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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A23L
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  A23L
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A23L
審判 全部申し立て 2項進歩性  A23L
管理番号 1386100
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-07-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-12-28 
確定日 2022-04-12 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6725215号発明「ゲル状食品の製造方法及びゲル状食品」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6725215号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1〜6]、[7〜9]について訂正することを認める。 特許第6725215号の請求項1〜9に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6725215号の請求項1〜9に係る特許についての出願は、平成27年6月17日の出願であって、令和2年6月29日に特許権の設定登録がされ、令和2年7月15日にその特許公報が発行され、その請求項1〜9に係る発明の特許に対し、令和2年12月28日に猪狩 充(以下「申立人1」という。)により、及び、令和3年1月14日に神谷 高伸(以下「申立人2」という。)により、それぞれ特許異議の申立て(以下「申立1」、「申立2」といい、それぞれの申立書を「申立書1」、「申立書2」という。)がされたものである。
その後の手続の経緯は以下のとおりである。
令和 3年 5月10日付け 取消理由通知
同年 7月16日 意見書・訂正請求書の提出(特許権者)
同年 9月30日付け 特許法第120条の5第5項の規定に
基づく通知書
同年11月 2日 意見書の提出(申立人2)
同年11月 4日 意見書の提出(申立人1)

第2 訂正の適否について

1 訂正の内容
特許権者は、特許法第120条の5第1項の規定により審判長が指定した期間内である令和3年7月16日に訂正請求書を提出し、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1〜6、7〜9について訂正することを求めた(以下「本件訂正」という。)。その訂正内容は、以下のとおりである。

(1)訂正事項1

ア 訂正事項1−1
特許請求の範囲の請求項1について、訂正前の「ショ糖及び水飴を実質的に含まず、全固形分が11重量%以上のゲル状食品」を、訂正後「ショ糖及び水飴を実質的に含まず、乳を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品」(決定注:下線は訂正部分を示す。以下同様。)に訂正する。

イ 訂正事項1−2
特許請求の範囲の請求項1について、訂正前の「(ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品及び果糖8重量%以上のゲル状食品を除く)」を、訂正後「(ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品及び果糖5重量%以上のゲル状食品を除く)」に訂正する。

(2)訂正事項2

ア 訂正事項2−1
特許請求の範囲の請求項2について、訂正前の「ショ糖を実質的に含まず、水飴を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、ブドウ糖及び/又は果糖を4重量%以上含むことを特徴とする、」を、訂正後「ショ糖を実質的に含まず、水飴を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、果糖を4重量%以上含むことを特徴とする、」に訂正する。

イ 訂正事項2−2
特許請求の範囲の請求項2について、訂正前の「ゲル状食品。」を、訂正後「ゲル状食品(ただし、ブドウ糖と果糖を合計量で10%以上含むゲル状食品を除く)。」に訂正する。

(3)訂正事項3

ア 訂正事項3−1
特許請求の範囲の請求項3について、訂正前の「水飴を実質的に含まず、ショ糖を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品」を、訂正後「水飴を実質的に含まず、ショ糖を含み、乳を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品」に訂正する。

イ 訂正事項3−2
特許請求の範囲の請求項3について、訂正前の「ブドウ糖及び/又は果糖を1重量%以上含むことを特徴とする、ゲル状食品」を、訂正後「果糖を4重量%以上含むことを特徴とする、ゲル状食品」に訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項7について、訂正前の「請求項1〜3のいずれかに記載のゲル状食品の製造方法」を、訂正後「以下の(1)〜(3)
(1) ショ糖及び水飴を実質的に含まず、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含むことを特徴とする、ゲル状食品(ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品及び果糖8重量%以上のゲル状食品を除く)
(2) ショ糖を実質的に含まず、水飴を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、ブドウ糖及び/又は果糖を4重量%以上含むことを特徴とする、ゲル状食品
(3) 水飴を実質的に含まず、ショ糖を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、ブドウ糖及び/又は果糖を1重量%以上含むことを特徴とする、ゲル状食品(ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く)
のいずれかに記載のゲル状食品の製造方法」に訂正する。

2 一群の請求項について
訂正前の請求項6は、直接又は間接的に請求項1を引用しているものであって、前記訂正事項1によって訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
訂正前の請求項4及び請求項6は、いずれも直接又は間接的に請求項2を引用しているものであって、前記訂正事項2によって訂正される請求項2に連動して訂正されるものである。
訂正前の請求項5及び請求項6は、いずれも直接又は間接的に請求項3を引用しているものであって、前記訂正事項3によって訂正される請求項2に連動して訂正されるものである。
これらは、請求項6を共通とするため、特許法施行規則第45条の4で規定された連関している関係であり、特許法第120条の5第4項に規定される一群の請求項を構成する。
また、訂正前の請求項7は、請求項1〜3を引用しており、訂正前の請求項8、9は、請求項7を引用していることから、訂正前の請求項7〜9は、訂正前の請求項1〜6と特許法施行規則第45条の4で規定された連関している関係であり、特許法第120条の5第4項に規定される一群の請求項を構成する。
なお、請求項7〜9は、本訂正により請求項1〜6を引用しないように書き下したため、請求項7〜9については、一群の請求項である請求項1〜6とは別の訂正単位とすることを求めている。

3 訂正の適否

(1)訂正事項1について

ア 訂正の目的の適否
(ア)本件訂正の訂正事項1−1に係る訂正は、訂正前の請求項1の「ゲル状食品」を、訂正後「乳を含み、」と規定することにより、限定するものである。
(イ)本件訂正の訂正事項1−2に係る訂正は、訂正前の請求項1の「(ただし、・・及び果糖8重量%以上のゲル状食品を除く)」を、訂正後「(ただし、・・及び果糖5重量%以上のゲル状食品を除く)」と、除かれるゲル状食品の果糖の含有量の下限値を引き下げることにより、訂正前の請求項1の「ゲル状食品」を限定するものである。
(ウ)したがって、本件訂正の訂正事項1である、訂正事項1−1及び訂正事項1−2に係る訂正は、それぞれ、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

新規事項の追加の有無
(ア)訂正事項1−1の「ショ糖及び水飴を実質的に含まず、乳を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品」とする事項については、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「特許明細書等」という。)の段落【0011】に、「本発明において・・実際に使用される原材料は特に限定されず、例えば乳・・などを主原料とすることができる。」(決定注:下線は当審が付与。以下同様。)と記載されている。
(イ)訂正事項1−2の「(ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品及び果糖5重量%以上のゲル状食品を除く)」とする事項については、訂正前の請求項1に係る発明から、当該発明に含まれていたブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品及び果糖5重量%以上のゲル状食品を除くものであり、新たな技術的事項を導入するものではない。
(ウ)そうすると、本件訂正の訂正事項1である、訂正事項1−1及び訂正事項1−2に係る訂正は、それぞれ、特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ウ 実質上特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
前記ア及びイで述べたとおり、本件訂正の訂正事項1である、訂正事項1−1及び訂正事項1−2に係る訂正は、それぞれ、特許明細書等に記載した事項の範囲内で特許請求の範囲を減縮するものであるとともに、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲特許請求の範囲の拡張・変更するものではない。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

(2)訂正事項2について

ア 訂正の目的の適否
(ア)本件訂正の訂正事項2−1に係る訂正は、訂正前の請求項2の「ゲル状食品」が、「ブドウ糖及び/又は果糖を4重量%以上含むことを特徴とする」ものであったのを、ブドウ糖を4重量%以上含むものを削除し、訂正後「果糖を4重量%以上含むことを特徴とする」と規定することにより、「ゲル状食品」を限定するものである。
(イ)本件訂正の訂正事項2−2に係る訂正は、訂正前の請求項2の「ゲル状食品。」を、訂正後「ゲル状食品(ただし、ブドウ糖と果糖を合計量で10%以上含むゲル状食品を除く)。」と規定することにより、限定するものである。
(ウ)したがって、本件訂正の訂正事項2である、訂正事項2−1及び訂正事項2−2に係る訂正は、それぞれ、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

新規事項の追加の有無
(ア)訂正事項2−1の訂正前の請求項2の「ゲル状食品」を「果糖を4重量%以上含むことを特徴とする」とする事項については、訂正前の「ゲル状食品」が「ブドウ糖及び/又は果糖を4重量%以上含むことを特徴とする」と選択的に2つの特徴を有するものであったものから、1つの特徴を有するものに限定することにより、訂正前の請求項2の「ゲル状食品」を限定するものである。
(イ)訂正事項2−2の「ゲル状食品(ただし、ブドウ糖と果糖を合計量で10%以上含むゲル状食品を除く)。」とする事項については、訂正前の請求項2の「ゲル状食品」から、当該発明に含まれていたブドウ糖と果糖を合計量で10%以上含むゲル状食品を除くものであり、新たな技術的事項を導入するものではない。
(ウ)そうすると、本件訂正の訂正事項2である、訂正事項2−1及び訂正事項2−2に係る訂正は、それぞれ、特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ウ 実質上特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
前記ア及びイで述べたとおり、本件訂正の訂正事項2である、訂正事項2−1及び訂正事項2−2に係る訂正は、それぞれ、特許明細書等に記載した事項の範囲内で特許請求の範囲を減縮するものであるとともに、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

(3)訂正事項3について

ア 訂正の目的の適否
(ア)本件訂正の訂正事項3−1に係る訂正は、訂正前の請求項3の「ゲル状食品」を、訂正後「乳を含み、」と規定することにより、限定するものである。
(イ)本件訂正の訂正事項3−2に係る訂正は、訂正前の請求項3の「ゲル状食品」について、訂正前の「ブドウ糖及び/又は果糖を1重量%以上含むことを特徴とする」を、訂正後「果糖を4重量%以上含むことを特徴とする、ゲル状食品」と、選択肢の1つを削除して限定するとともに、果糖の含有量も引き上げることにより、訂正前の請求項3の「ゲル状食品」を限定するものである。
(ウ)したがって、本件訂正の訂正事項3である、訂正事項3−1及び訂正事項3−2に係る訂正は、それぞれ、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

新規事項の追加の有無
(ア)訂正事項3−1の「水飴を実質的に含まず、ショ糖を含み、乳を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品」とする事項については、特許明細書等の段落【0011】に、「本発明において・・実際に使用される原材料は特に限定されず、例えば乳・・などを主原料とすることができる。」と記載されている。
(イ)訂正事項3−2の「果糖を4重量%以上含むことを特徴とする、ゲル状食品」とする事項については、特許明細書等の試験例1(【0016】〜【0021】)に記載されている。
(ウ)そうすると、本件訂正の訂正事項3である、訂正事項3−1及び訂正事項3−2に係る訂正は、それぞれ、特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ウ 実質上特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
前記ア及びイで述べたとおり、本件訂正の訂正事項3である、訂正事項3−1及び訂正事項3−2に係る訂正は、それぞれ、特許明細書等に記載した事項の範囲内で特許請求の範囲を減縮するものであるとともに、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

(4)訂正事項4について

ア 訂正の目的の適否
本件訂正の訂正事項4に係る訂正は、訂正前の請求項7が訂正前の請求項1〜3を引用するものであったところ、訂正前の請求項1〜3の発明特定事項を全て含む独立形式請求項へ改めるものである。
したがって、本件訂正の訂正事項4に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。

新規事項の追加の有無
本件訂正の訂正事項4に係る訂正における、訂正前の請求項7が訂正前の請求項1〜3を引用するものであったものを、訂正前の請求項1〜3の発明特定事項を全て含む独立形式請求項へ改める事項は、特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ウ 実質上特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
前記ア及びイで述べたとおり、訂正事項4は、訂正前の請求項1〜3の発明特定事項を全て含む独立形式請求項へ改めるものであって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

3 まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1及び4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5及び6項の規定に適合するので、訂正後の請求項[1〜6]、[7〜9]についての訂正を認める。

第3 本件発明
本件訂正により訂正された請求項1〜9に係る発明(以下「本件発明1」〜「本件発明9」といい、まとめて「本件発明」ということがある。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1〜9に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】
ショ糖及び水飴を実質的に含まず、乳を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含むことを特徴とする、ゲル状食品(ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品及び果糖5重量%以上のゲル状食品を除く)。
【請求項2】
ショ糖を実質的に含まず、水飴を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、果糖を4重量%以上含むことを特徴とする、ゲル状食品(ただし、ブドウ糖と果糖を合計量で10%以上含むゲル状食品を除く)。
【請求項3】
水飴を実質的に含まず、ショ糖を含み、乳を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、果糖を4重量%以上含むことを特徴とする、ゲル状食品(ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く)。
【請求項4】
水飴が1〜30重量%含まれる、請求項2に記載のゲル状食品。
【請求項5】
ショ糖が1〜30重量%含まれる、請求項3に記載のゲル状食品。
【請求項6】
ゲル状食品が、プリン、ムース、ゼリー、ババロア、ヨーグルト、杏仁豆腐、および羊羹から選択される1以上の食品である請求項1〜5のいずれかに記載のゲル状食品。
【請求項7】
以下の(1)〜(3)
(1)ショ糖及び水飴を実質的に含まず、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含むことを特徴とする、ゲル状食品(ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品及び果糖8重量%以上のゲル状食品を除く)
(2)ショ糖を実質的に含まず、水飴を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、ブドウ糖及び/又は果糖を4重量%以上含むことを特徴とする、ゲル状食品
(3)水飴を実質的に含まず、ショ糖を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、ブドウ糖及び/又は果糖を1重量%以上含むことを特徴とする、ゲル状食品(ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く)
のいずれかに記載のゲル状食品の製造方法であって、以下の(a)〜(d)の工程を含む、前記製造方法。
(a)ベースミックスを配合して溶解する調合工程、
(b)ベースミックスを加熱殺菌する工程、
(c)殺菌温度よりも低く、ゲル化剤の凝固温度よりも高い温度域でベースミックスを維持する恒温工程、
(d)容器に充填する工程、
【請求項8】
(b)の加熱殺菌工程が75℃以上で15分間以上加熱する工程であり、(c)工程における殺菌温度よりも低く、ゲル化剤の凝固温度よりも高い温度域が45〜75℃である請求項7に記載のゲル状食品の製造方法。
【請求項9】
ゲル状食品が、プリン、ムース、ゼリー、ババロア、ヨーグルト、杏仁豆腐、および羊羹から選択される1以上の食品である請求項7又は8に記載のゲル状食品の製造方法。」

第4 特許異議申立理由及び取消理由

1 特許異議申立理由の概要

(1)申立1について
申立人1は、証拠方法として以下の甲第1号証〜甲第22号証を提出して、以下の申立理由を主張している。

(証拠方法)
甲第1号証:特許第6725215号(以下「異議1甲1」という。)
甲第2号証:特開2007−236299号公報(以下「異議1甲2」という。)
甲第3号証:特開平6−141824号公報(以下「異議1甲3」という。)
甲第4号証:特開2004−129596号公報(以下「異議1甲4」という。)
甲第5号証:日本栄養士会雑誌、第52巻、第4号、2009年、p.22−25(以下「異議1甲5」という。)
甲第6号証:特開2005−328768号公報(以下「異議1甲6」という。)
甲第7号証:精糖工業会技術管理部会編、「甘味料の総覧」、1990年、精糖工業会発行、p.17−18(以下「異議1甲7」という。)
甲第8号証:特開2005−176749号公報(以下「異議1甲8」という。)
甲第9号証:国際公開第2012/026460号(以下「異議1甲9」という。)
甲第10−1号証:清水潮著、「食品微生物I−基礎編 食品微生物の科学」、2005年、株式会社幸書房発行、表紙、p.140−149(以下「異議1甲10−1」という。)
甲第10−2号証:清水潮著、「食品微生物I−基礎編 食品微生物の科学」、2005年、株式会社幸書房発行、p.112−113、奥付(以下「異議1甲10−2」という。)
甲第11号証:兒玉徹監修、川本伸一編、「光琳選書■9 食品と微生物」、平成20年、株式会社光琳発行、p.312−315、奥付(以下「異議1甲11」という。)(決定注:■数字は、黒四角中に数字を表す。)
甲第12号証:FEMS Microbiol. Lett., vol.320, (2011), p.72−78(以下「異議1甲12」という。)
甲第13号証:International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology, vol.51, (2001), p.433−446(以下「異議1甲13」という。)
甲第14号証:日本食品科学工学会誌、第63巻、第11号、2016年11月、p.520−528(以下「異議1甲14」という。)
甲第15号証:日本食品微生物学会雑誌, vol.23, No.4, (2006), p.204−212(以下「異議1甲15」という。)
甲第16号証:石井泰造監修、「微生物制御実用事典」、1993年、株式会社フジ・テクノシステム発行、表紙、p.16−17、奥付(以下「異議1甲16」という。)
甲第17号証:特願2015−122226号について特許権者による令和2年2月26日提出の意見書(添付されている参考文献:文部科学省、「日本食品標準成分表2015年版(七訂)炭水化物成分表編」p.26、44)(以下「異議1甲17」という。)
甲第18−1号証:香川芳子監修、「文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」準拠 七訂 食品成分表2016 資料編」、女子栄養大学出版部発行、2016年、表紙、p.347、裏表紙(以下「異議1甲18−1」という。)
甲第18−2号証:香川芳子監修、「文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」準拠 七訂 食品成分表2016 本表編」、女子栄養大学出版部発行、2016年、表紙、p.184、裏表紙(以下「異議1甲18−2」という。)
甲第19号証:特開2007−68519号公報(以下「異議1甲19」という。)
甲第20号証:(一社)全国清涼飲料連合会、「清涼飲料水の製造における衛生管理計画手引書」、2018年11月、p.5−6(以下「異議1甲20」という。)
甲第21号証:特開平7−274915号公報(以下「異議1甲21」という。)
甲第22号証:特開平11−75726号公報(以下「異議1甲22」という。)

(申立1理由の概要)
申立1理由1(新規性進歩性
訂正前の本件発明1、6は、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された異議1甲2に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の本件発明1、6に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
また、訂正前の本件発明1〜6は、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された異議1甲2に記載された発明、及び、異議1甲2、異議1甲8、異議1甲17に記載された技術的事項に基いて、本件出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、訂正前の本件発明1〜6に係る特許は、同法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。

申立1理由2(新規性進歩性
訂正前の本件発明1、6は、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された異議1甲3に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の本件発明1、6に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
また、訂正前の本件発明1〜6は、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された異議1甲3に記載された発明、及び、異議1甲3、異議1甲8、異議1甲17に記載された技術的事項に基いて、本件出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、訂正前の本件発明1〜6に係る特許は、同法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。

申立1理由3(新規性進歩性
訂正前の本件発明3、5は、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された異議1甲4に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の本件発明3、5に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
また、訂正前の本件発明1〜5は、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された異議1甲4に記載された発明、及び、異議1甲4、異議1甲8、異議1甲17に記載された技術的事項に基いて、本件出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、訂正前の本件発明1〜5に係る特許は、同法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。

申立1理由4(新規性
訂正前の本件発明3、5、6は、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された異議1甲5に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の本件発明3、5、6に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。

申立1理由5(進歩性
訂正前の本件発明1〜6は、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された異議1甲6に記載された発明、及び、異議1甲6、異議1甲7、異議1甲17に記載された技術的事項に基いて、本件出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、訂正前の本件発明1〜6に係る特許は、同法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。

申立1理由6(新規性進歩性
訂正前の本件発明3、5は、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された異議1甲8に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の本件発明1、6に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
また、訂正前の本件発明1〜6は、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された異議1甲8に記載された発明、及び、異議1甲8、異議1甲7、異議1甲17に記載された技術的事項に基いて、本件出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、訂正前の本件発明1〜6に係る特許は、同法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。

申立1理由7(進歩性
訂正前の本件発明1〜9は、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された異議1甲9に記載された発明、及び、異議1甲10に記載された技術的事項に基いて、本件出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、訂正前の本件発明2〜5に係る特許は、同法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。

申立1理由8(進歩性
訂正前の本件発明1〜9は、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された異議1甲2〜異議1甲9に記載された発明、及び、異議1甲2〜異議1甲9に記載された技術的事項に基いて、本件出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、訂正前の本件発明1〜9に係る特許は、同法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。

申立1理由9(実施可能要件
訂正前の本件発明1〜9に係る特許は、以下のとおり、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たさない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。

出願時の技術常識に基づいて、訂正前の本件発明1〜9を実施しようとする当業者にしてみれば、「糖の種類及び濃度」を変化させる一方、水分活性については一定値から変化させずに実施するためには、どのように実施したらよいのかを理解できる程度に明確かつ十分に、本件明細書に係る発明の詳細な説明は記載されていない。

申立1理由10(サポート要件)
訂正前の本件発明1〜9は、特許請求の範囲の記載が以下の点で、特許法第36条第6項第1号に適合するものではないから、訂正前の本件発明1〜9に係る特許は、同法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許に対してされたものであり、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。

任意のpHを有する「ゲル状食品」について、糖の種類及び濃度を規定することで、任意の菌について増殖抑制効果が得られること、並びに、任意の菌について特定の菌に増殖抑制が認められた水分活性と同じ水分活性において増殖抑制が認められるということが、本件出願時の技術常識から明らかであったとはいえず、訂正前の本件発明1〜9の課題は解決されない。

(2)申立2について
申立人2は、証拠方法として以下の甲第1号証〜甲第20号証を提出して、以下の申立理由を主張している。

(証拠方法)
甲第1号証:特開2011−246407号公報(以下「異議2甲1」という。)
甲第2号証:特開2004−248544号公報(以下「異議2甲2」という。)
甲第3号証:特開2008−148636号公報(以下「異議2甲3」という。)
甲第4号証:特開2010−68747号公報(以下「異議2甲4」という。)
甲第5号証:特開平4−4847号公報(以下「異議2甲5」という。)
甲第6号証:特開2002−315518号公報(以下「異議2甲6」という。)
甲第7号証:特開2008−220271号公報(以下「異議2甲7」という。)
甲第8号証:特開2008−220312号公報(以下「異議2甲8」という。)
甲第9号証:特開平5−125102号公報(以下「異議2甲9」という。)
甲第10号証:特開2009−189301号公報(以下「異議2甲10」という。)
甲第11号証:特開平2−312558号公報(以下「異議2甲11」という。)
甲第12号証:特開2016−189738号公報(以下「異議2甲12」という。)
甲第13号証:特開2002−335897号公報(以下「異議2甲13」という。)
甲第14号証:特開平7−322835号公報(以下「異議2甲14」という。)
甲第15号証:特開2006−75026号公報(以下「異議2甲15」という。)
甲第16号証:特開2013−31453号公報(以下「異議2甲16」という。)
甲第17号証:文部科学省 科学技術・学術審議会 資源調査分科会 報告、「日本食品標準成分表2015年版(七訂)炭水化物成分表編」、 p.26−27(以下「異議2甲17」という。)
甲第18号証:文部科学省 科学技術・学術審議会 資源調査分科会 報告、「日本食品標準成分表2015年版(七訂)炭水化物成分表編」、 p.52(以下「異議2甲18」という。)
甲第19号証:不破英次等編、「澱粉科学の事典」、2003年、株式会社朝倉書店発行、p.433−435(以下「異議2甲19」という。)
甲第20号証:日本応用糖質科学会誌 応用糖質科学、第1巻、第1号、2011年、p.34−38(以下「異議2甲20」という。)

(申立2理由の概要)
申立2理由1(新規性進歩性
訂正前の本件発明1、6は、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された異議2甲1〜異議2甲10に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の本件発明1、6に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
また、訂正前の本件発明1、6は、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された異議2甲1〜異議2甲10に記載された発明、及び、異議2甲17に記載された技術的事項に基いて、本件出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、訂正前の本件発明1、6に係る特許は、同法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。

申立2理由2(新規性進歩性
訂正前の本件発明2、4、6は、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された異議2甲11〜異議2甲12に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の本件発明2、4、6に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
また、訂正前の本件発明2、4、6は、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された異議2甲11〜異議2甲12に記載された発明、及び、異議2甲17に記載された技術的事項に基いて、本件出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、訂正前の本件発明2、4、6に係る特許は、同法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。

申立2理由3(新規性進歩性
訂正前の本件発明3、5、6は、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された異議2甲10、異議2甲13〜異議2甲16に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の本件発明3、5、6に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
また、訂正前の本件発明3、5、6は、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された異議2甲10、異議2甲13〜異議2甲16に記載された発明に基いて、本件出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、訂正前の本件発明3、5、6に係る特許は、同法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。

申立2理由4(明確性要件)
訂正前の本件発明1〜6は、特許請求の範囲の記載が以下(1)〜(5)の点で、特許法第36条第6項第2号に適合するものではないから、訂正前の本件発明1〜6に係る特許は、同法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許に対してされたものであり、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。

(1)訂正前の本件発明1〜6の「水飴」がいかなるものであるか判然としない。
(2)訂正前の本件発明1〜6の「実質的に含まず」が、どの程度のものであるか判然としない。
(3)訂正前の本件発明1、6について、「ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含む」との記載が、ブドウ糖を4重量%以上含み、かつ、果糖を2重量%以上含む場合が含まれるのか否か、判然としない。
(4)訂正前の本件発明2、4、6について、「ブドウ糖及び/又は果糖を4重量%以上含む」との記載において、「及び」を選択した場合、ブドウ糖及び果糖のそれぞれを4重量%以上含むことを意味するのか、ブドウ糖及び果糖の合計が4重量%以上であることを意味するのか、判然としない。また、「又は」を選択した場合、ブドウ糖を4重量%以上含み、かつ、果糖を4重量%以上含む場合が含まれるのか否か、判然としない。
(5)訂正前の本件発明3、5、6について、「ブドウ糖及び/又は果糖を1重量%以上含む」との記載において、「及び」を選択した場合、ブドウ糖及び果糖のそれぞれを1重量%以上含むことを意味するのか、ブドウ糖及び果糖の合計が1重量%以上であることを意味するのか、判然としない。また、「又は」を選択した場合、ブドウ糖を1重量%以上含み、かつ、果糖を1重量%以上含む場合が含まれるのか否か、判然としない。

申立2理由5(サポート要件)
訂正前の本件発明1〜6は、特許請求の範囲の記載が以下(1)〜(4)の点で、特許法第36条第6項第1号に適合するものではないから、訂正前の本件発明1〜6に係る特許は、同法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許に対してされたものであり、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。

(1)訂正前の本件発明1、2、4、6が、本件発明の課題を解決できることを示す実施例が本件明細書に記載されていないから、当業者は、訂正前の本件発明1、2、4、6において、課題を解決できると認識できない。
(2)訂正前の本件発明3、5、6が、課題を解決できることを示す実施例は、ショ糖10.0重量%、ブドウ糖及び果糖(ブドウ糖:果糖=1:1)5.0重量%又は3.0重量%の場合のみであり、当業者は、訂正前の本件発明3、5、6の全範囲において、課題を解決できると認識できない。
(3)訂正前の本件発明2、4、6は、ブドウ糖又は果糖の含有量の上限が規定されておらず、当業者は、訂正前の本件発明2、4、6の全範囲において、課題を解決できると認識できない。
(4)訂正前の本件発明1〜6は、「全固形分が11重量%以上」と記載されているが、当業者は、訂正前の本件発明1〜6の全範囲において、課題を解決できると認識できない。

申立2理由6(実施可能要件
訂正前の本件発明1〜6に係る特許は、以下のとおり、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たさない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。

訂正前の本件発明1〜6のゲル状食品を製造する際に、「水飴」として、「水飴」を使用すべきか、「粉飴」を使用すべきか、わからないから、当業者は訂正前の本件発明1〜9に係るゲル状食品を製造することができない。

2 当審が通知した取消理由の概要
訂正前の本件発明1〜9に対して、令和3年5月10日付けで当審が特許権者に通知した取消理由1〜3の概要は、以下のとおりである。

取消理由1(新規性)訂正前の本件発明1〜6は、本件出願前に日本国内又は外国において頒布された異議1甲2〜異議1甲5、異議1甲8、異議2甲1、異議2甲2、異議2甲4〜異議2甲7、異議2甲9〜異議2甲16に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

なお、取消理由1(新規性)は、申立1理由1〜申立1理由4、申立1理由6、並びに、申立2理由1(新規性進歩性)〜申立2理由3(新規性進歩性)のうち、異議2甲1、異議2甲2、異議2甲4〜異議2甲7及び異議2甲9〜異議2甲16を主引例とする場合に対応するものである。

取消理由2(進歩性)本件特許の訂正前の本件発明1〜9は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された異議1甲2〜異議1甲5、異議1甲8、異議1甲9、異議2甲1、異議2甲2、異議2甲4〜異議2甲16に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

なお、取消理由2(進歩性)は、申立1理由1〜申立1理由3、申立1理由6、申立1理由7、並びに、申立2理由1(新規性進歩性)〜申立2理由3(新規性進歩性)のうち、異議2甲1、異議2甲2、異議2甲4〜異議2甲7及び異議2甲9〜異議2甲16を主引例とする場合に対応するものである。

取消理由3(明確性要件)本件特許の訂正前の本件発明1〜9は、特許請求の範囲の記載が以下(1)、(2)の点で、特許法第36条第6項第2号に適合するものではないから、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない。

(1)本件発明1〜9の「水飴」について、本件出願時の技術常識として、一般に、粉飴を水飴の定義に含める場合と、粉飴を水飴の定義に含めない場合があると認められることから、本件発明1〜9の「水飴」がどのようなものであるか、特許請求の範囲の記載からは、用語の技術的意味が一義的に決まらず、発明の詳細な説明の記載を参照しても、定義は存在せず、不明確である。
(2)本件発明1〜9の「実質的に含まず」は、含有成分の範囲を不明確にさせるおそれのある表現であり、かつ、発明の詳細な説明の記載全体を考慮しても、発明の範囲は結果的に不明確となっている。

なお、取消理由3(明確性要件)は、申立2理由4(明確性要件)のうち、(1)及び(2)に対応するものである。

第5 当審の判断
当審は、請求項1〜9に係る特許は、当審の通知した取消理由及び申立人1及び2が申し立てた理由によっては、取り消すことはできないと判断する。理由は以下のとおりである。

1 当審が通知した取消理由についての判断

(1)取消理由1(新規性)及び取消理由2(進歩性)について

ア 異議1甲1〜異議2甲20の記載

(ア)異議1甲1の記載
異議1甲1は、本件特許公報であり、記載の摘記を省略する。

(イ)異議1甲2の記載
異議1甲2a「【請求項1】
カラギナンκタイプと溶融温度70℃〜80℃のローカストビーンガムを主成分とするゲル化剤を飲料原料液に混合し、この混合液に炭酸を含有させた炭酸ガス含有混合液を容器に充填し密封した後70℃〜80℃で10分〜20分間加熱処理を施してゲル化剤を溶融させ、ゲル化剤が溶融した混合液を混合均一化した後冷却することを特徴とする密閉容器入り炭酸ガス含有ソフトゼリー状飲料の製造方法。

異議1甲2b「【0007】
本発明は、上記の製造法における問題点を解決することを目的としてなされたものであって、上記製造方法によって製造された炭酸ガス含有ソフトゼリー状飲料と同等の味覚、食感を保ちながら、レトルト装置を設ける必要がなく従来既設の炭酸飲料製造ラインをそのまま使用することができ、またケル化剤をキューブ状に裁断する工程を必要としない簡素化された製造工程を使用することにより製造コストを大幅に低減することができる新規な炭酸ガス含有ソフトゼリー状飲料の製造方法を提供しようとするものである。
・・・・・
【0023】
4.その他の原材料
飲料原料液が果汁飲料の場合は、原料となる果汁に、炭酸ガス含有飲料として美味なものを提供するため、甘味料としての糖類および酸味料としての有機酸を加えることが好ましい。糖類としては果糖ブドウ糖液糖が特に好ましく、有機酸としてはクエン酸が特に好ましい。」

異議1甲2c「【実施例】
【0036】
炭酸ガス含有ブルーベリーソフトゼリー飲料
以下の方法で炭酸ガス含有ブルーベリーソフトゼリー飲料を製造した。
【0037】
1.各原材料の配合比率
w/v% 10l仕込み中の
重量(g)
シロップ原料
1/8ブルーベリー果汁 0.358 35.8
果糖ブドウ糖液糖 16.18 1618.0
無水クエン酸 0.2 20.0
乳酸カルシウム 0.2 20.0
塩化カリウム 0.01 1.0
赤色色素 0.15 15.0
ブルーベリー香料 0.25 25.0
ゲル化剤
カラギナンκ 0.054 5.4
ローカストビーンガム 0.081 8.1
炭酸水 45.48 4548.0
純水 37.037 3703.7
【0038】
2.炭酸ガス含有混合液の調製
上記配合のシロップ原料を純水の一部で溶解し、混合してシロップ液を調製した。このシロップ液に上記配合のゲル化剤(粉体)を粉体混合し振り入れた。ゲル化剤がシロップ液中に分散した後調合半分量まで純水を注入した。物性を確認したところBx23.2%、pH3.27であった。この混合液を4℃以下に冷却した後あらかじめ炭酸ガスを打ち込んで用意した炭酸水を混合液と混合して調合100%とすることによって炭酸ガス含有混合液を調製した。
【0039】
3.充填・巻締め、加熱処理、混合均一化
この炭酸ガス含有混合液を250mml容の飲料缶に充填し巻締めた後ウオーターバス中で78℃で10分間加熱することによりゲル化剤を混合液中に溶融させるとともの予定の殺菌を完了した。
【0040】
次いで缶を上下に360度の回転で2回転半回転させ、炭酸ガス含有混合液を混合、均一化した後20℃以下に冷却し製品とした。得られた製品の内容物は炭酸ガスを包含した適度の硬さのゼリー塊状を呈していた。缶内にストローを挿入して吸引したとこる、ソフトゼリー状の口当たりとともに適度の酸味と甘みを有する美味な飲料としての食感を与えた。製品はBx.11.8、pH3.38であった。」

(ウ)異議1甲3の記載
異議1甲3a「【請求項1】コンニャク芋から得られる抽出物を主体とし、さらに紅藻類から得られる抽出物を配合してなり、必要に応じて増粘剤、果汁、野菜汁、甘味料、有機酸、香料、栄養剤、着色料等を含有する、保形性かつ流動性を有し、粒の食感が強いゲル状物から構成されることを特徴とする新規ゼリー様飲料。」

異議1甲3b「【0004】
【発明が解決しようとする課題】・・・本発明の目的は、保形性を有し、応力により容易に流動化し、ポソつきや糊状感がなく、粒の食感が強い新規なゼリー様飲料を提供することにある。併せてそれが無菌紙パックに充填された食品を開発することにある。
・・・・・
【0006】・・本発明のゼリー様飲料は、必要に応じて従来公知の同種ゼリ−食品の如く、デンプン、ガム類等に代表される増粘剤、ショ糖、グラニュ−糖、粉糖、液糖等の甘味料、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸等に例示される有機酸、各種ビタミン、ミネラル類の栄養剤のほか、牛乳、クリ−ム等の乳製品、果肉、野菜汁、卵、香料、着色料等を適宜添加しても何ら差し支えない。」

異議1甲3c「【0009】
【実施例】以下の各実施例において、原料成分の配合割合はすべて重量%で示す。
実施例1
グルコマンナン 0.16重量%
カッパーカラギーナン 0.05
果糖ぶどう糖液糖 18.0
1/5濃縮オレンジ果汁 4.0
クエン酸 0.15
オレンジフレーバー 0.3
水 残 量
以上の配合割合で原料を常温で調合し、プレート殺菌機により90℃に加熱し、35℃に冷却後、ポリエチレン/ポリエチレン/アルミ箔ポリエチレン/紙/ポリエチレン積層物からなるテトラポット容器(200ml)に無菌充填し、13℃に冷却したところ、一定の形状を成しており且つ、ストローで容易に、連続的に吸引でき、しかもツブ感のある新規な食感を有するゼリー様飲料が得られた。このものは長期にわたってこの状態を保っていた。
【0010】実施例2
グルコマンナン 0.14重量%
カッパーカラギーナン 0.03
上白糖 19.0
クエン酸 0.26
クエン酸ナトリウム 0.225
塩化カリウム 0.23
パイナップルフレーバー 0.3
水 残 量
以上の配合割合で原料を80℃に加温して調合し、プレート殺菌機により90℃に加熱しガラス製瓶にホットパックし、5℃に冷却したところ、一定の形状を成して且つ、しかもツブ感のある新規な食感のあるゼリー様飲料が得られた。
・・・・・
比較例5
カッパーカラギーナン 0.35%(w/w)
ローカストビーンガム 0.2
ぶどう糖果糖液糖 17.0
クエン酸 0.36
クエン酸ナトリウム 0.12
パイナップルフレーバー 0.3
水 残 量
以上の配合にて調合し、プレート殺菌機により90℃に加熱しガラス製瓶にホットパックし、5℃に冷却した。」

