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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01L 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G01L |
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管理番号 | 1392734 |
総通号数 | 13 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2023-01-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-11-12 |
確定日 | 2022-11-30 |
事件の表示 | 特願2018−540839「一体型リードを備えた小型圧力・力センサ」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 8月10日国際公開、WO2017/136719、令和 1年 5月 9日国内公表、特表2019−512084〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2017年(平成29年)2月3日を国際出願日とする外国語特許出願であって(パリ条約による優先権主張外国庁受理2016年2月3日、アメリカ合衆国、2016年10月4日、アメリカ合衆国)、その手続の経緯の概略は、以下のとおりである。 平成30年10月 3日 :翻訳文の提出 令和 2年11月26日付け:拒絶理由通知書 令和 3年 6月 1日 :意見書、手続補正書の提出 同年 7月 8日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同月13日 :原査定の謄本の送達) 同年11月12日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 本願発明 本願の請求項11に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和3年11月12日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項11に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。 なお、請求項11は、令和3年11月12日に提出された手続補正書により補正されていない。 「 【請求項11】 絶縁層と、ダイアフラム部分上に形成されたセンサ構造および前記センサ構造に接続されたリード部分における少なくとも1つのトレースを含む導体層とを含むダイアフラム部分およびリード部分を含む回路組立体と、 ベース部と、を備えた圧力・力センサにおいて、 前記回路組立体の前記ダイアフラム部分は前記ベース部に取り付けられている、圧力・力センサ。」 第3 原査定における拒絶の理由 原査定の拒絶の理由のうち、本願発明に対する「理由2(新規性)」及び「理由3(進歩性)」は、次のとおりである。 理由2(新規性) 本願発明は、下記引用文献2に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。 理由3(進歩性) 本願発明は、下記引用文献2に記載された発明に基づいて、本願の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献2.特開平4−106442号公報 第4 引用文献2に記載された事項及び引用発明の認定 1 引用文献2に記載された事項 前記引用文献2には、以下の事項が記載されている。下線は当合議体が付したものである。 (1) 1頁右欄20行〜2頁左上欄5行 「[産業上の利用分野] 本発明は、気体の圧力を検知するためのセラミックス製圧力センサに係り、さらに詳しくは被検出圧力によって歪みを生ずるダイヤフラム部を備え、その該歪量に基づいて圧力を検出する圧力センサに関するものである。」 (2) 2頁左下欄10行〜右下欄17行 「[課題を解決するための手段] 本発明は、少なくとも二つのセラミックス層が接合され、その一端部のセラミックス層間に空隙を形成して、該空隙に対接する受圧側外肉部分をダイヤフラム部とし、被検出圧力の作用によるダイヤフラム部の歪量に基づいて該被検出圧力と相関性のある電気的出力を発生する感圧電極部をダイヤフラム部またはその周部に配設し、さらに該感圧電極部と接続する導電路を前記長尺方向に沿って延成し、その他端部を接続端としたことをを特徴とする圧力センサである。 