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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 H04W 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04W |
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管理番号 | 1387159 |
総通号数 | 8 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2022-08-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-09-08 |
確定日 | 2022-06-14 |
事件の表示 | 特願2018−503295「端末、基地局、無線通信方法及びシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 9月 8日国際公開、WO2017/150451、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2017年(平成29年)2月27日(優先権主張 平成28年2月29日)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和2年 2月21日 :手続補正書の提出 令和2年11月10日付け:拒絶理由通知書 令和3年 1月15日 :意見書、手続補正書の提出 令和3年 6月 2日付け:拒絶査定 令和3年 9月 8日 :拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提出 令和4年 1月17日 :上申書の提出 第2 原査定の概要 原査定(令和3年6月2日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 記 ・請求項4、7、9、11に対して、引用例1 2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 ・請求項4、7、9、11に対して、引用例1 ・請求項5に対して、引用例1、2 引用文献等一覧 1.国際公開2015/166865号(以下、「引用例1」という。) 2.CATT,System Analysis of UL TTI Shortening,3GPP TSG-RAN WG1#84 R1-160375, 第3 審判請求時の補正について 審判請求時の補正である令和3年9月8日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)は、令和3年1月15日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲に記載された 「 【請求項1】 下り共有チャネルのスケジューリングに利用される下り制御情報を受信する受信部と、 前記下り制御情報で指示される、前記下り共有チャネルの割当てシンボル位置に基づいて前記下り共有チャネルの受信を制御し、前記下り制御情報で指示される、前記下り共有チャネルに対する送達確認信号の送信タイミングに基づいて前記送達確認信号の送信を制御する制御部と、を有する端末。 【請求項2】 前記制御部は、前記下り制御情報に基づいて前記送達確認信号の送信に利用する上り制御チャネルのシンボル位置を判断する請求項1に記載の端末。 【請求項3】 前記制御部は、1スロット範囲において前記下り制御情報の受信と前記送達確認信号の送信が許容される請求項1又は請求項2に記載の端末。 【請求項4】 チャネル状態情報に関する情報を含む下り制御情報を受信する受信部と、 前記下り制御情報に基づいてチャネル状態情報用の参照信号の割当て及び前記チャネル状態情報の送信タイミングを判断する制御部と、を有する端末。 【請求項5】 前記制御部は、前記下り制御情報に基づいて前記チャネル状態情報の送信に利用する上り制御チャネルのシンボル位置を判断する請求項4に記載の端末。 【請求項6】 下り共有チャネルのスケジューリングに利用される下り制御情報を送信する送信部と、 前記下り制御情報で指示する、前記下り共有チャネルの割当てシンボル位置に基づいて前記下り共有チャネルの送信を制御し、前記下り制御情報で指示する、前記下り共有チャネルに対する送達確認信号の送信タイミングに基づいて前記送達確認信号の受信を制御する制御部と、を有する基地局。 【請求項7】 チャネル状態情報に関する情報を含む下り制御情報を送信する送信部と、 前記下り制御情報に基づいてチャネル状態情報用の参照信号の割当て及び前記チャネル状態情報の送信タイミングを決定する制御部と、を有する基地局。 