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審決分類 審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1387931
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-05-27 
確定日 2022-08-04 
事件の表示 特願2017−208360「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 5月30日出願公開、特開2019− 80606〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年10月27日の出願であって、令和2年7月1日付けで拒絶の理由が通知され、同年9月2日に意見書及び手続補正書が提出され、同年10月30日付けで拒絶の理由が通知され、令和3年1月8日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年2月19日付け(送達日:同年3月2日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年5月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、これに対し、当審において、同年12月28日付けで拒絶の理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、令和4年3月1日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和4年3月1日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(A等は、本願発明を分説するために当審で付与した。)。

「A 始動入賞口に遊技球が入賞したことを契機として取得された乱数に基づいて当たりに当選するか否かの抽選を行い、一の抽選結果を導出する抽選手段と、
B 所定の図柄を変動表示させた後に前記一の抽選結果を報知する態様で図柄を停止表示させる変動演出を実行可能な変動演出実行手段と、
C 前記変動演出の態様を複数種類の態様の中から決定する変動演出態様決定手段と、
を備え、
D 前記変動演出実行手段は、前記所定の図柄の変動表示および仮停止による擬似変動表示を前記変動演出中に繰り返し行う擬似連続演出を実行可能であり、
E 前記変動演出態様決定手段は、前記変動演出において前記所定の図柄によるリーチ演出から発展した発展リーチ演出における演出選択状態の結果として前記擬似連続演出が実行される発展リーチ後擬似連態様、および前記擬似連続演出における前記所定の図柄の変動表示の回数を増加させる昇格擬似連態様のいずれかを、前記変動演出の態様として決定可能であり、
F 前記演出選択状態は、前記発展リーチ演出後に前記擬似連続演出または当該擬似連続演出と異なる演出のうちいずれかが実行されることを示唆する状態であり、
G 前記擬似連続演出と異なる演出は、前記所定の図柄の変動表示中における演出である
H ことを特徴とする遊技機。」

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由のうち理由2の概要は、以下のとおりのものである。

進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用例に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項1
・引用文献等 1−3

引用例1.特開2016−215029号公報
引用例2.特開2015−134027号公報(周知技術を示す文献)
引用例3.特開2016−106917号公報(周知技術を示す文献)

第4 各引用例、周知例に記載された事項及び引用発明、周知技術
1 引用例1
(1)引用例1に記載された事項
当審拒絶理由に引用例1として引用された本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016−215029号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は引用発明等の認定に関連する箇所を明示するために当審で付した。以下、同様。)。

ア「【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施の形態におけるパチンコ遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機(遊技機)1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤(ゲージ盤)2と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠(台枠)3とから構成されている。遊技盤2には、ガイドレールによって囲まれた、ほぼ円形状の遊技領域が形成されている。この遊技領域には、遊技媒体としての遊技球が、所定の打球発射装置から発射されて打ち込まれる。」

イ「【0023】
一例として、画像表示装置5の画面上には、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rが配置されている。そして、特図ゲームにおいて第1特別図柄表示装置4Aにおける第1特図の変動と第2特別図柄表示装置4Bにおける第2特図の変動のうち、いずれかが開始されることに対応して、「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおいて飾り図柄の変動(例えば上下方向のスクロール表示)が開始される。その後、特図ゲームにおける可変表示結果として確定特別図柄が停止表示されるときに、画像表示装置5における「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにて、飾り図柄の可変表示結果となる確定飾り図柄(最終停止図柄)が停止表示される。なお、確定飾り図柄は、可変表示中に表示される飾り図柄とは異なるものであってもよい。例えば、スクロール表示される飾り図柄以外の飾り図柄が確定飾り図柄となってもよい。」

ウ「【0051】
一例として、遊技制御用マイクロコンピュータ100では、CPU103がROM101から読み出したプログラムを実行することにより、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための処理が実行される。このときには、CPU103がROM101から固定データを読み出す固定データ読出動作や、CPU103がRAM102に各種の変動データを書き込んで一時記憶させる変動データ書込動作、CPU103がRAM102に一時記憶されている各種の変動データを読み出す変動データ読出動作、CPU103がI/O105を介して遊技制御用マイクロコンピュータ100の外部から各種信号の入力を受け付ける受信動作、CPU103がI/O105を介して遊技制御用マイクロコンピュータ100の外部へと各種信号を出力する送信動作なども行われる。」

エ「【0055】
演出制御基板12には、プログラムに従って制御動作を行う演出制御用CPU120と、演出制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM121と、演出制御用CPU120のワークエリアを提供するRAM122と、画像表示装置5における表示動作の制御内容を決定するための処理などを実行する表示制御部123と、演出制御用CPU120とは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路124と、I/O125とが搭載されている。」

オ「【0060】
演出制御基板12に搭載された表示制御部123は、演出制御用CPU120からの表示制御指令などに基づき、画像表示装置5における表示動作の制御内容を決定して実行する。例えば、表示制御部123は、画像表示装置5の表示画面内に表示させる演出画像の切換タイミングを決定することなどにより、飾り図柄の可変表示や各種の演出表示を画像表示装置5に実行させるための制御を行う。一例として、表示制御部123には、VDP(Video Display Processor)、CGROM(Character Generator ROM)、VRAM(Video RAM)、LCD駆動回路などが搭載されていればよい。なお、VDPは、GPU(Graphics Processing Unit)、GCL(Graphics Controller LSI)、あるいは、より一般的にDSP(Digital Signal Processor)と称される画像処理用のマイクロプロセッサであってもよい。CGROMは、例えば書換不能な半導体メモリであってもよいし、フラッシュメモリなどの書換可能な半導体メモリであってもよく、あるいは、磁気メモリ、光学メモリといった、不揮発性記録媒体のいずれかを用いて構成されたものであればよい。」

カ「【0087】
この実施の形態では、一例として、リーチハズレ、スーパーA、スーパーBといったリーチ演出が予め設定されている(図10参照)。スーパーA及びスーパーBは、所謂スーパーリーチのリーチ演出である。以下、スーパーAのリーチ演出を単にスーパーリーチAといい、スーパーBのリーチ演出をスーパーリーチBということがある。リーチハズレのリーチ演出は、可変表示結果がハズレになることを報知するリーチ演出である。以下、リーチハズレのリーチ演出を単にリーチハズレということがある。なお、リーチハズレが実行された場合には、リーチハズレからスーパーリーチへの変更(救済)があることを示す救済演出が実行されてからスーパーリーチBが実行されることがある。以下では、このような救済(救済演出が実行されてからスーパーリーチBが実行されること)があるリーチハズレを救済有りのリーチハズレなどといい、このような救済がないリーチハズレを救済無しのリーチハズレなどということがある。
・・・略・・・
【0090】
また、この実施の形態では、飾り図柄の可変表示態様が所定のリーチ態様となったあと、かつ、上記各リーチ演出が実行される前に、選択演出が実行される。この実施の形態での選択演出は、選択された場合にどのリーチ演出が実行されるかをそれぞれ示す複数の選択肢を提示し、提示した複数の選択肢のうちのいずれかを選択する演出である(図19から図22などを参照)。
【0091】
この実施の形態では、選択演出で提示される選択肢として、選択肢A〜Cが用意されている(図11などを参照)。選択肢Aは、選択された場合にスーパーリーチAが実行されることを表す選択肢である。選択肢Bは、選択された場合にスーパーリーチBが実行されることを表す選択肢である。選択肢Cは、選択された場合にリーチハズレが実行されることを表す選択肢である。なお、選択肢Cが選択された場合には、救済無しのリーチハズレだけでなく、救済有りのリーチハズレが実行されることもある。つまり、選択肢Cが選択されてリーチハズレが実行されても、救済演出を経てスーパーリーチBが実行される場合がある。一方で、選択肢Bが選択された場合には、リーチハズレ及び救済演出を経てスーパーリーチBが実行されることはない。」

