算し、この残金を使用者がメータにプリペイドカードを近づけて残金の払い戻しを請求した場合に、先ずID番号が一致するか否かのチェックを行い、一致した場合にはメータ側無線送信部を経由してプリペイドカード側に残金を払い戻し、一致しない場合には払い戻しを拒否する。この拒否の場合は、その旨をメータの一部に表示する。残金の払い戻しを受けたプリペイドカード側では、この残金を記憶部に記憶させておき、次回の使用又は他のメータの使用のときにこの残金を使用する。
【0012】なお、一枚のプリペイドカードを他のメータにも使用したい場合には、一旦全金額をメータ側に入金し、定額入金回路を駆動して、入金したい金額を選択してメータ内に残し、残金をプリペイドカード側に戻すことができる。したがって、使用者は、このカードを使用して他のメータにも入金できる。この結果、一枚のカードを使用して例えばガスと電気及び水道、温水、空調システム等の熱エネルギーを同時使用できる。勿論、各メータに残金があった場合には、夫々のメータから残額の払い戻しを一枚のプリペイドカードに受けることもできる。」

オ 「【0014】1は非接触型プリペイドカードであって、このプリペイドカード1には、電源発生部2、無線送信部3、無線受信部4、プリペイ金額を記憶させた記憶部5、前記記憶部5に記憶されている金額をとり込み、これを前記無線送信部3を経由してメータ側に送信することを制御し、且つメータ側から逆信されて来た残金を無線受信部4を経由して記憶部5に記憶させる制御部6が構成されている。
【0015】7はガスメータであって、このガスメータ7は、前記プリペイドカード1の無線送信部3から送信されて来たプリペイ金額をメータ側無線受信部8で受信し、この金額をROM9にストックし、このストックした金額に相当する使用リミット量を演算し、この量が零になると止める、又は量が残っていてもストップの信号がくると供給を遮断し、それまでに使用した量から料金を精算し、残金がある場合にはその残金をメータ側無線送信部11を経由してプリペイドカード1側の無線受信部4側に逆信するメータ側制御部10が組み込まれている。図中12は表示装置、13は料金投入スイッチ、14はガスライン、15は流量検出装置、16は遮断装置である。
【0016】なお、上記実施例のプリペイドカード1は、一枚でガスメータ、電気メータ、水道メータ、給湯メータ、カロリーメータに共通である。
【0017】更に、前記プリペイドカード1にはID番号が付されており、ガスメータ7側にプリペイ金額を送信するときにこのID番号を同時に送信する。一方、ガスメータ7側から残金をプリペイドカード1側に逆信するときに、先ずID番号のチェックを行い、ID番号が一致する場合にのみ払い戻しを行い、ID番号が一致しない場合には払い戻しを拒否する払い戻し安全回路17が付加してある。
【0018】更に、プリペイドカード1でガスメータ7側に入金した金額のうち、使用者が希望する一定金額のみを残し、残金をプリペイドカード1側に戻すための定額入金回路18が付加してある。図中19はリチウム電池である。なお、金額指定は動作制御スイッチ20で行う。
【0019】上記実施例について、その使用例を説明する。一定金額のプリペイドカード1を購入し、これを使用する場合には、先ずガスメータ7側の料金投入スイッチ13をONにセットし、プリペイドカード1をガスメータ7側のメータ側受信部8に近づけると、ガスメータ7側から発信された起動用電波によりプリペイドカード1側の電源発生部2に電源が発生して無線送信部3が駆動し、プリペイドカード1側から無線送信部3を経由してID番号と共にプリペイド金額が送信される。ガスメータ7側では、メータ側無線受信部8でこのID番号とプリペイド金額を受信し、これをROM9にストックする。ガスメータ7はこの状態でスタンバイとなり、いつでもガスコックを開くことによりガスを使用できる。ガスメータ7側では、入金された金額に相当するガス量を演算し、この量が零になると遮断装置16を遮断する。又、供給継続中に使用者の意思でガスをストップすることができる。この場合には、それまでに使用した料金を精算し、残金があった場合、この残金をストックし、使用者がガスメータ7にプリペイドカード1を近づけて残金の払い戻しを請求した場合に、先ずID番号が一致するか否かのチェックを行い、一致した場合にはガスメータ7側無線送信部11を経由してプリペイドカード1側に残金を払い戻し、一致しない場合には払い戻しを拒否する。この拒否の場合は、その旨をガスメータ7の例えば表示装置12に表示する。残金の払い戻しを受けたプリペイドカード1側では、この残金を記憶部5に記憶させておき、次回又は他のメータの使用時にこの残金を使用する。
【0020】なお、一枚のプリペイドカード1を他のメータにも使用したい場合には、一旦金額をメータ側に全額入金し、定額入金回路18を駆動して、入金したい金額だけを動作制御スイッチ20を用いてメータ内に残し、残金をプリペイドカード1側に戻すことができる。したがって、使用者は、このプリペイドカード1を使用して他のメータにも入金できる。この結果、一枚のカードを使用して他のメータも同時使用できるばかりでなく、一枚のプリペイドカード1に複数のメータから残金の払い戻しを受けることもできる。」

