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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1392956
総通号数 13 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2023-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-04-12 
確定日 2022-12-08 
事件の表示 特願2019−219089「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 6月10日出願公開、特開2021− 87588〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯の概要
本願は、令和元年12月3日の特許出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和3年10月20日付け:拒絶理由通知書
令和3年12月17日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年 1月 5日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(謄本送達日:令和4年1月18日)
令和4年 4月12日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 令和4年4月12日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年4月12日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正により、令和3年12月17日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における
「【請求項1】
遊技を制御する第1制御手段と、
遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かの特別遊技判定が未実行の判定情報を保留記憶として記憶する記憶手段と、
前記第1制御手段からのコマンドに応じて変動演出を実行可能な第2制御手段と、
を備えた遊技機において、
遊技機の背面側の所定箇所に、外部に所定の信号を出力するための外部情報出力手段が設けられ、
前記外部情報出力手段は、
電線挿入部と、前記電線挿入部に電線が挿入可能な第1状態と電線が挿入不可能な第2状態とに変換可能な操作部と、を有する複数の外部情報出力端子と、前記外部情報出力端子が実装される基板と、を備え、
前記操作部の近傍であって、前記基板には、前記外部情報出力端子を識別可能な符号が印字されており、
前記外部情報出力端子は、
前記外部情報出力端子同士を連結するための凹部と、凸部と、を有し、
始動口に遊技球が入賞した場合、前記外部情報出力端子を介して外部に入賞信号を出力し、
前記保留記憶に対応する保留アイコンを表示可能であり、
前記変動演出及び前記特別遊技が実行されない客待ち状態中における前記始動口への遊技球の入賞に基づく前記保留アイコンの増加表示の実行期間よりも、前記変動演出の実行中における前記始動口への遊技球の入賞に基づく前記保留アイコンの増加表示の実行期間の方が長く、
前記変動演出及び前記特別遊技が実行されない客待ち状態中における前記始動口への遊技球の入賞に基づく前記入賞信号の出力時間と、前記変動演出の実行中における前記始動口への遊技球の入賞に基づく前記入賞信号の出力時間とは同一である、
ことを特徴とする遊技機。」は、
審判請求時に提出された手続補正書(令和4年4月12日提出)の特許請求の範囲の請求項1における
「【請求項1】
遊技を制御する第1制御手段と、
遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かの特別遊技判定が未実行の判定情報を保留記憶として記憶する記憶手段と、
前記第1制御手段からのコマンドに応じて変動演出を実行可能な第2制御手段と、
を備えた遊技機において、
遊技機の背面側の所定箇所に、外部に所定の信号を出力するための外部情報出力手段が設けられ、
前記外部情報出力手段は、
ケース本体部と、前記ケース本体部に形成された電線挿入部と、前記電線挿入部に電線が挿入可能な第1状態と電線が挿入不可能な第2状態とに変換可能な操作部と、を有する複数の外部情報出力端子と、前記外部情報出力端子が実装される基板と、を備え、
前記操作部の近傍であって、前記基板には、前記外部情報出力端子を識別可能な符号が印字されており、
前記外部情報出力端子は、
前記外部情報出力端子同士を連結するための凹部と、凸部と、を有し、
始動口に遊技球が入賞した場合、前記外部情報出力端子を介して外部に入賞信号を出力し、
前記保留記憶に対応する保留アイコンを表示可能であり、
前記変動演出及び前記特別遊技が実行されない客待ち状態中における前記始動口への遊技球の入賞に基づく前記保留アイコンの増加表示の実行期間よりも、前記変動演出の実行中における前記始動口への遊技球の入賞に基づく前記保留アイコンの増加表示の実行期間の方が長く、
前記変動演出及び前記特別遊技が実行されない客待ち状態中における前記始動口への遊技球の入賞に基づく前記入賞信号の出力時間と、前記変動演出の実行中における前記始動口への遊技球の入賞に基づく前記入賞信号の出力時間とは同一であり、
前記操作部は、
第1操作部と、
前記ケース本体部の底面からの高さが前記第1操作部と異なる第2操作部とからなり、
前記第1操作部の最大操作量と、前記第2操作部の最大操作量とは同じであり、
前記第1操作部の操作面には、連続する凹凸が設けられており、
前記第2操作部の操作面には、連続する凹凸が設けられている、
ことを特徴とする遊技機。」に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審判合議体にて付した。)。

2 補正の適否
2−1 補正の目的及び新規事項について
本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「電線挿入部」、「操作部」について、それぞれ、「ケース本体部と、前記ケース本体部に形成された電線挿入部」、「前記操作部は、
第1操作部と、
前記ケース本体部の底面からの高さが前記第1操作部と異なる第2操作部とからなり、
前記第1操作部の最大操作量と、前記第2操作部の最大操作量とは同じであり、
前記第1操作部の操作面には、連続する凹凸が設けられており、
前記第2操作部の操作面には、連続する凹凸が設けられている、」と限定することを含むものである。
したがって、本件補正後の請求項1に係る発明は、本件補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
また、本件補正の補正事項は、願書に最初に添付した明細書及び図面の【0112】、【0113】、【0116】、【図4】の記載に基づくものであり、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

2−2 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否かについて、以下に検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、次のとおりのものであると認める(記号A〜Lは、分説するために当審判合議体にて付した。)。
「【請求項1】
A 遊技を制御する第1制御手段と、
B 遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かの特別遊技判定が未実行の判定情報を保留記憶として記憶する記憶手段と、
C 前記第1制御手段からのコマンドに応じて変動演出を実行可能な第2制御手段と、
を備えた遊技機において、
D 遊技機の背面側の所定箇所に、外部に所定の信号を出力するための外部情報出力手段が設けられ、
E 前記外部情報出力手段は、
ケース本体部と、前記ケース本体部に形成された電線挿入部と、前記電線挿入部に電線が挿入可能な第1状態と電線が挿入不可能な第2状態とに変換可能な操作部と、を有する複数の外部情報出力端子と、前記外部情報出力端子が実装される基板と、を備え、
F 前記操作部の近傍であって、前記基板には、前記外部情報出力端子を識別可能な符号が印字されており、
G 前記外部情報出力端子は、
前記外部情報出力端子同士を連結するための凹部と、凸部と、を有し、
始動口に遊技球が入賞した場合、前記外部情報出力端子を介して外部に入賞信号を出力し、
H 前記保留記憶に対応する保留アイコンを表示可能であり、
I 前記変動演出及び前記特別遊技が実行されない客待ち状態中における前記始動口への遊技球の入賞に基づく前記保留アイコンの増加表示の実行期間よりも、前記変動演出の実行中における前記始動口への遊技球の入賞に基づく前記保留アイコンの増加表示の実行期間の方が長く、
J 前記変動演出及び前記特別遊技が実行されない客待ち状態中における前記始動口への遊技球の入賞に基づく前記入賞信号の出力時間と、前記変動演出の実行中における前記始動口への遊技球の入賞に基づく前記入賞信号の出力時間とは同一であり、
K 前記操作部は、
第1操作部と、
前記ケース本体部の底面からの高さが前記第1操作部と異なる第2操作部とからなり、
前記第1操作部の最大操作量と、前記第2操作部の最大操作量とは同じであり、
前記第1操作部の操作面には、連続する凹凸が設けられており、
前記第2操作部の操作面には、連続する凹凸が設けられている、
L ことを特徴とする遊技機。」

(2)引用例の記載、引用発明
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2019−69058号公報(令和元年5月9日公開)(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審判合議体にて付した。以下同じ。)。

