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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q
管理番号 1387418
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-02-08 
確定日 2022-07-04 
事件の表示 特願2020− 22768「知的財産管理装置、知的財産管理プログラム及び知的財産管理方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 9月 2日出願公開、特開2021−128543、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和2年2月13日を出願日とする出願であって、手続の概要は以下のとおりである。

拒絶理由通知 :令和3年 8月19日(起案日)
手続補正 :令和3年10月 1日
拒絶査定 :令和3年12月 6日(起案日)
拒絶査定不服審判請求 :令和4年 2月 8日
手続補正 :令和4年 2月 8日
拒絶理由通知(当審) :令和4年 4月20日(起案日)
手続補正 :令和4年 5月24日

第2 原査定の概要
原査定(令和3年12月6日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
進歩性)本願請求項1−12に係る発明は、以下の引用文献1−3に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2015−125484号公報
2.米国特許出願公開第2009/0132496号明細書(周知技術を示す文献)
3.国際公開第2007/148437号(周知技術を示す文献)

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

進歩性)この出願の請求項1−10に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の引用文献Aに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
A.特開2001−134661号公報

第4 本願発明
本願請求項1−10に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」、「本願発明2」などという。)は、令和4年5月24日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1−10に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。
【請求項1】
特許、実用新案、意匠又は商標に関する案件を特定するための案件特定項目、並びに、該案件特定項目に紐づく、知的財産権の内容及び/又は知的財産権を取得するための出願の内容を含むレコード(1)を有する第1の保存部と、
使用者の案件に関する前記レコード(1)をそのままの状態とした、又は、使用者の案件に関する前記レコード(1)における情報の加工もしくは前記レコード(1)から情報の抽出を行ったレコード(2)を有する保存部であって、該レコード(2)が前記案件特定項目を含み、かつ、権利の存続期間が満了する日、及び、出願に関する手続きの期限日のうちの少なくとも一つを含むこととした第2の保存部と、
を用いて知的財産に関する案件を管理するとともに、前記案件について期限の徒過を防ぐ契機を使用者に与える知的財産管理装置であって、
前記レコード(1)を用いて前記レコード(2)を更新する更新部と、
権利の存続期間が満了する日、又は、出願に関する手続きの期限日が所定の日数以下になった場合に前記使用者にその旨を通知する通知部と、を有し、
所定の時間間隔で外部の公開情報を前記第1の保存部に反映させることを特徴とする知的財産管理装置。

なお、本願発明2−10の概要は以下のとおりである。

本願発明2−8は、本願発明1を減縮した発明である。

本願発明9、10は、それぞれ、本願発明1に対応する知的財産管理プログラム、あるいは、本願発明1に対応する知的財産管理方法の発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。

