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審決分類 審判 査定不服 発明同一 取り消して特許、登録 H04W
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 H04W
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04W
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H04W
審判 査定不服 特37 条出願の単一性( 平成16 年1 月1 日から) 取り消して特許、登録 H04W
管理番号 1384866
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-05-07 
確定日 2022-05-31 
事件の表示 特願2019−19559「バッファ状態報告の処理方法、装置及び通信システム」拒絶査定不服審判事件〔令和元年5月9日出願公開、特開2019−71684、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)1月26日を国際出願日とする特願2017−538589号の一部を平成31年2月6日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成31年 2月 6日 上申書の提出
令和 2年 5月29日付け 拒絶理由通知書
令和 2年 8月 6日 意見書の提出
令和 3年 1月28日付け 拒絶査定
令和 3年 5月 7日 審判請求書及び手続補正書の提出
令和 3年 9月22日 上申書の提出
令和 4年 1月19日付け 拒絶理由通知書(当審)
令和 4年 3月25日 意見書及び手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和3年1月28日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

3.(拡大先願)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願の日前の外国語特許出願(特許法第184条の4第3項の規定により取り下げられたものとみなされたものを除く。)であって、その出願後に国際公開がされた下記の外国語特許出願の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の外国語特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記外国語特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない(同法第184条の13参照)。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

理由1(新規性)、理由2(進歩性)について
・請求項1ないし3に対して、引用文献1

理由3(拡大先願)について
・請求項1ないし3に対して、先願2

引用文献等一覧
1.Huawei,HiSilicon,ProSe-BSR Triggering and Cancelling Mechanisms and Text Proposals [online],3GPP TSG RAN WG2#87bis R2-144407,2014年9月27日アップロード,インターネット (以下、「引用文献1」という。)
2.特願2017−543681号(国際公開第2016/072592号)

ここで、上記引用文献等一覧の「2.」の「特願2017−543681号(国際公開第2016/072592号)」については、当該原査定をするにあたり通知された令和2年5月29日付けの拒絶理由通知書に記載したとおり、「PCT/KR2015/007952号(国際公開第2016/072592号,特表2017−538374号)」の誤りであることは明らかである。よって、以下、「PCT/KR2015/007952号(国際公開第2016/072592号,特表2017−538374号)」を「先願2」とする。

第3 当審拒絶理由の概要
令和4年1月19日付けの拒絶理由通知書で通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。

1.(発明の単一性)この出願は、下記の点で特許法第37条に規定する要件を満たしていない。

2.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

3.(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

4.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

5.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

●理由1(発明の単一性)について

引用文献1(特に、4節及び5.x.2.5節参照)に「トリガーされている全てのProSe BSRを取り消すUE」が記載されていることを考慮すると、請求項1に係る発明は「1つのTTI(Transmission Time Interval)に対して、割り当てられている上りリソースが、1つのサイドリンクBSR MAC CE及びその対応するMAC subheaderを収容でき、前記TTIにおいて送信可能なサイドリンク伝送データがない場合、トリガーされている全てのサイドリンクBSRを取り消す手段を有し、サイドリンクバッファにデータが存在しない場合、送信可能なサイドリンク伝送データは存在しない」点が特別な技術的特徴となっているといえる。これに対して、請求項3には、請求項1の当該特別な技術的特徴と、同一又は対応する特別な技術的特徴を有しない。
さらに付け加えると、請求項1に係る発明と請求項3に係る発明は「トリガーされている全てのサイドリンクBSRを取り消す手段を有するユーザ装置」であるという共通の技術的特徴を有しているが、上記したような引用文献1の開示内容に照らし、当該共通の技術的特徴は先行技術に対する貢献をもたらすものではないから、当該共通の技術的特徴は、特別な技術的特徴であるとはいえない。
よって、請求項1に係る発明と、請求項3に係る発明が同一の又は対応する特別な技術的特徴を有する関係にあるとは認められないから、本件出願は、特許法第37条に規定する要件を満たしていない。

