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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  B29C
審判 全部申し立て 2項進歩性  B29C
管理番号 1390609
総通号数 11 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-11-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-07-15 
確定日 2022-10-21 
異議申立件数
事件の表示 特許第7001654号発明「射出成形機および射出成形機の表示装置の表示方法」の特許異議申立事件について,次のとおり決定する。 
結論 特許第7001654号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第7001654号(請求項の数4。以下,「本件特許」という。)に係る出願(以下,「本件特許出願」という。)は,令和元年11月8日の出願であって,令和3年12月28日にその特許権の設定登録がされ,令和4年1月19日に特許掲載公報が発行された。
その後,令和4年7月15日に特許異議申立人(以下,「申立人」という。)より本件特許の請求項1ないし4に係る特許に対して本件特許異議の申立てがされた。

第2 本件特許の請求項1ないし4に係る発明
本件特許の請求項1ないし4に係る発明(以下,それぞれを「本件特許発明1」ないし「本件特許発明4」といい,本件特許発明1ないし4を総称して「本件特許発明」ということがある。)は,本件特許の特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるものとであるところ,本件特許発明1ないし4は,次のとおりのものと認められる。

「【請求項1】
作動状態を動画として表示装置に表示可能な射出成形機において,
表示装置の動画表示画面に射出成形機の型締装置と射出装置の作動状態を可動部の画像が移動または別の画像に変更されることにより表示する動画とともに射出成形機の型締装置と射出装置の作動状態に関する力,圧力,トルクの少なくとも一つを含む負荷要素を数字以外の負荷要素表示手段を用いて表示可能な制御装置が備えられたことを特徴とする射出成形機。
【請求項2】
前記数字以外の負荷要素表示手段であるレベルメータの枠部分の図形は,前記負荷要素に関連する各装置を模式的に表した図形であることを特徴とする請求項1に記載の射出成形機。
【請求項3】
前記数字以外の負荷要素表示手段は,計量用のサーボモータの計量トルクを表示する計量トルク表示部であることを特徴とする請求項1に記載の射出成形機。
【請求項4】
作動状態を動画として表示装置に表示可能な射出成形機の表示装置の表示方法において,
表示装置の動画表示画面に射出成形機の型締装置と射出装置の作動状態を可動部の画像が移動または別の画像に変更されることにより表示する動画とともに射出成形機の型締装置と射出装置の作動状態に関する力,圧力,トルクの少なくとも一つを含む負荷要素を数字以外の方法により表示することを特徴とする射出成形機の表示装置の表示方法。」

第3 申立ての理由の概要
特許異議申立書に記載された申立ての理由(以下,「申立理由」という。)は,概略,次のとおりである。
本件特許発明1ないし4は,本件特許出願の出願前に公然知られた,公然実施をされた発明(以下,「申立理由発明」という。)であるから,それらの特許は,特許法29条1項1号又は2号に該当し,特許を受けることができない。
したがって,それらの特許は,同法113条2項に該当し,取り消されるべきものである。

申立理由発明及び申立人が提出した証拠方法は,次のとおりである。
申立理由発明:電動射出成形機「MD100X」に係る発明
甲1:「MD100Xの動画DVD」(電動射出成形機「MD100X」購入先撮影動画),撮影日:令和4年5月24日,撮影者:申立人
甲2:射出成形機 MD−Xシリーズ 取扱説明書,p3-1〜p3-17
甲3:出品機のご案内 NIIGATA Exhibit Guide
甲4:IPF JAPAN 2008 Show Report

第4 申立理由発明
1 申立人が提出した各証拠に記録又は記載された事項
(1)甲1に記録された映像
MD100Xが本件特許発明と同一であることを立証の趣旨として,申立人が提出した甲1には,次の映像が記録されている(下記記載中の(nn:nn)(nは数字)は,動画開始からの経過時間を表している。

ア (00:05)ないし(00:11)
次の表記がされた銘板が取り付けられた装置が写っている。
「NIIGATA
形式 MD100X
機械番号 11086D
製造年月 2010−5
株式会社 ニイガタマシンテクノ」

イ (00:12)ないし(00:21)
銘板が取り付けられた裏面側から正面側に移動して,左側上部に
「NIIGATA
MD−100Xi2.7」
という表記がされた装置と,当該装置手前側に複数の物品を移送しているコンベアが設けられている様子が写っている。

