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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 B29C 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 B29C 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 B29C |
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管理番号 | 1388336 |
総通号数 | 9 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2022-09-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2020-12-15 |
確定日 | 2022-07-11 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | true |
事件の表示 | 特許第6714590号発明「多重押出し成形ヘッド」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6714590号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし9〕について訂正することを認める。 特許第6714590号の請求項1ないし3、7及び9に係る特許を維持する。 特許第6714590号の請求項4ないし6及び8に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6714590号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし9に係る特許についての出願は、2015年11月9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2014年11月21日、ドイツ)を国際出願日とする出願であって、令和2年6月9日にその特許権の設定登録(請求項の数9)がされ、同年同月24日に特許掲載公報が発行され、その後、その特許に対し、同年12月15日に特許異議申立人 中田エンヂニアリング株式会社(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立て(対象請求項:請求項1ないし9)がされ、令和3年2月19日付けで取消理由が通知され、同年5月25日に特許権者 クラウスマッファイ イクストルージョン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング(以下、「特許権者」という。)から訂正請求がされるとともに意見書が提出され、同年9月3日付けで訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)がされ、同年同月28日に特許異議申立人から意見書が提出され、同年11月19日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、令和4年2月24日に特許権者から訂正請求がされるとともに意見書が提出され、同年3月4日付けで訂正請求があった旨の通知(同項)がされ、同年同月31日に特許異議申立人から意見書が提出されたものである。 なお、令和3年5月25日にされた訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 第2 本件訂正について 1 訂正の内容 令和4年2月24日にされた訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という)の内容は、次のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示すものである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1の 「前記第1の流路インサート(18)と前記第2の流路インサート(20)とは、1つの共通のシール面を有している、」を 「前記第1の流路インサート(18)と前記第2の流路インサート(20)とは、1つの共通のシール面を有しており、 前記流路インサート(18,20)および前記第1のヘッド部分(14)は、1つの共通の回転軸線(D)を中心にして前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持されており、 前記多重押出し成形ヘッド(10)は、インサート閉鎖保持装置(44)を有しており、該インサート閉鎖保持装置(44)を用いて前記第2の流路インサート(20)は、少なくとも2.5MPa(25バール)の圧力下にある、前記第4の流路(40)内に存在するゴムが、該流路において保持可能に、前記ベース体(12)に対して固定可能であり、 前記インサート閉鎖保持装置(44)を用いて前記第2の流路インサート(20)が前記ベース体(12)に対して固定されている場合に、前記第1のヘッド部分(14)が前記第2の流路インサート(20)に対して旋回可能に形成されており、 第1ヘッド固定装置(49)を備え、該第1ヘッド固定装置(49)を用いて前記第1のへッド部分(14)が、前記ベース体(12)に対して可動かつ形状結合式に固定可能であり、 前記第1ヘッド固定装置(49)は、前記第2のヘッド部分(16)が前記ベース体(12)に対して固定されている場合に、前記第1のヘッド部分(14)が前記ベース体(12)対して旋回可能に形成されており、 前記ベース体(12)に対して前記第2のヘッド部分(16)をモータによって旋回および固定させる、第2ヘッド固定装置(50)を備え、 前記第1ヘッド固定装置(49)は、前記インサート閉鎖保持装置(44)および/または前記第2ヘッド固定装置(50)とは無関係に独立している」に訂正する(当審注:令和4年2月24日に提出された訂正請求書の第2ページ第21及び22行の「前記流路インサート(18,20)は、1つの共通の回転軸線(D)を中心にして前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持されている、」は「前記第1の流路インサート(18)と前記第2の流路インサート(20)とは、1つの共通のシール面を有しており、」の誤記と認め、また、同第3ページ第22行の「前記第1ヘッド固定装置(49)は、前記インサート閉鎖保持装置(44)および/または前記第2ヘッド固定装置(50)とは無関係に独立していることを特徴とする、多重押出し成形ヘッド。」に訂正する」は「前記第1ヘッド固定装置(49)は、前記インサート閉鎖保持装置(44)および/または前記第2ヘッド固定装置(50)とは無関係に独立している」に訂正する」の誤記と認める。) 併せて、請求項1を直接又は間接的に引用する他の請求項についても、請求項1を訂正したことに伴う訂正をする。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2の 「前記流路インサート(18,20)は、1つの共通の回転軸線(D)を中心にして前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持されている、」を 「前記流路インサート(18,20)および前記第1のヘッド部分(14)は、1つの共通の回転軸線(D)を中心にして前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持されており、 前記多重押出し成形ヘッド(10)は、インサート閉鎖保持装置(44)を有しており、該インサート閉鎖保持装置(44)を用いて前記第2の流路インサート(20)は、少なくとも2.5MPa(25バール)の圧力下にある、前記第4の流路(40)内に存在するゴムが、該流路において保持可能に、前記ベース体(12)に対して固定可能であり、 前記インサート閉鎖保持装置(44)を用いて前記第2の流路インサート(20)が前記ベース体(12)に対して固定されている場合に、前記第1のヘッド部分(14)が前記第2の流路インサート(20)に対して旋回可能に形成されており、 第1ヘッド固定装置(49)を備え、該第1ヘッド固定装置(49)を用いて前記第1のへッド部分(14)が、前記ベース体(12)に対して可動かつ形状結合式に固定可能であり、 前記第1ヘッド固定装置(49)は、前記第2のヘッド部分(16)が前記ベース体(12)に対して固定されている場合に、前記第1のヘッド部分(14)が前記ベース体(12)対して旋回可能に形成されており、 前記ベース体(12)に対して前記第2のヘッド部分(16)をモータによって旋回および固定させる、第2ヘッド固定装置(50)を備え、 前記第1ヘッド固定装置(49)は、前記インサート閉鎖保持装置(44)および/または前記第2ヘッド固定装置(50)とは無関係に独立している」に訂正する。 併せて、請求項2を直接又は間接的に引用する他の請求項についても、請求項2を訂正したことに伴う訂正をする。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3の 「前記ヘッド部分(14,16)が前記閉鎖状態にある場合に、前記第1の流路インサート(18)と前記第2の流路インサート(20)とは互いに接触していて、互いの間に前記第4の流路(40)を形成している、」を 「前記ヘッド部分(14,16)が前記閉鎖状態にある場合に、前記第1の流路インサート(18)と前記第2の流路インサート(20)とは互いに接触していて、互いの間に前記第4の流路(40)を形成しており、 前記流路インサート(18,20)および前記第1のヘッド部分(14)は、1つの共通の回転軸線(D)を中心にして前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持されており、 前記多重押出し成形ヘッド(10)は、インサート閉鎖保持装置(44)を有しており、該インサート閉鎖保持装置(44)を用いて前記第2の流路インサート(20)は、少なくとも2.5MPa(25バール)の圧力下にある、前記第4の流路(40)内に存在するゴムが、該流路において保持可能に、前記ベース体(12)に対して固定可能であり、 前記インサート閉鎖保持装置(44)を用いて前記第2の流路インサート(20)が前記ベース体(12)に対して固定されている場合に、前記第1のヘッド部分(14)が前記第2の流路インサート(20)に対して旋回可能に形成されており、 第1ヘッド固定装置(49)を備え、該第1ヘッド固定装置(49)を用いて前記第1のへッド部分(14)が、前記ベース体(12)に対して可動かつ形状結合式に固定可能であり、 前記第1ヘッド固定装置(49)は、前記第2のヘッド部分(16)が前記ベース体(12)に対して固定されている場合に、前記第1のヘッド部分(14)が前記ベース体(12)対して旋回可能に形成されており、 前記ベース体(12)に対して前記第2のヘッド部分(16)をモータによって旋回および固定させる、第2ヘッド固定装置(50)を備え、 前記第1ヘッド固定装置(49)は、前記インサート閉鎖保持装置(44)および/または前記第2ヘッド固定装置(50)とは無関係に独立している」に訂正する。 併せて、請求項3を直接又は間接的に引用する他の請求項についても、請求項3を訂正したことに伴う訂正をする。