• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q
管理番号 1389150
総通号数 10 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-11-24 
確定日 2022-10-18 
事件の表示 特願2020−166549「情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 4月11日出願公開、特開2022− 57999、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和2年9月30日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 3年 3月11日付け:拒絶理由通知書
令和 3年 5月21日 :意見書、手続補正書の提出
令和 3年 8月19日付け:拒絶査定
令和 3年11月24日 :拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提

令和 4年 6月22日付け:拒絶理由(当審拒絶理由)通知書
令和 4年 8月 1日 :意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和3年8月19日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1〜10に係る発明は、以下の引用文献A〜Cに記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献A: 特開2015−185150号公報
引用文献B: 特開2020−13575号公報
引用文献C: 特開2017−68581号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審が令和4年6月22日付けで通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。
本願請求項1,9,10に係る発明は、以下の引用文献1,2に記載された発明に基づいて、本願請求項2〜8に係る発明は、以下の引用文献1〜3に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特開2020−13575号公報(原査定の引用文献B)
引用文献2:クレジットカードはオンラインショッピングの主役になれるか〜ネット時代の加盟店開拓・決済システム構築支援〜,CardWave,日本,(株)シーメディア,2001年12月10日,第15巻 第1号 ,p.23-25
引用文献3:特開2011−204231号公報

第4 本願発明
本願請求項1〜10に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」〜「本願発明10」という。)は、令和4年8月1日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1〜10に記載された事項により特定されるものであり、本願発明1,9,10は次のとおりの発明である。

「【請求項1】
端末装置を用いた電子決済に関する決済情報を取得するとともに、前記決済情報とは別に前記端末装置の利用者のセグメント化に利用するデータを取得する取得部と、
前記決済情報に基づいて決済処理を実行する決済処理部と、
前記決済情報と前記利用者のセグメント化に利用するデータとに基づいて前記利用者のセグメントを特定する特定部と、
前記利用者のセグメントごとに、加盟店が発行するクーポンであって、ユーザが自由に取得できるクーポンであり、前記端末装置を用いた電子決済が利用の条件となるクーポンのスコアを算出する算出部と、
前記利用者のセグメントごとのクーポンのスコアに応じてクーポンをリスティングすることで、前記利用者のセグメントごとのクーポンの表示順を決定し、前記利用者のセグメントごとにクーポン一覧を生成する生成部と、
前記利用者のセグメントに応じたクーポン一覧を前記端末装置に配信する配信部と、
を備え、
前記決済処理部は、前記クーポン一覧の配信後、加盟店で前記端末装置を用いた電子決済が行われた際に、前記クーポン一覧の中から前記利用者により取得済みのクーポンのうち前記加盟店で利用可能なクーポンを自動適用して決済処理を実行する
ことを特徴とする情報処理装置。」

「【請求項9】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
端末装置を用いた電子決済に関する決済情報を取得するとともに、前記決済情報とは別に前記端末装置の利用者のセグメント化に利用するデータを取得する取得工程と、
前記決済情報に基づいて決済処理を実行する決済処理工程と、
前記決済情報と前記利用者のセグメント化に利用するデータとに基づいて前記利用者のセグメントを特定する特定工程と、
前記利用者のセグメントごとに、加盟店が発行するクーポンであって、ユーザが自由に取得できるクーポンであり、前記端末装置を用いた電子決済が利用の条件となるクーポンのスコアを算出する算出工程と、
前記利用者のセグメントごとのクーポンのスコアに応じてクーポンをリスティングすることで、前記利用者のセグメントごとのクーポンの表示順を決定し、前記利用者のセグメントごとにクーポン一覧を生成する生成工程と、
前記利用者のセグメントに応じたクーポン一覧を前記端末装置に配信する配信工程と、
を含み、
前記決済処理工程は、前記クーポン一覧の配信後、加盟店で前記端末装置を用いた電子決済が行われた際に、前記クーポン一覧の中から前記利用者により取得済みのクーポンのうち前記加盟店で利用可能なクーポンを自動適用して決済処理を実行する
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
端末装置を用いた電子決済に関する決済情報を取得するとともに、前記決済情報とは別に前記端末装置の利用者のセグメント化に利用するデータを取得する取得手順と、
前記決済情報に基づいて決済処理を実行する決済処理手順と、
前記決済情報と前記利用者のセグメント化に利用するデータとに基づいて前記利用者のセグメントを特定する特定手順と、
前記利用者のセグメントごとに、加盟店が発行するクーポンであって、ユーザが自由に取得できるクーポンであり、前記端末装置を用いた電子決済が利用の条件となるクーポンのスコアを算出する算出手順と、
前記利用者のセグメントごとのクーポンのスコアに応じてクーポンをリスティングすることで、前記利用者のセグメントごとのクーポンの表示順を決定し、前記利用者のセグメントごとにクーポン一覧を生成する生成手順と、
前記利用者のセグメントに応じたクーポン一覧を前記端末装置に配信する配信手順と、
をコンピュータに実行させ、
前記決済処理手順は、前記クーポン一覧の配信後、加盟店で前記端末装置を用いた電子決済が行われた際に、前記クーポン一覧の中から前記利用者により取得済みのクーポンのうち前記加盟店で利用可能なクーポンを自動適用して決済処理を実行する
ことを特徴とする情報処理プログラム。」