ア 記載事項
(ア)
「【0012】
以下、本発明にかかる実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。遊技機1は、額縁形状の機枠90を有し、この機枠90には前面枠91が回動自在に支持されている。前面枠91には、前側から遊技盤92を視認可能とする透明な板が設けられている。
・・・
【0014】
遊技領域922には、第一始動入賞口924、第二始動入賞口925、大入賞口926、アウト口927などが設けられている。表示装置93は、大当たりの当否を報知する識別図柄等が表示される。かかる表示装置93の表示画面は、遊技盤92に形成された開口921を通じて視認可能である。
・・・
【0017】
本実施形態にかかる遊技機1は、各種基板(各種基板に形成された制御回路)を備える。主制御基板(主制御回路)(図示せず)は、始動入賞口924、925に遊技球が入賞したことに基づく大当たりの抽選や、各種入賞口に遊技球が入賞したことに基づく遊技球の払い出し等を制御する。サブ制御基板(サブ制御回路)(図示せず)は、主に、主制御基板からの信号(大当たりフラグの成否や、所定の入賞領域に遊技球が入賞したことを知らせる信号等)を受けて、実行する演出を決定、制御する。演出は、表示装置に画像を表示したり、各種照明(ランプ)を点灯、点滅させたり、スピーカから音声を出力したりする。遊技に関する制御を行う基板としては、主制御基板やサブ制御基板以外に種々設けられている。主制御基板やサブ制御基板を含めた遊技に関する制御を行う各種基板(以下、これらをまとめて制御基板(制御回路)と称することもある)の具体的な構成については、公知の遊技機と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0018】
本実施形態では、制御基板(制御回路)による制御によって生成される遊技に関する情報(以下、遊技情報と称する)を、ホールコンピュータ等の外部機器に出力するための外部出力回路が設けられている。本実施形態では、主制御基板(主制御回路)によって生成される遊技情報が外部出力回路に送られるが、その他の各種制御基板(制御回路)によって生成される遊技情報が外部出力回路に送られる構成であってもよい。当該外部出力回路は、外部出力基板10(本発明における基板に相当する。以下、単に基板というときは当該外部出力基板10を指すものとする)に構築されている。図2に示すように、外部出力基板10には、少なくとも、制御基板(制御回路)と電気的に接続するための入力用コネクタ11、および外部機器と電気的に接続するためのコネクタであって、各種制御基板から送られた遊技情報を外部機器に出力するための出力用コネクタが設けられている。なお、外部機器に出力される遊技情報はどのようなものであってもよい。大当たりの当選、特別図柄の変動回数等が例示できる。また、外部出力基板10が設けられる位置はどのような位置であってもよいが、外部機器との接続作業が容易となるような位置に設けられる。本実施形態では、正面視左上に設けられている(図1参照)。
【0019】
以下、外部出力基板10上に実装される出力用コネクタの詳細について説明する。本実施形態では、遊技情報の出力チャネルが複数設けられている。つまり、複数の出力チャネルを構成する複数の出力用コネクタが外部出力基板10上に実装されている(図2(a)参照)。各出力用コネクタは、隣接するもの同士が連結可能な複数の連結型コネクタ20である。具体的には、各連結型コネクタ20は、外部出力基板10に形成される導電パターンに電気的に接続される(はんだ付けされる)端子ピンである外部出力端子21と、この端子ピンが固定される本体部22(ハウジング)を有し、当該本体部22に隣接するもの同士を連結するための構造が設けられている。具体的には以下の通りである。
【0020】
本体部22は、平面視略方形状を呈する。当該本体部22の一方側の側面(以下、第一側面221と称することもある)には、係合部222が設けられている(図2(a)および図3(a)等参照)。一方、第一側面221の反対側の側面(以下、第二側面223と称することもある)には、係合部222が係合可能な被係合部224が設けられている(図2(b)および図3(b)等参照)。係合部222と被係合部224の係合構造はどのようなものであってもよい。本実施形態における係合部222は先端に爪を有する複数の突起であり、被係合部224は突起と同数の孔である。突起である係合部222を孔である被係合部224に通すことで、爪の先端が孔の内側に引っ掛かった状態となる。連結型コネクタ20を連結させる場合には、ある連結型コネクタ20の第一側面221とそれに隣接する連結型コネクタ20の第二側面223を対向させた状態(密着または微小な隙間を隔てて対向させた状態)とする。これにより、係合部222と被係合部224が係合し、隣接する連結型コネクタ20同士(本体部22同士)が連結された状態となる。係合部222と被係合部224は、それぞれ第一側面221とその反対側の第二側面223に設けられているため、連結型コネクタ20は第一側面221や第二側面223に直交する方向において連結可能であるといえる(以下、当該連結可能な方向を連結可能方向D(図2(a)参照)と称することもある)。なお、上記係合部222と被係合部224の係合は、ある連結型コネクタ20とそれに隣接する連結型コネクタ20とが所定の位置関係で「位置決め」される程度のものであってもよい。例えば、単なる突起と穴(凹部)により上記係合が実現されるようにして外部出力基板10に実装されていない状態では連結型コネクタ20同士の係合は容易に解消されるものの、外部出力基板10に実装された状態においては連結型コネクタ20同士の係合を解消することができないような構成としてもよい。つまり、あくまで、外部出力基板10に実装された状態において、ある連結型コネクタ20によって、それに隣接する連結型コネクタ20が位置決めされるような構成が「連結」に相当するものとする。・・・」

(イ)
「【0027】
なお、各連結型コネクタ20が有する外部出力端子21と配線H等の電気的な接続を図るための構造はどのようなものであってもよい。つまり、連結型コネクタ20は、コネクタ同士が連結可能な構造であればよく、電気的な接続を図るための部分の構造はどのようなものであってもよい。本実施形態における連結型コネクタ20は、レバー23がばねによって付勢されており、このレバー23を引くことにより、配線H等を挿入する空間Zが広がる(図4(a−1)(a−2)参照)。当該空間Zに配線H等を挿入した上で、レバー23の操作状態を解除することにより、ばねによって付勢されたレバー23が、配線Hの芯線やそれに固定される端子等を外部出力端子21に押圧した状態となる(図4(b)参照)。これにより、外部出力端子21と配線Hの電気的接続が図られる。
【0028】
以下、本実施形態における外部出力基板10に構築された外部出力回路について説明する。図2および図5に示すように、外部出力回路は、入力用コネクタ11と、LED40(発光部)と、無接点リレー(入力側の導電体と出力側の導電体を物理的に接触させずに導通を図るリレー)50と、出力用コネクタ(上述した各連結型コネクタ20に相当する)とを備える。
【0029】
主制御基板等により生成された各種遊技情報は、入力用コネクタ11から外部出力回路に入力される。本実施形態では、主制御基板により生成された大当たり信号(大当たりに当選したことを示す信号)、始動入賞信号(始動入賞口924、925に入賞したことを示す信号)、図柄確定信号(当否抽選を報知する図柄の組み合わせを示す信号)、呼び出し信号(遊技店の店員を呼び出すための信号)、賞球信号(払い出される遊技球の数を示す信号)、扉開放信号(遊技機の前面扉が開放していることを示す信号)等が外部出力回路に送られる。なお、これらの信号を送信する経路が、他の基板に形成されていてもよい。ただし、これらの遊技情報の種類や、遊技情報が生成される基板(回路)は適宜変更可能である。遊技店側が管理すべき情報を、外部出力回路に送る遊技情報として設定すればよい。
【0030】
各種遊技情報を送る複数の配線上には、LED40が設けられている。つまり、LED40は、複数の遊技情報のそれぞれに対応づけて設けられている。ある遊技情報が外部出力回路に入力されているときには、当該ある遊技情報に対応するLED40が発光することになる。」

イ 図面の図示内容
「【0011】
【図1】本発明の一実施形態にかかる遊技機の正面図である。
【図2】外部出力基板およびそれに実装された連結型コネクタを模式的に示した図であって、(a)は平面図、(b)は(a)の右側面図(第二側面側から見た図)である。
【図3】一の連結型コネクタを模式的に示した図であって、(a)は平面図、(b)は(a)の右側面図(第二側面側から見た図)である。
【図4】(a−1)はレバーを操作していない状態、(a−2)は左側のレバーを引いた状態、(b)はレバーによって配線が外部出力端子に押圧された状態を示した図である。」

「【図1】


【図2】

【図3】


【図4】


ウ 認定事項
(ア)
引用文献1には、「・・・表示装置93は、大当たりの当否を報知する識別図柄等が表示される。・・・」(【0014】)こと、「・・・サブ制御基板(サブ制御回路)(図示せず)は、・・・実行する演出を決定、制御する。・・・」(【0017】)ことが記載されている。
そして、遊技機の技術分野において、遊技機のサブ制御基板により、液晶表示装置において複数の識別図柄の変動表示演出を行い、その後、変動表示を停止させることは、当業者における技術常識である。
さらに、引用文献1の【0017】に「・・・主制御基板やサブ制御基板を含めた遊技に関する制御を行う各種基板(以下、これらをまとめて制御基板(制御回路)と称することもある)の具体的な構成については、公知の遊技機と同様であるため詳細な説明を省略する。」と記載されている。
これらのことからみて、引用文献1に記載された「遊技機1」の「サブ制御基板」は、「表示装置93において、複数の識別図柄を用いた変動表示演出を行い、その後、変動表示を停止させる」(以下「認定事項ア」という。)ものと認められる。

