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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04W
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H04W
管理番号 1388156
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-10-18 
確定日 2022-08-24 
事件の表示 特願2018−240280「アップリンクHARQ−ACKリソースの効率的なアロケーション」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 6月13日出願公開、特開2019− 92161、請求項の数(19)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2013年(平成25年)11月4日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2012年11月2日 アメリカ合衆国(US)、2013年1月8日 アメリカ合衆国(US)、2013年1月23日 アメリカ合衆国(US)、2013年2月20日 アメリカ合衆国(US)、2013年9月13日 アメリカ合衆国(US))を国際出願日とする特願2015−541834号の一部を平成30年12月21日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成31年 1月21日 手続補正書及び上申書の提出
令和 2年 3月30日付け 拒絶理由通知書
令和 2年10月 7日 意見書及び手続補正書の提出
令和 3年 6月 9日付け 拒絶査定
令和 3年10月18日 審判請求書の提出
令和 4年 5月31日 応対記録(作成)
令和 4年 5月31日付け 拒絶理由通知書(当審)
令和 4年 6月 8日 意見書及び手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和3年6月9日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

理由1.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

●理由1(進歩性)について
・請求項1ないし19に対して、引用文献1

引用文献等一覧
1.Sharp,Remaining aspects of PUCCH resource for EPDCCH [online],3GPP TSG-RAN WG1#70b R1-124338,2012年9月29日アップロード,インターネット (以下、「引用文献1」という。)

第3 当審拒絶理由の概要
令和4年5月31日付けの拒絶理由通知書で通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。

理由1.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。



●理由1(明確性)について
・請求項 1ないし19
請求項1、7及び13には、テーブルが記載されているが、テーブル内の文字が潰れていて読めず、テーブルの内容が特定できないため、明確でない。
また、請求項2ないし6、8ないし12、14ないし19は、請求項1、7又は13を引用しており、同様に明確でない。

よって、請求項1ないし19に係る発明は、明確でない。

第4 本願発明
本願の請求項1ないし19に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明19」という。)は、令和4年6月8日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし19に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)リソースを選択する方法であって、
拡張物理ダウンリンク制御チャネル(EPDCCH)を基地局から受信される1つ又はそれ以上の信号において第1のサブフレームで検出することと、
前記EPDCCHによって搬送されるDCIペイロードにおける2ビットのハイブリッド自動再送要求−アクノリッジメント(HARQ−ACK)リソースオフセットフィールドに基づいてHARQ−ACKリソースオフセット値を識別することであって、前記2ビットのHARQ−ACKリソースオフセットフィールドがセット{0,−1,−2,2}における値に対応する、前記識別することと、
前記EPDCCHに対応するHARQ−ACKの送信のためにPUCCHリソースを選択することであって、前記PUCCHリソースが前記HARQ−ACKリソースオフセット値に基づいて単一のPUCCHリソースアロケーションブロック又は複数のPUCCHリソースアロケーションブロック内で選択される、前記選択することと、
を含み、
前記2ビットのHARQ−ACKリソースオフセットフィールドが以下のテーブルに従ってHARQ−ACKリソースオフセット値にマッピングされ、