なお、本願発明2〜8は、本願発明1を減縮した発明である。

第5 引用文献の記載、引用発明等
1 引用文献1、引用発明
(1)当審拒絶理由にて引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。

「【0014】
〔1.情報提供方法の概要〕
まず、図1を参照し、実施形態に係る情報提供装置1が行う情報提供方法の概要について説明する。図1は、実施形態に係る情報提供装置1が行う情報提供方法の概要を示す説明図である。
【0015】
ここでは、例えば、インターネット等の通信ネットワークN上に開設されるショッピングサイト11を利用した電子商取引によって商品を販売する店舗を利用するユーザ13へ、店舗から発行されるクーポンCpを閲覧させる情報提供装置1を例に挙げて説明する。ここでのクーポンCpは、例えば、ユーザ13が店舗で使用することにより、商品を割引料金で購入することができるサービス情報である。
【0016】
なお、実施形態に係る店舗は、顧客となるユーザ13の端末装置(以下、「ユーザ端末13a」と記載する)にインストールされたショッピング用のアプリケーションプログラムを利用した電子商取引によって商品を販売する店舗であってもよい。また、実施形態に係る店舗は、商品に限らず任意のサービスを販売する店舗であってもよい。
【0017】
図1に示すように、例えば、ある業者10は、通信ネットワークN上に開設されるショッピングサイト11にAストア12という店舗を出店する(ステップS1)。ユーザ13は、ショッピングサイト11へアクセスし、Aストア12から商品を購入する(ステップS2)。
【0018】
その後、業者10は、Aストア12で利用可能なクーポンCpを発行する場合がある。かかる場合、業者10は、Aストア12の店舗装置10aによってクーポンCpを発行する旨を示す情報を情報提供装置1へ登録する。
【0019】
情報提供装置1は、かかる情報が登録されると、Aストア12から発行されるクーポンCpを店舗装置10aから取得する(ステップS3)。そして、情報提供装置1は、ショッピングサイト11からAストア12の利用情報を取得する(ステップS4)。
【0020】
このとき、情報提供装置1は、Aストア12で商品購入に関する積極的な行動を取ったユーザ13の履歴情報を利用情報として取得する。例えば、情報提供装置1は、Aストア12で商品の購入履歴があるユーザ13を含む全ユーザの利用情報を取得する。
【0021】
なお、情報提供装置1がショッピングサイト11を運営している場合には、自装置に蓄積されたショッピングサイト11へのアクセス情報からAストア12の利用情報を取得する。かかる利用情報の一例については、図3を参照して後述する。
【0022】
そして、情報提供装置1は、取得したAストア12の利用情報に基づき、Aストア12で購入履歴のあるユーザ13のユーザ端末13aへ、Aストア12から発行されるクーポンCpを含むクーポン一覧コンテンツCpcを配信する(ステップS5)。
【0023】
このように、情報提供装置1は、Aストア12を利用するユーザ13に関するAストア12の利用情報を取得する。そして、情報提供装置1は、取得したAストア12の利用情報に基づき、ユーザ13が購入に関連する行動をとった履歴のあるAストア12から発行されるクーポンCpが一覧表示されるクーポン一覧コンテンツCpcをユーザ13へ配信する。
【0024】
これにより、情報提供装置1は、例えば、過去に商品を購入したことがありユーザ13にとって馴染みのあるAストア12から発行されるクーポンCpをユーザ13へ配信することによって、ユーザ13にAストア12での買い物を促すことができる。したがって、情報提供装置1は、Aストア12の集客力を向上させることができる。」

「【0037】
ここで、図3を参照し、利用情報31の一例について説明する。図3は、実施形態に係る利用情報31の一例を示す説明図である。なお、図3には、ある店舗の利用情報の一部を示している。
【0038】
図3に示すように、利用情報31は、店舗を利用したユーザのユーザID、ユーザがその店舗をお気に入り登録済か否かを示す情報、ユーザによる商品の購入日、購入された商品の商品No.および価格等が対応付けられた情報である。」

「【0056】
(表示順決定部)
図2へ戻り、表示順決定部43について説明する。表示順決定部43は、配信ユーザ選択部42によって選択されたユーザへ配信するクーポン一覧コンテンツCpcにおけるクーポンCpの配置位置となる表示順を決定する。
【0057】
配信ユーザ選択部42によりクーポンCpの配信対象として選択されたユーザは、今回クーポンCpを発行した店舗以外の他店舗から発行されたクーポンの配信ユーザとして選択されている場合がある。
【0058】
かかる場合、ユーザに配信されるクーポン一覧コンテンツCpcには、複数の店舗のクーポンが含まれる。そして、例えば、ユーザ端末13aにクーポン一覧コンテンツCpcが表示される場合、各クーポンの表示位置は、そのクーポンを発行している店舗の集客力を左右する。
【0059】
そこで、表示順決定部43は、ユーザの購買意欲が高まる可能性のあるクーポンをより上位となるように、例えば、ユーザ端末13aの表示領域内でより上段に表示されるように表示順を決定する。
【0060】
ここで、図5を参照し、クーポン一覧コンテンツCpcにおける各クーポンの表示順の決定手順の一例について説明する。図5は、実施形態に係るクーポンの表示順決定手順の一例を示す説明図である。
【0061】
表示順決定部43は、配信ユーザとして選択されたユーザ毎に、クーポンCpを今回発行した店舗と、そのユーザが既に配信ユーザとして選択されている他の店舗とに対してスコアを付与する。
【0062】
具体的には、図5の右側中央に示すように、表示順決定部43は、各店舗について購入頻度に応じたスコア、購入回数に応じたスコア、および購入時期に応じたスコアを付与し、スコアの合計値の高さに応じた表示順を決定する。」

