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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F25D
管理番号 1389272
総通号数 10 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-02-01 
確定日 2022-10-18 
事件の表示 特願2017−198520「輸送用冷凍機及び冷凍機付コンテナ」拒絶査定不服審判事件〔令和1年5月16日出願公開、特開2019−74224、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年10月12日の出願であって、令和3年8月19日付けで拒絶理由通知がされ、令和3年10月8日に意見書及び手続補正書の提出がされ、令和3年11月19日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、令和4年2月1日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、令和4年3月8日付けで前置報告がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(令和3年11月19日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1−3に係る発明は、以下の引用文献1、4に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
また、同様に、本願請求項4に係る発明は、以下の引用文献1−2、4に基いて、本願請求項5−8に係る発明は、以下の引用文献1−4に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.実願昭60−9797号(実開昭61−127380号)のマイクロフィルム
2.特開昭57−73337号公報
3.米国特許出願公開第2017/241678号明細書
4.特開2009−198141号公報

第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
審判請求時の補正は、請求項1、2に「前記吹出口は前記吸込口よりも開口部の面積が小さい」という事項を追加する補正である。これは、補正前の請求項1、2に記載された、「吹出口」及び「吸込口」のそれぞれの「開口部」について、開口面積の相関関係を新たに特定するものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、「前記吹出口は前記吸込口よりも開口部の面積が小さい」という事項は、当初明細書の段落【0034】に記載されている。
よって、請求項1、2に係る発明に対して、「前記吹出口は前記吸込口よりも開口部の面積が小さい」とする事項は、当初明細書等に記載された事項であるから、当該補正は、特許法第17条の2第3項でいう新規事項の追加に該当せず、補正前の請求項1、2に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1−8に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

第4 本願発明
本願請求項1−8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」−「本願発明8」という。)は、令和4年2月1日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1−8に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
輸送用コンテナの前面側に設けられ、前記輸送用コンテナ内を冷却する輸送用冷凍機において、
前記輸送用冷凍機は、前記輸送用コンテナ内から空気を吸込む吸込口、及び、前記前面の上方に設けられ、前記吸込口から吸込まれた空気を前記輸送用コンテナ内へと吹出す吹出口が形成されたケーシングと、
前記ケーシングの前記吹出口の下流側の近傍に設けられた電気ヒーター部と、
を有し、
前記電気ヒーター部には、管状のシースヒーターが、前記吹出口側から下流側へかけて複数列配置されており、
前記電気ヒーター部には、前記吹出口側から見て、前記シースヒーターが、前記空気の流れ方向に、隣り合う前記シースヒーター同士が重ならないように配置されており、
前記吹出口は前記吸込口よりも開口部の面積が小さいことを特徴とする輸送用冷凍機。
【請求項2】
輸送用コンテナの前面側に設けられ、前記輸送用コンテナ内を冷却する輸送用冷凍機において、
前記輸送用冷凍機は、前記輸送用コンテナ内から空気を吸込む吸込口、及び、前記前面の上方に設けられ、前記吸込口から吸込まれた空気を前記輸送用コンテナ内へと吹出す吹出口が形成されたケーシングと、
前記ケーシングの前記吹出口の下流側の近傍に設けられた電気ヒーター部と、
を有し、
前記電気ヒーター部には、管状のシースヒーターが、前記吹出口側から下流側へかけて数が減るように複数列配置されており、
前記吹出口は前記吸込口よりも開口部の面積が小さいことを特徴とする輸送用冷凍機。
【請求項3】
前記輸送用冷凍機は、前記電気ヒーター部を包囲するように設けられたヒーターガードを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の輸送用冷凍機。
【請求項4】
前記輸送用冷凍機は、前記ケーシング内の上方に設けられたファンを有し、かつ、前記ファンが停止する前に、前記電気ヒーター部を停止させる制御手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の輸送用冷凍機。
【請求項5】
前記輸送用冷凍機において、前記ファン及び前記電気ヒーター部は、電力を供給する電源からの電源線と結ばれており、前記電源線の分岐点において前記電源と前記ファン及び前記電気ヒーター部との間は分岐しており、前記電源と前記分岐点との間には、前記ファン及び前記電気ヒーター部への電力の供給又は停止を制御する開閉器が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の輸送用冷凍機。
【請求項6】
前記電気ヒーター部には、管状のシースヒーターが、上方から下方にかけて、高さ方向に複数段配置されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の輸送用冷凍機。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の輸送用冷凍機と、
輸送用コンテナと、
を備えることを特徴とする冷凍機付コンテナ。
【請求項8】
前記輸送用コンテナの内面、かつ、前記電気ヒーター部の近傍には、温度センサ又はサーモスタットが設けられていることを特徴とする請求項7に記載の冷凍機付コンテナ。」