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4を削除する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5を削除する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項6を削除する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項7の 「請求項1から6までのいずれか1項記載の多重押出し成形ヘッド。」を 「請求項1から3までのいずれか1項記載の多重押出し成形ヘッド」に訂正する。 併せて、請求項7を引用する請求項9についても、請求項7を訂正したことに伴う訂正をする。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項8を削除する。 (9)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項9の 「請求項1から8までのいずれか1項記載の多重押出し成形ヘッド(10)と、」を 「請求項1から3および7のいずれか1項記載の多重押出し成形ヘッド(10)と、」に訂正する。 2 訂正の目的、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内か否か及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)請求項1についての訂正について 訂正事項1による請求項1についての訂正は、「第1の流路インサート(18)」、「第2の流路インサート(20)」及び「第1のヘッド部分(14)」が「ベース体(12)」に対してどのように支持されているのかを特定し、「多重押出し成形ヘッド(10)」が「ベース体(12)」に対してどのように固定されているのかを特定し、「第1のヘッド部分(14)」が「第2の流路インサート(20)」に対してどのように形成されているのかを特定し、「第1ヘッド固定装置(49)」及び「第2ヘッド固定装置(50)」を備えることを特定した上で、「第1ヘッド固定装置(49)」及び「第2ヘッド固定装置(50)」がどのようなものかを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項1による請求項1についての訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2)請求項2についての訂正について 訂正事項2による請求項2についての訂正は、「第1のヘッド部分(14)」が「ベース体(12)」に対してどのように支持されているのかを特定し、「多重押出し成形ヘッド(10)」が「ベース体(12)」に対してどのように固定されているのかを特定し、「第1のヘッド部分(14)」が「第2の流路インサート(20)」に対してどのように形成されているのかを特定し、「第1ヘッド固定装置(49)」及び「第2ヘッド固定装置(50)」を備えることを特定した上で、「第1ヘッド固定装置(49)」及び「第2ヘッド固定装置(50)」がどのようなものかを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項2による請求項2についての訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)請求項3についての訂正について 訂正事項3による請求項3についての訂正は、訂正事項1による請求項1についての訂正と同様に、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項3による請求項3についての訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (4)請求項4ないし6及び8についての訂正について 訂正事項4による請求項4についての訂正、訂正事項5による請求項5についての訂正、訂正事項6による請求項6についての訂正及び訂正事項8による請求項8についての訂正は、いずれも請求項を削除する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、これらの訂正は、いずれも願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (5)請求項7についての訂正について 訂正事項1ないし3による請求項7についての訂正は、請求項1ないし3についての訂正と同様に、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項7による請求項7についての訂正は、引用請求項を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項1ないし3及び7による請求項7についての訂正は、いずれも願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (6)請求項9についての訂正について 訂正事項1ないし3及び7による請求項9についての訂正は、請求項1ないし3及び7についての訂正と同様に、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項9による請求項9についての訂正は、引用請求項を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項1ないし3、7及び9による請求項9についての訂正は、いずれも願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 3 むすび 以上のとおり、訂正事項1ないし9による請求項1ないし9についての訂正は、特許法120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、また、同法同条第9項において準用する同法第126条第5及び6項の規定に適合する。 なお、訂正前の請求項1ないし9は一群の請求項に該当するものである。そして、訂正事項1ないし9による請求項1ないし9についての訂正は、それらについてされたものであるから、一群の請求項ごとにされたものであり、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。 また、特許異議の申立ては、訂正前の請求項1ないし9に対してされているので、訂正を認める要件として、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。 したがって、本件訂正は適法なものであり、結論のとおり、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし9〕について訂正することを認める。 第3 本件特許発明 上記第2のとおりであるから、本件特許の請求項1ないし9に係る発明(以下、順に「本件特許発明1」のようにいい、総称して「本件特許発明」という。)は、それぞれ、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 タイヤのトレッド成形材を製造する多重押出し成形ヘッドであって、 (a)ベース体(12)であって、 第1の押出し機が接続される第1の供給開口(22)と、 第2の押出し機が接続される第2の供給開口(24)と、 第3の押出し機が接続される第3の供給開口(26)と、 第4の押出し機が接続される第4の供給開口(28)と、 を有するベース体(12)と、 (b)前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持されていて、前記ベース体(12)に向かって開放した収容部(32)を有する第1のヘッド部分(14)と、 (c)前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持された第2のヘッド部分(16)と、 (d)前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持された少なくとも1つの流路インサート(18,20)と、を備えており、 (e)前記第1のヘッド部分(14)および前記第2のヘッド部分(16)は、閉鎖状態にすることができ、該閉鎖状態において、 前記ヘッド部分(14,16)は互いに耐圧的に結合されていて、かつ 前記多重押出し成形ヘッド(10)内に、第1の流路(34)、第2の流路(36)、第3の流路(38)および第4の流路(40)が形成されていて、前記流路はそれぞれ、供給開口に接続されている、多重押出し成形ヘッドにおいて、 (f)前記ベース体(12)は、第5の押出し機が接続される第5の供給開口(30)を有しており、 (g)前記多重押出し成形ヘッド(10)は、第2の流路インサート(20)を有しており、該第2の流路インサート(20)は、 第1の流路インサート(18)とは無関係に前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持されており、かつ 前記第5の供給開口(30)に接続された第5の流路(42)を画定しており、 前記第1の流路インサート(18)と前記第2の流路インサート(20)とは、1つの共通のシール面を有しており、 前記流路インサート(18,20)および前記第1のヘッド部分(14)は、1つの共通の回転軸線(D)を中心にして前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持されており、 前記多重押出し成形ヘッド(10)は、インサート閉鎖保持装置(44)を有しており、該インサート閉鎖保持装置(44)を用いて前記第2の流路インサート(20)は、少なくとも2.5MPa(25バール)の圧力下にある、前記第4の流路(40)内に存在するゴムが、該流路において保持可能に、前記ベース体(12)に対して固定可能であり、 前記インサート閉鎖保持装置(44)を用いて前記第2の流路インサート(20)が前記ベース体(12)に対して固定されている場合に、前記第1のヘッド部分(14)が前記第2の流路インサート(20)に対して旋回可能に形成されており、 第1ヘッド固定装置(49)を備え、該第1ヘッド固定装置(49)を用いて前記第1のへッド部分(14)が、前記ベース体(12)に対して可動かつ形状結合式に固定可能であり、 前記第1ヘッド固定装置(49)は、前記第2のヘッド部分(16)が前記ベース体(12)に対して固定されている場合に、前記第1のヘッド部分(14)が前記ベース体(12)対して旋回可能に形成されており、 前記ベース体(12)に対して前記第2のヘッド部分(16)をモータによって旋回および固定させる、第2ヘッド固定装置(50)を備え、 前記第1ヘッド固定装置(49)は、前記インサート閉鎖保持装置(44)および/または前記第2ヘッド固定装置(50)とは無関係に独立している ことを特徴とする、多重押出し成形ヘッド。 