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審決分類 審判 全部申し立て 判示事項別分類コード:857  G06T
審判 全部申し立て 2項進歩性  G08G
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G06T
審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  G06T
管理番号 1385126
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-06-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-10-14 
確定日 2022-03-30 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6683012号発明「画像処理システム、画像処理方法および撮像装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6683012号の特許請求の範囲を、令和3年10月21日の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜11〕,12,13について訂正することを認める。 特許第6683012号の請求項1〜9,11〜13に係る特許を維持する。 特許第6683012号の請求項10に係る特許についての異議申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6683012号(以下「本件特許」という。)の請求項1〜13に係る特許についての出願は、平成28年5月24日に出願されたものであり、令和2年3月30日にその特許権の設定の登録がされ、同年4月15日にその特許掲載公報が発行された。本件特許の請求項の数は13である。
これに対して、令和2年10月14日に特許異議申立人笹井 栄治(以下「申立人」という。)は、証拠として甲第1号証から甲第7号証を提出し、本件特許の請求項1〜13に係る特許について特許異議の申立てをした。その後の経緯は、次のとおりである。

令和2年11月30日付け:取消理由通知書
令和3年 2月 1日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和3年 2月12日 :手続補正指令(方式)の通知
令和3年 3月 1日 :特許権者による訂正請求書に対する手続補正書の提出
令和3年 4月16日 :申立人による意見書の提出、甲第8号証の提出
令和3年 8月13日付け:取消理由通知書(決定の予告)
令和3年10月22日受付:特許権者による意見書及び訂正請求書の提出(令和3年10月21日付け、提出年月日不明)

以下、令和3年10月22日受付の訂正請求書を「本件訂正請求書」といい、本件訂正請求書による訂正を「本件訂正」という。


第2 本件訂正の適否についての判断
1 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正の請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1〜13について訂正することを求めるものであって、その内容は次のとおりである(訂正箇所に下線を付した。)。

ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「有する、画像処理システム」と記載されているのを、「有し、前記1または複数枚の第1の解像度画像の少なくとも一部は、前記第2の解像度画像よりも前に撮像され、または、前記第2の解像度画像よりも後に撮像される、画像処理システム」に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2〜3,5〜9も同様に訂正する)。

イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項4を独立形式に改め、「所定のフレームレートで撮像される動画像から1または複数枚の第1の解像度画像と前記第1の解像度よりも高解像度の第2の解像度画像とのキャプチャを行う解像度制御部と、少なくとも前記第1の解像度画像に基づいて動物体の動き情報を検出する動き検出部と、前記動き情報に基づいて、前記第2の解像度画像に写る前記動物体における所定領域の位置を推定し、前記所定領域の位置に基づいて画像分析を行う画像分析部と、を有し、前記解像度制御部は、前記第1の解像度画像が複数枚から構成される場合、複数枚の前記第1の解像度画像を前記第2の解像度画像と同一解像度に集約して前記画像分析部に出力し、前記画像分析部は、前記複数枚の第1の解像度画像と前記所定領域の位置とに基づいて、前記画像分析を行う、画像処理システム。」に訂正する。

ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項10を削除する。

エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項11の引用請求項を訂正後の請求項4に訂正する。

オ 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項12に「画像分析を行うことと、を有する、画像処理方法」と記載されているのを、「画像分析を行うことと、前記第1の解像度画像が複数枚から構成される場合、複数枚の前記第1の解像度画像を前記第2の解像度画像と同一解像度に集約して出力することと、前記複数枚の第1の解像度画像と前記所定領域の位置とに基づいて、前記画像分析を行うことと、を有する、画像処理方法」に訂正する。

カ 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項13に「前記所定領域の位置に基づいて画像分析が行われる、撮像装置」と記載されているのを、「前記所定領域の位置に基づいて画像分析が行われ、前記1または複数枚の第1の解像度画像の少なくとも一部は、前記第2の解像度画像よりも前に撮像され、または、前記第2の解像度画像よりも後に撮像される、撮像装置」に訂正する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)請求項〔1〜11〕について
ア 一群の請求項について
訂正前の請求項2〜11は、訂正前の請求項1を引用しており、請求項1に連動して訂正されるものであるから、請求項1〜11は、特許法第120条の5第4項に規定する「一群の請求項」に該当する。
したがって、訂正事項1〜4に係る訂正は、一群の請求項〔1〜11〕について請求されたものである。

イ 訂正の目的
(ア)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に「前記1または複数枚の第1の解像度画像の少なくとも一部は、前記第2の解像度画像よりも前に撮像され、または、前記第2の解像度画像よりも後に撮像される」との構成を追加することで、訂正後の請求項1とするものである。また、当該追加された構成は、訂正前の請求項10に記載されている事項と同一であるから、訂正後の請求項1は実質的に訂正前の請求項10と同一と認められる。
また、請求項1を引用する訂正後の請求項2〜3,5〜9についても同様である。
したがって、請求項1〜3,5〜9に係る訂正事項1は、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。

(イ)訂正事項2について
訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項4について、請求項1を引用する形式で記載されていたものを、独立請求項の形式に改めるものであるから、特許法120条の5第2項ただし書4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。

(ウ)訂正事項3について
訂正事項3は、特許請求の範囲の請求項10を削除する訂正であるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。

(エ)訂正事項4について
訂正事項4は、特許請求の範囲の請求項11について、引用する請求項を、訂正前の請求項1から、訂正後の請求項4に訂正するものである。訂正前の請求項4,11は共に請求項1のみを引用するものであるから、訂正後の請求項11は、訂正前の請求項11に、訂正前の請求項4の構成を追加するものである。
したがって、請求項11に係る訂正事項4は、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。

新規事項の追加について
(ア)訂正事項1について
訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、本件特許の明細書等に記載した事項の範囲内のものである。そして、訂正事項1に係る訂正は、訂正前の特許請求の範囲の請求項10、及び、明細書の段落【0091】に記載されているので、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。したがって、請求項1〜3,5〜9に係る訂正事項1は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてされたものであり、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合するものである。

(イ)訂正事項2について
訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項(請求項4)を独立請求項の形式に改めるものであるから、本件特許の明細書等に記載した事項の範囲内のものであり、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。したがって、請求項4に係る訂正事項2は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてされたものであり、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合するものである。

(ウ)訂正事項3について
訂正事項3は、特許請求の範囲の請求項(請求項10)を削除するものであるから、本件特許の明細書等に記載した事項の範囲内のものである。したがって、請求項10に係る訂正事項3は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてされたものであり、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合するものである。

(エ)訂正事項4について
訂正事項4は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、本件特許の明細書等に記載した事項の範囲内のものである。そして、訂正事項4に係る訂正は、明細書の段落【0077】,【0091】に記載されているので、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。したがって、請求項11に係る訂正事項4は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてされたものであり、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合するものである。

エ 特許請求の範囲の拡張・変更について
請求項〔1〜11〕に係る訂正事項1,3〜4の訂正は、上記イの(ア),(ウ)〜(エ)のとおり、特許請求の範囲を減縮するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合するものである。
また、請求項〔1〜11〕に係る訂正事項2の訂正は、上記イ(イ)のとおり、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合するものである。

(2)請求項12について
ア 訂正の目的
訂正事項5は、訂正前の請求項12に「前記第1の解像度画像が複数枚から構成される場合、複数枚の前記第1の解像度画像を前記第2の解像度画像と同一解像度に集約して出力することと、前記複数枚の第1の解像度画像と前記所定領域の位置とに基づいて、前記画像分析を行う」との構成を追加することで、訂正後の請求項12とするものである。また、当該追加された構成は、訂正前の請求項4に記載されている事項と同一である。
したがって、請求項12に係る訂正事項5は、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。

新規事項の追加について
請求項12に係る訂正事項5の訂正は、上記アのとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、段落【0079】には、「解像度制御部112は、縦方向および横方向にそれぞれ2枚ずつ低解像度画像41を集約することによって(低解像度画像41−1,41−2,41−4,41−5の4枚を集約することによって)、集約画像43Aを生成し、集約画像43Aを画像分析部212に出力してもよい」と記載されていることから、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。よって、請求項12に係る訂正事項5の訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてされたものであり、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
請求項12に係る訂正事項5の訂正は、上記アのとおり、特許請求の範囲を減縮するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合するものである。

(3)請求項13について
ア 訂正の目的
訂正事項6は、訂正前の請求項13に「前記1または複数枚の第1の解像度画像の少なくとも一部は、前記第2の解像度画像よりも前に撮像され、または、前記第2の解像度画像よりも後に撮像される」との構成を追加することで、訂正後の請求項13とするものである。また、当該追加された構成は、訂正前の請求項10に記載されている事項と同一である。
したがって、請求項13に係る訂正事項6は、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。

新規事項の追加について
請求項13に係る訂正事項6の訂正は、上記アのとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、上記(1)ウ(ア)のとおり、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。よって、請求項13に係る訂正事項6の訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてされたものであり、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
請求項13に係る訂正事項6の訂正は、上記アのとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合するものである。

3 小括
以上のとおりであるから、訂正事項1〜6は、特許法120条の5第2項ただし書1号または4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
また、申立人による特許異議申立ては、訂正前の請求項1〜13の全てに対してなされているので、同条7項の独立特許要件は課されない。
したがって、本件訂正は適法なものであり、本件特許の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜11〕,12,13について訂正することを認める。


第3 本件発明
上記「第2」で示したとおり、本件訂正請求により訂正された請求項1〜13に係る発明(以下、「本件発明1」〜「本件発明13」という。また、本件発明1〜13を総称して「本件発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1〜13に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。各請求項の構成を以下のとおり当審にて分説し、(1A)〜(13D)の各構成を「構成1A」〜「構成13D」という。

