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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09G
管理番号 1392990
総通号数 13 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2023-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-05-25 
確定日 2022-12-19 
事件の表示 特願2020−163934「定期的リセット」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 4月 8日出願公開、特開2021− 54402〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和2年9月29日(パリ条約による優先権主張2019年9月30日、英国)の出願であって、その手続の経緯の概略は、以下のとおりである。

令和2年11月 4日 :翻訳文の提出
令和3年 8月 2日付け:拒絶理由通知書
同年11月 5日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年 1月17日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月25日 :原査定の謄本の送達)
同年 5月25日 :審判請求書、手続補正書の提出


第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和4年5月25日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。

「 【請求項1】
グラフィック処理システム内のグラフィック処理ユニットにおいて安全重要レンダリングを実施する方法であって、
前記グラフィック処理システムにおいて、前記グラフィック処理ユニットにおける安全重要レンダリングのためのグラフィカルデータを受信することと、
安全性コントローラにおいて、リセット頻度に従って、前記グラフィック処理ユニットの複数のリセットをスケジュールすることと、
前記グラフィック処理ユニットにおいて前記グラフィカルデータをレンダリングすることと、
前記安全性コントローラが、前記グラフィック処理ユニットの前記複数のリセットを、前記リセット頻度と整合して実施させることと、を含む方法。」


第3 原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明に対する「理由3(進歩性)」は、次のとおりである。

本願発明は、下記引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、本願の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。



引用文献1.米国特許出願公開第2019/0196926号明細書
引用文献2.特開2015−126807号公報(周知技術を示す文献)
引用文献3.特開2012−198728号公報(周知技術を示す文献)
引用文献4.特開2015−35666号公報(周知技術を示す文献)


第4 引用文献に記載された発明の認定等
1 引用文献1に記載された事項及び引用発明の認定
(1) 引用文献1に記載された事項
前記引用文献1には、以下の事項が記載されている。括弧内に示した翻訳文は、当合議体によるものである。また、下線は当合議体が付したものであり、以下同様である。

ア [0001]〜[0003]
「 TECHNICAL FIELD
[0001] The disclosure relates to the testing of a graphics processing unit (GPU) subsystem for safety critical applications.
BACKGROUND
[0002] Graphics processing units (GPUs) are processing circuits configured to perform many operations in parallel and are useful for graphics operations that generate image data for display. GPUs are used in a variety of environments including automobiles. For instance, a GPU generates image content, such as image content displayed on an instrument panel behind the steering wheel, image content used as warning indicators, image content related to infotainments screens, image content from a rearview camera, and other image content for other automotive display systems. A display device in an automobile may be part of, or operably coupled to, an automotive advanced driver assistance system (ADAS) such that the display device may also display blind spot warnings to alert the driver that there are vehicles situated at the driver's blind spot.
[0003] A safety critical ADAS may be required to fulfill functional safety requirements, such as those mandated by ISO 26262 (functional safety standard for road vehicles). One functional safety requirement is to ensure data content integrity for image data that are to be displayed by a display device. A failure to display correct image data may lead to a violation of defined safety goals for an automotive application. Example automotive applications that may use displays include a rear-view camera system, front collision warning systems, traffic sign recognition systems, parking assistance systems, instrument clusters, and the like.」
(技術分野
[0001] 本開示は、重要な安全性に関する用途に用いられるグラフィックス処理ユニット(GPU)サブシステムのテストに関する。
背景技術
[0002] グラフィックス処理ユニット(GPU)は、多くの演算を並列に実行するように構成された処理回路であり、表示のための画像データを生成するグラフィックス演算に有用である。GPUは、自動車を含む様々な環境で使用される。例えば、GPUは、ステアリングホイールの背後の計器パネル上に表示される画像コンテンツ、警告インジケータとして使用される画像コンテンツ、インフォテインメント画面に関連する画像コンテンツ、リアビューカメラからの画像コンテンツ、及び、他の自動車ディスプレイシステムのための画像コンテンツ等の画像コンテンツを生成する。自動車のディスプレイ装置は、運転者の死角に位置する車両があることを運転者に警告するためのワーニングを表示するような、先進運転支援システム(ADAS)の一部として、又は、それが動作可能に結合される。
[0003] 重要な安全性に関するADASは、ISO26262(道路車両のための機能安全規格)によって義務付けられているような、機能安全要件を満たすために必要とされる。一つの機能安全要件は、表示装置によって表示される画像データのデータ内容の完全性を保証することである。正しい画像データを表示することができないと、自動車用途のための定義された安全目標の違反につながる可能性がある。ディスプレイを使用する例示的な自動車用途は、リアビューカメラシステム、前方衝突警告システム、交通標識認識システム、駐車支援システム、計器クラスタ等を含む。)

