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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1393950 |
総通号数 | 14 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2023-02-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2022-09-20 |
確定日 | 2023-01-10 |
事件の表示 | 特願2021−177935「サーバ、ゲームプログラム、情報処理方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 2月14日出願公開、特開2022− 27758〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、令和2年7月29日に出願した特願2020−127968号の一部を令和3年2月10日に新たな特許出願とした特願2021−20211号の一部を令和3年10月29日に新たな特許出願としたものであって、同年11月1日に手続補正書が提出され、同年12月21日付けで拒絶理由が通知され、これに対して、令和4年2月1日に意見書及び手続補正書が提出され、同年3月7日付けで拒絶理由(最後)が通知され、これに対して、同年5月16日に意見書が提出されたが、同年6月23日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされたのに対し、同年9月20日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1乃至9に係る発明は、令和4年2月1日に提出された手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1乃至9に記載された事項により特定され、そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は以下のとおりである。 「【請求項1】 第1パラメータを消費してゲームを実行するゲーム実行部と、 時間の経過に伴い、前記第1パラメータを第1上限値まで回復させる回復部と、 プレイヤの第1の入力操作に応じて、前記第1パラメータの減少処理を行うとともに第2パラメータの増加処理を行うパラメータ貯蓄部と、 前記プレイヤの第2の入力操作に応じて、前記第2パラメータを前記第1パラメータに変換するパラメータ変換部と、を備え、 前記増加処理により増加した前記第2パラメータは、増加した時から所定時間経過後に無効にされる、 ことを特徴とする情報処理サーバ。」 第3 原査定の拒絶の理由 拒絶査定の理由である、令和4年3月7日付け拒絶理由通知の理由は、次の理由を含むものである。 (進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物1及び2に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.特開2019−76312号公報 2.[プリコネR]スタミナの回復方法とスタミナ貯金のやり方,AppMedia [online],2020年04月13日,[2021年3月15日検索],URL:https://appmedia.jp/priconne-redive/1673583 第4 当審の判断 1 引用例 (1)引用例1 本願の出願日前に頒布された公開公報である特開2019−76312号公報(以下「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は、プレイ権利を利用してプレイ可能なゲームシステム、ゲームプログラムに関するものである。」 イ 「【発明が解決しようとする課題】 【0004】 本発明の課題は、プレイ権利を発展利用できるゲームシステム、ゲームプログラムを提供することである。」 ウ 「【0011】 [ゲームシステム1の構成] 図1に示すように、ゲームシステム1は、ゲーム端末10、サーバ20を備える。図1には、1つのゲーム端末10を図示するが、ゲームシステム1は、実際には、プレイヤがそれぞれ所有するゲーム端末10を備える。 ゲーム端末10及びサーバ20とは、インターネット等を利用した通信網2により接続されており、必要に応じて情報通信をすることができる。」 エ 「【0024】 [権利情報の概要] ゲームシステム1で利用可能な権利情報の概要を説明する。 図3、図4は、第1実施形態の通常権利、超過権利の変動を説明するグラフである。 図3は、通常権利、超過権利がプレイ等で利用されない状態で変化する態様を示す。 プレイヤの保有する各権利の度合いは、ポイント数(パラメータ)で表す。 【0025】 (通常権利) 通常権利は、各ステージでのプレイ、アイテム変換に利用できる属性を有する。 通常権利は、時間経過ごとに増加することにより、プレイヤに付与される。