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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1391794
総通号数 12 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-01-26 
確定日 2022-12-13 
事件の表示 特願2017−153553「情報処理装置、情報処理方法及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 2月28日出願公開、特開2019− 32713、請求項の数(16)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成29年8月8日の出願であって,その手続の経緯は,概略以下のとおりである。

令和2年 7月31日 手続補正書 提出
令和3年 6月10日付け 拒絶理由通知
令和3年 8月13日 意見書・手続補正書 提出
令和3年10月20日付け 拒絶査定
令和4年 1月26日 審判請求書・手続補正書 提出

第2 原査定の概要

原査定(令和3年10月20日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

・(進歩性)この出願の請求項1−3,9−16に係る発明は,下記の引用文献1−3および8−9に記載された発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり,
この出願の請求項4および8に係る発明は,下記の引用文献1−5および8−9に記載された発明に基いて,その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり,
この出願の請求項5−7に係る発明は,下記の引用文献1−9に記載された発明に基いて,その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>

1.特開2005−107963号公報
2.猪股 志夫,“速攻解決 AutoCAD LT
逆引きリファレンス”,初版,ソシム株式会社,
2015年06月15日,pp.84-85
3.特開2006−048145号公報
4.特開2011−128777号公報
5.特開2002−175114号公報
6.特開平04−047368号公報
7.特開2002−049298号公報
8.特開2017−058971号公報
9.特開2011−228859号公報

第3 本願発明

本願の請求項1ないし16に係る発明(以下,「本願発明1」ないし「本願発明16」という。)は,令和4年1月26日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし請求項16に記載された事項により特定される,以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
ユーザの頭部の位置姿勢を計測する計測手段と,
仮想空間における三次元ポインタの位置姿勢とオブジェクトの形状および位置姿勢とに基づいて,前記三次元ポインタが前記オブジェクトを指しているかを判定する判定手段と,
前記三次元ポインタが前記オブジェクトを指していると判定された場合,当該三次元ポインタが当該オブジェクトを指している位置に基づく位置に,前記ユーザの頭部の位置姿勢に基づく視線方向に対向する向きで,前記オブジェクトに関わる操作メニューを生成し,前記三次元ポインタが前記オブジェクトを指していないと判定された場合,前記ユーザの左目の視錐台と右目の視錐台との重複領域内の前記オブジェクトより手前の位置に,前記視線方向に対向する向きで,前記オブジェクトによらないアプリケーション操作に関わる操作メニューを生成する第1の生成手段と,
前記第1の生成手段により生成された操作メニューと仮想空間に係るデータとに基づいて仮想空間画像を生成する第2の生成手段と,
前記第2の生成手段により生成された前記仮想空間画像と現実空間画像とを重畳し,複合現実画像を生成する第3の生成手段と,
前記第3の生成手段により生成された前記複合現実画像を出力する出力手段と,
を有する情報処理装置。
【請求項2】
ユーザの頭部の位置姿勢を計測する計測手段と,
仮想空間における三次元ポインタの位置姿勢とオブジェクトの形状および位置姿勢とに基づいて,前記三次元ポインタが前記オブジェクトを指しているかを判定する判定手段と,
前記三次元ポインタが前記オブジェクトを指していると判定された場合,当該三次元ポインタが当該オブジェクトを指している位置に基づく位置に,前記ユーザの頭部の位置姿勢に基づく視線方向に対向する向きで,前記オブジェクトに関わる操作メニューを生成し,前記三次元ポインタが前記オブジェクトを指していないと判定された場合,前記ユーザの左目の視錐台と右目の視錐台との重複領域内の前記オブジェクトより手前の位置に,前記視線方向に対向する向きで,前記オブジェクトによらないアプリケーション操作に関わる操作メニューを生成する第1の生成手段と,
前記第1の生成手段により生成された操作メニューと仮想空間に係るデータとに基づいて仮想空間画像を生成する第2の生成手段と,
前記第2の生成手段により生成された前記仮想空間画像を出力する出力手段と,
を有する情報処理装置。
【請求項3】
前記第1の生成手段は,前記三次元ポインタが前記オブジェクトを指していると判定された場合,当該三次元ポインタが当該オブジェクトを指している位置に基づく位置に,前記視線方向にメニュー面が垂直になるように,前記オブジェクトに関わる操作メニューを生成し,前記三次元ポインタが前記オブジェクトを指していないと判定された場合,前記ユーザの左目の視錐台と右目の視錐台との重複領域内の前記オブジェクトより手前の位置に,前記視線方向にメニュー面が垂直になるように,前記オブジェクトによらないアプリケーション操作に関わる操作メニューを生成する請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1の生成手段は,前記三次元ポインタがオブジェクトを指している場合であって,前記オブジェクトの種類が現実モデルである場合,現実モデルに対して操作を行う操作メニューを生成し,前記三次元ポインタがオブジェクトを指している場合であって,前記オブジェクトの種類が仮想物体である場合,仮想物体に対して操作を行う操作メニューを生成する請求項1乃至3何れか1項記載の情報処理装置。
【請求項5】
モードを選択する選択手段を更に有し,
前記第1の生成手段は,前記三次元ポインタがオブジェクトを指している場合であって,前記オブジェクトの種類が現実モデルである場合,前記現実モデルに対して前記選択手段によって選択されたモードに応じた操作を行う操作メニューを生成する請求項4記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記モードが操作編集モードの場合,前記第1の生成手段は,前記現実モデルに対して操作を行う操作メニューを生成する請求項5記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記モードが追加編集モードの場合,前記第1の生成手段は,前記現実モデルに対して追加操作を行う操作メニューを生成する請求項5記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記第1の生成手段は,前記三次元ポインタがオブジェクトを指している場合,前記オブジェクトの属性に応じて生成するオブジェクトに関わる操作メニューを変更する請求項1乃至4何れか1項記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記出力手段は,前記複合現実画像を頭部装着型表示装置に出力する請求項1記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記出力手段は,前記複合現実画像をビデオシースルー型の表示装置に出力する請求項1記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記出力手段は,前記仮想空間画像を頭部装着型表示装置に出力する請求項2記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記出力手段は,前記仮想空間画像を光学シースルー型の表示装置に出力する請求項2記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記仮想空間に係るデータは,当該仮想空間における仮想物体の形状情報または位置姿勢情報,もしくは当該仮想空間における光源の情報を含む請求項1乃至12何れか1項記載の情報処理装置。
【請求項14】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって,
ユーザの頭部の位置姿勢を計測する計測工程と,
仮想空間における三次元ポインタの位置姿勢とオブジェクトの形状および位置姿勢とに基づいて,前記三次元ポインタが前記オブジェクトを指しているかを判定する判定工程と,
前記三次元ポインタが前記オブジェクトを指していると判定された場合,当該三次元ポインタが当該オブジェクトを指している位置に基づく位置に,前記ユーザの頭部の位置姿勢に基づく視線方向に対向する向きで,前記オブジェクトに関わる操作メニューを生成し,前記三次元ポインタが前記オブジェクトを指していないと判定された場合,前記ユーザの左目の視錐台と右目の視錐台との重複領域内の前記オブジェクトより手前の位置に,前記視線方向に対向する向きで,前記オブジェクトによらないアプリケーション操作に関わる操作メニューを生成する第1の生成工程と,
前記第1の生成工程により生成された操作メニューと仮想空間に係るデータとに基づいて仮想空間画像を生成する第2の生成工程と,
前記第2の生成工程により生成された前記仮想空間画像と現実空間画像とを重畳し,複合現実画像を生成する第3の生成工程と,
前記第3の生成工程により生成された前記複合現実画像を出力する出力工程と,
を含む情報処理方法。
【請求項15】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって,
ユーザの頭部の位置姿勢を計測する計測工程と,
仮想空間における三次元ポインタの位置姿勢とオブジェクトの形状および位置姿勢とに基づいて,前記三次元ポインタが前記オブジェクトを指しているかを判定する判定工程と,
前記三次元ポインタが前記オブジェクトを指していると判定された場合,当該三次元ポインタが当該オブジェクトを指している位置に基づく位置に,前記ユーザの頭部の位置姿勢に基づく視線方向に対向する向きで,前記オブジェクトに関わる操作メニューを生成し,前記三次元ポインタが前記オブジェクトを指していないと判定された場合,前記ユーザの左目の視錐台と右目の視錐台との重複領域内の前記オブジェクトより手前の位置に,前記視線方向に対向する向きで,前記オブジェクトによらないアプリケーション操作に関わる操作メニューを生成する第1の生成工程と,
前記第1の生成工程により生成された操作メニューと仮想空間に係るデータとに基づいて仮想空間画像を生成する第2の生成工程と,
前記第2の生成工程により生成された前記仮想空間画像を出力する出力工程と,
を含む情報処理方法。
【請求項16】
コンピュータを,請求項1乃至13何れか1項記載の情報処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。」

