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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1391746
総通号数 12 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-01-05 
確定日 2022-11-22 
事件の表示 特願2019−137445「情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 2月18日出願公開、特開2021− 22084、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和元年7月26日の出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
令和3年 7月 6日付け:拒絶理由通知書
令和3年10月 1日: 意見書、手続補正書の提出
令和3年10月11日付け:拒絶査定
令和4年 1月 5日: 審判請求書、手続補正書の提出
令和4年 7月13日付け:拒絶理由通知書(以下、「当審拒絶理由」と
いう。)
令和4年 8月29日: 意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和3年10月11日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

理由2(新規性) 本願の請求項1、8、13に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献Aに記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

理由3(進歩性) 本願請求項1−17に係る発明は、以下の引用文献A−Bに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
A.米国特許出願公開第2014/0229963号明細書
B.特開2014−044506号公報

第3 当審拒絶理由の概要
理由1(明確性) この出願は、特許請求の範囲の請求項1−5、9−11、14−15の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

理由2(新規性) 本願の請求項1−2、8、13に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

理由3(進歩性) 本願請求項1−17に係る発明は、以下の引用文献1−3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.米国特許出願公開第2014/0229963号明細書(拒絶査定時の引用文献A)
2.特開2006−39932号公報(当審で新たに引用した文献)
3.特開2007−11662号公報(当審で新たに引用した文献)

第4 本願発明
本願請求項1−12に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」−「本願発明12」という。)は、令和4年8月29日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1−12に記載された事項により特定される発明であって、本願発明1、3、5は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
動画コンテンツに対する視聴者の感情を特定する2以上のボタンであり、ポジティブな感情を特定する1以上のポジティブボタンとネガティブな感情を特定する1以上のネガティブボタンとを含む2以上のボタンと、前記動画コンテンツとが出力されている端末装置に対して、視聴者が前記動画コンテンツの視聴中に指示したボタンを識別するボタン識別子を含む2以上の各ボタン押下情報が、タイミングを特定するタイミング情報に対応付けて格納されるボタン押下情報格納部にアクセスし、当該ボタン押下情報格納部の前記2以上のボタン押下情報を用いて、統計処理し、統計処理結果を取得する統計処理部と、
前記統計処理結果を出力する統計処理結果出力部とを具備し、
前記統計処理部は、
前記1以上のポジティブボタンの指示に対応するボタン押下情報と、当該ボタン押下情報に対応するタイミング情報と同一のタイミング情報に対応する前記1以上のネガティブボタンに対応するボタン押下情報との両方を用いて、前記タイミング情報が特定するタイミングにおける視聴者のポジティブな感情に関するスコアである共感スコアを、2以上の時点において取得する共感スコア取得手段を具備し、
前記共感スコア取得手段は、
前記ボタン押下情報に対応する時の後の時間にも当該ボタン押下情報に対応する感情が継続し、かつ時間の経過により当該感情が減少することに関する押下後感情情報であり、前記タイミング情報が特定するタイミングの後の時点における押下後感情情報と、前記後の時点におけるポジティブボタンの指示に対応するボタン押下情報と、前記後の時点におけるネガティブボタンに対応するボタン押下情報とを用いて、前記後の時点における前記共感スコアであり、前記ボタン押下情報に対応する時の後の時間において、前記感情が減少していったことを示す前記共感スコアを取得する、
または前記ボタン押下情報に対応する時の前の時間にも当該ボタン押下情報に対応する感情が発生しており、当該感情の発生から時間の経過により当該感情が増加することに関する押下前感情情報であり、前記タイミング情報が特定するタイミングの前の時点における押下前感情情報と、前記前の時点におけるポジティブボタンの指示に対応するボタン押下情報と、前記前の時点におけるネガティブボタンに対応するボタン押下情報とを用いて、前記前の時点における前記共感スコアであり、前記ボタン押下情報に対応する時の前の時間において、前記感情が増加していったことを示す前記共感スコアを取得し、
前記統計処理結果出力部は、
前記2以上の各時点における前記共感スコアを出力する、情報処理装置。」

「【請求項3】
動画コンテンツに対する視聴者の感情を特定する2以上のボタンであり、ポジティブな感情を特定する1以上のポジティブボタンとネガティブな感情を特定する1以上のネガティブボタンとを含む2以上のボタンと、前記動画コンテンツとが出力されている端末装置に対して、視聴者が前記動画コンテンツの視聴中に指示したボタンを識別するボタン識別子を含む2以上の各ボタン押下情報が格納されるボタン押下情報格納部にアクセスし、当該ボタン押下情報格納部の2以上のボタン押下情報を用いて、統計処理し、統計処理結果を取得する統計処理部と、
前記統計処理結果を出力する統計処理結果出力部とを具備し、
前記統計処理部は、
前記1以上のポジティブボタンの指示に対応するボタン押下情報と、当該ボタン押下情報に対応するタイミング情報と同一のタイミング情報に対応する前記1以上のネガティブボタンの指示に対応するボタン押下情報との両方を用いて、前記タイミング情報が特定するタイミングにおける視聴者の関心に関するスコアである関心スコアを取得する関心スコア取得手段を具備し、
前記関心スコア取得手段は、前記ボタン押下情報に対応する時の後の時間にも当該ボタン押下情報に対応する感情が継続し、かつ時間の経過により当該感情が減少することに関する押下後感情情報であり、前記タイミング情報が特定するタイミングの後の時点における押下後感情情報と、前記後の時点におけるポジティブボタンの指示に対応するボタン押下情報と、前記後の時点におけるネガティブボタンに対応するボタン押下情報とを用いて、前記後の時点における前記関心スコアであり、前記ボタン押下情報に対応する時の後の時間において、前記感情が減少していったことを示す前記関心スコアを取得する、
または前記ボタン押下情報に対応する時の前の時間にも当該ボタン押下情報に対応する感情が発生しており、当該感情の発生から時間の経過により当該感情が増加することに関する押下前感情情報であり、前記タイミング情報が特定するタイミングの前の時点における押下前感情情報と、前記前の時点におけるポジティブボタンの指示に対応するボタン押下情報と、前記前の時点におけるネガティブボタンに対応するボタン押下情報とを用いて、前記前の時点における前記関心スコアであり、前記ボタン押下情報に対応する時の前の時間において、前記感情が増加していったことを示す前記関心スコアを取得し、
前記統計処理結果出力部は、
前記関心スコアを出力する、情報処理装置。」

