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審決分類 審判 全部申し立て 特許請求の範囲の実質的変更  A23L
審判 全部申し立て 1項2号公然実施  A23L
審判 全部申し立て (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降)  A23L
審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  A23L
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A23L
審判 全部申し立て 2項進歩性  A23L
審判 全部申し立て 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張  A23L
管理番号 1385187
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-06-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-07-02 
確定日 2022-04-05 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6807477号発明「鉄含有飲料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6807477号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1−5〕について訂正することを認める。 特許第6807477号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6807477号(以下、「本件特許」という。)の請求項1〜5に係る特許についての出願は、令和2年4月13日(優先権主張 令和1年12月25日)の出願であって、同年12月9日にその特許権の設定登録がなされ、令和3年1月6日に特許掲載公報が発行され、その後、その特許の請求項1〜5について、同年7月2日に特許異議申立人 松下 明光(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがなされたものである。
本件特許異議申立事件における手続の経緯及び提出された証拠方法等は次のとおりである。

1 手続の経緯
令和 3年 7月 2日 :特許異議申立書、甲第1〜6号証の提出
同年10月15日付け:取消理由通知
同年12月14日 :訂正請求書、意見書の提出(特許権者)
同年 同月20日付け:特許法第120条の5第5項に基づく
通知書
令和 4年 2月 5日 :意見書、参考資料1〜2の提出(申立人)

2 証拠方法
(1)甲第1号証
“Mixed Citrus Drink(Record ID:5815257)”,[online],2018年7月,MINTEL GNPD,インターネット<URL:http://www.gnpd.com>
(2)甲第2号証
“Mixed Fruit Drink(Record ID:6188977)”,[online],2018年12月,MINTEL GNPD,インターネット<URL:http://www.gnpd.com>
(3)甲第3号証
“Pumpkin Spice Cold Brew Coffee with Almond Milk(Record ID:7093871)”,[online],2020年1月,MINTEL GNPD,インターネット<URL:http://www.gnpd.com>
(4)甲第4号証
“Aldi Just Leaked Info on Dozens of New Items That Will Hit Stores in October”,[オンライン],2019年9月23日,[2021年5月13日検索],インターネット<URL:https://www.thekitchn.com/aldi−finds−october−2019−new−products−22944648>
(5)甲第5号証
“18 of the best things to buy at Aldi this month for under $5”,[オンライン],2019年10月1日,[2021年5月13日検索],インターネット<URL:https://www.insider.com/cheap−things−to−get−at−aldi−this−month−2019−10>
(6)甲第6号証
“CHEAP PUMPKINS AT ALDI CONTINUE... PLUS PET COSTUMES,CUTE RAIN BOOTS,AND MORE ALDI FINDS!”,[オンライン],2019年10月9日,[2021年5月13日検索],インターネット<URL:https://www.almostallaldi.com/cheap−pumpkins−at−aldi−continue−plus−pet−costumes−cute−rain−boots−and−more−aldi−finds/>
(7)参考資料1
“ALDI−Valid from 10/06 until 10/12/2019”,[オンライン],[2022年1月28日検索],インターネット<URL:https://frequent−ads.com/aldi/aldi−weekly−ad−79fDr9DU1w−0>
(8)参考資料2
“ALDI−Valid from 06/10 until 12/10/2019”,[オンライン],[2022年1月28日検索],インターネット<URL:https://au−catalogue−24.com/aldi/aldi−catalogue−QBsiYBz6nU−1>

第2 訂正の適否について
1 訂正の趣旨
令和3年12月14日提出の訂正請求書による訂正(以下、「本件訂正」という。)の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1〜5について訂正することを求めるものである。

2 訂正の内容
本件訂正の内容は、以下の訂正事項1のとおりである。下線は、訂正箇所を示す。

訂正事項1:
特許請求の範囲の請求項1に、
「ナトリウム及び鉄を含む飲料(ただし、鉄が含糖錯体鉄である場合を除く)であって、
(a)ナトリウムの含有量が40〜120mg/100mlであり、
(b)鉄の含有量が0.4〜2mg/100mlであり、
(c)タンパク質濃度が2%未満であり、
(d)鉄が3価鉄である、
上記飲料。」
と記載されているのを、
「ナトリウム及び鉄を含む飲料(ただし、鉄が含糖錯体鉄である場合を除く)であって、
(a)ナトリウムの含有量が40〜120mg/100mlであり、
(b)鉄の含有量が0.4〜2mg/100mlであり、
(c)タンパク質濃度が2%未満であり、
(d)鉄が3価鉄である、
上記飲料(ただし、食物繊維を8.2g/330ml以上含む飲料を除く)。」
と訂正する。