(イ)
【0018】に「遊技に関する情報・・・を、ホールコンピュータ等の外部機器に出力するための外部出力回路が設けられている。・・・当該外部出力回路は、外部出力基板10・・・に構築されている。・・・外部出力基板10が設けられる位置は・・・外部機器との接続作業が容易となるような位置に設けられる。本実施形態では、正面視左上に設けられている(図1参照)。」と記載され、【図1】には、「外部出力基板10」が、点線によって、遊技機1の背面側に設けられていることが示されている。
そして、【図2】には、外部出力基板10に入力用コネクタ11が接続されていることが示されており、通常、遊技機の技術分野において、コネクタ類が遊技機の背面に設けられることを考慮すると、【図1】における「外部出力基板10」の位置は、入力用コネクタ等が設けられる遊技機の背面側であると認められる。
したがって、引用文献1には、「遊技機の背面側の正面視左上に、ホールコンピュータ等の外部機器に遊技に関する情報を出力するための、外部出力基板10に構築されている外部出力回路が設けられている」こと(以下「認定事項イ」という。)が記載されているものと認められる。

(ウ)
【図4】には、「配線H等を挿入する空間Zが、本体部22に形成された」こと(以下「認定事項ウ」という。)が示されている。

(エ)
【図2】には、「LED40が、連結型コネクタ20のレバー23とは反対側の外部出力基板10上に設けられた」こと(以下「認定事項エ」という。)が示されている。

(オ)
【0027】に「・・・連結型コネクタ20は、コネクタ同士が連結可能な構造であればよく、電気的な接続を図るための部分の構造はどのようなものであってもよい。本実施形態における連結型コネクタ20は、レバー23がばねによって付勢されており、このレバー23を引くことにより、配線H等を挿入する空間Zが広がる・・・」と記載され、【図3】には、レバー23として、本体部22の底面からの高さが異なる2つが設けられることが図示されている。
したがって、引用文献1には、「連結型コネクタ20のレバー23は、本体部22の底面からの高さが異なる2つのレバーからなる」こと(以下「認定事項オ」という。)が記載されていると認められる。

エ 引用発明
上記アの記載事項及び上記イの図面の図示内容、および、上記ウの認定事項から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める(記号a〜iは、本件補正発明のA〜Iに概ね対応するように当審判合議体にて付した。)。
「a,b 始動入賞口924、925、大入賞口926が設けられた遊技領域922と、
大当たりの当否を報知する識別図柄等が表示される表示装置93(【0014】)と、
始動入賞口924、925に遊技球が入賞したことに基づく大当たりの抽選や、各種入賞口に遊技球が入賞したことに基づく遊技球の払い出し等を制御する主制御基板(【0017】)を備え、

c,h 主制御基板からの信号(大当たりフラグの成否や、所定の入賞領域に遊技球が入賞したことを知らせる信号等)を受けて、実行する演出を決定し、表示装置93に大当たりの当否を報知する識別図柄等を表示する演出を制御するサブ制御基板(【0014】、【0017】)
を備えた遊技機1において(【0012】)、
サブ制御基板は、表示装置93において、複数の識別図柄を用いた変動表示演出を行い、その後、変動表示を停止させ(認定事項ア)、

d 遊技機の背面側の正面視左上に、ホールコンピュータ等の外部機器に遊技に関する情報を出力するための、外部出力基板10に構築されている外部出力回路が設けられ(認定事項イ)、

e 外部出力回路は、出力用コネクタを備え(【0028】)、
外部出力基板10には、複数の出力チャネルを構成する複数の出力用コネクタが実装され、
各出力用コネクタは、隣接するもの同士が連結可能な複数の連結型コネクタ20であり、
各連結型コネクタ20は、端子ピンである外部出力端子21と、この端子ピンが固定される本体部22(ハウジング)を有し(【0019】)、
配線H等を挿入する空間Zが、本体部22に形成され(認定事項ウ)、
レバー23がばねによって付勢されており、このレバー23を引くことにより、配線H等を挿入する空間Zが広がり、当該空間Zに配線H等を挿入した上で、レバー23の操作状態を解除することにより、ばねによって付勢されたレバー23が、配線Hの芯線やそれに固定される端子等を外部出力端子21に押圧した状態となり(【0027】)、

f 連結型コネクタ20のレバー23とは反対側の外部出力基板10上にLED40が設けられ(認定事項エ)、

g 連結型コネクタ20は、隣接する連結型コネクタ20同士を連結させるための係合部222である複数の突起と、被係合部224である複数の孔とを有し(【0020】)、
入力用コネクタ11から外部出力回路に入力される信号として、始動入賞信号(始動入賞口924、925に入賞したことを示す信号)等があり(【0029】)、

k 連結型コネクタ20のレバー23は、本体部22の底面からの高さが異なる2つのレバーからなる(認定事項オ)、

l 遊技機1(【0012】)。」

(3)周知例の記載、周知技術
ア 原査定の拒絶の理由で引用文献6として引用された特開2000−167203号公報
(ア)「【0007】本発明は、このような従来の問題点に鑑み、電気部品の種類数を少なくできると共に、基板本体に電気部品を装着する際のミスを防止しながら低コストで能率的に製作でき、しかも基板側の電気部品に外部の電気部品を接続する際の接続ミスも未然に防止できる遊技機用プリント基板を提供することを目的とする。

(イ)「【0019】基板本体46の表面には、各基板側コネクタ28〜30の装着箇所、部品番号、その他の所要情報を色彩の違いにより識別可能に表示する着色表示手段57〜59が、各基板側コネクタ28〜30に対応してその近傍に印刷されている。即ち、各着色表示手段57〜59は、基板側コネクタ28〜30の装着箇所を示す装着箇所表示部57a〜59aと、各基板側コネクタ28〜30のコネクタ番号を示すコネクタ番号表示部57b〜59bと、基板側コネクタ28〜30の開口方向を示す方向表示部57c〜59cと、基板側コネクタ28〜30に接続すべき外部コネクタ54〜56の色彩を示すコネクタ色彩表示部57d〜59dと、基板側コネクタ28〜30の端子数を示す端子数表示部57e〜59eとを備えている。
【0020】装着箇所表示部57a〜59aは、基板側コネクタ28〜30のコネクタ本体50を取り囲むように、各基板側コネクタ28〜30の大きさに応じて矩形枠状に印刷されている。コネクタ番号表示部57b〜59bと方向表示部57c〜59cは、装着箇所表示部57a〜59aの一方側の近傍に並べて印刷されており、そのコネクタ番号表示部57b〜59bは「CN1」「CN4」等の文字により、また方向表示部57c〜59cは三角形等の標識により夫々構成されている。
【0021】コネクタ色彩表示部57d〜59dと端子数表示部57e〜59eは装着箇所表示部57a〜59aの他方側の近傍に並べて印刷されており、そのコネクタ色彩表示部57d〜59d は「白」「灰」「緑」等の文字により、また端子数表示部57e〜59eは「2P」等の文字により夫々構成されている。
【0022】この3個の着色表示手段57〜59の装着箇所表示部57a〜59a、コネクタ番号表示部57b〜59b、方向表示部57c〜59c、コネクタ色彩表示部57d〜59d及び端子数表示部57e〜59eには、色彩の違いにより相互に識別できるように、各着色表示手段57〜59毎に異なる色彩のインクが用いられている。」

(ウ)「【図3】


【図4】



【図5】

【図6】



イ 原査定の拒絶の理由で引用文献7として引用された実願平3−91271号(実開平5−86377号)のCD−ROM
(ア)「【0007】
本考案の目的は、島内における配線の簡略化を行うことで、その接続作業の省力化及び接続ミスの防止を図るパチンコ機の配線処理装置を提供するものである。」

