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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する C07D
審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正する C07D
審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正する C07D
審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する C07D
管理番号 1385097
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-06-24 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2021-08-27 
確定日 2022-03-16 
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6345821号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第6345821号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第6345821号(以下、「本件特許」という。)は、2013年6月4日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2012年6月7日 米国(US))を国際出願日とする特願2015−516121号の一部を、平成29年2月15日に新たな特許出願としたものであって、平成30年6月1日に特許権の設定登録がなされ、その後、令和3年8月27日に本件訂正審判の請求がなされた。

第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、「特許第6345821号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求める。」というものである。

第3 訂正の内容
本件訂正審判の請求に係る訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下の訂正事項1〜4のとおりである。

1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1について、訂正前の「
【表1】


を、「
【表1】


と訂正する。

2 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2について、訂正前の「結晶質形態が、・・・X線粉末回折(XRPD)パターンである」との記載を、「結晶質形態が、・・・X線粉末回折(XRPD)パターンを有する」と訂正する。

3 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3について、訂正前の「
【表2】


を、「
【表2】


と訂正する。

4 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項3について、訂正前の「結晶質形態が、・・・の単位格子パラメータである」との記載を、「結晶質形態が、・・・の単位格子パラメータを有する」と訂正する。

第4 当審の判断
前記第3に記載したように、本件訂正は、訂正事項1、3が、訂正前に「4−[7−(6−シアノ−5−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)−8−オキソ−6−チオキソ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクト−5−イル]−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドの結晶質形態A」との特定事項とともに存在した、単位格子パラメータに関する表の入れ替えを伴う訂正であるため、事案に鑑み、まず、登録時の特許明細書(以下「本件特許明細書」という。)の結晶質形態Aに関する記載を確認しておくこととする。

1 本件特許明細書の結晶質形態Aに関する記載
(1)「【請求項1】
4−[7−(6−シアノ−5−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)−8−オキソ−6−チオキソ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクト−5−イル]−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドの結晶質形態Aであって、
(a)4.8±0.1°2−θ、7.1±0.1°2−θ、14.2±0.1°2−θ、16.3±0.1°2−θ、及び20.1±0.1°2−θにて特徴的なピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターン、または
(b)−173℃で下表:
【表1】

に記載の単位格子パラメータ、の少なくとも1つを有し、さらに任意に、
(c)吸熱開始温度が約108〜120℃でありピークが約133〜135℃であるDSCサーモグラム を有することを特徴とする、結晶質形態A。
【請求項2】
前記結晶質形態が、4.8±0.1°2−θ、7.1±0.1°2−θ、14.2±0.1°2−θ、16.3±0.1°2−θ、及び20.1±0.1°2−θにて特徴的なピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンである、請求項1に記載の結晶質形態A。
【請求項3】
前記結晶質形態が、−173℃で下表:
【表2】

に記載の単位格子パラメータである、請求項1に記載の結晶質形態A。
【請求項4】
前記結晶質形態が、吸熱開始温度が約108〜120℃でありピークが約133〜135℃であるDSCサーモグラムを有する、請求項1に記載の結晶質形態A。
【請求項5】
前記結晶質形態が、特性(a)、(b)及び(c)を有することを特徴とする、請求項1に記載の結晶質形態A。
【請求項6】
前記結晶質形態が溶媒和されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の結晶質形態A。
【請求項7】
前記結晶質形態がエタノール溶媒和物である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の結晶質形態A。
【請求項8】
前記結晶質形態が水和物である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の結晶質形態A。
【請求項9】
前記結晶質形態が溶媒和された水和物である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の結晶質形態A。
【請求項10】
4−[7−(6−シアノ−5−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)−8−オキソ−6−チオキソ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクト−5−イル]−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドと、薬理学的に許容される担体、希釈液及び賦形剤から選択される少なくとも1つの追加成分とを含む医薬組成物であって、前記組成物中の4−[7−(6−シアノ−5−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)−8−オキソ−6−チオキソ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクト−5−イル]−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドは、請求項1〜9のいずれか一項に記載の結晶質形態Aである医薬組成物。
【請求項11】
前記医薬組成物が哺乳動物への経口投与に適した形態である、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記医薬組成物が固体の経口投与形態である、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記医薬組成物が0.5mg〜1000mgの結晶質形態Aの4−[7−(6−シアノ−5−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)−8−オキソ−6−チオキソ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクト−5−イル]−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドを含む、請求項10〜12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
哺乳動物の前立腺癌治療のための医薬の製造における、請求項10〜13のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項15】
前記前立腺癌がホルモン感受性の前立腺癌又はホルモン耐性の前立腺癌である、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記哺乳動物がヒト患者である、請求項14に記載の医薬組成物の使用。
【請求項17】
哺乳動物の前立腺癌治療のための医薬の製造における、請求項1〜9のいずれか一項に記載の4−[7−(6−シアノ−5−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)−8−オキソ−6−チオキソ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクト−5−イル]−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドの結晶質形態Aの使用。
【請求項18】
前記前立腺癌がホルモン感受性の前立腺癌又はホルモン耐性の前立腺癌である、請求項17に記載の4−[7−(6−シアノ−5−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)−8−オキソ−6−チオキソ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクト−5−イル]−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドの結晶質形態Aの使用。
【請求項19】
前記哺乳動物がヒト患者である、請求項17に記載の4−[7−(6−シアノ−5−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)−8−オキソ−6−チオキソ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクト−5−イル]−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドの結晶質形態Aの使用。