「【図5】



(2)上記(1)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「通信ネットワークN上に開設されるショッピングサイト11を利用した電子商取引によって商品を販売する店舗を利用するユーザ13へ、店舗から発行されるクーポンCpを閲覧させる情報提供装置1であって、
店舗は、顧客となるユーザ13のユーザ端末13aにインストールされたショッピング用のアプリケーションプログラムを利用した電子商取引によって商品を販売し、
ある業者10が、ショッピングサイト11にAストア12という店舗を出店し、ユーザ13は、ショッピングサイト11へアクセスし、Aストア12から商品を購入し、
その後、業者10は、Aストア12で利用可能なクーポンCpを発行し、
情報提供装置1は、Aストア12から発行されるクーポンCpを店舗装置10aから取得し、そして、情報提供装置1は、ショッピングサイト11からAストア12の利用情報を取得し、
そして、情報提供装置1は、取得したAストア12の利用情報に基づき、ユーザ13のユーザ端末13aへ、Aストア12から発行されるクーポンCpを含むクーポン一覧コンテンツCpcを配信し、
利用情報は、店舗を利用したユーザのユーザID、ユーザがその店舗をお気に入り登録済か否かを示す情報、ユーザによる商品の購入日、購入された商品の商品No.および価格等が対応付けられた情報であり、
クーポン一覧コンテンツCpcにおけるクーポンCpの配置位置となる表示順を決定し、
クーポン一覧コンテンツCpcにおける各クーポンの表示順の決定手順において、
ユーザ毎に、クーポンCpを今回発行した店舗と、他の店舗とに対してスコアを付与し、
各店舗について購入頻度に応じたスコア、購入回数に応じたスコア、および購入時期に応じたスコアを付与し、スコアの合計値の高さに応じた表示順を決定する、
情報提供装置1。」

2 引用文献2
当審拒絶理由にて引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「事例3 パピレス
〜ショップの推奨でカード決済が急激に増加
パピレスは1995年にパソコン通信上に電子書店を出店、2001年9月現在で2万5,000冊以上の小説やコミック、写真集などのアイテムを保有し、テキストやPDF、HTML形式により販売提供しているオンラインコンテンツの老舗だ。
デジタルコンテンツの商品販売の最大の特徴は、本や花といったリアルな“モノ”ではなく“デジタルデータ”をダウンロードによって販売するため、モノの存在を前提とする代引決済は不可能となり、また時間のかかる振込もなじまないという点だ。また、運送費がかからないので海外の客の割合が多いことも特微といえる。
同社が採用している決済方法は、プロバイダ決済、カード決済、電子マネー決済の3種類。メインは、@niftyやBIGLOBEなどのプロバイダ決済とカード決済で、割合は「半々程度」(パピレス広告・宣伝部・佐藤博美氏)だという。
プロバイダー決済は同社の出自がもともとパソコン通信で、その収納代行を利用していた流れでもあるが、最近は「プロバイダー決済に比べて手数料が安いこともあり、カード決済を推奨している」(同・佐藤氏)という。
利用者をカード決済に誘導する作戦のひとつが「トクパピ会員」制度だ。入会すると割引価格で本が購入できる代わりに、決済手段はクレジットカードに限定されている。この制度の導入により、「カード決済が急激に伸びている」(同・佐藤氏)という。」

3 引用文献3
当審拒絶理由にて引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0017】
「販売促進物」は、クーポン等の割引物、広告、等であることができる。
【0018】
「ユーザー情報」は、ユーザーの行動に関する情報及び/又はユーザーのプロフィールに関する情報を含むことができる。
【0019】
「ユーザーデバイス」は、ユーザーが対話するか又はインタフェースするデバイスであることができる。ユーザーデバイスは、前記ユーザーによって所有されることができ、又は第三者によって所有されることができる。ユーザーデバイス例は、キオスク、無線情報機器、等を含む。」