ここで、AROフィールド値が前記2ビットのHARQ−ACKリソースオフセットフィールドに対応し、ΔAROが前記HARQ−ACKリソースオフセット値に対応する、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
第2のアンテナポートでの前記HARQ−ACKの送信のために第2のPUCCHリソースを選択することを更に含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記テーブルにおいてHARQ−ACKリソースオフセットフィールド値を検索することによって前記EPDCCHに対するHARQ−ACKリソースオフセット値を識別することを更に含む、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記テーブルが、HARQ−ACKリソースオフセット値に対して前記HARQ−ACKリソースオフセットフィールド値をマッピングする、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記HARQ−ACKリソースオフセット値が、準静的に構成されるPUCCHリソースのセットのうちの1つを示す、方法。
【請求項6】
請求項3に記載の方法であって、
前記EPDCCHの前記DCIペイロードにおけるHARQ−ACKリソースオフセットフィールドが、小さなオフセット又は大きなオフセットを示すために用いられる、方法。
【請求項7】
ユーザ機器デバイスであって、
基地局から受信される1つ又はそれ以上の信号においてサブフレームnで拡張物理ダウンリンク制御チャネル(EPDCCH)を検出するように構成される受信プロセッサ回路と、
サブフレームn+4での前記基地局に対するハイブリッド自動再送要求−アクノリッジメント(HARQ−ACK)の送信のために物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)リソースを選択するように構成される送信プロセッサ回路であって、前記PUCCHリソースが前記EPDCCHによって搬送されるDCIペイロードにおける2ビットのHARQ−ACKリソースオフセットフィールドに基づいて単一のPUCCHリソースアロケーションブロック又は複数のPUCCHリソースアロケーションブロック内で選択され、前記2ビットのHARQ−ACKリソースオフセットフィールドがセット{0,−1,−2,2}における値に対応する、前記送信プロセッサ回路と、
前記基地局に前記PUCCHリソースを送信するように構成されるモデムと、
を含み、
前記2ビットのHARQ−ACKリソースオフセットフィールドが以下のテーブルに従ってHARQ−ACKリソースフィールド値にマッピングされ、

ここで、AROフィールド値が前記2ビットのHARQ−ACKリソースオフセットフィールドに対応し、ΔAROがHARQ−ACKリソースオフセット値に対応する、ユーザ機器デバイス。
【請求項8】
請求項7に記載のユーザ機器デバイスであって、
前記送信プロセッサ回路が、第2のアンテナポートでの前記HARQ−ACKの送信のために第2のPUCCHリソースを選択するように更に構成される、ユーザ機器デバイス。
【請求項9】
請求項7に記載のユーザ機器デバイスであって、
前記送信プロセッサ回路が、前記テーブルにおけるHARQ−ACKリソースオフセットフィールド値を検索することによって前記EPDCCHに対するHARQ−ACKリソースオフセット値を識別するように更に構成される、ユーザ機器デバイス。
【請求項10】
請求項9に記載のユーザ機器デバイスであって、
前記テーブルが、HARQ−ACKリソースオフセット値に対して前記2ビットのHARQ−ACKリソースオフセットフィールドをマッピングする、ユーザ機器デバイス。
【請求項11】
請求項7に記載のユーザ機器デバイスであって、
前記2ビットHARQ−ACKリソースオフセットフィールドが、準静的に構成されるPUCCHリソースのセットのうちの1つを示す、ユーザ機器デバイス。
【請求項12】
請求項9に記載のユーザ機器デバイスであって、
HARQ−ACKフィードバック情報が、前記示されたPUCCHリソース上に送信される、ユーザ機器デバイス。
【請求項13】
物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)リソースを選択する方法であって、
基地局から受信した1つ又はそれ以上の信号内において第1のサブフレーム内に拡張物理ダウンリンク制御チャネル(EPDCCH)を検出することと、
前記EPDCCHによって搬送されるDCIペイロードにおける2ビットのハイブリッド自動再送要求−アクノリッジメント(HARQ−ACK)リソースオフセットフィールドに基づいてHARQ−ACKリソースオフセット値を識別することであって、前記2ビットのHARQ−ACKリソースオフセットフィールドがセット{0,−1,−2,2}における値に対応する、前記識別することと、
前記EPDCCHに対応するHARQ−ACKの伝送のためにPUCCHリソースを選択することと、
を含み、
前記PUCCHリソースが、前記HARQ−ACKリソースオフセット値と高次層により構成されるPUCCHリソースオフセットとに基づいて単一のPUCCHリソースアロケーションブロック又は複数のPUCCHリソースアロケーションブロック内で選択され、
前記2ビットのHARQ−ACKリソースオフセットフィールドが、以下のテーブルに従ってHARQ−ACKリソースオフセット値にマッピングされ、

