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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C12G
審判 全部申し立て 2項進歩性  C12G
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C12G
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  C12G
管理番号 1390567
総通号数 11 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-11-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-10-21 
確定日 2022-08-17 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6862145号発明「ビールテイスト飲料、ビールテイスト飲料の製造方法、及びビールテイスト飲料の不快臭を低減する方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6862145号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1−3〕、〔4−7〕について訂正することを認める。 特許第6862145号の請求項1ないし8に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
1 特許第6862145号の請求項1ないし8に係る特許についての出願は、平成28年10月31日に出願され、令和3年4月2日にその特許権の設定登録がされ、同年同月21日に特許掲載公報が発行され、その後、同年10月21日に、特許異議申立人 山内 慶子(以下「申立人A」という。)により特許異議の申立て(以下「申立てA」という。)がされ、同年同月22日に、特許異議申立人 芦田 桂(以下「申立人B」という。)により特許異議の申立て(以下「申立てB」という。)がされたものである。
そして、当審は令和4年1月7日付けで取消理由を通知し、特許権者は、その指定期間内である同年3月14日に意見書の提出及び訂正の請求を行い、その訂正の請求に対して、申立人Aは、同年4月22日に意見書(以下「意見A」という。)に提出し、申立人Bは同年同月26日に意見書(以下「意見B」という。)を提出した。

2 上記手続において提出された証拠方法は、以下のとおりである(以下、申立人Aが提出した甲第1号証等を「甲A1」等という)。

甲A1:BRAUINDUSTRIE、1984、Vol.69(13)、p.984-991
甲A1−1:Bundesgesetzblatt、Teil I、Ausgegeben zu Bonn am 25. Marz 1952. Nr. 12、p.149-150(当審注:Marzの「a」はウムラウト付きのa)
甲A2:国際公開第2009/051127号
甲A2−1:“2007.01.31 9773号 6面”、[online]、2007年1月31日、日本食糧新聞、[2021年10月13日検索]、インターネット
<URL:https://news.nissyoku.co.jp/news/nss-9773-0050>
甲A2−2:“ビール・発泡酒・チューハイの部屋 No.1041〜1060”、[online]、2007年2月4日、[2021年10月13日検索]、インターネット
<https://wine-life.info/beers/beers1041.html>
甲A2−3:“おすすめ発泡酒を探すブログ”、[online]、2008年6月1日、[2021年10月13日検索]、インターネット
<URL:https://blog.drinkit.jp/archives/127>
甲A3:日本の地ビールの品質特性とその変遷、東京農大農学集報、2012、57(2), p.126-137
甲A4:特開2016−149975号公報
甲A5:Harold M. Broderick、THE PRACTICAL BREWER A Manual for the Brewing Industry Second Edition、Master Brewers Association of the Americas、1977、p.58
甲A6:本件特許出願の令和2年11月16日受付けの意見書
甲A7:特許第5253896号
甲A8:特開2014−27895号公報
甲A9:醸造物の成分、財団法人日本醸造協会、平成11年12月10日、p.226
甲A10:醸造物の成分、財団法人日本醸造協会、平成11年12月10日、p.218
甲B1:BRAUINDUSTRIE、1982、Vol.67(1/2)、p.71-79
甲B2:BRAUINDUSTRIE、1982、Vol.67(3)、p.137-141
甲B3:BRAUINDUSTRIE、1983、Vol.68(11)、p.785-796
甲B4:“Beer”、[online]、2014年6月、MiNTEL、[2021年10月22日印刷日]、インターネット
<URL:https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/2472179/>
甲B5:“70% Reduced Sugar Beer”、[online]、2011年2月、MiNTEL、[2021年10月22日印刷日]、インターネット
<URL:https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/1546146/>
甲B6:“Diet Beer”、[online]、2010年1月、MiNTEL、[2021年10月22日印刷日]、インターネット
<URL:https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/1262704/>
甲B7:米国特許第4138499号明細書
甲B8:特開2016−149975号公報(甲A4に同じ)
甲B9:特開2004−173533号公報
甲B10:特表2014−527813号公報
甲B11:Monatsschrift fur Brauwissenschaft、1987、40(12)、p.496-503(当審注:furの「u」はウムラウト付きのu)
甲B12:Journal of Food Engineering、2015、150、p.44-49
甲B13:Amino Acid and Nucleic Acid、1977、36、p.49-59
甲B14:D. E. BRIGGS, J.S.HOUGH、MALTING AND BREWING SCIENCE Volume I Malt and Sweet Wort、1986、p.232-235
甲B15:The BREWERS DIGEST、1966、41 (2)、p.56-60
甲B16:井上直人・倉内伸幸、雑穀・精麦入門、初版、株式会社日本食糧新聞社、平成29年10月31日、p.53-67
甲B17:特開2014−128251号公報
甲B18:特開2009−296944号公報
甲B19:特許第5253896号(甲A7に同じ)
甲B20:特開2004−24151号公報
甲B21:J. Inst. Brew.、1966、Vol.72、p.452-457
甲B22:日本醸造協會雑誌、1976、71(7)、p.505-510
<以上、申立人A及びBが特許異議申立書とともに提出>

甲A11:“Haandbryggerlauget af 1970”、[online]、[2022年4月19日検索]、インターネット
<URL:https://haandbryggerlauget.dk/produkt-kategori/raafrugt/>
甲A12:Carlsberg Res. Commun.、1985、Vol.50、p.325-332
甲A12−1:WIKIPEDIA、“Carlsberg Laboratory”、[online]、[2022年4月19日検索]、インターネット
<URL:https://en.wikipedia.org/wiki/Carlsberg_Laboratory>
甲A13−1:特開2012−105673号公報
甲A13−2:特開2003−47453号公報
甲A14:日本農芸化学会誌、1987、61(7)、p.793-802
甲A15:Beer Styles from Around the World、Cervisia Communications、2015、p.196-203
甲A16:BEER JUDGE CERTIFICATION PROGRAM 2015 STYLE GUIDELINES Beer Style Guidelines、BJCP Inc.、2015、p.1
甲A17−1:“Diet Beer (Nama)”、[online]、2008年1月、MiNTEL、[2022年4月22日印刷日]、インターネット
<URL:https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/850035/>
甲A17−2:“New Diet Beer (Nama)”、[online]、2006年4月、MiNTEL、[2022年4月22日印刷日]、インターネット
<URL:https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/433145/>
甲A17−3:“Diet Beer ”、[online]、2005年1月、MiNTEL、[2022年4月22日印刷日]、インターネット
<URL:https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/329276/>
甲A17−4:“Diet Beer”、[online]、2004年12月、MiNTEL、[2022年4月22日印刷日]、インターネット
<URL:https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/320672/>
甲A17−5:“Green Label (Nama) 70% Sugar Off”、[online]、2008年1月、MiNTEL、[2022年4月22日印刷日]、インターネット
<URL:https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/850934/>
甲A17−6:“Tanrei Green Label”、[online]、2007年8月、MiNTEL、[2022年4月22日印刷日]、インターネット
<URL:https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/753239/>
甲A17−7:“Tanrei Green Label Soccer Support Can”、[online]、2005年8月、MiNTEL、[2022年4月22日印刷日]、インターネット
<URL:https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/385468/>
甲A17−8:“Tanrei Green Label (Nama)”、[online]、2005年3月、MiNTEL、[2022年4月22日印刷日]、インターネット
<URL:https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/339281/>
甲A17−9:“Green Label Beer”、[online]、2002年4月、MiNTEL、[2022年4月22日印刷日]、インターネット
<URL:https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/145478/>
甲B23:“麦酒缶蒐集 beercan.exblog.jp”、[online]、2011年6月10日、beer can、[2022年4月26日印刷日]、インターネット
<URL:https://beercan.exblog.jp/12824197/>
甲B24:Beer Styles from Around the World、Cervisia Communications、2015、p.201-202(甲A15の一部)
<以上、申立人A及びBが意見書とともに提出>

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
令和4年3月14日付け訂正請求(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、以下の訂正事項1及び2の訂正を求めるものである。

(1)訂正事項1
訂正事項1は、請求項1の訂正前の「糖質含有量が1.3g/100ml以下であり、総ポリフェノール量が125mg/L以下であり、ジアセチルの含有量が0.30質量ppm以下であり、アルコール度数が1v/v%以上である、ビールテイスト飲料(ただし、前処理として50〜80℃の湯中に1〜30分間保持した大麦を原料としたものを除く)。」との記載を、「糖質含有量が1.3g/100ml以下であり、総ポリフェノール量が125mg/L以下であり、ジアセチルの含有量が0.30質量ppm以下であり、アルコール度数が1v/v%以上であって、原料中の麦芽の比率が20質量%以上90質量%以下である、ビールテイスト飲料(ただし、前処理として50〜80℃の湯中に1〜30分間保持した大麦を原料としたものを除く)。」(下線は訂正による追加箇所を示す。訂正事項2も同様。)に訂正する。
また、上記訂正事項1による請求項1の訂正によって、請求項1を引用する請求項2及び3についても同様の訂正が行われている。

(2)訂正事項2
訂正事項2は、請求項4の訂正前の「麦汁を得る工程において精麦した未発芽麦類を用いることを含む、ビールテイスト飲料の製造方法であって、前記未発芽麦類は前処理として50〜80℃の湯中に1〜30分間保持した未発芽大麦を含まない、製造方法。」との記載を、「麦汁を得る工程において精麦した未発芽麦類を用いることを含む、ビールテイスト飲料の製造方法であって、前記製造方法は前記ビールテイスト飲料の糖質含有量が1.3g/100ml以下となるように調整する工程を含み、前記未発芽麦類は前処理として50〜80℃の湯中に1〜30分間保持した未発芽大麦を含まない、製造方法。」に訂正する。
また、上記訂正事項2による請求項4の訂正によって、請求項4を引用する請求項5〜7についても同様の訂正が行われている。

2 一群の請求項について
(1)訂正事項1に係る訂正前の請求項1〜3について、請求項2及び3はそれぞれ請求項1を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1〜3に対応する訂正後の請求項1〜3に係る本件訂正請求は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に対してされたものである。

(2)訂正事項2に係る訂正前の請求項4〜7について、請求項5〜7はそれぞれ請求項4を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項2によって記載が訂正される請求項4に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項4〜7に対応する訂正後の請求項4〜7に係る本件訂正請求は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に対してされたものである。

3 目的の適否
(1)上記訂正事項1は、請求項1のビールテイスト飲料の原料中の麦芽の比率を限定したものである。
したがって、上記訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、上記訂正事項1による請求項1の訂正によって、請求項1を引用する請求項2及び3についても、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正が行われている。

(2)上記訂正事項2は、請求項4のビールテイスト飲料の製造方法において、その糖質含有量を1.3g/100ml以下に調整する工程を限定したものである。
したがって、上記訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、上記訂正事項2による請求項4の訂正によって、請求項4を引用する請求項5〜7についても、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正が行われている。

4 新規事項についての判断
(1)訂正事項1について
ア 上記訂正事項1の「ビールテイスト飲料の原料中の麦芽の比率」に関し、願書に添付した明細書(以下「本件特許明細書」という。)の【0032】には、「本実施形態に係るビールテイスト飲料は、原料中の麦芽の比率が25質量%以上、・・・66質量%以下・・・であってよい。」(「・・・」は記載の省略を表す。以下同様)と記載され、実施例では、
「【0054】
〔試験例:ビールテイスト飲料の調製及び評価〕
(ビールテイスト飲料の製造)
粉砕した麦原料(未精麦大麦の比率約80質量%、麦芽の比率約20質量%)、水、麦原料に対して1.96質量%の多糖分解酵素を含む原料を仕込槽に投入し、常法に従って糖化液を製造した。得られた糖化液を濾過して麦汁を得た。得られた麦汁にホップを添加して煮沸し、沈殿物を分離、除去した後、冷却した。得られた発酵前液(冷麦汁)にビール酵母を添加し、所定期間発酵させ、アルコール度数約5v/v%のビールテイスト飲料(サンプル1)を製造した。
【0055】
上記サンプル1のビールテイスト飲料の製造において、原料として表1及び表2に記載の各精麦度の未発芽大麦を用い、未発芽大麦と麦芽との配合比を表1及び表2に記載の比率としたこと以外は同様の条件で、アルコール度数約5v/v%の各ビールテイスト飲料(サンプル2〜9)を製造した。
【0056】
(糖質量の算出)
得られた各ビールテイスト飲料の水分、アルコール分、タンパク質、灰分の量をそれぞれ測定した。水分とアルコール分は常圧加熱乾燥法により測定した。タンパク質量は、改良デュマ法により全窒素(タンパク質)の定量法により測定した。灰分量は、直接灰化法により測定した。ビールテイスト飲料中の脂質量を0g/100ml、食物繊維量を0g/100mlとみなし、ビールテイスト飲料の重量から、水分、アルコール分、タンパク質量及び灰分量を引いた値をビールテイスト飲料の糖質量(g/100ml)として算定した。
【0057】
(官能評価)
上記製造方法で得られた各ビールテイスト飲料について、訓練されたパネルにより官能評価を行った。パネルの人数は、サンプル1〜7の評価(表1)については3名、サンプル8及び9の評価(表2)については4名である。官能評価は、不快臭のなさ、後味のすっきりさ及び飲みごたえの評価項目について、サンプル1の不快臭のなさを1、後味のすっきりさを1、飲みごたえを5として、5段階(5:良好〜1:不十分)で行い、その平均値を評価スコアとした。なお、不快臭のなさと後味のすっきりさについては、評価スコアが2を超えるサンプルは、実用上の問題なく、不快臭が低減されており、又は後味のすっきりさを有しているものと評価される。また、飲みごたえについては、評価スコアが1.5を超えるサンプルは、飲みごたえを有しているものと評価される。結果を表1及び表2に示す。
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
精麦した未発芽大麦を用いたサンプル2〜9では、未精麦の未発芽大麦を用いたサンプル1と比較して、不快臭が低減されていた。また、サンプル2〜9はサンプル1と比較して、良好な飲みごたえを維持しつつ、後味のすっきりさが良好であった。」と記載されている。

上記【0055】の記載によると、実施例のサンプル1〜9は、麦原料以外については同様の条件で製造されたものであり、上記【0054】によると、「粉砕した麦原料(未精麦大麦の比率約80質量%、麦芽の比率約20質量%)、水、麦原料に対して1.96質量%の多糖分解酵素を含む原料を仕込槽に投入し、常法に従って糖化液を製造した。得られた糖化液を濾過して麦汁を得た。得られた麦汁にホップを添加して煮沸し、沈殿物を分離、除去した後、冷却した。得られた発酵前液(冷麦汁)にビール酵母を添加し、所定期間発酵させ、アルコール度数約5v/v%の」サンプル1〜9を製造している。
したがって、水、麦原料、多糖分解酵素、ホップ及びビール酵母を、添加・消費される全材料として、各サンプルが製造されていることが理解される。
ここで、本件特許明細書【0015】には、「本明細書において「原料」とは、酒税法(平成二八年三月三一日法律第一六号)に基づいて決定されたビールテイスト飲料の製造に用いられる全原料のうち、水及びホップ以外のものを意味する。」と定義され、酒税法第3条第12号では、
「ビール 次に掲げる酒類でアルコール分が二十度未満のものをいう。
イ 麦芽、ホップ及び水を原料として発酵させたもの
ロ 麦芽、ホップ、水及び麦その他の政令で定める物品を原料として発酵させたもの(その原料中麦芽の重量がホップ及び水以外の原料の重量の合計の百分の五十以上のものであり、かつ、その原料中政令で定める物品の重量の合計が麦芽の重量の百分の五を超えないものに限る。)
ハ イ又はロに掲げる酒類にホップ又は政令で定める物品を加えて発酵させたもの(その原料中麦芽の重量がホップ及び水以外の原料の重量の合計の百分の五十以上のものであり、かつ、その原料中政令で定める物品の重量の合計が麦芽の重量の百分の五を超えないものに限る。)」とされ、酒税法施行令第6条(ビールの原料)では、
「法第3条第12号ロに規定する麦その他の政令で定める物品は、次の各号に掲げる物品とする。
一 麦、米、とうもろこし、こうりやん、ばれいしよ、でん粉、糖類又は財務省令で定める苦味料若しくは着色料
二 果実(果実を乾燥させ、若しくは煮つめたもの又は濃縮させた果汁を含む。)又はコリアンダーその他の財務省令で定める香味料
2 法第3条第十二号ロに規定するビールの原料中政令で定める物品及び同号ハに規定する政令で定める物品は、前項第二号に掲げる物品とする。」とされるものである。
そうすると、酒税法上のビール原料に関して、水及びホップ以外のものとしては、「麦芽、麦、米、とうもろこし、こうりやん、ばれいしよ、でん粉、糖類、財務省令で定める苦味料若しくは着色料、果実(果実を乾燥させ、若しくは煮つめたもの又は濃縮させた果汁を含む。)又はコリアンダーその他の財務省令で定める香味料」が該当することになる。
以上のことから、「多糖分解酵素」及び「ビール酵母」は、本件特許明細書ににおいて定義する「原料」に該当するとはいえず、サンプル1〜9において、当該「原料」に相当するのは「麦原料」のみといえ、上記表1及び表2における「麦芽(質量%)」は、原料中の麦芽の比率を意味するものといえる。また、上記【0032】の記載はより好ましい範囲を例示しているにすぎないものであって、「原料中の麦芽の比率が20質量%以上90質量%以下」とすることに対して矛盾する記載でもない。
そうすると、本件特許明細書において定義する原料中の麦芽の比率が、サンプル1〜7は約20%であり、サンプル9は約90%であるから、当該実施例の含有比率を根拠として、限定を付加することは、本件特許明細書の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものといえる。
したがって、訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合している。

イ 申立人Aは意見Aにおいて、特許権者が訂正の根拠とした本件特許明細書の【0054】及び【0055】には、「原料中の(原料全体における)麦芽の比率」は記載されていないから、訂正事項1は新たな技術的事項を導入するものであって、訂正要件を満たさない旨の主張をしている。
しかしながら、上記アで示したとおり、「水、多糖分解酵素、ホップ、ビール酵母」は、本件特許明細書において定義する「原料」には該当しないから、【0054】及び【0055】によれば、原料全体における麦芽の比率が算出できるといえるから、上記意見Aの訂正要件を満たさないという主張は採用できない。

ウ 申立人Bは意見Bにおいて、本件特許明細書の【0032】には、原料中の麦芽のみの比率についての記載はあるが、そこには20質量%という下限値も90質量%という上限値も記載されていないし、本件特許明細書の表1と表2(【0058】及び【0059】)に基づき、未発芽大麦の比率を規定することなく、原料中の麦芽の比率のみを20質量%以上90質量%以下と規定することは、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてした訂正とは認められない旨の主張をしている。
しかしながら、本件特許明細書の【0032】には、「未発芽大麦の含有量」と関連なく、「原料中の麦芽の比率」について特定する観点が記載されており、具体的記載である実施例における「原料中の麦芽の比率」の含有量の値を、上限値及び下限値とすることは、本件特許明細書の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項の導入しないものといえるから、上記意見Bの訂正要件を満たさないという主張は採用できない。

(2)訂正事項2について
上記訂正事項2の「ビールテイスト飲料の糖質含有量が1.3g/100ml以下となるように調整する工程」については、本件特許明細書【0050】の「本実施形態に係るビールテイスト飲料の製造方法は、ビールテイスト飲料の糖質含有量が1.3g/100ml以下、総ポリフェノール量が125mg/L以下となるように調整することを含んでもよい。」との記載から、本件特許明細書に記載されているものと認められる。
したがって、訂正事項2による訂正も、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合している。

5 実質上特許請求の範囲の拡張又は変更の有無
(1)訂正事項1について
前記3、4で検討したとおり、訂正事項1は、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載された事項の範囲内において、特許請求の範囲を減縮したものであり、カテゴリーを変更するものでもないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合している。

(2)訂正事項2について
前記3、4で検討したとおり、訂正事項2も、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載された事項の範囲内において、特許請求の範囲を減縮したものであり、カテゴリーを変更するものでもないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項2による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合している。

6 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1〜3〕、〔4〜7〕について訂正することを認める。

第3 特許請求の範囲の記載
上記第2で述べたとおり、本件訂正後の請求項〔1〜3〕、〔4〜7〕について訂正することを認めるので、本件特許の請求項1〜8に係る発明は、令和4年3月14日付けの訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1〜8に記載された事項により特定される次のとおりのものである(請求項1〜8に係る発明をそれぞれ、「本件発明1」〜「本件発明8」といい、まとめて「本件発明」ともいう。)。

「【請求項1】
糖質含有量が1.3g/100ml以下であり、総ポリフェノール量が125mg/L以下であり、ジアセチルの含有量が0.30質量ppm以下であり、アルコール度数が1v/v%以上であって、原料中の麦芽の比率が20質量%以上90質量%以下である、ビールテイスト飲料(ただし、前処理として50〜80℃の湯中に1〜30分間保持した大麦を原料としたものを除く)。
【請求項2】
原料中に未発芽麦類を含む、請求項1に記載のビールテイスト飲料。
【請求項3】
未発芽麦類が未発芽大麦である、請求項2に記載のビールテイスト飲料。
【請求項4】
麦汁を得る工程において精麦した未発芽麦類を用いることを含む、ビールテイスト飲料の製造方法であって、前記製造方法は前記ビールテイスト飲料の糖質含有量が1.3g/100ml以下となるように調整する工程を含み、前記未発芽麦類は前処理として50〜80℃の湯中に1〜30分間保持した未発芽大麦を含まない、製造方法。
【請求項5】
未発芽麦類が未発芽大麦である、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
未発芽麦類の精麦度が95%以下である、請求項4又は5に記載の製造方法。
【請求項7】
未発芽麦類の精麦度が90%未満である、請求項4又は5に記載の製造方法。
【請求項8】
麦汁を得る工程において精麦した未発芽麦類を用いることを含む、ビールテイスト飲料の不快臭を低減する方法であって、前記未発芽麦類は前処理として50〜80℃の湯中に1〜30分間保持した未発芽大麦を含まない、方法。」