ウ (00:35)ないし(00:46)
装置右部にディスプレイが設けられ,当該ディスプレイに「P02 型締」画面が表示されている様子が写っている。

エ (00:47)ないし(00:54)【「P00 生産状況一覧」画面】
ディスプレイの表示画面を「P00 生産状況一覧」画面に切り替えた様子が写っている。
当該「P00 生産状況一覧」画面での上段には,等間隔に配置された3本の青い縦棒(以下,それぞれを左側から順に「第1青縦棒」,「第2青縦棒」及び「第3青縦棒」という。)と,当該第1ないし第3青縦棒の右側に位置する,左側に向けて延びる突出部を有する青い横棒と,当該青い横棒の右側に接している灰色の正方形とが表示されているとともに,前記青い横棒の下部に位置して,それぞれ「射出」,「冷却」及び「休止」という表記がされるとともにそれぞれを10分割する目盛りが付された3本の横棒が横に並べられて表示されている。
第1青縦棒と第2青縦棒の間には,上側に「エジェクタ」という表示がされ,中程から下側にかけて,数値が表示される部分と「mm」という単位の表示からなる表示(以下,「エジェクタmm表示」という。)がされ,その下側に,左側から順に青色・黄色・赤色に塗り分けられた細長い第1の横棒と,細長い第2の横棒が上下に並べられた表示がされている。また,第2青縦棒と第3青縦棒の間には,上側に「型開閉」という表示がされ,中程から下側にかけて,数値が表示される部分と「mm」という単位の表示とからなる表示(以下,「型開閉mm表示」という。)がされ,その下側に,左側から順に青色・黄色・赤色に塗り分けられた細長い第3の横棒と,細長い第4の横棒が上下に並べられた表示がされている。
また,青い横棒の突出部の先端下側には「ノズル」という表示がされ,前記青い横棒内の前記突出部の右側上部には「射出」という表示がされ,当該「射出」という表示の右側であって前記青い横棒内には,内部の上側に「MPa」という単位の表示がされているとともに内部を縦に4分割する目盛りが付された縦長の長方形が表示され,当該縦長の長方形の右側には,数値が表示される部分と「MPa」という単位の表示からなる表示(以下,「射出部MPa表示」という。)と,数値が表示される部分と「mm」という単位の表示からなる表示(以下,「射出部mm表示」という。)と,「後退」という表示が横に並んで表示されており,前記射出部MPa表示と,前記射出部mm表示の下側の前記青い横棒内には,左側から青色・黄色・赤色に塗り分けられた細長い第5の横棒と,細長い第6の横棒が上下に並べられた表示がされている。
また,前記灰色の正方形の内部には,上から順に,「スクリュ回転」という表示,円を描く矢印と数値を表示する部分と何らかの単位の表示とからなる表示(以下,「スクリュー表示」という。),及び左側から青色・黄色・赤色に塗り分けられた細長い第7の横棒と,左端から前記第7の横棒の青色部分の中央近傍までが赤色に塗られた細長い第8の横棒が上下に並べられた表示がされている。

オ (01:01)ないし(01:03)【「P00 生産状況一覧」画面】
「P00 生産状況一覧」画面において,当該期間中,「射出」,「冷却」及び「休止」の横棒は,いずれも,黄色に塗られた部分が存在しないような表示がされている。
第2青縦棒と第3青縦棒の間に右向きの黄色い矢印(以下,「第1矢印」という。)が表示され,型開閉mm表示の数値が時間経過とともに減少した後,前記第1矢印が消えるのとほぼ同時に型開閉mm表示の数値が0になるような表示がされている。
また,型開閉mm表示の数値が減少している間,第4の横棒において,赤く塗られた部分の大きさが,時間経過に応じて,左端にわずかに存在する大きさから,左端から前記第3の横棒の青色部分の3/4程度に対応する位置までの大きさの間で,不規則に変化するような表示がされている。

カ (01:04)ないし(01:10)【「P00 生産状況一覧」画面】
「射出」の横棒では,時間経過とともに,黄色に塗られた部分が,左端から右方へ向けて,その領域を拡大していき,最終的に,「射出」の横棒の全領域が,黄色に塗られた部分となるような表示がされる。
青い横棒内の「射出」という表示の下側の青い横棒内の位置に,左向きの黄色い矢印(以下,「第2矢印」という。)が表示されるとともに,射出部MPa表示の数値が30程度まで増加するような表示がされるとともに,縦長の長方形において,下端から概ね1目盛りまでが黄色に塗られた部分となるような表示がされている。また,第6の横棒において,赤く塗られた部分の大きさが,時間経過に応じて,左端から第5の横棒の青色部分の1/4程度に対応する位置までという大きさから,左端から第5の横棒の青色部分の3/4程度に対応する位置までという大きさの間で,不規則に変化するような表示がされている。

キ (01:10)ないし(01:21)【「P00 生産状況一覧」画面】
「射出」の横棒では,全領域が黄色に塗られた部分となるような表示がされ,「冷却」の横棒では,時間経過とともに,黄色に塗られた部分が,左端から右方へ向けて,その領域を拡大していき,最終的に,「冷却」の横棒の左端から8目盛りを若干超えた位置までの領域が,黄色に塗られた部分となるような表示がされる。
第2矢印が消えて,灰色の長方形の上側に,右向きの黄色い矢印(以下,「第3矢印」という。)が表示されるとともに,射出部MPa表示の数値は6程度にまで減少し,縦長の長方形における黄色に塗られた部分が下端からわずかの高さまでとなり,スクリュー表示の数値は300程度が表示され,射出部mm表示の数値が時間経過とともに130程度まで増加するような表示がされている。第3矢印は,「冷却」の横棒の左端から8目盛りを若干超えた位置までの領域が,黄色に塗られた部分となるような時点で消える。

