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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する H04N
審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正する H04N
審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正する H04N
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する H04N
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する H04N
審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する H04N
管理番号 1385103
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-06-24 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2021-12-22 
確定日 2022-04-01 
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第5678016号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5678016号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2、4、9〕について訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件訂正審判に係る特許第5678016号(以下、「本件特許」という。)は、平成24年8月29日に出願され、その請求項1〜8に係る発明について、平成27年1月9日に特許権の設定登録がされたものである。
その後、令和3年12月22日に本件特許に対して訂正審判の請求がされ、令和4年2月4日に補正書が提出されたものである。
なお、当該補正は、審判の請求に係る請求項の数の誤記を補正するためのものである。

第2 請求の趣旨及び訂正の内容
1 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、令和4年2月4日に提出された補正書により補正された審判請求書によれば、
「特許第5678016号の明細書、特許請求の範囲を、本審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、4、及び9について訂正することを認める、との審決を求める。」
というものである。

2 訂正の内容
本件訂正審判に係る訂正の内容は、以下のとおりである。
なお、下線部は訂正箇所を示す。

(1)一群の請求項1、2、4及び9に係る訂正
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記省エネ制御部は、前記省エネモード中の前記操作入力が複数の機能に共通する場合に前記操作入力の次に続く動作に必要な動作部のみを復帰させ、前記省エネモード中の前記操作入力が特定の機能に対するものであることが明確になった時点で前記特定の機能に必要な動作部を復帰させ、前記操作入力に関連付けられた操作入力の目的から使用されることが予測される動作部を復帰させる部分復帰モードを有する、」と記載されているのを、「前記省エネ制御部は、前記省エネモード中の前記操作入力のうちの第1操作入力が複数の機能に共通する場合に前記第1操作入力の次に続く動作に必要な動作部のみを復帰させ、前記省エネモード中の前記操作入力のうちの第2操作入力が特定の機能に対するものであることが明確になった時点で前記特定の機能に必要な動作部を復帰させ、前記省エネモード中の前記操作入力のうちの第3操作入力が認証情報の入力又はコイン投入である場合に、前記第3操作入力に関連付けられた操作入力の目的から使用されることが予測される動作部を復帰させる部分復帰モードを有する、」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2及び4も同様に訂正する。)

イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に「前記省エネ制御部は、前記省エネモード中の前記操作入力が複数の機能に共通する場合に前記操作入力の次に続く動作に必要な動作部のみを復帰させ、前記省エネモード中の前記操作入力が特定の機能に対するものであることが前記特定の機能に対応するジョブの発生に基づき明確になった時点で前記特定の機能に必要な動作部を復帰させる、前記操作入力に関連付けられた操作入力の目的から使用されることが予測される動作部を復帰させる部分復帰モードを有する、」と記載されているのを、「前記省エネ制御部は、前記省エネモード中の前記第1操作入力が複数の機能に共通する場合に前記第1操作入力の次に続く動作に必要な動作部のみを復帰させ、前記省エネモード中の前記第2操作入力が特定の機能に対するものであることが前記特定の機能に対応するジョブの発生に基づき明確になった時点で前記特定の機能に必要な動作部を復帰させ、前記第3操作入力に関連付けられた操作入力の目的から使用されることが予測される動作部を復帰させる部分復帰モードを有する、」に訂正する。(請求項2の記載を引用する請求項4も同様に訂正する。)

ウ 訂正事項3
ウ−1 訂正事項3−1
特許請求の範囲の請求項4に「請求項1〜3の何れか1項に記載の画像形成装置であって、前記省エネ制御部に対して前記省エネモードからの復帰モードを切り替える復帰モード切替部を備え、前記復帰モードは、前記部分復帰モードに加えて、何れの操作入力によっても全ての動作部を復帰させる全復帰モードと、前記全復帰モード及び部分復帰モードを併用し前記操作入力以外の特定操作に限って前記全復帰モードによる復帰を行う複合復帰モードとを含む、ことを特徴とする画像形成装置。」とあるうち、請求項1又は2を引用するものについて、「請求項1又は2記載の画像形成装置であって、前記省エネ制御部に対して前記省エネモードからの復帰モードを切り替える復帰モード切替部を備え、前記復帰モードは、前記部分復帰モードに加えて、何れの操作入力によっても全ての動作部を復帰させる全復帰モードと、前記全復帰モード及び部分復帰モードを併用し前記操作入力以外の特定操作に限って前記全復帰モードによる復帰を行う複合復帰モードとを含む、ことを特徴とする画像形成装置。」に訂正する。

ウ−2 訂正事項3−2
特許請求の範囲の請求項4に「請求項1〜3の何れか1項に記載の画像形成装置であって、前記省エネ制御部に対して前記省エネモードからの復帰モードを切り替える復帰モード切替部を備え、前記復帰モードは、前記部分復帰モードに加えて、何れの操作入力によっても全ての動作部を復帰させる全復帰モードと、前記全復帰モード及び部分復帰モードを併用し前記操作入力以外の特定操作に限って前記全復帰モードによる復帰を行う複合復帰モードとを含む、ことを特徴とする画像形成装置。」とあるうち、請求項3を引用するものについて、「請求項3に記載の画像形成装置であって、前記省エネ制御部に対して前記省エネモードからの復帰モードを切り替える復帰モード切替部を備え、前記復帰モードは、前記部分復帰モードに加えて、何れの操作入力によっても全ての動作部を復帰させる全復帰モードと、前記全復帰モード及び部分復帰モードを併用し前記操作入力以外の特定操作に限って前記全復帰モードによる復帰を行う複合復帰モードとを含む、ことを特徴とする画像形成装置。」と記載し、新たに請求項9とする。