第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。
(下線は当審で強調のために付加した。以下同様。)

「第1図は湿度制御装置を備えた冷凍コンテナの一例を示すもので、図中1はコンテナである。このコンテナ1の長手方向一端部には、第1図ないし第3図に示すようにその中央部に庫内2から隔離され外部に開口する冷凍機室3が設けられており、この冷凍機室3内には、第2図に示すようにコンプレツサ4および温度記録計5等の機器が搭載されている。またこの冷凍機室3の両側位置には、第3図に示すように着脱可能な点検パネル6によつて庫内2側が閉止される通路7がそれぞれ形成されており、各点検パネル6下端部と庫内2の床面との間には、庫内2の空気を前記通路7を介して第1図に示すエバポレータコイル8に導びくための吸気口9がそれぞれ形成されている。また各通路7内には、第1図および第3図に示すように吸気口9を介して庫内2の空気を強制的に通路7内に吸引するフアン10が円筒容器11内に配された状態で設置されている。そしてこのフアン10により吸引された庫内2の空気は、第1図に示すエバポレータコイル8を通過する間に冷却され、この冷却空気は、第1図および第3図に示すように前記冷凍機室3および両通路7の上部に形成された吹出しダクト12を介して庫内2に吐出されるとともに、冷却により除去された水分はドレンパイプ13を介して外部に排出されるようになつている。また前記吹出しダクト12に対応するコンテナ1外面位置には、第1図に示すように換気口14が設けられている。
以上の構成は、基本的には従来の冷凍コンテナの構成と同一であり、本実施例はさらに以下の構成が付加されている。
すなわち、前記吹出しダクト12部分には、第1図、第3図および第4図に示すようにヒータユニツト15が着脱可能に取付けられている。このヒータユニツト15は、第4図に示すように角筒状をなすケース16と、このケース16内に設置されたヒータ17および保護用サーモスタツト18とを備えており、ヒータ17および保護用サーモスタツト18から引出された導電線19は、第3図に示すようにエバポレータコイル8の設置空間内を通して例えば図中左端側の通路7内に引出され、この通路7内に設置したコネクタ20にプラグ21を介して着脱可能に接続されている。
前記ケース16は、第3図および第4図に示すように基端開口部16aから先端吐出口16bに向かつて横幅が次第に拡大する魚尾状に形成されており、またケース16の底面16cは、先端吐出口16bから基端開口部16aに向かつて下り勾配に形成され、ドレンが庫内2に流入しないように考慮されている。」(第4ページ6行〜第6ページ16行)





第3図には、冷凍機室3の右側下部に吸気口9の開口が図示されているのが看取できる。また天井付近に16bの引き出し線が付された箇所全体が、先端吐出口16bを図示した箇所であると看取できる。
また、第4図の図示によると、吹出しダクト12に対してヒータユニツト15は、図中16bが先端吐出口とされているところから見て、吹出しダクト12に対して下流側にヒータユニツト15が設けられていると看取できる。

したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「冷凍コンテナ1の長手方向一端部に設けられ、庫内2の空気を冷却する冷凍機室3であって、
前記冷凍機室3は、着脱可能な点検パネル6によって前記冷凍機室3の庫内2側を閉止して作られる通路7を介して、庫内2の空気をエバポレータコイル8に導くために各点検パネル6下端部と庫内2の床面との間に形成された吸気口9と、エバポレータコイル8を通過する間に冷却された冷却空気を庫内2に吐出する冷凍機室3および両通路7の上部に形成された吹出しダクト12と、前記吹出しダクト12の下流側に着脱可能に取付けられたヒータユニツト15と、を備え、
前記ヒータユニツト15は、基端開口部16aから先端吐出口16bに向かつて横幅が次第に拡大する魚尾状に形成されている
冷凍機室3。」

2.引用文献4について
また、原査定の請求項1ないし3に対する拒絶の理由に引用された上記引用文献4には、次の事項の記載と、関連する図2の図示がある。
「【0010】
本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。この実施の形態では、本発明による熱交換装置は加熱装置として構成され、クリーンルームなどの恒温ブースの温度を調節する温度調節装置100に構成要素として組み込まれている。また、後で詳しく説明されるが、流入空気との間で熱交換を行う温調エレメントは電気ヒータエレメント(以後、単にヒータエレメントと称する)として形成されている。
【0011】
温度調節装置100は、図1に示すように、空気吸込口7から吸い込んだ温調対象空気Aを冷却及び加熱して目標温度に精密に温調し、その精密に温調した温調対象空気Aを空気吹出口8から吹き出すように構成している。図示は省略するが、空気吹出口8から吹き出した温調対象空気Aをクリーンルーム等の温度調節対象空間へ導くことにより、温度調節対象空間の温度を精密に調節している。また、空気吸込口7は、例えば、温度調節対象空間の空気を温調対象空気Aとして温度調節装置100に戻す空気循環路に連通接続されている。これにより、温調対象空気Aを、温度調節装置100と温度調節対象空間との間で循環しながら、温度調節対象空間の温度を精密に調節している。
【0012】
温度調節装置100は、圧縮機1、凝縮器2、膨張弁3、蒸発器4の順に冷媒Cが循環するように構成された冷却回路を備え、蒸発器4を冷媒Cが通過することにより温調対象空気Aを冷却するように構成してあり、蒸発器4が冷却手段として機能する。温度調節装置100は、蒸発器4により冷却された温調対象空気Aを吸引して吹き出す送風装置30と、送風装置30から吹き出された温調対象空気Aを加熱する加熱装置20とを備えている。
・・・
【0014】
これにより、温度調節装置100は、温調対象空気Aを蒸発器4にて冷却した後、加熱装置20により加熱することで、温調対象空気Aを目標温度に精密に調節することとなる。
・・・
【0016】
以下に加熱装置20及び送風装置30について、図2と図3を用いて詳細に説明する。
この加熱装置20は、図2と図3に示すように、矩形断面を有する貫通式の熱交換流路21を作り出しているハウジング22と、この熱交換流路21内に配置された複数のヒータエレメント50とから構成されている。このヒータエレメント50は電流を通電することにより熱を発生するタイプのものである。ヒータエレメント50は、空気の流れ方向に直交する方向(図2における紙面表裏方向)に伸びており、両端をハウジング22に支持されている。また、ヒータエレメント50は、空気の流れ方向および当該方向に対して直交する方向(図2における左右方向)に沿って並んでいる。また、図2から明らかなように、空気の流れ方向から見ると、ヒータエレメント50は千鳥状に配置されており、全体として、熱交換流路21の空間において一様に分布している。図2で例示された構成では、熱交換流路21の1つの横断面に互いに平行に3本のヒータエレメント50が配置され、さらに2つの互いに間隔が等しい横断面でそれぞれ同様に3本のヒータエレメント50が配置され、ヒータエレメント50の数は合計12本となっている。なお、このヒータエレメント50の数は説明のために仮に用いられており、その数はこの発明を限定するものではない。」
【図1】

