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審決分類 審判 一部申し立て 特174条1項  A47L
管理番号 1390552
総通号数 11 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-11-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-07-08 
確定日 2022-09-14 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6811692号発明「電気掃除機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6811692号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の〔1〜4〕について訂正することを認める。 特許第6811692号の請求項1、2、4に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯の概略
特許第6811692号の請求項1、2、4に係る特許(以下「本件特許」という。)についての手続の経緯は、概ね、次のとおりである。
平成29年 8月 8日 出願
令和 2年 8月25日 手続補正書
令和 2年12月17日 特許権の設定登録
令和 3年 1月13日 特許掲載公報
令和 3年 7月 8日受付 特許異議申立書(特許異議申立人本田史樹)
令和 3年11月10日付け 取消理由通知書
令和 4年 1月13日 意見書(特許権者)及び訂正請求書
令和 4年 2月17日 意見書(特許異議申立人)
令和 4年 3月14日付け 訂正拒絶理由通知書
令和 4年 4月15日 意見書(特許権者)
令和 4年 5月27日付け 取消理由通知書(決定の予告)
令和 4年 7月28日 意見書(特許権者)及び訂正請求書

以下、令和2年8月25日付手続補正書に係る補正を「本件補正」といい、令和4年7月28日付け訂正請求書に係る訂正を「本件訂正」という。なお、令和4年1月13日付け訂正請求書は、取り下げられたものと見なす(特許法120条の5第7項)。

第2 本件訂正の適否
1 本件訂正の内容
本件訂正の請求は、特許第6811692号の明細書、特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1〜4について訂正することを求めるものであって、その訂正の内容は次のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「電動送風機を備える掃除機本体と、
前記掃除機本体における前記電動送風機の前方に着脱可能な集塵装置と、を備えた電気掃除機において、
前記集塵装置は一端に蓋体を有し、
前記蓋体は前記集塵装置の開口部を開閉可能に前記集塵装置に軸支されており、
前記集塵装置が前記掃除機本体に装着された状態で、前記蓋体の開閉が可能であり、
前記集塵装置が前記掃除機本体に装着された状態であって、かつ前記蓋体が開いた状態における前記集塵装置の開口部は、前記掃除機本体の開口部と同一方向に開口し、
前記集塵装置の第1の旋回する流れの軸方向は前記集塵装置の開口部の開口面と略垂直であって、
前記集塵装置の開口部の開口面が床面と平行となる状態において、前記電気掃除機の重心を重力方向におろした線は、前記集塵装置の開口部の開口面に交わることを特徴とする電気掃除機。」
と記載されているのを、
「電動送風機と、接続口と、前記電動送風機の上方に配置され前後方向に延びる第1部分と前記電動送風機の後方に配置され上下方向に対して上部が前方に向くように傾斜した第2部分とが連続的に接続されたハンドル部とを備える掃除機本体と、
前記掃除機本体における前記電動送風機の前方に着脱可能な集塵装置と、を備えた電気掃除機において、
前記集塵装置は一端に蓋体を有し、
前記蓋体は前記集塵装置の開口部を開閉可能に前記集塵装置に軸支されており、
前記集塵装置が前記掃除機本体に装着された状態で、前記蓋体の開閉が可能であり、
前記集塵装置が前記掃除機本体に装着された状態であって、かつ前記蓋体が開いた状態における前記集塵装置の開口部は、前記掃除機本体の前記接続口と同一方向に開口し、
前記集塵装置の第1の旋回する流れの軸方向は前記集塵装置の開口部の開口面と略垂直であって、
前記集塵装置が前記掃除機本体に装着され、標準吸口を接続した延長管が前記掃除機本体の前記接続口に接続され、前記ハンドル部の前記第2部分の下方の位置に蓄電池が装着されたスティック状態の前記電気掃除機の重心を重力方向におろした線は、前記集塵装置の開口部の開口面が床面と平行となる状態において、前記集塵装置の開口部の開口面に交わることを特徴とする電気掃除機。」
に訂正する。また、請求項1を引用する請求項4も同様に訂正する。

(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に、
「電動送風機と吸込口とを備える掃除機本体と、前記掃除機本体における前記電動送風機の前方に着脱可能な集塵装置と、前記集塵装置と前記吸込口とを連通する導入管を備え、
前記導入管は前記集塵装置の側方に配置し、前記導入管を覆うケース本体を備え、
前記集塵装置は一端に蓋体を備え、前記蓋体はロック機構により開閉可能に軸支されており、
前記ロック機構は前記ケース本体側に位置し、前記集塵装置が前記掃除機本体に装着された状態で、前記蓋体の開閉が可能であり、
前記集塵装置が前記掃除機本体に装着された状態であって、かつ前記蓋体が開いた状態における前記集塵装置の開口部は、前記掃除機本体の開口部と同一方向に開口し、
前記集塵装置の第1の旋回する流れの軸方向は前記集塵装置の開口部の開口面と略垂直であって、
前記集塵装置の開口部の開口面が床面と平行となる状態において、前記電気掃除機の重心を重力方向におろした線は、前記集塵装置の開口部の開口面に交わることを特徴とする電気掃除機。」
と記載されているのを、
「電動送風機と、吸込口と、前記電動送風機の上方に配置され前後方向に延びる第1部分と前記電動送風機の後方に配置され上下方向に対して上部が前方に向くように傾斜した第2部分とが連続的に接続されたハンドル部とを備える掃除機本体と、前記掃除機本体における前記電動送風機の前方に着脱可能な集塵装置と、前記集塵装置と前記吸込口とを連通する導入管を備え、前記導入管は前記集塵装置の側方に配置し、前記導入管を覆うケース本体を備えた電気掃除機において、
前記集塵装置は一端に蓋体を備え、前記蓋体はロック機構により開閉可能に軸支されており、
前記ロック機構は前記ケース本体側に位置し、前記集塵装置が前記掃除機本体に装着された状態で、前記蓋体の開閉が可能であり、
前記集塵装置が前記掃除機本体に装着された状態であって、かつ前記蓋体が開いた状態における前記集塵装置の開口部は、前記掃除機本体の前記吸込口と同一方向に開口し、
前記集塵装置の第1の旋回する流れの軸方向は前記集塵装置の開口部の開口面と略垂直であって、
前記集塵装置が前記掃除機本体に装着され、標準吸口を接続した延長管が前記掃除機本体の前記吸込口に接続され、前記ハンドル部の前記第2部分の下方の位置に蓄電池が装着されたスティック状態の前記電気掃除機の重心を重力方向におろした線は、前記集塵装置の開口部の開口面が床面と平行となる状態において、前記集塵装置の開口部の開口面に交わることを特徴とする電気掃除機。」
に訂正する。また、請求項2を引用する請求項3、4も同様に訂正する。

(3) 訂正事項3
明細書【0006】に、
「本発明は、電動送風機を備える掃除機本体と、前記掃除機本体における前記電動送風機の前方に着脱可能な集塵装置と、を備えた電気掃除機において、前記集塵装置は一端に蓋体を有し、前記蓋体は前記集塵装置の開口部を開閉可能に前記集塵装置に軸支されており、前記集塵装置が前記掃除機本体に装着された状態で、前記蓋体の開閉が可能であり、前記集塵装置が前記掃除機本体に装着された状態であって、かつ前記蓋体が開いた状態における前記集塵装置の開口部は、前記掃除機本体の開口部と同一方向に開口し、前記集塵装置の第1の旋回する流れの軸方向は前記集塵装置の開口部の開口面と略垂直であって、前記集塵装置の開口部の開口面が床面と平行となる状態において、前記電気掃除機の重心を重力方向におろした線は、前記集塵装置の開口部の開口面に交わることを特徴とする。」
と記載されているのを、
「本発明は、電動送風機と、接続口と、前記電動送風機の上方に配置され前後方向に延びる第1部分と前記電動送風機の後方に配置され上下方向に対して上部が前方に向くように傾斜した第2部分とが連続的に接続されたハンドル部とを備える掃除機本体と、前記掃除機本体における前記電動送風機の前方に着脱可能な集塵装置と、を備えた電気掃除機において、前記集塵装置は一端に蓋体を有し、前記蓋体は前記集塵装置の開口部を開閉可能に前記集塵装置に軸支されており、前記集塵装置が前記掃除機本体に装着された状態で、前記蓋体の開閉が可能であり、前記集塵装置が前記掃除機本体に装着された状態であって、かつ前記蓋体が開いた状態における前記集塵装置の開口部は、前記掃除機本体の前記接続口と同一方向に開口し、前記集塵装置の第1の旋回する流れの軸方向は前記集塵装置の開口部の開口面と略垂直であって、前記集塵装置が前記掃除機本体に装着され、標準吸口を接続した延長管が前記掃除機本体の前記接続口に接続され、前記ハンドル部の前記第2部分の下方の位置に蓄電池が装着されたスティック状態の前記電気掃除機の重心を重力方向におろした線は、前記集塵装置の開口部の開口面が床面と平行となる状態において、前記集塵装置の開口部の開口面に交わることを特徴とする。」
に訂正する。

2 本件訂正の適否について
(1) 訂正事項1について
ア 訂正の目的
(ア) 訂正事項1は、以下の事項を含む(以下、それぞれ、「訂正事項1の1」、「訂正事項1の2」、「訂正事項1の3」という。)。
(訂正事項1の1)
本件訂正前の請求項1における「電動送風機を備える掃除機本体」について、「電動送風機と、接続口と、前記電動送風機の上方に配置され前後方向に延びる第1部分と前記電動送風機の後方に配置され上下方向に対して上部が前方に向くように傾斜した第2部分とが連続的に接続されたハンドル部とを備える」と訂正する。
(訂正事項1の2)
本件訂正前の請求項1における「集塵装置の開口部」について、「前記掃除機本体の前記接続口と同一方向に開口(する)」と訂正する(以下「訂正事項1の2」という。)。
(訂正事項1の3)
本件訂正前の請求項1における「電気掃除機の重心を重力方向におろした線」と「集塵装置の開口部の開口面」の関係について、「前記集塵装置が前記掃除機本体に装着され、標準吸口を接続した延長管が前記掃除機本体の前記接続口に接続され、前記ハンドル部の前記第2部分の下方の位置に蓄電池が装着されたスティック状態の前記電気掃除機の重心を重力方向におろした線は、前記集塵装置の開口部の開口面が床面と平行となる状態において、前記集塵装置の開口部の開口面に交わる」と訂正する。
(イ) まず、訂正事項1の1については、「掃除機本体」が「電動送風機」に加えて、「接続口と、前記電動送風機の上方に配置され前後方向に延びる第1部分と前記電動送風機の後方に配置され上下方向に対して上部が前方に向くように傾斜した第2部分とが連続的に接続されたハンドル部」を備えることを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
次に、訂正事項1の2については、訂正事項1において電気掃除機が「接続口」を備えることを特定したことに伴い、本件訂正前の「開口部」が当該「接続口」であることを明瞭にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項1の3については、「電気掃除機の重心を重力方向におろした線」が「集塵装置の開口部の開口面に交わる」ときの状態について、具体的に「前記集塵装置が前記掃除機本体に装着され、標準吸口を接続した延長管が前記掃除機本体の前記接続口に接続され、前記ハンドル部の前記第2部分の下方の位置に蓄電池が装着されたスティック状態の前記電気掃除機の重心を重力方向におろした線は、前記集塵装置の開口部の開口面が床面と平行となる状態において、前記集塵装置の開口部の開口面に交わる」と特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
新規事項の追加の有無
本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「願書に添付した明細書等」という。)には、
(ア) 集塵装置の開口部の開口面が床面と平行となる状態において、電気掃除機の重心を重力方向におろした線は、集塵装置の開口部の開口面に交わること(【請求項1】、【請求項2】、【0006】)
(イ) 電気掃除機100が、掃除機本体1、ダストケース2(集塵装置)、蓄電池3を備えること(【0012】)、
(ウ) 掃除機本体1が、本体部10、モータケース部11、ハンドル部12を備え、本体部10は、延長管300や標準吸口400が接続される本体部10内への吸込口である接続口10が形成されていること(【0013】、【0014】)、
(エ) モータケース部11には、電動送風機40と本体基板50が内包されていること(【0015】)、
(オ) ハンドル部12は、本体部10の後方に設けられ、略L字状に形成された把持部12aを有し、把持部12aは、前後方向に直線状に延びる第1把持部12a1と、略上下方向に直線状に延びる第2把持部12a2とを有し、第1把持部12a1は、第2把持部12a2よりも上部に配置され、第2把持部12a2は、上下方向に対して上部が前方に向くように傾斜していること(【0016】)、
(カ) ダストケース2は本体部10の下方かつモータケース部11の前方に取り付けられ、ダストケース2の開口部は、掃除機本体1における開口部である接続口10aと同一方向に開口していること(【0026】)、
(キ) モータケース部11内には、電動送風機40の下方に、掃除機本体1を制御する本体基板50(制御基板)が収容されていること(【0028】)、
(ク) 電動送風機40と本体基板50は、上下方向に重なるように配置され、ハンドル部12の第1把持部12a1の下方に位置し、使用者が把持部12a1を握って操作する場合、電気掃除機100の重心が第1把持部12a1の下方近傍になること(【0031】)、
(ケ) 蓄電池3は、ハンドル部12の第2把持部12a2の下方に配置され、電気掃除機100の後端に設けられること(【0034】)、
(コ) 電気掃除機100の重心に近い位置が電動送風機40及び蓄電池3の位置であること(【0090】)、
(サ) 電気掃除機100の先端に延長管300を接続し、延長管300の先に標準吸口400を接続したスティック状態において、電気掃除機100の重心Gが図21に示された位置にあり、重心Gが使用者の手元に近くなるので、床面より高い場所を掃除する場合であっても掃除し易くなること(【0009】、【0096】)、
が記載されている。
また、図4に、
(シ) ハンドル部12の第1把持部12a1の下方に電動送風機40が位置し、電動送風機40の後方にハンドル部12の第2把持部12a2が位置し、ハンドル部12の第2把持部12a2の下方に蓄電池3が位置すること、
が記載されている。

(図4)

(図21)

このように、願書に添付した明細書等には、図4に示されるような、掃除機本体1(本体部10(接続口10aが形成されている。)、モータケース部11(電動送風機40を内包する。)、ハンドル部12)、ダストケース2、蓄電池3等を特定の配置で備える電気掃除機100が記載されている。
掃除機本体1は、図4に示されるようなハンドル部12を有しており、「略L字状に形成された把持部12a」を有するから(前記(オ))、ハンドル部12は、第1把持部12a1(第1部分)と第2把持部12a2(第2部分)とが連続的に接続されたものであることがわかる。
そして、この電気掃除機100について、図21に示されるような、掃除機本体1の接続口10aに延長管300や標準吸口400を接続し、ハンドル部12の第2把持部12a(第2部分)の下方の位置に蓄電池3を装着したスティック状態において(前記(ウ)、(サ))、電気掃除機100の重心Gが図21に示された位置にあることが示されている。
また、図21の記載内容に基づくと、仮に、ダストケース2(集塵装置)の開口部の開口面が床面と平行となる状態にした場合に、電気掃除機100の重心Gを重力方向におろした線は、ダストケース2(集塵装置)の開口部の開口面に交わるものと認められる。
特に、電気掃除機としてみた場合に、その動作上、図4、21に示される具体的構成のすべてを要するものではないことは明らかで、各部材が発揮する機能を踏まえると、前記(イ)〜(オ)、(ク)、(シ)から、願書に添付した明細書等には、技術思想として、「電動送風機と、接続口と、前記電動送風機の上方に配置され前後方向に延びる第1部分と前記電動送風機の後方に配置され上下方向に対して上部が前方に向くように傾斜した第2部分とが連続的に接続されたハンドル部とを備える掃除機本体」を備えた「電気掃除機」(訂正事項1の1)が記載されているといえ、前記(カ)から、「集塵装置の開口部」が「前記掃除機本体の前記接続口と同一方向に開口(する)」点(訂正事項1の2)が記載されているといえ、前記(ウ)、(カ)、(ケ)、(サ)から、「前記集塵装置が前記掃除機本体に装着され、標準吸口を接続した延長管が前記掃除機本体の前記接続口に接続され、前記ハンドル部の前記第2部分の下方の位置に蓄電池が装着されたスティック状態」の「電気掃除機」(訂正事項1の3)が記載されているといえる。
電気掃除機の重心に関してみれば、送風機、蓄電池の影響は大きく(前記(コ))、標準吸口を接続した延長管の影響も相応であることは明らかであるから、これらの部材の位置が本件訂正後の請求項1のように特定されているならば、電気掃除機の重心は、概ね、図21に示された位置となるものと解される。
そして、電気掃除機の重心が当該位置となれば、ダストケース2(集塵装置)の開口部の開口面が床面と平行となる状態にした場合に、「電気掃除機の重心を重力方向におろした線は、前記集塵装置の開口部の開口面が床面と平行となる状態において、前記集塵装置の開口部の開口面に交わる」ものと認められる(訂正事項1の3)。
そうすると、訂正事項1(訂正事項1の1〜1の3)に係る本件訂正は、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、新規事項を追加するものではない。
なお、異議申立人は、願書に添付した明細書等に記載された電気掃除機について、蓄電池が掃除機本体の後端に配置されている点、電動送風機の下方に本体基板が配置され、本体基板の後方に蓄電池が配置されている点に関し主張しているが(令和4年2月17日付け意見書6頁)、重心との関係で、ハンドル部12の第2把持部12a2の下方に蓄電池が配置されていることが重要で、当該電気掃除機の後端に配置することまでは要しないことは、願書に添付した明細書等の記載から明らかである。また、当該電気掃除機の動作上、そのような位置に本体基板が配置されたものに限定されないことは明らかであるし、電気掃除機の重心に与える影響を考慮すると、重心との関係でも、そのような位置に本体基板が配置されたものに限定されないものと認められる。であるから、願書に添付した明細書等には、当該事項について特定されていない電気掃除機が記載されているものと認められる。
ウ また、訂正事項1に係る本件訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。