【請求項1】
(1A)所定のフレームレートで撮像される動画像から1または複数枚の第1の解像度画像と前記第1の解像度よりも高解像度の第2の解像度画像とのキャプチャを行う解像度制御部と、
(1B)少なくとも前記第1の解像度画像に基づいて動物体の動き情報を検出する動き検出部と、
(1C)前記動き情報に基づいて、前記第2の解像度画像に写る前記動物体における所定領域の位置を推定し、前記所定領域の位置に基づいて画像分析を行う画像分析部と、を有し、
(10A)前記1または複数枚の第1の解像度画像の少なくとも一部は、前記第2の解像度画像よりも前に撮像され、または、前記第2の解像度画像よりも後に撮像される、
(1D)画像処理システム。

【請求項2】
(2A)前記動物体は、車両であり、
(2B)前記所定領域は、ナンバープレートである、
(2C)請求項1に記載の画像処理システム。

【請求項3】
(3A)前記解像度制御部は、撮像装置に備えられ、
(3B)前記画像分析部は、分析装置に備えられ、
(3C)前記動き検出部は、前記撮像装置または前記分析装置に備えられる、
(3D)請求項1に記載の画像処理システム。

【請求項4】
(1A)所定のフレームレートで撮像される動画像から1または複数枚の第1の解像度画像と前記第1の解像度よりも高解像度の第2の解像度画像とのキャプチャを行う解像度制御部と、
(1B)少なくとも前記第1の解像度画像に基づいて動物体の動き情報を検出する動き検出部と、
(1C)前記動き情報に基づいて、前記第2の解像度画像に写る前記動物体における所定領域の位置を推定し、前記所定領域の位置に基づいて画像分析を行う画像分析部と、
を有し、
(4A)前記解像度制御部は、前記第1の解像度画像が複数枚から構成される場合、複数枚の前記第1の解像度画像を前記第2の解像度画像と同一解像度に集約して前記画像分析部に出力し、
(4B)前記画像分析部は、前記複数枚の第1の解像度画像と前記所定領域の位置とに基づいて、前記画像分析を行う、
(4C)画像処理システム。

【請求項5】
(5A)前記画像処理システムは、
(5B)前記第1の解像度、前記第2の解像度および前記第2の解像度画像の挿入間隔の少なくともいずれか一つを含むパラメータを制御するパラメータ制御部を備える、
(5C)請求項1に記載の画像処理システム。

【請求項6】
(6A)前記パラメータ制御部は、ユーザから入力された操作に基づいて前記パラメータを制御する、
(6B)請求項5に記載の画像処理システム。

【請求項7】
(7A)前記パラメータ制御部は、前記動物体の速度に基づいて、前記パラメータを制御する、
(7B)請求項5に記載の画像処理システム。

【請求項8】
(8A)前記パラメータ制御部は、前記画像分析の精度に基づいて、前記パラメータを制御する、
(8B)請求項5に記載の画像処理システム。

【請求項9】
(9A)前記1または複数枚の第1の解像度画像と前記第2の解像度画像とが所定周期を単位として繰り返し撮像される場合、
(9B)前記解像度制御部は、前記所定周期単位で前記キャプチャを行い、
(9C)前記動き検出部は、前記所定周期単位で前記動き情報を検出し、
(9D)前記画像分析部は、前記所定周期単位で前記所定領域の位置を推定し、前記所定周期単位で前記画像分析を行う、
(9E)請求項1に記載の画像処理システム。

【請求項10】(削除)

【請求項11】
(11A)前記動き検出部は、前記1または複数枚の第1の解像度画像の少なくとも一部を、前記第2の解像度画像の低解像度化によって得る、
(11B)請求項4に記載の画像処理システム。

【請求項12】
(12A)所定のフレームレートで撮像される動画像から1または複数枚の第1の解像度画像と前記第1の解像度よりも高解像度の第2の解像度画像とのキャプチャを行うことと、
(12B)少なくとも前記第1の解像度画像に基づいて動物体の動き情報を検出することと、
(12C)前記動き情報に基づいて、前記第2の解像度画像に写る前記動物体における所定領域の位置を推定し、前記所定領域の位置に基づいて画像分析を行うことと、
(4A’)前記第1の解像度画像が複数枚から構成される場合、複数枚の前記第1の解像度画像を前記第2の解像度画像と同一解像度に集約して出力することと、
(4B’)前記複数枚の第1の解像度画像と前記所定領域の位置とに基づいて、前記画像分析を行うことと、
(12D)を有する、画像処理方法。

【請求項13】
(13A)所定のフレームレートで撮像される動画像から1または複数枚の第1の解像度画像と前記第1の解像度よりも高解像度の第2の解像度画像とのキャプチャを行う解像度制御部と、
(13B)少なくとも前記第1の解像度画像に基づいて動物体の動き情報を検出する動き検出部と、
を備え、
(13C)前記動き情報に基づいて、前記第2の解像度画像に写る前記動物体における所定領域の位置が推定され、前記所定領域の位置に基づいて画像分析が行われ、
(10A)前記1または複数枚の第1の解像度画像の少なくとも一部は、前記第2の解像度画像よりも前に撮像され、または、前記第2の解像度画像よりも後に撮像される、
(13D)撮像装置。


第4 特許異議申立書の申立理由、及び、取消理由通知書(決定の予告)の取消理由の概要
1 特許異議申立書の申立理由の概要
申立人が令和2年10月14日に提出した特許異議申立書の申立理由の概要は、次のとおりである。

(1)申立理由
・申立理由1(甲第1号証を主引例とするもの)
本件特許の請求項1〜3,5〜8,10〜13に係る発明は、甲第1〜4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定に違反しており、特許を受けることができないものである。よって、本件特許の上記請求項に係る特許は、同法113条2号に該当し取り消すべきものである。

・申立理由2(甲第5号証を主引例とするもの)
本件特許の請求項1〜3,9〜13に係る発明は、甲第5号証に記載された発明であるから、特許法29条1項3号の規定に違反しており、特許を受けることができないものである。よって、本件特許の上記請求項に係る特許は、同法113条2号に該当し取り消すべきものである。
また、本件特許の請求項4〜8に係る発明は、甲第3〜5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定に違反しており、特許を受けることができないものである。よって、本件特許の上記請求項に係る特許は、同法113条2号に該当し取り消すべきものである。

・申立理由3(甲第6号証を主引例とするもの)
本件特許の請求項1,9〜13に係る発明は、甲第6号証に記載された発明であるから、特許法29条1項3号の規定に違反しており、特許を受けることができないものである。よって、本件特許の上記請求項に係る特許は、同法113条2号に該当し取り消すべきものである。
また、本件特許の請求項5〜8に係る発明は、甲第4,6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定に違反しており、特許を受けることができないものである。よって、本件特許の上記請求項に係る特許は、同法113条2号に該当し取り消すべきものである。

・申立理由4(甲第7号証を主引例とするもの)
本件特許の請求項1,9〜13に係る発明は、甲第7号証に記載された発明であるから、特許法29条1項3号の規定に違反しており、特許を受けることができないものである。よって、本件特許の上記請求項に係る特許は、同法113条2号に該当し取り消すべきものである。
また、本件特許の請求項5〜8に係る発明は、甲第4,7号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定に違反しており、特許を受けることができないものである。よって、本件特許の上記請求項に係る特許は、同法113条2号に該当し取り消すべきものである。

(2)意見書と甲第8号証について
申立人は、令和3年4月16日に意見書を提出し、甲第8号証を提出して、以下の主張をしている。

・訂正後請求項10の「撮像」の意味を実施例のように、画像センサ部によって画像を取得することと限定解釈すると、甲第5号証に記載された発明との相違点となり得るが、この相違点は、周知技術(甲第8号証)に基づき容易想到である。

(3)証拠方法
・甲第1号証:特開2004−094412号公報
・甲第2号証:特開2013−201714号公報
・甲第3号証:米国特許出願公開第2010/0172543号及び抄訳文
・甲第4号証:特開2011−191972号公報
・甲第5号証:特開2001−273461号公報
・甲第6号証:「視覚パターン認識技術」,「第26章 運動物体の自動解析(個体の場合)」,浅田稔,谷内田正彦,1983年(昭和58年)6月20日,(株)トリケップス,p305〜311,写し
・甲第7号証:「A plan-guided analysis of cineangiograms for measurement of dynamic behavior of heart wall」,Masahiko Yachida, Motozo Ikeda, Saburo Tsuji, IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence,Volume.PAMI-2,No.6,Nov.1980, p537-543 <URL:https://ieeexplore.ieee.org/document/6447700>、写し及び抄訳文
・甲第8号証:特開2014−007454号公報

2 取消理由通知書(決定の予告)の取消理由の概要
当審が令和3年8月13日付け取消理由通知書(決定の予告)で特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。

・取消理由(甲第5号証を主引例とするもの)
令和3年2月1日に訂正された本件特許の請求項1〜2,12〜13に係る発明は、甲第5号証に記載された発明であるから、特許法29条1項3号の規定に違反しており、特許を受けることができないものである。
また、令和3年2月1日に訂正された本件特許の請求項3,5〜8,11に係る発明は、甲第5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定に違反しており、特許を受けることができないものである。
よって、本件特許の請求項1〜3,5〜8,11〜13に係る特許は、同法113条2号に該当し取り消すべきものである。


