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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  F21S
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  F21S
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  F21S
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  F21S
管理番号 1387451
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-08-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-09-06 
確定日 2022-04-25 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6480126号発明「概日のフレンドリーなLED光源」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6480126号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1−14〕、〔15−21〕、〔22−23〕、〔24−26〕について訂正することを認める。 特許第6480126号の請求項1ないし11、14、24ないし26に係る特許を維持する。 特許第6480126号の請求項12、13、15ないし23に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6480126号の請求項1〜26に係る特許についての出願は、平成26年8月28日(パリ条約による優先権主張 2013年8月29日(US)米国 2014年6月26日(US)米国)に出願され、平成31年2月15日に特許の設定登録がされ、同年3月6日に特許掲載公報が発行された。その後、令和1年9月6日に特許異議申立人山崎浩一郎(以下「申立人」という。なお、「崎」の右上は「立」。)により特許異議の申立てがされ、同年11月27日付けで取消理由の通知がされ、令和2年3月2日に訂正請求書及び意見書が提出され、同年4月6日付けで申立人に対し訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)がされ、同年7月10日に申立人から意見書が提出され、同年9月10日付けで訂正拒絶理由が通知されたが、その指定期間内に特許権者から意見書等の提出はなく、令和3年1月28日付けで取消理由(決定の予告)の通知がされ、同年5月1日に訂正請求書及び意見書が提出され、同年6月17日付けで申立人に対し訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)がされ、同年8月11日に申立人から意見書が提出されたものである。

第2 訂正の適否について
1 請求の趣旨及び訂正の内容
令和3年5月1日にされた訂正請求の趣旨は、本件特許第6480126号の願書に添付した特許請求の範囲及び明細書を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲及び訂正明細書のとおりに訂正をすることを求めるものであり、その訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す。なお、訂正特許請求の範囲及び訂正請求書には、一部訂正箇所に対して下線が付与されていない箇所があったので、当審で付与した。)。
なお、令和2年3月2日にされた訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1において、「前記第1の発光および前記第2の発光は、第1の複合発光および第2の複合発光を提供するように構成され」を「前記第1のLED発光源と前記第2のLED発光源との発光比を制御し、第1の発光と第2の発光を複合し、少なくとも、前記複合の第1の状態である第1の複合発光と前記複合の第2の状態である第2の複合発光を、提供するドライバ回路と」へ訂正し、
「Fv1はFv2より高く」を追加し、
「Fc1/Fv1は0.5よりも低い」を追加して、
特許請求の範囲の請求項1の
「第1の発光によって特徴付けられた少なくとも1つの第1のLED発光源と、
第2の発光によって特徴付けられた少なくとも1つの第2のLED発光源と、
を含み、
前記第1の発光および前記第2の発光は、第1の複合発光および第2の複合発光を提供するように構成され、
前記第1の複合発光は、第1のSPDと割合Fv1およびFc1とにより特徴付けられ、
前記第2の複合発光は、第2のSPDと割合Fv2およびFc2とにより特徴付けられ
Fv1は、400nm〜440nmの波長範囲における前記第1のSPDの出力の割合を示し、
Fc1は、440nm〜500nmの波長範囲における前記第1のSPDの出力の割合を示し、
Fv2は、400nm〜440nmの波長範囲における前記第2のSPDの出力の割合を示し、
Fc2は、440nm〜500nmの波長範囲における前記第2のSPDの出力の割合を示し、
前記第1のSPDおよび前記第2のSPDは、80を超える演色評価数を有し、
Fv1は少なくとも0.05であり、
Fc2は少なくとも0.1であり、
Fc1は、Fc2よりも少なくとも0.02だけ低い、
光源。」
という記載を、
「第1の発光によって特徴付けられた少なくとも1つの第1のLED発光源と、
第2の発光によって特徴付けられた少なくとも1つの第2のLED発光源と、
前記第1のLED発光源と前記第2のLED発光源との発光比を制御し、第1の発光と第2の発光を複合し、少なくとも、前記複合の第1の状態である第1の複合発光と前記複合の第2の状態である第2の複合発光を、提供するドライバ回路と、
を含み、
前記第1の複合発光は、第1のSPDと割合Fv1およびFc1とにより特徴付けられ、
前記第2の複合発光は、第2のSPDと割合Fv2およびFc2とにより特徴付けられ、
Fv1は、400nm〜440nmの波長範囲における前記第1のSPDの出力の割合を示し、
Fc1は、440nm〜500nmの波長範囲における前記第1のSPDの出力の割合を示し、
Fv2は、400nm〜440nmの波長範囲における前記第2のSPDの出力の割合を示し、
Fc2は、440nm〜500nmの波長範囲における前記第2のSPDの出力の割合を示し、
前記第1のSPDおよび前記第2のSPDは、80を超える演色評価数を有し、
Fv1は少なくとも0.05であり、
Fv1はFv2より高く、
Fc2は少なくとも0.1であり、
Fc1は、Fc2よりも少なくとも0.02だけ低く、
Fc1/Fv1は0.5よりも低い、
光源。」
へと訂正する(請求項1を引用する請求項2〜11及び14についても同様に訂正する。)。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2において、概日刺激の定義式を追加して、
特許請求の範囲の請求項2の
「前記第1の複合発光は、第1の概日刺激によって特徴付けられ、
前記第2の複合発光は、第2の概日刺激によって特徴付けられ、
前記第2の概日刺激は、前記第1の概日刺激の少なくとも2倍である、
請求項1の光源。」
という記載を、
「前記第1の複合発光は、第1の概日刺激によって特徴付けられ、
前記第2の複合発光は、第2の概日刺激によって特徴付けられ、
前記第2の概日刺激は、前記第1の概日刺激の少なくとも2倍であり、概日刺激が下記式により定義される、
【数1】


式中、c(λ)は概日刺激スペクトルであり、SPD(λ)は概日刺激スペクトル出力分布である、
請求項1の光源。」
へと訂正する(請求項1を引用する請求項2〜11及び14についても同様に訂正する。)。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4において、「前記第1の発光および前記第2の発光は、第3の複合発光を提供するように構成され」を「前記ドライバ回路は、前記複合の第3の状態である第3の複合発光を提供し」へと訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5において、「波長下方変換材料」を「波長を長くするための波長変換材料」へと訂正する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項6において、「LEDからの」を「前記第2のLED発光源からの」へと訂正する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項7において、「誘導する」を「有する」へと訂正する。

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項8において、「誘導する」を「有する」へと訂正する。

(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項9において、「混合された物理的配置において構成される」を削除し、「第1の一連に配置されたLEDを備え、・・・第2のLED発光源は第2の一連に配置されたLEDを備え、前記第1の一連に配置されたLEDは、前記第2の一連に配置されたLEDの一部を含む」へと訂正して、
特許請求の範囲の請求項9の
「前記少なくとも1つの第1のLED発光源および前記少なくとも1つの第2のLED発光源は、混合された物理的配置において構成される、請求項1の光源。」
という記載を、
「前記少なくとも1つの第1のLED発光源は第1の一連に配置されたLEDを備え、および前記少なくとも1つの第2のLED発光源は第2の一連に配置されたLEDを備え、前記第1の一連に配置されたLEDは、前記第2の一連に配置されたLEDの一部を含む、請求項1の光源。」
に訂正する。

(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項10において、「CIE色度図における」を「CIE色度図において」と表現を改めて、記載箇所を変更して、
特許請求の範囲の請求項10の
「前記第1のSPDおよび前記第2のSPDはそれぞれ、色度がプランク軌跡の±0.005によって境界付けられ、かつCIE色度図における最小色相シフト曲線の±0.005によって境界付けられる色度によって特徴付けられる、請求項1の光源。」
という記載を、
「前記第1のSPDおよび前記第2のSPDはそれぞれ、CIE色度図において、プランク軌跡の±0.005によって境界付けられ、かつ最小色相シフト曲線の±0.005によって境界付けられる、色度によって特徴付けられる、請求項1の光源。」
に訂正する。

(10)訂正事項10、11
それぞれ、特許請求の範囲の請求項12、13を削除する。

(11)訂正事項12〜18
それぞれ、特許請求の範囲の請求項15〜21を削除する。

(12)訂正事項19、20
それぞれ、特許請求の範囲の請求項22、23を削除する。

(13)訂正事項21
特許請求の範囲の請求項24において、「一次電子放出」を「一次放出」へと訂正し、また、「照明システム」が第1及び第2のSPDを放出する旨を明記し、「第1の出力レベルから第2の出力レベルへと」及び「前記少なくとも1つの蛍光体は前記第1の出力レベルにおいて飽和しており、且つ第2の出力レベルにおいて飽和していない」を追加して、
特許請求の範囲の請求項24の
「一次SPDによって特徴付けられた一次電子放出を放射するように構成されたLEDデバイスと、
前記一次電子放出へ光学的に結合された少なくとも1つの蛍光体であって、青色−シアン波長領域内における可飽和吸収によって特徴付けられる少なくとも1つの蛍光体と、を含み、
前記LEDデバイスは、前記一次電子放出を調光するように構成された出力信号によって制御されるように構成され、
第1の出力レベルにおいて、440nm〜500nmの波長範囲におけるスペクトル出力の第1の割合fc1と第1のCCTとによって特徴付けられる第1のSPDを放射し、
第2の出力レベルにおいて、440nm〜500nmの波長範囲におけるスペクトル出力の第2の割合fc2と第2のCCTとによって特徴付けられる第2のSPDを放射し、
前記第2の出力レベルは前記第1の出力レベルよりも低く、前記第2の割合fc2は、前記第1の割合fc1の80%よりも低い、
照明システム。」
という記載を、
「一次SPDによって特徴付けられた一次放出を放射するように構成されたLEDデバイスと、
前記一次放出へ光学的に結合された少なくとも1つの蛍光体であって、青色−シアン波長領域内における可飽和吸収によって特徴付けられる少なくとも1つの蛍光体と、を含む照明システムであって、
前記LEDデバイスは、前記一次放出を第1の出力レベルから第2の出力レベルへと調光するように構成された出力信号によって制御されるように構成され、
前記照明システムは、第1の出力レベルにおいて、440nm〜500nmの波長範囲におけるスペクトル出力の第1の割合fc1と第1のCCTとによって特徴付けられる第1のSPDを放射し、
前記照明システムは、第2の出力レベルにおいて、440nm〜500nmの波長範囲におけるスペクトル出力の第2の割合fc2と第2のCCTとによって特徴付けられる第2のSPDを放射し、
前記第2の出力レベルは前記第1の出力レベルよりも低く、前記第2の割合fc2は、前記第1の割合fc1の80%よりも低く、
前記少なくとも1つの蛍光体は前記第1の出力レベルにおいて飽和しており、且つ第2の出力レベルにおいて飽和していない、
照明システム。」
に訂正する(請求項24を引用する請求項25、26についても同様に訂正する。)。

(14)訂正事項22
願書に添付された明細書の段落【0011】、【0012】、【0064】、【0176】、【0178】〜【0181】及び【0221】〜【0223】に記載された「一次電子放出」を「一次放出」へと訂正する。

(15)訂正事項23
願書に添付された明細書の段落【0011】及び【0221】に記載された「二次電子放出」を「二次放出」へと訂正する。

本件訂正請求のうち、訂正事項1〜11は、一群の請求項〔1〜14〕に対して、訂正事項12〜18は、一群の請求項〔15〜21〕に対して、訂正事項19、20は、一群の請求項〔22〜23〕に対して、訂正事項21は、一群の請求項〔24〜26〕に対して、それぞれ請求されたものである。また、明細書に係る訂正事項20、21は、一群の請求項〔24〜26〕について請求されたものである。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
ア 訂正事項1のうち、「前記第1のLED発光源と前記第2のLED発光源との発光比を制御し、第1の発光と第2の発光を複合し、少なくとも、前記複合の第1の状態である第1の複合発光と前記複合の第2の状態である第2の複合発光を、提供するドライバ回路と、」という事項は、訂正前の「前記第1の発光および前記第2の発光は、第1の複合発光および第2の複合発光を提供するように構成され、」との記載において、「第1の発光」、「第2の発光」、「第1のLED発光源」、「第2のLED発光源」、「第1の複合発光」、「第2の複合発光」の関係が明確でなかったのを、願書に添付された明細書(以下「本件明細書」という。また、願書に添付された図面を「本件図面」という。)の段落【0085】の「これら2つの源を概日周期全体にわたって混合して、概日のフレンドリーなLED白色光源を形成することができる。このような光ストリップは、例えば、線形反射板照明器具のための光エンジンとして用いることができる。」(下線は当審で付与。以下同じ。)、同【0104】の「図4Hは、いくつかの実施形態により、異なる2組のLEDベースのエミッタと、クロック/タイマーと、制御回路4H01と、異なる2組のLEDベースのエミッタの発光比を制御して、概日のフレンドリーなLED白色光源を実行するドライバとを含む光ストリップを示す。」との記載に基いて、それら発光の関係を明確とし、かつ、その制御がドライバ回路により提供されることを限定するものであるので、明瞭でない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

イ 訂正事項1のうち「Fv1はFv2より高く、」という事項は、訂正前の請求項1において、Fv1とFv2の大小関係の特定がなかったのを、本件図面の【図4D】の右側の表、及び当該表を説明する本件明細書の段落【0088】の「5000Kから3300Kへの調整の場合、VB範囲中の合計SPD出力の割合が若干(0.19から0.23へ)増加する」との記載に基いて、Fv1とFv2の大小関係を限定するものであるので、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

ウ 訂正事項1のうち「Fc1/Fv1は0.5よりも低い、」という事項は、訂正前の請求項1において、Fc/Fvの範囲の特定がなかったのを、本件明細書の段落【0098】の「Fc/Fvは、0.1未満であり、0.2未満であり、0.3未満であり、0.4未満であり、0.5未満であり」との記載に基いて、Fc/Fvの範囲を限定するものであるので、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項2において、「概日刺激」の定義が特定されていなかったのを、本件明細書の段落【0059】の「スペクトル出力分布SPDを用いた光源のためのipRGCsを介した概日刺激(CS)は、波長λの関数として、以下のようにモデル化することができる。
【数1】

式中、c(λ)は概日刺激スペクトルである。」との記載に基いて、概日刺激の定義を明らかにするものであり、明瞭でない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の請求項4において、「第1の発光」、「第2の発光」及び「第3の複合発光」の関係が明確でなかったのを、訂正事項1と同様の記載ぶりとして、それら発光の関係を明確とし、かつ、その制御がドライバ回路により提供されることを限定するものであるので、明瞭でない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(4)訂正事項4について
訂正事項4は、訂正前の請求項5において、「波長下方変換材料」の「下方」とは、どのような意味であるのか明確でなかったのを、本件明細書の段落【0160】の「例えば、青色光を吸収し、緑色または赤色光への下方変換を行う蛍光体を設けることができる」との記載に基づき、「波長を長くする」と明確にするものであるので、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(5)訂正事項5について
訂正事項5は、訂正前の請求項6において、「LED」がどのようなものであるのか明確でなかったのを、訂正後の請求項1の記載に基づき、「第2のLED発光源」と明確にするものであるので、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(6)訂正事項6について
訂正事項6は、訂正前の請求項7において、「誘導する」がどのようなことであるのか明確でなかったのを、「有する」と明確にするものであるので、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、表現を適切なものに改めたにすぎないことから、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(7)訂正事項7について
訂正事項7は、訂正前の請求項8において、「誘導する」がどのようなことであるのか明確でなかったのを、「有する」と明確にするものであるので、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、表現を適切なものに改めたにすぎないことから、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(8)訂正事項8について
訂正事項8は、訂正前の請求項9において、「混合された物理的配置において構成される」ということがどのようなことであるのか明確でなかったのを、本件図面の【図8】(特に配線とLEDの関係を参照。)及びそれを説明する本件明細書の段落【0144】の「図8は、LEDランプにおいて用いられるような2チャネルの概日のフレンドリーな配置800を形成する、混合された物理的配置802における2つのLEDストリングを示す。図示のように、制御回路は、任意の当該分野において公知の技術を用いて、図示のLED群(例えば、群1LED706、群2LED708)のうちのいずれかへ流れる電流を個々に調節することができる。」との記載に基づき、「第1の一連に配置されたLED」と「第2の一連に配置されたLED」を備え、「第1の一連に配置されたLED」は、「第2の一連に配置されたLEDの一部を含む」と明確にするものであるので、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(9)訂正事項9について
訂正事項9は、訂正前の請求項10において、「前記第1のSPDおよび前記第2のSPDはそれぞれ、色度がプランク軌跡の±0.005によって境界付けられ、かつCIE色度図における最小色相シフト曲線の±0.005によって境界付けられる色度によって特徴付けられる」ということがどのようなことであるのか明確でなかったのを、「前記第1のSPDおよび前記第2のSPDはそれぞれ、CIE色度図において、プランク軌跡の±0.005によって境界付けられ、かつ最小色相シフト曲線の±0.005によって境界付けられる、色度によって特徴付けられる」と明確にするものであるので、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、CIE色度図の記載順を入れ替えて文意を明確にしたにすぎないものであるから、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(10)訂正事項10、11について
訂正事項10、11は、訂正前の請求項12、13を削除するものであるから特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(11)訂正事項12〜18について
訂正事項12〜18は、訂正前の請求項15〜21を削除するものであるから特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(12)訂正事項19、20について
訂正事項17、18は、訂正前の請求項22、23を削除するものであるから特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(13)訂正事項21について
訂正事項21のうち訂正前の請求項24における「一次電子放出」を「一次放出」とする訂正は、「一次電子放出」がどのようなことであるのか明確でなかったのを、本件特許の外国語書面の「primary emission」という記載に基づき、正しい訳にするものであって、誤訳の訂正を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
また、訂正事項21のうち訂正前の請求項24における「調光」がどのようなことであるのか明確でなかったのを、段落【0168】の「低駆動電流においては、可飽和蛍光体は飽和せず、その吸収範囲内の光(例えば、青色−シアン光)のほとんどを吸収するため、結果スペクトル1401が発生する。より高い駆動電流において、蛍光体吸収は部分的に飽和し、青色−シアン光の一部が透過され、結果スペクトル1402が発生する。さらに高い駆動電流において、蛍光体吸収は完全に飽和し、概日蛍光体からの摂動をほとんど伴わずに白色LED1403の元のスペクトルが放射される。」との記載に基づき、「第1の出力レベルから第2の出力レベルへと」調光すること明確にし、「蛍光体」について訂正前はどのようなことであるのか明確でなかったのを、「前記少なくとも1つの蛍光体は前記第1の出力レベルにおいて飽和しており、且つ第2の出力レベルにおいて飽和していない、」と明確にし、かつ、特許請求の範囲を限定し、及び、「含む照明システムであって」、「前記照明システムは、」を付加することは、文章構成を整理して明確とするものであって、いずれも明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(14)訂正事項22、23について
訂正事項22、23は、訂正前の明細書の段落【0011】、【0012】、【0064】、【0176】、【0178】〜【0181】及び【0221】〜【0223】における「一次電子放出」、「二次電子放出」がどのようなことであるのか明確でなかったのを、本件特許の外国語書面の「primary emission」、「secondary emission」という記載に基づき、「一次放出」、「二次放出」と正しい訳にするものであって、誤訳の訂正を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

3 申立人の主張について
申立人は、令和3年8月11日付けの意見書の11頁の「<請求項24>について」において、「本請求項では、誤訳の訂正を目的として。一次電子放出を一次放出に訂正していますが、一次放出に訂正することにより放出される対象が電子以外も含むことになったので実質的に特許請求の範囲が拡張又は変更されていると思量致します。」と主張する。
本件特許に係る出願は、特許法第36条の2に規定される外国語書面出願であるところ、訂正前の「一次電子放出」に対応する本件の外国語書面の用語は「primary emission」であり、本来「一次放出」と訳されるべき誤訳であったことは明らかであるので、上記2(13)のとおり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないので、上記主張は採用できない。

4 小括
以上のとおり、訂正事項1〜23に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号の特許請求の範囲の減縮、同第2号の誤記又は誤訳の訂正、同第3号の明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1〜26のとおり、訂正後の請求項〔1〜14〕、〔15〜21〕、〔22〜23〕、〔24〜26〕について訂正することを認め、明細書を、訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり、訂正後の段落【0011】、【0012】、【0064】、【0176】、【0178】〜【0181】、【0221】〜【0223】のとおり訂正することを認める。

第3 本件訂正後の各請求項に係る発明について
上記「第2」のとおり本件訂正は認められるから、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1〜11、14、24〜26に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1〜11、14、24〜26ということもある。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】
第1の発光によって特徴付けられた少なくとも1つの第1のLED発光源と、
第2の発光によって特徴付けられた少なくとも1つの第2のLED発光源と、
前記第1のLED発光源と前記第2のLED発光源との発光比を制御し、第1の発光と第2の発光を複合し、少なくとも、前記複合の第1の状態である第1の複合発光と前記複合の第2の状態である第2の複合発光を、提供するドライバ回路と、
を含み、
前記第1の発光および前記第2の発光は、第1の複合発光および第2の複合発光を提供するように構成され、
前記第1の複合発光は、第1のSPDと割合Fv1およびFc1とにより特徴付けられ、
前記第2の複合発光は、第2のSPDと割合Fv2およびFc2とにより特徴付けられ、
Fv1は、400nm〜440nmの波長範囲における前記第1のSPDの出力の割合を示し、
Fc1は、440nm〜500nmの波長範囲における前記第1のSPDの出力の割合を示し、
Fv2は、400nm〜440nmの波長範囲における前記第2のSPDの出力の割合を示し、
Fc2は、440nm〜500nmの波長範囲における前記第2のSPDの出力の割合を示し、
前記第1のSPDおよび前記第2のSPDは、80を超える演色評価数を有し、
Fv1は少なくとも0.05であり、
Fv1はFv2より高く、
Fc2は少なくとも0.1であり、
Fc1は、Fc2よりも少なくとも0.02だけ低く、
Fc1/Fv1は0.5よりも低い、
光源。
【請求項2】
前記第1の複合発光は、第1の概日刺激によって特徴付けられ、
前記第2の複合発光は、第2の概日刺激によって特徴付けられ、
前記第2の概日刺激は、前記第1の概日刺激の少なくとも2倍であり、概日刺激が下記式により定義される、
【数1】

式中、c(λ)は概日刺激スペクトルであり、SPD(λ)は概日刺激スペクトル出力分布である、
請求項1の光源。
【請求項3】
前記第1のLED発光源は、範囲405nm〜430nmにおけるピーク発光によって特徴付けられる少なくとも1つのLEDを含む、請求項1の光源。
【請求項4】
前記ドライバ回路は、前記複合の第3の状態である第3の複合発光を提供し、
前記第3の複合発光は、第3のSPD、割合Fv3、割合Fc3および第3の概日刺激によって特徴付けられ、
Fv3は、400nm〜440nmの波長範囲における前記第3のSPDの出力の割合を示し、
Fc3は、440nm〜500nmの波長範囲における前記第3のSPDの出力の割合を示し、
前記第3のSPDは、80を超える演色評価数を有し、
前記第1の概日刺激と前記第3の概日刺激は異なる、
請求項2の光源。
【請求項5】
前記第2の発光は、波長を長くするための波長変換材料からの青色発光を含む、請求項1の光源。
【請求項6】
前記第2の発光は、前記第2のLED発光源からの直接の青色発光を含む、請求項1の光源。
【請求項7】
前記複合発光のうち1つは、D65基準光源の概日刺激に類似する概日刺激を有する、請求項1の光源。
【請求項8】
前記複合発光のうち1つは、CIE A基準光源の概日刺激を下回る概日刺激を有する、請求項1の光源。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第1のLED発光源および前記少なくとも1つの第2のLED発光源は、混合された物理的配置において構成される、請求項1の光源。
【請求項10】
前記第1のSPDおよび前記第2のSPDはそれぞれ、色度がプランク軌跡の±0.005によって境界付けられ、かつCIE色度図における最小色相シフト曲線の±0.005によって境界付けられる色度によって特徴付けられる、請求項1の光源。
【請求項11】
前記第1のSPDおよび前記第2のSPDはそれぞれ、色度がプランク軌跡の+/−5個のDu’v’点内の色度によって特徴付けられる、請求項1の光源。
【請求項14】
Fc1は最大で0.06である、請求項1の光源。
【請求項24】
一次SPDによって特徴付けられた一次放出を放射するように構成されたLEDデバイスと、
前記一次放出へ光学的に結合された少なくとも1つの蛍光体であって、青色−シアン波長領域内における可飽和吸収によって特徴付けられる少なくとも1つの蛍光体と、を含む照明システムであって、
前記LEDデバイスは、前記一次放出を第1の出力レベルから第2の出力レベルへと調光するように構成された出力信号によって制御されるように構成され、
前記照明システムは、第1の出力レベルにおいて、440nm〜500nmの波長範囲におけるスペクトル出力の第1の割合fc1と第1のCCTとによって特徴付けられる第1のSPDを放射し、
前記照明システムは、第2の出力レベルにおいて、440nm〜500nmの波長範囲におけるスペクトル出力の第2の割合fc2と第2のCCTとによって特徴付けられる第2のSPDを放射し、
前記第2の出力レベルは前記第1の出力レベルよりも低く、前記第2の割合fc2は、前記第1の割合fc1の80%よりも低く、
前記少なくとも1つの蛍光体は前記第1の出力レベルにおいて飽和しており、且つ第2の出力レベルにおいて飽和していない、
照明システム。
【請求項25】
前記第2のCCTは、前記第1のCCTよりも少なくとも500K低い、請求項24の照明システム。
【請求項26】
前記一次SPDの少なくとも5%は、400nm〜435nmの波長範囲内にある、請求項24の照明システム。」

第4 取消理由通知(決定の予告)の概要
本件訂正前の請求項1〜14、24〜26に係る特許に対して、令和3年1月28日付けで当審が通知した取消理由通知(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。
(1)令和2年3月2日付けの訂正請求書による訂正について
特許請求の範囲を、令和2年3月2日付けの訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1〜14のとおり、訂正後の請求項〔1〜14〕について訂正することを認めない。
また、同訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項15〜26のとおり、訂正後の請求項〔15〜21〕、〔22〜23〕、〔24〜26〕について訂正することを認め、明細書を、訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり、訂正後の段落【0011】、【0012】、【0064】、【0176】、【0178】〜【0181】、【0221】〜【0223】のとおり訂正することを認める。

(2)取消理由について
以下の理由1〜4により、請求項1〜14、24〜26に係る特許は取り消されるべきものである。
理由1.(サポート要件)本件の特許請求の範囲の下記の請求項の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないので、下記の請求項に係る特許は、同法第36条第6項の規定に違反してされたものである。
理由2.(明確性)本件の特許請求の範囲の記載の下記の請求項の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないので、下記の請求項に係る特許は、同法第36条第6項の規定に違反してされたものである。
理由3.(実施可能要件)本件の発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないので、下記の請求項に係る特許は、同法第36条第4項の規定に違反してされたものである。
理由4.(進歩性)本件の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

記(刊行物については刊行物一覧参照)
理由1.サポート要件
・請求項1〜14
理由2.明確性
・請求項1〜14
理由3.実施可能要件
・請求項1〜14
理由4.進歩性
・請求項1〜14、24〜26
刊行物1
<刊行物一覧>
1.特表2009−532856号公報(申立人が提出した甲第1号証)