(2) 訂正事項2について
ア 訂正の目的
(ア) 訂正事項2は、以下の事項を含む(以下、それぞれ、「訂正事項2の1」、「訂正事項2の2」、「訂正事項2の3」という。)。
(訂正事項2の1)
本件訂正前の請求項2における「電動送風機と吸込口とを備える掃除機本体」について、「電動送風機と、吸込口と、前記電動送風機の上方に配置され前後方向に延びる第1部分と前記電動送風機の後方に配置され上下方向に対して上部が前方に向くように傾斜した第2部分とが連続的に接続されたハンドル部とを備える」と訂正する。
(訂正事項2の2)
本件訂正前の請求項2における「集塵装置の開口部」について、「前記掃除機本体の前記吸込口と同一方向に開口(する)」と訂正する。
(訂正事項2の3)
本件訂正前の請求項2における「電気掃除機の重心を重力方向におろした線」と「集塵装置の開口部の開口面」の関係について、「前記集塵装置が前記掃除機本体に装着され、標準吸口を接続した延長管が前記掃除機本体の前記接続口に接続され、前記ハンドル部の前記第2部分の下方の位置に蓄電池が装着されたスティック状態の前記電気掃除機の重心を重力方向におろした線は、前記集塵装置の開口部の開口面が床面と平行となる状態において、前記集塵装置の開口部の開口面に交わる」と訂正する。
(イ) まず、訂正事項2の1については、「掃除機本体」が「電動送風機」と「吸込口」に加えて、「前記電動送風機の上方に配置され前後方向に延びる第1部分と前記電動送風機の後方に配置され上下方向に対して上部が前方に向くように傾斜した第2部分とが連続的に接続されたハンドル部」を備えることを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
次に、訂正事項2の2については、本件訂正前の「開口部」が「吸込口」であることを明瞭にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項2の3については、「電気掃除機の重心を重力方向におろした線」が「集塵装置の開口部の開口面に交わる」ときの状態について、具体的に「前記集塵装置が前記掃除機本体に装着され、標準吸口を接続した延長管が前記掃除機本体の前記接続口に接続され、前記ハンドル部の前記第2部分の下方の位置に蓄電池が装着されたスティック状態の前記電気掃除機の重心を重力方向におろした線は、前記集塵装置の開口部の開口面が床面と平行となる状態において、前記集塵装置の開口部の開口面に交わる」と特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
新規事項の追加の有無
願書に添付した明細書等には、前記(1)イ(ア)〜(シ)の事項が記載されているところ、既に述べたとおり(前記(1)イ)、願書に添付した明細書等には図4に係る電気掃除機100が記載され、スティック状態における重心Gが図21に示された位置にあることが示され、仮に、ダストケース2(集塵装置)の開口部の開口面が床面と平行となる状態にした場合に、電気掃除機100の重心Gを重力方向におろした線は、ダストケース2(集塵装置)の開口部の開口面に交わるものと認められる。
そして、訂正事項1と同様の理由により(前記(1)イ)、願書に添付した明細書等には、「電動送風機と、吸込口と、前記電動送風機の上方に配置され前後方向に延びる第1部分と前記電動送風機の後方に配置され上下方向に対して上部が前方に向くように傾斜した第2部分とが連続的に接続されたハンドル部とを備える掃除機本体」を備えた「電気掃除機」(訂正事項2の1)、「集塵装置の開口部」が「前記掃除機本体の前記吸込口と同一方向に開口(する)」点(訂正事項2の2)、「前記集塵装置が前記掃除機本体に装着され、標準吸口を接続した延長管が前記掃除機本体の前記接続口に接続され、前記ハンドル部の前記第2部分の下方の位置に蓄電池が装着されたスティック状態」の「電気掃除機」(訂正事項2の3)が、それぞれ、記載されているといえる。
さらに、訂正事項1と同様の理由により(前記(1)イ)、ダストケース2(集塵装置)の開口部の開口面が床面と平行となる状態にした場合に、「電気掃除機の重心を重力方向におろした線は、前記集塵装置の開口部の開口面が床面と平行となる状態において、前記集塵装置の開口部の開口面に交わる」ものと認められる(訂正事項2の3)。
そうすると、訂正事項2(訂正事項2の1〜2の3)に係る本件訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、新規事項を追加するものではない。
ウ また、訂正事項2に係る本件訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。

(3) 訂正事項3について
訂正事項3に係る本件訂正は、訂正事項1に係る本件訂正に合わせて、明細書の【課題を解決する手段の欄】(【0006】)の記載を訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項3に係る本件訂正は、訂正事項1と同様の理由により(前記(1)イ)、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。

(4) 本件訂正(訂正事項1〜3)は、訂正前の請求項〔1〜4〕という一群の請求項ごとに請求されたものである。

(5) 請求項3に係る発明の独立特許要件について
ア 前記(2)のとおり、訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮を目的とする事項を含み、本件訂正後の請求項3は、本件訂正後の請求項2を引用するものであるから、実質的に、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正がされたものである。
そして、本件訂正前の請求項3は特許異議の申立てがされていない請求項であるから、本件訂正後の請求項3に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなくてはならない(特許法120条の5第9項において準用する同法126条7項)。
イ そこで、本件訂正後の請求項3に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討するに、まず、後記第5のとおり、本件訂正後の請求項2に係る発明に関し、本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないとは認められないから、本件訂正後の請求項2に係る発明を特定するための事項をすべて含む、本件訂正後の請求項3に係る発明に関し、同様の理由により、本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないとは認められない。
また、後記第6・3と同様の理由により、本件訂正後の請求項3に係る発明は、甲1発明、甲2発明、甲3〜8に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。
そして、後記第6・4と同様の理由により、請求項3に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではないとは認められず、請求項3に係る発明に関し、発明の詳細な説明は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないとは認められない。
その他、本件訂正後の請求項3に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないとする理由は特段認められない。
そうすると、本件訂正後の請求項3に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであると認められる。

(6) まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号及び3号に掲げる事項を目的とするものであって、同条4項、同条9項において準用する同法126条4〜7項の規定に適合するので、訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜4〕について訂正することを認める。

第3 本件発明
前記第2のとおり本件訂正は認められるから、請求項1〜4に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された事項により特定される次のとおりである。以下、請求項1、2、4に係る発明を、請求項の番号に従って「本件発明1」などという。
【請求項1】
電動送風機と、接続口と、前記電動送風機の上方に配置され前後方向に延びる第1部分と前記電動送風機の後方に配置され上下方向に対して上部が前方に向くように傾斜した第2部分とが連続的に接続されたハンドル部とを備える掃除機本体と、
前記掃除機本体における前記電動送風機の前方に着脱可能な集塵装置と、を備えた電気掃除機において、
前記集塵装置は一端に蓋体を有し、
前記蓋体は前記集塵装置の開口部を開閉可能に前記集塵装置に軸支されており、
前記集塵装置が前記掃除機本体に装着された状態で、前記蓋体の開閉が可能であり、
前記集塵装置が前記掃除機本体に装着された状態であって、かつ前記蓋体が開いた状態における前記集塵装置の開口部は、前記掃除機本体の前記接続口と同一方向に開口し、
前記集塵装置の第1の旋回する流れの軸方向は前記集塵装置の開口部の開口面と略垂直であって、
前記集塵装置が前記掃除機本体に装着され、標準吸口を接続した延長管が前記掃除機本体の前記接続口に接続され、前記ハンドル部の前記第2部分の下方の位置に蓄電池が装着されたスティック状態の前記電気掃除機の重心を重力方向におろした線は、前記集塵装置の開口部の開口面が床面と平行となる状態において、前記集塵装置の開口部の開口面に交わることを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
電動送風機と、吸込口と、前記電動送風機の上方に配置され前後方向に延びる第1部分と前記電動送風機の後方に配置され上下方向に対して上部が前方に向くように傾斜した第2部分とが連続的に接続されたハンドル部とを備える掃除機本体と、前記掃除機本体における前記電動送風機の前方に着脱可能な集塵装置と、前記集塵装置と前記吸込口とを連通する導入管を備え、前記導入管は前記集塵装置の側方に配置し、前記導入管を覆うケース本体を備えた電気掃除機において、
前記集塵装置は一端に蓋体を備え、前記蓋体はロック機構により開閉可能に軸支されており、
前記ロック機構は前記ケース本体側に位置し、前記集塵装置が前記掃除機本体に装着された状態で、前記蓋体の開閉が可能であり、
前記集塵装置が前記掃除機本体に装着された状態であって、かつ前記蓋体が開いた状態における前記集塵装置の開口部は、前記掃除機本体の前記吸込口と同一方向に開口し、
前記集塵装置の第1の旋回する流れの軸方向は前記集塵装置の開口部の開口面と略垂直であって、
前記集塵装置が前記掃除機本体に装着され、標準吸口を接続した延長管が前記掃除機本体の前記吸込口に接続され、前記ハンドル部の前記第2部分の下方の位置に蓄電池が装着されたスティック状態の前記電気掃除機の重心を重力方向におろした線は、前記集塵装置の開口部の開口面が床面と平行となる状態において、前記集塵装置の開口部の開口面に交わることを特徴とする電気掃除機。
【請求項3】
請求項2に記載の電気掃除機において、
前記ロック機構は前記蓋体を解除するボタンを備え、
前記ボタンは前記掃除機本体の側方から臨めるように位置し、かつ前記集塵装置及び前記ケース本体よりも突出しないことを特徴とする電気掃除機。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の電気掃除機において、
前記集塵装置は、前記蓋体を開いた際に塵埃を押し出すことを特徴とする電気掃除機。

第4 取消理由の概要
本件特許に対し通知した取消理由(決定の予告)は、概ね、次のとおりである。すなわち、本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、本件特許は、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものである。

第5 取消理由について
1 本件補正は、本件発明1、2、4において、「前記集塵装置の開口部の開口面が床面と平行となる状態において、前記電気掃除機の重心を重力方向におろした線は、前記集塵装置の開口部の開口面に交わる」点を特定するものである。
そして、本件訂正により、「掃除機本体」について「電動送風機と、接続口と、前記電動送風機の上方に配置され前後方向に延びる第1部分と前記電動送風機の後方に配置され上下方向に対して上部が前方に向くように傾斜した第2部分とが連続的に接続されたハンドル部とを備える」点(請求項1)、「電動送風機と、吸込口と、前記電動送風機の上方に配置され前後方向に延びる第1部分と前記電動送風機の後方に配置され上下方向に対して上部が前方に向くように傾斜した第2部分とが連続的に接続されたハンドル部とを備える」点(請求項2)が特定された上で、「電気掃除機の重心を重力方向におろした線」が「集塵装置の開口部の開口面に交わる」ときの状態に係る事項が、「前記集塵装置が前記掃除機本体に装着され、標準吸口を接続した延長管が前記掃除機本体の前記接続口に接続され、前記ハンドル部の前記第2部分の下方の位置に蓄電池が装着されたスティック状態の前記電気掃除機の重心を重力方向におろした線は、前記集塵装置の開口部の開口面が床面と平行となる状態において、前記集塵装置の開口部の開口面に交わる」とされた。

2 他方、当初明細書等には、願書に添付した明細書等に記載された前記第2・2(1)イ(イ)〜(シ)と同じ事項が記載されている。
そして、当該「電気掃除機の重心を重力方向におろした線」が「集塵装置の開口部の開口面に交わる」ときの状態に係る事項については、本件訂正と同様の理由により(前記第2・2(1)イ)、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、新規事項を追加するものではない。

3 以上のとおりであるから、取消理由は解消された。

第6 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議の申立ての理由について
1 本件訂正前の本件特許に対する取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議の申立ての理由は、概ね、次のとおりである。
(1) 理由1
本件発明1は、甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
また、本件発明4は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術(甲第2、3、6号証)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。

(2) 理由2
本件発明1は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術(甲第3〜8号証)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
また、本件発明4は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術(甲第2〜8号証)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。

(3) 理由3
本件発明1、4は、甲第2号証に記載された発明及び周知技術(甲第1、3、4、6〜8)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。

(4) 理由4
本件発明1は、発明の詳細な説明に記載したものでないから、本件発明1に係る本件特許は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。
また、本件発明1について、本件明細書の発明の詳細な説明は、その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、本件発明1に係る本件特許は、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。

2 証拠方法
特許異議申立人が提出した証拠方法は、以下のとおりである。
甲第1号証:米国特許公開第2007/0271724号明細書
甲第2号証:韓国公開特許第10−2015−0125223号公報
甲第3号証:特開2016−136982号公報
甲第4号証:特開2004−290212号公報
甲第5号証:特開2013−111333号公報
甲第6号証:特開2016−13262号公報
甲第7号証:特開2015−144785号公報
甲第8号証:特開2012−50564号公報
以下、証拠番号に従って、「甲1」などという。

