• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  G01S
審判 全部申し立て 2項進歩性  G01S
管理番号 1389358
総通号数 10 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-10-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-09-04 
確定日 2022-06-29 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6656556号発明「システム、プログラムおよび探知機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6656556号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜20、22〕、21について訂正することを認める。 特許第6656556号の請求項1〜10、12〜18、20〜22に係る特許を取り消す。 特許第6656556号の請求項11及び19に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6656556号(以下「本件特許」という。)の請求項1〜22に係る特許についての出願は、平成31年1月8日に出願した特願2019−1016号の一部を令和元年5月27日に新たな特許出願としたものであって、令和2年2月7日にその特許権の設定登録がされ、令和2年3月4日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。

令和 2年 9月 4日 : 特許異議申立人秋山美菜子(以下、単に「
特許異議申立人」という。)による請求項
1〜22に係る特許に対する特許異議の申
立て
同年12月 3日付け: 取消理由通知書
令和 3年 2月 4日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提

同年 3月29日 : 特許異議申立人による意見書の提出
同年 5月10日付け: 取消理由通知書(決定の予告)
同年 7月19日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提
出(2回目)
同年 9月27日 : 特許異議申立人による意見書の提出(2回
目)
同年11月25日 : 特許権者との面接
同月30日 : 上申書の提出
同年12月 6日付け: 審尋
同年12月27日 : 特許権者による回答書の提出
令和 4年 1月31日付け: 訂正拒絶理由通知書
同年 3月 7日 : 意見書、手続補正書(訂正請求書)の提出


第2 訂正の適否
1 訂正請求書の補正及びその適否
令和4年3月7日に提出された手続補正書による訂正請求書の補正は、同年1月31日付けの訂正拒絶理由通知に応じてされたものであり、請求の理由についての補正及び訂正特許請求の範囲についての補正を含むものである。
この補正は、請求項1に係る訂正事項1についての一部、及び、請求項21に係る訂正事項10についての一部を削除する補正であるから、訂正請求書の要旨を変更するものではない。
したがって、令和4年3月7日に提出された手続補正書による訂正請求書の補正は、特許法120条の5第9項において準用する同法131条の2第1項の規定に適合し、適法な補正である。

以下、令和4年3月7日に補正された訂正請求に係る訂正を、「本件訂正」という。なお、本件訂正により、令和3年2月4日にされた訂正請求は取り下げられたものとみなされる(特許法120条の5第7項)。

2 本件訂正前後の特許請求の範囲の記載
(1) 本件訂正前の特許請求の範囲の記載
本件訂正前の特許請求の範囲の記載は、次のとおりのものである。

「【請求項1】
特定波長の光を発して車両の存在を検出する第1装置の存在を報知するシステムであって、
車両に配置される筐体と、
前記筐体の前面に設けられた表示領域を含む表示部と、
前記筐体の背面に位置する窓と、
前記窓に入射した光を受光する受光部と、
前記受光部が受光した前記特定波長の光に応じて、前記第1装置の存在を報知する制御を行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1装置の存在を報知する制御として、少なくとも前記第1装置の存在を報知するための画像を前記表示領域に表示する制御を行い、
前記窓は、前記筐体の背面のうち、少なくとも上下方向における中心よりも上方で、かつ少なくとも前記車両の運転席側から見て前記車両の進行方向に対して左側に位置する
システム。
【請求項2】
前記受光部は、レンズを介して前記第1装置からの光を受光する
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記受光部の前記第1装置からの光の受け入れ角度を広げるためのミラーを備える
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記窓に可視光をカットする部材が存在する
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記制御部は、前記受光部が受光した光のパルス幅に基づいて前記第1装置の存在を報知する制御を行う
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記制御部は、前記受光部が受光した光のパルス間隔に基づいて前記第1装置の存在を報知する制御を行う
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記制御部は、前記受光部が受光した前記特定波長の光の強度に応じて前記報知のレベルを変化させる
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記制御部は、前記受光部が受光した前記特定波長の光の強度が増加している場合は、報知レベルを高くする
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記制御部は、前記受光部が受光した前記特定波長の光の強度が減少している場合は、報知レベルを低くする
請求項7または請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記制御部は、前記受光部が受光した光のパルスの数に応じて前記報知のレベルを変化させる
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
特定波長の光を発して車両の存在を検出する第1装置の存在を報知するシステムであって、
車両に配置される筐体と、
前記筐体の前面に設けられた表示領域を含む表示部と、
前記筐体の背面に位置する窓と、
前記窓に入射した光を受光する受光部と、
前記受光部が受光した前記特定波長の光に応じて、前記第1装置の存在を報知する制御を行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1装置の存在を報知する制御として、少なくとも前記第1装置の存在を報知するための画像を前記表示領域に表示する制御を行い、
前記制御部は、前記受光部が受光した光のパルスの数に応じて前記報知のレベルを変化させる
システム。
【請求項12】
前記制御部は、現在位置の位置情報を取得し、取得した位置情報が示す位置があらかじめ決められた条件を満たす場合、前記特定波長の光を発して車両の存在を検出する第2装置の存在を報知する制御を行う
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記制御部は、前記条件として前記取得した位置情報が示す現在位置が所定のエリア内である場合、前記第2装置の存在を報知する制御を行う
請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記制御部は、前記受光部が受光した光に応じて第1の方法で前記第1装置の存在を報知し、前記現在位置に応じて前記第1の方法と異なる第2の方法で前記第2装置の存在を報知するように、前記報知する制御を行う
請求項12または請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
所定の電波を受信する電波受信部を備え、
前記制御部は、前記所定の電波を受信したことに応じて前記電波の発生装置の存在を報知する制御を行う
請求項1から請求項14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記制御部は、前記受光部が受光した光に応じて第1の方法で前記第1装置の存在を報知し、前記所定の電波を受信したことに応じて前記第1の方法と異なる第3の方法で前記電波の発生装置の存在を報知するように、前記報知する制御を行う
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記受光部は、導電性を有する材料でシールドされている
請求項1から請求項16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
前記制御部は、車載カメラの撮像画像を取得して、前記特定波長の光の受光期間に応じた期間の前記撮像画像を記録する機能を有する
請求項1から請求項17のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
特定波長の光を発して車両の存在を検出する第1装置の存在を報知するシステムであって、
車両に配置される筐体と、
前記筐体の前面に設けられた表示領域を含む表示部と、
前記筐体の背面に位置する窓と、
前記窓に入射した光を受光する受光部と、
前記受光部が受光した前記特定波長の光に応じて、前記第1装置の存在を報知する制御を行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1装置の存在を報知する制御として、少なくとも前記第1装置の存在を報知するための画像を前記表示領域に表示する制御を行い、
前記制御部は、車載カメラの撮像画像を取得して、前記特定波長の光の受光期間に応じた期間の前記撮像画像を記録する機能を有する
システム。
【請求項20】
前記制御部は、前記第1装置を検出すると、前記第1装置の位置を示す情報をサーバにアップロードする機能を有する
請求項1から請求項19のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項21】
筐体と、
前記筐体に設けられ、車両の速度を測定するためのレーザー光を受光可能な受光部と、
前記筐体に設けられ、前記受光部の受光状態に応じた警報を行う表示領域を含む表示部と、
を有し、
前記筐体の前記表示領域とは反対側の面である背面からの前記レーザー光を導入するよう前記受光部を設けており、
前記筐体の背面のうち、少なくとも上下方向における中心よりも上方で、かつ少なくとも自車両の運転席側から見て前記車両の進行方向に対して左側に位置する円形の窓部を有し、
前記レーザー光は、可視光カットフィルタを通過するように前記円形の窓部およびレンズを介して前記受光部に導入され、
前記受光部が導電性を有する素材を用いてシールドされる
探知機。
【請求項22】
請求項1から請求項20のいずれか1項に記載のシステムの前記制御部の機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。」

(2) 本件訂正後の特許請求の範囲の記載
本件訂正後の特許請求の範囲の記載は、令和4年3月7日に補正された訂正請求書に添付した特許請求の範囲に記載された、次のとおりのものである。
なお、下線は当合議体が付したもので、訂正箇所を示す。以下同様である。
「【請求項1】
特定波長の光を発して車両の存在を検出する第1装置の存在を報知するシステムであって、
車両に配置される筐体と、
前記筐体の前面に設けられた表示領域を含む表示部と、
前記筐体の背面に位置する窓と、
前記窓に入射した光を受光する受光部と、
前記受光部が受光した前記特定波長の光に応じて、前記第1装置の存在を報知する制御を行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1装置の存在を報知する制御として、少なくとも前記第1装置の存在を報知するための画像を前記表示領域に表示する制御を行い、
前記筐体は、前記車両のダッシュボード上に、前記表示領域を前記車両の運転席に向けて設置可能であり、
前記窓は、前記筐体の背面のうち、少なくとも上下方向における中心よりも上方で、かつ少なくとも前記車両の運転席側から見て前記車両の進行方向に対して左側に位置しており、
前記窓は、前記筐体の前後方向において前記表示領域と重なる部分を有する
システム。
【請求項2】
前記受光部は、レンズを介して前記第1装置からの光を受光する
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記受光部の前記第1装置からの光の受け入れ角度を広げるためのミラーを備える
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記窓に可視光をカットする部材が存在する
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記制御部は、前記受光部が受光した光のパルス幅に基づいて前記第1装置の存在を報知する制御を行う
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記制御部は、前記受光部が受光した光のパルス間隔に基づいて前記第1装置の存在を報知する制御を行う
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記制御部は、前記受光部が受光した前記特定波長の光の強度に応じて前記報知のレベルを変化させる
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記制御部は、前記受光部が受光した前記特定波長の光の強度が増加している場合は、報知レベルを高くする
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記制御部は、前記受光部が受光した前記特定波長の光の強度が減少している場合は、報知レベルを低くする
請求項7または請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記制御部は、前記受光部が受光した光のパルスの数に応じて前記報知のレベルを変化させる
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
(削除)
【請求項12】
前記制御部は、現在位置の位置情報を取得し、取得した位置情報が示す位置があらかじめ決められた条件を満たす場合、前記特定波長の光を発して車両の存在を検出する第2装置の存在を報知する制御を行う
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記制御部は、前記条件として前記取得した位置情報が示す現在位置が所定のエリア内である場合、前記第2装置の存在を報知する制御を行う
請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記制御部は、前記受光部が受光した光に応じて第1の方法で前記第1装置の存在を報知し、前記現在位置に応じて前記第1の方法と異なる第2の方法で前記第2装置の存在を報知するように、前記報知する制御を行う
請求項12または請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
所定の電波を受信する電波受信部を備え、
前記制御部は、前記所定の電波を受信したことに応じて前記電波の発生装置の存在を報知する制御を行う
請求項1から請求項10、及び請求項12から請求項14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記制御部は、前記受光部が受光した光に応じて第1の方法で前記第1装置の存在を報知し、前記所定の電波を受信したことに応じて前記第1の方法と異なる第3の方法で前記電波の発生装置の存在を報知するように、前記報知する制御を行う
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記受光部は、導電性を有する材料でシールドされている
請求項1から請求項10、及び請求項12から請求項16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
前記制御部は、車載カメラの撮像画像を取得して、前記特定波長の光の受光期間に応じた期間の前記撮像画像を記録する機能を有する
請求項1から請求項10、及び請求項12から請求項17のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
(削除)
【請求項20】
前記制御部は、前記第1装置を検出すると、前記第1装置の位置を示す情報をサーバにアップロードする機能を有する
請求項1から請求項10、請求項12から請求項18のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項21】
筐体と、
前記筐体に設けられ、速度測定装置からの車両の速度を測定するためのレーザー光を受光可能な受光部と、
前記筐体に設けられ、前記受光部の受光状態に応じた警報を行う表示領域を含む表示部と、
を有し、
前記筐体の前記表示領域とは反対側の面である背面からの前記レーザー光を導入するよう前記受光部を設けており、
前記筐体の背面のうち、少なくとも上下方向における中心よりも上方で、かつ少なくとも自車両の運転席側から見て前記自車両の進行方向に対して左側に位置する円形の窓部を有し、
前記レーザー光は、可視光カットフィルタを通過するように前記円形の窓部およびレンズを介して前記受光部に導入され、
前記受光部が導電性を有する素材を用いてシールドされ、
前記筐体は、前記自車両のダッシュボード上に、前記表示領域を前記自車両の運転席に向けて設置可能であり、
前記円形の窓部は、前記筐体の前後方向において前記表示領域と重なる部分を有する
探知機。
【請求項22】
請求項1から請求項10、請求項12から請求項18、及び請求項20のいずれか1項に記載のシステムの前記制御部の機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。」

3 本件訂正の内容
本件訂正は、特許請求の範囲を訂正するものであり、その内容は、以下の訂正事項1から訂正事項10までからなる。

(1) 訂正事項1
本件訂正前の請求項1における「前記表示領域に表示する制御を行い、」と「前記窓は、」の間に「前記筐体は、前記車両のダッシュボード上に、前記表示領域を前記車両の運転席に向けて設置可能であり、」を挿入するとともに、
本件訂正前の「左側に位置する」を「左側に位置しており、」と訂正し、
その後に「前記窓は、前記筐体の前後方向において前記表示領域と重なる部分を有する」を挿入する。
請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2〜10、12〜18、20及び22も請求項1と同様に訂正する。