第4 特許異議申立理由及び取消理由
1 特許異議申立人が申し立てた理由
(1)申立人Aが申し立てた理由
申立人Aが申し立てた理由の概要は以下のとおりである。
(A1)新規性
訂正前の本件の請求項1に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲A1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

(A2)進歩性
訂正前の請求項1〜3に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲A1に記載された発明並びに甲A4、5及び7に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1〜3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(A3)新規性
訂正前の本件の請求項1〜3に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲A2に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の請求項1〜3に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

(A4)進歩性
訂正前の請求項1〜3に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲A2に記載された発明並びに甲A5〜7、9及び10に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1〜3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(A5)進歩性
訂正前の請求項1〜3に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲A3に記載された発明並びに甲A2、4〜7及び10に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1〜3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(A6)進歩性
訂正前の請求項4〜8に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲A4に記載された発明並びに甲A7及び8に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項4〜8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(A7)サポート要件
甲A10によれば、一般的な日本のビール中のジアセチルのオフフレーバーとして感じ得る官能的閾値は「0.15ppm」である。つまり、ジアセチルの含有量が官能性閾値である0.15ppmを超えた場合、ジアセチルに特有の不快臭が感じられることとなる。
したがって、訂正前の請求項1〜3に係る特許は、ジアセチルの含有量が「0.15ppm超0.30質量ppm以下」である場合、ジアセチルに特有の不快臭が感じられることとなり、本件特許の課題を解決し得ないから、その特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に適合するものではなく、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

(A8)明確性要件
訂正前の請求項1〜8に係る特許は、「前処理」がどの処理に対する「前」処理であるのか不明確であり、本件特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

(2)申立人Bが申し立てた理由
申立人Bが申し立てた理由の概要は以下のとおりである。
(B1−1)新規性
訂正前の請求項1に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲B1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

(B1−2)新規性
訂正前の請求項1に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲B2に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

(B1−3)新規性
訂正前の請求項1に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲B3に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

(B1−4)新規性
訂正前の請求項1に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲B17に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

(B1−5)新規性
訂正前の請求項4〜6及び8に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲B18に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の請求項4〜6及び8に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

(B2−1)進歩性
訂正前の請求項1〜8に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲B8に記載された発明並びに甲B1〜3、9〜16及び20に記載された技術的事項、技術常識及び周知技術に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1〜8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(B1−6)新規性
訂正前の請求4〜8に係る発明は、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲B9に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の請求項4〜8に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

(B2−2)進歩性
訂正前の請求項1〜8に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲B9に記載された発明並びに甲B1〜3、8及び10〜16に記載された技術的事項、技術常識及び周知技術に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1〜8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(B1−7)新規性
訂正前の請求項4〜8に係る発明は、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲B20に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の請求項4〜8に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

(B2−3)進歩性
訂正前の請求項1〜8に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された甲B20に記載された発明並びに甲B1〜3、8、10〜16及び20に記載された技術的事項、技術常識及び周知技術に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1〜8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(B3)サポート要件
本件特許明細書には、ジアセチルを0.30質量ppm以下にする手段として、精麦した未発芽麦類を用いること以外に開示はなく、本実施例においては、ジアセチルの分析値が開示されていないから、本件特許明細書の開示からは、訂正前の請求項1〜3に係る発明の課題が達成されているか不明であり、訂正前の請求項1〜3に係る特許は、その課題を解決できることとの関係が不明確である。
したがって、本件特許は、明細書又は特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

(B4)実施可能要件
本件特許明細書には、ジアセチルを0.30質量ppm以下にする手段として、精麦した未発芽麦類を用いること以外に開示はなく、ビールにおけるジアセチル含有量は、発酵条件によって濃度が大きく変わることはよく知られており、80%残す形で殻を除いた大麦を材料に用いたビール飲料では、発酵条件によっては好ましい味を提供できなかったことも知られている。
したがって、本件実施例において、精麦した未発芽麦類を材料に用いただけでは、ジアセチル含有量実際に0.30質量ppm以下を達成できたのか不明であるにもかかわらず、本実施例においては、ジアセチルの分析値が開示されていない。
そうすると、本件特許明細書の開示からは、当業者であっても、本件特許発明のジアセチル含有量を達成するための具体的な方法を理解できないため本件特許発明を実施できない。
したがって、本件特許は、明細書又は特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

2 当審が通知した取消理由の概要
理由1:本件訂正前の請求項1に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記刊行物1〜4に記載された発明であり、本件訂正前の請求項4〜6に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記刊行物6に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件訂正前の請求項1及び4〜6に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

理由2:本件訂正前の請求項1に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物1〜4に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件訂正前の請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。



刊行物1:BRAUINDUSTRIE、1984、Vol.69(13)、p.984-991(甲A1)
刊行物2:BRAUINDUSTRIE、1982、Vol.67(1/2)、p.71-79(甲B1)
刊行物3:BRAUINDUSTRIE、1982、Vol.67(3)、p.137-141(甲B2)
刊行物4:BRAUINDUSTRIE、1983、Vol.68(11)、p.785-796(甲B3)
刊行物5:栄養表示基準、平成21年12月16日、消費者庁告示第9号、p.1-17
刊行物6:特開2009−296944号公報(甲B18)
なお、刊行物5は、本願出願日前の技術常識を示す文献である。

第5 当審の判断
当審は、本件請求項1〜8に係る特許は、当審の通知した取消理由及び特許異議申立人が申し立てた理由によっては、取り消すことはできないと判断する。
理由は以下のとおりである。

各甲号証及び刊行物の記載
1 申立人Aの甲号証について
(A1)甲A1(刊行物1)
訳文にて示す。(当審注:「a」、「o」のウムラウトは、それぞれ「ae」、「oe」と表記する。)
(A1a)「

」(第984頁〜第985頁、赤枠は申立人Aが追記、以下同様)

(A1b)「製品No.251の市販ビール(Maisel's Edelhopfen Diaet-Pilsner)について
・・・100mlのDiaet-Pilsnerには、ストレスとなる炭水化物が0.6g含まれている。」(第986頁左欄第1〜2行、第13〜15行)

(A1c)「製品No.253の市販ビール(Loewenbraeu Diaet-Pils)について
・・・100mlのLoewenbraeu Diaet-Pilsには、最大0.75gの消化可能な炭水化物が含まれている。」(第986頁左欄第33行、中欄第29〜31行)

(A1d)「製品No.254の市販ビール(Schultheless Diaet Schankbler)について
・・・アルコールとカロリーの値は低く、ビール100mlあたりの消化可能な炭水化物を0.75以下とすることが簡単に達成される。」
(第986頁右欄第18〜19行、第987頁左欄第9〜13行)

(A1e)「製品No.255の市販ビール(Privat Diaet Pils)について
・・・100mlのDiaet Pilsには、ストレスとなる炭水化物が0.6g含まれている。」(第987頁左欄第20行、中欄第4〜6行)

(A1f)「製品No.257の市販ビール(Schuletheis D-Pils)について
・・・100mlのD-Pilsには、平均0.65gの消化可能な炭水化物が含まれている。」(第988頁左欄第29行、最終行〜中欄第2行)

(A1g)「製品No.260の市販ビール(Schiossquell D-Pils)について
・・・100mlのD-Pilsには、最大0.8gの消化可能な炭水化物が含まれている。」(第991頁左欄第19行、第22〜23行)

(A1−1)甲A1−1
訳文にて示す。
(A1−1a)「(1)下面発酵ビールの調製には、第3項の規定を除き、大麦麦芽、ホップ、酵母及び水のみを使用することができる。
」(第150頁右欄第9〜12行)

(A2)甲A2
(A2a)「[0052] 参考例2 ビールテイスト飲料の香味に与える糖質の影響(その1)
参考例2では、ビールテイスト飲料の香味に与える糖質の影響についての評価を行なった。ビールテイスト飲料の一例として通常の発泡酒を用い、糖質の値とビールテイスト飲料の香味評価を行った例を示す。具体的には、通常の発泡酒(MDゴールデンドライ(商品名)、サントリー(株)、原麦汁エキス12.0、糖質3.3g、アルコール分6.0容量%)を炭酸水にて希釈し、炭酸の濃度を合わせながら原麦汁エキスを段階的に調整したサンプルを作成した。各サンプルについて官能評価を行った。官能評価、原麦汁エキスおよび糖質の測定は、参考例1に記載の方法で行った。結果を表2に示す。
[0053] [表2]



(A2b)「[0055] 参考例3 ビールテイスト飲料の香味に与える糖質の影響(その2)
さらに詳細にビールテイスト飲料の香味に与える糖質の影響を評価するために、本参考例では、アルコール濃度が一定となる条件で、ビールテイスト飲料の香味に与える糖質の影響を検討した。酒税法で定められた酒類の定義は、アルコール分1%以上を含んでいる飲料とされている。ここでは、酒類における後味のキレに与える糖質の影響をなるべく正確に把握するために、通常の発泡酒をアルコール1%に希釈した後、アルコールの濃度を1%に一定に保ちながら香味を評価するという工夫をした。
[0056] ビールテイスト飲料の一例として通常の発泡酒をアルコール分1%になるように希釈したサンプルを用いて、糖質の値に対するビールテイスト飲料の香味の評価を行った例を示す。具体的には、通常の発泡酒(MDゴールデンドライ(商品名)、サントリー(株)、原麦汁エキス12.0重量%、糖質3.3g、アルコール分6.0容量%)を炭酸水にてアルコール分1%になるように希釈し、その後、1%アルコール分を含む炭酸水を用いて、アルコールおよび炭酸の濃度を合わせながら原麦汁エキスを段階的に調整したサンプルを作成した。各サンプルについて官能評価を行った。官能評価、原麦汁エキスおよび糖質の測定は、参考例1に記載の方法で行った。結果を表3に示す。
[0057] [表3]



(A2−1)甲A2−1
(A2−1a)「発泡酒「MDゴールデンドライ」のCM発表会を開催した。・・・
新商品は99年発売の「マグナムドライ」を全面刷新したもの。のどごしのよさや後味のキレはそのままに、アルコール度数を6%に上げ、コクと飲み応えを強化。大麦の使用量を増やすことで味わいを深めた。」(本文第3行、第15〜17行)

(A2−2)甲A2−2
(A2−2a)「2007年2月4日
No.1059:MDゴールデンドライ/サントリー
・・・
原材料:麦芽、ホップ、大麦、糖化スターチ。」

(A2−3)甲A2−3
(A2−3a)「マグナムドライ GOLDEN DRY−サントリー
・・・原材料は「麦芽・ホップ・大麦・糖類」で、アルコール度数は6%です。」

(A3)甲A3
(A3a)「

」(第131頁)

(A3b)「

」(第133頁)

(A3c)「

」(第133頁)

(A4)甲A4
(A4a)「【請求項1】
麦芽および/または未発芽の麦類を原料の一部とする低糖質ビールテイスト発酵アルコール飲料であって、分子量10〜20kDa(ゲル濾過法)のペプチド濃度が0.05mg/ml以上である、低糖質ビールテイスト発酵アルコール飲料。」

(A4b)「【0002】
発泡酒や新ジャンルなどのビールテイスト発泡性アルコール飲料は、ビールよりも安価であり、ビールの代替として広く飲用されており、その中で低糖質のものは、健康志向の高まりに伴い消費者の支持を得ている。しかし、ビールらしい柔らかくスムーズなテクスチャーに欠け、ボディ感が弱く水っぽい、渋さや酸味などの雑味があるなど、香味上の欠点を有しており、味わいの調和に欠けるという課題がある。また、ボディ感が弱い、水っぽいといった欠点を補うために、水溶性食物繊維、高甘度甘味料、あるいは大豆蛋白分解物などが添加される場合があるが、味は増加するものの、渋みやざらつき、甘味やべたつきなど、特定の味が突出し、飲み始め・中盤・余韻のスムーズな味の流れがかえって損なわれてしまうという新たな課題も生じている。すなわち、低糖質のビールテイスト発泡性アルコール飲料は、ビールのような柔らかくスムーズなテクスチャーが不十分であり、渋味やざらつきなどの雑味が多い、香味の調和感に欠ける、など香味上改善すべき点があった。」

(A4c)「【0005】
本発明は、香味が改善された低糖質ビールテイストアルコール飲料とその製造方法を提供することを目的とする。本発明はまた、低糖質ビールテイストアルコール飲料の風味改善剤と風味改善方法を提供することも目的とする。」

(A4d)「【0008】
本発明によれば、麦芽および/または未発芽の麦類を原料の一部とするビールテイスト発酵アルコール飲料に由来する分子量10〜20kDaのペプチドを配合するか、該ペプチドの濃度を所定値の範囲内にすることによって、ビールらしい柔らかなテクスチャーやスムーズな味の流れがあり、雑味が低減され、調和のとれた味わいを有する低糖質のビールテイストアルコール飲料を提供することができる。特に、麦芽使用比率25%未満の低糖質ビールテイスト発酵アルコール飲料では、ビールで感じられるような味わい(特に柔らかくスムーズなテクスチャー)が不十分な場合があり、また、香味上の改善点(渋味やざらつきなどの雑味)が存在する場合や、味わいの調和が不十分である場合があり、本発明はこのような飲料のビールテイスト飲料としての風味を改善ないし向上させることができる点で有利である。また、分子量10〜20kDaのペプチドは麦芽や未発芽の麦類を原料の一部とするビールテイスト発酵アルコール飲料に存在するものであることから、該ペプチドを低糖質ビールテイストアルコール飲料に上乗せして配合しても異味を生じさせることがない点でも有利である。」

(A4e)「【0012】
本明細書において「低糖質」のビールテイストアルコール飲料とは、糖質の量(糖質濃度)が通常の製法で作られた同等の比較対象の飲料に対して70%以上削減されたもの(すなわち、糖質オフ表示がなされた飲料)、あるいは糖質の量が0.5g/100ml未満(すなわち、糖質ゼロ表示がなされた飲料)であるものを意味する。このうち前者(糖質オフ表示がなされた飲料)の糖質濃度は、1.1g/100ml以下とすることができ、好ましくは0.7〜1.1g/100mlの範囲である。ここで、糖質の量の測定は公知の方法に従って行うことができ、当該試料の質量から、水分、タンパク質、脂質、灰分および食物繊維量を除いて算出する方法(栄養表示基準(平成21年12月16日 消費者庁告示第9号 一部改正)参照)に従って測定することができる。
【0013】
本発明の第一の面によれば麦芽および/または未発芽の麦類を原料の一部とする低糖質ビールテイスト発酵アルコール飲料が提供される。本発明の低糖質ビールテイスト発酵アルコール飲料は麦由来の原料として少なくとも麦芽を使用するものとすることができ、その場合、麦芽使用比率は3分の2未満とすることができ、好ましくは麦芽使用比率が50%未満、さらに好ましくは25%未満である。本明細書において「麦芽使用比率」とは、醸造用水を除く全原料の質量に対する麦芽質量の割合をいう。麦芽使用比率が25%未満であるビールテイスト発酵アルコール飲料としては、麦芽使用比率が25%未満の発泡酒や、麦芽使用比率が25%未満のリキュール系新ジャンル飲料が挙げられる。」

(A4f)「【0022】
本発明の低糖質ビールテイスト発酵アルコール飲料の製造では、麦芽以外に、未発芽の麦類(例えば、未発芽大麦(エキス化したものを含む)、未発芽小麦(エキス化したものを含む));米、とうもろこし、こうりゃん、馬鈴薯、でんぷん、糖類(例えば、液糖)等の酒税法で定める副原料;タンパク質分解物や酵母エキス等の窒素源;香料、色素、起泡
・泡持ち向上剤、水質調整剤、発酵助成剤等のその他の添加物を醸造原料として使用することができる。すなわち、本発明の低糖質ビールテイスト発酵アルコール飲料は、醸造用水以外の使用原料を少なくとも麦芽、未発芽の麦類(好ましくは、未発芽大麦)およびホップとすることができ、場合によっては更に糖類、米、とうもろこし、でんぷん等を使用原料とすることができる。」

(A4g)「【0041】
実施例1:ペプチド画分のビールテイストアルコール飲料への添加と官能評価
(1)ビールテイスト発酵アルコール飲料の製造
パイロットプラントでビールテイストアルコール飲料の製造を行った。50℃の湯100質量部に対して、大麦麦芽15.0質量部、大麦18.7質量部、酵素製剤を投入して70分保持後65℃に昇温して130分保持してさらに78℃に昇温して5分保持した後、濾過して麦汁を得た。上記の麦汁調製工程に続いて、得られた麦汁にホップを投入して100℃で60〜70分煮沸した後、麦汁静置を行い、トリューブを分離した後、冷却して発酵前液を得た。その後、発酵前液に下面発酵酵母を添加して発酵液を調整した。この発酵液を所定の温度で所定期間維持することにより主発酵を行った。さらに、主発酵後の発酵液を所定の温度で所定期間維持することにより後発酵を行った。続いて、後発酵後の発酵液を、より低温で所定期間維持することにより貯蔵を行い、濾過して、清澄なビールテイストアルコール飲料(麦芽使用比率50%未満の発泡酒)を得た。」

(A4h)「【0053】
実施例2:低糖質ビールテイストアルコール飲料の成分分析と官能評価
(1)低糖質ビールテイストアルコール飲料の製造
パイロットプラントで低糖質ビールテイストアルコール飲料の製造を行った。低糖質ビールテイストアルコール飲料の使用原料中の麦芽比率は25%未満とした。
【0054】
低糖質ビールテイストアルコール飲料の製造においては、主原料として、大麦麦芽を使用し、副原料として、大麦および液糖のいずれかまたは両方を使用した。糖化に際しては酵素製剤を用い、糖化の温度、時間を調整し、濾過することで、異なる組成の麦汁を得た。すなわち、糖化の温度帯は、50、60、あるいは65℃など、50〜65℃の中で選択した。糖化の時間は、それぞれの温度工程において、5分から140分の間で調整した。また、原料の熱処理温度は70から100℃の中から選択した。具体的には以下のようにして麦汁を得た。
【0055】
(ア)サンプルNo.5の糖化条件
50℃の湯100質量部に対して、大麦麦芽11.4質量部、大麦12.1質量部、酵素製剤を投入して60分保持してさらに65℃に昇温して90分保持した後、78℃に昇温して5分保持した後、濾過して麦汁を得た。
【0056】
(イ)サンプルNo.6の糖化条件
50℃の湯100質量部に対して、大麦26.2質量部、酵素製剤を投入して60分保持後60℃に昇温して30分保持してさらに70℃に昇温して30分保持したものをA醪とした。また、別の釜で、50℃の湯85.7質量部に大麦麦芽24.8質量部、酵素製剤を投入して60分保持したものB醪とした。得られたA醪とB醪を直ちに混合させて65℃とした。その後、65℃で90分保持した後、78℃に昇温して5分保持した後、濾過して麦汁を得た。
【0057】
(ウ)サンプルNo.7、8の糖化条件
50℃の湯100質量部に対して、大麦21.1質量部と酵素製剤を投入して60分保持してさらに65℃に昇温して90分保持したものをA醪とした。別の釜で50℃の湯93質量部に大麦麦芽19.4質量部、酵素製剤を投入し60分保持後65℃に昇温して90分保持したものをB醪とした。得られたA醪およびB醪を直ちに混合し、AB混合醪として78℃に昇温して5分保持後、濾過して麦汁を得た。
【0058】
上記の麦汁調製工程(ア)、(イ)および(ウ)に続いて、得られたそれぞれの麦汁にホップおよび液糖をさらに投入して100℃で60〜70分煮沸した後、麦汁静置を行い、トリューブを分離した後、冷却して発酵前液を得た。その後、発酵前液に下面発酵酵母を添加して発酵液を調整した。この発酵液を所定の温度で所定期間維持することにより主発酵を行った。さらに、主発酵後の発酵液を所定の温度で所定期間維持することにより後発酵を行った。続いて、後発酵後の発酵液を、より低温で所定期間維持することにより貯蔵を行い、濾過して、清澄な低糖質ビールテイストアルコール飲料(発泡酒、サンプルNo.5〜8)を得た。
【0059】
また、麦芽使用比率25%未満の市販の低糖質ビールテイストアルコール飲料(発泡酒および新ジャンル系アルコール飲料)をサンプルNo.1〜4としてそれぞれ分析試験に供した。なお、サンプルNo.1および2は発泡酒、サンプルNo.3および4はリキュール系新ジャンル飲料である。」

(A4i)「【0069】
(5)低糖質ビールテイストアルコール飲料の官能評価
製造して得られた低糖質ビールテイストアルコール飲料、および市販品のビールテイストアルコール飲料に関して、8名の訓練されたパネラーによって官能評価した。評価項目は以下のとおりとした。
【0070】
評価項目1として、ビールらしい味わい(ビールにあるような柔らかくスムーズなテクスチャーが感じられる、調和がとれている)を1点(ビールらしくない)〜9点(ビールらしい)の9段階で官能評価した。また、評価項目2として、スムーズな味の流れ(飲み始め、味の中盤、余韻といった飲み込んだときの味の抑揚の流れ方)を1点(弱い)〜9点(強い)の9段階で官能評価した。また、評価項目3として、口内に残るざらつき(渋みや舌に残るざらざらした感触といった雑味)を1点(弱い)〜9点(強い)の9段階で官能評価した。成分分析の結果および官能評価の結果は表5および図4〜8に示される通りであった。
【0071】
【表5】