【図2】


これらの記載及び図2の図示からみて、当該引用文献4には、次の技術的事項(以下、「引用文献4記載事項」という。)が記載されていると認められる。
(引用文献4記載事項)
「空気吸込口7から吸い込んだ温調対象空気Aを冷却及び加熱した温調対象空気Aを空気吹出口8から吹き出す温度調節装置100であって、
前記加熱は冷却された温調対象空気Aを吸引して吹き出す送風装置30と、送風装置30から吹き出された温調対象空気Aを加熱する加熱装置20から構成され、
加熱装置20は、矩形断面を有する貫通式の熱交換流路21を作り出しているハウジング22と、この熱交換流路21内に空気の流れ方向から見て一様かつ千鳥状に配置された9つのヒータエレメント50とからなること。」

なお、引用文献2及び3については原査定では請求項4〜8に対する拒絶の理由に引用されているため、割愛する。

3.その他の文献について
また、前置報告書において新たに引用された文献である引用文献5(特開2008−202912号公報)の段落【0025】〜【0028】、【0036】及び図1〜3には次の記載及び図示がある。
「【0025】
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1ないし図5を用いて説明する。
図1には、本発明の第1実施形態に係る輸送用冷凍ユニットを搭載した冷凍車両の外観斜視図が示されている。冷凍車両1は、キャビン2の後方に冷却庫3が搭載された構成とされる。冷却庫3には、その内部に積載される荷物を冷却(保冷)する冷凍装置(輸送用冷凍装置)4が搭載される。
【0026】
この輸送用冷凍装置4は、冷却庫3の庫内側に設置される冷凍ユニット(冷却ユニットあるいはエバポレータユニットともいう。)5と、冷却庫3の外部に設置されるコンディンシングユニット6とにセパレートされており、両ユニットは公知の如く冷凍サイクルを構成する冷媒配管で接続される。冷凍ユニット5としては、いろんなタイプのある中、本実施形態では、冷却庫3内の天井面に吊り下げ設置されるものが対象とされる。また、コンディンシングユニット6としては、冷却庫3の前面壁の上部に固定設置される例が示されている。
【0027】
図2には、冷凍ユニット5の概略断面構造が示され、図3には、冷凍ユニット5を後方側から見た外観斜視図が示されている。冷凍ユニット5は、厚さ方向の寸法が小さい薄形の直方体形状のユニット本体10を有し、その内部には、少なくとも冷凍サイクルを構成するエバポレータ11と、エバポレータ11に対して冷却庫3内の空気を循環させるための送風ファン12とが設けられる。ユニット本体10は、その骨組みを構成する構造体としてのフレーム10A(図4参照)を備え、そのフレーム10Aに、ユニット本体10の上面、下面、側面等を形成する上面パネル13、下面パネル(化粧パネル)14等を取り付けることによって、筐体であるユニット本体10を構成している。
【0028】
ユニット本体10内には、後方側面15から前方側面16にかけて空気流通路17が形成されており、その後方部位は、仕切り壁18によってユニット厚さ方向に上下に仕切られた上下二層構造とされている。この上下二層構造部の下層は、空気吸い込み流路19とされ、その上層は、空気吹き出し流路20とされる。空気吸い込み流路19は、ユニット本体10の後方側面に開口される空気吸い込み口21に連通され、また空気吹き出し流路20は、ユニット本体10の前方側面に開口される空気吹き出し口22に連通される。空気吸い込み口21は、諸法規および安全上許容される範囲の最大開口とされる。」
「【0036】
特に、空気吸い込み口21を、諸法規および安全上許容される範囲の最大開口としているため、空気の吸い込み抵抗を可及的に小さくすることができるとともに、空気吸い込み口21付近に霜が付着し難くし、仮に空気吸い込み口21付近に霜が付着されるように状態においても、空気吸い込み口21が霜により閉塞されたり、風量がダウンされたりするような事態を回避することができる。従って、霜による冷却性能の低下を抑制し、信頼性を向上させることができる。また、送風ファン12に薄形構造のターボファンを採用しているため、空気流路を上下二層構造としも、薄形形状をほぼ維持することができ、しかも送風ファン12に対する空気流路構成を簡素に構成することができる。」