(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項11を削除する訂正をする。

(3) 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項12の「請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のシステム」という記載を、「請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のシステム」という記載に訂正する。
請求項12の記載を直接的又は間接的に引用する請求項13〜18、20及び22も同様に訂正する。

(4) 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項15の「請求項1から請求項14のいずれか1項に記載のシステム」という記載を、「請求項1から請求項10、及び請求項12から請求項14のいずれか1項に記載のシステム」という記載に訂正する。
請求項15の記載を直接的又は間接的に引用する請求項16〜18、20及び22も同様に訂正する。

(5) 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項17の「請求項1から請求項16のいずれか1項に記載のシステム」という記載を、「請求項1から請求項10、及び請求項12から請求項16のいずれか1項に記載のシステム」という記載に訂正する。
請求項17の記載を直接的又は間接的に引用する請求項18、20及び22も同様に訂正する。

(6) 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項18の「請求項1から請求項17のいずれか1項に記載のシステム」という記載を、「請求項1から請求項10、及び請求項12から請求項17のいずれか1項に記載のシステム」という記載に訂正する。
請求項18の記載を直接的又は間接的に引用する請求項20及び22も同様に訂正する。

(7) 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項19を削除する訂正をする。

(8) 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項20の「請求項1から請求項19のいずれか1項に記載のシステム」という記載を、「請求項1から請求項10、及び請求項12から請求項18のいずれか1項に記載のシステム」という記載に訂正する。
請求項20の記載を引用する請求項22も同様に訂正する。

(9) 訂正事項9
特許請求の範囲の請求項22の「請求項1から請求項20のいずれか1項に記載のシステム」という記載を、「請求項1から請求項10、及び請求項12から請求項18、及び請求項20のいずれか1項に記載のシステム」という記載に訂正する。

(10) 訂正事項10
本件訂正前の請求項21における「前記筐体に設けられ、車両の速度を測定するためのレーザー光を受光可能な受光部」との記載を、
「前記筐体に設けられ、速度測定装置からの車両の速度を測定するためのレーザー光を受光可能な受光部」に訂正し、
本件訂正前の請求項21における「前記筐体の背面のうち、少なくとも上下方向における中心よりも上方で、かつ少なくとも自車両の運転席側から見て前記車両の進行方向に対して左側に位置する円形の窓部」との記載を、
「前記筐体の背面のうち、少なくとも上下方向における中心よりも上方で、かつ少なくとも自車両の運転席側から見て前記自車両の進行方向に対して左側に位置する円形の窓部」に訂正し、
本件訂正前の「シールドされる」を「シールドされ、」と訂正し、
その後に「前記筐体は、前記自車両のダッシュボード上に、前記表示領域を前記自車両の運転席に向けて設置可能であり、前記円形の窓部は、前記筐体の前後方向において前記表示領域と重なる部分を有する」を挿入する。

(11) 一群の請求項について
本件訂正は、訂正前の請求項1〜22について訂正するものであるところ、特許法120条の5第4項に規定する「一群の請求項」に係る判断については、以下のア〜エに示すとおりである。
ア 訂正前の請求項1〜10、12〜18、20、22は、請求項2〜10、12〜18、20、22が訂正の請求の対象である請求項1の記載を引用する関係にあるため「一群の請求項」を構成する。
イ 同様に、訂正前の請求項11〜18、20、22は、請求項12〜18、20、22が訂正の請求の対象である請求項11の記載を引用する関係にあるため「一群の請求項」を構成する。
ウ 同様に、訂正前の請求項19、20、22は、請求項20、22が訂正の請求の対象である請求項19の記載を引用する関係にあるため「一群の請求項」を構成する。
エ そして、これらの「一群の請求項」は、共通する請求項20、22を有するから、請求項1〜20、22は全体として1つの「一群の請求項」となる。

よって、本件訂正のうち前記訂正事項1〜9に係る訂正は、一群の請求項である請求項〔1〜20、22〕について請求されており、本件訂正のうち前記訂正事項10に係る訂正は、請求項21について請求されている。

4 本件訂正の目的の適否、新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1) 訂正事項1について
訂正事項1は、本件訂正前の「車両に配置される筐体」について、「前記筐体は、前記車両のダッシュボード上に、前記表示領域を前記車両の運転席に向けて設置可能であ」るものに限定し、本件訂正前の「前記筐体の背面に位置する窓」について、「前記筐体の前後方向において前記表示領域と重なる部分を有する」ものに限定する訂正を行うものであるから、訂正事項1の訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、上記事項のうち、「前記筐体は、前記車両のダッシュボード上に、前記表示領域を前記車両の運転席に向けて設置可能であ」ることは、本件特許明細書の【0056】及び【0073】並びに【図1】に基づくものであり、「前記窓は、前記筐体の前後方向において前記表示領域と重なる部分を有する」ことは、本件特許明細書の【0063】及び【0118】並びに【図26】に基づくものであるから、訂正事項1の訂正は、新規事項を追加するものではなく、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、訂正事項1に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
そして、本件特許異議申立てにおいては、請求項1〜22の全ての請求項に特許異議の申立てがされているから、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項に規定する独立特許要件は課されない。

(2) 訂正事項2〜9について
訂正事項2及び7は、それぞれ請求項11、19を削除するというものである。
訂正事項3〜6は、請求項11の削除に伴い、本件訂正前の請求項12、15、17、18が引用する請求項を削減する訂正を行うものであり、訂正事項8、9は、請求項11、19の削除に伴い、本件訂正前の請求項20、22が引用する請求項を削減する訂正を行うものであるから、訂正事項3〜6、8、9の訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするもの、又は明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項2〜9は、請求項を削除する訂正又はそれに伴う引用する請求項を削除する訂正であるから、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。
よって、訂正事項2、7に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり、訂正事項3〜6、8、9は、同条同項ただし書1号又は3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、訂正事項2〜9に係る訂正は、同条9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
なお、本件特許異議申立てにおいては、請求項1〜22の全ての請求項に特許異議の申立てがされているから、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項に規定する独立特許要件は課されない。

(3) 訂正事項10について
訂正事項10は、本件訂正前の「車両の速度を測定するためのレーザー光を受光可能な受光部」における「車両の速度を測定するためのレーザー光」を、「速度測定装置からの車両の速度を測定するためのレーザー光」に限定し、本件訂正前の「筐体」について、「前記筐体は、前記自車両のダッシュボード上に、前記表示領域を前記自車両の運転席に向けて設置可能であ」るものに限定し、本件訂正前の「円形の窓部」について、「前記筐体の前後方向において前記表示領域と重なる部分を有する」ものに限定する訂正を行うものを含むから、訂正事項10の訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正を含むものである。
また、訂正事項10は、本件訂正前の「少なくとも自車両の運転席側から見て前記車両の進行方向に対して左側に位置する円形の窓部」における「前記車両」を、「前記自車両」に訂正するものを含むから、訂正事項10の訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正を含むものである。
そして、上記事項のうち、「速度測定装置からの車両の速度を測定するためのレーザー光を受光可能な受光部」は、本件特許明細書の【0058】及び【0073】に基づくものであり、「前記筐体は、前記自車両のダッシュボード上に、前記表示領域を前記自車両の運転席に向けて設置可能であ」ることは、本件特許明細書の【0056】及び【0073】並びに【図1】に基づくものであり、「窓部は、前記筐体の前後方向において前記表示領域と重なる部分を有する」ことは、本件特許明細書の【0063】及び【0118】並びに【図26】に基づくものであるから、訂正事項10の訂正は、新規事項を追加するものではなく、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、訂正事項10に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号及び3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。
なお、本件特許異議申立てにおいては、請求項1〜22の全ての請求項に特許異議の申立てがされているから、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項に規定する独立特許要件は課されない。

5 小括
以上のとおりであるから、前記結論のとおり、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜20、22〕、21について訂正することを認める。


第3 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由
本件訂正前の請求項1〜22に係る特許に対して、当合議体が令和3年5月10日付けで、特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。

1 委任省令要件違反(36条4項1号
請求項1〜10、12〜18、20〜22に記載されている、「窓」が「筐体の背面のうち、少なくとも上下方向における中心よりも上方で、かつ少なくとも自車両の運転席側から見て前記車両の進行方向に対して左側に位置する」構成について、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、経済産業省令で定めるところにより、当業者がその技術上の意義を理解することができる程度に明確かつ十分に記載されたものではないから、請求項1〜10、12〜18、20〜22に係る特許は、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

進歩性欠如(29条2項
本件特許の請求項1〜10、12〜18、20〜22に係る発明は、甲6号証に記載された発明、甲1、3〜5、7〜10号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1〜10、12〜18、20〜22に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。



(刊行物一覧)
甲1号証 :米国特許出願公開第2002/0196175号明細書
甲3号証 :実願昭57−89275号(実開昭58−191580号)
のマイクロフィルム
甲4号証 :米国特許第5990821号明細書
甲5号証 :米国特許第5206500号明細書
甲6号証 :特開2012−251888号公報
甲7号証 :米国特許出願公開第2018/0084184号明細書
甲8号証 :特開2010−276609号公報
甲9号証 :特開平6−138229号公報
甲10号証:実願昭52−101396号(実開昭54−27369号)
のマイクロフィルム


第4 当審の判断
1 本件発明
本件特許の請求項1〜22に係る発明(以下、請求項の番号に従って「本件発明1」などという。)は、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1〜22に記載された事項により特定されるとおりのものと認める(前記第2の2の「(2) 本件訂正後の特許請求の範囲の記載」を参照)。

2 委任省令要件違反(36条4項1号)について
(1) 発明の詳細な説明の委任省令要件について
請求項1には、「車両に配置される筐体」において、「前記筐体の背面に位置する窓」が、「前記筐体の背面のうち、少なくとも上下方向における中心よりも上方で、かつ少なくとも前記車両の運転席側から見て前記車両の進行方向に対して左側に位置する」構成(以下「技術構成A」という。)について記載されている。
技術構成Aの技術的意義について、発明の詳細な説明には、次のように説明されている。(下線は当合議体が付与した。)
「【0063】
図3は、電子機器10の背面図である。図3に示すように、筐体100の背面には、第1窓101および第2窓102が形成されている。第1窓101および第2窓102は、外部の光を筐体100の内部に導くための開口部である。第1窓101と、第2窓102とは、左右方向において所定の間隔を空けて配置されている。第1窓101および第2窓102は、例えば矩形であるが、これ以外の形状であってもよい。筐体100の内部には、受光部12が設けられている。受光部12は、第1窓101および第2窓102を介して入射した光を受光する。」

「【0073】
第1窓101、第2窓102および受光部12は、電子機器10の表示部13を車両40の運転席に向けたときに、車両40の進行方向に対して斜め前方(例えば、左前方)を向くように設けられてもよい。これにより、受光部12が速度測定装置30からのパルス光Loutを受光しやすくなる可能性がある。」

「【図3】



本件特許明細書の段落【0073】に「受光部12が速度測定装置30からのパルス光Loutを受光しやすくなる可能性がある」と記載されていることから、本件特許明細書の記載は、上記構成によって、「受光部12が速度測定装置30からのパルス光Loutを受光しやすくなる」という効果を必ず奏するとするものではないことが理解される。
また、段落【0073】には、「第1窓101、第2窓102および受光部12は、電子機器10の表示部13を車両40の運転席に向けたときに、車両40の進行方向に対して斜め前方(例えば、左前方)を向くように設けられてもよい。」と記載されており、この記載から、パルス光を受光しやすくなる効果は、速度測定装置からのパルス光が到来する方向に、筐体の背面、すなわち「第1窓101、第2窓102および受光部12」が向くことによるものであると認められる。
そうすると、上記効果は、窓の位置が、「筐体の背面の上下方向における中心よりも上方で」、かつ「前記車両の運転席側から見て前記車両の進行方向に対して左側に」あることのみで決まるものでなく、筐体が車両のどこに配置されているか、筐体の背面がどちらを向いているか、速度測定装置からのパルス光がどの方向から到来するかにも依存するところ、請求項1に係る発明は、筐体の設置に関し、「前記筐体は、前記車両のダッシュボード上に、前記表示領域を前記車両の運転席に向けて設置可能である」と規定するのみであり、「設置可能である」ことが、必ずしも、実際にこのように設置されたことを意味するものではないから、当該請求項1に記載された上記構成が、どのような状況においても、【0073】で示されているような効果を奏するものとは認められない。

