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審決分類 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  G01N
審判 全部申し立て 2項進歩性  G01N
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G01N
管理番号 1386135
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-07-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-07-26 
確定日 2022-05-02 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6831649号発明「外観検査方法および表面検査装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6831649号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1−5〕について訂正することを認める。 特許第6831649号の請求項1、3ないし5に係る特許を維持する。 特許第6831649号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6831649号の請求項1〜5に係る特許についての出願は、平成28年6月22日に出願され、令和3年2月2日にその特許権の設定登録がされ、同月17日に特許掲載公報が発行された。
本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和3年 7月26日 :特許異議申立人平賀博(以下「申立人」という。)による請求項1〜5に係る特許に対する特許異議の申立て
同年11月15日付け:取消理由通知書
令和4年 1月14日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年 2月14日 :申立人による意見書の提出

第2 訂正の適否
1 訂正の内容
本件訂正請求書による請求の趣旨は、特許請求の範囲を本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1〜5について訂正することを求めるものである。
その内容は、以下の訂正事項1〜5のとおりであるところ、訂正前の請求項2〜5は請求項1を直接的又は間接的に引用するもので請求項1〜5は一群の請求項であり、以下の訂正事項1〜5は、その一群の請求項においてなされたものであるから、特許法第120条の5第4項で規定する当該一群の請求項ごとに請求されているものである。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を、
「錠剤の厚さ方向の表面を外側に向けた状態で前記表面と前記厚さ方向の逆側の裏面を保持しながら前記錠剤を搬送する第1検査搬送部と、
該第1検査搬送部の下側に近接させた状態に設置され、前記第1検査搬送部から前記錠剤を受け取って前記錠剤を前記第1検査搬送部の搬送状態と反転させ前記裏面を外側に向けた状態で前記表面を保持しながら搬送する第2検査搬送部と、
前記第1検査搬送部に保持された前記錠剤の外観を検査する第1外観検査装置と、前記第2検査搬送部に保持された前記錠剤の外観を検査する第2外観検査装置とが具備されてなり、
前記第1外観検査装置および前記第2外観検査装置は、検査範囲を移動する前記錠剤を検査対象とし、
前記検査範囲の前記錠剤を照明する照明手段と、
前記錠剤の側面からの反射光を反射させる反射手段と、
前記錠剤の上面の上方に配置され、前記反射手段から出射された光および前記錠剤の上面からの反射光を同時に撮像する1つの撮像手段と、
前記撮像手段からの映像信号を処理する処理手段とをそれぞれ備え、
前記反射手段は、前記錠剤の上面側から見たときに前記検査範囲を取り囲むように配置された複数の反射体を備えるものであって、前記複数の反射体は、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向前方側に配置される二つの反射体、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向後方側に配置される二つの反射体、及び前記移動方向前方側に配置される二つの反射体と前記移動方向後方側に配置される二つの反射体の間に配置される二つの反射体を備え、(当審注:以下「訂正事項1−1」という。)
前記第1外観検査装置の前記撮像手段は、移動方向の長さが前記検査範囲内に収まる前記錠剤に対しては、前記光および前記表面からの前記反射光を一回撮像し、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤に対しては、移動方向における前記錠剤の長さに応じた時間差で前記光および前記表面からの前記反射光を複数回撮像するように切り換え、
前記第1外観検査装置の前記処理手段は、移動方向の長さが前記検査範囲内に収まる前記錠剤に対しては、前記撮像手段からの前記表面側の一回の映像信号を処理し、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤に対しては、前記撮像手段からの前記表面側の複数の映像信号を結合処理するように切り換え、
前記第2外観検査装置の前記撮像手段は、移動方向の長さが前記検査範囲内に収まる前記錠剤に対しては、前記光および前記裏面からの前記反射光を一回撮像し、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤に対しては、移動方向における前記錠剤の長さに応じた時間差で前記光および前記裏面からの前記反射光を複数回撮像するように切り換え、
前記第2外観検査装置の前記処理手段は、移動方向の長さが前記検査範囲内に収まる前記錠剤に対しては、前記撮像手段からの前記裏面側の一回の映像信号を処理し、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤に対しては、前記撮像手段からの前記裏面側の複数の映像信号を結合処理するように切り換え、
前記第1外観検査装置及び前記第2外観検査装置の前記撮像手段は、一回目の撮像を移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向の前方側が前記検査範囲に収まるタイミングで行い、二回目の撮像を移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向の中間部が検査範囲に収まり、一回目に撮像した像と前記錠剤の一部が重複するタイミングで行い、三回目の撮像を移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向の後方側が検査範囲に収まり、二回目に撮像した像と前記錠剤の一部が重複する夕イミングで行い、
前記第1外観検査装置及び前記第2外観検査装置の前記処理手段は、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向前方側に配置される二つの反射体で反射した前記錠剤の側面の像と、前記移動方向前方側に配置される二つの反射体と前記移動方向後方側に配置される二つの反射体の間に配置される二つの反射体で反射した前記錠剤の側面の像とを含んでいる一回目の撮像によって得られた像、前記移動方向前方側に配置される二つの反射体と前記移動方向後方側に配置される二つの反射体の間に配置される二つの反射体で反射した前記錠剤の側面の像とを含んでいる二回目の撮像によって得られた像、及び移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向後方側に配置される二つの反射体で反射した前記錠剤の側面の像と、前記移動方向前方側に配置される二つの反射体と前記移動方向後方側に配置される二つの反射体の間に配置される二つの反射体で反射した前記錠剤の側面の像とを含んでいる三回目の撮像によって得られた像を結合処理することによって、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の側面の像を得る(当審注:以下「訂正事項1−2」という。)ことを特徴とする表面検査装置。」に訂正する(請求項1の記載を引用する、請求項3〜5も同様に訂正する。なお、請求項2は、下記訂正事項2により削除される。)。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に「請求項1または請求項2に記載の表面検査装置」とあるのを、「請求項1に記載の表面検査装置」に訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に「請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の表面検査装置に記載の表面検査装置」とあるのを、「請求項1または請求項3に記載の表面検査装置」に訂正する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5に「請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の表面検査装置」とあるのを、「請求項1、請求項3または請求項4に記載の表面検査装置」に訂正する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
ア 訂正事項1−1について
(ア)目的の適否
訂正事項1−1は、「複数の反射体」について、「前記複数の反射体は、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向前方側に配置される二つの反射体、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向後方側に配置される二つの反射体、及び前記移動方向前方側に配置される二つの反射体と前記移動方向後方側に配置される二つの反射体の間に配置される二つの反射体を備え」るものに限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)新規事項の有無
願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)に、
「【0039】
図5(a)〜(c)は、移動する被検査物品S’を撮像手段30によって撮像した像をぞれぞれ模式的に示した図である。図5(a)〜(c)においては、図中、右側から左側1に向けて被検査物品S’が移動するものとして図示している。また、図5(a)〜(c)においては、便宜上、被検査物品S’の移動方向前方側に配置される二つの反射体22を反射体22A、22Bとし、被検査物品S’の移動方向後方側に配置される二つの反射体22を反射体22E、22Fとし、反射体22A、22Bと反射体22E、22Fの間に配置される二つの反射体22を反射体22C、22Dとして示されている。
【0040】
図5(a)〜(c)に示されるように、被検査物品S’の幅は、検査範囲Eに収まる大きさであり、被検査物品S’の長さは、検査範囲Eを超える大きさである。」(下線は当審において付与した。以下同様。)と記載されており、ここで、特許請求の範囲の請求項1では「被検査物品S’」は「錠剤」であることから、訂正事項1−1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。

(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1−1は、訂正前の構成を削除するものではなく、訂正前の「複数の反射体」について限定を加えるものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