「【請求項5】
動画コンテンツに対する視聴者の感情を特定する2以上のボタンであり、ポジティブな感情を特定する1以上のポジティブボタンとネガティブな感情を特定する1以上のネガティブボタンとを含む2以上のボタンと、前記動画コンテンツとが出力されている端末装置に対して、視聴者が前記動画コンテンツの視聴中に指示したボタンを識別するボタン識別子を含む2以上の各ボタン押下情報が格納されるボタン押下情報格納部にアクセスし、当該ボタン押下情報格納部の2以上のボタン押下情報を用いて、統計処理し、統計処理結果を取得する統計処理部と、
前記統計処理結果を出力する統計処理結果出力部とを具備し、
前記統計処理部は、
前記1以上のポジティブボタンの指示に対応するボタン押下情報と、当該ボタン押下情報に対応するタイミング情報と同一のタイミング情報に対応する前記1以上のネガティブボタンの指示に対応するボタン押下情報との両方を用いて、前記タイミング情報が特定するタイミングにおける視聴者の感情に関するスコアである共感スコアを取得する共感スコア取得手段と、
前記1以上のポジティブボタンの指示に対応するボタン押下情報と、当該ボタン押下情報に対応するタイミング情報と同一のタイミング情報に対応する前記1以上のネガティブボタンの指示に対応するボタン押下情報との両方を用いて、前記タイミングにおける視聴者の関心に関するスコアである関心スコアを取得する関心スコア取得手段と、
前記1以上の各タイミングごとに、前記関心スコアと前記共感スコアとの組の組情報を、関心スコアの軸と共感スコアの軸とを有する二次元の座標系の上にマッピングしたマップを構成するマップ構成手段とを具備し、
前記共感スコア取得手段は、
前記ボタン押下情報に対応する時の後の時間にも当該ボタン押下情報に対応する感情が継続し、かつ時間の経過により当該感情が減少することに関する押下後感情情報であり、前記タイミング情報が特定するタイミングの後の時点における押下後感情情報と、前記後の時点におけるポジティブボタンの指示に対応するボタン押下情報と、前記後の時点におけるネガティブボタンに対応するボタン押下情報とを用いて、前記後の時点における前記共感スコアであり、前記ボタン押下情報に対応する時の後の時間において、前記感情が減少していったことを示す前記共感スコアを取得する、
または前記ボタン押下情報に対応する時の前の時間にも当該ボタン押下情報に対応する感情が発生しており、当該感情の発生から時間の経過により当該感情が増加することに関する押下前感情情報であり、前記タイミング情報が特定するタイミングの前の時点における押下前感情情報と、前記前の時点におけるポジティブボタンの指示に対応するボタン押下情報と、前記前の時点におけるネガティブボタンに対応するボタン押下情報とを用いて、前記前の時点における前記共感スコアであり、前記ボタン押下情報に対応する時の前の時間において、前記感情が増加していったことを示す前記共感スコアを取得し、前記関心スコア取得手段は、
前記ボタン押下情報に対応する時の後の時間にも当該ボタン押下情報に対応する感情が継続し、かつ時間の経過により当該感情が減少することに関する押下後感情情報であり、前記タイミング情報が特定するタイミングの後の時点における押下後感情情報と、前記後の時点におけるポジティブボタンの指示に対応するボタン押下情報と、前記後の時点におけるネガティブボタンに対応するボタン押下情報とを用いて、前記後の時点における前記関心スコアであり、前記ボタン押下情報に対応する時の後の時間において、前記感情が減少していったことを示す前記関心スコアを取得する、
または前記ボタン押下情報に対応する時の前の時間にも当該ボタン押下情報に対応する感情が発生しており、当該感情の発生から時間の経過により当該感情が増加することに関する押下前感情情報であり、前記タイミング情報が特定するタイミングの前の時点における押下前感情情報と、前記前の時点におけるポジティブボタンの指示に対応するボタン押下情報と、前記前の時点におけるネガティブボタンに対応するボタン押下情報とを用いて、前記前の時点における前記関心スコアであり、前記ボタン押下情報に対応する時の前の時間において、前記感情が増加していったことを示す前記関心スコアを取得し、
前記統計処理結果出力部は、
前記マップを出力する、情報処理装置。」

なお、本願発明2、4、6−12の概要は以下のとおりである。
本願発明2は、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明4は、本願発明3を減縮した発明である。
本願発明6は、本願発明5を減縮した発明である。
本願発明7−9は、それぞれ、本願発明1、3,5に対応する「情報処理方法」の発明であり、本願発明1、3,5とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。
本願発明10−12は、それぞれ、本願発明1、3、5に対応する「プログラム」の発明であり、本願発明1、3,5とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。

第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1及び引用発明
(1) 引用文献1
当審拒絶理由の理由2−3において引用した引用文献1には、図面とともに、以下の記載がある(下線は、特に着目した箇所を示す。訳は当審訳。以下同様。)。

ア 段落[0026]−[0028]
「[0026] FIG. 1 illustrates a system 100 that can accommodate the disclosed embodiments. The system 100 includes a first device 102 that is configured to present a multimedia content. The content can be an entertainment content, such as a movie or a TV show, a live broadcast, such as a political debate or a sporting event, a news program, an advertisement, and the like. The first device 102 can be coupled to, or include, a display screen, a projector screen, one or more speakers and the associated circuitry and/or software components to enable the reception, processing and presentation of a multimedia content. The first device 102 may also be in communication with a storage 104 unit. The storage 104 unit can be any one of, or a combination of, a local and a remote (e.g., cloud-based) storage device.

・・・(中略)・・・

[0027] Referring again to FIG. 1, at least a portion of the multimedia content that is presented by the first device 102 is received by at least one other device, such as the second device 106. At least a portion of the first media content that is presented by the first device 102 may be received by devices other than the second device 106 (if present), such as the third device 108, fourth device 110, fifth device 112, etc. The terms "secondary device" or "secondary devices" are sometimes used to refer to one or more of the second device 106, third device 108, fourth device 110, fifth device 112, etc. In some embodiments, additional systems similar to the system 100 of FIG. 1 can simultaneously access and present the same content. For example, the system 100 of FIG. 1 can reside at a first household while a similar system can reside at a second household, both accessing the same content or different contents, and presenting them to a plurality of devices or users of the devices.
[0028] One or more of the second 106, the third 108, the fourth 110, the fifth 112, etc., devices is in communication with a database 114. The database 114 includes one or more storage 118 devices for storage of a variety of multimedia content, meta data, survey results, applications, instructions, etc., which may be stored on magnetic, optical, semiconductor and/or other types of memory devices. The database 114 can, for example, include a remote (e.g., cloud-based)storage device. The database 114 can further include, or be in communication with, one or more processing devices 120, such as a computer, that is capable of receiving and/or retrieving information, data and commands, processing the information, data, commands and/or other information, and providing a variety of information, data, commands. In some embodiments, the one or more processing devices 120 are in communication with the one or more of the secondary devices and can, for example, send/receive data, information and commands to/from the secondary devices.」
(訳:
[0026] 図1は、開示された実施形態に対応することができるシステム100を示している。システム100は、マルチメディアコンテンツを提示するように構成された第1の装置102を含む。コンテンツは、映画、テレビ番組等の娯楽コンテンツ、政治的な討論やスポーツ・イベント等の生放送、ニュース番組、広告等とすることができる。第1の装置102は、マルチメディアコンテンツの受信、処理、提示を可能にするため、ディスプレイ画面、プロジェクタ画面、1つ以上のスピーカと、関連する回路及び/又はソフトウェア・コンポーネントと結合されるか、含むことができる。また、第1の装置102は、記憶装置104と通信してもよい。記憶装置104は、ローカル及びリモート(例えば、クラウド)記憶装置の任意の1つ又は組合せとすることができる。

・・・(中略)・・・

[0027] 再び図1を参照すると、第1の装置102により提供されるマルチメディア・コンテンツの少なくとも一部は、第2の装置106などの、少なくとも1つの他の装置によって受信される。第1の装置102によって提示される第1のメディアコンテンツの少なくとも一部は、第3の装置108、第4の装置110、第5の装置112等の、(存在する場合)第2の装置106以外の装置にも受信される。用語「2次的装置(単数形)」又は「2次的装置(複数形)」は、第2の装置106、第3の装置108、第4の装置110、第5の装置112等の1つまたは複数を指すために用いられることがある。いくつかの実施形態では、図1のシステム100と同様の他の付加的なシステムが、同時に同じコンテンツにアクセスして表示することができる。例えば、図1のシステム100は、第1の家庭に位置することができ、同様のシステムは、第2の家庭に位置して、同じコンテンツまたは異なるコンテンツにアクセスして、複数の装置または複数の装置ユーザに対して提示できる。
[0028] 第2の装置106、第3の装置108、第4の装置110、第5の装置112等の装置のうち1つ以上のものは、データベース114と通信する。データベース114は、種々のマルチメディア・コンテンツ、メタデータ、サーベイ結果、アプリケーション、命令等を記憶する1つ以上の記憶装置118を備えており、これらは、磁気、光学、半導体、及び/又は他の方式のメモリ装置に格納できる。データベース114は、例えば、リモート記憶装置(例えば、クラウド)を含むことができる。データベース114は、さらに、情報、データ、コマンドを受信及び/又は検索し、情報、データ、コマンド及び/または他の情報を処理して、種々の情報、データ、コマンドを提供できる、コンピュータ等の1つ以上の処理装置120を含む、又は、これと通信することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の処理装置120は、1つ以上の2次的装置と通信し、例えば、2次側装置とでデータ、情報、およびコマンドを送信/受信できる。)