【0072】
表5に示されるように、麦芽比率25%未満の市販の低糖質ビールテイストアルコール飲料であるサンプルNo.1は、ビールらしい味わいが3.0、スムーズな味の流れは3.0と低くなり、口内に残るざらつきは5.0であった。また、大豆タンパク分解物、水溶性食物繊維および高甘度甘味料であるアセスルファムKなどを一部または全部含む、市販の低糖質ビールテイストアルコール飲料であるサンプルNo.2〜4では、サンプルNo.1に比較して、ビールらしい味わいが3.2〜3.5と高くなっているのに対して、スムーズな味の流れは3.4〜3.8と低くなり、口内に残るざらつきが5.6〜5.8と高くなった。
【0073】
一方、麦芽比率25%未満のサンプルNo.5およびNo.6では、サンプルNo.1に比較して、ビールらしい味わいが3.1〜3.7と高めとなり、スムーズな味の流れは3.9〜4.8と高めとなり、口内に残るざらつきが4.4〜4.9と低めであり、香味評価が良好になる傾向が認められた。すなわち、10〜20kDaのペプチド濃度が0.05mg/mL製品以上であり、10〜20kDaのペプチド比率が2.7%以上であり、かつ、グルコアミラーゼ感受性の糖質の濃度が4.9mg/ml以下の場合に、好ましい官能評価結果が得られることが分かった。
【0074】
すなわち、サンプルNo.1〜4はいずれも、ビールらしい柔らかなテクスチャーや、飲み始め・中盤・余韻のスムーズな味の流れに欠けるという香味上の問題、および/または、渋さ・酸味・ざらつきなどの雑味があるという香味上の問題を有しており、これらの結果として全体の味わいの調和に欠けるという課題があった。一方、サンプルNo.5〜8ではこれらの問題がいずれも解決されており、ビールらしい柔らかなテクスチャーやスムーズな味の流れがあり、雑味が低減され、調和のとれた味わいを有する低糖質のビールテイストアルコール飲料であった。」

(A5)甲A5
訳文にて示す。
(A5a)「大麦は、ビールにとって完全に異質ではないタンパク質を含んでいるため、非常に合理的な副原料であり、この穀物はかなりの量で入手可能です。」(第58頁第19〜21行)

(A5b)「大麦澱粉は麦芽ジアスターゼ酵素によって攻撃されるため、材料が適切に粉砕されていれば、大麦副原料は調整せずにマッシュ樽に直接加えることができます。」(第58頁第29〜31行)

(A6)甲A6
(A6a)「(2)請求項1において、「(ただし、前処理として50〜80℃の湯中に1〜30分間保持した未発芽大麦を原料としたものを除く)」との記載を追記する補正を行いました。
・・・
なお、上記(2)及び(4)の補正は、引用文献2に記載された発明との重なりのみを除くものであり、新たな技術的事項を導入するものではありません。」(2.補正の概要)

(A6b)「引用文献2には、50〜80℃の湯中に1〜30分間保持することを特徴とする、麦芽発酵飲料の製造に用いる大麦の前処理方法と、当該前処理を行った大麦及び麦芽を原料として使用することを特徴とする、麦芽発酵飲料の製造方法が記載されています(引用文献2の請求項1、5等)。なお、審査官殿は、引用文献2において使用されている「大麦」との用語は、「未発芽大麦」であると認定されています。
これに対して、本願発明は上述したように「前処理として50〜80℃の湯中に1〜30分間保持した未発芽大麦」を原料として用いることを明確に除外していますので、少なくともこの点において引用文献2に記載の発明と明確に相違します。そして、引用文献2に記載の麦芽発酵飲料においては、前処理として50〜80℃の湯中に1〜30分間保持した大麦を原料に用いることを必須としており、かつ当該前処理を行うことで大麦中のLOX活性を効果的に低減し、大麦中のアミノ酸濃度の低下を抑えて麦芽発酵飲料の香味安定性を向上させるという所望の効果が発揮されることから(引用文献2の段落0016〜0017)、引用文献2の記載に接した当業者が、麦芽発酵飲料の製造方法において必要不可欠の工程とされる「前処理として50〜80℃の湯中に1〜30分間保持した未発芽大麦」を原料として用いることをあえて除外して本願発明の構成に至ることなど考えられません。」(3.(1)(1−3))

(A7)甲A7
(A7a)「【請求項1】
大麦を50〜80℃の湯中に1〜30分間保持することを特徴とする、麦芽発酵飲料の製造に用いる大麦の前処理方法。
【請求項2】
湯の温度が60〜65℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
大麦の湯中の保持時間が5〜10分間である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
搗精し粉砕した大麦を前処理に使用する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の前処理方法によって得られた前処理大麦と、麦芽とを原料として使用することを特徴とする、麦芽発酵飲料の製造方法。」

(A7b)「【0008】
近年、麦芽に加えて、様々な穀類(例えば、大麦)や糖類を原料の一部に使用した麦芽発酵飲料が普及しつつある。このような飲料として、例えば原料麦芽の使用量を低減した低麦芽発酵飲料(例えば、発泡酒)などが知られている。このような麦芽発酵飲料に使用されている麦芽以外の原料について、製品の香味安定性に与える影響を検討した研究は本発明者らの知る限り、殆ど報告されていない。
・・・
【0012】
大麦のLOX活性はその胚部に局在することが予想され得るため、大麦表面を研削(「搗精」ともいう)によって除去し、大麦LOX活性を除去もしくは低減することが考えられる。しかしながら、工場等での大規模生産を考慮すると、生産コストが高くなることが予想され、有効な手法とは言えない。またLOX活性が低い大麦品種を選抜して使用する手法も考えられるが、このような所望の形質を備えた大麦品種を育種する時間やコストを考えれば現実的な手法とは言えない。」

(A7c)「【0036】
本発明のさらに好ましい態様によれば、前処理に付す大麦として、搗精し粉砕した大麦を使用する。前記したように、大麦のLOX活性はその胚部に局在すると考えられるため、大麦表面を搗精によって除去することで、大麦LOX活性を低減できる。すなわち、大麦を搗精する程度、即ち搗精度を変えることで、種々のLOX活性を有する大麦試料を調製することができる。本発明において、使用する大麦を予め搗精する場合には、搗精を実施することによる生産コストの上昇、生産の作業効率等を考慮して、実施する搗精の程度を適宜設定することができる。本発明においては、搗精度を例えば90%とすることができる。
【0037】
なおここで大麦の搗精は、市販の研削式精米機(例えば、株式会社サタケ製TM050など)に投入し、研削処理時間を調整することによって搗精度を調整することができる。搗精の程度は、搗精度として表すことができ、搗精度は、搗精後の大麦重量を投入した大麦で除した値として求められる。したがって、研削の処理時間が長いほど搗精が進むため搗精度は小さくなる。」

(A8)甲A8
(A8a)「【請求項1】
以下の工程;
(1)大麦の外皮を除去する剥皮工程、及び
(2)剥皮された大麦又はその粉砕物にマルトトリオース生成酵素を作用させる糖化工程
を含む、大麦糖化液の製造方法。」

(A8b)「【0002】
澱粉にα−アミラーゼなどの加水分解酵素を作用させると、グルコース、マルトースなど重合度の異なる各種マルトオリゴ糖が生成する。このマルトオリゴ糖組成物は水飴(本明細書中、糖化液ともいう)として利用されているが、特に大麦を主原料として得られる水飴は、甘みと旨味のバランスの良い自然食品として知られ、発酵食品などの加工食品やアルコール飲料等の飲料の原料として利用されている。
・・・
【0014】
大麦の外皮を除去することにより、外皮に由来する雑味を低減することができ、また糖化液の着色を低減することができ、飲料素材として製品の香味や外観に影響の少ない糖化液とすることができる。また、外皮を除去することにより、大麦原料あたりの澱粉含有量が増加するため、効率的に目的とする糖化液を製造することができるという利点もある。
【0015】
剥皮の度合い(剥皮された皮の重量/大麦粒の初期重量)は、3〜15重量%であることが好ましく、5〜15重量%であることがより好ましい。剥皮の度合いが3重量%未満では雑味が十分に低減されないことがある。また、15重量%を超えて剥皮する場合は経済的でない。
【0016】
大麦は、皮部の機械的強度が弱く摩擦で剥皮し易いので、剥皮画分は大麦全粒の外側を砥石等でやさしく削ることにより調製できるが、循環式精米機、精米機、精白機、搗精機など公知の穀皮除去装置を用いると、より簡便に調製できる。」

(A9)甲A9
(A9a)「ハ ポリフェノール
ポリフェノールはタンニンとも呼ばれ,鉄塩で発色するので,この性質が総ポリフェノールの定量に用いられる。比色法で求めたビール中の総ボリフェノールは40〜330mg/lである。」(第226頁右欄第17〜21行)

(A10)甲A10
(A10a)「

」(第218頁表抜粋)

(A11)甲A11
訳文にて示す。
(A11a)「Raefrugtは、トウモロコシや米などの麦芽を含まない穀物製品であり、ビール醸造中に麦芽の補助的なデンプン源として添加されます。純粋な砂糖は生の果物としても使用できます。」(第1頁)

(A12)甲A12
訳文にて示す。
(A12a)「2. 材料と方法
2.1. 材料
カールスバーグ醸造所のブランド名「Kalorius」の2つの醸造(醸造2602と酸造2609)は、以下の原材料から製造された。
5050kg ラガーモルト(72%)
200kg キャラメルモルト(3%)
1800kg トウモロコシグリッツ(25%)」(第326頁左欄第15〜22行)

(A12−1)甲A12−1
甲A12−1には、「カールスバーグ醸造所(Carlsberg Breweries)」が「Carlsberg Research Laboratory」を設立し、「Carlsberg Research Laboratory」が「Carlsberg Research Center」に移転したことが記載されている。

(A13−1)甲A13−1
(A13−1a)「【0002】
健康志向が高まる中、ビールや発泡酒等醸造酒といった嗜好性アルコール飲料にも低カロリーや低糖質といった機能を付加した商品へのニーズが高まっている。酒類中のカロリーは主としてアルコールと糖質に由来しており、酒類の飲用時のボディ感や風味に大きく寄与しているため、これらアルコールや糖質を低減させた場合はどうしてもそのボディ感や風味が損なわれてしまうという問題点があった。糖質を低減させるためには、1)発酵工程で残糖が少なくなるような高発酵となる原料を使用する、2)発酵工程を制御し高発酵とする、3)最終的な調整の段階で希釈或いは除去により減じる方法などがある。しかしながら、いずれも味の厚み、飲みごたえ、風味、ボディ感に欠けてしまう。その中で呈味について特開2003-47453号には、麦芽を原料とする低カロリー醸造酒について、甘味料をもちいた呈味の改善方法が開示されている。この方法によれば、風味、呈味、ボディ感等の主に呈味の改善がなされ、ビールテイストが実現できるが、香りが乏しくなることがあった。」

(A13−1b)「【0010】
本発明者らは、低糖質及び/又は低カロリービールテイスト発酵飲料を含む低糖質発酵飲料を製造する場合のように、糖質低減のために麦芽など麦由来の成分の使用比率を低くする場合において、生じた発酵液が酢酸イソアミルを豊富に含み、希釈した後でも十分な量の酢酸イソアミルを含む嗜好性の高い発酵液が得られるなら、低糖質発酵飲料、特に低糖質ビールテイスト飲料の製造原料として使用可能であることを見出した。」

(A13−2)甲A13−2
(A13−2a)「【0002】
【従来の技術】近年、酒類は消費者のニーズの多様化に伴い、様々な原料により製造された酒類、様々な風味の酒類や様々なアルコール度数の酒類が開発され、市場に受け入れられている。各種疾病の危険因子となる肥満の増加、そして、生活習慣病を患う人々が増え、低カロリーの飲食物に対する関心は益々高揚してきている中、嗜好品である酒類に対しても低カロリーの酒類への購買意向は高くなってきている。酒類の場合、酒類のカロリーは主としてアルコールと糖質とに由来し、そのうち、アルコール由来のカロリーは、糖質由来のカロリーより体重増加作用が低いと言われている。アルコールは、「エンプティカロリー」とも言われ、体内に蓄積されず、熱となって体に放出されるとも言われている。しかしながら、酒類中のアルコールと糖質はいずれも、酒類の飲用時のボディ感や風味に大きく寄与しているため、これらアルコールや糖質を低減させた場合はどうしてもボディ感や風味が損なわれてしまうという問題点があった。特に、麦芽を原料とする醸造酒であるビールや発泡酒については酒類の中ではカロリーが高い方でありながら、飲用の機会が多い、1回の飲用時での飲用量が多い等から、低カロリーの麦芽を原料とする醸造酒の登場への消費者の期待は高かった。低カロリーのビールや発泡酒を製造する場合、低カロリーとするために、1)通常4〜6%程度のアルコールを1〜3%程度に減じる、2)糖質を減じる、3)いずれも減じる方法がある。これらは例えば発酵工程で残糖が少なくなるような高発酵となる原料を使用する、発酵工程をコントロールし高発酵とする、最終的な調整の段階で希釈或いは除去によりアルコール或いは糖質を減じる方法などがある。しかしながら、いずれも味が薄い、飲み応えがない、風味がない、ボディ感がないなど、風味、呈味、例えばコク味や旨味、ボディ感などで、不満の声が非常に高かった。」

(A14)甲A14
甲A14には、「ライトビールの創成〜香味品質の設計技法の開発と応用」に関し、1970年代に入ってライトビールが登場し、アメリカで売り出され、カロリーが従来のビールより少ないことが記載されている。

(A15)甲A15
訳文にて示す。
(A15a)「ここで紹介するアメリカン(標準)ラガーは、マッシュ(乾燥重量)の40%に相当するフレークコーン添加物を追加するために配合されている。このビールのアルコール含有量は約4.5%である。対照的に、アメリカンライトラガーは、マッシュの40%未満の米穀物副原料が配合されている。そのビールのアルコール含有量は4.5%未満である。」(第198頁第9〜13行)

(A15b)「

」(第202頁表)

(A16)甲A16
訳文にて示す。
(A16a)「特徴的な成分:2条大麦又は6条大麦と共に、高い割合(最大40%)の副原料としての米又はトウモロコシ。追加の酵素を用いることで、さらにボディ感を軽くし、炭水化物を減らすことができる。
・・・
商業的な例:バドライト、クアーズライト、キーストーンライト、ミケロプライト、ミラーライト、オールドミルウォーキーライト」(第1頁左欄下から第21〜10行)

(A17)甲A17−1〜甲A17−9
甲A17−1〜甲A17−9には、各飲料製品(それぞれ、「Diet Beer (Nama)」、「New Diet Beer (Nama)」、「Diet Beer」、「Diet Beer」、「Green Label (Nama)70% Sugar Off」、「Tanrei Green Label」、「Tanrei Green Label Soccer Support Can」、「Tanrei Green Label (Nama)」及び「Green Label Beer」)が、「成分(標準形式)」の1つとして「大麦」、「栄養表示」として「Sugars(砂糖)」又は「Carbohydrate(炭水化物)」が記載されている。

2 申立人Bの甲号証について
(B1)甲B1(刊行物2)
訳文にて示す。
(B1a)「

」(第76及び77頁、赤枠は申立人Bが追記、以下同様)

(B2)甲B2(刊行物3)
(B2a)「

」(第138及び139頁)

(B3)甲B3(刊行物4)
(B3a)「

」(第786及び787頁)

(B4)甲B4
(B4a)「

」(第5頁)

(B5)甲B5
(B5a)「

」(第3頁)

(B6)甲B6
(B6a)「

」(第4及び5頁)

(B7)甲B7
訳文にて示す。
(B7a)「低カロリービールの製造」(発明の名称)

(B7b)「例I
大麦麦芽と水の混合物を113°Fですりつぶした。温度を145°Fに上げ、45分間保持した。次に、マッシュ温度を45分で168°Fに上げ、5分間保持した。次にマッシュインをろ過し、残りの抽出物を168°Fの水で穀物から洗い流した。ろ液と洗浄液を醸造用ケトルに集め、麦汁が7.6〜7.7°Pになるまで通常の方法で煮沸した。ホップを煮沸中に添加した。麦汁を52°Fに飽和空気で冷却し、麦汁1バレルあたり1.5ポンドの酵母と混合した。麦汁は3日間発酵され、その間に温度が57°Fに上昇し、そのレベルに保たれた。
4日目に、乾燥デキストロースを使用して7.6〜7.7°Pのデキストロース溶液を調製し、沸騰させてから57°Fに冷却し、通気して発酵中の全麦汁に加えた。等量の発酵麦汁とデキストロース溶液を使用して、発酵材料が麦芽エキスとデキストロース溶液の体積で50:50混合物からなるようにした。合わせた溶液は、発酵が完了するまでさらに4〜5日間発酵槽に保管した。得られた発酵ビールには約3.2重量% のアルコールが含まれており、通常の方法で処理された。
例II
手順は、大麦麦芽とデキストロースが、結果として得られる濃度が5.5〜5.6°Pになるような比率で水と混合されることを除いて、例Iと同じようにした。発酵ビールは、12液オンスあたり約70カロリーを有し、約2.3重量%のアルコールを含む。」(第2欄第56行〜第3欄第22行:ただし、欄の行表示による、以下同様)

(B7c)「例V
使用される麦芽の30% が、コーングリッツ、米、麦芽を含まない大麦、又はこれらの1つ以上の混合物などの添加物で置き換えられること以外は、手順は実施例I,II,III又はIVと同様である。」(第3欄第65行〜第4欄第2行)

(B8)甲B8(甲A4)
上記(A4)参照。

(B9)甲B9
(B9a)「【請求項1】
麦芽と該麦芽よりも多い量の副原料とを使用して発泡酒を製造する方法において、副原料の一部又は全部を押麦とすることを特徴とする発泡酒の製造方法。
・・・
【請求項5】
麦芽を含む全原料(水は除く)中の大麦押麦を1重量%以上、好ましくは25重量%以上とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の発泡酒の製造方法。」

(B9b)「【0004】
このような発泡酒において、仕込等を同1条件で製造したとしても、麦芽の使用量が少ないために、酵母が麦汁中のエキス分を資化するスピード(一日の最大エキス資化量を以下、「発酵性」という。)が減少する上、その味及び香り(以下、「香味」という。)に変化を生ずる。つまり、麦芽の使用量を減らして行き、麦芽以外の副原料の使用量に対して麦芽の使用量を少なくした場合には、ビールと同1条件で製造したとしても、ビール特有の麦芽感が減少する他、酵母の発酵性が悪いためにプラスチック様のS(硫黄)系臭、コゲ臭などの発酵不順臭(発泡酒臭)が目立つようになる。」

(B9c)「【0008】
しかし、これまでの市販発泡酒は明らかに市販のピルスナービールらしい麦芽感が不足している(表3)。それを補うためにこれまで大麦そのものを使用する技術が示されているが、大麦は麦芽より堅いために専用の精麦機や粉砕機など粉砕設備一式が必要となる上に、麦芽と同じように細かく粉砕すると麦汁濾過が困難となり、過剰なポリフェノールが溶出し、渋味を呈してしまう。一方粗く粉砕すると濾過性が向上し、ポリフェノールの溶出がやや抑えられるが、仕込の副産物である麦粕の組成がビールの麦粕と大きく異なってしまい、ビールの麦粕と同様に牛の飼料などへの再利用ができない。しかも、上記のような理由から発泡酒への大麦の使用量が制限され、結果として酵母の発酵に十分な栄養源を付加できず、発酵性をあげることは難しかった。」

(B9d)「【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、鋭意検討の結果、副原料として用いる米、コーン、スターチ等の澱粉質の一部又は全部を未粉砕の押麦に置き換え、必要に応じてアミラーゼ、プロテアーゼ、βグルカナーゼ、プルラナーゼ等酵素剤を添加することにより、仕込の副産物である麦粕の品質をビール並とすることができる上、アミノ態窒素などの栄養源を増加させ、酵母の発酵性を高めると共にピルスナービール並の麦芽感を付与し、渋味の少ない発泡酒が製造できることを見出し本発明に至った。」

(B9e)「【0013】
本発明における副原料とは、酒税法で規定されている麦芽とポップ以外の原料のことであり、例えば未製麦の大麦や小麦、コーングリッツ、コーンスターチ、米、こうりゃん、ばれいしょ、などの各種澱粉、液糖(澱粉質を酸または糖化酵素で分解、糖化して製造されたものであり、主として、ブドウ糖すなわちグルコース、麦芽糖すなわちマルトース、マルトトリオースなどである)や砂糖などの糖物質などが挙げられる。とくに、本発明においては押麦を用いることが好ましい。
本発明に用いる押麦には大麦、小麦、ライ麦、燕麦など麦原料由来の押麦が市販されており、いずれも本発明に用いる原料として適しているが、ここでは麦の押麦のうち、特に製造量の多い大麦の押麦(以下、大麦押麦という。)について説明する。大麦押麦は、未精白のまま、あるいは精麦機を用いて精白し、100℃から130℃の蒸気で水分含量17〜21%程度まで加湿して蒸しあげて澱粉をα化し、その後2本のローラーで1〜2ミリメートル程度の厚さの薄い板状に加工し、温風及び外気で水分含量14%以下まで乾燥冷却されたフレーク状にしたものを言う。精白してフレーク化したものは一般に押麦として知られている。また、大麦の押麦は大麦フレークともいう。原料となる大麦は様々な大きさ、品種のものが使用できるが、穀粒の大きさが2ミリメートル以上のものが好ましく、さらに穀粒の大きさが2.5ミリメートル以上で、例えばアレクシス、ハリントン、オプティック、アサカゴールド、ミカモゴールデンなどの麦芽用の品種を使用することがなお好ましい。
【0014】
大麦押麦は市販のものを粉砕しても使用可能であるが、未粉砕でそのまま使用することが可能で、麦汁濾過槽を用いた場合の麦汁の濾過性にも差異がない。また、大麦押麦は未粉砕物を用いても、仕込工程中で十分に分解され、粉砕した麦芽同等のエキス分が抽出される。また、大麦押麦を使用することにより麦芽感を付与でき、発酵性を高められるのは、大麦押麦が窒素源、ビタミン、ミネラルなど麦芽の成分に近い組成を持っており、それが麦芽感を高めると共に酵母の発酵性を高めているためと考えられる。また、大麦押麦を使用すると大麦そのものを使用した場合に比べて渋味が低減できるのは、大麦由来の渋味を呈するポリフェノールの溶出が大麦押麦にすることで抑えられることが原因と考えられる。従って、押麦の原料としては大麦が特に好ましい。
・・・
【0016】
次に、本発明の発泡酒の製造方法について図1を参照して説明する。主原料である粉砕した麦芽及び未粉砕の大麦押麦、そして適宜麦芽由来の酵素剤あるいは微生物由来の酵素剤(アミラーゼ、プロテアーゼ、βグルカナーゼおよび/又はプルラナーゼ)を仕込槽1に入れ、温水を加えて混合し、所定温度、通常は35〜50℃とした後、該温度に所定時間(通常は20〜90分間)保持してマイシェを作った後、徐々に昇温してこのマイシェを所定温度、通常は60〜72℃にて所定時間(通常は30〜90分間程度)保持して酵素作用による糖化を行う。糖化工程終了後、76〜78℃で10分間程度保持した後、麦汁濾過槽2で濾過を行って濾液としての透明な麦汁を得る。また、別の方法として主原料である麦芽の一部及びコーンスターチ、コーングリッツ、米あるいは大麦押麦など澱粉質の副原料の全部又は一部を仕込釜に入れ、温水を加えてこれらの原料を混合して液化を行いマイシェを作る工程を加え、前記糖化前の仕込槽1のマイシェを加えて合一して糖化し、麦汁濾過槽2で濾過を行って麦汁を得る方法を適用しても良い。」