第4 引用文献

1 引用文献1および引用発明

(1)引用文献1の記載事項

原査定の拒絶理由に引用された引用文献1には,図面とともに次の事項が記載されている(下線は,当審が付加した。以下同様。)。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は,三次元CG画像を操作する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バーチャルリアリティ(VR)システムは,コンピュータの作り出す三次元のコンピュータグラフィックス(CG)をユーザに提示することで,仮想の空間をあたかも現実であるかのように感じさせるシステムである。また,近年,現実世界の映像に三次元CGを合成することで現実世界にはない情報をユーザに提示する技術の開発もなされており,それらはAR(Augumented Reality, 拡張現実感)システムやMR(Mixed Reality, 複合現実感)システムと呼ばれている。
【0003】
こうしたVRシステムやARシステムにおいて,三次元CGの操作を行う際には,メニューと呼ばれる操作補助のための図形を画面に表示し,メニューに対して入力を行うことで操作を指示することが一般的である。こうしたメニューには複数の方式があり,メニューを選択することによって更にその下位にあるメニューが表示されるプルダウンメニューや,ボタン等を押すことによってメニューが表示されるポップアップメニュー,メニュー項目が円状に表示されるパイメニュー等がある(例えば,特許文献1参照)。
【0004】
今,図1のような画面を表示しているVRシステムがあるものとする。図1において,101,102,103は操作対象となる三次元CGオブジェクト,104はユーザが操作する三次元ポインタを表す。三次元ポインタ104はユーザの操作によって三次元空間中を自由に移動することが可能である。
【0005】
ここで,ユーザが三次元CGオブジェクト102に対して回転という操作を行う場合を考える。まず,ユーザは三次元ポインタ104を三次元CGオブジェクト102の上に動かし,その後,ボタン等を操作することによって図2の(a)に示すごとくポップアップメニュー105を表示させる。ポップアップメニュー105には図2の(b)に示すようにユーザの行うことのできる操作項目の一覧が示されており,ユーザは所望の操作をメニュー105より選択,指示することができる。ここでは,ユーザはメニューから回転という項目を選択するために,図3に示すように三次元ポインタ104をポップアップメニュー105の一番上の項目領域に移動し,項目の選択を指示することになる。
【特許文献1】 特許第3420538号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら,上述した一連の操作には,次のような課題がある。まず,一般に,メニュー表示は,ポインタで操作対象の三次元CGオブジェクトを指示した状態でなされ,その表示位置はポインタの付近である。このため,メニューそれ自体によって操作対象である三次元CGオブジェクトが隠されてしまい,ユーザの操作の妨げになってしまう。たとえば図2の(a)において操作対象の三次元CGオブジェクト102はポップアップメニュー105によってその一部が隠されている。このため,ユーザは三次元CGオブジェクト102の全体を見ながら操作を行うことができなくなる。なお,ポインタの位置から離れた位置にメニューを表示することも考えられるが,ユーザの視線移動量が増え,操作性が低下してしまう。
【0007】
また,もう一つの課題として,ユーザがポップアップメニュー105中の項目を選択するために,三次元ポインタ104を三次元空間中で移動させなければならないということがあげられる。ポップアップメニュー105中の項目のうちどの項目を選択するかは図3に示したように三次元ポインタ104の三次元位置によって決定される。また,操作対象となる三次元CGオブジェクトの選択も図2の(a)に示したように三次元ポインタ104の三次元位置によって決定される。そのため,三次元ポインタ104の三次元位置の変化が選択対象の変更を意味するのか,選択項目の変更を意味するのかはユーザにとってもシステムにとっても不明確である。
【0008】
たとえば図3のようにポップアップメニュー105中の項目を選ぶために三次元ポインタ104を移動させた場合,結果として三次元ポインタ104が三次元CGオブジェクト103の近辺にまで移動することとなる。このため,ユーザが三次元CGオブジェクト102を操作対象とするのか,三次元CGオブジェクト103を操作対象とするのかが不明確になってしまう。
【0009】
本発明は,上記課題に鑑みてなされたものであって,例えば三次元CGオブジェクトを画面に表示し,その操作指示をメニュー表示より選択するような構成において,メニュー表示による操作対象オブジェクトの視認性低下を防止することを目的とする。」