これらの記載事項及び図面の図示内容を総合すると、甲第1号証には以下の甲1発明が記載されている。
「非接触型プリペイドカード1に記憶されたプリペイ金額をメータ側無線受信部8で受信し、残金をメータ側無線送信部11を経由してプリペイドカード1側に送信するメータ側制御部10と、
流量検出装置15と、
前記メータ側無線受信部8で受信したプリペイ金額の全額をメータ側のROM9にストックし、この状態でいつでもガスコックを開くことによりガスを使用でき、定額入金回路18を駆動して入金したい金額だけをメータ内に残し、残金をプリペイドカード1側に戻し、
メータ側のROM9にストックした金額に相当する使用リミット量を演算し、
それまでに使用した量から料金を精算し、
残金があった場合、この残金をストックし、プリペイドカード1側に残金を払い戻す、非接触型プリペイドカード方式メータ。」

4 無効理由2についての対比及び判断
(1) 本件特許発明1
ア 対比
(ア) 本件特許発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明の「非接触型プリペイドカード1」は本件特許発明1の「記憶媒体」に相当する。以下同様に、「プリペイ金額」は「金額データ」に、「流量検出装置15」は「流体の供給量を計測する流量計測手段」に、それぞれ相当する。
(イ) 上記(ア)を踏まえると、甲1発明の「メータ側制御部10」は「非接触型プリペイドカード1に記憶されたプリペイ金額をメータ側無線受信部8で受信し、残金をメータ側無線送信部11を経由してプリペイドカード1側に送信する」ものであるから、本件特許発明1の「記憶媒体に記憶された金額データを読み書きする記憶媒体読み書き手段」及び「記憶媒体読み書き手段」に相当する。
(ウ) 上記(ア)及び(イ)を踏まえると、甲1発明の「前記メータ側無線受信部8で受信したプリペイ金額の全額をメータ側のROM9にストックし、この状態でいつでもガスコックを開くことによりガスを使用でき、定額入金回路18を駆動して入金したい金額だけをメータ内に残し、残金をプリペイドカード1側に戻」すものは、本件特許発明1の「前記流体の供給開始前に前記記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に、前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記記憶媒体に書き込ませる入金データ処理手段」に相当する。
同様に、甲1発明の「メータ側のROM9にストックした金額に相当する使用リミット量を演算」するものは、本件特許発明1の「該入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする供給許可手段」に相当する。
そして、甲1発明の「それまでに使用した量から料金を精算し、残金があった場合、この残金をストックし、プリペイドカード1側に残金を払い戻す」ものと本件特許発明1の「前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を前記演算手段により演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む料金精算手段」とは、「それまでに使用した量から金額を演算手段により演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体に払い戻す料金精算手段」の限りで一致する。
さらに、甲1発明の「非接触型プリペイドカード方式メータ」と、本件特許発明1の「給油所で燃料を給油する流体供給装置」とは、「流体供給装置」の限りにおいて一致する。

そうすると、本件特許発明1と甲1発明との一致点、相違点は、以下のとおりである。
[一致点]
記憶媒体に記憶された金額データを読み書きする記憶媒体読み書き手段と、
流体の供給量を計測する流量計測手段と、
前記流体の供給開始前に前記記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に、前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記記憶媒体に書き込ませる入金データ処理手段と、
該入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする供給許可手段と、
それまでに使用した量から金額を演算手段により演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体に払い戻す料金精算手段と、
を備えた流体供給装置。

[相違点1]
本件特許発明1は、「前記流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する演算手段」を備えるのに対し、甲1発明は「流量検出装置15」を備えているものの、上記演算手段を備えているのかが不明な点。

[相違点2]
「それまでに使用した量から金額を演算手段により演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体に払い戻す料金精算手段」に関し、本件特許発明1は「流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を前記演算手段により演算」させ、「残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算」し、「当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む」ものであるのに対し、甲1発明は「それまでに使用した量から金額を演算手段により演算させ」が「流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を演算手段により演算させ」るものか不明であり、「記憶媒体に払い戻す」が「記憶媒体の金額データに加算」し、「当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む」ものであるかも不明な点。

[相違点3]
「流体供給装置」が、本件特許発明1では、「給油所で燃料を給油する」ものであるのに対し、甲1発明では、給油所で燃料を供給するものであることを規定していない点。

[相違点4]
本件特許発明1は、「前記記憶媒体読み書き手段により記憶媒体の金額データを読み取った後、前記記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することが可能である」のに対し、甲1発明は、そのようなものではない点。