なお、本件訂正前の請求項1〜5について、請求項2〜5は、請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1〜5に対応する訂正後の請求項1〜5に係る本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に対してされたものである。

3 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る発明の「飲料」について、甲第1号証又は甲第2号証に掲載された発明及び甲第1号証又は甲第2号証から認定される発明の330ml当たり8.2gの食物繊維が含まれる飲料との重なりを、330ml当たり8.2g以上の食物繊維が含まれる飲料まで除いた「食物繊維を8.2g/330ml以上含む飲料を除く」と限定する、いわゆる「除くクレーム」とするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてしたものであって、新たな技術的事項を導入するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でもないから、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

4 申立人の主張について
申立人は、令和4年2月5日付けの意見書において、訂正事項1は新規事項の追加にあたるとして、本件特許明細書【0005】に記載の「ナトリウムを35mg/100ml以上含む飲料において、ナトリウムに由来する塩味を改善する」という目的を達成するために、食物繊維という観点は全く提示されていないこと、食物繊維を8.2g/330ml以上含む飲料を除く点については何らの記載も認められないこと、加えて、訂正前の請求項1の発明特定事項のいずれかを概念的に下位にしたものとは言えず、新たな技術的事項(食物繊維等の栄養補給を効率よく行うか否かという技術的事項)を導入することにより、本件特許発明の新たな効果を主張しようとするものであると主張する。
しかしながら、上記3のとおり、いわゆる「除くクレーム」とすることは、訂正前の本件特許明細書から導かれる技術的事項に何らかの変更を生じさせるものとはいえず、このような訂正は、新たな技術的事項を導入しないものであることは明らかであるし、新たな効果を主張するものでもない。
よって、申立人の主張は採用できない。

5 まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1−5〕について訂正することを認める。

第3 本件特許発明
上記第2のとおり本件訂正は認められるので、本件特許の請求項1〜5に係る発明は、訂正請求書に添付された特許請求の範囲の請求項1〜5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
以下、本件特許の請求項1〜5に係る発明を、請求項順にそれぞれ、「本件訂正発明1」、「本件訂正発明2」などといい、これらをまとめて「本件訂正発明」ともいう。

「【請求項1】
ナトリウム及び鉄を含む飲料(ただし、鉄が含糖錯体鉄である場合を除く)であって、
(a)ナトリウムの含有量が40〜120mg/100mlであり、
(b)鉄の含有量が0.4〜2mg/100mlであり、
(c)タンパク質濃度が2%未満であり、
(d)鉄が3価鉄である、
上記飲料(ただし、食物繊維を8.2g/330ml以上含む飲料を除く)。
【請求項2】
ナトリウムの含有量(mg/100ml)に対する鉄の含有量(mg/100ml)の比(鉄含有量/ナトリウム含有量)が0.004以上である、請求項1に記載の飲料。
【請求項3】
ピロリン酸第二鉄を含有する、請求項1又は2に記載の飲料。
【請求項4】
塩化ナトリウムを含有する、請求項1〜3のいずれか1項記載の飲料。
【請求項5】
熱中症対策飲料である、請求項1〜4のいずれか1項記載の飲料。」

第4 取消理由通知に記載した取消理由について
当審は、本件訂正発明に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由によっては、取り消すことはできないと判断する。
その理由は以下のとおりである。

1 取消理由の概要
本件訂正前の請求項1〜3に係る特許に対して、当審が令和3年10月115日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は次のとおりである。

理由1(新規性:電子的技術情報)
本件特許の請求項1〜3に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件特許の請求項1〜3に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

理由2(新規性公然実施
本件特許の請求項1〜3に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内において公然実施をされた発明であって、特許法第29条第1項第2号に該当するから、本件特許の請求項1〜3に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。



電子的技術情報1(甲第1号証):
“Mixed Citrus Drink(Record ID:5815257)”,[online],2018年7日,MINTEL GNPD,インターネット<URL:http://www.gnpd.com>
電子的技術情報2(甲第2号証):
“Mixed Fruit Drink(Record ID:6188977)”,[online],2018年12日,MINTEL GNPD,インターネット<URL:http://www.gnpd.com>

