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審決分類 審判 全部申し立て 1項1号公知  A01K
審判 全部申し立て 1項2号公然実施  A01K
管理番号 1387473
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-08-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-04-27 
確定日 2022-05-30 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6775784号発明「ホタテ稚貝回収装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6775784号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1−9〕について訂正することを認める。 特許第6775784号の請求項2ないし9に係る特許を維持する。 特許第6775784号の請求項1に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第6775784号(以下「本件特許」という。)に係る特許出願は、平成31年3月5日に特許出願され、令和2年10月9日にその特許権の設定登録がされ、同年同月28日に特許掲載公報が発行されたものであり、その後の特許異議の申立ての経緯は以下のとおりである。

令和 3年 4月27日 特許異議申立人株式会社森機械製作所(以
下「申立人」という。)による請求項1な
いし7に係る発明の特許に対する特許異議
の申立て
同年 8月16日付け 申立人に対する審尋
同年10月19日 回答書の提出(申立人)
同年11月 4日付け 取消理由通知
令和 4年 1月 7日 意見書及び訂正請求書の提出(特許権者)
同年 2月21日 手続補正書の提出(特許権者)

以下、令和4年1月7日に提出され、同年2月21日提出の手続補正書によって補正された訂正請求書による訂正の請求を「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。

なお、申立人は、特許異議申立書において特許法120条の5第5項に係る意見書の提出を希望しているが、後記「第2」で示すとおり、本件訂正請求における訂正事項1ないし4に係る訂正は、訂正前の請求項1を削除し、これに伴って、訂正前の請求項2ないし5が引用する請求項から請求項1を削除するとともに、訂正前の請求項6及び7を整理して訂正後の請求項6ないし9とするものであり、実質的な内容の変更を伴うものではない。
そうすると、本件訂正請求の内容は実質的な判断に影響を与えるものではないから、申立人に意見書を提出する機会を設けなかった。

第2 訂正の適否についての判断

1.訂正の内容
本件訂正の内容は、以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に
「前記稚貝分離部は、前記引込部に引き込まれる前記採苗器に対してテンションを付与する方向に回転駆動されるテンションロータを有するとともに、このテンションロータのロータ軸周りには前記採苗器に接触しつつ空転可能な複数の空転ローラが軸支されている、
請求項1に記載のホタテ稚貝回収装置。」
と記載されているのを、独立形式に改め、
「ホタテ貝の養殖漁業において網状の採苗器からホタテ稚貝を回収するためのホタテ稚貝回収装置であって、
前記ホタテ稚貝回収装置の入口位置に設けられており前記採苗器を送り出す複数のローラから構成された送出部と、
前記ホタテ稚貝回収装置の出口位置に設けられており前記採苗器を先端側から順に狭持して水平方向に装置内に引き込む引込部と、
前記送出部および前記引込部の間に設けられており前記採苗器にテンションを与えつつ上下振動させることにより前記採苗器に付着しているホタテ稚貝を分離落下させる稚貝分離部と、
前記稚貝分離部の下方位置に設けられており分離落下した前記ホタテ稚貝を回収する稚貝回収部と
を有しており、
前記稚貝分離部は、前記引込部に引き込まれる前記採苗器に対してテンションを付与する方向に回転駆動されるテンションロータを有するとともに、このテンションロータのロータ軸周りには前記採苗器に接触しつつ空転可能な複数の空転ローラが軸支されている、ホタテ稚貝回収装置。」
に訂正する。

(3)訂正事項3
ア.訂正事項3−1
特許請求の範囲の請求項6に
「前記送出部は、水平軸をもって回転可能に軸支された横ローラと、鉛直軸をもって回転可能に軸支されているとともに互いのピッチを変更可能に設けられた複数の縦ローラとから構成されている、請求項1から請求項5のいずれかに記載のホタテ稚貝回収装置。」
とあるうち、請求項2から5のいずれかを引用するものについて、
「前記送出部は、水平軸をもって回転可能に軸支された横ローラと、鉛直軸をもって回転可能に軸支されているとともに互いのピッチを変更可能に設けられた複数の縦ローラとから構成されている、請求項2から請求項5のいずれかに記載のホタテ稚貝回収装置。」
に訂正する。

イ.訂正事項3−2
特許請求の範囲の請求項6に
「前記送出部は、水平軸をもって回転可能に軸支された横ローラと、鉛直軸をもって回転可能に軸支されているとともに互いのピッチを変更可能に設けられた複数の縦ローラとから構成されている、請求項1から請求項5のいずれかに記載のホタテ稚貝回収装置。」
とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、
「ホタテ貝の養殖漁業において網状の採苗器からホタテ稚貝を回収するためのホタテ稚貝回収装置であって、
前記ホタテ稚貝回収装置の入口位置に設けられており前記採苗器を送り出す複数のローラから構成された送出部と、
前記ホタテ稚貝回収装置の出口位置に設けられており前記採苗器を先端側から順に狭持して水平方向に装置内に引き込む引込部と、
前記送出部および前記引込部の間に設けられており前記採苗器にテンションを与えつつ上下振動させることにより前記採苗器に付着しているホタテ稚貝を分離落下させる稚貝分離部と、
前記稚貝分離部の下方位置に設けられており分離落下した前記ホタテ稚貝を回収する稚貝回収部と
を有しており、
前記送出部は、水平軸をもって回転可能に軸支された横ローラと、鉛直軸をもって回転可能に軸支されているとともに互いのピッチを変更可能に設けられた複数の縦ローラとから構成されている、ホタテ稚貝回収装置。」
に訂正する。

(4)訂正事項4
ア.訂正事項4−1
特許請求の範囲の請求項7に
「前記引込部は、前記採苗器の送り経路における下方位置で回転可能に軸支された2つの下部引込ローラと、前記送り経路における上方位置で回転可能に軸支された1つの上部引込ローラとが、送り方向に沿って交互に配置されており、前記上部引込ローラの回転軸が左右の支持端部を一体的または別個に上下動可能に下方へ付勢されている、請求項1から請求項6のいずれかに記載のホタテ稚貝回収装置。」
とあるうち、請求項2から6のいずれかを引用するものについて、
「前記引込部は、前記採苗器の送り経路における下方位置で回転可能に軸支された2つの下部引込ローラと、前記送り経路における上方位置で回転可能に軸支された1つの上部引込ローラとが、送り方向に沿って交互に配置されており、前記上部引込ローラの回転軸が左右の支持端部を一体的または別個に上下動可能に下方へ付勢されている、請求項2から請求項6のいずれかに記載のホタテ稚貝回収装置。」
に訂正する。