その全体構成としては、前記セラミックス層を長尺板状としてこれを接合して構成するか、円柱状セラミックス層の外周面にセラミックス層を周設して、板状または円柱状に構成される。 さらに前記感圧電極部としては、前記空隙内でダイヤフラム部の内面に形成された電極と、該空隙を介して該電極と対設するセラミック層面に形成した電極とで、空隙を介して対置するコンデンサを形成してなり、ダイヤフラム部の外方からの圧力によって生ずる陥没歪みにより電極間距離が変位することによって生ずる静電容量の変化に基づき、被検出圧力を検知するようにした構成が提案される。 または、前記ダイヤフラム部の外面または内面に配設され、ダイヤフラム部の歪みに伴い抵抗値が変化するホイーストンブリッジ等からなる抵抗体により構成したものが提案され得る。」 (3) 3頁左上欄19行〜左下欄8行 「[実施例] 第1図について本発明の圧力センサーSの一実施例を説明する。 1,2はZrO2系、Al2O3系等からなる長尺板状セラミックス層であって、受圧側セラミックス層1の厚を0.05mm〜0.7mmとし、基部側セラミックス層2の厚を0.05mm〜1.5mmとし、前記受圧側セラミックス層1を基部側セラミックス層2に比して薄厚か、または等しくする。そして、この生のセラミックス層1,2の端部に第1図イに示すようにカーボン等の焼失性物質3を配設し、第1図ロのようにこれを接合し、300℃で20時間樹脂抜きをした後に、1500℃で2時間焼成して一体化する。なお、後述するように、容量式の感圧電極部を配設する場合には、前記焼失性物質3を挟持するセラミックス層1,2の内面位置に、白金、タングステンまたはモリブデン等からなる電極7〜9及び導電路10a、導電端10bをスクリーン印刷等により塗布しておく。 そして、上述のように、セラミックス層1,2を焼成すると焼失性物質3は焼失し、その後に空隙4を生じ、セラミックス層1の空隙4に対接する外肉部分は外圧により空隙4側に歪むダイヤフラム部5となる。 このダイヤフラム部5またはその周囲には、感圧電極部が配設される。この感圧電極部は被検出圧力によるダイヤフラム部5の歪量に起因して該圧力と相関性のある電気的出力を発生するものであり、この一例として次のように静電容量式が提案される。」 (4) 4頁左上欄9行〜右上欄10行 「感圧電極部の他の例としては、第6図に示すようにダイヤフラム部5に設けたホイーストンブリッジ等からなる抵抗体12により構成することもできる。この抵抗体12は、ダイヤフラム部5と共に歪みを生ずると、その歪み量と相関性を有するブリッジ不平衡を生じ、このためその抵抗変化を検出することにより、前記ダイヤフラム部5に作用する被検出圧力を知ることができる。 かかる構成にあっては、抵抗体12はダイヤフラム部5の外面に形成される。すなわち、セラミックス層1の表面にあらかじめ白金、タングステンまたはモリブデン等からなる導電路13aを形成して、セラミックス層1、基部側セラミックス層2と共にこれを焼成した後に、ピエゾ抵抗体からなる半導体14を回路の所要部に塗布し、さらに焼き付けする。かかる構成にあっても、前記導電路13aの導電端13bをその上端部で露出させることにより、その電気的接続が可能となる。この抵抗体12はダイヤフラム部5の内面側に設けてもよい。さらには抵抗体12をダイヤフラム部5の外面に設ける場合には、その表面に絶縁性保護層を形成するようにしてもよい。」 (5) 第1図 「 ![]() 」 (6) 第6図 「 ![]() 」 2 引用発明の認定 (1)ア 第1図から、静電容量式の感圧電極部の出力を導電端10bに出力する導電路10aが、基部側セラミックス層2に設けられていることが読み取れる。 イ 引用文献2の2頁左下欄10行〜右下欄17行には、「該感圧電極部と接続する導電路を前記長尺方向に沿って延成し」と記載されているところ、「前記長尺方向」の前に「長尺方向」という語句がないため、「前記」の意味が不明であり、「長尺方向」が何についての長尺方向を指すのか明らかでないが、第1図から、基部側セラミックス層2が長尺板状であること、導電路10aが基部側セラミックス層2の長尺方向に沿って形成されていることが読み取れるから、「前記長尺方向」は、「前記セラミックス層の長尺方向」を意味すると認められる。 