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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A23L
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A23L
審判 全部申し立て 1項2号公然実施  A23L
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A23L
管理番号 1386134
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-07-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-07-20 
確定日 2022-04-22 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6820447号発明「容器詰ビタミン含有飲料、容器詰ビタミン含有飲料の製造方法および容器詰ビタミン含有飲料の臭味のマスキング方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6820447号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1−14〕、15、16について」)訂正することを認める。 特許第6820447号の請求項1〜12、15、16に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6820447号の請求項1ないし16に係る特許についての出願は、令和2年6月10日に特許出願され、令和3年1月6日に特許権の設定登録がされ、同年同月27日にその特許公報が発行され、その後、同年7月20日に、特許異議申立人 芦田 桂(以下「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。
そして、令和3年9月30日付けで当審から取消理由通知が通知され、同年12月1日に訂正請求書及び意見書が提出され、令和4年1月7日付けで当審から特許法120条の5第5項に基づく通知書が出されたものの、特許異議申立人から意見書は提出されなかったものである。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
令和3年12月1日付け訂正請求(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、以下の訂正事項1〜4の訂正を求めるものである。

(1)訂正事項1
訂正事項1は、請求項1の訂正前の「含有する容器詰ビタミン含有飲料」との記載を、「含有し、
飲料の糖度(Brix)が3.0〜15.0であるか、または、飲料のpHが2.5〜5.0である、
容器詰ビタミン含有飲料。」に訂正する。
また、上記訂正事項1による請求項1の訂正によって、請求項1を引用する請求項2〜14についても同様の訂正が行われている。

(2)訂正事項2
訂正事項2は、請求項13を、削除する。

(3)訂正事項3
訂正事項3は、請求項14を、削除する。

(4)訂正事項4
訂正事項4は、請求項15の訂正前の「配合すること、を含む容器詰ビタミン含有飲料の製造方法」との記載を、「配合し、
飲料の糖度(Brix)を3.0〜15.0に調整するか、または、飲料のpHを2.5〜5.0に調整すること、を含む容器詰ビタミン含有飲料の製造方法。」に訂正する。

2 一群の請求項について
訂正事項1に係る訂正前の請求項1〜14について、請求項2〜14はそれぞれ請求項1を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1〜14に対応する訂正後の請求項1〜14に係る本件訂正請求は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に対してされたものである。

3 目的の適否
(1)上記訂正事項1は、請求項1の訂正前の「容器詰ビタミン含有飲料」との記載に、「飲料の糖度(Brix)が3.0〜15.0であるか、または、飲料のpHが2.5〜5.0である」との飲料の糖度(Brix)またはpHの数値範囲に関する技術的限定を追加したものである。
したがって、上記訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、上記訂正事項1による請求項1の訂正によって、請求項1を引用する請求項2〜14についても、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正が行われている。

(2)上記訂正事項2は、請求項13を削除したものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(3)上記訂正事項3は、請求項14を削除したものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(4)上記訂正事項4は、請求項15の訂正前の「容器詰ビタミン含有飲料の製造方法」との記載に、「飲料の糖度(Brix)を3.0〜15.0に調整するか、または、飲料のpHを2.5〜5.0に調整すること」との飲料の糖度(Brix)またはpHを特定数値範囲に調整することに関する技術的限定を追加したものである。
したがって、上記訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

4 新規事項についての判断
(1)訂正事項1について
上記訂正事項1の「飲料の糖度(Brix)が3.0〜15.0であるか、または、飲料のpHが2.5〜5.0である」ことに関しては、訂正前の請求項13、14、【0008】【0037】【0036】に記載されたものであるから、新たな技術的事項を導入したものではないので、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載されているものと認められる。
したがって、訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合している。

(2)訂正事項2について
上記訂正事項2は、請求項13を削除しただけであるから、新たな技術的事項を導入したものではないのは明らかであるので、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載されているものと認められる。
したがって、訂正事項2による訂正も、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合している。

(3)訂正事項3について
上記訂正事項3は、請求項14を削除しただけであるから、新たな技術的事項を導入したものではないのは明らかであるので、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載されているものと認められる。
したがって、訂正事項3による訂正も、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合している。

(4)訂正事項4について
上記訂正事項4の「飲料の糖度(Brix)を3.0〜15.0に調整するか、または、飲料のpHを2.5〜5.0に調整すること」ことに関しては、訂正前の請求項13、14、【0008】【0037】【0036】の記載及び数値範囲の記載から製造方法としては、その数値範囲に調整することは記載されているに等しい事項であるから、新たな技術的事項を導入したものではなく、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載されているものと認められる。
したがって、訂正事項4による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合している。

5 実質上特許請求の範囲の拡張又は変更の有無
(1)訂正事項1について
上記3、4で検討したとおり、訂正事項1は、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載された事項の範囲内において、特許請求の範囲を減縮したものであり、カテゴリーを変更するものでもないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合している。

(2)訂正事項2及び3について
上記3、4で検討したとおり、訂正事項2及び3は、請求項13及び請求項14を削除する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかである。
したがって、訂正事項2及び3による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合している。

(2)訂正事項4について
上記3、4で検討したとおり、訂正事項4も、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載された事項の範囲内において、特許請求の範囲を減縮したものであり、カテゴリーを変更するものでもないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項4による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合している。

6 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1〜14〕、15、16について訂正することを認める。

第3 特許請求の範囲の記載
上記第2で述べたとおり、本件訂正後の請求項〔1〜14〕、15、16について訂正することを認めるので、本件特許の請求項1〜12、15、16に係る発明は、令和3年12月1日付けの訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1〜12、15、16に記載された事項により特定される次のとおりのものである(請求項1〜12、15、16に係る特許発明をそれぞれ、「本件特許発明1」〜「本件特許発明12」、「本件特許発明15」、「本件特許発明16」といい、まとめて「本件特許発明」ともいう。)。

「【請求項1】
ビタミンA、B、C及びEを含有する容器詰ビタミン含有飲料であって、
前記ビタミンBの含有量が10.0〜50.0mg/100gであり、
前記ビタミンCの含有量が498〜1400mg/100gであり、
前記ビタミンA、C、及びEの含有量の和(a)と、前記ビタミンBの含有量(b)と、の比率(a/b)が7.0〜75.0であり、
ビタミン類の総含有量が519.8〜2000mg/100gであり、
柑橘類果汁と、糖酸比25.0以上である高糖酸比果汁と、を含有し、
飲料の糖度(Brix)が3.0〜15.0であるか、または、飲料のpHが2.5〜5.0である、
容器詰ビタミン含有飲料。
【請求項2】
前記ビタミン類は、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸、ビタミンC、ビタミンD及びビタミンEを含む、請求項1に記載の容器詰ビタミン含有飲料。
【請求項3】
前記柑橘類果汁が、オレンジ、シークヮーサー、ミカン、グレープフルーツ、ポンカン、イヨカン及び日向夏からなる群より選択される1種以上からなる果汁である、請求項1又は2に記載の容器詰ビタミン含有飲料。
【請求項4】
前記高糖酸比果汁が、ブドウ、マスカット、白ブドウ、ブルーベリー、リンゴ、モモ、マンゴー、バナナ、イチゴ、西洋ナシ、日本ナシ及びメロンからなる群より選択される1種以上からなる果汁である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の容器詰ビタミン含有飲料。
【請求項5】
前記ビタミンA及びEの含有量の和が1.0〜15.0mg/100gであって、
前記ビタミンA及びEの含有量の和(c)と、前記柑橘類果汁の含有量(d)と、の比率(c/d)が0.05×10−3〜2.00×10−3である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の容器詰ビタミン含有飲料。
【請求項6】
前記ビタミンCの含有量(e)と、前記高糖酸比果汁の含有量(f)と、の比率(e/f)が4.0×10−3〜55.0×10−3である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の容器詰ビタミン含有飲料。
【請求項7】
前記ビタミンA、C、及びEの含有量の和(a)と、ポリフェノール類の含有量(g)と、の比率(a/g)が40.0〜170.0である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の容器詰ビタミン含有飲料。
【請求項8】
前記柑橘類果汁由来のポリフェノール含有量(h)と前記高糖酸比果汁由来のポリフェノール含有量(i)の比率(h/i)が0.1〜3.0である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の容器詰ビタミン含有飲料。
【請求項9】
前記ビタミンCを600〜1200mg/100g含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の容器詰ビタミン含有飲料。
【請求項10】
清涼飲料、果汁飲料、野菜果汁飲料及び炭酸飲料から成る群より選ばれる飲料である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の容器詰ビタミン含有飲料。
【請求項11】
前記柑橘類果汁と前記高糖酸比果汁との合計含有量が10.0質量%以上である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の容器詰ビタミン含有飲料。
【請求項12】
飲料の糖酸比が10.0〜50.0である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の容器詰ビタミン含有飲料。
【請求項13】
(削除)
【請求項14】
(削除)
【請求項15】
ビタミンA、B、C及びEを含有する容器詰ビタミン含有飲料の製造方法であって、
前記ビタミンBの含有量を10.0〜50.0mg/100gに調整し、
前記ビタミンCの含有量を498〜1400mg/100gに調整し、
前記ビタミンA、C、及びEの含有量の和(a)と、前記ビタミンBの含有量(b)と、の比率(a/b)を7.0〜75.0に調整し、
ビタミン類の総含有量を519.8〜2000mg/100gに調整し、
柑橘類果汁と、糖酸比25.0以上である高糖酸比果汁とを配合し、
飲料の糖酸比(Brix)を3.0〜15.0に調整するか、または、飲料のpHを2.5〜5.0に調整すること、
を含む容器詰ビタミン含有飲料の製造方法。
【請求項16】
ビタミンA、B、C及びEを含有する容器詰ビタミン含有飲料の臭味のマスキング方法であって、
前記ビタミンBの含有量を10.0〜50.0mg/100gに調整し、
前記ビタミンCの含有量を498〜1400mg/100gに調整し、
前記ビタミンA、C、及びEの含有量の和(a)と、前記ビタミンBの含有量(b)と、の比率(a/b)を7.0〜75.0に調整し、
ビタミン類の総含有量を519.8〜2000mg/100gに調整し、
柑橘類果汁と、糖酸比25.0以上である高糖酸比果汁とを配合すること、
を含む容器詰ビタミン含有飲料の臭味のマスキング方法。」