2 電子的技術情報に掲載された事項
(1)電子的技術情報1(甲第1号証。以下、「甲1」という。)
(1a)「



(1b)「



(1c)「



(2)電子的技術情報2(甲第2号証。以下、「甲2」という。)
(2a)「



(2b)「



(2c)「



3 理由1(新規性:電子的技術情報)について
なお、以下、上記2の電子的技術情報に掲載された事項については、単に(1a)などと示す。

(1)甲1に掲載された発明
甲1の上記(1a)には、商用データベースであるMINTEL GNPDに登録された商品として、森永乳業の「ミルク&フルーツPLUS+ シトラスミックス」が掲載されており、掲載時期が2018年7月であることが示されている。
そして、上記(1b)には、材料(1パック)の項目にピロリン酸第二鉄(ferric pyrophosphate)が、栄養の項目に330ml中にタンパク質1.5g、ナトリウム160mg、鉄4.5mg及び食物繊維8.2gが示されている。
したがって、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が掲載されていると認める。

甲1発明
「ナトリウム及びピロリン酸第二鉄を含む飲料であって、
(a)ナトリウムの含有量が160mg/330ml(=48.5mg/100ml)であり、
(b)鉄の含有量が4.5mg/330ml(=1.36mg/100ml)であり、
(c)タンパク質濃度が1.5g/330ml(=0.45%)であり、
ナトリウムの含有量(mg/100ml)に対する鉄の含有量(mg/100ml)の比(鉄含有量/ナトリウム含有量)が1.36/48.5(=0.028)であり、
食物繊維の含有量が8.2g/330mlである、
上記飲料。」

(2)甲2に掲載された発明
甲2の上記(2a)には、商用データベースであるMINTEL GNPDに登録された商品として、森永乳業の「ミルク&フルーツPLUS+ フルーツミックス」が掲載されており、掲載時期が2018年12月であることが示されている。
そして、上記(2b)には、材料(1パック)の項目にピロリン酸第二鉄(ferric pyrophosphate)が、栄養の項目に330ml中にタンパク質1.5g、ナトリウム220mg、鉄4.6mg及び食物繊維8.2gが示されている。
したがって、甲2には、次の発明(以下、「甲2発明」という。)が掲載されていると認める。

甲2発明
「ナトリウム及びピロリン酸第二鉄を含む飲料であって、
(a)ナトリウムの含有量が220mg/330ml(=66.7mg/100ml)であり、
(b)鉄の含有量が4.6mg/330ml(=1.39mg/100ml)であり、
(c)タンパク質濃度が1.5g/330ml(=0.45%)であり、
ナトリウムの含有量(mg/100ml)に対する鉄の含有量(mg/100ml)の比(鉄含有量/ナトリウム含有量)が1.39/66.7(=0.021)であり、
食物繊維の含有量が8.2g/330mlである、
上記飲料。」

(3)対比・判断
本件訂正発明1〜3と甲1発明又は甲2発明とを対比すると、本件訂正発明1〜3は、「食物繊維を8.2g/330ml以上含む飲料を除く」と特定しているのに対し、甲1発明又は甲2発明は、「食物繊維の含有量が8.2g/330ml」である飲料である点で相違する。
すなわち、本件訂正により、本件訂正発明1〜3は、甲1発明又は甲2発明を除くものとなったから、本件訂正発明1〜3は、甲1発明又は甲2発明ではない。

(4)小括
以上のとおりであるから、理由1(新規性:電子的技術情報)は理由がない。

4 理由2(新規性公然実施)について
(1)甲1から認定できる発明について
甲1の上記(1a)には、商用データベースであるMINTEL GNPDに登録された商品として、森永乳業の「ミルク&フルーツPLUS+ シトラスミックス」が掲載されており、掲載時期が2018年7月、市場が日本、店名が東急ストア(目黒)であり、価格が149円であることが示されている。
そして、上記(1c)には、商品のパッケージ側面の写真が掲載されており、「原材料名」に「ピロリン酸鉄」が、「栄養成分表示1本(330ml)当たり」に「たんぱく質 1.5g」、「ナトリウム 160mg」、「鉄 4.5mg」、及び「食物繊維 8.2g」が、それぞれ記載されている。
したがって、甲1に掲載された上記商品は、2018年7月の時点で、その内容が公然知られる状況にあったといえ、パッケージ側面の写真から、次の公然実施発明(以下、「公然実施発明1」という。)が認定できると認める。

公然実施発明1
「ナトリウム及びピロリン酸鉄を含む飲料であって、
(a)ナトリウムの含有量が160mg/330ml(=48.5mg/100ml)であり、
(b)鉄の含有量が4.5mg/330ml(=1.36mg/100ml)であり、
(c)タンパク質濃度が1.5g/330ml(=0.45%)であり、
ナトリウムの含有量(mg/100ml)に対する鉄の含有量(mg/100ml)の比(鉄含有量/ナトリウム含有量)が1.36/48.5(=0.028)であり、
食物繊維の含有量が8.2g/330mlである、
上記飲料。」