第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献Aについて
令和4年4月20日付けの拒絶の理由に引用された引用文献Aには、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、知的財産の管理方法に関し、詳しくは特許事務所の端末と知的財産を所有する者の計算機との間で行う知的財産の管理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来では、特許庁の大型計算機に対し、企業等の知的財産を所有する者から依頼を受けた特許事務所が、端末を使用して、この知的財産を知的財産権として確定するために通信回線を介して電子的に出願する。この出願に係る出願データを特許事務所の端末に記憶し、依頼主の企業の計算機に通信回線を介して電子的に送ったり、文書で報告している。企業ではこの出願に係る出願データを計算機に記憶する。以後の各種の手続きを前記特許事務所が行うが、その都度同様に依頼主の企業の計算機に通信回線を介して電子的に送ったり、文書で報告している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の特許事務所の端末と依頼主の企業の計算機とでは、出願データを管理するソフトウェアは必ずしも同じプログラムではなかった。そのため、ある出願データが急遽必要になった場合、企業の計算機から特許事務所の端末に問い合わせをしても、当該出願の進捗状態の入手に時間がかかることが多かった。
【0004】このような遅延をなくすために、特許事務所の端末と企業の計算機とを自由に通信回線により接続可能にしようとの試みが提案されたが、企業では計算機内の他の情報が、特許事務所の端末に漏れるのを恐れて進展が少なかった。この発明は、出願データが常に最新の状態に更新され、期限管理や各事件の進捗状況が企業と特許事務所の両方で簡単に管理できるとともに、暗号機能を企業のサーバーと特許事務所の端末に特定して設定し、共通に関係する知的財産の管理を一元化しても目的毎に秘密が保持できる方法を提供することを目的とする。」
「【0007】
【発明の実施の形態】以下、この発明の知的財産の管理方法について説明する。図1において、発明者や多くの開発技術者を雇する企業のサーバー1は通信回線3を介して代理人となる特許事務所の端末2と自由に接続可能である。また特許事務所の端末2はパソコン等であり、特許事務所の数に応じて多数存在し、これらは同1条件で、通信回線3を介して特許庁の大型計算機4に自由に接続可能である。
【0008】企業のサーバー1は複数の特許事務所の端末2、21,22…と通信回線3を介して自由に接続可能である。又各特許事務所の端末2は複数の企業のサーバー1、11、12…と通信回線3を介して自由に接続可能である。さて、図2において企業10のサーバー1には知的財産の管理プログラム5とCPU6と記憶装置7と入力装置8とプリンタ9と表示部31と時計32とモデム33とを備えている。
【0009】特許事務所20の端末2には知的財産の管理プログラム15とCPU16と記憶装置17と入力装置18とプリンタ19と表示部41と時計42とモデム43とを備えている。サーバー1の管理プログラム5と端末2の管理プログラム15とはほぼ同一の機能を備えている。これら知的財産の管理プログラム5、15は市販の”PAT−DATA”ソフト等が知られており、サーバー1や端末2の各記憶装置7、17にそれぞれ予め設定する。」
「【0011】図4において、企業10から特許事務所20には文書や電子文書で発明関連資料30が送られる。発明関連資料30には、技術的な発明内容Iと、発明者と出願人など人的属性Hと、出願手数料と出願料などの予想金額Yがあり、発明関連資料30を説明上関数B(I、H、Y)とする。そこで、図5において、編集機能51は発明関連資料30の関数B(I、H、Y)に対し、入力装置8、18によるオペレータの介入に従い、フォーマット機能56に従いフォーマット処理を行い出願文書38を作成する。
【0012】この出願文書38は技術的な発明内容Iと、発明者と出願人と代理人など人的属性H1と、出願手数料と出願料などの確定金額Y1と、出願日Tと文書形式Fがあり、出願文書38を関数G(I、H1、Y1、T、F)とする。出願文書38の関数G(I、H1、Y1、T、F)を記憶装置17に記憶する。第1通信機能53は特許庁の大型計算機4に対する送信と受信のプロトコルであり、第2通信機能57は、特許事務所20の端末2と企業10のサーバー1間での送信と受信のプロトコルである。
【0013】検索機能52は、キーワードによる発明内容I及び、発明者と出願人の人的属性H1及び、出願日Tにより、記憶装置7,17に対する検索機能を有する。第1通信機能53はオペレータの介入に従って通信処理を行い出願文書38を特許庁の大型計算機4に通信回線3を介して送る。期限機能54は時計32,42の日本標準時を参照し、後述する各種期限との比較を行う。暗号機能55は特許庁の大型計算機4と特許事務所20の端末2との間や、端末2と企業10のサーバー1間の暗号解読を行う。記憶装置7、17には暗号機能55が必要とする暗号データが記憶されている。
【0014】フォーマット機能56は特許庁の大型計算機4に出願する書式を設定し、第2通信機能57は企業10のサーバー1上では受信専用に設定可能でり、各特許事務所20の端末2からの発呼に対し受信のみを行ことができる。特許事務所20で発明関連資料30の関数B(I、H、Y)から出願文書38の関数G(I、H1、Y1、T、F)を作成後、端末2のオペレータが、第1通信機能53に従って通信処理を行い、出願文書38の関数G(I、H1、Y1、T、F)を特許庁の大型計算機4に通信回線3を介して送る。
【0015】大型計算機4は出願文書38の関数G(I、H1、Y1、T、F)を形式条件を満足しているかどうか調べ、満たしていたら受領し、出願番号Sを決定し、端末2に送る。特許庁の大型計算機4では出願文書38を関数G1(I、H1、Y1、T、F、S)として記憶する。出願番号Sを受けた特許事務所20の端末2では、保有する出願文書38の関数G(I、H1、Y1、T、F)を関数G1(I、H1、Y1、T、F、S)に進化させる。