実施形態では、通常権利が増加することを「回復」ともいう。 通常権利の増加条件としては、この時間経過によるものの他、例えば、以下に示すものがある。 ・プレイヤのLVアップ(つまりLVが上がったこと)を条件に、通常権利が増加する。この場合、通常権利は、LVアップ前の保有量に関わらず、LVアップに応じて上限値一杯まで付与される。 ・アイテムである権利の種等の利用によって、通常権利が増加する。後述するように、プレイヤは、権利の種をアイテム変換によって取得できる。なお、詳細な説明は省略するが、プレイヤは、権利の種を、コンテンツサービス運営者を介してシステム運営者からオンラインで、購入することもできる。 【0026】 通常権利記憶部16a,26aは、回復する権利を、上限値(保有上限値)まで記憶する。上限値は、プレイヤのLVに対応して高くなる(図2に示す通常権利記憶部16a,26aの上限値参照)。 実施形態では、上限値は、LVと同じ数値であり、例えば、プレイヤがLV100であれば、上限値は、100ポイントである。 【0027】 図3に示すように、実施形態では、通常権利の回復スピード(単位時間当たりの権利の増加度合いであるプレイ権利増加スピード)は、通常時において、6分間で1ポイント(1ポイント/6m)、つまり、1時間で10ポイント(10ポイント/h)に設定されている。また、後述するように、プレイヤは、通常権利の回復スピードを、通常時とは異なる回復スピードに設定することができる。 【0028】 (超過権利) 後述するように、超過権利は、その付与された時間帯に応じたステージでのプレイに利用できる属性を有する。 図3に示すように、超過権利は、通常権利が上限値に達した後に、通常権利が上限値を維持している間、通常権利の回復スピードと同じ回復スピードで増加する。つまり、権利管理部18b,28bは、時間経過に応じて回復する権利として、上限値までは通常権利を付与する。そして、権利管理部18b,28bは、保有権利が上限値まで達した後は、時間経過に応じて上限値を超過して回復する権利を、通常権利の代わりに超過権利として超過権利記憶部16b,26bに記憶する。 これにより、プレイヤは、通常権利の上限値を超えて付与される権利を、超過権利として保有することができる。 【0029】 図4に示すように、権利管理部18b,28bは、プレイヤがプレイすることにより通常権利が上限値から上限値未満になった場合には、その上限値未満の間は、超過権利の増加を停止する。そして、通常権利が上限値に再度達した後に、超過権利の増加を再開する。 【0030】 超過権利は、付与されてから24時間経過後には、時間経過に応じて減少する。減少スピードは、回復スピードと同じであり、1時間で10ポイント減少する。このため、超過権利は、利用されない場合には、24時間前に付与されたポイントが順次消滅する一方、新たにポイントが付与されることにより、一定となる(図3参照)。 そのため、実施形態では、超過権利には、上限値が設定されていないが、これに限定されず、通常権利と同様に、LVに対応した同じ数値の上限値等が設定されていてもよい。」 オ 「【0048】 (アイテム管理処理) アイテム管理処理について説明する。 図8は、第1実施形態のアイテム管理処理時の表示画面を示す図である。 図8(A)に示すように、ゲーム端末10の制御部18は、アイテム管理画面45をタッチパネル11に表示する。 アイテム管理画面45は、アイテム変換ボタン45a、アイテム変換予約ボタン45b、アイテム利用ボタン45cを表示する。ゲーム端末10の制御部18は、各ボタンの操作に応じて、それぞれアイテム変換処理、アイテム変換予約処理、アイテム利用処理に移行する。プレイヤは、希望の処理に対応したボタンを操作すればよい。 【0049】 (アイテム変換処理) 図8(B)に示すように、アイテム変換部18cは、アイテム変換ボタン45aの操作に応じて、アイテム変換画面46を表示し、また、アイテム変換処理を開始する。 アイテム変換画面46は、アイテム変換実行ボタン46aを表示する。 また、アイテム変換画面46は、保有している通常権利に関する情報46b等を表示する。 アイテム変換実行ボタン46aは、アイテム変換の実行指示を受け付けるボタンである。プレイヤは、アイテム変換を希望する場合には、アイテム変換実行ボタン46aを操作すればよい。 【0050】 アイテム変換部18cは、アイテム変換実行ボタン46aの操作に応じて、プレイヤの保有している通常権利のうちの一部である30ポイントを、アイテムである権利の種に変換する。 以上により、ゲーム端末10のアイテム変換部18cは、アイテム変換処理を終了し、アイテム管理画面45を再表示する。通常権利記憶部16a,26aの通常権利は、アイテム変換前の40ポイントから30ポイント分減算されて、10ポイントに更新される。 【0051】 アイテム変換後の権利の種は、各ステージでプレイするために利用できるものであり、つまりプレイ権利に関するものである。 このため、プレイヤは、プレイ権利を、通常権利から権利の種に変換することにより、アイテムとして保有することができる。 