キ「【0110】
図6(A)に示す第1特図保留記憶部は、普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口を遊技球が進入して第1始動入賞が発生したものの、未だ開始されていない特図ゲーム(第1特別図柄表示装置4Aにおける第1特図を用いた特図ゲーム)の保留データを記憶する。一例として、第1特図保留記憶部は、第1始動入賞口への入賞順(遊技球の検出順)に保留番号と関連付けて、その遊技球の進入による第1始動条件の成立に基づいてCPU103が乱数回路104等から抽出した特図表示結果決定用の乱数値MR1や大当り種別決定用の乱数値MR2、変動パターン決定用の乱数値MR3を示す数値データなどを保留データとして、その記憶数が所定の上限値(例えば「4」)に達するまで記憶する。こうして第1特図保留記憶部に記憶された保留データは、第1特図を用いた特図ゲームの実行(可変表示)が保留されていることを示し、この特図ゲームにおける可変表示結果(特図表示結果)に基づき大当り遊技状態に制御すると決定されるか否かや、飾り図柄の可変表示態様が特定態様(例えばバトルリーチのリーチ演出など)となるか否かなどを判定可能にする保留記憶情報となる。
【0111】
図6(B)に示す第2特図保留記憶部は、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口を遊技球が進入して第2始動入賞が発生したものの、未だ開始されていない特図ゲーム(第2特別図柄表示装置4Bにおける第2特図を用いた特図ゲーム)の保留データを記憶する。一例として、第2特図保留記憶部は、第2始動入賞口への入賞順(遊技球の検出順)に保留番号と関連付けて、その遊技球の進入による第2始動条件の成立に基づいてCPU103が乱数回路104等から抽出した特図表示結果決定用の乱数値MR1や大当り種別決定用の乱数値MR2、変動パターン決定用の乱数値MR3を示す数値データなどを保留データとして、その数が所定の上限値(例えば「4」)に達するまで記憶する。こうして第2特図保留記憶部に記憶された保留データは、第2特図を用いた特図ゲームの実行(可変表示)が保留されていることを示し、この特図ゲームにおける可変表示結果(特図表示結果)に基づき大当り遊技状態に制御すると決定されるか否かや、飾り図柄の可変表示態様が特定態様(例えばバトルリーチのリーチ演出など)となるか否かなどを判定可能にする保留記憶情報となる。」

ク「【0117】
図3に示すステップS101にて始動入賞判定処理を実行した後、CPU103は、RAM102の所定領域(遊技制御フラグ設定部など)に設けられた特図プロセスフラグの値に応じて、ステップS110〜S120の処理のいずれかを選択して実行する。
【0118】
ステップS110の特別図柄通常処理は、特図プロセスフラグの値が“0”のときに実行される。この特別図柄通常処理では、第1特図保留記憶部や第2特図保留記憶部といった、RAM102の所定領域に記憶されている保留データの有無などに基づいて、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bによる特図ゲームを開始するか否かの判定が行われる。また、特別図柄通常処理では、特図表示結果決定用の乱数値MR1を示す数値データに基づき、特別図柄や飾り図柄の可変表示結果を「大当り」または「小当り」とするか否かを、その可変表示結果が導出表示される以前に決定(事前決定)する。このとき、可変表示結果が「大当り」に決定された場合には、大当り種別を「非確変」、「確変」、「突確」といった複数種別のいずれかに決定する。大当り種別の決定結果を示すデータがRAM102の所定領域(例えば遊技制御バッファ設定部)に設けられた大当り種別バッファに格納されることにより、大当り種別が記憶される。さらに、特別図柄通常処理では、特図ゲームにおける特別図柄の可変表示結果に対応して、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bによる特図ゲームにおける確定特別図柄(大当り図柄や小当り図柄、ハズレ図柄のいずれか)が設定される。特別図柄通常処理では、特別図柄や飾り図柄の可変表示結果を事前決定したときに、特図プロセスフラグの値が“1”に更新される。」

ケ「【0126】
ステップS234、S238の処理のいずれかを実行した後には、特別図柄の可変表示結果である特図表示結果を、「大当り」と「小当り」と「ハズレ」とのいずれかに決定する(ステップS239)。一例として、ステップS239の処理では、予めROM101の所定領域に記憶するなどして用意された特図表示結果決定テーブルを選択し、特図表示結果を決定するための使用テーブルに設定する。特図表示結果決定テーブルでは、例えば、図8(A)に示すように、特図表示結果決定用の乱数値MR1と比較される数値(決定値)が、特図表示結果を「大当り」と「小当り」と「ハズレ」とのいずれとするかの決定結果に、確変状態における確変制御の有無(遊技状態が確変状態であるか否か)に応じて割り当てられていればよい。CPU103は、ステップS232又はS236で変動用乱数バッファに一時格納した遊技用乱数に含まれる特図表示結果決定用の乱数値MR1を示す数値データを変動用乱数バッファから読み出し、遊技状態が確変状態であるか否かと、乱数値MR1を示す数値データと、に基づいて、使用テーブルに設定された特図表示結果決定テーブルを参照することにより、遊技状態が確変状態であるか否かに応じて乱数値MR1に該当する決定値に割り当てられた「大当り」と「小当り」と「ハズレ」とのいずれかの決定結果を特図表示結果として決定すればよい。CPU103は、RAM102の所定領域(例えば遊技制御フラグ設定部)に設けられた確変フラグ(確変状態のときにオン状態になるフラグ)がオン状態である場合に、確変制御が行われていると判定すればよい。例えば、乱数値MR1が「9000」であるとき、CPU103は、確変フラグがオン状態(確変状態)である場合(確変制御有りの場合)には、特図表示結果を「大当り」にすると決定し、確変フラグがオフ状態(確変状態でない状態)である場合(確変制御無しの場合)には、特図表示結果を「ハズレ」にすると決定する。」

コ「【0137】
図3のステップS111の変動パターン設定処理は、特図プロセスフラグの値が“1”のときに実行される。この変動パターン設定処理には、可変表示結果を「大当り」または「小当り」とするか否かの事前決定結果などに基づいて、変動パターンを複数種類のいずれかに決定する処理などが含まれている。変動パターンは、飾り図柄の可変表示の内容(可変表示態様)を指定するものであるので、この決定によって、飾り図柄の可変表示の内容が決定される。特別図柄や飾り図柄の可変表示時間は、変動パターンに対応して予め設定されている。したがって、変動パターン設定処理にて変動パターンを決定することにより、特別図柄の可変表示を開始してから可変表示結果となる確定特別図柄を導出するまでの可変表示時間が決定される。また、変動パターン設定処理は、可変表示結果が「ハズレ」となる場合に、飾り図柄の可変表示態様を「リーチ」とするか否かを決定する処理を含んでもよい。あるいは、変動パターン設定処理にて可変表示結果が「ハズレ」となる場合の変動パターンを所定割合で決定することにより、飾り図柄の可変表示態様を「リーチ」とするか否かが決定されてもよい。さらに、変動パターン設定処理は、特別図柄表示装置4において特別図柄の変動を開始させるための設定を行う処理を含んでもよい。変動パターン設定処理が実行されたときには、特図プロセスフラグの値が“2”に更新される。」

サ「【0140】
図10は、この実施の形態における変動パターンを示している。この実施の形態では、可変表示結果(特図表示結果)が「ハズレ」となる場合のうち、飾り図柄の可変表示態様がリーチ態様にはならない「非リーチ」である場合とリーチ態様になる「リーチ」である場合のそれぞれに対応して、また、可変表示結果(特図表示結果)が「大当り」で大当り種別が「非確変」または「確変」となる場合や大当り種別が「突確」または可変表示結果(特図表示結果)が「小当り」となる場合などに対応して、複数の変動パターンが予め用意されている。
【0141】
この実施の形態では、可変表示結果が「ハズレ」で「非リーチ」を指定する変動パターンとして、通常時(非時短時)用の変動パターンPA1−1からPA1−3と、時短時用の変動パターンPB1−1からPB1−2と、が用意されている。」