イ [0018]〜[0019]
「 DETAILED DESCRIPTION
[0018] Examples of this disclosure are directed to techniques, structures, and devices for ensuring the hardware, memory, and data content integrity of a GPU subsystem by detecting operational faults of the GPU subsystem using a diverse redundancy approach. The GPU of the GPU subsystem may perform the same graphics operation twice (e.g., an operation for rendering or generally producing an image) to render images while it is operating in different rendering modes. The computing device may compare the rendered images generated by the GPU subsystem, and may determine that a fault has occurred in the GPU subsystem if the rendered images generated by the GPU subsystem do not match. The techniques of this disclosure may have application in automotive display systems, avionics display systems, or any other GPU subsystem where it may be beneficial to ensure that the image data intended to be displayed is actually displayed.
[0019] A computing device configured to perform the techniques of this disclosure may perform concurrent and online testing of its GPU subsystem to detect operational faults using the diverse redundancy approach. Concurrent testing of the GPU subsystem is a continuous testing of the GPU subsystem while the computing device is powered on. Online testing of the GPU subsystem includes testing of the GPU subsystem while the computing device and the GPU subsystem are powered on and performing its normal functionality.」
(詳細な説明
[0018] 本開示の例は、多様な冗長性手法を使用してGPUサブシステムの動作障害を検出することによって、GPUサブシステムのハードウェア、メモリ及びデータ内容の完全性を保証するための技術、構造及び装置を対象とする。GPUサブシステムは、異なるレンダリングモードで動作している間に画像をレンダリングするために、同じグラフィックス動作(例えば、画像をレンダリング又は一般に生成するための動作)を二回実行する。計算装置は、GPUサブシステムによって生成されたレンダリング画像を比較して、GPUサブシステムによって生成されたレンダリング画像が一致しない場合、GPUサブシステムにおいて障害が発生したと決定する。本開示の技術は、表示されることが意図される画像データが実際に表示されることを確実にすることが有益であり得る、自動車ディスプレイシステム、アビオニクスディスプレイシステム又は任意の他のGPUサブシステムにおける用途に用いられる。
[0019] 本開示の技術を実行するように構成された計算装置は、多様な冗長性手法を使用して動作障害を検出するために、そのGPUサブシステムの同時及びオンラインテストを実行し得る。GPUサブシステムの同時テストは、計算装置が電源投入されている間、連続して行われるテストである。GPUサブシステムのオンラインテストは、計算装置及びGPUサブシステムが電源投入され、その通常の機能を実行している間、テストすることを含む。)

(2) 引用発明の認定
前記(1)の記載事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

<引用発明>
「運転者の死角に位置する車両があることを運転者に警告するためのワーニングを表示する方法であって、GPUにより、警告インジケータとして使用される画像コンテンツを生成して表示する方法([0002])。」

2 引用文献2〜4に記載された事項及び周知技術の認定
(1) 引用文献2に記載された事項
前記引用文献2には、以下の事項が記載されている。

ア 【0202】
「【0202】
この実施の形態では、上記の構成によって、遊技を行う遊技機(例えば、パチンコ遊技機1など)であって、複数の表示部(例えば、第1表示領域51HA〜第4表示領域51HDなど)と、前記複数の表示部それぞれに対して画像を表示させる制御をそれぞれ行う複数の制御手段(例えば、第1制御IC123BA〜第4制御IC123BDなど)と、制御手段を初期化する初期化手段(例えば、演出制御用CPU120及び保持回路126を備える演出制御基板12など)と、を備え、前記複数の制御手段は、それぞれ、所定信号(例えば、FSYNC1〜FSYNC4などのFSYNC信号など)を定期的に出力し、前記初期化手段は、前記複数の制御手段のうちのいずれかからの前記所定信号が正常に入力されなかったときに、前記複数の制御手段を全て初期化する(例えば、ステップS561の処理を実行する演出制御用CPU120など)、遊技機が構成されることになる。」