イ.訂正事項4−2
特許請求の範囲の請求項7に
「前記引込部は、前記採苗器の送り経路における下方位置で回転可能に軸支された2つの下部引込ローラと、前記送り経路における上方位置で回転可能に軸支された1つの上部引込ローラとが、送り方向に沿って交互に配置されており、前記上部引込ローラの回転軸が左右の支持端部を一体的または別個に上下動可能に下方へ付勢されている、請求項1から請求項6のいずれかに記載のホタテ稚貝回収装置。」
とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、
「ホタテ貝の養殖漁業において網状の採苗器からホタテ稚貝を回収するためのホタテ稚貝回収装置であって、
前記ホタテ稚貝回収装置の入口位置に設けられており前記採苗器を送り出す複数のローラから構成された送出部と、
前記ホタテ稚貝回収装置の出口位置に設けられており前記採苗器を先端側から順に狭持して水平方向に装置内に引き込む引込部と、
前記送出部および前記引込部の間に設けられており前記採苗器にテンションを与えつつ上下振動させることにより前記採苗器に付着しているホタテ稚貝を分離落下させる稚貝分離部と、
前記稚貝分離部の下方位置に設けられており分離落下した前記ホタテ稚貝を回収する稚貝回収部と
を有しており、
前記引込部は、前記採苗器の送り経路における下方位置で回転可能に軸支された2つの下部引込ローラと、前記送り経路における上方位置で回転可能に軸支された1つの上部引込ローラとが、送り方向に沿って交互に配置されており、前記上部引込ローラの回転軸が左右の支持端部を一体的または別個に上下動可能に下方へ付勢されている、ホタテ稚貝回収装置。」
に訂正する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否

(1)訂正事項1
ア.訂正の目的について
訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項1を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ.新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1に係る訂正は、請求項を削除するものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2)訂正事項2
ア.訂正の目的について
訂正事項2に係る訂正は、訂正前の請求項2が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、訂正事項1に係る訂正によって訂正前の請求項1が削除されたことに伴い、請求項間の引用関係を解消して請求項1を引用しない独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。

イ.新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2に係る訂正は他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとするものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)訂正事項3
ア.訂正事項3−1
(ア)訂正の目的について
訂正事項3−1に係る訂正は、訂正事項1に係る訂正によって訂正前の請求項1が削除されたことに伴い、請求項6が引用する請求項から請求項1を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項3−1に係る訂正は、引用する請求項を削除するものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

イ.訂正事項3−2
(ア)訂正の目的について
訂正事項3−2に係る訂正は、訂正事項1に係る訂正によって訂正前の請求項1が削除されたことに伴い、訂正前の請求項6のうち訂正前の請求項1の記載を引用して記載されたものについて、請求項間の引用関係を解消し、請求項1を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する明瞭でない記載の釈明、及び、同第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。

(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項3−2に係る訂正は、訂正前の請求項1を引用する請求項6について、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとするものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(4)訂正事項4
ア.訂正事項4−1
(ア)訂正の目的について
訂正事項4−1に係る訂正は、訂正事項1に係る訂正によって訂正前の請求項1が削除されたことに伴い、請求項7が引用する請求項から請求項1を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項4−1に係る訂正は、引用する請求項を削除するものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

イ.訂正事項4−2
(ア)訂正の目的について
訂正事項4−2に係る訂正は、訂正事項1に係る訂正によって訂正前の請求項1が削除されたことに伴い、訂正前の請求項7のうち訂正前の請求項1の記載を引用して記載されたものについて、請求項間の引用関係を解消し、請求項1を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する明瞭でない記載の釈明、及び、同第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。

(イ)新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項4−2に係る訂正は、訂正前の請求項1を引用する請求項7について、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとするものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(5)一群の請求項について
本件訂正前の請求項2ないし7は請求項1を引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、本件訂正前の請求項1ないし7に対応する本件訂正後の請求項1ないし9は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。

(6)小括
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するから、訂正後の請求項[1−9]について訂正することを認める。

第3 本件発明について

上記「第2」のとおり、本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1ないし9に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」ないし「本件特許発明9」という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