エ 訂正事項4
明細書の段落【0012】に「本発明は、ユーザーの利便性向上を図りながら消費電力の抑制効果を向上するために、選択的な操作入力を行わせて異なる機能による処理に向けた動作を可能とする複数の操作入力部と、前記操作入力後に1又は複数が動作することで前記異なる機能による処理を行う複数の動作部と、前記複数の動作部に対して省エネモードにすると共に前記省エネモードから復帰させる省エネ制御を行う省エネ制御部とを備え、前記省エネ制御部は、前記省エネモード中の前記操作入力が複数の機能に共通する場合に前記操作入力の次に続く動作に必要な動作部のみを復帰させ、前記省エネモード中の前記操作入力が特定の機能に対するものであることが明確になった時点で前記特定の機能に必要な動作部を復帰させ、前記操作入力に関連付けられた操作入力の目的から使用されることが予測される動作部を復帰させる部分復帰モードを有することを最も主な特徴とする。」とあるのを、「本発明は、ユーザーの利便性向上を図りながら消費電力の抑制効果を向上するために、選択的な操作入力を行わせて異なる機能による処理に向けた動作を可能とする複数の操作入力部と、前記操作入力後に1又は複数が動作することで前記異なる機能による処理を行う複数の動作部と、前記複数の動作部に対して省エネモードにすると共に前記省エネモードから復帰させる省エネ制御を行う省エネ制御部とを備え、前記省エネ制御部は、前記省エネモード中の前記操作入力のうちの第1操作入力が複数の機能に共通する場合に前記第1操作入力の次に続く動作に必要な動作部のみを復帰させ、前記省エネモード中の前記操作入力のうちの第2操作入力が特定の機能に対するものであることが明確になった時点で前記特定の機能に必要な動作部を復帰させ、前記省エネモード中の前記操作入力のうちの第3操作入力が認証情報の入力又はコイン投入である場合に、前記第3操作入力に関連付けられた操作入力の目的から使用されることが予測される動作部を復帰させる部分復帰モードを有することを最も主な特徴とする。」に訂正する。

第3 当審の判断
1 請求項1、2、4及び9に係る訂正について
(1)一群の請求項について
訂正前の請求項1、2、4について、訂正前の請求項4は、請求項1、2の何れかを引用しているものであって、訂正事項1、2によって記載が訂正される請求項1、2に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1、2、4に対応する訂正後の請求項1、2、4及び9は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。

(2)訂正事項1について
ア 訂正前及び訂正後の請求項1に係る発明
訂正事項1を判断するに当たり、訂正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「訂正前発明1」という。)及び訂正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「訂正後発明1」という。)を分説すると次のとおりである。下線は、訂正の箇所である。
A〜Dは、構成要件を区別するために当審で付与したものであり、以下、「構成A」〜「構成D」という。

ア−1 訂正前発明1
A 選択的な操作入力を行わせて異なる機能による処理に向けた動作を可能とする複数の操作入力部と、
B 前記操作入力後に1又は複数が動作することで前記異なる機能による処理を行う複数の動作部と、
C 前記複数の動作部に対して省エネモードにすると共に前記省エネモードから復帰させる省エネ制御を行う省エネ制御部とを備え、
C 前記省エネ制御部は、
C1 前記省エネモード中の前記操作入力が複数の機能に共通する場合に前記操作入力の次に続く動作に必要な動作部のみを復帰させ、
C2 前記省エネモード中の前記操作入力が特定の機能に対するものであることが明確になった時点で前記特定の機能に必要な動作部を復帰させ、
C3 前記操作入力に関連付けられた操作入力の目的から使用されることが予測される動作部を復帰させる部分復帰モードを有する、
D ことを特徴とする画像形成装置。

ア−2 訂正後発明1
A 選択的な操作入力を行わせて異なる機能による処理に向けた動作を可能とする複数の操作入力部と、
B 前記操作入力後に1又は複数が動作することで前記異なる機能による処理を行う複数の動作部と、
C 前記複数の動作部に対して省エネモードにすると共に前記省エネモードから復帰させる省エネ制御を行う省エネ制御部とを備え、
C 前記省エネ制御部は、
C1’ 前記省エネモード中の前記操作入力のうちの第1操作入力が複数の機能に共通する場合に前記第1操作入力の次に続く動作に必要な動作部のみを復帰させ、
C2’ 前記省エネモード中の前記操作入力のうちの第2操作入力が特定の機能に対するものであることが明確になった時点で前記特定の機能に必要な動作部を復帰させ、
C3’ 前記省エネモード中の前記操作入力のうちの第3操作入力が認証情報の入力又はコイン投入である場合に、前記第3操作入力に関連付けられた操作入力の目的から使用されることが予測される動作部を復帰させる部分復帰モードを有する、
D ことを特徴とする画像形成装置。

イ 訂正の目的について
訂正事項1は、
構成C1における2箇所の「前記操作入力」について、前者を「前記操作入力のうちの第1操作入力」、後者を「前記第1操作入力」に訂正(以下、「訂正事項1−1」という。)し、
構成C2における「前記操作入力」を「前記操作入力のうちの第2操作入力」に訂正(以下、「訂正事項1−2」という。)し、
構成C3における「前記操作入力」を「前記省エネモード中の前記操作入力のうちの第3操作入力が認証情報の入力又はコイン投入である場合に、前記第3操作入力」に訂正(以下、「訂正事項1−3」という。)するものである。

そうすると、訂正前発明1の構成C1〜C3の「前記操作入力」が、同じ操作入力を指すものであるのか、操作入力として違う種類の操作入力に対応するものであるのかが明瞭でなかったものを、「前記操作入力」について、「前記操作入力のうちの第1操作入力」及び「前記第1操作入力」に訂正する訂正事項1−1、「前記操作入力」を「前記操作入力のうちの第2操作入力」に訂正する訂正事項1−2、「前記操作入力」を「前記省エネモード中の前記操作入力のうちの第3操作入力が認証情報の入力又はコイン投入である場合に、前記第3操作入力」に訂正する訂正事項1−3は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、それぞれの「前記操作入力」を減縮したものであるから、訂正事項1−1〜訂正事項1−3は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明及び特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
訂正事項1に関連して、本件特許明細書には、以下のような記載がある。
なお、下線は、説明のために、当審で付したものである。

