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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する A61K 審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する A61K 審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正する A61K 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する A61K |
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管理番号 | 1387435 |
総通号数 | 8 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2022-08-26 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2022-01-25 |
確定日 | 2022-05-20 |
訂正明細書 | true |
事件の表示 | 特許第6034784号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第6034784号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件特許第6034784号の請求項1〜6に係る特許についての出願は、平成23年 7月28日(パリ条約による優先権主張 2010年 7月28日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願である特願2013−521970号であって、平成28年11月 4日にその特許権の設定登録がされ、令和 4年 1月25日に訂正審判の請求がなされたものである。 第2 請求の趣旨 本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第6034784号の特許請求の範囲を審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1〜6について訂正することを認める、との審決を求めるものである。 第3 訂正の内容 本件訂正審判の請求に係る訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。 1 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「前記外因性コントロールがUniversal RNAを使用するときに、前記APTXの発現レベルに対するRASGRP1の発現レベルの比を、7.2のΔΔCt閾値と比較する、」と記載されているのを、「前記外因性コントロールがUniversal RNAを使用するときに、前記APTXの発現レベルに対するRASGRP1の発現レベルの比を、7.3のΔΔCt閾値と比較する、」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2〜6も同様に訂正する。)。 第4 当審の判断 1 訂正事項1について (1)一群の請求項について 本件訂正前の請求項2〜6は請求項1を直接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、本件訂正前の請求項1〜6は特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。 (2)訂正の目的について 本件特許の設定登録時の明細書には、Universal RNAコントロールを用いるときの閾値について以下の3箇所の記載がある。 「Universal RNA(ストラタジーン社(STRATAGENE)(商標)より販売)の代わりに、別の外因性コントロールRNAを一般性を失うことなく使用することができる点に留意されたい。しかしながら、RASGRP1:APTX比の所定の閾値は調整を必要とする場合もある。所定の閾値は、AUCを一定に保つために、ROC分析を用いて評価することができる。例えば、参照としてJY RNA(JY細胞系統より得たもの)を用いることにより、5.2の閾値が求められている。より幅広く利用されている標準化されたUniversal RNAに切り換えることにより、閾値が7.3に調整され、AUCが一定となった。このような閾値の差は、参照RNA中のRASGRP1及びAPTXの異なる相対量を反映したものである。他の試薬も、閾値の計算において更に差を生じうる。」([0028]段落) 「また、この比は、異なる試料を基準検量用/参照RNAと比較するΔΔCt値に基づいた正の数として表すこともできる。閾値は試験環境下で患者を層別化するその性能によって主として定義されるため、閾値は実験条件に基づいて変化し得るものであり、また実際に変化することから、このような共通の検量用試料の使用によりアッセイの携帯性及び信頼性がより高くなる。RTPCRを使用する好ましい一実施形態では、本開示の他の箇所で説明するΔΔCt値に基づく正の値として表される2遺伝子比RASGRP1:APTXは、チピファルニブに対する応答患者をチピファルニブに対する非応答患者から層別化するため5.2の値となる。ΔΔCt値に基づく正の値として表されるRASGRP1:APTXの2遺伝子比の値の例が図12BのY軸上にプロットされており、やはり2遺伝子比RASGRP1:APTXと呼ばれているが、文脈よりどの解釈が用いられるべきかは明らかであろう。厳密に言えば、ΔΔCt値の1つ又は2つ以上に基づいた値として、アレイデータに関してはΔCt値及び単にΔΔCt値として表される閾値、すなわち2遺伝子比RASGRP1:APTXは、比較可能ではあるが、こうしたマッピングを助ける更なる情報がない場合には、それら自体は直ちに相互変換可能ではない場合があることは当業者であれば認識されるであろう。本明細書における「特許請求の範囲」及び説明は、このような考慮点を踏まえたうえで読まれるべきである。2遺伝子比RASGRP1:APTXは説明を分かりやすくするため、2遺伝子のΔΔCt比RASGRP1:APTX若しくは2遺伝子のΔCt比RASGRP1:APTX、又はΔΔCt閾値又はΔCt閾値として示されるが、このような説明が与えられていない場合には、文脈によって正しい解釈が直ちに与えられる。」([0051]段落) 「外因性コントロールとしてUniversal RNAを使用することにより、外因性コントロールとしてJY RNAを使用した場合の閾値5.2に対して閾値7.3を得た。これらの閾値を決定するうえで、計算においてCRを応答基準としてみなし、他のすべての応答の種類は非応答としてみなした。」([0101]段落) 「2遺伝子アッセイにおける閾値は無次元量(RASGRP1とAPTXとの比である)であるが、理論に束縛されずに言えば、閾値の値は基準条件及び使用される試薬によって決まり得る。