【請求項2】 タイヤのトレッド成形材を製造する多重押出し成形ヘッドであって、 (a)ベース体(12)であって、 第1の押出し機が接続される第1の供給開口(22)と、 第2の押出し機が接続される第2の供給開口(24)と、 第3の押出し機が接続される第3の供給開口(26)と、 第4の押出し機が接続される第4の供給開口(28)と、 を有するベース体(12)と、 (b)前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持されていて、前記ベース体(12)に向かって開放した収容部(32)を有する第1のヘッド部分(14)と、 (c)前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持された第2のヘッド部分(16)と、 (d)前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持された少なくとも1つの流路インサート(18,20)と、を備えており、 (e)前記第1のヘッド部分(14)および前記第2のヘッド部分(16)は、閉鎖状態にすることができ、該閉鎖状態において、 前記ヘッド部分(14,16)は互いに耐圧的に結合されていて、かつ 前記多重押出し成形ヘッド(10)内に、第1の流路(34)、第2の流路(36)、第3の流路(38)および第4の流路(40)が形成されていて、前記流路はそれぞれ、供給開口に接続されている、多重押出し成形ヘッドにおいて、 (f)前記ベース体(12)は、第5の押出し機が接続される第5の供給開口(30)を有しており、 (g)前記多重押出し成形ヘッド(10)は、第2の流路インサート(20)を有しており、該第2の流路インサート(20)は、 第1の流路インサート(18)とは無関係に前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持されており、かつ 前記第5の供給開口(30)に接続された第5の流路(42)を画定しており、 前記流路インサート(18,20)および前記第1のヘッド部分(14)は、1つの共通の回転軸線(D)を中心にして前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持されており、 前記多重押出し成形ヘッド(10)は、インサート閉鎖保持装置(44)を有しており、該インサート閉鎖保持装置(44)を用いて前記第2の流路インサート(20)は、少なくとも2.5MPa(25バール)の圧力下にある、前記第4の流路(40)内に存在するゴムが、該流路において保持可能に、前記ベース体(12)に対して固定可能であり、 前記インサート閉鎖保持装置(44)を用いて前記第2の流路インサート(20)が前記ベース体(12)に対して固定されている場合に、前記第1のヘッド部分(14)が前記第2の流路インサート(20)に対して旋回可能に形成されており、 第1ヘッド固定装置(49)を備え、該第1ヘッド固定装置(49)を用いて前記第1のへッド部分(14)が、前記ベース体(12)に対して可動かつ形状結合式に固定可能であり、 前記第1ヘッド固定装置(49)は、前記第2のヘッド部分(16)が前記ベース体(12)に対して固定されている場合に、前記第1のヘッド部分(14)が前記ベース体(12)対して旋回可能に形成されており、 前記ベース体(12)に対して前記第2のヘッド部分(16)をモータによって旋回および固定させる、第2ヘッド固定装置(50)を備え、 前記第1ヘッド固定装置(49)は、前記インサート閉鎖保持装置(44)および/または前記第2ヘッド固定装置(50)とは無関係に独立している ことを特徴とする、多重押出し成形ヘッド。 【請求項3】 タイヤのトレッド成形材を製造する多重押出し成形ヘッドであって、 (a)ベース体(12)であって、 第1の押出し機が接続される第1の供給開口(22)と、 第2の押出し機が接続される第2の供給開口(24)と、 第3の押出し機が接続される第3の供給開口(26)と、 第4の押出し機が接続される第4の供給開口(28)と、 を有するベース体(12)と、 (b)前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持されていて、前記ベース体(12)に向かって開放した収容部(32)を有する第1のヘッド部分(14)と、 (c)前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持された第2のヘッド部分(16)と、 (d)前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持された少なくとも1つの流路インサート(18,20)と、を備えており、 (e)前記第1のヘッド部分(14)および前記第2のヘッド部分(16)は、閉鎖状態にすることができ、該閉鎖状態において、 前記ヘッド部分(14,16)は互いに耐圧的に結合されていて、かつ 前記多重押出し成形ヘッド(10)内に、第1の流路(34)、第2の流路(36)、第3の流路(38)および第4の流路(40)が形成されていて、前記流路はそれぞれ、供給開口に接続されている、多重押出し成形ヘッドにおいて、 (f)前記ベース体(12)は、第5の押出し機が接続される第5の供給開口(30)を有しており、 (g)前記多重押出し成形ヘッド(10)は、第2の流路インサート(20)を有しており、該第2の流路インサート(20)は、 第1の流路インサート(18)とは無関係に前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持されており、かつ 前記第5の供給開口(30)に接続された第5の流路(42)を画定しており、 前記ヘッド部分(14,16)が前記閉鎖状態にある場合に、前記第1の流路インサート(18)と前記第2の流路インサート(20)とは互いに接触していて、互いの間に前記第4の流路(40)を形成しており、 前記流路インサート(18,20)および前記第1のヘッド部分(14)は、1つの共通の回転軸線(D)を中心にして前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持されており、 前記多重押出し成形ヘッド(10)は、インサート閉鎖保持装置(44)を有しており、該インサート閉鎖保持装置(44)を用いて前記第2の流路インサート(20)は、少なくとも2.5MPa(25バール)の圧力下にある、前記第4の流路(40)内に存在するゴムが、該流路において保持可能に、前記ベース体(12)に対して固定可能であり、 前記インサート閉鎖保持装置(44)を用いて前記第2の流路インサート(20)が前記ベース体(12)に対して固定されている場合に、前記第1のヘッド部分(14)が前記第2の流路インサート(20)に対して旋回可能に形成されており、 第1ヘッド固定装置(49)を備え、該第1ヘッド固定装置(49)を用いて前記第1のへッド部分(14)が、前記ベース体(12)に対して可動かつ形状結合式に固定可能であり、 前記第1ヘッド固定装置(49)は、前記第2のヘッド部分(16)が前記ベース体(12)に対して固定されている場合に、前記第1のヘッド部分(14)が前記ベース体(12)対して旋回可能に形成されており、 前記ベース体(12)に対して前記第2のヘッド部分(16)をモータによって旋回および固定させる、第2ヘッド固定装置(50)を備え、 前記第1ヘッド固定装置(49)は、前記インサート閉鎖保持装置(44)および/または前記第2ヘッド固定装置(50)とは無関係に独立している ことを特徴とする、多重押出し成形ヘッド。 【請求項4】 (削除) 【請求項5】 (削除) 【請求項6】 (削除) 【請求項7】 前記第1の流路インサート(18)に対して前記第2の流路インサート(20)をモータによって旋回させる、操作装置が設けられている、請求項1から3までのいずれか1項記載の多重押出し成形ヘッド。 【請求項8】 (削除) 【請求項9】 車両タイヤのトレッド成形材を製造するトレッド成形材製造装置であって、 請求項1から3および7のいずれか1項記載の多重押出し成形ヘッド(10)と、 第1の供給開口(22)に接続されている第1の押出し機と、 第2の供給開口(24)に接続されている第2の押出し機と、第3の供給開口(26)に接続されている第3の押出し機と、第4の供給開口(28)に接続されている第4の押出し機と、 少なくとも1つの第5の供給開口(30)に接続されている、少なくとも1つの第5の押出し機と、 を備えていることを特徴とする、トレッド成形材製造装置。」 第4 特許異議申立書に記載した申立ての理由の概要 令和2年12月15日に特許異議申立人が提出した特許異議申立書(以下、「特許異議申立書」という。)に記載した申立ての理由の概要は次のとおりである。 1 申立理由1(甲第1号証に基づく新規性) 本件特許の請求項1ないし3及び9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし3及び9に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 2 申立理由2(甲第1号証に基づく進歩性) 本件特許の請求項1ないし9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし9に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 3 申立理由3(サポート要件) 本件特許の請求項6ないし9に係る特許は、下記(1)ないし(3)の点で特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。 (1)本件特許発明6における「ヘッド固定装置」が、発明の詳細な説明に記載された「インサート保持装置44」、「第1ヘッド固定装置49」及び「第2ヘッド固定装置50」のうちの一つ又は複数を意味するのか、これらとは異なる装置を意味するのか不明瞭である。 請求項6を直接又は間接的に引用する本件特許発明7ないし9についても同様である。 (2)本件特許発明7における「モータ」が、発明の詳細な説明に記載された「液圧シリンダ46」を意味するのか、これとは異なる装置を意味するのか不明瞭である。 請求項7を直接又は間接的に引用する本件特許発明8及び9についても同様である。 (3)本件特許発明8における「モータ」が、発明の詳細な説明に記載された「第2ヘッド固定装置」が有する液圧シリンダを意味するのか、これとは異なる装置を意味するのか不明瞭である。 請求項8を引用する本件特許発明9についても同様である。 4 申立理由4(明確性要件) 本件特許の請求項4ないし9に係る特許は、下記の点で特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。 ・本件特許発明4における「第2の流路インサート(20)」と「第1の流路(34)」の関係が明確でないし、明細書を参酌すると、「第2の流路インサート(20)」と「第1の流路(34)」との間に、可動しない「ベース体12」が存在していることから、本件特許発明4における「前記第1の流路(34)内に存在するゴムが、該流路において保持可能に、前記ベース体(12)に対して固定可能であり」とは、どのような関係を特定しているのか明確でない。 請求項4を直接又は間接的に引用する本件特許発明5ないし9についても同様である。 5 証拠方法 甲第1号証:中国特許出願公開第103171113号明細書 甲第2号証:特開2006−56237号公報 甲第3号証:特開平8−309823号公報 甲第4号証:実願平5−17634号(実開平6−75724号)のCD−ROM なお、証拠の表記は、特許異議申立書の記載におおむね従った。以下、順に「甲1」のようにいう。 第5 取消理由(決定の予告)の概要 令和3年11月19日付けで通知した取消理由(決定の予告)(以下、「取消理由(決定の予告)」という。)の概要は次のとおりである。なお、該理由は申立理由2とおおむね同旨である。 ・(甲1に基づく進歩性) 本件特許の請求項1ないし9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1に記載された発明に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし9に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。 第6 取消理由(決定の予告)について 1 甲1に記載された事項等 (1)甲1に記載された事項 甲1には、「5層型ゴム押し出しヘッド」に関して、おおむね次の事項が記載されている。