(2)「【0006】
本明細書には、4−[7−(6−シアノ−5−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)−8−オキソ−6−チオキソ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクト−5−イル]−2−フルオロ−N−メチルベンズアミド、又は薬理学的に許容される塩を医薬組成物中の活性成分として含む医薬組成物が記載されている。
【0007】
一態様においては、結晶質4−[7−(6−シアノ−5−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)−8−オキソ−6−チオキソ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクト−5−イル]−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドが、本明細書に記載されている。幾つかの実施形態において、結晶質4−[7−(6−シアノ−5−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)−8−オキソ−6−チオキソ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクト−5−イル]−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドは形態Aである。…」

(3)「【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】 形態AのXRPDを示す。

【図19】 形態AのDSCサーモグラムを示す。」

(4)「【0037】
形態A
幾つかの実施形態において、4−[7−(6−シアノ−5−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)−8−オキソ−6−チオキソ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクト−5−イル]−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドは結晶質である。幾つかの実施形態において、4−[7−(6−シアノ−5−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)−8−オキソ−6−チオキソ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクト−5−イル]−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドは形態Aである。4−[7−(6−シアノ−5−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)−8−オキソ−6−チオキソ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクト−5−イル]−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドの形態Aは、
(a)図1に示すのと実質的に同じX線粉末回折(XRPD)パターン、
(b)4.8±0.1°2−θ、7.1±0.1°2−θ、14.2±0.1°2−θ、16.3±0.1°2−θ、及び20.1±0.1°2−θにて特徴的なピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターン、
(c)−173℃で下記:
【0038】
【表1】

と実質的に等しい単位格子パラメータ、
(d)40℃かつ75% RHにて少なくとも1週間貯蔵された後の実質的に同じX線粉末回折(XRPD)パターン、
(e)吸熱開始温度が約108〜120℃でありピークが約133〜135℃であるDSCサーモグラム、
(f)図19に記載されているものと実質的に同様なDSCサーモグラム、
(g)約0.01mg/mLとして観測される水溶解度、
又は
(h)それらの組み合わせ、
を有するものとして特徴付けられる。
【0039】
幾つかの実施形態において、形態Aは、(a)〜(g)から選択される特性のうちの少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つを、又は7つとも全て有するものとして特徴付けられる。幾つかの実施形態において、形態Aは特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)及び(g)を有するものとして特徴付けられる。幾つかの実施形態において、形態Aは特性(a)、(b)、(c)、(d)、(g)又はそれらの組み合わせを有するものとして特徴付けられる。幾つかの実施形態において、形態Aは、(a)、(b)、(c)、(d)及び(g)から選択される特性のうちの少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つを、又は5つとも全て有するものとして特徴付けられる。幾つかの実施形態において、形態Aは特性(a)、(b)、(c)、(d)及び(g)を有するものとして特徴付けられる。
【0040】
幾つかの実施形態において、形態Aは、図1に示すのと実質的に同じX線粉末回折(XRPD)パターンを有するものとして特徴付けられる。幾つかの実施形態において、形態Aは、4.8±0.1°2−θ、7.1±0.1°2−θ、14.2±0.1°2−θ、16.3±0.1°2−θ、及び20.1±0.1°2−θにて特徴的なピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有するものとして特徴付けられる。幾つかの実施形態において、形態Aは、40℃かつ75% RHにて少なくとも1週間貯蔵された後に実質的に同じX線粉末回折(XRPD)パターンを有するものとして特徴付けられる。
【0041】
幾つかの実施形態において、形態Aは、−173℃で下記:
【0042】
【表2】