【請求項1】(削除)
【請求項2】
ホタテ貝の養殖漁業において網状の採苗器からホタテ稚貝を回収するためのホタテ稚貝回収装置であって、
前記ホタテ稚貝回収装置の入口位置に設けられており前記採苗器を送り出す複数のローラから構成された送出部と、
前記ホタテ稚貝回収装置の出口位置に設けられており前記採苗器を先端側から順に狭持して水平方向に装置内に引き込む引込部と、
前記送出部および前記引込部の間に設けられており前記採苗器にテンションを与えつつ上下振動させることにより前記採苗器に付着しているホタテ稚貝を分離落下させる稚貝分離部と、
前記稚貝分離部の下方位置に設けられており分離落下した前記ホタテ稚貝を回収する稚貝回収部と
を有しており、
前記稚貝分離部は、前記引込部に引き込まれる前記採苗器に対してテンションを付与する方向に回転駆動されるテンションロータを有するとともに、このテンションロータのロータ軸周りには前記採苗器に接触しつつ空転可能な複数の空転ローラが軸支されている、ホタテ稚貝回収装置。
【請求項3】
前記稚貝分離部のテンションロータは、前記採苗器の送り経路における下方位置に軸支されており前記採苗器を下方から上方に押し上げる押上テンションロータと、前記送り経路における上方位置に軸支されており前記採苗器を上方から下方に押し下げる押下テンションロータとで構成されており、これら押上テンションロータと押下テンションロータとが送り方向に沿って交互に配置されている、請求項2に記載のホタテ稚貝回収装置。
【請求項4】
2つの前記押上テンションロータと1つの前記押下テンションロータが送り方向に沿って交互に配置されているとともに、これらのテンションロータには3つの空転ローラがロータ軸から等距離の位置において軸支されている、請求項3に記載のホタテ稚貝回収装置。
【請求項5】
前記押上テンションロータおよび前記押下テンションロータの周囲には、前記採苗器の内袋が巻き込まれるのを防止するための巻込防止ローラが水平軸をもって回転自在に軸支されている、請求項3または請求項4に記載のホタテ稚貝回収装置。
【請求項6】
前記送出部は、水平軸をもって回転可能に軸支された横ローラと、鉛直軸をもって回転可能に軸支されているとともに互いのピッチを変更可能に設けられた複数の縦ローラとから構成されている、請求項2から請求項5のいずれかに記載のホタテ稚貝回収装置。
【請求項7】
前記引込部は、前記採苗器の送り経路における下方位置で回転可能に軸支された2つの下部引込ローラと、前記送り経路における上方位置で回転可能に軸支された1つの上部引込ローラとが、送り方向に沿って交互に配置されており、前記上部引込ローラの回転軸が左右の支持端部を一体的または別個に上下動可能に下方へ付勢されている、請求項2から請求項6のいずれかに記載のホタテ稚貝回収装置。
【請求項8】
ホタテ貝の養殖漁業において網状の採苗器からホタテ稚貝を回収するためのホタテ稚貝回収装置であって、
前記ホタテ稚貝回収装置の入口位置に設けられており前記採苗器を送り出す複数のローラから構成された送出部と、
前記ホタテ稚貝回収装置の出口位置に設けられており前記採苗器を先端側から順に狭持して水平方向に装置内に引き込む引込部と、
前記送出部および前記引込部の間に設けられており前記採苗器にテンションを与えつつ上下振動させることにより前記採苗器に付着しているホタテ稚貝を分離落下させる稚貝分離部と、
前記稚貝分離部の下方位置に設けられており分離落下した前記ホタテ稚貝を回収する稚貝回収部と
を有しており、
前記送出部は、水平軸をもって回転可能に軸支された横ローラと、鉛直軸をもって回転可能に軸支されているとともに互いのピッチを変更可能に設けられた複数の縦ローラとから構成されている、ホタテ稚貝回収装置。
【請求項9】
ホタテ貝の養殖漁業において網状の採苗器からホタテ稚貝を回収するためのホタテ稚貝回収装置であって、
前記ホタテ稚貝回収装置の入口位置に設けられており前記採苗器を送り出す複数のローラから構成された送出部と、
前記ホタテ稚貝回収装置の出口位置に設けられており前記採苗器を先端側から順に狭持して水平方向に装置内に引き込む引込部と、
前記送出部および前記引込部の間に設けられており前記採苗器にテンションを与えつつ上下振動させることにより前記採苗器に付着しているホタテ稚貝を分離落下させる稚貝分離部と、
前記稚貝分離部の下方位置に設けられており分離落下した前記ホタテ稚貝を回収する稚貝回収部と
を有しており、
前記引込部は、前記採苗器の送り経路における下方位置で回転可能に軸支された2つの下部引込ローラと、前記送り経路における上方位置で回転可能に軸支された1つの上部引込ローラとが、送り方向に沿って交互に配置されており、前記上部引込ローラの回転軸が左右の支持端部を一体的または別個に上下動可能に下方へ付勢されている、ホタテ稚貝回収装置。

第4 特許異議申立理由及び取消理由通知で通知した取消理由の概要

1.特許異議申立理由の概要
申立人は、本件訂正前の本件特許の請求項1ないし7に係る発明に対して、証拠として甲第1号証ないし甲第6号証を提出し、次の特許異議申立理由を申し立てている。

(1)本件訂正前の本件特許の請求項1に係る発明は、甲第1号証−甲第5号証から、その特許出願前に日本国内において公然知られた発明又は公然実施された発明である。

(2)本件訂正前の本件特許の請求項2ないし6に係る発明は、甲第1号証−甲第5号証から、その特許出願前に日本国内において公然知られた発明又は公然実施された発明から容易になし得た発明である。

(3)本件訂正前の本件特許の請求項7に係る発明は、甲第6号証から、その特許出願前に日本国内において公然知られた発明又は公然実施された発明であり、また、甲第1号証−甲第4号証及び甲第6号証から、その特許出願前に日本国内において公然知られた発明又は公然実施された発明から容易になし得た発明である。

(証拠一覧)
甲第1号証 「設計図」、2011年4月16日作成、作成者:申立人代
表取締役 森光典
甲第2号証の1 「購入証明書」、令和2年12月15日作成、作成者:
申立人及び佐藤誠剛
甲第2号証の2 「購入証明書」、令和2年12月15日作成、作成者:
申立人及び畑山広美
甲第3号証 「得意先元帳」、平成24年8月8日発行、作成者:申立人
甲第4号証 「写真」、2012年6月18日撮影、撮影者:申立人従業
員 柳寛
甲第5号証 「写真」、2010年12月2日撮影、撮影者:申立人従業
員 後藤茂夫
甲第6号証 「設計図」、2014年6月17日、作成者:申立人代表取
締役 森光典

2.取消理由通知で通知した取消理由の概要
本件訂正前の請求項1に係る特許に対して、当審が令和3年11月4日付けの取消理由通知において特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。

(1)本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明であって、特許法第29条第1項第2号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。

(2)本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであって、取り消されるべきものである。

(引用文献等一覧)
甲第4号証 「写真」、2012年6月18日撮影、撮影者:申立人従業
員 柳寛
甲第1号証 「設計図」、2011年4月16日作成、作成者:申立人代
表取締役 森光典
甲第2号証の1 「購入証明書」、令和2年12月15日作成、作成者:
申立人及び佐藤誠剛
甲第2号証の2 「購入証明書」、令和2年12月15日作成、作成者:
申立人及び畑山広美

第5 当審の判断

本件訂正により請求項1に係る発明は削除されたため、当審が取消理由通知で通知した取消理由は、対象とする請求項が存在しないものとなった。
そこで、以下では取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について検討する。

1.甲号証について
(1)甲第1号証ないし甲第3号証について
ア.甲第1号証には右下欄に「11年4月16日」という日付が記載されているものの、甲第1号証は設計図と認められる図面であって、通常、第三者が知り得るものではなく、また、設計図のみを以て当該設計図に係る装置が生産・譲渡等されたともいえないから、甲第1号証自体を以て甲第1号証の図面に係る装置が本件特許出願前に公然知られ又は公然実施をされたということはできない。

イ.次に、申立書には「甲第2号証の1及び2並びに甲第3号証は甲第1号証に基づいて生産された装置が譲渡された日を示す。」(申立書第2ページ「証拠」の欄)と記載されているから、甲第1号証ないし甲第3号証(枝番を含む。以下同様。)を参酌することにより、甲第1号証の図面に係る装置が、本件特許出願前に公然知られ又は公然実施をされたといえるか否かについて検討する。