【請求項8】 下り共有チャネルのスケジューリングに利用される下り制御情報を受信するステップと、 前記下り制御情報で指示される、前記下り共有チャネルの割当てシンボル位置に基づいて前記下り共有チャネルの受信を制御し、前記下り制御情報で指示される、前記下り共有チャネルに対する送達確認信号の送信タイミングに基づいて前記送達確認信号の送信を制御するステップと、を有する端末の無線通信方法。 【請求項9】 チャネル状態情報に関する情報を含む下り制御情報を受信するステップと、 前記下り制御情報に基づいてチャネル状態情報用の参照信号の割当て及び前記チャネル状態情報の送信タイミングを判断するステップと、を有する端末の無線通信方法。 【請求項10】 基地局と端末を有するシステムであって、 前記基地局は、 下り共有チャネルのスケジューリングに利用される下り制御情報を送信する送信部と、 前記下り制御情報で指示する、前記下り共有チャネルの割当てシンボル位置に基づいて前記下り共有チャネルの送信を制御し、前記下り制御情報で指示する、前記下り共有チャネルに対する送達確認信号の送信タイミングに基づいて前記送達確認信号の受信を制御する制御部と、を有し、 前記端末は、 前記下り制御情報を受信する受信部と、 前記下り制御情報で指示される、前記下り共有チャネルの割当てシンボル位置に基づいて前記下り共有チャネルの受信を制御し、前記下り制御情報で指示される、前記下り共有チャネルに対する前記送達確認信号の送信タイミングに基づいて前記送達確認信号の送信を制御する制御部と、を有する、システム。 【請求項11】 基地局と端末を有するシステムであって、 前記基地局は、 チャネル状態情報に関する情報を含む下り制御情報を送信する送信部と、 前記下り制御情報に基づいてチャネル状態情報用の参照信号の割当て及び前記チャネル状態情報の送信タイミングを決定する制御部と、を有し、 前記端末は、 前記下り制御情報を受信する受信部と、 前記下り制御情報に基づいて前記チャネル状態情報用の参照信号の割当て及び前記チャネル状態情報の送信タイミングを判断する制御部と、を有する、システム。」 という発明を 「 【請求項1】 下り共有チャネルのスケジューリングに利用される下り制御情報を受信する受信部と、 前記下り制御情報で指示される、前記下り共有チャネルの割当てシンボル位置に基づいて前記下り共有チャネルの受信を制御し、前記下り制御情報で指示される、前記下り共有チャネルに対する送達確認信号の送信タイミングに基づいて前記送達確認信号の送信を制御する制御部と、を有する端末。 【請求項2】 前記制御部は、前記下り制御情報に基づいて前記送達確認信号の送信に利用する上り制御チャネルのシンボル位置を判断する請求項1に記載の端末。 【請求項3】 前記制御部は、1スロット範囲において前記下り制御情報の受信と前記送達確認信号の送信が許容される請求項1又は請求項2に記載の端末。 【請求項4】 下り共有チャネルのスケジューリングに利用される下り制御情報を送信する送信部と、 前記下り制御情報で指示する、前記下り共有チャネルの割当てシンボル位置に基づいて前記下り共有チャネルの送信を制御し、前記下り制御情報で指示する、前記下り共有チャネルに対する送達確認信号の送信タイミングに基づいて前記送達確認信号の受信を制御する制御部と、を有する基地局。 【請求項5】 下り共有チャネルのスケジューリングに利用される下り制御情報を受信するステップと、 前記下り制御情報で指示される、前記下り共有チャネルの割当てシンボル位置に基づいて前記下り共有チャネルの受信を制御し、前記下り制御情報で指示される、前記下り共有チャネルに対する送達確認信号の送信タイミングに基づいて前記送達確認信号の送信を制御するステップと、を有する端末の無線通信方法。 【請求項6】 基地局と端末を有するシステムであって、 前記基地局は、 下り共有チャネルのスケジューリングに利用される下り制御情報を送信する送信部と、 前記下り制御情報で指示する、前記下り共有チャネルの割当てシンボル位置に基づいて前記下り共有チャネルの送信を制御し、前記下り制御情報で指示する、前記下り共有チャネルに対する送達確認信号の送信タイミングに基づいて前記送達確認信号の受信を制御する制御部と、を有し、 前記端末は、 前記下り制御情報を受信する受信部と、 前記下り制御情報で指示される、前記下り共有チャネルの割当てシンボル位置に基づいて前記下り共有チャネルの受信を制御し、前記下り制御情報で指示される、前記下り共有チャネルに対する前記送達確認信号の送信タイミングに基づいて前記送達確認信号の送信を制御する制御部と、を有する、システム。」 という本願請求項1ないし6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明6」という。)とするものである。 本件補正により、補正前の請求項4、5、7、9及び11が削除された。また、補正前の請求項6が補正後の請求項4、補正前の請求項8が補正後の請求項5、補正前の請求項10が補正後の請求項6とされた。