「【0041】
図3において、「DP原稿セット」、「原稿マット開閉」、「コインベンダーコイン投入」、「ICカードタッチ」は、複数の機能に共通して行われるトリガー操作を示している。
【0042】
「DP原稿セット」及び「原稿マット開閉」は、それぞれ原稿送り装置3bへの原稿セット及び原稿カバー3aの開閉であり、コピー機能、スキャナー機能、FAX機能の際に共通に行われるトリガー操作である。これらのトリガー操作では、次に続く動作としてスキャンが行われることになる。従って、「DP原稿セット」及び「原稿マット開閉」の場合は、動作部5a,5bの復帰の要否として、スキャナー復帰が「要」でエンジン復帰が「不要」に設定されている。
【0043】
「コインベンダーコイン投入」及び「ICカードタッチ」は、それぞれコインベンダー3fへの硬貨の投入及びICカードリーダー3eでのICカードの読み取りであり、画像形成装置1を使用可能とする際に行われるトリガー操作である。これらのトリガー操作は、直接的に次に続く動作が不明であるが、その目的に応じて動作部5a,5bの復帰の要否が設定されている。
【0044】
「コインベンダーコイン投入」の場合は、画像形成装置1を店舗等で使用可能とする関係上、コピー機能が利用されることが多い。このため、「コインベンダーコイン投入」に対しては、スキャナー復帰及びエンジン復帰の双方が「要」に設定されている。
【0045】
「ICカードタッチ」の場合は、ユーザーの認証を通じて画像形成装置1の設定を行わせることが多い。このため、「ICカードタッチ」に対しては、スキャナー復帰及びエンジン復帰の双方が「不要」に設定されている。
【0046】
図3の「プリンター印刷」、「TWAIN/WIA」、「WSDスキャン」、「WSDプリント」、「NetworkFax送信」は、特定の機能に対するものであることが明確なトリガー操作を示している。
【0047】
「プリンター印刷」は、ユーザー端末(外部装置)からのプリント指示(プリントジョブ)の入力であり、プリント機能であることが明確なトリガー操作である。
【0048】
「TWAIN/WIA」は、TWAINやWIAドライバがインストールされたユーザー端末からのスキャン指示(スキャンジョブ)の入力であり、スキャン機能であることが明確なトリガー操作である。
【0049】
「WSDスキャン」は、WSDL機能をサポートしているOS(Operating System)がインストールされたユーザー端末からのスキャン指示(スキャンジョブ)の入力、「WSDプリント」は、同プリント指示(プリントジョブ)の入力である。このため、それぞれスキャン機能及びプリント機能であることが明確なトリガー操作である。
【0050】
「NetworkFax送信」は、ユーザー端末からのネットワークFAXの送信指示(FAXジョブ)の入力であり、FAX機能であることが明確なトリガー操作である。
【0051】
これらの「プリンター印刷」、「TWAIN/WIA」、「WSDスキャン」、「WSDプリント」、「NetworkFax送信」に対しては、それぞれ機能に必要な動作部5a,5bの復帰の要否が設定されている。」
「【0059】
こうして終了した省エネ制御処理は、トリガー操作が入力されるたびに行われ、各トリガー操作が複数の機能に共通する限り、トリガー操作の次に続く動作に必要な動作部5a及び5bの何れか一方又は双方を復帰させる。
【0060】
そして、トリガー操作が特定の機能に対するものであることが明確になった時点では、特定の機能に必要な動作部5a,5bを復帰させる。」
「【0063】
この状態で、例えば図3の「DP原稿セット」や「原稿マット開閉」が行われると、図4(b)のように次の動作に必要なスキャナー5aが復帰し稼動する。
【0064】
その後、例えば操作パネルでコピー実行指示がトリガー操作として行われると、コピージョブが発生してコピー機能であることが明確となる。この場合は、図4(c)のように、コピー機能に必要なプリントエンジン5bも復帰し稼動することになる。なお、実行指示入力の前に機能選択が行われる場合は、その時点で機能が明確となる。」

そうすると、「DP原稿セット」及び「原稿マット開閉」のトリガー操作は、訂正事項1−1の「前記操作入力のうちの第1操作入力」に対応し、「プリンター印刷」、「TWAIN/WIA」、「WSDスキャン」、「WSDプリント」、「NetworkFax送信」のトリガー操作及び「コピー実行指示」のトリガー操作は、訂正事項1−2の「前記操作入力のうちの第2操作入力」に対応し、「コインベンダーコイン投入」及び「ICカードタッチ」のトリガー操作は、訂正事項1−3の「前記省エネモード中の前記操作入力のうちの第3操作入力が認証情報の入力又はコイン投入である場合」に対応する。

したがって、訂正事項1は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。

また、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に適合するものである。

(3)訂正事項2について
ア 訂正前及び訂正後の請求項2に係る発明
訂正事項2を判断するに当たり、訂正前の特許請求の範囲の請求項2に係る発明(以下「訂正前発明2」という。)及び訂正後の特許請求の範囲の請求項2に係る発明(以下「訂正後発明2」という。)を分説すると次のとおりである。下線は、訂正の箇所である。
E〜Gは、構成要件を区別するために当審で付与したものであり、以下、「構成E」〜「構成G」という。

ア−1 訂正前発明2
E 請求項1記載の画像形成装置であって、
F 前記省エネ制御部は、
F1 前記省エネモード中の前記操作入力が複数の機能に共通する場合に前記第1操作入力の次に続く動作に必要な動作部のみを復帰させ、
F2 前記省エネモード中の前記操作入力が特定の機能に対するものであることが前記特定の機能に対応するジョブの発生に基づき明確になった時点で前記特定の機能に必要な動作部を復帰させる、
F3 前記操作入力に関連付けられた操作入力の目的から使用されることが予測される動作部を復帰させる部分復帰モードを有する、
G ことを特徴とする画像形成装置。