イ 訂正事項1−2について
(ア)目的の適否
訂正事項1−2は、「第1外観検査装置」及び「第2外観検査装置」の「撮像手段」について、「一回目の撮像を移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向の前方側が前記検査範囲に収まるタイミングで行い、二回目の撮像を移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向の中間部が検査範囲に収まり、一回目に撮像した像と前記錠剤の一部が重複するタイミングで行い、三回目の撮像を移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向の後方側が検査範囲に収まり、二回目に撮像した像と前記錠剤の一部が重複する夕イミングで行」うことに限定し、
「第1外観検査装置」及び「第2外観検査装置」の「処理手段」について、「移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向前方側に配置される二つの反射体で反射した前記錠剤の側面の像と、前記移動方向前方側に配置される二つの反射体と前記移動方向後方側に配置される二つの反射体の間に配置される二つの反射体で反射した前記錠剤の側面の像とを含んでいる一回目の撮像によって得られた像、前記移動方向前方側に配置される二つの反射体と前記移動方向後方側に配置される二つの反射体の間に配置される二つの反射体で反射した前記錠剤の側面の像とを含んでいる二回目の撮像によって得られた像、及び移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向後方側に配置される二つの反射体で反射した前記錠剤の側面の像と、前記移動方向前方側に配置される二つの反射体と前記移動方向後方側に配置される二つの反射体の間に配置される二つの反射体で反射した前記錠剤の側面の像とを含んでいる三回目の撮像によって得られた像を結合処理することによって、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の側面の像を得る」ことに限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)新規事項の有無
本件特許明細書等に、
「【0041】
図5(a)に示されるように、一回目の撮像は、被検査物品S’の移動方向の前方側が検査範囲Eに収まるタイミングで行われる。図5(b)に示されるように、二回目の撮像は、被検査物品S’の移動方向の中間部が検査範囲Eに収まり、一回目に撮像した像と被検査物品S’の一部が重複するタイミングで行われる。図5(c)に示されるように、三回目の撮像は、被検査物品S’の移動方向の後方側が検査範囲Eに収まり、二回目に撮像した像と被検査物品S’の一部が重複するタイミングで行われる。」と記載されており、また、
「【0043】
図7は、撮像手段30からの映像信号が処理手段によって結合処理されることによって、得られた被検査物品S’の側面S2の像を示す図である。この像のうち、像V21は、一回目の撮像によって得られた像であり、反射体22A、22Bで反射した被検査物品S’の側面S2の像と、反射体22C、22Dで反射した被検査物品S’の側面S2の像とを含んでいる。像V22は、二回目の撮像によって得られた像であり、反射体22C、22Dで反射した被検査物品S’の側面S2の像を含んでいる。像V23は、三回目の撮像によって得られた像であり、反射体22E、22Fで反射した被検査物品S’の側面S2の像と、反射体22C、22Dで反射した被検査物品S’の側面S2の像とを含んでいる。」と記載されており、
ここで、特許請求の範囲の請求項1では「被検査物品S’」は「錠剤」であることから、訂正事項1−2は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。

(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1−2は、訂正前の構成を削除するものではなく、訂正前の「第1外観検査装置」及び「第2外観検査装置」の「撮像手段」及び「処理手段」について限定を加えるものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

ウ 小括
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、そして、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、請求項を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、そして、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)訂正事項3〜5について
訂正事項3〜5は、訂正事項2による請求項2を削除することにともない、引用する請求項から請求項2を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえ、引用する請求項から一部の請求項を削除することは、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

3 訂正のまとめ
上記のとおり、訂正事項1〜5に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
よって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1−5〕について訂正することを認める。

第3 本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1及び3〜5に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1及び3〜5に記載されたとおりのものであり、そのうち、本件発明1を記載すると、以下のとおりである。
「錠剤の厚さ方向の表面を外側に向けた状態で前記表面と前記厚さ方向の逆側の裏面を保持しながら前記錠剤を搬送する第1検査搬送部と、
該第1検査搬送部の下側に近接させた状態に設置され、前記第1検査搬送部から前記錠剤を受け取って前記錠剤を前記第1検査搬送部の搬送状態と反転させ前記裏面を外側に向けた状態で前記表面を保持しながら搬送する第2検査搬送部と、
前記第1検査搬送部に保持された前記錠剤の外観を検査する第1外観検査装置と、前記第2検査搬送部に保持された前記錠剤の外観を検査する第2外観検査装置とが具備されてなり、
前記第1外観検査装置および前記第2外観検査装置は、検査範囲を移動する前記錠剤を検査対象とし、
前記検査範囲の前記錠剤を照明する照明手段と、
前記錠剤の側面からの反射光を反射させる反射手段と、
前記錠剤の上面の上方に配置され、前記反射手段から出射された光および前記錠剤の上面からの反射光を同時に撮像する1つの撮像手段と、
前記撮像手段からの映像信号を処理する処理手段とをそれぞれ備え、
前記反射手段は、前記錠剤の上面側から見たときに前記検査範囲を取り囲むように配置された複数の反射体を備えるものであって、前記複数の反射体は、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向前方側に配置される二つの反射体、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向後方側に配置される二つの反射体、及び前記移動方向前方側に配置される二つの反射体と前記移動方向後方側に配置される二つの反射体の間に配置される二つの反射体を備え、
前記第1外観検査装置の前記撮像手段は、移動方向の長さが前記検査範囲内に収まる前記錠剤に対しては、前記光および前記表面からの前記反射光を一回撮像し、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤に対しては、移動方向における前記錠剤の長さに応じた時間差で前記光および前記表面からの前記反射光を複数回撮像するように切り換え、
前記第1外観検査装置の前記処理手段は、移動方向の長さが前記検査範囲内に収まる前記錠剤に対しては、前記撮像手段からの前記表面側の一回の映像信号を処理し、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤に対しては、前記撮像手段からの前記表面側の複数の映像信号を結合処理するように切り換え、
前記第2外観検査装置の前記撮像手段は、移動方向の長さが前記検査範囲内に収まる前記錠剤に対しては、前記光および前記裏面からの前記反射光を一回撮像し、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤に対しては、移動方向における前記錠剤の長さに応じた時間差で前記光および前記裏面からの前記反射光を複数回撮像するように切り換え、
前記第2外観検査装置の前記処理手段は、移動方向の長さが前記検査範囲内に収まる前記錠剤に対しては、前記撮像手段からの前記裏面側の一回の映像信号を処理し、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤に対しては、前記撮像手段からの前記裏面側の複数の映像信号を結合処理するように切り換え、
前記第1外観検査装置及び前記第2外観検査装置の前記撮像手段は、一回目の撮像を移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向の前方側が前記検査範囲に収まるタイミングで行い、二回目の撮像を移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向の中間部が検査範囲に収まり、一回目に撮像した像と前記錠剤の一部が重複するタイミングで行い、三回目の撮像を移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向の後方側が検査範囲に収まり、二回目に撮像した像と前記錠剤の一部が重複する夕イミングで行い、
前記第1外観検査装置及び前記第2外観検査装置の前記処理手段は、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向前方側に配置される二つの反射体で反射した前記錠剤の側面の像と、前記移動方向前方側に配置される二つの反射体と前記移動方向後方側に配置される二つの反射体の間に配置される二つの反射体で反射した前記錠剤の側面の像とを含んでいる一回目の撮像によって得られた像、前記移動方向前方側に配置される二つの反射体と前記移動方向後方側に配置される二つの反射体の間に配置される二つの反射体で反射した前記錠剤の側面の像とを含んでいる二回目の撮像によって得られた像、及び移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向後方側に配置される二つの反射体で反射した前記錠剤の側面の像と、前記移動方向前方側に配置される二つの反射体と前記移動方向後方側に配置される二つの反射体の間に配置される二つの反射体で反射した前記錠剤の側面の像とを含んでいる三回目の撮像によって得られた像を結合処理することによって、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の側面の像を得ることを特徴とする表面検査装置。」
また、本件発明3〜5は、いずれも本件発明1を直接的又は間接的に引用する発明である。

第4 取消理由の概要
令和3年11月15日付け取消理由通知書の取消理由の概要は、次のとおりである。
1.取消理由1(明確性
本件特許は、その特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定にする要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
・請求項1〜5
検査対象物が搬送され、撮像視野を移動する検査対象物を撮像することによって外観検査を行う技術において、検査対象物が撮像視野より大きい場合と小さい場合とでは、検査対象物の搬送と撮像とのタイミング制御や画像処理の内容が相違することが技術常識であることから、「手動」切り換えであれば、そのための機構が、「自動」切り換えであれば、錠剤(検査対象物)と検査範囲(撮像視野)との関係を何らかの手段で自動的に把握する機構が必要であるところ、両者いずれの「切り換え」であるにせよ、それらの機構が特定されていないことから、発明特定事項が不足していることは明かである。

2.取消理由2(実施可能要件
本件特許は、その発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
・請求項1〜5
搬送中の錠剤に光を照射して得られた錠剤からの反射光を撮像手段に入射させて撮像し、得られた映像信号を処理することにより外観を検査する検査装置及び検査方法において、上記取消理由1で指摘した「手動」切り換えであればそのための機構、「自動」切り換えであればそのための機構(錠剤と検査範囲との関係を自動的に把握する機構等)が本出願前周知であったともいえないことから、上記「切り換え」手段、及び「切り換え」方法は、当業者において自明であるともいえない。