(請求項3を削除するか、請求項3を請求項1の従属請求項とすることを検討されたい。)

●理由2(明確性)、理由3(サポート要件)について

・請求項 1及び2
請求項1には「サイドリンクバッファにデータが存在しない場合、送信可能なサイドリンク伝送データは存在しない」と記載されているが、当該記載の事項と、他の発明特定事項(特に、「トリガーされている全てのサイドリンクBSRを取り消す手段」)との間の関係が明確でない。
したがって、請求項1に係る発明は明確でない。
また、請求項2は、請求項1を引用しており、上述の明確でない点を明確にする記載もないから、請求項2に係る発明についても同様に明確でない。

よって、請求項1及び2に係る発明は明確でない。(明確性

(なお、令和3年9月22日付け上申書における請求項1の記載であれば明確である。)

・請求項 3
(1)請求項3には「あるSC periodで残りの構成されているSL grantがすべての利用可能なサイドリンク伝送データを収容できる場合」と記載されているが、「残りの構成されているSL grant」とは、どのようなSL grantを表しているのか、明確でない(明確性)。具体的には、以下の点で明確でない。
「残りの構成されているSL grant」は「残り」であるから、「構成されているSL grant」全体の中の一部を除外したものが「残りの構成されているSL grant」であると解されるが、「構成されているSL grant」全体がいかなるものであり、全体の中のどのようなものを除外したものが「残りの構成されているSL grant」であるのかが不明である。したがって、「残りの構成されているSL grant」という記載は明確でない。

(2)請求項3の「あるSC periodで」という記載が「構成されている」に係るのか、「収容できる」に係るのか、係り受けが明確でない(明確性)。このため、「あるSC periodで残りの構成されているSL grantがすべての利用可能なサイドリンク伝送データを収容できる場合」という記載は、例えば、「あるSC period」内のSL grantによって割り当てられたリソースですべての利用可能なサイドリンク伝送データを収容できる場合のようにも解されるし(上記係り受けが前者の場合)、SL grantによって割り当てられた「あるSC period」内のリソースですべての利用可能なサイドリンク伝送データを収容できる場合のようにも解され(上記係り受けが後者の場合)、それ以外も含めた解釈のいずれと解すべきであるのかが明確でなく(明確性)、また前者の場合は、発明の詳細な説明に記載されていない(サポート要件)。

よって、請求項3に係る発明は、明確でなく、また発明の詳細な説明に記載したものでない。(明確性、サポート要件)

(請求項3を明確にするための補正をする場合は、その根拠となる明細書の記載箇所を具体的に説明されたい。)

●理由4(新規性)、理由5(進歩性)について

・請求項3に対して、引用文献1

引用文献等一覧
1.Huawei,HiSilicon,ProSe-BSR Triggering and Cancelling Mechanisms and Text Proposals [online],3GPP TSG RAN WG2#87bis R2-144407,2014年9月27日アップロード,インターネット ,4節及び5.x.2.5節

第4 本願発明
本願の請求項1及び2に係る発明(以下、「本願発明1」及び「本願発明2」という。)は、令和4年3月25日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
ユーザ装置であって、
1つのTTI(Transmission Time Interval)に対して、割り当てられている上りリソースが、1つのサイドリンクBSR MAC CE及びその対応するMAC subheaderを収容でき、前記TTIにおいてサイドリンクバッファにデータが存在しない場合、トリガーされている全てのサイドリンクBSRを取り消す手段を有する、ユーザ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のユーザ装置であって、
前記サイドリンクBSR MAC CEは、少なくとも1つのProSe Destinationに対するバッファ状態を含む、ことを特徴とするユーザ装置。」

第5 引用文献、引用発明及び先願発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由及び当審拒絶理由で引用され、本願出願日前に公開された引用文献1(Huawei,HiSilicon,ProSe-BSR Triggering and Cancelling Mechanisms and Text Proposals [online](当審仮訳:ProSe-BSRのトリガーと取り消しのメカニズム及びテキスト提案),3GPP TSG RAN WG2#87bis R2-144407,2014年9月27日アップロード,インターネット )には、図面とともに以下の記載がある。(なお、下線は当審で付与した。)