(イ)「【0013】
底板8上にはプリント基板16がビス17によって固定されている。プリント基板16の手前を第一列目として、第一列目には3個の接続部としてのコネクタハウジング18〜20が配列され、第二列目から第五列目までは各列4個のコネクタハウジング21〜36が配列されている。そして、前記リード線3の先端に取着されたコネクタ37は、各コネクタハウジング18〜36にそれぞれ接続可能となっている。
【0014】
一列目のコネクタハウジング18〜20周囲前方のプリント基板16上には、左側から順に「アウト」、「サンド」、「スロット」とシルク印刷表示されている。各コネクタハウジング18〜20の色は左側から順にベージュ色、茶色、白色に着色され、その端子は左側から順に2本、2本、6本設けられている。
【0015】
二列目のコネクタハウジング21〜24周囲前方のプリント基板16上には、左側から順に「サラ」、「スタート」、「トクショウIN」、「HIT」とシルク印刷表示されている。各コネクタハウジング21〜24の色は左側から順に紫色、白色、青色、緑色に着色され、その端子は左側から順に2本、3本、3本、3本設けられている。
【0016】
三列目のコネクタハウジング25〜28周囲前方のプリント基板16上には、左側から順に「AUX5」、「フセイ」、「ガラス」、「ヨビダシIN」とシルク印刷表示されている。各コネクタハウジング25〜28の色は左側から順に白色、白色、白色、黄色に着色され、その端子は左側から順に3本、3本、3本、2本設けられている。
【0017】
四列目のコネクタハウジング29〜32周囲前方のプリント基板16上には、左側から順に「AUX1」、「AUX2」、「AUX3」、「AUX4」とシルク印刷表示されている。各コネクタハウジング29〜32の色は左側から順に白色、白色、白色、黄色に着色され、その端子は左側から順に3本、3本、3本、3本設けられている。
【0018】
五列目のコネクタハウジング33〜36周囲前方のプリント基板16上には、左側から順に「ハンドル」、「ヨビダシ」、「トクショウ」、「ホキュウソウチ」とシルク印刷表示されている。各コネクタハウジング33〜36の色は左側から順に白色、黒色、赤色、黄色に着色され、その端子は左側から順に3本、2本、2本、3本設けられている。
【0019】
すなわち、第一列目〜第五列目の全コネクタハウジング18〜36に各信号内容を示す文字がシルク印刷表示されていることにより、各コネクタハウジング18〜36に接続するコネクタが容易に識別可能となっている。又、各コネクタハウジング18〜36は目的に応じ色分けされることにより、同じく各コネクタハウジング18〜36に対応するコネクタが容易に識別可能となっている。なお、前記「AUX1」〜「AUX5」は予備の接続部としてのコネクタハウジング25,29〜32を示し、新型パチンコ機等の入替え時には、コネクタ37が増加した場合に対応可能となっている。」

(ウ)「【図2】



ウ 周知技術1
上記ア、イに示したように、遊技機の技術分野において、基板にコネクタ等の電気部品を装着する際のミスを防止しながら低コストで能率的に製作でき、しかも基板側のコネクタ等の電気部品に外部の電気部品を接続する際の接続ミスも未然に防止できる遊技機用基板を提供するために、複数のコネクタを設けた基板上であって、各コネクタの近傍に、各コネクタの種別等を識別可能とする符号を印字することは、本願出願前に周知の技術事項(以下「周知技術1」という。)である。

エ 原査定の拒絶の理由で引用文献2として引用された特開2012−187248号公報
(ア)「【0072】
次にパチンコ機50が外部装置へ向けて出力する出力信号について説明する。図20に示すように、主制御装置8は出力信号として、第1特図始動口22Aへの入球があると出力される「始動口1信号(第1の入球信号)」、第2特図始動口22Bへの入球があると出力される「始動口2信号(第2の入球信号)」、大当りや小当りとなると出力される「大当り1信号」、「大当り2信号」、「大当り3信号」、「大当り4信号」、図柄の確定時に出力される「図柄確定信号」および不正行為が行われたときに出力される「セキュリティ信号」がある。これらの信号は、裏中継端子板、払出制御装置8を介して外部接続端子板78に送信される。尚、払出制御装置81では出力信号として、「賞球信号」および「枠開放信号」が出力される。
【0073】
図20、図21に示すように、外部接続端子板78は出力端子として「CN1」〜「CN10」を備え、「CN1」から「始動口1信号」が出力され、「CN2」から「始動口2信号」が出力される。以降「CN3」から「CN10」にかけて、順に「大当り1信号」、「大当り2信号」、「大当り3信号」、「大当り4信号」、「図柄確定信号」、「セキュリティ信号」、「賞球信号」および「枠開放信号」が出力される。各出力端子「CN1」〜「CN10」は個別に遊技施設のホールコンピュータ等の入力端子に接続される。
図22に示すように、遊技施設によっては「CN1」と「CN2」とを一つのラインにまとめてホールコンピュータ等の入力端子に接続されることもある。」

(イ)「【0079】
前記「始動口信号出力処理1」により出力される始動口1信号は、図25(a)に示すように、第1特図始動口22Aへの入球により第1始動口SWがオンし、「始動入賞確認処理」(図6)で始動口1カウンタが「1」以上となると、始動口1および始動口2タイマが「0」のとき、即ち始動口1および始動口2の何れの信号も出力されていなければ、始動口1信号が出力(オン)される(ア)。
出力時、始動口1タイマに「100」がセットされ、「始動口信号出力処理1」の実行毎に始動口1タイマが減算され、始動口1タイマが「50」になると始動口1信号をオフする。この場合、「始動口信号出力処理1」は2msの割込みごとに実行されるので、始動口1信号の出力時間は100msとなる。
【0080】
始動口1信号のオン時(イ)に、新たに第1特図始動口22Aへの入球があり第1始動口SWがオンとなっても、始動口1タイマが「0」でないので、新たな入球に対する始動口1信号が直ちに出力されることはない。始動口1タイマは出力中の始動口1信号がオフとなり、更に100ms経過しないとが「0」とならず、この間は次の始動口1信号は出力されない。新たな始動口1信号は前の信号のオフ後、100ms経過してから出力され(ウ)、ふたつの信号が重なることはない。」

(ウ)「【0085】
このように始動口1信号および始動口2信号の出力は、互いに遅延させ間隔をおいて出力させるので、両信号は重ならず、ホールコンピュータにおいて各信号を確実に計数、管理することができる。特に、図22に示すように、「CN1」と「CN2」とをまとめてホールコンピュータのひとつの入力端子へ接続する構成においてより確実に効果が発揮される。」

(ウ)「【図25】



【図25】には、始動口1、2信号が、いずれの場合も、100ms出力されることが図示されている。

オ 原査定の拒絶の理由で引用文献3として引用された特開2012−217481号公報
(ア)「【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。なお、以下の実施の形態では、パチンコ遊技機を例に説明を行うが、本発明による遊技機はパチンコ遊技機に限られず、スロット機などの他の遊技機に適用することもできる。」

(イ)「【0070】
また、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a、入賞確認スイッチ14b、カウントスイッチ23、および各入賞口スイッチ29a,30aからの検出信号を基本回路53に与える入力ドライバ回路58も主基板31に搭載され、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、および特別可変入賞球装置を開閉するソレノイド21を基本回路53からの指令に従って駆動する出力回路59も主基板31に搭載され、電源投入時に遊技制御用マイクロコンピュータ560をリセットするためのシステムリセット回路(図示せず)や、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号を、ターミナル基板160を介して、ホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路64も主基板31に搭載されている。」

(ウ)「【0310】
図36は、ターミナル基板160に出力される各種信号を示すブロック図である。図36に示すように、この実施の形態では、主基板31に搭載されている遊技制御用マイクロコンピュータ560からターミナル基板160に対して、図柄確定回数1信号、始動口信号、大当り1信号、大当り2信号、大当り3信号、時短信号、入賞信号、セキュリティ信号、および高確中信号が、遊技制御用マイクロコンピュータ560側の情報出力処理(ステップS31参照)によって出力される。また、この実施の形態では、払出制御基板37に搭載されている払出制御用マイクロコンピュータ370から、主基板31を経由して、ターミナル基板160に対して、賞球情報が、払出制御用マイクロコンピュータ370側の情報出力処理(ステップS759参照)によって出力される。
【0311】
図柄確定回数1信号は、第1特別図柄および第2特別図柄の変動回数を通知するための信号である。始動口信号は、第1始動入賞口13および第2始動入賞口14への入賞個数を通知するための信号である。大当り1信号は、大当り遊技中(特別可変入賞球装置の動作中)であることを通知するための信号である。大当り2信号は、大当り遊技中(特別可変入賞球装置の動作中)で、または特別図柄の変動時間短縮機能が作動中(高ベース状態中)であることを通知するための信号である。大当り3信号は、大当り遊技中に、当該大当り遊技の終了後に高ベース状態に移行することを通知するための信号である。時短信号は、特別図柄の変動時間短縮機能が作動中(高ベース状態中)であることを通知するための信号である。」