「【0036】
本発明と一致する少なくとも幾つかの実施形態においては、販売促進物をユーザーに提示することができる。(ブロック570) これらの販売促進物は、セッション情報に基づいて決定しておくことができる。代替として、又は追加で、これらの販売促進物は、ルート情報を用いて決定しておくことができる。(ブロック540)
図6は、本発明と一致する形で販売促進物を動的に生成するために用いることができる典型的方法600の流れ図である。イベントブロック610によって示されるように、様々なイベントの発生に応じて方法600の様々な分枝を実行することができる。例えば、検索問い合わせが入力された場合は、方法600は、イベントブロック610に戻る前に、問い合わせ情報を用いて1つ以上の販売促進物を生成する(又は点数を付ける又は順序を付ける)ことができる(前記販売促進物は、ユーザーインタフェース動作を通じてユーザーに提示することができる)(ブロック620)。
【0037】
販売促進物は、検索結果情報、ユーザーの性別(及び/又はその他の何らかのユーザー情報)、検索システム(例えばキオスク)の所在場所、キオスクから販売促進物を提供する施設までの距離、キオスクから競合施設までの距離、在庫、サービス能力、余剰サービス能力、腐りやすさ、時刻、曜日、等のうちの1つ以上を用いて生成する(又は点数を付ける又は順序を設定する)ことができる。例えば、前記販売促進物を提供する施設がキオスクにより近い場合は、前記販売促進物は、前記販売促進物を提供する施設がキオスクからより遠い場合よりも積極性を低くする(例えば、割引率を小さくする)ことができる。さらに、競合施設がキオスクの近くに存在する(又は、キオスクにより近い、又は予め決められた絶対値又は相対値だけより近い)場合は、前記販売促進物は、その他の場合よりも積極的にすることができる。」

4 引用文献A
原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献Aには、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0016】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態による購買支援システム1の構成を示すブロック図である。購買支援システム1は、ユーザ端末100と、店舗端末200と、決済端末300と、クレジットカードネットワークシステム400と、カード会社装置500と、購買支援装置600とのコンピュータ装置を備えている。
【0017】
まず、本実施形態の概要を説明する。ユーザ端末100は、所定の店舗において購買を行うユーザのコンピュータ端末であり、決済端末300は店舗に設置され、店舗において行われる購買の決済を行うPOS(Point of sale system)端末等のコンピュータ端末である。このような店舗において、例えば、ユーザがクレジットカードによる決済を行う場合、ユーザは店舗においてクレジットカードを提示し、決済端末300は、ユーザによって提示されたクレジットカードの情報を読み込む。決済端末300は、読み込んだクレジットカードの情報を含む決済通知をクレジットカードネットワークシステム400に送信する。クレジットカードネットワークシステム400は、カード会社装置500と通信して決済を行う。
【0018】
ここで、ある店舗において購買を行ったユーザは、その店舗における商品やサービスに納得し、気に入って購買している可能性が高い。このため、このようなユーザに対して、例えば次回の購買の際には何らかの割引を行う等の特典を付与すれば、また来店して購買してくれる可能性が高いと考えられる。また、クレジットカードによって決済を行うユーザが店舗において支払う料金は、現金によって決済を行うユーザが支払う料金よりも平均単価が高い可能性があると考えられる。そこで、本実施形態では、店舗においてユーザがクレジットカードを用いた購買を行ったことをトリガーとして、所定の特典情報を付与する。これにより、ユーザにとっての満足度を向上させるとともに、店舗にとって売上を促進することができる。以下、このような購買支援システム1の具体的な構成を説明する。
【0019】
ユーザ端末100は、例えば、スマートフォン等の携帯通信端末、タブレットPC(Personal computer)等の可搬コンピュータ端末である。本実施形態では、ユーザ端末100はスマートフォンであるとして説明する。図には、1台のユーザ端末100を示して説明するが、購買支援システム1には、複数のユーザのそれぞれのユーザ端末100が接続されていてもよいし、1人のユーザが所持する複数のユーザ端末100が接続されていてもよい。ユーザ端末100は、入力部101と、出力部102と、通信部103と、特典情報制御部104とを備えている。
【0020】
入力部101は、ボタンやタッチパネル等の入力デバイスであり、操作に応じた入力信号を生成する。
出力部102は、情報を出力する出力デバイスである。例えば、出力部102は各種情報を表示するディスプレイであり、タッチパネルである。
通信部103は、ネットワークを介して接続された他のコンピュータ装置と通信する。例えば、通信部103は、購買支援装置600と通信する。
【0021】
特典情報制御部104は、ユーザ端末100が備える各部を制御し、通信部103を介して購買支援装置600と通信し、ユーザに対する特典付与サービスを提供する。特典情報制御部104は、例えば、スマートフォンOS(Operating System)上で動作するアプリケーションプログラムによって構成される。特典情報制御部104は、例えば、入力部101を介して、店舗の購買におけるユーザを識別するユーザ識別情報、ユーザの氏名、性別、生年月日、年齢、住所等のユーザ情報の入力を受け付け、入力されたユーザ情報を購買支援装置600に送信する。ここで、ユーザ識別情報とは、例えば、店舗における購買においてユーザが決済に利用するクレジットカードのクレジットカード番号である。」