シ「【0199】
ステップS523、S524、S526、S527の処理のいずれかを実行した後には、この後に使用する使用パターンとなる演出制御パターンを、予め用意された複数パターンのうちから選択する変動パターン選択処理を実行する(ステップS530)。
【0200】
図16は、変動パターン選択処理の一例を示すフローチャートである。変動パターン選択処理では、まず、演出制御用CPU120は、例えば変動パターン指定コマンドにより指定された変動パターンが選択演出を含む変動パターンであるかを判定する(ステップS541)。具体的には、例えば変動パターン指定コマンドにより指定された変動パターンが変動パターンPA2−1〜PA2−4、PA3−2〜PA3−4のいずれかPA2−1〜PA2−4、PA3−2〜PA3−4のいずれかであるかを判定する。」

(2)引用発明
上記ア〜シに摘記した引用例1の記載事項より、引用例1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。(a等の符号は、本願発明の構成A等に概ね対応させて当審で付与した。)

「a1 特図表示結果決定用の乱数値MR1を示す数値データを変動用乱数バッファから読み出し、遊技状態が確変状態であるか否かと、乱数値MR1を示す数値データと、に基づいて、遊技状態が確変状態であるか否かに応じて乱数値MR1に該当する決定値に割り当てられた「大当り」と「小当り」と「ハズレ」とのいずれかの決定結果を特図表示結果として決定するCPU103(【0126】)と、プログラムに従って制御動作を行う演出制御用CPU120(【0055】)と、第1始動入賞口への入賞順(遊技球の検出順)に保留番号と関連付けて、その遊技球の進入による第1始動条件の成立に基づいてCPU103が乱数回路104等から抽出した特図表示結果決定用の乱数値MR1や大当り種別決定用の乱数値MR2、変動パターン決定用の乱数値MR3を示す数値データなどを保留データとして、その記憶数が所定の上限値(例えば「4」)に達するまで記憶する第1特図保留記憶部(【0110】)と、第2始動入賞口への入賞順(遊技球の検出順)に保留番号と関連付けて、その遊技球の進入による第2始動条件の成立に基づいてCPU103が乱数回路104等から抽出した特図表示結果決定用の乱数値MR1や大当り種別決定用の乱数値MR2、変動パターン決定用の乱数値MR3を示す数値データなどを保留データとして、その数が所定の上限値(例えば「4」)に達するまで記憶する第2特図保留記憶部(【0111】)と、
b、d 画面上に、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rが配置され、特図ゲームにおいて第1特別図柄表示装置4Aにおける第1特図の変動と第2特別図柄表示装置4Bにおける第2特図の変動のうち、いずれかが開始されることに対応して、「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおいて飾り図柄の変動(例えば上下方向のスクロール表示)が開始され、その後、特図ゲームにおける可変表示結果として確定特別図柄が停止表示されるときに、「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにて、飾り図柄の可変表示結果となる確定飾り図柄(最終停止図柄)が停止表示される画像表示装置5(【0023】)と、
c 予め用意された複数パターンのうちから選択する変動パターン選択処理を実行する演出制御用CPU120(【0199】、【0200】)と、演出制御用CPU120からの表示制御指令などに基づき、画像表示装置5における表示動作の制御内容を決定して実行する演出制御基板12に搭載された表示制御部123(【0060】)と、を備え、
e1 可変表示結果(特図表示結果)が「ハズレ」となる場合のうち、飾り図柄の可変表示態様がリーチ態様にはならない「非リーチ」である場合とリーチ態様になる「リーチ」である場合のそれぞれに対応して、また、可変表示結果(特図表示結果)が「大当り」で大当り種別が「非確変」または「確変」となる場合や大当り種別が「突確」または可変表示結果(特図表示結果)が「小当り」となる場合などに対応して、複数の変動パターンが予め用意されており(【0140】)、変動パターン設定処理にて可変表示結果が「ハズレ」となる場合の変動パターンを所定割合で決定することにより、飾り図柄の可変表示態様を「リーチ」とするか否かが決定されてもよく(【0137】)、
a2 遊技制御用マイクロコンピュータ100のCPU103(【0051】)は、特図表示結果決定用の乱数値MR1を示す数値データに基づき、特別図柄や飾り図柄の可変表示結果を「大当り」または「小当り」とするか否かを、その可変表示結果が導出表示される以前に決定(事前決定)(【0117】、【0118】)し、
e2、f、g 表示制御部123は、飾り図柄の可変表示態様が所定のリーチ態様となったあと、かつ、リーチ演出が実行される前に、選択された場合にどのリーチ演出が実行されるかをそれぞれ示す複数の選択肢を提示する選択演出を実行し(【0060】、【0090】)、選択演出で提示される選択肢として、選択肢A〜Cが用意されており、選択肢Aは、選択された場合にスーパーリーチAが実行されることを表す選択肢で、選択肢Bは、選択された場合にスーパーリーチBが実行されることを表す選択肢で、選択肢Cは、選択された場合にリーチハズレが実行されることを表す選択肢であり、選択肢Cが選択された場合には、救済無しのリーチハズレだけでなく、リーチハズレが実行された場合には、リーチハズレからスーパーリーチへの変更(救済)があることを示す救済演出が実行されてからスーパーリーチBが実行される救済有りのリーチハズレが実行されることもある(【0087】、【0091】)、
h パチンコ遊技機1(【0019】)。」

2 周知技術1
(1)引用例2に記載された事項
当審拒絶理由に周知例の引用例2として引用された本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015−134027号公報(以下「引用例2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア「【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。」

イ「【0106】
図6は、あらかじめ用意された演出図柄の変動パターンを示す説明図である。図6に示すように、この実施の形態では、可変表示結果が「はずれ」であり演出図柄の可変表示態様がリーチ状態を伴わない場合に対応した変動パターンとして、短縮非リーチはずれ及び非リーチはずれが用意されている。また、可変表示結果が「はずれ」であり演出図柄の可変表示態様がリーチ状態を伴う場合に対応した変動パターンとして、ノーマルはずれ、擬似連1ノーマルはずれ、スーパーはずれ、擬似連2スーパーはずれ及び擬似連3スーパーはずれが用意されている。なお、図6に示すように、擬似連の演出を伴う変動パターンのうち、擬似連1ノーマルはずれを用いる場合には、再変動が1回行われる。また、擬似連の演出を伴う変動パターンのうち、擬似連2スーパーはずれを用いる場合には、再変動が2回行われる。さらに、擬似連の演出を伴う変動パターンのうち、擬似連3スーパーはずれを用いる場合には、再変動が3回行われる。なお、再変動とは、演出図柄の可変表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに一旦はずれとなる演出図柄を仮停止させた後に演出図柄の可変表示を再度実行することである。
【0107】
この実施の形態では、再変動を伴う擬似連の変動パターンである場合、すなわち演出図柄の仮停止が行われる場合、左図柄と右図柄とが共通の演出図柄で揃ったリーチ状態が成立した後に中図柄として擬似連図柄(例えば図52に示す「NEXT」という文字の図柄)が停止することで仮停止図柄の組み合わせが完成する。再変動が1回行われる場合(擬似連1の変動パターンの場合)には、リーチ状態が成立した後に仮停止図柄の組み合わせ(例えば「左」「中」「右」の演出図柄が「7」「NEXT」「7」となる組み合わせ)が仮停止表示された後に、「左」「中」「右」の演出図柄が再変動する。再変動が2回行われる場合(擬似連2の変動パターンの場合)には、このリーチ状態の成立から再変動までのサイクルが2回繰り返し実行され、再変動が3回行われる場合(擬似連3の変動パターンの場合)には、このリーチ状態の成立から再変動までのサイクルが3回繰り返し実行される。この実施の形態では、擬似連の変動パターンである場合には必ずリーチ状態が成立するので、上記定められた回数のサイクルが終了した後に当該変動パターンにおける最後のリーチ状態が成立する。すなわち、再変動回数+1回のリーチ状態が成立する。
【0108】
ここで、この実施の形態では、複数回の仮停止が行われる場合(擬似連2または3の変動パターンである場合)は、該複数回の仮停止における仮停止図柄の組み合わせは全て共通であるものとする。また、仮停止図柄の組み合わせを構成するリーチ図柄(左図柄および右図柄)と、最後のリーチ状態成立時のリーチ図柄(左図柄および右図柄)とは共通の図柄であるものとする。例えば、再変動が3回行われる場合(擬似連3)、1回目の仮停止における仮停止図柄が「7」「NEXT」「7」の組み合わせであれば、2回目の仮停止における仮停止図柄は「7」「NEXT」「7」の組み合わせであり、3回目の仮停止における仮停止図柄も「7」「NEXT」「7」の組み合わせであるものとする。そして、最後のリーチ状態において左図柄表示エリア9Lおよび右図柄表示エリア9Rに停止されるリーチ図柄はいずれも「7」となる。
【0109】
また、この実施の形態において、仮停止図柄の中図柄を構成する擬似連図柄(本例では「NEXT」の文字図柄)は、中図柄表示エリア9Cでの演出図柄(「1」〜「9」の数字)の変動が実行されているときには該中図柄表示エリア9Cに表示されず、仮停止のタイミングにおいて中図柄表示エリア9Cに仮停止する。すなわち、擬似連図柄は、演出図柄の変動中は左、中、右のいずれの図柄表示エリアにも表示されないが、仮停止のタイミングにおいて中図柄表示エリア9Cに表示される図柄である。なお、この実施の形態における仮停止とは、表示結果となる演出図柄の組み合わせが導出表示されるよりも前における演出図柄の組み合わせの停止をいうが、必ずしも演出図柄が完全に停止している場合に限らず、拡大もしくは縮小したりあるいは揺動する等していても良い。なお、この実施の形態では、仮停止のタイミングは変動パターン毎に予め決定されているものとする。」