イ 図1




ウ 段落[0036]
「[0036] Referring back to FIG. 1, in some exemplary embodiments, a content that is presented by the first device is presented to one or more users of the secondary devices. For example, the content is presented by a television set (first device) to a user that is possession of a handheld device(second device), such as a smartphone. The second device is capable of determining synchronization and timing information associated with the presented content and to enhance the viewing experience of the user based on, for example, the feedback that it receives from the user and/or other users or consumers of the content. Generally, the multimedia content that is perceived by the user must be long enough to allow the user to form an opinion about the content and provide a feedback that is captured through the second device. The second device is configured to allow the input to be associated with corresponding segments of the content with a particular (and, e.g., adjustable) temporal granularity.」
(訳:
[0036] 再び図1を参照すると、いくつかの例示的な実施形態では、第1の装置で提示されるコンテンツは、2次的装置の1人以上のユーザに提示される。例えば、コンテンツは、テレビ装置(第1の装置)によって、スマートフォン等のハンドヘルド装置(第2の装置)を所有しているユーザに提示される。第2の装置は、提示されるコンテンツに関連付けられた同期情報とタイミング情報を決定して、例えば、ユーザ及び/又はコンテンツの他のユーザまたは消費者から受け取ったフィードバックに基づいて、ユーザの視聴体験を向上させることができる。一般的に、ユーザによって知覚されるマルチメディアコンテンツは、ユーザがコンテンツに対する意見を形成し、第2の装置を介して捕捉されたフィードバックを提供するために十分に長くなければならない。第2の装置は、特定の(また、例えば、調整可能な)時間的粒度を持つコンテンツの対応するセグメントに関連する入力を可能にするように構成されている。)

エ 段落[0046]
「[0046] The second device further provides evaluation tools to the user. The evaluation or feedback is any input that reveals user's opinion or comments about the content at a particular moment. The evaluation tools use one or more input technologies available on the device, including, but not limited to, a touch screen, an audio input(e.g., voice command), a video input, inertial sensing, physiological (e.g., biometric) sensing, an input from a gyroscope and/or accelerometer, and others. The user interface provides an easy-to-use mechanism for entering a response or providing a feedback. For example, a positive response to the content can be provided by an upward motion, a plus sign, touching a green field on a user interface or a thumb up sign, and the like. A negative response can be represented by a sideway motion, a minus sign, touching a red field or a thumbs down sign, and the like. The user interface of the disclosed embodiments further allows the user to provide a response without distracting the user from his/her primary activity of viewing the content, even if the feedback is entered multiple times over the course of the content or over the user viewing session. For example, a user may communicate his/her opinion conveniently using a touch screen, where tapping on the touch screen or swiping up and down indicates approval, while swiping left and right indicates disapproval. Repeated tapping or swiping may indicate strong approval/disapproval. Similarly the user may provide the input in a similar fashion using a mouse, or use the up/down/left/right keys on a keyboard, etc., to convey his/her opinion based on the tools available to the second device. User input may comprise involuntary reactions such as heart rate, sweating, breathing rate, or pupillary response. Note that all of these inputs can be executed without diverting the user's gaze from the screen on which the content is displayed.」
(訳:
[0046] 第2の装置はさらに、評価ツールをユーザに提供する。評価またはフィードバックは、特定の時点のコンテンツについてユーザの意見やコメントを明らかにする任意の入力である。評価ツールは、装置において利用できる1つ以上の入力技術を利用し、これは、タッチスクリーン、音声入力(例えば、音声コマンド)、画像入力、慣性センサ、(例えば、バイオメトリック)生理学的センサ、ジャイロスコープ及び/または加速度計からの入力その他を含むが、これらに限定されない。ユーザ・インタフェースは、応答を入力し、フィードバックを提供するための、使いやすい機構を提供する。例えば、コンテンツに対するポジティブ応答は、上向きの動き、正(プラス)記号、ユーザインタフェース上の緑色の領域、または、親指を立てるサインをタッチすること等によって表現することができる。ネガティブ応答は、横向きの動き、負(マイナス)記号、赤色の領域、または、親指を下げるサインをタッチすること等によって表現することができる。さらに、開示された実施形態のユーザインターフェースによれば、コンテンツにわたって、又は、ユーザの視聴セッションにわたって、フィードバックが複数回入力される場合でも、ユーザの主要アクティビティであるコンテンツ視聴から彼の/彼女の注意を逸らすことなく、応答を提供できる。例えば、ユーザは、タッチスクリーンを使用して、彼の/彼女の意見を容易に伝達でき、ここで、タッチスクリーン上でのタップまたは上下へのスワイプは承認を示す一方、左右へのスワイプは不承認を示す。繰り返されるタップやスワイプは、強い承認/不承認を示す。同様に、ユーザは、マウスを用いた同様の方法によって、又は、キーボードの上/下/左/右キー等を使用して、第2の装置で利用可能なツールにより、彼の/彼女の意見を伝達してもよい。ユーザ入力は、心拍数、発汗、呼吸数、または瞳孔反射等の不随意な反応を含むことができる。なお、これら全ての入力は、コンテンツが表示されている画面からユーザの視線をそらさずに実行できることに注意すべきである。