ウ 4頁左上欄9行〜右上欄10行の記載にしたがって、感圧電極部をホイーストンブリッジ等からなる抵抗体12により構成した場合、当該感圧電極部は、基部側セラミックス層2でなく、ダイヤフラム部5を有するセラミックス層1に設けられることになるから、感圧電極部の出力を導電端10bに出力する導電路10aについても、感圧電極部と一緒に、セラミックス層1に設けられることは明らかである。その場合、導電路10aは、セラミックス層1の長尺方向に沿って延成されることになる。 エ そうすると、セラミックス層1は、空隙4に対接する外肉部分であるダイヤフラム部5と、空隙4に接しない部分であり、当該ダイヤフラム部5に設けられた感圧電極部と導電端を接続する導電路が形成された部分を有していることが読み取れる。 (2) 前記1の記載事項及び前記(1)の認定事項を総合すると、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「二つのセラミックス層が接合され、その一端部のセラミックス層間に空隙を形成して、該空隙に対接する受圧側外肉部分をダイヤフラム部とし、被検出圧力の作用によるダイヤフラム部の歪量に基づいて該被検出圧力と相関性のある電気的出力を発生する感圧電極部をダイヤフラム部に配設し、さらに該感圧電極部と接続する導電路を前記セラミックス層の長尺方向に沿って延成し、その他端部を接続端とした圧力センサであって(2頁左下欄10行〜右下欄17行、前記(1)の認定事項)、 前記二つのセラミックス層は、長尺板状セラミックス層である受圧側セラミックス層1及び基部側セラミックス層2であり、セラミックス層1の空隙4に対接する外肉部分は外圧により空隙4側に歪むダイヤフラム部5であり(3頁左上欄19行〜左下欄8行)、 前記感圧電極部は、ダイヤフラム部5に設けたホイーストンブリッジ等からなる抵抗体12により構成され、抵抗体12はダイヤフラム部5の外面に形成され、すなわち、セラミックス層1の表面にあらかじめ白金、タングステンまたはモリブデン等からなる導電路13aを形成して、セラミックス層1、基部側セラミックス層2と共にこれを焼成した後に、ピエゾ抵抗体からなる半導体14を回路の所要部に塗布し、さらに焼き付けし(4頁左上欄9行〜右上欄10行)、 前記セラミックス層1は、空隙4に対接する外肉部分であるダイヤフラム部5と、空隙4に接しない部分であり、当該ダイヤフラム部5に設けられた感圧電極部と導電端を接続する導電路が形成された部分を有している(前記(1)の認定事項)、 圧力センサ。」 第5 対比 1 本願発明と引用発明の対比 (1)ア 本願発明の「ダイアフラム部分」及び「リード部分」という語句について、本願明細書には、以下記載されている(下線は当合議体による。)。 「【0016】 実施形態において、トレース、電極および/または歪ゲージなどの構造は、ダイアフラム構造とリード構造とに共通の絶縁ポリマー層上に形成することができ、絶縁ポリマー層は、そうした構造(例えば、トレースおよび/または電極および/または歪ゲージ)が形成された後にダイアフラム構造の他の構成要素(または、そのような他のダイアフラム構成要素が形成される材料の層)に積層することができる。(中略) 【0017】 (中略)可撓性の絶縁ポリマー層20は、ベース部16およびキャビティ18上のダイアフラム部分22と、リード構造14上のリード部分24とを含む。ポリマー層20のダイアフラム部分22およびリード部分24は、例示の実施形態では共通するものであり、接着層26(任意選択的にアクリル系接着剤)および誘電体層22を含む。第2電極30は、ポリマー層20のダイアフラム部分22上に配置される。リードまたはトレース32Aおよび32Bは、ポリマー層20のリード部分24に沿って延在する。リード32Aは、第2電極30に電気的に接続される。リード32Bは、ポリマー層20を通る導電性ビア34によって、第1電極(例えば、図1A〜図1Fに示す実施形態ではベース部16)に電気的に接続される。実施形態では、第2電極30はスパッタ金属層であり、トレース32Aおよび32Bのシード層と同じ工程ステップ時に形成することができる。(中略)」 「【図1F】 ![]() 」 上記記載から、トレース、電極及び/又は歪ゲージなどの構造は、共通の絶縁ポリマー層上に形成されること、当該絶縁ポリマー層は、ベース部16およびキャビティ18上のダイアフラム部分22と、リード構造14上のリード部分24とを含むことが読み取れる。 