イ 判断
上記相違点について検討する。
[相違点1]について
甲第1号証の段落【0019】(上記3 ウを参照。)には、「入金された金額に相当するガス量を演算し、この量が零になると遮断装置16を遮断する。又、供給継続中に使用者の意思でガスをストップすることができる。この場合には、それまでに使用した料金を精算し」との記載がある。該記載を踏まえると、甲1発明においても、流体の流量から料金を演算すること及び料金を演算するための手段を備えることは示唆されているといえる。してみると、甲1発明において、流体の流量を検出する手段である甲1発明の流量検出装置15により検出された流量から請求すべき料金を演算すること及びそのための演算手段を備えること、すなわち、相違点1に係る本件特許発明1の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。

[相違点2]について
上記3 ウないしオの記載から、甲1発明も、払い戻しによりプリペイドカード1に残金を書き込むものであるといえる。そして、甲1発明では、定額入金回路18を駆動して入金したい金額だけメータ内に残し、残金をプリペイドカード1に戻すことができるものであるから、定額入金回路18により残金が戻されたプリペイドカード1に対し、払い戻しによりさらに残金を書き込むのであれば、定額入金回路18によりプリペイドカード1に戻された残金に払い戻しによる残金を加算したものをプリペイドカード1の残金として書き込むこととなることは、当業者であれば容易に理解し得たことである。すなわち、甲1発明は、プリペイドカード1に戻された残金に払い戻しによる残金を加算したものをプリペイドカート1の残金として書き込むことを示唆するものといえる。そして、一般に記憶媒体に残金にかかる金額データを払い戻すために「記憶媒体の金額データに加算」し、「当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む」ものは周知技術(以下、「周知技術1」という。必要であれば、特開平10−320643号公報(甲第10号証)の段落【0026】ないし【0028】、特開平10−289354号公報の段落【0016】を参照。)である。さらに、相違点1における検討で上述したように、甲1発明においても、流体の流量から料金を演算すること及び料金を演算するための手段を備えることは示唆されているといえる。加えて、「前記流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金」と「前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額」は同一の事項を指すと理解できる。
そうすると、プリペイドカード1に戻された残金に払い戻しによる残金を加算したものをプリペイドカート1の残金として書き込むことを示唆する甲1発明において、上記周知技術を踏まえつつ、相違点2に係る本件特許発明1の発明特定事項とすることは、当業者の通常の創作能力の範囲で容易になし得たことである。

[相違点3]について
甲第1号証の段落【0001】(上記3アを参照。)には次にように記載されている。
「非接触型プリペイドカードを利用して使用できるガスメータ、電気メータ、水道メータ、給湯メータ、カロリーメータ等に適用される。」
また、段落【0009】(上記3 ウを参照。)には次にように記載されている。
「メータとしては、ガスメータ、電気メータ、水道メータ、給湯メータ、カロリーメータ等であって、これらのメータには単独で、又は複数共通で一枚のカードを用いることができる。」
上記記載からみて、甲1発明は、非接触プリペイドカードを利用して使用できるメータであれば、いずれのメータでも適用できることが示唆されているといえる。
そして、給油所で燃料を給油する、プリペイドカード方式の流体供給装置は、本願の出願前に周知の流体供給装置(以下、「周知技術2」という。例示が必要であれば、特開平11−130198号公報(【要約】、【請求項1】、【請求項2】、段落【0002】、【0008】及び【0012】等、公報全文を参照。)、特開平11−91899号公報(段落【0061】及び【0062】を参照。)、特開平10−329896号公報(【要約】、【請求項1】、段落【0008】及び【0035】等、公報全文を参照。)、特開平6−135497号公報(段落【0002】を参照。)にすぎない。
また、甲第2号証の1(特開平6−331410号公報)の段落【0068】、甲第2号証の2(特開平7−55530号公報)の段落【0044】、甲第2号証の3(特開平7−83696号公報)の段落【0090】、甲第2号証の4(特開平7−83697号公報)の段落【0047】、甲第2号証の5(特開平7−175968号公報)の段落【0093】及び甲第2号証の6(特開平7−175969号公報)の段落【0055】からみて、一般に灯油やガソリン等の石油製品を供給するシステムにおいて、他の液体供給装置に係る構成を採用することが可能なのは従来周知(以下、「周知技術3」という。)であり、甲1発明を、本願出願前に周知の流体供給装置である、給油所で燃料を給油する、プリペイドカード方式の流体供給装で採用できないとする格別な技術的阻害要因を見出すこともできない。
したがって、甲1発明を、本願出願前に周知の流体供給装置である、給油所で燃料を給油する、プリペイドカード方式の流体供給装に採用することで、相違点3に係る本件特許発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