ク (01:21)ないし(01:23)【「P00 生産状況一覧」画面】
「射出」の横棒では,全領域が黄色に塗られた部分となるような表示がされ,「冷却」の横棒では,時間経過とともに,黄色に塗られた部分が,左端から右方へ向けて,その領域を拡大していき,最終的に,「冷却」の横棒の全領域が,黄色に塗られた部分となるような表示がされる。
射出部MPa表示の数値が時間経過とともに1.2程度まで減少し,縦長の長方形における黄色に塗られた部分が下端からごくわずかの高さまでとなり,射出部mm表示の数値が時間経過とともに136.00まで増加し,スクリュー表示の数値は0が表示されている。

ケ (01:23)ないし(01:26)【「P00 生産状況一覧」画面】
「射出」の横棒では,黄色に塗られた部分が消え,「冷却」の横棒では,全領域が黄色に塗られた部分となるような表示がされ,「休止」の横棒では,きわめて短時間で,黄色に塗られた部分が,左端から右方へ向けて,その領域を拡大して,「休止」の横棒の全領域が,黄色に塗られた部分となるような表示がされる。
その後,「冷却」及び「休止」の横棒で,全領域が黄色に塗られた部分となるような表示がされた状態で,第2青縦棒と第3青縦棒の間に左向きの黄色い矢印(以下,「第4矢印」という。)が表示されるとともに,型開閉mm表示の数値が時間経過とともに増加した後,第4矢印が消え,型開閉mm表示の数値が350.0になるような表示がされている。また,型開閉mm表示の数値が増加している間,第4の横棒において,赤く塗られた部分の大きさが,時間経過に応じて,左端にわずかに存在する大きさから,左端から第3の横棒の黄色部分の3/4程度に対応する位置までの大きさの間で,不規則に変化するような表示がされている。

コ (01:26)ないし(01:28)【「P00 生産状況一覧」画面】
「冷却」及び「休止」の横棒では,全領域が黄色に塗られた部分となるような表示がされた状態で 第1青縦棒と第2青縦棒の間に右向きの黄色い矢印(以下,「第5矢印」という。)が表示されるとともに,エジェクタmm表示の数値が時間経過とともに増加し,32程度になると,第5矢印が消えて,第1青縦棒と第2青縦棒の間に左向きの黄色い矢印(以下,「第6矢印」という。)が短時間表示されるともに,エジェクタmm表示の数値が減少し,第6矢印が消えるのとほぼ同時にエジェクタmm表示の数値が0.00になるような表示がされる。また,エジェクタmm表示の数値が変化している間,第2の横棒において,赤く塗られた部分の大きさが,時間経過に応じて,左端から第1の横棒の黄色部分の1/3程度に対応する位置までの大きさから,左端から第1の横棒の黄色部分の3/4程度に対応する位置までの大きさの間で,不規則に変化するような表示がされている。

サ (01:28)【「P00 生産状況一覧」画面】
「冷却」及び「休止」の横棒において,黄色に塗られた部分が消えて,「射出」,「冷却」及び「休止」の横棒のいずれにも黄色に塗られた部分が存在しない表示がされる。

シ (01:30)ないし(01:31)【「P01 射出」画面】
ディスプレイの表示画面を「P01 射出」画面に切り替えた様子が写っている。
当該「P01 射出」画面の上段には,「時間(s)」と表示されたエリアが存在し,当該「時間(s)」エリア内には,「射出」という表示と数値が表示された欄からなる表示,「充填」という表示と数値が表示された欄からなる表示,及び「休止」という表示と数値が表示された欄からなる表示が左側から順に接して表示され,これらの表示の下には,各表示それぞれを10分割,合計30分割する目盛りが付された横棒が表示されている。
また,「時間(s)」エリアの下側には,「充填」という表示が付されるとともに「(1)」ないし「(5)」という表示がされた欄や数値が表示された又は空白の複数の欄が表示されており,その下側には,「保圧」という表示が付されるとともに「(1)」ないし「(5)」という表示がされた欄や数値が表示された又は空白の複数の欄が表示されている。
また,「保圧」という表示が付された複数の欄の左側には,上から順に,「サックバック」という表示と,「計量前」という表示がされた欄と,数値の欄及び「mm」という単位の表示からなる表示がされており,当該表示の下側から「保圧」という表示が付された複数の欄の下側にかけて,「スクリュ回転 背圧」という表示が付されるとともに「(1)」ないし「(3)」という表示がされた欄及び数値が表示された複数の欄と,「計量完了」という表示がされた欄と数値が表示された欄等からなる表示がされており,当該「スクリュ回転 背圧」という表示が付された表示の右側には,上から順に,「サックバック」という表示が付されるとともに「計量後」という表示がされた欄及び数値が表示された欄等とからなる表示がされている。