3 理由1、2(29条2項)について
(1) 甲1について
ア 甲1には、以下の事項が記載されている(訳は、添付訳文による。以下同様。)
・「[0001] This invention relates to a hand held vacuum cleaner comprising a housing supporting a motor-fan unit, adust container and an air passage ending in the dust container through which dust laden air is directed into the dust container, the vacuum cleaner also comprising at least one filter arranged after the dust container as seen in the flow direction, the dust container constituting a part of a cyclone separator arranged between the air passage and the filter.」([0001] 本発明は、モーターファンユニットを支持するハウジングと、ダストコンテナと、ダストコンテナで終わる空気通路とを備え、ダストを含んだ空気がダストコンテナに導かれるハンドヘルド真空掃除機に関する。この真空掃除機は、流れ方向で見て、ダストコンテナの後に配置された1つのフィルターを有し、ダストコンテナが空気通路とフィルターとの間に配置されたサイクロンセパレーターの一部を構成する。)
・「[0007] As appears from FIG. 1 the shown vacuum cleaner comprises an elongated shaft part 10 in which a hand held vacuum cleaner 11 is removably arranged. The lower end of the shaft part supports a floor nozzle 12 enclosing an electrically driven brush roll 13, not described in detail, and which is turnably secured to the shaft part 10. The nozzle has an elongated suction opening 14 extending in the length direction of the nozzle and the suction opening is via a flexible tube passage 15 connected to the hand held vacuum cleaner 11 in a manner which will be described below. The upper portion of the shaft part 10 is shaped as a handle 16 and has an operating knob 17 that via an electric circuit, not shown in detail, is connected to the hand held vacuum cleaner when it is secured to the shaft part. The shaft part might also enclose one or several batteries 18 which are connected to the electric circuit.」([0007] 図1から明らかなように真空掃除機は、ハンドヘルド真空掃除機11が取り外し可能に配置される細長いシャフト部分10を含む。シャフト部分の下端は、詳細には説明しない電動ブラシロール13を取り囲むフロアノズル12を支持し、シャフト部分10に回転可能に固定されている。ノズルは、ノズルの長さ方向に延びる細長い吸引開口部14を有し、吸引開口部は、後述する方法で可撓性チューブ通路15を介して携帯型真空掃除機11に接続されている。シャフト部分10の上部はハンドル16の形をしており、詳細に示されていない電気回路を介してハンドヘルド真空掃除機がシャフト部分に固定されているときに接続される操作ノブ17を有する。また、シャフト部分は、電気回路に接続された1つまたは複数のバッテリー18を囲んでもよい。)
・「[0009] The hand held vacuum cleaner 11 comprises a housing 20 with a handle 21 and the housing encloses a motor-fan unit 22 driven by one or several batteries 23 placed in the handle 21. The motor-fan unit is controlled by means of a control knob 24 placed at the handle and the part of the electric circuit which is placed in the hand held vacuum cleaner is via a connection 25 connected to the part of the circuit which is placed in the shaft part 10 when the hand held vacuum cleaner is fixed to the shaft part 10. The housing is provided with several openings 26 through which the air flowing through the fan unit leaves the housing. The housing also has an inlet channel 27 extending from the front part of the housing to an outlet opening 28 arranged at the middle part of the housing. In the channel 27 a tube part 29 is slidably arranged the outer end of the tube part being shaped as a nozzle. When the hand held vacuum cleaner is fastened to the shaft part the tube part 29 is pushed into the channel 27 and is thereby a direct continuation of the tube passage 15 of the shaft part. The tube part can also be pulled out to an extended position and by means of a retaining mechanism, not shown, be locked temporarely in the extended position.」([0009] ハンドヘルド真空掃除機11は、ハンドル21を備えたハウジング20を備え、ハウジングは、ハンドル2lに配置された1つまたは複数のバッテリー23によって駆動されるモーターファンユニット22を囲んでいる。モーターファンユニットは、ハンドルに配置された制御ノブ24によって制御され、ハンドヘルド真空掃除機に配置された電気回路の一部は、接続部25を介して、ハンドヘルド真空掃除機がシャフト部分10に固定されているときにシャフト部分10に配される回路の一部に接続される。ハウジングには、モーターファンユニットを通って流れる空気がハウジングから出るいくつかの開口部26が設けられている。また、ハウジングは、ハウジングの前部からハウジングの中間部に配された出口開口部28まで延びる入口チャネル27を有する。チャネル27内には、管部29が滑動可能に配置されており、管部分の外端はノズルとして成形されている。ハンドヘルド真空掃除機がシャフト部分に固定されると、管部29はチャネル27に押し込まれ、それによってシャフト部分の管通路15と直接接続する。また、管部分は、伸張位置に引き出され、図示されていない保持機構によって、伸張位置で一時的にロックされる。)
・「[0010] The housing is provided with a recess 30 in which a dust container 31 is removably arranged the dust container being removed by means of locking knobs 32 arranged at each side of the container. The dust container 31 is shaped as an elongated body with an open end and is partly made of transparent material. Close to the open end of the dust container there is an inlet 33 that is coaxially to the outlet opening 28 of the channel 27. The open end is partly covered by a filter liner 34 that follows the dust container when it is removed from the housing but which is removably arranged with respect to the dust container. The filter liner comprises a collar shaped portion 35 resting against a seat arranged at the wall of the dust container the collar shaped portion continuing into a sleeve shaped portion 36 centrally arranged in the dust container. The sleeve shaped portion has a flange 37 overbridging the distance between the sleeve shaped portion 36 and the surrounding container wall and extends around a part of the circumference of the sleeve shaped portion. The part 38 of the sleeve shaped portion which is placed at one side of the flange 37 is together with the collar shaped portion 35 made by homogenous material whereas the part which is placed at the other side of the flange comprises a grating structure which is covered by a coarse filter 39 that also extends over the end 40 of the sleeve shaped portion. The coarse filter 39 preferably comprises a washable fine meshed plastic net. Further the filter liner 34 is provided with a radially extending wall 41 that stretches between the flange 37 and the collar shaped portion 35 close to the inlet 33. The wall 41 prevents the dust in the dust container from falling out through the inlet 33 if the vacuum cleaner should be turned up-side-down and also limits an annular flow channel around a part of the circumference of the filter liner 34. When dust laden air flows through this channel it contributes to the creation of a vortex in the dust container which will thus operate as a cyclone separator in which larger particles are separated from the air flow at the same time as the process is visualized through the transparent container wall. Thus, the cyclone prevents the filter from being clogged by means of larger dust particles and dirt. By means of the transparent container wall it is also possible to see the dust level in the container and hence also to establish when it is time to empty the container.」([0010] ハウジングには、ダストコンテナ31が取り外し可能に配される凹部30が設けられており、ダストコンテナは、コンテナの各側に配されたロックノブ32によって取り外される。ダストコンテナ31は、端部が開口した長尺体であり、一部が透明な素材で形成されている。ダストコンテナの開口端の近くに、チャネル27の出口開口部28と同軸の入口33がある。開口端は、ダストコンテナがハウジングから取り外されたときにダストコンテナに装着されているフィルターライナー34によって部分的に覆われており、フィルターライナー34はダストコンテナに対して取り外し可能に配置されている。フィルターライナーは、ダストコンテナの壁に配置されたシートに当接するカラー形状部分35を含み、カラー形状部分は、ダストコンテナの中央に配置されたスリーブ形状部分36に連続している。スリーブ形状部分は、スリーブ形状部分36と周囲の容器壁との間の距離に跨るフランジ37を有し、スリープ形状部分の周囲の一部の周りに延在する。フランジ37の一方の側に配置されたスリーブ形状部分38は、均質な材料で作られたカラー形状部分35と同一部材であり、フランジの反対側に配置された部分は、スリーブ形状部分の端部40上に延在する粗いフィルター39によって覆われた格子構造を備えている。粗いフィルター39は、洗浄可能な細かいメッシュのプラスチックネットを含むことが好ましい。さらに、フィルターライナー34には、フランジ37と入口33に近いカラー形状部分35との間で伸びる半径方向に延びる壁41が設けられている。壁41は、真空掃除機が逆さまになった場合に、ダスト容器内のダストが入口33を通って落ちるのを防ぎ、また、フィルターライナー34の周囲の一部の周りの環状流路を制限する。ダストを含んだ空気がこのチャネルを流れると、ダストコンテナ内に渦が発生し、大きな粒子が空気流から分離されるサイクロンセパレーターとして機能すると同時に、その過程が透明なコンテナ壁を通して視覚化されるこのように、サイクロンは、より大きなゴミやほこりによってフィルターが詰まるのを防ぐ。透明なコンテナ壁により、コンテナ内の粉塵レベルを確認することもでき、コンテナを空にするタイミングを確認する。」
・「[0012] The dust container has a large emptying opening 46 extending over the entire bottom part of the dust container and the opening is normally covered by a lid 47 supported by a yoke 48 turnably secured at each side of the dust conatiner the yoke being acted on by two springs 49 normally pressing the lid against a sealing 50 surrounding the opening 46.」([0012] ダストコンテナには、ダストコンテナの底部全体に広がる大きな排出開口部46があり、開口部は通常、ダストコンテナの各側に回転可能に固定されたヨーク48によって支持された蓋47によって穫われている。通常、ヨーク48には、開口部46を囲むシーリング50に対して蓋を押している2つのバネ49が作用していることもできる。)
・「[0013] The lid 47 supports a flap 51, that is turnably fastened to the lid 47 by means of dowels 52, and is normally hiding a small, circular emptying opening 53 which is connected to the inside of the dust container. This opening might be covered by a tongue 54 of elastic material which is fastened at one of its sides and rests against a seat 55 surrounding the opening 53 the tongue serving as a check valve that opens when a tube 56 connected to an outer vacuum source is pressed against the seat 55 or is inserted into the opening 53. Instead of using an elastic tongue it is of course possible to provide the seat 55 or the flap 51 with a sealing that prevents air from flowing through the emptying opening 53 into the dust container when the flap is closed.」([0013] 蓋47はフラップ51を支持し、フラップ51はダボ52によって蓋47に回転可能に固定されており、通常、ダストコンテナの内側に接続された小さな円形の排出開口53を隠している。この開口部は、弾性材料の舌部54で覆われていてもよい。この舌部は、その側面の1つで固定され、開口部53を囲むシート55に支えられており、外部吸引源に接続される管56がシート55に押し付けられるか、開口部53に挿入されるときに開くチェックバルブとして機能する。弾性を有する舌部を使用する代わりに、フラップが閉じているときに空気が排出開口53を通ってダストコンテナに流入するのを防止するシールをシート55またはフラップ51に設けることがもちろん可能である。)
・「[0014] The hand held vacuum cleaner is used and operates in the following manner. At normal use the hand held vacuum cleaner 11 is removed from the shaft part 10 after which the tube part 29 is pulled out to the outer position. Then the motor fan unit is started by acting on the operating knob 24. This means that air together with dirt particles are sucked in through the tube part 29 and the inlet channel 27. The dust laden air flows through the outlet opening 28 and the inlet 33 of the dust container 31 after which the dust laden air flows into the channel which is limited by the filter liner 34, the flange 37 and the wall of the dust container and extending around the sleeve sheped portion 36. Thereby a vortex is created in the dust container the vortex separating heavier particles from the air flow such that they can be collected at the bottom of the container. The air then flows further through the coarse filter 39 and the fine filter 43 to the flow passage 44 from which the cleaned air leaves to the inlet opening 45 of the fan unit. After having passed the fan unit the air then leaves to atmosphere via the openings 26.」([0014] ハンドヘルド真空掃徐機は次のように使用され、操作される。通常の使用時には、ハンドヘルド真空掃除機11をシャフト部分10から取り外した後、筒部29を外側位置に引き出す。次に、操作ノブ24を操ることにより、モーターファンユニットが始動する。これは、空気が筒部29および入口流路27を介してダストとともに吸い込まれることを意味する。ダストを含んだ空気は、排出口28とダストコンテナ31の入口33を通って流れ、その後、ダストを含んだ空気は、フィルターライナー34、フランジ37、及びダストコンテナの壁によって制限され、スリーブ形状部分36の周りを延在するチャネルに流入する。これにより、ダストコンテナ内に渦が生成され、この渦により重い粒子が空気流から分離され、容器の底に集められる、次に、空気は、粗いフィルター39および細かいフィルター43を通って流路44にさらに流れ、そこから清浄化された空気がファンユニットの入口開口部45に出る。ファンユニットを通過した後、空気は開口部26を介して大気に放出される。)
・「[0015] In order to empty the hand held vacuum cleaner there are three different alternatives. By manually opening the lid 46 against the action of the springs 49 the operator can uncover the emptying opening 46 and the collected dust is allowed to fall freely out of the opening or to be shaken out through it. This means a quick emptying function whithout the need for removing the dust container from the hand held vacuum cleaner. A second quick emptying alternative is, when the operator uses a lager type of vacuum cleaner during a conventional vacuum cleaning operation, to open the flap 51 and press the inlet opening of the tube handle 56 of the larger vacuum cleaner against the seat 55. This means that the tongue 54 beacause of the vacuum created by the larger vacuum cleaner will uncover the opening 53 and the content in the dust container 31 will be sucked over to the dust container of the larger vacuum cleaner. Thereby also the coarse filter 39 and the fine filter 43 will be cleaned by the air that flows backwards through the hand held vacuum cleaner. A further emptying alternative is to remove the dust container 31 from the housing 20 by acting on the locking knobs 32. Thereby the dust container is removed together with the filter liner 34, the fine filter 43 and the support body 42. By removing the lastmentioned three parts from the dust container it can be emptied and the dust container 31, the filter liner 34 with the coarse filter 39 and the support body 42 can be cleaned separately and a new fine filter 43 can then be applied on the support body 43 before it is again inserted into the filter liner 34. The flat fine filter will then be folded such that it achieves a large filter area. The filter liner 34 can then again be inserted into the dust container 31 before the dust container is locked in the housing 20.」([0015] ハンドヘルド真空掃除機を空にする方法は3つある。バネ49の作用に逆らって蓋46を手動で開くことにより、オペレーターは空にする開口部46を開放することができ、集められた塵は開口部から自由に落下するか、またはそこから振り落とされる。これは、ハンドヘルド掃除機からダストコンテナを取り外す必要がなく、すばやく空にする機能を意味する。迅速に空にするための第2の選択肢は、従来の真空掃除作業中に操作者が大型の掃除機を使用する場合、フラップ51を開き、大型の掃除機の管56の入口開口部をシート55に押し付ける。これは、より大きな真空掃除機によって生成される真空によって舌部54が開口部53を露出させ、ダストコンテナ31内の内容物がより大きな真空掃除機のダストコンテナに吸い込まれることを意味する。これにより、粗いフィルター39と細かいフィルター43も、手持ち型掃除機を通って逆流する空気によって掃除される。さらなる空にする代替案は、ロックノブ32に作用することにより、ハウジング20からダストコンテナ31を取り外すことである。これにより、フィルターライナー34、微細フィルター43、支持体42とともにダストコンテナが取り外される。最後に述べた3つの部品をダストコンテナから取り外すことにより、ダストコンテナを空にすることができ、ダストコンテナ31、粗いフィルター39を備えたフィルターライナー34、および支持体42を個別に清掃し、新しい微細フィルター43を上に取り付けることができる。支持体43がフィルターライナー34に再び挿入される前に、平らな微細フィルターは、フィルターの面積が大きくなるように折り畳まれる。フィルターライナー34は、ダストコンテナがハウジング20にロックされる前に、ダストコンテナ31に再び挿入される。)
・「[0016] The hand held vacuum cleaner 11 can, if the operator so desires, be fixed to the shaft part 10 whereby the tube part 29 is moved to its retracted position at the same time as the electrical circuit of the hand held vacuum cleaner via the connection 25 is connected to the electrical circuit in the shaft part. This means that the motor fan unit of the hand held vacuum cleaner and the electric motor of the brush roll 13 now can be cativated by means of the operating knob 17 whereby additional energy is supplied by means of the batteries 18 in the shaft part. The shaft part can then be used as a normal so called stick cleaner for cleaning larger surfaces such as a floor whereby dust laden air is sucke in through the nozzle 12. This air via the flexible tube passage 15 passes to the inlet channel 27 of the hand held vacuum cleaner after which the dust particles are separated in the dust container 31 in a manner described above.」([0016] 操作者が望むなら、ハンドヘルド真空掃除機11はシャフト部分10に固定することができ、それにより、シャフト部分の電気回路に接続部25を介してハンドヘルド真空掃除機の電気回路が接続されると同時に管部29がその引っ込み位置に移動する。これは、ハンドヘルド掃除機のモーターファンユニットおよびブラシロール13の電気モーターが操作ノブ17によって作動可能であることを意味し、シャフト部分のバッテリー18によって追加のエネルギーが供給される。シャフト部分は、床などの大きな表面を掃除するための通常のいわゆるスティック掃除機として使用でき、これにより、ゴミを含んだ空気がノズル12から吸い込まれる。可撓管通路15を介したこの空気は、手持ち式真空掃除機の入ロチャネル27に通過し、その後、ダスト粒子は、上述の方法でダストコンテナ31内で分離される。)
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イ ハンドヘルド真空掃除機11は、スティック掃除機として使用する場合に、フロアノズル12が可撓性チューブ通路15を介してハウジング20のチャネル27に接続されることから([0007]、[0009])、このチャネル27の先端部位は接続口ということができる。
また、図6において、ダストコンテナ31がハウジング20に装着された状態であって、かつ蓋47が開いた状態におけるダストコンテナ31の排出開口部46は、ハウジング20の斜め上方に開口している点が見て取れる。
そして、ダストコンテナ31内に渦が発生するところ([0010]、[0014])、この渦の軸方向はダストコンテナ31の排出開口部46の開口面に対し傾斜していると認められる。
さらに、ハンドヘルド真空掃除機11はシャフト部分10を固定し、スティック掃除機として使用する状態があるといえる([0016]、図1、2)。
そうすると、甲1に記載された事項から、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
(甲1発明)
「モーターファンユニット22と、接続口と、前記モーターファンユニット22の後方に配置されるハンドル21とを備えるハウジング20と、
前記ハウジング20における前記モーターファンユニット22の前方に取り外し可能なダストコンテナ31と、を備えたハンドヘルド真空掃除機11において、
前記ダストコンテナ31は一端にフラップ51を支持する蓋47を有し、
前記蓋47は前記ダストコンテナ31の排出開口部46を開閉可能に前記ダストコンテナ31に回転可能に固定されたヨーク48によって支持されており、
前記フラップ51は、外部真空源に流体接続されるような排出開口53を隠しており、
前記ダストコンテナ31が前記ハウジング20に装着された状態で、前記蓋47の開閉が可能であり、
前記ダストコンテナ31が前記ハウジング20に装着された状態であって、かつ前記蓋47が開いた状態における前記ダストコンテナ31の排出開口部46は、前記ハウジング20の斜め上方に開口し、
前記ダストコンテナ31の渦の軸方向は前記ダストコンテナ31の排出開口部46の開口面に対し傾斜しており、
前記ダストコンテナ31が前記ハウジング20に装着され、フロアノズル12が可撓性チューブ通路15を介して前記ハウジング20の前記接続口に接続され、上部がハンドル16の形をしたシャフト部分10が前記ハウジング20に固定され、前記ハンドル21にバッテリー23が配置され、前記シャフト部分10にバッテリー18が配置されたスティック掃除機として使用する状態を有するハンドヘルド真空掃除機11。」

(2) 甲3〜8について
ア 甲3について
甲3には、以下の事項が記載されている。
・「【0008】
そこで、本発明の目的は、スティック型・ハンディ型両用可能で、吸引力を維持できるサイクロン式の集塵装置を備えた、小型軽量で使い勝手の良い電気掃除機を提供することにある。」
・「【0018】
…図1に示す100は電気掃除機であり、6は充電台である。電気掃除機100は、掃除機本体1と、吸口体3と、集塵装置12と、を有している。吸口体3は、掃除機本体1の下部先端に着脱可能に設けられている。集塵装置12 は、掃除機本体1の後部に着脱可能に設けられている。」
・「【0020】
掃除機本体1は、モータケース部7と蓄電池ケース部8とパイプケース部4と、導入管ケース部14と、を有するケース本体50と、ハンドル2と、を備える。」
・「【0021】
モータケース部7は略円筒形状の部分である。蓄電池ケース部8は略箱形状の部分である。パイプケース部4は、略筒形状の部分である。モータケース部7には電動送風機17(図7参照)を内包している。蓄電池ケース部8には蓄電池18(図7参照)を内包している。パイプケース部4には伸縮パイプ5を内包することができる。導入管ケース部14には導入管160を内包している。」
・「【0047】
…集塵装置12は、吸口体3または吸込口15から吸込んだ塵埃を含む空気を、塵埃と空気とに分離し、塵埃を集める機能をもつ。」
・「【0049】
集塵装置12は概ね、外筒128、内筒129、捕塵フィルタ130、捕塵フィルタ130を収納するフィルタケース131、上蓋132及び底蓋133で形成されている。…」
・「【0053】
前述したように、傘部139を下部円筒129bに内包し、上下方向に摺動する摺動機構を設けることにより、ごみ捨て時に塵埃を排出し易くなる。傘部139は、吸引時などのごみ捨て時以外は下部円筒129b内に収まっており、ごみ捨て時に下方へ摺動することで、集塵装置12内の塵埃を押し出す。」
・「【0058】
…外筒128について、図15乃至図18を用いて説明する。図15は外筒128の底蓋133を開いた状態の正面図、図16は外筒128の底蓋133を開いた状態の右側面図、図17は図16におけるC−C断面図、図21は図19におけるD−D断面図である。」
・「【0075】
底蓋133が開くと同時に、バネ145によって傘部139及び筒体140が下向きに飛び出す。これにより、傘部139は、底蓋133が閉じた状態よりも底蓋133が開いた状態の方が、外筒128の下面の開口寄りの位置となる。この傘部139の摺動により、捕集した塵埃を下方に押し出す。」
・「【0088】
一方、遠心力で分離された塵埃は、重力と一部の空気流により外筒128と下部円筒129bとの間を通り、塵埃収容部135内に搬送される。このとき、塵埃には遠心力が働いているため、塵埃収容部135内で旋回する(流れ204)。…」
・「【図3】


・「【図7】


・「【図16】


・「【図28】


イ 甲4について
甲4には、以下の事項が記載されている。
・「【0020】
本実施形態の電気掃除機は、図1〜図4に示すように、キャニスタータイプの掃除機本体1の前部に、サイクロン式の集塵装置2が上方から挿入されることにより着脱自在に設けられ、掃除機本体1の後部には電動送風機3が内蔵されている。…」
・「【0023】
一方、図5〜図19等に示すように、集塵装置2は、図8に示す如く横断面形状が略Dカット形状に形成されたダストボックス10の内側に、第1サイクロン筒体となる略円筒状の外側フィルタフィクスチャ(フィルタ枠体)11と、第2サイクロン筒体となる内側フィルタフィクスチャ12が配置されており、ダストボックス10は内部に溜まった塵埃や塵埃の旋回が外から見えるように透明又は半透明の合成樹脂などで形成されている。」
・「【0026】
また、図12に示すように、上記メッシュ14は、外側フィルタフィクスチャ11に巻き始め部14cより貼り付けられ、巻き終わり部14dは巻き始め部14cの外側に矢印で示すサイクロン風(旋回流)の風の流れに対して順方向になるように貼り付けられている。…」
・「【0043】
また、図6等に示すように、ダストボックス10の底部には、吸気管15の下部に設けられたヒンジ(開閉支点)42により開閉自在に構成された底蓋43が取り付けられている。この底蓋43は、ダストボックス10の後面側の取手部44の上部に設けられたボタン45を押すことにより、取手部44に内装されて上記ボタン45に連動するクランプ等が底蓋43側の係止爪等より外れて、図19に示すようにダストボックス10の下端開口46を開放するようになっている。…」
・「【0046】
掃除機本体1の外部から吸引される塵埃を含む空気は、図3に示されるように、連結口4から吸気管15を通してダストボックス10内に入り、ダストボックス10の内壁に沿って旋回する。…」
・「【図19】


ウ 甲5について
甲5には、以下の事項が記載されている。
・「【0001】
本発明は、電気掃除機に関するもので、特に、サイクロン式電気掃除機の集塵装置に関するものである。」
・「【0014】
図1において、掃除機本体1と、掃除機本体1の下方に設けた吸入口1aに接続される塵埃を吸引する開口部(図示せず)を有する吸込具2からなり、前記掃除機本体1には、塵埃を吸引するための電動送風機5、塵埃を集塵する集塵装置6が内蔵されている。…」
・「【0015】
…図2、3において集塵装置6は、構成部品を大きく分けると、外郭はダストボックス本体15と、ダストボックス本体15の上面を塞ぐように構成された上部カバー8と、上部カバー8に備え付けられたハンドル9と、ダストボックス本体15の下面を塞ぐように設けられた底ブタ17とから構成される。」
・「【0017】
図4は、図2におけるA−A断面図を示すものである。図4に示すように、底ブタ17は爪17aが開き、ロックが外れて、開閉できる構成となっており、スライダー16を押すと爪17aが開き、底ブタ17が開放される。…」
・「【0020】
…吸気口B23に吸い込まれた空気は図5に示す一次フィルター14の外周とダストボックス本体15で形成されるサイクロン空間24に流れ、そこに発生する旋回流により綿ごみを主とした塵埃と細塵を含んだ空気とに遠心分離される。…」
・「【図2】


・「【図4】


エ 甲6について
甲6には、以下の事項が記載されている。
・「【0008】
前記課題を解決するため、本発明の電気掃除機は、塵埃を含む空気を吸い込む本体吸気口と吸引力を発生する電動送風機とを備える掃除機本体と、前記本体吸気口と前記電動送風機との間に着脱自在な集塵装置とを具備し、該集塵装置は、外殻を形成する略円筒状の外筒と、該外筒内に同心上に設けられる内筒と、前記外筒の下部に設けられる開閉可能な底蓋とを備え、…」
・「【0012】
電気掃除機Sは、掃除機本体1と、掃除機本体1に着脱自在に設けられるサイクロン方式の集塵装置10とを備えている。」
・「【0020】
…集塵装置10は、吸口体7で吸込んだ塵埃などのごみを含む空気をごみと空気とに分離し、ごみを収容するものである。」
・「【0036】
集塵装置10は、概ね外筒30、内筒40、捕塵フィルタ32(図4参照)を収納するフィルタケース33、および底蓋31で形成されている。外筒30の上部にフィルタケース33、下部に底蓋31が配置されている。そして、外筒30内に外筒30と同心状に内筒40を備えている。」
・「【0041】
絞り部38bの形状により、導入管出口12から集塵装置10の外筒30内に流入する空気は、外筒30の中心軸O(集塵装置10の中心軸)廻りの気流となり、中心軸Oを中心として時計廻りに外筒30内を旋回する。この旋回する気流により、塵埃分離部10Aにおいて、空気に含まれる塵埃が遠心力によって分離される。」
・「【0079】
内傘部45は、吸口体7からのごみの吸引時などのごみ捨て時以外は傘部44内に収ま
っている。内傘部45は、ごみ捨て時に圧縮ばね47の伸長方向の弾性力により下方へ摺
動し、外筒30内の塵埃を下方の外部空間(ごみ箱など)に向けて押し出す。」
・「【図4】


・「【図5】


オ 甲7について
甲7には、以下の事項が記載されている。
・「【0017】
…本発明の電気掃除機100は、掃除機本体10と、掃除機本体10に着脱可能に装着されるダストカップユニット20と、バッテリーBとを備える。」
・「【0038】
ダストカップ21は、底壁21aおよび周囲壁21bを有する円筒形に形成され、…」
・「【0047】
<電気掃除機の全体構成>
このように構成された実施形態1の電気掃除機100は、図3に示すように、上方および側方から視て、集塵部としてのダストカップ21、フィルターとしての第2フィルター部23、電動送風機MおよびバッテリーBが前方からこの順に略直線的に並んで配置されている。」
・「【0048】
また、この電気掃除機100において、円弧形状のハンドル11hの下方に重量物である電動送風機MおよびバッテリーBが配置されているため、ハンドル11hの円弧形状の中心軸P付近、すなわち、左右カバー部材11fの円盤形状部11f1の中心軸P付近が電気掃除機100の重心となっている。」
・「【0057】
図10(A)〜(C)のように、本発明の電気掃除機100において、ハンドル11hは、掃除機本体10の中心軸P付近の重心点を通る重心線上にユーザーの手が配置される円弧形状に形成されている。」
・「【図3】