(エ)異議1甲4の記載
異議1甲4a「【請求項1】
飲料中、脱アシル型ジェランガム0.03〜0.15重量%、LMペクチン0.1〜1.0重量%、可溶性カルシウム塩0.1〜0.5重量%及びキサンタンガム0.01〜0.05重量%を含むことを特徴とする飲料。」

異議1甲4b「【0003】
・・・・・
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、別途粒状物やパルプ様物質を添加する必要がなく、果肉食感のような粒々感を付与された飲料を提供することを目的とする。
・・・・・
【0009】
本発明の飲料は、前記配合であることを特徴とするが、加熱溶解した脱アシル型ジェランガム及びキサンタンガム溶液に、可溶性カルシウム塩を添加した後、攪拌しながらLMペクチン溶液を添加し、得られたゲルをマイクロゲル化する方法により製造することが好ましい。」

異議1甲4c「【0014】
【実施例】
・・・特に記載のない限り「部」とは、「重量部」を意味するものとする。文中*印のものは、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、文中※印は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標であることを示す。
【0015】
実施例1:ストロベリースムージー風飲料
下記処方のうち、50部の水に果糖ブドウ糖液糖、砂糖、水溶性食物繊維、キサンタンガム、脱アシル型ジェランガムを加え、80℃10分間加熱攪拌溶解する。この溶液にクエン酸、果汁、乳酸カルシウム、色素を添加する。本溶液を攪拌しながら、別に10部の水にLMペクチンを加え、80℃10分間加熱攪拌溶解したペクチン溶液を、添加する。全量補正し、冷却後、ゲルしたら、プロペラにて1000rpm5分間攪拌して、マイクロゲル化する。93℃にて香料を添加し、アルミパウチ充填後、85℃30分間加熱殺菌して、ストロベリースムージー風飲料を調製した(pH3.8)。
【0016】
出来上がった飲料は、スムージーの様な微細氷が分散したような粒々の食感を有する飲料であった。
【0017】



(オ)異議1甲5の記載
異議1甲5a「おやつと飲料類の単糖・二糖類含有量
・・・・・
要旨 ・・市販されている主な嗜好飲料・冷菓類に含まれるショ糖・ブドウ糖・果糖・乳糖の4種類を定量した。42品目について、1品目につき5サンプル測定し、平均値をとった。・・・」(22頁標題及び要旨)

異議1甲5b「表1 酵素分析法による市販飲料・冷菓類の単糖・二糖類含有量の分析 (g/100ml)
品目 ブドウ糖 ショ糖 果 糖 ・・・ 合 計
・・・・・
オレンジゼリー 2.13±0.13 14.91±2.05 2.58±0.31 - 19.62
・・・・・ 」(24頁表1)

(カ)異議1甲6の記載
異議1甲6a「【請求項1】
脱アシル型ジェランガム及びLMペクチンを2:3〜1:5の割合で含むゲル化剤を水に加えて加熱攪拌溶解し、不溶性素材を添加した後、アルカリ土類金属塩を攪拌しながら添加することを特徴とする、不溶性素材が均一に分散し、しかも果肉食感を有するゼリーの製造方法。
【請求項2】
脱アシル型ジェランガム及びLMペクチンを2:3〜1:5の割合で含むゲル化剤を水に加え加熱攪拌溶解し、アルカリ土類金属塩を攪拌しながら添加した後、固化前に不溶性素材を添加することを特徴とする、不溶性素材が均一に分散し、しかも果肉食感を有するゼリーの製造方法。
【請求項3】
脱アシル型ジェランガム及びLMペクチンを2:3〜1:5の割合で含むゲル化剤のゼリーに対する添加量が、0.1〜1.5重量%である、請求項1又は2に記載の、不溶性素材が均一に分散し、しかも果肉食感を有するゼリーの製造方法。
【請求項4】
不溶性素材が、果実由来の果肉片、パルプ、さのう及び乾燥こんにゃく加工品から選ばれる1種以上である、請求項1乃至3のいずれかに記載の、不溶性素材が均一に分散し、しかも果肉食感を有するゼリーの製造方法。」

異議1甲6b「【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、果肉を使用しなくても、パルプ、さのうなどが含まれたような、果肉状の食感が付与されたゼリー、或いは、果肉状の食感が付与されたゼリーに、大量の果実由来の果肉片、パルプやさのうなどの不溶性素材を添加しても、沈殿や浮遊することがなく、均一に分散した不溶性素材含有ゼリーの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記従来技術の問題点に鑑み、鋭意研究を重ねていたところ、脱アシル型ジェランガム及びLMペクチンを2:3〜1:5の割合で含むゲル化剤を水に加えて加熱攪拌溶解し、不溶性素材を添加した後、アルカリ土類金属塩を攪拌しながら添加することにより、不溶性素材が均一に分散し、しかも果肉食感を有するゼリーが製造できること
を見いだした。
【0009】
更に、当該ゲル化剤を水に加え加熱攪拌溶解し、アルカリ土類金属塩を攪拌しながら添加した後、固化前に不溶性素材を添加することによっても、同様に不溶性素材が均一に分散した果肉食感を有するゼリーが製造できることも見いだした。
【0010】
更には、当該ゲル化剤のゼリーに対する添加量が、0.1〜1.5重量%であり、不溶性素材が、果実由来の果肉片パルプ、さのう及び乾燥こんにゃく加工品から選ばれる1種以上を使用するのが好ましいことを見いだし、本発明を完成するに至った。
・・・・・
【0028】
甘味料としては、特に限定されず、従来甘味料として公知のものがいずれも使用でき、例えば、砂糖、果糖、ブドウ糖、水飴、還元水飴、はちみつ、異性化糖、転化糖、オリゴ糖(イソマルトオリゴ糖、還元キシロオリゴ糖、還元ゲンチオオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、テアンデオリゴ糖、大豆オリゴ糖等)、トレハロース、糖アルコール(マルチトール、エリスリトール、ソルビトール、パラチニット、キシリトール、ラクチトール等)、砂糖結合水飴(カップリングシュガー)、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、アリテーム、ネオテーム、カンゾウ抽出物(グリチルリチン)、サッカリン、サッカリンナトリウム、ステビア抽出物、ステビア末等の甘味成分が挙げられる。甘味料の配合割合としては、特に制限されず、甘味度が3〜30度となるように配合するのが好ましく、好ましくは5〜20度、より好ましくは8〜15度となるように配合するのがよい。」

異議1甲6c「【実施例】
【0031】
実施例1:グレープフルーツゼリー
水と果糖ブドウ糖液糖を合わせて攪拌しながら、砂糖、ゲル化剤、クエン酸三ナトリウムの粉体混合物を添加し、80℃10分間加熱攪拌溶解し、果汁、さのう、クエン酸(無水)、色素、香料を添加し、攪拌しながら少量のお湯で溶解した乳酸カルシウムを添加する。全量補正後、容器充填し、85℃30分間殺菌して、容器入りグレープフルーツゼリーを調製した。
得られたゼリーは、さのうが50%と大量に含有しているにも拘わらず均一に分散しており、果肉感が感じられた良好なゼリーであった。
【0032】
ゼリー処方 部
砂糖 5
果糖ブドウ糖液糖 10
グレープフルーツ冷凍果汁(ブリックス45°)2
グレープフルーツさのう 50
ゲル化剤(ゲルアップ※J−3027*注1))0.6
クエン酸(無水)N* 0.18
クエン酸三ナトリウムF* 0.1
乳酸カルシウム 0.1
色素(サンエロー※NO.2AU*) 0.005
香料(フルーツフレーバーTB*) 0.1
香料(マルチハンサー※NO.1*) 0.05
香料(グレープフルーツフレーバーNO.21-B*) 0.1
水にて合計 100
注1)ゲル化剤:ゲルアップ※J−3027*:LMペクチン60%、脱アシル型ジェランガム30%、クエン酸三ナトリウム6.7%含有製剤」

(キ)異議1甲7の記載
異議1甲7a「表1−2 各種甘味料の甘味度
種 類 品 名 甘 味 度
糖 類 蔗 糖 1.00
ぶどう糖 0.60〜0.70
果 糖 1.20〜1.50
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
水 飴 0.35〜0.40
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 」(18頁表1−2)

(ク)異議1甲8の記載
異議1甲8a「【請求項1】
アセチル基含量が1%以下のキサンタンガムを必須成分として含み、カラギナン、グルコマンナン及びローカストビーンガムから選ばれる1種又は2種以上と併用することを特徴とするドリンクゼリー用ゲル化剤。
・・・・・
【請求項4】
請求項1乃至3のゲル化剤を使用して製造されたドリンクゼリー。」

異議1甲8b「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みて開発されたものであり、従来のドリンクゼリーよりも、ゲルが劣化しにくく、長期間の保存に耐えることができるドリンクゼリーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記従来技術の問題点に鑑み、鋭意研究を重ねていたところ、ドリンクゼリー用ゲル化剤として、特殊なキサンタンガム、詳しくはアセチル基含量が1%以下のキサンタンガムを必須成分として使用し、更に、カラギナン、グルコマンナン及びローカストビーンガムから選ばれる1種又は2種以上を併用して配合することにより、更には、使用するゲル化剤のゲル化点が25〜50℃であるドリンクゼリー用ゲル化剤を使用することにより、従来から使用されていた汎用キサンタンガムを配合したドリンクゼリー用ゲル化剤を使用するよりも、得られたドリンクゼリーのゲルの劣化が有意に抑制され、長期間の保存に耐えることができることを見いだした。
・・・・・
【発明の効果】
【0009】
本発明により、従来のドリンクゼリーと比べて常温流通でもゲルが劣化しにくく、長期間の保存に耐えることができるようになった。
・・・・・
【0023】
更に、本発明のドリンクゼリーは、本発明の効果を損なわないことを限度として、その他のゲル化剤、果汁、果肉、乳成分、着色料、着香料及び風味調整剤などを含むことができ、これによって対象とする組成物に所望の色、香り並びに味を均一に付与することができる。
・・・・・
【0025】
甘味料としては、特に限定されず、従来甘味料として公知のものがいずれも使用でき、例えば、砂糖、果糖、ブドウ糖、水飴、還元水飴、はちみつ、異性化糖、転化糖、オリゴ糖(イソマルトオリゴ糖、還元キシロオリゴ糖、還元ゲンチオオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、テアンデオリゴ糖、大豆オリゴ糖等)、トレハロース、糖アルコール(マルチトール、エリスリトール、ソルビトール、パラチニット、キシリトール、ラクチトール等)、砂糖結合水飴(カップリングシュガー)、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、アリテーム、ネオテーム、カンゾウ抽出物(グリチルリチン)、サッカリン、サッカリンナトリウム、ステビア抽出物、ステビア末等の甘味成分が挙げられる。甘味料の配合割合としては、特に制限されず、甘味度が3〜30度となるように配合するのが好ましく、好ましくは5〜20度、より好ましくは8〜15度となるように配合するのがよい。」

異議1甲8c「【0039】
実施例3:マスカット味のドリンクゼリーの調製
交換水約45部を撹拌しながら、大豆多糖類及び脱脂粉乳の粉体混合物を添加し、80℃10分間加熱攪拌溶解後、25℃まで冷却する。そこにクエン酸(50%クエン酸溶液として添加)及び果汁を添加・混和後、加熱して70℃で保持しておく。別に、交換水約45部及び果糖ブドウ糖液糖を撹拌しながら、グラニュー糖、スクラロース及びゲル化剤の粉体混合物を添加し、80℃10分間加熱攪拌溶解後、70℃まで冷却したものを、撹拌しながら、添加し、更に香料を添加後、均質機(9800kPa=100Kgf/cm2)に通し、95℃まで加熱後、ペットボトル容器に充填して、ペットボトル入りドリンクゼリーを調製したpH3.8)。
【0040】
処方 部
大豆多糖類(SM−1200*) 0.4
脱脂粉乳 0.3
クエン酸(無水) pH3.8まで
4倍濃縮マスカット透明果汁 0.3
果糖ブドウ糖液糖 9.0
グラニュー糖 2.5
スクラロース(サンスイート※SU-100*) 0.02
ゲル化剤(ゲル化点32℃)
・キサンタンガム(サンエース※NXG-S*) 0.03
・カラギナン 0.06
・ローカストビーンガム 0.06
・寒天 0.1
香料(マスカットフレーバーNO.21−B*) 0.1
交換水にて全量 100
【0041】
実施例4:珈琲ドリンクゼリーの調製
常温のイオン交換水及び果糖ブドウ糖液糖を撹拌しつつ、グラニュー糖、ゲル化剤の粉体混合物を加え、80℃で10分間の加熱攪拌溶解を行なった後、コーヒーエキス及び香料を添加し、全量を補正後、140℃、5秒のUHT殺菌後、容器に無菌充填して、容器入り珈琲ドリンクゼリーを調製した(pH5.6)。
【0042】
処方 部
コーヒーエキスC−100 11
果糖ブドウ糖液糖 10
グラニュー糖 3
ゲル化剤(ゲル化点42℃)
・キサンタンガム(サンエース※NXG−S*) 0.02
・カラギナン 0.05
・グルコマンナン 0.03
・ローカストビーンガム 0.02
・脱アシル型ジェランガム 0.02
香料(コーヒーフレーバーNo.73665*) 0.12
交換水にて全量 100 」

(ケ)異議1甲9の記載
異議1甲9a「[請求項1] (1)ミックスを調合する、仕込み工程、
(2)前記仕込み工程に続き、ミックスを加熱殺菌する、加熱殺菌工程、
(3)前記加熱殺菌工程に続き、殺菌温度よりも低く、凝固温度より高い温度でミックスを維持する恒温工程、
を含む、ゲル状食品の製造方法であって、前記恒温工程におけるミックスの水分活性を調整することを含む、前記製造方法。」

異議1甲9b「発明が解決しようとする課題
[0006] 本発明者らは、ゲル状食品の製造において、原材料に雑菌を殆ど含まない、一般的な製造であるにも拘らず、芽胞菌などの増殖により、製品の品質が均質なものとならないという問題、例えば、商業規模(大規模)のゲル状食品の製造では、加熱殺菌したミックス(調合液)を容器へ充填する工程において、大容量のタンクから容器へ充填する作業を継続的に行うため、ゲル化や増粘を起こさない程度の高温状態で長時間に維持するところ、かかる時間中に芽胞菌の増殖を許し、製品の品質を変敗させるという問題に直面した。
[0007] したがって、本発明の課題は、上記の新たな問題点を解決し、ゲル状食品の製造工程において、雑菌の増殖を合理的に抑制することのできる方法を提供することにある。
・・・・・
[00018] 本発明のゲル状食品を製造する方法は、従来のゲル状食品の製造工程において、恒温工程における水分活性を調整することを特徴とする。すなわち、常法に従い、ミックスを調合した後、これを加熱殺菌し、必要に応じて温度を下げた後、容器に充填して冷却し、ゲル化や増粘させて、ゲル状食品の製造を行うところ、前記加熱殺菌後、容器に充填するまでの間に、殺菌温度よりも低く、凝固温度より高い温度へ冷却した恒温状態を維持し、サージタンクなどへ貯留して、容器へ充填する作業に備える工程(恒温工程)において、貯留中のミックスの水分活性を調整する。
・・・・・
[0020] 本発明において、「ミックス」とは、原材料の混合物を意味する。実際に用いられる原材料は、一般的に食品に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、乳製品、卵類、糖類、原料水などを主原料とすることができる。
・・・・・
[0025] 糖類としては、特に限定されず、例えば、砂糖(ショ糖)、蜂蜜、メープルシロップ、水飴、液糖、ブドウ糖、含水結晶ブドウ糖、果糖、ソルビトール、キシリトール、パラチノースなど、一般的に食品の製造に用いられるものであれば特に限定されず、これらを単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。水分活性を低減させる観点から、ブドウ糖および/または水飴を用いることが好ましく、水分活性を低減させると同時に、適度な甘味を与えることから、水飴を用いることがさらに好ましい。
[0026] 糖類の添加量は、実際に製造されるゲル状食品における望ましい甘味と、ミックスの水分活性への影響とを考慮して決定され、例えば、水飴を用いる場合には、ミックス全量に対して、3〜10重量%であり、好ましくは3〜8重量%であり、より好ましくは4〜6重量%である。このとき、水飴と液糖を併用することが望ましく、液糖を用いる場合には、ミックス全量に対して、9〜18重量%であり、好ましくは10〜15重量%であり、より好ましくは11〜13重量%である。一方、水飴と同様に、例えば、砂糖を用いる場合には、ミックス全量に対して、8〜15重量%であり、好ましくは9〜13重量%であり、より好ましくは10〜11重量%である。
・・・・・
[0029] 本発明において、「加熱殺菌温度」とは、耐熱性菌以外の一般の細菌を死滅させるために十分な温度を意味し、殺菌方法によって異なる。風味の維持や殺菌の効果などの観点から、連続式の殺菌方法を採用することが多く、120℃以上150℃以下の殺菌温度で処理することが好ましく、125℃以上145℃以下がより好ましく、130℃以上140℃以下がさらに好ましい。このとき、殺菌時間として1秒以上5秒以下が好ましく、1秒以上4秒以下がより好ましく、1秒以上3秒以下がさらに好ましい。なお、回分式の殺菌方法を採用することでも良く、90℃以上100℃未満の殺菌温度で処理することが好ましく、93℃以上97℃以下がより好ましく、約95℃がさらに好ましい。このとき、殺菌時間として、1分以上10分以下が好ましく、2分以上7分以下がより好ましく、5分程度がさらに好ましい。
本発明において、殺菌処理方法は特に限定されないが、低温長時間殺菌法(LTLT法:61.7℃〜65℃、30分間以上)、高温短時間殺菌法(HTST法:72℃〜75℃、15秒間以上)、超高温殺菌法(UHT法:120℃〜150℃、1秒以上5秒以内)などを含み、風味の維持や殺菌の効果などの観点から、UHT法が好ましい。
・・・・・
[0032] 本発明において、「恒温工程」とは、一定の温度、または製造上許容可能な範囲内で変動し得る温度で、ミックスを保持する工程を意味する。かかる今度は、殺菌温度よりも低く、凝固温度より高い温度である。恒温工程の温度は、実際に用いられる殺菌温度と、ゲル化が生じる凝固温度に依存するが、ミックスの増粘(粘度の上昇)の防止、および風味などの劣化の防止の観点から、40〜65℃であり、45〜60℃が好ましく、50〜55℃がより好ましい。」

異議1甲9c 「[0039] 脱脂粉乳を7%、生クリームを6.5%、合計100%となる量の原料水を用い、ミックスの水分活性が0.98以下となる各種糖類の添加量(高温菌増殖抑制に必要な添加量)を見出した。
・・・・・
[0041] 糖類の種類により添加量は異なり、最も少ない添加量で効果が認められた糖類は、ブドウ糖であった。また、高温菌増殖抑制に必要な添加量の糖類を添加した際に、最も好ましい甘味度をもたらす糖類は、マルトース水飴であった。
・・・・・
[0043][表4]
表4:プリンの配合例
・・・ 実施例5 実施例6
脱脂粉乳[重量%] ・・・ 8.7 6.3
(明治乳業社)
生クリーム[重量%]・・・ 3.5
(明治乳業社)
・・・・・・
砂糖[重量%] ・・・ 5.9 10.0
(明治フードマテリアル社)
・・・・・・
植物性油脂[重量%]・・・ 2.7 2.7
ゲル化剤[重量%] ・・・ 0.4 0.8
その他原料[重量%]・・・ 3.2 3.6
(香料など)
水 ・・・ 75.6 76.6
合計 ・・・ 100.0 100.0 」

(コ)異議1甲10−1の記載
異議1甲10−1a「3.4 微生物と水
3.4.1 水分活性
1)水分活性(water activity; Aw)
微生物は,いうまでもなく水なしでは生活できない。・・一方,乾燥法とならんで,古来人類に用いられてきた食品保存法に,塩蔵法,糖蔵法があるが,これらの方法は,いずれも微生物が増殖に利用できる水分を奪うことが,主なはたらきだと考えられる。ここにいう“水分を奪う”とは,塩蔵の際に,浸透圧の作用で食品から直接,水が流出することを意味しているのではなく,食品中で食塩,あるいは糖と微生物との間に水の奪い合いが起こることを指している。
・・・・・
このような乾燥,塩蔵などに見られる食品中の水と微生物の間の関係は水分活性(water activity)の考えによって,統一的に理解できるという考えを1957年にScottが提唱した。
・・・・・
微生物は,種類によって環境の水分に対する振る舞いが異なり,したがって増殖できるAwの値にも大きな差がある。」(140頁右欄3行〜141頁左欄5行、145頁左欄12〜14行)

(サ)異議1甲10−2の記載
様々な食品のpHが記載されている。(112頁〜113頁表3.1)

(シ)異議1甲11の記載
異議1甲11a「4−2−3 微生物の増殖に影響を与える条件
食品中における微生物の生存や発育は,水分活性(Aw),pH,酸化還元電位(Eh),栄養素若しくは発育阻害物質の有無,温度およびガス環境(包装条件)等の影響を受ける。特に重要なのが「温度」「水分活性」および「pH」であり,これらをコントロールすることで,食品中の微生物の増殖をある程度までは制御することが可能である。」(313頁右欄18〜23行)

(ス)異議1甲12の記載
アノキシバチルス・フラビサーマスの至適生育pH及び生育温度帯が記載されている。(76頁表1)

(セ)異議1甲13の記載
バチルス・ステアロサーモフィルスの至適生育pH及び生育温度帯が記載されている。(436頁表2)

(ソ)異議1甲14の記載
好熱性好酸性菌Alicyclobacillus属細菌は1967年に初めて分離され、本属の菌による食品汚染リスクは、1982年に報告され、顕在化したことが記載されている。(520頁左欄1行〜右欄2行)

(タ)異議1甲15の記載
Alicyclobacillus属細菌の至適生育pH及び生育温度帯が記載されている。(205頁右欄下から4行〜末行)

(チ)異議1甲16の記載
細菌は至適pHの両側で生育が急激に抑制されることが記載されている。(17頁右欄7〜8行)

(ツ)異議1甲17の記載
特許権者が2020年2月26日提出の意見書の内容及び参考文献が記載されている。
異議1甲17a「




(テ)異議1甲18−1の記載
文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」準拠の七訂 食品成分表2016 資料編には、りんごストレートジュース100g中に、ぶどう糖が2.8g、果糖が6.4g及びしょ糖が1.4g含まれていること、並びに、もも生100g中に、ぶどう糖が0.6g、果糖が0.7g及びしょ糖が6.8g含まれていること、が記載されている。

(ト)異議1甲18−2の記載
文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」準拠の七訂 食品成分表2016 本表編には、脱脂粉乳100g中にカルシウムが1100mg含まれていることが記載されている。

(ナ)異議1甲19の記載
異議1甲19a「【0004】
飲料を常温流通可能とする製造方法としては、前記のホットパック充填及びレトルト殺菌に加え、熱交換器等を用いて内容液を超高温で短時間処理し、再び熱交換器等を用いて短時間で充填温度まで冷却した後、過酸化水素等の薬剤で滅菌処理した紙パック等の容器に充填する、いわゆる無菌(アセプティック)充填という方法が知られている。無菌充填は、内容液の熱劣化が少なく、製品品質を高く維持できることから、多くの飲料の製造で用いられている。しかし、無菌充填の充填温度は50℃以下と低く、一方、従来のゼリー飲料の凝固点はこれよりも高いため、このような無菌充填の充填温度では、凝固するか、又は非常に粘度が高くなり、容器に充填をすることができなかった。」

異議1甲19b「【0030】
図2は、この製造方法の流れ図である。まず、寒天及び糊料を、十分な量、好ましくは寒天及び糊料の質量の20倍以上の量の冷水中に分散させる。これとは別に、デキストリン、糖類、アミノ酸等の他の原料を十分な量の冷水中に分散・溶解させる。この液に、先に調製した寒天及び糊料の分散液を、背圧をかけない状態(均質圧力が零の状態)の均質機を通して添加し、混合して原料液を得る。この原料液をプレート式殺菌機により60℃程度にまで一次加熱する。添加する材料によっては、この温度で一定時間保持して、熱安定性を高める。また、必要に応じて、この温度にて、例えば13kPa程度の負圧で脱気を行い風味の改善を行う。次いで、製品に含まれる成分及びpH等に従って法律で定められる殺菌温度以上の温度に二次加熱を行って原料液の殺菌を行う。この際、分散していた寒天及び糊料が溶解され、ゼリー溶液となる。これをプレート式殺菌機の冷却セクションに送液し、ゼリー溶液の凝固点より高い温度で、かつ充填に適した温度にまで冷却を行う。冷却されたゼリー溶液は、必要に応じて貯蔵タンクに一時的に貯められた後、充填機へと送られる。これとは別に、充填機には、PETボトル、ブランクカートン、ペーパーロール等が供給され、充填機内で過酸化水素等を用いて殺菌される。容器は必要に応じて最終成型を行い、充填可能な状態とされる。この容器に、凝固点よりも高い温度に保持された所定量のゼリー溶液を無菌的に充填し、充填機内で容器の密閉を行った後、ゼリー溶液の充填された容器が充填機から排出される。これを室温下で自然放冷させ、又は冷水等を用いて強制冷却させて、内容液を凝固点以下に冷却すると、容器内でゼリー溶液がゲル化し、ゼリー飲料となる。」

(ニ)異議1甲20の記載
熱間充填(ホットパック)方法は、充分に加熱された内容物そのものの温度で容器内面をも殺菌する方法であることが記載されている。(6頁表−4.の*1)の説明文)

(ヌ)異議1甲21の記載
異議1甲21a「【請求項1】 蓋のできる吸い口を有する柔軟性容器に充填され、水溶性食物繊維を含有していることを特徴とする嚥下障害患者用柔軟性容器入りゼリー様飲料。」

異議1甲21b「【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来、嚥下障害患者に対する水分の補給方法として、プリンやゼリー等のゲル状食品として与える方法や液体の飲料にデンプン等の増粘剤を添加して与える方法がとられてきたが、いずれの方法においても前述のような問題点があり、満足のできる物はなかった。また、飲み残しや、高齢者の便性状の改善についても問題となっている。本発明の目的は、嚥下障害を持つ高齢者あるいは脳血管障害、パーキンソン病、咽頭の手術後等の患者が液状の食品を摂取するに当たり、安全に嚥下できるようにしたゼリー様飲料が蓋のできる吸い口を有する柔軟性容器に充填され、かつ、便性状の改善のために水溶性食物繊維を含有していることを特徴とする柔軟性容器入りゼリー様飲料を提供することである。」

異議1甲21c「【0013】本発明におけるゼリー様飲料はその柔軟性容器及び水溶性食物繊維を含有することを特徴とするものであって、他の成分、原料の使用について、特に制限するものではない。本発明のゼリー様飲料の原材料としては、通常のゼリー様飲料で使用される原材料、例えば、甘味料(砂糖、果糖、ブドウ糖、果糖ブドウ糖液糖、アスパルテーム、ステビア等)、酸味料(クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸等)、賦形剤(デキストリン、澱粉等)、増粘安定剤(グアガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、カラギナン、キサンタンガム、アラビアガム、カラヤガム、ペクチン、寒天、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ジェランガム、プルラン等)、香料、果汁、着色料等が適宜使用できる。
【0014】また、本発明のゼリー様飲料をゼリー化するために使用するゲル化剤についても特に制限はなく、例えば、カラギナンとローカストビーンガムを組み合わせて使用することができる。その際のゼリー様飲料に対する添加量については、目的とする物性が得られる範囲であれば良く、特に制限はないが、例えば、100ml当たり、0.01〜1.0gのカラギナンと0.01〜1.0gのローカストビーンガムの組み合わせであり、好ましくは、0.05〜0.5gのカラギナンと0.03〜0.5gのローカストビーンガムの組み合わせであり、更に好ましくは、0.1〜0.2gのカラギナンと0.05〜0.2gのローカストビーンガムの組み合わせである。この範囲より少ない場合はゼリーとならないか、ゼリーとなっても柔らかすぎ、多くなると得られるゼリーが硬すぎるため、好ましくない。
【0015】更に、嚥下障害患者に適したゼリーの硬さ及び離水状態を持つゼリー様飲料とするため、カリウム製剤(リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、クエン酸三カリウム、ピロリン酸四カリウム、ポリリン酸カリウム、メタリン酸カリウム、塩化カリウム、炭酸カリウム等)を配合することが好ましい。上記目的のためのカリウム製剤の添加量は、100ml当たり、カリウム製剤に含有されるカリウムの量として、0.01〜0.5gが好ましく、0.03〜0.1gが更に好ましい。同時に配合される増粘安定剤の種類及び量によって状態は異なるが、上記の組み合わせ及び量の場合では、この範囲より少ない場合は得られるゼリーが柔らかすぎ、多くなると得られるゼリーが硬すぎ、また、離水が多くなるため、好ましくない。また、ビタミン類(ビタミンA、ビタミンB1 、ビタミンB2 、ビタミンB6、ビタミンB12、ニコチン酸、ナイアシン(ニコチン酸アミド)、ビタミンD群、ビタミンE、ビタミンK、ビオチン(ビタミンH)、パントテン酸、葉酸等)や、ミネラル類(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、リン、マンガン、ヨウ素等を含む塩類や食品素材)や、ミネラル吸収補助剤(乳蛋白質(カゼイン、カゼインナトリウム、カゼインカルシウム等)の分解物等)を必要に応じ、補給の目的で加えることができる。」

異議1甲21d「【0017】
【実施例】
実施例1:食物繊維含有ゼリー様飲料
90℃の熱水750mlに、果糖80g、グアガム酵素分解物(サンファイバー〔太陽化学(株)製〕)50g、1/5ピーチ果汁20ml、乳酸カルシウム7g、クエン酸5g、アスコルビン酸1g、カラギナン1.4g、ローカストビーンガム0.8g、クエン酸ナトリウム0.5g、香料適量、着色料適量を添加、溶解後、90℃の熱水を加えて全量を1000mlに調製した。これらの溶液を200mlずつチアーパック容器〔(株)細川洋行製〕に詰め、90℃10分間加熱殺菌後、25℃以下に冷却し、ゼリー様飲料を作製した。
【0018】実施例2:食物繊維,ビタミン,ミネラル含有ゼリー様飲料
90℃の熱水750mlに、果糖ぶどう糖液糖100g、グアガム酵素分解物(サンファイバー〔太陽化学(株)製〕)60g、1/5リンゴ果汁20ml、乳酸カルシウム7g、クエン酸3g、アスコルビン酸3g、塩化マグネシウム2g、塩化カリウム1.5g、リン酸二カリウム1.5g、カラギナン1.4g、ローカストビーンガム0.8g、クエン酸ナトリウム0.5g、カゼインカルシウム分解物(CCP〔太陽化学(株)製〕)0.5g、ビタミンプレミックス(ビタミンプレミックスタイプST−1〔日本ロシュ(株)製〕)0.2g、ビタミンE20%粉末(ドライEミックスHD−20S〔理研ビタミン(株)製〕)0.1g、フェリチン鉄(フェリチン太陽〔太陽化学(株)製〕,鉄15%含有)0.07g、香料適量、着色料適量を添加、溶解後、90℃の熱水を加えて全量を1000mlに調製した。これらの溶液を200mlずつチアーパック容器〔(株)細川洋行製〕に詰め、90℃10分間加熱殺菌後、25℃以下に冷却し、ゼリー様飲料を作製した。なお、本品100ml中には70歳代・生活強度Iの人の1日必要量に対してビタミン類については1/5量、ミネラル類については1/10量が含有されていることになる。」

(ネ)異議1甲22の記載
異議1甲22a「【請求項1】 蓋のできる吸い口を有する柔軟性容器に充填され、ゲル化剤によって流動性が損なわれない程度にゲル化されたゼリー様飲食品において、コラーゲンペプチドを含有することを特徴とするゼリー様飲食品。」

異議1甲22b「【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、食事においてコラーゲンを摂取しようとすると、牛肉、豚肉、鶏肉などの皮、骨付の肉類等を煮込んだり、あるいは鶏ガラのスープや豚骨スープなどを作成しなければならず、大変煩雑で手間と時間がかかるため、習慣的にコラーゲンを摂取することはきわめて困難であった。
【0007】一方、チアーパック等に充填したゼリー様飲食品において、コラーゲンを含有させたものは未だ市販されておらず、このようなゼリー様飲食品にコラーゲンを問題なく含有させることができるかどうかは不明であった。
【0008】したがって、本発明の目的は、肌の老化防止や、関節炎やリュウマチの治療効果が期待できるコラーゲンを、いつでもどこでも手軽に摂取できるようにしたゼリー様飲食品を提供することにある。」

異議1甲22c「【0018】本発明のゼリー様飲食品は、上記の他に、例えば、砂糖、果糖、ブドウ糖、果糖ブドウ糖液糖、アスパルテーム、ステビア等の甘味料、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸等の酸味料、デキストリン、澱粉等の賦形剤、果汁、ビタミン、ミネラル、香料、着色料等を適宜使用することができる。」

異議1甲22d「【0020】
【実施例】
実験例1
下記表1の配合からなるゼリー液を調製し、95℃まで加熱後、直ちに冷却しゼリー様食品を得た。この際、コラーゲンペプチドとして、平均分子量約1000、約5000、又は約20000の3種のものを用い、分子量の異なるコラーゲンペプチドを含有する3種のゼリー様飲食品を得た。
【0021】
【表1】



(ノ)異議2甲1の記載
異議2甲1a「【請求項1】
ゲル化剤、パラベン類0.005〜0.1重量%、及び安息香酸又はその塩0.02〜0.5重量%を含有し、浸透圧が1000〜3500mOsmである経口ゼリー剤。」

異議2甲1b「【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、経口ゼリー剤においては、安息香酸及び安息香酸塩の少なくともいずれかを0.01〜0.5W/V%(g/100mL)、アルキルエステルの炭素数が4〜6であるパラオキシ安息香酸アルキルエステルを0.005〜0.05W/V%(g/100mL)含有させるだけでは、真菌・カビに対する防腐力が十分に得られないことが判明した。また、経口ゼリー剤において防腐力を向上させるために浸透圧を4800mOsm以上にした場合、ゼリー剤を形成しているゲル構造に影響を及ぼし、多量の離水を生じたり、ゼリー剤としての食感が悪くなることが判明した。
従って、本発明の課題は、十分に高い防腐力を有し、かつ味や食感が良く、服用性の良好な経口ゼリー剤を提供することにある。
・・・・・
【発明の効果】
【0012】
本発明の経口ゼリー剤は、高含水量でありながら、細菌だけでなく真菌、カビに対しても優れた防腐力を有し、かつ味、食感が良好であり、嚥下機能の低下した生活者においても服用可能な硬さを有する。従って、高齢者も安心して服用することが可能である。」

異議2甲1c「【0031】
実施例1〜27及び比較例1〜18
表1〜表5の実施例1〜26及び比較例1〜18の記載の処方に従い、90℃程度に加熱した精製水にパラベン類を溶解した。その後各成分を加えて溶解し十分に混和した後、1回服用量のスティック状の三方シール容器に充填して封を施し、常温まで冷却した。
また、表3の実施例27については、パラベン類(パラオキシ安息香酸ブチル)を加熱した精製水に溶解せずに、常温のプロピレングリコールに溶解した。その他の成分は、90℃程度に加熱した精製水に溶解した。これらを合わせて十分に混和した後、1回服用量のスティック状の三方シール容器に充填して封を施し、常温まで冷却した。
得られた経口ゼリー剤について、以下の評価を行った。その結果を表1〜表5に示す。
・・・・・
【0038】
【表1】



(ハ)異議2甲2の記載
異議2甲2a「【請求項1】
原料たんぱく質を加熱変性して得られる不溶化たんぱく質と、ゲル状態のジェランガムとを含有し、酸性となるように調整されていることを特徴とする酸性ゲル状食品。
・・・・・
【請求項3】
前記原料たんぱく質が乳、大豆、卵から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の酸性ゲル状食品。」