ス (01:31)ないし(01:48)【「P01 射出」画面】
時間経過とともに,「時間(s)」エリアの横棒では,黄色に塗られた部分が,左端から右方へ向けて,その領域を拡大していき,最終的には,「射出」の全領域と,「冷却」の8目盛りを若干超過した領域とが,黄色に塗られた部分となるような表示がされる。
また,時間経過とともに,「計量完了」という表示がされた欄及び「計量後」という表示がされた欄が,緑色から灰色に変わり,その後,「充填」という表示が付された複数の欄のうちの「(1)」が表示された欄,同「(2)」が表示された欄,「保圧」という表示が付された複数の欄のうちの「(1)」が表示された欄,同「(2)」が表示された欄,同「(3)」が表示された欄,「スクリュ回転 背圧」という表示が付された表示のうちの「(1)」が表示された欄及び同「(2)」が表示された欄が,この順で,灰色から緑色に変わり,その後,もとの色に戻って,次の欄の色が変わるというような表示がされている。

セ (01:48)ないし(01:50)【「P01 射出」画面】
時間経過とともに,「時間(s)」エリアの横棒では,黄色に塗られた部分が,左端から右方へ向けて,その領域を拡大していき,最終的には,「射出」及び「冷却」の全領域が,黄色に塗られた部分となるような表示がされる。
また,「計量完了」という表示がされた欄が,灰色から緑色に変わった後,「計量後」という表示がされた欄も,灰色から緑色に変わるような表示がされている。

ソ (01:51)ないし(01:53)【「P01 射出」画面】
「時間(s)」エリアの横棒では,「射出」の全領域で,黄色に塗られた部分が消え,「冷却」の全領域が黄色に塗られた部分となるような表示がされ,「休止」の領域では,きわめて短時間で,黄色に塗られた部分が,左端から右方へ向けて,その領域を拡大して,全領域が黄色に塗られた部分となるような表示がされる。

(2)甲2に記載された事項
MD100Xが本件特許発明と同一であることを立証の趣旨として,申立人が提出した甲2には,次の記載がある。

(表紙)

(3−7ページ)

(3−8ページ)

(3)甲3に記載された事項
MD100Xが本件出願の出願前に公知であったことを立証の趣旨として,申立人が提出した甲3には,次の記載がある。



(4)甲4に記載された事項
MD100Xが本件出願の出願前に公知であったことを立証の趣旨として,申立人が提出した甲4には,次の記載がある。


2 申立人提出の証拠から把握される発明
甲1の映像に写っている銘板(前記第4 1(1)アを参照。)の表記からみて,甲1には,株式会社ニイガタマシンテクノ製の「MD100X」という装置が写っているところ,当該「MD100X」のディスプレイに表示される「P00 生産状況一覧」画面は,甲2の3−7ページに描かれた「生産状況一覧画面」と同一の画面であると認められること,甲2の題名における「MD−Xシリーズ」という名称が,甲1の映像に映っている「MD100X」という装置の形式番号と整合すること及び甲1の映像に写された「MD100X」という装置の製造者と甲3の発行者が同一人であることから,甲2(射出成形機 MD−Xシリーズ 取扱説明書)は,甲1に写っている上記「MD100X」を含む,格式会社ニイガタマシンテクノ製射出成形機MD−Xシリーズに共通する取扱説明書であると認められる。
そうすると,甲2の3−7ページ及び3−8ページに記載された「生産状況一覧画面」の説明から,甲1の「P00 生産状況一覧」画面における「第1ないし第3青縦棒が表示されたエリア」及び「左側に向けて延びる突出部を有する青い横棒と,灰色の正方形と,「射出」,「冷却」「休止」という表記及び3本の横棒が表示されたエリア」が,それぞれ「型締エリア」及び「射出エリア」という名称であり,甲1の「P00 生産状況一覧」画面における「エジェクタmm表示」,「第1及び第2の横棒」,「型開閉mm表示」,「第3及び第4の横棒」,「縦長の長方形」,「射出部mm表示」,「第5及び第6の横棒」,「第7及び第8の横棒」及び「射出,冷却及び休止という表記とそれぞれを10分割する目盛りが付された3本の横棒」が,それぞれ「エジェクタの現在位置」,エジェクタサーボモータの過負荷状態をインジケータにより示す「エジェクタサーボ負荷モニター」,「可動盤の現在位置」,型締サーボモーターの過負荷状態をインジケータにより示す「型締サーボ負荷モニター」,「射出圧力モニター」,「スクリュー現在位置」,射出サーボモーターの過負荷状態をインジケータにより示す「射出サーボ負荷モニター」,スクリューサーボモーターの過負荷状態をインジケータにより示す「スクリュー射出サーボ負荷モニター」及び「サイクルタイマーモニター」であることを把握できる。
また,甲1の「P00 生産状況一覧」画面の「型締エリア」に描かれた第1ないし第3青縦棒がそれぞれエジェクタ,可動盤及び固定盤の模式図であり,同画面の「射出エリア」に描かれた突出部を有する青い横棒及び灰色の正方形がそれぞれ射出部及びスクリュー装置の模式図であること,「サイクルタイマーモニター」が,増加する黄色に塗られた部分の先端の位置によって,現在実行している工程を示していること,及び第1ないし第6矢印が,それぞれ各矢印の近傍に位置している可動盤,射出部,スクリュー装置,可動盤,エジェクタ及びエジェクタが移動していること,及びその移動方向を示していることは明らかである。
さらに,甲1の「P00 生産状況一覧」画面の射出部MPa表示の数値及び射出圧力モニターにおける黄色に塗られた部分は,連動して変化していることから,ともに射出圧力を示す表示と解され,射出部MPa表示は射出圧力を数値で示し,射出圧力モニターは射出圧力をインジケータで示すものといえる。
また,前記第4 1(1)キ及びスによると,甲1の「P00 生産状況一覧」画面では,サイクルタイマーモニターで,黄色に塗られた部分の移動端部が,「冷却」の横棒の左端から8目盛りを若干超えた位置まで移動するまでの期間は,第3矢印が表示されているところ,当該期間は,「P01 射出」画面では,「スクリュ回転 背圧」という表示が付された表示のうちの「(1)」が表示された欄及び同「(2)」が表示された欄が緑色に変わる(「計量完了」という表示された欄が緑色に変わる直前までの期間)に対応するから,スクリューサーボ負荷モニターが過負荷状態を示すスクリューサーボモーターは,計量用のものと解するのが相当である。
したがって,甲1,甲2から把握される射出成形機「MD100X」に係る発明及び当該射出成形機「MD100X」において実行される表示方法に係る発明は,次のものと認められる。

