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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04W
管理番号 1386076
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-10-08 
確定日 2022-06-21 
事件の表示 特願2020−539010「方法及びuser equipment」拒絶査定不服審判事件〔令和元年10月 3日国際公開、WO2019/187483、令和 3年 2月25日国内公表、特表2021−508216、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2019年(平成31年)1月9日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2018年3月28日 インド)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和2年 7月14日 :手続補正書の提出
令和3年 1月28日付け:拒絶理由通知書
令和3年 4月12日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年 7月 2日付け:拒絶査定
令和3年10月 8日 :拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和3年7月2日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項1ないし4に対して、引用例1及び2

引用文献等一覧
1.Intel,Update to support of non-3GPP access in 5GC,3GPP TSG SA WG2#123 S2-177046,2017年10月17日アップロード, (以下、「引用例1」という。)
2.3GPP TR 24.890 V15.0.0 (2017-12),2017年12月28日アップロード,pp.92-103,152-154, 207-209, (以下、「引用例2」という。)

第3 本願発明
本願請求項1ないし4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明4」という。)は、令和3年10月8日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】
3GPP(3rd Generation Partnership Project)アクセス及び非3GPPアクセスの両方を介して同一のAMF(Access and mobility Management Function)を用いて登録手順(registration procedure)を実行するuser equipmentの方法であって、
前記3GPPアクセス及び前記非3GPPアクセスのうちの一方のアクセスネットワークを介して5G-GUTI(5G-Globally Unique Temporary Identity)を用いて、前記AMFと前記登録手順を開始し、この場合、user equipmentは、前記一方のアクセスネットワークとは異なる他方のアクセスネットワークを介して前記5G-GUTIを用いて、前記AMFに既に登録されており、
前記一方のアクセスネットワークを介した前記登録手順が開始された場合に第1のタイマーを起動し、
前記第1のタイマーの満了に基づいて前記一方のアクセスネットワークを介して登録手順を再開し、
前記一方のアクセスネットワークを介して登録手順を再開した回数がある回数と同じ値になった場合、前記他方のアクセスネットワークに割り当てられた前記5G-GUTIを保持し、前記他方のアクセスネットワークに割り当てられていないパラメータを、第2のタイマーの起動とともに削除する、方法。
【請求項2】
3GPP(3rd Generation Partnership Project)アクセス及び非3GPPアクセスの両方を介して同一のAMF(Access and mobility Management Function)を用いて登録手順(registration procedure)を実行するuser equipmentであって、
トランシーバと、
前記トランシーバに接続されているプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、
前記3GPPアクセス及び前記非3GPPアクセスのうちの一方のアクセスネットワークを介して5G-GUTI(5G-Globally Unique Temporary Identity)を用いて、前記AMFと前記登録手順を開始し、この場合、user equipmentは、前記一方のアクセスネットワークとは異なる他方のアクセスネットワークを介して前記5G-GUTIを用いて、前記AMFに既に登録されており、
前記一方のアクセスネットワークを介した前記登録手順が開始された場合に第1のタイマーを起動し、
前記第1のタイマーの満了に基づいて前記一方のアクセスネットワークを介して登録手順を再開し、
前記一方のアクセスネットワークを介して登録手順を再開した回数がある回数と同じ値になった場合、前記他方のアクセスネットワークに割り当てられた前記5G-GUTIを保持し、前記他方のアクセスネットワークに割り当てられていないパラメータを、第2のタイマーの起動とともに削除する、user equipment。
【請求項3】
前記他方のアクセスネットワークに割り当てられていないパラメータを削除する際に、前記一方のアクセスネットワークを介して登録手順を再開した回数が最大数になった場合、前記他方のアクセスネットワークに割り当てられた前記5G-GUTIを保持し、前記他方のアクセスネットワークに割り当てられていないパラメータを削除する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記他方のアクセスネットワークに割り当てられていないパラメータを削除する際に、前記一方のアクセスネットワークを介して登録手順を再開した回数が最大数になった場合、前記他方のアクセスネットワークに割り当てられた前記5G-GUTIを保持し、前記他方のアクセスネットワークに割り当てられていないパラメータを削除する、請求項2に記載のuser equipment。」