また仮に、筐体が、運転席と助手席の間のダッシュボード上に、表示領域を車両の運転席に向けて設置されたことが特定されているとしても、以下の理由により、上記効果を奏するのか不明である。
本件特許明細書には、次の記載がある。
「【0057】
速度測定装置30は、車両の速度取締地点に設置される。速度測定装置30は、例えば固定式および移動式のどちらでもよいが、移動式とするとよい。移動式は、例えば、可搬式および車両に搭載される方式を含む。移動式の場合、速度取締地点の位置情報が既知でなくとも、電子機器10は光学方式により速度測定装置30を検出することができる。図1の例では、速度測定装置30は、車道に隣接する歩道に設置され、この車道を走行する車両の速度を測定する。速度測定装置30は、所定距離(例えば、70m)以内の車両との距離を測定し、さらに、自装置からそれよりも近い所定距離(例えば、20m)地点での車両の速度を測定する。
【0058】
速度測定装置30は、速度測定部31と、撮像部32と、ストロボ33とを備える。速度測定部31は、レーザースキャン方式により、車両の速度を測定する。具体的には、速度測定部31は、パルス光Loutが車両40に到達して反射すると、その反射光Lrefを受光する。速度測定部31は、パルス光Loutを発してから、反射光Lrefを受光するまでに要した時間に基づいて、車両40までの距離を測定する、速度測定部31は、車両40までの距離の測定を繰り返し行い、単位時間の車両40の移動距離に基づいて、その車両40の速度を測定する。」
上記記載から、速度測定装置30は、70m離れた車両40との距離をレーザースキャン方式により測定しているから、速度測定装置30から少なくとも70m以上離れた位置において、車両40に設けられた電子機器10は、速度測定装置30からのレーザーパルス光を受光部12において受光して、車両40の運転手に速度測定装置30の存在を報知しなければならないと理解できる。
ここで、速度測定装置30から電子機器10の距離を70mとし、電子機器10の水平方向の幅(横幅)を15cm程度として、窓が筐体の背面の左端にあった場合と右端にあった場合の入射角度の差Δθを見積もると、
Δθ=arctan(0.15/70)=0.12°でしかない。
上記入射角度の差Δθは、速度測定装置30が行うレーザースキャンにおいて筐体の左端から右端まで水平方向に走査した角度に対応するから、窓が筐体の背面の左端にあるか、右端にあるかによって電子機器10の受光部12の受光量に有意な差異があるとすれば、当該差異は、速度測定装置30が行うレーザースキャンの走査角度を0.12°だけ変化させたことにより生じたものであることになる。
しかしながら、このようなわずかな走査角度の変化に起因してどうして電子機器10の受光部12における受光感度に有意な差が生じるというのか、明細書に作用の開示はなく、不明である。
以上のとおり、本件特許明細書の説明に基づいては、技術構成Aの技術的意義を理解することはできない。

上記の点は、請求項21に係る発明、請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2〜10、12〜18、20、22に係る発明についても同様である。

したがって、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、請求項1〜10、12〜18、20〜22に係る発明について、経済産業省令で定めるところにより、当業者がその技術上の意義を理解することができる程度に明確かつ十分に記載されたものではない。

(2) 特許権者の主張について
令和4年3月7日付け意見書(以下単に「意見書」という。)における特許権者の主張、及び当該主張に対する当合議体の見解は、次のとおりである。
ア 主張1(Aピラー近くに配置した場合の効果)
(ア) 特許権者の主張
特許権者は、意見書8頁5〜10行において、次の主張をしている。
「参考図3に示すような位置に筐体が設置された場合、筐体の背面側の近い位置に、車両の前方右側のAピラーが存在することがある。この場合、参考図3に示すように、筐体の背面のうちの右側部分のすぐ後ろに、このAピラーが存在する。そのため、車両の進行方向に対して左上側に窓が位置するようにしておくことで、窓がこれよりも右側にあるような場合に比べて、車両の運転席側から
見て左前方にある第1装置からの光を受光しやすくすることができる。」

(参考図3)




(イ) 主張1についての当合議体の見解
特許権者は、筐体の背面側の近い位置に、車両の前方右側のAピラーが存在する場合に、車両の進行方向に対して左上側に窓が位置するようにしておくことで、窓がこれよりも右側にあるような場合に比べて、車両の運転席側から見て左前方にある第1装置からの光を受光しやすくすることができると主張しているが、そのようなことは、発明の詳細な説明には記載されていない。
そもそも技術事項Aは、「筐体の背面に位置する窓」が、当該筐体の背面のうち、どのような位置にあるかについて、車両の運転席側から見たときの観点から規定したものであるところ、このような「窓」と「運転席」の位置関係について本件特許明細書に明示されているのは、【0073】の「第1窓101、第2窓102および受光部12は、電子機器10の表示部13を車両40の運転席に向けたときに、車両40の進行方向に対して斜め前方(例えば、左前方)を向くように設けられてもよい。」という記載である。
ここで、【0073】に開示された筐体の配置は、筐体の背面が車両の進行方向に対して左前方を向くような配置であるから、参考図3に示された配置(筐体の背面が車両の進行方向に対して右前方を向くような配置)とは明らかに異なるものである。
すなわち、特許権者は、技術事項Aの技術的意義を説明するために、車両前方右側のAピラーの近くに設置した場合に着目しているが、このような設置態様は【0073】の記載内容とは全く関係がないことは明らかであるから、特許権者の主張は、本件特許明細書及び図面の記載に基づいたものであるとはいえない。
また、車両前方右側のAピラーの存在から技術構成Aの技術的意義を説明しようとしても、「Aピラー」とは、車内最前面の左右に位置し、フロントウィンドウやルーフを保持する2つの柱のことを意味するから、このような説明は、運転席が右側にあるような車両(いわゆる右ハンドル車)を前提とした場合に成り立つものであって、運転席が左側にあるような車両(いわゆる左ハンドル車)においては、車両の進行方向に対して左上側に窓が位置するようにしておくと、車両の前方左側にAピラーが存在するため、車両の運転席側から見て左前方にある第1装置からの光をかえって受光し難くなることは明らかである。
すなわち、特許権者の上記主張は、車両の運手席が左右のいずれにある場合でも通用するような主張ではなく、請求項1に「車両の運転席」が右側にあるという限定がないにも関わらず、運転席が右側にあることを当然の前提としたものであるから、この点からも特許請求の範囲の記載から離れたところの主張である。
以上のとおりであるから、当該主張1は、技術構成Aの技術的意義を理解できる根拠としては採用できないものであり、依然として、発明の詳細な説明に基づいては、技術構成Aの技術的意義を理解することはできない。

イ 主張2(ワイパー等の下方にある突起物の影響を避ける効果)
(ア) 特許権者の主張
特許権者は、意見書8頁11行〜9頁3行において、次の主張をしている。
「報知を表示領域を用いた表示で行うので、その表示領域を運転者が見やすいように、筐体を運転者側に近い位置に設置することが想定される。そうすると、筐体の背面側よりも前方で、下方にある突起物の影響を受けやすくなる。突起物としては、例えば、ワイパーや、ダッシュボードの隆起等の車両の装備品がある。本件発明1のように、運転席側から見て左上に窓を設置することで、この影響をより避けることができる。
ワイパーは、下方の軸回りに回動する。ワイパーを動かしたとき、ワイパーは弧を描くが、ワイパーの下側部分のほうが相対的に上側の部分よりも遮る時間が長い。よって、上方に窓がある方が、ワイパーの動きによってレーザー光が遮られる時間が、下側に窓がある場合よりも短く、より確実に受光できる。」

(イ) 主張2についての当合議体の見解
特許権者は、運転席側から見て左上に窓を設置することで、例えば、ワイパーや、ダッシュボードの隆起等の筐体の背面側よりも前方で、下方にある突起物の影響を避けることができると主張しているが、そのようなことは、発明の詳細な説明には記載されていない。
また、筐体の背面側よりも前方で、下方にある突起物の影響を避けるには、筐体の背面の上部に窓があればよいから、運転席側から見て中央上でも、右上であってもよく、上側のうちの左上に窓を設置することについての技術的意義は依然として不明である。
さらに、車両到達時のレーザーパルス光は光束としてある程度の空間的な広がりを有しているから(もしレーザーパルス光の光束が空間的な広がりがなく、極めてコヒーレンスが高いレーザー光であり、コリメートレンズ等の光学部材を介して照射された光束が極めて小さいスポット光だとすると、当該レーザー光が車両を照射しても、照射スポットは電子機器10の受光部12に入射しなくなってしまう、車両での反射(散乱反射)光は特定の方向のみに強度が大きくなるからこれを速度測定装置30が受光しにくくなる、運転者を含む搭乗者に対して照射密度の高い光線を当てるのは危険であるなどの害がある。したがって、速度測定装置30がそのような極めて小さいスポット光で車両を照射することは通常行われないと考えられる。)、ワイパーの動きによってレーザーパルス光が遮られるとしても、ワイパーによる受光量への影響はほとんどないものと考えられ、上側の左側と右側で受光量に実質的に変化があるとは考え難い。
よって、前記主張2は、技術構成Aの技術的意義を理解できる根拠としては採用できないものであり、依然として、発明の詳細な説明に基づいては、技術構成Aの技術的意義を理解することはできない。

ウ 主張3(運転席から見て左前方に筐体を配置した場合の効果)
(ア) 特許権者の主張
特許権者は、意見書9頁4〜10行において、次の主張をしている。
「参考図4に示すように、ダッシュボード上の、運転席側から見て左前方に筐体が設置された場合、表示部に表示された運転者向けの情報を運転者が見やすくなるように、表示部の表示領域が運転席に向けられることがよくあることにも発明者らは着目している。このような場合、筐体の前面側の表示領域を車両の運転席に向けたときに、筐体の背面側の窓は車両の進行方向に対して左前方を向き、よくある設置である車両の運転席側から見て左前方にある第1装置からの光を受光しやすくすることができる。」

(参考図4)




(イ) 主張3についての当合議体の見解
特許権者は、筐体の前面側の表示領域を車両の運転席に向けたときに、筐体の背面側の窓は車両の進行方向に対して左前方を向き、よくある設置である車両の運転席側から見て左前方にある第1装置からの光を受光しやすくすることができると主張しているが、前記(1)において示したとおり、窓の位置が、左上にあるか、中央上にあるか、右上にあるかによって、第1装置からの光を受光しやすくする効果に有意な差異があるものと認められない。
また、特許権者の上記主張は、運転席が右側にあるような車両(いわゆる右ハンドル車)を前提としたものであって、運転席が左側にあるような車両(いわゆる左ハンドル車)において、特許権者の上記主張に沿って検討すると、筐体の前面側の表示領域を車両の運転席に向けると、筐体の背面側の窓は車両の進行方向に対して右前方を向き、車両の運転席側から見て左前方にある第1装置からの光をかえって受光し難くなることは明らかである。
したがって、特許権者の上記主張は、車両の運手席が左右のいずれにある場合でも通用するような主張ではなく、請求項1に「車両の運転席」が右側にあるという限定がないにも関わらず、運転席が右側にあることを当然の前提としたものであるから、特許請求の範囲の記載から離れたところの主張である。
よって、前記主張3は採用できない。

エ まとめ
したがって、特許権者の前記主張1〜3はいずれも採用できないものであり、前記(1)の結論を左右するものではない。

進歩性欠如(29条2項)について
(1) 各甲号証に記載された事項の認定
ア 甲6号証に記載された事項と甲6発明の認定
(ア) 甲6号証に記載された事項
甲6号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「【技術分野】【0001】
本発明は、警報条件を満たした場合に報知するシステム及びプログラムに関するものである。
【背景技術】【0002】
近年、自動車の速度を測定する速度測定装置が路上周辺等に多数設置されるようになっている。速度測定装置の一例を示すと、所定周波数帯域のマイクロ波を車両に向けて発射し、その反射波を受信して車両の走行スピードを測定するようになっている。
【0003】
一方、係る速度測定装置の存在を検出するため、その速度測定装置から発射されたマイクロ波を検出して警報を出力するように構成されたマイクロ波検出器が従来から知られている。しかし、速度測定装置の設置位置や、道路の状態その他の周囲環境により、従来のマイクロ波検出器は、比較的遠くから検出可能なものと、比較的近づいてからでないと検出しにくいものがある。」

「【0030】
(14)本発明のプログラムは、上記の(1)〜(13)のいずれかに記載のシステムにおける前記制御手段としての機能をコンピュータに実現させるためのプログラムとした。」

「【0033】
「電子機器の基本構成」図1,図2は、本発明のシステムを構成する電子機器として好適な一実施形態であるレーダー探知機の構成を示している。レーダー探知機1は、薄型矩形状のケース本体2を備え、そのケース本体2の背面側下方に取り付けられたブラケット3を用いて車両のダッシュボード上等に貼り付けて固定される。
【0034】
ケース本体2の前面(車両後方(運転者側)に向く面)には、表示部5を備える。表示部5は、3.2インチのカラーTFT液晶ディスプレイで構成する。この表示部5上には、表示部5のどの部分がタッチされたかを検出するタッチパネル6を備える。また、ケース本体2の前面の右サイドには音量調整ボタン7が配置され、同左サイドには各種の作業用ボタン8が配置される。」

「【0037】
ケース本体2の背面側中央上方の内部にGPS受信器13を配置し、さらにその横にマイクロ波受信器14,無線受信器15を配置する。GPS受信器13は、GPS衛星からのGPS信号を受信し、現在位置(経度・緯度)情報を出力する。マイクロ波受信器14は、速度測定装置から出射される所定周波数のマイクロ波を受信する。無線受信器15は、飛来する所定周波数の無線を受信する。ケース本体2内の下方には、スピーカ16も内蔵している。スピーカ口は、ケース本体2の底面に設けている。」