ここで、AROフィールド値が前記2ビットのHARQ−ACKリソースオフセットフィールドに対応し、ΔAROがHARQ−ACKリソースオフセット値に対応する、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
前記PUCCHリソースオフセットがpucch−ResourceStartOffset−r11により与えられる、方法。
【請求項15】
請求項13に方法であって、
第2のアンテナポートでの前記HARQ−ACKの伝送のための第2のPUCCHリソースを選択することを更に含む、方法。
【請求項16】
請求項13に記載の方法であって、
前記テーブルにおいてHARQ−ACKリソースフィールド値を検索することにより前記EPDCCHに対するHARQ−ACKリソースオフセット値を識別することを更に含む、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、
前記テーブルが、HARQ−ACKリソースオフセット値に対して前記HARQ−ACKリソースオフセットフィールド値をマッピングする、方法。
【請求項18】
請求項13に記載の方法であって、
前記HARQ−ACKリソースオフセット値が、準静的に構成されるPUCCHリソースの1セットの中の1つを示す、方法。
【請求項19】
請求項16に記載の方法であって、
前記EPDCCHのDCIペイロードにおけるHARQ−ACKリソースオフセットフィールドが小さなオフセット又は大きなオフセットを示すために使用される、方法。」

第5 引用文献及び引用発明
原査定の拒絶の理由で引用され、本願優先日前に公開された引用文献1(Sharp,Remaining aspects of PUCCH resource for EPDCCH [online](当審仮訳:EPDCCH用PUCCHリソースの残りの側面),3GPP TSG-RAN WG1#70b R1-124338,2012年9月29日アップロード,インターネット )には、図面とともに以下の記載がある。(なお、下線は当審で付与した。)

(1)「Proposal 1:
・ Dynamically signalled PUCCH resource offset by EPDCCH, i.e. ARI, should be introduced.」(第2頁第14行目及び第15行目)
(当審仮訳:提案1:
・ EPDCCHにより動的にシグナルされるPUCCHリソースオフセット、すなわちARIを導入すべきである。)

(2)「5. Annex

」(第6頁第8行目ないし第23行目)
(当審仮訳:5. アネックス



(3)「6.1. Text proposal for 10.1.2.1 in TS36.213
10.1.2.1 FDD HARQ-ACK procedure for one configured serving cell

・・・(中略)・・・

」(第6頁下から第5行目ないし第7頁第13行目)
(当審仮訳:6.1. TS36.213における10.1.2.1のためのテキスト提案
10.1.2.1 1つの設定されたサービングセルにおけるFDD HARQ-ACK手順


引用文献1の上記記載、及び無線通信分野における技術常識を考慮すると、次のことがいえる。

ア 上記「(3)」の「PUCCHフォーマット1a/1bでは、2つのアンテナポート

でのHARQ-ACK送信がサポートされる。」との記載、上記「(3)」の「UEは、PUCCHフォーマット1a/1bのためのアンテナポートpにマッピングされた

のサブフレームn

におけるHARQ-ACK送信のために、PUCCHリソース

を使用しなければならない。」との記載、上記「(3)」の「UE は、アンテナポート

用に

を使用しなければならない。」との記載、及び上記「(3)」の「アンテナポート

のPUCCHリソースは、

で与えられる。」との記載によれば、

及び

という数式により、HARQ-ACK送信のために使用されるPUCCHリソースを決定しているといえる。また、当該数式には、nARIの項が含まれているから、当該決定は、nARIに基づいて行われるといえる。
したがって、引用文献1には、PUCCHリソースを決定する方法であって、nARIに基づいてHARQ-ACK送信のために使用されるPUCCHリソースを決定する方法が記載されているといえる。