第4 引用例の記載及び引用発明
1 原査定の拒絶の理由に引用された、Intel,Update to support of non-3GPP access in 5GC(当審訳:5GCでの非3GPPアクセスをサポートするための更新),3GPP TSG SA WG2#123 S2-177046,2017年10月17日アップロード, (引用例1)には、図面と共に以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)

(1) 「An AMF associates multiple access-specific RM contexts for an UE with:
- a 5G-GUTI that is common to both 3GPP and non-3GPP accesses. This 5G-GUTI is globally unique.
(略)
The 5G-GUTI may be assigned or re-assigned over any of the 3GPP and Non-3GPP accesses. The AMF assigns to the UE a single 5G-GUTI that is used over 3GPP and Non-3GPP access of the same PLMN or equivalent PLMN (which presumes that there is control and user plane connectivity between nodes of the EPLMN and the 3GPP access PLMN). The 5G-GUTI is assigned upon the first successful registration of the UE, and is valid over both 3GPP and Non-3GPP access to the same PLMN or equivalent PLMN for the UE. Upon performing any initial access over the non-3GPP access or over the 3GPP access, the UE provides the 5G-GUTI it has received in an earlier successful registration over any access of the same PLMN or equivalent PLMN. This enables the AN to select an AMF that maintains the UE context created at the previous Registration procedure, and enables the AMF to correlate the UE request to the existing UE context.」(第4ページ下から第14行ないし第5ページ第6行)
(当審訳:AMFは、UEに対する複数のアクセス固有RMコンテキストを以下と関連付ける:
− 3GPPアクセスと非3GPPアクセスの両方に共通する5G−GUTI。この5G−GUTIはグローバルに一意である。
(略)
5G−GUTIは、3GPP及び非3GPPアクセスのいずれかを介して割り当て又は再割り当てできる。AMFは、同じPLMN又は同等のPLMNの3GPP及び非3GPPアクセスで使用される単一の5G−GUTIをUEに割り当てる(EPLMNのノードと3GPPアクセスPLMNの間に制御及びユーザープレーン接続があることを前提としている)。5G−GUTIは、UEの最初の正常な登録時に割り当てられ、UEの同じPLMN又は同等のPLMNへの3GPP及び非3GPPアクセスの両方で有効である。非3GPPアクセス又は3GPPアクセスを介して初期アクセスを実行する際に、UEは、同じPLMN又は同等のPLMNの任意のアクセスを介して以前に成功した登録で受信した5G−GUTIを提供する。これにより、ANは、前の登録手順で作成されたUEコンテキストを維持するAMFを選択できるようになり、AMFがUE要求を既存のUEコンテキストに関連付けることができるようになる。)

(2) 「When the UE is successfully registered to an access (3GPP access or non-3GPP access respectively) and the UE registers via the other access:
- if the second access is located in the same PLMN or equivalent PLMN (e.g. the UE is registered via a 3GPP access and selects a N3IWF located in the same PLMN), the UE shall use for the registration to the PLMN associated with the new access the UE Temporary identifier that the UE has been provided at the previous registration in the same PLMN or equivalent PLMN.」(第5ページ11行ないし第16行)
(当審訳:UEがあるアクセス(3GPPアクセス又は非3GPPアクセス)に対して正常に登録されており、そして、UEが他方のアクセス経由で登録を行う場合。
−2つ目のアクセスが同じPLMN又は同等のPLMNに存在する場合(例えば、UEが3GPPアクセスを介して登録され、同じPLMNに存在するN3IWFを選択する場合)、UEは新しいアクセスに関連付けられたPLMNへの登録に、同じPLMN又は同等のPLMNへの前回の登録時にUEに提供されたUE Temporary識別子を使用するものとする。)