「Proposal 6: The UE should cancel all triggered ProSe-BSR in one of the following cases: (1) The D2D grant allocated to the UE can accommodate all pending D2D data available for transmission; (2) a ProSe-BSR is included in a MAC PDU for transmission and the ProSe-BSR includes all the information which needs to be reported; (3) The UE is configured to use mode 2 but the ProSe-BSR was triggered before.」(第3頁下から第2行目ないし第4頁第2行目)
(当審仮訳:提案6:以下のいずれかの場合、UEは全てのトリガーされたProSe-BSRを取り消すべきである。(1) UEに割り当てられたD2Dグラントは、送信に利用可能な全ての保留D2Dデータを収容することができる; (2) 送信用のMAC PDUにProSe-BSRが含まれており、ProSe-BSRは、報告する必要がある全ての情報を含んでいる; (3) UEはモード2を使用するように設定されているが、以前にProSe-BSRがトリガーされた。)

上記の「UEは全てのトリガーされたProSe-BSRを取り消すべきである。」との記載によれば、引用文献1には、全てのトリガーされたProSe-BSRを取り消すUEが記載されているといえる。

したがって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「UEであって、全てのトリガーされたProSe-BSRを取り消す、UE。」

2 先願2について
原査定の拒絶の理由で引用された先願2(PCT/KR2015/007952号)の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面(以下、「先願2の明細書等」という。)には、図面とともに以下の記載がある。(なお、下線は当審で付与した。)

(1)「[018] Preferably, the UE cancels all triggered sidelink BSRs.」
(当審仮訳:[018] 好ましくは、UEは全てのトリガーされたサイドリンクBSRを取り消す。)

(2)「[167] All triggered BSRs may be cancelled in case UL grants in this subframe can accommodate all pending data available for transmission but is not sufficient to additionally accommodate the BSR MAC control element plus its subheader. All triggered BSRs shall be cancelled when a BSR is included in a MAC PDU for transmission.」
(当審仮訳:[167] このサブフレームのULグラントが送信に利用可能な全ての保留データを収容できるが、BSR MAC制御要素とそのサブヘッダを追加で収容するには十分でない場合、全てのトリガーされたBSRは取り消されてよい。BSRが送信用のMAC PDUに含まれる場合、全てのトリガーされたBSRは取り消されなければならない。)

上記「(1)」の「UEは全てのトリガーされたサイドリンクBSRを取り消す。」及び上記「(2)」の「全てのトリガーされたBSRは取り消されてよい。」との記載によれば、先願2の明細書等には、全てのトリガーされたサイドリンクBSRを取り消すUEが記載されているといえる。

したがって、先願2の明細書等には、次の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されていると認められる。

「UEであって、全てのトリガーされたサイドリンクBSRを取り消す、UE。」

第6 対比及び判断
1 本願発明1について
(1)特許法第29条第1項第3号について
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

引用発明の「UE」は、User Equipmentの略であることが技術常識であるから、本願発明1の「ユーザ装置」に相当する。また、引用発明の「ProSe-BSR」は、サイドリンクのためのBSRであることが技術常識であるから、本願発明1の「サイドリンクBSR」に含まれる。そして、引用発明の「UE」は、「全てのトリガーされたProSe-BSRを取り消す」ものであり、そのような処理を行う「手段」を有しているといえる。したがって、引用発明の「UE」が「全てのトリガーされたProSe-BSRを取り消す」ことは、本願発明1の「ユーザ装置」が「トリガーされている全てのサイドリンクBSRを取り消す手段を有する」ことに含まれる。
以上のことから、本願発明1の「ユーザ装置」が「1つのTTI(Transmission Time Interval)に対して、割り当てられている上りリソースが、1つのサイドリンクBSR MAC CE及びその対応するMAC subheaderを収容でき、前記TTIにおいてサイドリンクバッファにデータが存在しない場合、トリガーされている全てのサイドリンクBSRを取り消す手段」を有することと、引用発明の「UE」が「全てのトリガーされたProSe-BSRを取り消す」ことは、「ユーザ装置」が「トリガーされている全てのサイドリンクBSRを取り消す手段」を有する点で共通する。