(B9f)「【0020】
実施例1(250mlスケール麦汁製造装置を使用した麦汁濾過性試験)
麦汁の濾過性を250mlスケールの麦汁製造装置(以下、コングレス装置と言う。)を用いて試験した。コングレス装置は加熱及び冷却装置が付随した温度パターンを自由に設定することが出来る浴槽で図1の仕込槽工程を再現できる装置で、ステンレスでできた500ml容器を用いて同時に30個まで試験できる。濾過性はコングレス装置で製造したもろみをガラスファイバー濾紙(Whatman社 GF/A)を敷いたブフナー漏斗に移して、濾過性を比較する。
【0021】
粉砕した麦芽25gに、皮付きのまま及び全体の25%まで精白した皮むき大麦押麦の粉砕物あるいは未粉砕物25gに50℃の湯を200ml加え、βグルカナーゼ、プロテアーゼをそれぞれ等量添加して、図2のダイヤグラムでもろみを製造し、ブフナー漏斗に移して時間当たりの麦汁濾過量(g/h)を測定した。この数値が100g/hを超えれば図1のような醸造設備においても濾過性に問題はない。
【表1】

表1の結果からも、大麦押麦を精白して皮をむいた方が濾過性はわずかに高いものの、いずれも100g/hを超えており、大麦押麦は精白、粉砕の有無にかかわらず、高い濾過性を示している。
【0022】
実施例2(200Lスケール醸造設備における試験醸造)
図1により、200Lスケール醸造設備の概略と製造方法について説明する。仕込槽1、煮沸釜3は蒸気ジャケットを用いて温度パターンを自由に設定することが出来る上、攪拌機で中の温度分布を均一に保つことが出来る。濾過槽2では堆積した麦芽層を均一にする解層機とステンレス製の篩からなっており、ここでもろみは濾過され、麦芽粕と麦汁に分離される。煮沸釜3では麦汁にホップを添加して煮沸し、そこで生じた蛋白質などの粕をワールプール4と呼ばれる沈殿槽で除去する。そして、水等を冷媒に用いたプレートクーラー5により適切な発酵温度にまで冷却されて、ブラインコントロールによって温度制御できる200Lの発酵タンク6に移される。
【0023】
粉砕した麦芽と、未粉砕の大麦の押麦と液糖とを含んだ副原料を計40〜50kg使用して麦汁を製造し、泥状酵母を加えて、発酵温度6〜12℃で発酵させた後、−1℃にして貯酒を行った。発酵液を濾過して酵母を取り除き、アルコール5%程度の発泡酒と同じ麦芽使用比率25%以下の酒類を製造した。なお大麦の押麦以外の副原料としては液糖を用いた。全原料中の大麦の押麦使用率を変更してまず発酵性について調査した。発酵性に関する指標として一日に酵母が消費したエキス分の最大値を比較するのが最も判りやすい。
【表2】

なお、前記表中、液糖の使用比率は下記式で示すことができる。
液糖の使用比率(%)=100%−{麦芽分(25%)+大麦の押麦分(%)}
したがって、試験品1中の液糖使用比率は 0%
試験品2中の液糖使用比率は 35%
試験品3中の液糖使用比率は 50%
試験品4中の液糖使用比率は 75%
となる。
表2からも、大麦の押麦の使用率が高くなればなるほど発酵性が向上していることが判る。」

(B9g)「【0025】
実施例3(200Lスケール醸造設備における試験醸造)
次に大麦そのものではなく、大麦押麦を使う利点について調査するため、専用の粉砕機で粗く粉砕した大麦と、同品種の未粉砕の大麦から製造した未粉砕の大麦押麦をそれぞれ全原料中の40%用いて上記と同じ方法で試験醸造を行った。
大麦押麦使用の場合の原料配合割合は
麦芽:大麦押麦:液糖=25:40:35
麦芽: 大麦 :液糖=25:40:35
である。
この試験醸造品に関して渋味についてパネリスト14名による官能評価を実施し、併せて渋味に関与すると言われる総ポリフェノールとポリフェノールの一種であるアントシアノーゲンの含有量について分析をおこなった。
【表4】

表4から、大麦を大麦押麦にする事で大麦由来のポリフェノールの溶出が抑えられ、大麦使用に比べて渋味の低い発泡酒が製造できる事がわかる。
なお、液糖の一部をコーンスターチに変えても官能評価や分析結果はほぼ同等の結果が得られている。」

(B10)甲B10
(B10a)「【0227】
「挑戦的な」醸造条件下でグルカナーゼおよびキシラナーゼの組み合わせによるろ過の最適化を評価するために、75%の麦芽および25%の大麦を含む混合グリストを用いて、パイロットスケールの醸造トライアルを実行した。最初に、水:グリスト比を2.8:1(マッシュ開始)に設定し、ロータリングの開始時に3.1:1に増大させた。比較して、フルスケールの醸造所ロータリングではおよそ3.2〜3.8の水:グリスト比が一般的である。従って、3.1:1の水:グリスト比という本パイロットトライアル設定は、このスケールの挑戦的な限界にあると考えられる。
【0228】
2ローターミルを用いて麦芽および大麦を粉砕乾燥した。約0.7mmのローター距離を用いて大麦および麦芽はいずれも2回製粉した。
【0229】
53℃の初期マッシュ温度を目的としてマッシングインを行った。マッシングインの後、2.8:1の水:グリスト比のためのマッシュ体積調整および約5.56へのpH調整(乳酸)などの小さい調整を行った。マッシュの微調整の後、酵素を添加し、図1で与えられるマッシングプロファイルに従った。70℃における糖化休止は15分にプログラムしたが、休止期間は、ヨウ素試験によりデンプンが存在しないことが示されるまで、5分間延長した(Ludwig Narziss and Werner Back,Technische Universitaet Muenchen(Fakultaet fuer Brauwesen,Weihenstephan),Abriss der Bierbrauerei.WILEY−VCH Verlags GmbH Weinheim Germany,2005)。
【0230】
78℃で5分間の休止の後にマッシングオフを開始した。事前に「二重底(false bottom)」の真下の高さまで水が入れられたロータータンに、マッシュを移した。ろ過ケークの沈降のためにマッシュを5分間休止させた。この後、15分間の再循環(140L/h)を行い、ろ過ケークの沈降および麦汁の透明化を保証した。通常、フルスケール醸造では、ろ過は、所与の麦汁濁度が得られたら開始され得るが、本トライアルでは、再循環を15分で一定に保持し、トライアルの比較を可能にした。ロータリングの間、以下の、時間(分)、捕集された麦汁体積(L)、ろ過ケークを横切るろ過圧力差(mmWC、mm水柱)、ポンプ容量(%)、麦汁濁度(EBC)およびマッシュ温度(℃)を含むデータを捕集した。
【0231】
ろ過中にろ過ケークを横切って増大される圧力は、麦汁ロータリング性能の標準の設定に寄与する因子であると考えられる。非常に高い圧力差(例えば、第1の麦汁捕集中の250mmWC、および例えば、リマインダーのロータリングについては450mmWC)に到達したら、ろ過ケークのラッキング(ディープカットとしても知られている)が誘発される。ラッキングは、ろ過ケークが崩壊するか、あるいは特別に設計されたナイフでろ過ケークの切断を遅くすることによってろ過チャネル形成が救済されるプロセスである。ろ過ケークのラッキングの後、6分間の麦汁再循環(流速:120l/h)を導入し、継続ろ過のためにろ過ケークを満たした。ろ過ケークのラッキングはそうでなければ妥協されるろ過性能を救済し、そうでなければ麦汁品質の悪さももたらし得る。圧力により誘発されるラッキングが3回目のスパージングの始まりまでに導入されていなければ、3回目および4回目のスパージングの初めに自動ラッキングを行い、麦汁分離を終了する直前に完全なろ過のブロックが生じないことを保証した。
【0232】
ロータリングは、表1に示される設定を用いて行った。
【0233】
【表4】

【0234】
最後のロータリングの後、麦汁(sweet wort)をマッシュタンに戻し、加熱して沸騰させ、ホップを添加した。ホッピングを80分間継続させ、ホッピングの最後にpHを5.10±0.05に調整する。渦の使用によりホップを麦汁(bitter wort)から除去し、その後の麦汁を約8℃に冷却した。発酵のために、Fermentisからの下面発酵乾燥酵母(サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae))W34/70を選択した。酵母を30分間再水和させ、100g/HLで投入した。主発酵を10℃で5〜6日間維持した後、弱毒化およびジアセチルが80ppb未満になるまで、15℃で熟成させた。1℃および0.7バールでビールをさらに2〜3週間貯蔵した後、ろ過した。」

(B11)甲B11
訳文にて示す。
(B11a)「醸造パイロットプラント中の殻を除去した大麦、モルト、及び副原料に、α−アミラーゼ、プロテアーゼ、ヘミセルラーゼ、及びアミログルコシダーゼを適量添加した。シングルデコクションマッシング法によって麦汁を製造し、プロセスを継続して最終ビールを製造した。一緒に煮沸した大麦及び副原料に加えてモルトマッシュに酵素を添加することを含むこのマッシング法は、筆者らの予測に反して、十分に広範なデンプン分解をもたらさず、濾過が極めて困難になったが、これは大麦から加熱抽出されたガム状物質によって引き起こされたと考えられる。製造した麦汁中の窒素成分及び糖の含有量は両方とも、対照値より低く、発酵プロセスの間に多量のα−アセト乳酸の形成を引き起こした。発酵性を高めるために、発酵前に麦汁に少量のアミログルコシダーゼを添加すると、過剰なデキストリン分解が生じる結果となり、ヘッド形成が極めて不十分になった。他方で、大麦をモルト及び酵素と一緒にして、プロテインレストプロセスに供した場合、タンパク質及びガム状物質が十分に分解された。さらに、麦芽及び副原料の量が、大麦40%に対して60%であった場合、マッシング及び発酵の両方のプロセスが十分に進行し、いくつかの場合には、対照の麦汁マッシングと同等の、麦汁形成、全ジアセチル含有量の変動、ビール成分の形成、及び官能試験における成績レベルをもたらした。さらに、大麦から醸造されたビールに収斂性の苦味が認められたという事実は別として、大麦からの穀粒の殻の機械的除去は非常に効果的であることが判明した。」(第496頁、要約)

(B11b)「2.1 実験で使用した材料
大麦:Satake型試験用ミルで80%保持まで穀皮を除去し、次いでMiag型ミルで粗く粉砕した(目盛り45)、国産大麦。
モルト:ローターミルで粗く粉砕したモルト。
デンプン:市販のコーンスターチ。
ホップ:国産ホップ。
酵素:BAN-240 (Novo Co.製の細菌α−アミラーゼ)以外の全ての酵素は、パート1に列挙されたものを使用した(1)。
コメ:醸造に使用する砕け米。」(第496頁右欄第4〜14行)

(B11c)「ビールP6とP7は、対照ビールに比べて総残留α−アミノ窒素量が圧倒的に少ない。ビールP8のアミノ酸含有量はやや低かったが、麦汁中のホルモール窒素の量が十分であったため、これがアミノ酸含有鼠に影響していると考える必要はないが、発酵中の酵母による同化作用が大きくなっている可能性を考慮しなければならないかもしれない。したがって筆者らは、いくつかの場合に、剥皮大麦を含む酵素によるマッシング(主にBrew-N-zymeに依拠する)において麦芽の代わりに41%又は61%の割合の大麦を使用した場合、対照ビールと同じ麦汁及びビール形成でビールを実際に製造することができた。」(第501頁右欄第7行〜下から10行)

(B11d)「Brenner(14) はまた、大麦−麦芽混合物に基づいて、温度を上昇させながら段階的インフュージョンマッシング法を使用した。50〜75%大麦、25〜50%モルト、および0.1%酵素(大麦の重量に相当)のマッシングの組み合わせでは、彼が報告するところによると、対照麦芽ビールに等しいビールが製造されたが、彼はまた、最初の実験では、発酵性が低くジアセチル臭のかなり強いビールが製造されたと指摘している。」(第502頁左欄下から第10〜下4行)

(B11e)「しかし、指摘したように、ビールP9のマッシング及び発酵プロセスは両方とも、麦芽の大麦代用率が60%であるにもかかわらず、剥皮大麦及び麦芽の混合物に基づいて円滑に進んだ。製造されたビールの分析結果はまた、対照ビールの結果と同等であった。したがって、フレーバーの予測された改善は、適切に達成されたということができる。よって、麦芽の大麦代用率が50%を超えたという事実にもかかわらず、Klopperが言及した欠点は除かれ、Hansenが行ったように発酵中の発酵液にアミログルコシダーゼを添加しなくても、最終的な発酵度は80%をなお上回った。通常の期間に、全ジアセチル含有量を0.1ppm未満(Hansen及びHolloが通常とみなした値よりはるかに低い値)に低減することも可能であった。最終的に、筆者らは、大麦−麦芽混合物を使用する酵素によるマッシングを通じて、筆者らの会社独自の「会社の特徴」に近い特性のビールを製造することができた。しかし、本実験の結果はパイロットプラントスケールで行われたものであることから、醸造及び官能試験を繰り返すことによって醸造技術の精度を上げる以外に選択肢はない。」(第502頁右欄第8〜26行)

(B12)甲B12
訳文にて示す。
(B12a)「麦芽の一部を未発芽大麦(unmalted barley) に置き換えることは、ビール醸造のトレンドである。しかし、未発芽大麦(unmalted barley) を使用すると、望ましくない成分が多く含まれるため、混濁が発生したり、マッシュの粘度が高くなるなどの問題がある。大麦の外皮を研磨して取り除く方法である搗精は、不溶性繊維、灰分、タンパク質、ポリフェノールの含有量を減少させるが、残りの穀粒のβ−アミラーゼ活性とデンプン含有量はほとんど影響を受けなかった。例えば、穀粒の外側5%を取り除くと、不溶性アラビノキシランが15%、不溶性繊維が23%、非デンプン成分の含水量が25%減少する。また、灰分は19%、ポリフェノールは11%減少するが、デンプンの0.20%しか剥離しない。不溶性繊維の含有量とフラクションの含水量の間に関係があることがわかった。繊維が少ないと含水量が低下し、使用済み穀類の体積が減るため、ろ過の際に失われる麦汁や糖分が少なくなることを意味する。さらに、ふすま部分が乾燥したままであるということは、使用済み穀類を乾燥させるために必要なエネルギーが減少することを意味する。」(第44頁要約)

(B12b)「伝統的に、ビールは麦芽を使って醸造される。近年では、精麦した大麦(麦芽)の一部を未発芽大麦(unmalted barley) で置き換えることが検討されている(Doodeら、2005年、Loweら、2004年、Steinerら、2012年) 。麦芽処理中の大麦の組成変化としては、デンプンの量が18%減少し(これはより低分子の糖に分解されると同時に、いくつかの損失も生じる)、ポリフェノールの量が2倍に増加し、βグルカンの含有量が80%減少する。」(第44頁左欄第2〜9行)

(B12c)「大麦の穀粒は、高度に構造化された複数の組織を含んでいる。穀粒は、胚と胚乳の周りに、いくつかの組織層(アリューロン、外種皮、果皮、穀皮)がある。胚にはほとんどの脂質が含まれている。胚乳にはデンプン粒があり、タンパク質マトリックスに埋め込まれている。タンパク質マトリックスを取り囲む細胞壁には、β−グルカン(75%)とアラビノキシラン(20%)が豊富に含まれている(Jadhavら、胚乳にはβ−アミラーゼという酵素が含まれており、仕込みの際にデンプンの分解を促進する(Buttimer and 2000)。ふすまは、果皮層とアリューロン層からなる。アリューロン層はタンパク質が豊富で、胚乳を取り囲み、アラビノキシラン(71%)とβ−グルカン(26%)を含む厚い細胞壁を持っている。大麦の外側の層である穀皮層は、ポリフェノールとセルロースが豊富に含まれており、異なる組成を持っている。ポリフェノールはビールの重要な風味成分であるが、タンパク質と複合体を形成して最終製品の混濁を引き起こすこともある(Langstaff and Lewis, 1993; Siebertら, 1996)。穀粒に含まれるアラビノキシランのほとんどは、穀皮とふすまに存在する。大麦の穀皮にも存在する灰分は、そのほとんどがケイ酸であると報告されており、これもビールの混濁の原因となる。しかし、亜鉛塩などのミネラルの一部は、ビールの微量元素を供給するものであることを考慮する必要がある(Kunze, 2010)。」(第44頁右欄第11行〜第45頁左欄8行)

(B12d)「搗精は、大麦の特性評価に主に用いられている(Iwamiら, 2003, 2005; Klamczynskiら, 1998; Lampiら, 2004; Liuら, 2009; Liu and Moreau, 2008; Madhujithら, 2006; Marconiら, 2000; Quindeら, 2004; Sumnerら, 1985; Wangら, 1997; Yeung and Vasanthan, 2001)。Marconiら(2000)及びYeungとVasanthan (2001)は、さまざまな大麦品種の精白について述べており、精白された穀粒と精白した物質の組成を分析している。Liuら(2009)は、精白が穀粒の機能性脂質の濃縮に大きな影響を与えることを明らかにした(LiuとMoreau, 2008) 。Madhujithら(2006)は、最も多くの抗酸化活性が穀粒の外側25wt%に存在することを発見し、この外側の層にポリフェノールが存在することに関連していると述べている。Wangら(1997) は、穀類からのエタノール生産量(理論上のエタノール収量と実際のエタノール収量の比として算出)は、搗精によって穀類の外側を除去すると効率が上がることを報告した。醸造との関連では、掲精を用いて、大麦の穀粒の硬さと掲精後の穀粒収量、および発酵性能の指標であるコンバージョンとの相関関係を調べた(Iwamiら, 2003)。さらに彼らは、精白の程度が日本の蒸留飲料である焼酎の味に影響を与えることを発見した(Iwamiら, 2005)。特許取得済みのプロセスには、麦芽製造や醸造の前に精白することがビールの品質に有益であると主張する、穀類の剥皮のための装置が含まれている。剥皮することで、粉砕エネルギーが低下し、穀物表面の汚染物質が減少すると主張している(Gehrigら, 2012)。このように、搗精は醸造に有益であるという仮説を立てることができるが、どの程度の精白(すなわち、搗精によって除去された材料の重量の割合)が最適であるかは明らかではない。さらに、搗精が使用済み穀類の廃棄物やプロセスにおける損失の量にどのような影響を与えるのかについては、まだ調査されていない。この論文では、醸造用の原料として使用される大麦の組成を変更する方法として、搗精を検討する。これにより、プロセスの無駄を減らし、その効率を高めることができる可能性がある。セバスチャンという品種の大麦を、穀粒の重量の5%、10%、15%、25%を除去し、元の穀粒重量の約75%の胚乳画分を残すように搗精した。化学組成に加えて、すべての画分のWHCを測定した。また、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、画分の外観を観察した。醸造プロセスの原料を改良するために搗精を利用することの潜在的な利点とその意味について考察した。」(第45頁左欄第31行〜右欄第7行)

(B12e)「大麦の全粒を、元の重量の5.3wt%、4.4wt%、5.1wt%、10.1wt%を除去するために搗精した(それぞれ画分1〜4)。画分5は残りの穀粒で、元の穀粒重緻の約75%であった。」(第46頁左欄下から第6〜4行)

(B12f)「表2に、大麦全体および大麦画分のポリフェノール、β−アミラーゼ活性、アラビノキシランの含有量と水分活性の測定値を示す。ポリフェノールは、ほとんどが穀皮層の内側に存在している。この画分にはプロアントシアニジンを多く含む外種皮が含まれている可能性がある(Aastrupら, 1984; Goupyら, 1999)。この測定では高い標準偏差があるが、すべての画分が互いに有意に異なっていた。画分5は大麦全体との有意差はなかった。また、アラビノキシランはほとんどが外側の画分に存在しており、これは過去の研究と一致している(Dervillyら β−アミラーゼ活性は、ほとんどが胚乳に存在し、穀皮の外側10%ではその活性は非常に低かった。これは、β−アミラーゼが発芽前にすでに胚乳に存在していると報告されている文献と一致している(これに対して、例えばα−アミラーゼは発芽中にアリューロン層で合成される)(ChrispelsとVarner, 1967)。水分活性は、画分の乾物含有量に従う。乾物含量の高い画分は水分活性が低い。
大麦の出発組成を変更するには、望ましくない成分を取り除き、望ましい成分を残すことが有益である。デンプンは、ビール醸造用の大麦の中で最も重要な成分であり、デンプンの損失は最小限に抑えるべきである。また、β−アミラーゼの活性も損なわれてはならない。
図2は、原料から取り除かれた成分の割合と、取り除かれたデンプンの割合を示したものである。この図から、穀粒の約10%を除去すると、40%以上の繊維、約30%の灰分とアラビノキシラン、約25%のポリフェノールが除去されることがわかる。驚くべきことに、この条件で失われるデンプンは1%以下である。さらに、外層2層ではβ−アミラーゼ活性がほとんど測定されず、大麦全体のβ−アミラーゼ活性は胚乳のそれとほぼ同じであった。」(第46頁右欄第45行〜第47頁左欄最終行)