(エ)「【0356】
情報出力処理のステップS1002〜S1020および図41に示す入賞タイマセット処理によって、第1始動入賞口13への入賞(第1始動口スイッチ13aのオン)、第2始動入賞口14への入賞(第2始動口スイッチ14aのオン)が発生すると、始動口信号が出力される。すなわち、始動口信号が100ms間オン状態となった後、100ms間オフ状態になる。この始動口信号がホールコンピュータに入力されることによって、第1始動入賞口13および第2始動入賞口14への入賞個数を認識させることができる。
【0357】
始動口信号は、100ms間オン状態となった後、100ms間オフ状態になるので、短時間に連続して始動入賞が発生した場合であっても、100ms間のオフ状態の後に次の始動口信号が出力される。すなわち、始動口信号は少なくとも100msの間隔をあけて出力される。
【0358】
このように、始動口信号は少なくとも100msの間隔をあけて出力されるので、ホールコンピュータは、始動入賞数の総数を確実に把握することができる。」

(オ)「【図36】



カ 周知技術2
上記エ、オに示したように、遊技機の技術分野において、始動口信号が単独で発生した場合であっても、短時間に連続して発生した場合であっても、ホールコンピュータ等の外部装置に対して、始動口信号が一定時間出力されることは、本願出願前に周知の技術事項(以下「周知技術2」という。)である。

キ 原査定の拒絶の理由で引用文献4として引用された特開2019−54995号公報
(ア)「【0012】
(遊技機の構成)
まず、図1を用いて、遊技機1の構成について説明する。図1は本実施の形態における遊技機1の正面図の一例である。」

(イ)「【0501】
まず、T0のタイミングは、客待ち状態が開始されてから0フレーム目となるタイミングである。このタイミングにおいて、客待ちデモ演出を開始するための待機時間(30秒)の減算が開始される。
【0502】
具体的には、図39(a)に示すように、第1画像表示装置70では、演出図柄70a及び特殊図柄TZが停止表示した状態となっている。また、第1保留数表示領域70E及び第2保留数表示領域70Fには「0」が表示され、保留アイコン及び当該アイコンTHが表示されていない状態となっている。
【0503】
T1のタイミングは、第1特別図柄保留数(U1)が「0」から「1」に増加したタイミング(客待ち状態の開始から4フレーム目)である。このタイミングにおいて、第1保留数字の非アニメーションによる増加表示、及び、第1保留アイコンの非アニメーションによる増加表示(1フレームで完了)が行われ、アイコン発生時の報知音である第1発生報知音の出力が開始される。」

(ウ)「【0532】
まず、T1のタイミングは、通常変動パターンによる変動演出が開始されてから50フレーム目となるタイミングである。このタイミングにおいて、演出図柄70aの変動表示が継続している。
【0533】
具体的には、図42(a)に示すように、第1画像表示装置70では、演出図柄70a及び特殊図柄TZのスクロール(下方向への移動)が行われている。また、第1保留数表示領域70E及び第2保留数表示領域70Fには「0」が表示され、当該アイコン(CDアイコン)THが表示されている。
【0534】
T2のタイミングは、第1特別図柄保留数(U1)が「0」から「1」に増加したタイミング(変動演出の開始から60フレーム目)である。このタイミングにおいて、第1保留数字の非アニメーションによる増加表示、及び、第1保留アイコンのアニメーションによる増加表示が開始され、アイコン発生時の報知音である第1発生報知音の出力が開始される。
【0535】
具体的には、図42(b)に示すように、第1画像表示装置70では、第1保留数表示領域70Eに表示されている第1保留数字が「0」から「1」に変化すると共に、第1表示部70B1に第1保留アイコン(CDアイコン)H11が極小サイズで表示されて拡大表示を開始する。また、音声出力装置9から第1発生報知音(ピコッ)が出力される。
【0536】
T3のタイミングは、第1保留アイコンの増加表示が開始されてから10フレーム目となるタイミング(変動演出の開始から70フレーム目)である。このタイミングにおいて、第1保留アイコンの増加表示が終了すると共に、第1発生報知音の出力が終了する。」

(エ)「【0540】
また、変動演出の実行中に特別図柄保留数が増加した場合には、客待ち状態中に特別図柄保留数が増加した場合に比べて、長い期間に亘って保留アイコンの増加表示が実行されるため、特別図柄保留数が増加したことを遊技者に確実に認識させることができ、遊技の興趣を向上させることが可能となる。」

(オ)「【図38】



(カ)「【図41】



ク 原査定の拒絶の理由で引用文献5として引用された特開2014−200253号公報
(ア)「【0010】
以下、図面を用いて、本発明の第一の遊技台(例えば、パチンコ機100等の弾球遊技機やスロット機等の回胴遊技機)の実施形態(第1実施形態)について詳細に説明する。
[実施形態1]
<全体構成>
まず、図1を用いて、本発明の第1実施形態に係るパチンコ機100の全体構成について説明する。なお、同図はパチンコ機100を正面側(遊技者側)から見た外観斜視図である。」

(イ)「【0649】
図53は、特図の図柄変動表示中に始動口に入賞があり、第一の先読み予告として演出Aが実行されている例を示す図である。
【0650】
図53(a)では、特図の保留が無い状態で、特図の図柄変動表示が行われており、装飾図柄表示装置208では、装飾図柄の変動表示が行われている。この特図の図柄変動表示中および装飾図柄の変動表示中に、同図(b)に示すように、第1特図始動口230に入球があり、特図1の保留が増加する。
【0651】
図53(c)では、依然として特図の図柄変動表示中および装飾図柄の変動表示中である。これら特図の図柄変動表示および装飾図柄の変動表示は、図53(e)まで継続する。図53(c)に示す装飾図柄表示装置208では、図51(c)を用いて説明した、先読み予告の表示態様の保留表示が追加される増加アニメーション、すなわち演出Aの報知態様による第一の先読み予告が開始されている。
【0652】
図53(d)に示す装飾図柄表示装置208では、老中のキャラクタの保留表示2905が完全に出現し、同図(e)に示す装飾図柄表示装置208では、老中のキャラクタに一瞬だけ光のオーラ2902が付加されている。この例では、このタイミングでスピーカ120から保留増加音が出力されている。
【0653】
図54は、特図の停止表示中に始動口に入賞があり、第二の先読み予告として演出Dが実行されている例を示す図である。
【0654】
図54(a)では、特図の保留が無く、特図が停止表示中であり、装飾図柄表示装置208でも、装飾図柄の組み合わせ(ここでは「装飾6」−「装飾7」−「装飾2」)が停止表示中である。この特図の停止表示中および装飾図柄の停止表示中に、同図(b)に示すように、第1特図始動口230に入球があり、特図1の保留が増加する。ここでは、増加アニメーション(演出A)は行われず、図54(c)に示すように、一瞬のうちに保留表示(ここではデフォルトの態様の保留表示)2900が追加表示される。保留表示2900が追加表示されるタイミングで、演出Dの報知態様による第二の先読み予告が実行され、同図(c)に示すスピーカ120からは保留増加音が出力されている。なお、ここで出力される、第二の先読み予告としての保留増加音は、図53(e)で出力される保留増加音と異なる音であってもよい。」

(ウ)「【0656】
なお、この例では、特図の停止表示中は、保留表示がデフォルトの表示態様で表示され、デフォルトの表示態様以外に変化しない。しかしながら、最初から先読み予告の表示態様で表示するようにしてもよい。ただし、増加アニメーションが実行されず、保留表示の表示時間が極端に短いため、先読み予告の表示態様で表示したとしても、遊技者は、先読み予告の実行に気付かないかもしれず、音による演出で、先読み予告をわかりやすくしている。特図の停止表示中は、増加した保留表示を、最初から先読み予告の表示態様で一瞬にして表示する態様(第三の表示態様の一例に相当)であるのに対し、特図の図柄変動表示中は、増加した保留表示を、先読み予告による態様を用いた増加アニメーションという一定の尺の中で表示させる態様(第二の表示態様の一例に相当)であり、先読み予告を兼ねた保留表示の報知態様(ここではより具体的には出現態様)は、特図の図柄変動表示中と停止表示中とで異なっている。こうすることで、多彩な演出を行うことができ、遊技の興趣を向上させることができる場合がある。また、図柄の変動表示中と図柄の停止表示中とでメリハリのある演出を行うことができる場合がある。
【0657】
また、図53と図54を用いて説明したように、特図の停止表示中は、増加した保留表示を、一瞬にして表示するとともに保留増加音を出力する態様であるのに対し、特図の図柄変動表示中は、保留増加音の出力があってもなくても、増加した保留表示を、増加アニメーションという一定の尺の中で表示させる態様であり、保留表示の報知態様(ここでもより具体的には出現態様)は、特図の図柄変動表示中と停止表示中とで異なっている。」