[相違点4]について
甲第1号証の段落【0011】(上記3エを参照。)には次にように記載されている。
「又、供給継続中に使用者の意思でストップした場合には、それまでに使用した量の料金を精算し、この残金を使用者がメータにプリペイドカードを近づけて残金の払い戻しを請求した場合に、先ずID番号が一致するか否かのチェックを行い、一致した場合にはメータ側無線送信部を経由してプリペイドカード側に残金を払い戻し、一致しない場合には払い戻しを拒否する。」
また、段落【0019】(上記3オを参照。)には次にように記載されている。
「又、供給継続中に使用者の意思でガスをストップすることができる。この場合には、それまでに使用した料金を精算し、残金があった場合、この残金をストックし、使用者がガスメータ7にプリペイドカード1を近づけて残金の払い戻しを請求した場合に、先ずID番号が一致するか否かのチェックを行い、一致した場合にはガスメータ7側無線送信部11を経由してプリペイドカード1側に残金を払い戻し、一致しない場合には払い戻しを拒否する。」
これらの記載からみて、甲1発明は、流体の供給継続中に、使用者の意思で当該流体の供給を中止し得るものであることが理解できる。
そして、甲第12号証の記載(特に、段落【0032】、【0035】、【0036】、【0038】の記載及び【図4】の図示内容を参照。)、甲第13号証の記載(特に、段落【0015】ないし【0017】の記載及び【図3】の図示内容を参照。)、甲第14号証の記載(特に、段落【0003】の記載及び【図9】の図示内容を参照。)、甲第15号証の記載(特に、段落【0024】の記載及び【図2】の図示内容を参照。)からみて、プリペイドカードが使用できる自動販売機において、カード残高の読み取り後、入金データを取り込む(カード残高を書き換える)前に取引を中止可能とすることは、本件特許の出願前の周知技術(以下、「周知技術4」という。)である。さらに、甲1発明が一般公衆向けの自動販売装置である以上、流体の供給継続中に限らずいかなる段階においても使用者が操作を中止できるものとすることは一般常識に属するものであるといえる。、してみると「メータ側無線受信部8で受信したプリペイ金額の全額をメータ側のROM9にストックし」た後であって、「定額入金回路18を駆動して入金したい金額だけをメータ内に残し、残金をプリペイドカード1側に戻」す前の時点で流体の供給を中止し得るように、その構成を変更すること、すなわち、甲1発明について、相違点4に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるようにその構成を変更することは、当業者が容易になし得たことである。

[本件特許発明1の奏する効果]について
本件特許発明1の奏する効果は、全体としてみても、甲1発明、周知技術1ないし周知技術4に基いて当業者が想到しうる範囲のものであって格別のものではない。

ウ 小括
以上のとおり、本件特許発明1は、甲1発明、周知技術1ないし周知技術4に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2) 本件特許発明2
ア 対比
本件特許発明2と甲1発明とを対比すると、甲1発明の「定額入金回路18を駆動して入金したい金額だけをメータ内に残し、残金をプリペイドカード1側に戻」すものは、流体の供給開始前に、プリペイドカード1に記録されたプリペイド金額よりも少ない金額をメータ内に残し、残金をプリペイドカード1に戻すものであるから、甲1発明の当該事項は、本件特許発明2の「前記流体の供給開始前に前記記憶媒体に記憶された金額データが示す金額よりも少ない金額を入金データとして取り込むと共に、当該記憶媒体の金額データから当該入金データの金額を差し引くこと」に相当する。
そうすると、両者は、本件特許発明1における検討において上述した相違点1ないし相違点4において相違し、その余の点で一致する。

イ 判断
相違点1ないし相違点4についての判断は、本件特許発明1における相違点1ないし相違点4の判断と同様である。

[本件特許発明2の奏する効果]について
本件特許発明2の奏する効果は、全体としてみても、甲1発明、周知技術1ないし周知技術4に基いて当業者が想到しうる範囲のものであって格別のものではない。

ウ 小括
以上のとおり、本件特許発明2は、甲1発明、周知技術1ないし周知技術4に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3) 本件特許発明3
ア 対比
3 オにおいて示したとおり、甲第1号証の段落【0019】の「供給継続中に使用者の意思でガスをストップすることができる。この場合には、それまでに使用した料金を精算し、残金があった場合、この残金をストックし、使用者がガスメータ7にプリペイドカード1を近づけて残金の払い戻しを請求した場合に、先ずID番号が一致するか否かのチェックを行い、一致した場合にはガスメータ7側無線送信部11を経由してプリペイドカード1側に残金を払い戻し、一致しない場合には払い戻しを拒否する。」との記載から、甲1発明は「流体の供給後に返金指示があったときは、流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を入金データの金額より差し引き、返金する第2の返金手段」に相当する事項を備えるといえる。
この理解において、本件特許発明3と甲1発明とを対比すると、両者は、本件特許発明1における検討において示した相違点1ないし相違点3の他、以下の相違点5及び6において相違し、その余の点で一致する。

[相違点5]
本件特許発明3は、「流体の供給前に返金指示があったときは、流体の供給前に入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額を記憶媒体の金額データの金額に加算する第1の返金手段」を備え、さらに、第2の返金手段は「流体の供給後に返金指示があったときは、流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を記憶媒体の金額データの金額に加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む第2の返金手段」であるのに対し、甲1発明は「それまでに使用した量から料金を精算し、残金があった場合、この残金をストックし、プリペイドカード1側に残金を払い戻す」ものであり、第2の返金手段は「流体の供給後に返金指示があったときは、流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を入金データの金額より差し引き、返金する第2の返金手段」である点。