(B12g)「

」(第47頁)

(B12h)「

」(第48頁)

(B13)甲B13
(B13a)「ビールのダイアセチル臭とは,むれたごはんを連想させるような臭いであり,ビールの清涼感を著しく損うものである.この臭いは熟成が不十分なビールに現われる,あるいは発酵が異常な際に現われる特徴的な臭いであり,ビールの熟成度あるいは,発酵工程管理の重要なメルクマールとして,合理化研究の盛んに行われている内外のビール業界で現在,高い関心をよんでいる.」(第49頁左欄第1〜7行)

(B13b)「ビールのダイアセチル臭は前述のように特徴的な異臭であるが,この臭いの本体がダイアセチル(CH3・COCOCH3)であることを最初に明らかにしたのはShimwell(1939)であるとされている.当時ダイアセチル臭は,麦汁発酵中に細菌(Pediococcus)が汚染した場合に発生するケースが多く,代表的な汚染臭としてとらえられていた.その後,麦汁が細菌に汚染されていない場合でも,発酵の進行が異常な場合,あるいは熟成が不十分なビールにもあらわれることが明らかにされ, 特に米国で1950年代の終り頃からビール造りの合理化がいろいろと試みられはじめ,その工程管理のメルクマールとしてダイアセチル臭の研究が盛んに行われた.」(第49頁右欄第4〜15行、ただし脚注は省略、以下同様)

(B13c)「ダイアセチル臭はビールのタイプにもよるが,下面発酵淡色ビールではダイアセチルの約0.1ppmの存在により感知される.このように,微量の存在浪度が問題となるため,研究の当初は定量法の精度と簡便さに1つの難関があった.」(第49頁右欄下から第8〜4行)

(B13d)「

」(第50頁)

(B13e)「A. ダイアセチル臭発生防止対策
図1に示したダイアセチル臭の発生メカニズムから,(1)前発酵におけるアセトハイドロキシ酸の生成を抑える,(2)前発酵から後発酵にかけて行われるアセトハイドロキシ酸の消失を速める,(3) (2)の反応の結果生成するビシナルジケトンが液中に残存する濃度を少なくする,の3つの方策が考えられる(図2).」(第51頁左欄第11〜17行)(当審注:(1)は○の中に1、(2)及び(3)も同様。)

(B13f)「

」(第51頁)

(B14)甲B14
訳文にて示す。
(B14a)「8. 6グリッツ
グリッツは、穀類のデンプン質を含む胚乳のほぼ純粋な断片で、未調理のものである。グリッツは、醸造で直接使用することもできるが、その場合は調理する必要があり、また、フレーク状にしてもよい(下記参照)。穀物の表層を取り除くことで、材料の脂質、灰分、繊維の含有量が減り、デンプンが濃縮される。
実験的に、搗精(pearled)した大麦やふすまを除去(debranned)した大麦が醸造に使用されている。75%の収率で調製された脱脂素材は、 86%の抽出物を有していた(元の大麦では75%であった)。その脂質,繊維、灰分、ポリフェノールの含有量は減少したが、β−グルカンが豊富に含まれているため、より粘性の高い麦汁が得られた。この粘性は、β−グルカナーゼを添加することで低減することができた。」(第232頁下から第5行〜第233頁第7行)

(B15)甲B15
訳文にて示す。
(B15a)「次いで筆者らは、濾過がアセトイン及びジアセチル含有量に対して影響を及ぼし得るか否かを調査した。いくつかの異なるビールを、珪藻土、フィルターマス、高性能遠心分離フィルター、及び滅菌質量フィルターによる濾過後に分析した。表IIから明らかなように、変化は検出できなかった。」(第59頁右欄第7〜16行)

(B15b)「

」(第59頁)

(B15c)「表IVは、ここまで調べたエキスポートタイプのビールの結果をまとめる。異常なジアセチル値は、3サンプルのみで親察された。」(第60頁左欄第1〜5行)

(B15d)「

」(第60頁)

(B16)甲B16
甲B16には、大麦の構造と精麦の一般常識が図とともに記載されている。

(B17)甲B17
(B17a)「【0011】
本発明は、若年層を中心とした、アルコールの刺激感、酒そのものの風味や苦味を苦手とする消費者に対して、自然なほろ苦さとスッキリとした飲みやすさを有する新規なビールテイスト飲料を提供することを課題とする。」

(B17b)「【0043】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明する。ただし、これらの例は本発明を制限するものではない。
実施例1
表1〜3の処方に従って、ビールテイスト飲料を調製した。表1は、対照であるサンプル1と、本発明品であるサンプル2〜13である。これらのリナロール及びダイアセチルの濃度は表4を参照されたい。また、表2は、イソα酸及びα酸をそれぞれ10ppm及び1ppm含むよう調整した比較例1であり、表3は、比較例1にリナロール及びダイアセチルをそれぞれ40ppb及び4ppb含むよう調整した比較例2である(表5も参照されたい)。苦味物質であるゲンチオオリゴ糖としては日本食品化工社のゲントース#45(ゲンチオオリゴ糖を45%以上含有する)を、サンプル1〜13に使用した(各サンプル1000ml中にゲンチオオリゴ糖が4.5g含まれた)。一方、比較例1及び2にはゲンチオオリゴ糖を用いなかった。比較例1及び2において、イソα酸源としては、ISOHOP(Barth-Haas社製、イソα酸を330000ppm含み、α酸を含まない)をニュートラルスピリッツ(アルコール度数59%)にて100倍希釈した液を用い、α酸源としては香料ベース(IFF社製、イソα酸を150ppm、α酸を8425ppm含む)を用いた。これらのビールテイスト飲料はいずれもアルコール度数3.3%で、1000mlあたり麦芽エキス(Brix80度)を5g含んだ。
【0044】
これらのビールテイスト飲料について、訓練された専門パネル3名によって官能評価を実施した。
官能評価は、苦味の強さ、苦味の後味への残存感及び酒らしい軽快な香りの3つの観点から評価し、トータルな品質を、対照であるサンプルNo.1を1点として評点をつけた。その結果を、表4及び表5に示す。
【0045】
【表1】



(B17c)「【0048】
【表4】



(B17d)「【0050】
本発明品のサンプル2〜13は、スッキリとした自然な苦味を有しながら、しっかりしたボディ感と酒らしい軽快な香味が感じられ、飲みやすい品質であった。特に、リナロールとダイアセチルを含むサンプル10〜13は特に苦味とボディ感があって好ましかった。これに対し、イソα酸及びα酸を含む比較例No.1は苦味が強い上に後口にしつこい苦味が残り好ましくなかった。また、これにリナロールとダイアセチルを加えた比較例No.2は、苦味が強すぎて香気成分の効果が認められなかった。逆に、大量に添加すると、これらの香気成分のオフフレーバーが目立つ結果となり、イソα酸及びα酸との併用は難しいことが示唆された。」

(B18)甲B18
(B18a)「【0002】
背景技術
ビールや発泡酒などの麦芽を原料とする麦芽発酵飲料は、時間の経過、温度の上昇等により酸化等の化学反応が加速されて製品の劣化が進行することがある。劣化した製品では、飲料の本来の味覚や香り(すなわち風味)が損なわれ、品質の低下がもたらされる。中でも、「カードボード臭」(段ボール臭ともいう)は、このような劣化臭の代表例であり、このカードボード臭の生成を抑制し、麦芽発酵飲料の香味安定性を向上させることは、麦芽飲料製造技術の中でも重要な技術の一つである。カードボード臭の主な原因物質としては、アルデヒド類、特に、トランス−2−ノネナール(trans-2-nonenal)(以下において「T2N」ということがある)が知られている。
【0003】
トランス−2−ノネナールは、原料(通常は、麦芽)中に含まれるリノール酸、またはリノール酸を側鎖に含む脂質が、同じく原料中に含まれるリポキシゲナーゼ(以下「LOX」ということがある)による酵素的酸化、または自動酸化を受けて、トランス−2−ノネナールの前駆体(ヒドロオキシド誘導体)が形成され、酸化的分解を経てトランス−2−ノネナールが生成されると考えられている。このため製品の香味安定性を向上させるには、製品中に生じるT2Nを抑制することが重要であり、これまでにも、LOX活性が低い原料麦芽を製造する方法(特開2005−102690号公報(特許文献1))や、LOX活性が香味安定性に与える影響についての研究結果(N. Kobayashi et al, Proceeding of the EBC, 1993, p405-(非特許文献1)、国際公開WO01/85899(特許文献2)が報告されている。
【0004】
また、文献 B. W. Drost et al., Am. Soc. Brew. Chem. Journal, Vol.48, No.4, pp. 124-131 (1990)(非特許文献2)には、麦汁のリポキシゲナーゼ(LOX)量およびノネナールポテンシャル量と、自然劣化した製品ビール中のトランス−2−ノネナール量とには、高い相関関係があり、これらの値はビール製品における製品劣化の可能性を予測するのに有用であることが報告されている。なおここでノネナールポテンシャル(NP)の量とは、麦汁等に含まれるトランス−2−ノネナールおよびその前駆体の総量であって、麦汁等に潜在的に含まれるトランス−2−ノネナール量を意味している。」

(B18b)「【0008】
近年、麦芽に加えて、様々な穀類(例えば、大麦)や糖類を原料の一部に使用した麦芽発酵飲料が普及しつつある。このような飲料として、例えば原料麦芽の使用量を低減した低麦芽発酵飲料(例えば、発泡酒)などが知られている。このような麦芽発酵飲料に使用されている麦芽以外の原料について、製品の香味安定性に与える影響を検討した研究は本発明者らの知る限り、殆ど報告されていない。
【0009】
このような麦芽以外の原料は、当然ながら麦芽とは異なる性質を有するものであり、また、麦芽のみを使用する麦芽発酵飲料に、味わいやうまさを付与しようとするものである。このため、従来の製品において検討されてきた、製品中T2Nの量を抑制する手法を、そのまま麦芽以外の原料を使用する麦芽発酵飲料の場合についても適用することは必ずしも適当とは言えない。
よって、このような麦芽発酵飲料において生じ得る「カードボード臭」を低減し、飲料の香味安定性を向上できる適切な手法の開発が望まれていた。」

(B18c)「【0011】
本発明者等は、麦芽の原料であり、それ自体でも麦芽以外の副原料として使用されていることから、穀類の中で大麦に着目し、様々な検討を行った。まず、大麦のLOX活性について調べた。後述する実施例の例1にあるように、カナダ、ヨーロッパ、オーストラリアを含む世界各国において2004年に収穫された各種ロットの大麦と、これらの大麦を用いて製造された各麦芽の全てのLOX活性を測定したところ、大麦生産地によって若干のばらつきはあるが、大麦LOX活性は麦芽LOX活性に比較して、少なくとも4倍(おおよそ5〜7倍)もの強い活性があることが今回見出された。すなわち、大麦のLOX活性が麦芽に比べて著しく高いことから、大麦を一部に用いる麦芽発酵飲料においては、その香味安定性へ及ぼす大麦LOX活性の影響が極めて大きいことが今回判明した。
【0012】
大麦のLOX活性はその胚部に局在することが予想され得るため、大麦表面を研削(「搗精」ともいう)によって除去し、大麦LOX活性を除去もしくは低減することが考えられる。しかしながら、工場等での大規模生産を考慮すると、生産コストが高くなることが予想され、有効な手法とは言えない。またLOX活性が低い大麦品種を選抜して使用する手法も考えられるが、このような所望の形質を備えた大麦品種を育種する時間やコストを考えれば現実的な手法とは言えない。」

(B18d)「【0014】
一方で、大麦を原料の一部として使用する場合、大麦に含まれるタンパク質やアミノ酸成分などによって、麦芽発酵飲料製品に味わいやうまさがさらに付与されることが期待されるが、大麦の前処理によって、これらの効果が失われたり、減退することが考えられる。また大麦由来のアミノ酸を含む、麦汁中のアミノ酸が不足すると、その後の酵母発酵工程において、酵母の代謝が不十分となって最終的にジアセチルの消失不足による香味異常を引き起こす可能性も予想される。特に、アミノ酸供給源である麦芽の使用比率が小さい場合、麦汁におけるアミノ酸濃度にも十分に注意を払う必要があると考えられる。」

(B18e)「【0023】
本発明の大麦の前処理方法によれば、大麦に含まれるLOX活性を低減し大麦を原料の一部に用いる麦芽発酵飲料における麦汁ノネナールポテンシャルおよび製品T2Nを大幅に低下させることができ、その結果、劣化臭の発生を抑えて、麦芽発酵飲料の香味安定性を著しく向上させことができる。特に、大麦のLOX活性は通常の麦芽に比べて著しく高いため、本発明によって、大麦を原料の一部に用いる飲料の香味安定性を極めて効果的に向上させることができる。また併せて、麦汁のアミノ酸濃度の低下を抑えることができるので、発酵工程で香味異常を起こすことが回避でき、さらには、大麦由来のアミノ酸等により麦芽発酵飲料の味わいやうまさを向上させることができる。すなわち、本発明によれば、大麦を原料の一部に用いる麦芽発酵飲料における香味安定性を大幅に向上させることができる。これは、本発明による前処理方法を適用した麦芽発酵飲料の工程や香味安定性以外の製品品質には影響を及ぼさないことを意味すると言える。
さらに本発明による方法は、大麦の搗精処理の必要性を最小限にすることができるので、コスト面でも優れた方法であると言える。」

(B18f)「【0029】
本発明において、「麦芽発酵飲料」とは、原料として麦芽を用いて得られた加ホップ麦汁を主成分とする原料を、発酵させることによって得られる飲料をいい、例えば、ビール、発泡酒、さらにビールや発泡酒にアルコールを添加したリキュール類等が挙げられる。さらに本発明においては、「麦芽発酵飲料」は、原料の一部として(例えば副原料として)、大麦を使用した麦芽発酵飲料を含む意味で用いられる。」

(B18g)「【0051】
例2: 大麦を原料の一部に用いる麦芽発酵飲料の香味安定性への大麦LOX活性の影響
大麦LOX活性が胚部に局在すると考え、大麦表面を搗精によって除去すると大麦LOX活性を除去もしくは低減することができると考えた。そこで、1つのロットの大麦を、3種類の異なる搗精度(75、85、および92.5%)を有する搗精大麦を得、これらの搗精大麦をそれぞれ、ディスクミル(0.2mm間隙)を用いて粉砕した後、各搗精大麦についてLOX活性を測定した。その結果、搗精度の小さかった方から順に、LOX活性は、14.8、19.4、および27.4U/gであった。
【0052】
次に、LOX活性が異なる各搗精大麦と、麦芽とを用いて、それぞれ糖化を行った。
即ち、糖化ビーカーに水120mLを入れ、水温を50℃に保ち、ここに粉砕した搗精大麦40gと、麦芽40gとを同時に加えて、均一になるように良く攪拌した。糖化は、50℃で60分間保持した後、当業者に周知の慣用の温度・時間経過に条件に付して、行った。得られた糖化液をよく攪拌し、濾紙(東洋濾紙No.2)を用いて濾過し、回収した濾過液を、麦汁として得た。得られた麦汁を、加水によって麦汁糖度を12゜Pに調整し、これを麦汁NPの測定に用いた。
【0053】
麦汁NPの分析は、麦汁10mLと、200mM酢酸緩衝液(pH4.0)40mLを混合して、100℃、2時間の熱処理によってT2Nを生成させた。この溶液10mLをSep−PakC18カートリッジ(Waters社製)に供してメタノール1mLによって溶出させた。メタノール溶出液の一部に酢酸溶液、ダンシルヒドラジン(SIGMA製)溶液を加えて誘導化を形成させた後、カラムスイッチング法を用いたHPLCに導入してT2Nを分析した。
【0054】
HPLCの構成は次の通りであった:
・プレカラム1、2(濃縮用): Shim−Pack SPC−PR3(30mm×4.0mm、9μm)、
・カラム1(分取用): YMC−Pack ProC18(150mm×4.6mm、5μm、YMC製)、
・カラム2(分離用): YMC−Pack(250mm×4.6mm、5μm、YMC製)、
・検出器: UV検出器。
【0055】
また、移動相は次の通りであった:
・移動相1: メタノール−0.1M酢酸緩衝液(pH4.0)(50:50、v/v)、
・移動相2: メタノール−0.1M酢酸緩衝液(pH4.0)(20:80、v/v)、
・移動相3: 0.1M酢酸緩衝液(pH4.0)、
・移動相4: アセトニトリル−0.1M酢酸緩衝液(pH4.0)(70:30、v/v)。
【0056】
HPLCにおいて、流量は全て1mL/分とした。
【0057】
HPLCによる分析は次の通りに行った。
すなわち、HPLCにT2Nダンシルヒドラジン誘導体を注入し、移動相1と共にプレカラム1に供した。この段階で、プレカラム1にT2Nダンシルヒドラジン誘導体が吸着される。次に、移動相2に切り替えてプレカラム1からT2Nダンシルヒドラジン誘導体を溶出させながらカラム1へ導入した。カラム1の出口に別のポンプを用いて等流量(1mL/分)の移動相3を注入して、メタノール濃度を低下させながらプレカラム3へ導入した。次に、プレカラム2へ移動相3を注入して、メタノールその他のものを洗い流した。この段階で、プレカラム2にはT2Nダンシルヒドラジン誘導体が選択的に吸着されている。次に、移動相4に切り替え、プレカラム2へ移動相4を注入し、プレカラム2からの溶出物をそのままカラム2へ導入した。
カラム2溶出液をUV検出器へ導き、252nmの吸光度を測定した。予めT2N標準品(東京化成製)を用いて作成しておいた検量線を用い、試料の252nm吸光度の大きさから試料のT2N濃度を算出して、麦汁NPとした。
【0058】
結果は、図3に示される通りであった。
【0059】
図のように、大麦LOX活性と麦汁NPとの間に正の良好な相関(R2=0.953)があることが見出された。3種類の麦汁作成に使用した麦芽は同一であることから、麦汁NPの変化は大麦LOX活性の違いに依存していると考えられた。また、大麦のLOX活性を低減することによって、最終的には製品に生成するT2Nを低減すること、つまり製品の香味安定性を向上させることが出来ると考えられた。
【0060】
例3: 大麦の前処理条件(1)
用意した大麦を全て、糖精度90%に搗精した後、ディスクミル(間隙0.2mm)によって粉砕した。
糖化ビーカーに水120mLを入れ、水温を60℃または70℃に保ったものを用意し、ここにそれぞれ粉砕した搗精大麦40gを添加し、10分間から30分間の各条件にて保持し、これを大麦の前処理とした。
【0061】
次に、ここに、注水後の温度が50℃となるように水温を調整した水を120mL加え、最終的に50℃で、240mL容とした。ここに粉砕した麦芽40gを同時に加えて、均一になるように良く攪拌した。糖化は、50℃で60分間保持した後、当業者に周知の慣用の温度・時間経過に条件に付して、行った。得られた糖化液をよく攪拌し、濾紙(東洋濾紙No.2)を用いて濾過し、回収した濾過液を、麦汁として得た。得られた麦汁を、加水によって麦汁糖度を12゜Pに調整し、これを麦汁NPの測定に用いた。
図4に、前処理と糖化工程とにおける温度経過の概略を示した。
【0062】
なお対照は、粉砕搗精大麦(前処理なし)と粉砕麦芽とを同時に50℃の湯に添加し、前記と同様に糖化を開始して、麦汁を得、この麦汁NPを測定した。
【0063】
測定結果から、60℃処理区と70℃処理区についての10、20および30分間の各処理時間の場合の麦芽NPを求め、対照の麦汁NPを100%とした相対値を、それぞれの場合について算出した。
【0064】
結果は下記表1に示される通りであった。
【0065】
表1: 大麦の前処理条件と麦芽NPとの関係

【0066】
結果に示されるように、60℃処理区よりも70℃処理区の方が処理時間の長さに関係なく麦汁NP低減の効果が大きく、また、60℃処理区および70℃処理区共に前処理時間が10分以上では殆ど麦汁NPは変化しなかった。
【0067】
麦汁の重要な指標であるアミノ酸濃度を、前記した処理温度および処理時間の各場合について測定した。麦汁のアミノ酸濃度の測定は、自動アミノ酸分析計(日立ハイテクノロジーズ社製L−8800)を用いて、定法に従って分析した。
測定結果から、60℃処理区と70℃処理区についての10、20および30分間の各処理時間の場合の麦汁アミノ酸濃度を求め、対照の麦汁アミノ酸濃度を100%とした相対値を、それぞれの場合について算出した。
【0068】
結果は下記表2に示される通りであった。
【0069】
表2: 大麦の前処理条件と麦芽アミノ酸濃度との関係