(エ)「【図53】


【図54】



ケ 周知技術3
上記キ、クに示したように、遊技機の技術分野において、変動演出中に保留数が増加したことを遊技者に確実に認識させたり、客待ち状態中と変動演出中とでメリハリのある演出を行ったりすることで、遊技の興趣を向上させることを目的として、客待ち状態中の保留アイコンの増加表示の実行期間よりも変動演出中の保留アイコンの増加表示の実行期間の方を長くすることは、本願出願前に周知の技術事項(以下「周知技術3」という。)である。

コ 今回新たに引用した特開2009−266694号公報
(ア)「【0014】
図4は、コネクタ1の側断面図であって、第1レバー部材が上述の第2の位置(挿入孔開口位置)にある状態を示す図である。第1レバー部材3aは、連結部36aを介して本体部32aの先端に一体的に形成された操作部35aを有し、操作部35aは作業者がアクセス可能な操作面351aを有する。同様に、第2レバー部材3bは、図5の単体図に示すように、連結部36bを介して第1レバー部材の本体部32aと同様の本体部32bの先端に一体的に形成された操作部35bを有し、操作部35bは作業者がアクセス可能な操作面351bを有する。なお第1レバー部材の連結部36aは本体部32aの先端から下方に向かって屈曲し、一方第2レバー部材の連結部36bは本体部32bの先端から上方に向かって屈曲している。このように双方のレバー部材を逆方向に屈曲させると、各レバー部材のストロークを同じにしたままコネクタ全体の高さを低くすることができ、コネクタの小型化に好適である。また第1レバー部材と第2レバー部材との間に指が挿入できる隙間が生じるため、第1レバー部材を前方に突出させる量を少なくしても第1レバーを容易に操作でき、これもコネクタの小型化に寄与する。」

(イ)「【0018】
第2の位置においては、接続端子4aの突起43a、44aと第1レバー部材3aの楔部34aとの間に空隙が生じる。そこで図4に示すように、被覆61aが除去された所定長さの心線部62aを先端に有する第1リード線6aをハウジング2の挿入孔21aから挿入することができるようになる。またハウジング2はその底部から下方に突出する位置決めピン27を有してもよく、位置決めピン27が基板7(図4参照)に設けられた貫通孔と係合することにより基板7へのコネクタ1の位置決めが可能となる。なお操作面351a及び351bには、滑り止めとして複数の溝を設け、いわゆるギザギザ状の表面としてもよい。」

(ウ)「【図4】



サ 今回新たに引用した特開2011−115551号公報
(ア)「【0074】
図8は、接続端子装置600の斜視図である。
接続端子装置600は、図7および図8に示すように、各種部材が収容される基体602と、基体602に形成された10個の配線接続部604aと、基体602に形成された10個の配線接続部604bとを有して構成されている。」

(イ)「【0122】
また、配線接続部604a、604bは、図13および図14に示すように、端子板608a、608bの位置および形状、係止ピン620a、620bの位置および形状、揺動支軸622a、622bの位置、押圧部628a、628bの位置および形状、並びに係止凸部632a、632bの位置および形状が同一に構成されている。すなわち、基体602から突出する部分以外は、同一に構成されている。これにより、配線接続部604a、604bのいずれにも、揺動操作部材610a、610bのうち所望のものを取り付けることができるので、揺動操作部材610a、610bを自由に組み合わせることができる。例えば、中央の1つだけを揺動操作部材610aとすれば、その押込操作部624aが操作しにくくなるので、配線606aが抜けにくい構成とすることができるし、本実施の形態のように揺動操作部材610a、610bを交互に配置すれば、押込操作部624a、624bが操作しやすい構成とすることができる。また、任意の組み合わせにしても、基体602から突出する部分以外が同一に構成されているので、押込操作部624a、624bの操作性が変わることもない。例えば、配線接続部604aに揺動操作部材610bを取り付けても、配線接続部604bに揺動操作部材610bを取り付けた場合に比して、コイルバネ612bの付勢力や揺動操作部材610bの揺動距離が変化することがないので、押込操作部624bの操作性は同一となる。
【0123】
また、押込操作部624bの指が接触する上面は、押込操作部624aのそれに対して面積が小さいが、押込操作部624bの先端上部には、爪626aよりも高い爪626bが形成されている。これにより、接触面積が小さい押込操作部624bには指が掛けにくいところ、爪626bの高さが爪626aよりも高いので、爪626bに指が掛けやすくなり、押込操作部624bがさらに操作しやすくなる。」

(ウ)「【図8】


【図9】


【図10】

・・・略・・・
【図13】


【図14】



上記【図8】〜【図10】、【図13】、【図14】には、押込操作部624a、624bの操作面に連続する凹凸が形成されていることが図示されている。

シ 周知技術4
上記コ、サに示したように、コネクタの技術分野において、レバー操作により配線を接続する配線接続部を有し、第1操作部と第2操作部の最大操作量を同じとし、第1操作部と第2操作部の操作面に連続する凹凸を設けることは、本願出願前に周知の技術事項(以下「周知技術4」という。)である。

(4)対比
本件補正発明と引用発明とを、分説に従い対比する。
(a)
引用発明の「始動入賞口924、925に遊技球が入賞したことに基づく大当たりの抽選や、各種入賞口に遊技球が入賞したことに基づく遊技球の払い出し等を制御する」ことは、本件補正発明の「遊技を制御する」ことに相当する。
そして、引用発明の「主制御基板」は、本件補正発明の「第1制御基板」に相当する。
したがって、引用発明の構成a,bは、本件補正発明の構成Aに相当する。

(b)
引用発明の「大当たりの抽選」に係る情報は、本件補正発明の「遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かの」「判定情報」に相当する。
そして、引用発明の「主制御基板」は、「始動入賞口924、925に遊技球が入賞したことに基づく大当たりの抽選」を制御するものであるが、未実行の「大当たりの抽選」に係る情報をメモリに記憶保持することは、当業者における技術常識である。
そうすると、引用発明の「遊技機1」は、本件補正発明の「未実行の判定情報を保留記憶として記憶する記憶手段」を実質的に備えるものといえる。

したがって、引用発明は、本件補正発明の構成Bを備える。

(c、l)
引用発明の「信号(大当たりフラグの成否や、所定の入賞領域に遊技球が入賞したことを知らせる信号等)」は、本件補正発明の「コマンド」に相当する。
そうすると、上記(a)より、引用発明の「主制御基板からの信号」「を受けて」所定の「決定」を行うことは、本件補正発明の「第1制御手段からのコマンドに応じ」ることに相当する。
また、引用発明の「表示装置93において、複数の識別図柄を用いた変動表示演出を行」うことは、本件補正発明の「変動演出を実行可能な」ことに相当する。
そして、引用発明の「サブ制御基板」、「遊技機1」は、それぞれ、本件補正発明の「第2制御手段」、「遊技機」に相当する。
したがって、引用発明は、本件補正発明の構成C、Lを備える。

(d)
引用発明の
「遊技機の背面側の正面視左上」、
「ホールコンピュータ等の外部機器」、
「遊技に関する情報を出力する」こと、
「外部出力回路」は、それぞれ、
本件補正発明の
「遊技機の背面側の所定箇所」、
「外部」、
「所定の信号を出力する」こと、
「外部情報出力手段」に相当する。
したがって、引用発明の構成dは、本件補正発明の構成Dに相当する。

(e)
引用発明の
「複数の出力用コネクタ」及び「複数の連結型コネクタ20」、
「出力用コネクタ」の「本体部22(ハウジング)」、
「出力用コネクタ」の「本体部22に形成され」た「配線H等を挿入する空間Z」、
「出力用コネクタ」の「引くことにより、配線H等を挿入する空間Zが広がり、当該空間Zに配線H等を挿入した上で、」そ「の操作状態を解除することにより、ばねによって付勢され」ることで、「配線Hの芯線やそれに固定される端子等を外部出力端子21に押圧した状態と」する「レバー23」、
「複数の出力用コネクタが実装され」る「外部出力基板10」は、それぞれ、
本件補正発明の
「複数の外部情報出力端子」、
「外部情報出力端子」の「ケース本体部」、
「外部情報出力端子」の「ケース本体部に形成された電線挿入部」、
「外部情報出力端子」の「電線挿入部に電線が挿入可能な第1状態と電線が挿入不可能な第2状態とに変換可能な操作部」、
「外部情報出力端子が実装される基板」に相当する。
したがって、引用発明の構成eは、本件補正発明の構成Eに相当する。