「ディスプレイを備えた射出成形機“MD100X”であって,
ディスプレイの表示画面に,「P01 射出」画面として,
エジェクタ,可動盤,固定盤,射出部及びスクリュー装置の模式図を表示するとともに,現在実行している工程を,増加する黄色に塗られた部分の先端の位置によって示すサイクルタイマーモニターを表示し,
エジェクタの模式図と可動盤の模式図の間に,エジェクタの現在位置を数値で示すエジェクタmm表示と,エジェクタサーボモーターの負荷を赤く塗られた部分の面積で示すインジケータを用いたエジェクタサーボ負荷モニターとを表示するとともに,エジェクタが移動している間,その移動方向を示す第5又は第6矢印とを表示し,
可動盤の模式図と固定盤の模式図の間に,可動盤の現在位置を数値で示す型開閉mm表示と,型締サーボモーターの負荷を赤く塗られた部分の面積で示すインジケータを用いた型締サーボ負荷モニターとを表示するとともに,可動盤が移動している間,その移動方向を示す第1又は第4矢印とを表示し,
射出部の模式図の内部に,射出圧力を数値で示す射出部MPa表示と,射出圧力を黄色に塗られた部分の面積で示すインジケータを用いた射出圧力モニターと,射出サーボモーターの負荷を赤く塗られた部分の面積で示すインジケータを用いた射出サーボ負荷モニターとを表示するともに,射出部が移動している間,その移動方向を示す第2矢印を表示し,
スクリュー装置の模式図の内部には,計量用のスクリューサーボモーターの負荷を赤く塗られた部分の面積で示すインジケータを用いたスクリューサーボ負荷モニターが表示され,スクリュー装置の模式図の上方には,スクリュー装置が移動している間,その移動方向を示す第3矢印を表示するように構成された,
射出成形機“MD100X”。」(以下,「申立理由発明1」という。)

「ディスプレイを備えた射出成形機“MD100X”において実行される表示方法であって,
ディスプレイの表示画面に,「P01 射出」画面として,
エジェクタ,可動盤,固定盤,射出部及びスクリュー装置の模式図を表示するとともに,現在実行している工程を,増加する黄色に塗られた部分の先端の位置によって示すサイクルタイマーモニターを表示し,
エジェクタの模式図と可動盤の模式図の間に,エジェクタの現在位置を数値で示すエジェクタmm表示と,エジェクタサーボモーターの負荷を赤く塗られた部分の面積で示すインジケータを用いたエジェクタサーボ負荷モニターとを表示するとともに,エジェクタが移動している間,その移動方向を示す第5又は第6矢印とを表示し,
可動盤の模式図と固定盤の模式図の間に,可動盤の現在位置を数値で示す型開閉mm表示と,型締サーボモーターの負荷を赤く塗られた部分の面積で示すインジケータを用いた型締サーボ負荷モニターとを表示するとともに,可動盤が移動している間,その移動方向を示す第1又は第4矢印とを表示し,
射出部の模式図の内部に,射出圧力を数値で示す射出部MPa表示と,射出圧力を黄色に塗られた部分の面積で示すインジケータを用いた射出圧力モニターと,射出サーボモーターの負荷を赤く塗られた部分の面積で示すインジケータを用いた射出サーボ負荷モニターとを表示するともに,射出部が移動している間,その移動方向を示す第2矢印とを表示し,
スクリュー装置の模式図の内部には,計量用のスクリューサーボモーターの負荷を赤く塗られた部分の面積で示すインジケータを用いたスクリューサーボ負荷モニターが表示され,スクリュー装置の模式図の上方には,スクリュー装置が移動している間,その移動方向を示す第3矢印を表示する,
表示方法。」(以下,「申立理由発明2」という。)