「【0039】
また、制御部18は、CPU,ROM,RAM,不揮発性メモリ、I/O等を備えるマイコンであり、図2に示すように上述した各部と接続され、上記の各種の入力機器(タッチパネル6、GPS受信器13、マイクロ波受信器14、無線受信器15等)から入力される情報に基づき所定の処理を実行し、出力機器(表示部5,スピーカ16等)を利用して所定の警報・メッセージを出力する。これらの基本構成は、基本的に従来のものと同様のものを用いることができる。
【0040】
本実施形態のレーダー探知機1における機能は、制御部18に有するコンピュータが実行するプログラムとして制御部18のEEPROM上に格納され、これを制御部18に有するコンピュータが実行することで実現する。制御部18の有するプログラムによってコンピュータが実現する機能としては、GPSログ機能、待ち受け画面表示機能、レーダースコープ表示機能、GPS警報機能、レーダー波警報機能、無線警報機能などがある。」

「【0048】
制御部18は、待ち受け画面表示機能、MAP表示機能(以下これらの機能を総称して待受機能と称する)の実行中に、発生したイベントに応じて、GPS警報機能、レーダー波警報機能、無線警報機能等の各機能を実現する処理を実行し、当該機能の処理終了時には元の待受機能の処理に戻る。各機能の優先度は、高いほうから、レーダー波警報機能、無線警報機能、GPS警報機能の順に設定している。
【0049】
GPS警報機能は、制御部18に有するタイマーからのイベントにより所定時間間隔(1秒間隔)で実行される処理であり、データベース19に記憶された警報対象の緯度経度とGPS受信器13によって検出した現在位置の緯度経度から両者の距離を求め、求めた距離が所定の接近距離になった場合に、表示部5に図4(a)に示すようなGPS警報表示130(警報対象の模式図・残り距離等)をし、スピーカ16からその旨を示す接近警告の音声を出力する処理である。
【0050】
こうした警報対象としては、居眠り運転事故地点、レーダー、制限速度切替りポイント、取締エリア、検問エリア、駐禁監視エリア、Nシステム、交通監視システム、交差点監視ポイント、信号無視抑止システム、警察署、事故多発エリア、車上狙い多発エリア、急/連続カーブ(高速道)、分岐/合流ポイント(高速道)、ETCレーン事前案内(高速道)、サービスエリア(高速道)、パーキングエリア(高速道)、ハイウェイオアシス(高速道)、スマートインターチェンジ(高速道)、PA/SA内ガソリンスタンド(高速道)、トンネル(高速道)、ハイウェイラジオ受信エリア(高速道)、県境告知、道の駅、ビューポイントパーキング等があり、これらの警報対象の種別情報とその位置を示す緯度経度情報と表示部5に表示する模式図または写真のデータと音声データとを対応付けてデータベース19に記憶している。
【0051】
図4(b)は、レーダー波警報機能の表示例を示している。このレーダー波警報機能は、マイクロ波受信器14によって速度測定装置(移動式レーダー等(以下、単に「レーダー」と称する))から発せられる周波数帯のマイクロ波に対応する信号が検出された場合に、表示部5に対して警報画面131を表示するとともに、スピーカ20から警報音を出力する警報機能である。例えば、レーダーの発するマイクロ波の周波数帯のマイクロ波がマイクロ波受信器4によって検出された場合に、図4(b)に示すように、データベース19に記憶されたレーダーの模式図または写真を表示部5に警報画面として表示するとともに、データベース19に記憶された音声データを読み出して「レーダーです。スピード注意」という音声をスピーカ16から出力する。
【0052】
無線警報機能は、無線受信器15によって、緊急車両等の発する無線電波を受信した場合に、その走行等の妨げとならないよう、警報を発する機能である。無線警報機能においては、取締無線、カーロケ無線、デジタル無線、特小無線、署活系無線、警察電話、警察活動無線、レッカー無線、ヘリテレ無線、消防ヘリテレ無線、消防無線、救急無線、高速道路無線、警備無線等で用いられる無線信号の周波数をスキャンし、スキャンした周波数で、無線信号を受信した場合には、データベース19に無線種別ごとに記憶されたその周波数に対応する無線信号を受信した旨の模式図を警報画面として表示部5に表示するとともに、データベース19に無線種別ごとに記憶された音声データを読み出して、スピーカ16からその無線の種別を示す警報音声を出力する。たとえば、取締無線を受信した場合には「取締無線です。スピード注意」のように音声を出力する。」

「【0068】
[警報レベルによる発光状態の変更]
上述した実施形態では、警報対象に対応して発光色を変更する発光状態の制御を行うようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、警報レベルにより発光状態を変更しても良い。カラーLEDを用いることで、1つのLEDでもって多種類の色を表現することができる。よって、警報レベルが低い場合から高い場合まで、スムーズに階調制御を行うことで発光色が徐々に変化するような警報をすることができる。そして、警報レベルによる発光状態の変更は、上記のように発光色の変化に替え、あるは変化とともにカラーLED22の発光強度を変化させるようにしてもよい。発光強度の変更は、例えば制御部18が、発光色の明度や輝度を変えたり(例えば、輝度用PWMを用いる)、LEDの印加電圧を調整し発光量自体を変えたりすることで行う。発光強度を変える場合、たとえば、警報レベルが上がるほど、暗い色から明るい色に変化、或いは発光量を強く(大きく)していくようにすると良い。
【0069】
係る警報レベルであるが、例えば警報条件が電波の受信とした場合、受信した電波の信号レベルとするとよい。速度測定装置から出射されるマイクロ波などの警報対象となる所定周波数の電波を受信した場合、受信した電波の信号レベルに対応して発光色や発光の強度を変更することで、無機質なデジタルレーダーレベルメータではなく受信した信号レベルをアナログ的に表現できる。」

「【0082】
図7,図8は、警報対象の種類と、それに対応付けられた色(LEDの発光色)との対応関係の一例を示している。図に示すように、LEDの発光色と対応付けられる警報対象は、大きく分けたジャンルとしては、レーダー(実施形態の「レーダー波警報機能」に対応)、無線(実施形態の「無線警報機能」に対応)、GPS(実施形態の「GPS警報機能」に対応)、システムがある。システムは、レーダー、無線、GPSのいずれにも該当しないその他の全てであり、発光色は白色としている。従って、音と連動して発光するようにした場合、制御部18は、3つのジャンルに該当しないその他の全ての音を出力する際とともに、カラーLEDを白色に発光する制御を行う。
【0083】
また、レーダーのジャンルに属する具体的な警報対象としては、所定のマイクロ波を受信した場合の通常警報と、一瞬で強い電波が発せられる特徴があるステルス波を検知した場合のステルス警報がある。そして、通常警報は、受信レベル(受信信号の信号強度)により5段階に色分けして警報する。受信レベルが最も小さいのが「通常警報レベル1」で発光色は「黄緑」としている。以下順に受信レベルが大きくなるにつれて、「通常警報レベル2」の発光色は「黄」「通常警報レベル3」の発光色は「薄いオレンジ」、「通常警報レベル4」の発光色は「オレンジ」、「通常警報レベル5」の発光色は「赤」を対応付けている。このように、受信レベルが小さいレベル1のときは、緑系(黄緑)といった比較的安全なイメージのある色を用い、少しレベルが上がる(レベル2)と、注意を促すことで「黄」としている。そして、レベル3以降になると、赤色系の危険・警報を表すイメージのある色を用いてユーザに警報するようにしている。
さらに、ステルス警報は、青系から赤系に徐々に発光色を変化させその後青系に徐々に向けて発光色を変化する制御を行うようにした。
【0084】
無線のジャンルにおける具体的な警報対象の種類(警報項目)と発光色の関係づけは、「取締無線:ピンク」,「カーロケ近接:ピンク」,「カーロケ遠方:黄」,「デジタル無線:黄」,「カーロケ圏外:水色」,「特小無線:水色」,「署活系無線:水色」,「警察無線:水色」「レッカー無線:水色」,「ヘリテレ無線:黄緑」,「消防ヘリテレ無線:黄緑」,「消防無線:黄緑」,「救急無線:黄緑」,「高速道路無線:黄緑」,「警備無線:黄緑」とした。
【0085】
GPSのジャンルにおける具体的な警報対象の種類(警報項目)と発光色の関係づけは、「オービス:赤」,「速度超過:赤」,「制限速度切り替え:黄」,「取締エリア:黄」,「検問エリア:黄」,「駐禁最重点エリア:黄」,「駐禁重点エリア:黄」,「高速交通警察隊:黄」,「交差点監視ポイント:黄」,「信号無視抑止システム:黄」,「マイエリア:黄」,「Nシステム:青」,「交通監視システム:青」,「警察署:青」,「事故多発エリア:青」,「車上狙い多発エリア:青」,「高速道急・連続カーブ:青」,「高速道合流・分岐ポイント:青」,「ETCレーン:緑」,「サービスエリア:緑」,「パーキングエリア:緑」,「ハイウェイオアシス:緑」,「高速道長い・連続トンネル:緑」,「ハイウェイラジオ受信エリア:緑」,「県境:緑」,「道の駅:緑」,「ビューポイントパーキング:緑」とした。」

「【図1】



「【図4】



「【図7】



「【図8】



(イ) 甲6号証に記載された発明の認定
前記(ア)を総合すると、甲6号証には、次の発明(以下「甲6発明」という。)が記載されているものと認められる。
<甲6発明>
「所定周波数帯域のマイクロ波を車両に向けて発射してその反射波を受信して車両の走行スピードを測定する速度測定装置の存在を検出して警報を出力するシステムであって(【0002】、【0003】)、
車両のダッシュボード上等に貼り付けて固定される薄型矩形状のケース本体2と(【0033】)、
ケース本体2の前面(車両後方(運転者側)に向く面)に備えられた、3.2インチのカラーTFT液晶ディスプレイで構成された表示部5と(【0034】)、
ケース本体2の背面側に配置されたマイクロ波受信器14と(【0037】、【図1】)、
当該マイクロ波受信器14によって速度測定装置から発せられる周波数帯のマイクロ波に対応する信号が検出された場合に、表示部5を利用して所定の警報・メッセージを出力する制御部18と(【0039】、【0051】)、
を備え、
前記制御部18は、マイクロ波受信器14によって速度測定装置から発せられる周波数帯のマイクロ波に対応する信号が検出された場合に、表示部5に対して警報画面131を表示し(【0040】、【0051】、【図4(b)】)、
前記マイクロ波受信器14は、ケース本体2の背面側中央上方の内部に配置されたGPS受信器13の横に配置された(【0037】、【図1】)、
システム。」

イ 甲1号証に記載された事項の認定
(ア) 甲1号証に記載された事項
甲1号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。合議体による邦訳を併せて示す。
「[0005] As is generally known in the art, speed detection systems may be used to determine the speed of moving objects, such as automobiles and other motorized vehicles. Speed detection systems currently known in the art typically utilize either radar or laser devices in their operation. A speed detection system which utilizes radar may generally be referred to as a so-called radar gun. Radar guns typically include a microwave signal source which emits a signal having a frequency in the radio-frequency electromagnetic spectrum. The radio-frequency spectrum utilized in speed-detection radar devices is divided into a series of bands, with each band covering a range of frequencies within the radio-frequency spectrum. The frequencies of interest range from about 10.525 to 35.200 GHz., although all the frequencies within this range are not allocated for speed-detection radar devices. The bands which are allocated for this purpose include: the X-band, which ranges from 10.500-10.550 GHz.; the K-band, which ranges from 24.050-24.250 GHz.; and the Ka band, which presently ranges from 34.200-35.200 GHz. Furthermore, radar guns may emit signals in either a continuous or a pulsed mode
[0006] A laser speed detection system or so-called laser gun, on the other hand, includes a laser which is a device that converts input power into a very narrow, intense beam of coherent energy at a single optical frequency, generally, but not necessarily, within the visible to infrared frequency region of the electromagnetic spectrum. Like radar guns, laser guns may also operate either continuously or in a pulsed mode. However, laser guns generally operate in a pulsed mode due to input power requirements, cooling problems, and other considerations of the laser.
[0007] Operators of moving vehicles oftentimes find it useful know when the speed of their vehicle is being monitored. For example, it may be desirable for an operator of a moving automobile to know when the speed of the automobile is being detected by a speed detection system. Thus, electronic assemblies for detecting the presence of speed detection systems have been developed and are now in common use. Typically, such assemblies include a detection means, a processing means and a displaying means.」
([0005]当技術分野で一般に知られているように、速度検出システムを使用して、自動車及び他の電動車両などの移動物体の速度を決定し得る。当技術分野で現在知られている速度検出システムは、通常、その動作においてレーダー又はレーザー装置のいずれかを利用する。レーダーを利用する速度検出システムは、一般に、いわゆるレーダーガンと呼ばれることがある。レーダーガンは、通常、無線周波電磁スペクトルの周波数を有する信号を発するマイクロ波信号源を含む。速度検出用レーダー装置で使用される無線周波数スペクトルは、一連の帯域に分割され、各帯域は無線周波数スペクトル内の周波数の範囲をカバーする。対象となる周波数の範囲は、約10.525〜35.200GHzであるが、この範囲内のすべての周波数が速度検出レーダー装置に割り当てられるわけではない。この目的で割り当てられる帯域には、次のものが含まれる:10.500-10.550GHzの範囲のX帯域、24.050-24.250GHzの範囲のK帯域;及び、現在のところ34.200-35.200GHzの範囲のKa帯域。さらに、レーダーガンは、連続モード又はパルスモードのいずれかで信号を発信し得る。
[0006]他方で、レーザー速度検出システム、または、いわゆるレーザーガンは、入力電力を単一の光周波数の非常に狭く強度のあるコヒーレントなビームに変換する装置であるレーザーを含む。この単一の光周波数は、一般的には、電磁周波数スペクトルのうち可視または赤外の周波数領域の内にあるが、必ずしもそうであるとは限らない。レーダーガンと同様に、レーザーガンは連続的に又はパルスモードで動作することができる。しかし、レーザーガンは、一般に、レーザーの入力電力要件、冷却問題、及び他の問題のためにパルスモードで動作する。
[0007]移動中の車両の運転者は、いつ自分の車両の速度が監視されているかを知っていると役立つことがよくある。例えば、自動車の速度が速度検出システムによっていつ検出されているかを、移動中の自動車の運転者が知ることが望ましい場合がある。このため、速度検出システムの存在を検出するための電子アセンブリが開発され、現在一般的に使用されている。通常、そのようなアセンブリは、検出手段、処理手段、及び表示手段を含む。)