異議2甲2b「【0018】
したがって、本発明の目的は、たんぱく質補給飲料として充分な量のたんぱく質と、ジェランガムとを含み、これらが酸性下に調整された場合においても凝集沈殿が起こらずにゲルを良好に形成でき、しかも、保存性、風味に優れる酸性ゲル状食品及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究したところ、たんぱく質をあらかじめ熱変性させ、不溶化させることで、ジェランガムとたんぱく質との反応が生じず、酸性条件下でもジェランガムを用いてゲル形成が可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0020】
すなわち、本発明の酸性ゲル状食品は、原料たんぱく質を加熱変性して得られる不溶化たんぱく質と、ゲル状態のジェランガムとを含有し、酸性となるように調整されていることを特徴とする。
【0021】
本発明の酸性ゲル状食品によれば、たんぱく質をあらかじめ熱変性させて不溶化たんぱく質として含有しているので、酸性下に調整され、多量のたんぱく質とジェランガムとを含んだ場合においても凝集沈殿が起こらずにゲルを良好に形成できる。
【0022】
また、酸性下に調整されているので、たんぱく質を豊富に含有させた場合においても、中性食品に比較して変敗が起こり難く、微生物的な安全性が高い。更に、レトルト殺菌のような長時間高温殺菌が必要でないため、風味や内容成分の劣化が少ない。
・・・・・
【0024】
また、本発明のゲル状食品においては、前記原料たんぱく質が乳、大豆、卵から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これによれば、乳、大豆、卵からの、たんぱく質分離物、濃縮物等が容易に入手可能であるので、たんぱく質補給飲料等に必要とされる、純度の高いたんぱく質を含有させることができる。」

異議2甲2c「【0068】
実施例2
表3に示すような配合割合で、実施例1の熱変性ホエイたんぱく質分離物を用いて、たんぱく質含量が4.5g/100g、pH3.7となるように調合液を調製した。
【0069】
すなわち、イオン交換水に熱変性ホエイたんぱく質分離物、果糖ふどう糖液糖、結晶クエン酸、乳酸カルシウム、ヨーグルトフレーバーを分散溶解し、そこにジェランガムをイオン交換水に分散、加熱溶解した溶液を混合して調合液を調製した。
【0070】
【表3】

【0071】
この調合液を95℃まで加熱し、直ちに180ml容量のスパウト付パウチ容器に充填、密封し、その後20℃の水浴中で10分間冷却した。その結果、容器1袋180g当たり7.2gのたんぱく質を摂取することのできるヨーグルト様の良好な甘味と酸味を有した、酸性ゲル状食品を得ることができた。
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、たんぱく質補給飲料として充分な量のたんぱく質と、ジェランガムとを含み、酸性下に調整された場合においても凝集沈殿が起こらずにゲルを良好に形成でき、しかも、保存性、風味に優れる酸性ゲル状食品及びその製造方法を提供できる。したがって、本発明の酸性ゲル状食品は、たんぱく質を豊富に含むゼリー飲料等に好適に用いられる。」

(ヒ)異議2甲3の記載
異議2甲3a「【請求項1】
ホエープロテインと寒天と水を含有し、25℃におけるpHが3.5〜4であり、ゲル状組成物100gあたりのカルボキシル基のモル当量が0.0032以下であるゲル状組成物。」

異議2甲3b「【0003】
本発明はホエープロテインを含むゲル状組成物でありながら、透明感と粒感を有するゲル状組成物の提供を目的とする。
・・・・・
【0007】
糖質
糖質としては特に限定されず、各種単糖類、二糖類、水飴、糖アルコール、オリゴ糖、デキストリン等が使用できる。
前記単糖類としては、例えば、グルコース(ブドウ糖)、果糖、異性化液糖、ガラクトース、マンノース、リボース、アラビノース、キシロース、ラムノース、ソルビトール、マンニトール、などが挙げられる。
前記二糖類としては、例えば、シュクロース(蔗糖)、マルトース、ラクトース、イソマルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、パラチノース、トレハロース、などが挙げられる。
前記水飴としては酸糖化水飴、還元水飴などが挙げられる。
前記糖アルコールとしては、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、エリスリトール、マルチトール、ラクチトール、還元パラチノースなどが挙げられる。
前記デキストリンとしてはマルトデキストリンなどが挙げられる。
スポーツ栄養を目的とするゼリーの場合は、異性化液糖、トレハロース、マルトデキストリンなどが好ましく用いられる。

異議2甲3c「【0016】
実施例および比較例
以下の製法に従って、下記表1の実施例1〜9および比較例1のゲル状組成物を調製し、表中に示した特性の測定および官能評価を行った。
まず寒天(CERO AGAR;Roeper社製)とグアーガムを水に分散して95℃で加熱溶解した。これとは別に、ホエープロテイン(ALACEN895;フォンテラジャパン株式会社製)とトレハロース、マルトデキストリン、異性化糖を水に溶解した。そして、このホエープロテイン含有水溶液を前述の寒天含有水溶液と混合した。さらにクエン酸、リン酸、リン酸三ナトリウムを添加溶解し、ゼリー調合液を得た。こうして得られたゼリー調合液をチアパック容器に充填した。殺菌は実施例1〜7においてはチューブラーヒーターを用いて92℃達温で容器充填の前に行い、また、実施例8,9および比較例1においては容器充填後に湯槽殺菌によってゲル状組成物の中心部が65℃に達してから10分間保持して行った。
【0017】
【表1】



(フ)異議2甲4の記載
異議2甲4a「【請求項1】
単糖類を主成分とする糖質を含有し、ゲル化剤としてカラギナンおよびキサンタンガムを配合してなる炭酸飲料用組成物であって、飲料組成物の可溶性固形分であるBrix度A(%)、カラギナンの配合量B(重量%)、キサンタンガムの配合量C(重量%)、液温26℃における飲料組成物の粘度D(mPa・s)が、以下の(イ)、(ロ)、(ハ)および(ニ)の関係式で示される条件を満足するゼリー状炭酸飲料用組成物。
(イ)B+C=0.05〜0.25
(ロ)B/C=2〜5
(ハ)D/A=7〜20
(ニ)A≧10」

異議2甲4b「【0011】
そこで、この発明は、上記の問題点を解決して、温度に応じて性状が変化し、且つ、0℃以下でも噴きこぼれずに炭酸性状を維持している容器詰炭酸ゼリー飲料を提供することを目的とする。また、飲用時に口の中で氷と共に炭酸ガスの刺激が味わえる、過去に存在し得なかった新規な凍結容器詰飲料を提供することを目的とする。さらに、通常の清涼飲料水の製造ラインで、検査機器を誤作動させることなく通過でき、生産効率のよい容器詰炭酸ゼリー飲料を提供することを目的とする。
・・・・・
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、Brix度、カラギナンの配合量、キサンタンガムの配合量、飲料組成物の粘度を一定の関係式で満たされる数値に調整したので、常温、冷蔵、冷凍のあらゆる温度帯で、様々な性状の容器詰炭酸ゼリー飲料を飲用できる。具体的には、常温ではそのまま液体として飲める炭酸飲料となり、冷蔵することにより、ソフトな食感のあるゲル状組成物を容器の飲み口からそのまま飲用できるゲル状炭酸飲料となり、冷凍することにより、飲用時に口の中で氷と共に炭酸ガスの刺激が味わえる凍結炭酸飲料となる。
【0019】
また、この容器詰炭酸ゼリー飲料は、従来の振らなければ飲用できない製品とは異なり、室温でも流出しやすいため、振らなくても飲用することができ、飲用者に手間がかからない。さらに、従来の検査機器で検知できるため、良品排斥率が少なくなり、製造工場の生産性が上がる。そして、これまで存在し得なかった、凍結後も炭酸ガスが含有されたままの凍結炭酸飲料を味わうこともできる。
・・・・・
【0024】
単糖類とは、ぶどう糖(グルコース)、果糖(フラクトース)あるいはそれらの混合物が主成分である果糖ぶどう糖液糖、ぶどう糖果糖液糖、ガラクトース、キシロース、マンノースなどをいう。
・・・・・
【0033】
実施形態の飲料組成物には可溶性固形分として、ぶどう糖固形分、果糖固形分、果糖ぶどう糖液糖、ぶどう糖果糖液糖の少なくとも1種以上の固形分が含まれているのが好ましく、これにより、可溶性固形分量が多くても、飲食物として適した味わいに調節でき、凍結後においても柔らかい触感を保持することができる。その他の可溶性固形分としては、発明の効果に影響を及ぼさない補助的な範囲内において麦芽糖固形分、糖アルコール固形分、デキストリン固形分、乳固形分、砂糖固形分を含有してもよい。」

異議2甲4c「【0058】
[実施例1〜10]
[比較例1〜10]
表1、表2に示す組成で各成分を配合し混合して飲食組成物を製造した。ここでいうゲル化剤とは、市販のカラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアガムを使用した。ぶどう糖はサンエイ糖化社製の「含水結晶ぶどう糖」、果糖はダニスコ社製の「純果糖」、果糖ぶどう糖液糖は加藤化学社製の「HF−55」を使用した。
【0059】
ボトル缶容器の洗浄を行い、配合した組成物に炭酸ガスを吸収させ、容器に充填、密封後に、67℃の温度にて10分間維持した後、冷水にて30℃まで冷却を行った。ボトル缶容器は大和製罐社製の300mlアルミニウムボトル缶を使用し、300g重量を充填した。
【0060】
得られた容器詰飲料のB+C値、B/C値、D/A値を表1、表2中に示した。
得られた容器詰飲料に対して、同様に26℃、15℃、7℃、−10℃における評価を、成人男女多数のパネラーに判定させ、多数意見を考慮してその点数を表1、表2中に示した。・・・・・
【0061】
【表1】



(ヘ)異議2甲5の記載
異議2甲5a「2.特許請求の範囲
1 還元キシロオリゴ糖水溶液又は粉末を含有することを特徴とする還元キシロオリゴ糖を用いた冷菓。」(特許請求の範囲 請求項1)

異議2甲5b 「以上から、従来の代替甘味料又は品質改良剤を用いた冷菓に代わる、冷菓用の甘味料又は品質改良剤を用いた冷菓の開発が望まれていた。」(2頁右上欄下から3〜末行)

異議2甲5c「 本発明でいう冷菓とは、冷やして喫食するものであり、還元キシロオリゴ糖を最終製品中の固形分に対して2%〜90%含有しているものであればよく、例えば、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓、各種ゼリー、プリン、ババロア、水羊羹、シャーベット等を指す。
必要であれば、甘味増強のために他の甘味料を同時に添加することも自由である。」(3頁左上欄7〜14行)を

異議2甲5d「実施例2
以下の表の配合に従って本発明品と対照品○1及び○2の3種類のワインゼリーを製造した。
尚、還元キシロオリゴ糖は実施例1と同じものを用いた。

」(3頁右下欄下から5行〜4頁左上欄表)(当審注:○数字は、〇中数字を表す。以下同様。)

(ホ)異議2甲6の記載
異議2甲6a「【請求項1】 15〜65重量%の糖類、アルギン酸塩およびカルシウム塩を必須成分として含有することを特徴とする食品用ゲル。」

異議2甲6b「【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の欠点を解消し、冷凍耐性に優れた食品用ゲルおよびその製造方法を提供することにある。」

異議2甲6c「【0024】比較例2
表2に示す配合割合で、実施例1に準じてゼリーを調製し、冷凍時および解凍後の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0025】
【表2】



(マ)異議2甲7の記載
異議2甲7a「【請求項1】
植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体と、ゲルの融点が40℃以上であるゲル化剤とを配合してなることを特徴とするゼリー状食品。」

異議2甲7b「【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明の目的は、植物ステロール類を配合した口解けが良くてゲル安定性が高いゼリー状食品を提供するものである。
・・・・・
【発明の効果】【0011】本発明によれば、植物ステロール類を配合した口解けが良くてゲル安定性が高いゼリー状食品を提供できる。したがって、特に容器詰めして冷蔵、あるいは常温で流通されるゼリー状食品の需要の拡大が期待される。
・・・・・
【0027】
続いて、本発明のゼリー状食品の代表的な製造方法について説明するが、本発明のゼリー状食品は、ゲル化剤として、上述したゲルの融点が40℃以上であるゲル化剤を用い、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体をゼリー状食品全体に均一に分散するように配合する他は特に限定は無く、従来の一般的なゼリー状食品の製造方法に準じて製造することができる。例えば、まず、水、果汁、野菜汁、牛乳、スープ等の水系原料に、前記ゲル化剤と複合体、更に、必要に応じて、砂糖、ぶどう糖等の糖類や食塩等の調味料、果物、野菜、肉等の截断物等とを加えて混合液を製する。」

異議2甲7c「【実施例】
【0031】
[調製例1]複合体の構成成分の解析及び複合体の植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との構成比
まず、卵黄液5g(卵黄固形分2.5g、卵黄固形分中の卵黄リポ蛋白質約2g)に清水95gを加え、攪拌機(日音医理科器機製作所社製、ヒスコトロン)で2000rpmで1分間攪拌して卵黄希釈液を調製した。次に5000rpmで攪拌しながら植物ステロール(遊離体97.8%、エステル体2.2%、平均粒子径約3μm)2.5gを添加し、さらに10000rpmで5分間攪拌し、植物ステロールと卵黄リポ蛋白質とから形成された複合体の分散液を得た(調製例1−1)。
・・・・・
【0047】
[調製例3]
清水17.5kgに殺菌卵黄(固形分45%、キユーピー(株)製)0.5kgを加え、攪拌機(日音医理科器機製作所社製、ヒスコトロン)で2000rpm、1分間攪拌して卵黄希釈液を調製した後、50℃に加温し、次に5000rpmで攪拌及び真空度350mmHgで脱気しながら植物ステロール(調製例1と同じもの)2kgを除々に添加し、添加し終えたところで、さらに同回転数で30分間攪拌して植物ステロールと卵黄リポ蛋白質の複合体の分散液を得た。なお、複合体の構成比は、卵黄固形分1部に対し植物ステロール8.9部であり、卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロール11.1部である。また、複合体の植物ステロール含有量は92%である。
・・・・・
【0059】
[実施例4]
清水85.0部にブドウ糖10.0部、植物ステロールと卵黄リポ蛋白質の複合体の分散液(調整例3で得たもの)2.0部、インスタントコーヒー2.0部、及びキサンタンガム0.5部とローカストビーンガム0.5部の混合物からなるゲル化剤を加えて混合した。次に、この混合液を90℃まで加温した後、カップ型の耐熱性合成樹脂製容器に充填し、イージーピール可能な耐熱性合成樹脂製の蓋材で密封後、品温20℃になるまで冷却することで本発明のコーヒー風味の容器詰めゼリー状食品を得た。得られたコーヒー風味の容器詰めゼリー状食品を開封し、食したところ口解けが良く好ましいものであった。なお、キサンタンガムとローカストビーンガムとを1:1で混合したゲル化剤のゲルの融点は、65℃であった。」

(ミ)異議2甲8の記載
異議2甲8a「【請求項1】
融解熱が−5.0cal/g以下の糖質甘味料を含有することを特徴とするゲル化剤膨潤抑制剤。
【請求項2】
融解熱が−5.0cal/g以下の糖質甘味料が、エリスリトールである請求項1記載のゲル化剤膨潤抑制剤。
【請求項3】
請求項1又は2記載のゲル化剤膨潤抑制剤及びゲル化剤を含有することを特徴とする吸い口付き容器に収容されたゼリー状食品。」

異議2甲8b「【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、ゲル化剤を水性媒体へ分散して調合液を調製する際に、ゲル化剤の膨潤による調合液の粘度上昇を抑制し、かつ熱履歴によるゲル化剤の分解を抑制して安定したゲル強度を付与するためのゲル化剤膨潤抑制剤、それを用いた吸い口付き密封容器入りゼリー状食品及びゲル化剤膨潤抑制方法を提供するにある。」

異議2甲8c「【0032】
<実施例1〜8、比較例1〜2>
表1に記載の各ゲル化剤膨潤抑制剤(エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、パラチニット、グルコース)もしくはショ糖、ゲル化剤、副原料及び水性媒体を、ホモミキサーで3000rpmで5分間分散して調製した調合液の粘度と分散直後の液温を測定した(室温25℃)。上記の水性媒体の温度は、ゲル化剤分散前が20℃、30℃、40℃の3種類について検討した。なお、粘度は、B型粘度計にて測定した。その測定結果を表1に示す。
【0033】
【表1】



(ム)異議2甲9の記載
異議2甲9a「【請求項1】 カラゲニン類を、水化条件下でおかれ不活性、水混和性有機溶媒の存在下で、過酸化水素で熱処理することを特徴とする市販カラゲニン類の精製方法。
・・・・・
【請求項11】 請求項1から請求項9までの精製方法のいずれかによって得られた精製されたカラゲニンの医薬、食品及び化粧品のための組成の調製品への用途。」

異議2甲9b 「【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は高純度で、かつ医薬、食品及び化粧品の分野における使用に特に適するカラゲニン類を得る方法を提供することにある。」

異議2甲9c「【0026】
【実施例】次なる実施例は本発明をどのようにでも限定することなしに示す。
【0027】特に、実施例1は本発明の方法を示すが、実施例2〜23は実施例1の方法によって得られたカラゲニン類で調製した組成物に関するものである。
【0028】実施例1:精製方法
ヘーゼルーブラウンの粉末であって、硫酸塩(硫酸ソーダとして)4.25%、塩化物(塩化カリウムとして)6.63%、糖類(サッカロースとして)10%、外来の粘液物3%という分析的特徴を有する市販のカラゲニン100gを、95度エタノール375mlと4%過酸化水素水125mlとからなる混合液中に懸濁させる。
・・・・・
【0045】実施例14:飽食用フルーツタイプジェリー100g中:実施例1の精製したカラゲニン3g,ソルビン酸カリウム0.2g,果糖7g,ソルビトール2.75g,アスパルテーム0.2g,クエン酸50%溶液2ml,E124 0.005g,ブルーベリー天然香料1ml,全体100gに対して十分な量の洗浄水を含む。
実施例15:食用ジャムタイプジェリー
実施例1の精製したカラゲニン1.5g,ソルビン酸カリウム0.2g,果糖7g,ソルビトール2.75g,アスパルテーム0.2g,クエン酸50%溶液2ml,リボフラビン5ーリン酸ナトリウム0.005g,マンダリン天然香料1ml,全体100gに対して十分な量の洗浄水を含む。」

(メ)異議2甲10の記載
異議2甲10a「【請求項1】
ゲル化剤及びダイズタンパク質のサーモリシン加水分解物を含有してなる、ゲル状食品。」

異議2甲10b「【0006】
本発明の課題は、ダイズタンパク質やペプチド由来の苦味や異臭が低減され、さらに、ゲル化剤の含有量を低減することができるダイズペプチド含有ゲル状食品を提供することにある。」

異議2甲10c「【0044】
配合例1〜100 サーモリシン加水分解物含有ゲル状食品の作製
表3〜8に示す原材料を用い、当業者に公知の方法に従って、ダイズタンパク質のサーモリシン加水分解物(コラプラスTMN)を含有するゲル状食品を作製する。
・・・・・
【0047】
【表5】

【0048】
【表6】



(モ)異議2甲11の記載
異議2甲11a「2.特許請求の範囲
(1) 海藻抽出物、植物性種子粘質物、微生物産生粘質物及び塩類をカルシウム溶液と反応ゲル化させ麺状とすることを特徴とする麺状ゼリーの製造法。」(特許請求の範囲 請求項1)

異議2甲11b「 本発明は、麺状ゼリーの製造法に関する。
詳しくは、本発明では種々の粘質物及び塩類を組合せて添加することによって麺状ゼリーに耐熱性及び耐酸性を付与し麺を切れにくくし、レトルト殺菌に耐えられるようにしたものである。また、ゾル状のゼリーミックスを冷却することなく高い温度(50〜80℃)でカルシウム塩の溶液とゲル化させるのでゲル形成スピードを促進させほぼ瞬間的に安定性のあるゲルを形成させることができ作業性の簡素化を図ることができるようにしたものである。」(1頁右下欄下から6行〜2頁左上欄5行)

異議2甲11c「実施例1(連続式麺状ゼリーの製造)
第1表に実施例1で使用する原料の配合比(重量%)を示す。
第1表
原材料 配合比
カラギーナン(κ) 0.30 %
ローカストビーンガム 0.25
ジェランガム 0.25
グアーガム 0.20
リン酸二カリウム 0.30
1/5濃縮オレンジ果汁 10.00
異性化糖 15.00
粉末水飴 5.00
粉末ブドウ糖 5.00
クエン酸 0.50
着香料 0.20
着色料 0.02
水 62.98
計 100.00

上記配合比に従って糖類と水との混合液の中にカラギーナン、ローカストビーンガム、ジェランガム、グアーガム、リン酸二カリウムを加え、加熱溶解(80℃達温)した。これを真空度450〜600mm/Hgで脱気した後、果汁、クエン酸、着香料、着色料を添加し、次に1.00%の濃度の塩化カルシウム溶液の中に上記のゼリーミックス水溶液を縦横5mm×5mmの大きさのノズルから流入させて瞬間的に麺状ゼリーを形成させた。
次に容器充填後の搬送状態を良好にし、また製品の清涼感をもたせるために麺状ゼリーに対しシロップを約40%加え、レトルト殺菌(1)0℃、15分)を行い、10℃以下に冷却して麺状ゼリー食品を得た。」(4頁左上欄下から2行〜同頁左下欄下から4行)

(ヤ)異議2甲12の記載
異議2甲12a「【請求項1】
カチオン反応性を有するゲル化剤を含有する溶液(A液)と、乳成分を含有する溶液(B液)とを混合することによってゼリー入り飲料を製造する方法であって、前記A液中に難溶性カルシウム塩を配合することを特徴とする、乳成分を含有するゼリー入り飲料の製造方法。」

異議2甲12b「【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明は、上記従来技術の問題点を解消し、新規な乳成分を含有するゼリー入り飲料の製造方法及び当該製造方法によって得られる乳成分を含有するゼリー入り飲料を提供することを課題とする。
・・・・・
【0021】
本発明の製造方法においては、上記したゲル化剤、難溶性カルシウム塩及び乳成分の他に、一般的に使用されている様々な食品素材、添加物などを、A液またはB液に適宜配合することが可能である。例えば、糖類、果実、果汁、コーヒー、茶類、甘味料、酸味料、香料、色素、酸化防止剤、乳化剤、pH調整剤等を必要に応じて適宜配合することができる。また、上記の各種物質を適宜選択して使用することにより、形成されるゲルを均一または不均一なものに制御することが可能である。このときのゲル強度は10〜100gf程度とすることが好ましい。」

異議2甲12c「【実施例1】
【0022】
(ゲル化剤の添加量の検討)
コーヒーエキス10質量%、インスタントコーヒー4質量%、異性化糖15.7質量%、粉末水飴8.0質量%、重曹0.4質量%を含む水溶液にアルギン酸ナトリウム(キッコーマンバイオケミファ社製)を添加し、0.2質量%乃至0.6質量%までの異なる濃度のA液を調製した。これらのゼリー飲料を137℃で30秒間殺菌した後、10℃に冷却した。これらをそれぞれ牛乳と重量比で1:1となるように混合後10℃にて一夜静置しゼリー飲料を調製した。静置後のゼリー飲料を平らなプラスティックバットに入れてゼリーの状態を目視で確認した。アルギン酸ナトリウムの含量をそれぞれ0.2質量%、0.3質量%および0.6質量%として調製したゼリー飲料のゼリーの状態を示す写真を図1に示す。
図1に示されるように、目視での確認の結果、アルギン酸ナトリウムの含量が0.3質量%および0.6質量%のゼリー飲料のゼリーが好ましい状態であった。さらに検討したところ、アルギン酸ナトリウムの含量を0.375質量%乃至0.45質量%として調製したゼリー飲料のゼリーは特に好ましい状態であった。」

(ユ)異議2甲13の記載
異議2甲13a「【請求項1】 粒径が30μmより大きい澱粉粒子を含有し、且つ融点が37℃以上の熱可逆性ゲルによってゲル化していることを特徴とする水中油型乳化組成物。」

異議2甲13b「【0004】従って、本発明の目的は、澱粉を含有して一定のボディ感を保持しながら、口溶けが良好で軽くみずみずしい食感を有し、しかも乳風味豊かな水中油型乳化組成物を提供することにある。また、本発明の目的は、ホイップすることが可能で、水中油型乳化組成物のゲル融点以上の温度で溶かすことができ、これを水中油型乳化組成物のゲル化開始温度以下の温度とすることにより固まる性質を有する水中油型乳化組成物を提供することにある。
・・・・・
【0022】本発明の水中油型乳化組成物は、糖類を含有することができる。斯かる糖類としては、例えば、上白糖、グラニュー糖、粉糖、ブドウ糖、果糖、蔗糖、麦芽糖、乳糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、異性化液糖、蔗糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、還元乳糖、ソルビトール、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、ステビア、アスパルテーム、はちみつ等があげられ、これらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。本発明の水中油型乳化組成物は、上記糖類を好ましくは0〜40重量%、さらに好ましくは1〜30重量%、最も好ましくは3〜25重量%含有するのがよい。」

異議2甲13c「【0053】 (実施例22〜29) 下記表7に示す配合に従い、実施例22、23および26については、50℃に調温したパーム油と、水を50℃に昇温して攪拌しながらクリームおよびクリームチーズを添加して調製した水相とを予備乳化し、予備乳化物を調製した。そして、この予備乳化物に、澱粉、キサンタンガムおよびローカストビーンガムを混合しておいたものを添加し混合した。実施例24、25、27および28については、水を50℃に昇温して攪拌しながらクリームおよびクリームチーズを添加し、予備乳化物を調製した。そして、この予備乳化物に、澱粉と、あらかじめキサンタンガムおよびローカストビーンガムを混合しておいたものを添加し混合した。実施例29については、水を50℃に昇温して攪拌しながらクリームおよびクリームチーズを添加し、次いで異性化液糖を添加し、予備乳化物を調製した。そして、この予備乳化物に、澱粉、キサンタンガムおよびローカストビーンガムを混合しておいたものを添加し混合した。次いで、上記予備乳化物をクレハ式超高温瞬間殺菌装置[呉羽テクノエンジ(株)製]を用いて139℃まで加熱殺菌し、これを60℃まで冷却し、充填温度60℃でバッグインボックス型容器に無菌充填し、これを冷蔵庫中で5℃まで冷却して、水中油型乳化組成物を得た。
・・・・・
【0054】
【表7】



(ヨ)異議2甲14の記載
異議2甲14a「【請求項1】 果実および/または野菜を原料とするジャム類において、エリスリトールを5〜18%、蔗糖を0.5〜13%および他の低カロリー甘味料を含んでなる低カロリージャム類。」

異議2甲14b「【0007】本発明の目的は、このような風味の良い低カロリージャム類を提供することである。
・・・・・
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において「%」は、全て「重量%」を指し、また「部」は、全て「重量部」を指す。
・・・・・
【0017】また本発明の低カロリージャム類は蔗糖を0.5〜13%含んでいる。蔗糖は、サトウキビやビートなどから分離、精製して製される砂糖の主成分である。砂糖には、結晶形や精製度合いなどによってグラニュー糖、上白糖、三温糖などの様々な形態があるが、本発明の低カロリージャム類は、蔗糖として0.5〜13%含んでいれば、いかなる形態の砂糖が用いられていても差し支えない。
【0018】なお、ジャム類は通常、果実および/または野菜を原料とし、蔗糖などの他、必要によりペクチンなどのゲル化剤やクエン酸などの酸味料を加えて加熱する工程を経て得られ、加熱された蔗糖はコクのあるフレーバーを有するので、蔗糖はジャム類に甘味を付与するだけでなく、独特の風味を与える役割も担っている。本発明において、蔗糖の含有量が0.5%未満であると、このようなコクのあるフレーバーが得られず、また13%を越えるとエネルギー量が増大し、低カロリーのジャム類が得られなくなる。蔗糖の好ましい含有割合は、0.5〜6%である。
【0019】なお、蔗糖は、酸性下で加熱すると一部が果糖とブドウ糖に転化する。果糖やブドウ糖は果実や野菜にも含まれる糖類で、ジャム類に爽快な甘味を付与することができるが、本発明においては果糖を1〜7%および/またはブドウ糖を1〜7%含んでいると、より爽快な甘味を有する低カロリージャム類とすることができる。また、果糖やブドウ糖の含有割合は果実の配合量や蔗糖の配合量を調整したり、pHや加熱温度、加熱時間の設定により転化率を調整したりすることになどによって変化させることができる。」

異議2甲14c「【0025】
【実施例】
(実施例1)
低カロリーイチゴジャム
まず、原料イチゴの果肉部分(ホール品)5,200gにエリスリトール1,500g、蔗糖320g、還元麦芽糖水飴(マルチトール約60%含有)3,700gおよび清水800gを二重釜を用いて品温80℃に達するまで攪拌しながら加熱し各原料をなじませた。次に減圧濃縮機を用いて、全量が10.3kgになるまで55℃で加熱し濃縮する。その後低メトキシルペクチン40g、クエン酸10gを加え全量が10.0kgになるまで常圧下、95℃で加熱後ただちにガラス瓶に充填し、密封したものを90℃で10分間加熱殺菌し、冷却して、低カロリーイチゴジャム10.0kgを得た。この低カロリーイチゴジャムの各甘味成分の含有割合を分析したところ、エリスリトールが15%、蔗糖が0.7%、果糖が3.5%、ブドウ糖が3.8%およびマルチトールが22%であった。
【0026】また、この低カロリーイチゴジャムは、100gあたりのエネルギー量が約90kcalと十分な低カロリー化が図れており、風味も、甘味料としてマルチトールのみを用いた低カロリーイチゴジャムに比べ、一段と良好であった。
(実施例2)
低カロリーオレンジマーマレード
まず、原料オレンジの果肉を圧搾して得た果汁3,200gと千切りし、ブランチングした果皮1,800gに、エリスリトール1,250g、蔗糖320g、還元麦芽糖水飴(マルチトール約60%含有)3,600gおよび清水800gを二重釜を用いて品温80℃に達するまで攪拌しながら加熱し各原料をなじませた。次に減圧濃縮機を用いて、全量が10.3kgになるまで55℃で加熱し濃縮する。その後低メトキシルペクチン40g、クエン酸10gを加え全量が10.0kgになるまで常圧下、95℃で加熱後ただちにガラス瓶に充填し、密封したものを90℃で10分加熱殺菌し、冷却して、10.0kgを得た。この低カロリーオレンジマーマレードの各甘味成分の含有割合を分析したところ、エリスリトールが12%、蔗糖が2.3%、果糖が2.2%、ブドウ糖が2.3%およびマルチトールが22%であった。」

(ラ)異議2甲15の記載
異議2甲15a「【請求項1】
温度変化によりゾルからゲルに転移するハイドロコロイドのゲル化温度以上に調整された該ハイドロコロイド溶液と前記ハイドロコロイドのゲル化温度以下に調整された水溶液を撹拌混合してゲル化温度以下にすることにより得られるゼリー飲料。」

異議2甲15b「【0007】
そこで、本発明は、簡易かつ短時間で得ることができるゼリー飲料、並びにその製造方法及びその原料を提供することを目的とする。」

異議2甲15c「【0028】
実験例6
次に、表6に示す配合を120Lの水に分散させ加熱溶解することにより、ハイドロコロイド溶液を調整した。このハイドロコロイド溶液を55℃まで冷却した後、5℃の冷水80Lを瞬時に加えて攪拌して、不連続なゲルを形成し、これを容器に充填した後、85℃60分の熱殺菌を行うことによって、実施例11に係るブルーベリーエキス入りのゼリー飲料を得た。同様にハイドロコロイド溶液と冷水をUHL殺菌により無菌的に作り攪拌後、無菌充填することにより、ロングライフのゼリー飲料もできる。
【0029】
【表6】



(リ)異議2甲16の記載
異議2甲16a「【請求項1】
ゲル化剤及びダイズタンパク質のサーモリシン加水分解物を含有してなる、ゲル状食品。」

異議2甲16b「【0007】
本発明の課題は、ダイズタンパク質やペプチド由来の苦味や異臭が低減され、さらに、ゲル化剤の含有量を低減することができるダイズペプチド含有ゲル状食品を提供することにある。
・・・・・
【0031】
なお、本発明のゲル状食品は、サーモリシン加水分解物及びゲル化剤以外に、必要により、糖類(砂糖、果糖、乳糖、グラニュー糖等)、香料(バニラエッセンス等)、ビタミン類、果汁(オレンジ果汁、リンゴ果汁、イチゴ果汁、ブドウ果汁、バナナ果汁等)、果実(オレンジ、リンゴ、イチゴ、ブドウ、バナナ等)、酸味料、卵(卵黄、卵白も含む)、ミネラル、安定剤、乳化剤、色素、フルーツ、ワイン、乳製品(ヨーグルト、牛乳、生クリーム、脱脂粉乳、発酵乳、乳清等)、こしあん、酒類(コアントロー等)等を含有してもよい。ゲル状食品の例としては、好ましくはゼリー、より具体的には、フルーツゼリー、コーヒーゼリー、ワインゼリー、ヨーグルトゼリー等や、和風ゼリー(水ようかん、ところてん、ういろう等)、ゼリー飲料(ゼリー入り飲料、スパウト容器入りゼリー飲料等)が挙げられる。他にも、ムース、ババロア、プリン、ヨーグルト、ジャム、コンニャク、コンニャクゼリー、グミ、ゼリービーンズ等が挙げられる。」

異議2甲16c「【0045】
配合例1〜100 サーモリシン加水分解物含有ゲル状食品の作製
表3〜8に示す原材料を用い、当業者に公知の方法に従って、ダイズタンパク質のサーモリシン加水分解物(コラプラスTMN)を含有するゲル状食品を作製する。
・・・・・
【0049】
【表6】



(ル)異議2甲17の記載
異議2甲17a「


」(26〜27頁)

(レ)異議2甲18の記載
粉飴及び水あめの成分が記載されている。

(ロ)異議2甲19の記載
水飴の分類として、水飴には、酸糖化水飴、酵素糖化水飴、麦芽水飴、粉末水飴(粉飴)及びマルトデキストリンがあることが記載されている。(p.434、表4.3)

(ワ)異議2甲20の記載
異議2甲20a「 2.2. 水あめ,マルトデキストリン
澱粉を糊化したのち酸や酵素で加水分解すると最終的にぶどう糖にまで分解されるが,反応方法や反応条件により異なる糖組成を有する中間生成物が得られる。これらの生成物は,その加水分解の程度を表す指標であるDE値(Dextrose Equvalent)で分類される。DE20以上の中間生成物を水あめ,DE20以下をマルトデキストリンとし,日本では,DE10以下をデキストリンとして細分類することもある。・・・酸や酵素(α−アミラーゼ)処理により,得られた比較的低DEの糖液をスプレー乾燥により粉末化し製品とした粉あめ(DE20〜35)もある。・・・
マルトデキストリン(デキストリンも含む)は,粉あめより,更にDEの低い製品で,糖液の老化(白濁)を抑えるために酸−酵素の二段液化法,または,酵素−酵素の二段液化法で生産される。」(34頁右欄11行〜35頁左欄12行)

イ 異議1甲2を主引例とする場合

(ア)異議1甲2に記載された発明
異議1甲2の実施例(【0036】〜【0040】)(異議1甲2c)の記載より、以下の発明が記載されていると認められる。
「10l仕込み中、1/8ブルーベリー果汁35.8g、果糖ブドウ糖液糖1618.0g、無水クエン酸20.0g、乳酸カルシウム20.0g、塩化カリウム1.0g、赤色色素15.0g、ブルーベリー香料25.0g、カラギナンκ5.4g、ローカストビーンガム8.1g、炭酸水4548.0g及び純水3703.7gを含む、炭酸ガス含有ブルーベリーソフトゼリー飲料」の発明(以下、「異議1甲2発明」という。)