・「【図10】


カ 甲8について
甲8には、以下の事項が記載されている。
・「【0028】
掃除機1は、掃除機本体2と、掃除機本体2から前方へ延びる延長管3と、延長管3の先端に取り付けられた吸込具4とを有している。…掃除機本体2は、中空の略円筒状をなす本体部5を備えている。」
・「【0029】
本体部5は、その内部に収納される電動送風機6と、電動送風機6の前方において取り外し可能に設けられた集塵部7とを備えている。掃除機本体2では、重量物である電動送風機6を含む本体部5が重心となる。」
・「【0035】
集塵部7は、集塵ケース18と、ガイド部材19と、ホルダ20と、フィルタ21とを含んでいる。
集塵ケース18は、本体部5の中心軸Jと同軸をなす細長い円筒状のカップであって、前端面は塞がれていて、後端面は開放されている。…」
・「【0076】
また、メインハンドル30およびサブハンドル31は、重心となる本体部5を挟んで対称に配置されているので、どちらのハンドルを把持しても、電動送風機6の自重によって、把持したハンドルの下方に本体部5がくる。これにより、ハンドルを把持した手の下方に掃除機本体2の重心が位置するので、掃除機本体2を安定した状態で移動させることができる。」
・「【図1】


・「【図2】


・「【図4】



(3) 本件発明1について
ア 対比
(ア) 本件発明1と甲1発明とを、その有する機能に照らして対比すると、甲1発明の「モーターファンユニット22」は、本件発明1の「電動送風機」に相当し、以下同様に、「接続口」、「ハンドル21」、「ハウジング20」は、それぞれ、本件発明1の「接続口」、「ハンドル部」、「掃除機本体」に相当する。
(イ) 甲1発明の「ダストコンテナ31」は、「前記ハウジング20における前記モーターファンユニット22の前方に取り外し可能」であるから、本件発明1の「集塵装置」に相当し、甲1発明の「ハンドヘルド真空掃除機11」は、本件発明1の「電気掃除機」に相当する。
(ウ) 甲1発明の「ダストコンテナ31」の「蓋47」、「排出開口部46」は、それぞれ、本件発明1の「蓋体」、「開口部」に相当し、甲1発明の「蓋47」は、「前記ダストコンテナ31に回転可能に固定されたヨーク48によって支持されて」いるものであるから、本件発明1の「蓋体」と同様に、「集塵装置に軸支されて」いるといえる。
(エ) 甲1発明の「ダストコンテナ31」は、「前記ハウジング20に装着された状態で、前記蓋47の開閉が可能で」あるから、本件発明1の「集塵装置」と同様に、「前記掃除機本体に装着された状態で、前記蓋体の開閉が可能で」ある。
また、甲1発明は、本件発明1と、「前記集塵装置が前記掃除機本体に装着された状態であって、かつ前記蓋体が開いた状態における前記集塵装置の開口部は、前記掃除機本体」に対し所定の方向に「開口」する点で共通する。
そして、甲1発明の「ダストコンテナ31」の「渦」、「排出開口部46の開口面」は、それぞれ、本件発明1の「集塵装置」の「第1の旋回する流れ」、「開口部の開口面」に相当し、甲1発明は、本件発明1と、「前記集塵装置の第1の旋回する流れの軸方向は前記集塵装置の開口部の開口面」に対し所定の関係にある点で共通する。
(オ) 甲1発明の「フロアノズル12」、「バッテリー23」 及び「バッテリー18」、「スティック掃除機として使用する状態」は、それぞれ、本件発明1の「標準吸口」、「蓄電池」、「スティック状態」に相当し、甲1発明は、本件発明1と、「前記集塵装置が前記掃除機本体に装着され」、「標準吸口」が「掃除機本体の前記接続口に接続され」、「蓄電池が配置されたスティック状態」を有する点で共通する。
(カ) そうすると、本件発明1と甲1発明とは、以下の点で、一致し、相違するものと認められる。
(一致点)
「電動送風機と、接続口と、ハンドル部とを備える掃除機本体と、
前記掃除機本体における前記電動送風機の前方に着脱可能な集塵装置と、を備えた電気掃除機において、
前記集塵装置は一端に蓋体を有し、
前記蓋体は前記集塵装置の開口部を開閉可能に前記集塵装置に軸支されており、
前記集塵装置が前記掃除機本体に装着された状態で、前記蓋体の開閉が可能であり、
前記集塵装置が前記掃除機本体に装着された状態であって、かつ前記蓋体が開いた状態における前記集塵装置の開口部は、前記掃除機本体に対し所定の方向に開口し、
前記集塵装置の第1の旋回する流れの軸方向は前記集塵装置の開口部の開口面に対し所定の関係にあって、
前記集塵装置が前記掃除機本体に装着され、標準吸口が前記掃除機本体の前記接続口に接続され、蓄電池が装着されたスティック状態を有する電気掃除機。」
(相違点1)
ハンドル部に関し、本件発明1は「前記電動送風機の上方に配置され前後方向に延びる第1部分と前記電動送風機の後方に配置され上下方向に対して上部が前方に向くように傾斜した第2部分とが連続的に接続された」ハンドル部を有するのに対し、甲1発明は、「前記モーターファンユニット22の後方に配置される」ハンドル21を有する点。
(相違点2)
集塵装置に関し、本件発明1は「前記集塵装置が前記掃除機本体に装着された状態であって、かつ前記蓋体が開いた状態における前記集塵装置の開口部は、前記掃除機本体の前記接続口と同一方向に開口し」、「前記集塵装置の第1の旋回する流れの軸方向は前記集塵装置の開口部の開口面と略垂直で」あるのに対し、甲1発明は「前記ダストコンテナ31が前記ハウジング20に装着された状態であって、かつ前記蓋47が開いた状態における前記ダストコンテナ31の排出開口部46は、前記ハウジング20の斜め上方に開口し」、「前記ダストコンテナ31の渦の軸方向は前記ダストコンテナ31の排出開口部46の開口面に対し傾斜して」いる点。
(相違点3)
スティック状態に関し、本件発明1は、スティック状態が、標準吸口を接続した「延長管」が前記掃除機本体の前記接続口に接続され、「前記ハンドル部の前記第2部分の下方の位置」に蓄電池が装着された状態であり、その状態の「前記電気掃除機の重心を重力方向におろした線は、前記集塵装置の開口部の開口面が床面と平行となる状態において、前記集塵装置の開口部の開口面に交わる」のに対し、甲1発明は、スティック状態が、「フロアノズル12が可撓性チューブ通路15を介して前記ハウジング20の前記接続口に接続され、上部がハンドル16の形をしたシャフト部分10が前記ハウジング20に固定され、前記ハンドル21にバッテリー23が配置され、シャフト部分10にバッテリー18が配置された」状態であり、その状態のハンドヘルド真空掃除機11の重心の位置は不明で、重心を重力方向におろした線は、ダストコンテナ31の排出開口部46の開口面が床面と平行となる状態において、ダストコンテナ31の排出開口部46の開口面とどのような関係にあるか明らかでない点。
イ 判断
相違点1、2に係る構成と相違点3に係る構成とは相互に関連していることに鑑み、相違点1〜3をあわせて判断する。
甲1発明は、スティック掃除機として使用する場合に「前記ダストコンテナ31が前記ハウジング20に装着され、フロアノズル12が可撓性チューブ通路15を介して前記ハウジング20の前記接続口に接続され、上部がハンドル16の形をしたシャフト部分10が前記ハウジング20に固定され、前記ハンドル21にバッテリー23が配置され、シャフト部分10にバッテリー18が配置された」状態とするものであるところ、具体的にはシャフト部分10をハンドル21の部位に接続することが想定されているのであるから、このような構造を前提としたものにおいて、シャフト部分10や、ハンドル21に係る構造を変更することについて、甲1には記載、示唆はなく、大幅な構造の変更を伴うものであって、その動機付けは何ら認められない。
また、ダストコンテナ31の蓋47、排出開口部46についても、外部真空源に流体接続するために、フラップ51や排出開口53が備わっているのであって、ダストコンテナ31がハウジング20に装着された状態であって、かつ蓋47が開いた状態におけるダストコンテナ31の排出開口部46が、ハウジング20の斜め上方に開口しているのも、外部真空源に流体接続されるとの目的に沿った構造である。このような特定の目的を踏まえた構造を変更する動機付けも特段認められない。
甲1発明において、スティック掃除機としての使用する状態での重心の位置は定かではないが、シャフト部分10、ハンドル21、蓋47、排出開口部46に係る構造を変更する動機がないのであるから、スティック掃除機としての使用する状態のハンドヘルド真空掃除機の重心を重力方向におろした線が、ダストコンテナ31の排出開口部46の開口面が床面と平行となる状態において、ダストコンテナ31の排出開口部46の開口面に交わるような配置とする動機付けも特段認められない。
そうすると、甲1発明において、相違点1〜3に係る構成とする動機付けは認められない。
他の証拠をみても、甲1発明において、相違点1〜3に係る構成とする動機付けは認められない。
甲3〜6に集塵装置の旋回する流れの軸方向が集塵装置の開口の開口面と略垂直である点が記載されているとしても、甲1発明には、ダストコンテナ31の排出開口部46の構造を変更する動機付けが認められないのであるから、相違点2に係る構成とする動機付けは認められない。
また、甲7、8にハンドルと重心との関係が記載されているが、甲7に記載のものは、円弧形状のハンドルの中心軸付近が重心となるような配置のものであり、甲8に記載のものは、メインハンドルとサブハンドルが重心を挟んで対象に配置されているものであって、これらから相違点1〜3に係る構成が導き出されるものではない。
そして、本件発明1は、相違点1〜3に係る構成を有することにより、「本体から集塵装置を取り外すことなく塵埃を容易に排出でき、…使い勝手の良い電気掃除機を提供できる。」(明細書【0007】)、「ダストケース2の塵埃の排出とともに導入管14に残る恐れのある塵埃も排出することが可能である。」(同【0026】)、「使用者が把持部12a1を握って操作する場合、電気掃除機100の重心が第1把持部12a1の下方近傍になるので、電気掃除機100の先を上向きで使用する場合、電気掃除機100を安定して保持できる。」(同【0031】)、「ハンドル部12の重心が第2把持部12a2に近くなるので、電気掃除機100の先を上向きで使用する場合、操作感を軽くすることができる。」(同【0034】)、「図21に示すように、電気掃除機100の重量物である電動送風機40…や蓄電池3がハンドル部12に近い位置(手元に近い位置)にあるので、電気掃除機100の重心Gが、使用者の手元に近くなる。これにより、電気掃除機100をスティック状態にして、電気掃除機100を床面より高い場所を掃除する場合であっても掃除し易くなり、使い勝手を向上できる。…電気掃除機100を持ち上げてエアコンのパネルなどを掃除する場合にも有効である。」(同【0096】)といった顕著な効果を奏するものである。
以上を総合すると、甲1発明において、相違点1〜3に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到できたものとは認められない。
ウ 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
また、本件発明1は、甲1発明及び甲3〜8に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとも認められない。

(4) 本件発明4について
本件発明4は、本件発明1を特定するための事項をすべて含むものであるから、その余の事項を検討するまでもなく、本件発明4は、本件発明1と同様の理由により、甲1発明及び甲2(後記4(1)参照)、3、6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
また、本件発明4は、甲1発明及び甲2〜8に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとも認められない。

4 理由3(29条2項)について
(1) 甲2について
ア 甲2には、以下の事項が記載されている。
・「


([0001] 本発明は掃除機に関することとして、より詳しくは取っ手と圧縮板を含む掃除機に関する。)
・「


([0027] 掃除機(1)は本体(10)と、本体(10)の一側に設けられる流入口(12)を含むことができる。また、本体(10)は集塵ユニット(20)と、本体(10)に移動可能になるように設置された移動ユニット(40)を含むことができる。)
・「


([0028] 本体(10)は掃除機(1)の外装を形成するように用意されうる。流入口(12)は本体(10)内部で空気を吸いこむように配置されうる。使用者は流入口(12)を通じて直接底面で空気を吸いこむか、流入口(12)に各種延長管(未図示)を設置して空気を吸いこむことができる。流入口(12)を通じて入って来た空気は流入路(14)に沿って集塵ユニット(20)に移動することができる。)
・「


([0029] 集塵ユニット(20)は本体(10)に吸入された空気からほこりを分離して収去することができるように設置されることができる。集塵ユニット(20)は吸入された空気からほこりを分離するサイクロン(30)と、分離したほこりを保存するダストボックス(22)を含むことができる。また、集塵ユニット(20)は流入路(14)と連結されて空気が流入される連結具(26)を含むことができる。」
・「


([0031] ダストボックス(22)の一側にはダストボックス(22)を開閉することができるカバー(23)が用意されうる。カバー(23)はダストボックス(22)の一側に回動可能に固定されうるように回動部材(24)を含むことができる。また、カバー(23)はダストボックス(22)に固定されうるように用意された固定部材(25)を含むことができる。固定部材(25)はダストボックス(22)と対応するフックなど多様な形態に用意されうる。)
・「


([0034] サイクロン(30)の開放された側には本体(10)内部で空気を吸いこむ駆動力を提供する駆動ユニット(80)が設置されることができる。サイクロン(30)と駆動ユニット(80)の間には空気の微細な異物を欠かすフィルター(84)が用意されうる。フィルター(84)はスポンジ、メッシュ網など複数のメッシュを有する多様な形態に用意されうる。駆動ユニット80はモーター(82)を含むことができ、モーター(82)は動力を提供するバッテリー(未図示)や外部動力源(未図示)と連結されることができる。)
・「


([0035] 図2を参考して掃除機(1)の作動に対して説明すると、モーター80の動によって流入口(12)で空気が吸入される。流入路(14)に沿って流れる空気は連結具(26)に沿ってダストボックス(22)内部に流入されて、サイクロン(30)を中心に回転する。複数の連通孔(32)を通じて空気はサイクロン(30)の内部に入って行って、サイクロン(30)外部に落ちるようになる。すなわち、ダストボックス(22)の内部にほこりが積もることができる。この時、遮断壁(34)によって空気はこれ以上進まないでサイクロン(30)内部に入ることができる。サイクロン(30)内部に入って行った空気は駆動ユニット(80)に流出し、本体(10)の一側に用意された吐出口16(図3)から外部に排出されることができる。)
・「


([0036] 掃除機(1)は本体(10)に設置されて駆動ユニット(80)に駆動電源を供給する電源ユニット(70)を含むことができる。電源ユニット(70)は加圧によって駆動ユニット(80)をオン(on)/オフ(0ff)させるスイッチ(72)を含むことができる。すなわち、電源ユニット(70)は加圧によって本体(10)の電源をオン/オフさせることができる。)
・「


([0037] 移動ユニット(40)は集塵ユニット(20)内部に配置される圧縮板(50)と、電源ユニット(70)と接触するように設置されるガイド部(60)を含むことができる。また、移動ユニット(40)は本体(10)に移動可能になるように設置された取っ手(42)を含むことができる。)
・「


([0038] 取っ手(42)の移動によって圧縮板(50)及びガイド部(60)が移動することができる。すなわち、取っ手(42)と圧縮板(50)及びガイド部(60)はお互いに連動して移動可能になるように設置されることができる。また、取っ手(42)、圧縮板(50)及びガイド部(60)は一体に形成されうる。
・「


([0039] 取っ手(42)は使用者が把持するように外装を形成することができる。取っ手(42)である側はガイド部(60)と連結されて、他側は圧縮板(50)と連結される連結部(44)が用意されうる。使用者は取っ手(42)を把持して本体(10)で離隔されるように移動させることができる。)
・「


([0040] 圧縮板(50)はダストボックス(22)内に移動可能になるように設置されることができる。圧縮板(50)はダストポックス(22)内部を移動してダストボックス(22)内に収容されたほこりを圧縮することができる。圧縮板(50)は取っ手(42)によってダストボックス(22)内部を一方向に往復運動することができる。
・「


([0048] 図3は本発明の一実施例による掃除機(1)の第1状態を図示した図面である。第1状態は掃除機(1)が動作しない状態を意味する。移動ユニット(40)は本体(10)内部で挿入されていて、圧縮板(50)は遮断壁(34)と隣接するように位置することができる。取っ手(42)の一部は外部で露出して使用者が把持するように用意されうる。)
・「


([0049] 図4は本発明の一実施例による掃除機(1)の第2状態を図示した図面である。第2状態は掃除機(1)が作動して空気を吸いこむ状態を意味する。使用者が取っ手(42)を把持して本体(10)の外部方向で外力を加えると移動ユニット(40)が移動することができる。ストッパ(64)が凹部(62)に挿入されることによって、移動ユニット(40)は所定の位置まで移動することができる。)
・「


([0050] ガイド部(60)が移動して突出部(68)がスイッチ(72)を加圧して、電源ユニット(70)が駆動ユニット(80)を作動させる。駆動ユニット(80)によって空気が流入口(12)を通じて本体(10)の内部で流入されることができる。この時、連結具(26)を通じて空気が集塵ユニット(20)内部で流入されるように圧縮板(50)は取っ手(42)と共に移動することができる。集塵ユニット(20)で流入された空気はサイクロン(30)によってほこりと分離して吐出口(16)を通じて本体(10)を抜けることができる。空気と分離したほこりがダストボックス(22)内部に収容される。)
・「


([0051] 図5は本発明の他の一実施例による掃除機(1)の第3状態を図示した図面である。第3状態は掃除機(1)が動作を止めて圧縮板(50)のほこりを圧縮している状態を意味する。被掃除面の掃除を終わらせようとする場合、使用者は外力を加えて取っ手(42)を本体(10)に挿入させる。この時、スイッチ(72)に加えられる圧力が除去されて電源ユニット(70)が駆動ユニット(80)の作動を止める。)
・「


([0052] それと同時に圧縮板(50)がサイクロン(30)に沿ってダストボックス(22)内部を移動してほこりを圧縮させる。ダストボックス(22)全体に収容された遠いかは圧縮板(50)によってダストボックス(22)の一側に圧縮されうる。)
・「


([0053] 図6は本発明の他の一実施例による掃除機(1)の第4状態を図示した図面である。第4状態は使用者が掃除機(1)内部のほこりを除去する状態を意味する。圧縮板(50)によって圧縮されたほこりはカバー(23)と隣接するように位置することができる。使用者はカバー(23)を回動させてダストボックス(22)内部に収容されたほこりを除去することができる。)
イ 図2〜6において、取っ手(42)が、駆動ユニット(80)の後方に配置され、上下方向に対して上部が前方に向くように傾斜していることが見て取れる。
また、図6において、カバー(23)が開いた状態における集塵ユニット(20)の開口部と、本体(10)の流入口(12)は、本体(10)に対して斜め下方に開口している点が見て取れ、両者は同一方向に開口していると認められる。
そして、集塵ユニット(20)のサイクロン内に旋回する流れが発生することは明らかで、図6からすると、この流れの軸方向は集塵ユニット(20)の開口部の開口面に対し傾斜していると認められる。
さらに、掃除機(1)は流入口(12)に各種延長管を設置する状態があるといえる([0028])。
そうすると、甲2に記載された事項から、甲2には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
(甲2発明)
「駆動ユニット(80)と、流入口(12)と、前記駆動ユニット(80)の後方に配置され上下方向に対して上部が前方に向くように傾斜した取っ手(42)とを備える本体(10)と、
前記本体10における前記駆動ユニット(80)の前方に集塵ユニット(20)と、を備えた掃除機(1)において、
前記集塵ユニット(20)は一端にカバー(23)を有し、
前記カバー(23)は前記集塵ユニット(20)の開口部を開閉可能に前記集塵ユニット(20)に回動可能に固定されており、
前記集塵ユニット(20)が前記本体(10)に一体にされた状態で、前記カバー(23)の開閉が可能であり、
前記集塵ユニット(20)が前記本体(10)に一体にされた状態であって、かつ前記カバー(23)が開いた状態における前記集塵ユニット(20)の開口部は、前記本体(10)の前記流入口(12)と同一方向に開口し、
前記集塵ユニット(20)のサイクロン(30)の旋回する流れの軸方向は前記集塵ユニット(20)の開口部の開口面に対し傾斜しており、
前記集塵ユニット(20)が前記本体(10)に一体にされ、各種延長管が前記本体(10)の前記流入口(12)に設置され、駆動ユニット(80)のモーター(82)にバッテリーが連結される状態を有する掃除機(1)。」