【0052】 また、アイテム変換に応じて、保有している通常権利が減算されるので、現時点で保有している通常権利及び上限値間のポイント差(=上限値−現時点で保有している通常権利)は、大きくなる。つまり、ポイント差は、アイテム変換前には60であったのが、アイテム変換後には90に増える。 これにより、ゲームシステム1は、ログアウト後に通常権利を利用しない放置状態が、長時間継続しても、回復時間が無駄になることを抑制できる。 【0053】 すなわち、アイテム変換しない場合には、上記ポイント差が60ポイントであるので、通常権利が上限値に達するまでの上限到達時間は、回復スピードが10(ポイント/h)であるから、現時点から6時間である。通常権利は、上限値を超過して回復しない。このため、放置状態が現時点から6時間後を超えてしまうと、プレイヤにとっては、この超えた時間において、上限値に達していなければ取得できたはずの通常権利を取得できないことになってしまう。 【0054】 これに対して、アイテム変換した場合には、アイテム変換しない場合よりも、上記ポイント差が90ポイントに増えるので、上限到達時間も3時間延長して9時間に増える。このため、放置状態が9時間継続しても、この間は、通常権利が回復するので、プレイヤは、通常権利を取得することができる。これにより、プレイヤは、現時点から9時間以内に再度プレイ等すれば、上限値に達する前に、9時間以降も通常権利を取得することができる。また、プレイヤは、仮に、現時点から9時間以内に再度プレイ等しない場合でも、延長された上限到達時間の3時間分の通常権利を取得することができる。このため、プレイヤは、例えば、長時間プレイできない予定がある場合や、疲れて早目に就寝したい場合等に、通常権利が上限値や上限値近傍に達していても、アイテム変更することにより、回復する通常権利を有効に取得することができる。このため、ゲームシステム1は、プレイヤがプレイする時間帯の選択の自由度を広げることができる。 【0055】 本実施形態とは異なる形態では、通常ポイントをアイテム変換することができないので、プレイヤは、前述したように取得できたはずの通常権利を取得することができない。これは、プレイヤの不満の要因になる場合がある。また、この形態では、通常権利を減らし上記ポイント差を増やすためには、各ステージでプレイする必要がある。しかし、例えば、就寝前等のプレイ等は、プレイヤにとっては苦痛の場合もある。プレイヤのこのような不満、苦痛等は、例えば、継続プレイ(例えば連日のプレイ)を妨げる大きな要因な1つであり、また、ゲーム離れ(ゲームを止めてしまうこと)の要因でもある。 これに対して、本実施形態のゲームシステム1は、前述したようにプレイヤがプレイする時間帯の選択の自由度を広げること等ができるので、プレイヤのこのような不満等を減らして、継続プレイを強く促すことができる。 【0056】 なお、上記説明は、通常権利のみをアイテム変換する例を示したが、これに限定されない。例えば、アイテム変換に必要な通常権利が不足している場合には、その不足する権利分に後述する貸与権利を利用してもよい。この場合には、アイテム変換部18cは、アイテム変換処理において、後述する図13(A)から図13(C)と同様な画面をタッチパネル11に表示することにより、貸与権利を利用するか否かをプレイヤに確認すればよい。」 カ 「【0070】 (アイテム利用処理) アイテム利用処理は、アイテムである権利の種を利用することにより、権利の種から通常権利へと還元(変換)する処理である。 図8(D)に示すように、アイテム変換部18cは、アイテム利用ボタン45cの操作に応じて、アイテム利用画面48を表示する。 アイテム利用画面48は、変換実行ボタン48aを表示する。 また、アイテム利用画面48は、プレイヤが所有するアイテム、変換内容等の情報を表示する。 変換実行ボタン48aは、権利の種から通常権利への変換実行の操作を受け付けるボタンである。プレイヤは、権利の種から通常権利への変換実行を希望する場合には、変換実行ボタン48aを操作すればよい。 【0071】 ゲーム端末10のアイテム変換部18cは、変換実行ボタン48aの操作に応じて、プレイヤの保有している権利の種の1つを、通常権利に変換する。 この変換処理により、通常権利記憶部16a,26aの通常権利が増加する。プレイヤは、通常権利をステージのプレイに利用することができる。 なお、権利の種の利用により、通常権利が上限値を超えてしまう場合にはアイテム変換部18c,28cは、その超えた分を、超過権利として超過権利記憶部16b,26bに記憶してもよい。」 キ 上記エ【0026】及び【0027】より、通常権利は、回復スピード(単位時間当たりの権利の増加度合いであるプレイ権利増加スピード)6分間で1ポイント(1ポイント/6m)で上限値(保有上限値)まで回復するものと認められる。 そうすると、上記記載事項ア乃至カ及び認定事項キより、引用例1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。 