(イ)本件発明1について

a 本件発明1と異議1甲2発明との対比

(a)異議1甲2発明の「炭酸ガス含有ブルーベリーソフトゼリー飲料」は、本件発明1の「ゲル状食品」に相当する。

(b)ブドウ糖、果糖について
i 異議1甲17中の参考文献1[日本食品標準成分表2015年版(七訂)炭水化物成分表編]より、果糖ぶどう糖液糖100g当たりには、ぶどう糖28.3g、果糖39.4gが含まれていることが一応理解できる。
異議1甲2発明の全重量は、10,000g(=1/8ブルーベリー果汁35.8g+果糖ブドウ糖液糖1618.0g+無水クエン酸20.0g+乳酸カルシウム20.0g+塩化カリウム1.0g+赤色色素15.0g+ブルーベリー香料25.0g+カラギナンκ5.4g+ローカストビーンガム8.1g+炭酸水4548.0g+純水3703.7g)である。
そうすると、異議1甲2発明において、「果糖ブドウ糖液糖1618.0g」中のブドウ糖及び果糖の飲料中の各重量%は、ブドウ糖4.58重量%[=100×(1618g×0.283)/10,000g]、果糖6.37重量%[=100×(1618g×0.394)/10,000g]と計算できるといえる。

ii 異議1甲2発明における、「1/8ブルーベリー果汁35.8g」中のブドウ糖及び果糖の各重量%について、日本食品標準成分表2015年版(七訂)炭水化物成分表編]より、ブルーベリー生100g当たり、ぶどう糖4.2g、果糖4.3g、(ショ糖0.1g)含まれていることが一応理解できる。
そうすると、異議1甲2発明において、「1/8ブルーベリー果汁35.8g」中のブドウ糖及び果糖の各重量%は、「1/8」すなわち8倍濃縮物であることを踏まえると、ブドウ糖0.12重量%[=100×(35.8g×8×0.042)/10,000g]、果糖0.12重量%[=100×(35.8g×8×0.043)/10,000g]と計算できるといえる。

iii i及びiiにおける計算結果を合計すると、異議1甲2発明は、ブドウ糖4.70重量%(=4.58重量%+0.12重量%)、果糖6.49重量%(=6.37重量%+0.12重量%)含んでいるといえる。
そうすると、異議1甲2発明の「1/8ブルーベリー果汁35.8g」と、本件発明1の「ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含む」及び「ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品及び果糖5重量%以上のゲル状食品を除く」とは、「ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含む」及び「ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品を除く」点で共通する。

(c)全固形分について
本件発明1の「全固形分」について、本件明細書に定義はない。実施例の【表1】(【0020】)及び【表2】(【0021】)より、全固形分重量%=原材料の合計100重量%−原料水の重量% と理解して、以下検討する。

異議1甲2発明の全固形分は、少なくとも12.14重量%[=1/8ブルーベリー果汁35.8g及び果糖ブドウ糖液糖1618.0g中の、ブドウ糖4.70重量%+同中の果糖6.49重量%+無水クエン酸0.2重量%(=100×20.0g/10,000g)+乳酸カルシウム0.2重量%(=100×20.0g/10,000g)+塩化カリウム0.01重量%(=100×1.0g/10,000g)+赤色色素0.15重量%(=100×15.0g/10,000g)+ブルーベリー香料0.25重量%(=100×25.0g/10,000g)+カラギナンκ0.054重量%(=100×5.4g/10,000g)+ローカストビーンガム0.081重量%(=100×8.1g/10,000g)]といえる。
そうすると、異議1甲2発明の全固形分は、本件発明1の「全固形分が11重量%以上」に相当する。

(d)ショ糖、水飴について
異議1甲2発明には、水飴は含まれていない。
ショ糖について、前記食品標準成分表2015年版(七訂)炭水化物成分表編]より、ブルーベリー生100g当たり、ショ糖0.1g含まれていると一応理解できることから、異議1甲2発明の「1/8ブルーベリー果汁35.8g」中には、ショ糖0.0031重量%[=100×(35.8g×8×0.001)/10,000g]含まれていると計算できるといえる。
これは極めて微量であり、計量可能な範囲で含まないものと理解できるから、ショ糖を実質的に含まないものといえる。
したがって、異議1甲2発明 は、本件発明1の「ショ糖及び水飴を実質的に含ま」ないものに相当するといえる。

(e)したがって、本件発明1と異議1甲2発明とは、
「ショ糖及び水飴を実質的に含まず、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含むことを特徴とする、ゲル状食品(ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品を除く)」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1−1(異議1甲2発明):ゲル状食品について、本件発明1は、乳を含むものであるのに対し、異議1甲2発明は、乳を含むものではない点

相違点1−2(異議1甲2発明):ゲル状食品について、本件発明1は、果糖5重量%以上のゲル状食品を除くものであるのに対し、異議1甲2発明は、果糖6.49重量%のゲル状食品である点

b 判断
相違点1−1(異議1甲2発明)について検討する。
異議1甲2には、異議1甲2発明が、乳を含むことについての記載や示唆はなく、また、異議1甲2発明が、乳を含むといえる技術常識もない。
したがって、相違点1−1(異議1甲2発明)は実質的な相違点であるから、相違点1−2(異議1甲2発明)を検討するまでもなく、本件発明1は異議1甲2に記載された発明であるとはいえない。

また、異議1甲2発明は、炭酸ガス含有ブルーベリーソフトゼリー飲料であり、飲料原料液が果汁飲料の場合であるが、異議1甲2には、飲料原料液が果汁飲料である場合に、乳を加えることは、記載も示唆もされておらず、異議1甲3〜異議2甲20にも、異議1甲2発明のような、飲料原料液が果汁飲料である炭酸ガス含有ソフトゼリー飲料に、乳を加えることを導き出す記載や示唆を認めることはできないから、異議1甲2発明に、乳を加える動機付けがあるとは認められない。
また、本件発明1の効果は、本件明細書の段落【0008】の記載及び実施例(【0016】〜【0026】)の記載より理解されるように、ゲル状食品に製造において、特定の糖類を一定濃度添加することにより、ゲル状食品の風味・味質を損なうことなく、恒温工程における耐熱性菌の増殖を抑制することができることであり、そのような効果は、異議1甲2〜異議2甲20の記載から予測し得ない顕著なものといえる。

したがって、本件発明1は、異議1甲2に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

c 小括
したがって、相違点1−2(異議1甲2発明)を検討するまでもなく、本件発明1は、異議1甲2に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議1甲2に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

(ウ)本件発明6について
本件発明6は、本件発明1を引用し、さらに技術的に特定するものであるから、本件発明1と同様に、異議1甲2に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議1甲2に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

ウ 異議1甲3を主引例とする場合

(ア)異議1甲3に記載された発明

a 異議1甲3の実施例1(【0009】)の記載より、以下 の発明が記載されていると認められる。
「グルコマンナン0.16重量%、カッパーカラギーナン0.05重量%、果糖ぶどう糖液糖18.0重量%、1/5濃縮オレンジ果汁4.0重量%、クエン酸0.15重量%、オレンジフレーバー0.3重量%、水残量の配合割合で原料を用いて得られた、ゼリー様飲料」の発明(以下「異議1甲3発明1」という。)

b 異議1甲3の比較例5(【0013】)の記載、及び、「%(w/w)」は重量%を意味することより、以下の発明も記載されていると認められる。
「カッパーカラギーナン0.35重量%、ローカストビーンガム0.2重量%、果糖ぶどう糖 液糖17.0重量%、クエン酸0.36重量%、クエン酸ナトリウム0.12重量%、パイナップルフレーバー0.3重量%、水残量の配合にて調合して得られる、ゲル状物」の発明(以下「異議1甲3発明2」という。)

(イ)本件発明1について

a 異議1甲3発明1との対比・判断

(a)対比
i 異議1甲3発明1の「ゼリー様飲料」は、本件発明1の「ゲル状食品」に相当する。

ii ブドウ糖、果糖について
(i)異議1甲17の記載(異議1甲17a)を参酌すると、異議1甲3発明1の「果糖ブドウ糖液糖18.0重量%」中のブドウ糖及び果糖の各重量%は、ブドウ糖5.09重量%(=18重量%×0.283)、果糖7.09重量%(=18重量%×0.394)といえる。

(ii)異議1甲3発明1の「1/5濃縮オレンジ果汁4.0重量%」中のブドウ糖及び果糖の各重量%について、異議1甲17中の参考文献1[日本食品標準成分表2015年版(七訂)を炭水化物成分表編]より、オレンジ バレンシア 濃縮還元ジュース100g当たり、ぶどう糖1.9g、果糖2.1g、(ショ糖3.7g)含まれていることが分かる。
そうすると、異議1甲3発明1の「1/5濃縮オレンジ果汁4.0重量%」中のブドウ糖及び果糖の各重量%は、「1/5濃縮」すなわち5倍濃縮物であることを踏まえると、ブドウ糖0.38重量%(=4重量%×5×0.019)、果糖0.42重量%(=4重量%×5×0.021)といえる。

(iii)以上(i)及び(ii)を合計すると、異議1甲3発明1は、ブドウ糖5.47重量%(=5.09重量%+0.38重量%)、果糖7.51重量%(=7.09重量%+0.42重量%)含んでいるといえる。
そうすると、異議1甲3発明1は、本件発明1の「ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含む」及び「ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品及び果糖5重量%以上のゲル状食品を除く」とは、「ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含む」及び「ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品を除く」点で共通する。

iii 全固形分について
異議1甲3発明1の全固形分は、少なくとも13.64重量%(=グルコマンナン0.16重量%+カッパーカラギーナン0.05重量%+果糖ぶどう糖液糖18.0重量%及び1/5濃縮オレンジ果汁4.0重量%中のブドウ糖5.47重量%+同中の果糖7.51重量%+クエン酸0.15重量%+オレンジフレーバー0.3重量%)であり、本件発明1の「全固形分が11重量%以上」に相当する。

iv ショ糖、水飴について
異議1甲3発明1には、水飴は含まれていない。
ショ糖について、前記異議1甲17中の参考文献1には、オレンジ バレンシア 濃縮還元ジュース100g当たり、ショ糖3.7g含まれていると記載されていることから、異議1甲3発明1の「1/5濃縮オレンジ果汁4.0重量%」中には、ショ糖0.74重量%(=4重量%×5×0.037)含まれているといえ、一般的に計量可能な範囲と認められるから、実質的に含まれているといえる。
したがって、異議1甲3発明1と本件発明1とは、「水飴を実質的に含ま」ない点で共通する。

v したがって、本件発明1と異議1甲3発明1とは、
「水飴を実質的に含まず、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含むことを特徴とする、ゲル状食品(ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品を除く)」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1−1(異議1甲3発明1):ゲル状食品について、本件発明1は、ショ糖を実質的に含まないものであるのに対し、異議1甲3発明1は、ショ糖を含むものである点

相違点1−2(異議1甲3発明1):ゲル状食品について、本件発明1は、乳を含むものであるのに対し、異議1甲3発明1は、乳を含むものではない点

相違点1−3(異議1甲3発明1):ゲル状食品について、本件発明1は、果糖5重量%以上のゲル状食品を除くものであるのに対し、異議1甲3発明1は、果糖7.51重量%のゲル状食品である点

(b)判断

i 相違点1−1(異議1甲3発明1)について検討すると、異議1甲3発明1に含まれるショ糖0.74重量%は、一般的に計量可能な範囲と認められるから、実質的に含まれているといえ、また、異議1甲3発明1が、ショ糖を含まないといえる技術常識もない。
したがって、相違点1−1(異議1甲3発明1)は実質的な相違点であるから、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明1は異議1甲3に記載された発明であるとはいえない。

ii 相違点1−1(異議1甲3発明1)について、異議1甲3発明1に含まれるショ糖0.74重量%は、異議1甲3発明1の「1/5濃縮オレンジ果汁4.0重量%」中に含まれているものであり、異議1甲3発明1において、この「1/5濃縮オレンジ果汁4.0重量%」中に含まれているショ糖のみを含まないようにすることは、異議1甲3に記載も示唆もされておらず、異議1甲2〜異議2甲20の記載を踏まえても、異議1甲3発明1において、この「1/5濃縮オレンジ果汁4.0重量%」中に含まれているショ糖のみを含まないようにする動機付けがあるとは認められない。
また、相違点1−3(異議1甲3発明1)について、異議1甲3発明1は、果糖7.51重量%のゲル状食品であり、果糖を5重量%未満とする動機付けがあるとも認められない。
そして、本件発明1の効果は、本件明細書の段落【0008】の記載及び実施例(【0016】〜【0026】)の記載より理解されるように、ゲル状食品に製造において、特定の糖類を一定濃度添加することにより、ゲル状食品の風味・味質を損なうことなく、恒温工程における耐熱性菌の増殖を抑制することができることであり、そのような効果は、異議1甲2〜異議2甲20の記載から予測し得ない顕著なものといえる。
したがって、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明1は、異議1甲3に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

b 異議1甲3発明2との対比・判断

(a)対比
i 異議1甲3発明2の「ゲル状物」については、食感を検討しており、食品といえるから、本件発明1の「ゲル状食品」に相当する。

ii ブドウ糖、果糖について
異議1甲17の記載(異議1甲17a)を参酌すると、異議1甲3発明2の「果糖ブドウ糖 液糖17.0重量%」中のブドウ糖及び果糖の各重量%は、ブドウ糖6.93重量%(=17重量%×0.408)、果糖4.54重量%(=17重量%×0.267)と計算できるといえる。
そうすると、異議1甲3発明2は、本件発明1の「ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含む」及び「ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品及び果糖5重量%以上のゲル状食品を除く」にもの相当する。

iii 全固形分について
異議1甲3発明2の全固形分は、少なくとも12.84重量%(=カッパーカラギーナン0.35重量%+ローカストビーンガム0.2重量%+果糖ぶどう糖液糖17.0重量%中のブドウ糖4.81重量%+同中の果糖6.70重量%+クエン酸0.36重量%+クエン酸ナトリウム0.12重量%+パイナップルフレーバー0.3重量%)といえるから、本件発明1の「全固形分が11重量%以上」に相当する。

iv ショ糖、水飴について
異議1甲3発明2には、水飴は含まれていない。
異議1甲3発明2には、ショ糖も含まれていない。
したがって、異議1甲3発明2は、本件発明1の「ショ糖及び水飴を実質的に含ま」ないものに該当するといえる。

v したがって、本件発明1と異議1甲3発明2とは、
「ショ糖及び水飴を実質的に含まず、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含むことを特徴とする、ゲル状食品(ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品及び果糖5重量%以上のゲル状食品を除く)」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1−1(異議1甲3発明2):ゲル状食品について、本件発明1は、乳を含むものであるのに対し、異議1甲3発明2は、乳を含むものではない点

(b)判断
相違点1−1(異議1甲3発明2)について検討する。
異議1甲3には、異議1甲3発明2が、乳を含むことについての記載や示唆はなく、また、異議1甲3発明2が、乳を含むといえる技術常識もない。
したがって、相違点1−1(異議1甲3発明2)は実質的な相違点であるから、本件発明1は異議1甲3に記載された発明であるとはいえない。

また、異議1甲3発明2は、異議1甲3の実施例に対する比較例の発明である。一般に、比較例は、実施例と比較する目的で構成されているものであり、その構成を変えると実施例との比較ができなくなるので、比例例の構成を変えようという動機付けがあるとは認められない。
そうすると、比較例の発明である異議1甲3発明2において、比較例の構成を変える、乳を含むようにしようとする動機付けがあるとは認められない。
したがって、本件発明1の効果について検討するまでもなく、本件発明1は、異議1甲3に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

c 小括
したがって、本件発明1は、異議1甲3に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議1甲3に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

(ウ)本件発明6について
本件発明6は、本件発明1を引用し、さらに技術的に特定するものであるから、本件発明1と同様に、異議1甲3に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議1甲3に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

エ 異議1甲4を主引例とする場合

(ア)異議1甲4に記載された発明
異議1甲4の実施例1(【0015】〜【0017】)の記載より、以下の発明が記載されていると認められる。
「果糖ブドウ糖液糖8重量部、砂糖4重量部、水溶性食物繊維2.0重量部、キサンタンガム0.02重量部、脱アシル型ジェランガム0.15重量部、LMペクチン0.5重量部、クエン酸(無水)N*0.1重量部、いちご5倍濃縮果汁1.1重量部、乳酸カルシウム0.2重量部、色素0.05重量部、香料0.12重量部、水にて合計100重量部として調製される、ストロベリースムージー風飲料」の発明(以下「異議1甲4発明」という。)

(イ)本件発明3について

a 異議1甲4発明との対比
(a)異議1甲4発明の「ストロベリースムージー風飲料」は、「マイクロゲル化」して、「スムージーの様な微細氷が分散したような粒々の食感を有する飲料」(甲4【0015】〜【0016】)としたものであり、ゲル状飲料といえるから、本件発明3の「ゲル状食品」に相当する。

(b)ブドウ糖、果糖について
i 異議1甲17の記載(異議1甲17a)を参酌すると、異議1甲4発明の「果糖ブドウ糖液糖8重量%」中のブドウ糖及び果糖の各重量%は、ブドウ糖2.26重量%(=8重量%×0.283)、果糖3.15重量%(=8重量%×0.394)と計算できるといえる。

ii 異議1甲4発明の「いちご5倍濃縮果汁1.1重量%」中のブドウ糖及び果糖の各重量%について、日本食品標準成分表2015年版(七訂)炭水化物成分表編より、いちご生100g当たりには、ぶどう糖1.6g、果糖1.8gが含まれていることが一応理解できる。
そうすると、異議1甲4発明の「いちご5倍濃縮果汁1.1重量%」中のブドウ糖及び果糖の各重量%は、「5倍濃縮」であることを踏まえると、ブドウ糖0.09重量%(=1.1重量%×5×0.016)、果糖0.10重量%(=1.1重量%×5×0.018)と計算できるといえる。

iii 以上i及びiiにおける計算結果を合計すると、異議1甲4発明は、ブドウ糖2.35重量%(=2.26重量%+0.09重量%)、果糖3.25重量%(=3.15重量%+0.10重量%)含んでいるといえる。
そうすると、異議1甲4発明と本件発明3とは、「果糖を含む」及び「ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く」ものである点で共通する。

(c)全固形分について
異議1甲4発明の全固形分は、少なくとも12.74重量%(=果糖ブドウ糖液糖8重量%及びいちご5倍濃縮果汁1.1重量%中のブドウ糖2.35重量%+同中の果糖3.25重量%+砂糖4重量%+水溶性食物繊維2.0重量%+キサンタンガム0.02重量%+脱アシル型ジェランガム0.15重量%+LMペクチン0.5重量%+クエン酸(無水)N*0.1重量%+乳酸カルシウム0.2重量%+色素0.05重量%+香料0.12重量%)といえるから、本件発明3の「全固形分が11重量%以上」に相当する。

(d)ショ糖、水飴について
i 異議1甲4発明には、水飴は含まれていない。
ii 異議1甲4発明には、「砂糖4重量%」含まれ、砂糖のほとんどはショ糖であり、ショ糖を含むものといえる。
iii したがって、異議1甲4発明は、本件発明3の「水飴を実質的に含まず、ショ糖を含」むものに相当するといえる。

(e)したがって、本件発明3と異議1甲4発明とは、
「水飴を実質的に含まず、ショ糖を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、果糖を含むことを特徴とする、ゲル状食品(ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く)」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点3−1(異議1甲4発明):ゲル状食品について、本件発明3は、乳を含むものであるのに対し、異議1甲4発明は、乳を含むものではない点

相違点3−2(異議1甲4発明):ゲル状食品に含まれる果糖の含有量について、本件発明3は、4重量%以上であるのに対し、異議1甲4発明は、3.25重量%である点

b 判断
事案に鑑み、相違点3−2(異議1甲4発明)について検討する。
異議1甲4発明は、果糖を3.25重量%含むものであるから、果糖を4重量%以上含むものではない。
したがって、相違点3−2(異議1甲4発明)は実質的な相違点であるから、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明3は異議1甲4に記載された発明であるとはいえない。

また、異議1甲4発明はストロベリースムージー風飲料であり、嗜好に応じ甘味料を増加させることはあり得るとしても、異議1甲4発明において甘味料として用いられているものは、主に果糖ブドウ糖液糖と砂糖であり、このうち果糖に着目して果糖を増加させようとすること、さらに、異議1甲4発明において、本件発明3の構成である「果糖を4重量%以上含む」ようにするためには、果糖ブドウ糖液糖を10.15重量%以上(=4重量%以上/0.394)配合するか、又は、果糖を単独で0.75重量%以上配合する必要があるが、そのような特定重量%以上を配合しようとすることは、異議1甲4を含め異議1甲2〜異議2甲20から導き出す記載や示唆を認めることはできないから、異議1甲4発明において、果糖を4重量%以上含むようにする動機付けがあるとは認められない。
また、本件発明3の効果は、本件明細書の段落【0008】の記載及び実施例(【0016】〜【0026】)の記載より理解されるように、ゲル状食品に製造において、特定の糖類を一定濃度添加することにより、ゲル状食品の風味・味質を損なうことなく、恒温工程における耐熱性菌の増殖を抑制することができることであり、そのような効果は、異議1甲2〜異議2甲20の記載から予測し得ない顕著なものといえる。

したがって、本件発明3は、異議1甲4に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

c 小括
したがって、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明3は、異議1甲4に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議1甲4に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

(ウ)本件発明5について
本件発明5は、本件発明3を引用し、さらに技術的に特定するものであるから、本件発明3と同様に、異議1甲4に記載された発明とはいえないので、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議1甲4に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

オ 異議1甲5を主引例とする場合

(ア)異議1甲5に記載された発明
異議1甲5の24頁の「表1 酵素分析法による市販飲料・冷菓類の単糖・二単糖含有量の分析(g/100ml)」中の「品名」「オレンジゼリー」の項目の記載より、以下の発明が記載されていると認められる。
「ブドウ糖2.13±0.13 g/100ml、ショ糖14.91±2.05 g/100ml、果糖2.58±0.31 g/100ml合計19.62 g/100mlを含むオレンジゼリー」の発明(以下「異議1甲5発明」という。)

(イ)本件発明3について

a 異議1甲5発明との対比
(a)異議1甲5発明の「オレンジゼリー」は、本件発明3の「ゲル状食品」に相当する。

(b)ブドウ糖、果糖について
ブドウ糖2.13±0.13 g/100ml(=2.13±0.13重量%)及び果糖2.58±0.31 g/100ml(=2.58±0.31重量%)を含んでいるといえる。
そうすると、異議1甲5発明と本件発明3とは、「果糖を」「含む」及び「ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く」点で共通する。

(c)全固形分について
異議1甲5発明の全固形分は、少なくとも19.62重量%(=合計19.62 g/100ml)であり、本件発明3の「全固形分が11重量%以上」に相当する。

(d)ショ糖、水飴について
i 異議1甲5発明には、水飴は含まれていない。
ii 異議1甲5発明は、「ショ糖14.91±2.05 g/100ml」を含んでいることから、ショ糖を含むものといえる。
iii したがって、異議1甲5発明は、本件発明3の「水飴を実質的に含まず、ショ糖を含」むものに相当するといえる。

(e)したがって、本件発明3と異議1甲5発明とは、
「水飴を実質的に含まず、ショ糖を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、果糖を含むことを特徴とする、ゲル状食品(ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く)」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点3−1(異議1甲5発明):ゲル状食品について、本件発明3は、乳を含むものであるのに対し、異議1甲5発明は、乳を含むものではない点

相違点3−2(異議1甲5発明):ゲル状食品に含まれる果糖の含有量について、本件発明3は、4重量%以上であるのに対し、異議1甲5発明は、2.58±0.31 g/100mlである点

b 判断
事案に鑑み、相違点3−2(異議1甲5発明)について検討する。
異議1甲5発明は、果糖を2.58±0.31 g/100ml、すなわち、2.58±0.31重量%含むものであるから、果糖を4重量%以上含むものではない。
したがって、相違点3−2(異議1甲5発明)は実質的な相違点であるから、相違点3−1(異議1甲5発明)を検討するまでもなく、本件発明3は異議1甲5に記載された発明であるとはいえない。

c 小括
したがって、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明3は、異議1甲5に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえない。

(ウ)本件発明5及び6について
本件発明5及び6は、それぞれ本件発明3を引用し、さらに技術的に特定するものであるから、本件発明3と同様に、異議1甲5に記載された発明とはいえないので、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえない。

カ 異議1甲8を主引例とする場合

(ア)異議1甲8に記載された発明
異議1甲8の実施例4(【0041】〜【0042】)の記載より、以下の発明が記載されていると認められる。
「コーヒーエキスC−100 11部、果糖ブドウ糖液糖10部、グラニュー糖3部、キサンタンガム(サンエース※NXG−S*)0.02部、カラギナン0.05部、グルコマンナン0.03部、ローカストビーンガム0.02部、脱アシル型ジェランガム0.02部、香料(コーヒーフレーバーNo.73665*)0.12部、交換水にて全量100部として調製された、珈琲ドリンクゼリー」の発明(以下「異議1甲8発明2」という。)

(イ)本件発明3について

a 異議1甲8発明2との対比
(a)異議1甲8発明2の「珈琲ドリンクゼリー」は、本件発明3の「ゲル状食品」に相当する。

(b)ブドウ糖、果糖について
異議1甲17の記載(異議1甲17a)を参酌すると、異議1甲8発明2の「果糖ブドウ糖液糖100部」中のブドウ糖及び果糖の各重量%は、全量100部であるから、ブドウ糖2.83重量%(=100×10部×0.283/100部)、果糖3.94重量%(=100×10部×0.394/100部)と計算できるといえる。
そうすると、異議1甲8発明2と本件発明3とは、「果糖を」「含む」及び「ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く」ものである点で共通する。

(c)全固形分について
異議1甲8発明2の全固形分(重量%)は、少なくとも21.03重量%[=100×(コーヒーエキスC−100 11部+果糖ブドウ糖液糖10部中のブドウ糖2.83部+同中の果糖3.94部+グラニュー糖3部+キサンタンガム(サンエース※NXG-S*)0.02部+カラギナン0.05部+グルコマンナン0.03部+ローカストビーンガム0.02部+脱アシル型ジェランガム0.02部+香料(コーヒーフレーバーNo.73665*)0.12部)/100部]であり、本件発明3の「全固形分が11重量%以上」に相当する。

(d)ショ糖、水飴について
i 異議1甲8発明2には、水飴は含まれていない。
ii 異議1甲8発明2は、「グラニュー糖3部」を含んでおり、グラニュー糖の成分の殆どはショ糖であるから、ショ糖を含むものといえる。
iii したがって、異議1甲8発明2は、本件発明3の「水飴を実質的に含まず、ショ糖を含」むものに相当するといえる。

(e)したがって、本件発明3と異議1甲8発明2とは、
「水飴を実質的に含まず、ショ糖を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、果糖を含むことを特徴とする、ゲル状食品(ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く)」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点3−1(異議1甲8発明2):ゲル状食品について、本件発明3は、乳を含むものであるのに対し、異議1甲8発明2は、乳を含むものではない点

相違点3−2(異議1甲8発明2):ゲル状食品に含まれる果糖の含有量について、本件発明3は、4重量%以上であるのに対し、異議1甲8発明2は、3.94重量%である点

b 判断
相違点3−2(異議1甲8発明2)について検討すると、異議1甲8発明2は、果糖を3.94重量%含むものであるから、果糖を4重量%以上含むものではない。
したがって、相違点3−2(異議1甲8発明2)は実質的な相違点であるから、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明3は異議1甲8に記載された発明であるとはいえない。

相違点3−2(異議1甲8発明2)について、異議1甲8発明2に含まれる果糖の含有量は3.94重量%であり、近似した値とはいえ、変更する動機付けはない。
また、本件発明3の効果は、本件明細書の段落【0008】の記載及び実施例(【0016】〜【0026】)の記載より理解されるように、ゲル状食品に製造において、特定の糖類を一定濃度添加することにより、ゲル状食品の風味・味質を損なうことなく、恒温工程における耐熱性菌の増殖を抑制することができることであるのに対し、異議1甲8発明2の効果は、従来のドリンクゼリーと比べて常温流通でもゲルが劣化しにくく、長期間の保存に耐えることができることであり(異議1甲8b)、異なる効果であり、異議1甲2〜異議2甲20の記載を踏まえても、本件発明3の効果は、予測し得ない顕著なものといえる。
したがって、本件発明1は、異議1甲8に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

c 小括
したがって、本件発明3は、異議1甲8に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議1甲8に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

(ウ)本件発明5及び6について
本件発明5及び6は、本件発明3を引用し、さらに技術的に特定するものであるから、本件発明3と同様に、異議1甲8に記載された発明とはいえないので、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議1甲8に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

キ 異議1甲9を主引例とする場合

(ア)異議1甲9に記載された発明
a 異議1甲9の実施例5(異議1甲9c)の記載より、以下の発明が記載されていると認められる。
「脱脂粉乳(明治乳業社)8.7重量%、生クリーム(明治乳業社)3.5重量%、砂糖(明治フードマテリアル社)5.9重量%、植物性油脂2.7重量%、ゲル化剤0.4重量%、その他原料(香料など)3.2重量%、水75.6重量%、合計100重量%の配合で製造された、プリン」の発明(以下「異議1甲9発明1」という。)

b 異議1甲9の実施例6(異議19c)の記載より、以下の発明も記載されていると認められる。
「脱脂粉乳(明治乳業社)6.3重量%、砂糖(明治フードマテリアル社)10.0重量%、植物性油脂2.7重量%、ゲル化剤0.8重量%、その他原料(香料など)3.6重量%、水76.6重量%、合計100.0重量%の配合で製造された、プリン」の発明(以下「異議1甲9発明2」という。)

c 前記異議1甲9発明1及び異議1甲9発明2は、異議1甲9の請求項1(異議1甲9a)に記載の「ゲル状食品の製造方法」の具体例として製造されたプリンであることから、前記異議1甲9発明1及び異議1甲9発明2の製造方法として、以下の発明も記載されていると認められる。
「(1) 脱脂粉乳(明治乳業社)8.7重量%、生クリーム(明治乳業社)3.5重量%、砂糖(明治フードマテリアル社)5.9重量%、植物性油脂2.7重量%、ゲル化剤0.4重量%、その他原料(香料など)3.2重量%、水75.6重量%、合計100重量%の配合のミックス、又は、
脱脂粉乳(明治乳業社)6.3重量%、砂糖(明治フードマテリアル社)10.0重量%、植物性油脂2.7重量%、ゲル化剤0.8重量%、その他原料(香料など)3.6重量%、水76.6重量%、合計100.0重量%の配合のミックスを調合する、仕込み工程、
(2)前記仕込み工程に続き、ミックスを加熱殺菌する、加熱殺菌工程、
(3)前記加熱殺菌工程に続き、殺菌温度よりも低く、凝固温度より高い温度でミックスを維持する恒温工程、
を含む、プリンの製造方法であって、前記恒温工程におけるミックスの水分活性を調整することを含む、前記製造方法。」(以下「異議1甲9発明3」という。)

(イ)本件発明3について

a 異議1甲9発明1との対比・判断

(a)異議1甲9発明1との対比
i 異議1甲9発明1の「プリン」は、本件発明3の「ゲル状食品」に相当する。

ii 異議1甲9発明1の「脱脂粉乳(明治乳業社)8.7重量%、生クリーム(明治乳業社)3.5重量%」について、昭和26年厚生省令第52号「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」では、脱脂粉乳及びクリームは「乳製品」であり、「乳」とは異なるもとして定義されているから、異議1甲9発明1の「脱脂粉乳(明治乳業社)8.7重量%、生クリーム(明治乳業社)3.5重量%」は、乳製品であって、乳ではないから、本件発明3の「乳」には相当しない。

iii 異議1甲9発明1は、ブドウ糖及び果糖を含むものではないから、本件発明3の「ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く」ものに相当する。

iv 全固形分について
異議1甲9発明1の全固形分(重量%)は、少なくとも24.4重量%[=脱脂粉乳(明治乳業社)8.7重量%+生クリーム(明治乳業社)3.5重量%+砂糖(明治フードマテリアル社)5.9重量%+植物性油脂2.7重量%+ゲル化剤0.4重量%+その他原料(香料など)3.2重量%]であり、本件発明3の「全固形分が11重量%以上」に相当する。

v ショ糖、水飴について
(i)異議1甲9発明1には、水飴は含まれていない。
(ii)異議1甲9発明1は、「砂糖(明治フードマテリアル社)5.9重量%」を含んでおり、ショ糖を含むものといえる。
(iii)したがって、異議1甲9発明1は、本件発明3の「水飴を実質的に含まず、ショ糖を含」むものに相当するといえる。

vi そうすると、本件発明3と異議1甲9発明1とは、「水飴を実質的に含まず、ショ糖を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品(ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く)」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点3−1(異議1甲9発明1):ゲル状食品が、本件発明3では、果糖を4重量%以上含むものであるのに対し、異議1甲9発明1では、果糖を含むものではない点

相違点3−2(異議1甲9発明1):ゲル状食品が、本件発明3は、乳を含むものであるのに対し、異議1甲9発明1は、乳製品を含むものである点

(b)判断
異議1甲9発明1は、果糖を含むものではなく、相違点3−1(異議1甲9発明1)は実質的な相違点であるから、本件発明3は異議1甲9に記載された発明であるとはいえない。

また、異議1甲9は、「(1)ミックスを調合する、仕込み工程、(2)前記仕込み工程に続き、ミックスを加熱殺菌する、加熱殺菌工程、(3)前記加熱殺菌工程に続き、殺菌温度よりも低く、凝固温度より高い温度でミックスを維持する恒温工程、を含む、ゲル状食品の製造方法であって、前記恒温工程におけるミックスの水分活性を調整することを含む、前記製造方法」(異議1甲9a)に関し記載するものであり、異議1甲9には、当該製造方法により製造されるゲル状食品の、原材料の混合物である「ミックス」中に含まれる主原料の一つに糖類があり(異議1甲9b)、糖類の実施の態様として、「[0025] 糖類としては、特に限定されず、例えば、砂糖(ショ糖)、蜂蜜、メープルシロップ、水飴、液糖、ブドウ糖、含水結晶ブドウ糖、果糖、ソルビトール、キシリトール、パラチノースなど、一般的に食品の製造に用いられるものであれば特に限定されず、これらを単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる」(異議1甲9b)ことが記載されている。
異議1甲9発明1は、前記ゲル状食品の製造方法の具体例である実施例5で製造されたものであるから、異議1甲9発明1において、主原料の一つである糖類につき、前記実施の態様の記載を参酌し、「砂糖(明治フードマテリアル社)5.9重量%」を、他の糖類に代える、又は、「砂糖・・5.9重量%」の一部を他の糖類に代えて砂糖と組み合わせようとするかもしれない。
しかしながら、前記多数列挙されている糖類の中から、敢えて果糖に着目し、果糖を増加させようとすること、さらに、砂糖と果糖では甘味度が異なることも踏まえると、異議1甲9発明1の「砂糖・・5.9重量%」に代えて、果糖を4重量%以上含有させることを当業者が容易に想到し得るとは必ずしもいえない。

また、本件発明3は、ゲル状食品に製造において耐熱性菌の増殖を抑制し、かつ最終製品の風味に影響を及ぼすことがないゲル状食品を提供しようという課題の下、ゲル状食品の製造工程内で、原材料ベースミックスに特定の糖類を一定濃度以上添加する、すなわち、水飴を実質的に含まず、ショ糖を含むゲル状食品であって、果糖を4重量%以上含むようにすることにより、当該課題を解決したものである。
他方、異議1甲9発明1は、ゲル状食品の製造工程において、雑菌の増殖を合理的に抑制することのできる方法、詳細には、原材料の風味を損なうことなく、製造段階における雑菌、特に高温状態に耐性のある芽胞菌の増殖を抑制することができる方法により製造されるゲル状食品を提供しようという課題の下(異議1甲9b)、ゲル状食品の製造途中の恒温工程におけるミックスの水分活性を所定の値に制御することにより、当該課題を解決したものである。
そうすると、本件発明3と異議1甲9発明1とは、同様の課題の下、解決手段が異なる発明と理解されるが、当該課題を解決している異議1甲9発明1において、さらに同様の課題を解決しょうという動機付けがあるとは認められず、含有する糖類の種類及びその含有量を特定する、「果糖を4重量%以上含む」ようにしようという動機付けがあるとは認められない。

したがって、他の相違点及び本件発明3の奏する効果について検討するまでもなく、本件発明3は、異議1甲9に記載された発明とはいえず、また、異議1甲9に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。

b 異議1甲9発明2との対比・判断

(a)異議1甲9発明2との対比
i 異議1甲9発明1の「プリン」は、本件発明3の「ゲル状食品」に相当する。

ii 異議1甲9発明2の「脱脂粉乳(明治乳業社)6.3重量%」は、乳製品であり、乳ではないから、本件発明3の「乳」には相当しない。

iii 異議1甲9発明2は、ブドウ糖及び果糖を含むものではないから、本件発明3の「ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く」ものに相当する。

iv 全固形分について
異議1甲9発明2の全固形分(重量%)は、少なくとも23.4重量%[=脱脂粉乳(明治乳業社)6.3重量%+砂糖(明治フードマテリアル社)10.0重量%+植物性油脂2.7重量%+ゲル化剤0.8重量%+その他原料(香料など)3.6重量%]であり、本件発明3の「全固形分が11重量%以上」に相当する。

v ショ糖、水飴について
(i)異議1甲9発明2には、水飴は含まれていない。
(ii)異議1甲9発明2は、「砂糖(明治フードマテリアル社)10.0重量%」を含んでおり、ショ糖を含むものといえる。
(iii)したがって、異議1甲9発明2は、本件発明3の「水飴を実質的に含まず、ショ糖を含」むものに相当するといえる。

vi そうすると、本件発明3と異議1甲9発明2とは、「水飴を実質的に含まず、ショ糖を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品(ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く)」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点3−1(異議1甲9発明2):ゲル状食品が、本件発明3では、果糖を4重量%以上含むものであるのに対し、異議1甲9発明2では、果糖を含むものではない点