上記記載及び当業者の技術常識を考慮すると、次のことがいえる。

ア 上記「(2)」には「UEがあるアクセス(3GPPアクセス又は非3GPPアクセス)に対して正常に登録されており、そして、UEが他方のアクセス経由で登録を行う」と記載されているから、UEは3GPPアクセス及び非3GPPアクセスの両方を介して登録手順を実行するといえる。
また、上記「(1)」には「UEは、同じPLMN又は同等のPLMNの任意のアクセスを介して以前に成功した登録で受信した5G−GUTIを提供する。これにより、ANは、前の登録手順で作成されたUEコンテキストを維持するAMFを選択できるようになり、AMFがUE要求を既存のUEコンテキストに関連付けることができるようになる。」と記載されており、「前の登録手順で作成されたUEコンテキストを維持するAMF」との記載によれば、登録手順はAMFを用いて実行するといえる。更に、「ANは、前の登録手順で作成されたUEコンテキストを維持するAMFを選択」することから、後で登録手順を行う際にも前の登録手順で用いられたAMFと同一のAMFが用いられることは明らかである。
したがって、引用例1には、3GPPアクセス及び非3GPPアクセスの両方を介して同一のAMFを用いて登録手順を実行するUEの方法が記載されているといえる。

イ 上記「(2)」には、「UEがあるアクセス(3GPPアクセス又は非3GPPアクセス)に対して正常に登録されており、そして、UEが他方のアクセス経由で登録を行う」と記載されているから、UEが3GPPアクセス又は非3GPPアクセスのうちの一方のアクセスで登録を行った後に、他方のアクセス経由で登録を行うこと、すなわち、UEは、3GPPアクセス及び非3GPPアクセスのうちの他方のアクセスを介して登録を行い、この場合、UEは、前記他方のアクセスとは異なる一方のアクセスを介して既に登録されているといえる。
また、上記「(2)」に「UEは新しいアクセスに関連付けられたPLMNへの登録に、同じPLMN又は同等のPLMNへの前回の登録時にUEに提供されたUE Temporary識別子を使用するものとする。」と記載されているから、UEは、登録の際には前回の登録時にUEに提供されたUE Temporary識別子を使用するといえる。更に、上記「(1)」に「AMFは、UEに対する複数のアクセス固有RMコンテキストを以下と関連付ける:− 3GPPアクセスと非3GPPアクセスの両方に共通する5G−GUTI」と記載されており、上記「(2)」及び「(1)」の記載から、登録の際の具体的なUE Temporary識別子として5G−GUTIが用いられることは明らかである。それゆえ、3GPPアクセス及び非3GPPアクセスを介する登録は、どちらも同じ5G−GUTIを用いて登録するといえる。
そして、上記「ア」で説示したように、登録手順はAMFを用いて実行することから、3GPPアクセス及び非3GPPアクセスを介する登録は登録手順によって行われ、UEが登録を行う際に、AMFと登録手順が開始されることは明らかである。
更に、上記「(1)」には「前の登録手順で作成されたUEコンテキストを維持するAMF」と記載されていることから、登録手順後にUEはAMFに登録されている。よって、UEは既に登録されているとは、UEはAMFに既に登録されているといえる。
また、3GPPアクセス及び非3GPPアクセスがアクセスネットワークを備え、通信はアクセスネットワークを介して行われることは技術常識であるから、引用例1におけるUEが行う登録もアクセスネットワークを介して行われることは明らかである。
したがって、UEは、3GPPアクセス及び非3GPPアクセスのうちの他方のアクセスネットワークを介して5G−GUTIを用いて、AMFと登録手順を開始し、この場合、UEは、前記他方のアクセスネットワークとは異なる一方のアクセスネットワークを介して前記5G−GUTIを用いて、前記AMFに既に登録されているといえる。

以上を総合すると、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「 3GPPアクセス及び非3GPPアクセスの両方を介して同一のAMFを用いて登録手順を実行するUEの方法であって、
前記3GPPアクセス及び前記非3GPPアクセスのうちの他方のアクセスネットワークを介して5G−GUTIを用いて、前記AMFと登録手順を開始し、この場合、UEは、前記他方のアクセスネットワークとは異なる一方のアクセスネットワークを介して前記5G−GUTIを用いて、前記AMFに既に登録されている、方法」