ア−2 訂正後発明2
E 請求項1記載の画像形成装置であって、
F 前記省エネ制御部は、
F1’前記省エネモード中の前記第1操作入力が複数の機能に共通する場合に前記第1操作入力の次に続く動作に必要な動作部のみを復帰させ、
F2’前記省エネモード中の前記第2操作入力が特定の機能に対するものであることが前記特定の機能に対応するジョブの発生に基づき明確になった時点で前記特定の機能に必要な動作部を復帰させ、
F3’前記第3操作入力に関連付けられた操作入力の目的から使用されることが予測される動作部を復帰させる部分復帰モードを有する、
G ことを特徴とする画像形成装置。

イ 訂正の目的について
訂正事項2は、
構成F1における2箇所の「前記操作入力」について、「前記第1操作入力」に訂正(以下、「訂正事項2−1」という。)し、
構成F2における「前記操作入力」を「前記第2操作入力」に訂正(以下、「訂正事項2−2」という。)し、
構成F2における「復帰させる」を「復帰させ」に訂正(以下、「訂正事項2−3」という。)し、
構成F3における「前記操作入力」を「前記第3操作入力」に訂正(以下、「訂正事項2−4」という。)するものである。

そうすると、訂正前発明2の構成F1〜F3の「前記操作入力」が、同じ操作入力を指すものであるのか、操作入力として違う種類の操作入力に対応するものであるのかが明瞭でなく、また、訂正事項1により、各「操作入力」が「第1操作入力」、「第2操作入力」、「第3操作入力」に訂正されたために訂正後発明1の記載との関係において不合理を生じている記載となったことに伴い、「前記操作入力」について、「前記第1操作入力」に訂正する訂正事項2−1、「前記操作入力」を「前記第2操作入力」に訂正する訂正事項2−2、「前記操作入力」を「前記第3操作入力」に訂正する訂正事項2−4は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、それぞれの「前記操作入力」を減縮したものであるから、訂正事項2−1、訂正事項2−2、訂正事項2−4は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

そして、訂正前発明2の構成F〜構成Gは、「前記省エネ制御部は、・・・復帰させ、・・・復帰させる、・・・を有する、ことを特徴とする画像形成装置。」であり、日本語の文章として明瞭でなく、「復帰させる」を「復帰させ」に訂正する訂正事項2−3は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明及び特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
訂正事項2−1、訂正事項2−4については、上記(2)ウと同様である。
訂正事項2−2について、本件特許明細書の【0064】の記載から、「コピー実行指示」のトリガー操作は、訂正事項2−2の「前記操作入力のうちの第2操作入力」に対応する。
訂正事項2−3は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではない。

したがって、訂正事項2は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。

また、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に適合するものである。

(4)訂正事項3について
ア 訂正の目的について
訂正事項3−1は、請求項4の「請求項1〜3の何れか1項」を「請求項1又は2の何れか1項」とする訂正であり、訂正事項3−2は、請求項4の「請求項1〜3の何れか1項」を「請求項3」とし、新たな請求項9とする訂正である。

訂正事項3−1及び訂正事項3−2は、3つの請求項を引用している1の請求項を、2つの請求項を引用している1の請求項と1つの請求項を引用している1の請求項の2つの請求項に変更する訂正であり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。

したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
訂正事項3は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではない。

したがって、訂正事項3は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。

また、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に適合するものである。

(5)訂正事項4について
訂正事項4は、訂正事項1により請求項1に係る発明を訂正したことに伴い、特許請求の範囲の請求項1の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正である。

したがって、訂正事項4に関する「訂正の目的」、「新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張又は変更の有無」についての判断は、上記(2)イ、ウにおいて検討したとおりである。
よって、訂正事項4に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明及び特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、特許法第126条第5項、第6項の規定に適合するものである。

(6)独立特許要件について
訂正事項1〜3に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とすることを含むものであるところ、訂正後における特許請求の範囲の請求項1、2、4、9に記載される事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。

訂正事項4は、訂正事項1により請求項1に係る発明を訂正したことに伴い、特許請求の範囲の請求項1の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、訂正事項4に関する独立特許要件についての判断は、訂正事項1に関する独立特許要件違反についての判断と同様に、訂正後の請求項1に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を発見しない。