3.取消理由3(進歩性
下記の請求項に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
・請求項1〜5
甲第8号証:特開2009−31247号公報
甲第1号証:特開2005−241488号公報
甲第2号証:特開2009−92476号公報
甲第3号証:特開2014−55915号公報
甲第4号証:特開2005−244316号公報

第5 甲号証の記載
以下、甲第8号証等は、甲8等と略して記載する。上記第4の取消理由では、甲1〜4及び8を提示しているが、ここでは、本件特許異議申立書に記載されているその余の甲5〜7についても摘記することとする。
1 甲8について
(1)甲8には、以下の事項が記載されている。
(甲8ア)「【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の物品の外観検査装置および表面検査装置について図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明に係る物品の外観検査装置を備えた本発明の表面検査装置の全体構成を示す図である。図1に示す表面検査装置は、ステージ1に立設された壁部2により水平に支持されて上下に隣接配置された表面検査ドラム5及び裏面検査ドラム6と、表面検査ドラム5に錠剤やキャンディー、チョコレートなどの被検査物品を供給するための供給装置7と、表面検査ドラム5の側方側に配置された第1外観検査装置8と、裏面検査ドラム6の側方側に配置された第2外観検査装置9と、裏面検査ドラム6からの検査後の良品を排出するための排出コンベア10と、裏面検査ドラム6からの検査後の不良品を回収するための受部11と、前記裏面検査ドラム6からの排出不良となった被検査物品を受けるための排出不良品の受部12とを主体として構成されている。
【0018】
表面検査ドラム5(第1検査ドラム)は、被検査物品の上面を外側に向けた状態で被検査物品を外周面に吸着支持して保持しながら回転することにより、被検査物品を搬送するものである。表面検査ドラム5の下側には、図1に示すように、表面検査ドラム5に外周面を近接させた状態で裏面検査ドラム6(第2検査ドラム)が回転自在に設置されている。裏面検査ドラム6は、表面検査ドラム5から被検査物品を受け取って、被検査物品の下面を外側に向けた状態で被検査物品を外周面に吸着支持して保持しながら回転するものである。」

(甲8イ)「【0021】
図1に示す表面検査装置では、第1外観検査装置8および第2外観検査装置9として、図2に示す物品の外観検査装置が備えられている。図2は、本発明の物品の外観検査装置の一例を示した概略構成図である。なお、図2おいては図面を見やすくするために、照明装置の記載を省略してある。また、図3は、図2に示す物品の外観検査装置を構成する反射手段と照明手段との配置関係を説明するための図であって、図3(a)は被検査物品を上面側から見たときの反射手段と照明手段と被検査物品との配置関係を示した図であり、図3(b)は被検査物品を側面側から見たときの反射手段と照明手段と被検査物品との配置関係を示した図である。また、図4は、図2に示す物品の外観検査装置を構成する反射体のうちの1つのみを示した拡大斜視図である。なお、本実施形態においては、被検査物品Sの形状が上面S1側から見たときに円形である場合の外観検査を行う外観検査装置について説明する。
【0022】
図2に示す物品の外観検査装置は、反射手段20と照明手段(図2おいては図示略)と撮像手段30と処理手段(図示略)とを備えている。
撮像手段30は、図2に示すように、反射手段20から出射された出射光2dと、被検査物品Sの上面S1からの反射光2eとを撮像するものる。撮像手段30としては、撮像レンズとエリアセンサとからなるものなどを用いることができる。
また、処理手段は、撮像手段30からの映像信号を処理するものであり、図示しない接続手段により撮像手段30と電気的に接続されている。処理手段としては、例えば、PC(パーソナルコンピュータ)などを用いることができる。処理手段としての機能は、処理手段としての機能を実現するためのプログラムを、PCに備わるメモリにロードしてCPU(中央処理装置)が実行することによりその機能が実現されるものとする。また、PCとして、モニタを備えたものを用いることができる。モニタとしては、CRT(CathodeRayTube)や液晶ディスプレイ等からなる表示装置を用いることができる。
【0023】
反射手段20は、図2に示すように、被検査物品Sの側面S2からの反射光2aを反射させるものである。反射手段20は、図3に示すように6個の反射体22と、反射体22の上部を挟み込むように支持するコ字状の支持部材23と、支持部材23が取り付けられた固定板21とを備えたものであり、6個の反射体22は、支持部材23と固定板21とによって所定の位置に固定されている。なお、固定板21は、リング状の形状とされており、反射体22から撮像手段30に向かって出射される出射光2dや、被検査物品Sの上面S1からの反射光2eを遮ることのないようになっている。
【0024】
各反射体22は、ガラスなどからなるプリズムである。また、図2に示すように、反射体22は、すべて被検査物品Sの上面S1よりも上方向に配置されている。図3(a)に示すように、6個の反射体22は、被検査物品Sの上面S1側から見たときに被検査物品Sを中心として取り囲むように環状に配置されており、円形である被検査物品Sの外形と相似形状の軌跡上に等間隔で配置されている。また、図2に示す反射手段20では、図3(a)および図3(b)、図4に示すように、反射体22の被検査物品S側の面が3つの平面22aからなり、図3(a)に示すように、各反射体22の各平面22aが6角形の各辺に沿うようにそれぞれ配置されている。したがって、図2に示す反射手段20では、図3(a)に示すように、隣り合う2つの反射体22、22の平面22a、22aの延在方向のなす角度θは、120°とされている。」

(甲8ウ)「【0031】
図2に示す反射手段20を構成する照明手段40は、被検査物品Sを照射するものであり、複数のLED(発光ダイオード)などからなるものである。照明手段40は、図3(a)および図3(b)に示すように、上面照明手段41と側面照明手段42を備えている。」

(甲8エ)「【0044】
・・・。
また、被検査物品の外形形状は、被検査物品の上面側から見たときに円形であるものに限定されるものではなく、被検査物品の上面側から見たときに長円、楕円、多角形など、いかなる形状であってもよい。」

(甲8オ)図1〜3として、以下の図面が記載されている。


上記図面から、以下の事項が看取できる。
ア 甲8では、本件発明の「検査範囲」という用語が使用されていないが、図3(a)において、被検査物品Sの上面S1を覆う範囲を検査範囲としていることが見てとれることから、第1外観検査装置及び第2外観検査装置は、その検査範囲を移動する被検査物品Sを検査対象としていることになる。

イ 図3(a)及び(b)から、被検査物品を照射する(上面照明手段41及び側面照明手段42を備える)照明手段40は、その検査範囲にある被検査物品を照明している。

ウ 図2から、撮像手段30は、被検査物品の上面の上方に配置されている。

(2)甲8発明について
上記(1)の記載事項(特に下線部及び看取事項参照)から、甲8には、次の発明(以下「甲8発明」という。)が記載されているといえる。
「被検査物品の上面を外側に向けた状態で被検査物品を外周面に吸着支持して保持しながら回転することにより、被検査物品を搬送する表面検査ドラム5(第1検査ドラム)と、
表面検査ドラム5に外周面を近接させた状態で設置され、表面検査ドラム5から被検査物品を受け取って、被検査物品の下面を外側に向けた状態で被検査物品を外周面に吸着支持して保持しながら回転する裏面検査ドラム6(第2検査ドラム)と、
表面検査ドラム5の側方側に配置された被検査物品の外観を検査する第1外観検査装置8と、裏面検査ドラム6の側方側に配置された被検査物品の外観を検査する第2外観検査装置9とを備え、
被検査物品の上面を覆う範囲を検査範囲とし、第1外観検査装置8及び第2外観検査装置9は、その検査範囲を移動する被検査物品を検査対象とし、
検査範囲にある被検査物品を照明する照明手段40と、
被検査物品の側面からの反射光を反射させる反射手段20と、
被検査物品の上面の上方に配置され、反射手段20から出射された出射光と、被検査物品の上面からの反射光とを撮像する撮像手段30と、
撮像手段30からの映像信号を処理する処理手段とを備え、
反射手段20は、被検査物品の上面側から見たときに被検査物品を中心として取り囲むように環状に配置された6個の反射体を備えたものであり、
上記被検査物品は、錠剤である、
表面検査装置。」