第5 当審の判断
1 取消理由通知(決定の予告)で指摘した取消理由について
1−1 理由1(サポート要件)について
請求項1に係る発明が解決しようとする課題は、本件訂正により訂正された特許明細書(以下「本件特許明細書」という。)の段落【0008】に記載の「・・・高概日刺激光から低概日刺激光までの範囲内において周期に合わせて調整することが可能な白色光源」を提供することと理解できる。
ここで、訂正前の請求項1には、Fv1とFv2との関係の特定がなかったが、訂正後の請求項1には、「Fv1はFv2より高く」との事項が特定され、「Fc1は、Fc2よりも少なくとも0.02だけ低く」との事項と併せて、Fvが増すとFcが減じる関係が明らかとなった。
また、訂正前の請求項1には、Fc1とFv1との関係の特定がなかったが、訂正後の請求項1には「Fc1/Fv1は0.5よりも低い」との事項が特定され、上記のFv1、Fv2との関係、及び、「前記第1のSPDおよび前記第2のSPDは、80を超える演色評価数を有し」との事項と併せて、Fc1、Fv2、Fv2、Fc2の範囲が限定されることとなった。
そうすると、訂正後の請求項1の記載は、課題を解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えているものとはいえない。
請求項1を引用する請求項2〜11、14についても同様である。
したがって、請求項1〜11、14に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものである。

1−2 理由2(明確性)について
(1)訂正前の請求項1において「第1の発光」、「第2の発光」、「第1のLED発光源」、「第2のLED発光源」、「第1の複合発光」、「第2の複合発光」の関係が明確でなく、また、「第1の複合発光」、「第2の複合発光」がどのように特徴付けられているのか明確でなかったこと、訂正前の請求項2、4、7、8において、「概日刺激」が明確でなかったこと、訂正前の請求項4において、「第1の発光」、「第2の発光」及び「第3の複合発光」の関係が明確でなかったこと、訂正前の請求項5において、「波長下方変換材料」の「下方」とは、どのような意味であるのか明確でなかったこと、訂正前の請求項6において、「LED」がどのようなものであるのか明確でなかったこと、訂正前の請求項7、8において、「誘導する」がどのようなことであるのか明確でなかったこと、訂正前の請求項9において、「混合された物理的配置において構成される」ということがどのようなことであるのか明確でなかったこと、訂正前の請求項10において、「前記第1のSPDおよび前記第2のSPDはそれぞれ、色度がプランク軌跡の±0.005によって境界付けられ、かつCIE色度図における最小色相シフト曲線の±0.005によって境界付けられる色度によって特徴付けられる」ということがどのようなことであるのか明確でなかったこと、訂正前の請求項24の「一次電子放出」がどのようなものであるのか明確でなかったことについては、上記「第2 2(1)〜(9)、(13)」のとおり明確となった。また、訂正前の請求項11の「色度がプランク軌跡の+/−5個のDu’v’点内の色度によって特徴付けられる」という記載については、本件図面の【図5B】を参照すれば、その意味は明確である。
したがって、請求項1〜11、14の記載は明確である。

(2)訂正前の請求項12、13の「20%の前記被験者の血液メラトニン濃度の抑制」との記載が明確でないことについては、請求項12、13が削除されたことにより解消した。

1−3 理由3(実施可能要件)について
上記1−1と同様の理由により、発明の詳細な説明は、訂正後の請求項1及び請求項1を引用する請求項2〜11、14に係る発明が、上記発明の課題を解決することができると、当業者が理解できる程度に記載されているといえる。
したがって、発明の詳細な説明の記載は、請求項1〜11、14に係る発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載されたものである。

1−4 理由4(進歩性)について
1−4−1 本件発明1について
(1)刊行物1
(1−1)記載事項
本件特許出願の優先日前に日本国内で頒布された刊行物1には、発光素子及びそれを有する照明システムに関して、図面とともに、次の記載がある。(下線は、当審で付与。)
・「【請求項1】
6000K以上の高い色温度の昼光色を発する第1の発光部と、
3000K以下の色温度の温白色を発する第2の発光部と、を備え、
前記第1の発光部及び前記第2の発光部は発光ダイオードチップ及び蛍光物質を含み、前記第1の発光部及び前記第2の発光部は独立して駆動されることを特徴とする発光素子。」

・「【請求項21】
ベースプレートと、
前記ベースプレートの上に配置される複数の発光素子と、を備え、
前記発光素子のそれぞれは、
6000K以上の高い色温度の昼白色を発する第1の発光部と、
3000K以下の低い色温度の温白色を発する第2の発光部と、を備え、
前記第1の発光部及び前記第2の発光部のそれぞれは発光ダイオードチップ及び蛍光物質を含み、前記第1の発光部及び前記第2の発光部は独立して駆動されることを特徴とする照明システム。」

・「【0005】
光は波長または色温度に応じて種々の感じを与え、人間の生理的リズムに大きく影響する。生理的リズムが正常に適応しない場合に消化機能の障害、慢性疲労など多くの疾病を引き起こすことがある。このため、24時間周期リズムを考慮した照明装置についての研究が進められているのである。・・・ 」

・「【0008】
本発明の他の目的は、人間の生理的リズムによって光のスペクトルまたは色温度を調節する同様の能力を有する発光素子及び照明システムを提供することにある。」

・「【0063】
図1を参照すると、発光素子は、色温度が6000K以上の白色光を発する第1の発光部と、色温度が3000K以下の白色光を発する第2の発光部とを備え、前記第1の発光部と第2の発光部は互いに独立して駆動可能であることを特徴とする。この種の発光素子は、一つのパッケージ(A)における複数の発光部が独自の電気接続を取ることが可能であることから、前記第1の発光部と第2の発光部は独立して駆動することができる。例えば、第1の発光部のみが電源を投入された場合、色温度が6000K以上の白色光(昼光色)を実現することができ、第2の発光部のみが電源を投入された場合、色温度が3000K以下の白色光(温白色)を実現することができる。更に、第1の発光部と第2の発光部が同時に電源を投入された場合、第1の発光部の白色光と第2の発光部の白色光との混合により色温度が3000〜6000Kの範囲を有する白色光を実現することができる。このため、発光素子は、第1の発光部と第2の発光部を選択的に駆動させることにより、高演色指数、可変スペクトル及び色温度を有しする白色光を実現することができる。本発明に係る発光素子は、可変スペクトル及び色温度を有する白色光を実現することができることから、一つのパッケージ(A)によって所望の雰囲気及び用途に様々に適用することができるという利点がある。例えば、昼間には、6000K以上の色温度(昼白色)を有する白色光を発する第1の発光部を駆動することで、人間の脳の活動性と集中力を高めることができ、夜間には、3000K以下の色温度(温白色)を有する白色光を発する第2の発光部を駆動して人々がより安らかで心地よい休息を取る手助けとなる。特に、人間の24時間周期機能によって光の波長または色温度を適切に調節することにより、健康を増進させることができるという効果がある。」

・「【0089】
[実施例3]
・・・
【0091】
図11は、第1の発光部の発光スペクトルを示し、図12は、第2の発光部の発光スペクトルを示す。図11及び図12に示すように、第1の発光部の色温度は相対的に高く、第2の発光部の色温度は相対的に低い。
【0092】
本実施形態の第1の発光部は、演色評価数88という優れた評価数の8800Kの色温度を有する。更に、第2の発光部は、演色評価数95という優れた評価数の2600Kの色温度を有する。
【0093】
第1の発光部と第2の発光部を選択的に駆動することにより、優れた演色評価数、種々の光スペクトル及び色温度を有する白色光を実現することができる。例えば、第1の発光部のみを駆動することで、日中は相対的に高い8800Kの色温度を有する白色光を表現し、第2の発光部のみを駆動することで、夜間には相対的に低い2600Kの色温度を有する白色光を表現する。」

・【図11】は次のとおりである。
【図11】

・【図12】は次のとおりである。
【図12】



(1−2)認定事項
第1、第2の発光部は、段落【0091】の「図11は、第1の発光部の発光スペクトルを示し、図12は、第2の発光部の発光スペクトルを示す。図11及び図12に示すように、第1の発光部の色温度は相対的に高く、第2の発光部の色温度は相対的に低い。」ものであり、【図11】及び【図12】より、第1、2の発光部は、所定の発光スペクトル出力分布を有し、400nm〜440nmの波長範囲、及び440nm〜500nmの波長範囲それぞれにおいて、所定の発光スペクトルの出力分布割合を有するものであるので、
「第1の発光部は、図11の発光スペクトルを出力するものであり、所定の発光スペクトル分出力分布を有し、400nm〜440nmの波長範囲、及び440nm〜500nmの波長範囲それぞれにおいて、所定の発光スペクトルの出力分布割合を有し、
第2の発光部は、図12の発光スペクトルを出力するものであり、所定の発光スペクトル出力分布を有し、400nm〜440nmの波長範囲、及び440nm〜500nmの波長範囲それぞれにおいて、所定の発光スペクトルの出力分布割合を有し」ていることが認定できる。

(1−3)引用発明1
上記(1−1)、(1−2)より、刊行物1には、特に実施例3に係る以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認める。
「昼間には、6000K以上の色温度(昼白色)を有する白色光を発する第1の発光部を駆動することで、人間の脳の活動性と集中力を高めることができ、夜間には、3000K以下の色温度(温白色)を有する白色光を発する第2の発光部を駆動して人々がより安らかで心地よい休息を取る手助けとなるものであって、
6000K以上の高い色温度の昼光色を発する第1の発光部と、
3000K以下の色温度の温白色を発する第2の発光部と、
を備え、
前記第1の発光部及び前記第2の発光部は独立して駆動されるものであり、
前記第1の発光部及び前記第2の発光部は発光ダイオードチップ及び蛍光物質を含み、
第1の発光部は、図11の発光スペクトルを出力するものであり、所定の発光スペクトル分出力分布を有し、400nm〜440nmの波長範囲、及び440nm〜500nmの波長範囲それぞれにおいて、所定の発光スペクトルの出力分布割合を有し、
第2の発光部は、図12の発光スペクトルを出力するものであり、所定の発光スペクトル出力分布を有し、400nm〜440nmの波長範囲、及び440nm〜500nmの波長範囲それぞれにおいて、所定の発光スペクトルの出力分布割合を有し、
第1の発光部は、演色評価数88という優れた評価数の8800Kの色温度を有し、第2の発光部は、演色評価数95という優れた評価数の2600Kの色温度を有し、
第1の発光部と第2の発光部を選択的に駆動することにより、優れた演色評価数、種々の光スペクトル及び色温度を有する白色光を実現することができ、
例えば、第1の発光部のみを駆動することで、日中は相対的に高い8800Kの色温度を有する白色光を表現し、第2の発光部のみを駆動することで、夜間には相対的に低い2600Kの色温度を有する白色光を表現する、発光素子。
【図11】

【図12】



(2)対比
ア 引用発明1の「発光ダイオードチップ及び蛍光物質を含」む「第1の発光部」及び「第2の発光部」は、本件発明1の「第1のLED発光源」及び「第2のLED発光源」に相当する。
また、引用発明1の「例えば、第1の発光部のみを駆動することで、日中は相対的に高い8800Kの色温度を有する白色光を表現し、第2の発光部のみを駆動することで、夜間には相対的に低い2600Kの色温度を有する白色光を表現する」ということにおける「8800Kの色温度を有する白色光」及び「2600Kの色温度を有する白色光」は、本件発明1の「第1の発光」及び「第2の発光」に相当する。
そして、引用発明1の「発光ダイオードチップ及び蛍光物質を含」む「第1の発光部」は、「8800Kの色温度を有する白色光」の発光によって特徴付けられることは自明であるので、本件発明1の「第1の発光によって特徴付けられた少なくとも1つの第1のLED発光源」に相当し、引用発明1の「発光ダイオードチップ及び蛍光物質を含」む「第2の発光部」も同様に、本件発明1の「第2の発光によって特徴付けられた少なくとも1つの第2のLED発光源」に相当する。
また、引用発明1の「発光素子」は、本件発明1の「光源」に相当する。

イ 引用発明1の「例えば、第1の発光部のみを駆動することで、日中は相対的に高い8800Kの色温度を有する白色光を表現し、第2の発光部のみを駆動することで、夜間には相対的に低い2600Kの色温度を有する白色光を表現する」ということにおける「8800Kの色温度を有する白色光」と「2600Kの色温度を有する白色光」と、本件発明1の「第1の複合発光」及び「第2の複合発光」とは、「第1の光」及び「第2の光」である点で共通するといえる。
そうすると、引用発明1の「第1の発光部」と「第2の発光部」を備えた、「例えば、第1の発光部のみを駆動することで、日中は相対的に高い8800Kの色温度を有する白色光を表現し、第2の発光部のみを駆動することで、夜間には相対的に低い2600Kの色温度を有する白色光を表現する」「発光素子」と、本件発明1の「前記第1の発光および前記第2の発光は、第1の複合発光および第2の複合発光を提供するように構成され」る「光源」とは、「前記第1の発光および前記第2の発光は、第1の光および第2の光を提供するように構成され」る「光源」である点で共通する。
そして、引用発明1の「8800Kの色温度を有する白色光」の、「所定の発光スペクトル出力分布」は、本件発明1の「第1のSPD」に相当(ただし、「第1の光」が「第1の複合発光」である点は除く)し、以下同様に「400nm〜440nmの波長範囲」においての「発光スペクトルの出力分布割合」は、「Fv1」に、「440nm〜500nmの波長範囲」においての「所定の発光スペクトルの出力分布割合」は、「Fc1」に相当する。
また、引用発明1の「2600Kの色温度を有する白色光」の、「所定の発光スペクトル出力分布」は、本件発明1の「第2のSPD」に相当(ただし、「第2の光」が「第2の複合発光」である点は除く)し、以下同様に「400nm〜440nmの波長範囲」においての「発光スペクトルの出力分布割合」は、「Fv2」に、「440nm〜500nmの波長範囲」においての「所定の発光スペクトルの出力分布割合」は、「Fc2」に相当する
そうすると、引用発明1の
「第1の発光部は、図11の発光スペクトルを出力するものであり、所定の発光スペクトル分出力分布を有し、400nm〜440nmの波長範囲、及び440nm〜500nmの波長範囲それぞれにおいて、所定の発光スペクトルの出力分布割合を有し、
第2の発光部は、図12の発光スペクトルを出力するものであり、所定の発光スペクトル出力分布を有し、400nm〜440nmの波長範囲、及び440nm〜500nmの波長範囲それぞれにおいて、所定の発光スペクトルの出力分布割合を有し」、
「例えば、第1の発光部のみを駆動することで、日中は相対的に高い8800Kの色温度を有する白色光を表現し、第2の発光部のみを駆動することで、夜間には相対的に低い2600Kの色温度を有する白色光を表現する」構成と、本件発明1の
「前記第1の複合発光は、第1のSPDと割合Fv1およびFc1とにより特徴付けられ、
前記第2の複合発光は、第2のSPDと割合Fv2およびFc2とにより特徴付けられ、
Fv1は、400nm〜440nmの波長範囲における前記第1のSPDの出力の割合を示し、
Fc1は、440nm〜500nmの波長範囲における前記第1のSPDの出力の割合を示し、
Fv2は、400nm〜440nmの波長範囲における前記第2のSPDの出力の割合を示し、
Fc2は、440nm〜500nmの波長範囲における前記第2のSPDの出力の割合を示し」た構成とは、
「前記第1の光は、第1のSPDと割合Fv1およびFc1とにより特徴付けられ、
前記第2の光は、第2のSPDと割合Fv2およびFc2とにより特徴付けられ、
Fv1は、400nm〜440nmの波長範囲における前記第1のSPDの出力の割合を示し、
Fc1は、440nm〜500nmの波長範囲における前記第1のSPDの出力の割合を示し、
Fv2は、400nm〜440nmの波長範囲における前記第2のSPDの出力の割合を示し、
Fc2は、440nm〜500nmの波長範囲における前記第2のSPDの出力の割合を示し」た点で共通する。

ウ 上記イを踏まえると、引用発明1の「第1の発光部は、演色評価数88という優れた評価数の8800Kの色温度を有し、第2の発光部は、演色評価数95という優れた評価数の2600Kの色温度を有し」ていることは、本件発明1の「前記第1のSPDおよび前記第2のSPDは、80を超える演色評価数を有し」ていることに相当する。

エ 発光ダイオードチップを用いた発光部をドライバ回路で駆動することは、技術常識であるから、引用発明1もドライバ回路を実質的に有していることは自明のことである。
そうすると、上記イの第1、2の複合発光の相当関係も踏まえると、引用発明1の「前記第1の発光部及び前記第2の発光部は独立して駆動されるものであ」ることと、本件発明1の「前記第1のLED発光源と前記第2のLED発光源との発光比を制御し、第1の発光と第2の発光を複合し、少なくとも、前記複合の第1の状態である第1の複合発光と前記複合の第2の状態である第2の複合発光を、提供するドライバ回路」とは、「前記第1のLED発光源と前記第2のLED発光源から、第1の光と第2の光を、提供するドライバ回路」である点で共通する。

オ したがって、本件発明1と引用発明1との一致点、相違点は次のとおりと認める。
〔一致点1〕
「第1の発光によって特徴付けられた少なくとも1つの第1のLED発光源と、
第2の発光によって特徴付けられた少なくとも1つの第2のLED発光源と、
を含み、
前記第1のLED発光源と前記第2のLED発光源から、第1の光と第2の光を、提供するドライバ回路と、
前記第1の発光および前記第2の発光は、第1の光および第2の光を提供するように構成され、
前記第1の光は、第1のSPDと割合Fv1およびFc1とにより特徴付けられ、
前記第2の光は、第2のSPDと割合Fv2およびFc2とにより特徴付けられ、
Fv1は、400nm〜440nmの波長範囲における前記第1のSPDの出力の割合を示し、
Fc1は、440nm〜500nmの波長範囲における前記第1のSPDの出力の割合を示し、
Fv2は、400nm〜440nmの波長範囲における前記第2のSPDの出力の割合を示し、
Fc2は、440nm〜500nmの波長範囲における前記第2のSPDの出力の割合を示し、
前記第1のSPDおよび前記第2のSPDは、80を超える演色評価数を有した光源。」

〔相違点1〕
第1の光、第2の光、ドライバ回路について、本件発明1は、「第1の複合発光」、「第2の複合発光」であり、ドライバ回路は、第1のLED発光源と第2のLED発光源「との発光比を制御し、第1の発光と第2の発光を複合し、少なくとも、前記複合の第1の状態である第1の複合発光と前記複合の第2の状態である第2の複合発光」を提供するものであるのに対し、引用発明1は、第1の光及び第2の光やドライバ回路において、複合発光の特定がなく、第1の光及び第2の光の発光スペクトルは、Fv1、Fv2、Fc1、Fc2の個々の値や大小関係や割合の特定もない点。

(3)判断
上記相違点1について検討する。
ア 刊行物1の段落【0063】に、【図1】に係る実施形態の説明として「例えば、第1の発光部のみが電源を投入された場合、色温度が6000K以上の白色光(昼光色)を実現することができ、第2の発光部のみが電源を投入された場合、色温度が3000K以下の白色光(温白色)を実現することができる。更に、第1の発光部と第2の発光部が同時に電源を投入された場合、第1の発光部の白色光と第2の発光部の白色光との混合により色温度が3000〜6000Kの範囲を有する白色光を実現することができる。」との記載があり、第1の発光部と第2の発光部のいずれか一方のみを発光させることに加えて、両方の発光部を発光させて、その白色光を混合させることにより、中間領域の色温度とすることが示唆されている。
そうすると、上記示唆に基づき、引用発明1においても、「例えば」との記載により例示される「第1の発光部のみを駆動することで、日中は相対的に高い8800Kの色温度を有する白色光を表現し、第2の発光部のみを駆動することで、夜間には相対的に低い2600Kの色温度を有する白色光を表現する」ことに加え、第1発光部と第2発光部の両方を駆動させて2600Kと8800Kとの間の中間領域においても白色光を表現するように構成することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
そして、少なくとも、第1発光部と第2発光部の両方を駆動させる発光は、それぞれの発光を複合するといえるものであるから、本件発明1の「複合発光」に相当するといえる。

イ ここで、本件図面の【図4D】や【図4F】の右の表の一番上の「比 2nd:1ST」の欄に、「0%」、「50%」、「100%」と記載されており、「第1のLED発光源」あるいは「第2のLED発光源」のみを点灯する場合も含まれていることから、本件発明1における「複合発光」とは、両方のLED発光源を点灯させる状態に限らず、いずれか一方のLED発光源のみを点灯させる状態も含んでいるものと認められる。
そうすると、引用発明1の「第1の発光部のみを駆動することで、日中は相対的に高い8800Kの色温度を有する白色光を表現し、第2の発光部のみを駆動することで、夜間には相対的に低い2600Kの色温度を有する白色光を表現する」ことにおいて、「8800Kの色温度を有する白色光を表現」する状態も「2600Kの色温度を有する白色光を表現する」状態も複合発光を行っているといえるものである。

ウ しかしながら、上記ア、イのとおりであっても、引用発明1は、400nm〜440nmの波長範囲における出力Fvと、440nm〜500nmの波長範囲における出力Fcとの割合に着目して、Fv1、Fv2、Fc1、Fc2の個々の値や大小関係や割合を規定するものではなく、そのような引用発明1において、本件発明1の「Fv1は少なくとも0.05であり、Fv1はFv2より高く、Fc2は少なくとも0.1であり、Fc1は、Fc2よりも少なくとも0.02だけ低く、Fc1/Fv1は0.5よりも低い」という具体的な相関関係まで想起することは、当業者であっても容易になし得たとはいえない。

エ したがって、本件発明1は、引用発明1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

1−4−2 本件発明2〜11、14について
本件発明2〜11、14は、本件発明1の事項を全て含み、さらに請求項2〜11、14において特定した事項によりさらに限定をするものであるから、上記1−4−1と同様の理由により、引用発明1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

1−4−3 小括
以上検討したとおりであるから、本件発明1〜11、14は、特許法第29条第2項に規定により特許を受けることができないものではない。

2 取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった異議申立理由について
2−1 特許法第29条第1項第3号新規性)、同法第29条第2項進歩性)について
申立人は、
(1)本件発明1〜6、8〜11は、甲第1号証(上記刊行物1)を主たる証拠として新規性を有さない旨、及び、本件発明7は、甲第1号証を主たる証拠とし、甲第2号証(特開2009−238729号公報)を従たる証拠としてとして、進歩性を有さない旨、
(2)本件発明1〜11、14は、甲第2号証を主たる証拠として新規性進歩性を有さない旨、
(3)本件発明1〜11、14は、甲第3号証(特開2011−176300号公報)を主たる証拠として新規性進歩性を有さない旨、
(4)本件発明24〜26は、甲第1〜3号証それぞれを主たる証拠として進歩性を有さない旨、
の主張をするので、以下検討する。
なお、甲第4号証(特開2006−119295号公報)は、訂正前の請求項15〜21に係る発明に対して提出された証拠であるが、当該請求項は、本件訂正により削除された。

2−1−1 各甲号証の記載事項等
(1)甲第1号証について
上記「1 1−4 1−4−1(1)」で述べたとおりである。

(2)甲第2号証について
ア 甲第2号証の記載事項
本件特許出願の優先日前に日本国内で頒布された甲第2号証には以下の記載がある。
・「【請求項1】
半導体発光素子、及び蛍光体を備え、該半導体発光素子からの発光及び該発光で励起し蛍光する該蛍光体からの発光により、もしくは該半導体発光素子からの発光で励起し蛍光する該蛍光体からの発光により、外部に対して光を出射する半導体発光装置を、発光色が異なる複数種、集積配置した発光部を有する照明装置であって、
前記各半導体発光装置の発光色は、UCS(u、v)表色系(CIE1960)のuv色度図において、黒体輻射軌跡からの偏差duvが、−0.02≦duv≦0.02の範囲内に収まり、複数種の半導体発光装置が集積配置された発光部からのそれぞれの出力光が混合して外部に出射される、
照明装置。」
・・・
「【請求項4】
前記複数種の半導体発光装置への供給電力をそれぞれ制御することで、前記発光部からの出力光の発光色を制御する発光強度制御部を備える、
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の照明装置。」

・「【0187】
[2−2]固体発光装置の組み合せ
本発明の照明装置は、固体発光装置を複数備える。複数の固体発光装置は、発光色の異なる2種以上の光(一次光)を発する。これら発光色の異なる2種以上の一次光を混色することによって、合成光とすることができる。
【0188】
固体発光装置が発する一次光の発光色は、適宜設定し組み合わせることができるが、発光色ごとに相関色温度が異なっていることが好ましい。これにより、昼光色〜昼白色〜白色〜温白色〜電球色などの照明光源、CIE標準光源(A、B、CおよびD65)、太陽光(自然光)スペクトルなど、近紫外光から近赤外光まで広範囲のスペクトルを有するターゲットカラーが再現可能となる。
【0189】
固体発光装置が発する一次光の相関色温度は、好ましくは2000K以上、より好ましくは2200K以上であり、また、好ましくは50000K以下、より好ましくは10000以下である。照明装置に用いられる複数種の固体発光装置のうち、最も相関色温度が高い固体発光装置と最も相関色温度が低い固体発光装置との間での、相関色温度の範囲が広いほど、合成光の相関色温度の設定範囲を広くできる。ただし、この相関色温度の範囲を広くしすぎると、照明装置の発光部を直接見たときや物体を照明することによって生じた影を見たときに、発光色の違いが認識されやすくなるため、照明装置の用途等に応じて適切な範囲とすることが好ましい。」

・「【0288】
図26に示す照明モジュールにおいて、全光束、演色性(Ra)、色温度等のデータを取得した。当該照明モジュールの測定には、モジュール全体に大型の積分球を用いた。発光スペクトルはマルチチャンネル分光器で分光解析し、全光束、演色性(Ra)、色温度等のデータを取得した。LED光源の通電は全体で電流値を一定とし、2分割領域のそれぞれに電流を振り分けることにより、低色温度領域と高色温度領域の発光出力を変化させて、照明モジュールとして3000Kから6500Kの範囲の色温度になるように調整した。
【0289】
測定結果を下記表2および図27、図28に示す。代表的な色温度、3000K、4500K、6500Kの各色温度での全光束はそれぞれ、136lm、131lm、128lmと全ての色温度範囲で全光束が一定である。また、3000K、4500K、6500Kの各色温度での平均演色評価数Raはそれぞれ、94、98、97と全ての色温度範囲で演色性が高く維持されている。このように近紫外LEDとRGB蛍光体を組み合わせて構成されたLED光源を用いた上記照明モジュールにおいては、3000K〜6500Kの色温度範囲で、全光束(発光効率)の変化が少なく、平均演色評価数Raも高く維持されており、照明装置として優れていることがわかった。
【表2】


・【図26】は次のとおりである。

・【図27】は次のとおりである。


イ 認定事項
・段落【0288】及び【図26】より、「低色温度領域」は3000Kの色温度であり、「高色温度領域」は6500Kの色温度であることが認定できる。

・【表2】から、平均演色評価数Raは、3000Kにおいて94、6500Kにおいて98であることが認定できる。

・【図27】の3000K、6500Kのグラフをみると、低色温度領域、高色温度領域は、所定の発光スペクトル出力分布を有し、400nm〜440nmの波長範囲、及び440nm〜500nmの波長範囲それぞれにおいて、所定の発光スペクトルの出力分布割合を有するものであるので、
「低色温度領域は、図27の3000Kの発光スペクトルを出力するものであり、所定の発光スペクトル出力分布を有し、400nm〜440nmの波長範囲、及び440nm〜500nmの波長範囲それぞれにおいて、所定の発光スペクトルの出力分布割合を有し、
高色温度領域は、図27の6500K発光スペクトルを出力するものであり、所定の発光スペクトル出力分布を有し、400nm〜440nmの波長範囲、及び440nm〜500nmの波長範囲それぞれにおいて、所定の発光スペクトルの出力分布割合を有し」ていることが認定できる。