(2)甲2から認定できる発明について
甲2の上記(2a)には、商用データベースであるMINTEL GNPDに登録された商品として、森永乳業の「ミルク&フルーツPLUS+ フルーツスミックス」が掲載されており、掲載時期が2018年12月、市場が日本、店名が東急ストア(目黒)であり、価格が149円であることが示されている。
そして、上記(2c)には、商品のパッケージ側面の写真が掲載されており、「原材料名」に「ピロリン酸鉄」が、「栄養成分表示1本(330ml)当たり」に「たんぱく質 1.5g」、「ナトリウム 220mg」、「鉄 4.6mg」、及び「食物繊維 8.2g」が、それぞれ記載されている。
したがって、甲2に掲載された上記商品は、2018年12月の時点で、その内容が公然知られる状況にあったといえ、パッケージ側面の写真から、次の公然実施発明(以下、「公然実施発明2」という。)が認定できると認める。

公然実施発明2
「ナトリウム及びピロリン酸鉄を含む飲料であって、
(a)ナトリウムの含有量が220mg/330ml(=66.7mg/100ml)であり、
(b)鉄の含有量が4.6mg/330ml(=1.39mg/100ml)であり、
(c)タンパク質濃度が1.5g/330ml(=0.45%)であり、
ナトリウムの含有量(mg/100ml)に対する鉄の含有量(mg/100ml)の比(鉄含有量/ナトリウム含有量)が1.39/66.7(=0.021)であり、
食物繊維の含有量が8.2g/330mlである、
上記飲料。」

(3)対比・判断
本件訂正発明1〜3と公然実施発明1又は公然実施発明2とを対比すると、本件訂正発明1〜3は、「食物繊維を8.2g/330ml以上含む飲料を除く」と特定しているのに対し、公然実施発明1又は公然実施発明2は、「食物繊維の含有量が8.2g/330ml」である飲料である点で相違する。
すなわち、本件訂正により、本件訂正発明1〜3は、公然実施発明1又は公然実施発明2を除くものとなったから、本件訂正発明1〜3は、公然実施発明1又は公然実施発明2ではない。

(4)小括
以上のとおりであるから、理由2(新規性公然実施)は理由がない。

5 まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正発明に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由によって、取り消されるべきものではない。

第5 取消理由通知で採用しなかった特許異議申立理由について
当審は、本件訂正発明に係る特許は、申立人が申し立てた理由によっても、取り消すことはできないと判断する。
その理由は以下のとおりである。

1 申立て理由の概要
訂正前の請求項1〜5に係る特許に対して、申立人が主張した特許異議申立理由のうち、取消理由通知において採用しなかった理由の要旨は、次のとおりである。

申立理由1(新規性:電子的技術情報)
本件特許の請求項1〜2、4に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件特許の請求項1〜2、4に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

申立理由2(新規性公然実施
本件特許の請求項1〜2、4に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内において公然実施をされた発明であって、特許法第29条第1項第2号に該当するから、本件特許の請求項1〜2、4に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。



電子的技術情報3:(甲第3号証:以下、「甲3」という。)
“Pumpkin Spice Cold Brew Coffee with Almond Milk(Record ID:7093871)”[online],2020年1月,MINTEL GNPD,インターネット<URL:http://www.gnpd.com>

申立理由3(進歩性
本件特許の請求項5に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明、又は、本件特許の優先日前に日本国内において公然実施をされた発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許の請求項5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。



電子的技術情報1(甲1)
電子的技術情報2(甲2)
電子的技術情報3(甲3)

2 電子的技術情報に掲載された事項
(1)甲1
上記第4 2(1)のとおりである。

(2)甲2
上記第4 2(1)のとおりである。

(3)甲3
(3a)「



(3b)「



(3c)「



3 当審の判断
(1)申立理由1(新規性:電子的技術情報)及び申立理由2(新規性公然実施)について

ア 申立理由1(新規性:電子的技術情報)及び申立理由2(新規性公然実施)は、甲3に掲載された事項に基づくものであるところ、上記(3a)には、甲3は、本件特許の優先日(2019年12月25日)より後の2020年1月に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものである。
したがって、甲3に掲載された事項の詳細について検討するまでもなく、本件訂正発明1〜2、4は、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明でもなければ、公然実施をされた発明でもない。