第5 判断
1 申立理由発明1及び申立理由発明2の公知,公用時期について
甲3(株式会社ニイガタマシンテクノが発行した「出品機のご案内」という名称のパンフレット)の1ページ中央下及び2ページ右上には,「IPF JAPAN 2008(国際プラスチックフェア)」のロゴマークと,「INTERNATIONAL PLASTIC FAIR 国際プラスチックフェア」なる記載が印刷されていることから,甲3は,株式会社ニイガタマシンテクノがIPF JAPAN 2008(国際プラスチックフェア)へ出品した製品を案内するパンフレットであることは明らかである。また,甲3の1ページ左上欄の「小型精密電動式射出成形機」の枠内には,「MD100X」との記載が存在する。
一方,甲4の記載によると,「IPF JAPAN 2008(国際プラスチックフェア)」は,2008年(平成20年)に開催され,出展者が993社・団体,来場登録者数が66642名であった展示会である。
そうすると,株式会社ニイガタマシンテクノ製の射出成形機「MD100X」は,本件特許出願の出願前である2008年(平成20年)に開催された「IPF JAPAN 2008(国際プラスチックフェア)」に出品されたものと認められる。
そして,展示会に出品する以上,少なくとも来場者の求めに応じて,射出成形機「MD100X」の表示内容の説明を行うことができる者を配置したり,あるいは実機を動作させてデモンストレーションをする等の対応がされていたと解するのが自然であるから,申立理由発明1及び申立理由発明2の内容を知られ得る状態で展示されていたと認められる。
しかしながら,申立理由発明1及び申立理由発明2の認定根拠とされた,甲1に係る「MD100X」及び甲2に係る「MD−Xシリーズ取扱説明書」の「表示画面」及び「表示方法」の詳細仕様が,上記展示会の開催年である2008年から,甲1の上記「MD100X」の製造年月と推認される2010年5月までの間に変更されていないという証拠はない。
したがって,申立理由発明1及び申立理由発明2が,本件特許出願の出願前に知られていたこと及び公然と実施されたものと認めることはできない。

2 予備的見解
仮に,甲1に係る「MD100X」及び甲2に係る「MD−Xシリーズ取扱説明書」の「表示画面」及び「表示方法」の詳細仕様が,「IPF JAPAN 2008(国際プラスチックフェア)」が開催された2008年から,甲1の「MD100X」の製造年月と推認される2010年5月までの間に変更されていないと認められるとしても,以下に示す理由により,本件特許発明は,申立理由発明1及び申立理由発明2と同一ではないし,これらに基づいて当業者が容易に発明をすることができたということもできない。
(1)本件特許発明1について
ア 対比
(ア) 申立理由発明1の「ディスプレイ」,「射出成形機“MD100X”」は,本件特許発明1の「表示装置」,「射出成形機」にそれぞれ対応する。
また,申立理由発明1の「エジェクタ」,「可動盤」,「固定盤」,「エジェクタサーボモーター」,「型締サーボモーター」等からなる構成は,「型締装置」といえ,「射出部」,「スクリュー装置」,「射出サーボモーター」,「スクリューサーボモーター」等からなる構成は,「射出装置」といえるところ,これらが本件特許発明1の「型締装置」,「射出装置」にそれぞれ対応する。

(イ) 申立理由発明1のディスプレイに表示される「P01 射出」画面には,現在実行している工程を,増加する黄色に塗られた部分の先端の位置によって示すサイクルタイマーモニターが表示されるところ,黄色に塗られた部分の先端の位置は,現在実行している工程に応じて,時々刻々と変化するから,動画として表示しているといえる。
そして,申立理由発明1は,作動状態を表示装置に表示可能な射出成形機“MD100X”であって,現在実行している工程は,「作動状態」であるといえるから,本件特許発明1と申立理由発明1は,「作動状態を動画として表示装置に表示可能な射出成形機」である点で,一致する。