【0016】この関数G1への進化とともに端末2のCPU16は、時計42を管理プログラム15の期限管理機能54と結合しれて、出願日Tを基準にして7年後の審査請求期限日を計算し、記憶装置17に記憶する。端末2の第2通信機能57は、モデム42を駆動して企業10のサーバー1のモデム32に通信回線3を介して発呼し、管理プログラム15の暗号機能55を使用して企業10のサーバー1に暗号を送る。
【0017】企業10のサーバー1のCPU6は、自己の管理プログラム5の暗号機能55を使用してこの暗号を解読し、当該特許事務所20の端末2が特許データを共有する相手に設定されているか否かを記憶装置17内の暗号データを調べる。CPU6は特許データを共有する相手として設定があれば、自己の管理プログラム5の第2通信機能57により、端末2と接続する。
【0018】そこで始めて当該特許事務所20の端末2は進化した出願文書38の関数G1(I、H1、Y1、T、F、S)を計算企業1のサーバー1に送る。サーバー1では出願文書38の関数G1(I、H1、Y1、T、F、S)を受けて、時計32が管理プログラム5の期限管理機能54と結合されて、出願日Tを基準に7年後の審査請求日が計算される。
【0019】出願文書38の関数G1と計算された審査請求期限日とがサーバー1の記憶装置7に記憶される。特許事務所20の端末2と企業10のサーバー1に、同じ内容の出願文書38の関数G1と審査請求期限日とが同時に記憶されたことになる。
【0020】さて、例えば既に6年前に出願済み出願文書38の関数G(I、H1、Y1、T、F)と出願番号Sの通知書とを書面で、ある特許事務所20が管理していると仮定する。この特許事務所20はパソコンの端末2を購入し、遅まきながら電子出願を開始し、市販の”PAT−DATA”ソフト等の管理プログラム15を端末2に設定した。
【0021】オペレータは入力装置18を使用して出願文書38と出願番号S通知書を、管理プログラム15の制御下に記憶装置17に記憶する。すると出願文書38の関数Gから出願文書38の関数G1(I、H1、Y1、T、F、S)が管理プログラム15により同様に形成される。さて、企業10のサーバー1及び特許事務所20の端末2において、出願の数年後であれば、管理プログラム5、15の期限管理機能54は時計32、42を参照して、例えば審査請求期限前2ヶ月前の出願文書38の関数G1だけを、記憶装置7,17から選び出し表示部31、41に表示する。
【0022】次に特許庁の大型計算機4が出願文書38の関数G1に関し、公開番号Kを発行し、特許事務所20に文書で通知する。特許事務所20の端末2では出願番号Sから出願文書38の関数G1(I、H1、Y1、T、F、S)を検索し、関数G1に公開番号Kを、入力装置18により管理プログラム15の下に追加し、関数G1を関数G2(I、H1、Y1、T、F、S、K)に更新する。
【0023】企業10のサーバー1と特許事務所20の端末2との間で通信回線3を介して暗号による接続の可否を決定し、端末2は第2通信機能57により進化した出願文書38の関数G2(I、H1、Y1、T、F、S、K)をサーバー1に送る。特許事務所20の端末2と企業10のサーバー1に、公開番号Kを追加した同じ内容の出願文書38の関数G2が同時に記憶されたことになる。企業10が出願文書38の関数G2(I、H1、Y1、T、F、S、K)に関し特許事務所20に審査請求を依頼すると、特許事務所20は特許庁に対して文書で審査請求を行う。
【0024】端末2では出願文書38の関数G2(I、H1、Y1、T、F、S、K)に、審査請求Rを入力装置18により管理プログラム15の下に追加し、出願文書38の関数G2を関数G3(I、H1、Y1、T、F、S、K、R)に更新する。企業10のサーバー1と特許事務所20の端末2との間で通信回線3を介して暗号による接続の可否を決定し、端末2は出願文書38の関数G3(I、H1、Y1、T、F、S、K、R)を第2通信機能57により企業10のサーバー1に送る。特許事務所20の端末2と企業10のサーバー1に、審査請求Rを追加した同じ内容の出願文書38の関数G3が同時に記憶されたことになる。
【0025】企業10のサーバー1では記憶装置7上の関数G2(I、H1、Y1、T、F、S、K)に関数G3(I、H1、Y1、T、F、S、K、R)を上書きする。この上書は実質的には記憶装置7上の関数G2(I、H1、Y1、T、F、S、K)に審査請求Rを追加することである。
【0026】特許庁で審査が行われ、各種の結果が得られると、特許庁は特許事務所20に対して審査結果Zに伴う期限T1を指定して文書により対応を要請する。特許庁の大型計算機4には所定の方法で、出願文書38の関数G4(I、H1、Y1、T、F、S、K、R、Z、T1)が形成されている。特許事務所20の端末2では、出願文書38の関数G3(I、H1、Y1、T、F、S、K、R)に審査結果Zに伴う期限T1を入力装置18により管理プログラム15の下に追加し、出願文書38の関数G3を関数G4(I、H1、Y1、T、F、S、K、R、Z、T1)へと更に進化させる。
【0027】企業10のサーバー1と特許事務所20の端末2との間で通信回線3を介して暗号による接続の可否を決定し、出願文書38の関数G4(I、H1、Y1、T、F、S、K、R、Z、T1)を第2通信機能57により企業10のサーバー1に送る。サーバー1では関数G3(I、H1、Y1、T、F、S、K、R)に関数G4(I、H1、Y1、T、F、S、K、R、Z、T1)を上書きする。この上書は実質的には記憶装置7の関数G3(I、H1、Y1、T、F、S、K、R)に審査結果Zに伴う期限T1を追加することである。
【0028】企業10のサーバー1及び特許事務所20の端末2において、期限管理機能54は時計32,42を参照して、例えば審査結果Zに伴う期限T1の10日前の出願文書38の関数G4を、記憶装置7、17から選び出し表示部31,41に表示する。この表示を見て、特許事務所20ではこの審査結果Zに対する特許庁への対応を、企業10と相談して期限T1までに決定し実行する。
【0029】なお、ここまで特許出願を例に説明したが、実用新案登録出願でも意匠出願や商標登録出願でも審査請求がなされないだけで、ほぼ同様である。また審査結果Zに伴う期限T1は、補正書・意見書提出期限、各種登録料納付期限、審判請求期限等でもよい。」