2 甲1について
甲1には、以下の事項が記載されている。
(甲1ア)「【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の最良の形態は、以下の実施例に述べる通りである。本実施例では、検査対象(撮像対象)として主に円盤状の錠剤Wを例に挙げて説明するが、対象となる被検査体(錠剤と同一の符号Wを付す)としては、円盤状の錠剤Wに限らず、ほぼ三角形状ないしは四角形状等、比較的、転がりに不向きな錠剤Wであっても構わないし、あるいは錠剤Wに限らず、柱状や錐状または錐台状等、適宜の立体形状を有する部材も検査対象と成り得る(図19、20参照)。・・・
【0023】
・・・以下、本発明装置である、直視面と非直視面とを同時に撮影する撮像装置1について説明した後、その後、この装置を適用した錠剤検査用撮像システムAについて説明する。」

(甲1イ)「【実施例】
【0024】
撮像装置1は、図1、2に示すように、錠剤Wの主撮像面M(オモテ面Fまたはウラ面B)と同時に、主撮像面Mから奥行き方向に形成される側面Sを、全周撮像するものであり、カメラユニット2を主な構成部材とする。このカメラユニット2は、このような主撮像面M(直視面V)と側面S(非直視面NV)とを同時に撮像する特殊光学部3と、錠剤Wをほぼ満遍なく照らす照明部4とを一体化して成るものであるが、通常のカメラと同様の基本構造を有するため、例えば図2(a)に示すように、モノクロタイプのCCDエリアセンサカメラ11やレンズ12を具えて成る。ここで図中符号12aは、レンズ12に取り付けられる接写リングである。」

(甲1ウ)「【0030】
次に、撮像の際、錠剤Wを照らす照明部4について説明する。照明部4は、一例として図2(a)に併せて示すように、主に錠剤Wの側面Sをほぼ満遍なく照らすサイドリング照明15と、主に錠剤Wの主撮像面Mを正面から照らす同軸落射照明16とを具えて成るものである。
サイドリング照明15は、例えば複数の白色LED17を具えて成り、これらが撮像対象となる錠剤W(カメラ視野ARのほぼセンター位置)を取り囲むように等配されて成るものである。」

(甲1エ)「【0033】
また錠剤Wの主撮像面Mと側面Sとを同時に撮像する特殊光学部3としては、上記凸レンズ13を用いた手法の他、ミラーを用いた手法も可能であり、以下この手法について説明する。この手法は、例えば図3に示すように、上記凸レンズ13の代わりに、ほぼ円錐台状を成す筒状ミラーを内側と外側に配置するものである。すなわち略円錐台状の二つのコーンサイドミラー23を適宜の間隔を隔てて二重に設置する。ここで二つのミラーを内側と外側とで区別する場合には、内側のものをコーンサイドミラー23A、外側のものをコーンサイドミラー23Bとする。なお、コーンサイドミラー23を設置するにあたっては、略円錐台形の拡開部(広がり部分)が錠剤Wに向くように設置するものであり、また錠剤Wは二つのコーンサイドミラー23の中心軸に対し、主撮像面Mがほぼ直交する状態に載置されるものである。ミラーを用いた特殊光学部3は、例えば、このように二つのコーンサイドミラー23を主要部材として成るものであり、以下、これによって錠剤Wの主撮像面Mと側面Sとが同時に撮像できる原理について説明する。」

(甲1オ)「【0042】
次に画像処理部8について説明する。画像処理部8は、撮像した錠剤Wの画像を処理して欠陥の有無を検査するとともに、検査を行った錠剤Wの良・不良を判定する部位であり、一例として図1に示すように、同一錠剤Wにおけるオモテ側画像とウラ側画像を検査する画像コンピュータ35と、検査対象となる錠剤Wの品種や検出パラメータ、あるいは画像コンピュータ35で検査した結果等を統括管理するホストコンピュータ36と、撮像した画像や判定結果等を写し出すモニタ37とを主な構成部材とする。」

(甲1カ)「【0060】
また錠剤Wを撮像部6に搬送するにあたっては、例えば図17、18に示すように、回転ドラム43を使用して移送することも可能である。この場合、例えば回転ドラム43の表面に錠剤Wを吸着させて移送する間に、オモテ側とウラ側を撮像し得るため、ここでは二つの回転ドラム43を外接状態に設け、その接点部分で錠剤Wの移載(載り換え)を行うものである。なお、二つの回転ドラム43を各々区別する場合には、バキュームドラム43F、バキュームドラム43Bとする。すなわち、バキュームドラム43Fが前記オモテ側撮像コンベヤ28Fに相当するオモテ側撮像用のドラムとなり、バキュームドラム43Bが前記ウラ側撮像コンベヤ28Bに相当するウラ側撮像用のドラムとなる。このような構成上、ドラム表面には、錠剤Wを吸着する吸引孔44が形成されるものであり、ここでは一例として回転ドラム43の回転軸に沿って五列の吸引孔44が形成され、錠剤Wは一挙に五つずつ搬送及び撮像される。」

(甲1キ)図2、図3及び図17として、以下の図面が記載されている。




3 甲2について
甲2には、以下の事項が記載されている。
(甲2ア)「【背景技術】
【0002】
従来の平板状搬送物の不良品検査としては、例えば、特許文献1に開示の「半導体装置の製造システム及び欠陥検査方法」のような平板状のシリコンウエハーの画像認識検査手法等が知られており、マジックミラー(ハーフミラー)を介して照明されたシリコンウエハーをTVカメラ(エリアカメラと同等)による1回撮像の静止画像か、或いはラインセンサを用いたスキャン(ラインセンサカメラ)による1回撮像の静止画像等でウエハーの2次元パターンを検出し、撮像した画像と予め記憶されている標準画像(テンプレート画像や前に検査済みの良品画像)を位置合わせした後比較してその差画像を検出する。この差画像を2値化回路で2値化して2値化画像を得てパターンの断線箇所を検出する。このような小径のシリコンウエハー等ではTVカメラ等による1回の撮影で全体像を撮像することができ、照明範囲も狭く照明灯も小さくて済み、高精度の不良検出も可能である。
【0003】
シリコンウエハー等より大きい、自動車のフロントガラスや、LCD等のディスプレイ用フラットパネル等の透明体を搬送しながら良否を判定する透明搬送物の検査も、やはりラインセンサやエリアカメラによる1回撮影や、エリアカメラによる連続撮影等によって行われている。透明搬送物を連続撮影し、小領域をオーバラップさせて合成代として用い貼り合わせ連写画像とする場合、各画像を構成する大部分は1回撮像である。
【0004】
図9は、従来の検査装置による貼り合わせ連写の説明図であり、図9(a)は、カメラによる撮像時を示し、実線802はその撮像領域で、破線803、804は撮像時の透明搬送物のそれぞれの位置を示している。図9(b)は、図9(a)で撮像された画像の合成画像を示しており、実線807は撮像イメージが貼り合わせ合成された透明搬送物の全形を示し、破線805、806は真ん中の小オーバラップ部分を含むそれぞれのカメラ画像を含む撮像領域である。」

(甲2イ)「【0024】
この撮像では各ブロック13〜16において、例えば、図6に示すように、透明搬送物の全体が撮像範囲を通過する時間を5秒とすれば、0.56秒周期で計9枚の撮像を行うことになる。この0.56秒周期の撮像は、4ブロック13〜16に亘って同時に行われるが、撮像画像はブロック毎にそれぞれ異なり、一部オーバラップした重複連写画像となる。」

4 甲3について
甲3には、以下の事項が記載されている。
(甲3ア)「【0001】
本発明は、製品の画像を撮像して製品の外観を検査する外観検査装置、外観検査方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コネクタや半導体素子などの製品の外観を撮像してパターンマッチング(画像認識)を行うことで、いわゆる製品の外観検査が実行される。製品のサイズによっては、カメラの撮像範囲に収まらないものがあり、そのような製品については複数の画像を連結することで、製品の全体を表す画像を作成し、外観検査を行っていた(特許文献1、2)。」

(甲3イ)「【0052】
なお、画像53の右端と画像54の左端とには、コネクタの同一部分が写っている。同様に、画像54の右端と画像55の左端とには、コネクタの同一部分が写っている。このように隣り合った部分画像に同一の部分が重複して写っている理由は、これらの3枚の部分画像を連結して1枚の全体画像を作成するためである。つまり、画像処理部30は、隣り合った2枚の部分画像において共通に写っている同一のピンが重なるように、隣り合った2枚の部分画像を連結する。これにより作成された全体画像には、コネクタの全体が含まれることになる。」