なお、原文の摘記は省略し、訳文を摘記する。また、下線は当審で便宜上付したものである。 ・「[0001] 本発明は、ゴム機械に関し、とりわけ5層型ゴム押し出しヘッドに関する。」 ・「[0003] 5層型押し出しユニットは、内部コンパウンド、部分的外部ラミネート加工、および部分的外部コンパウンドから成る従来のタイヤ製造方法を、純粋な内部コンパウンド方法へと多様な仕方で変える。5層型押し出しユニットは、タイヤのトレッドおよびサイドウォールに、機械内で配合される5種類の異なったゴムコンパウンドを使うことにより、様々なゴムコンパウンドをより強固に接着することができる。また各々の構成部材の寸法がより正確になることにより、現代のハイエンドタイヤ製造における、多種多様な技術的要求を満たすとともに、タイヤ製造工程を最適化する。この装置は高品質ラジアルタイヤの半製部品を5層で押出すのに適しており、高品質ラジアルタイヤの生産における重要な製造工程装置の一つになるだろう。その装置を採用することで、タイヤ製品の品質改善 、労働生産力の向上、エネルギー消費および原材料の消費削減に重要な役割を果たすであろう。 [0004] 5層型ゴム押し出しユニットには、4層型ゴム押し出しユニットよりも押出部が1つ多い。5層型ゴム押し出しユニットは、主に5層型ゴム押し出しヘッドと五つの押出機を有する。五つの押出機の各バレルは、5層型ゴム押し出しヘッドの押し出し口に各々つながっている。押出機のバレルは大きくて長いので、大型の減速機とモーターを装備する必要があり、また補給コンベアベルトと複合フレームを押出機の周りに設置する必要がある。これにより、5層型押出機ユニットのオンサイト構造と、その空間構造がより複雑になり、より広い範囲をカバーすることができる。空間を最大限に活用し、フロアスペースを減らし、構成を最適化するために鍵となるのは、5つの押出機の位置を効果的に配置して、サポート部材が適切に配置されるようにすることである。」 ・「[0010] 本発明の目的は、各押出口の水平傾斜角度が適正化され、その構造が単純化され、製造および加工コストが削減された、最適化された設計の5層型ゴム押し出しへッドを提供することである。」 ・「[0029] 本実施例では、5つのゴム押出機を備えた5層型ゴム押し出しユニットを一例として挙げる。5つのゴム押出機は120型、150型、250型、250型、150型である。すなわち、押出機スクリューの直径が120mm、150mm、250mm、250mm、150mmとなっている。 [0030] 図1は5層型ゴム押し出しユニットの本実施例である、5層型ゴム押し出しへッドを示している。5層型ゴム押し出しユニットは、上金型1、第一上中金型2、第二上中金型3、中金型4、下中金型5、下金型6を有する。中金型4と金型ホルダー7は、一体として繋がっている。第二上中金型3と第一上中金型2、上金型1は、順に従い中金型4の上に配されている。第二上中金型3、第一上中金型2、上金型1は上ヒンジ軸により中金型4へとヒンジ留めされている。下中金型5と下金型6は、中金型4の下に順に従い配されている。下中金型5と下金型6は、下ヒンジ軸により中金型4へとヒンジ留めされている。 [0031] 図1は隣り合う金型本体の近接状態を示す。上金型1と第一上中金型2の間、第一上中金型2と第二上中金型3の間、第二上中金型3と中金型4の間、中金型4と下中金型5の間、そして下中金型5と下金型6の間には、傾斜した分離面があり、傾斜方向は金型本体補給口から金型本体形成口の向きで定められる。 [0032] 様々なゴム製品の加工および機械加工の利便性の要件を満たすため、第一上中 金型2、第二上中金型3、中金型4、下部中金型5、下金型6に交換可能なランナープレートがはめ込まれている。液状ゴムの特性に従って、ランナープレート上で様々なランナーが加工される。各金型本体の分離面間にある、流路キャビティの両端は、形成口と金型ホルダー7に開いている対応押出口にそれぞれ繋がっている。上金型1と第一上中金型2の間にある分離面流路キャビティの補給口は、上金型押出口8に対応している。第一上中金型2と第二上中金型3の間にある分離面流路キャビティの補給口は、上中金型押出口9に対応している。中金型4と第二上中金型3の間にある分離面流路キャビティの補給口は、中金型押出口10に対応している。中金型4と下中金型5の間にある分離面流路キャビティの補給口は、下中金型押出口11に対応している。下金型6と下中金型5の間にある分離面流路キャビティの補給口は、下金型押出口12に対応している。」 ・「 」 (2)甲1に記載された発明 甲1に記載された事項を、実施例に関して整理すると、甲1には次の発明(以下、順に「甲1発明1」及び「甲1発明2」という。)が記載されていると認める。 <甲1発明1> 「タイヤのトレッドおよびサイドウォールに、機械内で配合される5種類の異なったゴムコンパウンドを使うことにより、様々なゴムコンパウンドをより強固に接着することができる5層型ゴム押し出しユニットの5層型ゴム押し出しヘッドであって、 上金型1、第一上中金型2、第二上中金型3、中金型4、下中金型5、下金型6を有し、中金型4と金型ホルダー7は、一体として繋がっており、第二上中金型3と第一上中金型2、上金型1は、順に従い中金型4の上に配され、第二上中金型3、第一上中金型2、上金型1は上ヒンジ軸により中金型4へとヒンジ留めされ、下中金型5と下金型6は、中金型4の下に順に従い配され、下中金型5と下金型6は、下ヒンジ軸により中金型4へとヒンジ留めされ、 上金型1と第一上中金型2の間、第一上中金型2と第二上中金型3の間、第二上中金型3と中金型4の間、中金型4と下中金型5の間、そして下中金型5と下金型6の間には、傾斜した分離面があり、 各金型本体の分離面間にある、流路キャビティの両端は、形成口と金型ホルダー7に開いている対応押出口にそれぞれ繋がっており、上金型1と第一上中金型2の間にある分離面流路キャビティの補給口は、上金型押出口8に対応し、第一上中金型2と第二上中金型3の間にある分離面流路キャビティの補給口は、上中金型押出口9に対応し、中金型4と第二上中金型3の間にある分離面流路キャビティの補給口は、中金型押出口10に対応し、中金型4と下中金型5の間にある分離面流路キャビティの補給口は、下中金型押出口11に対応し、下金型6と下中金型5の間にある分離面流路キャビティの補給口は、下金型押出口12に対応している、5層型ゴム押し出しヘッド。」 <甲1発明2> 「タイヤのトレッドおよびサイドウォールに、機械内で配合される5種類の異なったゴムコンパウンドを使うことにより、様々なゴムコンパウンドをより強固に接着することができる5層型ゴム押し出しユニットであって、 甲1発明1の5層型ゴム押し出しヘッドと、 五つの押出機を有し、 五つの押出機の各バレルは、5層型ゴム押し出しヘッドの押し出し口に各々つながっている、5層型ゴム押し出しユニット。」 2 本件特許発明について (1)本件特許発明1について ア 対比 本件特許発明1と甲1発明1を対比する。 甲1発明1における「タイヤのトレッドおよびサイドウォールに、機械内で配合される5種類の異なったゴムコンパウンドを使うことにより、様々なゴムコンパウンドをより強固に接着することができる5層型ゴム押し出しユニットの5層型ゴム押し出しヘッド」は本件特許発明1における「タイヤのトレッド成形材を製造する多重成形ヘッド」に相当し、以下同様に、「一体として繋がって」いる「中金型4及び金型ホルダー7」は「ベース体(12)」に、「下金型押出口12」は「第1の供給開口(22)」に、「下中金型押出口11」は「第2の供給開口(24)」に、「中金型押出口10」は「第3の供給開口(26)」に、「上中金型押出口9」は「第4の供給開口(28)」に、「上金型1」は「第1のヘッド部分(14)」に、「下金型6」は「第2のヘッド部分(16)」に、「第二上中金型3」及び「第一上中金型2」は「少なくとも1つの流路インサート(18,20)」に、「下金型6と下中金型5の間にある分離面流路キャビティ」は「第1の流路(34)」に、「中金型4と下中金型5の間にある分離面流路キャビティ」は「第2の流路(36)」に、「中金型4と第二上中金型3の間にある分離面流路キャ ビティ」は「第3の流路(38)」に、「第一上中金型2と第二上中金型3の間にある分離面流路キャビティ」は「第4の流路(40)」に、「上金型押出口8」は「第5の供給開口(30)」に、「第一上中金型2」は「第2の流路インサート(20)」に、「第二上中金型3」は「第1の流路インサート(18)」に、「上金型1と第一上中金型2の間にある分離面流路キャビティ」は「第5の流路(42)」に、「第一上中金型2と第二上中金型3の間」の「傾斜した分離面」は「第1の流路インサート18」と「第2の流路インサート(20)」とが有する「1つの共通のシール面」に、それぞれ相当する。 甲1発明1における「上金型1」、「下金型6」、「第二上中金型3」及び「第一上中金型2」が、それぞれ「一体として繋がって」いる「中金型4及び金型ホルダー7」に対して旋回可能に支持されていることは、甲1の図1及び技術常識から明らかである。 甲1発明1における「上金型1」が、本件特許発明1における「ベース体(12)に向かって開放した収容部(32)」に相当する部分を有することは、甲1の図1及び技術常識から明らかである。 甲1発明1における「上金型1」と「下金型6」が、閉鎖状態にすることができ、該閉鎖状態において互いに耐圧的に結合されていることは、甲1の図1及び技術常識から明らかである。 甲1発明1における「第一上中金型2」が、「一体として繋がって」いる「中金型4及び金型ホルダー7」に対して旋回可能に支持され、「上金型1と第一上中金型2の間にある分離面流路キャビティ」を画定していることは、甲1の図1及び技術常識から明らかである。 そして、本件特許発明1と甲1発明1は、上記相当関係にある事項の順序が異なるものの、それは単なる表現上の相違にすぎない。 したがって、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「タイヤのトレッド成形材を製造する多重押出し成形ヘッドであって、 (a)ベース体(12)であって、 第1の押出し機が接続される第1の供給開口(22)と、 第2の押出し機が接続される第2の供給開口(24)と、 第3の押出し機が接続される第3の供給開口(26)と、 第4の押出し機が接続される第4の供給開口(28)と、 を有するベース体(12)と、 (b)前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持されていて、前記ベース体(12)に向かって開放した収容部(32)を有する第1のヘッド部分(14)と、 (c)前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持された第2のヘッド部分(16)と、 (d)前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持された少なくとも1つの流路インサート(18,20)と、を備えており、 (e)前記第1のヘッド部分(14)および前記第2のヘッド部分(16)は、閉鎖状態にすることができ、該閉鎖状態において、 前記ヘッド部分(14,16)は互いに耐圧的に結合されていて、かつ 前記多重押出し成形ヘッド(10)内に、第1の流路(34)、第2の流路(36)、第3の流路(38)および第4の流路(40)が形成されていて、前記流路はそれぞれ、供給開口に接続されている、多重押出し成形ヘッドにおいて、 (f)前記ベース体(12)は、第5の押出し機が接続される第5の供給開口(30)を有しており、 (g)前記多重押出し成形ヘッド(10)は、第2の流路インサート(20)を有しており、該第2の流路インサート(20)は、 前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持されており、かつ 前記第5の供給開口(30)に接続された第5の流路(42)を画定しており、 前記第1の流路インサート(18)と前記第2の流路インサート(20)とは、1つの共通のシール面を有している、 多重押出し成形ヘッド。