「[0009] An electronic assembly capable of detecting the presence of speed detection systems utilizing a laser device is generally known and will be referred to as a laser detector. A laser detector typically utilizes one or more photo-detectors and a laser detection circuit which provides logic signals to a microprocessor upon detection of a signal in the appropriate infrared band.」
([0009] レーザー装置を利用した速度検出システムの存在を検出することができる電子アセンブリは一般に知られており、レーザー検出器と呼ばれる。レーザー検出器は、通常、1つ以上の光検出器と、適切な赤外線帯域で信号を検出するとマイクロプロセッサにロジック信号を提供するレーザー検出回路とを利用する。)

「[0013] Displaying means may include, for example, a display screen comprised of light emitting diodes (LEDs). Alternatively or in addition thereto, displaying means may include a liquid crystal display (LCD) a vacuum fluorescent (VF) display or an LED segment display and the corresponding driver circuits. Those of ordinary skill in the art will recognize, of course, that other types of displays may also be used. As noted previously, the displaying means is typically fixed to one end of the detector device’s housing and when properly positioned faces the passenger compartment of the motor vehicle.」
([0013]表示手段は、例えば、発光ダイオード(LED)からなる表示画面を含み得る。代替として又は追加で、表示手段は、液晶ディスプレイ(LCD)、真空蛍光(VF)ディスプレイ又はLEDセグメントディスプレイ及び対応するドライバ回路を含み得る。もちろん、当業者であれば、他のタイプのディスプレイも使用できることを理解するであろう。前述のように、表示手段は、通常、検出器デバイスのハウジングの一端に固定され、適切に配置されると、自動車の客室に面する。)

「[0015] Similarly, photodiodes used to detect laser signals utilize lenses to focus the reception of such signals. In general, signals appearing along the central axis of the lens are magnified to a greater extent than signals appearing around the periphery of the lens. Typically, when only one lens is utilized, its central or focal axis is aligned with longitudinal axis of a detector device’s housing which, when properly mounted, corresponds in parallel with the motor vehicle’s longitudinal axis. While multiple lenses may be configured so as to expand the field of view of a particular photodiode, as noted in U.S. Pat. No. 5,990,821, blind spots may exist in regions between the lenses. Thus, because detector means are typically fixed in the housing of detector devices, critical attention is given to the placing of various detection means within the detector device so as to maximize their effectiveness.」
([0015]同様に、レーザー信号の検出に使用されるフォトダイオードは、レンズを利用して、そのような信号の受信に焦点を合わせる。一般に、レンズの中心軸に沿って現れる信号は、レンズの周辺に現れる信号よりも大幅に拡大される。典型的には、1つのレンズのみが利用される場合、その中心軸又は焦点軸は、適切に取り付けられた場合、自動車の長手軸と平行に対応する検出器デバイスのハウジングの長手軸と一致する。複数のレンズは、米国特許第5,990,821号に記載されているように、特定のフォトダイオードの視野を拡大するように構成されてもよいが、レンズ間の領域に死角が存在する場合がある。したがって、検出手段は通常、検出器デバイスのハウジング内に固定されるので、検出器デバイス内に様々な検出手段をそれらの有効性が最大となるように配置することに重大な注意が払われる。)

「[0036] A block diagram of the electronic assembly of the preferred detector device is presented in FIGS. 1a and 1b. While there are many known electronic assemblies that would be adequate for this application, a device as described in U.S. Pat. No 5,990,821, the disclosure of which is expressly incorporated herein by reference, will suffice. The detector device is a combination laser/radar detector 10 comprising a laser detector circuit 12 and a radar detector circuit 14. Laser detector 12 and radar detector 14 are each coupled to a microcontroller 16. Microcontroller 16 receives signals fed thereto from each of the laser and radar detectors 12, 14 and in response thereto microcontroller 16 provides control signals to the laser and radar detectors and to a display 18.
[0037] Displaying means may include, for example, a display screen comprised of light emitting diodes (LEDs). Alternatively or in addition thereto, displaying means may include a liquid crystal display (LCD) a vacuum fluorescent (VF) display or an LED segment display and the corresponding driver circuits. Those of ordinary skill in the art will recognize, of course, that other types of displays may also be used.」
([0036] 好ましい検出器デバイスの電子アセンブリのブロック図は、図1a及び図1bに示される。この用途に適切である既知の電子アセンブリは多くあるが、その開示が参照により本明細書に明示的に組み込まれている米国特許第5,990,821号に記載されているような装置で十分である。該検出器デバイスは、レーザー検出器12及びレーダー検出器14を含む、組み合わせレーザー/レーダー検出器10である。レーザー検出器12及びレーダー検出器14はそれぞれ、マイクロコントローラ16に結合されている。マイクロコントローラ16は、レーザー及びレーダー検出器12、14のそれぞれから供給される信号を受信し、それに応答して、レーザー及びレーダー検出器並びにディスプレイ18に制御信号を提供する。
[0037] 表示手段は、例えば、発光ダイオード(LED)からなる表示画面を含み得る。代替として又は追加で、表示手段は、液晶ディスプレイ(LCD)、真空蛍光(VF)ディスプレイ又はLEDセグメントディスプレイ及び対応するドライバ回路を含み得る。もちろん、当業者であれば、他のタイプのディスプレイも使用できることを理解するであろう。)

「[0041] Referring now to FIGS. 3a and 3b, the operation the first embodiment of a detector device having a pivotal display constructed in accordance with the present invention is illustrated. In accordance with commonly known practices, the main housing 22 of the detector 20 is fixably attached to the dashboard or other suitable surface of a motor vehicle (not shown) so as to align the designed focal axis of the detector to maximize the effectiveness of the detection means.」
([0041] 図3a〜3cは、本発明に沿って構築されたピボットディスプレイを有する検出器デバイスの第1の実施形態を示す。周知の慣例にしたがって、検出器20の主ハウジング22は、検出手段の効率を最大にするための検出器の設計焦点軸と一致するように、自動車(図示せず)のダッシュボード又は他の好適な表面に取り付け可能である。)

「[0042] FIGS. 4a-4c show a second embodiment of a detector device having a pivotal display constructed in accordance with the present invention. The detector 40 is comprised of a main housing 42 containing a detecting means and processing means and an attached secondary housing 44 containing a pivotally attached insert 60 that includes a displaying means 46. As in the first embodiment, the main housing 42 of the second embodiment may also contain an internal power source (e.g., a battery or the like) and /or an electrical power port (not shown) whereby power may be supplied by an external source (not shown). The main housing includes a series of apertures 48a-48d whereby the various detection means may detect incoming signals. One or more multi-function buttons 43a-43d are conveniently located on the detector device to provide the user with selectable features such as volume up, volume down, quiet, city, etc. The pivotally attached insert 60 has two protrusions or bumps 62, 64 which a user may depress causing the insert 60, and a display means 46 contained therein, to rotate within the secondary housing 44.」
([0042]図4a〜4cは、本発明に沿って構築されたピボットディスプレイを有する検出器デバイスの第2の実施形態を示す。検出器40は、検出手段及び処理手段を含む主ハウジング42と、表示手段46を含む枢動可能に取り付けられたインサート60を含む付属の二次ハウジング44とからなる。第1の実施形態と同様に、第2の実施形態の主ハウジング42はまた、内部電源(例えば、バッテリーなど)及び/又は電力ポート(図示せず)を含み得、それにより、電力が外部ソース(図示せず)によって供給され得る。主ハウジングは一連の開口部48a〜48dを含み、それにより、様々な検出手段が、入ってくる信号を検出し得る。1つ又は複数の多機能ボタン43a〜43dは、音量アップ、音量ダウン、静寂、市街などの選択可能な機能をユーザに提供するために、検出器デバイス上に便利よく配置されている。枢動可能に取り付けられたインサート60は、2つの突起又は隆起62、64を有し、ユーザはこれらを押し下げてインサート60及びそれに含まれる表示手段46を二次ハウジング44内で回転させ得る。)









(イ) 甲1号証に記載された事項の認定
前記(ア)を総合すると、甲1号証には、次の事項が記載されているものと認められる。
<甲1記載事項>
「レーダー又はレーザー装置のいずれかを利用して、自動車及び他の電動車両などの移動物体の速度を決定し得る速度検出システムの存在を検出するための検出器デバイスであって([0005]、[0007]、[0036])、
前記検出器デバイスは、レーザー検出器12及びレーダー検出器14を含む、組み合わせレーザー/レーダー検出器10であり([0036]、[図1A]、[図1B])、
前記検出器デバイスの主ハウジングは一連の開口部48a〜48dを含み、それにより、様々な検出手段が、入ってくる信号を検出し得る([0042]、[図4A]、[図4B]、[図4C])、
検出器デバイス。」

ウ 甲4号証及び甲5号証に記載された事項と周知技術の認定
(ア) 甲4号証に記載された事項
甲4号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、邦訳は、特許異議申立人による抄訳を基本的に用い、抄訳がないところは合議体による邦訳で補った。

(5欄33〜41行)
「A first window 72 is disposed in front of laser detector 12 and a second window 73 is disposed in front of radar detector 14. Windows 72, 73 should be provided from a material which is substantially transparent to signals having frequencies in the regions of interest in the electromagnetic spectrum. Window 72 may also be provided from a material which filters light in the lower frequency ranges to thus reduce the effect of background light such as sunlight and streetlights.」
(第1の窓72はレーザ検出器12の前に配置され、第2の窓73はレーダ検出器14の前に配置されている。窓72、73は、電磁スペクトルの対象領域の周波数を有する信号に対して実質的に透明な材料で構成される。窓72は、日光や街灯のような背景光の影響を低減するために、低周波数領域の光をフィルタする材料によって構成されてもよい。)

(12欄40〜59行)
「Since particular laser guns have particular characteristics, or so-called signatures, related to the particular modulation scheme used by the laser source it is possible to determine from which type of laser gun a signal originated. Consequently, to determine the source of the detected laser signal, the periodicity of the received laser pulses are compared with known values. Thus, it is possible to have processing occur and an alarm signal generated only in response to receiving a series of laser pulses having a particular pattern. For example, it may be desirable to generate an alarm signal only after receiving six or eight pulses having substantially common periods.
In the present invention a predetermined number of pulses must be received within a predetermined amount of time in order to have processing continue. Thus, in processing steps 104, 106 and 108 the system checks the spacing between a series of pulses and also checks to see if a predetermined number of pulses have been received within a predetermined period of time and are consistent in pulse to pulse periodicity according to a predetermined threshold.」
(特定のレーザガンは、レーザ源によって使用される特定の変調方式に関連する特定の特性、つまり、いわゆるサインを有するので、信号がどのタイプのレーザガンから発せられたかを判定することができる。結果として、検出したレーザ信号の源を判定するために、受信したレーザパルスの周期性が既知の値と比較される。このように、処理を実行させ、特定のパターンを有する一連のレーザパルスの受け取りのみに呼応して警告信号を生成することができる。例えば、実質的に共通の期間を有する6又は8のパルスを受け取った後のみに警告信号を生成することが好ましいとされてもよい。
本発明では、処理を継続するために、予め決められた数のパルスが予め決められた時間内に受信されなければならない。このように、処理ステップ104、106及び108においてシステムは一連のパルスの間隔をチェックし、予め決められた数のパルスが予め決められた期間内に受信され、予め決められた閾値に沿ってパルス周期性に対してパルスが矛盾しないかを確認する。)





(イ) 甲5号証に記載された事項
甲5号証には、以下の事項が記載されている。なお、邦訳は、特許異議申立人による抄訳を基本的に用い、抄訳がないところは合議体による邦訳で補った。

(3欄42〜58行)
「A typical laser radar gun of the type sought to be detected in the present invention generates a train of optical pulses having a frequency of 8 milliseconds and pulse width of 15 nanoseconds. In one known laser radar gun design, 60 pulses are emitted in a single pulse train for each gun burst. In another known laser radar gun design, the pulse train is continuously generated so long as the trigger is pressed. The present invention detects the presence of an optical signal as described above by discriminating for pulse width. Those signals having a pulse width of less than approximately 300 nanoseconds are considered valid pulses. If valid pulses are received, then the invention makes a statistical determination of the proximity and strength, i.e., the relative threat of the optical signal, by counting the number of consecutive valid pulses detected and received.」
(本発明において検出しようとするタイプの一般的なレーザレーダガンは、周波数が8ミリ秒かつパルス幅が15ナノ秒の光パルス列を生成する。1つの既知のレーザレーダガン設計では、1回あたりの照射で、60のパルス列が放出される。別の既知のレーザレーダガン設計では、トリガが押されている限り、パルス列が連続的に生成される。本発明は、パルス幅を判別することによって、上述のように光信号の存在を検出する。約300ナノ秒未満のパルス幅を有する信号を、有効なパルスと見なす。有効パルスが受信された場合、本発明は、検出され受信された連続する有効パルスの数をカウントすることによって、近接度および強度、すなわち光信号の相対的脅威の統計的決定を行う。)