したがって、本願発明において、トレース及び歪ゲージなどの構造が形成された絶縁ポリマー層20のうち、キャビティ18上の部分が「ダイアフラム部分」であり、リード構造14上の部分が「リード部分」であることが読み取れる。 イ 上記アの解釈を踏まえて、本願発明と引用発明を対比する。 ウ 引用発明の「セラミックス層1」は、本願発明の「絶縁層」に相当する。 エ 引用発明の「セラミックス層1」における「空隙4に対接する外肉部分であるダイヤフラム部5」及び「ダイヤフラム部5に設けたホイーストンブリッジ等からなる抵抗体12」により構成される「感圧電極部」は、本願発明の「ダイアフラム部分」に相当する。 オ 引用発明の「感圧電極部と導電端を接続する導電路」のうち、ダイヤフラム部5に設けられた感圧電極部に含まれない部分、すなわち、空隙4に接しない部分は、感圧電極部の出力を導電端に出力するリード線としての機能を奏するものである。 したがって、引用発明の「セラミックス層1」の「空隙4に接しない部分」に形成された「導電路」は、本願発明の「リード部分における少なくとも1つのトレース」に相当する。 また、引用発明の「導電路」及び「セラミックス層1」の「導電路」が形成された「空隙4に接しない部分」は、本願発明の「リード部分」に相当する。 カ 引用発明の「感圧電極部」は、「ダイヤフラム部5に設けたホイーストンブリッジ等からなる抵抗体12により構成され」、「被検出圧力の作用によるダイヤフラム部の歪量に基づいて該被検出圧力と相関性のある電気的出力を発生する」ものであるから、本願発明の「センサ構造」に相当する。 キ 引用発明の「ダイヤフラム部5に設けたホイーストンブリッジ等からなる抵抗体12」により構成される「感圧電極部」及び「空隙4に接しない部分」に設けられた「導電路」は、本願発明の「導体層」に相当する。 ク(ア) 本願発明の「組立体」と言う語句について、本願明細書には、以下記載されている(下線は、当合議体による。)。 「【0032】(中略)図22Aおよび図22Bに示す実施形態では、センサ710は、ダイアフラム部分711およびリード部分713を有する第1または上部の部品または組立体と、ダイアフラム部分715およびリード部分717を有する第2または下部の部品または組立体とを含む。」 「【図22A】 ![]() 」 「【図22B】 ![]() 」 当該記載から、本願発明の「回路組立体」とは、トレース及び歪ゲージなどの構造が形成されたダイアフラム部分及びリード部分のことを意味すると認められる。 (イ) そうすると、引用発明の「セラミックス層1」、ホイーストンブリッジ等からなる抵抗体12により構成される「感圧電極部」及びその出力を導電端に接続する「導電路」からなる構成は、本願発明の「回路組立体」に相当する。 ケ 上記ア〜クを踏まえると、引用発明の「セラミックス層1」、「導電路」及び「感圧電極部」は、本願発明の「絶縁層と、ダイアフラム部分上に形成されたセンサ構造および前記センサ構造に接続されたリード部分における少なくとも1つのトレースを含む導体層とを含むダイアフラム部分およびリード部分を含む回路組立体」に相当する。 (2) 引用発明の「基部側セラミックス層2」は、本願発明の「ベース部」に相当する。 (3) 引用発明において、「ダイヤフラム部5」は「セラミックス層1の空隙4に対接する外肉部分」であり、「ダイヤフラム部5」を有する「セラミックス層1」は「基部側セラミックス層2」に「接合」され、すなわち、取り付けられているから、この「二つのセラミックス層」の「接合」に係る構成は、本願発明の「前記回路組立体の前記ダイアフラム部分は前記ベース部に取り付けられている」構成に相当する。 (4) 引用発明の「圧力センサ」と、本願発明の「圧力・力センサ」は、「圧力センサ」という点で共通する。 2 一致点及び相違点 上記1の検討を総合すると、本願発明と引用発明は、以下の一致点で一致し、以下の一応の相違点において一応相違する。 <一致点> 絶縁層と、ダイアフラム部分上に形成されたセンサ構造および前記センサ構造に接続されたリード部分における少なくとも1つのトレースを含む導体層とを含むダイアフラム部分およびリード部分を含む回路組立体と、 ベース部と、を備えた圧力センサにおいて、 前記回路組立体の前記ダイアフラム部分は前記ベース部に取り付けられている、圧力センサ、である点 <一応の相違点> 本願発明は「圧力・力センサ」であり、圧力以外の力も測定し得るセンサであるのに対して、引用発明は、圧力以外の力を測定し得るか不明な点。 