イ 図1


ウ 「【0014】
本実施形態のVRシステムでは,ユーザが装着した頭部搭載型ディスプレイに図1のような三次元CGが表示される。そして,手持ちの操作装置によって表示された三次元CGに操作を加えると,操作後の三次元CGが頭部搭載型ディスプレイに表示される。ここで,図1において,101,102,103は操作対象となる三次元CGオブジェクト,104はユーザが操作する三次元ポインタを表し,三次元ポインタ104はユーザの手持ちの入力装置によって操作される。」

エ 図4


オ 「【0015】
図4は本実施形態によるARシステムの構成を示すブロック図である。図4において,510は頭部搭載型ディスプレイ(Head Mount Display:以下,HMDと記す)であり,位置姿勢センサ511,カメラ512,表示部513を有する。位置姿勢センサ511はカメラ512の視線方向及び位置を検出し,その位置姿勢情報をCG生成部522及び画像合成部523に送る。カメラ512は現実空間を撮影し,その撮影情報を画像合成部523へ送る。表示部513は画像合成部523で生成された,CG画像と現実画像との合成画像を表示する。
【0016】
CG生成部522は,CGデータ格納部521よりCGデータを取得し,位置姿勢センサ511からの位置姿勢情報に基づいてCG画像を生成する。画像合成部523はカメラ512からの撮影情報に基づく現実画像に,CG生成部522で生成されたCG画像を位置姿勢情報に基づいて合成する。なお,CGデータ格納部521,CG生成部522,画像合成部523は,不図示のCPU及びメモリ等を備えたコンピュータ装置により実現され得る。
【0017】
操作装置530は位置姿勢センサ531,決定ボタン532,キャンセルボタン533を有する。本実施形態では,位置姿勢センサ531からの位置姿勢情報によって三次元ポインタ104の移動操作が制御される。」

カ 図5


キ 「【0018】
図5は,上述したCG生成部522の詳細構成を示したブロック図である。501は入力部であり,ユーザからの入力情報を受け付ける。ここで,ユーザからの入力情報とは,ユーザの装着したHMD510に備えられた位置姿勢センサ511からの位置姿勢情報,ユーザの手持ちの操作装置530に備えられた位置姿勢センサ531からの位置姿勢情報,及び操作装置530に備えられた決定ボタン532とキャンセルボタン533の2つのボタンの押下情報を含む。入力部501が受け取った入力情報は入力判定部503に送られる。
【0019】
502はデータ管理部であり,CGデータ格納部521に格納されたCGデータを管理する。CGデータは,シーン情報,すなわち仮想の三次元空間中に存在する三次元CGオブジェクトの情報である。データ管理部502が管理する情報としては,例えば三次元CGオブジェクトの形状,色,模様(テクスチャ)などがある。また,データ管理部502は,位置姿勢センサ531からの位置姿勢情報に基づいて生成される三次元ポインタ104の位置および姿勢の情報,また,位置姿勢センサ511からの位置姿勢情報に基づいて生成される,シーン描画のための視点の位置および姿勢を格納する。また,データ管理部502は外部からの要求に応じて保持する情報の出力や変更を行う。
【0020】
503は入力判定部であり,入力部501から受け取った入力情報をデータ管理部502から受け取ったシーンの情報を元に解釈し,シーンに対する操作情報として出力する。入力判定部503は,たとえば,位置姿勢センサ511から得られるユーザ頭部の位置姿勢情報を入力部501より受け取り,その情報をシーンに対する視点に関する操作情報として出力する。また,操作装置530に備えられた位置姿勢センサ531からの位置姿勢情報やボタン(532,533)の押下情報を受け取り,例えばメニューが表示されているか否かに応じて,シーンの三次元CGオブジェクトに対する操作情報を生成し,出力する(図6により後述する)。
【0021】
504は操作処理部であり,入力判定部503から受け取った操作情報に基づいてデータ管理部502に対してシーンの変更を要求する。505は画像生成部であり,データ管理部502に格納されたシーン情報を元にCG画像を生成し,画像合成部523(図4)へ出力する。」

ク 図6


ケ 「【0022】
図6は,上述のCG生成部522の動作を説明するフローチャートである。CGデータに基づくCG画像の生成が開始されると,ステップS601において入力部501が入力情報を受けとる。上述したように,入力情報はユーザの装着するHMD510に備えられた位置姿勢センサ511の位置姿勢情報,操作装置530に備えられた位置姿勢センサ531からの位置姿勢情報,及び操作装置530に備えられたボタン(532,533)の押下情報を含む。入力部501で受け取った入力情報は入力判定部503に送られる。ステップS602において,入力判定部503は,ボタンの押下情報の有無を判定する。ボタンの押下情報がある場合,すなわちユーザが何らかのボタンを押したと判定された場合はステップS603へ,押下情報がない場合にはステップS640へに進む。
【0023】
ステップS603においては,入力判定部503により押下されたボタンの種類が判定される。押下情報が決定ボタン532のものである場合,すなわちユーザが決定ボタン532を押したと判定される場合にはステップS604へ進む。また,ユーザがキャンセルボタン533を押したと判定される場合にはステップS630に進む。ステップS604においては,シーン中にメニューが存在するかどうか,すなわちデータ管理部502が管理する三次元CGオブジェクトの情報中にメニューを表すCGオブジェクトが含まれるかどうかが判定される。メニューが存在する場合にはステップS605へ,存在しない場合にはステップS620へそれぞれ進む。
【0024】
データ管理部502が管理する三次元CGオブジェクトにメニューが存在する場合,ステップS605において,そのメニュー中のいずれかの項目が選択されているかどうかが入力判定部503によって判定される。この判定はどのような方法でなされてもよいが,たとえばメニューの選択項目を示す情報をデータ管理部502に記録するようにしておき,その選択項目情報を入力判定部503が参照することで実現可能である。なお,選択項目の決定は後述のステップS641で行なわれる。メニュー中の項目のいずれかが選択されている場合,すなわち選択項目が存在する場合にはステップS606へ,選択がなされていない場合にはステップS650へ進む。
【0025】
ステップS606においては,入力判定部503でメニューの選択項目に応じた機能が決定される。決定された機能の情報は操作情報として操作処理部504に渡される。
【0026】
一方,メニューが存在しない場合は,ステップS620において,三次元ポインタ104の近辺に三次元CGオブジェクトが存在するかどうかが入力判定部503により判定される。三次元ポインタ104の近辺にオブジェクトが存在する場合には,そのオブジェクトが操作の対象として選択されたものと判定されステップS621に進む。また,そのようなオブジェクトが存在しない場合には操作の対象が指定されていないものと判定され,ステップS650に進む。
【0027】
三次元ポインタ104の近辺にオブジェクトが存在した場合,ステップS621において,データ管理部502においてメニューオブジェクトの生成が行われる。ここで,メニューは図7に示すような,中央がくり抜かれた円盤形状(環状)の三次元CGオブジェクトである。環は等分に分割されて項目領域が規定され,各項目領域の上にはユーザによって指定が可能な操作項目が一つずつ記されている。以下,図7に示すメニューを環メニュー801という。環メニュー801は図8に示したように三次元ポインタ104の周りを囲むような位置に生成され,その情報はデータ管理部502に格納される。ここで,環メニュー801を表す情報にはその位置,姿勢,半径,項目,選択されている項目などの情報が含まれる。」