(2)引用例2の記載事項
上記ア及びイに摘記した引用例2に記載された事項より、引用例2には、以下の事項(以下「引用例2の記載事項」という。)が記載されているものと認められる。

「左図柄と右図柄とが共通の演出図柄で揃ったリーチ状態が成立した後に中図柄として擬似連図柄が停止することで仮停止図柄の組み合わせが完成し、再変動が1回行われる場合(擬似連1の変動パターンの場合)には、リーチ状態が成立した後に仮停止図柄の組み合わせ(例えば「左」「中」「右」の演出図柄が「7」「NEXT」「7」となる組み合わせ)が仮停止表示された後に、「左」「中」「右」の演出図柄が再変動し、再変動が2回行われる場合(擬似連2の変動パターンの場合)には、このリーチ状態の成立から再変動までのサイクルが2回繰り返し実行され、再変動が3回行われる場合(擬似連3の変動パターンの場合)には、このリーチ状態の成立から再変動までのサイクルが3回繰り返し実行されるパチンコ遊技機1。」

(3)引用例3に記載された事項
当審拒絶理由に周知例の引用例3として引用された本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016−106917号公報(以下「引用例3」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア「【0017】
(6) 前記(1)〜(5)のいずれかに記載の遊技機において、
変動表示の開始から表示結果の導出表示までに一旦仮停止させた後に変動表示を再度行なう再変動表示演出(擬似連演出)において、前記特殊画像(図45(F)に示す飾り図柄表示エリア5CのZONE図柄)の表示を伴って一旦仮停止させてから再度変動表示(図45(H),(I)に示すNEXT図柄を用いた擬似連演出の再変動表示)を行なうとともに、所定演出(図45(F)〜(I)に示す背景画像を特別の背景画像に変化させる演出等の特別演出モード移行演出)を実行する第1再変動表示実行手段(演出制御用CPU120、図25のS532、図22のS172等)と、
変動表示の開始から表示結果の導出表示までに一旦仮停止させた後に変動表示を再度行なう再変動表示演出(擬似連演出)において、前記特殊画像の表示を伴わずに一旦仮停止させてから再度変動表示(図45(J),(K)に示すNEXT図柄を用いた擬似連演出の再変動表示)をさせ、前記所定演出(特別演出モードに移行する演出モード移行演出)を実行しない第2再変動表示実行手段(演出制御用CPU120、図25のS532、図22のS172等)とをさらに備える。」

イ「【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態によるパチンコ遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機(遊技機)1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤(ゲージ盤)2と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠(台枠)3とから構成されている。遊技盤2には、ガイドレールによって囲まれた、ほぼ円形状の遊技領域が形成されている。この遊技領域には、遊技媒体としての遊技球が、所定の打球発射装置から発射されて打込まれる。」

ウ「【0529】
図45の(J)〜(K)には、特別演出モードを示唆する発展図柄が表示されることなく、通常演出擬似連に移行するケースの演出が示されている。図45において、(B)のように、リーチが成立している状態で、(J)のように「中」の飾り図柄表示エリア5Cで、「NEXT図柄」のような通常擬似連図柄が仮停止(一旦停止)して擬似連が示唆(報知)される。その後、(K)のように背景画像が変化することなく、擬似連の再変動表示が実行される。このように、最初に「ZONE図柄」のような特別擬似連図柄が仮停止されずに「NEXT図柄」のような通常擬似連図柄が仮停止したときは、特別演出モードでの演出は実行されず、通常演出モードで擬似連の再変動表示が実行される。」

(4)引用例3の記載事項
上記ア〜ウに摘記した引用例3に記載された事項より、引用例3には、以下の事項(以下「引用例3の記載事項」という。)が記載されているものと認められる。

「変動表示の開始から表示結果の導出表示までに一旦仮停止させた後に変動表示を再度行なう再変動表示演出(擬似連演出)において、リーチが成立している状態で、「中」の飾り図柄表示エリア5Cで、「NEXT図柄」のような通常擬似連図柄が仮停止(一旦停止)して擬似連が示唆(報知)され、その後、擬似連の再変動表示が実行されるパチンコ遊技機。」

(5)周知技術1
上記(2)及び(4)の引用例2及び3の記載事項を総合すると、「図柄の変動表示及び仮停止を所定回数繰り返し行う擬似連演出を実行可能であり、リーチが成立している状態で、「中」の飾り図柄表示エリアに、擬似連図柄が仮停止(一旦停止)して擬似連が示唆(報知)され、その後、擬似連の再変動表示が実行される遊技機。」は遊技機の技術分野において、本願出願前に周知(以下「周知技術1」という。)であると認められる。

3 周知技術2
(1)周知例1に記載された事項
新たに周知例1として提示する本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2013−17525号公報(以下「周知例1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア「【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、本発明による遊技機の第1実施形態について説明する。なお、実施形態の説明における前後左右とは、遊技機の遊技盤に向かって見た方向(遊技者から見た方向)を指すものとする。
【0012】
図1を参照して、本発明の第1実施形態による遊技機1について説明する。」

イ「【0228】
期待度が高く、変動時間が長めに設定される変動パターン4、5、7、8、10、11では、1つの始動記憶を使用して実行される1回の特図変動表示ゲーム中において、変動表示装置35に変動表示される飾り図柄(識別図柄)を特別結果態様以外の停止態様で疑似的に停止(仮停止)させて複数回の変動表示ゲームが連続して行われているかのような疑似連続演出を実行する。疑似連続演出では、飾り図柄の仮停止を伴う疑似変動表示ゲームが所定回数連続して行われる。変動パターン4、5、7、8、10、11における疑似連続回数は1回の特図変動表示ゲーム中における疑似変動表示ゲームの回数であり、変動パターン4、7、10では疑似連続回数が2回に設定され、変動パターン5、8、11では疑似連続回数が3回に設定される。」