「【0032】
決済端末300は、店舗において行われる購買の決済を行う。図には、1台の決済端末300を示して説明するが、購買支援システム1には、複数の店舗のそれぞれの決済端末300が接続されていてもよいし、1つの店舗が所持する複数の決済端末300が接続されていてもよい。
【0033】
決済端末300は、入力部301と、出力部302と、通信部303と、決済通知送信部304とを備えている。
入力部301は、キーボードやタッチパネル等の入力デバイスであり、操作に応じた入力信号を生成する。例えば、入力部301には、店舗においてユーザが購入する商品の品目、個数、売上金額等の取引情報が入力される。また、入力部301は、クレジットカードの情報を読み取るカードリーダを含む。カードリーダは、ユーザから店員に提示されたクレジットカードから、クレジットカード番号を読み取る。例えば、カードリーダは、IC(Integrated Circuit)カードであるクレジットカードからクレジットカード番号を読み取るICカードリーダでもよいし、磁気カードであるクレジットカードからクレジットカード番号を読み取る磁気カードリーダでもよい。クレジットカードによる支払を行う場合、入力部301は、支払回数やクレジットカード認証のためのPIN(Personal identification number)等の入力を受け付ける。
【0034】
出力部302は、情報を出力する出力デバイスである。例えば、出力部302は各種情報を表示するディスプレイである。
通信部303は、ネットワークを介して接続された他のコンピュータ装置と通信する。例えば、通信部303は、購買支援装置600と通信する。
決済通知送信部304は、入力部301に入力された取引情報とクレジットカード番号等の情報に基づく決済を要求する決済通知であるオーソリ要求(オーソリゼーション要求)を、クレジットカードネットワークシステム400に送信する。オーソリ要求は、クレジットカードの発行元であるカード会社に、クレジットカードの正当性の検証や利用限度額などの有効性を判定し、取引におけるクレジットカード決済を承認するか否かを判定するオーソリ処理(オーソリゼーション処理)を要求するものである。オーソリ要求には、例えば、クレジットカード番号(ユーザの会員番号)、決済を要求する金額、加盟店を識別する会社コード、オーソリ要求を送信する端末を識別する端末番号、オーソリ要求を送信する日付等の情報が含まれる。
また、決済端末300は、例えば、店舗においてユーザに購入される商品に応じた売上金額の決済を行い、他の店舗間で販売情報等の情報共有を行うPOSレジスタの機能を備えており、店舗の店員により操作されるものであってもよい。この場合、決済端末300は、POSレジスタの専用端末でもよいが、例えばPC、タブレットPC、スマートフォン等の汎用端末に、POSレジスタの機能を有するアプリケーションプログラムをインストールしたものであってもよい。
【0035】
クレジットカードネットワークシステム400は、クレジットカード会社のカード会社装置500にオンライン回線で接続し、決済を行う取引情報やオーソリ要求を中継するコンピュータシステムである。また、クレジットカードネットワークシステム400は、決済端末300からオーソリ要求である決済通知を受信すると、受信した決済通知を購買支援装置600に転送する。」

「【0038】
購買支援装置600は、ユーザに特典を付与する特典付与処理や、ユーザに付与した特典を決済に適用して利用する特典利用処理を制御するコンピュータ装置である。購買支援装置600は、通信部601と、特典情報記憶部602と、ユーザ情報記憶部603と、付与特典情報記憶部604と、ユーザ登録部605と、特典情報登録部606と、決済通知受信部607と、特典情報送信部608と、決済処理部609とを備えている。
【0039】
通信部601は、ネットワークを介して接続された他のコンピュータ装置と通信する。例えば、通信部601は、ユーザ端末100と、店舗端末200と、クレジットカードネットワークシステム400と、カード会社装置500と通信する。
【0040】
特典情報記憶部602には、店舗において購買が行われた場合にユーザに付与する特典を示す特典情報が記憶される。また、特典情報記憶部602には、その特典情報をユーザに付与する条件を示す付与条件が対応付けられて記憶される。また、特典情報記憶部602には、その特典を利用する条件を示す特典情報利用条件が記憶される。具体的には、上述した特典情報入力画面において入力され、店舗端末200の特典情報管理部204から送信された特典情報付与条件と特典情報利用条件とが、特典情報ごとに対応付けられて特典情報記憶部602に記憶される。また、特典情報記憶部602には、特典情報ごとに、その特典を識別する特典識別情報や、その特典情報を入力した店舗の店舗識別情報等の情報を対応付けて記憶することができる。
【0041】
ユーザ情報記憶部603には、ユーザに関するユーザ情報が記憶される。ユーザ情報記憶部603に記憶されるユーザ情報は、上述したユーザ端末100の特典情報制御部104から送信されるユーザ情報である。
付与特典情報記憶部604には、ユーザに付与した特典を示す特典情報が記憶される。例えば、付与特典情報記憶部604には、ユーザ識別情報に、そのユーザ識別情報が識別するユーザに付与した特典を識別する特典識別情報が対応付けられて記憶される。
【0042】
ユーザ登録部605は、ユーザ端末100から送信されるユーザ識別情報を含むユーザ情報を受信し、受信したユーザ情報をユーザ情報記憶部603に記憶させる。
特典情報登録部606は、店舗端末200の特典情報管理部204から送信された特典情報付与条件と特典情報利用条件とを、特典情報ごとに対応付けて特典情報記憶部602に記憶させる。
【0043】
決済通知受信部607は、店舗において購買が行われたことを示す決済通知を受信する。本実施形態では、決済通知は、クレジットカード決済におけるオーソリ要求であり、決済端末300からクレジットカードネットワークシステム400に送信された決済通知を受信する。
【0044】
特典情報送信部608は、決済通知受信部607が受信した決済通知に基づいて、ユーザ端末100に、特典情報記憶部602に記憶されている特典情報を送信する。ここで、特典情報送信部608は、決済通知受信部607が決済通知を受信すると、店舗において行われた購買が、ユーザ情報記憶部603に記憶されているユーザ識別情報が識別するユーザによって行われたか否かを判定し、判定結果に基づいて、ユーザ端末100に特典情報を送信する。
【0045】
具体的には、決済通知受信部607に含まれる決済通知に含まれるクレジットカード番号が、ユーザ情報記憶部603に記憶されているか否かを判定する。特典情報送信部608が、決済通知受信部607に含まれる決済通知に含まれるクレジットカード番号が、ユーザ情報記憶部603に記憶されていると判定すると、特典情報記憶部602に記憶されている付与条件に基づいて、対応する特典情報をユーザ端末100に送信するか否かを判定する。例えば、特典情報送信部608は、決済通知に含まれるクレジットカード番号に対応付けられたユーザ情報をユーザ情報記憶部603から読み出し、特典情報記憶部602に記憶されている付与条件を読み出し、ユーザ情報が付与条件に一致する特典情報を、特典情報記憶部602から抽出する。特典情報送信部608は、ユーザ情報が付与条件に一致する特典情報が特典情報記憶部602に記憶されていると判定すると、その特典情報を、ユーザ端末100に送信する。特典情報送信部608は、ユーザ情報が付与条件に一致する特典情報が特典情報記憶部602に記憶されていないと判定すれば、特典情報をユーザ端末100に送信しない。
また、特典情報送信部608は、ユーザ端末100に送信する特典情報を、そのユーザ端末100のユーザに対応付けて付与特典情報記憶部604に記憶させることにより、ユーザに特典を付与する。」