第5 各甲号証の記載
1 甲第5号証
ア 甲第5号証に記載されている事項
甲第5号証には以下の記載がある。なお、当審にて下線を付した。

「【0024】
【発明の実施の形態】図2は、本発明のナンバープレート読取装置の実施形態を示したブロック図である。図2において、本発明のナンバープレート読取装置10は、TVカメラ12によって、道路を走行する車両を動画画像として撮像して取り込んでいる。TVカメラ12としては、1フレーム画像の解像度が例えば縦240ドット×横640ドットといった比較的低解像度の画像を撮像するカメラでよい。
【0025】ナンバープレート読取装置10にはA/D変換部14、画像メモリ16、画像処理部18、辞書画像メモリ20、辞書管理部22、車両検知部24及び文字認識部26が設けられる。A/D変換部14は道路を撮影しているTVカメラ12からの画像信号をデジタルデータに変換し、画像メモリ16に入力する。
【0026】画像メモリ16には、TVカメラ12のフレーム周期ごとにフレーム画像が記憶される。具体的には、現在入力中のフレーム画像信号を格納している入カフレーム画像28、既に入力が済んだ最も新しい現フレーム画像30、1つ前のフレームとなる前フレーム画像32を格納している。
【0027】このうち現フレーム画像30及び前フレーム画像32については、TVカメラ12から直接入力したフレーム画像以外に、画像処理部18でフィルタ処理を施した画像あるいは間引き処理を施した画像も必要に応じて記憶される。
【0028】画像処理部18には、この実施形態にあっては、間引き処理部34及びラプラシアン変換部36が設けられている。間引き処理部34は車両検知部24の車両検知のために、画像メモリ16の現フレーム画像30と前フレーム画像32のそれぞれを間引きした例えば縦240ドット×横640ドットの低解像度のフレーム画像を生成する。」

「【0042】図4は、図2のナンバープレート読取装置10の読取処理のフローチャートである。まずステップS1で、A/D変換部14から入力されるTVカメラ12の撮像画像のデジタルデータについて画像メモリ16の入カフレーム画像28の領域にデジタルデータを書き込むフレーム入力処理を行っている。
【0043】入カフレーム画像28の書込中にステップS2でフレーム同期信号を判別すると、入カフレーム画像28の書込完了を判断し、入カフレーム画像28を現フレーム画像30に置き換え、前フレーム画像32を消去し、現フレーム画像30を前フレーム画像32に置き換える。
【0044】次にステップS3で現フレーム画像30と前フレーム画像32を画像処理部18で間引き処理した後に、ラプラシアン変換部36でラプラシアン変換し、このラプラシアン変換された現フレーム画像30と前フレーム画像32を対象に車両検知部24でサブプロックに分割した後の各ブロックごとの前フレームと現フレームの差分により差分量が最小となる位置を求めることによりサブブロックの動きの有無及び動きベクトルを算出し、動きベクトルから車両検知及びナンバープレート領域の検知を行う。
【0045】ステップS4でサブブロックのナンバープレート相当領域の動きが検知できれば、ステップS5の低解像度でのナンバープレートの文字認識処理に進む。ステップS4でナンバープレート相当領域におけるサブブロックの動きが判別されなかった場合には、車両が検知されなかったことから、ステップS10の輝度レベル計測を経て再びステップS1のフレーム入力処理に戻る。
【0046】ステップS10は輝度計測領域の時間平均での輝度レベル計測を行っており、この輝度レベル計測結果はステップS5における低解像度でのナンバープレートの文字認識処理に使用される。
【0047】ステップS5の低解像度でのナンバープレート文字の認識処理は、文字認識部26に設けた文字認識部によって、車両検知処理で認識されたナンバープレート領域について辞書画像との間の正規化相関演算によりサイズの大きなナンバープレート番号の4桁の数字の認識を行う。
【0048】この低解像度でのナンバープレート文字の認識処理の処理結果につき、ステップS6で4つのナンバープレート番号の数字の少なくとも1つの文字認識候補があればナンバープレートありと判断し、ステップS7の候補文字領域に対する高解像度での文字認識処理を行う。
【0049】即ち低解像度で認識された候補文字画像の解像度を元に戻し、高解像度対応の辞書画像との正規化相関演算によりナンバープレート番号のサイズの大きな数字を認識する。
【0050】続いてステップS8でナンバープレート数字の認識結果に対する他の小さなナンバープレート文字の相対抽出値を知って文字画像を切り出し、辞書解像度の正規化相関演算によりナンバープレート上の用途コード、陸運支局コード及び車種コードを示すひらがな、漢字、数字の文字認識を行う。最終的にステップS9で終了指示があるまで、ステップS1ーS8のナンバープレートの動画入力に対する認識処理をリアルタイムで繰り返す。」

イ 甲第5号証に記載された発明
上記アによれば、甲第5号証には、「ナンバープレート読み取り装置10」が記載され、「ナンバープレート読み取り装置10」は「TVカメラ12」からの画像信号が入力されるから、甲第5号証には、「TVカメラ12」と「ナンバープレート読み取り装置10」とからなる「システム」が記載されていると認められる。
当該「システム」は、画像処理をしているといえるから、「画像処理システム」といえる。
当該「画像処理システム」を、甲第5号証に記載された発明(以下、「甲5発明」という。)として認定すると次のとおりである。
なお、構成を区別するために符号5a〜5fを付与した。以下各構成を「構成5a」〜「構成5f」という。

(甲5発明)
「(5a)道路を走行する車両を動画画像として撮像して取り込んでいるTVカメラ12と、
(5b)撮影しているTVカメラ12からの画像信号をデジタルデータに変換し、画像メモリ16にフレーム画像信号を入力するA/D変換部14と、画像メモリ16にフレーム周期ごとに格納されたフレーム画像信号を間引き処理した低解像度のフレーム画像を生成する画像処理部18と、
(5c)画像処理部18で間引き処理した後に、動きベクトルから車両検知及びナンバープレート領域の検知を行う車両検知部24と、
(5d)車両検知処理で認識されたナンバープレート領域について低解像度でのナンバープレート文字の認識を行い、ナンバープレート番号の数字の少なくとも1つの文字認識候補があれば候補文字領域に対して、高解像度での文字認識処理を行う文字認識部26と
(5e)を有する、ナンバープレート読取装置10と、
(5f)からなる画像処理システム。」

2 甲第1号証
ア 甲第1号証に記載されている事項
甲第1号証には以下の記載がある。なお、当審にて下線を付した。

「【0020】
(実施の形態1)
実施の形態1では、車両検知の際に、画像の行、列の少なくとも一方の読み出しを間引くことでフレームレートを速くすることができ、車番認識の際には、高解像度で画像を取り込むことで車番認識を可能とするシステムの例が説明される。
図1に、実施の形態1の車両検知・車番認識システムの構成が示される。
車両検知・車番認識システムは、CMOSカメラ1、制御装置2、記憶装置3を具備する。
【0021】
CMOSカメラ1は、道路を走行する車両4を撮影するよう道路上方や路側に設置される。
CMOSカメラ1は、制御装置2の指令により撮影可能な画像内の指定された領域の情報を、制御装置2に送信することができる。本実施例でCMOSカメラ1は、制御装置2の指令により、行または列の少なくともいずれかを間引いた低解像度画像と、間引かない高解像度画像とを切り替えて撮影する。
CMOSカメラ1は、行または列を間引いた低解像度画像を、間引かない高解像度画像より高速のフレームレートで撮影することができる。高速のフレームレートで撮影することにより、単位時間あたりに撮影できる画像(フレーム)数が増加する。移動物体を撮影、追跡するためには、短時間で多くの画像を撮影することが好ましい。
【0022】
制御装置2は、CPUを具備したコンピュータに代表される演算装置である。
制御装置2は、機能上、画像処理部21、車両検知部22、画像切替判断部23、画像読取部24を具備する。
画像処理部21は、CMOSカメラ1から受信した画像を処理し、画面上のエッジを抽出する。後述されるように、水平エッジと垂直エッジを分離して処理する場合もある。
【0023】
車両検知部22は、画像処理部21で抽出されたエッジと、車両が通行していない状態の画像から抽出されるエッジを比較して、車両に相当する特徴を有するエッジを検出した場合に、車両が通行していると検知する。もしくは、複数の画像のエッジの変化から、移動物体を認識し、移動物体のエッジの特徴量から車両が通行していることを検知する。
【0024】
画像切替判断部23は、車両検知部22で検出された車両の画像中の移動速度から車両の速度を演算し、車両のナンバープレートを撮影するのに適した時刻を演算する。ナンバープレートを撮影するのに適した時刻とは、例えば当該車両のナンバープレートを、画像中で正面にかつ大きく撮影できる位置に車両が到達する時刻である。
さらに、画像切替判断部23は、CMOSカメラ1に、ナンバープレートを撮影するのに適した時刻またはその時刻を含む所定の時間に、行または列を間引いた低解像度画像から間引かない高解像度画像に撮影を切り替える命令を含む切替命令の信号を送信する。
【0025】
画像読取部24は、間引かないで撮影された高解像度画像からナンバープレートを認識し、ナンバープレートに表示されている車番を読み取ることができる。
画像読取部24は、必要に応じて読み取った車番を所定の装置に送信する場合がある。画像読取部24で読み取られた車番は料金課金時の確認や違反車の確認に使用される場合がある。」

「【0041】
図5では、CMOSカメラ1の設置位置により、車両の移動に伴い、画像中、車両が上方から下方に移動する場合が例示されている。車両検知用ゲートG1、G2で車両が検知された場合、車両のナンバープレートが見やすい位置に来るタイミングで、CMOSカメラ1が全体または車番認識用ゲート(図示無し)の高解像度画像を撮影する。高解像度画像からナンバープレートに記載された車番が認識される。
車両検知する前から全体を高解像度画像で撮影すると、撮影速度が遅くなり、適切なタイミングで車番認識ができる画像を撮影ができない(遅れてしまう)場合がある。」