これは、請求項を削除する補正によって生じた補正である。そして、請求項1ないし3については補正はされていない。よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる請求項の削除を目的とする補正に該当する。 よって、本件補正は、特許法第17条の2第3項から第5項までの要件に違反しているものとはいえない。 第4 原査定についての判断 「第3 審判請求時の補正について」で示したように、原査定において拒絶すべきとされた請求項4、5、7、9及び11は、令和3年9月8日にされた手続補正により全て削除された。 したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第5 進歩性について 1 原査定の拒絶の理由に引用された、国際公開2015/166865号(引用例1)には、図面と共に以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。) (1)「[0023] 図1において、端末装置2から基地局装置1Aへの上りリンクの無線通信では、以下の上りリンク物理チャネルが用いられる。上りリンク物理チャネルは、上位層から出力された情報を送信するために使用される。 ・PUCCH(Physical Uplink Control Channel) ・PUSCH(Physical Uplink Shared Channel) ・PRACH(Physical Random Access Channel) [0024] PUCCHは、上りリンク制御情報(Uplink Control Information: UCI)を送信するために用いられる。ここで、上りリンク制御情報は、下りリンクデータ(下りリンクトランスポートブロック、Downlink-Shared Channel: DL-SCH)に対するACK(a positive acknowledgement)またはNACK(a negative acknowledgement)(ACK/NACK)を含む。下りリンクデータに対するACK/NACKを、HARQ?ACK、HARQフィードバックとも称する。」 (2)「[0037] PDCCHおよびEPDCCHは、下りリンク制御情報(Downlink Control Information: DCI)を送信するために用いられる。ここで、下りリンク制御情報の送信に対して、複数のDCIフォーマットが定義される。すなわち、下りリンク制御情報に対するフィールドがDCIフォーマットに定義され、情報ビットへマップされる。」 (3)「[0039] 例えば、下りリンクに対するDCIフォーマットには、PDSCHのリソース割り当てに関する情報、PDSCHに対するMCS(Modulation and Coding Scheme)に関する情報、PUCCHに対するTPCコマンドなどの下りリンク制御情報が含まれる。ここで、下りリンクに対するDCIフォーマットを、下りリンクグラント(または、下りリンクアサインメント)とも称する。」 (4)「[0047] 端末装置2は、下りリンクアサインメントを用いてPDSCHのリソースがスケジュールされた場合、スケジュールされたPDSCHで下りリンクデータを受信する。また、端末装置2は、上りリンクグラントを用いてPUSCHのリソースがスケジュールされた場合、スケジュールされたPUSCHで上りリンクデータおよび/または上りリンク制御情報を送信する。」 (5)「[0092] 図3は、本実施形態における端末装置2の構成を示す概略ブロック図である。図3に示すように、端末装置2は、上位層処理部201、制御部202、送信部203、受信部204、チャネル状態情報生成部205と送受信アンテナ206を含んで構成される。また、上位層処理部201は、無線リソース制御部2011、スケジューリング情報解釈部2012を含んで構成される。また、送信部203は、符号化部2031、変調部2032、上りリンク参照信号生成部2033、多重部2034、無線送信部2035を含んで構成される。また、受信部204は、無線受信部2041、多重分離部2042、信号検出部2043を含んで構成される。」 (6)「[0096] スケジューリング情報解釈部2012は、受信部204を介して受信した下りリンク制御情報を解釈し、スケジューリング情報を判定する。また、スケジューリング情報解釈部2012は、スケジューリング情報に基づき、受信部204、および送信部203の制御を行なうために制御情報を生成し、制御部202に出力する。」 上記記載及び当業者の技術常識を考慮すると、次のことがいえる。 ア 上記(5)の段落92に「端末装置2は、上位層処理部201、・・・受信部204・・・を含んで構成される。また、上位層処理部201は、・・・スケジューリング情報解釈部2012を含んで構成される。」