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点1−1> 本件特許発明1においては「第2の流路インサート(20)」が「第1の流路インサート(18)とは無関係に前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持されており」と特定されているのに対し、甲1発明1においては本件特許発明1における「第2の流路インサート(20)」に相当する「第一上中金型2」は本件特許発明1における「ベース体(12)」に相当する「一体として繋がって」いる「中金型4及び金型ホルダー7」に対して旋回可能に支持されているものの、本件特許発明1における「第1の流路インサート(18)」に相当する「第二上中金型3」と「無関係」かどうか不明な点。 <相違点1−2> 本件特許発明1においては「前記流路インサート(18,20)および前記第1のヘッド部分(14)は、1つの共通の回転軸線(D)を中心にして前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持されており」と特定されているのに対し、甲1発明1においてはそのようには特定されていない点。 <相違点1−3> 本件特許発明1においては「前記多重押出し成形ヘッド(10)は、インサート閉鎖保持装置(44)を有しており、該インサート閉鎖保持装置(44)を用いて前記第2の流路インサート(20)は、少なくとも2.5MPa(25バール)の圧力下にある、前記第4の流路(40)内に存在するゴムが、該流路において保持可能に、前記ベース体(12)に対して固定可能であり」と特定されているのに対し、甲1発明1においてはそのようには特定されていない点。 <相違点1−4> 本件特許発明1においては「前記インサート閉鎖保持装置(44)を用いて前記第2の流路インサート(20)が前記ベース体(12)に対して固定されている場合に、前記第1のヘッド部分(14)が前記第2の流路インサート(20)に対して旋回可能に形成されており」と特定されているのに対し、甲1発明1においてはそのようには特定されていない点。 <相違点1−5> 本件特許発明1においては「第1ヘッド固定装置(49)を備え、該第1ヘッド固定装置(49)を用いて前記第1のへッド部分(14)が、前記ベース体(12)に対して可動かつ形状結合式に固定可能であり」と特定されているのに対し、甲1発明1においてはそのようには特定されていない点。 <相違点1−6> 本件特許発明1においては「前記第1ヘッド固定装置(49)は、前記第2のヘッド部分(16)が前記ベース体(12)に対して固定されている場合に、前記第1のヘッド部分(14)が前記ベース体(12)対して旋回可能に形成されており」と特定されているのに対し、甲1発明1においてはそのようには特定されていない点。 <相違点1−7> 本件特許発明1においては「前記ベース体(12)に対して前記第2のヘッド部分(16)をモータによって旋回および固定させる、第2ヘッド固定装置(50)を備え」と特定されているのに対し、甲1発明1においてはそのようには特定されていない点。 <相違点1−8> 本件特許発明1においては「前記第1ヘッド固定装置(49)は、前記インサート閉鎖保持装置(44)および/または前記第2ヘッド固定装置(50)とは無関係に独立している」と特定されているのに対し、甲1発明1においてはそのようには特定されていない点。 イ 相違点についての判断 そこで、事案に鑑み、相違点1−5について検討する。 甲1には、甲1発明1において、相違点1−5に係る本件特許発明1の発明特定事項、特に「前記第1のへッド部分(14)が、前記ベース体(12)に対して」「形状結合式に固定可能であり」という発明特定事項を採用する動機付けとなる記載はない。 また、他の証拠にも、甲1発明1において、相違点1−5に係る本件特許発明1の発明特定事項を採用する動機付けとなる記載はない。 したがって、甲1発明1において、甲1及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点1−5に係る本件特許発明1の発明特定事項を採用することは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 なお、特許異議申立人は、令和4年3月31日に提出された意見書において、「特許権者は、意見書の第11ページ第2ないし6行において、「また、甲第1号証には、「第1ヘッド固定装置(49)を備え、該第1ヘッド固定装置(49)を用いて前記第1のヘッド部分(14)が、前記ベース体(12)に対して可動かつ固定可能であり、」という構成要件(以下「構成要件B」といいます。)が記載されていません。」等と主張し、さらに、意見書の第11ページ第21ないし22行において、「また、甲第2号証〜甲第4号証にも、構成要件Bは記載されていません。」等と主張しています。 確かに、特許権者が主張する構成要件Bは、登録時の請求項5の特定事項であり、取消理由通知書においても甲1発明が備えているものとは認定されておりません。 一方、甲第2号証の上ヘッド開閉用流体シリンダ5a、甲第3号証のピストンシリンダユニット10及び甲第4号証の回転駆動用シリンダ48は、それぞれ、上記構成要件Bの第1ヘッド固定装置に相当するものであり、甲第2号証ないし甲第4号証には、それぞれ、構成要件Bが記載又は示唆されているといえます。そして、特許権者が甲第1号証において「上ヒンジ軸」の可能性を指摘する上記A1−4は、第1ヘッド固定装置の作用点であることを示唆するものであり、 甲1発明に、甲第2号証ないし甲第4号証に記載された周知技術を適用する動機付けがあるといえます。」旨主張する(上記意見書第3ページ第5ないし22行)。 そこで、該主張について検討する。 甲2に「上ヘッド開閉用流体シリンダ5a」、甲3に「ピストンシリンダユニット10」及び甲4に「回転駆動用シリンダ48」に関する記載があるといえるとしても、甲2ないし4には、「前記第1のヘッド部分(14)が、前記ベース体(12)に対して」「形状結合式に固定可能であり」という発明特定事項に相当する事項は記載も示唆もされていないから、仮に、甲1発明1に、甲2ないし4に記載された事項を適用することができたとしても、相違点1−5に係る本件特許発明1の発明特定事項には至らない。 したがって、特許異議申立人の上記主張は採用できない。 ウ まとめ したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は甲1発明1並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (2)本件特許発明2について ア 対比 本件特許発明2と甲1発明1を対比する。 両者の間には、本件特許発明1と甲1発明1の間と同様の相当関係が成り立つ。 そして、本件特許発明2と甲1発明1は、上記相当関係にある事項の順序が異なるものの、それは単なる表現上の相違にすぎない。 したがって、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「タイヤのトレッド成形材を製造する多重押出し成形ヘッドであって、 (a)ベース体(12)であって、 第1の押出し機が接続される第1の供給開口(22)と、 第2の押出し機が接続される第2の供給開口(24)と、 第3の押出し機が接続される第3の供給開口(26)と、 第4の押出し機が接続される第4の供給開口(28)と、 を有するベース体(12)と、 (b)前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持されていて、前記ベース体(12)に向かって開放した収容部(32)を有する第1のヘッド部分(14)と、 (c)前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持された第2のヘッド部分(16)と、 (d)前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持された少なくとも1つの流路インサート(18,20)と、を備えており、 (e)前記第1のヘッド部分(14)および前記第2のヘッド部分(16)は、閉鎖状態にすることができ、該閉鎖状態において、 前記ヘッド部分(14,16)は互いに耐圧的に結合されていて、かつ 前記多重押出し成形ヘッド(10)内に、第1の流路(34)、第2の流路(36)、第3の流路(38)および第4の流路(40)が形成されていて、前記流路はそれぞれ、供給開口に接続されている、多重押出し成形ヘッドにおいて、 (f)前記ベース体(12)は、第5の押出し機が接続される第5の供給開口(30)を有しており、 (g)前記多重押出し成形ヘッド(10)は、第2の流路インサート(20)を有しており、該第2の流路インサート(20)は、 前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持されており、かつ 前記第5の供給開口(30)に接続された第5の流路(42)を画定している、 多重押出し成形ヘッド。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点2−1> 本件特許発明2においては「第2の流路インサート(20)」が「第1の流路インサート(18)とは無関係に前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持されており」と特定されているのに対し、甲1発明1においては本件特許発明2における「第2の流路インサート(20)」に相当する「第一上中金型2」は本件特許発明2における「ベース体(12)」に相当する「一体として繋がって」いる「中金型4及び金型ホルダー7」に対して旋回可能に支持されているものの、本件特許発明2における「第1の流路インサート(18)」に相当する「第二上中金型3」と「無関係」かどうか不明な点。 <相違点2−2> 本件特許発明2においては「前記流路インサート(18,20)および前記第1のヘッド部分(14)は、1つの共通の回転軸線(D)を中心にして前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持されており」と特定されているのに対し、甲1発明1においてはそのようには特定されていない点。 <相違点2−3> 本件特許発明2においては「前記多重押出し成形ヘッド(10)は、インサート閉鎖保持装置(44)を有しており、該インサート閉鎖保持装置(44)を用いて前記第2の流路インサート(20)は、少なくとも2.5MPa(25バール)の圧力下にある、前記第4の流路(40)内に存在するゴムが、該流路において保持可能に、前記ベース体(12)に対して固定可能であり」と特定されているのに対し、甲1発明1においてはそのようには特定されていない点。 <相違点2−4> 本件特許発明2においては「前記インサート閉鎖保持装置(44)を用いて前記第2の流路インサート(20)が前記ベース体(12)に対して固定されている場合に、前記第1のヘッド部分(14)が前記第2の流路インサート(20)に対して旋回可能に形成されており」と特定されているのに対し、甲1発明1においてはそのようには特定されていない点。 <相違点2−5> 本件特許発明2においては「第1ヘッド固定装置(49)を備え、該第1ヘッド固定装置(49)を用いて前記第1のへッド部分(14)が、前記ベース体(12)に対して可動かつ形状結合式に固定可能であり」と特定されているのに対し、甲1発明1においてはそのようには特定されていない点。 <相違点2−6> 本件特許発明2においては「前記第1ヘッド固定装置(49)は、前記第2のヘッド部分(16)が前記ベース体(12)に対して固定されている場合に、前記第1のヘッド部分(14)が前記ベース体(12)対して旋回可能に形成されており」と特定されているのに対し、甲1発明1においてはそのようには特定されていない点。 <相違点2−7> 本件特許発明2においては「前記ベース体(12)に対して前記第2のヘッド部分(16)をモータによって旋回および固定させる、第2ヘッド固定装置(50)を備え」と特定されているのに対し、甲1発明1においてはそのようには特定されていない点。 <相違点2−8> 本件特許発明2においては「前記第1ヘッド固定装置(49)は、前記インサート閉鎖保持装置(44)および/または前記第2ヘッド固定装置(50)とは無関係に独立している」と特定されているのに対し、甲1発明1においてはそのようには特定されていない点。 イ 相違点についての判断 そこで、事案に鑑み、相違点2―5について検討するに、相違点2―5は相違点1―5と同じであるから、その判断についても同じである。 すなわち、甲1発明1において、甲1及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点2−5に係る本件特許発明1の発明特定事項を採用することは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 ウ まとめ したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明2は甲1発明1並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (3)本件特許発明3について ア 対比 本件特許発明3と甲1発明1を対比する。 両者の間には、本件特許発明1と甲1発明1の間と同様の相当関係が成り立つことに加えて、甲1発明1における「第一上中金型2と第二上中金型3の間にある分離面流路キャビティ」は本件特許発明3における「前記ヘッド部分(14,16)が前記閉鎖状態にある場合に、前記第1の流路インサート(18)と前記第2の流路インサート(20)とは互いに接触していて、互いの間に」「形成している」「前記第4の流路(40)」に相当する。 そして、本件特許発明3と甲1発明1は、上記相当関係にある事項の順序が異なるものの、それは単なる表現上の相違にすぎない。 したがって、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「タイヤのトレッド成形材を製造する多重押出し成形ヘッドであって、 (a)ベース体(12)であって、 第1の押出し機が接続される第1の供給開口(22)と、 第2の押出し機が接続される第2の供給開口(24)と、 第3の押出し機が接続される第3の供給開口(26)と、 第4の押出し機が接続される第4の供給開口(28)と、 を有するベース体(12)と、 (b)前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持されていて、前記ベース体(12)に向かって開放した収容部(32)を有する第1のヘッド部分(14)と、 (c)前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持された第2のヘッド部分(16)と、 (d)前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持された少なくとも1つの流路インサート(18,20)と、を備えており、 (e)前記第1のヘッド部分(14)および前記第2のヘッド部分(16)は、閉鎖状態にすることができ、該閉鎖状態において、 前記ヘッド部分(14,16)は互いに耐圧的に結合されていて、かつ 前記多重押出し成形ヘッド(10)内に、第1の流路(34)、第2の流路(36)、第3の流路(38)および第4の流路(40)が形成されていて、前記流路はそれぞれ、供給開口に接続されている、多重押出し成形ヘッドにおいて、 (f)前記ベース体(12)は、第5の押出し機が接続される第5の供給開口(30)を有しており、 (g)前記多重押出し成形ヘッド(10)は、第2の流路インサート(20)を有しており、該第2の流路インサート(20)は、 前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持されており、かつ 前記第5の供給開口(30)に接続された第5の流路(42)を画定しており、 前記ヘッド部分(14,16)が前記閉鎖状態にある場合に、前記第1の流路インサート(18)と前記第2の流路インサート(20)とは互いに接触していて、互いの間に前記第4の流路(40)を形成している、 多重押出し成形ヘッド。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点3−1> 本件特許発明3においては「第2の流路インサート(20)」が「第1の流路インサート(18)とは無関係に前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持されており」と特定されているのに対し、甲1発明1においては本件特許発明3における「第2の流路インサート(20)」に相当する「第一上中金型2」は本件特許発明3における「ベース体(12)」に相当する「一体として繋がって」いる「中金型4及び金型ホルダー7」に対して旋回可能に支持されているものの、本件特許発明3における「第1の流路インサート(18)」に相当する「第二上中金型3」と「無関係」かどうか不明な点。 <相違点3−2> 本件特許発明3においては「前記流路インサート(18,20)および前記第1のヘッド部分(14)は、1つの共通の回転軸線(D)を中心にして前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持されており」と特定されているのに対し、甲1発明1においてはそのようには特定されていない点。 <相違点3−3> 本件特許発明3においては「前記多重押出し成形ヘッド(10)は、インサート閉鎖保持装置(44)を有しており、該インサート閉鎖保持装置(44)を用いて前記第2の流路インサート(20)は、少なくとも2.5MPa(25バール)の圧力下にある、前記第4の流路(40)内に存在するゴムが、該流路において保持可能に、前記ベース体(12)に対して固定可能であり」と特定されているのに対し、甲1発明1においてはそのようには特定されていない点。 <相違点3−4> 本件特許発明3においては「前記インサート閉鎖保持装置(44)を用いて前記第2の流路インサート(20)が前記ベース体(12)に対して固定されている場合に、前記第1のヘッド部分(14)が前記第2の流路インサート(20)に対して旋回可能に形成されており」と特定されているのに対し、甲1発明1においてはそのようには特定されていない点。 <相違点3−5> 本件特許発明3においては「第1ヘッド固定装置(49)を備え、該第1ヘッド固定装置(49)を用いて前記第1のへッド部分(14)が、前記ベース体(12)に対して可動かつ形状結合式に固定可能であり」と特定されているのに対し、甲1発明1においてはそのようには特定されていない点。 <相違点3−6> 本件特許発明3においては「前記第1ヘッド固定装置(49)は、前記第2のヘッド部分(16)が前記ベース体(12)に対して固定されている場合に、前記第1のヘッド部分(14)が前記ベース体(12)対して旋回可能に形成されており」と特定されているのに対し、甲1発明1においてはそのようには特定されていない点。 <相違点3−7> 本件特許発明3においては「前記ベース体(12)に対して前記第2のヘッド部分(16)をモータによって旋回および固定させる、第2ヘッド固定装置(50)を備え」と特定されているのに対し、甲1発明1においてはそのようには特定されていない点。 <相違点3−8> 本件特許発明3においては「前記第1ヘッド固定装置(49)は、前記インサート閉鎖保持装置(44)および/または前記第2ヘッド固定装置(50)とは無関係に独立している」と特定されているのに対し、甲1発明1においてはそのようには特定されていない点。 イ 相違点についての判断 そこで、事案に鑑み、相違点3―5について検討するに、相違点3―5は相違点1―5と同じであるから、その判断についても同じである。 すなわち、甲1発明1において、甲1及び他の証拠に記載された事項を考慮しても、相違点3−5に係る本件特許発明1の発明特定事項を採用することは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。 ウ まとめ したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明3は甲1発明1並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (4)本件特許発明7について 本件特許発明7は請求項1ないし3のいずれかを引用するものであり、本件特許発明1ないし3のいずれかの発明特定事項を全て有するものである。 したがって、本件特許発明7は、本件特許発明1ないし3と同様に、甲1発明並びに甲1及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (5)本件特許発明9について ア 対比 本件特許発明9と甲1発明2を対比する。 甲1発明2における「タイヤのトレッドおよびサイドウォールに、機械内で配合される5種類の異なったゴムコンパウンドを使うことにより、様々なゴムコンパウンドをより強固に接着することができる5層型ゴム押し出しユニット」は本件特許発明9における「車両タイヤのトレッド成形材を製造するトレッド成形材製造装置」に相当する。 甲1発明2における「5層型ゴム押し出しヘッドの押し出し口に各々つながっている」「五つの押出機」の一つ一つが、本件特許発明9における「第1の供給開口(22)に接続されている第1の押出し機」、「第2の供給開口(24)に接続されている第2の押出し機」、「第3の供給開口(26)に接続されている第3の押出し機」、「第4の供給開口(28)に接続されている第4の押出し機」及び「少なくとも1つの第5の供給開口(30)に接続されている、少なくとも1つの第5の押出し機」に相当する。 したがって、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「車両タイヤのトレッド成形材を製造するトレッド成形材製造装置であって、 多重押出し成形ヘッド(10)と、 第1の供給開口(22)に接続されている第1の押出し機と、 第2の供給開口(24)に接続されている第2の押出し機と、第3の供給開口(26)に接続されている第3の押出し機と、第4の供給開口(28)に接続されている第4の押出し機と、 少なくとも1つの第5の供給開口(30)に接続されている、少なくとも1つの第5の押出し機と、 を備えている、トレッド成形材製造装置。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点4> 本件特許発明9においては「多重押出し成形ヘッド(10)」が「請求項1ないし3および7のいずれか1項記載」のものであるのに対し、甲1発明2においては「多重押出し成形ヘッド(10)」に相当する「5層型ゴム押し出しヘッド」が「甲1発明1」のものである点。 イ 相違点についての判断 そこで、相違点4について検討する。 