2 原査定の拒絶の理由に引用された、3GPP TR 24.890 V15.0.0 (2017-12),2017年12月28日アップロード,pp.92-103,152-154, 207-209, (引用例2)には、図面と共に以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)

(1)「・8.5.2.1.2.2 Initial registration initiation
The UE initiates the registration procedure for initial registration by sending a REGISTRATION REQUEST message to the AMF, starting timer T3510. If timer T3502 is currently running, the UE shall stop timer T3502. If timer T3511 is currently running, the UE shall stop timer T3511.」(第93ページ第8行ないし第11行)
(当審訳:
・8.5.2.1.2.2 初期登録の開始
UEは、タイマーT3510を起動して、登録要求メッセージをAMFに送信することにより、初期登録の登録手順を起動する。タイマーT3502が現在実行中の場合、UEはタイマーT3502を停止する。タイマーT3511が現在実行中の場合、UEはタイマーT3511を停止する。)

(2)「
Table 8.9.1: Timers of 5GS mobility management − UE side

」(第153ページ第1行ないし第9行)
(当審訳:
表8.9.1: 5GSモビリティ管理のタイマー −UE側



ア 上記「(1)」には、「UEは、タイマーT3510を起動して、登録要求メッセージをAMFに送信することにより、初期登録の登録手順を起動する。」と記載され、上記「(2)」の表8.9.1にはT3510の項目における「起動の原因」に「登録要求メッセージの送信」と記載されているから、UEは、登録手順が開始された場合にタイマーT3510を起動するといえる。

イ 上記「(2)」の表8.9.1のUE側にはT3510の項目における「満了時」に「登録要求メッセージの再送信」と記載されているから、UEでは、タイマーT3510の満了に基づいて登録要求メッセージの再送信を行うといえる。

以上を総合すると、引用例2には、以下の技術事項が記載されていると認められる。

「登録手順が開始された場合にタイマーT3510を起動し、
タイマーT3510の満了に基づいて登録要求メッセージの再送信を行う、UE。」

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。

ア 引用発明の「3GPPアクセス」、「非3GPPアクセス」、「AMF」、「登録手順」及び「UE」は、それぞれ、本願発明1の「3GPP(3rd Generation Partnership Project)アクセス」、「非3GPPアクセス」、「AMF(Access and mobility Management Function)」、「登録手順(registration procedure)」及び「user equipment」に相当する。
したがって、引用発明の「3GPPアクセス及び非3GPPアクセスの両方を介して同一のAMFを用いて登録手順を実行するUEの方法」は本願発明1の「3GPP(3rd Generation Partnership Project)アクセス及び非3GPPアクセスの両方を介して同一のAMF(Access and mobility Management Function)を用いて登録手順(registration procedure)を実行するuser equipmentの方法」に相当する。

イ 引用発明の「5G−GUTI」は、本願発明1の「5G-GUTI(5G-Globally Unique Temporary Identity)」に相当する。
また、引用発明の「一方のアクセスネットワーク」を介して、UEが「前記5G−GUTIを用いて、前記AMFに既に登録されている」ことから、引用発明の「一方のアクセスネットワーク」は、本願発明1の「他方のアクセスネットワーク」に相当する。
そして、引用発明の「他方のアクセスネットワーク」は、UEが「5G−GUTIを用いて、前記AMFと登録手順を開始」する際に介されるアクセスネットワークであるから、本願発明1の「一方のアクセスネットワーク」に相当する。
したがって、引用発明の「前記3GPPアクセス及び前記非3GPPアクセスのうちの他方のアクセスネットワークを介して5G−GUTIを用いて、前記AMFと登録手順を開始し、この場合、UEは、前記他方のアクセスネットワークとは異なる一方のアクセスネットワークを介して前記5G−GUTIを用いて、前記AMFに既に登録され」ていることは、本願発明1の「前記3GPPアクセス及び前記非3GPPアクセスのうちの一方のアクセスネットワークを介して5G-GUTI(5G-Globally Unique Temporary Identity)を用いて、前記AMFと前記登録手順を開始し、この場合、user equipmentは、前記一方のアクセスネットワークとは異なる他方のアクセスネットワークを介して前記5G-GUTIを用いて、前記AMFに既に登録され」ていることに相当する。