5 引用文献C
原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献Cには、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0009】
以下、本発明を実施するための形態について、図を参照しながら説明する。なお、これは、あくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
(第1実施形態)
<決済システム100の全体構成>
図1は、第1実施形態に係る決済システム100の全体概要図である。
図2は、第1実施形態に係る仲介サーバ1の機能ブロック図である。
決済システム100は、ユーザPが、例えば、Web端末4(決済用端末)を使用してネットショッピングをした場合に、その決済処理をするシステムである。図1に示すように、決済システム100は、仲介サーバ1(決済管理サーバ)と、Web端末4と、決済サーバ6とを備えている。
仲介サーバ1と、Web端末4と、決済サーバ6とは、通信ネットワークNを介して接続可能になっている。通信ネットワークNは、インターネット回線等である。」

「【0012】
<仲介サーバ1>
仲介サーバ1は、Web端末4と決済サーバ6との間で行われる決済処理を仲介するサーバである。仲介サーバ1は、決済結果から決済履歴情報を取得して記憶する。また、仲介サーバ1は、記憶された決済履歴情報に基づいて、決済時の特典に関する特典情報を設定する。
図2に示すように、仲介サーバ1は、制御部10と、記憶部20と、通信インタフェース部29とを備える。
制御部10は、仲介サーバ1の全体を制御する中央処理装置(CPU)である。制御部10は、記憶部20に記憶されているオペレーティングシステム(OS)やアプリケーションプログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、各種機能を実行する。
制御部10は、決済依頼受信部11と、特典提供部12と、決済方式情報受信部13と、決済実行部14と、履歴制御部15と、特典設定部17と、順位設定部18と、サーバ特典受信部19とを備える。
【0013】
決済依頼受信部11は、Web端末4から決済依頼情報を受信する。
特典提供部12は、受信した決済依頼情報に基づいて各決済方式情報と、その特典情報とを、Web端末4に対して送信する。
決済方式情報受信部13は、Web端末4から一の決済方式情報を受信する。
決済実行部14は、決済処理を一の決済方式情報に対応した決済サーバ6に対して依頼することで、決済処理を行う。その際、決済実行部14は、Web端末4により選択された一の決済方式に対応する特典情報を用いて決済処理を行う。
履歴制御部15は、決済処理結果に関する履歴情報である決済履歴情報を、決済履歴記憶部25に記憶させる。
特典設定部17は、決済履歴記憶部25に記憶された決済履歴情報に基づいて、特典情報を設定する。
順位設定部18は、特典情報に基づいて、各決済方式に対して順位付けをする。
サーバ特典受信部19は、各決済サーバ6から特典情報(サーバ特典情報)を受信してサーバ特典テーブル23(サーバ特典記憶部)に記憶させる。
なお、これらの各機能の詳細な説明については、後述する。」

「【0019】
ここで、ユーザ決済情報テーブル21について、図5(A)に基づき説明する。
ユーザ決済情報テーブル21は、マスタカードIDと、決済方式情報と、その決済方式で用いるカード番号を対応付けて記憶している。1つのマスタカードIDには、マスタカード9を有するユーザPが使用可能な決済方式情報が対応付けられている。ここで、決済方式情報は、どのような決済方式が使用可能であるかを表す。1つのマスタカードIDには、一以上の決済方式情報が対応付けられている。
例えば、制御部10が、「M00001」であるマスタカードIDを受信した場合には、制御部10は、「A社クレジット」と、「B社ポイント」との2つの決済方式情報を抽出する。また、制御部10が、「M00002」であるマスタカードIDを受信した場合には、制御部10は、「A社クレジット」と、「C社クレジット」と、「D社ポイント」との3つの決済方式情報を抽出する。」