(2) 本件発明1について
ア 対比
(ア) 本件発明1と甲2発明とを、その有する機能に照らして対比すると、甲1発明の「駆動ユニット(80)」が「モーター(82)」によって駆動される送風機の機能を有することは明らかであるから、本件発明1の「電動送風機」に相当し、甲2発明の「流入口(12)」は、本件発明1の「接続口」に相当する。
また、甲2発明の「取っ手(42)」は、本件発明1の「ハンドル部」と、「電動送風機の後方に配置され上下方向に対して上部が前方に向くように傾斜した」部分を有する「ハンドル部」点で共通し、甲2発明の「本体(10)」は、本件発明1の「掃除機本体」に相当する。
(イ) 甲2発明の「集塵ユニット(20)」は、本件発明1の「集塵装置」と、「前記掃除機本体における前記電動送風機の前方に」備えられた点で共通し、甲2発明の「掃除機(1)」は、本件発明1の「電気掃除機」に相当する。
(ウ) 甲2発明の「カバー(23)」、「開口部」は、それぞれ、本件発明1の「蓋体」、「開口部」に相当し、甲2発明の「カバー(23)」は、「前記集塵ユニット(20)に回動可能に固定されて」いるから、本件発明1の「蓋体」と同様に、「前記蓋体は前記集塵装置の開口部を開閉可能に前記集塵装置に軸支されて」いるといえる。
(エ) 甲2発明は「集塵ユニット(20)」は、本件発明1と、「前記集塵装置が前記掃除機本体」に一体にされた状態で、「前記蓋体の開閉が可能であり」、「前記集塵装置が前記掃除機本体」に一体にされた状態であって、かつ「前記蓋体が開いた状態における前記集塵装置の開口部は、前記掃除機本体の前記接続口と同一方向に開口」する点で共通する。
そして、甲2発明の「集塵ユニット(20)」の「サイクロン(30)の旋回する流れ」、「開口部の開口面」は、それぞれ、本件発明1の「集塵装置」の「第1の旋回する流れ」、「開口部の開口面」に相当し、甲2発明は、本件発明1と、「前記集塵装置の第1の旋回する流れの軸方向は前記集塵装置の開口部の開口面」に対し所定の関係にある点で共通する。
(オ) 甲2発明の「各種延長管」、「バッテリー」は、それぞれ、本件発明1の「延長管」、「蓄電池」に相当し、甲2発明の「各種延長管が前記本体(10)の前記流入口(12)に設置され、駆動ユニット(80)のモーター(82)にバッテリーが連結される状態」は、本件発明1の「スティック状態」に相当し、甲1発明は、本件発明1と、「前記集塵装置が前記掃除機本体」に一体にされ、「各種延長管が掃除機本体の前記接続口に接続され」、「蓄電池が配置されたスティック状態」点で共通する。
(カ) そうすると、本件発明1と甲2発明とは、以下の点で、一致し、相違するものと認められる。
(一致点)
「電動送風機と、接続口と、前記電動送風機の後方に配置され上下方向に対して上部が前方に向くように傾斜した部分を有するハンドル部とを備える掃除機本体と、
前記掃除機本体における前記電動送風機の前方に集塵装置と、を備えた電気掃除機において、
前記集塵装置は一端に蓋体を有し、
前記蓋体は前記集塵装置の開口部を開閉可能に前記集塵装置に軸支されており、
前記集塵装置が前記掃除機本体に一体にされた状態で、前記蓋体の開閉が可能であり、
前記集塵装置が前記掃除機本体に一体にされた状態であって、かつ前記蓋体が開いた状態における前記集塵装置の開口部は、前記掃除機本体の前記接続口と同一方向に開口し、
前記集塵装置の第1の旋回する流れの軸方向は前記集塵装置の開口部の開口面に対し所定の関係にあって、
前記集塵装置が前記掃除機本体に一体にされ、延長管が前記掃除機本体の前記接続口に接続され、蓄電池が装着されたスティック状態を有する電気掃除機。」
(相違点1)
ハンドル部に関し、本件発明1は「前記電動送風機の上方に配置され前後方向に延びる第1部分と前記電動送風機の後方に配置され上下方向に対して上部が前方に向くように傾斜した第2部分とが連続的に接続された」ハンドル部を有するのに対し、甲2発明は、「前記駆動ユニット(80)の後方に配置され上下方向に対して上部が前方に向くように傾斜した取っ手(42)」を有する点。
(相違点2)
集塵装置に関し、本件発明1の集塵装置は、掃除機本体に「着脱可能」であり、「前記集塵装置が前記掃除機本体に装着された状態」で、前記蓋体の開閉が可能であり、「前記集塵装置が前記掃除機本体に装着された状態」であって、かつ前記蓋体が開いた状態における前記集塵装置の開口部は、前記掃除機本体の前記接続口と同一方向に開口し、「前記集塵装置の第1の旋回する流れの軸方向は前記集塵装置の開口部の開口面と略垂直で」あるのに対し、甲2発明の「集塵ユニット(20)」は、「本体(10)」に対し着脱可能ではなく、「前記集塵ユニット(20)のサイクロン(30)の旋回する流れの軸方向は前記集塵ユニット(20)の開口部の開口面に対し傾斜して」いる点。
(相違点3)
スティック状態に関し、本件発明1は、スティック状態が、「前記集塵装置が前記掃除機本体に装着され」、「標準吸口を接続した」延長管が前記掃除機本体の前記接続口に接続され、「前記ハンドル部の前記第2部分の下方の位置」に蓄電池が装着された状態であり、その状態の「前記電気掃除機の重心を重力方向におろした線は、前記集塵装置の開口部の開口面が床面と平行となる状態において、前記集塵装置の開口部の開口面に交わる」のに対し、甲2発明は、スティック状態が、「前記集塵ユニット(20)が前記本体(10)に一体にされ」、各種延長管が前記本体(10)の前記流入口(12)に設置され、「駆動ユニット(80)のモーター(82)にバッテリーが連結される」た状態であり、各種延長管に標準吸口を接続しているか明らかでなく、バッテリーの装着位置、その状態の掃除機(10)の重心の位置は不明で、重心を重力方向におろした線は、集塵ユニット(20)の開口部の開口面が床面と平行となる状態において、集塵ユニット(20)の開口部の開口面とどのような関係にあるか明らかでない点。
イ 判断
相違点1、2に係る構成と相違点3に係る構成とは相互に関連していることに鑑み、相違点1〜3をあわせて判断する。
甲2発明は、取っ手(42)の移動によって圧縮板(50)及びガイド部(60)が互いに連動して移動するもので([0038])、それによって、集塵ユニット(20)のダストボックス(22)内で圧縮板(50)がほこりを圧縮し([0040]、[0050])、ガイド部(60)が本体(10)の電源のオン、オフを行う([0036]、[0050])ものであるから、このような特定の構造を前提としたものにおいて、取っ手(42)に係る構造を変更することや、集塵ユニット(2)を着脱可能とすることについて、甲2には記載、示唆はなく、大幅な構造の変更を伴うものであって、その動機付けは何ら認められない。特に、集塵ユニット(20)のダストボックス(22)内で、取っ手(42)と連動する圧縮板(15)によって、ほこりを圧縮する構造は、これらが一体となって機能するもので、集塵ユニット(20)を取っ手(42)から取り外すことが想定されていない構造であるから、集塵ユニット(20)を着脱可能とする動機付けは認められない。
甲2発明において、各種延長管を接続した状態での重心の位置は定かではないが、バッテリーの装着位置も特定されておらず、取っ手(42)や集塵ユニット(20)係る構造を変更する動機もないのであるから、各種延長管を接続した状態の掃除機(1)の重心を重力方向におろした線が、集塵ユニット(20)の開口部の開口面が床面と平行となる状態において、集塵ユニット(20)の開口部の開口面に交わるような配置とする動機付けも特段認められない。
そうすると、甲2発明において、相違点1〜3に係る構成とする動機付けは認められない。
他の証拠をみても、甲2発明において、相違点1〜3に係る構成とする動機付けは認められない。
甲1、3、4、6に着脱可能な集塵装置が記載されているとしても、甲2発明には、集塵ユニット(20)を着脱可能とする動機付けは認められないのであるから、相違点2に係る構成とする動機付けは認められない。
また、甲7、8をみても、これらから相違点1〜3に係る構成が導き出されるものではない(前記3(3)イ)。
そして、本件発明1は、相違点1〜3に係る構成を有することにより、顕著な効果を奏するものである(前記3(3)イ)。
以上を総合すると、甲2発明において、相違点1〜3に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到できたものとは認められない。
ウ 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲2発明及び甲1、3、4、6〜8に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。

(3) 本件発明4について
本件発明4は、本件発明1を特定するための事項をすべて含むものであるから、その余の事項を検討するまでもなく、本件発明4は、本件発明1と同様の理由により、甲2発明及び甲1、3、4、6〜8に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。

4 理由4(36条6項1号及び36条4項1号)について
(1) 36条6項1号について
異議申立人は、請求項1において、集塵装置が装着状態で蓋体を開閉可能とする構成が規定されていないことを理由に、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載したものではないなどと、主張している。
この点に関し、明細書の発明の詳細な説明をみるに、本件発明1は、「電気掃除機の塵埃の排出に関する。」(【0001】)もので、従来の電気掃除機が「集塵装置を取り外す構造を備えていないため、利用者が集塵装置の汚れを容易に取り除くことが困難である。」ことに鑑み、「使い勝手の良い電気掃除機を提供すること」を、解決しようとする課題としてなされたものであり(【0004】、【0005】)、請求項1に記載された事項を備えることにより、「本体から集塵装置を取り外すことなく塵埃を容易に排出でき、且つ集塵装置を容易に着脱できる機構を備えることで、使い勝手の良い電気掃除機を提供できる。」(【0007】)といった効果を奏し、課題を解決したものである。そして、実施形態として、具体的には、蓋2cの上部に、蓋2cのロックを解除するための解除ボタン2fを備えた蓋ロック機構2eが設けられ、解除ボタン2fの操作により蓋ロック機構2eを動作させ蓋2cを開くように構成された電気掃除機10が開示されている(【0024】、【0026】)。
請求項1には、解除ボタン2fの操作により蓋体が開閉可能である点は規定されていないが、蓋体が開閉可能であれば、ダストケースを掃除機本体に装着した状態でごみ捨てを行うことができるため、使い勝手の良い電気掃除機を提供することができるのであるから(【0026】)、本件発明1は、当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであると認められる。
その他、本件発明1が発明の詳細な説明に記載したものではないとする理由は認められない。
以上のとおりであるから、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載したものではないとは認められない。