ウ.甲第1号証ないし甲第3号証をみると、甲第1号証と甲第2号証の1及び甲第2号証の2とには共通の「図面番号」が記載され、また、甲第2号証の1及び甲第2号証の2と甲第3号証とには共通の「製造番号」が記載されており、甲第2号証の1及び甲第2号証の2にはそれぞれ「上記、連続回転式稚貝ホロイ機1台を平成24年6月21日に(有)ミナト工機様経由にて購入し使用を開始したことを証明致します」と記載されている。

エ.しかしながら、通常の商慣行を踏まえると、設計図の「図面番号」を装置に付すことや、「図面番号」が記載された設計図を装置の購入者に配付することは一般的ではないと認められるところ、甲第1号証ないし甲第3号証からは、購入者がどのようにして購入した装置の「図面番号」を確認したのかが不明である。

オ.この点についての当審から審尋に対し、申立人は回答書において、「審尋において、甲1〜甲4に関して追加の証拠等を提出するよう指摘されております。しかしながら、購入者が購入した装置(甲2及び甲4の装置)には図面番号及び製造番号は付されておりません。さらに、当時の取引書類には、図面番号、製造番号、及び製造日等が記載されておらず、これらが記載された納品書等も存在しません。したがって、甲1〜甲4について、審尋において提出及び説明すべきであると指摘された事項については、追加で提出することはできません。」(回答書第2ページ第3〜9行)と回答しており、何ら説明がなされていない。

カ.また、甲第3号証については、「月日」欄の「6−21」が平成24年6月21日を指すことは明らかであって、当該日付は甲第2号証の1及び甲第2号証の2の「上記、連続回転式稚貝ホロイ機1台を平成24年6月21日に(有)ミナト工機様経由にて購入し使用を開始したことを証明致します」との記載と整合するものの、甲第3号証も、甲第3号証記載の製品が甲第1号証の図面に基づいて製造されたことを直接示すものではない。

キ.そうすると、甲第2号証の1及び甲第2号証の2に係る「連続回転式稚貝ホロイ機」や甲第3号証に係る「連続回転式 稚貝ホロイ機 三相」が、甲第1号証の図面に基づいて製造されたことを示す証拠はないから、申立人が提出した証拠からは、甲第1号証の図面に係る装置が本願出願前に公然知られ又は公然実施をされたとは認められない。

ク.なお、甲第2号証の1、甲第2号証の2及び甲第3号証は、申立書において上記「イ.」のとおり「甲第2号証の1及び2並びに甲第3号証は甲第1号証に基づいて生産された装置が譲渡された日を示す。」とされるとともに、証拠説明書の「立証の趣旨」の欄に記載によれば、「本件特許発明が出願前に公然知られた又は公然実施された時期を特定すること」を立証する趣旨のものであって、後記「(2)ウ.(ウ)」の点は措くとして、出願前に公然知られた又は公然実施された発明の内容を示すものではない。

(2)甲第4号証について
ア.甲第4号証と甲第1号証ないし甲第3号証との関係について
(ア)申立人は、申立書において、「甲第4号証は、甲第1号証の設計図に基づいて生産された「連続回転式稚貝ホロイ機」が甲第3号証に示されるとおり譲渡される前に、装置の点検を実施した際の写真であり、異議申立人の従業員により撮影された写真を印刷したものである。」(申立書第10ページ「(エ)甲第4号証」の項)と主張している。

(イ)しかしながら、甲第4号証の写真には、甲第1号証ないし甲第3号証との関係を示す「図面番号」や「製造番号」等の情報が含まれておらず、甲第4号証と甲第1号証との関係は不明である。
また、申立書にも甲第4号証と甲第1号証との関係についての具体的な説明はない上、申立人は、当審からの審尋に対する回答書において、上記「(1)オ.」のとおり回答している。

(ウ)そうすると、申立人が提出する証拠からは、甲第4号証の写真の装置が、甲第1号証の設計図に基づいて生産された装置であるとは認められないから、甲第1号証及び甲第4号証に記載された装置が同一の装置であるということはできず、甲第1号証及び甲第4号証を総合して公然知られ又は公然実施をされた発明を認定することはできない。

イ.甲第4号証の公然実施性について
次に、甲第4号証のみから公然知られ又は公然実施をされた発明を認定することができるか否かについて検討する。
申立人が申立書に添付して提出した証拠説明書によれば、甲第4号証は申立人の従業員が申立人の工場で撮影した写真である。
また、甲第4号証の写真の装置は、「(株)森機械製作所」との記載がある甲第1号証の図面の装置や「株式会社森機械製作所殿」及び「商品名 株式会社森機械製作所製連続回転式稚貝ホロイ機」との記載がある甲第2号証の1及び甲第2号証の2の写真の装置と概略同様の形状をしている。
そうすると、甲第4号証の写真の装置は、株式会社森機械製作所が製造した装置であると解するのが自然である。
また、写真データ中のEXIF情報からみて、甲第4号証の写真は本件特許出願前の2012年6月18日に撮影されたものと認められるところ、甲第2号証の1及び甲第2号証の2によれば、株式会社森機械製作所は販売を目的として装置を製造しているから、甲第4号証の写真の装置も販売を目的として製造されたものと認められる。
そして、一般の商慣行に照らせば、製造された装置については、通常、製造から時間を置かずに譲渡または譲渡の申出が行われるものと認められるから、甲第4号証の写真の装置は、本件特許出願前に譲渡または譲渡の申出がなされることにより公然実施をされた蓋然性が高いといえる。
なお、上記のとおり、証拠説明書によれば甲第4号証の写真は申立人の従業員が申立人の工場で撮影したものであって、本件特許出願前に当該写真や写真の装置が第三者に知られたとする証拠はないから、申立人が提出した証拠によっては、甲第4号証の写真や写真の装置が本件特許出願前に公然知られたとすることはできない。

ウ.甲第4号証の記載及び甲第4号証から看取等できる事項
(ア)画像001.JPGないし画像011.JPGは次のものである。

a.画像001.JPG


b.画像002.JPG


c.画像003.JPG


d.画像004.JPG


e.画像005.JPG


f.画像006.JPG


g.画像007.JPG


h.画像008.JPG


i.画像009.JPG


j.画像010.JPG


k.画像011.JPG


(イ)上記「(ア)」の写真からは、次の点を看取することができる(括弧内はそれぞれの事項に関連する写真である。また、下線は当審で付した。以下同様。)。

a.「装置の入口位置に設けられて網状の器具を送り出す水平軸で軸支された横ローラと、鉛直軸で軸支された複数の縦ローラから構成された第1の手段」(画像002.JPG、画像008.JPG〜画像010.JPG)

b.「装置の出口位置に設けられて網状の器具を先端側から順に狭持して水平方向に装置内に引き込む、下方位置で回転可能に軸支された1つのローラと、上方位置で回転可能に軸支された1つのローラからなる第2の手段」(画像001.JPG、画像004.JPG〜画像007.JPG)

c.「第1の手段と第2の手段に設けられた、1つの上方のローラと2つの下方のローラとからなる第3の手段」(画像003.JPG、画像011.JPG)

d.「第3の手段の上方のローラと下方のローラとは水平方向に交互に設けられるとともに、垂直方向の位置が重なっており、上方のローラと下方のローラとの間を網状の器具が通過する」点(画像003.JPG、画像011.JPG)

e.「第3の手段の下方に設けられ、装置の中央に向かって傾斜する部位を有する第4の手段」(画像003.JPG、画像011.JPG)