したがって、訂正事項1〜4は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

第4 むすび
以上のとおり、本件訂正審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】画像形成装置及び省エネ制御プログラム
【技術分野】
【0001】
本発明は、省エネモードを有する画像形成装置及び省エネ制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のデジタル複合機等の画像形成装置においては、省エネモード(省電力モード)を備えることが多くなっている。省エネモードでは、例えばスキャナーやプリントエンジン等の動作部への給電が遮断され、余計な消費電力を抑えることができる。
【0003】
省エネモードとなった後は、例えば特許文献1のように、原稿がセットされた際等に全ての動作部を復帰させることで処理動作を行うことができるようになる。
【0004】
この技術では、原稿をセットするだけで動作部を復帰させることができるので、ユーザーにとって利便性が高い。
【0005】
ところが、デジタル複合機等は、コピー機能、スキャナ機能、プリント機能等のように各種の機能を有しており、それらの機能によっては、全ての動作部を復帰させることが必ずしも必要ではない。
【0006】
このため、上記技術では、不要な動作部が復帰するおそれがあり、消費電力の抑制に限界があった。
【0007】
これに対し、例えば特許文献2のように、機能毎に設けたボタンを選択させ、選択された機能に必要な動作部だけを省エネモードから復帰させるものがある。
【0008】
この技術では、機能に必要な動作部のみを復帰させるので、消費電力の抑制効果を向上することができる。
【0009】
しかし、機能毎に設けられたボタンを選択しない限り省エネモードからの復帰が行われないので、ユーザーの利便性に欠けるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11−252289号公報
【特許文献2】特開2004−222234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
発明が解決しようとする課題は、ユーザーの利便性向上を図りながら消費電力の抑制効果を向上できなかった点である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、ユーザーの利便性向上を図りながら消費電力の抑制効果を向上するために、選択的な操作入力を行わせて異なる機能による処理に向けた動作を可能とする複数の操作入力部と、前記操作入力後に1又は複数が動作することで前記異なる機能による処理を行う複数の動作部と、前記複数の動作部に対して省エネモードにすると共に前記省エネモードから復帰させる省エネ制御を行う省エネ制御部とを備え、前記省エネ制御部は、前記省エネモード中の前記操作入力のうちの第1操作入力が複数の機能に共通する場合に前記第1操作入力の次に続く動作に必要な動作部のみを復帰させ、前記省エネモード中の前記操作入力のうちの第2操作入力が特定の機能に対するものであることが明確になった時点で前記特定の機能に必要な動作部を復帰させ、前記省エネモード中の前記操作入力のうちの第3操作入力が認証情報の入力又はコイン投入である場合に、前記第3操作入力に関連付けられた操作入力の目的から使用されることが予測される動作部を復帰させる部分復帰モードを有することを最も主な特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、操作入力の次に続く動作部のみを復帰させることにより、ユーザーの利便性向上を図りながら消費電力の抑制効果を向上することができる。
【0014】
また、操作入力が特定の機能に対するものであることが明確になった時点で、その特定の機能に必要な動作部を復帰させることで処理を正常に完了することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】画像形成装置を示すブロック図である(実施例1)。
【図2】省エネ制御処理を示すフローチャートである(実施例1)。
【図3】トリガー操作と動作部の復帰要否との対応関係を示す図表である(実施例1)。
【図4】省エネ制御処理による動作部の復帰を示す概念図である(実施例1)。
【図5】画像形成装置を示すブロック図である(実施例2)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ユーザーの利便性向上を図りながら消費電力の抑制効果を向上するという目的を、省エネモード中の操作入力が複数の機能に共通する場合に操作入力の次に続く動作に必要な動作部のみを復帰させ、省エネモード中の操作入力が特定の機能に対するものであることが明確になった時点で特定の機能に必要な動作部を復帰させる部分復帰モードによって実現した。
【実施例1】
【0017】
図1は、画像形成装置を示すブロック図である。
【0018】
図1の画像形成装置1は、例えば省エネモード(省電力モード)を有するデジタル複合機からなり、コピー機能(複写機能)、スキャナー機能、プリント機能(印刷機能)、FAX機能等の異なる複数の機能を有している。
【0019】
この画像形成装置1は、複数の操作入力部として原稿カバー3a、原稿送り装置3b、外部インターフェース3c、ネットワークインターフェース3d、ICカードリーダー3e、コインベンダー3f等を備え、それらを通じた選択的な操作入力をユーザーに行わせて異なる機能による動作を可能とする。なお、原稿送り装置3b、原稿カバー3a、外部インターフェース3c、ネットワークインターフェース3d、ICカードリーダー3e、コインベンダー3fは、操作入力部3a〜3fと称することもある。
【0020】
原稿カバー3aは、原稿台上で開閉され文書等の原稿を読み取りのために押さえる。原稿送り装置3bは、セットされた複数の原稿を読み取りのために順次送る。
【0021】
外部インターフェース3cは、外部装置を接続させるUSB等からなり、接続された外部装置に対するデータの送受信を行う。ネットワークインターフェース3dは、ネットワークを介して外部装置を接続させてデータの送受信を行う。
【0022】
本実施例では、外部インターフェース3cやネットワークインターフェース3dを介 してプリント指示、スキャナー指示、FAX送信指示等が行われる。
【0023】
ICカードリーダー3eは、ICカードの読取を行ってユーザーの認証情報等を入力させる。コインベンダー3fは、画像形成装置1を使用可能とするために硬貨を投入させるものであり、画像形成装置1の使用に対して課金を行う店舗等に設置する際に設けられる。
【0024】
本実施例の画像形成装置1は、異なる機能による処理動作を行うために、複数の動作部としてスキャナー5a及びプリントエンジン5bを備えている。なお、スキャナー5a及びプリントエンジン5bは、それぞれ動作部5a,5bと称することもある。
【0025】