(2) 36条4項1号について
異議申立人は、発明の詳細な説明に、解除ボタン2fを押すと蓋2cが開くことに関し、その構造について記載がないことを理由に、本件発明1について、本件明細書の発明の詳細な説明は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないなどと、主張している。
この点に関し、発明の詳細な説明には、蓋2cの上部に、蓋2cのロックを解除するための解除ボタン2fを備えた蓋ロック機構2eが設けられ、解除ボタン2fの操作により蓋ロック機構2eを動作させ蓋2cを開くように構成された電気掃除機10が開示されているところ(【0024】、【0026】)、その子細な構造が開示されていなくとも、技術常識を参酌し(甲3〜6参照)、適宜の手段により構成可能であることは明らかで、当業者であれば過度の試行錯誤を要することなく発明の実施をすることが可能と認められる。
その他、本件発明1について、発明の詳細な説明の記載が、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないとする理由は認められない。
以上のとおりであるから、本件明細書の発明の詳細な説明は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないとは認められない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由によっては、本件の請求項1、2、4に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件の請求項1、2、4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】電気掃除機
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機の塵埃の排出に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、サイクロン式分離ユニットの端部を介して、塵埃を排出させる携行式真空掃除機が記載されている。塵埃を排出する際、掃除機をごみ箱やごみ袋に向け、サイクロン式分離ユニットの端部のキャッチを解除することで、塵埃が利用者にこぼされる危険性を解消するとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−56197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、サイクロン式の電気掃除機は、吸引した塵埃と空気を分離して塵埃を集塵装置の収容部に溜める方式である。集塵装置の収容部には微細な塵埃が付着するため、排出時に吸引した塵埃すべてを取り除くことは難しい。そのため、集塵装置を本体から取り外して、水洗いなどにより集塵装置をきれいにすることができる電気掃除機が提供されている。
しかしながら、特許文献1記載の電気掃除機は、集塵装置を取り外す構造を備えていないため、利用者は集塵装置の汚れを容易に取り除くことが困難である。
【0005】
本発明は、使い勝手の良い電気掃除機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、電動送風機と、接続口と、前記電動送風機の上方に配置され前後方向に延びる第1部分と前記電動送風機の後方に配置され上下方向に対して上部が前方に向くように傾斜した第2部分とが連続的に接続されたハンドル部とを備える掃除機本体と、前記掃除機本体における前記電動送風機の前方に着脱可能な集塵装置と、を備えた電気掃除機において、前記集塵装置は一端に蓋体を有し、前記蓋体は前記集塵装置の開口部を開閉可能に前記集塵装置に軸支されており、前記集塵装置が前記掃除機本体に装着された状態で、前記蓋体の開閉が可能であり、前記集塵装置が前記掃除機本体に装着された状態であって、かつ前記蓋体が開いた状態における前記集塵装置の開口部は、前記掃除機本体の前記接続口と同一方向に開口し、前記集塵装置の第1の旋回する流れの軸方向は前記集塵装置の開口部の開口面と略垂直であって、前記集塵装置が前記掃除機本体に装着され、標準吸口を接続した延長管が前記掃除機本体の前記接続口に接続され、前記ハンドル部の前記第2部分の下方の位置に蓄電池が装着されたスティック状態の前記電気掃除機の重心を重力方向におろした線は、前記集塵装置の開口部の開口面が床面と平行となる状態において、前記集塵装置の開口部の開口面に交わることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、本体から集塵装置を取り外すことなく塵埃を容易に排出でき、且つ集塵装置を容易に着脱できる機構を備えることで、使い勝手の良い電気掃除機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態の充電台に電気掃除機を取り付けた場合を示し、(a)はスティック状態、(b)はハンディ状態である。
【図2】電気掃除機の分解斜視図である。
【図3】電気掃除機の斜視図である。
【図4】電気掃除機の縦断面図である。
【図5】電気掃除機の排気口が第1の状態である場合を示し、(a)側面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図6】図5のB−B線断面図である。
【図7】電気掃除機の排気口が第2の状態を示し、(a)側面図、(b)は(a)のC−C線断面図である。
【図8】電気掃除機の排気口が第3の状態を示し、(a)側面図、(b)は(a)のD−D線断面図である。
【図9】電気掃除機の充電台を示す斜視図である。
【図10】電気掃除機の充電台を示す平面図である。
【図11】電気掃除機の充電台から延長部材を取り外した状態を示す斜視図である。
【図12】電気掃除機の充電台を示す分解斜視図である。
【図13】電気掃除機の充電台の第1充電端子を示す拡大斜視図である。
【図14】充電台の第1充電端子と接続される電気掃除機の本端端子部をダストケース側から見上げた状態を示す斜視図である。
【図15】電気掃除機の充電台を示す分解斜視図である。
【図16】電気掃除機の充電台を示す側面図である。
【図17】電気掃除機をスティック状態で充電台に取り付けたときの側面図である。
【図18】電気掃除機をハンディ状態で充電台に取り付けたときの側面図である。
【図19】本体端子部と第1充電端子との接続状態を示す断面図である。
【図20】スティック状態の電気掃除機で床面を掃除するときの使用形態図である。
【図21】スティック状態の電気掃除機で高い場所を掃除するときの使用形態図である。
【図22】開閉部材を取り付けた標準吸口を示す断面図を示し、(a)は前進時、(b)は壁突き当たり時、(c)は後進時である。
【図23】各種の応用吸口体を示し、(a)隙間吸口を示す斜視図、(b)は小型吸口を示す斜視図、(c)はほうき型吸口を示す斜視図、(d)は(c)の平面図である。
【図24】小型吸口の断面図を示し、(a)は前進時、(b)は後進時である。
【図25】延長ホースを示す斜視図である。
【図26】(a)は延長ホースを含む各種の応用吸口体を取り付けた状態を示す正面図、(b)は延長ホースを除いた各種の応用吸口体を取り付けた状態を示す側面図である。
【図27】延長ホースの使用状態を示し、(a)は本実施形態のハンドル部を備えた電気掃除機、(b)は比較例のハンドル部を備えた電気掃除機である。
【図28】変形例に係る隙間吸口を示し、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
【図29】変形例に係る隙間吸口を示す分解斜視図である。
【図30】図28(b)のE−E線断面図である。
【図31】図28(b)のF−F線断面図である。
【図32】図28(c)のG−G線断面図である。
【図33】他の変形例に係る隙間吸口を電気掃除機に取り付けた状態を示す側面図である。
【図34】図33のH−H線断面図である。
【図35】電気掃除機に備えるダストケースの外観図を示し、(a)は上側を正面にした正面図、(b)は上側を正面にした右側面図である。
【図36】(a)は図35(a)のI−I線断面図、(b)は図35(b)のJ−J線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態の充電台に電気掃除機を取り付けた場合を示し、(a)はスティック状態、(b)はハンディ状態である。
図1(a)は、電気掃除機100の充電台70に、電気掃除機100をスティック状態で立てて充電している状態である。電気掃除機100の先端には延長管300が接続され、延長管300の先には標準吸口400が接続されている。なお、標準吸口400は、モータによってブラシが回転するパワーブラシ式のものである。
【0010】
また、図1(b)は、電気掃除機100の充電台70に、電気掃除機100をハンディ状態で立てて充電した状態である。この場合には、電気掃除機100の先端から延長管300を取り外し、電気掃除機100の先に標準吸口400を直接取り付ける。なお、図1(b)では、電気掃除機100に標準吸口400を直接に取り付けた使用状態を図示しているが、電気掃除機100に標準吸口400を取り付けない状態で使用することもできる。
【0011】
また、図1(b)の充電台70では、延長部材80が向きを変えて取り付けられることで、電気掃除機100をハンディ状態で充電することができる。
【0012】
図2は、電気掃除機を示す分解斜視図である。なお、図2において示す方向は、電気掃除機100の向きを示している。
図2に示すように、電気掃除機100は、掃除機本体1、ダストケース2(集塵装置)および蓄電池3を備えて構成されている。
【0013】
掃除機本体1は、本体部10、モータケース部11、ハンドル部12を備えて構成されている。
【0014】
本体部10は、延長管300(図1(a)参照)や標準吸口400が接続される本体部10内への吸込口である接続口10aが形成されている。また、本体部10には、ダストケース2が着脱自在に取り付けられるとともに、接続口10aから吸い込まれた塵挨を含む空気をダストケース2に送り込む導入管14を備えている。
【0015】
モータケース部11には、電動送風機40(図4参照)と本体基板50(図4参照)が内包されている。また、モータケース部11の前面には、ダストケース2で集塵された後の清浄な空気が吸い込まれる円形の吸込口11aが形成されている。また、モータケース部11の前面には、吸込口11aより下部に、充電台70(図1(a),(b)参照)と接続される本体端子部17が設けられている。
【0016】
ハンドル部12は、本体部10の後方に設けられ、略L字状に形成された把持部12aを有している。把持部12aは、前後方向に直線状に延びる第1把持部12a1と、略上下方向に直線状に延びる第2把持部12a2と、を有している。第1把持部12a1は、第2把持部12a2よりも上部に配置されている。第2把持部12a2は、上下方向に対して上部が前方に向くように傾斜している。また、第1把持部12a1と第2把持部12a2は略棒状且つ連続して形成されている。このように、第1把持部12a1と第2把持部12a2とをそれぞれ直線状に構成することで、使用者が持ち手の位置を認識し易くなる。
【0017】
また、ハンドル部12には、蓄電池3(電池ケース)をロックするための蓄電池ロック部材13が設けられている。この蓄電池ロック部材13は、略L字状に形成された板状であり、一端がハンドル部12に回動自在に連結されている。
【0018】
また、ハンドル部12の第1把持部12a1の上面には、操作ボタン12bが設けられている。操作ボタン12bは、例えば、「強」、「標準」、「切」の3つのボタンで構成されている。
【0019】
本体部10の前端には、延長管300(図1(a)参照)や標準吸口400(図1(b)参照)を取り外す際に操作される解除ボタン18が設けられている。この解除ボタン18を押下操作することで延長管300、標準吸口400の取り外しが可能となる。
【0020】
また、本体部10の前端には、回転式のブラシ90が取り付けられている。このブラシ90は、接続口10aの外面に凹凸嵌合して固定される略円弧形状の固定ベース90aと、この固定ベース90aに回動自在に連結される回転部90bと、この回転部90bに植設される刷毛部90cとを有して構成されている。刷毛部90cは、収納時には後向きで、使用時には前向きに回動するように構成されている。
【0021】
ダストケース2は、サイクロン方式のものであり、導入管14から吸込んだ塵埃を含む空気を、塵埃と空気とに分離し、塵埃を集める機能を有する。また、ダストケース2は、モータケース部11の前方に軸方向を前後方向にして配置され、略円柱形状の外筒2aを有している。また、ダストケース2の上面(側面)には、導入管14と繋がる略矩形状の流入口2bが形成されている。この流入口2bに流入した塵挨を含む空気は、ダストケース2内で塵挨と空気とに分離された後、塵埃が分離された空気がダストケース2の後部(背面)から排出される。
図35はダストケース2の外観図を示し、(a)は上側(図2参照)を正面にした際の正面図、(b)は上側を正面にした際の右側面図である。また、図36は、図35に示すI−1線およびJ−J線の断面図であり、(a)は図35(a)に示すI−I線断面図、(b)は図35(b)に示すJ−J線断面図である。
ダストケース2は、外筒2aと後述する内筒200で構成されている。外筒2aは略円筒形状であり、前述したように上面(円筒側面)には略矩形形状の流入口2bを備え、前後は開口し、後方には後述するフィルタ5を、前方には蓋2cを備える。また、図36(a)に示すように、後方は流入口2bより吸引した塵埃を含む空気を旋回・分離する分離部2a1、前方は、分離した塵埃を収容する収容部2a2に分けられる。
【0022】
内筒200は、図36に示すように略円筒形状であり、上部(後方)にメッシュ部220を設けた筒部210、下部(前方)には構造を省略するが、蓋2cを開いた際に塵埃を押し出すピストン部240を備えている。ピストン部240は、筒部210の下部(前方)に備える傘部230に内包されており、傘部230には円環状のリブ(250a、250b、250c)を設けている。円環状リブは、収容部2a2に搬送された塵埃が分離部2a1側へ舞い戻りにくくするために設けており、本実施例において、円環状リブ250a、250bは傘部230に、円環状リブ250cはピストン部240に設けているが、径や位置・個数はこの限りではない。これら複数の円環状リブの内、円環状リブ250aは、分離部2a1を旋回する流れと、収容部2a2へ搬送する流れの割合を変えることができ、これも塵埃の分離部2a2側への舞い戻り抑制に効果的である。このような効果を得るために、円環状リブ250aは、前述した外筒2aに備える略矩形形状の流入口2bから臨む位置に設けている。流入した空気(塵埃を含む)は、円環状リブ250aを境にして、上側は分離部2a1を旋回する流れの一部を強めることができ、下側は直接収容部2a2へ搬送する流れになる。円環状リブ250aが無い場合、分離部2a1を旋回する流れは、旋回しながら収容部2a2へ向かい、ピストン部240を伝いながら収容部2a2から分離部2a1へ戻る。その際、円環状リブ250b、250cにより塵埃の舞い戻りを抑制しているが、塵埃が分離部2a1へ戻る場合もある。本実施例のような円環状リブ250aを設けることで、分離部2a1を旋回する旋回流を強めることができ、舞い戻った塵埃が内筒200のメッシュ部220への付着を抑制することができる。
【0023】
本実施例において、円環状リブ250aは流入口2bからわずかに臨む位置に設けているがこの限りではなく、流入口2bを二分する位置などでも構わない。また、円環状リブ250aは傘部240に設けているが、傘部240ではなく、メッシュ部220を備える筒部210に設けても良い。
【0024】
また、ダストケース2の前面には、ダストケース2内に溜まった塵埃を廃棄する際に開閉する蓋2cがヒンジ部2dを介して回動自在に支持されている。また、蓋2cの上部には、蓋2cのロックを解除するための解除ボタン2fを備えた蓋ロック機構2eが設けられている。
【0025】
ダストケース2内には、外筒2aの軸方向の後端にフィルタ5が収容されている。このフィルタ5は、プリーツ状に折って構成されたものであり、フィルタ面積を大きくできるとともに、フィルタ5による圧力損失を低減することができる。また、ダストケース2上部に備えたボタン5aを押下することで、フィルタ5を取り外すことができ、ボタン5aに対抗する側(図中矢印において下側)には、掃除機本体1からダストケース2を取り外すためのボタン5bを備えている。
また、フィルタ5は、例えば高密度のHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)で構成されている。HEPAフィルタとは、定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルタである。
なお、ダストケース2の内部の機構については、特開2016−137165号公報に基づいて構成することができる。
【0026】
図3は、前述した蓋ロック機構2eを動作させ蓋2cを開いた状態の電気掃除機を示す斜視図である。図4は、電気掃除機の縦断面図、図5は側面図である。
図3〜図5に示すように、電気掃除機100は、ダストケース2が本体部10の下方かつモータケース部11の前方に取り付けられる。この場合、ダストケース2を掃除機本体1に装着すると、蓋ロック機構2eは図中矢印で示す上側(本体部10と略対向する側)に備え、下側(本体部10と対向しない側)にはヒンジ部2dを備える。また、蓋ロック機構2eの備えた解除ボタン2fは掃除機本体1(本体部10)左側から臨む位置にあり本体部10の側面よりも奥側、言い換えると本体部10側面よりも出っ張らない位置に備える。これは、解除ボタン2fを本体部10側面よりも出っ張る位置に設けた場合、掃除中に蓋2cが解除される恐れがあるが、解除ボタン2fを本体部10側面から出っ張らないようにすることで、蓋2cの解除を防ぎ、誤動作を防止することができるからである。例えば、掃除中に、掃除機本体1が家具等に触れる場合がある。このとき、解除ボタン2fを本体部10側面よりも奥側に設けているため、誤って解除ボタン2fに家具等が触れる恐れ、蓋2cが意図せずに開く恐れを低減することができる。蓋ロック機構2eに備える解除ボタン2fの位置はこの限りでなく、掃除機本体1右側から臨む位置に設けても構わない。本発明のように、解除ボタン2fが本体部10側面から押せる構造にすることで、ごみ箱等のごみ廃棄場所にてひとつの動作で容易にダストケース2内の塵埃を排出することができる。また、ダストケース2が掃除機本体1に装着された状態、且つ蓋ロック機構2eを介し蓋2cを開いた状態のダストケース2の開口部は、掃除機本体1における開口部である接続口10aと同一方向に開口している。これにより、ダストケース2の塵埃の排出とともに導入管14に残る恐れのある塵埃も排出することが可能である。
さらに、先述した図4及び図5に示すダストケース取り外しボタン5bは、図中矢印に示す前方向にスライドすることで、掃除機本体1からダストケース2を取り外すことができる。これは、掃除機本体1を充電台70に立てた状態(充電時)でもダストケース2のみを持ち運びごみ捨てが可能となる。また、ダストケース2のみが掃除機本体1から取り外せることで、ダストケース2が汚れていた場合など容易に水洗いできるため、ダストケース2を清潔に保つことができる。以上のように本発明によれば、ダストケース2を掃除機本体1に装着した状態、取り外した状態と使用者の状況に応じてごみ捨てを行うことができるため、使い勝手の良い電気掃除機を提供することができる。
【0027】
また、ダストケース2には、お手入れブラシ2sが着脱自在に設けられている。このお手入れブラシ2sは、ダストケース2が掃除機本体1に装着されたときに外部から見え難い位置に配置されている。このため、運転中に外れ難く、また、お手入れブラシ2sを電気掃除機100とは別の場所に保管しておく必要もない。
【0028】
図4に示すように、本体部10のモータケース部11には、電動送風機40が収容されている。モータケース部11内には、電動送風機40の下方に、掃除機本体1を制御する本体基板50(制御基板)が収容されている。
【0029】
電動送風機40は、回転駆動軸40aが前後方向を向くように横置きに配置されている。また、電動送風機40から排出された空気は、電動送風機40の下方に配置された本体基板50に流れ、本体基板50を冷却するようになっている。
【0030】
本体基板50は、上下に分割して2段に配置され、主に対向する面に部品が実装されている。電動送風機40から排出された空気のほとんどは、各本体基板50の対向配置された部品(発熱部品)を冷却するように流れる。
【0031】
また、電動送風機40と本体基板50は、上下方向に重なるように配置されている。このため、前後方向の寸法を短くできる。また、電動送風機40および本体基板50は、ハンドル部12の第1把持部12a1の下方に位置している。これにより、使用者が把持部12a1を握って操作する場合、電気掃除機100の重心が第1把持部12a1の下方近傍になるので、電気掃除機100の先を上向きで使用する場合、電気掃除機100を安定して保持できる。
【0032】
また、第1把持部12a1とモータケース部11の上面11cとの間には、手を挿入するための幅寸法H1の隙間12cが形成されている。また第2把持部12a2とモータケース部11の背面11dとの間には、幅寸法H1よりも広い幅寸法H2の隙間12dが形成されている。このように、第1把持部12a1を把持して掃除する場合には、腕を伸ばした状態で保持できるので、第1把持部12a1を強く握ることなく、電気掃除機100を前後に動かすことができる。また、第2把持部12a2を把持して掃除する場合には、隙間12dに手(指)を深く挿入して強く握る必要があるので、幅寸法H2を幅寸法H1よりも広くすることで、第2把持部12a2を安定して把持することができる。
【0033】
また、第1把持部12a1の厚みT1は薄く形成され、第2把持部12a2の厚みT2は厚みT1よりも厚く形成されている。つまり、第1把持部12a1は細く、第2把持部12a2は太く形成されている。このように、第2把持部12a2を握って掃除する場合には、第2把持部12a2の厚みT2を厚くすることで、深く握り易くなるとともに、第2把持部12a2の強度を高くすることができる。
【0034】
蓄電池3は、例えば、エネルギ効率の高いリチウムイオン電池で構成することができる。また、蓄電池3は、ハンドル部12の第2把持部12a2の下方に配置されている。このように、蓄電池3を電気掃除機100の後端に設けることで、ハンドル部12の重心が第2把持部12a2に近くなるので、電気掃除機100の先を上向きで使用する場合、操作感を軽くすることができる。
【0035】
蓄電池ロック部材13は、自由端側に蓄電池3とロックされる爪部13aが形成されている。また、蓄電池ロック部材13は、蓄電池3の背面を上端から下端まで囲むようにして配置され、蓄電池3の後端下面において爪部13aと蓄電池3の下面とがロックされるように構成されている。
このように、蓄電池3を着脱式にすることによって、蓄電池が着脱不可のものに比べて、蓄電池3の交換がし易くなる。また、予備の蓄電池3と、予備の蓄電池3を充電可能な充電ボックスをオプションで用意することで、電気掃除機100の本体側の蓄電池が消耗した場合に予備の蓄電池3に直ちに交換することで、掃除時間を延長することが可能になる。このように構成することで、例えば、店舗などの広い床面を掃除する場合に有効である。
【0036】
図5は、電気掃除機の排気口が第1の状態を示し、(a)側面図、(b)は(a)のB−B線断面図である。
図5(a)に示すように、電気掃除機100は、吸い込んだ空気を外部に排出する排気口16を有している。排気口16は、ダストケース2の上方且つ第1把持部12a1の前方に配置されている。また、排気口16は、前後方向に沿ってスリット状の長孔16aが上下方向に並んで形成されることで構成されている。
【0037】
排気口16の外面には、複数本の長孔16aを覆うようにルーバ(風路切替部材)16bが取り付けられている。
【0038】
図5(b)に示すように、排気口16の長孔16aは、略半円形状の壁面16cに左右に分けて形成されている。壁面16cには、左右にそれぞれ5本の長孔16aが形成されている。ルーバ16bは、壁面16cに沿って摺動可能に取り付けられている。図5(b)では、ルーバ16bが中央に位置している状態であり、左右の長孔16aの一部が露出している。
【0039】