したがって、ROC曲線に基づく基準のような、性能に基づいた基準に対して閾値を設定することが好ましい。このため、外因性コントロールが変わってもAUC値が一定に保たれるといった、他の必要条件を満たすように閾値/カットオフを調整することができる。この場合、外因性コントロールとしてJY RNAの代わりにUniversal RNAを使用すると、閾値/カットオフは7.3と高くなったが、AUCは変化しなかった。」([0102]段落) このように設定登録時の明細書には、APTXの発現レベルに対するRASGRP1の発現レベルの比を、7.3のΔΔCt閾値と比較することが一貫して記載されており、請求項1中の「7.2」の記載は、設定登録時の明細書との関係で誤りであり、正しくは「7.3」であることが自明である。 すなわち、訂正事項1は誤記を訂正するものであって、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものである。 (3)国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるかについて 本件特許は外国語国際特許出願に係るものであるから、誤記の訂正を目的とする訂正を行う場合には、国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面(以下、「本件国際出願当初明細書」という。)の範囲内においてしなければならないが、本件国際出願当初明細書には、(2)に記載したものと同じ記載があり、訂正事項1は当該記載のとおりに誤記を訂正するものであるから、本件国際出願当初明細書に記載した事項の範囲内の訂正であるといえ、特許法第184条の19の規定によって読み替えて適用する特許法第126条第5項の規定を満たすものである。 (4)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 本件訂正前発明は、APTXの発現レベルに対するRASGRP1の発現レベルの比の全てに対するものであり、訂正事項1は、発現レベルの比に基づく判断する際の基礎となる基準値のみを訂正するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張するものでも、変更するものでもなく、特許法第126条第6項の規定を満たすものである。 (5)独立して特許を受けることができるものであること 訂正事項1は、訂正前の請求項1に、「前記外因性コントロールがUniversal RNAを使用するときに、前記APTXの発現レベルに対するRASGRP1の発現レベルの比を、7.2のΔΔCt閾値と比較する、」と記載されているのを、「前記外因性コントロールがUniversal RNAを使用するときに、前記APTXの発現レベルに対するRASGRP1の発現レベルの比を、7.3のΔΔCt閾値と比較する、」に訂正するだけのものであり、この訂正後の請求項1に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見いだせない。 請求項1を引用する訂正後の請求項2〜6についても同様である。 したがって、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定を満たすものである。 第5 むすび 以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第5項ないし第7項に規定する要件に適合するものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 疾患と診断された患者がチピファルニブとエトポシドの投与を含む治療に対し高確率で応答することを前記患者からの試料が示すかどうかを決定するための方法であって、 (i)5’−CGCTTCCGATTGGGCTAC−3’、 (ii)5’−AGAATCAAAATCCTGGCTGATC−3’、 (iii)5’−CTGGACGATCTCATTGACAGC−3’、及び (iv)5’−CTTGCAACAGTTGGTTACTTCG−3’からなる群からの少なくとも1つのプライマーを用いた標的リボ核酸からのシグナルの増幅においてRASGRP1及びAPTXの発現を評価することを含み、 APTXの発現レベルとRASGRP1の発現レベルのそれぞれがΔΔCt法を用いて計算され、当該APTXの発現レベルに対する当該RASGRP1の発現レベルの比が、試験集団のROC分析における特定の感度または特異性または感度と特異性との最大の和に対応するΔΔCt閾値を超えるかどうかが決定され、 RASGRP1遺伝子の発現の比が、APTXの発現レベルに対して推定され、 前記方法が、外因性コントロールを使用して、APTXの発現レベルに対するRASGRP1の発現レベルの比を決定することを更に含み、 前記外因性コントロールがJY RNAを使用するときに、RUOフォーマットでは、前記APTXの発現レベルに対するRASGRP1の発現レベルの比を4.7のΔΔCt閾値と比較し、GMPフォーマットでは5.2のΔΔCt閾値と比較し、 前記外因性コントロールがUniversal RNAを使用するときに、前記APTXの発現レベルに対するRASGRP1の発現レベルの比を、7.3のΔΔCt閾値と比較する、 方法。 【請求項2】 前記アッセイが、1個のチューブ内で多重フォーマットで行われる、請求項1に記載の 方法。 【請求項3】 曲線下面積が70%以上である、請求項1に記載の方法。 【請求項4】 試料が、 (i)骨髄試料、及び (ii)血液試料、の少なくとも一方を含む、請求項1に記載の方法。 【請求項5】 前記疾患が骨髄性疾患である、請求項1に記載の方法。 【請求項6】 前記疾患がAMLである、請求項1に記載の方法。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2022-04-21 |
結審通知日 | 2022-04-26 |
審決日 | 2022-05-10 |
出願番号 | P2013-521970 |
審決分類 |
P
1
41・
856-
Y
(A61K)
P 1 41・ 854- Y (A61K) P 1 41・ 852- Y (A61K) P 1 41・ 841- Y (A61K) |
最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
長井 啓子 |
特許庁審判官 |
上條 肇 伊藤 良子 |
登録日 | 2016-11-04 |
登録番号 | 6034784 |
発明の名称 | ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤による治療に対する急性白血病応答を判定するための方法 |
代理人 | 加藤 公延 |
代理人 | 大島 孝文 |
代理人 | 加藤 公延 |
代理人 | 大島 孝文 |