コ 図7


サ 図8

(2)引用発明

上記(1)の,特に下線を付加した記載に着目すると,引用文献1には,以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「三次元CG画像を操作する装置に関する,VRシステムやARシステムにおいて,
三次元CGオブジェクトを画面に表示し,その操作指示をメニュー表示より選択するような構成において,メニュー表示による操作対象オブジェクトの視認性低下を防止することを目的とし,
システムでは,ユーザが装着した頭部搭載型ディスプレイに三次元CGが表示され,手持ちの操作装置によって表示された三次元CGに操作を加えると,操作後の三次元CGが頭部搭載型ディスプレイに表示されるものであり,三次元ポインタ104はユーザの手持ちの入力装置によって操作されるものであり,
システムの構成において,
510は頭部搭載型ディスプレイ(Head Mount Display:以下,HMDと記す)であり,位置姿勢センサ511,カメラ512,表示部513を有しており,
位置姿勢センサ511はカメラ512の視線方向及び位置を検出し,その位置姿勢情報をCG生成部522及び画像合成部523に送っており,
カメラ512は現実空間を撮影し,その撮影情報を画像合成部523へ送っており,
表示部513は画像合成部523で生成された,CG画像と現実画像との合成画像を表示しており,
CG生成部522は,CGデータ格納部521よりCGデータを取得し,位置姿勢センサ511からの位置姿勢情報に基づいてCG画像を生成しており,
画像合成部523はカメラ512からの撮影情報に基づく現実画像に,CG生成部522で生成されたCG画像を位置姿勢情報に基づいて合成しており,
CGデータ格納部521,CG生成部522,画像合成部523はCPU及びメモリ等を備えたコンピュータ装置により実現されており,
操作装置530は位置姿勢センサ531,決定ボタン532,キャンセルボタン533を有し,位置姿勢センサ531からの位置姿勢情報によって三次元ポインタ104の移動操作が制御され,
CG生成部522の構成において,
501は入力部であり,ユーザからの入力情報を受け付けており,ここで,ユーザからの入力情報とは,ユーザの装着したHMD510に備えられた位置姿勢センサ511からの位置姿勢情報,ユーザの手持ちの操作装置530に備えられた位置姿勢センサ531からの位置姿勢情報,及び操作装置530に備えられた決定ボタン532とキャンセルボタン533の2つのボタンの押下情報を含んでおり,
入力部501が受け取った入力情報は入力判定部503に送られ,
502はデータ管理部であり,CGデータ格納部521に格納されたCGデータを管理しており,CGデータは,シーン情報,すなわち仮想の三次元空間中に存在する三次元CGオブジェクトの情報であり,また,データ管理部502は,位置姿勢センサ531からの位置姿勢情報に基づいて生成される三次元ポインタ104の位置および姿勢の情報,また,位置姿勢センサ511からの位置姿勢情報に基づいて生成される,シーン描画のための視点の位置および姿勢を格納しており,
503は入力判定部であり,入力部501から受け取った入力情報をデータ管理部502から受け取ったシーンの情報を元に解釈し,シーンに対する操作情報として出力しており,たとえば,位置姿勢センサ511から得られるユーザ頭部の位置姿勢情報を入力部501より受け取り,その情報をシーンに対する視点に関する操作情報として出力しており,
504は操作処理部であり,入力判定部503から受け取った操作情報に基づいてデータ管理部502に対してシーンの変更を要求しており,
505は画像生成部であり,データ管理部502に格納されたシーン情報を元にCG画像を生成し,画像合成部523へ出力しており,
CG生成部522の動作フローにおいて,
CGデータに基づくCG画像の生成が開始されると,入力部501が入力情報を受けとり,入力情報はユーザの装着するHMD510に備えられた位置姿勢センサ511の位置姿勢情報,操作装置530に備えられた位置姿勢センサ531からの位置姿勢情報,及び操作装置530に備えられたボタン(532,533)の押下情報を含んでおり,
入力部501で受け取った入力情報は入力判定部503に送られ,
入力判定部503は,ボタンの押下情報の有無を判定し,
三次元ポインタ104の近辺に三次元CGオブジェクトが存在するかどうかが入力判定部503により判定され,
三次元ポインタ104の近辺にオブジェクトが存在した場合,ステップS621において,データ管理部502においてメニューオブジェクトの生成が行われ,ここで,メニューは中央がくり抜かれた円盤形状(環状)の三次元CGオブジェクトであり,環は等分に分割されて項目領域が規定され,各項目領域の上にはユーザによって指定が可能な操作項目が一つずつ記されており,メニュー801は三次元ポインタ104の周りを囲むような位置に生成される
システム。」

2 引用文献2ないし9

(1)引用文献2

原査定の拒絶理由において,引用された引用文献2には,図面とともに次の事項が記載されている。

ア (84p下部)


イ (85p上部)


(2)引用文献3

原査定の拒絶理由において,引用された引用文献3には,図面とともに次の事項が記載されている。

ア 図2


イ 「【0042】
図2において,201は,表示画面200の背景部でマウス右ボタンをクリックした場合のプルダウン・メニューの例を示している。また,202は,表示画面200上の説明ボックス203をポイントし,マウス右ボタンをクリックした場合のプルダウン・メニューの例を示している。また,204は,画面上の機能ユニット205をポイントし,マウス右ボタンをクリックした場合のプルダウン・メニューの例を示している。」

ウ 図3


エ 「【0043】
図3において,301は,表示画面300の背景部でマウス右ボタンをクリックした場合のプルダウン・メニューの例を示している。また,302は,表示画面300上の説明ボックス303をポイントし,マウス右ボタンをクリックした場合のプルダウン・メニューの例を示している。また,304は,画面上の機能ユニット305をポイントし,マウス右ボタンをクリックした場合のプルダウン・メニューの例を示している。」

オ 図4


カ 「【0044】
図4において,401は,表示画面400の背景部でマウス右ボタンをクリックした場合のプルダウン・メニューの例を示している。また,402は,表示画面400上の組織名403をポイントし,マウス右ボタンをクリックした場合のプルダウン・メニューの例を示している。」