ウ 引用発明2
上記ア、イより、甲第2号証には以下の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認める。
「複数種の半導体発光装置が集積配置された発光部からのそれぞれの出力光が混合して外部に出射され、低色温度領域(3000K)と高色温度領域(6500K)の発光出力を変化させて、照明モジュールとして3000Kから6500Kの範囲の色温度になるように調整するLED光源を用いた照明モジュールであって、
低色温度領域は、図27の3000Kの発光スペクトルを出力するものであり、所定の発光スペクトル出力分布を有し、400nm〜440nmの波長範囲、及び440nm〜500nmの波長範囲それぞれにおいて、所定の発光スペクトルの出力分布割合を有し、
高色温度領域は、図27の6500K発光スペクトルを出力するものであり、所定の発光スペクトル出力分布を有し、400nm〜440nmの波長範囲、及び440nm〜500nmの波長範囲それぞれにおいて、所定の発光スペクトルの出力分布割合を有し、
平均演色評価数Raは、3000Kにおいて94、6500Kにおいて98である、照明モジュール。
【図27】



(3)甲第3号証について
ア 甲第3号証の記載事項
本件特許出願の優先日前に日本国内で頒布された甲第3号証には以下の記載がある。
・「【0032】
図1Aに示す分割領域部12A、12Bには、LEDチップ3A、3Bがそれぞれ4個ずつ設けられている。このLEDチップ3A、3B(これらのLEDチップを包括的に参照する場合はLEDチップ3と称する。)は、対となる配線20A、20B(包括的に配線20と称する場合もある。)にそれぞれ接続され、電力供給を受けることで発光を行う。なお、各分割領域部での配線20へのLEDチップ3の接続は、図1Bに示すように、配線20Aの上に4個のLEDチップ3Aが実装され、配線20Bの上に4個のLEDチップ3Bが実装される。そして、各分割領域における4個のLEDチップ3は、対応する配線に対して順方向に並列接続されている。」

・「【0051】
このように、白色LED8(半導体発光装置)は、白色光Aを発する分割領域部12A、すなわち、発光ダイオードを含む第1の白色光源と、白色光Bを発する分割領域部12B、すなわち、発光ダイオードを含む第2の白色光源であって、第1の白色光源から発せられる白色光とスペクトルの異なる白色光を発する第2の白色光源とを備え、第1及び第2の白色光源からの白色光が合成された合成白色光を発するものである。そして、白色LED8は、第1及び第2の白色光源に対する駆動電力が供給される時間(駆動電圧の印加時間,駆動電流の通電時間,或いは白色光源の発光時間)が所定比となるように制御されることで、合成白色光の色温度を変更可能とするものである。」

・「【0059】
このように、単位時間(1周期T)当たりにおけるLEDチップ3A側とLEDチップ3B側とに対する電力供給時間の比(T1/T2)を変化させる。これによって、発光モジュール30の出力光の相関色温度を2600Kから9000Kの間の任意の値に調整することができる。・・・」

・「【0097】
図20(A)は、実験用のパッケージ1を用いた実験装置を模式的に示す図であり、図20(B)は、実験に用いたパッケージ1の駆動条件を示す表である。図20(A)に示すように、作製された実験用のパッケージ1(白色光ランプ)を積分球(例えばLabsphere社製)71内に配置し、2500K側(分割領域部12A)側のLEDチップ3Aと、5900K側(分割領域部12B)側のLEDチップ3Bとの夫々に電圧/電流発生器72(72A,72B)を接続した。電圧/電流発生器72として、ADC社製の電圧/電流発生器R6243を用いた。
・・・
【0099】
各電圧/電流発生器62A及び62BによるPWM制御時のパルス周期は、100msに設定した。そして、分割領域12A(2500K)側のパルス幅を100(CW:Continuous Wave)[ms],90,80,・・・,0(電源OFF)の順番で変化させる(10msずつ印加時間を短くする)一方で、分割領域部12B(5900K)側のパルス幅を0(電源OFF),10[ms],・・・90,100(CW)の順番で変化させた(印加時間を10msずつ長くした)。そして、分割領域部12Aと分割領域部12Bとのパルス幅比(印加時間(通電時間)の比)が、1:0(Scan1),9:1(Scan2),8:2(Scan3),・・・,1:9(Scan10),0:1(Scan11)であるときの光束を積分球(例えばLabsphere社製)71で測定した。
【0100】
図21は、今回の実験に使用したパッケージ1(白色光ランプ)の発光スペクトルの変化を示す。どのパルス幅比(Scan1〜12:パルス幅条件1〜12と称する)においても、640nm付近に最大ピークが表れ、470nm付近に第2のピークが現れる結果となった。もっとも、パッケージ1に適用される蛍光体の種類によってスペクトルの傾向は異なると考えられる。
・・・
【0104】
図25は、今回の実験結果をまとめた表である。今回の実験では、上述したように分割領域部12A側(LEDチップ3A)の駆動電圧Vopを3.185Vとし、分割領域部12B側(LEDチップ3B)側の駆動電圧Vopを3.23Vとした。電流値は、32〜35mA程度とした。今回の実験結果では、光束の変動は約2.8%程度に収まっている。平均演色評価数(Color Rend Index: Ra)の悪化も見られなかった。」

・【図21】は次のとおりである。
【図21】


・【図25】は次のとおりである。
【図25】


イ 認定事項
・白色光Aと白色光Bの合成白色光を示す【図21】をみると、Scan1(分割領域部12Aのみ発光)、Scan11(分割領域部12Bのみ発光)から、分割領域部12A、分割領域部12Bは、所定の発光スペクトル分布を有し、400nm〜440nmの波長範囲、及び440nm〜500nmの波長範囲それぞれにおいて、所定の発光スペクトルの出力分布割合を有するものであるのが理解でき、段落【0099】、【0100】の記載と併せて、
「白色光Aと白色光Bの合成白色光は、分割領域部12Aと分割領域部12Bとのパルス幅比(印加時間(通電時間)の比)が、1:0(Scan1),9:1(Scan2),8:2(Scan3),7:3(Scan4),6:4(Scan5),5:5(Scan6),4:6(Scan7),3:7(Scan8),2:8(Scan9),1:9(Scan10),0:1(Scan11)であるとき、図21の発光スペクトルの変化を示し、
分割領域部12Aの発光スペクトルは、所定の発光スペクトル出力分布を有し、400nm〜440nmの波長範囲、及び440nm〜500nmの波長範囲それぞれにおいて、所定の発光スペクトルの出力分布割合を有し、
分割領域部12Bの発光スペクトルは、所定の発光スペクトル出力分布を有し、400nm〜440nmの波長範囲、及び440nm〜500nmの波長範囲それぞれにおいて、所定の発光スペクトルの出力分布割合を有し」ているものであることが認定できる。

・【図25】、段落【0104】から、「平均演色評価数(Color Rend Index: Ra)は、Scan1において92.4、Scan11において93.4である」ことが認定できる。

ウ 引用発明3
上記ア、イより、甲第3号証には以下の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されているものと認める。
「白色光Aを発する分割領域部12A、すなわち、発光ダイオードを含む第1の白色光源と、白色光Bを発する分割領域部12B、すなわち、発光ダイオードを含む第2の白色光源を有するパッケージ1(白色光ランプ)であって、
第1の白色光源から発せられる白色光Aとスペクトルの異なる白色光Bを発する第2の白色光源とを備え、第1及び第2の白色光源からの白色光A、Bが合成された合成白色光を発するものであり、
第1及び第2の白色光源に対する駆動電力が供給される時間(駆動電圧の印加時間,駆動電流の通電時間,或いは白色光源の発光時間)が所定比となるように制御されることで、合成白色光の色温度を変更可能とするものであり、
白色光Aと白色光Bの合成白色光は、分割領域部12Aと分割領域部12Bとのパルス幅比(印加時間(通電時間)の比)が、1:0(Scan1),9:1(Scan2),8:2(Scan3),7:3(Scan4),6:4(Scan5),5:5(Scan6),4:6(Scan7),3:7(Scan8),2:8(Scan9),1:9(Scan10),0:1(Scan11)であるとき、図21の発光スペクトルの変化を示し、
分割領域部12Aの発光スペクトルは、所定の発光スペクトル出力分布を有し、400nm〜440nmの波長範囲、及び440nm〜500nmの波長範囲それぞれにおいて、所定の発光スペクトルの出力分布割合を有し、
分割領域部12Bの発光スペクトルは、所定の発光スペクトル出力分布を有し、400nm〜440nmの波長範囲、及び440nm〜500nmの波長範囲それぞれにおいて、所定の発光スペクトルの出力分布割合を有し、
平均演色評価数(Color Rend Index: Ra)は、Scan1において92.4、Scan11において93.4である、パッケージ1(白色光ランプ)。
【図21】



2−1−2 甲第1号証を主たる証拠とした場合の本件発明1〜11について
(1)本件発明1について
申立人は、甲第1号証により、本件発明1は新規性を有さない旨主張する。
しかしながら、上記「1 1−4 1−4−1(3)」のとおり、本件発明1と引用発明との相違点1は、実質的な相違点であるので、本件発明1は甲第1号証に記載された発明とはいえない。

(2)本件発明2〜6、8〜11について
本件発明2〜6、8〜11は、本件発明1の事項を全て含み、さらに請求項2〜6、8〜11において特定した事項によりさらに限定をするものであるから、上記(1)と同様の理由により、引用発明1ではない。

(3)本件発明7について
本件発明7と引用発明1とは、少なくとも上記「1 1−4 1−4−1(3)」で示した相違点1が存在するが、上記「2−1−1」のとおり、甲第2号証に上記相違点1を容易想到とする事項の開示はなく、甲第3号証についても同様である。
したがって、本件発明1は、引用発明1ないし甲第2、3号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2−1−3 甲第2号証を主たる証拠とした場合
(1)本件発明1について
申立人は、甲第2号証により、本件発明1は新規性進歩性を有さない旨主張するので以下検討する。
ア 対比
(ア)引用発明2の「6500K」の「出力光」、「3000K」の「出力光」は、本件発明1の「第1の光」、「第2の光」に相当する。
そして、引用発明2の「照明モジュール」の「高色温度領域(6500K)」は、LEDを用いるものであり、「第1の光」の発光によって特徴付けられることは自明であるので、本件発明1の「第1の発光によって特徴付けられた少なくとも1つの第1のLED発光源」に相当し、引用発明2の「照明モジュール」の「低色温度領域(3000K)」も同様に、本件発明1の「第2の発光によって特徴付けられた少なくとも1つの第2のLED発光源」に相当する。
また、引用発明2の「照明モジュール」は、本件発明1の「光源」に相当する。

(イ)引用発明2の「照明モジュール」は、「低色温度領域(3000K)と高色温度領域(6500K)の発光出力を変化させて、照明モジュールとして3000Kから6500Kの範囲の色温度になるように調整する」ことは、少なくとも「3000K」と「6500K」の2種類の発光を行っていることは自明のことである。そして、引用発明2の「6500K」の発光及び「3000K」の発光と、本件発明1の「第1の複合発光」及び「第2の複合発光」とは、「第1の光」及び「第2の光」で共通する。
そうすると、引用発明2の「複数種の半導体発光装置が集積配置された発光部からのそれぞれの出力光が混合して外部に出射され、低色温度領域(3000K)と高色温度領域(6500K)の発光出力を変化させて、照明モジュールとして3000Kから6500Kの範囲の色温度になるように調整するLED光源を用いた照明モジュール」と、本件発明1の「前記第1の発光および前記第2の発光は、第1の複合発光および第2の複合発光を提供するように構成され」る「光源」とは、「前記第1の発光および前記第2の発光は、第1の光および第2の光を提供するように構成され」る「光源」である点で共通する。
そして、引用発明2の「6500K」の第1の光の、「所定のスペクトル出力分布」は、本件発明1の「第1のSPD」に相当(ただし、「第1の光」が「第1の複合発光」である点は除く)し、以下同様に「400nm〜440nmの波長範囲」においての「所定の発光スペクトルの出力分布割合」は、「Fv1」に、「440nm〜500nmの波長範囲」においての「所定の発光スペクトルの出力分布割合」は、「Fc1」に相当する。
また、引用発明2の「3000K」の第2の光の、「所定のスペクトル出力分布」は、本件発明1の「第2のSPD」に相当(ただし、「第2の光」が「第2の複合発光」である点は除く)し、以下同様に「400nm〜440nmの波長範囲」においての「所定の発光スペクトルの出力分布割合」は、「Fv2」に、「440nm〜500nmの波長範囲」においての「所定の発光スペクトルの出力分布割合」は、「Fc2」に相当する。
そうすると、引用発明2の
「低色温度領域は、図27の3000Kの発光スペクトルを出力するものであり、所定の発光スペクトル出力分布を有し、400nm〜440nmの波長範囲、及び440nm〜500nmの波長範囲それぞれにおいて、所定の発光スペクトルの出力分布割合を有し、
高色温度領域は、図27の6500K発光スペクトルを出力するものであり、所定の発光スペクトル出力分布を有し、400nm〜440nmの波長範囲、及び440nm〜500nmの波長範囲それぞれにおいて、所定の発光スペクトルの出力分布割合を有し」た構成と、本件発明1の
「前記第1の複合発光は、第1のSPDと割合Fv1およびFc1とにより特徴付けられ、
前記第2の複合発光は、第2のSPDと割合Fv2およびFc2とにより特徴付けられ、
Fv1は、400nm〜440nmの波長範囲における前記第1のSPDの出力の割合を示し、
Fc1は、440nm〜500nmの波長範囲における前記第1のSPDの出力の割合を示し、
Fv2は、400nm〜440nmの波長範囲における前記第2のSPDの出力の割合を示し、
Fc2は、440nm〜500nmの波長範囲における前記第2のSPDの出力の割合を示し」た構成とは、
「前記第1の光は、第1のSPDと割合Fv1およびFc1とにより特徴付けられ、
前記第2の光は、第2のSPDと割合Fv2およびFc2とにより特徴付けられ、
Fv1は、400nm〜440nmの波長範囲における前記第1のSPDの出力の割合を示し、
Fc1は、440nm〜500nmの波長範囲における前記第1のSPDの出力の割合を示し、
Fv2は、400nm〜440nmの波長範囲における前記第2のSPDの出力の割合を示し、
Fc2は、440nm〜500nmの波長範囲における前記第2のSPDの出力の割合を示し」た点で共通する。

(ウ)引用発明2の照明モジュールは、「低色温度領域(3000K)と高色温度領域(6500K)」を備え、「平均演色評価数Raは、3000Kにおいて94、6500Kにおいて98である」から、「6500K」の第1の光、及び「300K」の第2の光は、本件発明1の「前記第1のSPDおよび前記第2のSPDは、80を超える演色評価数を有し」ていることに相当する。

(エ)LED光源をドライバ回路で駆動することは、技術常識であるから、引用発明2もドライバ回路を実質的に有していることは自明のことである。
そうすると、上記(イ)の第1、2の複合発光の相当関係も踏まえると、引用発明2の「低色温度領域(3000K)と高色温度領域(6500K)の発光出力を変化させ」ることと、本件発明1の「前記第1のLED発光源と前記第2のLED発光源との発光比を制御し、第1の発光と第2の発光を複合し、少なくとも、前記複合の第1の状態である第1の複合発光と前記複合の第2の状態である第2の複合発光を、提供するドライバ回路」とは、「前記第1のLED発光源と前記第2のLED発光源から、第1の光と第2の光を、提供するドライバ回路」である点で共通するといえる。

(オ)したがって、本件発明1と引用発明2との一致点、相違点は次のとおりと認める。
〔一致点2〕
「第1の発光によって特徴付けられた少なくとも1つの第1のLED発光源と、
第2の発光によって特徴付けられた少なくとも1つの第2のLED発光源と、
を含み、
前記第1のLED発光源と前記第2のLED発光源から、第1の光と第2の光を、提供するドライバ回路と、
前記第1の発光および前記第2の発光は、第1の光および第2の光を提供するように構成され、
前記第1の光は、第1のSPDと割合Fv1およびFc1とにより特徴付けられ、
前記第2の光は、第2のSPDと割合Fv2およびFc2とにより特徴付けられ、
Fv1は、400nm〜440nmの波長範囲における前記第1のSPDの出力の割合を示し、
Fc1は、440nm〜500nmの波長範囲における前記第1のSPDの出力の割合を示し、
Fv2は、400nm〜440nmの波長範囲における前記第2のSPDの出力の割合を示し、
Fc2は、440nm〜500nmの波長範囲における前記第2のSPDの出力の割合を示し、
前記第1のSPDおよび前記第2のSPDは、80を超える演色評価数を有した光源。」

〔相違点2〕
第1の光、第2の光、ドライバ回路について、本件発明1は、「第1の複合発光」、「第2の複合発光」であり、ドライバ回路は、第1のLED発光源と第2のLED発光源「との発光比を制御し、第1の発光と第2の発光を複合し、少なくとも、前記複合の第1の状態である第1の複合発光と前記複合の第2の状態である第2の複合発光」を提供するものであるのに対し、引用発明2は、第1の光及び第2の光やドライバ回路において、複合発光の特定がなく、第1の光及び第2の光の発光スペクトルは、Fv1、Fv2、Fc1、Fc2の個々の値や大小関係や割合の特定もない点。

イ 判断
上記相違点2について検討する。
(ア)新規性について
上記相違点2は、実質的な相違点であるので、本件発明1は引用発明2であるとはいえない。

(イ)進歩性について
a 引用発明2の「低色温度領域(3000K)と高色温度領域(6500K)の発光出力を変化させて、照明モジュールとして3000Kから6500Kの範囲の色温度になるように調整する」ことにおいて、少なくとも、低色温度領域(3000K)と高色温度領域(6500K)の両方を発光させた状態は、発光を複合させているので、複合発光といえるものである。
ここで、上記「1 1−4 1−4−1(3)ア」で述べたとおり、本件発明1における「複合発光」とは、両方の「LED発光源」を点灯させる場合に限らず、いずれか一方の「LED発光源」を点灯させる場合も含んでいるものと認められる。
そうすると、引用発明2の「3000K」、「6500K」の色温度の、それぞれの状態においても複合発光を行っているといえるものである。

b しかしながら、上記aのとおりであっても、引用発明2は、400nm〜440nmの波長範囲における出力Fvと、440nm〜500nmの波長範囲における出力Fcとの割合に着目して、Fv1、Fv2、Fc1、Fc2の個々の値や大小関係や割合を規定するものではなく、そのような引用発明2において、本件発明1の「Fv1は少なくとも0.05であり、Fv1はFv2より高く、Fc2は少なくとも0.1であり、Fc1は、Fc2よりも少なくとも0.02だけ低く、Fc1/Fv1は0.5よりも低い」という具体的な相関関係まで想起することは、当業者であっても容易になし得たとはいえない。
また、上記「2−1−1」のとおり、甲第1、3号証にも相違点2を容易想到とする事項の開示はない。
したがって、本件発明1は、引用発明2ないし甲第1、3号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 小括
以上のとおりであるから、本件発明1は、引用発明2ではなく、また、引用発明2ないし甲第1、3号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

(2)本件発明2〜11、14について
本件発明2〜11、14は、本件発明1の事項を全て含み、さらに請求項2〜11、14において特定した事項によりさらに限定をするものであるから、上記(1)と同様の理由により、引用発明2ではなく、また、引用発明2ないし甲第1、3号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2−1−4 甲第3号証を主たる証拠とした場合の本件発明1〜11、14について
(1)本件発明1について
申立人は、甲第3号証により、本件発明1は新規性進歩性を有さない旨主張するので以下検討する。
ア 対比
(ア)引用発明3の「白色光A」、「白色光B」は、本件発明1の「第1の光」、「第2の光」に相当する。また、引用発明3の「発光ダイオード」は、本件発明1の「LED」に相当する。
そして、引用発明3の「白色光Aを発する分割領域部12A、すなわち、発光ダイオードを含む第1の白色光源」は、「白色光A」によって特徴付けられることは自明であるので、本件発明1の「第1の発光によって特徴付けられた少なくとも1つの第1のLED発光源」に相当し、引用発明3の「白色光Bを発する分割領域部12B、すなわち、発光ダイオードを含む第2の白色光源」も同様に、本件発明1の「第2の発光によって特徴付けられた少なくとも1つの第2のLED発光源」に相当する。
また、引用発明3の「パッケージ1(白色光ランプ)」は、本件発明1の「光源」に相当する。

(イ)引用発明3の「パッケージ1(白色光ランプ)」は、少なくとも「Scan1」と「Scan11」の2種類の発光を行っているものである。そして、引用発明3の「Scan1」の発光及び「Scan11」の発光と、本件発明1の「第1の複合発光」及び「第2の複合発光」とは、「第1の光」及び「第2の光」で共通する。
そうすると、引用発明3の「白色光Aと白色光Bの合成白色光は、分割領域部12Aと分割領域部12Bとのパルス幅比(印加時間(通電時間)の比)が、1:0(Scan1),9:1(Scan2),8:2(Scan3),7:3(Scan4),6:4(Scan5),5:5(Scan6),4:6(Scan7),3:7(Scan8),2:8(Scan9),1:9(Scan10),0:1(Scan11)であるとき、図21の発光スペクトルの変化を示し、
Scan1の発光スペクトルは、400nm〜440nmの波長範囲、及び440nm〜500nmの波長範囲それぞれにおいて、所定の発光スペクトルの出力分布割合を備え、
Scan11の発光スペクトルは、400nm〜440nmの波長範囲、及び440nm〜500nmの波長範囲それぞれにおいて、所定の発光スペクトルの出力分布割合を備えた、パッケージ1(白色光ランプ)」と、本件発明1の「前記第1の発光および前記第2の発光は、第1の複合発光および第2の複合発光を提供するように構成され」る「光源」とは、「前記第1の発光および前記第2の発光は、第1の光および第2の光を提供するように構成され」る「光源」である点で共通する。
さらに、引用発明3の「白色光A」及び「白色光B」が、それぞれ、所定のスペクトル出力分布を有することは自明のことである。
そして、引用発明3の「白色光A」の、所定のスペクトル出力分布は、本件発明1の「第1のSPD」に相当(ただし、「第1の光」が「第1の複合発光」である点は除く)し、以下同様に「400nm〜440nmの波長範囲」においての「発光スペクトルの出力分布割合」は、「Fv1」に、「440nm〜500nmの波長範囲」においての「発光スペクトルの出力分布割合」は、「Fc1」に相当する。
また、引用発明3の「白色光B」の、所定のスペクトル出力分布は、本件発明1の「第2のSPD」に相当(ただし、「第2の光」が「第2の複合発光」である点は除く)し、以下同様に「400nm〜440nmの波長範囲」においての「発光スペクトルの出力分布割合」は、「Fv2」に、「440nm〜500nmの波長範囲」においての「発光スペクトルの出力分布割合」は、「Fc2」に相当する。
そうすると、引用発明3の
「白色光Aと白色光Bの合成白色光は、分割領域部12Aと分割領域部12Bとのパルス幅比(印加時間(通電時間)の比)が、1:0(Scan1),9:1(Scan2),8:2(Scan3),7:3(Scan4),6:4(Scan5),5:5(Scan6),4:6(Scan7),3:7(Scan8),2:8(Scan9),1:9(Scan10),0:1(Scan11)であるとき、図21の発光スペクトルの変化を示し、
分割領域部12Aの発光スペクトルは、所定の発光スペクトル出力分布を有し、400nm〜440nmの波長範囲、及び440nm〜500nmの波長範囲それぞれにおいて、所定の発光スペクトルの出力分布割合を有し、
分割領域部12Bの発光スペクトルは、所定の発光スペクトル出力分布を有し、400nm〜440nmの波長範囲、及び440nm〜500nmの波長範囲それぞれにおいて、所定の発光スペクトルの出力分布割合を有し」た構成と、本件発明1の
「前記第1の複合発光は、第1のSPDと割合Fv1およびFc1とにより特徴付けられ、
前記第2の複合発光は、第2のSPDと割合Fv2およびFc2とにより特徴付けられ、
Fv1は、400nm〜440nmの波長範囲における前記第1のSPDの出力の割合を示し、
Fc1は、440nm〜500nmの波長範囲における前記第1のSPDの出力の割合を示し、
Fv2は、400nm〜440nmの波長範囲における前記第2のSPDの出力の割合を示し、
Fc2は、440nm〜500nmの波長範囲における前記第2のSPDの出力の割合を示し」た構成とは、
「前記第1の光は、第1のSPDと割合Fv1およびFc1とにより特徴付けられ、
前記第2の光は、第2のSPDと割合Fv2およびFc2とにより特徴付けられ、
Fv1は、400nm〜440nmの波長範囲における前記第1のSPDの出力の割合を示し、
Fc1は、440nm〜500nmの波長範囲における前記第1のSPDの出力の割合を示し、
Fv2は、400nm〜440nmの波長範囲における前記第2のSPDの出力の割合を示し、
Fc2は、440nm〜500nmの波長範囲における前記第2のSPDの出力の割合を示し」た点で共通する。

(ウ)引用発明3のパッケージ1(白色光ランプ)は、「低色温度領域(3000K)と高色温度領域(6500K)」を備え、「平均演色評価数(Color Rend Index: Ra)は、Scan1において92.4、Scan11において93.4である」から、「白色光A」、及び「白色光B」は、本件発明1の「前記第1のSPDおよび前記第2のSPDは、80を超える演色評価数を有し」ていることに相当する。

(エ)発光ダイオードを含む光源をドライバ回路で駆動することは、技術常識であるから、引用発明3もドライバ回路を実質的に有していることは自明のことである。
そうすると、上記(イ)の第1、2の複合発光の相当関係も踏まえると、引用発明3の「白色光Aを発する分割領域部12A、すなわち、発光ダイオードを含む第1の白色光源と、白色光Bを発する分割領域部12B、すなわち、発光ダイオードを含む第2の白色光源を有するパッケージ1(白色光ランプ)であって、
第1の白色光源から発せられる白色光とスペクトルの異なる白色光を発する第2の白色光源とを備え、第1及び第2の白色光源からの白色光が合成された合成白色光を発するものであり、
第1及び第2の白色光源に対する駆動電力が供給される時間(駆動電圧の印加時間,駆動電流の通電時間,或いは白色光源の発光時間)が所定比となるように制御されることで、合成白色光の色温度を変更可能とするものであ」ることと、本件発明1の「前記第1のLED発光源と前記第2のLED発光源との発光比を制御し、第1の発光と第2の発光を複合し、少なくとも、前記複合の第1の状態である第1の複合発光と前記複合の第2の状態である第2の複合発光を、提供するドライバ回路」とは、「前記第1のLED発光源と前記第2のLED発光源から、第1の光と第2の光を、提供するドライバ回路」である点で共通するといえる。

(オ)したがって、本件発明1と引用発明3との一致点、相違点は次のとおりと認める。
〔一致点3〕
「第1の発光によって特徴付けられた少なくとも1つの第1のLED発光源と、
第2の発光によって特徴付けられた少なくとも1つの第2のLED発光源と、
を含み、
前記第1のLED発光源と前記第2のLED発光源から、第1の光と第2の光を、提供するドライバ回路と、
前記第1の発光および前記第2の発光は、第1の光および第2の光を提供するように構成され、
前記第1の光は、第1のSPDと割合Fv1およびFc1とにより特徴付けられ、
前記第2の光は、第2のSPDと割合Fv2およびFc2とにより特徴付けられ、
Fv1は、400nm〜440nmの波長範囲における前記第1のSPDの出力の割合を示し、
Fc1は、440nm〜500nmの波長範囲における前記第1のSPDの出力の割合を示し、
Fv2は、400nm〜440nmの波長範囲における前記第2のSPDの出力の割合を示し、
Fc2は、440nm〜500nmの波長範囲における前記第2のSPDの出力の割合を示し、
前記第1のSPDおよび前記第2のSPDは、80を超える演色評価数を有した光源。」