ウ「【0337】
図29(A−2)〜(C−2)は、リプレイ図柄の表示時に疑似連続回数を報知する他の疑似連続演出例を示す画面遷移図である。図29(A−2)〜(C−2)は、疑似連続回数が3回である場合を例示したものである。
【0338】
図29(A−2)に示すように、1回目のリプレイ図柄(リプレイ図柄1)が停止表示された場合には、残りの疑似連続回数が2回であるにも関わらず、「1回?」の文字情報をリプレイ図柄の図柄内に表示する。そして、図29(B−2)に示すように、所定のタイミングにおいて、「1回?」と表示された文字情報を、実際の疑似連続回数の残数を報知する「2回!」の文字情報に変更する。その後、図29(C−2)に示すように、2回目の疑似変動表示ゲームを開始する。
【0339】
このように、リプレイ図柄の表示とともに、残りの疑似連続回数よりも少ない回数を報知する文字情報を表示し、その後実際の疑似連続回数の残数を報知する文字情報を表示することで、疑似連続演出の興趣を高めることが可能となる。」

エ「【図29】



(2)周知例1の記載事項
上記ア〜エに摘記した周知例1に記載された事項より、周知例1には、以下の事項(以下「周知例1の記載事項」という。)が記載されているものと認められる。

「1回の特図変動表示ゲーム中において、変動表示装置35に変動表示される飾り図柄(識別図柄)を特別結果態様以外の停止態様で疑似的に停止(仮停止)させて複数回の変動表示ゲームが連続して行われているかのような疑似連続演出を実行し、飾り図柄の仮停止を伴う疑似変動表示ゲームが所定回数連続して行われ、1回目のリプレイ図柄(リプレイ図柄1)が停止表示された場合には、残りの疑似連続回数が2回であるにも関わらず、「1回?」の文字情報をリプレイ図柄の図柄内に表示し、所定のタイミングにおいて、「1回?」と表示された文字情報を、実際の疑似連続回数の残数を報知する「2回!」の文字情報に変更して、その後、2回目の疑似変動表示ゲームを開始する遊技機1。」

(3)周知例2に記載された事項
新たに周知例2として提示する本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2017−12825号公報(以下「周知例2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア「【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施の形態におけるパチンコ遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機(遊技機)1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤(ゲージ盤)2と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠(台枠)3とから構成されている。遊技盤2には、ガイドレールによって囲まれた、ほぼ円形状の遊技領域が形成されている。この遊技領域には、遊技媒体としての遊技球が、所定の打球発射装置から発射されて打ち込まれる。」

イ「【0186】
この実施の形態では、「擬似連」の可変表示演出を実行可能な変動パターンが指定された場合に、1回分の擬似連変動(初回変動を含む)が開始されてから擬似連チャンス目が仮停止表示されるまでの所要時間を利用して、期待度昇格演出を実行可能にする。すなわち、期待度昇格演出は、「擬似連」の可変表示演出を実行する変動パターン(再可変表示パターン)が使用パターンに決定されたことに基づいて実行可能となり、1回分の擬似連変動を期待度昇格演出に置換して実行する。これにより、期待度昇格演出が実行される場合には、変動パターンに対応する擬似連回数よりも1回少ない擬似連変動が実行されることになる。ただし、擬似連回数が1回の変動パターンであれば、初回変動の部分が期待度昇格演出に置換して実行されることから、擬似連変動が実行されなくなる。なお、1回分の擬似連変動を期待度昇格演出に置換して実行するものに限定されず、例えば2回といった複数回の擬似連変動を期待度昇格演出に置換して実行するものであってもよい。あるいは、例えばノーマルのリーチ演出や発展演出といった、擬似連変動とは異なる所定の演出期間を期待度昇格演出に置換して実行するものであってもよい。
【0187】
このように、擬似連変動の実行回数を変動パターンに対応する擬似連回数(本来の擬似連回数)よりも少なくすることで生じる可変表示時間の余剰部分を使って、期待度昇格演出を実行すればよい。ただし、可変表示が開始されてから表示結果が導出されるまでに期待度昇格演出が実行される演出期間は、減少させた擬似連変動が本来ならば実行されるはずであった期間(変動演出期間)と、合致させる必要はない。例えば、変動パターンに対応する擬似連回数よりも少ない擬似連変動を実行した後に(擬似連回数が1回の変動パターンであれば擬似連変動を実行せずに)、まずは飾り図柄の可変表示状態をリーチ状態として、ノーマルのリーチ演出などを開始してから、特定タイミングにて期待度昇格演出が実行されるようにすればよい。すなわち、飾り図柄の可変表示状態がリーチ状態となった後の特定タイミングにて、期待度昇格演出が実行されるようにすればよい。」

ウ「【0379】
図36に示すステップS622の処理により昇格演出カウント値が初期値「1」に設定されたときには、図40(A)に示すような演出画像を表示する区切り演出が行われる。図40(A)に示す区切り演出により、示唆演出の演出態様が変更される回数が「1」の昇格1回目であることと、昇格対象となる示唆演出の演出態様が再変動演出における擬似連図柄(カード図柄)であることが、報知される。続いて、図40(B)に示すような演出画像の表示などにより、既に実行された再変動演出の演出態様として1個の星型記号を含んだ擬似連図柄(カード図柄)を示す演出が行われる。そして、図40(C)に示すような演出画像の表示などにより、2個の星型記号を含んだ擬似連図柄(カード図柄)を示す演出に変更されることを報知する。変動パターンに対応する擬似連回数は2回であることから、変更後の擬似連図柄(カード図柄)は2個の星型記号を含むものになればよい。「擬似連」の可変表示演出では、擬似連変動の実行回数(擬似連回数)が増加するに従って大当り期待度が高くなる。したがって、2回の擬似連変動に対応した2個の星型記号を含む擬似連図柄(カード図柄)に変更されることにより、既に実行された示唆演出としての再変動演出に比べて、大当り期待度がより高い演出態様に変更されたことを認識可能に報知できる。」

エ「【図40】



(4)周知例2の記載事項
上記ア〜エに摘記した周知例2に記載された事項より、周知例2には、以下の事項(以下「周知例2の記載事項」という。)が記載されているものと認められる。

「擬似連変動の実行回数を変動パターンに対応する擬似連回数(本来の擬似連回数)よりも少なくすることで生じる可変表示時間の余剰部分を使って、期待度昇格演出を実行し、既に実行された再変動演出の演出態様として1個の星型記号を含んだ擬似連図柄(カード図柄)を示す演出が行われ、演出画像の表示などにより、2個の星型記号を含んだ擬似連図柄(カード図柄)を示す演出に変更されることを報知し、2回の擬似連変動に対応した2個の星型記号を含む擬似連図柄(カード図柄)に変更されることにより、既に実行された示唆演出としての再変動演出に比べて、大当り期待度がより高い演出態様に変更されたことを認識可能に報知できるパチンコ遊技機1。」

(5)周知例3に記載された事項
新たに周知例3として提示する本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016−137026号公報(以下「周知例3」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア「【0012】
図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。ぱちんこ遊技機100は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機100の遊技機枠は、外枠101、前枠102、透明板103、扉104、上球皿105、下球皿106、発射ハンドル107、スピーカ108、演出ボタン109、十字キー110、装飾ランプ111を含む。外枠101は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機100を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠102は、外枠101の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠101へ開閉可能に取り付けられる。前枠102は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。」

イ「【0186】
(レベルアップ演出)
レベルアップ演出は、演出表示装置60に表示される複数種類の演出のいずれかをレベルアップさせ、遊技者に有利な状態に変化するように見せる。レベルアップ演出は、キャラクタの画像やアニメーションで一時的に画面表示させる演出であって、1回の図柄変動演出より短く、好適には数秒程度の比較的短時間表示される演出である。」