オ 段落[0056]−[0058]
「[0056] In response to user evaluation entry to the database, the database provides an evaluation response. In some embodiments, such a response provides positive incentives (e.g., rewards) to the users to encourage their participation. In one example, a response is provided to the first input provided in each viewing session (e.g., in each viewing of a particular content), while additional responses to subsequent user inputs may or may not be provided.
[0057] One exemplary type of evaluation response comprises an aggregated information or statistical summary of content evaluations provided by a plurality of users as a function of timeline. In case of live broadcasts, the aggregated information or statistical summary may correspond to segments of the content that has been already presented, while in case of pre-recorded content, the aggregated information or statistical summary may correspond to content segments that have already been presented as well as yet-to-be presented content segments. An objective of such a response is to present the user with a rating or value of the content as a function of time as perceived by other users, and to allow the user to make informed decision as to whether or not continue viewing the content, whether or not to rewind or pay closer attention to segments that the user might have missed, whether or not to skip to some future salient points, etc.
[0058] The aggregated information or statistical summaries can be presented as a graph where the x-axis represents the timeline of the content and the y-axis is the count of user entries of a particular type (e.g., “likes”) received in each time interval [t-s, t+s], where t is a value on the timeline and s is a predefined small value, such as one second. FIG. 3 illustrates a plot of evaluation feedback computed as the number of likes minus the number of dislikes versus content timeline in accordance with an exemplary embodiment. FIG.3 illustrates sharp peaks during three time periods, T1, T2 and T3. The peaks illustrate that other viewers have found these sections particularly interesting. FIG. 3 only provides a simple plot to facilitate understanding of the underlying concepts. It is, however, understood that other types of plots or data can be presented to the user in accordance with the disclosed embodiments. For example, the presented data can be normalized to fall within a particular scale(e.g., 0 to 10), can include standard deviations and confidence markers, can be color-coded to present easily discernible salient points (e.g., interesting versus boring content segments), and the like. In some examples, the content timeline is divided into a sequence of intervals of duration T, e.g. T=1 s, and the y-axis corresponds to the count of user entries of particular type during each of the intervals. Different entry types may be presented simultaneously on the same graph or on distinct graphs. In some examples, user entries are represented by numbers, e.g. “like” is “+1” and “dislike” is “-1” and the y-axis can represent the sum of user inputs within the time interval specified above. The presentation of statistics can be further enhanced if the user has sliders or other tools to express an intensity of the opinion, thus enabling the presentation of content evaluation with better granularity and dynamic range (on the y-axis).」
(訳:
[0056] ユーザ評価がデータベースに入力されることに応答して、データベースは、評価への応答を提供する。いくつかの実施形態では、このような応答は、ユーザ参加を奨励するために、ユーザにポジティブなインセンティブ(例えば報酬)を提供する。一実施例では、各視聴セッション(例えば、特定のコンテンツの視聴ごとに)での最初の入力に対しては応答が提供される一方、後続するユーザ入力に対する付加的な応答は提供されても提供されなくてもよい。
[0057]例示的な形式による評価への応答は、複数のユーザから提供されたコンテンツ評価を、時間軸(timeline)の関数として、集約した情報又は統計的まとめを含む。生放送の場合には、集約した情報または統計的まとめは、既に提示済みのコンテンツのセグメントに対応する。一方、事前に録画されたコンテンツの場合には、集約した情報または統計的まとめは、既に提示済みのコンテンツのセグメントに加えて、これから提示されるコンテンツのセグメントに対応する。このような応答の目的は、時間の関数として、他のユーザが知覚したコンテンツの評価や価値を、ユーザに提示することで、ユーザがコンテンツを視聴し続けるべきか、あるいは、ユーザが見逃したかもしれないセグメントまで巻き戻したり、注意を払うべきか、いくつかの将来の目立った箇所まで早送りすべきか等について、十分な情報を得た上で判断できるようにすることである。
[0058]集約した情報又は統計的まとめは、X軸がコンテンツの時間軸(timeline)を表し、Y軸が各時間間隔[t-s,t+s]で受信された特定タイプ(例えば、「いいね(Like)」)のユーザ入力のカウント値であり、ここで、tは時間軸(timeline)タイムライン上の値であり、sは、例えば、1秒などの予め定められた小さな値である、グラフとして提示することができる。図3は、例示的な実施形態における、コンテンツの時間軸(timeline)に対して、「いいね(Like)」の数から「嫌い(Dislike)」の数を減算して算出される評価フィードバックのプロットを示す図である。図3は、3つの時点における鋭いピーク、T1、T2、T3を示す。ピークは、他の視聴者は、これらの部分に、特に関心をもったことを示す。図3は、基礎的な概念を容易に理解できるように、シンプルなプロットのみを提示する。しかし、開示した実施形態によれば、他の種類のプロットまたはデータをユーザに提示できることを理解すべきである。例えば、提示されるデータは、特定のスケール(例えば、0から10)内に入るように正規化したり、標準偏差及び信頼性マーカーを含むことができ、容易に識別できる特徴点(例えば、面白い、又は、退屈なコンテンツのセグメント)を表すために色分けできる。いくつかの実施例では、時間軸(timeline)は、継続時間T(例えば、T=1秒である。)の区間の系列に分割されており、Y軸は、各々の区間での、特定タイプのユーザ入力のカウント値に対応する。異なるタイプの入力は、同じグラフ上に、または別個のグラフ上に同時に表示される。いくつかの実施例では、ユーザ入力は数値で表現され、例えば「いいね(Like)」は「+1」で、「嫌い(Dislike)」は「−1」で表示され、Y軸は、上述の時間間隔内のユーザ入力の合計を表すことができる。ユーザが意見の強度を表すスライダその他のツールを保持する場合、より良好な粒状性及びダイナミックレンジ(y軸上)で、統計の表示をさらに向上することができる。

カ 図3



(図3訳:
2S: 2秒
Content Time: コンテンツの時間
Likes−Dislikes(count): いいね(Like)−嫌い(Dislike)(カウント値))

(2) 引用発明
よって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されているものと認められる。

「システム100は、マルチメディアコンテンツを提示するように構成された第1の装置102を含み、
コンテンツは、映画、テレビ番組等の娯楽コンテンツ、政治的な討論やスポーツ・イベント等の生放送、ニュース番組、広告等とすることができ、
第1の装置102により提供されるマルチメディア・コンテンツの少なくとも一部は、第2の装置106などの、少なくとも1つの他の装置によって受信され、
第2の装置106、第3の装置108、第4の装置110、第5の装置112等の装置のうち1つ以上のものは、データベース114と通信し、
例えば、コンテンツは、テレビ装置(第1の装置)によって、スマートフォン等のハンドヘルド装置(第2の装置)を所有しているユーザに提示され、第2の装置は、提示されるコンテンツに関連付けられた同期情報とタイミング情報を決定して、例えば、ユーザ及び/又はコンテンツの他のユーザまたは消費者から受け取ったフィードバックに基づいて、ユーザの視聴体験を向上させることができ、
第2の装置は、評価ツールをユーザに提供し、評価またはフィードバックは、特定の時点のコンテンツについてユーザの意見やコメントを明らかにする任意の入力であり、
ユーザ・インタフェースは、応答を入力し、フィードバックを提供するための、使いやすい機構を提供し、例えば、コンテンツに対するポジティブ応答は、上向きの動き、正(プラス)記号、ユーザインタフェース上の緑色の領域、又は、または親指を立てるサインをタッチすること等によって表現することができ、ネガティブ応答は、横向きの動き、負(マイナス)記号、赤色の領域、又は、親指を下げるサインをタッチすること等によって表現することができ、
同様に、ユーザは、キーボードの上/下/左/右キー等を使用して、第2の装置で利用可能なツールにより、彼の/彼女の意見を伝達してもよく、
ユーザ評価がデータベースに入力されることに応答して、データベースは、評価への応答を提供し、
評価への応答は、複数のユーザから提供されたコンテンツ評価を、時間軸(timeline)の関数として、集約した情報又は統計的まとめを含み、
事前に録画されたコンテンツの場合には、集約した情報または統計的まとめは、既に提示済みのコンテンツのセグメントに加えて、これから提示されるコンテンツのセグメントに対応し、
集約した情報又は統計的まとめは、X軸がコンテンツの時間軸(timeline)を表し、Y軸が各時間間隔[t−s,t+s]で受信された特定タイプ(例えば、「いいね(Like)」)のユーザ入力のカウント値であり、ここで、tは、時間軸(timeline)上の値であり、sは、例えば、1秒などの予め定められた小さな値である、グラフとして提示することができ、
例示的な実施形態では、コンテンツの時間軸(timeline)に対して、「いいね(Like)」の数から「嫌い(Dislike)」の数を減算して算出される評価フィードバックのプロットを示し、
ピークは、他の視聴者は、これらの部分に、特に関心をもったことを示し、
いくつかの実施例では、時間軸(timeline)は、継続時間T(例えば、T=1秒である。)の区間の系列に分割されており、Y軸は、各々の区間での、特定タイプのユーザ入力のカウント値に対応し、異なるタイプの入力は、同じグラフ上に、または別個のグラフ上に同時に表示され、いくつかの実施例では、ユーザ入力は数値で表現され、例えば「いいね(Like)」は「+1」で、「嫌い(Dislike)」は「−1」で表示され、Y軸は、上述の時間間隔内のユーザ入力の合計を表すことができる、
システム100。」

2 引用文献2−3

(1) 引用文献2
引用文献2には、段落【0037】に、以下の記載がある。
「人気順とは肯定的評価から、否定的評価の数を引いたものであり、不人気順はその逆となる。話題度順は肯定的評価と否定的評価の数を合計したものであり、映画の良し悪しとは別に、多くの人がその映画に強い感情を抱いたことを確認できる。607は一週間に行われた投票について、話題度順に表示されている例である。」