第4 取消理由及び特許異議申立理由
1 特許異議申立人が申立てた理由
特許異議申立人が申立てた理由の概要は以下のとおりである。
(1−1)新規性
訂正前の本件の請求項1〜8、10、11、15、および16に係る発明は、本件特許出願前に、電気通信回線を通じて、公衆に利用可能となった下記の甲第2号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の請求項1〜8、10、11、15、および16に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

(1−2)新規性
訂正前の本件の請求項1〜8、10、15、および16に係る発明は、本件特許出願前に電気通信回線を通じて、公衆に利用可能となった下記の甲第4号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の請求項1〜8、10、15、および16に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

(1−3)新規性
訂正前の本件の請求項1〜8、10、15、および16に係る発明は、甲第4号証に基づくと、本件特許出願前に公然実施された発明であって、特許法第29条第1項第2号に該当するから、訂正前の請求項1〜8、10、15、および16に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

(2−1)進歩性
訂正前の請求項1〜16に係る発明は、本件特許出願前に、電気通信回線を通じて、公衆に利用可能となった下記の甲第2号証に記載された発明および日本国内又は外国において、頒布された下記の甲第3号証に記載された技術的事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1〜16に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(2−2)進歩性
訂正前の請求項1〜16に係る発明は、本件特許出願前に、電気通信回線を通じて、公衆に利用可能となった下記の甲第4号証に記載された発明あるいは甲第4号証に基づく公然実施された発明および日本国内又は外国において、頒布された下記の甲第3号証に記載された技術的事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1〜16に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(3)サポート要件
訂正前の請求項1〜16に係る特許は、規定の量でビタミン類を配合し、かつ柑橘類果汁及び高糖酸比果汁を配合することにより、ビタミンA、B、C及びEにそれぞれ由来する臭味を抑制した容器詰ビタミン含有飲料およびその製造方法、並びに容器詰ビタミン含有飲料の臭味のマスキング方法を提供することを目的としているが、本件明細書の発明の詳細な説明を見ても、あらゆる柑橘類果汁及び高糖酸比果汁が、ビタミンA特有の苦み、ビタミンC特有の酸味、及びビタミンE特有の油臭のマスキングに有効であるとは考えられないから、請求項1〜16に係る発明の課題を解決できると当業者が認識できるように記載されておらず、その特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に適合するものではなく、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。


甲第2号証:伊藤園 ビタミン野菜の商品情報、[検索日:2021年5月17日][online]、2017年10月1日(情報更新日)、インターネット<URL:https://www.mognavi.jp/food/883480>
甲第3号証:多田浩子 外1名、市販リンゴ果汁飲料の緩衝能,酸度および糖含量、調理科学、1991年、Vol.24、No.1、p.28〜31
甲第4号証:サンプル百貨店、C1000 1日分のビタミン ベジタブルフルーツミックス味の商品情報、[検索日:2021年5月17日][online]、インターネット<URL:https://www.3ple.jp/pay4ship/item/100000065827>

なお、甲第1号証は、本件特許の特許公報が提出されている。

2 当審が通知した取消理由の概要
理由:(新規性)訂正前の請求項1〜4,10,15に係る発明は、本件特許出願前に日本国内で頒布された甲第3号証を参照すれば、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第2号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、下記の請求項1〜4,10,15に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。



甲第2号証:伊藤園 ビタミン野菜の商品情報,[online],2017年10月1日(情報更新日),インターネット<URL:https://mognavi.jp/food/883480>
甲第3号証:多田浩子 外1名,市販リンゴ果汁飲料の緩衝能,酸度および糖含量,調理科学,Vol.24,No.1,1991年,p.28〜31

なお、甲第3号証は、本願出願時点の技術常識を示す文献である。

第5 当審の判断
当審は、請求項1〜12、15、16に係る特許は、当審の通知した取消理由及び特許異議申立人が申立てた理由によっては、取り消すことはできないと判断する。
理由は以下のとおりである。

1 取消理由についての判断
(1)甲号証の記載
ア 甲第2号証の記載
(1a)「伊藤園 ビタミン野菜 パック200ml」(1/5頁の商品画像横の商品タイトル)

(1b)「

」(1/5頁の伊藤園ビタミン野菜の商品画像)

(1c)「お味は〜爽やかでのみやすいです〜」(2/5頁の2017年9月28日の投稿コメント)

(1d)「野菜と果実が手軽に補える栄養機能食品の野菜飲料
人気の高いビタミンCをはじめとして、ビタミンE、ナイアシン、ビオチンなど計12種類のマルチビタミン1日分と、野菜と果実が手軽に補える栄養機能食品の野菜飲料です。」(2/5頁、「商品情報詳細」の欄)

(1e)2/5頁の「カロリー・栄養成分表示」との表には、[名前,摂取量]として、[ビタミンA(レチノール活性当量),1010μg][ビタミンD,9.0μg][ビタミンE(α−トコフェロール),13.0mg][ビタミンK,2μg][ビタミンB1,2.75mg][ビタミンB2,2.10mg][ナイアシン(ナイアシン当量),18.0mg][ビタミンB6,2.05mg][ビタミンB12,4.5μg][葉酸,450μg][パントテン酸,8.00mg][ビオチン,45.0μg][ビタミンC,1000mg]との記載が示され、「栄養成分1本200mlあたり※一部の栄養素は、平均値を算出して掲載しています。」との記載がある。

(1g)2/5頁の「原材料表示」の欄には、「野菜(にんじん、トマト、有色甘藷、レタス、赤ピーマン、インゲン豆、ケール、ピーマン、白菜、ブロッコリー、セロリ、アスパラガス、かぼちゃ、小松菜、あしたば、パセリ、クレソン、キャベツ、ラディッシュ、ほうれん草、三つ葉)、果実(りんご、オレンジ、うんしゅうみかん、マンゴー、もも、レモン、アセロラ)、V.C、香料、ナイアシン、V.E、パントテン酸Ca、V.B1、V.B6、V.B2、葉酸、V.A、ビオチン、V.D、V.B12」との記載がある。

(1h)「スッキリした味わい!
野菜ジュースの中でも比較的あっさり、さっぱりしていてとても飲みやすく美味しいです♪」(3/5頁、2017年5月14日の投稿コメント)

イ 甲第3号証の記載
(2a)「1)果汁飲料試料
試料は10種の市販リンゴ果汁飲料を用いた。対照として自家製果汁の調製に用いたリンゴはすべて青森県産で,つがる・スターキング・サンふじ・王林・ジョナゴールドの5品種である。」(28頁右欄下から7〜3行)

(2b)「○2(決定注:原文は丸数字。以下同様。)酸度 試料溶液を脱イオン水で1:1に希釈した後0.1N NaOH溶液で指示薬としてフェノールフタレインを用いて滴定を行い,リンゴ酸量として算出した。
○3 糖 糖度(Brix)は,屈折計(アタゴN−20型)を用い,還元糖はソモギー変法11)で,全糖は0.1N HClで加水分解後,0.1N NaOHで中和した液について,ソモギー変法により測定を行った。」(29頁左欄15〜21行)

(2c)30頁の「表1.市販リンゴ果汁飲料および自家製果汁の糖度・酸度およびpH」には、[試料 果汁(%),Brix(%),遊離酸]が、[つがる,12.20,0.19][スターキング,10.60,0.30][サンふじ,14.40,0.42][王林,14.60,0.29][ジョナゴールド,13.40,0.30]との記載がある。

ウ 甲第4号証の記載
(4a)「C1000 1日分のビタミン ベジタブルフルーツミックス味」(商品名の欄)

(4b)「2017年11月04日 ※ご理解のうえお申込みください」(賞味期限の欄)

(4c)「栄養素等表示基準値(2015年版)に基づき、全13種のビタミンを1日分量配合。まろやかですっきりとしたべジタブルフルーツミックス味(果汁10%未満)。どなたにても飲みやすい190g広口ボトル缶です。カロリーオフ設計。
原産国:日本
原材料:果汁(りんご、パインアップル、レモン、オレンジ)、にんじん汁、果糖ぶどう糖液糖/V.C、酸味料、甘味料(スクラロース、アセスルファムK、ソーマチン)、パントテン酸Ca、香料、ナイアシン、V.E、V.B1、V.B2、V.A、V.B6、葉酸、V.K、ビオチン、V.D、V.B12
栄養成分(1缶190g当たり):エネルギー34kcal、たん白質0g、脂質0g、炭水化物8.6g、食塩相当量0.19g、ビタミンA 770μg、ビタミンB1 1.2mg、ビタミンB2 1.4mg、ビタミンB6 1.3mg、ビタミンB12 2.4〜4.4μg、ビタミンC 1000mg、ビタミンD 5.5μg、ビタミンE 6.3mg、ビタミンK 150μg、ナイアシン13mg、パントテン酸4.8〜20mg、葉酸240〜790μg、ビオチン 50μg
アレルギー表示:オレンジ、りんご」(商品詳細の欄)