と実質的に等しい単位格子パラメータを有するものとして特徴付けられる。
【0043】
幾つかの実施形態において、形態Aは、吸熱開始温度が約108〜120℃でありピークが約133〜135℃である、DSCサーモグラムを有するものとして特徴付けられる。
【0044】
幾つかの実施形態において、形態Aは、図19に記載されているものと実質的に同様なDSCサーモグラムを有するものとして特徴付けられる。
【0045】
幾つかの実施形態において、形態Aは、観測される水溶解度が約0.01mg/mLであるものとして特徴付けられる。
【0046】
幾つかの実施形態において、形態Aは、エタノール、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン、アセトン、メタノール、ニトロメタン、水、THFと水との混合物、又はジオキサンと水との混合物から得られる。幾つかの実施形態において、形態Aはエタノールから得られる。幾つかの実施形態において、形態Aは溶媒和されている。幾つかの実施形態において、形態Aはエタノール溶媒和物である。幾つかの実施形態において、形態Aは脱溶媒和されている。幾つかの実施形態において、形態Aは水和物である。幾つかの実施形態において、形態Aは溶媒和された水和物である。」

(5)「【0156】
実施例1:4−[7−(6−シアノ−5−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)−8−オキソ−6−チオキソ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクト−5−イル]−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドの結晶質形態の調製
形態A
2容量のエタノールを非晶質4−[7−(6−シアノ−5−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)−8−オキソ−6−チオキソ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクト−5−イル]−2−フルオロ−N−メチルベンズアミド(180mg)に添加した。6日後に、材料を濾過した。試料を35℃のオーブンの中に入れ、約4.0kPa(40mbar)の圧力にて1時間置いた。TGA、DSC、GVS及び1H NMR分析により、単離された材料はエタノール溶媒和物であることが明らかにされた。強制条件(60℃、<2.7kPa(20mm Hg)にて8日間)の下で、形態Aはエタノールを消失し、材料のXRPDパターンは同じ状態を保った。
【0157】
代替的に、THF(1容量)、DCM(1容量)、アセトン(1容量)、エタノール(1容量)、メタノール(1容量)、ニトロメタン(1容量)、水(1容量+音波処理)、THFと水との混合物(1容量)、又はジオキサンと水との混合物(1容量)を、約65mgの非晶質4−[7−(6−シアノ−5−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)−8−オキソ−6−チオキソ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクト−5−イル]−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドに添加した。材料が湿潤される最小限の量の溶媒を添加した。これは、視覚的に非晶質固体が軟化したこと(圧壊と呼ばれる)を意味した。試料をスクリューキャップ付きバイアル瓶の中に入れ、周囲条件にて3日間放置した。沈殿が見られない場合、試料の上に置いた蓋を緩めて溶媒をゆっくり蒸発させた。これらの試料を熟成室に入れ、その温度を4時間毎に室温と50℃との間で切り替えた。固体の材料が単離された。形態Aの単結晶(メタノール由来)のXRDの研究によって、形態Aが溶媒和かつ水和された無秩序な結晶質形態であり、それ故、一群の親近構造の溶媒和物を表すことが確認された。」

(6)「【0180】
形態A
形態AのX線粉末回折パターンを図1に示す。特徴的なピークには、4.8±0.1°2−θ、7.1±0.1°2−θ、14.2±0.1°2−θ、16.3±0.1°2−θ、及び20.1±0.1°2−θが含まれる。」

(7)「【0191】
形態A
形態Aは、約−173℃の温度にて下記とほぼ等しい単位格子パラメータにより特徴付けられる。
【0192】
【表9】

【0193】
構造解は、直接法、加重w-1=σ2(Fo2)+(0.1070P)2+(6.5000P)(式中、P=(Fo2+2Fc2)/3)を用いたF2の完全行列最小二乗精密化、異方性変位パラメータ、球面調和関数を用いた経験的吸収補正を、SCALE3 ABSPACKスケーリングアルゴリズムでインプリメントして得た。全てのデータで最終wR2={Σ[w(Fo2−Fc2)2]/Σ[w(Fo2)2]1/2}=0.1814、Fo>4σ(Fo)である7570個の反射F値に対する従来のR1=0.0652、全てのデータ及び642個のパラメータでS=1.005。最終Δ/σ(最大)0.004、Δ/σ(平均)、0.000。最終差分マップは+1.158〜−0.443eÅ-3の間である。
【0194】
形態Aの単結晶データから得られたシミュレート後のXRPDは、実験的なXRPDと合致した。
【0195】
単結晶XRD分析によって、形態Aが溶媒和かつ水和された無秩序な結晶質形態であることが確認された。形態Aが数種の溶媒から得られたものであることから、形態Aが親近構造の溶媒和物の群を表すと結論付けることができる。」