(2) 引用文献3
引用文献3には、図16、段落【0074】−【0077】に、以下の記載がある。





「【0074】
図16は、話題規模に基づく製品の評価を示すためのモデル図である。
ここでは、車種A、車種Bおよび車種Cの3つの車種によって構成される仮想的な市場を想定している。これらの車種は市場における競合製品であるとする。横軸は、調査対象製品の話題規模シェアを示す。たとえば、所定日時の市場において車種Aの話題規模のシェアは、
車種Aの話題規模値÷(車種Aの話題規模値+車種Bの話題規模値+車種Cの話題規模値)
により求められる。左側ほどシェアが高いことを示し、右側ほど低いことを示す。
縦軸は、市場全体としての話題規模成長率を示す。上側ほど成長率が大きいことを示し、下側ほど成長率が鈍化していることを示している。話題規模成長率は、調査対象日時tにおける市場全体としての話題規模値とその1日前の日時t−1における話題規模値の比により求められる。すなわち、
話題規模成長率=(日時tにおける市場の話題規模値)÷(日時t−1における市場の話題規模値)−1
により求められる。市場の話題規模値は、いうまでもなく、車種Aの話題規模値+車種Bの話題規模値+車種Cの話題規模値により求められる。
【0075】
同図において、1月1日の段階では、車種A、車種B、車種Cのうち、車種Aに関する話題のシェアは大きく、車種Bや車種Cのシェアは小さい。2月1日の段階では、話題規模成長率が増加している。また、車種Bと車種Cのシェアが拡大し、その分、車種Aのシェアが低下している。ただし、これは車種Aの話題規模が小さくなったことを意味するとは限らず、あくまでも車種Bや車種Cの話題規模値に対する相対値である。3月1日の段階では、更に話題規模成長率が高くなっている。車種Bのシェアが著しく増加している。すなわち、車種Bは、図15でいうスターの領域に入ってきている。一方車種Aは、シェアを落とし、問題児の領域に入ってきている。車種Cは車種Bほどシェアを伸ばせず、やはり、問題児の領域に入ってきている。
【0076】
4月1日の段階になると、話題規模成長率は最高に大きくなっている。車種Bは、スターの領域にとどまり、車種Aや車種Cは問題児の領域に留まっている。5月1日になると、話題規模の成長は鈍化し、6月1日になると更に鈍化している。この間において、車種Bのシェアは低下しつつも、金のなる木の領域に入ってきている。一方、車種Aや車種Cは、負け犬の領域に入ってきている。最後に、7月1日になると、話題規模成長率は更に低下している。
【0077】
表示部114は、このように所定の期間における車種A、B、Cの話題の規模と傾向の推移を同一画面上にて比較可能に表示させることができる。話題規模は投稿者の興味を反映したものであり、購買活動、ブランドイメージなどさまざまな指標の先行指標として有効であると考えられる。このような態様によれば、話題をベースとして、競合製品間における評価を定量化するとともに、ユーザにとって視覚的に認識しやすくデータを提示できる。」

第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1) 対比

本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 本願発明1の「統計処理部」について
(ア) 引用発明の「マルチメディアコンテンツ」は、「コンテンツは、映画、テレビ番組等の娯楽コンテンツ、政治的な討論やスポーツ・イベント等の生放送、ニュース番組、広告等」であるから、本願発明1の「動画コンテンツ」に相当する。

(イ)引用発明の「第1の装置」、「第2の装置106、第3の装置108、第4の装置110、第5の装置112等の装置」は、いずれも本願発明1の「端末装置」に相当する。
引用発明において、「例えば、コンテンツは、テレビ装置(第1の装置)によって、スマートフォン等のハンドヘルド装置(第2の装置)を所有しているユーザに提示され、第2の装置は、提示されるコンテンツに関連付けられた同期情報とタイミング情報を決定して、例えば、ユーザ及び/又はコンテンツの他のユーザまたは消費者から受け取ったフィードバックに基づいて、ユーザの視聴体験を向上させることができ、
第2の装置は、評価ツールをユーザに提供し、評価またはフィードバックは、特定の時点のコンテンツについてユーザの意見やコメントを明らかにする任意の入力であり、
ユーザ・インタフェースは、応答を入力し、フィードバックを提供するための、使いやすい機構を提供し、例えば、コンテンツに対するポジティブ応答は、上向きの動き、正(プラス)記号、ユーザインタフェース上の緑色の領域、又は、または親指を立てるサインをタッチすること等によって表現することができ、ネガティブ応答は、横向きの動き、負(マイナス)記号、赤色の領域、又は、親指を下げるサインをタッチすること等によって表現することができ、
同様に、ユーザは、キーボードの上/下/左/右キー等を使用して、第2の装置で利用可能なツールにより、彼の/彼女の意見を伝達してもよく、
ユーザ評価がデータベースに入力されることに応答して、データベースは、評価への応答を提供し」ているから、引用発明の「ポジティブ応答」と「ネガティブ応答」は、本願発明1の「動画コンテンツに対する視聴者の感情を特定する2以上のボタンであり、ポジティブな感情を特定する1以上のポジティブボタンとネガティブな感情を特定する1以上のネガティブボタンとを含む2以上のボタン」に相当する。
よって、引用発明の「データベース114」に入力される「ポジティブ応答」と「ネガティブ応答」とを含む「ユーザ評価」は、本願発明1の「前記動画コンテンツとが出力されている端末装置に対して、視聴者が前記動画コンテンツの視聴中に指示したボタンを識別するボタン識別子を含む2以上の各ボタン押下情報」に相当する。

(ウ) 引用発明の「データベース114」は、「ポジティブ応答」と「ネガティブ応答」とを含む、「特定の時点のコンテンツについて」の「ユーザ評価」が入力されており、入力された「ユーザ評価」を処理しており、出力される「集約した情報又は統計的まとめは、X軸がコンテンツの時間軸(timeline)を表し」ているから、「データベース114」に入力される「ポジティブ応答」と「ネガティブ応答」を含む「ユーザ評価」は、「ポジティブ応答」と「ネガティブ応答」を識別する情報が付加されており、さらに何らかの「タイミングを特定するタイミング情報に関連付けて」、データベース114に格納されることは、明らかであるといえる。
よって、引用発明の「ユーザ評価」が入力される「データベース114」は、本願発明1の「2以上の各ボタン押下情報が、タイミングを特定するタイミング情報に対応付けて格納されるボタン押下情報格納部」に相当する。

(エ) 上記(ア)−(ウ)から、「ポジティブ応答」と「ネガティブ応答」とを含む「ユーザ評価」が入力され、入力された「ユーザ評価」を処理して、「複数のユーザから提供されたコンテンツ評価を、時間軸(timeline)の関数として、集約した情報又は統計的まとめを含」む「評価への応答」を出力する、引用発明の「データベース114」は、本願発明1の「動画コンテンツに対する視聴者の感情を特定する2以上のボタンであり、ポジティブな感情を特定する1以上のポジティブボタンとネガティブな感情を特定する1以上のネガティブボタンとを含む2以上のボタンと、前記動画コンテンツとが出力されている端末装置に対して、視聴者が前記動画コンテンツの視聴中に指示したボタンを識別するボタン識別子を含む2以上の各ボタン押下情報が、タイミングを特定するタイミング情報に対応付けて格納されるボタン押下情報格納部にアクセスし、当該ボタン押下情報格納部の前記2以上のボタン押下情報を用いて、統計処理し、統計処理結果を取得する統計処理部」に相当する。

イ 引用発明において「集約した情報又は統計的まとめ」を、「グラフとして提示することができ」ることは、本願発明1の「前記統計処理結果を出力する統計処理結果出力部」を具備することに相当する。