イ 甲第1号証に記載された発明
上記アに示した甲第1号証の記載によれば、甲第1号証に記載された発明(以下、「甲1発明」という。)は、以下のとおりである。

(甲1発明)
「車両検知の際に、画像の行、列の少なくとも一方の読み出しを間引くことでフレームレートを速くすることができ、車番認識の際には、高解像度で画像を取り込むことで車番認識を可能とするシステムにおいて、
車両検知・車番認識システムは、CMOSカメラ1、制御装置2、記憶装置3を具備し、
CMOSカメラ1は、道路を走行する車両4を撮影するよう道路上方や路側に設置され、制御装置2の指令により撮影可能な画像内の指定された領域の情報を、制御装置2に送信することができ、制御装置2の指令により、行または列の少なくともいずれかを間引いた低解像度画像と、間引かない高解像度画像とを切り替えて撮影し、行または列を間引いた低解像度画像を、間引かない高解像度画像より高速のフレームレートで撮影することができ、高速のフレームレートで撮影することにより、単位時間あたりに撮影できる画像(フレーム)数が増加し、移動物体を撮影、追跡するためには、短時間で多くの画像を撮影することが好ましく、
制御装置2は、機能上、画像処理部21、車両検知部22、画像切替判断部23、画像読取部24を具備し、
画像処理部21は、CMOSカメラ1から受信した画像を処理し、画面上のエッジを抽出し、
車両検知部22は、画像処理部21で抽出されたエッジと、車両が通行していない状態の画像から抽出されるエッジを比較して、車両に相当する特徴を有するエッジを検出した場合に、車両が通行していると検知し、もしくは、複数の画像のエッジの変化から、移動物体を認識し、移動物体のエッジの特徴量から車両が通行していることを検知し、
画像切替判断部23は、車両検知部22で検出された車両の画像中の移動速度から車両の速度を演算し、車両のナンバープレートを撮影するのに適した時刻を演算し、ナンバープレートを撮影するのに適した時刻とは、例えば当該車両のナンバープレートを、画像中で正面にかつ大きく撮影できる位置に車両が到達する時刻であり、CMOSカメラ1に、ナンバープレートを撮影するのに適した時刻またはその時刻を含む所定の時間に、行または列を間引いた低解像度画像から間引かない高解像度画像に撮影を切り替える命令を含む切替命令の信号を送信し、
画像読取部24は、間引かないで撮影された高解像度画像からナンバープレートを認識し、ナンバープレートに表示されている車番を読み取ることができ、必要に応じて読み取った車番を所定の装置に送信し、読み取られた車番は料金課金時の確認や違反車の確認に使用される場合があり、
CMOSカメラ1の設置位置により、車両の移動に伴い、画像中、車両が上方から下方に移動する場合において、車両検知用ゲートG1、G2で車両が検知された場合、車両のナンバープレートが見やすい位置に来るタイミングで、CMOSカメラ1が全体または車番認識用ゲートの高解像度画像を撮影し、高解像度画像からナンバープレートに記載された車番が認識される
車両検知・車番認識システム。」

3 甲第2号証
ア 甲第2号証に記載されている事項
甲第2号証には以下の記載がある。なお、当審にて下線を付した。

「【0001】
本発明は、移動体の画像判別装置および移動体の画像判別方法に関する。さらに詳しくは、本発明はカメラで撮影した画像に基づいてパターン識別を行い計測の対象を自動判別する移動体の画像判別装置および移動体の画像判別方法に関するものである。」

「【0010】
かかる目的を達成するために、請求項1記載の移動体の画像判別装置は、同一方向から同一の計測領域を撮影する動画カメラ及び当該動画カメラよりも画像解像度が高い静止画カメラと、動画カメラで撮影された動画から判別対象の画像の位置を検出する動画側画像抽出手段と、動画側画像抽出手段が検出した画像の位置情報に基づいて同時刻の静止画から判別対象の画像を抽出する静止画側画像抽出手段と、静止画側画像抽出手段が抽出した画像に基づいて判別対象の種別を判別する手段とを備えるものである。」

イ 甲第2号証に記載された技術
上記アに示した甲第2号証の記載によれば、甲第2号証に記載された技術(以下、「甲2技術」という。)は、以下のとおりである。

(甲2技術)
「同一方向から同一の計測領域を撮影する動画カメラ及び当該動画カメラよりも画像解像度が高い静止画カメラと、動画カメラで撮影された動画から判別対象の画像の位置を検出する動画側画像抽出手段と、動画側画像抽出手段が検出した画像の位置情報に基づいて同時刻の静止画から判別対象の画像を抽出する静止画側画像抽出手段と、静止画側画像抽出手段が抽出した画像に基づいて判別対象の種別を判別する手段とを備える
移動体の画像判別装置。」

4 甲第3号証
ア 甲第3号証に記載されている事項
甲第3号証には以下の記載がある。なお、当審にて下線と仮訳を付した。

「[0010] One example of the various embodiments of the present invention is a Multiple Vehicle Speed Tracking (MVST) system …」
[当審仮訳:
[0010] 本発明の実施例の一例である複数車速記録装置は、…]

「[0050] … It will be appreciated by those of skill in the art that the frame rate will be as required by the communication channel throughput and may be increased by reducing the image size and the format of the pixel representation.」
[当審仮訳:
[0050] …この技術の当業者には、フレームレートが通信チャンネルのスループットに要求されるようになり、画像サイズやピクセル表現の形式を小さくすることで増加する可能性があることは知解されるであろう。]

イ 甲第3号証に記載された技術
上記アに示した甲第3号証の記載によれば、甲第3号証に記載された技術(以下、「甲3技術」という。)は、以下のとおりである。

(甲3技術)
「フレームレートが通信チャンネルのスループットに要求されることから、画像サイズやピクセル表現の形式を小さくすることで増加することができる
複数車速記録装置。」

5 甲第4号証
ア 甲第4号証に記載されている事項
甲第4号証には以下の記載がある。なお、当審にて下線を付した。

「【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、フレーム内に移動速度が異なる物体が含まれている場合であっても、精度よく動きベクトルを検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による動きベクトル計測装置は、動画像に含まれる複数フレームにおける対象フレームと、該対象フレームから所定フレーム間隔離れた過去フレームとに基づいて、前記対象フレーム上の対象画素位置での動きベクトルを計測する動きベクトル計測装置において、
前記対象フレーム上における領域毎または画素毎に、前記動きベクトルを計測する際の前記対象フレームと前記過去フレームとのフレーム間隔を表す間隔パラメータを設定する間隔パラメータ設定手段と、
前記間隔パラメータにしたがって、前記動きベクトルを計測する動きベクトル計測手段とを備えたことを特徴とするものである。」

イ 甲第4号証に記載された技術
上記アに示した甲第4号証の記載によれば、甲第4号証に記載された技術(以下、「甲4技術」という。)は、以下のとおりである。

(甲4技術)
「フレーム内に移動速度が異なる物体が含まれている場合であっても、精度よく動きベクトルを検出するために、
動画像に含まれる複数フレームにおける対象フレームと、該対象フレームから所定フレーム間隔離れた過去フレームとに基づいて、前記対象フレーム上の対象画素位置での動きベクトルを計測する動きベクトル計測装置であって、
前記対象フレーム上における領域毎または画素毎に、前記動きベクトルを計測する際の前記対象フレームと前記過去フレームとのフレーム間隔を表す間隔パラメータを設定する間隔パラメータ設定手段と、
前記間隔パラメータにしたがって、前記動きベクトルを計測する動きベクトル計測手段とを備えた
動きベクトル計測装置。」

6 甲第6号証
ア 甲第6号証に記載されている事項
甲第6号証には以下の記載がある。なお、当審にて下線を付した。

(ア)「本システムは以下の3つのプロセスからなる。
(1)移動のためのボケ,撮像装置の残像,VTRの雑音により劣化した画面から時空間情報を用いて動物体を発見する検出プロセス
(2)膨大な画像データを効率良く処理するために前画面までの結果を有効に使って追跡し,又,重なって見える物体を予測モデルを利用して分離する追跡プロセス
(3)追跡プロセスにおいて間違って解釈されたものや解釈不能の部分を以降の画面の結果を用いて再処理するバックトラッキングプロセスである。実験例として金魚の群れの動きの解析に適用した結果を示す。」(305頁9〜16行)

(イ)「入力画面のサンプリングには全画面256×256点を128×128点でサンプルする粗モードと、特定の領域を任意の大きさでサンプルする精モードがある。まず初めに、VTRから粗モードでコマ数を間引いて入力し(図1はその一部)、簡単な時間微分(詳細は次節)を施して動物体を検出し、おおまかな位置を測定する。この結果から各画面に対するサンプル領域(図1の長方形で囲まれた領域)を決定し精モードで再入力する。これは不要部分を取り除いて効率の良い処理を行ったので、図2に画入力された原画像を示す。」(305頁19〜29行)

(ウ)「図2(a)内の動物体を抽出した時間微分像を図4に示す。」(306頁18〜19行)

(エ)「2.3 初期しきい値の決定
動物体の抽出を各画面ごとに行うのは能率が悪い。そこで動物体のおおまかな位置が分っているので,その近傍で物体と背景を区別するしきい値を以下の様に決定し,2値化によって動物体を抽出した。即ち,時間微分によって抽出された境界とその近傍を含めた領域間で高い空間微分値を持っている点を取り出し,それらの原画像の濃淡値のヒストグラムを取り,最もひん度の高い濃淡値をその物体のしきい値とする。この方法で決定したしきい値を使って,原画像(図2(a))のそれぞれの近傍を2値化し,各領域を抽出した結果を図5に示す。図4で物体O7はO5,O6に影響で接触していたが,図5から分離した事が分る。」(306頁下から4行〜307頁8行)