スキャナー5aは、原稿カバー3aによって押さえられ或いは原稿送り装置3bから送られた原稿を読み取って画像データを生成する。このスキャナー5aは、コピー機能、スキャナー機能、FAX機能等に用いられる。
【0026】
プリントエンジン5bは、スキャナー5aによる画像データ又は外部インターフェース3cやネットワークインターフェース3dを介して入力された画像データに基づいて用紙上に画像を形成する。このプリントエンジン5bは、コピー機能、プリント機能、FAX機能等に用いられる。
【0027】
上記構成の画像形成装置1は、制御部7によって各部の制御が行われる。制御部7は、情報処理機能を有するコンピューターであり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備える。
【0028】
CPUは、プログラムを実行して上記各部の制御や作業を行わせる制御要素(演算装置)である。ROMは、プログラム等を記憶するメモリである。RAMは、プログラムを実行する際にそのプログラムや各種データを一時的に記憶して、作業領域等として用いるメモリである。
【0029】
本実施例の制御部7は、省エネ制御プログラムを実行することで、省エネ制御部9として機能する。省エネ制御部9は、省エネ制御手順を実現するものであり、省エネ移行部11と、操作入力検出部13と、要否判断部15と、省エネ復帰部17とを備える。
【0030】
省エネ移行部11は、画像形成装置1が所定時間動作しない場合等に、動作部5a,5bへの給電を遮断して省エネモードへ移行させる。
【0031】
操作入力検出部13は、省エネモード中に操作入力部3a〜3fを介したユーザーの操作入力を、省エネモードからの復帰のためのトリガー操作として検出する。
【0032】
要否判断部15は、トリガー操作に応じて、動作部5a,5bの省エネモードからの復帰の要否を判断する。この要否判断では、省エネモード中のトリガー操作が複数の機能に共通する場合に、トリガー操作の次に続く動作に必要な動作部5a及び5bの何れか一方又は双方を「復帰要」と判断する。
【0033】
また、省エネモード中のトリガー操作が特定の機能に対するものであることが明確になった時点では、特定の機能に必要な動作部5a,5bを「復帰要」と判断する。
【0034】
省エネ復帰部17は、復帰要と判断された動作部5a,5bを給電により省エネモードから復帰させる。
[省エネ制御処理]
図2は、省エネ制御処理を示すフローチャートである。本実施例の省エネ制御処理では、画像形成装置1が省エネモードに移行することでスタートし、図2のステップS1以降の処理が行われる。
【0035】
ステップS1では、「トリガー操作有り?」の処理が行われる。すなわち、省エネ制御部9の操作入力検出部13は、操作入力部3a〜3fによるトリガー操作の有無を判断する。
【0036】
本実施例では、原稿カバー3aの開閉、原稿送り装置3bへの原稿セット、ICカードリーダー3eでICカードの読み取り、コインベンダー3fへの硬貨の投入、或いは外部インターフェース3c又はネットワークインターフェース3dを介したプリント指示、スキャン指示、FAX送信指示等をトリガー操作入力として検出する。
【0037】
なお、トリガー操作入力の検出は、原稿カバー3a、原稿送り装置3b、ICカードリーダー3e、コインベンダー3fに設けられたセンサーの信号や外部インターフェース3c又はネットワークインターフェース3dを介したデータ受信により行うことができる。
【0038】
トリガー操作が有ったときは(YES)、ステップS2へ移行し、トリガー操作が無い限りは(NO)、ステップS1の処理を繰り返す。
【0039】
ステップS2以降では、図3の要否テーブルを用いた復帰要否判断を行いながら必要な動作部5a,5bを復帰させていく。
【0040】
図3では、トリガー操作と動作部5a,5bの復帰要否との対応関係を示している。なお、図3のトリガー操作は一例であり、他の操作入力をトリガー操作に含めることも可能である。
【0041】
図3において、「DP原稿セット」、「原稿マット開閉」、「コインベンダーコイン投入」、「ICカードタッチ」は、複数の機能に共通して行われるトリガー操作を示している。
【0042】
「DP原稿セット」及び「原稿マット開閉」は、それぞれ原稿送り装置3bへの原稿セ ット及び原稿カバー3aの開閉であり、コピー機能、スキャナー機能、FAX機能の際に 共通に行われるトリガー操作である。これらのトリガー操作では、次に続く動作としてス キャンが行われることになる。従って、「DP原稿セット」及び「原稿マット開閉」の場 合は、動作部5a,5bの復帰の要否として、スキャナー復帰が「要」でエンジン復帰が
「不要」に設定されている。
【0043】
「コインベンダーコイン投入」及び「ICカードタッチ」は、それぞれコインベンダー3fへの硬貨の投入及びICカードリーダー3eでのICカードの読み取りであり、画像形成装置1を使用可能とする際に行われるトリガー操作である。これらのトリガー操作は、直接的に次に続く動作が不明であるが、その目的に応じて動作部5a,5bの復帰の要否が設定されている。
【0044】
「コインベンダーコイン投入」の場合は、画像形成装置1を店舗等で使用可能とする関係上、コピー機能が利用されることが多い。このため、「コインベンダーコイン投入」に対しては、スキャナー復帰及びエンジン復帰の双方が「要」に設定されている。
【0045】
「ICカードタッチ」の場合は、ユーザーの認証を通じて画像形成装置1の設定を行わせることが多い。このため、「ICカードタッチ」に対しては、スキャナー復帰及びエンジン復帰の双方が「不要」に設定されている。
【0046】
図3の「プリンター印刷」、「TWAIN/WIA」、「WSDスキャン」、「WSDプリント」、「NetworkFax送信」は、特定の機能に対するものであることが明確なトリガー操作を示している。
【0047】
「プリンター印刷」は、ユーザー端末(外部装置)からのプリント指示(プリントジョブ)の入力であり、プリント機能であることが明確なトリガー操作である。
【0048】
「TWAIN/WIA」は、TWAINやWIAドライバがインストールされたユーザー端末からのスキャン指示(スキャンジョブ)の入力であり、スキャン機能であることが明確なトリガー操作である。
【0049】
「WSDスキャン」は、WSDL機能をサポートしているOS(Operating System)がインストールされたユーザー端末からのスキャン指示(スキャンジョブ)の入力、「WSDプリント」は、同プリント指示(プリントジョブ)の入力である。このため、それぞれスキャン機能及びプリント機能であることが明確なトリガー操作である。
【0050】
「NetworkFax送信」は、ユーザー端末からのネットワークFAXの送信指示(FAXジョブ)の入力であり、FAX機能であることが明確なトリガー操作である。
【0051】
これらの「プリンター印刷」、「TWAIN/WIA」、「WSDスキャン」、「WSDプリント」、「NetworkFax送信」に対しては、それぞれ機能に必要な動作部5a,5bの復帰の要否が設定されている。