以上を総合すると、本願発明1と引用発明とは、以下の点で一致し、また、相違している。

(一致点)
「3GPP(3rd Generation Partnership Project)アクセス及び非3GPPアクセスの両方を介して同一のAMF(Access and mobility Management Function)を用いて登録手順(registration procedure)を実行するuser equipmentの方法であって、
前記3GPPアクセス及び前記非3GPPアクセスのうちの一方のアクセスネットワークを介して5G-GUTI(5G-Globally Unique Temporary Identity)を用いて、前記AMFと前記登録手順を開始し、この場合、user equipmentは、前記一方のアクセスネットワークとは異なる他方のアクセスネットワークを介して前記5G-GUTIを用いて、前記AMFに既に登録される、方法。」

(相違点)
本願発明1では、「前記一方のアクセスネットワークを介した前記登録手順が開始された場合に第1のタイマーを起動し、前記第1のタイマーの満了に基づいて前記一方のアクセスネットワークを介して登録手順を再開し、前記一方のアクセスネットワークを介して登録手順を再開した回数がある回数と同じ値になった場合、前記他方のアクセスネットワークに割り当てられた前記5G-GUTIを保持し、前記他方のアクセスネットワークに割り当てられていないパラメータを、第2のタイマーの起動とともに削除する」という発明特定事項を有するのに対し、引用発明においては、当該発明特定事項が特定されていない点。

(2)判断
相違点に係る本願発明1の一部の発明特定事項として「前記一方のアクセスネットワークを介して登録手順を再開した回数がある回数と同じ値になった場合、・・・前記他方のアクセスネットワークに割り当てられていないパラメータを、・・・削除する」ことが特定されている。当該発明特定事項は引用例2に記載されておらず、移動体通信分野における周知技術でもない。
したがって、上記相違点にかかる他の発明特定事項について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用例2に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2について
本願発明2は、本願発明1に対応するuser equipmentの発明であり、本願発明1の上記相違点に対応する「前記一方のアクセスネットワークを介した前記登録手順が開始された場合に第1のタイマーを起動し、前記第1のタイマーの満了に基づいて前記一方のアクセスネットワークを介して登録手順を再開し、前記一方のアクセスネットワークを介して登録手順を再開した回数がある回数と同じ値になった場合、前記他方のアクセスネットワークに割り当てられた前記5G-GUTIを保持し、前記他方のアクセスネットワークに割り当てられていないパラメータを、第2のタイマーの起動とともに削除する」という発明特定事項を含むことから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例2に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 本願発明3について
本願発明3は、本願発明1の発明特定事項を全て含むから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例2に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

4 本願発明4について
本願発明4は、本願発明2の発明特定事項を全て含むから、本願発明2と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例2に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

第6 原査定についての判断
令和3年10月8日にされた手続補正により、本願発明1ないし4のいずれも、少なくとも「前記一方のアクセスネットワークを介した前記登録手順が開始された場合に第1のタイマーを起動し、前記第1のタイマーの満了に基づいて前記一方のアクセスネットワークを介して登録手順を再開し、前記一方のアクセスネットワークを介して登録手順を再開した回数がある回数と同じ値になった場合、前記他方のアクセスネットワークに割り当てられた前記5G-GUTIを保持し、前記他方のアクセスネットワークに割り当てられていないパラメータを、第2のタイマーの起動とともに削除する」という発明特定事項を備えるものとなっている。
してみれば、上記「第5」のとおり、本願発明1ないし4は、当業者であっても、原査定において引用された引用発明及び引用例2に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2022-06-07 
出願番号 P2020-539010
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04W)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 中木 努
特許庁審判官 石田 紀之
圓道 浩史
発明の名称 方法及びuser equipment  
代理人 家入 健  

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