(8)「【0217】
形態A
単結晶XRD分析によって、形態Aが溶媒和かつ水和された無秩序な結晶質形態であることが確認された。エタノール溶媒和物の試料は、吸熱開始が約108〜120℃でありピークが約133〜135℃であることを示した。代表的なDSCサーモグラムを図19に示す。幾つかの実施形態では、可変温度のXRPD試験によって、形態Aが約120℃を超える非晶質になり、続いて、約175℃にて形態Bに再結晶化し、続いて、約194℃にて溶解することが明らかにされた。」

(9)「【0231】
形態A
形態Aの溶媒和物は、40℃かつ75% RHにて少なくとも1週間安定であった。」

(10)「【0246】
幾つかの実施形態において、形態Aの含水量は2.5%(w/w)であると観測された。」

(11)「【0261】
明細書に記載されている実施例及び実施形態は例示的であり、当業者に提案される様々な修正又は変更は、本開示の範囲内で記載すべきである。当業者によって認識されるように、上記の実施例に記載されている特定の成分は、機能的に同等な他の成分、例えば、希釈液、結合剤、潤滑剤、充填剤、及びこれらに類するもので置き換えることが可能である。

本発明は、以下の態様を含む。
[1]
4−[7−(6−シアノ−5−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)−8−オキソ−6−チオキソ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクト−5−イル]−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドの結晶質形態Aであって、
(a)図1に示すのと実質的に同じX線粉末回折(XRPD)パターン、
(b)4.8±0.1°2−θ、7.1±0.1°2−θ、14.2±0.1°2−θ、16.3±0.1°2−θ、及び20.1±0.1°2−θにて特徴的なピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターン、
(c)−173℃で下記:
【表18】

と実質的に等しい単位格子パラメータ、
(d)40℃かつ75% RHにて少なくとも1週間貯蔵された後の実質的に同じX線粉末回折(XRPD)パターン、
(e)吸熱開始温度が約108〜120℃でありピークが約133〜135℃であるDSCサーモグラム、
(f)図19に記載のものと実質的に同様なDSCサーモグラム、
(g)約0.01mg/mLとして観測される水溶解度、又は
(h)それらの組み合わせ、
を有することを特徴とする、結晶質形態A。
[2]
前記結晶質形態が、図1に示すのと実質的に同じX線粉末回折(XRPD)パターンである、[1]に記載の結晶質形態。
[3]
前記結晶質形態が、4.8±0.1°2−θ、7.1±0.1°2−θ、14.2±0.1°2−θ、16.3±0.1°2−θ、及び20.1±0.1°2−θにて特徴的なピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンである、[1]に記載の結晶質形態。
[4]
前記結晶質形態が、−173℃で下記:
【表19】

と実質的に等しい単位格子パラメータである、[1]に記載の結晶質形態。
[5]
前記結晶質形態が、40℃かつ75% RHにて少なくとも1週間貯蔵された後に実質的に前記同じX線粉末回折(XRPD)パターンを有する、[1]に記載の結晶質形態。
[6]
前記結晶質形態が、吸熱開始温度が約108〜120℃でありピークが約133〜135℃であるDSCサーモグラムを有する、[1]に記載の結晶質形態。
[7]
前記結晶質形態が、図19に記載のものと実質的に同様なDSCサーモグラムを有する、[1]に記載の結晶質形態。
[8]
前記結晶質形態が、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)及び(g)を有することを特徴とする、[1]に記載の結晶質形態。
[9]
前記結晶質形態がエタノール、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン、アセトン、メタノール、ニトロメタン、水、THFと水との混合物、又はジオキサンと水との混合物から得られたものである、[1]〜[8]のいずれかに記載の結晶質形態。
[10]
前記結晶質形態がエタノールから得られたものである、[1]〜[8]のいずれかに記載の結晶質形態。
[11]
前記結晶質形態が溶媒和されている、[1]〜[10]のいずれかに記載の結晶質形態。
[12]
前記結晶質形態がエタノール溶媒和物である、[1]〜[11]のいずれかに記載の結晶質形態。
[13]
前記結晶質形態が水和物である、[1]〜[12]のいずれかに記載の結晶質形態。
[14]
前記結晶質形態が溶媒和された水和物である、[1]〜[11]のいずれかに記載の結晶質形態。」

2 訂正事項1について
(1)訂正の目的について
審判請求人は、訂正事項1について、訂正の目的の一つとして、明瞭でない記載の釈明を挙げているので、この点について検討する。