(g)
引用発明における「連結型コネクタ20」は、上記(e)より、本件補正発明の「外部情報出力端子」に相当する。
そして、引用発明の「隣接する連結型コネクタ20同士を連結させる」こと、「係合部222である複数の突起」、「被係合部224である複数の孔」は、それぞれ、本件補正発明の「外部情報出力端子同士を連結する」こと、「凸部」、「凹部」に相当する。
また、引用発明の「始動入賞口924、925に入賞した」場合、「始動入賞信号」は、それぞれ、本件補正発明の「始動口に遊技球が入賞した場合」、「入賞信号」に相当する。
さらに、引用発明の「入力用コネクタ11から外部出力回路に入力される信号」は、構成d、eによると、「連結型コネクタ20」の「外部出力端子21」から、「ホールコンピュータ等の外部機器」に出力される信号であるといえることから、本件補正発明の「外部情報出力端子を介して外部に」「出力」される「入賞信号」に相当する。
したがって、引用発明の構成gは、本件補正発明の構成Gに相当する。

(h)
引用発明は、構成c,hによれば、「表示装置93に大当たりの当否を報知する識別図柄等を表示する」ものであるが、「表示装置93」に「識別図柄」を表示することに加えて、上記(b)において検討した、未実行の「大当たりの抽選」に係る情報をメモリに記憶保持するとともに、未実行の「大当たりの抽選」に係る情報に対応する保留アイコンを「表示装置93」に表示することも、当業者における技術常識である。
したがって、引用発明は、本件補正発明の構成Hを実質的に備える。

(k)
引用発明の「連結型コネクタ20のレバー23は、本体部22の底面からの高さが異なる2つのレバーからなる」ことは、本件補正発明の「操作部は、第1操作部と、ケース本体部の底面からの高さが第1操作部と異なる第2操作部とからな」ることに相当する。
したがって、引用発明の構成kと、本件補正発明の構成Kとは、「操作部は、第1操作部と、ケース本体部の底面からの高さが第1操作部と異なる第2操作部とからな」ることで共通する。

(m)
上記(a)〜(k)から、本件補正発明と引用発明は、
「A 遊技を制御する第1制御手段と、
B 遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かの特別遊技判定が未実行の判定情報を保留記憶として記憶する記憶手段と、
C 前記第1制御手段からのコマンドに応じて変動演出を実行可能な第2制御手段と、
を備えた遊技機において、
D 遊技機の背面側の所定箇所に、外部に所定の信号を出力するための外部情報出力手段が設けられ、
E 前記外部情報出力手段は、
ケース本体部と、前記ケース本体部に形成された電線挿入部と、前記電線挿入部に電線が挿入可能な第1状態と電線が挿入不可能な第2状態とに変換可能な操作部と、を有する複数の外部情報出力端子と、前記外部情報出力端子が実装される基板と、を備え、
G 前記外部情報出力端子は、
前記外部情報出力端子同士を連結するための凹部と、凸部と、を有し、
始動口に遊技球が入賞した場合、前記外部情報出力端子を介して外部に入賞信号を出力し、
H 前記保留記憶に対応する保留アイコンを表示可能であり、
K´ 前記操作部は、
第1操作部と、
前記ケース本体部の底面からの高さが前記第1操作部と異なる第2操作部とからなる
L 遊技機。」
である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1](構成F)
本件補正発明の「外部情報出力手段」は、「操作部の近傍であって、基板には、外部情報出力端子を識別可能な符号が印字されて」いるのに対して、引用発明の「外部出力回路」が構築されている「外部出力基板10」は、そのような特定がない点。

[相違点2](構成I)
本件補正発明は、「変動演出及び前記特別遊技が実行されない客待ち状態中における始動口への遊技球の入賞に基づく保留アイコンの増加表示の実行期間よりも、変動演出の実行中における始動口への遊技球の入賞に基づく保留アイコンの増加表示の実行期間の方が長」いのに対して、引用発明は、そのような特定がない点。

[相違点3](構成J)
本件補正発明は、「変動演出及び特別遊技が実行されない客待ち状態中における始動口への遊技球の入賞に基づく入賞信号の出力時間と、変動演出の実行中における始動口への遊技球の入賞に基づく入賞信号の出力時間とは同一であ」るのに対して、引用発明は、そのような特定がない点。

[相違点4](構成K)
本件補正発明の操作部の第1操作部及び第2操作部は、「第1操作部の最大操作量と、第2操作部の最大操作量とは同じであり、第1操作部の操作面には、連続する凹凸が設けられており、第2操作部の操作面には、連続する凹凸が設けられている」のに対して、引用発明の「レバー23」は、そのような特定がない点。

(5)当審判合議体の判断
ア 相違点1(構成F)について
上記相違点1について検討する。
上記(3)ウに周知技術1として示したように、「遊技機の分野において、基板に電気部品を装着する際のミスを防止しながら効率的の装着作業ができ、しかも基板側の電気部品に外部の電気部品を接続する際の接続ミスを防止しながら効率的に接続作業ができる遊技機用基板を提供するために、複数のコネクタを設けた基板上であって、各コネクタの近傍に、各コネクタの種別等を識別可能とする符号を印字する」ことは、本願出願前に周知技術である。
ここで、周知技術1の「各コネクタの種別等を識別可能とする符号」、「基板」は、それぞれ、本件補正発明の「外部情報出力端子を識別可能な符号」、「基板」に対応する。
そして、引用発明において、「遊技機1」の「外部出力基板10」に「連結型コネクタ20」を装着させる際に、装着位置を確認可能とすることにより、装着のミスを防止し、装着作業の効率を向上させるとともに、「連結型コネクタ20」に「配線H」を接続させる際に、接続ミスを防止し、接続作業の効率を向上させることは、当業者に自明な課題であると認められる。
さらに、引用文献1の【0030】には「各種遊技情報を送る複数の配線上には、LED40が設けられている。つまり、LED40は、複数の遊技情報のそれぞれに対応づけて設けられている。ある遊技情報が外部出力回路に入力されているときには、当該ある遊技情報に対応するLED40が発光することになる。」と記載されており、また、引用発明において、「LED40」は、「連結型コネクタ20のレバー23とは反対側の外部出力基板10上に設けられ」ているものである。そうすると、引用発明に上記周知技術1を適用した場合、連結型コネクタ20の種別等を識別可能とする符号の印字箇所を、外部出力基板10におけるLED40を避けて、外部出力基板10のレバー23の近傍とすることは、当業者が適宜なし得たものである。
したがって、引用発明に上記周知技術1を適用して、上記相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

イ 相違点2(構成I)について
上記相違点2について検討する。
上記周知技術3の「客待ち状態中」、「変動演出中」は、それぞれ、本件補正発明の「変動演出及び前記特別遊技が実行されない客待ち状態中」、「変動演出の実行中」に相当することからみて、周知技術3の「客待ち状態中の保留アイコンの増加表示の実行期間よりも変動演出中の保留アイコンの増加表示の実行期間の方を長くする」ことは、本件補正発明の「客待ち状態中における始動口への遊技球の入賞に基づく保留アイコンの増加表示の実行期間よりも、変動演出の実行中における始動口への遊技球の入賞に基づく保留アイコンの増加表示の実行期間の方が長」いことに対応する。
そうすると、上記周知技術3は、本件補正発明の構成Iに対応する。

一方、引用発明において、「識別図柄等を表示する」「変動表示演出」中と、「変動表示演出」が行われない客待ち状態中といった遊技状態を有することは、当業者に自明であって、客待ち状態中と「変動表示演出」中において、遊技の興趣を向上させることは、当業者における自明の課題である。
そして、上記「(4)対比(h)」において検討したように、引用発明は、「表示装置93」に保留アイコンを表示する構成を実質的に備えるものである。
したがって、引用発明に上記周知技術3を適用して、客待ち状態中の保留アイコンの増加表示の実行期間よりも、「変動表示演出」中の保留アイコンの増加表示の実行期間の方を長くし、上記相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