上記(1)ないし(4)のとおり、本件特許発明1ないし3及び7は甲1発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない以上、甲1発明2において、「5層型ゴム押し出しヘッド」を本件特許発明1ないし3及び7、すなわち「請求項1ないし3および7のいずれか1項記載」のものとすることは、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。 ウ まとめ したがって、本件特許発明9は甲1発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 3 取消理由(決定の予告)についてのむすび したがって、本件特許発明1ないし3、7及び9は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえない。 よって、本件特許の請求項1ないし3、7及び9に係る特許は、特許法第113条第2号に該当しないので、取消理由(決定の予告)によっては取り消すことはできない。 第7 取消理由(決定の予告)に採用しなかった特許異議申立書に記載した申立ての理由について 取消理由(決定の予告)に採用しなかった特許異議申立書に記載した申立ての理由は、申立理由1(甲1に基づく新規性)、申立理由3(サポート要件)及び申立理由4(明確性要件)である。 そこで、検討する。 1 申立理由1(甲1に基づく新規性)について (1)本件特許発明1について 上記第6 2(1)のとおり、本件特許発明1と甲1発明1の間には、相違点1−1ないし1−8がある。 そして、これらの相違点のうち、少なくとも相違点1−5は実質的な相違点である。 したがって、本件特許発明1は甲1発明1であるとはいえない。 (2)本件特許発明2について 上記第6 2(2)のとおり、本件特許発明2と甲1発明1の間には、相違点2−1ないし2−8がある。 そして、これらの相違点のうち、少なくとも相違点2−5は実質的な相違点である。 したがって、本件特許発明2は甲1発明1であるとはいえない。 (3)本件特許発明3について 上記第6 2(3)のとおり、本件特許発明3と甲1発明1の間には、相違点3−1ないし3−8がある。 そして、これらの相違点のうち、少なくとも相違点3−5は実質的な相違点である。 したがって、本件特許発明3は甲1発明1であるとはいえない。 (4)本件特許発明9について 上記第6 2(5)のとおり、本件特許発明9と甲1発明2の間には、相違点4がある。 そして、この相違点は実質的な相違点である。 したがって、本件特許発明9は甲1発明2であるとはいえない。 (5)申立理由1についてのむすび したがって、本件特許発明1ないし3及び9は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるとはいえない。 よって、本件特許の請求項1ないし3及び9に係る特許は、特許法第113条第2号に該当するものであるとはいえないので、申立理由1によっては取り消すことはできない。 2 申立理由3(サポート要件)について (1)サポート要件の判断基準 特許請求の範囲の記載が、サポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 そこで、検討する。 (2)サポート要件の判断 本件特許の特許請求の範囲の記載は上記第3のとおりである。 他方、本件特許の発明の詳細な説明の【0004】によると、本件特許発明の課題は「トレッドストリップの製造を改善すること」(以下、「発明の課題」という。)である。 また、本件特許の発明の詳細な説明の【0005】に「この課題を解決するために、本発明の構成では、冒頭に述べた多重押出し成形ヘッドにおいて、ベース体は、第5の押出し機が接続される第5の供給開口を有しており、かつ前記多重押出し成形ヘッドは、第2の流路インサートを有しており、該第2の流路インサートは、第1の流路インサートとは無関係にベース体に対して旋回可能に支持されており、かつ第5の供給開口に接続された第5の流路を画定している。」と記載され、同【0006】に「このような多重押出し成形ヘッドには、より複雑なトレッドストリップを製造することができるという利点がある。追加の流路によって、従来製造可能なトレッド成形材とは異なった材料特性を有する別の領域を製造することができる。」と記載され、同【0001】、【0010】及び【0015】ないし【0021】に本件特許の各請求項の記載に対応する記載があり、同【0023】ないし【0036】に多重押し出し成形ヘッドの具体的な例が記載されている。 そうすると、当業者は、「ベース体が第5の押出し機が接続される第5の供給開口を有しており、かつ前記多重押出し成形ヘッドが第2の流路インサートを有しており、該第2の流路インサートが第1の流路インサートとは無関係にベース体に対して旋回可能に支持されており、かつ第5の供給開口に接続された第5の流路を画定している多重押出し成形ヘッド」及び「該多重押出し成形ヘッドを用いたトレッド成形材製造装置」は、発明の課題を解決できると認識できる。 そして、本件特許発明1ないし3及び7は、上記「多重押出し成形ヘッド」をさらに限定したものであり、本件特許発明9は「トレッド成形材製造装置」をさらに限定したものである。 したがって、本件特許発明は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえる。 よって、本件特許発明に関して、特許請求の範囲の記載は、サポート要件に適合する。 なお、上記第4 3における特許異議申立人の主張について検討する。 ア (1)の理由について (1)の理由は、本件訂正前の請求項6の記載に起因するものであるところ、本件訂正により、請求項6は削除された。 また、本件訂正後の各請求項には本件訂正前の請求項6の記載に相当する記載はない。 したがって、(1)の理由はその理由がない。 イ (2)の理由について 本件特許発明7における「モータ」が「液圧シリンダ46」を意味するかどうかは、サポート要件に適合するかどうかの判断とは関係がない。 したがって、(2)の理由はその理由がない。 ウ (3)の理由について (3)の理由は、本件訂正前の請求項8の記載に起因するものであるところ、本件訂正により、請求項8は削除された。 また、本件訂正により、本件特許発明1ないし3は本件訂正前の請求項8に記載された「モータ」を有することになったが、本件特許発明1ないし3における「モータ」が「液圧シリンダ46」を意味するかどうかは、サポート要件に適合するかどうかの判断とは関係がない。 したがって、(3)の理由はその理由がない。 (3)申立理由3についてのむすび したがって、本件特許の請求項1ないし3、7及び9に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえない。 よって、本件特許の請求項1ないし3、7及び9に係る特許は、特許法第113条第4号に該当しないので、申立理由3によっては、取り消すことはできない。 3 申立理由4(明確性要件)について (1)明確性要件の判断基準 特許を受けようとする発明が明確であるかは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。 そこで、検討する。 (2)明確性要件の判断 本件特許の請求項1ないし3、7及び9の記載に不明確な記載はなく、本件特許の明細書の記載及び図面とも整合する。 したがって、本件特許発明1ないし3、7及び9に関して、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。 なお、上記第4 4における特許異議申立人の主張は、本件訂正前の請求項4の「前記多重押出し成形ヘッド(10)は、インサート閉鎖保持装置(44)を有しており、該インサート閉鎖保持装置(44)を用いて前記第2の流路インサート(20)は、少なくとも2.5MPa(25バール)の圧力下にある、前記第1の流路(34)内に存在するゴムが、該流路において保持可能に、前記ベース体(12)に対して固定可能であり、 前記インサート閉鎖保持装置(44)は、前記第2の流路インサート(20)が前記ベース体(12)に対して固定されている場合に、前記第1のヘッド部分(14)が前記第2の流路インサート(20)に対して旋回可能に形成されている」という記載に誤記及び明瞭でない記載があったことに起因するものであるところ、本件訂正により、訂正前の請求項4は削除された。また、本件訂正後の請求項1ないし3には、本件訂正前の請求項4の記載にあった誤記及び明瞭でない記載はない。 したがって、特許異議申立人の上記主張は採用できない。 (3)申立理由4についてのむすび したがって、本件特許の請求項1ないし3、7及び9に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえない。 よって、本件特許の請求項1ないし3、7及び9に係る特許は、特許法第113条第4号に該当しないので、申立理由4によっては、取り消すことはできない。 第8 結語 上記第6及び7のとおり、本件特許の請求項1ないし3、7及び9に係る特許は、取消理由(決定の予告)及び特許異議申立書に記載した申立ての理由によっては、取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1ないし3、7及び9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 さらに、本件特許の請求項4ないし6及び8に係る特許は、訂正により削除されたため、特許異議申立人による請求項4ないし6及び8に係る特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったので、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 タイヤのトレッド成形材を製造する多重押出し成形ヘッドであって、 (a)ベース体(12)であって、 第1の押出し機が接続される第1の供給開口(22)と、 第2の押出し機が接続される第2の供給開口(24)と、 第3の押出し機が接続される第3の供給開口(26)と、 第4の押出し機が接続される第4の供給開口(28)と、 を有するベース体(12)と、 (b)前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持されていて、前記ベース体(12)に向かって開放した収容部(32)を有する第1のヘッド部分(14)と、 (c)前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持された第2のヘッド部分(16)と、 (d)前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持された少なくとも1つの流路インサート(18,20)と、を備えており、 (e)前記第1のヘッド部分(14)および前記第2のヘッド部分(16)は、閉鎖状態にすることができ、該閉鎖状態において、 前記ヘッド部分(14,16)は互いに耐圧的に結合されていて、かつ 前記多重押出し成形ヘッド(10)内に、第1の流路(34)、第2の流路(36)、第3の流路(38)および第4の流路(40)が形成されていて、前記流路はそれぞれ、供給開口に接続されている、多重押出し成形ヘッドにおいて、 (f)前記ベース体(12)は、第5の押出し機が接続される第5の供給開口(30)を有しており、 (g)前記多重押出し成形ヘッド(10)は、第2の流路インサート(20)を有しており、該第2の流路インサート(20)は、 