イ 申立人は、異議申立書において、甲第4号証〜甲第6号証を示し、甲3に掲載された飲料が、実際には遅くとも2019年9月ないし同年10月には市販されていると主張している。
確かに、甲第4号証〜甲第6号証には、「Pumpkin Spice Cold Brew Coffee with Almond Milk」の文字が確認できる飲料の外観正面の写真とともに、それぞれ2019年9月23日、同年10月1日、及び同年同月9日に掲載されたことが示されている。
しかしながら、甲3に掲載された飲料と同じ名称の飲料であることが理解できるだけであり、甲3に掲載された飲料と同じものであるかは確認することができない。
よって、申立人の上記主張は採用できない。

ウ 申立人は、令和4年2月5日付けの意見書において、甲第4号証〜甲第6号証を補強する証拠として、参考資料1及び参考資料2を示し、甲3に掲載された飲料のブランドであるバリッシモ・コーヒーを製造販売するスーパーであるALDIの広告であり、それぞれ2019年10月6日〜同年10月12日の間に販売されたことが公開されていることから、販売されていた事実が理解できると主張している。
しかしながら、参考資料1及び参考資料2には、甲第4号証〜甲第6号証と同様の飲料の外観正面の写真が掲載されているだけであり、甲3に掲載された飲料と同じものであることを確認できるものではない。
よって、申立人の上記主張は採用できない。

エ まとめ
したがって、申立人の申し立てた申立理由1(新規性:電子的技術情報)及び申立理由2(新規性公然実施)は理由がない。

(2)申立理由3(進歩性)について
申立理由3(進歩性)は、甲1、甲2又は甲3に掲載された事項に基づくものである。

ア 甲3について
上記(1)のとおり、甲3は、本件特許の優先日(2019年12月25日)より後の2020年1月に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものであるから、甲3に基づく申立理由3(進歩性)は理由がない。

イ 甲1又は甲2について
甲1又は甲2に掲載された発明及び甲1又は甲2から認定できる発明は、それぞれ、上記第4 3(1)又は(2)の甲1発明又は甲2発明及び上記第4 4(1)又は(2)の公然実施発明1又は公然実施発明2のとおりである。以下、これらをまとめて、「引用発明」という。
そして、引用発明と、本件訂正発明5とは、上記第4 3(3)又は4(3)で述べたとおり相違することに加えて、本件訂正発明5は、「熱中症対策飲料である」と特定されているのに対し、引用発明は、そのように特定されていない点で相違する。
そこで、検討するに、引用発明は、市販されている飲料に基づくものであって、上記(1a)又は(2a)のとおり、「一日不足分のビタミン・ミネラル 食物繊維」を謳った商品であるから、そのような市販の商品から、300ml中に8.2g含まれている食物繊維をそれ以下の量とすることも、熱中症対策飲料とすることも動機付けられるところはない。
よって、甲1又は甲2に基づく申立理由3(進歩性)は理由がない。

ウ まとめ
したがって、申立人の申し立てた申立理由3(進歩性)は理由がない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由及び証拠方法によっては、請求項1〜5に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1〜5に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナトリウム及び鉄を含む飲料(ただし、鉄が含糖錯体鉄である場合を除く)であって、
(a)ナトリウムの含有量が40〜120mg/100mlであり、
(b)鉄の含有量が0.4〜2mg/100mlであり、
(c)タンパク質濃度が2%未満であり、
(d)鉄が3価鉄である、
上記飲料(ただし、食物繊維を8.2g/330ml以上含む飲料を除く)。
【請求項2】
ナトリウムの含有量(mg/100ml)に対する鉄の含有量(mg/100ml)の
比(鉄含有量/ナトリウム含有量)が0.004以上である、請求項1に記載の飲料。
【請求項3】
ピロリン酸第二鉄を含有する、請求項1又は2に記載の飲料。
【請求項4】
塩化ナトリウムを含有する、請求項1〜3のいずれか1項記載の飲料。
【請求項5】
熱中症対策飲料である、請求項1〜4のいずれか1項記載の飲料。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2022-03-23 
出願番号 P2020-071696
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (A23L)
P 1 651・ 841- YAA (A23L)
P 1 651・ 854- YAA (A23L)
P 1 651・ 121- YAA (A23L)
P 1 651・ 855- YAA (A23L)
P 1 651・ 112- YAA (A23L)
P 1 651・ 851- YAA (A23L)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 大熊 幸治
特許庁審判官 吉岡 沙織
関 美祝
登録日 2020-12-09 
登録番号 6807477
権利者 サントリーホールディングス株式会社
発明の名称 鉄含有飲料  
代理人 山本 修  
代理人 武田 健志  
代理人 中村 充利  
代理人 山本 修  
代理人 宮前 徹  
代理人 中西 基晴  
代理人 中村 充利  
代理人 武田 健志  
代理人 宮前 徹  
代理人 中西 基晴  
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