【0052】
なお、図示しない操作パネルでの機能の選択やジョブの実行指示入力も、特定の機能であることが明確なトリガー操作となる。
【0053】
上記図3を用い、ステップS2では、「エンジン復帰要?」の処理が行われる。この処理では、省エネ制御部9の要否判断部15が、トリガー操作に応じてプリントエンジン5bの復帰の要否を判断する。
【0054】
エンジン復帰が必要な場合は(YES)、ステップS3へ移行し、不要な場合は(NO)、ステップS4へ移行する。
【0055】
ステップS3では、「エンジン復帰」の処理が行われる。この処理では、省エネ制御部
9の省エネ復帰部17がプリントエンジン5bを給電により復帰させてステップS4へ移行する。
【0056】
ステップS4では、「スキャナー復帰要?」の処理が行われる。この処理では、省エネ制御部9の要否判断部15が、トリガー操作に応じてスキャナー5aの復帰の要否を判断する。
【0057】
スキャナー復帰が必要な場合は(YES)は、ステップS5へ移行し、不要な場合は(NO)、省エネ制御処理が終了する。
【0058】
ステップS5では、「スキャナー復帰」の処理が行われる。この処理では、省エネ制御部9の省エネ復帰部17がスキャナー5aを給電により復帰させ、省エネ制御処理を終了させる。
【0059】
こうして終了した省エネ制御処理は、トリガー操作が入力されるたびに行われ、各トリガー操作が複数の機能に共通する限り、トリガー操作の次に続く動作に必要な動作部5a及び5bの何れか一方又は双方を復帰させる。
【0060】
そして、トリガー操作が特定の機能に対するものであることが明確になった時点では、特定の機能に必要な動作部5a,5bを復帰させる。
【0061】
図4は、省エネ制御処理による動作部の復帰を示す概念図である。
【0062】
省エネモードにおいては、図4(a)のように、省エネ制御部(Controller)9が稼動し、プリントエンジン(Engine)5b及びスキャナー(Scanner)5aが停止している。
【0063】
この状態で、例えば図3の「DP原稿セット」や「原稿マット開閉」が行われると、図4(b)のように次の動作に必要なスキャナー5aが復帰し稼動する。
【0064】
その後、例えば操作パネルでコピー実行指示がトリガー操作として行われると、コピージョブが発生してコピー機能であることが明確となる。この場合は、図4(c)のように、コピー機能に必要なプリントエンジン5bも復帰し稼動することになる。なお、実行指示入力の前に機能選択が行われる場合は、その時点で機能が明確となる。
【0065】
一方、当初よりプリント機能であることが明確な「プリンター印刷」や「WSDプリント」の場合は、図4(d)のように、必要なプリントエンジン5bのみが復帰する。
【0066】
「TWAIN/WIA」や「WSDスキャン」の場合も、図4(b)のように、当初より 明確なスキャナー機能に必要なスキャナー5aのみが復帰することになる。
[実施例1の効果]
本実施例の画像形成装置1は、選択的な操作入力を行わせて異なる機能による処理に向けた動作を可能とする複数の操作入力部3a〜3fと、操作入力後に1又は複数が動作することで異なる機能による処理を行う複数の動作部5a,5bと、複数の動作部5a,5bに対して省エネモードにすると共に省エネモードから復帰させる省エネ制御を行う省エネ制御部9とを備え、省エネ制御部9は、省エネモード中の操作入力(トリガー操作)が複数の機能に共通する場合にトリガー操作の次に続く動作に必要な動作部5a,5bのみを復帰させ、省エネモード中のトリガー操作が特定の機能に対するものであることが明確になった時点で特定の機能に必要な動作部5a,5bを復帰させる部分復帰モードを有する。
【0067】
従って、本実施例では、トリガー操作が発生したときに、その操作の次に続くデバイス(動作部5a,5b)のみを復帰させることにより、ユーザーの利便性向上を図りながら消費電力の抑制効果を向上し且つ騒音を抑えることができる。
【0068】
また、本実施例では、トリガー操作によってジョブが発生すると、その時点で特定の機能に対するものであることが明確となり、動作部5a,5bの復帰の要否が確定できる。
【0069】
このため、特定の機能に必要な動作部5a,5bを復帰させて処理を正常に完了することができる。なお、トリガー操作が当初より特定の機能に対するものであることが明確な場合も同様である。
【実施例2】
【0070】
図5は、画像形成装置を示すブロック図である。なお、本実施例では、上記実施例1と基本構成が共通するため、対応する構成部分に同符号又は同符号にAを付したものを用いて重複した説明を省略する。
【0071】
本実施例の画像形成装置1Aは、省エネ制御部9に対して省エネモードからの復帰モードを切り替える復帰モード切替部19を備えたものである。復帰モードの切替は、図示しない操作パネル等においてログインしたユーザーに行わせることができる。これにより、復帰モード切替部19は、復帰モード切替手順を実現する。
【0072】
選択可能な復帰モードとしては、実施例1の部分復帰モードに加えて、全復帰モード及び複合復帰モードを有する。全復帰モードは、何れのトリガー操作によっても全ての動作部5a,5bを復帰させるモードである。複合復帰モードは、全復帰モード及び部分復帰モードを併用し、トリガー操作以外の特定操作に限って全復帰モードによる復帰を行うモードである。特定操作としては、例えば電源キー操作等を採用すればよい。
【0073】
本実施例の画像形成装置1Aでは、上記実施例1の作用効果に加え、より利便性を向上することができる。
【0074】
すなわち、部分復帰モードのみの場合は、全デバイス(動作部5a,5b)を復帰して、コピー等を迅速に利用したい場合においてデメリットとなり得る。これに対し、本実施例では、復帰モード切替部19を備えることにより、復帰時間を優先したいユーザー(全復帰モードを望むユーザー)、省電力を優先したいユーザー(部分復帰モードを望むユーザー)、双方を使い分けたいユーザーの要望を満足することができる。
[その他]
上記実施例では、動作部として消費電力や騒音が大きいスキャナー5a及びプリントエンジン5bを例にとって説明したが、操作パネルやFAXコントローラー等の他のデバイスも省エネ制御対象の動作部とすることができる。
【符号の説明】
【0075】
1 画像形成装置
3a〜3f 操作入力部
5a,5b 動作部
9 省エネ制御部
19 復帰モード切替部
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択的な操作入力を行わせて異なる機能による処理に向けた動作を可能とする複数の操作入力部と、
前記操作入力後に1又は複数が動作することで前記異なる機能による処理を行う複数の動作部と、
前記複数の動作部に対して省エネモードにすると共に前記省エネモードから復帰させる省エネ制御を行う省エネ制御部とを備え、