ウ「【0229】
図28は、擬似連用図柄の複数種類の表示要素の選択テーブルを模式的に示す図である。パターン記憶手段302は、擬似連用図柄の複数種類の表示要素の選択テーブルを保持し、演出決定手段303は、擬似連続変動パターンが選択された場合、擬似連続変動演出にて表示させる擬似連用図柄の表示要素を選択する。擬似連続変動演出では、演出決定手段303により選択された擬似連用図柄の表示要素が最初の連続変動演出にて表示され、その後、継続される毎に擬似連用図柄の表示要素がレベルアップするか示す演出が表示される。
【0230】
図28(a)に示す選択テーブルは連続変動回数が4回のときに用いられ、図28(b)に示す選択テーブルは連続変動回数が1回のときに用いられる。なお、連続変動回数が2回および3回である場合の選択テーブルを省略するが、パターン記憶手段302は連続変動回数ごとに異なる選択テーブルを保持する。また、連続変動回数の何回目に仮停止する擬似連用図柄であるかによっても、異なる選択テーブルを保持する。
【0231】
図28(a)に示すように、レベル1からレベル6の順に選択される確率が高くなり、連続変動4回の場合、レベル6が最も選択されやすく、レベル1が最も選択されにくい。図28(b)に示す連続変動1回の選択パターンでは、レベル1が最も選択されやすく、レベル5がレベル1〜4より選択されにくく、レベル6は選択されない。選択されたレベルによって、擬似連用図柄は色が異なるように表示される。なお、擬似連用図柄の色によっては、N回以上の連続変動回数が確定するといった対応関係があってよい。擬似連用図柄のレベルは、直接的には連続変動回数を示唆し、間接的には特別遊技の移行期待度を示唆する。」

エ「【0238】
(擬似連用図柄のレベルアップ演出の具体例)
図29は、擬似連続変動演出において擬似連用図柄を変化させる演出の表示の過程の一例を示す図である。図29(a)は、特殊擬似連続変動パターンが選択された場合の擬似連続変動演出を実行している状態の演出表示装置60の画面を示す。図29(a)に示すように、左右列に装飾図柄61が一時停止し、中央列に図柄が変動中である状態を示す。
【0239】
図29(b)に示すように、演出制御手段304は、特殊擬似連続変動パターンにしたがって中央列に第1擬似連用図柄63aが一時停止するように表示させ、擬似的な連続変動演出が継続したことを遊技者に示す。擬似的な連続変動回数により特別遊技の移行期待度を示唆するため、擬似連続変動演出が継続したことにより、遊技者に特別遊技への移行期待度が高まったように見せることができる。
【0240】
図29(c)に示すように、演出制御手段304は、第1擬似連用図柄63aを一時停止するように表示させた後、第1擬似連用図柄63aの表示要素がレベルアップするか示す演出を表示させる。図29(c)にはレベルアップに成功した演出を示すが、レベルアップに失敗した演出が表示される場合もある。レベルアップの有無を示す演出は、画像やアニメで変動表示演出に重畳的に表示されるキャラクタが所定のアクションをすればレベルアップに成功したことを示し、所定のアクションをしなければレベルアップに失敗したことを示す。レベルアップするか示す演出においてレベルアップに成功したことを示す演出が表示されれば、レベルアップ条件を満たしたことが示され、擬似連用図柄のレベルアップ演出が表示される。
【0241】
図29(d)に示すように、演出制御手段304は、第1擬似連用図柄63aの表示要素をレベルアップさせるレベルアップ演出を表示させ、第1擬似連用図柄63aの色および外形を変化するように表示させて、第2擬似連用図柄63bを表示させる。第2擬似連用図柄63bは第1擬似連用図柄63aより擬似的な連続変動回数が多くなりうることを示すため、レベルアップ演出により遊技者に特別遊技への移行期待度が高まったように見せることができる。」

オ「【図29】



(6)周知例3の記載事項
上記ア〜オに摘記した周知例3に記載された事項より、周知例3には、以下の事項(以下「周知例3の記載事項」という。)が記載されているものと認められる。

「特殊擬似連続変動パターンにしたがって中央列に第1擬似連用図柄63aが一時停止するように表示させ、擬似的な連続変動演出が継続したことを遊技者に示し、第1擬似連用図柄63aを一時停止するように表示させた後、第1擬似連用図柄63aの表示要素がレベルアップするか示す演出を表示させ、レベルアップするか示す演出においてレベルアップに成功したことを示す演出が表示されれば、レベルアップ条件を満たしたことが示され、擬似連用図柄のレベルアップ演出が表示され、第1擬似連用図柄63aの表示要素をレベルアップさせるレベルアップ演出を表示させ、第1擬似連用図柄63aの色および外形を変化するように表示させて、第2擬似連用図柄63bを表示させ、第2擬似連用図柄63bは第1擬似連用図柄63aより擬似的な連続変動回数が多くなりうることを示すため、レベルアップ演出により遊技者に特別遊技への移行期待度が高まったように見せることができ、擬似連用図柄の色によっては、N回以上の連続変動回数が確定するといった対応関係があるぱちんこ遊技機100。」

(7)周知技術2
周知例1の記載事項で、「残りの疑似連続回数が2回であるにも関わらず、「1回?」の文字情報をリプレイ図柄の図柄内に表示し、所定のタイミングにおいて、「1回?」と表示された文字情報を、実際の疑似連続回数の残数を報知する「2回!」の文字情報に変更して、その後、2回目の疑似変動表示ゲームを開始する」ことは、擬似連続回数を増加させる演出であるといえる。
また、周知例2の記載事項で、「既に実行された再変動演出の演出態様として1個の星型記号を含んだ擬似連図柄(カード図柄)を示す演出が行われ、演出画像の表示などにより、2個の星型記号を含んだ擬似連図柄(カード図柄)を示す演出に変更されること」は、擬似連続回数を増加させる演出であるといえる。
さらに、周知例3の記載事項で、「擬似的な連続変動演出が継続したことを遊技者に示し、第1擬似連用図柄63aを一時停止するように表示させた後」「第1擬似連用図柄63aの色および外形を変化するように表示させて、第2擬似連用図柄63bを表示させ、第2擬似連用図柄63bは第1擬似連用図柄63aより擬似的な連続変動回数が多くなりうることを示」し「擬似連用図柄の色によっては、N回以上の連続変動回数が確定するといった対応関係」にあることは、擬似連続回数を増加させる演出であるといえる。
そうすると、上記(2)、(4)及び(6)の周知例1〜周知例3の記載事項を総合すると、
「図柄の変動表示及び仮停止を所定回数繰り返し行う擬似連演出を実行可能であり、図柄の擬似連続回数を増加させる演出を実行可能な遊技機。」は遊技機の技術分野において、本願出願前に周知(以下「周知技術2」という。)であると認められる。

第5 対比
1 本願発明の構成Aについて
引用発明の構成a1の「第1始動入賞口」又は「第2始動入賞口」、「遊技球の進入による第1始動条件の成立に基づいて」「抽出した特図表示結果決定用の乱数値MR1」又は「遊技球の進入による第2始動条件の成立に基づいて」「抽出した特図表示結果決定用の乱数値MR1」、構成a2の「特別図柄や飾り図柄の可変表示結果を「大当り」または「小当り」とするか否かを、その可変表示結果が導出表示される以前に決定(事前決定)」すること、「「大当り」または「小当り」とするか否か」のいずれか一つ、「遊技制御用マイクロコンピュータ100のCPU103」は、それぞれ本願発明の「始動入賞口」、「入賞したことを契機として取得された乱数」、「当たりに当選するか否かの抽選を行い」「導出する」こと、「一の抽選結果」、「抽選手段」に相当する。
よって、引用発明の構成a1及びa2は、本願発明の構成Aに相当する構成を有する。

2 本願発明の構成Bについて
引用発明の構成b、dにおける「飾り図柄」、「変動(例えば上下方向のスクロール表示)が開始され、その後」、「飾り図柄の可変表示結果となる確定飾り図柄(最終停止図柄)」、構成cの「表示制御部123」は、それぞれ本願発明の「所定の図柄」、「変動表示させた後」、「前記一の抽選結果を報知する態様」、「変動演出を実行可能な変動演出実行手段」に相当する。
よって、引用発明の構成b、d及び構成cは、本願発明の構成Bに相当する構成を有する。

3 本願発明の構成Cについて
引用発明の構成cの「変動パターン」、「複数パターン」、「表示制御部123」の機能の一部は、それぞれ本願発明の「変動演出の態様」、「複数種類の態様」、「変動演出態様決定手段」に相当する。
よって、引用発明の構成cは、本願発明の構成Cに相当する構成を有している。