〔相違点3〕
第1の光、第2の光、ドライバ回路について、本件発明1は、「第1の複合発光」、「第2の複合発光」であり、ドライバ回路は、第1のLED発光源と第2のLED発光源「との発光比を制御し、第1の発光と第2の発光を複合し、少なくとも、前記複合の第1の状態である第1の複合発光と前記複合の第2の状態である第2の複合発光」を提供するものであるのに対し、引用発明3は、第1の光及び第2の光やドライバ回路において、複合発光の特定がなく、第1の光及び第2の光の発光スペクトルは、Fv1、Fv2、Fc1、Fc2の個々の値や大小関係や割合の特定もない点。

イ 判断
上記相違点3について検討する。
(ア)新規性について
上記相違点3は、実質的な相違点であるので、本件発明1は引用発明3であるとはいえない。

(イ)進歩性について
a 引用発明3の「白色光Aと白色光Bの合成白色光は、分割領域部12Aと分割領域部12Bとのパルス幅比(印加時間(通電時間)の比)が、1:0(Scan1),9:1(Scan2),8:2(Scan3),7:3(Scan4),6:4(Scan5),5:5(Scan6),4:6(Scan7),3:7(Scan8),2:8(Scan9),1:9(Scan10),0:1(Scan11)であるとき、図21の発光スペクトルの変化を示し」ていることにおいて、少なくともScan2〜10は、分割領域部12Aの白色光Aと分割領域部12Bの白色光Bを複合させているので、複合発光といえるものである。
ここで、上記「1 1−4 1−4−1(3)ア」で述べたとおり、本件発明1における「複合発光」とは、両方の「LED発光源」を点灯させる場合に限らず、いずれか一方の「LED発光源」を点灯させる場合も含んでいるものと認められる。
そうすると、引用発明3の「Scan1」、「Scan11」においても複合発光を行っているといえるものである。

b しかしながら、上記aのとおりであっても、引用発明3は、400nm〜440nmの波長範囲における出力Fvと、440nm〜500nmの波長範囲における出力Fcとの割合に着目して、Fv1、Fv2、Fc1、Fc2の個々の値や大小関係や割合を規定するものではなく、そのような引用発明1において、本件発明1の「Fv1は少なくとも0.05であり、Fv1はFv2より高く、Fc2は少なくとも0.1であり、Fc1は、Fc2よりも少なくとも0.02だけ低く、Fc1/Fv1は0.5よりも低い」という具体的な相関関係まで想起することは、当業者であっても容易になし得たとはいえない。
また、上記「2−1−1」のとおり、甲第1、2号証にも相違点2を容易想到とする事項の開示はない。
したがって、本件発明1は、引用発明3ないし甲第1、2号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 小括
以上のとおりであるから、本件発明1は、引用発明3ではなく、また、引用発明3ないし甲第1、2号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

(2)本件発明2〜11、14について
本件発明2〜11、14は、本件発明1の事項を全て含み、さらに請求項2〜11、14において特定した事項によりさらに限定をするものであるから、上記(1)と同様の理由により、引用発明3ではなく、また、引用発明3ないし甲第1、2号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2−1−5 甲第1号証を主たる証拠とした場合の本件発明24〜26について
(1)本件発明24について
申立人は、甲第1号証により、本件発明24は進歩性を有さない旨主張するので以下検討する。
ア 対比
(ア)引用発明1の「前記第1の発光部及び前記第2の発光部は発光ダイオードチップ及び蛍光物質を含み」ということと、本件発明24の「LEDデバイス」とは「LED」を含むことで共通するといえる。

(イ)引用発明1の「例えば、第1の発光部のみを駆動することで、日中は相対的に高い8800Kの色温度を有する白色光を表現し、第2の発光部のみを駆動することで、夜間には相対的に低い2600Kの色温度を有する白色光を表現する」ということと、本件発明24の「前記LEDデバイスは、前記一次放出を第1の出力レベルから第2の出力レベルへと調光するように構成された出力信号によって制御されるように構成され」るということとは、「調光するように構成された」ことにおいて共通するといえる。

(ウ)引用発明1の「発光素子」も照明に用いられることは明らかであるので、本件発明24の「照明システム」とは、「照明手段」である点で共通するといえる。

(エ)そうすると、本件発明24と引用発明1との一致点、相違点は次のとおりと認める。
〔一致点1’〕
「LED含み、調光するように構成された照明手段。」

〔相違点1’−1〕
照明手段について、本件発明24が「照明システム」であるのに対し、引用発明1は、「発光素子」である点。

〔相違点1’−2〕
LED、調光について、本件発明24が、
「一次SPDによって特徴付けられた一次放出を放射するように構成されたLEDデバイスと、
前記一次放出へ光学的に結合された少なくとも1つの蛍光体であって、青色−シアン波長領域内における可飽和吸収によって特徴付けられる少なくとも1つの蛍光体と、を含む照明システムであって、
前記LEDデバイスは、前記一次放出を第1の出力レベルから第2の出力レベルへと調光するように構成された出力信号によって制御されるように構成され、
前記照明システムは、第1の出力レベルにおいて、440nm〜500nmの波長範囲におけるスペクトル出力の第1の割合fc1と第1のCCTとによって特徴付けられる第1のSPDを放射し、
前記照明システムは、第2の出力レベルにおいて、440nm〜500nmの波長範囲におけるスペクトル出力の第2の割合fc2と第2のCCTとによって特徴付けられる第2のSPDを放射し、
前記第2の出力レベルは前記第1の出力レベルよりも低く、前記第2の割合fc2は、前記第1の割合fc1の80%よりも低く、
前記少なくとも1つの蛍光体は前記第1の出力レベルにおいて飽和しており、且つ第2の出力レベルにおいて飽和していない」という事項を有するのに対し、引用発明1は、当該事項を有していない点。

イ 判断
事案に鑑み、上記相違点1’−2について検討する。
引用発明1は、LED、調光について、「6000K以上の高い色温度の昼光色を発する第1の発光部と、3000K以下の色温度の温白色を発する第2の発光部と、を備え、前記第1の発光部及び前記第2の発光部は独立して駆動されるものであり、前記第1の発光部及び前記第2の発光部は発光ダイオードチップ及び蛍光物質を含」み、「例えば、第1の発光部のみを駆動することで、日中は相対的に高い8800Kの色温度を有する白色光を表現し、第2の発光部のみを駆動することで、夜間には相対的に低い2600Kの色温度を有する白色光を表現する」というものであって、本件発明24の、
「前記LEDデバイスは、前記一次放出を第1の出力レベルから第2の出力レベルへと調光するように構成された出力信号によって制御されるように構成され、
前記照明システムは、第1の出力レベルにおいて、440nm〜500nmの波長範囲におけるスペクトル出力の第1の割合fc1と第1のCCTとによって特徴付けられる第1のSPDを放射し、
前記照明システムは、第2の出力レベルにおいて、440nm〜500nmの波長範囲におけるスペクトル出力の第2の割合fc2と第2のCCTとによって特徴付けられる第2のSPDを放射し、
前記第2の出力レベルは前記第1の出力レベルよりも低く、前記第2の割合fc2は、前記第1の割合fc1の80%よりも低く、前記少なくとも1つの蛍光体は前記第1の出力レベルにおいて飽和しており、且つ第2の出力レベルにおいて飽和していない」ことにより調光を行うものとは、根本的な手段が異なるものである。
また、上記「2−1−1」のとおり、甲第2、3号証にも上記相違点1’−2を容易想到とする事項の開示はない。
したがって、引用発明1において、上記相違点1’−2に係る本件発明24の事項を有するものとすることは、当業者であっても容易になし得たとはいえない。

ウ 小括
以上のとおりであるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明24は、引用発明1ないし甲第2、3号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)本件発明25、26について
本件発明25、26は、本件発明24の事項を全て含み、さらに請求項25、26において特定した事項によりさらに限定をするものであるから、上記(1)と同様の理由により、引用発明1ないし甲第2、3号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2−1−6 甲第2号証を主たる証拠とした場合の本件発明24〜26について
(1)本件発明24について
申立人は、甲第2号証により、本件発明24は進歩性を有さない旨主張するので以下検討する。
ア 対比
(ア)引用発明2の「LED光源」と、本件発明24の「LEDデバイス」とは「LED」を含むことで共通するといえる。

(イ)引用発明2の「低色温度領域(3000K)と高色温度領域(6500K)の発光出力を変化させて、照明モジュールとして3000Kから6500Kの範囲の色温度になるように調整する」ということと、本件発明24の「前記LEDデバイスは、前記一次放出を第1の出力レベルから第2の出力レベルへと調光するように構成された出力信号によって制御されるように構成され」るということとは、「調光するように構成された」ことにおいて共通するといえる。

(ウ)引用発明2の「照明モジュール」も照明に用いられることは明らかであるので、本件発明24の「照明システム」とは、「照明手段」である点で共通するといえる。

(エ)そうすると、本件発明24と引用発明1との一致点、相違点は次のとおりと認める。
〔一致点2’〕
「LED含み、調光するように構成された照明手段。」

〔相違点2’−1〕
照明手段について、本件発明24が、「照明システム」であるのに対し、引用発明2は、「照明モジュール」である点。

〔相違点2’−2〕
LED、調光について、本件発明24が、
「一次SPDによって特徴付けられた一次放出を放射するように構成されたLEDデバイスと、
前記一次放出へ光学的に結合された少なくとも1つの蛍光体であって、青色−シアン波長領域内における可飽和吸収によって特徴付けられる少なくとも1つの蛍光体と、を含む照明システムであって、
前記LEDデバイスは、前記一次放出を第1の出力レベルから第2の出力レベルへと調光するように構成された出力信号によって制御されるように構成され、
前記照明システムは、第1の出力レベルにおいて、440nm〜500nmの波長範囲におけるスペクトル出力の第1の割合fc1と第1のCCTとによって特徴付けられる第1のSPDを放射し、
前記照明システムは、第2の出力レベルにおいて、440nm〜500nmの波長範囲におけるスペクトル出力の第2の割合fc2と第2のCCTとによって特徴付けられる第2のSPDを放射し、
前記第2の出力レベルは前記第1の出力レベルよりも低く、前記第2の割合fc2は、前記第1の割合fc1の80%よりも低く、
前記少なくとも1つの蛍光体は前記第1の出力レベルにおいて飽和しており、且つ第2の出力レベルにおいて飽和していない」という事項を有するのに対し、引用発明2は、当該事項を有していない点。

イ 判断
事案に鑑み、上記相違点2’−2について検討する。
引用発明2は、LED、調光について、「LED光源を用い」、「複数種の半導体発光装置が集積配置された発光部からのそれぞれの出力光が混合して外部に出射され、低色温度領域(3000K)と高色温度領域(6500K)の発光出力を変化させて、照明モジュールとして3000Kから6500Kの範囲の色温度になるように調整する」るというものであって、本件発明24が、
「前記LEDデバイスは、前記一次放出を第1の出力レベルから第2の出力レベルへと調光するように構成された出力信号によって制御されるように構成され、
前記照明システムは、第1の出力レベルにおいて、440nm〜500nmの波長範囲におけるスペクトル出力の第1の割合fc1と第1のCCTとによって特徴付けられる第1のSPDを放射し、
前記照明システムは、第2の出力レベルにおいて、440nm〜500nmの波長範囲におけるスペクトル出力の第2の割合fc2と第2のCCTとによって特徴付けられる第2のSPDを放射し、
前記第2の出力レベルは前記第1の出力レベルよりも低く、前記第2の割合fc2は、前記第1の割合fc1の80%よりも低く、前記少なくとも1つの蛍光体は前記第1の出力レベルにおいて飽和しており、且つ第2の出力レベルにおいて飽和していない」ことにより調光を行うものとは、根本的な手段が異なるものである。
また、上記「2−1−1」のとおり、甲第1、3号証にも上記相違点1’−2を容易想到とする事項の開示はない。
したがって、引用発明2において、上記相違点2’−2に係る本件発明24の事項を有するものとすることは、当業者であっても容易になし得たとはいえない。

ウ 小括
以上のとおりであるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明24は、引用発明2ないし甲第1、3号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)本件発明25、26について
本件発明25、26は、本件発明24の事項を全て含み、さらに請求項25、26において特定した事項によりさらに限定をするものであるから、上記(1)と同様の理由により、引用発明2ないし甲第1、3号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2−1−7 甲第3号証を主たる証拠とした場合の本件発明24〜26について
(1)本件発明24について
申立人は、甲第3号証により、本件発明24は進歩性を有さない旨主張するので以下検討する。
ア 対比
(ア)引用発明3の「発光ダイオードを含む」と、本件発明24の「LEDデバイス」とは「LEDを含む」ことで共通するといえる。

(イ)引用発明3の「第1及び第2の白色光源に対する駆動電力が供給される時間(駆動電圧の印加時間,駆動電流の通電時間,或いは白色光源の発光時間)が所定比となるように制御されることで、合成白色光の色温度を変更可能とする」ことと、本件発明24の「前記LEDデバイスは、前記一次放出を第1の出力レベルから第2の出力レベルへと調光するように構成された出力信号によって制御されるように構成され」るということとは、「調光するように構成された」ことにおいて共通するといえる。

(ウ)引用発明3の「パッケージ1(白色光ランプ)」も照明に用いられることは明らかであるので、本件発明24の「照明システム」とは、「照明手段」である点で共通するといえる。

(エ)そうすると、本件発明24と引用発明3との一致点、相違点は次のとおりと認める。
〔一致点3’〕
「LED含み、調光するように構成された照明手段。」

〔相違点3’−1〕
照明手段について、本件発明24が、「照明システム」であるのに対し、引用発明1は、「パッケージ1(白色光ランプ)」である点。

〔相違点3’−2〕
LED、調光について、本件発明24が、
「一次SPDによって特徴付けられた一次放出を放射するように構成されたLEDデバイスと、
前記一次放出へ光学的に結合された少なくとも1つの蛍光体であって、青色−シアン波長領域内における可飽和吸収によって特徴付けられる少なくとも1つの蛍光体と、を含む照明システムであって、
前記LEDデバイスは、前記一次放出を第1の出力レベルから第2の出力レベルへと調光するように構成された出力信号によって制御されるように構成され、
前記照明システムは、第1の出力レベルにおいて、440nm〜500nmの波長範囲におけるスペクトル出力の第1の割合fc1と第1のCCTとによって特徴付けられる第1のSPDを放射し、
前記照明システムは、第2の出力レベルにおいて、440nm〜500nmの波長範囲におけるスペクトル出力の第2の割合fc2と第2のCCTとによって特徴付けられる第2のSPDを放射し、
前記第2の出力レベルは前記第1の出力レベルよりも低く、前記第2の割合fc2は、前記第1の割合fc1の80%よりも低く、
前記少なくとも1つの蛍光体は前記第1の出力レベルにおいて飽和しており、且つ第2の出力レベルにおいて飽和していない」という事項を有するのに対し、引用発明3は、当該事項を有していない点。

イ 判断
事案に鑑み、上記相違点3’−2について検討する。
引用発明3は、LED、調光について、「白色光Aを発する分割領域部12A、すなわち、発光ダイオードを含む第1の白色光源と、白色光Bを発する分割領域部12B、すなわち、発光ダイオードを含む第2の白色光源を有」し、「第1及び第2の白色光源に対する駆動電力が供給される時間(駆動電圧の印加時間,駆動電流の通電時間,或いは白色光源の発光時間)が所定比となるように制御されることで、合成白色光の色温度を変更可能とする」るというものであって、本件発明24が、
「前記LEDデバイスは、前記一次放出を第1の出力レベルから第2の出力レベルへと調光するように構成された出力信号によって制御されるように構成され、
前記照明システムは、第1の出力レベルにおいて、440nm〜500nmの波長範囲におけるスペクトル出力の第1の割合fc1と第1のCCTとによって特徴付けられる第1のSPDを放射し、
前記照明システムは、第2の出力レベルにおいて、440nm〜500nmの波長範囲におけるスペクトル出力の第2の割合fc2と第2のCCTとによって特徴付けられる第2のSPDを放射し、
前記第2の出力レベルは前記第1の出力レベルよりも低く、前記第2の割合fc2は、前記第1の割合fc1の80%よりも低く、前記少なくとも1つの蛍光体は前記第1の出力レベルにおいて飽和しており、且つ第2の出力レベルにおいて飽和していない」ことにより調光を行うものとは、根本的な手段が異なるものである。
また、上記「2−1−1」のとおり、甲第1、2号証にも上記相違点1’−2を容易想到とする事項の開示はない。
したがって、引用発明3において、上記相違点3’−2に係る本件発明24の事項を有するものとすることは、当業者であっても容易になし得たとはいえない。

ウ 小括
以上のとおりであるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明24は、引用発明3ないし甲第1、2号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)本件発明25、26について
本件発明25、26は、本件発明24の事項を全て含み、さらに請求項25、26において特定した事項によりさらに限定をするものであるから、上記(1)と同様の理由により、引用発明3ないし甲第1、2号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2−2 特許法第36条第6項第2号明確性)について
申立人は、請求項7の「類似」という記載が不明確である旨主張するが、本件特許明細書の段落【0002】の「ヒトの眼中における、概日システムに関連する非視覚的光受容器(いわゆる天然の感光性網膜神経節細胞または「ipRGC」)の同定は、ヒトの健康および快適性に対する多様な光スペクトルによる影響についての高い関心を引き起こしている。大きな概日刺激は、睡眠パターンの修復、気分高揚、敏捷性や認知能力の向上、および季節的情動鬱病の軽減など、良い効果をもたらす可能性がある」という概日刺激がヒトに与える影響の記載や、段落【0081】の「さらに、この発光スペクトルは、D65基準光源(日光)によって達成されるものと同様の、(上記で定義したような)高い相対的な概日刺激を持ち得る。」という記載からその意味が理解でき、発明の範囲が不明確とまではいえない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1〜11、14、24〜26に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1〜11、14、24〜26に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、請求項12、13、15〜23に係る特許は、本件訂正により削除されたので、申立人による特許異議の申立てについて、請求項12、13、15〜23に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】概日のフレンドリーなLED光源
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明製品の分野に関し、より詳細には、概日のフレンドリーなLED光源を提供する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの眼中における、概日システムに関連する非視覚的光受容器(いわゆる天然の感光性網膜神経節細胞または「ipRGC」)の同定は、ヒトの健康および快適性に対する多様な光スペクトルによる影響についての高い関心を引き起こしている。大きな概日刺激は、睡眠パターンの修復、気分高揚、敏捷性や認知能力の向上、および季節的情動鬱病の軽減など、良い効果をもたらす可能性がある。しかし、誤ったタイミングでの概日刺激は、体内時計およびメラトニン抑制の混乱につながる場合があり、また、癌、心臓病、肥満および糖尿病などの疾病につながる可能性もある。
【0003】
概日刺激は、グルココルチコイド上昇およびメラトニン抑制に関連し、青色波長レジーム中の光に対する感度が最も高い。青色主要蛍光体変換白色発光LEDに基づいた発光ダイオード(LED)照明製品の優勢により、ほとんどのLEDベースの照明源は、それらが置き換えることを意図している伝統的な源よりも高いレベルの概日刺激を有する状況が生じてきている。
【0004】
また、照明製品も、(単なる減光以外)めったに調整できず、また、従来の照明製品は、日周または概日周期に関して、ヒトに対する影響に対処できない。さらに悪いことに、表面上は調整可能である従来の照明製品は、調整可能範囲全体にわたって十分な演色を提供できていない。
【0005】
必要とされているのは、例えば、相関色温度(CCT)および演色評価数(CRI)などの所望の光品質面を提供しつつ、発光(例えば、LED発光)を制御して多様なレベルの概日刺激を提供することが可能な照明製品を構築する技術(単数または複数)である。さらに必要とされているのは、発光の第1の比および第2の比が、80を上回るCRIを維持しかつCCTを規定の範囲内に維持しながら、第1の比から第2の比へ変化することが相対的な概日刺激を変化させる照明システムである。
【0006】
上記の従来の技術は、概日のフレンドリーなLED光源を効率的に実行する能力を持っていない。そのため、改良されたアプローチが必要である。
【発明の概要】
【0007】
ヒト概日システムの刺激について、自然界で起こること(1日にわたる日光の作用)と同様の方法、すなわち、朝および日中においては高い青色含有量に起因する明るい照明レベルとし、夜間においてはより低い光レベルであって大幅に低い青色含有量とする方法で概日の光周期を刺激することにより、肯定的な利点を実現することができ、有害なものを回避することができる。
【0008】
本明細書中に開示される実施形態は、異なるLED発光スペクトルの多様な組み合わせの作製および使用方法と、合理的な演色(CRI>80およびR9>0)および白色ポイントを維持しつつ、高概日刺激光から低概日刺激光までの範囲内において周期に合わせて調整することが可能な白色光源の作製方法とについて記述する。
【0009】
第1の態様において、第1の発光によって特徴付けられた少なくとも1つの第1のLED発光源と、第2の発光によって特徴付けられた少なくとも1つの第2のLED発光源とを含む光源が提供され、第1の発光および第2の発光は、第1の複合発光および第2の複合発光を提供するように構成され、第1の複合発光は、第1のSPDおよび割合Fv1およびFc1によって特徴付けられ、第2の複合発光は、第2のSPDおよび割合Fv2およびFc2によって特徴付けられ、Fv1は、400nm〜440nmの波長範囲における第1のSPDの出力の割合を示し、Fc1は、440nm〜500nmの波長範囲における第1のSPDの出力の割合を示し、Fv2は、400nm〜440nmの波長範囲における第2のSPDの出力の割合を示し、Fc2は、440nm〜500nmの波長範囲における第2のSPDの出力の割合を示し、第1のSPDおよび第2のSPDは80を超える演色評価数を有し、Fv1は少なくとも0.05であり、Fc2は少なくとも0.1であり、Fc1はFc2よりも少なくとも0.02だけ少ない。
【0010】
第2の態様において、第1の発光によって特徴付けられる第1のLED発光源と、範囲400nm〜435nmにおける出力の第1の割合Fv1によって特徴付けられる第1のSPDを放射するように構成されたディスプレイとを含む表示システムが提供され、表示システムは、NTSCの少なくとも70%の色域によって特徴付けられ、第1のSPDは、3000K〜9000Kの範囲のCCTを有する実質的に白色であり、Fv1は少なくとも0.05である。
【0011】
第3の態様において、一次放出を放射するように構成されたLEDデバイスと、一次放出へ光学的に結合された1つ以上の波長変換材料とを含む光源が提供され、一次放出の一部が波長変換材料によって吸収されて、二次放出が生成され、一次放出および二次放出の組み合わせにより、CCTおよび演色評価数を有するSPDによって特徴付けられる白色光が生成され、SPD出力のうち少なくとも5%は、400nm〜435nmの波長範囲内にあり、SPDの概日刺激は、同じ色温度を有する基準光源の概日刺激の80%未満であり、白色光は、80を超える演色評価数によって特徴付けられる。
【0012】
第4の態様において、一次SPDによって特徴付けられた一次放出を放射するように構成されたLEDデバイスと、一次放出へ光学的に結合された少なくとも1つの蛍光体とを含む照明システムが提供され、少なくとも1つの蛍光体は、青色シアン波長領域内における可飽和吸収により特徴付けられ、LEDデバイスは、一次放出を減光するように構成された出力信号によって制御されるように構成され、第1の出力レベルにおいて、システムは、440nm〜500nmの波長範囲におけるスペクトル出力の第1の割合fc1と第1のCCTとにより特徴付けられる第1のSPDを放射し、第2の出力レベルにおいて、システムは、440nm〜500nmの波長範囲におけるスペクトル出力の第2の割合fc2と第2のCCTとにより特徴付けられる第2のSPDを放射し、第2の出力レベルは、第1の出力レベル未満であり、第2の割合fc2は、第1の割合fc1の80%未満である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
当業者は、本明細書中に記載される図面は、あくまで例示目的のためのものであることを理解するであろう。図面は、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【0014】
【図1A】は、いくつかの実施形態による、概日のフレンドリーなLED光源を調整するために用いられるような概日刺激波長範囲を示す図である。
【0015】
【図1B】は、概日システムへの光源の影響が、相対的な基準に対してどのように上がるかを示す。
【0016】
【図1C】は、いくつかの実施形態による、ピークが465nmである概日刺激波長範囲の異なる半値全幅のために、一次LED(紫色−青色発光)と、緑色発光および赤色発光蛍光体との組み合わせから構成される3300K白色光源用の相対的な概日刺激を示す。
【0017】
【図1D】は、いくつかの実施形態による、600nmにおける発光へ正規化された、一次LED(紫色−青色発光)と、緑色発光および赤色発光蛍光体との組み合わせから構成される3300K白色光源のためのSPDを示す。
【0018】
【図1E】は、いくつかの実施形態による、2蛍光体ベースのLED白色光源のための3300Kにおける概日刺激を、一次LED発光ピーク波長の関数として示す。
【0019】
【図1F】は、いくつかの実施形態による、90分間の露出時における、眼の高さでの照度に対する予測されるメラトニン抑制を示す。
【0020】
【図2A】は、いくつかの実施形態による、概日のフレンドリーなLED光源の構成に用いられるような波長組み合わせのLEDスペクトル出力分布(SPD)を示す。
【0021】
【図2B】は、いくつかの実施形態による、概日のフレンドリーなLED光源の構成において用いられるような第1のLED発光に対応するSPDを示す。
【0022】
【図2C】は、いくつかの実施形態による、概日のフレンドリーなLED光源の構成において用いられるような第2のLED発光に対応するSPDを示す。
【0023】
【図3A】は、いくつかの実施形態による、3つの異なる色温度における概日のフレンドリーなLED光源によって示される演色性を示すチャートである。
【0024】
【図3B】は、いくつかの実施形態による、3つの異なる色温度における概日のフレンドリーなLED光源から生じる相対的な概日刺激を示すチャートである。
【0025】
【図4A】は、いくつかの実施形態による、測定可能な態様および/または環境変化に基づいて調整可能であるLED白色光源の実行に用いられる光ストリップの一例を示す。
【0026】
【図4B】は、30nmの半値全幅(FWHM)を備え、465nmにおいてピークに達する狭帯域の(ガウス)概日刺激範囲を示す。
【0027】
【図4C】図4C1および図4C2は、いくつかの実施形態による、、第1の紫色ポンプ2蛍光体LEDおよび第2の紫色ポンプ青色蛍光体LEDの発光をそれぞれ示す。
【0028】
【図4D】図4D1は、図4C1および図4C2の個別および複合LEDベースの発光スペクトルを示す。
【0029】
図4D2は、いくつかの実施形態による、概日刺激の色特性およびレベルにおける差を示す。
【0030】
【図4E】図4E1および図4E2は、いくつかの実施形態による、第1の紫色ポンプ2蛍光体LEDおよび第2の青色発光LEDの発光をそれぞれ示す。
【0031】
【図4F】図4F1は、図4D1および図4D2の個別および複合LEDベースの発光スペクトルを示す。
【0032】
図4F2は、いくつかの実施形態による、概日刺激の色特性およびレベルにおける差を示す。
【0033】
【図4G】は、概日刺激を特定の光源のための色温度の関数として示す。
【0034】
【図4H】は、いくつかの実施形態による、異なる2組のLEDを有し、LED発光波長の比を調節して概日のフレンドリーなLED光源を実行するためにクロックによって制御される光ストリップを示す。
【0035】
【図4I】は、いくつかの実施形態による、白色画面を用いた2つの表示システムのためのSPDを示す。
【0036】
【図4J】は、いくつかの実施形態による、予測されるメラトニン抑制を示す。
【0037】
【図4K】は、いくつかの実施形態による、白色画面によって発光されるスペクトルを示す。
【0038】
【図4L1】は、いくつかの実施形態による、典型的なLEDが点灯された液晶ディスプレイの状況を示す。
【図4L2】は、いくつかの実施形態による、典型的なLEDが点灯された液晶ディスプレイの状況を示す。
【0039】
【図4M】は、計算された相対的な概日刺激と、相対的な表示有効性とを示す。
【0040】
【図4N】は、いくつかの実施形態による、選択された一次ピーク発光波長と共により良好に機能するように蛍光体システムが調整される状況を示す。
【0041】
【図5A】は、いくつかの実施形態による、概日のフレンドリーなLED光源によって生成されるようなx−y色度空間中の線形色度曲線を示すチャートである。
【0042】
【図5B】は、いくつかの実施形態による、概日のフレンドリーなLED光源によって生成されるような白色光境界領域の形状を示すチャートである。
【0043】
【図5C1】実施形態による、個別に制御される2組のLEDの特性を示す。
【図5C2】実施形態による、個別に制御される2組のLEDの特性を示す。
【図5C3】実施形態による、個別に制御される2組のLEDの特性を示す。
【図5C4】実施形態による、個別に制御される2組のLEDの特性を示す。
【0044】
【図6A】実施形態による、概日のフレンドリーなLED光源を用いたLEDランプの分解図を示し、
【図6B】はその組立図を示す。
【0045】
【図7】は、いくつかの実施形態による、概日のフレンドリーなLED光源を用いたLEDランプにおいて用いられる多重トラックドライバ制御システムの模式図である。
【0046】
【図8】は、いくつかの実施形態による、混合された物理的配置において、LEDランプにおいて用いられるような2トラックの概日のフレンドリーな配置を形成するための2つのLEDストリングを示す。。
【0047】
【図9A】は、いくつかの実施形態による、多様な規格に対応するランプ形状の選択肢を示す。
【0048】
【図9B−9E】は、実施形態による、多様な形状に対応する反射板の選択肢を示す。
【図9F−9I】は、実施形態による、多様な形状に対応する反射板の選択肢を示す。
【0049】
【図10A】実施形態によるランプ用途の形態で本開示の実施形態を示す。
【図10B1】実施形態によるランプ用途の形態で本開示の実施形態を示す。
【図10B2】実施形態によるランプ用途の形態で本開示の実施形態を示す。
【図10C】実施形態によるランプ用途の形態で本開示の実施形態を示す。
【図10D1】実施形態によるランプ用途の形態で本開示の実施形態を示す。
【図10D2】実施形態によるランプ用途の形態で本開示の実施形態を示す。
【図10E】実施形態によるランプ用途の形態で本開示の実施形態を示す。
【図10F1】実施形態によるランプ用途の形態で本開示の実施形態を示す。
【図10F2】実施形態によるランプ用途の形態で本開示の実施形態を示す。
【図10G】実施形態によるランプ用途の形態で本開示の実施形態を示す。
【図10H1】実施形態によるランプ用途の形態で本開示の実施形態を示す。
【図10H2】実施形態によるランプ用途の形態で本開示の実施形態を示す。
【図10I】実施形態によるランプ用途の形態で本開示の実施形態を示す。
【0050】
【図11A】は、いくつかの実施形態による、LED白色光源の初期SPDと、青色光除去後のフィルタリングされたSPDとを示す。
【0051】
【図11B】は、いくつかの実施形態による、LED白色光源の初期SPDと、青色光を蛍光体によって吸収し黄色光へ変換した後の変換されたSPDとを示す。
【0052】
【図12】は、いくつかの実施形態による、3000KのCCTおよび約90のCRIを有するLED白色光源の発光スペクトルと、可飽和赤色蛍光体の発光および吸収スペクトルとを示す。
【0053】
【図13】は、いくつかの実施形態による、LED白色光源をこのような可飽和蛍光体と組み合わせるための可能な方法を示す。
【0054】
【図14A】は、いくつかの実施形態による、LED照明システムのスペクトルおよび比色分析特性をそれぞれ示す。
【図14B】は、いくつかの実施形態による、LED照明システムのスペクトルおよび比色分析特性をそれぞれ示す。
【0055】
【図15A1】照明用途を示す。
【図15A2】照明用途を示す。
【図15A3】照明用途を示す。
【図15B】照明用途を示す。
【図15C】照明用途を示す。
【図15D1】照明用途を示す。
【図15D2】照明用途を示す。
【図15E】照明用途を示す。
【図15F】照明用途を示す。
【図15G】照明用途を示す。
【図15H】照明用途を示す。
【図15I】照明用途を示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、特定の実施形態について詳細に言及する。開示の実施形態は、特許請求の範囲を制限することを意図していない。
【0057】
ヒトの眼中の非視覚的光受容器(いわゆる固有の感光性網膜神経節細胞)は、概日システムに接続されている。概日の励起帯のディテールが変化し続ける一方、励起帯は青色範囲内においておよそ465nmでピークに達することが一般的なコンセンサスである。
【0058】
図1Aは、2001年8月15日、21(16):6405−6412(Brainard)The Journal of NeuroscienceにおいてBrainardらにより提示されたように、概日のフレンドリーなLED光源の調整に用いられるように、概日刺激波長範囲(CSWR)102を明所視範囲104と比較して示す図1A00である。このような広範囲の有効作用スペクトルにより、白色光源ののための概日刺激を変更することは、相対的な短波長成分、すなわち、CCTを変更すること以外には、ほとんど不可能であるようにみえる。しかし、より最近の研究は、関連するCSWRは実際には、Brainardらが提示されたよりもはるかに幅狭であることを示唆している。例えば、RahmanらのEndocrinology、2008年8月7日、149(12):6125−6135には、青色光を450nm〜480nmの波長範囲のみにおいてフィルタリングすることにより、グルココルチコイド上昇およびメラトニン抑制を回避することができることが示されている。CSWRがより幅狭になれば、概日刺激の量を制御しつつ、所望の品質の光のための白色光源の設計において高い柔軟性があるべきであることを意味するので、これは重要である。さらに、Brainardらは、実験データのフィッティング時、それらの作用スペクトルに対し対称な形状を与えたことは特筆すべきである。しかし、Brainardらの図5中の実験点を注意深い分析は、短波長(例えば、420nm)における実験的応答が近似曲線によって得られるよりも有意に低いことを示している。換言すれば、特に短波長においてCSWRは周知ではなく、また、いくつかの作用スペクトル中に報告されているよりも幅狭であってもよいことの示唆的証拠がある。
【0059】
スペクトル出力分布SPDを用いた光源のためのipRGCsを介した概日刺激(CS)は、
波長λの関数として、以下のようにモデル化することができる。
【数1】