と記載され、上記(6)の段落96には「スケジューリング情報解釈部2012は、受信部204を介して受信した下りリンク制御情報を解釈し、スケジューリング情報を判定する。」と記載されているから、端末装置は、スケジューリング情報を含む下りリンク制御情報を受信する受信部を有するといえる。 イ 上記(3)の段落39に「下りリンクに対するDCIフォーマットには、PDSCHのリソース割り当てに関する情報・・・が含まれる。ここで、下りリンクに対するDCIフォーマットを、下りリンクグラント(または、下りリンクアサインメント)とも称する。」と記載され、及び、上記(4)の段落47には、「端末装置2は、下りリンクアサインメントを用いてPDSCHのリソースがスケジュールされた場合、スケジュールされたPDSCHで下りリンクデータを受信する。」と記載されていることから、下りリンクに対するDCIフォーマットでPDSCHの受信がスケジュールされるといえる。また、(2)の段落37に「下りリンク制御情報に対するフィールドがDCIフォーマットに定義され、情報ビットへマップされる。」と記載されることから、DCIフォーマットは下りリンク制御情報を伝送するものであるので、下りリンク制御情報でPDSCHの受信がスケジュールされるといえる。 ウ 上記「イ」で説示したように、下りリンク制御情報でPDSCHの受信がスケジュールされ、上記「ア」で説示したように、端末装置は、スケジューリング情報を含む下りリンク制御情報を受信する受信部を有することから、端末装置は、PDSCHのスケジューリングに利用される下りリンク制御情報を受信する受信部を有するといえる。 エ 上記(1)の段落24に「PUCCHは、上りリンク制御情報(Uplink Control Information: UCI)を送信するために用いられる。ここで、上りリンク制御情報は、下りリンクデータ(下りリンクトランスポートブロック、Downlink-Shared Channel: DL-SCH)に対するACK(a positive acknowledgement)またはNACK(a negative acknowledgement)(ACK/NACK)を含む。」と記載されており、ここで、上りであるから上りリンク制御情報を送信するのは端末装置であることは明らかであり、下りリンクトランスポートブロックがPDSCHによって伝送されることは技術常識であるから、端末装置は、PDSCHに対するACKまたはNACKを送信するといえる。 オ 上記(5)の段落92に「端末装置2は、上位層処理部201、制御部202、送信部203、受信部204・・・を含んで構成される。また、上位層処理部201は、・・・スケジューリング情報解釈部2012を含んで構成される」と記載され、上記(6)の段落96に「スケジューリング情報解釈部2012は、スケジューリング情報に基づき、受信部204、および送信部203の制御を行なうために制御情報を生成し、制御部202に出力する」と記載されているから、端末装置は上位層処理部を備え、上位層処理部に含まれるスケジューリング情報解釈部は受信を制御し、送信を制御しているといえる。したがって、受信を制御し、送信を制御する、上位層処理部を有する端末装置が記載されているといえ、上記「イ」で説示したように、下りリンク制御情報でPDSCHの受信がスケジュールされ、上記「エ」で説示したように、端末装置はPDSCHに対するACKまたはNACKを送信することから、端末装置は、下りリンク制御情報でスケジュールされるPDSCHの受信を制御し、前記PDSCHに対するACKまたはNACKの送信を制御する上位層処理部を有するといえる。 したがって、以上を総合すると、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「PDSCHのスケジューリングに利用される下りリンク制御情報を受信する受信部と、 前記下りリンク制御情報でスケジュールされる前記PDSCHの受信を制御し、前記PDSCHに対するACKまたはNACKの送信を制御する上位層処理部と、を有する端末装置。」 2 原査定の拒絶の理由に引用された、CATT,System Analysis of UL TTI Shortening(当審訳:UL TTI短縮のシステム分析),3GPP TSG-RAN WG1#84 R1-160375, 「・PUCCH − new PUCCH formats need to be designed to carry HARQ-ACK, P-CSI, and SR information for symbol-level TTI. The new PUCCH for carrying HARQ-ACK should be available at each TTI. The new PUCCH formats should be flexible in resource