[相違点6]
本件特許発明3は、「更に紙幣挿入部を備える」ものであるのに対し、甲1発明は、そのようなものではない点。

イ 判断
相違点1ないし相違点3についての判断は、本件特許発明1における相違点1ないし相違点3の判断と同様である。
[相違点5]について
流体の供給前の返金指示であれば、返金を行う金額は定額回路18を駆動したメータ内に残した金額全額、すなわち「流体の供給前に入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額」を返金することとなることは技術常識である。そうすると、甲1発明の「それまでに使用した量から料金を精算し、残金があった場合、この残金をストックし、プリペイドカード1側に残金を払い戻す」は、本件特許発明3の、「流体の供給前に返金指示があったときは、流体の供給前に入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額を記憶媒体の金額データの金額に加算する」ものを示唆するといえる。そして、一般に記憶媒体に残金にかかる金額データを払い戻すために「記憶媒体の金額データに加算」し、「当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む」ものは、相違点2における検討で示したとおり、周知技術1である。
そうすると、甲1発明において、周知技術1を踏まえ、相違点5に係る本件特許発明3の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

[相違点6]について
給油所で燃料を給油する、プリペイドカード方式の流体供給装置において、更に紙幣挿入部を備えることは、本願の出願前に周知の技術(以下、「周知技術5」という。例示が必要であれば、上記特開平11−130198号公報(【要約】、【請求項1】、【請求項2】、段落【0008】及び【0012】を参照。)、上記特開平10−329896号公報(【要約】、【請求項1】、段落【0008】及び【0035】を参照。))にすぎず、その採否は当業者が適宜決定し得たことである。
相違点3における検討で示した、甲第1号証の段落【0001】(上記3アを参照。)の記載及び【0009】(上記3 ウを参照。)の記載からみて、甲1発明は、非接触プリペイドカードを利用して使用できるメータであれば、いずれのメータでも適用できることが示唆されているといえ、周知技術2、周知技術3及び周知技術5を踏まえ、甲1発明を、給油所で燃料を給油する、プリペイドカード方式の流体供給装に採用する際に、相違点6に係る本件特許発明3の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

[本件特許発明3の奏する効果]について
本件特許発明3の奏する効果は、全体としてみても、甲1発明、周知技術1ないし周知技術3及び周知技術5に基いて当業者が想到しうる範囲のものであって格別のものではない。

ウ 小括
以上のとおり、本件特許発明3は、甲1発明、周知技術1ないし周知技術3及び周知技術5に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4) 本件特許発明5
ア 対比
本件特許発明5と甲1発明とを対比すると、両者は、本件特許発明1における検討において示した相違点1ないし相違点4の他、以下の相違点7において相違し、その余の点で一致する。

[相違点7]
本件特許発明5は、「記憶媒体に記憶された金額データの金額を表示させる第1の表示手段」、「流体の供給前に記憶媒体の金額データの金額から所定金額分の金額データの金額を差し引いた入金データの金額を表示させる第2の表示手段」、「流体の供給中に流体の供給量に対応する料金データの金額を表示させる第3の表示手段」及び「流体の供給終了後に供給量に相当する金額を入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を表示させる第4の表示手段」を備えるのに対し、甲1発明はかかる事項を備えていない点。

イ 判断
相違点1ないし相違点4についての判断は、本件特許発明1における相違点1ないし相違点4の判断と同様である。
[相違点7]について
甲第1号証の段落【0015】及び【0019】(上記3 オを参照。)には、「表示装置12」との記載があり、甲1発明が表示手段を備えていることは明らかである。そして、一般に金銭あるいはプリペイドカードなどの金銭データが記憶された記憶媒体を取り扱う装置において、金銭にかかるデータを表示装置に表示させること自体は例示するまでもない慣用手段にすぎない。そして、甲1発明は、「入金したい金額だけをメータ内に残し、残金をプリペイドカード1側に戻」す定額入金回路18を有し、使用者の意思でストップする場合は、「それまでに使用した料金を精算」し、「残金をストック」するものであるから、「プリペイドカード1に記憶されたプリペイド金額(本件特許発明5の「記憶媒体に記憶された金額データの金額」に相当。以下同様。)」、「入金したい金額(「流体の供給前に記憶媒体の金額データの金額から所定金額分の金額データの金額を差し引いた入金データの金額」)」、「それまでに使用した量から料金を精算」した「料金」(「流体の供給中に流体の供給量に対応する料金データの金額」)」及び「残金(「流体の供給終了後に供給量に相当する金額を入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額」)」に係る金額データを表示装置に表示させることで、使用者がこれらの作用、機能を簡易かつ効率的に実施させることができることは、当業者であれば容易に想起し得たことである。
そうすると、甲1発明において、相違点7に係る本件特許発明5の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