式中、c(λ)は概日刺激スペクトルである。(照明用途に関連する)等しい光束の2つの光源AおよびBについて、A対Bの相対的な概日刺激(CS)は、以下である:
【数2】

式中、LEは、スペクトル出力分布のルーメンに相当する。
【0060】
図1Bは、概日システムへの光源の影響が光強度に対してどのように上がるかを示す。概日システムへの光源の影響は、相対的なCSと共に、光強度(例えば、ルクスレベル)および露出時間と共に上がる。相対的なCSと、Brainardによって開示された単色光刺激からのデータとを組み合わせることができる。その後、図1Bは、多様な照度および多様な光源に対するメラトニン抑制を示す図1Bが得られる。
【0061】
図1Bは、90分間の露出後のメラトニン抑制を、ヒトの眼に到達する照度(ルクス)の関数として示す。曲線111は、460nmにおける単色光放射への応答を示し、Brainardから直接得られる。曲線112は、標準光源D65に対する応答を示す。曲線113は、標準光源Aによる照明への応答を示す。曲線112および113は、それらの相対的なCSに応じて曲線111をシフトさせることにより得られる。
【0062】
図1Bは、一般的な屋内の住宅照明の状況(光源CIE A下300ルクス、白熱灯の典型)に対し、メラトニン抑制が顕著であることを示し、90分間後に約50%である。そのため、この一般的な状況においても、概日システムは影響を受け得る。光源Aよりも相対的CSが高い光源に対して、その影響はさらに大きくなり得る。
【0063】
以下の図および本文は、多様なLED白色光源間における相対的CSを比較するのに役立つ。図1Cは、一次LED(紫色−青色発光へ変化する)と、緑色発光および赤色発光蛍光体との組み合わせから構成される3300K白色光源に対する相対的な概日刺激(CS)を示す。図1Cにおいて、x軸は、一次LEDの中心発光波長であり、y軸は、(CIE Aへ正規化された)相対的な概日刺激である。概日刺激は、概日刺激波長範囲のピークが465nmであると仮定し、ガウス線形状を有し、図において分類されるように(図1Aを参照)多様な半値全幅(10nm〜90nm)を有して計算される。白色光源を得るために用いられる蛍光体については、適切な蛍光体は、Eu2+ドープ材料であり得る。緑色エミッタの一例は、BaSrSiO:Eu2+である。赤色エミッタの一例は、CaAlSiN:Eu2+である。図1Cにおいて、緑色および赤色発光ピーク波長/FWHMはそれぞれ、530/100および630/100である。以下に述べるような他の蛍光体も可能である。蛍光体に加えて、例えば、「量子ドット」として知られる他のナノ粒子などの有機材料または半導体のような他の波長下方変換材料も利用可能である。他の実施形態において、緑色および/または赤色発光は、LEDによって提供され得る。図1Cに示すように、幅広CSWRs(例えば、幅90nmの123および幅70nmの124)の場合、一次LED波長感度はほとんど無いか、またはさらには波長が短すぎるという不利点がある。しかし、より幅狭のCWSR(例えば、10nmの121および30nmの122)の場合、一次LED波長を低減させる強い利点がある。例えば、30nmのFWHM CSWR122の場合、紫色(〜405nm〜425nm)の一次3300KLEDための相対的なCSは、CIE A光源(2856K)125の約半分である。そのため、光源122は、多数の白熱灯よりも概日刺激が低く、また、CIE AよりもCSが約20%高い445nm(青色)ベースの3300KLED123よりもずっと低刺激である。図1Cに示すものを含む多様なLED光源発光のためのSPDが図1Dに示され、600nmにおける発光へ正規化されている。これらのSPDは、例えば異なる紫色成分によって特徴付けられる。各SPDにおいて、CRIは80以上に維持され、R9はゼロを超える値(約10)である。
【0064】
例えば夜間照明においては、グルココルチコイド上昇およびメラトニン抑制を回避して人間の健康な睡眠を提供するするために、概日刺激が無いかまたは低い概日刺激光源が所望される。図1Cの30nmFWHM CSWRを参照して、図1Eは、2蛍光体ベースのLED白色光源のための3300KにおけるCSを、一次LED発光ピーク波長の関数として示す。455nm一次放出において、SPDに相当するルーメンは高くなる(約3201m/Wopt)が、CSも高くなる(CIE Aの約2倍)。一次LEDピーク波長が455nmを下回るため、CSが大幅に低下する。さらに、一次LEDピーク波長が420nmを下回るため、LEも低下する。そのため、LEがいまだ合理的に高い一定範囲の一次LEDピーク発光波長があるが、CSはCIE Aに対して低下する。詳細には、405nm〜435nmの波長範囲により、低下されたCSおよび合理的なLEが提供される。このCCTを備えた多様な標準LED源が約300のLEを有し、したがって、LEが約200または約250である実施形態は標準的な源よりもずっと低いCSを提供するので、これら実施形態が受容可能であるとみなすことができる。
【0065】
図1Fは、このような光源の利点をさらに示す。図1Fは、90分間の露出における、眼の高さでの照度に対する予測されるメラトニン抑制を示す。曲線1は、415nmの一次ピーク発光を有するLED源に対応し、曲線2は、455nmの一次ピーク発光を有するLED源に対応する。相対的に低下したCSに起因して、415nmの一次LEDはより低いメラトニン抑制を引き起こす。光レベルを約100ルクスまで落とした場合、抑制は極めて小さくなる(信号上限の上方10%未満)一方、455nmの一次LED下におけるの同一照度において、メラトニン抑制は顕著である(90分間で約40%)。このように、概日刺激の変更は、実際の環境において関連する影響を有している。
【0066】
原理的には、光源の概日刺激を低減するために別のアプローチを使用することができる。すなわち、光源のCCTの調整−実際には、より高温のCCTが、通常、より低い相対的なCSにつながる。多様なLEDベースの製品は、この能力を提供する。しかし、これらの製品は、青色一次LED(ピーク発光波長範囲が約445nm〜460nm)を用いる。したがって、低CCTにおいてでさえ、相対的なCSはかなり高いままである(例えば、例えば図1Cに示すような3000KLED源のための光源CIE Aの約2倍)。
【0067】
そのため、一次LEDの発光波長および一次LEDの全体的発光スペクトルの注意深い選択がすることがCSを大幅に調整するのに重要である。
【0068】
多様な概日のフレンドリーなLED白色光源の実施形態は、おおよそ毎日の概日周期において概日周期をシミュレートするために、各発光スペクトルを調整することが可能なように、構成され得る。
【0069】
図2Aは、概日のフレンドリーなLED白色光源の構成に用いられるような多様な波長組み合わせ2A00のスペクトル出力分布(SPD)を示す。
【0070】
図2Aに示すように、朝の概日刺激のために刺激性の青色ピークが放射される(曲線202を参照)。別の曲線は、夜間のための低概日刺激(曲線206を参照)を示し、第3の曲線(204)は、中間選択肢を示す。
【0071】
特定の実施形態において、概日のフレンドリーなLED白色光源(例えば、図4Aの照明器具および図6Aおよび図6Bのランプを参照)は、2500Kの相関色温度(CCT)(図2B中のLED発光208のスペクトルを参照)における実質的に低概日刺激のスペクトルであるスペクトル208を放射するための、例えば、紫色(またはUV)一次LEDと、緑色、赤色および(任意選択の)青色蛍光体との組み合わせなどの第1のLED(図2Bを参照)を含む。このようなLEDおよび蛍光体の組み合わせは、合理的な白色ポイントを示し得、合理的な演色性を示し得る。例えば、一次LEDおよび蛍光体の発光スペクトルなどの詳細に応じて、青色蛍光体を第1のLEDと組み合わせる必要が無い場合がある。
【0072】
概日のフレンドリーなLED光源の実行のために、第2のLED(図2Cを参照)を付加することができる。発光210(図2C)は、例えば青色蛍光体のみをポンプするための紫色(またはUV)LEDを含む第2のLEDを用いて生成することができる。青色蛍光体は、一次(紫色またはUV)LEDからの光子の吸収特性に基づいて選択することができる。すなわち、青色蛍光体は、中程度の蛍光体ローディングにおいて励起が発生し得、その結果得られるシステムパッケージ効率が十分となるように、選択することができる。また、青色蛍光体は、その組み合わせの発光特性に基づいて、発光特性を第1のLED発光と組み合わせることにより、制御された様態で色度をシフトまたは調整する(例えば、白色光の出現を維持するために、CCTをプランク曲線に沿って増加させるのと類似する方向において)ように選択することができる。加えて、青色蛍光体ピーク発光波長およびFWHMは、第2のLEDの全体的スペクトルへの貢献(第1のおよび第2のLED複合)が増加した場合(図2A)でも、指定された演色性を維持するように選択することができる。場合によっては、所望の演色性を、50を超えるCRI、80を超えるCRI、または特定の実施形態において90を超えるCRIとして表すことができる。例えば、R9、別の色忠実度測定および/または色域測定などの他の測定基準を用いることも可能である。いくつかの実施形態において、青色蛍光体は、所望の励起および本明細書中に記載されるスペクトル調整のための発光の所望の主波長を含む発光特性を与える組み合わされた異なる蛍光体の混合物とすることができる。
【0073】
2500KのCCTを備えたSPDにおいて、400nm〜440nmのスペクトル範囲における出力の割合は0.03であり、440nm〜500nmの範囲における出力の割合は0.06である。5000KのCCTを備えたSPDにおいて、400nm〜440nmのスペクトル範囲における出力の割合は0.02であり、440nm〜500nmの範囲における出力の割合は0.20である。
【0074】
多様なLED温度において本開示によって提供されるLED白色光源のための特定の演色性を図3Aに示す。Brainardに倣ってモデル化されたCSWR(図1A中の102、約95nmFWHM)に基づいた(CIE A光源に対する)概日刺激を図3Bに示す。
【0075】
特定の実施形態は、477nmピーク発光波長およびFWHM80nmによって特徴付けられる青色蛍光体を用いる。477nmピーク発光波長を有するこのような青色蛍光体は、1つの実施形態のみを示し、他の実施形態は、他の蛍光体および蛍光体の組み合わせを用いる。詳細には、本開示において言及される蛍光体および/または波長変換材料の組成は、多様な波長変換材料を含み得る。
【0076】
波長変換材料は、セラミックまたは半導体粒子蛍光体、セラミックまたは半導体プレート蛍光体、有機または無機ダウンコンバータ”、アップコンバータ(アンチストークス)、ナノ粒子、波長変換を提供する上記および他の材料のうちのいずれかの組み合わせであり得る。いくつかの例を以下に示す:
(Srn,Ca1−n)10(PO4)6・B2O3:Eu2+(ここで0≦n≦1)
(Ba,Sr,Ca)5(PO4)3(Cl,F,Br,OH):Eu2+,Mn2+
(Ba,Sr,Ca)BPO5:Eu2+,Mn2+
Sr2Si3O8・2SrCl2:Eu2+
(Ca,Sr,Ba)3MgSi2O8:Eu2+,Mn2+
BaAl8O13:Eu2+
2SrO・0.84P2O5・0.16B2O3:Eu2+
(Ba,Sr,Ca)MgAl10O17:Eu2+,Mn2+
K2SiF6:Mn4+
(Ba,Sr,Ca)Al2O4:Eu2+
(Y,Gd,Lu,Sc,La)BO3:Ce3+,Tb3+
(Ba,Sr,Ca)2(Mg,Zn)Si2O7:Eu2+
(Mg,Ca,Sr,Ba,Zn)2Si1−xO4−2x:Eu2+(ここで0≦x≦0.2)
(Ca,Sr,Ba)MgSi2O6:Eu2+
(Sr,Ca,Ba)(Al,Ga)2S4:Eu2+
(Ca,Sr)8(Mg,Zn)(SiO4)4C12:Eu2+,Mn2+
Na2Gd2B2O7:Ce3+,Tb3+
(Sr,Ca,Ba,Mg,Zn)2P2O7:Eu2+,Mn2+
(Gd,Y,Lu,La)2O3:Eu3+,Bi3+
(Gd,Y,Lu,La)2O2S:Eu3+,Bi3+
(Gd,Y,Lu,La)VO4:Eu3+,Bi3−
(Ca,Sr)S:Eu2+,Ce3+
(Y,Gd,Tb,La,Sm,Pr,Lu)3(Sc,Al,Ga)5−nO12−3/2n:Ce3+(ここで0≦n≦0.5)
ZnS:Cu+,Cl−
(Y,Lu,Th)3Al5O12:Ce3+
ZnS:Cu+,Al3+
ZnS:Ag+,Al3+
ZnS:Ag+,Cl−
群:
Ca1−xAlx−xySi1−x+xyN2−x−xyCxy:A
Ca1−x−zNazM(III)x−xy−zSi1−x+xy+zN2−x−xyCxy:A
M(II)1−x−zM(I)zM(III)x−xy−zSi1−x+xy+zN2−x−xyCxy:A
M(II)1−x−zM(I)zM(III)x−xy−zSi1−x+xy+zN2−x−xy−2w/3CxyOw−v/2Hv:A
M(II)1−x−zM(I)zM(III)x−xy−zSi1−x+xy+zN2−x−xy−2w/3−v/3CxyOwHv:A
式中、0<x<1、0<y<1、0≦z<1、0≦v<1、0<w<1、x+z<1、x>xy+z、および0<x−xy−z<1であり、M(II)は、少なくとも1つの二価陽イオンであり、M(I)は、少なくとも1つの一価の陽イオンであり、M(III)は、少なくとも1つの三価カチオンであり、Hは、少なくとも1つの一価陰イオンであり、Aは、結晶構造中の発光活性化ドープである。
LaAl(Si6−zAlz)(N10−zOz):Ce3+(ここでz=1)
(Ca,Sr)Ga2S4:Eu2+
AIN:Eu2+
SrY2S4:Eu2+
CaLa2S4:Ce3+
(Ba,Sr,Ca)MgP2O7:Eu2+,Mn2+
(Y,Lu)2WO6:Eu3+,Mo6+
CaWO4
(Y,Gd,La)2O2S:Eu3+
(Y,Gd,La)2O3:Eu3+
(Ba,Sr,Ca)nSinNn:Eu2+(ここで2n+4=3n)
Ca3(SiO4)Cl2:Eu2+
(Y,Lu,Gd)2−nCanSi4N6+nC1−n:Ce3+(ここで0≦n≦0.5)
(Lu,Ca,Li,Mg,Y)alpha−SiAlONdopedwithEu2+and/OrCe3+
(Ca,Sr,Ba)SiO2N2:Eu2+,Ce3+
Ba3MgSi2O8:Eu2+,Mn2+
(Sr,Ca)AlSiN3:Eu2+
CaAlSi(ON)3:Eu2+
Ba3MgSi2O8:Eu2+
LaSi3N5:Ce3+
Sr10(PO4)6Cl2:Eu2+
(BaSi)O12N2:Eu2+
M(II)aSibOcNdCe:A(ここで、6<a<8、8<b<14、13<c<17、5<d<9、0<e<2である)。M(II)は、(Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Cu、Co、Ni、Pd、Tm、Cd)の二価陽イオンであり、(Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Mn、Bi、Sb)のAである。
SrSi2(O,Cl)2N2:Eu2+
SrSi9Al19ON31:Eu2+
(Ba,Sr)Si2(O,Cl)2N2:Eu2+
LiM2O8:Eu3+、ここでM=WまたはMo
【0077】
本出願の目的のため、蛍光体が2つ以上のドーパントイオン(例えば、上記の蛍光体中のコロンに続くイオン)を含む場合、これは、蛍光体がそれらのドーパントイオンの少なくとも1つ(しかし必ずしも全てではない)をその材料内に含むことを意味する。すなわち、当業者によって理解されるように、この主の表記は、蛍光体がこれらの指定されたイオンのうちいずれかまたは全てを製剤中のドーパントとして含み得ることを意味する。
【0078】
さらに、ナノ粒子、量子ドット、半導体粒子および他の種類の材料を波長変換材料として用いることが可能であることが理解される。上記のリストは、代表例であり、本明細書中に記載される実施形態内において用いることが可能な材料全てを含むものとしてとられるべきではない。
【0079】
ランプの実施形態は、上記した波長変換材料のうちのいずれかを含むことができ、多様な品質の光特性を示すことができる。このような品質の光特性のうち一部を図3Aおよび図3Bに示す。
【0080】
図3Aは、3つの異なる色温度(例えば、5000°K、3500°Kおよび2500°K)における図2Aの概日のフレンドリーなLED白色光源によって示される演色評価数(Ra)および赤色演色(R9)を示す演色チャート3A00である。
【0081】
第1および第2のLED発光は、同等なレベルにおいて複合され、受容可能な演色(それぞれ、80、65のRa、R9)によって5000K色ポイントを達成することができる。さらに、この発光スペクトルは、D65基準光源(日光)によって達成されるものと同様の、(上記で定義したような)高い相対的な概日刺激を持ち得る。第2のLED発光が極めて低レベルまで低下され(またはオフにされ)た場合、第1のLED発光が優位に立ち、低概日刺激スペクトルが2500Kにおいて93、65のRa、R9と共に達成される。中間点において、3500K色温度が、85、88のRa、R9および概日システムの中間レベルの刺激と共に得られる。よって、このLED白色光源を用いて、常に受容可能な白色光品質(Ra≧80、R9≧50)を維持しつつ、朝には高刺激の5000Kの光を、午後には3500Kの中程度の刺激の照明を、夜には低刺激の2500Kの光を達成することができる。第1および第2のLEDへの合計出力を調節して、所望の合計照度レベルを提供することができる。
【0082】
図3Bは、概日のフレンドリーなLED光源から生じる相対的な概日刺激を示すチャート3B00である。
【0083】
図3Bは、Brainardに倣ってモデル化された95nmFWHM CSWRを用いた、図2Aに示す概日のフレンドリーな光源の相対的な概日刺激を示す。色温度5000K(図2A中の202)を達成するように第1および第2のLED発光双方を組み合わせることにより、極めて高い概日刺激効果が達成される。図3Bに示すように、5000Kにおいて、相対的な概日刺激は、CIE A基準光源よりおよそ2.8倍高い。この概日刺激レベルは、CIE A基準光源よりも3.1倍高い相対的な概日刺激を有する日光と関連付けられた光源(例えば、図示のようなD65光源)によって達成されるレベルに近い。第2のLEDが低下され(またオフにされ)て、第1のLED発光が優位に立った場合、2500Kスペクトルが達成される(図2A中の206)。これは、極めて低い概日刺激を有する(CIE A基準光源の場合の10%以内)。第1および第2のLED発光の強度が同等である場合、3500Kにおいて中間スペクトルが達成される(図2A中の204)。これにより、CIE A基準光源のおよそ2倍高い相対的な概日刺激が得られる。
【0084】
クロック制御された駆動スキームを介して、1日を通して色を動的に(連続的にまたは段階的に)変更することができる。あるいは、エンドユーザへ提供された切り換え機構を用いて、所望の色ポイントを選択することができる。例えば、電力線通信、WiFi、Zigby、DALIなど、他の多数の自動および/またはヒトインターフェース制御スキームが利用可能である。異なる目標CCTも可能である。このような光源を用いれば、例えば、標準的な青色LEDなどの概日フレンドリーではない光源と比較して健康および快適性において大きな恩恵が得られることが予測される。
【0085】
図4Aは、測定可能な態様(例えば、時間帯)および/または環境変化に基づいて調整可能な白色光源を実行するために用いられる光ストリップの一例を示す。このような白色光源は、例えば少なくとも2つのLED源を混合することにより、形成することができる。例えば、先ず、1組の赤色、緑色および(任意選択の)青色発光蛍光体と紫色一次LEDとの適切な混合を使用し、その後、紫色ポンプ青色蛍光体LEDまたは青色一次LEDを使用する。これら2つの源を概日周期全体にわたって混合して、概日のフレンドリーなLED白色光源を形成することができる。このような光ストリップは、例えば、線形反射板照明器具のための光エンジンとして用いることができる。
【0086】
他の実施形態において、CSWRは、Brainardによって記載されているものよりも幅狭であり得る(図4B中の曲線401)。例えば、図4B中の曲線402に示すように、30nmのFWHMで465nmのピークガウスCSWRを考える。このより幅狭のCSWRの場合、CCTがCIE Aよりも高いLED白色光源を設計することが可能であるが、概日刺激は低くなる。
【0087】
図4C1は、緑色および赤色蛍光体403をポンプする紫色一次LEDの第1のLED発光4C100を示す。この発光は、3286Kにおけるが、CIE Aに対してCSが50%である。そのため、LED白色光源は、CIE AよりもCCTが高いが、概日刺激は低い。第2のLED発光4C200(図4C2)は、ピーク発光波長が477nm404である青色蛍光体をポンプする紫色一次LEDである。第1のLED発光および第2のLEDベースの発光を図4D1に示すように組み合わせることにより、図4D2中の表に示すように、プランクの4点、CRI>80、およびR9>10、内における白色点を維持しつつ、約5000K〜約3300Kの調整が可能となり、CSをCIE Aの約300%〜50%未満まで変更させることが可能となる。
【0088】
特定のスペクトル範囲中の相対的なスペクトル成分(例えば、SPDの割合)を考慮することにより、このCSの変化を定量化することも可能である。2つの対象範囲は、「紫色−青色」(VB)範囲400nm〜440nmおよび「青色シアン」(BC)範囲440nm〜500nm中の相対的なスペクトル成分である。前者の範囲は、概日刺激が相対的に低く、後者の範囲は、概日刺激が相対的に高い。図4D2中の表は、これらの波長範囲における相対的なスペクトル成分を示す。5000Kから3300Kへの調整の場合、VB範囲中の合計SPD出力の割合が若干(0.19から0.23へ)増加する一方、BC範囲中の割合は著しく(0.20から0.05へ)低減する。このスペクトル成分のBC範囲からVB範囲への再分配が、3300KのSPDの低CSに寄与する。また、紫色光の存在により、SPDがプランク上にとどまることを可能となることに留意されたい。
【0089】
特定の実施形態において、VB範囲中におけるSPDの高い割合Fvを備えることまたはBC範囲中における低い割合Fcを備えることが低CSに対応し、逆も成り立つ。例えば、Fc>0.1によて特徴付けられたSPDは高刺激を持ち得、Fc<0.06およびFv>0.05によって特徴付けられたSPDは低刺激を持ち得る。同様に、Fc/Fv>0.5によって特徴付けられたSPDは相対的に高刺激を持ち得、Fc/Fv>1によって特徴付けられたSPDは高刺激を持ち得る。Fc/Fv<0.4によって特徴付けられたSPDは、相対的に低刺激を持ち得、Fc/Fv<0.2によって特徴付けられたSPDは、低刺激を持ち得る。これらの範囲は、図4A〜図4N2および図5A〜図5C4中のものを含む本開示によって提供されるLED白色光源の特定の実施形態に対応する。
【0090】
よって、CSは一般的には比Fc/Fvに比例し得、より高い値は、より高い概日刺激と関連付けられる。また、CSは一般的には、Fc成分に比例し得る。さらに、特定の実施形態において、LED白色光源のVB成分が増加するとBC成分が低下し、逆にBSの増加は、VB成分の低下につながる。
【0091】
FvおよびFcは、VB波長範囲内またはBC波長範囲内それぞれにおけるSPD中の出力の割合を示す。例えば、SPD中の合計出力が1である場合において、SPD中の出力の10%がVB波長範囲内にあると、Fvは0.1であり、SPD中の出力の10%がBC波長範囲内にあると、Fcは0.1である。
【0092】
特定の実施形態において、Fvは0.2未満であり、0.15未満であり、0.1未満であり、0.08未満であり、特定の実施形態において、0.05未満である。
【0093】
特定の実施形態において、Fvは、0.2を超え、0.15を超え、0.1を超え、0.08を超え、特定の実施形態において0.05を超える。
【0094】
特定の実施形態において、Fcは、0.2未満であり、0.15未満であり、0.1未満であり、0.08未満であり、特定の実施形態において0.05未満である。
【0095】
特定の実施形態において、Fcは、0.2を超え、0.15を超え、0.1を超え、0.08を超え、特定の実施形態において0.05を超える。
【0096】
FvおよびFcの多様な組み合わせは、本開示のLED白色光源を提供することに一貫して提供することができる。本開示によって提供されるデバイスおよび方法の使用、Fv、すなわち、400nm〜440nmのVB範囲におけるスペクトル成分を制御して、所望の白色発光の提供と、例えば、CCT、CRI、Ra、Duvなどの所望の属性を維持することが可能となることは重要である。紫色発光LEDおよび選択蛍光体ならびに他の波長における任意選択的なさらなるLED発光の使用により、400nm〜440nmのVB範囲における成分をより高精度に制御する能力が得られる。
【0097】
特定の実施形態において、Fc/Fvは、0.1〜1であり、0.1〜0.8であり、0.1〜0.6であり、特定の実施形態において0.1〜0.4である。
【0098】
特定の実施形態において、Fc/Fvは、0.1未満であり、0.2未満であり、0.3未満であり、0.4未満であり、0.5未満であり、特定の実施形態において0.6未満である。
【0099】
特定の実施形態において、Fc/Fvは、0.5〜1.5であり、0.5〜1.3であり、0.5〜1.1であり、特定の実施形態において0.5〜0.9である。
【0100】
特定の実施形態において、Fc/Fvは、0.5を超え、0.6を超え、0.7を超え、0.8を超え、0.9を超え、特定の実施形態において1を超える。
【0101】
本開示の実施形態によって明示された高品質の光を得ることは自明ではないことが理解されるべきである。紫色放射を補うことなく青色およびシアン発光の全て(または大部分)を単に除去することにより、光源のCSを低減することが可能であるものの、スペクトル中に短波長光が存在しないため、その結果得られる演色評価数は低くなる。さらに、プランクの近隣の源の色度を維持することが困難となり得る(その結果、源が低CCTおよび/または緑色がかった色合となる)。対照的に、本開示の実施形態は、青色および紫色光の量を均衡させることにより、高品質の光(例えば、CRI、Ra、Duv)を維持しつつ、CSの調節を促進する。
【0102】
第2のLED発光において適切な主波長の一次青色発光LEDを用いて、プランクに沿った調整することが可能である。例えば、図4E1および図4E2に示すように、約480nmピーク発光LEDを図4C2の青色蛍光体LEDの代わりに用いることができる。図4E1は、第1のLEDベースの源420の発光スペクトルを示し、図4E2は、青色発光LEDのスペクトル421を示す。図4E1および図4E2に示す発光を組み合わせることにより、図4F2中の表に示すように、概日刺激の色特性およびレベルがわずかに異なるだけで、図4F1の複合スペクトル422によって示すように同様の効果が達成される。
【0103】
FWHMが30nmである465nmピークガウスCSWRの場合において、一般的な光源用の相対的なCSと、本開示によって提供されるLED白色光源との比較を例示する。図4Gは、(CIE Aについて正規化された)CSを、例えば、蝋燭の光(1850K)、CIE A(2856K)、D50位相日中光(5000K)、およびD65位相日光(6500K)などの一般的な光源の色温度の関数として示す。CSは、約25%(蝋燭の光)からCIE Aのほぼ4倍(D65)まで変化する。また、455nm青色一次LED2蛍光体3000KのLEDおよび425nm紫色一次LED2蛍光体3000KのLEDのCSについてもプロットしている。概日刺激の差は顕著であり、455nmベースのLED白色光源は、CIE Aの1.5倍よりも高く、425nmベースのLED白色光源の3倍よりも高い。注目すべきは、Ce3+ガーネット蛍光体(例えば、「YAG」)は紫色において高く吸収されないため、425nmベースのLEDの場合、緑色および赤色発光においてEu2+蛍光体を用いることが望ましいことである。
【0104】
図4Hは、いくつかの実施形態により、異なる2組のLEDベースのエミッタと、クロック/タイマーと、制御回路4H01と、異なる2組のLEDベースのエミッタの発光比を制御して、概日のフレンドリーなLED白色光源を実行するドライバとを含む光ストリップを示す。
【0105】
図示のように、赤色、緑色および(任意選択に)青色の発光蛍光体4H02の適切な混合物を含む第1の群の紫色一次LEDを、青色蛍光体または青色一次LED 4H04を含む第2の群の紫色一次LEDと組み合わせることができる。
【0106】
LEDベースのエミッタの第1および第2の群を別個のパッケージ中に設け、混合光学素子と結合した光またはLEDベースのエミッタを例えば、チップオンボード(COB)パッケージ(例えば、図8の配置を参照)および/または線形COBパッケージなどの単一のパッケージ内に設けることができる。図6Aおよび図6Bに示すように、COBパッケージをランプアセンブリ中において用いることができる。
【0107】
加えて、上記の実施形態においては、高品質の光を維持しつつ異なるレベルの概日刺激を提供するために、コストおよび複雑性の最小化において有用となり得る2チャネル調整方法について述べたが、本開示で提供されるデバイスおよびコンセプトを用いて3つ以上のチャネルを用いることが可能である。より多くのチャネルが、光源選択および色度空間中の任意の(例えば、非線形の)曲線の調整においてより高い自由度を提供するが、その場合、照明器具設計、LED調達、混合および制御においてより高レベルの複雑性のコストがかかる。
【0108】
図4Hに示す要素に加えて、1つ以上の光混合光学素子(図示せず)を用いて、LED発光第1の群および第2の群を混合して、均等のまたは他の所望の光色外観を得ることができる。さらに、第2の光学素子を用いて、所望の光分布パターンを達成することができる。
【0109】
上記の議論は、照明システムと、CS低減によって得られる恩恵とに集中している。しかしながら、表示システムも、CS低減による恩恵を受けることができる。
【0110】
図4Iは、白色画面−ラップトップ画面402およびスマートフォン画面404を備えた2つの表示システムについて測定されたSPD 4I00を示す。他の表示システムの例を図15D1〜図15E2中に示す。図4I中に示す表示はどちらも、表示画面において典型的である約6500KのCCTを有する。どちらも、青色一次LEDによって点灯され、発光スペクトルは、大きな青色ピークによって特徴付けられる。相対的な概日刺激は、ラップトップにおいて約330%であり、フォン画面において約470%である。
【0111】
図4Jは、(スマートフォンの白色画面への90分間の露出の後に)予測されるメラトニン抑制406対スマートフォン画面の輝度を示す。実際は、表示のための輝度レベルは、高く、場合によっては百倍〜数百倍のルクスになり得る(例えば、デバイスが顔に近づけて保持された場合)。そのため、露出時間が比較的短い場合でも、概日システムに対する正味の影響が顕著になり得、睡眠パターンを妨害し得る。
【0112】
表示用途において、概日混乱の低減を目的としたソフトウェアソリューションは既に存在する。例えば、例えば、「f.lux」などのソフトウェアは、画面のCCTを時間と共に適合させることができる。日中、CCTは約6500Kであるが、夜が深まるにつれ、CCTは「加熱」されて約3400Kとなる。
【0113】
図4Kは、このソフトウェアを用いて白色画面から放射されたスペクトルの一例を示す。曲線410は、標準発光(6500K)に対するものであり、曲線408は、加熱された発光(名目上、約3400K)に対するものである。
【0114】
相対的な概日刺激がより低いCCTにおいてより少ないので。CCT低減は有用である。すなわち、相対的な概日刺激は、光源Aと比較して、標準発光の場合に約330%であり、加熱された画面の場合に約210%である(輝度は等しいと仮定する)。これは向上ではあるものの、加熱された画面の場合、刺激は青色ポンプLEDの使用に起因していまだに高い。また、より典型的な電子表示白色中心点(典型的には6000K〜77000K)を依然として達成しつつ、CSを低減することも有用であり得る。
【0115】
そのため、照明システムと同様に、低概日刺激の表示システムを得るためには、一次LEDおよび全体的SPDの発光波長およびプロファイルを注意深く選択することが重要である。
【0116】
図4L1は、テレビ、モニター、ラップトップおよびノートブックコンピュータ、ゲームシステム、および例えば、タブレット、電話、MP3プレーヤなどのポータブルデバイスを含む多数の用途において用いられる典型的なLEDが点灯された液晶ディスプレイ(LCD)の関連スペクトルを示す。。図4L1は、色制御のために、LCD表示と共に用いられる青色カラーフィルタ412、緑色カラーフィルタ414および赤色カラーフィルタ416(CFと総称する)のスペクトルを示す。典型的なLEDスペクトル(例えば、LEDスペクトル418)は、黄色(および/または赤色)発光蛍光体システムをポンプする青色一次ベースのLEDである。赤色フィルタ、緑色フィルタおよび青色フィルタによってフィルタリングを行うことにより、透過スペクトル、例えば、3つのフィルタ全てを完全に透過した場合、白色透過スペクトル419が得られる。このシステムの典型的な色域(図4L2中、三角形426として示す)が緑色および赤色において限定され、全国テレビジョン方式委員会の色域標準422(NTSC、1953)に対して約79%のx−y色度空間中の領域を網羅する。上記したように、このような(典型的に440nm〜460nm範囲の一次ピーク波長を有する)LEDベースの源は、夜や夜間における視認において特に望ましくない可能性がある本質的に高い概日刺激である。図4L2はまた、プランク軌跡424および(xy)色空間420の境界を示す。
【0117】
図4Mは、30nmのFWHM30nmを備えた465nmピークガウスCSWRを使用して、(同じ表示白色ポイントを維持しつつ同じ蛍光体発光を使用して)、計算された相対的なCS(曲線430)と、相対的な表示有効性(曲線428)とを、「青色」LED一次ピーク波長の低下と共に示す。ピーク波長が440nm未満である場合、CSが顕著に低下し、約410nmにおいて最低となる。有効性も低下するが、ピーク波長の低下とともによりゆっくりと低下し、低下したCS表示のための最適なピーク波長範囲410nm〜440nmまたは420nm〜430nmを示唆する。
【0118】