ウ 引用発明における「例示的な実施形態では、コンテンツのタイムラインに対して、「いいね(Like)」の数から「嫌い(Dislike)」の数を減算して算出される評価フィードバックのプロットを示し」ており、「いくつかの実施例では、ユーザ入力は数値で表現され、例えば「いいね(Like)」は「+1」で、「嫌い(Dislike)」は「−1」で表示され、Y軸は、上記指定された時間間隔内のユーザ入力の合計を表すことができる」ことは、本願発明1の「前記統計処理部は、前記1以上のポジティブボタンの指示に対応するボタン押下情報と、当該ボタン押下情報に対応するタイミング情報と同一のタイミング情報に対応する前記1以上のネガティブボタンに対応するボタン押下情報との両方を用いて、前記タイミング情報が特定するタイミングにおける視聴者のポジティブな感情に関するスコアである共感スコアを、2以上の時点において取得する共感スコア取得手段を具備し」ており、
「前記統計処理結果出力部は、
前記2以上の各時点における前記共感スコアを出力する」ことに相当する。

エ 引用発明の「システム100」は、本願発明1の「情報処理装置」に相当する。

オ よって、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。

[一致点]
「動画コンテンツに対する視聴者の感情を特定する2以上のボタンであり、ポジティブな感情を特定する1以上のポジティブボタンとネガティブな感情を特定する1以上のネガティブボタンとを含む2以上のボタンと、前記動画コンテンツとが出力されている端末装置に対して、視聴者が前記動画コンテンツの視聴中に指示したボタンを識別するボタン識別子を含む2以上の各ボタン押下情報が、タイミングを特定するタイミング情報に対応付けて格納されるボタン押下情報格納部にアクセスし、当該ボタン押下情報格納部の前記2以上のボタン押下情報を用いて、統計処理し、統計処理結果を取得する統計処理部と、
前記統計処理結果を出力する統計処理結果出力部とを具備し、
前記統計処理部は、
前記1以上のポジティブボタンの指示に対応するボタン押下情報と、当該ボタン押下情報に対応するタイミング情報と同一のタイミング情報に対応する前記1以上のネガティブボタンに対応するボタン押下情報との両方を用いて、前記タイミング情報が特定するタイミングにおける視聴者のポジティブな感情に関するスコアである共感スコアを、2以上の時点において取得する共感スコア取得手段を具備し、
前記統計処理結果出力部は、
前記2以上の各時点における前記共感スコアを出力する、情報処理装置。」

[相違点1]
本願発明1では、「前記共感スコア取得手段は、
前記ボタン押下情報に対応する時の後の時間にも当該ボタン押下情報に対応する感情が継続し、かつ時間の経過により当該感情が減少することに関する押下後感情情報であり、前記タイミング情報が特定するタイミングの後の時点における押下後感情情報と、前記後の時点におけるポジティブボタンの指示に対応するボタン押下情報と、前記後の時点におけるネガティブボタンに対応するボタン押下情報とを用いて、前記後の時点における前記共感スコアであり、前記ボタン押下情報に対応する時の後の時間において、前記感情が減少していったことを示す前記共感スコアを取得する、
または前記ボタン押下情報に対応する時の前の時間にも当該ボタン押下情報に対応する感情が発生しており、当該感情の発生から時間の経過により当該感情が増加することに関する押下前感情情報であり、前記タイミング情報が特定するタイミングの前の時点における押下前感情情報と、前記前の時点におけるポジティブボタンの指示に対応するボタン押下情報と、前記前の時点におけるネガティブボタンに対応するボタン押下情報とを用いて、前記前の時点における前記共感スコアであり、前記ボタン押下情報に対応する時の前の時間において、前記感情が増加していったことを示す前記共感スコアを取得し」ているのに対して、引用発明では、「押下後感情情報」及び「押下前感情情報」について、「時間の経過により当該感情が減少」し、「当該感情の発生から時間の経過により当該感情が増加」することが特定されていない点。

(2) 当審の判断
上記[相違点1]について検討する。
引用発明は、「集約した情報又は統計的まとめは、X軸がコンテンツの時間軸(timeline)を表し、Y軸が各時間間隔[t−s,t+s]で受信された特定タイプ(例えば、「いいね(Like)」)のユーザ入力のカウント値であり、ここで、tは、時間軸(timeline)上の値であり、sは、例えば、1秒などの予め定められた小さな値である、グラフとして提示することができ、 例示的な実施形態では、コンテンツのタイムラインに対して、「いいね(Like)」の数から「嫌い(Dislike)」の数を減算して算出される評価フィードバックのプロットを示し、
ピークは、他の視聴者は、これらの部分に、特に関心をもったことを示し、
いくつかの実施例では、時間軸(timeline)は、継続時間T(例えば、T=1秒である。)の区間の系列に分割されており、Y軸は、各々の区間での、特定タイプのユーザ入力のカウント値に対応し、異なるタイプの入力は、同じグラフ上に、または別個のグラフ上に同時に表示され、いくつかの実施例では、ユーザ入力は数値で表現され、例えば「いいね(Like)」は「+1」で、「嫌い(Dislike)」は「−1」で表示され、Y軸は、上述の時間間隔内のユーザ入力の合計を表す」ものである。
そして、この場合、各時間間隔[t−s,t+s]の評価フィードバックには、「いいね」の数から「嫌い」の数を引いた数として、現在時刻tにおけるコンテンツに対する評価フィードバックに加えて、現在時刻tよりも前の(s秒前までの)コンテンツに対する評価フィードバック(本願発明1の「押下後感情情報」に対応する。)と、現在時刻tより後の(s秒後までの)コンテンツに対する評価フィードバック(本願発明1の「押下前感情情報」)とが含まれるものである。
換言すれば、例えば、「継続時間T(例えば、T=1秒である。)」として、「1秒」ごとに時間間隔[t−s,t+s]の評価フィードバックを計算する場合であって、「s」の値が数秒間であるケースを想定すると、「t秒」の時点でのコンテンツに対する評価フィードバックは、t秒の前後の時間区間であるt−s秒からt+s秒までの間、毎秒ごとに繰り返し「継続」的にカウントされることを考慮すると、本願発明1の「前記共感スコア取得手段は、
前記ボタン押下情報に対応する時の後の時間にも当該ボタン押下情報に対応する感情が継続し、かつ時間の経過により当該感情が減少することに関する押下後感情情報であり、前記タイミング情報が特定するタイミングの後の時点における押下後感情情報と、前記後の時点におけるポジティブボタンの指示に対応するボタン押下情報と、前記後の時点におけるネガティブボタンに対応するボタン押下情報とを用いて、前記後の時点における前記共感スコアであり、前記ボタン押下情報に対応する時の後の時間において、前記感情が減少していったことを示す前記共感スコアを取得する、
または前記ボタン押下情報に対応する時の前の時間にも当該ボタン押下情報に対応する感情が発生しており、当該感情の発生から時間の経過により当該感情が増加することに関する押下前感情情報であり、前記タイミング情報が特定するタイミングの前の時点における押下前感情情報と、前記前の時点におけるポジティブボタンの指示に対応するボタン押下情報と、前記前の時点におけるネガティブボタンに対応するボタン押下情報とを用いて、前記前の時点における前記共感スコアであり、前記ボタン押下情報に対応する時の前の時間において、前記感情が増加していったことを示す前記共感スコアを取得し」ていることと、「前記共感スコア取得手段は、
前記ボタン押下情報に対応する時の後の時間にも当該ボタン押下情報に対応する感情が継続することに関する押下後感情情報であり、前記タイミング情報が特定するタイミングの後の時点における押下後感情情報と、前記後の時点におけるポジティブボタンの指示に対応するボタン押下情報と、前記後の時点におけるネガティブボタンに対応するボタン押下情報とを用いて、前記後の時点における前記共感スコアを取得する、
または前記ボタン押下情報に対応する時の前の時間にも当該ボタン押下情報に対応する感情が発生していたことに関する押下前感情情報であり、前記タイミング情報が特定するタイミングの前の時点における押下前感情情報と、前記前の時点におけるポジティブボタンの指示に対応するボタン押下情報と、前記前の時点におけるネガティブボタンに対応するボタン押下情報とを用いて、前記前の時点における前記共感スコアを取得し」ている点で共通するとはいい得る。
しかしながら、本願発明1の上記[相違点1]に係る、「前記共感スコア取得手段は、
前記ボタン押下情報に対応する時の後の時間にも当該ボタン押下情報に対応する感情が継続し、かつ時間の経過により当該感情が減少することに関する押下後感情情報であり、前記タイミング情報が特定するタイミングの後の時点における押下後感情情報と、前記後の時点におけるポジティブボタンの指示に対応するボタン押下情報と、前記後の時点におけるネガティブボタンに対応するボタン押下情報とを用いて、前記後の時点における前記共感スコアであり、前記ボタン押下情報に対応する時の後の時間において、前記感情が減少していったことを示す前記共感スコアを取得する、
または前記ボタン押下情報に対応する時の前の時間にも当該ボタン押下情報に対応する感情が発生しており、当該感情の発生から時間の経過により当該感情が増加することに関する押下前感情情報であり、前記タイミング情報が特定するタイミングの前の時点における押下前感情情報と、前記前の時点におけるポジティブボタンの指示に対応するボタン押下情報と、前記前の時点におけるネガティブボタンに対応するボタン押下情報とを用いて、前記前の時点における前記共感スコアであり、前記ボタン押下情報に対応する時の前の時間において、前記感情が増加していったことを示す前記共感スコアを取得し」ている構成については、上記引用文献1−3には記載されておらず、周知技術であるともいえない。
引用文献2には、事物の主観的な評価において、「肯定的な評価」と、「否定的な評価」の両方を、その事物に対する興味や関心を表す「評価」(スコア)として同等に扱う周知技術が記載され、また、引用文献3には、2種類のデータを、それぞれグラフの縦軸と横軸とする、2次元のグラフ形式で示す周知技術が開示されているが、「前記共感スコア取得手段は、
前記ボタン押下情報に対応する時の後の時間にも当該ボタン押下情報に対応する感情が継続し、かつ時間の経過により当該感情が減少することに関する押下後感情情報であり、前記タイミング情報が特定するタイミングの後の時点における押下後感情情報と、前記後の時点におけるポジティブボタンの指示に対応するボタン押下情報と、前記後の時点におけるネガティブボタンに対応するボタン押下情報とを用いて、前記後の時点における前記共感スコアであり、前記ボタン押下情報に対応する時の後の時間において、前記感情が減少していったことを示す前記共感スコアを取得する、
または前記ボタン押下情報に対応する時の前の時間にも当該ボタン押下情報に対応する感情が発生しており、当該感情の発生から時間の経過により当該感情が増加することに関する押下前感情情報であり、前記タイミング情報が特定するタイミングの前の時点における押下前感情情報と、前記前の時点におけるポジティブボタンの指示に対応するボタン押下情報と、前記前の時点におけるネガティブボタンに対応するボタン押下情報とを用いて、前記前の時点における前記共感スコアであり、前記ボタン押下情報に対応する時の前の時間において、前記感情が増加していったことを示す前記共感スコアを取得し」ていることは、開示されていない。
よって、当業者といえども、引用発明及び引用文献2−3に記載された技術的事項から、本願発明1の上記[相違点1]に係る構成を容易に想到することはできない。
したがって、本願発明1は、引用文献1に記載された発明ではなく、また、当業者であっても引用発明及び引用文献2−3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明3について
(1) 対比
本願発明1と同様に、「本願発明3」と引用発明とを対比すると、本願発明3と引用発明との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。