(2) 甲第2号証記載の発明
ア 摘記(1a)(1b)のとおり、甲第2号証には、「伊藤園 ビタミン野菜 パック200ml」に関して、「野菜と果実が手軽に補える栄養機能食品の野菜飲料」(摘記(1d))として、[ビタミンA(レチノール活性当量),1010μg][ビタミンD,9.0μg][ビタミンE(α−トコフェロール),13.0mg][ビタミンK,2μg][ビタミンB1,2.75mg][ビタミンB2,2.10mg][ナイアシン(ナイアシン当量),18.0mg][ビタミンB6,2.05mg][ビタミンB12,4.5μg][葉酸,450μg][パントテン酸,8.00mg][ビオチン,45.0μg][ビタミンC,1000mg]が「栄養成分1本200mlあたり」含まれていることが示され(摘記(1e))、「野菜(にんじん、トマト、有色甘藷、レタス、赤ピーマン、インゲン豆、ケール、ピーマン、白菜、ブロッコリー、セロリ、アスパラガス、かぼちゃ、小松菜、あしたば、パセリ、クレソン、キャベツ、ラディッシュ、ほうれん草、三つ葉)、果実(りんご、オレンジ、うんしゅうみかん、マンゴー、もも、レモン、アセロラ)、V.C、香料、ナイアシン、V.E、パントテン酸Ca、V.B1、V.B6、V.B2、葉酸、V.A、ビオチン、V.D、V.B12」が「原材料表示」として示されている。

イ したがって、甲第2号証には、以下の発明が記載されているといえる。

「野菜(にんじん、トマト、有色甘藷、レタス、赤ピーマン、インゲン豆、ケール、ピーマン、白菜、ブロッコリー、セロリ、アスパラガス、かぼちゃ、小松菜、あしたば、パセリ、クレソン、キャベツ、ラディッシュ、ほうれん草、三つ葉)、果実(りんご、オレンジ、うんしゅうみかん、マンゴー、もも、レモン、アセロラ)、V.C(ビタミンCの意味、以下同様)、香料、ナイアシン、V.E、パントテン酸Ca、V.B1、V.B6、V.B2、葉酸、V.A、ビオチン、V.D、V.B12を原材料とし、ビタミンA 0.1010mg、ビタミンB1 2.75mg、ビタミンB2 2.10mg、ビタミンB6 2.05mg、ビタミンB12 0.0045mg、ナイアシン 18.0mg、パントテン酸 8.00mg、葉酸 0.450mg、ビオチン 0.0450mg、ビタミンC 1000mg、ビタミンD 0.0090mg、ビタミンE 13.0mgを含む、野菜と果実が手軽に補える栄養機能食品の200mlパック野菜飲料」(以下「甲2発明」という。)

ウ また、甲第2号証において、甲2発明を製造するにあたって、少なくとも原材料を混合し野菜と果実が手軽に補える栄養機能食品の200mlパック野菜飲料が製造されたのは明らかであるから、甲第2号証には、以下の製造方法の発明も記載されているといえる。

「野菜(にんじん、トマト、有色甘藷、レタス、赤ピーマン、インゲン豆、ケール、ピーマン、白菜、ブロッコリー、セロリ、アスパラガス、かぼちゃ、小松菜、あしたば、パセリ、クレソン、キャベツ、ラディッシュ、ほうれん草、三つ葉)、果実(りんご、オレンジ、うんしゅうみかん、マンゴー、もも、レモン、アセロラ)、V.C(ビタミンCの意味、以下同様)、香料、ナイアシン、V.E、パントテン酸Ca、V.B1、V.B6、V.B2、葉酸、V.A、ビオチン、V.D、V.B12を原材料として混合し、ビタミンA 0.1010mg、ビタミンB1 2.75mg、ビタミンB2 2.10mg、ビタミンB6 2.05mg、ビタミンB12 0.0045mg、ナイアシン 18.0mg、パントテン酸 8.00mg、葉酸 0.450mg、ビオチン 0.0450mg、ビタミンC 1000mg、ビタミンD 0.0090mg、ビタミンE 13.0mgを含む、野菜と果実が手軽に補える栄養機能食品の200mlパック野菜飲料を製造した、製造方法」(以下「甲2製造方法発明」という。)

(3) 対比・判断
ア−1 本件特許発明1と甲2発明との対比
甲2発明の「V.C(ビタミンCの意味、以下同様)、」「V.E」「V.B1、V.B6、V.B2、葉酸、V.A、ビオチン、V.D、V.B12を原材料とし」て含み、「ビタミンA 0.1010mg、ビタミンB1 2.75mg、ビタミンB2 2.10mg、ビタミンB6 2.05mg、ビタミンB12 0.0045mg、ナイアシン 18.0mg、パントテン酸 8.00mg、葉酸 0.450mg、ビオチン 0.0450mg、ビタミンC 1000mg、ビタミンD 0.0090mg、ビタミンE 13.0mgを含む、」「200mlパック野菜飲料」は、本件特許発明1の「ビタミンA、B、C及びEを含有する容器詰ビタミン含有飲料」に該当し、甲2発明の「ビタミンB1 2.75mg、ビタミンB2 2.10mg、ビタミンB6 2.05mg、ビタミンB12 0.0045mg、ナイアシン 18.0mg、パントテン酸 8.00mg、葉酸 0.450mg、ビオチン 0.0450mg」は、ビタミンBに該当する8種の成分の合計が、33.3995mgで「200ml」中に含まれるので、飲料の比重がほぼ1であることを考慮すれば、本件特許発明1の「前記ビタミンBの含有量が10.0〜50.0mg/100gであ」ることに該当するといえる。
また、甲2発明の「ビタミンC 1000mg」が、「200ml」中に含まれることは、飲料の比重がほぼ1であることを考慮すれば、本件特許発明1の「前記ビタミンCの含有量が498〜1400mg/100gであ」ることに該当するといえる。
さらに、甲2発明において、「ビタミンA 0.1010mg、ビタミンB1 2.75mg、ビタミンB2 2.10mg、ビタミンB6 2.05mg、ビタミンB12 0.0045mg、ナイアシン 18.0mg、パントテン酸 8.00mg、葉酸 0.450mg、ビオチン 0.0450mg、ビタミンC 1000mg、」「ビタミンE 13.0mgを含む」ことは、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEの含有量の和が1014.010mgで、ビタミンBの含有量が上述のとおり、33.3995mgであることを意味するから、それら比の値は、(ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEの含有量の和)/ビタミンBの含有量=30.36であり、本件特許発明1の「前記ビタミンA、C、及びEの含有量の和(a)と、前記ビタミンBの含有量(b)と、の比率(a/b)が7.0〜75.0であ」ることに該当するといえる。
そして、甲2発明の「ビタミンA 0.1010mg、ビタミンB1 2.75mg、ビタミンB2 2.10mg、ビタミンB6 2.05mg、ビタミンB12 0.0045mg、ナイアシン 18.0mg、パントテン酸 8.00mg、葉酸 0.450mg、ビオチン 0.0450mg、ビタミンC 1000mg、ビタミンD 0.0090mg、ビタミンE 13.0mgを含む」ことは、ビタミンの総含有量が、1047.4185mg/200mlであることを意味するので、飲料の比重がほぼ1であることを考慮すれば、本件特許発明1の「ビタミン類の総含有量が519.8〜2000mg/100gであ」ることに該当するといえる。
甲2発明の原材料として「オレンジ、うんしゅうみかん」「レモン」が含まれることは、本件特許発明1の「柑橘類果汁」を含有することに該当し、甲2発明の「りんご、」「もも」が含まれることは、本件特許発明1の「高糖酸比果汁」を含有することに該当する。

したがって、本件特許発明1と甲2発明とは、「
ビタミンA、B、C及びEを含有する容器詰ビタミン含有飲料であって、
前記ビタミンBの含有量が10.0〜50.0mg/100gであり、
前記ビタミンCの含有量が498〜1400mg/100gであり、
前記ビタミンA、C、及びEの含有量の和(a)と、前記ビタミンBの含有量(b)と、の比率(a/b)が7.0〜75.0であり、
ビタミン類の総含有量が519.8〜2000mg/100gであり、
柑橘類果汁と、高糖酸比果汁と、を含有する容器詰ビタミン含有飲料。」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1−1:高糖酸比果汁について、本件特許発明1が「糖酸比25.0以上である」ことを特定しているのに対して、甲2発明においては、糖酸比25.0以上であることが明らかでない点。
相違点2−1:本件特許発明1が、「飲料の糖度(Brix)が3.0〜15.0であるか、または、飲料のpHが2.5〜5.0である」と特定されているのに対して、甲2発明においては、飲料の糖度(Brix)、または、飲料のpHの範囲が特定されていない点。

イ−1 相違点1−1の判断
甲第3号証の摘記(2a)〜(2c)の記載からみて、市販リンゴ果汁飲料のBrix(%),遊離酸の値が、それぞれ、[つがる,12.20,0.19][スターキング,10.60,0.30][サンふじ,14.40,0.42][王林,14.60,0.29][ジョナゴールド,13.40,0.30]との記載があることから、市販リンゴ果汁飲料の糖酸比は、それぞれ、64.21、35.33、34.29、50.34、44.67であり、代表的なすべてのリンゴ果汁飲料で、糖酸比が25.0以上となっていることが明らかである。
したがって、甲2発明において、リンゴが原材料として用いられ、その糖酸比が25.0以上であることは、技術常識であるから、甲2発明においても、糖酸比25.0以上である高糖酸比果汁が含有されているといえるので、相違点1−1は、実質的な相違点とはいえない。

ウ−1 相違点2−1の判断
甲第2号証は、「伊藤園 ビタミン野菜 パック200ml」の「野菜と果実が手軽に補える栄養機能食品の野菜飲料」に関するもので、甲2発明は、その商品情報の記載から認定されたものである。
そして、甲第2号証には、認定の根拠となった部分以外の記載を参照しても、飲料の糖度(Brix及び飲料のpHに関する記載がなく、当然「飲料の糖度(Brix)が3.0〜15.0であるか、または、飲料のpHが2.5〜5.0である」ことが記載されているに等しい事項であるとはいえない。
また、上記特定事項が、甲2発明において、本件特許の出願時の技術常識であるということもできない。
したがって、相違点2−1は、実質的な相違点である。