第1の流路インサート(18)とは無関係に前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持されており、かつ 前記第5の供給開口(30)に接続された第5の流路(42)を画定しており、 前記第1の流路インサート(18)と前記第2の流路インサート(20)とは、1つの共通のシール面を有しており、 前記流路インサート(18,20)および前記第1のヘッド部分(14)は、1つの共通の回転軸線(D)を中心にして前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持されており、 前記多重押出し成形ヘッド(10)は、インサート閉鎖保持装置(44)を有しており、該インサート閉鎖保持装置(44)を用いて前記第2の流路インサート(20)は、少なくとも2.5MPa(25バール)の圧力下にある、前記第4の流路(40)内に存在するゴムが、該流路において保持可能に、前記ベース体(12)に対して固定可能であり、 前記インサート閉鎖保持装置(44)を用いて前記第2の流路インサート(20)が前記ベース体(12)に対して固定されている場合に、前記第1のヘッド部分(14)が前記第2の流路インサート(20)に対して旋回可能に形成されており、 第1ヘッド固定装置(49)を備え、該第1ヘッド固定装置(49)を用いて前記第1のヘッド部分(14)が、前記ベース体(12)に対して可動かつ形状結合式に固定可能であり、 前記第1ヘッド固定装置(49)は、前記第2のヘッド部分(16)が前記ベース体(12)に対して固定されている場合に、前記第1のヘッド部分(14)が前記ベース体(12)対して旋回可能に形成されており、前記ベース体(12)に対して前記第2のヘッド部分(16)をモータによって旋回および固定させる、第2ヘッド固定装置(50)を備え、 前記第1ヘッド固定装置(49)は、前記インサート閉鎖保持装置(44)および/または前記第2ヘッド固定装置(50)とは無関係に独立している ことを特徴とする、多重押出し成形ヘッド。 【請求項2】 タイヤのトレッド成形材を製造する多重押出し成形ヘッドであって、 (a)ベース体(12)であって、 第1の押出し機が接続される第1の供給開口(22)と、 第2の押出し機が接続される第2の供給開口(24)と、 第3の押出し機が接続される第3の供給開口(26)と、 第4の押出し機が接続される第4の供給開口(28)と、 を有するベース体(12)と、 (b)前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持されていて、前記ベース体(12)に向かって開放した収容部(32)を有する第1のヘッド部分(14)と、 (c)前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持された第2のヘッド部分(16)と、 (d)前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持された少なくとも1つの流路インサート(18,20)と、を備えており、 (e)前記第1のヘッド部分(14)および前記第2のヘッド部分(16)は、閉鎖状態にすることができ、該閉鎖状態において、 前記ヘッド部分(14,16)は互いに耐圧的に結合されていて、かつ 前記多重押出し成形ヘッド(10)内に、第1の流路(34)、第2の流路(36)、第3の流路(38)および第4の流路(40)が形成されていて、前記流路はそれぞれ、供給開口に接続されている、多重押出し成形ヘッドにおいて、 (f)前記ベース体(12)は、第5の押出し機が接続される第5の供給開口(30)を有しており、 (g)前記多重押出し成形ヘッド(10)は、第2の流路インサート(20)を有しており、該第2の流路インサート(20)は、 第1の流路インサート(18)とは無関係に前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持されており、かつ 前記第5の供給開口(30)に接続された第5の流路(42)を画定しており、 前記流路インサート(18,20)および前記第1のヘッド部分(14)は、1つの共通の回転軸線(D)を中心にして前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持されており、 前記多重押出し成形ヘッド(10)は、インサート閉鎖保持装置(44)を有しており、該インサート閉鎖保持装置(44)を用いて前記第2の流路インサート(20)は、少なくとも2.5MPa(25バール)の圧力下にある、前記第4の流路(40)内に存在するゴムが、該流路において保持可能に、前記ベース体(12)に対して固定可能であり、 前記インサート閉鎖保持装置(44)を用いて前記第2の流路インサート(20)が前記ベース体(12)に対して固定されている場合に、前記第1のヘッド部分(14)が前記第2の流路インサート(20)に対して旋回可能に形成されており、 第1ヘッド固定装置(49)を備え、該第1ヘッド固定装置(49)を用いて前記第1のヘッド部分(14)が、前記ベース体(12)に対して可動かつ形状結合式に固定可能であり、 前記第1ヘッド固定装置(49)は、前記第2のヘッド部分(16)が前記ベース体(12)に対して固定されている場合に、前記第1のヘッド部分(14)が前記ベース体(12)対して旋回可能に形成されており、 前記ベース体(12)に対して前記第2のヘッド部分(16)をモータによって旋回および固定させる、第2ヘッド固定装置(50)を備え、 前記第1ヘッド固定装置(49)は、前記インサート閉鎖保持装置(44)および/または前記第2ヘッド固定装置(50)とは無関係に独立している ことを特徴とする、多重押出し成形ヘッド。 【請求項3】 タイヤのトレッド成形材を製造する多重押出し成形ヘッドであって、 (a)ベース体(12)であって、 第1の押出し機が接続される第1の供給開口(22)と、 第2の押出し機が接続される第2の供給開口(24)と、 第3の押出し機が接続される第3の供給開口(26)と、 第4の押出し機が接続される第4の供給開口(28)と、 を有するベース体(12)と、 (b)前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持されていて、前記ベース体(12)に向かって開放した収容部(32)を有する第1のヘッド部分(14)と、 (c)前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持された第2のヘッド部分(16)と、 (d)前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持された少なくとも1つの流路インサート(18,20)と、を備えており、 (e)前記第1のヘッド部分(14)および前記第2のヘッド部分(16)は、閉鎖状態にすることができ、該閉鎖状態において、 前記ヘッド部分(14,16)は互いに耐圧的に結合されていて、かつ 前記多重押出し成形ヘッド(10)内に、第1の流路(34)、第2の流路(36)、 第3の流路(38)および第4の流路(40)が形成されていて、前記流路はそれぞれ、 供給開口に接続されている、多重押出し成形ヘッドにおいて、 (f)前記ベース体(12)は、第5の押出し機が接続される第5の供給開口(30)を有しており、 (g)前記多重押出し成形ヘッド(10)は、第2の流路インサート(20)を有しており、該第2の流路インサート(20)は、 第1の流路インサート(18)とは無関係に前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持されており、かつ 前記第5の供給開口(30)に接続された第5の流路(42)を画定しており、 前記ヘッド部分(14,16)が前記閉鎖状態にある場合に、前記第1の流路インサート(18)と前記第2の流路インサート(20)とは互いに接触していて、互いの間に前記第4の流路(40)を形成しており、 前記流路インサート(18,20)および前記第1のヘッド部分(14)は、1つの共通の回転軸線(D)を中心にして前記ベース体(12)に対して旋回可能に支持されており、 前記多重押出し成形ヘッド(10)は、インサート閉鎖保持装置(44)を有しており、該インサート閉鎖保持装置(44)を用いて前記第2の流路インサート(20)は、少なくとも2.5MPa(25バール)の圧力下にある、前記第4の流路(40)内に存在するゴムが、該流路において保持可能に、前記ベース体(12)に対して固定可能であり、 前記インサート閉鎖保持装置(44)を用いて前記第2の流路インサート(20)が前記ベース体(12)に対して固定されている場合に、前記第1のヘッド部分(14)が前記第2の流路インサート(20)に対して旋回可能に形成されており、 第1ヘッド固定装置(49)を備え、該第1ヘッド固定装置(49)を用いて前記第1のヘッド部分(14)が、前記ベース体(12)に対して可動かつ形状結合式に固定可能であり、 前記第1ヘッド固定装置(49)は、前記第2のヘッド部分(16)が前記ベース体(12)に対して固定されている場合に、前記第1のヘッド部分(14)が前記ベース体(12)対して旋回可能に形成されており、 前記ベース体(12)に対して前記第2のヘッド部分(16)をモータによって旋回および固定させる、第2ヘッド固定装置(50)を備え、 前記第1ヘッド固定装置(49)は、前記インサート閉鎖保持装置(44)および/または前記第2ヘッド固定装置(50)とは無関係に独立している ことを特徴とする、多重押出し成形ヘッド。 【請求項4】 (削除) 【請求項5】 (削除) 【請求項6】 (削除) 【請求項7】 前記第1の流路インサート(18)に対して前記第2の流路インサート(20)をモータによって旋回させる、操作装置が設けられている、請求項1から3までのいずれか1項記載の多重押出し成形ヘッド。 【請求項8】 (削除) 【請求項9】 車両タイヤのトレッド成形材を製造するトレッド成形材製造装置であって、 請求項1から3および7のいずれか1項記載の多重押出し成形ヘッド(10)と、 第1の供給開口(22)に接続されている第1の押出し機と、 第2の供給開口(24)に接続されている第2の押出し機と、第3の供給開口(26)に接続されている第3の押出し機と、第4の供給開口(28)に接続されている第4の押出し機と、 少なくとも1つの第5の供給開口(30)に接続されている、少なくとも1つの第5の押出し機と、 を備えていることを特徴とする、トレッド成形材製造装置。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2022-06-30 |
出願番号 | P2017-524454 |
審決分類 |
P
1
651・
537-
YAA
(B29C)
P 1 651・ 121- YAA (B29C) P 1 651・ 113- YAA (B29C) |
最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
細井 龍史 |
特許庁審判官 |
植前 充司 加藤 友也 |
登録日 | 2020-06-09 |
登録番号 | 6714590 |
権利者 | クラウスマッファイ イクストルージョン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング |
発明の名称 | 多重押出し成形ヘッド |
代理人 | 浦 重剛 |
代理人 | 前川 純一 |
代理人 | 市田 哲 |
代理人 | 住友 慎太郎 |
代理人 | アインゼル・フェリックス=ラインハルト |
代理人 | 石原 幸信 |
代理人 | 苗村 潤 |
代理人 | 前川 純一 |
代理人 | アインゼル・フェリックス=ラインハルト |