[本件特許発明5の奏する効果]について
本件特許発明5の奏する効果は、全体としてみても、甲1発明及び周知技術1ないし周知技術4に基いて当業者が想到しうる範囲のものであって格別のものではない。

ウ 小括
以上のとおり、本件特許発明5は、甲1発明、周知技術1ないし周知技術4に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5) 本件特許発明6
ア 対比
本件特許発明6と甲1発明とを対比すると、両者は、以下の相違点で相違し、その余の点で一致する。

[相違点8]
本件特許発明6は「流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する第3の手順」を備えるのに対し、甲1発明は「流量検出装置15」を有するものの、「請求すべき料金を演算する」ものか不明な点。

[相違点9]
本件特許発明6は「流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む第4の手順」を備えるのに対し、甲1発明は「記憶媒体に払い戻す」ものであるが、「流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む」ものか不明な点。

[相違点10]
本件特許発明6は「給油所で燃料を給油する流体供給方法」に係る発明であるのに対し、甲1発明は「非接触型プリペイドカード方式メータ」である点。

[相違点11]
本件特許発明6は、「前記記憶媒体読み書き手段により記憶媒体の金額データを読み取った後、前記記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することが可能である」のに対し、甲1発明は、そのようなものではない点。

イ 判断
上記相違点について検討する。
まず、甲1発明は、「流体供給方法」に係る発明でもあることは明らかである。
そして、相違点8ないし相違点11に係る事項は、おのおの本件特許発明1において検討した相違点1ないし相違点4に係る事項と実質的に同じである。
そうすると、相違点1ないし相違点4の検討において示した理由と同様の理由により、甲1発明において、相違点8ないし相違点11に係る本件特許発明6の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

[本件特許発明6の奏する効果]について
本件特許発明6の奏する効果は、全体としてみても、甲1発明及び周知技術1ないし周知技術4に基いて当業者が想到しうる範囲のものであって格別のものではない。

ウ 小括
以上のとおり、本件特許発明6は、甲1発明及び周知技術1ないし周知技術4に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(6) 本件特許発明7
ア 対比
本件特許発明7と甲1発明とを対比すると、両者は、以下の相違点で相違し、その余の点で一致する。

[相違点12]
本件特許発明7は「流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する第3の手順」を備えるのに対し、甲1発明は「流量検出装置15」を有するものの、「請求すべき料金を演算する」か不明な点。

[相違点13]
本件特許発明7は「流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む第4の手順」を備えるのに対し、甲1発明は「記憶媒体に払い戻す」ものであるが、「流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む」ものか不明な点。

[相違点14]
本件特許発明7は「給油所で燃料を給油する流体供給装置で実行されるプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」であるのに対し、甲1発明は「非接触型プリペイドカード方式メータ」であり、「記録媒体」を備えるか不明な点。

[相違点15]
本件特許発明7は、「前記記憶媒体読み書き手段により記憶媒体の金額データを読み取った後、前記記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することを可能とさせるためのプログラムを記憶した」ものであるのに対し、甲1発明は、そのようなものではない点。

イ 判断
上記相違点について検討する。
まず、流体装置を含む装置一般を作動させるためのプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、例示するまでもない慣用手段にすぎず、甲1発明においても採用可能であることは、当業者であれば容易に理解し得たことである。
そして、相違点12ないし相違点15に係る事項は、おのおの本件特許発明1において検討した相違点1ないし相違点4に係る事項と実質的に同じである。
そうすると、相違点1ないし相違点4の検討において示した理由と同様の理由により、甲1発明において、相違点12ないし相違点15に係る本件特許発明7の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

[本件特許発明7の奏する効果]について
本件特許発明7の奏する効果は、全体としてみても、甲1発明、周知技術1ないし周知技術4及び上記慣用手段に基いて当業者が想到しうる範囲のものであって格別のものではない。

ウ 小括
以上のとおり、本件特許発明7は、甲1発明、周知技術1ないし周知技術4及び上記慣用手段に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(7) 本件特許発明8
ア 対比
本件特許発明8と甲1発明とを対比すると、両者は、以下の相違点で相違し、その余の点で一致する。

[相違点16]
本件特許発明8は「流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する第3の手順」を備えるのに対し、甲1発明は「流量検出装置15」を有するものの、「流量検出装置15」の値から「請求すべき料金を演算する」か不明な点。

[相違点17]
本件特許発明8は「流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む第4の手順」を備えるのに対し、甲1発明は「記憶媒体に払い戻す」ものであるが、「流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む」ものか不明な点。

[相違点18]
本件特許発明8は「給油所で燃料を給油する流体供給装置で実行されるプログラム」であるのに対し、甲1発明は「非接触型プリペイドカード方式メータ」である点。

[相違点19]
本件特許発明8は、「前記記憶媒体読み書き手段により記憶媒体の金額データを読み取った後、前記記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することを可能とさせるため」のものであるのに対し、甲1発明は、そのようなものではない点。