(ウ)上記「(1)」のとおり、甲第1号証ないし甲第3号証に係る装置は甲第4号証に係る装置と同一であるとはいえないものの、甲第1号証ないし甲第3号証を技術常識を示す文献としてみれば、甲第1号証の「図面」の欄に「連続回転式稚貝ほろい機巻取り2連仕様」と記載され、甲第2号証の1及び甲第2号証の2に「商品名 株式会社森機械製作所 連続回転式稚貝ホロイ機」と記載されていることからして、甲第1号証の図面の装置、並びに、甲第2号証の1及び甲第2号証の2の写真の装置は、「ホタテ」の「連続回転式稚貝ほろい機」であって、これらの装置と概略同様の形状を有する甲第4号証の写真の装置も、「ホタテの連続回転式稚貝ほろい機」であることは明らかであると認められる。

エ.甲第4号証から公然実施をされたと認められる発明
上記「ウ.」を総合すると、甲第4号証から、次の発明(以下「公然実施発明」という。)が本件特許出願前に公然実施をされたものと認められる。

公然実施発明)
「装置の入口位置に設けられて網状の器具を送り出す水平軸で軸支された横ローラと、鉛直軸で軸支された複数の縦ローラから構成された第1の手段と、
装置の出口位置に設けられて網状の器具を先端側から順に狭持して水平方向に装置内に引き込む、下方位置で回転可能に軸支された1つのローラと、上方位置で回転可能に軸支された1つのローラからなる第2の手段と、
第1の手段と第2の手段に設けられた、1つの上方のローラと2つの下方のローラとからなる第3の手段と、
第3の手段の下方に設けられ、装置の中央に向かって傾斜する部位を有する第4の手段とを有し、
第3の手段の上方のローラと下方のローラとは水平方向に交互に設けられるとともに、垂直方向の位置が重なっており、上方のローラと下方のローラとの間を網状の器具が通過する
ホタテ連続回転式稚貝ほろい機。」

(3)甲第5号証について
ア.証拠説明書によれば、甲第5号証は、「本件特許発明が出願前に公然知られたこと公然実施されたこと」を立証する趣旨のものであり、申立書には、「甲第5号証は、被申立人である株式会社星野鉄工所の生産による「ホタテ稚貝回収装置」を撮影した写真であり、異議申立人の従業員により撮影された写真を印刷したものである。」(申立書第11ページ「(オ)甲第5号証」の項)と記載されている。
また、申立人は、当審からの審尋に対する回答書において、甲第5号証について、「・・・この装置は、写真が撮影された当時、小樽市漁業協同組合が使用する祝津漁港(小樽市祝津)に、組合員及び漁協職員であれば誰でも確認できる状態で屋外に配置されていたものです(誰でも確認できる状態で配置されていたため、特許権者と競合関係にある申立人が装置を撮影することが可能でした)。したがって、甲5の写真は、異議申立人の従業員によって撮影されたものであることは間違いありませんが、誰でも撮影できる状態のもとでEXIF情報に示される日時に撮影されたものですので、撮影者が特定される必要性はないものと思料します。」(回答書第5ページ第1〜8行)と主張している。

イ.しかしながら、甲第5号証からは、甲第5号証の写真の装置が「小樽市漁業協同組合が使用する祝津漁港(小樽市祝津)に、組合員及び漁協職員であれば誰でも確認できる状態で屋外に配置されていた」ことは明らかではないし、他に当該装置の状態を示す証拠は提出されていない。
また、申立人は、甲第5号証の写真の撮影者についても、「異議申立人の従業員によって撮影されたものであることは間違いありません」と主張するのみで、「異議申立人の従業員によって撮影された」ことを示す証拠を提出していないから、甲第5号証の写真が「異議申立人の従業員によって撮影された」ことも明らかであるとはいえない。

ウ.そうすると、申立人が提出した証拠からは、甲第5号証の写真の装置が本件特許出願前に公然知られ、又は公然実施をされたとは認められないから、甲第5号証を、特許法第29条第1項第1号及び第2号並びに第2項に係る証拠として採用することはできない。

エ.なお、申立人は回答書において、「この装置は、申立人に譲渡されたものではありませんので、申立人は、装置の製造番号等が記載された取引書類等を所有しておりません。しかしながら、必要であれば、この装置の所有者を特定し、購入者の了解を受けて、購入者及び可能であれば審判官殿の立ち会いのもとに、装置を分解し、特許第6775784号の特許請求の範囲の記載事項及び図面並びに甲5の写真と対比しながら装置の構成、部品の機能、装置全体の機能を説明して、購入装置が当該特許請求の範囲及び図面並びに甲5の写真に記載された事項のすべてを備えた装置であること確認してもらい、その様子を写真や動画に収めるとともに、購入者及び仲介事業者に対して購入時期を確認する陳述書等を作成することも考えられます。」とも述べている。
しかしながら、甲第5号証に係る装置については、「装置の所有者」が特定されておらず、「購入者の了解」も得られていないことから、「装置を分解し」、「その様子を写真や動画に収め」たり、「購入者及び仲介事業者に対して購入時期を確認する陳述書等を作成する」ために相当の時間を要することは明らかであるところ、特許の早期安定化を図るという特許異議申立制度の趣旨に鑑み、申立人が言及する証拠の提出を求めることなく審理を進めることとした。

(3)甲第6号証について
ア.証拠説明書によれば、甲第6号証は、「本件特許発明が出願前に公然知られたこと公然実施されたこと」を立証する趣旨のものであり、申立書には、甲第6号証について、「この設計図は、本件特許発明の出願日(平成31年(2019年)3月5日)より前の平成26年(2014年)6月17日に作成されたものである。」(申立書第11ページ「(カ)甲第6号証」の項)と記載されている。