エ−1 本件特許発明1と甲2発明との対比判断のまとめ
したがって、本件特許発明1は、甲第2号証に記載された発明であるとはいえない。

ア−2 本件特許発明2と甲2発明との対比
本件特許発明2は、本件特許発明1において、「前記ビタミン類は、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸、ビタミンC、ビタミンD及びビタミンEを含む」ことをさらに特定したものであるが、甲2発明には、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸、ビタミンC、ビタミンD及びビタミンEが含まれているのであるから、新たな相違点とはならないが、本件特許発明2と甲2発明とは、「ビタミンA、B、C及びEを含有する容器詰ビタミン含有飲料であって、
前記ビタミンBの含有量が10.0〜50.0mg/100gであり、
前記ビタミンCの含有量が498〜1400mg/100gであり、
前記ビタミンA、C、及びEの含有量の和(a)と、前記ビタミンBの含有量(b)と、の比率(a/b)が7.0〜75.0であり、
ビタミン類の総含有量が519.8〜2000mg/100gであり、
柑橘類果汁と、高糖酸比果汁と、を含有し、前記ビタミン類は、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸、ビタミンC、ビタミンD及びビタミンEを含む容器詰ビタミン含有飲料。」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1−2:高糖酸比果汁について、本件特許発明2が「糖酸比25.0以上である」ことを特定しているのに対して、甲2発明においては、糖酸比25.0以上であることが明らかでない点。
相違点2−2:本件特許発明2が、「飲料の糖度(Brix)が3.0〜15.0であるか、または、飲料のpHが2.5〜5.0である」と特定されているのに対して、甲2発明においては、飲料の糖度(Brix)、または、飲料のpHの範囲が特定されていない点。

イ−2 判断
したがって、上記ア−1〜エ−1で、本件特許発明1と甲2発明との対比判断をしたとおり、本件特許発明2は、甲第2号証に記載された発明とはいえない。

ア−3 本件特許発明3と甲2発明との対比
本件特許発明3は、本件特許発明1又は2において、「前記柑橘類果汁が、オレンジ、シークヮーサー、ミカン、グレープフルーツ、ポンカン、イヨカン及び日向夏からなる群より選択される1種以上からなる果汁である」ことをさらに特定したものであるが、甲2発明には、オレンジ、うんしゅうみかん(本件特許発明3のミカンに該当する。)が含まれているので、新たな相違点とはならない。

したがって、本件特許発明3と甲2発明とは、以下の点で相違する。

相違点1−3:高糖酸比果汁について、本件特許発明3が「糖酸比25.0以上である」ことを特定しているのに対して、甲2発明においては、糖酸比25.0以上であることが明らかでない点。
相違点2−3:本件特許発明3が、「飲料の糖度(Brix)が3.0〜15.0であるか、または、飲料のpHが2.5〜5.0である」と特定されているのに対して、甲2発明においては、飲料の糖度(Brix)、または、飲料のpHの範囲が特定されていない点。

イ−3 判断
したがって、上記ア−1〜エ−1で、本件特許発明1と甲2発明との対比判断をしたとおり、本件特許発明3は、甲第2号証に記載された発明とはいえない。

ア−4 本件特許発明4と甲2発明との対比
本件特許発明4は、本件特許発明1〜3のいずれか1項記載の発明において、「前記高糖酸比果汁が、ブドウ、マスカット、白ブドウ、ブルーベリー、リンゴ、モモ、マンゴー、バナナ、イチゴ、西洋ナシ、日本ナシ及びメロンからなる群より選択される1種以上からなる果汁である」ことをさらに特定したものであるが、甲2発明には、りんごやももが含まれているので、新たな相違点とはならない。

したがって、本件特許発明4と甲2発明とは、以下の点で相違する。

相違点1−4:高糖酸比果汁について、本件特許発明4が「糖酸比25.0以上である」ことを特定しているのに対して、甲2発明においては、糖酸比25.0以上であることが明らかでない点。
相違点2−4:本件特許発明4が、「飲料の糖度(Brix)が3.0〜15.0であるか、または、飲料のpHが2.5〜5.0である」と特定されているのに対して、甲2発明においては、飲料の糖度(Brix)、または、飲料のpHの範囲が特定されていない点。

イ−4 判断
したがって、上記ア−1〜エ−1で、本件特許発明1と甲2発明との対比判断をしたとおり、本件特許発明4は、甲第2号証に記載された発明とはいえない。

ア−10 本件特許発明10と甲2発明との対比
本件特許発明10は、本件特許発明1〜9のいずれか1項記載の発明において、「清涼飲料、果汁飲料、野菜果汁飲料及び炭酸飲料から成る群より選ばれる飲料である」ことをさらに特定したものであるが、甲2発明は、野菜と果実を原材料とし、野菜と果実が手軽に補える飲料であるから、野菜果汁飲料であり、新たな相違点とはならない。

したがって、本件特許発明10と甲2発明とは、以下の点で相違する。

相違点1−10:高糖酸比果汁について、本件特許発明10が「糖酸比25.0以上である」ことを特定しているのに対して、甲2発明においては、糖酸比25.0以上であることが明らかでない点。
相違点2−10:本件特許発明10が、「飲料の糖度(Brix)が3.0〜15.0であるか、または、飲料のpHが2.5〜5.0である」と特定されているのに対して、甲2発明においては、飲料の糖度(Brix)、または、飲料のpHの範囲が特定されていない点。

イ−10 判断
したがって、上記ア−1〜エ−1で、本件特許発明1と甲2発明との対比判断をしたとおり、本件特許発明10は、甲第2号証に記載された発明とはいえない。

ア−15 本件特許発明15と甲2製造方法発明との対比
甲2製造方法発明の「V.C(ビタミンCの意味、以下同様)、」「V.E」「V.B1、V.B6、V.B2、葉酸、V.A、ビオチン、V.D、V.B12を原材料として」「ビタミンA 0.1010mg、ビタミンB1 2.75mg、ビタミンB2 2.10mg、ビタミンB6 2.05mg、ビタミンB12 0.0045mg、ナイアシン 18.0mg、パントテン酸 8.00mg、葉酸 0.450mg、ビオチン 0.0450mg、ビタミンC 1000mg、ビタミンD 0.0090mg、ビタミンE 13.0mgを含む、」「200mlパック野菜飲料を製造した、製造方法」は、本件特許発明15の「ビタミンA、B、C及びEを含有する容器詰ビタミン含有飲料の製造方法」に該当し、甲2製造方法発明の「原材料として、混合し」「ビタミンB1 2.75mg、ビタミンB2 2.10mg、ビタミンB6 2.05mg、ビタミンB12 0.0045mg、ナイアシン 18.0mg、パントテン酸 8.00mg、葉酸 0.450mg、ビオチン 0.0450mg」を含むことは、ビタミンBに該当する8種の成分の合計が、33.3995mgで「200ml」中に含まれるので、飲料の比重がほぼ1であることを考慮すれば、本件特許発明15の「前記ビタミンBの含有量を10.0〜50.0mg/100gに調整」することに該当するといえる。
また、甲2製造方法発明の「原材料として、混合し」「ビタミンC 1000mg」が、「200ml」中に含まれることは、飲料の比重がほぼ1であることを考慮すれば、本件特許発明15の「前記ビタミンCの含有量を498〜1400mg/100gに調整」することに該当するといえる。
さらに、甲2製造方法発明において、「原材料として、混合し」「ビタミンA 0.1010mg、ビタミンB1 2.75mg、ビタミンB2 2.10mg、ビタミンB6 2.05mg、ビタミンB12 0.0045mg、ナイアシン 18.0mg、パントテン酸 8.00mg、葉酸 0.450mg、ビオチン 0.0450mg、ビタミンC 1000mg、」「ビタミンE 13.0mgを含む」ことは、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEの含有量の和が1014.010mgで、ビタミンBの含有量が上述のとおり、33.3995mgであることを意味するから、それら比の値は、(ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEの含有量の和)/ビタミンBの含有量=30.36であり、本件特許発明15の「前記ビタミンA、C、及びEの含有量の和(a)と、前記ビタミンBの含有量(b)と、の比率(a/b)を7.0〜75.0に調整」することに該当するといえる。
そして、甲2製造方法発明の「原材料として、混合し」「ビタミンA 0.1010mg、ビタミンB1 2.75mg、ビタミンB2 2.10mg、ビタミンB6 2.05mg、ビタミンB12 0.0045mg、ナイアシン 18.0mg、パントテン酸 8.00mg、葉酸 0.450mg、ビオチン 0.0450mg、ビタミンC 1000mg、ビタミンD 0.0090mg、ビタミンE 13.0mgを含む」ことは、ビタミンの総含有量が、1047.4185mg/200mlであることを意味するので、飲料の比重がほぼ1であることを考慮すれば、本件特許発明15の「ビタミン類の総含有量を519.8〜2000mg/100gに調整」することに該当するといえる。
甲2製造方法発明の原材料として「オレンジ、うんしゅうみかん」「レモン」が含まれることは、本件特許発明15の「柑橘類果汁」を配合することに該当し、甲2製造方法発明の「りんご、」「もも」が含まれることは、本件特許発明15の「高糖酸比果汁」を配合することに該当する。
したがって、本件特許発明1と甲2製造方法発明とは、「
ビタミンA、B、C及びEを含有する容器詰ビタミン含有飲料の製造方法であって、
前記ビタミンBの含有量を10.0〜50.0mg/100gに調整し、
前記ビタミンCの含有量を498〜1400mg/100gに調整し、
前記ビタミンA、C、及びEの含有量の和(a)と、前記ビタミンBの含有量(b)と、の比率(a/b)を7.0〜75.0に調整し、
ビタミン類の総含有量を519.8〜2000mg/100gに調整し、
柑橘類果汁と、高糖酸比果汁とを配合すること、
を含む容器詰ビタミン含有飲料の製造方法。」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1−15:高糖酸比果汁について、本件特許発明15が「糖酸比25.0以上である」ことを特定しているのに対して、甲2製造方法発明では、糖酸比25.0以上であることが明らかでない点。
相違点2−15:本件特許発明15が、「飲料の糖度(Brix)を3.0〜15.0に調整するか、または、飲料のpHを2.5〜5.0に調整する」と特定されているのに対して、甲2製造方法発明においては、飲料の糖度(Brix)、または、飲料のpHの調整する範囲が特定されていない点。