【図1】

【図2】

【図3】

これらの記載及び図2−3の図示からみて、当該引用文献5には、次の技術的事項(以下、「引用文献5記載事項」という。)が記載されていると認められる。
(引用文献5記載事項)
「輸送用冷凍装置4であって、
輸送用冷凍装置4は、冷却庫3の庫内側に設置される冷凍ユニット5と、冷却庫3の外部に設置されるコンディンシングユニット6とにセパレートされ、
冷凍ユニット5は、厚さ方向の寸法が小さい薄形の直方体形状のユニット本体10を有し、当該ユニット本体10の内部に、少なくとも冷凍サイクルを構成するエバポレータ11と、エバポレータ11に対して冷却庫3内の空気を循環させるための送風ファン12とが設けられ、
前記ユニット本体10内には、後方側面15から前方側面16にかけて空気流通路17が形成され、
空気吸い込み流路19は、ユニット本体10の後方側面に開口される空気吸い込み口21に連通され、また空気吹き出し流路20は、ユニット本体10の前方側面に開口される空気吹き出し口22に連通され、
空気吸い込み口21は、諸法規および安全上許容される範囲の最大開口とされること。」

第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

引用発明の「冷凍機室3」が「備える」とした「庫内2の空気をエバポレータコイル8に導くために各点検パネル6下端部と庫内2の床面との間に形成された吸気口9」、「エバポレータコイル8を通過する間に冷却された冷却空気を庫内2に吐出する冷凍機室3および両通路7の上部に形成された吹出しダクト12」、及び、「前記吹出しダクト12の下流側に着脱可能に取付けられたヒータユニツト15」は、本願発明1の「輸送用冷凍機」の「ケーシング」に「形成」されたとする「前記輸送用コンテナ内から空気を吸込む吸込口」、「前記前面の上方に設けられ、前記吸込口から吸込まれた空気を前記輸送用コンテナ内へと吹出す吹出口」、及び、「前記吹出口の下流側の近傍に設けられた電気ヒーター部」に各々相当する。
次に、本願発明1には「輸送用冷凍機」が「輸送用コンテナ」に対して設けられる位置として、「前面側」との特定がある。しかしながら本件明細書の発明の詳細な説明ないし添付図面には、コンテナのどこを前面、あるいは、後面として指すのかの具体的な定義あるいは間接的な記載はない。
そこで、図1、2に図示された、共通する表記である「前壁33」から考え、図1、2の前壁33に対して図中右側に壁がないことから、右側が積み荷の搬入搬出扉と理解し、搬入搬出扉から最も遠い奥側の面を、本件では「前面」と呼称していると見た。
そうすると、引用発明の「冷凍コンテナ1の長手方向一端部に設けられ、庫内2の空気を冷却する冷凍機室3」は、本願発明1の「輸送用コンテナの前面側に設けられ、前記輸送用コンテナ内を冷却する輸送用冷凍機」に相当する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

[一致点]
「輸送用コンテナの前面側に設けられ、前記輸送用コンテナ内を冷却する輸送用冷凍機において、
前記輸送用冷凍機は、前記輸送用コンテナ内から空気を吸込む吸込口、及び、前記前面の上方に設けられ、前記吸込口から吸込まれた空気を前記輸送用コンテナ内へと吹出す吹出口が形成されたケーシングと、
前記ケーシングの前記吹出口の下流側の近傍に設けられた電気ヒーター部と、
を有する輸送用冷凍機。」