allocation and adjustable for different payload size. The new PUSCH-like PUCCH formats 4 and 5 for eCA could be reused for the new PUCCH format for symbol-based TTI. The symbol-based TTI PUSCH structure could be used directly for new PUCCH format. Proposal 5: New PUCCH format for symbol-level TTI would be PUSCH-like format similar to PUCCH formats 4/5. 」(第4ページ下から第3行ないし第5ページ第4行) (当審訳: ・PUCCH − シンボルレベルTTIのHARQ−ACK、P−CSI、およびSR情報を搭載するように新しいPUCCHフォーマットを設計する必要がある。 HARQ−ACKを運ぶための新しいPUCCHは各TTIで利用可能であるべきである。新しいPUCCHフォーマットは、リソース割り当てでは柔軟で、異なるペイロードサイズに対して調整可能である必要がある。 eCA用の新しいPUSCH様PUCCHフォーマット4および5は、シンボルベースのTTIのための新しいPUCCHフォーマットのために再利用され得る。シンボルベースのTTI PUSCH構造は、新しいPUCCHフォーマットに直接使用できる。 提案5:シンボルレベルTTIのための新しいPUCCHフォーマットは、PUCCHフォーマット4/5と同様のPUSCH様フォーマットである。) したがって、引用例2には、以下の技術事項が記載されていると認められる。 「シンボルレベルTTIのHARQ−ACKを搭載するように新しいPUCCHフォーマットを設計する必要がある。」 第6 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。 ア 引用発明の「PDSCH」、「下りリンク制御情報」及び「受信部」は、それぞれ、本願発明1の「下り共有チャネル」、「下り制御情報」及び「受信部」に相当する。 したがって、引用発明の「PDSCHのスケジューリングに利用される下りリンク制御情報を受信する受信部」は、本願発明1の「下り共有チャネルのスケジューリングに利用される下り制御情報を受信する受信部」に相当する。 イ 引用発明は「前記下りリンク制御情報でスケジュールされる前記PDSCHの受信を制御」するものであるから、PDSCHの受信のためのリソース位置は下りリンク制御情報の指示に基づいて指し示されているといえる。 したがって、本願発明1の「前記下り制御情報で指示される、前記下り共有チャネルの割当てシンボル位置に基づいて前記下り共有チャネルの受信」をすることと、引用発明の「前記下りリンク制御情報でスケジュールされる前記PDSCHの受信」をすることとは、前記下り制御情報の指示に基づいて前記下り共有チャネルの受信をする点で共通する。 ウ 引用発明の「ACKまたはNACK」が送達確認信号であることは技術常識である。 よって、本願発明1の「前記下り制御情報で指示される、前記下り共有チャネルに対する送達確認信号の送信タイミングに基づいて前記送達確認信号の送信」することと、引用発明の「前記PDSCHに対するACKまたはNACKの送信」することとは、下り共有チャネルに対する送達確認信号の送信をする点で共通する。 また、上記「イ」で説示したように、本願発明1の「前記下り制御情報で指示される、前記下り共有チャネルの割当てシンボル位置に基づいて前記下り共有チャネルの受信」することと、引用発明の「前記下りリンク制御情報でスケジュールされる前記PDSCHの受信」することとは、前記下り制御情報で指示に基づいて前記下り共有チャネルの受信する点で共通する。 更に、引用発明の「上位層処理部」は「前記下りリンク制御情報でスケジュールされる前記PDSCHの受信を制御」するものであって、さらに、「前記PDSCHに対するACKまたはNACKの送信を制御する」ものであるから、引用発明の「上位層処理部」は通信の送受信に関する制御を行う機能部であり、本願発明1と同様に、受信を制御し、送信を制御する制御部といえる。 したがって、本願発明1の「前記下り制御情報で指示される、前記下り共有チャネルの割当てシンボル位置に基づいて前記下り共有チャネルの受信を制御し、前記下り制御情報で指示される、前記下り共有チャネルに対する送達確認信号の送信タイミングに基づいて前記送達確認信号の送信を制御する制御部」と、引用発明の「前記下りリンク制御情報でスケジュールされる前記PDSCHの受信を制御し、前記PDSCHに対するACKまたはNACKの送信を制御する上位層処理部」とは、下り制御情報で指示に基づいて下り共有チャネルの受信を制御し、前記下り共有チャネルに対する送達確認信号の送信を制御する制御部である点で共通する。 