図4N1は、425nmの選択された一次ピーク発光波長を用いてより良好に機能するように、蛍光体システムが調整された実施形態を示す。図4N1においては、ピーク/FWHM(発光)が530nm/85nmおよび605nm/80nmである蛍光体を用いて、79%のNTSCを達成する450nmベースの源と比較して、10%の有効性損失のみで、83%のNTSCが達成された。図4N2においては、ピーク/FWHM(発光)が530nm/85nmおよび630nm/80nmである蛍光体を用いて、79%NTSCを達成する450nm源と比較して、20%の有効性損失のみで、90%のNTSCが達成された。当業者であれば、所望のバランスの色域および有効性を達成するための異なる組み合わせの蛍光体を特定することができる。425nm波長の一次LEDの使用は、CSを約5倍低減することができ、これは極めて重要である。図4Jを参照して、100ルクス表示における5倍の低減は、90分間の露出に対し、メラトニン抑制を約50%から約20%へ低下させるであろう。
【0119】
本開示の用途は、LCDに基づく表示に限定されない。有機LEDおよび無機LED双方を用いた直視型LEDディスプレイを示してきた。これらの表示において、個々の画素は、青色、緑色および赤色エミッタを含み、選択的に制御される活性LEDによって構成されている。本開示の実施形態に基づいて、記載のように、「青色」エミッタをより短波長に合わせて調整して、CSを低減することができる。特定の実施形態において、465nmピークガウスCSWRを30nmのFWHMと共に使用して、「青色」エミッタのための最適なピーク波長範囲は、410nm〜440nmであり得、より好適には420nm〜30nmであり得、CSの低下した表示のために選択することができる。
【0120】
あるいは、CSの制御が可能な表示を有するために、より長波長およびより短波長の一次「青色」LEDを混合することも可能である。例えば、朝においては高CS刺激を有し(例えば、440nm〜460nmの一次「青色」)、夜間においてはより短波長(例えば、420nm〜430nm)へシフトすることが望ましい場合がある。これは、2組の一次「青色」LEDをディスプレイ中に含むことにより実行することができ、LCDディスプレイおよび直視型LEDベースディスプレイ双方において実行することができる。
【0121】
場合によっては、エンドユーザの挙動または行動に応じて、実施形態の色ポイント(またはより一般的にはスペクトル)を自動的に調整することができる。このようなトリガイベントの例は、所与の時間の室内(または室内の一部)でのエンドユーザの存在、ユーザの空間内を横切る移動、ユーザの一般レベルの活動、特定の言葉またはジェスチャー、および/またはデバイス(例えば、スマートフォン)に対する動作を含む。このような応答は、スペクトルをユーザの状態に一致させる(例えば、ユーザが眠くなった場合または寝る準備をした場合に概日周期を低下させる)ため、またはユーザの状態を変更させるため(例えば、眠気を検出し、眠気低減のために概日刺激を増加させる)ために用いることができる。いくつかの場合において、応答は、ユーザの挙動と、他の測定可能な条件または例えば、時間帯、天候および/または天候変化、屋外光量などのきっかけとを組み合わせて、決定することができる。いくつかの場合において、きっかけは、ユーザの挙動を監視する別の「スマート」システム(別の電化製品、スマートフォンまたは他の電子デバイス)から得ることができ、その後、きっかけは、例えば、スマートホームハブによって可能にされるネットワークなどのスマートシステムと照明システムとの間のネットワーク(有線または無線)を介して伝えられ得る。いくつかの場合において、きっかけは、例えば、ユーザのスマートフォンなどのシステムによって記録された、例えば、ユーザの過去の起床時刻または過去の睡眠パターンなどのユーザの過去の挙動に関連する。
【0122】
いくつかの場合において、所与の1組のきっかけが決定性応答もたらすように、応答は、システムの製造業者によって予め決定することができる。他の場合において、照明システムは、ユーザから「学習する」。例えば、教示フェーズにおいて、ユーザ(または別の人間)が、スペクトルを手作業で調整する。システムは、これらの設定を特定のきっかけと関連付けることを学習し、その後、当該きっかけに応答して調整が(例えば、手動でトリガされるのではなく)自動実行される。学習は、例えば、神経系を介して、および/またはベイズ推論を用いるなど、当業者に公知の多様な機械学習技術によって達成することができる。
【0123】
上記シナリオの特定の例として、以下のようなものがある:ユーザは、就寝前の数時間ルーチン(例えば、一定の周期性で繰り返される一連の行動)に従う。このようなルーチンは、ダイニングテーブルから離れること、歯を磨くこと、TVをみることなどを含む。このルーチンのきっかけは、多様な電化製品(TV、歯ブラシ、モーションセンサー)によって収集され、無線プロトコルを通じて照明システムと連動する。教示フェーズにおいて、ユーザはまた、照明システムのスペクトルを調整して、概日刺激を低減する。例えば、ユーザは、就寝数時間前に、照明システムを無刺激設定とする。システムがこれらの設定と、ルーチンの1つ以上のきっかけおよびおおよその時間とを関連付けると、調整が自動的に行われて、ユーザが就寝する前に概日応答の低減が支援される。逆に、朝の場合は、概日システムを刺激するように調整を行うこともできる。
【0124】
このような自動挙動は、それ自体が照明電化製品を含む多様な発光システムや、表示システム(例えば、TVおよびコンピュータ画面、タブレット、電話など)のために用いることができる。このような照明システムは、ユーザが就寝する前の所与の時間、概日刺激を低減するように、例えばそれらのスペクトルを適合させることができる。表示システムの場合、概日刺激をさらに低減するために、LEDスペクトルの変更を(例えば、画面色ポイントのような)ソフトウェア変更と組み合わせることができる。このような自動化された動作は、多様な照明状況において実行することができる。厳密に一例として、光ストリップをセンサーに適合させることにより、環境における測定可能な態様および/または変化を取り込みかつ/または学習し、これに応じて概日のフレンドリーな発光を調整することができる。
【0125】
先の例においては国内設定を仮定しているが、このような自動または「スマート」調整を用いた実施形態は、例えば、専門家の文脈のような他の文脈においても利用可能である。例えば、オフィスの設定においては、照明システムは、用いられる活動を監視し、CSを相応に増加させるように適合することができる。あるいは、CSを朝に増加させ、仕事日の終了近くに低減させてもよく、あるいは、(天候および季節と共に変化し得る)屋外照明条件を補完するように適合させてもよい。システム調整は、単純なタイミングスキームに従ってもよいし、あるいは、労働者の挙動を考慮に入れてもよい。実施形態は、夜勤労働者用施設、長距離移動(例えば、飛行機フライトなど)、高齢者のための介護施設を含む睡眠パターンが影響される他の状況において用いてもよい。
【0126】
さらに、多様な場合において、システムから放射される光の強度をスペクトルともに調整して、CSにさらに影響を与えることができる。例えば、より低いCSのためにスペクトルが調整されるように、強度を弱めることができる。ディスプレイの場合、室内の周辺光が減少すると、当該ディスプレイ輝度を暗くすることができ、かつそのCSを低減することができる−これは、ディスプレイへ接続された単純な光センサーによって検出され得る。
【0127】
図5Aは、概日のフレンドリーなLED白色光源によってx−y色度空間中において生成された線形色度曲線502を示すチャート5A00である。図5Aはまた、Rea and Freyssinier, Color Research and Application 38, 82−92 (2013)によって説明されるようなプランク軌跡510および最小色相シフト曲線512を示す。
【0128】
プランク軌跡は、色度空間中に曲線を形成し、これは、線形の二重トラックの同調性は、広範囲の色温度にわたって白色発光を適切に複製することはできないという一般的概念につながる。しかし、最近の精神物理的実験によれば、「白色」の定義がプランク曲線から逸脱している可能性が判明した。詳細には、プランク軌跡の下の色ポイントに対し、被験者は少ない色合いを観察する傾向がある。
【0129】
この観察は、以下の2つの悪影響を有する:1)人間の「白色」の感じ方は、若干任意である点、および2)プランク曲線より下の着色は受容可能であるだけでなく、恐らくは好適な可能性がある点。色度空間内のこの領域を開くことにより、二重チャネルの調整可能な白色発光のエンジニアリングが可能になる。概日のフレンドリーな光源(図2A)について述べた3つの色温度の色度がプランク軌跡および「最小色相シフト」点上に重ねられて図示されている(例えば、点504、点506および点508を参照)。上記議論に基づいて、これらの3つの色ポイント(およびその間にあるもの)により、受容可能な白色の外観と、良好な演色性とを得ることができる。
【0130】
さらに、これは、光源のCSを低減するための最も明確な方法は、青色またはシアン光を除去することにより、色度をプランクの上方に(かつ図5Aに示す好適な色度曲線502から離して)シフトさせることであるので、達成することは簡単ではない。
【0131】
図5Bは、いくつかの実施形態による概日のフレンドリーなLED白色光源によって生成されるような白色光境界領域514の形状を示すチャート5B00である。白色光境界領域514は、プランク軌跡510およびx−y色度空間中の±0.005の境界領域を含む「最小色相シフト」曲線の上限としてみなされる。
【0132】
図5Bに示すように、白色光境界領域をハッチングにより強調表示する。詳細には、ハッチング領域514は、色混合の比の変化と、白色光領域の境界とを示す。
【0133】
さらに他の実施形態において、概日刺激の変化は、CCTまたは色度の変化と関連付けられない。これは、所与のCCT(例えば、3000Kまたは6500K)が常に所望のされる状況において有用であり得るが、刺激は1日を通じて変化させるべきである。これは、ユーザが照明変化に気づかないままCSを変更することが可能な照明用途および表示用途において有用であり得る。このような実施形態は、例えば、3000KのCCTと共に光りを放射する2つのLEDトラックを組み合わせることにより、達成することができる。1つのトラックに大きな相対的な概日刺激を持たすことができ、他方に低概日刺激を持たすことができる。より詳細には、第1のトラックは、青色ポンプLEDおよび蛍光体を含み得、第2のトラックは、紫色LEDおよび蛍光体を含み得る。本明細書中に記載されるように、各トラックからの発光スペクトルは、高品質の光(例えば、80を超えるCRI)を提供するように設計することもできる。このようなシステムにおいて、スペクトルの色度が名目上ではなく知覚的に類似するように、スペクトルを設計することが望まれる場合がある。あるいは、従来の1931 2レベルのCMFよりも、例えば、1964CMFまたは他の現代のCMFのような適切な色整合機能(CMF)を用いて色度を計算することが望ましい場合もある。これは、1931 2レベルのCMFによる予測は、ユーザ知覚の表現が不十分な場合があるからである。加えて、所与の人口動態群について(例えば、高齢ユーザの場合に短波長光への感度が低下することを考慮して)色度計算を行うこともできる。
【0134】
安定したCCTを用いたこのような実施形態を、図5C1〜図5C4に示す。図5C1〜図5C4中、2組のLEDベースの源は個別に制御される:1)3300Kにおいて約80のCRIおよび0を超えるR9を伴う青色一次ベースのLED白色源(「BLED」502)、および2)3300Kにおいて約80のCRIおよび0を超えるR9を伴う紫色一次LED白色源(「VLED」504)。BLEDデバイスがオンになり、VLEDがオフになると、概日刺激が高くなる(CIE Aの210%)。あるいは、VLEDデバイスがオンでありBLEDがオフである場合、概日刺激は低くなる(CIE Aの54%)。混合組み合わせにおいて、概日刺激は、これら2つのレベル間において変化する。しかし、色度は名目上不変である。他の実施形態において、一次青色LEDは、より短波長のLEDによってポンプされる青色蛍光体で置き換えることができる。図5C2は、上記したLEDベースの白色光源のためのCIE508を示し、図5C3は、複合VLEDおよびBLEDスペクトル506の一例を示す。代表的なBLED割合のCSを図5C4中に示す。
【0135】
ここでも、CSの変化を、相対的なスペクトル成分の変化(例えば、SPDの割合)である「紫色−青色」(VB)範囲400nm〜440nmにおけるFvおよび「青色シアン」(BC)範囲440nm〜500nmにおけるFcに関連させることもできる。図5C1を参照して、SPD502の場合、Fv=0.01およびFc=0.14であり、SPD504の場合、Fv=0.24およびFc=0.05である。
【0136】
特定の実施形態において、LED発光源は、80を超える演色評価数と、少なくとも0.01、少なくとも0.05、少なくとも0.1、少なくとも0.15、少なくとも0.2、特定の実施形態において、少なくとも0.25のFvと、少なくとも0.01、少なくとも0.05、少なくとも0.1、少なくとも0.15少なくとも0.2、少なくとも0.25、最大で0.01、最大で0.05、最大で0.10、最大で0.15、最大で0.20または最大で0.25のFcあるいは上記のいずれかの組み合わせによって特徴付けられる。
【0137】
図6Aは分解図6A00を示し、図6Bは概日のフレンドリーなLED光源を形成するLEDランプの組立図6B00を示す。
【0138】
図6Aおよび図6Bに示すように、分解図6A00は、120/230ボルト源への接続のためのGU10(10mmの「ツイストロック」)ベースを含む。このような実施形態は、2000年半ばから用いられている35/50ワットのハロゲンランプのためのMR16ハロゲン光代替物6B00として用いることができる。
【0139】
図6Aおよび図6Bに示すランプは、機械的および電気的標準のセットのうち任意の1つ以上に合うように一致するランプの一実施形態に過ぎない。
【0140】
上記のリストは代表例であり、本明細書中に記載される実施形態と共に用いることが可能な標準または形状因子全てを含むことを意図していない。
【0141】
図7は、概日のフレンドリーなLED光源を用いたLEDランプにおいて用いられる多重トラックドライバ制御システムの模式図である。図7に示すように、複数のLEDストリングの発光を別個に変化させることにより、1つのストリングの出力の別のストリングに対する比を時間ベースの関数に応じて変化させる。例えば、クロック/タイマーは、24時間の期間における日の出および日没のタイミングをモデル化し得、この24時間の期間の間、青色蛍光体を用いた紫色発光LEDを午後および夜間に減衰させることができる。二重トラックシステムにおいて、線形色度曲線502を実行することができる。3つ以上のトラック(例えば、図示の3つのLED群)の場合、非線形色度曲線を有効にすることができる。適切なドライバ制御システムについて、参照することにより本明細書にその全体が援用される2014年6月25日に出願された米国出願第62/026899号に開示がある。
【0142】
制御回路(例えば、制御モジュール)において、任意の当該分野において、電流または電圧感知に基づいた電流制限および/または温度感知に基づいた電流制限を含む公知の技術を用いることが可能である。より詳細には、1つ以上の電流リミッタ(例えば、電流リミッタ704)を、任意の公知の技術によって制御することができる。コントローラおよび/または電流リミッタは、順に、任意の個々のLED群(例えば、群1LED706、群2LED708、群NLED709)へ流れる電流を調節することができる。
【0143】
任意の個々の群へ流れる電流は、FETまたはスイッチ(例えば、SW1 710、SW2 712、SW3 714)を用いて個々に増加または減少させることができる。図示の制御回路719は、環境センサーおよびクロック/タイマーを含み、環境センサーおよびクロック/タイマーはそれぞれ、コントローラ721への入力を提供し、コントローラ721は、任意の個々のLED群(例えば、群1LED706、群2LED708、群NLED709など)へ流れる電流を順に調節する働きをする。
【0144】
図8は、LEDランプにおいて用いられるような2チャネルの概日のフレンドリーな配置800を形成する、混合された物理的配置802における2つのLEDストリングを示す。図示のように、制御回路は、任意の当該分野において公知の技術を用いて、図示のLED群(例えば、群1LED706、群2LED708)のうちのいずれかへ流れる電流を個々に調節することができる。
【0145】
群1LEDおよび群2LEDはそれぞれ、個々のパターン化された蛍光体チップを含み、これにより、概日のフレンドリーな源を、例えば指向性照明のためのコンパクトな領域へ集中させることが可能になる。2種類のLED発光を(例えば均一性のために)混合するために、混合光学素子を含むことができる。図示の配置は例示であり、他の配置が適切である。蛍光体のパターニング技術について、参照することにより本明細書にその全体が援用される2013年12月19日に出願された米国出願第14/135,098号に開示がある。
【0146】
図9Aは、当該分野において公知の標準に対応するランプ形状の選択肢を示す。上記したランプは、機械的および電気的標準のセットのうち任意の1つ以上に合うように一致するランプの選択された実施形態に過ぎない。表1は、標準(「記号表示」参照)および対応する特性を示す。
【表1】
*******
【0147】
さらに、ランプのベース部材は、電気接続を支持するように構成された任意の形状因子でよい。これらの電気接続は、1組の種類または標準のうちいずれかに適合し得る。例えば表2は、標準(「種類」を参照)および第1のピン(例えば、出力ピン)と第2のピン(例えば、接地ピン)との間の機械的間隔を含む対応する特性を示す。
【表2】
*****
【0148】
上記のリストは代表例であり、本明細書中に記載される実施形態内で用いることが可能な標準または形状因子全てを含むものと解釈されるべきではない。
【0149】
図9B〜図9Iは、多様な形状(例えば、実質的に四角形、実質的に矩形)に対応する反射板の選択肢と、取り付け構成(例えば、凹状、埋め込み型、掛け型など)とを示す。上記の多重トラックドライバ制御システム(図7を参照)と、混合された物理的配置(図8を参照)内におけるLEDストリングとの組み合わせを、これらの例示的反射板および/または任意の種類の一般的な照明固定具と共に用いることが可能である。
【0150】
例えば、吊下型照明器具などの他の照明器具は、光を下方ではなく上方に放射し得るか、あるいは、光を双方向に放射し得る。
【0151】
図10A〜図10Iは、ランプ用途の形態の本開示の実施形態を示す。これらのランプ用途において、1つ以上の発光ダイオードが、ランプおよび固定具内において用いられる。このようなランプおよび固定具は、交換および/または新しい部分を取り付けた指向性照明固定具を含む。
【0152】
いくつかの実施形態において、本開示の態様をアセンブリにおいて用いることができる。図10Aに示すように、アセンブリは、以下を含む:
ネジキャップ1028
ドライバハウジング1026
ドライバ基板1024
ヒートシンク1022
金属コア印刷回路基板1020
LED光源1018
泥よけ1016
レンズ1014
反射体ディスク1012
磁石1010
磁石キャップ1008
トリムリング1006
第1のアクセサリ1004
第2のアクセサリ1002
【0153】
アセンブリ10A00のコンポーネントは、実質的に詳述に説明することができる。いくつかのコンポーネントは「活性コンポーネント」であり、いくつかは「受動」コンポーネントであり、特定のコンポーネントによる設計全体への影響および/または客観的な最適化機能への影響(単数または複数)に基づいて多様に述べることができる。コンポーネントをCAD/CAM図面またはモデルを用いて記述することができ、特定のコンポーネントによる設計全体への影響および/または客観的な最適化機能への影響(単数または複数)に関連し得る利点の図面を抽出できるよう、CAD/CAMモデルを分析することができる。厳密に一例として、トリムリングのCAD/CAMモデルが、図10A2の図面に対応するモデル中に設けられている。
【0154】
アセンブリ10B100およびアセンブリ10B200のコンポーネントを共に適合させて、ランプを形成することができる。図10B1は斜視図1030を示し、図10B2はこのようなランプの上面図1032を示す。図10B1および図10B2に示すように、ランプ10B100および10B200は、PAR30Lとして知られる形状因子に適合する。PAR30L形状因子を、図10Cのアレイ10C00中に示された主投影図(例えば、左1040、右1036、後1034、前1038および上1042)によってさらに示す。
【0155】
アセンブリ10D100およびアセンブリ10D200のコンポーネントを共に適合させて、ランプを形成することができる。図10D1は斜視図1044を示し、図10D2はこのようなランプの上面図1046を示す。図10D1および図10D2に示すように、ランプ10D100および10D200は、PAR30Sとして知られる形状因子に適合する。PAR30S形状因子を、図10Eのアレイ10E00中に示された主投影図(例えば、左1054、右1050、後1048、前1052および上1056)によってさらに示す。
【0156】
アセンブリ10A00のコンポーネントを共に適合して、ランプを形成することができる。図10F1は斜視図1058を示し、図10F2はこのようなランプの上面図1060を示す。図10F1および図10F2に示すように、ランプ10F100および10F200は、PAR38として知られる形状因子に適合する。PAR38形状因子を、図10Gのアレイ10G00中に示された主投影図(例えば、左1068、右1064、後1062、前1066および上1070)によってさらに示す。
【0157】
アセンブリ10A00のコンポーネントを共に適合させて、ランプを形成することができる。図10H1は斜視図1072を示し、図10H2はこのようなランプの上面図1074を示す。図10H1および図10H2に示すように、ランプ10H100および10H200は、PAR111として知られる形状因子に適合する。PAR111形状因子を、図10Iのアレイ10I00中に示された主投影図(例えば、左1082、右1078、後1076、前1080および上1084)によってさらに示す。
【0158】
上記したランプおよびランプ形状の利用に加えて、フィルタまたはいわゆる「概日蛍光体」を用いることができる。
フィルタまたは蛍光体の使用
【0159】
SPDによる概日システムへの影響を変更するために、多様な実施を考慮することができる。上記したように、紫色ポンプLEDおよび青色ポンプLEDを含む多チャネルシステムを用い、双方のチャネルの貢献を均衡させることができる。加えて、例えば固定され得るまたは移動し得る吸収または反射フィルタを用いることにより、所与のスペクトル範囲(例えば、青色、シアンまたは紫色領域)を物理的に遮断することができる。フィルタにより、実質的な光(あるいは全ての光)の相当量を所与のスペクトル範囲において遮断することができるという重要な利点が得られる。例えば、極めて低い概日刺激を得るために、青色−シアン範囲(またはより特定の範囲)中のほぼ全ての光を遮断することが所望される場合がある。これは、標準スペクトル(例えば、調光されたフィラメントランプ)は未だ大量の概日刺激を有するからである。このようなフィルタは、例えば二色性反射フィルタまたは母材(例えば、ガラス、プラスチックなど)に染料フィルタを含む吸収フィルタであり得る。
【0160】
しかし、別の選択肢は、注意深く選択された吸収範囲を有するシステムにおいて光変換材料を用いることである。例えば、青色光を吸収し、緑色または赤色光への下方変換を行う蛍光体を設けることができる。吸収範囲内の相当量の光を遮断アプローチの場合と同様に除去することが可能でありつつ、放射を単に遮断するのではなく別の波長へ変換するのでシステム効率はより高いため、このアプローチが望まれ得る。簡潔さのため、この蛍光体の吸収は光源の概日作用へ影響するため、この蛍光体を「概日蛍光体」と呼ぶ。
【0161】
図11Aおよび図11Bは、これら2つのアプローチを対比している。図11Aは、白色LED源1101の初期SPDと、フィルタによる青色光遮断後のフィルタリングされたSPD1102とを示す。フィルタリングされたSPD1102を、多数の実施形態において用いることができる。なぜならば、フィルタリングされたSPD1102は、少量の青色光を有するため、概日システムの混乱が低減することができ、さらに、フィルタの幅および一般的形状をこの影響を制御するように設計することができる。しかし、フィルタリングされた光が失われるため、フィルタリングは、効率の損失を誘発する。
【0162】
図11Bは、白色LED源1103の初期SPDと、青色光が「概日蛍光体」によって吸収されて黄色光1105へ変換された後の変換されたSPD1104とを示す。この場合、概日システムへの同じ所望の効果が得られるが、青色光の変換のおかげで、効率への影響が低下する。ここでも、アプローチの多様な態様は、例えば、吸収低下の位置および振幅などの設計によって制御することができる。吸収低下は、蛍光体の選択および量と発光の位置および振幅のよって制御することができる。例えば、青色光を実質的に遮断しかつ一定の紫色光透過を可能にするように、吸収を選択することができる。
【0163】
放射されたSPDが変化しない場合、概日蛍光体は、固定されることができ、あるいは、SPDを動的に制御するために、概日蛍光体は移動部分上に設けられてもよい。この移動部分は、システムの発光経路内外において機械的に移動可能な蛍光体を含むプレートであり得る。
【0164】
図11Aおよび図11Bにおいて、実施形態は、光を440nm〜460nmの範囲内において除去するように設計される。他のフィルタまたは他の蛍光体を選択することにより、この範囲を例えば範囲450nm〜480nmに調整することができ、あるいは、別の範囲を目標としてもよく、この範囲内においてスペクトル出力を低減される。いくつかの実施形態において、特定の概日作用スペクトルを仮定し、作用スペクトルが高い範囲内において少量の光を有するようにSPDを設計する。
【0165】
さらに別の実施形態において、概日蛍光体は、飽和挙動を示す。すなわち、概日蛍光体は、低流束においては光を吸収するが、高流束においては吸収が飽和する。このようなアプローチを図12〜図14に示す。
【0166】
図12は、多様なスペクトルを示す。スペクトル1201は、CCTの3000Kと約90のCRIを備えた白色LED源の発光スペクトルである。このスペクトルは、紫色ポンプLEDおよびいくつかの蛍光体(例えば、緑色蛍光体、赤色蛍光体および場合により青色蛍光体)を組み合わせることにより、得ることができる。曲線1202は、可飽和赤色概日蛍光体の吸収スペクトルであり、曲線1203は、対応する発光スペクトルである。例えばK2[TiF6]:Mn4+などのMnドープ蛍光体により、スペクトル1202およびスペクトル1203を得ることができる。
【0167】
図13は、このような白色LED源およびこのような可飽和蛍光体を組み合わせるための可能な方法を示す。図13において、デバイス1303から放射された白色光を概日蛍光体によって吸収することが可能なように、可飽和概日蛍光体1302をLED源1301の上方に配置する。多様な他の構成も可能であり、例えば、概日蛍光体を白色LEDの蛍光体と混合してもよいし、あるいはリモート構成内に設けてもよい。
【0168】
図14Aおよび図14Bは、図13に示すシステムの結果として生じるスペクトルおよび比色分析特性を示す。図14Aは、多様なLED駆動電流においてシステムから放射されるスペクトルを示す。低駆動電流においては、可飽和蛍光体は飽和せず、その吸収範囲内の光(例えば、青色−シアン光)のほとんどを吸収するため、結果スペクトル1401が発生する。より高い駆動電流において、蛍光体吸収は部分的に飽和し、青色−シアン光の一部が透過され、結果スペクトル1402が発生する。さらに高い駆動電流において、蛍光体吸収は完全に飽和し、概日蛍光体からの摂動をほとんど伴わずに白色LED1403の元のスペクトルが放射される。図14Bは、各駆動電流に対する(x、y)空間における対応する色度を示す。低駆動電流において、CCTは約2000K 1405であり、より高い駆動電流において、CCTは約2500K 1406であり、最高駆動電流において、CCTは約3000K 1407である。いずれの場合も、色度は、プランク軌跡1404に近い。
【0169】
図12〜図14の実施形態は、いくつかの所望の特性を達成する。高駆動電流(例えば、曲線1402を参照)において、実施形態は、高CRIを備えた従来のハロゲンレトロフィットのような挙動を示す(例えば、概日刺激は、標準光源Aに対して128%である)。電流が低下すると(例えば、曲線1403および1401を参照)、色度は、より低いCCTへ(1407から1406から1405へと)シフトし、その結果、調光されたハロゲンまたは白熱灯の挙動を模倣する。加えて、概日刺激が低下するように、すなわち、最低の駆動条件において、範囲440nm〜490nmにおいては放射はほとんど無く(例えば、曲線1401を参照)、そのため、概日システムの刺激も極めて少量である(概日刺激は、標準光源Aに対してわずか8%である)ように、スペクトルが変更される。
【0170】
他の実施形態と同様に、図14Aに示すSPDの特性は、範囲400nm〜440nmにおける出力Fvの相対的な割合と、範囲440nm〜500nmにおける出力Fcの割合によって特徴付けられる。SPD1401の場合、Fv=0.06およびFc=0.01であり、SPD1402の場合、Fv=0.08およびFc=0.12である。Fcの値はSPD1401に対して特に低く、極めて低い概日刺激と関連付けられ得る。これは、実質的な出力割合が範囲440nm〜500nm(さらに低CCT源の場合、CCTは2700Kを下回る)にある典型的なLED源と対照的である。
【0171】
変化するCCT源が当該技術分野において公知であり、概日刺激を調節するのに有用であり得るが、本実施形態は、より優れた特性を有する。低駆動条件下においては、概日刺激は極めて低い。すなわち、青色ポンプLEDを使用した従来のLED源を用いて、または従来の白熱/ハロゲンランプ調光の調光によって達成されるものよりも、その概日刺激は実際に低い。例えば、CCTが2000Kである黒体スペクトルを放射する調光されたフィラメントランプは、光源Aに対してまだ約54%の概日刺激を有する。さらに、スペクトル調節するために多チャネルドライバを必要としないという点で、本実施形態は「受動的」である。そのため、任意の高度制御回路が無い場合、このような実施形態をレトロフィットランプ、またはより一般的には照明システムと一体化させることができる。いくつかのこのような場合、標準調光スイッチが、必要な制御を提供する。
【0172】
本実施形態においては、紫色光により、青色−シアン光が無い場合でも、色度を低駆動電流においてプランクに近づけることが可能であるので、紫色ポンプの存在が重要となる。
【0173】
本実施形態の多様な態様は、有利に制御することができる。例えば、最適化の目的のために、ポンプLEDの光学特性を変更することができ、蛍光体の選択を変更することができ、蛍光体の相対的なローディングを変更することができるからである。最適化基準は、多様な調光レベルにおける源のCRI、その色度および多様な調光レベル、および多様な調光レベルにおける概日による影響に関連する測定基準がある。厳密に一例として、最適化基準は、一体化された概日作用スペクトルの態様を含むことができる。例えば、10%調光のような所望の駆動において飽和が発生するように、概日蛍光体のローディングを選択することができる。他の実施形態において、1つよりも多くの概日蛍光体が用いられる。
【0174】
他の実施形態において、白色LEDは、例えば、蛍光体変換LEDよりむしろ紫色LED、緑色LEDおよび赤色LEDの使用のような複数のLEDチップによって得られる。他の実施形態において、源の色度は、プランク軌跡に追随せず、例えばプランク軌跡の下側に存在し得、既述したような好適な知覚と関連する場合がある。
【0175】
実施形態は、多様なシステムと一体化させることができる。これは、照明システム(例えば、ランプ、反射板その他)および非照明システム(例えば、表示用途)を含む。
【0176】
図15A1〜図15Iは、照明用途に適用することが可能な本開示の実施形態を示す。これらの実施形態において、図15A〜図15A3に示すように、本開示において教示されるような1つ以上の発光ダイオード15A10をサブマウントまたはパッケージ上に取り付けて、電気相互接続を提供することができる。図15B1〜図15B3に示すように、サブマウントまたはパッケージは、セラミック、酸化物、窒化物、半導体、金属、または多様なLEDのための電気相互接続機能15A20を含むこれらの組み合わせであり得る。サブマウントまたはパッケージは、熱インターフェースを介してヒートシンク部材15B50へ取り付けることができる。多様なLEDからの一次放出を混合することによって、または例えば、蛍光体、半導体または半導体ナノ粒子(「量子ドット」)あるいは上記のうちいずれかの組み合わせなどのLED光励起波長下方変換材料によって、所望の発光スペクトルを生成するようにLEDを構成することができる。
【0177】
LEDの合計発光表面(LES)および任意の下方変換材料により、光源15A30を形成することができる。1つ以上の光源をアレイ15B20内へ相互接続することができ、アレイ15B20は、順にコネクタ15B10と電気接触し、アセンブリ15B30に至る。1つ以上のレンズ要素15B40を光源へ光学的に接続することができる。照明製品のための所望の指向性ビームパターンを所与のLESに対して達成するように、レンズ設計および特性を選択することができる。指向性照明製品は、LEDモジュール、組み込みランプ15B70または照明固定具15C30であり得る。レトロフィットランプの場合、電子ドライバは周囲部材15B60と共に設けることができ、ドライバにより、外部源からの電気出力を調整して、LED光源に適した状態にする。ドライバは、レトロフィットランプ内に一体化させることができる。固定具の場合、外部源からの電気出力を調節してLED光源に適した状態にする電子ドライバが提供される。ドライバは、固定具と一体化されるか、あるいは、外部から固定具へ提供される。モジュールの場合、電子ドライバは、外部源からの電気出力を調節してLED光源に適した状態にするように提供され得る。ドライバは、モジュールと一体化されるか、あるいは、外部からモジュールへ提供される。適切な外部出力源の例は、電源AC(例えば、120VrmsACまたは240VrmsAC)、低電圧AC(例えば、12VAC)、および低電圧DC(例えば、12VDC)を含む。レトロフィットランプの場合、照明製品全体を標準形状因子(例えば、ANSI形状因子)に適合するように設計することができる。レトロフィットランプ製品の例は、LEDMR16、PAR16、PAR20、PAR30、PAR38、BR30、A19および多様な他のランプの型を含む。固定具の例は、ハロゲンベースおよびセラミック金属ハロゲン化物ベースの指向性照明固定具の代替物を含む。