「ゲームシステム1をゲーム端末10とで構成する、サーバ20であって、 ゲームシステム1で利用可能な権利情報として、通常権利及び超過権利があり、 通常権利は、各ステージでのプレイ、アイテム変換に利用できる属性を有し、LVアップに応じて上限値一杯まで付与され、アイテムである権利の種等の利用によって、増加し、回復スピード(単位時間当たりの権利の増加度合いであるプレイ権利増加スピード)6分間で1ポイント(1ポイント/6m)で上限値(保有上限値)まで回復するものであり、 超過権利は、その付与された時間帯に応じたステージでのプレイに利用できる属性を有し、通常権利が上限値に達した後に、通常権利が上限値を維持している間、通常権利の回復スピードと同じ回復スピードで増加し、付与されてから24時間経過後には、時間経過に応じて減少するものであり、 プレイヤは、アイテム変換ボタン45aの操作に応じたアイテム変換処理により、通常権利から権利の種に変換することにより、アイテムとして保有することができ、変換実行ボタン48aの操作に応じたアイテム利用処理により、権利の種から通常権利へと還元(変換)する、 サーバ20。」 (2)引用例2 本願の出願日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった「[プリコネR]スタミナの回復方法とスタミナ貯金のやり方,AppMedia [online],2020年04月13日,[2021年3月15日検索],URL:https://appmedia.jp/priconne-redive/1673583」には、以下の事項が記載されている。 ア 「【プリコネR】 スタミナの回復方法とスタミナ貯金のやり方 プリコネR(プリンセスコネクト!Re:Dive)におけるスタミナの詳細と回復方法についてまとめています。スタミナをプレゼントボックスに保存するスタミナ貯金のやり方も掲載しているので是非攻略にご活用ください。」(1/12頁中段) イ 「スタミナとは クエストに挑戦する度に消費 クエストに挑戦する際に消費。プリコネRでは基本的にクエストを周回することでキャラを強化していく仕様のため非常に重要な要素。スタミナ消費量=プレイヤー経験値のため効率的にプレイヤーレベルを上げるには多くのスタミナを使っていく必要がある。」(1/12頁下段) ウ 「スタミナ回復方法一覧 自然回復を待つ プリコネRのスタミナは6分で1回復する。レベルアップすることでも回復するが、プレイヤーレベルは徐々に上がりづらくなるため貴重なスタミナを溢れさせない様にコマ目に消費しよう。」(1/12頁最下行〜2/12上段) エ 「スタミナ上限について スタミナの最大値は999 プリコネRの使用上、保有できるスタミナの上限は999となっており、上限を超えるスタミナを受け取った場合、そのスタミナは丸ごとプレゼントボックスに送られる。プレゼントボックスに入ったスタミナは24時間以内に受け取らなければ破棄されるため注意しよう。」(3/12頁上段) オ 「スタミナ貯金のやり方 スタミナ貯金とは? 生成されたスタミナをプレボに保存すること スタミナ貯金とは、ギルドハウス内で生成されたスタミナをすぐに反映させるのではなくプレゼントボックスに送ること。保存期限は24時間しかないが、スタミナを溢れさせず好きなタイミングで使うことができる。 レベルキャップ解放時などに有効 月に1度のエリア追加&レベルキャップ解放時の前日に貯金しておくことが有効。その他にもノーマルドロップ2倍の前など、スタミナをがっつり使いたい日に合わせて利用したい。」(3/12頁中段) カ 「スタミナ貯金後の注意点 貯金の期限は24時間だけ スタミナがプレゼントボックスに送られてから24時間以上経過すると自然と消滅してしまうため注意。受け取り期限はボックス内から確認できるため、忘れずに受け取ろう。」(3/12頁下段) そうすると、上記記載事項ア乃至カより、引用例2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。 「クエストに挑戦する際に消費され、保有できる上限は999となっており、自然回復により、6分で1回復し、上限を超えた場合は、丸ごとプレゼントボックスに送られ、プレゼントボックスに入った分は24時間以内に受け取らなければ破棄される、スタミナ。」 2 当審の判断 (1)対比 本願発明と引用発明1とを対比する。 ア 後者の「通常権利」、「ゲーム」、「時間」、「上限値」、「プレイヤ」、及び「サーバ20」は、それぞれ、前者の「第1パラメータ」、「ゲーム」、「時間」、「第1上限値」、「プレイヤ」、及び「情報処理サーバ」に相当する。 イ 後者の「通常権利」は、各ステージでのプレイに利用できる属性を有しているから、「消費してゲームを実行する」ものといえ、してみると、後者の「サーバ20」は、実質的に「第1パラメータを消費してゲームを実行するゲーム実行部」を備えるといえる。 