(7欄5〜9行)
「Determination of relative threat, i.e., the proximity and strength of a detected signal, can be made by counting the number of consecutive valid pulses received by the system, which number is stored in counter C according to the routine just described.」
(相関的な脅威、すなわち検出信号の近接や強度の判定は、当該システムが受信する連続した有効パルス数をカウントすることでなされ、当該有効パルス数は、前述のルーチンに従ってカウンタCに記憶される。)

(7欄37〜46行)
「For example, if the probability p(5) of receiving five pulses in a row is x, then the probability p(10) of receiving ten pulses in a row is x/2, p(25) is x/5, and so on. Therefore, the lookup table increases the rate at which the ALERT horn 142 is sounded in increments of 5 consecutive pulses and increases the number of LED's 144 which are illuminated every 10 consecutive pulses, as illustrated in Table I.」
(例えば、連続した5つのパルスを受信する確率p(5)をXとした場合、連続した10のパルスを受信する確率p(10)はX/2となり、p(25)はX/5となる。そのため、表1に示すように、ルックアップテーブルは、5つの連続したパルスごとに、警笛142のレートを増加させ、10の連続したパルスごとに、LED144が点灯する数を増加させる。)

(表1)




(ウ) 周知技術の認定
a 甲4号証の上記(ア)の摘記箇所(5欄33〜41行)の記載に例示されるように、次の事項は、周知技術であると認める(以下「周知技術1」という。)。

<周知技術1>
「レーザ検出器の前に配置される窓を、低周波数領域の光をフィルタする材料によって構成し、日光や街灯のような背景光の影響を低減すること。」

b 甲4号証の上記(ア)の摘記箇所(12欄40〜59行)の記載と、甲5号証の上記(イ)の摘記箇所(3欄42〜58行)の記載に例示されるように、次の事項は、周知技術であると認める(以下「周知技術2」という。)。

<周知技術2>
「検出されたパルスの周期性、すなわちパルス幅やパルス間隔で、速度検出システムからのパルスかどうかを判定すること。」

エ 甲9号証に記載された事項と周知技術の認定
(ア) 甲9号証に記載された事項
甲9号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「【0007】さらに、図8において第2のフォトダイオード7は非常に雑音を拾いやすいため増幅回路8と同一基板上に取付けられ、増幅回路8を構成する多段の増幅器のうちの前置増幅器とできるだけ短い線路長で接続されるとともに電気的シールドが施されている。ここで、増幅回路8が上記のように多段の増幅器で構成されるのは、第2のフォトダイオード7で受信する目標で反射されたレーザパルスが非常に微小光量であるため、1段の増幅器では信号処理回路9で処理するのに十分なレベルの信号とはならないためである。また、上記電気的シールドとしては第2のフォトダイオード7および上記多段の増幅器のうち少なくとも前置増幅器を接地した導電性ケースで覆う方法がよく用いられる。また増幅回路8、信号処理回路9、表示器10および第1のフォトダイオード5、さらにレーザ発振器1とレーザ電源2はそれぞれ互いに電気ケーブルで接続されている。」

「【図8】



(イ) 周知技術の認定
甲9号証の上記(ア)の摘記箇所の記載に例示されるように、次の事項は、周知技術であると認める(以下「周知技術3」という。)。

<周知技術3>
「受光素子に電気的シールドを施して、雑音を拾いにくくすること。」

オ 甲3号証に記載された事項と周知技術の認定
(ア) 甲3号証に記載された事項
甲3号証には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(1頁13〜15行)
「この考案は、強い外光によって信号光の検出が不能となることを防止するために、特に受光器に改良を施した光レーダ装置に関する。」

(6頁12行〜7頁1行)
「同図に示す受光器20は、前記実施例と同様な一端を受光用開口21aとし、他端には受光素子22を備えた受光部21bが形成された筒状筐体21の内部に、前記開口21aから入射してくる光を集光する放物面鏡23が設けられ、また、上記開口21aを塞ぐ透明ガラス板24の中央内面には、上記放物面鏡23によって集光された入射光を反射して上記受光素子22上へ導く双曲面鏡(平面鏡でもよい、以下同じ)25が設けられている。」

(7頁12〜15行)
「また、前記実施例のような、比較的高価な集光レンズを用いず、反射鏡によって入射光を集光・収束するように構成したことによって製造コストの削減を図ることができる。」

「第5図



(イ) 周知技術の認定
甲3号証の上記(ア)の摘記箇所の記載に例示されるように、次の事項は、周知技術であると認める(以下「周知技術4」という。)。

<周知技術4>
「入射光を集光・収束する反射鏡を受光光学系に設けること。」

カ 甲7号証に記載された事項の認定
甲7号証には、以下の事項が記載されている。なお、邦訳は、特許異議申立人による抄訳を用いた。

「[0156]In box 904, the vehicle camera video recording is flagged for a set time overlapping the electromagnetic signal detection. For example, the vehicle camera embeds a flag in a video recording which lasts three (3) minutes beginning 30 seconds prior to the signal detection. In some embodiments, the set amount of time may be established in a default setting for the vehicle camera system. Embodiments may facilitate user customization to set the amount of time for the recording information to be flagged. In some embodiments, the vehicle camera storage system prioritizes the flagged video recording over other recordings that are not flagged and/or locked whereby the recordings that are not flagged or locked will be overwritten prior to the flagged recording.」
([0156]ボックス904において、車載カメラのビデオ記録には、電磁信号検出と重複する設定された時間の間、フラグが立てられる。例えば、車載カメラは、信号検出の30秒前から3分間続くビデオ記録にフラグを埋め込む。いくつかの実施形態において、当該設定された時間は、車載カメラシステムのデフォルト設定で設定されてもよい。複数の実施形態では、記録情報にフラグが立てられる時間の長さを設定するためのユーザのカスタマイズが容易になっていてもよい。いくつかの実施形態において、車載カメラ記憶システムは、フラグが立っていない及び/又はロックされていない他のビデオ記録よりも、フラグが立っているビデオ記録を優先し、それによりフラグが立っていない、又はロックされていないビデオ記録は、フラグが立っているビデオ記録に先立って上書きされる。)

「[0159]In box 910, the vehicle system transmits the vehicle camera's video recording and the electromagnetic signal detection information via a second communication standard to a server. For example, after receiving the video recording and the electromagnetic signal detection, the mobile communication device may transmit the video recording and signal detection information to a remote server via a wide-area communication network. For another example, the mobile communication device may transmit the video recording to a remote server via a satellite communication network and the vehicle may transmit the electromagnetic signal detection using an integrated cellular communication element to the same remote server.」
([0159]ボックス910において、車両システムは、車載カメラのビデオ記録及び電磁信号検出情報を、第2の通信規格によってサーバに送信する。例えば、ビデオ記録及び電磁信号検出を受信した後、モバイル通信デバイスは、ビデオ記録及び信号検出情報を広域通信ネットワークによってリモートサーバに送信してもよい。別の例では、モバイル通信デバイスは、衛星通信ネットワークを介してビデオ記録をリモートサーバに送信し、車両は、統合移動体通信要素を用いて電磁信号検出を同じリモートサーバに送信してもよい。)

キ 甲8号証に記載された事項の認定
甲8号証には、以下の事項が記載されている。

「【0046】
近接判定部15bは、位置測定部12により測定された現在位置の位置情報が示す点を中心にした所定範囲(たとえば、半径rb〔m〕の範囲)内の点が、目標物の位置情報LD1に含まれるか否か、すなわちマイクロ波の発生源が目標物であるか否かを判定し、判定結果を警報判定部16に送出する。ここで、目標物は、車両速度計測装置(固定速度取締り装置等)であり、マイクロ波の発生源が目標物である場合の判定結果は、警報指令である。警報指令には、目標物が存在する方向を示す情報や、速度を示す情報を含めることもできる。」

「【0049】
警報判定部16は、受信部11から与えられる所定のマイクロ波の受信判定結果と、近接判定部15bから与えられる固定速度取締り装置等の位置情報による近接判定結果と、範囲判定部15aから与えられる誤動作源情報による範囲判定結果を受けて警報の判定を行い、必要な情報のみ報知するようにしている。一例を示すと、下記の通りである。
【0050】
例えば、受信部11からマイクロ波の受信信号が警報判定部16に与えられた場合に、範囲判定部15aから通常警報禁止範囲内との判定結果がなければ、通常の警報をする旨決定し、警報生成部17を動作させて通常の警報を発する。また、通常警報禁止範囲内との判定結果があった場合には、警報判定部16は、受信したマイクロ波は誤動作源からの可能性が高いため、警報を禁止したり、通常より警告レベルの低い警報を発するように決定する(どちらにするかは、予め設定しておく)。そして、係る低いレベルの警報を発する場合には、通常の警報をせず、低いレベルの警報を警報生成部17を介して発する。
【0051】
このように、本実施の形態では、マイクロ波の受信信号に基づいて警報を発する場合には、位置情報に基づく近接判定の結果の如何に関わらず、誤動作源のみ考慮して警報を発するようにしている。
【0052】
また、マイクロ波の受信信号がない場合でも、近接判定部15bから検出対象物に近接した旨の判定結果を受けた場合には、警報判定部16は所定の警報をすることを決定し、警報生成部17を動作させる。マイクロ波の受信判定に伴う警報と、位置情報に基づく近接判定に伴う警報は、それぞれ異ならせても良いし、同じでも良い。」

(2) 本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲6発明を対比する。
(ア) 甲6発明の「所定周波数帯域のマイクロ波を車両に向けて発射してその反射波を受信して車両の走行スピードを測定する速度測定装置の存在を検出して警報を出力するシステム」と、本件発明1の「特定波長の光を発して車両の存在を検出する第1装置の存在を報知するシステム」は、「車両の存在を検出する装置の存在を報知するシステム」という点で共通する。

(イ) 甲6発明の「車両のダッシュボード上等に貼り付けて固定される薄型矩形状のケース本体2」及び「ケース本体2の前面(車両後方(運転者側)に向く面)に備えられた、3.2インチのカラーTFT液晶ディスプレイで構成された表示部5」は、本件発明1の「車両に配置される筐体」及び「前記筐体の前面に設けられた表示領域を含む表示部」に相当し、「前記筐体は、前記車両のダッシュボード上に、前記表示領域を前記車両の運転席に向けて設置可能であ」ることに相当する。

(ウ) 甲6発明の「当該マイクロ波受信器14によって速度測定装置から発せられる周波数帯のマイクロ波に対応する信号が検出された場合に、表示部5を利用して所定の警報・メッセージを出力する制御部18」と、本件発明1の「前記受光部が受光した前記特定波長の光に応じて、前記第1装置の存在を報知する制御を行う制御部」は、「前記装置の存在を報知する制御を行う制御部」という点で共通する。

(エ) 甲6発明の「前記制御部18は、マイクロ波受信器14によって速度測定装置から発せられる周波数帯のマイクロ波に対応する信号が検出された場合に、表示部5に対して警報画面131を表示」することと、本件発明1の「前記制御部は、前記第1装置の存在を報知する制御として、少なくとも前記第1装置の存在を報知するための画像を前記表示領域に表示する制御を行」うことは、「前記制御部は、前記装置の存在を報知する制御として、少なくとも前記装置の存在を報知するための画像を前記表示領域に表示する制御を行」う点で共通する。

イ 一致点及び相違点
上記アの検討を総合すると、本件発明1と甲6発明の両者は、以下の一致点で一致し、以下の相違点1において相違する。

<一致点>
車両の存在を検出する装置の存在を報知するシステムであって、
車両に配置される筐体と、
前記筐体の前面に設けられた表示領域を含む表示部と、
前記装置の存在を報知する制御を行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記装置の存在を報知する制御として、少なくとも前記装置の存在を報知するための画像を前記表示領域に表示する制御を行い、
前記筐体は、前記車両のダッシュボード上に、前記表示領域を前記車両の運転席に向けて設置可能である、
システム、である点。

<相違点1>
本件発明1では、特定波長の光を発して車両の存在を検出する第1装置の存在を報知するシステムであって、車両に配置される筐体の背面に位置する窓と、前記窓に入射した光を受光する受光部と、前記受光部が受光した前記特定波長の光に応じて、前記第1装置の存在を報知する制御を行う制御部とを備え、前記窓は、前記筐体の背面のうち、少なくとも上下方向における中心よりも上方で、かつ少なくとも前記車両の運転席側から見て前記車両の進行方向に対して左側に位置し、前記筐体の前後方向において前記表示領域と重なる部分を有しているのに対して、
甲6発明では、所定周波数帯域のマイクロ波を車両に向けて発射してその反射波を受信して車両の走行スピードを測定する速度測定装置の存在を検出して警報を出力するシステムであって、ケース本体2の背面に窓を備えておらず、前記窓に入射した光を受光する受光部と、前記受光部が受光した前記特定波長の光に応じて、前記装置の存在を報知する制御を行う制御部を備えていない点。