イ 【0205】及び【0206】
「【0205】
(前略)
さらに前記の制御手段は、正常に前記の所定信号が前記の初期化手段に入力されないとき(制御手段の異常時)に前記の初期化手段によって少なくとも一部が初期化されることによって、例えば、正常な画像表示が再開されるもの(つまり、制御手段の制御による正常な画像表示が再開されるもの)であればよい。初期化手段による制御手段の初期化は、当該制御手段を構成する初期化可能な全ての電子部品(ICチップなど)についてなされてもよいし、初期化可能な電子部品のうちの一部の電子部品についてなされてもよく、当該初期化は、初期化によって制御手段が正常に動作可能(正常な画像表示が可能)となる電子部品(ICチップなど)についてなされればよい。
【0206】
前記の初期化手段による初期化は、その実施態様に応じて、ハードウェアを初期化すること(例えば、VRAMをクリアすることのほか、VDPなどが内部状態レジスタを有する場合の当該内部状態レジスタを強制的に初期状態に戻すことなど)と、ソフトウェアを初期化すること(ソフトウェアを初期状態にすることなど)とのうちの少なくともいずれかを含むものであればよい。また、前記の初期化手段による初期化は、上記実施の形態では、初期化コマンドの送信によって行われていたが、例えば、第1制御IC123BA〜第4制御IC123BDそれぞれにリセット用の端子を設け、当該端子にHigh信号を供給すると、各制御ICが初期化されるようにしてもよい。また、前記の初期化手段による初期化は、パチンコ遊技機1の電源投入時や第1制御IC123BA〜第4制御IC123BDのうちの少なくともいずれかの異常時(所定信号が正常に入力されないとき)の他、電源投入後に定期的に行われるようにしてもよい。例えば、ソフトウェアリセットを変動開始時及び/又は副画像表示装置51を用いた演出の実行開始時に毎回行い、ハードウェアリセットをデモ表示開始時などに行ってもよい。ソフトウェアリセットを前記のタイミングに加え又は代えてデモ表示開始時に行い、ハードウェアリセットを前記のタイミングに加え又は代えて変動開始時及び/又は副画像表示装置51を用いた演出の実行開始時に毎回行ってもよい。」

(2) 引用文献3に記載された事項
前記引用文献3には、以下の事項が記載されている。

「【背景技術】
【0002】
組み込み機器では、放射線や宇宙線などによりメモリセルに蓄えられた電荷に異常を来すSingle Event Upsetと呼ばれる問題がある。
このSingle Event UpsetによりソフトウェアがCPU(Central Processing Unit)例外となり動作継続不能に陥る可能性もある。
特に、人工衛星などメンテナンスが困難な組み込み機器に搭載する計算機では、この問題を回避するために、人工衛星に搭載された姿勢制御計算機など、信頼性が必要な機能では、周期的にプロセッサをリセットさせることで初期化を行い、異常処理後にすぐに正常処理に戻す処理を行っている。
また、従来ではこのように周期リセットを必要とする機能と周期リセットを必要としないデータ処理などの機能は、それぞれの機能を異なるプロセッサに分けて実現している。」

(3) 引用文献4に記載された事項
前記引用文献4には、以下の事項が記載されている。

「【0011】
無線通信装置100は、アンテナ1と、スイッチ2と、RFIC3(Radio Frequency Integrated Circuit、第1の半導体集積回路)と、MCU4(Multiple Control Unit、第2の半導体集積回路)と、電池5とを備えている。
アンテナ1は無線信号を送受信する。スイッチ2は、アンテナ1が受信した無線信号をRFIC3に供給するか、RFIC3からの信号をアンテナ1に供給するかを切り替える。
(中略)
【0013】
MCU4は、例えば半導体集積回路により構成される。そして、MCU4は、RFIC3から出力されるデジタル信号を処理し、その内容を解釈する。また、MCU4は、RFIC3からETCゲートに送信すべき情報を示すデジタル信号を生成する。このデジタル信号はSPIを介してRFIC3に出力される。MCU4が温度上昇や車両からの電磁波により、一時的に正常動作しなくなることがある場合、リセットIC(不図示)を設けてMCU4を定期的にリセットしてもよい。リセットによりMCU4は再び正常に動作するようになる。」

(4) 周知技術の認定
前記引用文献2〜4に記載されているように、次の事項は周知技術であると認められる。

<周知技術>
「CPUなどの電子回路に対して定期的にリセットを行って、当該電子回路が正常動作しなくなった場合に、当該リセットにより正常な動作に戻すこと。」


第5 対比
1 本願発明と引用発明の対比
本願発明と引用発明を対比する。
(1) 引用発明の「GPUにより、警告インジケータとして使用される画像コンテンツを生成する方法」において、当該GPUが、グラファイカルデータを受信し、そのグラフィカルデータをレンダリングしていることは、本願優先日時点の技術常識に照らして明らかである。
また、その際にレンダリングされるグラフィカルデータは「警告インジケータとして使用される画像コンテンツ」に関するものであるから、当該レンダリングは「安全重要」に関するレンダリングであるといえる。

(2) したがって、引用発明の「運転者の死角に位置する車両があることを運転者に警告するためのワーニングを表示する方法であって、GPUにより、警告インジケータとして使用される画像コンテンツを生成して表示する方法」は、本願発明の「グラフィック処理システム内のグラフィック処理ユニットにおいて安全重要レンダリングを実施する方法」であって、「前記グラフィック処理システムにおいて、前記グラフィック処理ユニットにおける安全重要レンダリングのためのグラフィカルデータを受信すること」と、「前記グラフィック処理ユニットにおいて前記グラフィカルデータをレンダリングすること」を含む方法に相当する。