(3)引用文献4

原査定の拒絶理由において,引用された引用文献4には,図面とともに次の事項が記載されている。

「【要約】
【課題】操作監視画面上の選択オブジェクトに応じて,異なった構成の右クリックメニュー表示を可能とする操作監視装置を実現する。
【解決手段】プロセス制御システムの操作監視装置において,
前記操作監視装置の操作監視画面に表示されるオブジェクの内で右クリックメニュー画面表示の対象となるオブジェクト毎に定義されたメニュー項目を持つ,オブジェクト名で登録された複数の個別メニュー定義ファイルを保持するオブジェクトファイル保持手段と,
前記操作監視画面上で右クリックされたオブジェクト名情報を取得して前記オブジェクトファイル保持手段を検索し,前記オブジェクト名で登録された個別メニュー定義ファイルを抽出する検索手段と,
抽出された前記個別メニュー定義ファイル情報を取得して前記操作監視画面に右クリックメニュー画面を表示させる画面表示手段と,
を備える。」

(4)引用文献5

原査定の拒絶理由において,引用された引用文献5には,図面とともに次の事項が記載されている。

ア 図1


イ 「【0020】図1(b)は機器3についてのポップアップメニューpの立ち上げ手順を示すもので,図2に示すように機器シンボル(機器3)がクリックされると,前記記憶手段を参照して,機器3が登録されている機能を調べ,それらの機能一覧を選択項目として持つポップアップメニューpを立ち上げる。このポップアップメニューで機能Cが追加されているのは,前記記憶手段から機器3が機能Cに登録されているという記憶内容を読み取って機能一覧を作成したからである。ポップアップメニューの機能一覧から機能Cをクリックにより選択すると,機能アプリケーションが起動され機器3が実行対象として含まれる機能Cの実行画面に遷移する。」

ウ 図2


(5)引用文献6

原査定の拒絶理由において,引用された引用文献6には,図面とともに次の事項が記載されている。

「また,上記メニュー実行プログラム2bは簡易(初心者向け)メニューを選択するためのモードと,詳細(上級者向け)メニューを選択するためのモードが各段階で選べるように設定されており,簡易メニューのモードが選択されたときは,必要最小限の内容や使用頻度の高い一般的な内容のみがセレクトできるようなメニュー構成でメニューをポップアップするようにし,また,詳細メニューのモードが選択されたときは,選択可能な全ての内容のセレクトと数値設定可能な状態(数値入力可能な状態)のメニュー構成でメニューをポップアップするようにしてある。」(4ページ右上欄20行〜同ページ左下欄11行)

(6)引用文献7

原査定の拒絶理由において,引用された引用文献7には,図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0071】**B.Zephyrusモデラー(wind.exe)について
このサブシステムは,「MapInfo」で切り取った「ゼンリン住宅地図」による建物形状や以前「Zephyrusモデラー」で作成した建物形状を元に,風環境数値シミュレーションで使えるような3次元解析モデルを生成するものである。「Zephyrusモデラー」での主要な操作は,画面上でマウス右クリックによって表示されるポップアップメニューで行う。以下に,このメニューごとの機能を説明する。「比較モード」時は,*印の操作は行えない。」

イ 図11


ウ 「【0072】まず,図11を参照して,「File」メニューについて説明する。
*[Import Map]は,「MapInfo」で切り取った住宅地図を読み込む。
[Export Model]は,作成した解析モデルを,数値シミュレーションが利用できる形式に変換して出力する。[Load file]は,保存した「モデル形状」ファイルを読み込む。[Save file]は,現在編集している内容を「モデル形状」ファイルとして保存する。[Load Texture]は,「建物追加モード」時,参照のために重ねて表示する画像ファイルを読み込む。
*[Import other Map]は,「MapInfo」で切り取ったその他の地図(道路図等)を読み込む。
*[Reread Z Mesh]は,高さ方向のメッシュ分割方法を,現在の「プロジェクトディレクトリ」内の(wind.ini)の記述に合わせる。」

エ 図12


オ 「【0073】次に,図12を参照して,「Edit」メニューについて説明する。
*[Change mesh]は,平面方向のメッシュ分割方法を設定する,「メッシュ分割編集ツール」を起動する。
*[Set Base Altitude]は,基準平面の高度と,Z方向の解析モデル空間の高さを設定する,「高さ方向メッシュ設定ツール」を起動する。
[Allot floor height]は,階数情報が無い建物に対し,一律規定の階数を割り当てる。
【0074】[mode XX−>]は,「編集モード」の変更を実行する(現在XXのモードから,下記(1)〜(6)のモードへ切り替える)。
【0075】(1)[normal]は,「通常モード」へ切り替える。通常の閲覧,表示はこのモードで行う。この「通常モード」で表示されるポップアップメニューによって,以下に列挙する操作を実行することができる。「モデルの回転;モデルの拡大縮小;モデルの平行移動;建物の選択;選択した建物/植栽の高さを増加;選択した建物/植栽の高さを減少;選択した建物/植栽の詳細情報を表示;選択した建物/植栽を削除;選択した植栽の幅を増加;選択した植栽の幅を減少;モデル縮小;モデル拡大;モデル平行移動;お気に入りの視点を登録;登録されたお気に入りの視点にジャンプ;モデルを原点位置に戻す」また,「通常モード」で「高さ方向メッシュ設定ツール」が表示されているときには,そこで表示されるポップアップメニューによって,以下に列挙する操作を実行することができる。「モデルの回転;モデルの拡大縮小;モデルの平行移動;建物の選択;基準平面の高度を0.1m 増加;基準平面の高度を0.1m 減少;選択した建物の詳細情報を表示;モデル縮小;モデル拡大;モデル平行移動」
【0076】(2)*[direction]は,「地図方角変更モード」へ切り替える。このモードでは,マウスドラッグの始点から終点の方向が,画面の下から上の方向になるよう,地図全体を回転させる。この「地図方角変更モード」で表示されるポップアップメニューによって,以下に列挙する操作を実行することができる。「地図の方向変換;モデルの拡大縮小;モデルの平行移動;モデル縮小;モデル拡大;モデル平行移動」
【0077】(3)[pline]は,「折れ線形状編集モード」へ切り替える。このモードでは,地図内の折れ線形状の建物が他の建物と区別して異なる色で表示され,目的とする折れ線形状を選択し,続いて,それと組み合わせる線分を指定することで,折れ線形状の建物から閉じた形状の建物を生成する。この「折れ線形状編集モード」で表示されるポップアップメニューによって,以下に列挙する操作を実行することができる。「折れ線の選択;選択した折れ線の確定;確定した折れ線のキャンセル;閉じた図形を建物として新規登録;モデルの拡大縮小;モデルの平行移動;モデル縮小;モデル拡大;モデル平行移動」
【0078】(4)[addBuilding]は,「建物追加モード」へ切り替える。このモードでは,マウスで入力した新しい形状が,新規の建物として追加される。また,入力を補助するため,建物の平面図等,任意の画像ファイルを読み込み,半透明の状態で,地図と重ねて表示できる。この「建物追加モード」で表示されるポップアップメニューによって,以下に列挙する操作を実行することができる。「追加建物の頂点を指定;指定した頂点のキャンセル;垂直モード/通常モード切替え;モデルの拡大縮小;モデルの平行移動;モデル縮小;モデル拡大;画像拡大縮小;画像平行移動;画像回転」
【0079】(5)*[trimming]は,「トリミングモード」へ切り替える。このモードでは,マウスで囲んだ矩形領域以外の部分を切り捨てることができる。この「トリミングモード」で表示されるポップアップメニューによって,以下に列挙する操作を実行することができる。「切り取る領域の選択;モデルの拡大縮小;モデルの平行移動;モデル縮小;モデル拡大;モデル平行移動」
【0080】(6) [addPlanting]は,「植栽追加モード」へ切り替える。このモードでは,マウスで指定した点に,新たに植栽が追加される。また,入力を補助するため,建築物の平面図等,任意の画像ファイルを読み込み,半透明の状態で,地図と重ねて表示できる。」