ウ 判断
上記相違点1について検討する。
(ア) 受光部及び窓等を備える点について
甲1号証には、上記「(イ)甲1号証に記載された事項」に示したとおり、自動車の速度検出システムがレーダー又はレーザー装置を利用しているものであり([0005]、[0007])、したがって、当該速度検出システムがいずれのタイプであっても、その存在を検出するために、レーザー及びレーダー検出器の両方を備える検出器デバイス([0036]、[図1A]、[図1B])について記載されている。
また、検出器デバイスの主ハウジング(本件発明1の「筐体」に相当)には、検出手段が検出する信号が入ってくるための一連の開口部(本件発明1の「窓」に相当)が設けられていることが記載されている([0042]、[図4A]、[図4B]、[図4C])。
よって、甲6発明のシステムにおいても、レーザー装置を利用する速度検出システムにも対応するため、甲1号証の記載事項に基づいて、マイクロ波受信器14に加えてレーザー検出器(受光部)、及びその検出対象のレーザー装置からの光が通過する窓を設けることは、当業者が容易に想到し得ることである。
また、受光部が受光した特定波長の光に応じて、検出対象(レーザ装置)の存在を報知する制御を行う制御部を設けることは、当業者が容易になし得たことである。

(イ) 窓の位置について
甲6発明において、ダッシュボード上のケース本体2の前面が、運転者側に向く面となるということは、ケース本体2の背面が、フロントガラス側に向く面となり、速度測定装置から到来する光は、フロントガラスを通って、ケース本体2の背面に当たることになるから、レーザー検出器(受光部)、及びその検出対象のレーザー装置からの光が通過する窓を、ケース本体2の背面に設けるべきことは明らかである。そして、当該窓を、ケース本体2の背面のどこに設けるかを選択する場合、障害物の影響を受けにくくすることを考えれば、上部に設けることを選択することは、当業者にとっては自明である。そうすると、当業者にとっては、窓の位置としては、ケース本体2の背面の、左上、中央上、右上の3つの選択肢しかない。
そして、窓の位置に起因する効果についても検討すると、上記「2 委任省令要件違反(36条4項1号)について」で示したとおり、当業者の予測を超える格別顕著な効果を奏するものとは認められない。
さらに、窓の位置として左上をよくないとするような先入観が、当業者にあったとも認められない。
なお、仮に、窓を筐体の背面の左上に配置したことによって受光しやすくなる効果を奏することがあるとしても、例えば、右ハンドルの車においてAピラー近辺にレーザー検出器を配置する場合に、検出対象の光が到来する方向に受光部及び窓を設ければ、遮光するものがなくなり受光しやすくなることは、当業者にとって自明なことであるから、窓を筐体の背面の左上に配置することは自明な選択肢であり、その効果は格別なものではない。
そうすると、元々事実上3つという少ない自明の選択肢しかない中から選択したものであり、効果が不明であり、効果があったとしても当該選択は自明のものであり、当該選択を阻害するような事情も認められないのであるから、窓の選択は単なる設計事項の範囲を出るものとは認められないものであり、窓の位置としてケース本体2の背面の左上を選択することには、選択発明として進歩性を認めることはできない。

(ウ) 窓が筐体の前後方向において表示領域と重なる部分を有していることについて
前記(イ)で示したとおり、窓の位置としては、ケース本体2の背面の、左上、中央上、右上の3つの選択肢しかなく、いずれを選択するかは単なる設計事項の範囲を出るものとは認められない。
そして、甲6号証の【図1】に示されるように、表示部5の表示領域は、筐体の前面の大部分を占めており、このように、表示領域をなるべく大きくすることは、表示装置において、例示するまでもなく周知の課題であり、また背面に窓を設ける際に、表示領域と重ならない領域に意図的に設けなくてはいけない理由も見当たらないことから、甲6発明において、上記周知の課題のもと、表示部5の表示領域をなるべく大きくして、その結果「窓は、前記筐体の前後方向において前記表示領域と重なる部分を有する」ようになることは、当業者が容易に想到し得たものである。

(エ) 相違点1についての小括
したがって、相違点1は、甲6発明及び甲1号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到することができたものである。

エ 特許権者の主張について
令和4年3月7日付け意見書における特許権者の主張、及び当該主張に対する当合議体の見解は、次のとおりである。
(ア) 主張4(表示部を運転席に向けた状態で、受光しやすくなる効果)
a 特許権者の主張
特許権者は、意見書15頁2〜5行において、次の点を主張している。
「本件発明1は、「(1-1-1)請求項1について」の項で説明したように、運転者が表示領域の運転者向けの情報を見やすいようにダッシュボード上に設置した状態で、第1装置からの光を受光しやすくなっているのである。このような本件発明1の思想は、甲第1号証及び甲第6号証のいずれにも記載も示唆がない。」

b 主張4についての当合議体の見解
前記ウ(イ)に示したとおり、窓の位置に起因する効果については、当業者の予測を超える格別顕著な効果を奏するものとは認められず、窓をどの位置にするかは、単なる設計事項の範囲を出るものとは認められない。
よって、前記主張4は、前記ウ(エ)の結論を左右するものではない。

(イ) 主張5(表示領域と窓とが筐体の前後方向に重なることによる効果)
a 特許権者の主張
特許権者は、意見書15頁6〜10行において、次の点を主張している。
「表示領域が筐体の前面、窓が筐体の背面、という具合にこれらが互いに反対側の面に設けられていて、表示領域と窓とが筐体の前後方向に重なる部分を有していること、また、それによるユーザにとっての分かりやすさ・使いやすさの向上については、探知機のような製品分野、BtoC製品において重要な観点であるが、いずれの引用例にもそのような思想について記載や示唆がない。」

また、特許権者は、意見書20頁14〜16行において、次の点を主張している。
「また、本件発明1のように、表示領域と窓とが筐体の前後方向に重なる部分を有しているという窓の位置についても自明であるとはいえない。」

b 主張5についての当合議体の見解
前記主張5は、明細書に記載されたものではなく、どうして特許権者の主張が明細書の記載から理解できるかの立証もされていないから、前記主張5は採用できない。
また、前記ウ(ウ)に示したとおり、甲6発明において、甲1号証の記載事項に基づいて筐体の背面に窓を設ける際、「窓は、前記筐体の前後方向において前記表示領域と重なる部分を有する」ようになることは、当業者が容易に想到し得たものであるから、前記主張5は前記ウ(エ)の結論を左右するものではない。

(ウ) 主張6(効果の予測困難性について)
a 特許権者の主張
特許権者は、意見書21頁8〜26行において、次の主張をしている。
「本件発明1においては、「(1-1-1)請求項1について」の項で説明したように、車両に配置される筐体が車両のダッシュボード上に設置可能であり、筐体は、表示領域を車両の運転席に向けて設置可能であり、窓は、筐体の前後方向において表示領域と重なる部分を有しており、第1装置の存在を報知する制御として、少なくとも第1装置の存在を報知するための画像を表示領域に表示する制御を行い、窓は、筐体の前後方向において前記表示領域と重なる部分を有すること、等が特定されている。
このような本件発明1は、ここまでに説明したような第1装置の設置状況や、筐体の様々な設置可能性、例えば受光する機能を有しない従来型のレーダー探知機にはない課題の下で、想定される設置位置で可能な限り受光しやすくしつつ実使用上の問題がないようにするものである。また、本件発明1は、窓、受光部及び表示部を設けたという筐体の構成、特に表示領域と窓とが筐体の前後方向に重なる部分を有していることによるユーザにとっての分かりやすさ・使いやすさも踏まえて受光しやすくしており、「窓の位置」だけではなく、本件発明1全体により特定される構成によって、受光のしやすさにおいて様々な効果を奏するものである。
このような本件発明1は、当業者の予測を超える本件発明1特有の効果を奏するものであるし、本件発明1の思想は甲第1号証及び甲第6号証のいずれにも記載や示唆がなく、設計事項の範囲のものといえるものではない。」

b 主張6についての当合議体の見解
前記ウ(イ)及び(ウ)に示したとおり、窓をどの位置に設けるか、窓が筐体の前後方向において表示領域と重なる部分を有するかによって、効果に有意な差異があるとは認められない。また、仮に差異があるとしても、当業者が容易に想到し得たものである。
よって、前記主張6は前記ウ(エ)の結論を左右するものではない。

(エ) 主張7(車両への多岐にわたる設置可能性について)
a 特許権者の主張
特許権者は、意見書22頁11行〜23頁4行において、次の主張をしている。
「本件発明1の属する技術分野において、既に説明したように、車両への設置位置としては様々な場所があり設置可能性が多岐にわたり、設置する車両も様々な車両がある。また、様々な方向からの光を受光できるようにする必要もある。受光性能を比較的落とさずに、様々な方向からの光を受光し、かつ、多種類・多様な車両に設置できるようにするためには、筐体における窓の位置は、多角的に検討する必要がある。そのため、仮に取消理由通知にあるように3つの選択肢であったという立場に立ってみても、常に3つの選択肢が平等であるということはないし、その位置を1つに決定することは容易ではない。例えば、車両によっては運転席からみて前方のセンターにメータ等の突起部があり、それが障害となると考えるような場合、「当業者が左上をよくないとするような先入観がある」ことも十分にありうるものである。
さらにいうと、探知機の設置可能性は多岐にわたることから、特定の設置位置のみで使用されることを想定し、その特定の設置位置での使用を前提として設計を行うことが、当業者にとって自明であるとまではいえない。例えば、前方右側のAピラーを考慮した設計とすると、別の設置位置とした場合に受光しにくくなる可能性もあり、むしろ前方右側のAピラーを考慮した設計を回避することも考えられる。例えば、以下の参考図12に示す黒セラ部のある車両において、フロントガラスにおける上方位置であって、黒セラ部のすぐ右隣りへの設置をするような場合、筐体の形状や大きさ等によっては、窓の配置を運転者側から見て左上にすることによってこの黒セラ部によって受光が妨げられる可能性もある。このような設置が想定されているような場合には、「当業者が左上をよくないとするような先入観がある」場合がある。」

(参考図12)




b 主張7についての当合議体の見解
特許権者は、探知機の設置可能性は多岐にわたることから、特定の設置位置のみで使用されることを想定し、その特定の設置位置での使用を前提として設計を行うことが、当業者にとって自明であるとまではいえないし、設置位置によっては、「当業者が左上をよくないとするような先入観がある」ことも十分にありうるものであると主張している。
しかしながら、一般に商品の設計をする際に、当該商品の使用者によりそれがどのように使われるかを想定して設計することは通常のことであり、その使用形態が多様なものであれば、それらに合わせて商品の仕様(外観や性能等)に選択肢を設け品揃えを豊富にすることは通常のことであることに鑑みれば、速度測定装置の探知機についても、これを車両内のどこに、どのように設置するかという点に関して、その設計段階において使用形態の事前調査が行われるのが通常であると考えられる。したがって、「探知機の設置可能性は多岐にわたることから、特定の設置位置のみで使用されることを想定し、その特定の設置位置での使用を前提として設計を行うことが、当業者にとって自明であるとまではいえない」と主張することの根拠が不明である。
そして、運転席と助手席の間のダッシュボード上の位置に設置することは一般的であり、また、意見書6頁15行〜7頁1行において特許権者が主張するように、Aピラー側に設置することは、運転席と助手席の間のダッシュボード上の位置に設置することに比較して多くはないかもしれないが、無視できない数の事例があるから、運転席と助手席の間のダッシュボード上の位置に設置するという使用形態に加えて、Aピラー側に設置するという使用形態も想定して、探知機の設計を行うことは、当業者の通常の創作能力の発揮にすぎない。
よって、前記主張7は採用できない。

(オ) まとめ
以上(ア)から(エ)において検討のとおり、特許権者の主張4〜7はいずれも、前記ウ(エ)の結論を左右するものではない。
したがって、本件発明1は、甲6発明及び甲1号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3) 本件発明2〜10、12〜18、20、22について
ア 本件発明2について
甲1号証の[0015]には、受光部がレンズを介して受光することについて記載されている。したがって、本件発明2は、甲6発明及び甲1号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

イ 本件発明3について
前記(1)オ(イ)に周知技術4として示したとおり、入射光を集光・収束する反射鏡を受光光学系に設けることは、周知技術である。そして、入射光を集光していることから、反射鏡を設けない場合より、入射光の受け入れ角度が広がっていることは、明らかである。したがって、本件発明3は、甲6発明、甲1号証に記載された事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

ウ 本件発明4について
前記(1)ウ(ウ)aに周知技術1として示したとおり、レーザー光を受光する窓に、低周波数帯の光を透過させ、日光や街灯光をカットする材料を用いることは周知技術であり、当該周知技術を採用することは、当業者が適宜なしえることである。したがって、本件発明4は、甲6発明、甲1号証に記載された事項並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

エ 本件発明5、6について
前記(1)ウ(ウ)bに周知技術2として示したとおり、検出されたパルスの周期性、すなわちパルス幅やパルス間隔で、速度検出システムからのパルスかどうかを判定することは、当該分野において周知技術にすぎず、甲6発明においてレーザー検出器を設ける際、当該周知技術を適用することは、当業者が容易に想到し得ることである。したがって、本件発明5、6は、甲6発明、甲1号証に記載された事項並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