【0070】
結果に示されるように、60℃処理区では対照区よりも増加している一方、70℃処理区では減少していた。」

(B18h)「【0080】
例6: 麦芽発酵飲料(発泡酒)の調製
香味安定性に優れる発泡酒を製造する目的に、前処理によって大麦LOX活性を低減させた大麦を原材料の一部に使用した発泡酒を製造した。
製造工程の概要を図5に示した。
【0081】
具体的には、大麦は全て搗精度90%に搗精した後、ロールミルで粉砕した。大麦の前処理工程として、糖化槽に60℃の湯を45Lを張ったところに、大麦粉砕物14Kgを投入して良く攪拌し、10分間保持した。その後、35℃の水、30Lを加えて槽中の水温を50℃とした。ここに麦芽粉砕物14Kgを加えて、さらによく攪拌した。得られた醪(もろみ)を、50℃で60分間保持した後、例3の場合と同様にして糖化を行った。糖化工程後、醪を麦汁濾過槽へ投入して濾過を行い、麦汁を得た。次に、麦汁にホップを添加して煮沸し、煮沸麦汁をワールプールタンクへ移し、煮沸によって生成した凝固物やホップ残渣を除去した。次いで、煮沸麦汁を所定温度に冷却し、酵母を添加して発酵タンクへ投入した。その後、所定の貯蔵期間を経た後、濾過を行い、容器に充填して麦芽発酵飲料(発泡酒)を製造した。
【0082】
なお、対照として、大麦粉砕物の前処理工程を実施することなく、つまり大麦粉砕物と麦芽粉砕物を同時に糖化槽へ投入し、それ以外は上記麦芽発酵飲料の場合と同様の方法で、比較例としての麦芽発酵飲料(対照)を得た。
【0083】
本発明による麦芽発酵飲料と、対照品における、麦汁NPと、製品におけるT2Nとをそれぞれ測定した。
測定結果は、対照品での値を100とした相対値を、それぞれの場合について算出した。
【0084】
結果は下記表6に示される通りであった。
【0085】
表6:

【0086】
本発明に従う前処理によって、麦芽発酵飲料の麦汁NP、および製品T2Nは、対照品に比較して大幅に低下することが確認された。即ち大麦の前処理によって、ここで製造された麦芽発酵飲料は、対照品に比較して優れた香味安定性を備えること確認できた。」

(B19)甲B19(甲A7)
上記(A7)参照。

(B20)甲B20
(B20a)「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビールタイプの香味、色等を有するビールテイスト飲料の製造方法およびビールテイスト飲料に関する。」

(B20b)「【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、原料として麦芽を使用することなく、ビールタイプの香味、色等を得ることができるビールテイスト飲料の製造方法およびビールテイスト飲料を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るビールテイスト飲料の製造方法は、実質的に麦芽を原料として用いず、大麦、小麦、ライ麦、はと麦、ソルガム、えん麦、もち麦およびカラス麦からなる群から選ばれる1種以上の麦澱粉原料を含む澱粉原料を用い、外来酵素を添加して糖化した後、発酵させて得ることを特徴とする。
・・・
【0010】
本発明の上記の構成により、ビールタイプの香味、色等を有するビールテイスト飲料を、原料として麦芽を使用しないために、簡易、安価に得ることができる。
【0011】
この場合、前記澱粉原料の組成が、前記麦澱粉原料10〜100質量%、該麦澱粉原料以外の澱粉原料である非麦澱粉原料0〜90質量%であると、好適である。
【0012】
また、この場合、前記非麦澱粉原料が液糖、コーンスターチ、コーングリッツおよび米からなる群から選ばれる1種以上であると、好ましく、また、液糖を用いる場合、より好ましくは、液糖が酵母が資化可能な糖組成を有すると、コーンスターチや米等の非麦澱粉原料を用いたときに比べて、添加する外来酵素の量を減らすことができる。酵母が資化可能な糖組成を有する液糖を用いる場合、前記澱粉原料のうち液糖以外の原料に外来酵素を添加して糖化を行った後、液糖を添加すると、糖化工程が簡単化されて、好適である。
【0013】
また、この場合、前記外来酵素が、プロテアーゼ、β−グルカナーゼ、β−アミラーゼおよびα―アミラーゼであると、好適である。」

(B20c)「【0020】
麦澱粉原料として大麦を用いる場合、大麦は、ビール醸造原料として一般的に用いられる2条大麦や、6条大麦等を用いることができるが、これらの品種に限定するものではない。また、大麦として、穀皮および糠部分を除いた精白大麦を用いてもよく、また、α化大麦やロースト大麦等を用いてもよい。
・・・
【0022】
外来酵素は、プロテアーゼ、β−グルカナーゼ、β−アミラーゼ、α―アミラーゼ等を用いる。このとき、さらに、セルラーゼ、リパーゼ、プルラナーゼを用いると、より好適である。」

(B20d)「【0042】
実施例は、400Lスケールの醸造設備を用いて試験醸造した結果である。図2、図3を参照して詳細を説明する。
【0043】
原料として、大麦を28kg、液糖を42kg使用した。液糖は、マルトース(日本コーンスターチ社製)を用いた。
【0044】
色調調整用の色素として、カラメル色素を100g添加した。カラメル色素は、セスネス社製「P340」を用いた。
【0045】
糖化用の酵素は、α−アミラーゼ(大和化成社製)を28g、β−アミラーゼ(天野製薬社製)を28g、プロテアーゼ(天野製薬社製)を56g、β−グルカナーゼ(カルター社製)を8g用いた。
【0046】
ろ過以降の工程の主要な条件、得られる麦汁等の性状は図2および図3に示すとおりである。
【0047】
なお、麦澱粉原料として、精白大麦を用いる場合は、80%精白大麦(例、はくばく社製)を用いることができ、また、その他の大麦として、α化大麦(例、はくばく社製)や、ロースト大麦(例、森村商事販売)等を用いることができる。
【0048】
また、液糖として、コーン由来シロップ(例、日本コーンスターチ社製)を用いることができ、これにより色調調整の効果も得られる。
・・・
【0051】
ビールテイスト飲料の最大の課題は、強い穀物的香りをいかに適度な香りとするかという点にあった。この穀物臭は未製麦の大麦に起因するものと考えられ、大麦と大麦以外の副原料の配合比率を調整することで改善できた。大麦比率を40%前後とすることで最も適当な穀物的香りが得られた。大麦比率を20%以下に減らすと、穀物臭は低減するものの、味がやや淡白になりすぎた。また、表面洗浄した後、乾燥した大麦を使用すると、穀物臭がやや抑制されることがわかった。
・・・
【0053】
なお、活性炭を仕込槽に添加することで、ポリフェノールの低減に効果がみられた。」

(B20e)「【図2】本実施の形態例に係るビールテイスト飲料の製造方法における原料条件等をまとめて示す表図である。
【図3】本実施の形態例に係るビールテイスト飲料の製造方法における発酵工程以降の製造条件等をまとめて示す表図である。」

(B20f)「

」(図2)

(B20g)「

」(図3)

(B21)甲B21
訳文にて示す。
(B21a)「

」(第454頁)

(B22)甲B22
(B22a)「1.エキス(不揮発性成分)の構成
ビールの原料である大麦,その他の穀類中の炭水化物,蛋白質の分解生成物が大部分を占めるが,ホップや水から来る成分(苦味物質,樹脂,ミネラルなど)も含まれている。これらの成分は,ビールのエキス中,概ね,次のような比率で存在している。
炭水化物 75〜80%
窒素化合物 6〜9%
グリセリン 5〜7%
ミネラル 3〜4%
苦味質及びポリフェノール 2〜3%
不揮発性有機酸 0.7〜1%
1)炭水化物
ビール中の炭水化物の組成の一例を下に示す。
全糖 2.72〜3.23g/lOOml
4糖類 0.19〜0.23
3糖類 0.18〜0.62
2糖類 0.11〜0.55
単糖類 0.03〜0.07
全糖の60〜75%は,デキストリンである。(ビール100ml中,約1.6〜2.0g含有)ビール酵母による資化性の面から見ると,4糖類以上は非発酵性であって,単,2,及び3糖類は発酵性である。単糖類としては,グルコース,フラクトースは殆んど含まれておらず,キシロース,アラビノースなどの非発酵性の5炭糖類が主である。従って, ビール中の発酵性残糖は,マルトース,マルトトリオースなどから成る,2,及び3糖類ということになる。発酵性残糖の量は,ビール製造工程管理上の重要指標の一つとなっているが,日常分析においては発酵度(後述)を測定することによって,これを管理している。」(第506頁左欄14行〜下から第2行)

(B22b)「

」(第509頁)

(B23)甲B23
訳文にて示す。
(B23a)「Miller Lite BEER
アメリカ Miller Brewing Company」

(B23b)「水、麦芽、トウモロコシ、酵母」(図の缶上の表記)

(B24)甲B24(甲A15の一部)
上記(A15)参照。

3 取消理由通知で示した刊行物5について
(刊5a)「(炭水化物の量の表示に関する特例)
第4条 第2条第1項第1号の規定にかかわらず、同号に規定する炭水化物の量の表示については、糖質及び食物繊維の量の表示をもって代えることができる。この場合における前条の適用については、同条第1項第4号中「炭水化物」とあるのは、「糖質及び食物繊維」とする。」

4 当審が通知した取消理由の判断

(1)本件発明1に関する理由1(特許法第29条第1項第3号)及び理由2(特許法第29条第2項)について
(1−1)刊行物に記載された発明
ア 刊行物1に記載された発明
上記(A1a)の「Maisel’s Edelhopfen Diaet-Pilsner」の列の記載事項及び(A1b)から、刊行物1には、以下の発明が記載されていると認められる。
「アルコール含有量が3.92g/100gであり、総ポリフェノール量が107mg/lであり、ジアセチルの含有量が0.03mg/lであり、炭水化物含有量が0.6g/100mlである、「Maisel’s Edelhopfen Diaet-Pilsner」との商品名のビール。」(以下「刊1A発明」という。)

上記(A1a)の「Loewenbraeu Diaet-Pils」の列の記載事項及び(A1c)から、刊行物1には、以下の発明が記載されていると認められる。
「アルコール含有量が3.40g/100gであり、総ポリフェノール量が79mg/lであり、ジアセチルの含有量が0.03mg/lであり、炭水化物含有量が最大0.75g/100mlである、「Loewenbraeu Diaet-Pils」との商品名のビール。」(以下「刊1B発明」という。)

上記(A1a)の「Schultheiss Diaet Schankbier」の列の記載事項及び(A1d)から、刊行物1には、以下の発明が記載されていると認められる。
「アルコール含有量が3.03g/100gであり、総ポリフェノール量が86mg/lであり、ジアセチルの含有量が0.02mg/lであり、炭水化物含有量が0.75g/100ml以下である、「Schultheiss Diaet Schankbier」との商品名のビール。」(以下「刊1C発明」という。)

上記(A1a)の「Privat Diaet Pils」の列の記載事項及び(A1e)から、刊行物1には、以下の発明が記載されていると認められる。
「アルコール含有量が4.09g/100gであり、総ポリフェノール量が75mg/lであり、ジアセチルの含有量が0.02mg/lであり、炭水化物含有量が0.6g/100ml以下である、「Privat Diaet Pils」との商品名のビール。」(以下「刊1D発明」という。)

上記(A1a)の「Schultheis D-Pils」の列の記載事項及び(A1f)から、刊行物1には、以下の発明が記載されていると認められる。
「アルコール含有量が3.83g/100gであり、総ポリフェノール量が77mg/lであり、ジアセチルの含有量が0.01mg/lであり、炭水化物含有量が平均0.65g/100ml以下である、「Schultheis D-Pils」との商品名のビール。」(以下「刊1E発明」という。)

上記(A1a)の「Schlossquell D-Pils」の列の記載事項及び(A1g)から、刊行物1には、以下の発明が記載されていると認められる。
「アルコール含有量が3.61g/100gであり、総ポリフェノール量が99mg/lであり、ジアセチルの含有量が0.04mg/lであり、炭水化物含有量が最大0.8g/100ml以下である、「Schlossquell D-Pils」との商品名のビール。」(以下「刊1F発明」という。)

イ 刊行物2記載の発明
上記(B1a)の「Lite」の列の記載事項から、刊行物2には、以下の発明が記載されていると認められる。
「アルコール含有量が3.33g/100gであり、真正エキス含有量が1.20g/100gであり、総ポリフェノール量が70mg/lであり、ジアセチルの含有量が0.01mg/lである「Lite」との商品名のビール。」(以下「刊2A発明」という。)

上記(B1a)の「Gablinger’s Extra Light」の列の記載事項から、刊行物2には、以下の発明が記載されていると認められる。
「アルコール含有量が3.51g/100gであり、真正エキス含有量が1.04g/100gであり、総ポリフェノール量が81mg/lであり、ジアセチルの含有量が0.01mg/lである「Gablinger’s Extra Light」との商品名のビール。」(以下「刊2B発明」という。)

上記(B1a)の「Olympia Gold」の列の記載事項から、刊行物2には、以下の発明が記載されていると認められる。
「アルコール含有量が2.49g/100gであり、真正エキス含有量が1.10g/100gであり、総ポリフェノール量が86mg/lであり、ジアセチルの含有量が0.02mg/lである「Olympia Gold」との商品名のビール。」(以下「刊2C発明」という。)

上記(B1a)の「Erie Light Lager」の列の記載事項から、刊行物2には、以下の発明が記載されていると認められる。
「アルコール含有量が3.22g/100gであり、真正エキス含有量が1.01g/100gであり、総ポリフェノール量が71mg/lであり、ジアセチルの含有量が0.01mg/lである「Erie Light Lager」との商品名のビール。」(以下「刊2D発明」という。)

ウ 刊行物3記載の発明
上記(B2a)の「Carling Highlite」の列の記載事項から、刊行物3には、以下の発明が記載されていると認められる。
「アルコール含有量が2.00g/100gであり、真正エキス含有量が1.27g/100gであり、総ポリフェノール量が57mg/lであり、ジアセチルの含有量が0.01mg/lである「Carling Highlite」との商品名のビール。」(以下「刊3A発明」という。)

上記(B2a)の「Hemeilig Lite Lager」の列の記載事項から、刊行物3には、以下の発明が記載されていると認められる。
「アルコール含有量が3.33g/100gであり、真正エキス含有量が1.30g/100gであり、総ポリフェノール量が94mg/lであり、ジアセチルの含有量が0.01mg/lである「Hemeilig Lite Lager」との商品名のビール。」(以下「刊3B発明」という。)

上記(B2a)の「Low “C” Pale Ale」の列の記載事項から、刊行物3には、以下の発明が記載されていると認められる。
「アルコール含有量が3.23g/100gであり、真正エキス含有量が1.27g/100gであり、総ポリフェノール量が114mg/lであり、ジアセチルの含有量が0.02mg/lである「Low “C” Pale Ale」との商品名のビール。」(以下「刊3C発明」という。)

エ 刊行物4記載の発明
上記(B3a)の「Carlsberg Pilsner “Kalorius”」の列の記載事項から、刊行物4には、以下の発明が記載されていると認められる。
「アルコール含有量が3.71g/100gであり、真正エキス含有量が1.15g/100gであり、総ポリフェノール量が75mg/lであり、ジアセチルの含有量が0.03mg/lである「Carlsberg Pilsner “Kalorius”」との商品名のビール。」(以下「刊4発明」という。)

(1−2)対比・判断
ア 本件発明1と刊1A発明との対比・判断
刊1A発明の「総ポリフェノール量が107mg/l」及び「ビール」は、それぞれ、本件発明1の「総ポリフェノール量が125mg/L以下」及び「ビールテイスト飲料」(本件特許明細書【0020】参照)に相当する。
「mg/l」は「質量ppm」に相当するから、刊1A発明の「ジアセチルの含有量が0.03mg/l」は、ジアセチルの含有量が0.03ppmであるといえるので、本件発明1の「ジアセチルの含有量が0.30質量ppm以下」に相当する。
また、100.0%エタノールの比重は0.79422であり、刊1A発明の「アルコール含有量が3.92g/100g」は、アルコール度数が約4.94(v/v%)と換算されるから、本件発明1の「アルコール度数が1v/v%以上」といえる。
そして、上記(刊5a)に記載されるとおり、炭水化物は糖質と食物繊維を含むことは技術常識であり、刊1A発明の「炭水化物含有量が0.6g/100ml」であることから、炭水化物に含まれる糖質の含有量は0.6g/100ml未満であり、本件発明1の「糖質含有量が1.3g/100ml以下」に相当する。

したがって、本件発明1と刊1A発明とは、「糖質含有量が1.3g/100ml以下であり、総ポリフェノール量が125mg/L以下であり、ジアセチルの含有量が0.30質量ppm以下であり、アルコール度数が1v/v%以上である、ビールテイスト飲料。」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1:本件発明1のビールテイスト飲料は、「ただし、前処理として50〜80℃の湯中に1〜30分間保持した大麦を原料としたものを除く」のに対して、刊1A発明のビールテイスト飲料は、そのような特定を有していない点。

相違点2:本件発明1のビールテイスト飲料は、原料中の麦芽の比率が20質量%以上90質量%以下であるのに対して、刊1A発明のビールテイスト飲料は、原料中の麦芽の比率が不明である点。

まず、相違点2について検討する。刊1A発明は、市販ビールのビール成分組成を個別に記載したものにすぎず、刊行物1には、刊1A発明の原料は記載されておらず、原料中の麦芽比率に関する記載も示唆もない。そして、原料中の麦芽の比率を20質量%以上90質量%以下にすることは当然の技術的事項とはいえない。
したがって、当該相違点2は実質的な相違点であるから、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、刊1A発明であるとはいえない。

また、糖質含有量、総フェノール量、ジアセチルの含有量及びアルコール度数(以下「糖質含有量等」という。)を本件発明1の特定量に保持した状態で、原料中の麦芽の比率を20質量%以上90質量%以下にすることが周知技術であるとはいえないし、原料中の麦芽比率が任意で、広範囲の場合を含む刊1A発明において、当該周知技術を適用する動機付けもないから、本件発明1は、刊1A発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に想到するものではない。

イ 本件発明1と刊1B発明〜刊1F発明との対比・判断
上記アと同様に、本件発明1と刊1B発明〜刊1F発明とはそれぞれ、「糖質含有量が1.3g/100ml以下であり、総ポリフェノール量が125mg/L以下であり、ジアセチルの含有量が0.30質量ppm以下であり、アルコール度数が1v/v%以上である、ビールテイスト飲料。」である点で一致し、上記アの相違点1及び2の点で相違する。
そして、上記アと同様に、当該相違点2は実質的な相違点であるから、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、刊1B発明〜刊1F発明であるとはいえないし、刊1B発明〜刊1F発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に想到するものではない。

ウ 本件発明1と刊2A発明との対比・判断
刊2A発明の「総ポリフェノール量が70mg/l」及び「ビール」は、それぞれ、本件発明1の「総ポリフェノール量が125mg/L以下」及び「ビールテイスト飲料」(本件特許明細書【0020】参照)に相当する。
また、上記アと同様に、刊2A発明の「ジアセチルの含有量が0.01mg/l」及び「アルコール含有量が3.33g/100g」は、それぞれ、本件発明1の「ジアセチルの含有量が0.30質量ppm以下」及び「アルコール度数が1v/v%以上」に相当する。
そして、真正エキスはビール中の固形分量であり、「炭水化物」、「窒素化合物」、「グリセリン」、「ミネラル」、「苦味質及びポリフェノール」及び「不揮発性成分」が含まれることは技術常識であるから、刊2A発明の「真正エキス含有量が1.20g/100g」において、そのうちの炭水化物含有量は1.20/100g未満であるといえる。さらに、ビール中の炭水化物は糖質と繊維を含むことは技術常識であるから、刊2A発明の糖質含有量も1.20g/100ml未満であると認められる。
そうすると、刊2A発明の「真正エキス含有量が1.20g/100g」は、本件発明1の「糖質含有量が1.3g/100ml以下」に相当する。

したがって、本件発明1と刊2A発明とは、「糖質含有量が1.3g/100ml以下であり、総ポリフェノール量が125mg/L以下であり、ジアセチルの含有量が0.30質量ppm以下であり、アルコール度数が1v/v%以上である、ビールテイスト飲料。」である点で一致し、上記アの相違点1及び2と同様の点で相違する。
そして、上記アと同様に、当該相違点2は実質的な相違点であるから、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、刊2A発明であるとはいえないし、刊2A発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に想到するものではない。

エ 本件発明1と刊2B発明〜刊2D発明との対比・判断
上記ウと同様に、本件発明1と刊2B発明〜刊2D発明とはそれぞれ、「糖質含有量が1.3g/100ml以下であり、総ポリフェノール量が125mg/L以下であり、ジアセチルの含有量が0.30質量ppm以下であり、アルコール度数が1v/v%以上である、ビールテイスト飲料。」である点で一致し、上記アの相違点1及び2と同様の点で相違する。
そして、上記アと同様に、当該相違点2は実質的な相違点であるから、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、刊2B発明〜刊2D発明であるとはいえないし、刊2B発明〜刊2D発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に想到するものではない。

オ 本件発明1と刊3A発明〜刊3C発明との対比・判断
上記ウと同様に、本件発明1と刊3A発明〜刊3C発明とはそれぞれ、「糖質含有量が1.3g/100ml以下であり、総ポリフェノール量が125mg/L以下であり、ジアセチルの含有量が0.30質量ppm以下であり、アルコール度数が1v/v%以上である、ビールテイスト飲料。」である点で一致し、上記アの相違点1及び2と同様の点で相違する。
そして、上記アと同様に、当該相違点2は実質的な相違点であるから、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、刊3A発明〜刊3C発明であるとはいえないし、刊3A発明〜刊3C発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に想到するものではない。

カ 本件発明1と刊4発明との対比・判断
上記ウと同様に、本件発明1と刊4発明とは、「糖質含有量が1.3g/100ml以下であり、総ポリフェノール量が125mg/L以下であり、ジアセチルの含有量が0.30質量ppm以下であり、アルコール度数が1v/v%以上である、ビールテイスト飲料。」である点で一致し、上記アの相違点1及び2と同様の点で相違する。
そして、上記アと同様に、当該相違点2は実質的な相違点であるから、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、刊4発明であるとはいえないし、刊4発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に想到するものではない。

キ 申立人Aの意見A及び申立人Bの意見Bについて
(ア)申立人Aの刊4発明に関する主張について
ビールテイストのアルコール飲料は、ブランド又は商品名が等しくとも、季節又は年代によって、製法又は原料組成を変更することが一般に行われており、また、原料である農作物の炭水化物・ミネラル等の含有量は一定ではなく、かつ、醸造所や製造バッチによる製品の違いも発生するところ、本件発明1で特定している糖質含有量等や原料が、ブランド又は商品名が等しいというだけで、全て同程度の特性値を示し、またその成分が等しいということはできない。