相違点3−2(異議1甲9発明2):ゲル状食品が、本件発明3は、乳を含むものであるのに対し、異議1甲9発明2は、乳製品を含むものである点

(b)判断
相違点3−1(異議1甲9発明2)は、前記a(a)で述べた相違点3−1(異議1甲9発明1)と同じであるから、前記a(b)で述べたとおりである。
したがって、他の相違点及び本件発明3の奏する効果について検討するまでもなく、本件発明3は、異議1甲9に記載された発明とはいえず、また、異議1甲9に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。

c 小括
したがって、本件発明3は、異議1甲9に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議1甲9に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

(ウ)本件発明5及び6について
本件発明5及び6は、本件発明3を引用し、さらに技術的に特定するものであるから、本件発明3と同様に、異議1甲9に記載された発明とはいえないので、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議1甲9に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

(エ)本件発明7について

a 異議1甲9発明3との対比
(a)異議1甲9発明3の「プリン」は、「(1) 脱脂粉乳(明治乳業社)8.7重量%、生クリーム(明治乳業社)3.5重量%、砂糖(明治フードマテリアル社)5.9重量%、植物性油脂2.7重量%、ゲル化剤0.4重量%、その他原料(香料など)3.2重量%、水75.6重量%、合計100重量%の配合のミックス、又は、
脱脂粉乳(明治乳業社)6.3重量%、砂糖(明治フードマテリアル社)10.0重量%、植物性油脂2.7重量%、ゲル化剤0.8重量%、その他原料(香料など)3.6重量%、水76.6重量%、合計100.0重量%の配合のミックス」を調合して製造されたものであり、異議1甲9発明1又は異議1甲9発明2のプリンのことである。
また、本件発明7の「(3)水飴を実質的に含まず、ショ糖を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、ブドウ糖及び/又は果糖を1重量%以上含むことを特徴とする、ゲル状食品(ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%異様のゲル状食品を除く)」は、本件発明3における「ゲル状食品」において、「乳を含」むことが特定されておらず、かつ、「ブドウ糖及び/又は果糖を1重量%以上含む」ことが特定されているものである。
そうすると、異議1甲9発明3の「プリン」と、本件発明7の「ゲル状食品」とは、前記(イ)a(a)及び(イ)b(a)で述べたことを踏まえると、水飴を実質的に含まず、ショ糖を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品(ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く)である点で共通する。

(b)異議1甲9発明3の「ミックスを調合する、仕込み工程」について、異議1甲9発明3の「ミックス」は本件発明7の「ベースミックス」といえ、この異議1甲9発明3の「ミックス」には、「水75.6重量%」又は「水76.6重量%」が含まれており、この水を含むミックスを調合し仕込みを行うと、ミックスは溶解されると技術的に理解される。
そうすると、異議1甲9発明3の「ミックスを調合する、仕込み工程」は、本件発明7の「(a)ベースミックスを配合して溶解する調合工程」に相当する。

(c)異議1甲9発明3の「前記仕込み工程に続き、ミックスを加熱殺菌する、加熱殺菌工程」は、本件発明7の「(b)ベースミックスを加熱殺菌する工程」に相当する。

(d)異議1甲9発明3の「前記加熱殺菌工程に続き、殺菌温度よりも低く、凝固温度より高い温度でミックスを維持する恒温工程」について、「凝固温度」とは凝固する性質を有する「ゲル化剤」の凝固温度であるといえるから、本件発明7の「(c)殺菌温度よりも低く、ゲル化剤の凝固温度より高い温度でミックスを維持する恒温工程」に相当する。

(e)そうすると、本件発明7と異議1甲9発明3とは、「以下の(3)水飴を実質的に含まず、ショ糖を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品(ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く)の製造方法であって、以下の(a)〜(c)の工程を含む、前記製造方法。
(a)ベースミックスを配合して溶解する調合工程、
(b)ベースミックスを加熱殺菌する工程、
(c)殺菌温度よりも低く、ゲル化剤の凝固温度よりも高い温度域でベースミックスを維持する恒温工程」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点7−1(異議1甲9発明3):ゲル状食品が、本件発明3では、ブドウ糖及び/又は果糖を1重量%以上含むものであるのに対し、異議1甲9発明3では、ブドウ糖及び/又は果糖を含むものではない点

相違点7−2(異議1甲9発明3):ゲル状食品の製造方法において、本件発明1では「(d)容器に充填する工程」を含むのに対し、異議1甲9発明3では、容器に充填する工程があるか明らかでない点

b 判断
相違点3−1(異議1甲9発明3)1について、異議1甲9発明3は、果糖を含むものではなく、相違点3−1(異議1甲9発明3)は実質的な相違点である。

前記(イ)で述べたように、異議1甲9発明3において、主原料の一つである糖類につき、異議1甲9に糖類の態様の記載を参酌し、「砂糖・・5.9重量%」若しくは「砂糖・・10.0重量%」を、他の糖類に代える、又は、「砂糖・・5.9重量%」若しくは「砂糖・・10.0重量%」の一部を他の糖類に代えて砂糖と組み合わせようとする際、実施の態様として多数列挙されている糖類の中から、敢えてブドウ糖及び/又は果糖に着目して増加させようとすること、さらに、ブドウ糖及び/又は果糖の含有量として、「ブドウ糖/又は果糖を1重量%以上含む」とすることを、当業者が容易に想到し得るとはいえない。
また、課題解決の観点からも、本件発明7は、ゲル状食品に製造において耐熱性菌の増殖を抑制し、かつ最終製品の風味に影響を及ぼすことがないゲル状食品の製造方法を提供しようという課題の下、ゲル状食品の製造工程内で、原材料ベースミックスに特定の糖類を一定濃度以上添加する、すなわち、水飴を実質的に含まず、ショ糖を含むゲル状食品であって、果糖を4重量%以上含むようにすることにより、当該課題を解決したものであるのに対し、異議1甲9発明3は、ゲル状食品の製造工程において、雑菌の増殖を合理的に抑制することのできる方法、詳細には、原材料の風味を損なうことなく、製造段階における雑菌、特に高温状態に耐性のある芽胞菌の増殖を抑制することができる方法を提供しようという課題の下(異議1甲9b)、ゲル状食品の製造途中の恒温工程におけるミックスの水分活性を所定の値に制御することにより、当該課題を解決したものである。
そうすると、本件発明7と異議1甲9発明3とは、同様の課題の下、解決手段が異なる発明と理解されるが、当該課題を解決している異議1甲9発明3において、さらに同様の課題を解決しょうという動機付けがあるとは認められず、含有する糖類の種類及びその含有量を特定する、「ブドウ糖/又は果糖を1重量%以上含む」「ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く」ようにしようという動機付けがあるとはいえない。

したがって、他の相違点及び本件発明7の奏する効果について検討するまでもなく、本件発明7は、異議1甲9に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

c 小括
したがって、本件発明7は、異議1甲9に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

(オ)本件発明8及び9について
本件発明8及び9は、本件発明7を引用し、さらに技術的に特定するものであるから、本件発明7と同様に、異議1甲9に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえない。

ク 異議2甲1を主引例とする場合(申立2理由1に対応するものを含む)

(ア)異議2甲1に記載された発明
a 異議2甲1の実施例6(異議2甲1c)の記載より、以下の発明が記載されていると認められる。
「メチルパラベン0.05重量%、安息香酸ナトリウム0.3重量%、プロピレングリコール2重量%、濃グリセリン10重量%、果糖ブドウ糖液糖10重量%、D−ソルビトール5重量%、カテキン末0.6重量%、カロブビーンガム0.4重量%、クエン酸0.1重量%、リンゴ酸0.1重量%、水酸化ナトリウム適量、塩酸適量、精製水で全量100gの処方に従い調製された、経口ゼリー剤」の発明(以下「異議2甲1発明1」という。)

b 異議2甲1の実施例5(異議2甲1c)の記載より、以下の発明が記載されていると認められる。
「メチルパラベン0.005重量%、安息香酸ナトリウム0.05重量%、プロピレングリコール5重量%、濃グリセリン5重量%、精製白糖10重量%、果糖ブドウ糖液糖5重量%、カテキン末0.6重量%、クエン酸0.3重量%、水酸化ナトリウム適量、塩酸適量、精製水で全量100gの処方に従い調製された、経口ゼリー剤」の発明(以下「異議2甲1発明2」という。)

c 異議2甲1の実施例2(異議2甲1c)の記載より、以下の発明が記載されていると認められる。
「ブチルパラベン0.05重量%、安息香酸ナトリウム0.05重量%、濃グリセリン2重量%、精製白糖10重量%、果糖ブドウ糖液糖12重量%、カテキン末1重量%、キサンタンガム0.1重量%、クエン酸0.2重量%、リンゴ酸0.2重量%、水酸化ナトリウム適量、塩酸適量、精製水で全量100gの処方に従い調製された、経口ゼリー剤」の発明(以下「異議2甲1発明3」という。)

(イ)本件発明1について

a 異議2甲1発明1との対比
(a)異議2甲1発明1の「経口ゼリー剤」は、本件発明1の「ゲル状食品」に相当する。

(b)ブドウ糖、果糖について
異議2甲17より、果糖ぶどう糖液糖100g当たりには、ぶどう糖28.3g、果糖39.4gが含まれていることが一応理解できる(異議2甲17a)。
そうすると、異議2甲1発明1の「果糖ブドウ糖液糖10重量%」中のブドウ糖及び果糖の各重量%は、ブドウ糖2.83重量%(=10重量%×0.283)、果糖3.94重量%(=10重量%×0.394)と計算できるといえ、本件発明1の「ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含むこと」及び「ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品及び果糖5重量%以上のゲル状食品を除く」に相当する。

(c)全固形分について
異議2甲1発明1の全固形分は、少なくとも25.32重量%(=メチルパラベン0.05重量%+安息香酸ナトリウム0.3重量%+プロピレングリコール2重量%+濃グリセリン10重量%+果糖ブドウ糖液糖10重量%中のブドウ糖2.83重量%+同中の果糖3.94重量%+D−ソルビトール5重量%+カテキン末0.6重量%+カロブビーンガム0.4重量%+クエン酸0.1重量%+リンゴ酸0.1重量%)であり、本件発明1の「全固形分が11重量%以上」に相当する。

(d)ショ糖、水飴について
異議2甲1発明1には、ショ糖も水飴も含まれていない。
したがって、異議2甲1発明1は、本件発明1の「ショ糖及び水飴を実質的に含ま」ないものに相当する。

(e)したがって、本件発明1と異議2甲1発明1とは、
「ショ糖及び水飴を実質的に含まず、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含むことを特徴とする、ゲル状食品(ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品及び果糖5重量%以上のゲル状食品を除く)」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1−1(異議2甲1発明1):ゲル状食品について、本件発明1は、乳を含むものであるのに対し、異議2甲1発明1は、乳を含むものではない点

b 判断
異議2甲1には、異議2甲1発明1が、乳を含むことについての記載や示唆はなく、また、異議2甲1発明1が、乳を含むといえる技術常識もない。
したがって、相違点1−1(異議2甲1発明1)は実質的な相違点であるから、本件発明1は異議2甲1に記載された発明であるとはいえない。

また、異議2甲1は、十分に高い防腐力(すなわち、高含水量でありながら、細菌だけでなく真菌、カビに対しても優れた防腐力)を有し、かつ味や食感が良く、服用性の良好な経口ゼリーを提供するという課題を解決した経口ゼリーに関し記載するものであって(異議2甲1b)、異議2甲1発明1は、その具体例である。
異議2甲1には、経口ゼリー剤に乳を加えることは、記載も示唆もされていない。
一般に、乳は栄養素に富み、微生物の増殖に適しているものであるから、異議2甲1発明1に乳を含むようにすると、十分に高い防腐力、すなわち、高含水量でありながら、細菌だけでなく真菌、カビに対しても優れた防腐力を有するかは分からず、前記課題を解決し得るかどうか分からないといえる。また、異議1甲2〜異議2甲20にも、異議2甲1発明1のような経口ゼリー剤に乳を加えることを導き出す記載や示唆を認めることはできない。
それ故、異議2甲1発明1に、乳を加える動機付けがあるとは認められない。
したがって、本件発明1の奏する効果について検討するまでもなく、本件発明1は、異議2甲1に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

c 小括
したがって、本件発明1は、異議2甲1に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議2甲1に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

(ウ)本件発明3について

a 異議2甲1発明2との対比・判断

(a)対比
i 異議2甲1発明2の「経口ゼリー剤」は、本件発明3の「ゲル状食品」に相当する。

ii ブドウ糖、果糖について
異議2甲17より、果糖ぶどう糖液糖100g当たりには、ぶどう糖28.3g、果糖39.4gが含まれていることが一応理解できる(異議2甲17a)。
そうすると、異議2甲1発明2の「果糖ブドウ糖液糖5重量%」中のブドウ糖及び果糖の各重量%は、ブドウ糖1.42重量%(=5重量%×0.283)、果糖1.97重量%(=5重量%×0.394)と計算できるといえる。
したがって、異議2甲1発明2と本件発明3とは、「果糖を」「含む」及び「ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く」ものである点で共通する。

iii 全固形分について
異議2甲1発明2の全固形分は、少なくとも24.35重量%(=メチルパラベン0.005重量%+安息香酸ナトリウム0.05重量%+プロピレングリコール5重量%+濃グリセリン5重量%+精製白糖10重量%+果糖ブドウ糖液糖5重量%中のブドウ糖1.42重量%+同中の果糖1.97重量%+カテキン末0.6重量%+クエン酸0.3重量%)であり、本件発明3の「全固形分が11重量%以上」に相当する。

iv ショ糖、水飴について
(i)異議2甲1発明2は、水飴を含んでいない。
(ii)異議2甲1発明2は、「精製白糖10重量%」含んでおり、「白糖」の殆どはショ糖であるから、ショ糖を含んでいるといえる。
(iii)したがって、異議2甲1発明2は、本件発明3の「水飴を実質的に含まず、ショ糖を含」むものに相当する。

v したがって、本件発明3と異議2甲1発明2とは、
「水飴を実質的に含まず、ショ糖を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、果糖を含むことを特徴とする、ゲル状食品(ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く)」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点3−1(異議2甲1発明2):ゲル状食品について、本件発明3は、乳を含むものであるのに対し、異議2甲1発明2は、乳を含むものではない

相違点3−2(異議2甲1発明2):ゲル状食品に含まれる果糖の含有量について、本件発明3は、4重量%以上であるのに対し、異議2甲1発明2は、1.97重量%である点

(b)判断
相違点3−1(異議2甲1発明2)について検討すると、異議2甲1には、異議2甲1発明2が、乳を含むことについての記載や示唆はなく、また、異議2甲1発明2が、乳を含むといえる技術常識もない。
したがって、相違点3−1(異議2甲1発明2)は実質的な相違点であるから、相違点3−2(異議2甲1発明2)を検討するまでもなく、本件発明3は異議2甲1に記載された発明であるとはいえない。

また、異議2甲1発明2は、異議2甲1発明1と同様、異議2甲1に記載の経口ゼリー剤の具体例であるから、前記(イ)bで述べたとおりであり、異議2甲1発明2に、乳を加える動機付けがあるとは認められない。
したがって、本件発明3の奏する効果について検討するまでもなく、本件発明3は、異議2甲1に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

b 異議2甲1発明3との対比・判断

(a)対比
i 異議2甲1発明3の「経口ゼリー剤」は、本件発明3の「ゲル状食品」に相当する。

ii ブドウ糖、果糖について
異議2甲17より、果糖ぶどう糖液糖100g当たりには、ぶどう糖28.3g、果糖39.4gが含まれていることが一応理解できる(異議2甲17a)。
そうすると、異議2甲1発明3の「果糖ブドウ糖液糖12重量%」中のブドウ糖及び果糖の各重量%は、ブドウ糖3.40重量%(=12重量%×0.283)、果糖4.73重量%(=12重量%×0.394)と計算できるといえ、本件発明3の「果糖を4重量%以上含む」及び「ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く」に相当する。

iii 全固形分について
異議2甲1発明3の全固形分は、少なくとも21.73重量%(=ブチルパラベン0.05重量%+安息香酸ナトリウム0.05重量%+濃グリセリン2重量%+精製白糖10重量%+果糖ブドウ糖液糖12重量%中のブドウ糖3.40重量%+同中の果糖4.73重量%+カテキン末1重量%+キサンタンガム0.1重量%+クエン酸0.2重量%+リンゴ酸0.2重量%)であり、本件発明3の「全固形分が11重量%以上」に相当する。

iv ショ糖、水飴について
(i)異議2甲1発明3は、水飴を含んでいない。
(ii)異議2甲1発明3は、「精製白糖10重量%」含んでおり、「白糖」の殆どはショ糖であるから、ショ糖を含んでいるといえる。
(iii)したがって、異議2甲1発明3は、本件発明3の「水飴を実質的に含まず、ショ糖を含」むものに相当する。

v したがって、本件発明3と異議2甲1発明3とは、
「水飴を実質的に含まず、ショ糖を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、果糖を4重量%以上含むことを特徴とする、ゲル状食品(ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く)」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点3−1(異議2甲1発明3):ゲル状食品について、本件発明3は、乳を含むものであるのに対し、異議2甲1発明2は、乳を含むものではない

(b)判断
相違点3−1(異議2甲1発明3)について検討すると、異議2甲1には、異議2甲1発明3が、乳を含むことについての記載や示唆はなく、また、異議2甲1発明3が、乳を含むといえる技術常識もない。
したがって、相違点3−1(異議2甲1発明3)は実質的な相違点であるから、本件発明3は異議2甲1に記載された発明であるとはいえない。

また、異議2甲1発明3も、異議2甲1発明1と同様、異議2甲1に記載の経口ゼリー剤の具体例であるから、前記(イ)bで述べたとおりであり、異議2甲1発明3に、乳を加える動機付けがあるとは認められない。
したがって、本件発明3の奏する効果について検討するまでもなく、本件発明3は、異議2甲1に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

c 小括
したがって、本件発明3は、異議2甲1に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議2甲1に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

(エ)本件発明5及び6について
本件発明5及び6は、本件発明1又は3を引用し、さらに技術的に特定するものであるから、本件発明1又は3と同様に、異議2甲1に記載された発明とはいえないので、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議2甲1に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

ケ 異議2甲2を主引例とする場合(申立2理由1に対応するものを含む)

(ア)異議2甲2に記載された発明
異議2甲2の実施例2(異議2甲2c)の記載より、以下の発明が記載されていると認められる。
「果糖ぶどう糖液糖13質量%、熱変性ホエイたんぱく質分解物(たんぱく質含量90%)4.5質量%、結晶クエン酸0.8質量%、乳酸カルシウム0.2質量%、ヨーグルトフレーバー0.1質量%、ジェランガム0.2質量%、イオン交換水残余の配合割合で調製された、酸性ゲル状食品」の発明(以下「異議2甲2発明」という。)

(イ)本件発明1について

a 異議2甲2発明との対比
(a)異議2甲2発明の「酸性ゲル状食品」は、本件発明1の「ゲル状食品」に相当する。

(b)ブドウ糖、果糖について
異議2甲17より、果糖ぶどう糖液糖100g当たりには、ぶどう糖28.3g、果糖39.4gが含まれていることが一応理解できる(異議2甲17a)。
そうすると、異議2甲2発明の「果糖ぶどう糖液糖13質量%」中のブドウ糖及び果糖の各質量%は、ブドウ糖3.68質量%(=13質量%×0.283)、果糖5.12質量%(=13質量%×0.394)と計算できるといえる。
したがって、質量%と重量%とは値が同じであると考えられるから、異議2甲2発明の「果糖ぶどう糖液糖13質量%」と、本件発明1の「ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含むこと」及び「ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品及び果糖5重量%以上のゲル状食品を除く」とは、「ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含む」及び「ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品を除く」点で共通する。

(c)全固形分について
異議2甲2発明の全固形分は、少なくとも14.6質量%(=果糖ぶどう糖液糖13質量%中のブドウ糖3.68質量%+同中の果糖5.12質量%+熱変性ホエイたんぱく質分解物(たんぱく質含量90%)4.5質量%+結晶クエン酸0.8質量%+乳酸カルシウム0.2質量%+ヨーグルトフレーバー0.1質量%+ジェランガム0.2質量%)であり、本件発明1の「全固形分が11重量%以上」に相当する。

(d)ショ糖、水飴について
異議2甲2発明には、ショ糖も水飴も含まれていない。
したがって、異議2甲2発明は、本件発明1の「ショ糖及び水飴を実質的に含ま」ないものに相当する。

(e)したがって、本件発明1と異議2甲2発明とは、
「ショ糖及び水飴を実質的に含まず、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含むことを特徴とする、ゲル状食品(ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品を除く)」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1−1(異議2甲2発明):ゲル状食品について、本件発明1は、乳を含むものであるのに対し、異議2甲2発明は、乳を含むものではない点

相違点1−2(異議2甲2発明):ゲル状食品について、本件発明1は、果糖5重量%以上のゲル状食品を除くものであるのに対し、異議2甲2発明は、果糖5.12質量%のゲル状食品である点

b 判断
相違点1−1(異議2甲2発明)について検討する。
異議2甲2には、異議2甲2発明が、乳を含むことについての記載や示唆はなく、また、異議2甲2発明が、乳を含むといえる技術常識もない。
したがって、相違点1−1(異議2甲2発明)は実質的な相違点であるから、相違点1−2(異議2甲2発明)を検討するまでもなく、本件発明1は異議2甲2に記載された発明であるとはいえない。

また、異議2甲2は、たんぱく質補給飲料として充分な量のたんぱく質と、ジェランガムとを含み、これらが酸性下に調整された場合においても凝集沈殿が起こらずにゲルを良好に形成でき、しかも、保存性、風味に優れる酸性ゲル状食品を提供するとの課題下、乳等のたんぱく質をあらかじめ熱変性させ、不溶化させることで、ジェランガムとたんぱく質との反応が生じず、酸性条件下でもジェランガムを用いてゲル形成が可能となることを見出し完成された酸性ゲル用食品に関し記載するものであって(異議2甲2b)、異議2甲2発明は、その具体例である。
異議2甲2には、酸性ゲル用食品に乳を加えることは、記載も示唆もされていない。
異議2甲2に記載の酸性ゲル用食品は、従来技術において、たんぱく質溶液を酸性条件下でゲル化させようとすると、たんぱく質とジェランガムとが反応して凝集沈殿を生じ、ジェランガムはゲル化能を失ってゲルを形成させることができないという問題があったところ、たんぱく質をあらかじめ熱変性させ、不溶化させることで、当該問題を解決したものである。
この原料たんぱく質として乳が挙げられていることから(異議2甲2a請求項3)、乳はあらかじめ熱変性させ不溶化させる必要があるものといえ、酸性ゲル用食品に乳をそのまま加えることはできないと理解される。また、異議1甲2〜異議2甲20にも、異議2甲2発明のような酸性ゲル用食品に乳を加えることを導き出す記載や示唆を認めることはできない。
それ故、異議2甲2発明に、乳を加える動機付けがあるとは認められない。
したがって、他の相違点及び本件発明1の奏する効果について検討するまでもなく、本件発明1は、異議2甲2に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

c 小括
したがって、本件発明1は、異議2甲2に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議2甲2に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

(ウ)本件発明6について
本件発明6は、本件発明1を引用し、さらに技術的に特定するものであるから、本件発明1と同様に、異議2甲2に記載された発明とはいえないので、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議2甲2に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

コ 異議2甲4を主引例とする場合(申立2理由1に対応するものを含む)

(ア)異議2甲4に記載された発明
異議2甲4の実施例9(異議2甲4c)の記載より、以下の発明が記載されていると認められる。
「果糖ぶどう糖液192、カラギナン1、キサンタンガム0.3、ローカストビーンガム1、グアガム0.1、無水クエン酸2.6、クエン酸ナトリウム2.1、香料1、イオン交換水でバランスさせ、合計1000の組成で配合した組成物に炭酸ガスを吸収させ、容器に充填した、ゼリー性状を有する容器詰飲料」の発明(以下「異議2甲4発明」という。)

(イ)本件発明1について

a 異議2甲4発明との対比
(a)異議2甲4発明の「ゼリー性状を有する容器詰飲料」は、本件発明1の「ゲル状食品」に相当する。

(b)ブドウ糖、果糖について
異議2甲17より、果糖ぶどう糖液糖100g当たりには、ぶどう糖28.3g、果糖39.4gが含まれていることが一応理解できる(異議2甲17a)。
そうすると、異議2甲4発明の「果糖ぶどう糖液192」中のブドウ糖及び果糖の各重量%は、合計1000で配合されていることから、重量%に換算すると、ブドウ糖5.43重量%[=(100×192/1000)重量%×0.283]、果糖7.56重量%[=(100×192/1000)重量%×0.394)と計算できるといえる。
そうすると、異議2甲4発明の「果糖ぶどう糖液192」と、本件発明1の「ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含む」及び「ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品及び果糖5重量%以上のゲル状食品を除く」とは、「ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含む」及び「ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品を除く」点で共通する。

(c)全固形分について
異議2甲4発明の全固形分は、合計1000で配合されていることから、重量%に換算すると、少なくとも20.01重量%(=果糖ぶどう糖液19.2重量%+カラギナン0.1重量%+キサンタンガム0.03重量%+ローカストビーンガム0.1重量%+グアガム0.01重量%+無水クエン酸0.26重量%+クエン酸ナトリウム0.21重量%+香料0.1重量%)であり、本件発明1の「全固形分が11重量%以上」に相当する。

(d)ショ糖、水飴について
異議2甲4発明には、ショ糖も水飴も含まれていない。
したがって、異議2甲4発明は、本件発明1の「ショ糖及び水飴を実質的に含ま」ないものに相当する。

(e)したがって、本件発明1と異議2甲4発明とは、
「ショ糖及び水飴を実質的に含まず、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含むことを特徴とする、ゲル状食品(ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品を除く)」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1−1(異議2甲4発明):ゲル状食品について、本件発明1は、乳を含むものであるのに対し、異議2甲4発明は、乳を含むものではない点

相違点1−2(異議2甲4発明):ゲル状食品について、本件発明1は、果糖5重量%以上のゲル状食品を除くものであるのに対し、異議2甲4発明は、果糖7.56重量%のゲル状食品である点

b 判断
事案に鑑み、相違点1−2(異議2甲4発明)について、先ず検討する。
異議2甲4発明は、果糖7.56重量%を含むものであり、相違点1−2(異議2甲4発明)は実質的な相違点であるから、相違点1−1(異議2甲4発明)を検討するまでもなく、本件発明1は異議2甲4に記載された発明であるとはいえない。

また、異議2甲4は、温度に応じて性状が変化し、且つ、0℃以下でも噴きこぼれずに炭酸性状を維持している容器詰炭酸ゼリー飲料を提供する、飲用時に口の中で氷と共に炭酸ガスの刺激が味わえる、過去に存在し得なかった新規な凍結容器詰飲料を提供する、さらに、通常の清涼飲料水の製造ラインで、検査機器を誤作動させることなく通過でき、生産効率のよい容器詰炭酸ゼリー飲料を提供するという課題の下、単糖類を主成分とする糖質を含有し、ゲル化剤としてカラギナンおよびキサンタンガムを配合してなるゼリー状炭酸飲料用組成物において、Brix度、カラギナンの配合量、キサンタンガムの配合量、飲料組成物の粘度を一定の関係式で満たされる数値に調整することにより解決したものに関し記載するものであって、一定の関係式で満たされる数値とは、飲料組成物の可溶性固形分であるBrix度A(%)、カラギナンの配合量B(重量%)、キサンタンガムの配合量C(重量%)、液温26℃における飲料組成物の粘度D(mPa・s)が、以下の(イ)、(ロ)、(ハ)および(ニ)の関係式で示される条件を満足する数値(イ)B+C=0.05〜0.25、(ロ)B/C=2〜5、(ハ)D/A=7〜20、(ニ)A≧10 というものであり(異議2甲4b、異議2甲4a)、異議2甲4発明は、その具体例である。

異議2甲4発明は、果糖7.56重量%含むものであるが、前記関係式を満たす、異議2甲4発明の組成で配合することによって、前記課題を解決しているものである。そのような異議2甲4発明において、仮に、糖の含有量を減らそうとすると、前記関係式において糖の含有量が影響を及ぼすものは、糖が可溶性固形分といえるから「飲料組成物の可溶性固形分であるBrix度A(%)」と理解され、前記関係式の「(ハ)D/A=7〜20、(ニ)A≧10」に影響を及ぼし、その結果、前記関係式を満たすかどうか不明となり、前記課題を解決し得るか分からないおそれがあると理解される。
また、異議1甲2〜異議2甲20にも、異議2甲4発明のような、前記関係式を満たすことにより前記課題を解決したゼリー性状を有する容器詰飲料において、果糖の含有量を減らすことを導き出す記載や示唆を認めることはできない。
それ故、異議2甲4発明において、糖の含有量を減らそうという動機付けがあるとは認められない。ましてや、異議2甲4発明において、糖は「果糖ブドウ糖液」であるが、糖として、果糖ブドウ糖液中の果糖に着目し、果糖を特定量減らそうという動機付けがあるとは認められない。

したがって、他の相違点及び本件発明1の効果について検討するまでもなく、本件発明1は、異議2甲4に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

c 小括
したがって、本件発明1は、異議2甲4に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議2甲4に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

(ウ)本件発明6について
本件発明6は、本件発明1を引用し、さらに技術的に特定するものであるから、本件発明1と同様に、異議2甲4に記載された発明とはいえないので、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議2甲4に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

サ 異議2甲5を主引例とする場合(申立2理由1に対応するものを含む)

(ア)異議2甲5に記載された発明
異議2甲5の対照品○2(異議2甲5d)の記載より、以下の発明が記載されていると認められる。
「ワイン360g、ゼラチン44g、ブドウ糖126g、水700gの合計1230gの配合に従って製造されたワインゼリー」の発明(以下「異議2甲5発明」という。)

(イ)本件発明1について

a 異議2甲5発明との対比
(a)異議2甲5発明の「ワインゼリー」は、本件発明1の「ゲル状食品」に相当する。

(b)ブドウ糖、果糖について
異議2甲5発明の「ブドウ糖126g」は、合計1230gの配合中の量であるから、重量%に換算すると、ブドウ糖10.24重量%(=100×126g/1230g)といえ、本件発明1の「ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含むこと」及び「ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品及び果糖5重量%以上のゲル状食品を除く」に相当する。

(c)全固形分について
異議2甲5発明の全固形分は、合計1230gで配合されていることから、重量%に換算すると、少なくとも13.82重量%[=100×(ゼラチン44g+ブドウ糖126g)/1230g)であり、本件発明1の「全固形分が11重量%以上」に相当する。

(d)ショ糖、水飴について
異議2甲5発明には、ショ糖も水飴も含まれていない。
したがって、異議2甲5発明は、本件発明1の「ショ糖及び水飴を実質的に含ま」ないものに相当する。

(e)したがって、本件発明1と異議2甲5発明とは、
「ショ糖及び水飴を実質的に含まず、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含むことを特徴とする、ゲル状食品(ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品及び果糖5重量%以上のゲル状食品を除く)」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1−1(異議2甲5発明):ゲル状食品について、本件発明1は、乳を含むものであるのに対し、異議2甲5発明は、乳を含むものではない点

b 判断
異議2甲5には、異議2甲5発明が、乳を含むことについての記載や示唆はなく、また、異議2甲5発明が、乳を含むといえる技術常識もない。
したがって、相違点1−1(異議2甲5発明)は実質的な相違点であるから、本件発明1は異議2甲5に記載された発明であるとはいえない。

また、異議2甲5発明は、異議2甲5の実施例における対照品の発明である。一般に、対照品は、実施例と比較する目的で構成されているものであり、その構成を変えると実施例との比較ができなくなるので、対照品の構成を変えようという動機付けがあるとは認められない。
そうすると、対照品の発明である異議2甲5発明において、対照品の構成を変える、乳を含むようにしようとする動機付けがあるとは認められない。
したがって、本件発明1の効果について検討するまでもなく、本件発明1は、異議2甲5に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

c 小括
したがって、本件発明1は、異議2甲5に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議2甲5に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

(ウ)本件発明6について
本件発明6は、本件発明1を引用し、さらに技術的に特定するものであるから、本件発明1と同様に、異議2甲5に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議2甲5に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

シ 異議2甲6を主引例とする場合(申立2理由1に対応するものを含む)

(ア)異議2甲6に記載された発明
異議2甲6の比較例3(異議2甲6c)の記載より、以下の発明が記載されていると認められる。
「アルギン酸Na0.3重量%、ローカストガム0.3重量%、ブドウ糖10重量%、ヘキサメタリン酸Na0.4重量%、乳酸カルシウム0.15重量%(Caとして)、水88.85重量%の配合割合で製造されたゼリー」の発明(以下「異議2甲6発明」という。)

(イ)本件発明1について

a 異議2甲6発明との対比
(a)異議2甲6発明の「ゼリー」は、本件発明1の「ゲル状食品」に相当する。

(b)ブドウ糖、果糖について
異議2甲6発明は、「ブドウ糖10重量%」配合されており、果糖は配合されていないことから、本件発明1の「ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含む」及び「ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品及び果糖5重量%以上のゲル状食品を除く」ものに相当する。

(c)全固形分について
異議2甲6発明の全固形分は、11.15重量%(=100重量%−水88.85重量%)であり、本件発明1の「全固形分が11重量%以上」に相当する。

(d)ショ糖、水飴について
異議2甲6発明には、ショ糖も水飴も含まれていない。
したがって、異議2甲6発明は、本件発明1の「ショ糖及び水飴を実質的に含ま」ないものに相当する。

(e)したがって、本件発明1と異議2甲6発明とは、
「ショ糖及び水飴を実質的に含まず、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含むことを特徴とする、ゲル状食品(ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品及び果糖5重量%以上のゲル状食品を除く)」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1−1(異議2甲6発明):ゲル状食品について、本件発明1は、乳を含むものであるのに対し、異議2甲6発明は、乳を含むものではない点

b 判断
異議2甲6には、異議2甲6発明が、乳を含むことについての記載や示唆はなく、また、異議2甲6発明が、乳を含むといえる技術常識もない。
したがって、相違点1−1(異議2甲6発明)は実質的な相違点であるから、本件発明1は異議2甲6に記載された発明であるとはいえない。

また、異議2甲6発明は、異議2甲6の実施例における比較例の発明である。一般に、比較例は、実施例と比較する目的で構成されているものであり、その構成を変えると実施例との比較ができなくなるので、比較例の構成を変えようという動機付けがあるとは認められない。
そうすると、比較例の発明である異議2甲6発明において、比較例の構成を変える、乳を含むようにしようとする動機付けがあるとは認められない。
したがって、本件発明1の効果について検討するまでもなく、本件発明1は、異議2甲6に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

c 小括
したがって、本件発明1は、異議2甲6に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議2甲6に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

(ウ)本件発明6について
本件発明6は、本件発明1を引用し、さらに技術的に特定するものであるから、本件発明1と同様に、異議2甲6に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議2甲6に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

ス 異議2甲7を主引例とする場合(申立2理由1に対応するものを含む)

(ア)異議2甲7に記載された発明
異議2甲7の実施例4(異議2甲7c)の記載より、以下の発明が記載されていると認められる。
「清水85.0部、ブドウ糖10.0部、植物ステロールと卵黄リポ蛋白質の複合体の分散液[植物ステロール(遊離体97.8%、エステル体2.2%、平均粒子径約3μm)と卵黄リポ蛋白質の複合体(卵黄リポ蛋白質1部に対し植物ステロール11.1部であり、複合体の植物ステロール含有量は92%)の分散液]2.0部、インスタントコーヒー2.0部、及びキサンタンガム0.5部とローカストビーンガム0.5部の混合物からなるゲル化剤を加えて混合し、調製して得られたコーヒー風味の容器詰めゼリー状食品」の発明(以下「異議2甲7発明」という。)

(イ)本件発明1について

a 異議2甲7発明との対比
(a)異議2甲7発明の「コーヒー風味の容器詰めゼリー状食品」は、本件発明1の「ゲル状食品」に相当する。

(b)ブドウ糖、果糖について
異議2甲7発明は、「ブドウ糖10.0部」配合されており、全部で100部中「10.0部」は、重量%で表すと10重量%といえる。
また、異議2甲7発明は、果糖を配合していない。
そうすると、異議2甲7発明は、本件発明1の「ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含む」及び「ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品及び果糖5重量%以上のゲル状食品を除く」ものに相当する。