エ 引用発明の「端末装置」は、本願発明1の「端末」に相当する。 以上を総合すると、本願発明1と引用発明とは、以下の点で一致し、また、相違している。 (一致点) 「 下り共有チャネルのスケジューリングに利用される下り制御情報を受信する受信部と、 前記下り制御情報で指示に基づいて前記下り共有チャネルの受信を制御し、前記下り共有チャネルに対する送達確認信号の送信を制御する制御部と、を備える端末。」 (相違点1) 下り共用チャネルの受信の制御に関して、本願発明1では、「前記下り制御情報で指示される、前記下り共有チャネルの割当てシンボル位置に基づいて前記下り共有チャネルの受信を制御」するという発明特定事項を有するのに対し、引用発明においては、当該発明特定事項が特定されていない点。 (相違点2) 送達確認信号の送信の制御に関して、本願発明1では、「前記下り制御情報で指示される、前記下り共有チャネルに対する送達確認信号の送信タイミングに基づいて前記送達確認信号の送信を制御する」という発明特定事項を有するのに対し、引用発明においては、当該発明特定事項が特定されていない点。 (2)判断 上記相違点1及び2について検討する上で、事案に鑑みて、まず上記相違点2について検討する。 上記相違点2に係る発明特定事項については引用例2に記載されておらず、移動体通信分野における周知技術でもない。 したがって、引用発明において、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項である「前記下り制御情報で指示される、前記下り共有チャネルに対する送達確認信号の送信タイミングに基づいて前記送達確認信号の送信を制御する」という発明特定事項を採用することは、当業者といえども、容易に想到し得たとはいえない。 よって、相違点1について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用例2に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 2 本願発明2及び3について 本願発明2及び3は、本願発明1の発明特定事項を全て含むから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例2に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 3 本願発明4について 本願発明4は、本願発明1に対応する基地局の発明であり、本願発明1の上記相違点2に対応する「前記下り制御情報で指示する、前記下り共有チャネルに対する送達確認信号の送信タイミングに基づいて前記送達確認信号の受信を制御する」という発明特定事項を含むことから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例2に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 4 本願発明5について 本願発明5は、本願発明1に対応する端末の方法の発明であり、本願発明1の上記相違点2に対応する「前記下り制御情報で指示される、前記下り共有チャネルに対する送達確認信号の送信タイミングに基づいて前記送達確認信号の送信を制御する」という発明特定事項を含むことから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例2に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 5 本願発明6について 本願発明6は、本願発明1に係る端末と本願発明4の係る基地局を備えたシステムの発明であり、本願発明1の上記相違点2の「前記下り制御情報で指示される、前記下り共有チャネルに対する送達確認信号の送信タイミングに基づいて前記送達確認信号の送信を制御する」するという発明特定事項を含むことから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例2に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2022-05-31 |
出願番号 | P2018-503295 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H04W)
P 1 8・ 113- WY (H04W) |
最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
中木 努 |
特許庁審判官 |
石田 紀之 國分 直樹 |
発明の名称 | 端末、基地局、無線通信方法及びシステム |
代理人 | 守屋 芳隆 |
代理人 | 天田 昌行 |
代理人 | 青木 宏義 |