以上の記載によれば、引用文献Aには、以下のとおりの発明(以下、引用発明という。)が記載されている。

(a)発明者や多くの開発技術者を雇する企業のサーバー1は、
(b)通信回線3を介して代理人となる特許事務所の端末2と自由に接続可能であり、(【0007】)
(c)企業10から特許事務所20には文書や電子文書で発明関連資料30が送られ、発明関連資料30には、技術的な発明内容Iと、発明者と出願人など人的属性Hと、出願手数料と出願料などの予想金額Yがあり、(【0011】)
(d)編集機能51は発明関連資料30の関数B(I、H、Y)に対し、入力装置8、18によるオペレータの介入に従い、フォーマット機能56に従いフォーマット処理を行い出願文書38を作成し、(【0011】)
(e)この出願文書38は技術的な発明内容Iと、発明者と出願人と代理人など人的属性H1と、出願手数料と出願料などの確定金額Y1と、出願日Tと文書形式Fがあり、出願文書38を関数G(I、H1、Y1、T、F)として記憶装置17に記憶し、(【0012】)
(f)特許事務所20で発明関連資料30の関数B(I、H、Y)から出願文書38の関数G(I、H1、Y1、T、F)を作成後、端末2のオペレータが、第1通信機能53に従って通信処理を行い、出願文書38の関数G(I、H1、Y1、T、F)を特許庁の大型計算機4に通信回線3を介して送り、(【0014】)
(g)大型計算機4は、出願文書38の関数G(I、H1、Y1、T、F)を形式条件を満足しているかどうか調べ、満たしていたら受領し、出願番号Sを決定し、端末2に送り、出願文書38を関数G1(I、H1、Y1、T、F、S)として記憶し、出願番号Sを受けた特許事務所20の端末2では、保有する出願文書38の関数G(I、H1、Y1、T、F)を関数G1(I、H1、Y1、T、F、S)に進化させ、(【0015】)
(h)この関数G1への進化とともに端末2のCPU16は、時計42を管理プログラム15の期限管理機能54と結合して、出願日Tを基準にして7年後の審査請求期限日を計算し、記憶装置17に記憶し、(【0016】)
(i)特許事務所20の端末2は進化した出願文書38の関数G1(I、H1、Y1、T、F、S)を計算企業1のサーバー1に送り、サーバー1では出願文書38の関数G1(I、H1、Y1、T、F、S)を受けて、時計32が管理プログラム5の期限管理機能54と結合されて、出願日Tを基準に7年後の審査請求日が計算され、(【0018】)
(j)出願文書38の関数G1と計算された審査請求期限日とがサーバー1の記憶装置7に記憶され、特許事務所20の端末2と企業10のサーバー1に、同じ内容の出願文書38の関数G1と審査請求期限日とが同時に記憶されたことになり、(【0019】)
(k)企業10のサーバー1及び特許事務所20の端末2において、出願の数年後であれば、管理プログラム5、15の期限管理機能54は時計32、42を参照して、例えば審査請求期限前2ヶ月前の出願文書38の関数G1だけを、記憶装置7,17から選び出し表示部31、41に表示し(【0021】)
(l)特許庁の大型計算機4が出願文書38の関数G1に関し、公開番号Kを発行し、特許事務所20に文書で通知し、特許事務所20の端末2では出願番号Sから出願文書38の関数G1(I、H1、Y1、T、F、S)を検索し、関数G1に公開番号Kを、入力装置18により管理プログラム15の下に追加し、関数G1を関数G2(I、H1、Y1、T、F、S、K)に更新し、(【0022】)
(m)端末2は第2通信機能57により進化した出願文書38の関数G2(I、H1、Y1、T、F、S、K)をサーバー1に送り、特許事務所20の端末2と企業10のサーバー1に、公開番号Kを追加した同じ内容の出願文書38の関数G2が同時に記憶されたことになり、(【0023】)
(n)端末2では出願文書38の関数G2(I、H1、Y1、T、F、S、K)に、審査請求Rを入力装置18により管理プログラム15の下に追加し、出願文書38の関数G2を関数G3(I、H1、Y1、T、F、S、K、R)に更新し、企業10のサーバー1と特許事務所20の端末2との間で通信回線3を介して、端末2は出願文書38の関数G3(I、H1、Y1、T、F、S、K、R)を第2通信機能57により企業10のサーバー1に送り、特許事務所20の端末2と企業10のサーバー1に、審査請求Rを追加した同じ内容の出願文書38の関数G3が同時に記憶され、(【0024】)
(o)特許庁で審査が行われ、各種の結果が得られると、特許庁は特許事務所20に対して審査結果Zに伴う期限T1を指定して文書により対応を要請し、出願文書38の関数G4(I、H1、Y1、T、F、S、K、R、Z、T1)が形成され、特許事務所20の端末2では、出願文書38の関数G3(I、H1、Y1、T、F、S、K、R)に審査結果Zに伴う期限T1を入力装置18により管理プログラム15の下に追加し、出願文書38の関数G3を関数G4(I、H1、Y1、T、F、S、K、R、Z、T1)へと更に進化させ、(【0026】)
(p)企業10のサーバー1と特許事務所20の端末2との間で、出願文書38の関数G4(I、H1、Y1、T、F、S、K、R、Z、T1)を第2通信機能57により企業10のサーバー1に送り、サーバー1では関数G3(I、H1、Y1、T、F、S、K、R)に関数G4(I、H1、Y1、T、F、S、K、R、Z、T1)を上書きし、(【0027】)
(q)企業10のサーバー1及び特許事務所20の端末2において、期限管理機能54は時計32,42を参照して、例えば審査結果Zに伴う期限T1の10日前の出願文書38の関数G4を、記憶装置7、17から選び出し表示部31,41に表示する、(【0028】)
(r)システム。