イ 上記「nARI」について、上記「(3)」には「nARIは、対応するEPDCCHのDCIフォーマット内のARIフィールドに基づいて決定される。」との記載があるから、nARIは、対応するEPDCCHのDCIフォーマット内のARIフィールドに基づいて決定されるものである。また、上記「(2)」の表A1中に「ARI」が「2ビット」であることが示されているから、ARIフィールドは2ビットである。さらに、上記「(1)」の「EPDCCHにより動的にシグナルされるPUCCHリソースオフセット、すなわちARI」との記載によれば、ARIは、PUCCHリソースオフセットである。
したがって、引用文献1には、EPDCCHのDCIフォーマット内の2ビットのARIフィールドに基づいてnARIを決定し、ここで、ARIは、PUCCHリソースオフセットである、ということが記載されているといえる。

したがって、上記「ア」及び「イ」を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「PUCCHリソースを決定する方法であって、
EPDCCHのDCIフォーマット内の2ビットのARIフィールドに基づいてnARIを決定し、ここで、ARIは、PUCCHリソースオフセットであり、
nARIに基づいてHARQ-ACK送信のために使用されるPUCCHリソースを決定する、
方法。」

第6 対比及び判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明の「PUCCH」は、物理アップリンク制御チャネルを表すことが技術常識であるから、引用発明の「PUCCHリソース」は、本願発明1の「物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)リソース」に相当する。そして、引用発明の「PUCCHリソースを決定する方法」は、利用可能なリソースの中からPUCCH用のリソースを選択して決定する方法であるといえるから、本願発明1の「物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)リソースを選択する方法」と、引用発明の「PUCCHリソースを決定する方法」は、「物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)リソースを選択する方法」である点で一致する。

イ 引用発明の「EPDCCH」は、拡張物理ダウンリンク制御チャネルを表すことが技術常識であるから、引用発明の「EPDCCH」は、本願発明1の「拡張物理ダウンリンク制御チャネル(EPDCCH)」に相当する。
また、EPDCCHがDCIのペイロードを搬送することは技術常識であることを考慮すると、引用発明の「EPDCCHのDCIフォーマット内の2ビットの」「フィールド」は、EPDCCHによって搬送されるDCIのペイロードにおける2ビットのフィールドを意味するといえるから、本願発明1の「前記EPDCCHによって搬送されるDCIペイロードにおける2ビットの」「フィールド」に相当する。
そして、引用発明では「ARIは、PUCCHリソースオフセットであ」るとされているとともに、「PUCCHリソース」は「HARQ-ACK送信のために使用される」ものであるから、引用発明の「ARI」は、HARQ-ACK送信のために使用されるリソースのオフセットであるといえる。そして、引用発明の「HARQ-ACK」は、ハイブリッド自動再送要求−アクノリッジメントを表すことが技術常識であることも考慮すると、引用発明の「ARI」は、本願発明1の「ハイブリッド自動再送要求−アクノリッジメント(HARQ−ACK)リソースオフセット」に相当し、引用発明の「ARIフィールド」は、本願発明1の「ハイブリッド自動再送要求−アクノリッジメント(HARQ−ACK)リソースオフセットフィールド」に相当する。
さらに、引用発明の「nARI」は、「ARIフィールド」に基づいて決定されており、上述したように、引用発明の「ARI」は、HARQ-ACK送信のために使用されるリソースのオフセットであるといえるから、そのフィールドである「ARIフィールド」に基づいて決定される「nARI」は、HARQ-ACK送信のために使用されるリソースのオフセットの値であるといえる。したがって、引用発明の「nARI」は、本願発明1の「前記HARQ−ACKリソースオフセット値」に相当する。
また、引用発明の「nARIを決定」することは、nARIを決定する際に、nARIを識別しているといえるから、本願発明1の「HARQ−ACKリソースオフセット値を識別する」ことと、引用発明の「nARIを決定」することは、「HARQ−ACKリソースオフセット値を識別する」点で一致する。
以上のことから、本願発明1の「前記EPDCCHによって搬送されるDCIペイロードにおける2ビットのハイブリッド自動再送要求−アクノリッジメント(HARQ−ACK)リソースオフセットフィールドに基づいてHARQ−ACKリソースオフセット値を識別する」ことと、引用発明の「EPDCCHのDCIフォーマット内の2ビットのARIフィールドに基づいてnARIを決定し、ここで、ARIは、PUCCHリソースオフセットであり」ということは、「前記EPDCCHによって搬送されるDCIペイロードにおける2ビットのハイブリッド自動再送要求−アクノリッジメント(HARQ−ACK)リソースオフセットフィールドに基づいてHARQ−ACKリソースオフセット値を識別する」点で一致する。