(オ)「2.4 モデルの構成
最初の画面が処理されると各物体に対するモデルが,面積,周囲長,重心の座標,しきい値,境界のチェーンコードの5つの記述で表わされ,最初の画面に対するモデルM1(O1,O2,・・・)を構成する。しかし,図5の物体O2,O3の様に最初の画面で重なっている物体は単一と見なされ,モデルも1個として扱われる。2枚目以降の画面のモデルには,上記の記述の他に,前画面からどれだけ移動したかという重心の速度ベクトルが付加される。」(307頁9〜16行)

イ 甲第6号証に記載された発明
上記アに示した甲第6号証の記載によれば、甲第6号証には次の発明(以下、「甲6発明」という。)が記載されている。

(甲6発明)
「金魚の群れの動きを解析する画像処理方法であって、
入力画面のサンプリングには全画面256×256点を128×128点でサンプルする粗モードと、特定の領域を任意の大きさでサンプルする精モードがあり、
VTRから粗モードでコマ数を間引いて入力し、簡単な時間微分を施して動物体を検出し、おおまかな位置を測定し、この結果から各画面に対するサンプル領域を決定し精モードで再入力し、
動物体のおおまかな位置が分っているので、その近傍で物体と背景を区別するしきい値を決定し、2値化によって動物体を抽出し、各物体を、面積,周囲長,重心の座標,しきい値,境界の5つのチェーンコードで記述する
画像処理方法。」

7 甲第7号証
ア 甲第7号証に記載されている事項
甲第7号証には以下の記載がある。なお、当審にて下線と仮訳を付した。

(ア)「II. INPUT PICTURES
Input to the system is a sequence of X-ray images of a left ventricular chamber recorded on 35 mm cine film at a rate of 60 frames/s; thus, a record of one beating cycle contains about 50 frames. Each frame is converted into a 256×256 6-bit digital picture. Fig.1 shows examples of input pictures where each point is displayed by 16 levels of gray. Since it is not easy to see detailed gray-level variations, a result of applying a simple gradient operator of 3×3 points to Fig.1 is shown in Fig.2. The picture contains much noise, especially significant nonuniformity of gray values is observed in the ventricular chamber near the internal surface. Contrast of gray values between both sides of each surface is also very low, since the gray values in the wall gradually increase with the distance from the external surface.」(538頁左欄37〜51行)
[当審仮訳:
II.入力画像
システムヘの入力は、35mm映画フィルム上に60フレーム/秒の速度で記録された左心室チャンバーの一連のX線画像である;したがって、一回の拍動サイクルの記録は約50フレームを含む。各フレームは、256×256の6ビットデジタル画像に変換される。図1に入力画像の例を示し、各点を16階調のグレーで表示した。詳細な階調変化を見ることは容易ではないので、図1に3×3点の単純な勾配演算子を適用した結果を図2に示す。画像は多くの雑音を含み、特に内部表面近くの心室室でグレー値の著しい不均一性が観察される。各表面の両側間のグレー値のコントラストも非常に低く、これは壁のグレー値が外部表面からの距離と共に徐々に増加するためである。]

(イ)「III. DETECTION OF HEART WALL BOUNDARY IN THE FIRST FRAME
This section describes the method used to find the boundaries of the heart wall in the first frame.
・・・・
B. Plan-Guided Edge Detection
We have, therefore, developed a plan-guided edge detection method to shorten the computation time. An original picture of 256×256 points is first compressed into a small picture of 64×64 points. Each point in the small picture is the average value of the 16 points in a 4×4 neighborhood from the original picture. Applying Sobel's operator (3×3 points) to every point of the compressed picture and thresholding it, the system selects 1) the analysis regions, regions to be examined further, and 2) the approximate direction of an edge D at each point in them. The direction D is quantized to one of the 24 directions. Fig.4(a) shows edges detected in the compressed picture by the Sobel operator. This picture is less noisy than the picture shown in Fig.2, which is the result of applying the same operator to the original picture, because of noise reduction by averaging. A plan for the next edge detection is described as a map containing the analysis region and the directions of edges in them, as shown in Fig.4(b). The analysis region is relatively large since the threshold for determining the analysis region is given a rather small value so that the boundary would not be eliminated from the analysis region.
The plan is then utilized to detect edges in the original picture efficiently using the best-orientation edge detector already described. The procedure is efficient since an edge operator perpendicular to the edge direction is applied only to the region specified by the plan. For example, in Fig.4(b), since the analysis regions occupy about 1/4 of the input picture and only one selected edge direction from 12 variations is examined at each point, the computation for edge finding by this method is (1/4)×(1/12)=1/48 of that without the plan. The gradient operation at each point in the compressed image is iterated about 4000 times, 1/16 of that required for the original picture, and the operation is much simpler; therefore, its computation cost is also inexpensive. The result of applying the plan-guided edge detection method to Fig.1 is shown in Fig. 5, which seems much better than Fig.2.」(538頁左欄下から4行〜539頁左欄下から5行)
[当審仮訳:
III.最初のフレームにおける心臓壁境界の検出
このセクションでは、最初のフレームで心臓壁の境界を見つける方法について説明する。
・・・・
B.プランガイドエッジ検出
そこで、計算時間を短縮するためにプランガイドエッジ検出法を開発した。256×256ポイントの原画像をまず64×64ポイントの小画像に圧縮する。小さい図の各点は、元の図からの16点の4×4近傍の平均値です。圧縮画像の各点にSobe1の演算子(3×3ポイント)を適用し、しきい値化することにより、システムは、1)解析領域、さらに検討すべき領域、2)エッジの各点での近似方向Dを選択する。方向Dは、24方向のいずれかに量子化される。図4(a)は、Sobe1オペレータによって圧縮画像中に検出されたエッジを示す。この画像は平均化によるノイズ低減のため、元の画像に同じ演算子を適用した図2に比べてノイズが少ない。次のエッジ検出のプランは、図4(b)に示すように解析領域とそのエッジ方向を含むマップを記述する。解析領域は、境界が解析領域から排除されないように、解析領域を決定するための閾値がかなり小さい値に与えられるので、比較的大きい。
次に、このプランは、既に説明した最良配向エッジ検出器を使用して、元の画像内のエッジを効率的に検出するために使用される。エッジ方向に垂直なエッジオペレータは平面で指定された領域にのみ適用されるため、この手順は効率的です。例えば、図4(b)では、解析領域が入力画像のほぼ1/4を占めており、各点で12個のばらつきの中から一つの選択エッジ方向のみを検討しているので、この方法によるエッジ検出の計算は、計画なしに比べると計算量は、(1/4)×(1/12)=1/48である。勾配操作は、圧縮された画像の各点における反復は約4000回繰り返され、元の画像に必要なものの1/16で、操作ははるかに単純である。そのため計算コストも安価である。図1にプランガイドエッジ検出法を適用した結果を図5に示すが、図2よりも良い結果が得られている。]

(ウ)「IV. PLAN-GUIDED TRACKING OF WALL BOUNDARY IN SUBSEQUENT FRAMES
A. Selection of Next Frame to be Analyzed
In order to reduce computation time for consecutive frames, we utilize effectively the model obtained from the previous analysis. First of all, narrow analysis regions, R1 and R2, are selected on both sides of the detected boundaries, as shown in Fig.8. At present, the width of the regions is set at a length of 7 pixels. We can save computation time by examining only picture data in these regions, which are much smaller than those used for the analysis of the first frame.
As mentioned before, the system shou1d select frames worthy of examination from a great number of frames in the cineangiogram. Because of intermittent movement of the heart, it is reasonable that the analyzer skips over consecutive frames in which few changes from the previously analyzed one are observed. We use a simple temporal difference method to measure the degree of change, defined as
[式(4)省略]
where Gk(x,y), Gk+i(x,y) are gray values in the analysis regions of the kth frame and (k+i)th frame, respectively. If the boundaries of the heart wall move to some extent, then Dk,k+i shows significant values. The value of Dk,k+i is computed for the subsequent frames Fk+i ,i=l,2,…, and if it exceeds a certain threshold at one of the analysis regions R1 or R2, then the frame is analyzed; otherwise it is skipped. Utilizing this criterion for the selection of the frame to be analyzed, the system analyzes about 1/3 of frames in a cineangiogram as a mean, and only 1/6 at the end systole and at the end diastole, when a wall shows very slow movement.
B. Plan-Guided Analysis of Selected Frame
The selected frame is, then, analyzed utilizing the model of the previously analyzed frame. The edge operator is applied to the analysis region, in which a direction of the operator to be used is selected as the one parallel to the linear segments of the boundaries in the previously analyzed frame. Then, the boundary follower searches each analysis region for a boundary using the figure of merit of (2). This figure of merit is used in the tracking phase because the analysis regions are narrow and it is unnecessary to worry about the case in which a search for the external boundary happens to cross the wall and follow the internal boundary. The procedure is much more efficient as the analysis region is much smaller than that of the first frame.」(540頁右欄3行〜541頁左欄17行)
[当審仮訳:
IV.プランガイド後続フレーム内壁境界追跡
A.解析する次のフレームの選択
連続フレームの計算時間を短縮するために、以前の解析から得られたモデルを有効に利用した。まず、狭い解析領域R1とR2は、図8に示すように、検出された境界の両側で選択される。現在、領域の幅は7画素の長さに設定されている。これらの領域の画像データのみを調べることにより、計算時間を節約できる。
前述したように、システムはシネアンギオグラム中の多数のフレームから検査に値するフレームを選択すべきである。心臓の間欠的な動きのために、分析器は、先に分析されたものからほとんど変化が観察されない連続的なフレームにわたってスキップするのが合理的である。変化の程度を測定するために、次式で定義する単純な時間差法を使用する。
[式(4)省略]
ここで、Gk(x,y)、Gk+1(x,y)は、k番目のフレームおよび(k+i)番目のフレームの解析領域におけるグレー値である。心臓壁の境界がある程度移動する場合、Dk,k+1が有意な値を示す。Dk,k+1の値は、次のフレームFk+i,i=1,2…について計算され、分析領域R1又はR2の1つである閾値を超えていれば、フレームが分析される、それ以外の場合はスキップされる。この基準を分析対象のフレームの選択に利用して、システムは、シネアンギオグラムにおけるフレームの1/3について平均として分析し、壁が非常に遅い動きを示す収縮末期と拡張末期で1/6のみを分析する。
B.選択したフレームのプランガイド解析
次に、選択されたフレームは、先に解析されたフレームのモデルを利用して解析される。エッジ演算子が解析領域に適用され、前回解析したフレームの境界の線形セグメントに平行な演算子の方向が選択される。そして、(2)の性能指数を用いて各解析領域の境界を探索する。この性能指数は、解析領域が狭く、外部境界の探索がたまたま壁を越えて内部境界に従う場合を心配する必要がないため、追跡段階で使用される。解析領域が最初のフレームの領域よりもはるかに小さいため、この手順は非常に効率的である。]