(c)全固形分について
異議2甲7発明の全固形分は、13.0部[=ブドウ糖10.0部+インスタントコーヒー2.0部+キサンタンガム0.5部+ローカストビーンガム0.5部]であり、重量%に換算すると13.0重量%といえるから、本件発明1の「全固形分が11重量%以上」に相当する。

(d)ショ糖、水飴について
異議2甲7発明には、ショ糖も水飴も含まれていない。
したがって、異議2甲7発明は、本件発明1の「ショ糖及び水飴を実質的に含ま」ないものに相当する。

(e)したがって、本件発明1と異議2甲7発明とは、
「ショ糖及び水飴を実質的に含まず、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含むことを特徴とする、ゲル状食品(ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品及び果糖5重量%以上のゲル状食品を除く)」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1−1(異議2甲7発明):ゲル状食品について、本件発明1は、乳を含むものであるのに対し、異議2甲7発明は、乳を含むものではない点

b 判断
異議2甲7には、異議2甲7発明が、乳を含むことについての記載や示唆はなく、また、異議2甲7発明が、乳を含むといえる技術常識もない。
したがって、相違点1−1(異議2甲7発明)は実質的な相違点であるから、本件発明1は異議2甲7に記載された発明であるとはいえない。

また、異議2甲7には、「【0027】・・本発明のゼリー状食品は、ゲル化剤として、上述したゲルの融点が40℃以上であるゲル化剤を用い、植物ステロール類と卵黄リポ蛋白質との複合体をゼリー状食品全体に均一に分散するように配合する他は特に限定は無く、従来の一般的なゼリー状食品の製造方法に準じて製造することができる。例えば、まず、水、・・牛乳、・・等の水系原料に、前記ゲル化剤と複合体、更に、必要に応じて、・・を加えて混合液を製する」(異議2甲7b)と記載されていることから、異議2甲7発明が乳を含むようにする動機付けはあり得るかもしれない。
しかしながら、効果について検討すると、本件発明1の効果は、本件明細書の段落【0008】の記載及び実施例(【0016】〜【0026】)の記載より理解されるように、ゲル状食品に製造において、特定の糖類を一定濃度添加することにより、ゲル状食品の風味・味質を損なうことなく、恒温工程における耐熱性菌の増殖を抑制することができることであるのに対し、異議2甲7発明の効果は、植物ステロール類を配合した口解けが良くてゲル安定性が高いゼリー状食品を提供できる(異議2甲7b)という異なる効果であり、異議1甲2〜異議2甲20の記載を踏まえても、本件発明1の効果は、予測し得ない顕著なものといえる。

したがって、本件発明1は、異議2甲7に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

c 小括
したがって、本件発明1は、異議2甲7に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議2甲7に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

(ウ)本件発明6について
本件発明6は、本件発明1を引用し、さらに技術的に特定するものであるから、本件発明1と同様に、異議2甲7に記載された発明とはいえないので、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議2甲7に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

セ 異議2甲9を主引例とする場合(申立2理由1に対応するものを含む)

(ア)異議2甲9に記載された発明
a 異議2甲9の実施例14(異議2甲9c)の記載より、以下の発明が記載されていると認められる。
「100g中:実施例1の精製したカラゲニン3g,ソルビン酸カリウム0.2g,果糖7g,ソルビトール2.75g,アスパルテーム0.2g,クエン酸50%溶液2ml,E124 0.005g,ブルーベリー天然香料1ml,全体100gに対して十分な量の洗浄水を含む、飽食用フルーツタイプジェリー」の発明(以下「異議2甲9発明1」という。)

b 異議2甲9の実施例15(異議2甲9c)の記載より、以下の発明が記載されていると認められる。
「実施例1の精製したカラゲニン1.5g,ソルビン酸カリウム0.2g,果糖7g,ソルビトール2.75g,アスパルテーム0.2g,クエン酸50%溶液2ml,リボフラビン5ーリン酸ナトリウム0.005g,マンダリン天然香料1ml,全体100gに対して十分な量の洗浄水を含む、食用ジャムタイプジェリー」の発明(以下「異議2甲9発明2」という。)

(イ)本件発明1について

a 異議2甲9発明1との対比・判断

(a)異議2甲9発明1との対比
i 異議2甲9発明1の「飽食用フルーツタイプジェリー」は、ゼリーであり、本件発明1の「ゲル状食品」に相当する。

ii ブドウ糖、果糖について
異議2甲9発明1は、ブドウ糖を含んでいない。
異議2甲9発明1の「果糖7g」は、100g中の重量であるから、果糖7重量%(=100×7g/100g)といえる。
そうすると、異議2甲9発明1の「果糖7g」と、本件発明1の「ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含む」及び「ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品及び果糖5重量%以上のゲル状食品を除く」とは、「ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含む」及び「ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品を除く」点で共通する。

iii 全固形分について
異議2甲9発明1の全固形分は、少なくとも13.16重量%(=実施例1の精製したカラゲニン3g+ソルビン酸カリウム0.2g+果糖7g+ソルビトール2.75g+アスパルテーム0.2g+E124 0.005g)であり、本件発明1の「全固形分が11重量%以上」に相当する。

iv ショ糖、水飴について
異議2甲9発明1には、ショ糖も水飴も含まれていない。
したがって、異議2甲9発明1は、本件発明1の「ショ糖及び水飴を実質的に含ま」ないものに相当する。

v したがって、本件発明1と異議2甲9発明1とは、
「ショ糖及び水飴を実質的に含まず、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含むことを特徴とする、ゲル状食品(ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品を除く)」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1−1(異議2甲9発明1):ゲル状食品について、本件発明1は、乳を含むものであるのに対し、異議2甲9発明1は、乳を含むものではない点

相違点1−2(異議2甲9発明1):ゲル状食品について、本件発明1は、果糖5重量%以上のゲル状食品を除くものであるのに対し、異議2甲9発明1は、果糖7重量%のゲル状食品である点

(b)判断
相違点1−1(異議2甲9発明1)と相違点1−2(異議2甲9発明1)とを、纏めて検討する。
異議2甲9には、異議2甲9発明1が、乳を含むことについての記載や示唆はなく、また、異議2甲9発明1が、乳を含むといえる技術常識もない。
さらに、異議2甲9発明1は、果糖7重量%を含むゲル状食品であり、本件発明1において除かれる、果糖5重量%以上のゲル状食品に該当し、本件発明1において除かれるものである。
したがって、相違点1−1(異議2甲9発明1)及び相違点1−2(異議2甲9発明1)は、実質的な相違点であるから、本件発明1は異議2甲9に記載された発明であるとはいえない。

また、異議2甲9は、高純度で、かつ医薬、食品及び化粧品における使用に特に適するカラゲニン類を得る方法に関し記載するものであり(異議2甲9b)、異議2甲9発明1は、得られた高純度のカラゲニン類で調整した食品組成物の具体例である。
異議2甲9には、実施の態様として、異議2甲9発明1のような食品組成物において、他に含有させて良い成分として何があるのか、糖類をどの程度含有させて良いか等については、記載も示唆もない。また、一般に、異議2甲9発明1のような食品組成物であるフルーツタイプジェリーにおいて、糖類の中でも特に果糖に着目し、特定重量%を減量しようとすることや、乳を含有むようにする動機付けがあるとは認められない。
また、本件発明1の効果は、本件明細書の段落【0008】の記載及び実施例(【0016】〜【0026】)の記載より理解されるように、ゲル状食品に製造において、特定の糖類を一定濃度添加することにより、ゲル状食品の風味・味質を損なうことなく、恒温工程における耐熱性菌の増殖を抑制することができることであり、異議1甲2〜異議2甲20の記載を踏まえても、本件発明1の効果は、予測し得ない顕著なものといえる。

したがって、本件発明1は、異議2甲9に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

b 異議2甲9発明2との対比・判断

(a)異議2甲9発明2との対比
i 異議2甲9発明2の「食用ジャムタイプジェリー」は、ゼリーであり、本件発明1の「ゲル状食品」に相当する。

ii ブドウ糖、果糖について
異議2甲9発明2は、ブドウ糖を含んでいない。
異議2甲9発明2の「果糖7g」は、100g中の重量であるから、果糖7重量%(=100×7g/100g)といえる。
そうすると、異議2甲9発明2の「果糖7g」と、本件発明1の「ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含む」及び「ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品及び果糖5重量%以上のゲル状食品を除く」とは、「ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含む」及び「ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品を除く」点で共通する。

iii 全固形分について
異議2甲9発明2の全固形分は、少なくとも11.66重量%(=実施例1の精製したカラゲニン1.5g+ソルビン酸カリウム0.2g+果糖7g+ソルビトール2.75g+アスパルテーム0.2g+リボフラビン5ーリン酸ナトリウム0.005)であり、本件発明1の「全固形分が11重量%以上」に相当する。

iv ショ糖、水飴について
異議2甲9発明2には、ショ糖も水飴も含まれていない。
したがって、異議2甲9発明2は、本件発明1の「ショ糖及び水飴を実質的に含ま」ないものに相当する。

v したがって、本件発明1と異議2甲9発明2とは、
「ショ糖及び水飴を実質的に含まず、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含むことを特徴とする、ゲル状食品(ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品を除く)」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1−1(異議2甲9発明2):ゲル状食品について、本件発明1は、乳を含むものであるのに対し、異議2甲9発明2は、乳を含むものではない点

相違点1−2(異議2甲9発明2):ゲル状食品について、本件発明1は、果糖5重量%以上のゲル状食品を除くものであるのに対し、異議2甲9発明2は、果糖7重量%のゲル状食品である点

(b)判断
相違点1−1(異議2甲9発明2)及び相違点1−2(異議2甲9発明2)は、前記a(a)に記載の相違点1−1(異議2甲9発明1)及び相違点1−2(異議2甲9発明1)と同じである。
したがって、相違点1−1(異議2甲9発明2)及び相違点1−2(異議2甲9発明2)は、実質的な相違点であるから、本件発明1は、異議2甲9に記載された発明であるとはいえず、また、異議2甲9に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

c 小括
したがって、本件発明1は、異議2甲9に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議2甲9に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

(ウ)本件発明6について
本件発明6は、本件発明1を引用し、さらに技術的に特定するものであるから、本件発明1と同様に、異議2甲9に記載された発明とはいえないので、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議2甲9に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

ソ 異議2甲10を主引例とする場合(申立2理由1及び申立2理由3に対応するものを含む)

(ア)異議2甲10に記載された発明

a 異議2甲10の配合例42(異議2甲10c)の記載より、以下の発明が記載されていると認められる。
「ダイズタンパク質のサーモリシン加水分解物(コラプラスTMN)32.9重量%、オレンジジュース30重量%、リンゴジュース10重量%、砂糖5重量%、果糖3重量%、乳糖2重量%、ゼラチン2重量%、寒天0.1重量%、生クリーム5重量%、牛乳10重量%を用いて作製したムース」の発明(以下「異議2甲10発明1」という。)

b 異議2甲10の配合例55(異議2甲10c)の記載より、以下の発明が記載されていると認められる。
「ダイズタンパク質のサーモリシン加水分解物(コラプラスTMN)30重量%、卵黄10重量%、果糖5重量%、牛乳24重量%、グルコマンナン1重量%、生クリーム30重量%、バニラエッセンス少量を用いて作製したババロア」の発明(以下「異議2甲10発明2」という。)

c 異議2甲10の配合例58(異議2甲10c)の記載より、以下の発明が記載されていると認められる。
「ダイズタンパク質のサーモリシン加水分解物(コラプラスTMN)10重量%、卵黄20重量%、砂糖2重量%、果糖3重量%、牛乳32重量%、ゼラチン1重量%、寒天1重量%、グルコマンナン1重量%、生クリーム30重量%、バニラエッセンス少量を用いて作製したババロア」の発明(以下「異議2甲10発明3」という。)

(イ)本件発明1について

a 異議2甲10発明2との対比
(a)異議2甲10発明2の「ババロア」は、本件発明1の「ゲル状食品」に相当する。

(b)異議2甲10発明2の「牛乳24重量%」は、本件発明1の「乳」に相当する。

(c)ブドウ糖、果糖について
異議2甲10発明2は、ブドウ糖を含んでいない。
異議2甲10発明2は、果糖5重量%含んでいる。
そうすると、異議2甲10発明2の「果糖5重量%」と、本件発明1の「ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含む」及び「ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品及び果糖5重量%以上のゲル状食品を除く」とは、「ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含む」及び「ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品を除く」点で共通する。

(d)全固形分について
異議2甲10発明2の全固形分は、少なくとも46重量%(=ダイズタンパク質のサーモリシン加水分解物(コラプラスTMN)30重量%+卵黄10重量%+果糖5重量%+グルコマンナン1重量%)であり、本件発明1の「全固形分が11重量%以上」に相当する。

(e)ショ糖、水飴について
異議2甲10発明2は、ショ糖も水飴も含んでいない。
したがって、異議2甲10発明2は、本件発明1の「ショ糖及び水飴を実質的に含ま」ないものに相当する。

(f)したがって、本件発明1と異議2甲10発明2とは、
「ショ糖及び水飴を実質的に含まず、乳を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含むことを特徴とする、ゲル状食品(ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品を除く)」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1−1(異議2甲10発明2):ゲル状食品について、本件発明1は、果糖5重量%以上のゲル状食品を除くものであるのに対し、異議2甲10発明2は、果糖5重量%のゲル状食品である点

b 判断
異議2甲10発明2は、果糖5重量%を含むゲル状食品であり、本件発明1において除かれる、果糖5重量%以上のゲル状食品に該当し、本件発明1において除かれるものである。
したがって、相違点1−1(異議2甲10発明2)は、実質的な相違点であるから、本件発明1は異議2甲10に記載された発明であるとはいえない。

また、異議2甲10発明2は、ダイズタンパク質やペプチド由来の苦味や異臭が低減され、さらに、ゲル化剤の含有量を低減することができるダイズペプチド含有ゲル状食品を提供しようという課題を解決した、ゲル化剤及びダイズタンパク質のサーモリシン加水分解物を含有してなるゲル状食品の具体例である(異議2甲10a〜異議2甲10c)。
異議2甲10には、実施の態様として、異議2甲10発明2のようなゲル状食品において、糖類をどの程度含有させて良いかについては、記載も示唆もない。
異議2甲10発明2において、嗜好により糖類である果糖を減らそうという動機付けが、仮にあるとしても、本件発明1の効果は、本件明細書の段落【0008】の記載及び実施例(【0016】〜【0026】)の記載より理解されるように、ゲル状食品に製造において、特定の糖類を一定濃度添加することにより、ゲル状食品の風味・味質を損なうことなく、恒温工程における耐熱性菌の増殖を抑制することができることであり、異議1甲2〜異議2甲20の記載を踏まえても、本件発明1の効果は、予測し得ない顕著なものといえる。

したがって、本件発明1は、異議2甲10に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

c 小括
したがって、本件発明1は、異議2甲10に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議2甲10に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

(ウ)本件発明3について

a 異議2甲10発明3との対比
(a)異議2甲10発明3の「ババロア」は、本件発明3の「ゲル状食品」に相当する。

(b)異議2甲10発明3の「牛乳32重量%」は、本件発明3の「乳」に相当する。

(c)ブドウ糖、果糖について
異議2甲10発明3は、ブドウ糖を含んでいない。
異議2甲10発明3は、果糖3重量%含んでいる。
そうすると、異議2甲10発明3の「果糖3重量%」と、本件発明3の「果糖を4重量%以上含む」及び「ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く」とは、「果糖を含む」及び「ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く」点で共通する。

(d)全固形分について
異議2甲10発明3の全固形分は、少なくとも38重量%(=ダイズタンパク質のサーモリシン加水分解物(コラプラスTMN)10重量%+卵黄20重量%+砂糖2重量%+果糖3重量%+ゼラチン1重量%+寒天1重量%+グルコマンナン1重量%)であり、本件発明3の「全固形分が11重量%以上」に相当する。

(e)ショ糖、水飴について
異議2甲10発明3は、水飴を含んでいないが、砂糖(ショ糖)を含んでいる。
したがって、異議2甲10発明3は、本件発明3の「水飴を実質的に含まず、ショ糖を含」むものに相当する。

(f)そうすると、本件発明3と異議2甲10発明3とは、「水飴を実質的に含まず、ショ糖を含み、乳を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、果糖を含むことを特徴とする、ゲル状食品(ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く)」点で一致し、以下の点で相違する。

相違点3−1(異議2甲10発明3):ゲル状食品が、本件発明3では、果糖を4重量%以上含むものであるのに対し、異議2甲10発明3では、果糖を3重量%含むものである点

b 判断
異議2甲10発明3は、果糖3重量%を含むものであり、本件発明3の「果糖を4重量%以上含む」ものとは異なるものである。
したがって、相違点3−1(異議2甲10発明3)は、実質的な相違点であるから、本件発明3は異議2甲10に記載された発明であるとはいえない。

また、異議2甲10発明3は、ダイズタンパク質やペプチド由来の苦味や異臭が低減され、さらに、ゲル化剤の含有量を低減することができるダイズペプチド含有ゲル状食品を提供しようという課題を解決した、ゲル化剤及びダイズタンパク質のサーモリシン加水分解物を含有してなるゲル状食品の具体例である(異議2甲10a〜異議2甲10c)。
異議2甲10には、実施の態様として、異議2甲10発明2のようなゲル状食品において、糖類をどの程度含有させて良いかについては、記載も示唆もない。
異議2甲10発明3において、嗜好により糖類を増やそうとし得るかもしれないが、異議2甲10発明3には、糖類として、砂糖2重量%及び果糖3重量%があることから、それらの糖類の中から敢えて果糖に着目し、その含有量を特定量増やそうという動機付けあるとは認められない。
そして、本件発明3の効果は、本件明細書の段落【0008】の記載及び実施例(【0016】〜【0026】)の記載より理解されるように、ゲル状食品に製造において、特定の糖類を一定濃度添加することにより、ゲル状食品の風味・味質を損なうことなく、恒温工程における耐熱性菌の増殖を抑制することができることであり、異議1甲2〜異議2甲20の記載を踏まえても、本件発明3の効果は、予測し得ない顕著なものといえる。

したがって、本件発明3は、異議2甲10に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

c 小括
したがって、本件発明3は、異議2甲10に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議2甲10に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

(エ)本件発明5及び6について
本件発明5は、本件発明3を引用しさらに技術的に特定するものであり、本件発明6は、本件発明1及び3を引用しさらに技術的に特定するものであるから、本件発明1及び3と同様に、異議2甲10に記載された発明とはいえないので、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議2甲10に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

タ 異議2甲11を主引例とする場合(申立2理由2に対応するものを含む)

(ア)異議2甲11に記載された発明
異議2甲11の実施例1(異議2甲11c)の記載より、以下の発明が記載されていると認められる。
「カラギーナン(κ)0.30重量%、ローカストビーンガム0.25重量%、ジェランガム0.25重量%、グアーガム0.20重量%、リン酸二カリウム0.30重量%、1/5濃縮オレンジ果汁10.00重量%、異性化糖15.00重量%、粉末水飴5.00重量%、粉末ブドウ糖5.00重量%、クエン酸0.50重量%、着香料0.20重量%、着色料0.02重量%及び水62.98重量%で、計100.00重量%の配合比に従って製造された、連続式麺状ゼリー」の発明(以下「異議2甲11発明」という。)

(イ)本件発明2について

a 異議2甲11発明との対比
(a)異議2甲11発明の「連続式麺状ゼリー」は、本件発明2の「ゲル状食品」に相当する。

(b)ブドウ糖、果糖について
i ブドウ糖について
異議2甲11発明は、「粉末ブドウ糖5.00重量%」配合されている。
また、異議1甲17中の参考文献1には、オレンジ バレンシア 果汁濃縮還元ジュース100g当たり、ブドウ糖1.9g含まれていると記載されていることから、異議2甲11発明の「1/5濃縮オレンジ果汁10.00重量%」中には、ブドウ糖0.95重量%(=10.0重量%×5×0.019)含まれているといえる。
そうすると、異議2甲11発明の「粉末ブドウ糖5.00重量%」及び「1/5濃縮オレンジ果汁10.00重量%」には、ブドウ糖5.95重量%(=5重量%+0.95重量%)含まれているといえる。
ii 果糖について
異議1甲17中の参考文献1には、オレンジ バレンシア 果汁濃縮還元ジュース100g当たり、果糖2.1g含まれていると記載されていることから、異議2甲11発明の「1/5濃縮オレンジ果汁10.00重量%」中には、果糖1.05重量%(=10.0重量%×5×0.021)含まれているといえる。
iii 前記i及びiiより、異議2甲11発明のブドウ糖と果糖の合計量は、7.00重量%(=5.95重量%+1.05重量%)といえる。
iv そうすると、異議2甲11発明の「粉末ブドウ糖5.00重量%」及び「1/5濃縮オレンジ果汁10.00重量%」と、本件発明2の「果糖を4重量%含む」「ただし、ブドウ糖と果糖を合計量で10%以上含むゲル状食品を除く」とは、「果糖を」「含む」「ただし、ブドウ糖と果糖を合計量で10%以上含むゲル状食品を除く」ものである点で共通する。

(c)全固形分について
異議2甲11発明の全固形分は、少なくとも12.02部[=カラギーナン(κ)0.30重量%+ローカストビーンガム0.25重量%+ジエランガム0.25重量%+グアーガム0.20重量%+リン酸二カリウム0.30重量%+粉末水飴5.00重量%+粉末ブドウ糖5.00重量%+クエン酸0.50重量%+着香料0.20重量%+着色料0.02重量%]であるから、本件発明2の「全固形分が11重量%以上」に相当する。

(d)ショ糖、水飴について
異議2甲11発明は、粉末水飴を含んでいる。
ショ糖については、異議1甲17中の参考文献1には、オレンジ バレンシア 果汁濃縮還元ジュース100g当たり、ショ糖3.7g含まれていると記載されていることから、異議2甲11発明の「1/5濃縮オレンジ果汁10.00重量%」中には、ショ糖1.85重量%(=10.0重量%×5×0.037)含まれているといえ、一般的に計量可能な範囲と認められるので、実質的に含まれているといえる。
そうすると、異議2甲11発明と本件発明2の「ショ糖を実質的に含まず、水飴を含む」とは、水飴を含むものである点で共通する。

(e)したがって、本件発明2と異議2甲11発明とは、
「水飴を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、果糖を4重量%以上含むことを特徴とする、ゲル状食品(ただし、ブドウ糖と果糖を合計量で10%以上含むゲル状食品を除く)」点で一致し、以下の点で相違する。

相違点2−1(異議2甲11発明):ゲル状食品について、本件発明2は、ショ糖を実質的に含まず、果糖を4重量%以上含むものであるのに対し、異議2甲11発明は、ショ糖1.85重量%含み、果糖1.05重量%含むものである点

b 判断
異議2甲11発明は、ショ糖1.85重量%を含むものであり、計量可能な範囲で含むものといえるから、本件発明2の「ショ糖を実質的に含まず」のものとは異なるものである。
さらに、異議2甲11発明は、果糖を1.05重量%含むものであり、本件発明2の「果糖を4重量以上含む」ものとも異なるものである。
したがって、相違点2−1(異議2甲11発明)は、実質的な相違点であるから、本件発明2は異議2甲11に記載された発明であるとはいえない。

また、異議2甲11発明は、種々の粘質物及び塩類を組合せで添加することによって麺状ゼリーに耐熱性及び耐酸性を付与し麺を切れにくくし、レトルト殺菌に耐えられるようにし、また、ゾル状のゼリーミックスを冷却することなく高い温度(50〜80℃)でカルシウム塩の溶液とゲル化させるのでゲル形成スピードを促進させほぼ瞬間的に安定性のあるゲルを形成させることができ作業性の簡素化を図ることができるようにしたものの具体例である(異議2甲11a〜異議2甲11c)。
異議2甲11には、実施の態様として、異議2甲11発明のような麺状ゼリーにおいて、糖類をどの程度含有させて良いかについては、記載も示唆もない。
一般に、嗜好により糖類を増減しようとする場合があることを考慮しても、異議2甲11発明には、糖類として、異性化糖、粉末水飴、粉末ブドウ糖、並びに、1/5濃縮オレンジ果汁中のショ糖及び果糖があり、それらの糖類の中から敢えて1/5濃縮オレンジ果汁中のショ糖及び果糖に着目し、その含有量を特定量増減させようという動機付けあるとは認められない。
仮に、1/5濃縮オレンジ果汁中のショ糖及び果糖に敢えて着目しても、その含有量を特定量増減させなければならず、ショ糖及び果糖の由来が「1/5濃縮オレンジ果汁」である以上、ショ糖及び果糖の含有量は共に増減することとなるから、異議2甲11発明において、ショ糖の含有量を減らし実質的に含まないようにするが、果糖の含有量を増加させるということはできない。
そして、本件発明2の効果は、本件明細書の段落【0008】の記載及び実施例(【0016】〜【0026】)の記載より理解されるように、ゲル状食品に製造において、特定の糖類を一定濃度添加することにより、ゲル状食品の風味・味質を損なうことなく、恒温工程における耐熱性菌の増殖を抑制することができることであり、異議1甲2〜異議2甲20の記載を踏まえても、本件発明2の効果は、予期し得ない顕著なものといえる。
したがって、本件発明2は、異議2甲11に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

c 小括
したがって、本件発明2は、異議2甲11に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議2甲11に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

(ウ)本件発明4及び6について
本件発明4及び6は、本件発明2を引用しさらに技術的に特定するものであるから、本件発明2と同様に、異議2甲11に記載された発明とはいえないので、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議2甲11に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

チ 異議2甲12を主引例とする場合(申立2理由2に対応するものを含む)

(ア)異議2甲12に記載された発明
異議2甲12の実施例1(異議2甲12c)の記載より、以下の発明が記載されていると認められる。
「コーヒーエキス10質量%、インスタントコーヒー4質量%、異性化糖15.7質量%、粉末水飴8.0質量%、重曹0.4質量%を含む水溶液にアルギン酸ナトリウム(キッコーマンバイオケミファ社製)を添加し、0.2質量%乃至0.6質量%までの異なる濃度のA液を調製し、これらをそれぞれ牛乳と重量比で1:1となるように混合し調製したゼリー飲料」の発明(以下「異議2甲12発明」という。)

(イ)本件発明2について

a 異議2甲12発明との対比
(a)異議2甲12発明の「ゼリー飲料」は、本件発明2の「ゲル状食品」に相当する。

(b)ブドウ糖、果糖について
異議2甲12発明には、「異性化糖15.7質量%」配合されている。
異性化糖は、ブドウ糖に酵素(グルコースイソメラーゼ)あるいはアルカリを作用させて得られるブドウ糖と果糖の混合液糖[櫻井芳人監修、「新・櫻井 総合食品辞典」(平成24年)株式会社同文書院、61頁「異性化糖」の項]である。
異議2甲17より、異性化液糖として、ぶどう糖化糖液糖(100g当たりには、ぶどう糖40.8g、果糖26.7gを主に含有していると一応理解可能)、果糖ぶどう糖液糖(100g当たりには、ぶどう糖28.3g、果糖39.4gを主に含有していると一応理解可能)及び高果糖液糖(100g当たりには、ぶどう糖0.9g、果糖69.5gを主に含有していると一応理解可能)の3種類があることが分かる(異議2甲17a)。
そうすると、質量%と重量%は同義であるから、異議2甲12発明における、「異性化糖15.7質量%」中の、果糖の含有量(重量%)、並びに、ぶどう糖と果糖の合計量(重量%)は、以下のように計算できるといえる。
i ぶどう糖化糖液糖の場合:果糖4.19重量%(=0.157×26.7重量%)、ぶどう糖と果糖の合計量10.60重量%[=0.157×(40.8重量%+26.7重量%)]
ii 果糖ぶどう糖液糖の場合:果糖6.19重量%(=0.157×39.4重量%)、ぶどう糖と果糖の合計量10.63重量%[=0.157×(28.3重量%+39.4重量%)]
iii 高果糖液糖の場合:果糖10.91重量%(=0.157×69.5重量%)、ぶどう糖と果糖の合計量11.05重量%[=0.157×(0.9重量%+69.5重量%)]
いずれの場合であっても、果糖を4重量%以上含み、ぶどう糖と果糖の合計量10%以上含むと一応理解できる。
そうすると、異議2甲12発明の「異性化糖15.7質量%」と、本件発明2の「果糖を4重量%以上含む」「ただし、ブドウ糖と果糖を合計量で10%以上含む」とは、果糖を4重量%以上含む点で共通する。

(c)全固形分について
異議2甲12発明の全固形分は、少なくとも22.0質量%[=コーヒーエキス10質量%+インスタントコーヒー4質量%+粉末水飴8.0質量%]であるから、本件発明2の「全固形分が11重量%以上」に相当する。

(d)ショ糖、水飴について
異議2甲12発明は、粉末水飴を含んでいるが、ショ糖を含んでいない。
したがって、異議2甲12発明は、本件発明2の「ショ糖を実質的に含まず、水飴を含む」ものに相当する。

(e)したがって、本件発明2と異議2甲12発明とは、
「ショ糖を含まず、水飴を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、果糖を4重量%以上含むことを特徴とする、ゲル状食品」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点2−1(異議2甲12発明):ゲル状食品について、本件発明2は、ブドウ糖と果糖を合計量で10%以上含むゲル状食品を除くものであるのに対し、異議2甲12発明は、ブドウ糖と果糖を合計量で10%以上含むものである点

b 判断
異議2甲12発明は、ブドウ糖と果糖を合計量で10%以上含むものであるから、本件発明2の「ブドウ糖と果糖を合計量で10%以上含むゲル状食品を除く」ものには該当しないものである。
したがって、相違点2−1(異議2甲12発明)は、実質的な相違点であるから、本件発明2は異議2甲12に記載された発明であるとはいえない。

また、異議2甲12発明は、新規な乳成分を含有するゼリー入り飲料の製造方法によって得られる乳成分を含有するゼリー入り飲料の具体例である(異議2甲12a〜異議2甲12c)。
異議2甲12には、実施の態様として、異議2甲12発明のような乳成分を含有するゼリー入り飲料において、糖類をどの程度含有させて良いかについては、記載も示唆もない。
一般に、嗜好により糖類を減少しようとし得るかもしれないが、異議2甲12発明には、糖類として異性化糖及び粉末水飴があり、それらの糖類の中から敢えて異性化糖のブドウ糖及び果糖の合計含有量に着目し、その合計含有量を特定量減少させようという動機付けあるとは認められない。
そして、本件発明2の効果は、本件明細書の段落【0008】の記載及び実施例(【0016】〜【0026】)の記載より理解されるように、ゲル状食品に製造において、特定の糖類を一定濃度添加することにより、ゲル状食品の風味・味質を損なうことなく、恒温工程における耐熱性菌の増殖を抑制することができることであり、異議1甲2〜異議2甲20の記載を踏まえても、本件発明2の効果は、予測し得ない顕著なものといえる。
したがって、本件発明2は、異議2甲12に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

c 小括
したがって、本件発明2は、異議2甲12に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議2甲12に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

(ウ)本件発明4及び6について
本件発明4及び6は、本件発明2を引用しさらに技術的に特定するものであるから、本件発明2と同様に、異議2甲12に記載された発明とはいえないので、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議2甲12に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

ツ 異議2甲13を主引例とする場合(申立2理由3に対応するものを含む)

(ア)異議2甲13に記載された発明
異議2甲13の実施例29(異議2甲13c)の記載より、以下の発明が記載されていると認められる。
「リン酸架橋馬鈴薯澱粉4重量%、冷凍処理したクリームチーズ54重量%、異性化液糖5重量%、キサンタンガム0.1重量%、ローカストビーンガム0.1重量%、水36.8重量%の配合に従い調製して得られた水中油型乳化組成物」の発明(以下「異議2甲13発明」という。)

(イ)本件発明3について

a 異議2甲13発明との対比
(a)異議2甲13発明の「水中油型乳化組成物」は、異議2甲13の「【0004】・・本発明の目的は、ホイップすることが可能で、水中油型乳化組成物のゲル融点以上の温度で溶かすことができ、これを水中油型乳化組成物のゲル化開始温度以下の温度とすることにより固まる性質を有する水中油型乳化組成物を提供すること」(異議2甲13b)という記載より、ゲル状食品といえるから、本件発明3の「ゲル状食品」に相当する。

(b)ブドウ糖、果糖について
異議2甲13発明には、「異性化液糖5重量%」配合されており、この「異性化液糖」は、「ショ糖30%、果糖18%、ブドウ糖24%」(異議2甲13c【表7】(【0054】)下)のものである。
そうすると、異議2甲13発明における、「異性化液糖5重量%」中のブドウ糖の重量%は、1.2重量%(=5重量%×0.24)、同中の果糖の重量%は0.9重量%(=5重量%×0.18)といえる。
したがって、異議2甲13発明の「異性化液糖5重量%」と、本件発明3の「果糖を4重量%以上含む」「ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く」とは、「果糖を含む」「ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く」点で共通する。

(c)全固形分について
異議2甲13発明の全固形分は、少なくとも58.2重量%(=リン酸架橋馬鈴薯澱粉4重量%+冷凍処理したクリームチーズ54重量%+キサンタンガム0.1重量%+ローカストビーンガム0.1重量%)であるから、本件発明3の「全固形分が11重量%以上」に相当する。

(d)ショ糖、水飴について
異議2甲13発明は、「異性化液糖」中に「ショ糖30%」含んでおり、水飴は含んでいない。
したがって、異議2甲13発明は、本件発明3の「水飴を実質的に含まず、ショ糖を含」むものに相当する。

(e)そうすると、本件発明3と異議2甲13発明とは、「水飴を実質的に含まず、ショ糖を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、果糖を含むことを特徴とする、ゲル状食品(ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く)」点で一致し、以下の点で相違する。

相違点3−1(異議2甲13発明):ゲル状食品が、本件発明3では、乳を含むものであるのに対し、異議2甲13発明では、乳を含まないものである点

相違点3−2(異議2甲13発明):ゲル状食品が、本件発明3では、果糖を4重量%以上含むものであるのに対し、異議2甲13発明では、果糖を0.9重量%含むものである点

b 判断
事案に鑑み、相違点3−2(異議2甲13発明)を先に検討する。
異議2甲13発明は、果糖0.9重量%を含むものであり、本件発明3の「果糖を4重量%以上含む」ものとは異なるものである。
したがって、相違点3−1(異議2甲13発明)を検討するまでもなく、相違点3−2(異議2甲13発明)は実質的な相違点であるから、本件発明3は異議2甲13に記載された発明であるとはいえない。

また、異議2甲13発明は、澱粉を含有して一定のボディ感を保持しながら、口溶けが良好で軽くみずみずしい食感を有し、しかも乳風味豊かな水中油型乳化組成物を提供するという課題の下、一定数の粒径の大きな澱粉粒子が存在し、さらに該澱粉粒子とゲル化した熱可逆性ゲルとが共存する構造をとることで課題を解決した水中油型乳化組成物の具体例である(異議2甲13a〜異議2甲13c)。
異議2甲13には、実施の態様として、水中油型乳化組成物において「【0022】・・斯かる糖類としては、例えば、・・ブドウ糖、果糖、蔗糖・・異性化液糖・・等があげられ・・上記糖類を好ましくは0〜40重量%、さらに好ましくは1〜30重量%、最も好ましくは3〜25重量%含有するのがよい」(異議2甲13b)と記載されているにとどまり、異議2甲13発明において、糖類として、果糖及びブドウ糖に着目し、それぞれ特定重量%の範囲にしようという動機付けがあるとは認められない。
そして、本件発明3の効果は、本件明細書の段落【0008】の記載及び実施例(【0016】〜【0026】)の記載より理解されるように、ゲル状食品に製造において、特定の糖類を一定濃度添加することにより、ゲル状食品の風味・味質を損なうことなく、恒温工程における耐熱性菌の増殖を抑制することができることであり、異議1甲2〜異議2甲20の記載を踏まえても、本件発明3の効果は、予測し得ない顕著なものといえる。
したがって、相違点3−1(異議2甲13発明)を検討するまでもなく、本件発明3は、異議2甲13に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

c 小括
したがって、本件発明3は、異議2甲13に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議2甲13に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

(ウ)本件発明5について
本件発明5は、本件発明3を引用しさらに技術的に特定するものであるから、本件発明3と同様に、異議2甲13に記載された発明とはいえないので、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議2甲13に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

テ 異議2甲14を主引例とする場合(申立2理由3に対応するものを含む)