したがって、本願発明1と引用発明は、以下の点で一致し、また相違する。

<一致点>
「ユーザ装置であって、
トリガーされている全てのサイドリンクBSRを取り消す手段を有する、ユーザ装置。」

<相違点>
「トリガーされている全てのサイドリンクBSRを取り消す」ことを、本願発明1では「1つのTTI(Transmission Time Interval)に対して、割り当てられている上りリソースが、1つのサイドリンクBSR MAC CE及びその対応するMAC subheaderを収容でき、前記TTIにおいてサイドリンクバッファにデータが存在しない場合」に行うという発明特定事項を有するのに対して、引用発明は、当該発明特定事項が特定されていない点。

したがって、本願発明1と引用発明は、上記相違点で相違するから、本願発明1は引用発明であるとはいえない。

(2)特許法第29条第2項について
本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、上記「(1)」で説示したとおりである。

上記相違点について検討する。
上記相違点に係る「トリガーされている全てのサイドリンクBSRを取り消す」のが「1つのTTI(Transmission Time Interval)に対して、割り当てられている上りリソースが、1つのサイドリンクBSR MAC CE及びその対応するMAC subheaderを収容でき、前記TTIにおいてサイドリンクバッファにデータが存在しない場合」であるという発明特定事項は、引用文献1には記載も示唆もされておらず、また当該技術分野における周知技術であるともいえない。
よって、引用発明において、上記相違点に係る「トリガーされている全てのサイドリンクBSRを取り消す」ことを「1つのTTI(Transmission Time Interval)に対して、割り当てられている上りリソースが、1つのサイドリンクBSR MAC CE及びその対応するMAC subheaderを収容でき、前記TTIにおいてサイドリンクバッファにデータが存在しない場合」に行うことは、当業者といえども容易に想到し得たとはいえない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても引用発明に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

(3)特許法第29条の2について
本願発明1と先願発明とを対比すると、次のことがいえる。

先願発明の「UE」は、User Equipmentの略であることが技術常識であるから、本願発明1の「ユーザ装置」に相当する。そして、先願発明の「UE」は、「全てのトリガーされたサイドリンクBSRを取り消す」ものであり、そのような処理を行う「手段」を有しているといえる。したがって、先願発明の「UE」が「全てのトリガーされたサイドリンクBSRを取り消す」ことは、本願発明1の「ユーザ装置」が「トリガーされている全てのサイドリンクBSRを取り消す手段を有する」ことに相当する。
以上のことから、本願発明1の「ユーザ装置」が「1つのTTI(Transmission Time Interval)に対して、割り当てられている上りリソースが、1つのサイドリンクBSR MAC CE及びその対応するMAC subheaderを収容でき、前記TTIにおいてサイドリンクバッファにデータが存在しない場合、トリガーされている全てのサイドリンクBSRを取り消す手段」を有することと、先願発明の「UE」が「全てのトリガーされたサイドリンクBSRを取り消す」ことは、「ユーザ装置」が「トリガーされている全てのサイドリンクBSRを取り消す手段」を有する点で共通する。

したがって、本願発明1と先願発明は、以下の点で一致し、また相違する。

<一致点>
「ユーザ装置であって、
トリガーされている全てのサイドリンクBSRを取り消す手段を有する、ユーザ装置。」

<相違点>
「トリガーされている全てのサイドリンクBSRを取り消す」ことを、本願発明1では「1つのTTI(Transmission Time Interval)に対して、割り当てられている上りリソースが、1つのサイドリンクBSR MAC CE及びその対応するMAC subheaderを収容でき、前記TTIにおいてサイドリンクバッファにデータが存在しない場合」に行うという発明特定事項を有するのに対して、先願発明は、当該発明特定事項が特定されていない点。