また、排気口16は、モータケース部11と連通して形成され、電動送風機40からの排気が本体基板50を冷却した後、長孔16aから排出されるように構成されている。ルーバ16bが図5(a),(b)の状態では、左右の長孔16aから排気されるようになっている。また、排気口16がハンドル部12の前方に位置しているので、排気口16が使用者より前側に位置し易くなるので、使用者に排気が当たるのを低減することが可能になる。
【0040】
また、ルーバ16bの表面には、外側に突出する突条部16b1が形成されている。これにより、ルーバ16bを左右に動かす際に、突条部16b1に指を引掛け易くなり、ルーバ16bを左右に移動させる操作が容易になり、排気の向きの変更を迅速かつ容易に行うことができる。
【0041】
図6は、図5のB−B線断面図である。
図6に示すように、蓄電池3は、6本の単電池3aが蓄電池ケース3b内に、上下にそれぞれ3本ずつ左右に並んで配置されている。さらに、上段の3本の単電池3aは、中央の単電池3aが左右の単電池3aよりも低い位置に配置され、単電池3aを軸方向から見たときに単電池3aの中心を結ぶ線がV字状になるように配置されている。また、下段の3本の単電池3aも同様に、V字状に配置されている。このように、単電池3aの軸方向を前後方向に向けることで、単電池3aの軸方向の向きを左右方向に向けた場合よりも、蓄電池3の幅を狭くできる。また、単電池3aを上下2段に配置し、かつ、単電池3aをV字状に配置することにより、蓄電池3の幅をさらに狭くできる。このようい左右の幅を狭くできることで、掃除中に使用者に蓄電池3が接触するのを低減できる。
【0042】
このように単電池3aをV字状に配置することによって、蓄電池ケース3bの上面に窪み部3cが形成される。この窪み部3cには引掛スライド部3dが形成されている。一方、引掛スライド部3dに対向する本体部10(ハンドル部12の下方)には、引掛スライド部3dをスライド自在に保持するための断面視T字状のレール部15が形成されている。
【0043】
また、蓄電池ケース3bの下端には、蓄電池ロック部材13の爪部13a,13aが係止される係止部3e,3eが形成されている。このように、デッドスペースに引掛スライド部3dを形成することで、空間を有効に利用することができ、蓄電池3の高さ寸法を低く抑えることができる。
【0044】
図7は、電気掃除機の排気口が第2の状態を示し、(a)側面図、(b)は(a)のC−C線断面図である。
図7(a)に示すように、電気掃除機100のルーバ16bは、壁面16cに沿って右側(一方)に移動して、左側のすべての長孔16aが開放している。
【0045】
図7(b)に示すように、ルーバ16bによって右側の長孔16aのすべてが閉じられ、左側の長孔16aのすべて開放している。これにより、電動送風機40からの排気すべてが、左側の長孔16aから排出される。これにより、使用者が左手でハンドル部12を握って、使用者の左側に電気掃除機100を配置した場合、排気が使用者に当たるのを防止できる。
【0046】
図8は、電気掃除機の排気口が第3の状態を示し、(a)側面図、(b)は(a)のD−D線断面図である。
図8(a)に示すように、電気掃除機100のルーバ16bは、壁面16cに沿って左側(他方)に移動して、左側のすべての長孔16aが閉じられている。
【0047】
図8(b)に示すように、ルーバ16bによって右側の長孔16aのすべてが開放している。これにより、電動送風機40からの排気すべてが右側の長孔16aから排出される。これにより、使用者が右手でハンドル部12を握って、使用者の右側に電気掃除機100を配置した場合、排気が使用者に当たるのを防止できる。
【0048】
このように、本実施形態の排気口16では、排気の左右の向きを自由に変更できるので、使用者が右利きの場合でも左利きの場合でも、排気が直接使用者に当たるのを防止できる。
【0049】
このように構成された電気掃除機100では、使用者が、ハンドル部12に設けられた操作ボタン12b(図3参照)を操作して運転を開始すると、電動送風機40(図4参照)には蓄電池3(図3参照)から給電される。そして、電動送風機40が駆動して空気を吸い込む。吸い込んだ空気は、導入管14(図2参照)を経て、流入口2b(図2参照)を介してダストケース2内に流入する。そして、流入した塵埃を含む空気は、旋回流となり、塵埃に遠心力が働き、塵埃と空気は分離される。そして、空気はフィルタ5を通過し、電動送風機40、本体基板50(図4参照)を通り、排気口16(図5(a)参照)から掃除機本体1の外部に排気される。
【0050】
図9は、電気掃除機の充電台を示す斜視図である。なお、図9に示す充電台70は、電気掃除機100およびすべての応用吸口体(付属品)を取り外した状態である。
図9に示すように、充電台70は、ベース部71とスタンド部72と延長部材80とを備えて構成されている。
【0051】
ベース部71は、標準吸口400(図1参照)が載置される略矩形状の載置面71aを有している。また、ベース部71は、幅方向(左右方向)の中央に、後方に延びる延出部71bを有している。この延出部71bの左右の側方には、後記する応用吸口体を取り付けて保管しておく側部保管部71c,71dが設けられている。
【0052】
図10は、電気掃除機の充電台を示す平面図である。なお、図10は、充電台70を鉛直上方から見下ろしたときの状態を示している。
図10に示すように、右側の側部保管部71cは、延出部71bから右側方に延出して床面と接する台座部71c1と、この台座部71c1の上面から上方に向けて突出する円柱形状の突起部71c2と、を有して構成されている。左側の側部保管部71dは、延出部71bから左側方に延出して床面と接する台座部71d1と、この台座部71d1の上面から上方に向けて突出する円柱形状の突起部71d2と、を有して構成されている。
【0053】
また、延出部71bには、後方に向けて延出する延出部71eがベース部71と一体に形成されている。この延出部71eは、電気掃除機100の充電時に、電気掃除機100が後方に倒れ込むのを防止する機能を有する。また、延出部71eは、床面と接する台座部71e1と、この台座部71e1の上面から上方に向けて突出する円柱形状の吸口保管部71e2と、を有している。また、台座部71e1は、左右方向に延出して幅広に構成されている。また、台座部71e1の左右方向の両端は、前記した台座部71c1,71d1の先端よりも内側に位置している(図10参照)。このように、延出部71eは、電気掃除機100の倒れ込みを防止する機能だけではなく、応用吸口体を取り付けて保管しておく保管機能も有している。
【0054】
図11は、電気掃除機の充電台から延長部材を取り外した状態を示す斜視図である。
図11に示すように、スタンド部72は、延出部71bの後端部から鉛直方向(上下方向)上向きに延在している。また、スタンド部72は、上下方向の中央より上部が下部よりも前後方向に厚みを持って形成されている。
【0055】
スタンド部72の上面72aには、ハンディ状態の電気掃除機100(図1(b)参照)を充電する際に使用される第1充電端子73が設けられている。第1充電端子73は、掃除機本体1(図2参照)と電気的に接続される。また、第1充電端子73は、蓄電池3を充電する端子であり、スタンド部72の上面72aから鉛直方向の上方に向けて突出して形成されている。
【0056】
図12は、電気掃除機の充電台の分解斜視図である。
図12に示すように、充電台70は、スタンド部72がベース部71に対し着脱自在に構成されている。なお、ベース部71とスタンド部72は着脱自在でなくてもよいが、収納性・梱包性を高めるため、着脱自在であることが望ましい。
【0057】
ベース部71は、後面には電源コード76を備え、内部に充電基板74を有する。また、ベース部71の内部には、おもり75が設けられ、充電台70に電気掃除機100を装着したときに充電台70が倒れにくくなっている。
【0058】
スタンド部72には接続ピン72bが設けられ、ベース部71には接続ピン72bを受ける接続端子71fが設けられ、ベース部71にスタンド部72を装着することで、接続ピン72bが接続端子71fと電気的に接続される。なお、接続ピン72bと第1充電端子73とは、図示しない電線を介して接続されている。
【0059】
図13は、電気掃除機の充電台の第1充電端子を示す拡大斜視図である。
図13に示すように、第1充電端子73は、スタンド部72の上面72aから上方に突出する略直方体形状の端子台73aを有している。この端子台73aは、左右方向に細長く形成されている。また、端子台73aには、左右両端において、前面および上面が開放するように切り欠かれた凹部73b、73bが形成されている。各凹部73b内には、端子73cが設けられている。端子73cは、スタンド部72内においてねじ固定されている。
【0060】
端子台73aには、端子73cと端子73cとの間に、前面および上面が開放するように切り欠かれた略直方体形状の凹み部73d,73dが形成されている。
【0061】
端子73cは、細長い金属板を折り曲げることで構成され、凹部73b内において前後方向に撓み変形するように配置されている。また、端子73cは、前記した接続ピン72bとリード線(図示せず)を介して電気的に接続されている。
【0062】
図14は、充電台の第1充電端子と接続される電気掃除機の本端端子部をダストケース側から見上げた状態を示す斜視図である。
図14に示すように、掃除機本体1の本体端子部17には、充電台70の端子台73a(図13参照)が嵌合する嵌合凹部17aが形成されている。嵌合凹部17a内には、充電台70の端子73c(図13参照)と接続される本体端子17bが配置されている。この本体端子17bは、蓄電池3(図3参照)と電線を介して電気的に接続されている。また、嵌合凹部17a内には、充電台70の凹み部73d(図13参照)と嵌合する嵌合突起17cが形成されている。
【0063】
図15は、電気掃除機の充電台を示す分解斜視図である。
図15に示すように、延長部材80は、電気掃除機100(図1(a)参照)をスティック状態で充電する場合に使用するものであり、パイプ81と、中継端子82と、第2充電端子83と、を有して構成されている。
【0064】
パイプ81は、意匠面等から、例えば、アルミ合金など軽量のもので構成され、軸方向の途中に中継端子82を保持している。また、パイプ81は、軸方向の上端に第2充電端子83を保持している。パイプ81を金属製にすることで、充電台70を外観上スリムに見せることができ、延長部材80を製造する際に大きな金型が不要になる。なお、パイプ81は、金属製に限定されず、合成樹脂製であってもよい。
【0065】
また、パイプ81は、中継端子82から下側に突出する連結部81sが、スタンド部72に一体に形成された連結保持部72cに連結される。連結保持部72cは、軸方向に細長い筒状に形成され、上面72aにパイプ81の連結部81sが挿入される挿入穴72c1が形成されている。この連結保持部72cは、連結部81sの全体を収容できる長さに形成されている。
【0066】
中継端子82は、合成樹脂などで形成され、第1充電端子73と連結される連結端子部82aと、連結端子部82aをパイプ81に保持させる保持部材82bと、延長管300を保持する延長管保持部82cと、延長ホース800(図25参照)を保持する延長ホース保持部82dと、を有している。
【0067】
連結端子部82aは、パイプ81の軸方向に直交する方向に突出して形成され、下面に第1充電端子73と接続される端子部が形成されている。この端子部は、図示していないが、図14で示した本体端子部17と同様に構成されている。
【0068】
保持部材82bは、連結端子部82aに向けて延びるフランジ82b1と、このフランジ82b1から上方に向けて側面視円錐台状に形成されるとともにパイプ81に固定される筒体82b2と、を有している。
【0069】
このように、中継端子82は、パイプ81を連結保持部72cに挿入して取り付けたときに、連結端子部82aと第1充電端子73とが連結され、電気的に接続されるように構成されている。
【0070】
延長管保持部82cは、連結端子部82aの前面に形成され、延長管300(図1(a)参照)を左右両側から挟み込んで保持する一対の保持片82c1,82c1を有している。一対の保持片82c1,82c1は、撓み変形可能に構成され、延長管300(図1(a)参照)を隙間82c2から押し込むことで、延長管300を保持片82c1,82c1に保持させることができる。
【0071】
延長ホース保持部82dは、後記する延長ホース800(図25参照)を保管しておく際に利用されるものであり、前部保持片82d1と、下部保持片82d2と、を有している。
【0072】
前部保持片82d1は、パイプ81側とで挟んで保持する板状のものであり、連結端子部82aの上面に、上方に向けて突出して形成されている。また、前部保持片82d1の先端(上端)は、パイプ81側に向けて屈曲して形成されている。
【0073】
下部保持片82d2は、延長ホース800の下部を支持するものであり、連結端子部82aから筒体82b2までに渡って形成される下部支持部82d2を有している。また、下部保持片82d2は、連結端子部82aと保持部材82bとを連結して、中継端子82の強度を向上させている。
【0074】
第2充電端子83は、第1充電端子73と同様の構成であり、スティック状態の電気掃除機100(図1(a)参照)を立てた状態で充電可能にするものである。また、第2充電端子83は、パイプ81の上端に保持される保持部83aを有している。この保持部83aの上面83a1に第2充電端子83が上向きに形成されている。
【0075】
また、保持部83aの前面には、電気掃除機100のダストケース2の周面を受けて、電気掃除機100のぐらつきを抑える抑え部83bが形成されている。この抑え部83bの前面は、左右に広がりながら前方に向けて湾曲して形成されている。
【0076】
図16は、電気掃除機の充電台を示す側面図である。
図16に示すように、充電台70は、中継端子82の連結端子部82aを前側に向けた状態で、パイプ81を連結保持部72cに上方から挿入する。そして、中継端子82より下部のパイプ81の連結部81s(図15参照)が連結保持部72cに挿入されると、第1充電端子73(図15参照)が中継端子82に嵌合し、第1充電端子73と中継端子82とが電気的に接続される。また、中継端子82は、第2充電端子83とパイプ81内に通された電線(不図示)を介して電気的に接続されている。
【0077】
このとき、図16の側面視において、連結保持部72cの背面(後面)の位置と、延長部材80の背面(後面)の位置とが略一致している。また、延出部71eは、図16の側面視において、連結保持部72cおよび延長部材80よりも後方に突出するようにして構成されている。
【0078】
また、保持部83aの上面83a1は、前方に向けて下降するように若干傾斜している。また、第2充電端子83は、上面83a1の傾斜に沿って傾斜して配置されている。
【0079】
図17は、電気掃除機をスティック状態で充電台に取り付けたときの側面図である。なお、図17の方向矢印は、充電台70の向きを示している(図18も同様)。
図17に示すように、電気掃除機100は、スティック状態において、第2充電端子83と接続されることで充電される。このとき、使用者は、ハンドル部12を把持しながら延長管300を下向きにして、掃除機本体1を第2充電端子83の上方から下降させることによって、第2充電端子83に本体端子部17が接続される。このとき、第2充電端子83が上向きに形成されているので、電気掃除機100の自重によって、本体端子部17を第2充電端子83に確実に接続することができる。
【0080】
また、ダストケース2が抑え部83bに接し、延長管300が延長部材80の延長管保持部82cに保持される。また、標準吸口400の一部は、ベース部71の載置面71aと接している。これにより、電気掃除機100の重心が高い状態で充電する場合においても、電気掃除機100を安定して充電台70に保持させることができる。
【0081】
また、スティック状態の電気掃除機100を充電台70で充電する場合には、電気掃除機100が鉛直方向(上下方向)に対して、前方に角度αだけ前傾した姿勢で保持される。このように、電気掃除機100が前傾姿勢で保持されることで、電気掃除機100の重心が、電気掃除機100を直立に保持した場合よりも前寄りになるので、電気掃除機100が後方へ倒れるのを防止できる。
【0082】
なお、充電台70は、電源コード76を接続せず、蓄電池3の充電を行わない場合でも、電気掃除機100を収納する際のスタンドとして使用することができる。
【0083】
図18は、電気掃除機をハンディ状態で充電台に取り付けたときの側面図である。
図18に示すように、電気掃除機100は、ハンディ状態において、第1充電端子73と接続される。すなわち、図17に示すスティック状態の電気掃除機100を充電する状態とは、連結端子部82aの向きを後向き(逆向き)にした状態で延長部材80がスタンド部72に取り付けられる。すなわち、図16に示す状態から、第1充電端子73(図15参照)と中継端子82との接続が解除されるまで、延長部材80を延長上方に引き上げる。そして、延長部材80を、パイプ81を軸として中継端子82が後側を向くように回転させ、上面72aと接するまで下降させることで図18に示す状態となる。
【0084】
そして、電気掃除機100から延長管300を取り外し、電気掃除機100と標準吸口400とを直接に接続する。そして、標準吸口400が接続された電気掃除機100の本体端子部17を第1充電端子73の上方から下降させることにより、第1充電端子73が本体端子部17と接続される。このように、本実施形態の充電台70では、延長部材80の向きを変えて保管することができ、電気掃除機100をハンディ状態で充電することも可能になる。また、延長部材80の充電台70とは別の場所に保管しておくこともないので使い勝手を向上できる。
【0085】
なお、延長管300は、延長部材80の延長管保持部82cに保持させて保管することができる。このように、延長部材80を充電台70の延長管保持部82cに保持させておくことができるので、電気掃除機100をスティック状態からハンディ状態にする場合には、取り外した延長管300を延長管保持部82cに迅速に取り付けて保管しておくことができる。また、電気掃除機100をハンディ状態からスティック状態にする場合には、延長管保持部82cから延長管300を取り外して電気掃除機100に迅速に取り付けることができる。また、延長管300を床面より高い位置に保持できるので、使用者にとっても着脱が容易であり、使い勝手を向上できる。また、延長管300を充電台70とは別の場所に保管する必要もないので、使い勝手を向上できる。
【0086】
図19は、本体端子部と第1充電端子との接続状態を示す断面図である。
図19に示すように、第1充電端子73に本体端子部17が嵌合する際に、本体端子17dが端子73cに接触し、さらに本体端子17dの縁部17fが下降することで端子73cが後方に撓み変形する。端子73cは、前方に向けて付勢するばね性を有しているので、掃除機本体1が充電台70に装着されている間は、本体端子17dと端子73cとは接触した状態を維持し、蓄電池3(図3参照)への充電が継続される。
【0087】
また、第1充電端子73は、本体端子部17と凹凸嵌合しているので、例えば、充電中に使用者が掃除機本体1に接触したとしても、本体端子17dと端子73cとの導通状態(接触状態)が解除されることはない。また、第2充電端子83(図16参照)を本体端子部17と接続した場合にも、充電中に使用者が掃除機本体1に接触したとしても、本体端子17dと端子73cとの導通状態(接触状態)が解除されることはない。
【0088】
このように構成された充電台70では、第1充電端子73がスタンド部72の上面72aに形成されているので、第1充電端子73と本体端子部17とを合わせるときに、使用者の目線に近い位置にあるので、第1充電端子73に本体端子部17を挿入し易くなり、掃除機本体1を充電台70にセットし易くなる。また、充電台70では、第2充電端子83が上面83a1(図15参照)に形成されているので、第2充電端子83と本体端子部17とを合わせるときに、使用者の目線にさらに近い位置となるので、第2充電端子83に本体端子部17を挿入し易くなり、掃除機本体1を充電台70にセットし易くなる。
【0089】
また、充電台70では、第1充電端子73がスタンド部72の上面72aに形成されている。つまり、第1充電端子73が床面から高い位置に形成されているので、第1充電端子73にごみが堆積し難くなり、また床面から埃が上がってきて付着することも低減できる。また、充電台70では、第2充電端子83が延長部材80の上面83a1に形成されている。つまり、第2充電端子83が床面から高い位置に形成されているので、第2充電端子83にゴミが堆積し難くなり、また床面から埃が上がってきて付着することも低減できる。
【0090】
また、充電台70にセットした電気掃除機100では、電気掃除機100の重心に近い位置(電動送風機40および蓄電池3の位置)に第1充電端子73や第2充電端子83が位置するので、重心付近を第1充電端子73、第2充電端子83が受けることで、充電中において充電台70に掃除機本体1を安定して保持できる。
【0091】
また、充電台70に電気掃除機100を適用することにより、ダストケース2を取り外した状態で充電できるので、ダストケース2を洗浄、乾燥させている最中であっても充電することができる。
【0092】
また、電気掃除機100を充電台70にハンディ状態にして充電する場合には、標準吸口400がベース部71の載置面71aに接触しないようになっている(図18参照)。また、第1充電端子73が上向きで、本体端子部17が上方から第1充電端子73に接続される構成である。これにより、電気掃除機100の自重を第1充電端子73に重点的に作用させることができるので、本体端子部17と第1充電端子73とを確実に接続することができる。
【0093】
なお、図示省略しているが、電気掃除機100をスティック状態で充電する場合にも、図19と同様な機構によって、電気掃除機100の本体端子部17と第2充電端子83とが接続される。よって、本体端子部17と第2充電端子83とが接続される場合にも、第1充電端子73と本体端子部17とを接続する場合と同様の効果を得ることができる。
【0094】
また、充電台70では、電気掃除機100に標準吸口400を接続した状態で充電する場合、ベース部71の載置面71aで支持できるので、電気掃除機100を、第1充電端子73と標準吸口400の2箇所で支持することができ、充電台70に電気掃除機100を安定して保持させることができる。
【0095】
図20は、スティック状態の電気掃除機で床面を掃除するときの使用形態図である。
図20に示すように、電気掃除機100をスティック状態にし、電気掃除機100を使用者よりも前方に突き出して床面を掃除する場合には、使用者は、ハンドル部12の第2把持部12a2を把持しながら、電気掃除機100を前後に移動させる。また、図示していないが、電気掃除機100を使用者の脇に位置した状態で床面を掃除する場合には、使用者は、ハンドル部12の第1把持部12a1を把持しながら、電気掃除機100を前後に移動させる。このように、使用者が床面を掃除する場合には、ハンドル部12の位置を持ち替えて掃除することができる。
【0096】
図21は、スティック状態の電気掃除機で高い場所を掃除するときの使用形態図である。
ところで、スティック状態にしたときに重心が先端側にある電気掃除機(特許文献1参照)では、電気掃除機100を床面より高い場所で掃除する場合には、使用者が電気掃除機100の先を上向きに持ち上げる必要があるので手首に負担が掛かり易くなる。
そこで、図21に示すように、電気掃除機100の重量物である電動送風機40(図4参照)や蓄電池3がハンドル部12に近い位置(手元に近い位置)にあるので、電気掃除機100の重心Gが、使用者の手元に近くなる。これにより、電気掃除機100をスティック状態にして、電気掃除機100を床面より高い場所を掃除する場合であっても掃除し易くなり、使い勝手を向上できる。図21では、階段を掃除する場合を例に挙げて説明したが、電気掃除機100を持ち上げてエアコンのパネルなどを掃除する場合にも有効である。
【0097】
次に、電気掃除機100に接続される各種の応用吸口体について説明する。前記した電気掃除機100には、付属品として各種の応用吸口体を接続し付け替えて掃除を行うことができる。
図22は、開閉部材を取り付けた標準吸口を示す断面図を示し、(a)は前進時、(b)は壁突き当たり時、(c)は後進時である。なお、図22では、回転ブラシを駆動するモータや回転ブラシを制御する基板の図示を省略している。
【0098】
図22(a)に示すように、標準吸口400は、吸口ケース401と、モータ(不図示)で駆動される第1ブラシ402と、床面との摩擦によって回転する第2ブラシ403と、を有して構成されている。