(ア)異議2甲14に記載された発明
a 異議2甲14の実施例1(異議2甲14c)の記載より、以下の発明が記載されていると認められる。
「各甘味成分の含有割合が、エリスリトールが15%、蔗糖が0.7%、果糖が3.5%、ブドウ糖が3.8%およびマルチトールが22%である、低カロリーイチゴジャム」の発明(以下「異議2甲14発明1」という。)

b 異議2甲14の実施例2(異議2甲14c)の記載より、以下の発明が記載されていると認められる。
「各甘味成分の含有割合を分析したところ、エリスリトールが12%、蔗糖が2.3%、果糖が2.2%、ブドウ糖が2.3%およびマルチトールが22%である、低カロリーオレンジマーマレード」の発明(以下「異議2甲14発明2」という。)

(イ)本件発明3について

a 異議2甲14発明1との対比・判断

(a)異議2甲14発明1との対比
i 異議2甲14発明1の「低カロリーイチゴジャム」は、本件発明3の「ゲル状食品」に相当する。

ii ブドウ糖、果糖について
異議2甲14発明1は、ブドウ糖を「3.8%」含んでおり、異議2甲14には「「%」は、全て「重量%」を指す」(異議2甲14b【0009】)と記載され、「%」は「重量%」のことであるから、3.8重量%含んでいるといえる。
異議2甲14発明1は、果糖を「3.5%」すなわち3.5重量%含んでいるといえる。
そうすると、異議2甲14発明1の「果糖が3.5%、ブドウ糖が3.8%」と、本件発明3の「果糖を4重量%以上含む」「ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く」とは、「果糖を含む」「ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く」点で共通する。

iii 全固形分について
異議2甲14発明1の全固形分は、少なくとも45重量%(=エリスリトール15重量%+蔗糖0.7重量%+果糖3.5重量%+ブドウ糖3.8重量%+マルチトール22重量%)であり、本件発明3の「全固形分が11重量%以上」に相当する。

iv ショ糖、水飴について
異議2甲14発明1は、水飴を含んでいないが、蔗糖を含んでいる。
したがって、異議2甲14発明1は、本件発明3の「水飴を実質的に含まず、ショ糖を含」むものに相当する。

v したがって、本件発明3と異議2甲14発明1とは、「水飴を実質的に含まず、ショ糖を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、果糖を含むことを特徴とする、ゲル状食品(ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く)」点で一致し、以下の点で相違する。

相違点3−1(異議2甲14発明1):ゲル状食品が、本件発明3では、乳を含むものであるのに対し、異議2甲14発明1では、乳を含まないものである点

相違点3−2(異議2甲14発明1):ゲル状食品が、本件発明3では、果糖を4重量%以上含むものであるのに対し、異議2甲14発明1では、果糖を3.5重量%含むものである点

(b)判断
事案に鑑み、相違点3−2(異議2甲14発明1)を先に検討する。
異議2甲14発明1は、果糖を3.5重量%含むものであり、本件発明3の「果糖を4重量%以上含む」ものとは異なるものである。
したがって、他の相違点を検討するまでもなく、相違点3−2(異議2甲14発明1)は実質的な相違点であるから、本件発明3は異議2甲14に記載された発明であるとはいえない。

また、異議2甲14発明1は、風味の良い低カロリージャム類を提供するという課題の下、果実および/または野菜を原料とするジャム類において、エリスリトールを5〜18%、蔗糖を0.5〜13%及び他の低カロリー甘味料を含ませることで課題を解決した低カロリージャム類の具体例である(異議2甲14a〜異議2甲14c)。
異議2甲14には、実施の態様として「【0019】・・本発明においては果糖を1〜7%および/またはブドウ糖を1〜7%含んでいると、より爽快な甘みを有する低カロリージャム類とすることができる」(異議2甲14b)と記載されているが、異議2甲14発明1において、果糖を4重量%以上するが、ブドウ糖の含有量を4.11重量%以上とはせず、かつ、果糖の含有量を5.35重量%以上とはしないという、特定重量%の範囲にしようという動機付けがあるとは認められない。
そして、本件発明3の効果は、本件明細書の段落【0008】の記載及び実施例(【0016】〜【0026】)の記載より理解されるように、ゲル状食品に製造において、特定の糖類を一定濃度添加することにより、ゲル状食品の風味・味質を損なうことなく、恒温工程における耐熱性菌の増殖を抑制することができることであり、異議1甲2〜異議2甲20の記載を踏まえても、本件発明3の効果は、予測し得ない顕著なものといえる。

したがって、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明3は、異議2甲14に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

b 異議2甲14発明2との対比・判断

(a)異議2甲14発明2との対比
i 異議2甲14発明2の「低カロリーオレンジマーマレード」は、本件発明3の「ゲル状食品」に相当する。

ii ブドウ糖、果糖について
異議2甲14発明2は、ブドウ糖を「2.3%」すなわち2.3重量%含んでいるといえる。
異議2甲14発明2は、果糖を「2.2%」すなわち2.2重量%含んでいるといえる。
そうすると、異議2甲14発明1の「果糖が2.2%、ブドウ糖が2.3%」と、本件発明3の「果糖を4重量%以上含む」「ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く」とは、「果糖を含む」「ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く」点で共通する。

iii 全固形分について
異議2甲14発明2の全固形分は、少なくとも40.8重量%(=エリスリトール12重量%+蔗糖2.3重量%+果糖2.2重量%+ブドウ糖2.3重量%+マルチトール22重量%)であり、本件発明3の「全固形分が11重量%以上」に相当する。

iv ショ糖、水飴について
異議2甲14発明2は、水飴を含んでいないが、蔗糖を含んでいる。
したがって、異議2甲14発明2は、本件発明3の「水飴を実質的に含まず、ショ糖を含」むものに相当する。

v したがって、本件発明3と異議2甲14発明2とは、「水飴を実質的に含まず、ショ糖を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、果糖を含むことを特徴とする、ゲル状食品(ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く)」点で一致し、以下の点で相違する。

相違点3−1(異議2甲14発明2):ゲル状食品が、本件発明3では、乳を含むものであるのに対し、異議2甲14発明2では、乳を含まないものである点

相違点3−2(異議2甲14発明2):ゲル状食品が、本件発明3では、果糖を4重量%以上含むものであるのに対し、異議2甲14発明2では、果糖を2.2%含むものである点

(b)判断
相違点3−1(異議2甲14発明1)及び相違点3−2(異議2甲14発明1)は、前記a(a)に記載の相違点3−1(異議2甲14発明2)及び相違点3−2(異議2甲14発明2)と同様である。
そうすると、前記a(b)で述べたとおりであるから、本件発明3は異議2甲14に記載された発明であるとはいえず、また、異議2甲14に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

c 小括
したがって、本件発明3は、異議2甲14に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議2甲14に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

(ウ)本件発明5について
本件発明5は、本件発明3を引用しさらに技術的に特定するものであるから、本件発明3と同様に、異議2甲14に記載された発明とはいえないので、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議2甲14に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

ト 異議2甲15を主引例とする場合(申立2理由3に対応するものを含む)

(ア)異議2甲15に記載された発明
異議2甲15の実験例6(異議2甲15c)の記載より、以下の発明が記載されていると認められる。
「ジェランガム(三栄源FFI社製)0.7kg、キサンタンガム0.2kg、ローカストビーンガム0.2kg、グラニュー糖20kg、ぶどう糖6kg、ビタミンC0.4kg、クエン酸0.4kg、ピロリン酸カリウム0.2kg、クエン酸ナトリウム0.3kg、乳酸カルシウム0.3kg、ブルーベリーエキス0.3kg、香料適量、色素適量を120Lの水に分散させ調製して得られたブルーベリーエキス入りのゼリー飲料」の発明(以下「異議2甲15発明」という。)

(イ)本件発明3について

a 異議2甲15発明との対比
(a)異議2甲15発明の「ブルーベリーエキス入りのゼリー飲料」は、本件発明3の「ゲル状食品」に相当する。

(b)ブドウ糖、果糖について
異議2甲15発明は、「ぶどう糖6kg」含んでおり、異議2甲15発明の全体の重量は、149kg[=ジェランガム(三栄源FFI社製)0.7kg+キサンタンガム0.2kg+ローカストビーンガム0.2kg+グラニュー糖20kg+ぶどう糖6kg+ビタミンC0.4kg+クエン酸0.4kg+ピロリン酸カリウム0.2kg+クエン酸ナトリウム0.3kg+乳酸カルシウム0.3kg+ブルーベリーエキス0.3kg+水120kg]であるから、異議2甲15発明は、ぶどう糖を4.0重量%(=100×6kg/149kg)含んでいるといえる。
異議2甲15発明には、果糖は含まれていない。
そうすると、異議2甲15発明の「ぶどう糖6kg」と、本件発明3の「果糖を4重量%以上含む」「ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く」とは、「ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く」点で共通する。

(c)全固形分について
異議2甲15発明の全固形分の重量kgは、少なくとも29kg[=ジェランガム(三栄源FFI社製)0.7kg+キサンタンガム0.2kg+ローカストビーンガム0.2kg+グラニュー糖20kg+ぶどう糖6kg+ビタミンC0.4kg+クエン酸0.4kg+ピロリン酸カリウム0.2kg+クエン酸ナトリウム0.3kg+乳酸カルシウム0.3kg+ブルーベリーエキス0.3kg]であり、重量%で表すと、19.5重量%(=100×29kg/149kg)といえる。
そうすると、異議2甲15発明は、本件発明3の「全固形分が11重量%以上」のものに相当する。

(d)ショ糖、水飴について
異議2甲15発明は、水飴を含んでいないが、ショ糖(「グラニュー糖20kg」)を含んでいる。
したがって、異議2甲15発明は、本件発明3の「水飴を実質的に含まず、ショ糖を含」むものに相当する。

(e)したがって、本件発明3と異議2甲15発明とは、「水飴を実質的に含まず、ショ糖を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品(ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く)」点で一致し、以下の点で相違する。

相違点3−1(異議2甲15発明):ゲル状食品が、本件発明3では、乳を含むものであるのに対し、異議2甲15発明では、乳を含まないものである点

相違点3−2(異議2甲15発明):ゲル状食品が、本件発明3では、果糖を4重量%以上含むものであるのに対し、異議2甲15発明では、果糖を含まないものである点

b 判断
事案に鑑み、相違点3−2(異議2甲15発明)を先に検討する。
異議2甲15発明は、果糖を含まないものであり、本件発明3の「果糖を4重量%以上含む」ものとは異なるものである。
したがって、他の相違点を検討するまでもなく、相違点3−2(異議2甲15発明)は実質的な相違点であるから、本件発明3は異議2甲15に記載された発明であるとはいえない。

また、異議2甲15発明は、簡易かつ短時間で得ることができるゼリー飲料を提供するという課題の下、温度変化によりゾルからゲルに転移するハイドロコロイドのゲル化温度以上に調整された該ハイドロコロイド溶液と前記ハイドロコロイドのゲル化温度以下に調整された水溶液を撹拌混合してゲル化温度以下にすることにより得られるゼリー飲料の具体例である(異議2甲15a〜異議2甲15c)。
異議2甲15には、ゼリー飲料に含有させる糖類について、実施の態様として、特段の記載はなされていない。
異議2甲15発明は、糖類として、「グラニュー糖20kg」及び「ぶどう糖6kg」を含むものであるが、そのような異議2甲15発明において、果糖を4重量%以上含むようにしようという動機付けがあるとは認められない。
そして、本件発明3の効果は、本件明細書の段落【0008】の記載及び実施例(【0016】〜【0026】)の記載より理解されるように、ゲル状食品に製造において、特定の糖類を一定濃度添加することにより、ゲル状食品の風味・味質を損なうことなく、恒温工程における耐熱性菌の増殖を抑制することができることであり、異議1甲2〜異議2甲20の記載を踏まえても、本件発明3の効果は、予測し得ない顕著なものといえる。
したがって、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明3は、異議2甲15に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

c 小括
したがって、本件発明3は、異議2甲15に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議2甲15に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

(ウ)本件発明5及び6について
本件発明5及び6は、本件発明3を引用しさらに技術的に特定するものであるから、本件発明3と同様に、異議2甲15に記載された発明とはいえないので、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議2甲15に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

ナ 異議2甲16を主引例とする場合(申立2理由3に対応するものを含む)

(ア)異議2甲16に記載された発明
異議2甲16の実施例中の配合例58(異議2甲16c)の記載より、以下の発明が記載されていると認められる。
「ダイズタンパク質のサーモリシン加水分解物(コラプラスTMN)10重量%、卵黄20重量%、砂糖2重量%、果糖3重量%、牛乳32重量%、ゼラチン1重量%、寒天1重量%、グルコマンナン1重量%、生クリーム30重量%及びバニラエッセンス少量を用いて作製されたババロア」の発明(以下「異議2甲16発明」という。)

(イ)本件発明3について

a 異議2甲16発明との対比
(a)異議2甲16発明の「ババロア」は、本件発明3の「ゲル状食品」に相当する。

(b)異議2甲16発明の「牛乳32重量%」は、本件発明3の「乳」に相当する。

(c)ブドウ糖、果糖について
異議2甲16発明は、「果糖3重量%」含んでおり、ブドウ糖は含まれていない。
そうすると、異議2甲16発明は、本件発明3の「ブドウ糖及び/又は果糖を1重量%以上含む」及び「ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く」ものに相当する。

(d)全固形分について
異議2甲16発明の全固形分の重量kgは、少なくとも38重量%(=コラプラスTMN10重量%+卵黄20重量%+砂糖2重量%+果糖3重量%+ゼラチン1重量%+寒天1重量%+グルコマンナン1重量%)といえる。
そうすると、異議2甲16発明は、本件発明3の「全固形分が11重量%以上」のものに相当する。

(e)ショ糖、水飴について
異議2甲16発明は、水飴を含んでいないが、ショ糖(「砂糖2重量%」)を含んでいる。
したがって、異議2甲16発明は、本件発明3の「水飴を実質的に含まず、ショ糖を含」むものに相当する。

(f)したがって、本件発明3と異議2甲16発明とは、「水飴を実質的に含まず、ショ糖を含み、乳を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品(ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く)」点で一致し、以下の点で相違する。

相違点3−1(異議2甲16発明):本件発明3は、果糖を4重量%以上含むものであるのに対し、異議2甲16発明は、果糖を4重量%以上含むものではない点

b 判断
相違点3−1(異議2甲16発明)を検討すると、異議2甲16発明は、果糖を3重量%含むものであり、4重量%以上含むものではないから、相違点3−1(異議2甲16発明)は実質的な相違点である。
したがって、本件発明3は、異議2甲16に記載された発明であるとはいえない。

また、異議2甲16発明は、糖類として、砂糖2重量%及び果糖3重量%を含むものである。異議2甲16の実施の態様の記載として、「【0031】・・本発明のゲル状食品は・・必要に応じ、糖類(砂糖、果糖、乳糖、グラニュー糖等)・・を含有してもよい」(異議2甲16b)と記載されているが、異議2甲16発明において、糖類である砂糖2重量%及び果糖3重量%のうち、果糖に着目し、果糖3重量%に代えてさらに増加した4重量%含ませようとする動機付けがあるとは認められない。
また、本件発明3の効果は、本件明細書の段落【0008】の記載及び実施例(【0016】〜【0026】)の記載より理解されるように、ゲル状食品に製造において、特定の糖類を一定濃度添加することにより、ゲル状食品の風味・味質を損なうことなく、恒温工程における耐熱性菌の増殖を抑制することができることであり、そのような効果は、異議1甲2〜異議2甲20の記載から予測し得ない顕著なものといえる。

c 小括
したがって、本件発明3は、異議2甲16に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議2甲16に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

(ウ)本件発明5及び6について
本件発明5及び6は、本件発明3を引用しさらに技術的に特定するものであるから、本件発明3と同様に、異議2甲16に記載された発明とはいえないので、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議2甲16に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

ニ まとめ
以上より、本件発明1〜6は、異議1甲2〜異議1甲5、異議1甲8、異議2甲1、異議2甲2、異議2甲4〜異議2甲7、異議2甲9〜異議2甲16に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえない。
また、本件発明1〜9は、異議1甲2〜異議1甲5、異議1甲8、異議1甲9、異議2甲1、異議2甲2、異議2甲4〜異議2甲16に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。
よって、当審の通知した取消理由1及び2は解消している。

(2)取消理由3(明確性要件)について

ア (1)本件発明1〜9の「水飴」について
本件出願時の技術常識として、異議2甲19、異議2甲20には、水飴の分類として、水飴に粉飴を含めることが記載されている。異議2甲18において、粉飴と水あめとは、別々の食品番号が付与され表記されているからといって、水飴に粉飴を含めると理解することができないとはいえない
以上のとおり、本件発明1〜9の「水飴」は、粉飴を含むものを意味すると理解され、当該記載は明確であるといえる。

イ (2)本件発明1〜9の「実質的に含まず」について
本件出願時の技術常識として、「形式的」「名目的」な場合を排除する用語本来の意味で使用されているものと理解され、計量可能な範囲で含まないことを意味すると理解すること自然であり、特許請求の範囲の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。
したがって、本件発明1〜9の「実質的に含まず」は、明確である。

ウ まとめ
したがって、本件発明1〜9は、明確であるといえ、特許法第36条第6項第2号に適合するものである。
よって、本件発明1〜9に係る特許は、特許法第36条第6項に規定する要件を満たすものであるから、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものではなく、当審の通知した取消理由3は解消している。

2 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立ての理由についての判断

(1)新規性及び進歩性について

ア 申立1理由1〜申立1理由8において、前記1で検討したもの以外について

(ア)異議1甲2を主引例とする場合(本件発明2〜5の進歩性について)

a 本件発明2と異議1甲2発明(前記1(1)イ(ア))との対比・判断
(a)本件発明2と異議1甲2発明との相違点は、以下のとおりである。
相違点2−1(異議1甲2発明):ゲル状食品について、本件発明2は、水飴を含むものであり、ブドウ糖と果糖を合計量で10%以上含むゲル状食品を除くものであるのに対し、異議1甲2発明は、水飴を含むものではなく、ブドウ糖と果糖との合計量が10%以上含むゲル状食品である点

(b)相違点2−1(異議1甲2発明)を検討すると、異議1甲2発明は容器入り炭酸ガス含有ソフトゼリー状飲料の具体例であり、異議1甲2には、実施の態様として、炭酸ガス含有飲料として美味なものを提供するため、甘味剤としての糖類を加えることが好ましいこと、糖類としては果糖ブドウ糖液糖が特に好ましいこと(異議1甲2b)が記載され、実際に、異議1甲2発明には、果糖ブドウ糖液糖が含まれている。
このように、異議1甲2発明は、美味なものを提供するため、甘味剤として既に特に好ましい果糖ブドウ糖液糖が含まれているものであるが、さらに、特定の種類の甘味剤に着目し含ませたり、特定種類の甘味剤の含有量を特定範囲内にしようとする動機付けがあるとは認められない。
また、本件発明2の効果は、本件発明1の効果と同じであるから、前記1(1)イ(イ)bで述べたように、異議1甲2〜異議2甲20の記載より当業者が予測し得たものとはいえない。

b 本件発明3と異議1甲2発明との対比・判断
(a)本件発明3と異議1甲2発明との相違点は、以下のとおりである。
相違点3−1(異議1甲2発明):ゲル状食品について、本件発明3は、乳を含むものであるのに対し、異議1甲2発明は、乳を含むものではない点
相違点3−2(異議1甲2発明):ゲル状食品について、本件発明3は、ブドウ糖4,11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除くものであるのに対し、異議1甲2発明は、ブドウ糖4.70重量%及び果糖6.49重量%含むゲル状食品である点

(b)相違点3−1(異議1甲2発明)は、前記1(1)イ(イ)aで述べた、相違点1−1(異議1甲2発明)と同じであり、前記1(1)イ(イ)bで述べたとおりであるから、本件発明3は、他の相違点を検討するまでもなく、異議1甲2に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

c 本件発明4及び5について
本件発明4及び5は、本件発明2又は3を引用しさらに技術的に特定するものであるから、本件発明2及び3と同様に、異議2甲1に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえない。

d 小括
したがって、本件発明2〜5は、異議1甲2に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえない。

(イ)異議1甲3を主引例とする場合(本件発明2〜5の進歩性について)

a 本件発明2と異議1甲3発明1又は2(前記1(1)ウ(ア))との対比・判断

(a)本件発明2と異議1甲3発明1との対比・判断
i 本件発明2と異議1甲3発明1との相違点は、以下のとおりである。
相違点2−1(異議1甲3発明1):ゲル状食品について、本件発明2は、ショ糖を実質的に含まないものであるのに対し、異議1甲3発明1は、ショ糖を含むものである点
相違点2−2(異議1甲3発明1):ゲル状食品について、本件発明2は、ブドウ糖と果糖を合計量で10%以上含むゲル状食品を除くものであるのに対し、異議1甲3発明1は、ブドウ糖と果糖との合計量が10%以上含むゲル状食品である点
相違点2−3(異議1甲3発明1):ゲル状食品について、本件発明2は、水飴を含むものであるのに対し、異議1甲3発明1は、水飴を含むものではない点

ii 相違点2−1(異議1甲3発明1)を検討すると、この相違点は前記1(1)ウ(イ)a(a)で述べた相違点1−1(異議1甲3発明1)と同じである。
そうすると、前記1(1)ウ(イ)aで述べたとおりであるから、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明2は、異議1甲3に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(b)本件発明2と異議1甲3発明2との対比・判断
i 本件発明2と異議1甲3発明2との相違点は、以下のとおりである。
相違点2−1(異議1甲3発明2):ゲル状食品について、本件発明2は、ブドウ糖と果糖を合計量で10%以上含むゲル状食品を除くものであるのに対し、異議1甲3発明1は、ブドウ糖と果糖との合計量が10%以上含むゲル状食品である点
相違点2−2(異議1甲3発明2):ゲル状食品について、本件発明2は、水飴を含むものであるのに対し、異議1甲3発明2は、水飴を含むものではない点

ii 相違点2−2(異議1甲3発明2)について検討する。
異議1甲3発明2は、異議1甲3の実施例に対する比較例の発明である。一般に、比較例は、実施例と比較する目的で構成されているものであり、その構成を変えると実施例との比較ができなくなるので、比例例の構成を変えようという動機付けがあるとは認められない。
そうすると、比較例の発明である異議1甲3発明2において、比較例の構成を変える、水飴を含むようにしようとする動機付けがあるとは認められない。
したがって、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明2は、異議1甲3に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(c)以上より、本件発明2は、異議1甲3に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

b 本件発明3と異議1甲3発明1又は2との対比・判断

(a)本件発明3と異議1甲3発明1との対比・判断
i 本件発明3と異議1甲3発明1との相違点は、以下のとおりである。
相違点3−1(異議1甲3発明1):ゲル状食品について、本件発明3は、乳を含むものであるのに対し、異議1甲3発明1は、乳を含むものではない点
相違点3−2(異議1甲3発明1):ゲル状食品について、本件発明3は、ブドウ糖4,11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除くものであるのに対し、異議1甲3発明1は、ブドウ糖4,11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品である点

ii 相違点3−2(異議1甲3発明1)について検討すると、異議1甲3発明1はゼリー様飲料の具体例であり、異議1甲3には、実施の態様として、「必要に応じて従来高知の同種ゼリー食品の如く・・ショ糖、グラニュー糖、粉糖、液糖等の甘味料・・等を適宜添加しても何ら差し支えない」(異議1甲3b)と記載されているが、実際に、異議1甲3発明1には、果糖ブドウ糖液糖の他に、1/5濃縮オレンジ果汁中にも各種糖が含まれているものである。
そのような異議1甲3発明1において、甘味料としてさらに特定の種類の糖に着目し含ませたり、特定種類の糖の含有量を特定範囲内にしようとする動機付けがあるとは認められない。
また、本件発明3の効果は、本件発明1の効果と同じであるから、異議1甲2〜異議2甲20の記載より当業者が予測し得たものとはいえない。

(b)本件発明3と異議1甲3発明2との対比・判断
i 本件発明3と異議1甲3発明2との相違点は、以下のとおりである。
相違点3−1(異議1甲3発明2):ゲル状食品について、本件発明3は、乳を含むものであるのに対し、異議1甲3発明2は、乳を含むものではない点
相違点3−2(異議1甲3発明2):ゲル状食品について、本件発明3は、ブドウ糖4,11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除くものであるのに対し、異議1甲3発明1は、ブドウ糖4,11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品である点
相違点3−3(異議1甲3発明2):ゲル状食品について、本件発明3は、ショ糖を含むものであるのに対し、異議1甲3発明2は、ショ糖を含むものではない点

ii 相違点3−1(異議1甲3発明2)について検討すると、異議1甲3発明2は、異議1甲3の実施例に対する比較例の発明であるから、その構成を変えると実施例との比較ができなくなるので、比例例の構成を変えようという動機付けがあるとは認められない。
そうすると、比較例の発明である異議1甲3発明2において、比較例の構成を変える、乳を含むようにしようとする動機付けがあるとは認められない。
したがって、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明3は、異議1甲3に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(c)以上より、本件発明3は、異議1甲3に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえない。

c 本件発明4及び5について
本件発明4及び5は、本件発明2又は3を引用しさらに技術的に特定するものであるから、本件発明2及び3と同様に、異議1甲3に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえない。

d なお、申立人1は、申立書1の36頁12行〜42頁17行において、異議1甲3の実施例2に記載の発明も認定しているが、本件発明のどの発明と対比・判断しているのか明らかでなく、「(4)本件発明2〜5は甲3の記載から自明である」の項(申立書1の41頁下から3行〜42頁11行)の主張に関連するかもしれないと推測される。
そこで、異議1甲3の実施例2(【0010】)の記載より、「グルコマンナン0.14重量%、カッパーカラギーナン0.03重量%、上白糖19.0重量%、クエン酸0.26重量%、クエン酸ナトリウム0.225重量%、塩化カリウム0.23重量%、パイナップルフレーバー0.3重量%、水残量の配合割合で原料を用いて得られた、ゼリー様飲料」の発明(以下「異議1甲3発明3」という。)と認定した上で、本件発明2〜5の進歩性について検討したが、異議1甲3発明3は、水飴、果糖及び乳を含まず、且つ、ショ糖を19重量%含むものであることから、異議1甲3発明3及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が本件発明2〜5を容易に発明をすることができたものとは認められない。

e 小括
したがって、本件発明2〜5は、異議1甲3に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえない。

(ウ)異議1甲4を主引例とする場合(本件発明1、2、4の進歩性について)

a 本件発明1と異議1甲4発明(前記1(1)エ(ア))との対比・判断
(a)本件発明1と異議1甲4発明との相違点は、以下のとおりである。
相違点1−1(異議1甲4発明):ゲル状食品について、本件発明1は、乳を含むものであるのに対し、異議1甲4発明は、乳を含むものではない点
相違点1−2(異議1甲4発明):ゲル状食品について、本件発明1は、ショ糖を含まないものであるのに対し、異議1甲4発明は、ショ糖を含むものである点

(b)相違点1−2(異議1甲4発明)を検討すると、異議1甲4には、実施の態様として、「・・必要に応じて糖類等の他の原料を溶解する・・」(異議1甲4b)と記載されてはいる。
しかしながら、異議1甲4発明は、ストロベリースムージー風飲料において、甘味料として、果糖ブドウ糖液糖、砂糖、いちご5倍濃縮果汁中の各種糖類を含むものであり、そのようなストロベリースムージー風飲料において、ショ糖のみに着目し、含ませないようにしようとする動機付けがあるとは認められない。
また、本件発明1の効果は、本件発明3の効果と同じであるから、異議1甲2〜異議2甲20の記載より当業者が予測し得たものとはいえない

(c)したがって、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明1は、異議1甲4に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえない。

b 本件発明2と異議1甲4発明(前記1(1)エ(ア))との対比・判断
(a)本件発明2と異議1甲4発明との相違点は、以下のとおりである。
相違点2−1(異議1甲4発明):ゲル状食品について、本件発明2は、水飴を含み、果糖を4重量%以上含むものであるのに対し、異議1甲4発明は、水飴を含むものではなく、果糖も4重量%以上含むものではない点

(b)相違点2−1(異議1甲4発明)を検討すると、前記aで検討したように、異議1甲4発明は、ストロベリースムージー風飲料において、甘味料として、果糖ブドウ糖液糖、砂糖、いちご5倍濃縮果汁中の各種糖類を含むものであり、そのようなストロベリースムージー風飲料において、他の種類の甘味料をさらに含ませようとしたり、また、含まれている特定種類の糖類を特定含有量以上にしようとする動機付けがあるとは認められない。
また、本件発明2の効果は、本件発明1の効果と同じであるから、異議1甲2〜異議2甲20の記載より当業者が予測し得たものとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえない。

c 本件発明4について
本件発明4は、本件発明2を引用しさらに技術的に特定するものであるから、本件発明2と同様に、異議1甲4に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえない。

(エ)異議1甲6を主引例とする場合(本件発明1〜6の進歩性について)

a 異議1甲6に記載された発明
異議1甲6の実施例1(【0031】〜【0032】)の記載より、以下の発明が記載されていると認められる。
「砂糖5部、果糖ブドウ糖液糖10部、グレープフルーツ冷凍果汁(ブリックス45°)2部、グレープフルーツさのう50部、ゲル化剤(ゲルアップ※J−3027*注1))0.6部、クエン酸(無水)N*0.18部、クエン酸三ナトリウムF*0.1部、乳酸カルシウム0.1部、色素(サンエロー※NO.2AU*)0.005部、香料(フルーツフレーバーTB*)0.1部、香料(マルチハンサー※NO.1*)0.05部、香料(グレープフルーツフレーバーNO.21−B*)0.1部、水にて合計100部のゼリー処方により調製された容器グレープフルーツゼリー」の発明(以下「異議1甲6発明」という。)

b 本件発明1と異議1甲6発明との対比・判断
(a)本件発明1と異議1甲6発明との相違点は、以下のとおりである。
相違点1−1(異議1甲6発明):ゲル状食品について、本件発明1は、乳を含むものであるのに対し、異議1甲6発明は、乳を含むものではない点
相違点1−2(異議1甲6発明):ゲル状食品について、本件発明1は、果糖5重量%以上のゲル状食品を除くものであるのに対し、異議1甲6発明は、果糖5重量%以上のゲル状食品である点

(b)相違点1−2(異議1甲6発明)を検討すると、異議1甲6発明は不溶性素材が均一に分散し果肉食感を有するゼリー(異議1甲6a)の具体例であり、異議1甲6には、実施の態様として、甘味料としては従来甘味料として公知のものがいずれも使用できること、従来甘味料として、砂糖、果糖、ブドウ糖、水飴をはじめ各種公知の甘味料が例示され、甘味料の配合割合としては、特に制限されず、甘味度が3〜30となるように配合するのが好ましいことは記載されている(異議1甲6b)。
異議1甲6発明は、甘味料として、砂糖5部、果糖ブドウ糖液糖10部の他、グレープフルーツ冷凍果汁やグレープフルーツさのう中に各種糖を含むものであるが、そのようなグレープフルーツゼリーにおいて、敢えて果糖に着目し、その果糖を特定量以上含むものを除こうとする動機付けがあるとは認められない。
また、本件発明1の効果は、ゲル状食品に製造において、特定の糖類を一定濃度添加することにより、ゲル状食品の風味・味質を損なうことなく、恒温工程における耐熱性菌の増殖を抑制することができることであり、異議1甲2〜異議2甲20の記載を踏まえても、このような効果を当業者が予測し得たものとはいえない。

(c)したがって、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明1は、異議1甲6に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえない。

c 本件発明2と異議1甲6発明との対比・判断
(a)本件発明2と異議1甲6発明との相違点は、以下のとおりである。
相違点2−1(異議1甲6発明):ゲル状食品について、本件発明2は、ショ糖を実質的に含まず、水飴を含むものであるのに対し、異議1甲6発明は、ショ糖を含み、水飴を含むものではない点

(b)相違点2−1(異議1甲6発明)を検討すると、前記bで検討したように、甘味料について実施の態様として前述のような記載はあるが、異議1甲6発明において、特定の甘味料に着目し、既に5部も含まれている砂糖を実質的に含まないようにした上で、さらに敢えて水飴を含むようにしようとする動機付けがあるとは認められない。
また、本件発明2の効果は、異議1甲2〜異議2甲20の記載より当業者が予測し得たものとはいえない。

(c)したがって、本件発明2は、異議1甲6に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえない。

d 本件発明3と異議1甲6発明との対比・判断
(a)本件発明3と異議1甲6発明との相違点は、以下のとおりである。
相違点3−1(異議1甲6発明):ゲル状食品について、本件発明3は、乳を含むものであるのに対し、異議1甲6発明は、乳を含むものではない点
相違点3−2(異議1甲6発明):ゲル状食品について、本件発明3は、ブドウ糖4,11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除くものであるのに対し、異議1甲6発明は、ブドウ糖4,11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品である点

(b)相違点3−2(異議1甲6発明)を検討すると、前記bで検討したように、甘味料について実施の態様として前述のような記載はあるが、異議1甲6発明において、特定種類の糖に着目し、ブドウ糖4.11重量%以上のもの、及び、果糖5.35重量%以上のものを共に除こうとする動機付けがあるとは認められない。
また、本件発明3の効果は、ゲル状食品に製造において、特定の糖類を一定濃度添加することにより、ゲル状食品の風味・味質を損なうことなく、恒温工程における耐熱性菌の増殖を抑制することができることであり、異議1甲2〜異議2甲20の記載を踏まえても、このような効果を当業者が予測し得たものとはいえない。

(c)したがって、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明3は、異議1甲6に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえない。

d 本件発明4〜6について
本件発明4〜6は、本件発明1〜3のいずれかを引用しさらに技術的に特定するものであるから、本件発明1〜3と同様に、異議1甲6に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえない。

(オ)異議1甲8を主引例とする場合(本件発明1〜9の進歩性について)

a 異議1甲8に記載された発明
異議1甲8の実施例3(【0039】〜【0040】)の記載より、以下の発明が記載されていると認められる。
「大豆多糖類(SM−1200*)0.4部、脱脂粉乳0.3部、クエン酸(無水)pH3.8まで、4倍濃縮マスカット透明果汁0.3部、果糖ブドウ糖液糖9.0部、グラニュー糖2.5部、スクラロース(サンスイート※SU−100*)0.02部、キサンタンガム(サンエース※NXG-S*)0.03部、カラギナン0.06部、ローカストビーンガム0.06部、寒天0.1部、香料(マスカットフレーバーNO.21−B*)0.1部、交換水にて全量100部として調製された、マスカット味のドリンクゼリー」の発明(以下「異議1項8発明1」という。)

b 本件発明1と、異議1甲8発明1又は異議1甲8発明2(前記1(1)カ(ア))との対比・判断

(a)本件発明1と異議1甲8発明1との対比・判断
i 本件発明1と異議1甲8発明1との相違点は、以下のとおりである。
相違点1−1(異議1甲8発明1):ゲル状食品について、本件発明1は、乳を含むものであるのに対し、異議1甲8発明1は、乳を含むものではない点
相違点1−2(異議1甲8発明1):ゲル状食品について、本件発明1は、ブドウ糖を4重量%以上含むものであるのに対し、異議1甲8発明1は、ブドウ糖を4重量%以上含むものではない点
相違点1−3(異議1甲8発明1):ゲル状食品について、本件発明1は、全固形分が11重量%以上であるのに対し、異議1甲8発明1は、全固形分が11重量%以上ではない点

ii 相違点1−2(異議1甲8発明1)を検討すると、異議1甲8発明1は、甘味料として、果糖ブドウ糖液糖9.0部、グラニュー糖2.5部、スクラロース(サンスイート※SU−100*)0.02部、及び、4倍濃縮マスカット透明果汁0.3部(この中のブドウ糖並びに果糖)を含むものであり、ブドウ糖含有量は、2.62部[=果糖ブドウ糖液糖のブドウ糖2.55部(=9.0部×0.283)+4倍濃縮オレンジ果汁のブドウ糖0.067部(=0.3部×4×0.056)]と算出されるものである。
このような異議1甲8発明1において、敢えてブドウ糖に着目し、そのブドウ糖を4重量%という特定量以上含むものとしようという動機付けがあるとは認められない。
また、本件発明1の効果は、異議1甲2〜異議2甲20の記載より当業者が予測し得たものとはいえない。

(b)本件発明1と異議1甲8発明2との対比・判断
i 本件発明1と異議1甲8発明2との相違点は、以下のとおりである。
相違点1−1(異議1甲8発明2):ゲル状食品について、本件発明1は、乳を含むものであるのに対し、異議1甲8発明2は、乳を含むものではない点
相違点1−2(異議1甲8発明2):ゲル状食品について、本件発明1は、ブドウ糖を4重量%以上含むものであるのに対し、異議1甲8発明2は、ブドウ糖を4重量%以上含むものではない点

ii 相違点1−1(異議1甲8発明2)及び相違点1−2(異議1甲8発明2)は、前記相違点1−1(異議1甲8発明1)及び相違点1−2(異議1甲8発明1)と同じであるから、前記(a)で述べたとおりである。