上記相違点について検討する。
上記相違点に係る「トリガーされている全てのサイドリンクBSRを取り消す」ことを「1つのTTI(Transmission Time Interval)に対して、割り当てられている上りリソースが、1つのサイドリンクBSR MAC CE及びその対応するMAC subheaderを収容でき、前記TTIにおいてサイドリンクバッファにデータが存在しない場合」に行うという発明特定事項は、先願2の明細書等には記載されていない。また、当該発明特定事項は、当該技術分野における周知技術及び慣用技術であるとはいえないから、上記相違点が、課題解決のための具体化手段における微差であるとはいえない。
したがって、本願発明1は、先願発明と同一であるとはいえない。

2 本願発明2について
本願発明2は、本願発明1の発明特定事項を全て備えるものである。
したがって、本願発明2は、本願発明1と同じ理由により、引用発明であるとはいえず、また当業者であっても引用発明に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。さらに、本願発明2は、本願発明1と同じ理由により、先願発明と同一であるとはいえない。

第7 原査定について
本件補正により、本願発明1及び2は、いずれも「トリガーされている全てのサイドリンクBSRを取り消す」のが「1つのTTI(Transmission Time Interval)に対して、割り当てられている上りリソースが、1つのサイドリンクBSR MAC CE及びその対応するMAC subheaderを収容でき、前記TTIにおいてサイドリンクバッファにデータが存在しない場合」であるという発明特定事項を備えるものとなっている。
してみれば、上記「第6」の「1」及び「2」で説示したとおり、本願発明1及び2は、引用発明であるとはいえず、また当業者であっても引用発明に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。さらに、本願発明1及び2は、先願発明と同一であるとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第8 当審拒絶理由について
1 理由1(発明の単一性)について
当審拒絶理由では、請求項1に係る発明と、請求項3に係る発明が同一の又は対応する特別な技術的特徴を有する関係にあるとは認められないから、本件出願は、特許法第37条に規定する要件を満たしていない旨を通知しているが、本件補正により、請求項3が削除された結果、この拒絶の理由は解消した。

2 理由2(明確性)、理由3(サポート要件)について
当審拒絶理由では、請求項1には「サイドリンクバッファにデータが存在しない場合、送信可能なサイドリンク伝送データは存在しない」と記載されているが、当該記載の事項と、他の発明特定事項(特に、「トリガーされている全てのサイドリンクBSRを取り消す手段」)との間の関係が明確でない旨を通知している。
これに対して、本件補正により、本件補正前の請求項1の「トリガーされている全てのサイドリンクBSRを取り消す手段」における「送信可能なサイドリンク伝送データがない場合」という記載が「サイドリンクバッファにデータが存在しない場合」に補正されるとともに、「サイドリンクバッファにデータが存在しない場合、送信可能なサイドリンク伝送データは存在しない」という記載が削除された結果、この拒絶の理由は解消した。
また、当審拒絶理由では、請求項3の記載について、明確でない旨を通知しているが、本件補正により、請求項3が削除された結果、この拒絶の理由は解消した。

3 理由4(新規性)、理由5(進歩性)について
当審拒絶理由では、請求項3に係る発明は、引用文献1に記載された発明であり、また引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである旨を通知しているが、本件補正により、請求項3が削除された結果、この拒絶の理由は解消した。

第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-05-10 
出願番号 P2019-019559
審決分類 P 1 8・ 65- WY (H04W)
P 1 8・ 121- WY (H04W)
P 1 8・ 113- WY (H04W)
P 1 8・ 161- WY (H04W)
P 1 8・ 537- WY (H04W)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 廣川 浩
特許庁審判官 本郷 彰
横田 有光
発明の名称 バッファ状態報告の処理方法、装置及び通信システム  
代理人 伊東 忠重  
代理人 伊東 忠彦  
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