ア 判断の前提
訂正が、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるとして認められるためには、特許明細書に明瞭でない記載が存在することが必要である。
以下上記判断の前提に基いて判断する。

イ 判断
上記1(1)のとおり、本件特許の特許請求の範囲の請求項1には、4−[7−(6−シアノ−5−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)−8−オキソ−6−チオキソ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクト−5−イル]−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドの結晶質形態Aの発明が記載されており、請求項2〜19に係る発明は、請求項1を直接的または間接的に引用するものである。
上記1(3)、1(4)、1(6)、及び1(11)、特に、【0015】、【0037】、【0040】、【0180】、及び【0261】の記載、並びに図1から、請求項1の(a)のX線粉末回折(XRPD)パターンは、結晶質形態Aについてのものといえる。
また、上記1(3)、1(4)、1(8)、及び1(11)、特に、【0015】、【0038】、【0043】、【0044】、【0217】、及び【0261】の記載、並びに図19から、請求項1の(c)のDSCサーモグラムは、結晶質形態Aについてのものと認められる。

一方、本件特許明細書には、以下の結晶質形態Bに関する記載がある。
「【0047】
形態B
幾つかの実施形態において、4−[7−(6−シアノ−5−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)−8−オキソ−6−チオキソ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクト−5−イル]−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドは結晶質である。幾つかの実施形態において、4−[7−(6−シアノ−5−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)−8−オキソ−6−チオキソ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクト−5−イル]−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドは形態Bである。形態Bは脱溶媒和されている。4−[7−(6−シアノ−5−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)−8−オキソ−6−チオキソ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクト−5−イル]−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドの形態Bは、
(a)図2に示すのと実質的に同じX線粉末回折(XRPD)パターン、
(b)12.1±0.1°2−θ、16.0±0.1°2−θ、16.7±0.1°2−θ、20.1±0.1°2−θ、20.3±0.1°2−θにて特徴的なピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターン、
(c)−173℃で下記:
【0048】
【表3】

と実質的に等しい単位格子パラメータ、
(d)図11に記載されているものと実質的に同様なDSCサーモグラム、
(e)図11に記載されているものと実質的に同様な熱重量分析(TGA)サーモグラム、
(f)吸熱開始温度が約194℃であるDSCサーモグラム、
(g)40℃かつ75% RHにて少なくとも1週間貯蔵された後の実質的に同じX線粉末回折(XRPD)パターン、
(h)25℃かつ92% RHにて12日間貯蔵された後の実質的に同じX線粉末回折(XRPD)パターン、
(i)約0.004mg/mLとして観測される水溶解度、
又は
(j)それらの組み合わせ、
を有するものとして特徴付けられる。
【0049】
幾つかの実施形態において、形態Bは、(a)〜(i)から選択される特性のうちの少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つを、又は9つとも全て有するものとして特徴付けられる。
【0050】
幾つかの実施形態において、形態Bは、図2に示すのと実質的に同じX線粉末回折(XRPD)パターンを有するものとして特徴付けられる。幾つかの実施形態において、形態Bは、12.1±0.1°2−θ、16.0±0.1°2−θ、16.7±0.1°2−θ、20.1±0.1°2−θ、20.3±0.1°2−θにて特徴的なピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有するものとして特徴付けられる。幾つかの実施形態において、形態Bは、40℃かつ75% RHにて少なくとも1週間貯蔵された後に実質的に同じX線粉末回折(XRPD)パターンを有するものとして特徴付けられる。幾つかの実施形態において、形態Bは、25℃かつ92% RHにて12日間貯蔵された後の実質的に同じX線粉末回折(XRPD)パターンを有するものとして特徴付けられる。
【0051】
幾つかの実施形態において、形態Bは、−173℃で下記:
【0052】
【表4】

と実質的に等しい単位格子パラメータを有するものとして特徴付けられる。」

「【0261】

[15]
4−[7−(6−シアノ−5−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)−8−オキソ−6−チオキソ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクト−5−イル]−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドの結晶質形態Bであって、
(a)図2に示すのと実質的に同じX線粉末回折(XRPD)パターン、
(b)12.1±0.1°2−θ、16.0±0.1°2−θ、16.7±0.1°2−θ、20.1±0.1°2−θ、20.3±0.1°2−θにて特徴的なピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターン、
(c)−173℃で下記:
【表20】