2.引用文献1〜3について
令和3年12月6日付けの拒絶の査定に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0001】
本発明は、お互いに関連付けられた特許出願および特許のグループの集まりからなるパテントポートフォリオを、それを構成する個別特許出願の評価情報に基づいて、パテントポートフォリオを構成する特許出願および特許のグループごとの価値評価情報を提供し、特許出願または特許のグループごとに、権利維持または放棄の判断の支援をするパテントポートフォリオ管理装置および方法に関する。」
「【0027】
本発明は、お互いに関連のある出願や特許のグループの集まりから構成されるパテントポートフォリオが分断されて個々の出願や特許が権利評価の対象にされることで生じる上述した不具合を解消し、パテントポートフォリオとして全体を切り崩すことなくあるいは分断することなく評価の対象にするとともに、出願や特許のグループ間の評価スコアや情報を可視化して効率的な権利評価が実現できるパテントポートフォリオ管理装置および方法を提供することを目的とする。
【0028】
特に、放棄される出願や権利のグループの年金削減額を知ることができるパテントポートフォリオ管理装置およびその方法を提供することを目的とする。」
「【0037】
パテントポートフォリオ管理装置は、制御装置12、記憶装置100、入力装置6および表示装置8を備える。入力装置6は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等の情報入力装置で、制御装置12に入力信号を供給する。記憶装置100は、第1記憶部1、第2記憶部15および第3記憶部29を備えるが、単一の装置である必要はなく、第1から第3の記憶部1,15,29の各記憶装置の集合体であってもよい。
【0038】
第1記憶部1は、後述するように、書誌データ等を記憶しているもので、第2記憶部15は、検索等の結果を一時的に保存するもので、第3記憶部29は、各国特許年金テーブルを記憶しているものである。
【0039】
記憶装置100は、制御装置12に接続されており、制御装置12は、種々のデータを記憶装置100内の所定の記憶部から読み出したり記憶部に書き込んだりする。
【0040】
また、記憶装置100は、例えばインターネットを経由して外部のサーバーやデータベースDBに接続してもよい。」
「【0042】
具体的には、第1記憶部1には、個別の特許出願に関する書誌データが記憶されている。書誌データは、各国の特許庁から公表されているデータである。例えば出願番号をキーとして、出願日、出願人、登録番号、登録日、消滅日、権利満了予定日、出願国(国コード)、優先権主張日、請求項数、特許分類などのデータである。この書誌データの中からあらかじめ決められた出願データが第1記憶部1に記憶されている。評価の際には、出願評価スコアを算出するのに必要な項目が制御装置12によって選択されて読み出される。
【0043】
本発明を実施するうえで最低限必要な出願評価スコアを算出するのに必要な項目として、権利の残存存続期間がある。権利の残存する存続期間の長短は特許価値スコアに影響する。請求項数の多少も同様である。
【0044】
その他を例示すると次のような項目も出願価値スコアに影響するので、第1記憶部1にデータとして記憶させることができる。独立請求項数、明細書の頁数、発明数、発明者数、出願人数、実施例の数、外国出願の国数、分割出願数、引用文献数、被引用文献数、審査請求の有無、早期審査の有無、優先審査の有無、国内優先の有無などである。その他のデータも必要に応じて選択すればよい。
【0045】
第1記憶部1は、クライアントとしてのパソコン内の記憶部であっても良いし、多量のデータの場合には、社内LANで接続されたサーバーやインターネットのようなネットワークで接続された外部のサーバーであっても良い。本実施例の第1記憶部1は、社内LANに接続されたサーバーである。
【0046】
さらに、この第1記憶部1には、あらかじめ決められた審査データが記憶されている。例えば、審査データは、各国の特許庁の審査データとして販売、提供されており、審査請求日、拒絶理由発送日、審査拒絶条文、審査引用文献、意見書や補正書の提出日、拒絶査定日、審判請求日、審決情報、異議申し立て情報、情報提供、無効審判情報などがある。これらの審査データのうち、審査拒絶理由通知数、審査引用文献数、拒絶査定不服審判有無、審査面接有無、異議申し立て有無、異議申立件数、情報提供有無、閲覧請求回数が選択されて第1記憶部1に記憶されている。」
「【0052】
図2Bは、本発明の他の実施形態に係るパテントポートフォリオ管理装置の機能ブロック図である。図2Aに係る実施形態に係るパテントポートフォリオ管理装置とは、図2Bに係るパテントポートフォリオ管理装置の制御装置12がインターネット200を経由してデータベース210に接続されている点で異なっている。
【0053】
データベース210は、例えば、日本国特許庁や他国の特許庁のデータベースであり、定期的に公開された特許情報を蓄積するものでもよく、外部の特許情報提供会社のデータベース210であってもよい。
【0054】
第1記憶部1に記憶されている出願データは、逐次更新する必要があるため、制御装置12は、図2Bに示すように、例えばインターネット200を経由して、データベース210から、公開された特許情報を定期的に取り込んで、第1記憶部1に記憶されている出願データを更新したり、または、外部の特許情報提供会社によって第1記憶部1に記憶されている出願データを自動的に定期的にデータベース210に記憶されている情報に更新するようにしてもよい。」