ウ 引用発明において「決定する」「PUCCHリソース」は、「HARQ-ACK送信のために使用される」ものであるから、その「決定」は、HARQ-ACKの送信のために行われるものであるといえる。そして、引用発明において「PUCCHリソースを決定する」ことは、利用可能なリソースの中からPUCCH用のリソースを選択して決定することであるといえる。したがって、本願発明1の「HARQ−ACKの送信のためにPUCCHリソースを選択する」ことと、引用発明の「HARQ-ACK送信のために使用されるPUCCHリソースを決定する」ことは、「HARQ−ACKの送信のためにPUCCHリソースを選択する」点で一致する。
また、上記「イ」で説示したように、引用発明の「nARI」は、本願発明1の「前記HARQ−ACKリソースオフセット値」に相当する。
以上のことから、本願発明1の「HARQ−ACKの送信のためにPUCCHリソースを選択することであって、前記PUCCHリソースが前記HARQ−ACKリソースオフセット値に基づいて」「選択される、前記選択すること」と、引用発明の「nARIに基づいてHARQ-ACK送信のために使用されるPUCCHリソースを決定する」ことは、「HARQ−ACKの送信のためにPUCCHリソースを選択することであって、前記PUCCHリソースが前記HARQ−ACKリソースオフセット値に基づいて」「選択される、前記選択すること」である点で一致する。

したがって、上記「ア」ないし「ウ」を総合すれば、本願発明1と引用発明は、以下の点で一致し、また相違する。

<一致点>
「 物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)リソースを選択する方法であって、
前記EPDCCHによって搬送されるDCIペイロードにおける2ビットのハイブリッド自動再送要求−アクノリッジメント(HARQ−ACK)リソースオフセットフィールドに基づいてHARQ−ACKリソースオフセット値を識別することと、
HARQ−ACKの送信のためにPUCCHリソースを選択することであって、前記PUCCHリソースが前記HARQ−ACKリソースオフセット値に基づいて選択される、前記選択することと、
を含む方法」

<相違点1>
拡張物理ダウンリンク制御チャネル(EPDCCH)を、本願発明1では「基地局から受信される1つ又はそれ以上の信号において第1のサブフレームで検出する」という発明特定事項を含むのに対して、引用発明は、当該発明特定事項が特定されていない点。

<相違点2>
2ビットのHARQ−ACKリソースオフセットフィールドに関して、本願発明1では「セット{0,−1,−2,2}における値に対応する」という発明特定事項を含むのに対して、引用発明は、当該発明特定事項が特定されていない点。

<相違点3>
HARQ−ACKの送信に関して、本願発明1では「前記EPDCCHに対応する」という発明特定事項を含むのに対して、引用発明は、当該発明特定事項が特定されていない点。

<相違点4>
HARQ−ACKの送信のためにPUCCHリソースを選択することに関して、本願発明1では「単一のPUCCHリソースアロケーションブロック又は複数のPUCCHリソースアロケーションブロック内で」選択されるという発明特定事項を含むのに対して、引用発明は、当該発明特定事項が特定されていない点。