そうすると、「Kalorius」という商品名が等しくとも、上記(A12a)に記載されるように、刊4発明が原料に「トウモロコシグリッツ」を25%含むとはいえないし、また、甲A12に記載の「Kalorius」が本件発明1の糖質含有量等の諸特性を満たすとはいえないし、そのようなことを示唆する記載は、甲A11、甲A12及び甲A12−1にはない。さらに、刊4発明の糖質含有量等を保持した状態で、原料中の麦芽の比率が20質量%以上90質量%以下とすることは、当業者が容易に想到することとはいえない。

よって、本件発明1は刊4発明ではないし、刊4発明に基いて当業者が容易に想到するものでもない。

(イ)申立人Aの刊1A発明〜刊1F発明及び刊3A発明〜刊3C発明に関する主張について
上記(A13−1a)及び(A13−2a)によると、甲A13−1及び甲A13−2には、「糖質低減」のためには、「高発酵とすること」、「最終的な調整の段階で希釈或いは除去により減じること」又は「糖質を減じること」が記載されているにすぎず、「原料の麦芽の使用比率」と「糖質低減」の関係は記載されていない。
そうすると、申立人Aが主張する、「糖質低減」のために「原料の麦芽の使用比率」を抑制することの動機付けがあるとはいえない。仮に動機付けがあったとしても、刊1A発明〜刊1F発明又は刊3A発明〜刊3C発明の糖質含有量等を保持した状態で、原料の麦芽使用比率のみを下げて、原料中の麦芽の比率を20質量%以上90質量%以下とすることは、当業者が容易に想到することとはいえない。

(ウ)申立人A及び申立人Bの刊2A発明〜刊2D発明に関する主張について
上記(A14)によれば、アメリカではライトビールが市民権を確立し、上記(A15a)及び(A15b)によれば、アメリカン(標準)ラガーには、40%未満の米穀物副原料が配合されることや、アメリカンライトラガーの副原料として、押し米が10質量%含有している例が記載されている。そして、上記(A16a)によると、高い割合(最大40%)の副原料としての米又はトウモロコシを用いて、各種商業的な例のビールが製造されていることや、上記(B23a)によると、「Miller Lite BEER」がトウモロコシを原料に含むことが理解される。
しかしながら、アメリカ産のビール飲料又は同様の銘柄のビール飲料において、麦芽以外の原料が含まれていたとしても、アメリカ産の刊2A発明〜刊2D発明が、麦芽以外の原料を単に含むだけでなく、原料中の麦芽の比率が20質量%以上90質量%以下であるとはいえないことは、上記(ア)で述べた理由と同様の理由から明らかである。さらに、刊2A発明〜刊2D発明の糖質含有量等を保持した状態で、原料の麦芽使用比率のみを下げて、原料中の麦芽の比率を20質量%以上90質量%以下とすることは、当業者が容易に想到することとはいえない。

(1−3)小括
以上より、本件発明1は、刊行物1〜4に記載された発明ではなく、刊行物1〜4に記載された発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、請求項1についての取消理由は、本件訂正により解消し、理由がない。

(2)本件発明4〜6に関する理由1(特許法第29条第1項第3号)について
(2−1)刊行物6に記載された発明
ア 刊行物6に記載された発明
刊行物6記載の発明
上記(B18h)から、刊行物6には、以下の発明が記載されていると認められる。
「大麦を搗精度90%に搗精した後、ロールミルで粉砕した大麦粉砕物を、大麦粉砕物の前処理工程を実施することなく、麦芽粉砕物と同時に糖化槽へ投入し、糖化を行い、麦汁を得た後に、ホップを添加して煮沸し、酵母を添加して発酵タンクへ投入し、その後、所定の貯蔵期間を経た後、濾過を行い、容器に充填する、麦芽発酵飲料(対照)の製造方法。」(以下「刊6発明」という。)

イ 対比・判断
(ア)本件発明4について
「精麦」について、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、「未発芽麦類の精麦は、例えば、未発芽麦類を市販の研削式精米機(例えば、株式会社サタケ製のテストミルTM05Cなど)に投入し、研削処理することにより行うことができる。」と記載されている(【0029】)。
一方、上記(B18c)には、搗精は大麦表面を研削することであることが記載されているから、刊6発明の「搗精」は、本件発明4の「精麦」に相当する。
刊行物6には、大麦粉砕物の大麦が未発芽であることは直接記載されていないが、上記(B18h)には、大麦粉砕物と麦芽粉砕物を同時に糖化槽へ投入したことが対比して記載されているから、両者は異なるものであると理解される。
そして、発芽させた大麦は麦芽と称されるのが一般的であるから、麦芽粉砕物は発芽させた大麦の粉砕物であり、対比して記載される大麦粉砕物は未発芽大麦の粉砕物であると解することができる。
そうすると、刊6発明の「大麦」は「未発芽大麦」であるといえる。
さらに、本件特許明細書の発明の詳細な説明には「未発芽麦類としては、例えば、未発芽大麦、未発芽小麦、未発芽ライ麦、未発芽カラス麦、未発芽オート麦、未発芽ハト麦、未発芽エン麦が挙げられる。」と記載されているから(【0028】)、刊6発明の「大麦」は、上述のとおり「未発芽大麦」であるから、本件発明4の「未発芽麦類」に相当する。
そして、刊6発明の「大麦を搗精度90%に搗精した後、ロールミルで粉砕した大麦粉砕物を、麦芽粉砕物と同時に糖化槽へ投入し、糖化を行い、麦汁を得た」は、本件発明4の「麦汁を得る工程において精麦した未発芽麦類を用いること」に相当する。
また、刊6発明の「麦芽発酵飲料(対照)の製造方法」は、本件発明4の「ビールテイスト飲料の製造方法」に相当する。
そして、上記(B18h)には、大麦の前処理工程が、60℃の湯を45L張ったところに、大麦粉砕物14Kgを投入して良く攪拌し、10分間保持することであることが記載されているから、刊6発明の「大麦粉砕物の前処理工程を実施することなく」は、本件発明4の「ただし、前処理として50℃〜80℃の湯中に1〜30分間保持した大麦を原料としたものを除く」に相当する。
そうすると、本件発明4と刊6発明とは、「麦汁を得る工程において精麦した未発芽麦類を用いることを含む、ビールテイスト飲料の製造方法であって、前記未発芽麦類は前処理として50〜80℃の湯中に1〜30分間保持した未発芽大麦を含まない、製造方法。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点3:本件発明4は、ビールテイスト飲料の糖質含有量が1.3g/100ml以下となるように調整する工程を有するのに対して、刊6発明は、そのような工程を有していない点。

相違点3について検討すると、上記(B18e)によると、刊行物6には、「大麦に含まれるLOX活性を低減し大麦を原料の一部に用いる麦芽発酵飲料における麦汁ノネナールポテンシャルおよび製品T2Nを大幅に低下させること」を目的とすることが記載されているが、糖質含有量を抑制する事項に関する記載はないから、「糖質含有量が1.3g/100ml以下となるように調整する工程」といえる工程は実質的に存在しない。
したがって、当該相違点3は実質的な相違点であり、本件発明4は、刊6発明であるとはいえない。
したがって、本件発明4は、刊行物6に記載された発明ではない。

(イ)本件発明5及び6について
本件発明5及び6は、本件発明4を更に限定するものである。したがって、本件発明4が刊行物6に記載された発明であるとはいえないことに鑑みると、本件発明5及び6も刊行物6に記載された発明であるとはいえない。

(2−2)小括
以上より、本件発明4〜6は、刊行物6に記載された発明ではない。
したがって、請求項4〜6についての取消理由は、本件訂正により解消し、理由がない。

5 取消理由に採用しなかった申立てA及び申立てBの理由について(一部採用したものも含め記載)
(1)(A2)〜(A6)、(B1−4)、(B1−5)、(B2−1)、(B1−6)、(B2−2)、(B1−7)及び(B2−3)(新規性又は進歩性

(1−1)(A2)について
本件発明2及び3について
本件発明2及び3は、本件発明1を更に限定するものである。したがって、上記4(1−2)ア及びイに示したとおり、本件発明1が甲A1(刊行物1)に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に想到するものではないことに鑑みると、本件発明2及び3も、甲A1発明、甲A4、5及び7の記載事項並びに周知技術に基いて、当業者が容易に想到するものではない。

(1−2)(A3)及び(A4)について
ア 甲A2に記載された発明
上記(A2a)及び(A2b)によると、甲A2には、以下の発明が記載されている。
「通常の発泡酒(MDゴールデンドライ(商品名)、サントリー(株)、原麦汁エキス12.0、糖質3.3g、アルコール分6.0容量%)を炭酸水にて希釈し、炭酸の濃度を合わせながら原麦汁エキスを段階的に調整したサンプル1〜11。」又は「通常の発泡酒(MDゴールデンドライ(商品名)、サントリー(株)、原麦汁エキス12.0重量%、糖質3.3g、アルコール分6.0容量%)を炭酸水にてアルコール分1%になるように希釈し、その後、1%アルコール分を含む炭酸水を用いて、アルコールおよび炭酸の濃度を合わせながら原麦汁エキスを段階的に調整したサンプル1〜6。」(以下「甲A2発明」という。)

イ 対比・判断
本件発明1と甲A2発明とを対比すると、両者は少なくとも、上記4(1)(1−2)アの相違点2の点で実質的に相違するから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲A2発明であるとはいえないし、同様の理由により、甲A2発明、甲A5〜7、9及び10の記載事項並びに周知技術に基いて、当業者が容易に想到するものではない。

ウ 申立人Aの甲A2発明に関する主張について
上記(A2−1a)〜(A2−3a)によると、甲A2−1〜甲A2−3には、MDゴールデンドライの原料が大麦を含有することは理解されるが、原料中の麦芽の比率が20質量%以上90質量%以下とはいえないし、更に、上記4(1)(1−2)キ(ア)で述べたとおり、甲A2発明の「通常の発泡酒(MDゴールデンドライ(商品名)、サントリー(株)、原麦汁エキス12.0、糖質3.3g、アルコール分6.0容量%)」がそのような麦芽比率であるという根拠にもならない。
なお、甲A9及び甲A10には、上記(A9a)及び(A10a)によると、単に、一般的なビールにおける「総ポリフェノール量」及び「ケトン量」が記載されているにすぎないものである。
そうすると、本件発明1が、甲A2に記載された発明であり、甲A2に記載された発明、甲A5〜7、9及び10の記載事項並びに周知技術に基いて、当業者が容易に想到するものであるという申立人Aの主張は採用できない。

(1−3)(A5)について
ア 甲A3に記載された発明
上記(A3a)〜(A3c)によると、甲A3には、種々のカテゴリーの日本の地ビール(以下「甲A3発明」という。)が各種記載されている。

イ 対比・判断
甲A3には、どの地ビールについても、原料中の麦芽の比率に関する記載はなく、本件発明1と甲A3発明とを対比すると、両者は少なくとも、上記4(1)(1−2)アの相違点2の点で実質的に相違するから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲A3発明であるとはいえないし、上記4(1)(1−2)アと同様の理由により、甲A3発明、甲A2、4〜7及び10の記載事項並びに周知技術に基いて、当業者が容易に想到するものではない。

(1−4)(A6)及び(B2−1)について
ア 甲A4(甲B8)に記載された発明
上記(A4g)によると、甲A4には、以下の発明が記載されている。
「50℃の湯100質量部に対して、大麦麦芽15.0質量部、大麦18.7質量部、酵素製剤を投入して70分保持後65℃に昇温して130分保持してさらに78℃に昇温して5分保持した後、濾過して麦汁を得る工程を有するビールテイストアルコール飲料を製造する方法。」(以下「甲A4発明」という。)

イ 対比・判断
(ア)本件発明4について
本件発明4と甲A4発明とを対比すると、両者は少なくとも、以下の点で相違する。

相違点4:本件発明4は、麦汁を得る工程において精麦した未発芽麦類を用いることを含むのに対して、甲A4発明は、麦汁を得る工程において精麦した未発芽麦類を用いていない点。

相違点4について検討する。
甲A7(甲B19)、甲A8、甲B12、甲B14及び甲B16には、大麦又は未発芽大麦について、精麦、搗精又は精白すること、甲B9には、大麦の精白した押麦を使用することが記載されている。
しかしながら、上記(A7c)によると、甲A7には大麦の搗精処理の必要性を最小限にすることがコスト面で優れていることが記載され、上記(A8b)によると、甲A8にはビール原料である大麦に関する記載はなく、上記(B12a)及び(B12c)によると、甲B12には、大麦の外皮を研磨して取り除く方法である搗精はポリフェノールの含有量を減少させるものであり、ポリフェノールはビールの重要な風味成分であることが記載され、上記(B14a)によると、甲B14には、実験的に、搗精した大麦が醸造に使用されていることが単に記載されており、甲B16にはビール原料である大麦に関する記載はない。
ここで、上記(A4c)によると、甲A4発明は、香味が改善された低糖質ビールテイストアルコール飲料とその製造方法を提供すること、又は低糖質ビールテイストアルコール飲料の風味改善剤と風味改善方法を提供することを目的とする発明であるところ、甲A7及び8、甲B12、14及び16には、ビールテイスト飲料の香味又は風味改善のために、大麦の精麦を行うとする記載はない。(なお、甲B1〜3、9〜11、13、15及び20にもそのような記載はない。)
そうすると、甲A4発明において、甲A7、甲A8、甲B12、甲B14及び甲B16の記載の精麦した大麦を用いることを採用する動機付けはないから、甲A4発明において、麦汁を得る工程において精麦した未発芽麦類を用いることは、当業者が容易に想到することではない。

したがって、本件発明4は、他の相違点を検討するまでもなく、甲A4発明、甲A7及び8、B1〜3、9〜16及び20の記載事項並びに周知技術に基いて、当業者が容易に想到するものではない。

(イ)本件発明5〜7について
本件発明5〜7は、本件発明4を更に限定するものである。したがって、本件発明4が甲A4発明、甲A7及び8、B1〜3、9〜16及び20の記載事項並びに周知技術に基いて、当業者が容易に想到するものではないことに鑑みると、本件発明5〜7も、甲A4発明、甲A7及び8、B1〜3、9〜16及び20の記載事項並びに周知事項に基いて、当業者が容易に想到するものではない。

(ウ)本件発明8について
本件発明8と甲A4発明とを対比すると、両者は少なくとも、上記(ア)の相違点4と同様の点で相違し、上記(ア)と同様の理由により、本件発明8は、甲A4発明、甲A7及び8、B1〜3、9〜16及び20の記載事項並びに周知事項に基いて、当業者が容易に想到するものではない。

(エ)本件発明1について
本件発明1と甲A4発明とを対比すると、両者は少なくとも、以下の点で相違する。

相違点5:本件発明1は、総ポリフェノール量が125mg/L以下であり、ジアセチルの含有量が0.30質量ppm以下であるのに対して、甲A4発明は、そのような特定を有していない点。

相違点5について検討する。
上記(B9a)及び(B9g)によると、甲B9には、大麦に対して大麦押麦を原料に使用することで、発泡酒におけるポリフェノールの含有量が73ppmに抑制されたものとなった例が記載され、上記(B13a)、(B13b)及び(B13e)によると、甲B13には、ビールのダイアセチル臭を抑制することで清涼感を損なわないことが記載されている。
しかしながら、甲B9及び甲B13には、ビールテイスト飲料の香味又は風味改善のために、ポリフェノールの含有量を所定量に抑制したり、ダイアセチル臭を抑制したりすることは記載されていない。
そうすると、甲A4発明において、甲B9及び甲B13に記載のポリフェノール量を抑制したり、ダイアセチル臭を抑制したりすることを採用する動機付けがあるとはいえない。
したがって、甲A4発明において、甲B9及び甲B13に記載の技術的事項を採用することは、当業者が容易に想到することはいえない。

よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲A4発明、甲B1〜3、9〜16及び20の記載事項並びに周知技術に基いて、当業者が容易に想到するものではない。

(オ)本件発明2及び3について
本件発明2及び3は、本件発明1を更に限定するものである。したがって、本件発明1が甲A4発明、甲B1〜3、9〜16及び20の記載事項並びに周知技術に基いて、当業者が容易に想到するものではないことに鑑みると、本件発明2及び3も、甲A4発明、甲B1〜3、9〜16及び20の記載事項並びに周知技術に基いて、当業者が容易に想到するものではない。

ウ 申立人Bの甲A4(甲B8)発明に関する主張について
申立人Bは、意見Bにおいて、甲B12には、ポリフェノールはタンパク質と複合体を形成して最終製品の混濁を引き起こし、穀粒の約10%を除去(精麦)すると、40%以上の繊維、約30%の灰分とアラビノキシラン、約25%のポリフェノールが除去されるから、甲A4発明において、大麦(未発芽大麦)を、少なくとも10%程度精麦して、香味低下に関連し得るポリフェノール含有量を低減することは、当業者であれば容易に想到できたことである旨を主張している。
しかしながら、甲B12には、ポリフェノール含有量の低減が香味低下を抑制することは記載されておらず、ポリフェノール自体がビールの重要な風味成分であることが記載されているのであって、精麦すると重要な風味成分と記載されているポリフェノールが減少することを考慮すると、甲B12には、ビールテイスト飲料の香味又は風味改善のために、大麦の精麦を行うという動機付けが記載されているとはいえない。
したがって、申立人Bの当該主張は採用できない。

(1−5)(B1−4)について
ア 甲B17に記載された発明
上記(B17b)によると、甲17には、サンプル1〜13のビールテイスト飲料(以下「甲B17発明」という。)が各種記載されている。

イ 対比・判断
甲B17には、サンプル1〜13について、原料中の麦芽の比率に関する記載はなく、本件発明1と甲B17発明とを対比すると、両者は少なくとも、上記4(1)(1−2)アの相違点2の点で実質的に相違するから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲B17発明であるとはいえない。

(1−6)(B1−5)について
本件発明4〜6については、上記4の(2)で述べたとおりであるので、以下、本件発明8について検討する。
ア 甲B18(刊行物6)に記載された発明
刊行物6には、上記4の(2)(2−1)アに記載のとおり、刊6発明が記載されている。
イ 対比・判断
上記(2)(2−1)イを参照すると、本件発明8と刊6発明とは、
「麦汁を得る工程において精麦した未発芽麦類を用いることを含む方法であって、前記未発芽麦類は前処理として50〜80℃の湯中に1〜30分間保持した未発芽大麦を含まない、方法。」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点6:本件発明8は、ビールテイスト飲料の不快臭を低減する方法であるのに対して、刊6発明は、製造方法である点。

相違点6について検討する。刊行物6には、精麦した未発芽麦類を用いることで、ビールテイスト飲料の不快臭を低減することは直接的に記載されていないが、上記(B18a)及び(B18b)によると、「カードボード臭」を低減することは記載されている。
しかしながら、上記(B18g)の例3によると、精麦である搗精の程度変更といった前処理条件が、アミノ酸濃度に影響を及ぼすことは理解できるが、ジアセチル等に由来する不快臭の低減と関連し、かつ、寄与しているとはいえない。

そうすると、本件発明8は、刊行物6に記載された発明とはいえない。

(1−7)(B1−6)及び(B2−2)について
ア 甲B9に記載された発明
上記(B9e)によると、「大麦押麦は、未精白のまま、あるいは精麦機を用いて精白」したものであり、「大麦押麦」は必ずしも精白したものではなく、上記(B9d)及び(B9g)によると、発泡酒について、「大麦押麦と液糖を原料として試験醸造」をすることが記載されていることから、甲B9には、以下の発明が記載されていると認められる。
「精白の有無が不明な大麦押麦と液糖を原料とする発泡酒の醸造。」(以下「甲B9発明」という。)

イ 対比・判断
(ア)本件発明4について
本件発明4と甲B9発明とを対比すると、両者は少なくとも、上記4(2)(2−1)イ(ア)の相違点3の点で実質的に相違するから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明4は、甲B9発明であるとはいえない。さらに、原料などの条件を変更せずに、糖質含有量のみを低減することは周知技術であるとはいえないし、甲B9発明において、当該周知技術を適用する動機付けもないから、本件発明4は、甲B9発明、甲B1〜3、8及び10〜16の記載事項並びに周知技術に基いて、当業者が容易に想到するものではない。

(イ)本件発明5〜7について
本件発明5〜7は、本件発明4を更に限定するものである。したがって、本件発明4が甲B9発明ではなく、甲B9発明、甲B1〜3、8及び10〜16の記載事項並びに周知技術に基いて当業者が容易に想到するものではないことに鑑みると、本件発明5〜7も甲B9発明ではなく、甲B9発明、甲B1〜3、8及び10〜16の記載事項並びに周知技術に基いて当業者が容易に想到するものではない。

(ウ)本件発明8について
本件発明8と甲B9発明とを対比すると、両者は少なくとも、上記5(1)(1−6)イの相違点6と同様の点で実質的に相違するから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明8は、甲B9発明であるとはいえない。また、精麦した未発芽麦類を用いることで、ビールテイスト飲料の不快臭を低減することの動機付けもないから、本件発明8は、甲B9発明、甲B1〜3、8及び10〜16の記載事項並びに周知技術に基いて、当業者が容易に想到するものではない。

(エ)本件発明1について
本件発明1と甲B9発明とを対比すると、両者は少なくとも、以下の点で相違する。

相違点7:本件発明1は、ビールテイスト飲料の糖質含有量が1.3g/100ml以下であるのに対して、甲B9発明は、そのような特定を有していない点。

相違点7について検討すると、甲B9には、糖質含有量を抑制する事項に関する記載はないから、甲B9発明が「糖質含有量が1.3g/100ml以下」であるとはいえない。
さらに、甲B4〜甲B8に、低糖質のビールテイスト飲料が記載されているからといって、総ポリフェノール含量及び原料における麦芽比率等を保持した状態で、糖質を低減することは周知技術であるとはいえないし、甲B9発明において、当該周知技術を適用する動機付けもないから、甲B9発明において、糖質のみを低減し、糖質含有量が1.3g/100ml以下とすることは、当業者が容易に想到することとはいえない。