5 甲4について
甲4には、以下の事項が記載されている。
(甲4ア)「【0004】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
・・・カメラ視野を越える長尺の対象物を検査するときにはカメラ設置数を増やしたり、視野の大きいカメラに交換したりすることも要求された。・・・
【0005】
上記のような従来の問題点に鑑み、本発明は、カメラ視野を越える検査対象物の外観検査を行うときでも、その検査処理を容易にかつ高速に行うことができるコスト安価な外観検査装置を提供することを目的とする。」

(甲4イ)「【0020】
・・・また、外観検査装置1では、搬送されているワークWの上方に配置されて、ワークW側の特徴点が搬送路上の所定位置X1,X2,X3,及びX4をそれぞれ通過するのを検出して処理装置4に信号(画像取込開始のトリガ信号)を出力する4つのセンサ部12−1,12−2,12−3,及び12−4(以下、“12”で総称する)が設けられている。そして、処理装置4が、これらセンサ部12からの各出力信号を用いることにより、処理装置4は、上記4個の各検査領域に対する撮像部2での撮像動作の開始を正確に決定して、当該撮像部2からの撮像画像の取込処理を適切なタイミングで行えるようになっている。これにより、外観検査装置1では、後に詳述するように、撮像部2のカメラ視野を越える長尺のワークWに対しても、その正確な外観検査を容易に行うことができる。」

(甲4ウ)「【0030】
以上のように構成された本実施形態では、撮像部2のカメラ視野を越える長尺のワーク(検査対象物)Wに対して、処理装置(処理部)4が4個に分けた検査領域A1〜A4を設定して、検査領域A1〜A4毎に、撮像部2による上記撮像動作を行わせている。また、処理装置4は一列に整列させた複数の各ワークWを搬送部5及び回転部6にて搬送させつつ回転させることにより、各ワークWの外周面全面の撮像画像を取得している。この結果、搬送途中で検査対象物を停止さ
せ撮像していた上記従来例と異なり、上記のような長尺のワークWの外観検査を行うときでも、撮像部2でのカメラ設置数を増加したり、カメラ視野を大きくしたりすることなく、当該ワークWについての外観検査の高速化を簡単に行うことができる。
【0031】
また、本実施形態では、処理装置4は検査領域A1とA2、A2とA3、A3とA4が各々一部重複するよう定めて、検査領域A1〜A4毎に、撮像部2による上記撮像動作を行わせている。従って、ワークWの連続的な撮像画像が常に一部重複しており、長尺のワークWについての外観検査を行うときでも、撮像漏れに起因する検査ミスの発生を確実に防いで当該ワークWについての正確な外観検査を容易に行うことができる。」

6 甲5について
甲5には、以下の事項が記載されている。
「【0026】
基板検査装置1は、検査対象となる各チップD(1)〜D(52)の大きさに応じて、1つずつ撮像したり、複数個を一度に撮像したり、分割して撮影たり、適宜設定して検査することができる。ここでは、検査対象となる各チップD(1)〜D(52)を、検査対象部位として1つずつ撮像し、検査する形態を例示して説明する。」

7 甲6について
甲6には、以下の事項が記載されている。
「【0048】
このような場合、検出装置MSは、検出範囲D100が上記検出領域(D101〜D104を含む)の各々に一致するように位置合わせを行う。この位置合わせは、ステージ調整部22aを用いてステージ装置26を移動させ、基板本体60と検出範囲D100とを相対的に移動させることで行う。なお、基板本体60と検出範囲D100との大きさに応じて、撮像領域D101〜D104とは異なる一つ又は複数の撮像領域が設定されてもよい。なお、検出領域D101〜D104を含む複数の検出領域を撮像し撮像結果を得ることにより、これらの検出領域に配置される生体分子支持領域Sに形成された生体分子と検体に含まれる標的との親和性が検出される。したがって、撮像結果は、親和性の検出結果とすることができる。」

8 甲7について
甲7には、以下の事項が記載されている。
「【0019】
前記反射手段16は、図2および図3にその詳細を示すように、平面視四角形状をした4枚の側面ミラー16a〜16dと、断面「く」の字状をした1枚の背面ミラー16eとから構成されている。
【0020】
これらミラーのうち、4枚の側面ミラー16a〜16dは、錠剤Sの垂直落下路の途中に設定された撮像ポイントPを中心として、右斜め45度上方、右斜め45度下方、左斜め45度上方、左斜め45度下方の各位置に位置して、その鏡面を撮像ポイントPに向けて配置するとともに、さらに撮像ポイントPから出た光線がそれぞれのミラーの鏡面で反射してCCDカメラ17に向かって入射するように、所定の角度だけCCDカメラ17側に向けて傾けて配置されている。なお、これら側面ミラー16a〜16dの大きさは、錠剤Sの側面全面を写し出してCCDカメラ17へ向けて反射できる大きさであればよい。
【0021】
一方、断面「く」の字状をした背面ミラー16eは、撮像ポイントPを中に挟んでCCDカメラ17と反対側に対向配置されている。そして、断面「く」の字状をした鏡面の上側鏡面が撮像ポイントPの真後ろに位置するように配置されているとともに、この上側鏡面に映った錠剤Sの背面画像を下側鏡面に向かって反射させ、さらに下側鏡面からCCDカメラ17に向かって反射されるように、鏡面の折り曲げ角度θが設定されている。なお、この背面ミラー16eの大きさは、錠剤Sの背面全面を写し出してCCDカメラ17へ向けて反射できる大きさであればよい。
【0022】
反射手段16を上記構成とした場合、該反射手段16の部分をエリアセンサからなるCCDカメラ17によって水平方向正面から撮像すると、CCDカメラ17には、図4に示すような錠剤Sの6面の画像、すなわち、正面から直接視認される正面画像S1、背面ミラー16eから反射してきた背面画像S2、側面ミラー16aから反射してきた右斜め上方から見た側面画像S3、側面ミラー16bから反射してきた右斜め下方から見た側面画像S4、側面ミラー16cから反射してきた左斜め上方から見た側面画像S5、側面ミラー16dから反射してきた左斜め下方から見た側面画像S6の6面の画像が同時に撮像される。したがって、この同時に撮像された6面画像の画像データを用いて画像処理により錠剤Sの外観検査を行なえば、1回の撮像によって錠剤Sの全周面について正確で確実な外観検査を行なうことが可能となる。」

第6 取消理由についての当審の判断
事案に鑑み、上記第4の取消理由3(進歩性)から検討する。
1 取消理由3(進歩性)について
(1)本件発明1について
ア 甲8を主とした場合について
(ア)対比
本件発明1と甲8発明とを対比する。甲8発明において「被検査物品」は「錠剤」であることから、以下の対比において、甲8発明における「被検査物品」は「錠剤」と読み替えるものとする。
a 甲8発明の「被検査物品の上面を外側に向けた状態で被検査物品を外周面に吸着支持して保持しながら回転することにより、被検査物品を搬送する表面検査ドラム5(第1検査ドラム)」及び「表面検査ドラム5に外周面を近接させた状態で設置され、表面検査ドラム5から被検査物品を受け取って、被検査物品の下面を外側に向けた状態で被検査物品を外周面に吸着支持して保持しながら回転する裏面検査ドラム6(第2検査ドラム)」は、
本件発明1の「錠剤の厚さ方向の表面を外側に向けた状態で前記表面と前記厚さ方向の逆側の裏面を保持しながら前記錠剤を搬送する第1検査搬送部」及び「該第1検査搬送部の下側に近接させた状態に設置され、前記第1検査搬送部から前記錠剤を受け取って前記錠剤を前記第1検査搬送部の搬送状態と反転させ前記裏面を外側に向けた状態で前記表面を保持しながら搬送する第2検査搬送部」に相当する。

b 甲8発明の「表面検査ドラム5の側方側に配置された被検査物品の外観を検査する第1外観検査装置8」及び「裏面検査ドラム6の側方側に配置された被検査物品の外観を検査する第2外観検査装置9」は、本件発明1の「前記第1検査搬送部に保持された前記錠剤の外観を検査する第1外観検査装置」及び「前記第2検査搬送部に保持された前記錠剤の外観を検査する第2外観検査装置」に相当し、
甲8発明の「第1外観検査装置8及び第2外観検査装置9は、その検査範囲を移動する被検査物品を検査対象と」することは、本件発明1の「前記第1外観検査装置および前記第2外観検査装置は、検査範囲を移動する前記錠剤を検査対象と」することに相当する。