(ウ) 前記(イ)で述べたとおり,申立理由発明1のディスプレイに表示される「P01 射出」画面には,「作動状態」である現在実行している工程を示すサイクルタイマーモニターが動画として表示されるとともに,エジェクタサーボ負荷モニター,型締サーボ負荷モニター,射出サーボ負荷モニター及びスクリューサーボ負荷モニターや,射出圧力モニターを表示している。
ここで,エジェクタサーボ負荷モニター及び型締サーボ負荷モニターが示すエジェクトサーボモーター及び型締サーボモーターの負荷とは,「型締装置」の作動状態に関する「トルク」にほかならず,射出サーボ負荷モニター及びスクリューサーボ負荷モニターが示す射出サーボモーター及びスクリューサーボモーターの負荷とは,「射出装置」の作動状態に関する「トルク」にほかならず,射出圧力モニターが示す射出圧力とは,「射出装置」の作動状態に関する「圧力」にほかならない。また,各負荷モニターや射出圧力モニターは,インジケータを用いており,数字を用いて表示してはいない。
そうすると,申立理由発明1は,「作動状態」である現在実行している工程を示すサイクルタイマーモニターが,動画として表示されるとともに,「型締装置」の作動状態に関する「トルク」が,数値以外の負荷要素表示手段を用いて表示されるエジェクタサーボ負荷モニター及び型締サーボ負荷モニターや,「射出装置」の作動状態に関する「トルク」又は「圧力」が,数値以外の負荷要素表示手段を用いて表示されるエジェクタサーボ負荷モニター及び型締サーボ負荷モニター並びに射出圧力モニターを有する「P01 射出」画面を,ディスプレイに表示することが可能な制御装置を備えているといえる。
したがって,本件特許発明1と申立理由発明1は,「表示装置の動画表示画面に射出成形機の型締装置と射出装置の作動状態を表示する動画とともに射出成形機の型締装置と射出装置の作動状態に関する力,圧力,トルクの少なくとも一つを含む負荷要素を数字以外の負荷要素表示手段を用いて表示可能な制御装置が備えられた」点で一致する。

(エ) 前記(ア)ないし(ウ)を総合すると,本件特許発明1と申立理由発明1は,
「作動状態を動画として表示装置に表示可能な射出成形機において,
表示装置の動画表示画面に射出成形機の型締装置と射出装置の作動状態を表示する動画とともに射出成形機の型締装置と射出装置の作動状態に関する力,圧力,トルクの少なくとも一つを含む負荷要素を数字以外の負荷要素表示手段を用いて表示可能な制御装置が備えられた射出成形機。」
である点で一致し,次の点で相違する。

相違点1:
本件特許発明1は,型締装置と射出装置の作動状態を表示する動画が,可動部の画像が移動または別の画像に変更されることにより表示されるのに対して,
申立理由発明1は,型締装置と射出装置の作動状態を表示する動画は,増加する黄色に塗られた部分の先端の位置によって示すサイクルタイマーモニターであって,可動部であるエジェクタ,可動盤,射出部,スクリュー装置の模式図が移動したり,別の画像に変更されたりするものでない点。

イ 相違点1に係る申立人の主張について
特許異議申立書において,申立人は,申立理由発明1が,射出成形機の型締装置が作動する時に,表示パネルの型締装置を示す絵の画像を黄色い矢印を付加した画像に切り替え,また,射出成形機の射出装置が作動する時に,射出装置を示す絵の画像を黄色い矢印を付加した画像に切り替える構成を有しており,当該構成が,本件特許発明1の「作動状態を動画として表示装置に表示可能な」なる発明特定事項に相当するから,「表示装置の動画表示画面に射出成形機の型締装置と射出装置の作動状態を可動部の画像が移動または別の画像に変更されることにより表示する動画とともに」の点で,本件特許発明1と申立理由発明1が一致する旨主張する。
そこで,検討するに,相違点1に係る本件特許発明1の発明特定事項は,「型締装置と射出装置の作動状態を可動部の画像が移動または別の画像に変更されることにより表示する」であるところ,当該発明特定事項は,型締装置と射出装置の作動状態を可動部の画像が移動されることにより表示する,又は型締装置と射出装置の作動状態を可動部の画像が別の画像に変更されることにより表示することを意味していると解するのが相当である。
ここで,申立理由発明1においては,エジェクタ,可動盤,射出部及びスクリュー装置の模式図の近傍又は内部に黄色い矢印を表示することによって,エジェクタ,可動盤,射出部及びスクリュー装置の作動状況を表示しているところ,模式図の内部に黄色い矢印が表示される射出部はともかく,少なくとも,模式図の近傍に黄色い矢印が表示されるエジェクタ,可動盤及びスクリュー装置については,それらの模式図自体は,別の画像に切り替えられてはおらず,同一の模式図が表示され続けるのであるから,「可動部の画像」であるエジェクタ,可動盤及びスクリュー装置の模式図が「別の画像に変更されることにより」,型締装置と射出装置の作動状態を表示するものとはいえない。
したがって,申立理由発明1は,相違点1に係る本件特許発明1の「型締装置と射出装置の作動状態を可動部の画像が移動または別の画像に変更されることにより表示する」との発明特定事項に相当する構成を具備していないといわざるを得ない。
申立人の主張は,本件特許発明1の発明特定事項が,別の画像に変更されるのが「可動部の画像」であることを特定していることを見逃して,本件特許発明1と申立理由発明を対比しており,失当であるから,当該申立人の主張は採用できない。