以上の記載によれば、引用文献1にはパテントポートフォリオ管理装置において、該管理装置が有する記憶部に記憶されている出願データについて、(外部の)日本国特許庁や他国の特許庁のデータベースに自動的に定期的にアクセスして、該データベースに記憶されている情報に更新する技術的事項が開示されているといえる。

令和3年12月6日付けの拒絶の査定に引用された引用文献2に記載された技術的事項として、同文献の段落0043、0044などの記載によれば「データを更新する際に、オリジナルデータと更新先の既存データと比較し、比較の結果、異なるデータ又は変更のあったデータのみを更新すること」が記載されているといえる。

令和3年12月6日付けの拒絶の査定に引用された引用文献3には、以下のとおりの記載がある。
「[0001]本発明は、コンピュータにより、特許、実用新案、意匠、商標などの知的財産権に関する情報を管理する知的財産管理システム、知的財産管理方法およびそのプログラムに関するものである。
[0002]近年、内外の特許、実用新案、意匠、商標などの出願、審査請求、中間処理などの期限管理、登録後の年金管理などを行うための知的財産管理システムの有用性が高まってきている。」
「[0064]導出部22は、導出制御機能、期限導出機能、作業工程導出機能、料金導出機能、通知書導出機能等を有している。期限導出機能は、案件マネージャ一31からの指示でデータベース50の案件DB58(図2参照)に登録された案件情報から期限曰を算出する機能である。」
「[0068]これらの機能を有する導出部22は、案件が、例えば新規出願された特許案件の場合、案件DB58から該当案件の出願日のデータを読み出して法定期限マスタ55を参照して当該案件の審査請求の法定期間が出願曰に応じて変わることを(3年以内か7年以内か)を判定する。
[0069]導出部22は、その上で、該当法定期間での審査請求期限日(年月日)を算出し、業務休止日(休日)を考慮し、案件DB58に登録する。
[0070]導出部22は、期間算出にあたり、データベース50のカレンダーマスタ(図示せず)を用いて計算した期限曰が手続き対象機関の休日に該当した場合に、期限曰を休日の前または後の稼働曰にずらす処理(日程切り上げまたは日程繰り下げの機能)を行う。
[0071]データ管理部30は、案件マネージャー31、期限マネージャー32などを有している。」
「[0081]期限マネージャー32は、案件毎および作業毎に期限内容と期限日、完了条件、およびアラーム日を与え、ToDoリストとして管理するToDoリス卜管理機能を有している。
[0082]期限マネージャー32は、案件DB58内の任意の案件にイベントが発生したことで、導出部22にベン卜に応じた期限を算出させる。
[0083]期限マネージャー32は、導出部22により算出された期限を期限管理DBの該当案件の欄(レコード)へ登録する。
[0084]イベントとは、例えば新規案件の登録、既存案件について手続き対象機関よリ受信された通知の情報を追加したとき、案件DB58に登録された情報の変更が発生したときなどである。
[0085]期限マネージャー32は、導出部22が生成した案件の処理に関する個々の作業工程に完了イベン卜が発生した場合、案件DB58の該当案件の作業工程のレコードに完了ステータスを立てて作業状況を管理する。」
「[0150]ここで、ユーザ(オペレータ)がメニュー画面の審査請求要否回答依頼のボタンを操作すると、図10に示すように、クライアントコンピュータ92に審査請求要否回答依頼画面94が表示されるので、ある期間内に審査請求期限がある案件について事務所AからB社へ要否回答依頼を行うため、「依頼対象の審査請求期限」、「要否回答の期限」、「要否回答依頼の通知方法」などの各欄に対してそれぞれ入力および操作して、実行ポタンを操作する。
[0151]すると、事務所向けGUI13aは、その入力および操作を受け付け(S101)、入力された期間内に審査請求期限がある案件について要否回答依頼を出すための要求を事務所向けWBL13aへ送出する(S102)。
[0152]なお「要否回答の期限」は、プルダウンメニューとされている。プルダウンメニューとしては、例えば「事前設定期限」、「審査請求期限の10曰前」、「審査請求期限の20曰前」、「審査請求期限の2力月前」などが設定されており、いずれかの期限を選択することで、その選択したメニューに適した時期に要否回答依頼を送信できる。
[0153]なお、「要否回答の期限」を指定する手段としては、この例のようなプルダウンメニューの他、テキスト入力欄からのキー入力、またはラジオポタンのチェックなどでも良い。[0154]この例では「依頼対象の審査請求期限」としては、ある期間を指定する上で、例えば開始日として「20060401」、終了日として「20060930」が入力されたものとする。