イ−15 相違点1−15の判断
本件特許発明1と甲2発明の相違点1−1で検討したのと同様に、甲第3号証の摘記(2a)〜(2c)の記載からみて、市販リンゴ果汁飲料のBrix(%),遊離酸の値が、それぞれ、[つがる,12.20,0.19][スターキング,10.60,0.30][サンふじ,14.40,0.42][王林,14.60,0.29][ジョナゴールド,13.40,0.30]との記載があることから、市販リンゴ果汁飲料の糖酸比は、それぞれ、64.21、35.33、34.29、50.34、44.67であり、代表的なすべてのリンゴ果汁飲料で、糖酸比が25.0以上となっていることが明らかである。
したがって、甲2製造方法発明において、リンゴが原材料として用いられ、その糖酸比が25.0以上であることは、技術常識であるから、甲2製造方法発明においても、糖酸比25.0以上である高糖酸比果汁が配合されているといえるので、相違点1−15は、実質的な相違点とはいえない。

ウ−1 相違点2−1の判断
甲第2号証は、「伊藤園 ビタミン野菜 パック200ml」の「野菜と果実が手軽に補える栄養機能食品の野菜飲料」に関するもので、甲2製造方法発明は、その商品情報の記載から認定されたものである。
そして、甲第2号証には、認定の根拠となった部分以外の記載を参照しても、飲料の糖度(Brix及び飲料のpHに関する記載がなく、当然「飲料の糖度(Brix)を3.0〜15.0に調整するか、または、飲料のpHを2.5〜5.0に調整する」ことが記載されているに等しい事項であるとはいえない。
また、上記特定事項が、甲2製造方法発明において、本件特許の出願時の技術常識であるということもできない。
したがって、相違点2−15は、実質的な相違点である。

エ−1 本件特許発明15と甲2製造方法発明との対比判断のまとめ
したがって、本件特許発明15は、甲第2号証に記載された発明であるとはいえない。

(4)取消理由についての判断のまとめ
以上のとおり、本件特許発明1〜4、10、15は、甲第2号証に記載された発明ではなく、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものではない。
したがって、取消理由は、本件訂正によって解消し、理由がない。

取消理由に採用しなかった特許異議申立人が申立てた理由について(一部採用したものも含め記載)

1 申立理由((1−1)、(1−2))(特許法第29条第1項第3号)、申立理由(1−3)(特許法第29条第1項第2号)、申立理由((2−1)、(2−2))(特許法第29条第2項)について

(1)特許異議申立人の申立てた甲第2号証に基づく新規性進歩性の理由(申立理由(1−1)(取消理由の通知されなかった本件特許発明5〜8、11、16について)、(2−1))について
ア 本件特許発明1と甲2発明(甲第2号証に記載された発明)との対比
前記取消理由の判断の1(3)ア−1で、本件特許発明1と甲2発明との対比において、検討したとおり、
本件特許発明1と甲2発明とは、「 ビタミンA、B、C及びEを含有する容器詰ビタミン含有飲料であって、
前記ビタミンBの含有量が10.0〜50.0mg/100gであり、
前記ビタミンCの含有量が498〜1400mg/100gであり、
前記ビタミンA、C、及びEの含有量の和(a)と、前記ビタミンBの含有量(b)と、の比率(a/b)が7.0〜75.0であり、
ビタミン類の総含有量が519.8〜2000mg/100gであり、
柑橘類果汁と、高糖酸比果汁と、を含有する容器詰ビタミン含有飲料。」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1−1:高糖酸比果汁について、本件特許発明1が「糖酸比25.0以上である」ことを特定しているのに対して、甲2発明においては、糖酸比25.0以上であることが明らかでない点。
相違点2−1:本件特許発明1が、「飲料の糖度(Brix)が3.0〜15.0であるか、または、飲料のpHが2.5〜5.0である」と特定されているのに対して、甲2発明においては、飲料の糖度(Brix)、または、飲料のpHの範囲が特定されていない点。

イ 相違点1−1及び相違点2−1の判断
a 相違点1−1について、甲2発明において、リンゴが原材料として用いられ、その糖酸比が25.0以上であることは、甲第3号証を参照すれば理解できるように、技術常識であるから、甲2発明においても、糖酸比25.0以上である高糖酸比果汁が含有されているといえるので、相違点1−1は、実質的な相違点とはいえないことはすでに述べたとおりである。

b 一方、相違点2−1については、甲第2号証は、「伊藤園 ビタミン野菜 パック200ml」の「野菜と果実が手軽に補える栄養機能食品の野菜飲料」に関するもので、甲2発明は、その商品情報の記載から認定されたものであり、甲第2号証には、認定の根拠となった部分以外の記載を参照しても、飲料の糖度(Brix及び飲料のpHに関する記載がなく、当然「飲料の糖度(Brix)が3.0〜15.0であるか、または、飲料のpHが2.5〜5.0である」ことに関しては、記載も示唆もなく、本件特許出願時の技術常識でないのだから、実質的な相違点であることはすでに述べたとおりである。
また、甲2発明は、上記のとおり商品情報から認定した発明であり、商品として確立したものであるから、甲第3号証に、市販リンゴ果汁飲料および自家製果汁の糖度・酸度およびpHの値があるからといって、その他の成分も含まれた飲料の糖度(Brix)が3.0〜15.0であるか、または、飲料のpHが2.5〜5.0であるように特性を規定する動機付けはなく、相違点2−1は、当業者が容易になし得た技術的事項であるともいえない。

c そして、本件特許発明1は、「ビタミンA、B、C及びEを含有する容器詰ビタミン含有飲料であって、
前記ビタミンBの含有量が10.0〜50.0mg/100gであり、
前記ビタミンCの含有量が498〜1400mg/100gであり、
前記ビタミンA、C、及びEの含有量の和(a)と、前記ビタミンBの含有量(b)と、の比率(a/b)が7.0〜75.0であり、
ビタミン類の総含有量が519.8〜2000mg/100gであり、
柑橘類果汁と、糖酸比25.0以上である高糖酸比果汁と、を含有し、
飲料の糖度(Brix)が3.0〜15.0であるか、または、飲料のpHが2.5〜5.0である、
容器詰ビタミン含有飲料。」との特定事項全体によって、本件特許明細書【0009】に記載された「本発明の容器詰ビタミン含有飲料は、ビタミンA、B、C及びEのそれぞれに由来する臭味が抑制されたものとなる。」という予測できない顕著な効果を奏している。

d 特許異議申立人は、「飲料の糖度(Brix)が3.0〜15.0であるか、または、飲料のpHが2.5〜5.0である」との本件特許発明1の相違点2−1に係る特定事項の容易想到性に関して、訂正前の請求項13、14に係る発明に関して、飲料の糖度やpHは具体的に記載されていなくても飲料の味を調整するために当業者が容易になし得たことである旨主張しているが、上述のとおり、甲2発明は、商品として味を調整した結果として確立したものであるのだから、「飲料の糖度(Brix)が3.0〜15.0であるか、または、飲料のpHが2.5〜5.0である」ように特定する動機付けはなく、特許異議申立人の上記主張は採用できない。

e 以上のとおり、本件特許発明1は、甲2発明から当業者が容易に発明することができたものではない。

ウ 本件特許発明2〜12と甲2発明(甲第2号証に記載された発明)との対比・判断
a 本件特許発明2〜8は、本件特許発明1において、そのすべての特定事項を含み、それぞれ、「前記ビタミン類は、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸、ビタミンC、ビタミンD及びビタミンEを含む」こと、「前記柑橘類果汁が、オレンジ、シークヮーサー、ミカン、グレープフルーツ、ポンカン、イヨカン及び日向夏からなる群より選択される1種以上からなる果汁である」こと、「前記高糖酸比果汁が、ブドウ、マスカット、白ブドウ、ブルーベリー、リンゴ、モモ、マンゴー、バナナ、イチゴ、西洋ナシ、日本ナシ及びメロンからなる群より選択される1種以上からなる果汁である」こと、「前記ビタミンA及びEの含有量の和が1.0〜15.0mg/100gであって、前記ビタミンA及びEの含有量の和(c)と、前記柑橘類果汁の含有量(d)と、の比率(c/d)が0.05×10−3〜2.00×10−3である」こと、「前記ビタミンCの含有量(e)と、前記高糖酸比果汁の含有量(f)と、の比率(e/f)が4.0×10−3〜55.0×10−3である」こと、「前記ビタミンA、C、及びEの含有量の和(a)と、ポリフェノール類の含有量(g)と、の比率(a/g)が40.0〜170.0である」こと、「前記柑橘類果汁由来のポリフェノール含有量(h)と前記高糖酸比果汁由来のポリフェノール含有量(i)の比率(h/i)が0.1〜3.0である」こと、「前記ビタミンCを600〜1200mg/100g含有する」こと、「清涼飲料、果汁飲料、野菜果汁飲料及び炭酸飲料から成る群より選ばれる飲料である」こと、「前記柑橘類果汁と前記高糖酸比果汁との合計含有量が10.0質量%以上である」こと、「飲料の糖酸比が10.0〜50.0であること」をさらに特定したものであるから、少なくとも上記ア(ア−1)で検討したのと同様に相違点2−1に対応する相違点(相違点2−2〜相違点2−12)を有し、上記ア(イ−1)で検討したのと同様に、相違点2−2〜相違点2−12は、当業者が容易になし得た技術的事項であるともいえない(相違点2−5〜2−8、2−11が実質的な相違点であることは明らかである。)。

b 以上のとおり、本件特許発明5〜8、11は、甲第2号証に記載された発明とはいえないし、本件特許発明2〜12は、甲第2号証に記載された発明および甲第3号証に記載された技術的事項から当業者が容易に発明することができたものではない。