4 本願発明の構成Dについて
引用発明の構成cの「表示制御部123」の機能の一部、「画面上に、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rが配置され、特図ゲームにおいて第1特別図柄表示装置4Aにおける第1特図の変動と第2特別図柄表示装置4Bにおける第2特図の変動のうち、いずれかが開始されることに対応して、「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおいて飾り図柄の変動(例えば上下方向のスクロール表示)が開始され、その後、特図ゲームにおける可変表示結果として確定特別図柄が停止表示されるときに、画像表示装置5における「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにて、飾り図柄の可変表示結果となる確定飾り図柄(最終停止図柄)が停止表示される」ことは、それぞれ本願発明の「変動演出実行手段」、「所定の図柄の変動表示」に相当する。
よって、引用発明の構成b、dと本願発明の構成Dとは「前記変動演出実行手段は、前記所定の図柄の変動表示を実行可能であ」る点で共通する。

5 本願発明の構成Eについて
引用発明の構成e1の「飾り図柄の可変表示態様が所定のリーチ態様とな」る演出、構成e2、f、gの「スーパーリーチA」・「スーパーリーチB」・「救済無しのリーチハズレ」・「リーチハズレからスーパーリーチへの変更(救済)があることを示す救済演出が実行されてからスーパーリーチBが実行される救済有りのリーチハズレ」が実行される前に行われる演出、「選択演出」が実行されている状態は、それぞれ本願発明の「前記所定の図柄によるリーチ演出」、「発展リーチ演出」、「演出選択状態」に相当する。
また、引用発明の構成e2、f、gでは「表示制御部123」は「飾り図柄の可変表示態様が所定のリーチ態様となったあと」「選択演出を実行し」「提示」された「複数の選択肢」から「選択された」選択肢に対応した「リーチ演出」を実行することから、「表示制御部123」(変動演出態様決定手段)は、選択肢に対応したいずれのリーチ演出を実行することは決定しているものの、その「リーチ演出」は、「スーパーリーチA」・「スーパーリーチB」・「救済無しのリーチハズレ」・「リーチハズレからスーパーリーチへの変更(救済)があることを示す救済演出が実行されてからスーパーリーチBが実行される救済有りのリーチハズレ」のいずれかであり、引用発明と本願発明で「発展リーチ後態様」として決定している点で共通しているといえるものの、擬似連続演出ではない。
そうすると、引用発明の構成e1及び構成e2、f、gと本願発明の構成Eとは「前記変動演出態様決定手段は、前記変動演出において前記所定の図柄によるリーチ演出から発展した発展リーチ演出における演出選択状態の結果として」「発展リーチ後」「態様」「を、前記変動演出の態様として決定可能であ」る点で共通する。

6 本願発明の構成Fについて
引用発明の構成e2、f、gでは「選択された場合にどのリーチ演出が実行されるかをそれぞれ示す複数の選択肢を提示する選択演出を実行し、選択演出で提示される選択肢として、選択肢A〜Cが用意されており、選択肢Aは、選択された場合にスーパーリーチAが実行されることを表す選択肢で、選択肢Bは、選択された場合にスーパーリーチBが実行されることを表す選択肢で、選択肢Cは、選択された場合にリーチハズレが実行されることを表す選択肢であり、選択肢Cが選択された場合には、救済無しのリーチハズレだけでなく、リーチハズレが実行された場合には、リーチハズレからスーパーリーチへの変更(救済)があることを示す救済演出が実行されてからスーパーリーチBが実行される救済有りのリーチハズレが実行されることもある」ことから、引用発明の選択肢A〜Cは、リーチ態様となったあと、「スーパーリーチA」・「スーパーリーチB」・「救済無しのリーチハズレ」・「リーチハズレからスーパーリーチへの変更(救済)があることを示す救済演出が実行されてからスーパーリーチBが実行される救済有りのリーチハズレ」」のいずれが実行されるかを示唆するものであり、その選択肢A〜Cを提示する選択演出を実行している状態は、本願発明の構成Fと「前記演出選択状態は、前記発展リーチ演出後に」、「演出のうちいずれかが実行されることを示唆する状態であ」る点で共通する。

7 本願発明の構成Gについて
引用発明の構成e2、f、gの「選択演出」(演出選択状態)で選択された選択肢A〜Cに対応して実行される「スーパーリーチA」・「スーパーリーチB」・「救済無しのリーチハズレ」・「リーチハズレからスーパーリーチへの変更(救済)があることを示す救済演出が実行されてからスーパーリーチBが実行される救済有りのリーチハズレ」は、飾り図柄(所定の図柄)の変動表示中の演出であることは明らかであるから、引用発明の構成e2、f、gと本願発明の構成Gは「前記」「演出は、前記所定の図柄の変動表示中における演出である」点で共通する。

8 本願発明の構成Hについて
引用発明の構成hの「パチンコ遊技機1」は、本願発明の「遊技機」に相当する。
よって、引用発明の構成hは、本願発明の構成Hに相当する構成を有している。

そうすると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。

(一致点)
「A 始動入賞口に遊技球が入賞したことを契機として取得された乱数に基づいて当たりに当選するか否かの抽選を行い、一の抽選結果を導出する抽選手段と、
B 所定の図柄を変動表示させた後に前記一の抽選結果を報知する態様で図柄を停止表示させる変動演出を実行可能な変動演出実行手段と、
C 前記変動演出の態様を複数種類の態様の中から決定する変動演出態様決定手段と、
を備え、
D’前記変動演出実行手段は、前記所定の図柄の変動表示を実行可能であり、
E’前記変動演出態様決定手段は、前記変動演出において前記所定の図柄によるリーチ演出から発展した発展リーチ演出における演出選択状態の結果として発展リーチ後態様を、前記変動演出の態様として決定可能であり、
F’前記演出選択状態は、前記発展リーチ演出後に、演出のうちいずれかが実行されることを示唆する状態である
G’前記演出は、前記所定の図柄の変動表示中における演出である
H 遊技機。」

(相違点1)(構成D)
「変動演出実行手段」に関して、
本願発明では、「前記所定の図柄の変動表示および仮停止による擬似変動表示を前記変動演出中に繰り返し行う擬似連続演出を実行可能であ」るのに対して、
引用発明では、「リーチハズレからスーパーリーチへの変更(救済)があることを示す救済演出が実行されてからスーパーリーチBが実行される救済有りのリーチハズレ」を実行するが、本願発明のような変動表示が実行可能ではない点。

(相違点2)(構成E)
「変動演出態様決定手段」が決定可能な「発展リーチ後態様」に関して、
本願発明では、「前記変動演出において前記所定の図柄によるリーチ演出から発展した発展リーチ演出における演出選択状態の結果として前記擬似連続演出が実行される発展リーチ後擬似連態様、および前記擬似連続演出における前記所定の図柄の変動表示の回数を増加させる昇格擬似連態様のいずれかを、前記変動演出の態様として決定可能」であるのに対して、
引用発明では、「リーチ態様となったあと」複数の「選択肢A〜C」のうちのいずれかの演出を「選択」可能であるが、「選択肢」として、本願発明のような「擬似連続演出」を選択可能ではない点。

(相違点3)(構成F及びG)
「演出選択状態」に関して、
本願発明では、「前記発展リーチ演出後に前記擬似連続演出または当該擬似連続演出と異なる演出のうちいずれかが実行されることを示唆する状態であり、前記擬似連続演出と異なる演出は、前記所定の図柄の変動表示中における演出であ」るの対して、
引用発明では、選択肢Cとして、リーチハズレからスーパーリーチへの変更(救済)があることを示す救済演出が実行されてからスーパーリーチBが実行される救済有りのリーチハズレが実行されることを示唆しているといえるものの、そのようなことを示唆する状態ではなく、「擬似連続演出」を有しないため、スーパーリーチA〜Cが擬似連続演出と異なる演出であるかどうか特定されていない点。