2 一致点及び相違点
上記1の検討を総合すると、本願発明と引用発明は、以下の一致点で一致し、以下の相違点において相違する。

<一致点>
グラフィック処理システム内のグラフィック処理ユニットにおいて安全重要レンダリングを実施する方法であって、
前記グラフィック処理システムにおいて、前記グラフィック処理ユニットにおける安全重要レンダリングのためのグラフィカルデータを受信することと、
前記グラフィック処理ユニットにおいて前記グラフィカルデータをレンダリングすることと、を含む方法、である点。

<相違点>
本願発明は、「安全性コントローラにおいて、リセット頻度に従って、前記グラフィック処理ユニットの複数のリセットをスケジュールすること」と、「前記安全性コントローラが、前記グラフィック処理ユニットの前記複数のリセットを、前記リセット頻度と整合して実施させること」とを含むのに対して、引用発明は、そのような構成を有していない点。


第6 判断
1 相違点についての判断
前記相違点について検討する。
一般に、GPUは動作障害を起こす可能性があり、引用発明においても、GPUの動作障害に対応すべきという自明な課題を内在することは、当然に理解される事項である。
そうすると、引用発明において、前記課題を解決するために、前記第4の2(4)で示した周知技術を適用して、GPUに対して定期的にリセットを行って、GPUが正常動作しなくなった場合に、当該リセットにより正常な動作に戻すようにして、GPUサブシステムの動作障害に対応することは、当業者が容易に想到し得たことである。
その場合、定期的なリセットを実現するために、GPUの外部の回路(本願発明の「安全性コントローラ」に相当。)が、所定のリセット頻度に従ってリセットをスケジュールして、当該外部の回路が、当該GPUに対してリセット頻度と整合してリセットを実施させること、すなわち、前記相違点に係る構成となることは明らかである。
したがって、引用発明に前記周知技術を適用して、前記相違点に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

2 請求人の主張について
(1) 審判請求書における請求人の主張
請求人は、審判請求書13頁8〜14行において、以下の主張をしている。

「引用文献1に対して引用文献2〜4を組み合わせるためには、まず、引用文献1の目的とする安全性を確保するという課題に対して、引用文献2〜4の技術を適用する場合に、この安全性を維持するという積極的な開示が必要であるところ、引用文献2〜4にはこのような明示は一切ない。また、引用文献1の課題は引用文献1の技術の構成によりすでに解決されており、これに安全性を失う可能性がある引用文献2〜4を組み合わせることは、当業者であれば実行しないことである。」

(2) 請求人の主張についての当合議体の見解
ア 請求人は、引用文献1に対して引用文献2〜4を組み合わせるためには、まず、引用文献1の目的とする安全性を確保するという課題に対して、引用文献2〜4の技術を適用する場合に、この安全性を維持するという積極的な開示が必要であるところ、引用文献2〜4にはこのような明示は一切ないと主張している。
しかしながら、引用文献2〜4は、前記第4の2で示したとおり、CPUなどの電子回路に対して定期的にリセットを行って、当該電子回路が正常動作しなくなった場合に、当該リセットにより正常な動作に戻すことが周知技術であることを示すものとして引用したものであるところ、前記1において検討したとおり、引用発明のGPUも動作障害を起こす可能性があることは、当業者が当然理解するものであると認められるから、定期的にリセットを行って正常な動作に戻す前記周知技術を適用する動機付けは十分にあったと認められる。

イ また、請求人は、引用文献1の課題は引用文献1の技術の構成によりすでに解決されており、これに安全性を失う可能性がある引用文献2〜4を組み合わせることは、当業者であれば実行しないことであると主張している。
しかしながら、引用発明の課題が、引用文献1の技術の構成により解決し得るものとしても、GPUを動作障害から正常な動作に戻すために、当該構成に加えて、前記周知技術を更に適用することに、格別の困難性があるものでない。

ウ よって、前記主張は採用できない。

3 小括
前記2において検討したとおり、請求人の主張は採用できず、前記1の判断を左右するものではない。
また、本願発明によって奏される効果は、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得る程度のものにすぎない。
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。


第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。




 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。

審判長 中塚 直樹
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
 
審理終結日 2022-07-22 
結審通知日 2022-07-26 
審決日 2022-08-08 
出願番号 P2020-163934
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G09G)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 中塚 直樹
特許庁審判官 濱本 禎広
波多江 進
発明の名称 定期的リセット  
代理人 赤岡 明  
代理人 宮嶋 学  
代理人 石原 信人  
代理人 関根 毅  

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