と実質的に等しい単位格子パラメータ、
(d)図11に記載されているものと実質的に同様なDSCサーモグラム、
(e)図11に記載されているものと実質的に同様な熱重量分析(TGA)サーモグラム、
(f)吸熱開始温度が約194℃であるDSCサーモグラム、
(g)40℃かつ75% RHにて少なくとも1週間貯蔵された後の実質的に同じX線粉末回折(XRPD)パターン、
(h)25℃かつ92% RHにて12日間貯蔵された後の実質的に同じX線粉末回折(XRPD)パターン、
(i)約0.004mg/mLとして観測される水溶解度、又は
(j)それらの組み合わせ、
を有することを特徴とする、結晶質形態B。
[16]
前記結晶質形態が、図2に示すのと実質的に同じX線粉末回折(XRPD)パターンである、[15]に記載の結晶質形態。
[17]
前記結晶質形態が、12.1±0.1°2−θ、16.0±0.1°2−θ、16.7±0.1°2−θ、20.1±0.1°2−θ、20.3±0.1°2−θにて特徴的なピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンである、[15]に記載の結晶質形態。
[18]
前記結晶質形態が、−173℃で下記:
【表21】

と実質的に等しい単位格子パラメータである、[15]に記載の結晶質形態。」

訂正前の(b)の表は、【0047】、【0048】、【0051】、【0052】、及び【0261】に、結晶質形態Bの単位格子パラメータである表3、表4、表20、及び表21として記載されており、本件特許明細書には、表3、表4、表20、及び表21を結晶質形態Aの単位格子パラメータであると記載した箇所は一つもないから、訂正前の(b)の表は、結晶質形態Bについてのものと理解すべきである。

請求項1〜19には、一貫して、結晶質形態Aについての発明が記載されており、請求項1の(a)のX線粉末回折(XRPD)パターン及び(c)のDSCサーモグラムも結晶質形態Aについてのものであるところ、訂正前の(b)の表は結晶質形態Bについてのものであるから、訂正前の(b)の表は、請求項1〜19から把握される結晶質形態Aに係る発明という点において、他の記載との関係で不合理を生じているために不明瞭となっている記載といえる。

そして、上記1(4)、及び1(11)、特に【0037】、【0038】、【0041】、【0042】、及び【0261】には、結晶質形態Aの単位格子パラメータとして、表1、表2、表18、及び表19が記載されており、訂正事項1の訂正後の(b)の表は、表1、表2、表18、及び表19と一致するから、結晶質形態Aについてのものといえる。
さらに、上記1(11)には、全体として、訂正後の記載が本来の記載として存在する。

そうすると、訂正事項1は、訂正前の結晶質形態Bの単位格子パラメータについての表を、結晶質形態Aの単位格子パラメータについての表に訂正するものであり、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面中の他の記載との関係で不合理を生じているために不明瞭となっている記載上の不備を訂正し、その本来の意味を明らかとするものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであると認められる。

(2)新規事項の追加について
訂正事項1は、上記(1)のとおり、訂正前の結晶質形態Bの単位格子パラメータについての表を、本件特許明細書の【0037】、【0038】、【0041】、【0042】、及び【0261】に記載された、本来の意味である結晶質形態Aの単位格子パラメータについての表に訂正するものであり、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第126条第5項に規定する要件に適合する。

(3)特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更について
訂正事項1は、上記(1)のとおり、記載の不合理を生じ、不明瞭であった記載を本来の記載にしただけであり、また、カテゴリーを変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項に規定する要件に適合する。

2 訂正事項2について
(1)訂正の目的について
ア 上記1(1)のとおり、本件特許の特許請求の範囲の請求項2には、「前記結晶質形態が、4.8±0.1°2−θ、7.1±0.1°2−θ、14.2±0.1°2−θ、16.3±0.1°2−θ、及び20.1±0.1°2−θにて特徴的なピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンである、請求項1に記載の結晶質形態A。」と記載されており、請求項2が引用する請求項1には、「…結晶質形態Aであって、(a)4.8±0.1°2−θ、7.1±0.1°2−θ、14.2±0.1°2−θ、16.3±0.1°2−θ、及び20.1±0.1°2−θにて特徴的なピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターン、または(b)…の少なくとも1つを有し、…結晶質形態A。」と記載されている。

イ X線粉末回折(XRPD)パターンは、結晶質形態が有する特性であり、結晶質形態がX線粉末回折(XRPD)パターンそのものであるはずがないのであるから、訂正前の「前記結晶質形態が、…にて特徴的なピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンである」との記載は、主語と述語の関係が不明瞭で、結晶質形態AがX線粉末回折(XRPD)パターンそのものであるとも理解される明瞭でない記載といえる。
そして、訂正後の記載は、引用する請求項1の記載とも整合している。