イ.しかしながら、甲第6号証に係る設計図が本件特許出願前に作成されたというだけでは、甲第6号証に係る設計図や設計図に基づく装置が本件特許出願前に第三者に知られたことや、甲第6号証に係る設計図に基づく装置が本件特許出願前に譲渡等されたことは明らかではない。
また、当審からの審尋において、この点につき証拠の提出や追加の説明を求めたが、申立人は回答書において何ら回答していない。

ウ.そうすると、申立人が提出した証拠からは、甲第6号証に係る設計図や設計図に基づく装置が、本件特許出願前に公然知られた、又は、公然実施をされたとは認められないから、甲第6号証を、特許法第29条第1項第1号及び第2号並びに第2項に係る証拠として採用することはできない。

2.判断
各甲号証については上記「1.」で検討したとおりであるから、申立人が提出した各甲号証から公然知られた発明又は公然実施された発明であると認められるのは、上記「1.(2)エ.」の公然実施発明のみである。
そこで、以下では、本件特許発明2ないし9が、公然実施発明であるか、及び、公然実施発明から容易になし得た発明であるかについて検討する。
なお、本件特許発明1は、本件訂正によって削除された。

(1)本件特許発明2
ア.対比
本件特許発明2と公然実施発明とを対比する。

(ア)公然実施発明の「網状の器具」は、「ホタテ連続回転式稚貝ほろい機」によって処理されることから、「ホタテ」の「稚貝」が付着したものであることは明らかであって、本件特許発明2の「網状の採苗器」に相当する。

(イ)公然実施発明の「ホタテ連続回転式稚貝ほろい機」は、ホタテ貝の養殖漁業において用いられることが明らかであるから、上記「(ア)」の対比を踏まえると、本件特許発明2の「ホタテ貝の養殖漁業において網状の採苗器からホタテ稚貝を回収するためのホタテ稚貝回収装置」に相当する。

(ウ)公然実施発明の「装置の入口位置に設けられて網状の器具を送り出す水平軸で軸支された横ローラと、鉛直軸で軸支された複数の縦ローラから構成された第1の手段」は、本件特許発明2の「前記ホタテ稚貝回収装置の入口位置に設けられており前記採苗器を送り出す複数のローラから構成された送出部」に相当する。

(エ)公然実施発明の「装置の出口位置に設けられて網状の器具を先端側から順に狭持して水平方向に装置内に引き込む」「第2の手段」は、本件特許発明2の「前記ホタテ稚貝回収装置の出口位置に設けられており前記採苗器を先端側から順に狭持して水平方向に装置内に引き込む引込部」に相当する。

(オ)公然実施発明の「第1の手段と第2の手段に設けられた、1つの上方のローラと2つの下方のローラとからなる第3の手段」は、「第3の手段の上方のローラと下方のローラとは水平方向に交互に設けられるとともに、垂直方向の位置が重なっており、上方のローラと下方のローラとの間を網状の器具が通過する」ところ、「垂直方向の位置が重なって」いる「上方のローラと下方のローラとの間を網状の器具が通過する」際に、網状の器具にテンションがかかり、上下に振動することは明らかである。また、公然実施発明は「ホタテ連続回転式稚貝ほろい機」であることからして、網状の器具にテンションがかかり、上下に振動すると「ホタテ」の「稚貝」が「網状の器具」から「ほろい」、即ち分離されるものと認められる。そうすると、公然実施発明の当該「第3の手段」は、本件特許発明2の「前記送出部および前記引込部の間に設けられており前記採苗器にテンションを与えつつ上下振動させることにより前記採苗器に付着しているホタテ稚貝を分離落下させる稚貝分離部」に相当する。

(カ)上記「(オ)」での検討のとおり、公然実施発明においては「第3の手段」で「ホタテ」の「稚貝」が分離されるところ、分離された「ホタテ」の「稚貝」が「第3の手段の下方に設けられ、装置の中央に向かって傾斜する部位を有する第4の手段」に落下することは明らかであるから、当該「第4の手段」は、本件特許発明2の「前記稚貝分離部の下方位置に設けられており分離落下した前記ホタテ稚貝を回収する稚貝回収部」に相当する。

(キ)上記「(オ)」のとおり、公然実施発明において「上方のローラと下方のローラとの間を網状の器具が通過する」際に、網状の器具にテンションがかかることは明らかであるから、公然実施発明の「上方のローラ」及び「下方のローラ」は、本件特許発明2の「テンションロータ」に相当し、これを踏まえると、公然実施発明の「第3の手段」が「第1の手段と第2の手段に設けられた、1つの上方のローラと2つの下方のローラとからなる」ことと、本件特許発明2の「前記稚貝分離部は、前記引込部に引き込まれる前記採苗器に対してテンションを付与する方向に回転駆動されるテンションロータを有する」とは、「前記稚貝分離部は、テンションロータを有する」点で共通する。

(ク)以上を総合すると、本件特許発明2と公然実施発明とは、
「ホタテ貝の養殖漁業において網状の採苗器からホタテ稚貝を回収するためのホタテ稚貝回収装置であって、
前記ホタテ稚貝回収装置の入口位置に設けられており前記採苗器を送り出す複数のローラから構成された送出部と、
前記ホタテ稚貝回収装置の出口位置に設けられており前記採苗器を先端側から順に狭持して水平方向に装置内に引き込む引込部と、
前記送出部および前記引込部の間に設けられており前記採苗器にテンションを与えつつ上下振動させることにより前記採苗器に付着しているホタテ稚貝を分離落下させる稚貝分離部と、
前記稚貝分離部の下方位置に設けられており分離落下した前記ホタテ稚貝を回収する稚貝回収部と
を有しており、
前記稚貝分離部は、テンションロータを有する、ホタテ稚貝回収装置。」
の点で一致し、次の点で相違する。

(相違点1)
テンションロータが、本件特許発明2においては「引込部に引き込まれる採苗器に対してテンションを付与する方向に回転駆動される」のに対して、公然実施発明はその点につき明らかでない点。

(相違点2)
テンションロータが、本件特許発明2においては「ロータ軸周りには採苗器に接触しつつ空転可能な複数の空転ローラが軸支されている」のに対して、公然実施発明はその点につき明らかでない点。