(7)引用文献8

原査定の拒絶理由において,引用された引用文献8には,図面とともに次の事項が記載されている。

ア 図8


イ 「【0078】
注視継続時間が所定の認定時間(例えば,1〜2秒程度)に達すると,当該メニュー割当オブジェクトは「注視オブジェクト(選択オブジェクト)」として認定される。すると,図8(1)のゲーム画面W8に示すように,第1層メニュー表示オブジェクト41(41a,41b,…)が,注視オブジェクトに添付表示される。第1層メニュー表示オブジェクト41は,当該注視オブジェクト(この場合,カップオブジェクト24)に設定されている階層構造のメニュー項目のうち第1階層のメニュー項目を表す表示体である。
【0079】
本実施形態のメニュー項目は階層構造を有するように構成されている。すなわち,メニュー項目の選択を繰り返す毎に,直前に選択したメニュー項目の内容をより詳細或いは具体的に絞り込こむ構成となっている。本実施形態では,階層構造の階層数N(Nは自然数)を「3」の場合を例示するが,階層数Nは「2」でもよいし,4以上でもよい。
【0080】
第1層メニュー表示オブジェクト41は,注視オブジェクト(カップオブジェクト24)に予め設定されている「基準方向5」に沿って配列表示される。そして,配置表示された第1層メニュー表示オブジェクト41は,それぞれの基準面(例えば,正面)が常に仮想ステレオカメラ10を向くように,いわゆるビルボード処理される。なお,ビルボード処理は省略してもよい。
【0081】
基準方向5は,少なくとも仮想ステレオカメラ10の視線方向に対するメニュー表示オブジェクトの配列方向の相対関係を定義する。基準方向5は,その注視オブジェクトに係るメニュー表示オブジェクトを,当該注視オブジェクトの配置状況において認識しやすい位置に表示するための基準情報であり,注視オブジェクトの配置位置を基準に定義される。
図8の例では,注視オブジェクトであるカップオブジェクト24の基準方向5は,カップオブジェクト24の上方,仮想ステレオカメラ10の直交3軸視界座標系における左右方向軸(Xc軸)に沿うように設定されている。勿論,視界座標の上下方向軸(Yc軸)や奥行き方向軸(Zc軸)に沿うように設定してもよい。
【0082】
よって,図8では,カップの持ち手が仮想ステレオカメラ10から見て右側となる相対位置関係の例を示しているが,仮にカップ持ち手が仮想ステレオカメラ10とから見て裏側になる相対位置関係であっても,或いは仮にカップが横倒しになっていたとしても,第1層メニュー表示オブジェクト41は,図8のようにやはり注視オブジェクト(カップオブジェクト24)の上方に,仮想ステレオカメラ10から見て左右方向に配列されることになる。」

(8)引用文献9

原査定の拒絶理由において,引用された引用文献9には,図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0027】
(実施の形態1)
実施の形態1の概要を述べる。実施の形態1は,3次元テレビ206においてゲームや映画等の3次元映像を含むコンテンツを再生中に制御メニューを表示する場合,3次元空間において制御メニューのオブジェクトを設定し,そのオブジェクトを視点側から奥行き方向に移動させながら描画する。ユーザには,システムメニューが手前から移動しながら3次元空間に入ってきたように見える。」

イ 図5


ウ 「【0028】
図5は,制御メニューのオブジェクト216と他のオブジェクト200との3次元空間における位置関係を示す図である。図5に示すように,制御メニューのオブジェクト216と総称する制御メニューのオブジェクト216aが3次元空間においてオブジェクト200よりも視点側の位置に登場し,視線方向に移動して制御メニューのオブジェクト216bの位置まで移動する。3次元空間において視点に置かれたカメラ202から見た制御メニューのオブジェクト216bと他のオブジェクト200との位置関係は,オブジェクト200の方が視点側に存在する。」

エ 図6


オ 「【0029】
図6(a)は,制御メニューのオブジェクト216bを,他のオブジェクト200との位置関係にしたがって表示する場合を示す図である。視点を表すカメラ202側から見て制御メニューのオブジェクト216bは他のオブジェクト200の奥にあるため,制御メニューのオブジェクト216bはオブジェクト200に隠れて見えない。
【0030】
前述したとおり,制御メニューはコンテンツを再生する装置の動作に関わる重要な情報をユーザに提示するために利用される場合が多く,制御メニューのオブジェクト216bがオブジェクト200に隠れて見えないとなると不都合が生じうる。そこで,実施の形態1では,制御メニューのオブジェクト216と他のオブジェクト200との位置関係に依存せずに,制御メニューのオブジェクト216を他のオブジェクト200の画像の上に上書きする。
【0031】
図6(b)は,実施の形態1に係る3次元画像表示装置100における制御メニューの表示例を示す図である。制御メニューのオブジェクト216aが3次元空間においてオブジェクト200よりも視点側の位置に登場して,他のオブジェクト200の奥まで移動したとしても,制御メニューのオブジェクト216は他のオブジェクト200に上書きされる。これにより,ユーザは他のオブジェクト200との位置関係に依存せずに常に制御メニューのオブジェクト216を見ることが可能となる。
【0032】
3次元空間における制御メニューのオブジェクト216と他のオブジェクト200との位置関係を無視して制御メニューのオブジェクト216が描画されると,ユーザは視覚的な違和感を覚える場合もあり得る。図5および図6に示すように,視点を表すカメラ202側から見て制御メニューのオブジェクト216手前に表示させた後に視線方向に移動させることにより,ユーザは,カメラ202を引いて他のオブジェクト200が撮像されたかのように錯覚する。この錯覚により,制御メニューのオブジェクト216と他のオブジェクト200との位置関係が正確に表示されていなくても,ユーザの視覚的な違和感を低減することが可能となる。
【0033】
制御メニューのオブジェクト216aの登場位置は,視覚的な違和感が低減するように実験的に定めればよい。また,図5に示すように,3次元テレビ206の表示画面と一致する位置まで制御メニューのオブジェクト216bを移動させることにより,ユーザはシャッターメガネ210を外しても制御メニューを明瞭に見ることができる。制御メニューのオブジェクト216bが3次元テレビ206の表示画面に存在すれば,その左目用の視差画像と右目用の視差画像とは同一の画像となるからである。」