イ 判断
上記相違点について検討する。
まず、流体装置を含む装置一般で実行されるプログラムは例示するまでもない慣用手段にすぎず、甲1発明においても採用可能であることは、当業者であれば容易に理解し得たことである。
そして、相違点16ないし相違点19に係る事項は、おのおの本件特許発明1において検討した相違点1ないし相違点4に係る事項と実質的に同じである。
そうすると、相違点1ないし相違点4の検討において示した理由と同様の理由により、甲1発明において、相違点16ないし相違点19に係る本件特許発明8の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

[本件特許発明8の奏する効果]について
本件特許発明8の奏する効果は、全体としてみても、甲1発明、周知技術1ないし周知技術4及び上記慣用手段に基いて当業者が想到しうる範囲のものであって格別のものではない。

ウ 小括
以上のとおり、本件特許発明8は、甲1発明、周知技術1ないし周知技術4及び上記慣用手段に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(7) 本件特許発明9
ア 対比
(3)アにおいて示したとおり、甲第1号証の段落【0019】(3オを参照。)の記載から、甲1発明は「流体の供給後に返金指示があったときは、流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を入金データの金額より差し引き、返金する第2の返金手段」に相当する事項を備えるといえる。
この理解において、本件特許発明9と甲1発明とを対比すると、両者は、本件特許発明1における検討において示した相違点1ないし相違点4、本件特許発明3における検討において示した相違点5及び相違点6において相違し、その余の点で一致する。

イ 判断
上記相違点について検討する。
相違点1ないし相違点6の検討において示した理由と同様の理由により、甲1発明において、相違点1ないし相違点6に係る本件特許発明9の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

[本件特許発明9の奏する効果]について
本件特許発明9の奏する効果は、全体としてみても、甲1発明及び周知技術1ないし周知技術5に基いて当業者が想到しうる範囲のものであって格別のものではない。

ウ 小括
以上のとおり、本件特許発明9は、甲1発明及び周知技術1ないし周知技術5に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(9)無効理由2についてのまとめ
本件特許発明1ないし3及び5ないし9についての無効理由2に係る請求人の主張には、(1)ないし(9)で示したとおり理由がある。

5 無効理由1についての検討
本件特許発明1ないし3及び5ないし9と甲1発明とは、それぞれ、4(1)ないし(8)で示したとおりの相違点を有する。
そうすると、本件特許発明1ないし3及び5ないし9は、甲1発明ではない。
したがって、無効理由1に係る請求人の主張には理由がない。

第5 むすび
以上のとおりであるから、本件特許発明1ないし3及び5ないし9についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第123条第1項第2号に該当するので、無効とすべきものである。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61項の規定により、被請求人の負担とする。
よって、結論のとおり審決する。