エ 本件特許発明15、16と甲2製造方法発明(甲第2号証に記載された発明)との対比・判断
a 前記取消理由の判断の(3)ア−15で本件特許発明15と甲2製造方法発明との対比において、検討したとおり、本件特許発明15と甲2製造方法発明とは、「
ビタミンA、B、C及びEを含有する容器詰ビタミン含有飲料の製造方法であって、
前記ビタミンBの含有量を10.0〜50.0mg/100gに調整し、
前記ビタミンCの含有量を498〜1400mg/100gに調整し、
前記ビタミンA、C、及びEの含有量の和(a)と、前記ビタミンBの含有量(b)と、の比率(a/b)を7.0〜75.0に調整し、
ビタミン類の総含有量を519.8〜2000mg/100gに調整し、
柑橘類果汁と、高糖酸比果汁とを配合すること、
を含む容器詰ビタミン含有飲料の製造方法。」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1−15:高糖酸比果汁について、本件特許発明15が「糖酸比25.0以上である」ことを特定しているのに対して、甲2製造方法発明では、糖酸比25.0以上であることが明らかでない点。
相違点2−15:本件特許発明15が、「飲料の糖度(Brix)を3.0〜15.0に調整するか、または、飲料のpHを2.5〜5.0に調整する」と特定されているのに対して、甲2製造方法発明においては、飲料の糖度(Brix)、または、飲料のpHの調整する範囲が特定されていない点。

b 相違点1−15及び相違点2−15の判断
相違点1−15について、甲2製造方法発明において、リンゴが原材料として用いられ、その糖酸比が25.0以上であることは、甲第3号証を参照すれば理解できるように、技術常識であるから、甲2製造方法発明においても、糖酸比25.0以上である高糖酸比果汁が含有されているといえるので、相違点1−15は、実質的な相違点とはいえないことはすでに述べたとおりである。

c 一方、相違点2−15については、甲第2号証は、「伊藤園 ビタミン野菜 パック200ml」の「野菜と果実が手軽に補える栄養機能食品の野菜飲料」に関するもので、甲2製造方法発明は、その商品情報の記載から認定されたものであり、甲第2号証には、認定の根拠となった部分以外の記載を参照しても、飲料の糖度(Brix)及び飲料のpHに関する記載がなく、当然「飲料の糖度(Brix)を3.0〜15.0に調整するか、または、飲料のpHを2.5〜5.0に調整する」ことに関しては、記載も示唆もなく、本件特許出願時の技術常識でないのだから、実質的な相違点であることはすでに述べたとおりである。
また、甲2製造方法発明は、上記のとおり商品情報から認定した発明であり、商品の製造方法として確立したものであるから、甲第3号証に、市販リンゴ果汁飲料および自家製果汁の糖度・酸度およびpHの値があるからといって、その他の成分も含まれた飲料の糖度(Brix)を3.0〜15.0に調整するか、または、飲料のpHを2.5〜5.0に調整するように、特性を調整することを規定する動機付けはなく、相違点2−15は、当業者が容易になし得た技術的事項であるともいえない。

c そして、本件特許発明15は、「ビタミンA、B、C及びEを含有する容器詰ビタミン含有飲料の製造方法であって、
前記ビタミンBの含有量を10.0〜50.0mg/100gに調整し、
前記ビタミンCの含有量を498〜1400mg/100gに調整し、
前記ビタミンA、C、及びEの含有量の和(a)と、前記ビタミンBの含有量(b)と、の比率(a/b)を7.0〜75.0に調整し、
ビタミン類の総含有量を519.8〜2000mg/100gに調整し、
柑橘類果汁と、糖酸比25.0以上である高糖酸比果汁とを配合し、
飲料の糖酸比(Brix)が3.0〜15.0に調整するか、または、飲料のpHを2.5〜5.0に調整すること、
を含む容器詰ビタミン含有飲料の製造方法。」との特定事項全体によって、本件特許明細書【0009】に記載された「本発明の製造方法によれば、ビタミンA、B、C及びEのそれぞれに由来する臭味が抑制された容器詰ビタミン含有飲料を製造することができる。」という予測できない顕著な効果を奏している。

d 以上のとおり、本件特許発明15は、甲2製造方法発明から当業者が容易に発明することができたものではない。

e 本件特許発明16と甲2製造方法発明とを対比すると、本件特許発明16と甲2製造方法発明とは、「ビタミンA、B、C及びEを含有する容器詰ビタミン含有飲料の方法に関するものであって、
前記ビタミンBの含有量を10.0〜50.0mg/100gに調整し、
前記ビタミンCの含有量を498〜1400mg/100gに調整し、
前記ビタミンA、C、及びEの含有量の和(a)と、前記ビタミンBの含有量(b)と、の比率(a/b)を7.0〜75.0に調整し、
ビタミン類の総含有量を519.8〜2000mg/100gに調整し、
柑橘類果汁と、高糖酸比果汁とを配合すること、
を含む容器詰ビタミン含有飲料の方法に関するもの。」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1−16:高糖酸比果汁について、本件特許発明16が「糖酸比25.0以上である」ことを特定しているのに対して、甲2製造方法発明では、糖酸比25.0以上であることが明らかでない点。
相違点3−16:本件特許発明16は、「容器詰ビタミン含有飲料の臭味マスキング方法」の発明であるのに対して、甲2製造方法発明は、製造方法に関する発明であって、臭味マスキング方法ではない点。

f 相違点1−16及び相違点3−13の判断
事案に鑑み、相違点3−13から検討する。
甲第2号証は、「伊藤園 ビタミン野菜 パック200ml」の「野菜と果実が手軽に補える栄養機能食品の野菜飲料」に関するもので、甲2製造方法発明は、その商品情報の記載から認定されたものであり、甲第2号証には、認定の根拠となった部分以外の記載を参照しても、臭味マスキングに関する記載がなく、当然甲2製造方法発明を臭味マスキング方法に変更することに関しては、記載も示唆もなく、本件特許出願時の技術常識でないのだから、実質的な相違点である。
また、甲2製造方法発明は、上記のとおり商品情報から認定した発明であり、甲第2号証に臭味マスキングに関して記載のない以上、甲第3号証に、市販リンゴ果汁飲料および自家製果汁の糖度・酸度およびpHの値があるからといって、甲2製造方法発明を臭味マスキング方法に変更する動機付けはなく、相違点3−16は、当業者が容易になし得た技術的事項であるともいえない。

g そして、本件特許発明16は、「ビタミンA、B、C及びEを含有する容器詰ビタミン含有飲料の臭味のマスキング方法であって、
前記ビタミンBの含有量を10.0〜50.0mg/100gに調整し、
前記ビタミンCの含有量を498〜1400mg/100gに調整し、
前記ビタミンA、C、及びEの含有量の和(a)と、前記ビタミンBの含有量(b)と、の比率(a/b)を7.0〜75.0に調整し、
ビタミン類の総含有量を519.8〜2000mg/100gに調整し、
柑橘類果汁と、糖酸比25.0以上である高糖酸比果汁とを配合すること、
を含む容器詰ビタミン含有飲料の臭味のマスキング方法。」との特定事項全体によって、本件特許明細書【0009】に記載された「本発明のマスキング方法は、容器詰ビタミン含有飲料のビタミンA、B、C及びEのそれぞれに由来する臭味を抑制することができる。」という予測できない顕著な効果を奏している。

h 以上のとおり、本件特許発明16は、甲第2号証に記載された発明でもないし、甲2製造方法発明から当業者が容易に発明することができたものではない。

i 本件特許発明16は、甲第2号証に記載された発明とはいえないし、本件特許発明15、16は、甲第2号証に記載された発明および甲第3号証に記載された技術的事項から当業者が容易に発明することができたものではない。

オ 甲第2号証に基づく新規性進歩性の理由(申立理由(1−1)(取消理由の通知されなかった本件特許発明5〜8、11、16について)、(2−1))についてのまとめ
以上のとおり、本件特許発明1〜8、10、11、15、16は、甲第2号証に記載された発明ではないし、本件特許発明1〜16は、甲第2号証に記載された発明および甲第3号証に記載された技術的事項から当業者が容易に発明することができたものでもない。
したがって、本件特許発明1〜8、10、11、15、16は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものではないし、本件特許発明1〜16は、同法同条第2項の規定に違反してされたものでもないから、申立理由(1−1)(2−1)には、理由がない。

(2)特許異議申立人の申立てた甲第4号証に基づく新規性進歩性の理由(申立理由(1−2)(1−3)(2−2))について
ア 甲第4号証に記載された発明
甲第4号証には、摘記(4a)摘記(4c)から、「まろやかですっきりとしたべジタブルフルーツミックス味(果汁10%未満)の「C1000 1日分のビタミン ベジタブルフルーツミックス味」との商品名で、原材料が、果汁(りんご、パインアップル、レモン、オレンジ)、にんじん汁、果糖ぶどう糖液糖/V.C、酸味料、甘味料(スクラロース、アセスルファムK、ソーマチン)、パントテン酸Ca、香料、ナイアシン、V.E、V.B1、V.B2、V.A、V.B6、葉酸、V.K、ビオチン、V.D、V.B12で、
栄養成分が(1缶190g当たり):エネルギー34kcal、たん白質0g、脂質0g、炭水化物8.6g、食塩相当量0.19g、ビタミンA 770μg、ビタミンB1 1.2mg、ビタミンB2 1.4mg、ビタミンB6 1.3mg、ビタミンB12 2.4〜4.4μg、ビタミンC 1000mg、ビタミンD 5.5μg、ビタミンE 6.3mg、ビタミンK 150μg、ナイアシン13mg、パントテン酸4.8〜20mg、葉酸240〜790μg、ビオチン 50μg
である缶入り飲料」及び「該缶入り飲料の製造方法」が記載された発明として一応認定できるといえる。