[一致点]
動画コンテンツに対する視聴者の感情を特定する2以上のボタンであり、ポジティブな感情を特定する1以上のポジティブボタンとネガティブな感情を特定する1以上のネガティブボタンとを含む2以上のボタンと、前記動画コンテンツとが出力されている端末装置に対して、視聴者が前記動画コンテンツの視聴中に指示したボタンを識別するボタン識別子を含む2以上の各ボタン押下情報が格納されるボタン押下情報格納部にアクセスし、当該ボタン押下情報格納部の2以上のボタン押下情報を用いて、統計処理し、統計処理結果を取得する統計処理部と、
前記統計処理結果を出力する統計処理結果出力部とを具備し、
前記統計処理結果出力部は、
前記関心スコアを出力する、情報処理装置。」

[相違点2]
本願発明3では、「前記統計処理部は、
前記1以上のポジティブボタンの指示に対応するボタン押下情報と、当該ボタン押下情報に対応するタイミング情報と同一のタイミング情報に対応する前記1以上のネガティブボタンの指示に対応するボタン押下情報との両方を用いて、前記タイミング情報が特定するタイミングにおける視聴者の関心に関するスコアである関心スコアを取得する関心スコア取得手段を具備し、
前記関心スコア取得手段は、前記ボタン押下情報に対応する時の後の時間にも当該ボタン押下情報に対応する感情が継続し、かつ時間の経過により当該感情が減少することに関する押下後感情情報であり、前記タイミング情報が特定するタイミングの後の時点における押下後感情情報と、前記後の時点におけるポジティブボタンの指示に対応するボタン押下情報と、前記後の時点におけるネガティブボタンに対応するボタン押下情報とを用いて、前記後の時点における前記関心スコアであり、前記ボタン押下情報に対応する時の後の時間において、前記感情が減少していったことを示す前記関心スコアを取得する、
または前記ボタン押下情報に対応する時の前の時間にも当該ボタン押下情報に対応する感情が発生しており、当該感情の発生から時間の経過により当該感情が増加することに関する押下前感情情報であり、前記タイミング情報が特定するタイミングの前の時点における押下前感情情報と、前記前の時点におけるポジティブボタンの指示に対応するボタン押下情報と、前記前の時点におけるネガティブボタンに対応するボタン押下情報とを用いて、前記前の時点における前記関心スコアであり、前記ボタン押下情報に対応する時の前の時間において、前記感情が増加していったことを示す前記関心スコアを取得し」ているのに対して、引用発明では、「ユーザ入力は数値で表現され、例えば「いいね(Like)」は「+1」で、「嫌い(Dislike)」は「−1」で表示され、Y軸は、上記指定された時間間隔内のユーザ入力の合計を表すことができる」ものであって、「いいね(Like)」と「嫌い(Dislike)」の評価のどちらでも高いスコアとすることは特定されておらず、さらに、引用発明では、「押下後感情情報」及び「押下前感情情報」について、「時間の経過により当該感情が減少」し、「当該感情の発生から時間の経過により当該感情が増加」することが特定されていない点。

(2) 当審の判断
上記[相違点2]について検討する。
本願発明3の上記[相違点2]に係る構成については、上記引用文献1−3には記載されておらず、周知技術であるともいえない。
引用文献2には、事物の主観的な評価において、「肯定的な評価」と、「否定的な評価」の両方を、その事物に対する興味や関心を表す「評価」(スコア)として同等に扱う周知技術が記載され、また、引用文献3には、2種類のデータを、それぞれグラフの縦軸と横軸とする、2次元のグラフ形式で示す周知技術が開示されているが、本願発明3の上記[相違点2]に係る構成は、開示されていない。
よって、当業者といえども、引用発明及び引用文献2−3に記載された技術的事項から、本願発明3の上記[相違点2]に係る構成を容易に想到することはできない。
したがって、本願発明3は、引用文献1に記載された発明ではなく、また、当業者であっても引用発明及び引用文献2−3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

3 本願発明5について
(1) 対比
本願発明1と同様に、「本願発明5」と引用発明とを対比すると、本願発明3と引用発明との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。