以上の記載によれば、引用文献3には、権利の存続期間が満了する日や出願に関する手続きの期限日という管理業務上重要な期限日の所定の日数前に通知を行う技術的事項が開示されているといえる。

第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
(ア)引用発明の「特許事務所の端末2」の「記憶装置17」は、特許出願に関する情報であるG1、G2、G3、G4などを記憶し、例えばG4は(I<発明内容>、H1<発明者と出願人と代理人など人的属性>、Y1<出願手数料と出願料などの確定金額>、T<出願日>、F<文書形式>、S<出願番号>、K<公開番号>、R<審査請求>、Z<審査結果>、T1<審査結果Zに伴う期限>)などであるから、本願発明1の「特許、実用新案、意匠又は商標に関する案件を特定するための案件特定項目、並びに、該案件特定項目に紐づく、知的財産権の内容及び/又は知的財産権を取得するための出願の内容を含むレコード(1)を有する第1の保存部」と相違がない。
(イ)引用発明の「企業10のサーバー1」の「記憶装置7」は、上記特許事務所の端末2と同様の情報を記憶しているから、「使用者の案件に関する前記レコード(1)をそのままの状態とした、又は、使用者の案件に関する前記レコード(1)における情報の加工もしくは前記レコード(1)から情報の抽出を行ったレコード(2)を有する保存部であって、該レコード(2)が前記案件特定項目を含み、かつ、権利の存続期間が満了する日、及び、出願に関する手続きの期限日のうちの少なくとも一つを含むこととした第2の保存部」と相違がない。
(ウ)引用発明では、上記(i)、(j)、(m)、(n)、(p)にあるように、「企業10のサーバー1」の「記憶装置7」に記憶されるデータは、特許事務所の端末2から送信されるデータによって更新されるから、「企業10のサーバー1」の「記憶装置7」は、「前記レコード(1)を用いて前記レコード(2)を更新する更新部」を有している。
(エ)引用発明の「企業10のサーバ1」は、「審査結果Zに伴う期限T1の10日前の出願文書38の関数G4を、記憶装置7から選び出し表示部31に表示する」から、「権利の存続期間が満了する日、又は、出願に関する手続きの期限日が所定の日数以下になった場合に前記使用者にその旨を通知する通知部」を有している。
(オ)そして、引用発明のシステムは、当該システムが備える構成によって、知的財産の管理を行っているといえるから、知的財産に関する案件を管理する知的財産管理装置ということができる。
(カ)本願発明1の「第1の保存部」に相当する引用発明の「特許事務所の端末2の記憶装置17」は、引用発明の(e)、(g)、(h)、(o)などの構成によれば、「出願文書38の関数G(I、H1、Y1、T、F)を記憶すること」、「関数G1(I、H1、Y1、T、F、S)を記憶すること」、「出願日Tを基準にした7年後の審査請求期限日を記憶すること」、「出願文書38の関数G3(I、H1、Y1、T、F、S、K、R)に審査結果Zに伴う期限T1を入力装置18により追加し関数G4として記憶すること」などの構成を有しているものの、該記憶装置17に記憶する情報について「所定の時間間隔で外部の公開情報を反映させる」構成は有していない。
(キ)以上のことから、本願発明1と引用発明とは以下の一致点で一致し相違点で相違する。