ウ 相違点3(構成J)について
上記相違点3について検討する。
上記周知技術2の「始動口信号」は、本件補正発明の「始動口への遊技球の入賞に基づく入賞信号」に対応し、周知技術2の「単独で発生した」「始動口信号」及び「短時間に連続して発生した」「始動口信号」は、それぞれ本件補正発明の「変動演出及び特別遊技が実行されない客待ち状態中における始動口への遊技球の入賞に基づく入賞信号」及び「変動演出の実行中における始動口への遊技球の入賞に基づく入賞信号」に相当する。そうすると、周知技術2の「始動口信号が単独で発生した場合であっても、短時間に連続して発生した場合であっても、ホールコンピュータ等の外部装置に対して、始動口信号が一定時間出力される」ことは、本件補正発明の「変動演出及び特別遊技が実行されない客待ち状態中における始動口への遊技球の入賞に基づく入賞信号の出力時間と、変動演出の実行中における始動口への遊技球の入賞に基づく入賞信号の出力時間とは同一であ」ることに対応する。
そして、引用発明は、構成gにより「入力用コネクタ11から外部出力回路に入力される信号として、始動入賞信号(始動入賞口924、925に入賞したことを示す信号)等があるものである。
また、引用発明と上記周知技術2とは、「ホールコンピュータ等の外部機器」に遊技に関する情報として、「始動口への遊技球の入賞に基づく入賞信号」を出力することで共通する。
したがって、引用発明に上記周知技術2を適用して、上記相違点3に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

エ 相違点4(構成K)について
上記相違点4について検討する。
上記(3)シに周知技術4として示したように、「コネクタの技術分野において、レバー操作により配線を接続する配線接続部を有し、第1操作部と第2操作部の最大操作量を同じとし、第1操作部と第2操作部の操作面に連続する凹凸を設ける」ことは、本願出願前に周知技術である。
そして、引用発明の「連結型コネクタ20」と、上記周知技術4とは、レバー操作により配線を接続する配線接続部を有するタイプのコネクタである点で共通する。
したがって、引用発明の「連結型コネクタ20」に上記周知技術4を適用して、上記相違点4に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

オ 効果
本件補正発明により奏される効果は、当業者が、引用発明及び周知技術1〜4から予測し得た効果の範囲内のものであって、格別なものではない。

カ 小括
上記ア〜オの検討内容からみて、本件補正発明は、引用発明及び周知技術1〜4に基づいて当業者が容易になし得たものである。

(6)請求人の主張について
請求人は、令和4年4月12日提出の審判請求書において、次の点について主張をする。
「ここで、補正後の本願発明と、引用文献1〜引用文献7を対比すると、引用文献1〜引用文献7には、「第1操作部の最大操作量と、第2操作部の最大操作量とは同じ」であることや、「第1操作部の操作面には、連続する凹凸が設けられており、第2操作部の操作面には、連続する凹凸が設けられている」ことについての記載がされていない点で相違しております(以下、「相違点」という)。
具体的には、引用文献1の[0027]や[図2]〜[図4]には、2つのレバー23について開示されておりますが、上記相違点については記載も示唆もされておりません。
また、引用文献2の[0026]や[図36]には、外部接続端子板78について開示されておりますが、上記相違点については記載も示唆もされておりません。
また、引用文献3の[0057]や[図2]には、ターミナル基板160について開示されておりますが、上記相違点については記載も示唆もされておりません。
また、引用文献4の[0086]には、遊技情報出力端子板90について開示されておりますが、上記相違点については記載も示唆もされておりません。
また、引用文献5の[0058]や[図4]には、情報出力回路336について開示されておりますが、上記相違点については記載も示唆もされておりません。
また、引用文献6の[図5]には、コネクタの種別等を識別可能とする符号を印字することが図示されておりますが、上記相違点については記載も示唆もされておりません。
また、引用文献7の[図1]には、パチンコ機の配線処理装置について図示されておりますが、上記相違点については記載も示唆もされておりません。
そして、補正後の請求項1に係る発明は、上記相違点の構成を備えていることにより、第1操作部と、第2操作部の操作性を向上させることができるという引用文献1〜引用文献7を組み合わせても奏することのない有利な効果を奏します。
従いまして、上記相違点を備えた補正後の本願発明は、引用文献1〜引用文献7に開示されている発明に基づいて、当業者が容易に想到することができません。」(3.本願発明が特許されるべき理由を参照。)

そこで、請求人の上記主張について検討する。
上記(3)シに周知技術4として示したように、「コネクタの技術分野において、レバー操作により配線を接続する配線接続部を有し、第1操作部と第2操作部の最大操作量を同じとし、第1操作部と第2操作部の操作面に連続する凹凸を設ける」ことは、本願出願前に周知の技術事項である。
そして、引用発明の「連結型コネクタ20」に上記周知技術4を適用することは、上記(5)エにおいて検討したように、当業者が容易になし得たものである。
したがって、請求人の上記主張を採用することはできない。

(7)小括
上記(5)、(6)において検討したように、本件補正発明は、当業者が引用発明及び周知技術1〜4に基づいて容易に発明できたものである。
したがって、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができない。

2−3 まとめ
上記2−2において検討したことからみて、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和3年12月17日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(記号A〜Hは、分説するため当審判合議体にて付した。)。

「【請求項1】
A 遊技を制御する第1制御手段と、
B 遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かの特別遊技判定が未実行の判定情報を保留記憶として記憶する記憶手段と、
C 前記第1制御手段からのコマンドに応じて変動演出を実行可能な第2制御手段と、
を備えた遊技機において、
D 遊技機の背面側の所定箇所に、外部に所定の信号を出力するための外部情報出力手段が設けられ、
E 前記外部情報出力手段は、
電線挿入部と、前記電線挿入部に電線が挿入可能な第1状態と電線が挿入不可能な第2状態とに変換可能な操作部と、を有する複数の外部情報出力端子と、前記外部情報出力端子が実装される基板と、を備え、
F 前記操作部の近傍であって、前記基板には、前記外部情報出力端子を識別可能な符号が印字されており、
G 前記外部情報出力端子は、
前記外部情報出力端子同士を連結するための凹部と、凸部と、を有し、
始動口に遊技球が入賞した場合、前記外部情報出力端子を介して外部に入賞信号を出力し、
H 前記保留記憶に対応する保留アイコンを表示可能であり、
I 前記変動演出及び前記特別遊技が実行されない客待ち状態中における前記始動口への遊技球の入賞に基づく前記保留アイコンの増加表示の実行期間よりも、前記変動演出の実行中における前記始動口への遊技球の入賞に基づく前記保留アイコンの増加表示の実行期間の方が長く、
J 前記変動演出及び前記特別遊技が実行されない客待ち状態中における前記始動口への遊技球の入賞に基づく前記入賞信号の出力時間と、前記変動演出の実行中における前記始動口への遊技球の入賞に基づく前記入賞信号の出力時間とは同一である、
L ことを特徴とする遊技機。」

2 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由の概要は、次のとおりである。
1.(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.特開2019−69058号公報
2.特開2012−187248号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2012−217481号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2019−54995号公報(周知技術を示す文献)
5.特開2014−200253号公報(周知技術を示す文献)
6.特開2000−167203号公報(周知技術を示す文献;新たに 引用された文献)
7.実願平3−91271号(実開平5−86377号)のCD−RO M(周知技術を示す文献;新たに引用された文献)

3 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1である特開2019−69058号公報の記載事項及び引用発明の認定については、前記「第2」「2」「2−2」「(2)引用例の記載、引用発明」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記「第2[理由]」で検討した本件補正発明において、発明を特定するために必要な事項である、「電線挿入部」について、「ケース本体部と、前記ケース本体部に形成された電線挿入部」とあったものを「電線挿入部」とし、また、「操作部」について、「前記操作部は、
第1操作部と、
前記ケース本体部の底面からの高さが前記第1操作部と異なる第2操作部とからなり、
前記第1操作部の最大操作量と、前記第2操作部の最大操作量とは同じであり、
前記第1操作部の操作面には、連続する凹凸が設けられており、
前記第2操作部の操作面には、連続する凹凸が設けられている、」とあったものを削除することにより、その限定を省いたものである。
そうすると、前記「第2」「2」「2−2」「(4)対比」における検討内容からみて、本願発明と引用発明とは、前記[相違点1]〜[相違点3]で相違し、その余の点において一致する。
そして、前記[相違点1]〜[相違点3]についての判断は、前記「第2」「2」「2−2」「(5)当審判合議体の判断」において検討したように、引用発明及び周知技術1〜3に基づいて当業者が容易になし得たものである。
したがって、本願発明は、当業者が引用発明及び周知技術1〜3に基づいて容易に発明をすることができたものである。

5 むすび
上記1〜4より、本願発明は、特許法第29条第2項の規定に基づいて特許を受けることができないものである。
したがって、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2022-10-05 
結審通知日 2022-10-11 
審決日 2022-10-25 
出願番号 P2019-219089
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 長崎 洋一
北川 創
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人エビス国際特許事務所  

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