c 甲8発明の「検査範囲にある被検査物品を照明する照明手段40」、「被検査物品の側面からの反射光を反射させる反射手段20」、「被検査物品の上面の上方に配置され、反射手段20から出射された出射光と、被検査物品の上面からの反射光とを撮像する撮像手段30」及び「撮像手段30からの映像信号を処理する処理手段」は、本件発明1の「前記検査範囲の前記錠剤を照明する照明手段」、「前記錠剤の側面からの反射光を反射させる反射手段」、「前記錠剤の上面の上方に配置され、前記反射手段から出射された光および前記錠剤の上面からの反射光を同時に撮像する1つの撮像手段」及び「前記撮像手段からの映像信号を処理する処理手段」に相当し、
甲8発明の「反射手段20は、被検査物品の上面側から見たときに被検査物品を中心として取り囲むように環状に配置された6個の反射体を備えたもの」は、本件発明1の「前記反射手段は、前記錠剤の上面側から見たときに前記検査範囲を取り囲むように配置された複数の反射体を備えるもの」に相当する。

d 甲8発明の「表面検査装置」は、本件発明1の「表面検査装置」に相当する。

e そうすると、本件発明1と甲8発明とは、
(一致点)
「錠剤の厚さ方向の表面を外側に向けた状態で前記表面と前記厚さ方向の逆側の裏面を保持しながら前記錠剤を搬送する第1検査搬送部と、
該第1検査搬送部の下側に近接させた状態に設置され、前記第1検査搬送部から前記錠剤を受け取って前記錠剤を前記第1検査搬送部の搬送状態と反転させ前記裏面を外側に向けた状態で前記表面を保持しながら搬送する第2検査搬送部と、
前記第1検査搬送部に保持された前記錠剤の外観を検査する第1外観検査装置と、前記第2検査搬送部に保持された前記錠剤の外観を検査する第2外観検査装置とが具備されてなり、
前記第1外観検査装置および前記第2外観検査装置は、検査範囲を移動する前記錠剤を検査対象とし、
前記検査範囲の前記錠剤を照明する照明手段と、
前記錠剤の側面からの反射光を反射させる反射手段と、
前記錠剤の上面の上方に配置され、前記反射手段から出射された光および前記錠剤の上面からの反射光を同時に撮像する1つの撮像手段と、
前記撮像手段からの映像信号を処理する処理手段とをそれぞれ備え、
前記反射手段は、前記錠剤の上面側から見たときに前記検査範囲を取り囲むように配置された複数の反射体を備えるものである、表面検査装置。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
複数の反射体が、本件発明1では、「移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向前方側に配置される二つの反射体、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向後方側に配置される二つの反射体、及び前記移動方向前方側に配置される二つの反射体と前記移動方向後方側に配置される二つの反射体の間に配置される二つの反射体を備え」るものであるのに対し、甲8発明では、「被検査物品の上面側から見たときに被検査物品を中心として取り囲むように環状に配置された6個の反射体」であるが、上記のように特定されていない点。

(相違点2)
第1外観検査装置及び第2外観検査装置の撮像手段が、本件発明1では、「移動方向の長さが前記検査範囲内に収まる前記錠剤に対しては、前記光および前記表面(当審注:第2外観検査装置は「裏面」となる。以下同様。)からの前記反射光を一回撮像し、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤に対しては、移動方向における前記錠剤の長さに応じた時間差で前記光および前記表面(裏面)からの前記反射光を複数回撮像するように切り換え」るもの(相違点2−1)で、「一回目の撮像を移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向の前方側が前記検査範囲に収まるタイミングで行い、二回目の撮像を移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向の中間部が検査範囲に収まり、一回目に撮像した像と前記錠剤の一部が重複するタイミングで行い、三回目の撮像を移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向の後方側が検査範囲に収まり、二回目に撮像した像と前記錠剤の一部が重複する夕イミングで行」うもの(相違点2−2)であるのに対し、甲8発明では、上記のように特定されていない点。

(相違点3)
第1外観検査装置及び第2外観検査装置の撮像手段の処理手段が、本件発明1では、「移動方向の長さが前記検査範囲内に収まる前記錠剤に対しては、前記撮像手段からの前記表面(裏面)側の一回の映像信号を処理し、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤に対しては、前記撮像手段からの前記表面(裏面)側の複数の映像信号を結合処理するように切り換え」るもの(相違点3−1)で、「移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向前方側に配置される二つの反射体で反射した前記錠剤の側面の像と、前記移動方向前方側に配置される二つの反射体と前記移動方向後方側に配置される二つの反射体の間に配置される二つの反射体で反射した前記錠剤の側面の像とを含んでいる一回目の撮像によって得られた像、前記移動方向前方側に配置される二つの反射体と前記移動方向後方側に配置される二つの反射体の間に配置される二つの反射体で反射した前記錠剤の側面の像とを含んでいる二回目の撮像によって得られた像、及び移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向後方側に配置される二つの反射体で反射した前記錠剤の側面の像と、前記移動方向前方側に配置される二つの反射体と前記移動方向後方側に配置される二つの反射体の間に配置される二つの反射体で反射した前記錠剤の側面の像とを含んでいる三回目の撮像によって得られた像を結合処理することによって、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の側面の像を得る」もの(相違点3−2)であるのに対し、甲8発明では、上記のように特定されていない点。

(イ)判断
a 相違点について
(a)事案に鑑み、上記相違点1及び相違点3−2、すなわち、
「移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向前方側に配置される二つの反射体、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向後方側に配置される二つの反射体、及び前記移動方向前方側に配置される二つの反射体と前記移動方向後方側に配置される二つの反射体の間に配置される二つの反射体を備え」、「移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向前方側に配置される二つの反射体で反射した前記錠剤の側面の像と、前記移動方向前方側に配置される二つの反射体と前記移動方向後方側に配置される二つの反射体の間に配置される二つの反射体で反射した前記錠剤の側面の像とを含んでいる一回目の撮像によって得られた像、前記移動方向前方側に配置される二つの反射体と前記移動方向後方側に配置される二つの反射体の間に配置される二つの反射体で反射した前記錠剤の側面の像とを含んでいる二回目の撮像によって得られた像、及び移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向後方側に配置される二つの反射体で反射した前記錠剤の側面の像と、前記移動方向前方側に配置される二つの反射体と前記移動方向後方側に配置される二つの反射体の間に配置される二つの反射体で反射した前記錠剤の側面の像とを含んでいる三回目の撮像によって得られた像を結合処理することによって、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の側面の像を得る」ことについて検討する。
上記甲1〜甲7には、移動方向の長さが検査範囲を超える錠剤の側面の像を得るために、錠剤の移動方向前方側に配置される二つの反射体、錠剤の移動方向後方側に配置される二つの反射体、及び移動方向前方側に配置される二つの反射体と移動方向後方側に配置される二つの反射体の間に配置される二つの反射体を備えさせ、錠剤の移動方向前方側に配置される二つの反射体で反射した錠剤の側面の像と、移動方向前方側に配置される二つの反射体と移動方向後方側に配置される二つの反射体の間に配置される二つの反射体で反射した錠剤の側面の像とを含んでいる一回目の撮像によって得られた像、移動方向前方側に配置される二つの反射体と移動方向後方側に配置される二つの反射体の間に配置される二つの反射体で反射した錠剤の側面の像とを含んでいる二回目の撮像によって得られた像、及び移動方向後方側に配置される二つの反射体で反射した錠剤の側面の像と、移動方向前方側に配置される二つの反射体と移動方向後方側に配置される二つの反射体の間に配置される二つの反射体で反射した錠剤の側面の像とを含んでいる三回目の撮像によって得られた像を結合処理することによって、移動方向の長さが検査範囲を超える錠剤の側面の像を得ることは記載されておらず、示唆もされていない。 そうすると、甲8発明に上記甲1〜7に記載の事項をいかに組み合わせても、上記相違点1及び相違点3−2を充足することはできず、そして、上記相違点1及び相違点3−2の事項が単なる設計的事項であると判断できる根拠もない。