そうすると、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲B9発明、甲B1〜3、8及び10〜16の記載事項並びに周知技術に基いて、当業者が容易に想到するものではない。

(オ)本件発明2及び3について
本件発明2及び3は、本件発明1を更に限定するものである。したがって、本件発明1が甲B9発明、甲B1〜3、8及び10〜16の記載事項並びに周知技術に基いて、当業者が容易に想到するものではないことに鑑みると、本件発明2及び3も、甲B9発明、甲B1〜3、8及び10〜16の記載事項並びに周知技術に基いて、当業者が容易に想到するものではない。

(1−8)(B1−7)及び(B2−3)について
ア 甲B20に記載された発明
上記(B20d)及び(B20f)によると、甲B20には、以下の発明が記載されていると認められる。
「原料として、大麦を28kg、液糖(日本コーンスターチ社製マルトース)を42kg使用し、色調調整用の色素として、カラメル色素(セスネス社製「P340」)を100g添加し、糖化用の酵素は、α−アミラーゼ(大和化成社製)を28g、β−アミラーゼ(天野製薬社製)を28g、プロテアーゼ(天野製薬社製)を56g、β−グルカナーゼ(カルター社製)を8g用いた試験醸造。」(以下「甲B20発明」という。)

イ 対比・判断
(ア)本件発明4について
本件発明4と甲B20発明とを対比すると、両者は少なくとも、上記4(2)(2−1)イ(ア)の相違点3の点で実質的に相違するから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明4は、甲B20発明であるとはいえない。さらに、原料などの条件を変更せずに、糖質含有量のみを低減することが周知技術であるとはいえないし、甲B20発明において、当該周知技術を適用する動機付けもないから、本件発明4は、甲B20発明、甲B1〜3、8、10〜16及び20の記載事項並びに周知技術に基いて、当業者が容易に想到するものではない。

(イ)本件発明5〜7について
本件発明5〜7は、本件発明4を更に限定するものである。したがって、本件発明4が甲B20発明ではなく、甲B20発明、甲B1〜3、8、10〜16及び20の記載事項並びに周知技術に基いて当業者が容易に想到するものではないことに鑑みると、本件発明5〜7も甲B20発明ではなく、甲B20発明、甲B1〜3、8、10〜16及び20の記載事項並びに周知技術に基いて当業者が容易に想到するものではない。

(ウ)本件発明8について
本件発明8と甲B20発明とを対比すると、両者は少なくとも、以下の点で相違する。

相違点8:本件発明8は、麦汁を得る工程において精麦した未発芽麦類を用いることを含む、ビールテイスト飲料の不快臭を低減する方法であるのに対して、甲B20発明は、原料として、大麦及び液糖を原料とした醸造である点。

相違点8について検討する。
上記(B20d)によると、甲B20には、麦澱粉原料として精白大麦を用いる示唆されているが、精麦である精白によりビールテイスト飲料の不快臭を低減することは記載されていない。また、精白によりビールテイスト飲料の不快臭を低減するという周知技術は、甲B1〜3、8、10〜16及び20には記載されていない。
そうすると、本件発明8は、甲B20発明ではなく、甲B20発明、甲B1〜3、8、10〜16及び20の記載事項並びに周知技術に基いて、当業者が容易に想到するものではない。

(エ)本件発明1について
本件発明1と甲B20発明とを対比すると、両者は少なくとも、上記5(1)(1−7)イ(エ)の相違点7の点で実質的に相違するから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲B20発明、甲B1〜3、8、10〜16及び20の記載事項並びに周知技術に基いて、当業者が容易に想到するものではない。

(オ)本件発明2及び3について
本件発明2及び3は、本件発明1を更に限定するものである。したがって、本件発明1が甲B20発明、甲B1〜3、8、10〜16及び20の記載事項並びに周知技術に基いて、当業者が容易に想到するものではないことに鑑みると、本件発明2及び3も、甲B20発明、甲B1〜3、8、10〜16及び20の記載事項並びに周知技術に基いて、当業者が容易に想到するものではない。

(1−9)小括
以上より、申立人Aが主張する(A2)〜(A6)、並びに、申立人Bが主張する(B1−4)、(B1−5)、(B2−1)、(B1−6)、(B2−2)、(B1−7)及び(B2−3)によっては、本件発明1〜8に係る特許を取り消すことはできない。

(2)(A7)及び(B3)(サポート要件)
ア 特許法第36条第6項第1号(サポート要件)の判断の前提
特許請求の範囲の記載が明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。

イ 特許請求の範囲の記載
特許請求の範囲には、上記第3に示したとおりの請求項1〜8が記載されている。

ウ 本件特許明細書の記載
本件特許明細書の発明の詳細な説明には、以下の記載がある。
(ア)「【0004】
他方、ビールテイスト飲料は、香味を損なう不快臭、すなわち、植物原料や酵母に由来する未熟臭を伴うことがある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、不快臭が低減されたビールテイスト飲料を提供することを目的とする。」

(イ)「【0025】
本実施形態に係るビールテイスト飲料の糖質含有量は、1.2g/100ml以下、1.1g/100ml以下、1.0g/100ml以下、0.9g/100ml以下、0.8g/100ml以下、0.7g/100ml以下、0.6g/100ml以下、又は0.5g/100ml以下であってもよい。また、本実施形態に係るビールテイスト飲料の糖質含有量は、0.1g/100ml以上、0.2g/100ml以上、0.3g/100ml以上、0.4g/100ml以上、0.5g/100ml以上、0.6g/100ml以上、0.7g/100ml以上、又は0.8g/100ml以上であってもよい。糖質含有量が上記範囲であると、ビールテイスト飲料の不快臭の低減効果がより顕著に発揮されるとともに、後味のすっきりさと飲みごたえをバランスよく両立させることができる。糖質含有量は、酵素添加量、原料の種類及び使用量、未発芽麦類の精麦度等によって調整することができる。」

(ウ)「【0027】
本実施形態に係るビールテイスト飲料の総ポリフェノール量は、110mg/L以下、100mg/L以下、90mg/L以下、又は80mg/L以下であってもよい。また、本実施形態に係るビールテイスト飲料の総ポリフェノール量は、50mg/L以上、60mg/L以上、又は70mg/L以上であってもよい。総ポリフェノール量が上記範囲であると、ビールテイスト飲料の不快臭の低減効果がより顕著に発揮されるとともに、後味のすっきりさと飲みごたえをバランスよく両立させることができる。総ポリフェノール量は、原料の種類及び使用量、未発芽麦類の精麦度、ホップ(乾燥ホップ、ホップペレット、ホップエキス等)の種類及び使用量、後述のポリビニルピロリドン(PVPP)による処理等によって調整することができる。」

(エ)「【0029】
本実施形態に係るビールテイスト飲料において原料中に未発芽麦類(好ましくは未発芽大麦)を含む場合、未発芽麦類は精麦した未発芽麦類であることが好ましい。精麦した未発芽麦類を用いることで、ビールテイスト飲料の不快臭がより低減される。未発芽麦類の精麦は、例えば、未発芽麦類を市販の研削式精米機(例えば、株式会社サタケ製のテストミルTM05Cなど)に投入し、研削処理することにより行うことができる。未発芽麦類の精麦度は、95%以下、90%未満、85%以下、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下、55%以下、50%以下、45%以下、又は40%以下であってよい。また、未発芽麦類の精麦度は、25%以上、30%以上、35%以上、又は40%以上であってよい。未発芽麦類の精麦度が上記範囲であると、ビールテイスト飲料の不快臭の低減効果がより顕著に発揮されるとともに、後味のすっきりさと飲みごたえをよりバランスよく両立させることができる。特に、未発芽麦類が未発芽大麦である場合、未発芽大麦の精麦度が85%以上であると、ビールテイスト飲料中のジアセチル(2,3−ブタンジオン)の含有量が約0.3質量ppmであるところ、未発芽大麦の精麦度が75%以下であると、ジアセチルの含有量が約0.1質量ppm以下と急激に減少し、ビールテイスト飲料の不快臭が顕著に低減されるので、未発芽大麦の精麦度は75%以下であることが好ましい。なお、本明細書において未発芽麦類の精麦度とは、精麦後の未発芽麦類の重量を投入した未発芽麦類の重量で除した値であり、精麦が進むほど精麦度は小さくなる。未発芽麦類の精麦度は、例えば、研削式精米機での研削処理時間を調整することによって調整することができる。」

(オ)「【0033】
本実施形態に係るビールテイスト飲料において、原料中に未発芽大麦と麦芽とを含む場合、未発芽大麦と麦芽との比率は、100:0〜5:95、又は80:20〜10:90であってもよい。この場合において、未発芽大麦と麦芽との比率は50:50でなくてもよい。また、未発芽大麦と麦芽との比率は、100:0〜51:49、49:51〜5:95、80:20〜51:49、又は49:51〜10:90であってもよい。未発芽大麦と麦芽との比率が上記範囲であると、ビールテイスト飲料の不快臭の低減効果がより一層顕著に発揮される。」

(カ)「【0041】
本実施形態に係るビールテイスト飲料のジアセチルの含有量は、不快臭をより低減させる観点から、例えば、0.35質量ppm以下、0.30質量ppm以下、0.25質量ppm以下、0.20質量ppm以下、0.15質量ppm以下、0.13質量ppm以下、0.10質量ppm以下、0.08質量ppm以下、0.05質量ppm以下、又は0.03質量ppm以下であってよく、0.001質量ppm以上、0.005質量ppm以上、0.01質量ppm以上、0.03質量ppm以上、又は0.05質量ppm以上であってよい。ジアセチルの含有量は、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集、2013年増補改訂)の「8.16 ジアセチル」に記載の方法によって測定することができる。ジアセチルの含有量は、原料の種類及び使用量、未発芽麦類の精麦度等によって調節することができる。」

(キ)「【0054】
〔試験例:ビールテイスト飲料の調製及び評価〕
(ビールテイスト飲料の製造)
粉砕した麦原料(未精麦大麦の比率約80質量%、麦芽の比率約20質量%)、水、麦原料に対して1.96質量%の多糖分解酵素を含む原料を仕込槽に投入し、常法に従って糖化液を製造した。得られた糖化液を濾過して麦汁を得た。得られた麦汁にホップを添加して煮沸し、沈殿物を分離、除去した後、冷却した。得られた発酵前液(冷麦汁)にビール酵母を添加し、所定期間発酵させ、アルコール度数約5v/v%のビールテイスト飲料(サンプル1)を製造した。
【0055】
上記サンプル1のビールテイスト飲料の製造において、原料として表1及び表2に記載の各精麦度の未発芽大麦を用い、未発芽大麦と麦芽との配合比を表1及び表2に記載の比率としたこと以外は同様の条件で、アルコール度数約5v/v%の各ビールテイスト飲料(サンプル2〜9)を製造した。
【0056】
(糖質量の算出)
得られた各ビールテイスト飲料の水分、アルコール分、タンパク質、灰分の量をそれぞれ測定した。水分とアルコール分は常圧加熱乾燥法により測定した。タンパク質量は、改良デュマ法により全窒素(タンパク質)の定量法により測定した。灰分量は、直接灰化法により測定した。ビールテイスト飲料中の脂質量を0g/100ml、食物繊維量を0g/100mlとみなし、ビールテイスト飲料の重量から、水分、アルコール分、タンパク質量及び灰分量を引いた値をビールテイスト飲料の糖質量(g/100ml)として算定した。
【0057】
(官能評価)
上記製造方法で得られた各ビールテイスト飲料について、訓練されたパネルにより官能評価を行った。パネルの人数は、サンプル1〜7の評価(表1)については3名、サンプル8及び9の評価(表2)については4名である。官能評価は、不快臭のなさ、後味のすっきりさ及び飲みごたえの評価項目について、サンプル1の不快臭のなさを1、後味のすっきりさを1、飲みごたえを5として、5段階(5:良好〜1:不十分)で行い、その平均値を評価スコアとした。なお、不快臭のなさと後味のすっきりさについては、評価スコアが2を超えるサンプルは、実用上の問題なく、不快臭が低減されており、又は後味のすっきりさを有しているものと評価される。また、飲みごたえについては、評価スコアが1.5を超えるサンプルは、飲みごたえを有しているものと評価される。結果を表1及び表2に示す。
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
精麦した未発芽大麦を用いたサンプル2〜9では、未精麦の未発芽大麦を用いたサンプル1と比較して、不快臭が低減されていた。また、サンプル2〜9はサンプル1と比較して、良好な飲みごたえを維持しつつ、後味のすっきりさが良好であった。」

エ 本件発明の解決課題について
上記ウ(ア)及び本件特許明細書全体によると、本件発明の解決すべき課題は、香味を損なう不快臭(植物原料や酵母に由来する未熟臭)が低減されたビールテイスト飲料を提供することと認められる。

オ 本件発明1について
上記ウ(イ)〜(カ)によると、ビールテイスト飲料の不快臭の低減は、「糖質含有量」、「総ポリフェノール量」、「未発芽大麦の精麦度」、「ジアセチルの含有量」及び「未発芽大麦と麦芽との比率」によって、調整できることが理解されるところ、どの観点に着目して、具体的にどのように不快臭の低減を行うかは、当業者が適宜決めうる要件であるといえる。そして、上記ウ(カ)によれば、「ジアセチルの含有量」は、原料の種類及び使用量、未発芽麦類の精麦度等によって調節できるものである。
さらに、上記ウ(キ)によると、種々の「総ポリフェノール量」、「未発芽大麦の精麦度」、「未発芽大麦と麦芽との比率」及び「未発芽麦類の精麦度」を示す具体的な実施例を例示して、ビールテイスト飲料の不快臭を低減できたことが把握できる。
そうすると、「糖質含有量」、「総ポリフェノール量」、「未発芽大麦の精麦度」、「ジアセチルの含有量」、「未発芽大麦と麦芽との比率」又は「未発芽麦類の精麦度」に関する一般的記載及び具体的実施例を参考に、「糖質含有量」、「総ポリフェノール量」、「未発芽大麦の精麦度」、「ジアセチルの含有量」、「未発芽大麦と麦芽との比率」又は「未発芽麦類の精麦度」を調整して、ビールテイスト飲料の不快臭の低減できることは、当業者が十分に理解できる事項である。
したがって、本件発明1は、少なくとも「糖質含有量」、「総ポリフェノール量」及び「ジアセチルの含有量」を特定し、ビールテイスト飲料の不快臭の低減をし、本件発明の課題を解決したものであるから、発明の詳細な説明に記載されたものといえる。

カ 本件発明2及び3について
本件発明2及び3は、本件発明1を直接的又は間接的に引用したものであるところ、上記オと同様の理由により、本件発明2及び3は発明の詳細な説明に記載されたものといえる。

キ 申立人Aの主張について
申立人Aは、上記(A10a)によると、一般的な日本のビール中のジアセチルのオフフレーバーとして感じ得る官能的閾値は「0.15ppm」であり、ジアセチルの含有量が官能性閾値である0.15ppmを超えた場合、ジアセチルに特有の不快臭が感じられることとなる。
したがって、ジアセチルの含有量が「0.15質量ppm超0.33質量ppm以下」である本件発明1〜3は、課題を解決しない旨の主張をしている。

しかしながら、上記ウ(キ)の表1及び2における「不快臭のなさ」の評価スコアが2を超えれば実用上問題ないものと理解されるところ、本件発明1〜3は、「ジアセチルの含有量」のみの特定ではなく、「糖質含有量」、「総ポリフェノール量」及び「原料中の麦芽比率」等も特定しており、ビールテイスト飲料の不快臭は各成分及び製法が総合的に寄与するものであるから、ジアセチルの含有量が「0.15ppm超0.30ppm以下」であっても、ビールテイスト飲料の不快臭が低減され一定程度課題が解決できることは、当業者が十分理解できる事項といえる。
そうすると、申立人Aの主張は採用できない。

なお、申立てAの第40頁下から第11に記載の「請求項1〜8」は、同第40及び41頁の具体的理由並びに同第9頁の記載から、「請求項1〜3」の誤記とした。

ク 申立人Bの主張について
(ア)申立人Bは、概ね以下のように主張している。
本件特許明細書には、ジアセチルを0.33質量ppm以下にする手段として、精麦した未発芽麦類を用いること以外に開示はなく、実施例では、精麦した未発芽麦類を原料に用いただけで、ジアセチル含有量に関する記載はなく、実際に0.33質量ppm以下を達成できたのか不明であり、本件発明1〜3が達成されているか不明である。
したがって、本件発明1〜3は、発明の詳細な説明に開示された技術事項を超える事項を記載していることになるから、本件特許明細書に記載されたものとはいえない。

(イ)しかしながら、上記オに示したとおり、「ジアセチルの含有量」は、原料の種類及び使用量、未発芽麦類の精麦度等によって調節することができるものであって、実施例では、精麦した未発芽大麦を用いて、不快臭が抑制されたサンプルが示されているから、「ジアセチルの含有量」の値が実施例において示されていないことをもって、本件発明1〜3が本件特許明細書に記載されていないとはいえない。

したがって、申立人Bの主張は採用できない。

ケ 小括
よって、本件発明の特許請求の範囲の請求項1〜3の記載は、発明の詳細な説明に記載されたものであると判断されるから、申立人Aが主張する(A7)及び申立人Bが主張する(B3)によっては、本件発明1〜3に係る特許を取り消すことはできない。

(3)(A8)(明確性要件)
申立人Aは、請求項1、4又は8に記載の「前処理」が、どの処理の前であるのか不明であり、請求項1〜8は不明瞭である旨の主張をしている。
しかしながら、「大麦を原料とした場合」の前処理であるのだから、原料として使用する前の処理であることは明確であるといえる。

よって、申立人Aが主張する(A8)によっては、本件発明1〜8に係る特許を取り消すことはできない。

(4)(B4)(実施可能要件)について
ア 特許法第36条第4項第1号実施可能要件)の判断の前提
物の発明における発明の「実施」とは、その物の生産、使用等をする行為をいう(特許法第2条第3項第1号)から、特許法第36条第4項第1号の「その実施をすることができる」(実施可能要件)とは、その物を生産することができ、かつ、その物を使用できることである。
したがって、物の発明については、明細書の記載又はその示唆及び出願当時の技術常識に基づき、当業者がその物を生産することができ、かつ、その物を使用できるのであれば、上記の実施可能要件を満たすということができる。

イ 検討
上記5(2)イ及びウに示した事項が本件特許明細書には記載され、上記5(2)オで示したとおり、「糖質含有量」、「総ポリフェノール量」、「未発芽大麦の精麦度」、「ジアセチルの含有量」、「未発芽大麦と麦芽との比率」又は「未発芽麦類の精麦度」を適宜調整すれば、本件発明1〜3について、当業者は生産し、かつ、その物を使用できるといえる。

したがって、本件特許明細書は、当業者が本願発明1〜3について実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものである。

ウ 申立人Bの主張について
申立人Bは、上記5(2)ク(ア)と同様の理由により、当業者であっても、本件発明1〜3のジアセチル含有量を達成するための具体的な方法を理解できないため、本件発明1〜3を実施できない旨の主張をしている。

しかしながら、上記5(2)オに示したとおり、「ジアセチルの含有量」は、原料の種類及び使用量、未発芽麦類の精麦度等によって調節することができるものであって、実施例では、精麦した未発芽大麦を用いて、不快臭が抑制されたサンプルが示されているから、「ジアセチルの含有量」の値が実施例において示されていないことをもって、本件発明1〜3のビールテイスト飲料を当業者が生産できないとはいえない。

よって、申立人Bが主張する(B4)によっては、本件発明1〜3に係る特許を取り消すことはできない。

第6 むすび
以上のとおり、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1〜8に係る特許を取り消すことはできない。
また、ほかに本件請求項1〜8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖質含有量が1.3g/100ml以下であり、総ポリフェノール量が125mg/L以下であり、ジアセチルの含有量が0.30質量ppm以下であり、アルコール度数が1v/v%以上であって、原料中の麦芽の比率が20質量%以上90質量%以下である、ビールテイスト飲料(ただし、前処理として50〜80℃の湯中に1〜30分間保持した大麦を原料としたものを除く)。
【請求項2】
原料中に未発芽麦類を含む、請求項1に記載のビールテイスト飲料。
【請求項3】
未発芽麦類が未発芽大麦である、請求項2に記載のビールテイスト飲料。
【請求項4】
麦汁を得る工程において精麦した未発芽麦類を用いることを含む、ビールテイスト飲料の製造方法であって、前記製造方法は前記ビールテイスト飲料の糖質含有量が1.3/100ml以下となるように調整する工程を含み、前記未発芽麦類は前処理として50〜80℃の湯中に1〜30分間保持した未発芽大麦を含まない、製造方法。
【請求項5】
未発芽麦類が未発芽大麦である、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
未発芽麦類の精麦度が95%以下である、請求項4又は5に記載の製造方法。
【請求項7】
未発芽麦類の精麦度が90%未満である、請求項4又は5に記載の製造方法。
【請求項8】
麦汁を得る工程において精麦した未発芽麦類を用いることを含む、ビールテイスト飲料の不快臭を低減する方法であって、前記未発芽麦類は前処理として50〜80℃の湯中に1〜30分間保持した未発芽大麦を含まない、方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2022-08-05 
出願番号 P2016-213065
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (C12G)
P 1 651・ 121- YAA (C12G)
P 1 651・ 536- YAA (C12G)
P 1 651・ 113- YAA (C12G)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 瀬良 聡機
特許庁審判官 冨永 みどり
野田 定文
登録日 2021-04-02 
登録番号 6862145
権利者 サッポロビール株式会社
発明の名称 ビールテイスト飲料、ビールテイスト飲料の製造方法、及びビールテイスト飲料の不快臭を低減する方法  
代理人 長谷川 芳樹  
代理人 江守 英太  
代理人 江守 英太  
代理人 清水 義憲  
代理人 清水 義憲  
代理人 長谷川 芳樹  
代理人 田村 明照  
代理人 坂西 俊明  
代理人 田村 明照  
代理人 坂西 俊明  
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