第6 判断
1 相違点2について
(1)事案に鑑み、相違点2からまず検討する。
遊技機の技術分野において、上記第4 2(5)のとおり「図柄の変動表示及び仮停止を所定回数繰り返し行う擬似連演出を実行可能であり、リーチが成立している状態で、「中」の飾り図柄表示エリアに、擬似連図柄が仮停止(一旦停止)して擬似連が示唆(報知)され、その後、擬似連の再変動表示が実行される遊技機。」(周知技術1)、上記第4 3(7)のとおり「図柄の変動表示及び仮停止を所定回数繰り返し行う擬似連演出を実行可能であり、図柄の擬似連続回数を増加させる演出を実行可能な遊技機。」(周知技術2)、はそれぞれ周知技術である。
ここで、周知技術1の「図柄」、「擬似連演出」、「所定回数繰り返し行う」こと、「リーチが成立している状態で、「中」の飾り図柄表示エリアに、擬似連図柄が仮停止(一旦停止)して擬似連が示唆(報知)され、その後、擬似連の再変動表示が実行される」態様は、それぞれ本願発明の「所定の図柄」、「擬似変動表示」、「繰り返し行う」こと、「発展リーチ後擬似連態様」に相当する。
また、周知技術2の「図柄」、「擬似連演出」、「所定回数繰り返し行う」こと、「図柄の擬似連続回数を増加させる」ことは、それぞれ本願発明の「所定の図柄」、「擬似変動表示」、「繰り返し行う」こと、「変動表示の回数を増加させる」ことに相当する。

(2)相違点2のうち、本願発明が「前記変動演出において前記所定の図柄によるリーチ演出から発展した発展リーチ演出における演出選択状態の結果として前記擬似連続演出が実行される発展リーチ後擬似連態様」「を」「前記変動演出の態様として決定可能」である点について
引用発明及び上記周知技術1は、ともにリーチ演出の後に演出を継続し、リーチ後に図柄が仮停止した後に図柄が再変動する演出を有する遊技機である点で共通する。
そうすると、引用発明の選択演出で提示される選択肢としての選択肢A〜Cのうちの、例えば、選択肢A又は選択肢Bの演出として、上記周知技術1である擬似連続演出を適用して選択演出後に実行される演出の少なくとも一つを擬似連続演出とし、それを選択肢の一つとして選択後に実行するようにすることは当業者が容易になし得たことである。

(3)相違点2のうち、本願発明が「前記変動演出において」「前記擬似連続演出における前記所定の図柄の変動表示の回数を増加させる昇格擬似連態様」「を」「前記変動演出の態様として決定可能」である点について
引用発明及び周知技術2は、ともに変動パターンを選択して変動演出を行う遊技機である点で共通しており、遊技者の興趣を向上するために様々な予告演出を組み合わせること、リーチにならない演出、発展リーチ演出、発展しないリーチ演出等の様々な変動演出を選択実行可能とすることが遊技機の技術分野において従来よりよく行われていることである。
そうすると、引用発明の変動表示の変動パターンとして、上記周知技術2である擬似連続演出を適用して、変動パターンの少なくとも一つに図柄の擬似連続回数を増加させる擬似連続演出(昇格擬似連態様)を加え実行可能とすることは当業者が容易になし得たことである。
そして、引用発明への上記周知技術1及び上記周知技術2の適用は、変動表示の変動パターンの選択肢という点では関連しているものの、変動パターンとしては互いに独立した選択肢であるから、上記周知技術1及び上記周知技術2の適用は、単なる寄せ集めであって、引用発明に上記周知技術1及び上記周知技術2を適用し、本願発明の上記相違点2に係る発明の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。

2 相違点1について
上記「1 相違点2について」で検討したとおり、引用発明に周知技術1、周知技術2を適用すると、「図柄の変動表示及び仮停止を所定回数繰り返し行う擬似連演出を実行可能」となる。
ここで、周知技術1の「図柄」、「擬似連演出」、「所定回数繰り返し行う」ことは、それぞれ本願発明の「所定の図柄」、「擬似変動表示」、「繰り返し行う」ことに相当する。
また、周知技術2の「図柄」、「擬似連演出」、「所定回数繰り返し行う」ことは、それぞれ本願発明の「所定の図柄」、「擬似変動表示」、「繰り返し行う」ことに相当する。
そうすると、周知技術1及び上記周知技術2は、本願発明の構成Dに相当する構成を有している。
よって、上記「1 相違点2について」で、引用発明に上記周知技術1及び上記周知技術2を適用し、本願発明の上記相違点2に係る発明の構成とすることが当業者にとって容易になし得ることであれば、同時に本願発明の上記相違点1に係る発明の構成とすることも当業者が容易になし得たことである。

3 相違点3について
上記「1 相違点2について」で検討したとおり、引用発明に周知技術1を適用すると、引用発明の選択演出で提示される選択肢としての選択肢A〜Cのうちの、例えば、選択A又は選択肢Bの演出として、上記周知技術1である擬似連続演出を適用すると、選択演出後に実行される演出の少なくとも一つを擬似連続演出とし、それを選択肢の一つとして選択後に実行するようになる。
そうすると、擬似連続演出が実行される選択肢は、擬似連続演出が実行されることを示唆する状態であることは明らかであるし、スーパーリーチA〜Cが擬似連続演出と異なる演出であることも明らかである。
よって、上記「1 相違点2について」で、引用発明に上記周知技術1を適用し、本願発明の上記相違点2に係る発明の構成とすることが当業者にとって容易になし得ることであれば、同時に本願発明の上記相違点3に係る発明の構成とすることも当業者が容易になし得たことである。

4 相違点1〜3のまとめについて
上記1〜3のとおり、相違点1及び3は、上記「1 相違点2について」で、引用発明に上記周知技術1及び上記周知技術2を適用し、本願発明の上記相違点2に係る発明の構成とすることが当業者にとって容易になし得ることであれば、同時に本願発明の上記相違点1及び3に係る発明の構成とすることも当業者が容易になし得たことである。
したがって、本願発明は引用発明、上記周知技術1及び上記周知技術2から当業者が容易に発明できたものである。

4 小括
したがって、本願発明は、当業者が引用発明、上記周知技術1及び上記周知技術2に基づいて容易に発明をすることができたものである。

5 請求人の主張について
(1)審判請求人は意見書において、概略、以下のとおり主張している。
「(2.2)拒絶理由2(進歩性)について;
・・・略・・・
一方、引用例1には、「大当り遊技状態中や大当り遊技状態の終了時」において、「確変状態となる制御の開始が報知」される「大当り中昇格演出」が開示されているものの、上記特徴的構成のように「擬似連続演出における前記所定の図柄の変動表示の回数を増加させる昇格擬似連態様」については開示も示唆もされておりません。
また引用例2、3においても同様に、上記特徴的構成における「昇格擬似連態様」については開示も示唆もされておりません。このため、引用例1に記載された発明(引用発明)に対して、引用例2、3に記載された技術的事項(周知技術)をどのように組み合わせたとしても、上記特徴的構成にはなり得ません。
従いまして、上記特徴的構成を有する補正後の本願請求項1に係る発明は、引用発明および上記周知技術から当業者が容易に発明できたものではなく、進歩性を有します。
よって、同拒絶理由通知書における拒絶理由2(進歩性)は解消したものと思料いたします。」

(2)上記審判請求人の主張について検討すると、上記第4 3(7)で説示したとおり、「図柄の変動表示及び仮停止を所定回数繰り返し行う擬似連演出を実行可能であり、図柄の擬似連続回数を増加させる演出を実行可能な遊技機。」は本願出願前に周知であって、当該周知技術を引用発明に採用することは上記第6のとおり当業者が容易になし得たことある。
よって、審判請求人の上記主張は採用することができない。

第7 むすび
本願発明は、当業者が引用発明、周知技術1及び周知技術2に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2022-06-01 
結審通知日 2022-06-07 
審決日 2022-06-22 
出願番号 P2017-208360
審決分類 P 1 8・ 161- WZ (A63F)
P 1 8・ 537- WZ (A63F)
P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 村田 泰利
澤田 真治
発明の名称 遊技機  
代理人 田中 秀▲てつ▼  
代理人 森 哲也  

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