イ 甲第4号証の公知日及び甲第4号証の商品の販売日
しかしながら、甲第4号証は、賞味期限が「2017年11月04日」(摘記(4b)との記載があるだけで、甲第4号証の公知日は明らかでないし、甲第4号証の「C1000 1日分のビタミン ベジタブルフルーツミックス味」との商品名の商品の販売日も不明である。

特許異議申立人は、賞味期限が「2017年11月04日」との記載を根拠に、賞味期限が切れた商品が販売されるはずがないから、甲第4号証は、遅くとも2017年11月04日には公開されていたウェブサイトであることや、賞味期限が切れる前に製造販売されていたので公然実施発明である旨主張しているが、ウェブサイトの表示が本件特許出願前から変更されていないかどうかは不明であるし、賞味期限の表示が、甲第4号証の商品の販売の事実を直接立証できる証拠とはならないことも明らかであり、上記特許異議申立人の主張は採用できない。

したがって、甲第4号証に記載された上記アの発明を本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるとも、公然実施発明であるとも認めることはできない。

ウ 本件特許発明と甲第4号証に記載された発明との一応の対比・判断について
上記イのとおり、甲第4号証に基づいて本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明や公然実施発明を認定することはできないが、そもそも、上記アの甲第4号証に記載された発明との間には、少なくとも、本件特許発明1〜12は、「飲料の糖度(Brix)が3.0〜15.0であるか、または、飲料のpHが2.5〜5.0である」と特定されているのに対して、甲第4号証に記載された発明においては、飲料の糖度(Brix)、または、飲料のpHの範囲が特定されていない点で、相違点が存在し、本件特許発明15は、「飲料の糖度(Brix)を3.0〜15.0に調整するか、または、飲料のpHを2.5〜5.0に調整する」と特定されているのに対して、甲4に記載された発明においては、飲料の糖度(Brix)、または、飲料のpHの調整する範囲が特定されていない点で、相違点が存在し、本件特許発明16は、「容器詰ビタミン含有飲料の臭味マスキング方法」の発明であるのに対して、甲4に記載された発明は、缶入り飲料の製造方法に関する発明であって、臭味マスキング方法ではない点で、少なくとも相違している。

甲第4号証も商品情報に基づくものにすぎず、飲料の糖度(Brix)及び飲料のpHに関する記載も示唆もなく、臭味マスキング方法に関する記載も示唆もないのであるから、前記(1)の本件特許発明と甲第2号証との対比・判断と同様に、本件特許発明は、甲第4号証に記載された発明とはいえないし、甲第4号証に記載された発明および甲第3号証に記載された技術的事項から当業者が容易に発明することができたものでもない。

エ 甲第4号証に基づく新規性進歩性の理由(申立理由(1−2)、(1−3)、(2−2))についてのまとめ
以上のとおり、本件特許発明1〜8、10、15、16は、甲第4号証に記載された発明ではないし、本件特許発明1〜16は、甲第4号証に記載された発明および甲第3号証に記載された技術的事項から当業者が容易に発明することができたものでもない。
したがって、本件特許発明1〜8、10、15、16は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものではないし、本件特許発明1〜16は、同法同条第2項の規定に違反してされたものでもないから、申立理由(1−2)(1−3)(2−2)には、理由がない。

2 申立理由(3)(サポート要件:特許法第36条第6項第1号)について

(1)特許法第36条第6項第1号の判断の前提
特許請求の範囲の記載が明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。

(2)特許請求の範囲の記載
前記第3に記載されたとおりの発明特定事項を有する容器詰めビタミン含有飲料の発明が、請求項1〜12に、容器詰めビタミン含有飲料の製造方法の発明が、請求項15に、容器詰めビタミン含有飲料の臭味マスキング方法の発明が、請求項16に、記載されている。

(3)発明の詳細な説明の記載
ア 本件特許明細書の発明の詳細な説明には、請求項1〜12、15、16に係る発明に関する記載として、特許請求の範囲の実質的繰り返し記載を除いて、【0002】【0003】【0005】〜【0007】の背景技術、発明が解決しようとする課題、課題を解決するための手段の記載、【0009】の発明の効果の記載、【0010】【0011】の容器詰めビタミン飲料の範囲に関する記載、【0012】〜【0014】のビタミン類に関する記載、【0015】のビタミンBの含有量の上下限の技術的意義、【0016】のビタミンCの含有量の上下限の技術的意義、【0017】のビタミンAとEの含有量の和の上下限の技術的意義、【0018】のビタミンA、C、Eの含有量の和の上下限の技術的意義、【0019】のビタミンA、C、Eの含有量の和とビタミンBの含有量との比率の上下限の技術的意義、【0020】のビタミン類の総含有量の上下限の技術的意義、【0021】の柑橘類果汁および糖酸比25.0以上である高糖酸比果汁を含有させることの技術的意義に関する各記載、【0022】〜【0031】の柑橘類果汁の果実の種類、高糖酸比果汁の果実の種類及び糖度(Brix)値の測定法、柑橘類果汁及び高糖酸比果汁の合計含有量の上下限の技術的意義、ビタミンA及びEの含有量の和と柑橘類果汁の含有量との比率の上下限の技術的意義、ビタミンCと高糖酸比果汁の含有量との比率の上下限の技術的意義、含有するポリフェノールの種類及び、ビタミンA,C,及びEの含有量の和とポリフェノール類の含有量の比率の上下限の技術的意義、柑橘類果汁由来のポリフェノール含有量と高糖酸比果汁由来のポリフェノール含有量の比率の上下限の技術的意義、その他の果汁および野菜汁の種類や態様に関する各記載、【0035】の容器に関する記載、【0036】〜【0039】の容器詰めビタミン含有飲料のpH、糖度(Brix)、酸度、糖酸比の上下限の技術的意義に関する記載、【0040】〜【0042】の容器詰めビタミン含有飲料の製造方法に関する記載がある。

イ そして、実施例として、
試験1では、ビタミンA、B、C及びEの臭味のマスキング試験1と称して、市販の各原料を使用し、ビタミンA、B、CおよびEが有する臭味(ビタミンBの収斂味、ビタミンAの苦み、ビタミンCの酸味およびビタミンEの油臭)をマスキングするための試験1を実施したこと(【0045】【0046】)、その官能評価の内容(【0047】【0048】)、表1の評価結果とビタミンA、B、CおよびEが含まれた参考例4および8ではビタミンBの収斂味がマスキングされ、ほとんど感じない程度にまで改善された等の評価結果が示された(【0049】【0050】)。
試験2でも、ビタミンA、B、C及びEの臭味のマスキング試験2と称して、市販の各原料を使用し、ビタミンA、B、CおよびEが有する臭味(ビタミンBの収斂味、ビタミンAの苦み、ビタミンCの酸味およびビタミンEの油臭)をマスキングするための試験2を実施し、表2、表3及び表4の配合に基づいて添加し、PETボトルにホットパック充填し、試験区1〜44を得て、試験1に記載の方法に基づき、ビタミンBの収斂味、ビタミンAの苦み、ビタミンCの酸味およびビタミンEの油臭のマスキングの程度を評価したこと(【0051】〜【0064】)、及び表2、表3及び表4の評価結果(【0065】〜【0067】)、「表2、表3および表4において、本願の発明の要件を満たす試験区4〜7、10、12、13、15〜17、20、21、23〜44は、ビタミンA、B、CおよびEが有する臭味(ビタミンBの収斂味、ビタミンAの苦み、ビタミンCの酸味およびビタミンEの油臭)がマスキングされており、良好な結果を示していることがわかる。また試験区6を炭酸水で2倍に希釈したサンプルも同様に官能を実施したが同様に良好な結果を示した。・・・表3および表4においては、果汁に関する官能評価において、柑橘類果汁および高糖酸比果汁を所定の割合で含む試験区26、27、30、31、38、39において良好な結果を、試験区34および35において特に良好な結果を示していることがわかる。」との結果の考察が記載されている(【0068】【0069】)。

(4)判断
ア 本件特許発明の課題について
上記(3)の【0002】【0003】【0005】〜【0007】の背景技術、発明が解決しようとする課題、課題を解決するための手段の記載及び本件特許明細書全体を参酌して、本件特許発明1〜12,15、16の課題は、ビタミンA、B、C及びEにそれぞれ由来する臭味を抑制した容器詰ビタミン含有飲料およびその製造方法、並びに容器詰ビタミン含有飲料の臭味のマスキング方法を提供することにあると認める。

イ 判断
上記(3)のア、イのとおり、本件特許発明1の各構成であるパラメータに対応して、本件特許明細書には、ビタミンA、B、C及びEを含有する容器詰ビタミン含有飲料に関して、ビタミンBの含有量、ビタミンCの含有量、ビタミンA、C、及びEの含有量の和とビタミンBの含有量との比率、ビタミン類の総含有量、柑橘類果汁と糖酸比25.0以上である高糖酸比果汁とを含有すること、飲料の糖度(Brix)が3.0〜15.0であるか、または、飲料のpHが2.5〜5.0であることの上下限の技術的意義の一般的記載が存在し、ビタミンA、B、C及びEを含むビタミン類を所定の割合で含有し、かつ柑橘類果汁と、高糖酸比果汁と、を含有する容器詰ビタミン含有飲料が、ビタミンA、B、C及びEのそれぞれに由来する臭味が抑制されたものとなることを見出したという技術的思想が示されており、各パラメータ間の技術的意議の相関記載に技術的矛盾はなく(各ビタミンの含有割合が他のビタミンの臭味抑制に働く作用の説明もある。)、容器詰めビタミン含有飲料の各成分の配合方法や特性の測定方法や容器詰めビタミン含有飲料の製造方法の記載が存在し、各成分の含有量を特許請求の範囲で変更した場合においても本件特許発明1の効果を奏したという具体的検証結果の記載も存在するのであるから、本件特許発明1の構成によって、当業者であれば上記本件特許発明1の課題を解決できることを認識できるといえる。