 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶媒体に記憶された金額データを読み書きする記憶媒体読み書き手段と、
流体の供給量を計測する流量計測手段と、
前記流体の供給開始前に前記記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に、前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記記憶媒体に書き込ませる入金データ処理手段と、
該入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする供給許可手段と、
前記流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する演算手段と、
前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を前記演算手段により演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む料金精算手段と、
を備える、給油所で燃料を給油する流体供給装置であって、
前記記憶媒体読み書き手段により記憶媒体の金額データを読み取った後、前記記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することが可能である、流体供給装置。
【請求項2】
前記入金データ処理手段は、前記流体の供給開始前に前記記憶媒体に記憶された金額データが示す金額よりも少ない金額を入金データとして取り込むと共に、当該記憶媒体の金額データから当該入金データの金額を差し引くことを特徴とする請求項1記載の流体供給装置。
【請求項3】
記憶媒体に記憶された金額データを読み書きする記憶媒体読み書き手段と、
流体の供給量を計測する流量計測手段と、
前記流体の供給開始前に前記記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に、前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記記憶媒体に書き込ませる入金データ処理手段と、
該入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする供給許可手段と、
前記流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する演算手段と、
前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を前記演算手段により演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む料金精算手段と、
前記流体の供給前に返金指示があったときは、前記流体の供給前に前記入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額を前記記憶媒体の金額データの金額に加算する第1の返金手段と、
前記流体の供給後に返金指示があったときは、前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データの金額に加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む第2の返金手段と、
を備える、給油所で燃料を給油する流体供給装置であって、
更に紙幣挿入部を備える、流体供給装置。
【請求項4】
記憶媒体に記憶された金額データを読み書きする記憶媒体読み書き手段と、
前記流体の供給量を計測する流量計測手段と、
前記流体の供給開始前に前記記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に、前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記記憶媒体に書き込ませる入金データ処理手段と、
該入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする供給許可手段と、
前記流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する演算手段と、
前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を前記演算手段により演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む料金精算手段と、
前記流体の供給中に前記記憶媒体に記憶された金額データが前記記憶媒体読み書き手段により読み書き可能な状態であることを確認する記憶媒体確認手段と、
該記憶媒体確認手段により前記記憶媒体が確認されないときは、前記記憶媒体がないことを報知する報知手段と、
を備えたことを特徴とする流体供給装置。
【請求項5】
記憶媒体に記憶された金額データを読み書きする記憶媒体読み書き手段と、
流体の供給量を計測する流量計測手段と、
前記流体の供給開始前に前記記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に、前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記記憶媒体に書き込ませる入金データ処理手段と、
該入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする供給許可手段と、
前記流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する演算手段と、
前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を前記演算手段により演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む料金精算手段と、
前記記憶媒体に記憶された金額データの金額を表示させる第1の表示手段と、
前記流体の供給前に前記記憶媒体の金額データの金額から所定金額分の金額データの金額を差し引いた入金データの金額を表示させる第2の表示手段と、
前記流体の供給中に前記流体の供給量に対応する料金データの金額を表示させる第3の表示手段と、
前記流体の供給終了後に供給量に相当する金額を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を表示させる第4の表示手段と、
を備える、給油所で燃料を給油する流体供給装置であって、
前記記憶媒体読み書き手段により記憶媒体の金額データを読み取った後、前記記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することが可能である、流体供給装置。
【請求項6】
流体の供給開始前に記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に、前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記記憶媒体に書き込ませる第1の手順と、
該第1の手順で取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする第2の手順と、
流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する第3の手順と、
前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む第4の手順と、
を順次実行する、給油所で燃料を給油する流体供給方法であって、
前記記憶媒体読み書き手段により記憶媒体の金額データを読み取った後、前記記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することが可能である、流体供給方法。
【請求項7】
入金データとして取り込まれた金額データに相当する流量を供給可能とする、給油所で燃料を給油する流体供給装置で実行されるプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
コンピュータに、流体の供給開始前に記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に、前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記記憶媒体に書き込ませる第1の手順と、
該第1の手順で取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする第2の手順と、
流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する第3の手順と、
前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む第4の手順と、
を順次実行させ、
前記記憶媒体読み書き手段により記憶媒体の金額データを読み取った後、前記記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することを可能とさせるためのプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項8】
入金データとして取り込まれた金額データに相当する流量を供給可能とする、給油所で燃料を給油する流体供給装置で実行されるプログラムであって、
コンピュータに、流体の供給開始前に記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込むと共に、前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記記憶媒体に書き込ませる第1の手順と、
該第1の手順で取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする第2の手順と、
流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する第3の手順と、
前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む第4の手順と、
を順次実行させ、
前記記憶媒体読み書き手段により記憶媒体の金額データを読み取った後、前記記憶媒体の金額データが示す金額以下の金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することを可能とさせるためのプログラム。
【請求項9】
記憶媒体に記憶された金額データを読み書きする記憶媒体読み書き手段と、
流体の供給量を計測する流量計測手段と、
前記流体の供給開始前に前記記憶媒体読み書き手段により読み取った記憶媒体の金額データが示す金額よりも少ない金額を入金データとして取り込むと共に、前記金額データから当該入金データの金額を差し引いた金額を新たな金額データとして前記記憶媒体に書き込ませる入金データ処理手段と、
該入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額データに相当する流量を供給可能とする供給許可手段と、
前記流量計測手段により計測された流量値から請求すべき料金を演算する演算手段と、
前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を前記演算手段により演算させ、当該演算された料金を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データに加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む料金精算手段と、
前記流体の供給前に返金指示があったときは、前記流体の供給前に前記入金データ処理手段により取り込まれた入金データの金額を前記記憶媒体の金額データの金額に加算する第1の返金手段と、
前記流体の供給後に返金指示があったときは、前記流量計測手段により計測された流量値に相当する金額を前記入金データの金額より差し引き、残った差額データの金額を前記記憶媒体の金額データの金額に加算し、当該加算後の金額データを前記記憶媒体に書き込む第2の返金手段と、
を備える、給油所で燃料を給油する流体供給装置であって、
前記記憶媒体読み書き手段により記憶媒体の金額データを読み取った後、前記記憶媒体の金額データが示す金額よりも少ない金額を入金データとして取り込む前に、給油処理を中止することが可能であり、
更に紙幣挿入部を備える、流体供給装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2021-09-28 
結審通知日 2021-10-01 
審決日 2021-10-21 
出願番号 P2001-218342
審決分類 P 1 123・ 121- ZAA (B67D)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 金澤 俊郎
特許庁審判官 山本 信平
佐々木 正章
登録日 2010-05-28 
登録番号 4520670
発明の名称 流体供給装置及び流体供給方法及び記録媒体及びプログラム  
代理人 板井 典子  
代理人 沖 達也  
代理人 ▲高▼見 憲  
代理人 ▲高▼見 憲  
代理人 ▲高▼野 芳徳  
代理人 鮫島 正洋  
代理人 ▲高▼野 芳徳  
代理人 鮫島 正洋  
代理人 森下 梓  
代理人 森下 梓  
代理人 ▲高▼野 芳徳  
代理人 山田 徹  
代理人 鮫島 正洋  
代理人 森下 梓  
代理人 田中 成志  
代理人 ▲高▼見 憲  
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