オ 本件発明7〜9について
甲6号証の【0068】〜【0069】には、レーダー検出器が検出した電波の信号レベルに応じて警報レベルを変化することが記載されている。そして、レーザー検出器の場合は、光強度のレベルを変化させることとなることは明らかである。したがって、本件発明7〜9は、甲6発明、甲1号証、甲6号証に記載された事項並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

カ 本件発明10に係る発明について
甲5号証の7欄5〜9、37〜46行、表1には、受信した連続したパルス数に応じて警報レベルを変化させることが記載されている。したがって、本件発明10は、甲6発明、甲1号証、甲5号証、甲6号証に記載された事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

キ 本件発明12、13に係る発明について
甲6号証の【0049】、【0050】には、GPSの位置情報とデータベースの警報対象の位置情報に基づいて、両者の距離が所定の範囲内になったときに警報表示を行うことが記載されている。また、甲8号証の【0046】、【0049】〜【0052】には、位置測定部が測定した位置を中心とした所定範囲に、車両速度計測装置の位置情報が含まれるかどうかを判定して、含まれる場合に警告を行うこと、マイクロ波による検出と位置情報による検出は異ならせても良いことが記載されている。したがって、本件発明12、13は、甲6発明、甲1号証、甲5号証、甲6号証、甲8号証に記載された事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

ク 本件発明14〜16について
甲6号証の【0051】、【0052】、【0082】〜【0085】、図7〜8には、レーダー波の警報、無線による警報、GPSによる警報で、表示を異ならせることが記載されており、レーザー検出器を設けた場合についても、これらの警報と表示を異ならせるようにすることに、格別の困難性があるものとは認められない。したがって、本件発明14〜16は、甲6発明、甲1号証、甲5号証、甲6号証、甲8号証に記載された事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

ケ 本件発明17について
前記(1)エ(イ)に周知技術3として示したとおり、フォトダイオードや受光回路に電気的シールドを設けることは周知技術である。したがって、本件発明17は、甲6発明、甲1号証、甲5号証、甲6号証、甲8号証及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

コ 本件発明18、20について
甲7号証の[0156]には、電磁信号検出とオーバーラップする期間の車両カメラのビデオ記録にフラグを立てること、[0159]には、車両カメラのビデオ記録と電磁信号検出情報をサーバに送信することが記載されている。したがって、本件発明18、20は、甲6発明、甲1号証、甲5号証〜甲8号証及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

サ 本件発明22について
甲6号証の【0030】には、プログラムにより、制御手段としての機能をコンピュータに実現させることが記載されている。したがって、本件発明22は、甲6発明、甲1号証、甲5号証〜甲8号証及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4) 本件発明21について
ア 対比
本件発明21と甲6発明を対比する。
(ア) 甲6発明の「車両のダッシュボード上等に貼り付けて固定される薄型矩形状のケース本体2」は、本件発明21の「筐体」に相当する。

(イ) 甲6発明の「ケース本体2の前面(車両後方(運転者側)に向く面)に備えられた、3.2インチのカラーTFT液晶ディスプレイで構成された表示部5」と、本件発明21の「前記筐体に設けられ、前記受光部の受光状態に応じた警報を行う表示領域を含む表示部」は、「前記筐体に設けられ、表示領域を含む表示部」という点で共通する。

(ウ) 甲6発明の「ケース本体2」が「車両のダッシュボード上等に貼り付けて固定され」、「表示部5」が「ケース本体2の前面(車両後方(運転者側)に向く面)に備えられ」ることは、本件発明21の「前記筐体は、前記自車両のダッシュボード上に、前記表示領域を前記自車両の運転席に向けて設置可能であ」ることに相当する。

(エ) 甲6発明の「速度測定装置の存在を検出して警報を出力するシステム」は、本件発明21の「探知機」に相当する。

イ 一致点及び相違点
上記アの検討を総合すると、本件発明21と甲6発明の両者は、以下の一致点で一致し、以下の相違点2において相違する。

<一致点>
筐体と、
前記筐体に設けられ、表示領域を含む表示部と、
を有し、
前記筐体は、前記自車両のダッシュボード上に、前記表示領域を前記自車両の運転席に向けて設置可能である、
探知機、である点。

<相違点2>
本件発明21では、筐体に設けられ、速度測定装置からの車両の速度を測定するためのレーザー光を受光可能な受光部と、前記筐体に設けられ、前記受光部の受光状態に応じた警報を行う表示領域を含む表示部とを有し、前記筐体の前記表示領域とは反対側の面である背面からの前記レーザー光を導入するよう前記受光部を設けており、
前記筐体の背面のうち、少なくとも上下方向における中心よりも上方で、かつ少なくとも自車両の運転席側から見て前記自車両の進行方向に対して左側に位置する円形の窓部を有し、前記円形の窓部は、前記筐体の前後方向において前記表示領域と重なる部分を有し、
前記レーザー光は、可視光カットフィルタを通過するように前記円形の窓部およびレンズを介して前記受光部に導入され、前記受光部が導電性を有する素材を用いてシールドされているのに対して、
甲6発明では、所定周波数帯域のマイクロ波を車両に向けて発射してその反射波を受信して車両の走行スピードを測定する速度測定装置の存在を検出して警報を出力するシステムであり、ケース本体2に、レーザー光を受光可能な受光部及び円形の窓部が設けられておらず、前記レーザー光は、可視光カットフィルタを通過するように前記円形の窓部およびレンズを介して前記受光部に導入されておらず、前記受光部が導電性を有する素材を用いてシールドされていない点。

ウ 判断
上記相違点2について検討する。
(ア) 受光部及び窓等を備える点について
前記(2)ウ(ア)に示したとおり、甲6発明のシステムにおいても、レーザー装置を利用する速度検出システムにも対応するため、甲1号証の記載事項に基づいて、マイクロ波受信器14に加えてレーザー検出器(受光部)、及びその検出対象のレーザー装置からの光が通過する窓を設けることは、当業者が容易に想到し得ることであり、前記窓を円形とすることについても、当業者が適宜になし得る設計事項にすぎない。

(イ) 窓の位置について
前記(2)ウ(イ)に示したとおり、窓の位置の選択についても単なる設計事項の範囲を出るものとは認められない。

(ウ) 窓が筐体の前後方向において表示領域と重なる部分を有していることについて
前記(2)ウ(ウ)に示したとおり、甲6発明において、「窓は、前記筐体の前後方向において前記表示領域と重なる部分を有する」ようになることは、通常のことであって、格別困難性があるものではない。

(エ) 可視光カットフィルタについて
前記(1)ウ(ウ)aに周知技術1として示したとおり、レーザ検出器の前に配置される窓を、低周波数領域の光をフィルタする材料によって構成し、日光や街灯のような背景光の影響を低減することは、本件特許出願前に周知のものである。
よって、甲6発明に、前記周知技術1を適用することは、当業者が容易に想到し得たことである。

(オ) 受光部のシールドについて
前記(1)エ(イ)に周知技術3として示したとおり、受光素子に電気的シールドを施して、雑音を拾いにくくすることは、本件特許出願前に周知のものである。
よって、甲6発明に、前記周知技術3を適用することは、当業者が容易に想到し得たことである。

(カ) まとめ
したがって、本件発明21は、甲6発明及び甲1号証に記載された事項、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5) 小括
以上検討のとおり、本件特許の請求項1〜10、12〜18、20〜22に係る発明は、甲6発明及び甲1号証に記載された事項、並びに、甲5〜8号証に記載された事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


第5 むすび
以上のとおり、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、請求項1〜10、12〜18、20〜22に係る発明について、経済産業省令で定めるところにより、当業者がその技術上の意義を理解することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。
また、本件特許の請求項1〜10、12〜18、20〜22に係る発明は、甲6発明及び甲1号証に記載された事項、並びに、甲5〜8号証に記載された事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
そうすると、本件発明1〜10、12〜18、20〜22に係る特許は、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、また、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
したがって、本件発明1〜10、12〜18、20〜22に係る特許は、特許法113条2号及び4号に該当し、取り消されるべきものである。
また、請求項11及び19は、前記第2の2(2)のとおり、訂正により削除されたことにより、申立ての対象が存在しないものとなったため、請求項11及び19に係る特許異議の申立てについては、特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。




 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この決定に対する訴えは、この決定の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定波長の光を発して車両の存在を検出する第1装置の存在を報知するシステムであって、
車両に配置される筐体と、
前記筐体の前面に設けられた表示領域を含む表示部と、
前記筐体の背面に位置する窓と、
前記窓に入射した光を受光する受光部と、
前記受光部が受光した前記特定波長の光に応じて、前記第1装置の存在を報知する制御を行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1装置の存在を報知する制御として、少なくとも前記第1装置の存在を報知するための画像を前記表示領域に表示する制御を行い、
前記筐体は、前記車両のダッシュボード上に、前記表示領域を前記車両の運転席に向けて設置可能であり、
前記窓は、前記筐体の背面のうち、少なくとも上下方向における中心よりも上方で、かつ少なくとも前記車両の運転席側から見て前記車両の進行方向に対して左側に位置しており、
前記窓は、前記筐体の前後方向において前記表示領域と重なる部分を有する
システム。
【請求項2】
前記受光部は、レンズを介して前記第1装置からの光を受光する
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記受光部の前記第1装置からの光の受け入れ角度を広げるためのミラーを備える
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記窓に可視光をカットする部材が存在する
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記制御部は、前記受光部が受光した光のパルス幅に基づいて前記第1装置の存在を報知する制御を行う
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記制御部は、前記受光部が受光した光のパルス間隔に基づいて前記第1装置の存在を報知する制御を行う
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記制御部は、前記受光部が受光した前記特定波長の光の強度に応じて前記報知のレベルを変化させる
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記制御部は、前記受光部が受光した前記特定波長の光の強度が増加している場合は、報知レベルを高くする
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記制御部は、前記受光部が受光した前記特定波長の光の強度が減少している場合は、報知レベルを低くする
請求項7または請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記制御部は、前記受光部が受光した光のパルスの数に応じて前記報知のレベルを変化させる
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
(削除)
【請求項12】
前記制御部は、現在位置の位置情報を取得し、取得した位置情報が示す位置があらかじめ決められた条件を満たす場合、前記特定波長の光を発して車両の存在を検出する第2装置の存在を報知する制御を行う
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記制御部は、前記条件として前記取得した位置情報が示す現在位置が所定のエリア内である場合、前記第2装置の存在を報知する制御を行う
請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記制御部は、前記受光部が受光した光に応じて第1の方法で前記第1装置の存在を報知し、前記現在位置に応じて前記第1の方法と異なる第2の方法で前記第2装置の存在を報知するように、前記報知する制御を行う
請求項12または請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
所定の電波を受信する電波受信部を備え、
前記制御部は、前記所定の電波を受信したことに応じて前記電波の発生装置の存在を報知する制御を行う
請求項1から請求項10、及び請求項12から請求項14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記制御部は、前記受光部が受光した光に応じて第1の方法で前記第1装置の存在を報知し、前記所定の電波を受信したことに応じて前記第1の方法と異なる第3の方法で前記電波の発生装置の存在を報知するように、前記報知する制御を行う
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記受光部は、導電性を有する材料でシールドされている
請求項1から請求項10、及び請求項12から請求項16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
前記制御部は、車載カメラの撮像画像を取得して、前記特定波長の光の受光期間に応じた期間の前記撮像画像を記録する機能を有する
請求項1から請求項10、及び請求項12から請求項17のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
(削除)
【請求項20】
前記制御部は、前記第1装置を検出すると、前記第1装置の位置を示す情報をサーバにアップロードする機能を有する
請求項1から請求項10、及び請求項12から請求項18のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項21】
筐体と、
前記筐体に設けられ、速度測定装置からの車両の速度を測定するためのレーザー光を受光可能な受光部と、
前記筐体に設けられ、前記受光部の受光状態に応じた警報を行う表示領域を含む表示部と、
を有し、
前記筐体の前記表示領域とは反対側の面である背面からの前記レーザー光を導入するよう前記受光部を設けており、
前記筐体の背面のうち、少なくとも上下方向における中心よりも上方で、かつ少なくとも自車両の運転席側から見て前記自車両の進行方向に対して左側に位置する円形の窓部を有し、
前記レーザー光は、可視光カットフィルタを通過するように前記円形の窓部およびレンズを介して前記受光部に導入され、
前記受光部が導電性を有する素材を用いてシールドされ、
前記筐体は、前記自車両のダッシュボード上に、前記表示領域を前記自車両の運転席に向けて設置可能であり、
前記円形の窓部は、前記筐体の前後方向において前記表示領域と重なる部分を有する探知機。
【請求項22】
請求項1から請求項10、請求項12から請求項18、及び請求項20のいずれか1項に記載のシステムの前記制御部の機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2022-05-16 
出願番号 P2019-098316
審決分類 P 1 651・ 121- ZAA (G01S)
P 1 651・ 536- ZAA (G01S)
最終処分 06   取消
特許庁審判長 岡田 吉美
特許庁審判官 濱本 禎広
濱野 隆
登録日 2020-02-07 
登録番号 6656556
権利者 株式会社ユピテル
発明の名称 システム、プログラムおよび探知機  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