ウ 小括
前記ア(エ)で述べたとおり,本件特許発明1と申立理由発明1は,相違点1において相違するから,本件特許発明1は,申立理由発明1ではない。
したがって,申立理由によって,本件特許発明1に係る特許を取り消すことはできない。

エ なお,申立理由ではないものの,本件特許明細書の【0004】,【0005】には,従来の技術として,射出成形機の射出装置のスクリュ位置,可動金型の位置,エジェクタの位置をCRTの画面上に動画として表示する技術(以下,「特許文献2技術」という。)が特許文献2(特開昭61−197214号公報)に記載されていることが紹介されているところ,念のため,申立理由発明1において,特許文献2技術を適用することにより,前述した相違点1に係る本件特許発明1の発明特定事項に容易に想到し得るのか否かについて,以下に検討しておく。
申立理由発明1において,特許文献2技術を適用して,第1ないし第6矢印を用いて,エジェクタ,可動盤,射出部及びスクリュー装置の移動及び移動方向を示すという手法に代えて,エジェクタ,可動盤,射出部及びスクリュー装置の模式図を移動させることにより,各装置の移動及び移動方向を示すという手法を採用しようとすると,エジェクタ及び可動盤の模式図の移動経路中には,エジェクタmm表示,エジェクタサーボ負荷モニター,型締mm表示及び型締サーボ負荷モニターが存在するため,エジェクタ及び可動盤の模式図と,エジェクタmm表示,エジェクタサーボ負荷モニター,型締mm表示及び型締サーボ負荷モニターとが重なってしまい,表示内容が見難いものとなってしまうことは明らかである。そうすると,当業者は,申立理由発明1において,エジェクタ及び可動盤の模式図を移動させるという手法を採用しようとすることはないというべきである。
また,仮に,この問題を解消するために,エジェクタmm表示,エジェクタサーボ負荷モニター,型締mm表示及び型締サーボ負荷モニターの表示位置を,エジェクタ及び可動盤の模式図の移動経路から外れた位置に変更するというのであれば,このような構成の変更は,申立理由発明1に,特許文献2技術を適用した上で,さらなる構成の変更を行う必要があるのであるから,もはや,当業者が容易に想到し得たとはいえないというほかない。
さらに,射出部及びスクリュー装置の模式図について検討してみても,各模式図の内部には,射出部MPa表示,射出圧力モニター,射出サーボ負荷モニター,スクリューサーボ負荷モニターが存在するため,射出部及びスクリュー装置の模式図を移動させる場合には,これら射出部MPa表示,射出圧力モニター,射出サーボ負荷モニター,スクリューサーボ負荷モニターを,射出部及びスクリュー装置の模式図とともに移動させるか,射出部及びスクリュー装置の模式図が移動しても,射出部MPa表示,射出圧力モニター,射出サーボ負荷モニター,スクリューサーボ負荷モニターの表示位置を固定してしまうしか選択肢はないが,どちらの表示方法を採用しても,表示内容が見難いものとなってしまうことは明らかであるから,当業者は,申立理由発明1において,射出部及びスクリュー装置の模式図を移動させるという手法を採用しようとすることはないというべきであるし,射出部MPa表示,射出圧力モニター,射出サーボ負荷モニター,スクリューサーボ負荷モニターの表示位置を,射出部及びスクリュー装置の模式図の移動経路から外れた位置に変更することは,当業者といえども容易に想到し得たことではない。
以上のとおりであるから,特許文献2技術が存在するとしても,申立理由発明1において,本件特許発明1の相違点1に係る発明特定事項に当業者が容易に想到し得たことではない。

(2)本件特許発明2ないし4について
ア 本件特許発明2及び3は,本件特許発明1の発明特定事項を全て具備し,これに限定を加えたものに該当するから,前述したとおり,本件特許発明1が申立理由発明1ではない以上,本件特許発明2及び3も申立理由発明1ではない。

イ 本件特許発明4と申立理由発明2を対比すると,両者は,相違点1と同様の点で相違し,その余の点で一致するから,本件特許発明1は,申立理由発明2ではない。
したがって,申立理由によって,本件特許発明4に係る特許を取り消すことはできない。

第6 むすび
以上のとおりであるから,特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては,請求項1ないし4に係る特許を取り消すことはできない。さらに,他に請求項1ないし4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり決定する。

 
異議決定日 2022-10-12 
出願番号 P2019-203018
審決分類 P 1 651・ 121- Y (B29C)
P 1 651・ 113- Y (B29C)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 里村 利光
特許庁審判官 清水 康司
小濱 健太
登録日 2021-12-28 
登録番号 7001654
権利者 株式会社日本製鋼所
発明の名称 射出成形機および射出成形機の表示装置の表示方法  
代理人 家入 健  

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