ウ 後者の「通常権利」は、回復スピード(単位時間当たりの権利の増加度合いであるプレイ権利増加スピード)6分間で1ポイント(1ポイント/6m)で上限値(保有上限値)まで回復するものであるから、「時間の経過に伴い、第1上限値まで回復」するものといえ、してみると、後者の「サーバ20」は、実質的に「時間の経過に伴い、第1パラメータを第1上限値まで回復させる回復部」を備えるものといえる。 エ 後者の「権利の種」は、アイテム変換処理及びアイテム利用処理により、通常権利から変換、及び通常権利へと還元(変換)するものであるから、前者の「第2パラメータ」と後者の「権利の種」とは、「第1パラメータの減少処理を行う」ことにより「増加」し、「第1パラメータに変換する」ものとの概念で共通する。 オ 後者の「アイテム変換ボタン45aの操作に応じたアイテム変換処理」は、通常権利を権利の種に変換する処理であるから、後者の「アイテム変換ボタン45aの操作に応じたアイテム変換処理」は、「プレイヤの第1の入力操作に応じて、第1パラメータの減少処理を行うとともに第2パラメータの増加処理を行う」処理といえ、してみると、後者の「サーバ20」は、実質的に「プレイヤの第1の入力操作に応じて、第1パラメータの減少処理を行うとともに第2パラメータの増加処理を行うパラメータ貯蓄部」を備えるものといえる。 カ 後者の「変換実行ボタン48aの操作に応じたアイテム利用処理」は、権利の種を通常権利へと還元(変換)する処理であるから、後者の「変換実行ボタン48aの操作に応じたアイテム利用処理」は、「プレイヤの第2の入力操作に応じて、第2パラメータを第1パラメータに変換する」処理といえ、してみると、後者の「サーバ20」は、実質的に「プレイヤの第2の入力操作に応じて、第2パラメータを第1パラメータに変換するパラメータ変換部」を備えるものといえる。 (2)本願発明と引用発明1の一致点と相違点について 上記(1)の対比を踏まえると、本願発明と引用発明1とは、つぎの一致点で一致し、相違点において相違する。 [一致点] 「第1パラメータを消費してゲームを実行するゲーム実行部と、 時間の経過に伴い、前記第1パラメータを第1上限値まで回復させる回復部と、 プレイヤの第1の入力操作に応じて、前記第1パラメータの減少処理を行うとともに第2パラメータの増加処理を行うパラメータ貯蓄部と、 前記プレイヤの第2の入力操作に応じて、前記第2パラメータを前記第1パラメータに変換するパラメータ変換部と、を備える、 情報処理サーバ。」 [相違点] 「第2パラメータ」が、本願発明は、「増加した時から所定時間経過後に無効にされる」ものであるのに対し、引用発明1は、増加した時から所定時間経過後に無効にされるとの特定がない点。 (3)上記相違点についての検討 ア 引用発明2の「スタミナ」及び「破棄される」は、本願発明の「第2パラメータ」及び「無効にされる」に相当する。 イ 引用発明2の「24時間以内」とは、「丸ごとプレゼントボックスに送られ、プレゼントボックスに入った分はスタミナがプレゼントボックスに入った」と特定されていることから、プレゼントボックスに入った時を起点としているといえるから、引用発明2の「24時間以内」は、本願発明の「増加した時から所定時間」に相当する。 ウ そうすると、引用発明2には、上記相違点に係る構成が示されているといえる。 エ ここで引用発明1は、通常権利の保有上限値以上に増加した分を保有でき、当該超過権利は、付与されてから24時間経過後には、時間経過に応じて減少する超過権利を備えるものである。そして、このように超過権利に対して、使用期限を設けることは、プレイヤ側の利益のみならず、サーバ側(運営側)の利益を考慮しているといえる。 オ してみると、引用発明1には、プレイヤが保有する権利に種に対しても、無効となる期限を設ける動機付けがあるといえる。 カ そうすると、引用発明1の権利の種に、引用発明2のスタミナのごとく24時間経過すると破棄されるようにすることは、当業者が容易になし得るものである。 キ よって、引用発明1に、引用発明2を適用することにより、上記相違点に係る本願発明とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。 そして、本願発明の効果も、引用発明1、及び引用発明2から、当業者が予測し得る程度のものといえる。 第5 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 |
審理終結日 | 2022-11-02 |
結審通知日 | 2022-11-04 |
審決日 | 2022-11-22 |
出願番号 | P2021-177935 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
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最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
古屋野 浩志 |
特許庁審判官 |
比嘉 翔一 藤本 義仁 |
発明の名称 | サーバ、ゲームプログラム、情報処理方法 |
代理人 | One ip弁理士法人 |