(b)したがって、相違点2(相違点2−1及び相違点2−2)並びに相違点3−1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲8発明及び甲1〜7に記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

b 申立人の主張について
申立人は、令和4年2月14日に提出の意見書で、
「ここで、個別具体的な反射体の配置や、撮像回数については、一定の課題を解決するための技術の具体的適用に伴う設計変更や設計的事項の採用に他ならず、発明の要部ではない。」と主張するのみであり、上記相違点1及び相違点3−2の事項を示す証拠を提示しておらず、上記相違点1及び相違点3−2の事項を「設計変更や設計的事項の採用に他なら」ないとする技術的根拠も示していないことから、申立人の主張によって、上記aの判断が変わることはない。

イ 甲1を主とした場合について
甲1の記載は上記第5の2に摘記したとおりであり、甲1には、上記ア(イ)aで述べたとおり、上記相違点1及び相違点3−2について記載されておらず、そして、これらの相違点は、甲2〜8にも記載されていないのであるから、甲1を主とした場合においも、本件発明1は、甲1に記載された発明(特に下線部参照)及び甲2〜8に記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

ウ 小括
よって、本件発明1は、甲8発明及び甲1〜7に記載の事項に基いて、さらには、甲1発明及び甲2〜8に記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないことから、取消理由3によって本件発明1に係る特許を取り消すことはできない。

(2)本件発明3〜5について
本件発明3〜5は、いずれも本件発明1を直接的又は間接的に引用する発明であるから、本件発明1と同様に、甲8発明及び甲1〜7に記載の事項に基いて、さらには、甲1発明及び甲2〜8に記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないことから、取消理由3によって本件発明3〜5に係る特許も取り消すことはできない。

2 取消理由2(実施可能要件)について
次に、上記第4の取消理由2(実施可能要件)について検討する。
(1)乙1の記載について
特許権者は、令和4年1月14日に提出した意見書において「一般に表面(外観)検査装置において、被検査物品の大きさや移動方向の長さを計測する計測手段を用いて被検査物品の大きさや移動方向の長さを計測して、その結果を制御(処理)手段により処理することにより、被検査品物品に応じて検査態様を切り換えることは、当業者において周知の技術事項(技術常識)(例えば、乙1・・・)である。」と主張し、乙第1号証(以下「乙1」という。)として提示されている特開2011−257312号公報には、以下の記載がある。
(乙1ア)「【0001】
本発明は、物品の外観を検査する技術に関し、特に物品を搬送手段によって搬送させつつ、少なくとも搬送方向の上流側方、下流側方及び上方のそれぞれに配置された撮像手段によって、物品の外観を撮像して検査する技術に関する。」

(乙1イ)「【0033】
さらに、物品の大きさを測定する計測手段を備え、制御手段が、計測手段によって測定された物品の大きさに応じて、撮像タイミングの設定を変更すれば、オペレーターによる設定の切り替えが不要であり、何品種もの物品を混在している場合や、同一品種内でサイズのばらつきが大きい物品(主に農産物)であっても、適切なサイズの画像を得ることができる。」

(乙1ウ)「【0048】
また、物品検出手段4及び搬送距離測定手段5は、物品検出手段4が物品11を検出してから検出しなくなるまでの距離を搬送距離測定手段5によって測定することにより、制御手段6は、物品11の長さを測定することができるので、計測手段として機能させることもできる。しかし、上述した位置特定手段と同様、計測手段もかかる構成に限定されるものではなく、その他の手段であっても物品11の大きさを測定できれば計測手段として利用することができる。」
「【0050】
搬送距離測定手段5は、搬送手段2による物品11の搬送距離を測定するものであり、物品検出手段4によって検出された位置からの距離を測定することで、撮像タイミングを制御するためのものである。搬送距離測定手段5として、例えば、エンコーダ等のパルス発生器によって、コンベヤの図示しない回転軸に接続させて回転軸の回転角度を検出して搬送距離を測定してもよいし、搬送速度と搬送時間を検出して搬送距離を測定してもよい。搬送距離測定手段5で検出した距離に関する情報は、制御手段6に入力される。
【0051】
制御手段6は、少なくとも複数の撮像手段3の撮像タイミングを制御するものであり、特に本発明においては、複数の撮像手段3のうち上流の第2撮像手段3aの撮像タイミングと下流の第2撮像手段の撮像タイミングとを独立して設定できるものである。そして、制御手段6は、物品11の大きさ又は種類に応じて、上流の第2撮像手段3aの撮像タイミングと下流の第2撮像手段3bの撮像タイミングの組み合わせを複数設定できる。このため、搬送される物品11の大きさや種類が変わっても、撮像タイミングの設定を変更するだけで、物品検査装置1を利用することが可能なのである。また、制御手段6は、第1撮像手段3dによって撮像された上面画像及び第2撮像手段3a、3bによって撮像された側面画像を取得し、画像処理によって物品の外観を検査する。」

(2)当審の判断
特許権者が提示した乙1には、物品を搬送手段によって搬送させつつ、物品の外観を撮像して検査する技術において、物品の大きさを測定する計測手段を備え、計測手段によって測定された物品の大きさに応じて、撮像の設定を変更し、撮像された画像を処理することで、オペレーターによる設定の切り替えが不要となることが記載されており、物品の大きさを自動的に測定し、それに応じて撮像の設定を自動で変更(切り替える)し、撮像された画像を処理することが周知技術であることが示されているといえる。
そうすると、本件特許明細書等に
「【0047】
このように、撮像手段30による撮像回数、処理手段による複数の映像信号の結合処理の有無は、検査範囲Eの大きさに対する被検査物品S、S’の移動方向の大きさに応じて切り換えられる。」と記載されるのみで、切り換えのための機構が記載されていないものの、上記乙1に示されるように、少なくとも自動で切り換えるための機構が周知技術といえるのであるから、その周知技術を考慮すると、本件発明1を当業者が実施することができないとはいえない。
したがって、発明の詳細な説明は、当業者が本件発明1及び3〜5に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでないとまではいえないことから、取消理由2によって本件発明1及び3〜5に係る特許を取り消すことはできない。

3 取消理由1(明確性)について
上記2の(2)で検討したように、少なくとも自動で切り換えるための機構が周知技術といえるのであるから、本件発明1において、その周知技術に該当する事項を発明特定事項として記載しなくとも、本件発明1が不明確とまではいえない。
よって、本件発明1及び3〜5は、不明確とまではいえないことから、取消理由1によって本件発明1及び3〜5に係る特許を取り消すことはできない。

第7 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1(1)申立理由(不明確性、サポート要件)
本件発明5は、「照明工程」と「撮像工程」と「処理工程」とを含む「方法」の発明であるが、本件発明5においては、時系列の概念が全く示されておらず、発明が不明確となっている。
また、時系列の関係が何ら特定されていないことから、本件発明5の作用効果が奏されないケース(例えば、照明工程が終了した後(消灯後)に撮像工程が行われる場合や、処理工程の後に撮像工程を行うような場合)をも含み得ることとなり、いわゆるサポート要件に違反する。

(2)当審の判断
物品に光を照射して得られた被検査物品からの反射光を撮像手段に入射させて撮像し、得られた映像信号を処理することにより外観を検査する検査方法において、申立人が主張する「照明工程が終了した後(消灯後)に撮像工程を行うこと」、「処理工程の後に撮像工程を行うこと」は技術的に想定されるものではなく、このように技術的に想定されない場合も含み得ることをもってして、発明が不明確であるとも、サポートされていないともいえないことから、本件発明5に係る特許を上記申立理由によって取り消すことはできない。

2 意見書による追加の取消理由
(1)申立人は、令和4年2月14日に提出の意見書で、下記の参考図4を描き、

「一部が重複するタイミングで」撮像を行った場合であっても、撮像できない領域が生じてしまうケースもあり、上面の全てが検査できるわけではない。錠剤の「側面」についても(側面のすべてを撮像するための要件が特に定められているわけでもないので)また然りである。してみると、やはり本件発明1は、必ずしも錠剤の全面を検査するつもりは無いもの、換言すると、錠剤の全面を検査できないケースも含み得るものと考えられる(そうでなければ、サポート要件に違反することになる)。」ことを主張している。

(2)当審の判断
上記理由は特許異議申立書に記載されていた理由ではないものの、一応検討する。
上記参考図4において、錠剤が左右に長ければ長いほど重複する範囲が小さく撮像できない範囲が広がり、短ければ重複する範囲が大きく撮像できない範囲を生じないことになる。一般に錠剤は経口するもので極端に細長いものではなく、本件発明1においても撮像できない範囲が大きく広がるほどの細長い錠剤が想定されているものとはいえないことから、上記意見書による追加の取消理由によって、本件発明1に係る特許を取り消すことはできない。