<一致点>
特許、実用新案、意匠又は商標に関する案件を特定するための案件特定項目、並びに、該案件特定項目に紐づく、知的財産権の内容及び/又は知的財産権を取得するための出願の内容を含むレコード(1)を有する第1の保存部と、
使用者の案件に関する前記レコード(1)をそのままの状態とした、又は、使用者の案件に関する前記レコード(1)における情報の加工もしくは前記レコード(1)から情報の抽出を行ったレコード(2)を有する保存部であって、該レコード(2)が前記案件特定項目を含み、かつ、権利の存続期間が満了する日、及び、出願に関する手続きの期限日のうちの少なくとも一つを含むこととした第2の保存部と、
を用いて知的財産に関する案件を管理知的財産管理装置であって、
前記レコード(1)を用いて前記レコード(2)を更新する更新部と、
権利の存続期間が満了する日、又は、出願に関する手続きの期限日が所定の日数以下になった場合に前記使用者にその旨を通知する通知部と、を有することを特徴とする知的財産管理装置。

<相違点>
相違点1
本願発明1は知的財産管理装置が「前記案件について期限の徒過を防ぐ契機を使用者に与える」のに対し、引用発明は、当該特定事項を備えていない点。
相違点2
本願発明1は知的財産管理装置が「所定の時間間隔で外部の公開情報を前記第1の保存部に反映させる」構成を備えているのに対し、引用発明は、当該特定事項を備えていない点。

(2)判断
事案に鑑み相違点2について検討する。
引用発明の事務所の端末は、特許庁と通信を行うが、これは出願手続を進めるためのものであって、特許庁から公開情報を得るためのものでなく、審査結果Zに伴う期限T1などの情報は、入力装置18を利用して、事務所の端末にて入力することを前提としている。
これに対して、本願発明1は上記相違点2の構成を有することにより、「知的財産に関する案件を管理する際、情報を保存部に入力する手間を省くことができ、情報の入力ミスや入力漏れに起因する手続きの漏れや不備を防止することができる」という効果を奏するものであり、このような技術思想は、引用文献A、及び、引用文献1ないし3には開示がない。
引用文献1には、ユーザが所有する装置の記憶部に記憶されている出願データについて、(外部の)日本国特許庁や他国の特許庁のデータベースに自動的に定期的にアクセスして、該データベースに記憶されている情報に更新する技術が開示されているものの、引用文献1は、パテントポートフォリオ管理装置に関する発明であって、出願に関する手続を行うものではない。
したがって、本願発明1の上記効果を奏するために、引用発明に引用文献1に記載された技術を適用しようとする動機付けがない。
また、引用文献2、引用文献3にも上記相違点2に相当する技術の開示はない。
以上のことからみて、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献1−3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2.本願発明2−8について
本願発明2−8も、本願発明1の「所定の時間間隔で外部の公開情報を前記第1の保存部に反映させる」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献1−3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

3.本願発明9について
本願発明9は、本願発明1に対応する知的財産管理プログラムの発明であり、本願発明1の「所定の時間間隔で外部の公開情報を前記第1の保存部に反映させる」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献1−3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

4.本願発明10について
本願発明10は、本願発明1に対応する知的財産管理方法の発明であり、本願発明1の「所定の時間間隔で外部の公開情報を前記第1の保存部に反映させる」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献1−3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第7 原査定についての判断
令和4年5月24日にされた手続補正により、補正後の請求項1−8に係る発明は、「知的財産に関する案件を管理するとともに、前記案件について期限の徒過を防ぐ契機を使用者に与える知的財産管理装置」において「所定の時間間隔で外部の公開情報を前記第1の保存部に反映させる」という技術的事項を有し、また、請求項9、請求項10に係る発明は、それぞれ、「知的財産に関する案件を管理するとともに、前記案件について期限の徒過を防ぐ契機を使用者に与えるコンピュータ」、「知的財産に関する案件を管理するとともに、前記案件について期限の徒過を防ぐ契機を使用者に与える知的財産管理装置が実行する知的財産管理方法」において「所定の時間間隔で外部の公開情報を前記第1の保存部に反映させる」という技術的事項を有するものとなった。
原査定の主たる引用文献である引用文献1には、ユーザが所有する装置の記憶部に記憶されている出願データについて、(外部の)日本国特許庁や他国の特許庁のデータベースに自動的に定期的にアクセスして、該データベースに記憶されている情報に更新する技術が開示されているものの、引用文献1は、パテントポートフォリオ管理装置に関する発明であって、出願に関する手続を行うものではなく、「知的財産に関する案件を管理するとともに、前記案件について期限の徒過を防ぐ契機を使用者に与える知的財産管理装置」、「知的財産に関する案件を管理するとともに、前記案件について期限の徒過を防ぐ契機を使用者に与えるコンピュータ」、「知的財産に関する案件を管理するとともに、前記案件について期限の徒過を防ぐ契機を使用者に与える知的財産管理装置が実行する知的財産管理方法」という前提において異なる発明であるから、本願発明1−10は、当業者であっても、原査定における引用文献1−3に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由及び当審が通知した拒絶の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-06-22 
出願番号 P2020-022768
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06Q)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 溝本 安展
特許庁審判官 相崎 裕恒
渡邊 聡
発明の名称 知的財産管理装置、知的財産管理プログラム及び知的財産管理方法  
代理人 特許業務法人Toreru  

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