第5 対比・判断

1 本願発明1

(1)対比

本願発明1と引用発明とを対比すると,次のことが認められる。

ア 引用発明は,「三次元CG画像を操作する装置に関する,VRシステムやARシステム」であって,「システムの構成において,510は頭部搭載型ディスプレイ(Head Mount Display:以下,HMDと記す)であり,位置姿勢センサ511,カメラ512,表示部513を有しており,」「CGデータ格納部521,CG生成部522,画像合成部523はCPU及びメモリ等を備えたコンピュータ装置により実現されて」いるとされている。

ここで,引用発明の「位置姿勢センサ511」は,ユーザの頭部に搭載された「頭部搭載型ディスプレイ(Head Mount Display:以下,HMDと記す)」「510」の位置姿勢をセンス(計測)しているセンサであるから,本願発明1と同様に,「ユーザの頭部の位置姿勢を計測」しているといえる。

また,引用発明のシステム構成の内,少なくとも「CGデータ格納部521,CG生成部522,画像合成部523はCPU及びメモリ等を備えたコンピュータ装置により実現されて」おり,「CPU及びメモリ等を備えたコンピュータ装置」は,「情報処理装置」であるから,引用発明の「三次元CG画像を操作する装置に関する,VRシステムやARシステム」も,本願発明1と同様に,「情報処理装置」であるといえる。

したがって,本願発明1と引用発明とは,「ユーザの頭部の位置姿勢を計測する計測手段」「を有する情報処理装置」という点で共通しているといえる。

イ 引用発明において,「操作装置530は位置姿勢センサ531,決定ボタン532,キャンセルボタン533を有し,位置姿勢センサ531からの位置姿勢情報によって三次元ポインタ104の移動操作が制御され,」「502はデータ管理部であり,CGデータ格納部521に格納されたCGデータを管理しており,CGデータは,シーン情報,すなわち仮想の三次元空間中に存在する三次元CGオブジェクトの情報であり,また,データ管理部502は,位置姿勢センサ531からの位置姿勢情報に基づいて生成される三次元ポインタ104の位置および姿勢の情報(中略)を格納しており,」「三次元ポインタ104の近辺に三次元CGオブジェクトが存在するかどうかが入力判定部503により判定され」るとされている。

ここで,引用発明の「仮想の三次元空間」,「三次元ポインタ104」,「三次元CGオブジェクト」は,それぞれ,本願発明1の「仮想空間」,「三次元ポインタ」,「オブジェクト」に相当する。

また,引用発明において,「三次元ポインタ104の近辺に三次元CGオブジェクトが存在するかどうか」「判定」する際に,本願発明1と同様に,三次元ポインタの位置姿勢とオブジェクトの形状および位置姿勢とに基づいて,前記三次元ポインタが前記オブジェクトを指しているかを判定していることは,当業者にとって明らかであるといえる。

したがって,本願発明1と引用発明とは,「仮想空間における三次元ポインタの位置姿勢とオブジェクトの形状および位置姿勢とに基づいて,前記三次元ポインタが前記オブジェクトを指しているかを判定する判定手段を」「有」している点で共通しているといえる。

ウ 引用発明は,「三次元ポインタ104の近辺にオブジェクトが存在した場合,ステップS621において,データ管理部502においてメニューオブジェクトの生成が行われ,ここで,メニューは中央がくり抜かれた円盤形状(環状)の三次元CGオブジェクトであり,環は等分に分割されて項目領域が規定され,各項目領域の上にはユーザによって指定が可能な操作項目が一つずつ記されており,メニュー801は三次元ポインタ104の周りを囲むような位置に生成される」とされている。

ここで,引用発明の「三次元ポインタ104の近辺にオブジェクトが存在した場合」は,本願発明1の「前記三次元ポインタが前記オブジェクトを指していると判定された場合」に相当し,引用発明の「三次元ポインタ104の周りを囲むような位置」は,本願発明1の「当該三次元ポインタが当該オブジェクトを指している位置」に相当し,引用発明の「メニュー801」(「中央がくり抜かれた円盤形状(環状)の三次元CGオブジェクト」)は,本願発明1の「前記オブジェクトに関わる操作メニュー」に相当する。

また,引用発明において,「メニュー801」(「中央がくり抜かれた円盤形状(環状)の三次元CGオブジェクト」)が「三次元ポインタ104の周りを囲むような位置」に「生成」されるから,本願発明1と同様に,「前記ユーザの頭部の位置姿勢に基づく視線方向に対向する向きで,前記オブジェクトに関わる操作メニューを生成し」ているといえる。

したがって,本願発明1と引用発明とは,「前記三次元ポインタが前記オブジェクトを指していると判定された場合,当該三次元ポインタが当該オブジェクトを指している位置に基づく位置に,前記ユーザの頭部の位置姿勢に基づく視線方向に対向する向きで,前記オブジェクトに関わる操作メニューを生成」「する第1の生成手段」「を有する」点で共通しているといえる。

しかし,本願発明1の「第1の生成手段」では,「前記三次元ポインタが前記オブジェクトを指していないと判定された場合,前記ユーザの左目の視錐台と右目の視錐台との重複領域内の前記オブジェクトより手前の位置に,前記視線方向に対向する向きで,前記オブジェクトによらないアプリケーション操作に関わる操作メニューを生成」しているのに対し,引用発明では,そのような「オブジェクトによらないアプリケーション操作に関わる操作メニューを生成」していない点で相違している。