第6 判断 1 相違点についての判断 前記相違点について検討する。 前記第5の2で示したとおり、本願発明の「圧力・力センサ」としての構成と、引用発明の「圧力センサ」としての構成は同一であると認められるから、引用発明の「圧力センサ」も、圧力のみならず、圧力以外の力を検出し得ることは明らかである。 よって、前記相違点は実質的な相違点でない。 2 請求人の主張について (1) 審判請求書における請求人の主張 ア 主張1 (審判請求書9頁28行〜10頁4行) 「また、引用文献2は、図2にダイアフラム部分5を含むセラミック層1を開示しています。しかしながら、ダイアフラム部分は、その上に配置された感知要素を含みません。したがって、引用文献2も、請求項1の特徴(1-1)(1-2)を開示しておりません。 本願の請求項11に係る発明についても、引用文献1および2は上述の請求項1と同様に開示しておりません。」 イ 主張2 (審判請求書8頁26行〜9頁1行) 「尚、上述のように、独立請求項1、11、15、19、20、および21は、「トレース、電極、および/またはひずみゲージなどの構造は、ダイアフラム構造とリード構造とに共通の絶縁ポリマー層上に形成することができ、絶縁ポリマー層は、そうした構造(例えば、トレースおよび/または電極および/または歪ゲージ)が形成された後にダイアフラム構造の他の構成要素(または、そのような他のダイアフラム構成要素が形成される材料の層)に積層することができる」構造を含むセンサに関します(明細書の段落[0016]参照)。 この構造の結果、「組み立て部品の数は、バネ金属などのベース部上に絶縁性および導電性の材料層から形成される集積回路部材を使用することによって比較的少なく抑えることができる。」および「ダイアフラム部材内の重なり合う圧縮可能な電極領域内にはない他の導体や誘電体の間に存在する寄生(ゼロ印加圧力)容量による静電容量オフセット、ノイズおよびドリフトを低減する。」等の効果を奏します(明細書の段落[0048]参照)。」(下線は、請求人による。) (2) 請求人の主張についての当合議体の見解 ア 主張1について 請求人は、「引用文献2は、図2にダイアフラム部分5を含むセラミック層1を開示しています。しかしながら、ダイアフラム部分は、その上に配置された感知要素を含みません。」と主張している。 しかしながら、前記第4において引用発明として認定したのは、図2でなく、図1及び6に示された構成であり、当該構成には、ダイヤフラム部5に感知要素が含まれている。 よって、前記主張1は採用できない。 イ 主張2について 請求人は、ダイアフラム構造とリード構造とに共通の絶縁ポリマー層上に形成することによる効果を主張している。 しかしながら、本願発明の「絶縁層」は、「絶縁ポリマー層」に限定されないから、引用発明のような「セラミック層」であっても本願発明の「絶縁層」に相当するとして差し支えないというべきであって、当該主張は、請求項の記載に基づくものとはいえない。 よって、前記主張2は採用できない。 3 小括 前記2において検討したとおり、請求人の主張はいずれも採用できず、前記第5の一致点及び相違点の認定、並びに、第6の1において示した判断を左右するものではない。 したがって、本願発明は、引用発明である、又は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明であるから特許法29条1項3号に該当し特許を受けることができないものであり、また、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。 したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 審判長 居島 一仁 出訴期間として在外者に対し90日を附加する。 |
審理終結日 | 2022-06-30 |
結審通知日 | 2022-07-05 |
審決日 | 2022-07-21 |
出願番号 | P2018-540839 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G01L)
P 1 8・ 113- Z (G01L) |
最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
居島 一仁 |
特許庁審判官 |
濱野 隆 濱本 禎広 |
発明の名称 | 一体型リードを備えた小型圧力・力センサ |
代理人 | 井関 勝守 |