「【0024】
図3に戻り、S14において、制御部10(特典提供部12)は、S13で取得した特典情報を、対応する決済方式情報及び順位と共に、Web端末4に対して送信する。その際、制御部10は、決済受付番号も送信する。
S15において、Web端末4の制御部は、受信した特典情報を、Web端末4の表示部に表示させる。
図6(A)は、Web端末4の表示部に表示された決済方式選択画面40の例である。
決済方式選択画面40は、おすすめ順に対応付けて、決済方式情報と、特典情報とを表示する。おすすめ順は、順位情報である。よって、ユーザPは、決済方式選択画面40に表示された特典情報を参照して、いずれかの決済方式を決定することができる。そして、ユーザPがいずれかの決済方式に対応する「決定」ボタンを選択することで、その決済方式で決済処理を行うことができる。」


第6 当審拒絶理由について(引用発明との対比・判断)
1 本願発明1について
(1)対比
ア 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

(ア)引用発明は、「情報提供装置1は、Aストア12から発行されるクーポンCpを店舗装置10aから取得し、そして、情報提供装置1は、ショッピングサイト11からAストア12の利用情報を取得」するから、「情報提供装置1」は、「Aストア12の利用情報」を「取得」する手段を備えているといえる。
また、引用発明において、「Aストア12の利用情報」が、「店舗」が「顧客となるユーザ13のユーザ端末13aにインストールされたショッピング用のアプリケーションプログラムを利用した電子商取引によって商品を販売し」、「ユーザ13」が「ショッピングサイト11へアクセスし、Aストア12から商品を購入」することに関する情報であること、及び、「ユーザ13のユーザ端末13a」上の「電子商取引」に電子決済が用いられることは、いずれも明らかであるから、引用発明の「Aストア12の利用情報」は、「ユーザ13のユーザ端末13a」を用いた電子決済に関する情報であるといえる。
そして、引用発明の「ユーザ13のユーザ端末13a」、「Aストア12の利用情報」、上記「取得」する手段は、それぞれ、本願発明1の「端末装置」、「決済情報」、「取得部」に相当する。
よって、引用発明の上記の「Aストア12の利用情報」を「取得」する手段と、本願発明1の
「端末装置を用いた電子決済に関する決済情報を取得するとともに、前記決済情報とは別に前記端末装置の利用者のセグメント化に利用するデータを取得する取得部」
とは、
「端末装置を用いた電子決済に関する決済情報を取得する取得部」
である点で共通している。

(イ)引用発明の「情報提供装置1」は、「取得したAストア12の利用情報に基づき、ユーザ13のユーザ端末13aへ、Aストア12から発行されるクーポンCpを含むクーポン一覧コンテンツCpcを配信」するにあたり、「クーポン一覧コンテンツCpcにおけるクーポンCpの配置位置となる表示順を決定」するものであり、「クーポン一覧コンテンツCpcにおける各クーポンの表示順の決定手順」は、「ユーザ毎に、クーポンCpを今回発行した店舗と、他の店舗とに対してスコアを付与し」た上で、「各店舗について購入頻度に応じたスコア、購入回数に応じたスコア、および購入時期に応じたスコアを付与し、スコアの合計値の高さに応じた表示順を決定する」というものである。
よって、引用発明の「クーポン」は、「Aストア12から発行される」「クーポンCp」以外に「他の店舗」のものも含まれ、「ユーザ13」は、各「店舗」がそれぞれ「発行」する「クーポン」を取得可能であって、取得可能なクーポンが特定の「店舗」に限定されない点で、「ユーザ13」が自由に取得できるものであり、引用発明の「情報提供装置1」は、「各店舗について購入頻度に応じたスコア、購入回数に応じたスコア、および購入時期に応じたスコア」の「付与」のために、「クーポン」の「スコア」を算出する手段を備えているといえる。
また、「クーポン一覧コンテンツCpcにおける各クーポンの表示順」を「決定する」ことは、「クーポン」の「スコア」に応じてそれらの「クーポン」を並べる、すなわちリスティングすることで行われることが明らかであり、引用発明の「情報提供装置1」は、「クーポン一覧コンテンツCpc」を生成する手段及び「クーポン一覧コンテンツCpc」を「ユーザ端末13a」に「配信」する手段を備えているといえる。
そして、引用発明の「店舗」、「クーポン」、「スコア」、上記算出する手段、「表示順」、「クーポン一覧コンテンツCpc」、上記生成する手段、上記「配信」する手段は、それぞれ、本願発明1の「加盟店」、「クーポン」、「スコア」、「算出部」、「表示順」、「クーポン一覧」、「生成部」、「配信部」に相当する。
以上の点について、上記(ア)を踏まえると、引用発明の「情報提供装置1」が備える「スコア」の算出手段、「クーポン一覧コンテンツCpc」を生成する手段及び「クーポン一覧コンテンツCpc」を「ユーザ端末13a」に「配信」する手段と、本願発明1の
「前記利用者のセグメントごとに、加盟店が発行するクーポンであって、ユーザが自由に取得できるクーポンであり、前記端末装置を用いた電子決済が利用の条件となるクーポンのスコアを算出する算出部と、
前記利用者のセグメントごとのクーポンのスコアに応じてクーポンをリスティングすることで、前記利用者のセグメントごとのクーポンの表示順を決定し、前記利用者のセグメントごとにクーポン一覧を生成する生成部と、
前記利用者のセグメントに応じたクーポン一覧を前記端末装置に配信する配信部」
とは、
「加盟店が発行するクーポンであって、ユーザが自由に取得できるクーポンのスコアを算出する算出部と、
クーポンのスコアに応じてクーポンをリスティングすることで、クーポンの表示順を決定し、クーポン一覧を生成する生成部と、
クーポン一覧を前記端末装置に配信する配信部」
である点で共通している。