[一致点]
動画コンテンツに対する視聴者の感情を特定する2以上のボタンであり、ポジティブな感情を特定する1以上のポジティブボタンとネガティブな感情を特定する1以上のネガティブボタンとを含む2以上のボタンと、前記動画コンテンツとが出力されている端末装置に対して、視聴者が前記動画コンテンツの視聴中に指示したボタンを識別するボタン識別子を含む2以上の各ボタン押下情報が格納されるボタン押下情報格納部にアクセスし、当該ボタン押下情報格納部の2以上のボタン押下情報を用いて、統計処理し、統計処理結果を取得する統計処理部と、
前記統計処理結果を出力する統計処理結果出力部とを具備し、
前記統計処理部は、
前記1以上のポジティブボタンの指示に対応するボタン押下情報と、当該ボタン押下情報に対応するタイミング情報と同一のタイミング情報に対応する前記1以上のネガティブボタンの指示に対応するボタン押下情報との両方を用いて、前記タイミング情報が特定するタイミングにおける視聴者の感情に関するスコアである共感スコアを取得する共感スコア取得手段を具備し、
前記統計処理結果出力部は、
前記マップを出力する、情報処理装置。」

[相違点3]
本願発明5では、「前記統計処理部は」、さらに、「前記1以上のポジティブボタンの指示に対応するボタン押下情報と、当該ボタン押下情報に対応するタイミング情報と同一のタイミング情報に対応する前記1以上のネガティブボタンの指示に対応するボタン押下情報との両方を用いて、前記タイミングにおける視聴者の関心に関するスコアである関心スコアを取得する関心スコア取得手段と、
前記1以上の各タイミングごとに、前記関心スコアと前記共感スコアとの組の組情報を、関心スコアの軸と共感スコアの軸とを有する二次元の座標系の上にマッピングしたマップを構成するマップ構成手段とを具備し、
前記共感スコア取得手段は、
前記ボタン押下情報に対応する時の後の時間にも当該ボタン押下情報に対応する感情が継続し、かつ時間の経過により当該感情が減少することに関する押下後感情情報であり、前記タイミング情報が特定するタイミングの後の時点における押下後感情情報と、前記後の時点におけるポジティブボタンの指示に対応するボタン押下情報と、前記後の時点におけるネガティブボタンに対応するボタン押下情報とを用いて、前記後の時点における前記共感スコアであり、前記ボタン押下情報に対応する時の後の時間において、前記感情が減少していったことを示す前記共感スコアを取得する、
または前記ボタン押下情報に対応する時の前の時間にも当該ボタン押下情報に対応する感情が発生しており、当該感情の発生から時間の経過により当該感情が増加することに関する押下前感情情報であり、前記タイミング情報が特定するタイミングの前の時点における押下前感情情報と、前記前の時点におけるポジティブボタンの指示に対応するボタン押下情報と、前記前の時点におけるネガティブボタンに対応するボタン押下情報とを用いて、前記前の時点における前記共感スコアであり、前記ボタン押下情報に対応する時の前の時間において、前記感情が増加していったことを示す前記共感スコアを取得し、前記関心スコア取得手段は、
前記ボタン押下情報に対応する時の後の時間にも当該ボタン押下情報に対応する感情が継続し、かつ時間の経過により当該感情が減少することに関する押下後感情情報であり、前記タイミング情報が特定するタイミングの後の時点における押下後感情情報と、前記後の時点におけるポジティブボタンの指示に対応するボタン押下情報と、前記後の時点におけるネガティブボタンに対応するボタン押下情報とを用いて、前記後の時点における前記関心スコアであり、前記ボタン押下情報に対応する時の後の時間において、前記感情が減少していったことを示す前記関心スコアを取得する、
または前記ボタン押下情報に対応する時の前の時間にも当該ボタン押下情報に対応する感情が発生しており、当該感情の発生から時間の経過により当該感情が増加することに関する押下前感情情報であり、前記タイミング情報が特定するタイミングの前の時点における押下前感情情報と、前記前の時点におけるポジティブボタンの指示に対応するボタン押下情報と、前記前の時点におけるネガティブボタンに対応するボタン押下情報とを用いて、前記前の時点における前記関心スコアであり、前記ボタン押下情報に対応する時の前の時間において、前記感情が増加していったことを示す前記関心スコアを取得し」ているのに対して、引用発明では、「ユーザ入力は数値で表現され、例えば「いいね(Like)」は「+1」で、「嫌い(Dislike)」は「−1」で表示され、Y軸は、上記指定された時間間隔内のユーザ入力の合計を表すことができる」ものであって、「いいね(Like)」と「嫌い(Dislike)」の評価のどちらでも高いスコアとすることは特定されておらず、さらに、引用発明では、「押下後感情情報」及び「押下前感情情報」について、「時間の経過により当該感情が減少」し、「当該感情の発生から時間の経過により当該感情が増加」することが特定されていない点。

(2) 当審の判断
上記[相違点3]について検討する。
本願発明5の上記[相違点3]に係る構成については、上記引用文献1−3には記載されておらず、周知技術であるともいえない。
引用文献2には、事物の主観的な評価において、「肯定的な評価」と、「否定的な評価」の両方を、その事物に対する興味や関心を表す「評価」(スコア)として同等に扱う周知技術が記載され、また、引用文献3には、2種類のデータを、それぞれグラフの縦軸と横軸とする、2次元のグラフ形式で示す周知技術が開示されているが、本願発明5の上記[相違点3]に係る構成は、開示されていない。
よって、当業者といえども、引用発明及び引用文献2−3に記載された技術的事項から、本願発明5の上記[相違点3]に係る構成を容易に想到することはできない。
したがって、本願発明5は、引用文献1に記載された発明ではなく、また、当業者であっても引用発明及び引用文献2−3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

4 本願発明2、4、6、7−9、10−12について
本願発明2(及び7、10)、4(及び8、11)、6(及び9、12)も、それぞれ、本願発明1、3、5の上記[相違点1]−「相違点3」に係る構成と、(実質的に)同一の構成を備えるものであるから、本願発明1、3、5と同様の理由により、引用文献1に記載された発明ではなく、また、当業者であっても、引用発明、引用文献2−3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第7 当審拒絶理由の理由1について
令和4年8月29日付けの補正により、
(1) 補正後の請求項1は、「前記2以上の各時点における前記共感スコアを出力する、情報処理装置」と補正され、
(2) 補正後の請求項3は、「前記タイミング情報が特定するタイミング」と補正され、
(3) 補正後の請求項5は、「前記タイミング情報が特定するタイミング」と補正され、
(4) 補正後の請求項8は、「前記タイミング情報が特定するタイミング」と補正され、
(5) 補正後の請求項9は、「前記タイミング情報が特定するタイミング」と補正され、
(6) 補正後の請求項9は、「前記共感スコア取得サブステップにおいて」と補正され、
(7) 補正前の請求項11は削除され、
(8) 補正後の請求項11は、「前記タイミング情報が特定するタイミング」と補正され、
(9) 補正後の請求項12は、「前記タイミング情報が特定するタイミング」と補正された結果、当審拒絶理由の理由1(明確性)は解消した。

第8 原査定についての判断
令和4年8月29日付けの補正による、補正後の請求項1−12は、それぞれ、上記[相違点1]−[相違点3]のいずれかに係る技術的事項を有するものとなった。当該技術的事項は、原査定における引用文献A−Bには記載されておらず、周知技術でもないので、本願発明1−12は、引用文献Aに記載された発明ではなく、また当業者であっても、原査定における引用文献A−Bに基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。

第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-11-10 
出願番号 P2019-137445
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F)
P 1 8・ 113- WY (G06F)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 ▲吉▼田 耕一
特許庁審判官 稲葉 和生
石井 則之
発明の名称 情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム  
代理人 谷川 英和  

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