ウ したがって、訂正事項2は、本件特許明細書等の他の記載との関係で不合理を生じているために不明瞭となっている記載上の不備を訂正し、その本来の意味を明らかとするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであると認められる。

(2)新規事項の追加について
上記1(4)、1(6)、及び1(11)、特に、【0037】、【0040】、【0180】、及び【0261】、並びに図1には、結晶質形態AのX線粉末回折(XRPD)パターンが、4.8±0.1°2−θ、7.1±0.1°2−θ、14.2±0.1°2−θ、16.3±0.1°2−θ、及び20.1±0.1°2−θにて特徴的なピークを含むことを意味する記載が存在している。
そして、訂正事項2は、上記(1)のとおり、主語と述語の関係が不明瞭で、その意味が明瞭でない記載を、その本来の意味に訂正したものにすぎず、上記のとおり訂正後の主語と述語の関係を示す記載も存在しているから、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項2は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第126条第5項に規定する要件に適合する。

(3)特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更について
訂正事項2は、上記(1)のとおり、主語と述語の関係において記載の不合理を生じ、不明瞭であった記載を本来の記載にしただけであり、また、カテゴリーを変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項に規定する要件に適合する。

3 訂正事項3について
(1)訂正の目的について
訂正事項3は、上記1(1)と同様に、請求項3の結晶質形態Bの単位格子パラメータについての表を、本件特許明細書の【0041】、【0042】、及び【0261】に記載された、本来の意味である結晶質形態Aの単位格子パラメータについての表に訂正するものである。
そうすると、訂正事項3は、訂正前の結晶質形態Bの単位格子パラメータについての表を、結晶質形態Aの単位格子パラメータについての表に訂正するものであり、本件特許明細書等の他の記載との関係で不合理を生じているために不明瞭となっている記載上の不備を訂正し、その本来の意味を明らかとするものである。
したがって、訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであると認められる。

(2)新規事項の追加について
上記1(4)、及び1(11)、特に【0041】、【0042】、及び【0261】には、結晶質形態Aの単位格子パラメータとして、表2及び表19が記載されている。
訂正事項3は、上記(1)のとおり、訂正前の結晶質形態Bの単位格子パラメータについての表を、本件特許明細書の【0041】、【0042】、及び【0261】に記載された、本来の意味である結晶質形態Aの単位格子パラメータについての表に訂正するものであり、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項3は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第126条第5項に規定する要件に適合する。

(3)特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更について
訂正事項3は、上記(1)のとおり、記載の不合理を生じ、不明瞭であった記載を本来の記載にしただけであり、また、カテゴリーを変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項に規定する要件に適合する。

4 訂正事項4について
(1)訂正の目的について
ア 上記1(1)のとおり、本件特許の特許請求の範囲の請求項3には、「前記結晶質形態が、−173℃で下表:
【表2】

に記載の単位格子パラメータである、請求項1に記載の結晶質形態A。」と記載されており、請求項3が引用する請求項1には、「…結晶質形態Aであって、(a)…または(b)…に記載の単位格子パラメータの少なくとも1つを有し、…結晶質形態A。」と記載されている。

イ 単位格子パラメータは、結晶質形態が有する特性であり、結晶質形態が単位格子パラメータそのものであるはずがないのであるから、訂正前の「前記結晶質形態が、−173℃で下表:…に記載の単位格子パラメータである」との記載は、主語と述語の関係が不明瞭で、結晶質形態Aが単位格子パラメータそのものであるとも理解される明瞭でない記載といえる。
そして、訂正後の記載は、引用する請求項の1の記載とも整合している。

ウ したがって、訂正事項4は、本件特許明細書等の他の記載との関係で不合理を生じているために不明瞭となっている記載上の不備を訂正し、その本来の意味を明らかとするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであると認められる。

(2)新規事項の追加について
上記1(4)、1(6)、及び1(11)、特に、【0041】、【0042】及び【0261】には、結晶質形態Aが表2及び表19の単位格子パラメータを有することを意味する記載が存在している。
そして、訂正事項4は、上記(1)のとおり、主語と述語の関係が不明瞭で、その意味が明瞭でない記載を、その本来の意味に訂正したものにすぎず、上記のとおり訂正後の主語と述語の関係を示す記載も存在しているから、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、訂正事項4は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第126条第5項に規定する要件に適合する。

(3)特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更について
訂正事項4は、上記(1)のとおり、主語と述語の関係において記載の不合理を生じ、不明瞭であった記載を本来の記載にしただけであり、また、カテゴリーを変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項に規定する要件に適合する。