[相違点]
(相違点1)本願発明1は、「前記電気ヒーター部には、管状のシースヒーターが、前記吹出口側から下流側へかけて複数列配置され」かつ「前記電気ヒーター部には、前記吹出口側から見て、前記シースヒーターが、前記空気の流れ方向に、隣り合う前記シースヒーター同士が重ならないように配置され」たとするのに対し、引用発明は、そのような構成を備えていない点。
(相違点2)本願発明1は、「前記吹出口は前記吸込口よりも開口部の面積が小さい」という特定事項を備えるのに対し、引用発明は、かかる事項を備えるか否かが明らかでない点。

(2)相違点についての検討・判断
事案に鑑み、相違点2から検討する。
上記相違点2に係る本願発明1の「前記吹出口は前記吸込口よりも開口部の面積が小さい」という構成に関し、本件明細書の【0049】には次の記載がある。
「ここで、本実施形態では、ケーシング6の吹出口5の下流側の近傍に電気ヒーター部10を設けているが、吹出口5は吸込口4よりも開口部の面積が小さいので、風量が多い。従って、風量が多い吹出口5の付近に電気ヒーター部10を設けることで、空間32(デッドスペース)を有効活用できるとともに、従来の冷凍機付コンテナのように、冷凍機内の吸込み側に電気ヒーターを配置した場合に比べて効率を約3倍にすることができる。これにより、電気ヒーター部10に配置する電気ヒーターの本数を減らすことができる(例えば、従来では電気ヒーターが18本程度使用されていたが、本実施形態では6本程度まで減らしても従来と同程度に空気を加熱する効果を得ることができる)。そのため、電気ヒーター部10の寸法を小型化することができる。具体的には、図2中の電気ヒーター部10の高さ(上下方向の長さ)Aは200mm以下とすることができる。また、電気ヒーター部10を小型化できるので、ヒーターガード12も小さなものとすることができる。」

以上の記載を参酌すると、当該相違点2に係る本願発明1の「前記吹出口は前記吸込口よりも開口部の面積が小さい」という構成により、本願発明1は、第1に「風量」を「多く」でき、付随して電気ヒーターの本数の削減、寸法の小型化が可能になるという作用・効果が見込めることが理解できる。
これに対し、引用発明には対応する作用・効果に関する発明特定事項は見当たらず、引用文献1の中にも当該相違点2に係る事項に関する変更の示唆はない。
また、引用文献4ないし5のいずれにも、相違点2に係る発明特定事項である、吹出口開口部面積と吸込口開口部面積との大小比較を示す記載ないし図示はなく、係る事項が当業者に周知慣用な技術的事項であるとも認められない。
そうすると、相違点2は、引用発明、引用文献4に記載された技術的事項及び引用文献5に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

したがって、上記相違点1について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献4に記載された技術的事項及び引用文献5に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2.本願発明2について
本願発明2も、本願発明1が備える「前記吹出口は前記吸込口よりも開口部の面積が小さい」と同一の発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献4に記載された技術的事項及び引用文献5に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

3.本願発明3−8について
本願発明3−8は、本願発明1または2を引用する発明であって、本願発明1または2のいずれも共通する「前記吹出口は前記吸込口よりも開口部の面積が小さい」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1、2と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献4に記載された技術的事項及び引用文献5に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第7 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1−8はいずれも「前記吹出口は前記吸込口よりも開口部の面積が小さい」という事項を有するものとなっており、本願発明1−3は、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1、4に基いて、容易に発明をすることができたものとはいえない。また、本願発明4−6は、本願発明1又は2を引用するものであるから、同様に当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由(特許法第29条第2項)を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-10-05 
出願番号 P2017-198520
審決分類 P 1 8・ 121- WY (F25D)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 平城 俊雅
特許庁審判官 マキロイ 寛済
西村 泰英
発明の名称 輸送用冷凍機及び冷凍機付コンテナ  
代理人 藤田 考晴  
代理人 三苫 貴織  
代理人 川上 美紀  
代理人 長田 大輔  
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