【0178】
いくつかの実施形態において、本開示は、非指向性照明用途に適用することができる。これらの実施形態において、本開示によって教示されるような1つ以上の発光ダイオード(LED)をサブマウントまたはパッケージ上に取り付けて、電気相互接続を提供することができる。サブマウントまたはパッケージは、例えば、セラミック、酸化物、窒化物、半導体、金属、または多様なLEDのための電気相互接続機能を含む前述のものの組み合わせであり得る。サブマウントまたはパッケージは、熱インターフェースを介してヒートシンク部材へ取り付けられ得る。多様なLEDからの一次放出を混合することによって、または例えば、蛍光体、半導体または半導体ナノ粒子(「量子ドット」)あるいはそれらの組み合わせなどのLED光励起波長下方変換材料によって、所望の発光スペクトルを生成するようにLEDを構成することができる。LEDは、所望の形状の光源を得るために、分配することができる。例えば、1つの一般的な形状として、従来の蛍光灯線形管ランプの代替物としての線形光源がある。1つ以上の光学要素をLEDに接続することにより、所望の非指向性光分布を得ることができる。非指向性照明製品は、LEDモジュール、レトロフィットランプまたは照明固定具であり得る。レトロフィットランプの場合、外部源からの電気出力を調節してLED光源に適した状態にする電子ドライバが提供される。ドライバは、レトロフィットランプに一体化される。固定具の場合、電子ドライバは、外部源からの電気出力を調節してLED光源に適した状態にするように提供される。ドライバは、固定具と一体化されるか、あるいは、外部から固定具へ提供される。モジュールの場合、電子ドライバは、外部源からの電気出力を調節してLED光源に適した状態にするように提供される。ドライバは、モジュールと一体化されるか、あるいは、外部からモジュールへ提供される。外部出力源の例は、電源AC(例えば、120VrmsACまたは240VrmsAC)、低電圧AC(例えば、12VAC)、および低電圧DC(例えば、12VDC)を含む。レトロフィットランプの場合、照明製品全体を標準形状因子(例えば、ANSI形状因子)に適合するように設計することができる。非指向性照明製品の例を図15C1、図15C2および図15C3に示す。このような照明固定具は、蛍光灯ベースの反射板照明器具15C30の代替物を含み得る。本実施形態において、LEDをパッケージ15C10中へ機械的に固定し、複数のパッケージは、例えば、線形アレイ15C20のような適切な形状に配置される。
【0179】
本開示のいくつかの実施形態は、フラットパネル表示用途のためのバックライトに適用することができる。これらの実施形態において、本開示によって教示されるような1つ以上の発光ダイオード(LED)をサブマウントまたはパッケージ上に取り付けて、電気相互接続を提供することができる。サブマウントまたはパッケージは、セラミック、酸化物、窒化物、半導体、金属、または多様なLEDのための電気相互接続機能を含む前述のものの組み合わせであり得る。サブマウントまたはパッケージは、熱インターフェースを介してヒートシンク部材へ取り付けられ得る。多様なLEDからの一次放出を混合することによって、または例えば、蛍光体、半導体または半導体ナノ粒子(「量子ドット」)あるいは上記のうちいずれかの組み合わせなどのLED光励起波長下方変換材料によって、所望の発光スペクトルを生成するようにLEDを構成することができる。LEDは、所望の形状の光源を得るために、分配することができる。1つの一般的な形状として、線形光源がある。光源は、バックライトのための光導波路へ光学的に接続され得る。これは、光導波路の縁部において接続(縁部点灯)することによって、または光導波路の後ろ側から光を接続する(直接点灯)ことによって、達成することができる。光導波路により、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)パネルのような制御可能なディスプレイに向かって光が均等に分配される。このディスプレイは、光透過およびその色の電気制御に基づいてLED光を所望の画像に変換する。色制御の1つの方法として、フィルタ(例えば、色フィルタ基板15D40)の利用がある。あるいは、複数のLEDを用い、パルスモードで駆動して、所望の一次放出色(例えば、赤色LED15D30、緑色LED15D10および青色LED15D20を用いて)を順序付けることができる。任意選択的な輝度向上フィルムをバックライト「スタック」中に含むことができる。輝度向上フィルムは、フラットパネル表示発光を狭めて、観察者が見ている角度を犠牲にして輝度を増加させる。外部源からの電気出力を調節して、LED位置ごとの任意の色順序付けまたは輝度変化(例えば、一次元または二次元調光)を含むバックライトのためのLED光源に適した状態にする電子ドライバが提供される。。外部出力源の例は、電源AC(例えば、120VrmsACまたは240VrmsAC)、低電圧AC(例えば、12VAC)、および低電圧DC(例えば、12VDC)を含む。バックライト製品の例を図15D1、図15D2、図15E1および図15E2に示す。
【0180】
本開示のいくつかの実施形態は、図15F1〜図15Fに示すような自動車用前方照明用途に適用することができる(例えば、自動車用前方照明製品15F30の例を参照)。これらの実施形態において、1つ以上の発光ダイオード(LED)をサブマウント上または剛体または半剛体パッケージ15F10上に取り付けて、電気相互接続を提供することができる。サブマウントまたはパッケージは、セラミック、酸化物、窒化物、半導体、金属、または多様なLEDのための電気相互接続機能を含むこれらの組み合わせであり得る。サブマウントまたはパッケージは、熱インターフェースを介してヒートシンク部材へ取り付けられ得る。多様なLEDからの一次放出を混合することによって、または例えば、蛍光体、半導体または半導体ナノ粒子(「量子ドット」)あるいは上記のうちいずれかの組み合わせなどのLED光励起波長下方変換材料によって、所望の発光スペクトルを生成するようにLEDを構成することができる。LEDの合計発光表面(LES)および任意の下方変換材料により、光源が形成される。1つ以上のレンズ要素15F20は、光源へ光学的に接続され得る。所与のLEDのための自動車用前方照明用途に対して所望の指向性ビームパターンが生成されるように、レンズ設計および特性が選択され得る。外部源からの電気出力を調節してLED光源に適した状態にする電子ドライバが提供され得る。自動車用用途のための出力源は、低電圧DC(例えば、12VDC)を含む。LED光源は、高ビーム機能、低ビーム機能、サイドビーム機能またはこれらの任意の組み合わせを行い得る。
【0181】
本開示の特定の実施形態は、例えば、携帯電話およびデジタルスチルカメラ用の照明(例えば、図15G1〜図15G4を参照)のようなデジタル画像化用途に適用することができる。これらの実施形態において、本開示によって教示されるような1つ以上の発光ダイオード(LED)をサブマウントまたはパッケージ15G10上に取り付けて、電気相互接続を提供することができる。サブマウントまたはパッケージは、例えば、セラミック、酸化物、窒化物、半導体、金属、または多様なLEDのための電気相互接続機能を含む前述のものの組み合わせであり得る。サブマウントまたはパッケージは、回路基板部材へ取り付けられ得、取付用パッケージ15G20に取り付けられるかまたは取付用パッケージ15G20内に収められ得る。多様なLEDからの一次放出を混合することによって、または例えば、蛍光体、半導体または半導体ナノ粒子(「量子ドット」)あるいはそれらの組み合わせなどのLED光励起波長下方変換材料によって、所望の発光スペクトルを生成するようにLEDを構成することができる。LEDの合計発光表面(LES)および任意の下方変換材料により、光源が形成される。1つ以上のレンズ要素を光源へ光学的に接続することができる。画像化用途のための所望の指向性ビームパターンが所与のLESに対して達成されるように、レンズ設計および特性を選択することができる。外部源からの電気出力を調節してLED光源に適した状態にする電子ドライバが提供され得る。画像化用途のための適切な外部出力源の例は、低電圧DC(例えば、5VDC)を含む。LED光源は、低強度機能15G30、高強度機能15G40またはこれらの任意の組み合わせを行うことができる。
【0182】
本開示のいくつかの実施形態は、携帯端末用途に適用することができる。図15Hは、携帯端末を示す図である(スマートフォンアーキテクチャ15H00を参照)。図示のように、スマートフォン15H06は、ハウジング、表示画面、およびボタン、マイクロフォンおよび/またはタッチスクリーンを含み得るインターフェースデバイスを含む。特定の実施形態において、電話は、多様なモードにおいて用いることが可能な高解像度カメラデバイスを有する。スマートフォンの一例として、Apple Inc.(Cupertino、California)製のiPhoneが挙げられる。あるいは、スマートフォンは、Samsung製のGalaxyなどであってもよい。
【0183】
一例において、スマートフォンは、以下の機能(変更例もあり得るが、Apple Inc.製のiPhone4において見受けられる)のうち1つ以上を含み得る、www.apple.comを参照:
GSMモデル:UMTS/HSDPA/HSUPA(850、900、1900、2100MHz);GSM/EDGE(850、900、1800、1900MHz)
CDMAモデル:CDMAEV−DORev.A(800、1900MHz)
802.11b/g/nWi−Fi(802.11n2.4GHzのみ)
Bluetooth2.1+EDR無線技術
GPSアシスト
デジタルコンパス
Wi−Fi
セルラー
網膜表示
3.5インチ(対角)ワイド画面マルチタッチディスプレイ
800:1コントラスト比(典型例)
500cd/m2最大輝度(典型例)
前部および後部上に耐指紋撥油性コーティング
多言語および文字の同時表示サポート
5メガピクセルiSightカメラ
ビデオ記録、HD(720p)(音声と共に30フレーム/秒まで)
VGA品質写真およびビデオ(30フレーム/秒まで、前カメラ付き)
タップして、ビデオまたは静止画像をフォーカスする機能
LEDフラッシュ
写真およびビデオのジオタギング
再充電可能なリチウムイオン電池を内蔵
コンピュータシステムまたは電力アダプタへのUSBを介して充電
連続通話時間:3Gの場合は20時間、2G(GSM)の場合は14時間
スタンバイ時間:300時間まで
インターネット使用:3Gの場合最長6時間、Wi−Fiの場合最長10時間
ビデオ再生:最長10時間
オーディオ再生:最長40時間
周波数応答:20Hz〜22,000Hz
サポートされるオーディオフォーマット:AAC(8〜320Kbps)、保護付きAAC(iTunesStore)、HE−AAC、 MP3(8〜320Kbps)、MP3VBR、オーディブル(フォーマット2、3、4、オーディブル向上オーディオ、AAX、およびAAX+)、Apple無損失、AIFF、およびWAV
ユーザにより構成可能な最大量制限
AppleデジタルAVアダプタまたはAppleVGAアダプタによるビデオ出力サポート;576pおよび480p(AppleコンポーネントAVケーブル);576iおよび480i(Apple複合AVケーブル(別個に販売されるケーブル)
サポートされるビデオフォーマット:H.264ビデオ(1080pまで)、30フレーム/秒、主要プロファイルレベル3.1(AAC−LCオーディオは160Kbpsまで)、48kHz、ステレオオーディオ(.m4v、.mp4、および.mov ファイルフォーマット);MPEG−4ビデオ(2.5Mbpsまで、640×480画素、30フレーム/秒、単純なプロファイル(AAC−LCオーディオ(チャネル毎に160Kbpsまで、48kHz、ステレオオーディオ(.m4v、.mp4、および.mov ファイルフォーマット);モーションJPEG(M−JPEG)(35Mbpsまで、1280×1020画素、30フレーム/秒、オーディオin ulaw、PCMステレオオーディオin.aviファイルフォーマット)
3軸ジャイロ
加速度計
近接センサー
周辺光センサーなど
【0184】
本開示の実施形態は、他の電子デバイスと共に用いることが可能である。適切な電子デバイスの例は、例えば、メディアプレーヤ、セルラー電話、パーソナルデータオーガナイザーなどのポータブル電子デバイスを含む。このような実施形態において、ポータブル電子デバイスは、このようなデバイスの機能の組み合わせを含み得る。加えて、電子デバイスにより、ユーザがインターネットを通じてまたは例えば、ローカルまたは広域ネットワークなどの他のネットワークを通じて接続および通信することが可能になる。例えば、ポータブル電子デバイスにより、ユーザがインターネットヘアクセスし、eメール、テキストメッセージング、インスタントメッセージングまたは他の形態の電子通信を用いることができる。例として、電子デバイスは、Apple Inc.から販売されている表示画面を有するipodまたはiPhoneに類似し得る。
【0185】
特定の実施形態において、デバイスは、1つ以上の再充電可能および/または交換可能な電池により、動作することができる。このような実施形態は携帯性が高いため、ユーザが移動時、仕事中、運動時などにおいて電子デバイスを持ち運ぶことが可能になる。このようにして、電子デバイスによって提供される機能に応じて、ユーザは、デバイスを持ちながら自由に移動しつつ、音楽鑑賞、ゲームまたはビデオの再生、ビデオまたは画像の記録、電話をかけるおよび受けること、他社との通信、(例えば、リモート制御および/またはBluetooth機能を介した)他デバイスの制御などを行うことができる。加えて、デバイスのサイズは、ユーザのポケットまたは手中に比較的容易に適合するようなサイズにされ得る。本開示の特定の実施形態についてポータブル電子デバイスについて述べてきたが、本開示の技術は、例えば、デスクトップコンピュータなどのグラフィカルデータを提供するように構成された多様な他のポータブル性の低い電子デバイスおよびシステムにも適用することができる点に留意されたい。
【0186】
図示のように、図15Hは、本開示の実施形態によるLEDを含むスマートフォンを有するシステム図を含む。スマートフォン15H06は、任意の形態のハンドヘルド電子デバイスと電子通信しているサーバ15H02と通信するように、構成される。このようなハンドヘルド電子デバイスの例示的な例は、例えば、プロセッサ15H08、メモリ15H10、グラフィックアクセラレータ15H12、加速度計15H14、(恐らくはアンテナ15H16を含む)通信インターフェース15H11、コンパス15H18、GPSチップ15H20、表示画面15H22、および入力デバイス15H24などの機能コンポーネントを含む。各デバイスは、例示のコンポーネントに限定されない。コンポーネントは、ハードウェア、ソフトウェアまたはこれらの組み合わせであり得る。
【0187】
いくつかの例において、電子画像化用途における機能を実行するようにプロセッサ15H08に指示する命令は、ハンドヘルド電子デバイスへ入力デバイス15H24を通じて入力することができる。1つの可能な命令は、ヒトユーザの一部の取得画像の抜粋を生成することであり得る。その場合、プロセッサ15H08は、通信インターフェース15H11に、(例えば、恐らくはクラウド15H04を通じてまたは用いて)サーバ15H02と通信し、データ(例えば、画像データ)を転送するように命令する。このデータは、通信インターフェース15H11によって転送され、画像取得の直後にプロセッサ15H08によって処理されるか、または、後の使用のためにメモリ15H10内に保存されるか、あるいは両方が行われる。プロセッサ15H08はまた、表示画面の属性に関する情報を受信し、例えば加速度計15H14および/または例えばコンパス15H18からのコンパスヘッディングまたはGPSチップ15H20からのGPS位置などの他の外部データからの情報を用いて、デバイスの方向を計算することができ、その後、プロセッサはこの情報を用いて、当該画像を表示する方向を例に応じて決定する。
【0188】
取得画像は、プロセッサ15H08、グラフィックアクセラレータ15H12、またはこれら2つの組み合わせによってレンダリングされ得る。いくつかの実施形態において、プロセッサは、グラフィックアクセラレータ15H12であり得る。画像は、先ずメモリ15H10中に保存されるか、あるいは、利用可能な場合は、メモリがグラフィックアクセラレータ15H12と直接関連付けられ得る。本明細書中に記載される方法は、プロセッサ15H08、グラフィックアクセラレータ15H12またはこれら2つの組み合わせによって実行されて、画像および関連抜粋が生成される。画像または抜粋は、表示画面15H22上に表示され得る。
【0189】
図151は、電子デバイス15I00中のコンポーネントの相互接続を示す。電子デバイスの例は、上記したコンポーネント相互接続に加えて、筐体またはハウジング、ディスプレイ、ユーザ入力構造、および入力/出力コネクタを含む。筐体は、プラスチック、金属、複合材料、または他の適切な材料、またはこれらの任意の組み合わせから形成され得る。筐体は、電子デバイスの内部コンポーネントを物理的損傷から保護することができ、内部コンポーネントを電磁妨害(EMI)から遮断することもできる。
【0190】
ディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ベースのディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED)ベースのディスプレイまたはいくつかの他の適切なディスプレイであり得る。本開示の特定の実施形態によれば、ディスプレイは、ユーザインターフェースおよび例えば、ロゴ、アバター、写真、アルバムアートなどの多様な他の画像を表示することができる。さらに、特定の実施形態において、ディスプレイは、ユーザのユーザインターフェースとの相互作用を媒介するタッチスクリーンを含み得る。ディスプレイはまた、例えば、出力状態、呼び出し状態、メモリ状態などのユーザへフィードバックを提供するための多様な機能および/またはシステムインジケータを含み得る。これらのインジケータを、ディスプレイ上に表示されたユーザインターフェースに組み込むことができる。
【0191】
特定の実施形態において、例えば動作モード、出力レベル、出力種類などを制御することによりデバイスを制御するように、ユーザ入力構造のうち1つ以上を構成することができる。例えば、ユーザ入力構造は、デバイスをオンまたはオフにするためのボタンを含み得る。さらに、ユーザ入力構造により、ユーザがディスプレイ上のユーザインターフェースと相互作用することが可能になる。ポータブル電子デバイスの実施形態は、ボタン、スイッチ、制御パッド、スクロールホイール、または他の任意の適切な入力構造を含む任意の数のユーザ入力構造を含み得る。ユーザ入力構造は、デバイス上に表示されたユーザインターフェースとともに機能して、デバイスおよび/または任意のインターフェースあるいはデバイスへ接続されたかまたはデバイスによって使用されるデバイスの機能を制御する。例えば、ユーザ入力構造により、ユーザは、表示されたユーザインターフェースをナビゲートするかまたはこのような表示されたユーザインターフェースをデフォルトまたはホーム画面へ戻すことができる。
【0192】
特定のデバイスは、さらなるデバイスの接続を可能にする多様な入力および出力ポートも含み得る。例えば、ポートは、ヘッドホンの接続を提供するヘッドホンジャックであり得る。さらに、ポートは、ヘッドセット(例えば、ヘッドホンおよびマイクロフォンの組み合わせ)の接続を提供する入力および出力機能を持ち得る。本開示の実施形態は、例えば、ヘッドホンおよびヘッドセットジャック、ユニバーサルシリアスバス(USB)ポート、IEEE−1394ポート、およびACおよび/またはDC出力コネクタなどの任意の数の入力ポートおよび/または出力ポートを含み得る。さらに、デバイスは、例えば、他のポータブル電子デバイス、パーソナルコンピュータ、プリンターなどの他の任意のデバイスとの接続およびデータの送受信を行うための入力および出力ポートを用いることができる。例えば、一実施形態において、デバイスは、IEEE−1394接続を介してパーソナルコンピュータへ接続し、これにより、例えば、メディアファイルのようなデータファイルの送受信を行うことができる。
【0193】
電子デバイス15I00の記述は、本開示の実施形態によるスマートフォンシステムの図を含む。電子デバイス15I00の記述は、上記の開示を実行する際に用いることが可能なコンピュータハードウェア、ソフトウェアおよびファームウェアを示す。図示のシステムは、識別された計算を行うように構成されたソフトウェア、ファームウェア、およびハードウェアを実行することが可能な任意の数の物理的かつ/または論理的に別個のリソースを表すプロセッサ15I26を含む。プロセッサ15I26は、プロセッサ15I26への入力およびプロセッサ15I26からの出力を制御することができるチップセット15I28と通信する。チップセット15I28は、。この例において、チップセット15I28は、情報を表示画面15I42へ出力し、例えば、磁気メディアおよび固体メディア、および/または他の非持続的メディアを含み得る不揮発性記憶装置15I44への情報の読み出しおよび書き込みを行うことができる。チップセット15I28は、RAM 15I46からデータを読み出すこともRAM15I46へデータ書き込むこともできる。多様なユーザインターフェースコンポーネントとインターフェースをとるためのブリッジ15I32を、チップセット15I28とインターフェースをとるために設けることができる。このようなユーザインターフェースコンポーネントは、キーボード15I34、マイクロフォン15I36、接触検出および処理回路15I38、ポインティングデバイス15I40(例えば、マウス)などを含む。一般的には、システムへの入力は、機械により生成されたおよび/または人間により生成された多様なソースのうちいずれかからのものであり得る。
【0194】
チップセット15I28は、異なる物理的インターフェースを持ち得る1つ以上のデータネットワークインターフェース15I30ともインターフェースをとり得る。このようなデータネットワークインターフェース15I30は、有線および無線ローカルエリアネットワークのためのインターフェース、広帯域無線ネットワークのためのインターフェース、ならびにパーソナルエリアネットワークのためのインターフェースを含む。本明細書中に開示されるGUIの生成、表示および使用のための方法の用途をいくつは、マシン自身によってプロセッサ15I26によって生成されたデータの物理的インターフェース15I31を介した受信、不揮発性記憶装置15I44および/またはメモリまたはRAM 15I46中に保存されたデータの分析を含む。さらに、マシンは、ユーザからの入力を例えば、キーボード15I34、マイクロフォン15I36、接触検出および処理回路15I38、およびポインティングデバイス15I40などのデバイスを介して受信し得、これらの入力をプロセッサ15I26を用いて解釈することにより、例えば、ブラウズ機能のような適切な機能を実行し得る。
【0195】
概日周期における発光システムへの影響の評価は、医療または臨床試験の使用を含む多様な方法で行うことができる。このような試験において、発光システムへ露出された被験者について、概日周期に関連する多様な生理学的信号を監視することができる。例えば、被験者の唾液または血液中のメラトニン抑制を測定することが可能である。多様なホルモンを含む他の生理学的信号を、唾液または血液サンプルからまたは他の試験において測定することができる。このようなプロトコルは、当業者にとって公知であり、化学文献中に記載されている。特定の生理学的応答(例えば、特定のホルモンのレベル)、特に、特定の医療状態および/または光スペクトル成分と関連すると知られあるいは確信されている状態に相関することが知られている応答を、このような試験において目標とすることができる。
【0196】
例えば、Brainardは、光露出下におけるメラトニン抑制を測定するプロトコルが開示している。そのプロトコルのいくつかの工程を以下に示す。
−通常の視覚を有する被験者を選択する。
−夜中に、薄明かりを点した部屋に被験者に入室させ、瞳孔を拡張させ、2時間待機させる。
−採取された場合の血液サンプル。
−被験者を試験光へ90分間露出させた後、第2の血液サンプルを採取する。
−血液サンプル中のメラトニン成分を決定し、対照実験(例えば、光露出無し)と相対的なメラトニン低下を比較する。
【0197】
他の試験プロトコルは、例えば、Westら、「Blue light from light−emitting diodes elicits a dose−dependent suppression of melatonin in humans」J.Appl. Physiol.110,619−626(2011))などの多様な文献中に見ることができる。
【0198】
本開示は、発光ダイオードデバイスに集中しているが、本発明は、レーザダイオードデバイスに基づいた照明または表示システムにも適用されることが理解され得る。
【0199】
本開示によって提供される特定の実施形態において、光源は、第1の発光によって特徴付けられた少なくとも1つの第1のLED発光源と、第2の発光によって特徴付けられた少なくとも1っの第2のLED発光源とを含み、第1の発光および第2の発光は、第1の複合発光および第2の複合発光を提供するように構成され、第1の複合発光は、第1のSPDおよび割合Fv1およびFc1によって特徴付けられ、第2の複合発光は、第2のSPDおよび割合Fv2およびFc2によって特徴付けられ、Fv1は、400nm〜440nmの波長範囲における第1のSPDの出力の割合を示し、Fc1は、440nm〜500nmの波長範囲における第1のSPDの出力の割合を示し、Fv2は、400nm〜440nmの波長範囲における第2のSPDの出力の割合を示し、Fc2は、440nm〜500nmの波長範囲における第2のSPDの出力の割合を示し、第1のSPDおよび第2のSPDは80を超える演色評価数を有し、Fv1は少なくとも0.05であり、Fc2は少なくとも0.1であり、Fc1は、Fc2よりも少なくとも0.02だけ小さい。
【0200】
光源の特定の実施形態において、第1の複合発光は、第1の概日刺激によって特徴付けられ、第2の複合発光は、第2の概日刺激によって特徴付けられ、第2の概日刺激は、第1の概日刺激の少なくとも2倍である。
【0201】
光源の特定の実施形態において、第1のLED発光源は、範囲405nm〜430nmであるピーク発光によって特徴付けられた少なくとも1つのLEDを含む。
【0202】
光源の特定の実施形態において、第1の発光および第2の発光は、第3の複合発光を提供するように構成され、第3の複合発光は、第3のSPD、割合Fv3、割合Fc3、および第3の概日刺激によって特徴付けられ、Fv3は、400nm〜440nmの波長範囲における第3のSPDの出力割合を示し、Fc3は、440nm〜500nmの波長範囲内における第3のSPDの出力割合を示し、第3のSPDは、80を超える演色評価数を有し、第1の概日刺激と第3の概日刺激は異なる。
【0203】
光源の特定の実施形態において、第2の発光は、波長下方変換材料からの青色発光を含む。
【0204】
光源の特定の実施形態において、第2の発光は、LEDからの直接の青色発光を含む。
【0205】
光源の特定の実施形態において、複合発光のうち1つは、D65基準光源の概日刺激に類似する概日刺激を誘導する。
【0206】
光源の特定の実施形態において、複合発光のうち1つは、CIE A基準光源の概日刺激を下回る概日刺激を誘導する。
【0207】
光源の特定の実施形態において、少なくとも1つの第1のLED発光源および少なくとも1つの第2のLED発光源は、混合された物理的配置において構成される。
【0208】
光源の特定の実施形態において、第1のSPDおよび第2のSPDはそれぞれ、色度が図5Bの白色光境界領域514内の色度により、特徴付けられる。
【0209】
光源の特定の実施形態において、第1のSPDおよび第2のSPDはそれぞれ、色度がプランク軌跡の±0.005によって境界付けられ、かつCIE色度図における最小色相シフト曲線の±0.005によって境界付けられる色度により、特徴付けられる。
【0210】
光源の特定の実施形態において、第1のSPDおよび第2のSPDはそれぞれ、色度がプランク軌跡の+/−5個のDu’v’点内の色度により、特徴付けられる。
【0211】
光源の特定の実施形態において、100ルクスの照度での90分間の第2のSPDへの被験者の露出は、少なくとも20%の被験者の血液メラトニン濃度の抑制をもたらす。
【0212】
光源の特定の実施形態において、100ルクスの照度での90分間の第1のSPDへの被験者の露出は、最大で20%の被験者の血液メラトニン濃度の抑制をもたらす。
【0213】
光源の特定の実施形態において、Fc1は最大で0.06である。
【0214】
特定の実施形態において、表示システムは、第1の発光によって特徴付けられる第1のLED発光源と、範囲400nm〜435nmにおける出力の第1の割合Fv1によって特徴付けられる第1のSPDを放射するように構成されたディスプレイとを含み、表示システムは、NTSCの少なくとも70%の色域によって特徴付けられ、3000K〜9000Kの範囲のCCTで第1のSPDは実質的に白色であり、Fv1は少なくとも0.05である。
【0215】
表示システムの特定の実施形態において、ディスプレイは、同じCCTを有する基準光源の概日刺激よりも低い概日刺激により、特徴付けられる発光スペクトルを含む。
【0216】
表示システムの特定の実施形態において、表示システムは、色フィルタセットおよび液晶ディスプレイをさらに含む。
【0217】
表示システムの特定の実施形態において、第1のSPDは、波長wでの400nm〜435nmの波長範囲におけるピークにより、特徴付けられ、色フィルタセットは、最大透過Tmにより、かつ波長wでの透過Twにより特徴付けられる青色フィルタを含み、Tw/Tm>0.8である。
【0218】
特定の実施形態において、表示システムは、第2の発光によって特徴付けられる第2のLED発光源をさらに含み、第1の発光および第2の発光の比は、概日刺激を変化させるように調節されるように、構成される。
【0219】
表示システムの特定の実施形態において、表示システムは、TV、デスクトップPC、ノートブックPC、ラップトップPC、タブレット、スマートフォン、MP3プレーヤと共に用いられるように構成される。
【0220】
表示システムの特定の実施形態において、第1のSPDの出力の5%未満が、440nm〜500nmの波長範囲内にある。
【0221】
特定の実施形態において、光源は、一次放出を放射するように構成されたLEDデバイスと、一次放出へ光学的に結合された1つ以上の波長変換材料とを含み、一次放出の一部は波長変換材料によって吸収されて、二次放出を生成し、一次放出および二次放出の組み合わせは、CCTおよび演色評価数を有するSPDによって特徴付けられた白色光を生成し、SPDのうち少なくとも5%は、400nm〜435nmの波長範囲内にあり、SPDの概日刺激は、同じ色温度を有する基準光源の概日刺激の80%未満であり、白色光は、80を超える演色評価数により、特徴付けられる。
【0222】
光源の特定の実施形態において、一次放出は、405nm〜425nmのピーク波長により、特徴付けられる。
【0223】
特定の実施形態において、照明システムは、一次SPDによって特徴付けられた一次放出を放射するように構成されたLEDデバイスと、一次放出へ光学的に結合された少なくとも1つの蛍光体とを含み、少なくとも1つの蛍光体は、青色−シアン波長領域内における可飽和吸収により、特徴付けられ、LEDデバイスは、一次放出を調光するように構成された出力信号によって制御されるように、構成され、第1の出力レベルにおいて、システムは、440nm〜500nmの波長範囲におけるスペクトル出力の第1の割合fc1と第1のCCTとにより、特徴付けられる第1のSPDを放射し、第2の出力レベルにおいて、システムは、440nm〜500nmの波長範囲におけるスペクトル出力の第2の割合fc2と第2のCCTとにより、特徴付けられる第2のSPDを放射すし、第2の出力レベルは、第1の出力レベルよりも低く、第2の割合fc2は、第1の割合fc1の80%よりも低い。
【0224】
照明システムの特定の実施形態において、第2のCCTは、第1のCCTよりも少なくとも500K低い。
【0225】
照明システムの特定の実施形態において、一次SPDの少なくとも5%は、400nm〜435nmの波長範囲内にある。
【0226】
最後に、本明細書中に開示される実施形態を実行する代替的方法が存在する点に留意されたい。よって、本実施形態は、限定的なものとしてではなく例示的なものとしてみなされるべきであり、特許請求の範囲は、本明細書中に記載される詳細に限定されず、その範囲および均等物内において変更が可能である。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の発光によって特徴付けられた少なくとも1つの第1のLED発光源と、
第2の発光によって特徴付けられた少なくとも1つの第2のLED発光源と、
前記第1のLED発光源と前記第2のLED発光源との発光比を制御し、第1の発光と第2の発光を複合し、少なくとも、前記複合の第1の状態である第1の複合発光と前記複合の第2の状態である第2の複合発光を、提供するドライバ回路と、
を含み、
前記第1の複合発光は、第1のSPDと割合Fv1およびFc1とにより特徴付けられ、
前記第2の複合発光は、第2のSPDと割合Fv2およびFc2とにより特徴付けられ、
Fv1は、400nm〜440nmの波長範囲における前記第1のSPDの出力の割合を示し、
Fc1は、440nm〜500nmの波長範囲における前記第1のSPDの出力の割合を示し、
Fv2は、400nm〜440nmの波長範囲における前記第2のSPDの出力の割合を示し、
Fc2は、440nm〜500nmの波長範囲における前記第2のSPDの出力の割合を示し、
前記第1のSPDおよび前記第2のSPDは、80を超える演色評価数を有し、
Fv1は少なくとも0.05であり、
Fv1はFv2より高く、
Fc2は少なくとも0.1であり、
Fc1は、Fc2よりも少なくとも0.02だけ低く、
Fc1/Fv1は0.5より低い、
光源。
【請求項2】
前記第1の複合発光は、第1の概日刺激によって特徴付けられ、
前記第2の複合発光は、第2の概日刺激によって特徴付けられ、
前記第2の概日刺激は、前記第1の概日刺激の少なくとも2倍であり、概日刺激は下記式により定義される、
【数1】