第5 むすび
以上のとおり、訂正事項1〜4は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5、6項に規定する要件に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
発明の名称 (57)特許請求の範囲
【請求項1】
4−[7−(6−シアノ−5−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)−8−オキソ−6−チオキソ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクト−5−イル]−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドの結晶質形態Aであって、
(a)4.8±0.1゜2−θ、7.1±0.1°2−θ、14.2±0.1°2−θ、16.3±0.1°2−θ、及び20.1±0.1°2−θにて特徴的なピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターン、または
(b)−173℃で下表:
【表1】

に記載の単位格子パラメータ、の少なくとも1つを有し、さらに任意に、
(c)吸熱開始温度が約108〜120℃でありピークが約133〜135℃である DSCサーモグラム
を有することを特徴とする、結晶質形態A。
【請求項2】
前記結晶質形態が、4.8±0.1°2−θ、7.1±0.1°2−θ、14.2±0.1°2−θ、16.3±0.1°2−θ、及び20.1±0.1°2−θにて特徴的なピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する、請求項1に記載の結晶質形態A。
【請求項3】
前記結晶質形態が、−173℃で下表:
【表2】

に記載の単位格子パラメータを有する、請求項1に記載の結晶質形態A。
【請求項4】
前記結晶質形態が、吸熱開始温度が約108〜120℃でありピークが約133〜135℃であるDSCサーモグラムを有する、請求項1に記載の結晶質形態A。
【請求項5】
前記結晶質形態が、特性(a)、(b)及び(c)を有することを特徴とする、請求項1に記載の結晶質形態A。
【請求項6】
前記結晶質形態が溶媒和されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の結晶質形態A。
【請求項7】
前記結晶質形態がエタノール溶媒和物である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の結晶質形態A。
【請求項8】
前記結晶質形態が水和物である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の結晶質形態A。
【請求項9】
前記結晶質形態が溶媒和された水和物である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の結晶質形態A。
【請求項10】
4−[7−(6−シアノ−5−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)−8−オキソ−6−チオキソ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクト−5−イル]−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドと、薬理学的に許容される担体、希釈液及び賦形剤から選択される少なくとも1つの追加成分とを含む医薬組成物であって、前記組成物中の4−[7−(6−シアノ−5−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)−8−オキソ−6−チオキソ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクト−5−イル]−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドは、請求項1〜9のいずれか一項に記載の結晶質形態Aである医薬組成物。
【請求項11】
前記医薬組成物が哺乳動物への経口投与に適した形態である、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記医薬組成物が固体の経口投与形態である、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記医薬組成物が0.5mg〜1000mgの結晶質形態Aの4−[7−(6−シアノ−5−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)−8−オキソ−6−チオキソ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクト−5−イル]−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドを含む、請求項10〜12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
哺乳動物の前立腺癌治療のための医薬の製造における、請求項10〜13のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項15】
前記前立腺癌がホルモン感受性の前立腺癌又はホルモン耐性の前立腺癌である、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記哺乳動物がヒト患者である、請求項14に記載の医薬組成物の使用。
【請求項17】
哺乳動物の前立腺癌治療のための医薬の製造における、請求項1〜9のいずれか一項に記載の4−[7−(6−シアノ−5−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)−8−オキソ−6−チオキソ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクト−5−イル]−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドの結晶質形態Aの使用。
【請求項18】
前記前立腺癌がホルモン感受性の前立腺癌又はホルモン耐性の前立腺癌である、請求項17に記載の4−[7−(6−シアノ−5−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)−8−オキソ−6−チオキソ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクト−5−イル]−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドの結晶質形態Aの使用。
【請求項19】
前記哺乳動物がヒト患者である、請求項17に記載の4−[7−(6−シアノ−5−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)−8−オキソ−6−チオキソ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクト−5−イル]−2−フルオロ−N−メチルベンズアミドの結晶質形態Aの使用。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2022-02-14 
結審通知日 2022-02-17 
審決日 2022-03-04 
出願番号 P2017-025746
審決分類 P 1 41・ 853- Y (C07D)
P 1 41・ 855- Y (C07D)
P 1 41・ 854- Y (C07D)
P 1 41・ 841- Y (C07D)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 瀬良 聡機
特許庁審判官 小堀 麻子
関 美祝
登録日 2018-06-01 
登録番号 6345821
発明の名称 アンドロゲン受容体変調剤の結晶質形態  
代理人 小林 純子  
代理人 箱田 満  
代理人 小林 浩  
代理人 小林 浩  
代理人 小林 純子  
代理人 小林 純子  
代理人 箱田 満  
代理人 小林 浩  
代理人 箱田 満  
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