エ 引用発明において,「データ管理部502に格納されたシーン情報を元にCG画像を生成し,画像合成部523へ出力しており,」「三次元ポインタ104の近辺にオブジェクトが存在した場合,ステップS621において,データ管理部502においてメニューオブジェクトの生成が行われ,ここで,メニューは中央がくり抜かれた円盤形状(環状)の三次元CGオブジェクトであり,環は等分に分割されて項目領域が規定され,各項目領域の上にはユーザによって指定が可能な操作項目が一つずつ記されており,メニュー801は三次元ポインタ104の周りを囲むような位置に生成される」とされている。

ここで,上記ウで述べたように,引用発明の「メニュー」(「中央がくり抜かれた円盤形状(環状)の三次元CGオブジェクト」)は,本願発明1の「前記第1の生成手段により生成された操作メニュー」に相当する。

また,引用発明の「シーン情報」は,本願発明1の「仮想空間に係るデータ」に相当するから,引用発明の「シーン情報を元に」「生成」された「CG画像」は,本願発明1の「仮想空間に係るデータ」「に基づいて」「生成」された「仮想空間画像」に相当する。

したがって,本願発明1と引用発明とは,「前記第1の生成手段により生成された操作メニューと仮想空間に係るデータとに基づいて仮想空間画像を生成する第2の生成手段」「を有する」点で共通しているといえる。

オ 引用発明において,「カメラ512は現実空間を撮影し,その撮影情報を画像合成部523へ送っており,表示部513は画像合成部523で生成された,CG画像と現実画像との合成画像を表示して」いるとされている。

ここで,上記エで述べたように,引用発明の(「シーン情報を元に」「生成」された)「CG画像」は,本願発明1の「(仮想空間に係るデータ」「に基づいて」「生成」された)「仮想空間画像」に相当する。

また,引用発明の「カメラ512」で「撮影」された「現実空間」の「撮影情報」は,本願発明1の「現実空間画像」に相当する。

さらに,引用発明の「CG画像と現実画像との合成画像」は,本願発明1の「前記第3の生成手段により生成された前記複合現実画像」に相当するから,引用発明の「表示部513」は,本願発明1の「出力手段」に相当するといえる。

したがって,本願発明1と引用発明とは,「前記第2の生成手段により生成された前記仮想空間画像と現実空間画像とを重畳し,複合現実画像を生成する第3の生成手段と,前記第3の生成手段により生成された前記複合現実画像を出力する出力手段と,を有する」点で共通しているといえる。

(2)一致点・相違点

本願発明1と,引用発明とは,以下アの点で一致し,以下イの点で相違する。

ア 一致点

「ユーザの頭部の位置姿勢を計測する計測手段と,
仮想空間における三次元ポインタの位置姿勢とオブジェクトの形状および位置姿勢とに基づいて,前記三次元ポインタが前記オブジェクトを指しているかを判定する判定手段と,
前記三次元ポインタが前記オブジェクトを指していると判定された場合,当該三次元ポインタが当該オブジェクトを指している位置に基づく位置に,前記ユーザの頭部の位置姿勢に基づく視線方向に対向する向きで,前記オブジェクトに関わる操作メニューを生成する第1の生成手段と,
前記第1の生成手段により生成された操作メニューと仮想空間に係るデータとに基づいて仮想空間画像を生成する第2の生成手段と,
前記第2の生成手段により生成された前記仮想空間画像と現実空間画像とを重畳し,複合現実画像を生成する第3の生成手段と,
前記第3の生成手段により生成された前記複合現実画像を出力する出力手段と,
を有する情報処理装置。」

イ 相違点

本願発明1の「第1の生成手段」では,「前記三次元ポインタが前記オブジェクトを指していないと判定された場合,前記ユーザの左目の視錐台と右目の視錐台との重複領域内の前記オブジェクトより手前の位置に,前記視線方向に対向する向きで,前記オブジェクトによらないアプリケーション操作に関わる操作メニューを生成」しているのに対し,引用発明では,そのような「オブジェクトによらないアプリケーション操作に関わる操作メニューを生成」していない点。

(3)相違点についての判断

本願発明1の相違点に係る構成の内,特に「オブジェクトによらないアプリケーション操作に関わる操作メニューを生成」する際に,「ユーザの左目の視錐台と右目の視錐台との重複領域内の」「位置に」生成している構成について,引用文献1ないし8には,記載も示唆も無く,当該構成が周知であったとも認められない。

したがって,引用発明および引用文献2ないし8の記載事項に基づいて,当業者は本願発明1の相違点に係る構成を容易に想到することができない。

エ 小括

したがって,本願発明1は,引用発明および引用文献2ないし9の記載事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2

本願発明2は,本願発明1の上記相違点に係る構成と同様の以下の構成を備えており,上記1で述べた本願発明1と同様の理由により,引用発明および引用文献2ないし9の記載事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

「前記三次元ポインタが前記オブジェクトを指していると判定された場合,当該三次元ポインタが当該オブジェクトを指している位置に基づく位置に,前記ユーザの頭部の位置姿勢に基づく視線方向に対向する向きで,前記オブジェクトに関わる操作メニューを生成し,前記三次元ポインタが前記オブジェクトを指していないと判定された場合,前記ユーザの左目の視錐台と右目の視錐台との重複領域内の前記オブジェクトより手前の位置に,前記視線方向に対向する向きで,前記オブジェクトによらないアプリケーション操作に関わる操作メニューを生成する第1の生成手段」

3 本願発明3ないし本願発明13および本願発明16

本願発明3ないし本願発明13および本願発明16は,いずれも,本願発明1あるいは本願発明2を減縮したものであって,本願発明1あるいは本願発明2と同一の構成を備えるものであるから,上記1で述べた本願発明1と同じ理由,あるいは,上記2で述べた本願発明2と同じ理由により,引用発明および引用文献2ないし9の記載事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

4 本願発明14および本願発明15

本願発明14および本願発明15は,それぞれ,本願発明1および本願発明2のカテゴリを,単に,情報処理装置の発明から,情報処理方法の発明へと変更したものであって,本願発明1あるいは本願発明2と同様の構成を備えるものであるから,上記1で述べた本願発明1と同様の理由,あるいは,上記2で述べた本願発明2と同様の理由により,引用発明および引用文献2ないし9の記載事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

第6 原査定について

上記第5で述べたように,本願発明1ないし本願発明16は,いずれも,本件補正後の本願発明1ないし本願発明16は,原査定において引用された引用文献1ないし9に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

したがって,原査定の理由は,維持することはできない。

第7 むすび

以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。

 
審決日 2022-11-30 
出願番号 P2017-153553
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 ▲吉▼田 耕一
特許庁審判官 石井 則之
野崎 大進
発明の名称 情報処理装置、情報処理方法及びプログラム  
代理人 國分 孝悦  
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