イ.判断
(ア)新規性について
本件特許発明2と公然実施発明とは上記相違点1及び2で相違するから、本件特許発明2は公然実施発明ではない。

(イ)進歩性について
事案に鑑み、まず上記相違点2について検討する。

a.公然実施発明の「上方のローラ」及び「下方のローラ」は、相違点2に係る本件特許発明2の発明特定事項を備えるものではない。
また、各甲号証については上記「1.」で検討したとおりであるところ、申立人が提出した甲第4号証以外の各甲号証から、相違点2に係る本件特許発明2の発明特定事項が、本件特許出願前に公然知られ公然実施をされ、又は、刊行物に記載された事項であるということはできない。
さらに、相違点2に係る本件特許発明2の発明特定事項が、本件特許出願前に周知の技術的事項であるとも、当業者が適宜なし得る設計的事項であるとも認められない。

b.そして、本件特許発明2は、相違点2に係る発明特定事項を備えることにより、本件特許明細書に記載された「各テンションロータ41を構成する空転ローラ45が、採苗器10に接触しつつ空転するため、採苗器10からホタテ稚貝を分離しやすくする一方、採苗器10から受ける抵抗を低減する。このため、モータや採苗器10に過度な負担がかかることを防止する。」(段落【0038】)という効果を奏するものと認められる。

c.そうすると、公然実施発明において上記相違点2に係る本件特許発明2の発明特定事項を備えるものとすることは、当業者が容易になし得たことではない。

d.以上のとおりであるから、その余の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明2は公然実施発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)本件特許発明3ないし7
本件特許発明3ないし7は、本件特許発明2の発明特定事項をすべて備え、さらに発明特定事項を追加して限定したものである。
そして、本件特許発明2については上記「(1)」で検討したとおりであるから、本件特許発明3ないし7は、公然実施発明ではなく、また、公然実施発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)本件特許発明8
ア.対比
(ア)本件特許発明8と公然実施発明とを対比すると、上記「(1)ア.(ア)ないし(カ)」と同様のことがいえる。

(イ)また、公然実施発明の「第1の手段」が「装置の入口位置に設けられて網状の器具を送り出す水平軸で軸支された横ローラと、鉛直軸で軸支された複数の縦ローラから構成された」点と、本件特許発明8の「前記送出部は、水平軸をもって回転可能に軸支された横ローラと、鉛直軸をもって回転可能に軸支されているとともに互いのピッチを変更可能に設けられた複数の縦ローラとから構成されている」点とは、「前記送出部は、水平軸をもって回転可能に軸支された横ローラと、鉛直軸をもって回転可能に軸支されている複数の縦ローラとから構成されている」点で共通する。

(ウ)そうすると、本件特許発明8と公然実施発明とは、次の点で相違し、その余の点で一致する。

(相違点3)
複数の縦ローラが、本件特許発明8においては「互いのピッチを変更可能に設けられた」のに対して、公然実施発明はその点につき明らかでない点。

イ.判断
(ア)新規性について
本件特許発明8と公然実施発明とは上記相違点3で相違するから、本件特許発明8は公然実施発明ではない。

(イ)進歩性について
a.公然実施発明の「複数の縦ローラ」は、相違点3に係る本件特許発明8の発明特定事項を備えるものではない。
また、各甲号証については上記「1.」で検討したとおりであるところ、申立人が提出した甲第4号証以外の各甲号証からも、相違点3に係る本件特許発明8の発明特定事項が、本件特許出願前に公然知られ公然実施をされ、又は、刊行物に記載された事項であるということはできない。
さらに、相違点3に係る本件特許発明8の発明特定事項が、本件特許出願前に周知の技術的事項であるとも、当業者が適宜なし得る設計的事項であるとも認められない。

b.そして、本件特許発明8は、相違点3に係る発明特定事項を備えることにより、本件特許明細書に記載された「各縦ローラ22のピッチ・・・を適宜調節することで、様々なサイズや形状の採苗器10に対応する」(段落【0036】)という効果を奏するものと認められる。

c.そうすると、公然実施発明において上記相違点3に係る本件特許発明8の発明特定事項を備えるものとすることは、当業者が容易になし得たことではない。

d.以上のとおりであるから、本件特許発明8は公然実施発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)本件特許発明9
ア.対比
(ア)本件特許発明9と公然実施発明とを対比すると、上記「(1)ア.(ア)ないし(カ)」と同様のことがいえる。

(イ)また、公然実施発明の「第2の手段」が「下方位置で回転可能に軸支された1つのローラと、上方位置で回転可能に軸支された1つのローラからなる」点と、本件特許発明9の「前記引込部は、前記採苗器の送り経路における下方位置で回転可能に軸支された2つの下部引込ローラと、前記送り経路における上方位置で回転可能に軸支された1つの上部引込ローラとが、送り方向に沿って交互に配置されており、前記上部引込ローラの回転軸が左右の支持端部を一体的または別個に上下動可能に下方へ付勢されている」点とは、「引込部は、採苗器の送り経路における下方位置で回転可能に軸支された下部引込ローラと、送り経路における上方位置で回転可能に軸支された1つの上部引込ローラとが配置されている」点で共通する。

(ウ)そうすると、本件特許発明9と公然実施発明とは、次の点で相違し、その余の点で一致する。

(相違点4)
引込部が、本件特許発明9においては「2つの」下部引込ローラと、1つの上部引込ローラとが、「送り方向に沿って交互に配置されており、上部引込ローラの回転軸が左右の支持端部を一体的または別個に上下動可能に下方へ付勢されている」のに対して、公然実施発明の下部引込ローラは1つであり、下部引込ローラと上部引込ローラとが、「送り方向に沿って交互に配置されており、上部引込ローラの回転軸が左右の支持端部を一体的または別個に上下動可能に下方へ付勢されている」ものではない点。

イ.判断
(ア)新規性について
本件特許発明9と公然実施発明とは上記相違点4で相違するから、本件特許発明9は公然実施発明ではない。

(イ)進歩性について
a.公然実施発明の「第2の手段」は、相違点4に係る本件特許発明9の発明特定事項を備えるものではない。
また、各甲号証については上記「1.」で検討したとおりであるところ、申立人が提出した甲第4号証以外の各甲号証からも、相違点4に係る本件特許発明9の発明特定事項が、本件特許出願前に公然知られ公然実施をされ、又は、刊行物に記載された事項であるということはできない。
さらに、相違点4に係る本件特許発明9の発明特定事項が、本件特許出願前に周知の技術的事項であるとも、当業者が適宜なし得る設計的事項であるとも認められない。

b.そして、本件特許発明9は、相違点4に係る発明特定事項を備えることにより、本件特許明細書に記載された「上部引込ローラ32が、左右の支持端部を上下動可能に下方へ付勢されているため、簡単な構成でありながら、採苗器10の薄い部分や不規則な形状部分であっても適宜、追従・退避しながら挟み込み状態を維持し、安定的に引き込む。」(段落【0037】)という効果を奏するものと認められる。

c.そうすると、公然実施発明において上記相違点4に係る本件特許発明9の発明特定事項を備えるものとすることは、当業者が容易になし得たことではない。

d.以上のとおりであるから、本件特許発明9は公然実施発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第6 むすび