<相違点5>
2ビットのHARQ−ACKリソースオフセットフィールドとHARQ−ACKリソースオフセット値との間の関係に関して、本願発明1では「前記2ビットのHARQ−ACKリソースオフセットフィールドが以下のテーブルに従ってHARQ−ACKリソースオフセット値にマッピングされ、

ここで、AROフィールド値が前記2ビットのHARQ−ACKリソースオフセットフィールドに対応し、ΔAROが前記HARQ−ACKリソースオフセット値に対応する」という発明特定事項を含むのに対して、引用発明は、当該発明特定事項が特定されていない点。

(2)相違点についての判断
上記相違点について検討するにあたり、事案に鑑みて、上記相違点5について先に検討する。
上記相違点5に係る「前記2ビットのHARQ−ACKリソースオフセットフィールドが以下のテーブルに従ってHARQ−ACKリソースオフセット値にマッピングされ、

ここで、AROフィールド値が前記2ビットのHARQ−ACKリソースオフセットフィールドに対応し、ΔAROが前記HARQ−ACKリソースオフセット値に対応する」という発明特定事項は、当該引用文献1には記載も示唆もされておらず、また当該技術分野における周知技術であるともいえない。
よって、引用発明において、上記相違点5に係る「前記2ビットのHARQ−ACKリソースオフセットフィールドが以下のテーブルに従ってHARQ−ACKリソースオフセット値にマッピングされ、

ここで、AROフィールド値が前記2ビットのHARQ−ACKリソースオフセットフィールドに対応し、ΔAROが前記HARQ−ACKリソースオフセット値に対応する」ものとすることは、当業者といえども容易に想到し得たとはいえない。
したがって、上記相違点1ないし4について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 本願発明2ないし6について
本願発明2ないし6は、本願発明1の発明特定事項を全て備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても引用発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 本願発明7ないし12について
本願発明7は、方法の発明である本願発明1をユーザ機器デバイスの発明として記載したものであって、上記「1」で説示した相違点5に係る本願発明1と同じ発明特定事項を少なくとも含むものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、本願発明8ないし12は、本願発明7の発明特定事項を全て備えるものであるから、本願発明7と同じ理由により、当業者であっても引用発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

4 本願発明13ないし19について
本願発明13は、本願発明1と同様の発明特定事項を含む発明であって、上記「1」で説示した相違点5に係る本願発明1と同じ発明特定事項を少なくとも含むものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、本願発明14ないし19は、本願発明13の発明特定事項を全て備えるものであるから、本願発明13と同じ理由により、当業者であっても引用発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第7 原査定について
本願発明1ないし19は、いずれも「前記2ビットのHARQ−ACKリソースオフセットフィールドが以下のテーブルに従ってHARQ−ACKリソースオフセット値にマッピングされ、


ここで、AROフィールド値が前記2ビットのHARQ−ACKリソースオフセットフィールドに対応し、ΔAROが前記HARQ−ACKリソースオフセット値に対応する」という発明特定事項を備えるものとなっている。
してみれば、上記「第6」の「1」ないし「4」で説示したとおり、本願発明1ないし19は、当業者であっても引用発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第8 当審拒絶理由について
当審拒絶理由では、請求項1、7及び13には、テーブルが記載されているが、テーブル内の文字が潰れていて読めず、テーブルの内容が特定できないため、明確でなく、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない旨を通知しているが、本件補正により、上記テーブル内の文字が明瞭になり、テーブルの内容が特定できるようになったため、この拒絶の理由は解消した。

第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-08-10 
出願番号 P2018-240280
審決分類 P 1 8・ 537- WY (H04W)
P 1 8・ 121- WY (H04W)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 廣川 浩
特許庁審判官 國分 直樹
横田 有光
発明の名称 アップリンクHARQ−ACKリソースの効率的なアロケーション  
代理人 佐藤 仁  

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