また、本件特許発明2〜12、15、16に関しても、【0012】〜【0014】のビタミン類に関する記載、【0022】の柑橘類果汁の果実の種類に関する記載、【0023】の高糖酸比果汁の果実の種類に関する記載、【0017】【0026】【表2】〜【表4】のビタミンA及びEの含有量の和及び、ビタミンA及びEの含有量の和と柑橘類果汁の含有量との比率に関する記載、【0016】【0027】【表2】〜【表4】のビタミンCの含有量と高糖酸比果汁の含有量との比率に関する記載、【0018】【0028】【0029】【表2】〜【表4】のビタミンA、C、及びEの含有量の和と、ポリフェノール類の含有量との比率に関する記載、【0030】【表2】〜【表4】の柑橘類果汁由来のポリフェノール含有量(h)と前記高糖酸比果汁由来のポリフェノール含有量(i)の比率に関する記載、【0016】【表1】〜【表4】のビタミンCの含有量に関する記載、【0010】【0011】【0031】の容器詰めビタミン飲料の範囲及びその他の果汁および野菜汁の種類や態様に関する記載、【0025】【表2】〜【表4】の柑橘類果汁及び高糖酸比果汁の合計含有量に関する記載、【0039】【表2】〜【表4】の容器詰めビタミン含有飲料の糖酸比に関する記載、【0040】〜【0042】及び実施例の容器詰めビタミン含有飲料の製造方法に関する記載、【0009】や実施例の結果に基づき、本件特許発明によって、ビタミンA、B、C及びEを含有する容器詰ビタミン含有飲料の臭味のマスキングが達成されたことに関する記載も併せて考慮すれば、本件特許発明1と同様に、本件特許発明2〜12、15、16の構成によって、当業者であれば上記本件特許発明2〜8の課題を解決できることを認識できるといえる。

ウ 特許異議申立人のサポート要件に関する主張(申立理由(3))について
特許異議申立人は、本件特許明細書において、実施例で行われているものは特定のものであり、その他の柑橘類果汁及び高糖酸比果汁については具体的に試験されていないことを指摘し、前記第4 1(3)に記載のとおり、訂正前の請求項1〜16に係る特許は、本件明細書の発明の詳細な説明を見ても、あらゆる柑橘類果汁及び高糖酸比果汁が、ビタミンA特有の苦み、ビタミンC特有の酸味、及びビタミンE特有の油臭のマスキングに有効であるとは考えられないから、訂正前の請求項1〜16に係る発明の課題を解決できると当業者が認識できるように記載されていない旨主張している。
しかしながら、あらゆる柑橘類果汁及び高糖酸比果汁に関して、具体的検証結果を実施例として示さなければサポート要件違反となるわけではないことはもちろんのこと、上述のとおり、本件特許明細書には、本件特許発明における各パラメータの技術的意義や各ビタミンの含有割合が他のビタミンの臭味抑制に働く作用の説明も記載されているのであるから、本件特許出願時の技術常識も考慮すれば、具体的検証結果が示されていない場合について、臭味を抑制する程度に柑橘類果汁及び高糖酸比果汁の種類によって違いがあったとしても、本件特許発明の技術的思想に照らせば、一定程度課題が解決できることを当業者が認識できるといえる。
したがって、上記主張を採用することはできない。

(5)申立理由(3)の判断のまとめ
本件特許発明1〜12、15、16は、発明の詳細な説明に記載したものであるといえ、特許法第36条第6項第1号に適合するものである。
よって、申立理由(3)(特許法第36条第6項第1号)には、理由がない。

第6 むすび
以上のとおり、本件請求項1〜12、15、16に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由並びに特許異議申立人が申し立てた理由及び証拠によっては、取り消されるべきものとはいえない。
本件請求項13及び14に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、特許異議申立人による特許異議の申立てについて、請求項13及び14に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
また、他に本件請求項1〜12、15、16に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビタミンA、B、C及びEを含有する容器詰ビタミン含有飲料であって、
前記ビタミンBの含有量が10.0〜50.0mg/100gであり、
前記ビタミンCの含有量が498〜1400mg/100gであり、
前記ビタミンA、C、及びEの含有量の和(a)と、前記ビタミンBの含有量(b)と、の比率(a/b)が7.0〜75.0であり、
ビタミン類の総含有量が519.8〜2000mg/100gであり、
柑橘類果汁と、糖酸比25.0以上である高糖酸比果汁と、を含有し、
飲料の糖度(Brix)が3.0〜15.0であるか、または、飲料のpHが2.5〜5.0である、
容器詰ビタミン含有飲料。
【請求項2】
前記ビタミン類は、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸、ビタミンC、ビタミンD及びビタミンEを含む、請求項1に記載の容器詰ビタミン含有飲料。
【請求項3】
前記柑橘類果汁が、オレンジ、シークヮーサー、ミカン、グレープフルーツ、ポンカン、イヨカン及び日向夏からなる群より選択される1種以上からなる果汁である、請求項1又は2に記載の容器詰ビタミン含有飲料。
【請求項4】
前記高糖酸比果汁が、ブドウ、マスカット、白ブドウ、ブルーベリー、リンゴ、モモ、マンゴー、バナナ、イチゴ、西洋ナシ、日本ナシ及びメロンからなる群より選択される1種以上からなる果汁である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の容器詰ビタミン含有飲料。
【請求項5】
前記ビタミンA及びEの含有量の和が1.0〜15.0mg/100gであって、
前記ビタミンA及びEの含有量の和(c)と、前記柑橘類果汁の含有量(d)と、の比率(c/d)が0.05×10−3〜2.00×10−3である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の容器詰ビタミン含有飲料。
【請求項6】
前記ビタミンCの含有量(e)と、前記高糖酸比果汁の含有量(f)と、の比率(e/f)が4.0×10−3〜55.0×10−3である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の容器詰ビタミン含有飲料。
【請求項7】
前記ビタミンA、C、及びEの含有量の和(a)と、ポリフェノール類の含有量(g)と、の比率(a/g)が40.0〜170.0である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の容器詰ビタミン含有飲料。
【請求項8】
前記柑橘類果汁由来のポリフェノール含有量(h)と前記高糖酸比果汁由来のポリフェノール含有量(i)の比率(h/i)が0.1〜3.0である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の容器詰ビタミン含有飲料。
【請求項9】
前記ビタミンCを600〜1200mg/100g含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の容器詰ビタミン含有飲料。
【請求項10】
清涼飲料、果汁飲料、野菜果汁飲料及び炭酸飲料から成る群より選ばれる飲料である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の容器詰ビタミン含有飲料。
【請求項11】
前記柑橘類果汁と前記高糖酸比果汁との合計含有量が10.0質量%以上である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の容器詰ビタミン含有飲料。
【請求項12】
飲料の糖酸比が10.0〜50.0である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の容器詰ビタミン含有飲料。
【請求項13】
(削除)
【請求項14】
(削除)
【請求項15】
ビタミンA、B、C及びEを含有する容器詰ビタミン含有飲料の製造方法であって、
前記ビタミンBの含有量を10.0〜50.0mg/100gに調整し、
前記ビタミンCの含有量を498〜1400mg/100gに調整し、
前記ビタミンA、C、及びEの含有量の和(a)と、前記ビタミンBの含有量(b)と、の比率(a/b)を7.0〜75.0に調整し、
ビタミン類の総含有量を519.8〜2000mg/100gに調整し、
柑橘類果汁と、糖酸比25.0以上である高糖酸比果汁とを配合し、
飲料の糖度(Brix)を3.0〜15.0に調整するか、または、飲料のpHを2.5〜5.0に調整すること、
を含む容器詰ビタミン含有飲料の製造方法。
【請求項16】
ビタミンA、B、C及びEを含有する容器詰ビタミン含有飲料の臭味のマスキング方法であって、
前記ビタミンBの含有量を10.0〜50.0mg/100gに調整し、
前記ビタミンCの含有量を498〜1400mg/100gに調整し、
前記ビタミンA、C、及びEの含有量の和(a)と、前記ビタミンBの含有量(b)と、の比率(a/b)を7.0〜75.0に調整し、
ビタミン類の総含有量を519.8〜2000mg/100gに調整し、
柑橘類果汁と、糖酸比25.0以上である高糖酸比果汁とを配合すること、
を含む容器詰ビタミン含有飲料の臭味のマスキング方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照
異議決定日 2022-04-11 
出願番号 P2020-100679
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (A23L)
P 1 651・ 112- YAA (A23L)
P 1 651・ 113- YAA (A23L)
P 1 651・ 121- YAA (A23L)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 大熊 幸治
特許庁審判官 瀬良 聡機
齊藤 真由美
登録日 2021-01-06 
登録番号 6820447
権利者 株式会社 伊藤園
発明の名称 容器詰ビタミン含有飲料、容器詰ビタミン含有飲料の製造方法および容器詰ビタミン含有飲料の臭味のマスキング方法  
代理人 早川 裕司  
代理人 田岡 洋  
代理人 早川 裕司  
代理人 村雨 圭介  
代理人 村雨 圭介  
代理人 田岡 洋  
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