(ウ)引用発明の「情報提供装置1」は、後述する相違点は別として、本願発明の「情報処理装置」に相当する。

イ 上記アから、本願発明1と引用発明とは、以下の点で一致する。
(一致点)
「端末装置を用いた電子決済に関する決済情報を取得する取得部と、
加盟店が発行するクーポンであって、ユーザが自由に取得できるクーポンのスコアを算出する算出部と、
クーポンのスコアに応じてクーポンをリスティングすることで、クーポンの表示順を決定し、クーポン一覧を生成する生成部と、
クーポン一覧を前記端末装置に配信する配信部と、
を備える
情報処理装置。」

ウ また、本願発明1と引用発明とは、以下の点で相違する。
(相違点1)
本願発明1の「取得部」は、「前記決済情報とは別に前記端末装置の利用者のセグメント化に利用するデータを取得する」のに対して、引用発明の「Aストア12の利用情報」を「取得」する手段は、そのようなデータを取得すると特定されるものではない点。

(相違点2)
本願発明1の「情報処理装置」は、「前記決済情報に基づいて決済処理を実行する決済処理部」を備えるのに対して、引用発明の「情報提供装置1」は、当該構成を備えると特定されるものではない点。

(相違点3)
本願発明1の「情報処理装置」は、「前記決済情報と前記利用者のセグメント化に利用するデータとに基づいて前記利用者のセグメントを特定する特定部」を備えるのに対して、引用発明の「情報提供装置1」は、当該構成を備えると特定されるものではない点。

(相違点4)
「クーポン」について、本願発明では「前記端末装置を用いた電子決済が利用の条件となる」ものであるのに対して、引用発明では利用条件が特定されない点。

(相違点5)
「スコアを算出する」ことについて、本願発明では「前記利用者のセグメントごとに」行われ、また、「クーポンのスコア」についても、本願発明では「前記利用者のセグメントごとの」ものであるのに対して、引用発明ではそのように特定されるものではない点。

(相違点6)
「クーポンの表示順」について、本願発明では「前記利用者のセグメントごとの」ものであり、また、「クーポン一覧を生成する」こと、「クーポン一覧」についても、それぞれ、本願発明では「前記利用者のセグメントごとに」行われるもの、「前記利用者のセグメントに応じた」ものであるのに対して、引用発明では、そのように特定されるものではない点。

(相違点7)
本願発明は、「前記決済処理部は、前記クーポン一覧の配信後、加盟店で前記端末装置を用いた電子決済が行われた際に、前記クーポン一覧の中から前記利用者により取得済みのクーポンのうち前記加盟店で利用可能なクーポンを自動適用して決済処理を実行する」ことを含むものであるのに対して、引用発明は、そのように特定されるものではない点。

(2)判断
事案に鑑みて、「クーポン一覧」において相互に関連する相違点6,7について、先に、まとめて検討する。
利用者のセグメントに応じたクーポン一覧を利用者の端末装置に配信し、その後、加盟店で前記端末装置を用いた電子決済が行われた際に、前記クーポン一覧の中から前記利用者により取得済みのクーポンのうち前記加盟店で利用可能なクーポンを自動適用して決済処理を実行することは、引用文献1には記載されておらず、本願の出願日前において周知技術であったともいえない。
引用文献2は、特定の決済方法が享受の条件となるサービスを設定することが周知技術であることを、引用文献3は、端末装置から取得される、決済情報以外の情報に基づいて、端末装置の利用者のセグメントを特定し、利用者のセグメントに応じた内容のクーポン等を当該利用者に提供することが周知技術であることを、それぞれ示すものといえるが、上記の事項を示すものではない。
よって、本願発明1は、当業者であっても、引用文献1〜3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2〜10について
本願発明2〜8は、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明9,10は、それぞれ、本願発明1に対応する「情報処理方法」、「情報処理プログラム」の発明であって、いずれも、相違点6,7に係る発明特定事項又はこれに対応する発明特定事項を含む。
そうすると、本願発明2〜10も、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用文献1〜3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 小括
以上のとおりであるから、当審拒絶理由は解消した。

第7 原査定についての判断
令和4年8月1日に提出された手続補正書により補正された請求項1〜10は、相違点6,7に係る技術的事項を有するものとなった。
そして、当該技術的事項は、原査定における引用文献A〜Cには記載されておらず、本願出願日前における周知技術でもないので、本願発明1〜10は、当業者であっても、原査定における引用文献A〜Cに基づいて容易に発明をすることができたものではない。
よって、原査定を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-10-03 
出願番号 P2020-166549
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06Q)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 ▲吉▼田 耕一
特許庁審判官 富澤 哲生
野崎 大進
発明の名称 情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム  
代理人 弁理士法人酒井国際特許事務所  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