前記省エネ制御部は、前記省エネモード中の前記操作入力のうちの第1操作入力が複数の機能に共通する場合に前記第1操作入力の次に続く動作に必要な動作部のみを復帰させ、前記省エネモード中の前記操作入力のうちの第2操作入力が特定の機能に対するものであることが明確になった時点で前記特定の機能に必要な動作部を復帰させ、前記省エネモード中の前記操作入力のうちの第3操作入力が認証情報の入力又はコイン投入である場合に、前記第3操作入力に関連付けられた操作入力の目的から使用されることが予測される動作部を復帰させる部分復帰モードを有する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置であって、
前記省エネ制御部は、前記省エネモード中の前記第1操作入力が複数の機能に共通する場合に前記第1操作入力の次に続く動作に必要な動作部のみを復帰させ、前記省エネモード中の前記第2操作入力が特定の機能に対するものであることが前記特定の機能に対応するジョブの発生に基づき明確になった時点で前記特定の機能に必要な動作部を復帰させ、前記第3操作入力に関連付けられた操作入力の目的から使用されることが予測される動作部を復帰させる部分復帰モードを有する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
択的な操作入力を行わせて異なる機能による処理に向けた動作を可能とする複数の操作入力部と、
前記操作入力後に1又は複数が動作することで前記異なる機能による処理を行う複数の動作部と、
前記複数の動作部に対して省エネモードにすると共に前記省エネモードから復帰させる省エネ制御を行う省エネ制御部とを備え、
前記省エネ制御部は、前記省エネモード中の前記操作入力が複数の機能に共通する場合に前記操作入力の次に続く動作に必要な動作部のみを復帰させ、前記省エネモード中の前記操作入力が特定の機能に対するものであることが前記特定の機能に対応するジョブの発生に基づき明確になった時点で前記特定の機能に必要な動作部を復帰させる部分復帰モードを有する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1又は2記載の画像形成装置であって、
前記省エネ制御部に対して前記省エネモードからの復帰モードを切り替える復帰モード切替部を備え、
前記復帰モードは、前記部分復帰モードに加えて、何れの操作入力によっても全ての動作部を復帰させる全復帰モードと、前記全復帰モード及び部分復帰モードを併用し前記操作入力以外の特定操作に限って前記全復帰モードによる復帰を行う複合復帰モードとを含む、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
選択的な操作入力を行わせて異なる機能による処理に向けた動作を可能とする複数の操作入力部と、前記操作入力後に1又は複数が動作することで前記異なる機能による処理を行う複数の動作部とを有する画像形成装置に対する省エネ制御プログラムであって、
前記複数の動作部に対して省エネモードにすると共に前記省エネモードから復帰させる省エネ制御を行う省エネ制御手順をコンピューターに実行させ、
前記省エネ制御手順は、前記省エネモード中の前記操作入力が複数の機能に共通する場合に前記操作入力の次に続く動作に必要な動作部のみを復帰させ、前記省エネモード中の前記操作入力が特定の機能に対するものであることが明確になった時点で前記特定の機能に必要な動作部を復帰させ、前記操作入力に関連付けられた操作入力の目的から使用されることが予測される動作部を復帰させる部分復帰モードを有する、
ことを特徴とする省エネ制御プログラム。
【請求項6】
請求項5記載の省エネ制御プログラムであって、
前記省エネ制御手順は、前記省エネモード中の前記操作入力が複数の機能に共通する場合に前記操作入力の次に続く動作に必要な動作部のみを復帰させ、前記省エネモード中の前記操作入力が特定の機能に対するものであることが前記特定の機能に対応するジョブの発生に基づき明確になった時点で前記特定の機能に必要な動作部を復帰させる、前記操作入力に関連付けられた操作入力の目的から使用されることが予測される動作部を復帰させる部分復帰モードを有する、
ことを特徴とする省エネ制御プログラム。
【請求項7】
選択的な操作入力を行わせて異なる機能による処理に向けた動作を可能とする複数の操作入力部と、前記操作入力後に1又は複数が動作することで前記異なる機能による処理を行う複数の動作部とを有する画像形成装置に対する省エネ制御プログラムであって、
前記複数の動作部に対して省エネモードにすると共に前記省エネモードから復帰させる省エネ制御を行う省エネ制御手順をコンピューターに実行させ、
前記省エネ制御手順は、前記省エネモード中の前記操作入力が複数の機能に共通する場合に前記操作入力の次に続く動作に必要な動作部のみを復帰させ、前記省エネモード中の前記操作入力が特定の機能に対するものであることが前記特定の機能に対応するジョブの発生に基づき明確になった時点で前記特定の機能に必要な動作部を復帰させる部分復帰モードを有する、
ことを特徴とする省エネ制御プログラム。
【請求項8】
請求項5〜7の何れか1項に記載の省エネ制御プログラムであって、
前記省エネ制御手順に対して前記省エネモードからの復帰モードを切り替える復帰モード切替手順をコンピューターに実行させ、
前記復帰モードは、前記部分復帰モードに加えて、何れの操作入力によっても全ての動作部を復帰させる全復帰モードと、前記全復帰モード及び部分復帰モードを併用し前記操作入力以外の特定操作に限って前記全復帰モードによる復帰を行う複合復帰モードとを含む、
ことを特徴とする省エネ制御プログラム。
【請求項9】
請求項3記載の画像形成装置であって、
前記省エネ制御部に対して前記省エネモードからの復帰モードを切り替える復帰モード切替部を備え、
前記復帰モードは、前記部分復帰モードに加えて、何れの操作入力によっても全ての動作部を復帰させる全復帰モードと、前記全復帰モード及び部分復帰モードを併用し前記操作入力以外の特定操作に限って前記全復帰モードによる復帰を行う複合復帰モードとを含む、
ことを特徴とする画像形成装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2022-02-28 
結審通知日 2022-03-03 
審決日 2022-03-16 
出願番号 P2012-189255
審決分類 P 1 41・ 853- Y (H04N)
P 1 41・ 854- Y (H04N)
P 1 41・ 855- Y (H04N)
P 1 41・ 851- Y (H04N)
P 1 41・ 841- Y (H04N)
P 1 41・ 856- Y (H04N)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 千葉 輝久
特許庁審判官 渡辺 努
木方 庸輔
登録日 2015-01-09 
登録番号 5678016
発明の名称 画像形成装置及び省エネ制御プログラム  
代理人 須藤 大輔  
代理人 須藤 雄一  
代理人 須藤 大輔  
代理人 須藤 雄一  
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