以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許発明2ないし9に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許発明2ないし9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項1は本件訂正により削除されたため、本件特許の請求項1に対して本件申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しないものとなった。そうすると、請求項1についての特許異議の申立ては不適法であって、その補正をすることができないものであるから、特許法第120条の8の規定により準用する同法第135条の規定により、却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】(削除)
【請求項2】
ホタテ貝の養殖漁業において網状の採苗器からホタテ稚貝を回収するためのホタテ稚貝回収装置であって、
前記ホタテ稚貝回収装置の入口位置に設けられており前記採苗器を送り出す複数のローラから構成された送出部と、
前記ホタテ稚貝回収装置の出口位置に設けられており前記採苗器を先端側から順に狭持して水平方向に装置内に引き込む引込部と、
前記送出部および前記引込部の間に設けられており前記採苗器にテンションを与えつつ上下振動させることにより前記採苗器に付着しているホタテ稚貝を分離落下させる稚貝分離部と、
前記稚貝分離部の下方位置に設けられており分離落下した前記ホタテ稚貝を回収する稚貝回収部と
を有しており、
前記稚貝分離部は、前記引込部に引き込まれる前記採苗器に対してテンションを付与する方向に回転駆動されるテンションロータを有するとともに、このテンションロータのロータ軸周りには前記採苗器に接触しつつ空転可能な複数の空転ローラが軸支されている、ホタテ稚貝回収装置。
【請求項3】
前記稚貝分離部のテンションロータは、前記採苗器の送り経路における下方位置に軸支されており前記採苗器を下方から上方に押し上げる押上テンションロータと、前記送り経路における上方位置に軸支されており前記採苗器を上方から下方に押し下げる押下テンションロータとで構成されており、これら押上テンションロータと押下テンションロータとが送り方向に沿って交互に配置されている、請求項2に記載のホタテ稚貝回収装置。
【請求項4】
2つの前記押上テンションロータと1つの前記押下テンションロータが送り方向に沿って交互に配置されているとともに、これらのテンションロータには3つの空転ローラがロータ軸から等距離の位置において軸支されている、請求項3に記載のホタテ稚貝回収装置。
【請求項5】
前記押上テンションロータおよび前記押下テンションロータの周囲には、前記採苗器の内袋が巻き込まれるのを防止するための巻込防止ローラが水平軸をもって回転自在に軸支されている、請求項3または請求項4に記載のホタテ稚貝回収装置。
【請求項6】
前記送出部は、水平軸をもって回転可能に軸支された横ローラと、鉛直軸をもって回転可能に軸支されているとともに互いのピッチを変更可能に設けられた複数の縦ローラとから構成されている、請求項2から請求項5のいずれかに記載のホタテ稚貝回収装置。
【請求項7】
前記引込部は、前記採苗器の送り経路における下方位置で回転可能に軸支された2つの下部引込ローラと、前記送り経路における上方位置で回転可能に軸支された1つの上部引込ローラとが、送り方向に沿って交互に配置されており、前記上部引込ローラの回転軸が左右の支持端部を一体的または別個に上下動可能に下方へ付勢されている、請求項2から請求項6のいずれかに記載のホタテ稚貝回収装置。
【請求項8】
ホタテ貝の養殖漁業において網状の採苗器からホタテ稚貝を回収するためのホタテ稚貝回収装置であって、
前記ホタテ稚貝回収装置の入口位置に設けられており前記採苗器を送り出す複数のローラから構成された送出部と、
前記ホタテ稚貝回収装置の出口位置に設けられており前記採苗器を先端側から順に狭持して水平方向に装置内に引き込む引込部と、
前記送出部および前記引込部の間に設けられており前記採苗器にテンションを与えつつ上下振動させることにより前記採苗器に付着しているホタテ稚貝を分離落下させる稚貝分離部と、
前記稚貝分離部の下方位置に設けられており分離落下した前記ホタテ稚貝を回収する稚貝回収部と
を有しており、
前記送出部は、水平軸をもって回転可能に軸支された横ローラと、鉛直軸をもって回転可能に軸支されているとともに互いのピッチを変更可能に設けられた複数の縦ローラとから構成されている、ホタテ稚貝回収装置。
【請求項9】
ホタテ貝の養殖漁業において網状の採苗器からホタテ稚貝を回収するためのホタテ稚貝回収装置であって、
前記ホタテ稚貝回収装置の入口位置に設けられており前記採苗器を送り出す複数のローラから構成された送出部と、
前記ホタテ稚貝回収装置の出口位置に設けられており前記採苗器を先端側から順に狭持して水平方向に装置内に引き込む引込部と、
前記送出部および前記引込部の間に設けられており前記採苗器にテンションを与えつつ上下振動させることにより前記採苗器に付着しているホタテ稚貝を分離落下させる稚貝分離部と、
前記稚貝分離部の下方位置に設けられており分離落下した前記ホタテ稚貝を回収する稚貝回収部と
を有しており、
前記引込部は、前記採苗器の送り経路における下方位置で回転可能に軸支された2つの下部引込ローラと、前記送り経路における上方位置で回転可能に軸支された1つの上部引込ローラとが、送り方向に沿って交互に配置されており、前記上部引込ローラの回転軸が左右の支持端部を一体的または別個に上下動可能に下方へ付勢されている、ホタテ稚貝回収装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2022-05-19 
出願番号 P2019-039340
審決分類 P 1 651・ 112- YAA (A01K)
P 1 651・ 111- YAA (A01K)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 住田 秀弘
特許庁審判官 前川 慎喜
森次 顕
登録日 2020-10-09 
登録番号 6775784
権利者 株式会社 星野鉄工所
発明の名称 ホタテ稚貝回収装置  
代理人 江部 陽子  
代理人 大窪 智行  
代理人 太田 清子  
代理人 太田 清子  
代理人 川野 陽輔  
代理人 大窪 智行  
代理人 佐川 慎悟  
代理人 特許業務法人ピー・エス・ディ  
代理人 佐川 慎悟  
代理人 江部 陽子  
代理人 川野 陽輔  

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