(エ)「V. MEASUREMENT OF WALL THICKNESS
In order to measure the dynamic behavior of the heart wall, we establish a correspondence between portions of the wall in successively analyzed frames. Those areas having tissues or muscles on the internal surface of the heart are useful for finding the correspondence.
Therefore, we first determine such areas having a characteristic gray-level distribution along the internal boundary in the first frame as shown in Fig. 9. The variance of gray levels in the local area of 7×7 points is examined at every point along the internal boundary. Then, the areas where the variance of gray levels in it is the local maxima in its neighborhood and is larger than a certain threshold are selected as the areas to make correspondence.
The selected areas are then matched to those along the internal boundary in the next analyzed frame by a simple correlation method. The thickness of the heart wall is measured at these corresponded points in each frame. The thickness is determined as the distance between the corresponded points PIi(i=1,2,…) of the internal boundary and the points PEi (i=1,2,・・・) of the external boundary intersecting with the line perpendicular to the internal boundary at the corresponded points as shown in Fig. 9. Fig. 10 shows the result of thickness measurement at those corresponded points of the internal boundary between the frames.」(541頁左欄18行〜末行)
[当審仮訳:
V.壁厚の測定
心臓壁の動的挙動を測定するために、連続的に解析したフレームにおける壁の部分間の対応を確立した。心臓の内部表面に組織または筋肉がある領域は、対応を見出すのに有用である。そこで、まず、図9に示すように、第1フレームの内部境界に沿って特徴的な階調分布を有する領域を求める。7×7点の局所領域におけるグレーレベルの分散を内部境界に沿った各点で調べた。そして、その中の階調の分散がその近傍の極大であって、ある閾値よりも大きい領域を対応させる領域として選択する。
次に、簡単な相関法により、選択した領域を次の解析フレームの内部境界に沿った領域に整合させる。心臓壁の厚さは、各フレームにおけるこれらの対応する点で測定される。厚さは、図9に示すように、内部境界の対応点PIi(i=1,2,…)内と部境界に垂直な線と交差する外部境界の対応点PEi(i=1,2,…)との間の距離として求められる。図10にフレーム間の内部境界の対応点における肉厚測定結果を示す。]

イ 甲第7号証に記載された発明
上記アに示した甲第7号証の記載によれば、甲第7号証には次の発明(以下、「甲7発明」という。)が記載されている。

(甲7発明)
「60フレーム/秒の速度で記録された左心室チャンバーの一連のX線画像の256×256ポイントの原画像を64×64ポイントの小画像に圧縮した圧縮画像に基づいて、エッジ検出の解析領域を選択した後、原画像の、当該選択された解析領域においてエッジ検出を行い、最初のフレームにおける心臓壁境界の検出を行い、
解析対象となる続くフレームを選択するために、原画像のエッジ領域においてほとんど変化が観察されない連続的なフレームをスキップし、
連続的に解析されたフレームにおける壁の部分間の対応を確立し、フレーム間の内部境界の対応点における肉厚変化の測定を行う
システム。」

8 甲第8号証
ア 甲第8号証に記載されている事項
甲第8号証には以下の記載がある。なお、当審にて下線を付した。

「【0010】
撮像素子14は、後述する制御回路18の制御に応じて駆動して撮影レンズL1を通して入力される被写体像を撮像し、撮像して得た画像信号を出力する。本実施の形態において、撮像素子14は、走査ラインごとに順次シャッタを切る方式(いわゆるローリングシャッタ方式)により駆動される。撮像素子14の撮像面には、それぞれR(赤)、G(緑)およびB(青)のカラーフィルタが画素位置に対応するように設けられている。撮像素子14がカラーフィルタを通して被写体像を撮像するため、撮像素子14から出力される画像信号はRGB表色系の色情報を有する。なお、撮像素子14は、後述するように、制御回路18によって制御されて、各種の解像度モードで規定される画像の解像度に応じて画像信号を出力する画素数が変更可能となるように構成されている。」

イ 甲第8号証に記載された技術
上記アに示した甲第8号証の記載によれば、甲第8号証に記載された技術(以下、「甲8技術」という。)は、以下のとおりである。

(甲8技術)
「各種の解像度モードで規定される画像の解像度に応じて画像信号を出力する画素数が変更可能となるように構成される
撮像素子。」


第6 取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由についての当審の判断
1 取消理由(甲5発明を主引例とするもの)について
令和3年8月13日付け取消理由通知書(決定の予告)は、構成10Aを含む請求項10、及び、構成4A〜4Bを含む請求項4について取消理由を通知していないものであるのに対し、本件特許の各請求項は、本件訂正により、構成10Aを含む本件発明1〜3,5〜9,13に、または、構成4A〜4Bを含む本件発明4,11〜12に訂正され、また、請求項10を削除する訂正がなされたから、本件発明1〜9,11〜13は、実質的に、当該取消理由通知書によって取消理由を通知されていないものである。
ここでは、本件発明1〜9,11〜13に対する、甲5発明を主引例とする特許法29条1項3号、及び、同条2項の規定について検討する。

(1)本件発明1について
(a)対比
ア 構成1Aについて
構成5bの「画像メモリ16に格納されたフレーム画像信号」は、構成5bの「間引き処理した低解像度のフレーム画像」の間引き処理される前の画像である。
よって、構成5bの「間引き処理した低解像度のフレーム画像」は、構成1Aの「第1の解像度画像」に相当する。また、構成5bの「画像メモリ16に格納されたフレーム画像信号」は、構成1Aの「第1の解像度よりも高解像度の第2の解像度画像」に相当する。
また、構成5bの「A/D変換部14」は、「TVカメラ12」からの画像信号をデジタルデータに変換し「フレーム画像信号」を生成し、「画像処理部18」は、「間引き処理した低解像度のフレーム画像」の信号を生成するから、構成5bの「A/D変換部14」及び「画像処理部18」は、構成1Aの「所定のフレームレートで撮像される動画像から1または複数枚の第1の解像度画像と前記第1の解像度よりも高解像度の第2の解像度画像とのキャプチャを行う解像度制御部」に相当する。
よって、甲5発明は、本件発明1と構成1Aにおいて一致する。

イ 構成1Bについて
構成5cの「車両検知部24」は、低解像度のフレーム画像を対象に、「動きベクトルから車両検知及びナンバープレート領域の検知を行う」との動作を行うものであるから、この動作は、構成1Bの「少なくとも前記第1の解像度画像に基づいて動物体の動き情報を検出する」との動作に相当する。
よって、構成5cの「車両検知部24」は、構成1Bの「少なくとも前記第1の解像度画像に基づいて動物体の動き情報を検出する動き検出部」に相当する。
よって、甲5発明は、本件発明1と構成1Bにおいて一致する。

ウ 構成1Cについて
構成5dの「文字認識部26」は、「車両検知処理で認識されたナンバープレート領域」に基づいて「高解像度での文字認識処理を行う」との動作を行うものであるから、構成1C「前記動き情報に基づいて、前記第2の解像度画像に写る前記動物体における所定領域の位置を推定し、前記所定領域の位置に基づいて画像分析を行う」との動作に相当する。
よって、構成5dの「車両検知処理で認識されたナンバープレート領域」は、構成1Cの「前記動物体における所定領域の位置」に相当する。
よって、甲5発明は、本件発明1と構成1Cにおいて一致する。

エ 構成10Aについて
本件発明1は構成10Aとして「前記1または複数枚の第1の解像度画像の少なくとも一部は、前記第2の解像度画像よりも前に撮像され、または、前記第2の解像度画像よりも後に撮像される」構成を備えるものであるが、
甲5発明は、「TVカメラからの画像信号」を、「画像処理部」において、「フレーム周期ごとに」、「フレーム画像信号を間引き処理した低解像度のフレーム画像を生成する」ものである点で相違する。

オ 構成1Dについて
構成5fの「画像処理システム」は、構成1Dと一致する。

カ 上記ア〜オでの検討により、本件発明1と甲5発明とは、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。