【0099】
吸口ケース401は、下面が開放するとともに、第1ブラシ402および第2ブラシ403を収容する空間を有している。第2ブラシ403は、第1ブラシ402の後方に隙間を開けて配置されている。
【0100】
また、吸口ケース401の前面には、開閉部材404が設けられている。開閉部材404は、回動軸404aを有している。また、開閉部材404は、回動軸404aの軸方向に直交するに延びる突起体404bと、回動軸404aから突起体404bとは反対方向に延びる開閉体404cと、を有している。突起体404bは、硬質の板状部材で構成されている。開閉体404cは、前側に刷毛部404c1と、後側にゴム製のプレート404c2とが前後に重ね合わされて構成されている。
【0101】
図22(a)に示すように、標準吸口400を前進させた場合には、刷毛部404c1と床面との摩擦力と、電動送風機40の吸込力によって、開閉体404cが反時計回り方向に回動して、吸口ケース401の前面下部が開放状態になる。このように開閉体404cが開放することにより、標準吸口400の前方に位置する大きなゴミ(塵埃)を吸い込むことが可能になる。
【0102】
図22(b)に示すように、標準吸口400が壁に突き当たった場合には、まず突起体404bの先端(上端)が壁に突き当たる。そして、標準吸口400が壁に向けてさらに押圧されると、このときの押し込み力によって、開閉部材404が時計回り方向に回動して開閉体404cが前向きに動作する。開閉体404cが前向きに動作することによって、吸口ケース401の前面下部の開口401aが閉じられる。このように構成することで、壁際(隅)のゴミを吸い込んで取り除くことができる。また、標準吸口400を左右方向に動かすことにより、壁際のゴミをさらに確実に取り除くことができる。
【0103】
図22(c)に示すように、標準吸口400を後進させた場合には、刷毛部404c1と床面との摩擦力によって、開閉体404cが時計回り方向に回動して開閉体404cが前向きに動作する。これにより、吸込ケース401内の静圧が上昇することで、ゴミを確実に吸い込むことができる。
【0104】
また、コードレスの電気掃除機100では、吸込み力が家庭用のコンセントから電力が供給される電気掃除機に比べて弱くなる。このため、標準吸口400では、前進のときに(図22(a)参照)、吸口ケース401の前面(開口401a)が開放するので、操作力を軽くすることができ、大きなゴミを吸うこともできる。また、後進時(図22(c)参照)、開閉部材404が閉じて、静圧が高まることで例えば絨毯の中の砂ゴミなどをしっかり吸い込むことができる。また、標準吸口400を、家庭用のコンセントから電力を供給する電気掃除機に接続される吸口よりも小さく構成することで、標準吸口400からの空気の漏れを少なくでき、また静圧が均等にいきわたり易くなる。
【0105】
図23は、各種の応用吸口体を示し、(a)隙間吸口を示す斜視図、(b)は小型吸口を示す斜視図、(c)はほうき型吸口を示す斜視図、(d)は(c)の平面図である。
図23(a)に示すように、隙間吸口500は、家具の間や、家具と壁の隙間などに溜まったゴミを吸い取るものである。また、隙間吸口500は、基端に電気掃除機100に接続される円管状の本体接続口501を有し、先端に吸い込み対象物に向けられる幅狭の吸込口502を有している。
【0106】
図23(b)に示すように、小型吸口(ミニパワーヘッド)600は、前記した標準吸口400を略小型にしたものであり、標準吸口400で使用する場所と同じ場所を掃除するには精神的に抵抗のある場所(ソファ、寝具など)に適用できる。
【0107】
また、小型吸口600は、標準吸口400よりも幅狭の吸口ケース601と、モータM(図24(a)参照)で回転する回転ブラシ602と、円筒状のかきとりブラシ603(図24参照)と、を備えている。また、小型吸口600は、電気掃除機100と電気的に接続される端子を有する接続口604を備えている。
【0108】
図23(c),(d)に示すように、ほうき型吸口700は、サッシのレール、小物が収納された引き出しの中などを掃除するものであり、ゴミを掃くための刷毛体701と、ゴミを吸い込むためのゴム製のチューブ702と、を有している。チューブ702は、撓み変形可能で、小さな物品を吸い込まない径の吸込口を有している。また、ほうき型吸口700は、複数のチューブ702を備えて、平面視において直線状に配置されるとともに、チューブ702の両側に刷毛体701を備えて構成されている。
【0109】
また、ほうき型吸口700は、電気掃除機100に接続される接続口703と、刷毛体701およびチューブ702の向きを変更可能な関節部704,705と、を有している。
【0110】
図24は、小型吸口の断面図を示し、(a)は前進時、(b)は後進時である。なお、図24は、吸口を幅方向の中央で切断した状態である。また、図24では、ゴミを○印で模式的に図示している。
図24(a)に示すように、小型吸口600の吸口ケース601は、回転ブラシ602およびかきとりブラシ603を収容する吸込室601aと、モータMや基板(不図示)などを収容する収容室601bとに区画する隔壁601cを有している。
【0111】
回転ブラシ602は、軸中心に設けられたコア部材の外周に刷毛が植設されて構成されている。
かきとりブラシ603は、断面視略円形であり、軸方向に向けて回転ブラシ602と対向する長さに形成されている。また、かきとりブラシ603は、回転ブラシ602の刷毛と接するように配置されている。また、かきとりブラシ603は、いわゆるエチケットブラシを略円筒状に構成したものである。
【0112】
図24(a)に示すように、小型吸口600を前進させた場合には、白抜き矢印W10の方向に回転して、所定の位置で回転が規制される。この場合、エチケットブラッチが逆目になることで、かきとりブラシ603によって床面からゴミが捕集される。なお、回転ブラシ602の回転方向は、白抜き矢印W1の方向である。
【0113】
また、小型吸口600を後進させた場合には、かきとりブラシ603が図24(a)の状態から時計回り方向に90度回動して(白抜き矢印W20参照)、図24(b)に示す状態に至る。これにより、かきとりブラシ603でかきとられたゴミが回転ブラシ602によって取り除かれ、掃除機本体1(図2参照)に吸い込まれる。
【0114】
このように、小型吸口600を使用した場合には、静圧を高くできる。これにより、吸込み対象物(絨毯の中の砂ゴミなど)を集中的に吸い込むことができ、またそのようなゴミを取り易くできる。また、小型吸口600の幅を短くすることで、圧力面積が小さくなるので、操作性を軽くできる。
【0115】
図25は、延長ホースを示す斜視図である。
図25に示すように、延長ホース800は、先端に取っ手801を備えた吸込口802と、基端に掃除機本体1(図2参照)と接続される接続口803と、吸込口802と接続口803とを接続する蛇腹管804と、を備えて構成されている。
【0116】
また、延長ホース800の内側には、電線(不図示)が通され、モータMで動作する回転ブラシ602が設けられた小型吸口600(図24(a)参照)が接続可能に構成されている。
【0117】
このような延長ホース800を掃除機本体1に接続して使用することで、一方の手で掃除機本体1を持ち、もう一方の手で取っ手801を持ちながら、小型吸口600の位置を自由に変えながら掃除が可能になる。これにより、延長ホースの無い電気掃除機に比べて、車内のシートや足元などを掃除することが容易になる。
【0118】
図26(a)は、延長ホースを含む各種の応用吸口体を取り付けた状態を示す正面図、(b)は、延長ホースを除く各種の応用吸口体を取り付けた状態を示す側面図である。
図26(a),(b)に示すように、充電台70には、隙間吸口500、小型吸口600、ほうき型吸口700および延長ホース800を取り付けることができる。すなわち、隙間吸口500は、側部保管部71d(図9参照)に取り付けて保管でき、小型吸口600は、延出部71eに取り付けて保管でき、ほうき型吸口700は、側部保管部71cに取り付けて保管できるように構成されている。なお、隙間吸口500、小型吸口600、ほうき型吸口700の位置は、本実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0119】
また、充電台70には、延長ホース800を、前部保持片82d1とパイプ81との間に蛇腹管804の長さ方向の中央を挟んで保持させることができる。
【0120】
このように、充電台70に各種の応用吸口体としての隙間吸口500、小型吸口600、ほうき型吸口700、延長ホース800を保管しておくことができる。これにより、隙間吸口500、小型吸口600、ほうき型吸口700、延長ホース800を部屋の別の場所に収納しておくことなく、迅速に付替えて使用することができ、使い勝手が向上する。
【0121】
図27は、延長ホースの使用状態を示し、(a)は本実施形態のハンドル部を備えた電気掃除機、(b)は比較例のハンドル部を備えた電気掃除機である。
図27(b)に示す電気掃除機は、掃除機本体1にハンドル部120を備えたものである。ハンドル部120は、本実施形態のハンドル部12に第1把持部12a1を設けない構造である。このようなハンドル部120を備えた掃除機本体1に延長ホース810を接続した場合、掃除機本体1の先端が下側を向いてしまう。このため、図27(b)に示すように、延長ホース810の長さL10が長くなる。
【0122】
これに対して、図27(a)に示す本実施形態の電気掃除機100は、第2把持部12a2に加えて第1把持部12a1を設けたハンドル部12を備えている。このため、掃除機本体1に延長ホース800を接続した場合、使用者は、第1把持部12a1を把持することで、掃除機本体1の先端が前方を向く。このため、図27(a)に示すように、延長ホース800の長さL1を図27(b)の場合よりも短く構成することが可能になる。
【0123】
図28は、変形例に係る隙間吸口を示し、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
図28(a),(b),(c)に示すように、隙間吸口500Aは、吸口本体503と、導光部材504と、カバー部材505と、を有している。カバー部材505は、軟質材で形成され、吸口本体503がごみを吸込む際、対象床面等の傷つきを防止するために設けられる。
【0124】
吸口本体503は、図23(a)に示す隙間吸口500と基本的に同様の形状を有している。導光部材504は、細長い略板状の部材で構成され、吸口本体503の先端側からスライドして取り付けられている。カバー部材505は、隙間吸口500の先端に取り付けられている。
【0125】
図29は、変形例に係る隙間吸口を示す分解斜視図である。
図29に示すように、隙間吸口500Aは、吸口本体503の下面に、導光部材504を取り付けるための案内レール503aが形成されている。
【0126】
導光部材504は、導光体504aと、LED504bと、蓄電池504cと、蓋体504dと、を有して構成されている。なお、蓄電池504cは、一次電池であっても、二次電池でもあってもよい。
【0127】
導光体504aは、アクリルなどの透明な樹脂で形成され、吸口本体503に沿って細長く形成されている。また、導光体504aは、周壁504sおよび前壁504tを有し、略四角柱状に形成されている。また、導光体504aの上面には、案内レール503aに掛止される直線状のスライド溝504eが形成されている。また、導光体504aの先端上面には、空気の取り入れ量を調整可能なサクションバルブ用の弁体504fが突出して形成されている。弁体504fは、軸方向に細長く形成されている。
【0128】
スライド溝504eの軸方向の長さL30は、案内レール503aの軸方向の長さL40よりも長く形成されている。
【0129】
図30は、図28(b)のE−E線断面図である。
図30に示すように、案内レール503aは、軸方向から見たときに、逆T字状に形成されている。
【0130】
導光体504aの内部には、スライド溝504eと連通する空洞部504gが形成されている。この空洞部504gは、断面視において略矩形状に形成され、案内レール503aが摺動可能な幅Wと、案内レール503a、LED504bおよび蓄電池504c(図29参照)を収容可能な高さHと、を有している。
【0131】
図31は、図28(b)のF−F線断面図である。
図31に示すように、空洞部504gは、軸方向に沿って導光体504aの先端まで形成されている。なお、導光体504aの先端面は閉じた形状である。
【0132】
空洞部504g内には、導光体504aの基端側の孔からLED504b、蓄電池504cの順番で挿入されている。最後に、蓋体504dによって導光体504aの基端が閉じられ、ロックされている。なお、蓋体504dは、着脱可能に構成されている。
【0133】
図32は、図32は、図28(c)のG−G線断面図である。
図32に示すように、吸口本体503の底面503bには、前寄りに軸方向(前後方向)に沿って長孔503cが形成されている。この長孔503cには導光体504aに形成された弁体504fが挿通され、弁体504fが長孔503c内を前後方向に摺動するように構成されている。
【0134】
このように、長孔503cと弁体504fとによってサクションバルブVが構成されている。サクションバルブVを設けることにより、外部から電気掃除機100内に取り込む空気の量を変動させことができる。これにより、吸引力の異なる掃除機であっても、隙間吸口500Aを取り付けることが可能になり、汎用性を高めることができる。
【0135】
このように構成された隙間吸口500Aを組み立てる場合には、導光体504aのスライド溝504eを案内レール503aに前方から挿し込んで後方ヘスライドさせる。そして、導光体504a内にLED504bおよび蓄電池504cを挿入して、蓋体504dで導光体504aの後端を閉塞する。そして、カバー部材505を吸口本体503に取り付けることで、導光部材504が吸口本体503から脱落するのを防止することができる。なお、蓋体504dには、LED504bをオン/オフする機構が設けられている。
【0136】
そして、隙間吸口500Aを電気掃除機100に取り付け、また、隙間吸口500Aを取り付けた延長管300を掃除機本体1に取り付ける。そして、LED504bの電源をオンにすることでLED504bが発光する。出射された光は、導光体504aの周壁504s(図29および図31参照)を通りながら前方に伝わり、また前端の前壁504t(図29および図31参照)に直接に照射される。これにより、奥まった(すき間の)前方を効率よく照らすことができ、塵埃を取り易くできる。
【0137】
図33は、他の変形例に係る隙間吸口を電気掃除機に取り付けた状態を示す側面図、図34は、図33のH−H線断面図である。
図33に示すように、隙間吸口500Bは、導光体507を備えている。導光体507の基端は、掃除機本体1の接続口10aまで延びている。また、掃除機本体1には、導光体507の後端面に対向する位置に、LED506が設けられている。LED506は、蓄電池3から供給されるように構成されている。
【0138】
図34に示すように、隙間吸口500Bは、前記した隙間吸口500Aと同様に、案内レール503a、スライド溝504eおよび弁体504fによってサクションバルブVが構成されている。
【0139】
このように、LED504bを、導光体504aではなく、掃除機本体1に設けた場合でも、掃除機本体1からの光を導光体507を介して、奥まった(すき間の)前方に効率よく照射することができ、塵埃を取り易くできる。
【0140】
なお、前記した実施形態では、吸口本体503が導光体で構成されていない場合を例に挙げて説明したが、吸口本体503の全体をアクリルなどの透明な樹脂で形成して、吸口本体503に設けられたLEDまたは掃除機本体1に設けられたLEDによって吸口本体503を導光させてもよい。
【0141】
以上説明したように、本実施形態の電気掃除機の充電台70は、床面に載置されるベース部71と、ベース部71から立ち上がるスタンド部72と、スタンド部72に連結される延長部材80と、を備え、スタンド部72は、電気掃除機100をハンディ状態で充電する第1充電端子73を有し、延長部材80は、電気掃除機100をスティック状態で充電する第2充電端子83を有している。これによれば、電気掃除機100がスティック状態とハンディ状態で電気掃除機100の本体端子部17の高さ位置が変わるものであっても、電気掃除機100をスティック状態とハンディ状態のいずれでも充電することができる。
【0142】
また、本実施形態では、延長部材80は、第1充電端子73と第2充電端子83とを電気的に接続する中継端子82を有する。これによれば、第1充電端子73と第2充電端子83を電源から別々の回路(電線)で構成する必要がなくなるので、回路構成を簡略化できる。また、電気掃除機100をハンディ状態で使用する場合には、第2充電端子83を含む延長部材80から回路から遮断しておくことができる。
【0143】
また、本実施形態では、スタンド部72は、延長部材80を着脱可能に連結する連結保持部72cを有し、連結保持部72cは、第1充電端子73と中継端子82との電気的な接続を解除した状態で、延長部材80を保持する。これによれば、電気掃除機100をハンディ状態で充電する場合に、使用しない延長部材80を保管しておくことができるので使い勝手が向上する。
【0144】
また、本実施形態では、ベース部71は、スタンド部72を挟んで当該ベース部71とは反対側に設けられる延出部71eを有し、延出部71eは、電気掃除機100に着脱して使用する応用吸口体(小型吸口600)を保管する吸口保管部71e2を備える。これによれば、延出部71eによって、充電台70が後方へ倒れ込むのを抑えることができるとともに、応用吸口体を保管しておくこともできる。
【0145】
また、本実施形態では、延長部材80は、電気掃除機100に着脱して使用する延長ホース800を保持する延長ホース保持部82dを有する。これによれば、車内などに使用する場合に好適な延長ホース800を付属品として適用した場合であっても、延長ホース800を充電台70に掛けて保管しておくことができ、使い勝手が向上する。
【0146】
また、本実施形態では、延長部材80は、金属製のパイプ81を有する。これによれば、充電台70の外観をすっきりと見せることができるとともに延長部材80の強度を高めることができる。
【0147】
また、本実施形態では、パイプ81は円形である。これによれば、延長部材80をスタンド部72から取り外すことなく、延長部材80の向きを変えることができ、電気掃除機100をスティック状態での充電とハンディ状態での充電のそれぞれに対応させることができる。
【0148】
なお、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれるものである。例えば、第1充電端子73と第2充電端子83を中継端子82を介して電源から1本の回路(配線)で構成するようにしたが、第1充電端子73と第2充電端子83の電源からの回路(配線)が別々で構成してもよい。また、応用吸口体を取り付ける数、位置は一例であって、さらに多くの応用吸口体を取り付けられるようにしてもよい。例えば、第2充電端子83が設けられている延長部材80を、第1充電端子73が設けられている充電台70と別部品で連結可能な構造とするのではなく、電台70に対し伸縮可能とするや、回動可能とする、などの着脱可能でない構造としたり、一部品としても良い。
【符号の説明】
【0149】
1 掃除機本体
2 ダストケース
2a 外筒
2a1 分離部
2a2 収容部
2b 流入口
2c 蓋
2f 解除ボタン 3 蓄電池
5 フィルタ
5a、5b ボタン
10 本体部
10a 接続口(吸込口)
40 電動送風機
50 本体基板(制御基板)
70 充電台
71 ベース部
71e 延出部
71e2 吸口保管部
72 スタンド部
72c 連結保持部
73 第1充電端子
80 延長部材
81 パイプ
82 中継端子
83 第2充電端子
100 電気掃除機
200 内筒
210 筒部
220 メッシュ部
230 傘部
240 ピストン部
250a,250b,250c 円環状リブ
300 延長管
400 標準吸口
500,500A,500B 隙間吸口(応用吸口体)
600 小型吸口(応用吸口体)
700 ほうき型吸口(応用吸口体)
800 延長ホース(応用吸口体)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動送風機と、接続口と、前記電動送風機の上方に配置され前後方向に延びる第1部分と前記電動送風機の後方に配置され上下方向に対して上部が前方に向くように傾斜した第2部分とが連続的に接続されたハンドル部とを備える掃除機本体と、
前記掃除機本体における前記電動送風機の前方に着脱可能な集塵装置と、を備えた電気掃除機において、
前記集塵装置は一端に蓋体を有し、
前記蓋体は前記集塵装置の開口部を開閉可能に前記集塵装置に軸支されており、
前記集塵装置が前記掃除機本体に装着された状態で、前記蓋体の開閉が可能であり、
前記集塵装置が前記掃除機本体に装着された状態であって、かつ前記蓋体が開いた状態における前記集塵装置の開口部は、前記掃除機本体の前記接続口と同一方向に開口し、
前記集塵装置の第1の旋回する流れの軸方向は前記集塵装置の開口部の開口面と略垂直であって、
前記集塵装置が前記掃除機本体に装着され、標準吸口を接続した延長管が前記掃除機本体の前記接続口に接続され、前記ハンドル部の前記第2部分の下方の位置に蓄電池が装着されたスティック状態の前記電気掃除機の重心を重力方向におろした線は、前記集塵装置の開口部の開口面が床面と平行となる状態において、前記集塵装置の開口部の開口面に交わることを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
電動送風機と、吸込口と、前記電動送風機の上方に配置され前後方向に延びる第1部分と前記電動送風機の後方に配置され上下方向に対して上部が前方に向くように傾斜した第2部分とが連続的に接続されたハンドル部とを備える掃除機本体と、前記掃除機本体における前記電動送風機の前方に着脱可能な集塵装置と、前記集塵装置と前記吸込口とを連通する導入管を備え、前記導入管は前記集塵装置の側方に配置し、前記導入管を覆うケース本体を備えた電気掃除機において、
前記集塵装置は一端に蓋体を備え、前記蓋体はロック機構により開閉可能に軸支されており、
前記ロック機構は前記ケース本体側に位置し、前記集塵装置が前記掃除機本体に装着された状態で、前記蓋体の開閉が可能であり、
前記集塵装置が前記掃除機本体に装着された状態であって、かつ前記蓋体が開いた状態における前記集塵装置の開口部は、前記掃除機本体の前記吸込口と同一方向に開口し、
前記集塵装置の第1の旋回する流れの軸方向は前記集塵装置の開口部の開口面と略垂直であって、
前記集塵装置が前記掃除機本体に装着され、標準吸口を接続した延長管が前記掃除機本体の前記吸込口に接続され、前記ハンドル部の前記第2部分の下方の位置に蓄電池が装着されたスティック状態の前記電気掃除機の重心を重力方向におろした線は、前記集塵装置の開口部の開口面が床面と平行となる状態において、前記集塵装置の開口部の開口面に交わることを特徴とする電気掃除機。
【請求項3】
請求項2に記載の電気掃除機において、
前記ロック機構は前記蓋体を解除するボタンを備え、
前記ボタンは前記掃除機本体の側方から臨めるように位置し、かつ前記集塵装置及び前記ケース本体よりも突出しないことを特徴とする電気掃除機。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の電気掃除機において、
前記集塵装置は、前記蓋体を開いた際に塵埃を押し出すことを特徴とする電気掃除機。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2022-09-02 
出願番号 P2017-152860
審決分類 P 1 652・ 55- YAA (A47L)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 小川 恭司
特許庁審判官 佐々木 芳枝
窪田 治彦
登録日 2020-12-17 
登録番号 6811692
権利者 日立グローバルライフソリューションズ株式会社
発明の名称 電気掃除機  
代理人 ポレール弁理士法人  
代理人 ポレール弁理士法人  
代理人 戸田 裕二  
代理人 戸田 裕二  

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