式中、c(λ)は概日刺激スペクトルであり、SPD(λ)は概日刺激スペクトル出力分布である、
請求項1の光源。
【請求項3】
前記第1のLED発光源は、範囲405nm〜430nmにおけるピーク発光によって特徴付けられる少なくとも1つのLEDを含む、請求項1の光源。
【請求項4】
前記ドライバ回路は、前記複合の第3の状態である第3の複合発光を提供し、
前記第3の複合発光は、第3のSPD、割合Fv3、割合Fc3および第3の概日刺激によって特徴付けられ、
Fv3は、400nm〜440nmの波長範囲における前記第3のSPDの出力の割合を示し、
Fc3は、440nm〜500nmの波長範囲における前記第3のSPDの出力の割合を示し、
前記第3のSPDは、80を超える演色評価数を有し、
前記第1の概日刺激と前記第3の概日刺激は異なる、
請求項2の光源。
【請求項5】
前記第2の発光は、波長を長くするための波長変換材料からの青色発光を含む、請求項1の光源。
【請求項6】
前記第2の発光は、前記第2のLED発光源からの直接の青色発光を含む、請求項1の光源。
【請求項7】
前記複合発光のうち1つは、D65基準光源の概日刺激に類似の概日刺激を有する、請求項1の光源。
【請求項8】
前記複合発光のうち1つは、CIE A基準光源の概日刺激を下回る概日刺激を有する、請求項1の光源。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第1のLED発光源は第1の一連に配置されたLEDを備え、および前記少なくとも1つの第2のLED発光源は第2の一連に配置されたLEDを備え、前記第1の一連に配置されたLEDは、前記第2の一連に配置されたLEDの一部を含む、請求項1の光源。
【請求項10】
前記第1のSPDおよび前記第2のSPDはそれぞれ、CIE色度図において、プランク軌跡の±0.005によって境界付けられ、かつ最小色相シフト曲線の±0.005によって境界付けられる、色度によって特徴付けられる、請求項1の光源。
【請求項11】
前記第1のSPDおよび前記第2のSPDはそれぞれ、色度がプランク軌跡の+/−5個のDu’v’点内の色度によって特徴付けられる、請求項1の光源。
【請求項12】
(削除)
【請求項13】
(削除)
【請求項14】
Fc1は最大で0.06である、請求項1の光源。
【請求項15】
(削除)
【請求項16】
(削除)
【請求項17】
(削除)
【請求項18】
(削除)
【請求項19】
(削除)
【請求項20】
(削除)
【請求項21】
(削除)
【請求項22】
(削除)
【請求項23】
(削除)
【請求項24】
一次SPDによって特徴付けられた一次放出を放射するように構成されたLEDデバイスと、
前記一次放出へ光学的に結合された少なくとも1つの蛍光体であって、青色−シアン波長領域内における可飽和吸収によって特徴付けられる少なくとも1つの蛍光体と、を含む照明システムであって、
前記LEDデバイスは、前記一次放出を第1の出力レベルから第2の出力レベルへと調光するように構成された出力信号によって制御されるように構成され、
前記照明システムは、第1の出力レベルにおいて、440nm〜500nmの波長範囲におけるスペクトル出力の第1の割合fc1と第1のCCTとによって特徴付けられる第1のSPDを放射し、
前記照明システムは、第2の出力レベルにおいて、440nm〜500nmの波長範囲におけるスペクトル出力の第2の割合fc2と第2のCCTとによって特徴付けられる第2のSPDを放射し、
前記第2の出力レベルは前記第1の出力レベルよりも低く、前記第2の割合fc2は、前記第1の割合fc1の80%よりも低く、
前記少なくとも1つの蛍光体は前記第1の出力レベルにおいて飽和しており、且つ第2の出力レベルにおいて飽和していない、
照明システム。
【請求項25】
前記第2のCCTは、前記第1のCCTよりも少なくとも500K低い、請求項24の照明システム。
【請求項26】
前記一次SPDの少なくとも5%は、400nm〜435nmの波長範囲内にある、請求項24の照明システム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2022-03-30 
出願番号 P2014-174472
審決分類 P 1 651・ 536- YAA (F21S)
P 1 651・ 113- YAA (F21S)
P 1 651・ 537- YAA (F21S)
P 1 651・ 121- YAA (F21S)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 島田 信一
特許庁審判官 一ノ瀬 覚
出口 昌哉
登録日 2019-02-15 
登録番号 6480126
権利者 ソラア インコーポレーテッド
発明の名称 概日のフレンドリーなLED光源  
代理人 舛谷 威志  
代理人 中尾 洋之  
代理人 中尾 洋之  
代理人 舛谷 威志  

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