(c)したがって、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明1は、異議1甲8に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえない。

c 本件発明2と、異議1甲8発明1又は異議1甲8発明2(前記1(1)カ(ア))との対比・判断

(a)本件発明2と異議1甲8発明1との相違点・判断
i 本件発明2と異議1甲8発明1との相違点は、以下のとおりである。
相違点2−1(異議1甲8発明1):ゲル状食品について、本件発明2は、ショ糖を実質的に含まず、水飴を含むものであるのに対し、異議1甲8発明1は、ショ糖を含み、水飴を含むものではない点
相違点2−2(異議1甲8発明1):ゲル状食品について、本件発明2は、果糖を4重量%以上含むものであるのに対し、異議1甲8発明1は、果糖を4重量%以上含むものではない点
相違点2−3(異議1甲8発明1):ゲル状食品について、本件発明2は、全固形分が11重量%以上であるのに対し、異議1甲8発明1は、全固形分が11重量%以上ではない点

ii 相違点2−1(異議1甲8発明1)を検討すると、異議1甲8発明1において、特定の甘味料に着目し、既に2.5部も含まれている砂糖を実質的に含まないようにした上で、さらに敢えて水飴を含むようにしようとする動機付けがあるとは認められない。
また、本件発明2の効果は、異議1甲2〜異議2甲20の記載より当業者が予測し得たものとはいえない。

(b)本件発明2と異議1甲8発明2との相違点・判断
i 本件発明2と異議1甲8発明2との相違点は、以下のとおりである。
相違点2−1(異議1甲8発明2):ゲル状食品について、本件発明2は、ショ糖を実質的に含まず、水飴を含むものであるのに対し、異議1甲8発明2は、ショ糖を含み、水飴を含むものではない点
相違点2−2(異議1甲8発明2):ゲル状食品について、本件発明2は、果糖を4重量%以上含むものであるのに対し、異議1甲8発明2は、果糖を4重量%以上含むものではない点

ii 相違点2−1(異議1甲8発明2)及び相違点2−2(異議1甲8発明2)は、前記相違点2−1(異議1甲8発明1)及び相違点2−2(異議1甲8発明1)と同じであるから、前記(a)で述べたことと同様である。

(c)したがって、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明2は、異議1甲8に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえない。

d 本件発明3と異議1甲8発明1との対比・判断
(a)本件発明3と異議1甲8発明1との相違点は、以下のとおりである。
相違点3−1(異議1甲8発明1):ゲル状食品について、本件発明3は、乳を含むものであるのに対し、異議1甲8発明1は、乳を含むものではない点
相違点3−2(異議1甲8発明1):ゲル状食品について、本件発明3は、果糖を4重量%以上含むものであり、かつ、ブドウ糖4,11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除くものであるのに対し、異議1甲8発明1は、果糖を4重量%以上含むものではなく、かつ、ブドウ糖4,11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品でもない点
相違点3−3(異議1甲8発明1):ゲル状食品について、本件発明3は、全固形分が11重量%以上であるのに対し、異議1甲8発明1は、全固形分が11重量%以上ではない点

ii 相違点3−2(異議1甲8発明1)を検討すると、異議1甲8発明1は、甘味料として、果糖ブドウ糖液糖9.0部、グラニュー糖2.5部、スクラロース(サンスイート※SU−100*)0.02部、及び、4倍濃縮マスカット透明果汁0.3部(この中のブドウ糖並びに果糖)を含むものであり、果糖含有量は、3.62部[=果糖ブドウ糖液糖の果糖3.55部(=9.0部×0.394)+4倍濃縮オレンジ果汁の果糖0.073部(=0.3部×4×0.06)]と算出されるものである。
このような異議1甲8発明1において、敢えて果糖及びショ糖に着目し、果糖を4重量%という特定量以上含むものとした上で、ブドウ糖及び果糖の含有量が特定量以上のものを除こうという動機付けがあるとは認められない。
また、本件発明3の効果は、異議1甲2〜異議2甲20の記載より当業者が予測し得たものとはいえない。

したがって、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明3は、異議1甲8に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえない。

e 本件発明4〜6について
本件発明4〜6は、本件発明1〜3のいずれかを引用しさらに技術的に特定するものであるから、本件発明1〜3と同様に、異議1甲8に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえない。

f なお、申立人1は、令和3年11月4日提出の意見書1の17頁表1下1行〜32頁6行において、新たに異議1甲8の実施例1〜2に記載の発明を異議1甲8発明3と認定し、また、前記異議1甲8発明1を異議1甲8発明4とし、本件発明3は、それぞれの発明に基いて容易に想到し得る旨、さらに、新たに、本件発明7〜9は異議1項8発明2の製造方法に基いて容易に想到し得る旨を主張しているが、前記述べてきたように、本件発明1〜9の効果は、ゲル状食品に製造において、特定の糖類を一定濃度添加することにより、ゲル状食品の風味・味質を損なうことなく、恒温工程における耐熱性菌の増殖を抑制することができることであり、そのような効果は、異議1甲2〜異議2甲20の記載を踏まえても、当業者が予測し得たものとはいえない以上、本件発明3、7〜9も、異議1甲8に記載の各発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。

g 小括
したがって、本件発明1〜9は、異議1甲8に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえない。

(カ)異議1甲9を主引例とする場合(本件発明1、2、4の進歩性について)

a 本件発明1と、異議1甲9発明1又は異議1甲9発明2(共に前記1(1)キ(ア))との対比・判断

(a)本件発明1と異議1甲9発明1との対比・判断
i 本件発明1と異議1甲9発明1との相違点は、以下のとおりである。
相違点1−1(異議1甲9発明1):ゲル状食品について、本件発明1は、乳を含むものであるのに対し、異議1甲9発明1は、乳製品を含むものである点
相違点1−2(異議1甲9発明1):ゲル状食品について、本件発明1は、ショ糖を含まず、ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含むものであるのに対し、異議1甲9発明1は、ショ糖を含み、ブドウ糖及び果糖を含むものではない点

ii 相違点1−2(異議1甲9発明1)を検討すると、異議1甲9発明1は、ショ糖を含まないものではなく、相違点1−1(異議1甲9発明1)は実質的な相違点である。

また、異議1甲9の実施の態様の記載として、多数列挙されている糖類の中から、敢えてショ糖、ブドウ糖及び果糖に着目し、ショ糖を含ませず、代わりにブドウ糖又は果糖をそれぞれ特定量含ませようとすること、さらに、砂糖と、ブドウ糖又は果糖とでは甘味度が異なることも踏まえると、異議1甲9発明1の「砂糖・・5.9重量%」に代えて、ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%果糖を4重量%以上含有させることを当業者が容易に想到し得るとは必ずしもいえない。

また、本件発明1は、ゲル状食品に製造において耐熱性菌の増殖を抑制し、かつ最終製品の風味に影響を及ぼすことがないゲル状食品を提供しようという課題の下、ゲル状食品の製造工程内で、原材料ベースミックスに特定の糖類を一定濃度以上添加することにより、当該課題を解決したものである。
他方、異議1甲9発明1は、ゲル状食品の製造工程において、雑菌の増殖を合理的に抑制することのできる方法、詳細には、原材料の風味を損なうことなく、製造段階における雑菌、特に高温状態に耐性のある芽胞菌の増殖を抑制することができる方法により製造されるゲル状食品を提供しようという課題の下(異議1甲9b)、ゲル状食品の製造途中の恒温工程におけるミックスの水分活性を所定の値に制御することにより、当該課題を解決したものである。
そうすると、本件発明1と異議1甲9発明1とは、同様の課題の下、解決手段が異なる発明と理解されるが、当該課題を解決している異議1甲9発明1において、さらに同様の課題を解決しょうという動機付けがあるとは認められず、含有する糖類の種類及びその含有量を特定する、「ショ糖を含まず、ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含むもの」にしようという動機付けがあるとは認められない。

したがって、他の相違点及び本件発明1の奏する効果について検討するまでもなく、本件発明1は、異議1甲9に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。

(b)本件発明1と異議1甲9発明2との対比・判断
i 本件発明1と異議1甲9発明2との相違点は、以下のとおりである。
相違点1−1(異議1甲9発明2):ゲル状食品について、本件発明1は、乳を含むものであるのに対し、異議1甲9発明2は、乳製品を含むものである点
相違点1−2(異議1甲9発明2):ゲル状食品について、本件発明1は、ショ糖を含まず、ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含むものであるのに対し、異議1甲9発明2は、ショ糖を含み、ブドウ糖及び果糖を含むものではない点

ii 相違点1−1(異議1甲9発明2)及び相違点1−2(異議1甲9発明2)は、前記相違点1−1(異議1甲9発明1)及び相違点1−2(異議1甲9発明1)と同じであるから、前記(a)で述べたとおりである。

(c)したがって、本件発明1は、異議1甲9に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえない。

c 本件発明2と、異議1甲9発明1又は異議1甲9発明2(共に前記1(1)キ(ア))との対比・判断

(a)本件発明2と異議1甲9発明1との相違点・判断
i 本件発明2と異議1甲9発明1との相違点は、以下のとおりである。
相違点2−1(異議1甲9発明1):ゲル状食品について、本件発明2は、ショ糖を実質的に含まず、水飴を含むものであるのに対し、異議1甲9発明1は、ショ糖を含み、水飴を含むものではない点
相違点2−2(異議1甲9発明1):ゲル状食品について、本件発明2は、果糖を4重量%以上含むものであるのに対し、異議1甲9発明1は、果糖を4重量%以上含むものではない点

ii 相違点2−1(異議1甲9発明1)及び相違点2−2(異議1甲9発明1)を纏めて検討すると、異議1甲9の実施の態様の記載として、多数列挙されている糖類の中から、敢えてショ糖、水飴及び果糖に着目し、ショ糖を含ませず、代わりに水飴及び果糖を含ませようとすること、さらに、異議1甲9発明1の「砂糖・・5.9重量%」に代えて、水飴を含ませた上で、果糖を4重量%以上含有させようとする動機付けがあるとは認められない。
また、本件発明2と異議1甲9発明1とは、同様の課題の下、解決手段が異なる発明と理解されるが、当該課題を解決している異議1甲9発明1において、さらに同様の課題を解決しょうという動機付けがあるとは認められず、含有する糖類の種類及びその含有量を特定する、「ショ糖を含まず、水飴を含み」「果糖を4重量%以上含む」ものにしようという動機付けがあるとも認められない。
したがって、本件発明2は、異議1甲9に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。

(b)本件発明2と異議1甲9発明2との相違点・判断
i 本件発明2と異議1甲9発明2との相違点は、以下のとおりである。
相違点2−1(異議1甲9発明2):ゲル状食品について、本件発明2は、ショ糖を実質的に含まず、水飴を含むものであるのに対し、異議1甲9発明2は、ショ糖を含み、水飴を含むものではない点
相違点2−2(異議1甲9発明2):ゲル状食品について、本件発明2は、果糖を4重量%以上含むものであるのに対し、異議1甲9発明2は、果糖を4重量%以上含むものではない点

ii 相違点2−1(異議1甲9発明2)及び相違点2−2(異議1甲9発明2)は、前記相違点2−1(異議1甲9発明1)及び相違点2−2(異議1甲9発明1)と同じであるから、前記(a)で述べたことと同様である。

(c)したがって、本件発明2は、異議1甲9に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえない。

c 本件発明4について
本件発明4は、本件発明2を引用しさらに技術的に特定するものであるから、本件発明2と同様に、異議1甲9に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえない。

(キ)申立書1の「8.理由8:甲2から甲9に基づく進歩性欠如」(72頁9〜18行)の主張について
申立人1は、申立書1の「8.理由8:甲2から甲9に基づく進歩性欠如」(72頁9〜18行)において、本件発明1〜9は、異議1甲2〜異議1甲9に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである旨を主張している。
しかしながら、前記(イ)〜(カ)で述べたように、本件発明1〜9の効果は、ゲル状食品に製造において、果糖やブドウ糖、あるいはその混合物を一定濃度以上添加することにより、ゲル状食品の風味・味質を損なうことなく、恒温工程における耐熱性菌の増殖を抑制することができることであり、そのような効果は、異議1甲2〜異議2甲20の記載を踏まえても、当業者が予測し得たものとはいえない以上、本件発明1〜9は、異議1甲2〜異議1甲9に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえない。

イ 申立2の新規性及び進歩性に関する申立理由において、前記1で検討したもの以外について

(ア)異議2甲3を主引例とする場合(本件発明1、6の新規性進歩性について)

a 異議2甲3に記載された発明
異議2甲3の実施例1(【0016】〜【0017】)の記載より、以下の発明が記載されていると認められる。
「ホエープロテイン6.00000%、トレハロース4.20000%、マルトデキストリン3.60000%、異性化糖F−42(75%糖)12.00000%、クエン酸(無水)0.06000%、85%リン酸0.46000%、寒天0.42000%、グアーガム0.06000%、処理水73.20000%で合計100.0000%とする処方により調製された容器充填ゲル状組成物」の発明(以下「異議2甲3発明」という。)

b 本件発明1と異議2甲3発明との対比・判断
(a)異議2甲3発明の「異性化糖F−42(75%糖)」における糖組成が不明であり、この中に含まれているショ糖、ブドウ糖及び果糖の含有の有無・含有量を確認・算出することができないため、本件発明1と異議2甲3発明との相違点は、以下のとおりである。
相違点1−1(異議2甲3発明):ゲル状食品について、本件発明1は、乳を含むものであるのに対し、異議2甲3発明は、乳を含むものではない点
相違点1−2(異議2甲3発明):ゲル状食品について、本件発明1は、ショ糖を実質的に含まず、ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含むものであり、ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品及び果糖5重量%以上のゲル状食品を除くものであるのに対し、異議2甲3発明は、そのような糖の組成であるか明らかでない点

(b)相違点1−2(異議2甲3発明)を検討すると、異議2甲3発明における、ショ糖、ブドウ糖及び果糖の含有の有無・含有量について、異議2甲3発明の「異性化糖F−42(75%糖)」における糖組成が不明であり、この中に含まれているショ糖、ブドウ糖及び果糖の含有の有無・含有量を確認・算出することができないため、異議2甲3発明が、ショ糖を実質的に含まず、ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含むものであり、ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品及び果糖5重量%以上のゲル状食品を除くものであるかどうかは不明である。
したがって、相違点1−2(異議2甲3発明)は実質的な相違点でないとはいえないから、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明1は異議2項3に記載された発明であるとはいえない。

また、異議2甲3発明は、ホエープロテインを含むゲル状組成物でありながら、透明感と粒感を有するゲル状組成物(異議2甲3b)の具体例であり、異議2甲3には、実施の態様として、糖質としては特に限定されず、各種単糖類、二糖類、水飴、糖アルコール、オリゴ糖、デキストリン等を使用できることが記載され、含有量は特段記載はなされていない(異議2甲3b)。
異議2甲3発明は、糖質として、トレハロース4.20000%、マルトデキストリン3.60000%及び異性化糖F−42(75%糖)12.00000%を含むものであるが、そのようなゲル状食品において、糖質として、敢えてショ糖、ブドウ糖及び果糖に着目し、ショ糖を含まず、ブドウ糖又は果糖を特定量含むが、ブドウ糖及び果糖を特定量以上含むものを除こうとする動機付けがあるとは認められない。
また、本件発明1の効果は、本件明細書の段落【0008】の記載及び実施例(【0016】〜【0026】)の記載より理解されるように、ゲル状食品に製造において、特定の糖類を一定濃度添加することにより、ゲル状食品の風味・味質を損なうことなく、恒温工程における耐熱性菌の増殖を抑制することができることであり、そのような効果は、異議1甲2〜異議2甲20の記載から当業者が予測し得たものとはいえない。

(c)したがって、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明1は、異議2甲3に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議2甲3に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

c 本件発明6について
本件発明6は、本件発明1を引用しさらに技術的に特定するものであるから、本件発明1と同様に、異議2甲3に記載された発明とはいえないので、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議2甲3に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえない。

(イ)異議2甲8を主引例とする場合(本件発明1、6の新規性進歩性について)

a 異議2甲8に記載された発明
異議2甲8の実施例8(異議2甲8c)の記載より、以下の発明が記載されていると認められる。
「ゲル化剤膨張抑制剤としてグルコース10重量%、ゲル化剤としてカラギナン0.21重量%、ローカストビーンガム0.22重量%及びコンニャク澱粉0.29751重量%、副原料として塩化カリウム0.0765重量%、水性媒体として水89.19599重量%を用いて調製した調合液」(以下「異議2甲8発明」という。)

b 本件発明1と異議2甲8発明との対比・判断
(a)本件発明1と異議2甲8発明との相違点は、以下のとおりである。
相違点1−1(異議2甲8発明):本件発明1は、乳を含むものであるのに対し、異議2甲8発明は、乳を含むものではない点
相違点1−2(異議2甲8発明):本件発明1は、全固形分が11重量%以上のものであるのに対し、異議2甲8発明は、全固形分が11重量%以上のものではない点
相違点1−3(異議2甲8発明):本件発明1は、ゲル状食品であるのに対し、異議2甲8発明は、調合液である点

(b)相違点1−2(異議2甲8発明)を検討すると、異議2甲8発明は、全固形分が10.80重量%(=100重量%ー89.19599重量%)であり、11重量%以上ではないから、相違点1−2(異議2甲8発明は実質的な相違点である。
したがって、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明1は、異議2甲8に記載された発明であるとはいえない。

また、異議2甲8発明は、ゲル化剤を水性媒体へ分散して調合液を調製する際に、ゲル化剤の膨潤による調合液の粘度上昇を抑制し、かつ熱履歴によるゲル化剤の分解を抑制して安定したゲル強度を付与するためのゲル化剤膨潤抑制剤を提供しようという課題を解決すべく発明された、融解熱が−5.0cal/g以下の糖質甘味料を含有するゲル化剤膨潤抑制剤(異議2甲8発明では、グルコース10重量%)及びゲル化剤(異議2甲8発明では、カラギナン0.21重量%、ローカストビーンガム0.22重量%及びコンニャク澱粉0.29751重量%)を含有するゼリー状食品用の調合液の具体例であり、当該課題を解決しているものである。
そのような異議2甲8発明において、水以外の全固形分を増加させようという動機付けがあるとは認められない。ましてや、水以外の全固形分として、グルコースすなわちブドウ糖に着目した場合、ブドウ糖含有量が10.41重量%以上とならないようにしようという動機付けがあるとも認められない。
また、本件発明1の効果は、本件明細書の段落【0008】の記載及び実施例(【0016】〜【0026】)の記載より理解されるように、ゲル状食品に製造において、特定の糖類を一定濃度添加することにより、ゲル状食品の風味・味質を損なうことなく、恒温工程における耐熱性菌の増殖を抑制することができることであり、そのような効果は、異議1甲2〜異議2甲20の記載から当業者が予測し得たものとはいえない。

(c)したがって、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明1は、異議2甲8に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議2甲8に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

c 本件発明6について
本件発明6は、本件発明1を引用しさらに技術的に特定するものであるから、本件発明1と同様に、異議2甲8に記載された発明とはいえないので、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえず、また、異議2甲8に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

ウ 申立人1の令和3年11月4日提出の意見書15頁1行〜53頁11行における新たな主張(進歩性)について
申立人1は、令和3年11月4日提出の意見書15頁1行〜53頁11行において、以下の点を新たに主張(進歩性)している。
(ア)異議1甲8において、新たに実施例1及び2の記載を指摘し、異議1甲8発明3及び異議1甲8発明4を新たな発明としてそれぞれ認定し、本件発明3、5、6は、異議1甲8発明3又は異議1甲8発明4に基いて当業者が容易に発明をすることができた旨。
(イ)異議1甲8において、異議1甲8発明2の製造方法を新たな発明として認定した上で、新たに異議1甲19を提出し、本件発明7〜9は、異議1甲8発明2の製造方法及び異議1甲19に記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができた旨。
(ウ)異議2甲4において、新たに実施例5、実施例6、比較例5及び比較例6の記載を指摘し、異議2甲4発明1〜異議2甲4発明4を新たな発明としてそれぞれ認定し、本件発明1は、これらの発明に基いて当業者が容易に発明をすることができた旨。
(エ)新たに異議1甲21を提出し、異議1甲21の実施例2の記載に基づき、新たに異議1甲21発明1を認定し、本件発明3、6は、異議1甲21発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができた旨。
(オ)新たに異議1甲22を提出し、異議1甲22の実施例1の記載に基づき、新たに異議1甲22発明1を認定し、本件発明3は、異議1甲22発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができた旨。

しかしながら、今まで述べてきたように、結局のところ、本件発明1〜9の効果は、ゲル状食品に製造において、特定の糖類を一定濃度添加することにより、ゲル状食品の風味・味質を損なうことなく、恒温工程における耐熱性菌の増殖を抑制することができることであり、そのような効果は、異議1甲2〜異議2甲20の記載から当業者が予測し得たものとはいえない以上、前記(ア)〜(オ)の主張について、本件発明1、3、5〜9は、異議1甲8、異議2甲4、異議1甲21、異議1甲22に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

エ まとめ
以上より、本件発明1〜6は、異議2甲3、異議2甲8に記載された発明とはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものとはいえない。
また、本件発明1〜9は、異議1甲2〜異議1甲4、異議1甲6、異議1甲8、異議1甲9、異議1甲21、異議1甲22、異議2甲2、異議2甲4、異議2甲8に記載された発明及び異議1甲2〜異議2甲20に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

(2)実施可能要件について

ア (ア)発明の詳細な説明の試験例(【0016】〜【0021】)には、本件発明1〜9の具体例(本件発明1、3、5、6において乳を含まないもの)として、
・甘味料としてショ糖及び水飴を含まず、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含むもの(ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品及び果糖5重量%以上のゲル状食品を除く)を製造し、
・甘味料としてショ糖を含まず、水飴を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、果糖を4重量%以上含むもの(ただし、ブドウ糖と果糖を合計量で10%以上含むゲル状食品を除く)を製造し、並びに、
・甘味料として水飴を含まず、ショ糖を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、果糖を4重量%以上含むもの(ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く)を製造し、
それぞれ恒温工程における複数種類の耐熱性菌の増殖の増殖を抑制できることを、具体的に確認したことが記載されている。
したがって、当業者は本件発明2、4、6(の内、本件発明2及び4を引用している発明)〜9を、当業者に通常期待し得る程度を超える過度の試行錯誤なく実施できるといえる。

(イ)発明の詳細な説明には、使用されるゲル状食品の原材料として、「【0011】本発明において、ベースミックスとは目的とした食品を製造するための原材料混合物であり、実際に使用される原材料は特に限定されず、例えば乳・乳製品・・などを主原料とすることができる」と記載され、実施例1(【0022】、【0024】〜【0026】)には、ゲル状食品であるプリンの製造において、原材料として脱脂粉乳及びクリーム(共に「乳製品」)を用い、耐熱性菌の増殖を抑制し、かつ最終製品の風味は良好であることを具体的に確認したことが記載されている。
そうすると、試験例の記載のようにゲル状食品を製造すれば、耐熱性菌の増殖を抑制し、かつ最終製品の風味は良好なゲル状食品を製造できることが理解できる。
そして、実施の態様に、使用されるゲル状食品の原材料として「乳・乳製品」として記載され、実施例1においてゲル状食品の原材料として「乳製品」を用いた場合、耐熱性菌の増殖を抑制し、かつ最終製品の風味は良好であることを具体的に確認した記載を踏まえれば、当業者は、「乳製品」と同等に例示されている「乳」を用いた本件発明1、3、5、6(の内、本件発明1、3及び5を引用している発明)を、当業者に通常期待し得る程度を超える過度の試行錯誤なく実施できるといえる。

イ 申立1の理由9:「水分活性」について
本件発明1〜9は、発明特定事項として水分活性や抗微生物活性はなく、糖の含有組成を技術的特徴とする発明である。上記アで述べたように、当業者は本件発明1〜9を、当業者に通常期待し得る程度を超える過度の試行錯誤なく実施できるといえる以上、糖の種類及び濃度を変化させる一方、水分活性については一定値から変化させずに実施する必要性はなく、当業者は本件発明1〜9を、当業者に通常期待し得る程度を超える過度の試行錯誤なく実施できるといえる。

ウ 申立2の理由6:「水飴」について(申立人2の令和3年11月2日提出の意見書2頁2行〜3頁13行の主張も同様。)
前記1(2)アで述べたように、本件発明1〜9の「水飴」は、粉飴を含むものを意味すると理解され、本件発明1〜9の「水飴」として、当業者は粉飴を含む水飴を使用できることが理解できるから、当業者は本件発明1〜9を、当業者に通常期待し得る程度を超える過度の試行錯誤なく実施できるといえる。

エ まとめ
したがって、発明の詳細な説明の記載は、本件発明1〜9を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載したものであるといえる。
よって、本件発明1〜9に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たすものであるから、同法第113条第4号の規定により取り消すことができない。

(3)サポート要件について

ア 特許法第36条第6項第1号の判断の前提について
特許法第36条第6項は、「第二項の特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。」と規定し、その第1号において「特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。」と規定している。同号は、明細書のいわゆるサポート要件を規定したものであって、特許請求の範囲の記載が明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものとされている。
以下、この観点に立って、判断する。

イ 特許請求の範囲の記載
前記第3に記載したとおりである。

ウ 発明の詳細な説明の記載
発明の詳細な説明には、背景技術(【0002】〜【0004】)、発明が解決しようとする課題(【0005】〜【0006】)、試験例及び試験例・実施例(【0016】〜【0026】)が記載されている。

エ 判断

(ア)本件発明1〜9の課題について
発明の詳細な説明の、背景技術(【0002】〜【0004】)、発明が解決しようとする課題(【0005】〜【0006】)、試験例及び試験例・実施例(【0016】〜【0026】)からみて、本件発明1〜6の解決しようとする課題は、ゲル状食品の製造において耐熱性菌の増殖を抑制し、かつ最終製品の風味に影響を及ぼすことがないゲル状食品を提供すること、及び、本件発明7〜9の解決しようとする課題は、ゲル状食品の製造において耐熱性菌の増殖を抑制し、かつ最終製品の風味に影響を及ぼすことがないゲル状食品の製造方法を提供することであると認める。

(イ)発明の詳細な説明の試験例(【0016】〜【0021】)には、本件発明1〜9の具体例(本件発明1、3、5、6において乳を含まないもの)として、
・甘味料としてショ糖及び水飴を含まず、全固形分が11重量%以上(複数種類の重量%)のゲル状食品であって、ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含むもの(ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品及び果糖5重量%以上のゲル状食品を除く)を製造し、
・甘味料としてショ糖を含まず、水飴を含み、全固形分が11重量%以上(複数種類の重量%)のゲル状食品であって、果糖を4重量%以上含むもの(ただし、ブドウ糖と果糖を合計量で10%以上含むゲル状食品を除く)を製造し、並びに、
・甘味料として水飴を含まず、ショ糖を含み、全固形分が11重量%以上(複数種類の重量%)のゲル状食品であって、果糖を4重量%以上含むもの(ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く)を製造し、
それぞれ恒温工程における複数種類の耐熱性菌の増殖の増殖を抑制できることを、具体的に確認したことが記載されている。

そして、発明の詳細な説明には、使用されるゲル状食品の原材料として、「【0011】本発明において、ベースミックスとは目的とした食品を製造するための原材料混合物であり、実際に使用される原材料は特に限定されず、例えば乳・乳製品・・などを主原料とすることができる」と記載され、実施例1(【0022】、【0024】〜【0026】)には、ゲル状食品であるプリンの製造において、原材料として脱脂粉乳及びクリーム(共に「乳製品」)を用い、耐熱性菌の増殖を抑制し、かつ最終製品の風味は良好であることを具体的に確認したことが記載されている。

そうすると、試験例の記載のようにゲル状食品を製造すれば、耐熱性菌の増殖を抑制できることを製造できることを考慮に入れると、実施の態様に、使用されるゲル状食品の原材料として「乳・乳製品」として記載され、実施例1においてゲル状食品の原材料として「乳製品」を用いた場合、耐熱性菌の増殖を抑制し、かつ最終製品の風味は良好であることを具体的に確認した記載を踏まえれば、発明の詳細な説明の記載に基づいて、本件発明1〜9を実施すれば、ゲル状食品の製造において耐熱性菌の増殖を抑制し、かつ最終製品の風味に影響を及ぼすことがないゲル状食品及びその製造方法を提供できると、当業者は理解でき、本件発明1〜9の前記課題を解決し得ると認識できるといえる。

(ウ)申立人1の理由10:ゲル状食品のpH、耐熱性菌の種類、水分活性について
本件発明の課題は、耐熱性菌の増殖を抑制し、かつ最終製品の風味に影響を及ぼすことがないゲル状食品及びその製造方法を提供することであるところ、本件発明は「【0007】・・ゲル状食品の工程内で、原材料ベースミックスに特定の糖類を一定濃度添加することにより、ベースミックスを比較的長い時間、タンク内に高温下で保持される恒温工程において、耐熱性菌の増殖を抑制できることを見出し」たことに基づいて上記課題を解決した発明であるといえる(【0007】)。
本件明細書には、「【0013】本発明における、耐熱性菌とは原材料や製造環境由来であり、恒温工程、すなわち高温条件下でも増殖することができる芽胞形成菌であり、より詳しくはアノキシバチルス・フラビサーマス(Anoxybacillus flavithermus)やゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)などが挙げられる。・・」と記載されており、耐熱性菌として、アノキシバチルス・フラビサーマス(Anoxybacillus flavithermus)やゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)が挙げられ、試験例(【0016】〜【0021】)では、耐熱性菌の指標として、アノキシバチルス・フラビサーマス(Anoxybacillus flavithermus)やゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)が用いられ、一定の水分活性で増殖の抑制が確認されている。
そうすると、本件発明の課題で増殖を抑制しようとする耐熱性菌とは、アノキシバチルス・フラビサーマス(Anoxybacillus flavithermus)やゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilusなどを中心とする、ゲル状食品の製造における原材料や製造環境由来の、恒温工程、すなわち高温条件下でも増殖することができる種々の芽胞形成菌と理解されるところ、申立人1も主張するとおり、菌の種類によって至適生育pHは異なるから、特定の糖類を一定濃度添加することにより、上記課題を解決した本件発明において、pHを特定することが、課題解決のために必要であるとはいえない。同様に、水分活性についても、菌の種類によって環境の水分に対する振る舞いが異なることが知られている(異議1甲10−1a)から、水分活性の特定が必要であるとはいえない。
そして、実施例では、アノキシバチルス・フラビサーマス(Anoxybacillus flavithermus)やゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilusなどを中心とする、ゲル状食品の製造における原材料や製造環境由来の、恒温工程、すなわち高温条件下でも増殖することができる芽胞形成菌の増殖を、特定の糖類を一定濃度添加することで、一定の水分活性条件下で抑制し、かつ最終製品の風味を確認したところ良好であることを確認していることから、本件発明1〜9は、耐熱性菌の増殖を抑制し、かつ最終製品の風味に影響を及ぼすことがないゲル状食品及びその製造方法を提供できると、当業者は理解できるといえ、本件発明1〜9の前記課題を解決し得ると認識できるといえる。

(エ)申立人2の理由5:主張(1)、(2)、(4)について
前記(イ)で述べたとおりである。

(オ)申立人2の理由5:主張(3)について
訂正により、本件発明2、4、6において、ブドウ糖と果糖を合計量で10%以上含むゲル状食品は除かれた。そして、前記(イ)で述べたとおりである。

(カ)申立人2の令和3年11月2日提出の意見書について
申立人2は、令和3年11月2日提出の意見書3頁14行〜4頁末行において、本件明細書には「乳製品」を使用した実施例は記載されているが、「乳」を使用した実施例はないから、訂正後の本件発明1及び3が前記課題を解決できると認識できない旨、主張している。
しかしながら、前記(イ)で述べたとおりである。

オ まとめ
したがって、本件発明1〜9は発明の詳細な説明に記載したものであるといえ、特許法第36条第6項第1号に適合するものである。
よって、本件発明1〜9に係る特許は、特許法第36条第6項に規定する要件を満たすものであるから、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものではない。

(4)明確性要件について

ア 申立人2の理由4:主張(3)について
本件発明1、6の「ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含む」は、ブドウ糖を4重量%以上含み、かつ、果糖を2重量%以上含む場合が含まれるものであり、明確である。

イ 申立人2の理由4:主張(4)について
訂正前の本件発明2、4、6の「ブドウ糖及び/又は果糖を4重量%以上含む」は、訂正後「果糖を4重量%以上含む」となったので、明確である。

ウ 申立人2の理由4:主張(5)について
訂正前の本件発明3、5、6の「ブドウ糖及び/又は果糖を1重量%以上含む」は、訂正後「果糖を4重量%以上含む」となったので、明確である。

エ まとめ
したがって、本件発明1〜6は、明確であるといえ、特許法第36条第6項第2号に適合するものである。
よって、本件発明1〜6に係る特許は、特許法第36条第6項に規定する要件を満たすものであるから、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものではない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、本件発明1〜9に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由、申立人1及び申立人2が申し立てた理由並びに証拠によっては、取り消すことはできない。
また、他に本件発明1〜9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショ糖及び水飴を実質的に含まず、乳を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含むことを特徴とする、ゲル状食品(ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品及び果糖5重量%以上のゲル状食品を除く)。
【請求項2】
ショ糖を実質的に含まず、水飴を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、果糖を4重量%以上含むことを特徴とする、ゲル状食品(ただし、ブドウ糖と果糖を合計量で10%以上含むゲル状食品を除く)。
【請求項3】
水飴を実質的に含まず、ショ糖を含み、乳を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、果糖を4重量%以上含むことを特徴とする、ゲル状食品(ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く)。
【請求項4】
水飴が1〜30重量%含まれる、請求項2に記載のゲル状食品。
【請求項5】
ショ糖が1〜30重量%含まれる、請求項3に記載のゲル状食品。
【請求項6】
ゲル状食品が、プリン、ムース、ゼリー、ババロア、ヨーグルト、杏仁豆腐、および羊羹から選択される1以上の食品である請求項1〜5のいずれかに記載のゲル状食品。
【請求項7】
以下の(1)〜(3)
(1)ショ糖及び水飴を実質的に含まず、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、ブドウ糖を4重量%以上又は果糖を2重量%以上含むことを特徴とする、ゲル状食品(ただし、ブドウ糖10.41重量%以上のゲル状食品及び果糖8重量%以上のゲル状食品を除く)
(2)ショ糖を実質的に含まず、水飴を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、ブドウ糖及び/又は果糖を4重量%以上含むことを特徴とする、ゲル状食品
(3)水飴を実質的に含まず、ショ糖を含み、全固形分が11重量%以上のゲル状食品であって、ブドウ糖及び/又は果糖を1重量%以上含むことを特徴とする、ゲル状食品(ただし、ブドウ糖4.11重量%以上のゲル状食品及び果糖5.35重量%以上のゲル状食品を除く)
のいずれかに記載のゲル状食品の製造方法であって、
以下の(a)〜(d)の工程を含む、前記製造方法。
(a)ベースミックスを配合して溶解する調合工程、
(b)ベースミックスを加熱殺菌する工程、
(c)殺菌温度よりも低く、ゲル化剤の凝固温度よりも高い温度域でベースミックスを維持する恒温工程、
(d)容器に充填する工程、
【請求項8】
(b)の加熱殺菌工程が75℃以上で15分間以上加熱する工程であり、(c)工程における殺菌温度よりも低く、ゲル化剤の凝固温度よりも高い温度域が45〜75℃である請求項7に記載のゲル状食品の製造方法。
【請求項9】
ゲル状食品が、プリン、ムース、ゼリー、ババロア、ヨーグルト、杏仁豆腐、および羊羹から選択される1以上の食品である請求項7又は8に記載のゲル状食品の製造方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2022-03-28 
出願番号 P2015-122226
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (A23L)
P 1 651・ 536- YAA (A23L)
P 1 651・ 537- YAA (A23L)
P 1 651・ 121- YAA (A23L)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 瀬良 聡機
特許庁審判官 冨永 保
齊藤 真由美
登録日 2020-06-29 
登録番号 6725215
権利者 雪印メグミルク株式会社
発明の名称 ゲル状食品の製造方法及びゲル状食品  
代理人 特許業務法人 もえぎ特許事務所  
代理人 特許業務法人 もえぎ特許事務所  
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