(一致点)
「(1A)所定のフレームレートで撮像される動画像から1または複数枚の第1の解像度画像と前記第1の解像度よりも高解像度の第2の解像度画像とのキャプチャを行う解像度制御部と、
(1B)少なくとも前記第1の解像度画像に基づいて動物体の動き情報を検出する動き検出部と、
(1C)前記動き情報に基づいて、前記第2の解像度画像に写る前記動物体における所定領域の位置を推定し、前記所定領域の位置に基づいて画像分析を行う画像分析部と、を有する、
(1D)画像処理システム。」

(相違点)
本件発明1は、「(10A)前記1または複数枚の第1の解像度画像の少なくとも一部は、前記第2の解像度画像よりも前に撮像され、または、前記第2の解像度画像よりも後に撮像される」構成を備えるのに対し、
甲5発明は、「TVカメラからの画像信号を、画像処理部において、フレーム周期ごとに、フレーム画像信号を間引き処理した低解像度のフレーム画像を生成する」構成を備える点で相違する。

(b)判断
ア 特許法29条1項3号新規性)について
上記(a)での対比により、本件発明1と甲5発明に上記相違点があるから、甲5発明は、本件発明1ではない。

イ 特許法29条2項進歩性)について
上記(a)で述べた相違点について検討する。
甲5発明は、フレーム画像信号を間引き処理することにより、低解像度のフレーム画像を生成する構成を備えることで、異なる2つの解像度の画像を得る構成であると認められる。
一方、上記相違点に係る構成10Aは、異なる撮像を行う事で2つの解像度の画像を得る構成であると認められる。
そうすると、異なる2つの解像度の画像を得る構成を備えた甲5発明に、更に、異なる2つの解像度の画像を得る構成として、本件発明1の構成10Aの構成を適用する事に、動機がない。
よって、甲5発明に構成10Aを備えることは、当業者が容易になし得たものでもない。よって、本件発明1は、甲5発明に基づいて当業者が容易に為し得たものではない。

(2)本件発明2〜3,5〜9,13について
構成10Aを備える本件発明2〜3,5〜9,13についても、上記(1)(b)と同様の判断により、甲5発明と相違点があるから、甲5発明は、本件発明1ではなく、また、甲5発明に基づいて当業者が容易になし得たものでもない。

(3)本件発明4について
(a)対比
上記(1)で検討したとおり、甲5発明は、構成1A〜1Cを備える点で本件発明4と一致する。
しかし、本件発明4は、構成4A〜4Bとして「前記解像度制御部は、前記第1の解像度画像が複数枚から構成される場合、複数枚の前記第1の解像度画像を前記第2の解像度画像と同一解像度に集約して前記画像分析部に出力」する構成と、「前記画像分析部は、前記複数枚の第1の解像度画像と前記所定領域の位置とに基づいて、前記画像分析を行う」構成を備えるものであるが、甲5発明は、これらの構成を備えていない点で相違する。

(b)判断
ア 特許法29条1項3号新規性)について
上記(a)での対比により、本件発明4と甲5発明に上記相違点があるから、甲5発明は、本件発明1ではない。

イ 特許法29条2項進歩性)について
上記(a)で述べた相違点について検討する。
甲5発明は、フレーム画像信号を間引き処理することにより、低解像度のフレーム画像を生成するものであるから、そもそも、高解像度のフレーム画像が得られる構成であると認められる。
一方で、上記相違点に係る構成4A〜4Bは、「複数枚の前記第1の解像度画像を前記第2の解像度画像と同一解像度に集約して前記画像分析部に出力」する構成は、改めて高解像度の画像を生成する構成と認められる。
そうすると、高解像度のフレーム画像が得られる構成である甲5発明に、更に、高解像度の画像を生成する構成として、本件発明1の構成4A〜4Bの構成を適用する事に、動機がない。
よって、本件発明4は、甲5発明に基づいて当業者が容易になし得たものではない。

(4)本件発明11について
構成4A〜4Bを備える本件発明11についても、上記(3)の検討と同様に、甲5発明と相違するから、甲5発明は、本件発明11ではなく、また、甲5発明に基づいて当業者が容易になし得たものではない。

(5)本件発明12について
構成4A’〜4B’を備える本件発明12についても、上記(3)の検討と同様に、甲5発明と相違するから、甲5発明は、本件発明12ではなく、また、甲5発明に基づいて当業者が容易になし得たものではない。

(6)まとめ
上記(1)〜(5)で検討したとおり、本件発明1〜9,11〜13は、甲5発明ではなく、また、甲5発明に基づいて当業者が容易になし得たものでもない。

2 特許異議申立人の意見の検討
(1)本件訂正に係る請求項1〜3,5〜9,13について
本件訂正に係る請求項1〜3,5〜9,13は、本件訂正によって構成10Aを含む請求項となった。構成10Aを含む構成について、申立人は、令和3年4月16日の意見書の3(1)ウの「(イ)訂正後請求項10について」(第11頁)において、以下の主張をしている。
なお、本件訂正により取下げとなった令和3年2月1日の訂正特許請求の範囲では、構成10Aは、訂正後請求項10に含まれている。

・訂正後請求項10の構成と甲第5号証の図4のフローチャートを対比すると、ステップS3で間引き処理した後の「現フレーム画像30と前フレーム画像32」は、訂正後請求項10の「前記1または複数枚の第1の解像度画像」に相当し、ステップS7で候補文字領域に対する高解像度での文字認識処理を行う為に使われる「現フレーム画像30」が、訂正後請求項10の「前記第2の解像度画像」に相当し、ステップS3で間引き処理した後の「前フレーム画像32」は、「現フレーム画像30」の前に撮像されたものである。

しかし、甲第5号証は、高解像で撮像した画像から間引き処理により低解像度の画像を得るものであるから、高解像度の画像と低解像度の画像について撮像のタイミングが前後することなく、各処理を行う構成であると認められる。
よって、申立人の上記主張は採用できない。

(2)本件訂正に係る請求項4,11〜12について
本件訂正に係る請求項4,11は、本件訂正によって構成4A〜4Bを含む請求項となった。構成4A〜4Bを含む構成について、申立人は、令和3年4月16日の意見書の3(1)ウの「(ア)訂正後請求項4について」(第11頁)において、以下の趣旨の主張をしている。
なお、本件訂正により取下げとなった令和3年2月1日の訂正特許請求の範囲では、構成4A〜4Bは、訂正後請求項4に含まれている。

・構成4A〜4Bは、設計事項である。

しかし、甲5発明は、常時高解像で撮像するものであるから、本件訂正後の請求項4のように、「複数枚の前記第1の解像度画像を前記第2の解像度画像と同一解像度に集約して前記画像分析部に出力」する構成を備えるものではなく、この構成を備えることについて当業者に動機がなく、また、設計事項とも認められない。
また、本件訂正によって構成4A’〜4B’を含む請求項となった本件訂正に係る請求項12についても同様である。
よって、申立人の上記主張は採用できない。

3 まとめ
上記1〜2の検討したとおり、本件発明1〜9,11〜13については、取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由によって特許を取り消すべきものではない。


第7 取消理由通知書(決定の予告)において取消理由として採用しなかった特許異議申立書の申立理由についての判断
特許異議申立書には、上記「第4」の1(1)で述べたとおりの申立理由1〜4が申立理由として記載されている。

1 申立理由1(甲第1号証を主引例とするもの)について
申立理由1は、本件特許の請求項1〜3,5〜8,10〜13に対して申し立てられたものであり、
本件訂正により、本件発明10は、削除され、
本件発明11は、申立理由1が申し立てられていない本件特許の請求項4が備えていた構成4A〜4Bを備えるものとなり、
本件発明12は、申立理由1が申し立てられていない本件特許の請求項4が備えていた構成4A〜4Bに対応する構成4A’〜4B’を備えるものとなった。
よって、ここでは、本件発明1〜3,5〜8,13に対する申立理由1について検討する。

甲第1号証に記載された甲1発明は、上記「第5」の2イで述べたとおり、「制御装置2の指令により、行または列の少なくともいずれかを間引いた低解像度画像と、間引かない高解像度画像とを切り替えて撮影し、行または列を間引いた低解像度画像を、間引かない高解像度画像より高速のフレームレートで撮影することができ」るものであるから、高解像度の画像を得るフレームレートと低解像度の画像を得るフレームレートは、異なるものであると認められるから、
本件発明1が備える構成1Aの「所定のフレームレートで撮像される動画像から1または複数枚の第1の解像度画像と前記第1の解像度よりも高解像度の第2の解像度画像とのキャプチャを行う解像度制御部」を備えるものではない。

そして、甲1発明は、「行または列を間引いた低解像度画像を、間引かない高解像度画像より高速のフレームレートで撮影することができ、高速のフレームレートで撮影することにより、単位時間あたりに撮影できる画像(フレーム)数が増加し、移動物体を撮影、追跡するためには、短時間で多くの画像を撮影することが好まし」いとするものであるから、構成1Aを備えた本件発明1の構成とすることに動機のないものである。
よって、構成1Aを含む本件発明1〜3,5〜8,13は、甲1発明に基づいて当業者が容易になし得たものでもない。

よって、本件発明1〜3,5〜8,11〜13は、申立理由1によって取り消されるべきものではない。

2 申立理由2(甲第5号証を主引例とするもの)について
申立理由2は、上記「第4」の1(1)で述べたとおり、甲第5号証を主引例として本件特許の請求項1〜13に対して申立人より申し立てられたものであり、
上記「第4」の2のとおり、一部の請求項に対して当審より甲第5号証を主引例とする取消理由を通知したものである。
ここで、甲第5号証を主引例とする取消理由については、上記「第6」で検討したとおりであるから、本件発明1〜9,11〜13は、申立理由2によって取り消されるべきものではない。