第8 むすび
以上のとおり、本件発明1及び3〜5に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によって、取り消すことはできない。さらに、他に本件発明1及び3〜5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項2に係る特許は、訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てについて、請求項2に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤の厚さ方向の表面を外側に向けた状態で前記表面と前記厚さ方向の逆側の裏面を保持しながら前記錠剤を搬送する第1検査搬送部と、
該第1検査搬送部の下側に近接させた状態に設置され、前記第1検査搬送部から前記錠剤を受け取って前記錠剤を前記第1検査搬送部の搬送状態と反転させ前記裏面を外側に向けた状態で前記表面を保持しながら搬送する第2検査搬送部と、
前記第1検査搬送部に保持された前記錠剤の外観を検査する第1外観検査装置と、前記第2検査搬送部に保持された前記錠剤の外観を検査する第2外観検査装置とが具備されてなり、
前記第1外観検査装置および前記第2外観検査装置は、検査範囲を移動する前記錠剤を検査対象とし、
前記検査範囲の前記錠剤を照明する照明手段と、
前記錠剤の側面からの反射光を反射させる反射手段と、
前記錠剤の上面の上方に配置され、前記反射手段から出射された光および前記錠剤の上面からの反射光を同時に撮像する1つの撮像手段と、
前記撮像手段からの映像信号を処理する処理手段とをそれぞれ備え、
前記反射手段は、前記錠剤の上面側から見たときに前記検査範囲を取り囲むように配置された複数の反射体を備えるものであって、前記複数の反射体は、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向前方側に配置される二つの反射体、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向後方側に配置される二つの反射体、及び前記移動方向前方側に配置される二つの反射体と前記移動方向後方側に配置される二つの反射体の間に配置される二つの反射体を備え、
前記第1外観検査装置の前記撮像手段は、移動方向の長さが前記検査範囲内に収まる前記錠剤に対しては、前記光および前記表面からの前記反射光を一回撮像し、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤に対しては、移動方向における前記錠剤の長さに応じた時間差で前記光および前記表面からの前記反射光を複数回撮像するように切り換え、
前記第1外観検査装置の前記処理手段は、移動方向の長さが前記検査範囲内に収まる前記錠剤に対しては、前記撮像手段からの前記表面側の一回の映像信号を処理し、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤に対しては、前記撮像手段からの前記表面側の複数の映像信号を結合処理するように切り換え、
前記第2外観検査装置の前記撮像手段は、移動方向の長さが前記検査範囲内に収まる前記錠剤に対しては、前記光および前記裏面からの前記反射光を一回撮像し、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤に対しては、移動方向における前記錠剤の長さに応じた時間差で前記光および前記裏面からの前記反射光を複数回撮像するように切り換え、
前記第2外観検査装置の前記処理手段は、移動方向の長さが前記検査範囲内に収まる前記錠剤に対しては、前記撮像手段からの前記裏面側の一回の映像信号を処理し、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤に対しては、前記撮像手段からの前記裏面側の複数の映像信号を結合処理するように切り換え、
前記第1外観検査装置及び前記第2外観検査装置の前記撮像手段は、一回目の撮像を移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向の前方側が前記検査範囲に収まるタイミングで行い、二回目の撮像を移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向の中間部が検査範囲に収まり、一回目に撮像した像と前記錠剤の一部が重複するタイミングで行い、三回目の撮像を移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向の後方側が検査範囲に収まり、二回目に撮像した像と前記錠剤の一部が重複するタイミングで行い、
前記第1外観検査装置及び前記第2外観検査装置の前記処理手段は、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向前方側に配置される二つの反射体で反射した前記錠剤の側面の像と、前記移動方向前方側に配置される二つの反射体と前記移動方向後方側に配置される二つの反射体の間に配置される二つの反射体で反射した前記錠剤の側面の像とを含んでいる一回目の撮像によって得られた像、前記移動方向前方側に配置される二つの反射体と前記移動方向後方側に配置される二つの反射体の間に配置される二つの反射体で反射した前記錠剤の側面の像とを含んでいる二回目の撮像によって得られた像、及び移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の移動方向後方側に配置される二つの反射体で反射した前記錠剤の側面の像と、前記移動方向前方側に配置される二つの反射体と前記移動方向後方側に配置される二つの反射体の間に配置される二つの反射体で反射した前記錠剤の側面の像とを含んでいる三回目の撮像によって得られた像を結合処理することによって、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤の側面の像を得ることを特徴とする表面検査装置。
【請求項2】
(削 除)
【請求項3】
前記反射体は、前記反射光のうち別の反射体には反射されない反射光を反射させる固有反射領域と、前記固有反射領域の外側に配置され、隣り合う別の反射体にも反射される反射光を反射させるオーバーラップ反射領域とを有し、前記反射手段から出射された光から、前記錠剤の側面が前記反射体の数に対応する数に分割された映像信号が得られるものであり、前記オーバーラップ反射領域によって、前記分割された映像信号における前記錠剤の分割された部分からの反射光が反射されることを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項4】
前記処理手段によって処理された撮像信号から得られた前記錠剤の像は、前記錠剤の上面の像と、前記上面の像の周囲に前記反射体の数およびに前記撮像手段が撮像した回数に対応する数で環状に配置された前記錠剤の側面の像とを有することを特徴とする請求項1または請求項3に記載の表面検査装置。
【請求項5】
請求項1、請求項3または請求項4のいずれか一項に記載の表面検査装置を用いて検査範囲を移動する錠剤を検査対象とする外観検査方法であって、
前記検査範囲の前記錠剤を前記照明手段により照明する照明工程と、
前記錠剤の側面からの反射光を、前記錠剤の上面側から見たときに前記検査範囲を取り囲むように配置された複数の反射体で反射させた光、および前記錠剤の上面からの反射光を前記錠剤の上面の上方で同時に撮像する撮像工程と、
撮像によって得られた映像信号を処理する処理工程とを含み、
前記撮像工程では、
前記第1検査搬送部に保持され、移動方向の長さが前記検査範囲内に収まる前記錠剤に対しては、前記第1外観検査装置の前記撮像手段により前記光および前記表面からの前記反射光を一回撮像し、前記第1検査搬送部に保持され、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤に対しては、前記第1外観検査装置の前記撮像手段により移動方向における前記錠剤の長さに応じた時間差で前記光および前記表面からの前記反射光を複数回撮像するように切り換え、
前記第2検査搬送部に保持され、移動方向の長さが前記検査範囲内に収まる前記錠剤に対しては、前記第2外観検査装置の前記撮像手段により前記光および前記裏面からの前記反射光を一回撮像し、前記第2検査搬送部に保持され、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤に対しては、前記第2外観検査装置の前記撮像手段により移動方向における前記錠剤の長さに応じた時間差で前記光および前記裏面からの前記反射光を複数回撮像するように切り換え、
前記処理工程では、
前記第1外観検査装置の前記処理手段により、移動方向の長さが前記検査範囲内に収まる前記錠剤に対しては、前記第1外観検査装置の前記撮像手段からの前記表面側の一回の映像信号を処理し、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤に対しては、前記第1外観検査装置の前記撮像手段からの前記表面側の複数の映像信号を結合処理するように切り換え、
前記第2外観検査装置の前記処理手段により、移動方向の長さが前記検査範囲内に収まる前記錠剤に対しては、前記第2外観検査装置の前記撮像手段からの前記裏面側の一回の映像信号を処理し、移動方向の長さが前記検査範囲を超える前記錠剤に対しては、前記第2外観検査装置の前記撮像手段からの前記裏面側の複数の映像信号を結合処理するように切り換えることを特徴とする外観検査方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照
異議決定日 2022-04-20 
出願番号 P2016-123923
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (G01N)
P 1 651・ 536- YAA (G01N)
P 1 651・ 121- YAA (G01N)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 福島 浩司
特許庁審判官 三崎 仁
樋口 宗彦
登録日 2021-02-02 
登録番号 6831649
権利者 ライオンエンジニアリング株式会社
発明の名称 外観検査方法および表面検査装置  
代理人 加藤 広之  
代理人 田▲崎▼ 聡  
代理人 田▲崎▼ 聡  
代理人 川越 雄一郎  
代理人 加藤 広之  
代理人 川越 雄一郎  

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