3 申立理由3(甲第6号証を主引例とするもの)について
申立理由3は、上記「第4」の1(1)で述べたとおり、本件特許の請求項1,5〜13に対して申し立てられたものであり、
本件訂正により、本件発明10は、削除され、
本件発明11は、申立理由3が申し立てられていない本件特許の請求項4が備えていた構成4A〜4Bを備えるものとなり、
本件発明12は、申立理由3が申し立てられていない本件特許の請求項4が備えていた構成4A〜4Bに対応する構成4A’〜4B’を備えるものとなった。
よって、ここでは、本件発明1,5〜9,13に対する申立理由3について検討する。

甲第6号証に記載された甲6発明は、上記「第5」の6イで述べたとおり、「入力画面のサンプリングには全画面256×256点を128×128点でサンプルする粗モード」と、「特定の領域を任意の大きさでサンプルする精モード」があるものであるから、異なる解像度の画像は、「サンプル」すること、すなわち、画像処理によって得るものであり、異なる解像度の画像を撮像する構成を備えるものではない。
よって、構成10Aを含む本件発明1,5〜9,13は、甲6発明ではない。

そして、甲6発明は、異なる解像度の画像は、「サンプル」すること、すなわち、画像処理によって得るものであると認められる。
一方、上記相違点に係る構成10Aは、異なる撮像を行う事で2つの解像度の画像を得る構成であると認められる。
そうすると、異なる2つの解像度の画像を得る構成を備えた甲6発明に、更に、異なる2つの解像度の画像を得る構成として、本件発明1の構成10Aの構成を適用する事に、動機がない。
よって、甲6発明に構成10Aを備えることは、当業者が容易になし得たものでもない。
よって、構成10Aを含む本件発明1,5〜9,13は、甲6発明に基づいて当業者が容易に為し得たものではない。

よって、本件発明1,5〜9,11〜13は、申立理由3によって取り消されるべきものではない。

4 申立理由4(甲第7号証を主引例とするもの)について
申立理由4は、上記「第4」の1(1)で述べたとおり、本件特許の請求項1,5〜13に対して申し立てられたものであり、
本件訂正により、本件発明10は、削除され、
本件発明11は、申立理由4が申し立てられていない本件特許の請求項4が備えていた構成4A〜4Bを備えるものとなり、
本件発明12は、申立理由4が申し立てられていない本件特許の請求項4が備えていた構成4A〜4Bに対応する構成4A’〜4B’を備えるものとなった。
よって、ここでは、本件発明1,5〜9,13に対する申立理由4について検討する。

甲第7号証に記載された甲7発明は、上記「第5」の7イで述べたとおり、「60フレーム/秒の速度で記録された左心室チャンバーの一連のX線画像の256×256ポイントの原画像を64×64ポイントの小画像に圧縮した圧縮画像に基づいて、エッジ検出の解析領域を選択した後、原画像の、当該選択された解析領域においてエッジ検出を行い、最初のフレームにおける心臓壁境界の検出を行」うものであるから、異なる解像度の画像は、「圧縮」すること、すなわち、画像処理によって得るものであり、異なる解像度の画像を撮像する構成を備えるものではない。
よって、構成10Aを含む本件発明1,5〜9,13は、甲7発明ではない。

そして、甲7発明は、異なる解像度の画像は、「圧縮」すること、すなわち、画像処理によって得るものであると認められる。
一方、上記相違点に係る構成10Aは、異なる撮像を行う事で2つの解像度の画像を得る構成であると認められる。
そうすると、異なる2つの解像度の画像を得る構成を備えた甲7発明に、更に、異なる2つの解像度の画像を得る構成として、本件発明1の構成10Aの構成を適用する事に、動機がない。
よって、甲7発明に構成10Aを備えることは、当業者が容易になし得たものでもない。
よって、構成10Aを含む本件発明1,5〜9,13は、甲7発明に基づいて当業者が容易に為し得たものではない。

よって、本件発明1,5〜9,11〜13は、申立理由4によって取り消されるべきものではない。


第8 むすび
本件特許の請求項1〜9,11〜13に係る特許は、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。さらに、他に本件特許の請求項1〜9,11〜13に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項10は、訂正により削除されたことで、特許異議の申立の対象が存在しないものとなったので、請求項10に係る特許異議の申立を却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のフレームレートで撮像される動画像から1または複数枚の第1の解像度画像と前記第1の解像度よりも高解像度の第2の解像度画像とのキャプチャを行う解像度制御部と、
少なくとも前記第1の解像度画像に基づいて動物体の動き情報を検出する動き検出部と、
前記動き情報に基づいて、前記第2の解像度画像に写る前記動物体における所定領域の位置を推定し、前記所定領域の位置に基づいて画像分析を行う画像分析部と、
を有し、
前記1または複数枚の第1の解像度画像の少なくとも一部は、前記第2の解像度画像よりも前に撮像され、または、前記第2の解像度画像よりも後に撮像される、
画像処理システム。
【請求項2】
前記動物体は、車両であり、
前記所定領域は、ナンバープレートである、
請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記解像度制御部は、撮像装置に備えられ、
前記画像分析部は、分析装置に備えられ、
前記動き検出部は、前記撮像装置または前記分析装置に備えられる、
請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項4】
所定のフレームレートで撮像される動画像から1または複数枚の第1の解像度画像と前記第1の解像度よりも高解像度の第2の解像度画像とのキャプチャを行う解像度制御部と、
少なくとも前記第1の解像度画像に基づいて動物体の動き情報を検出する動き検出部と、
前記動き情報に基づいて、前記第2の解像度画像に写る前記動物体における所定領域の位置を推定し、前記所定領域の位置に基づいて画像分析を行う画像分析部と、
を有し、
前記解像度制御部は、前記第1の解像度画像が複数枚から構成される場合、複数枚の前記第1の解像度画像を前記第2の解像度画像と同一解像度に集約して前記画像分析部に出力し、
前記画像分析部は、前記複数枚の第1の解像度画像と前記所定領域の位置とに基づいて、前記画像分析を行う、
画像処理システム。
【請求項5】
前記画像処理システムは、
前記第1の解像度、前記第2の解像度および前記第2の解像度画像の挿入間隔の少なくともいずれか一つを含むパラメータを制御するパラメータ制御部を備える、
請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記パラメータ制御部は、ユーザから入力された操作に基づいて前記パラメータを制御する、
請求項5に記載の画像処理システム。
【請求項7】
前記パラメータ制御部は、前記動物体の速度に基づいて、前記パラメータを制御する、
請求項5に記載の画像処理システム。
【請求項8】
前記パラメータ制御部は、前記画像分析の精度に基づいて、前記パラメータを制御する、
請求項5に記載の画像処理システム。
【請求項9】
前記1または複数枚の第1の解像度画像と前記第2の解像度画像とが所定周期を単位として繰り返し撮像される場合、
前記解像度制御部は、前記所定周期単位で前記キャプチャを行い、
前記動き検出部は、前記所定周期単位で前記動き情報を検出し、
前記画像分析部は、前記所定周期単位で前記所定領域の位置を推定し、前記所定周期単位で前記画像分析を行う、
請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項10】(削除)
【請求項11】
前記動き検出部は、前記1または複数枚の第1の解像度画像の少なくとも一部を、前記第2の解像度画像の低解像度化によって得る、
請求項4に記載の画像処理システム。
【請求項12】
所定のフレームレートで撮像される動画像から1または複数枚の第1の解像度画像と前記第1の解像度よりも高解像度の第2の解像度画像とのキャプチャを行うことと、
少なくとも前記第1の解像度画像に基づいて動物体の動き情報を検出することと、
前記動き情報に基づいて、前記第2の解像度画像に写る前記動物体における所定領域の位置を推定し、前記所定領域の位置に基づいて画像分析を行うことと、
前記第1の解像度画像が複数枚から構成される場合、複数枚の前記第1の解像度画像を前記第2の解像度画像と同一解像度に集約して出力することと、
前記複数枚の第1の解像度画像と前記所定領域の位置とに基づいて、前記画像分析を行うことと、
を有する、画像処理方法。
【請求項13】
所定のフレームレートで撮像される動画像から1または複数枚の第1の解像度画像と前記第1の解像度よりも高解像度の第2の解像度画像とのキャプチャを行う解像度制御部と、
少なくとも前記第1の解像度画像に基づいて動物体の動き情報を検出する動き検出部と、
を備え、
前記動き情報に基づいて、前記第2の解像度画像に写る前記動物体における所定領域の位置が推定され、前記所定領域の位置に基づいて画像分析が行われ、
前記1または複数枚の第1の解像度画像の少なくとも一部は、前記第2の解像度画像よ りも前に撮像され、または、前記第2の解像度画像よりも後に撮像される、
撮像装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2022-03-18 
出願番号 P2016-103386
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (G06T)
P 1 651・ 857- YAA (G06T)
P 1 651・ 121- YAA (G08G)
P 1 651・ 851- YAA (G06T)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 五十嵐 努
特許庁審判官 渡辺 努
木方 庸輔
登録日 2020-03-30 
登録番号 6683012
権利者 沖電気工業株式会社
発明の名称 画像処理システム、画像処理方法および撮像装置  
代理人 風間 竜司  
代理人 風間 竜司  
代理人 伊藤 学  
代理人 伊藤 学  
代理人 大山 夏子  
代理人 大山 夏子  
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